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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-24
(54)【発明の名称】加圧衣服
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/135 20060101AFI20230117BHJP
   A61F 13/00 20060101ALI20230117BHJP
   A41D 13/12 20060101ALI20230117BHJP
【FI】
A61B17/135
A61F13/00 355S
A41D13/12 136
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022529495
(86)(22)【出願日】2020-11-20
(85)【翻訳文提出日】2022-07-08
(86)【国際出願番号】 EP2020082797
(87)【国際公開番号】W WO2021099525
(87)【国際公開日】2021-05-27
(31)【優先権主張番号】19306512.5
(32)【優先日】2019-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】520468379
【氏名又は名称】ニューラルタイド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ベルテ,キャリーヌ
【テーマコード(参考)】
3B011
4C160
【Fターム(参考)】
3B011AA01
3B011AA05
3B011AA09
3B011AA12
3B011AB08
3B011AC21
4C160DD06
4C160DD33
4C160DD35
4C160MM22
(57)【要約】
本発明に係る圧力付与は、被験者の少なくとも1つの身体部位に圧力を付与するための少なくとも1つの能動部を備える衣服に関し、上記能動部は、被験者の対応する少なくとも1つの身体部位全体に付与される均一な陽圧を得るために流体で充填可能な少なくとも1つの空気袋を備え、上記加圧衣服は、各能動部に関して、少なくとも1つの界面圧力センサ、制御ユニット、および駆動モジュールも備え、上記加圧衣服は、少なくとも3つの積層から成る少なくとも1枚の布を更に備えることを特徴とする。
【選択図】図9

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の少なくとも1つの身体部位に圧力を付与するための、前記被験者の対応する少なくとも1つの身体部位全体に付与される均一な陽圧を得るために流体で充填可能な少なくとも1つの空気袋(31、41、51)を備える少なくとも1つの能動部を備える加圧衣服(1)であって、
前記または各能動部(3、4、5)に関して、少なくとも1つの界面圧力センサ(2)と、
前記または各能動部(3、4、5)の前記1または複数の界面圧力センサ(2)から界面圧力測定値を受信するように構成された受信モジュール(70)と、前記または各能動部に関する所定の界面圧力値を維持するために、各能動部に関して前記受信モジュールによって受信された前記界面圧力測定値に基づいて、前記能動部(複数も可)の前記1または複数の充填可能内服(31、41、51)に流体を注入するための少なくとも1つの注入デバイス(63、64、65)を駆動するように構成された駆動モジュール(71)とを備える制御ユニット(7)と
を備え、前記加圧衣服(1)は、前記身体と接触する少なくとも1つの能動部の内壁の少なくとも1つのエリアに、前記身体部位に最も近い下層、上層、および中間層の少なくとも3つの積層から成る少なくとも1枚の布(84)を備えることを特徴とし、前記中間層は、前記下層と前記上層との間にあり、横方向への弾性を有することにより、前記上層が変形した時の前記下層の変形を少なくとも抑制することが可能である、加圧衣服。
【請求項2】
前記少なくとも3つの積層から成る布の前記中間層は、弾性手段を備え、好適には、前記弾性手段は、ばね層の形態および/またはメッシュの形態および/または糸材料の形態である、請求項1に記載の加圧衣服。
【請求項3】
前記中間層は前記糸材料の形態であり、前記糸材料は、互いに平行であり、絡み合い、かつ前記上層および下層に垂直な糸の形態である、請求項2に記載の加圧衣服。
【請求項4】
前記中間層は前記糸材料の形態であり、前記糸材料は、前記上層および下層に平行に巻き上げられた糸の形態である、請求項2に記載の加圧衣服。
【請求項5】
前記上層および下層は、天然材料または合成材料で作られ、好適には、前記上層および下層は、ポリアミド、ポリエステル、綿、および/または羊毛で作られ、更に好適には、前記上層および下層はポリアミドで作られる、請求項1~4のいずれか1項に記載の加圧衣服。
【請求項6】
前記中間層は糸材料を備え、前記糸材料は、ポリアミド6,6繊維を備え、好適には、前記ポリアミド6,6繊維は銀イオンを備える、請求項1~5のいずれか1項に記載の加圧衣服。
【請求項7】
前記中間層は、エラストマー糸、たとえばポリエステル-ポリウレタン共重合体を更に備える、請求項6に記載の加圧衣服。
【請求項8】
前記少なくとも3つの積層から成る布は、0.5mm~25mm、好適には1mm~10mm、更に好適には2mm~5mmの厚さを有し、更に好適には、前記厚さは3.5mmである、請求項1~7のいずれか1項に記載の加圧衣服。
【請求項9】
前記少なくとも3つの積層から成る布の前記上層は、0.1mm~5mmの厚さを有し、好適には、前記厚さは1~3mmである、請求項1~8のいずれか1項に記載の加圧衣服。
【請求項10】
前記少なくとも3つの積層から成る布の前記下層は、0.1mm~5mmの厚さを有し、好適には、前記厚さは1~3mmである、請求項1~9のいずれか1項に記載の加圧衣服。
【請求項11】
前記少なくとも3つの積層から成る布は、200g/m~600g/m、好適には300g/m~500g/m、更に好適には400g/m~450g/mの重量を有し、更に好適には、前記重量は420g/mである、請求項1~10のいずれか1項に記載の加圧衣服。
【請求項12】
前記少なくとも3つの積層から成る布の前記中間層は、長手方向および/または幅方向にも弾性を有する、請求項1~11のいずれか1項に記載の加圧衣服。
【請求項13】
各充填可能空気袋(31、41、51)に関して、受け入れる流体の体積(V)は、前記流体を通さない、特に織物および/またはプラスティック材料ベースを有する可撓性層(32~34、42~44、52~54)によって範囲を定められ、好適には、前記可撓性層はコーティング層でコーティングされ、更に好適には、前記可撓性層またはそのコーティング層は、前記少なくとも3つの積層から成る布の前記上層と合体している、請求項1~12のいずれか1項に記載の加圧衣服。
【請求項14】
前記被験者の前記身体部位に面することが意図された能動部(3、4、5)の1つまたは各能動部(3、4、5)の前記内壁(33、43、53)に取外し可能に固定された、前記加圧衣服の使用ごとに交換が可能な保護織物(8)を備える、請求項1~13のいずれか1項に記載の加圧衣服。
【請求項15】
前記被験者の腹部(A)を包囲することが意図された1つの腹部能動部(3)、および、各々、前記被験者の下肢(L、L)の1つを包囲することが意図された2つの下側能動部(4、5)である3つの能動部(3、4、5)を備え、前記能動部(3、4、5)の各々は、前記腹部(A)および前記下肢(L、L)のうちの前記被験者の前記対応する身体部位全体に前記能動部によって付与される均一な陽圧を得るために流体で充填可能な少なくとも1つの空気袋(31、41、51)を備え、
各能動部(3、4、5)の前記少なくとも1つの界面圧力センサ(2)は、前記能動部(3、4、5)と前記被験者の前記対応する身体部位との間に位置している時、前記能動部(3、4、5)と前記被験者の前記対応する身体部位との間の境界面における圧力を測定するように構成され、前記腹部能動部(3)の前記所定の界面圧力値は、各下側能動部(4、5)の前記所定の界面圧力値よりも厳密に小さい、請求項1~14のいずれか1項に記載の加圧衣服。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被験者の身体の少なくとも一部に圧力を付与するための加圧衣服に関する。
【背景技術】
【0002】
圧縮システムは、たとえば航空分野、医療分野、スポーツ分野、軍事分野、およびマッサージ分野などの多くの分野で用いられる。圧縮システムは、多くの場合、均一かつ一定の圧力を確保することを目的とする。たとえば、EP1814500B1号は、改善された圧力プロファイルを実現することを目的としたデバイスを開示し、このデバイスは、信号に応答して圧力プロファイルを適合させ、人体に圧力を付与する様々なセグメント間で基礎圧力プロファイルを再分配するための機構を備える。
【0003】
しかし、圧力システムが有するべき別の目的が存在する。実際、圧力システムは、皮膚の跡および/または皮膚のひだの形成をもたらす場合があり、これはたとえば、圧力システムが身体を締め付けた時および/または圧力システムの表面が滑らかでない場合に出現する圧力システムのひだが原因となり得る。
【0004】
したがって、本発明は、均一な陽圧を提供しながら皮膚の跡および/または皮膚のひだの形成を防ぐ加圧衣服を提案することによって、この問題を解決することを目的とする。
【発明の概要】
【0005】
