(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-10
(54)【発明の名称】引き出し同期レール
(51)【国際特許分類】
A47B 88/447 20170101AFI20221227BHJP
【FI】
A47B88/447
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022524145
(86)(22)【出願日】2020-01-20
(85)【翻訳文提出日】2022-04-22
(86)【国際出願番号】 CN2020073085
(87)【国際公開番号】W WO2021120367
(87)【国際公開日】2021-06-24
(31)【優先権主張番号】201911309762.9
(32)【優先日】2019-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522164776
【氏名又は名称】広東庫博精密科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】GUANGDONG UNIHOPPER PRECISION TECHNOLOGY CORPORATION LIMITED
【住所又は居所原語表記】No.2/9 Chuangye Road, High-tech Industrial Development Zone, Sihui Zhaoqing, Guangdong 526200 (CN)
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】資斌
(72)【発明者】
【氏名】祝灼芳
【テーマコード(参考)】
3B160
【Fターム(参考)】
3B160AA01
3B160AB45
3B160EA03
3B160EA14
3B160EB43
3B160EB82
(57)【要約】
【課題】本発明は、互いに摺動連結される固定レール(1)と、中間レール(2)と、可動レール(3)と、を備え、前記中間レール(2)には同期ギア(8)が設けられ、前記可動レール(3)と固定レール(1)には、それぞれ、水平対向配置された第1の同期ラック(6)と第2の同期ラック(7)が固定され、前記同期ギア(2)の左右両側は、それぞれ、第1の同期ラック(6)の歯形部と第2の同期ラック(7)の歯形部と噛み合って協働し、前記第1の同期ラック(6)には弾性部(61)が設けられ、前記第1の同期ラックの歯形部は、前記弾性部(61)の弾性応力作用によって同期ギア(8)に弾性的に押し付けられ、前記同期ギア(8)には、それぞれ第1の同期ラック(6)と第2の同期ラック(7)と当接係合するための少なくとも1つのリミットホイール(81)が設けられる引き出し同期レールを提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに摺動連結される固定レール(1)と、中間レール(2)と、可動レール(3)と、を備え、前記中間レール(2)には同期ギア(8)が設けられ、前記可動レール(3)と固定レール(1)には、それぞれ、水平対向配置された第1の同期ラック(6)と第2の同期ラック(7)が固定され、前記同期ギア(8)の左右両側は、それぞれ、第1の同期ラック(6)の歯形部と第2の同期ラック(7)の歯形部と噛み合って協働する引き出し同期レールであって、
前記第1の同期ラック(6)には弾性部(61)が設けられ、前記第1の同期ラックの歯形部は、前記弾性部(61)の弾性応力作用によって同期ギア(8)に弾性的に押し付けられ、前記同期ギア(8)には、それぞれ第1の同期ラック(6)と第2の同期ラック(7)と当接係合するための少なくとも1つのリミットホイール(81)が設けられることを特徴とする引き出し同期レール。
【請求項2】
前記同期ギア(8)は、リミットホイール(81)と同軸に配置されることを特徴とする請求項1に記載の引き出し同期レール。
【請求項3】
同軸に配置されていないリミットホイール(81)を2つ備え、いずれかの前記リミットホイール(81)の軸線が同期ギア(8)の軸線と平行であることを特徴とする請求項1に記載の引き出し同期レール。
