(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-06
(54)【発明の名称】スプレーガンの為のセンサーキット
(51)【国際特許分類】
B05B 12/00 20180101AFI20230130BHJP
B05B 13/02 20060101ALI20230130BHJP
【FI】
B05B12/00
B05B13/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022533143
(86)(22)【出願日】2020-12-04
(85)【翻訳文提出日】2022-07-05
(86)【国際出願番号】 NL2020050761
(87)【国際公開番号】W WO2021112680
(87)【国際公開日】2021-06-10
(32)【優先日】2019-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】522218493
【氏名又は名称】プロクスコントロール アイピー ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100085545
【氏名又は名称】松井 光夫
(74)【代理人】
【識別番号】100118599
【氏名又は名称】村上 博司
(72)【発明者】
【氏名】セルイス,レミ ミシェル
(72)【発明者】
【氏名】ニューウェンブルク,ロニー ヤコブス サミュエル
(72)【発明者】
【氏名】ケイ,ロブ
【テーマコード(参考)】
4F035
【Fターム(参考)】
4F035AA03
4F035BB05
4F035BB06
4F035BB07
4F035BB12
4F035CD19
(57)【要約】
スプレーガンで使用されるセンサーキットが提供される。該センサーキットは、スプレーガンが使用されている間に関連データを取得し、そして、ユーザがスプレーの方法をリアルタイムで調整できるようにするように、スプレー作業の特定のパラメータにおけるスプレーガンの該ユーザにフィードバックを提供しうる。その上、該フィードバックは、特定のコーティングに関連する事前に決定されたデータを使用して、様々なタイプのコーティングの為に調整されうる。さらに加えて、スプレー中に得られたデータが遠隔サーバに送信されることができ、ここで、特定のタイプのコーティングを使用する複数のスプレー作業のデータが収集されることができる。噴霧中に得られたデータを使用して、施与されたコーティングがどのように見えるか、及び/又は該コーティングが施与されている表面がどのように見えたかを再構築することが可能でありうる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面にコーティングを施与するように構成されたスプレーガンの為のセンサーキットであって、
該センサーキットを該スプレーガンに接続するように構成された接続モジュールを備えているハウジングと、
該ハウジング内に設けられたセンサーモジュールであって、スプレー作業パラメータ値を得るように構成された該センサモジュールと、
処理装置と
を備えており、
該処理装置は、
1以上の参照パラメータ値を受信するように構成された入力モジュールと、
該得られたスプレー作業パラメータ値のうちの少なくとも一部を対応する1以上の参照パラメータ値と比較するように構成され且つ該比較の結果に基づいて比較データ信号を生成するように構成された比較モジュールと
を備えており、
ここで、該センサーキットが、該比較データ信号のうちの少なくとも一部に基づいてユーザフィードバック信号を生成するように構成されたユーザフィードバックモジュールをさらに備えている
該センサーキット。
【請求項2】
前記センサーモジュールが、該スプレーガンと該コーティングが施与されるべき該表面との間の距離を示す距離データを得るように構成された近接センサーを備えている、請求項1に記載のセンサーキット。
【請求項3】
前記近接センサーが、放射される光信号を放射するように構成された光送信機と、該放射された光信号の反射として反射された光信号を受信する為の光受信機とを備えており、該近接センサーが、該放射された光信号と該反射された光信号との関係に基づいて該近接センサーと該表面との間のスプレー距離を判定するように構成された近接プロセッサをさらに備えている、請求項2に記載のセンサーキット。
【請求項4】
該放射された光信号が、800nm~1200nm、より特には900nm~1000nm、の波長スペクトルを有する、請求項3に記載のセンサーキット。
【請求項5】
該スプレー距離が、該放射された光信号の放射と該反射された光信号の該受信との間の時間周期に基づく、請求項3又は4に記載のセンサーキット。
【請求項6】
該センサーモジュールが、該スプレーガンの配向を示す配向データを得る為の配向センサーを備えている、請求項1~5のいずれか1項に記載のセンサーキット。
【請求項7】
該配向センサーが、基準面に対する該配向センサーの少なくとも1つの角度を判定するように構成されている、請求項6に記載のセンサーキット
【請求項8】
該センサーモジュールが、該スプレーガンの動きを示す動きデータを得る為の動きセンサーを備えている、請求項1~7のいずれか1項に記載のセンサーキット。
【請求項9】
該入力モジュールが、ユーザ識別データを受信するようにさらに構成されている、請求項1~8のいずれか1項に記載のセンサーキット。
【請求項10】
電気エネルギーを貯蔵し且つ該センサーモジュールに電気エネルギーを提供する為のバッテリー、及び、該バッテリーを充電する為の無線充電モジュールをさらに備えており、該バッテリー及び該無線充電モジュールが、該ハウジング内にいずれも設けられている、請求項1~9のいずれか1項に記載のセンサーキット。
【請求項11】
該処理装置が、該ハウジング内に設けられている、請求項1~10のいずれか1項に記載のセンサーキット。
【請求項12】
該ユーザフィードバックモジュールが、該ハウジング内に設けられている、請求項1~11のいずれか1項に記載のセンサーキット。
【請求項13】
該ユーザフィードバックモジュールは、
該フィードバック信号に基づく音声信号を提供する為のスピーカモジュール、
該フィードバック信号に基づく視覚信号を提供する為の光学モジュール、及び
該フィードバック信号に基づく触覚信号を提供する為の触覚モジュールのうちの少なくとも1つを備えている、請求項1~12のいずれか1項に記載のセンサーキット。
【請求項14】
センサデータ処理装置であって、
請求項1~13のいずれか1項に記載のセンサーキットと、
データ処理デバイスと
を備えており、
該データ処理デバイスが、
スプレーガンによりスプレーされるように構成されたコーティング材料を識別するコート識別子を受信するように構成された電子入力部と、
電子メモリにおいて該コート識別子を使用して該コート識別子に対応する参照パラメータ値を検索するように構成された電子照会モジュールと、
該検索された参照パラメータ値を読み出すように構成された電子メモリ通信モジュールと、
