(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-09
(54)【発明の名称】輸送エアロック内に回転体を有する実験室用保管キャビネット
(51)【国際特許分類】
G01N 35/00 20060101AFI20230202BHJP
B01L 7/00 20060101ALI20230202BHJP
G01N 1/00 20060101ALI20230202BHJP
【FI】
G01N35/00 C
B01L7/00
G01N1/00 101Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022535653
(86)(22)【出願日】2020-12-10
(85)【翻訳文提出日】2022-08-05
(86)【国際出願番号】 EP2020085474
(87)【国際公開番号】W WO2021116269
(87)【国際公開日】2021-06-17
(31)【優先権主張番号】102019134394.1
(32)【優先日】2019-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518460392
【氏名又は名称】ハミルトン・ストレージ・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】オルランド・グリショット
(72)【発明者】
【氏名】マルティン・フライ
(72)【発明者】
【氏名】マルコ・ホサング
(72)【発明者】
【氏名】トビアス・ガファファー
(72)【発明者】
【氏名】マルティナ・カヴェ
(72)【発明者】
【氏名】ジャエル・グラフ
【テーマコード(参考)】
2G052
2G058
4G057
【Fターム(参考)】
2G052DA31
2G052GA28
2G052GA29
2G052JA11
2G058AA05
2G058BB02
2G058BB03
2G058BB06
2G058BB07
2G058BB12
2G058CF02
2G058HA01
4G057AD03
(57)【要約】
本発明は、キャビネットハウジング(12)を含む実験室用保管キャビネット(10)に関するものであって、前記キャビネットハウジングは、キャビネットハウジング(12)内部の保管空間(14)を、保管キャビネット(12)の外側環境(U)から区切っており、キャビネットハウジング(12)は、エアロック(20)を含んでおり、前記エアロックは、保管空間(14)内に位置する内側輸送位置と、外側環境(U)内に位置する外側輸送位置と、の間における材料の輸送を可能にし、保管空間(14)内には、所定の収納位置において材料を受容するための保管装置(28)が存在しており、保管空間(14)内には、内側輸送位置と保管装置(26)との間で材料を輸送するための操作装置(26)が存在しており、エアロック(20)は、キャビネットハウジング(12)の壁(12a)にエアロック開口部(24)を有しており、前記エアロック開口部は壁(12a)を貫通している。本発明によると、エアロック(20)は、回転軸(R)の周りでキャビネットハウジング(12)に対して回転可能に取り付けられた、少なくとも1つのローディング構造(44)を有する回転体(22)を含んでおり、前記回転体は、ローディング構造(44)が、回転体(22)の回転軸(R)の周りでの回転によって、内側輸送位置と外側輸送位置との間で変位可能であるように、エアロック開口部(24)にはめ込まれている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャビネットハウジング(12)を含む実験室用保管キャビネット(10)であって、前記キャビネットハウジングは、前記キャビネットハウジング(12)内部の保管空間(14)を、前記保管キャビネット(12)の外側環境(U)から区切っており、前記キャビネットハウジング(12)は、エアロック(20)を含んでおり、前記エアロックは、前記保管空間(14)内に位置する内側輸送位置と、前記外側環境(U)内に位置する外側輸送位置と、の間における材料の輸送を可能にし、前記保管空間(14)内には、所定の収納位置において材料を受容するための保管装置(28)が存在しており、前記保管空間(14)内には、前記内側輸送位置と前記保管装置(26)との間で材料を輸送するための操作装置(26)が存在しており、前記エアロック(20)は、前記キャビネットハウジング(12)の壁(12a)にエアロック開口部(24)を有しており、前記エアロック開口部は前記壁(12a)を貫通している実験室用保管キャビネットにおいて、
前記エアロック(20)が、回転軸(R)の周りで前記キャビネットハウジング(12)に対して回転可能に取り付けられた、少なくとも1つのローディング構造(44、44‐2)を有する回転体(22)を含んでおり、前記回転体は、前記ローディング構造(44、44‐2)が、前記回転体(22)の前記回転軸(R)の周りでの回転によって、前記内側輸送位置と前記外側輸送位置との間で変位可能であるように、前記エアロック開口部(24)にはめ込まれていることを特徴とする実験室用保管キャビネット(10)。
【請求項2】
前記回転体(22)が、少なくとも2つのローディング構造(44、44‐2)を有しており、前記ローディング構造の内、第1のローディング構造(44)が前記外側輸送位置及び前記内側輸送位置の内一方の輸送位置にあるのは、前記第1のローディング構造とは異なる第2のローディング構造(44‐2)が、それぞれ他方の輸送位置にある場合であることを特徴とする、請求項1に記載の実験室用保管キャビネット(10)。
【請求項3】
前記第1のローディング構造(44)が、前記第2のローディング構造(44‐2)から、前記回転体(22)の隔壁(22d)によって、物理的に分離していることを特徴とする、請求項2に記載の実験室用保管キャビネット(10)。
【請求項4】
前記隔壁(22d)の領域に、前記回転体(22)の形成のために主に使用される材料よりも低い固有の熱伝導率又は/及び熱伝導係数を有する、残りの前記回転体(22)とは別個に構成された隔壁材料(80)が配置されていることを特徴とする、請求項3に記載の実験室用保管キャビネット(10)。
【請求項5】
前記回転体(22)と、前記エアロック開口部(24)を有する前記キャビネットハウジング(12)と、の内、少なくとも1つの部材(12)が、シール面(60a)を備えたシール(60)を有し、前記シールは、それぞれ他方の部材(22)に当接して密閉するように構成されていることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の実験室用保管キャビネット(10)。
【請求項6】
前記実験室用保管キャビネット(10)が、シール面クランプ装置(58)を有し、前記シール面クランプ装置によって、少なくとも一方の部材(12、22)のシール(60)の前記シール面(60a)が、それぞれ他方の部材(22、12)に向かってクランプ可能であり、反対方向においてクランプ解除可能であることを特徴とする、請求項5に記載の実験室用保管キャビネット(10)。
【請求項7】
前記シール面(60a)が、前記シール面クランプ装置(58)によって、それぞれ他方の部材(22、12)に向かって、かつ、それぞれ他方の部材から離れるように変位可能であることを特徴とする、請求項6に記載の実験室用保管キャビネット(10)。
【請求項8】
前記回転体(22)と、前記エアロック開口部(24)を有するキャビネットハウジング壁(12)と、から成る部材(12)のシール(60)の前記シール面(60a)のみが、前記シール面クランプ装置(58)によって、それぞれ他方の部材(22)に向かってクランプ可能であり、反対方向においてクランプ解除可能であるが、それぞれ他方の部材(22)のシール(84)のシール合わせ面(84a)は、一方の部材(12)のクランプ可能かつクランプ解除可能なシール面(60a)との密閉を伴う当接係合において、クランプ可能な前記シール面(60a)によって変形可能であることを特徴とする、請求項6又は7に記載の実験室用保管キャビネット(10)。
