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特表2023-500564車両の物理要素の配置を確認及び/又は設定するための方法及び装置であって方法及び装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-10
(54)【発明の名称】車両の物理要素の配置を確認及び/又は設定するための方法及び装置であって方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 30/15 20200101AFI20221227BHJP
   G06F 3/01 20060101ALI20221227BHJP
   G06F 30/20 20200101ALI20221227BHJP
   G06F 111/18 20200101ALN20221227BHJP
【FI】
G06F30/15
G06F3/01 510
G06F30/20
G06F111:18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022518922
(86)(22)【出願日】2020-09-29
(85)【翻訳文提出日】2022-05-17
(86)【国際出願番号】 IB2020059089
(87)【国際公開番号】W WO2021064563
(87)【国際公開日】2021-04-08
(31)【優先権主張番号】102019000017573
(32)【優先日】2019-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505252296
【氏名又は名称】イタルデザイン-ジュジアーロ・ソシエタ・ペル・アチオニ
【氏名又は名称原語表記】ITALDESIGN-GIUGIARO S.p.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【弁理士】
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(72)【発明者】
【氏名】リベット,ファブリツィオ
(72)【発明者】
【氏名】タンマーロ,エレナ フラミニア ディルチェ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルサニア,マルコ
(72)【発明者】
【氏名】ピッチョーニ,マティルデ
(72)【発明者】
【氏名】ゴリアンツ,レーモ
(72)【発明者】
【氏名】フォルリン,ロベルト
(72)【発明者】
【氏名】ベルモンテ,ヴィンチェンツォ
【テーマコード(参考)】
5B146
5E555
【Fターム(参考)】
5B146AA05
5B146DJ11
5B146EA02
5E555AA64
5E555BA02
5E555BA38
5E555BA70
5E555BB02
5E555BB38
5E555BC04
5E555BE17
5E555CA44
5E555CA45
5E555CB21
5E555CB66
5E555CC05
5E555EA08
5E555FA00
(57)【要約】
車両の物理要素の配置を確認及び/又は設定するための方法及び装置。車両の物理要素の配置を確認および/または設定するための方法は、
- 車両の物理要素の配置をシミュレートするように適合された試験装置(9)を用意するステップで、前記試験装置(9)は、1つ又は複数の物理要素(12、14、16、18、20、22)が、支持構造(10)に対して調節可能に接合される支持構造(10)を備えるステップと、
- 試験装置の支持構造(10)に対する1つ又は複数の物理要素(12、14、16、18、20、22)の配置を代表する仮想モデルを取得または処理し、前記配置に従ってそれらを物理的に位置付け、支持構造(10)に対する位置が分かっている第1の基準点を定義し、前記第1の基準点と仮想現実ビューア上の第2の基準点との間の相対距離を測定するステップと、
- 前記ビューアを介して前記ユーザと前記電子処理ユニットとを接続するステップと、
-前記ユーザの動きを示すデータを取得して前記電子処理ユニットに送信するステップを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の物理要素の配置を確認および/または構成するための方法であって、
(a)車両の物理要素の配置をシミュレートするように構成された試験装置(9)を提供するステップであって、
前記試験装置(9)は、1つまたは複数の物理要素(12、14、16、18、20、22)が関連付けられる支持構造(10)を含み、
前記物理要素の位置および/または向きが支持構造(10)に対して調整可能で、
前記物理要素(12、14、16、18、20、22)が、少なくとも1つの座席(12)、および/または1つのステアリングホイール(14)、および/または1つのペダルボード(16)、および/または1つの屋根(18)、少なくとも1つのドア、および/または試験装置(9)の使用者のための1つの肘掛け、および/または1つのトランク区画を含む、試験装置(9)を提供するステップと、
