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特表2023-502706輸液ポンプ用の保持装置及び保持装置を備えた輸液装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-25
(54)【発明の名称】輸液ポンプ用の保持装置及び保持装置を備えた輸液装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 50/20 20160101AFI20230118BHJP
   A61M 5/142 20060101ALI20230118BHJP
【FI】
A61B50/20
A61M5/142
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022529586
(86)(22)【出願日】2020-11-20
(85)【翻訳文提出日】2022-05-19
(86)【国際出願番号】 CN2020130360
(87)【国際公開番号】W WO2021098816
(87)【国際公開日】2021-05-27
(31)【優先権主張番号】201922016371.X
(32)【優先日】2019-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522199332
【氏名又は名称】費森尤斯▲カ▼比(南昌)医▲療▼器械有限公司
【氏名又は名称原語表記】FRESENIUS KABI (NANCHANG) CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Qing Lan Road Nanchang Economic & Technological Development Zone Nanchang, Jiangxi, China
(74)【代理人】
【識別番号】100122471
【弁理士】
【氏名又は名称】籾井 孝文
(72)【発明者】
【氏名】徐 ▲堅▼
(72)【発明者】
【氏名】夏 ▲寧▼波
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼ ▲発▼杰
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA07
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD11
4C066QQ85
(57)【要約】
輸液ポンプ2用の保持装置1、1’は、基部11、11’を備えており、基部11、11’は、輸液ポンプ2がハウジング112に取り外し可能に取り付けられているハウジング112と、ハウジング112内に配置される電力アダプタ15と、外部電源を電力アダプタ15に電気的に接続するための電力インターフェース152、152’と、輸液ポンプ2に電気的に接続するための電子インターフェースと、基部11、11’に結合されており、保持装置1、1’を使用環境における所定の位置に取り外し可能に位置決めするよう構成された保持部材13とを備える
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
輸液ポンプ(2)用の保持装置(1、1’)であって、
基部(11、11’)及び保持部材(13)を備えており、
前記基部(11、11’)は、
前記輸液ポンプが取り外し可能に取り付けられるハウジング(112)と、
前記ハウジング(112)内に配置される電源アダプタ(15)と、
外部電源を前記電源アダプタ(15)に電気的に接続するように構成された電源インターフェース(152、152’)と、
前記輸液ポンプ(2)に電気的に接続するように構成された電子インターフェースと、
を備え、
前記保持部材(13)は、前記基部(11、11’)に結合され、該保持装置(1、1’)をサービス環境における所定の位置に取り外し可能に位置決めするように構成されている、
ことを特徴とする、保持装置。
【請求項2】
請求項1に記載の輸液ポンプ(2)用の保持装置(1、1’)であって、前記電子インターフェースは、前記輸液ポンプ(2)に電力を供給するように構成された第1の電子インターフェース(172、172’)を含むことを特徴とする、保持装置。
【請求項3】
請求項1に記載の輸液ポンプ(2)用の保持装置(1、1’)であって、前記電子インターフェースは、前記基部(11、11’)と前記輸液ポンプ(2)との間の電子通信を担うように構成された第2の電子インターフェース(174)を含むことを特徴とする、保持装置。
【請求項4】
