(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-18
(54)【発明の名称】切断分離装置用の細断ドラム
(51)【国際特許分類】
B02C 18/30 20060101AFI20221111BHJP
【FI】
B02C18/30 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022526442
(86)(22)【出願日】2020-09-07
(85)【翻訳文提出日】2022-05-09
(86)【国際出願番号】 IB2020058310
(87)【国際公開番号】W WO2021048726
(87)【国際公開日】2021-03-18
(31)【優先権主張番号】102019006334.1
(32)【優先日】2019-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522110588
【氏名又は名称】パッケージング-・アンド・カッティングシステムズ・フォン・デア・バイデン・ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】PACKAGING-& CUTTINGSYSTEMS VON DER WEIDEN GMBH
【住所又は居所原語表記】JUWI-Gewerbepark,Energie-Allee 1,55286 Woerrstadt,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100212705
【氏名又は名称】矢頭 尚之
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】フォン・デア・バイデン、ヘルムート
【テーマコード(参考)】
4D065
【Fターム(参考)】
4D065CA17
4D065CB07
4D065CC01
4D065DD16
4D065DD19
4D065EB07
4D065EC07
4D065ED03
4D065ED22
4D065EE08
4D065EE12
4D065EE18
(57)【要約】
切断分離装置(100)用の細断ドラム(110)が説明されており、第1の端部(112)に入り口開口部(113)が形成され且つ第2の端部(114)に出口開口部(115)が形成された圧力ハウジング(111)を備え、ここにおいて、多数の切断開口部(120)が、圧力ハウジング(111)の圧力ハウジング部分(116)に配置されており、内壁(117)から外壁(118)まで圧力ハウジング部分(116)を貫通し、ここにおいて、切断開口部(120)は、内壁(117)に対してある角度(α
O1、α
O2)をなして傾斜した孔軸(121)を有して配向されている。本発明は、切断分離装置(100)の切断性能及び所望の食材の品質が著しく改善されるように、細断ドラム(110)を改善するという問題に対処する。この問題は、孔軸(121)の傾斜が、それらが入り口開口部(113)の内壁(117)に面するように選択されることによって、本発明によって解決される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
切断分離装置(100)用の細断ドラム(110)であって、第1の端部(112)に入り口開口部(113)が形成され且つ第2の端部(114)に出口開口部(115)が形成された圧力ハウジング(111)を備え、ここにおいて、多数の切断開口部(120)が、圧力ハウジング(111)の圧力ハウジング部分(116)に配置されており、内壁(117)から外壁(118)まで前記圧力ハウジング部分(116)を貫通し、ここにおいて、前記切断開口部(120)が、前記内壁(117)に対してある角度(α
O1、α
O2)をなして傾斜した孔軸(121)を有して配向されている細断ドラム(110)において、
前記孔軸(121)の前記傾斜が、それらが前記内壁(117)上の前記入り口開口部(113)に面するように選択されていることを特徴とする、細断ドラム(110)。
【請求項2】
前記角度(α
O1、α
O2)が、その孔軸(121)と前記内壁(117)との間で、前記入り口開口部(113)とは反対に面する前記切断開口部(120)の側に配置された第1の角度(α
O1)を備えることを特徴とする、請求項1に記載の細断ドラム(110)。
