(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-14
(54)【発明の名称】エアロゾル発生物品用のリテーナー
(51)【国際特許分類】
A24D 1/20 20200101AFI20230207BHJP
A24D 1/22 20200101ALI20230207BHJP
A24F 40/20 20200101ALI20230207BHJP
A24F 40/42 20200101ALI20230207BHJP
【FI】
A24D1/20
A24D1/22
A24F40/20
A24F40/42
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022535833
(86)(22)【出願日】2020-12-16
(85)【翻訳文提出日】2022-06-13
(86)【国際出願番号】 EP2020086491
(87)【国際公開番号】W WO2021122794
(87)【国際公開日】2021-06-24
(32)【優先日】2019-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100167911
【氏名又は名称】豊島 匠二
(72)【発明者】
【氏名】カナル ポンシコ アンナ
(72)【発明者】
【氏名】グラフ ディディエ
(72)【発明者】
【氏名】パイネンバーグ ヨハネス ペトラス マリア
(72)【発明者】
【氏名】サイギリ アリ ムラト
【テーマコード(参考)】
4B045
4B162
【Fターム(参考)】
4B045AA01
4B045AA50
4B045AB00
4B162AA03
4B162AA24
4B162AB12
4B162AB22
4B162AC13
4B162AC23
(57)【要約】
キットであって、可燃性熱源(4)およびエアロゾル形成基体(10)を含むエアロゾル発生物品(2)と、エアロゾル発生物品用のリテーナー(300)であって、リテーナーが、部分的に閉じた第一の端部(304a)および開いた第二の端部(304b)を有する管状体(302)であって、管状体が、第一の端部と第二の端部との間に延在する長軸方向通路(305)を画定し、管状体が、複数の開口部(306)を含む第一の端部に近接した第一の部分(307)と、第一の部分と第二の端部との間の第二の部分(309)とを備え、管状体の第一の部分がエアロゾル発生物品の可燃性熱源を囲むように、管状体が通路内でエアロゾル発生物品を少なくとも部分的に受容するように構成され、管状体の第一の端部および第一の部分が、管状体の第一の部分がエアロゾル発生物品の可燃性熱源を囲むように、エアロゾル発生物品が通路内に受容されるとき、エアロゾル発生物品の可燃性熱源の露出表面積の少なくとも約80%が、管状体の第一の端部および第一の部分の複数の開口部を通して露出したままになるように構成され、管状体の第一の部分の内径と可燃性熱源の露出面の外径との比が、少なくとも約1.1である、菅状体を備える、リテーナーと、を備える、キット。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キットであって、
可燃性熱源およびエアロゾル形成基体を備えるエアロゾル発生物品と、
前記エアロゾル発生物品用のリテーナーであって、
部分的に閉じた第一の端部および開いた第二の端部を有する管状体であって、前記第一の端部と前記第二の端部との間に延在する長軸方向通路を画定し、前記管状体が、
複数の開口部を含む前記第一の端部に近接した第一の部分と、
前記第一の部分と前記第二の端部との間にある第二の部分と、を含む管状体を備えるリテーナーと、を備え、
前記管状体が、前記通路内で前記エアロゾル発生物品を少なくとも部分的に受容し、前記管状体の前記第一の部分が前記エアロゾル発生物品の前記可燃性熱源を囲むように構成され、
前記管状体の前記第一の端部および前記第一の部分が、前記管状体の前記第一の部分が前記エアロゾル発生物品の前記可燃性熱源を囲むように、前記エアロゾル発生物品が前記通路に受容されるとき、前記エアロゾル発生物品の前記可燃性熱源の露出表面積の少なくとも約80%が、前記管状体の前記第一の端部および前記第一の部分の前記複数の開口部を通して露出したままになるように構成され、
前記管状体の前記第一の部分の内径と前記可燃性熱源の前記露出面の外径との比が、少なくとも約1.1である、キット。
【請求項2】
前記管状体の前記第一の部分が、前記エアロゾル発生物品の前記可燃性熱源を囲むように、前記エアロゾル発生物品が、前記通路に受容されるとき、前記エアロゾル発生物品の前記可燃性熱源の前記露出表面積の約80%~約90%が、前記管状体の前記第一の端部および前記第一の部分の前記複数の開口部を通して露出されたままである、請求項1に記載のキット。
【請求項3】
前記管状体の前記第一の部分の内径と前記可燃性熱源の前記露出面の外径との比が、少なくとも約1.16である、請求項1または2に記載のキット。
【請求項4】
前記管状体の前記第一の部分の内径と前記可燃性熱源の前記露出面の外径との比が、約1.16~約1.6である、請求項3に記載のキット。
【請求項5】
前記管状体の前記第一の部分の内径と前記可燃性熱源の前記露出面の外径との比が、少なくとも約1.2である、請求項1~4のいずれかに記載のキット。
【請求項6】
前記管状体が、前記管状体の前記第一の部分が前記可燃性熱源および前記エアロゾル発生物品の前記エアロゾル形成基体を囲むように、前記通路内で前記エアロゾル発生物品を少なくとも部分的に受容するように構成される、請求項1~5のいずれか一項に記載のキット。
【請求項7】
前記管状体の前記第一の部分が、前記エアロゾル発生物品の前記可燃性熱源を囲むように、前記エアロゾル発生物品が前記通路内に受容された時に、前記管状体の前記第二の部分がユーザーによって保持されるように構成される、請求項1~6のいずれか一項に記載のキット。
【請求項8】
前記管状体の前記第二の部分が、0.5Wm
-1K
-1以下の熱伝導率を有する外側層を備える、請求項1~7のいずれか一項に記載のキット。
【請求項9】
前記管状体の前記第二の部分が、前記通路で受容された時に、ユーザーが前記エアロゾル発生物品の外側表面に接触することができる開口部を備える、請求項1~8のいずれか一項に記載のキット。
【請求項10】
前記管状体の外側表面上に設けられた熱インジケータをさらに備え、前記熱インジケータが、前記熱インジケータの温度がスイッチング温度に上昇するときに可逆的な可視色変化を受ける少なくとも一つの可逆性サーモクロミック材料を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のキット。
【請求項11】
不通気性キャップをさらに備え、前記キャップが、前記リテーナーの前記管状体の前記第一の端部および前記第一の部分に嵌合するように構成される、請求項1~10のいずれか一項に記載のキット。
【請求項12】
前記キャップが、少なくとも120Wm
-1K
-1の熱伝導率を有する内側層を備える、請求項11に記載のキット。
【請求項13】
前記キャップが、0.5Wm
-1K
-1以下の熱伝導率を有する外側層を備える、請求項11または12に記載のキット。
【請求項14】
前記キャップが、一つ以上の相変化材料を含む、請求項11~13のいずれか一項に記載のキット。
【請求項15】
前記キャップおよび前記リテーナーの前記管状体の前記第一の部分が、スナップ嵌合接続を介して互いに分離可能に結合されるように構成される、請求項11~14のいずれか一項に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱式エアロゾル発生物品などのエアロゾル発生物品用のリテーナーに関する。特に、限定されないが、本発明の一つまたは複数の実施形態は、エアロゾル発生物品が可燃性熱源およびエアロゾル形成基体を含む、エアロゾル発生物品用のリテーナーに関連し得る。
【背景技術】
【0002】
たばこが燃焼するよりはむしろ加熱される多くのエアロゾル発生物品も、当技術分野において提唱されてきた。このような「加熱式」エアロゾル発生物品の一つの目的は、従来の紙巻たばこにおけるたばこの燃焼および熱分解性分解によって生成されるタイプの既知の有害な煙成分を低減させることである。一つの既知の種類の加熱式エアロゾル発生物品では、可燃性熱源から可燃性熱源の下流に位置する物理的に分離されたエアロゾル形成基体への熱伝達によりエアロゾルが生成される。使用中、揮発性化合物は、可燃性熱源からの熱伝達によってエアロゾル形成基体から放出され、エアロゾル発生物品を通して引き出された空気中に同伴される。放出された化合物が冷えるにつれて、これらは凝縮してユーザーによって吸入されるエアロゾルを形成する。
【0003】
エアロゾルを得るのに、可燃性熱源からエアロゾル形成基体への伝導性熱伝達を確保するために、加熱式エアロゾル発生物品の可燃性熱源の少なくとも後方部分およびエアロゾル形成基体の少なくとも前方部分の周りに、熱伝導性要素を含むことが知られている。例えば、WO-A2-2009/022232号では、可燃性熱源と、可燃性熱源の下流にあるエアロゾル形成基体と、可燃性熱源の後方部分およびエアロゾル形成基体の隣接する前方部分の周りにあり、それと直に接触する熱伝導性要素とを備えた加熱式エアロゾル発生物品を開示している。熱伝導性要素およびエアロゾル形成基体は、紙巻たばこ用紙の外側ラッパーによって囲まれている。使用時、エアロゾル形成基体の前方部分は、隣接した可燃性熱源の後方部分および熱伝導性要素を通して伝導加熱される。
【0004】
たばこが燃焼するよりはむしろ加熱されるエアロゾル発生物品において、エアロゾル形成基体において達成される温度は、許容されるエアロゾルを生成する能力に顕著な影響を及ぼす。ユーザーへのエアロゾル送達を最適化するために、一定の範囲内でエアロゾル形成基体の温度を維持することが典型的には望ましい。例えば、エアロゾル形成基体の温度が低下し過ぎる場合、それはユーザーに送達されるエアロゾルの一貫性および量に不利に影響を与えうる。
【0005】
エアロゾル発生物品の可燃性熱源は、点火を可能にし、持続的な燃焼を支持するのに十分な空気(酸素)を必要とする。したがって、可燃性熱源を確保および維持するために提供されるいかなる手段も、可燃性熱源への空気の供給を過度に制限してはならない。空気の供給が過度に制限されている場合、可燃性熱源の持続的な燃焼は、使用中に達成されず、エアロゾル形成基体の温度が低下し、ユーザーに送達されるエアロゾルの一貫性および量に悪影響を与えうる。
【0006】
加熱式エアロゾル発生物品で使用するための各種の可燃性炭素含有熱源が、当技術分野において提案されてきた。加熱式エアロゾル発生物品で使用するための可燃性炭素含有熱源の燃焼温度は、典型的には約600℃~800℃である。可燃性炭素含有熱源を備えた加熱式エアロゾル発生物品は、可燃性炭素含有熱源の高い燃焼温度のために望ましくないほど高い点火傾向を有し得る。本明細書で使用される場合、用語「点火傾向」は、点火された後に他の物を点火する可燃性熱源の能力または傾向を指す。さらに、高い燃焼温度は、可燃性熱源を消すことを困難にし得る。
【0007】
可燃性熱源と、使用中に可燃性熱源を保護するエアロゾル形成基体とを含むエアロゾル発生物品用のリテーナーを提供することが望ましい。
【0008】
可燃性熱源および使用中および使用後の可燃性熱源の点火傾向を低減するエアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品用のリテーナーを提供することが望ましい。
【0009】
可燃性熱源と、使用後の可燃性熱源の消火を容易にするエアロゾル形成基体とを含むエアロゾル発生物品用のリテーナーを提供することが望ましい。
【0010】
可燃性熱源と、可燃性熱源の照明時間に著しく悪影響を及ぼさないエアロゾル形成基体とを含むエアロゾル発生物品用のリテーナーを提供することが望ましい。
【0011】
可燃性熱源およびエアロゾル発生物品のエアロゾル送達に著しく悪影響を及ぼさないエアロゾル形成基体を含む、エアロゾル発生物品用のリテーナーを提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0012】
本開示によれば、可燃性熱源およびエアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品と、リテーナーであって、部分的に閉じた第一の端部および開いた第二の端部を有する管状体であって、管状体が、第一の端部と第二の端部との間に延在する長軸方向通路を画定し、管状体が、複数の開口部を含む第一の端部に近接した第一の部分と、第一の部分と第二の端部との間の第二の部分とを含み、管状体が、管状体の第一の部分がエアロゾル発生物品の可燃性熱源を囲むように、通路内でエアロゾル発生物品を少なくとも部分的に受容するように構成され、エアロゾル発生物品の可燃性熱源の露出表面積の少なくとも約80%が、エアロゾル発生物品が通路内に受容される時に、管状体の第一の端部および第一の部分の複数の開口部を通して露出されたままになるように管状体の第一の端部および第一の部分が構成され、管状体の第一の部分の内径と可燃性熱源の露出面の外径との比が、少なくとも約1.1である、菅状体を備える、リテーナーとを備えるキットが提供される。
【0013】
リテーナーは有利には、エアロゾル発生物品の可燃性熱源を、可燃性熱源の照明時間に著しい悪影響を及ぼさないように、照明中の破損から保護する。リテーナーはまた、有利には、エアロゾル発生物品のエアロゾル送達に著しい悪影響を及ぼさずに、エアロゾル発生物品の可燃性熱源を燃焼中の破損から保護する。可燃性熱源の破損またはドロップオフの場合、リテーナーは、エアロゾル発生物品の可燃性熱源を管状体内に保持する。さらに、リテーナーは、有利なことに、可燃性熱源が他のものと接触することから保護し、したがって、使用中および使用後に可燃性熱源の点火傾向を低減する。
【0014】
有利には、エアロゾル発生物品は、部分的に閉じた第一の端部を通して通路から挿入または除去することができない。しかしながら、空気は、部分的に閉じた第一の端部を通って可燃性熱源に流れ、可燃性熱源の照明および持続的な燃焼を容易にすることができる。
