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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-02
(54)【発明の名称】空気調和及び濾過用システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/003 20210101AFI20230126BHJP
   B01D 46/24 20060101ALI20230126BHJP
   B01D 50/00 20220101ALI20230126BHJP
   B01D 53/04 20060101ALI20230126BHJP
   F24F 8/158 20210101ALI20230126BHJP
   F24F 8/183 20210101ALI20230126BHJP
   F24F 8/108 20210101ALI20230126BHJP
   F24F 8/80 20210101ALI20230126BHJP
【FI】
F24F7/003
B01D46/24 B
B01D50/00 501J
B01D53/04 110
B01D50/00 501B
F24F8/158
F24F8/183
F24F8/108 210
F24F8/108 310
F24F8/80 300
F24F8/80 110
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022532590
(86)(22)【出願日】2020-11-30
(85)【翻訳文提出日】2022-07-20
(86)【国際出願番号】 AU2020051301
(87)【国際公開番号】W WO2021102525
(87)【国際公開日】2021-06-03
(31)【優先権主張番号】2019904535
(32)【優先日】2019-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522214484
【氏名又は名称】ワーク エアー テクノロジーズ プロプライエトリー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ノウルズ、グレゴリー ブライアン
【テーマコード(参考)】
4D012
4D058
【Fターム(参考)】
4D012BA03
4D012CA10
4D012CA16
4D012CB02
4D012CB06
4D012CB09
4D012CG01
4D012CH01
4D058JA02
4D058KC33
4D058KC55
4D058QA08
4D058TA01
4D058TA03
(57)【要約】
外部環境から吸気された空気を初期濾過するための前処理システム12と、前処理システム12によって濾過された空気を陽圧に加圧する加圧手段50と、少なくとも1つの循環手段106とを備えた空気調和及び濾過用システム10が提供される。各循環手段106は、前処理システム12及び加圧手段50を通した外部環境からの空気、並びに少なくとも1つの密閉領域1からの空気を、組み合わせて1つの空気流するために吸気する。その後空気流が、少なくとも1つの密閉領域1のうちの少なくとも1つに搬送される前に、濾過手段94及び空気調和手段96の少なくとも1セットに誘導される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気調和及び濾過用システムであって、
外部環境から吸気された空気を初期濾過するための前処理システムと、
前記前処理システムによって濾過された空気を陽圧に加圧する加圧手段と、
各循環手段が前記前処理システム及び前記加圧手段を通した前記外部環境からの空気、並びに少なくとも1つの密閉領域からの空気を吸気し、それを結合して1つの空気流にするように動作可能である少なくとも1つの循環手段であって、前記空気流は、その後少なくとも1つの密閉領域のうちの少なくとも1つに搬送される前に少なくとも1セットの濾過手段及び空気調和手段に誘導される、少なくとも1つの循環手段と
を備えた空気調和及び濾過用システム。
【請求項2】
陽圧に加圧された空気が前記少なくとも1つの循環手段に到達する前に前記陽圧に加圧された空気を濾過するように動作可能な少なくとも1つの追加濾過手段をさらに備えた、請求項1に記載の空気調和及び濾過用システム。
【請求項3】
前記少なくとも1つの追加濾過手段が1つ又は複数の濾過カートリッジを含み、各濾過カートリッジが特定の汚染物質を濾過して除去するように動作可能である、請求項2に記載の空気調和及び濾過用システム。
【請求項4】