(b)電子処理ユニットによって、前記試験装置の支持構造(10)に対する前記1つまたは複数の物理要素(12、14、16、18、20、22)の配置を代表する仮想モデルを取得または処理するステップと、
(c)前記支持構造(10)に対する前記物理要素(12、14、16、18、20、22)の位置及び/又は向きが前記仮想モデルにおける対応する1つ又は複数の物理要素の位置及び/又は向きに一致するように、ステップ(b)の前記配置に従って前記1つ又は複数の物理要素(12、14、16、18、20、22)を配置するステップと、
(d)仮想現実ビューアによって前記ユーザを前記電子処理ユニットにインターフェースするステップであって、ステップ(b)の前記仮想モデルが所定の視点(POV)から表示されるステップ、および
(e)ユーザの動きを示すデータを取得して前記電子処理ユニットに送信するステップを含み、
前記ステップ(c)は、
(c1) 第1の基準点を定義するステップであって、支持構造(10)に対する前記第1の基準点の位置が既知であるステップと、
(c2) 前記第1の基準点と前記仮想現実ビューア上の第2の基準点との間の相対距離を測定するステップと、
(c3) 前記電子処理ユニットを介して、前記ステップ(c2)で測定された相対距離に応じて、前記仮想現実ビューアの視点(POV)を位置決めすることを含む、方法。
【請求項2】
前記ステップ(c)は、前記1つ又は複数の物理要素(12、14、16、18、20、22)の位置及び/又は向きが、予め処理された又は予め取得された前記仮想モデルにおける前記支持構造の部品の位置及び/又は向きに一致するまで、前記支持構造(10)に関連して特定された、予め定められた一つ又は複数の基準点(P、O、H)からのそれらの距離の関数として、前記一つ又は複数の物理要素を移動することによって行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1つ又は複数の物理要素(12、14、16、18、20、22)は、前記1つ又は複数の物理要素の位置及び/又は向きが、ユーザの踵の標準位置を示す踵点(P)に対するユーザの踵の特定の配置を決定するまで移動される、及び/又は、
前記1つ又は複数の物理要素の位置及び/又は向きが、ユーザの足の位置を示すヒールポイント(O)に対するユーザの足の特定の配置を決定するまで移動される、及び/又は、
前記1つ又は複数の物理要素の位置及び/又は向きが、車両の前部に対する最後部及び最下部のシート位置(12)を示すシートポイント(H)に対するシート(12)の特定の配置を決定するまで移動させる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
(f)前記電子処理ユニットによって、ステップ(b)で得られた前記仮想モデルを処理し、車両の内部および/または外部の要素を代表する仮想要素をさらに含む統合仮想モデルを得て車両の実際の使用状態をシミュレートするステップをさらに含む、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
(g)ユーザを複数のウェアラブルセンサにインターフェースするステップであって、前記複数のウェアラブルセンサは、それぞれが空間における位置及び/又は動きを示す信号を送信するように構成されている、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
(c)は、電気機械的調整によって実施される、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
車両の物理要素の配置を確認するための試験装置(9)であって、
- 支持構造(10)であって、
前記支持構造(10)に対して位置および/または向きが調整可能な1つまたは複数の物理要素(12、14、16、18、20、22)に連結され、
前記物理要素は、少なくともシート(12)、ステアリングホイール(14)、ペダルボード(16)、屋根(18)、少なくとも一つのドア、試験装置の使用者の肘掛け、および/またはトランク収納部、を含む、支持構造(10)と、
- 試験装置(9)の支持構造(10)に対する前記1つ又は複数の物理要素(12、14、16、18、20、22)の配置を示す仮想モデルを取得または処理するように構成された電子処理ユニットと、
- 所定の視点(POV)から前記仮想モデルを表示するように構成された仮想現実ビューアと、
- ユーザの動きを示すデータを取得し、前記電子処理ユニットに送信するように構成された取得手段及び送信手段を含み、
-前記電子処理ユニットは、前記支持構造(10)に対する位置が既知である第1の基準点と前記仮想現実ビューア上の第2の基準点との間の相対距離に従って前記仮想現実ビューアの視点(POV)を位置付けるように構成された、試験装置。