【0015】
エアロゾル発生物品が通路内に受容されるとき、エアロゾル発生物品の可燃性熱源の露出表面積の少なくとも約80%が管状体の第一の端部および第一の部分の複数の開口部を通して露出したままになるように、管状体の第一の端部および第一の部分を構成することは、有利には、照明を可能にし、持続的な燃焼を支持するために、可燃性熱源への十分な空気供給を可能にすることが見出されている。
【0016】
管状体の第一の部分の内径と、可燃性熱源の露出面の外径との比は、少なくとも約1.1である。この比は、驚くべきことに、エアロゾル送達およびエアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体の温度にプラスの影響を与えることが見出されている。
【0017】
本明細書で使用される場合、「エアロゾル発生物品」という用語は、ユーザーによって吸入され得るエアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出するエアロゾル形成基体を含む物品を指す。本明細書で使用される「エアロゾル形成基体」という用語は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を加熱時に放出する能力を有する基体を指す。本発明による物品のエアロゾル形成基体から生成されるエアロゾルは、見えても、または見えなくてもよく、蒸気(例えば、気状である物質の微粉は室温にて通常、液体または固体である)、ならびに気体および凝縮された蒸気の液体の液滴を含んでもよい。
【0018】
エアロゾル形成基体は、揮発性化合物を加熱に伴って放出できる材料を含むプラグまたはセグメントの形態であってもよく、それは外側ラッパーによって取り囲まれてエアロゾルを形成することができる。エアロゾル形成基体がこのようなプラグまたはセグメントの形態である場合、外側ラッパーを含むプラグまたはセグメントの全体は、エアロゾル形成基体であると見なされる。
【0019】
本明細書で使用される場合、用語「部分的に閉じている」は、空気が可燃性熱源に第一の端部を通って流れることを可能にするが、通路から第一の端部を通してエアロゾル発生物品の挿入または除去を防止する、第一の端部の配置を記述するために使用される。空気が第一の端部を通って可燃性熱源に流れることを可能にすると、可燃性熱源の照明および持続的な燃焼が促進される。疑義を避けるために付言すると、用語「少なくとも部分的に閉じている」は、空気が第一の端部を通って流れることができないように、第一の端部が完全に閉じた配置を含む。
【0020】
本明細書で使用される場合、用語「開く」は、第二の端部を通して通路からエアロゾル発生物品の挿入または除去を可能にする、第二の端部の配置を記述するために使用される。
【0021】
エアロゾル発生物品が通路内に受容された時に、管状体の第一の端部および第一の部分の複数の開口部を通して露出されたままであるエアロゾル発生物品の可燃性熱源の露出表面積の割合は、熱源を覆っている管状体の第一の部分の開口部の割合を指す。疑義を避けるために付言すると、可燃性熱源の総曝露面積ではない。割合は、可燃性熱源燃焼ゾーンの一部分にわたる管状体の総外部表面を考慮することによって計算される。言い換えれば、割合は、熱源の露出表面積を覆う管状体の総表面に対して、開口部および部分的に閉じた第一の端部を形成することによって除去された管状体表面の割合を指す。
【0022】
「遠位」「上流」および「前方」、ならびに「近位」「下流」および「後方」という用語は、エアロゾル発生物品の構成要素または構成要素の部分の相対的位置を描写するために使用される。本発明によるエアロゾル発生物品は、使用時にユーザーに送達するためにエアロゾルがエアロゾル発生物品を抜け出る近位端、および対向する遠位端を有する。エアロゾル発生物品の近位端は口側の端と呼ばれることもある。使用時に、エアロゾル発生物品によって発生したエアロゾルを吸い込むために、ユーザーはエアロゾル発生物品の近位端を吸い込む。上流および下流という用語は、ユーザーが近位端を吸い込んだ時のエアロゾル発生物品を通るエアロゾルの移動の方向に関連する。エアロゾル発生物品の近位端は、エアロゾル発生物品の遠位端の下流にある。また、エアロゾル発生物品の近位端は、エアロゾル発生物品の下流端として言及してもよく、エアロゾル発生物品の遠位端はまた、エアロゾル発生物品の上流端として言及してもよい。
【0023】
特定の好ましい実施形態では、管状体の第一の端部および第一の部分は、エアロゾル発生物品の可燃性熱源を管状体の第一の部分が囲むように、エアロゾル発生物品が通路内に受容されるとき、エアロゾル発生物品の可燃性熱源の露出表面積の約80%~約90%が、管状体の第一の端部および第一の部分の複数の開口部を通して露出したままになるように構成され得る。この構成は、照明を可能にし、持続的な燃焼を支持するために、可燃性熱源への改善された空気供給を提供することが見出された。
【0024】
管状体の第一の部分の内径と可燃性熱源の露出面の外径との比は、好ましくは少なくとも約1.16、好ましくは約1.16~約1.6、より好ましくは少なくとも約1.2とすることができる。これらの好ましい比はまた、驚くべきことに、エアロゾル送達およびエアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体の温度にプラスの影響を与えることが見出されている。
【0025】
管状体は、管状体の第一の部分が可燃性熱源およびエアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体を囲むように、通路においてエアロゾル発生物品を少なくとも部分的に受容するように構成されうる。有利には、エアロゾル発生物品の可燃性熱源およびエアロゾル形成基体の両方を囲むことによって、空気は、可燃性熱源に到達することだけでなく、エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体セクションに形成されうる任意の空気吸込み口にも進入することが許容される。
【0026】
使用前に、エアロゾル発生物品は、管状体の第二の端部を通して通路内に挿入されてもよい。使用後、エアロゾル発生物品は、第二の端部を通して通路から除去され得る。
【0027】
通路は、エアロゾル発生物品が第二の端部から第一の端部に向かう方向に挿入される時に、少なくとも可燃性熱源およびエアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体を受容するように構成されうる。
【0028】
管状体は、エアロゾル発生物品の可燃性熱源と接触してもよい。第一の端部と可燃性熱源との間の接触は、導電による熱損失を避けるために制限されることが好ましい。第一の端部と可燃性熱源との間の接触は、1~4つの接触点の間に限定されうる。第一の端部と可燃性熱源との間の接触は、1ミリメートル2~4ミリメートル2の表面積に限定されうる。
【0029】
管状体は、燃焼および点火中に可燃性熱源によって到達される温度で実質的に不燃性である場合がある。管状体は、適切な任意の材料または材料の組み合わせで作られうる。管状体を形成する材料は、耐熱性であることが好ましい。例えば、管状体は、約600度~800度の温度に耐えることができる材料から形成されうる。
【0030】
管状体は、通路内に可燃性熱源を含むエアロゾル発生物品を少なくとも部分的に受容するための任意の適切な寸法を有してもよい。例えば、管状体は、約5.5ミリメートル~約70ミリメートルの長さを有してもよい。例えば、管状体は、約8.5ミリメートル~約12ミリメートルの内径を有し得る。
【0031】
管状体の第一の部分を形成する材料は、低熱伝導率を有してもよい。例えば、管状体の第一の部分を形成する材料は、40Wm-1K-1以下、好ましくは30Wm-1K-1以下、より好ましくは20Wm-1K-1以下の熱伝導率を有し得る。管状体を形成するための適切な材料の例には、ステンレス鋼などの低熱伝導率を有する金属、およびセラミックが含まれる。
【0032】
管状体の第一の部分は、任意の適切な厚さを有してもよい。例えば、管状体の第一の部分は、約20マイクロメートル~約300マイクロメートル、好ましくは100マイクロメートル~250マイクロメートルの厚さを有してもよい。
【0033】
管状体の第一の部分は、可燃性熱源を保護するように構成される。管状体内の複数の開口部は、照明を可能にし、持続的な燃焼を支持するために、可燃性熱源に十分な空気供給を提供する。管状体内の複数の開口部はまた、可燃性熱源の燃焼によって生成される燃焼ガスを通路から逃がすことを可能にする。可燃性熱源を囲むことに加えて、複数の開口部はまた、エアロゾル形成基体を囲んで基体への気流を可能にし得る。複数の開口部は、エアロゾル形成基体を囲んで、エアロゾル形成基体内に提供される空気吸込み口を通してエアロゾル発生物品への気流を可能にし得る。
【0034】
管状体の第二の部分は、管状体の第一の部分がエアロゾル発生物品の可燃性熱源を囲むように、エアロゾル発生物品が通路内に受容される時に、ユーザーによって保持されるように構成されてもよい。したがって、第二の部分はグリップとして作用し得る。
【0035】
管状体の第二の部分は、低熱伝導率を有する材料を含み得る。例えば、管状体の第二の部分は、0.5Wm-1K-1以下、好ましくは0.4Wm-1K-1以下、より好ましくは0.3Wm-1K-1以下の熱伝導率を有する材料を含み得る。有利なことに、低熱伝導率を有する材料を提供することによって、第二の部分の外側表面の温度が低減され、ユーザーが管状体の第二の部分を快適に保持できるように、第二の部分を通した熱伝達が低減される。第二の部分を形成するための適切な材料の例は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)および他の耐熱性ポリマーを含む。第二の部分は、異なる直径のエアロゾル発生物品を収容するために、シリコーンまたはポリウレタンなどのエラストマー材料から作製されてもよい。
【0036】
管状体の第二の部分は、複数の層を備えてもよい。管状体の第二の部分は、低熱伝導率を有する外側層を含み得る。例えば、管状体の第二の部分は、0.5Wm-1K-1以下、好ましくは0.4Wm-1K-1以下、より好ましくは0.3Wm-1K-1以下の熱伝導率を有する外側層を含み得る。有利なことに、低熱伝導率を有する外側層を有することによって、第二の部分の外側層を通る熱伝達が減少し、外側層の外側表面の温度が低減され、ユーザーが管状体の第二の部分を快適に保持し得る。第二の部分の外側層を形成するための好適な材料の例は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)および他の耐熱性ポリマーを含む。第二の部分の外側層は、シリコーンまたはポリウレタンなどのエラストマー材料から作製されてもよい。
【0037】
管状体の第二の部分は、通路に受容されるとき、ユーザーがエアロゾル発生物品の外側表面に接触することができる開口部を備えてもよい。これにより、ユーザーは、エアロゾル発生物品が通路内に受容される時に、エアロゾル発生物品およびリテーナーを同時に握持することができる。
【0038】
キットは、不通気性キャップをさらに備えてもよく、キャップは、リテーナーの管状体の第一の端部および第一の部分に嵌合するように構成される。
【0039】
キャップは、使用後のエアロゾル発生物品の可燃性熱源の消火を有利に促進する。不通気性キャップが管状体の第一の端部および第一の部分に嵌合されるとき、複数の開口部はキャップによって覆われ、キャップは、可燃性熱源への空気供給を制限することによって可燃性熱源の燃焼を阻害する。これにより、可燃性熱源は、単に燃焼させるよりも早く消火することができる。
【0040】
キャップは、高い熱伝導率を有する内側層を含み得る。例えば、キャップは、120Wm-1K-1以上、好ましくは200Wm-1K-1以上、より好ましくは280Wm-1K-1以上の熱伝導率を有する内側層を含み得る。有利なことに、高い熱伝導率を有する内側層をキャップに提供することによって、内側層は放熱板として機能し、高い熱伝導率内側層を有しないキャップよりも早く可燃性熱源の温度を低下させる。キャップの内側層を形成するための適切な材料の例は、アルミニウムおよび銅を含む。
【0041】
キャップは、低熱伝導率を有する外側層を含み得る。例えば、キャップは、0.5Wm-1K-1以下、好ましくは0.4Wm-1K-1以下、より好ましくは0.3Wm-1K-1以下の熱伝導率を有する外側層を含み得る。有利なことに、低熱伝導率を有する外側層を有することによって、キャップの外側層の熱伝達が減少し、その結果、キャップの外側表面の温度が低減され、ユーザーがキャップを快適に保持することができる。キャップの外側層を形成するための適切な材料の例は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)および他の耐熱性ポリマーを含む。キャップは、シリコーンまたはポリウレタンなどのエラストマー材料から作製されてもよい。
【0042】
キャップは、一つ以上の相変化材料を含んでもよい。相変化材料は、可燃性熱源によって生成される熱を消費し、それによって、相変化材料なしでキャップよりも早く可燃性熱源を冷却し得る。
【0043】
特定の好ましい実施形態では、リテーナーの管状体のキャップおよび第一の部分は、スナップ嵌合接続を介して互いに分離可能に結合されるように構成されてもよい。これにより、リテーナー上のキャップの正しい配置を確実にするのに役立つ。任意選択で、スナップ嵌合接続は、キャップがリテーナーに正しく結合された時に可聴クリックを生成して、キャップの正しい配置の可聴表示を提供しうる。
【0044】