したがって、本発明は、被験者の対応する少なくとも1つの身体部位全体に付与される均一な陽圧を得るために流体で充填可能な少なくとも1つの空気袋を備える、被験者の少なくとも1つの身体部位に圧力を付与するための少なくとも1つの能動部を備える加圧衣服に関し、上記加圧衣服は、
能動部または各能動部に関して、少なくとも1つの界面圧力センサと、
能動部または各能動部の1または複数の界面圧力センサからの界面圧力測定値を受信するように構成された受信モジュールと、能動部または各能動部に関する所定の界面圧力値を維持するために、各能動部に関して受信モジュールによって受信された界面圧力測定値に基づいて、能動部(複数も可)の1または複数の充填可能空気袋に流体を注入するための少なくとも1つの注入デバイスを駆動するように構成された駆動モジュールとを備える制御ユニットと
を備え、上記加圧衣服は、少なくとも1つの能動部の身体と接触する少なくとも1つのエリアにおいて、身体部位に最も近い下層、上層、および中間層の少なくとも3つの積層から成る少なくとも1枚の布を備えることを特徴とし、上記中間層は、上層と下層との間にあり、横方向への弾性を有することにより、上層が変形した時の下層の変形を少なくとも抑制することが可能である。
【0006】
中間層がある程度の弾性を示すという事実により、被験者の皮膚と直接接触する下層の変形を抑制することが可能であり、その結果、皮膚に跡が残ることが防がれ、付与される圧力の均一性が向上する。
定義
【0007】
本発明において、以下の用語は、以下の意味を有する。
【0008】
「能動部」とは、圧力システムの、対応する身体部位に陽圧を付与することが可能な部分を指す。
【0009】
「空気袋」とは、膨張または中空状態の可撓性バッグまたはチャンバを指す。
【0010】
「エラストマー糸」とは、粘弾性を有する重合体であるエラストマーを備える糸を指す。
【0011】
「弾性」とは、変形を生じさせる力を除去した後、瞬時に元のサイズおよび形状に復元する傾向を持つことによる材料の特性を指す。
【0012】
「メッシュ」とは、単層または多層の架橋繊維を指す。上記繊維は、縦糸および横糸であってよく、たとえば製織または編成によって直角、鋭角、および/または鈍角に織り合わせられ得る。
【0013】
「被験者の身体部位」または「身体部位」とは、その周囲に圧縮システムが当てられ得る人体の一部を指し、たとえば腹部、下肢またはたとえば脚、足首、ふくらはぎ、大腿、足といった下肢の一部、上肢またはたとえば腕、前腕、手首、手といった上肢の一部などであるが、これらに限定されない。
【0014】
「ポリアミド」とは、アミド結合によって結合された反復単位から成る重合体を指す。
【0015】
「ポリアミド6,6」または「ナイロン」または「ナイロン6,6」または「PA6,6」とは、ヘキサメチレンジアミンおよびアジピン酸の重複合によって得られた重合体を指す。
【0016】
「皮膚の痕跡」または「皮膚の跡」とは、皮膚に圧力が付与された時または上記皮膚が挟まれた時に皮膚に出現することがある桃色または赤色の模様、またはたとえば大小の条片または円や楕円形または他の任意の形状などの皮膚の模様を指す。
【0017】
「スペーサ布」とは、スペーサ材料によって相互接続された2つの層、たとえば上層および下層を備える3次元の布を指す。
【0018】
「ばね」とは、機械エネルギの吸収、動きの生成、または力や偶力の付与のために特定の材料の弾性特性を用いる機械構成要素または機械部品を指す。ばねは、螺旋状に巻き上げられたワイヤで作られ得る。ワイヤは、たとえばスチールなど、任意の適当な材料で作られ得る。
【0019】
「被験者」とは、任意の人間を指す。
【0020】
「能動部の壁」とは、能動部の内壁または外壁を指す。内壁は、能動部の空気袋を画定し、上記空気袋を充填する流体を通さない可撓性層と、少なくとも1つのエリアに少なくとも3つの積層から成る生地とを少なくとも備え、可撓性層の上に(すなわち、可撓性層と、少なくとも3つの積層から成る生地との間に)コーティング層を備えてもよい。外壁は、能動部の空気袋を画定し、上記空気袋を充填する流体を通さない可撓性層を少なくとも備え、可撓性層の上にコーティング層を備えてもよい。
【0021】
「ワイヤ」とは、厚さ、幅、または径よりも著しく大きい長さを備える長手方向手段を指す。特に、ワイヤは、ストランド、可撓性ロッド、または糸であってよい。
【0022】
「糸材料」とは、糸で作られた材料を指す。たとえば上記糸は、巻き上げられた、特に螺旋状に巻き上げられた状態、または互いに平行であり絡み合う多数の糸の形状であってよい。
【0023】
以下の詳細な説明は、図面と併せて閲読すると、より適切に理解される。例示を目的として、システムは、好適な実施形態で示される。ただし、本発明は、示された通りの構成、構造、特徴、実施形態、および態様に限定されるものではないことを理解すべきである。図面は、一定の縮尺で描かれたものではなく、特許請求の範囲を図示された実施形態に限定することを意図したものではない。したがって、添付の特許請求の範囲において言及される特徴に参照符号が付け加えられる場合、そのような符号は、特許請求の範囲を理解し易くするためだけに含まれており、いかなるようにも特許請求の範囲を限定するものではない。
【0024】
1つの態様によると、本発明は、被験者の対応する少なくとも1つの身体部位全体に付与される均一な陽圧を得るために流体で充填可能な少なくとも1つの空気袋を備える、被験者の少なくとも1つの身体部位に圧力を付与するための少なくとも1つの能動部を備える加圧衣服に関し、上記加圧衣服は、
能動部または各能動部に関して、少なくとも1つの界面圧力センサと、
能動部または各能動部の1または複数の界面圧力センサからの界面圧力測定値を受信するように構成された受信モジュールと、能動部または各能動部に関する所定の界面圧力値を維持するために、各能動部に関して受信モジュールによって受信された界面圧力測定値に基づいて、能動部(複数も可)の1または複数の充填可能空気袋に流体を注入するための少なくとも1つの注入デバイスを駆動するように構成された駆動モジュールとを備える制御ユニットと
を備え、上記加圧衣服は、少なくとも1つの能動部の身体と接触する少なくとも1つのエリアにおいて、身体部位に最も近い下層、上層、および中間層の少なくとも3つの積層から成る少なくとも1枚の布を備えることを特徴とし、上記中間層は、上層と下層との間にあり、横方向への弾性を有することにより、上層が変形した時の下層の変形を少なくとも抑制することが可能である。
【0025】
中間層がある程度の弾性を示すという事実により、被験者の皮膚と直接接触する下層の変形を抑制することが可能であり、その結果、皮膚に跡が残ることが防がれ、付与される圧力の均一性が向上する。
【0026】
1つの実施形態によると、上記少なくとも3つの積層から成る布の上記中間層は、長手方向および/または幅方向にも弾性を有する。
【0027】
1つの特徴によると、少なくとも3つの積層から成る布の中間層の弾性は、上層が変形した時の下層の変形をなくすまで抑制することを可能にする。
【0028】
1つの実施形態において、少なくとも1つの界面圧力センサは、能動部と被験者の対応する身体部位との間に位置している時、能動部と被験者の対応する身体部位との間の境界面における圧力を測定するように構成される。能動部と被験者の対応する身体部位との間に位置する少なくとも1つの界面圧力センサを用いて測定される、各能動部に関して制御ユニットにより考慮される界面圧力は、能動部によって被験者の対応する身体部位に実際に付与される圧力を表し、本発明に係る加圧衣服を用いた自動的で信頼できる正確な圧力の付与を可能にする。対照的に、各能動部に関して制御ユニットにより考慮される圧力が、単に能動部の各空気袋の充填圧力であり、特に、空気袋と、空気袋に流体を注入するための注入デバイスとの間の連結パイプ内に取り付けられた圧力計を用いて測定される場合、空気袋の充填圧力は、空気袋によって被験者の対応する身体部位に実際に付与される圧力を系統的に表すものではなく、被験者の身体の周囲での衣服の調整の程度に依存するため、付与される圧力の制御は、信頼できるものではない。
【0029】
1つの実施形態によると、各充填可能空気袋に関して、受け入れる流体の体積は、上記流体を通さない、特に織物および/またはプラスティック材料ベースを有する層によって範囲を定められる。1つの特徴によると、各充填可能空気袋に関して受け入れる流体の体積の範囲を定める織物および/またはプラスティック材料は、可撓性である。
【0030】
好適には、不透層の材料は、たとえば層材料にエラステインを組み込むことによって、または製織による織物を備える層の場合に得られ得る弾性特性も有する。有利には、不透層の材料は、その表面、すなわち空気袋の外向き表面を洗浄可能であるように選択される。1つの実施形態によると、空気袋を充填する流体を通さない層は、互いに重なり合った第1の部分および第2の部分を備え、それらの間に、各充填可能空気袋の流体を受け入れるための容積が画定される。被験者の対応する身体部位における能動部の調整された構成において、第1の部分は内側に向けられ、第2の部分は外側に向けられる。第1および第2の部分は、有利には、上記流体を通さない周縁シームによって、または上記流体を通さない他の任意の周縁連結手段によって互いに連結される。1つの特徴において、空気袋を充填する流体を通さない層は、コーティング層、特にポリウレタン、シリコン、ポリ塩化ビニル(PVC)、または他のプラスティック材料ベースを有するコーティング層でコーティングされる。
【0031】
