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特表2023-504002パケットデータネットワークゲートウェイデータプレーン(P-GW DP)ワーカインスタンスにわたってアクセスポイント名-集約最大ビットレート(APN-AMBR)をポリシングするための方法、システムおよびコンピュータ読取可能媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-01
(54)【発明の名称】パケットデータネットワークゲートウェイデータプレーン(P-GW DP)ワーカインスタンスにわたってアクセスポイント名-集約最大ビットレート(APN-AMBR)をポリシングするための方法、システムおよびコンピュータ読取可能媒体
(51)【国際特許分類】
   H04W 24/02 20090101AFI20230125BHJP
   H04W 88/16 20090101ALI20230125BHJP
   H04W 72/0457 20230101ALI20230125BHJP
【FI】
H04W24/02
H04W88/16
H04W72/04 110
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022530819
(86)(22)【出願日】2020-11-23
(85)【翻訳文提出日】2022-07-21
(86)【国際出願番号】 US2020061885
(87)【国際公開番号】W WO2021108334
(87)【国際公開日】2021-06-03
(31)【優先権主張番号】16/697,021
(32)【優先日】2019-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502303739
【氏名又は名称】オラクル・インターナショナル・コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ゴエル,イェシュ
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA11
5K067DD24
5K067DD34
5K067HH22
5K067HH23
(57)【要約】
APN-AMBRをポリシングするための方法は、複数のP-GW DPワーカインスタンスを含むP-GWにおいて、第1のPDNセッションに関連付けられた非GBRベアラによってAPを介して第1のUEから送信されるアップリンクデータ、または非GBRベアラによってAPを介して第1のUEに送信されるダウンリンクデータを受信するステップと、アップリンクまたはダウンリンクデータを、PDNセッションに割り当てられた複数のP-GW DPワーカインスタンスのうちの第1のP-GW DPワーカインスタンスに転送するステップと、第1のP-GW DPワーカインスタンスにおいて、アップリンクまたはダウンリンクデータを処理するためのAPN-AMBR容量のスライスの要求を、P-GWから分離したAPN-AMBRポリサに送信するステップとを含む。上記方法はさらに、APN-AMBRポリサにおいて、P-GW DPワーカインスタンスのうちの異なったP-GW DPワーカインスタンスに割り当てられたPDNセッションを有するUEによって使用されるAPN-AMBR容量の記録を維持するステップと、P-GW DPワーカインスタンスのうちの異なったP-GW DPワーカインスタンスに割り当てられたPDNセッションによって使用されるAPN-AMBR容量に基づいて要求を許可または却下するステップとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクセスポイント名-集約最大ビットレート(APN-AMBR)をポリシングするための方法であって、
少なくとも1つのプロセッサと、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行される複数のP-GWデータプレーン(DP)ワーカインスタンスとを含むパケットデータネットワーク(PDN)ゲートウェイ(P-GW)において、
第1のPDNセッションに関連付けられた非保証ビットレート(非GBR)ベアラによってアクセスポイント(AP)を介して第1のユーザ機器(UE)から送信されるアップリンクデータ、または前記非GBRベアラによって前記APを介して前記第1のUEに送信されるダウンリンクデータを受信するステップと、
前記アップリンクまたはダウンリンクデータを、前記PDNセッションに割り当てられた前記複数のP-GW DPワーカインスタンスのうちの第1のP-GW DPワーカインスタンスに転送するステップと、
前記第1のP-GW DPワーカインスタンスにおいて、前記アップリンクまたはダウンリンクデータを処理するためのAPN-AMBR容量のスライスの要求を、前記P-GWから分離したAPN-AMBRポリサに送信するステップと、
前記APN-AMBRポリサにおいて、
前記P-GW DPワーカインスタンスのうちの異なったP-GW DPワーカインスタンスに割り当てられたPDNセッションを有するUEによって使用されるAPN-AMBR容量の記録を維持するステップと、
前記P-GW DPワーカインスタンスのうちの前記異なったP-GW DPワーカインスタンスに割り当てられた前記PDNセッションによって使用される前記APN-AMBR容量に基づいて前記要求を許可または却下するステップとを備える、方法。
【請求項2】
前記要求を許可または却下するステップは、前記要求を許可するステップを含み、前記APN-AMBRポリサにおいて、前記許可の通知を前記第1のP-GW DPワーカインスタンスに伝達するステップと、前記第1のP-GW DPワーカインスタンスにおいて、前記許可の前記通知を受信して、前記許可によって表される前記APN-AMBR容量のスライスを、前記アップリンクまたはダウンリンクデータを送信することによって消費するステップとをさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記UEによって使用される前記APN-AMBR容量の記録を維持するステップは、前記P-GW DPワーカインスタンスのうちの前記異なったP-GW DPワーカインスタンスに割り当てられた前記第1のUEのPDNセッションによって使用される前記APN-AMBR容量の記録を維持するステップを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記UEによって使用される前記APN-AMBR容量の記録を維持するステップは、前記P-GW DPワーカインスタンスのうちの前記異なったP-GW DPワーカインスタンスに割り当てられた異なったUEの異なったPDNセッションによって使用される前記APN-AMBR容量の記録を維持するステップを含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記APN-AMBR容量の前記スライスの前記要求を送信するステップは、前記アップリンクまたはダウンリンクデータの少なくとも一部を処理するための前記APN-AMBRポリサからのトークンの割り当てを要求するステップを含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
トークンの割り当てを要求するステップは、前記第1のP-GW DPワーカインスタンスが利用可能な許可されたトークンの割合が閾値量未満であることに応答して前記トークンの割り当てを要求するステップを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記APN-AMBRポリサにおいて、UEとAPNとの複数の組み合わせについて、ある時間間隔内に割り当てられ得るトークンの最大限度を維持して、前記トークンの割り当ての要求によって要求されるトークンの数が前記トークンの最大限度を超えるか否かに基づいて、前記トークンの割り当ての要求を許可または却下するステップを備え、前記トークンの最大限度は、前記APN-AMBRに基づく、請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
トークンが許可され得る固定またはスライディングウィンドウを実行するステップを備える、請求項5~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記要求を許可または却下するステップは、ベストエフォートトークン割り当てを実行するステップを含み、ある時間間隔中に前記第1のP-GW DPワーカインスタンスによって要求されるトークンの数が、前記時間間隔中に割り当てられる前記最大トークンを超えるであろう場合には、前記トークンの最大限度を超えないであろう、前記時間間隔内に利用可能な残りのトークンを許可するステップを含む、請求項5~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記要求を許可または却下するステップは、要求されたトークンの数が前記トークンの最大限度を超えるであろう場合にはトークンの割り当ての要求を却下することによって最大限度トークン割り当てを実行するステップを含む、請求項5~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
