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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-26
(54)【発明の名称】ユーザフレンドリーな成分ラベル
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/00 20060101AFI20230119BHJP
【FI】
A61K8/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022528987
(86)(22)【出願日】2020-11-19
(85)【翻訳文提出日】2022-05-18
(86)【国際出願番号】 US2020061157
(87)【国際公開番号】W WO2021102068
(87)【国際公開日】2021-05-27
(31)【優先権主張番号】62/937,460
(32)【優先日】2019-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ショーン デイビッド マッコナーフィ
(72)【発明者】
【氏名】トーマス アーサー スタージス
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ ダニエル ギャラガー
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083DD47
4C083EE05
(57)【要約】
包装内に配置されたパーソナルケア組成物と、包装上に配置されたユーザフレンドリーな成分ラベルと、を備えるパーソナルケア製品が開示される。ユーザフレンドリーな成分ラベルは、製品中の各成分の正式な成分名を含む第1の部分と、製品中の成分に関連する非公式の成分名、及び付加的な成分情報のうちの少なくとも一方を含む第2の部分と、を含む。この成分ラベル構成は、製品の製造業者が製品のラベル表示に関する政府規制及び/又は業界基準に準拠することを可能にし、また製品中の成分について消費者によって所望される付加的な目立った成分情報を依然として提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パーソナルケア製品であって、
a)包装内に配置されたパーソナルケア組成物と、
b)前記包装上に配置された成分ラベルであって、
i)前記製品中の各成分の正式な成分名を含む第1の部分と、
ii)非公式の成分名、及び前記第1の部分における前記正式な成分名に関連する付加的な成分情報のうちの少なくとも一方を含む第2の部分と、
を含む、成分ラベルと、
を備える、パーソナルケア製品。
【請求項2】
前記パーソナルケア製品は化粧用スキンケア製品である、請求項1又は2に記載のパーソナルケア製品。
【請求項3】
前記パーソナルケア組成物は10種類以上の成分を含有する、請求項1又は2に記載のパーソナルケア製品。
【請求項4】
前記成分ラベルは約65cm未満の表面積を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のパーソナルケア製品。
【請求項5】
前記成分ラベルの前記第1の部分は、前記成分ラベルの前記表面積の約20%~50%を占める、請求項1~4のいずれか一項に記載のパーソナルケア製品。
【請求項6】
前記第1の部分の前記表面積と前記第2の部分の表面積との比が1:1~1:5である、請求項1~5のいずれか一項に記載のパーソナルケア製品。
【請求項7】
前記成分ラベルの前記第1の部分及び第2の部分は、並列構成で個別の列として配置され、前記正式な成分名並びにその関連する非公式の成分名及び/又は付加的な成分情報は、それらのそれぞれの列において互いに隣接して位置付けられる、請求項1~6のいずれか一項に記載のパーソナルケア製品。
【請求項8】
前記成分ラベルは上側部分及び下側部分を更に含み、前記上側部分に表示される成分情報は、前記パーソナルケア組成物中に1%以上の濃度で存在する成分のみに関連するものであり、前記成分情報は、成分濃度に従って順序付けられる、請求項1~7のいずれか一項に記載のパーソナルケア製品。
【請求項9】
前記下側部分に表示される前記成分情報の少なくともいくつかは、2種類以上の成分によって共有される共通の特徴に従って順序付けられる、請求項8に記載のパーソナルケア製品。
【請求項10】
前記共通の特徴は、成分機能、非公式の成分名、及び成分源からなる群から選択される、請求項9に記載のパーソナルケア製品。
【請求項11】
前記製品は、実在する小売環境で陳列される、請求項1~10のいずれか一項に記載のパーソナルケア製品。
【請求項12】