1つの実施形態において、各空気袋を充填する流体は空気であり、したがって、各空気袋の容積の範囲を定める可撓性層は、被験者の身体に必要な陽圧を加えるために空気袋に付与される空気圧に適合可能な所与の圧力範囲において気密性である。そのような気密層は、特に、自立式または基板に堆積されたプラスティック材料の層であってよい。特に、気密層は、特にナイロン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、または綿ベースを有する織布または不織布層と、特にポリウレタン、シリコン、ポリ塩化ビニル(PVC)、または他のプラスティック材料ベースを有するコーティング層との重ね合わせを備えてよい。好適には、織物層の単位面積当たりの重量は、150~250g/mの範囲内である。本発明の範囲内の気密層を形成するために用いられ得る材料の一例は、片面をポリウレタンコーティング層でコーティングされたナイロン編地層を備える。空気袋の各々を形成する可撓性層の気密性により、空気袋自体が空気チャンバとして機能するので、空気チャンバの必要がない。その結果、各充填可能空気袋の可撓性構造がもたらされ、加圧衣服の装着快適性が向上し、寝たきりまたは半身麻痺の被験者を含む被験者への装着が容易になる。
【0032】
1つの実施形態によると、被験者の身体部位に面することが意図された、少なくとも1つの能動部(複数も可)の少なくとも一部のエリアは、上記少なくとも3つの積層から成る少なくとも1枚の布でコーティングされる。有利には、上記少なくとも1枚の布は、被験者の身体部位に面することが意図された能動部の全表面を覆う。この布は、身体の形状に一致し、摩擦およびせん断力を最小限にする。
【0033】
また、少なくとも3つの積層から成る布、たとえば3Dスペーサ布は、一方では湿気および熱を逃がし、他方では製品の大半の面積にわたり圧力を再分配または分散する能力を有する。したがって、少なくとも3つの積層から成る布、たとえば3Dスペーサ布は、湿気および局所圧力を防ぎ、能動部によって付与された圧力により本発明に係る布の上層が変形した時の下層の変形を抑制し、またはなくす本発明に係る布によって、皮膚の上で滑らかな表面を維持し、気密層のコーティング層が上記コーティング層と直接接触している皮膚を挟み込むことを防ぐことが可能である。これにより、圧力付与セッションの期間を通して皮膚上の跡の形成が防がれる。
【0034】
1つの実施形態によると、上記少なくとも3つの積層から成る布の中間層は、弾性手段を備え、好適には、上記弾性手段は、ばね層の形態および/またはメッシュの形態および/または糸材料の形態である。
【0035】
1つの特徴によると、上記少なくとも3つの積層から成る布の中間層は、糸材料の形態であり、上記糸材料は、互いに平行であり、絡み合い、かつ上層および下層に垂直な糸の形態である。
【0036】
他の特徴によると、上記少なくとも3つの積層から成る布の中間層は、糸材料の形態であり、上記糸材料は、上層および下層に平行に巻き上げられた糸の形態である。
【0037】
好適には、上記糸は、上層および下層に平行に、螺旋状に巻き上げられている。他の特徴によると、上記糸は、上層および下層に垂直に巻き上げられている。
【0038】
他の特徴によると、上記少なくとも3つの積層から成る布の中間層は、糸材料の形態であり、上記糸材料は、ループステッチ形式である。
【0039】
1つの実施形態において、少なくとも3つの積層から成る布は、スペーサ布である。本発明によると、「スペーサ布」という用語は、3次元スペーサ布(3Dスペーサ布)を指す。1枚の3Dスペーサ布は、たとえば糸材料の形態のスペーサ材料によって相互接続された2つの層、たとえば上層および下層を備える。典型的には、3Dスペーサ布は、たとえば経編スペーサ布または緯編スペーサ布などの編地または織布である。3Dスペーサ布は、不織スペーサ布であってもよい。経編スペーサ布は、二本針棒ラッセルマシンを用いて製造することができ、緯編スペーサ布は、回転式の針筒および針ダイアルを有する二重ジャージ環状マシンを用いて生成することができる。
【0040】
限定ではないが、少なくとも3つの積層から成る布の上層および下層は、天然材料または合成材料、たとえばポリアミド、ポリエステル、ポリプロピレン、綿、羊毛、それらの組み合わせ、または他の任意の適当な材料で作られ得る。好適には、スペーサ布の上層および下層は、ポリアミドで作られる。上層および下層におけるポリアミド、たとえば加工ポリアミドの使用により、スペーサ布が当てられる皮膚の快適性がもたらされる。
【0041】
1つの特徴において、中間層は、糸材料を備える。限定ではないが、糸材料は、たとえばポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリアミド、ポリ乳酸、コーンスターチ系繊維などの天然糸および/または合繊糸を備えてよい。糸は、モノフィラメント、マルチフィラメント、または加工糸であってよい。好適には、糸材料は、ポリアミド6,6繊維を備える。
【0042】
有利には、上記糸材料は更に、たとえば銀イオンまたは銅イオンなどの金属イオンを備える。上記金属イオンは、紡績工程中に挿入されている。1つの実施形態において、糸材料は、たとえば銀イオンなどの金属イオンを備えるポリアミド6,6繊維を備え、好適には、銀イオンは紡績工程中に挿入されている。スペーサ布内のたとえば銀イオンまたは銅イオンなどの金属イオンの存在は、細菌の増殖を抑制することにより、体臭の防止に貢献し、被験者の快適性を向上させる。
【0043】
1つの実施形態において、上記少なくとも3つの積層から成る布の上記中間層は糸材料を備え、上記糸材料はポリアミド6,6繊維を備え、好適には、上記ポリアミド6,6繊維は銀イオンを備える。
【0044】
1つの実施形態において、中間層は更に、エラストマー糸、たとえばポリエステル-ポリウレタン共重合体またはネオプレン、好適にはポリエステル-ポリウレタン共重合体を備える。たとえば、本発明に係るスペーサ布は、Lycra(登録商標)という登録商標で販売されている共重合体で作られた糸を含んでよい。たとえばLycra(登録商標)系繊維などのエラストマー糸の存在は、スペーサ布の弾性に貢献する。
【0045】
更に好適な実施形態によると、本発明に係るスペーサ布は、第1に、好適には紡績工程中に銀イオンが挿入されたポリアミド6,6繊維と、第2に、たとえばLycra(登録商標)の登録商標で販売されているポリエステル-ポリウレタン共重合体であってよいエラストマー糸とを備える2つの層を備える。
【0046】
1つの実施形態によると、上記少なくとも3つの積層から成る布の中間層は、ばね層の形態である弾性手段を備える。好適には、上記ばねは、たとえばスチールなどの金属および/またはたとえばポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリアミド、ポリ乳酸などの重合体で作られる。
【0047】
1つの実施形態によると、上記少なくとも3つの積層から成る布の中間層は、メッシュの形態である弾性手段を備える。好適には、上記メッシュは、たとえばポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリアミド、ポリ乳酸、コーンスターチ系材料などの天然および/または合成材料の中から選択された材料で作られる。
【0048】
1つの実施形態によると、本発明に係る少なくとも3つの積層から成る布は、0.5mm~25mm、好適には1mm~10mm、更に好適には2mm~5mmの厚さを有し、更に好適には、上記厚さは3.5mmである。
【0049】
1つの実施形態によると、本発明に係る少なくとも3つの積層から成る布の上層は、0.1mm~5mmの厚さを有し、好適には、上記厚さは0.5~3mmであり、更に好適には、上記厚さは1~3mmである。
【0050】
1つの実施形態によると、本発明に係る少なくとも3つの積層から成る布の下層は、0.1mm~5mmの厚さを有し、好適には、上記厚さは0.5~3mmであり、更に好適には、上記厚さは1~3mmである。
【0051】
有利には、本発明に係る少なくとも3つの積層から成る布の重量は、200g/m~600g/m、好適には300g/m~500g/m、更に好適には400g/m~450g/mであり、更に好適には、上記重量は420g/mである。
【0052】
特徴によると、本発明に係る少なくとも3つの積層から成る布の圧縮抵抗は、1~30kPa、好適には1~6kPaの範囲内である。圧縮抵抗は、圧縮機を用いて測定され得る。たとえば、2mm/分の一定変形速度で、MTS810材料試験システムが用いられ得る。
【0053】
1つの実施形態によると、本発明に係るスペーサ布の蒸気透湿速度は、ASTM E96によると1000g/m/24h超過、好適には10000g/m/24h超過、理想的には20000g/m/24h超過、最適な例では30000g/m/24h超過である。
【0054】
1つの実施形態によると、本発明に係る少なくとも3つの積層から成る布は、0.5mm~25mmの厚さ、および/または200g/m~600g/mの重量、および/または2~30kPaの範囲内の圧縮抵抗、および/またはASTM E96によると1000g/m/24h超過の蒸気透湿速度、および/または200g/m~600g/mの重量、および/または1~30kPaの範囲内の圧縮抵抗、および/またはASTM E96によると1000g/m/24h超過の蒸気透湿速度を有する。
【0055】
1つの実施形態によると、少なくとも3つの積層から成る2枚の布が重ね合わせられる。他の実施形態によると、少なくとも3つの積層から成る3枚の布が重ね合わせられる。各種1枚は、縫合および/または接着によって互いに連結され得る。
【0056】
好適には、各充填可能空気袋またはそのコーティング層によって受け取られる流体の範囲を定める可撓性層は、少なくとも3つの積層から成る布の上層と合体している。
【0057】
