(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-11
(54)【発明の名称】エアロゾル形成基体を誘導加熱するためのエアロゾル発生装置
(51)【国際特許分類】
A24F 40/465 20200101AFI20221228BHJP
A24F 40/20 20200101ALI20221228BHJP
【FI】
A24F40/465
A24F40/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022525227
(86)(22)【出願日】2020-10-29
(85)【翻訳文提出日】2022-04-28
(86)【国際出願番号】 EP2020080341
(87)【国際公開番号】W WO2021083986
(87)【国際公開日】2021-05-06
(32)【優先日】2019-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100122563
【氏名又は名称】越柴 絵里
(72)【発明者】
【氏名】ミロノフ オレク
(72)【発明者】
【氏名】クルバ ジェローム クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ストゥラ エンリコ
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA03
4B162AA22
4B162AB12
4B162AB22
4B162AC12
4B162AC22
(57)【要約】
本発明は、エアロゾル形成基体(91)を誘導加熱することによってエアロゾルを発生させるためのエアロゾル発生装置(10)に関する。装置は、加熱されるエアロゾル形成基体(91)を取り外し可能に受容するために構成された空洞(20)を備える装置ハウジングを備える。装置は、空洞内に交流磁場を発生させるための誘導コイル(31)を備える誘導加熱配設をさらに備え、誘導コイルは受容空洞(20)の少なくとも一部分の周りに配設されている。装置はまた、誘導コイルの少なくとも一部分の周りに配設された、かつ装置の使用中に誘導加熱配設の交流磁場を空洞に向かって歪めるように構成された磁束集中器(33)を備え、磁束集中器は、磁束集中器ホイルを備える、特にそれで作製されている。本発明は、本発明によるエアロゾル発生装置と、装置で使用するエアロゾル発生物品とを備えるエアロゾル発生システムにさらに関し、物品は加熱されるエアロゾル形成基体を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル形成基体を誘導加熱することによってエアロゾルを発生させるためのエアロゾル発生装置であって、前記装置が、
加熱される前記エアロゾル形成基体を取り外し可能に受容するように構成された空洞を備える装置ハウジングと、
前記空洞内に交流磁場を発生させるための少なくとも一つの誘導コイルを備える誘導加熱配設であって、前記誘導コイルが前記受容空洞の少なくとも一部分の周りに配設されている、誘導加熱配設と、
前記誘導コイルの少なくとも一部分の周りに配設された、かつ前記装置の使用中、前記少なくとも一つの誘導加熱配設の前記交流磁場を前記空洞に向かって歪めるように構成された磁束集中器であって、磁束集中器ホイルを備える、特に磁束集中器ホイルで作製されている、磁束集中器と、を備える装置。
【請求項2】
前記磁束集中器ホイルが、0.02mm~0.25mm、特に0.05mm~0.2mm、好ましくは0.1mm~0.15mmの範囲の厚さを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記磁束集中器ホイルが、管状磁束集中器または磁束集中器スリーブを形成するように、特に端部が相互に重なり合うか、または相互に当接して巻かれている、請求項1~請求項2のいずれか一項に記載の装置。
【請求項4】
前記巻かれた磁束集中器ホイルの弾性復元力の部分的解放による圧力ばめ様式で、前記磁束集中器ホイルが前記装置ハウジングの内表面に取り付けられている、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
相互に重なり合うか、または相互に当接する前記端部が、相互に取り付けられている、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記磁束集中器ホイルが、単層ホイルまたは多層ホイルである、請求項1~請求項5のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項7】
前記磁束集中器ホイルが、最大50kHzの周波数および25℃の温度で、少なくとも1000、好ましくは少なくとも10000の最大比透磁率を有する材料を含む、特にそれで作製されている、請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記磁束集中器ホイルが、少なくとも一つの強磁性材料またはフェリ磁性材料を含む、特にそれで作製されている、請求項1~請求項7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記磁束集中器ホイルが、ミューメタル、パーマロイ、またはナノ結晶軟質磁性合金のうちの少なくとも一つを含む、特にそれで作製されている、請求項1~請求項8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記誘導加熱配設が、複数の誘導コイル、特に二つの誘導コイルを備え、前記磁束集中器が、前記誘導コイルのうちの一つの少なくとも一部分の周りに、好ましくは、前記誘導コイルのそれぞれの少なくとも一部分の周りに配設されている、請求項1~請求項9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記装置が、前記少なくとも一つの誘導コイルと、40マイクロメートル~400マイクロメートル、特に100マイクロメートル~240マイクロメートルの範囲の半径方向延長部を有する前記磁束集中器の間に半径方向のギャップを備える、請求項1~請求項10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記空洞内に少なくとも部分的に配設された少なくとも一つのサセプタ素子をさらに備える、請求項1~請求項11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記サセプタが、管状サセプタまたはサセプタスリーブである、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
請求項1~請求項13のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置と、前記装置の前記空洞に少なくとも部分的に受容された、または受容可能なエアロゾル発生物品と、を備えるエアロゾル発生システムであって、前記エアロゾル発生物品が、加熱される前記エアロゾル形成基体を含む、システム。
【請求項15】
前記物品が前記装置の前記空洞に受容されている時、使用時に前記サセプタが前記誘導加熱配設によって誘導加熱されるように、前記エアロゾル発生物品が、前記エアロゾル形成基体と熱的に近接してまたは熱的に接触して位置付けられた少なくとも一つのサセプタを備える、請求項14に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル形成基体を誘導加熱することによってエアロゾルを発生させるためのエアロゾル発生装置に関する。本発明は、こうした装置とエアロゾル発生物品とを備えるエアロゾル発生システムにさらに関し、物品は加熱されるエアロゾル形成基体を含む。