請求項1に記載の輸液ポンプ(2)用の保持装置(1、1’)であって、前記ハウジング(112)は、第1のハウジング部(1122)及び第2のハウジング部(1124)を備え、前記第1のハウジング部(1122)及び前記第2のハウジング部(1124)は、引き出し式の挿入構造として構成されており、前記第2のハウジング部(1124)の縁外壁が、前記第1のハウジング部(1122)の内壁にラップ接合されてシールを形成することを特徴とする、保持装置。
【請求項5】
請求項4に記載の輸液ポンプ(2)用の保持装置(1、1’)であって、前記第1のハウジング部(1122)は、前記第2のハウジング部(1124)にスナップ係合又はねじ結合によって取り外し可能に結合され、前記第1のハウジング部(1122)及び前記第2のハウジング部(1124)は、使用中、前記第1のハウジング部(1122)が重力方向において常に前記第2のハウジング部(1124)の上方に位置するように構成されていることを特徴とする、保持装置。
【請求項6】
請求項4に記載の輸液ポンプ(2)用の保持装置(1、1’)であって、前記ハウジング(112)は、サイドカバーねじ(1127)によって前記ハウジング(112)に固定されるサイドカバー(1126)を更に備え、前記サイドカバー(1126)は、前記第1のハウジング部(1122)と前記第2のハウジング部(1124)とを結合する第1のねじ(1131)を覆うように構成されていることを特徴とする、保持装置。
【請求項7】
請求項6に記載の輸液ポンプ(2)用の保持装置(1、1’)であって、前記ハウジング(112)は、接着又はスナップによって前記ハウジング(112)に固定されるカバープレート(1128)を更に備え、前記カバープレート(1128)は、前記サイドカバーねじ(1127)を覆うように構成されていることを特徴とする、保持装置。
【請求項8】
請求項4に記載の輸液ポンプ(2)用の保持装置(1、1’)であって、前記第2のハウジング部(1124)は、挿入シート(1129)を備え、前記挿入シート(1129)は、前記第1のハウジング部(1122)に挿入され、第2のねじ(1132)によって前記第1のハウジング部(1122)に固定されることを特徴とする、保持装置。
【請求項9】
請求項8に記載の輸液ポンプ(2)用の保持装置(1、1’)であって、前記保持部材(13)は、前記第1のハウジング部(1122)の外面に配置され、前記第2のねじ(1132)によって前記第1のハウジング部(1122)及び前記挿入シート(1129)に固定されることを特徴とする、保持装置。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の輸液ポンプ(2)用の保持装置(1、1’)であって、前記ハウジング(112)は、前記ハウジング(112)から突出してフック状部材を形成しているケーブル保持部材(144)を備え、前記ケーブル保持部材(144)は、ケーブルを固定し、かつ該ケーブルの緩み及び位置ずれを防止するように構成されていることを特徴とする、保持装置。
【請求項11】
輸液装置であって、
請求項1~10のいずれか1項に記載の、輸液ポンプ用の保持装置と、
前記保持装置によって取り外し可能に保持される前記輸液ポンプと、
を備えており、
前記保持装置は基部を備え、前記基部と前記輸液ポンプとはスナップ係合によって互いに固定的に結合され、前記基部における電子インターフェースが、前記輸液ポンプにおける対応する電子インターフェース(23)に1対1の対応関係で電気的に接続される、
ことを特徴とする、輸液装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2019年11月20日に中国国家知識産権局に出願され、「HOLDING DEVICE FOR LIQUID INFUSION PUMP AND LIQUID INFUSION DEVICE INCLUDING THE HOLDING DEVICE(輸液ポンプ用の保持装置及び保持装置を備えた輸液装置)」と題された、中国特許出願第201922016371.X号の優先権を主張する。この特許出願は、その内容全体が引用することにより本明細書の一部をなす。
【0002】
本開示は、医療機器の分野に関し、特に、輸液ポンプ用の保持装置及び保持装置を備えた輸液装置に関する。
【背景技術】
【0003】
このセクションの内容は、本開示に関連する背景情報を提供するものであり、必ずしも従来技術を構成するものではない。
【0004】