【請求項4】
前記第1の同期ラック(6)と第2の同期ラック(7)には、それぞれ、リミットホイール(81)の外周面と当接係合する第1の受圧部と第2の受圧部が形成されることを特徴とする請求項2または3に記載の引き出し同期レール。
【請求項5】
前記リミットホイール(81)は同期ギア(8)の下方に一体成形され、リミットホイール(81)の直径と同期ギア(8)のピッチ円直径とが近いことを特徴とする請求項2に記載の引き出し同期レール。
【請求項6】
同期ギア(8)が回動に取り付けるギアベース(9)をさらに備え、前記ギアベース(9)は、中間レール(2)の外側壁の底端に取り付けられることを特徴とする請求項1に記載の引き出し同期レール。
【請求項7】
前記ギアベース(9)には垂直方向に延びる楕円軸が形成され、前記同期ギア(8)の中心位置には楕円軸と係合する円形孔が開口され、前記楕円軸の短軸方向における外壁と前記円形孔の内壁との間には調整隙間(82)が残されて、同期ギア(8)は楕円軸の短軸方向にギアベース(9)と微調整可能であることを特徴とする請求項5に記載の引き出し同期レール。
【請求項8】
前記ギアベース(9)は、一端が中間レール(2)にヒンジ結合されることにより、該ヒンジ結合軸を中心に揺動可能であることを特徴とする請求項5に記載の引き出し同期レール。
【請求項9】
前記第1の同期ラック(6)には第1の係止部(62)が成形され、前記第2の同期ラック(7)には第2の係止部(71)が成形され、第1の係止部(62)と第2の係止部(71)とが互いに摺動して係合することにより、第1の同期ラック(6)と第2の同期ラック(7)とが、引き出し方向に沿ってのみ相対的に摺動可能であることを特徴とする請求項1に記載の引き出し同期レール。
【請求項10】
前記固定レール(1)と中間レール(2)との間に第1のホルダ(4)が設けられ、中間レール(2)と可動レール(3)との間には第2のホルダ(5)が設けられることを特徴とする請求項1に記載の引き出し同期レール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、引き出しスライドレールの構造の技術分野に関し、特に、引き出し同期レールに関する。
【背景技術】
【0002】
通常の引き出しレールは上段、中段、下段の3部分に分けられ、上部レールと中間レールとの間、中間レールと下部レールとの間には、何れも、ローラーやボールがあり、ローラーやボールがホルダで拘束されており、引き出しの移動時にはレールの間は転がり摩擦であるため、比較的省力である。3部分のレールを使用する間、部品の精度や組立手段に存在する違いにより、レールとレールとの間の転がり摩擦力が不均一となり、レール同士の開閉順序が定まらず、引き出しの左右両側における引きずり抵抗が一致せず、手触り感に影響を与えることが見出され、この点につき、改善が望まれている。
【0003】
引き出しレールを開示しており、同期素子を、第1の同期ストリップ及び第2の同期ストリップと噛み合って協働することにより、引き出しの間における固定レール、中間レール及び可動レールの同期性及び安定性を保証することが開示されている。動き比例関係を維持するために、そのようなギア・ラック係合構造の使用は、ギア・ラック間の相対的に固定された中心距離を必要とし、中心距離が小さくなると、噛合の際に、ギアとギアとの間に隙間がなく、ひいては干渉し、摩擦が大きく、摩耗が激しく、レールの動きがノイズおよび固定周波数のジッタを有する。中心間距離が大きくなると、歯車とラックが離間し、軽いと噛み合い強度が弱くなり、重いと動きがスムーズでなくなり、ショック感があり、ひいては完全に離間してしまい、伝動が無効となる。本願が出願するCN201910732110.X。
【0004】
