(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-22
(54)【発明の名称】エアロゾル発生システムで使用するための製剤
(51)【国際特許分類】
A24B 15/167 20200101AFI20230215BHJP
A24F 40/10 20200101ALI20230215BHJP
【FI】
A24B15/167
A24F40/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022537655
(86)(22)【出願日】2020-12-16
(85)【翻訳文提出日】2022-06-17
(86)【国際出願番号】 EP2020086572
(87)【国際公開番号】W WO2021122845
(87)【国際公開日】2021-06-24
(32)【優先日】2019-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】タウリーノ イレーヌ
【テーマコード(参考)】
4B043
4B162
【Fターム(参考)】
4B043BC02
4B043BC16
4B043BC19
4B162AA05
4B162AB14
4B162AB23
(57)【要約】
エアロゾル発生システムで使用するための製剤(211)であって、製剤(211)は、一つ以上のエアロゾル形成体と、一つ以上の金属塩と、一つ以上の高分子増粘剤とを含む。製剤(211)は、約0.5重量パーセント以上の高分子増粘剤含有量を有する。一つ以上の金属塩は、一つ以上のステアリン酸金属塩を含む。エアロゾル発生システムで使用するためのエアロゾル発生物品(200)であって、エアロゾル発生物品(200)は、製剤(211)を包含する。エアロゾル発生システムは、製剤(211)と、製剤(211)からエアロゾルを発生するように構成されたアトマイザー(222)とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生システムで使用するための製剤であって、前記製剤が、
一つ以上のエアロゾル形成体と、
一つ以上の金属塩と、
一つ以上の高分子増粘剤と、を含み、
前記製剤が、約0.5重量パーセント以上の高分子増粘剤含有量を有し、
前記一つ以上の金属塩が、一つ以上のステアリン酸金属塩を含む、製剤。
【請求項2】
前記製剤が、約5重量パーセント~約20重量パーセントの高分子増粘剤含有量を有する、請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
前記一つ以上の高分子増粘剤が、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、およびデンプンから成る群から選択される、請求項1または2のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項4】
前記一つ以上の金属塩が、アルギン酸金属塩、安息香酸金属塩、ケイ皮酸金属塩、シクロヘプタンカルボン酸金属塩、レブリン酸金属塩、プロパン酸金属塩、ステアリン酸金属塩、およびウンデカン酸金属塩から成る群から選択され、好ましくは、前記一つ以上の金属塩が、ケイ皮酸金属塩、シクロヘプタンカルボン酸金属塩、ステアリン酸金属塩、およびウンデカン酸金属塩から成る群から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項5】
前記製剤が、約0.5重量パーセント以上のステアリン酸金属塩含有量を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項6】
前記一つ以上のステアリン酸金属塩がステアリン酸ナトリウムを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項7】
前記一つ以上のエアロゾル形成体がグリセリンを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項8】
前記一つ以上のエアロゾル形成体が、グリセリンおよびプロピレングリコールを含む、請求項7に記載の製剤。
【請求項9】
前記製剤のグリセリン含有量の重量パーセントとプロピレングリコール含有量の重量パーセントとの比が約1.5以上である、請求項8に記載の製剤。
【請求項10】