輸液ポンプ(例えば栄養剤輸液ポンプ)は、医療分野で一般的に使用されている医療機器であり、患者に栄養剤や医薬品を注入するように構成されている。輸液ポンプを安定的に保持し、リアルタイムで監視するために、輸液ポンプは保持装置を更に備えている。現在、一般的な保持装置は、輸液ポンプを接続して支持するように構成された基部と、輸液ポンプを支持する基部をサービス環境における所定の位置に固定するように構成された保持部材と、基部及び輸液ポンプに電力を供給するように構成された外部電源装置とを含む。外部電源装置は電源アダプタを含み、電源アダプタの一方の端部が基部に接続され、他方の端部が外部の交流電源に接続され、外部の交流を直流に変換して基部に直流を供給する。
【0005】
実際の用途では、このような電源アダプタは基部のハウジングの外側に配置され、一体化されていない構造であるため、輸液システムの部品点数が多く、使用方法が複雑になることが知られている。また、電源アダプタのプラグは、異なるタイプの外部電源インターフェースに適合するように特別にカスタマイズされている必要がある。プラグが破損すると電源アダプタを使用することができず、これにより輸液ポンプを使用することができない。交換及びメンテナンスのコストが高いため、装置を改善する必要がある。別の側面では、従来技術における基部のハウジングの設計も、偶発的な分解の防止、防水、及びケーブル固定の点で改善される必要がある。
【0006】
したがって、上記の問題及び他の問題を解決して上記の側面を改善することのできる、輸液ポンプ用の保持装置及び保持装置を備えた輸液装置を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示の目的は、コンパクトな構造を有する、輸液ポンプ用の保持装置を提供することである。
【0008】
本開示の別の目的は、使用者が容易に分解することのできない保持装置を提供することである。
【0009】
本開示の更に別の目的は、ハウジングが防水である保持装置を提供することである。
【0010】
本開示の更に別の目的は、接続ケーブルの安全な保持を実現する保持装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示の1つの態様によれば、輸液ポンプ用の保持装置であって、
基部及び保持部材を備えており、
基部は、
輸液ポンプが取り外し可能に取り付けられるハウジングと、
ハウジング内に配置される電源アダプタと、
外部電源を電源アダプタに電気的に接続するように構成された電源インターフェースと、
輸液ポンプに電気的に接続するように構成された電子インターフェースと、
を備え、
保持部材は、基部に結合され、保持装置をサービス環境における所定の位置に取り外し可能に位置決めするように構成されている、輸液ポンプ用の保持装置が提供される。
【0012】
本開示の好ましい実施の形態によれば、電子インターフェースは、輸液ポンプに電力を供給するように構成された第1の電子インターフェースを含む。
【0013】
本開示の好ましい実施の形態によれば、電子インターフェースは、基部と輸液ポンプとの間の電子通信を担うように構成された第2の電子インターフェースを含む。
【0014】
本開示の好ましい実施の形態によれば、ハウジングは、第1のハウジング部及び第2のハウジング部を備え、第1のハウジング部及び第2のハウジング部は、引き出し式の挿入構造として構成されており、第2のハウジング部の縁外壁(edge outer wall)が、第1のハウジング部の内壁にラップ接合されて(lapped jointed)シールを形成する。
【0015】
本開示の好ましい実施の形態によれば、第1のハウジング部は、第2のハウジング部にスナップ係合又はねじ結合によって取り外し可能に結合され、第1のハウジング部及び第2のハウジング部は、使用中、第1のハウジング部が重力方向において常に第2のハウジング部の上方に位置するように構成されている。
【0016】
本開示の好ましい実施の形態によれば、ハウジングは、サイドカバーねじによってハウジングに固定されるサイドカバーを更に備え、サイドカバーは、第1のハウジング部と第2のハウジング部とを結合する第1のねじを覆うように構成されている。
【0017】
本開示の好ましい実施の形態によれば、ハウジングは、接着又はスナップによってハウジングに固定されるカバープレートを更に備え、カバープレートは、サイドカバーねじを覆うように構成されている。
【0018】
本開示の好ましい実施の形態によれば、第2のハウジング部は、挿入シートを備え、挿入シートは、第1のハウジング部に挿入され、第2のねじによって第1のハウジング部に固定される。
【0019】
本開示の好ましい実施の形態によれば、保持部材は、第1のハウジング部の外面に配置され、第2のねじによって第1のハウジング部及び挿入シートに固定される。