【背景技術】
【0002】
吸入可能なエアロゾルを形成することができるエアロゾル形成基体の誘導加熱に基づくエアロゾル発生システムは、先行技術から一般的に周知である。こうしたシステムは、加熱される基体を受容するための空洞を有するエアロゾル発生装置を備えてもよい。基体は、装置で使用するために構成されているエアロゾル発生物品の一体部分であってもよい。基体を加熱するために、装置は、空洞内に交流磁場を発生させるための誘導コイルを含む誘導加熱配設を備えてもよい。磁場は、システムの使用時、加熱されるために基体と熱的に近接して、または基体と直接、物理的に接触して配設されているサセプタ中に、熱発生渦電流またはヒステリシス損失のうちの少なくとも一つを誘導するために使用されている。一般に、サセプタは装置の一体部分、または物品の一体部分のいずれでもよい。
【0003】
しかしながら、磁場は、サセプタを誘導加熱するだけでなく、エアロゾル発生装置の他の感受性の部分、または装置に近接した感受性の外部物品にも干渉しうる。こうした望ましくない干渉を低減するために、エアロゾル発生装置には、磁束集中器によって囲まれた容積内に、加熱配設によって発生された磁場を実質的に閉じ込めるように作用する、誘導加熱配設の周りに配設された磁束集中器が提供されてもよい。しかし、例えば装置が誤って落下した後に、過度な力の衝撃またはショックを受けた場合、閉じ込め効果はしばしば低減したり、失われたりすることが観察されている。加えて、多くの磁束集中器は、かなりかさばるため、エアロゾル発生装置の全体的な大きさおよびサイズを著しく増加させ得る。
【0004】
従って、先行技術の解決策の利点を有しつつも、それらによる制限事項を伴わずに、エアロゾル形成基体を誘導加熱するためのエアロゾル発生装置およびシステムを有することが望ましいであろう。特に、強化された堅牢性およびコンパクトな設計を提供する磁束集中器を備えるエアロゾル発生装置およびシステムを有することが望ましいであろう。
【発明の概要】
【0005】
本発明によると、エアロゾル形成基体を誘導加熱することによってエアロゾルを発生させるためのエアロゾル発生装置が提供されている。装置は、加熱されるエアロゾル形成基体を取り外し可能で受容するために構成された空洞を備える装置ハウジングを備える。装置は、空洞内に交流磁場を発生させるための少なくとも一つの誘導コイルを備える誘導加熱配設をさらに備え、少なくとも一つの誘導コイルは受容空洞の少なくとも一部分の周りに配設されている。装置はまた、誘導コイルの少なくとも一部分の周りに配設された、かつ装置の使用中に誘導加熱配設の交流磁場を空洞に向かって歪めるように構成された磁束集中器を備える。磁束集中器は、磁束集中器ホイルを含み、特に磁束集中器ホイルで作製されている。
【0006】
本発明によれば、磁束集中器ホイルを含む、特に磁束集中器ホイルで作製されている磁束集中器は、例えば、フェライト中実体などの他の磁束集中器構成よりも柔軟であることが認識されている。このため、磁束集中器ホイルは、良好な衝撃吸収特性を提供し、よって、割れることなく、より高い過度な力の影響または衝撃に耐えることができる。例えば、焼結フェライト粉末から作製されたサセプタと比較して、柔軟な磁束集中器ホイルは、偶発的な落下に起因するものなどの衝撃荷重に対して、大幅に向上した耐性を提供する。さらに、磁束集中器ホイルは、その小さな寸法により、エアロゾル発生装置のよりコンパクトな設計を可能にする。特に、焼結フェライト磁束集中器と比較して、磁束集中器ホイルは著しく薄く作ることができる。さらに、中実体磁束集中器とは対照的に、磁束集中器ホイルは、製造公差を補償すること、ならびに、誘導率を微調整することを可能にする。特に、磁束集中器ホイルは、有利なことに、温度で誘導コイルのインピーダンス安定性を強化するのに役立ち得る。一般に、誘導コイルのインピーダンスは、磁束集中器の存在によって影響を受ける。磁束集中器ホイルを使用する時、誘導加熱システムのコンダクタンスは、特に大容量の中実体磁束集中器と比較して、ホイルの容積が小さいため、温度による変化がより少ない可能性がある。この結果、インピーダンスも温度による変化がより少ない可能性がある。それとは別に、磁束集中器ホイルは製造が容易である。
【0007】
本明細書で使用される「磁場を集中させる」という語句は、磁場の密度が空洞内で増大するように、磁束集中器が磁場を歪めることが可能であることを意味する。
【0008】
空洞に向かって磁場を歪めることによって、磁束集中器は、磁場が誘導コイルを越えて伝搬する範囲を減少させる。すなわち磁束集中器は、磁気シールドとして働く。このことは、装置の隣接する感受性の部分(例えば金属の外側ハウジング)の望ましくない加熱、または装置の外部の隣接した感受性の物品の望ましくない加熱を低減しうる。望ましくない加熱損失を低減することによって、エアロゾル発生装置の効率は、さらに改善されうる。
【0009】
さらに、空洞に向かって磁場を歪めることによって、磁束集中器は有利なことに、空洞内に磁場を集中または集束させることができる。これは、磁束集中器を有しない誘導コイルと比較して、誘導コイルを通過する所与のレベルの電力に対してサセプタ中に発生する熱のレベルを増加させうる。それ故に、エアロゾル発生装置の効率は改善されうる。
【0010】
本明細書で使用される「ホイル」という用語は、厚さの方向に直角を成す任意の方向の寸法よりもはるかに小さい厚さを有する薄いシート材料を指す。本明細書で使用される「厚さ」という用語は、ホイルの主要表面に直角を成すホイルの寸法を指す。特に、「ホイル」という用語は、軟質であり、かつ好ましくはそれ自体の重量下で曲がるシート材料を指し得る。より具体的には、「ホイル」という用語は、ホイルの自由に張り出した試料の1つの側面の2センチメートルの長さ当たり少なくとも5度、特に少なくとも20度、より具体的には30度、それ自体の重量下で曲がるシート材料を指してもよい。「ホイル」という用語は、最大5センチメートル、特に2センチメートル、より具体的には、最大1.5センチメートルの曲率半径で、それ自体の重量下で曲がるシート材料を指してもよい。
【0011】
磁束集中器ホイルは、0.02mm(ミリメートル)~0.25mm(ミリメートル)、特に0.05mm(ミリメートル)~0.2mm(ミリメートル)、好ましくは0.1mm(ミリメートル)~0.15mm(ミリメートル)、または0.04mm(ミリメートル)~0.08mm(ミリメートル)、または0.03mm(ミリメートル)~0.07mm(ミリメートル)の範囲の厚さを有することが好ましい。厚さのこうした値は、エアロゾル発生装置の特にコンパクトな設計を可能にする。さらに、これらの値は、装置の使用中に、誘導加熱配設の交流磁場を空洞に向かって十分に歪めるのに十分な大きさである。
【0012】
磁束集中器の厚さは、磁束集中器の厚さに直角を成す任意の方向に沿って実質的に一定であってもよい。他の実施例では、磁束集中器の厚さは、磁束集中器の厚さに直角を成す一つ以上の方向に沿って変化してもよい。例えば、磁束集中器の厚さは、一方の端から他方の端に、または磁束集中器の中央部分から両方の端に向かって、先細りしていてもよい、または減少してもよい。磁束集中器の厚さは、その周囲の周りで実質的に一定であってもよい。その他の実施例において、磁束集中器の厚さは、その周囲の周りで変化してもよい。
【0013】
一般に、磁束集中器は、任意の形状を有してもよく、さらに好ましくは、集中器が少なくとも部分的に配設された少なくとも一つの誘導の形状と一致する形状を有してもよい。
【0014】