正式な成分名のリストを含んだ第3の部分を更に備え、前記第3の部分における各正式な成分名は、前記パーソナルケア組成物中に0.5%未満の量で存在する成分を示す、請求項1~11のいずれか一項に記載のパーソナルケア製品。
【請求項13】
前記成分ラベルの前記第1の部分及び前記第2の部分は、前記成分ラベルの前記表面積の約30%~95%を占める、請求項12に記載のパーソナルケア製品。
【請求項14】
前記成分ラベルの前記第3の部分における活性成分の正式な成分名が強調表示され、非公式の成分名及び前記活性成分の付加的な成分情報のうちの少なくとも一方が、前記第3の部分における正式な成分名の前記リストの下に提供される、請求項12又は13に記載のパーソナルケア製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、広義には、製品包装上で使用するためのユーザフレンドリーな成分ラベルに関する。より具体的には、本開示は、ラベルの第1の部分における製品成分のうちの少なくともいくつかに関する正式な成分名と、成分ラベルの第2の部分における対応する非公式の成分名及び/又は付加的な成分情報と、を列挙する成分ラベルに関する。
【背景技術】
【0002】
化粧品、食品、及び栄養補助食品などの特定の消費者製品は、製品の成分を包装上に列挙することを求められている。多くの国では、食品、薬物、及び化粧用製品に対する成分ラベル表示要件は、政府の規制を受けることがある。例えば、製品ラベル表示要件には、ラベルのサイズ及び配置、ラベル上に列挙されなければならない情報、統一された成分名(例えば、INCI名)、成分の順序、並びに文字サイズ及び重要性が含まれ得る。
【0003】
フェイシャルモイスチャライザ、シャンプー、及び他のパーソナルケア製品などの化粧用製品のラベル上で、標準化された成分名を使用することは、製品製造の均一性を提供し、消費者の安全性を改善するのに役立ち得る。しかしながら、標準化された成分名は、特定の材料に対して必ずしも一意ではなく、また成分の供給源に基づいて成分を区別しない場合がある。例えば、「ブチレングリコール」というINCI名は、材料が従来の石油系の供給原料か、又はより新しくかつより消費者優先のバイオ系の原料から供給されるかどうかを示さない。所与のINCI名が、2種類以上の正確な化学物質を包含することがある。例えば、「アクリレートコポリマー」は、アクリル酸及び/又はメタクリル酸と共重合された広範囲の異なるモノマーを含む。「アクリレートコポリマー」のモノマー含有量に関する付加的な情報を提供することが、少なくとも一部の消費者によって望まれ得る。スマートフォンアプリにおける進歩により、消費者は成分表示を容易に調べることが可能となっている。しかしながら、これらのアプリによって消費者に提供される情報は、現在のINCI名の有用性によって依然として制限されている。正式な成分名によって提供される限定された情報に照らしても、消費者が、製品中の成分が何であるか、及び/又はそれらがどのように作用するかを認識しない場合がある。
【0004】
特定の成分の消費者意識を高めるために、いくつかの化粧品製造業者は、インターネットを介してアクセス可能な製品ウェブサイト上に付加的な成分情報を提供し得る。例えば、ウェブサイトは、特定の製品(すなわち、特許請求される化粧品利益を提供する成分)の主要な成分の一般名及び/又は特性を提供し得る。特定の例では、ウェブサイトは、パルミチン酸レチニルが「ビタミンA」であることを示唆し得る。別の特定の例では、ウェブサイトは、「セイヨウスイレンエキス(Nymphaea alba extract)」を含む製品に関する成分リストを提供し、「すいれんエキスは、皮膚に補給する酸化防止剤及び栄養素の優れた供給源である」ことを、定型化された又は目立ったレタリングにおいて示唆してもよい。そのようなウェブサイトは、製品又は特定の成分をより積極的に調べたり、オンラインでショッピングしたりする消費者のために、付加的な成分情報の適切な供給源を提示し得るが、それらは、実在する小売環境において(すなわち、実店舗の棚において)消費者にほとんど役立たない。したがって、消費者に望まれる付加的な成分情報を製品包装上に提供し、それによって付加的な成分情報が実在する小売環境において消費者からアクセス可能となるようにすることが望ましいであろう。
【0005】
フェイシャルモイスチャライザなどのパーソナルケア製品の成分ラベル及び/又は包装上に付加的な成分情報を提供することは、そのような製品が比較的小さな包装で販売されることは珍しくないため、特に問題となり得る。例えば、いくつかのフェイシャルモイスチャライザ製品は、使用可能な表面積が12平方インチ未満である小さな箱(例えば、二次包装)に入れて販売され得る。箱のサイズは比較的小さいため、付加的な成分情報を含めるための十分なスペースが包装上に存在しないこともある。また、包装のサイズを増大させることは可能である場合もあるが、一部の消費者は、製品の携帯性及び環境影響の低減のために、より小さな包装を好むため、必ずしも望ましくない。