また、レールは、使用中に揺動量があり、これにより、固定レール又は中間レールに対して可動レール(上部レール)が時計回り又は反時計回りに揺動し、さらに中心距離が大きくなったり小さくなったりして、レールの引き出し動作が不安定になることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来技術の不都合に鑑み、本発明は、安定性の良い引き出し同期レールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の技術案は、互いに摺動連結される固定レールと、中間レールと、可動レールと、を備え、前記中間レールには同期ギアが設けられ、前記可動レールと固定レールには、それぞれ、水平対向配置された第1の同期ラックと第2の同期ラックが固定され、前記同期ギアの左右両側は、それぞれ、第1の同期ラックの歯形部と第2の同期ラックの歯形部と噛み合って協働し、前記第1の同期ラックには弾性部が設けられ、前記第1の同期ラックの歯形部は、前記弾性部の弾性応力作用によって同期ギアに弾性的に押し付けられ、前記同期ギアには、それぞれ第1の同期ラックと第2の同期ラックと当接係合するための少なくとも1つのリミットホイールが設けられる引き出し同期レールを提供する。
【0007】
さらに、前記同期ギアは、リミットホイールと同軸に配置される。
【0008】
さらに、リミットホイールを2つ備え、いずれかの前記リミットホイールの軸線が同期ギアの軸線と平行である。
【0009】
さらに、前記第1の同期ラックと第2の同期ラックには、それぞれ、リミットホイールの外周面と当接係合する第1の受圧部と第2の受圧部が形成される。
【0010】
さらに、前記リミットホイールは同期ギアの下方に一体成形され、リミットホイールの直径と同期ギアのピッチ円直径とが近い。
【0011】
さらに、同期ギアが回動に取り付けるギアベースをさらに備え、前記ギアベースは、中間レールの外側壁の底端に取り付けられる。
【0012】
さらに、前記ギアベースには垂直方向に延びる楕円軸が形成され、前記同期ギアの中心位置には楕円軸と係合する円形孔が開口され、前記楕円軸の短軸方向における外壁と前記円形孔の内壁との間には調整隙間が残されて、同期ギアは楕円軸の短軸方向にギアベースと微調整可能である。
【0013】
さらに、前記ギアベースは、一端が中間レールにヒンジ結合されることにより、該ヒンジ結合軸を中心に揺動可能である。
【0014】
さらに、前記第1の同期ラックには第1の係止部が成形され、前記第2の同期ラックには第2の係止部が成形され、第1の係止部と第2の係止部とが互いに摺動して係合することにより、第1の同期ラックと第2の同期ラックとが、引き出し方向に沿ってのみ相対的に摺動可能である。
【0015】
さらに、前記固定レールと中間レールとの間に第1のホルダが設けられ、中間レールと可動レールとの間には第2のホルダが設けられる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の有益の効果は、第1の同期ラックにおける弾性部によりその歯形部に内方への弾性応力を生じさせて、歯形部が同期ギアを常に弾性的に内方へ押圧し、歯形部と同期ギアとを中心間距離の変化に柔軟に対応させ、レールの安定性を高めることである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施例1による引き出しレールの構造模式図である。
【
図2】実施例による引き出しレールの断面図である。
【
図3】実施例1による引き出しレールの分解図である。
【
図4】実施例1による同期ギア及びギアベースの模式図である。
【
図5】実施例1による同期ギア及びギアベースの断面図である。
【
図6】実施例による第1の同期ラックの模式図である。
【
図8】実施例2による中間レールとギアベースの模式図である。
【
図9】実施例3による同期ギア及びギアベースの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明を理解しやすいために、以下、図面を参照して本発明をより全面的に説明する。本発明の好ましい実施形態が図面に示されている。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で実現することができ、本明細書に記載された実施形態に限定されるものではない。これらの実施形態は、本発明の開示内容に対する理解をより明瞭で全面的にするために提供されている。なお、本発明に記載の「第1の」、「第2の」は、具体的な数や順序を示すものではなく、単に名称の区別に用いるにすぎない。