【請求項9】
前記シール面クランプ装置(58)が、ガスを、中空のシール部材(60)のシール内側空間に導入するように構成されている、又は/及び、圧搾装置(40、62、64a、64b、66)を含んでおり、前記圧搾装置は、前記シール(60)を第1の方向(A)において変形させ、これによって、前記シール面(60a)を、前記第1の方向とは異なる第2の方向において変位させるように構成されていることを特徴とする、請求項6から8のいずれか一項に記載の実験室用保管キャビネット(10)。
【請求項10】
実験室用保管キャビネット(10)がフレーム(40)を有しており、前記フレームは、前記エアロック開口部(24)及び前記回転体(22)を包囲し、前記フレーム(40)は圧搾装置(40)として2つのフレーム部材(40a、40b)を有しており、前記フレーム部材は、前記フレーム部材の間に、前記シール(60)が受容された間隙(41)を画定しており、さらに、圧搾駆動部(62)が設けられており、前記圧搾駆動部によって、少なくとも1つのフレーム部材(40b)が、前記フレーム部材(40a、40b)間の間隙の大きさを減少させながら、それぞれ他方のフレーム部材(40a)に接近可能であることを特徴とする、請求項9に記載の実験室用保管キャビネット(10)。
【請求項11】
前記回転体(22)を回転させるために回転駆動部(52)を有することを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の実験室用保管キャビネット(10)。
【請求項12】
実験室用保管キャビネット(10)が、制御装置(70)を有しており、前記制御装置は、少なくとも、前記回転駆動部(52)の制御、及び、前記シール面クランプ装置(58)の制御を行うように構成されており、前記制御装置(52)は、クランプされた前記シール面(60a)を、前記回転駆動部(52)の動作の前にクランプ解除する、又は/及び、クランプ解除された前記シール面(60a)を、前記回転駆動部(52)の動作の後にクランプするように構成されていることを特徴とする、請求項6を引用した、請求項11に記載の実験室用保管キャビネット(10)。
【請求項13】
実験室用保管キャビネット(10)が、前記外側輸送位置における前記ローディング構造(44)のローディング状況の変化を検出するために、少なくとも1つの輸送センサ(74)を含むこと、又は/及び、物体が、前記回転体(58)の外側から、前記回転体の移動空間内に突出しているかどうかを検出するために、少なくとも1つの干渉センサ(76、78)を含むことを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の実験室用保管キャビネット(10)。
【請求項14】
実験室用保管キャビネット(10)が、組み立て済みのエアロックアセンブリ(38)を有しており、前記エアロックアセンブリは、少なくとも1つの前記回転体(22)と、前記回転体(22)及び前記エアロック開口部(24)を包囲するフレーム(40)と、を含んでいることを特徴とする、請求項9を引用した、請求項1から13のいずれか一項に記載の実験室用保管キャビネット(10)。
【請求項15】
組み立て済みの前記エアロックアセンブリ(38)が、前記圧搾駆動部(62)又は/及び前記回転駆動部(52)を有することを特徴とする、請求項10又は11を引用した、請求項14に記載の実験室用保管キャビネット(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャビネットハウジングを含む実験室用保管キャビネットに関するものであり、当該キャビネットハウジングは、キャビネットハウジングの内部の保管空間を、保管キャビネットの外側環境から区切っており、キャビネットハウジングは、以下において短く「エアロック」とのみ称される輸送エアロックを含んでおり、当該エアロックは、保管空間内に位置する内側輸送位置と、外側環境内に位置する外側輸送位置と、の間における材料の輸送を可能にし、保管空間内には、所定の収納位置において材料を受容するための保管装置が存在しており、保管空間内には、内側輸送位置と保管装置との間で材料を輸送するための操作装置が存在しており、エアロックは、キャビネットハウジングの壁にエアロック開口部を有しており、当該エアロック開口部は壁を貫通している。
【背景技術】
【0002】
このような、以下において単純に短く「保管キャビネット」とも呼ばれる実験室用保管キャビネットは、特許文献1から知られている。さらなる関連の保管キャビネットは、特許文献2から知られている。実験室用保管キャビネットに関するさらなる先行技術については、特許文献3が参照される。
【0003】
このような実験室用保管キャビネットは、一般的に、先行技術においても本発明においても、所定の保管条件下での、化学又は/及び生物又は/及び生化学物質の保管のために用いられる。保管されるべき物質は、一般的に、容器に受容された状態で保管されるので、本出願において全体として「材料」と表記されているのは一般的に、内部に受容された物質を伴う1つ以上の容器である。
【0004】
所定の保管条件は、温度又は/及び湿度又は/及び圧力又は/及び化学組成又は/及びさらなるパラメータに関して予め決定された保管空間内の雰囲気に関連し得る。この理由から、保管空間を、キャビネットハウジングによって、保管キャビネットの外側環境から区切ることが重要である。なぜなら、外側環境においては一般的に、少なくとも1つのパラメータに関して、保管空間内の所定の保管条件とは異なる雰囲気が優勢だからである。
【0005】
保管空間内の外側環境とは異なる保管環境を過度に妨げることなく、材料を保管のために保管キャビネットに導入可能にするために、かつ、さらなる実験室での処理のために保管キャビネットから取り出し可能にするために、既知の保管キャビネットはエアロックを含んでおり、エアロックを通って、材料が、外側環境からキャビネットハウジングを通って、保管空間に導入可能であり、同様に保管空間から、キャビネットハウジングを通って外側環境に輸送可能である。
【0006】
上述の既知の実験室用保管キャビネットのエアロックは、保管空間内に位置し、一般的に保管空間からのみアクセス可能である内側輸送位置と、外側環境内に位置し、一般的に外側環境からのみアクセス可能である外側輸送位置と、の間で材料を輸送するための輸送手段として、並進運動可能なキャリッジを含んでおり、当該キャリッジは、エアロック開口部を通って、外側環境における外側輸送位置と保管空間内の内側輸送位置との間で、往復可能である。
【0007】
保管キャビネットの内部、すなわち保管空間内では、操作装置が自動化されて、内側輸送位置と保管装置内の収納位置との間においてさらなる材料輸送を行うので、保管空間内に運び込まれた材料は、発見できるように保管され得る。
【0008】
保管キャビネットの輸送エアロック内で並進運動可能なキャリッジの利点は、当該キャリッジに関して、比較的小さい、保管空間に対しても外側環境に対しても境界が設定され得る移行体積が供給され得ることにあり、当該移行体積内に、キャリッジは、その開始輸送位置を始点として、さしあたり移動し得る。移行体積内での雰囲気条件を、目標輸送位置の雰囲気条件に適応させた後で、キャリッジは、目標輸送位置における雰囲気条件を特段損なわずに、移行体積から目標輸送位置にさらに移動することができる。外側輸送位置における雰囲気条件の維持は、外側環境が保管空間と比較して、略間違いなく無限に大きいと想定され得るゆえに、一般的に重要ではない一方で、外側から保管空間内への材料輸送が保管空間内の雰囲気条件に与える影響は、著しく大きい。
【0009】
既知の輸送エアロックの並進運動可能なキャリッジの欠点は、時間単位当たりの材料スループットが少ないことである。この少ない材料スループットという欠点を、対応して多数の、平行に使用可能であるエアロックによって、又は、1回の輸送で特に多くの材料を輸送することができるような、構造的に比較的大きいエアロックによって埋め合わせることが試みられている。
【0010】
