IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ プロ フォーム エセ.エッレ.エレ.の特許一覧

特表2023-500803ゴム要素をダイカッタに自動適用する装置および方法
<>
  • 特表-ゴム要素をダイカッタに自動適用する装置および方法 図1
  • 特表-ゴム要素をダイカッタに自動適用する装置および方法 図2
  • 特表-ゴム要素をダイカッタに自動適用する装置および方法 図3
  • 特表-ゴム要素をダイカッタに自動適用する装置および方法 図4
  • 特表-ゴム要素をダイカッタに自動適用する装置および方法 図5
  • 特表-ゴム要素をダイカッタに自動適用する装置および方法 図6
  • 特表-ゴム要素をダイカッタに自動適用する装置および方法 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-11
(54)【発明の名称】ゴム要素をダイカッタに自動適用する装置および方法
(51)【国際特許分類】
   B25J 15/00 20060101AFI20221228BHJP
   B26F 1/00 20060101ALI20221228BHJP
   B26F 1/44 20060101ALI20221228BHJP
   B25J 13/08 20060101ALI20221228BHJP
【FI】
B25J15/00 F
B26F1/00 B
B26F1/44 H
B25J13/08 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022523271
(86)(22)【出願日】2020-10-06
(85)【翻訳文提出日】2022-06-17
(86)【国際出願番号】 IB2020059374
(87)【国際公開番号】W WO2021090085
(87)【国際公開日】2021-05-14
(31)【優先権主張番号】102019000020260
(32)【優先日】2019-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522156195
【氏名又は名称】プロ フォーム エセ.エッレ.エレ.
【氏名又は名称原語表記】PRO FORM S.R.L.
【住所又は居所原語表記】Viale Europa Unita 37,24043 Caravaggio (BG)(IT)
(74)【代理人】
【識別番号】100109634
【弁理士】
【氏名又は名称】舛谷 威志
(74)【代理人】
【識別番号】100129263
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 洋之
(72)【発明者】
【氏名】ロッシーニ,アルベルト ルイージ
(72)【発明者】
【氏名】ミリチ,ジボータ
【テーマコード(参考)】
3C060
3C707
【Fターム(参考)】
3C060AA01
3C060AA03
3C060AA04
3C060AA16
3C060AA20
3C060BA03
3C060BB01
3C060BB18
3C060BD01
3C060BG04
3C060BH10
3C707AS05
3C707BS12
3C707DS01
3C707ES01
3C707ES19
3C707GU00
3C707KS03
3C707KS04
3C707KS08
3C707KT01
3C707KT06
(57)【要約】
ダイカッタの製造工程において、オペレータの介入なしで、ゴム要素をダイカッタに自動適用する装置および方法を記載する。前記装置は、好ましくはロボットアームであるマニピュレータと針グリッパとを備えている。前記グリッパは、作業プログラムによって、両面接着テープを有するシートから、ウォータージェットにより切断済みのゴム要素を取り出し、当該ゴム要素を一つずつ当該ゴム用に設けられたポイントに載置する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイカッタ(4)に押出ゴム要素(7)を自動的に適用する装置(1)であって、針グリッパ(6)を備えたマニピュレータ(5)を備え、
前記グリッパ(6)が、
-前面(14)と、
-前記前面(14)に対して移動可能な複数の針(15)であって、前記針(15)が前記前面(14)から片持ち状に延伸し、取出し対象の押出ゴム要素(7)に穿通する引出し位置と、前記針(15)が前記前面(14)と同一面を維持し、ダイカッタ(4)にリリースされた前記押出ゴム要素(7)から離れる後退位置との間で移動可能な複数の針(15)と、を備える装置(1)において、
前記針(15)を前記引出し位置と前記後退位置との間の中間位置に停止させて、前記押出ゴム要素(14)から離れることなく、前記押出ゴム要素(7)を前記前面(14)に横たえることができることを特徴とする装置(1)。
【請求項2】
前記前面(14)に対して移動可能であり、前記針(15)が単一の前記押出ゴム要素(7)をグリップしている状態で、作業面(3)に静止する押出ゴム要素(7)のシート(2)に圧力を加える押圧要素(13)を備える、ことを特徴とする請求項1に記載の装置(1)。
【請求項3】
前記押圧要素(13)は、前記前面(14)に対して、
-前記押圧要素(13)が、前記前面(14)から、前記引出し位置における前記針(15)の長さよりも離れた遠端位置であって、前記針(15)が、前記シート(2)の単一の前記押出ゴム要素(7)を穿通する間、または前記グリッパ(6)が持ち上げられている間、前記押出ゴム要素(7)の前記シート(2)を維持する遠端位置と、