【0006】
棚上での成分情報を消費者に提供するために、いくつかの化粧用製品の製造業者は、成分ラベル上に付加的な成分情報を含めることもあるが、それらは製品中の主要な成分に対してのみである。例えば、トコフェロールアセテートを成分に列挙された製品は、括弧に入れた「ビタミンE」をその後に付加され得る。別の例では、製品中の主要な成分は、例えば「活性成分」又は「主要成分」という見出しの下で、成分ラベル及び/又は製品包装の別個の部分に列挙されてもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、成分及び/又は付加的な成分情報についてのより認識可能な名称を含む付加的な成分情報を、消費者に提供することが望ましいであろう。また、消費者製品、特にスキンケア製品などの比較的小さな包装で販売されている消費者製品のための現行の包装と互換性がある方式で、付加的な情報を提供することが望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
包装内に配置されたパーソナルケア組成物と、包装上に配置された成分ラベルと、を備えるパーソナルケア製品が本明細書で開示される。成分ラベルは、製品中の各成分の正式な成分名を含む第1の部分と、非公式の成分名、及び第1の部分における正式な成分名に対応する付加的な成分情報のうちの少なくとも一方を含む第2の部分と、を含む。いくつかの実施形態では、成分ラベルは、製品中に閾値量(例えば、0.1%)未満で存在する成分の正式な成分名を列挙する第3の部分を更に含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】化粧用スキンケア製品の従来の成分ラベルを示す。
図2】本発明の成分ラベルの実施形態の例を示す。
図3】本発明の成分ラベルの実施形態の例を示す。
図4】本発明の成分ラベルの実施形態の例を示す。
図5A】消費者試験で使用された従来の成分ラベルを示す。
図5B】消費者試験で使用された本成分ラベルの実施形態の例を示す。
図6A】従来の成分ラベルについての消費者試験の結果を示す。
図6B】本発明のラベルについての消費者試験の結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
少なくともいくつかの消費財製造業者及び政府規制機関は、正確でありながらも教育的な方式で成分情報を消費者に提供するための方法を長きにわたって模索している。しかしながら、製品包装及びラベル上のスペースが限られていることにより、消費者に提供され得る情報の量が制限されている。現在では、驚くべきことに、成分ラベル上に付加的な成分情報を提供することは、限られたラベルスペースをより効率的に利用することを可能にし、かつ製品販売を改善する方式で行われ得ることが発見されている。具体的に言えば、特定の寸法を有するようにラベルを構成すること、及び/又は特別な方式でラベル上に成分情報を位置付けることにより、化粧用製品に対する厳格な政府のラベル表示要件を依然として順守しながら、成分情報をユーザフレンドリーな方式で消費者に提示することが可能となることが発見されている。驚くべきことに、ラベルが有効成分及び/又は相当な(例えば、0.5%を超える)量で存在する成分についての付加的な情報を提供する場合に特に、消費者がこのタイプの成分ラベル構成を有する製品を購入する可能性が高いことが見出されている。
【0011】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明らかに他の意味を示さない限り、複数形も含むことが意図される。特記のない限り、本明細書に開示される全ての成分百分率は、組成物全体の重量によるものである。特記のない限り、全ての比率は重量比である。有効桁数は、表示された量に対する限定を表すものでも、測定値の精度に対する限定を表すものでもない。特に別途記載のない限り、全ての数量は、単語「約」によって修飾されるものと理解される。全ての測定は、25℃かつ周囲条件で行われるものと理解される。ここで「周囲条件」とは、約1気圧及び相対湿度約50%の条件を意味する。列挙された成分に関連する重量は、全て、活性レベルに基づいており、別途記載のない限り、市販の材料に含まれ得る担体又は副生成物を含まない。全ての数値範囲は組み合わせ可能であり、区切られた範囲内の各値を含む。区切られた上下の範囲限界は互換性があり、明示的に区切られていない更なる範囲を作る。
【0012】