本開示によれば、可燃性熱源およびエアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品用のリテーナーが提供され、リテーナーが、部分的に閉じた第一の端部および開いた第二の端部を有する管状体であって、管状体が、第一の端部と第二の端部との間に延在する長軸方向通路を画定し、管状体が、複数の開口部を含む第一の端部に近接した第一の部分と、第一の部分と第二の端部との間の不通気性の第二の部分とを含み、管状体が、可燃性熱源および通路内のエアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品を少なくとも部分的に受容し、管状体およびエアロゾル発生物品が、管状体の第一の部分がエアロゾル発生物品の可燃性熱源を囲む第一の位置と、管状体の第二の部分がエアロゾル発生物品の可燃性熱源を囲む第二の位置との間で互いに長軸方向に移動可能であるように構成され、第一の部分の複数の開口部が、第一の位置において可燃性熱源およびエアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体への気流を可能にするように構成され、第二の部分が、第二の位置においてエアロゾル発生物品の可燃性熱源の燃焼を阻害するように構成される、管状体を含む。
【0045】
リテーナーは有利には、エアロゾル発生物品の可燃性熱源を、可燃性熱源の照明時間に著しい悪影響を及ぼさないように、照明中の破損から保護する。リテーナーはまた、有利には、エアロゾル発生物品のエアロゾル送達に著しい悪影響を及ぼさずに、エアロゾル発生物品の可燃性熱源を燃焼中の破損から保護する。可燃性熱源の破損またはドロップオフの場合、リテーナーは、エアロゾル発生物品の可燃性熱源を管状体内に保持する。さらに、リテーナーは、有利なことに、可燃性熱源が他のものと接触することから保護し、したがって、使用中および使用後に可燃性熱源の点火傾向を低減する。
【0046】
有利には、エアロゾル発生物品は、部分的に閉じた第一の端部を通して通路から挿入または除去することができない。しかしながら、空気は、部分的に閉じた第一の端部を通って可燃性熱源に流れ、可燃性熱源の照明および持続的な燃焼を容易にすることができる。
【0047】
リテーナーの別の利点は、使用後のエアロゾル発生物品の可燃性熱源の消火を容易にすることである。管状体およびエアロゾル発生物品が第二の位置にある時、管状体の第二の部分は、可燃性熱源への空気の供給を阻害するエアロゾル発生物品の可燃性熱源を囲み、単に燃焼させるよりも、可燃性熱源をより迅速に消火する。
【0048】
管状体およびエアロゾル発生物品が、管状体の第一の部分が可燃性熱源およびエアロゾル発生物品の可燃性熱源を囲んでいる第一の位置と、管状体の第二の部分がエアロゾル発生物品の可燃性熱源を囲んでいる第二の位置との間で互いに長軸方向に移動可能であるように、管状体は、可燃性熱源および通路中のエアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品を少なくとも部分的に受容するように構成されてもよい。有利には、エアロゾル発生物品の可燃性熱源およびエアロゾル形成基体の両方を囲むことによって、空気は、可燃性熱源に到達することだけでなく、エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体セクションに形成されうる任意の空気吸込み口にも進入することが許容される。
【0049】
使用前に、エアロゾル発生物品は、管状体の第二の端部を通して通路内に挿入されてもよい。使用後、エアロゾル発生物品は、第二の端部を通して通路から除去され得る。
【0050】
通路は、エアロゾル発生物品が第二の端部から第一の端部に向かう方向に挿入される時に、少なくとも可燃性熱源およびエアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体を受容するように構成されうる。
【0051】
好ましくは、通路は、第一の位置と第二の位置との間の管状体およびエアロゾル発生物品の滑動可能な相対的な長手方向移動を可能にするように構成されてもよい。第一の位置と第二の位置との間の管状体およびエアロゾル発生物品の相対的な長手方向移動は、可燃性熱源への空気供給の制御を可能にする。
【0052】
管状体は、エアロゾル発生物品の可燃性熱源と接触してもよい。第一の端部と可燃性熱源との間の接触は、導電による熱損失を避けるために制限されることが好ましい。第一の端部と可燃性熱源との間の接触は、1~4つの接触点の間に限定されうる。第一の端部と可燃性熱源との間の接触は、1ミリメートル2~4ミリメートル2の表面積に限定されうる。
【0053】
管状体は、点火中および燃焼中、可燃性熱源が達した温度で実質的に不燃性である場合がある。管状体は、適切な任意の材料または材料の組み合わせで作られうる。管状体を形成する材料は、耐熱性であることが好ましい。例えば、管状体は、約600度~800度の温度に耐えることができる材料から形成されうる。
【0054】
管状体は、通路内に可燃性熱源を含むエアロゾル発生物品を少なくとも部分的に受容するための任意の適切な寸法を有してもよい。例えば、管状体は、約5.5ミリメートル~約70ミリメートルの長さを有してもよい。例えば、管状体は、約8.5ミリメートル~約12ミリメートルの内径を有し得る。
【0055】
管状体の第一の部分を形成する材料は、低熱伝導率を有してもよい。例えば、管状体の第一の部分を形成する材料は、40Wm-1K-1以下、好ましくは30Wm-1K-1以下、より好ましくは20Wm-1K-1以下の熱伝導率を有し得る。管状体を形成するための適切な材料の例には、ステンレス鋼などの低熱伝導率を有する金属、およびセラミックが含まれる。
【0056】
管状体の第一の部分は、任意の適切な厚さを有してもよい。例えば、管状体の第一の部分は、約20マイクロメートル~約300マイクロメートル、好ましくは100マイクロメートル~250マイクロメートルの厚さを有してもよい。
【0057】
管状体の第一の部分は、可燃性熱源を保護するように構成される。管状体内の複数の開口部は、照明を可能にし、持続的な燃焼を支持するために、可燃性熱源に十分な空気供給を提供する。管状体内の複数の開口部はまた、可燃性熱源の燃焼によって生成される燃焼ガスを通路から逃すことを可能にする。可燃性熱源を囲むことに加えて、複数の開口部はまた、エアロゾル形成基体を囲んで基体への気流を可能にし得る。複数の開口部は、エアロゾル形成基体を囲んで、エアロゾル形成基体内に提供される空気吸込み口を通してエアロゾル発生物品への気流を可能にし得る。
【0058】
管状体の第二の部分は、ユーザーが第一の位置に保持するように構成されうる。第二の部分は、不通気性であり、いかなる開口部も有しない。第二の部分は、可燃性熱源への空気供給を制限することによって、第二の位置における可燃性熱源の燃焼を阻害する。したがって、第二の部分は、消火グリップとして作用し得る。
【0059】
管状体の第二の部分は、低熱伝導率を有する材料を含み得る。例えば、管状体の第二の部分は、0.5Wm-1K-1以下、好ましくは0.4Wm-1K-1以下、より好ましくは0.3Wm-1K-1以下の熱伝導率を有する材料を含み得る。有利なことに、低熱伝導率を有する材料を提供することによって、第二の部分の外側表面の温度が低減され、ユーザーが管状体の第二の部分を快適に保持できるように、第二の部分を通した熱伝達が低減される。第二の部分を形成するための適切な材料の例は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)および他の耐熱性ポリマーを含む。第二の部分は、異なる直径のエアロゾル発生物品を収容するために、シリコーンまたはポリウレタンなどの弾性材料から作製されてもよい。
【0060】
管状体の第二の部分は、複数の層を備えてもよい。管状体の第二の部分は、高い熱伝導率を有する内側層を含み得る。例えば、管状体の第二の部分は、120Wm-1K-1以上、好ましくは200Wm-1K-1以上、より好ましくは280Wm-1K-1以上の熱伝導率を有する内側層を含み得る。有利には、管状体の第二の部分に高い熱伝導率を有する内側層を提供することによって、内側層は、管状体およびエアロゾル発生物品が第二の位置にある時に放熱板として機能する。内側層は、第二の部分に配置された高熱伝導性内側層を有しない管状体よりも早く、可燃性熱源の温度を低下させる。管状体の第二の部分の内側層を形成するための適切な材料の例は、アルミニウムおよび銅を含む。
【0061】
管状体の第二の部分は、低熱伝導率を有する外側層を含み得る。例えば、管状体の第二の部分は、0.5Wm-1K-1以下、好ましくは0.4Wm-1K-1以下、より好ましくは0.3Wm-1K-1以下の熱伝導率を有する外側層を含み得る。有利なことに、低熱伝導率を有する外側層を有することによって、第二の部分の外側層を通る熱伝達が減少し、外側層の外側表面の温度が低減され、ユーザーが管状体の第二の部分を快適に保持し得る。第二の部分の外側層を形成するための好適な材料の例は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)および他の耐熱性ポリマーを含む。第二の部分の外側層は、シリコーンまたはポリウレタンなどのエラストマー材料から作製されてもよい。
【0062】
本開示によると、上述のようなリテーナーと、可燃性熱源およびエアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品と、を含むキットが提供される。
【0063】
リテーナーの管状体の第一の端部および第一の部分は、エアロゾル発生物品の可燃性熱源の露出表面積の少なくとも約80%が、管状体の第一の端部および第一の位置にある管状体の第一の部分の複数の開口部を通して露出したままになるように構成され得る。この配置は有利にも、照明を可能にし、持続的な燃焼を支持するために、可燃性熱源への十分な空気供給を可能にすることが見出されている。
【0064】
特定の好ましい実施形態では、管状体の第一の端部および第一の部分は、エアロゾル発生物品の可燃性熱源の露出表面積の約80%~約90%が、管状体の第一の端部および第一の位置にある管状体の第一の部分の複数の開口部を通して露出したままになるように構成されてもよい。この構成は、照明を可能にし、持続的な燃焼を支持するために、可燃性熱源への改善された空気供給を提供することが見出された。
【0065】
管状体の第一の部分の内径と、可燃性熱源の露出面の外径との比は、少なくとも約1.1、好ましくは少なくとも約1.16、より好ましくは約1.16~約1.6、さらにより好ましくは少なくとも約1.2とすることができる。これらの比は、驚くべきことに、エアロゾル送達およびエアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体の温度にプラスの影響を与えることが見出されている。
【0066】
本開示によれば、可燃性熱源およびエアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品用のリテーナーであって、第一の端部および第二の端部を有する管状体であって、第一の端部が少なくとも部分的に閉じており、第二の端部が開いており、管状体が、第一の端部と第二の端部との間に延在する長軸方向通路を画定し、管状体が、第一の端部に近接した複数の開口部を備え、管状体が、通路内の可燃性熱源を含むエアロゾル発生物品を少なくとも部分的に受容し、複数の開口部がエアロゾル発生物品の可燃性熱源を囲むように構成される、管状体と、管状体の周りの端の開いた不通気性スリーブであって、管状体およびスリーブが、管状体内の複数の開口部がスリーブによって覆われておらず、管状体から第二の端部を通して通路内に受容されるエアロゾル発生物品の除去が防止される、第一の位置と、管状体内の複数の開口部がスリーブによって覆われ、通路に受容されるエアロゾル発生物品が第二の端部を通して管状体から除去されうる、第二の位置から互いに対して長軸方向に移動可能な、管状体の周りの端の開いた不通気性スリーブと、を備えるリテーナーが提供される。
【0067】
リテーナーは有利には、エアロゾル発生物品の可燃性熱源を、可燃性熱源の照明時間に著しい悪影響を及ぼさないように、照明中の破損から保護する。リテーナーはまた、有利には、エアロゾル発生物品のエアロゾル送達に著しい悪影響を及ぼさずに、エアロゾル発生物品の可燃性熱源を燃焼中の破損から保護する。可燃性熱源の破損またはドロップオフの場合、リテーナーは、エアロゾル発生物品の可燃性熱源を管状体内に保持する。さらに、リテーナーは、有利なことに、可燃性熱源が他のものと接触することから保護し、したがって、使用中および使用後に可燃性熱源の点火傾向を低減する。
【0068】
有利なことに、エアロゾル発生物品は、第一の端部を通して通路から挿入または除去することができない。しかしながら、空気は、複数の開口部を通って可燃性熱源に流れ、可燃性熱源の照明および持続的な燃焼を容易にすることができる。
【0069】
リテーナーの別の利点は、使用後のエアロゾル発生物品の可燃性熱源の消火を容易にすることである。管状体およびスリーブが第二の位置にある時、管状体内の複数の開口部は、可燃性熱源への空気の供給を阻害するスリーブによって覆われ、単に燃焼させるよりも早く可燃性熱源を消火する。
【0070】
管状体は、複数の開口部を含む第一の端部に近接する第一の部分と、第一の部分と第二の端部との間に第二の部分とを備えてもよい。第一の位置では、スリーブは管状体の第二の部分を覆ってもよく、第二の位置ではスリーブは管状体の第一の部分を覆ってもよい。
【0071】
管状体およびスリーブは、第二の位置から第一の位置へ互いに対して長軸方向に移動可能であってもよい。
【0072】
第二の位置では、可燃性熱源およびエアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品は、管状体の第二の端部を通る通路に挿入されてもよい。エアロゾル発生物品は、使用前に管状体の第二の端部を通して通路内に挿入されてもよい。使用後、エアロゾル発生物品は、第二の端部を通して通路から除去され得る。この配置により、リテーナーを他のエアロゾル発生物品と再使用することができる。
【0073】
第一の位置において、可燃性熱源およびエアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品の、管状体の第二の端部を通る通路への挿入が防止されうる。
【0074】