該読み出された参照パラメータ値を送信するように構成された電子データ通信モジュールと
を備えており、
ここで、該センサーキットの該入力モジュールは、該データ処理デバイスからの該送信された参照パラメータ値を受信するように構成されており、且つ該比較モジュールが、比較データを生成する為に受信参照パラメータ値を使用するように構成されている
前記センサデータ処理装置。
【請求項15】
該電子入力部が、ユーザ識別子を受信するようにさらに構成されており、
該センサーキットが、スプレー作業パラメータ値を送信するように構成されたセンサーキット通信モジュールを備えており、及び
該電子データ通信モジュールが、該送信されたスプレー作業パラメータ値を受信するように構成されており、
ここで、該センサデータ処理装置は、該受信されたスプレー作業パラメータ値と、センサーキット識別子と、該ユーザ識別子とをデータ処理サーバに送信するように構成された外部通信モジュールとをさらに備えている、
請求項14に記載のセンサデータ処理装置。
【請求項16】
表面にコーティングを施与するように構成されたスプレーガンであって、
スプレーガンハウジングと、
コーティング物質を受け入れる為の入力部と、
該コーティング物質を出力する為のノズルと、
請求項1~13のいずれか1項に記載のセンサーキットと
を備えており、
ここで、該センサーキットの該ハウジングは、該接続モジュールを介して該スプレーガンハウジングに接続されている、
前記スプレーガン。
【請求項17】
スプレーガン、特に請求項16に記載のスプレーガン、の為のセンサーキットにおいて、フィードバック信号を生成する為の方法であって、
入力モジュールにより、参照パラメータ値を受信すること、並びに、該スプレーガンが使用されている間に、
センサーモジュールにより、スプレー作業パラメータ値を得ること、
比較モジュールにより、該得られたスプレー作業パラメータ値のうちの少なくとも一部を該受信された参照パラメータ値のうちの少なくとも一部と比較すること、
該比較モジュールによって決定された比較データ信号をフィードバックモジュールに出力すること、及び、
該フィードバックモジュールにより、該比較データ信号を受信し且つ該比較データ信号のうちの少なくとも一部に基づいてフィードバック信号を生成すること
を含む、前記方法。
【請求項18】
該入力モジュールにより、ユーザ識別データを受信すること、及び、
該出力モジュールにより、該得られたスプレー作業パラメータ値のうちの少なくとも一部をサーバシステムに出力し、且つ該ユーザ識別データのうちの少なくとも一部を該サーバシステムに出力すること
をさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
スプレーガンの為のセンサーキット、特に請求項1~13のいずれか1項に記載のセンサーキット、と通信する為のサーバシステムにおいて、コーティングデータを再構成する方法であって、
スプレー作業パラメータ値を該センサーキットから受信することを含み、
該スプレー作業パラメータ値が、
該スプレーガンとコーティングが施与されている表面との間の距離を示すところの、第1の時間周期にわたる距離データと、
該コーティングの該施与中の該スプレーガンの配向を示すところの、該第1の時間周期にわたる配向データと、
該コーティングの該施与中の該スプレーガンの動きを示すところの、該第1の時間周期にわたる動きデータと
を含み、
該方法が、該距離データ、該配向データ、及び該動きデータのうちの少なくとも一部に基づいてコーティングデータを再構成することをさらに含む、
前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スプレーガン(spray gun)の為のセンサーキットに関する。
【背景技術】
【0002】
スプレー塗装(Spray painting)は、空気を介して表面上にコーティングをスプレーする為にスプレーガンを使用する技法である。該コーティングは、塗料、インク、ワニス、クリアコート、又は任意の他のタイプのコーティングでありうる。スプレーガンは、オペレータによって手に保持され、及び、該スプレーガンは、均一な層厚さを有する薄いコーティングを施与する為に有意な技能を必要としうる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
均一な層厚さを有する薄いコーティングを施与する為に、あまり技能を必要とする場合がないスプレーガンを提供することが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1の観点は、表面にコーティングを施与するように構成されたスプレーガンの為のセンサーキットであって、該センサーキットは、該センサーキットを該スプレーガンに接続するように構成された接続モジュールを備えているハウジングと、該ハウジング内に設けられたセンサーモジュールであって、スプレー作業パラメータ値を得るように構成された該センサーモジュールと、処理装置とを備えており、該処理装置は、1以上の参照パラメータ値を受信するように構成された入力モジュールと、該得られたスプレー作業パラメータ値のうちの少なくとも一部を対応する1以上の参照パラメータ値と比較するように構成され且つ該比較の結果に基づいて比較データ信号を生成するように構成された比較モジュールとを備えており、ここで、該センサーキットが、該比較データ信号のうちの少なくとも一部に基づいてユーザフィードバック信号を生成するように構成されたユーザフィードバックモジュールをさらに備えている、上記のセンサーキットを提供する。
【0005】
従って、該第1の観点に従う該センサーキットによれば、フィードバックが、スプレーガンのユーザに提供されうる。このフィードバックにより、該ユーザは、例えば、全般により均一な層厚さ及び/又はより良好なコーティング品質を有するコーティングを施与する為に、該スプレーガンを取り扱うユーザの方法を調整しうる。
【0006】
該センサーモジュールは、該スプレーガンと該コーティングが施与されるべき該表面との間の距離を示す距離データを得るように構成された近接センサーを備えうる。該スプレーガンと該コーティングが施与されるべき該表面との間の該距離は、例えば該表面上の該コーティングの該品質及び/又は該コーティング層の該厚さに影響を及ぼす因子でありうる。
【0007】
実施態様において、該近接センサーは、放射される光信号を放射するように構成された光送信機と、該放射された光信号の反射として反射された光信号を受信する為の光受信機とを備えていてもよく、該近接センサーが、該放射された光信号と該反射された光信号との関係に基づいて該近接センサーと該表面との間のスプレー距離を判定するように構成された近接プロセッサをさらに備えている。
【0008】
該放射された光信号が、800nm~1200nm、より特には900nm~1000nm、の波長スペクトルを有しうる。実施態様において、該波長スペクトルは、該光信号がエアロゾルコーティング物質の霧を通過しうるように選択されうる。
【0009】
該スプレー距離が、該放射された光信号の放射と該反射された光信号の該受信との間の時間周期に基づきうる。