-前記押圧要素(13)が前記前面(14)の後方または同一平面となる基端位置と、の間で移動可能である、ことを特徴とする請求項2に記載の装置(1)。
【請求項4】
前記押圧要素(13)は、前記前面(14)を少なくとも部分的に囲んでいる、ことを特徴とする請求項2または3に記載の装置(1)。
【請求項5】
前記針(15)は、前記押出ゴム要素(7)に対するグリップを最大化するための肉厚部を備えている、ことを特徴とする先行する請求項のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項6】
画像を取得および処理する取得および処理手段(10)を備えた、プログラム可能な制御ユニットおよび光学認識ステーション(8)を備え、前記制御ユニットは、
a)取り出された前記押出ゴム要素(7)を前記前面(14)に対して整列させ、
b)それを前記光学認識ステーション(8)に配置して画像を取得し、
c)前記針(15)によって取り出された前記押出ゴム要素(7)それぞれの取得した画像を、押出ゴム要素(7)のテンプレートの仮想ライブラリからの画像と比較して対応するテンプレートを識別し、および/または、ソフトウェアによって作成され、正しくセンタリングされ配向された押出ゴム要素のテンプレートを描写する画像と比較し、および/または、前記画像を処理して取り出された前記押出ゴム要素(7)を計測し、
d)前記比較および/または前記処理に基づいて、マニピュレータの移動を制御し、前記ダイカッタ(4)上の切断ルール(7’)または折り目加工ルール(7’)の対応部分の隣に前記押出ゴム要素(7)を載置する、ようにプログラムされている、ことを特徴とする先行する請求項のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項7】
前記ステップd)は、前記針(15)がゴムを穿通する間の降伏挙動に起因する、前記前面(14)に平行な面における前記針(15)および前記押出ゴム要素(7)のあらゆるズレを補償することが含まれている、ことを特徴とする請求項6に記載の装置(1)。
【請求項8】
前記マニピュレータに搭載され、前記前面(14)と、例えば組み立てられる前記ダイカッタ(4)が載置される作業面である作業面(3)、または前記作業面に配置される組立対象の前記ダイカッタの上面との間の点距離を検出する検出手段を備える、ことを特徴とする先行する請求項のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項9】
前記距離検出手段は、前記マニピュレータに搭載される例えばレーザ手段またはタッチプローブ等の光学手段を備える、ことを特徴とする請求項8に記載の装置(1)。
【請求項10】
前記ステップd)はさらに、凸部に起因する、前記作業面(3)と前記ダイカッタ(4)との間の共平面性の、前記作業面(3)と直交する方向の考え得る誤差を補償することを含む、ことを特徴とする請求項6に従属する請求項8または請求項9に記載の装置(1)。
【請求項11】
ダイカッタに1以上の押出ゴム要素を装着する方法であって、
a’)複数の切断済み押出要素(7)を含むゴムシート(2)を用意し、前記シート(2)を作業面(3)に載置し、
b’)支持体と、前記支持体に挿入された複数の切断ルール(7’)、および/または、折り目加工ルール(7’)を備えたダイカッタ(4)を用意し、
c’)請求項1~10のいずれか1項に記載の装置(1)を用意し、前記装置を介して少なくとも自動で、
d’)単一の押出ゴム要素(7)に前記引出し位置の針(15)を挿入し、前記マニピュレータを持ち上げて、前記ゴムシート(2)から前記押出要素(7)を分離させ、
e’)前記針(15)を前記中間位置まで部分的に後退させて、前記押出ゴム要素(7)の面を前記前面(14)に預けることにより、前記装置(1)の前記前面(14)に前記押出ゴム要素(7)を整列させ、その位置の前記押出ゴム要素(7)の画像を取得し、
f’)前記押出ゴム要素(7)を前記ダイカッタ(4)にリリースする、ことを行わせる、ことを特徴とする方法。
【請求項12】
g’)前記前面(14)に預けられた前記押出ゴム要素(7)の画像を取得し、当該画像を、押出ゴム要素(7)のテンプレートの仮想ライブラリからの画像と比較して対応するテンプレートを識別し、および/または、ソフトウェアによって作成され、正しくセンタリングされ配向された押出ゴム要素のテンプレート描写する画像と比較し、および/または、前記画像を処理して前記押出ゴム要素(7)を計測する、
ことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ステップf’)は、前記比較および/または前記ステップg’)の処理に基づいて、前記ダイカッタ(4)上の切断ルール(7’)または折り目加工ルール(7’)の一義的に対応する部分の隣に前記押出ゴム要素(7)を載置するように実施される、ことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
h’)例えばタッチプローブまたは光学装置等の手段によって、前記前面(14)と前記作業面(3)との距離、および前記前面(14)と前記ダイカッタ(4)の上面との距離を計測し、前記ステップf’)において、前記ダイカッタ(4)と前記作業面(3)との共平面性のあらゆる誤差を補償する、