【請求項3】
前記第1の角度(α
O1)が、60°~88°、特に好ましくは65°~85°、極めて特に好ましくは70°~80°であることを特徴とする、請求項2に記載の細断ドラム(110)。
【請求項4】
前記内壁(117)上の各切断開口部(120)が、前記出口開口部(115)に面する切断開口縁部(122a)と、前記入り口開口部(113)に面する引込み開口縁部(122b)と、を有することを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の細断ドラム(110)。
【請求項5】
前記角度(α
O1、α
O2)が、前記孔軸(121)と前記圧力ハウジング部分(116)の半径(R)との間で、前記圧力ハウジング部分(116)の周方向に位置する第2の角度(α
O2)を備えることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の細断ドラム(110)。
【請求項6】
前記第2の角度(α
O2)が、2°~30°、特に好ましくは5°~25°、極めて特に好ましくは10°~20°であることを特徴とする、請求項5に記載の細断ドラム(110)。
【請求項7】
隣接する切断開口部(120)の開口縁部(122、122a、122b)が、軸方向及び/又は周方向において、互いに重なり合うように位置合わせされていることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の細断ドラム(110)。
【請求項8】
軸方向に前後に配置された前記切断開口部(120)が、3°~9°、特に好ましくは4°~8°、極めて特に好ましくは5°~7°のオフセット角β
Oで周方向に互いにオフセットされていることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の細断ドラム(110)。
【請求項9】
オーガ(130)が、前記圧力ハウジング(111)内に回転可能に取り付けられ、少なくとも1つのスクリューフライト(132)がその上に螺旋状に形成されたウォームシャフト(131)を備え、前記スクリューフライト(132)が、設置位置において、食品を押送するための進み側フランク(140)と、反対側に配置された追い側フランク(141)と、前記進み側フランク(140)と前記追い側フランク(141)との間のその遠位端(142)において、前記スクリューフライト(132)の前記進み側フランク(140)への移行領域に鋭利な切れ刃(133)が形成された円筒形セクション(143)と、を有することを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の細断ドラム(110)を有する切断分離装置(100)。
【請求項10】
前記鋭利な切れ刃(133)が、前記切断開口部(120)上をスイープする前記オーガ(130)のスイーピングセクション(134)上に形成されていることを特徴とする、請求項9に記載の切断分離装置(100)。
【請求項11】
前記スクリューフライト(132)の前記円筒形セクション(143)が、少なくとも前記内壁(117)上の前記切断開口部(120)の直径(φ
O)である幅(b
S)を有することを特徴とする、請求項9又は10に記載の切断分離装置(100)。
【請求項12】
前記第2の角度(α
O2)は、前記オーガ(130)の回転方向(M)と逆に位置合わせされていることを特徴とする、請求項9~11のいずれか一項に記載の切断分離装置(100)。
【請求項13】
前記鋭利な切れ刃(133)が、前記進み側フランク(140)と、前記ウォームシャフト(131)に対して垂直な機械加工平面(144)との間に位置する正のすくい角(γ)で形成されていることを特徴とする、請求項9~12のいずれか一項に記載の切断分離装置(100)。
【請求項14】
溝(145)が前記進み側フランク(140)の遠位端(142)に形成されており、ここにおいて、前記溝(145)の外側輪郭(146)が前記円筒形セクション(143)と交差することを特徴とする、請求項9~13のいずれか一項に記載の切断分離装置(100)。
【請求項15】