例えば、磁束集中器は、実質的に円筒形状、特にスリーブ形状または管状形状を有してもよい。すなわち、磁束集中器は、管状磁束集中器または磁束集中器スリーブまたは円筒状の磁束集中器であってもよい。こうした形状は、少なくとも一つの誘導コイルが、実質的に円筒形状を有するらせん誘導コイルである場合に特に適切である。こうした構成において、磁束集中器は、コイルの軸方向長さの延長部の少なくとも一部分に沿って少なくとも一つの誘導コイルを完全に囲む。管状形状またはスリーブ形状は、空洞の円筒形状に関して、ならびに誘導コイルの円筒状および/またはらせん状の構成に関して特に有利である。この形状に関して、磁束集中器は任意の適切な断面を有しうる。例えば、磁束集中器は、正方形、楕円形、長方形、三角形、五角形、六角形または同様の断面形状を有しうる。磁束集中器は円形断面を有することが好ましい。例えば、磁束集中器は、環状の円筒形状を有しうる。
【0015】
また、磁束集中器は、少なくとも一つの誘導コイルの周囲の一部の周りにのみ延びる可能性もある。
【0016】
これらの構成のいずれにおいても、磁束集中器は、少なくとも一つの誘導コイルの中心線と同軸に配設されることが好ましい。磁束集中器および少なくとも一つの誘導コイルは、空洞の中心線と同軸であることが、さらにより好ましい。
【0017】
一般に、誘導加熱配設は、単一の誘導コイルまたは複数の誘導コイル、特に二つの誘導コイルを備えてもよい。単一の誘導コイルの場合、磁束集中器は、単一の誘導コイルの少なくとも一部分の周りに、好ましくは、誘導コイルの周りに完全に配設されている。複数の誘導コイルの場合、磁束集中器は、誘導コイルのうちの一つの少なくとも一部分の周りに、好ましくは、誘導コイルのそれぞれの一つの少なくとも一部分の周りに、さらにより好ましくは、各誘導コイルの周りに完全に配設されてもよい。
【0018】
磁束集中器ホイルは、管状磁束集中器または磁束集中器スリーブを形成するように、特に端部が相互に重なり合うか、または相互に当接して、巻かれてもよい。相互に重なり合うか、または相互に当接する端部は、相互に取り付けられてもよい。同様に、相互に重なり合うか、または相互に当接する端部は、相互に緩く重なり合うか、または相互に緩く当接してもよい。
【0019】
特に、磁束集中器ホイルは、磁束集中器ホイルの単一の巻線を備える管状磁束集中器または磁束集中器スリーブを形成するように、単一の巻線で巻かれてもよい。別の方法として、磁束集中器ホイルは、複数の特に渦巻き状巻線を備える管状磁束集中器または磁束集中器スリーブを形成するように、複数の回転/巻線で巻かれてもよい。
【0020】
磁束集中器ホイルはまた、相互に重なり合う磁束集中器ホイルの一つ以上のらせん状巻線を備える管状磁束集中器または磁束集中器スリーブを形成するように、巻線軸に関して軸方向にらせん状に巻かれてもよい。
【0021】
もちろん、磁束集中器ホイルは、相互に重なって別々の同心巻線で巻かれることも可能である。すなわち、磁束集中器は、相互に重なって別々の同心の単一(回転)の巻線で巻かれた複数の磁束集中器ホイルを備えてもよい。同様に、磁束集中器ホイルは、相互に重なって別々の複数の渦巻き状または複数の巻線で巻かれる可能性もある。すなわち、磁束集中器は、相互に重なって別々の同心の複数渦巻き状またはらせん状(回転)の巻線で巻かれた複数の磁束集中器ホイルを備えてもよい。
【0022】
さらに、磁束集中器は、相互に隣り合うように配設された複数の磁束集中器ホイルを備えることも可能であり、各磁束集中器ホイルは、単一の巻線で、または相互に重なり合う複数の渦巻き状巻線で、または相互に重なり合う別々の同心巻線で巻かれている。
【0023】
磁束集中器ホイルの複数の、特に複数の渦巻き状もしくは複数のらせん状の巻線、または相互に重なり合うの複数の別々の同心巻線を含む構成は、有利なことには、多層磁束集中器ホイルまたは多層磁束集中器を生成するために使用されてもよく、各巻線は一つの層に相当する。例えば、磁束集中器は、2つ、または3つ、または4つ、または5つ、または6つ、または7つ以上の複数の渦巻き状または複数のらせん状巻線または複数の別々の同心巻線を備えてもよい。従って、こうした多層磁束集中器ホイルまたは多層磁束集中器は、単層またはホイルの厚さに、巻線または層の数を乗じたものに実質的に対応する厚さを有してもよい。例えば、ホイルが、0.02mm(ミリメートル)~0.25mm(ミリメートル)、特に0.05mm(ミリメートル)~0.2mm(ミリメートル)、好ましくは、0.1mm(ミリメートル)~0.15mm(ミリメートル)の範囲の厚さを有する場合、6層を備える多層磁束集中器ホイルまたは多層磁束集中器は、0.12mm(ミリメートル)~1.5mm(ミリメートル)、特に0.3mm(ミリメートル)~1.2mm(ミリメートル)、好ましくは、0.6mm(ミリメートル)~0.9mm(ミリメートル)の範囲の厚さを有してもよい。
【0024】
磁束集中器ホイルが、管状磁束集中器または磁束集中器スリーブを形成するように、特に単一巻線で巻かれている場合、磁束集中器ホイルは、巻かれた磁束集中器ホイルの弾性復元力の部分的解放による圧力ばめ様式で、装置ハウジングの内表面に取り付けられてもよい。すなわち、弾性復元力は、磁束集中器ホイルを装置ハウジングの内表面に対して半径方向に外向きに押しつける。この構成では、巻かれたホイルの端部は、相互に緩く重なり合うか、または相互に緩く当接することが好ましい。有利なことに、この構成は、特に追加の固定手段なしでの、磁束集中器の単純な取付けを可能にする。
【0025】
また、磁束集中器は、磁束集中器ホイルを磁束集中器の最終形状へと直接押し出すことから生じることも可能である。特に、磁束集中器は、押出成形された磁束集中器ホイル、例えば、押出成形された管状磁束集中器ホイルまたは磁束集中器ホイルスリーブ、または押出成形された円筒状の磁束集中器ホイルを備えてもよく、またはそれであってもよい。押出成形された管状磁束集中器ホイルまたは押出成形された磁束集中器ホイルスリーブまたは押出成形された円筒状の磁束集中器ホイルは、0.05mm(ミリメートル)~0.25mm(ミリメートル)、好ましくは0.1mm(ミリメートル)~0.15mm(ミリメートル)の範囲の壁厚さを有してもよい。壁厚さはまた、0.12mm(ミリメートル)~1.5mm(ミリメートル)、特に0.3mm(ミリメートル)~1.2mm(ミリメートル)、好ましくは0.6mm(ミリメートル)~0.9mm(ミリメートル)の範囲であってもよい。
【0026】
本明細書で使用される「磁束集中器」という用語は、誘導コイルにより発生された電磁場または電磁力線を集中させ、導くように機能する、高比透磁率を有する構成要素を指す。
【0027】
本明細書で使用される「高比透磁率」という用語は、少なくとも100、特に少なくとも1000、好ましくは少なくとも10000、さらにより好ましくは少なくとも50000、最も好ましくは少なくとも80000の比透磁率を指す。これらの例示的な値は、最大50kHzの周波数および25℃の温度での比透磁率の最大値を指す。
【0028】
本明細書および当技術分野で使用される「比透磁率」という用語は、磁束集中器などの材料または媒体の透磁率と、自由空間の透磁率「μ0」との比を指し、μ0は、4π・10-7N・A-2(4・Pi・10E-07ニュートン/平方アンペア)である。
【0029】
従って、磁束集中器ホイルは、少なくとも100、特に少なくとも1000、好ましくは少なくとも10000、さらにより好ましくは少なくとも50000、最も好ましくは少なくとも80000の比透磁率を有する材料(複数可)を含む、特にそれで作製されていることが好ましい。これらの値は、最大50kHzの周波数および25℃の温度での比透磁率の最大値を指すことが好ましい。
【0030】