前記製剤が、約50重量パーセント以上のエアロゾル形成体含有量を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項11】
水を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項12】
約30重量パーセント以下の含水量を有する、請求項11に記載の製剤。
【請求項13】
エアロゾル発生システムで使用するためのエアロゾル発生物品であって、前記エアロゾル発生物品が、請求項1~14のいずれか一項に記載の製剤を含有する、エアロゾル発生物品。
【請求項14】
エアロゾル発生システムであって、
請求項1~14のいずれか一項に記載の製剤と、
前記製剤からエアロゾルを発生するように構成されたアトマイザーと、を備える、エアロゾル発生システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル発生システムで使用するための製剤に関する。本発明はまた、エアロゾル発生システムで使用するための製剤を含むエアロゾル発生物品と、製剤およびアトマイザーを備えるエアロゾル発生システムとに関する。
【背景技術】
【0002】
エアロゾルをユーザーに送達するためのエアロゾル発生システムは典型的に、製剤から吸入可能なエアロゾルを発生するように構成されたアトマイザーを備える。一部の公知のエアロゾル発生システムは、製剤を加熱し気化させてエアロゾルを発生させるように構成されている、電気ヒーターなどの熱式アトマイザーを備える。エアロゾル発生システムで使用するための典型的な製剤は、ニコチン製剤であり、グリセリン、および/またはプロピレングリコールなどのエアロゾル形成体を含む液体ニコチン製剤であり得る。
【0003】
エアロゾル発生システムで使用される時に、典型的な製剤と比較して、低減された漏れのリスクを呈する製剤を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0004】
エアロゾル発生システムで使用するための製剤が提供されている。製剤は、一つ以上のエアロゾル形成体を含み得る。製剤は、一つ以上の高分子増粘剤を含み得る。製剤は、約0.5重量パーセント以上の高分子増粘剤含有量を有してもよい。
【0005】
エアロゾル発生システムで使用するための製剤であって、一つ以上のエアロゾル形成体と、一つ以上の高分子増粘剤とを含み、約0.5重量パーセント以上の高分子増粘剤含有量を有する、製剤も提供されている。
【0006】
エアロゾル発生システムで使用するためのエアロゾル発生物品であって、一つ以上のエアロゾル形成体と、一つ以上の高分子増粘剤とを含む製剤を含有し、製剤は、約0.5重量パーセント以上の高分子増粘剤含有量を有する、エアロゾル発生物品も提供されている。
【0007】
一つ以上のエアロゾル形成体と、一つ以上の高分子増粘剤とを含む製剤であって、約0.5重量パーセント以上の高分子増粘剤含有量を有する、製剤を備えるエアロゾル発生装置も提供されている。
【0008】
一つ以上のエアロゾル形成体および一つ以上の高分子増粘剤を含む製剤であって、0.5重量パーセント以上の高分子増粘剤含有量を有する、製剤と、製剤からエアロゾルを発生するように構成されたアトマイザーと、を備える、エアロゾル発生システムも提供されている。
【0009】
本明細書で使用される場合、「エアロゾル形成基体」という用語は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有する基体に関する。こうした揮発性化合物は、エアロゾル形成基体を加熱することによって、またはその他のエアロゾル化手段によって放出されてもよい。エアロゾル形成基体は液体であってもよい。液体は、e-リキッドであってもよい。液体は、溶液であってもよい。液体は、コロイドであってもよい。コロイドは、連続液体中に分散された不連続固体粒子を有し得る。コロイドは、連続液体中に分散された不連続液体粒子を有し得る。コロイドは、連続固体中に分散された不連続液体粒子を有し得る。
【0010】
別途記載のない限り、本明細書に列挙した製剤の構成成分の重量割合は、製剤の総重量に基づく。
【0011】
