(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-05
(54)【発明の名称】接触分解軽質生成物の脱硫および分離を行うための方法および装置
(51)【国際特許分類】
C10G 49/22 20060101AFI20221223BHJP
【FI】
C10G49/22
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022525762
(86)(22)【出願日】2020-10-30
(85)【翻訳文提出日】2022-07-04
(86)【国際出願番号】 CN2020125166
(87)【国際公開番号】W WO2021083314
(87)【国際公開日】2021-05-06
(31)【優先権主張番号】201911049476.3
(32)【優先日】2019-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201911049636.4
(32)【優先日】2019-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201911049459.X
(32)【優先日】2019-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201911049466.X
(32)【優先日】2019-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201911049630.7
(32)【優先日】2019-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201911049610.X
(32)【優先日】2019-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503191287
【氏名又は名称】中国石油化工股▲ふん▼有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】509059424
【氏名又は名称】中国石油化工股▲ふん▼有限公司石油化工科学研究院
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】王文寿
(72)【発明者】
【氏名】毛安国
(72)【発明者】
【氏名】張執剛
(72)【発明者】
【氏名】劉憲竜
(72)【発明者】
【氏名】徐莉
(72)【発明者】
【氏名】劉玉良
【テーマコード(参考)】
4H129
【Fターム(参考)】
4H129AA02
4H129CA04
4H129CA25
4H129DA07
4H129DA16
4H129KA07
4H129KA18
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4H129KB10
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4H129KC04Y
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4H129LA05
4H129LA06
4H129LA10
4H129NA02
4H129NA20
4H129NA22
4H129NA23
4H129NA30
(57)【要約】
接触分解軽質生成物の脱硫および分離を行うための方法および装置。当該方法は、1)接触分解軽質生成物を脱硫のために水素存在下において吸着脱硫反応ユニット中で脱硫吸着剤と接触させ、場合により、脱硫生成物に対して気液分離を行い、脱硫リッチガスおよび脱硫粗製ガソリンを得る工程であって、前記接触分解軽質生成物は、接触分解分留塔からの塔頂オイルガス、または接触分解分留塔からのリッチガスおよび粗製ガソリンである、工程と、2)工程1)で得られた脱硫リッチガスと脱硫粗製ガソリンとを別々に接触分解吸収安定化システムに送って分離し、脱硫乾燥ガス、脱硫液化ガスおよび脱硫安定化ガソリンを得る工程と、を含む。当該方法および装置は、接触分解分留塔から得られる接触分解軽質生成物の処理に使用するのに適しており、高収率の精製ガソリンおよび低いオクタン価損失を得ることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接触分解軽質生成物の脱硫および分離方法であって、
1)接触分解軽質生成物を、脱硫のために水素存在下において吸着脱硫反応ユニット中で脱硫吸着剤と接触させ、場合により、得られた脱硫生成物に対して気液分離を行い、脱硫リッチガスおよび脱硫粗製ガソリンを得る工程であって、前記接触分解軽質生成物は、接触分解分留塔からの塔頂オイル-ガス分留物、または接触分解分留塔からのリッチガスおよび粗製ガソリンである、工程と、
2)前記工程1)で得られた脱硫リッチガスと脱硫粗製ガソリンとを別々に接触分解吸収安定化システムに送って分離し、脱硫乾燥ガス、脱硫液化ガスおよび脱硫安定化ガソリンを得る工程と、
を含む、方法。
【請求項2】
前記接触分解吸収安定化システムは、吸収塔、再吸収塔、脱着塔、および安定化塔を備え、前記工程2)は、
2a)前記脱硫リッチガスを吸収塔に底部から導入し、物質移動のために向流方式で前記吸収塔に頂部から導入した前記脱硫粗製ガソリンと接触させて、塔頂流と底部生成物とを得る工程と、
2b)前記吸収塔の塔頂流を再吸収塔に底部から導入し、物質移動のために向流方式で前記再吸収塔に頂部から導入された前記接触分解分留塔からのライトサイクルオイルと接触させて、前記再吸収塔の頂部で前記脱硫乾燥ガスが得られ、前記再吸収塔の底部で濃縮ライトサイクルオイルが得られ、場合により、前記濃縮ライトサイクルオイルを前記接触分解分留塔に再循環させる工程と、
2c)前記脱着塔中で前記吸収塔の前記底部生成物を脱着して、塔頂ガスおよび底部生成物が得られ、場合により、前記塔頂ガスを前記吸収塔に再循環させる工程と、
2d)前記脱着塔の底部生成物を前記安定化塔に送り、前記安定化塔中で分留して、前記脱硫液化ガスおよび前記脱硫安定化ガソリンを得る工程と、
をさらに含み、
好ましくは、前記吸収塔の操作条件は、0.2~3.0MPaの圧力、好ましくは0.5~1.6MPa、20~100℃の温度、好ましくは30~70℃を含み、
好ましくは、前記脱着塔の操作条件は、0.1~3.0MPaの圧力、好ましくは0.5~2.5MPa、20~250℃の温度、好ましくは50~200℃を含み、
好ましくは、前記再吸収塔の操作条件は、0.1~3.0MPaの圧力、好ましくは0.5~2.5MPa、20~100℃の温度、好ましくは30~70℃を含み、
好ましくは、前記安定化塔の操作条件は、0.1~3.0MPaの圧力、好ましくは0.5~2.5MPa、20~250℃の温度、好ましくは50~200℃を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記接触分解軽質生成物は、接触分解分留塔からの塔頂オイル-ガス分留物であり、前記工程1)は、
1a)前記接触分解分留塔からの前記塔頂オイル-ガス分留物を流動床式脱硫反応器に底部から導入し、前記反応器に底部から導入された脱硫吸着剤と、脱硫反応のために水素存在下で接触させる工程と、
1b)前記流動床式脱硫反応器の上部で得られた反応流に対して気固分離を行い、反応オイルガスと硫黄充填吸着剤とを得る工程と、
1c)前記工程1b)で得られた反応オイルガスに対して気液分離を行い、前記脱硫リッチガスと前記脱硫粗製ガソリンとを得る工程であって、
好ましくは、前記気液分離の操作条件は、0.2~4.0MPaの圧力、好ましくは0.5~3.0MPa、および20~300℃の温度、好ましくは50~200℃とする工程と、
1d)前記工程1b)で得られた前記硫黄充填吸着剤を、酸素含有ガスの存在下で焼成することによる再生のために吸着剤再生器に送り、再生された脱硫吸着剤を還元後に前記流動床式脱硫反応器に再循環させる工程と、
をさらに含み、
好ましくは、前記接触分解分留塔の塔頂オイルガス分留物は、C1~C12の炭化水素成分を含み、30~50000μg/gの硫黄含有量を有する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記接触分解軽質生成物は、接触分解分留塔からのリッチガスおよび粗製ガソリンであり、前記工程1)は、
1a)前記接触分解分留塔からの前記粗製ガソリンを、流動床式脱硫反応器に底部から導入し、前記反応器に底部から導入された脱硫吸着剤と、脱硫反応のために水素存在下で接触させる工程と、
1b)前記接触分解分留塔からの前記リッチガスを、底部から頂部までの高さの30~80%、好ましくは40~70%の位置で前記流動床式脱硫反応器に導入し、脱硫反応のために前記反応器中の流れと混合する工程と、
1c)前記流動床式脱硫反応器の上部で得られた反応流に対して気固分離を行い、反応オイルガスと硫黄充填吸着剤とを得る工程と、
1d)前記工程1c)で得られた反応オイルガスに対して気液分離を行い、前記脱硫リッチガスと前記脱硫粗製ガソリンとを得る工程であって、好ましくは、前記気液分離の操作条件が、0.2~4.0MPaの圧力、好ましくは0.5~3.0MPa、および20~300℃の温度、好ましくは50~200℃を含む工程と、
1e)前記工程1c)で得られた硫黄充填吸着剤を、酸素含有ガスの存在下で焼成することによる再生のために吸着剤再生器に送り、再生された脱硫吸着剤を還元後に前記流動床式脱硫反応器に再循環させる工程と、
をさらに含み、
好ましくは前記接触分解分留塔からのリッチガスおよび粗製ガソリン中の硫黄含有量は、それぞれ独立して30μg/gより大きく、特に50μg/gより大きい、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
前記流動床式脱硫反応器の操作条件は、200~550℃の温度、好ましくは300~500℃、0.5~5MPaの絶対圧力、好ましくは1.0~3.5MPa、0.1~100h
-1のオイルガス原料の重量毎時空間速度、好ましくは1~10h
-1、0.01~5の水素のオイルに対するモル比、好ましくは0.1~1、を含む、請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
前記接触分解軽質生成物は、接触分解分留塔からのリッチガスおよび粗製ガソリンであり、前記工程1)は、
1a)前記接触分解分留塔からの前記粗製ガソリンを第1の流動床式脱硫反応器に底部から導入し、前記反応器に底部から導入された脱硫吸着剤と、脱硫反応のために水素存在下で接触させる工程と、
1b)前記第1の流動床式脱硫反応器の上部で得られた反応流に対して気固分離を行い、前記脱硫粗製ガソリンと、硫黄が部分的に充填された脱硫吸着剤とが得られ、前記硫黄が部分的に充填された脱硫吸着剤を第2の流動床式脱硫反応器に送る工程と、
1c)前記接触分解分留塔からの前記リッチガスを、前記第2の流動床式脱硫反応器に底部から導入し、脱硫反応のために前記反応器に底部から導入された、前記硫黄が部分的に充填された脱硫吸着剤と接触させる工程と、
1d)前記第2の流動床式脱硫反応器の上部で得られた反応流を気固分離して、前記脱硫リッチガスと硫黄充填吸着剤とを得る工程と、
1e)前記工程1d)で得られた前記硫黄充填吸着剤を、酸素含有ガスの存在下で焼成することによる再生のために吸着剤再生器に送り、再生された脱硫吸着剤を、還元後に前記第1の流動床式脱硫反応器に再循環させる工程と、
をさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の流動床式脱硫反応器の操作条件は、200~550℃の温度、好ましくは300~500℃、0.5~5MPaの絶対圧力、好ましくは1.0~3.5MPa、0.1~100h
-1のオイルガス原料油の重量毎時空間速度、好ましくは1~10h
-1、0.01~1000の水素のオイルに対するモル比、好ましくは0.05~500を含み、
前記第2の流動床式脱硫反応器の操作条件は、300~550℃、好ましくは350~500℃の温度と、0.1~3MPaの絶対圧力、好ましくは0.2~2.5MPa、1~100h
-1のオイルガス原料の重量毎時空間速度、好ましくは2~20h
-1、0.01~500の水素のオイルに対するモル比、好ましくは0.05~300、を含み、
前記第2の流動床式脱硫反応器の操作温度は、前記第1の流動床式脱硫反応器の操作温度より0.5~2.0MPa低い、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記接触分解軽質生成物は、接触分解分留塔からのリッチガスおよび粗製ガソリンであり、前記工程1)は、
1a)前記接触分解分留塔からの前記粗製ガソリンを第1の流動床式脱硫反応器に底部から導入し、前記反応器に底部から導入された脱硫吸着剤と、脱硫反応のために水素存在下で接触させる工程と、
1b)前記第1の流動床式脱硫反応器の上部で得られた反応流に対して気固分離を行い、第1の反応オイルガスと、硫黄が部分的に充填された脱硫吸着剤とが得られ、前記硫黄が部分的に充填された脱硫吸着剤を第2の流動床式脱硫反応器に送る工程と、
1c)前記接触分解分留塔からの前記リッチガスを前記第2の流動床式脱硫反応器に底部から導入し、脱硫反応のために前記反応器に底部から導入された前記硫黄を部分的に充填した脱硫吸着剤と接触させる工程と、
1d)前記第2の流動床式脱硫反応器の上部で得られた反応流に対して気固分離を行い、第2の反応オイルガスおよび硫黄充填吸着剤が得られ、前記第2の反応オイルガスを前記第1の流動床式脱硫反応器に再循環させる工程と、
1e)前記工程1b)で得られた前記第1の反応オイルガスを気液分離して、前記脱硫リッチガスと前記脱硫粗製ガソリンとを得る工程と、
1f)前記工程1d)で得られた前記硫黄充填吸着剤を、酸素含有ガスの存在下で焼成することによる再生のために吸着剤再生器に送り、再生された脱硫吸着剤を還元後に前記流動床式脱硫反応器に再循環させる工程と、
をさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の流動床式脱硫反応器の操作条件は、200~550℃の温度、好ましくは300~500℃、0.5~5MPaの絶対圧力、好ましくは1.0~3.5MPa、0.1~100h
-1のオイルガス原料の重量毎時空間速度、好ましくは1~10h
-1、および0.01~1000の水素のオイルに対するモル比、好ましくは0.05~500、を含み、
前記第2の流動床式脱硫反応器の操作条件は、300~550℃の温度、好ましくは350~500℃、0.5~5MPaの絶対圧力、好ましくは1.0~3.5MPa、1~100h
-1のオイルガス原料の重量毎時空間速度、好ましくは2~20h
-1、および0.01~500の水素のオイルに対するモル比、好ましくは0.05~300、を含む、
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記接触分解軽質生成物は、接触分解分留塔からのリッチガスおよび粗製ガソリンであって、前記工程1)は、
1a)前記接触分解分留塔からの前記粗製ガソリンを第1の流動床式脱硫反応器に底部から導入し、前記反応器に底部から導入された脱硫吸着剤と、脱硫反応のために水素存在下で接触させる工程と、
1b)前記脱硫吸着剤の一部を前記第1の流動床式脱硫反応器の中央下部から取り出し、第2の流動床式脱硫反応器の底部に通し、脱硫反応のために前記反応器に底部から導入された前記接触分解分留塔からの前記リッチガスと接触させ、前記第2の流動床式脱硫反応器の上部から得られた反応流を再循環させる工程と、
1c)前記第1の流動床式脱硫反応器の上部で得られた反応流に対して気固分離を行い、反応オイルガスと硫黄充填吸着剤とを得る工程と、
1d)前記工程1c)で得られた反応オイルガスに対して気液分離を行い、前記脱硫リッチガスおよび前記脱硫粗製ガソリンを得る工程と、
1e)前記工程1c)で得られた前記硫黄充填吸着剤を、酸素含有ガスの存在下で焼成することによる再生のために吸着剤再生器に送り、再生された脱硫吸着剤を、還元後に前記第1の流動床式脱硫反応器に再循環させる工程と、
をさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の流動床式脱硫反応器の操作条件は、200~550℃の温度、好ましくは300~500℃、0.5~5MPaの絶対圧力、好ましくは1.0~3.5MPa、0.1~100h
-1のオイルガス原料の重量毎時空間速度、好ましくは1~10h
-1、および0.01~1000の水素のオイルに対するモル比、好ましくは0.05~500を含み、
前記第2の流動床式脱硫反応器の操作条件は、250~550℃の温度、好ましくは350~500℃、0.5~5MPaの絶対圧力、好ましくは1.0~3.5MPa、0.1~100h
-1のオイルガス原料の重量毎時空間速度、好ましくは1~20h
-1、および0.01~1000の水素のオイルに対するモル比、好ましくは0.05~300を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記接触分解軽質生成物は、接触分解分留塔からのリッチガスおよび粗製ガソリンであって、前記工程1)は、
1a)前記接触分解分留塔からの前記粗製ガソリンを第1の流動床式脱硫反応器に底部から導入し、前記反応器に底部から導入された脱硫吸着剤と、脱硫反応のために水素存在下で接触させる工程と、
1b)前記第1の流動床式脱硫反応器の上部で得られた反応流に対して気固分離を行い、前記脱硫粗製ガソリンと硫黄充填吸着剤とが得られ、前記硫黄充填吸着剤の一部を第2の流動床式脱硫反応器の上部に送る工程と、
1c)前記接触分解分留塔からの前記リッチガスを前記第2の流動床式脱硫反応器に底部から導入し、脱硫反応のために前記反応器の頂部から前記反応器へ導入した前記硫黄充填吸着剤と向流方式で接触させ、前記第2の流動床式脱硫反応器の上端で前記脱硫リッチガスが得られ、反応した前記硫黄充填吸着剤を前記第2の流動床式脱硫反応器の底部から取り出し、前記第1の流動床式脱硫反応器に再循環させる工程と、
1e)前記工程1b)で得られた前記硫黄充填吸着剤の残りを、酸素含有ガスの存在下で焼成することによる再生のために吸着剤再生器に送り、再生された脱硫吸着剤を、還元後に前記第1の流動床式脱硫反応器に再循環させる工程と、
をさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の流動床式脱硫反応器の供給ガス速度は、0.25~10m/秒であり、
前記第2の流動床式脱硫反応器の供給ガス速度は、0.05~1.5m/秒である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の流動床式脱硫反応器の操作条件は、200~550℃の温度、好ましくは300~500℃、0.5~5MPaの絶対圧力、好ましくは1.0~3.5MPa、0.1~100h
-1のオイルガス原料の重量毎時空間速度、好ましくは1~10h
-1、および0.01~1000の水素のオイルに対するモル比、好ましくは0.05~500を含み、
前記第2の流動床式脱硫反応器の操作条件は、300~550℃の温度、好ましくは350~500℃、0.5~5MPaの絶対圧力、好ましくは1.0~3.5MPa、0.1~100h
-1のオイルガス原料の重量毎時空間速度、好ましくは1~20h
-1、および0.01~500の水素のオイルに対するモル比、好ましくは0.05~300を含む、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
前記吸着剤再生器の操作条件は、
300~800℃の再生温度、好ましくは350~600℃、0.1~3.0MPaの再生圧力、好ましくは0.1~1.0MPaを含む、
請求項3~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記脱硫吸着剤は、脱硫吸着剤担体と、前記吸着剤担体に充填された金属成分と、を含み、
前記脱硫吸着剤担体の含有量は、70~95重量%であり、
前記金属成分の含有量は、前記脱硫吸着剤の総重量に対して、5~30重量%であり、
前記吸着剤担体は、酸化亜鉛、シリカ、アルミナまたはこれらの混合物から選択され、
前記金属成分はコバルト、ニッケル、銅、鉄、マンガン、モリブデン、タングステン、銀、スズ、バナジウム、またはこれらの組み合わせから選択される、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
接触分解によって低硫黄軽油生成物を製造する方法であって、
i)接触分解条件下での反応のために、接触分解原料と接触分解触媒とを接触させる工程であって、好ましくはライザー反応器中での工程と、
ii)前記工程i)で得られた反応生成物に対して気固分離を行い、反応オイルガスおよび使用済み触媒を得る工程と、
iii)前記工程ii)で得られた反応オイルガスを接触分解分留塔で分留して、接触分解軽質生成物、ライトサイクルオイル、ディーゼルオイルおよびオイルスラリーを得る工程と、
iv)請求項1~16のいずれか1項に記載の方法を用いて、前記接触分解分留塔から前記接触分解軽質生成物を脱硫分離し、脱硫乾燥ガス、脱硫液化ガスおよび脱硫安定化ガソリンを得る工程と、
v)場合により、前記工程ii)で得られた前記使用済み触媒を再生し、再生された前記触媒を再使用のために前記ライザー反応器に再循環させる工程と、
を含む、方法。
【請求項18】
接触分解軽質生成物の脱硫および分離のための装置であって、順に連通された吸着脱硫ユニットおよび吸収安定化ユニットを備え、
前記吸収安定化ユニットは、順に連通された吸収塔、脱着塔、再吸収塔、および安定化塔を備え、
前記吸着脱硫ユニットは、流動床式脱硫反応ユニット、吸着剤再生器、および前記流動床式脱硫反応ユニットと前記吸着剤再生器との間に接続されて圧力変化および雰囲気変換を行うために使用されるロックホッパと、を備え、
前記流動床式脱硫反応ユニットは、接触分解分留塔から接触分解軽質生成物を受け取るために前記接触分解分留塔と連通し、
前記流動床式脱硫反応ユニットのオイル-ガス排出口は、前記吸収安定化ユニットの吸収塔と連通しているか、または、気液分離槽を介して前記吸収安定化ユニットの吸収塔と連通している、装置。
【請求項19】
前記吸着脱硫ユニットは、順に連通された、流動床式脱硫反応ユニット、反応器の受容器、ロックホッパ、再生塔の供給槽、吸着剤再生器および再生器の受容器を備え、前記再生器の受容器は、前記ロックホッパを介して吸着剤還元器と連通し、
前記吸着剤還元器は、前記流動床式脱硫反応ユニットと連通している、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記流動床式脱硫反応ユニットは、順に連通された、第1の流動床式脱硫反応器と、任意の吸着剤移送槽と、第2の流動床式脱硫反応器とを備え、
前記吸着剤還元器は、前記第1の流動床式脱硫反応器および/または前記第2の流動床式脱硫反応器の底部と連通している、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記流動床式脱硫反応ユニットは、第1の流動床式脱硫反応器および第2の流動床式脱硫反応器を備え、
前記第1の流動床式脱硫反応器は、前記反応器の受容器と連通し、
前記吸着剤還元器は、前記第1の流動床式脱硫反応器および/または前記第2の流動床式脱硫反応器の底部と連通し、
前記第1の流動床式脱硫反応器の中央下部が前記第2の流動床式脱硫反応器の底部と連通し、
前記第2の流動床式脱硫反応器の上部が前記第1の流動床式脱硫反応器の上部と連通し、