磁束集中器ホイルは任意の適切な材料を含むか、または材料の組み合わせから作製されてもよい。磁束集中器ホイルは、例えば、基質中に保持されたフェライト粒子もしくはフェライト粉末などのフェライト材料、または鉄、強磁性鋼、鉄シリコンもしくは強磁性ステンレス鋼などの強磁性材料を含む、その他任意の適切な材料など、フェリ磁性または強磁性材料を含むことが好ましい。同様に、磁束集中器ホイルは、基質中に保持されたフェリ磁性もしくは強磁性粒子またはフェリ磁性もしくは強磁性粉末など、フェリ磁性または強磁性材料を含んでもよい。基質は、結合剤、例えば、ポリマー(シリコンなど)を含んでもよい。従って、基質は、シリコン基質などの高分子マトリクスであってもよい。
【0031】
強磁性材料は、鉄、ニッケルおよびコバルトならびにその組み合わせから選択される少なくとも一つの金属を含んでもよく、クロム、銅、モリブデン、マンガン、アルミニウム、チタン、バナジウム、タングステン、タンタル、ケイ素などの他の元素を含んでもよい。強磁性材料は、約78重量パーセント~約82重量パーセントのニッケル、0~7重量パーセントのモリブデンおよび残りは鉄を含んでもよい。
【0032】
磁束集中器ホイルは、パーマロイを含んでもよく、またはパーマロイで作製されていてもよい。パーマロイは、典型的には、モリブデン、銅および/またはクロムなどの追加の元素を含有するニッケル-鉄磁性合金である。
【0033】
磁束集中器ホイルは、ミューメタルを含んでもよく、またはミューメタルで作製されていてもよい。ミューメタルは、特に約80000~100000の非常に高い透磁率を有するニッケル-鉄の軟質強磁性合金である。例えば、ミューメタルは、約77重量パーセントのニッケル、16重量パーセントの鉄、5重量パーセントの銅、および2重量パーセントのクロムまたはモリブデンを含んでもよい。同様に、ミューメタルは、80重量パーセントのニッケル、5重量パーセントのモリブデン、少量のシリコンなどの様々な他の元素、および残り12~15重量パーセントの鉄を含んでもよい。
【0034】
磁束集中器ホイルは、ドイツのMAGNETEC GmbH社からNanoperm(登録商標)という商標で販売されている合金を含んでもよく、またはこの合金で作製されていてもよい。Nanoperm(登録商標)合金は、約83重量パーセント~約89重量パーセントの鉄を含む、鉄系ナノ結晶軟質磁性合金である。本明細書で使用される「ナノ結晶」という用語は、約5ナノメートル~50ナノメートルの粒子サイズを有する材料を指す。
【0035】
磁束集中器ホイルは、ドイツのVACUUMSCHMELZE GmbH & Co. KG社からVitrovac(登録商標)またはVitroperm(登録商標)という商標で販売されている合金を含んでもよく、またはこの合金で作製されていてもよい。Vitrovac(登録商標)合金は非晶質(金属ガラス)であるのに対し、Vitroperm(登録商標)合金はナノ結晶軟質磁性合金である。例えば、磁束集中器ホイルは、Vitroperm 220、Vitroperm 250、Vitroperm 270、Vitroperm 400、Vitroperm 500、またはVitroperm 800を含んでもよく、またはそれで作製されていてもよい。
【0036】
磁束集中器ホイルは、米国Metglas, Inc.またはドイツのHitachi Metals Europe GmbH社からMetglas(登録商標)という商標で販売されているろう付けホイルを含んでもよく、またはそれで作製されていてもよい。Metglas(登録商標)ろう付けホイルは、非晶質ニッケル系ろう付けホイルである。
【0037】
一般に、磁束集中器ホイルは、単層磁束集中器ホイルまたは多層磁束集中器ホイルのいずれかであり得る。
【0038】
例えば、多層磁束集中器ホイルは、基体層フィルムと、基体層上に配置された強磁性材料の少なくとも一つの層とを備えてもよい。
【0039】
別の実施例によると、多層磁束集中器ホイルは、層の一つ以上の対を含む多層スタックを備えてもよく、各対は、間隔保持層と、間隔保持層の上に配置された強磁性材料の層とを備える。
【0040】
別の実施例によると、多層磁束集中器ホイルは、基体層と、基体層の上に配置された多層スタックとを備えてもよく、多層スタックは層の一つ以上の対を含み、各対は、間隔保持層と、間隔保持層の上に配置された強磁性材料の層とを備える。
【0041】
別の実施例によると、多層磁束集中器ホイルは、第一の強磁性材料の層と、第一の強磁性材料の層の上に配置された多層スタックとを備えてもよく、多層スタックは層の一つ以上の対を含み、各対は、間隔保持層と、間隔保持層の上に配置された第二の強磁性材料の層とを備える。
【0042】
逆に、多層磁束集中器ホイルは、多層スタックと、多層スタックの上に配置された第一の強磁性材料の層とを備えてもよく、多層スタックは層の一つ以上の対を含み、各対は、間隔保持層と、間隔保持層の上に配置された第二の強磁性材料の層とを備える。
【0043】
別の実施例によると、多層磁束集中器ホイルは、基体層と、基体層の上に配置された第一の強磁性材料の層と、第一の強磁性材料の層の上に配置された多層スタックとを備えてもよく、多層スタックは層の一つ以上の対を含み、各対は、間隔保持層と、間隔保持層の上に配置された第二の強磁性材料の層とを備える。
【0044】
逆に、多層磁束集中器ホイルは、基体層と、基体層の上に配置された多層スタックと、多層スタックの上に配置された第一の強磁性材料の層とを備えてもよく、多層スタックは層の一つ以上の対を含み、各対は、間隔保持層と、間隔保持層の上に配置された第二の強磁性材料の層とを備える。
【0045】
(第一または第二の)強磁性層を含む一つ以上の層は、鉄、ニッケル、銅、モリブデン、マンガン、ケイ素、およびそれらの組み合わせから選択される少なくとも一つの金属を含みうる。強磁性材料は、約88重量パーセント~約82重量パーセントのニッケル、および約18重量パーセント~約20重量パーセントの鉄を含んでもよい。特に、(第一または第二の)強磁性層を含む一つ以上の層は、ホイルを含んでもよく、またはホイルで作製されていてもよい。ホイルは、パーマロイ、Nanoperm(登録商標)合金、Vitroperm(登録商標)合金(Vitroperm 800など)、またはMetglas(登録商標)ろう付けホイルのうちの一つを含むか、またはそれから作製されていることが好ましい。
【0046】
第一および第二の強磁性材料は、相互に同じであってもよく、または異なってもよい。
【0047】
基体層は高分子フィルムを含んでもよい。高分子フィルムは、ポリエステル、ポリイミド、ポリオレフィン、またはそれらの組み合わせから選択されてもよい。基体層は剥離ライナーを含んでもよい。
【0048】
間隔保持層または間隔保持層のうちの一つ以上は、渦電流効果を抑制するための誘電層または非導電性材料であってもよい。間隔保持層または間隔保持層のうちの一つ以上は、比較的低い透磁率を有する強磁性材料で作製されていてもよい。間隔保持層または間隔保持層のうちの一つ以上は、アクリルポリマーを含んでもよい。
【0049】
加えて、多層磁束集中器ホイル、特に前述の多層磁束集中器ホイルの任意の一つは、保護層を備えてもよい。保護層は、多層磁束集中器ホイルの最も外側の二つの層(縁層)のうちの少なくとも一つを形成することが好ましい。保護層は、ポリマーまたはセラミックを含んでもよく、またはそれで作製されていてもよい。
【0050】
さらに、多層磁束集中器ホイル、特に前述の多層磁束集中器ホイルの任意の一つは、接着テープなどの接着層を備えてもよい。接着層は、多層磁束集中器ホイルの最も外側の二つの層のうちの少なくとも一つを形成することが好ましい。特に、前述の多層磁束集中器ホイルの任意の一つによる基体層は、接着層であってもよい。
【0051】
多層磁束集中器ホイルの最も外側の層のうちの一つは保護層であり、また、多層磁束集中器ホイルの最も外側の層のその他のそれぞれは接着層であることが好ましい。
