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特表2022-550251V2Xリソースのセンシングおよび選択においてSL-RSRPを利用する通信装置および通信方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-01
(54)【発明の名称】V2Xリソースのセンシングおよび選択においてSL-RSRPを利用する通信装置および通信方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 72/10 20090101AFI20221124BHJP
   H04W 4/40 20180101ALN20221124BHJP
   H04W 92/18 20090101ALN20221124BHJP
【FI】
H04W72/10
H04W4/40
H04W92/18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022509709
(86)(22)【出願日】2020-07-09
(85)【翻訳文提出日】2022-02-15
(86)【国際出願番号】 SG2020050394
(87)【国際公開番号】W WO2021066741
(87)【国際公開日】2021-04-08
(31)【優先権主張番号】10201909315Q
(32)【優先日】2019-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SG
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.3GPP
(71)【出願人】
【識別番号】514136668
【氏名又は名称】パナソニック インテレクチュアル プロパティ コーポレーション オブ アメリカ
【氏名又は名称原語表記】Panasonic Intellectual Property Corporation of America
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カン ヤン
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 秀俊
(72)【発明者】
【氏名】芝池 尚哉
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA11
5K067EE02
5K067EE10
5K067EE22
5K067EE25
(57)【要約】
本開示は、V2Xリソースのセンシングおよび選択においてSL-RSRPを利用する通信装置および通信方法を提供する。本通信装置は、動作時に、複数の優先度レベルのうちの少なくとも1つに基づいてパラメータを調整し、調整されたパラメータに基づいて複数のリソース候補を決定する回路と、動作時に、前記複数のリソース候補から選択されるリソースを使用して送信ブロック(TB)を送信する送信機と、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信装置であって、
動作時に、複数の優先度レベルのうちの少なくとも1つに基づいてパラメータを調整し、前記調整されたパラメータに基づいて複数のリソース候補を決定する回路と、
動作時に、前記複数のリソース候補から選択されるリソースを使用して送信ブロック(TB)を送信する送信機と、
を備える通信装置。
【請求項2】
前記回路が、前記パラメータを、前記複数の優先度レベルのうちの前記少なくとも1つに関連する最大値に調整するようにさらに構成されており、前記最大値が事前設定または上位層シグナリングによって示される、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記回路が、前記パラメータを、第1の優先度レベルに関連する第1の最大値、または第2の優先度レベルに関連する第2の最大値に調整するようにさらに構成されており、前記第1の最大値および前記第2の最大値が、事前設定または上位層シグナリングによって示される、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項4】
前記回路が、前記複数のリソース候補が条件を満たすときに、前記パラメータを、前記パラメータの最大値を上限として、事前に設定される値だけ増大させるようにさらに構成されており、前記事前に設定される値が、事前設定または上位層シグナリングによって示される、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項5】
前記事前に設定される値が、前記複数の優先度レベルの間で異なっている、
請求項4に記載の通信装置。
【請求項6】
前記複数の優先度レベルのうちの前記少なくとも1つが、前記TBの優先度レベルを有する、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項7】
前記複数の優先度レベルのうちの前記少なくとも1つが、制御情報によって示される、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項8】
1つまたは複数の優先度グループのそれぞれが1つ以上の優先度レベルを含むように、前記複数の優先度レベルが前記1つまたは複数の優先度グループに分類され、前記回路が、前記パラメータを、前記複数の優先度レベルのうちの前記少なくとも1つが分類されている優先度グループに関連する最大値まで調整するように、さらに構成されている、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項9】
前記1つまたは複数の優先度グループのそれぞれに関連する前記最大値が、前記優先度グループの間で異なっている、
請求項8に記載の通信装置。
【請求項10】
前記回路が、
前記複数のリソース候補の前記パラメータを、最大で、セットSからの除外処理のための事前設定される繰り返し回数だけ増大させ、前記事前設定される繰り返し回数が、前記複数の優先度レベルのうちの前記少なくとも1つに基づいており、
前記事前設定された繰り返し回数だけ前記パラメータを増大させた後、前記除外処理の後に前記セットSに残っている前記複数のリソースをセットSに移動させ、
前記セットSを上位層に報告する、
ようにさらに構成されている、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項11】
前記回路が、
前記パラメータを、セットSからの前記複数のリソース候補の除外処理の第1の繰り返し回数を上限として増大させ、前記第1の繰り返し回数が、前記複数の優先度レベルのうちの前記少なくとも1つに基づく最大繰り返し回数を有し、
前記第1の繰り返し回数の後に前記セットSに残っている前記複数のリソース候補が候補リソース比率よりも小さいかどうかを判定し、
前記第1の繰り返し回数の後に前記セットSに残っている前記複数のリソース候補が前記候補リソース比率よりも小さいと判定されるとき、前記セットSからの前記除外処理の第2の繰り返し回数を上限として前記パラメータをさらに増大させ、前記第2の繰り返し回数が、前記複数の優先度レベルのうちの前記少なくとも1つに基づく最大繰り返し回数を有し、
前記パラメータを前記第2の繰り返し回数だけ増大させた後に、前記セットSに残っている前記複数のリソースをセットSに移動させ、
前記セットSを上位層に報告する、
ようにさらに構成されている、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項12】
前記パラメータがTha,bを含む、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項13】
前記パラメータがTha,bを含み、前記回路が、除外処理の各繰り返しにおいて前記Tha,bを3dB以外の値だけ増大させるようにさらに構成されている、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項14】
前記候補リソース比率が、20%以外のパーセント値であるように設定されている、
請求項11に記載の通信装置。
【請求項15】
通信方法であって、
複数の優先度レベルのうちの少なくとも1つに基づいてパラメータを調整するステップと、
前記調整されたパラメータに基づいて複数のリソース候補を決定するステップと、
前記複数のリソース候補から選択されるリソースを使用して送信ブロック(TB)を送信するステップと、
を含む通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下の開示は、新無線(NR:New Radio)通信の通信装置および通信方法に関し、より詳細には、V2Xリソースのセンシングおよび選択においてSL-RSRPを利用する通信装置および通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
V2X通信は、車両が公道およびその他の道路利用者と対話することを可能にし、したがって自動運転車(autonomous vehicle)を実現するうえで重要な要素と考えられる。
【0003】
この過程を加速するため、3GPP(第3世代パートナーシッププロジェクト)は、高度なV2Xサービスの技術的解決策を明らかにする目的で、5G NRベースのV2X通信(同義語としてNR V2X通信とも呼ばれる)を検討しており、このV2X通信では、車両(同義語として、V2Xアプリケーションをサポートする通信装置またはユーザ機器(UE)とも呼ばれる)は、近くの別の車両、インフラストラクチャノード、および/または歩行者と、自身のステータス情報をサイドリンク(SL)を通じて交換することができる。ステータス情報は、位置、速度、進行方向などに関する情報を含む。
【0004】