【請求項8】
前記取得手段は、複数のウェアラブルセンサを備え、
前記複数のウェアラブルセンサはそれぞれ、空間における位置及び/又は運動を示す信号を送信するように構成された構成されている、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記支持構造(10)に対する前記1つ又は複数の物理要素(12、14、16、18、20、22)の位置および/または向きを調整するように適合された電気機械的調整手段(26)をさらに備える、請求項7または8に記載の装置。
【請求項10】
支持構造(10)が、車両の前記1つ又は複数の物理要素(12、14、16、18、20、22)を摺動および/または枢動可能に支持するように構成されたレール(10a)および/または伸縮柱(10b)を備える、請求項7から9までのいずれかに記載の装置。
【請求項11】
前記電子処理ユニットは、前記車両の内部及び/又は外部の要素を代表する仮想要素をさらに含む統合仮想モデルを得るように、前記仮想モデルを処理するようにさらに構成されている、請求項7から10のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概略、試験の方法および装置の分野であり、特に、本発明は、車両の物理要素の配置を確認しおよび/または構成するための方法および装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両モックアップの外壁に2Dで投影される仮想環境との相互作用を利用して、実際の使用条件をシミュレートする、車両乗客コンパートメントの物理的部品の配置を調整するための試験装置が知られている。
【0003】
この装置の例は、US2015/0228199号公報から知られており、この装置は、複数の可動部品を含むプラットフォームを例示し、その周囲に、プロジェクタによって、乗客コンパートメントの外部の条件を代表する、仮想シーンを生成することが可能である。
【0004】
前述の先行技術文献による装置は、装置を構成する様々な物理要素の位置決めを行い、後者を所定の動作位置に構成することが可能である。
【0005】
それにもかかわらず、前述の文献による試験装置は、物理要素の調整手順から生じるこの構成の、実際の車両の構造および動作条件との対応を完全に評価することを可能にせず、また、シミュレーションの経験が可能な限り多様な実際の車両構成に及ぶように(例えば、乗客区画の内部を完全に複製することによって、すなわち、試験装置に物理的に含まれない仕上げ、色、または車両構成要素などのその特徴も再現して)十分に没入できる複雑な仮想環境を生成することも不可能である。
【0006】
これらの要因は、当然のことながら、試験条件と車両の実際の使用条件との間の具体的な重複を制限するものである。
【0007】
これらの欠点を克服するために、先行技術では、車両の乗客室などの実環境に仮想シーンを重畳することを意図した複数の解決策が考えられている。そのような解決策の例が、DE 10 2015 003884 A1号公報、US 7 761 269 B1号公報及びEP 1 533 683 A2号公報から知られており、仮想及び実環境の重ね合わせは、ユーザの身体上に分布する複数のマーカの動きの写真測量検出(いわゆる「モーションキャプチャー」技術を使用)によって実施される。
【0008】
この手法の特徴は、物理的な実体の動きや配置が、仮想シーン内でこれらの実体が直接とる位置に基づいてシミュレートされるため、外部基準系が存在しないことである。事実上、ある瞬間の物体の位置は、これらの物理要素に関連するマーカの位置を捕捉する光学装置によって記録され、光学装置からの結果の信号は、仮想グリッドまたは背景に投影され、物体の動きは仮想背景に対してマーカが二つの異なる瞬間に取り得る位置の差として検出され、これが固有基準系を構成する。
【0009】
外部基準系を割り当てるための方法がない場合、物理環境と仮想シーンの位置合わせがより複雑になるため、シミュレーションの計算コストが増加することになる。
【発明の概要】
【0010】
この発明の目的は、前述の問題を克服することである。
【0011】
この結果を得るために、この発明による方法は試験装置を準備する複数のステップを提供する。その試験装置は、位置および/または向きが調整可能な1つまたは複数の物理要素を含み、その特定の構造(例えば、スポーツ車両および商業車両の構成などを参考に、人間工学、デザイン適合性、美的性能などのその特徴を評価する試験に付される)を、電子処理ユニットによって仮想モデルを処理または取得することによって、予め決定する。
【0012】
次に、装置の物理要素が調整され、その位置及び/又は向きが、仮想モデルにおいて同じ要素が有する位置及び/又は向きに一致するようになる。
【0013】
その後、車両のユーザは、バーチャルリアリティビューワによってこの電子処理ユニットとインターフェースし、ユーザは仮想モデルに完全に没入することができるようになる。