【0052】
エアロゾル発生装置は、少なくとも一つの誘導コイルと磁束集中器の間に半径方向のギャップを備えてもよく、磁束集中器は、誘導コイルを少なくとも部分的に囲む。従って、ギャップはまた、誘導コイルを少なくとも部分的に囲む。ギャップは、空気ギャップまたは充填材料で充填されたギャップ、例えば、Kapton(登録商標)としても知られるポリ(4,4’-オキシジフェニレン-ピロメリチイミド)などのポリイミド、または任意の他の適切な誘電材料であってもよい。例えば、誘導コイルは、少なくとも一つの誘導コイルと磁束集中器の間の半径方向のギャップを埋めるように、Kaptonテープの一つ以上の層によって巻かれてもよい。Kaptonテープの一層は、40マイクロメートル~80マイクロメートルの範囲の厚さを有してもよい。
【0053】
ギャップは、40マイクロメートル~400マイクロメートル、特に100マイクロメートル~240マイクロメートルの範囲、例えば、220マイクロメートルの半径方向延長部を有してもよい。有利なことに、ギャップは、誘導コイルの損失を低減し、加熱されるサセプタの損失を増加させること、すなわち、エアロゾル発生装置の加熱効率を増加させるのに役立ちうる。誘導加熱配設は、装置の一部である少なくとも一つのサセプタ素子を含んでもよい。別の方法として、少なくとも一つのサセプタ素子は、加熱されるエアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品の一体型の一部であってもよい。装置の一部として、少なくとも一つのサセプタ素子は、使用中にエアロゾル形成基体と熱的に近接または熱的に接触するように、好ましくは物理的に接触するように、少なくとも部分的に空洞内に配設されているかまたは配設可能である。
【0054】
本明細書で使用される「サセプタ素子」という用語は、交流電磁場に供された時に電磁エネルギーを熱へと変換する能力を有する要素を指す。これは、サセプタ材料の電気特性および磁性に依存して、サセプタ内で誘導されるヒステリシス損失および/または渦電流の結果でありうる。ヒステリシス損失は、交流電磁場の影響下で切り替えられる材料内の磁区に起因して、強磁性またはフェリ磁性のサセプタ内で生じる。渦電流は、サセプタが導電性である場合に誘起される場合がある。導電性の強磁性またはフェリ磁性サセプタの場合、渦電流とヒステリシス損失の両方によって熱が発生しうる。
【0055】
従って、サセプタ素子は、エアロゾル形成基体からエアロゾルを発生させるのに十分な温度に誘導加熱されることができる任意の材料から形成されてもよい。好ましいサセプタ素子は金属または炭素を含む。好ましいサセプタ素子は、強磁性材料(例えばフェライト鉄)、または強磁性の鋼鉄またはステンレス鋼を含みうる。適切なサセプタ素子はアルミニウムであってよく、またはアルミニウムを含んでもよい。好ましいサセプタ素子は、400シリーズのステンレス鋼、例えばグレード410、またはグレード420、またはグレード430のステンレス鋼から形成されてもよい。
【0056】
サセプタ素子は、様々な幾何学的構成を含みうる。サセプタ素子は、サセプタピン、サセプタロッド、サセプタブレード、サセプタ細片、またはサセプタプレートを含みうるか、またはそれらでありうる。サセプタ素子がエアロゾル発生装置の一部である場合、サセプタピン、サセプタピン、サセプタロッド、サセプタブレード、サセプタ細片、またはサセプタプレートは、好ましくは、エアロゾル発生物品を空洞に挿入するための空洞の開口部に向かって、装置の空洞内に突出しうる。
【0057】
サセプタ素子は、フィラメントサセプタ、メッシュサセプタ、ウィックサセプタを含んでもよく、またはそれらであってもよい。
【0058】
同様に、サセプタ素子は、サセプタスリーブ、サセプタカップ、円筒形サセプタ、または管状サセプタを含んでもよく、またはそれらであってもよい。サセプタスリーブ、サセプタカップ、円筒形サセプタ、または管状サセプタの内側空隙は、エアロゾル発生物品の少なくとも一部分を取り外し可能に受容するように構成されていることが好ましい。
【0059】
前述のサセプタ素子は、例えば、円形、楕円形、正方形、長方形、三角形、または任意の他の適切な形状などの任意の断面形状を有してもよい。
【0060】
本明細書で使用される「エアロゾル発生装置」という用語は、基体を加熱することによってエアロゾルを発生させるように、少なくとも一つのエアロゾル形成基体と相互作用する能力、特にエアロゾル発生物品内に提供されたエアロゾル形成基体と相互作用する能力を有する電気的に作動する装置を概して指す。エアロゾル発生装置は、ユーザーによってユーザーの口を通して直接吸入可能なエアロゾルを発生させるための吸煙装置であることが好ましい。特に、エアロゾル発生装置は手持ち式のエアロゾル発生装置である。
【0061】
誘導コイルに加えて、誘導加熱配設は交流(AC)発電機を備えてもよい。AC発電機はエアロゾル発生装置の電源によって電力供給されてもよい。AC発電機は少なくとも一つの誘導コイルに動作可能に結合される。特に、少なくとも一つの誘導コイルは、AC発電機の一体型の部分であってもよい。AC発電機は、交流電磁場を発生させるために誘導コイルを通過する高周波振動電流を発生させるように構成されている。AC電流はシステムの起動後、誘導コイルに連続的に供給されてもよく、または断続的に(例えば毎回の吸煙ごとに)供給されてもよい。
【0062】
誘導加熱配設は、LCネットワークを含むDC電源に接続されたDC/ACコンバータを備え、LCネットワークはコンデンサと誘導コイルの直列接続を備えることが好ましい。
【0063】
誘導加熱配設は、高周波電磁場を発生させるように構成されることが好ましい。本明細書に参照されるように、高周波電磁場は、500kHz(キロヘルツ)~30MHz(メガヘルツ)、特に5MHz(メガヘルツ)~15MHz(メガヘルツ)、好ましくは5MHz(メガヘルツ)~10MHz(メガヘルツ)の範囲内でありうる。
【0064】
エアロゾル発生装置は、装置の動作を制御するように構成されたコントローラをさらに備えてもよい。特に、所定の動作温度へのエアロゾル形成基体の加熱を制御するために、コントローラは、好ましくは閉ループ構成で誘導加熱配設の動作を制御するように構成されてもよい。エアロゾル形成基体の加熱に使用される動作温度は、少なくとも180℃、特に少なくとも300℃、好ましくは少なくとも350℃、より好ましくは少なくとも370℃、最も好ましくは少なくとも400℃であり得る。これらの温度は、エアロゾル形成基体を加熱するが燃焼させないための典型的な動作温度である。動作温度は、180℃~370℃、特に180℃~240℃、または280℃~370℃の範囲内であることが好ましい。概して、動作温度は、加熱されるエアロゾル形成基体のタイプ、サセプタの構成、およびシステムの使用時におけるエアロゾル形成基体に対するサセプタの配設のうち少なくとも一つに依存しうる。例えば、システムの使用時にエアロゾル形成基体を囲むようにサセプタが構成・配設される場合、動作温度は、180℃~240℃の範囲内としうる。同様に、システムの使用時にエアロゾル形成基体内に配設されるようにサセプタが構成される場合、動作温度は、280℃~370℃の範囲内としうる。上述の動作温度は、使用時のサセプタの温度を指すことが好ましい。
【0065】
コントローラは、マイクロプロセッサ、例えばプログラマブルマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、または特定用途向け集積回路チップ(ASIC)もしくは制御を提供する能力を有するその他の電子回路を備えてもよい。コントローラは、少なくとも一つのDC/ACインバータおよび/または電力増幅器、例えば、クラスC、クラスDまたはクラスE電力増幅器など、さらなる電子構成要素を備えてもよい。特に、誘導加熱配設はコントローラの一部であってもよい。