【0020】
本開示の好ましい実施の形態によれば、ハウジングは、ハウジングから突出してフック状部材を形成しているケーブル保持部材を備え、ケーブル保持部材は、ケーブルを固定し、かつケーブルの緩み及び位置ずれを防止するように構成されている。
【0021】
本開示の別の態様によれば、輸液装置であって、
上述した輸液ポンプ用の保持装置と、
保持装置によって取り外し可能に保持される輸液ポンプと、
を備えており、
保持装置は基部を備え、基部と輸液ポンプとはスナップ係合によって互いに固定的に結合され、基部における電子インターフェースが、輸液ポンプにおける対応する電子インターフェースに1対1の対応関係で電気的に接続される、輸液装置が提供される。
【0022】
結論として、アダプタを保持装置の基部に統合することによって、基部と輸液ポンプとに、基部に直接接続された共通の電源コードのみを介して電力を供給することができ、電源コードの交換のみで装置の動作を確保することができる。したがって、本開示による輸液ポンプ用の保持装置及び保持装置を備えた輸液装置は、最適化された構造及び高い費用対効果を有し、簡単な構造であり、実施が容易である。基部のハウジングの構成は、誤操作による分解をより防止できるように最適化されており、ハウジングの基部の水密性を更に向上させ、これによって保持装置の使用信頼性が向上する。
【0023】
本開示の上記特徴及び特性並びに更なる特徴及び特性は、以下の詳細な説明を図面を参照しながら読み進めることによって、より明確になるであろう。図面は、例としてのみ記載されており、必ずしも正しい縮尺では描かれていない。複数の図面において同じ参照数字は同じ構成要素を示している。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本開示の好ましい一実施形態に係る、輸液ポンプ用の保持装置の上面図である。
図2図1の輸液ポンプ用の保持装置の底面図である。
図3図1の輸液ポンプ用の保持装置の分解図である。
図4a図1の輸液ポンプ用の保持装置が輸液ポンプと一緒に使用されるときの状態を示している。
図4b図1の輸液ポンプ用の保持装置が輸液ポンプと一緒に使用されるときの状態を示している。
図4c図1の輸液ポンプ用の保持装置が輸液ポンプと一緒に使用されるときの状態を示している。
図4d図1の輸液ポンプ用の保持装置が輸液ポンプと一緒に使用されるときの状態を示している。
図4e図1の輸液ポンプ用の保持装置が輸液ポンプと一緒に使用されるときの状態を示している。
図5a図1の輸液ポンプ用の保持装置の更なる分解図を示している。
図5b図1の輸液ポンプ用の保持装置の更なる分解図を示している。
図5c図1の輸液ポンプ用の保持装置の更なる分解図を示している。
図5d図1の輸液ポンプ用の保持装置の更なる分解図を示している。
図6図1の輸液ポンプ用の保持装置にケーブルを挿入したときの状態を示している。
図7a】本開示の別の好ましい実施形態に係る輸液ポンプ用の保持装置の上面図を示している。
図7b】本開示の別の好ましい実施形態に係る輸液ポンプ用の保持装置の底面図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本開示は、輸液ポンプ用の保持装置及び保持装置を備えた輸液装置に関し、特に、医療用輸液ポンプ用の保持装置及び保持装置を備えた医療用輸液装置に関する。以下では、本開示の好ましい実施形態について、図1図7bを参照しながら詳細に説明する。なお以下の説明は例示に過ぎず、本開示及び本開示の用途を限定することを意図するものではない。
【0026】
図1図3は、概して、本開示の好ましい一実施形態に係る、輸液ポンプ用の保持装置の構造を示している。図1は、保持装置の上面図を示している。図2は、図1の保持装置の底面図を示している。図3は、図1の保持装置の分解図を示している。
【0027】
図1図3を参照すると、本開示の好ましい一実施形態に係る輸液ポンプ2用の保持装置1は、概して、基部11と、保持部材13とを含む。基部11は、輸液ポンプ2(図4a~図4eに示す)に取り外し可能に接続されるように構成されており、輸液ポンプ2に電力を供給し、輸液ポンプ2の注入動作をリアルタイムで監視するために輸液ポンプ2と電子的に通信する。具体的には、基部11は、ハウジング112を含む。ハウジング112は、概して、第1のハウジング部1122及び第2のハウジング部1124を含む。ハウジング112は、内部に電源アダプタ15、回路基板17等を内蔵している。電源アダプタ15は、回路基板17上に(例えば溶接、接着、ねじ止め、スナップ止め(snap fixing)等によって)配置され、回路基板17に電気的に接続されていることが好ましい。