有利なことに、製剤は、エアロゾル発生システムの各使用後にバリアを形成することによって、製剤を含有するエアロゾル発生システムの貯蔵部を内部的に封止する方法を提供する。製剤は、最初はエアロゾル発生システムの貯蔵部内の液体として提供されてもよい。製剤は、典型的なエアロゾル発生システムと同様に、エアロゾルを形成するために加熱され得る。製剤が加熱後に冷却されると、ヒーターの領域内にある製剤の少なくとも一部分が固化して、固体層を形成し得る。結果としてもたらされる固体層は、貯蔵部の開口部全体を覆い得る。固体層は、貯蔵部を封止するバリアとして作用し得る。このようにして貯蔵部を封止することは、有利なことに、貯蔵部からの製剤の漏れのリスクを低減し得る。
【0012】
このようにして貯蔵部を封止することは、有利なことに、エアロゾル発生システムの使用と使用との間で貯蔵部から製剤が滲出することに起因したエアロゾル発生システムの湛水を防止し得る。
【0013】
固体層は、有利なことに、エアロゾル発生システムのヒーターによって溶融または気化され得る。次いで、固体層は、製剤が冷却するにつれて、または製剤が各使用の間に冷却された後で改質され、それによって貯蔵部を再封止し、貯蔵部からの製剤の漏れを再び防止し得る。このようにして固体層の気化は、エアロゾル発生システムを繰り返して使用することを可能にし得る。
【0014】
一つ以上の高分子増粘剤は、ポリビニルアセテート(PVA)、ポリビニルアルコール(PVOH)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリジオキサノン(PDO)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレングリコール(PPG)およびデンプンから成る群から選択され得る。
【0015】
すべてのデンプンは、様々な割合のアミロースおよびアミロペクチンからなる。製剤のための特定のデンプンの選択は、デンプンの所望の機能に応じた、アミロースとアミロペクチンの比に基づき得る。デンプンは、トウモロコシデンプンまたは小麦デンプンであってもよい。デンプンは、トウモロコシデンプンであることが好ましく、デンプンは、ワキシートウモロコシデンプンであることが好ましい。ワキシートウモロコシデンプンは、微量のアミロースのみを含有する本質的に純粋なアミロペクチンである。ワキシートウモロコシデンプンは、より良好で、より弾性のあるバリアを生成することが見出されている。デンプンの分子量は、自然変動に起因して変化することに留意されたい。
【0016】
高分子増粘剤がポリエチレンである場合、ポリエチレンは低密度ポリエチレンであることが好ましい。
【0017】
一つ以上の高分子増粘剤は、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、およびデンプンからなる群から選択されることが好ましい。
【0018】
一つ以上の高分子増粘剤は、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、およびポリプロピレングリコールから成る群から選択されることがより好ましい。
【0019】
一つ以上の高分子増粘剤は、ポリビニルアルコールおよびポリエチレングリコールから成る群から選択されることがなおより好ましい。
【0020】
一つ以上の高分子増粘剤は、ポリビニルアルコールからなることが最も好ましい。
【0021】
製剤は、約0.5重量パーセント以上の高分子増粘剤含有量を有してもよい。製剤は、約1重量パーセント以上の高分子増粘剤含有量を有してもよい。製剤は、約2重量パーセント以上の高分子増粘剤含有量を有してもよい。製剤は、約5重量パーセント以上の高分子増粘剤含有量を有してもよい。製剤は、約8重量パーセント以上の高分子増粘剤含有量を有してもよい。製剤は、約10重量パーセント以上の高分子増粘剤含有量を有してもよい。
【0022】
製剤は、約20重量パーセント以下の高分子増粘剤含有量を有してもよい。製剤は、約18重量パーセント以下の高分子増粘剤含有量を有してもよい。製剤は、約15重量パーセント以下の高分子増粘剤含有量を有してもよい。製剤は、約12重量パーセント以下の高分子増粘剤含有量を有してもよい。製剤は、約10重量パーセント以下の高分子増粘剤含有量を有してもよい。製剤は、約8重量パーセント以下の高分子増粘剤含有量を有してもよい。製剤は、約5重量パーセント以下の高分子増粘剤含有量を有してもよい。製剤は、約2重量パーセント以下の高分子増粘剤含有量を有してもよい。製剤は、約1重量パーセント以下の高分子増粘剤含有量を有してもよい。
【0023】