とは言え、平行に使用可能である複数のエアロックの使用も、空間的に大きなエアロックの使用も、実験室用保管キャビネットにおいて対応する設置空間を必要とする。家庭用冷蔵庫の大きさの比較的小さい保管キャビネットの場合、また、大型の家庭用冷蔵庫の大きさはあるが比較的小さい保管キャビネットの場合も、複数のエアロック又は大きなエアロックのために必要な設置空間は、既知の方法で、内側輸送位置と外側輸送位置との間における、時間単位当たり可能な限り高い材料スループットでの材料の輸送を実現するためには利用できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】独国実用新案第29613557号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2016/0084564号明細書
【特許文献3】国際公開第2012/034037号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従って、本発明の課題は、冒頭に挙げた実験室用保管キャビネットを、利用できる設置空間が少ない場合でも、高い材料スループットで、保管空間内の保管条件を過度に損なうことなく動作させることができるように、さらに発展させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、本課題を、本出願の冒頭に挙げた実験室用保管キャビネットでエアロックが、回転軸の周りでキャビネットハウジングに対して回転可能に取り付けられた、少なくとも1つのローディング構造を有する回転体を含むことによって解決する。当該回転体は、ローディング構造が、回転体の回転軸の周りでの回転によって、内側輸送位置と外側輸送位置との間で変位可能であるように、エアロック開口部にはめ込まれている。
【0014】
回転体の基本的な使用は、非常に小さい設置空間における内側輸送位置と外側輸送位置との間での材料、すなわち特に容器の高速輸送を可能にする。回転体のローディング構造は、回転体の回転軸の周りでの回転によって、内側輸送位置と外側輸送位置との間を移動するので、輸送手段としての回転体によって狭義に占められている設置空間は、その移動空間に概ね一致する。回転体は、ローディング構造を内側又は/及び外側輸送位置に受容可能な状態に準備するだけではなく、準備の間に、エアロック開口部を本体部分で閉鎖することができるので、回転体は、保管された、又は、保管されるべき材料の輸送手段であるだけではなく、エアロック開口部の閉鎖手段であってもよい。これによって、輸送エアロックの動作も著しく単純化することができる。なぜなら、1つかつ同一の部材、すなわち回転体は、内側輸送位置と外側輸送位置との間における材料輸送だけではなく、エアロック開口部の閉鎖状況ももたらすことができるからである。このような閉鎖状況は、エアロック開口部の完全な閉鎖又は可能な限り広範囲にわたる閉鎖を含んでいる。従って、エアロックは、扉、フラップ、隔壁等の旋回可能又は/及び摺動可能な閉鎖手段から自由であってよい。
【0015】
明確化するために指摘しておくべきことに、内側輸送位置と外側輸送位置という上述の輸送位置は、単に、外側環境から保管装置への材料輸送の間に一時的に材料を受容する場所に過ぎないが、保管装置内の収納位置は、持続的に材料を受容する場所であり、当該場所には、材料が、保管装置によって要求されるまで残存し、いずれにせよ輸送位置におけるよりも著しく長く残存し、当該場所には、材料が単に、輸送位置の間での輸送のため、又は/及び、外側環境における人員若しくは操作機器による、若しくは、保管空間における操作装置による引き受けのため、に供給される。
【0016】
基本的に、回転体は、ただ1つのローディング構造を有することが可能であり、当該ローディング構造は、材料の引き受けのために各輸送位置に輸送する必要がある場合、保管空間内の操作装置によって、又は、外側環境における操作員若しくは操作機器によって動かされる。しかしながら、本発明において議論される保管キャビネットで得られる最大の材料スループットは、回転体が少なくとも2つのローディング構造を有し、これらのローディング構造の内、第1のローディング構造は、第1のローディング構造とは異なる第2のローディング構造が、外側輸送位置及び内側輸送位置の内それぞれ他方の輸送位置にある場合に、外側輸送位置及び内側輸送位置の内一方の輸送位置にあることによって、容易に増大させることが可能である。一方の輸送位置において、材料が第1のローディング構造から除去されるか、又は、第1のローディング構造に配置される場合であっても、それぞれ他方の輸送位置では、同様に材料を受容又は放出するために、第2のローディング構造が準備されている。加えて、ローディング構造の一方の輸送位置から他方の輸送位置へ、及び、他方の輸送位置から一方の輸送位置への移動に関して、単に機能を考察した場合、回転体に1つのみのローディング構造が設けられている場合と比較して半分の経路のみを進めばよい。これによって、有利には、5秒から7秒という短いローディングサイクルがもたらされる。すなわち、5秒から7秒ごとに、物体又は材料が保管キャビネットに投入され、すなわち格納され、保管キャビネットから取り出され、すなわち搬出される。なぜなら、同時に、内側輸送位置と外側輸送位置とに、1つずつのローディング構造が準備されているからである。これによって、既知の並進運動可能な輸送キャリッジとは異なり、格納プロセスと搬出プロセスとの並列化が可能になる。
【0017】
基本的に、2つ以上のローディング構造が、回転体上に形成されていてよい。回転体が、各輸送位置において1つずつのローディング構造が存在する場合に、エアロック開口部を本体部分によって閉鎖可能であることを確実化するために、回転体は、好ましくは少なくとも1つずつのローディング構造を有するまさに2つの扇形部分(Umfangssektor)を有しており、当該扇形部分は、回転軸に関して互いに対して180°回転して配置されている。好ましくは、内側輸送位置と外側輸送位置とは、回転軸の周りにおいて180°の角距離で互いに離れて位置している。
【0018】
輸送エアロックの操作を容易にするために、回転体は、好ましくは回転軸に関して、その回転体の外側から認知可能な形状の大部分が、回転軸の周りでの180°の回転に対して不変であるように左右対称である。つまり、回転体が輸送位置におけるローディング構造の配置を始点として180°回転する場合、ローディング構造は新たに同じ位置にあり、回転体は、輸送位置を見ている観察者に、180°回転する前と略同じ眺めを提供する。好ましくは、この種類の回転軸の周りにおける、回転体の各回転位置と、当該回転位置を始点として実施される180°の回転と、に関する対称性が有効である。
【0019】
少なくとも1つの回転位置においてエアロック開口部の閉鎖を保証することを可能にするために、好ましくは第1のローディング構造は、回転体の隔壁によって、第2のローディング構造から物理的に分離している。当該隔壁は、回転体の部分であり、その回転運動の際に、同様に回転軸の周りに回転する。
【0020】
好ましくは、ローディング構造における受容空間を、側方で又は/及び上に向かって又は/及び下に向かって区切っている回転体の本体部分は、回転体の質量慣性モーメントを減少させるために、中空又は多孔質に形成されている。回転体の多孔質の本体部分を形成するための多孔質の材料は、多孔質の繊維材料又は/及び連続気泡若しくは独立気泡の発泡材であってよい。
【0021】