【0010】
複数の実施態様において、該センサーモジュールが、該スプレーガンの配向を示す配向データを得る為の配向センサーを備えうる。該スプレーガンの該配向は、例えば該表面上の該コーティングの品質及び/又は該コーティング層の厚さに影響を及ぼす因子でありうる。
【0011】
該配向センサーが、基準面に対する該配向センサーの少なくとも1つの角度を判定するように構成されうる。該基準面は、例えば水平面、垂直面、又は該コーティングが施与されている若しくは施与されるべき該表面に対応する面、でありうる。
【0012】
さらなる実施態様において、該センサーモジュールが、該スプレーガンの動き(movement)を示す動きデータを得る為の動きセンサー(movement sensor)を備えうる。該スプレーガンの動きは、例えば該表面上の該コーティングの品質及び/又は該コーティング層の厚さに影響を及ぼす因子でありうる。
【0013】
該入力モジュールが、ユーザ識別データを受信するようにさらに構成されうる。従って、一つの例として、該センサーキットは、特定のユーザの好みに適合されうる。
【0014】
該センサーキットが、電気エネルギーを貯蔵し且つ該センサーモジュールに電気エネルギーを提供する為のバッテリー、及び、該バッテリーを充電する為の無線充電モジュールを備えていてもよく、ここで、該バッテリー及び該無線充電モジュールが、該ハウジング内にいずれも設けられている。実施態様において、該ハウジングは、実質的に密閉され、従って、コーティング、ガス、流体、及び/又は他の粒子は、実質的に該ハウジングに入ることができない。
【0015】
複数の実施態様において、該センサーキットによって備えられている該構成要素のいずれかは、該ハウジング内に又は該ハウジングの外部に設けられうる。一つの構成要素が該ハウジングの外部に設けられる場合、該構成要素は、追加のデバイス、例えばコンピュータデバイス、スマートフォン、タブレットコンピュータ、又は任意の他のデバイス、によって備えられうる。例えば、該処理装置が、該ハウジング内に設けられうる。別の例において、該ユーザフィードバックモジュールが、該ハウジング内に設けられている。
【0016】
該ユーザフィードバックモジュールが、該フィードバック信号に基づく音声信号を提供する為のスピーカモジュール、該フィードバック信号に基づく視覚信号を提供する為の光学モジュール、及び該フィードバック信号に基づく触覚信号を提供する為の触覚モジュールのうちの少なくとも1つを備えうる。
【0017】
第2の観点は、センサデータ処理装置であって、前述の該実施態様のいずれかに従うセンサーキットと、データ処理デバイスとを備えており、該データ処理デバイスは、スプレーガンによりスプレーされるように構成されたコーティング材料を識別するコート識別子を受信するように構成された電子入力部と、電子メモリにおいて該コート識別子を使用して該コート識別子に対応する参照パラメータ値を検索するように構成された電子照会モジュールと、該検索された参照パラメータ値を読み出すように構成された電子メモリ通信モジュールと、該読み出された参照パラメータ値を送信するように構成された電子データ通信モジュールとを備えており、ここで、該センサーキットの該入力モジュールは、該データ処理デバイスからの該送信された参照パラメータ値を受信するように構成されている、上記センサデータ処理装置を提供する。
【0018】
各コーティングは、粘性、溶媒容量、それ故に施与されたコーティングの乾燥時間、層厚さへの色見えの依存性(colour appearance dependency)、他の特性、又はそれらの任意の組み合わせに関して様々な特性を有しうる。それ故に、様々なコーティング物質は、該スプレー作業パラメータ(spray job parameter)が最良の結果の為にその範囲内に保たれるべき様々なスプレー作業パラメータ値境界(spray job parameter value boundaries)を必要としうる。
【0019】
該境界は、可変であり得且つ幾つかのスプレー作業パラメータに依存しうることが留意され、例えば、周囲温度が特定のレベルにある場合、該温度を変化させることは困難でありうる。第2に、より高い温度において、該コーティングは、より低い温度におけるよりも粘性が低くなりうる。これは、より高い温度においては、該スプレーガンと該コーティングを施与する基板との間の距離は、該コーティングがより粘性である場合、より低い周囲温度におけるよりも大きく又は小さくなりうることを意味する。他のスプレー作業パラメータ基準境界は、他のスプレー作業パラメータに依存しうる。
【0020】
複数の実施態様において、該電子入力部が、ユーザ識別子を受信するようにさらに構成されていてもよく、該センサーキットが、スプレー作業パラメータ値を送信するように構成されたセンサーキット通信モジュールを備えていてもよく、及び、該電子データ通信モジュールが、該送信されたスプレー作業パラメータ値を受信するように構成されており、ここで、該センサデータ処理装置は、該受信されたスプレー作業パラメータ値と、センサーキット識別子と、該ユーザ識別子とをデータ処理サーバに送信するように構成された外部通信モジュールとをさらに備えうる。
【0021】
収集された該データは、特定のユーザ識別子に結び付けられ、且つ、該コーティングの厚さ、該コーティングの滑らかさ、該コーティングの別のパラメータ、又はそれらの任意の組み合わせに関して、最終的に施与されたコーティングのパラメータに課せられうる。さらに、非常に優れたスプレー技能を有することが既知であるユーザのデータは、スプレー作業パラメータ境界を更新する為に使用されてもよく、該更新された境界は、経験の乏しいオペレータを訓練する為に、センサーキットに提供されうる。
【0022】
第3の観点は、表面にコーティングを施与するように構成されたスプレーガンであって、該スプレーガンは、スプレーガンハウジングと、コーティング物質を受け入れる為の入力部と、該コーティング物質を出力する為のノズルと、該第1の観点に従うセンサーキットとを備えており、ここで、該センサーキットの該ハウジングは、該接続モジュールを介して該スプレーガンハウジングに接続されている、上記のスプレーガンを提供する。
【0023】
第4の観点は、スプレーガンの為のセンサーキットにおいて、フィードバック信号を生成する為の方法であって、入力モジュールにより、参照パラメータ値を受信すること、並びに、該スプレーガンが使用されている間に、センサーモジュールにより、スプレー作業パラメータ値を得ること、比較モジュールにより、該得られたスプレー作業パラメータ値のうちの少なくとも一部を該受信された参照パラメータ値のうちの少なくとも一部と比較すること、出力モジュールにより、該比較モジュールによって決定された比較データ信号をフィードバックモジュールに出力すること、及び、該フィードバックモジュールにより、該比較データ信号を受信し且つ該比較データ信号のうちの少なくとも一部に基づいてフィードバック信号を生成することを含む、上記の方法を提供する。
【0024】