このようなV2X通信においては、少なくとも2つのサイドリンク(SL)リソース割当てモードが3GPPによって検討されている。リソース割当てモード1では、サイドリンク(SL)送信用にUEによって使用される(1つまたは複数の)サイドリンク(SL)リソースが、基地局(BS)によってスケジューリングされる。リソース割当てモード2では、基地局/ネットワークによって設定されるサイドリンク(SL)リソース、または事前に設定されるサイドリンク(SL)リソースの中で、UEがサイドリンク(SL)送信リソースを決定し、すなわち基地局はスケジューリングを行わない。リソース割当てに関する3GPPの検討では、複数の異なる送信ブロック(TB)の複数の送信用に(1つまたは複数の)リソースが選択されるセミパーシステント(半静的)方式と、各送信ブロック(TB)の送信用にリソースが選択される動的方式という観点から、モード2(a)のセンシングおよびリソース選択手順も考慮されている。
【0005】
プラハで開催された3GPP RAN WG1 #98会合では、以下の項目が検討された。
【0006】
- リソース(再)選択の手順は、以下のステップを含む。
〇 ステップ1: リソース選択ウィンドウ内で候補リソースを識別する(詳細は今後の検討課題)
〇 ステップ2: 識別された候補リソースから(再)送信用のリソースを選択する(詳細は今後の検討課題)
【0007】
- リソース(再)選択手順のステップ1では、以下の場合、リソースは候補リソースとみなされない。
〇 受信したSCIにリソースが示されており、関連するL1サイドリンク基準信号受信電力(SL-RSRP:Sidelink Reference Signal Received Power)の測定値がSL-RSRPのしきい値を超えている。
〇 SL-RSRPのしきい値は、少なくとも、受信したSCIに示されるSL送信の優先度と、UEがリソースを選択している送信の優先度の関数である。
〇 詳細は今後の検討課題
【0008】
しかしながら、V2Xリソースのセンシングおよび選択においてSL-RSRPを利用する通信装置および通信方法については、これまで議論されていない。
【0009】
したがって、V2Xリソースのセンシングおよび選択においてSL-RSRPを利用するための実現可能な技術的ソリューションを提供する通信装置および通信方法が必要とされている。さらに、以下の詳細な説明および添付の請求項を、添付の図面および本開示の背景技術のセクションと併せて検討することにより、他の望ましい特徴および特性が明らかになるであろう。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】3GPP TS 38.300 v15.6.0
【非特許文献2】3GPP TS 38.211 v15.6.0
【非特許文献3】3GPP TS 23.502 v16.0.0
【非特許文献4】ITU-R M.2083
【非特許文献5】3GPP TR 38.913 v15.0.0
【非特許文献6】3GPP TS 23.287 v16.0.0
【非特許文献7】3GPP TS 36.213 v15.0.0
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明を制限することのない例示的な実施形態は、V2Xリソースのセンシングおよび選択においてSL-RSRPを利用する通信装置および通信方法を提供することを促進する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本開示の第1の実施形態によれば、通信装置であって、動作時に、複数の優先度レベルのうちの少なくとも1つに基づいてパラメータを調整し、調整されたパラメータに基づいて複数のリソース候補を決定する回路と、動作時に、複数のリソース候補から選択されるリソースを使用して送信ブロック(TB)を送信する送信機と、を備えている通信装置、を提供する。
【0013】
本開示の第2の実施形態によれば、通信方法であって、複数の優先度レベルのうちの少なくとも1つに基づいてパラメータを調整するステップと、調整されたパラメータに基づいて複数のリソース候補を決定するステップと、複数のリソース候補から選択されるリソースを使用して送信ブロック(TB)を送信するステップと、を含む、通信方法、を提供する。
【0014】
なお、一般的または特定の実施形態は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム、記憶媒体、またはこれらの任意の選択的な組合せとして実施できることに留意されたい。
【0015】
開示されている実施形態のさらなる恩恵および利点は、本明細書および図面から明らかになるであろう。これらの恩恵および/または利点は、本明細書および図面の様々な実施形態および特徴によって個別に得ることができ、このような恩恵および/または利点の1つまたは複数を得るために、これらの特徴すべてを設ける必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
この技術分野における通常の技術を有する者には、一例にすぎない以下の説明を図面を参照しながら読み進めることによって、本開示の実施形態が深く理解され容易に明らかになるであろう。
図1】例示的な3GPP NR-RANアーキテクチャを示している。
図2】NG-RANと5GCとの間の機能の分離を示した概略図を描いている。
図3】RRC接続確立/再設定手順のシーケンス図を示している。
図4】拡張モバイルブロードバンド(eMBB)、大規模マシンタイプ通信(mMTC)、および超高信頼・低遅延通信(URLLC)の使用シナリオを示した概略図を描いている。
図5】非ローミングシナリオにおけるV2X通信のための例示的な5Gシステムアーキテクチャを示したブロック図を示している。
図6】様々な実施形態に係るV2Xリソースのセンシングおよび選択プロセスを図解した概略図600を示している。
図7】様々な実施形態に係る、物理(PHY)層がどのようにセンシングを行うかを図解したフローチャートを示している。
図8】一実施形態に係る、V2Xリソースのセンシングおよび選択においてSL-RSRPがどのように利用されるかを図解したフローチャートを示している。
図9】別の実施形態に係る、V2Xリソースのセンシングおよび選択においてSL-RSRPがどのように利用されるかを図解したフローチャートを示している。
図10】さらに別の実施形態に係る、V2Xリソースのセンシングおよび選択においてSL-RSRPがどのように利用されるかを図解したフローチャートを示している。
図11】様々な実施形態に係る通信方法を図解したフローチャートを示している。
図12】様々な実施形態に従った通信装置の概略例を示している。通信装置は、UEまたはgNB/基地局として実施することができ、本開示の様々な実施形態に従ってSL-RSRPを利用するように構成することができる。
【0017】
図中の要素は簡潔かつ明確であるように図解されており、必ずしも正しい縮尺では描かれていないことが、当業者には理解されるであろう。本発明の実施形態を深く理解できるように、例えば、図解、ブロック図、または流れ図の中のいくつかの要素の寸法が、他の要素に比べて誇張して描かれていることがある。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本開示のいくつかの実施形態について、図面を参照しながら、一例としてのみ説明する。図面内の類似する参照数字および参照文字は、類似する要素または等価の要素を指している。
【0019】
3GPPは、最大100GHzの周波数で動作する新しい無線アクセス技術(NR)の開発を含む第5世代セルラー技術(単に5Gと呼ばれる)の次のリリースに取り組んでいる。5G標準の最初のバージョンは、2017年の終わりに完了し、これにより、5G NR標準に準拠したスマートフォンの試験および商用展開に進むことができる。
【0020】
特に、全体的なシステムアーキテクチャは、gNBを備えるNG-RAN(次世代-無線アクセスネットワーク:Next Generation - Radio Access Network)を想定しており、gNBは、UEに向かうNG無線アクセスユーザプレーン(SDAP/PDCP/RLC/MAC/PHY)プロトコルおよび制御プレーン(RRC)プロトコルを終端させる。gNBは、Xnインタフェースによって互いに相互接続されている。さらにgNBは、次世代(NG)インタフェースによってNGC(次世代コア:Next Generation Core)に接続され、より具体的には、NG-CインタフェースによってAMF(アクセスおよびモビリティ管理機能:Access and Mobility Management Function)(例:AMFを実行する特定のコアエンティティ)に接続され、NG-UインタフェースによってUPF(ユーザプレーン機能:User Plane Function)(例:UPFを実行する特定のコアエンティティ)に接続される。図1はNG-RANアーキテクチャを示している(非特許文献1の4節を参照)。
【0021】
NRにおけるユーザプレーンプロトコルスタック(例えば非特許文献1の4.4.1節を参照)は、PDCP(パケットデータコンバージェンスプロトコル:Packet Data Convergence Protocol、非特許文献1の6.4節を参照)サブレイヤ、RLC(無線リンク制御:Radio Link Control、非特許文献1の6.3節を参照)サブレイヤ、およびMAC(媒体アクセス制御:Medium Access Control、非特許文献1の6.2節を参照)サブレイヤを含み、これらのサブレイヤは、ネットワーク側ではgNBにおいて終端する。これに加えて、PDCPの上に、アクセス層(AS)の新しいサブレイヤ(SDAP:サービスデータアダプテーションプロトコル:Service Data Adaptation Protocol)が導入される(例えば非特許文献1の6.5節を参照)。NRにおいても制御プレーンプロトコルスタックが定義されている(例えば非特許文献1の4.4.2節を参照)。レイヤ2の機能の概要は、非特許文献1の6節に記載されている。PDCPサブレイヤ、RLCサブレイヤ、およびMACサブレイヤの機能は、それぞれ非特許文献1の6.4節、6.3節、および6.2節に記載されている。RRCレイヤの機能は、非特許文献1の7節に記載されている。
【0022】