リテーナーは、通路で受容されるエアロゾル発生物品と係合するように構成された保持部材を含んでもよい。保持部材は、通路で受容されるエアロゾル発生物品と係合して、またはエアロゾル発生物品を握持して、管状体に対するエアロゾル発生物品の長手方向移動を防止するように構成されうる。
【0075】
特定の好ましい実施形態では、第二の位置から第一の位置への互いに対する管状体およびスリーブの長手方向移動は、保持部材をエアロゾル発生物品の外側表面と接触させる。この配置は、管状体およびスリーブの相対的動きおよびエアロゾル発生物品の係合を単一のユーザー動作に組み合わせ、結果として、管状体およびスリーブが第一の位置に移動された時に、エアロゾル発生物品が自動的に握持される。
【0076】
特定の好ましい実施形態では、第一の位置から第二の位置への管状体に対するスリーブの長手方向移動は、保持部材を放出し、管状体に対するエアロゾル発生物品の長手方向移動を可能にする。
【0077】
管状体およびスリーブは、第一の位置と第二の位置との間で互いに対して長軸方向に滑動可能であってもよい。これにより、ユーザーが第一の位置と第二の位置との間で管状体とスリーブを移動するための単純な誘導動作が提供される。
【0078】
管状体は、第一の位置でエアロゾル発生物品の可燃性熱源と接触してもよい。第一の端部と可燃性熱源との間の接触は、導電による熱損失を避けるために制限されることが好ましい。第一の端部と可燃性熱源との間の接触は、1~4つの接触点の間に限定されうる。第一の端部と可燃性熱源との間の接触は、1ミリメートル2~4ミリメートル2の表面積に限定されうる。
【0079】
管状体は、燃焼および点火中に可燃性熱源によって到達される温度で実質的に不燃性である場合がある。管状体は、適切な任意の材料または材料の組み合わせで作られうる。管状体を形成する材料は、耐熱性であることが好ましい。例えば、管状体は、約600度~800度の温度に耐えることができる材料から形成されうる。好ましくは、管状体を形成する材料は、低熱伝導率を有する。例えば、管状体を形成する材料は、40Wm-1K-1以下、好ましくは30Wm-1K-1以下、より好ましくは20Wm-1K-1以下の熱伝導率を有してもよい。管状体を形成するための適切な材料の例には、ステンレス鋼などの低熱伝導率を有する金属、およびセラミックが含まれる。
【0080】
管状体は、通路内に可燃性熱源を含むエアロゾル発生物品を少なくとも部分的に受容するための任意の適切な寸法を有してもよい。例えば、管状体は、約5.5ミリメートル~約70ミリメートルの長さを有してもよい。例えば、管状体は、約8.5ミリメートル~約12ミリメートルの内径を有し得る。
【0081】
管状体は任意の適切な厚さを有してもよい。例えば、管状体は、約20マイクロメートル~約300マイクロメートルの厚さ、好ましくは100マイクロメートル~250マイクロメートルの厚さを有してもよい。
【0082】
通路は、エアロゾル発生物品が第二の端部から第一の端部に向かう方向に挿入される時に、少なくとも可燃性熱源およびエアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体を受容するように構成されうる。
【0083】
第一の位置では、管状体内の複数の開口部は、可燃性熱源に十分な空気供給を提供し、照明を可能にし、可燃性熱源の持続的な燃焼を支持する。管状体内の複数の開口部はまた、可燃性熱源の燃焼によって生成される燃焼ガスを通路から逃がすことを可能にする。可燃性熱源を囲むことに加えて、複数の開口部はまた、エアロゾル形成基体を囲んで基体への気流を可能にし得る。複数の開口部は、エアロゾル形成基体を囲んで、エアロゾル形成基体内に提供される空気吸込み口を通してエアロゾル発生物品への気流を可能にし得る。
【0084】
スリーブは、点火中および燃焼中、可燃性熱源が達した温度で実質的に不燃性である場合がある。スリーブは、適切な任意の材料または材料の組み合わせで作られうる。スリーブを形成する材料は、耐熱性であることが好ましい。スリーブを形成する材料は、低熱伝導率を有することが好ましい。例えば、スリーブを形成する材料は、0.5Wm-1K-1以下、好ましくは0.4Wm-1K-1以下、より好ましくは0.3Wm-1K-1以下の熱伝導率を有してもよい。スリーブを形成するための適切な材料の例としては、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)および他の耐熱性ポリマーが挙げられる。スリーブは、異なる直径のエアロゾル発生物品を収容するために、シリコーンまたはポリウレタンなどのエラストマー材料から作製されてもよい。
【0085】
スリーブは、管状体およびスリーブが第一の位置にある時に、ユーザーによって保持されるように構成されうる。
【0086】
本開示によれば、上述のようなリテーナーと、可燃性熱源およびエアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品とを含むキットが提供される。
【0087】
管状体の第一の端部および第一の部分は、エアロゾル発生物品の可燃性熱源の露出表面積の少なくとも約80%が、管状体の第一の端部および第一の位置にある管状体の第一の部分の複数の開口部を通して露出されたままになるように構成されてもよい。この構成は、照明を可能にし、持続的な燃焼を支持するために、可燃性熱源に十分な空気を供給することが見出された。
【0088】
特定の好ましい実施形態では、管状体の第一の端部および第一の部分は、エアロゾル発生物品の可燃性熱源の露出表面積の約80%~約90%が、管状体の第一の端部および第一の位置にある管状体の第一の部分の複数の開口部を通して露出したままになるように構成されてもよい。この構成は、照明を可能にし、持続的な燃焼を支持するために、可燃性熱源への改善された空気供給を提供することが見出された。
【0089】
管状体の第一の部分の内径と、可燃性熱源の露出面の外径との比は、少なくとも約1.1、好ましくは少なくとも約1.16、より好ましくは約1.16~約1.6、さらにより好ましくは少なくとも約1.2とすることができる。これらの比は、驚くべきことに、エアロゾル送達およびエアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体の温度にプラスの影響を与えることが見出されている。
【0090】
本明細書に記載のエアロゾル発生物品用のリテーナーは、エアロゾル発生物品の使用を開始する際のユーザーに対する視覚的標識、エアロゾル発生物品の使用を中止する際のユーザーに対する視覚的標識、およびエアロゾル発生物品の可燃性熱源が消火され、エアロゾル発生物品が廃棄されるのに十分に冷却される時のユーザーに対する視覚的標識のうちの一つ以上を提供する熱インジケータを含み得る。
【0091】
熱インジケータは、管状体の外側表面上に提供されてもよい。熱インジケータは、エアロゾル発生物品が通路内に受容された時に可燃性熱源を超える管状体上の位置に提供されてもよい。熱インジケータは、キャップまたはスリーブの外側表面上に提供されてもよい。
【0092】
熱インジケータは、熱インジケータの温度がスイッチング温度まで上昇または下降するときに可逆的な可視色変化を経る、少なくとも一つの可逆性サーモクロミック材料を含んでもよい。
【0093】
本発明に関連して本明細書で使用される場合、「サーモクロミック材料」という用語は、所定のスイッチング温度で可視色変化を経る任意の材料を記述するために使用される。サーモクロミック材料は、温度が上昇する、または移行範囲となるのに伴って可視色変化を経る。本発明に関連して本明細書で使用される場合、「スイッチング温度」という用語は、サーモクロミック材料の可視色変化が完了する温度を記述するために使用される。スイッチング温度は、サーモクロミック材料の色強度を測定することで判定されてもよい。
【0094】
サーモクロミック材料は、熱インジケータの温度が第一のスイッチング温度に上昇すると第一の可逆的な可視色変化を生じてもよく、ここでエアロゾル送達が生成され、エアロゾル発生物品の使用を開始できるという視覚的標識をユーザーに提供する。熱インジケータが第一のスイッチング温度を下回る温度にあるとき、ユーザーがエアロゾル発生物品の使用を開始すべきでない、または使用を中止すべきという視覚的標識をユーザーに提供する。
【0095】
サーモクロミック材料は、熱インジケータの温度が、可燃性熱源の燃焼を維持することができない第二のスイッチング温度に低下する時に、第二の可逆的な可視色変化を生じ、可燃性炭素質熱源が消火され、エアロゾル発生物品が配置されるのに十分に冷却されるという視覚的標識をユーザーに提供することができる。
【0096】
第一のスイッチング温度は、少なくとも約200度、好ましくは少なくとも約250度、より好ましくは少なくとも約300度であり得る。
【0097】
第二のスイッチング温度は、約150°C未満、好ましくは約100°C未満、より好ましくは約80°C未満であってもよい。
【0098】
熱インジケータは、適切な任意の可逆性サーモクロミック材料を含みうる。例えば、熱インジケータは、可逆性サーモクロミック液晶、可逆性サーモクロミック無機材料(例えば、金属錯体)、可逆性サーモクロミック有機材料(例えば、ロイコ染料)およびそれらの組み合わせからなる群から選択される一つ以上の材料を含みうる。
【0099】
適切な液晶は、コレステリルエステル(例えば、コレステリルノナノアート)およびシアノビフェニルを含むが、これらに限定されない。適切なロイコ染料は、スピロラクトン(例えば、フルオランおよびクリスタルバイオレットラクトン)、スピロピラン、およびフルギドを含むが、これらに限定されない。
【0100】
本発明によるリテーナーは、可燃性熱源を有する適切な任意のエアロゾル発生物品において使用されうる。
【0101】
可燃性熱源はエアロゾル発生物品の遠位端に位置するか、またはそれに近接する。可燃性熱源は、前端面と、対向した後端面とを有する。可燃性炭素質熱源の前端面は、可燃性炭素質熱源の上流端にある。可燃性炭素質熱源の上流端は、エアロゾル発生物品の近位端から最も遠い可燃性炭素質熱源の末端である。可燃性炭素質熱源の後端面は、可燃性炭素質熱源の下流端にある。可燃性炭素質熱源の下流端は、エアロゾル発生物品の近位端に最も近い可燃性炭素質熱源の末端である。
【0102】
本発明によるリテーナーと使用するためのエアロゾル発生物品は、任意の適切な可燃性熱源を含んでもよい。
【0103】
本発明によるエアロゾル発生物品は、非ブラインド可燃性熱源を含んでもよい。
【0104】
本発明に関連して本明細書に使用される場合、「非ブラインド」という用語は、可燃性熱源の前端面から後端面まで延びる少なくとも一つの気流チャネルを含む可燃性熱源を記述するために使用される。
【0105】
本発明に関連して本明細書に使用される場合、「気流チャネル」という用語は、ユーザーによる吸入のために引き込まれる場合がある空気が通る可燃性熱源の長さに沿って延在するチャネルを記述するために使用される。
【0106】
非ブラインド可燃性熱源を含む本発明によるエアロゾル発生物品は、非ブラインド可燃性熱源と一つ以上の気流チャネルとの間に不燃性の実質的に不通気性のバリアを含んでもよい。
【0107】
非ブラインド可燃性熱源と一つ以上の気流チャネルとの間のバリアは、非ブラインド可燃性熱源に接着またはその他の方法で貼り付けうる。
【0108】
有利には、バリアは一つ以上の気流チャネルの内側表面の上に提供される不燃性の実質的に不通気性のバリア被覆を備える。このような実施形態では、有利には、バリアは一つ以上の気流チャネルの少なくとも実質的に内側表面全体の上に提供されるバリア被覆を備える。さらに有利には、バリアは一つ以上の気流チャネルの内側表面全体の上に提供されるバリア被覆を備える。
【0109】
本発明によるエアロゾル発生物品は、ブラインド可燃性熱源を含んでもよい。
【0110】
本発明に関連して本明細書に使用される場合、「ブラインド」という用語は、可燃性熱源の前端面から後端面まで延びるいずれの気流チャネルも含まない可燃性熱源を説明するために使用される。
【0111】
本発明に関連して本明細書で使用される場合、「ブラインド」という用語は、可燃性熱源の前端面から可燃性熱源の後端面まで延びる一つ以上の気流チャネルを含む可燃性熱源を説明するためにも使用され、その場合、可燃性熱源の後端面とエアロゾル形成基体バリアとの間の不燃性の実質的に不通気性のバリアが、空気が可燃性熱源の長さに沿って一つ以上の気流チャネルを通して引き出されるのを防止する。
【0112】
ブラインド可燃性熱源を含む本発明によるエアロゾル発生物品は、エアロゾル発生物品の中へと空気を引き出すための可燃性熱源の後端面の下流の一つ以上の空気吸込み口も備える。
【0113】
可燃性熱源は、炭素含有量が可燃性熱源の乾燥質量で少なくとも約35パーセントの炭素質熱源であることが好ましく、少なくとも約40パーセントの炭素質熱源であることがより好ましく、少なくとも約45パーセントの炭素質熱源であることが最も好ましい。可燃性熱源が炭素質熱源である場合、可燃性熱源は一つ以上の好適な炭素含有材料から形成されてもよい。「炭素質」という用語は、炭素を含む材料を意味する。
【0114】
可燃性熱源は、炭素含有量が少なくとも約50パーセントである可燃性炭素ベース熱源であってもよい。例えば、可燃性熱源は、炭素含有量が可燃性熱源の乾燥質量で、少なくとも約60パーセント、または少なくとも約70パーセント、もしくは少なくとも約80パーセントである可燃性炭素ベース熱源であってもよい。「炭素ベース」という用語は、主に炭素から成る材料であって、材料の乾燥質量で、少なくとも約50パーセントが炭素である材料を意味する。
【0115】
一つ以上の結合剤を、一つ以上の炭素含有材料と組み合わせて、炭素質熱源を形成してもよい。可燃性熱源は、一つ以上の有機結合剤、一つ以上の無機結合剤、または一つ以上の有機結合剤と一つ以上の無機結合剤との組み合わせを含みうる。
【0116】