アクセスポイント名-集約最大ビットレート(APN-AMBR)をポリシングするためのシステムであって、
少なくとも1つのプロセッサと、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行される複数のP-GWデータプレーン(DP)ワーカインスタンスとを含むパケットデータネットワーク(PDN)ゲートウェイ(P-GW)を備え、前記P-GWは、第1のPDNセッションに関連付けられた非保証ビットレート(非GBR)ベアラによってアクセスポイント(AP)を介して第1のユーザ機器(UE)から送信されるアップリンクデータ、または前記非GBRベアラによって前記APを介して前記第1のUEに送信されるダウンリンクデータを受信し、前記アップリンクまたはダウンリンクデータを、前記PDNセッションに割り当てられた前記複数のP-GW DPワーカインスタンスのうちの第1のP-GW DPワーカインスタンスに転送するように構成され、前記第1のP-GW DPワーカインスタンスは、前記アップリンクまたはダウンリンクデータを処理するためのAPN-AMBR容量のスライスを要求するように構成され、前記システムはさらに、
APN-AMBRポリサを備え、前記APN-AMBRポリサは、前記P-GW DPワーカインスタンスのうちの異なったP-GW DPワーカインスタンスに割り当てられたPDNセッションを有するUEによって使用されるAPN-AMBR容量の記録を維持し、前記P-GW DPワーカインスタンスのうちの前記異なったP-GW DPワーカインスタンスに割り当てられた前記PDNセッションによって使用される前記APN-AMBR容量に基づいて前記要求を許可または却下するように構成される、システム。
【請求項12】
前記APN-AMBRポリサは、前記要求を許可して、前記許可の通知を前記第1のP-GW DPワーカインスタンスに伝達するように構成され、前記第1のP-GW DPワーカインスタンスは、前記許可の前記通知を受信して、前記許可によって表される前記APN-AMBR容量のスライスを、前記アップリンクまたはダウンリンクデータを送信することによって消費するように構成される、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記APN-AMBRポリサは、前記P-GW DPワーカインスタンスのうちの前記異なったP-GW DPワーカインスタンスに割り当てられた前記第1のUEのPDNセッションによって使用される前記APN-AMBR容量の記録を維持するように構成される、請求項11または12に記載のシステム。
【請求項14】
前記APN-AMBRポリサは、前記P-GW DPワーカインスタンスのうちの前記異なったP-GW DPワーカインスタンスに割り当てられた異なったUEの異なったPDNセッションによって使用される前記APN-AMBR容量の記録を維持するように構成される、請求項11~13のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項15】
前記第1のP-GW DPワーカインスタンスは、前記アップリンクまたはダウンリンクデータの少なくとも一部を処理するための前記APN-AMBRポリサからのトークンの割り当てを要求することによって前記APN-AMBR容量のスライスを要求するように構成される、請求項11~14のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項16】
前記第1のP-GW DPワーカインスタンスは、前記第1のP-GW DPワーカインスタンスが利用可能な許可されたトークンの割合が閾値量未満であることに応答して前記トークンの割り当てを要求するように構成される、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記APN-AMBRポリサは、ある時間間隔内に割り当てられ得るトークンの最大限度を維持して、前記トークンの割り当ての要求によって要求されるトークンの数が前記トークンの最大限度を超えるか否かに基づいて、前記トークンの割り当ての要求を許可または却下するように構成され、前記トークンの最大限度は、前記APN-AMBRに基づく、請求項15または16に記載のシステム。
【請求項18】
前記APN-AMBRポリサは、ベストエフォートトークン割り当てを実行するように構成され、ある時間間隔中に前記第1のP-GW DPワーカインスタンスによって要求されるトークンの数が、前記時間間隔中に割り当てられる前記最大トークンを超えるであろう場合には、前記トークンの最大限度を超えないであろう、前記時間間隔内に利用可能な残りのトークンを許可するように構成され、前記トークンの最大限度は、前記APN-AMBRに基づく、請求項15~17のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項19】
前記APN-AMBRポリサは、要求されたトークンの数が前記トークンの最大限度を超えるであろう場合にはトークンの割り当ての要求を却下することによって最大限度トークン割り当てを実行するように構成され、前記最大限度は、前記APN-AMBRに基づく、請求項15~17のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項20】
実行可能な命令が格納された非一時的なコンピュータ読取可能媒体であって、前記命令は、少なくとも1つのコンピュータの少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、ステップを実行するように前記少なくとも1つのコンピュータを制御し、前記ステップは、
複数のP-GWデータプレーン(DP)ワーカインスタンスを含むパケットデータネットワーク(PDN)ゲートウェイ(P-GW)において、
第1のPDNセッションに関連付けられた非保証ビットレート(非GBR)ベアラによってアクセスポイント(AP)を介して第1のユーザ機器(UE)から送信されるアップリンクデータ、または前記非GBRベアラによって前記APを介して前記第1のUEに送信されるダウンリンクデータを受信するステップと、
前記アップリンクまたはダウンリンクデータを、前記PDNセッションに割り当てられた前記複数のP-GW DPワーカインスタンスのうちの第1のP-GW DPワーカインスタンスに転送するステップと、
前記第1のP-GW DPワーカインスタンスにおいて、前記アップリンクまたはダウンリンクデータを処理するためのAPN-AMBR容量のスライスの要求を、前記P-GWから分離したAPN-AMBRポリサに送信するステップと、
前記APN-AMBRポリサにおいて、
前記P-GW DPワーカインスタンスのうちの異なったP-GW DPワーカインスタンスに割り当てられたPDNセッションを有するUEによって使用されるAPN-AMBR容量の記録を維持するステップと、
前記P-GW DPワーカインスタンスのうちの前記異なったP-GW DPワーカインスタンスに割り当てられた前記PDNセッションによって使用される前記APN-AMBR容量に基づいて前記要求を許可または却下するステップとを備える、非一時的なコンピュータ読取可能媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権主張
本願は、2019年11月26日に出願された米国特許出願番号第16/697,021号の優先権利益を主張し、米国特許出願番号第16/697,021号の開示は、全文が引用によって本明細書に援用される。
【0002】
技術分野
本明細書に記載されている主題は、アップリンクおよびダウンリンクAPN-AMBRをポリシングすることに関する。より特定的には、本明細書に記載されている主題は、それぞれのP-GW DPワーカインスタンスに割り当てられたPDNセッションについてアップリンクおよびダウンリンクAPN-AMBRをポリシングするための方法、システムおよびコンピュータ読取可能媒体に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
3GPP(登録商標)通信ネットワークにおいて、PDNゲートウェイまたはP-GWは、PDNに向かうSGiインターフェイスを終端するゲートウェイである。PDNゲートウェイは、3GPP(登録商標) TS 23.401に定義されているさまざまな機能を実行する。これらの機能は、ユーザごとベースのパケットフィルタリング、合法的傍受、UE IPアドレス割り当て、アップリンク方向およびダウンリンク方向の両方向のトランスポートレベルパケットマーキング、オペレータ間課金のためのアカウンティング、アップリンクおよびダウンリンクサービスレベル課金、オフライン課金システム(OFCS)との接続、アップリンクおよびダウンリンクサービスレベルゲーティングおよびレート実施、APN-AMBRに基づくアップリンクおよびダウンリンクレート実施、ならびに他の機能を含む。本明細書に記載されている主題が向けられるのは、APN-AMBRに基づくアップリンクおよびダウンリンクレート実施である。
【0004】