媒体アクセス制御(MAC)層は、例えば、論理チャネルの多重化と、スケジューリングおよびスケジューリング関連機能(様々なヌメロロジーの処理を含む)を扱う。
【0023】
物理層(PHY)は、例えば、符号化、PHY HARQ処理、変調、マルチアンテナ処理、適切な物理的時間-周波数リソースへの信号のマッピングの責務を担う。さらに物理層(PHY)は、物理チャネルへのトランスポートチャネルのマッピングを処理する。物理層(PHY)は、トランスポートチャネルの形でMAC層にサービスを提供する。物理チャネルは、特定のトランスポートチャネルの送信に使用される時間周波数リソースのセットに対応し、各トランスポートチャネルが、対応する物理チャネルにマッピングされる。例えば、物理チャネルは、アップリンク用として、PRACH(物理ランダムアクセスチャネル:Physical Random Access Channel)、PUSCH(物理アップリンク共有チャネル:Physical Uplink Shared Channel)、およびPUCCH(物理アップリンク制御チャネル:Physical Uplink Control Channel)があり、ダウンリンク用として、PDSCH(物理ダウンリンク共有チャネル:Physical Downlink Shared Channel)、PDCCH(物理ダウンリンク制御チャネル:Physical Downlink Control Channel)、およびPBCH(物理ブロードキャストチャネル:Physical Broadcast Channel)がある。
【0024】
NRのユースケース/配置シナリオには、拡張モバイルブロードバンド(eMBB)、超高信頼・低遅延通信(URLLC)、大規模マシンタイプ通信(mMTC)が含まれ、これらのサービスは、データレート、レイテンシ、およびカバレッジに関して多様な要件を有する。例えばeMBBは、IMT-Advancedによって提供される3倍のオーダーのピークデータレート(ダウンリンクが20Gbps、アップリンクが10Gbps)およびユーザ体感データレートをサポートすることが期待される。これに対してURLLCの場合、より厳しい要件として、極めて低いレイテンシ(ユーザプレーンのレイテンシはアップリンクおよびダウンリンクそれぞれで0.5ms)および高い信頼性(1ms内で1~10-5)が課せられる。さらにmMTCでは、高い接続密度(都市環境では1kmあたり1,000,000個のデバイス)、過酷な環境における広いカバレッジ、デバイスコストを下げるための極めて長寿命のバッテリ(15年)が好ましくは要求されうる。
【0025】
したがって、あるユースケースに適したOFDMヌメロロジー(例:サブキャリア間隔、OFDMシンボル持続時間、サイクリックプレフィックス(CP)持続時間、スケジューリング間隔あたりのシンボル数)が、別のユースケースではうまく機能しないことがある。例えば、低レイテンシのサービスでは、mMTCサービスよりも短いシンボル持続時間(したがってより大きいサブキャリア間隔)、および/または、スケジューリング間隔(TTIとも称される)あたりの少ないシンボル、が好ましくは要求されうる。さらには、チャネルの遅延スプレッドが大きい配置シナリオでは、遅延スプレッドが短いシナリオよりも長いサイクリックプレフィックス(CP)持続時間が好ましくは要求されうる。同程度のサイクリックプレフィックス(CP)オーバーヘッドを維持するため、遅延スプレッドに応じてサブキャリア間隔を最適化するべきである。NRでは、サブキャリア間隔の2つ以上の値がサポートされうる。したがって現在のところ、15kHz、30kHz、60kHz、...のサブキャリア間隔が検討されている。シンボル持続時間Tとサブキャリア間隔Δfは、式Δf=1/Tにより、直接関係している。LTEシステムの場合と同様に、1個のOFDM/SC-FDMAシンボルの長さに対する1つのサブキャリアから構成される最小リソース単位を表すのに、用語「リソースエレメント」を使用することができる。
【0026】
新しい無線システム5G NRでは、各ヌメロロジーおよびキャリアごとに、アップリンクおよびダウンリンクそれぞれにおいて、サブキャリアとOFDMシンボルのリソースグリッドが定義される。リソースグリッド内の各要素は、リソースエレメントと呼ばれ、周波数領域における周波数インデックスと時間領域におけるシンボル位置とに基づいて識別される(非特許文献2を参照)。
【0027】
図2は、NG-RANと5GCとの間での機能の分割を示している。NG-RANの論理ノードは、gNBまたはng-eNBである。5GCの論理ノードは、AMF、UPF、およびSMFである。
【0028】
gNBおよびng-eNBは、特に次の主要機能を処理する。
- 無線ベアラ制御(Radio Bearer Control)、無線アドミッション制御(Radio Admission Control)、接続モビリティ制御(Connection Mobility Control)、アップリンクおよびダウンリンクの両方向におけるUEへの動的なリソース割当て(スケジューリング)など、無線リソース管理(Radio Resource Management)の機能
- IPヘッダ圧縮、暗号化、およびデータの整合性保護
- UEによって提供される情報からAMFへのルーティングを決定できないときのUEのアタッチ時のAMFの選択
- UPFへのユーザプレーンデータのルーティング
- AMFへの制御プレーン情報のルーティング
- 接続の確立および解放
- ページングメッセージのスケジューリングおよび送信
- (AMFまたはOAMから送られる)システムブロードキャスト情報のスケジューリングおよび送信
- モビリティおよびスケジューリングのための測定および測定報告の設定
- アップリンクにおけるトランスポートレベルのパケットマーキング
- セッション管理
- ネットワークスライシングのサポート
- QoSフロー管理およびデータ無線ベアラへのマッピング
- RRC_INACTIVE状態にあるUEのサポート
- NASメッセージの配信機能
- 無線アクセスネットワークシェアリング
- 二重接続
- NRとE-UTRA間の緊密なインターワーキング
【0029】
アクセスおよびモビリティ管理機能(AMF)は、次の主要機能を処理する。
- 非アクセス層(NAS:Non-Access Stratum)シグナリングの終端
- NASシグナリングのセキュリティ
- アクセス層(AS:Access Stratum)のセキュリティ制御
- 3GPPアクセスネットワーク間のモビリティのためのコアネットワーク(CN:Core Network)ノード間シグナリング
- アイドルモードUEの到達可能性(ページング再送の制御および実行を含む)
- レジストレーションエリア(Registration Area)管理
- システム内モビリティおよびシステム間モビリティのサポート
- アクセス認証
- ローミング権のチェックを含むアクセス認証
- モビリティ管理制御(サプスクリプションおよびポリシー)
- ネットワークスライシングのサポート
- セッション管理機能(SMF:Session Management Function)の選択
【0030】
さらに、ユーザプレーン機能(UPF:User Plane Function)は、次の主要機能を処理する。
- RAT内/RAT間モビリティのためのアンカーポイント(適用可能時)
- データネットワークとの相互接続の外部PDUセッションポイント
- パケットのルーティングおよび転送
- パケット検査およびポリシールール施行のユーザプレーン部分
- トラフィック使用報告
- データネットワークへのトラフィックフローのルーティングをサポートするためのアップリンク分類器
- マルチホームPDUセッションをサポートするためのブランチングポイント
- ユーザプレーンのQoS処理(例:パケットフィルタリング、ゲーティング、UL/DLレート強制)
- アップリンクトラフィックの検証(SDFからQoSフローへのマッピング)
- ダウンリンクパケットのバッファリングおよびダウンリンクデータ通知のトリガリング
【0031】
最後に、セッション管理機能(SMF)は、次の主要機能を処理する。
- セッション管理
- UE IPアドレスの割当ておよび管理
- UP機能の選択および制御
- トラフィックを正しい宛先にルーティングするためのユーザプレーン機能(UPF)におけるトラフィックステアリングの設定
- ポリシー施行およびQoSの制御部分
- ダウンリンクデータ通知
【0032】
図3は、UEがRRC_IDLEからRRC_CONNECTEDに移行するときの、NAS部分における、UE、gNB、AMFの間のインタラクションを示している(非特許文献1を参照)。
1. UEが、RRC_IDLEから新しい接続の確立を要求する。
2/2a. gNBが、RRC確立手順を完了する。
注: gNBが要求を拒否するシナリオは、後から説明する。
3. RRCSetupCompleteでピギーバックされたUEからの最初のNASメッセージがAMFに送信される。
4/4a/5/5a. UEとAMFの間で追加のNASメッセージを交換することができる(非特許文献3を参照)。
6. AMFがUEのコンテキストデータ(PDUセッションコンテキスト、セキュリティキー、UE無線能力、UEセキュリティ能力を含む)を作成し、gNBに送信する。
7/7a. gNBが、UEとのASセキュリティをアクティブにする。
8/8a. gNBが、SRB2およびDRBを確立するための再設定を実行する。
9. gNBが、確立手順が完了したことをAMFに通知する。
【0033】