ことを特徴とする先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記比較または取得した画像の処理は光学認識ソフトウェアを用いて行われる、ことを特徴とする先行する請求項12~14のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイカッタの製造工程において、オペレータの介入なしで、ゴム要素をダイカッタに自動適用する装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ダイ切断は、紙加工産業やタイポグラフィのような技術分野において非常に一般的である公知の技術である。ダイ切断は、紙、ボール紙、布、革、金属シート、一部のプラスチック等、比較的柔らかい材質のシートや帯から所定の形状、時には複雑な形状の切片を切断によって得るために用いられる。
【0003】
ダイ切断機は基本的に、圧力をかけ合わせてシート材または帯材からダイ切断要素を切断する、ダイカッタとカウンタ・ダイカッタの二つのコンポーネントからなる。
【0004】
ダイカッタは、有効な切断エッジを有する複数の切断ルール(すなわち、金属ブレード)を備えた平坦または円筒状の支持体によって形成される。切断ルールは、支持体に設けられた適切な溝に片持ち状に収納されており、支持体から離れる方向に切断エッジが向いている。切断ルールは、所望のダイ切断要素の形状に対応するように、縦長に形成され、および/または、相互配置される。
【0005】
カウンタ・ダイカッタは、切断ルールに対して当接するように意図された平らな、または円筒状の支持体から構成される。ダイ切断は、ダイカッタとカウンタ・ダイカッタとの間にダイ切断されるシート材または帯材を挟持させ、ダイカッタとカウンタ・ダイカッタとを互いに適切な圧力で接触させることによって行われる。
【0006】
実際のダイ切断に加えて、ダイ切断要素の製造では、ダイ切断要素に特定の機能的および/または美的特徴を付与するように適合されたさらなる加工が提供されることが多い。
【0007】
これら加工の一つとして、紙加工産業の分野で広く使われる折り目加工、すなわち折り目線として示される線をダイ切断要素に印刷することであり、この加工は後に、素材に亀裂や断裂が生じないように、ダイ切断要素の部分を正確に折り曲げることを可能にし、および/または、容易にすることを意図している。材料を切断することなく変形させるのみという点を除けば、折り目加工工程は、ダイ切断工程と同様であり、したがって、通常、ダイ切断工程と共に、単一の作業工程で行われる。折り目加工を行うために、ダイカッタの支持体には、切断ルールと同様に折り目加工ルールが適用されている。折り目加工ルールは、切断エッジではなく、有効な丸みが設けられており、切断ルールに対して、支持体表面からの突出が少なくなっている。そのため、切断ではなく、折り曲げルールを有する金属ブレードとなっている。対応する折り目溝は、カウンタ・ダイカッタ上に配置され、折り目加工ルールのサイズおよび加工する材料の種類に応じて適切なサイズに設定される。ダイ切断において、ダイカッタの折り目スレッドとカウンタ・ダイカッタの折り目溝との間の圧力の相互作用により折り目線が形成される。
【0008】
一般的に、切断ルールが取り付けられる支持体は多層の木材で構成されている。ルールは支持体に設けられた対応する座部に干渉することにより挿入される。後者は、一般にレーザ切断技術によって得られる。ルールは、通常オペレータによって手動で対応する座部に挿入され、ハンマーを用いて挿入することも多い。
【0009】
一般的に、カウンタ・ダイカッタは、代わりに、金属プレートまたは、例えば鋼等の合金を備え、これに対して切断ルールが打ち付けられる。前記プレートは、すでに記載した通り、ダイカッタの折り畳みルールと連携するように好適に加工される。換言すると、ダイカッタに当接することを意図したカウンタ・ダイカッタの表面には、折り目溝、すなわち溝がそれぞれの折り目加工ルールに形成されている。さらに、より大きな変形を支援するために、折り目溝はダイ切断要素の変形を容易にして、折り畳み線を形成する。折り畳み線によって、ダイ切断要素が当該線に沿って折り畳みやすくなる。
【0010】
切断ダイのゴム被覆は、作業者が、ダイカッタ支持体の切断ルールおよび折り目加工ルールの両側に当接するようにゴム要素を糊付けする作業である。単にゴムと呼称されることの多いゴム要素は、ダイカッタがカウンタ・ダイカッタに対して押し付けられると、正確にダイ切断を行うように圧縮され、応力がなくなると元の高さに戻る弾性材料からなる。ゴム要素の機能は、ダイ切断されたシートに推力を付与し、シートがダイカッタから剥離するのを支援することである。つまり、ダイカッタがカウンタ・ダイカッタから離れてもシートがダイカッタにくっつかないようにするものである。実際には、ゴム要素はダイ切断されたシートを押し出すための押出要素として機能するため、以下、押出ゴム要素と定義する。
【0011】
以下のリンクに簡単な説明がある:https://howtobuypackaging.com/cutting-die/。
【0012】