図示したように、第2のハウジング部1124に電源インターフェース152が設けられている。電源インターフェース152は、外部の交流電源ケーブルを接続して電源アダプタ15に電気的に接続するように構成されており、これにより回路基板17に、電源インターフェース152及び電源アダプタ15を通じて必要な直流電源が供給され、すなわち、電源アダプタ15が外部の交流を直流に変換して、回路基板17に直流を供給する。好ましくは、アダプタ15に過負荷保護を提供する手段(図示せず)が基部11に設けられている。さらに、輸液ポンプ2と電気的に接続するための複数の電子インターフェースが、第1のハウジング部1122に設けられている。電子インターフェースは、回路基板17に電気的に接続されている。電子インターフェースは、輸液ポンプ2に電力を供給するように構成された第1の電子インターフェース172と、基部11と輸液ポンプ2との間の電子通信を担うように構成された第2の電子インターフェース174とを含む。基部11は、第2の電子インターフェース174を介して、輸液ポンプ2の動作データを取得することができる。一方、第2のハウジング部1124には、通信ケーブルを接続するための2つの通信インターフェース176が更に設けられている。2つの通信インターフェース176も回路基板17に電気的に接続されており、したがって、基部11によって取得された輸液ポンプ2の動作データを、通信ケーブルを介して外部の制御/操作装置(図示せず)に送信することができる。例えば、患者が輸液ポンプ2の呼び出しボタンを作動させた(trigger)とき、好ましくは、2つの通信インターフェース176のうちの一方が、呼び出し操作データを外部の制御/操作装置に送信し、他方の通信インターフェース176が、輸液ポンプ2のリアルタイムの動作パラメータ(例えば輸液ポンプ圧力、注入速度、時間等)を外部の制御/操作装置に継続的に送信して、輸液ポンプ2のリアルタイム動作を監視する。
【0028】
図示したように、保持部材13がハウジング112上に配置されており、基部11をサービス環境において所定の位置に位置決めするように構成されている。具体的には、保持部材13は、図示したように、固定部材132と、調整ハンドル134とを含む。図示したように、固定部材132は、底部ベース1321と、2本の固定アーム1323とを含む。底部ベース1321は、基部11のハウジング112にねじによって固定されている。調整ハンドル134は、ねじセグメント1341を有する。ねじセグメント1341は、固定部材132の一方の固定アーム1323にねじ式に結合されており、調整ハンドル134を回転させることによってねじセグメント1341を固定アーム1323に対して変位させることができ、それによってねじセグメント1341の端部分1343とそれに対向する他方の固定アーム1323との間の距離が調整され、例えば、端部分1343とそれに対向する他方の固定アーム1323との間にベッドブラケット等を保持し、それによって保持部材13を、ベッドブラケット、又は保持部材13によって保持可能な他の所定位置に保持して固定することができ、したがって基部11と、基部11によって支えられた輸液ポンプ2とが所定位置に固定される。なお保持部材13は、上述した特定の構造に限定されるものではなく、当業者に知られている他の任意の適切な構造とすることができることが企図されている。
【0029】
図4a~図4eは、図1の輸液ポンプ2用の保持装置1を輸液ポンプ2と一緒に使用するときの状態を示している。上述したように、基部11は、輸液ポンプ2を取り外し可能に保持し、輸液ポンプ2に電力を供給し、輸液ポンプ2の注入動作をリアルタイムで監視するために輸液ポンプ2と電子的に通信するように構成されている。好ましくは、基部11のハウジング112の1つの側面が輸液ポンプ2に接触し、輸液ポンプ2に取り外し可能に取り付けられる。特に、図4a及び図4bに示したように、輸液ポンプ2に面するハウジング112の表面は、凸部1121を含み、好ましくは、上述した基部11における複数の電子インターフェース、すなわち、輸液ポンプ2に電力を供給するように構成された第1の電子インターフェース172及び基部11と輸液ポンプ2との間の電子通信を担うように構成された第2の電子インターフェース174が、凸部1121に設けられている。したがって、凸部1121に対応する輸液ポンプ2の領域には凹部21が設けられており、凹部21には、基部11における複数の電子インターフェースに1対1の対応関係で接続するための複数の電子インターフェース23が設けられている。好ましくは、凹部21の大きさ及び形状は、凸部1121の大きさ及び形状と一致しており、したがって凸部1121を凹部21に埋め込むことができ、(図4d及び図4eに示したように)輸液ポンプ2が保持装置1に取り付けられたときに、基部11の複数の電子インターフェースを、輸液ポンプ2の複数の電子インターフェース23に1対1の対応関係で電気的に接続することができる。