好ましくは、前記第1の流動床式脱硫反応器は、底部から頂部までの高さの20~60%の位置で前記第2の流動床式脱硫反応器の底部と連通し、前記第1の流動床式脱硫反応器は、底部から頂部までの高さの60~90%の位置で前記第2の流動床式脱硫反応器の頂部と連通し、前記第1の流動床式脱硫反応器の上部の沈降区域に固気分離装置を設け、前記第2の流動床式脱硫反応器の上部に固気分離装置を設けるか、または設けない、請求項19に記載の装置。
【請求項22】
前記流動床式脱硫反応ユニットは、第1の流動床式脱硫反応器および第2の流動床式脱硫反応器を備え、
前記第1の流動床式脱硫反応器は、前記反応器の受容器と連通し、
前記吸着剤還元器は、前記第1の流動床式脱硫反応器および/または前記第2の流動床式脱硫反応器の底部と連通し、
前記第1の流動床式脱硫反応器の上部は、前記第2の流動床式脱硫反応器の上部と連通し、
前記第2の流動床式脱硫反応器の底部は、前記第1の流動床式脱硫反応器の底部と連通し、
好ましくは、前記第1の流動床式脱硫反応器は、底部から頂部までの高さの50~90%の位置で、前記第2の流動床式脱硫反応器の底部から頂部までの高さの80~90%の位置と連通している、請求項19に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[関連出願への相互参照]
本出願は、2019年10月31日出願の中国特許出願第201911049476.3号「接触分解軽質生成物の脱硫および分離を行うための方法および装置」、2019年10月31日出願の中国特許出願第201911049636.4号「接触分解軽質生成物の脱硫および分離方法」、2019年10月31日出願の中国特許出願第201911049459.X号「接触分解軽質生成物の脱硫および分離を行うための方法および装置」、2019年10月31日出願の中国特許出願第201911049466.X号「接触分解軽質生成物の脱硫および分離方法および装置」、2019年10月31日出願の中国特許出願第201911049630.7号「接触分解軽質物の脱硫方法および脱硫装置」、ならびに2019年10月31日出願の中国特許出願第201911049610.X号「接触分解軽油生成物の脱硫方法、接触分解による低硫黄軽油生成物を製造するための方法および装置」からの優先権を主張するものである。これらの内容の全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[技術分野]
本出願は石油化学工業の分野に関し、特に、炭化水素油を脱硫するための方法に関し、より具体的には、接触分解軽質生成物の脱硫および分離を行うための方法および装置に関する。
【0003】
[背景技術]
製油所の接触分解ユニットは軽質オレフィン、液化ガスおよびガソリンの主な供給源であり、既存の接触分解工程では、接触分解ユニットからの反応生成物を分留して、リッチガス、粗製ガソリン、ライトサイクルオイル、重質ガスオイル、スラリーオイルなどの成分を得る。リッチガスは吸収-脱着塔および再吸収塔を通過させて乾燥ガス生成物が得られ、脱硫後に精製燃料ガスとして使用され得る。粗製ガソリンは吸収安定化塔で分離して液化ガスおよび安定化接触分解ガソリンを得ることができる。接触分解ガソリンは、脱硫後の生成物として産出され、液化ガスは脱硫後の生成物として産出することができ、または他の装置のためのプロピレン、ブチレンなどの高価値成分を提供するための出発原料として使用することができる。
【0004】
乾燥ガス、液化ガスおよび接触分解ガソリンはすべて、ますます厳しくなる環境規制および下流の工程要件の下で脱硫されなければならない。現在、乾燥ガス、液化ガスおよび接触分解ガソリンの脱硫工程は、脱硫技術の限界から別々に行われており、乾燥ガスおよび液化ガスに一般的に用いられているアルカリ洗浄脱硫などの工程では、廃液、廃棄残渣などが多量に発生する。また、既存の液化ガス脱硫工程では、脱硫度が不十分なために硫黄含有量が過度に高くなり、用途が限定されるという問題があった。
【0005】
炭化水素油の吸着脱硫方法は、水素存在下での吸着によって軽質炭化水素油を脱硫する方法であり、脱硫度が高い、水素消費が低いなどの特徴を有し、30μg/g未満の硫黄含有量を有する燃料油を製造するために使用され得る。しかしながら、接触分解軽質生成物を処理するために使用するとき、当該方法は、接触分解生成物の液体収率が低く、ガソリンのオクタン価損失が大きいという問題を有する。
【0006】
[発明の概要]
従来技術の問題に鑑み、本出願の目的は、脱硫された乾燥ガス、液化ガスおよび安定化接触分解ガソリンを高い収率および品質で製造するために使用し得る、接触分解軽質生成物の脱硫および分離を行うための方法および装置を提供することである。
【0007】
上記目的を達成するために、本態様において、本出願は、接触分解軽質生成物の脱硫および分離方法であって、
1)接触分解軽質生成物を、脱硫のために水素存在下において吸着脱硫反応ユニット中で脱硫吸着剤と接触させ、場合により、得られた脱硫生成物に対して気液分離を行い、脱硫リッチガスおよび脱硫粗製ガソリンを得る工程であって、前記接触分解軽質生成物は、接触分解分留塔からの塔頂オイル-ガス分留物、または接触分解分留塔からのリッチガスおよび粗製ガソリンである、工程と、
2)前記工程1)で得られた脱硫リッチガスと脱硫粗製ガソリンとを別々に接触分解吸収安定化システムに送って分離し、脱硫乾燥ガス、脱硫液化ガスおよび脱硫安定化ガソリンを得る工程と、
を含む、方法を提供する。
【0008】
好ましくは、接触分解吸収安定化システムは、吸収塔、再吸収塔、脱着塔、および安定化塔を備え、前記工程2)は、
2a)前記脱硫リッチガスを吸収塔に底部から導入し、物質移動のために向流方式で前記吸収塔に頂部から導入した前記脱硫粗製ガソリンと接触させて、塔頂流と底部生成物とを得る工程と、
2b)前記吸収塔の塔頂流を再吸収塔に底部から導入し、物質移動のために向流方式で前記再吸収塔に頂部から導入された前記接触分解分留塔からのライトサイクルオイルと接触させて、前記再吸収塔の頂部で前記脱硫乾燥ガスが得られ、前記再吸収塔の底部で濃縮ライトサイクルオイルが得られ、場合により、前記濃縮ライトサイクルオイルを前記接触分解分留塔に再循環させる工程と、
2c)前記脱着塔中で前記吸収塔の前記底部生成物を脱着して、塔頂ガスおよび底部生成物が得られ、場合により、前記塔頂ガスを前記吸収塔に再循環させる工程と、
2d)前記脱着塔の底部生成物を前記安定化塔に送り、前記安定化塔中で分留して、前記脱硫液化ガスおよび前記脱硫安定化ガソリンを得る工程と、
をさらに含む。
【0009】
別の態様において、本出願は、接触分解によって低硫黄軽油生成物を製造する方法であって、
i)接触分解条件下での反応のために、接触分解原料と接触分解触媒とを接触させる工程と、
ii)前記工程i)で得られた反応生成物に対して気固分離を行い、反応オイルガスおよび使用済み触媒を得る工程と、
iii)前記工程ii)で得られた反応オイルガスを接触分解分留塔で分留して、接触分解軽質生成物、ライトサイクルオイル、ディーゼルオイルおよびオイルスラリーを得る工程と、
iv)本出願に係る接触分解軽質生成物の脱硫および分離方法を用いて、前記接触分解分留塔から前記接触分解軽質生成物を脱硫分離し、脱硫乾燥ガス、脱硫液化ガスおよび脱硫安定化ガソリンを得る工程と、
v)場合により、前記工程ii)で得られた前記使用済み触媒を再生し、再生された前記触媒を再使用のためにライザー反応器に再循環させる工程と、
を含む、方法を提供する。
【0010】
別の態様では、本出願は、接触分解軽質生成物の脱硫および分離のための装置であって、順に連通された吸着脱硫ユニットおよび吸収安定化ユニットを備え、
前記吸収安定化ユニットは、順に連通された吸収塔、脱着塔、再吸収塔、および安定化塔を備え、
前記吸着脱硫ユニットは、流動床式脱硫反応ユニット、吸着剤再生器、および前記流動床式脱硫反応ユニットと前記吸着剤再生器との間に接続されて圧力変化および雰囲気変換を行うために使用されるロックホッパと、を備え、
前記流動床式脱硫反応ユニットは、接触分解分留塔から接触分解軽質生成物を受け取るために前記接触分解分留塔と連通し、
前記流動床式脱硫反応ユニットのオイル-ガス排出口は、前記吸収安定化ユニットの吸収塔と連通しているか、または、気液分離槽を介して前記吸収安定化ユニットの吸収塔と連通している、装置を提供する。
【0011】
従来技術と比較して、本出願に係る接触分解軽質生成物の脱硫および分離を行うための方法および装置は、以下の利点のうちの1つ以上を有する。
【0012】
1)接触分解分留塔からの塔頂-オイルガス分留物または接触分解分留塔からのリッチガスおよび粗製ガソリンなどの接触分解軽質生成物を、最初に吸着脱硫に供し、次いで吸収安定化に供し、その結果、従来の方法で遭遇するガソリン収率の損失を最大限に低減することができる。
【0013】
2)接触分解分留塔からのリッチガスおよび粗製ガソリンを吸着脱硫に供し、リッチガス中の軽質オレフィンの損失は低い。吸着脱硫反応器では、リッチガス中の水素が反応に関与する水素の供給源となり、水素消費を節約することができる。吸着脱硫後、リッチガスおよび粗製ガソリンを吸収安定化システムに通して、脱硫された乾燥ガス、液化ガスおよび安定化ガソリンが得られ、それらの硫黄含有量は10ppm以下、さらには1ppm以下であり得る。
【0014】
3)従来の製油所で必要とされる乾燥ガス、液化ガスなどを脱硫するための装置が排除され、従来の脱硫工程が遭遇する可能性のある廃液、廃棄残渣などの問題が回避される。
【0015】
4)2つの脱硫反応器がそれぞれ、粗製ガソリンおよびリッチガスを処理するために使用されるとき、2つの脱硫反応器を相対的に独立して操作することができ、リッチガスの脱硫中のオレフィン飽和率が低減される。
【0016】
5)好ましい実施形態において、粗製ガソリンおよび脱硫吸着剤が第1の流動床式脱硫反応器において同時に上方に流れ、その結果、除去することが困難なチオフェン等の硫化物の完全な除去を確実にするための長い反応時間を得ることができる。リッチガスを、吸着脱硫のために第2の流動床式脱硫反応器において脱硫吸着剤と向流方式で接触させ、その結果、リッチガス中のオレフィンと吸着剤との接触時間を低減することができ、軽質オレフィンの飽和率が低減される。
【0017】
[図面の簡単な説明]
本明細書の一部を形成する図面は、本出願の理解を助けるために提供され、限定的であると考えられるべきではない。本出願は、以下の詳細な説明と組み合わせて図面を参照して解釈することができる。
【0018】
図1Aは、本出願の第1のタイプの実施形態である吸着脱硫ユニットの好ましい実施形態の系統図である。
【0019】
図1Bは、本出願の第2のタイプの実施形態による吸着脱硫ユニットの好ましい実施形態の系統図である。
【0020】
図1Cは、本出願の第3のタイプの実施形態による吸着脱硫ユニットの好ましい実施形態の系統図である。
【0021】
図1Dは、本出願の第4のタイプの実施形態による吸着脱硫ユニットの好ましい実施形態の系統図である。
【0022】
図1Eaは、本出願の第5のタイプの実施形態による吸着脱硫ユニットの好ましい実施形態の系統図である。
【0023】
図1Ebは、本出願の第5のタイプの実施形態による吸着脱硫ユニットの別の好ましい実施形態の系統図である。
【0024】
図1Fは、本出願の第6のタイプの実施形態による吸着脱硫ユニットの好ましい実施形態の系統図である。
【0025】
図2は、本出願による吸収安定化ユニットの好ましい実施形態の系統図である。
【0026】
[発明の詳細な説明]
以下、本出願を具体的な実施形態および添付の図面を参照して、さらに詳細に説明する。本出願の特定の実施形態は、例示の目的のためだけに提供され、いかなる方法においても限定することを意図しないことに留意されたい。
【0027】
本出願の文脈において記載される、数値範囲の終点を含む任意の具体的な数値は、その正確な値に限定されず、前記正確な値に近いすべての値をさらに包含すると解釈されるべきであって、例えば前記正確な値の±5%以内のすべての値とする。さらに、本明細書に記載される任意の数値範囲に関して、範囲の終点間、各終点と範囲内の任意の特定の値との間、または範囲内の任意の2つの特定の値の間で任意の組み合わせを行って、1つ以上の新しい数値範囲を提供することができ、この場合、前記新しい数値範囲はまた、本出願に具体的に記載されていると見なされるべきである。
【0028】
特に明記しない限り、本明細書で使用される用語は当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有し、用語が本明細書で定義され、それらの定義が当技術分野における通常の理解と異なる場合、本明細書で提供される定義が優先されるものとする。
【0029】
本出願において、「リッチガス」という用語は、接触分解分留塔から得られるガス分留物を示し、主にC1~C4炭化水素成分、ならびに少量のC5炭化水素成分および非常に少量のC6成分を含み、窒素、二酸化炭素、一酸化炭素、水素、および硫化水素などの他の成分も含んでいてもよい。その硫黄含有量は30~50000μg/gであり、例えば、50μg/g以上である。
【0030】
本出願において、「粗製ガソリン」とは、30~210℃の蒸留範囲を有する接触分解分留塔からの分留物を示し、主にC4~C12炭化水素成分を含む。その硫黄含有量は30~50000μg/gであり、例えば、50μg/g以上である。
【0031】
本出願において、「塔頂オイル-ガス分留物」とは、リッチガスおよび粗製ガソリンの両方をカバーする蒸留範囲を有する接触分解分留塔の頂部から得られる分留物を示し、主にC1~C12炭化水素成分を含み、窒素、二酸化炭素、一酸化炭素、水素および硫化水素などの他の成分も含んでよい。その硫黄含有量は、30~50000μg/gであり、例えば、50μg/g以上である。
【0032】
本出願によれば、反応器または容器の「底部」は、底部から頂部までの高さの0%~10%までの反応器または容器の部分を示す。反応器または容器の「下部」は、底部から頂部までの高さの0%~50%の反応器または容器の部分を示す。反応器または容器の「上部」は、反応器または容器の底部から頂部までの高さの50%~100%の、反応器または容器の部分を示す。反応器または容器の「頂部」は、反応器または容器の底部から頂部までの高さの90%~100%までの、反応器または容器の部分を示す。
【0033】
本出願の文脈において、明示的に記載された主題に加えて、記載されていない主題は、いかなる変更もなしに、当技術分野で知られているものと同じであると見なされる。さらに、本明細書で説明される実施形態のいずれも、本明細書で説明される他の1つ以上の実施形態と自由に組み合わせることができ、このようにして得られる技術的解決策または概念は本出願の元の開示または元の説明の一部と見なされ、そのような組み合わせが明らかに不合理であることが当業者に明らかでない限り、本明細書で開示または予想されなかった新しい事項であると見なされるべきではない。
【0034】
本明細書に引用された特許文献および非特許文献のすべて(教科書および雑誌論文を含むがこれらに限定されない)は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0035】
上記のように、第1の態様において、本出願は、接触分解軽質生成物の脱硫および分離方法であって、
1)接触分解軽質生成物を、脱硫のために水素存在下において吸着脱硫反応ユニット中で脱硫吸着剤と接触させ、場合により、得られた脱硫生成物に対して気液分離を行い、脱硫リッチガスおよび脱硫粗製ガソリンを得る工程であって、前記接触分解軽質生成物は、接触分解分留塔からの塔頂オイル-ガス分留物、または接触分解分留塔からのリッチガスおよび粗製ガソリンである、工程と、
2)前記工程1)で得られた脱硫リッチガスと脱硫粗製ガソリンとを別々に接触分解吸収安定化システムに送って分離し、脱硫乾燥ガス、脱硫液化ガスおよび脱硫安定化ガソリンを得る工程と、
を含む、方法を提供する。
【0036】
好ましくは、接触分解吸収安定化システムは、吸収塔、再吸収塔、脱着塔、および安定化塔を備え、前記工程2)は、
2a)前記脱硫リッチガスを吸収塔に底部から導入し、物質移動のために向流方式で前記吸収塔に頂部から導入した前記脱硫粗製ガソリンと接触させて、塔頂流と底部生成物とを得る工程と、
2b)前記吸収塔の塔頂流を再吸収塔に底部から導入し、物質移動のために向流方式で前記再吸収塔に頂部から導入された前記接触分解分留塔からのライトサイクルオイルと接触させて、前記再吸収塔の頂部で前記脱硫乾燥ガスが得られ、前記再吸収塔の底部で濃縮ライトサイクルオイルが得られ、場合により、前記濃縮ライトサイクルオイルを前記接触分解分留塔に再循環させる工程と、
2c)前記脱着塔中で前記吸収塔の前記底部生成物を脱着して、塔頂ガスおよび底部生成物が得られ、場合により、前記塔頂ガスを前記吸収塔に再循環させる工程と、
2d)前記脱着塔の底部生成物を前記安定化塔に送り、前記安定化塔中で分留して、前記脱硫液化ガスおよび前記脱硫安定化ガソリンを得る工程と、
をさらに含む。
【0037】
さらに好ましくは、前記吸収塔の操作条件は、0.2~3.0MPaの圧力(好ましくは0.5~1.6MPa)、20~100℃の温度(好ましくは30~70℃)を含み;前記脱着塔の操作条件は、0.1~3.0MPaの圧力(好ましくは0.5~2.5MPa)、20~250℃の温度(好ましくは50~200℃)を含み;前記再吸収塔の操作条件は、好ましくは0.1~3.0MPa(好ましくは0.5~2.5MPa)、20~100℃の温度(好ましくは30~70℃)を含み;前記安定化塔の操作条件は、好ましくは0.1~3.0MPaの圧力(好ましくは0.5~2.5MPa)、20~250℃の温度(好ましくは50~200℃)を含む。
【0038】
〔第1のタイプの実施形態〕
本出願に係る方法の第1のタイプの実施形態によれば、接触分解軽質生成物は、接触分解分留塔からの塔頂オイル-ガス分留物であり、工程1)はさらに以下の工程を含む:
1a)前記接触分解分留塔からの前記塔頂オイル-ガス分留物を流動床式脱硫反応器に底部から導入し、前記反応器に底部から導入された脱硫吸着剤と、脱硫反応のために水素存在下で接触させる工程;
1b)前記流動床式脱硫反応器の上部で得られた反応流に対して気固分離を行い、反応オイルガスと硫黄充填吸着剤とを得る工程;
1c)前記工程1b)で得られた反応オイルガスに対して気液分離を行い、前記脱硫リッチガスと脱硫粗製ガソリンとを得る工程;および、
1d)前記工程1b)で得られた前記硫黄充填吸着剤を、酸素含有ガスの存在下で焼成することによる再生のために吸着剤再生器に送り、再生された脱硫吸着剤を還元後に前記流動床式脱硫反応器に再循環させる工程。
【0039】
いくつかの好ましい実施形態において、接触分解分留塔からの塔頂オイル-ガス分留物を吸着脱硫反応ユニットに導入し、脱硫のために水素存在下で脱硫吸着剤と接触させ、反応オイルガスが得られ、反応オイルガスは、分離のために気液分離タンクに通され、脱硫リッチガスおよび脱硫粗製ガソリンが得られる。脱硫リッチガスを底部から吸収塔に導入し、物質移動のために吸収塔に頂部から導入した粗製ガソリンと接触させる。吸収塔の塔頂流を再吸収塔に底部から導入し、物質移動のために向流方式で接触分解分留塔からのライトサイクルオイルと接触させ、脱硫乾燥ガスが再吸収塔の頂部から得られる。再吸収塔の底部で得られた濃縮ライトサイクルオイルを接触分解分留塔に再循環させる。吸収塔の底部生成物を、脱着塔を通過させた後に安定化塔に送り、安定化塔で分留し、脱硫液化ガスおよび脱硫安定化ガソリンを得る。脱着塔の塔頂ガスは、吸収塔に再循環させる。
【0040】
さらなる好ましい実施形態において、接触分解分留塔の塔頂オイル-ガス分留物を必要な温度に予熱した後、塔頂オイル-ガス分留物を底部から流動床式脱硫反応器に導入し、底部から頂部に流しながら、脱硫のために反応器中で脱硫吸着剤と接触させる。高硫黄充填である、反応した使用済み吸着剤をオイルガスから分離し、次いで、再生のために流動床再生器に導入して酸素と接触させる。再生された吸着剤は、還元後に再使用するために、脱硫反応器に再循環させる。脱硫生成物である混合物を気液分離器に通して、脱硫リッチガスおよび脱硫粗製ガソリンを得る。脱硫リッチガスおよび脱硫粗製ガソリンおよび/または安定化ガソリンの一部を吸収塔に通し、吸収塔の塔頂ガス生成物を、接触分解分留塔からのライトサイクルオイルを使用して吸収し、再吸収塔で分離する。脱硫乾燥ガスが再吸収塔の頂部で得られる。再吸収塔の底部で濃縮ライトサイクルオイルが得られ、濃縮ライトサイクルオイルを接触分解分留塔に再循環させる。吸収塔の底部生成物は、脱着塔を通過させた後に安定化塔に送り、安定化塔中で分留して、脱硫液化ガスおよび脱硫安定化接触分解ガソリンを得る。脱着塔の塔頂ガスは脱硫リッチガスと混合され、次いで吸収塔に送られる。
【0041】
さらなる好ましい実施形態において、接触分解分留塔の塔頂オイル-ガス分留物を100~500℃に加熱する。接触分解分留塔の加熱した塔頂オイル-ガス分留物を流動床式脱硫反応器の炭化水素油原料として使用する。炭化水素油原料、または、炭化水素油原料と水素供与体との混合物を底部から流動床反応器に導入する。硫黄含有炭化水素油原料を、200~550℃(好ましくは300~500℃)の温度、0.5~5MPa(好ましくは1.0~3.5MPa)の圧力、0.1~100h-1(好ましくは1~10h-1)の重量毎時空間速度(weight hourly space velocity)、および0.01~1000(好ましくは0.05~500)のガソリン原料に対する水素供与体の体積比を含む反応条件下で、吸着脱硫反応のために脱硫吸着剤と接触させる。
【0042】
好ましくは、炭化水素油原料と水素供与体との混合物が供給分配プレートを介して反応器内に均一に分配され、反応器内で脱硫吸着剤と十分に接触する。脱硫吸着剤は、流動床式脱硫反応器の底部から導入する。
【0043】
好ましくは、流動床式脱硫反応器の頂部の沈降分離セクションに気固分離器を設ける。反応オイルガスおよび脱硫吸着剤を気固分離に供する。分離した硫黄充填使用済み吸着剤(「硫黄充填触媒」とも呼ばれる)をストリッピングして吸着した炭化水素を除去し、次いで吸着剤再生器に送る。再生された脱硫吸着剤は還元のために吸着剤還元器に送り、還元された脱硫吸着剤は流動床式脱硫反応器の底部から導入し、吸着脱硫反応、吸着剤再生、吸着剤還元および吸着脱硫反応の連続サイクルを実現する。
【0044】
反応後に得られた炭化水素油生成物は、熱交換後に気液分離槽に送り、脱硫リッチガスおよび脱硫粗製ガソリンが得られる。気液分離槽の操作圧力は0.2~4.0MPa(好ましくは0.5~3.0MPa)であり、操作温度は20~300℃(好ましくは50~200℃)である。
【0045】
図1Aは、本出願の第1のタイプの実施形態である吸着脱硫ユニットの好ましい実施形態の系統図である。
図1Aに示すように、吸着脱硫ユニットは流動床式脱硫反応器102、反応器の受容器106、反応-再生システムを隔離するためのロックホッパ108、再生器供給槽111、吸着剤再生器114、および再生器の受容器117を含み、これらは順に連通し、再生器の受容器117はロックホッパ108およびパイプライン119を介して吸着剤還元器120と連通し、吸着剤還元器120は流動床式脱硫反応器102の底部と連通している。
【0046】
接触分解分留塔からの予熱した塔頂オイル-ガス分留物および水素ガスを、パイプライン101を介して流動床式脱硫反応器102の底部に導入し、吸着脱硫反応のために流動床式脱硫反応器102中の脱硫吸着剤と接触させ、硫黄が部分的に充填された吸着剤は反応材料と共に上方に移動する。反応後、反応オイルガスおよび吸着剤は、オイル-吸着剤分離のために反応器102の頂部の沈降分離セクションに通す。得られた反応オイルガスは脱硫リッチガス、脱硫粗製ガソリンおよび水素の混合物であり、パイプライン104を介して気液分離槽(図示せず)に送り、脱硫リッチガスおよび脱硫粗製ガソリンは凝縮気液分離によって得られ、処理のために次の生成物分離および安定化システムに送る。