一つ以上の結合剤の代わりに、またはそれに加えて、可燃性熱源は、可燃性熱源の特性を改善するために一つ以上の添加剤を含みうる。適切な添加剤は、可燃性熱源の圧密を促進する添加剤(例えば、焼結助剤)、可燃性熱源の点火を促進する添加剤(例えば、過塩素酸塩、塩素酸塩、硝酸塩、過酸化物、過マンガン酸塩、ジルコニウムおよびその組み合わせなどの酸化剤)、可燃性熱源の燃焼を促進する添加剤(例えば、カリウム、およびクエン酸カリウムなどのカリウム塩)、ならびに可燃性熱源の燃焼によって生成される一つ以上のガスの分解を促進する添加剤(例えば、CuO、Fe2O3およびAl2O3などの触媒)を含むが、これに限定されない。エアロゾル発生物品のための可燃性熱源、およびこうした熱源を製造するための方法は、当技術で公知であり、例えば、US-A-5,040,552号およびUS-A-5,595,577号に記載がある。
【0117】
可燃性熱源は、少なくとも一つの点火補助剤を含み得る。有利には、可燃性熱源は、WO-A1-2012/164077号に記述されているように、少なくとも一つの点火補助剤を含んでもよい。
【0118】
可燃性熱源は、プレス工程または押出工程により形成されてもよい。可燃性炭素質熱源は、プレス加工により形成されることが好ましい。
【0119】
可燃性熱源の見掛け密度は、約0.8g/cm3~約1.1g/cm3であることが好ましい。可燃性熱源の質量は約300ミリグラム~約500ミリグラムであることが好ましく、約400ミリグラム~約450ミリグラムであることがより好ましい。可燃性熱源の長さは、約7ミリメートル~約17ミリメートルであることが好ましく、約7ミリメートル~約15ミリメートルであることがより好ましく、約7ミリメートル~約13ミリメートルであることがさらにより好ましく、約9ミリメートルが最も好ましい。好ましくは、本発明による可燃性熱源は約5ミリメートル~約9ミリメートル、より好ましくは約7ミリメートル~約8ミリメートルの幅を有する。
【0120】
可燃性熱源の直径は実質的に一様であることが好ましい。ところが、可燃性熱源は、別の方法として、可燃性熱源の前端面と後端面のうちの一方の直径がその前端面と後端面のうちのもう一方の直径より大きくなるような先細りであってもよい。例えば、可燃性熱源は、可燃性熱源の後端面の直径が、可燃性熱源の前端面の直径より大きくなるような先細りであってもよい。可燃性熱源は実質的に円筒形であることが好ましい。可燃性熱源は、実質的に円形断面または実質的に楕円形断面の円筒形可燃性熱源であってもよい。特に好ましい実施形態において、可燃性熱源は実質的に円形断面の実質的に円筒可燃性熱源である。
【0121】
本発明によるリテーナーと使用するためのエアロゾル発生物品は、任意のエアロゾル形成基体を含んでもよい。
【0122】
エアロゾル形成基体は固体エアロゾル形成基体であってもよい。固体のエアロゾル形成基体は、例えば、加熱に反応して揮発性化合物を放出することができる材料の粉末、顆粒、ペレット、断片、スパゲティストランド、細片またはシートのうちの一つ以上を含んでもよい。固体エアロゾル形成基体は、ばらの形態であってもよく、または適切な容器またはカートリッジで提供されてもよい。
【0123】
エアロゾル形成基体は固体成分と液体成分の両方を含んでもよい。
【0124】
エアロゾル形成基体は、少なくとも一つのエアロゾル形成体および加熱に反応して揮発性化合物を放出することができる材料を含むことが好ましい。エアロゾル形成基体は、湿潤剤、風味剤、結合剤およびそれらの混合物を含むがそれらに限定されない、その他の添加剤および成分を含んでもよい。エアロゾル形成基体はニコチンを含むことが好ましい。エアロゾル形成基体は、たばこを含むことがより好ましい。
【0125】
少なくとも一つのエアロゾル形成体は、使用時に、密度が高く安定したエアロゾルの形成を促進し、エアロゾル発生物品の使用温度で実質的に熱劣化耐性のある任意の適切な公知の化合物または化合物の混合物としうる。適切なエアロゾル形成剤は当技術分野で周知であり、例えば多価アルコール、多価アルコールのエステル(グリセロールモノアセタート、ジアセタート、またはトリアセタートなど)、およびモノカルボン酸、ジカルボン酸、またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸ジメチルおよびテトラデカン二酸ジメチルなど)を含む。本発明のエアロゾル発生物品における使用のための好ましいエアロゾル形成体は、トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、および最も好ましいグリセリンなどの、多価アルコールまたはこれらの混合物である。
【0126】
加熱に反応して揮発性化合物を発する能力を有する材料は、植物由来材料の装填であってもよい。加熱に反応して揮発性化合物を発する能力を有する材料は、均質化した植物由来材料の装填であってもよい。例えば、エアロゾル形成基体は、たばこ、茶(例えば緑茶)、ハッカ、月桂樹、ユーカリ、バジル、セージ、ビジョザクラ、およびタラゴンが挙げられるがこれらに限定されない、植物由来の一つ以上の材料を含んでもよい。
【0127】
有利には、加熱に反応して揮発性化合物を発することができる材料は、たばこ由来材料の装填であり、最も有利には、均質化したたばこ由来材料の装填である。
【0128】
エアロゾル形成基体は、紙またはその他の材料の外側ラッパーによって取り囲まれる加熱に反応して揮発性化合物を発することができる材料を含むプラグまたはセグメントの形態としうる。前述のように、エアロゾル形成基体がこのようなプラグまたはセグメントの形態である場合、任意の外側ラッパーを含むプラグまたはセグメントの全体はエアロゾル形成基体であると見なされる。
【0129】
有利には、エアロゾル形成基体はプラグラップに包まれるたばこ由来材料のプラグを備えうる。さらに有利には、エアロゾル形成基体はプラグラップに包まれる均質化したたばこ由来材料のプラグを備えうる。
【0130】
エアロゾル形成基体の長さは、約5ミリメートル~約20ミリメートルであることが好ましく、約6ミリメートル~約15ミリメートルであることがより好ましく、約7ミリメートル~約12ミリメートルであることがさらにより好ましく、約9ミリメートルが最も好ましい。
【0131】
エアロゾル形成基体は可燃性炭素質熱源の中、周り、または下流に位置してもよい。有利には、エアロゾル形成基体は、可燃性炭素質熱源の下流にある。
【0132】
エアロゾル形成基体が可燃性炭素質熱源の下流にある実施形態では、熱インジケータは、エアロゾル形成基体に重なるエアロゾル発生物品の外側表面上に提供されてもよい。
【0133】
可燃性炭素質熱源がブラインド可燃性熱源であって、エアロゾル形成基体がブラインド可燃性炭素質熱源の下流にある実施形態では、本発明によるエアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体の周辺の周りに一つ以上の空気吸込み口を有利に含む。より有利には、このような実施形態では、本発明によるエアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体の下流端の近くに位置する一つ以上の空気吸込み口を備える。
【0134】
本明細書に記載のエアロゾル発生物品は、可燃性炭素質熱源の少なくとも後方部分とエアロゾル形成基体の少なくとも前方部分との周りにある、一つ以上の熱伝導性要素を含んでもよい。
【0135】
エアロゾル形成基体が可燃性炭素質熱源の下流にある実施形態では、本発明によるエアロゾル発生物品は、可燃性炭素質熱源の少なくとも後方部分とエアロゾル形成基体の少なくとも前方部分との両方の周りにあり、それと直に接触して熱伝導性要素を有利に備えてもよい。このような実施形態では、熱伝導性要素は、可燃性炭素質熱源とエアロゾル形成基体との間に熱リンクを提供し、また容認可能なエアロゾルを提供するために可燃性炭素質熱源からエアロゾル形成基体への適切な熱伝達を容易にするのに有利に役立つ。
【0136】
本発明によるエアロゾル発生物品は、熱伝導性要素と可燃性炭素質熱源およびエアロゾル形成基体のうちの一方または両方との間に直接接触がないように、可燃性炭素質熱源およびエアロゾル形成基体のうちの一方または両方から間隙を介した熱伝導性要素を備えてもよい。
【0137】
有利には、一つ以上の熱伝導性要素は、不燃性である。
【0138】
一つ以上の熱伝導性要素は酸素制限性であってもよい。言い換えれば、一つ以上の熱伝導性要素は、熱伝導性要素を通る酸素の通過を抑制または抵抗し得る。
【0139】
本発明によるエアロゾル発生物品における使用のための適切な熱伝導性要素は、金属箔ラッパー、例えばアルミ箔ラッパー、鋼鉄ラッパー、鉄箔ラッパーおよび銅箔ラッパーなど、および金属合金箔ラッパーを含むが、これらに限定されない。
【0140】
エアロゾル形成基体が可燃性炭素質熱源の下流にある実施形態では、本発明によるエアロゾル発生物品は、可燃性炭素質熱源の後端面とエアロゾル形成基体との間に不燃性の実質的に不通気性のバリアを有利に含みうる。
【0141】
本発明に関連して本明細書で使用される場合、「不燃性の」という用語は、その燃焼および点火の間、可燃性炭素質熱源によって達した温度にて実質的に不燃性であるバリアを記述するために使用される。
【0142】
バリアは可燃性炭素質熱源の後端面およびエアロゾル形成基体の一方または両方に隣接してもよい。あるいは、バリアは可燃性炭素質熱源の後端面およびエアロゾル形成基体の一方または両方から間隙を介していてもよい。
【0143】
本発明に関連して本明細書で使用される場合、「隣接する」という用語は、別の構成要素、または構成要素の部分に直に接触する構成要素、または構成要素の部分を記述するために使用される。
【0144】
バリアは可燃性炭素質熱源の後端面およびエアロゾル形成基体の一方または両方に付着されても、またはその他の方法で貼り付けられてもよい。
【0145】
有利には、バリアは、不燃性の、可燃性炭素質熱源の後端面の上に提供される実質的に不通気性のバリア被覆を含む。このような実施形態では、有利には、バリアは少なくとも実質的に可燃性炭素質熱源の後端面全体の上に提供されるバリア被覆を含む。さらに有利には、バリアは、可燃性炭素質熱源の後端面全体の上に提供されるバリア被覆を含む。
【0146】
本明細書に記載のエアロゾル発生物品は、その近位端に位置するマウスピースを備えてもよい。マウスピースは濾過効率が低いことが好ましく、濾過効率が非常に低いことがより好ましい。マウスピースは単一のセグメントまたは構成要素のマウスピースであってもよい。別の方法として、マウスピースはマルチセグメントマウスピースであっても、または複数構成要素マウスピースであってもよい。
【0147】
マウスピースは、適切な公知の濾過材料を含む一つ以上のセグメントを含むフィルターを含んでもよい。適切な濾過材料は当技術分野で周知であり、これには酢酸セルロースおよび紙が含まれるが、これらに限定されない。別の方法としてまたは加えて、マウスピースは吸収剤、風味剤、およびその他のエアロゾル変性剤および添加剤またはその組み合わせを含む一つ以上のセグメントを含みうる。
【0148】
本明細書に記載のエアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体とマウスピースとの間に移動要素またはスペーサー要素をさらに含んでもよい。移動要素はエアロゾル形成基体およびマウスピースの一方または両方に隣接してもよい。あるいは、移動要素はエアロゾル形成基体およびマウスピースの一方または両方から間隙を介していてもよい。
【0149】
移動要素の包含は、可燃性熱源からエアロゾル形成基体への熱伝達によって生成されるエアロゾルの冷却を有利に可能にする。移動要素の包含は、エアロゾル発生物品の全長を、移動要素の長さの適切な選択により所望の値、例えば従来の紙巻たばこの長さに類似した長さに調整することも有利に可能にする。
【0150】
移動要素は、約7ミリメートル~約50ミリメートルの長さを有してもよく、例えば約10ミリメートル~約45ミリメートル、または約15ミリメートル~約30ミリメートルの長さを有してもよい。移動要素の長さは、エアロゾル発生物品の所望の全長、およびエアロゾル発生物品内のその他の構成要素の存在および長さに依存して、その他の長さであってもよい。
【0151】
移動要素は少なくとも一つの端の開いた管状中空体を備えることが好ましい。このような実施形態では、使用時、エアロゾル発生物品の中へと引き込まれる空気は、それがエアロゾル発生物品を通ってエアロゾル形成基体からマウスピースまで下流に通過する時に、少なくとも一つの端の開いた管状中空体を通過する。移動要素は、可燃性熱源からエアロゾル形成基体への熱の移動によって生成されるエアロゾルの温度で実質的に熱安定している一つ以上の適切な材料から形成される少なくとも一つの端の開いた管状中空体を含んでいてもよい。適切な材料は当技術分野で公知であり、紙、ボール紙、プラスチック、このような酢酸セルロース、セラミックおよびこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0152】
別の方法としてまたは追加的に、本明細書に記載のエアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体とマウスピースとの間にエアロゾル冷却要素または熱交換器を含んでもよい。エアロゾル冷却要素は複数の長軸方向に延びるチャネルを含んでもよい。エアロゾル冷却要素は、金属箔、重合体材料および実質的に非多孔性の紙またはボール紙から成る群より選択される材料シートの集合体を含んでもよい。一定の実施形態では、エアロゾル冷却要素は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ乳酸(PLA)、酢酸セルロース(CA)およびアルミ箔から成る群より選択される材料シートの集合体を含んでもよい。エアロゾル冷却要素は、ポリ乳酸(PLA)またはMater-Bi(登録商標)の等級(デンプンベースのコポリエステルの市販のファミリー)などの生物分解性高分子材料のシートの集合体を含みうることが好ましい。
【0153】