好適には、加圧衣服の各能動部は、衣服の設計を単純化するために、単一の充填可能空気袋を備える。各能動部に関して、界面圧力センサの数および配置は、特に、骨部分にセンサを配置することを回避しながら、被験者の身体部位に効果的に付与される圧力を表す圧力測定値を提供するために適している。
【0058】
各界面圧力センサのサイズ、特に測定表面積は、特にその位置の関数として、センサごとに異なり得る。したがって、一例として、加圧衣服が腹部に面する能動部を備える場合、衣服の腹部能動部の前方中央センサは、衣服の腹部能動部の側方センサの測定表面積よりも大きい測定表面積を有するように選択され得る。
【0059】
有利な特徴によると、各界面圧力センサは、能動部の内壁、すなわち被験者の対応する身体部位に向けられることが意図された壁に強固に固定される。特に、界面圧力センサは、能動部の内壁にそのために設けられたコンパートメント内に収容され得る。あるいは、界面圧力センサは、他の任意の適当な手段、特に縫合または接着などによって、能動部の内壁に強固に固定され得る。界面圧力センサは、当業者には既知である任意の適当な方法に従って、皮膚の跡または皮膚のひだを生じさせないように配置される。
【0060】
有利には、各界面圧力センサは、特に可撓性チューブを用いて測定モジュールに密封して連結された空圧センサである。
【0061】
そのような空圧センサの使用は、加圧衣服の能動部に直接組み込まれる必要のある電子部品を少なくするという利点を有する。特に、空圧センサは、既知の陽圧に対応する所定の体積の注入空気をその内容積に受け入れることが可能な、たとえばシリコン製の可撓性ポリマケーシングを有するクッションを備える、特許文献WO2009072011A1号に開示されるようなセンサであってよい。測定モジュールは、互いに、また空圧センサと流体連通している圧力計および空気注入ピストンを備える。各センサの測定モジュールは、制御ユニットの受信モジュールに界面圧力測定値を送信するように構成される。このデータ送信は、任意の手段によって、特に有線接続手段、またはたとえばBluetoothまたはWiFiなどの無線手段によって実行され得る。有利には、各圧力センサの測定モジュールは、制御ユニットのハウジングに一体化される。
【0062】
あるいは、各界面圧力センサは、電子センサであってよく、特に、能動部と被験者の対応する身体部位との間の境界面に加わる力を測定し、そこから界面圧力が計算されるセンサであってよい。各電子センサは、制御ユニットの受信モジュールに界面圧力値を送信するように構成される。このデータ送信は、好適には、たとえばBluetoothまたはWiFiなどの無線接続手段によって実行される。
【0063】
有利には、加圧衣服の各充填可能空気袋は、流体注入デバイスに連結されるように設計された少なくとも1つの充填エンドピースを備える。各充填可能空気袋に関して、加圧衣服には更に、たとえば圧力計などの、空気袋が流体で充填される圧力を感知するための少なくとも1つの充填圧力センサが提供される。特に、各充填可能空気袋に関して、上記充填圧力センサは、空気袋の充填エンドピースと対応する流体注入デバイスとの間の連結パイプ内に取り付けられ得る。有利には、加圧衣服は、1または複数の充填圧力センサと各能動部の1または複数の界面圧力センサとの間に自動サーボ制御手段を備える。特に、各能動部の1または複数の充填圧力センサは、圧力付与セッションの期間を通して被験者の各身体部位に付与される一定の制御された圧力を得るために充填圧力センサと各能動部の界面圧力センサとの間で自動サーボ制御システムが設定され得るように、制御ユニットに連結され得る。これにより、均一かつ一定の圧力レベルが自動的に信頼できる正確な方法で被験者の身体部位に付与されることが可能であり、これは、本発明に係る加圧衣服の利点の1つである。
【0064】
本発明の範囲において、加圧衣服の各能動部の1または複数の充填可能空気袋に流体を注入するための注入デバイスは、ポンプ、またはたとえば病院内で利用可能な圧縮空気供給システムであってよい。1つの有利な実施形態において、加圧衣服の各能動部の1または複数の充填可能空気袋に流体を注入するための注入デバイスはポータブルデバイスであり、これにより、被験者の搬送中に加圧衣服が使用されることが可能である。1つの実施形態において、加圧衣服の各能動部の1または複数の充填可能空気袋に流体を注入するための注入デバイスは、衣服に組み込まれたポータブルポンプである。
【0065】
有利には、本発明に係る加圧衣服の各能動部は、被験者の対応する身体部位の周囲に装着することが可能な展開構成と、被験者の対応する身体部位の周囲で調整された調整構成との間で変形する可撓部である。調整構成において、能動部は管形状を有し、内側に向く壁は、被験者の身体部位に陽圧を付与することが可能である。
【0066】
1つの実施形態によると、各能動部は、被験者の対応する身体部位の形状に可能な限り最適に沿い、被験者の対応する身体部位への最も効果的かつ最も均一な圧力の付与を得るために、被験者の対応する身体部位の周囲で能動部を調整するための調整手段を備える。
【0067】
1つの特徴によると、各能動部に関して、調整手段は、能動部の充填可能空気袋または各充填可能空気袋を充填する時に被験者の対応する身体部位に能動部を当てることが可能な、能動部のパターニング要素を備える。
【0068】
各能動部のパターニング要素は、能動部が、被験者の対応する身体部位に押し付けられ、そこに制御された予測可能な表面圧力を付与するように、充填された状態でパターニングされることを可能にする。したがって、これにより、各能動部の充填時に「ブイ」効果が防止され、能動部が、被験者の身体部位に制御された均一な圧力を付与することなく膨張する。
【0069】
加圧衣服の各能動部が単一の充填可能空気袋を備える場合、能動部の充填可能空気袋を充填する際に被験者の対応する身体部位の形状に沿い、特に大きな充填容積を有する下側能動部に関して均一な加圧付与を得るために、各能動部のパターニング要素の存在は更に重要である。
【0070】
1つの特徴によると、加圧衣服の各能動部に関して、パターニング要素は、被験者の対応する身体部位の形状に沿うように充填された状態での能動部の成形を必要とする、能動部の各充填可能空気袋の流体受け入れ容積の範囲を定める層の少なくとも1つの彫刻的ライン、特にシームを備える。全体として、パターニング要素は、能動部の隆起パターンを備え、能動部の充填可能空気袋または各充填可能空気袋を充填する際に被験者の対応する身体部位に能動部を当て、または押し付けることが可能である。隆起パターンは、能動部の1または複数の空気袋を形成する織物ベースおよび/またはプラスティック材料ベースの可撓性層の彫刻的シームまたは熱融着であってよい。
【0071】
調整手段は、被験者の対応する身体部位の形状に可能な限り最適に沿い、可能な限り最も効果的かつ最も均一な圧力の付与を得るために、被験者の対応する身体部位の周囲で加圧衣服の各能動部を調整するために設計される。調整された構成において、能動部は概して管形状を有する。
【0072】
1つの特徴によると、調整手段は、能動部の閉要素を備え、好適には管状能動部の長さ全体にわたり適合されるように、被験者の対応する身体部位を取り巻く能動部の周囲を調整することを可能にする。1つの特定の実施形態によると、閉要素は、能動部の長さにわたり延びる、フックが設けられた第1のストリップと、ループが設けられた第2のストリップとを備える少なくとも1対の把持ストリップを備える。あるいは、またはこれと関連して、閉要素は、能動部の長さにわたり分布した複数の締付けストリップおよびクリップシステムを備えてよい。
【0073】
1つの実施形態において、各能動部は、被験者の対応する身体部位の周囲で能動部を調整するための調整手段を備え、調整手段は、能動部の閉要素を備え、被験者の対応する身体部位を取り巻く能動部の周囲を調整することを可能にする。
【0074】
1つの実施形態によると、加圧衣服の下側能動部の少なくとも1つは、下側能動部が被験者の下肢の周囲に配置された時、被験者の大腿を包囲し、そこに締付け力を加えることが可能な内側締付け要素を備える。したがって、内側締付け要素は止血帯として機能し、被験者の大腿に静脈閉塞を引き起こすことができる。好適には、内側締付け要素は、規格圧力(50mmHg)まで膨張することが意図されたカフである。内側締付け要素を用いて被験者の大腿に静脈閉塞を適用することは、動員可能な血液量(「静脈ベッド」)を評価するために、この閉塞および解放の結果として下肢の体積に生じる変化の測定値と有利に併用される。
【0075】
1つの有利な特徴によると、加圧衣服は、衣服の能動部の1つまたは各能動部の内壁、すなわち能動部が被験者の対応する身体部位の周囲で調整された構成において内側を向く能動部の壁に取外し可能に固定された、衣服の使用ごとに交換が可能な保護織物を備える。保護織物は、能動部の汚れを防止する。好適には、保護織物は、引張状態で各能動部の内壁に配置され、たとえば把持ストリップまたは他の手段などの任意の適当な手段によって緊張状態に保たれる。より具体的には、圧力付与セッションの範囲内で保護織物にひだが生じることを防ぐことが重要である。保護織物としての使用に適した織物例は、単位面積当たりの重量が40~170g/mの範囲内であるマイクロファイバ織物である。
【0076】
本発明の態様によると、本発明に係る加圧衣服は、被験者の腹部を包囲することが意図された1つの腹部能動部、および、各々、被験者の下肢の1つを包囲することが意図された2つの下側能動部である少なくとも3つの能動部を備え、能動部の各々は、能動部によって腹部および下肢のうちの被験者の対応する身体部位全体に付与される均一な陽圧を得るために流体で充填可能な少なくとも1つの空気袋を備える。