【0047】
使用済み吸着剤は、流動床式脱硫反応器102の上部から、吸着剤移送水平管105を介して反応器の受容器106に移送され、反応器の受容器106でストリッピングした後、パイプライン107を介してロックホッパ108に送られ、窒素でパージされた後、ロックホッパ内の高圧水素環境から低圧不活性雰囲気に変更される。パージガスはパイプライン109を介して燃焼炉に送って燃焼する。使用済み吸着剤は、パイプライン110を介して再生器供給槽111に送り、リフトガスによって持ち上げられ、パイプライン112を介して吸着剤再生器114に送られる。酸素含有ガスを、パイプライン113を介して底部から吸着剤再生器に導入する。使用済み吸着剤を、硫黄燃焼および炭素燃焼のために吸着剤再生器114内の酸素含有ガスと接触させ、再生された吸着剤を得る。硫黄含有排ガスを吸着剤再生器の頂部で再生された吸着剤から分離し、硫黄生成システムに送る、またはパイプライン115を介してSOxを除去するためにアルカリ洗浄に供する。再生された吸着剤は、パイプライン116を介して、吸着剤再生器から再生器の受容器117に送られ、窒素によって持ち上げられ、パイプライン118を介してロックホッパ108に送られ、水素でストリッピングおよびパージされ、次いで、再生された吸着剤がロックホッパ108内で高圧水素環境に変更され、パイプライン119を介して還元のために還元器120に導入される。還元および再生された吸着剤は、パイプライン121を介して流動床式脱硫反応器102に導入され、その結果、連続した吸着脱硫反応を実現する。
【0048】
〔第2のタイプの実施形態〕
本出願に係る方法の第2のタイプの実施形態によれば、接触分解軽質生成物は接触分解分留塔からのリッチガスおよび粗製ガソリンであり、工程1)はさらに以下の工程を含む:
1a)接触分解分留塔からの粗製ガソリンを、流動床式脱硫反応器に底部から導入し、反応器に底部から導入された脱硫吸着剤と、脱硫反応のために水素存在下で接触させる工程;
1b)接触分解分留塔からのリッチガスを、底部から頂部までの高さの30~80%、好ましくは40~70%の位置で流動床式脱硫反応器に導入し、脱硫反応のために反応器中の流れと混合する工程;
1c)流動床式脱硫反応器の上部で得られた反応流に対して気固分離を行い、反応オイルガスと硫黄充填吸着剤とを得る工程;
1d)工程1c)で得られた反応オイルガスに対して気液分離を行い、脱硫リッチガスと脱硫粗製ガソリンとを得る工程であって、好ましくは、気液分離の操作条件が、0.2~4.0MPaの圧力、好ましくは0.5~3.0MPa、および20~300℃の温度、好ましくは50~200℃を含む工程;および
1e)工程1c)で得られた硫黄充填吸着剤を、酸素含有ガスの存在下で焼成することによる再生のために吸着剤再生器に送り、再生された脱硫吸着剤を還元後に流動床式脱硫反応器に再循環させる工程、
好ましくは、接触分解分留塔からのリッチガスおよび粗ガソリン中の硫黄含有量は、それぞれ独立して30μg/gより大きく、特に50μg/gより大きい。
【0049】
いくつかの好ましい実施形態において、接触分解分留塔からの粗製ガソリンは、流動床式脱硫反応器に底部から導入し、上方向に流しながら、水素存在下で、脱硫吸着剤と、脱硫のために接触させる。接触分解分留塔からのリッチガスを、底部から頂部までの高さの30~80%の位置で流動床式脱硫反応器に導入し、反応流と混合させ、次いで、反応のために脱硫吸着剤と接触させ、反応器の頂部における気固分離によって得られた反応オイルガスを、分離のために気液分離槽に導入し、脱硫リッチガスおよび脱硫粗製ガソリンを得る。硫黄充填吸着剤は、吸着剤再生器において焼成および再生する。再生された脱硫吸着剤は、還元後の再使用のために流動床式脱硫反応器に再循環させる。脱硫リッチガスは、底部から吸収塔に導入し、物質移動のために頂部から吸収塔に導入された脱硫粗製ガソリンと接触させる。吸収塔の塔頂流は、再吸収塔に底部から導入され、物質移動のために向流方式で接触分解分留塔からのライトサイクルオイルと接触させる。脱硫乾燥ガスを再吸収塔の頂部で得て、再吸収塔の底部で得た濃縮ライトサイクルオイルを、接触分解分留塔に再循環させ、吸収塔の底部生成物を、脱着塔を通過させた後、安定化塔に送り、安定化塔中で分留して、脱硫液化ガスおよび脱硫安定化ガソリンが得られ、脱着塔の塔頂ガスは、吸収塔に再循環させる。
【0050】
さらなる好ましい実施形態において、接触分解分留塔からの粗製ガソリンを必要な温度に予熱し、底部から流動床式脱硫反応器に導入し、底部から頂部に流れる間に、脱硫のために反応器中で脱硫吸着剤と接触させる。リッチガスを中央上部から流動床式脱硫反応器中に導入し、反応流と混合し、反応のために脱硫吸着剤と接触させ、流動床式脱硫反応器の頂部で気固分離に供する。高硫黄充填である、分離された使用済み吸着剤は、酸素と接触させるために吸着剤再生器に導入して再生し、再生された吸着剤を、還元後の再使用のために脱硫反応器に再循環させる。気固分離によって得られた反応オイルガスを気液分離器に通して、脱硫リッチガスおよび脱硫粗製ガソリンを得る。脱硫リッチガスを底部から吸収塔に導入し、物質移動のために頂部から吸収塔に導入した脱硫粗製ガソリンと接触させる。吸収塔の塔頂ガス生成物を、接触分解分留塔からのライトサイクルオイルを用いて吸収し、再吸収塔で分離し、脱硫乾燥ガスを再吸収塔の頂部で得る。再吸収塔の底部で濃縮ライトサイクルオイルを得る。濃縮ライトサイクルオイルを接触分解分留塔に再循環させる。吸収塔の底部生成物は、脱着塔を通過させた後に安定化塔に送られ、安定化塔中で分留され、脱硫液化ガスおよび脱硫安定化接触分解ガソリンが得られる。脱着塔の塔頂ガスは脱硫リッチガスと混合し、次いで吸収塔に送る。
【0051】
さらに好ましい実施形態において、接触分解分留塔からの粗製ガソリンを100~500℃に加熱し、水素供与体と一緒に底部から流動床吸着脱硫反応器に導入する。接触分解分留塔からのリッチガスを150~450℃の温度に予熱し、流動床式脱硫反応器の底部から頂部までの高さの30~80%の位置に導入する。
【0052】
流動床式脱硫反応器は、好ましくは濃密相床式反応器である。リッチガスが通過する吸着剤床層の高さを、流動床式脱硫反応器中の吸着剤床層の全高の10~60%になるように制御する。
【0053】
流動床式脱硫反応器の操作条件は、好ましくは、200~550℃(好ましくは300~500℃)の温度、0.5~5MPa(好ましくは1.0~3.5MPa)の圧力、0.1~100h-1(好ましくは1~10h-1)の重量毎時空間速度、および0.01~1000(好ましくは0.05~500)の、ガソリン原料に対する水素供与体の体積比を含む。水素の存在下で、粗製ガソリンおよびリッチガスを含む反応オイルガスを脱硫吸着剤と接触させて、吸着脱硫反応を行う。脱硫吸着剤を反応オイルガスから分離した後、硫黄充填された使用済み吸着剤を、吸着された炭化水素を除去するためにストリッピングし、吸着剤再生器に送る。再生された脱硫吸着剤を還元のために吸着剤還元器に送り、還元された脱硫吸着剤を流動床式脱硫反応器の底部から導入し、吸着脱硫反応、吸着剤再生、吸着剤還元および吸着脱硫反応の連続サイクルを実現する。
【0054】
好ましくは、流動床吸着脱硫反応器の底部において、粗製ガソリンと水素供与体との混合物を、供給分配プレートを通して反応器中に均一に分配し、反応器中の脱硫吸着剤と十分に接触させる。脱硫吸着剤は、流動床反応器の底部から導入する。
【0055】
気固分離後に得られた反応オイルガスを、熱交換後に気液分離槽に送り、脱硫リッチガスおよび脱硫粗製ガソリンを得る。気液分離槽の操作圧力は0.2~4.0MPa(好ましくは0.5~3.0MPa)であり、操作温度は20~300℃(好ましくは50~200℃)である。
【0056】
図1Bは、本出願の第2のタイプの実施形態である吸着脱硫ユニットの好ましい実施形態の系統図である。
図1Bに示すように、吸着脱硫ユニットは、流動床式脱硫反応器202、反応器の受容器206、反応-再生システムを隔離するためのロックホッパ208、再生器供給槽211、吸着剤再生器214、および再生器の受容器217を含み、これらは順に連通し、ロックホッパ208は、パイプライン219を介して吸着剤還元器220と連通し、吸着剤還元器220は、流動床式脱硫反応器202の底部と連通している。
【0057】
予熱した粗製ガソリンおよび水素は、パイプライン201を介して流動床式脱硫反応器202の底部に導入し、脱硫反応のために流動床式脱硫反応器202内の脱硫吸着剤と接触し、硫黄が部分的に充填された吸着剤は、反応材料と共に上方に移動する。予熱したリッチガスを、流動床式脱硫反応器202の底部から頂部までの高さの30~80%の位置で、流動床式脱硫反応器にパイプライン203を介して導入し、脱硫反応のために反応オイルガスおよび脱硫吸着剤と混合する。反応後の反応オイルガスおよび吸着剤を、オイル-吸着剤分離のために、流動床式脱硫反応器202の頂部の沈降分離セクションに通す。得られた反応オイルガスは、脱硫リッチガス、脱硫粗製ガソリンおよび水素の混合物であり、パイプライン204を介して気液分離槽(図示せず)に送られる。凝縮気液分離によって得られた脱硫リッチガスおよび脱硫粗製ガソリンは、処理のために次の生成物分離および安定化システムに送られる。
【0058】
使用済み吸着剤は、流動床式脱硫反応器202の上部から、吸着剤移送水平管205を介して反応器の受容器206に移送され、反応器の受容器206でストリッピングされた後、パイプライン207を介してロックホッパ208に送られ、窒素でパージされた後、ロックホッパ内の高圧水素環境から低圧不活性雰囲気に変更される。パージガスは、パイプライン209を介して燃焼炉に送って燃焼する。使用済み吸着剤は、パイプライン210を介して再生器供給槽211に送り、リフトガスによって持ち上げられ、パイプライン212を介して吸着剤再生器214に送られる。酸素含有ガスを、パイプライン213を介して底部から吸着剤再生器に導入する。使用済み吸着剤を、硫黄燃焼および炭素燃焼のために吸着剤再生器214内の酸素含有ガスと接触させ、再生された吸着剤を得る。硫黄含有排ガスを吸着剤再生器の頂部で再生された吸着剤から分離し、硫黄生成システムに送る、またはパイプライン215を介してSOxを除去するために、アルカリ洗浄に供する。再生された吸着剤は、パイプライン216を介して、吸着剤再生器から再生器の受容器217に送り、窒素によって持ち上げられ、パイプライン218を介してロックホッパ208に送り、水素でストリッピングおよびパージし、次いで、再生された吸着剤がロックホッパ208内で高圧水素環境に変更され、パイプライン219を介して、還元のために還元器220に導入する。還元および再生された吸着剤は、パイプライン221を介して流動床式脱硫反応器202に導入し、その結果、連続した吸着脱硫反応を実現する。
【0059】
〔第3のタイプの実施形態〕
本出願に係る方法の第3のタイプの実施形態によれば、接触分解軽質生成物は、接触分解分留塔からのリッチガスおよび粗製ガソリンであり、工程1)はさらに以下の工程を含む:
1a)接触分解分留塔からの粗製ガソリンを、第1の流動床式脱硫反応器に底部から導入し、反応器に底部から導入された脱硫吸着剤と、脱硫反応のために水素存在下で接触させる工程;
1b)第1の流動床式脱硫反応器の上部で得られた反応流に対して気固分離を行い、脱硫粗製ガソリンと、硫黄が部分的に充填された脱硫吸着剤とが得られ、硫黄が部分的に充填された脱硫吸着剤を第2の流動床式脱硫反応器に送る工程;
1c)接触分解分留塔からのリッチガスを、第2の流動床式脱硫反応器に底部から導入し、脱硫反応のために反応器に底部から導入された、硫黄が部分的に充填された脱硫吸着剤と接触させる工程;
1d)第2の流動床式脱硫反応器の上部で得られた反応流を気固分離して、脱硫リッチガスと硫黄充填吸着剤とを得る工程;および
1e)工程1d)で得られた硫黄充填吸着剤を、酸素含有ガスの存在下で焼成することによる再生のために吸着剤再生器に送り、再生された脱硫吸着剤を、還元後に第1の流動床式脱硫反応器に再循環させる工程。
【0060】
いくつかの好ましい実施形態において、接触分解分留塔からの粗製ガソリンを底部から第1の流動床式脱硫反応器に導入し、上方向に流しながら、脱硫のために水素の存在下で脱硫吸着剤と接触させ、上部の沈降区域で気固分離に供する。硫黄が部分的に充填された、分離された脱硫吸着剤を、第2の流動床式脱硫反応器に導入する。分離された反応オイルガスは脱硫粗製ガソリンである。接触分解分留塔からのリッチガスを、底部から第2の流動床式脱硫反応器に導入し、上方向に流しながら、脱硫のために脱硫吸着剤と接触させ、上部の沈降区域で気固分離に供する。分離された反応オイルガスは脱硫リッチガスである。分離された硫黄充填吸着剤を、酸素含有ガスを使用して焼成することによる再生のために吸着剤再生器に通す。再生された脱硫吸着剤を、還元後に、第1の流動床式脱硫反応器の底部に再循環させる。脱硫リッチガスおよび脱硫粗製ガソリンを、分離のために吸収安定化システムに別々に送り、脱硫乾燥ガス、脱硫液化ガスおよび脱硫安定化ガソリンが得られる。
【0061】
さらに、さらなる好ましい実施形態において、接触分解分留塔からの粗製ガソリンまたは粗製ガソリンと水素供与体との混合物は、100~500℃(好ましくは300~450℃)の温度に予熱する。加熱された粗製ガソリンを第1の流動床式脱硫反応器の原料として使用し、底部から第1の流動床式脱硫反応器に導入する。脱硫吸着剤は底部から第1の流動床式脱硫反応器に導入する。原料は吸着脱硫反応のために脱硫吸着剤と接触させる。反応流は底部から頂部に流れ、反応オイルガスおよび脱硫吸着剤は、第1の流動床式脱硫反応器の上部の、管径が拡大された沈降区域において、気固分離によって分離される。前記沈降区域は、サイクロン分離器またはろ過器などの気固分離装置をさらに備えてもよい。分離された反応オイルガスは脱硫粗製ガソリンである。硫黄が部分的に充填された、分離された脱硫吸着剤を吸着剤移送槽に通す。脱硫吸着剤は吸着剤移送槽内でシステム圧力に供し、次いで第2の流動床式脱硫反応器に導入する。
【0062】
硫黄が部分的に充填された脱硫吸着剤を第2の流動床式脱硫反応器に導入し、脱硫反応に必要な温度に予備加熱したリッチガスまたはリッチガスと水素供与体との混合物と接触させる。リッチガス中の硫黄を脱硫吸着剤に移し、第2の流動床式脱硫反応器の上部の管径を拡大した沈降区域で、反応オイルガスと脱硫吸着剤とを気固分離する。分離された反応オイルガスは脱硫リッチガスである。高硫黄充填である、分離された脱硫吸着剤を吸着剤再生器に導入し、再生のために酸素含有ガスと接触させる。再生された脱硫吸着剤は、還元後の再使用のために第1の流動床式脱硫反応器に再循環させる。
【0063】
脱硫リッチガスは底部から吸収塔に導入し、脱硫粗製ガソリンまたは粗製ガソリンと、安定化されたガソリンの一部とを頂部から吸収塔に導入し、向流方式でリッチガスと接触させる。吸収塔の塔頂ガス生成物を、接触分解分留塔からのライトサイクルオイルを使用して吸収し、再吸収塔で分離する。脱硫乾燥ガスは再吸収塔の頂部で得られる。濃縮ライトサイクルオイルは再吸収塔の底部で得られる。濃縮ライトサイクルオイルを接触分解分留塔に再循環させる。吸収塔の底部生成物は、脱着塔を通過させた後に安定化塔に送り、安定化塔中で分留し、脱硫液化ガスおよび脱硫安定化接触分解ガソリンを得る。脱着塔の塔頂ガスは脱硫リッチガスと混合し、次いで吸収塔に送る。
【0064】
好ましくは、接触分解分留塔からの粗製ガソリン、または、粗製ガソリンと水素供与体との混合物を、底部から第1の流動床式脱硫反応器に導入する。粗製ガソリンと水素供与体との混合物を、供給分配プレートを通して反応器中に均一に分配し、反応器中の脱硫吸着剤と十分に接触させる。
【0065】
さらなる好ましい実施形態では、第1の流動床式脱硫反応器において、硫黄含有粗製ガソリンは、200~550℃(好ましくは300~500℃)の温度、0.5~5MPa(好ましくは1.0~3.5MPa)の圧力、0.1~100h-1(好ましくは1~10h-1)の重量毎時空間速度、および0.01~1000(好ましくは0.05~500)のガソリン原料に対する水素供与体の体積比を含む反応条件下で、吸着脱硫反応のために脱硫吸着剤と接触させ、硫黄を脱硫吸着剤に移動させる。
【0066】
脱硫吸着剤を反応オイルガスから分離した後、硫黄充填された使用済み吸着剤を吸着剤移送槽に導入し、圧力変更後に第2の脱硫再生器に移送する。
【0067】
接触分解分留塔からのリッチガス、または、リッチガスおよび水素供与体を、100~500℃(好ましくは200~450℃)の温度に加熱する。加熱したリッチガスまたはリッチガスと水素供与体との加熱した混合物を、底部から第2の流動床式脱硫反応器に導入し、硫黄含有リッチガスを300~550℃(好ましくは350~500℃)の温度、0.1~3MPa(好ましくは0.2~2.5MPa)の絶対圧力、1~100h-1(好ましくは2~20h-1)の重量毎時空間速度、および0.01~500(好ましくは0.05~300)のリッチガス原料に対する水素供与体または水素の体積比を含む反応条件下で、吸着脱硫反応のために、第1の反応器からの硫黄が部分的に充填された吸着剤と接触させる。第2の流動床式脱硫反応器の操作圧力は、第1の流動床式脱硫反応器の操作圧力よりも0.5~2.0MPa低いことが好ましい。
【0068】
接触分解分留塔からのリッチガス、またはリッチガスと水素供与体との混合物は、供給分配プレートを通して第2の流動床式脱硫反応器中に均一に分配され、第2の流動床式脱硫反応器中で脱硫吸着剤と十分に接触させる。
【0069】
硫黄充填脱硫吸着剤を、第2の流動床式脱硫反応器の上部の管径が拡大された沈降セクションで反応オイルガスから分離した後、硫黄充填使用済み吸着剤は、吸着された炭化水素を除去するためにストリッピングされ、持ち上げられ、次いで流動床再生器に送られる。再生された脱硫吸着剤を還元のために吸着剤還元器に送る。還元された脱硫吸着剤を再使用のために底部から第1の流動床式脱硫反応器に送り、その結果、吸着脱硫反応、吸着剤再生、吸着剤還元および吸着脱硫反応の連続サイクルを実現する。
【0070】
第1の流動床式脱硫反応器から分離された反応オイルガスは、脱硫粗製ガソリンである。第2の流動床式脱硫反応器から分離された反応オイルガスは、脱硫リッチガスである。
【0071】
図1Cは、本出願の第3のタイプの実施形態による吸着脱硫ユニットの好ましい実施形態の系統図である。
図1Cに示すように、吸着脱硫ユニットは第1の流動床式脱硫反応器302、吸着剤移送槽305、第2の流動床式脱硫反応器308、反応器の受容器311、反応-再生システムを隔離するためのロックホッパ313、再生器供給槽316、吸着剤再生器319、および再生器の受容器322を含み、これらは順に連通し、再生器の受容器322はロックホッパ313を介して吸着剤還元器325と連通し、吸着剤還元器325はパイプライン326を介して第1の流動床式脱硫反応器302の底部と連通し、第1の流動床式脱硫反応器のための脱硫吸着剤を提供する。
【0072】
接触分解分留塔からの予備加熱された粗製ガソリンおよび水素を、パイプライン301を介して底部から第1の流動床式脱硫反応器302に導入し、脱硫反応のために第1の流動床式脱硫反応器302において脱硫吸着剤と接触させ、硫黄が部分的に充填された吸着剤を反応材料と共に上方に移動する。反応後、反応オイルガスおよび吸着剤を、オイル-吸着剤分離のために、第1の流動床式脱硫反応器302の頂部の沈降分離セクションに通す。分離された反応オイルガスは脱硫粗製ガソリンと水素との混合物であり、パイプライン303を介して、処理のために次の生成物分離および安定化システムに送る。硫黄が部分的に充填された、分離された脱硫吸着剤を、第1の流動床式脱硫反応器からパイプライン304を介して吸着剤移送槽305に移送し、次いで、吸着剤移送槽305からパイプライン306を介して第2の流動床式脱硫反応器308の底部に移送する。接触分解分留塔からのリッチガスと水素との混合物を、パイプライン307を介して底部から第2の流動床式脱硫反応器308に導入し、吸着脱硫反応のために脱硫吸着剤と接触させ、リッチガス中の硫黄を脱硫吸着剤に移動させる。反応混合物は第2の流動床式脱硫反応器308の上部の沈降区域で気固分離に供される。分離された脱硫リッチガスは、パイプライン309を介して、処理のために次の生成物分離および安定化システムに送られる。分離された硫黄充填吸着剤は、吸着剤移送水平管310を介して、第2の流動床式脱硫反応器308の上部の反応器の受容器311に送られ、反応器の受容器311でストリッピングされた後、パイプライン312を介してロックホッパ313に送られ、窒素でパージされた後、ロックホッパ内の高圧水素環境から低圧不活性雰囲気に変更される。パージガスはパイプライン314を介して燃焼炉に送って燃焼する。硫黄充填吸着剤はパイプライン315を介して再生器供給槽316に送り、そこで、硫黄充填吸着剤はリフトガスによって持ち上げられ、パイプライン317を介して吸着剤再生器319に送られる。酸素含有ガスを、パイプライン318を介して底部から吸着剤再生器に導入する。使用済み吸着剤は、硫黄燃焼および炭素燃焼のために吸着剤再生器319内の酸素含有ガスと接触させ、再生された吸着剤を得る。硫黄含有排ガスは、吸着剤再生器の頂部で、再生された吸着剤から分離され、硫黄生成システムに送られる、または、パイプライン320を介してSOxを除去するために、アルカリ洗浄に供される。再生された吸着剤は、パイプライン321を介して、吸着剤再生器から再生器の受容器322に送られ、窒素によって持ち上げられ、パイプライン323を介してロックホッパ313に送られ、水素でストリッピングおよびパージされ、次いで、再生された吸着剤がロックホッパ313内で高圧水素環境に変更され、パイプライン324を介して、還元のために吸着剤還元器325に導入される。還元および再生された吸着剤は、パイプライン326を介して第1の流動床式脱硫反応器302に導入され、その結果、連続した吸着脱硫反応を実現する。
【0073】
〔第4のタイプの実施形態〕
本出願に係る第4のタイプの実施形態によれば、接触分解軽質生成物は接触分解分留塔からのリッチガスおよび粗製ガソリンであり、工程1)はさらに以下の工程を含む:
1a)接触分解分留塔からの粗製ガソリンを、第1の流動床式脱硫反応器に底部から導入し、反応器に底部から導入された脱硫吸着剤と、脱硫反応のために水素存在下で接触させる工程;
1b)第1の流動床式脱硫反応器の上部で得られた反応流に対して気固分離を行い、第1の反応オイルガスと、硫黄が部分的に充填された脱硫吸着剤とが得られ、硫黄が部分的に充填された脱硫吸着剤を第2の流動床式脱硫反応器に送る工程;
1c)接触分解分留塔からのリッチガスを、第2の流動床式脱硫反応器に底部から導入し、脱硫反応のために反応器に底部から導入された、硫黄を部分的に充填した脱硫吸着剤と接触させる工程;
1d)第2の流動床式脱硫反応器の上部から得られた反応流に対して気固分離を行い、第2の反応オイルガスおよび硫黄充填吸着剤が得られ、第2の反応オイルガスを第1の流動床式脱硫反応器(好ましくは、第1の流動床式脱硫反応器の上部)に再循環させる工程;
1e)工程1b)で得られた第1の反応オイルガスを気液分離して、脱硫リッチガスと脱硫粗製ガソリンとを得る工程;および、
1f)工程1d)で得られた硫黄充填吸着剤を、酸素含有ガスの存在下で焼成することによる再生のために吸着剤再生器に送り、再生された脱硫吸着剤を、還元後に流動床式脱硫反応器に再循環させる工程。
【0074】