本明細書において開示される実施形態は、本明細書に記載の必須の構成成分並びに任意の要素を含み得るか、それらから本質的になり得るか、あるいはそれらからなり得る。本明細書で使用するとき、「~から本質的になる」とは、付加的な成分が、特許請求される実施形態の基本的かつ新規な特性を実質的に変えない場合に限り、実施形態又は構成要素がその付加的な成分を含み得ることを意味する。
【0013】
定義
「約」とは、言及された値のプラスマイナス20パーセント(±20%)又はそれよりも低い値(例えば、15%、10%未満、若しくは更には5%未満)に等しい範囲を指すことで、特定の値を修飾する。
【0014】
「活性成分」は、標的表面(例えば、ケラチン組織)に適用されたときに利益又は改善をもたらす化合物(複数可)を意味する。
【0015】
「付加的な成分情報」とは、正式な成分名、又は小売環境において製品包装上に提示され、製品中の成分に関連する非公式の成分名以外の任意の情報を意味する。
【0016】
「化粧品」は、人のクレンジング、美化、魅力の促進、又は外見の変化のために人体に適用することを意図された、有資格の医療専門家による処方箋又は投与を必要としない製品を意味する。
【0017】
「皮膚科学的に許容される」とは、皮膚科学的に許容されると記述されている組成物又はそれらの構成要素が、過度の毒性、不適合性、不安定性、アレルギー反応などを有さず、哺乳動物の角質組織と接触させて用いるのに好適であることを意味する。
【0018】
「配置される」とは、要素が別の要素に対して特定の場所に位置付けされることを意味する。
【0019】
「有効量」は、角質組織にプラスの効果(例えば、本明細書に開示する利益を独立して、又は組み合わせて含む、健康、外観、及び/又は感触の利益)を有意に誘導するのに十分であるが、但し深刻な副作用を避ける(すなわち、当業者の通常の判断の範囲内で妥当な効果対リスク比を提供する)のに十分なだけ少ない、化合物又は組成物の量を意味する。活性成分の有効量は、パーソナルケア組成物において、哺乳動物の角質組織に局所的に塗布されたときにその哺乳動物の角質組織の所望の状態を一連の治療期間にわたって調節するのに十分な量である。
【0020】
「正式な成分名」とは、主題の製品で使用するために全国的にかつ/又は国際的に認識されているラベル表示名の統一方式からの成分名を指す。例えば、化粧用製品において、正式な成分名は、国際命名法委員会によって記載され、国際化粧品成分辞書及びハンドブック(International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook)において米国パーソナルケア製品評議会(Personal Care Products Council)によって公開された化粧品成分の化粧品原料国際命名法(「INCI」)名である。
【0021】
「非公式の成分名」とは、その正式な成分名以外の成分の名称を指す。
【0022】
「成分ラベル」とは、製品中の成分の少なくともいくつかを列挙した、製品と共に配布される任意の記述又は印刷された情報を意味する。例えば、成分ラベルは、製品の一次包装及び/又は二次包装上に直接印刷された製品成分のリストの形態をなし得る。
【0023】
「パーソナルケア組成物」とは、哺乳動物の角質組織(例えば、皮膚、毛髪、指爪)の状態を調節するための局所組成物を意味する。パーソナルケア組成物のいくつかの非限定的な例としては、スキンクリーム、ローション、セラム、シェービングプレップ組成物、ボディウォッシュ、脱臭剤、及び制汗剤、シャンプー、コンディショナー、練り歯磨き、歯ホワイトナー、オーラルリンス、これらの組み合わせなどが挙げられる。
【0024】
「一次包装」とは、その中に含められる製品と直接接触する包装を意味する。一次包装の非限定的な例が、フェイシャルスキンモイスチャライザを含有する広口瓶である。
【0025】
「二次包装」とは、一次包装を包含する包装を意味する。二次包装の非限定的な例が、フェイシャルスキンモイスチャライザの広口瓶を包含する箱である。
【0026】
「スキンケア」とは、皮膚の状態を調整及び/又は改善することを意味する。スキンケア製品のいくつかの非限定的な例には、スキンクリーム、スキンセラム、スキンモイスチャライザ、スキンローション、フェイシャルクレンザー、及びボディウォッシュが挙げられる。
【0027】
「局所」とは、皮膚又は毛髪などの身体表面に塗布されることが意図される組成物を指す。
【0028】
成分ラベル
全てではなくてもほとんどのパーソナルケア製品は、消費者が視認できる成分ラベルを有することを政府の規制によって求められている。場合によっては、成分ラベルを決定する規制は、皮膚及び毛髪などの角質組織に局所的に適用される化粧用製品用の成分ラベルに関しては特に厳しくなり得る。本明細書に記載の成分ラベルは、ラベル上の成分リストと共に機能して、当該のラベル表示要件に準拠する、ユーザフレンドリーでかつ教育的な成分リストを消費者に提供する。言い換えれば、成分のリスト(複数可)は、従来の成分ラベルと比較して、付加的な成分情報を消費者に提供するためにラベルの構成を利用する。