【0030】
また、図4aに示したように、輸液ポンプ2に面するハウジング112の表面は、突出部1125を有する係止ロッド1123を更に含む。突出部1125は、輸液ポンプ2を位置決めするために輸液ポンプ2の対応する溝(図示せず)にスナップ留めさせることができる。特に、係止ロッド1123の内部には、支持体1140とばね(図示せず)とが存在する。支持体1140は、好ましくは、係止ロッド1123の旋回点を提供するために、(点線で模式的に示したように)係止ロッド1123内部の中央に配置されている。ばねは、支持体1140の周りに巻き付いており、係止ロッド1123を図示した自由状態に付勢するように構成されている。図4aに示したように、保持装置1を輸液ポンプ2に取り付けるときには、保持装置1と輸液ポンプ2とを互いに隣接させ、図4aの矢印Aで示した方向に従って互いに近づいた状態で相対的にスライドさせ、基部11の凸部1121を輸液ポンプ2の凹部21内に埋め込む。一方で、係止ロッド1123の突出部1125が、輸液ポンプ2の対応する溝にスナップ留めし、したがって基部11と輸液ポンプ2とが互いに取り付けられる。係止ロッド1123の突出部1125が輸液ポンプ2の溝にスナップ留めする過程においては、保持装置1が輸液ポンプ2に近い状態でスライドするとき、輸液ポンプ2の側壁が係止ロッド1123の突出部1125に接近して当接し、係止ロッド1123内のばねの付勢力に抗して係止ロッド1123を押して、係止ロッド1123が支持体を中心に旋回して図に示した自由位置から逸脱する。そして係止ロッド1123の突出部1125が輸液ポンプ2の溝にスナップ留めするまで、係止ロッド1123はばねの付勢力を受けて旋回して図示した自由位置に戻り、ばねの付勢力によって輸液ポンプ2の溝に固定的にスナップ留めした状態に維持される。輸液ポンプ2を取り外したいときには、まず、突出部1125とは反対側の係止ロッド1123の他方の端部を押して、係止ロッド1123の突出部1125が輸液ポンプ2の溝から外れるまで係止ロッド1123を図示した自由位置から旋回させ、次に矢印Aの逆方向に輸液ポンプ2を取り外せばよい。
【0031】
電源アダプタ15を保持装置1の基部11に内蔵することにより、基部11及び輸液ポンプ2に、基部11に接続された共通の電源コードのみを介して電力を供給することができ、電源コードの交換のみによって装置の動作を確保することができる。したがって、本開示に係る、輸液ポンプ用の保持装置及び保持装置を備えた輸液装置は、最適化された構造及び高い費用対効果を有し、また構造が簡単である。
【0032】
別の態様では、基部11の内部の電子部品、回路基板等は乾燥した状態に維持する必要があるため、基部11のハウジング112は防水性である必要がある。輸液ポンプ2は通常ではベッドブラケットに固定され、輸液ポンプ2及び保持装置1は、通常では図4cに示したように鉛直方向(重力方向)に固定されるか、又は鉛直方向に対して約-60度~+60度傾けられることを考慮して、基部11のハウジング112の防水設計は、主に鉛直上方から落下する液体を対象とする。したがって、本開示では、図3に示したように、ハウジング112は、引き出し式の挿入構造として構築された第1のハウジング部1122と第2のハウジング部1124とを含み、すなわち、第2のハウジング部1124の一部が第1のハウジング部1122に挿入されて第1のハウジング部1122の内壁に当接し、シールを形成する。好ましくは、第1のハウジング部1122及び第2のハウジング部1124は、使用時に、第1のハウジング部1122が重力方向において常に第2のハウジング部1124の上方に位置するような構造となっている。より好ましくは、図4cに示したように、第1のハウジング部1122と第2のハウジング部1124との分割は、共通の鉛直方向(重力方向)に対して直交する方向に行われる。このような構成では、落下する液体が第1のハウジング部1122と第2のハウジング部1124との間の封止部に浸入することを効果的に防止でき、したがって基部11のハウジング112の防水性能を顕著に向上させることができる。
【0033】
好ましくは、第1のハウジング部1122は、スナップ係合又はねじ結合によって第2のハウジング部1124に取り外し可能に固定される。
【0034】