実施態様において、該第4の観点に従う該方法は、該入力モジュールにより、ユーザ識別データを受信すること、及び、該出力モジュールにより、該得られたスプレー作業パラメータ値のうちの少なくとも一部をサーバシステムに出力し且つ該ユーザ識別データのうちの少なくとも一部を該サーバシステムに出力することをさらに含みうる。
【0025】
第5の観点は、スプレーガンの為のセンサーキットと通信する為のサーバシステムにおいて、コーティングデータを再構成する方法であって、スプレー作業パラメータ値のうちの少なくとも1つを該センサーキットから受信することを含み、該スプレー作業パラメータ値が、該スプレーガンとコーティングが施与されている表面との間の距離を示すところの、第1の時間周期にわたる距離データと、該コーティングの該施与中の該スプレーガンの配向を示すところの、該第1の時間周期にわたる配向データと、該コーティングの該施与中の該スプレーガンの動きを示すところの、該第1の時間周期にわたる動きデータとを含み、該方法が、該距離データ、該配向データ、及び該動きデータのうちの少なくとも一部に基づいてコーティングデータを再構成することをさらに含む、上記方法を提供する。
【0026】
該第5の観点に従う該方法によれば、該施与されるコーティングの層が該コーティングされる表面の特定の部分上でどのように見えるかを再構成することが可能でありうる。これは、該特定のスプレー作業の証拠として使用されうる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1は、センサーキット、スプレーガン、及び表面の一つの実施態様の図式的概観を示す。
【
図2】
図2は、スプレーガンの為のセンサーキットにおいてフィードバック信号を生成する為の方法の流れ図を示す。
【
図3】コーティングデータを再構成する為の方法の流れ図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、ハウジングとしてセンサーキット本体102を備えているセンサーキット100の一つの実施態様の図式的概観を示す。該センサーキット本体102は、接続モジュールとしてスプレーガンコネクタ104を備えている。スプレーガン200が、該コネクタ104を介して該本体102に接続されている。該スプレーガン200は、スプレーガンハウジング201を備えている。該スプレーガン200は、例えば高容積低圧(HVLP:High Volume Low Pressure)スプレーガンでありうる。
【0029】
該センサーキット本体102は、
図1において矩形として概略的に示されているが、異なる実施態様においては、該本体102は、異なる形状を有しうる。例えば、該本体102は、該本体102が接続されるように構成されている該スプレーガンハウジング201の形状の周りに成形されることができる。該本体102の該形状、及び/又は該センサーキット100の重心はまた、スプレーガン200に取り付けられたときに該スプレーガン200の該重心が所望の範囲内に保たれるように、適合されうる。従って、該スプレーガン200の取扱いは、該センサーキット100を接続することによって最小限に影響されうる。
【0030】
該スプレーガン200は、表面としての車体部204上にコーティングとしての塗料の層202を施与する為に使用されうる。該スプレーガン200は、エアロゾル塗料208の霧が吐出されることができるノズル206、及び、コーティング物質として該塗料を受け入れる為の入力部を備えている。該スプレーガン200は、該スプレーガン200からのある一定の速度での塗料208の吐出を制御する為にユーザが操作することができるトリガを備えている、ハンドヘルドスプレーガン200でありうる。
【0031】
該トリガは、塗料又は別のコーティング流体を該ノズルへ導く導管のスループット面積を制御しうる。代替的には又は追加的には、該トリガ-又は別のトリガ若しくは制御ノブ、は、スループットオリフィス、例えば該ノズル206又は別のオリフィス、内の制御ニードルの位置を制御しうる。一つの実施態様において、制御ニードルが、コーティング流体の流れを精密に制御する為に使用されてもよく、トリガが、該ノズルの「オン」状態と「オフ」状態とを切り替える為に使用されうる。該精密制御機構に加えて、該コーティング流体の流れはまた、該コーティング流体がそれを受けて提供される、変動する圧力によって制御されうる。該精密制御設定、該コーティング流体圧力、及び該トリガ状態のうちの1以上は、任意的なスプレー作業パラメータと見なされうる。
【0032】
該ユーザは、該スプレーガン200を所望に応じて移動及び再配向させることができ、従って、該スプレーガン200をある一定の速度及び加速度で該車体部204からさらに離れさせるか又は該車体部204により接近させることができる。該ユーザは、該スプレーガン200を所望に応じてさらに配向させることができ、従って、塗料が様々な接近角度から施与されることができるように、該車体部204に対する該ノズル206の該配向を変えることができる。
【0033】
該センサーキット本体102内には、該センサーモジュールによって備えられた近接センサーとして飛行時間センサー106が設けられている。該飛行時間センサー106は、該センサー106と該車体部204及び/又は該塗料の層202との間の距離dに関するスプレー作業パラメータ値として距離データを得るように構成されている。従って、該センサーキット100が該スプレーガン200に接続されているときには該ノズル206も該車体部204及び/又は該塗料の層202に面するので、該飛行時間センサー106は好ましくは、該ノズル206と同じ方向に面する。
【0034】
該近接センサーとしての該飛行時間センサー106は、放射される光信号としてレーザビームを放射するように構成された光送信機として、レーザ又はLEDを備えうる。該飛行時間センサー106は、該レーザビームの反射として反射された光信号を受信する為の光受信機をさらに備えうる。近接プロセッサが、該放射されたレーザビームと該反射されたレーザビームとの間の関係に基づいて該飛行時間センサー106と該表面204との間のスプレー距離を判定する為に使用されうる。
【0035】
該放射される光信号は、近赤外波長スペクトル、例えば800~1200nm、より特には900~1000nm、最も好ましくは940nm、を有しうる。そのような波の電磁放射は、可視ではない。そのような波は、ヒトの眼には不透明に見えうるが900~1000nmの間、及び特に940nmの電磁放射にとっては透明である物質を伝わって移動しうる。
【0036】
該センサーキット本体102は、非透光性材料を備えていてもよく、従って、該飛行時間センサー106によって放射された光は、該センサーキット本体102によって邪魔されうる。
図1の該実施態様において、該センサーキット本体102は、該飛行時間センサー106によって放射され且つ該飛行時間センサー106に反射された光が通過することができる少なくとも部分的に透過性の視界窓108を、一つの選択肢として備えている。代替的には、光が通過するべき該センサーキット本体102の少なくとも一部は、例えば赤外スペクトル内の波長でありうる該飛行時間センサー106によって使用される光の波長に対して、少なくとも部分的に透過性である材料で作られうる。