APN-AMBRは、所与のアクセスポイントを使用する非保証ビットレート(非GBR)ベアラに割り当てられた全てのPDNセッションによって使用可能な集約最大ビットレートである。P-GWのための1つのネットワークアーキテクチャは、PDNセッションを処理するために割り当てられるP-GW DPワーカインスタンスを含む。このアーキテクチャでは、単一のアクセスポイントを通る同一のUEのPDNセッションは全て、P-GW DPワーカインスタンスがこの特定のアクセスポイントを介したUEによる全てのアップリンクおよびダウンリンク帯域幅利用をポリシングすることができるように同一のP-GW DPワーカインスタンスに割り当てられる必要がある。その結果、たとえ別のP-GW DPワーカインスタンスが利用可能な処理容量を有していたとしても、同一のUEの新たなセッションは拒否されることになる。
【0005】
したがって、これらの問題に鑑みて、複数のP-GW DPワーカインスタンスにわたってAPN-AMBRをポリシングするための改良された方法、システムおよびコンピュータ読取可能媒体が必要である。
【発明の概要】
【0006】
概要
アクセスポイント名-集約最大ビットレート(APN-AMBR)をポリシングするための方法は、少なくとも1つのプロセッサと、上記少なくとも1つのプロセッサによって実行される複数のP-GWデータプレーン(DP)ワーカインスタンスとを含むパケットデータネットワーク(PDN)ゲートウェイ(P-GW)において、第1のPDNセッションに関連付けられた非保証ビットレート(非GBR)ベアラによってアクセスポイント(AP)を介して第1のユーザ機器(UE)から送信されるアップリンクデータ、または上記非GBRベアラによって上記APを介して上記第1のUEに送信されるダウンリンクデータを受信するステップと、上記アップリンクまたはダウンリンクデータを、上記PDNセッションに割り当てられた上記複数のP-GW DPワーカインスタンスのうちの第1のP-GW DPワーカインスタンスに転送するステップと、上記第1のP-GW DPワーカインスタンスにおいて、上記アップリンクまたはダウンリンクデータを処理するためのAPN-AMBR容量のスライスの要求を、上記P-GWから分離したAPN-AMBRポリサに送信するステップとを含む。上記方法はさらに、上記APN-AMBRポリサにおいて、上記P-GW DPワーカインスタンスのうちの異なったP-GW DPワーカインスタンスに割り当てられたPDNセッションを有するUEによって使用されるAPN-AMBR容量の記録を維持するステップと、上記P-GW DPワーカインスタンスのうちの上記異なったP-GW DPワーカインスタンスに割り当てられた上記PDNセッションによって使用される上記APN-AMBR容量に基づいて上記要求を許可または却下するステップとを含む。
【0007】
本明細書に記載されている主題の別の局面によれば、上記要求を許可または却下するステップは、上記要求を許可するステップを含み、上記APN-AMBRポリシングのための方法は、上記APN-AMBRポリサにおいて、上記許可の通知を上記第1のP-GW DPワーカインスタンスに伝達するステップと、上記第1のP-GW DPワーカインスタンスにおいて、上記許可の上記通知を受信して、上記許可によって表される上記APN-AMBR容量のスライスを、上記アップリンクまたはダウンリンクデータを送信することによって消費するステップとをさらに含む。
【0008】
本明細書に記載されている主題の別の局面によれば、上記UEによって使用される上記APN-AMBR容量の記録を維持するステップは、上記P-GW DPワーカインスタンスのうちの上記異なったP-GW DPワーカインスタンスに割り当てられた上記第1のUEのPDNセッションによって使用される上記APN-AMBR容量の記録を維持するステップを含む。
【0009】
本明細書に記載されている主題の別の局面によれば、上記UEによって使用される上記APN-AMBR容量の記録を維持するステップは、上記P-GW DPワーカインスタンスのうちの上記異なったP-GW DPワーカインスタンスに割り当てられた異なったUEの異なったPDNセッションによって使用される上記APN-AMBR容量の記録を維持するステップを含む。
【0010】
本明細書に記載されている主題の別の局面によれば、上記APN-AMBR容量の上記スライスの上記要求を送信するステップは、上記アップリンクまたはダウンリンクデータの少なくとも一部を処理するための上記APN-AMBRポリサからのトークンの割り当てを要求するステップを含む。
【0011】
本明細書に記載されている主題の別の局面によれば、トークンの割り当てを要求するステップは、上記第1のP-GW DPワーカインスタンスが利用可能な許可されたトークンの割合が閾値量未満であることに応答して上記トークンの割り当てを要求するステップを含む。
【0012】
本明細書に記載されている主題の別の局面によれば、上記APN-AMBRポリシングのための方法は、上記APN-AMBRポリサにおいて、UEとAPNとの複数の組み合わせについて、ある時間間隔内に割り当てられ得るトークンの最大限度を維持して、上記トークンの割り当ての要求によって要求されるトークンの数が上記トークンの最大限度を超えるか否かに基づいて、上記トークンの割り当ての要求を許可または却下するステップを含み、上記トークンの最大限度は、上記APN-AMBRに基づく。
【0013】
本明細書に記載されている主題の別の局面によれば、上記APN-AMBRポリシングのための方法は、トークンが許可され得る固定またはスライディングウィンドウを実行するステップを含む。
【0014】
本明細書に記載されている主題の別の局面によれば、上記要求を許可または却下するステップは、ベストエフォートトークン割り当てを実行するステップを含み、ある時間間隔中に上記第1のP-GW DPワーカインスタンスによって要求されるトークンの数が、上記時間間隔中に割り当てられる上記最大トークンを超えるであろう場合には、上記トークンの最大限度を超えないであろう、上記時間間隔内に利用可能な残りのトークンを許可するステップを含む。
【0015】
本明細書に記載されている主題の別の局面によれば、上記要求を許可または却下するステップは、要求されたトークンの数が上記トークンの最大限度を超えるであろう場合にはトークンの割り当ての要求を却下することによって最大限度トークン割り当てを実行するステップを含む。
【0016】
本明細書に記載されている主題の別の局面によれば、アクセスポイント名-集約最大ビットレート(APN-AMBR)をポリシングするためのシステムが提供される。上記システムは、少なくとも1つのプロセッサと、上記少なくとも1つのプロセッサによって実行される複数のP-GWデータプレーン(DP)ワーカインスタンスとを含むパケットデータネットワーク(PDN)ゲートウェイ(P-GW)を含み、上記P-GWは、第1のPDNセッションに関連付けられた非保証ビットレート(非GBR)ベアラによってアクセスポイント(AP)を介して第1のユーザ機器(UE)から送信されるアップリンクデータ、または上記非GBRベアラによって上記APを介して上記第1のUEに送信されるダウンリンクデータを受信し、上記アップリンクまたはダウンリンクデータを、上記PDNセッションに割り当てられた上記複数のP-GW DPワーカインスタンスのうちの第1のP-GW DPワーカインスタンスに転送するように構成され、上記第1のP-GW DPワーカインスタンスは、上記アップリンクまたはダウンリンクデータを処理するためのAPN-AMBR容量のスライスを要求するように構成される。上記システムはさらに、APN-AMBRポリサを含み、上記APN-AMBRポリサは、上記P-GW DPワーカインスタンスのうちの異なったP-GW DPワーカインスタンスに割り当てられたPDNセッションを有するUEによって使用されるAPN-AMBR容量の記録を維持し、上記P-GW DPワーカインスタンスのうちの上記異なったP-GW DPワーカインスタンスに割り当てられた上記PDNセッションによって使用される上記APN-AMBR容量に基づいて上記要求を許可または却下するように構成される。
【0017】
本明細書に記載されている主題の別の局面によれば、上記APN-AMBRポリサは、上記要求を許可して、上記許可の通知を上記第1のP-GW DPワーカインスタンスに伝達するように構成され、上記第1のP-GW DPワーカインスタンスは、上記許可の上記通知を受信して、上記許可によって表される上記APN-AMBR容量のスライスを、上記アップリンクまたはダウンリンクデータを送信することによって消費するように構成される。
【0018】
本明細書に記載されている主題の別の局面によれば、上記APN-AMBRポリサは、上記P-GW DPワーカインスタンスのうちの上記異なったP-GW DPワーカインスタンスに割り当てられた上記第1のUEのPDNセッションによって使用される上記APN-AMBR容量の記録を維持するように構成される。
【0019】
本明細書に記載されている主題の別の局面によれば、上記APN-AMBRポリサは、上記P-GW DPワーカインスタンスのうちの上記異なったP-GW DPワーカインスタンスに割り当てられた異なったUEの異なったPDNセッションによって使用される上記APN-AMBR容量の記録を維持するように構成される。
【0020】
本明細書に記載されている主題の別の局面によれば、上記第1のP-GW DPワーカインスタンスは、上記アップリンクまたはダウンリンクデータの少なくとも一部を処理するための上記APN-AMBRポリサからのトークンの割り当てを要求することによって上記APN-AMBR容量のスライスを要求するように構成される。