更なる態様では、本開示の保持装置1のハウジング112は、使用者が恣意的に分解することを防止する構造を有する。以下では、図5a~図5dを参照しながら、ハウジング112の構造及び結合について詳細に説明する。図5a~図5dは、図1における輸液ポンプ2用の保持装置1の概略的な分解図を示している。第一に、図5bに示したように、ハウジング112は、第1のハウジング部1122及び第2のハウジング部1124に加えて、サイドカバー1126を含む。サイドカバー1126は、図5aに示した第1のハウジング部1122の背面に位置するサイドカバーねじ1127によって、第1のハウジング部1122に固定されている。サイドカバーねじ1127は、カバープレート1128によって覆われている。カバープレート1128は、好ましくは、表示灯パネルである。カバープレート1128は、好ましくは、ゴム、プラスチック等の弾性を有する材料から作製され、接着、スナップ等によって、第1のハウジング部1122の背面に固定されている。カバープレート1128は、好ましくは、電源表示灯を覆い、光源が通過するための透明な部分を有する。サイドカバー1126がサイドカバーねじ1127によって第1のハウジング部1122に固定されているとき、サイドカバー1126は、別のねじ、すなわち第1のねじ1131を覆っている。第1のねじ1131は、図5bに示したように、第1のハウジング部1122と第2のハウジング部1124とを連結して固定する。上述したように、カバープレート1128によって覆われるサイドカバーねじ1127と、サイドカバー1126によって覆われる第1のねじ1131とを配置することにより、これらのねじをよりよく隠すことができるため、誤操作により露出したねじが容易に緩んでしまい、その結果、ハウジング112の一体性が損なわれて正しく組み立て直すことができず、ハウジング112の密閉性が低下するか又はハウジング112の内部の部品に損傷が生じることを防止することができる。
【0035】
さらに、図5c及び図5dに示したように、保持部材13、第1のハウジング部1122、及び第2のハウジング部1124を互いに連結して固定するための2つの露出したねじ1132、1133が更に含まれる。具体的には、図5dに示したように、第2のハウジング部1124は、第1のハウジング部1122に挿入される挿入シート1129を含む。挿入シート1129は、その端部分に、ねじ穴1120を含む。第1のハウジング部1122は、ねじ穴1120に対応する穴(図示せず)を含む。保持部材13の底部ベース1321は、中央穴1320を含み、したがって第2のねじ1132は、底部ベース1321の中央穴1320と、第1のハウジング部1122の上述した穴と、挿入シート1129のねじ穴1120とを通過して、保持部材13の底部ベース1321及び第2のハウジング部1124(挿入シート1129)を第1のハウジング部1122に固定することができる。さらに、図5dに示したように、第3のねじ1133は、第2のハウジング部1124を、第2のハウジング部1124とは反対側の第1のハウジング部1122の内壁1130に固定的に結合する。
【0036】
基部11のハウジング112を取り外すときには、まず、第1のハウジング部1122の背面におけるカバープレート1128を取り外す。次に、サイドカバーねじ1127を緩めてサイドカバー1126を取り外し、第1のねじ1131を露出させる。次に、第1のねじ1131、第2のねじ1132、及び第3のねじ1133を緩めることにより、ハウジング112を完全に取り外す。ハウジング112を組み立てるときには、上記のステップを逆の順序で実行することができる。
【0037】
上述したように設計されたハウジング112、特に、隠されている第1のねじ1131が使用者によって容易に取り外されることを防止することのできる設計は、基部11の使用安全性、安定性、及び水密性を更に向上させる。
【0038】
さらに、図6は、図1の輸液ポンプ2用の保持装置1に電源ケーブル141と通信ケーブル142とが挿入されているときの状態を示している。好ましくは、ハウジング112は2つのケーブル保持部材144を含み、これらは図6に示したように、ハウジング112から突出してフック状の部材を形成しており、ケーブルの緩み及び位置ずれを防止するとともに、ケーブルに加わる外力がケーブルプラグに伝わって接触不良が引き起こされないように、ケーブルを固定する。なお、ケーブル保持部材144の数、位置、及び形状は、ケーブルの緩み及び位置ずれが防止されるようにケーブルを維持及び位置決めすることができる限りは、実際の用途に応じて変更及び調整できることを理解されたい。
【0039】