【0037】
図1の該実施態様において、該センサーキット100は、処理装置としてマイクロコントローラ110を備えている。該マイクロコントローラ110は、1以上の参照パラメータ値を受信するように構成された、入力モジュールとしてのデータ入力部112を備えている。該受信された参照パラメータ値は、メモリ114に記憶されうる。距離データが、該飛行時間センサー106により該マイクロコントローラ110の該データ入力部112に送信され、且つ任意的に該メモリ114に記憶されうる。
【0038】
該マイクロコントローラ110は、該センサーキット100の該実施態様において、該センサーキット本体102の内側に設けられている。別のマイクロコントローラが該処理装置の一部として該センサーキット本体102の外側に設けられている該センサーキット100の実施態様も想定されている。この他のマイクロコントローラは、例えば、1以上の外部コンピュータデバイス、例えばサーバ、スマートフォン、タブレット、任意の他のコンピュータデバイス、又はそれらの任意の組み合わせによって備えられうる。
【0039】
該処理装置の少なくとも一部が該センサーキット本体102の外側に設けられている場合、データの交換が可能とされるように、該センサーモジュールと該マイクロコントローラ110との間に有線の又は無線の接続が提供されうる。無線接続が使用される場合、例えばNFC、ブルートゥース、Wi-Fi、又は任意の他のプロトコルが、データの交換の為に使用されることができる。
【0040】
処理装置としての該マイクロコントローラ110は、該得られたスプレー作業パラメータ値のうちの少なくとも一部を対応する1以上の参照パラメータ値と比較するように構成された比較モジュール116をさらに備えている。従って、該比較モジュール116は、該スプレー作業パラメータ値のうちの少なくとも一部及び該参照パラメータ値のうちの少なくとも一部を例えば該データ入力部112から受信し、及び/又は、該スプレー作業パラメータ値のうちの少なくとも一部及び該参照パラメータ値のうちの少なくとも一部を該メモリ114から読み出すように構成されうる。
【0041】
該比較モジュール116は、該比較の結果に基づいて比較データ信号を生成するようにさらに構成されている。該比較データ信号は、出力モジュール118によって受信されてもよく、該出力モジュール118は、該比較データ信号を該センサーキット100の他の構成要素に送信するように構成され且つその為に使用されうる。実施態様において、該出力モジュール118は、該処理装置、該比較モジュール、該センサーモジュールによって、又は一般に該センサーキット100によって備えられうる。
【0042】
該データ入力部112は、特定のユーザ又はユーザの群を示しうるユーザ識別データを受信するように構成されうる。例えば、ユーザ識別データは、雇用者データ、名前、及び/又はユーザの群のうちの特定のユーザがそこから識別されうる、任意の他のデータを含みうる。該ユーザ識別データは、該メモリ114に記憶されうる。ユーザ識別データが該メモリ114に記憶されている場合、特定のセンサーキット100は、特定のユーザに結び付けられうる。
【0043】
該スプレーガン200を使用しているユーザに該センサーキット100を用いてフィードバックを提供する為に、ユーザフィードバックモジュールとしてのフィードバックコントローラ120が、該センサーキット100によって備えられている。該フィードバックコントローラ120は、該比較データ信号のうちの少なくとも一部に基づいてユーザフィードバック信号を生成するように構成されている。該フィードバックコントローラ120は、該データ出力部118から該比較データ信号のうちの少なくとも一部を受信し及び/又は該メモリ114から該比較データ信号のうちの少なくとも一部を読み出すようにさらに構成されうる。
【0044】
図1の実施態様において、該フィードバックコントローラ120は、該センサーキット本体102の内側に設けられている。該フィードバックコントローラ120の少なくとも一部が該センサーキット本体102の外側に設けられている実施態様も想定されている。そのような実施態様において、該生成されたフィードバック信号の少なくとも一部は、有線の又は無線の接続を介して、外部のフィードバックデバイス、例えばスピーカ、ディスプレイ、又はライト、に送信されうる。
【0045】
該フィードバックコントローラ120は、
図1の該実施態様において、該フィードバック信号に基づく視覚信号を提供するように構成されたディスプレイ122を備えている。該ディスプレイ122は、該センサーキット本体102内に設置されているものとして示されている。実施態様において、該ディスプレイ122はまた、異なる位置に設置されていてもよく、該ディスプレイ122は、例えばスマートフォン、タブレット、ヘッドアップディスプレイ(HUD:head-up display)、スマートウォッチ、スマートグラスのディスプレイ、又は任意の他のディスプレイでありうる。
【0046】
該スプレーガン200の配向を示す配向データを得る為に、該センサーキット100の実施態様は、絶対的な又は相対的な配向センサー130でありうる配向センサー130を備えうる。該配向センサー130は、磁力計、加速度計、コンパス、ジャイロスコープ、任意の他のセンサー、又はそれらの任意の組み合わせを備えうる。
【0047】
該配向データは、該スプレーガン200のロール(roll)、ヨー(yaw)、及びピッチ(pitch)を示すデータを含みうる。該ハウジング本体102は好ましくは該スプレーガン200に堅固に接続されているので、該配向センサー130の該ロール、ヨー、及びピッチは、該スプレーガン200の該ロール、ヨー、及びピッチに実質的に対応しうるか、又は、少なくとも該スプレーガン200の該ロール、ヨー、及びピッチに変換されうる。該配向センサー130の任意の出力パラメータ又は複数のパラメータは、任意的なスプレー作業パラメータと見なされうる。
【0048】
さらに、又は代替的には、該配向センサー130は、基準面に対する該配向センサーの少なくとも1つの角度を判定するように構成されている。該基準面は、例えば水平面、垂直面、又は該コーティング202が施与されるべき該表面204を表す面、でありうる。
【0049】
該スプレーガン200の動きを示す動きデータを得る為に、該センサーキット100の実施態様は、動きセンサーの一つの例として、加速度計132を備えうる。
【0050】
該動きデータは、1以上の方向における該スプレーガン200の速度及び/又は加速度を示すデータを含みうる。該ハウジング本体102は好ましくは該スプレーガン200に堅固に接続されているので、該動きセンサー132の該速度及び/又は加速度は、該スプレーガン200の該速度及び/又は加速度に実質的に対応しうるか、又は、少なくとも該スプレーガン200の該速度及び/又は加速度に変換されうる。スカラー又はベクトルのいずれかとして、該速度及び加速度のうちの1以上は、任意的なスプレー作業パラメータとして見なされうる。