製剤は、約0.5重量パーセント~約20重量パーセントの高分子増粘剤含有量を有してもよい。製剤は、約0.5重量パーセント~約18重量パーセントの高分子増粘剤含有量を有してもよい。製剤は、約0.5重量パーセント~約15重量パーセントの高分子増粘剤含有量を有してもよい。製剤は、約0.5重量パーセント~約12重量パーセントの高分子増粘剤含有量を有してもよい。製剤は、約0.5重量パーセント~約10重量パーセントの高分子増粘剤含有量を有してもよい。製剤は、約0.5重量パーセント~約8重量パーセントの高分子増粘剤含有量を有してもよい。製剤は、約0.5重量パーセント~約5重量パーセントの高分子増粘剤含有量を有してもよい。製剤は、約0.5重量パーセント~約2重量パーセントの高分子増粘剤含有量を有してもよい。製剤は、約0.5重量パーセント~約1重量パーセントの高分子増粘剤含有量を有してもよい。
【0024】
製剤は、約1重量パーセント~約20重量パーセントの高分子増粘剤含有量を有してもよい。製剤は、約1重量パーセント~約18重量パーセントの高分子増粘剤含有量を有してもよい。製剤は、約1重量パーセント~約15重量パーセントの高分子増粘剤含有量を有してもよい。製剤は、約1重量パーセント~約12重量パーセントの高分子増粘剤含有量を有してもよい。製剤は、約1重量パーセント~約10重量パーセントの高分子増粘剤含有量を有してもよい。製剤は、約1重量パーセント~約8重量パーセントの高分子増粘剤含有量を有してもよい。製剤は、約1重量パーセント~約5重量パーセントの高分子増粘剤含有量を有してもよい。製剤は、約1重量パーセント~約2重量パーセントの高分子増粘剤含有量を有してもよい。
【0025】
製剤は、約5重量パーセント~約20重量パーセントの高分子増粘剤含有量を有してもよい。製剤は、約5重量パーセント~約18重量パーセントの高分子増粘剤含有量を有してもよい。製剤は、約5重量パーセント~約15重量パーセントの高分子増粘剤含有量を有してもよい。製剤は、約5重量パーセント~約10重量パーセントの高分子増粘剤含有量を有してもよい。製剤は、約5重量パーセント~約12重量パーセントの高分子増粘剤含有量を有してもよい。製剤は、約5重量パーセント~約10重量パーセントの高分子増粘剤含有量を有してもよい。製剤は、約5重量パーセント~約8重量パーセントの高分子増粘剤含有量を有してもよい。
【0026】
一つ以上の高分子増粘剤は、一つ以上のポリマーであってもよい。一つ以上のポリマーは、一つ以上の合成ポリマーであってもよい。
【0027】
一つ以上の高分子増粘剤は、6000g/mol以上の重量平均分子量(Mw)を有してもよい。一つ以上の高分子増粘剤は、60000g/mol以上の重量平均分子量を有してもよい。一つ以上の高分子増粘剤は、100000g/mol以上の重量平均分子量を有してもよい。一つ以上の高分子増粘剤は、140000g/mol以上の重量平均分子量を有してもよい。一つ以上の高分子増粘剤は、200000g/mol以上の重量平均分子量を有してもよい。
【0028】
一つ以上の高分子増粘剤は、8000000g/mol以下の重量平均分子量を有してもよい。一つ以上の高分子増粘剤は、5000000g/mol以下の重量平均分子量を有してもよい。一つ以上の高分子増粘剤は、2000000g/mol以下の重量平均分子量を有してもよい。一つ以上の高分子増粘剤は、1000000g/mol以下の重量平均分子量を有してもよい。一つ以上の高分子増粘剤は、500000g/mol以下の重量平均分子量を有してもよい。一つ以上の高分子増粘剤は、200000g/mol以下の重量平均分子量を有してもよい。一つ以上の高分子増粘剤は、190000g/mol以下の重量平均分子量を有してもよい。
【0029】
一つ以上の高分子増粘剤は、6000g/mol~8000000g/molの重量平均分子量を有してもよい。一つ以上の高分子増粘剤は、60000g/mol~500000g/molの重量平均分子量を有してもよい。一つ以上の高分子増粘剤は、100000g/mol~200000g/molの重量平均分子量を有してもよい。一つ以上の高分子増粘剤は、140000g/mol~190000g/molの重量平均分子量を有してもよい。
【0030】
製剤は、一つ以上の金属塩を含んでもよい。
【0031】
製剤中の一つ以上の金属塩と一つ以上のエアロゾル形成体との間の結合は、一つ以上のエアロゾル形成体の沸点を上昇させ得る。製剤がニコチンを含む時、これは有利なことに、一つ以上の金属塩を含まない典型的な液体ニコチン製剤と比較して、エアロゾル発生システムで使用される時に、製剤からのニコチンの気化の効率を高める場合がある。