【0066】
エアロゾル発生装置は電源、特に誘導加熱配設にDC供給電圧およびDC供給電流を提供するように構成されたDC電源を備え得る。電源はリン酸鉄リチウム電池などの電池であることが好ましい。代替として、電源は、コンデンサなどの別の形態の電荷蓄積装置であってもよい。電源は再充電を必要としうる、すなわち、電源は充電可能でありうる。電源は、一回または複数回のユーザー体験のために十分なエネルギーの貯蔵を可能にする容量を有する場合がある。例えば、電源は約六分間、または六分の倍数の時間にわたるエアロゾルの連続的な発生を可能にするのに十分な容量を有してもよい。別の実施例では、電源は所定の吸煙回数、または誘導加熱配設の個別の起動を可能にするのに十分な容量を有してもよい。
【0067】
エアロゾル発生装置は、誘導加熱配設のうちの少なくとも一つ、特に少なくとも一つの誘導コイル、磁束集中器、コントローラ、電源、および空洞の少なくとも一部分を含むことが好ましい主本体を備えうる。
【0068】
主本体に加えて、エアロゾル発生装置は、特に装置と共に使用されるエアロゾル発生物品がマウスピースを含まない場合、マウスピースをさらに備えうる。マウスピースは、装置の主本体に据え付けられてもよい。マウスピースは、マウスピースを主本体に取り付けると受容空洞を閉じるように構成されてもよい。マウスピースを主本体に取り付けるために、主本体の近位端部分は、マウスピースの遠位端部分にて対応する相手側と係合する磁気的マウントまたは機械的マウント、例えばバヨネットマウントまたはスナップ嵌めマウントを備えてもよい。装置がマウスピースを備えない場合、エアロゾル発生装置と共に使用されるエアロゾル発生物品はマウスピース、例えばフィルタープラグを備えてもよい。
【0069】
エアロゾル発生装置は、少なくとも一つの空気出口、例えばマウスピース(存在する場合)の空気出口を備えてもよい。
【0070】
エアロゾル発生装置は、少なくとも一つの空気吸込み口から、受容空洞を通って、そして場合によってはさらに、もしあれば、マウスピースの空気出口に延びる空気経路を備えることが好ましい。エアロゾル発生装置は、受容空洞と流体連通する少なくとも一つの空気吸込み口を備えることが好ましい。その結果、エアロゾル発生システムは、少なくとも一つの空気吸込み口から受容空洞の中に延びる、および場合によっては物品内のエアロゾル形成基体とマウスピースを通してユーザーの口の中にさらに延びる空気経路を備えてもよい。
【0071】
少なくとも一つの誘導コイルおよび磁束集中器は、装置ハウジング内に配設されている、かつ装置の空洞の少なくとも一部分を形成するか、またはその周りに円周方向に配設されている、特にその周りに取り外し可能に配設されている誘導モジュールの一部であってもよい。
【0072】
これに関して、本発明はまた、装置の空洞の少なくとも一部分を形成するか、またはその周りに円周方向に配設されているように、エアロゾル発生装置内に配設可能な誘導モジュールを提供し、空洞は、誘導加熱されるエアロゾル形成基体を取り外し可能に受容するために構成されている。誘導モジュールは、使用時に空洞内に交流電磁場を発生させるための少なくとも一つの誘導コイルを備え、少なくとも一つの誘導コイルは、誘導モジュールが装置中に配設されている時、受容空洞の少なくとも一部分の周りに配設されている。誘導モジュールは、少なくとも一つの誘導コイルの少なくとも一部分の周りに円周方向に配設された、かつ誘導モジュールが装置の中に配設されている時、使用中に空洞に向かって誘導コイルの交流電磁場を歪めるように構成された磁束集中器をさらに備える。磁束集中器は、本発明による、本明細書に記載されるような、磁束集中器ホイルを備えるか、またはそれで作製されている。
【0073】
誘導モジュール、特に誘導コイルおよび磁束集中器のさらなる特徴および利点は、エアロゾル発生装置に関して説明されているので、繰り返さない。
【0074】
本発明によると、本発明による、および本明細書に記載のエアロゾル発生装置を備えるエアロゾル発生システムも提供されている。システムは、装置で使用するエアロゾル発生物品をさらに備え、物品は、装置によって誘導加熱されるエアロゾル形成基体を含む。エアロゾル発生物品は、少なくとも部分的に装置の空洞の中に受容されているか、または受容可能である。
【0075】
本明細書で使用される「エアロゾル発生システム」という用語は、本明細書にさらに記載のエアロゾル発生物品と、本発明による、本明細書に記載のエアロゾル発生装置との組み合わせを指す。システムにおいて、物品と装置は呼吸に適したエアロゾルを発生させるように協働する。
【0076】
本明細書で使用される「エアロゾル発生物品」という用語は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を、加熱された時に放出する少なくとも一つのエアロゾル形成基体を含む物品を指す。エアロゾル発生物品は、加熱式エアロゾル発生物品であることが好ましい。すなわち、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出するために、燃焼ではなく加熱されることが意図されている少なくとも一つのエアロゾル形成基体を含む、エアロゾル発生物品である。エアロゾル発生物品は、消耗品、特に単回使用後に廃棄される消耗品であってもよい。例えば、物品は、加熱される液体エアロゾル形成基体を含むカートリッジであってもよい。別の方法として、物品は従来の紙巻たばこに似ているロッド状の物品(特にたばこ物品)であってもよい。
【0077】
本明細書で使用される「エアロゾル形成基体」という用語は、エアロゾルを形成するために、加熱に伴い揮発性化合物を放出することが可能なエアロゾル形成材料から形成されるか、またはそれを含む基体を意味する。エアロゾル形成基体は、エアロゾル形成揮発性化合物を放出するために、燃焼ではなく加熱されることが意図される。エアロゾル形成基体は固体エアロゾル形成基体であってもよく、または液体エアロゾル形成基体であってもよい。両方の場合において、エアロゾル形成基体は固体成分と液体成分の両方を含んでもよい。エアロゾル形成基体は、加熱に伴い基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含有するたばこ含有材料を含んでもよい。別の方法として、または追加的に、エアロゾル形成基体は非たばこ材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体はエアロゾル形成体をさらに含んでもよい。適切なエアロゾル形成体の例はグリセリンおよびプロピレングリコールである。エアロゾル形成基体はまた、ニコチンまたは風味剤などのその他の添加物および成分を含んでもよい。エアロゾル形成基体はまた、ペースト様の材料、エアロゾル形成基体を含む多孔性材料のサシェ、または例えばゲル化剤または粘着剤と混合されたばらのたばこであってもよく、これはグリセリンなどの一般的なエアロゾル形成体を含むことができ、これはプラグへと圧縮または成形される。
【0078】
前述の通り、エアロゾル形成基体を誘導加熱するために使用される少なくとも一つのサセプタ素子は、エアロゾル発生装置の一部ではなく、エアロゾル発生物品の一体部分であってもよい。従って、エアロゾル発生物品は、物品が装置の空洞に受容されている時、使用時にサセプタ素子が誘導加熱配設によって誘導加熱されることが可能なように、エアロゾル形成基体と熱的に近接または熱的に接触して位置付けられた少なくとも一つのサセプタ素子を備えうる。
【0079】
本発明によるエアロゾル発生システムのさらなる特徴および利点については、エアロゾル発生装置に関して説明されているため、繰り返さない。