【0021】
本明細書に記載されている主題の別の局面によれば、上記第1のP-GW DPワーカインスタンスは、上記第1のP-GW DPワーカインスタンスが利用可能な許可されたトークンの割合が閾値量未満であることに応答して上記トークンの割り当てを要求するように構成される。
【0022】
本明細書に記載されている主題の別の局面によれば、上記APN-AMBRポリサは、ある時間間隔内に割り当てられ得るトークンの最大限度を維持して、上記トークンの割り当ての要求によって要求されるトークンの数が上記トークンの最大限度を超えるか否かに基づいて、上記トークンの割り当ての要求を許可または却下するように構成され、上記トークンの最大限度は、上記APN-AMBRに基づく。
【0023】
本明細書に記載されている主題の別の局面によれば、上記APN-AMBRポリサは、ベストエフォートトークン割り当てを実行するように構成され、ある時間間隔中に上記第1のP-GW DPワーカインスタンスによって要求されるトークンの数が、上記時間間隔中に割り当てられる上記最大トークンを超えるであろう場合には、上記トークンの最大限度を超えないであろう、上記時間間隔内に利用可能な残りのトークンを許可するように構成され、上記トークンの最大限度は、上記APN-AMBRに基づく。
【0024】
本明細書に記載されている主題の別の局面によれば、上記APN-AMBRポリサは、要求されたトークンの数が上記トークンの最大限度を超えるであろう場合にはトークンの割り当ての要求を却下することによって最大限度トークン割り当てを実行するように構成され、上記最大限度は、上記APN-AMBRに基づく。
【0025】
本明細書に記載されている主題の別の局面によれば、実行可能な命令が格納された非一時的なコンピュータ読取可能媒体が提供され、上記命令は、少なくとも1つのコンピュータの少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、ステップを実行するように上記少なくとも1つのコンピュータを制御する。上記ステップは、複数のP-GWデータプレーン(DP)ワーカインスタンスを含むパケットデータネットワーク(PDN)ゲートウェイ(P-GW)において、第1のPDNセッションに関連付けられた非保証ビットレート(非GBR)ベアラによってアクセスポイント(AP)を介して第1のユーザ機器(UE)から送信されるアップリンクデータ、または上記非GBRベアラによって上記APを介して上記第1のUEに送信されるダウンリンクデータを受信するステップと、上記アップリンクまたはダウンリンクデータを、上記PDNセッションに割り当てられた上記複数のP-GW DPワーカインスタンスのうちの第1のP-GW DPワーカインスタンスに転送するステップとを含む。上記ステップはさらに、上記第1のP-GW DPワーカインスタンスにおいて、上記アップリンクまたはダウンリンクデータを処理するためのAPN-AMBR容量のスライスの要求を、上記P-GWから分離したAPN-AMBRポリサに送信するステップを含む。上記ステップはさらに、上記APN-AMBRポリサにおいて、上記P-GW DPワーカインスタンスのうちの異なったP-GW DPワーカインスタンスに割り当てられたPDNセッションを有するUEによって使用されるAPN-AMBR容量の記録を維持するステップと、上記P-GW DPワーカインスタンスのうちの上記異なったP-GW DPワーカインスタンスに割り当てられた上記PDNセッションによって使用される上記APN-AMBR容量に基づいて上記要求を許可または却下するステップとを含む。
【0026】
本明細書に記載されている主題は、ハードウェアおよび/またはファームウェアと組み合わせてソフトウェアで実現することができる。たとえば、本明細書に記載されている主題は、プロセッサによって実行されるソフトウェアで実現することができる。1つの例示的な実現例において、本明細書に記載されている主題は、コンピュータのプロセッサによって実行されるとステップを実行するようにコンピュータを制御する、コンピュータによって実行可能な命令が格納された非一時的なコンピュータ読取可能媒体を使用して実現することができる。本明細書に記載されている主題の実現に適した例示的なコンピュータ読取可能媒体は、非一時的なコンピュータ読取可能媒体(ディスクメモリデバイス、チップメモリデバイス、プログラマブルロジックデバイスおよび特定用途向け集積回路など)を含む。また、本明細書に記載されている主題を実現するコンピュータ読取可能媒体は、単一のデバイスもしくはコンピューティングプラットフォーム上に位置していてもよく、または複数のデバイスもしくはコンピューティングプラットフォームにわたって分散されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】P-GWとP-GWによって提供されるアクセスポイント(AP)とを含む例示的なネットワークアーキテクチャを示すネットワーク図である。
図2】複数のPDNセッションにデータプレーンサービスを提供するP-GWを示すネットワーク図であって、所与のUEおよびAPNについてのPDNセッションが全て、同一のP-GW DPワーカインスタンスに割り当てられるネットワーク図である。
図3】APN-AMBR容量をPDNセッションに割り当てるためのAPN-AMBRポリサの使用を示すネットワーク図である。
図4】同一のUEおよびAPNについてのPDNセッションの、異なったP-GW DPワーカインスタンスへの割り当て、ならびに、これらのPDNセッションに対してAPN-AMBRを実施するためのAPN-AMBRポリサの使用を示すネットワーク図である。
図5】APN-AMBRをPDNセッションに割り当てるために図3におけるAPN-AMBRポリサによって実行され得る例示的な固定ウィンドウトークンバケットアルゴリズムを示すフローチャートである。
図6】APN-AMBR容量をPDNセッションに割り当てるためにAPN-AMBRポリサによって実行され得るスライディングウィンドウトークンバケットアルゴリズムを示すフローチャートである。
図7A】P-GW DPワーカインスタンスによって実行され得るトークン要求アルゴリズムを示すフローチャートである。
図7B】P-GW DPワーカインスタンスによって実行されるトークン要求アルゴリズムの一部を示すフローチャートである。
図8】APN AMBR容量を割り当てるためにAPN-AMBRポリサを使用するための例示的なプロセスを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
詳細な説明
本明細書に記載されている主題は、P-GWにおいてAPN-AMBR容量を割り当てるための方法、システムおよびコンピュータ読取可能媒体に関する。上記のように、既存のネットワークアーキテクチャの1つの問題は、APN-AMBRを実施することができるように、所与のAPNについてのPDNセッションを同一のP-GW DPワーカインスタンスに割り当てる必要があり、その結果、セッションを処理するのに別のP-GW DPワーカインスタンスが利用可能である場合でも、P-GW DPワーカインスタンスの容量制限によりPDNセッションが拒絶される可能性がある、というものである。P-GW DPワーカインスタンスのアーキテクチャを必要以上に複雑にすることなくこの問題を解決するために、P-GWから分離したAPN-AMBRポリサは、APN-AMBR容量割り当てならびにアップリンクおよびダウンリンクPDNセッションのレート制限ポリシングを実行し得る。
【0029】
APN-AMBRポリサによるAPN-AMBR帯域幅割り当ておよびポリシングをさらに十分に説明するために、最初にネットワークアーキテクチャに関する背景について説明する。図1は、例示的な3GPP(登録商標)ネットワークアーキテクチャを示すブロック図である。図1に示されるアーキテクチャは、3GPP(登録商標) TS 23.682に定義されている。図1において、このアーキテクチャは、ユーザ機器(UE)100を含み、UE100は、マシンタイプ通信(MTC)UEアプリケーション102を含み得る。したがって、UE100は、センサなどのIoTデバイス、またはネットワーク加入者によって使用される携帯電話機であり得る。
【0030】
UE100は、無線アクセスネットワーク(RAN)104を介してコアネットワークに接続する。RAN104は、進化型地上無線アクセスネットワーク(E-UTRAN)、新しい無線(NR)ネットワーク、またはそれらの組み合わせであり得る。2Gおよび3G UEデバイスに無線接続を提供する無線アクセスネットワーク104内のノードは、基地局と称される。4G UEでは、これらのUEに無線ネットワーク接続を提供する無線アクセスネットワーク104内のノードは、進化型ノードB(eNB)と称される。5G対応UEでは、これらのデバイスにNR接続を提供するノードは、gNode B(gNB)と称される。RAN104は、1つまたは複数の基地局、eNBおよびgNBを表すよう意図されている。
【0031】
UE100がネットワークにアクセスすることができる別の方法は、アクセスポイント105を通るものである。アクセスポイント105は、Wi-Fiアクセスポイントまたは他のタイプのアクセスポイントであり得て、これらのアクセスポイントを介して、UE100は、アプリケーションサーバ120などのネットワークノードとのパケットデータネットワーク接続を有する。