ゴム被覆は、ダイカッタの組立工程の最終段階である。現在、ダイカッタのゴム被覆は、手作業で行われている。つまり、作業者が、押出要素が切断済みのゴムシートを受け取る。作業者は自身の経験に基づいて、手作業で選択的に一つずつ押出ゴム要素を引き出し、それぞれのシートから剥がし、瞬間接着剤または両面接着テープを用いて、ダイカッタの支持体における各要素の所定の位置に貼り付ける。押出ゴム要素は、切断ルールまたは折り目加工ルールの様々な部分に並べて配置されるため、互いに異なる形状をしており、作業者は、配置エラーを回避できるように熟練していなければならない。
【0013】
ダイカッタのゴム被覆は、経験豊かな作業者を必要とする、時間がかかり厄介な作業である。したがって、ゴム被覆をできるだけ迅速に行うことが望まれている。
【0014】
公知技術に於けるさらなる制限は、押出ゴム要素の長さをあまり削減できないという点である。なぜなら、一定の限界を越えると、人は一つの形状と別の形状とを区別できなくなるからである。作業者が正しく識別できる最短の押出ゴム要素で作業する必要があるため、鋭角や湾曲部も画定することがある切断ルールや折り目加工ルールが最適な方法に従うことができないこともあり、しばしば相当量の無駄を伴うこともある。ゴムシートのコストは切断ルールや折り目加工ルールを作成するための鋼部分のコストと比較可能であり、ダイカッタの最終的なコストに実質的な影響を与えることを考慮すると、ゴムの消費を最小限に抑制可能であることが望まれる。
【0015】
DE20 2011 110569U1には、針マニピュレータが記載されている。針は、それぞれの電気アクチュエータに供給される電圧および/または電流によって異なる可変ストロークに応じて、フロントヘッドから取り外し可能であり、フロントヘッドに後退可能である。したがって、針を完全に抜き取ることも、完全に後退させることも可能であり、ストロークの中間で停止させることもできる。電気アクチュエータと針との間には、例えば、ラック機構、カム機構等の機構が設けられている。
【0016】
国際公開公報第2015/053925号には、布を把持するように構成されたピック・アンド・プレース装置が記載されている。ピック・アンド・プレースのヘッドには、取出し対象の布をホッチキスで固定可能なフック付きの布の層が装備されている。フック付きの布が存在する部分は、後退させて操作対象の布を分離させることができる。
【0017】
国際公開第2005/000544号および国際公開第2013/074924号には、それぞれ、マニピュレータを用いて、ダイカッタの製造および物体の配置を行うための、他の公知技術の解決策が記載されている。
【発明の概要】
【0018】
本発明の目的は、人のオペレータが介入することなく、オペレータの介在を最小限に抑え、最小限の量のゴムでダイカッタのゴム被覆をシンプル、迅速、効率的に完了できる装置および方法を提供することにある。
【0019】
したがって、本発明の第1の態様はダイカッタに自動的に押出ゴム要素を適用する請求項1に記載の装置に関する。
【0020】
具体的には、前記装置は、針グリッパを備えたマニピュレータを備えている。続いて、前記グリッパは、毎回取り出されて移動される前記押出ゴム要素用のカウンタ・チェック面として構成されることを意図する前面と、複数の後退可能な針とを備えている。前記針は、専用アクチュエータの推力によって、前記針が前記前面から片持ち状に延伸する引出し位置と、前記針が前記前面と同一面を維持する後退位置との間で、前記前面に対して移動可能である。
【0021】
前記針は移動して前記引出し位置で保持され、例えば、作業面に静止する切断済みゴムシートの押出要素である、取出し対象の押出ゴム要素を穿通する。前記針は移動して前記後退位置で保持され、前記ダイカッタ上にリリースされた前記押出ゴム要素から離脱する。すなわち、前記針は、前記ダイカッタに載置されたばかりの押出ゴム要素から前記グリッパの外に滑り出て、前記マニピュレータが別の押出ゴム要素をグリップして配置できるように前記マニピュレータを解放する。
【0022】
有利なことに、前記針は前記引出し位置と前記後退位置との中間位置で停止して、前記押出ゴム要素を離脱させることなく、前記押出ゴム要素をカウンタ・チェック面とも定義される前記前面に横たえることができる。この特徴は、前記押出ゴム要素を操作する度に正確な光学認識を可能にするうえで重要となる。実際に、前記押出要素は、降伏するゴムで作成されているため、各要素は、従来の可動顎グリッパで操作することが極めて困難である。針グリッパの使用も困難である。これは、作業面、具体的には切断済みシートから持ち上げられた押出ゴム要素は、ほぼ間違いなく前記マニピュレータの前記前面に対して傾斜した配置をとり、この傾斜が不規則だからである。このことから、前記グリッパによって取り出された各押出ゴム要素は、前記マニピュレータの基準システムに従わない位置をとり、本発明による解決策なくしては、各押出ゴム要素の対応するダイカッタに対する正しい配置を自動的かつ系統的に行うことは不可能であろう。
【0023】
また、針が穿通している間、前記押出要素のゴムが降伏し多かれ少なかれ不規則に動くということのみならず、以下の点についても考慮しなければならない。各押出要素は、たとえそれぞれのシートが切断済みであっても、常にシートに拘束され、押出要素のシートからの分離抵抗は、各押出要素の形状に依存するため、すべての押出要素の分離抵抗が同じとはならず、予測することができない。このこともまた前記マニピュレータの前記前面に対するズレの原因となる。
【0024】
したがって、本発明はこれらの欠点の克服を可能にし、ダイカッタのゴム被覆を簡単、迅速、効率的、かつ実質的に自動化された方法で、材料の無駄を最小限に抑えて行うことを可能にする。