前記濾過カートリッジが、以下の汚染物質、すなわち、二酸化硫黄、アンモニア、メタン、ディーゼル微粒子のうちの1つを濾過して除去するように動作可能である、請求項3に記載の空気調和及び濾過用システム。
【請求項5】
各濾過カートリッジが、第3のチャンバ内に取り外し可能に設置される、請求項3又は4に記載の空気調和及び濾過用システム。
【請求項6】
前記少なくとも1つの追加濾過手段が少なくとも1つの下流フィルタを含み、各下流フィルタが、前記陽圧に加圧された空気が1つ又は複数の濾過カートリッジによって濾過された後、前記陽圧に加圧された空気をさらに濾過するように動作可能である、請求項3から5までのいずれか一項に記載の空気調和及び濾過用システム。
【請求項7】
各下流フィルタが、高性能フィルタ、活性炭フィルタ、ULPAフィルタ、粗いライナ・フィルタのいずれかである、請求項6に記載の空気調和及び濾過用システム。
【請求項8】
各下流フィルタがドラム・フィルタである、請求項6又は7に記載の空気調和及び濾過用システム。
【請求項9】
濾過手段及び空気調和手段の前記セットにおける前記濾過手段が、ドラム・フィルタを含む、請求項1から8までの項に記載の空気調和及び濾過用システム。
【請求項10】
ドラム・フィルタの取り外しを容易にする少なくとも1つの梃子手段をさらに組み込む、請求項8又は9に記載の空気調和及び濾過用システム。
【請求項11】
前記梃子手段が梃子スロットである、請求項10に記載の空気調和及び濾過用システム。
【請求項12】
前記前処理システムが、少なくとも1つのサイクロン式粒子分離機を含む、請求項1から11までの項に記載の空気調和及び濾過用システム。
【請求項13】
前記加圧手段が加圧ファン又は加圧フィルタのいずれかである、請求項1から12までの項に記載の空気調和及び濾過用システム。
【請求項14】
前記循環手段が少なくとも1つの循環ファンを含む、請求項1から13までの項に記載の空気調和及び濾過用システム。
【請求項15】
濾過手段及び空気調和手段の前記セットが、積み重ね可能なハウジングに収容されており、積み重ねられたとき、積み重ね可能ユニットが、共通の空気導管を介してヘッド・ハウジングと流体連通しており、前記ヘッド・ハウジングが、少なくとも前記前処理システム及び前記加圧手段を収容するように動作可能である、請求項1から14までの項に記載の空気調和及び濾過用システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの密閉領域のための空気調和及び濾過用システムに関するものである。本発明は、詳細には、密閉領域が建設機械及び鉱山機械などの重機車両のキャビンである状況での使用に適しており、これらの重機車両は、通常の運転環境の一部としてアスベスト繊維又はその他の空中浮遊汚染物質にさらされている。
【背景技術】
【0002】
以下の本発明の背景技術についての考察は、本発明への理解を容易にすることを意図している。しかしながら、この考察は、参照した資料のいずれかが本出願の優先日においていずれかの法域で公開されていたこと、知られていたこと、又は一般的な知識の一部であったことを確認する、又は認めるものではないことを理解されたい。
【0003】
多くの移動機器で見られるものなどの空気調和/暖房システムは、真空を作り出して蒸発器/加熱器のコアを通して空気を吸気することに基づいている。しかしながら、この真空を作り出すことは、本来、塵などの空中浮遊汚染物質の侵入につながる。
【0004】
この現象が起きるのを最小限に抑えるため、そのようなシステムはまた、広範な封止構造を使用する。これらの封止構造は、十分なメンテナンスを行うのが困難であることが判明している。
【0005】
この問題の部分的な解決策として、濾過システムを導入して、システムに侵入してしまった汚染物質をより分けて捕捉することが行われてきた。先行の濾過システムの使用に伴うさらなる課題は、空中浮遊汚染物質が外部環境から吸気された空気を介してのみシステムに侵入するという前提で動作していることである。そのため、外部吸気口に濾過を集中させ、システム全体を顧みていない。
【0006】
また、外部吸気口に濾過を集中させることによって、外部吸気口に使用したフィルタが目詰まりしやすくなる。このことは、ほぼ絶え間なく動作する移動機器に使用された場合、フィルタがすぐに目詰まりし、フィルタ交換をしやすくするために移動機器の動作停止時間が長くなることを意味する。
【0007】
したがって本発明の目的は、上記の問題のうちの1つ又は複数を克服する、又は少なくとも部分的に改善するシステムを提供することである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書を通して、別途そうではないと示されない限り、「備える」(comprising)、「構成される」(consisting of)などの用語は非網羅的であり、言い換えると「含むが、それらに限定されない」という意味であると解釈されるものとする。
