(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-18
(54)【発明の名称】エアロゾル発生要素を生成する方法
(51)【国際特許分類】
A24B 15/167 20200101AFI20230111BHJP
A24B 15/38 20060101ALI20230111BHJP
A24B 15/40 20060101ALI20230111BHJP
A24B 3/14 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
A24B15/167
A24B15/38
A24B15/40
A24B3/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022524984
(86)(22)【出願日】2020-11-03
(85)【翻訳文提出日】2022-04-27
(86)【国際出願番号】 EP2020080816
(87)【国際公開番号】W WO2021089543
(87)【国際公開日】2021-05-14
(32)【優先日】2019-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】ラヴァナン ローラン
(72)【発明者】
【氏名】リー ピン
(72)【発明者】
【氏名】オンマイユ ジゼル
【テーマコード(参考)】
4B043
【Fターム(参考)】
4B043BB01
4B043BB10
4B043BB16
4B043BB22
4B043BC03
4B043BC12
4B043BC18
4B043BC20
4B043BC22
(57)【要約】
マトリクス形成高分子を含むマトリクス高分子溶液を水中で調製する工程と、複数のエアロゾル発生製剤構成成分をマトリクス高分子溶液に添加して、エアロゾル発生溶液を形成する工程であって、エアロゾル発生製剤構成成分は、多価アルコール、および少なくとも一つのアルカロイドまたはカンナビノイドを含む、添加する工程と、エアロゾル発生溶液の個別の部分を形成する工程と、エアロゾル発生溶液の個別の部分を多価カチオンの架橋溶液に添加してマトリクス形成高分子を架橋する工程と、エアロゾル発生要素を架橋溶液から除去し、エアロゾル発生要素を乾燥させる工程と、を含む、エアロゾル発生物品またはシステムのためのエアロゾル発生要素を生成する方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生物品またはシステムのためのエアロゾル発生要素を生成する方法であって、前記方法が、
マトリクス形成高分子を含むマトリクス高分子溶液を水中で調製する工程と、
複数のエアロゾル発生製剤構成成分を前記マトリクス高分子溶液に添加して、エアロゾル発生溶液を形成する工程であって、前記エアロゾル発生製剤構成成分が、多価アルコール、および少なくとも一つのアルカロイドまたはカンナビノイドを含む、添加する工程と、
前記エアロゾル発生溶液の個別の部分を形成する工程と、
前記エアロゾル発生溶液の前記個別の部分を多価カチオンの架橋溶液に添加して前記マトリクス形成高分子を架橋する工程と、
前記エアロゾル発生要素を前記架橋溶液から除去し、前記エアロゾル発生要素を乾燥させる工程と、を含む、方法。
【請求項2】
前記エアロゾル発生製剤構成成分が、酸をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記エアロゾル発生溶液の個別の部分を形成する前記工程が、前記エアロゾル発生溶液の液滴を形成することを含み、前記液滴が、少なくとも10cmの高さから前記架橋溶液に落下される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記エアロゾル発生溶液の粘度が、少なくとも5000mPa.sである、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記エアロゾル発生製剤構成成分が、前記マトリクス高分子溶液に逐次的に添加される、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記エアロゾル発生溶液が、少なくとも20重量パーセントの前記多価アルコールを含む、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記多価アルコールが、グリセリン、プロピレングリコール、またはグリセリンとプロピレングリコールの組み合わせである、請求項1~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記エアロゾル発生溶液が、少なくとも0.5重量パーセントのニコチンを含む、請求項1~7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記マトリクス形成高分子がアルギネートを含み、前記マトリクス高分子溶液が少なくとも45重量パーセントの水を含む、請求項1~8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記架橋溶液が、少なくとも20重量パーセントの多価アルコールを含み、前記架橋溶液中の前記多価アルコールが、前記エアロゾル発生溶液中の前記多価アルコールと同じである、請求項1~9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記架橋溶液中の前記多価アルコールの濃度が、前記エアロゾル発生溶液内の前記多価アルコールの濃度の20パーセント以内である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記乾燥工程中、前記エアロゾル発生要素の含水量が20重量パーセント未満に減少される、請求項1~11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
乾燥後、前記エアロゾル発生要素が少なくとも60重量パーセントの多価アルコール含有量を有する、請求項1~12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記エアロゾル発生要素が、少なくとも60重量パーセントの多価アルコールと、少なくとも0.5重量パーセントのニコチンと、少なくとも0.5重量パーセントの酸とを含む、請求項1~13のいずれかの方法によって生成される、エアロゾル発生要素。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル発生物品またはエアロゾル発生システムで使用するためのエアロゾル発生要素を生成する方法に関する。本発明はさらに、こうした方法によって生成されたエアロゾル発生要素に関する。
【背景技術】
【0002】
ニコチン含有基体またはたばこ含有基体などのエアロゾル発生基体が燃焼されるのではなく加熱されるエアロゾル発生物品は、当業界で公知である。典型的に、こうした加熱式喫煙物品においてエアロゾルは、熱源からの熱を、物理的に分離されたエアロゾル発生基体または材料に伝達することによって発生され、このエアロゾル発生基体または材料は熱源に接触して、または熱源内に、または熱源の周囲に、または熱源の下流に位置してもよい。エアロゾル発生物品の使用中、揮発性化合物は、熱源からの熱伝達によってエアロゾル発生基体から放出され、エアロゾル発生物品を通して引き出された空気中に同伴される。放出された化合物は冷めるにつれて凝縮してエアロゾルを形成する。
【0003】
数多くの先行技術文書は、エアロゾル発生物品を消費するためのエアロゾル発生装置を開示している。こうした装置としては、例えばエアロゾル発生装置の一つ以上の電気ヒーター要素から加熱式エアロゾル発生物品のエアロゾル発生基体への熱伝達によってエアロゾルが発生される、電気加熱式エアロゾル発生装置が挙げられる。
【0004】
加熱式エアロゾル発生物品用の基体はこれまでしばしば、たばこ材料の無作為な向きにされた断片、ストランド、または細片を使用して生産されてきた。代替として、たばこ材料のシートの集合体から形成された、加熱式エアロゾル発生物品用のロッドは、一例として、国際特許出願第WO-A-2012/164009号に開示されている。
【0005】
国際特許出願WO-A-2011/101164は、均質化したたばこ材料のストランドから形成された、加熱式エアロゾル発生物品のための代替的なロッドを開示していて、これは粒子状たばこおよび少なくとも一つのエアロゾル形成体を含む混合物の鋳造、圧延、カレンダ成形、または押出成形よって形成されて、均質化したたばこ材料シートを形成しうる。代替的な実施形態では、国際特許出願第WO-A-2011/101164号のロッドは、粒子状たばこおよび少なくとも一つのエアロゾル形成体を含む混合物を押出成形することによって得られた均質化したたばこ材料のストランドから形成されて、均質化したたばこ材料の連続的な長さを形成し得る。
【0006】
ニコチンを含む基体の代替的な形態も開示されている。一例として、しばしばeリキッドと呼ばれる液体ニコチン組成物が提案されてきた。これらの液体組成物は、例えば、エアロゾル発生装置のコイル状の電気抵抗性のあるフィラメントによって加熱され得る。このタイプの基体は、望ましくない漏れを防止するために、液体組成物を保持する容器の製造に特有の注意を必要とする場合がある。
【0007】
エアロゾル発生基体として使用するためのカプセル化されたニコチン製剤を提供することが以前に提案されてきた。しかしながら、ニコチン製剤のカプセル化は、困難であることが分かっている。この理由の一つは、ニコチン製剤中のグリセリンおよびプロピレングリコールなどの親水性エアロゾル形成体が好ましく、これは製剤を一般的に使用される親水性カプセル化材料でカプセル化することを困難にする。既存のカプセル化技術では、安定した製品を生成するためには、非常に高レベルの親水性カプセル化材料が必要であることが一般的に分かっている。これはさらに、単位体積当たり不十分な量のニコチン製剤が提供され、カプセル化された基体からの非効率なエアロゾル送達がもたらされることを意味する。
【0008】
疎水性カプセル化材料は利用可能であるが、こうした材料は、しばしば比較的高温で処理する必要があり、これは、製造中にニコチン製剤が分解する危険性がある。使用中、ニコチン製剤からエアロゾルを発生させるために必要とされる温度は、疎水性カプセル化材料の分解を引き起こすのに十分に高い場合がある。これは、結果として得られるエアロゾルへの望ましくない化合物の放出をもたらし、これがエアロゾルの感覚プロファイルに悪影響を及ぼす場合がある。
【0009】
エアロゾル発生製剤の安定性が増大し、その漏れが最小限である改善されたカプセル化された基体を提供する、ニコチン含有製剤などのカプセル化されたエアロゾル発生製剤を生成する新規な方法を提供することが望ましい。効率的なエアロゾル送達を提供するように、最小限のカプセル化材料で最大限のエアロゾル発生製剤のペイロードを有するカプセル化された基体を生成するような方法を提供することが望ましい。さらに、加熱に伴い制御されたエアロゾルの送達を与える、カプセル化された基体を生成するような方法を提供することが望ましい。エアロゾルを発生するためにエアロゾル発生物品または装置内に容易に組み込まれて容易に加熱されることが可能な形態の、カプセル化された基体を生成する方法を提供することがさらに望ましい。
【発明の概要】
【0010】