【0019】
実施例1
図1~
図6に示すように、本実施例において、引き出し同期レールは、互いに摺動連結される固定レール1と、中間レール2と、可動レール3と、を備え、固定レール1と中間レール2との間に第1のホルダ4が設けられ、中間レール2と可動レール3との間に第2のホルダ5が設けられ、本実施例の第1のホルダ4及び第2のホルダ5は、いずれもボール取付具とボール取付具に取り付けられた複数のボールと、且つ本願の第1のホルダ4及び第2のホルダ5にはいずれもラックが設けられず、第1のホルダ4及び第2のホルダ5により、固定レール1と中間レール2、中間レール2と可動レール3を摺動可能に支持する。本実施例において、レールの引き出し方向を前後方向とし、引き出し方向に直交する方向を左右方向として定義されている。
【0020】
本実施例において、同期ギア8と、第1の同期ラック6と、第2の同期ラック7と、ギアベース9とをさらに備え、第1の同期ラック6と第2の同期ラック7は、それぞれ可動レール3と固定レール1に個別に固設され、すなわち、本実施例の第2の同期ラック7は、固定レール1の第2の外側壁11に固設され、第2の同期ラック7の歯形部は、水平外向きで且つ引き出し方向に延びて配置され、具体的には、第2の同期ラック7の上端位置が第2の外側壁11に固定され、第2の同期ラック7の歯形部は、その下端位置に位置する。本実施例の第1の同期ラック6は、可動レール3の第1の外側壁31に固定して設けられてもよく、第1の同期ラック6の歯形部は、水平内向きに且つ引き出し方向に延びて配置され、具体的には、第1の同期ラック6の上端位置が第1の外側壁31に固定され、第1の同期ラック6の歯形部は、その下端位置に位置する。第1の同期ラック6の歯形部と第2の同期ラック7の歯形部とは、水平対向配置される。
【0021】
本実施例において、第1の同期ラック6には、第1の同期ラック6の中部位置に位置し、引き出し方向に延びて配置された弾性部61が更に一体成形されており、前記弾性部61は、第1の同期ラック6の下端位置に位置する歯形部に対して、下端が内方への弾性応力を生じるように予変形する。
【0022】
本実施例において、ギアベース9はU型構造を有し、ギアベース9には垂直方向に延びる楕円軸が成形され、同期ギア8の中心位置には楕円軸と嵌合する円形孔が開口されて、同期ギア8がギアベース9に回動に取り付けられることを可能にする。楕円軸の先端には、ギアベース9を固定装着するための弾性フックが成形される。また、楕円軸の短軸方向における外壁と円形孔の内壁との間に調整隙間が残されて(楕円軸の長軸方向における外壁が円形孔の内壁に接触する)、円形孔と楕円軸の短軸方向の相対変位を調整可能にし、さらに同期ギア8とギアベース9の左右方向の微調整を可能にしている。
【0023】
さらに、同期ギア8及びギアベース9が中間レール2に固定的に取り付けられることを実現するように、ギアベース9の上部は、中間レール2の外側壁の底端位置に固定的に取り付けられる。中間レール2に取り付けられる同期ギアの左右両側は、それぞれ、第1の同期ラック6の歯形部と第2の同期ラック7の歯形部と噛み合って協働し、引き出しの間における固定レール1、中間レール2及び可動レール3の同期性及び安定性を効果的に保証する。
【0024】
また、引き出しの間、弾性部61による第1の同期ラック6の歯形部への弾性応力により、第1の同期ラック6の歯形部が同期ギア8に弾性的に押し付けられて、同期ギア8が第1の同期ラック6の歯形部に弾性的に接触することを実現し、可動レール3の揺動による中心距離の変化に有効に適応でき、同期ギア8が歯形部に常に協働することを確保する。また、調整隙間の組合せにより同期ギアの微調整が可能となり、取り付けが容易となり、そして両ギア部の噛合いが一層容易となる。
【0025】
本実施例において、同期ギアに同軸に配置されたリミットホイールが成形され、リミットホイールは同期ギアの下方に一体成形され、第1の同期ラック6と第2の同期ラック7には、それぞれ、リミットホイールの周面と当接係合する第1の受圧部および第2の受圧部が成形され、第1の受圧部および第2の受圧部はリミットホイールと当接係合し、リミットホイールの径幅を最小の中心間距離とし、同期ギア8と第2の同期ラック7の歯形部との間の中心間距離が過小となることを防止することができる。