【0009】
本発明の第1の態様によると、空気調和及び濾過用システムは、
外部環境から吸気された空気を初期濾過するための前処理システムと、
前処理システムによって濾過された空気を陽圧に加圧する加圧手段と、
各循環手段が前処理システム及び加圧手段を通した外部環境からの空気、並びに少なくとも1つの密閉領域からの空気を吸気し、それを結合して1つの空気流にするように動作可能である少なくとも1つの循環手段であって、空気流は、その後少なくとも1つの密閉領域のうちの少なくとも1つに搬送される前に少なくとも1つの濾過手段及び空気調和手段に誘導される、少なくとも1つの循環手段とを備える。
【0010】
空気調和及び濾過用システムは、少なくとも1つの追加濾過手段を含んでよく、少なくとも1つの追加濾過手段は、陽圧に加圧された空気が少なくとも1つの循環手段に到達する前に陽圧に加圧された空気を濾過するように動作可能である。少なくとも1つの追加濾過手段は、1つ又は複数の濾過カートリッジの形態をとってよく、各濾過カートリッジは、二酸化硫黄、アンモニア、メタン、又はディーゼル微粒子などの特定の汚染物質を濾過して除去するように動作可能である。好ましい形態では、各濾過カートリッジは第3のチャンバ内の設置位置から取り外すことができる。
【0011】
代替構成では、少なくとも1つの追加濾過手段は少なくとも1つの下流フィルタを含み、各下流フィルタは、陽圧に加圧された空気が1つ又は複数の濾過カートリッジによって濾過された後、陽圧に加圧された空気をさらに濾過するように動作可能である。下流フィルタは、高性能フィルタ、活性炭フィルタ、超低透過フィルタ又は粗いライナ・フィルタであってよい。好ましい形態では、下流フィルタは全てドラム・フィルタである。
【0012】
濾過手段及び空気調和手段のセットは、積み重ね可能なハウジングに収容されてよく、積み重ねられたとき、積み重ね可能ユニットは共通の空気導管を介してヘッド・ハウジングと流体連通しており、ヘッド・ハウジングは少なくとも前処理システム及び加圧手段を収容するように動作可能である。
【0013】
次に、本発明を、例示のみを目的として添付の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1の実施例による空気調和及び濾過用システムの背面外観図である。
図2図1に示す空気調和及び濾過用システムの正面外観図である。
図3図1に示す空気調和及び濾過用システムの側面外観図である。
図4図1に示す空気調和及び濾過用システムの背面断面図である。
図5図1に示す空気調和及び濾過用システムの正面外観図である。
図6】取り外し可能な濾過カートリッジ・システムを例示している、図1に示すヘッド・ハウジングの一部を形成する追加濾過手段の一部の等角図である。
図7図1から図5に示すヘッド・ハウジングの一部を形成する下流フィルタ手段の例示的な分解図である。
図8図1から図5に示す積み重ね可能ハウジングの一部を形成する濾過手段の部分分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
定義
本明細書では、軸x、y、及びzは、図1で図示される基準軸が示す方向を参照している。これを踏まえて、長さへの言及はx軸に沿ったサイズを示し、幅への言及はy軸に沿ったサイズを示し、高さへの言及はz軸に沿ったサイズを示す。
【0016】
本発明の第1の実施例によると、少なくとも1つの密閉領域1のための空気調和及び濾過用システム10が存在する。本実施例では、密閉領域1とは、(a)重機車両(図示せず)のキャビン、及び(b)重機車両の機器ハウジングのことである。
【0017】
空気調和及び濾過用システム10は、図1に示すように、前処理装置12と、第1のハウジング14と、複数の第2のハウジング16とを備える。複数の第2のハウジング16は、互いの上に積み重ねることが可能なように設計されている。第1のハウジング14は、第2のハウジング16の積み重ね上に装着されるように設計されている。
【0018】
前処理システム12は、大気導入口18と、サイクロン式濾過システム20と、可撓性導管22とを備える。大気導入口18は、サイクロン式濾過システム20と第1の端部24で流体連通している。同様に可撓性導管22は、サイクロン式濾過システム20と第2の端部26で流体連通している。
【0019】
サイクロン式濾過システム20は、複数の小さいサイクロン式粒子分離機28と、ノズル30とを備える。サイクロン式粒子分離機28は、大気導入口18を介して受け取られた空気がサイクロン式粒子分離機28のうちの1つに分配されるように配置される。サイクロン式粒子分離機28は、当業者に知られているであろう標準的な構成のものなので、ここではより詳細に説明しない。