丸み又はベベル(147)が、前記円筒形セクション(143)と前記追い側フランク(141)との間に配置されていることを特徴とする、請求項9~14のいずれか一項に記載の切断分離装置(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに記載の特徴による、切断分離装置用の細断ドラムに関する。本発明はまた、切断分離装置において実装される。
【背景技術】
【0002】
切断分離装置に含まれる細断ドラムは、食品産業において、特に、肉の細断及び更なる加工のために使用されることが多い。食品産業では、肉を例えばソーセージ製品に加工するとき、コラーゲン組織の割合が低い赤身の筋肉群が、特に関心の対象となる。しかしながら、加工される肉には、通常、脂肪組織、コラーゲン組織及び腱も入り交じっており、これらは、粉砕中に可能な限り完全に選別され、加工サイクルから除去されるべきである。
【0003】
オーガがその中に回転可能に取り付けられた圧力ハウジングを有する細断ドラムを有する、独国特許出願公開第10 2017 003 406(A1)号明細書又は米国再発行特許発明第32,060(E)号明細書による切断分離装置が、これらの不要な成分を除去するために使用される。加工される食品は、入り口開口部を介して圧力ハウジング内に供給され、そこで、オーガによって食品に伝達される圧力により、加工される食品のより柔らかい部分が切断開口部へと逃れ、食品スタッド(food studs)として切断され、切断開口部を通じて圧力シリンダから押し出される。これは、更なる加工に望ましい食品原材料(food ingredient)である。筋の多い材料(stringy material)及び使用できない固形物は、細断加工に加わらず、端部における出口開口部を通じて圧力ハウジングから出ていく。しかしながら、加工される食品の大部分は、分離切断ではなく、押しつぶすことによって粉砕され、その結果、切断分離装置の切断性能及び所望の食品成分の品質が十分でないことが明らかになっている。
【0004】
米国特許出願公開第2013/0252523(A1)号明細書もまた、傾斜した孔軸と切断開口部が位置合わせされた圧力ハウジングを有する切断装置を開示している。孔軸の傾斜は、特に、使用可能な食品における骨材料の割合を更に低減させるために、出口開口部の方向に延びている。しかしながら、実際には、切断分離装置の切断性能は、不十分であることが分かっている。
【発明の概要】
【0005】
従って、発明の目的は、切断分離装置の切断性能と、所望の食品原材料の品質とが著しく改善されるように、細断ドラムを改善することである。
【0006】
この目的は、請求項1の特徴を有する本発明に従って達成される。切断開口部は、圧力ハウジングの内壁に現れ、切断分離装置が動作しているとき、加工される食品に対する切断作業の大部分を行う。切断開口部の傾斜した孔軸は、切断開口部と内壁との間の移行領域において、90°未満のくさび角を有する特に鋭利な切断開口縁部をもたらす。他方では、切断開口部は、切断開口縁部の反対側に、加工される食品が特に良好にその中へと移動する、90°よりも大きい鈍角を有する引込み開口縁部を有する。
【0007】
切断開口部の傾斜した孔軸は、鋭利な切断開口縁部と、鈍い引込み開口縁部と、を生成することを特に容易にする。
【0008】
有利には、傾斜した孔軸の角度は、第1の角度を含み、これは、孔軸と内壁との間で、圧力ハウジングの入り口開口部とは反対に面する切断開口部の側に配置されている。第1の角度では、孔軸は、圧力ハウジングの入り口開口部に向かって傾斜している。圧力ハウジングの軸方向において、その半径は、好都合には、孔軸と位置合わせされている。従って、各切断開口部は、圧力ハウジング部分の内壁と共に、出口開口部に面する切断開口縁部と、入り口開口部に面する引込み開口縁部と、を有し得る。
【0009】
加工される食品は、入り口開口部から圧力ハウジングを通って出口開口部の方向に本質的に軸方向に前進させられるので、切断開口部の切れ刃は、圧力ハウジングの入り口開口部とは反対に面する側に形成されており、従って、加工される食品の主移動方向に対向する。これは、加工される食品を著しく破砕することなく、きれいに分離切断することをもたらす。
【0010】
第1の角度は、好ましくは60°~88°、特に好ましくは65°~85°、極めて特に好ましくは70°~80°である。第1の角度が小さいほど、それから形成される切断開口縁部は鋭利になり、これは、更なる加工に望ましい食品成分の高品質さと共に、特に高い切断性能をもたらす。しかしながら、より小さい第1の角度では、細断ドラムの摩耗関連の耐用年数も減少する。