回転体によるエアロック開口部の物理的な閉鎖をもたらすことを可能にし、従って、保管空間と外側環境との間における望ましくないガスフローを防止することを可能にするためだけではなく、さらに、保管空間のエアロック領域における外側環境に対する熱的分離を得るために、保管キャビネットの好ましいさらなる発展形態によると、隔壁の領域に、残りの回転体の形成のために主に使用される材料よりも低い固有の熱伝導率又は/及び熱伝導係数を有する、残りの回転体とは別個に構成された隔壁材料が配置されていてよい。この熱的分離を行う隔壁材料は、回転体内部の材料部分として一体的に、又は、予め製造されたプレート又は一般的な構造ユニットとして、回転体に取り付けられていてよい。この際、「主な」使用は、各材料から成る回転体の本体部分によって占められる空間体積に関するものである。回転体の本体部分を形成している、回転体の全体積の50%以上を占める材料は、不可避的に、主に残りの回転体を形成するために用いられる材料である。回転体の様々な本体部分が異なる材料から構成されている場合、様々な本体部分の内、回転体の全体積の50%以上を占める材料の本体部分が存在しない場合、回転体の全体積において最大の割合を占める本体部分の材料が、主に残りの回転体の形成のために用いられると見なされる。残りの回転体は、隔壁との比較のために考慮されるので、隔壁は、残りの回転体の部分ではない。
【0022】
基本的には、回転体が、上述の閉鎖状況において、狭い間隙で、エアロック開口部を包囲する、エアロック開口部によって貫通されたキャビネットハウジング壁の縁部に当接すれば十分であり得る。この際、回転体は、その外面の大部分(例えばそのそれぞれ回転軸に沿った方向を指し示す端面、及び、少なくとも1つの周方向に延在している外側面の部分であり、後者は、必要に応じて、ローディング構造が配置され、輸送されるべき材料をローディング構造で受容するための空洞が形成されている少なくとも1つの凹部によって中断されている)が、エアロック開口部の縁部に対して、所定の、特にエアロック開口部縁部に沿って一定の大きさの間隙を有して配置されているように構成されていてよい。好ましい実施形態によると、外側面が、1つ以上の凹部によって(一般的にはローディング構造の数に依存して、好ましくは各ローディング構造に対して固有の凹部が設けられている)中断されている一方で、回転体の端面は、回転体の回転位置とは無関係に、キャビネットハウジング壁のエアロック開口部の縁部に、所定の、特にエアロック開口部の縁部に沿って一定な大きさの間隙を有して、向かい合っている。
【0023】
回転体が動いておらず、少なくとも1つのローディング構造が輸送位置に存在している回転体の準備状態において、回転体の本体部分は、エアロック開口部の縁部に沿って一周するように、所定の、特に一定の、当該縁部との4mmより小さい、好ましくは2mmより小さい間隔の小さい間隙を有して、当該縁部に向かい合っており、上述の閉鎖状況をもたらし得る。
【0024】
このような4mmより小さい、好ましくは2mmより小さい大きさを有する間隙の形成は、現実的には、その雰囲気条件が、外側環境の雰囲気条件と数値的に大きくは異ならない保管空間に関してのみ利用可能である。上述の間隙による保管空間と外側環境とのより良好な分離、及び、外側環境による保管空間内の調整済雰囲気への影響の低減は、回転体と、エアロック開口部を有するキャビネットハウジング壁と、の内、少なくとも1つの部材が、シール面を備えたシールを有することによって得られ、当該シールは、それぞれ別の部材に当接して密閉するように構成されている。
【0025】
好ましくは、当該シールは、キャビネットハウジング又はエアロック開口部を囲むフレームに配置されている。なぜなら、エアロック開口部は、シールによって密閉されているからである。基本的に、回転体の回転運動の間に、シール面が、それぞれ他方の部材、好ましくは回転体と、研磨するように接触することが考えられ得る。しかしながら、このような研磨を伴う接触は、シール面に機械的な負荷を与え、望ましくないことに、シール面の高い摩耗と、従って短い寿命と、をもたらし得る。このシール面の摩耗を回避するために、本発明の有利なさらなる発展形態では、実験室用保管キャビネットがシール面クランプ装置を有し、当該シール面クランプ装置によって、少なくとも一方の部材のシールのシール面が、それぞれ他方の部材に向かってクランプ可能であり、反対方向においてクランプ解除可能であることが定められている。
【0026】
この、それぞれ他方の部材に対するクランプは、それぞれ他方の部材にいずれにせよ持続的に当接するシール面が、実際に当該部材から離れることなく、シール面の他方の部材に対する付着力が単に増大するか、又は、減少するということを意味し得る。これもまた、摩耗の軽減に役立つ。さらなる摩耗の軽減は、シール面が、シール面クランプ装置によって、それぞれ他方の部材に向かって、かつ、それぞれ他方の部材から離れるように変位可能であることによって得られる。この場合、実際には、シール及びそのシール面が、クランプを解除された状態で、それぞれ他方の部材から、好ましくは回転体から距離を置いて配置されていることが得られるので、シール面は、それぞれ他方の部材に、クランプを解除された状態では接触しない。この場合、シール面に対するそれぞれ他方の部材の動きは、シール面における摩耗作用を生じさせない。
【0027】
基本的に、回転体にも、エアロック開口部の周縁領域にも、すなわちエアロック開口部を包囲するキャビネットハウジング壁の部分、又は、エアロック開口部を包囲するフレームにも、1つずつのシール面クランプ装置が設けられていてよく、これによって、シール面は、それぞれ別の部材に向かって、及び、当該部材から離れるようにクランプされる、又は/及び、変位するので、間隙を有さずに物理的に密閉されたエアロック開口部による閉鎖状況において、キャビネットハウジング側又はフレーム側のシールのシール面と、回転体側のシールのシール面と、は閉鎖状況において互いに当接している。しかしながら、これは、互いに対して移動可能である両方のシール面の間で確実な当接接触を供給するために、回転体のキャビネット壁に対する極めて正確な位置合わせを必要とする。閉鎖状況における、より堅固で、同時に非常に有効な、間隙を有さないエアロック開口部の密閉は、回転体と、エアロック開口部を有するキャビネットハウジング壁とから成る部材、好ましくはキャビネットハウジング壁、又は、エアロック開口部を包囲するフレームのシールのシール面のみが、シール面クランプ装置を用いて、それぞれ他方の部材に向かってクランプ可能であり、反対方向においてクランプ解除可能であることによって得られる。シール面クランプ装置によって負荷を加えられ得るシールのシール面に関する当接面として、単純な場合、それぞれ他方の部材の本体部分が用いられ得る。その比較的高い密閉作用ゆえに好ましい構成において、それぞれ他方の部材は、シール合わせ面を備えるシールを有することが可能であり、シール合わせ面には、閉鎖状況において、一方の部材のシール面が、密閉するように当接係合している。エアロック開口部の間隙を有さない密閉のための密閉作用を、シール合わせ面を有する他方の部材のシールが、一方の部材のクランプ可能かつクランプ解除可能なシールのシール面によって当接係合するように変形可能であることによってさらに高めることが可能である。シール面は、当該シール面を支持するシールをクランプする際、当該シールに向かい合うシールのシール合わせ面に当接係合するように押し込まれ、シール面とシール合わせ面との間に比較的大きな当接領域を形成するだけではなく、外側環境と保管空間とを特に効果的に分離する、湾曲した、平らな当接領域を形成することも可能である。
【0028】
好ましくは、回転体は、シール合わせ面を備えた、シール面によって変形可能なシールを有している。シール合わせ面は、好ましくは、上述の回転体の準備状態においてエアロック開口部の縁部に向かい合っており、エアロック開口部の周縁領域に設けられた、シール面クランプ装置によって変形可能であるシールにとって到達可能である回転体の領域に位置しているので、好ましくはシール面クランプ装置によって変形可能であるシールの少なくとも1つの部分は、上述の隔壁、又は/及び、熱的分離を行う隔壁材料を、径方向外側で包囲している。
【0029】
さらに、回転体におけるシール面によって変形可能なシールは、例えば当該回転体が、少なくとも2つの本体部分から形成されており、その分割面又は接合面が、回転体の回転軸を含んでいる場合、公差補償として用いられ得る。この場合有利には、変形可能なシールが、両方の本体部分の間に配置されていてよく、その固有の変形可能性によって、両方の本体部分の間に配置されたシールの変形を伴う、両方の本体部分の接近を可能にする。このようにして、回転体の両方の本体部分の間における間隙が閉じられ、同時に、両方の本体部分の間の間隙の大きさが、正確に調整され得る。