【0077】
したがって、本発明は、被験者の腹部を包囲することが意図された1つの腹部能動部、および各々が被験者の下肢の1つを包囲することが意図された2つの下側能動部である3つの能動部を備える、被験者の身体に圧力を付与するための加圧衣服に関し、能動部の各々は、腹部および下肢のうちの被験者の対応する身体部位全体に能動部によって付与される均一な陽圧を得るために流体で充填可能な少なくとも1つの空気袋を備え、加圧衣服は、
各能動部に関して、能動部と被験者の対応する身体部位との間に位置している時、能動部と被験者の対応する身体部位との間の境界面における圧力を測定するように構成された少なくとも1つの界面圧力センサと、
各能動部の1または複数の界面圧力センサからの界面圧力測定値を受信するように構成された受信モジュールと、各能動部に関して受信モジュールによって受信された界面圧力測定値に基づいて、各能動部に関する所定の界面圧力値を維持するように、能動部の1または複数の充填可能空気袋に流体を注入するための少なくとも1つの注入デバイスを駆動するように構成された駆動モジュールとを備える制御ユニットであって、腹部能動部に関する所定の界面圧力値は各下側能動部に関する所定の界面圧力値よりも厳密に小さい、制御ユニットと
を備え、上記加圧衣服は、少なくとも1つの能動部の内壁の身体と接触する少なくとも1つのエリアにおいて、身体部位に最も近い下層、上層、および中間層の少なくとも3つの積層から成る少なくとも1枚の布を備え、上記中間層は、上層と下層との間にあり、横方向への弾性を有することにより、上層が変形した時の下層の変形を少なくとも抑制することが可能であることを特徴とする。
【0078】
1つの実施形態によると、上記少なくとも3つの積層から成る布は、上述したように本発明に係る少なくとも3つの積層から成る布である。有利には、能動部、界面圧力センサ、および制御ユニットは、上述したように本発明に係る能動部、界面圧力センサおよび制御ユニットである。好適には、上記加圧衣服は、上述したような保護織物調整手段を備える。本発明に係る圧力付与のための上述した任意選択的特徴は全て、3つの能動部を備える上記加圧衣服に関する任意選択的特徴である。
【0079】
1つの実施形態において、制御ユニットは、
腹部能動部に関して、10~20mmHgの範囲内である第1の所定の界面圧力値、および
2つの下側能動部の各々に関して、20~40mmHgの範囲内である第2の所定の界面圧力値
を維持するように構成され、腹部能動部に関する所定の界面圧力値は、各下側能動部に関する所定の界面圧力値よりも厳密に小さい。
【0080】
1つの特徴によると、加圧衣服の下側能動部は、被験者の身体への衣服の装着を容易にするように腹部能動部に連結される。本発明の1つの特徴によると、各下側能動部は、腹部能動部と反対側の端部に、下側能動部の長さを被験者の対応する下肢の長さに適合させるために互いに折り重ねられることが可能な複数のセグメントを備える。同様に、腹部能動部は、一方の端部に、腹部能動部の長さを被験者の腹部の長さに適合させるために互いに折り重ねられることが可能な複数のセグメントを備えてよい。好適には、各能動部に関して、セグメントが互いに折り重ねられた状態において、充填可能空気袋の折り畳まれたセグメントに対応する部分は流体で充填されない。各被験者の形態への加圧衣服の適合性を更に高めるために、折畳みまたは巻上げが可能なセグメントの存在は、たとえばS、M、L、XLなどの様々な衣服のサイズの提供と併用され得る。
【0081】
被験者の臀部を覆う部分は、空気で充填することが可能な充填可能部であってよく、特にこれが、被験者の臀部に、このエリアから血液を逃がすために一定の制御された圧力を付与するためにも有用であり得る場合、充填可能空気袋に対応し得る。あるいは、被験者の臀部を覆う部分は非充填可能であってよい。有利には、本発明に係る少なくとも3つの積層から成る少なくとも1枚の布は、被験者の臀部に面することが意図された表面をコーティングせず、この部分は、可撓性ジャージでコーティングされる。
【0082】
1つの特定の実施形態において、
加圧衣服の腹部能動部は、腹部の中央の前面に位置することが意図された前部中央センサと、腹部の側面に位置することが意図された2つの側部センサとを備える3つの界面圧力センサを備え、
加圧衣服の各下側能動部は、ふくらはぎに位置することが意図された1または2つの下側センサ、特にふくらはぎの後面における後部下側センサ、および場合によってはふくらはぎの内側面における内下側センサ、大腿に位置することが意図された2または3つの上側センサ、特に大腿の後面における後部上側センサ、大腿の内側面における内上側センサ、および場合によっては大腿の前内側面における前内上側センサを備える3~5界面圧力センサを備える。
【0083】
本発明の1つの態様によると、加圧衣服を製造するためのプロセスは、少なくとも3つの積層から成る布の上層が、能動部の内壁の空気袋を充填する流体を通さない可撓性層およびそのコーティング層の中で身体に最も近い側にある層と融合することを可能にする、高周波を印加するステップを備える。この方法の利点は、少なくとも3つの積層から成る布を空気袋と接着させる簡単な方法であると同時に、シームの不透性を助長することである。
【0084】
したがって、本発明は、少なくとも3つの積層から成る布が、能動部の内壁の可撓性層およびそのコーティング層の中で身体に最も近い側にある層と融合することを可能にする、高周波を印加するステップを備えるプロセスによって得られることを特徴とする、本説明で説明したような加圧衣服にも関する。
【0085】
制御ユニットの構成によると、本発明に係る加圧衣服は、「下半身陽圧」(LBPP)原理に従って被験者の身体に自動的に圧力を付与し、被験者の下半身に包含される血液の動員によって脳の血行再建を可能にするために、一方における腹部と他方における下肢との間に圧力勾配を生成するように構成される。
【0086】
したがって、1つの特徴によると、制御ユニットは、
腹部能動部に関して、10~20mmHgの範囲内であり、好適には約10mmHgに等しい第1の所定の界面圧力値、
2つの下側能動部の各々に関して、20~40mmHgの範囲内であり、好適には約20mmHgに等しい第2の所定の界面圧力値
を維持するように構成され、腹部能動部に関する第1の所定の界面圧力値は、各下側能動部に関する第2の所定の界面圧力値よりも厳密に小さい。
【0087】
界面圧力センサを用いた制御は更に、特にLBPPの場合は約90分間続く圧力付与セッションの期間を通して、付与される圧力が被験者の各身体部位において一定に保たれることを保証する。
【0088】
この特徴によると、本発明に係る加圧衣服は、循環血漿量を増加させることによって脳が受動的に血行再建されることを可能にする。制御ユニットにより、界面圧力が自動的に制御され、各能動部の1または複数の空気袋への流体の注入が、界面圧力測定値と界面圧力設定値との関数としてサーボ制御されることが可能であり、これにより、人手が介入することなく、セッションの期間を通して一定の圧力の付与が保証される。
【0089】
留意すべき点として、LBPPレジームの適用に関する治療上の通過帯域は、下肢において20~40mmHgの範囲内でなくてはならず、40mmHgを超えることはない。これらの条件下で、本発明に係る加圧衣服は、2つの下側能動部の各々に関して40mmHg以下である第2の所定の界面圧力値を維持するように構成される。
【0090】
有利には、制御ユニットは、治療セッション中に継続的に取られる、被験者の血圧を表す測定値を受信し、被験者の血圧値を所定の閾値未満に維持するため、特に、収縮期血圧(SBP)を厳密に220未満に、拡張期血圧(DBP)を厳密に120未満に維持するために、下側能動部の1または複数の充填可能空気袋に流体を注入するための注入デバイスまたは各注入デバイスを制御するように構成される。
【0091】
1つの実施形態において、制御ユニットは、特に経頭蓋ドプラ法によって得られた、被験者の脳内血流を表す測定値を受信し、脳内血流を表す測定値の変化を、加圧衣服を用いて被験者の身体部位に付与される圧力勾配と相関付けるように構成される。
【0092】
有利には、この構成により、医師は治療目標を選択すること、たとえば治療セッションの開始時と比較して脳内血流の30%の平均増加を目的とすることが可能である。
【0093】
1つの特徴によると、加圧衣服の下側能動部は、被験者の身体への衣服の装着を容易にするように腹部能動部に連結される。本発明の1つの特徴によると、各下側能動部は、腹部能動部と反対側の端部に、下側能動部の長さを被験者の対応する下肢の長さに適合させるために互いに折り重ねられることが可能な複数のセグメントを備える。
【0094】
また本発明は、先行する請求項のいずれか1項に記載の加圧衣服を被験者に装着するための方法にも関し、上記方法は、
展開構成における加圧衣服の各能動部が、被験者の対応する身体部位に面して配置されるステップと、
展開構成における加圧衣服の各能動部が、被験者の対応する身体部位の周囲で調整される調整構成に置かれるステップと、
各能動部に関して、能動部の各界面圧力センサから、上記能動部に関する所定の界面圧力値に実質的に等しい測定値が得られるまで、加圧衣服の各充填可能空気袋が流体で充填されるステップと
を備える。
【0095】