【0032】
移動交換局(MSC)106は、2Gおよび3G UEデバイスのためのモビリティ管理機能を実行する。モビリティ管理エンティティ(MME)108は、4G対応UEデバイスのためのモビリティ管理機能を実行する。MSC106またはMME108によって実行されるモビリティ管理機能は、モバイルデバイス登録を受信すること、モバイル加入者登録および位置情報をホームロケーションレジスタ(HLR)またはホームサブスクライバサービス(HSS)に伝達すること、およびUEがネットワークに取り付けられるRAN104内のノードと通信することを含み得る。
【0033】
汎用パケット無線サービスサポートノード(SGSN)110を提供することにより、ネットワーク内のモバイルユーザとのパケットデータ通信が処理される。SGSN110は、モバイルユーザのためのGPRSネットワークへのサービスアクセスポイントとして機能する。他方、SGSN110は、ゲートウェイGPRSサポートノード/PDNゲートウェイ(GGSN/P-GW)112と通信し、GGSN/P-GW112は、モバイルユーザとのパケットデータ通信のためのポリシ実施ポイントとして機能し得る。ポリシおよび課金ルール機能(PCRF)(図1には図示せず)は、モバイルユーザのためのポリシおよび課金機能を実行し得る。PCRFは、モバイルユーザに適用されるポリシを格納するポリシデータストアを含み得る。これらのポリシは、ネットワーク使用および課金のためのポリシを実施するために、ポリシ実施ポイント(GGSN/P-GW112など)にインストールされ得る。シグナリングゲートウェイ(SGW)114は、シグナリングプロトコル変換を実行して、モバイルユーザとのベアラ通信をセットアップする。
【0034】
SCEF116は、SCEF機能117と、マシンタイプ通信インターワーキング機能(MTC-IWF)124とを含む。SCEF機能117は、アプリケーション側では、アプリケーションサーバ(アプリケーションサーバ(AS)118および120など)およびサービス機能サーバ(SCS)122がネットワークと通信するためのインターフェイスを提供する。一例において、SCEF116は、アプリケーションサーバ118および120ならびにサービス機能サーバ122によるIoTデバイスのグループトリガをサポートするノードである。直接通信モデルでは、アプリケーションサーバ118および120は、GGSN/P-GW112と直接通信し得る。間接通信モデルでは、アプリケーションサーバ118および120は、SCS122およびSCEF116を介してネットワークと通信し得る。アプリケーションサーバ118および120がSCEF116と直接通信してもよいということも注目されたい。
【0035】
以下では、GGSN/P-GW112はP-GW112と称される。なぜなら、P-GW112によって実行される帯域幅ポリシング機能は、本明細書に記載されている主題にとって興味深いものであるからである。1つのこのような機能は、集約最大ビットレートのポリシングである。集約最大ビットレートまたはAMBRは、PDNユーザ間で共有される特定のPDNに向かうビットレートである。ビットレートが共有されるので、ユーザごとにビットレートをポリシングすることが望ましい。ビットレートをポリシングするための1つの方法は、APNごと、UEごとであるため、UEとAPとの各組み合わせは、最大部分までのAMBRの一部が割り当てられる。UEとAPNとの組み合わせが最大AMBRに達すると、その特定のUEについてのさらなるPDUセッションは拒絶される。以下でさらに詳細に説明するように、本明細書に記載されている主題は、UEとABNとの組み合わせについてのPDNセッションが複数のP-GW DPワーカインスタンスにわたって分散されることを可能にするAPN-AMBRポリサを含む。
【0036】
MTC-IWF124は、IP通信機能を持たないIoTデバイスとの通信を容易にする。課金データ機能/課金ゲートウェイ機能(CDF/CGF)126は、ネットワーク使用についての請求記録を生成する。ホームサブスクライバサーバ(HSS)128は、UEデバイスについての加入および位置情報を格納する。また、一例において、HSS128は、SCEF116または別のノードによって使用されるマッピングによって、外部グループIDを個々のIoTデバイス識別子(国際移動体加入者識別子(IMSI)など)に変換するように構成され得る。マシンタイプ通信認証、認可およびアカウンティング(MTC AAA)サーバ130は、MTCデバイスのためのAAA機能を実行する。
【0037】
このネットワークアーキテクチャは、SMSメッセージを生成してIoTデバイスに送達するためのショートメッセージサービスセンタ/ゲートウェイメッセージサービスセンタ/インターワーキングメッセージサービスセンタ(SMSC/GMSC/IWMSC)132を含み得る。IPショートメッセージゲートウェイ(IP-SM-GW)134は、IPメッセージをSMSメッセージに、またその逆に変換し得る。ショートメッセージエンティティ(SME)136は、SMSメッセージを送受信する。
【0038】
上記のように、現行のP-GWアーキテクチャの1つの問題は、AGBR制限を適切にポリシングするためには、特定のユーザとAPNとの組み合わせについてのPDNセッションを全て、同一のP-GW DPワーカインスタンスに割り当てる必要がある、というものである。図2は、この問題をより詳細に示している。図2において、P-GW112は、P-GW DPワーカインスタンス200および202を含む。各P-GW DPワーカインスタンス200および202は、特定のPDN204にまたは特定のPDN204から向けられるメッセージまたはPDNセッションについての、ユーザとAPNとのインスタンスのためのAPN AMBRアップリンクおよびダウンリンクレートポリシングを処理する。P-GW112は、AP1 105がP-GW112と接触するのに使用するサービスIPアドレス206を割り当てられる。示されている例では、専用の非GBRベアラおよびデフォルトの非GBRベアラを有する2つの異なるPDNセッションが、UE100とPDN204との間に確立されている。各PDNセッションは、AMBR順守のためにポリシングされなければならないアップリンク方向およびダウンリンク方向のデータを含む。
【0039】
示されている例において、UE100についてのPDNセッションは全て、P-GW DPワーカインスタンス200によって処理される。このアーキテクチャの1つの問題は、P-GW DPワーカインスタンス200がフルレート容量で動作して、単一のUEまたは複数のUEからのPDNセッションを処理している場合、P-GW DPワーカインスタンス200によって現在処理されているいずれのUEについても新たなPDNセッションは拒否されなければならない。なぜなら、P-GW DPワーカインスタンス200は、別のセッションを処理するための容量を持たないからである。これは、P-GW DPワーカインスタンス202が容量を有する場合でも当てはまる。現行のアーキテクチャを使用するとAMBR順守のためのP-GW DPワーカインスタンス間の通信がないので、全てのP-GW DPワーカインスタンスは、所与のUEについてのPDNセッションを全て割り当てられなければならない。
【0040】
本明細書に記載されている主題は、単一のPDNに向かうUEのPDNセッションがそれぞれのP-GW DPワーカインスタンスに及ぶことを可能にすることによってこの問題に対する解決策を提供する。AMBR順守を提供するために、APN-AMBRポリサが提供される。図3は、APN-AMBRポリサの一例を示す図である。図3において、APN-AMBRポリサ300は、P-GW112ならびにP-GW DPワーカインスタンス200および202から分離したコンピューティングプラットフォームに位置するマイクロサービスとして実現され得る。APN-AMBRポリサ300は、所与のUEについてのPDNセッションがそれぞれのP-GW DPワーカインスタンス上にある場合でも、アップリンクおよびダウンリンクAPN-AMBRをUEごとに、APNごとに維持する。UEとAPNとの各組み合わせによって使用されるUEごとの、APNごとのおよび合計のAMBRは、データベース302内に維持される。APN-AMBRポリサ300は、トークンバケットアルゴリズムを使用して、APN-AMBR容量スライスを各UE/APNについての各P-GW DPワーカインスタンスに割り当てる。トークンバケットアルゴリズムについては以下で詳細に説明する。APN-AMBRポリサは、UEとAPNとの各組み合わせについての使い切った容量を維持し、そのデータをデータベース302に格納する。データベース302は、アクセスの高速化のためにインメモリデータベースまたはローカルキャッシュであってもよい。
【0041】
APN-AMBRポリサ300によって実行されるポリシングの結果として、各P-GW DPワーカインスタンスにおけるAPN-AMBRポリシングロジックは簡略化される。これは、各P-GW DPワーカインスタンスが、APN-AMBRポリサ300からAMBR容量スライスを要求し、APN-AMBRポリサ300から許可を受信するためである。次いで、各P-GW DPワーカインスタンス200および202は、トークン消費アルゴリズムを使用して、各許可において容量を使用する。トークン消費アルゴリズムについては以下で詳細に説明する。現在の容量スライスが使い尽くされると、P-GW DPワーカインスタンスは、APN-AMBRポリサ300からさらなる容量を要求する。APN-AMBRポリサ300が容量要求を拒む場合、要求元のP-GW DPワーカインスタンスはトラフィックをドロップする。P-GW DPワーカインスタンスがスケールアップまたはスケールダウンする際、APN-AMBRポリシングはシームレスである。