【0026】
さらに、本実施例のリミッタホイール81は、同期ギア8の下方に一体成形され、リミッタホイール81の直径と同期ギア8のピッチ円直径とが等しい。
【0027】
上記の各部品構成により、引き出し同期レールが構成され、引き出し動作がよりスムーズで、安定的である。
【0028】
実施例2
図7と
図8を参照すると、本実施例2と実施例1を比較する相違点は、第1の同期ラック6の底端に引き出し方向に延びる第1の係止部が成形され、第2の同期ラック7の底端に引き出し方向に延びる第2の係止部が成形され、第2の係止部はU型構造であり、且つ第1の係止部が互いに摺動嵌合する、即ち、第1の係止部と第2係止部とが互いに摺動係合する。さらに、第1の同期ラック6と第2の同期ラック7とが、引き出し方向に沿ってのみ相対的に摺動可能とし、第1の同期ラック6と第2の同期ラック7の左右方向における変位規制を図り、同期ギア8と第1の同期ラック6および第2の同期ラック7との間の中心間距離を固定して、同期レールの引き出し動作の安定性を高める。
【0029】
本実施例において、ギアベース9は、一端が中間レール2にピンによりヒンジ結合され、他端が中間レール2に可動的に係止されて、当該ヒンジ軸を中心に揺動可能であり、これにより、ギアベース9の揺動動作により、同期ギア8を揺動調整するように同期して連動させ、同期ギア8を第1の同期ラック6と第2の同期ラック7との間の相対位置に適応させることができる。
【0030】
実施例3
図9に示すように、本実施例において、実施例1と比較する相違点は、ギアベース9に同軸に取り付けられていないリミットホイール81を2つ備え、2つのリミットホイール81の軸線がいずれも同期ギア8の軸線と平行であり、且つ、2つのリミットホイール81の軸線と同期ギア8の軸線とが共にレールの引き出し方向に位置し、2つのリミットホイール81の規格及び径幅は、同一であり、さらに第1の同期ラック6と第2の同期ラック7には、それぞれ、2つのリミットホイール81の外周面と当接係合する第1の受圧部と第2の受圧部が形成される。
【0031】
以上説明した実施例は、本発明の好ましい実施例にすぎなく、本発明を限定するものではない。当業者であれば、本発明の技術案の範囲から逸脱しない場合、上記の開示した技術内容を利用して、本発明の技術案に対して行ったより多くの変更、加飾又は修正は全て本発明の等価な実施例である。故に、本発明の技術案から逸脱することなく、本発明の思想と等価な変更を行ったものは、本発明の保護範囲に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0032】
1 固定レール、2 中間レール、3 可動レール、4 第1のホルダ、5 第2のホルダ、6 第1の同期ラック、61 弾性部、7 第2の同期ラック、8 同期ギア、9 ギアベース
【手続補正書】
【提出日】2022-04-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、引き出しスライドレールの構造の技術分野に関し、特に、引き出し同期レールに関する。
【背景技術】
【0002】
通常の引き出しレールは上段、中段、下段の3部分に分けられ、上部レールと中間レールとの間、中間レールと下部レールとの間には、何れも、ローラーやボールがあり、ローラーやボールがホルダで拘束されており、引き出しの移動時にはレールの間は転がり摩擦であるため、比較的省力である。3部分のレールを使用する間、部品の精度や組立手段に存在する違いにより、レールとレールとの間の転がり摩擦力が不均一となり、レール同士の開閉順序が定まらず、引き出しの左右両側における引きずり抵抗が一致せず、手触り感に影響を与えることが見出され、この点につき、改善が望まれている。
【0003】