好ましい実施形態において、接触分解分留塔からの粗製ガソリンおよび水素供与体を第1の流動床式脱硫反応器の底部に導入し、上方向に流しながら、脱硫のために脱硫吸着剤と接触させる。反応器の頂部での気固分離によって得られた硫黄が部分的に充填された脱硫吸着剤を、第2の流動床式脱硫反応器に導入する。接触分解分留塔からのリッチガスおよび水素供与体を第2の流動床式脱硫反応器の底部に導入し、脱硫のために脱硫吸着剤と接触させる。反応後に、脱硫吸着剤から分離された反応オイルガスを、第1の流動床式脱硫反応器の上部に再循環させる。第1の流動床式脱硫反応器での気固分離によって得られた反応オイルガスは、気液分離に供されて、脱硫リッチガスおよび脱硫粗製ガソリンが得られる。脱硫リッチガスを底部から吸収塔に導入し、物質移動のために頂部から吸収塔に導入された脱硫粗製ガソリンと接触させる。吸収塔の塔頂流を底部から再吸収塔に導入し、物質移動のために向流方式で接触分解分留塔からのライトサイクルオイルと接触させる。脱硫乾燥ガスは再吸収塔の頂部から得られ、再吸収塔の底部で得られる濃縮ライトサイクルオイルは接触分解分留塔に再循環させる。吸収塔の底部生成物は、脱着塔を通過させた後に安定化塔に送られ、安定化塔で分留されて、脱硫液化ガスおよび脱硫安定化ガソリンが得られる。脱着塔の塔頂ガスは、吸収塔に再循環させる。
【0075】
さらなる好ましい実施形態において、接触分解分留塔からの粗製ガソリンと水素供与体との混合物は、必要な温度に予熱し、底部から第1の流動床式脱硫反応器に導入し、底部から頂部に流れる間に、脱硫のために第1の流動床式脱硫反応器において脱硫吸着剤と接触させる。反応混合物は、第1の流動床式脱硫反応器の頂部で気固分離に供する。得られた硫黄を部分的に充填した脱硫吸着剤を、第2の流動床式脱硫反応器の頂部に導入し、脱硫反応のために底部から反応器に導入された、必要な温度に予熱されたリッチガスおよび/またはリッチガスと水素供与体との混合物と接触させる。脱硫リッチガスは、第2の流動床式脱硫反応器から第1の流動床式脱硫反応器の上部に再循環させる。第2の流動床式脱硫反応器での反応後に得られた使用済み吸着剤は、反応オイルガスから分離され、ロックホッパ内の高圧水素環境から低圧酸素雰囲気に変更され、次いで、酸素含有ガスの存在下で焼成することによる再生のために、吸着剤再生器に導入される。再生された脱硫吸着剤を、還元後に再使用するために、第1の流動床式脱硫反応器の底部に再循環させる。
【0076】
第1の流動床式脱硫反応器の頂部での分離によって得られた反応オイルガスを気液分離槽に導入し、凝縮および冷却によって分離して、脱硫リッチガスおよび脱硫粗製ガソリンが得られる。脱硫リッチガスは底部から吸収塔に導入し、頂部から吸収塔に向流方式で導入された粗製ガソリンおよび/または安定化ガソリンの一部と接触させる。吸収塔の塔頂ガス生成物を再吸収塔に導入し、接触分解分留塔からのライトサイクルオイルを使用して吸収し、そこで分離し、脱硫乾燥ガスが再吸収塔の頂部で得られ、濃縮ライトサイクルオイルが再吸収塔の底部で得られる。濃縮ライトサイクルオイルは、接触分解分留塔に再循環させる。吸収塔の底部生成物は、脱着塔を通過させた後に安定化塔に送られ、安定化塔中で分留されて、脱硫液化ガスおよび脱硫安定化ガソリンが得られる。脱着塔の塔頂ガスは脱硫リッチガスと混合され、次いで吸収塔に通される。
【0077】
さらに、さらなる好ましい態様において、接触分解分留塔から得られた粗製ガソリンを100~500℃に加熱する。加熱された粗製ガソリンは、第1の流動床式脱硫反応器の原料として使用される。粗製ガソリン(好ましくは粗製ガソリンと水素供与体との混合物)を、底部から第1の流動床式脱硫反応器に導入する。粗製ガソリンと水素供与体との混合物は、供給分配プレートを通して反応器内に均一に分配され、反応器内の脱硫吸着剤と十分に接触させる。
【0078】
脱硫吸着剤を、底部から第1の流動床式脱硫反応器(好ましくは濃密相床式反応器である)に導入する。
【0079】
好ましくは、硫黄含有粗製ガソリンは、水素の存在下、200~550℃(好ましくは300~500℃)の温度、0.5~5MPa(好ましくは1.0~3.5MPa)の圧力、0.1~100h-1(好ましくは1~10h-1)の重量毎時空間速度、および0.01~1000(好ましくは0.05~500)のガソリン原料に対する水素供与体の体積比を含む反応条件下で、吸着脱硫反応のために脱硫吸着剤と接触させる。
【0080】
第1の流動床式脱硫反応器において、脱硫吸着剤を反応オイルガスから分離した後、硫黄充填された使用済み吸着剤を第2の流動床式脱硫反応器に通す。
【0081】
接触分解分留塔からのリッチガスおよび/または水素供与体を、100~500℃に加熱する。リッチガスの硫黄含有量は、30μg/g以上(特に50μg/g以上)である。加熱したリッチガスおよび/または水素供与体とのその混合物を、第2の流動床反応器の底部から導入する。硫黄含有リッチガスは、300~550℃(好ましくは350~500℃)の温度、0.5~5MPa(好ましくは1.0~3.5MPa)の絶対圧力、0.1~100h-1(好ましくは2~20h-1)の重量毎時空間速度、および0.01~500(好ましくは0.05~300)のリッチガス原料に対する水素供与体また水素の体積比を含む反応条件下で、吸着脱硫反応のために、第1の反応器からの硫黄が部分的に充填された吸着剤と接触させる。
【0082】
リッチガスおよび/または水素供与体の混合物は、供給分配プレートを通して第2の流動床式脱硫反応器中に均一に分配され、第2の流動床式脱硫反応器中で脱硫吸着剤と十分に接触する。
【0083】
第2の流動床式脱硫反応器中の硫黄充填脱硫吸着剤を反応オイルガスから分離した後、使用済み吸着剤を、吸着された炭化水素を除去するためにストリッピングし、次いで持ち上げて吸着剤再生器に送る。再生された脱硫吸着剤を、還元のために吸着剤還元器に送る。還元された脱硫吸着剤を、再使用のために、底部から第1の流動床式脱硫反応器に送り、その結果、吸着脱硫反応、吸着剤再生、吸着剤還元および吸着脱硫反応の連続サイクルが実現する。
【0084】
第1の流動床式脱硫反応器で分離して得られた反応オイルガスを、熱交換後に気液分離槽に送り、脱硫リッチガスと脱硫粗製ガソリンとが得られる。気液分離槽の操作圧力は0.2~4.0MPa(好ましくは0.5~3.0MPa)であり、操作温度は20~300℃(好ましくは50~200℃)である。
【0085】
図1Dは、本出願の第4のタイプの実施形態である吸着脱硫ユニットの好ましい実施形態の系統図である。
図1Dに示すように、吸着脱硫ユニットは、第1の流動床式脱硫反応器402、第2の流動床式脱硫反応器406、反応器の受容器409、反応-再生システムを隔離するためのロックホッパ411、再生器供給槽414、吸着剤再生器417、および再生器の受容器420を含み、これらは順に連通し、再生器の受容器420は、ロックホッパ411を介して吸着剤還元器423と連通している。吸着剤還元器423は第1の流動床式脱硫反応器402の底部と連通し、脱硫吸着剤を第1の流動床式脱硫反応器402に供給する。
【0086】
接触分解分留塔からの予備加熱された粗製ガソリンと水素とを、パイプライン401を介して第1の流動床式脱硫反応器402の底部に導入し、脱硫反応のために第1の流動床式脱硫反応器402内の脱硫吸着剤と接触させ、硫黄が部分的に充填された吸着剤は反応材料と共に上方に移動する。反応後、反応オイルガスおよび吸着剤を、オイル-吸着剤分離のために、第1の流動床式脱硫反応器402の頂部の沈降分離セクションに通す。得られた反応オイルガスは、脱硫リッチガス、脱硫粗製ガソリンおよび水素の混合物である。混合物を、パイプライン403を介して気液分離槽(図示せず)に送り、凝縮気液分離によって得られた脱硫リッチガスおよび脱硫粗製ガソリンは、処理のために次の生成物分離および安定化システムに送る。硫黄が部分的に充填された脱硫吸着剤を、第1の流動床式脱硫反応器から、パイプライン404を介して第2の流動床式脱硫反応器406の底部に移送する。接触分解分留塔からのリッチガスと水素との混合物を、第2の流動床式脱硫反応器406の底部から導入し、吸着脱硫反応のために脱硫吸着剤と接触させる。反応混合物を、第2の流動床式脱硫反応器の上部の沈降区域で気固分離に供する。分離された硫黄充填吸着剤を、第2の流動床式脱硫反応器の上部の吸着剤移送水平管408を介して反応器の受容器409に送り、反応器の受容器409でストリッピングした後にパイプライン410を介してロックホッパ411に送り、窒素でパージし、ロックホッパ内の高圧水素環境から低圧不活性雰囲気に変更する。パージガスはパイプライン412を介して燃焼炉に送って燃焼する。硫黄充填吸着剤はパイプライン413を介して再生器供給槽414に送り、硫黄充填吸着剤はリフトガスによって持ち上げられ、パイプライン415を介して吸着剤再生器417に送られる。酸素含有ガスを、パイプライン416を介して底部から吸着剤再生器に導入する。使用済み吸着剤を、硫黄燃焼および炭素燃焼のために吸着剤再生器417内の酸素含有ガスと接触させ、再生された吸着剤を得る。硫黄含有排ガスは、吸着剤再生器の頂部で、再生された吸着剤から分離され、硫黄生成システムに送られる、または、パイプライン418を介してSOxを除去するために、アルカリ洗浄に供される。再生された吸着剤は、パイプライン419を介して、吸着剤再生器から再生器の受容器420に送り、窒素によって持ち上げられ、パイプライン421を介してロックホッパ411に送られ、水素でストリッピングおよびパージされ、次いで、再生された吸着剤がロックホッパ411内で高圧水素環境に変更され、パイプライン422を介して還元のために吸着剤還元器423に導入される。還元および再生された吸着剤は、パイプライン424を介して第1の流動床式脱硫反応器402に導入され、その結果、連続した吸着脱硫反応を実現する。
【0087】
〔第5のタイプの実施形態〕
本出願による方法の第5のタイプの実施形態によれば、接触分解軽質生成物は接触分解分留塔からのリッチガスおよび粗製ガソリンであり、工程1)はさらに以下の工程を含む:
1a)接触分解分留塔からの粗製ガソリンを、第1の流動床式脱硫反応器に底部から導入し、反応器に底部から導入された脱硫吸着剤と、脱硫反応のために水素存在下で接触させる工程;
1b)脱硫吸着剤の一部を第1の流動床式脱硫反応器の中央下部から取り出し、第2の流動床式脱硫反応器の底部に通し、脱硫反応のために反応器に底部から導入された接触分解分留塔からのリッチガスと接触させ、第2の流動床式脱硫反応器の上部から得られた反応流を第1の流動床式脱硫反応器(好ましくは、第1の流動床式脱硫反応器の上部)に再循環させる工程;
1c)第1の流動床式脱硫反応器の上部で得られた反応流に対して気固分離を行い、反応オイルガスと硫黄充填吸着剤とを得る工程;
1d)工程1c)で得られた反応オイルガスに対して気液分離を行い、脱硫リッチガスおよび脱硫粗ガソリンを得る工程;および、
1e)工程1c)で得られた硫黄充填吸着剤を、酸素含有ガスの存在下で焼成することによる再生のために吸着剤再生器に送り、再生された脱硫吸着剤を、還元後に第1の流動床式脱硫反応器に再循環させる工程。
【0088】
好ましい実施形態において、接触分解分留塔からの粗製ガソリンを、底部から第1の流動床式脱硫反応器に導入し、上方向に流しながら、脱硫のために脱硫吸着剤と接触させる。脱硫吸着剤の一部は、スライドバルブの制御下で第2の流動床式脱硫反応器に導入し、脱硫反応のために必要な温度に予熱されたリッチガスと接触させる。反応させたリッチガスおよび脱硫吸着剤を第1の流動床式脱硫反応器の上部に戻し、第1の流動床式脱硫反応器の上部の沈降区域で気固分離に供する。分離された使用済み吸着剤を、酸素含有ガスの存在下で焼成することによって、吸着剤再生器において再生する。再生された脱硫吸着剤を、還元後の再利用のために、第1の流動床式脱硫反応器の底部に再循環させる。分離された反応オイルガスを、気液分離槽において脱硫リッチガスと脱硫粗製ガソリンとに分離し、これらは、脱硫乾燥ガス、脱硫液化ガスおよび脱硫安定化ガソリンを得るためのさらなる分離のために、吸収安定化システムに別々に送る。
【0089】
別の好ましい実施形態において、第2の流動床式脱硫反応器の上部に沈降区域および気固分離器が設けられる。第2の流動床式脱硫反応器内の反応オイルガスおよび脱硫吸着剤は気固分離に供され、分離された脱硫吸着剤を第1の流動床式脱硫反応器の上部に再循環させ、分離された反応オイルガスは、さらなる分離のために、吸収安定化システムに直接送られる。第1の流動床式脱硫反応器の頂部での気固分離によって得られる反応オイルガスは、脱硫粗製ガソリンである。
【0090】
さらに、さらなる好ましい態様において、接触分解分留塔からの粗製ガソリン、または粗製ガソリンと水素供与体との混合物を、100~500℃(好ましくは200~450℃)に予熱する。加熱した粗製ガソリンは、第1の流動床式脱硫反応器の原料として使用し、底部から第1の流動床式脱硫反応器に導入され、脱硫吸着剤が底部から第1の流動床式脱硫反応器に導入される。反応オイルガスは、吸着脱硫反応のために脱硫吸着剤と接触させる。反応流は底部から頂部に流れ、第1の流動床式脱硫反応器の底部から頂部までの高さの20~60%の位置で、硫黄を部分的に充填した脱硫吸着剤の一部を取り出し、次いで、該一部を、スライドバルブの制御下で第2の流動床式脱硫反応器に導入し、脱硫反応のために底部から反応器に導入され、必要な温度に予熱された、接触分解分留塔からのリッチガスまたはリッチガスと水素給与体との混合物と接触させる。反応させたリッチガスおよび脱硫吸着剤を、第1の流動床式脱硫反応器の上部に戻す。反応オイルガスおよび脱硫吸着剤は、第1の流動床式脱硫反応器の上部の管径が拡大された沈降区域において分離される。沈降区域は、サイクロン分離器またはろ過器などの気固分離装置をさらに備えてもよい。分離された反応オイルガスは、脱硫粗製ガソリンと脱硫リッチガスとに分離するために気液分離槽に送られる。高硫黄充填である、分離された使用済み吸着剤を吸着剤再生器に導入し、再生のために酸素と接触させる。再生された吸着剤は、還元後の再使用のために第1の流動床式脱硫反応器に再循環させる。
【0091】
別のさらなる好ましい実施形態において、反応オイルガスおよび脱硫吸着剤は、第2の流動床式脱硫反応器の上部の、管径が拡大された沈降区域において、気固分離に供される。前記沈降区域は、サイクロン分離器またはろ過器などの気固分離装置をさらに備えてもよい。分離された脱硫吸着剤は第1の流動床式脱硫反応器の上部に再循環させる。分離された反応オイルガスは脱硫リッチガスであり、これはさらなる分離のために吸収安定化システムに直接送られる。第1の流動床式脱硫反応器の頂部での気固分離によって得られる反応オイルガスは、脱硫粗製ガソリンである。
【0092】
特に好ましい実施形態において、粗製ガソリンまたは粗製ガソリンと水素供与体との混合物は、底部から第1の流動床式脱硫反応器に導入される。粗製ガソリンと水素供与体との混合物は、供給分配プレートを通して反応器内に均一に分配され、反応器内の脱硫吸着剤と十分に接触する。硫黄含有粗製ガソリンは、200~550℃(好ましくは300~500℃)の温度、0.5~5MPa(好ましくは1.0~3.5MPa)の圧力、0.1~100h-1(好ましくは1~10h-1)の重量毎時空間速度、および0.01~1000(好ましくは0.05~500)のガソリン原料に対する水素供与体の体積比を含む反応条件下で、吸着脱硫反応のために脱硫吸着剤と接触させる。
【0093】
第1の流動床式脱硫反応器において、硫黄が部分的に充填された脱硫吸着剤を、スライドバルブの制御下で第2の流動床式脱硫反応器に通し、脱硫反応のために底部から反応器に導入されたリッチガスまたはリッチガスと水素供与体との混合物と接触させる。
【0094】
リッチガスの硫黄含有量は、30μg/g以上、特に50μg/g以上である。リッチガスまたはリッチガスおよび水素供与体の予熱温度は、100~500℃、好ましくは250~450℃である。リッチガスまたはリッチガスと水素供与体との混合物は、供給分配プレートを介して第2の流動床式脱硫反応器中に均一に分配され、第2の流動床式脱硫反応器中で脱硫吸着剤と十分に接触する。
【0095】
加熱したリッチガスおよび/または水素供与体の混合物は、第2の流動床式脱硫反応器の底部から導入される。硫黄含有リッチガスは、250~550℃(好ましくは350~500℃)の温度、0.5~5MPa(好ましくは1.0~3.5MPa)の圧力、0.1~100h-1(好ましくは1~20h-1)の重量毎時空間速度、および0.01~1000(好ましくは0.05~300)の水素対オイルのモル比を含む反応条件下で、吸着脱硫反応のために、第1の反応器からの硫黄が部分的に充填された吸着剤と接触させる。
【0096】
第1の流動床式脱硫反応器中の使用済み脱硫吸着剤を反応オイルガスから分離した後、硫黄充填された使用済み吸着剤は、吸着された炭化水素を除去するためにストリッピングされ、次いで持ち上げられ、流動床式再生器に送られる。再生された脱硫吸着剤は、還元のために吸着剤還元器に送られ、還元された脱硫吸着剤は、再使用のために底部から第1の流動床式脱硫反応器に送られ、その結果、吸着脱硫反応、吸着剤再生、吸着剤還元および吸着脱硫反応の連続サイクルが実現する。
【0097】
そして、第2の流動床式脱硫反応器内のオイルガスおよび脱硫吸着剤が第1の流動床式脱硫反応器の上部に戻ると、第1の流動床式脱硫反応器から分離された反応オイルガスは、熱交換後に気液分離槽に送られ、脱硫リッチガスおよび脱硫粗製ガソリンが得られる。気液分離槽の操作圧力は0.2~4.0MPa(好ましくは0.5~3.0MPa)であり、操作温度は20~300℃(好ましくは50~200℃)である。
【0098】
第2の流動床式脱硫反応器の上部に、管径が拡大された沈降セクションと気固分離装置とを設けたとき、第2の流動床式脱硫反応器内の反応オイルガスおよび脱硫吸着剤は、反応器の頂部で気固分離に供される。分離された反応オイルガスは脱硫リッチガスである。分離された脱硫吸着剤は、第1の流動床式脱硫反応器の上部に再循環させる。
【0099】
図1Eaは、本出願の第5のタイプの実施形態による吸着脱硫ユニットの好ましい実施形態の系統図である。
図1Eaに示すように、吸着脱硫ユニットは、第1の流動床式脱硫反応器502、反応器の受容器509、反応-再生システムを隔離するためのロックホッパ511、再生器供給槽514、および吸着剤再生器517を含み、これらは順に連通し、吸着剤再生器517は、再生器の受容器520、ロックホッパ511、および吸着剤還元器523と順に連通している。吸着剤還元器523は、第1の流動床式脱硫反応器502の底部と連通して、そこに脱硫吸着剤を提供する。第1の流動床式脱硫反応器502の中央下部は、第2の流動床式脱硫反応器506の底部と連通し、第2の流動床式脱硫反応器の頂部は、第1の流動床式脱硫反応器502の上部と連通している。
【0100】
接触分解分留塔からの予備加熱された粗製ガソリンと、水素とは、パイプライン501を介して第1の流動床式脱硫反応器502の底部に導入され、脱硫反応のために第1の流動床式脱硫反応器502において脱硫吸着剤と接触させ、硫黄が部分的に充填された吸着剤は、反応材料と共に上方に移動する。第1の流動床式脱硫反応器502の底部から頂部までの高さの20~60%の位置で、脱硫吸着剤の一部を取り出し、次いで、該一部を、スライドバルブの制御下で第2の流動床式脱硫反応器506に通し、脱硫反応のために底部から反応器に導入された、必要な温度に予熱されたリッチガスおよび/または水素供与体とリッチガスとの混合物と接触させる。
【0101】
反応させたリッチガスおよび脱硫吸着剤を、第1の流動床式脱硫反応器502の上部に戻す。第1の流動床式脱硫反応器502内の反応オイルガスと吸着剤とは、オイル-吸着剤分離のために、反応器の頂部の沈降分離セクションに通す。得られた反応オイルガスは、脱硫リッチガスと脱硫粗製オイルガスと水素との混合物である。混合物はパイプライン503を介して気液分離槽(図示せず)に送られる。凝縮気液分離によって得られた脱硫リッチガスおよび脱硫粗製ガソリンは、処理のために次の生成物分離および安定化システムに送られる。硫黄充填脱硫吸着剤は、第1の流動床式脱硫反応器から吸着剤移送水平管508を介して反応器の受容器509に送られ、その後、反応器の受容器509でストリッピングされた後、パイプライン510を介してロックホッパ511に送られ、窒素でパージされ、次いで、ロックホッパ内の高圧水素環境から低圧不活性雰囲気に変更される。パージガスは、パイプライン512を介して燃焼炉に送られ、燃焼する。硫黄充填吸着剤は、パイプライン513を介して再生器供給槽514に送られ、そこでリフトガスによって持ち上げられ、パイプライン515を介して吸着剤再生器517に送られる。酸素含有ガスを、パイプライン516を介して底部から吸着剤再生器に導入する。使用済み吸着剤は、硫黄燃焼および炭素燃焼のために吸着剤再生器517内の酸素含有ガスと接触させて、再生された吸着剤が得られる。硫黄含有排ガスは、吸着剤再生器の頂部で、再生された吸着剤から分離され、硫黄生成システムに送られる、またはパイプライン518を介してSOxを除去するためにアルカリ洗浄に供される。再生された吸着剤は、パイプライン519を介して、吸着剤再生器から再生器の受容器520に送られ、窒素によって持ち上げられ、パイプライン521を介してロックホッパ511に送られ、水素でストリッピングおよびパージされ、次いで、再生された吸着剤がロックホッパ511内で高圧水素環境に変更され、パイプライン522を介して還元のために還元器523に導入される。還元および再生された吸着剤は、パイプライン524を介して第1の流動床式脱硫反応器502に導入され、その結果、連続した吸着脱硫反応を実現する。
【0102】
図1Ebは、本出願の第5のタイプの実施形態による吸着脱硫ユニットの別の好ましい実施形態の系統図である。
図1Ebに示すように、第2の流動床式脱硫反応器506の上部に、管径が拡大された沈降セクションが設けられている。沈降セクションには気固分離器が設けられている。第2の流動床式脱硫反応器506内の反応オイルガスおよび脱硫吸着剤を、その上部で気固分離に供し、得られた脱硫リッチガスを、パイプライン526を介して、処理のために、次の生成物分離および安定化システムに送る。分離された脱硫吸着剤は、第1の流動床式脱硫反応器502の上部に戻される。第1の流動床式脱硫反応器502の頂部から分離された反応オイルガスは、脱硫粗製ガソリンと水素との混合物であり、パイプライン503を介して、処理のために、次の生成物分離および安定化システムに送られる。
【0103】
〔第6のタイプの実施形態〕
本出願に係る方法の第6のタイプの実施形態によれば、接触分解軽質生成物は接触分解分留塔からのリッチガスおよび粗製ガソリンであり、工程1)はさらに以下の工程を含む:
1a)接触分解分留塔からの粗製ガソリンを第1の流動床式脱硫反応器に底部から導入し、反応器に底部から導入された脱硫吸着剤と、脱硫反応のために水素存在下で接触させる工程;
1b)第1の流動床式脱硫反応器の上部で得られた反応流に対して気固分離を行い、脱硫粗ガソリンと硫黄充填吸着剤とが得られ、硫黄充填吸着剤の一部を第2の流動床式脱硫反応器の上部に送る工程;
1c)接触分解分留塔からのリッチガスを第2の流動床式脱硫反応器に底部から導入し、脱硫反応のために反応器の上端から導入した硫黄充填吸着剤と向流方式で接触させ、第2の流動床式脱硫反応器の上端で脱硫リッチガスが得られ、反応した硫黄充填吸着剤を第2の流動床式脱硫反応器の底部から取り出し、第1の流動床式脱硫反応器に再循環させる工程;および、
1e)工程1b)で得られた硫黄充填吸着剤の残りを、酸素含有ガスの存在下で焼成することによる再生のために吸着剤再生器に送り、再生された脱硫吸着剤を還元後に第1の流動床式脱硫反応器に再循環させる工程。
【0104】