【0051】
一つの選択肢として、
図1に示されているような該センサーキット100の該実施態様は、該フィードバック信号に基づく音声信号を提供する為のスピーカとして、スピーカ126を備えている。該フィードバック信号に応じて、該音声信号は、例えば、特定のタイプのフィードバックを該ユーザに示す為に、異なる音量及び/又は周波数を有しうる。
【0052】
さらなる選択肢として、
図1に示されているような該センサーキット100の該実施態様は、該フィードバック信号に基づく触覚信号としての振動を提供する為の触覚モジュールとして、振動ユニット128を備えている。該振動は、接続部104を介して、該スプレーガン200の該ユーザによって保持されうる該スプレーガン本体201に伝達されうる。従って、該ユーザは、該スプレーガン200を保持しているときに該振動を感じうる。
【0053】
なおもさらなる選択肢として、スプレー塗装されるべき該表面204の温度を示す温度データを得る為の温度センサを該センサーモジュールが備えている、該センサーキット100の実施態様が想定されている。そのような実施態様において、該参照パラメータ値(reference parameter values)は、該表面204が有するべき最低温度を含みうる。該表面204の該温度が該最低温度よりも低いことを示す比較データ信号を該比較モジュールが提供する場合、該ユーザフィードバックモジュールは、該表面204の該温度が過度に低いことを該ユーザに示しうる。
【0054】
電気エネルギーを必要とする該センサーキット100の構成要素に給電する為に、該センサーキット100は、電気エネルギーが貯蔵されうるバッテリー134を備えうる。特定の実施態様において、該センサーキットハウジング102は、例えば流体が該ハウジングに入るのを防ぐ為に、及び/又は電気的構成要素が塗料フュームに曝されるのを防ぐ為に、実質的に密閉されている。実質的に密閉されていることにより、該バッテリー134を充電する為に有線接続を使用すること、及び/又は使い切ったバッテリーを容易に交換することは、不可能でありうる。
【0055】
該バッテリー134を充電する為の無線充電モジュールとしてのコイル136が、該センサーキット100によって備えられてもよく、且つ、該バッテリー134と一緒に該センサーキットハウジング102の内側に設置されうる。例えば誘導充電を使用することにより、電気エネルギーは、該コイル136を介して該バッテリー134に供給されうる。この電気エネルギーの伝達は無線であるので、該ハウジング102内にコネクタが設置される必要がなく、且つ、エアロゾル内に可燃性のコーティング物質を含みうる周囲空気に電気的構成要素が曝される必要がない。
【0056】
スプレーガンの為のセンサーキットにおいてフィードバック信号を生成する為の方法300の一つの実施態様が、
図2に概略的に示されており、且つ、
図1に示されているような該センサーキット100と併せて詳述される。該方法300はまた該センサーキット100の他の実施態様と併せて適用されうること、及び、
図1の該センサーキット100は該方法300の他の実施態様と併せて使用されうることが、理解されるであろう。
【0057】
該方法300は、ターミネータ301から始まる。該方法における第2の工程302は、例えば該データ入力部112により、参照パラメータ値を受信することを含む。該参照パラメータ値のうちの少なくとも一部は、外部ソース、例えばサーバ210、から受信されうる。該サーバ210は、参照パラメータ値を含むデータベースが記憶されているメモリを備えているか、又は少なくともメモリへのアクセスを有しうる。さらなる実施態様において、該参照パラメータ値のうちの少なくとも一部は、該センサーキット100の該メモリ114上に既に存在しうる。
【0058】
該参照パラメータ値は、コーティングタイプ及び対応する好ましいスプレーパラメータのセットを含みうる。スプレーパラメータは、コーティングのタイプに特有のものでありうる。例えば、特定の第1のコーティングタイプに対して、該ノズル206と該表面204との間の好ましいスプレー距離が、第1の距離間隔(distance interval)内にある。好ましいスプレーパラメータは、オペレータが該サーバ210により特定のコーティングを選択するのに応じて、該センサーキットに提供されうる。
【0059】
該参照パラメータ値は、複数の例において、該スプレーガン200の最低速度及び/若しくは最大速度、配向、並びに/又は加速度に関するデータ、最低若しくは最高の動き温度及び/又は圧力に関するデータ、コーティング流体の最小若しくは最大の流量に関するデータ、並びに/又はスプレー作業に関連しうる任意の他のデータ、或いはそれらの任意の組み合わせを含みうる。
【0060】
第3の工程303において、該センサーモジュールによって備えられている少なくとも1つのセンサー、例えば該飛行時間センサー106、を使用して、スプレー作業パラメータ値が得られる。該第3の工程303は、該センサーキット100が初期化された後で、又は実際のスプレー作業が開始されたときに、始まりうる。該スプレー作業パラメータ値は、所定の時間にわたって、又は該スプレー作業が完了されたか若しくは一時的に中止されていることが判定されるまで、毎秒一定量のデータ点において得られうる。
【0061】
該第3の工程303と同時に行われうる第4の工程304において、例えば比較モジュール116を使用して、該スプレー作業パラメータ値のうちの少なくとも一部が、該受信された参照パラメータ値のうちの少なくとも一部と比較される。
【0062】
該第3の工程303及び該第4の工程304のいずれかと同時に行われうる第5の工程305において、該比較データ信号は、例えば該データ出力部118により、該ユーザフィードバックモジュールとしての該フィードバックコントローラ120に出力される。これは、該フィードバックコントローラ120が該比較データ信号又はその少なくとも一部に基づいて機能することを可能にする。
【0063】
該第3の工程303、該第4の工程304、及び該第5の工程305のいずれかと同時に行われうる第6のステップ306において、該比較データ信号は、該フィードバックコントローラ120によって受信され、該比較データ信号のうちの少なくとも一部に基づいてフィードバック信号が生成される。
【0064】
該方法300は、例えば該スプレー作業が完了されたときに、ターミネータ307において終了する。該スプレーガン200が使用されている間、該第2、第3、第4、第5、及び第6の工程のいずれかは、該スプレーガン200の該オペレータが該フィードバックに反応することができるように、任意的に、同時に、平行に、及び/又は段階的に、好ましくはリアルタイムで若しくは少なくとも実質的にリアルタイムで、繰り返されうる。
【0065】
一つの例として、該スプレーガン200を使用しているユーザに該センサーキット100と該表面204との間の該距離dに関してフィードバックを提供する為に該センサーキット100が使用される該方法300が論じられる。
【0066】