本発明は更に、被験者の腹部を包囲することが意図された1つの腹部能動部、および、各々、被験者の下肢の各々の1つを包囲することが意図された2つの下側能動部である3つの能動部を備える加圧衣服を用いて、所定の期間にわたり、被験者の腹部に付与される第1の所定の圧力値および被験者の下肢の各々に付与される第2の所定の圧力値を含む所定のプロトコルに従って被験者の身体に圧力を付与するための方法に関し、能動部の各々は、腹部および下肢のうちの被験者の対応する身体部位全体に能動部によって付与される均一な陽圧を得るために流体で充填可能な少なくとも1つの空気袋を備え、加圧衣服は、各能動部に関して、能動部と被験者の対応する身体部位との間に位置している時、能動部と被験者の対応する身体部位との間の境界面における圧力を測定するように構成された少なくとも1つの界面圧力センサを備え、上記方法は、
展開構成における加圧衣服の各能動部が、被験者の対応する身体部位に面して配置されるステップと、
展開構成における加圧衣服の各能動部が、被験者の対応する身体部位の周囲で調整される調整構成に置かれるステップと、
各能動部に関して、能動部の各界面圧力センサから、上記能動部に対応する被験者の身体部位に付与される所定の圧力値に実質的に等しい測定値が得られるまで、加圧衣服の各充填可能空気袋が流体で充填されるステップと、
所定の期間中、各能動部に関して、上記能動部に対応する被験者の身体部位に付与される所定の圧力値に実質的に等しい、能動部の各界面圧力センサからの測定値を維持するために、各能動部に関して受信された界面圧力測定値が、能動部の1または複数の充填可能空気袋に流体を注入するための少なくとも1つの注入デバイスを駆動する基準として用いられるステップと
を備える。
【0096】
圧力を付与するための方法の1つの実施形態によると、流体注入デバイスまたは各流体注入デバイスは、制御ユニットを用いて自動的に駆動される。
【0097】
また本発明は、少なくとも3つの積層から成り、中間層がたとえばばねの層および/またはメッシュの形態および/または糸材料の形態などの弾性手段を備える、布にも関する。
【0098】
1つの実施形態において、上記少なくとも3つの積層から成る布は、上述したようなスペーサ布である。
【0099】
限定ではないが、本発明の上記スペーサ布は、たとえばポリエステル、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリ乳酸、コーンスターチ系繊維などの天然糸および/または合繊糸を備えてよい。糸は、モノフィラメント、マルチフィラメント、または加工糸であってよい。
【0100】
限定ではないが、上層および下層は、天然材料または合成材料、たとえばポリアミド、ポリエステル、ポリプロピレン、綿、羊毛、または他の任意の適当な材料で作られ得る。
【0101】
好適には、本発明に係るスペーサ布は、たとえば糸材料の形態であるスペーサ材料によって分離された、ポリアミドを備える2つの層を備える。上層および下層におけるポリアミドの使用、たとえば加工ポリアミドは、スペーサ布が当てられる皮膚の快適性をもたらす。
【0102】
有利には、本発明に係るスペーサ布は、好適には紡績工程中に銀イオンが挿入された第1のポリアミド6,6繊維と、たとえばLycra(登録商標)という登録商標で販売されているポリエステル-ポリウレタン共重合体であってよい第2のエラストマー糸とを備える糸材料で分離された、ポリアミドを備える2つの層を備える。
【0103】
実施形態によると、本発明に係るスペーサ布は、0.5mm~25mm、好適には0.5mm~10mm、好適には1mm~5mm、更に好適には2mm~4mmの厚さを有し、更に好適には、上記厚さは3.5mmである。
【0104】
実施形態によると、本発明に係るスペーサ布の重量は、200g/m~600g/m、好適には300g/m~500g/m、更に好適には400g/m~450g/mであり、更に好適には、上記重量は420g/mである。
【0105】
実施形態によると、本発明に係るスペーサ布の圧縮抵抗は、2~30kPa、好適には3~25kPaの範囲内である。
【0106】
実施形態によると、本発明に係るスペーサ布の蒸気透湿速度は、ASTM E96によると1000g/m/24hを超える。
【0107】
本発明によると、上記少なくとも3つの積層から成る布は、スポーツ用保護具、スポーツ用衣料、保健および医療用布を製造するため、または、通気性、軽量性、薄さ、柔軟性、滑らかな表面、熱放散、および/または製品の大部分の面積にわたる圧力の再分配または分散を必要とする他の任意の用途のために用いられ得る。
【0108】
様々な実施形態が説明および例示されたが、この詳細な説明は、これに関して限定されるものと解釈されてはならない。特許請求の範囲によって定められるような本開示の正しい主旨および範囲から逸脱することなく、当業者によって実施形態に様々な修正が行われ得る。
【0109】
本発明の特徴および利点は、以下に示す、添付図面を参照し、単に一例として提供される、本発明に係る加圧衣服および圧力を付与するための方法の実施形態の説明により明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0110】
図1】本発明の第1の実施形態に係る加圧衣服の正面図である。
図2図1の加圧衣服の背面図である。
図3図1の加圧衣服を、展開構成における能動部と共に示す正面図である。
図4図3の平面IV-IVに沿って拡大した断面図である。
図5】被験者に装着され、空気注入デバイスに連結された、図1の加圧衣服の正面図である。
図6】本発明の第2の実施形態に係る加圧衣服に関する、図1と同様の図である。
図7】本発明の第3の実施形態に係る加圧衣服に関する、図5と同様の図であり、視認性の向上のために空気注入デバイスが省略されている。
図8図7の加圧衣服の背面図である。
図9】本発明に係る加圧衣服の能動部の断面図の一部である。
【発明を実施するための形態】
【0111】
図9に示すように、本発明に係る加圧衣服の能動部は、様々な層を備える。能動部の外壁85および内壁86は、空気袋を充填する流体81を通さない層82を備え、コーティング層83を備えてよい。能動部の内壁86は更に、コーティング層83と接している(またはコーティング層がない場合は流体を通さない層と接している)上層と、被験者の身体と接触する下層とを備える少なくとも3つの積層から成る少なくとも1枚の布84を備える。
【0112】
図1~5に示すように、1つの実施形態の加圧衣服1は、3つの能動部、すなわち被験者の腹部を包囲することが意図された1つの腹部能動部3と、各々が被験者の片方の脚部または下肢L、Lを包囲することが意図された2つの下側能動部4、5とを備える。加圧衣服1の能動部3、4、5の各々は、気密材料で作られた可撓性織物部である。特に、この例において、各能動部3、4、5の気密材料は、片面をポリウレタンコーティング層84でコーティングされたナイロン編地織物層82を備え、身体部に最も近い側面にあるコーティング層は、少なくとも3つの積層から成る布84でコーティングされる。上記3つの積層から成る生地は、ポリアミドを備える上層および下層を備え、それらは、一方に銀イオンを備える6つの繊維であるポリアミド6を備え、他方にポリエステル-ポリウレタン共重合体糸を備える糸材料で分離される。コーティング層83と接する少なくとも3つの積層から成る生地の層は上層であり、少なくとも3つの積層から成る布84の下層は、被験者の身体と接触している。被験者の身体への加圧衣服1の装着を容易にするために、2つの下側能動部4、5は、特に弾性織物ストリップである接合要素9によって腹部能動部3に連結される。各能動部3、4、5は、被験者の対応する身体部位の周囲に装着することが可能な、図3に示す略平坦展開構成と、被験者の対応する身体部位を包囲し、その周囲で調整されることが可能な、図1図2、または図5に示す管状構成との間で変形され得る。
【0113】
図4の断面図で能動部5に関して示すように(能動部3および4も能動部5と同様の断面を有することが理解される)、加圧衣服1の各能動部3、4、5は、被験者の身体に面することが意図された内側織物部33、43、53と、外側に面することが意図された外側織物部34、44、54とを重ね合わせたものを備え、その両方が、上述したように気密材料で作られている。各能動部3、4、5に関して、気密材料で作られた内側織物部33、43、53および外側織物部34、44、54は、これも気密性のある周縁シーム32、42、52によって互いに連結されている。したがって、加圧衣服1の各能動部3、4、5に関して、気密性空気袋31、41、51は、内側織物部33、43、53と外側織物部34、44、54との間に範囲を定められ、空気袋31、41、51の内容積Vは、空気で充填されることが可能である。内側織物部33、43、53および外側織物部34、44、54は、被験者の身体に面する側面および外側に面する側面にそれぞれコーティング層を備えてもよい。また、内側織物部33、43、53は、被験者の身体に最も近い側面に、少なくとも3つの積層から成る生地を備える。
【0114】
この例において、各能動部3、4、5が単一の充填可能空気袋31、41、51を備え、これは、加圧衣服1の設計を単純化するという利点を有する。ただし、代替として、各能動部3、4、5は複数の充填可能空気袋を備えてよい。加圧衣服1の各充填可能空気袋31、41、51は、被験者の対応する身体部位上で調整された能動部3、4、5の構成において内側織物部33、43、53がそこへ陽圧を付与するように、空気で充填されることが意図されている。
【0115】
加圧衣服1の各充填可能空気袋31、41、51は、その充填を最適化するために空気袋の表面全体に分布する複数の充填エンドピース36、46、56を備える。図5に図示するように、能動部3、4、5の充填エンドピース36、46、56は、空気注入デバイス63、64、65に連結されるために適している。様々な種類の空気注入デバイスが本発明の範囲内で用いられ得る。特に、各空気注入デバイス63、64、65は、衣服1に一体化されたポータブルポンプ、または病院内の圧縮空気インフィードであってよい。各充填可能空気袋31、41、51は、空気袋が空気で充填される圧力を測定するための少なくとも1つの圧力計60を備える。好適には、各充填可能空気袋31、41、51の異なるエリアにおける充填圧力を測定するために、圧力計60は、空気袋の充填エンドピース36、46、56と対応する空気注入デバイス63、64、65との間の各連結パイプに取り付けられる。