【0025】
実際には、針を部分的に後退させて、前記押出ゴム要素を前記前面に整列させることにより、前記押出ゴム要素を前記マニピュレータの基準システムに対して整列させることが可能であるため、取出した断片が小さく初期状態で傾斜していても、当該断片の最適な光学認識を可能にし、各操作において、前記ダイカッタ上の切断/折り目加工ルールの前記押出要素に正確に対応する部分に、前記押出要素を配置することが可能となる。
【0026】
前記マニピュレータは、例えば、擬人化アーム型マニピュレータまたはデカルト型マニピュレータとすることができる。
【0027】
前記装置は、前記前面に対して移動可能であり、前記針が単一の前記押出ゴム要素をグリップしている状態で、作業面に静止する押出ゴム要素のシートに圧力を加える押圧要素を備えることが好ましい。前記押圧要素は前記グリッパと連携して、前記押出ゴム要素のシートを、前記針が単一の押出要素に穿通して前記シートから取り出す間、前記作業面に維持する。実際には、押圧要素が介入して、前記マニピュレータが、前記押出ゴム要素のシート全体を持ち上げることがないようにする。
【0028】
前記押圧要素は、前記前面に対して、
-前記押圧要素が、前記前面から、前記引出し位置における前記針の長さよりも離れた遠端位置であって、前記針が、前記シートの単一の前記押出ゴム要素を穿通している間、前記押出ゴム要素の前記シートを維持する遠端位置と、
-前記押圧要素が前記前面の後方または同一面となる基端位置と、の間で移動可能であることが好ましい。
【0029】
好ましい実施形態において、前記押圧要素は少なくとも部分的に前記前面を囲んでいる。例えば、長方形の外周を成すように延在する。
【0030】
前記装置の一実施形態において、前記針は肉厚部を有しており、前記肉厚部は取り出された押出要素のゴムとの間により多くの摩擦を発生させ、グリップを最大化させることにより押出要素が偶発的に離脱することを防止する。前記肉厚部は、前記針の先端近傍にある。
【0031】
前記装置はプログラム可能なタイプの電子制御ユニットを備えている。例えば、前記マニピュレータは、擬人化機械的アームであり、前記擬人化機械的アームは、対応する制御ユニットを備えており、移動可能で前記グリッパを空間の正確な位置に配置可能である。上述したように、前記マニピュレータは、例えばデカルト型マニピュレータのように、異なるタイプのものであってもよい。
【0032】
前記装置はまた、光学認識ステーションを備える、または画像を取得および処理する取得および処理手段を備えた既存の光学認識ステーションと接続可能である。前記光学認識ステーションは、カメラを備えており、前記カメラは前記針に穿通された押出ゴム要素を有する前記グリッパが前記マニピュレータによって前記カメラの前に配置される度に、前記押出ゴム要素の写真を撮るように予め配置されている。前記光学認識ステーションは、必要に応じて、前記カメラと同じ側に予め配置されて写真撮影対象の前記押出ゴム要素を照らす光源を備えている。
【0033】
前記光学認識ステーションの存在を考慮すると、前記装置の前記制御ユニットは、
a)上述したように前記針を部分的に後退させることにより取り出された前記押出ゴム要素を前記前面に対して整列させることにより、傾斜することなく正しく配置された前記押出ゴム要素の写真撮影を確実にするようにプログラムされていることが好ましい。この整列作業によって、誤った処理または(例えば、視差誤差による)誤った比較に繋がり得る画像が撮影されることを防止する。
b)前記押出ゴム要素を前記光学認識ステーションに配置し、前記押出要素が前記グリッパの前記前面と同一面の状態で、前記押出ゴム要素の画像を取得し、
c)取得した画像を、前記制御ユニットに記憶された(押出ゴム要素の)テンプレートの仮想ライブラリからの画像と比較して対応するテンプレートを識別して前記押出ゴム要素を識別し、および/または、ソフトウェアによって作成され、正しくセンタリングされ配向された押出ゴム要素のテンプレート描写する画像と比較し、および/または、前記画像を処理して、前記針に保持される前記押出ゴム要素を計測し、
d)上述した前記比較および/または前記処理に基づいて、マニピュレータの移動を制御し、前記ダイカッタ上の切断ルールまたは折り目加工ルールの対応部分の隣に前記押出ゴム要素を載置するようにプログラムされていることが好ましい。
【0034】
前記ステップc)で言及した、取り出された前記押出ゴム要素の実像と、前記押出ゴム要素が正しく配置され方向付けされた理論像との比較によって、ゴムシートから取り出す際に発生し得る回転移動に関するデータを得ることができ、ダイカッタへの配置の際に必要な補償を行うことができる。
【0035】
本発明による前記装置によって、光学認識を実質的に誤差なく行うことができる。すなわち、人間が容易に誤認するほど取り出された押出ゴム要素のサイズが小さくても、取り出された各押出ゴム要素を認識可能となり、前記ダイカッタの前記ゴム被覆を、正しく自動的に、(特殊な場合を除き)オペレータが介入することなく行うことができる。前記ダイカッタの切断ルール長または折り目加工ルール長は、一義的に操作される押出ゴム要素に対応しており、結果として、前記装置は各押出ゴム要素を対応するルールの隣に載置する。例えば、前記押出ゴム要素は、前記ダイカッタに預けられることを意図した側に両面接着テープが設けられており、前記押出要素を前記マニピュレータによって前記ダイカッタ上に配置するだけで、前記両面接着テープが接着する。