RRCは、UEおよびgNBの設定に使用される上位層シグナリング(プロトコル)である。特に、この移行では、AMFがUEコンテキストデータ(例:PDUセッションコンテキスト、セキュリティキー、UE無線能力、UEセキュリティ能力などを含む)を作成し、それをINITIAL CONTEXT SETUP REQUESTによってgNBに送る。次にgNBが、UEとのASセキュリティをアクティブにし、これはgNBがSecurityModeCommandメッセージをUEに送信し、UEがSecurityModeCompleteメッセージでgNBに応答することによって実行される。その後gNBは、再設定を実行してシグナリング無線ベアラ2(SRB2)およびデータ無線ベアラ(DRB)を確立し、これは、gNBがRRCReconfigurationメッセージをUEに送信し、これに応答してUEからのRRCReconfigurationCompleteをgNBが受信することによる。シグナリングのみの接続の場合、SRB2およびDRBが確立されないため、RRCReconfigurationに関連するこれらのステップはスキップされる。最後にgNBは、確立手順が完了したことを、INITIAL CONTEXT SETUP RESPONSEによってAMFに通知する。
【0034】
図4は、5G NRのユースケースのいくつかを示している。3GPP(第3世代パートナーシッププロジェクト)の新無線(3GPP NR)では、初期のIMT-2020による様々なサービスおよびアプリケーションをサポートするために想定される3つのユースケースが考慮されている。拡張モバイルブロードバンド(eMBB)のフェーズ1の仕様は決定された。現在および今後の作業としては、eMBBのサポートをさらに拡張することに加えて、超高信頼・低遅延通信(URLLC)および大規模マシンタイプ通信の標準化が含まれる。図4は、IMT-2000およびそれ以降に想定される使用シナリオのいくつかの例を示している(例えば非特許文献4の図2を参照)。
【0035】
URLLCのユースケースは、スループット、レイテンシ、可用性などの能力に関する厳しい要件を有し、産業製造や生産工程のワイヤレス制御、リモート医療手術、スマートグリッドにおける配電自動化、輸送の安全性など、将来の垂直アプリケーションを実現する手段の1つとして想定されている。URLLCの超高信頼性は、非特許文献5によって設定される要件を満たすための技術を特定することによってサポートされる。リリース15のNR URLLCでは、重要な要件として、UL(アップリンク)およびDL(ダウンリンク)それぞれで0.5msの目標ユーザプレーンレイテンシが含まれる。パケットの1回の送信における一般的なURLLCの要件は、1msのユーザプレーンレイテンシでパケットサイズ32バイトの場合にBLER(ブロック誤り率)1E-5である。
【0036】
物理層の観点から、信頼性を向上させる方法はいくつか考えられる。現在、信頼性を向上させるためには、URLLC用の個別のCQIテーブルの定義、よりコンパクトなDCIフォーマット、PDCCHの繰り返しなどがある。しかしながら、(NR URLLCの重要な要件について)NRがさらに安定し、開発が進むにつれて、超高信頼性を実現するための範囲が広がりうる。リリース15におけるNR URLLCの具体的なユースケースとしては、拡張現実/仮想現実(AR/VR)、e-ヘルス、e-セーフティ、ミッションクリティカルなアプリケーションが挙げられる。
【0037】
さらに、NR URLLCが対象とする技術強化は、レイテンシの改善および信頼性の向上を目標としている。レイテンシを改善するための技術強化としては、設定可能なヌメロロジー、柔軟なマッピングを使用する非スロットベースのスケジューリング、グラントフリー(設定済みグラント(configured grant))のアップリンク、データチャネルのスロットレベルの繰り返し、およびダウンリンクのプリエンプションが挙げられる。プリエンプションとは、リソースがすでに割り当てられている送信が中止され、すでに割り当てられているリソースが、後から要求された、より小さいレイテンシ/より高い優先度要件を有する別の送信に使用されることを意味する。したがって、すでに許可された送信が、より後の送信によってプリエンプトされる。プリエンプションは、サービスタイプに関係なく適用される。例えば、サービスタイプA(URLLC)の送信を、サービスタイプB(eMBBなど)の送信によってプリエンプトすることができる。信頼性の向上に関連する技術強化としては、1E-5の目標BLERのための専用CQI/MCSテーブルが挙げられる。
【0038】
mMTC(大規模マシンタイプ通信)のユースケースは、非常に多数の接続されたデバイスが、一般には遅延の影響が小さい比較的少量のデータを送信することを特徴とする。デバイスは、低コストでありかつ極めて長いバッテリ寿命を有することが要求される。NRの観点からは、非常に狭い帯域幅部分を利用することは、UEの観点からの省電力を達成して長いバッテリ寿命を可能にするための1つの可能な解決策である。
【0039】
上に述べたように、NRにおける信頼性の範囲が広がることが予測される。あらゆるケース、特にURLLCおよびmMTCの場合に必要な1つの重要な要件は、高信頼性または超高信頼性である。無線の観点およびネットワークの観点から、信頼性を向上させるためのいくつかのメカニズムを考えることができる。一般には、信頼性の向上に役立つ可能性のある重要な領域がいくつか存在する。これらの領域としては、コンパクトな制御チャネル情報、データチャネル/制御チャネルの繰り返し、周波数領域、時間領域、および/または空間領域に関連するダイバーシティが挙げられる。これらの領域は、特定の通信シナリオには関係なく、一般的に信頼性に適用可能である。
【0040】
NR URLLCの場合、ファクトリーオートメーション、運輸業、配電など、より厳しい要件のさらなるユースケースが特定されている。より厳しい要件とは、ユースケースに応じて、より高い信頼性(最大10-6レベル)、より高い可用性、最大256バイトのパケットサイズ、数μsオーダーの時刻同期(周波数範囲に応じて1μsないし数μs)、0.5~1msオーダーの短いレイテンシ、特に0.5msの目標ユーザプレーンレイテンシである。
【0041】
さらに、NR URLLCの場合、物理層の観点からいくつかの技術的強化が確認されている。特に、PDCCH(物理ダウンリンク制御チャネル)に関連する強化として、コンパクトなDCI、PDCCHの繰り返し、PDCCHモニタリングの増加などが挙げられる。また、UCI(アップリンク制御情報:Uplink Control Information)に関連する強化として、HARQ(ハイブリッド自動再送要求)の強化およびCSIフィードバックの強化が挙げられる。また、ミニスロットレベルのホッピングや再送/繰り返しの強化に関連するPUSCHの強化も認識されている。用語「ミニスロット」は、スロットよりも少ない数のシンボルを含むTTI(送信時間間隔:Transmission Time Interval)を意味する(スロットは14個のシンボルを含む)。
【0042】
5G QoS(サービス品質)モデルは、QoSフローに基づいており、保証フロービットレートを必要とするQoSフロー(GBR QoSフロー)と、保証フロービットレートを必要としないQoSフロー(非GBR QoSフロー)の両方をサポートする。したがってNASレベルでは、QoSフローはPDUセッションにおけるQoS差別化の最も細かい粒度である。QoSフローは、PDUセッション内では、NG-Uインタフェースを通じてカプセル化ヘッダ内で伝えられるQoSフローID(QFI)によって識別される。
【0043】
5GCは、各UEに1つまたは複数のPDUセッションを確立する。NG-RANは、各UEに、PDUセッションと一緒に少なくとも1つのデータ無線ベアラ(DRB)を確立し、次にそのPDUセッションのQoSフローのための追加のDRBを、例えば図3を参照しながら上述したように設定することができる(いつ設定するかはNG-RANが決定する)。NG-RANは、異なるPDUセッションに属するパケットを異なるDRBにマッピングする。UEおよび5GCにおけるNASレベルのパケットフィルタによって、ULおよびDLのパケットがQoSフローに関連付けられ、UEおよびNG-RANにおけるASレベルのマッピング規則によって、ULおよびDLのQoSフローがDRBに関連付けられる。
【0044】
図5は、5G NRの非ローミング基準アーキテクチャ(非特許文献6の4.2.1.1節を参照)を示している。アプリケーション機能(AF:Application Function)(例えば図4に例示的に記載されている5Gサービスを処理する外部アプリケーションサーバ)は、サービスを提供する目的で、3GPPコアネットワークと対話する。例えば、トラフィックのルーティングに対するアプリケーションの影響をサポートしたり、ネットワーク公開機能(NEF:Network Exposure Function)にアクセスしたり、ポリシー制御(例:QoS制御)のためのポリシーフレームワーク(ポリシー制御機能(PCF)を参照)と対話する。事業者の配備に基づいて、事業者によって信頼されるものとみなされるアプリケーション機能(AF)を、関連するネットワーク機能(Network Function)と直接対話できるようにすることができる。ネットワーク機能に直接アクセスすることが事業者によって許可されていないアプリケーション機能(AF)は、NEFを介して外部の公開フレームワークを使用して、関連するネットワーク機能と対話する。
【0045】
さらに図5は、V2X通信のための5Gアーキテクチャのさらなる機能ユニットとして、5GCにおける統一データ管理(UDM:Unified Data Management)、ポリシー制御機能(PCF:Policy Control Function)、ネットワーク公開機能(NEF:Network Exposure Function)、アプリケーション機能(AF)、統合データリポジトリ(UDR:Unified Data Repository)、アクセスおよびモビリティ管理機能(AMF:Access and Mobility Management Function)、セッション管理機能(SMF:Session Management Function)、ユーザプレーン機能(UPF:User Plane Function)に加えて、V2Xアプリケーションサーバ(V2AS:V2X Application Server)およびデータネットワーク(DN:Data Network)(例:事業者のサービス、インターネットアクセス、またはサードパーティのサービス)を示している。コアネットワーク機能およびアプリケーションサービスのすべてまたは一部を、クラウドコンピューティング環境に配置して実行してもよい。