本発明によれば、マトリクス形成高分子を含むマトリクス高分子溶液を水中で調製する工程と、複数のエアロゾル発生製剤構成成分をマトリクス高分子溶液に添加して、エアロゾル発生溶液を形成する工程であって、エアロゾル発生製剤構成成分は、多価アルコール、および少なくとも一つのアルカロイドまたはカンナビノイドを含む、添加する工程と、エアロゾル発生溶液の個別の部分を形成する工程と、エアロゾル発生溶液の個別の部分を多価カチオンの架橋溶液に添加してマトリクス形成高分子を架橋し、それによって連続高分子マトリクス、および連続高分子マトリクス内に分散されたエアロゾル発生製剤構成成分を含むエアロゾル発生製剤を有する、エアロゾル発生要素を形成する工程と、エアロゾル発生要素を架橋溶液から除去し、エアロゾル発生要素を乾燥させる工程とを含む、エアロゾル発生要素を生成するための方法が提供されている。
【0011】
定義される方法は、連続高分子マトリクス、および連続高分子マトリクス内に分散されたエアロゾル発生製剤構成成分を含むエアロゾル発生製剤を有する、エアロゾル発生要素を形成する。
【0012】
本発明によれば、上記に定義する本発明の方法により生成され、少なくとも60重量パーセントの多価アルコールと、少なくとも0.5重量パーセントのニコチンと、少なくとも0.5重量パーセントの酸とを含む、エアロゾル発生要素がさらに提供されている。
【0013】
本明細書で使用される「エアロゾル発生物品」という用語は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出するために、燃焼ではなく加熱されることが意図されるエアロゾル発生基体を含むエアロゾルの生成のためのエアロゾル発生物品を指す。
【0014】
本明細書で使用される「エアロゾル発生要素」という用語は、架橋高分子マトリクス内に分散されてカプセル化されたエアロゾル発生製剤を含む、固体形態の個別のエアロゾル発生基体を指す。エアロゾル発生要素の構造および組成物は、以下でより詳細に説明する。
【0015】
本発明によるエアロゾル発生要素は、エアロゾル発生物品のエアロゾル発生基体としての使用を見出し得る。
【0016】
本明細書で使用される「エアロゾル発生基体」という用語は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を加熱時に放出する能力を有する基体を指す。本発明では、エアロゾル発生基体は、少なくとも一つのアルカロイドまたはカンナビノイド、および多価アルコールを含むエアロゾル発生製剤をカプセル化するエアロゾル発生要素の形態である。本明細書に記載のエアロゾル発生要素のエアロゾル発生製剤から発生されるエアロゾルは、気体中の固体粒子または液滴(または固体粒子と液滴の組み合わせ)の分散液である。エアロゾルは、可視でも不可視でもよく、室温で通常は液体または固体の物質の蒸気、ならびに固体微粒子、または液滴、または固体微粒子と液滴の組み合わせを含んでもよい。
【0017】
従来の紙巻たばこは、ユーザーが紙巻たばこの一方の端部に点火源を適用し、もう一方の端部を通して空気を引き出すときに点火される。炎と紙巻たばこを通して引き出された空気中の酸素によって提供された局在化した熱は、紙巻たばこの端部を点火させて、その結果生じる燃焼は吸入可能な煙を発生する。これに反して、加熱式エアロゾル発生物品において、エアロゾルは、例えば、たばこ由来の基体、またはエアロゾル形成体および風味剤を含有する基体などの風味発生基体を加熱することによって発生する。公知の加熱式エアロゾル発生物品としては、例えば電気加熱式エアロゾル発生物品と、可燃性燃料要素または熱源から、物理的に分離されたエアロゾル形成材料への熱伝達によってエアロゾルが発生するエアロゾル発生物品とが含まれる。
【0018】
例えば、本発明によるエアロゾル発生物品は、一つ以上の個別のエアロゾル発生基体要素へと熱を供給するように適合されている内部ヒーターを有する電気加熱式のエアロゾル発生装置を備えるエアロゾル発生システムにおいて特定の用途があり得る。本発明に関して本明細書で使用される「エアロゾル発生装置」という用語は、本発明による一つ以上のエアロゾル発生要素と相互作用してエアロゾルを生成するヒーター要素を備える装置を説明するために使用される。使用中、揮発性化合物は、熱伝達によってエアロゾル発生要素から放出され、そしてエアロゾル発生物品を通して引き出される空気中に同伴される。放出された化合物は冷めるにつれて凝縮してエアロゾルを形成し、このエアロゾルは消費者によって吸い込まれる。
【0019】
加熱式エアロゾル発生物品用の基体は典型的に、「エアロゾル形成体」、すなわち使用時にエアロゾルの形成を容易にし、かつ好ましくはエアロゾル発生物品の使用温度で熱分解に対して実質的に耐性がある化合物または化合物の混合物を含む。適切なエアロゾル形成体の例には、多価アルコール(プロピレングリコール、トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、グリセリンなど)、多価アルコールのエステル(グリセロールモノアセテート、ジアセテートまたはトリアセテートなど)、およびモノカルボン酸、ジカルボン酸またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸ジメチル、テトラデカン二酸ジメチルなど)が挙げられる。
【0020】
本発明により生成されたエアロゾル発生要素のエアロゾル発生製剤中の多価アルコールはまた、上記で説明する意味内のエアロゾル形成体である。
【0021】
本明細書で使用される「エアロゾル発生製剤」という用語は、エアロゾル発生要素の加熱に伴い揮発してエアロゾルを生成する、複数のエアロゾル発生製剤構成成分を含む製剤を指す。本発明の方法中に生成される「エアロゾル発生溶液」は、適切な溶媒中のエアロゾル発生製剤構成成分およびマトリクス形成高分子の溶液を指す。
【0022】
本明細書で使用される「マトリクス形成高分子」という用語は、マトリクス形成高分子が多価カチオンの架橋溶液と接触したときに架橋の結果として三次元高分子マトリクスを生成する能力を有する、ポリマーの形態のカプセル化材料を指す。結果として得られる高分子マトリクスは、その架橋構造内にエアロゾル発生製剤を捕捉および保持する能力を有する。架橋高分子マトリクスの性質は、以下でより詳細に説明する。
【0023】
上述したように、本発明は、エアロゾル発生製剤が連続高分子マトリクス構造内にカプセル化される、エアロゾル発生要素を生成するための新規な方法を提供する。本発明により生成されるエアロゾル発生要素は、エアロゾル発生要素の製造または貯蔵中のエアロゾル発生製剤構成成分の損失を最小限にして、エアロゾル発生製剤を効果的に保持することができる、安定した構造を提供する。
【0024】
有利なことに、本発明による方法は、以前に可能であったものよりも非常に低いレベルのカプセル化材料(マトリクス形成高分子に相当)を使用して、エアロゾル発生製剤の効果的なカプセル化を提供することを可能にする。これは、エアロゾル発生要素内のアルカロイドまたはカンナビノイド、および多価アルコールなどのエアロゾル発生製剤構成成分のレベルを最大化することを可能にする。さらに、必要とされるカプセル化材料の割合の低減により、カプセル化材料の加熱が少なくて済むため、加熱に伴いより効率的にエアロゾルを発生することが可能になる。
【0025】
エアロゾル発生要素の高分子マトリクスは、使用中のエアロゾル発生要素の加熱に伴い安定した、エアロゾル発生製剤を保持および固定するための不活性なカプセル化構造を提供する。発明者らは、摂氏150度~摂氏350度の温度に加熱されたときに、本発明により生成されたエアロゾル発生要素は、著しい重量損失を受ける際にエアロゾルを放出することを見出した。しかしながら、この重量損失は、同様に著しい体積損失を伴うものではない。理論に拘束されることを望むものではないが、加熱に伴い、連続高分子マトリクス構造内に元々分散および捕捉されていたエアロゾル発生製剤の構成成分が実質的に蒸発および放出されることが理解されよう。一方で、連続高分子マトリクス構造の構成成分は実質的に影響を受けず、連続高分子マトリクスは、その3D構造を本質的に保持しながら、部分的に収縮するのみである。このように、高分子由来のマトリクス内のエアロゾル発生製剤のカプセル化は、有利なことに、加熱に伴い発生されるエアロゾルの感覚プロファイルに対して最小限の悪影響を提供する、または悪影響を提供しない。
【0026】
本発明の方法によって生成されるエアロゾル発生要素は、エアロゾルの制御された送達を有利に提供することが見出された。さらに、エアロゾル送達プロファイルは、生成方法の異なるパラメータを制御することによって容易に調整することができる。例えば、エアロゾル送達プロファイルは、エアロゾル発生要素のサイズ、形状、構造および製剤などのエアロゾル発生要素のパラメータを制御するための方法を変更することによって調整され得る。
【0027】
エアロゾル発生要素は、十分に安定的かつ頑丈であり、既存の方法および技術を使用して、容易に処理およびエアロゾル発生物品に導入することができる、個別の、自立型の固体物体の形態である。
【0028】
上記で定義されるように、エアロゾル発生要素を生成する方法では、最初に、マトリクス高分子溶液およびエアロゾル発生製剤構成成分からエアロゾル発生溶液が調製される。次いで、エアロゾル発生溶液の個別の部分を架橋溶液に添加して、マトリクス形成高分子の架橋および高分子マトリクスの形成がもたらされる。結果として得られたエアロゾル発生要素を架橋溶液から除去し、乾燥させる。方法工程の各々について、ここでより詳細に説明する。
【0029】
本発明の方法の第一の工程で、マトリクス形成高分子の溶液である、マトリクス高分子溶液が水中で形成される。マトリクス高分子溶液は、少なくとも約35重量パーセントの水を含むことが好ましく、少なくとも約40重量パーセントの水を含むことがより好ましい。このレベルの水は、均質な溶液が提供されるように、マトリクス形成高分子が十分に溶解されることを確実にする。
【0030】
マトリクス高分子溶液は、少なくとも約40重量パーセントのマトリクス形成高分子を含むことが好ましく、少なくとも約45重量パーセントのマトリクス形成高分子を含むことがより好ましい。このレベルのマトリクス形成高分子は、より安定したエアロゾル発生溶液を提供することが見出された。
【0031】
マトリクス形成高分子は、単一の高分子または二つ以上の高分子の組み合わせであってもよく、一つ以上の高分子は、多価カチオンの架橋溶液中のイオノトロピックゲル化機構を通して架橋マトリクスを形成する能力を有する。マトリクス形成高分子の架橋は、高分子分子を架橋するための塩橋を形成する、架橋溶液中の高分子と多価カチオンの反応を通して達成される。
【0032】
適切なマトリクス形成高分子は、当業者に公知である。マトリクス形成高分子は、アルギネートまたはペクチン、またはそれらの組み合わせなどの一つ以上の多糖類を含むことが好ましい。マトリクス形成高分子はアルギネートであることが特に好ましい。多糖類は、架橋結合によって水を不溶性かつ熱安定性にすることができ、また無味であるため、本発明での使用に特に適切である。したがって、エアロゾル発生要素から発生されるエアロゾルの感覚特性に悪影響を及ぼさない。
【0033】
本発明による方法での使用に適した代替的なマトリクス形成高分子としては、キトサン、フィブリン、コラーゲン、ゼラチン、ヒアルロン酸、デキストラン、およびそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0034】