【0011】
孔軸は、内壁と孔軸との間の切断開口縁部が第1の角度で形成されるように、機能的に(sensibly)位置合わせされている。切断開口縁部のくさび角は、関連する孔軸の第1の角度に対応する。
【0012】
角度は、第2の角度を備え得、これは、孔軸と圧力ハウジング部分の半径との間で、圧力ハウジング部分の周方向に位置する。その結果、孔軸は、圧力ハウジング部分の周方向に追加的に傾斜している。その結果、切断開口部の切れ刃は、切断開口部の側から圧力ハウジングの出口開口部に向かって横方向に更に移動し、回転するオーガの場合には、同じく少なくとも部分的に回転している食料品に対して本質的に垂直である。
【0013】
第2の角度は、有利には2°~30°、特に好ましくは5°~25°、極めて特に好ましくは10°~20°である。従って、第2の角度は、90°と第1の角度との差の絶対値に対応する。
【0014】
軸方向及び/又は周方向において、隣接する切断開口部の開口縁部は、重なり合うように互いに位置合わせされ得る。これにより、ウェブ(webs)の形成と、加工される食品の一部が切断開口部と接触することなく圧力ハウジング部分を通って搬送されることとを回避する。有利には、軸方向に前後に配置された切断開口部は、3°~9°、特に好ましくは4°~8°、極めて特に好ましくは5°~7°のオフセット角で周方向に互いにオフセットされて位置合わせされている。
【0015】
本発明はまた、本発明による細断ドラムを有する切断分離装置において実装され、少なくとも1つのスクリューフライトがその上に螺旋状に形成されたウォームシャフトを備える、圧力ハウジング内に回転可能に取り付けられたオーガを備え、スクリューフライトは、設置位置において、食品を押送するための進み側フランクと、反対側に配置された追い側フランクと、進み側フランクと追い側フランクとの間のその遠位端において、スクリューフライトの進み側フランクへの移行領域に鋭利な切れ刃が形成された円筒形セクションと、を有する。
【0016】
ウォームシャフト及びスクリューフライトは、好ましくは、予期される動作力を恒久的に伝達することができるように、一体化された一体構造ユニットとして設計される。鋭利な切れ刃は、特に、圧力ハウジング部分の内壁上のあらゆる堆積物を除去する役割を果たし、これは、さもなければ、例えば、コラーゲン性の肉成分が切断開口部を覆い、加工される食品がこれ以上切断開口部内に押し込まれて切り刻まれなくなるからである。
【0017】
鋭利な切れ刃は、好ましくは、切断開口部上をスイープするオーガのセクション上に形成されている。加工される食品は、切断開口部が覆われるリスクを伴って、この領域でのみ切り刻まれる。切断開口部がその中に形成された圧力ハウジング部分と、圧力ハウジングの入り口開口部との間の上流に配置され得るオーガの供給セクションは、鋭利な切れ刃を必要としない。その結果、鋭利な切れ刃をオーガ上に部分的に成形すればよいので、オーガの製造コストは、大幅に低減され得る。
【0018】
スクリューフライトの円筒形セクションは、少なくとも内壁上の切断開口部の直径である幅を有し得る。この寸法及び予期される作業荷重により、スクリューフライトは、可逆変形なしに十分な強度を有する。加えて、切断開口部内に保持される肉片が圧力ハウジング部分内で加工される食品から完全に分離されるので、切断性能及び品質に好ましい影響が及ぼされる。
【0019】
第2の角度は、好都合には、オーガの回転方向と逆に(counter to)位置合わせされる。その結果、切断開口部の切断開口縁部は、出口開口部に当初に面していた位置から横方向にシフトされ、スクリューフライトの接近する進み側フランクの方向に突出するとともに、その前方にある加工される食品の方向に突出する。この実施形態でも、引込み開口縁部は、切断開口縁部に対向しており、スクリューフライトの進み側フランクによって最初にスイープされる。孔軸のこの位置合わせにより、切断開口部は、特に良好に充填され、切断開口部内に既に位置する食品片は、特にきれいに切り離される。
【0020】
鋭利な切れ刃が、進み側フランクと、ウォームシャフトに対して垂直に位置合わせされた機械加工平面との間に位置する正のすくい角で形成されている場合、特に好ましいことが実証されている。正のすくい角には、オーガの有効範囲に入る加工される食品からの残留物が引っ掛かって残り(catches behind)、それらを除去する。