【0036】
前記押出ゴム要素は前記グリッパの前記前面に預けられ、傾斜も湾曲もしていないため、前記グリッパを前記マニピュレータの基準システムで、前記ダイカッタの上に直角に下降させるのみで配置ができる。
【0037】
配置が成功裏に完了すると、前記針は前記グリッパの前記前面に後退し、前記装置は別の押出ゴム要素をグリップし配置する新たなサイクルの準備ができる。
【0038】
前記装置はまた、前記マニピュレータに搭載され、前記前面と、例えば組み立てられる前記ダイカッタが載置される作業面である作業面、または前記作業面に配置される組立対象の前記ダイカッタの上面との間の点距離を検出する検出手段を備えることが好ましい。これらの手段は、例えばレーザ等の光学手段、またはタッチプローブ等の電気機械的手段であってもよい。前記装置の初期較正ステップにおいて、前記マニピュレータを用いて、前記作業面の高さ(座標z)および前記ダイカッタの上面の高さ(座標z’)を数点検出できる。この検出により、z-z’の差が一定で、前記ダイカッタが本当に平坦であるか、またはz-z’の差が一定でなく前記ダイカッタが若干湾曲しているか反っているかを検証することができる。上述した検出手段によって、前記装置は、前記ダイカッタのn個の点の座標z’を取得できる。これらの情報は、前記ダイカッタが完全に平坦な場合の座標z’と実際に測定された座標z’との高さの差、すなわち前記グリッパが前記ダイカッタに接近する方向に沿った差を補償しつつ、前記押出ゴム要素を正確に配置するために使用される。
【0039】
同様に、前記装置の初期較正ステップにおいて、前記マニピュレータを使用することにより、前記作業面における前記ダイカッタと前記ゴムシートの両方の座標x、yを検出することができる。すなわち、前記ダイカッタと前記ゴムシートの特定の基準点の座標x、yを検出することができる。
【0040】
上述した技術的特徴、すなわち前記グリッパの前記前面と前記作業面との距離、または前記作業面上に位置する前記ダイカッタの上面が検出可能であることについて、出願人は分割特許出願を行う権利を留保する。
【0041】
本発明の第2の態様は、ダイカッタをゴムで被覆する請求項11に記載の方法に関する。
【0042】
具体的には、前記方法は、
a’)複数の切断済み押出要素を含むゴムシートを用意し、前記シートを作業面に載置し、
b’)支持体と、前記支持体に挿入された複数の切断ルール、および/または、折り目加工ルールを備えたダイカッタを用意し、
c’)本発明のいずれか1項に記載の装置を用意し、前記装置を介して自動で少なくとも、以下の作業を行う。
d’)単一の押出ゴム要素に前記引出し位置の針を挿入して前記押出ゴム要素を穿通し、前記マニピュレータを持ち上げて、前記ゴムシートから前記押出要素を分離させ、
e’)前記針を前記中間位置まで部分的に後退させて、前記押出ゴム要素の面を前記前面に預けることにより、前記装置の前記前面に前記押出ゴム要素を整列させ、その位置の前記押出ゴム要素の画像を取得し、
f’)前記押出ゴム要素を前記ダイカッタにリリースする。
【0043】
前記方法によりもたらされる利点は、前記装置に関して上述したものと同様であり、前記前面に前記押出ゴム要素を整列させることにより、前記ダイカッタを正しく配置するうえで前駆的な条件となる、各押出要素を光学認識するための最適な画像を取得できる。
【0044】
事実、前記方法は、
g’)前記前面に預けられた押出ゴム要素、すなわち前記前面に押出ゴム要素の面が接触する状態で横たえた、前記押出ゴム要素の画像を取得し、例えば光学認識ソフトウェアによって、当該画像を、押出ゴム要素のテンプレートの仮想ライブラリからの画像と比較して対応するテンプレートを識別し、および/または、ソフトウェアによって作成され、正しくセンタリングされ配向された押出ゴム要素のテンプレートを描写する画像と比較し、および/または、前記画像を処理して前記押出ゴム要素を計測することが好ましい。
【0045】
上述したように、前記ステップf’)は、前記比較および/または前記ステップg’)の処理に基づいて、前記ダイカッタ上の切断ルールまたは折り目加工ルールの押出要素に一義的に対応する部分の隣に前記押出ゴム要素を載置するように実施される。最終的なリリース位置が把握できているため、前記押出ゴム要素の平面x、yにおけるあらゆる移動、および誤った方向が、前記認識システムによって検出できることが好ましい。前記方法は、本出願人が分割特許出願を提出する権利を留保する以下のステップを含んでいることが好ましい。
【0046】
h’)例えばタッチプローブまたは光学装置等の手段によって、前記前面と前記作業面との距離、および前記前面と前記ダイカッタの上面との距離を計測し、前記ステップf’)において、前記ダイカッタと前記作業面との共平面性のあらゆる誤差を補償する。利点については、前記装置に関して上述したものと同様である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付図面の補助を得て、例示の目的のみで限定されることなく示される、好ましいが排他的ではない実施形態の以下の明細書を検討することによって、より明らかになるであろう。
図1】作業面上に配置された本発明による装置の斜視図である。
図2図1に示す装置の作業中のプロトタイプの写真である。
図4-7】図1に示す装置の部分的概略図および立面図であり、作業中の各時点に対応するものである。
【発明を実施するための形態】