本明細書に記載のエアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体と熱源の少なくとも後方部分を取り囲む外側ラッパーを備えてもよい。外側ラッパーは、エアロゾル発生物品が組み立てられる時にエアロゾル発生物品の熱源およびエアロゾル形成基体を握持するべきである。外側ラッパーは、エアロゾル形成基体と、熱源の少なくとも後方部分と、エアロゾル形成基体の下流にあるエアロゾル発生物品の任意の他の構成要素とを取り囲むことが好ましい。外側ラッパーは任意の適切な材料または材料の組み合わせから形成されてもよい。適切な材料は当技術分野で公知であり、紙巻たばこ用紙を含むが、これに限定されない。別の方法としてまたは追加的に、マウスピースはチッピングペーパーによって囲まれてもよい。
【0154】
本明細書に記載のエアロゾル発生物品は公知の方法および機械を使用して組み立てられてもよい。
【0155】
エアロゾル発生物品は実質的に円筒状の形状であってもよい。エアロゾル発生物品は実質的に細長くてもよい。エアロゾル形成基体は実質的に円筒状の形状であってもよい。エアロゾル形成基体は実質的に細長くてもよい。エアロゾル形成基体は、エアロゾル形成基体の長さがエアロゾル発生物品内の気流の方向と実質的に平行であるように、エアロゾル発生物品内に位置し得る。移動要素は実質的に細長くてもよい。
【0156】
エアロゾル発生物品は任意の所望の長さを有してもよい。例えば、エアロゾル発生物品は、およそ65ミリメートル~およそ100ミリメートル、より好ましくはおよそ65ミリメートル~およそ80ミリメートル、最も好ましくはおよそ70ミリメートルの全長を有してもよい。エアロゾル発生物品は、望ましい任意の外径を有してもよい。例えば、エアロゾル発生物品は、およそ5ミリメートル~およそ12ミリメートル、より好ましくはおよそ6ミリメートル~およそ9ミリメートル、最も好ましくはおよそ7.8ミリメートルの外径を有してもよい。
【0157】
本開示の一つ以上の実施形態または実施例に関して記載された特徴は、本発明の他の実施形態または実施例に等しく適用されてもよい。
【0158】
ここで、例証としてのみであるが、以下の添付図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0159】
【
図1】
図1は、本発明によるリテーナーと使用するためのエアロゾル発生物品の概略的な長軸方向の断面図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態によるリテーナーと、リテーナー内に受容されたエアロゾル発生物品との斜視図である。
【
図4】
図4は、
図2のリテーナーの長軸方向の断面図を、リテーナー内に受容されたエアロゾル発生物品と共に示す。
【
図5A】
図5Aは、第一の位置のリテーナーおよびリテーナーのスリーブ内に受容されるエアロゾル発生物品を示す、本発明の別の実施形態によるリテーナーの長軸方向の断面図である。
【
図5B】
図5Bは、第二の位置でリテーナーおよびリテーナーのスリーブ内に受容されたエアロゾル発生物品を示す、本発明の別の実施形態によるリテーナーの長軸方向の断面図である。
【
図6】
図6は、本発明の別の実施形態によるリテーナーの斜視図である。
【
図7】
図7は、
図6のリテーナーを、リテーナー内に受容されたエアロゾル発生物品と共に示す。
【
図9】
図9は、
図6のリテーナーに取り付けられた
図8Aのキャップを、リテーナー内に受容されたエアロゾル発生物品と共に示す。
【
図10】
図10は、本発明の別の実施形態によるリテーナーの斜視図である。
【
図11A】
図11Aは、リテーナーが第一の位置に位置するリテーナー内に受容されるエアロゾル発生物品と共に、
図10のものと類似したリテーナーの側面図である。
【
図11B】
図11Bは、第二の位置にリテーナーが位置するリテーナー内に受容されたエアロゾル発生物品と共に、
図10のリテーナーと類似したリテーナーの側面図である。
【
図12】
図12は、本発明の別の実施形態によるリテーナーと、リテーナー内に受容されるエアロゾル発生物品との斜視図である。
【
図13A-13C】
図13A~13Cは、本発明によるリテーナーの管状体の代替パターンの斜視図である。
【
図14】
図14は、本発明による4つの例示的なリテーナーのエアロゾル形成基体の温度に対する管状体の直径の影響を示すグラフである。
【
図15】
図15は、4つの異なる例示的なリテーナーに対する、エアロゾル形成基体の温度に対する管状体の厚さの影響の欠如を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0160】
次に
図1を参照すると、本発明によるリテーナーと使用するためのエアロゾル発生物品の概略的な長軸方向の断面図を示す。
【0161】
図1に示したエアロゾル発生物品2は、同軸配列で当接する、前端面6および対向する後端面8を有する可燃性炭素質熱源4、エアロゾル形成基体10、移動要素12、エアロゾル冷却要素14、スペーサー要素16、およびマウスピース18を備える。
図1に示すように、エアロゾル形成基体10、移動要素12、および可燃性熱源4の後方部分は、一つに薄層形成された外側ラッパー20によって包まれる。一つに薄層形成された外側ラッパー20は、紙の内側層とアルミ箔の外側層(図示せず)を含む。
【0162】
可燃性炭素質熱源4は、円柱状ブラインド炭素質可燃性熱源であり、エアロゾル発生物品2の遠位端に位置する。
図1に示したように、アルミ箔のディスクの形態の不燃性の実質的に不通気性のバリア22は、可燃性炭素質熱源4の後端面8とエアロゾル形成基体10との間に提供される。バリア22は、可燃性炭素質熱源4の後端面8上へアルミ箔のディスクをプレスすることによって可燃性炭素質熱源4の後端面8に適用され、可燃性炭素質熱源4の後端面8およびエアロゾル形成基体10に隣接する。
【0163】
エアロゾル形成基体10は、可燃性炭素質熱源4の後端面8に適用されるバリア22のすぐ下流に位置する。エアロゾル形成基体10は、プラグラップ26に包まれたエアロゾル形成体としてグリセリンを含む均質化したたばこベース材料24の円柱状プラグを備える。
【0164】
移動要素12はエアロゾル形成基体10のすぐ下流に位置し、円筒状の端の開いた中空の酢酸セルロースチューブ28を含む。
【0165】
エアロゾル冷却要素14は移動要素12のすぐ下流に位置し、例えばポリ乳酸などの生物分解性高分子材料のシートの集合体を備える。
【0166】
スペーサー要素16はエアロゾル冷却要素14のすぐ下流に位置し、円柱状の端の開いた中空の紙またはボール紙管を備える。
【0167】
マウスピース18はスペーサー要素16のすぐ下流に位置する。
図1に示したように、マウスピース18はエアロゾル発生物品2の近位端に位置し、フィルタプラグラップに包まれた、例えば非常に低い濾過効率の酢酸セルローストウなどの適切な濾過材料30の円柱状プラグを含む。
【0168】
エアロゾル発生物品2は、マウスピース18、エアロゾル冷却要素14、スペーサー要素16および移動要素12に重なる外側ラッパー20の下流端部を取り囲むチッピングペーパーの帯38をさらに備える。
【0169】
図1に示したように、エアロゾル発生物品2は、ブラインド可燃性熱源4の後方部分4bおよびエアロゾル形成基体10の前方部分10aの周りにあり、またそれと直に接触する、アルミ箔の熱伝導性要素34をさらに備える。
【0170】
図1に示す本発明によるエアロゾル発生物品2は、エアロゾル形成基体10の周辺の周りに一つ以上の第一の空気吸込み口36を備える。
図1に示すように、第一の空気吸込み口36の周囲配置は、エアロゾル形成基体10のプラグラップ26および上にある外側ラッパー20に提供されて、冷気(
図1で点線矢印によって示した)をエアロゾル形成基体10へと入れる。
【0171】
使用時、ユーザーは、可燃性炭素質熱源4を点火する。可燃性炭素質熱源4が点火されると、ユーザーはエアロゾル発生物品2のマウスピース18を吸う。ユーザーがマウスピース18で吸う時、冷気(
図1に点線矢印によって示す)は、第一の空気吸込み口36を通ってエアロゾル発生物品2のエアロゾル形成基体10の中へと引き込まれる。
【0172】
エアロゾル形成基体10の前方部分10aは、可燃性炭素質熱源4およびバリア22の後端面8ならびに熱伝導性要素34を通して伝導によって加熱される。伝導によるエアロゾル形成基体10の加熱は、均質化したたばこベース材料24のプラグからグリセリンおよびその他の揮発性および半揮発性化合物を放出する。エアロゾル形成基体10から放出される化合物は、それがエアロゾル形成基体10を通して流れるにつれて、第一の空気吸込み口36を介してエアロゾル発生物品2のエアロゾル形成基体10に引き込まれる空気に混入されるエアロゾルを形成する。引き込まれた空気および混入されたエアロゾル(
図1に破線の矢印によって示す)は、移動要素12の円柱状の端の開いた中空の酢酸セルロースチューブ28、エアロゾル冷却要素14、およびスペーサー要素16の内部を通って下流を通過し、ここで冷却され凝結する。冷却された引き込まれた空気および混入したエアロゾルは、マウスピース18を通って下流に流れ、エアロゾル発生物品2の近位端を通ってユーザーに送達される。可燃性炭素質熱源4の後端面8の上の不燃性の実質的に不通気性のバリア22は、使用時に、エアロゾル発生物品2を通って引き込まれる空気が可燃性炭素質熱源4と直接接触しないように、エアロゾル発生物品2を通って引き込まれた空気から可燃性炭素質熱源4を分離する。
【0173】
エアロゾル発生物品2の使用後、ユーザーは、エアロゾル発生物品2の可燃性熱源4を消火する。
【0174】
図2は、本発明の実施形態によるリテーナー100と、リテーナー100内に受容される可燃性熱源4を含むエアロゾル発生物品2との斜視図を示す。リテーナー100は、閉じた第一の端部104aを有する管状体102を備える。管状体102は、可燃性熱源4に到達するための空気を許容するための複数の開口部106を備える、第一の端部104aに近接した第一の部分107を備える。管状体102は、複数の開口部106が、エアロゾル発生物品2の可燃性熱源4を囲むように、エアロゾル発生物品2を受容するように構成される。
【0175】
管状体102の第一の部分107は、エアロゾル発生物品2の可燃性熱源4の露出表面積の少なくとも約80%が、第一の位置にある管状体102の第一の部分107の複数の開口部106を通して露出したままになるように構成されている。管状体102は、実質的に円形の断面を有し、ステンレス鋼から作製される。管状体102の直径は、可燃性熱源4の露出面の外径に対する管状体102の第一の部分107の内径の比が少なくとも約1.2であるように、エアロゾル発生物品2の直径よりも大きい。
【0176】
リテーナー100は、管状体102の周りに配置される、端の開いた不通気性のスリーブ108をさらに含む。管状体102およびスリーブ108は、管状体102内の複数の開口部106がスリーブ108によって覆われておらず、エアロゾル発生物品2が管状体102から第二の端部を通して除去されることが防止される、第一の位置と、管状体102内の複数の開口部106がスリーブ108によって覆われ、エアロゾル発生物品2が管状体102から第二の端部を通して除去されうる、第二の位置から互いに対して長軸方向に移動可能である。
【0177】
図3は、スリーブ108のない
図2のリテーナー100の管状体102を示す。第一の端部104aおよび第一の部分107に加えて、管状体102は、第一の部分107と第二の端部104bとの間に配置される開いた第二の端部104bおよび第二の部分109をさらに含む。保持部材110は、開いた第二の端部104bに取り付けられる。保持部材110は、形状が環状であり、管状体102が受ける高温に耐えるためにPEEKから作製される。保持部材110は、過剰に成形することによって管状体102に取り付けられ、管状体の第二の端部104bを超えて長手方向に外側に延在する複数の弾性フィンガー112を備える。保持部材110のフィンガー112は、その先端に配置される突起部114を有し、これは半径方向外側に突出し、
図2に示すスリーブ108の内側表面上に配置される相補的突起部(図示せず)と係合するように構成される。
【0178】
図4は、
図2のリテーナー100の長軸方向の断面図と、リテーナー100内に受容されるエアロゾル発生物品2を示す。
図4から分かるように、管状体102は、管状体102の第一の端部104aと第二の端部104bとの間に延在する長軸方向通路105を画定する。エアロゾル発生物品2は、複数の開口部106がエアロゾル発生物品2の可燃性熱源4を囲むように、管状体102の通路105内に受容される。
【0179】
スリーブ108は、
図4の矢印Aの方向に、管状体102の複数の開口部106がスリーブ108によって覆われておらず、通路105内に受容されたエアロゾル発生物品2の管状体102から第二の端部104bへの除去が防止される第一の位置に向かって、長軸方向に滑動することができる。スリーブ108はまた、管状体102の複数の開口部106がスリーブ108によって覆われ、通路105で受容されるエアロゾル発生物品2が第二の端部104bを通して管状体102から取り除かれうる第二の位置に向かって、矢印Aの反対の方向に長手方向に滑動してもよい。したがって、管状体102およびスリーブ108は、第一の位置と第二の位置との間で互いに対して長手方向に滑動可能である。第一の位置では、スリーブ108は管状体102の第二の部分109の上にあり、第二の位置では、スリーブ108は管状体102の第一の部分107の上に重なる。
【0180】
図4では、スリーブ108は、第一の位置に向かって矢印Aの方向に長軸方向に滑動する過程にある。スリーブ108の内側表面上に形成される相補的突起部116は、保持部材100のフィンガー112上に形成される突起部114と係合しようとしている。スリーブ108の内側表面上の相補的突起部116が、スリーブ108の長手方向移動によって保持部材110のフィンガー112上に形成された突起部114と係合すると、フィンガー112は半径方向内側に押し下げられて、エアロゾル発生物品2と接触する。保持部材110のフィンガー112は、エアロゾル発生物品2を管状体102内に握持および保持し、スリーブ108が第一の位置にある時にエアロゾル発生物品2が管状体102から取り除かれるのを防止する。したがって、保持部材110は、エアロゾル発生物品2を握持し、保持するためのチャックとして機能する。さらに、スリーブ108が第二の位置にある時、第二の端部104bの放射方向の寸法が低減されたために、エアロゾル発生物品の管状体102への挿入が防止される。