本発明による方法における使用に適した代替的なマトリクス形成高分子は、以下のモノマーおよびポリマー:ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、N-(2-ヒドロキシプロピル)メタクリレート(HPMA)、N-ビニル-2-ピロリドン(NVP)、N-イソプロピルアクリルアミド(NIPAMM)、酢酸ビニル(VAc)、アクリル酸(AA)、メタクリル酸(MAA)、ポリエチレングリコールアクリレート/メタクリレート(PEGA/PEGMA)、およびポリエチレングリコールジアクリレート/ジメタクリレート、(PEGDA/PEGDMA)のうちの一つ以上から構築され得る。
【0035】
上述のマトリクス高分子溶液の形成後、複数のエアロゾル発生製剤構成成分をマトリクス高分子溶液に添加して、エアロゾル発生溶液を形成する。エアロゾル発生製剤構成成分は、少なくとも一つのアルカロイドまたはカンナビノイド、および多価アルコールを含む。エアロゾル発生製剤構成成分は、酸をさらに含むことが好ましい。これらの構成成分について、以下でより詳細に説明する。したがって、エアロゾル発生溶液は、マトリクス形成高分子ならびにエアロゾル発生製剤構成成分を含有する溶液である。
【0036】
エアロゾル発生溶液は、少なくとも約1重量パーセントのマトリクス高分子溶液からのマトリクス形成高分子を含むことが好ましく、少なくとも約1.5重量パーセントのマトリクス形成高分子を含むことがより好ましく、少なくとも約2重量パーセントのマトリクス形成高分子を含むことがより好ましい。
【0037】
エアロゾル発生溶液は、約6重量パーセント未満のマトリクス高分子溶液からのマトリクス形成高分子を含むことが好ましく、約5重量パーセント未満のマトリクス形成高分子を含むことがより好ましく、約4重量パーセント未満のマトリクス形成高分子を含むことがより好ましい。
【0038】
例えば、エアロゾル発生溶液は、約1重量パーセント~約6重量パーセントのマトリクス形成高分子、または約1.5重量パーセント~約5重量パーセントのマトリクス形成高分子、または約2重量パーセント~約4重量パーセントのマトリクス形成高分子を含み得る。
【0039】
例えば、好ましい実施形態では、エアロゾル発生溶液は、約1重量パーセント~約6重量パーセントのアルギネート、または約1.5重量パーセント~約5重量パーセントのアルギネート、または約2重量パーセント~約4重量パーセントのアルギネートを含み得る。
【0040】
エアロゾル発生製剤構成成分は、個別かつ逐次的にマトリクス高分子溶液に添加されてもよい。一部の場合において、以下でより詳細に説明するように、エアロゾル発生溶液の粘度を制御するために、構成成分をマトリクス高分子溶液に添加する順序またはシーケンスを制御することが望ましい。
【0041】
別の方法として、二つ以上のエアロゾル発生製剤構成成分を、マトリクス高分子溶液に添加する前に一緒に組み合わせてもよく、エアロゾル発生製剤構成成分の組み合わせは次いで、マトリクス高分子溶液に添加される。エアロゾル発生製剤構成成分のすべてをマトリクス高分子溶液に添加する前に一緒に組み合わせてもよく、またはエアロゾル発生製剤構成成分の一部のみを一緒に組み合わせて、残りはマトリクス高分子溶液に個別かつ別個に添加してもよい。後者の場合、エアロゾル発生製剤構成成分の添加の順序は依然として、本明細書で説明するように制御され得る。
【0042】
本発明の一つの好ましい実施形態では、エアロゾル発生溶液は、液体ニコチン製剤をマトリクス高分子溶液に添加することによって形成され、液体ニコチン製剤は、ニコチンおよび多価アルコールを含む。随意に、液体ニコチン製剤は、酸をさらに含む。液体ニコチン製剤は、例えば、e-リキッド製剤の形態であってもよい。液体ニコチン製剤がマトリクス高分子溶液に添加される場合、エアロゾル発生溶液を生成するためにその後、追加の量のニコチン、または酸、またはニコチンおよび酸の両方をマトリクス高分子溶液に添加してもよい。この場合、液体ニコチン製剤および追加のニコチンおよび酸の添加の順序は、上記で説明するように制御され得る。例えば、追加の量の酸がマトリクス高分子溶液に添加される場合、酸は、液体ニコチン製剤および任意の追加のニコチンより後に添加されることが好ましい。有利なことに、この実施形態は、エアロゾル発生要素に組み込まれるように、たばこ抽出物をマトリクス高分子溶液に組み込むための方法を提供し得る。
【0043】
本発明の特定の実施形態では、エアロゾル発生溶液の粘度を制御することが望ましい場合がある。これは、エアロゾル発生製剤構成成分が添加される際のマトリクス高分子溶液の粘度を制御することを含み得る。例えば、方法の後続の工程でエアロゾル発生溶液の個別の部分を生成するために使用される技術に応じて、特定の範囲内の粘度を有するエアロゾル発生溶液を提供することが好ましい場合がある。異なる技術は、異なる粘度溶液によって促進される可能性が高いため、使用される技術に応じて、適切な粘度を決定するべきである。
【0044】
以下に記載されるように、エアロゾル発生溶液の個別の部分が重力滴下プロセスで生成される実施形態では、溶液の粘度は約5000mPa.s未満に保持されることが好ましい。これは、エアロゾル発生溶液の液滴を重力下で形成することを可能にし、また、架橋が溶液を硬化させてエアロゾル発生要素の最終形状を固定する前に、架橋溶液においてビーズが安定した形状に達することを可能にする。
【0045】
重力滴下方法の場合、エアロゾル発生溶液の粘度は、約100mPa.s(ミリパスカル秒)~約4000mPa.s、より好ましくは、約2500mPa.s~約3000mPa.sである。本発明の目的のために、エアロゾル発生溶液の粘度は、以下のパラメータ:10mLの液体体積、摂氏25度の温度、10~15rpmの回転速度を有するFungilab Viscolead ADV(L)などのトルク回転式粘度計を使用して測定され得る。粘度の測定に適した試験方法は、ASTM D2983-19 「Standard Test Method for Low Temperature Exactivity of Automatic Transmission Fluids,Hydraulic Fluids,and Lubricants using a Rotational Viscometer」に記載されている。
【0046】
特定の実施形態では、エアロゾル発生溶液の粘度を制御するために、エアロゾル発生製剤構成成分が添加されている間のマトリクス高分子溶液のpHを制御することが好ましい場合がある。これは、一部のマトリクス高分子溶液では、pHが粘度に影響を及ぼし得るからである。例えば、マトリクス形成高分子がアルギネートを含む本発明の実施形態では、pH4を上回るように溶液のpHを保持することが好ましい。これは、例えば水素結合に起因して、pH4未満のpHレベルで生じる可能性のあるアルギネートのゲル化を回避することを意図している。低いpHでのこうしたゲル化は、エアロゾル発生溶液の粘度の望ましくない増大を引き起こし、これは、エアロゾル発生要素を形成するための重力滴下などの特定の技術を使用することを困難にする。
【0047】
エアロゾル発生製剤構成成分が添加される際のマトリクス高分子溶液のpHを制御することが好ましいこうした実施形態では、エアロゾル発生製剤構成成分は、特定のpH値を上回るようにpHを保持するために逐次的に添加されることが好ましい。例えば、マトリクス形成高分子がアルギネートを含む場合、エアロゾル発生製剤構成成分は、上記に説明するように、pH4を上回るようにマトリクス高分子溶液のpHを保持するために、逐次的に添加されることが好ましい。エアロゾル発生製剤構成成分が酸を含む場合、酸は、マトリクス高分子溶液のpHを比較的高いレベルに維持するために、最後に添加されることが好ましい。エアロゾル発生製剤構成成分がニコチンを含む場合、マトリクス高分子溶液の塩基性pHを得るために、他のエアロゾル発生製剤が添加される前に、最初にニコチンが添加されることが好ましい。
【0048】
代替的に、または追加的に、エアロゾル発生溶液の粘度は、溶液の濃度を調整することによって制御されてもよい。例えば、エアロゾル発生溶液中の水の割合は、粘度を調整するために調整され得る。エアロゾル発生溶液は、適切な粘度を維持するために、少なくとも約35重量パーセントの水を含むことが好ましい。エアロゾル発生溶液は、約35重量パーセント~約65重量パーセントの水を含むことが特に好ましい。
【0049】
本発明の好ましい実施形態によれば、マトリクス形成高分子を含むマトリクス高分子溶液を水中で調製する工程と、複数のエアロゾル発生製剤構成成分をマトリクス高分子溶液に添加して、エアロゾル発生溶液を形成する工程であって、エアロゾル発生製剤構成成分は、多価アルコール、少なくとも一つのアルカロイドまたはカンナビノイド、および酸を含み、エアロゾル発生製剤構成成分は、酸が他のエアロゾル発生製剤構成成分より後に添加されるようにマトリクス高分子溶液に逐次的に添加される、添加する工程と、一つ以上のエアロゾル発生溶液の液滴を形成する工程と、一つ以上のエアロゾル発生溶液の液滴を多価カチオンの架橋溶液に滴下してマトリクス形成高分子を架橋し、それによって連続高分子マトリクス、および連続高分子マトリクス内に分散されたエアロゾル発生製剤構成成分を含むエアロゾル発生製剤を有する、エアロゾル発生要素を形成する工程と、エアロゾル発生要素を架橋溶液から除去し、エアロゾル発生要素を乾燥させる工程とを含む、エアロゾル発生要素を生成する方法が提供されている。
【0050】
定義される方法は、連続高分子マトリクス、および連続高分子マトリクス内に分散されたエアロゾル発生製剤構成成分を含むエアロゾル発生製剤を有する、エアロゾル発生要素を形成する。
【0051】
上記で定義されるように、エアロゾル発生溶液は、エアロゾル発生製剤構成成分の一つとして多価アルコールを含む。多価アルコールは、エアロゾル発生要素のエアロゾル形成体として作用する。
【0052】
エアロゾル発生要素での使用に適した多価アルコールは、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、およびグリセリンを含むが、これらに限定されない。本発明により生成されるエアロゾル発生要素では、多価アルコールは、グリセリン、プロピレングリコール、およびこれらの組み合わせから成る群から選択されることが好ましい。特に好ましい実施形態では、多価アルコールはグリセリンである。
【0053】
エアロゾル発生溶液中の多価アルコールの濃度は、最終エアロゾル発生要素中の多価アルコールのレベルが、許容可能なエアロゾルを生成するのに十分に高いように選択される。エアロゾル発生溶液は、少なくとも約20重量パーセントの多価アルコールを含むことが好ましく、少なくとも約25重量パーセントの多価アルコールを含むことがより好ましく、少なくとも約30重量パーセントの多価アルコールを含むことがより好ましく、少なくとも約35重量パーセントの多価アルコールを含むことがより好ましい。
【0054】
エアロゾル発生溶液は、約60重量パーセント未満の多価アルコールを含むことが好ましく、約55重量パーセント未満の多価アルコールを含むことがより好ましく、約50重量パーセント未満の多価アルコールを含むことがより好ましく、約45重量パーセント未満の多価アルコールを含むことがより好ましい。