好ましい実施形態において、接触分解分留塔からの粗製ガソリンを底部から第1の流動床式脱硫反応器に導入し、上方向に流しながら、並流方式で、脱硫のために、水素の存在下で脱硫吸着剤と接触させる。反応オイルガスおよび脱硫吸着剤は、第1の流動床式脱硫反応器の上部の沈降区域で、気固分離に供する。硫黄充填吸着剤の一部分は、スライドバルブを介して、吸着剤床層の頂部から第2の流動床式脱硫反応器の上部に導入する。硫黄充填吸着剤の別の部分は、焼成によって吸着剤再生器で再生する。再生された脱硫吸着剤は、還元後に再使用するために、第1の流動床式脱硫反応器の底部に再循環させる。接触分解分留塔からのリッチガスは、底部から第2の流動床式脱硫反応器に導入し、吸着脱硫反応のために、向流方式で脱硫吸着剤と接触させる。脱硫吸着剤は、反応後に、第2の流動床式脱硫反応器の底部から第1の流動床式脱硫反応器に再循環させる。第1の流動床式脱硫反応器の頂部から得られる脱硫粗製ガソリンと、第2の流動床式脱硫反応器の頂部から得られる脱硫リッチガスとを、さらなる分離のために、吸収安定化ユニットに別々に送り、脱硫乾燥ガス、脱硫液化ガスおよび脱硫安定化ガソリンを得る。
【0105】
さらに好ましい態様において、接触分解分留塔からの粗製ガソリンと水素供与体との混合物を、100~500℃(好ましくは200~450℃)に予熱する。加熱した粗製ガソリンを、第1の流動床式脱硫反応器の原料として使用し、反応器の底部から導入する。脱硫吸着剤は、底部から第1の流動床式脱硫反応器に導入し、反応オイルガスは、吸着脱硫反応のために脱硫吸着剤と接触させ、反応流は同時に上方向に流れながら、反応オイルガスおよび脱硫吸着剤は、第1の流動床式脱硫反応器の上部の沈降区域において、気固分離に供される。分離された硫黄充填吸着剤の一部分は、スライドバルブの制御下で、第2の流動床式脱硫反応器に通し、硫黄充填吸着剤の別の部分は、酸素含有ガスの存在下で焼成することによって、吸着剤再生器において再生する。再生された脱硫吸着剤は、還元後に再使用するために、第1の流動床式脱硫反応器の底部に再循環させる。第1の流動床式脱硫反応器における分離によって得られる反応オイルガスは、脱硫粗製ガソリンと水素との混合物であり、さらなる分離のために次の吸収安定化ユニットに送られる。
【0106】
さらに、さらなる好ましい実施形態において、粗製ガソリン、または、粗製ガソリンと水素供与体との混合物は、底部から第1の流動床式脱硫反応器に導入される。粗製ガソリンと水素供与体との混合物は、供給分配プレートを通して反応器中に均一に分配され、反応器中の脱硫吸着剤と十分に接触する。反応オイルガスおよび脱硫吸着剤は、第1の流動床式脱硫反応器の上部の管径が拡大された沈降区域で、気固分離に供される。沈降区域は、サイクロン分離器またはろ過器などの気固分離装置をさらに備えてもよい。脱硫吸着剤は、上部から第2の流動床反応器に導入され、脱硫反応のために底部から向流方式で反応器に導入された、必要な温度に予熱されたリッチガスまたはリッチガスと水素供与体との混合物と接触させる。反応オイルガスおよび脱硫吸着剤は、第2の流動床式脱硫反応器の上部の沈降区域で気固分離に供される(ろ過器などの気固分離装置が沈降区域に設けられることが好ましい)。分離された反応オイルガスは脱硫リッチガスであり、さらなる分離のために吸収安定化システムに導入される。
【0107】
特に好ましくは、第1の流動床式脱硫反応器は、その底部から頂部までの高さの50~90%の位置で、第2の流動床式脱硫反応器の底部から頂部までの高さの80~90%の位置と連通している。
【0108】
特に好ましくは、第1の流動床式脱硫反応器の供給ガス速度は0.25~10m/sであり、第2の流動床式脱硫反応器の供給ガス速度は0.05~1.5m/sである。
【0109】
特に好ましい実施形態において、第1の流動床式脱硫反応器を、200~550℃(好ましくは300~500℃)の温度、0.5~5MPa(好ましくは1.0~3.5MPa)の圧力、および0.1~100h-1(好ましくは1~10h-1)の重量毎時空間速度を含む条件下で操作する。好ましくは、水素の存在下で、硫黄含有粗製ガソリンを、吸着脱硫反応のために脱硫吸着剤と、ガソリン原料に対する水素供与体の体積比0.01~1000(好ましくは0.05~500)で接触させる。
【0110】
特に好ましい実施形態において、接触分解分留塔からのリッチガス、または、リッチガスと水素供与体との混合物は、100~500℃(好ましくは250~450℃)に加熱する。加熱したリッチガスまたはリッチガスと水素供与体との加熱した混合物は、底部から第2の流動床式脱硫反応器に導入する。リッチガスは、200~550℃(好ましくは300~500℃)の温度、0.5~5MPa(好ましくは1.0~3.5MPa)の圧力、0.1~100h-1(好ましくは1~10h-1)の重量毎時空間速度、および0.01~1000(好ましくは0.05~500)の、リッチガス原料に対する水素供与体または水素の体積比を含む反応条件下で、吸着脱硫反応のために向流方式で頂部から底部に流れる硫黄充填吸着剤と接触させる。
【0111】
リッチガスおよび/または水素供与体の混合物は、供給分配プレートを通して第2の流動床式脱硫反応器中に均一に分配され、第2の流動床式脱硫反応器中で脱硫吸着剤と十分に接触する。
【0112】
第2の流動床式脱硫反応器中の硫黄充填吸着剤は、反応後、底部から第1の流動床式脱硫反応器に再循環させる。硫黄充填吸着剤が第1の流動床式脱硫反応器の上部で反応オイルガスから分離された後、使用済み吸着剤は、吸着された炭化水素を除去するためにストリッピングされ、次いで持ち上げられ、吸着剤再生器に送られる。再生された脱硫吸着剤は還元のために吸着剤還元器に送られ、還元された脱硫吸着剤は再使用のために底部から第1の流動床式脱硫反応器に送られ、その結果、吸着脱硫反応、吸着剤再生、吸着剤還元および吸着脱硫反応の連続サイクルが実現する。
【0113】
第1の流動床式脱硫反応器の頂部から得られる反応オイルガスは、脱硫粗製ガソリンと水素との混合物であり、脱硫リッチガスは、第2の流動床式脱硫反応器の頂部から得られる。
【0114】
図1Fは、本出願の第6のタイプの実施形態による吸着脱硫ユニットの好ましい実施形態の系統図である。
図1Fに示すように、吸着脱硫ユニットは、第1の流動床式脱硫反応器602、反応器の受容器605、反応再生システムを隔離するためのロックホッパ613、再生器供給槽616、および吸着剤再生器619を含み、これらは順に連通し、吸着剤再生器619は、再生器の受容器622、ロックホッパ613、および吸着剤還元器625と順に連通している。吸着剤還元器625は、第1の流動床式脱硫反応器602の底部と連通して脱硫吸着剤を反応器に提供し、第1の流動床式脱硫反応器602の上部は第2の流動床式脱硫反応器608の上部と連通し、第2の流動床式脱硫反応器608の底部は第1の流動床式脱硫反応器602の底部と連通している。
【0115】
接触分解分留塔からの予備加熱された粗製ガソリンと水素とを、パイプライン601を介して第1の流動床式脱硫反応器602の底部に導入し、脱硫反応のために、第1の流動床式脱硫反応器602において脱硫吸着剤と接触させ、硫黄が部分的に充填された吸着剤は、反応材料と共に上方に移動する。第1の流動床式脱硫反応器の底部から頂部までの高さの50~90%の位置で、脱硫吸着剤の一部を取り出し、次いで、スライドバルブの制御下で第2の流動床式脱硫反応器の上部に通し、接触分解分留塔からのリッチガスまたはリッチガスと、吸着脱硫反応のために向流方式で底部から第2の流動床式脱硫反応器に導入される必要な温度に予熱された水素供与体との混合物と接触させる。
【0116】
反応したリッチガスおよび脱硫吸着剤は、第2の流動床式脱硫反応器の頂部の沈降分離セクションにおいて油-吸着剤分離に供される。分離された脱硫リッチガスは、パイプライン609を介して処理のために次の吸収安定化ユニットに送られる。分離された脱硫吸着剤は下方に流れ、第2の流動床式脱硫反応器608の底部から第1の流動床式脱硫反応器602の下部に導入され、吸着剤還元器625から第1の流動床式脱硫反応器602の下部に入る脱硫吸着剤ならびにパイプライン601からの粗製ガソリンおよび水素と混合されて、上方に流れる。反応オイルガスおよび脱硫吸着剤は、第1の流動床式脱硫反応器602の頂部で気固分離に供される。分離された反応オイルガスは、脱硫粗製ガソリンと水素との混合物であり、パイプライン603を介して次の生成物分離および安定化システムに送られる。
【0117】
分離された硫黄充填吸着剤は、第1の流動床式脱硫反応器602から吸着剤移送水平管604を介して反応器の受容器605に送られ、反応器の受容器605でストリッピングされた後、パイプライン612を介してロックホッパ613に送られ、窒素でパージされ、ロックホッパ内の高圧水素環境から低圧不活性雰囲気に変更される。パージガスはパイプライン614を介して燃焼炉に送って燃焼する。硫黄充填吸着剤をパイプライン615を介して再生器供給槽616に送り、そこで、硫黄充填吸着剤はリフトガスによって持ち上げられ、パイプライン617を介して吸着剤再生器619に送られる。酸素含有ガスを、パイプライン618を介して底部から吸着剤再生器に導入する。使用済み吸着剤は硫黄燃焼および炭素燃焼のために吸着剤再生器619内の酸素含有ガスと接触させる。硫黄含有排ガスは吸着剤再生器の頂部で吸着剤から分離し、硫黄生成システムに送るまたはパイプライン620を介してSOxを除去するためにアルカリ洗浄に供する。再生された吸着剤はパイプライン621を介して、吸着剤再生器から再生器の受容器622に送り、窒素によって持ち上げられ、パイプライン623を介してロックホッパ613に送り、水素でストリッピングおよびパージし、次いで、再生された吸着剤がロックホッパ613内で高圧水素環境に変更され、パイプライン624を介して還元のために吸着剤還元器625に送る。還元および再生された吸着剤はパイプライン626を介して第1の流動床式脱硫反応器602に導入し、その結果、連続した吸着脱硫反応を実現する。
【0118】
第1~第6の実施形態の好ましい実施形態において、水素供与体は水素ガス、水素含有ガスおよび水素供与試薬、またはそれらの2つ以上の混合物から選択される1つである。水素ガスは様々な純度を有する水素ガスを表す。水素含有ガスは、好ましくは本出願の方法によって製造される乾燥ガス、接触分解(FCC)乾燥ガス、コーキング乾燥ガス、および熱分解乾燥ガスのうちの1つ、または2つ以上の混合物であり、体積当たりの水素含有量は好ましくは20%を超える。水素供与試薬はテトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、およびインダンから選択される1つ、またはそれらの2つ以上の混合物である。
【0119】
第1~第6の実施形態の好ましい実施形態において、吸着剤再生器は流動床反応器である。酸素含有ガスは底部から吸着剤再生器に導入され、硫黄が充填された使用済み吸着剤は300~800℃(好ましくは350~600℃)の再生温度および0.1~3.0MPa(好ましくは0.1~1.0MPa)の再生圧力を含む反応条件下で焼成することによる再生のために、再生器の下端から導入された酸素含有ガスと接触させる。酸素含有ガスは空気であってもよいし、空気または酸素と不活性ガス(窒素など)との混合物であってもよい。
【0120】
吸着剤再生器から取り出した再生脱硫吸着剤は、吸着した不純物(吸着した酸素など)を除去するためにストリッピングされ、次いで持ち上げられて、吸着剤還元器に送られる。
【0121】
吸着剤還元器に送られた再生脱硫吸着剤は、還元ガスと接触させ、還元温度250~550℃(好ましくは300~450℃)、還元圧力0.2~5.0MPa(好ましくは0.5~3.5MPa)、および水素または水素が豊富な気体である還元ガスを含む条件下で還元を行う。
【0122】
第1~第6のタイプの実施形態の好ましい実施形態において、脱硫リッチガスは、冷却後に底部から吸収塔に導入される。脱硫粗製ガソリンまたは粗製ガソリンおよび安定化ガソリンの一部は、熱交換後に頂部から吸収塔に導入し、物質移動のために向流方式でリッチガスと接触させ、C2を超える成分(C2を除く)が減少した脱硫リッチガスおよびC2以下の成分が減少した(C2を超える成分が増加した)脱硫リッチガスを得る。吸収塔の操作圧力は0.2~3.0MPa(好ましくは0.5~1.6MPa)であり、操作温度は20~100℃(好ましくは30~70℃)である。安定化ガソリンは、好ましくは、本出願の装置によって製造される脱硫安定化ガソリンである。
【0123】
C2を超える成分が減少した脱硫リッチガスを再吸収塔に送り、接触分解分留塔からのライトサイクルオイル分留物と接触させて、C2を超える成分がさらに減少した脱硫乾燥ガス生成物を得る。C2を超える成分を吸収した濃縮ライトサイクルオイル分留物は、接触分解分留塔に戻す。再吸収塔の操作圧力は0.1~3.0MPa(好ましくは0.5~2.5MPa)であり、操作温度は20~100℃(好ましくは30~70℃)である。接触分解分留塔からのディーゼルオイル分留物は、好ましくはライトサイクルオイルである。
【0124】
C2以下の成分が減少した脱硫粗製ガソリンを脱着塔に送って、C2以下の成分がさらに減少した脱硫粗製ガソリンを得る。脱着塔の塔頂ガス生成物は、脱硫リッチガスと混合し、次いで吸収塔に再循環させる。脱着塔の操作圧力は0.1~3.0MPa(好ましくは0.5~2.5MPa)であり、操作温度は20~250℃(好ましくは50~200℃)である。
【0125】
C2以下の成分がさらに減少した脱硫粗製ガソリンを安定化塔に送って分留して、脱硫液化ガスおよび安定化接触分解ガソリン生成物が得られる。安定化塔の操作圧力は0.1~3.0MPa(好ましくは0.5~2.5MPa)であり、操作温度は20~250℃、(好ましくは50~200℃)である。
【0126】
第1~第6のタイプの実施形態の好ましい実施形態において、脱硫吸着剤は、様々な担持金属酸化物吸着剤、金属促進剤を担持した担持金属酸化物、ならびに様々な硫黄変換剤および硫黄吸着剤のうちの1つまたは2つ以上の混合物を含む。好ましくは、脱硫吸着剤は吸着剤担体と吸着剤担体に担持された金属成分とを含み、脱硫吸着剤は脱硫吸着剤の総重量に対して、70~95重量%の担体と5~30重量%の金属成分とを含む。吸着剤担体は酸化亜鉛、シリカおよび/またはアルミナの混合物でもあり得、金属成分はコバルト、ニッケル、銅、鉄、マンガン、モリブデン、タングステン、銀、スズおよびバナジウムから選択される1つ以上でもあり得る。脱硫吸着剤は、流動化を容易にするために、20~200μm(好ましくは40~100μm)の平均粒子径を有する微小球の形態であることが好ましい。
【0127】
図2は、本出願に係る吸収安定化ユニットの好ましい実施形態の系統図である。
図2に示すように、脱硫リッチガスはパイプライン709を通過し、脱硫粗製ガソリンまたは粗製ガソリンおよび安定化ガソリンの一部はパイプライン703を通過して吸収塔734に入り、物質移動のために向流方式で接触し、C2を超える成分(C2を除く)の含有量が減少した脱硫リッチガスおよびC2以下の成分の含有量が減少した(C2を超える成分の含有量が増加した)脱硫粗製ガソリンを得る。C2を超える成分が減少した脱硫リッチガスを、パイプライン731を介して再吸収塔736に導入し、物質移動のためにパイプライン729を介して導入された接触分解分留塔からのライトサイクルオイルと接触させ、C2を超える成分の含有量がさらに減少した脱硫乾燥ガスを得る(パイプライン738を介して再吸収塔から排出される)。C2を超える成分の一部を吸収した濃縮ライトサイクルオイルは、パイプライン742を介して再吸収塔の底部から接触分解分留塔に再循環させる。C2以下の成分の含有量が減少した脱硫粗製ガソリンを、パイプライン732を介して脱着塔735に導入し、C2以下の成分をさらに除去し、次いでパイプライン733を介して安定化塔737に導入し、安定化塔737で分留し、脱硫液化ガス740および脱硫安定化接触分解ガソリン741を得る。脱着塔735の塔頂ガス生成物を、パイプライン730を介して取り出し、パイプライン709からの脱硫リッチガスと共に吸収塔734に送る。
【0128】
第2の態様において、本出願は、以下の工程を含む、接触分解によって低硫黄軽油を製造するための方法を提供する:
i)接触分解条件下での反応のために、接触分解原料と接触分解触媒とを接触させる工程であって、好ましくはライザー反応器中での工程;
ii)工程i)で得られた反応生成物に対して気固分離を行い、反応オイルガスおよび使用済み触媒を得る工程;
iii)工程ii)で得られた反応オイルガスを接触分解分留塔で分留して、接触分解軽質生成物、軽質サイクルオイル、ディーゼルオイルおよびオイルスラリーを得る工程;
iv)本出願に係る接触分解軽質生成物の脱硫および分離方法を用いて、接触分解分留塔から接触分解軽質生成物を脱硫分離し、脱硫乾燥ガス、脱硫液化ガスおよび脱硫安定化ガソリンを得る工程;
v)場合により、工程ii)で得られた使用済み触媒を再生し、再生された触媒を再使用のためにライザー反応器に再循環させる工程。
【0129】
本出願によれば、工程i)、ii)およびiii)は、従来の原料、触媒、および装置を使用して、従来の条件で実施することができ、これらは、本出願において厳密に限定されず、したがって、本明細書において詳細な説明はしない。
【0130】
第3の態様において、本出願は、接触分解軽質生成物の脱硫および分離装置を提供する。当該装置は、順に連通された吸着脱硫ユニットおよび吸収安定化ユニットを備える。吸収安定化ユニットは、順に連通された吸収塔、脱着塔、再吸収塔、および安定化塔を備える。吸着脱硫ユニットは、流動床式脱硫反応ユニット、吸着剤再生器、および流動床式脱硫反応ユニットと吸着剤再生器との間に接続されて圧力変化および雰囲気変換を行うために使用されるロックホッパを備える。流動床式脱硫反応ユニットは、接触分解分留塔から接触分解軽質生成物を受け取るために接触分解分留塔と連通している。流動床式脱硫反応ユニットのオイル-ガス排出口は、吸収安定化ユニットの吸収塔と連通しているか、または、気液分離槽を介して吸収安定化ユニットの吸収塔と連通している。
【0131】
好ましい実施形態において、吸着脱硫ユニットは、流動床式脱硫反応ユニット、反応器の受容器、ロックホッパ、再生器供給槽、吸着剤再生器および再生器の受容器が順に連通し、再生器の受容器はロックホッパを介して吸着剤還元器と連通し、吸着剤還元器は流動床式脱硫反応ユニットと連通している。
【0132】
いくつかのさらなる好ましい実施形態において、流動床式脱硫反応ユニットは、第1の流動床式脱硫反応器、任意の吸着剤移送槽および第2の流動床式脱硫反応器が順に連通し、吸着剤還元器は、第1の流動床式脱硫反応器および/または第2の流動床式脱硫反応器の底部と連通している。
【0133】
いくつかのさらなる好ましい実施形態において、流動床式脱硫反応ユニットは第1の流動床式脱硫反応器および第2の流動床式脱硫反応器を含み、第1の流動床式脱硫反応器は反応器の受容器と連通し、吸着剤還元器は第1の流動床式脱硫反応器および/または第2の流動床式脱硫反応器の底部と連通し、第1の流動床式脱硫反応器の中央下部は第2の流動床式脱硫反応器の底部と連通し、第2の流動床式脱硫反応器の上部は第1の流動床式脱硫反応器の上部と連通している;
さらに好ましくは、第1の流動床式脱硫反応器は、底部から頂部までの高さの20~60%の位置で、第2の流動床式脱硫反応器の底部と連通している。第1の流動床式脱硫反応器は、底部から頂部までの高さの60~90%の位置で、第2の流動床式脱硫反応器の頂部と連通している。第1の流動床式脱硫反応器の上部の沈降部に固気分離装置を設ける。第2の流動床式脱硫反応器の上部には固気分離装置を設けるかまたは設けない。
【0134】
いくつかのさらなる好ましい実施形態において、流動床式脱硫反応ユニットは第1の流動床式脱硫反応器および第2の流動床式脱硫反応器を含み、第1の流動床式脱硫反応器は反応器の受容器と連通し、吸着剤還元器は第1の流動床式脱硫反応器および/または第2の流動床式脱硫反応器の底部と連通し、第1の流動床式脱硫反応器の上部は第2の流動床式脱硫反応器の上部と連通し、第2の流動床式脱硫反応器の底部は第1の流動床式脱硫反応器の底部と連通している;
さらに好ましくは、第1の流動床式脱硫反応器は、底部から頂部までの高さの80~90%の位置で、第2の流動床式脱硫反応器の底部から頂部の高さの50~90%の位置と連通している。
【0135】
いくつかの好ましい実施形態において、本出願は以下の技術的解決策を提供する。
【0136】
(A1)接触分解軽質生成物の脱硫および分離方法であって、以下の特徴を有する方法:接触分解分留塔の頂部からの塔頂オイル-ガス分留物を吸着脱硫反応ユニットに導入し、脱硫のために水素の存在下で脱硫吸着剤と接触させ、得られた反応オイルガスを分離のために気液分離槽に導入して脱硫リッチガスおよび脱硫粗製ガソリンを得る;脱硫リッチガスを底部から吸収塔に導入し、吸収のために頂部から吸収塔に導入された脱硫粗製ガソリンと接触させる;吸収塔の塔頂流は底部から再吸収塔に導入し、吸収のために向流方式で接触分解分留塔からのライトサイクルオイルと接触させる。脱硫乾燥ガスが再吸収塔の頂部から得られ、再吸収塔の底部で得られた濃縮ライトサイクルオイルを接触分解分留塔に再循環させる;吸収塔の底部生成物は脱着塔を通過させた後に安定化塔に送られ、安定化塔中で分留し、脱硫液化ガスおよび脱硫安定化ガソリンが得られる;脱着塔の塔頂ガスは吸収塔に再循環させる。
【0137】
(A2)項目A1の接触分解軽質生成物の脱硫および分離方法であって、接触分解分留塔の塔頂オイル-ガス分留物を流動床式脱硫反応器の底部から導入し、上方向に流しながら、脱硫反応のために底部から反応器に導入した脱硫吸着剤と接触させ、流動床式脱硫反応器の上部で気固分離に供し、分離した反応オイルガスを吸収安定化ユニットに導入し、分離した硫黄充填吸着剤を、酸素含有ガスの存在下で焼成することによって再生するために吸着剤再生器に導入し、再生した脱硫吸着剤を、還元後に流動床式脱硫反応器に再循環させる、方法。
【0138】
(A3)流動床式脱硫反応器の条件は、200~550℃の操作温度、0.5~5MPaの絶対圧力、0.1~100h-1のオイルガス原料の重量毎時空間速度、および0.01~5の水素のオイルに対するモル比を含む、項目A2の接触分解軽質生成物の脱硫および分離方法。
【0139】
(A4)流動床式脱硫反応器の条件は、300~500℃の操作温度、1.0~3.5MPaの絶対圧力、1~10h-1のオイルガス原料の重量毎時空間速度、および0.1~1の水素のオイルに対するモル比を含む、項目A3の軽質接触分解生成物の脱硫および分離方法。
【0140】
(A5)吸着剤再生器の操作条件は、300~800℃の再生温度および0.1~3.0MPaの再生圧力を含む、項目A2の軽質接触分解生成物の脱硫および分離方法。
【0141】
(A6)吸着剤再生器の操作条件は、350~600℃の再生温度および0.1~1.0MPaの再生圧力を含む、項目A5の軽質接触分解生成物の脱硫および分離方法。
【0142】
(A7)脱硫吸着剤は脱硫吸着剤担体と吸着剤担体に担持された金属成分とを含み、脱硫吸着剤の総重量に対して、脱硫吸着剤担体の含有量は70~95重量%であり、金属成分の含有量は5~30重量%である、項目A1またはA2の接触分解軽質生成物の脱硫および分離方法。
【0143】
(A8)気液分離槽の操作条件は圧力0.2~4.0MPaおよび温度20~300℃を含み;吸収塔の操作条件は圧力0.2~3.0MPaおよび温度20~100℃を含み;脱着塔の操作条件は圧力0.1~3.0MPaおよび温度20~250℃を含み;再吸収塔の操作条件は圧力0.1~3.0MPaおよび温度20~100℃を含み;安定化塔の操作条件は圧力0.1~3.0MPaおよび温度20~250℃を含む、項目A2の軽質接触分解生成物の脱硫および分離方法。