【0046】
したがって本開示では、送信機および制御回路を備えたアプリケーションサーバ(例えば5GアーキテクチャのAF)が提供される。送信機は、動作時、URLLCサービス、eMMBサービス、およびmMTCサービスのうちの少なくとも1つに対するQoS要件を含む要求を、5GCの機能(例えばNEF、AMF、SMF、PCF、UPFなど)の少なくとも1つに送信して、そのQoS要件に従ってgNodeBとUEの間の無線ベアラを含むPDUセッションを確立する。制御回路は、動作時、確立されたPDUセッションを使用してサービスを実行する。
【0047】
本開示では、非特許文献6の5.4節に定義されているようにV2X通信におけるQoS要件を処理するために、アプリケーションサーバ(例えば図5のV2Xアプリケーションサーバ)を提供することができる。
【0048】
LTE V2Xにおける物理層によるリソースのセンシングおよび報告は、非特許文献7の14.1.1.6節に以下の手順で定義されている。
1) PSSCH送信Rx,yのためのシングルサブフレームリソース候補が、サブフレーム
【数1】
内のサブチャネルx+jを持つLsubCH個の連続するサブチャネルのセットとして定義される(j=0,...,LsubCH-1)。UEは、時間間隔[n+T,n+T]内の対応するPSSCHリソースプール(14.1.5節に記載)に含まれるLsubCH個の連続するサブチャネルのセットが、1つのシングルサブフレームリソース候補に相当すると想定する。ここで、TおよびTの選択はUEの実装に依存し、prioTXに対して上位レイヤによってT2min(prioTX)が提供される場合はT≦4かつT2min(prioTX)≦T≦100であり、そうでない場合は20≦T≦100である。UEが選択するTは、レイテンシ要件を満たすものとする。シングルサブフレームリソース候補の総数は、Mtotalによって表される。
2) UEは、自身の送信が行われるサブフレームを除き、サブフレーム
【数2】
を監視し、サブフレームnがセット
【数3】
に属している場合には
【数4】
であり、そうでない場合、サブフレーム
【数5】
は、セット
【数6】
に属するサブフレームnの後の最初のサブフレームである。UEは、これらのサブフレームにおいて復号されたPSCCHおよび測定されたS-RSSIに基づいて、以下の手順の動作を行うものとする。
3) パラメータTha,bを、SL-ThresPSSCH-RSRP-List内のi番目のSL-ThresPSSCH-RSRPフィールドによって示される値に設定する(i=a*8+b+1)。
4) セットSを、すべてのシングルサブフレームリソース候補の和集合に初期化する。セットSを、空のセットに初期化する。
5) UEは、以下の条件をすべて満たす場合、シングルサブフレームリソース候補Rx,yをセットSから除外する。
- UEがステップ2でサブフレーム
【数7】
を監視していない。

【数8】
を満たす整数jが存在する。ここで、j=0,1,...,Cresel-1、
【数9】
、kは上位層パラメータrestrictResourceReservationPeriodによって許可される任意の値、q=1,2,...,Qである。ここで、k<1かつ
【数10】
である場合、
【数11】
であり、このときサブフレームnがセット
【数12】
属する場合には
【数13】
であり、そうでない場合にはサブフレーム
【数14】
は、サブフレームnの後のセット
【数15】
に属する最初のサブフレームである。そうでない場合、Q=1である。
6) UEは、以下の条件をすべて満たす場合、シングルサブフレームリソース候補Rx,yをセットSから除外する。
- UEがサブフレーム
【数16】
においてSCIフォーマット1を受信し、受信したSCIフォーマット1の「Resource reservation(リソース予約)」フィールドおよび「Priority(優先度)」フィールドが、14.2.1節に従ってそれぞれ値Prsvp_RXおよび値prioRXを示している。
- 受信したSCIフォーマット1によるPSSCH-RSRP測定値が、
【数17】
より高い。
- サブフレーム
【数18】
において受信したSCIフォーマット、またはサブフレーム
【数19】
において受信すると想定される同じSCIフォーマット1が、14.1.1.4Cに従って、q=1,2,...,Qおよびj=0,1,...,Cresel-1に対して
【数20】
と重なるリソースブロックとサブフレームのセットを決定する。ここで、Prsvp_RX<1かつn’-m≦Pstep×Prsvp_RXである場合、
【数21】
であり、このときサブフレームnがセット
【数22】
に属する場合には
【数23】
であり、そうでない場合にはサブフレーム
【数24】
は、セット
【数25】
に属するサブフレームnの後の最初のサブフレームである。そうでない場合、Q=1である。
7) セットSに残るシングルサブフレームリソース候補の数が0.2・Mtotalより小さい場合は、Tha,bを3dB大きくしてステップ4を繰り返す。
8) セットS内に残るシングルサブフレームリソース候補Rx,yについて、メトリックEx,yを、ステップ2で監視されたサブフレーム内のサブチャネルx+k(k=0,...,LsubCH-1)において測定されたS-RSSIの線形平均として定義する。ステップ2で監視されたサブフレームは、Prsvp_TX≧100の場合に負でない整数jに対して
【数26】
によって表すことができ、そうでない場合に負でない整数jに対して
【数27】
によって表すことができる。
9) UEは、セットSから、メトリックEx,yが最小のシングルサブフレームリソース候補をセットSに移動させる。セットS内のシングルサブフレームリソース候補の数が0.2・Mtotal以上になるまで、このステップを繰り返す。
10) UEが複数のキャリアでリソースプールを使用して送信するように上位層によって設定されている場合、同時送信キャリア数の制限、サポートされるキャリアの組合せの制限、またはRF再調整時間のための中断などの理由により、すでに選択されたリソースを使用して他のキャリアで送信が行われると想定して、キャリア内のシングルサブフレームリソース候補での送信をUEがサポートしない場合は、UEはシングルサブフレームリソース候補をSから除外する。
次にUEはSを上位層に報告する。
【0049】
図6は、様々な実施形態に係るV2Xリソースのセンシングおよび選択プロセスを図解した概略図600を描いている。例えば、UEの物理層602は、初期セットSからのリソース候補のセンシング手順を実行し、リソース候補のセットSをUEまたは基地局のMAC層604に報告する。初期セットSは、TBを送信するためのMtotal個の候補リソースすべてを含む。物理層602は、センシング手順時、セットS内のリソース候補の数が0.2*Mtotal個以上であるまで初期セットSからリソース候補が除外されるようにリソース除外ステップを実行することができる。MAC層604に報告されるセットSは、リソース除外ステップの後に残っているセットSからの、最も低いRSRPを有する20%*Mtotal個以上のリソース候補を含む。
【0050】
UEは、例えば1つまたは複数の電気通信/PLMN(Public Land Mobile Network)事業者の通信サービスに加入している車両に統合または設置された通信モジュールを含むことができる。UEは、電気通信/PLMN事業者に加入して、電気通信事業者の基地局と通信することができる。基地局は、次世代NodeB(gNB)とすることができる。基地局はng-eNBとすることもでき、NGインタフェースを介して5Gコアネットワークに接続されてもよいことが、当業者には理解されるであろう。
【0051】
TBのSL送信は、物理サイドリンク共有チャネル(PSSCH)を介して行うことができ、その対応する制御情報SCIは、物理サイドリンク制御チャネル(PSCCH)を介して送信することができる。
【0052】
従来、LTEでは、Tha,bセンシング手順の初期値のためのデフォルトの計算式/設定は、優先度(例えばprioTX)の異なる送信において共通している。その結果、特にチャネルが混雑しているときに、優先度の低い送信が優先度の高い送信を妨げることがある。
【0053】
したがって、本発明は、上記の問題に対処するために、異なる優先度を有するサイドリンク(SL)送信のための改良されたリソース(再)選択手順を提案するものであり、リソース候補を識別する手順が、(事前)設定(例えば事前設定および/または上位層シグナリング)によって、送信の異なる優先度(prioTX)に対して区別される。制限が、高優先度の(または高優先度グループに属する)送信および低優先度の(または低優先度グループに属する)送信を対象にそれぞれ独立して(事前に)設定される。送信の優先度(または送信の優先度カテゴリ)に応じて、リソースの1つのセット(S)のみが上位層に報告される。
【0054】
低い優先度の送信が、高い優先度の送信を妨げることがなく、これは有利である。特に、優先度の高い送信の場合に、より混雑していない候補リソース(および/またはより多くの候補リソース)をサイドリンク送信に使用することができる。さらに、優先度がグループに分類されている場合は、複雑さが軽減され、したがって電力消費量が少なくなる。
【0055】
以下の段落では、V2Xリソースのセンシングおよび選択においてSL-RSRPを有利に利用することで、リソース候補を識別する手順が、送信の異なる優先度に対して区別されるようにしたV2X通信メカニズムを参照しながら、特定の例示的な実施形態について説明する。
【0056】
図7は、様々な実施形態に係る、物理(PHY)層(物理層602など)がどのようにセンシングを行うかを図解したフローチャート700を示している。ステップ702においては、物理層が、Mtotal個のリソース候補すべてを含むセットSをセンシングする。ステップ704においては、物理層が、特定の条件が満たされる場合にセットSからリソース候補が除外されるようにリソース除外の繰り返しを実行する。ステップ706においては、リソース除外ステップ704の後にSに残っているリソース候補の数が0.2*Mtotal個未満であるかどうかを判定する。リソース除外ステップ704の後にSに残っているリソース候補の数が0.2*Mtotal個未満であると判定される場合、処理はステップ714に進みTha,bを3dB大きくし、次いでステップ704に戻ってリソース除外処理を繰り返し、ステップ706でセットSに20%*Mtotal個以上のリソース候補が含まれていると判定されるまでこの手順を繰り返す。