【0048】
図1図7を参照すると、参照番号1は全体的に本発明による装置を示しており、複数の押出要素が画定され、切断済みのゴムシート2から始まる、ダイカッタのゴム被覆工程全体で使用される。装置1は、ダイカッタ上の切断ルールおよび折り目加工ルールの方式に応じて、順次一義的に対応するダイカッタ上の位置に各押出ゴム要素を配置する。
【0049】
装置1は、例えば、寸法が2000×1600mmの作業面3に配置され、寸法が最大1600×1100mmのダイカッタ4を加工する。装置は、マニピュレータ5を備えており、当該マニピュレータ5は図示されるモデルでは、シート2から押出ゴム要素7を取り出して配置し、ダイカッタ4に、具体的にはダイカッタ4の支持体に配置するために特別に設計されたグリッパ6が端部に搭載された擬人化アームである。
【0050】
マニピュレータは、前記擬人化アーム5に代えて、一般的にデカルト・マニピュレータとして知られるデカルト軸型であってもよく、これの一例がEP1839798に記載されている。
【0051】
装置1は、迅速にデータを処理してアーム5を動かして配置し、個々の押出ゴム要素を認識および/または計測するための例えばコンピュータ等の電子制御ユニット(図示せず)を備えており、装置1の起動と制御はタッチ・ディスプレイ(図示せず)で行われる。
【0052】
押出ゴム要素7は、グリッパ6によってシート2から1つずつ取り出され、ダイカッタ4に配置される。グリッパ6は、エンドエフェクタまたはEOAT(腕先ツーリング)とも呼ばれ、アーム5に束縛されており、後述する。
【0053】
光学認識ステーションは、全体的に参照符号8で示されている。
【0054】
図2は、装置1の作業中のプロトタイプの写真である。図2において、他図で使用されるものと同様の参照符号は同様のコンポーネントを示している。特に、図2から理解されるように、ダイカッタは、切断ルール7’および/または折り目加工ルール7’が予め配置された木製の平坦な支持体4’を備えており、これに押出ゴム要素7が一義的な対応関係にしたがって結合される。
【0055】
光学認識ステーション8は、グリッパ6を照らす機能を有する例えばLEDランプのような光源9と、グリッパ6を用いてアーム5によって取り出された各押出ゴム要素7の少なくとも1フレームを取得する機能を有するカメラ10とを備えている。
【0056】
図2はまた、例えば、ウォータージェット切断技術によって、押出要素7が切断済みのゴムシート2を明確に示している。参照符号11は、テンプレートの、押出ゴム要素7がすでに取り出されて、解放され残った部分を示している。
【0057】
グリッパ6はまた、制御ユニットに接続されたカメラ12を備えている。カメラ12の機能は作業面上のダイカッタの実際の位置を検出し、必要に応じてゴムシート2の画像を取得し、これら画像を処理して、取出し対象のゴム押出要素7にグリッパを正しく配置することである。参照符号13は、後述の機能を有する押圧要素を示している。
【0058】
図3図7には、装置1の作業の異なる時点のグリッパ6が示されている。
【0059】
具体的に、図3は、作業面3上に配置されたゴムシート2に接近するグリッパ6を示す概略立面図である。取出し対象の押出ゴム要素7の位置は、対応するファイルにおいて特定されているため、装置1は当該押出ゴム要素7の位置を把握しており、グリッパ6は押出要素7を通る概略的に点線で示される垂直線に移動し、前記接近は正にこの線上で、すなわち作業面3に鉛直方向に行われる。
【0060】
グリッパには、カウンタ・チェック面とも定義される前面14があり、この前面14を移動させ、取出し対象の押出ゴム要素7に預けることが意図されている。グリッパ6はまた、前面14から引き出し可能で、正確に押出ゴム要素7に挿入されて押出ゴム要素7を取り出す機能を有する複数の針を備えている。具体的に、針は前面14に対して移動可能であり、押出ゴム要素7が穿通する完全な引出し位置と、図3に示されるように、前面14から突出せず、実質的に同一面となる完全な後退位置との間で移動可能である。
【0061】
ゴムシート2に接近する際に、押圧要素13はそれぞれの基端位置、すなわち、ゴムシート2に対して、前面14より後方あるいは同一面となる位置にある。
【0062】
図4には、次のステップが示されており、完全に引き出された針15がゴムシート2を穿通し、具体的には取出し対象の押出要素7を穿通する。針15は、要素7を通り、針15の先端が、作業面3とゴムシート2との間に載置された、例えばボール紙等の降伏層3’に挿入されている。
【0063】
この時点で装置1は、グリッパ6を持ち上げてシート2から押出ゴム要素7を分離する準備ができている。これは、図5に示されるように、針15完全に引き出された状態で、前面14を持ち上げる動作と連携して、押圧要素13をゴムシート2に下げることによって行われる。換言すれば、装置1は、看護師が患者の体から注射器を引き出すのと同様の動きで、針15がゴムシート2の上に来るまで、すなわち、押出ゴム要素7をシート2から分離する高さまで、押圧要素13をゴムシート2に当接させた状態でグリッパ6を持ち上げる。このステップにおいて、押圧要素13はそれぞれの基端位置、すなわち、完全に引き出された針15の先端の下にある平面に到達する。
【0064】
前面14に対して押圧要素13を移動させるために、グリッパ6は、図2において目視できるが番号が付与されていない特殊なアクチュエータを備えている。例えば、空気式または電気式リニアガイドがこの目的に適している。