【0030】
好ましくは、回転軸は、上述の好ましくは熱的分離を行う隔壁を貫通する。特に好ましくは、隔壁は、直径面を含んでおり、当該直径面は、回転体を、回転軸に直交する直径ビームに沿って貫通する。付加的又は代替的に、回転体の回転軸を含む面は、回転体におけるシール面によって変形可能なシールに交差する。回転体内のシールは、隔壁又は/及び熱的分離を行う隔壁材料を、少なくとも部分的に、例えば回転体のスイベルの場所を除いて、囲み得る。
【0031】
シール面クランプ装置は、異なって構成されていてよい。第1の実施形態によると、シール面クランプ装置は、ガスを、中空のシール部材のシール内側空間に導入するように構成されていてよい。例えば中空のシール部材は、ホースシールであってよく、当該ホースシールは、シール面クランプ装置によって、圧力を上昇させるガスの導入を用いて、その材料又は/及び部材の弾性に反して膨らみ、従って、拡張し、圧力を低下させるガスの排出を用いて、ホースシール自体の弾性を用いて、再び収縮する。これによって、ホースシールの表面領域におけるシール面は、それぞれ他方の部材の、当該シール面の向かい側の当接面に接近し、当接面に対して押圧され、再び当接面から離れることが可能である。
【0032】
付加的又は代替的に、シール面クランプ装置は、圧搾装置を含むことが可能であり、当該圧搾装置は、シール部材を圧搾方向において圧搾することによって、シール部材の横ひずみを利用して、圧搾方向とは異なる、好ましくは圧搾方向に直交する伸長方向における材料の伸びをもたらす。従って、シール面クランプ装置は、圧搾装置として、シールを第1の方向、すなわち圧搾方向に変形させ、これによって、シール面を、第1の方向とは異なる第2の方向、すなわち伸長方向において変位させるように構成されていてよい。好ましくは、圧搾可能なシールは、エアロック開口部の周りを少なくとも80%、好ましくは100%取り囲んでいる。圧搾方向は、好ましくは仮想の、エアロック開口部を中央で貫通する開口部軸に関して軸方向に延在しており、これによって、径方向内側に向かってエアロック開口部の方を指し示すシール面は、仮想の開口部軸に対して径方向に延在する伸長方向に沿って、径方向内側に向かって変位する。シールの弾性は、圧搾負荷を加えた後に、シールの元の形状の方向におけるシールの復元をもたらす。圧搾可能なシールも、ホースシールであってよいが、当該ホースシールは、流体的に拡張可能なホースシールとは異なり、流体密封でなくてもよい。
【0033】
構造上、シール面クランプ装置は、効果的かつ少ない取り付けの負担で、キャビネットがフレームを有し、当該フレームがエアロック開口部及び回転体を包囲し、フレームは圧搾装置として2つのフレーム部材を有しており、当該フレーム部材は、それらの間に、シールが受容された間隙を画定していることによって実現されていてよい。シールのシール面は、径方向内側に向かって、エアロック開口部の中央又は回転体の方を指し示している。フレーム部材は、フレーム部材の間に位置するシールの変形のために、互いに接近し、互いから離れることが可能である。好ましくは、各フレーム部材は、単独と見なされて、エアロック開口部を包囲しているので、有利には完全にエアロック開口部の周りを一周するシールは、その全周に沿っても圧搾可能である。圧搾負荷を所定の通り加えるために、好ましくはさらに、圧搾駆動部が設けられており、当該圧搾駆動部によって、少なくとも一方のフレーム部材が、フレーム部材間の間隙の大きさを減少させながら、それぞれ他方のフレーム部材に接近することができる。基本的に、両方のフレーム部材は、互いに対して可動であるように、キャビネットハウジング上に配置されていてよい。しかしながら、より容易かつ少ない取り付けの負担で製造可能であるのは、好ましくは、キャビネットハウジングに持続的に固定するように構成された、又は、持続的にキャビネットハウジングに固定されたフレーム部材であり、従って、このさらなるフレーム部材のみが、ハウジングに固定されたフレーム部材に対して、圧搾駆動部によって変位可能である。
【0034】
圧搾駆動部は、流体によって動作する駆動部か、又は、電動機による駆動部であってよい。傾斜する傾向が少ないゆえに好ましい実施形態によると、フレーム部材は、少なくとも2つ、好ましくは2つ以上、特に好ましくは4つのスピンドルドライブを通じて、スピンドル軸に沿って、それぞれ他方のフレーム部材に向かって変位可能に、他方のフレーム部材と接続されている。ロープ駆動又はベルト駆動によって、少なくとも2つのスピンドルドライブが、1つかつ同一の圧搾駆動部を通じて、回転に同期して駆動可能であり、これによって、一方のフレーム部材の他方のフレーム部材に対する、確実で傾斜を伴わない相対運動の可能性が得られる。フレーム部材が、例えば2つの対を成した平行な縁部が合流する場所において、角の領域を有する場合、好ましくは、2つの平行ではない縁部が合流する各角の領域に、1つずつのスピンドルドライブが配置されている。ハウジングに固定されるフレーム部材として決定されたフレーム部材は、キャビネットハウジングの壁によって形成されていてよい。
【0035】
基本的に、回転体が、内側輸送位置と外側輸送位置との間における少なくとも1つのローディング構造の変位のために、例えば駆動レバー又は駆動輪、及び、駆動バー、又は/及び、駆動ギア等の作動部材によって、手動で動かされ得ることが考えられ得る。可能な限り衛生的に、特に好ましくは自動的に、材料の保管キャビネット内での保管プロセス、又は/及び、材料の保管キャビネットからの取り出しを行うために、保管キャビネットは、好ましくは回転体の回転のための回転駆動部を有している。好ましくは当該回転駆動部は、電動機による回転駆動部であり、従って、その回転は、可能な限り直接、上述のロープ駆動又はベルト駆動によって、上述のスピンドルドライブに伝達可能である。
【0036】
実験室用保管キャビネットでのプロセスをさらに自動化するために、実験室用保管キャビネットは、制御装置を有することが可能であり、当該制御装置は、少なくとも、回転駆動部の制御、及び、シール面クランプ装置の制御を行うように構成されている。この際、回転体の停止時にエアロック開口部の密閉に関与する少なくとも1つのシールにおける摩耗を回避するために、制御装置は、好ましくはクランプされたシール面を、回転駆動部の動作の前にクランプ解除する、又は/及び、クランプ解除されたシール面を、回転駆動部の動作の後に、クランプするように構成されている。これによって、回転体の回転が、シール面が回転体に当接かつ摺動することなく行われることが保証され得る。同様に、これによって、回転体が、例えば上述の準備状態において停止している場合、キャビネットハウジング又はフレームと回転体との間の間隙が、シール面クランプ装置を用いてクランプ可能かつクランプ解除可能なシールによって閉じられていることが保証され得る。
【0037】
さらに、実験室用保管キャビネットは、少なくとも1つの輸送センサを含むことが可能であり、当該輸送センサは、外側輸送位置におけるローディング構造のローディング状況の変化を検出するように構成されている。輸送センサ、例えば光バリア又は容量若しくは誘導近接センサ等の光学センサは、好ましくは、上述の制御装置と、信号を伝達するように連結されており、これによって、制御装置は、輸送センサが、外側輸送位置におけるローディング構造のローディング状況の変化を検出した場合、操作員による付加的な入力無しに、外側輸送位置から内側輸送位置への材料の輸送を開始することができる。付加的又は好ましくは代替的に、保管キャビネットは、少なくとも1つの干渉センサを含むことが可能であり、例えば光バリア又は容量若しくは誘導近接センサ等の光学センサが挙げられるが、当該センサは、回転体の外側から、例えばその外被によって表される、その移動空間内に突出する物体を検出するように構成されている。これによって、回転体の回転によって、その外被から突出する物体又は操作員の身体部分までもが損傷する、又は、負傷することが防止されるべきである。この際、外被として理解されるのは、回転する回転体を包む、回転体の仮想の、回転軸に関して回転対称の境界面である。