【0144】
(A9)気液分離槽の操作条件は圧力0.5~3.0MPaおよび温度50~200℃を含み;吸収塔の操作条件は圧力0.5~1.6MPaおよび温度30~70℃を含み、脱着塔の操作条件は圧力0.5~2.5MPaおよび温度50~200℃を含み;再吸収塔の操作条件は圧力0.5~2.5MPaおよび温度30~70℃を含み;安定化塔の操作条件は圧力0.5~2.5MPaおよび温度50~200℃を含む、項目A8の軽質接触分解生成物の脱硫および分離方法。
【0145】
(A10)接触分解分留塔の塔頂オイル-ガス分留物はC1~C12の炭化水素成分を含有し、その硫黄含有量は30~50000μg/gである、項目A1またはA2の軽質接触分解生成物の脱硫および分離方法。
【0146】
(A11)接触分解によって低硫黄軽油生成物を製造する方法であって、以下の特徴を有する方法:接触分解原料をライザー反応器に導入し、接触分解条件で反応させるために接触分解触媒と接触させ、ライザー反応器の頂部で気固分離に供する;得られた反応オイルガスを分留のために接触分解分留塔に導入して、塔頂オイル-ガス分留物、ライトサイクルオイル、ディーゼルオイルおよびオイルスラリーを得る;分離された接触分解触媒を再生し、次いで再使用のためにライザー反応器に再循環させる;
接触分解分留塔からの塔頂オイル-ガス分留物を吸着脱硫反応ユニットおよび吸収安定化ユニットに導入し、項目A1~A10に規定する接触分解軽質生成物の脱硫および分離方法を用いて処理し、脱硫乾燥ガス、脱硫液化ガスおよび脱硫安定化ガソリンを得る。
【0147】
(A12)接触分解軽質生成物の分離および脱硫装置であって、順に連通された、接触分解分留塔と、吸着脱硫ユニットと、吸収安定化ユニットとを備え;吸着脱硫ユニットが流動床式脱硫反応器と、反応-再生システムを隔離するためのロックホッパと、吸着剤再生器とを備え;流動床式脱硫反応器のオイル-ガス排出口が気液分離槽と連通し、吸収安定化ユニットが、順に連通された、吸収塔と、脱着塔と、再吸収塔と、安定化塔とからなる、装置。
【0148】
(A13)吸着脱硫ユニットは、順に連通された、流動床式脱硫反応器と、反応器の受容器と、反応-再生システムを隔離するためのロックホッパと、再生器供給槽と、吸着剤再生器と、再生器の受容器とを備え、再生器の受容器はロックホッパを介して吸着剤還元器と連通し、吸着剤還元器は流動床式脱硫再生器の底部と連通している、項目A12の接触分解軽質生成物の脱硫装置。
【0149】
(B1)接触分解軽質生成物の脱硫および分離方法であって、以下の工程を含む、方法:
(1)接触分解分留塔から流動床式脱硫反応器に底部から粗製ガソリンを導入し、上方向に流しながら、脱硫のために水素の存在下で脱硫吸着剤と接触させ、流動床式脱硫反応器の高さの30~80%の位置で、底部から頂部に向かってリッチガスを導入し、反応流と混合した後、脱硫吸着剤と接触させて反応させ、気液分離により得られた反応オイルガスを気液分離槽に導入して分離し、脱硫リッチガスおよび脱硫粗製ガソリンが得られ、硫黄充填吸着剤を焼成により吸着剤再生器で再生し、再生した脱硫吸着剤を還元後再利用するために流動床式脱硫反応器に再循環させる、工程;
(2)脱硫リッチガスを底部から吸収塔に導入し、吸収のために頂部から吸収塔に導入された脱硫粗製ガソリンと接触させ、吸収塔の塔頂流を底部から再吸収塔に導入し、吸収のために向流方式で接触分解分留塔からのライトサイクルオイルと接触させて、再吸収塔の頂部から脱硫乾燥ガスが得られ、再吸収塔の底部で得られた濃縮ライトサイクルオイルを接触分解分留塔に再循環させ、吸収塔の底部生成物を、脱着塔を通過させた後に安定化塔に送り、安定化塔中でそれを分留して、脱硫液化ガスおよび脱硫安定化ガソリンが得られ、脱着塔の塔頂ガスを吸収塔に再循環させる、工程。
【0150】
(B2)底部からの高さの40~70%の位置で流動床式脱硫反応器にリッチガスを導入する、項目B1の軽質接触分解生成物の脱硫および分離方法。
【0151】
(B3)流動床式脱硫反応器の条件は、200~550℃の操作温度、0.5~5MPaの絶対圧力、0.1~100h-1のオイルガス原料の重量毎時空間速度、および0.01~5の水素のオイルに対するモル比を含む、項目B1またはB2の軽質接触分解生成物の脱硫および分離方法。
【0152】
(B4)流動床式脱硫反応器の条件は、300~500℃の操作温度、1.0~3.5MPaの絶対圧力、1~10h-1のオイルガス原料の重量毎時空間速度、および0.1~1の水素のオイルに対するモル比を含む、項目B3の軽質接触分解生成物の脱硫および分離方法。
【0153】
(B5)硫黄充填吸着剤は、再生温度300~800℃および再生圧力0.1~3.0MPaを含む条件下で、吸着剤再生器中で酸素含有ガスと反応させることによって再生される、項目B1またはB2の軽質接触分解生成物の脱硫および分離方法。
【0154】
(B6)吸着剤再生器の操作条件は、350~600℃の再生温度および0.1~1.0MPaの再生圧力を含む、項目B5の軽質接触分解生成物の脱硫および分離方法。
【0155】
(B7)脱硫吸着剤は、脱硫吸着剤担体と吸着剤担体に担持された金属成分とを含み、脱硫吸着剤の総重量に対して、脱硫吸着剤担体の含有量は70~95重量%であり、金属成分の含有量は5~30重量%である、項目B1の接触分解軽質生成物の脱硫および分離方法。
【0156】
(B8)気液分離槽の操作条件は操作圧力0.2~4.0MPaおよび操作温度20~300℃を含み;吸収塔の操作条件は操作圧力0.2~3.0MPaおよび操作温度20~100℃を含み;脱着塔の操作条件は操作圧力0.1~3.0MPaおよび操作温度20~250℃を含み;再吸収塔の操作条件は操作圧力0.1~3.0MPaおよび操作温度20~100℃を含み;安定化塔の操作条件は操作圧力0.1~3.0MPaおよび操作温度20~250℃を含む、項目B1の軽質接触分解生成物の脱硫および分離方法。
【0157】
(B9)気液分離槽の操作条件は操作圧力0.5~3.0MPaおよび操作温度50~200℃を含み;吸収塔の操作条件は操作圧力0.5~1.6MPaおよび操作温度30~70℃を含み;脱着塔の操作条件は操作圧力0.5~2.5MPaおよび操作温度50~200℃を含み;再吸収塔の操作条件は操作圧力0.5~2.5MPaおよび操作温度30~70℃を含み;安定化塔の操作条件は操作圧力0.5~2.5MPaおよび操作温度50~200℃を含む、項目B8の軽質接触分解生成物の脱硫および分離方法。
【0158】
(B10)接触分解装置からのリッチガスおよび粗製ガソリン中の硫黄含有量は30μg/g超、好ましくは50μg/g超である、項目B1の接触分解由来の軽質生成物の脱硫および分離方法。
【0159】
(B11)接触分解によって低硫黄軽油生成物を製造する方法であって、以下の特徴を有する方法:接触分解原料をライザー反応器に導入し、接触分解条件で反応させるために接触分解触媒と接触させ、ライザー反応器の頂部で気固分離に供する;得られた反応オイルガスを分留のために接触分解分留塔に導入して、リッチガス、粗製ガソリン、ライトサイクルオイル、ディーゼルオイルおよびオイルスラリーを得る;分離された接触分解触媒を再生し、次いで再使用のためにライザー反応器に再循環させる;
項目B1~B10に規定する接触分解軽質生成物の脱硫および分離方法によって、接触分解分留塔のリッチガスおよび粗製ガソリンを脱硫および分離して、脱硫乾燥ガス、脱硫液化ガスおよび脱硫安定化ガソリンを得る。
【0160】
(C1)接触分解軽質生成物の脱硫方法であって、以下の工程を含む、方法:
(1)接触分解分留塔からの粗製ガソリンを底部から第1の脱硫反応器に導入し、脱硫のために水素の存在下で脱硫吸着剤と接触させ、結果物を上部の沈降区域で気固分離に供し、硫黄が部分的に充填された、分離した脱硫吸着剤を第2の脱硫反応器に導入し、分離した反応オイルガスを脱硫粗製ガソリンとする、工程;
(2)接触分解分留塔からのリッチガスを第2の脱硫反応器の底部から導入し、上方向に流れながら、脱硫のために脱硫吸着剤と接触させ、結果物を上部の沈降区域で気固分離に供し、分離により得られた反応オイルガスを脱硫リッチガスとし、分離された硫黄充填吸着剤を酸素含有ガスの存在下で焼成することにより再生するために吸着剤再生器に通し、再生された脱硫吸着剤を還元後に第1の脱硫反応器の底部に再循環させる、工程;
(3)脱硫リッチガスと脱硫粗製ガソリンとを別々に吸収安定化ユニットに送って分離し、脱硫乾燥ガス、脱硫液化ガスおよび脱硫安定化ガソリンを得る、工程。
【0161】
(C2)工程(3)において、脱硫リッチガスを底部から吸収塔に導入し、吸収のために吸収塔の頂部から導入された脱硫粗製ガソリンと接触させ、吸収塔の塔頂流を再吸収塔の底部から導入し、吸収のために向流方式で接触分解分留器からのライトサイクルオイルと接触させ、再吸収塔の頂部から脱硫乾燥ガスが得られ、再吸収塔の底部で得られた濃縮ライトサイクルオイルを接触分解分留器に再循環させ、吸収塔の底部生成物を脱着塔を通過させてから安定化塔に送り、安定化塔で分留して、脱硫液化ガスおよび脱硫安定化ガソリンが得られ、脱着塔の塔頂ガスを吸収塔に再循環させる、項目C1の接触分解軽質生成物の脱硫方法。
【0162】
(C3)第1の脱硫反応器の条件は、200~550℃の操作温度、0.5~5MPaの絶対圧力、0.1~100h-1のオイルガス原料の重量毎時空間速度、および0.01~1000の水素のオイルに対するモル比を含む、項目C1またはC2の軽質接触分解生成物の脱硫方法。
【0163】
(C4)第1の脱硫反応器の条件は、300~500℃の操作温度、1.0~3.5MPaの絶対圧力、1~10h-1のオイルガス原料の重量毎時空間速度、および0.05~500の水素のオイルに対するモル比を含む、項目C3の軽質接触分解生成物の脱硫方法。
【0164】
(C5)第2の脱硫反応器の条件は、300~550℃の操作温度、0.1~3MPaの絶対圧力、1~100h-1のオイルガス原料の重量毎時空間速度、および0.01~500の水素のオイルに対するモル比を含む、項目C1またはC2の接触分解軽質生成物の脱硫方法。
【0165】
(C6)第2の脱硫反応器の条件は、350~500℃の操作温度、0.2~2.5MPaの絶対圧力、2~20h-1のオイルガス原料の重量毎時空間速度、および0.05~300の水素のオイルに対するモル比を含み、第2の脱硫反応器の操作圧力が第1の脱硫反応器の操作圧力よりも0.5~2.0MPa低い、項目C5の軽質接触分解生成物の脱硫方法。
【0166】
(C7)吸着剤再生器の操作条件は、300~800℃の再生温度および0.1~3.0MPaの再生圧力を含む、項目C1またはC2の接触分解軽質生成物の脱硫方法。
【0167】
(C8)吸着剤再生器の操作条件は、350~600℃の再生温度および0.1~1.0MPaの再生圧力を含む、項目C7の接触分解軽質生成物の脱硫方法。
【0168】
(C9)脱硫吸着剤は吸着剤担体と吸着剤担体に担持された金属成分とを含み、脱硫吸着剤の総重量に対して、脱硫吸着剤担体の含有量は70~95重量%であり、金属成分の含有量は5~30重量%であり、吸着剤担体は酸化亜鉛、シリカおよび/またはアルミナの混合物であり、金属成分は、コバルト、ニッケル、銅、鉄、マンガン、モリブデン、タングステン、銀、スズおよびバナジウムから選択される1つ以上である、項目C1~C8のいずれかの接触分解軽質生成物の脱硫方法。
【0169】
(C10)吸収塔の操作条件は圧力0.2~3.0MPaおよび温度20~100℃を含み;脱着塔の操作条件は圧力0.1~3.0MPaおよび温度20~250℃を含み;再吸収塔の操作条件は圧力0.1~3.0MPaおよび温度20~100℃を含み;安定化塔の操作条件は圧力0.1~3.0MPaおよび温度20~250℃を含む、項目C2の接触分解軽質生成物の脱硫方法。
【0170】
(C11)吸収塔の操作条件は圧力0.5~1.6MPaおよび温度30~70℃を含み;脱着塔の操作条件は圧力0.5~2.5MPaおよび温度50~200℃を含み;再吸収塔の操作条件は圧力0.5~2.5MPaおよび温度30~70℃を含み;安定化塔の操作条件は圧力0.5~2.5MPaおよび温度50~200℃を含む、項目C10の接触分解軽質生成物の脱硫方法。
【0171】
(C12)接触分解によって低硫黄軽油生成物を製造する方法であって、以下の特徴を有する方法:接触分解原料をライザー反応器に導入し、接触分解条件で反応させるために接触分解触媒と接触させ、ライザー反応器の頂部で気固分離に供する;得られた反応オイルガスを分留のために接触分解分留塔に導入して、リッチガス、粗製ガソリン、ライトサイクルオイル、ディーゼルオイルおよびオイルスラリーを得る;分離された接触分解触媒を再生し、次いで再使用のためにライザー反応器に再循環させる;
接触分解分留塔からの粗製ガソリンおよびリッチガスを、吸着脱硫反応ユニットの第1の脱硫反応器および第2の脱硫反応器にそれぞれ導入し、項目C1~C11に規定する接触分解軽質生成物の脱硫方法を用いて吸着脱硫および吸収安定化分離に供し、脱硫乾燥ガス、脱硫液化ガスおよび安定化ガソリンを得る。
【0172】
(C13)接触分解軽質生成物の分離および脱硫装置であって、順に連通された、吸着脱硫ユニットと吸収安定化ユニットとを備え;吸着脱硫ユニットが、順に連通された、第1の脱硫反応器と、吸着移送槽と、第2の脱硫反応器と、反応器の受容器と、ロックホッパと、再生器供給槽と、吸着剤再生器と、再生器の受容器とを備え;再生器の受容器がロックホッパを介して還元器と連通し、還元器が第1の脱硫反応器の底部と連通し、吸収安定化ユニットが順に連通された、吸収塔と、脱着塔と、再吸収塔と、安定化塔とからなる、装置。
【0173】
(D1)接触分解軽質生成物の脱硫および分離方法であって、以下の特徴を有する方法:接触分解分留塔からの粗製ガソリンおよび水素供与体を第1の脱硫反応器の底部に導入し、上方向に流しながら、脱硫のために脱硫吸着剤と接触させる;反応器の頂部での気固分離によって得られる、硫黄を部分的に充填された脱硫吸着剤を、第2の脱硫反応器に導入する;接触分解分留塔からのリッチガスおよび水素供与体を第2の脱硫反応器の底部に導入し、脱硫のために脱硫吸着剤と接触させ、反応後に脱硫吸着剤から分離された反応オイルガスを第1の脱硫反応器に再循環させる;
第1の脱硫反応器において気固分離によって得られた反応オイルガスを脱硫リッチガスおよび脱硫粗製ガソリンに分離し、脱硫リッチガスを底部から吸収塔に導入し、吸収のために頂部から吸収塔に導入された脱硫粗製ガソリンと接触させ、吸収塔の塔頂流を底部から再吸収塔に導入し、吸収のために向流方式で接触分解分留塔からのライトサイクルオイルと接触させ、再吸収塔の頂部で脱硫乾燥ガスが得られ、再吸収塔の底部で得られた濃縮ライトサイクルオイルを接触分解分留塔に再循環させ、吸収塔の底部生成物を脱着塔を通過させた後に安定化塔に送り、安定化塔で分留して脱硫液化ガスおよび脱硫安定化ガソリンが得られ、脱着塔の塔頂ガスを吸収塔に再循環させる。
【0174】
(D2)反応オイルガスと脱硫吸着剤との混合物を、第2の脱硫反応器の頂部で気固分離に供し、分離により得られた硫黄充填吸着剤を酸素含有ガスの存在下で焼成することにより再生し、再生した脱硫吸着剤を、還元後に流動床式脱硫反応器に再循環させる、項目D1の軽質接触分解生成物の脱硫および分離方法。
【0175】
(D3)第1の脱硫反応器の条件は、200~550℃の操作温度、0.5~5MPaの絶対圧力、0.1~100h-1のオイルガス原料の重量毎時空間速度、および0.01~1000の水素のオイルに対するモル比を含む、項目D1またはD2の軽質接触分解生成物の脱硫および分離方法。
【0176】
(D4)第1の脱硫反応器の条件は、300~500℃の操作温度、1.0~3.5MPaの絶対圧力、1~10h-1のオイルガス原料の重量毎時空間速度、および0.05~500の水素-オイルのモル比を含む、項目D3の軽質接触分解生成物の脱硫および分離方法。
【0177】
(D5)第2の脱硫反応器の条件は、300~550℃の操作温度、0.5~5MPaの絶対圧力、1~100h-1のオイルガス原料の重量毎時空間速度、および0.01~500の水素のオイルに対するモル比を含む、項目D1またはD2の軽質接触分解生成物の脱硫および分離方法。
【0178】
(D6)第2の脱硫反応器の条件は、350~500℃の操作温度、1.0~3.5MPaの絶対圧力、2~20hの-1のオイルガス原料の重量毎時空間速度、および0.05~300の水素-オイルのモル比を含む、項目D5の軽質接触分解生成物の脱硫および分離方法。
【0179】
(D7)吸着剤再生器の操作条件は、300~800℃の再生温度および0.1~3.0MPaの再生圧力を含む、項目D1またはD2の軽質接触分解生成物の脱硫および分離方法。
【0180】
(D8)吸着剤再生器の操作条件は、350~600℃の再生温度および0.1~1.0MPaの再生圧力を含む、項目D7の軽質接触分解生成物の脱硫および分離方法。
【0181】
(D9)脱硫吸着剤は吸着剤担体と吸着剤担体に担持された金属成分とを含み、脱硫吸着剤の総重量に対して、脱硫吸着剤担体の含有量は70~95重量%であり、金属成分の含有量は5~30重量%であり、吸着剤担体は酸化亜鉛、シリカおよび/またはアルミナの混合物であり、金属成分は、コバルト、ニッケル、銅、鉄、マンガン、モリブデン、タングステン、銀、スズおよびバナジウムから選択される1つ以上である、項目D1~D8のいずれかの接触分解軽質生成物の脱硫および分離方法。
【0182】
(D10)吸収塔の操作条件は圧力0.2~3.0MPaおよび温度20~100℃を含み;脱着塔の操作条件は圧力0.1~3.0MPaおよび温度20~250℃を含み;再吸収塔の操作条件は圧力0.1~3.0MPaおよび温度20~100℃を含み;安定化塔の操作条件は圧力0.1~3.0MPaおよび温度20~250℃を含む、項目D1またはD2の接触分解軽質生成物の脱硫方法。
【0183】
(D11)吸収塔の操作条件は圧力0.5~1.6MPaおよび温度30~70℃を含み;脱着塔の操作条件は圧力0.5~2.5MPaおよび温度50~200℃を含み;再吸収塔の操作条件は圧力0.5~2.5MPaおよび温度30~70℃を含み;安定化塔の操作条件は圧力0.5~2.5MPaおよび温度50~200℃を含む、項目D10の接触分解軽質生成物の脱硫方法。
【0184】
(D12)接触分解によって低硫黄軽油生成物を製造する方法であって、以下の特徴を有する方法:接触分解原料をライザー反応器に導入し、接触分解条件で反応させるために接触分解触媒と接触させ、ライザー反応器の頂部で気固分離に供する;得られた反応オイルガスを分留のために接触分解分留塔に導入して、リッチガス、粗製ガソリン、ライトサイクルオイル、ディーゼルオイルおよびオイルスラリーを得る;分離された接触分解触媒を再生し、次いで再使用のためにライザー反応器に再循環させる;
接触分解分留塔からの粗製ガソリンおよびリッチガスを、吸着脱硫反応ユニットの第1の脱硫反応器および第2の脱硫反応器にそれぞれ導入し、項目D1~D11に規定する接触分解軽質生成物の脱硫および分離方法を用いて吸着脱硫および吸収安定化分離に供し、脱硫乾燥ガス、脱硫液化ガスおよび安定化ガソリンを得る。
【0185】
(D13)接触分解軽質生成物の分離および脱硫装置であって、順に連通された、吸着脱硫ユニットと吸収安定化ユニットとを備え;吸着脱硫ユニットが、順に連通された、第1の脱硫反応器と、第2の脱硫反応器と、反応器の受容器と、ロックホッパと、再生器供給槽と、吸着剤再生器と、再生器の受容器とを備え;再生器の受容器がロックホッパおよび吸着剤還元器と連続して連通し、吸着剤還元器が第1の脱硫反応器の底部と連通し、吸収安定化ユニットが順に連通された、吸収塔と、脱着塔と、再吸収塔と、安定化塔とからなる、装置。
【0186】
(E1)接触分解軽質生成物の脱硫方法であって、以下の工程を含む、方法:
(1)接触分解分留塔からの粗製ガソリンを底部から第1の脱硫反応器に導入し、上方向に流しながら、脱硫のために脱硫吸着剤と接触させ、スライドバルブの制御下で脱硫吸着剤の一部を第2の脱硫反応器に導入し、脱硫反応のために必要な温度に予熱された接触分解リッチガスと接触させ、反応リッチガスおよび脱硫吸着剤を第1の脱硫反応器に再循環させ、これを第1の脱硫反応器の上部の沈降区域で気固分離させる、工程;
(2)分離された使用済み脱硫吸着剤を、吸着剤再生器において酸素含有ガスの存在下で焼成することによって再生し、再生された脱硫吸着剤を還元後の再使用のために第1の脱硫反応器の底部に再循環させる、工程;
(3)分離された反応オイルガスを気液分離槽で分離して脱硫リッチガスおよび脱硫粗製ガソリンが得られ、さらなる分離のために吸収安定化システムに別々に送り、脱硫乾燥ガス、脱硫液化ガス、脱硫安定化ガソリンを得る、工程。
【0187】
(E2)第2の脱硫反応器の上部に沈降区域および気固分離器を設け、第2の脱硫反応器内の反応オイルガスおよび脱硫吸着剤を気固分離に供し、さらなる分離のために分離した反応オイルガスを吸収安定化システムに直接送り、脱硫吸着剤を第1の脱硫反応器に戻す、項目E1の接触分解軽質生成物の脱硫方法。
【0188】
(E3)脱硫リッチガスを底部から吸収塔に導入し、吸収のために頂部から吸収塔に導入された脱硫粗製ガソリンと接触させ、吸収塔の塔頂流を底部から再吸収塔に導入し、吸収のために向流方式で接触分解分留塔からのライトサイクルオイルと接触させ、脱硫乾燥ガスが再吸収塔の頂部から得られ、再吸収塔の底部からの濃縮ライトサイクルオイルを接触分解分留塔に再循環させ、吸収塔の底部生成物を、脱着塔を通過させた後に安定化塔に送り、安定化塔で分留して脱硫液化ガスおよび脱硫安定化ガソリンが得られ、脱着塔の塔頂ガスを吸収塔に再循環させる、項目E1またはE2の接触分解軽質生成物の脱硫方法。
【0189】
(E4)第1の脱硫反応器の条件は、200~550℃の操作温度、0.5~5MPaの絶対圧力、0.1~100h-1のオイルガス原料の重量毎時空間速度、および0.01~1000の水素のオイルに対するモル比を含む、項目E1またはE2の接触分解軽質生成物の脱硫方法。
【0190】
(E5)第1の脱硫反応器の条件は、300~500℃の操作温度、1.0~3.5MPaの絶対圧力、1~10h-1のオイルガス原料の重量毎時空間速度、および0.05~500の水素-オイルのモル比を含む、項目E4の軽質接触分解生成物の脱硫方法。
【0191】
(E6)第2の脱硫反応器の条件は、250~550℃の操作温度、0.5~5MPaの絶対圧力、0.1~100h-1のオイルガス原料の重量毎時空間速度、および0.01~1000の水素のオイルに対するモル比を含む、項目E1またはE2の接触分解軽質生成物の脱硫方法。
【0192】
(E7)第2の脱硫反応器の条件は、350~500℃の操作温度、1.0~3.5MPaの絶対圧力、1~20h-1のオイルガス原料の重量毎時空間速度、および0.05~300の水素-オイルのモル比を含む、項目E6の軽質接触分解生成物の脱硫方法。
【0193】
(E8)吸着剤再生器の操作条件は、300~800℃の再生温度および0.1~3.0MPaの再生圧力を含む、項目E1またはE2の接触分解軽質生成物の脱硫方法。
【0194】
(E9)吸着剤再生器の操作条件は、350~600℃の再生温度および0.1~1.0MPaの再生圧力を含む、項目E8の接触分解軽質生成物の脱硫方法。
【0195】
(E10)脱硫吸着剤は吸着剤担体と吸着剤担体に担持された金属成分とを含み、脱硫吸着剤の総重量に対して、脱硫吸着剤担体の含有量は70~95重量%であり、金属成分の含有量は5~30重量%であり、吸着剤担体は酸化亜鉛、シリカおよび/またはアルミナの混合物であり、金属成分は、コバルト、ニッケル、銅、鉄、マンガン、モリブデン、タングステン、銀、スズおよびバナジウムから選択される1つ以上である、項目E1~E9のいずれかの接触分解軽質生成物の脱硫方法。