【0042】
図4は、所与のUEとAPNとの組み合わせについてのPDNセッションが、この同一のUEとAPNとの組み合わせに関係する他のPDNセッションとは異なるP-GW DPワーカインスタンスに割り当てられる場合を示す図である。図4において、APN1およびUE1についてのPDNセッション1およびPDNセッション2は、P-GW DPワーカインスタンス1 200に割り当てられる。さらなるPDNセッション、すなわちPDN3は、P-GW DPワーカインスタンス202に割り当てられる。このさらなるPDNセッションは、P-GW DPワーカインスタンス1に割り当てられるものと同一のUEとAPNとの組み合わせについてのものである。APN-APN-AMBRポリサ300は、P-GW DPワーカインスタンス1 200およびP-GW DPワーカインスタンス2 202に対して、UEとAPNとの組み合わせについてAPN-AMBRを実施する。
【0043】
上記のように、一例において、APN-AMBRポリサ300は、UEごと、PDNセッションごとおよびAPNごとのうちの少なくとも1つでレート制限ポリシングを実行するためのトークンバケットアルゴリズムを実行する。トークンバケットアルゴリズムは、あらゆるレート制限ウィンドウについて、あらゆるPDNについて実行され得て、レート制限ウィンドウは、そのウィンドウ中に許可され得るいくつかのトークンを使用してPDNのレート制限容量を定義することができる期間(1秒など)である。P-GW DPワーカインスタンスは、レート制限ウィンドウ中に複数のトークンをAPN-AMBRポリサ300から要求し得る(送信される各データユニットについて1つのトークン(たとえば、1つのトークン=100キロビット))。P-GW DPワーカインスタンスのためのトークン要求アルゴリズムについては、以下で詳細に説明する。APN-AMBRポリシングは、2つの異なるアルゴリズムで実現され得る。1つのアルゴリズムは固定ウィンドウを使用し、もう1つのアルゴリズムはスライディングウィンドウを使用する。図5は、APN-AMBRポリサ300によって実行され得る固定ウィンドウレートポリシングアルゴリムを示す図である。固定ウィンドウアルゴリズムは、2つの異なる構成で動作する。1つの構成は最大限度構成であり、この構成では、要求されたトークンの数がAPN-AMBRを超えるであろう場合には、要求は却下される。もう1つの構成オプションはベストエフォート構成オプションであり、この構成オプションでは、所与のウィンドウ中に要求されるトークンの数が利用可能なトークンの数を超える場合、利用可能なトークンは、たとえ現在の要求を完全に満たしていなくても割り当てられることができる。あらゆるトークン要求について、APN-AMBRポリサ300は、許可されたトークンを、アルゴリズムおよび現在のウィンドウに残っている時間に従って返す。
【0044】
図5のフローチャートを参照して、P-GW DPワーカインスタンスは、最初にまたは断続的に、非GBRベアラごとに転送される受信データを処理するためのトークンを要求し得る。図5図7に示されるアルゴリズムは、各非GBRベアラについてアップリンクデータとダウンリンクデータとで別々に動作する。トークンの割り当ての要求は、現在のタイムスタンプと、現在のトークン要求(要求されたトークンの数)とを含み得る。ステップ500において、APN-AMBRポリサ300は、トークンの割り当ての要求を受信して、データベース302においてルックアップを実行して、要求が現在の時間間隔での新たな要求であるか否か、またはトークンが現在の時間間隔中に要求発行元に既に割り当てられているか否かを判断する。ここで、要求発行元は、APNとUE識別子との組み合わせによって識別され得る。ステップ502において、ルックアップの中に記録が見つからない場合、要求は新たな要求であり、制御はステップ504に進んで、UEとAPNとの組み合わせについてトークン割り当ての最初のウィンドウを開始する。ここで、以前に割り当てられたトークンの数は、ゼロに設定される。なぜなら、ウィンドウが作成されたばかりであり、前の有効期限時刻が現在のタイムスタンプ+ウィンドウ長さ、すなわち作成されたウィンドウの有効期限時刻に設定されるからである。ステップ502において、記録が見つかった場合、要求は、同一の要求発行元の後続の要求であり、制御はステップ506に進んで、以前に割り当てられたトークンと前の有効期限時刻とがロードされる。
【0045】
ステップ508において、P-Expiryタイマが期限切れになったか否かが判断される。P-Expiryタイマは、以前に割り当てられたトークンの期限切れを制御する。P-Expiryタイマが期限切れになった場合、制御はステップ504に進んで、現在の要求が新たな要求のように処理される。ステップ508において以前の有効期限タイマが期限切れになっていない場合、制御はステップ510に進む。ステップ510において、前の割り当てられたトークンの数+現在の要求されたトークンの数が、当該時間間隔中に、UEとAPNとの組み合わせについての最大限度を超えるか否かが判断される。最大限度を超えない場合、制御はステップ510に進んで、要求されたトークンが割り当てられて、変数P-Tokens(前のトークン)がP-Tokens+C-Tokens(現在要求されているトークン)の現在値に等しくなるように設定される。ステップ512において、P-TokensおよびC-Tokensの値は、データベース302に格納される。次いで、P-GW DPワーカインスタンスは、非GBRベアラによってアップリンクまたはダウンリンクデータを転送することによってこれらのトークンを消費することができる。一実現例において、1つのトークンは、P-GW DPワーカインスタンスが、オペレータによって構成された量のアップリンクまたはダウンリンクデータを送信することを可能にする(たとえば、1つのトークンは、100キロビットのデータを転送することを可能にする)。P-GW DPワーカインスタンスが、定義された量のアップリンクデータをPDNを介して送信するか、または定義された量のダウンリンクデータをUEに送信した後、P-GW DPワーカインスタンスは、利用可能なトークンの数をデクリメントする。
【0046】
ステップ510に戻って、以前に割り当てられたトークン+現在要求されているトークンが当該時間間隔中に最大限度を超える場合、制御はステップ512に進んで、ベストエフォート割り当てが実行されるか否かが判断される。上記のように、ベストエフォート割り当ては、利用可能なトークンの数が現在の要求を満たすのに十分でなくても、トークンを割り当てることを可能にする。ベストエフォート割り当てが実行されない場合、制御はステップ516に進んで、トークン要求が却下され、次いで512に進んで、P-TokensおよびP-Expiryの値がデータベース302に格納される。ベストエフォート割り当てが実行される場合、制御はステップ514に進んで、残りのトークンが割り当てられる。割り当てられたトークンの数は、最大限度-以前に割り当てられたトークンに等しい。次いで、制御はステップ512に進んで、P-TokensおよびP-Expiryの値がデータベース302に格納される。
【0047】
図5は、APN-AMBRポリサ300によって実行される固定ウィンドウトークン割り当てアルゴリズムを示している。上記のように、別の例では、トークン割り当てアルゴリズムは、スライディングウィンドウを利用してもよい。スライディングウィンドウアプローチでは、所与のトークン割り当てウィンドウについての初期時刻および有効期限時刻は、時間単位で移動する。ウィンドウ内のトークンは、バケットに分割され、各バケットは、開始時刻と長さとを有する。現在のタイムスタンプがバケットの最後(バケット開始時刻+長さ)を通過すると、そのバケット内の未使用のトークンが期限切れになって、同一のまたは他のP-GW DPワーカインスタンスからのトークンの要求を満たすように回収されて使用され得る。したがって、スライディングウィンドウを使用することにより、未使用のトークンの利用可能性が増大する。
【0048】
図6は、APN-AMBRポリサ300によって実行され得る例示的なスライディングウィンドウトークンバケットアルゴリズムを示すフローチャートである。図6を参照して、P-GW DPワーカインスタンスは、最初にまたは断続的に、P-GW DPワーカインスタンスが受信した送信対象のアップリンクまたはダウンリンクデータを処理するためのトークンを要求する。この要求は、現在のタイムスタンプおよび現在の要求されたトークンの数を指定する。ステップ600において、APN-AMBRポリサ300は、データベース302においてルックアップを実行して、要求が当該時間間隔での新たな要求であるか、または既存の要求であるかを判断する。ルックアップの中にデータベース記録が見つからない場合、要求は新たな要求である。したがって、制御はステップ602からステップ604に進んで、変数「以前に割り当てられたトークン」(P-Tokens)が当該時間間隔中にゼロに初期化される。次いで、制御はステップ606に進んで、変数P-Bucket-Tokensがゼロに設定され、変数P-Bucket-Start-Timestampが現在のタイムスタンプに設定される。