【0116】
腹部能動部3によって被験者の腹部Aに、また下側能動部4、5によって被験者の下肢L、Lに効果的に付与される圧力を制御するために、衣服1は、各能動部3、4、5の内側織物部33、43、53に取り付けられた界面圧力センサ2を備える。各センサ2は、それが取り付けられた能動部3、4、5と、被験者の対応する身体部位との間の境界面における圧力を測定することが意図されている。各センサ2は、たとえば、このために対応する内側織物部33、43、53に提供されたコンパートメント内に縫い付けられ得る。あるいは、各センサ2は、他の任意の適当な手段、特に縫合または接着などによって、対応する内側織物部33、43、53に強固に固定され得る。
【0117】
1つの実施形態例において、各界面圧力センサ2は、特許文献WO2009072011A1号において開示される、既知の陽圧に対応する所定の体積の注入空気を内容積に受け入れることが可能な可撓性ポリマクッションを備える空気圧センサであってよく、このクッションは、可撓性チューブ(不図示)によって密封方式で測定モジュール72に連結されている。各センサ2の測定モジュール72は、特に、互いに流体連通し、かつ空気圧センサ2と流体連通している圧力計および空気注入ピストンを備える。そのような空気圧センサの使用により、加圧衣服1の能動部3、4、5における電子部品の必要性が回避され、電子部品は、織物部の外側の測定モジュール72内に移される。これらの空気圧センサは、特に10~40mmHgの範囲内にあるLBPPの例において望ましい、比較的低い界面圧力レベルに適合性を持つという利点も有する。言うまでもないが、代替として、これらの電子センサの感度が望ましい界面圧力レベルに適合するという前提で、加圧衣服1が電子界面圧力センサを備えてよい。
【0118】
各能動部3、4、5に関して、界面圧力センサ2の数および配置は、被験者の身体部位に効果的に付与される圧力を表す圧力測定値を提供するために適している。非限定的な例として、この実施形態において、加圧衣服1の腹部能動部3は、3つの圧力センサ2、すなわち被験者の腹部の中央の前面に位置することが意図された前部中央センサ2と、腹部の側面に位置することが意図された2つの側部センサ2とを備える。加圧衣服1の各下側能動部4、5は、5つの界面圧力センサ2、すなわち被験者のふくらはぎの後面に位置することが意図された1つの後部下側センサ2と、ふくらはぎの内側面に位置することが意図された1つの内下側センサ2と、被験者の大腿の後面に位置することが意図された1つの後部上側センサ2と、大腿の内側面に位置することが意図された1つの内上側センサ2と、大腿の前内側面に位置することが意図された1つの前内上側センサ2とを備える。
【0119】
加圧衣服1は、図5に示す制御ユニット7を備え、これは、加圧衣服1の織物部の表面に、またはたとえば衣服1を用いた加圧セッションが行われるベッドなどの家具の要素に取り付けられることが可能なハウジングの形式であってよい。空圧式の界面圧力センサ2の場合、加圧衣服1の各空圧式界面圧力センサに関連する測定モジュール72は、有利には制御ユニット7のハウジングに一体化され、これは更に、各空圧式界面圧力センサの測定モジュール72から界面圧力測定値を受信するように構成された受信モジュール70を備える。したがって、各測定モジュール72と受信モジュール70との接続は、有線または無線であってよい。電子式の界面圧力センサ2の場合、各電子界面圧力センサは、特に無線接続手段によって、制御ユニット7の受信モジュール70に界面圧力測定値を直接送信するように構成される。各充填可能空気袋31、41、51の1または複数の充填圧力計60もまた、制御ユニット7の受信モジュール70に接続される。したがって、充填圧力センサ60と各能動部3、4、5の界面圧力センサ2との間に自動サーボシステムが生成され得る。
【0120】
図5に示すように、制御ユニット7の受信モジュール70は、
被験者の腕に位置するカフを備える張力計67を用いて、特に連続的に取得された、特に収縮期血圧(SBP)、拡張期血圧(DBP)、平均動脈血圧を含む、治療セッション中の被験者の血圧を表す測定値、
コンピューティングユニットに関連する被験者の頭部に位置するプローブ、一般に2MHzのドプラプローブを備えるデバイス68を用いて、経頭蓋ドプラ法によって特に連続的に取得された、特にピーク収縮期速度(PSV)、拡張末期速度(EDV)、抵抗率、曲線の下側のエリアを含む、治療セッション中の被験者の脳内血流を表す測定値
を受信するようにも構成される。
【0121】
制御ユニット7は更に、駆動モジュール71も備え、これは、
各能動部3、4、5に関する所定の界面圧力設定値を維持するために、各能動部3、4、5の受信モジュール70によって受信された界面圧力測定値、
被験者の血圧値を所定の閾値未満に維持するため、特に収縮期血圧(SBP)を厳密に220未満、拡張期血圧(DBP)を厳密に120未満に維持するために、受信モジュール70によって受信された被験者の血圧を表す測定値、
被験者の脳内血流を表す測定値の変化を、加圧衣服を用いて被験者の身体部位に付与された圧力勾配と相関付けるため、および/または、被験者の脳内血流を表す測定値を、治療目標、たとえば治療セッションの開始時と比較して脳内血流の30%の平均増加率と関連付け、場合によっては上記治療目標に到達した時にアラートを生成し、医師が、取得された機能的結果の関数としてセッションを継続するか否かを判断するために、受信モジュール70によって受信された脳内血流を表す測定値
の関数として、1または複数の空気注入デバイス63、64、65を駆動するように構成される。
【0122】
制御ユニット7は、界面圧力の自動制御を提供し、センサ2からの界面圧力測定値および各能動部に関する所定の界面圧力設定値の関数として、および各能動部3、4、5の空気袋31、41、51への空気注入のサーボ制御を提供する。したがって、人手が介入することなく、加圧衣服1を用いた加圧セッションの期間を通して、被験者の各身体部位に一定かつ制御された圧力を自動的に付与することが可能である。
【0123】
特に、一例によると、加圧衣服1を用いたLBPPの付与に関して、腹部能動部3の所定の界面圧力設定値は10mmHgであり、各下側能動部4、5の所定の界面圧力設定値は20mmHgであり、衣服1は、有利には、約90分の期間にわたり各能動部3、4、5の所定の界面圧力設定値を維持するように構成される。
【0124】
被験者の各身体部位の形状に適切に沿い、各身体部位への可能な限り最も効果的かつ均一な圧力の付与を得るために、加圧衣服1の各能動部3、4、5は、被験者の対応する身体部位の周囲の能動部3、4、5を調整するための調整手段を備える。図1~5に示す例において、これらの調整手段は、各能動部3、4、5に把持ストリップのペアを備え、被験者の対応する身体部位A、L、Lの周囲の調整構成で能動部が閉じられることを可能にする。
【0125】
より具体的には、示される例において、各能動部3、4、5は、管状構成における軸方向の全長にわたり、外側織物部34、44、54の側に、能動部の第1の長手方向端部にあるフックが設けられた第1の把持ストリップ37、47、57を備え、内側織物部33、43、53の側には、能動部の第2の長手方向端部にあるループが設けられた第2の把持ストリップ38、48、58を備える。把持ストリップ37、38、47、48、57、58により、能動部3、4、5の周囲は、能動部の全長にわたり適合されるように、被験者の対応する身体部位A、L、Lの周囲で調整されることが可能である。
【0126】
2つの下側能動部4、5の各々は更に、腹部能動部3の反対側に、被験者の下肢L、Lの長さに下側能動部4、5の長さを適合させることにより、可能な最も標的化された方式で下肢L、Lに陽圧を付与することが意図された、巻上げ可能な部分45、55を備える。図1および図5に示すように、各巻上げ部45、55は、折り重ねられるように構成された複数のセグメントSによって形成される。好適には、セグメントSが折り重ねられた状態において、折り返されたセグメントSに対応する充填可能空気袋41、51の一部は、空気で充填することができない。
【0127】
図3に示すように、被験者の右脚または右側下肢Lを覆うことが意図された加圧衣服1の下側能動部4は、下側能動部4が被験者の右側下肢Lの周囲に配置されると、被験者の右大腿部を包囲し、そこに締付け力を付与することが可能である内側カフ40を備える。締付けカフ40は、特に、カフが被験者の大腿部の周囲で定位置に保持されることを可能にし、約50mmHgの標準圧力の空気で充填されることが意図された膨張式カフであってよい。締付けカフ40は、加圧衣服1を用いた加圧セッション、特にLBPPを行う前に、被験者の動員可能な血液量(または「静脈ベッド」)の評価を可能にすることが意図されている。
【0128】
動員可能な血液量を評価するための手順は、有利には、締付けカフ40を用いて被験者の右大腿部に静脈閉塞を適用することと、特に、被験者の右側下肢Lの周囲に空気充填スリーブを形成する下側能動部4における空気圧の変動を測定することによる呼吸量測定によって、この閉塞および解放の結果としての右側下肢の体積の変動を測定することとを備えてよい。
【0129】