【0014】
これにより、試験装置に物理的な対応物がない車両の部分(例えば、試験装置が同等の要素を有していない場合に、ある形状に従って輪郭付けされたダッシュボード)、及び/又は試験装置の対応する物理的な部分が有していない特徴(色や仕上げなど)を付与したい部分を含め、仮想環境において実際の車両をほぼ完全に再現してモデル化することも可能となる。
【0015】
この方法は、さらに、物理的環境においてその位置が既知である第1の基準点を定義し、ビューア上の第2の基準点からの距離を測定し、その後、その距離に従って、ユーザの視点がビューア上に位置決めされることを提供する。
【0016】
このように、ユーザの視点と仮想モデルが連動しているため、ユーザが仮想モデルを見る部分は、ユーザの頭の実際の動きに依存することになる。
【0017】
前述の及び他の目的及び利点は、本発明の一態様によれば、添付の請求項に定義された特徴を有する方法及び装置によって達成される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
次に、本発明による方法および装置のいくつかの好ましい実施形態の機能的および構造的特徴について説明する。添付の図面を参照すると、以下の通りである。
【0019】
図1図1は、この発明の一実施形態による試験装置の概略透視図である。
図2図2は、図1の試験装置の模式的な側面図である。
図3図3A及び図3Bはそれぞれ、この発明の実施形態による、試験装置に組み込まれ得る座席の側面概略図、およびこの座席の拡大図である。
図4図4は、この発明の実施形態による、試験装置に組み込まれ得るステアリングホイールの模式的透視図である。
図5図5A及び図5Bはそれぞれ、この発明の実施形態による、車両の屋根を模擬する構造体(試験装置に組み込まれてもよい)、およびこの構造体の拡大図の概略透視図である。
図6図6Aから図6Dはそれぞれ、この発明の実施形態による、試験装置に組み込まれ得るペダルボード、およびこのペダルボードの複数の拡大図の概略透視図である。
図7-8】図7Aから図8Bはそれぞれ、車両の物理要素の配置を確認および/または構成するための方法のステップの概略図であり、試験装置の部品が、基準点(それぞれ、ユーザの踵の標準位置を示す点、ユーザの足の位置を示す点である。及び車両の前部に対する座席の最後部及び最下部の位置を示す点)に配置され、試験装置の支持構造に対するこれらの装置の部品の位置及び/又は方向が、本発明の実施形態によれば、前処理された又は事前に取得された仮想モデルにおいてこれらの部品が有する位置及び/又は方向と一致するようにされる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の複数の実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、以下の説明で示される、または図面に示される構成要素の構造の詳細および構成にその適用が限定されないことを明確にしておく必要がある。本発明は、他の実施形態を想定することが可能であり、実際に異なる方法で実施または構成することが可能である。また、言い回しや用語は説明のためのものであり、限定的に解釈されるべきではないことを理解されたい。
【0021】
図1を例として参照すると、車両の物理要素の配置を確認および/または構成するための方法は、車両の物理要素の配置を模擬するように適合された試験装置9を準備するステップを含んでいる。
【0022】
この試験装置9は、支持構造体10を備え、この支持構造体10に1つ又は複数の物理要素12、14、16、18、20、22が接合され、その位置及び/又は方向が支持構造体10に対して調節可能である。
【0023】
前記物理要素12、14、16、18、20、22は、少なくとも座席12、及び/又はハンドル14、及び/又はペダルボード16、及び/又は屋根18、及び/又は少なくとも1つのドア、及び/又は試験装置9のユーザ用のアームレスト、及び/又はトランクとして用いられる区画を有する。
【0024】
本方法は、さらに、以下のステップを含む。
電子処理ユニットによって、試験装置の支持構造10に対する1つ又は複数の物理要素12、14、16、18、20、22の配置を代表する仮想モデルを取得または処理するステップと、
前記支持構造10に対する前記1つ又は複数の物理要素12、14、16、18、20、22の位置および/または向きが前記仮想モデルにおける対応する1つ又は複数の物理要素の位置および/または向きに一致するように、前記配置に従って1つ又は複数の物理要素12、14、16、18、20、22を配列するステップと、
前記仮想モデルが所定の視点POVから表示される仮想現実ビューアによって、前記ユーザと前記電子処理ユニットとをインターフェースするステップと、
前記ユーザの動きを示すデータを取得するステップと、
前記電子処理ユニットに送信するステップと、を含む。
【0025】