【0057】
その後、処理はソートステップ708に進み、RSRPが最も低い候補リソースをSからSに移動させる。ステップ710においては、セットS内のリソース候補の数が0.2*Mtotal個未満であるかどうかを判定する。セットS内のリソース候補の数が0.2*Mtotal個未満であると判断される場合、セットS内のリソース候補の数が0.2*Mtotal個以上になるまで、ソートステップ708を繰り返す。ステップ712においては、セットSを上位層(例えばMAC層604)に報告する。
【0058】
様々な実施形態においては、リソース候補を識別するための手順が、送信の異なる優先度に対して区別されるように、図6に示したプロセスに特定の変更を加えることができる。例えば、図6に示したプロセスにおけるパラメータを、複数の優先度レベルのうちの少なくとも1つに基づいて調整することができ、調整されたパラメータに基づいて、複数のリソース候補を決定することができる。次いでTBの送信用のリソースを、複数のリソース候補の中から選択することができる。
【0059】
様々な実施形態において、パラメータを、複数の優先度レベルのうちの少なくとも1つに関連する最大値まで調整することができ、最大値は事前設定または上位層シグナリングによって示すことができる。また、パラメータを、第1の優先度レベルに関連する第1の最大値、または第2の優先度レベルに関連する第2の最大値に調整することもでき、第1の最大値および第2の最大値は、事前設定または上位層シグナリングによって示すことができる。
【0060】
様々な実施形態において、複数のリソース候補が特定の条件を満たす場合、パラメータの最大値を上限として、(事前に)設定される値だけパラメータを増大させることができる。(事前に)設定される値は、事前設定または上位層シグナリングによって示すことができる。事前に設定される値は、複数のリソース候補が異なる優先度レベルの間で区別されるように、複数の優先度レベルの間で異なっていることができる。しかしながら、複数のリソース候補を区別する必要のない優先度に対しては、事前に設定される値を同じにすることも可能である。
【0061】
様々な実施形態において、複数の優先度レベルのうちの少なくとも1つは、送信しようとするTBの優先度レベルを有することができ、事前設定および/または制御情報によって示すことができる。また、複数の優先度レベルを1つまたは複数の優先度グループに分類することもでき、1つまたは複数の優先度グループのそれぞれが、1つ以上の優先度レベルを含み、したがって、複数の優先度レベルのうちの少なくとも1つが分類されている優先度グループに関連する最大値まで、パラメータを調整することができる。最大値は、複数のリソース候補が異なる優先度グループの間で区別されるように、優先度グループの間で異なっていることができる。しかしながら、複数のリソース候補を区別する必要のない優先度グループに対しては、最大値を同じにすることも可能である。
【0062】
調整すべきパラメータとしてTha,bを利用することができる。(優先度の高い送信用の)HighTxと(優先度の低い送信用の)LowTxなど、2つの優先度レベル(例えば2つのprioTXレベル)が(事前に)設定されていると想定すると、動作例は以下のようになる。
1. LowTxの送信において、LowTxによって示されるリソースを対象としてTha,bを増大させることのできる最大回数として、ThTimesLowResourceForLowTxを(事前に)設定することができる。HighTxの送信において、HighTxまたはLowTxによって示されるリソースを対象としてTha,bを増大させることのできる最大回数として、ThTimesHighAndLowResourceForHighTxを(事前に)設定することができる。
2. 図7のフローチャートにおいて、除外処理の1回目の繰り返しにおいてセットSに残っているリソース候補が候補リソース比率(例えばLTEにおける20%)未満である場合に、
- prioTXがLowTxである場合、
- セットSに残っているリソース候補が20%*Mtotal個以上という条件が満たされるまで、LowTxによって示されるリソースのTha,bをThTimesLowResourceForLowTx回を上限として増大させる
- そうでない場合、セットS内のリソースを上位層に報告する
- prioTXがHighTxである場合、
- セットSに残っている候補リソースが20%*Mtotal個以上という条件が満たされるまで、HighTxまたはLowTxによって示されるリソースのTha,bをThTimesHighAndLowResourceForHighTx回を上限として増大させる
- そうでない場合、セットS内のリソースを上位層に報告する
以降の動作は、例えばLTEにおける従来の動作となる。
【0063】
上記の動作例は、図8のフローチャート800に示してある。ステップ802においては、物理層(例えば物理層602)が、Mtotal個のリソース候補すべてを含むセットSをセンシングする。ステップ804においては、物理層が、特定の条件が満たされる場合にセットSからリソース候補が除外されるようにリソース除外の繰り返しを実行する。ステップ806においては、リソース除外ステップ804の後にSに残っているリソース候補の数が0.2*Mtotal個未満であるかどうかを判定する。リソース除外ステップ804の後にSに残っているリソース候補の数が0.2*Mtotal個未満であると判定される場合、処理はステップ816に進み、送信の優先度がHighTxであるかどうかを判定する。0.2*Mtotal個未満ではない場合、処理はソートステップ808に進み、RSRPが最も低いリソース候補をSからSに移動する。ステップ810においては、セットS内のリソース候補の数が0.2*Mtotal個未満であるかどうかを判定する。セットS内のリソース候補の数が0.2*Mtotal個未満であると判定される場合、セットS内のリソース候補の数が0.2*Mtotal個以上になるまで、ソートステップ808を繰り返す。ステップ812においては、セットSを上位層(例えばMAC層604)に報告する。
【0064】
フローチャート800の動作例は、リソース除外ステップ804の後にSに残っているリソース候補の数が0.2*Mtotal個未満であると判定されるときには、ステップ806から始まる。その場合に処理はステップ816に進み、送信の優先度がHighTxであるかどうかを判定する。優先度がHighTxではない(例えば送信の優先度prioTXがLowTxであると判定される場合、処理はステップ818に進み、カウンタ値がThTimesLowResouceForLowTxよりも小さいかどうかを確認する。カウンタ値がThTimesLowResouceForLowTxよりも小さいと判定される場合、処理はステップ814に進み、Tha,bを3dB増大させ、カウンタ値を例えば値1だけインクリメントする。次いで処理はステップ804に戻り、リソース除外処理の繰り返し手順を実行する。ステップ818においてカウンタ値がThTimesLowResouceForLowTxよりも小さくないと判定される場合、処理はステップ822に進み、すべてのリソース候補をSからSに移動する。次いで処理はステップ812に進み、Sを上位層に報告する。
【0065】
その一方で、ステップ816において、優先度がHighTxである(例えば送信の優先度prioTXがHighTxである)と判定される場合、処理はステップ820に進み、カウンタ値がThTimesHighAndLowResouceForHighTxよりも小さいかどうかを判定する。小さい場合、処理はステップ814に進み、Tha,bを3dB増大させ、カウンタ値を例えば値1だけインクリメントする。次いで処理はステップ804に戻り、リソース除外処理の繰り返し手順を実行する。ステップ820において、カウンタ値がThTimesHighAndLowResouceForHighTxよりも小さくないと判定される場合、処理はステップ822に進み、すべてのリソース候補をSからSに移動させる。次いで処理はステップ812に進み、Sを上位層に報告する。
【0066】
優先度レベルprioTXが8つ(LTEの場合は0~7、3ビット)である場合、事前設定によって、または上位層シグナリングによって、これらを2つのグループに分類することができる(例えば上述のようにHighTx(優先度0~3)とLowTx(優先度4~7))。優先度がグループに分類されていれば複雑さが軽減され、したがって電力消費量を下げることができ、これは有利である。また、複数の優先度レベルを複数の優先度グループに分類してもよいことが理解されるであろう。
【0067】
様々な実施形態において、上記のフロープロセスでは、パラメータ(この場合にはTha,b)を、セットSからの除外処理のための事前設定される繰り返し回数を上限として増大させる。事前設定される繰り返し回数は、複数の優先度レベルのうちの少なくとも1つに基づく。事前設定された繰り返し回数だけパラメータを増大させた後、除外処理の後にセットSに残っている複数のリソースをセットSに移動させる。次いでセットSを上位層に報告する。
【0068】
様々な実施形態において、優先度レベルがHighTxの送信においてHighTxによって示されるリソースを対象とするTha,bを増大させることができる最大回数として、(図8のフローチャート800のステップ820に示されているThTimesHighAndLowResouceForHighTxの代わりに)ThTimesHighResourceForHighTxを(事前に)設定することができる。図9は、ステップ920(フローチャート800のステップ820に対応する)において、ThTimesHighAndLowResouceForHighTxの代わりにThTimesHighResourceForHighTxが使用されることを除いて、フローチャート800と同じ処理を図解したフローチャート900である。図9のフローチャート900では、例えば、ステップ906における1回目の繰り返しにおいて、セットSに残っている候補リソースが候補リソース比率(例えばLTEにおける20%)よりも小さい場合に、