該方法300は、該ユーザが該センサーキット100を該スプレーガン200に接続することによって初期化される。例えば、該スプレーガン200は、該センサーキット100のスイッチを入れる為に該センサーキット100によって備えられている磁気スイッチを操作するように構成された磁石が設けられうる。
【0067】
次に、該ユーザは、該スプレーガン200によってスプレーされるべき該コーティングのタイプを、例えば該サーバ210とのユーザインタラクションを可能にするように構成されたグラフィカルユーザインターフェースを介してこのタイプを選択することにより、選択する。代替的には、該サーバ210は、ユーザがコーティングのタイプを選択することを可能にする、スマートフォン、タブレット、パーソナルコンピュータデバイス、又は任意の他のデバイス上のアプリケーションとして具現化されうる。複数の実施態様において、バーコードスキャナが、該コーティングのタイプを示すデータを得る為に、コーティング物質の容器上のバーコードを走査する為に設けられうる。
【0068】
該ユーザが該コーティングのタイプを選択すると、該サーバ210は、例えば内部若しくは外部のメモリにおいて、直接に、或いは接続、例えばLAN、WAN、インターネット、Wi-Fi、ブルートゥース、又は任意の他の有線若しくは無線の接続、を介して、該コーティングのタイプに対応する参照パラメータ値を検索する。該参照パラメータ値の一部は、局所的に提供されうるが、該参照パラメータ値の別の部分は、遠隔地において提供されうる。
【0069】
該サーバ210は、該参照パラメータ値を該センサーキット100に送信し、該センサーキット100の該データ入力部112は、該参照パラメータ値を受信し、それを該メモリ114に記憶する。この例における該参照パラメータ値は、該選択されたコーティングのタイプに特有の望ましい距離範囲を含む。該センサーキット100は、フィードバックを提供することにより、該ユーザが該スプレーガン200をこの望ましい距離範囲内に保つことを支援しうる。参照パラメータ値の一つと例としての該望ましい距離範囲は、該コーティングの製造業者によって供給されているものでありうる。
【0070】
該望ましい距離範囲は、該スプレーガンの該ノズル206と該表面204との間若しくは該スプレーガンの任意の他の構成要素と該表面204との間の距離、又は該飛行時間センサー106と該表面204との間の該距離dに相当しうる。いずれの場合にも、該センサーキット本体102と該スプレーガン200との間の該接続は好ましくは実質的に堅固であり、且つ、該センサーキット100の構成要素の寸法は既知となるので、これらの距離のいずれも、該ノズル206と該表面204との間の該距離の為の指標でありうる。
【0071】
代替的には、該センサーキットの該ハウジングが該スプレーガンに実質的に堅固に接続されていない場合、該実質的に堅固でない接続の動的モデルが、該センサーキットによって得られたデータを該スプレーガンに関連するデータにマッピングする為に使用されうる。
【0072】
その時間周期が該スプレー作業と見なされうる該スプレーガン200の使用中、該飛行時間センサー106は、該飛行時間センサー106と該飛行時間センサー106に面している該表面204との間の該距離dを示す距離データを得る。次いで、この距離データは、該得られたデータを該望ましい距離範囲と比較する該比較モジュール116によって使用される。
【0073】
この比較の結果は、該距離データにおける特定のデータ点が該範囲内にあるか又は該範囲から外れているかを示す値を含みうる。この比較の結果は、特定のデータ点が該範囲から外れているときに、該特定のデータ点が過度に大きいかどうか、過度に小さいかどうか、及び/又は該データ点がどの程度該範囲から外れているかを示す値を、代替的に又はさらに含みうる。
【0074】
該出力モジュールは、該フィードバックコントローラ120に該比較データ信号を出力し、該フィードバックコントローラ120は、該スプレーガン200を使用している該ユーザに該比較データ信号のフィードバックを提供するように構成されうる。該フィードバックは、好ましくは、該ユーザが該提供されたフィードバックに従って該スプレーガン200のユーザの使用法を適切に変更することができるように、実質的にリアルタイムで提供される。
【0075】
該比較データ信号を受信した後、該フィードバックコントローラ120は、該比較データ信号のうちの少なくとも一部に基づくフィードバック信号を生成する。
【0076】
一つの特定の実施態様において、該フィードバックコントローラ120は、該生成されたフィードバック信号に基づいて該ユーザに視覚信号を提供する為の光学モジュールによって備えられたLEDモジュール126を備えている。該LEDモジュール126は、単色の光を提供するように構成されうるか又は様々な色、例えば赤、緑、青、若しくはそれらの組み合わせ、の光を提供するように制御可能でありうる、1以上のLEDを備えうる。
【0077】
得られた距離が該望ましい距離範囲内にある場合、該フィードバックコントローラ120は、色を付けられた光の一つの例として緑色光を示すように該LEDモジュール126を制御しうる。得られた距離が該望ましい距離範囲から外れている場合、該フィードバックコントローラ120は、色を付けられた光の一つの例として赤色光を示すように該LEDモジュール126を制御しうる。
【0078】
複数の実施態様において、該フィードバックコントローラ120は、該光学モジュールの一部として、該フィードバック信号に基づく視覚信号を提供するように構成されたディスプレイ122を備えている。該ディスプレイ122は、該飛行時間センサー106によって得られた該実際の距離データに対応する値を示すように構成されていてもよく、従って、例えばミリメートル又はインチにおける測定された距離に対応する数値を示すように構成されうる。該得られた距離データは、直接に又は該フィードバックコントローラ120を介して、該ディスプレイ122に供給されうる。
【0079】
該フィードバックコントローラ120は、所定の時間にわたって該望ましい範囲を外れている距離データに対応する比較データ信号を該フィードバックコントローラ120が受信した場合、該望ましい距離が該所定の時間にわたって達成されなかったことを示す触覚フィードバックを該ユーザに提供するように振動機関124を制御する為のフィードバック信号を生成するように、構成されうる。
【0080】
図3は、スプレーガン200の為のセンサーキット100と通信する為のサーバシステム210において又は異なるコンピュータデバイス、例えばスマートフォン、若しくはタブレットコンピュータ、上で行われうる、コーティングデータを再構成する方法400を示す。該方法は、ターミネータ401から始まる。第2の工程402において、該センサーキット100から、例えば該データ入力部118から、スプレー作業パラメータ値が受信される。
【0081】