このようにして、ユーザは、仮想環境に完全に没入し、試験される車両の人間工学的、構造的及び美的適合性を評価する機会を得ることになる。
【0026】
仮想モデルは、例えば、CAD/CAE/CAMプラットフォームを使用して処理または取得されてもよい。
【0027】
本方法は、
第1の基準点を定義するステップであって、支持構造10に対するその位置が既知であるステップと、
前記第1の基準点とビューワ上の第2の基準点との間の相対距離を測定するステップと、前記処理装置を介して、前記第1の基準点と前記第2の基準点との間の相対距離を測定するステップと、
前記処理装置を介して、前記相対距離の関数として、前記ビューアの前記視点POVを位置決めするステップを、含む。
【0028】
実施形態によれば、1つ又は複数の物理要素12、14、16、18、20、22を、それらの位置及び/又は向きが前記仮想モデルにおける対応する1つ又は複数の物理要素の位置及び/又は向きと一致するように配置する前記ステップは、1つ又は複数の物理要素12、14、16、18、20の位置及び/又は向きが、装置のこれらの部分が前処理又は事前取得された仮想モデルにおいて有する位置及び/又は向きと一致するまで、支持構造10に対して特定された1つ又は複数の所定の基準点P、O、Hからのそれらの距離の関数として、1つ又は複数の物理要素12、14、16、18、20、22を動かすことによって、実行される。
【0029】
例えば、1つ又は複数の物理要素12、14、16、18、20、22は、それらの位置及び/又は向きが、(図7Aに例示しているように)ユーザの踵の標準位置を示す踵点Pに対するユーザの踵の特定の配置を決定するまで移動されてもよい、および/または、
それらの位置および/または向きが、(図7Bに例として示されるように)ユーザの足の位置を示すヒールポイントOに対するユーザの足の特定の配置を決定する移動されてもよい、および/または、
それらの位置および/または向きが、(図8Aおよび8Bに例として示されるように)車両の前部に対する座席の最後方位置および最下方位置を示すシートポイントHに対する座席12の特定の配置を決定するまで移動されてもよい。
これら基準点P、O、Hの位置は、一般に、従来の型式承認仕様書に従って予め定められている。
【0030】
好都合には、前記電子処理ユニットを用いて、前記仮想モデルを処理し、車両の実際の使用状態をシミュレートするために、車両の内部及び/又は外部の要素を代表する仮想要素をさらに含む統合仮想モデルを得るステップもある。このステップは、例えば、オートデスク社から配布されている頭文字VRED(登録商標)として商業的に知られているプログラムなどの仮想レンダリング及びプロトタイピングソフトウェアを使用することによって得ることができる。
【0031】
実施形態によれば、本方法は、ユーザを、空間におけるその位置及び/又は動きを代表する信号を送信することができる複数のウェアラブルセンサとインタフェースさせるステップを含む。このステップは、例えば、写真測量システムによって、それ自体既知のいわゆる「モーションキャプチャ」デバイスによって、実施することが可能である。
【0032】
実施形態によれば、仮想モデルにおいてそれによって想定される位置及び/又は方向に従って物理要素12、14、16、18、20、22を配置する前述のステップは、電気機械的調整によって実施される。
【0033】
さらに、車両の物理要素の配置を確認するための試験装置9は、
1つ又は複数の物理要素12、14、16、18、20、22が接合される支持構造10を有する。物理要素12、14、16、18、20、22の位置および/または向きは支持構造10に対して調節可能である。物理要素は、少なくともシート12、および/またはステアリングホイール14、および/またはペダルボード16、および/または屋根18、および/または少なくとも一つのドア、および/または試験装置のユーザ用のアームレスト、および/またはトランクとして使われる区画が含まれる。
試験装置9はまた、
試験装置9の支持構造10に対する1つ又は複数の物理要素12、14、16、18、20、22の配置を代表する仮想モデルを取得または処理するように構成された電子処理ユニットと、
所定の視点POVから前記仮想モデルを見るように構成された仮想現実ビューアと、
ユーザの動きを示すデータを取得して前記電子処理ユニットに送信するようにそれぞれ構成された取得および送信手段を備えている。
前記電子処理ユニットは、前記支持構造体10に対する相対位置が既知である第1の基準点と、前記視聴者上の第2の基準点との間の相対距離の関数として、前記視聴者の視点POVを位置付けるように構成される。
【0034】
実施形態によれば、前記取得手段は、複数のウェアラブルセンサ(図示せず)を有し、各々のウェアラブルセンサが、空間におけるその位置及び/又はその動きを代表する信号を送信するように構成される。
【0035】