【0029】
本明細書のパーソナルケア製品は、広口瓶、ボトル、又はこのタイプのパーソナルケア組成物を収容することで知られている他の好適な包装などの一次包装内に配置されたパーソナルケア組成物と、一次包装上に配置された成分ラベルと、を含む。場合によっては、パーソナルケア組成物を収容する一次包装は、箱などの二次包装内に配置されてもよい。成分ラベルは、一次包装及び/又は二次包装上に配置され得る。成分ラベルは、製品包装(一次及び/又は二次)上に直接印刷されてもよく、あるいは、例えば適切な接着剤を使用して包装に付着された適切な基材上に印刷されてもよい。包装及び/又はラベル基材を作製するために使用される材料は、特に限定されず、成分ラベル上の情報が通常の昼間照明条件下で12~18インチの距離において20/20の視力を有する人によって認識可能である限り、当該技術分野で既知の任意の好適な材料であってよい。本開示はまた、インサート、ライザー、ディスプレイパック、リーフレット、販売促進用の文献、又はパーソナルケア製品と共に配布される任意の他の記述若しくは印刷された情報の形態をなす成分ラベルを企図することを理解されたい。
【0030】
本成分ラベル及びその上に含められる成分情報は、適用される全ての政府規制に準拠するように、また消費者によって所望される付加的な成分情報を提示するように包装上にサイズ決め及び位置決めされる。化粧品組成物の場合、成分ラベルは、慣習的な購入条件下で目立つように表示されるべきである。例えば、化粧用スキンケア又はヘアケア製品の成分ラベルは、一次及び/又は二次包装の底部ではなく、上部又は側部に表示されるべきである。
【0031】
成分ラベルを消費者に表示する包装は、650cm未満(例えば、520cm、390cm、320cm、260cm未満、又は更には200cm未満)、典型的には65cmを超える総表面積を有し得る。例えば、ラベルは、各側部が15cm~160cm(例えば、20cm~125cm、25cm~100cm、又は更には30cm~75cm)の表面積を有する、6つの側部(すなわち、2対の対向する側部パネル、上部パネル、及び底部パネル)を備えた箱の形態をなす二次包装上に配置されてもよい。別の例では、ラベルは、1つの連続的な側部を有する小さな広口瓶の形態をなす一次包装上に配置されてもよく、成分リストを含有する広口瓶の部分は、広口瓶の総表面積の10%~75%(例えば、15%~70%、20%~60%、又は更には25%~50%)をなしてもよい。当然のことながら、一次及び/又は二次包装は、必要に応じて、1つ以上の等しい辺又は等しくない辺を有する任意の形状で提供され得ることが理解されるべきである。
【0032】
本明細書に記載の成分ラベルは、ラベル及び/又は包装上で発生するスペースの制限により、10種類以上の成分(例えば、10種類~50種類の成分、12種類~40種類の成分、又は更には15種類~30種類の成分)を有する製品に特に有用である。政府の規制及び業界の規格に準拠するために、成分ラベル上の記述情報に使用される文字及び数字は、0.7mm以上(例えば、少なくとも0.75mm、0.79mm、1.50mm、2.00mm、2.50mm、3.00mm、4.00mm、5.00mm、又は更には少なくとも7.00mm)の高さをなすが、一般には1cm未満の高さをなすことが望ましくなり得る。ラベル表示表面が77.4cm未満である場合、成分ラベル上の文字が少なくとも0.79mmの高さをなすことを確実にすることが望ましくなり得る。ラベル表示表面が77.4cm以上である場合、成分ラベル上の文字が少なくとも1.5mmの高さをなすことを確実にすることが望ましくなり得る。
【0033】
本明細書における成分ラベルは、成分情報を表示するための第1の部分と第2の部分とを含む。成分ラベルの第1の部分は、組成物中の成分のいくつか又は全てに対応する正式な成分名のリストを含む。場合によっては、正式な成分名のリストは、少なくとも0.1%の量で組成物中に存在する成分(例えば、0.5%以上、1%以上、2%以上、3%以上、4%以上、又は5%以上で存在する成分)のみを含む。成分ラベルの第2の部分は、非公式の成分名、並びに/又は、成分の機能、成分の利点及び/若しくは調達情報(例えば、成分が自然から調達されるか、持続可能に調達されるか、かつ/又は責任を持って調達されるか)などの付加的な成分情報のリストを含む。非公式の成分名及び/又は付加的な成分情報は、正式な成分名と非公式の成分名及び/又は付加的な成分情報との関係を消費者が認識し得るように、対応する正式な成分名に近接して位置付けられる。
【0034】