本願が出願するCN201910732110.Xの引き出しレールにおいて、同期素子を、第1の同期ストリップ及び第2の同期ストリップと噛み合って協働することにより、引き出しの間における固定レール、中間レール及び可動レールの同期性及び安定性を保証することが開示されている。動き比例関係を維持するために、そのようなギア・ラック係合構造の使用は、ギア・ラック間の相対的に固定された中心距離を必要とし、中心距離が小さくなると、噛合の際に、ギアとギアとの間に隙間がなく、ひいては干渉し、摩擦が大きく、摩耗が激しく、レールの動きがノイズおよび固定周波数のジッタを有する。中心間距離が大きくなると、歯車とラックが離間し、軽いと噛み合い強度が弱くなり、重いと動きがスムーズでなくなり、ショック感があり、ひいては完全に離間してしまい、伝動が無効となる。
【0004】
また、レールは、使用中に揺動量があり、これにより、固定レール又は中間レールに対して可動レール(上部レール)が時計回り又は反時計回りに揺動し、さらに中心距離が大きくなったり小さくなったりして、レールの引き出し動作が不安定になることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来技術の不都合に鑑み、本発明は、安定性の良い引き出し同期レールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の技術案は、互いに摺動連結される固定レールと、中間レールと、可動レールと、を備え、前記中間レールには同期ギアが設けられ、前記可動レールと固定レールには、それぞれ、水平対向配置された第1の同期ラックと第2の同期ラックが固定され、前記同期ギアの左右両側は、それぞれ、第1の同期ラックの歯形部と第2の同期ラックの歯形部と噛み合って協働し、前記第1の同期ラックには弾性部が設けられ、前記第1の同期ラックの歯形部は、前記弾性部の弾性応力作用によって同期ギアに弾性的に押し付けられ、前記同期ギアには、それぞれ第1の同期ラックと第2の同期ラックと当接係合するための少なくとも1つのリミットホイールが設けられる引き出し同期レールを提供する。
【0007】
さらに、前記同期ギアは、リミットホイールと同軸に配置される。
【0008】
さらに、リミットホイールを2つ備え、いずれかの前記リミットホイールの軸線が同期ギアの軸線と平行である。
【0009】
さらに、前記第1の同期ラックと第2の同期ラックには、それぞれ、リミットホイールの外周面と当接係合する第1の受圧部と第2の受圧部が形成される。
【0010】
さらに、前記リミットホイールは同期ギアの下方に一体成形され、リミットホイールの直径と同期ギアのピッチ円直径とが近い。
【0011】
さらに、同期ギアが回動に取り付けるギアベースをさらに備え、前記ギアベースは、中間レールの外側壁の底端に取り付けられる。
【0012】
さらに、前記ギアベースには垂直方向に延びる楕円軸が形成され、前記同期ギアの中心位置には楕円軸と係合する円形孔が開口され、前記楕円軸の短軸方向における外壁と前記円形孔の内壁との間には調整隙間が残されて、同期ギアは楕円軸の短軸方向にギアベースと微調整可能である。
【0013】
さらに、前記ギアベースは、一端が中間レールにヒンジ結合されることにより、該ヒンジ結合軸を中心に揺動可能である。
【0014】
さらに、前記第1の同期ラックには第1の係止部が成形され、前記第2の同期ラックには第2の係止部が成形され、第1の係止部と第2の係止部とが互いに摺動して係合することにより、第1の同期ラックと第2の同期ラックとが、引き出し方向に沿ってのみ相対的に摺動可能である。
【0015】
さらに、前記固定レールと中間レールとの間に第1のホルダが設けられ、中間レールと可動レールとの間には第2のホルダが設けられる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の有益の効果は、第1の同期ラックにおける弾性部によりその歯形部に内方への弾性応力を生じさせて、歯形部が同期ギアを常に弾性的に内方へ押圧し、歯形部と同期ギアとを中心間距離の変化に柔軟に対応させ、レールの安定性を高めることである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施例1による引き出しレールの構造模式図である。
【