- prioTXがLowTxである場合、
- セットSに残っているリソース候補が20%*Mtotal個以上であるという条件が満たされるまで、LowTxによって示されるリソースのTha,bをThTimesLowResourceForLowTx回を上限として増大させる
- そうでない場合、セットS内のリソースを上位層に報告する。
- prioTXがHighTxである場合、
- セットSに残っているリソース候補が20%*Mtotal個以上であるという条件が満たされるまで、HighTxによって示されるリソースのTha,bをThTimesHighResourceForHighTx回を上限として増大させる
- そうでない場合、セットS内のリソースを上位層に報告する。
【0069】
様々な実施形態において、フローチャート800に示したプロセスは、フローチャート800のステップ818および/またはステップ820からの追加の繰り返しを含むようにさらに拡張することができる。図10のフローチャート1000は、ステップ1018(フローチャート800のステップ818に対応する)およびステップ1020(フローチャート800のステップ820に対応する)におけるそのような追加の処理を含むことを除き、フローチャート800に示したものと同じプロセスを示している。例えば、優先度レベルがLowTxの送信においてHighTxによって示される(1つまたは複数の)リソースを対象にTha,bを増大させることができる最大回数(値0とすることができる)として、ThTimesHighResourceForLowTxを(事前に)設定することができ、優先度レベルがHighTxの送信においてHighTxによって示される(1つまたは複数の)リソースを対象にTha,bを増大させることができる最大回数として、ThTimesHighResourceForHighTxを(事前に)設定することができる。ThTimesHighResourceForLowTxおよびThTimesHIghResourceForHighTxは、それぞれフローチャート1000のステップ1024およびステップ1026で利用される。様々な実施形態において、追加のプロセスは以下のとおりである。
【0070】
図10に示したフローチャート1000において、ステップ1006の1回目の繰り返しにおいて、セットSに残っている候補リソースが候補リソース比率(例えばLTEにおける20%)よりも小さいと判定される場合に、
- prioTXがLowTxである場合、
- セットSに残っている候補リソースが20%*Mtotal個以上という条件が満たされるまで、LowTxによって示されるリソースのTha,bをThTimesLowResourceForLowTx回を上限として増大させる、
- そうでない場合、セットSに残っている候補リソースが20%*Mtotal個以上という条件が満たされるまで、HighTxによって示されるリソースのTha,bをThTimesHighResourceForLowTx回を上限として増大させる、
- そうでない場合、セットS内のリソースを上位層に報告する
- prioTXがHighTxである場合、
- セットSに残っている候補リソースが20%*Mtotal個以上という条件が満たされるまで、LowTxによって示されるリソースのTha,bをThTimesLowResourceForHighTx回を上限として増大させる、
- そうでない場合、セットSに残っている候補リソースが20%*Mtotal個以上という条件が満たされるまで、HighTxによって示されるリソースのTha,bをThTimesHighResourceForHighTx回を上限として増大させる、
- そうでない場合、セットS内のリソースを上位層に報告する
様々な実施形態において、上記のフロープロセスでは、複数のリソース候補をセットSから除外する処理の第1の繰り返し回数を上限としてパラメータ(ここではTha,b)を増大させ、第1の繰り返し回数は、複数の優先度レベルのうちの少なくとも1つの優先度に基づく最大の繰り返し回数を有する。次いで、第1の繰り返し回数の後にセットSに残っている複数のリソース候補が、候補リソース比率よりも小さいかどうかを判定する。第1の繰り返し回数の後にセットSに残っている複数のリソース候補が候補リソース比率よりも小さいと判定される場合、セットSからの除外処理のための第2の繰り返し回数を上限としてパラメータをさらに増大させ、第2の繰り返し回数は、複数の優先度レベルのうちの少なくとも1つに基づく最大の繰り返し回数を有する。パラメータを第2の繰り返し回数を上限として増大させた後、セットSに残っている複数のリソースをセットSに移動させる。次いでセットSを上位層に報告する。
【0071】
様々な実施形態においては、一般的なしきい値の式Tha,b=8*a+b+1を利用する代わりに、prioTXをa、prioRxをbとすることにより、パラメータTha,bがprioTXとprioRxに基づいて調整されるように、異なる送信優先度に対応する数値しきい値を、事前に設定する、および/または、上位層シグナリングによって示すこともできる。例えば、初期しきい値、中間しきい値、上限値などを示すことができる。また、リソース選択において優先度レベルを用いた分類を実現するために、Tha,bに加えてパラメータをprioTXおよびprioRxによって調整してもよいことが理解されるであろう。
【0072】
様々な実施形態において、除外処理の各繰り返しにおけるTha,bの増分を、毎回3dBに限定されないように事前に設定する、および/または上位層シグナリングによって示すことができる。
【0073】
様々な実施形態において、Mtotal個のリソース候補に対する複数の異なる割合制限を、異なる送信優先度を対象とする複数の制限として、事前に設定する、および/または上位層シグナリングによって示すこともできる。例えば、HighTxに対する割合制限を30%、LowTxに対する割合制限を20%(またはこの逆)とすることができる。
【0074】
様々な実施形態において、Mtotal個のリソース候補に対する割合の異なるセグメント化を、異なる送信優先度に対する制限として、事前に設定する、および/または上位層シグナリングによって示すこともできる。例えば、HighTxとLowTxの共通の割合制限が20%である場合、[0,10%]のセグメントをHighTxに対して指定し、[10%,20%]のセグメントをLowTxに対して指定することができる(またはこの逆)。
【0075】
様々な実施形態において、prioTXを2つに限定されない複数のグループに分類することができ、極端な場合には各優先度レベルを1つのグループとすることができる。図8図10のフローチャートで説明したものと同じ動作が、これらの複数のグループにも適用される。したがって、関与するパラメータを調整するために、複数の優先度レベルおよび/または優先度グループが可能であることが理解されるであろう。
【0076】
様々な実施形態においては、prioTxのみを分類する代わりに、prioRXなど受信されるSCIの優先度も、優先度レベルの分類に利用することができる(例えばprioRx0~3に対応するHighRxと、prioRx4~7に対応するLowRx)。
【0077】
様々な実施形態では、優先度のカテゴリーの数および/またはSL-RSRPのしきい値の数に応じて、複数のリソースのセット(S)を上位層に報告することができる。
【0078】
優先度レベルに基づいて調整されるパラメータは、必ずしもTha,bでなくてもよいことが理解されるであろう。例えば、調整可能なパラメータとして、Mtotal個のリソース候補の割合制限を利用してもよく、HighTxの割合制限を30%、LowTxの割合制限を20%(またはこの逆)とすることができる。
【0079】
図11は、様々な実施形態に係る通信方法を図解したフローチャート1100を示している。ステップ1102においては、複数の優先度レベルのうちの少なくとも1つに基づいて、パラメータを調整する。ステップ1104においては、調整されたパラメータに基づいて、複数のリソース候補を決定する。ステップ1106においては、複数のリソース候補から選択されたリソースを使用してTBを送信する。
【0080】
図12は、図1乃至図11に示した様々な実施形態に従ってV2X通信を確立するように実施することのできる通信装置1200の、部分的に枠で囲んだ概略図を示している。通信装置1200は、様々な実施形態に係るUEとして実施することができる。
【0081】
通信装置1200の様々な機能や動作は、階層モデルに従って各層に配置されている。このモデルでは、3GPP仕様に従って下位の層が上位の層に報告し、上位の層から指示を受け取る。説明を簡潔にする目的で、本開示では階層モデルの詳細については説明しない。
【0082】