該受信されたスプレー作業パラメータ値は、該スプレーガン200とコーティング202が施与された表面204との間の距離を示す、第1の時間周期にわたる距離データを含みうる。該第1の時間周期は、例えば、特定の構成要素、例えば車体部、のスプレー作業の持続時間でありうる。該スプレー作業パラメータ値は、該コーティングの施与中の該スプレーガンの配向を示す、該第1の時間周期にわたる配向データ、及び、該コーティングの施与中の該スプレーガンの動きを示す、該第1の時間周期にわたる動きデータを、さらに含みうる。
【0082】
任意的に、該スプレー作業パラメータ値は、追加的なスプレー作業パラメータ、例えば該塗料の流量、周囲温度、周囲圧力、任意の他の関連するスプレー作業パラメータ、又はそれらの任意の組み合わせ、を示すデータを含みうる。
【0083】
同じ時間周期にわたる該配向データ、該動きデータ、及び任意的にさらに多くのスプレー作業パラメータ値により、第3の工程403においてコーティングデータが再構成されてもよく、これは、例えば該スプレーガンがどのように取り扱われてきたかを示すものでありうる。また同じ時間周期にわたる該距離データを有することにより、再構成が、コーティングされた該表面204、及び/又は施与された該コーティング202の層でなされうる。
【0084】
例えば、該コーティングデータは、様々な箇所における該コーティング202の層の厚さを示すデータを含みうる。従って、該コーティングデータは、施与された該コーティングの層の該厚さの一貫性に関するフィードバックを該ユーザに提供しうる。該コーティングデータは、例えば、該表面204上の、例えばセンサー上に施与された該コーティングの層の該厚さにその機能が依存しうる車体部上の該センサー上の、特定の箇所においてコーティング層の最大厚さが超過されていないことを証明する為に、該スプレー作業の結果の根拠を後にまた提供しうる。
【0085】
別の例において、該コーティングデータは、該コーティングが施与された該表面204の形状を示すデータを含みうる。このデータは、該距離データ、該配向データ、及び該動きデータのうちの少なくとも一部を使用して再構成されうる。
【0086】
本明細書の該実施態様において説明されるようなセンサーキット100と、データ処理デバイスとしてのコンピュータとを備えている、センサデータ処理装置が想定される。該コンピュータは、スプレーガンによってスプレーされるように構成されたコーティング材料を識別するコート識別子を受信するように構成された電子入力部を備えうる。
【0087】
例えば、該電子入力部は、キーボード、マウス、タッチスクリーン、バーコードスキャナ、又は該コンピュータにデータ入力部を提供する為の任意の他の入力デバイスとして具現化される。ユーザは、該データ入力部を介して、該コンピュータに該コート識別子を提供しうる。
【0088】
該コート識別子は、例えば、商標、製造業者名、コーティングのタイプ、コーティングのタイプを示す任意の他のデータ、又はそれらの任意の組み合わせを含みうる。
【0089】
データ処理デバイスの一つの例としての該コンピュータは、電子メモリにおいて該コート識別子を使用して該コート識別子に対応する参照パラメータ値を検索するように構成された電子照会モジュールとしての処理装置をさらに備える。電子通信モジュールも、該コンピュータによって備えられてもよく、且つ、該検索された参照パラメータ値を例えばローカルメモリから、又は遠隔地から、例えばWAN若しくはLAN接続を介して、読み出すように構成される。
【0090】
該コンピュータは、該読み出された参照パラメータ値を例えば該センサーキットの該入力モジュールに伝達するように構成された電子データ通信モジュールをさらに備えている。従って、該センサーキットの該入力モジュールは、該伝達された参照パラメータ値を該データ処理デバイスから受信するように構成されうる。
【0091】
要約すれば、センサーキットが、スプレーガンとともに使用される為に提供される。該センサーキットは、該スプレーガンが使用されている間に関連データを取得し、且つ、該ユーザがリアルタイムでユーザのスプレーの方法を調整することができるように、該スプレー作業の特定のパラメータに関するフィードバックを該スプレーガンの該ユーザに提供しうる。さらに、該フィードバックは、特定のコーティングに関連している所定のデータを使用して、コーティングの様々なタイプに合わせて調整されうる。なおもさらに、該スプレー中に得られたデータは、リモートサーバに送信されてもよく、該リモートサーバにおいて、特定のタイプのコーティングを使用する複数のスプレー作業のデータが収集されうる。スプレー中に該得られたデータを使用すると、該施与されるコーティングがどのように見えるか、及び/又は該コーティングが施与された該表面がどのように見えたかを再構成することが可能でありうる。
【0092】
上記の説明において、要素、例えば層、領域、又は基板、が別の要素の「上」又は「上に」あるものと見なされる場合、該要素は直接に該他の要素上にあるか、又は介在する要素も存在しうることが、理解されるであろう。また、上記の説明において与えられた該値は例として与えられていること、及び、他の値が可能であり得、及び/又は追求されうることが、理解されるであろう。
【0093】
該様々な観点は、ハードウェア、ソフトウェア、又はそれらの組み合わせにおいて実施されうる。処理されるべき該データは、デジタル若しくはアナログ、又はそれらの組み合わせでありうる。アナログデータが提供又は受信され、且つ、デジタルデータが処理の為に必要とされる事例においては、アナログ-デジタル変換が使用されてもよく、その後に該デジタルデータが処理される。
【0094】
さらに、本発明はまた、本明細書において説明された例において提供されるよりも少ない構成要素を有して具現化されてもよく、ここで、1つの構成要素が、複数の機能を行う。全く同様に、本発明は、図に示されるよりも多くの要素を使用して具現化されてもよく、ここで、提供された該例における1つの構成要素によって行われる機能は、複数の構成要素にわたって分散される。
【0095】
図は、単に限定的ではない例として与えられている本発明の例の概略的な表現であることが留意されるべきである。明瞭さ及び簡潔な記述の目的の為に、特徴は、同じ又は別々の例の一部として本明細書において説明されているが、しかしながら、本発明の範囲は、説明された特徴の全て又は幾つかの組み合わせを有する例を包含しうることが、理解されるであろう。用語「備えている」(comprising)は、一つの請求項において挙げられたもの以外の他の特徴又は工程の存在を除外しない。さらに、用語「一つの」(a)及び「一つの」(an)は、「唯一の」(only one)に限定されるように解釈されるものではなく、むしろ、「少なくとも1つの」(at least one)を意味する為に使用されるものであり、且つ、複数性を除外しない。
【0096】
説明において開示された様々なパラメータ及びその値は修正されうること、並びに、開示され及び/又は特許請求される様々な例は本発明の範囲から逸脱することなしに組み合わせられうることを、当業者は容易に理解するであろう。
【0097】
特許請求の範囲における参照符号は、本発明の範囲を限定するものではなく、特許請求の範囲の可読性を高める為に挿入されているにすぎないことが規定される。
【国際調査報告】