好適には、図5に示すように、被験者に装着された時、加圧衣服1は、被験者の身体と能動部3、4、5の各々との間に使い捨ての保護織物8を備える。たとえば40~170g/mの範囲内である単位面積当たりの重量を有するマイクロファイバ織物である保護織物8は、「第2の皮膚」としての役割を果たし、能動部3、4、5との接触の結果、被験者の皮膚が刺激されることを防止する。有利には、保護織物8は、各能動部3、4、5の内側織物部33、43、53に取外し可能に当てられ、被験者の皮膚を刺激する可能性の高いひだの存在を防ぐために、たとえば把持ストリップを用いて任意の適当な手段によって引張状態を保たれる。保護織物は更に、セッション中に使用される保護織物8がセッションの終了時に取り外され、今後のセッションのために新たな保護織物8と交換される限り、加圧衣服1が衛生上の問題なく様々な加圧セッションのために再利用され得るように、能動部3、4、5の汚れを防止する。
【0130】
上述したような加圧衣服1を用いて、被験者の腹部Aおよび下肢L、Lに、「下半身陽圧」(LBPP)原理に従って圧力を付与するための方法の一例は、後述のようなステップを備える。
【0131】
最初に、加圧衣服1が、好適には加圧衣服の非膨張状態、すなわち衣服の充填可能空気袋31、41、51の各々が空気で充填されていない、または非常に僅かな空気しか充填されていない状態で被験者に装着される。
【0132】
この目的のために、加圧衣服1の各能動部3、4、5は、図3に示すように展開構成で配置され、各能動部3、4、5の内側織物部33、43、53をコーティングする少なくとも3つの積層から成る生地に保護織物8が当てられる。加圧衣服1の腹部能動部3は、その後、被験者の腹部Aの高さに配置され、2つの下側能動部4、5は、各々が被験者の1つの下肢L、Lの高さに配置される。各能動部3、4、5は、その後閉じられ、展開構成から、被験者の対応する身体部位を取り巻く管状構成に変わり、把持ストリップ37、38、47、48、57、58を用いて被験者の対応する身体部位の周囲で調整される。
【0133】
寝たきりの被験者または肢の麻痺を患っている被験者の場合、本願の衣服1の設計は、仰臥姿勢の患者に装着されることを可能にする。そのような場合、加圧衣服1は、能動部3、4、5の各々が展開構成であり、保護織物8が設けられた状態でベッド上に置かれ、その後、被験者は、加圧衣服1の上に背中から横たわり、それと同時に、被験者の腹部Aを腹部能動部3の高さに、また被験者の下肢L、Lを加圧衣服の対応する下側能動部4、5の高さに配置する。その後、各能動部3、4、5は、展開構成から、横たわった被験者の対応する身体部位を取り巻く管状構成に変わることによって閉じられ、そのために加圧衣服の前面に設けられた把持ストリップ37、38、47、48、57、58を用いて被験者の対応する身体部位の周囲で調整される。
【0134】
その後、加圧衣服1の各空気袋31、41、51は、各能動部3、4、5に関して、上記能動部に関する所定の界面圧力設定値と実質的に等しい測定値が能動部の各界面圧力センサ2によって取得されるまで、充填エンドピース36、46、56に連結された空気注入デバイス63、64、65を用いて充填される。特に、加圧衣服1を用いたLBPPの付与の有利な一例によると、腹部能動部3の所定の界面圧力設定値は10mmHgであり、各下側能動部4、5の所定の界面圧力設定値は20mmHgである。加圧衣服1の制御ユニット7は、衣服の空気袋31、41、51を自動的に充填するように構成され得る。
【0135】
その後、決定された期間、たとえば90分の期間にわたり、被験者の腹部Aへの10mmHgの一定かつ均一な圧力の付与および被験者の下肢L、Lの各々への20mmHgの一定かつ均一な圧力の付与が、衣服の制御ユニット7により、加圧衣服1によって自動的に実行され、制御ユニット7は、決定された期間にわたり、各センサ2によって測定された界面圧力値を、上記センサ2が取り付けられた能動部3、4、5の所定の界面圧力設定値と等しく維持するために、センサ2からの界面圧力測定値の関数として空気注入デバイス63、64、65を選択的に作動させるように構成される。
【0136】
図6に示す第2の実施形態において、第1の実施形態と同様の要素は、同じ参照符号で示される。この第2の実施形態の加圧衣服1は、被験者の身体における能動部3、4、5の調整手段が、把持ストリップ37、38、47、48、57、58の代わりに締付けストリップ37’、47’、57’および対応するクリップ38’、48’、58’を用いた複数の閉システムによって形成される点で、第1の実施形態と異なっている。図6に示すように、各能動部3、4、5に関して、締付けストリップ37’、47’、57’およびクリップ38’、48’、58’を用いた閉システムは、管状構成における軸方向に能動部の全長に分布し、被験者の対応する身体部位A、L、Lを取り巻く能動部3、4、5の周囲を能動部の全長にわたり適合されるように調整することを可能にする。
【0137】
図7および図8に示す第3の実施形態において、第1の実施形態と同様の要素は、同じ参照符号で示される。第3の実施形態の加圧衣服1は、被験者の身体における能動部3、4、5の調整手段が、長手方向に閉じる把持ストリップ37、38、47、48、57、58に限定されないという点で、第1の実施形態と異なっている。この第3の実施形態において、調整手段は、各能動部3、4、5の織物の彫刻的シーム39、49、59を更に備える。各能動部3、4、5のシーム39、49、59により、能動部の充填可能空気袋31、41、51を空気で充填する間、能動部3、4、5は、能動部を被験者の対応する身体部位A、L、Lに当てる形状となる。各能動部3、4、5のシーム39、49、59により、能動部は、被験者の対応する身体部位の形状に適切に装着されることが可能である。また、図8に示すように、この第3の実施形態の加圧衣服1は、被験者の臀部を包含する。被験者の臀部を覆う部分は、空気で充填されることが可能な充填可能部であってよく、特に、このエリアから血液を追い出すために被験者の臀部に一定かつ制御された圧力を付与するためにも役立ち得る限りにおいて、充填可能空気袋に対応し得る。あるいは、被験者の臀部を覆う部分は、非充填可能であってよい。
【0138】
上記例に示すように、本発明に係る加圧衣服は、能動部の各々の内壁に界面圧力センサを備え、被験者の腹部および下肢に均一かつ一定の圧力が自動的に付与されることを可能にする。特に、本発明に係る加圧衣服は、被験者の腹部および下肢に差圧が付与されることを伴う「下半身陽圧」(LBPP)原理に従う圧力の付与に適している。加圧衣服の能動部の各々を形成する織物の気密性および可撓性により、各能動部は、柔軟な構造を保持しながら空気チャンバとして機能することが可能であり、それによって装着の快適性が高く、寝たきりまたは半身不随の被験者を含む被験者への装着が容易である。本発明の加圧衣服を、たとえばS、M、L、XLなどの様々なサイズで提供することが可能である点、および各身体部位において加圧衣服を調整するための調整手段の存在により、各被験者の形態に衣服を適合させることが更に可能となり、これは、特にLBPP原理に従う圧力の付与による治療に関する衣服の効果に寄与する。
【0139】
本発明は、説明および図示された例に限定されない。特に、上記例において、加圧衣服の各能動部3、4、5は、単一の充填可能空気袋31、41、51を備える。代替として、本発明に係る衣服の能動部は、任意の数の充填可能空気袋を備えてよい。好適には、各能動部の各充填可能空気袋は、少なくとも1つの界面圧力センサを備える。また、本発明に係る加圧衣服の各能動部における界面圧力センサの数および配置は、上記例において説明したものと異なってよい。使用される界面圧力センサは、その位置に合うように適合された様々なサイズであってもよく、様々な種類、特に空圧センサ、電子センサ、または空圧および電子センサの組み合わせなどであってもよい。気密材料、そのコーティング層、少なくとも3つの積層から成る生地、および保護織物は、たとえば本明細書で説明したものやその均等物などの任意の種類であってよい。最後に、本発明に係る加圧衣服は、「下半身陽圧」(LBPP)原理に対応する圧力の付与に関して上述された。代替として、本発明に係る加圧衣服は、たとえば加圧衣服の制御ユニットによって自動的に制御され得る時間変化する圧力など、被験者の腹部および/または下肢へのあらゆる種類の圧力の自動的付与のために用いられてよい。
【0140】
本発明に係る加圧衣服による「下半身陽圧」(LBPP)の付与は、以下の治療を備えるが、これらに限定されない。
様々な臨床現場における脳血管補充現象の改善
【0141】
1 過程(複数も可)はどうであれ、脳潅流の障害に起因する脳虚血の急性期:
虚血性脳卒中、
血管痙攣。
【0142】
2 機能回復を改善するための脳潅流の持続性障害に起因する脳虚血の亜急性期
虚血性脳卒中。
【0143】
3 脳潅流の慢性障害に起因する慢性脳虚血
血管性認知症。
【0144】
4 様々な臨床現場における眼血管補充現象の改善
頸動脈閉塞症の急性期
前部虚血性視神経症(AION)
網膜動脈閉塞症
脈絡灌流の慢性障害
加齢性黄斑変性症(AMD)。
【0145】
5 低灌流身体領域における、抗凝固薬、繊維素溶解物質、フリーラジカルトラップ剤、NOドナーを備えるグループから選択された脳血管障害のための治療薬の送達を促進または増大するためのLBPPの使用。
【0146】
6 低灌流身体領域における、抗酸化剤、抗炎症剤、栄養因子、アポトーシス抑制剤およびスタチンを備えるグループから選択された眼障害のための治療薬の送達を促進または増大するためのLBPPの使用。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】