【0049】
ステップ602において、データベース記録が見つかった場合、要求は、現在の時間間隔での後続の要求である。要求が後続の要求である場合、制御はステップ608に進んで、以前に割り当てられたトークン(P-Tokens)、変数P-Bucket,P-TokensおよびP-Bucket-Start-Timeが、記録の中に見つかった値に初期化される。次いで、制御はステップ610に進んで、変数P-Bucket-Start-Timeが現在のタイムスタンプ-バケット長さよりも古いか否かが判断される。これが当てはまる場合、制御はステップ612に進んで、現在のバケットが期限切れであるとして印付けられ、次いでステップ606に進んで、変数P-Bucket-Tokensがゼロに設定され、変数P-Bucket-Start-Timeが現在のタイムスタンプに設定される。
【0050】
ステップ610の後、制御はステップ613に進んで、いかなる期限切れのトークンも期限切れのバケットから回収されて、期限切れのバケットの記録が除去される。ステップ613から、制御はステップ614に進んで、期限切れのバケットから回収されたトークンがP-Tokensに調整される(すなわち、P-Tokens=P-Tokens-回収されたトークン)。次いで、制御はステップ616に進んで、以前に割り当てられたトークンと現在要求されているトークンとの合計が最大限度よりも大きいか否かが判断される。以前に割り当てられたトークンと現在要求されているトークンとの合計が最大限度よりも大きくない場合、トークンは割り当てられて、制御はステップ618に進んで、P-Tokensが以前に割り当てられたトークン+現在要求されているトークンに設定される。次いで、制御はステップ620に進んで、変数P-Tokens,P-BucketおよびP-Bucket-Start-Timeの値がデータベース302に格納される。
【0051】
ステップ616を参照して、以前に割り当てられたトークンと現在要求されているトークンとの合計が当該時間間隔中に最大限度を超える場合、制御はステップ622に進んで、ベストエフォート割り当てが実行されるか否かが判断される。ベストエフォート割り当てが実行されない場合、制御はステップ624に進んで、要求が却下される。ベストエフォート割り当てが実行される場合、制御はステップ626に進んで、要求を部分的に満たすように残りのトークンが割り当てられる。次いで、制御はステップ620に進んで、P-Tokens,P-BucketおよびP-Bucket-Start-Time変数の値がデータベース302に格納される。
【0052】
上記のように、P-GW DPワーカインスタンスから分離したAPN-AMBRポリサ300においてレート制限ポリシングを実行することによって、P-GW DPワーカインスタンスのロジックは簡略化される。図7Aおよび図7Bは、各P-GW DPワーカインスタンスによって実行され得るP-GW DPワーカインスタンストークン要求アルゴリズムを示す図である。一般に、各P-GW DPワーカインスタンスは、アップリンクまたはダウンリンクデータを受信し、このデータを送信するのに必要なトークンの数を判断し、トークンの最初の許可をAPN-AMBRポリサ300に要求する。後に受信したデータについて、P-GW DPワーカインスタンスは、利用可能なトークンの数が、許可されたトークンの構成可能な割合よりも大きいか否かをチェックして、要求を転送する。たとえば、積極的なトークン要求アルゴリズムでは、閾値量は、土壇場のトークン不足を見越して50%またはそれ以上に設定され得る。それほど積極的でないアルゴリズムでは、閾値は、P-GW DPワーカインスタンスがより多くのトークンを要求する前にそれらのトークン割り当てをほぼ使い尽くすことを可能にするように、より低い割合(25%など)に設定され得る。後続のトークン要求は、サイズが固定されてもよく、またはたとえばフィボナッチ数列に基づいてサイズが連続的に大きくなってもよい。P-GW DPワーカインスタンスは、レート制限時間ウィンドウ横断を管理しなくてもよい。APN-AMBRポリサは、現在のウィンドウにおける残りの時間を提供する。
【0053】
図7Aに示されるフローチャートを参照して、P-GW DPワーカインスタンスは、送信されるアップリンクまたはダウンリンクデータを受信する。ステップ700において、P-GW DPワーカインスタンスは、そのローカルデータベースにおいてサービスインスタンスxについてルックアップを実行し、サービスインスタンスxは、この所与のサービスインスタンスについて、現在の利用可能なトークンの数、現在の許可されたトークンの数、および最終トークン要求ステータスを判断するためにUEとAPNとの組み合わせに割り当てられた非GBRベアラについてのアップリンクまたはダウンリンクデータを表し得る。なお、P-GW DPワーカインスタンスは、サービスインスタンスのレート容量または他の消費者によって使用されている利用可能な容量の量を知っている必要はない。各P-GW DPワーカインスタンスによって維持されるデータベースは、各サービスインスタンスについてAPN-AMBRポリサによってP-GW DPワーカインスタンスに許可されたトークンの数と、使用されていないそれらのトークンの数とを含み得る。
【0054】
ステップ702において、記録が見つからない場合、これは、現在の時間間隔中にP-GW DPワーカインスタンスがサービスインスタンス(すなわち、非GBRベアラ)についていかなるトークンも要求しなかったことを意味する。次いで、制御はステップ704に進んで、P-GW DPワーカインスタンスが、サービスインスタンスxについての利用可能なトークンを0に初期化し、サービスインスタンスxについての許可されたトークンを0に初期化し、残りのウィンドウ時間を0に初期化し、トークン要求ステータスをペンディングなしに初期化する。
【0055】
記録が見つかった場合、これは、現在の時間間隔中にP-GW DPワーカインスタンスがサービスインスタンスについてトークンを既に要求していることを意味する。記録が見つかった場合、制御はステップ706に進んで、P-GW DPワーカインスタンスがルックアップの中に見つかった情報をロードする。ロードされる情報は、サービスインスタンスについての利用可能なトークンと、サービスインスタンスについての許可されたトークンと、残りのウィンドウ時間と、トークン要求ステータスとを含む。ステップ708において、P-GW DPワーカインスタンスは、利用可能なトークン-1が、上記の許可されたトークンの構成可能な割合よりも大きいか否かを判断する。言い換えれば、P-GW DPワーカインスタンスは、サービスインスタンスに以前に割り当てられた既存のトークンの半分以上が現在の時間間隔中に使用された場合に、新たなトークンを要求する。これは、積極的なアルゴリズムであるが、サービスインスタンスが不足することを防止することができる。
【0056】
利用可能なトークン-1が、許可されたトークンの構成可能な割合よりも大きい場合、新たなトークンは必要とされず、制御はステップ710に進んで、アップリンクまたはダウンリンクデータがPDNまたはUEに転送され、変数「利用可能なトークン」は、データ送信を満たすための1つのトークンの使用を示すようにデクリメントされる。
【0057】
利用可能なトークン-1が、許可されたトークンの構成可能な割合よりも大きくない場合、制御はステップ712に進んで、P-GW DPワーカインスタンスは、現在の時間間隔中にペンディングのトークン要求があるか否かを判断する。ペンディングのトークン要求がある場合、制御はステップ714に進んで、現在のウィンドウに残り時間があるか否かが判断される。現在のウィンドウに残り時間がない場合、P-GW DPワーカインスタンスは、ステップ716においてトークン要求をドロップする。現在のウィンドウに残り時間がある場合、制御はステップ718に進んで、P-GW DPワーカインスタンスは、利用可能なトークンがあるか否かを判断する。利用可能なトークンがある場合、制御はステップ710に進んで、P-GW DPワーカインスタンスが、アップリンクまたはダウンリンクデータを転送して、利用可能なトークンの数をデクリメントする。利用可能なトークンがない場合、制御はステップ720に進んで、ペンディングトークン要求ステータスが何であるかが判断される。トークンステータス要求がある場合、制御はステップ722に進んで、要求が待ち行列に入れられて、P-GW DPワーカインスタンスがAPN-AMBRポリサからの応答を待つ。ペンディングのトークン要求がない場合、制御はステップ716に進んで、現在の要求がドロップされる。
【0058】
ステップ712において、ペンディングのトークン要求がなく、利用可能なトークンの数が許可されたトークンの半分未満である場合、制御はステップ724に進んで、P-GW DPワーカインスタンスが、APN-AMBRポリサからトークンを要求し、ペンディングトークンステータス要求変数をペンディングに印付けする。
【0059】