【0020】
サイクロン式粒子分離機で処理された空気は、可撓性導管22に出て行く。サイクロン式粒子分離機28の遠心力によって取り除かれた汚染物質は、ノズル30に誘導される。
【0021】
第1のハウジング14は、内部領域34を有する。第1のハウジング14は、事前濾過空気導入口36と再循環空気導入口38とを有する。事前濾過空気導入口36は、可撓性導管22を通って移動する空気が、第1の側面40において内部領域34に入ることを可能にする。再循環空気導入口38は、密閉領域1から吸気された空気が、第2の側面42において内部領域34に入ることを可能にする。
【0022】
内部領域34は、複数のチャンバ44に分割されている。具体的には、事前濾過空気導入口36は、第1のチャンバ46へのアクセスを提供する。同様に、再循環空気入口38は、第2のチャンバ48へのアクセスを提供する。
【0023】
第1のチャンバ46は、加圧ファン50を有する。加圧ファン50は、事前濾過空気導入口36を通過する空気が必ず加圧ファン50を通過するように、配置されている。加圧ファン50によって加圧された空気は、発生した遠心力によって第1のチャンバ46に排出される。
【0024】
第3のチャンバ52は、内部に設けられた複数のレッジ54を有する。各レッジ54は、第3のチャンバ52の内周面のうち3面にわたって延びている。このようにして、各レッジ54は実質的に「U」字型である。レッジ54は、z軸に対して、互いにそれぞれ平行である。
【0025】
図5に示す本実施例では、4つのレッジ54がある。さらに、第3のチャンバ52の側面56は、レッジ54の一部が取り付けられていない側面であり、取り外し可能なプレート58の形態をとっている。
【0026】
レッジ54は、第3のチャンバ52内でZ軸に沿って等間隔で離間されている。このようにして、以下に詳述するように、濾過カートリッジ(図示せず)を第3のチャンバ52内に交換可能に設置することができる。
【0027】
各濾過カートリッジは、第3のチャンバ52の長さ及び幅よりもわずかに短い幅及び長さを有する。このようにして、各濾過カートリッジは事実上、第3のチャンバ52内のxy平面全体を占める。また、これにより、各濾過カートリッジをそれぞれのレッジ54によって所定の場所に保持することが可能になる。
【0028】
この実施例では、単一の濾過カートリッジが使用される。単一の濾過カートリッジは、二酸化硫黄(SO)を濾過するように設計されたハニカム・フィルタである。
【0029】
加圧入口60の斜向かいには、濾過入口62がある。濾過カートリッジを通過した空気は、濾過入口62を介して第3のチャンバ52から出て行く。濾過入口62は、第4のチャンバ64への入口としても機能する。
【0030】
第4のチャンバ64は切取り面66を有する。切取り面66は側面56に隣接している。切取り面66は、その中に設けられた実質的に円形の開口67を有する。切取り面66には、取り外し可能プレート68が取り外し可能に取り付けられている。
【0031】
取り外し可能プレート68は、内側面70を有する。内側面70は、そこから中心方向に延びる第1の円形突起72を有する。
【0032】
第4のチャンバ64の側面76には、開口74が設けられている。開口74は、第4のチャンバ64を第2のチャンバ48に連結している。
【0033】
第2の円形突起78は開口74を囲んでいる。第1の円形突起72及び第2の円形突起78は、等しい直径を有し、互いに鉛直方向及び水平方向に位置合わせされている。
【0034】
第4のチャンバ64内に、第1のフィルタ手段80が囲い込まれている。この実施例では、図5に示すように、第1のフィルタ手段80はフィルタ・ドラム82の形態をとる。フィルタ・ドラム82は、第4のチャンバ64の内幅と実質的に等しい幅を有する。さらに、フィルタ・ドラム82の直径は、実質的に円形の開口67の直径と実質的に等しい。
【0035】
フィルタ・ドラム82は、内部孔84を有する。内部孔84は、第1の円形突起72及び第2の円形突起78の直径よりもわずかに大きい直径を有する。適切に設置されたとき、第1の円形突起72及び第2の円形突起78は、内部孔84内に受けられる。
【0036】
第1のチャンバ46、第3のチャンバ52、及び第4のチャンバ64は、y軸に沿って直列に配置されていることに留意されたい。しかしながら、第2のチャンバ48は、第4のチャンバ64と第3のチャンバ52の一部とに対して平行に位置している。第2のチャンバ48は、開放床部86を有する。
【0037】
第2のハウジング16のそれぞれは、実質的に同一の構造を有している。したがって、以下では共通の構造について述べ、共通の構成要素について十分に説明した後、変形例について言及する。