図2】実施例による引き出しレールの断面図である。
【
図3】実施例1による引き出しレールの分解図である。
【
図4】実施例1による同期ギア及びギアベースの模式図である。
【
図5】実施例1による同期ギア及びギアベースの断面図である。
【
図6】実施例による第1の同期ラックの模式図である。
【
図8】実施例2による中間レールとギアベースの模式図である。
【
図9】実施例3による同期ギア及びギアベースの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明を理解しやすいために、以下、図面を参照して本発明をより全面的に説明する。本発明の好ましい実施形態が図面に示されている。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で実現することができ、本明細書に記載された実施形態に限定されるものではない。これらの実施形態は、本発明の開示内容に対する理解をより明瞭で全面的にするために提供されている。なお、本発明に記載の「第1の」、「第2の」は、具体的な数や順序を示すものではなく、単に名称の区別に用いるにすぎない。
【0019】
実施例1
図1~
図6に示すように、本実施例において、引き出し同期レールは、互いに摺動連結される固定レール1と、中間レール2と、可動レール3と、を備え、固定レール1と中間レール2との間に第1のホルダ4が設けられ、中間レール2と可動レール3との間に第2のホルダ5が設けられ、本実施例の第1のホルダ4及び第2のホルダ5は、いずれもボール取付具とボール取付具に取り付けられた複数のボールと
により構成され、且つ本願の第1のホルダ4及び第2のホルダ5にはいずれもラックが設けられず、第1のホルダ4及び第2のホルダ5により、固定レール1と中間レール2、中間レール2と可動レール3を摺動可能に支持する。本実施例において、レールの引き出し方向を前後方向とし、引き出し方向に直交する方向を左右方向として定義されている。
【0020】
本実施例において、同期ギア8と、第1の同期ラック6と、第2の同期ラック7と、ギアベース9とをさらに備え、第1の同期ラック6と第2の同期ラック7は、それぞれ可動レール3と固定レール1に個別に固設され、すなわち、本実施例の第2の同期ラック7は、固定レール1の第2の外側壁11に固設され、第2の同期ラック7の歯形部は、水平外向きで且つ引き出し方向に延びて配置され、具体的には、第2の同期ラック7の上端位置が第2の外側壁11に固定され、第2の同期ラック7の歯形部は、その下端位置に位置する。本実施例の第1の同期ラック6は、可動レール3の第1の外側壁31に固定して設けられてもよく、第1の同期ラック6の歯形部は、水平内向きに且つ引き出し方向に延びて配置され、具体的には、第1の同期ラック6の上端位置が第1の外側壁31に固定され、第1の同期ラック6の歯形部は、その下端位置に位置する。第1の同期ラック6の歯形部と第2の同期ラック7の歯形部とは、水平対向配置される。
【0021】
本実施例において、第1の同期ラック6には、第1の同期ラック6の中部位置に位置し、引き出し方向に延びて配置された弾性部61が更に一体成形されており、前記弾性部61は、第1の同期ラック6の下端位置に位置する歯形部に対して、下端が内方への弾性応力を生じるように予変形する。
【0022】
本実施例において、ギアベース9はU型構造を有し、ギアベース9には垂直方向に延びる楕円軸が成形され、同期ギア8の中心位置には楕円軸と嵌合する円形孔が開口されて、同期ギア8がギアベース9に回動に取り付けられることを可能にする。楕円軸の先端には、ギアベース9を固定装着するための弾性フックが成形される。また、楕円軸の短軸方向における外壁と円形孔の内壁との間に調整隙間が残されて(楕円軸の長軸方向における外壁が円形孔の内壁に接触する)、円形孔と楕円軸の短軸方向の相対変位を調整可能にし、さらに同期ギア8とギアベース9の左右方向の微調整を可能にしている。
【0023】