場合によっては、自然から、持続可能に、かつ/又は責任を持って調達される成分を識別するために、成分ラベルの第1及び/又は第2の部分において特定の成分情報を強調表示することが望ましくなり得る。それらの成分は、当該技術分野で知られている任意の好適な手段(例えば、アスタリスク、カレット、着色、陰影付け、太字化、イタリック、及びこれらの組み合わせ)によって強調表示され得る。場合によっては、ハイライト手段は、付加的な情報を消費者に通知するように選択されてもよい。例えば、成分情報は、消費者が通常、自然に、持続可能に、かつ/又は責任をもって調達される製品に対して連想する記号又は色(例えば、木、地球、パンダ、イルカ、緑色)を用いて強調表示されてもよい。追加的又は代替的に、成分ラベルは、強調表示された成分情報に対応する付加的な成分情報が提供される第3の部分を含んでもよい。場合によっては、強調表示された成分に関連する付加的な成分情報は、包装の別の部分に表示され得る。
【0035】
図1は、化粧用スキンケア製品の従来の成分ラベル100を示す。図1に見られるように、製品中の各成分の正式な成分名のみが、成分ラベル上に表示される。
【0036】
図1の従来のラベル配置とは対照的に、図2は、化粧用スキンケア製品のための本成分ラベル200の実施形態の例を示す。図2に示される成分ラベル200は、第1の部分210と第2の部分220とを含む。第1の部分210と第2の部分220は、並列構成をなす列として配置されている。図2に見られるように、第1の部分210及び第2の部分220の列に表示される成分情報は、消費者が正式な成分名をその対応する非公式の成分名及び/又は付加的な成分情報により容易に関連付け得るように、行をなして配置され得る。場合によっては、第1の部分210内の複数の行を第2の部分の単一の行に、あるいはその逆に関連付けることが望ましい場合があり、これによって、利用可能なラベルスペースがより効果的に用いられ得る。そのような構成は、製品が同じ機能を果たす複数の成分を含むとき、並びに/又は、正式な成分名、非公式の成分名、及び成分機能のうちの1つ以上が長い(例えば、15文字を超える)場合に、特に望ましくなり得る。
【0037】
図2に示されるように、成分ラベル200の第1の部分210は、製品中の各成分の正式な成分名を含み、第2の部分220は、正式な成分名に隣接して同じ行(複数可)に非公式の成分名及び/又は付加的な成分情報を含む。例えば、ヒマワリ花エキス(Helianthus Annuus Flower Extract)は、正式な成分名(すなわち、INCI名)であり、「ひまわりエキス(sunflower extract)」は、非公式の成分名である。別の例では、グリセリンは正式な成分名であり、「スキンモイスチャライザ」は機能である。更に別の例では、二酸化チタンは、正式な成分名であり、「天然着色剤」は、非公式の成分名、機能、及び/又は調達情報であり得る。成分ラベル200の第2の部分220はまた、強調表示された成分情報を含む。図2に示されるように、強調表示された成分情報は、アスタリスク231又はカレット232で強調表示されている。当然のことながら、成分情報を強調する他の強調表示が用いられ得ることを理解されたい。例えば、製品中の自然に、持続的に、かつ/又は責任を持って調達される成分は、緑色のレタリング又は太陽233の画像で示され得る。場合によっては、成分ラベル200は、強調表示された成分に関連する付加的な成分情報(例えば、自然に、持続可能に、又は責任を持って調達される)が表示され得る任意選択の第3の部分230を含み得る。
【0038】
場合によっては、ラベル表示の規制及び/又は業界標準により、製品中の成分を最高濃度から最低濃度まで列挙することが要求され得る。これらの例では、非公式の成分名が、成分ラベル200上の2つ以上の別個の場所にあることが望ましく、かつ/又は必要となり得る。例えば、イソヘキサデカンとジメチコノールはどちらもスキンコンディショナであるが、図2に示される成分ラベル200上で互いに空間的に分離されている。
【0039】
成分ラベル200の第1の部分210と第2の部分210は、同じサイズであっても、異なるサイズであってもよい。例えば、第1の部分210及び第2の部分220は、図2に示されるように、第1の部分の表面積と第2の部分の表面積との1:1の比を有してもよい。しかしながら、場合によっては、第1の部分210を第2の部分220よりも小さく構成して、成分ラベル200の第2の部分220により多くの情報が表示され得るようにすることが望ましくなり得る。これは、複合的な機能、2つ以上の共通名を有する成分に対して、あるいは2種類以上の成分情報(例えば、共通の成分名並びに1つ以上の成分機能及び/又は供給源)が提供されるときに重要となり得る。したがって、第1の部分の表面積と第2の部分の表面積との比は、2:3~1:5の範囲に及び得る。