【0038】
また、第2のハウジング16のそれぞれは、空気導管88と複数のチャンバ90とに分割されている。空気導管88は、第2のチャンバ48と同一の長さ及び幅を有する。各空気導管88は、開放天井部92を有する。開放天井部92は、開放床部86と同一の長さ及び幅を有する。
【0039】
チャンバ90は、濾過チャンバ94と空調チャンバ96とを含む。各チャンバ90は、第2のハウジング16の全高にわたって延びている。
【0040】
濾過チャンバ94は、内側面98と外側面100とを有する。内側面98には、3つの開口102が設けられている。第3の円形突起104が、各開口102a、102bを囲んでいる。開口102cは、濾過チャンバ94内に含まれる循環ファン106によって封入されている。
【0041】
外側面100は、切取り部分108を有する。切取り部分108は、2つの連結された円のように形作られている。連結された円のそれぞれの中心点は、開口102a又は開口102bのいずれかに位置合わせされている。
【0042】
カバー110は、切取り部分108に被さるように適合される。カバー110は、図2に示すように六角形を傾けた形状を有している。
【0043】
1対の第4の円形突起112が、カバー110の一方の側面から延びている。第4の円形突起112は、第3の円形突起104と等しい直径を有する。さらに、第3の円形突起104及び第4の円形突起112は、鉛直方向及び水平方向に位置合わせされた1対の突起104、112を形成するように配置されている。
【0044】
第2のフィルタ手段114が、濾過チャンバ94内に位置している。第2のフィルタ手段114は、フィルタ・ドラム116の形態をとる。フィルタ・ドラム116は、濾過チャンバ94の内幅と実質的に等しい幅を有する。
【0045】
フィルタ・ドラム116は、それぞれ内部孔118を有する。各内部孔118は、第3の円形突起104及びその対になる第4の円形突起112の直径よりもわずかに大きい直径を有する。適切に設置されたとき、第3の円形突起104及びその対になる第4の円形突起112は、内部孔118内に受けられる。
【0046】
各開口102は、濾過チャンバ94から空調チャンバ96に空気が流れることを可能にする。
【0047】
空調チャンバ96は、空調コア120を含む。空調コア120の具体的な配置及び動作方法は、本発明の核となる原理に必要ではないので、ここではより詳細に説明しない。
【0048】
各空調チャンバ96は、排気口122を有する。排気口122の位置は、所望の密閉領域1に空気を送達するために必要なダクト(図示せず)に従って変化する。
【0049】
互いの上に積み重ねたとき、第2のハウジング16は連続的な空気導管88を形成する。このために、基部となる第2のハウジング16は固い床部124を有し、一方、各中間にある第2のハウジング16は開放床部126を有する。
【0050】
次に、本発明の実施例について、その意図された使用法の文脈で説明する。
【0051】
空気調和及び濾過用システム10は、重車両(図示せず)の所望の場所に設置される。これは、重車両の所望の密閉領域1内の少なくとも1つの空調吹出し口(図示せず)から排気口122まで第1の管路(図示せず)を接続することを含む。また、重車両の所望の密閉領域1での少なくとも1つの戻り通気口(図示せず)から再循環空気導入口38まで第2の管路(図示せず)を接続することも含まれる。理想的には、第2の管路は、密閉領域1のそれぞれからの空気を再循環空気導入口38に流すように動作する。
【0052】
空気調和及び濾過用システム10の設置の一部は、大気導入口18が外部環境から空気を吸気することができるように前処理システム12を構成することである。
【0053】
また、空気調和及び濾過用システム10は、重車両の動力ユニットから電力を受けるように接続されている。
【0054】
電力が空気調和及び濾過用システム10に供給されると、各循環ファン106が動作して空気を吸気する。この状況では、再循環空気導入口38及び大気導入口18を介して空気が吸気される。
【0055】
大気導入口18を通して吸気された空気は、まずサイクロン式濾過システム20によって受け取られる。受け取られた空気は、次いでサイクロン式粒子分離機28のうちの1つに誘導される。サイクロン式粒子分離機28によって発生する遠心力によって、より重い汚染物質粒子がサイクロン式粒子分離機の内側面(図示せず)に誘導され、最終的には、サイクロン式粒子分離機28を出てノズル30に堆積することになる。前処理された空気、すなわち、より重い汚染物質粒子が取り除かれた大気は、次いで前処理された空気として排気口(図示せず)を介してサイクロン式粒子分離機28の外に誘導される。その後、より重い汚染物質粒子は、必要なときにノズル30から取り除くことができる。