【0055】
例えば、エアロゾル発生溶液は、約20重量パーセント~約60重量パーセントの多価アルコール、または約25重量パーセント~約55重量パーセントの多価アルコール、または約30重量パーセント~約50重量パーセントの多価アルコール、または約35重量パーセント~約45重量パーセントの多価アルコールを含み得る。
【0056】
上記で定義されるように、エアロゾル発生溶液は、エアロゾル発生製剤構成成分の一つとして、少なくとも一つのアルカロイドまたはカンナビノイド化合物をさらに含む。
【0057】
本発明に関連して本明細書で使用される「アルカロイド化合物」という用語は、一つ以上の塩基性窒素原子を含む自然発生的有機化合物の任意の一つのクラスを意味する。一般的に、アルカロイドは、アミン型構造に少なくとも一つの窒素原子を含有する。アルカロイド化合物の分子内のこの窒素原子または別の窒素原子は、酸塩基反応における塩基として活性であることができる。大半のアルカロイド化合物は、例えば複素環などの環状系の一部として、その窒素原子のうちの一つ以上を有する。自然界において、アルカロイド化合物は主に植物に見られ、ある特定の科の顕花植物において特に一般的である。しかしながら、一部のアルカロイド化合物は、動物種および菌類に見られる。本発明の文脈において、「アルカロイド化合物」という用語は、天然由来のアルカロイド化合物および合成的に製造されたアルカロイド化合物の両方を記述するために使用される。
【0058】
アルカロイドは、ニコチン、アナタビン、およびその組み合わせからなる群から選択されることが好ましい。
【0059】
本発明に関して本明細書で使用される場合、「カンナビノイド化合物」という用語は、カンナビス植物、すなわち、カンナビス・サティバ(Cannabis sativa)、カンナビス・インディカ(Cannabis indica)、およびカンナビス・ルデラリス(Cannabis ruderalis)の一部に見られる天然の化合物の任意の一つの種類を説明する。カンナビノイド化合物は雌の頭状花で特に濃縮される。カンナビス植物における天然のカンナビノイド化合物は、テトラヒドロカンナビノール(THC)およびカンナビジオール(CBD)を含む。本発明の文脈において、「カンナビノイド化合物」という用語は、天然由来のカンナビノイド化合物および合成的に製造されたカンナビノイド化合物の両方を説明するために使用される。
【0060】
エアロゾル発生製剤構成成分は、テトラヒドロカンナビノール(THC)、テトラヒドロカンナビノール酸(THCA)、カンナビジオール(CBD)、カンナビジオール酸(CBDA)、カンナビノール(CBN)、カンナビゲロール(CBG)、カンナビゲロールモノメチルエーテル(CBGM)、カンナビバリン(CBV)、カンナビジバリン(CBDV)、テトラヒドロカンナビバリン(THCV)、カンナビクロメン(CBC)、カンナビシクロル(CBL)、カンナビクロムバリン(CBCV)、カンナビゲロバリン(CBGV)、カンナビエルソイン(CBE)、カンナビシトラン(CBT)、およびその組み合わせからなる群から選択されるカンナビノイド化合物を含むことが好ましい。
【0061】
一般的に、エアロゾル発生溶液中のアルカロイド化合物またはカンナビノイド化合物のレベルは、エアロゾル発生要素がアルカロイド化合物、またはカンナビノイド化合物、またはその両方を最大約10重量パーセント含むように選択され得る。エアロゾル発生要素中のアルカロイド化合物、またはカンナビノイド化合物、またはその両方の含有量は、アルカロイド化合物、またはカンナビノイド化合物、またはその両方の消費者へのエアロゾル形態の送達を最適化する観点から増大および調整されてもよい。植物材料の使用に基づく既存のエアロゾル発生基体と比較して、これは、有利なことに、基体の体積当たり、または基体の重量当たりの、アルカロイド化合物、またはカンナビノイド化合物、またはその両方のより高い含有量を可能にする場合があり、これは製造の観点から望ましい場合がある。
【0062】
エアロゾル発生溶液は、少なくとも約0.5重量パーセントのアルカロイド化合物、またはカンナビノイド化合物、またはその両方を含むことが好ましい。したがって、エアロゾル発生溶液は、少なくとも約0.5重量パーセントのアルカロイド化合物、または少なくとも0.5重量パーセントのカンナビノイド化合物、または少なくとも約0.5重量パーセントのアルカロイド化合物とカンナビノイド化合物との組み合わせを含むことが好ましい。
【0063】
エアロゾル発生溶液は、少なくとも約1重量パーセントのアルカロイド化合物、またはカンナビノイド化合物、またはその両方を含むことがより好ましく、少なくとも約2重量パーセントのアルカロイド化合物、またはカンナビノイド化合物、またはその両方を含むことがより好ましい。エアロゾル発生溶液は、約10重量パーセント未満のアルカロイド化合物、またはカンナビノイド化合物、またはその両方を含むことが好ましく、約8重量パーセント未満のアルカロイド化合物、またはカンナビノイド化合物、またはその両方を含むことがより好ましく、約6重量パーセント未満のアルカロイド化合物、またはカンナビノイド化合物、またはその両方を含むことがより好ましい。
【0064】
例えば、エアロゾル発生溶液は、約0.5重量パーセント~約10重量パーセントのアルカロイド化合物、またはカンナビノイド化合物、またはその両方、または約1重量パーセント~約8重量パーセントのアルカロイド化合物、またはカンナビノイド化合物、またはその両方、または約2重量パーセント~約6重量パーセントのアルカロイド化合物、またはカンナビノイド化合物、またはその両方を含み得る。
【0065】
一部の実施形態では、エアロゾル発生製剤構成成分は、ニコチンまたはアナタビンを含むカンナビノイドおよびアルカロイド化合物のうちの一つ以上を含む。一部の好ましい実施形態では、エアロゾル発生溶液はニコチンを含む。
【0066】
本発明に関連して本明細書で使用される「ニコチン」という用語は、ニコチン、ニコチン塩基、またはニコチン塩を記述するために使用される。エアロゾル発生製剤構成成分がニコチン塩基またはニコチン塩を含む実施形態では、本明細書において列挙されるニコチンの量は、それぞれ遊離塩基ニコチンの量またはプロトン化されたニコチンの量である。
【0067】
エアロゾル発生製剤構成成分は、天然ニコチンまたは合成ニコチンを含んでもよい。
【0068】
エアロゾル発生製剤構成成分は、一つ以上の一塩基ニコチン塩を含んでもよい。
【0069】
本発明に関して本明細書で使用される場合、「一塩基ニコチン塩」という用語は、一塩基酸のニコチン塩を説明するために使用される。
【0070】
エアロゾル発生溶液は、少なくとも約0.5重量パーセントのニコチンを含むことが好ましい。エアロゾル発生溶液は、少なくとも約1重量パーセントのニコチンを含むことがより好ましい。エアロゾル発生溶液は、少なくとも約2重量パーセントのニコチンを含むことがなおより好ましい。加えて、または代替として、エアロゾル発生溶液は、約10重量パーセント未満のニコチンを含むことが好ましい。エアロゾル発生溶液は、約8重量パーセント未満のニコチンを含むことがより好ましい。エアロゾル発生溶液は、約6重量パーセント未満のニコチンを含むことがなおより好ましい。例えば、エアロゾル発生溶液は、約0.5重量パーセント~約10重量パーセントのニコチン、または約1重量パーセント~約8重量パーセントのニコチン、または約2重量パーセント~約6重量パーセントのニコチンを含み得る。
【0071】
エアロゾル発生溶液中のニコチンの量は、少なくとも約0.5ミリグラムのニコチン、より好ましくは、少なくとも約1ミリグラムのニコチン、より好ましくは、少なくとも約1.5ミリグラムのニコチン、より好ましくは少なくとも約2ミリグラムのニコチン、最も好ましくは、少なくとも約2.5ミリグラムのニコチンを含むエアロゾル発生要素を提供するように調整されることが好ましい。
【0072】
エアロゾル発生要素は、最大約6ミリグラムのニコチンを含み得る。したがって、好ましくは、エアロゾル発生溶液中のニコチンの量は、約6ミリグラム以下のニコチン、より好ましくは、約5ミリグラム以下のニコチン、より好ましくは、約4ミリグラム以下のニコチン、より好ましくは、約3.5ミリグラム以下のニコチン、最も好ましくは、約3ミリグラム以下のニコチンを含む、エアロゾル発生要素を提供するように調整される。
【0073】
一部の好ましい実施形態では、エアロゾル発生製剤構成成分は、カンナビノイド化合物を含む。カンナビノイド化合物は、CBDおよびTHCから選択されることが好ましい。カンナビノイド化合物は、CBDであることがより好ましい。
【0074】
エアロゾル発生溶液は、最大約10重量パーセントのCBDを含んでもよい。エアロゾル発生溶液は、少なくとも約0.5重量パーセントのCBDを含むことが好ましく、少なくとも約1重量パーセントのCBDを含むことがより好ましく、少なくとも約2重量パーセントのCBDを含むことがより好ましい。エアロゾル発生溶液は、好ましくは約8重量パーセント未満のCBDを含むことが好ましく、約6重量パーセント未満のCBDを含むことがより好ましい。
【0075】
例えば、エアロゾル発生溶液は、約0.5重量パーセント~約10重量パーセントのCBD、より好ましくは、約1重量パーセント~約8重量パーセントのCBD、なおより好ましくは、約2重量パーセント~約6重量パーセントのCBDを含み得る。
【0076】
上述のように、本発明の好ましい実施形態では、エアロゾル発生製剤構成成分は酸をさらに含む。
【0077】
エアロゾル発生製剤構成成分は、一つ以上の有機酸を含むことがより好ましい。エアロゾル発生製剤構成成分は、一つ以上のカルボン酸を含むことがなおより好ましい。
【0078】
本発明によるエアロゾル発生要素のエアロゾル発生製剤での使用に適したカルボン酸には、2-エチル酪酸、酢酸、アジピン酸、安息香酸、酪酸、桂皮酸、シクロヘプタン-カルボン酸、フマル酸、グリコール酸、ヘキサン酸、乳酸、レブリン酸、リンゴ酸、ミリスチン酸、オクタン酸、シュウ酸、プロパン酸、ピルビン酸、コハク酸、およびウンデカン酸が含まれるが、これらに限定されない。
【0079】
特に好ましい実施形態では、酸は、乳酸、またはレブリン酸、または安息香酸、またはレブリン酸、またはフマル酸、または酢酸である。酸は乳酸であることが最も好ましい。酸を含めることは、酸の存在がニコチンおよびその他の植物抽出物などの、エアロゾル発生溶液中の溶存種を安定化させ得ることが観察されるため、エアロゾル発生製剤構成成分がニコチンを含む実施形態で特に好ましい。理論に拘束されることを望むものではないが、プロトン化ニコチンが安定化されるように、酸はニコチン分子と相互作用することが理解される。プロトン化ニコチンは不揮発性であるため、エアロゾル発生要素を加熱することによって得られるエアロゾルの蒸気相ではなく、液体相または粒子相でより容易に見られる。そのため、エアロゾル発生要素の製造中のニコチンの損失を最小化することができ、有利なことに、消費者へのより高い、より良好に制御されたニコチン送達を確実にすることができる。
【0080】
エアロゾル発生溶液は、少なくとも約0.5重量パーセントの酸を含むことが好ましい。エアロゾル発生溶液は、少なくとも約1重量パーセントの酸を含むことがより好ましい。エアロゾル発生溶液は、少なくとも約2重量パーセントの酸を含むことがなおより好ましい。加えて、または代替として、エアロゾル発生溶液は、約10重量パーセント未満の酸を含むことが好ましい。エアロゾル発生溶液は、約8重量パーセント未満の酸を含むことがより好ましい。エアロゾル発生溶液は、約6重量パーセント未満の酸を含むことがなおより好ましい。