【0196】
(E11)吸収塔の操作条件は圧力0.2~3.0MPaおよび温度20~100℃を含み;脱着塔の操作条件は圧力0.1~3.0MPaおよび温度20~250℃を含み;再吸収塔の操作条件は圧力0.1~3.0MPaおよび温度20~100℃を含み;安定化塔の操作条件は圧力0.1~3.0MPaおよび温度20~250℃を含む、項目E3の接触分解軽質生成物の脱硫方法。
【0197】
(E12)吸収塔の操作条件は圧力0.5~1.6MPaおよび温度30~70℃を含み;脱着塔の操作条件は圧力0.5~2.5MPaおよび温度50~200℃を含み;再吸収塔の操作条件は圧力0.5~2.5MPaおよび温度30~70℃を含み;安定化塔の操作条件は圧力0.5~2.5MPaおよび温度50~200℃を含む、項目E11の接触分解軽質生成物の脱硫方法。
【0198】
(E13)接触分解によって低硫黄軽油生成物を製造する方法であって、以下の特徴を有する方法:接触分解原料をライザー反応器に導入し、接触分解条件で反応させるために接触分解触媒と接触させ、ライザー反応器の頂部で気固分離に供する;得られた反応オイルガスを分留のために接触分解分留塔に導入して、リッチガス、粗製ガソリン、ライトサイクルオイル、ディーゼルオイルおよびオイルスラリーを得る;分離された接触分解触媒を再生し、次いで再使用のためにライザー反応器に再循環させる;
接触分解分留塔からの粗製ガソリンおよびリッチガスを、第1の脱硫反応器および第2の脱硫反応器にそれぞれ導入し、項目E1~E12に規定する方法を用いて吸着脱硫および吸収安定化分離に供し、脱硫乾燥ガス、脱硫液化ガスおよび安定化ガソリンを得る。
【0199】
(E14)接触分解軽質生成物の分離および脱硫装置であって、順に連通された、吸着脱硫ユニットと吸収安定化ユニットとを備え;吸着脱硫ユニットが、順に連通された、第1の脱硫反応器と、反応器の受容器と、ロックホッパと、再生器供給槽と、吸着剤再生器と、再生器の受容器とを備え;再生器の受容器がロックホッパを介して吸着剤還元器と連通し、吸着剤還元器が第1の脱硫反応器の底部と連通し、第1の脱硫反応器の中央下部が第2の脱硫反応器と連通し、第2の脱硫反応器の頂部が第1の脱硫反応器の上部と連通す、吸収安定化ユニットが順に連通された、吸収塔と、脱着塔と、再吸収塔と、安定化塔とからなる、装置。
【0200】
(E15)第1の脱硫反応器は、底部から頂部までの高さの20~60%の位置で第2の脱硫反応器の底部と連通し、第1の脱硫反応器は、底部から頂部までの高さの60~90%の位置で第2の脱硫反応器の頂部と連通し、第1の脱硫反応器の上部の沈降区域に固気分離装置を設け、第2の脱硫反応器の上部に固気分離装置を設けるか、または設けない、項目E14の接触分解軽質生成物の分離および脱硫装置。
【0201】
(F1)接触分解軽質生成物の脱硫方法であって、以下の工程を含む、方法:
(1)接触分解分留塔からの粗製ガソリンを底部から第1の脱硫反応器に導入し、上方向に流しながら同時に、水素の存在下で脱硫吸着剤に接触させ、反応オイルガスおよび脱硫吸着剤を第1の脱硫反応器の上部の沈降区域で気固分離に供し、硫黄充填吸着剤の一部分を吸着剤床層の頂部からスライドバルブを介して第2の脱硫反応器の上部に導入し、硫黄充填吸着剤の別の部分を吸着剤再生器で焼成により再生し、再生された脱硫吸着剤を還元後の再使用のために第1の脱硫反応器の底部に再循環させる、工程;
(2)接触分解分留塔からのリッチガスを底部から第2の脱硫反応器に導入し、吸着脱硫反応のために向流方式で脱硫吸着剤と接触させて、反応後に脱硫吸着剤を第2の脱硫反応器の底部から第1の脱硫反応器に再循環させる、工程;
(3)第1の脱硫反応器の頂部から得られた脱硫粗製ガソリンと、第2の脱硫反応器の頂部から得られた脱硫リッチガスとを別々に吸収安定化ユニットに送り、さらに分離して、脱硫乾燥ガス、脱硫液化ガスおよび脱硫安定化ガソリンを得る、工程。
【0202】
(F2)脱硫リッチガスを底部から吸収塔に導入し、吸収のために頂部から吸収塔に導入された脱硫粗製ガソリンと接触させ、吸収塔の塔頂流を底部から再吸収塔に導入し、吸収のために向流方式で接触分解分留塔からのライトサイクルオイルと接触させ、脱硫乾燥ガスが再吸収塔の頂部から得られ、再吸収塔の底部で得られた濃縮ライトサイクルオイルを接触分解分留塔に再循環させ、吸収塔の底部生成物を、脱着塔を通過させた後に安定化塔に送り、安定化塔で分留して脱硫液化ガスおよび脱硫安定化ガソリンが得られ、脱着塔の塔頂ガスを吸収塔に再循環させる、項目F1の接触分解軽質生成物の脱硫方法。
【0203】
(F3)第1の脱硫反応器の供給ガス速度は0.25~10m/sであり、第2の脱硫反応器の供給ガス速度は0.05~1.5m/sであり、第1の脱硫反応器および第2の脱硫反応器は流動床反応器である、項目F1またはF2の接触分解軽質生成物の脱硫および分離方法。
【0204】
(F4)第1の脱硫反応器の条件は、200~550℃の操作温度、0.5~5MPaの絶対圧力、0.1~100h-1のオイルガス原料の重量毎時空間速度、および0.01~1000の水素のオイルに対するモル比を含む、項目F1またはF2の接触分解軽質生成物の脱硫方法。
【0205】
(F5)第1の脱硫反応器の条件は、300~500℃の操作温度、1.0~3.5MPaの絶対圧力、1~10h-1のオイルガス原料の重量毎時空間速度、および0.05~500の水素のオイルに対するモル比を含む、項目F4の軽質接触分解生成物の脱硫方法。
【0206】
(F6)第2の脱硫反応器の条件は、300~550℃の操作温度、0.5~5MPaの絶対圧力、0.1~100h-1のオイルガス原料の重量毎時空間速度、および0.01~500の水素のオイルに対するモル比を含む、項目F1またはF2の接触分解軽質生成物の脱硫方法。
【0207】
(F7)第2の脱硫反応器の条件は、350~500℃の操作温度、1.0~3.5MPaの絶対圧力、1~20h-1のオイルガス原料の重量毎時空間速度、および0.05~300の水素のオイルに対するモル比を含む、項目F6の軽質接触分解生成物の脱硫方法。
【0208】
(F8)吸着剤再生器の操作条件は、300~800℃の再生温度および0.1~3.0MPaの再生圧力を含む、項目F1またはF2の接触分解軽質生成物の脱硫方法。
【0209】
(F9)吸着剤再生器の操作条件は、350~600℃の再生温度および0.1~1.0MPaの再生圧力を含む、項目F8の接触分解軽質生成物の脱硫方法。
【0210】
(F10)脱硫吸着剤は脱硫吸着剤担体と吸着剤担体に担持された金属成分とを含み、脱硫吸着剤の総重量に対して、脱硫吸着剤担体の含有量は70~95重量%であり、金属成分の含有量は5~30重量%である、項目F1~F9のいずれかの接触分解軽質生成物の脱硫方法。
【0211】
(F11)吸収塔の操作条件は圧力0.2~3.0MPaおよび温度20~100℃を含み;脱着塔の操作条件は圧力0.1~3.0MPaおよび温度20~250℃を含み;再吸収塔の操作条件は圧力0.1~3.0MPaおよび温度20~100℃を含み;安定化塔の操作条件は圧力0.1~3.0MPaおよび温度20~250℃を含む、項目F2の接触分解軽質生成物の脱硫方法。
【0212】
(F12)吸収塔の操作条件は圧力0.5~1.6MPaおよび温度30~70℃を含み;脱着塔の操作条件は圧力0.5~2.5MPaおよび温度50~200℃を含み;再吸収塔の操作条件は圧力0.5~2.5MPaおよび温度30~70℃を含み;安定化塔の操作条件は圧力0.5~2.5MPaおよび温度50~200℃を含む、項目F11の接触分解軽質生成物の脱硫方法。
【0213】
(F13)接触分解によって低硫黄軽油生成物を製造する方法であって、以下の特徴を有する方法:接触分解原料をライザー反応器に導入し、接触分解条件で反応させるために接触分解触媒と接触させ、ライザー反応器の頂部で気固分離に供する;得られた反応オイルガスを分留のために接触分解分留塔に導入して、リッチガス、粗製ガソリン、ライトサイクルオイル、ディーゼルオイルおよびオイルスラリーを得る;分離された接触分解触媒を再生し、次いで再使用のためにライザー反応器に再循環させる;
粗製ガソリンおよびリッチガスを、第1の脱硫反応器および第2の脱硫反応器にそれぞれ導入し、項目F1~F12に規定する接触分解軽質生成物の脱硫方法を用いて吸着脱硫および吸収安定化分離に供し、脱硫乾燥ガス、脱硫液化ガスおよび安定化ガソリンを得る。
【0214】
(F14)接触分解軽質生成物の脱硫装置であって、順に連通された、吸着脱硫ユニットと吸収安定化ユニットとを備え;吸着脱硫ユニットが、順に連通された、第1の脱硫反応器と、反応器の受容器と、ロックホッパと、再生器供給槽と、吸着剤再生器とを備え;吸着剤再生器が再生器の受容器、ロックホッパ、吸着剤還元器および第1の脱硫反応器の底部と連続して連通し、第1の脱硫反応器の上部が第2の脱硫反応器の上部と連通し、第2の脱硫反応器の底部が第1の脱硫反応器の底部と連通し、吸収安定化ユニットが順に連通された、吸収塔と、脱着塔と、再吸収塔と、安定化塔とからなる、装置。
【0215】
(F15)第1の脱硫反応器は、底部から頂部までの高さの50~90%の位置で、第2の流動床式脱硫反応器の底部から頂部の高さの80~90%の位置と連通している、項目F14の接触分解軽質生成物の脱硫装置。
【0216】
〔実施例〕
以下の実施例は本出願をさらに説明するために提供されるが、いかなる態様に限定することを意図しない。実施例で使用した原料リッチガスおよび粗製ガソリンは、China Petroleum & Chemical Corporationのヤンシャン事業部(Yanshan Division)の接触分解ユニットから入手した。脱硫吸着剤はChina Petroleum & Chemical Corporationの南京触媒部門(Nanjing Catalyst Branch)から、FCASの商品名で入手可能である。脱硫吸着剤は、担体として酸化亜鉛、シリカおよびアルミナを含み、助触媒としてNiを含み、その特性は表1に列挙する。
【0217】
【0218】
実施例および比較例のそれぞれにおいて、乾燥ガスおよび液化ガス中の硫黄含有量をAgilent GC-7890AガスクロマトグラフでGC-SCDにより分析した。ガソリン中の硫黄含有量は、株式会社リガク製のZSX100X蛍光分光計で分析した。乾燥ガス、液化ガスおよびガソリンの炭化水素の組成をガスクロマトグラフィーにより分析および測定した。
【0219】
エチレン飽和率、プロピレン飽和率およびガソリン中のオレフィン飽和率の算出方法は、下記の通りである。比較例2およびいくつかの実施例において、吸着脱硫および吸収安定化分離後に得られた、乾燥ガス中のエチレンの質量分率、液化ガス中のプロピレンの質量分率およびガソリン中のオレフィンの質量分率は、比較例1において、脱硫させていない、乾燥ガス中のエチレンの質量含有率、液化ガス中のプロピレンの質量含有率およびガソリン中のオレフィンの質量含有率を基準として求める。そして、基準値と脱硫後に測定した基準値に対する値との差の質量百分率を、対応するオレフィンの飽和率とする。
【0220】
エチレン飽和率=(比較例1におけるエチレンの質量分率-脱硫後のエチレンの質量分率)/比較例1におけるエチレンの質量分率)×100%
プロピレン飽和率=(比較例1におけるプロピレンの質量分率-脱硫後のプロピレンの質量分率)/比較例1におけるプロピレンの質量分率)×100%
ガソリンオレフィン飽和率=(比較例1におけるガソリン中のオレフィンの質量分率-脱硫後のガソリン中のオレフィンの質量分率)/比較例1におけるガソリン中のオレフィンの質量分率)×100%。
【0221】
(比較例1)
ヤンシャン事業部の接触分解ユニットを例に取り、接触分解分留塔によって製造されたリッチガスおよび粗製ガソリンを、別々に接触分解ユニットの吸収安定化ユニットに導入した。リッチガスは吸収塔に底部から導入し、物質移動のために頂部から吸収塔に導入した粗製ガソリンと接触させた。吸収塔の塔頂流は、再吸収塔に底部から導入し、物質移動のために向流方式で接触分解分留塔からのライトサイクルオイルと接触させた。再吸収塔の頂部で乾燥ガスが得られた。再吸収塔の底部で得られた濃縮ライトサイクルオイルを接触分解分留塔に再循環させた。吸収塔の底部生成物を、脱着塔を通過させた後に安定化塔に送り、安定化塔で分留して液化ガスおよび安定化ガソリンが得られた。脱着塔の塔頂ガスを吸収塔に再循環させた。
【0222】
得られた非脱硫乾燥ガス、液化ガスおよび安定化ガソリンの特性を表2に示す。
【0223】
(比較例2)
比較例1で得られた安定化ガソリンを原料として、ガソリン流動床式脱硫反応器に導入し、吸着脱硫反応のために脱硫吸着剤と接触させた。吸着脱硫反応器の頂部で反応オイルガスおよび硫黄充填吸着剤を気固分離に供した。分離した反応オイルガスを冷却して脱硫安定化ガソリンが得られた。分離した硫黄充填吸着剤を吸着剤再生器に導入し、酸素含有ガス存在する再生条件下で反応および焼成によって再生した。再生した脱硫吸着剤を吸着剤還元器に導入し、還元条件下で還元ガスと反応させて還元脱硫吸着剤が得られ、これを再使用のために吸着脱硫反応器に再循環させた。
【0224】
使用した脱硫吸着剤はFCASであり、その特性を表1に示す。吸着脱硫反応は、400℃の反応温度、2.0MPaの反応圧力、5h-1の重量毎時空間速度、45の水素のオイルに対する体積比を含む、反応条件下で行い、結果を表2に示す。脱硫安定化ガソリンの硫黄含有量は2.6ppmであり、オクタン価損失は0.8ユニットであり、精製ガソリンの収率は0.6%減少した。
【0225】
【0226】
(実施例I-1)
接触分解分留塔の全塔頂軽質分留物に対する吸着脱硫の効果を、小型固定流動床反応器で評価した。
【0227】
接触分解分留塔からのリッチガスと粗製ガソリンとの混合物を原料として使用し、最初に脱硫のために吸着脱硫反応ユニットに導入し、次いで分離のために吸収安定化ユニットに導入した。
図1Aに示す吸着脱硫ユニットの工程フローを採用し、流動床式脱硫反応器に底部からリッチガスと粗製ガソリンとの混合物を導入し、脱硫吸着剤としてFCASの存在下、400℃の反応温度、2.0MPaの反応圧力、5h
-1の重量毎時空間速度、45の水素のオイルに対する体積比を含む反応条件下で反応させた。反応後に得られたオイルガスを脱硫吸着剤から分離した後、気液分離槽に通して冷却分離し、脱硫リッチガスおよび脱硫粗製ガソリンが得られた。
図2に示す吸収安定化ユニットの工程フローを採用し、気液分離槽から分離された脱硫リッチガスを吸収塔に底部から導入した。吸収塔の頂部の圧力は1.405MPa、吸収塔の頂部の温度は34.5℃、吸収塔の底部の温度は43.3℃であった。気液分離槽から分離された脱硫粗製ガソリンを吸収塔に上部から導入し、物質移動のために向流方式でリッチガスと接触させた。吸収塔の塔頂流を再吸収塔に底部から導入し、物質移動のために向流方式で接触分解分留塔からのライトサイクルオイルと接触させた。再吸収塔の頂部の圧力は1.370MPa、再吸収塔の頂部の温度は34.3℃、再吸収塔の底部の温度は41.8℃であった。脱硫乾燥ガスは再吸収塔の頂部で得られた。再吸収塔の底部で得られた濃縮ライトサイクルオイルは、接触分解分留塔に再循環させた。吸収塔の底部生成物は脱着塔で脱着させた。脱着塔の頂部の圧力は1.477MPa、脱着塔の頂部の温度は76.5℃、脱着塔の底部の温度は131.9℃であった。脱着塔の底部生成物は安定化塔に送った。安定化塔の頂部の圧力は0.889MPa、安定化塔の頂部の温度は57.8℃、安定化塔の底部の温度は167.6℃であった。底部生成物は安定化塔で分留して、脱硫液化ガスおよび安定化ガソリンが得られた。脱着塔の塔頂ガスは吸収塔に再循環させた。得られた脱硫乾燥ガス、脱硫液化ガスおよび脱硫安定化ガソリンの特性は表1-3に示す。
【0228】
(実施例I-2)
実験は、反応オイルガスと脱硫吸着剤とを、流動床式脱硫反応器中で430℃の反応温度、1.4MPaの反応圧力、8h-1の重量毎時空間速度、100の水素のオイルに対する体積比を含む反応条件下で接触および反応させ、オイルガスは反応後に脱硫吸着剤から分離し、気液分離槽で冷却分離して脱硫リッチガスと脱硫粗製ガソリンが得られたこと以外は、接触分解分留塔から得られたリッチガスと粗製ガソリンとの混合物を原料として使用し、実施例I-1と同様の反応手順および脱硫吸着剤を用いて行った。気液分離槽から分離したリッチガスを吸収塔に底部から導入した。吸収塔の頂部の圧力は1.432MPa、吸収塔の頂部の温度は33.8℃、吸収塔の底部の温度は45.6℃であった。気液分離槽から分離した粗製ガソリンを吸収塔に上部から導入し、物質移動のために向流方式でリッチガスと接触させた。吸収塔の塔頂流を再吸収塔に底部から導入し、物質移動のために向流方式で接触分解分留塔からのライトサイクルオイルと接触させた。再吸収塔の頂部の圧力は1.395MPa、再吸収塔の頂部の温度は35.9℃、再吸収塔の底部の温度は45.1℃であった。脱硫乾燥ガスは再吸収塔の頂部で得られた。再吸収塔の底部で得られた濃縮ライトサイクルオイルは接触分解分留塔に再循環させた。吸収塔の底部生成物は脱着塔で脱着させた。脱着塔の頂部の圧力は1.562MPa、脱着塔の頂部の温度は80.9℃、脱着塔の底部の温度は143.5℃であった。脱着塔の底部生成物は安定化塔に送った。安定化塔の頂部の圧力は0.912MPa、安定化塔の頂部の温度は59.8℃、安定化塔の底部の温度は172.3℃であった。底部生成物を安定化塔中で分留して、脱硫液化ガスおよび脱硫安定化ガソリンが得られた。脱着塔の塔頂ガスは吸収塔に再循環させた。得られた脱硫乾燥ガス、脱硫液化ガスおよび脱硫安定化ガソリンの特性を表I-3に示す。
【0229】
【0230】
表I-3の結果から分かるように、本出願に係る接触分解軽質生成物の脱硫および分離方法は、乾燥ガスおよび液化ガスの脱硫を同時に実現することができる。乾燥ガスの収率および液化ガスの収率はそれぞれ0.1%増加し、安定化ガソリンの収率は0.4~0.5%増加し、安定化ガソリンの硫黄含有量が減少し、オクタン価損失が減少する。
【0231】
(実施例II-1)
実施例II-1は、リッチガスと粗製ガソリンとを同時に吸着脱硫することの効果を示すものである。接触分解分留塔からのリッチガスおよび粗製ガソリンを原料として使用し、
図1Bに示す工程フローに従って最初に脱硫のために吸着脱硫反応ユニットに導入し、次に
図2に示す工程フローに従って分離のために吸収安定化ユニットに導入した。接触分解分留塔からの粗製ガソリンを、流動床式脱硫反応器に底部から導入し、脱硫吸着剤としてFCASの存在下、400℃の反応温度、2.0MPaの反応圧力、5h
-1の重量毎時空間速度、および45の水素のオイルに対する体積比を含む反応条件下で反応させた。接触分解分留塔からのリッチガスを、底部から頂部までの高さの60%の位置で流動床式脱硫反応器に導入し、リッチガスが通過する脱硫吸着剤床層の高さを、反応器中の吸着剤床層の全高の20%になるように制御した。硫黄含有リッチガスを、吸着脱硫反応のために、反応オイルガスおよび脱硫吸着剤と混合した。反応後のオイルガスは冷却分離のために気液分離槽に導入し、脱硫リッチガスおよび脱硫粗製ガソリンが得られた。気液分離槽から分離したリッチガスを、吸収塔に底部から導入した。吸収塔の頂部の圧力は1.758MPa、吸収塔の頂部の温度は43.6℃、吸収塔の底部の温度は52.7℃であった。気液分離槽から分離した粗製ガソリンを吸収塔に上部から導入し、物質移動のために向流方式でリッチガスと接触させ、吸収塔の塔頂流は再吸収塔に底部から導入し、物質移動のために向流方式で接触分解分留塔からのライトサイクルオイルと接触させた。再吸収塔の頂部の圧力は1.632MPa、再吸収塔の頂部の温度は42.5℃、再吸収塔の底部の温度は54.1℃であった。脱硫乾燥ガスは再吸収塔の頂部で得られた。再吸収塔の底部で得られた濃縮ライトサイクルオイルは接触分解分留塔に再循環させ、吸収塔の底部生成物は脱着塔で脱着させた。脱着塔の頂部の圧力は1.853MPa、脱着塔の頂部の温度は84.9℃、脱着塔の底部の温度は156.8℃であった。吸収塔の底部生成物は安定化塔に送った。安定化塔の頂部の圧力は1.056MPa、安定化塔の頂部の温度は63.8℃、安定化塔の底部の温度は174.5℃であった。底部生成物を安定化塔で分留して脱硫液化ガスおよび脱硫安定化ガソリンが得られた。脱着塔の塔頂ガスを吸収塔に再循環した。
【0232】
得られた脱硫乾燥ガス、脱硫液化ガスおよび脱硫ガソリンの特性を表II-3に示す。
【0233】
(実施例II-2)
流動床式脱硫反応器中の反応温度を430℃、反応圧力を1.4MPa、重量毎時空間速度を8h-1、水素のオイルに対する体積比を100とし、リッチガスを430℃に予熱し、流動床式脱硫反応器中の底部から頂部までの高さの40%の位置に導入し、リッチガスが通過する吸着床を、反応器中の吸着剤床の全高の30%となるように制御したこと以外は、実施例II-1に記載したように、接触分解分留塔からのリッチガスおよび粗製ガソリンを原料として実験を行った。反応後に得られたオイルガスを気液分離槽で冷却分離し、脱硫リッチガスおよび脱硫粗製ガソリンが得られた。脱硫リッチガスを吸収塔に底部から導入した。吸収塔の頂部の圧力は1.772MPa、吸収塔の頂部の温度は42.3℃、吸収塔の底部の温度を49.8℃であった。脱硫粗製ガソリンを吸収塔に上部から導入し、物質移動のために向流方式で接触分解分留塔からのライトサイクルオイルと接触させた。吸収塔の塔頂流を再吸収塔に底部から導入し、物質移動のために向流方式で接触分解分留塔からのライトサイクルオイルと接触させた。再吸収塔の頂部の圧力は1.598MPa、再吸収塔の頂部の温度は43.5℃、再吸収塔の底部の温度は47.6℃であった。脱硫乾燥ガスは再吸収塔の頂部で得られた。再吸収塔の底部で得られた濃縮ライトサイクルオイルは接触分解分留塔に再循環させた。吸収塔の底部生成物は脱着塔で脱着させた。脱着塔の頂部の圧力は1.918MPa、脱着塔の頂部の温度は85.3℃、脱着塔の底部の温度は155.2℃であった。脱着塔の底部生成物は安定化塔に送った。安定化塔の頂部の圧力は0.919MPa、安定化塔の頂部の温度は59.5℃、安定化塔の底部の温度は169.7℃であった。底部生成物は安定化塔で分留して、脱硫液化ガスと脱硫安定化ガソリンが得られた。脱着塔の塔頂ガスは吸収塔に再循環させた。
【0234】
得られた脱硫乾燥ガス、脱硫液化ガスおよび脱硫安定化ガソリンの特性を表II-3に示す。
【0235】
【0236】
表II-3の結果から分かるように、本出願に係る接触分解軽質生成物の脱硫および分離方法は、乾燥ガスおよび液化ガスの脱硫を同時に実現することができる。乾燥ガスの収率および液化ガスの収率がそれぞれ0.1%増加し、安定化ガソリンの収率が0.4~0.5%増加し、安定化ガソリンの硫黄含有量が減少し、オクタン価損失が減少する。
【0237】
(実施例III-1)
図1Cに示す吸着脱硫ユニットの工程フローを採用した。第1の流動床式脱硫反応器を固定流動床式反応器とした。脱硫吸着剤を第1の流動床脱硫反応器に底部から導入した。接触分解分留塔からの粗製ガソリンと水素とを、第1の流動床脱硫反塔に底部から導入し、吸着脱硫のために脱硫吸着剤と接触させた。400℃の反応温度、2.2MPaの反応圧力、5h
-1の重量毎時空間速度、45の水素のオイルに対する体積比を含む反応条件下で反応を行った。反応後、脱硫粗製ガソリンと水素との混合物が得られた。第2の流動床式脱硫反応器は固定流動床式反応器であった。第1の流動床脱硫反応器からの脱硫吸着剤を、吸着剤移送槽を介して第2の流動床脱硫反応器の底部に導入した。接触分解分留塔からのリッチガスを400℃に予熱し、第2の流動床式反応器に導入した。反応温度は400℃、反応圧力は1.0MPa、重量毎時空間速度は10h