【0021】
すくい角は、好ましくは10°~50°、特に好ましくは20°~40°、極めて特に好ましくは25°~35°である。
【0022】
有利には、40°~80°、特に好ましくは50°~70°、極めて特に好ましくは55°~65°のくさび角が、進み側フランクと円筒形セクションとの間に形成されている。
【0023】
特に好都合な実施形態によれば、溝が進み側フランクの遠位端において導入され、ここで、溝の外側輪郭が円筒形セクションと交差する(intersects)。この実施形態では、溝の外側輪郭は、スクリューフライトの進み側フランクの関連セクションを形成する。この場合、すくい角は、溝の外側輪郭と機械加工平面との間に位置する。このとき、くさび角は、溝の外側輪郭とスクリューフライトの円筒形セクションとの間に延在する。
【0024】
丸み(radius)又はベベルが、好都合には、円筒形セクションと追い側フランクとの間に配置されている。このような材料の削減は、加工される食品の温度上昇を低減させ、それによって、細菌負荷を低下させる。
【0025】
より良い理解のために、本発明を、6つの図面を参照して以下により詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、第1の実施形態による細断ドラムと、その中に配置されたオーガと、を備えた切断分離装置の縦断面図である。
【
図4】
図4は、圧力ハウジング部分の領域における
図1による切断分離装置の断面図である。
【
図6】
図6は、圧力ハウジング部分の領域における第2の実施形態による細断ドラムを備えた切断分離装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、細断ドラム110と、その中に同軸上に配置されたオーガ130と、を備えた切断分離装置100の縦断面図を示す。細断ドラム110は、圧力ハウジング111を備え、その第1の端部112には、入り口開口部113が形成されており、それを通じて、粉砕される食品が細断ドラム110に供給される。圧力ハウジング111の反対側の端部には、出口開口部115が形成された第2の端部114があり、それを通じて、筋張った材料(sinewy material)及び使用できない固体が、圧力ハウジング111から搬出される。入り口開口部113及び出口開口部115は、圧力ハウジング111の対向する軸方向開口部をそれぞれ形成している。
【0028】
上流接続手段119aが、細断ドラム110上の圧力ハウジング111の第1の端部112に取り付けられており、これを介して、供給路又は供給ホッパ(ここでは図示せず)への取り外し可能な接続が確立され得る。細断ドラム110はまた、圧力ハウジング111の第2の端部114上に下流接続手段119bを有し、これに対して、例えば、圧力ハウジング111内の食品圧力を制御するための絞り弁(これも図示せず)が取り付けられ得る。
【0029】
細断ドラム110の圧力ハウジング111は、圧力ハウジング部分116の内壁117から外壁118まで連続的に延びている多数の切断開口部120を備えた圧力ハウジング部分116を有する。更なる加工に望ましい食品成分は、切断開口部120を通って排出される。
【0030】
オーガ130は、回転可能に駆動されるウォームシャフト131を含み、その回転軸は、圧力ハウジング111のハウジング長手方向軸Xと位置合わせされている。少なくとも1つのスクリューフライト132が、ウォームシャフト131上に形成されており、ウォームシャフト131を軸方向に螺旋状に取り囲んでいる。ウォームシャフト131が回転すると、そのピッチにより、圧力ハウジング111内の食品は、入り口開口部113から出口開口部115の方向へ前方に押される。このプロセスの間、加工される食品の内部に圧力が蓄積し、これは、加工される食品を切断開口部120内へと押し込み、その結果、切断開口部120内に食品スタッドが形成される。オーガ130によって適用される加工される食品の連続的な送り運動により、食品スタッドは、圧力ハウジング部分116内に残っている食品から切り離され、切断開口部120を通じて圧力ハウジング111を通って外部に出る。
【0031】