好都合なことに、試験装置9は、支持構造体10に対する1つ以上の内部物理要素12、14、16、18、20、22の位置および/または向きを調整するように構成された電気機械的調整手段26をさらに備える。
【0036】
好ましくは、支持構造体10は、車両の1つ又は複数の物理要素12、14、16、18、20、22を摺動および/または枢動可能に支持するように構成されたレール10aおよび/または伸縮柱10bを有する。
【0037】
好ましい実施形態によれば、前記電子処理ユニットは、前記仮想モデルを処理して、車両の内部及び/又は外部の要素を代表する仮想要素をさらに含む統合仮想モデルを得るようにさらに構成される。
【0038】
本発明による、車両の物理要素の配置を確認および/または構成するための方法および装置の様々な側面および実施形態が説明されてきた。各実施形態は、他の任意の実施形態と組み合わせることができることが理解される。さらに、本発明は、説明した実施形態に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって定義される範囲内で変化させることができる。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5A-5B】
図6A-6D】
図7A
図7B
図8A-8B】
【手続補正書】
【提出日】2021-05-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の物理要素の配置を確認および/または構成するための方法であって、
(a)車両の物理要素の配置をシミュレートするように構成された試験装置(9)を提供するステップであって、
前記試験装置(9)は、1つまたは複数の物理要素(12、14、16、18、20、22)が関連付けられる支持構造(10)を含み、
前記物理要素の位置および/または向きが支持構造(10)に対して調整可能で、
前記物理要素(12、14、16、18、20、22)が、少なくとも1つの座席(12)、および/または1つのステアリングホイール(14)、および/または1つのペダルボード(16)、および/または1つの屋根(18)、少なくとも1つのドア、および/または試験装置(9)の使用者のための1つの肘掛け、および/または1つのトランク区画を含む、試験装置(9)を提供するステップと、
(b)電子処理ユニットによって、前記試験装置の支持構造(10)に対する前記1つまたは複数の物理要素(12、14、16、18、20、22)の配置を代表する仮想モデルを取得または処理するステップと、
(c)前記支持構造(10)に対する前記物理要素(12、14、16、18、20、22)の位置及び/又は向きが前記仮想モデルにおける対応する1つ又は複数の物理要素の位置及び/又は向きに一致するように、ステップ(b)の前記配置に従って前記1つ又は複数の物理要素(12、14、16、18、20、22)を配置するステップと、
(d)仮想現実ビューアによって前記ユーザを前記電子処理ユニットにインターフェースするステップであって、ステップ(b)の前記仮想モデルが所定の視点(POV)から表示されるステップ、および
(e)ユーザの動きを示すデータを取得して前記電子処理ユニットに送信するステップを含み、
前記ステップ(c)は、
(c1) 第1の基準点を定義するステップであって、支持構造(10)に対する前記第1の基準点の位置が既知であるステップと、
(c2) 前記第1の基準点と第2の基準点との間の相対距離を測定するステップであって、前記第2の基準点は前記仮想現実ビューア上にある、ステップと、
(c3) 前記電子処理ユニットを介して、前記ステップ(c2)で測定された相対距離に応じて、前記仮想現実ビューアの視点(POV)を位置決めすることを含
前記ステップ(c)は、前記1つ又は複数の物理要素(12、14、16、18、20、22)の位置及び/又は向きが、予め処理された又は予め取得された前記仮想モデルにおける前記支持構造の部品の位置及び/又は向きに一致するまで、前記支持構造(10)に関連して特定された、予め定められた一つ又は複数の基準点(P、O、H)からのそれらの距離の関数として、前記一つ又は複数の物理要素を移動することによって行われ、
前記1つ又は複数の物理要素(12、14、16、18、20、22)は、前記1つ又は複数の物理要素の位置及び/又は向きが、ユーザの踵の標準位置を示す踵点(P)に対するユーザの踵の特定の配置を決定するまで移動される、方法。
【請求項2】
(f)前記電子処理ユニットによって、ステップ(b)で得られた前記仮想モデルを処理し、車両の内部および/または外部の要素を代表する仮想要素をさらに含む統合仮想モデルを得て車両の実際の使用状態をシミュレートするステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
(g)ユーザを複数のウェアラブルセンサにインターフェースするステップであって、前記複数のウェアラブルセンサは、それぞれが空間における位置及び/又は動きを示す信号を送信するように構成されている、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