【0065】
この時点で、図6に示すように、押圧要素13も初期の基端位置に戻る。図6にはまた、装置の構成が示されており、これに従って針15が前面14に部分的に後退し、
-押出ゴム要素7のグリップを保持し続け、
-同時に、前面14に押出ゴム要素7を整列させる、すなわち押出ゴム要素7を前面14に付着させる。
【0066】
図6から分かるように、この段階では、針15は、押出ゴム要素7の下面から飛び出していない。前面14に対する押出ゴム要素7の整列が達成されると、押出ゴム要素7は作業面3に対して事実上平行となる。
【0067】
上述した構成によって、押出ゴム要素7を、光学認識ステーション8のカメラ10の光軸に完全に垂直となるように、カメラの前に移動させることができる。これにより取得した画像は視差効果による影響を受けず、結果として、取得した画像を処理することで最良の成果を達成することができる。
【0068】
この時点で装置1は、押出ゴム要素7を光学認識ステーション8に向けて移動させて、押出ゴム要素7の写真を取得するために一時的に停止する。静止画像は制御ユニットに送られ、特殊なソフトウェアを用いて処理し、以下の1以上の工程を行う。
-画像から押出ゴム要素7の寸法を直接検出し、および/または、
-取得した画像とテンプレートのラスタを正しくセンタリングし、向き合わせたものを比較する。
【0069】
この時点で、平面x、yにおける押出ゴム要素7の位置と前面14に対するそれぞれの向きに対する修正を把握することで、装置は一義的に対応する切断ルールまたは折り目加工ルール7’に隣り合うように押出ゴム要素7をダイカッタ4に配置できる。
【0070】
図7は、装置1がグリッパ6をダイカッタ4上に配置している瞬間を示している。押出ゴム要素7をリリースする正確なポイントが識別されると、グリッパ6は下降し押出ゴム要素7を横たえる。このため、押出ゴム要素7のダイカッタ4に対向する面には両面接着テープの層が設けられていることが好ましい。あるいは、接着層を使用してもよい。
【0071】
また押出ゴム要素7が作業面3に対して平行であるため、ダイカッタ4に対して正確な配置を達成することができる。
【0072】
装置1にはまた、擬人化アームとグリッパ6との間に、ロードセル(図示せず)が設けられていることが好ましく、異常があればロードセルがそれを検知し、例えば、押出ゴム要素7の誤った配置や誤った取り出し等の重大な状態に気づかせることができる。
【0073】
ロードセル、またはこれに代えて、タッチプローブまたはレーザ器具によって、装置1は前面14と作業面3またはダイカッタ4、若しくはゴムシート2との距離を検出することができる。このようにして、ダイカッタ4の凸部に起因する、作業面3とダイカッタ4との間の共平面性の、作業面3と直交する方向の考え得る誤差を補償することができる。
【0074】
上述した装置にはいくつかの利点がある。
-労働力の節約、
-無駄なゴムの削減。人が成し得ることに関して、ゴムシート2を小さい押出要素7に細分化し、これらのダイカッタ上への配置を最適化し、ゴムシート2の押出ゴム要素7の再配置を改善し、結果として材料の節約に繋げる。
【0075】
グリッパ6を操作対象の押出ゴム要素7の寸法に適合させるために、針15は互いに接近または離れるように移動可能であることが好ましい。この移動によって、押出ゴム要素7の押出能力が増加する。これは、針15がすでにゴムに挿入されている際に、この移動を行うことにより、針15と押出ゴム要素7との間のグリップが増加するからである。
【0076】
ゴムシート2から、押出要素を取り出す際に、グリッパ6は、グリップを最大化するために傾斜できることが好ましい。
【0077】
以下の詳細な説明は、出願人によってテストされた、図2に示すプロトタイプに関するものである。具体的に、以下のテストでは、画像で示されるように寸法が1400×2000mmのアルミニウム平面の隣に固定した擬人化アームUR10を用いて行った。
【0078】
1)反復性テスト
【0079】
目的:メーカが提供する値の0.1mmから開始して、ロボットアームの動作の反復性をテストする。
【0080】
方法:平面の左側にコンパレータを固定し、グリッパ6を作業面の左側から右側へ約2mの変位で交互に移動させてアームの配置精度を測定した。結果は以下のとおりである。
-30%の速度での直線移動:誤差±0.03mm
-60%の速度での直線移動:誤差±0.03mm
-100%の速度での直線移動:誤差±0.04mm
-100%の速度での軸方向移動:誤差±0.08mm。
【0081】
結論:提供された定格データから開始して、反復性テストは良好であった。4例すべてにおいて、理論的な最終位置からの初期偏差は約0.1mmであり、この偏差は短時間(0.5秒)で自動的に補正され、上記の結果につながった。
【0082】
2)押出ゴム要素の配置テスト
【0083】
目的:装置1の最終動作のシミュレーション。
【0084】
方法:まず、ピースのグリップ位置および最終リリース位置を手動で検出し、その後グリッパ6のルートおよび作業シーケンスを定義した。現状、テストされたプロトタイプは約6秒のサイクル時間を達成した。ルート、加減速ランプ、速度、移動モード、休止等を最適化することで、サイクル時間をさらに約5.5秒まで短縮することが可能である。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】