-1であり、反応後に脱硫リッチガスが得られた。脱硫リッチガスは吸収塔に底部から導入し、脱硫粗製ガソリンは吸収塔に上部から導入し、物質移動のために向流方式でリッチガスと接触させた。吸収塔の頂部の圧力は1.214MPa、吸収塔の頂部の温度は30.1℃、吸収塔の底部の温度は50.6℃であった。吸収塔の塔頂流を再吸収塔に底部から導入し、物質移動のために向流方式で接触分解分留塔からのライトサイクルオイルと接触させた。再吸収塔の頂部の圧力は1.158MPa、再吸収塔の頂部の温度は32.3℃、再吸収塔の底部の温度は48.9℃であった。脱硫乾燥ガスは再吸収塔の頂部で得られた。再吸収塔の底部で得られた濃縮ライトサイクルオイルを接触分解分留塔に再循環させた。吸収塔の底部生成物は脱着塔で脱着させた。脱着塔の頂部の圧力は1.582MPa、脱着塔の頂部の温度は68.4℃、脱着塔の底部の温度は159.6℃であった。脱着塔の底部生成物は安定化塔に送った。安定化塔の頂部の圧力は1.025MPa、安定化塔の頂部の温度は68.9℃、安定化塔の底部の温度は178.3℃であった。底部生成物は安定化塔中で分留して、脱硫液化ガスおよび脱硫安定化ガソリンが得られた。脱着塔の塔頂ガスは吸収塔に再循環させた。結果を表III-3に示す。
【0238】
(実施例III-2)
第1の流動床式脱硫反応器を、440℃の反応温度、1.4MPaの反応圧力、8h-1の重量毎時空間速度、および100の水素のオイルに対する体積比を含む反応条件下で操作したこと以外は、実施例III-1と同じ反応スキーム、原料および脱硫吸着剤を用いて実験を行い、脱硫粗製ガソリンが得られた。第2の流動床式脱硫反応器の反応条件は、430℃の反応温度、0.5MPaの反応圧力、12h-1の重量毎時空間速度を含み、脱硫リッチガスが得られた。脱硫リッチガスを吸収塔に底部からに導入した。脱硫粗製ガソリンを吸収塔に上部から導入し、物質移動のために向流方式でリッチガスと接触させた。吸収塔の頂部の圧力は1.255MPa、吸収塔の頂部の温度は40.5℃、吸収塔の底部の温度は50.2℃であった。吸収塔の塔頂流を再吸収塔に底部から導入し、物質移動のために向流方式で接触分解分留塔からのライトサイクルオイルと接触させた。再吸収塔の頂部の圧力は1.189MPa、再吸収塔の頂部の温度は41.8℃、再吸収塔の底部の温度は48.6℃であった。再吸収塔の頂部で脱硫乾燥ガスが得られ、再吸収塔の底部で得られた濃縮ライトサイクルオイルを接触分解分留塔に再循環させた。吸収塔の底部生成物を脱着塔で脱着させた。脱着塔の頂部の圧力は1.251MPa、脱着塔の頂部の温度は56.2℃、脱着塔の底部の温度は118.9℃であった。底部生成物は安定化塔に導入した。安定化塔の頂部の圧力は0.812MPa、安定化塔の頂部の温度は53.1℃、安定剤の底部の温度は159.8℃であった。底部生成物は安定化塔で分留して、脱硫液化ガスおよび脱硫安定化ガソリンが得られた。脱着塔の塔頂ガスは吸収塔に再循環させた。結果を表III-3に示す。
【0239】
【0240】
表III-3から分かるように、本出願に係る接触分解軽質生成物を脱硫するための方法は、乾燥ガスと液化ガスの脱硫を同時に実現することができる。液化ガスの収率が0.1%増加し、軽質オレフィンの飽和率が低く、安定化ガソリンの収率が0.4~0.5%増加する。安定化ガソリンのオレフィン飽和率が3~6%減少し、リサーチオクタン価(RON)損失値がより小さい。
【0241】
(実施例IV-1)
接触分解分留塔からの硫黄含有リッチガスおよび粗製ガソリンを、
図1Dに示す吸着脱硫ユニットの工程フローを用いて処理した。吸着剤還元器からの脱硫吸着剤を第1の流動床式脱硫反応器に底部から導入した。硫黄含有粗製ガソリンを原料として、第1の流動床式脱硫反応器に底部から導入し、380℃の反応温度、2.0MPaの反応圧力、5h
-1の重量毎時空間速度、60の水素のオイルに対する体積比を含む反応条件下で反応を行った。硫黄含有リッチガスを、第2の流動床式脱硫反応器に底部から導入し、脱硫反応のために粗製ガソリンと反応させた、第1の流動床式脱硫反応器からの脱硫吸着剤と接触させ、反応温度は420℃、反応圧力は2.0MPa、重量毎時空間速度は5h
-1であった。脱硫リッチガスを脱硫吸着剤から分離し、第1の流動床式脱硫反応器に戻した。混合した脱硫粗製ガソリンおよびリッチガス生成物を第1の流動床式脱硫反応器において吸着剤からさらに分離し、吸収安定化ユニットを通過させた。吸収安定化ユニットの工程フローを
図2に示し、脱硫リッチガスを吸収塔の底部から導入した。吸収塔の頂部の圧力は1.447MPa、吸収塔の頂部の温度は38.5℃、吸収塔の底部の温度は44.6℃であった。脱硫粗製ガソリンを吸収塔に上部から導入し、物質移動のために向流方式でリッチガスと接触させた。吸収塔の塔頂流を再吸収塔に底部から導入し、物質移動のために向流方式で接触分解分留塔からのライトサイクルオイルと接触させた。再吸収塔の頂部の圧力は1.394MPa、再吸収塔の頂部の温度は36.8℃、再吸収塔の底部の温度は45.4℃であった。再吸収塔の頂部で脱硫乾燥ガスが得られた。再吸収塔の底部で得られた濃縮ライトサイクルオイルは接触分解分留塔に再循環させた。吸収塔の底部生成物を脱着塔で脱着させた。脱着塔の頂部の圧力は1.536MPa、脱着塔の頂部の温度は78.9℃、脱着塔の底部の温度は137.5℃であった。脱着塔の底部生成物を安定化塔に送った。安定化塔の頂部の圧力は0.872MPa、安定化塔の頂部の温度は55.3℃、安定化塔の底部の温度は160.7℃であった。底部生成物は安定化塔で分留して、脱硫液処理ガスと脱硫安定化ガソリンが得られた。脱着塔の塔頂ガスは吸収塔に再循環させた。得られた脱硫乾燥ガス、脱硫液化ガスおよび脱硫安定化ガソリンの特性を表IV-3に示す。
【0242】
(実施例IV-2)
図1Dおよび
図2に示す吸着脱硫ユニットおよび吸収安定化ユニットの工程フローを採用した。吸着剤還元器からの脱硫吸着剤を第1の流動床式脱硫反応器に底部から導入した。硫黄含有粗製ガソリン原料を第1の流動床式脱硫反応器に底部から導入し、430℃の反応温度、1.4MPaの反応圧力、8h
-1の重量毎時空間速度、および100の水素のオイルに対する体積比を含む反応条件下で反応させた。硫黄含有リッチガスを第2の流動床式脱硫反応器に底部から導入し、脱硫反応のために粗製ガソリンと反応させた、第1の流動床式脱硫反応器からの脱硫吸着剤と接触させた。反応温度は445℃、反応圧力は1.4MPa、重量毎時空間速度は12h
-1であった。脱硫リッチガスを脱硫吸着剤から分離し、第1の流動床式脱硫反応器に戻した。混合した脱硫粗製ガソリンおよびリッチガス生成物を第1の流動床式脱硫反応器において吸着剤からさらに分離し、吸収安定化ユニットに送った。脱硫リッチガスを吸収塔に底部から導入した。吸収塔の頂部の圧力は1.658MPa、吸収塔の頂部の温度は45.1℃、吸収塔の底部の温度は52.6℃であった。脱硫粗製ガソリンを吸収塔に上部から導入し、物質移動のために向流方式でリッチガスと接触させた。吸収塔の塔頂流を再吸収塔に底部から導入し、物質移動のために向流方式で接触分解分留塔からのライトサイクルオイルと接触させた。再吸収塔の頂部の圧力は1.556MPa、再吸収塔の頂部の温度は38.9℃、再吸収塔の底部の温度は45.7℃であった。脱硫乾燥ガスは再吸収塔の頂部で得られ、再吸収塔の底部で得られた濃縮ライトサイクルオイルは接触分解分留塔に再循環させ、吸収塔の底部生成物は脱着塔で脱着させた。脱着塔の頂部の圧力は1.728MPa、脱着塔の頂部の温度は80.9℃、脱着塔の底部の温度は142.5℃であった。脱着塔の底部生成物は安定化塔に送った。安定化塔の頂部の圧力は0.806MPa、安定化塔の頂部の温度は55.4℃、安定化塔の底部の温度は159.7℃であった。底部生成物は安定化塔で分留して、脱硫液化ガスおよび脱硫安定化ガソリンが得られた。脱着器の塔頂ガスは吸収塔に再循環させた。得られた脱硫乾燥ガス、脱硫液化ガスおよび脱硫安定化ガソリンの特性を表IV-3に示す。
【0243】
【0244】
表IV-3の結果は、本出願に係る接触分解軽質生成物の脱硫および分離方法が乾燥ガスおよび液化ガスの脱硫を同時に実現することができ、液化ガスの収率が0.1%増加し、安定化ガソリンの収率が0.4~0.6%増加し、安定化ガソリンの硫黄含有量が減少し、ガソリン中のオレフィン飽和速度が減少し、オクタン価損失が減少することを示す。
【0245】
(実施例V-1)
図1Eaに示す吸着脱硫ユニットの工程フローを採用した。第1の流動床式脱硫反応器および第2の流動床式脱硫反応器を固定流動床式反応器とした。脱硫吸着剤を第1の流動床式脱硫反応器に底部から導入した。接触分解分留塔からの粗製ガソリンおよび水素を第1の流動床式脱硫反応器に底部から導入し、吸着脱硫のために脱硫吸着剤と接触させ、410℃の反応温度、2.3MPaの反応圧力、5h
-1の重量毎時空間速度、40の水素のオイルに対する体積比を含む条件下で反応を行った。硫黄充填吸着剤の一部を、第2の流動床式脱硫反応器に、第1の流動床式脱硫反応器の底部から頂部までの高さの20%の位置から導入した。接触分解分留塔からのリッチガスを第2の流動床式脱硫反応器に底部から導入し、吸着脱硫のために脱硫吸着剤と接触させた。430℃の反応温度、2.3MPaの反応圧力、8h
-1の重量毎時空間速度を含む条件下で脱硫反応を行った。反応したリッチガスおよび脱硫吸着剤を、底部から頂部までの高さの70%の位置で第1の流動床式脱硫反応器に戻した。反応オイルガスと脱硫吸着剤とを第1の反応器で分離した。反応オイルガスを気液分離槽で分離し、脱硫リッチガスおよび脱硫粗製ガソリン成分が得られた。気液分離槽の操作条件は1.926MPaの圧力および86℃の温度を含んでいた。
【0246】
吸収安定化ユニットの工程フローを
図2に示す。脱硫リッチガスを吸収塔に底部から導入した。吸収塔の頂部の圧力は1.853MPa、吸収塔の頂部の温度は55.6℃、吸収塔の底部の温度は68.2℃であった。脱硫粗製ガソリンを吸収塔に上部から導入し、物質移動のために向流方式でリッチガスと接触させた。吸収塔の塔頂流を再吸収塔に底部から導入し、物質移動のために向流方式で接触分解分留塔からのライトサイクルオイルと接触させた。再吸収塔の頂部の圧力は1.730MPa、再吸収塔の頂部の温度は51.2℃、再吸収塔の底部の温度は62.8℃であった。再吸収器の頂部で脱硫乾燥ガスが得られた。再吸収塔の底部で得られた濃縮ライトサイクルオイルは、接触分解分留塔に再循環させた。吸収塔の底部生成物を脱着塔で脱着させた。脱着塔の頂部の圧力は1.890MPa、脱着塔の頂部の温度は88.5℃、脱着塔の底部の温度は162.7℃であった。吸収塔の底部生成物は安定化塔に送った。安定化塔の頂部の圧力は1.251MPa、安定化塔の頂部の温度は68.7℃、安定化塔の底部の温度は189.6℃であった。底部生成物は安定化塔で分留して、脱硫液化ガスおよび脱硫安定化ガソリンが得られた。脱着塔の塔頂ガスは吸収塔に再循環させた。得られた脱硫乾燥ガス、脱硫液化ガスおよび脱硫安定化ガソリンの特性を表V-3に示す。
【0247】
(実施例V-2)
第1の流動床式脱硫反応器を430℃の反応温度、1.4MPaの反応圧力、8h-1の重量毎時空間速度、および100の水素のオイルに対する体積比で操作したこと以外は、実施例V-1と同じ脱硫吸着剤および反応スキームを用いて実験を行った。硫黄充填吸着剤の一部を、第2の流動床式脱硫反応器に、第1の流動床式脱硫反応器の底部から頂部までの高さの50%の位置で導入した。第2の流動床式脱硫反応器において、430℃の反応温度、1.4MPaの反応圧力、12h-1の重量毎時空間速度を含む条件下で脱硫反応を行った。反応リッチガスおよび脱硫吸着剤を、第1の流動床式脱硫反応器に、底部から頂部までの高さの90%の位置で戻した。
【0248】
吸収塔の頂部の圧力は1.806MPa、吸収塔の頂部の温度は55.2℃、吸収塔の底部の温度は67.5℃であった。再吸収塔の頂部の圧力は1.711MPa、再吸収塔の頂部の温度は50.5℃、再吸収塔の底部の温度は62.1℃であった。脱硫乾燥ガスが再吸収塔の頂部で得られた。脱着塔の頂部の圧力は1.838MPa、脱着塔の頂部の温度は85.1℃、脱着塔の底部の温度は160.4℃であった。脱着塔の底部生成物は安定化塔に送った。安定化塔の頂部の圧力は1.202MPa、安定化塔の頂部の温度は65.3℃、安定化塔の底部の温度は185.2℃であった。安定化塔での分留後、脱硫液化ガスおよび脱硫安定化ガソリンが得られた。得られた脱硫乾燥ガス、脱硫液化ガスおよび脱硫安定化ガソリンの特性を表V-3に示す。
【0249】
(実施例V-3)
図1Ebに示す吸着脱硫ユニットの工程フローを採用し、第1の流動床式脱硫反応器の操作条件に380℃の反応温度、2.5MPaの反応圧力、7h
-1の重量毎時空間速度、および60の水素のオイルに対する体積比を含むことを除いて、実施例V-1と同じ脱硫吸着剤および反応スキームを用いて実験を行った。硫黄充填吸着剤の一部を、第2の流動床式脱硫反応器に、第1の流動床式脱硫反応器の底部から頂部までの高さの60%の位置で導入した。第2の流動床式脱硫反応器の操作条件は、445℃の反応温度、1.0MPaの反応圧力、および5h
-1の重量毎時空間速度を含む。反応リッチガスおよび脱硫吸着剤を第2の流動床式脱硫反応器で分離した。脱硫リッチガスを吸収安定化システムに送った。脱硫吸着剤を、第1の流動床式脱硫反応器の底部から頂部までの高さの90%の位置に再循環させた。脱硫粗製ガソリンを第1の反応器で吸着剤から分離した。
【0250】
脱硫リッチガスを吸収塔に底部から導入した。吸収塔の頂部の圧力は1.453MPa、吸収塔の頂部の温度は33.6℃、吸収塔の底部の温度は45.1℃であった。脱硫粗製ガソリンを吸収塔に上部から導入し、物質移動のために向流方式でリッチガスと接触させた。吸収塔の塔頂流を再吸収塔に底部から導入し、物質移動のために向流方式で接触分解分留塔からのライトサイクルオイルと接触させた。再吸収塔の頂部の圧力は1.389MPa、再吸収塔の頂部の温度は35.6℃、再吸収塔の底部の温度は45.7℃であった。再吸収塔の頂部で脱硫乾燥ガスが得られた。再吸収塔の底部で得られた濃縮ライトサイクルオイルを接触分解分留塔に再循環させた。吸収塔の底部生成物は脱着塔で脱着させた。脱着塔の頂部の圧力は1.623MPa、脱着塔の頂部の温度は63.9℃、脱着塔の底部の温度は145.4℃であった。脱着塔の底部生成物は安定化塔に送った。安定化塔の頂部の圧力は0.935MPa、安定化塔の頂部の温度は52.4℃、安定化塔の底部の温度は173.1℃であった。底部生成物は安定化塔で分留して、脱硫液化ガスおよび脱硫安定化ガソリンが得られた。脱着塔の塔頂ガスを吸収塔に再循環させた。得られた脱硫乾燥ガス、脱硫液化ガスおよび脱硫安定化ガソリンの特性を表V-3に示す。
【0251】
(実施例V-4)
第1の流動床式脱硫反応器の操作条件に、430℃の反応温度、1.4MPaの反応圧力、8h-1の重量毎時空間速度、および200の水素のオイルに対する体積比を含むことを除いて、実施例V-3と同じ脱硫吸着剤および反応スキームを用いて実験を行った。硫黄充填吸着剤の一部を、第2の流動床式脱硫反応器に、第1の流動床式脱硫反応器の底部から頂部までの高さの30%の位置から導入した。第2の流動床式脱硫反応器の操作条件は380℃の反応温度、0.5MPaの反応圧力、1h-1の重量毎時空間速度を含み、反応リッチガスおよび脱硫吸着剤を第2の流動床式脱硫反応器で分離した。脱硫リッチガスを吸収安定化システムに送った。脱硫吸着剤を、第1の流動床式脱硫反応器の底部から頂部までの高さの80%の位置に再循環させた。
【0252】
吸収塔の頂部の圧力は1.286MPa、吸収塔の頂部の温度は30.5℃、吸収塔の底部の温度は40.2℃とし、再吸収塔の頂部の圧力は1.175MPa、再吸収塔の頂部の温度は31.8℃、再吸収塔の底部の温度は41.4℃であった。再吸収塔の頂部で脱硫乾燥ガスが得られた。脱着塔の頂部の圧力は1.539MPa、脱着塔の頂部の温度は58.6℃、脱着塔の底部の温度は137.8℃であった。底部生成物は安定化塔に送った。安定化塔の頂部の圧力は0.783MPa、安定化塔の頂部の温度は45.1℃、安定化塔の底部の温度は153.3℃であった。安定化塔で分留することによって脱硫液化ガスおよび安定化ガソリンが得られた。得られた脱硫乾燥ガス、脱硫液化ガスおよび脱硫安定化ガソリンの特性を表V-3に示す。
【0253】
【0254】
表V-3から分かるように、本出願に係る接触分解軽質生成物を脱硫するための方法は乾燥ガスおよび液化ガスの脱硫を同時に実現することができる。液化ガスの収率は0.1%増加し、軽質オレフィンの飽和率は低く、安定化ガソリンの収率は0.4~0.5%増加し、安定化ガソリンのオレフィン飽和率は1.8~5%減少し、リサーチオクタン価(RON)損失値はより小さい。
【0255】
(実施例VI-1)
接触分解分留塔からのリッチガスおよび粗製ガソリンを原料として使用し、最初に脱硫のために吸着脱硫反応ユニットに導入し、次いで分離のために吸収安定化ユニットに導入した。吸着脱硫ユニットの工程フローを
図1Fに示し、吸収安定化ユニットの工程フローを
図2に示す。第1の流動床式脱硫反応器は小型固定流動床式反応器、第2の流動床式脱硫反応器は向流反応器、脱硫吸着剤はFCASであった。還元器からの脱硫吸着剤を第1の流動床式脱硫反応器に底部から導入し、接触分解分留塔からの粗製ガソリンおよび水素を第1の流動床式脱硫反応器に底部から導入し、吸着脱硫のために脱硫吸着剤と接触させた。反応後に反応オイルガスおよび脱硫吸着剤を分離して、脱硫粗製ガソリンと水素との混合物が得られた。吸着剤床の頂部の脱硫吸着剤の一部分を反応器の受容塔に導入し、他の一部分を第2の流動床式脱硫反応器の上部に導入した。第1の流動床式脱硫反応器は、その底部から頂部までの高さの80%の位置で、第2の流動床式脱硫反応器の底部から頂部までの高さの90%の位置と連通していた。接触分解分留塔からのリッチガスを第2の流動床式脱硫反応器に底部から導入し、物質移動のために向流方式で脱硫吸着剤と接触させ、第2の流動床式脱硫反応器の上部で分離し、脱硫リッチガスが得られた。第1の流動床式脱硫反応器の操作条件は、400℃の反応温度、1.8MPaの反応圧力、7h
-1の重量毎時空間速度、および75の水素のオイルに対する体積比を含んでいた。第2の流動床式脱硫反応器の操作条件は、430℃の反応温度、2.0MPaの反応圧力、および10h
-1の重量毎時空間速度を含んでいた。脱硫リッチガスを吸収塔に底部から導入した。吸収塔の頂部の圧力は1.428MPa、吸収塔の頂部の温度は30.6℃、吸収塔の底部の温度は45.1℃であった。脱硫粗製ガソリンを吸収塔に上部から導入し、物質移動のために向流方式でリッチガスと接触させた。吸収塔の塔頂流を再吸収塔に底部から導入し、物質移動のために向流方式で接触分解分留塔からのライトサイクルオイルと接触させた。再吸収塔の頂部の圧力は1.220MPa、再吸収塔の頂部の温度は31.2℃、再吸収塔の底部の温度は56.3℃であった。脱硫乾燥ガスは再吸収塔の頂部で得られた。再吸収塔の底部で得られた濃縮ライトサイクルオイルを接触分解分留塔に再循環させた。吸収塔の底部生成物を脱着塔で脱着させた。脱着塔の頂部の圧力は1.621MPa、脱着塔の頂部の温度は85.1℃、脱着塔の底部の温度は153.6℃であった。脱着塔の底部生成物は安定化塔に送った。安定化塔の頂部の圧力は0.901MPa、安定化塔の頂部の温度は62.1℃、安定化塔の底部の温度は143.2℃であった。底部生成物は安定化塔で分留して、脱硫液化ガスおよび脱硫安定化ガソリンが得られた。脱着塔の塔頂ガスは吸収塔に再循環させた。得られた脱硫乾燥ガス、脱硫液化ガスおよび脱硫安定化ガソリンの特性を表VI-3に示す。
【0256】
(実施例VI-2)
第1の流動床式脱硫反応器を430℃の反応温度、1.4MPaの反応圧力、8h-1の重量毎時空間速度、および100の水素のオイルに対する体積比を含む反応条件下で操作したことを除いて、実施例VI-1と同じ反応スキームおよび脱硫吸着剤を使用して実験を行った。接触分解分留塔からのリッチガスを430℃に予熱し、次いで第2の流動床式脱硫反応器に導入し、反応温度445℃、反応圧力0.5MPa、重量毎時空間速度12h-1を含む反応条件下で反応させ、第1の流動床式脱硫反応器で脱硫粗製ガソリンおよび水素が得られ、第2の流動床式脱硫反応器で脱硫リッチガスが得られた。第1の流動床式脱硫反応器は、その底部から頂部までの高さの60%の位置で、第2の流動床式脱硫反応器の底部から頂部までの高さの80%の位置と連通していた。脱硫リッチガスを吸収塔に底部から導入した。吸収塔の頂部の圧力は1.425MPa、吸収塔の頂部の温度は31.6℃、吸収塔の底部の温度は42.1℃であった。脱硫粗製ガソリンを吸収塔に上部から導入し、物質移動のために向流方式でリッチガスと接触させた。吸収塔の塔頂流を再吸収塔に底部から導入し、物質移動のために向流方式で接触分解分留塔からのライトサイクルオイルと接触させた。再吸収塔の頂部の圧力は1.119MPa、再吸収塔の頂部の温度は33.6℃、再吸収塔の底部の温度は46.5℃であった。脱硫乾燥ガスは再吸収塔の頂部で得られた。再吸収塔の底部で得られた濃縮ライトサイクルオイルを接触分解分留塔に再循環させた。吸収塔の底部生成物を脱着塔で脱着させた。脱着塔の頂部の圧力は1.521MPa、脱着塔の頂部の温度は71.6℃、脱着塔の底部の温度は138.4℃であった。脱着塔の底部生成物は安定化塔に送った。安定化塔の頂部の圧力は0.786MPa、安定化塔の頂部の温度は61.3℃、安定化塔の底部の温度は140.6℃であった。底部生成物は安定化塔で分留して、脱硫液化ガスおよび脱硫安定化ガソリンが得られた。脱着塔の塔頂ガスは吸収塔に再循環された。得られた脱硫乾燥ガス、脱硫液化ガスおよび脱硫安定化ガソリンの特性を表VI-3に示す。
【0257】
【0258】
表VI-3の結果から分かるように、本出願の方法はガソリン、乾燥ガスおよび液化ガスの脱硫を同時に実現することができる。液化ガスの収率は0.1%増加し、エチレンおよびプロピレンの飽和速度はより低い。安定化ガソリンの収率は0.4~0.5%増加し、ガソリン中のオレフィン飽和率は減少し、オクタン価損失は減少する。
【0259】
本出願は好ましい実施形態を参照して上記に詳細に説明されているが、これらの実施形態に限定されることを意図していない。本出願の発明思想に従い、様々な改変が可能であり、これらの改変は本出願の範囲内である。
【0260】
なお、上記実施形態で説明した種々の技術的特徴は矛盾することなく適宜組み合わせてもよく、不必要な繰り返しを避けるために、本出願では種々の可能な組み合わせを記載していないが、その組み合わせも本出願の範囲に含まれるものとする。
【0261】
また、本出願の趣旨から逸脱しない限り、本出願の様々な実施形態を任意に組み合わせることができ、そのような組み合わせた実施形態は、本出願の開示とみなすべきである。
【図面の簡単な説明】
【0262】
【
図1A】本出願の第1のタイプの実施形態である吸着脱硫ユニットの好ましい実施形態の系統図である。
【
図1B】本出願の第2のタイプの実施形態による吸着脱硫ユニットの好ましい実施形態の系統図である。
【
図1C】本出願の第3のタイプの実施形態による吸着脱硫ユニットの好ましい実施形態の系統図である。
【
図1D】本出願の第4のタイプの実施形態による吸着脱硫ユニットの好ましい実施形態の系統図である。
【
図1Ea】本出願の第5のタイプの実施形態による吸着脱硫ユニットの好ましい実施形態の系統図である。
【
図1Eb】本出願の第5のタイプの実施形態による吸着脱硫ユニットの別の好ましい実施形態の系統図である。
【
図1F】本出願の第6のタイプの実施形態による吸着脱硫ユニットの好ましい実施形態の系統図である。
【
図2】本出願による吸収安定化ユニットの好ましい実施形態の系統図である。
【国際調査報告】