しかしながら、圧力ハウジング部分116の領域においてのみ、すなわち、切断開口部120上をスイープするオーガ130のスイーピングセクション134においてのみ、その外側端部において、スクリューフライト132は、鋭利な切れ刃133を有し、その形状及び機能は、
図4~
図6に関連して以下で説明される。
【0032】
図2で特によく分かるように、切断開口部120は、圧力ハウジング部分116を半径方向に貫通せず、それらの孔軸121と共に傾斜している。孔軸121の傾斜は、それが内壁117上の入り口開口部113に面するように選択される。
【0033】
特に、切断開口部120に関する詳細部の拡大図が
図3に示されている。切断開口部120は、外側のより大きい直径の断面部と、内側のより小さい直径の断面部と、を有する段付きボアとして設計され、それによって、切断開口部120内の既に切断された食品スタッドが、より大きい直径の断面部内へと広がり得るので、更なる加工に必要な食品成分は、比較的わずかしか加熱されず、細菌負荷が低減される。
【0034】
しかしながら、内壁117の領域に配置された切断開口部120の直径φOのみが、加工される食品の粉砕作業に関与する。孔軸121は、第1の角度αO1で傾斜している。角度αO1は、孔軸121と、圧力ハウジング111の内壁117又は長手方向軸Xとの間で、出口開口部115の側に位置する。
【0035】
各切断開口部120は、圧力ハウジング部分116の内壁117への移行領域に周方向開口縁部122を有し、そのうち出口開口部115に面する部分は、切断開口縁部122aとして機能し、入り口開口部113に面する部分は、切り刻まれる食品のための引込み開口縁部122bとして機能する。第1の角度αO1での孔軸121の傾斜は、同じ鋭角αO1での特に鋭利な切断開口縁部122aをもたらす。一方、引込み開口縁部122bは、90°超の鈍角を有し、それによって、それぞれの切断開口部120内への切り刻まれる食品の進入を促進する。引込み開口縁部122bの鈍角の大きさは、180°マイナス第1の角度αO1である。
【0036】
図4は、第1の実施形態による細断ドラム110を備えた切断分離装置100の断面図を示し、ここで、切断開口部120は、断面平面においてハウジングの長手方向軸Xに向かって半径方向に延びている。画像平面内で軸方向にオフセットされて配置された切断開口部120は、それらの孔軸121が周方向において互いに角度β
Oだけオフセットされて位置合わせされるように、画像平面内でそれらの前方にある切断開口部120に対して配置されている。
【0037】
オーガ130は、
図4の画像平面において時計回りに回転方向Mに回転する。スクリューフライト132は、回転方向Mの前方に配置されている進み側フランク140と、回転方向Mの後方に配置されている追い側フランク141と、を有する。円筒形セクション143が、スクリューフライト132の各遠位端142において、進み側フランク140と追い側フランク141との間に見られ得、これは、圧力ハウジング部分116の内壁117と相補的な形状をしている。
【0038】
鋭利な切れ刃133は、進み側フランク140に配置された溝145を備え、ここで、その外側輪郭146(
図5)は、円筒形セクション143に隣接し、それに合流する(merges into)。溝145は、オーガ130の軸方向コースにわたって円筒形セクション143に対して等距離に形成され、切断開口部120上をスイープするセクション134全体にわたって延在する。
【0039】
鋭利な切れ刃133を用いることで、特に、圧力ハウジング部分116の内壁117上の加工される食品の付着物が剥がされ得、その結果、付着物が切断開口部120上に恒久的にあり、それによって、加工される食品が切断開口部120に入るのを阻止しないようにする。このような付着物は、通常、コラーゲン材料で構成され、これは、赤身肉の最大で20倍の強度を有し、その高い強度により切断開口部120内にほとんど通らない。
【0040】
鋭利な切れ刃133によって剥がされた堆積物は、出口開口部115の方向に移送され、そこで細断ドラム110から取り除かれる。
【0041】
オーガ130の縦断面図において、