【0181】
相補的突起部116および突起部114の係合は、矢印Aの方向にスリーブ108がさらに移動することを防止し、スリーブ108が第一の位置にある時に管状体102からスリーブ108が除去されることを防止する。スリーブ108の内側表面上のスリーブ108の近位端に配置されたさらなる突起部118は、スリーブ108が第二の位置にある時に、矢印Aとは反対の方向にスリーブが管状体から取り除かれることを防止する。
【0182】
図5Aおよび
図5Bは、エアロゾル発生物品がリテーナー内に受容され、リテーナーのスリーブがそれぞれ第一の位置および第二の位置に示される、本発明の別の実施形態によるリテーナー200の長手方向の断面図を示す。
図5Aおよび5Bのリテーナー200は、保持部材210が環状ではなく管状であり、エアロゾル発生物品2の近位端に向かってさらに延在することを除いて、
図2~4に示すものと類似している。
【0183】
図5Aは、管状体202の複数の開口部206がスリーブ208によって覆われていない第一の位置でのスリーブ208を示し、この中で、管状体102から第二の端部204bを通って通路内に受容されるエアロゾル発生物品2の除去が防止される。スリーブ208の内側表面上の相補的突起部216は、保持部材210上の突起部214と係合し、保持部材をエアロゾル発生物品2と接触させ、エアロゾル発生物品2を握持し、開放端部204bを通して取り除かれることを防止する。第一の位置では、空気は、エアロゾル発生物品2の可燃性熱源4に自由に達することができ、これは管状体202の開口部206の下側にあり、その結果、可燃性熱源4を点火し、燃焼を維持することができる。
【0184】
図5Bは、管状体202の複数の開口部206がスリーブ208によって覆われ、通路205で受容されるエアロゾル発生物品2が第二の端部204bを通して管状体202から取り除かれうる、第二の位置にあるスリーブ208を示す。第二の位置では、スリーブ208が管状体202の開口部206を覆っており、空気が管状体202の閉じた第一の端部204aを通って入ることができないため、エアロゾル発生物品2の可燃性熱源4に到達する空気の量は著しく減少する。可燃性熱源4に到達する空気の量は、燃焼を維持するのに十分ではない。したがって、スリーブ208は、第二の位置に滑動して、エアロゾル発生物品2を消火することができる。さらに、第二の位置では、スリーブ208の内側表面上の相補的突起部216は、保持部材210上の突起部214から係合解除され、保持部材はもはやエアロゾル発生物品2と接触させられなくなり、エアロゾル発生物品2は、可燃性熱源4が消火されると開放端部204bを通して除去され得る。
【0185】
使用時に、
図2から4および5Aおよび5Bのリテーナー100、200は、スリーブ108、208が第一の位置にあるエアロゾル発生物品2を予め装填されて提供することができるか、またはスリーブ108、208が第二の位置にあり、次いでスリーブ108、208が第一の位置に移動してエアロゾル発生物品を保持する時に、管状体102、202の開放端部104b、204bを通してエアロゾル発生物品を挿入することができる。印は、エアロゾル発生物品の外側表面上に印刷または形成されて、エアロゾル発生物品2のリテーナー100、200における正しい位置決めを示してもよい。
【0186】
ユーザーは、リテーナー100、200およびスリーブ108、208によるエアロゾル発生物品2の組み合わせを指の間に保持し、管状体102、202内に形成された複数の開口部106、206を通して可燃性熱源4の先端に点火する。可燃性熱源4が点火されると、ユーザーはエアロゾル発生物品2上のパフを取ることができる。サーモクロミックインクまたはコーティングを管状体102、202の外側表面に塗布して、可燃性熱源4がパフを開始できる温度にあるとき、ユーザーに表示することができる。
【0187】
ユーザーがパフを吸うことを完了したら、可燃性熱源4は、スリーブ108、208を第一の位置から第二の位置に移動させることによって、管状体102、202の複数の開口部106、206がスリーブ108、208によって覆われるように、消火することができる。可燃性熱源4が消火されると、エアロゾル発生物品2をリテーナー100、200から除去し、安全に処分することができる。サーモクロミックインクまたはコーティングをスリーブ108、208の外側表面に適用して、可燃性熱源の温度が、可燃性熱源が消火されたことを示す温度に下がったことを示すことができる。リテーナーは、別のエアロゾル発生物品と使用するために保持されてもよい。
【0188】
図6は、本発明の別の実施形態による、エアロゾル発生物品用のリテーナー300の斜視図である。リテーナー300は、部分的に閉じた第一の端部304aおよび開いた第二の端部304bを有する管状体302を備える。エアロゾル発生物品を受容するための長軸方向通路305は、第一の端部304aと第二の端部304bとの間に延在する。通路305は、第二の端部304bを通してエアロゾル発生物品を受容するように構成され、エアロゾル発生物品は、第二の端部304bから第一の端部304aに向かう方向に挿入される。管状体302は、第一の端部304aに近接した第一の部分307を備え、第一の部分307と第二の端部304bとの間に複数の開口部306および第二の部分309を備える。
【0189】
図7は、
図6のリテーナーを、リテーナー300内に受容されたエアロゾル発生物品2と共に示す。管状体302の第一の部分307が、可燃性熱源4およびエアロゾル発生物品2のエアロゾル形成基体10の両方を囲むように、エアロゾル発生物品2は通路305に受容されている。したがって、管状体302の第一の部分307に形成された複数の開口部306は、空気が、エアロゾル形成基体10の領域のエアロゾル発生物品2に形成された可燃性熱源4および空気吸込み口(図示せず)の両方に到達することを可能にする。
【0190】
可燃性熱源4を囲む管状体302の第一の部分307の開口部306は、管状体302の周囲の周りに均等に間隔を置いた4つの突起部318によって画定される。突起部318は、第一の端部304aで曲げられて、第一の端部304aを部分的に閉じる。可燃性熱源4を囲む管状体302の第一の部分307の開口部306は、エアロゾル発生物品2が通路305で受容される時に、エアロゾル発生物品2の可燃性熱源4の露出表面積の約90%が、第一の端部304aおよび管状体302の第一の部分307の複数の開口部306を通して、露出したままになるようにする。管状体302の第一の部分307は、ステンレス鋼から作製され、突起部318は、可燃性熱源4と管状体302との間の接触を最小限にするために、通路305内にわずかに内向きに角度付けられる。
【0191】
管状体302は、実質的に円形の断面を有する。管状体302の直径は、可燃性熱源4の露出面の外径に対する管状体302の第一の部分307の内径の比が少なくとも約1.2となるように、エアロゾル発生物品2の直径よりも大きい。
【0192】
管状体302の第二の部分309は、エアロゾル発生物品2が通路305に受容される時に、ユーザーによって保持されるように構成される。第二の部分309は、PEEKまたはシリコーンもしくはポリウレタンなどのエラストマー材料から形成される。
【0193】
図8Aは、
図6のリテーナー300のキャップ320を示す。キャップ320は、閉じた第一の端部324aおよび開いた第二の端部324bを有する中空円筒体322を備える。円筒体322は、リテーナー300の管状体302の第一の部分307を受容するための長手方向凹部326を画定する。凹部326の長さおよび内径は、リテーナー300の管状体302の第一の部分307を完全に受容し、かつ外部表面の周りに厳密に嵌合するようにサイズ決めされる。キャップ320の近位端は、リテーナー300の管状体302の第二の部分309の遠位部分と重複するように構成される。キャップ320は、スナップ嵌合接続(図示せず)によってリテーナー300上の所定の位置に維持される。
【0194】
図8Bは、
図8Aのキャップの長軸方向の断面図である。キャップ320は、凹部326の内側および凹部326の遠位端に配置される内側層328を有する。内側層は、凹部326の内部形状に適合し、リテーナー300の管状体302の第一の部分307上に嵌合するように構成される。内側層328は、高い熱伝導率を有するアルミニウムから形成され、可燃性熱源4からの熱を吸収して可燃性熱源4の消火を促進するように配置される。内側層328は、内側層328の残りの部分よりも実質的に厚い閉端部328aを有する。閉端部328aは、可燃性熱源4から吸収された熱のための放熱板として機能するように配置される。キャップ320の円筒体322は、キャップ320がユーザーによって快適に保持され得るように、キャップ320の外側表面への熱伝達を低減するために低熱伝導性を有するPEEKから作製された第二の層を形成する。
【0195】
図9は、
図6のリテーナー300に取り付けられた
図8Aのキャップ320を、リテーナー300内に受容されたエアロゾル発生物品2と共に示す。キャップ320は、リテーナー300の管状体302の第一の部分307の上に配置されている。管状体302の第一の部分307内に形成される複数の開口部(目に見えない)は、エアロゾル発生物品2の可燃性熱源に到達する空気の量が大幅に減少するように、キャップによって覆われる。この配置では、燃焼はもはや持続できず、可燃性熱源は消される。
【0196】
使用時に、エアロゾル発生物品は、リテーナー300の管状体302の開放端部304bを通して挿入される。印は、エアロゾル発生物品2の外側表面上に印刷または形成されて、リテーナー300内のエアロゾル発生物品2の正しい位置決めを示してもよい。ユーザーは、リテーナー300と、管状体302の第二の部分309によるエアロゾル発生物品2との組み合わせを指の間に保持し、管状体302内に形成された複数の開口部306を通して可燃性熱源4の先端を点火する。可燃性熱源4が点火されると、ユーザーはエアロゾル発生物品2上のパフを取ることができる。サーモクロミックインクまたはコーティングを管状体302の外側表面に塗布して、可燃性熱源がパフを開始できる温度にあるとき、ユーザーに表示することができる。
【0197】
ユーザーがパフを吸うのを終えて、管状体302の複数の開口部306がキャップ320によって覆われるように、キャップ320をリテーナー300の管状体302の第一の部分307の上に配置することによって、可燃性熱源4を消すことができる。可燃性熱源4が消火されると、エアロゾル発生物品2をリテーナー300から除去し、安全に処分することができる。サーモクロミックインクまたはコーティングをキャップ320の外側表面に適用して、可燃性熱源の温度が、可燃性熱源が消されたことを示す温度に低下したことを示すことができる。リテーナー300は、別のエアロゾル発生物品と使用するために保持されてもよい。
【0198】
図10は、本発明の別の実施形態によるリテーナー400の斜視図を示す。リテーナー400は、
図6に示すリテーナー300と非常に類似している。リテーナー400は、部分的に閉じた第一の端部404aおよび開いた第二の端部404bを有する管状体402を備える。エアロゾル発生物品を受容するための長軸方向通路405は、第一の端部404aと第二の端部404bとの間に延在する。通路405は、第二の端部404bを通してエアロゾル発生物品を受容するように構成され、エアロゾル発生物品は、第二の端部404bから第一の端部404aに向かう方向に挿入される。管状体402は、複数の開口部406と、第一の部分407と第二の端部404bとの間の第二の部分409とを含む、第一の端部404aに近接した第一の部分407を備える。
【0199】
通路405は、管状体402およびエアロゾル発生物品が、管状体402の第一の部分407がエアロゾル発生物品の可燃性熱源を囲む第一の位置と、管状体402の第二の部分409がエアロゾル発生物品の可燃性熱源を囲む第二の位置との間で、互いに対して長手方向に移動可能であるように構成される。第一の部分407の複数の開口部406は、管状体402およびエアロゾル発生物品が第一の位置にある時に、可燃性熱源およびエアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体への気流を可能にするように構成される。第二の部分409は、管状体402およびエアロゾル発生物品が第二の位置にある時に、エアロゾル発生物品の可燃性熱源の燃焼を阻害するように構成される。
【0200】
図10のリテーナー400は、第二の部分409が複数の層を備えるという点で、
図6のリテーナー300とは異なる。第二の部分409は、高い熱伝導率を有するアルミニウムから形成される内側層(図示せず)を備え、管状体およびエアロゾル発生物品が第二の位置にある時に可燃性熱源の消火を容易にするために可燃性熱源からの熱を吸収するように配置される。内側層は、可燃性熱源からの熱を吸収する放熱板として機能する。第二の部分409は、第二の部分409がユーザーによって快適に保持され得るように、第二の部分409の外側表面への熱伝達を減少させる低熱伝導率を有する、シリコーンまたはPEEKから作製された外側層411をさらに含む。外側層411の一部は、内側層(図示せず)を超えて近位方向に距離を延ばす。外側層411は、弾性材料であるシリコーンから形成されるため、延在部分は、通路405で受容されるエアロゾル発生物品を握持することができる。
【0201】
図11Aおよび
図11Bは、エアロゾル発生物品2がリテーナー400の通路405内に受容され、リテーナー400の管状体402の第二の部分409が第一の位置および第二の位置にそれぞれ示されている、
図10と同様のリテーナーの側面図を示す。
図11Aおよび11Bのリテーナー400は、管状体402の第一の部分407の異なる配置の開口部406を用いるという点でのみ、
図10のリテーナー400とは異なる。
【0202】