【0040】
図3は、本成分ラベル300の実施形態の別の例を示す。図3に見られるように、成分ラベル300は、第1の部分310と、第2の部分320と、第3の部分330と、を含む。第1の部分310と第2の部分320は、第3の部分330が第1の部分310及び第2の部分320の下に配置された並列構成における列として配置されている。第1の部分310及び第2の部分320の列に表示される成分情報は、図2について上述されたように行として配置され得る。この実施例では、成分ラベル300の第1の部分310及び第2の部分320は、製品中に1%以上の量で存在する成分についての成分情報のみを表示している。図3に見られるように、成分ラベルの第3の部分330は、製品中に1%未満で存在する成分についての正式な成分名を含む。場合によっては、第3の部分330内の1つ以上の正式な成分名を強調表示し、ラベルの別の部分及び/又は第3の部分330に、関連する非公式の成分名及び/又は付加的な成分情報を提供することが望ましくなり得る。例えば、図3に見られるように、パルミトイルペンタペプチド-4の正式な成分名が、2つのアスタリスク340で強調表示されている。次いで、非公式の成分名「ペプチド」341が、成分ラベル300の第3の部分330において正式な成分名のリストの下に表示される。非公式の成分名341はまた、消費者が強調表示された正式な成分名をその対応する非公式の成分名及び/又は成分の付加的な成分情報と関連付けることを可能にするために、2つのアスタリスクで強調表示されている。
【0041】
成分ラベル300の第1の部分310と、第2の部分320と、第3の部分330は、同じサイズであっても、異なるサイズであってもよい。場合によっては、成分ラベル300の第1の部分310を第2の部分320及び/又は第3の部分330よりも小さく構成して、成分ラベル300の第2及び/又は第3の部分320及び/又は330により多くの情報が表示され得るようにすることが望ましくなり得る。
【0042】
図4は、本成分ラベル400の別の例を示す。図4に示される成分ラベル400は、2つの並列する列410及び420をなして配置されている。第1の列410は、正式な成分名を含み、第2の列420は、非公式の成分名及び/又は付加的な成分情報を含む。成分ラベル400はまた、上側部分430、下側部分440を含む。上側部分430は、1重量%以上の濃度で製品中に存在する成分の成分情報(すなわち、正式な成分名、非公式の成分名、及び付加的な成分情報)を含んでいる。下側部分440は、1%未満の濃度で製品中に存在する成分の成分情報を含む。場合によっては、成分ラベル400の上側部分430と下側部分440は、上側部分430及び下側部分440において成分の濃度を示す第3の部分450によって分離され得る。
【0043】
化粧用製品の成分は、一般に、通常は政府の規制又は業界規格に起因して、成分ラベル上で最高濃度から最低濃度へと順序付けられる。しかしながら、場合によっては、規制又は規格は、特定の閾値量(例えば、0.1%、0.5%、又は1%)であるいはそれを超えて存在する成分にのみ適用され得る。図4に示されるように、上側部分430及び下側部分440を伴って成分ラベルを構成することによって、下側部分430における成分は、上側部分440における成分とは異なって順序付けられ得る。例えば、下側部分440における成分は、共通の特徴を共有する成分が第1の列410に一緒に列挙され、また共有される特徴(例えば、非公式の成分名、機能、又は調達源)が全ての成分について第2の列420に1回のみ提示されるだけでよいように、共通の特徴に従って順序付けられてもよい。このような方式で成分情報を順序付けることにより、ユーザフレンドリー性を改善しながら、小さな成分ラベル上の利用可能な空間をより効率的に用いることが可能になり得る。
【0044】
本成分ラベルは、化粧用スキンケア製品、ヘアケア、グルーミング製品、及び口腔ケア製品(例えば、練り歯磨き、歯白化剤、及びオーラルリンス)などのパーソナルケア組成物と共に用いられるためのものとして例示されているが、本製品ラベルは、消費者が製品に関するより多くの情報を望む場合に、他の製品(例えば、ビタミン及びミネラルサプリメント、洗濯製品、食器洗浄製品、硬表面クリーナー、食料、飲料、及び医薬品)と共に利点を向上させるためにも用いられ得ることが理解されよう。
【実施例
【0045】
(実施例1)
この実施例は、従来の成分ラベルを備えた製品に対する本成分ラベルを備えた製品の消費者の選好を実証する。2000人のパネリストに、図5Aに示される従来の成分ラベルと、図5Bに示される本発明の成分ラベルとを同時に示す試験が実施された。図に見られるように、どちらの成分ラベルも、同じ正式な成分名を列挙している。しかしながら、図5Aの成分ラベルは、3種類の活性成分を強調表示しているが、図5Bの成分ラベルは、1種類の活性成分のみを強調表示している。また、図5Aの成分ラベルは、図5Bのラベルに提供される付加的な成分情報が原因で、図5Bの成分ラベルよりも少ない成分を含んでいるように見える場合がある。試験パネリストは次いで、どの製品を購入するかを質問された。