【0081】
例えば、エアロゾル発生溶液は、約0.5重量パーセント~約10重量パーセントの酸、または約1重量パーセント~約8重量パーセントの酸、または約2重量パーセント~約6重量パーセントの酸を含んでもよい。
【0082】
エアロゾル発生溶液がニコチンを含む場合、酸とニコチンのモル比は、約0.5:1~約2:1であることが好ましく、約0.75:1~約1.5:1であることがより好ましく、約1:1であることが最も好ましい。
【0083】
多価カルボン酸などの多価酸が使用される場合、約0.5:1~約2:1、より好ましくは、約0.75:1~約1.5:1、最も好ましくは、約1:1の酸基とニコチンのモル比を提供することが好ましい場合がある。したがって、多価酸の使用により、依然として同じレベルのニコチンのプロトン化を提供しながら、より少ない重量の酸を使用することが可能になる。
【0084】
エアロゾル発生溶液に含まれるエアロゾル発生製剤構成成分は、随意に、風味剤をさらに含んでもよい。風味剤は、液体形態、または固体形態であり得る。随意に、風味剤は、マイクロカプセル化形態で提供されてもよく、風味剤は、加熱に伴い放出される。エアロゾル発生溶液中の風味剤の量は、エアロゾル発生要素内に所望のレベルの風味剤を提供するために調整されることが好ましい。好ましくは、エアロゾル発生要素は、約0.05重量パーセント~約1重量パーセント、より好ましくは、約0.1重量パーセント~約0.5重量パーセントの風味剤のレベルを有する。
【0085】
本発明におけるエアロゾル発生製剤構成成分として使用するための好適な風味剤としては、たばこ、メントール、ペパーミントまたはスピアミントなどのミント、ココア、リコリス、フルーツ(柑橘類など)、ガンマオクタラクトン、バニリン、スパイス(シナモンなど)、サリチル酸メチル、リナロール、オイゲノール、ユーカリプトール、ベルガモットオイル、オイゲノールオイル、ゼラニウムオイル、レモンオイル、ジンジャーオイル、およびたばこ風味が含まれるが、これらに限定されない。
【0086】
随意に、エアロゾル発生溶液は、複数のサセプタ粒子をさらに含み得る。サセプタ粒子は、電磁エネルギーを変換し、それを熱に変換する能力を有する導電性粒子である。交番電磁場内に位置するときにサセプタ粒子内で渦電流が誘導され、且つ、ヒステリシス損失が生じ、サセプタの加熱の原因となる。サセプタ粒子はエアロゾル発生要素のエアロゾル発生製剤と熱的に接触または熱的に近接して位置しているため、エアロゾル発生製剤は、エアロゾルが形成されるようにサセプタ粒子によって加熱される。
【0087】
したがって、エアロゾル発生溶液にサセプタ粒子を含めることは、誘導加熱可能であるエアロゾル発生要素を提供する。誘導ヒーターを備える装置でエアロゾル発生要素が使用されると、誘導加熱装置の一つまたはいくつかの誘導コイルによって発生される電磁場の変化がサセプタ粒子を加熱し、これが次いで、主に熱の伝導によって、エアロゾル発生要素の周囲のエアロゾル発生製剤に熱を伝達する。
【0088】
サセプタ粒子は、エアロゾル発生製剤からエアロゾルを発生させるのに十分な温度へと誘導加熱することができる任意の材料から形成され得る。好ましいサセプタ粒子は、金属または炭素を含む。好ましいサセプタ粒子は強磁性材料、例えば強磁性合金、フェライト鉄、または強磁性鋼、またはステンレス鋼を含んでよく、またはその強磁性材料から成ってもよい。適切なサセプタ粒子は、アルミニウムであってもよく、またはアルミニウムを含んでもよい。好ましいサセプタ粒子は、摂氏250度を超える温度に加熱されてもよい。適切なサセプタ粒子は、非金属コアの上に配置された金属層を有する非金属コア、例えば、セラミックコアの表面上に形成された金属トラックを含み得る。サセプタ粒子は、保護外部層、例えば、サセプタ粒子をカプセル化する保護セラミック層または保護ガラス層を有し得る。サセプタ粒子は、サセプタ材料のコアの上に形成される、ガラス、セラミック、または不活性金属によって形成された保護被覆を含み得る。
【0089】
サセプタ粒子は、最大約60マイクロメートルの平均粒子サイズを有し得る。例えば、サセプタ粒子は、約50マイクロメートル以下、または約40マイクロメートル以下、または約35マイクロメートル以下の平均粒子サイズを有し得る。
【0090】
典型的には、本発明による方法で使用するエアロゾル発生溶液において、サセプタ粒子は、少なくとも約1マイクロメートル、または少なくとも約2マイクロメートル、または少なくとも約5マイクロメートル、または少なくとも約10マイクロメートルの平均粒子サイズを有する。
【0091】
例えば、エアロゾル発生溶液中のサセプタ粒子は、約1マイクロメートル~約60マイクロメートル、または約2ミリメートル~約50マイクロメートル、または約5マイクロメートル~約40マイクロメートル、または約10マイクロメートル~約35マイクロメートルの平均粒子サイズを有し得る。
【0092】
随意に、固体充填剤をエアロゾル発生溶液に追加的に添加してもよい。固体充填剤を含めることは、有利なことに、結果として得られるエアロゾル発生要素の物理的特性を改善し得る。固体充填剤はまた、エアロゾル発生溶液の個別の部分を形成するプロセス中に、エアロゾル発生溶液の特性を制御するために使用されてもよい。適切な固体充填剤は、当業者に公知である。
【0093】
例えば、本発明の特定の実施形態では、エアロゾル発生溶液は、植物材料をすり潰す、粉砕する、または細分することによって得られる植物材料の粒子をさらに含む。一例として、エアロゾル発生溶液は、茶粒子、コーヒー粒子、カンナビス粒子、クローブ粒子、ユーカリ粒子、スターアニス粒子、またはジンジャー粒子をさらに含み得る。追加的に、または代替的に、エアロゾル発生溶液は、たばこ葉のラミナおよびたばこ葉の茎のうちの一つ以上をすり潰す、粉砕する、または細分することによって得られる粒子をさらに含み得る。本発明の発明者らは、そのような植物粒子をエアロゾル発生要素に組み込むことによって、有利なことに、新規な感覚体験を提供するエアロゾルを生成することができることを見出した。こうしたエアロゾルは、独特の風味を提供し、増大したレベルのコクを提供し得る。
【0094】
エアロゾル発生溶液が植物粒子を含む実施形態では、エアロゾル発生溶液中の植物粒子の量は、エアロゾル発生要素内に所望のレベルの植物粒子、および発生したエアロゾル内に所望のレベルの風味剤を提供するために調整される。エアロゾル発生要素は、最大約40重量パーセントの植物粒子を含んでもよい。エアロゾル発生要素は、約35重量パーセント以下の植物粒子を含むことが好ましい。エアロゾル発生要素は、約30重量パーセント以下の植物粒子を含むことがより好ましい。エアロゾル発生要素は、約25重量パーセント以下の植物粒子を含むことがなおより好ましい。
【0095】
一部の実施形態では、エアロゾル発生要素は、少なくとも約1重量パーセントの植物粒子を含む。エアロゾル発生要素は、少なくとも約2重量パーセントの植物粒子を含むことが好ましい。エアロゾル発生要素は、少なくとも約5重量パーセントの植物粒子を含むことがより好ましい。エアロゾル発生要素は、少なくとも約10重量パーセントの植物粒子を含むことがなおより好ましい。
【0096】
例えば、エアロゾル発生基体は、約1重量パーセント~約40重量パーセントの植物粒子、より好ましくは、約2重量パーセント~約35重量パーセントの植物粒子、より好ましくは、約5重量パーセント~約30重量パーセントの植物粒子、最も好ましくは、約10重量パーセント~約25重量パーセントの植物粒子を含み得る。
【0097】
この範囲内の量の植物粒子を提供することにより、エアロゾル発生要素を形成するためのエアロゾル発生要溶液の処理が悪影響を受けるほどにエアロゾル発生溶液の一貫性に影響を及ぼすことなく、十分な風味を植物粒子から達成することができることが確実になる。
【0098】
エアロゾル発生溶液が植物粒子を含む実施形態では、植物粒子は、最大約60マイクロメートルの平均粒子サイズを有し得る。好ましくは、植物粒子は、約50マイクロメートル以下、より好ましくは、約40マイクロメートル以下、最も好ましくは、約35マイクロメートル以下の平均粒子サイズを有する。
【0099】
典型的には、本発明による方法で使用するエアロゾル発生溶液において、植物粒子は、少なくとも約1マイクロメートル、より好ましくは、少なくとも約2マイクロメートル、より好ましくは、少なくとも約5マイクロメートル、最も好ましくは、少なくとも約10マイクロメートルの平均粒子サイズを有する。
【0100】
例えば、エアロゾル発生溶液中の植物粒子は、約1マイクロメートル~約60マイクロメートル、より好ましくは、約2ミリメートル~約50マイクロメートル、より好ましくは、約5マイクロメートル~約40マイクロメートル、最も好ましくは、約10マイクロメートル~約35マイクロメートルの平均粒子サイズを有し得る。
【0101】
本発明による方法の次の工程では、エアロゾル発生溶液の形成後、エアロゾル発生溶液の個別の部分が形成される。溶液の「個別の部分」とは、典型的には、特定の形状およびサイズを有するエアロゾル発生要素を提供するために処理される、溶液の特定の体積に対応する。エアロゾル発生溶液の個別の部分は、エアロゾル発生要素の所望の形態に応じて、様々な形状に形成され得る。例えば、エアロゾル発生溶液は、材料の液滴、ビーズまたはスレッドを生成するために球状または円筒形状に形成されてもよい。別の方法として、エアロゾル発生溶液は、シートへと形成される、細片または薄片に切断される、または細長いフィラメントや糸へと引き出されてもよい。
【0102】
本発明の特に好ましい実施形態では、エアロゾル発生溶液の個別の部分を形成する工程は、液滴を形成することを含む。エアロゾル発生溶液の液滴は、エアロゾル発生溶液が押出成形オリフィスまたはノズルから滴下される滴下プロセスを使用して形成されることが好ましい。ノズルは、随意にポンプに接続されてもよい。特に好ましくは、エアロゾル発生溶液の液滴は、各液滴が重力下でのみ押出成形ノズルから落下する重力滴下プロセスを使用して形成される。別の方法として、押出成形ノズルは、液滴の形成および放出を支援するために振動されてもよい。
【0103】
液滴が滴下プロセスを使用して形成される本発明の好ましい実施形態では、液滴の直径は、押出成形ノズルの直径、またはエアロゾル発生溶液の粘度、またはその両方の調整を通して調整することができる。エアロゾル発生物品またはシステムで使用するための適切なサイズを有するエアロゾル発生要素を生成するためには、約0.5mm~約6mmの直径を有する開口部を有する押出成形ノズルが好ましい。
【0104】
典型的には、こうした実施形態では、押出成形ノズルから放出されると、液滴が重力下で架橋溶液へと落下する。液滴は、架橋溶液の少なくとも0.1メートル上の高さで形成されることが好ましい。この最小滴下高さは、液滴が球状形状を形成するのに十分な距離落下することを確実にするために、例えば、球状液滴が望ましい場合に有利である。液滴は、架橋溶液に入る前の液滴の変形を最小化するように、架橋溶液の0.6メートル未満の高さで形成されることが好ましい。
【0105】