図7Bは、トークン要求アルゴリズムを示す。図7Bにおいて、ステップ726において、利用可能なトークンの数がゼロに等しくない場合、制御はステップ728に進んで、P-GW DPワーカインスタンスがy個のトークンの許可をAPN-AMBRポリサに要求し、yは構成可能な値である。ステップ730において、P-GW DPワーカインスタンスは、時間が現在のウィンドウに残っている状態で許可を受信する。ステップ732において、P-GW DPワーカインスタンスは、利用可能なトークンを、現在利用可能なトークンの数+許可に設定する。変数「許可されたトークン」は、この許可内のトークンの数に設定される。変数「残りのウィンドウ時間」は、現在のウィンドウに残っている時間に設定され、トークン要求ステータスは、ペンディング要求なしに設定される。
【0060】
ステップ726において、利用可能なトークンの数がゼロに等しい場合、制御はステップ734に進んで、P-GW DPワーカインスタンスがw個のトークンの最初の許可をAPN-AMBRポリサに要求し、wは構成可能な値である。wを大きな値に設定することにより、メッセージの最初のバーストの提供を容易にすることができる。ステップ736において、P-GW DPワーカインスタンスは、APN-AMBRポリサからの許可を待つ。ステップ730において許可が行われると、制御はステップ732に進んで、P-GW DPワーカインスタンスがトークン許可を反映するようにその変数を更新する。
【0061】
図8は、APNーAMBRポリサを使用してAPN-AMBRを実施するための例示的な全体プロセスを示すフローチャートである。図8を参照して、ステップ800において、第1のP-GW DPワーカインスタンスは、非GBRベアラによって送信されるアップリンクまたはダウンリンクデータを受信する。たとえば、P-GW DPワーカインスタンス200は、非GBRベアラによってPDNに送信されるUEからのアップリンクデータ、または非GBRベアラによってUEに送信されるPDNからのダウンリンクデータを受信し得る。
【0062】
ステップ802において、プロセスは、第1のP-GW DPワーカインスタンスにおいて、APN-AMBRポリサから容量を要求することを含む。たとえば、P-GW DPワーカインスタンス200は、P-GW DPワーカインスタンスが受信した送信対象のアップリンクまたはダウンリンクデータの量に対応するトークンの割り当てをAPN-AMBRポリサ300から要求し得る。
【0063】
ステップ804において、プロセスは、APN-AMBRポリサにおいて、P-GW DPワーカインスタンスのうちの複数の異なったP-GW DPワーカインスタンスにわたってAPN-AMBR容量の記録を維持して、複数のP-GW DPワーカインスタンスにわたって使用されるAPN-AMBR容量に基づいて第1のP-GW DPワーカインスタンスからの要求を許可することを含む。たとえば、APN-AMBRポリサ300は、UEとAPNとの組み合わせが利用できるAPN-AMBRの構成限度に達していないので、所与の時間間隔中にUEとAPNとの組み合わせがトークンを利用できると判断し得る。このような場合、APN-AMBRポリサ300は、トークンの許可をP-GW DPワーカインスタンス200に発行し得る。なお、APN-AMBRポリサ300は、UEとAPNとの組み合わせが、異なったP-GW DPワーカインスタンスによって処理されているPDNセッションを有している場合には、使い尽くされたAPN-AMBR容量の記録を複数のP-GW DPワーカインスタンスにわたって維持する。これは、所与のUEとAPNとの組み合わせについてのPDNセッションを全て同一のP-GW DPワーカインスタンスに割り当てる必要なしにレート制限ポリシングを実行できるという点において、本明細書に記載されている主題の利点のうちの1つである。同一のUEとAPNとの組み合わせについてのPDNセッションが異なったP-GW DPワーカインスタンスに割り当てられる場合、APN-AMBRポリサ300は、トークンの許可がPDNセッションのうちのいずれかに発行されるときはいつでも、使用される容量を更新する。また、APN-AMBRポリサ300は、所与のP-GWについての全てのP-GW DPワーカインスタンスにわたるトークン割り当てを処理するので、APN-AMBRポリサ300は、それぞれのUEのPDNセッションがそれぞれのP-GW DPワーカインスタンスに割り当てられる場合でも、これらのそれぞれのUEのPDNセッションにわたってAPN-AMBR制限を実施することもできる。
【0064】
以下の例は、本明細書に記載されている主題の機能および利点を説明する。APN-AMBRが特定のAPNについて100mbpsであるとする。APN-AMBRは、所与のAPを介してPDNに接続された全てのUEの非GBRベアラによって使用可能な合計容量の集約した大きさである。一例において、本明細書に記載されているAPN-AMBRポリサは、UEとAPNとの組み合わせごとに容量を維持して、APN-AMBRの一部をUEとAPNとの各組み合わせに割り当て得る。たとえば、APN-AMBRが各方向において100mbpsであり、2つのUEが存在しており、各々が所与のアクセスポイントを介してPDNに接続された2つの異なるセッションを有するとする。以下に示される表1は、このような場合にAPN-AMBRポリサによってデータベース302内に維持され得る記録の一例である。
【0065】
【表1】
【0066】
表1において、APN-AMBRポリサ300は、UEとAPNとの各組み合わせについて単一の記録を格納し、UEとAPNとの各組み合わせによって使用されるAMBR容量の総量を、PDNセッションごとに、および方向ごとに、各記録内に格納するか、または各記録内のデータから計算し得る。また、APN-AMBRポリサ300は、UEとAPNとの各組み合わせについて最大APN-AMBR割り当てを各記録内に格納し得る。
【0067】
APN-AMBRポリサ300は、表1におけるデータを使用して、APNレベル、UEレベル、PDNセッションレベルおよび/またはトラフィック方向レベルでAMBRをポリシングすることができる。たとえば、表1において、UE1とAPN1との組み合わせは、アップリンク方向およびダウンリンク方向の各々について50mbpsというAPN-AMBRが割り当てられる。使用される現在のアップリンクAMBR容量は、10mbps+5mbps=15mbpsであり、これは、UE1が50mbps-15mbps=35mbpsの使用できるさらなる容量を有していることを意味する。このように、APN-AMBRポリサは、両方のセッションによって使用される合計帯域幅が、UEとAPNとの各組み合わせに割り当てられたAPN-AMBRの一部またはスライスを超えないことを保証することができる。同一の利点は、同一のAPNを介したそれぞれのUEについてのPDNセッションがそれぞれのP-GW DPワーカインスタンスによって処理される場合に実現される。たとえば、UE1もUE2もAP1を介してPDN1に接続され、それぞれのP-GW DPワーカインスタンスによって処理され、APN-AMBRが100mbpsであるとする。この例では、UE1およびUE2の各々は、APN-AMBRのそれぞれのシェア(たとえば、各々50mbps)へのアクセスを有することができ、APN-AMBRポリサ300は、両方のセッションによって使用される帯域幅をポリシングして、APN-AMBRを超えないことを保証することができる。
【0068】
図8に戻って、ステップ806において、プロセスは、第1のP-GW DPワーカインスタンスにおいて、APN-AMBRポリサからAPN-AMBR容量のスライスを受信して、その容量をアップリンクまたはダウンリンクデータ送信に使用することを含む。たとえば、P-GW DPワーカインスタンス200は、APN-AMBRポリサ300からトークンの許可を受信し、受信したアップリンクまたはダウンリンクデータを送信するのにトークンを消費し得る。
【0069】
APN-AMBRポリサを使用して、P-GWデータプレーンを通過するアップリンクおよびダウンリンクトラフィックをより効率的に処理することができる。P-GW DPワーカインスタンスによって実行されるアルゴリズムは簡略化される。なぜなら、これらのワーカインスタンスは、ポリシングを実行する必要がなく、または別のP-GW DPワーカインスタンスに割り当てられたPDNセッションによって使用される帯域幅の経過を追う必要がないからである。また、同一のAPNについてのPDNセッションは、P-GW DPワーカインスタンスにわたって柔軟に割り当てられることができる。さらに、特定のAPNについてのPDNセッションに提供されるアップリンクおよびダウンリンク帯域幅は、P-GW DPワーカインスタンスの定格容量に限定されるものではない。
【0070】
以下の参考文献の各々の開示は、全文が引用によって本明細書に援用される。
【0071】
【表2】
【0072】
本明細書に記載されている主題のさまざまな詳細は、本明細書に記載されている主題の範囲から逸脱することなく変更されてもよい、ということが理解されるであろう。さらに、上記の説明は、単に例示の目的であって限定の目的ではなく、本明細書に記載されている主題は、以下に記載されている特許請求の範囲によって規定される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
【国際調査報告】