図12に示したように、通信装置1200は、回路1214、少なくとも1つの無線送信機1202、少なくとも1つの無線受信機1204、および少なくとも1つのアンテナ1212(簡潔さのため図12には図解を目的として1つのみのアンテナを示してある)を含むことができる。回路1214は、少なくとも1つのコントローラ1206を含むことができ、コントローラ1206は、無線ネットワーク内の1基または複数の別の通信装置との通信の制御を含む、実行するように設計されているタスクをソフトウェアおよびハードウェアの支援下で実行するために使用される。回路1214は、さらに、少なくとも1つの送信信号生成器1208および少なくとも1つの受信信号処理器1210を含むことができる。少なくとも1つのコントローラ1206は、少なくとも1つの無線送信機1202を介して1つまたは複数の他の通信装置に送信される信号(例えば予約されたリソースに関連する解放情報を含む信号)を生成するように、少なくとも1つの送信信号生成器1208を制御することができ、さらに、少なくとも1つのコントローラ1206の制御下で1基または複数の他の通信装置から少なくとも1つの無線受信機1204を介して受信される信号(例えば予約されたリソースに関連する解放情報を含む信号)を処理するように、少なくとも1つの受信信号処理器1210を制御することができる。少なくとも1つの送信信号生成器1208および少なくとも1つの受信信号処理器1210は、図12に示したように、上述した機能のために少なくとも1つのコントローラ1206と通信する、通信装置1200の独立したモジュールとすることができる。あるいは、少なくとも1つの送信信号生成器1208および少なくとも1つの受信信号処理器1210を、少なくとも1つのコントローラ1206に含めることができる。なお、これらの機能モジュールの配置は柔軟であり、実際のニーズおよび/または要件に応じて変化してもよいことが当業者には理解されるであろう。データ処理装置、記憶装置、および他の関連する制御装置を、適切な回路基板および/またはチップセットに設けることができる。様々な実施形態においては、動作時、少なくとも1つの無線送信機1202、少なくとも1つの無線受信機1204、および少なくとも1つのアンテナ1212を、少なくとも1つのコントローラ1206によって制御することができる。
【0083】
通信装置1200は、動作時に、V2Xリソースのセンシングおよび選択においてSL-RSRPを利用するために必要な機能を提供する。例えば、通信装置1200は、UEであってもよく、回路1214は、動作時に、複数の優先度レベルのうちの少なくとも1つに基づいてパラメータを調整し、調整されたパラメータに基づいて複数のリソース候補を決定することができる。無線送信機1202は、動作時に、複数のリソース候補から選択されたリソースを使用して送信ブロック(TB)を送信することができる。
【0084】
パラメータを、複数の優先度レベルのうちの少なくとも1つに関連する最大値に調整するように、回路1214をさらに構成することができ、最大値は、事前設定または上位層シグナリングによって示すことができる。
【0085】
パラメータを、第1の優先度レベルに関連する第1の最大値、または第2の優先度レベルに関連する第2の最大値に調整するように、回路1214をさらに構成することができ、第1の最大値および第2の最大値は、事前設定または上位層シグナリングによって示すことができる。
【0086】
複数のリソース候補が条件を満たす場合に、パラメータの最大値を上限として、(事前に)設定される値だけパラメータを増大させるように、回路1214をさらに構成することができ、(事前に)設定される値は、事前設定または上位層シグナリングによって示される。
【0087】
事前に設定される値は、複数の優先度レベルの間で異なっていてもよい。複数の優先度レベルのうちの少なくとも1つは、TBの優先度レベルを含むことができる。複数の優先度レベルのうちの少なくとも1つは、制御情報によって示すことができる。
【0088】
1つまたは複数の優先度グループのそれぞれが1つ以上の優先度レベルを含むように、複数の優先度レベルを1つまたは複数の優先度グループに分類することができ、複数の優先度レベルのうちの少なくとも1つが分類されている優先度グループに関連する最大値までパラメータを調整するように、回路1214をさらに構成することができる。1つまたは複数の優先度グループのそれぞれに関連する最大値は、優先度グループの間で異なっていてもよい。
【0089】
回路1214を以下のようにさらに構成することができ、すなわち、複数のリソース候補のパラメータを、最大で、セットSからの除外処理のための事前に設定される繰り返し回数だけ増大させ(事前に設定される繰り返し回数は、複数の優先度レベルのうちの少なくとも1つに基づいている)、パラメータを事前に設定された繰り返し回数だけ増大させた後、除外処理の後にセットSに残っている複数のリソースをセットSに移動させ、セットSを上位層に報告する。
【0090】
回路1214を以下のようにさらに構成することができ、すなわち、セットSからの複数のリソース候補の除外処理の第1の繰り返し回数を上限としてパラメータを増大させ(第1の繰り返し回数は、少なくとも1つの優先度レベルに基づく最大の繰り返し回数を有する)、第1の繰り返し回数の後にセットSに残っている複数のリソース候補が候補リソース比率よりも小さいかどうかを判定し、第1の繰り返し回数の後にセットSに残っている複数のリソース候補が候補リソース比率よりも小さいと判定される場合に、セットSからの除外処理のための第2の繰り返し回数を上限としてパラメータをさらに増大させ(第2の繰り返し回数は、少なくとも1つの優先度レベルに基づく最大の繰り返し回数を有する)、パラメータを第2の繰り返し回数だけ増大させた後に、セットSに残っている複数のリソースをセットSに移動させ、セットSを上位層に報告する。
【0091】
候補リソース比率は、20%以外のパーセント値であるように設定することができる。パラメータはTha,bを含むことができる。除外処理の各繰り返しにおいて、3dB以外の値だけTha,bを増大させるように、回路1214をさらに構成することができる。
【0092】
ここまで説明してきたように、本開示の実施形態は、優先度の低い送信が優先度の高い送信を妨げることを有利に防止する、V2Xリソースのセンシングおよび選択においてSL-RSRPを利用する高度な通信システム、通信方法、および通信装置を提供する。
【0093】
本開示は、ソフトウェアによって、ハードウェアによって、またはハードウェアと協働するソフトウェアによって、実施することができる。上述した各実施形態の説明において使用される各機能ブロックは、その一部または全体を、集積回路などのLSIによって実施することができ、各実施形態において説明した各プロセスは、その一部または全体を、同じLSIまたはLSIの組合せによって制御することができる。LSIは、チップとして個別に形成する、または、機能ブロックの一部またはすべてが含まれるように1個のチップを形成することができる。LSIは、自身に結合されたデータ入出力部を含むことができる。LSIは、集積度の違いに応じて、IC、システムLSI、スーパーLSI、またはウルトラLSIとも称される。しかしながら、集積回路を実施する技術は、LSIに限定されず、専用回路、汎用プロセッサ、または専用プロセッサを使用することによって実施することができる。さらには、LSIの製造後にプログラムすることのできるFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)や、LSI内部に配置されている回路セルの接続および設定を再設定できるリコンフィギャラブル・プロセッサを使用することもできる。本開示は、デジタル処理またはアナログ処理として実施することができる。半導体技術または別の派生技術が進歩する結果として、LSIが将来の集積回路技術に置き換わる場合、その将来の集積回路技術を使用して機能ブロックを集積化することができる。バイオテクノロジを適用することもできる。
【0094】
本開示は、通信の機能を有する任意の種類の装置、デバイス、またはシステム(通信装置と呼ばれる)によって実施することができる。
【0095】
通信装置は、送受信機および処理/制御回路を備えていることができる。送受信機は、受信機および送信機を備えている、および/または、受信機および送信機として機能することができる。送信機および受信機としての送受信機は、増幅器、RF変調器/復調器などを含むRF(無線周波数)モジュールと、1つまたは複数のアンテナを含むことができる。
【0096】
このような通信装置の非限定的ないくつかの例としては、電話(例:携帯電話、スマートフォン)、タブレット、パーソナルコンピュータ(PC)(例:ラップトップ、デスクトップ、ノートブック)、カメラ(例:デジタルスチル/ビデオカメラ)、デジタルプレイヤー(デジタルオーディオ/ビデオプレイヤー)、ウェアラブルデバイス(例:ウェアラブルカメラ、スマートウォッチ、トラッキングデバイス)、ゲームコンソール、電子書籍リーダー、遠隔医療/テレメディシン(リモート医療・医薬)装置、通信機能を提供する車両(例:自動車、飛行機、船舶)、およびこれらのさまざまな組合せ、が挙げられる。
【0097】
通信装置は、携帯型または可搬型に限定されず、非携帯型または据付け型である任意の種類の装置、デバイス、またはシステム、例えば、スマートホームデバイス(例:電化製品、照明、スマートメーター、制御盤)、自動販売機、および「モノのインターネット(IoT:Internet of Things)」のネットワーク内の任意の他の「モノ」なども含むことができる。
【0098】
通信は、例えばセルラーシステム、無線LANシステム、衛星システム、その他、およびこれらのさまざまな組合せを通じてデータを交換するステップ、を含むことができる。
【0099】
通信装置は、本開示の中で説明した通信の機能を実行する通信デバイスに結合されたコントローラやセンサなどのデバイスを備えることができる。例えば、通信装置は、通信装置の通信機能を実行する通信デバイスによって使用される制御信号またはデータ信号を生成するコントローラまたはセンサ、を備えていることができる。
【0100】
通信装置は、インフラストラクチャ設備、例えば、上の非限定的な例における装置等の装置と通信する、またはそのような装置を制御する基地局、アクセスポイント、および任意の他の装置、デバイス、またはシステムなどを、さらに含むことができる。
【0101】
様々な実施形態のいくかの特性はデバイスを参照しながら説明されているが、対応する特性は様々な実施形態の方法にもあてはまり、逆も同様である。
【0102】
特定の実施形態に示した本開示には、広範に説明した本開示の趣旨または範囲から逸脱することなく、多数の変更および/または修正を行い得ることが、当業者には理解されるであろう。したがって本明細書における実施形態は、あらゆる点において説明を目的としており、本発明を制限するものではないとみなされたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】