【0080】
本発明を、添付図面を参照しながら、例証としてのみであるがさらに記載する。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【
図1】
図1は、本発明の第一の実施形態によるエアロゾル発生システムの長軸方向の概略断面図を示す。
【
図3】
図3は、本発明の第二の実施形態による誘導モジュールの詳細図である。
【
図4】
図4は、本発明の第三の実施形態によるエアロゾル発生システムの長軸方向の概略断面図を示す。
【
図5-8】
図5~8は、本発明による磁束集中器ホイルの三つの異なる配設を示す。
【
図9】
図9は、本発明による多層磁束集中器ホイルの例示的な実施形態を 概略的に図示する。
【0082】
図1は、本発明によるエアロゾル発生システム1の第一の例示的な実施形態の概略断面図を示す。システム1は、エアロゾル形成基体91を誘導加熱することによってエアロゾルを発生させるために構成されている。システム1は、加熱されるエアロゾル形成基体91を含むエアロゾル発生物品90、および物品90と併用するためのエアロゾル発生装置10の、二つの主な構成要素を備える。装置10は、物品90を受容するための受容空洞20と、物品90が空洞20に挿入される時に物品90内の基体91を加熱するための誘導加熱配設とを備える。
【0083】
物品90は、従来の紙巻たばこの形状に類似したロッド形状を有する。本実施形態では、物品90は、同軸整列で配設された四つの要素である、基体要素91、支持要素92、エアロゾル冷却要素94、およびフィルタープラグ95を備える。基体要素は、物品90の遠位端に配設され、加熱されるエアロゾル形成基体を含む。エアロゾル形成基体91は、例えばエアロゾル形成体としてグリセリンを含む均質化したたばこ材料の捲縮したシートを含んでもよい。支持要素92は、中央空気通路93を形成する中空コアを備える。フィルタープラグ95は、マウスピースとして機能し、例えば、セルロースアセテート繊維を含み得る。四つの要素はすべて、順々に連続的に30配設されている実質的に円筒状の要素である。四つの要素は、実質的に同一の直径を有し、円筒状のロッドを形成するように、紙巻たばこ用紙で作製された外側ラッパー96によって囲まれている。外側ラッパー96は、ラッパーの自由端が相互に重なり合うように、前述の要素の周りに巻かれてもよい。ラッパーは、ラッパーの重なり合った自由端を相互に接着する接着剤をさらに含んでもよい。
【0084】
装置10は、実質的に円筒状の装置ハウジングによって形成された実質的にロッド状の主本体11を備える。装置10は遠位部分13内に、電源16(例えばリチウムイオン電池)と、装置10の動作を制御するための、特に加熱プロセスを制御するためのコントローラを含む電気回路17とを備える。遠位部分13と反対側の近位部分14内に、装置10は受容空洞20を備える。空洞20は装置10の近位端12で開いていて、それ故に物品90を受容空洞20の中に容易に挿入することが可能である。
【0085】
受容空洞の底部分21は、装置10の遠位部分13を、装置10の近位部分14から、特に受容空洞20から分離する。底部分は、例えばPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)などの断熱性材料で作製されていることが好ましい。それ故に、遠位部分13内の電気的な構成要素は、空洞20内のエアロゾル発生プロセスによって生成されるエアロゾルまたは残留物から分離された状態に保たれうる。
【0086】
装置10の誘導加熱配設は、交流の、特に高周波電磁場を発生させるための誘導コイル31を含む誘導源を備える。本実施形態において、誘導コイル31は、円筒状の受容空洞20を円周方向に包囲するらせん状コイルである。誘導コイル31はワイヤ38から形成されていて、その長さに沿って延びる複数の巻または巻線を有する。ワイヤ38は、正方形、長円形、または三角形などの任意の適切な断面形状を有してもよい。この実施形態において、ワイヤ38は円形断面を有する。他の実施形態において、ワイヤは平坦な断面形状を有してもよい。
【0087】
誘導加熱配設は、誘導コイル31によって発生される電磁場を経験するように受容空洞20内に配設されているサセプタ素子60をさらに備える。本実施形態において、サセプタ素子60はサセプタブレード61である。その遠位端64で、サセプタブレードは、装置の受容空洞20の底部分21に配設されている。そこからサセプタブレード61は、装置10の近位端12にある受容空洞20の開口部に向かって受容空洞20の内側空隙の中に延びる。サセプタブレード60の他方の端、すなわち遠位自由端63は、サセプタブレードが物品90の遠位端部分内のエアロゾル形成基体91を容易に貫通することを可能にするように、先細りしている。
【0088】
装置10が作動する時、高周波の交流電流が誘導コイル31を通過する。これはコイル31に、空洞20内で交流電磁場を発生させる。結果として、サセプタ素子60の材料の磁気特性および電気特性に依存して、渦電流および/またはヒステリシス損失のため、サセプタブレード61が加熱する。次にサセプタ60は、エアロゾルを形成するのに十分な温度まで物品90のエアロゾル形成基体91を加熱する。エアロゾルはエアロゾル発生物品90を通して下流に引き出されて、ユーザーによって吸入されうる。高周波電磁場は、500kHz(キロヘルツ)~30MHz(メガヘルツ)、特に5MHz(メガヘルツ)~15MHz(メガヘルツ)、好ましくは5MHz(メガヘルツ)~10MHz(メガヘルツ)の範囲内でありうることが好ましい。
【0089】
本実施形態において、誘導コイル31は、エアロゾル発生装置10の近位部分14とともに配設されている誘導モジュール30の一部である。誘導モジュール30は、実質的にロッド状の装置10の長軸方向中心軸Cと同軸に整列した実質的に円筒状の形状を有する。
図1から分かる通り、誘導モジュール30は、空洞20の少なくとも一部分、または空洞20の内表面の少なくとも一部分を形成する。
【0090】
図2は、誘導モジュール30をより詳細に示す。誘導コイル31の他に、誘導モジュール30は、らせん状に巻かれた円筒状誘導コイル31を運ぶ管状の内側支持スリーブ32を備える。一つの管状内側支持スリーブ32は、内側支持スリーブ32の周囲の周りに延びる環状の突出部34を有する。突出部34は、誘導コイル31のいずれかの端に位置し、内側支持スリーブ32上の所定の場所にコイル31を保持する。内側支持スリーブ32は、プラスチックなどの任意の適切な材料から作られうる。特に、内側支持スリーブ32は、空洞20の少なくとも一部分、すなわち、空洞20の内表面の少なくとも一部分であってもよい。
【0091】
誘導コイル31と内側支持スリーブ32の両方は(突出部34を除いて)、誘導コイル31の長さに沿って延びる管状磁束集中器33によって包囲されている。磁束集中器33は、装置10の使用中に誘導コイル31によって発生された交流電磁場を、空洞20に向かって歪めるように構成されている。本発明によれば、磁束集中器33は、磁束集中器ホイル35で作製される。磁束集中器35は、最大50kHzの周波数および25℃の温度で、少なくとも100、特に少なくとも1000、好ましくは少なくとも10000、さらにより好ましくは少なくとも50000、最も好ましくは少なくとも80000の高比透磁率を有する材料を含む。このため、誘導コイル31によって生成される電磁場は、磁束集中器33に引き寄せられ、磁束集中器33によって誘導される。それ故に、磁束集中器33は、磁気シールドとして働く。これは、外部物体の望ましくない加熱、または外部物体との望ましくない干渉を低減しうる。誘導モジュール30によって画定された内部体積内の電磁場線もまた、磁束集中器33によって歪められ、その結果、空洞20内の電磁場の密度が増大する。これは、空洞20中に位置するサセプタブレード61内に発生される電流を増大しうる。このようにして、電磁場を空洞20に向かって集中させて、サセプタ素子60のより効率的な加熱を可能にすることができる。