【0056】
次いで、前処理された空気は、可撓性導管22を介して排気口から第1のチャンバ46に吸気される。
【0057】
前処理された空気は、加圧ファン50の中心軸(図示せず)を介して、第1のチャンバ46に入る。加圧ファン50によって発生する遠心力は、前処理された空気が第1のチャンバ46の残りの部分に排出される際に、前処理された空気に正の圧力差を与える。
【0058】
ここで加圧された前処理空気は、加圧導入口60を介して第1のチャンバ46から第3のチャンバ52に移動する。
【0059】
加圧導入口60の位置は、加圧された前処理空気が第3のチャンバ52にその最上部位置において入ることを意味している。第3のチャンバ52の唯一の出口は濾過導入口62のみであり、これは、加圧された処理空気が、第3のチャンバ52に設置された各濾過カートリッジを全て通って流れなければならないことを意味する。
【0060】
各濾過カートリッジの目的が、外部環境に存在し得る1つ又は複数の汚染物質を濾過して除去することであるということに留意されたい。これらの汚染物質は重車両が動作する環境に従って変化し得るが、汚染物質は苛性である可能性がある。前述のように本実施例では、濾過カートリッジは二酸化硫黄(SO)を濾過して除去するように設計されている。これにより、加圧された前処理空気はさらに処理された空気となる。
【0061】
第4のチャンバ64に入ったさらに処理された空気は、フィルタ・ドラム82に誘導される。循環ファン106が処理された空気を自身に向かって吸引し続けると、処理された空気は、開口74を介して第4のチャンバ64を出て行くためにフィルタ・ドラム82を通過しなければならない。
【0062】
開口74を介して第4のチャンバ64から出たさらに処理された空気は、ここで第2のチャンバ48の中で再循環した空気と合流し、混合することが可能になる。再循環した空気は、再循環空気導入口38を介して第2のチャンバ48に入る。再循環した空気とさらに処理された空気との組み合わせを、以下では空気流と記述する。
【0063】
空気流は、循環ファン106を介して、空気導管88に向かって、また空気導管88に沿って引っ張られる。空気流が空気導管88に沿って移動する際、空気流の一部分は、開口102cを介して循環ファン106のそれぞれに向かって吸引される。理想的には、これにより空気流は、複数の循環ファン106に実質的に均一に分配されることになる。
【0064】
循環ファン106に向かって吸引された空気流の一部分は、より全体的に濾過チャンバ94の中に排出される。濾過チャンバ94内に排出された空気は、開口102a、102bのいずれかを介して濾過チャンバ94を出て行くために、再びフィルタ・ドラム116を通過しなければならない。
【0065】
いずれかの開口102a、102bを介して濾過チャンバ94を出た空気は、空調チャンバ96に入る。次いで、空調コア120は、重車両の空調設定(図示せず)によって所望される通り、空調チャンバ96内の空気を加熱又は冷却するように動作する。空調コア120は、次いで空調チャンバ96から排気口122を介して調和空気を排出する。
【0066】
排気口122を介して出た調和空気は、次いで第1の管路及び空調吹出し口を介して目的の密閉領域1に送達される。密閉領域1内の空気は、その後、追加の濾過のために戻り通気口及び第2の管路を介して再循環し、その際は上述のように処理される。
【0067】
前述したように、濾過カートリッジで濾過して除去すべき汚染物質は苛性であり得る。したがって、通常運転中に濾過カートリッジ自体が損傷することがあり、その結果、濾過カートリッジ自体の成分が汚染物質を形成する可能性がある。したがって、フィルタ・ドラム82、116の位置が濾過カートリッジの後であることは、損傷した濾過カートリッジによって放出される粒子をフィルタ・ドラム82、116が濾過して除去することができるので、有利である。
【0068】
なお、濾過カートリッジ(図示せず)及びフィルタ・ドラム82、116のそれぞれは、必要に応じて交換できることに留意されたい。濾過カートリッジの場合、取り外しは、取り外し可能なプレート58を取り外して第3のチャンバ52へのアクセスを得ることで達成される。交換の必要がある濾過カートリッジは、それぞれのレッジ54に沿って摺動させることができる。交換されるか又は完全に取り外された後、濾過カートリッジは、取り外し可能なプレート58を取り付けることによって、所定の場所に再び固定することができる。これは第3のチャンバ52を封止する作用もある。
【0069】