【0046】
驚くべきことに、試験パネリストの26パーセントは、図5Aの成分ラベルを備えた製品を購入することを示唆したが、74パーセントは、図5Bの成分ラベルを備えた製品を購入することを示唆した。試験パネリストは、最も活性な成分を強調表示し、かつ/又は製品中に含まれる成分がより少数であるように見える成分ラベルを備えた製品を選択すると予想されていたため、これらの結果は驚くべきことである。
【0047】
(実施例2)
この実施例は、成分ラベル上に付加的な成分情報を提供することが、製品の消費者知覚にどのように影響を及ぼし得るかを実証するものである。この試験では、80人のパネリストに、化粧用スキンケア組成物に一般的に見られる成分のリストが提示された。パネリストは、最初に成分のリストのみを提示され、リスト内の各成分を「自分にとって良い」、「自分にとって悪い」、又は「分からない」として識別するように求められた。図6Aのチャートは、パネリストに提供された成分のリストからの6種類の成分の試験パネリストの知覚を示す。パネリストは次いで、成分の第2のリストが各成分の記述子を含むことを除いて、同じ成分の第2のリストを与えられた。記述子は、非公式の成分名又は成分機能の形態で付加的な成分情報を提供した。図6Bのチャートは、記述子を見た後の6種類の成分のパネリストの知覚を示す。図6A及び図6Bに示されるように、試験パネリストが付加的な成分情報を提示されたとき、ナイアシンアミド及びアルガンオイルに対する「分からない」から「自分にとって良い」への劇的なシフトが存在し、またエチルパラベンに対する「分からない」から「自分にとって悪い」へのシフトがあった。ナイアシンアミドは、周知のスキンケア活性物質であり、更にパネリストの8%のみが、第1の成分リストを提示された後にそれらが自分にとって良いと考えた。しかしながら、成分の第2のリストにおいて製品記述子の「ビタミンE」を見た後、試験パネリストの88%は、ナイアシンアミドを「自分にとって良い」ものとして認識した。芳香剤、セチルアルコール、及びジメチコンについては、付加的な成分情報を提示されたときに、「自分にとって悪い」から「自分にとって良い」への試験パネリストの知覚における有意なシフトがあった。したがって、この試験の結果から示唆されることとして、製品の消費者知覚及び製品を購入する意思は、消費者関連のユーザフレンドリーな成分情報を含んだ成分ラベルを提供することによって影響され得る。
【0048】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、そのような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【0049】
相互参照される又は関連する任意の特許又は特許出願、及び本願が優先権又はその利益を主張する任意の特許出願又は特許を含む、本明細書に引用される全ての文書は、除外又は限定することを明言しない限りにおいて、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いかなる文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求される任意の発明に対する先行技術であるとはみなされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献(単数又は複数)と組み合わせたときに、そのようないかなる発明も教示、示唆又は開示するとはみなされない。更に、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照により組み込まれた文書内の同じ用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合、本文書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0050】
本発明の特定の実施形態を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な他の変更及び修正を行うことができる点は当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にある全てのそのような変更及び修正を添付の特許請求の範囲に網羅することが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
【国際調査報告】