特定の実施形態において、滴下プロセスは、噴流ブレイクアッププロセスと組み合わせることができ、噴流ブレイクアッププロセスは、より小さい液滴を形成するために、ノズルから出る際にエアロゾル発生溶液の液滴または流れを分解する。例えば、回転ディスクなどのジェット切断装置が、エアロゾル発生溶液を液滴に分解するために押出成形ノズルの下に提供されてもよい。このタイプのプロセスは、比較的小さな直径を有するエアロゾル発生要素が望ましい場合に特に好適である。
【0106】
別の方法として、押出成形ノズルからのエアロゾル発生溶液の流れが静電電荷によって分離される、静電押出プロセスが使用されてもよい。ジェット切断プロセスと同様に、静電押出は、比較的小さな直径を有するエアロゾル発生要素の調製に特に好適であり得る。さらなる代替として、エアロゾル発生溶液は、ノズルに、またはその近くに提供される振動手段によって分解されてもよい。
【0107】
上述のように、エアロゾル発生溶液の所望の粘度は、エアロゾル発生溶液の個別の部分を形成する選択されたプロセスにある程度依存する。適切な範囲の粘度は、重力滴下プロセスに対して示されている。ジェット切断は、比較的高い粘度、例えば、200mPa.sを上回るエアロゾル発生溶液に好適であり得る。対照的に、静電押出は、低い粘度、例えば、200mPa.s未満のエアロゾル発生溶液により好適であり得る。
【0108】
形成されると、好ましくは液滴の形態であるエアロゾル発生溶液の個別の部分は、多価カチオンの架橋溶液に添加される。これにより、マトリクス形成高分子が架橋され、それによって、上述のように、連続高分子マトリクスが形成される。架橋溶液は、金属塩化物の溶液などの多価金属塩の溶液を含むことが好ましい。好ましい多価カチオンには、カルシウム、鉄、アルミニウム、マンガン、銅、亜鉛またはランタンが含まれる。特に好ましい塩は、塩化カルシウムである。
【0109】
エアロゾル発生溶液が酸を含む本発明の特定の好ましい実施形態では、架橋溶液に提供されるカルシウム塩は、有利なことに、同じ酸の塩であり得る。例えば、エアロゾル発生溶液が乳酸を含む実施形態では、架橋溶液は、有利なことに、乳酸カルシウムを含み得る。
【0110】
エアロゾル発生溶液がニコチンを含む場合、エアロゾル発生溶液中の酸がニコチンとともにニコチン塩を形成する。したがって、エアロゾル発生溶液中の酸に対応するカルシウム塩の使用は、エアロゾル発生溶液中の塩と同じ塩を架橋溶液に提供する。これは、次いで、有利なことに、架橋工程中の、エアロゾル発生溶液から架橋溶液へのニコチン塩の拡散を制限する。したがって、より高い濃度のニコチン塩を、エアロゾル発生要素内に保持することができる。さらに、エアロゾル発生要素の生成中のニコチンおよび酸の潜在的な無駄も低減することができる。
【0111】
架橋溶液は、架橋溶液中に約0.5重量パーセント~約10重量パーセントの多価金属塩を含むことが好ましい。
【0112】
架橋工程は、例えば、室温(摂氏22度)で加熱することなく実施されることが好ましい。エアロゾル発生溶液の個別の部分が架橋溶液中に放置される期間は、エアロゾル発生要素において所望される架橋の程度に応じて選択され得る。特定の好ましい実施形態では、エアロゾル発生溶液の個別の部分は、約10分~約30分間、架橋溶液中に放置される。
【0113】
架橋溶液は、エアロゾル発生製剤構成成分として選択される多価アルコールと同じ多価アルコールをさらに含むことが好ましい。架橋溶液中に多価アルコールを含めることにより、架橋工程中に、エアロゾル発生溶液から架橋溶液への多価アルコールの拡散が制限されることが見出された。これにより、有利なことに、これまで可能であったものよりも高濃度の多価アルコールをエアロゾル発生要素内に保持することが可能になる。さらに、架橋溶液への多価アルコールの拡散の減少は、有利なことに、架橋プロセス中にエアロゾル発生要素の形状を維持するのに役立ち得る。
【0114】
架橋溶液は、約20重量パーセント~約60重量パーセントの多価アルコールを含むことが好ましく、約30重量パーセント~約50重量パーセントの多価アルコールを含むことがより好ましい。
【0115】
上述のように、架橋溶液中の多価アルコールは、エアロゾル発生溶液中の多価アルコールに調和するように選択される。好ましい実施形態では、多価アルコールはグリセリンである。
【0116】
本発明の特に好ましい実施形態では、架橋溶液中の多価アルコールの濃度は、エアロゾル発生溶液中のその多価アルコールの濃度に応じて調整される。特に、架橋溶液内の多価アルコールの濃度が、エアロゾル発生溶液内の同じ多価アルコールの濃度に可能な限り近いことが望ましい。これは、上述のように、架橋溶液に多価アルコールを含むことの有益な効果を最適化することが見出された。
【0117】
架橋溶液中の多価アルコールの濃度は、エアロゾル発生溶液中の同じ多価アルコールの濃度の約20パーセント以内であることが好ましく、約15パーセント以内であることがより好ましく、約10パーセント以内であることがより好ましい。特に好ましい実施形態では、架橋溶液中の多価アルコールの濃度は、エアロゾル発生溶液中の同じ多価アルコールの濃度とほぼ等しい。
【0118】
架橋後、結果として生じるエアロゾル発生要素は、例えば、ふるいまたは類似した装置を使用して架橋溶液から除去される。エアロゾル発生要素は、表面から架橋溶液を除去するためにリンスされることが好ましい。次いで、エアロゾル発生要素を乾燥させて、含水量を所望のレベルまで低減する。
【0119】
エアロゾル発生要素の乾燥は、エアロゾル発生要素の含水量を約20重量パーセント未満、より好ましくは、約15重量パーセント未満に減少させるために実施されることが好ましい。このレベルの水は、使用中のエアロゾル発生要素の加熱時に効率的な方法でエアロゾルを発生するために、エアロゾル発生要素に好ましい。
【0120】
好ましくは、エアロゾル発生要素の乾燥は、エアロゾル発生要素の水分活性(aw)を約0.7未満、より好ましくは、約0.5未満に減少させるために実施される。これは、有利なことに、エアロゾル発生要素における細菌および真菌の増殖の可能性を低減する。
【0121】
「水分活性」という用語は、エアロゾル発生要素の平衡時の部分水蒸気圧と、同じ温度での純水の平衡時の水蒸気飽和圧の比を示すために本発明に関して本明細書で使用されている。このように、水分活性は、完全無水物質に相当する0と、塩を含まない純水に相当する1との間の無次元量である。本発明によるエアロゾル発生要素の水分活性を測定する方法は、ISO 18787の2017年刊行物(Foodstuffs-Determination of water activity)に記載されている。ISO18787に記載される露点測定原理が使用されることが好ましい。
【0122】
エアロゾル発生要素の乾燥は、例えば、エアロゾル発生要素が加熱される乾燥機内を含む、任意の適切な手段を使用して実施され得る。乾燥工程の時間および温度は、使用される装置に応じて、そして所望の水レベルを達成するために調整され得る。例えば、エアロゾル発生要素は、摂氏25度で12時間、または摂氏100度で3時間乾燥されてもよい。乾燥は、随意に真空下で実施してもよい。
【0123】
本発明による方法は、エアロゾル発生要素を被覆して、エアロゾル発生要素上に外側被覆層を提供する工程をさらに含んでもよい。被覆工程は、乾燥工程の前、または乾燥工程の後に行われてもよい。随意の乾燥工程は、被覆工程の後に組み込まれてもよい。
【0124】
エアロゾル発生要素上の被覆層の提供は、多くの異なる理由のために望ましい場合がある。例えば、被覆層は、有利なことに、エアロゾル発生要素への酸素または水蒸気の透過を制限し得、これは、エアロゾル発生要素の貯蔵寿命を延ばすのに役立ち得る。代替的に、または追加的に、被覆層は、エアロゾル発生要素の構造的完全性を保護するか、またはエアロゾル発生要素の改善された滑らかさを提供するのに役立ち得る。特定の実施形態では、比較的壊れやすい被覆層が、使用前に消費者によって破壊されるように適合されるエアロゾル発生要素に塗布されてもよい。したがって、このタイプの被覆層は、エアロゾル発生要素が活性化されたという触覚および可聴表示を消費者に提供することができる。代替的に、または追加的に、エアロゾル発生要素上の被覆層の提供は、例えば、風味またはニコチンの含有量などのエアロゾル発生要素の特性の視覚的表示を提供するために、エアロゾル発生要素の色を調整するために使用されてもよい。
【0125】
適切なタイプの被覆材料は、当業者に公知である。例えば、HPMCまたはシェラックなどの水溶性フィルム形成体の被覆層を、エアロゾル発生要素に塗布してもよい。こうしたフィルム形成体は、エアロゾル発生要素の表面に強く接着し得る。さらなる実施例では、アルギン酸ナトリウムの被覆層が塗布されてもよく、これは、エアロゾル発生要素の表面上の任意の残留カルシウムイオンと架橋されて、アルギン酸カルシウムの薄膜を形成する。
【0126】
被覆層は、様々な被覆技術を使用して、エアロゾル発生要素の外表面に塗布されてもよい。適切な器具および技術は、当業者に公知である。
【0127】
本発明の方法は、単一のエアロゾル発生要素の生成に関連して記載されている。しかしながら、本発明が複数のエアロゾル発生要素の生成方法も包含していることは当業者には明らかであろう。上述の方法は、当業者によって、例えば、エアロゾル発生溶液の複数の個別の部分が生成されて架橋溶液に同時に添加されるバッチプロセス、またはエアロゾル発生溶液の個別の部分が連続的に生成されて架橋溶液中に添加される連続的なプロセスにおいて、複数のエアロゾル発生要素を生成するように容易に適合され得る。
【0128】
本発明の方法は、別個の構造を有するエアロゾル発生要素を生成する。上記で定義されるように、エアロゾル発生要素は、連続高分子マトリクスと、連続高分子マトリクス内に分散されたエアロゾル発生製剤とを含み、エアロゾル発生製剤は、連続高分子マトリクス内に捕捉される。
【0129】
理論に拘束されることを望むものではないが、本発明によるエアロゾル発生要素において、三次元高分子マトリクス構造は架橋によって形成され、エアロゾル発生製剤は連続高分子マトリクス構造内に保持されることが理解される。これは、特に、既存のコア/シェル構造とは対照的であり、コアの内容物は、シェルの破壊に伴い放出される。
【0130】
エアロゾル発生要素に組み込まれ得る化合物およびこれらの化合物の好ましい量は、本発明の方法に関連して上述されている。
【0131】
固体の連続マトリクス構造内に分散されたエアロゾル発生製剤は、エアロゾル発生要素の総重量の少なくとも約70重量パーセント、またはエアロゾル発生要素の総重量の少なくとも約75重量パーセント、またはエアロゾル発生要素の総重量の少なくとも約80重量パーセントを占めることが好ましい。
【0132】
固体の連続高分子マトリクス内に分散されたエアロゾル発生製剤は、エアロゾル発生要素の総重量の少なくとも約82重量パーセントを占めることがより好ましい。連続高分子マトリクス内に分散されたエアロゾル発生製剤は、エアロゾル発生要素の総重量の少なくとも約84重量パーセントを占めることがなおより好ましい。
【0133】
特に好ましい実施形態では、連続高分子マトリクス内に分散されたエアロゾル発生製剤は、エアロゾル発生要素の総重量の少なくとも約86重量パーセントを占める。連続高分子マトリクス内に分散されたエアロゾル発生製剤は、エアロゾル発生要素の総重量の少なくとも約88重量パーセントを占めることがより好ましい。連続高分子マトリクス内に分散されたエアロゾル発生製剤は、エアロゾル発生要素の総重量の少なくとも約90重量パーセントを占めることがなおより好ましい。