図11Aは、管状体402の第一の部分407の複数の開口部406が、エアロゾル発生物品2の可燃性熱源4を囲む第一の位置にある、リテーナー400の管状体402の第二の部分409を示す。第一の位置では、空気は、エアロゾル発生物品2の可燃性熱源4に自由に達することができ、これは、可燃性熱源4が点火され、燃焼が持続できるように、管状体402の第一の部分の開口部406の下にある。
【0203】
図11Bは、第二の部分409がエアロゾル発生物品2の可燃性熱源(目に見えない)を囲む、第二の位置にあるリテーナー400の管状体402の第二の部分409を示す。第二の位置では、エアロゾル発生物品2の可燃性熱源に到達する空気の量は、管状体402の第二の部分409が不通気性であるため、著しく減少する。可燃性熱源に到達する空気の量は、燃焼を維持するには不十分である。したがって、管状体402およびエアロゾル発生物品2は、互いに対して第二の位置へと滑動して、エアロゾル発生物品2を消すことができる。可燃性熱源が消火されると、エアロゾル発生物品2は、リテーナー400の管状体402の開放端部404bを通して除去され得る。
【0204】
使用時に、エアロゾル発生物品2は、リテーナー400の管状体402の開放端部404bを通して挿入され、管状体およびエアロゾル発生物品は、管状体402の第一の部分407の複数の開口部406が、エアロゾル発生物品2の可燃性熱源4を囲む第一の位置に対して互いに対して滑動する。印は、エアロゾル発生物品2の外側表面上に印刷または形成されて、リテーナー400内のエアロゾル発生物品2の正しい位置決めを示してもよい。ユーザーは、リテーナー400と、管状体402の第二の部分409によるエアロゾル発生物品2との組み合わせを、指の間に保持し、管状体402内に形成される複数の開口部406を通して可燃性熱源4の先端を点火する。可燃性熱源4が点火されると、ユーザーはエアロゾル発生物品2上のパフを取ることができる。サーモクロミックインクまたはコーティングを管状体402の外側表面に塗布して、可燃性熱源がパフを開始できる温度にあるときにユーザーに示してもよい。
【0205】
ユーザーがパフを吸うのを終えれば、可燃性熱源4は、管状体およびエアロゾル発生物品を、第二の部分409がエアロゾル発生物品2の可燃性熱源4を囲む第二の位置に対して、互いに対して滑動させることによって消すことができる。可燃性熱源4が消火されると、エアロゾル発生物品2をリテーナー400から除去し、安全に処分することができる。サーモクロミックインクまたはコーティングは、管状体402の第二の部分409の外側表面に塗布されて、可燃性熱源の温度が、可燃性熱源が消火されたことを示す温度にいつ低下したかを示してもよい。リテーナー400は、別のエアロゾル発生物品と使用するために保持されてもよい。
【0206】
図12は、本発明の別の実施形態によるリテーナー500と、リテーナー500内に受容されたエアロゾル発生物品2の斜視図を示す。
図12のリテーナー500は、管状体502の第二の部分509が開口部513を備え、通路で受容される時にユーザーがエアロゾル発生物品2の外側表面に接触することができることを除いて、
図6のリテーナー300と同一である。
図12のリテーナー500は、リテーナー500とエアロゾル発生物品2の組み合わせが開口部513によって握持されることを除いて、
図6のリテーナー300と同じ方法で使用される。エアロゾル発生物品2の可燃性熱源4の消火は、キャップ、例えば、
図8Aに示すキャップ320による。
【0207】
図13A~13Cは、本発明によるリテーナーの管状体602の第一の部分の部分的に閉じた第一の端部604aおよび開口部606を形成するための、4つの代替的なパターン600a~600cの斜視図を示す。管状体602の第一の部分に形成され、パターン600a~600cの部分的に閉じた第一の端部に形成された開口部606を通して露出されたままの可燃性熱源の露出面の量は、少なくとも80%である。
図13A~13Cのパターン600a~600cは、本明細書に記載のリテーナーの任意の実施形態とともに使用され得る。
【0208】
図13Dは、リテーナーの管状体602の第一の部分に部分的に閉じた第一の端部604aおよび開口部606を形成するための別のパターン600dの斜視図を示す。管状体602の第一の部分に形成され、パターン600dの部分的に閉じた第一の端部に形成される開口部606を通して露出されたままの可燃性熱源の露出面の量は、約50%である。
【0209】
図13A、13Cおよび13Dの第一の端部604aは、複数の突起部618によって部分的に閉じられる。突起部618は、空気が第一の端部604aを通って可燃性熱源に流れることを可能にするが、第一の端部604aを通る通路からのエアロゾル発生物品の挿入または除去を防止する。第一の端部604aを通って可燃性熱源に空気が流れることを可能にすると、可燃性熱源の照明および持続的な燃焼が促進される。少なくとも
図13Aおよび
図13Dの突起部は、可燃性熱源に接触し、エアロゾル発生物品のさらなる挿入を防止する停止として作用するように構成される。可燃性熱源からの熱損失を最小限にするために、
図13Aおよび13Dの突起部618は、突起部618の先端のみが可燃性熱源と接触するように、エアロゾル発生物品を受容する通路内に角度付けられる。
【0210】
図13Bは、
図13A、13Cおよび13Dの突起部と同じ機能を果たす第一の端部604aで通路605にわたって配置される十字形形状の素子によって第一の端部604aが部分的に閉じられる、異なる配置を示す。
【実施例】
【0211】
リテーナーは、エアロゾル発生物品とともに使用される場合、照明時間またはエアロゾル発生物品のエアロゾル送達に著しく悪影響を及ぼさないものとする。リテーナーの影響を決定するために、本発明による例示的なリテーナーを、以下の表1に示す特性を有するステンレス鋼管から調製した。表1に示すように、例示的なリテーナーは、管状体の第一の部分で形成された二つの異なる管パターン、すなわち
図13Cの管パターン600c、および
図13Dの管パターン600dで調製した。
【表1】
【0212】
表1の例示的なリテーナーを、参照エアロゾル発生物品とともに使用した。参照エアロゾル発生物品とともに例示的なリテーナーを使用することの影響を、リテーナーなしで使用される参照エアロゾル発生物品の性能と比較した。
【0213】
参照エアロゾル発生物品の特性を以下の表2に示す。
【表2】
【0214】
照明時間に対する管パターンの影響
例示的なリテーナーの管パターンが、エアロゾル発生物品の照明時間に与える影響を評価するために、エアロゾル発生物品が通路中に受容された時に、管状体の第一の端部および第一の部分の複数の開口部を通して露出されたままである、エアロゾル発生物品の可燃性熱源の露出表面積の割合が計算された。参照エアロゾル発生物品では、5.5ミリメートルの長さの可燃性熱源が曝露され、燃焼に利用可能である。上述のように、割合は、可燃性熱源燃焼ゾーンの一部分にわたる管状体の総外部表面を考慮することによって計算される。割合は、熱源の露出表面積を覆う管状体の総表面に対する、開口部および部分的に閉じた第一の端部を形成することによって除去された管状体表面の割合である。
【0215】
可燃性熱源の照明時間を決定するために、例示的な各リテーナーの管状体の通路内に参照エアロゾル発生通路を受容し、可燃性熱源の上で管状体に黄色炎を塗布した。照明時間は、黄色炎が塗布された時間から、点火が熱源を通して伝搬し始めていることを視覚的に観察された時間の間で経過した時間を測定することによって決定された。照明時間は、ストップウォッチを使用して測定された。結果を下記の表3に示している。
【0216】
表3から分かるように、管状体の第一の部分に形成された開口部および部分的に閉じた第一の端部を通して露出されたままの可燃性熱源(CHS)の平均割合は、実施例1~5では約50%であり、実施例6~10では、約80%である。表1に示されるように、実施例1~5はすべて管パターン600dを有し、実施例6~10はすべて管パターン600cを有する。実施例1~5はすべて同じ管パターンを有するが、表3から、実施例1~5の割合の間に小さな差異があることが分かる。これらは、開口部および部分的に閉じた第一の端部を形成する製造公差によるものであり、許容される。同じことが実施例6~10に適用される。
【表3】
【0217】
表3は、可燃性熱源の露出表面積の約80%が開口部を通して露出したままである実施例6~10が、約5秒以下の照明時間を呈することを示す。これは、リテーナーのない参照エアロゾル発生物品のみの照明時間と比較して、ユーザーがエアロゾル発生物品を使用するのを過度に遅らせないため、許容可能な照明時間とみなされる。表3はまた、可燃性熱源の露出表面積の約50%が開口部を通して露出したままである実施例1~5が、有意に長く、許容できない照明時間を呈することを示す。したがって、管状体の第一の部分、および部分的に閉じた第一の端部に形成された開口部を通して露出されたままの可燃性熱源の露出面の割合が、可燃性熱源の照明時間に著しく悪影響を及ぼさない、リテーナーを提供する。
【0218】
エアロゾル送達および温度に対する管直径の影響
例示的なリテーナー7、8、9および10を使用して、エアロゾル送達に対する管状体の内径の影響を、リテーナーのない参照エアロゾル発生物品のみからのエアロゾル送達と比較して評価した。これらの例示的な各リテーナーは、同じ管パターン、すなわち
図13Cの管パターン600cを有する。管状体の第一の部分に形成され、部分的に閉じた第一の端部に形成された開口部を通して露出されたままの可燃性熱源の露出面の割合は約80%であり、4つの実施例すべてにわたって一定である。管状体の内径および厚さは、上記の表1および以下の表4に示すように、各例示的なリテーナーにおいて変化する。しかしながら、以下でさらに論じるように、管状体の厚さは、調べた厚さの範囲についてエアロゾル送達に影響を与えなかったことが判明した。したがって、この試験の結果は、様々な内径のみからのエアロゾル送達への影響を示す。
【0219】
エアロゾル送達に対する管状体直径の変化の影響を測定した。特に、グリセリン、ニコチン、および総粒子状物質(TPM)の量への影響が測定された。総粒子状物質は、パフ中に生成されるエアロゾルの総量の尺度であり、生成されるグリセリンおよびニコチンの量を含む。結果を、参照エアロゾル発生物品と比較して、以下の表4に示す。
【表4】
【0220】
表4から分かるように、例示的なリテーナー7~10のいずれも、エアロゾル発生物品とともに使用される場合、エアロゾル送達に著しい悪影響を及ぼさない。実際に、参照エアロゾル発生物品と比較して、エアロゾル発生物品を有するリテーナーの使用は、少なくとも総粒子状物質に関して、エアロゾル送達を改善することが実際に見出された。表4の結果は、直径の増加と共に総粒子状物質の送達量が増加することを示す。
【0221】
例示的なリテーナー7~10の管状体の内径を変化させることの、エアロゾル形成基体内の温度に対する効果も評価された。以下でさらに論じるように、管状体の厚さは、調べた厚さの範囲について、エアロゾル形成基体内の温度に影響を与えなかったことが見出された。したがって、この試験の結果は、変化する内径のみからの温度への影響を示す。
【0222】
エアロゾル形成基体内の温度を測定するために、熱電対を、エアロゾル形成基体および可燃性熱源の界面から7ミリメートルの距離で、エアロゾル形成基体に挿入した。結果を
図14に示す。
【0223】
図14から分かるように、タバコプラグ(すなわち、エアロゾル形成基体)の温度は、9.2ミリメートル~11.4ミリメートルの範囲の管状体の直径と共に上昇しており、発明者らはこれがエアロゾル送達の増加をもたらすと考えている。
【0224】
驚くべきことに、可燃性熱源によって生成される熱は、リテーナーの存在により、より良好に維持されることが見出された。さもなければ周囲空気に失われるであろう熱の割合は、管状体に移され、管状体からの放射および/または空気対流を介してエアロゾル発生物品に戻る。結果として、エアロゾル発生物品の温度は、リテーナーが存在しない場合よりも高い。同じ効果のため、可燃性熱源の近位部分の温度も高い可能性がある。その場合、伝導によってエアロゾル形成基体に伝達される熱が増加する。
【0225】
エアロゾル送達および温度に対する管厚の影響
エアロゾル送達および温度に対するリテーナーの管状体の厚さの影響を評価するために、4つのさらなる実施例のリテーナー(リテーナー11~14の例)を、以下の表5に示すように、同じ直径であるが40マイクロメートル~300マイクロメートルの範囲の異なる厚さのステンレス鋼管状体を有するように調製した。
【0226】
エアロゾル送達に対する管状体の厚さの変化の影響を測定した。特に、グリセリン、ニコチン、および総粒子状物質(TPM)の量への影響が測定された。結果を、参照エアロゾル発生物品と比較して、以下の表5に示す。
【0227】
表5から分かるように、例示的なリテーナー11~14は、参照エアロゾル発生物品のみと比較して、エアロゾル発生物品と併用された場合に、エアロゾル送達の一般的な増加をもたらす。増加は、11ミリメートルの内径を有する例示的なリテーナーの管状体の存在による。調べた厚さの範囲では、エアロゾル送達に対する管状体の厚さの明確な影響はない。
【表5】
【0228】
例示的なリテーナー11~14の管状体の厚さを変化させることの、エアロゾル形成基体内の温度に対する効果も評価された。エアロゾル形成基体内の温度を測定するために、熱電対を、エアロゾル形成基体および可燃性熱源の界面から7ミリメートルの距離で、エアロゾル形成基体に挿入した。結果を
図15に示す。
【0229】
図15から分かるように、タバコプラグの温度(すなわち、エアロゾル形成基体)は、参照エアロゾル発生物品と比較して、実施例11~14の全ての例示的なリテーナーに対して高い。この場合も、増加は、11ミリメートルの内径を有する例示的なリテーナーの管状体の存在によるものである。調べた厚さの範囲の温度に対する管状体の厚さの明確な影響はない。
【0230】
当然のことながら、リテーナーの管状体の機械的安定性を高めるために、管厚は好ましくは100マイクロメートル~250マイクロメートルの間である。
【国際調査報告】