さらに、同期ギア8及びギアベース9が中間レール2に固定的に取り付けられることを実現するように、ギアベース9の上部は、中間レール2の外側壁の底端位置に固定的に取り付けられる。中間レール2に取り付けられる同期ギアの左右両側は、それぞれ、第1の同期ラック6の歯形部と第2の同期ラック7の歯形部と噛み合って協働し、引き出しの間における固定レール1、中間レール2及び可動レール3の同期性及び安定性を効果的に保証する。
【0024】
また、引き出しの間、弾性部61による第1の同期ラック6の歯形部への弾性応力により、第1の同期ラック6の歯形部が同期ギア8に弾性的に押し付けられて、同期ギア8が第1の同期ラック6の歯形部に弾性的に接触することを実現し、可動レール3の揺動による中心距離の変化に有効に適応でき、同期ギア8が歯形部に常に協働することを確保する。また、調整隙間の組合せにより同期ギアの微調整が可能となり、取り付けが容易となり、そして両ギア部の噛合いが一層容易となる。
【0025】
本実施例において、同期ギアに同軸に配置されたリミットホイールが成形され、リミットホイールは同期ギアの下方に一体成形され、第1の同期ラック6と第2の同期ラック7には、それぞれ、リミットホイールの外周面と当接係合する第1の受圧部および第2の受圧部が成形され、第1の受圧部および第2の受圧部はリミットホイールと当接係合し、リミットホイールの径幅を最小の中心間距離とし、同期ギア8と第2の同期ラック7の歯形部との間の中心間距離が過小となることを防止することができる。
【0026】
さらに、本実施例のリミッタホイール81は、同期ギア8の下方に一体成形され、リミッタホイール81の直径と同期ギア8のピッチ円直径とが等しい。
【0027】
上記の各部品構成により、引き出し同期レールが構成され、引き出し動作がよりスムーズで、安定的である。
【0028】
実施例2
図7と
図8を参照すると、本実施例2と実施例1を比較する相違点は、第1の同期ラック6の底端に引き出し方向に延びる第1の係止部が成形され、第2の同期ラック7の底端に引き出し方向に延びる第2の係止部が成形され、第2の係止部はU型構造であり、且つ第1の係止部が互いに摺動嵌合する、即ち、第1の係止部と第2係止部とが互いに摺動係合する。さらに、第1の同期ラック6と第2の同期ラック7とが、引き出し方向に沿ってのみ相対的に摺動可能とし、第1の同期ラック6と第2の同期ラック7の左右方向における変位規制を図り、同期ギア8と第1の同期ラック6および第2の同期ラック7との間の中心間距離を固定して、同期レールの引き出し動作の安定性を高める。
【0029】
本実施例において、ギアベース9は、一端が中間レール2にピンによりヒンジ結合され、他端が中間レール2に可動的に係止されて、当該ヒンジ軸を中心に揺動可能であり、これにより、ギアベース9の揺動動作により、同期ギア8を揺動調整するように同期して連動させ、同期ギア8を第1の同期ラック6と第2の同期ラック7との間の相対位置に適応させることができる。
【0030】
実施例3
図9に示すように、本実施例において、実施例1と比較する相違点は、ギアベース9に同軸に取り付けられていないリミットホイール81を2つ備え、2つのリミットホイール81の軸線がいずれも同期ギア8の軸線と平行であり、且つ、2つのリミットホイール81の軸線と同期ギア8の軸線とが共にレールの引き出し方向に位置し、2つのリミットホイール81の規格及び径幅は、同一であり、さらに第1の同期ラック6と第2の同期ラック7には、それぞれ、2つのリミットホイール81の外周面と当接係合する第1の受圧部と第2の受圧部が形成される。
【0031】
以上説明した実施例は、本発明の好ましい実施例にすぎなく、本発明を限定するものではない。当業者であれば、本発明の技術案の範囲から逸脱しない場合、上記の開示した技術内容を利用して、本発明の技術案に対して行ったより多くの変更、加飾又は修正は全て本発明の等価な実施例である。故に、本発明の技術案から逸脱することなく、本発明の思想と等価な変更を行ったものは、本発明の保護範囲に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0032】
1 固定レール、2 中間レール、3 可動レール、4 第1のホルダ、5 第2のホルダ、6 第1の同期ラック、61 弾性部、7 第2の同期ラック、8 同期ギア、9 ギアベース
【国際調査報告】