【0038】
実験室用保管キャビネットの製造を容易にするために、実験室用保管キャビネットは、組み立て済みのエアロックアセンブリを有することが可能であり、当該エアロックアセンブリは、少なくとも1つの回転体と、回転体及びエアロック開口部を包囲するフレームと、を含んでいる。従って、不利なことに、材料を保管装置内に格納する、又は、材料を保管装置から取り出すために操作員によって開かれる1つの扉のみを差し当たり有している実験室用保管キャビネットには、エアロックアセンブリを後から装備することが可能である。
【0039】
保管キャビネットの取り付けと、特に既存の保管キャビネットの追加装備とをさらに容易にすることは、組み立て済みのアセンブリが、圧搾駆動部又は/及び回転駆動部を有することによって得られる。さらに、アセンブリは制御装置を有することが可能であり、当該制御装置は、圧搾駆動部又は/及び回転駆動部を制御するように構成されている。
【0040】
この際、組み立て済みのエアロックアセンブリは有利なので、本発明は、エアロック開口部を包囲する少なくとも1つのフレームと、フレームが回転体を囲むようにエアロック開口部に挿入され、回転軸の周りで回転可能であるようにフレームに支承された回転体と、を含むエアロックアセンブリにも関するものである。フレームは、好ましくは、シール面クランプ装置として、圧搾装置という特に好ましい形状において、2つのフレーム部材を有しており、これらのフレーム部材は、自身の間に間隙を画定しており、当該間隙内にはシールが受容されており、当該シールのシール面は、圧搾方向における圧搾によって、回転方向における間隙の間隔に沿って、間隙の間隔に直交して変位可能である。フレーム部材は、その間に位置するシールの圧搾による変形のために、互いに接近し、互いから離れることが可能である。好ましくは、各フレーム部材は、単独と見なされて、エアロック開口部を包囲しているので、有利には完全に一周するシールは、その全周に沿っても圧搾可能である。圧搾負荷を所定の通り加えるために、好ましくはさらに、圧搾駆動部がフレームに設けられている。
【0041】
回転体、又は/及び、エアロック開口部を包囲する保管キャビネットの縁部領域の上述のさらなる発展形態は、フレームを含む、組み立て済みのエアロックアセンブリのさらなる発展形態でもある。
【0042】
さらなる好ましい実施形態によると、エアロックアセンブリは、好ましくはフレームに、圧搾装置の代わりに、シールの材料及び部材弾性に反して流体によって拡張可能であるシールと、シール面クランプ装置として、対応する流体輸送ポンプと、を有し得る。
【0043】
上述の輸送されるべき材料は、例えば細胞懸濁液を含む液体又は粉末等の、流し込むことが可能である化学、生物、又は生化学物質であり得る。このような物質は、例えばマイクロタイタープレート又はバイアル等の実験室容器に受容されて供給されている。保管装置は、棚状装置であってよく、棚状装置には、実験室容器が、必要に応じてそれぞれ複数の実験室容器を含むパッケージにまとめられて、隣り合って、上下に、場所をとらないように、列及び段に配置され、保管され得る。実験室用保管キャビネットは、好ましくは調節装置を含んでおり、これによって、保管空間内のガス雰囲気が、少なくとも温度又は/及び圧力又は/及び湿度又は/及びガス組成に関して調節され得る。好ましくは、保管キャビネットは、+20℃から-20℃の間における保管空間内の温度で動作する。
【0044】
本発明に係る実験室用保管キャビネットは、操作装置としてピペッティングロボット、又は、その一部を含むことが可能であり、ピペッティングロボットは、外側環境の雰囲気とは少なくとも1つのパラメータにおいて異なっている保管空間雰囲気内で作業を行う。収納位置はやはり、棚システムによって、又は、ピペッティングロボットの動作範囲における実験室容器に関する所定の配置位置によって決定されていてよい。
【0045】
基本的に、操作装置が、保管空間内で雰囲気条件下で動作するように設計されていなくてはならず、つまり、例えば外側環境の温度とは著しく異なる保管空間の温度領域においても、正確に動作できなければならない、ということが重要である。
【0046】
ローディング構造は、最も単純な場合において、回転体上に配置又は構成された所定の配置面であってよい。しかしまた、当該配置面は、クリップ等、容器のためのホルダを含み得る。ローディング構造に配置される材料の意図的な方向付けのために、ローディング構造は、材料、特に容器と協働する形状接続要素を有することが可能であり、当該形状接続要素は、所定の方向においてのみ、ローディング構造への物体のローディングを可能にする。これによって、保管空間における材料の自動的な操作が著しく容易になる。
【0047】
以下において、本発明を添付の図面を用いて、詳細に説明する。示されているのは以下の図である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【
図1】本発明に係る実験室用保管キャビネットの前面図である。
【
図2】
図1に係る実験室用保管キャビネットの側面図である。
【
図3】
図1に係る保管キャビネットのエアロックアセンブリであって、エアロック開口部を包囲する、2つのフレーム部材及びそれらの間に配置されたシールを有するフレームと、回転軸の周りで回転可能にエアロック開口部にはめ込まれる回転体と、回転体の回転駆動部と、フレーム部材の圧搾駆動部と、を含むエアロックアセンブリの斜視図である。
【
図4】回転体の回転軸を含み、両方のローディング構造を貫通する断面に沿って切断された、
図3に係るエアロックアセンブリの斜視図である。
【
図5】断面に直交する観察方向において観察した場合の、
図4に係るエアロックアセンブリの縦断面図である。
【
図6】回転体の回転軸に直交する断面に沿って切断した、
図3~
図5に係るエアロックアセンブリの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
図1及び
図2には、実験室用保管キャビネットの本発明に係る実施形態が、全体として参照符号10で示されている。
図1は、保管キャビネット10の前面を示しており、保管キャビネット10は、大型の家庭用冷蔵庫程度の寸法を有している。単なる例として、保管キャビネットは、例えば幅90cm~100cm、高さ220cm~240cmであってよい。しかしながら、ここでは、保管キャビネットの寸法は重要ではない。
【0050】
図1には、
図2における視線の方向が、矢印IIで示されている。
図2には、
図1における視線の方向が、矢印Iで示されている。
【0051】
保管キャビネット10は、キャビネットハウジング12を有しており、キャビネットハウジング12は、キャビネットハウジング12内部の保管空間14(
図3~
図6を参照)を、外側環境Uから区切っており、これによって、調節装置16が、保管空間14内の保管キャビネット10の下側端部領域において、外側環境の条件とは異なる雰囲気条件を維持することができる。例えば、保管空間14内の雰囲気は、温度又は/及び圧力又は/及び湿度又は/及び化学組成に関して、外側環境Uの雰囲気とは異なり得る。
【0052】
保管キャビネット10は、表示装置18を有しており、表示装置18は、タッチセンサ式のスクリーンとして、入力装置でもあり、表示装置18を通じて、例えば保管空間14内の雰囲気条件が調整され得る。加えて、入力装置を通じて、保管空間14に保管された物体が、排出のために呼び出されるか、又は、保管空間14に受容されるべき物体に関して、所定の収納位置が与えられ得る。
【0053】
保管空間14内で調節装置16によって人工的に維持されている保管条件を過度に損なうことなく、物体は、キャビネットハウジング12(図示された例ではその前壁12a)を、輸送エアロック20によって乗り越えることができる。
【0054】