図5は、鋭利な切れ刃133が溝145の外側輪郭146と円筒形セクション143とから形成されていることを示す。鋭利な切れ刃133は、オーガ130の軸方向延長部に垂直な機械加工平面144と、溝145の外側輪郭146との間に広がるすくい角γを有する。くさび角δが、溝145の外側輪郭146と、スクリューフライト132の円筒形セクション143との間に配置されている。逃げ角は、スクリューフライト132の円筒形セクション143により常に0°であるので、すくい角γとくさび角δとの合計は、常に90°である。
【0042】
鋭利な切れ刃133は、切断開口部120を横断するスイーピングセクション134内にのみ存在する。切断開口部120を備えた圧力ハウジング部分116と、入り口開口部113との間の細断ドラム110の圧力ハウジング111を越えて突出するオーガ130の供給セクション135において、オーガ130は、従来のスクリューフライト132のみを有し、これは、例えば、90°のすくい角γで設計された切れ刃を有する。この領域では、圧力ハウジング111に切断開口部120が存在しないので、切断開口部は、加工される食品の付着物によって詰まることがなく、その結果として、オーガ130の鋭利な切れ刃133から除去される必要がない。
【0043】
切断分離装置100の高い切断性能のために、切断開口部120上をスイープするセクション134の領域におけるスクリューフライト132は、圧力ハウジング部分116の内壁117上の切断開口部120の直径φOに少なくとも対応する幅bSを有する。幅bSは、スクリューフライト132の進み側フランク140と追い側フランク141との間の垂直方向の距離を形成する。
【0044】
ベベル147が、スクリューフライト132の円筒形セクション143と、関連する追い側フランク141との間の移行領域に形成され、これもまた、加工される食品の加熱を低減することに寄与する。ベベル147の代わりに、丸み又は別の幾何学的形状もまた、円筒形セクション143と追い側フランク141との間の移行領域に設けられ得、この領域においてスクリューフライト132の材料の削減があることが常に必須である。ベベル147は、切断開口部120上をスイープするオーガ130のスイーピングセクション134内でのみ、溝145に沿って延びている。
【0045】
図6は、圧力ハウジング部分116の領域における第2の実施形態による細断ドラム110を備えた切断分離装置100の断面図を示す。そこで導入された切断開口部120は、第1の角度α
O1に加えて、第2の角度α
O2でも傾斜している孔軸121を有する。
【0046】
第2の角度αO2は、圧力ハウジング部分116の半径Rに対して横方向に適用され、従って、圧力ハウジング部分116の周方向に広がる。第2の実施形態による第2の角度αO2で追加的に傾斜している孔軸121は、オーガ130の回転方向Mとは逆の内壁117の方向に延びており、その結果、切断開口部120は、スクリューフライト132の進み側フランク140とは反対に面するそれらの側に切断開口縁部122aを有する。第2の角度αO2での孔軸121の傾斜は、同じ鋭角αO2において、圧力ハウジング部分116の内壁117と切断開口部120との間に等しく鋭利な切断開口縁部122aをもたらす。
【0047】
[参照符号のリスト]
100 切断分離装置
110 細断ドラム
111 圧力ハウジング
112 圧力ハウジングの第1の端部
113 入り口開口部
114 圧力ハウジングの第2の端部
115 出口開口部
116 圧力ハウジング部分
117 圧力ハウジング部分の内壁
118 圧力ハウジング部分の外壁
119a 上流接続手段
119b 下流接続手段
120 切断開口部
121 切断開口部の孔軸
122 開口縁部
122a 切断開口縁部
122b 引込み開口縁部
130 オーガ
131 ウォームシャフト
132 スクリューフライト
133 鋭利な切れ刃
134 切断開口部スイーピングセクション
135 供給セクション
140 スクリューフライトの進み側フランク
141 スクリューフライトの追い側フランク
142 スクリューフライトの遠位端
143 スクリューフライトの円筒形セクション
144 機械加工平面
145 溝
146 溝の外側輪郭
147 ベベル
bS スクリューフライトの幅
M オーガの回転方向
R 圧力ハウジング部分の半径
X ハウジングの長手方向軸
αO1 切断開口部の孔軸の第1の角度
αO2 切断開口部の孔軸の第2の角度
βO 切断開口部のオフセット角
φO 切断開口部の直径
γ 切れ刃のすくい角
δ 切れ刃のくさび角
【国際調査報告】