【0134】
連続高分子マトリクス内に分散されたエアロゾル発生製剤は、エアロゾル発生要素の総重量の少なくとも約92重量パーセント、またはエアロゾル発生要素の総重量の少なくとも約93重量パーセント、またはエアロゾル発生要素の総重量の少なくとも約94重量パーセント、またはエアロゾル発生要素の総重量の少なくとも約95重量パーセントを占めることが最も好ましい。
【0135】
エアロゾル発生製剤が上記の範囲内のエアロゾル発生要素の総重量の分画を占めるエアロゾル発生要素では、有利なことに、使用中にカプセル化材料の温度を上昇させるために消費される、エアロゾル発生要素に供給される熱の部分を最小化することが可能である。このように、エアロゾル発生要素に供給される熱のより効率的な使用が可能であり、その結果、当該熱の大部分が、連続高分子マトリクスからのエアロゾル製剤構成成分の放出、およびエアロゾル発生ために効果的に使用される。
【0136】
上記で定義されるように、本発明によるエアロゾル発生要素は、連続高分子マトリクス内に分散されたエアロゾル発生製剤の構成成分として多価アルコールを含む。本発明によるエアロゾル発生要素は、エアロゾル発生要素の総重量に基づいて、少なくとも約30重量パーセントの多価アルコールを含むことが好ましく、少なくとも約40重量パーセントの多価アルコールを含むことがより好ましく、少なくとも約50重量パーセントの多価アルコールを含むことがより好ましく、少なくとも約60重量パーセントの多価アルコールを含むことがより好ましく、少なくとも約70重量パーセントの多価アルコールを含むことがより好ましい。
【0137】
典型的には、本発明によるエアロゾル発生要素において、エアロゾル発生製剤中の多価アルコール含有量は、エアロゾル発生要素の総重量に基づいて約95重量パーセント以下を占める。
【0138】
上記で定義されるように、本発明によるエアロゾル発生要素では、連続高分子マトリクスは、架橋されたマトリクス形成高分子によって形成される。エアロゾル発生要素は、少なくとも約2重量パーセントのマトリクス形成高分子を含むことが好ましく、少なくとも約2.5重量パーセントのマトリクス形成高分子を含むことがより好ましく、少なくとも約3重量パーセントのマトリクス形成高分子を含むことがより好ましい。エアロゾル発生要素は、約6重量パーセント未満のマトリクス形成高分子を含むことが好ましく、約5重量パーセント未満のマトリクス形成高分子を含むことがより好ましく、約4.5重量パーセント未満のマトリクス形成高分子を含むことがより好ましい。例えば、エアロゾル発生要素は、約2重量パーセント~約6重量パーセントのマトリクス形成高分子、または約2.5重量パーセント~約5重量パーセントのマトリクス形成高分子、または約3重量パーセント~約4.5重量パーセントのマトリクス形成高分子を含んでもよい。
【0139】
上記で定義されるように、本発明によるエアロゾル発生要素において、連続高分子マトリクス内に分散されたエアロゾル発生製剤は、少なくとも一つのアルカロイドまたはカンナビノイド化合物を含む。一部の実施形態では、連続高分子マトリクス内に分散されたエアロゾル発生製剤は、アルカロイド化合物、およびカンナビノイド化合物の両方を含む。
【0140】
一般的に、エアロゾル発生要素は、最大約10重量パーセントのアルカロイド化合物、またはカンナビノイド化合物、またはその両方を含み得る。本発明のエアロゾル発生要素の、エアロゾル発生物品中の基体としての適用を考慮すると、要素中のアルカロイド化合物、またはカンナビノイド化合物、またはその両方の含有量は、消費者へのエアロゾル形態でのアルカロイド化合物、またはカンナビノイド化合物、またはその両方の送達を最適化する観点から増大および調整され得るため、これは有利である。植物材料の使用に基づく既存のエアロゾル発生基体と比較して、これは、有利なことに、基体(要素)の体積当たり、または基体(要素)の重量当たりの、アルカロイド化合物、またはカンナビノイド化合物、またはその両方のより高い含有量を可能にする場合があり、これは製造の観点から望ましい場合がある。
【0141】
連続高分子マトリクス内に分散されたエアロゾル発生製剤中の少なくとも一つのアルカロイドまたはカンナビノイド化合物の含有量は、エアロゾル発生要素の総重量の少なくとも0.5重量パーセントを占めることが好ましい。したがって、エアロゾル発生要素は、少なくとも約0.5重量パーセントのアルカロイド化合物、または少なくとも0.5重量パーセントのカンナビノイド化合物、または少なくとも約0.5重量パーセントのアルカロイド化合物とカンナビノイド化合物の組み合わせを含むことが好ましい。
【0142】
エアロゾル発生要素は、少なくとも約1重量パーセントのアルカロイド化合物、またはカンナビノイド化合物、またはその両方を含むことがより好ましい。エアロゾル発生要素は、少なくとも約2重量パーセントのアルカロイド化合物、またはカンナビノイド化合物、またはその両方を含むことがなおより好ましい。
【0143】
エアロゾル発生要素は、約8重量パーセント未満のアルカロイド化合物、またはカンナビノイド化合物、またはその両方を含むことが好ましい。エアロゾル発生要素は、約6重量パーセント未満のアルカロイド化合物、またはカンナビノイド化合物、またはその両方を含むことがより好ましい。エアロゾル発生要素は、約5重量パーセント未満のアルカロイド化合物、またはカンナビノイド化合物、またはその両方を含むことがなおより好ましい。エアロゾル発生要素は、約4重量パーセント未満のアルカロイド化合物、またはカンナビノイド化合物、またはその両方を含むことが最も好ましい。
【0144】
一部の実施形態では、エアロゾル発生要素は、約0.5重量パーセント~約10重量パーセントのアルカロイド化合物、またはカンナビノイド化合物、またはその両方、より好ましくは、約1重量パーセント~約10重量パーセントのアルカロイド化合物、またはカンナビノイド化合物、またはその両方、なおより好ましくは、約2重量パーセント~約10重量パーセントのアルカロイド化合物、またはカンナビノイド化合物、またはその両方を含む。
【0145】
本発明の方法に関連して上述したように、一部の好ましい実施形態では、エアロゾル発生要素はニコチンを含む。
【0146】
一般的に、エアロゾル発生要素は、最大約10重量パーセントのニコチンを含み得る。これは、本発明のエアロゾル発生要素の、エアロゾル発生物品中の基体としての適用を考慮すると、エアロゾル発生要素中のニコチンの含有量が、消費者へのエアロゾル形態でのニコチンの送達を最適化する観点から増大および調整され得るため、有利である。たばこ植物の使用に基づく既存のエアロゾル発生基体と比較して、これは有利なことに、基体(要素)の体積当たり、または基体(要素)の重量当たりのニコチンのより高い含有量を可能にし、これは製造の観点から望ましい場合がある。
【0147】
エアロゾル発生要素は、少なくとも約0.5重量パーセントのニコチンを含むことが好ましい。エアロゾル発生要素は、少なくとも約1重量パーセントのニコチンを含むことがより好ましい。エアロゾル発生要素は、少なくとも約2重量パーセントのニコチンを含むことがなおより好ましい。
【0148】
エアロゾル発生要素は、約8重量パーセント以下のニコチンを含むことが好ましい。エアロゾル発生要素は、約6重量パーセント以下のニコチン含有量を含むことがより好ましい。エアロゾル発生要素は、約5重量パーセント以下のニコチンを含むことがなおより好ましい。エアロゾル発生要素は、約4重量パーセント以下のニコチンを含むことが最も好ましい。
【0149】
一部の実施形態では、エアロゾル発生要素は、約0.5重量パーセント~約10重量パーセントのニコチン、より好ましくは、約1重量パーセント~約10重量パーセントのニコチン、なおより好ましくは、約2重量パーセント~約10重量パーセントのニコチンを含む。
【0150】
エアロゾル発生要素は、少なくとも約0.5ミリグラムのニコチンを含むことが好ましい。エアロゾル発生要素は、少なくとも約1ミリグラムのニコチンを含むことがより好ましい。エアロゾル発生要素は、少なくとも約1.5ミリグラムのニコチンを含むことがなおより好ましい。特に好ましい実施形態では、エアロゾル発生要素は、少なくとも約2ミリグラムのニコチン、最も好ましくは、少なくとも約2.5ミリグラムのニコチンを含む。
【0151】
エアロゾル発生要素は、最大約6ミリグラムのニコチンを含み得る。エアロゾル発生要素は、約5ミリグラム以下のニコチンを含むことが好ましい。エアロゾル発生要素は、約4.5ミリグラム以下のニコチンを含むことがより好ましい。エアロゾル発生要素は、約4ミリグラム以下のニコチンを含むことがなおより好ましい。特に好ましい実施形態では、エアロゾル発生要素は、約3.5ミリグラム以下のニコチン、最も好ましくは、約3ミリグラム以下のニコチンを含む。
【0152】
一部の好ましい実施形態では、エアロゾル発生要素の連続高分子マトリクス内に分散されたエアロゾル発生製剤は、カンナビノイド化合物を含む。カンナビノイド化合物は、CBDおよびTHCから選択されることが好ましい。カンナビノイド化合物は、CBDであることがより好ましい。
【0153】
エアロゾル発生要素は、最大約10重量パーセントのCBDを含み得る。エアロゾル発生要素は、少なくとも約0.5重量パーセントのCBDを含むことが好ましい。エアロゾル発生要素は、少なくとも約1重量パーセントのCBDを含むことがより好ましい。エアロゾル発生要素は、少なくとも約2重量パーセントのCBDを含むことがなおより好ましい。
【0154】
エアロゾル発生要素は、約6重量パーセント以下のCBDを含むことが好ましい。エアロゾル発生要素は、約5重量パーセント以下のCBDを含むことがより好ましい。エアロゾル発生要素は、約4重量パーセント以下のCBDを含むことがなおより好ましい。
【0155】
一部の実施形態では、エアロゾル発生要素は、約0.5重量パーセント~約10重量パーセントのCBD、より好ましくは、約1重量パーセント~約10重量パーセントのCBD、なおより好ましくは、約2重量パーセント~約10重量パーセントのCBDを含む。
【0156】
本発明によるエアロゾル発生要素は、実質的にたばこを含まないエアロゾル発生要素であり得る。
【0157】
本発明に関連して本明細書で使用される「実質的にたばこを含まないエアロゾル発生要素」という用語は、1重量パーセント未満のたばこ含有量を有するエアロゾル発生要素を説明する。例えば、エアロゾル発生要素は、約0.75重量パーセント未満、約0.5重量パーセント未満、または約0.25重量パーセント未満のたばこ含有量を有し得る。
【0158】
エアロゾル発生要素は、たばこを含まないエアロゾル発生要素であってもよい。
【0159】
本発明に関連して本明細書で使用される「たばこを含まないエアロゾル発生要素」という用語は、0重量パーセントのたばこ含有量を有するエアロゾル発生要素を説明する。
【0160】
上述のように、一部の実施形態では、連続高分子マトリクス内に分散されたエアロゾル発生製剤は、酸をさらに含む。
【0161】
エアロゾル発生要素は、最大約10重量パーセントの酸を含み得る。
【0162】
エアロゾル発生要素は、少なくとも約0.5重量パーセントの酸を含むことが好ましい。エアロゾル発生要素は、少なくとも約1重量パーセントの酸を含むことがより好ましい。エアロゾル発生要素は、少なくとも約2重量パーセントの酸を含むことがなおより好ましい。