さらに、本開示による前述の好ましい実施形態において、基部11は、輸液ポンプ2に電力を供給するように構成された第1の電子インターフェース172と、基部11と輸液ポンプ2との間の電子通信を担うように構成された第2の電子インターフェース174とを含み、基部11は、第2の電子インターフェース174を介して輸液ポンプ2の動作データを取得することができる。さらに、通信ケーブルを接続するための2つの通信インターフェース176が第2のハウジング部1124に更に設けられており、2つの通信インターフェース176も回路基板17に電気的に接続されており、したがって基部11によって取得された輸液ポンプ2の動作データを、通信ケーブルを介して外部の制御/操作装置(図示せず)に送信することができる。しかしながら、本開示はこれに限定されるものではない。例えば、図7a及び図7bは、それぞれ、本開示の別の好ましい実施形態に係る輸液ポンプ用の保持装置1’の上面図及び底面図を示している。図7aは、保持装置1’の上面図を示している。図7bは、保持装置1’の底面図を示している。
【0040】
図7a及び図7bに示したように、本開示の別の好ましい実施形態に係る、輸液ポンプ用の保持装置1’は、図1の保持装置1と実質的に同じ構造を有する。唯一の違いとして、保持装置1’は、図1の保持装置1の、基部と輸液ポンプ2との間の電子通信を担うように構成された第2の電子インターフェース174と、通信ケーブルを接続するための対応する2つの通信インターフェース176とを有さず、保持装置1’は、外部電源ケーブルを接続するための電源インターフェース152’と、輸液ポンプ2に電力を供給するための2つの第1の電子インターフェース172’とを含むのみである。したがって、この実施形態では、基部11’は、通信を送信する効果を有さずに、対応する輸液ポンプに電力を供給するように構成されているのみである。特に、このとき、輸液ポンプ2は、前述の保持装置1の第2の電子インターフェース174と接続するための対応する電子インターフェースを有するが、保持装置1’は、依然として前述の実施形態で説明したように輸液ポンプ2用に使用することができる。第2の電子インターフェース174を有さない保持装置1’を採用するときには、輸液ポンプ2の通信用の電子インターフェースを未接続のままとし、輸液ポンプ2を保持装置1’の2つの第1の電子インターフェース172’とのみ電気的に接続した状態とすることも可能である。
【0041】
さらに、本開示に係る保持装置は、様々なタイプの輸液ポンプに適用することができ、説明した特定のタイプの輸液ポンプに限定されない。
【0042】
以上から、本開示に係る輸液装置は、上述した各実施形態における保持装置と、様々なタイプの輸液ポンプとを備えることが認識される。
【0043】
異なる実施形態及び様々な技術的特徴を異なる方法で組み合わせる、又はそれらを変更することによって、様々な実施形態が更に創案され得るが、これらはすべて本開示の範囲内である。
【0044】
ここまで、本開示の好ましい実施形態に係る、輸液ポンプ用の保持装置及び保持装置を備えた輸液装置について、詳細な説明に関連して説明してきた。上記の説明は例示に過ぎず、制限的なものではないことを理解されたい。当業者には、本開示の範囲から逸脱することなく、上記の説明に照らして多くの変形形態及び修正形態が創案されるであろう。これらの変形形態及び修正形態もまた、本開示の保護範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0045】
2 輸液ポンプ
1、1’ 保持装置
11、11’ 基部
13 保持部材
112 ハウジング
1122 第1のハウジング部
1124 第2のハウジング部
15 アダプタ
17 回路基板
152、152’ 電源インターフェース
172、172’ 第1の電子インターフェース
174 第2の電子インターフェース
176 通信インターフェース
132 固定部材
134 調整ハンドル
1129 挿入シート
1321 底部ベース
1323 固定アーム
1341 ねじセグメント
A 矢印
1140 支持体
1121 凸部
21 凹部
23 電子インターフェース
1123 係止ロッド
1125 突出部
1126 サイドカバー
1127 サイドカバーねじ
1128 カバープレート
1131 第1のねじ
1120 ねじ穴
1320 中央穴
1133 第3のねじ
1130 内壁
141 電源ケーブル
142 通信ケーブル
144 ケーブル保持部材
1132 第2のねじ
図1
図2
図3
図4a
図4b
図4c
図4d
図4e
図5a
図5b
図5c
図5d
図6
図7a
図7b
【国際調査報告】