(c)は、電気機械的調整によって実施される、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
車両の物理要素の配置を確認するための試験装置(9)であって、
- 支持構造(10)であって、
前記支持構造(10)に対して位置および/または向きが調整可能な1つまたは複数の物理要素(12、14、16、18、20、22)に連結され、
前記物理要素は、少なくともシート(12)、ステアリングホイール(14)、ペダルボード(16)、屋根(18)、少なくとも一つのドア、試験装置の使用者の肘掛け、および/またはトランク収納部、を含む、支持構造(10)と、
- 試験装置(9)の支持構造(10)に対する前記1つ又は複数の物理要素(12、14、16、18、20、22)の配置を示す仮想モデルを取得または処理するように構成された電子処理ユニットと、
- 所定の視点(POV)から前記仮想モデルを表示するように構成された仮想現実ビューアと、
- ユーザの動きを示すデータを取得し、前記電子処理ユニットに送信するように構成された取得手段及び送信手段を含み、
-前記電子処理ユニットは、前記支持構造(10)に対する位置が既知である第1の基準点と前記仮想現実ビューア上の第2の基準点との間の相対距離に従って前記仮想現実ビューアの視点(POV)を位置付けるように構成された、試験装置。
【請求項6】
前記取得手段は、複数のウェアラブルセンサを備え、
前記複数のウェアラブルセンサはそれぞれ、空間における位置及び/又は運動を示す信号を送信するように構成された構成されている、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記支持構造(10)に対する前記1つ又は複数の物理要素(12、14、16、18、20、22)の位置および/または向きを調整するように適合された電気機械的調整手段(26)をさらに備える、請求項5または6に記載の装置。
【請求項8】
支持構造(10)が、車両の前記1つ又は複数の物理要素(12、14、16、18、20、22)を摺動および/または枢動可能に支持するように構成されたレール(10a)および/または伸縮柱(10b)を備える、請求項5から7までのいずれかに記載の装置。
【請求項9】
前記電子処理ユニットは、前記車両の内部及び/又は外部の要素を代表する仮想要素をさらに含む統合仮想モデルを得るように、前記仮想モデルを処理するようにさらに構成されている、請求項5から8のいずれか一項に記載の装置。
【手続補正書】
【提出日】2022-05-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
図1図1は、この発明の一実施形態による試験装置の概略透視図である。
図2図2は、図1の試験装置の模式的な側面図である。
図3図3A及び図3Bはそれぞれ、この発明の実施形態による、試験装置に組み込まれ得る座席の側面概略図、およびこの座席の拡大図である。
図4図4は、この発明の実施形態による、試験装置に組み込まれ得るステアリングホイールの模式的透視図である。
図5図5A及び図5Bはそれぞれ、この発明の実施形態による、車両の屋根を模擬する構造体(試験装置に組み込まれてもよい)、およびこの構造体の拡大図の概略透視図である。
図6図6Aから図6Dはそれぞれ、この発明の実施形態による、試験装置に組み込まれ得るペダルボード、およびこのペダルボードの複数の拡大図の概略透視図である。
図7図7Aから図7Bはそれぞれ、車両の物理要素の配置を確認および/または構成するための方法のステップの概略図であり、試験装置の部品が、基準点(それぞれ、ユーザの踵の標準位置を示す点、ユーザの足の位置を示す点である。及び車両の前部に対する座席の最後部及び最下部の位置を示す点)に配置され、試験装置の支持構造に対するこれらの装置の部品の位置及び/又は方向が、本発明の実施形態によれば、前処理された又は事前に取得された仮想モデルにおいてこれらの部品が有する位置及び/又は方向と一致するようにされる。
図8図8Aから図8Bはそれぞれ、車両の物理要素の配置を確認および/または構成するための方法のステップの概略図であり、試験装置の部品が、基準点(それぞれ、ユーザの踵の標準位置を示す点、ユーザの足の位置を示す点である。及び車両の前部に対する座席の最後部及び最下部の位置を示す点)に配置され、試験装置の支持構造に対するこれらの装置の部品の位置及び/又は方向が、本発明の実施形態によれば、前処理された又は事前に取得された仮想モデルにおいてこれらの部品が有する位置及び/又は方向と一致するようにされる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正の内容】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】