【0092】
本実施形態では、磁束集中器ホイル35は約0.1mm(ミリメートル)の厚さを有する。これは、ミューメタルで作製された単層ホイルである。ホイル35は、誘導コイル31を囲む磁束集中器ホイル35の単一の巻線を備える管状磁束集中器または磁束集中器スリーブを形成するように、単一の巻線で巻かれている。
【0093】
図2でさらに分かるように、磁束集中器ホイル35は、誘導コイル31と磁束集中器ホイル35の間に半径方向の間隔を実質的に有することなく、誘導コイル31の周りに直接巻かれている。
【0094】
図3は、誘導モジュール130の別の実施形態を示しており、ここで、磁束集中器ホイル135は、誘導コイル131から半径方向に間隙を介している。すなわち、エアロゾル発生装置は、誘導コイル131と磁束集中器ホイル135の間に半径方向のギャップ139を備える。本実施形態において、ギャップ139は、例えば、Kapton(登録商標)としても知られるポリ(4,4’-オキシジフェニレン-ピロメリチイミド)などのポリイミド、または任意の他の適切な誘電材料などの、充填材料136で充填されている。例えば、誘導コイル131は、誘導コイル131と磁束集中器133の間の半径方向のギャップ139を埋めるように、Kaptonテープの一つ以上の層によって巻かれてもよい。ギャップ139または充填材料136はそれぞれ、40マイクロメートル~240マイクロメートル、例えば、80マイクロメートルの範囲の半径方向延長部を有してもよい。有利なことに、ギャップ139は、誘導コイルの損失を低減し、加熱されるサセプタの損失を増加させること、すなわち、エアロゾル発生装置の加熱効率を増加させるのに役立ちうる。別の方法として、ギャップは空気ギャップであってもよい。
【0095】
図1および
図2に示す実施形態とは対照的に、
図3に示す実施形態によるサセプタ素子160は、物品が受容空洞に受容された時に物品を囲むように、内側支持スリーブ132の内表面に配設されたサセプタスリーブ161である。
【0096】
それ以外は、
図3に示す実施形態は、
図1および
図2に示す実施形態と非常に類似している。従って、同一または類似の特徴は同一の参照符号で示されているが、100だけ増分されている。
【0097】
図4は、本発明の第三の実施形態によるエアロゾル発生システム1の概略断面図を示す。システムは、サセプタを除いて、
図1に示すシステムと同一である。従って、同一の特徴に対して同一の参照番号が使用されている。
図1に示す実施形態とは対照的に、
図4によるシステムのサセプタ68は、エアロゾル発生装置10の一部ではなく、エアロゾル発生物品90の一部である。本実施形態では、サセプタ68は、金属、例えば、ステンレス鋼で作製されたサセプタ細片69を含み、これは基体要素91のエアロゾル形成基体内に位置する。特に、サセプタ68は、装置10の空洞20への物品90の挿入後に、サセプタ細片69が空洞20、特に誘導コイル31内に配設されて、使用時にサセプタ細片69が誘導コイル31の磁場を経験するように、物品90内に配設されている。
【0098】
原理的には、磁束集中器ホイル35、135は、誘導コイル33、133の周りに異なる方法で巻かれてもよい。第一の実施形態によれば、
図5に示されるように、磁束集中器ホイル35は、その自由端37、137が相互に当接して巻かれてもよい。すなわち、エアロゾル発生装置のCの長さ軸に沿って延びる、磁束集中器ホイルの長軸方向の縁は、相互に当接する。
【0099】
第二の実施形態によれば、
図6に示されるように、磁束集中器ホイル35、135は、自由端37、137が相互に重なり合って巻かれてもよい。すなわち、エアロゾル発生装置のCの長さ軸に沿って延びる、磁束集中器ホイル35、135の長軸方向の縁は、相互に当接する。
【0100】
磁束集中器ホイルが、管状磁束集中器または磁束集中器スリーブを形成するように、特に単一巻線で巻かれている場合、磁束集中器ホイルは、巻かれた磁束集中器ホイルの弾性復元力の部分的解放による圧力ばめ様式で、装置ハウジングの内表面に取り付けられてもよい。すなわち、弾性復元力は、磁束集中器ホイルを装置ハウジングの内表面に対して半径方向に外向きに押しつける。
図1、
図2、および
図4を参照すると、こうした磁束集中器ホイルは、エアロゾル発生装置10の近位端の空洞20の開口部を通して、支持スリーブ32の外表面と装置ハウジングの内表面の間の半径方向のスリットの中に容易に挿入され得る。
【0101】
図7に示す第三の実施形態によれば、磁束集中器ホイル35、135は、相互に重なり合う磁束集中器ホイルの複数の、特に渦巻き状巻線を備える、管状磁束集中器または磁束集中器スリーブを形成するように、複数の巻線で巻かれてもよい。
【0102】
図8に示す第四の実施形態によれば、磁束集中器ホイル35、13はまた、磁束集中器ホイル35、135の一つ以上のらせん状巻線を備える、管状磁束集中器または磁束集中器スリーブを形成するように、巻き軸に対して軸方向に、すなわち、エアロゾル発生装置のCの長さ軸に沿って、らせん状に巻かれてもよい。
【0103】
図7および
図8に示す二つの後者の構成は、多層磁束集中器(ホイル)を生成するために有利に使用されてもよく、各巻線は一つの層に対応する。
【0104】
多層磁束集中器を生成するために磁束集中器ホイルの複数の巻線を使用する代わりに、磁束集中器ホイル自体が、多層磁束集中器ホイルであってもよい。
図9は、断面図における、こうした多層磁束集中器ホイル235の例示的な実施形態を示す。この実施形態では、多層磁束集中器ホイル235は、接着テープなどの基体層フィルム250と、基体層上に配置された強磁性材料の層とを備える。基体層フィルム250の上に、多層磁束集中器ホイル235は、第一の強磁性材料251の層を備える。第一の強磁性材料251の層の上に、多層磁束集中器ホイル235は、層の複数の対を含む多層スタック252を備え、各対は、間隔保持層253と、間隔保持層253の上に配置された第二の強磁性材料254の層とを備える。第一の強磁性材料251の層および第二の強磁性材料254の層は、ホイルを含んでもよく、またはホイルで作製されてもよい。各ホイルは、パーマロイ、Nanoperm(登録商標)合金、Vitroperm(登録商標)合金(Vitroperm 800など)、またはMetglas(登録商標)ろう付けホイルのうちの少なくとも一つを含むか、またはそれで作製されることが好ましい。原理的には、第一の強磁性材料および第二の強磁性材料は、同一であってもよく、または相互に異なっていてもよい。間隔保持層253は、渦電流効果を抑制するための誘電層または非導電性材料であってもよい。例えば、間隔保持層253は、比較的低い透磁率を有するアクリルポリマーまたは強磁性材料を含んでもよく、またはそれで作製されてもよい。
【0105】
さらに、多層磁束集中器ホイル235は、多層スタック252の上に保護層255を備える。保護層は、ポリマーまたはセラミックを含んでもよく、またはそれで作製されていてもよい。
【0106】
基体層フィルム250および保護層255の両方が、多層磁束集中器ホイル235の最も外側の層または縁部層を形成する。
【0107】
強磁性材料253の層はそれぞれ、約16マイクロメートル~20マイクロメートル、例えば、18マイクロメートルの厚さを有してもよい。
【0108】
多層磁束集中器ホイル235の合計の厚さは、0.1ミリメートル~0.2ミリメートルの範囲、例えば0.15ミリメートルであってもよい。
【国際調査報告】