輸送エアロック20は、回転体22を含んでおり、回転体22は、図示された例では、重力の作用方向に沿って延在する回転軸Rの周りで回転可能に、キャビネットハウジング12、特にその前壁12aを貫通するエアロック開口部24にはめ込まれている。
【0055】
保管空間14内では、操作装置26、例えば多軸グリッパ装置は、回転体22から物体を受け取るために、又は、回転体22に物体を渡すために、回転体22と協力する。操作装置26はさらに、操作装置26によって到達可能である複数の収納位置を有する保管装置28と協力し、これによって、回転体22と保管装置28の各収納位置との間で、物体が操作装置26によって輸送可能である。このために、保管装置28は、基本的に、例えば保管回転台として、キャビネットハウジング12に対して可動であってよい。保管回転台を用いるよりも密な収納位置におけるパッキングは、収納位置を固定して配置することによって得られる。エアロック20がキャビネットハウジング12の前壁12aに配置されている当該例では、操作装置26は、操作装置26がキャビネットハウジング12の前壁12aとは反対側の後壁の内面に配置されている場合、エアロック20における内側輸送位置を始点として多数の収納位置に到達するために十分な移動空間を有している。
図2及び
図3には、操作装置26及び保管装置28が、破線の長方形によって、極めて概略的にのみ示されている。例えば実験室容器等の物体の、実験室用保管キャビネットの保管空間内での操作は、それ自体知られている。それぞれ格納されるべき物体又は/及び物体のパッケージは、有利には、例えばRFIDチップ、又は、QRコード(登録商標)、若しくはバーコード等の光符号といったIDを有している。同様に、各収納位置は、同じくRFIDチップ又は光符号によって実現された個別のIDを有することが可能である。操作装置又は保管キャビネットは、一般的に、好ましくは読み取り装置を含んでおり、当該読み取り装置は、物体及び必要に応じて配設された収納位置のIDを読み取り、この情報をデータ記憶装置に伝達する。
【0056】
図示された例では、保管キャビネット10は、その下側端部にキャスタ30を有しており、キャスタ30によって、保管キャビネット10内で、ある程度受動的に動くことが可能であり、つまり例えば、実験室内で、1人以上の操作員によって、保管キャビネット10を持ち上げることなく変位可能である。
【0057】
保守目的で、浄化のために、しかしまた、応急作業のためにも、保管キャビネット10の保管空間14は、側方の扉32を通じてアクセス可能である。扉32は、保管キャビネット10の側面に旋回可能に配置されており、開放された場合には、保管空間14への広範囲のアクセスを提供する。
【0058】
図1には、保管キャビネット10の前面カバー34が視認され、前面カバー34は、ヒンジ36を用いて、図示された例では回転軸Rに対して平行なクラップ軸Kの周りで、後方に位置するハウジング壁12から遠ざかるようにクラップ可能であり、これによって、例えば輸送エアロック20が保守可能である。
【0059】
図3には、輸送エアロック20のエアロックアセンブリ38が単独で、すなわちキャビネットハウジング12及び前面カバー34を伴わずに示されている。
【0060】
エアロックアセンブリ38は、概ね円筒形の回転体22と、回転体22を包囲するフレーム40と、を含んでいる。フレーム40は、回転体22と共に、エアロック開口部24も包囲している。
【0061】
回転体22は、その下側長手方向端部にプレート22aを有しており、プレート22aの上方には、側壁22bによって接続されて、蓋22cが存在している。
【0062】
回転体22の回転軸Rの方向を指し示し、回転軸Rに直交する蓋22cの端面22c1は、図示された例では平らである。同じことは、反対側の方向を指し示すプレート22aの端面22aにも当てはまる。プレート22aと側壁22bとの間の移行部、及び、側壁22bと蓋22cとの間の移行部は、操作員が回転体22によって負傷する危険を減少させるために丸みをつけられている。
【0063】
側壁22bの外側面22b1は、円筒形の一部である。外側面22b1を周方向において中断する凹部42には、ローディング構造44が、図示された例ではローディングプラットフォームとして配置されている。所定の凹部の形状を有する形状接続手段46と、所定の突起の形状のさらなる形状接続手段48と、は物体、例えば実験室容器が、所定の方向付けられた位置においてのみ、ローディング構造44に配置され得るように機能する。なぜなら、その形状接続相手側手段は、正確な配置のために、形状接続手段46及び48と形状接続係合していなければならないからである。
【0064】
回転体22は、上側スイベル52a、及び、同軸の下側スイベル52bにおいて、回転軸Rの周りで回転可能であるように、フレーム40に取り付けられている。回転体22は、回転駆動部50によって、回転軸Rの周りで回転するように駆動され得る。回転駆動部50は、図示された例では、電動の駆動モータ52を含んでおり、その出力された回転運動は、ベルト54を通じて、回転体22と共に回転するように接続された駆動ディスク56に伝達される。図示された例では、回転駆動部50は、フレーム40の上側領域に配置されている。この配置は、単なる例に過ぎず、フレーム40の下側領域に設けられていてもよい。同様に、ベルト駆動に対して付加的又は代替的に、ギア又はロッドが、駆動モータ52によって出力されるトルクを回転体22に伝達するために設けられていてよい。
【0065】
フレーム40は、第1のフレーム部材40aと第2のフレーム部材40bとを含んでおり、これらのフレーム部材は、その間に間隙41を画定している。第1のフレーム部材40aは、キャビネットハウジングに固定されるフレーム部材40aとして、キャビネットハウジング12と固く接続するように構成されている。第2のフレーム部材40bは、第1のフレーム部材40aに対して、第1のフレーム部材40aと第2のフレーム部材40bとの間の間隔方向に延在する間隔軸Aに沿って、第1のフレーム部材40aに接近可能であり、かつ、第1のフレーム部材40aから離れることが可能である。
【0066】
当該経路に向かう、かつ、当該経路からの第2のフレーム部材40bの第1のフレーム部材40aへの移動をもたらすために、シール面クランプ装置58が設けられている。両方のフレーム部材40a及び40bの間の間隙41には、少なくとも部分的に、しかしながらエアロック開口部24の大部分の周りを囲むように延在するシール60(
図4~
図6)が存在しており、シール60は、第2のフレーム部材40bを間隔軸Aに沿って第1のフレーム部材40aに近づけることによって圧搾され、圧搾の結果、そのエアロック開口部24の方を指し示す部分は、シール面60aで、間隔軸Aに直交して、エアロック開口部24の方に伸長し、従って変位するので、シール面クランプ装置58の駆動部62は、上述の圧搾駆動部62である。
【0067】
圧搾駆動部62は、やはり好ましくは電動のモータを含んでおり、当該モータは、スピンドルドライブ64aのナット63aに直接連結されている。ナット63aは、第2のフレーム部材40bに回転可能に取り付けられている。ナット63aによって包囲されたスピンドル(視認不可能)は、第1のフレーム部材40aに接続され、固定されている。
【0068】
第2のフレーム部材40bの、間隔軸Aに沿って移動している間の傾きを回避するために、シール面クランプ装置58は、さらなるスピンドルドライブ64bを含んでおり、スピンドルドライブ64bの、同様に回転可能に第2のフレーム部材40bに取り付けられたナット63bは、駆動ベルト66を通じて、モータ62に直接連結されたナット63aと、共に同じ方向に回転するように接続されている。圧搾駆動部62によって出力されるトルクは、第2のフレーム部材40bの4つの角において均等に分配され、従って、第2のフレーム部材40bは、第1のフレーム部材40aに対して略平行な方向付けで、第1のフレーム部材40aに接近し、第1のフレーム部材40aから離れることが可能である。同様に回転可能に第2のフレーム部材40bに取り付けられたテンショナ68は、ベルト66の張力を維持する。