【0163】
エアロゾル発生要素は、約8重量パーセント以下の酸を含むことが好ましい。エアロゾル発生要素は、約6重量パーセント以下の酸を含むことがより好ましい。エアロゾル発生要素は、約5重量パーセント以下の酸を含むことがなおより好ましい。エアロゾル発生要素は、約4重量パーセント以下の酸を含むことが最も好ましい。
【0164】
一部の実施形態では、エアロゾル発生要素は、約0.5重量パーセント~約10重量パーセントの酸、より好ましくは、約1重量パーセント~約10重量パーセントの酸、なおより好ましくは、約2重量パーセント~約10重量パーセントの酸を含む。
【0165】
本発明によるエアロゾル発生要素は、約25重量パーセント以下の水を含むことが好ましい。
【0166】
エアロゾル発生要素は、約20重量パーセント以下の水を含むことがより好ましい。エアロゾル発生要素は、約15パーセント以下の水を含むことがなおより好ましい。
【0167】
本発明によるエアロゾル発生要素は、少なくとも約2.5重量パーセントの水を含むことが好ましい。本発明によるエアロゾル発生要素は、少なくとも約5重量パーセントの水を含むことがより好ましい。本発明によるエアロゾル発生要素は、少なくとも約7.5重量パーセントの水を含むことがなおより好ましい。本発明によるエアロゾル発生要素は、好ましくは少なくとも約10重量パーセントの水を含むことが最も好ましい。
【0168】
一般的に、いくらかの水の存在は、エアロゾル発生要素に望ましい安定性を与えることに寄与することが観察されている。同時に、実質的に粘着性ではないエアロゾル発生要素を得ることができ得るため、25重量パーセント以下の残留含水量が望ましい。さらに、低い含水量のエアロゾル発生要素を加熱する場合、多価アルコール、およびニコチンなどのアルカロイドまたはカンナビノイド化合物中により濃縮されたエアロゾルが消費者に提供され得る。
【0169】
本発明によるエアロゾル発生要素は、少なくとも約0.5ミリメートルの等価直径を有し得る。
【0170】
「エアロゾル発生要素の等価直径」という用語は、エアロゾル発生要素と同じ体積を有する球形の直径を意味するために本明細書で使用される。一般的に、エアロゾル発生要素は、卵形状または楕円形状などの球形または準球形形状が好ましいが、任意の形状を有し得る。球形形状および円形横断断面を有するエアロゾル発生要素について、等価直径は、エアロゾル発生要素の断面の直径である。
【0171】
エアロゾル発生要素は、少なくとも約1ミリメートルの等価直径を有することが好ましい。エアロゾル発生要素は、少なくとも約2ミリメートルの等価直径を有することがより好ましい。エアロゾル発生要素は、少なくとも約3ミリメートルの等価直径を有することがなおより好ましい。
【0172】
本発明によるエアロゾル発生要素は、約8ミリメートル以下の等価直径を有することが好ましい。エアロゾル発生要素は、約6ミリメートル以下の等価直径を有することがより好ましい。エアロゾル発生要素は、約5ミリメートル以下の等価直径を有することがなおより好ましい。
【0173】
一部の実施形態では、エアロゾル発生要素は、約0.5ミリメートル~約8ミリメートル、好ましくは、約1ミリメートル~約8ミリメートル、より好ましくは、約2ミリメートル~約8ミリメートル、なおより好ましくは、約3ミリメートル~8ミリメートルの等価直径を有する。
【0174】
特に好ましい実施形態では、エアロゾル発生要素は、約4ミリメートルまたは約4.5ミリメートルの等価直径を有する。
【0175】
本発明によるエアロゾル発生要素は、最大約35パーセントの楕円率を有し得る。
【0176】
本発明に関連して本明細書で使用される「楕円率」という用語は、完全な円からの偏差の程度を示す。楕円率は百分率表現され、数学的定義は下記の通りである。
【数1】
【0177】
エアロゾル発生要素などの物体の楕円率を決定するために、物体は、エアロゾル発生要素の断面に対して実質的に直角を成す方向に沿って見ることができる。一例として、エアロゾル発生要素は、エアロゾル発生要素の画像がステージの下方に位置する適切な撮像装置によって記録されるように、透明なステージ上に位置付けられてもよい。寸法「a」は、エアロゾル発生要素の画像の最大外径とされ、寸法「b」は、エアロゾル発生要素の画像の最小外径とされる。プロセスは、同じ組成物を有し、同じプロセスによって同じ動作条件下で調製される、合計10個のエアロゾル発生要素に対して繰り返される。10個の楕円率測定値の数平均が、そのエアロゾル発生要素の楕円率として記録される。
【0178】
本発明によるエアロゾル発生要素は、約30パーセント以下の楕円率を有することが好ましい。本発明によるエアロゾル発生要素は、約25パーセント以下の楕円率を有することがより好ましい。本発明によるエアロゾル発生要素は、約20パーセント以下の楕円率を有することがなおより好ましい。
【0179】
本発明によるエアロゾル発生要素は、典型的には、少なくとも約1パーセントの楕円率を有する。エアロゾル発生要素は、少なくとも2パーセントの楕円率を有することが好ましい。エアロゾル発生要素は、少なくとも3パーセントの楕円率を有することがより好ましい。エアロゾル発生要素は、少なくとも4パーセントの楕円率を有することがなおより好ましい。
【0180】
一部の実施形態では、エアロゾル発生要素は、約1パーセント~約30パーセント、より好ましくは、約2パーセント~約30パーセント、より好ましくは、約3パーセント~約30パーセント、なおより好ましくは、約4パーセント~約30パーセントの楕円率を有する。
【0181】
本発明によるエアロゾル発生物品は、最大25cm-1の露出表面積対体積比を有し得る。
【0182】
本発明を参照して本明細書で使用される場合、「露出表面積対体積比」という表現は、露出されて熱および質量交換に利用可能である、エアロゾル発生要素の外表面積全体と、エアロゾル発生要素の全体体積との比を示す。
【0183】
本発明によるエアロゾル発生要素は、楕円率が低く、球状物体に同化され得るため、本発明によるエアロゾル発生要素の体積は、以下の式によって表され得る。
【数2】
【0184】
本発明によるエアロゾル発生要素の露出表面積は、以下の式によって推定され得る。
【数3】
【0185】
寸法Reqは、エアロゾル発生要素の等価半径を示す。
【0186】
エアロゾル発生物品は、少なくとも約0.083cm-1の露出表面積対体積比を有することが好ましい。エアロゾル発生物品は、少なくとも約0.166cm-1の露出表面積対体積比を有することがより好ましい。エアロゾル発生物品は、少なくとも約0.249cm-1の露出表面積対体積比を有することがなおより好ましい。
【0187】
エアロゾル発生物品は、約24cm-1以下の露出表面積対体積比を有することが好ましい。エアロゾル発生物品は、約20cm-1以下の露出表面積対体積比を有することがより好ましい。エアロゾル発生物品は、約16cm-1以下の露出表面積対体積比を有することがなおより好ましい。
【0188】
一部の実施形態では、エアロゾル発生物品は、約0.083cm-1~約24cm-1、より好ましくは、約0.166cm-1~約24cm-1、なおより好ましくは、約0.249cm-1~約24cm-1の露出表面積対体積比を有する。
【0189】
一部の実施形態では、本発明の方法に関連して上述したように、本発明によるエアロゾル発生要素は被覆されてもよい。
【0190】
上述のようなエアロゾル発生要素は、基体が燃焼されて煙を生成する物品とは対照的に、基体が加熱されて吸入可能なエアロゾルを放出するタイプのエアロゾル発生物品用のエアロゾル発生基体としての使用を見出し得る。
【0191】
本発明によるエアロゾル発生要素は、製造が容易であり、かつ所定のものであるため、したがって、個別の量のエアロゾル発生製剤が、カプセル化形態で提供されてもよく、特に、多価アルコール、およびアルカロイドまたはカンナビノイド化合物の含有量に関して、エアロゾル発生製剤の組成物は、微細に調整および制御され得るため、本発明によるエアロゾル発生要素は、汎用性があり、数多くの配設で基体として使用され得る。
【0192】
一例として、本発明による複数のエアロゾル発生要素は、管状要素によって画定される空洞内に提供されてもよく、その結果、エアロゾル発生要素の外表面は、空洞によって画定される長軸方向の気流チャネルの内側に露出される。加熱に伴い、エアロゾルがエアロゾル発生要素から発生され得、したがって、エアロゾルは、気流チャネルの中に放出され、管状要素を通して消費者の口の中へと引き出され得る。
【0193】
したがって、上述のようなエアロゾル発生要素は、上述のような一つ以上のエアロゾル発生要素またはエアロゾル発生物品、および電気的に作動するエアロゾル発生装置を備える、エアロゾル発生システムでの使用を見出し得る。適切なエアロゾル発生装置は、発熱体と、一つ以上のエアロゾル発生要素が発熱体によって加熱チャンバー内で加熱されるように、一つ以上のエアロゾル発生要素または物品を受容するように構成された加熱チャンバーとを備える。
【0194】
加熱に伴い、本発明によるエアロゾル発生要素は、特に、多価アルコールおよびアルカロイドまたはカンナビノイド化合物を含む、エアロゾル発生製剤構成成分を含有するエアロゾルを放出する。本発明によるエアロゾル発生要素が、摂氏約150度~摂氏約350度の範囲の温度に加熱される場合、エアロゾル発生要素は、有意な体積収縮を受けることなく重量を失うことが見出された。さらに、本発明によるエアロゾル発生要素が、摂氏約150度~摂氏約350度の範囲の温度に加熱され、さらなる重量損失が検出されなくなるまで熱が供給される場合、エアロゾル発生要素の残留重量は、典型的には、連続高分子マトリクス構成成分の120重量パーセント未満、好ましくは、連続高分子マトリクスの構成成分の115重量パーセント未満、より好ましくは、連続高分子マトリクスの構成成分の115重量パーセント未満、なおより好ましくは、連続高分子マトリクス構成成分の105重量パーセント未満であることが見出された。
【0195】
本発明によるエアロゾル発生要素が、摂氏約150度~摂氏約350度の範囲の温度に加熱され、さらなる重量損失が検出されなくなるまで熱が供給される場合、エアロゾル発生要素の残留重量は、連続高分子マトリクスの構成成分の総重量に実質的に対応することが最も好ましい。
【0196】
本発明の一実施形態を、一例としてのみではあるが、ここでさらに説明する。
【実施例】
【0197】
以下の構成成分の混合物からエアロゾル発生溶液を形成する。
【表1】
【0198】
最初の工程では、アルギン酸ナトリウムを水に添加して、マトリクス高分子溶液を形成する。次いで、ニコチンを添加し、その後グリセリン、そして最後に、レブリン酸を添加する。
【0199】
結果として得られたエアロゾル発生溶液を、5ミリメートルのノズルを通して押出成形して複数の液滴を形成し、次いで、室温で、30センチメートルの高さから、以下の組成物を有する架橋溶液に落下させる:
【表2】
【0200】
除去する前に液滴を25分間架橋溶液中に放置し、トレー乾燥機内で摂氏25度で12時間乾燥させる。結果として得られる乾燥されたエアロゾル発生要素は、約4.6mmの直径を有する固体の球状ビーズの形態である。各ビーズは、およそ65mgの重量、0.4の水分活性、および以下の組成物を有する:
【表3】
【国際調査報告】