フィルタ・ドラム82、116の場合は、含まれる工程が若干多くなる。交換すべきフィルタ・ドラム82、116に応じて、取り外し可能なプレート68又はカバー110のいずれかを取り外して、切取り面66の円形開口67又は外側面100の切取り部分108のいずれかを露出させる。
【0070】
円形開口67又は切取り部分108のいずれが露出されているかにかかわらず、次いでいずれかのフィルタ・ドラム82、116へのアクセスが可能になり、これによって、このフィルタ・ドラム82、116を軸方向に取り外すことができる。円形開口67又は切取り部分108の該当部分の直径は、フィルタ・ドラム82、116の直径と実質的に等しいので、第1の円形突起72又は第3の円形突起104との軸方向の位置合わせは、取り外し及び挿入の工程を通じて維持される。
【0071】
新しいフィルタ・ドラム82、116が挿入された後、取り外し可能なプレート66又はカバー110は、(a)第2の円形突起78が内部孔84と位置合わせされるか、又は(b)第4の円形突起112が内部孔118と位置合わせされるかのいずれかになるように再設置される。これにより、フィルタ・ドラム82、116が、適宜、第4のチャンバ64又は濾過チャンバ94のいずれかの中に適切に配置されることが保証される。
【0072】
また、上記発明は説明された実施例に限定されないことは、当業者ならば理解できよう。具体的には、本発明の範囲から逸脱することなく以下の修正及び改良を行うことができる。
【0073】
・本発明は車両キャビンの形態の密閉領域1で使用するのに適していると説明したが、本発明は、任意の他の形態の固定機器の一部を形成する密閉領域1での使用、又はその他の形態のハウジングにも同様に適している。さらに、説明された本発明は、重車両用機器と軽車両用機器との両方に使用してもよい。
【0074】
・本発明は、空気の移動を促進する循環ファン106の文脈でも説明したが、本発明の範囲から逸脱することなく、そのような移動を促進するために他のシステムが採用されてもよい。
【0075】
・同様に、本発明は、主にフィルタ・ドラム82、116を使用する文脈で説明したが、他のタイプのフィルタをフィルタ・ドラム82、116の代わりに、又はフィルタ・ドラム82、116と組み合わせて使用してもよい。例えば、シート・フィルタが使用されてよい。
【0076】
・同様に、フィルタ・ドラム82、116は、HEPAフィルタであってもよい。代替配置では、フィルタ・ドラム82、116は、活性炭フィルタ及び/又はULPAフィルタであってもよい。本発明のより単純なバージョンでは、サブミクロン・レベルの汚染物質の除去を考慮する必要がなく、塵が主に懸念される汚染物質である場合、ドラム・フィルタ82、116は、粗いフィルタの形態をとってもよい。
【0077】
・循環ファン106の数及びサイズは、上述したものと異なっていてもよい。
【0078】
・システム10の流れ要件によって必要なフィルタ・ドラム82、116の数が決定され、これは説明された数よりも多くても、又は少なくてもよい。
【0079】
・加圧ファン50は、加圧フィルタなどの他の加圧装置と置き換えてもよい。
【0080】
・加圧ファン50を他の形態の加圧装置と置き換えることにより、加圧装置を通して空気を吸気するためのファン又は同様の装置を含むことが必要になってもよい。或いは、この目的を達成するために既存のファン構造の動力を増強させてもよい。
【0081】
・濾過カートリッジは、二酸化硫黄以外の汚染物質、又は二酸化硫黄及び追加の汚染物質を濾過して除去するように設計されてもよい。例えば、アンモニア、メタン、又はディーゼル微粒子などの汚染物質を濾過して除去するために、追加の濾過カートリッジが設置されてよい。
【0082】
・円形開口66及び/又は切取り部分108は、梃子スロット(図示せず)を含むように修正されてもよい。この場合、梃子スロットは、1つ又は複数のフィルタ・ドラム82、116の取り外しを補助するために使用することができる。これは、第4のチャンバ64又は濾過チャンバ94の中で真空が形成され、これにより適切なフィルタ・ドラム82、116の容易な取り外しが阻害される状況において特に役立つ。
【0083】
・前処理システム12は、第1のハウジング14の外部にある必要はない。軽車両などの他の車両における空気調和及び濾過用システム10の実装では、前処理システム12が第1のハウジング14の分離したチャンバ44を形成できるようにすることができる。
【0084】
さらに、上記の変形例及び修正例は、相互に排他的ではなく、組み合わせて本発明の範囲内に収まる別のさらなる実施例を形成できることは、当業者ならば理解するであろう。
図1-3】
図4
図5
図6
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図8
【国際調査報告】