【0069】
制御装置70は、回転駆動部50の駆動モータ52とも圧搾駆動部62とも、信号を伝達するように接続されているので、制御装置70は、回転体22を、回転軸Rの周りで回転するように、かつ、第2のフレーム部材40bを、第1のフレーム部材40aに接近させ、第1のフレーム部材40aから離れさせるように、駆動することができる。この際、好ましくは、シール60は、回転体22が回転する場合には回転体22から離れており、回転体22が静止している場合には回転体22に当接していることが有効である。
【0070】
ローディング構造44に配置されるべき材料に適合した任意の形状を有し得る凹部42は、側面内に通過開口部72を有しており、通過開口部72を通じて、光学輸送センサ74が、ローディング構造44の真上の領域に照射を行う。光学輸送センサ74は、制御装置70と信号を伝達するように接続されているので、制御装置70は、輸送センサ74の検出信号を受信し、評価することができる。
【0071】
光学輸送センサ74は、ローディング構造44上に、外側環境Uから保管空間14内に輸送されるべき物体が存在するか否かを検出するために用いられる。制御装置70は、輸送センサ74の信号を受けて、回転体22に回転運動させるように構成されていてよい。
【0072】
図3に見られるローディング構造44は、外側輸送位置に存在しており、従って、操作員又は操作機器が、自動化されたローディングのためにアクセスすることができる。
【0073】
さらに、エアロックアセンブリ38は、2つの干渉センサ76及び78を含んでおり、これらの干渉センサは、同様に光学センサである。同様に制御装置70と信号を伝達するように接続された干渉センサ76及び78は、凹部42の手前に様々な高さの光バリアを生じさせ、これによって、外側環境Uから、例えばローディング構造44をローディングする操作機器の一部、又は、操作員の腕若しくは手等の物体が、回転体22の移動空間内に突出し、回転体22の運動の際に、物体が損傷又は負傷する危険が存在するかどうかを検出することができる。制御装置70は、干渉センサ76及び78の内の少なくとも1つが、回転体22の移動空間内に突出する物体を検出する場合、回転体22の動きを制止するように構成されている。
【0074】
制御装置70は、表示及び入力/出力装置18と、信号を伝達するように連結されていてよい。
【0075】
図4及び
図5には、断面に沿ったエアロックアセンブリ38の縦断面が示されており、当該縦断面は、回転軸Rを含み、エアロック開口部24の開口部面を概ね直角に貫通している。
【0076】
図4及び
図5には、さらなるローディング構造44‐2が示されており、ローディング構造44‐2は、上述のローディング構造44とは直径上で反対側に位置しており、
図5の投影面に直交し、回転軸Rを含む鏡面対称面SEに関して、上述のローディング構造44に対して鏡面対称に構成されており、配置されている。従って、以下において、このさらなるローディング構造44‐2については検討しない。ローディング構造44に関する上述の説明は、上述の鏡面対称条件下で、さらなるローディング構造44‐2にも適用される。
【0077】
さらなるローディング構造44‐2は、上述の凹部42とは直径上で反対側に位置する凹部42‐2内に存在している。凹部42及び42‐2は、一方の凹部が、回転軸Rの周りで180°回転することによって、他方の凹部に移行するように、点対称に構成されている。
【0078】
図4及び
図5において、ローディング構造44と、ローディング構造44に配設された凹部42と、は外側環境Uの側に位置しているので、ローディング構造44は、外側輸送位置に存在している。これに対して、さらなるローディング構造44‐2は、保管空間14の側に位置しており、従って内側輸送位置に存在している。回転体22は、その準備位置にある。
【0079】
両方の凹部42及び42‐2は、隔壁22dによって、互いに空間的かつ物理的に分離している。保管空間14において、外側環境Uの外側雰囲気とは異なる、通常はより低い温度を有する雰囲気を、可能な限り少ない負担で維持することを可能にするために、隔壁22内には、例えばセラミック粉末、特に真空セラミック粉末、多孔質の繊維構造又は/及び泡構造等の、熱的分離を行う適切な材料から成る、熱的分離を行うプレート80が形成されている。
【0080】
凹部42及び42‐2は、それぞれ回転体22の部分体23によって形成されており、凹部42及び42‐2は、上述した点対称に基づき、好ましくは同一の構成を有しているので、その製造のためには、1つの成形工具で十分である。図示された例では、プレート22aは、その外面を画定する部材のみを含んでいる。蓋22cは、その外面を画定する2つの部材25を含んでおり、これらの部材25は同様に、好ましくは同一の構成を有している。
【0081】
部材25、23とプレート22aとの間には、空洞が形成されており、これによって、空洞内に、例えば凹部42及び42‐2のための照明82並びにその供給導線等の機能ユニットが格納されるか、又は、回転体22の質量と、従って質量慣性モーメントとが減少する。
【0082】
凹部42及び42‐2内に設けられた照明82によって、それぞれ凹部に配設されたローディング構造が照らされ得る。当該照明は、例えばLEDランプを含み得る。
【0083】
図4及び
図5では、さらに、回転体のそれ自体一般的なスイベルが視認できる。
【0084】
図6では、回転体22及びフレーム40が、回転軸Rに直交する平面に沿って切断されている。当該図面では、熱的分離を行うプレート80が、隔壁22dの部分として、その外周の広範囲の領域上方のシール84によって囲まれていることが認識できる。シール84は、シール合わせ面84aを有しており、シール合わせ面84aは、そのフレーム40において反対側に位置するシール60の方を指し示している。当該例では、小さい力で変形可能なホースシールとして図示されたシール60は、その回転体側のシール84の方を指し示す側において、シール面60aを有しており、シール面60aは、間隔軸Aに沿ったシール60の圧搾によって、回転体22及びシール面84aの方へ変位し得る。シール84は、可撓性を有する材料から成るので、シール84、及び、シール84と共にシール合わせ面84aは、シール合わせ面84aに押し込まれるシール面60aの負荷を受けて、仮想の、エアロック開口部24を中央で貫通すると想定される、回転軸Rに直交する開口部軸Vに向かって変形するか、又は、シール合わせ面84aも変位する。
【0085】
仮想の開口部軸Vは、
図5の投影面に対して平行である。
【符号の説明】
【0086】
10 保管キャビネット
12 キャビネットハウジング
12a 壁
14 保管空間
16 調節装置
18 表示及び入力/出力装置
20 エアロック
22 回転体
22a プレート
22b 側壁
22b1 外側面
22c 蓋
22c1 端面
22d 隔壁
24 エアロック開口部
23、25 部材
26 操作装置
28 保管装置
30 キャスタ
32 扉
34 前面カバー
36 ヒンジ
38 エアロックアセンブリ
40 フレーム、圧搾装置
40a 第1のフレーム部材
40b 第2のフレーム部材
41 間隙
42 凹部
42‐2 凹部
44 第1のローディング構造
44‐2 第2のローディング構造
46 形状接続手段
48 さらなる形状接続手段
50 回転駆動部
52 駆動モータ、回転駆動部
52a 上側スイベル
52b 下側スイベル
54 ベルト
56 駆動ディスク
58 シール面クランプ装置
60 シール
60a シール面
62 圧搾駆動部、モータ、圧搾装置
63a、63b ナット
64a、64b スピンドルドライブ、圧搾装置
66 駆動ベルト、圧搾装置
68 テンショナ
70 制御装置
72 通過開口部
74 輸送センサ
76、78 干渉センサ
80 熱的分離を行うプレート、隔壁材料
82 照明
84 シール
84a シール合わせ面
A 間隔軸
K クラップ軸
R 回転軸
SE 鏡面対称面
U 外側環境
V 開口部軸
【国際調査報告】