【0032】
一つ以上の金属塩は、アルギン酸金属塩、安息香酸金属塩、ケイ皮酸金属塩、シクロヘプタンカルボン酸金属塩、レブリン酸金属塩、プロパン酸金属塩、ステアリン酸金属塩、およびウンデカン酸金属塩から成る群から選択され得る。
【0033】
一つ以上の金属塩は、ケイ皮酸金属塩、シクロヘプタンカルボン酸金属塩、レブリン酸金属塩、プロパン酸金属塩、ステアリン酸金属塩、およびウンデカン酸金属塩から成る群から選択されることが好ましい。
【0034】
一つ以上の金属塩は、安息香酸金属塩、ケイ皮酸金属塩、シクロヘプタンカルボン酸金属塩、レブリン酸金属塩、プロパン酸金属塩、ステアリン酸金属塩、およびウンデカン酸金属塩から成る群から選択されることが好ましい。
【0035】
一つ以上の金属塩は、ケイ皮酸金属塩、シクロヘプタンカルボン酸金属塩、ステアリン酸金属塩、およびウンデカン酸金属塩から成る群から選択されることが好ましい。
【0036】
一つ以上の塩は、任意の適切な金属の塩であってもよい。
【0037】
一つ以上の金属塩は、アルカリ金属塩であることが好ましい。
【0038】
一つ以上の金属塩は、ナトリウム塩であることがより好ましい。
【0039】
気化可能なバリアは、一つ以上の非糖ナトリウム塩を含むことが好ましい。一つ以上の金属塩は、一つ以上の非糖ナトリウム塩を含むことが好ましい。
【0040】
一つ以上のステアリン酸金属塩は、ステアリン酸ナトリウムを含み得る。
【0041】
高い平均分子量を有する金属塩は、ニコチンの気化の効率および固体層の形成速度に関する上述の利点を改善する場合がある。しかしながら、金属塩の分子量が過度に高い場合、溶解度などの特性が悪影響を受け始める。有利なことに、製剤中にステアリン酸ナトリウムを含むことは、溶解度を維持する一方で、ニコチンの気化の効率および固体層の形成速度の改善において最適なバランスを提供する場合がある。
【0042】
一つ以上のナトリウム塩は、安息香酸ナトリウム、ケイ皮酸ナトリウム、シクロヘプタンカルボン酸ナトリウム、レブリン酸ナトリウム、プロパン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、およびウンデカン酸ナトリウムから成る群から選択されることがより好ましい。
【0043】
一つ以上の金属塩は、ケイ皮酸ナトリウム、シクロヘプタンカルボン酸ナトリウム、レブリン酸ナトリウム、プロパン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、およびウンデカン酸ナトリウムから成る群から選択されることが好ましい。
【0044】
一つ以上のナトリウム塩は、安息香酸ナトリウム、ケイ皮酸ナトリウム、シクロヘプタンカルボン酸ナトリウム、レブリン酸ナトリウム、プロパン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、およびウンデカン酸ナトリウムから成る群から選択されることが好ましい。
【0045】
一つ以上の金属塩は、ケイ皮酸ナトリウム、シクロヘプタンカルボン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、およびウンデカン酸ナトリウムから成る群から選択されることが好ましい。
【0046】
一つ以上の金属塩は、ステアリン酸ナトリウムであることが最も好ましい。
【0047】
有利なことに、製剤中に一つ以上のステアリン酸金属塩を含めることは、固体層の形成速度を増大させ得る。特定の実施例では、有利なことに、ステアリン酸金属塩とグリセリンの組み合わせを含む製剤は、より硬い固体層を生成する。
【0048】
有利なことに、製剤中の一つ以上のステアリン酸金属塩と一つ以上のエアロゾル形成体との間の共有結合は、一つ以上のエアロゾル形成体の沸点をさらに上昇させ得る。製剤がニコチンを含む時、これは有利なことに、一つ以上のステアリン酸金属塩を含まない典型的な液体ニコチン製剤と比較して、エアロゾル発生システムで使用される時に、製剤からのニコチンの気化の効率を高める場合がある。
【0049】
製剤は、約0.5重量パーセント以上の金属塩含有量を有してもよい。製剤は、約0.75重量パーセント以上の金属塩含有量を有してもよい。製剤は、約1重量パーセント以上の金属塩含有量を有してもよい。製剤は、約1.5重量パーセント以上の金属塩含有量を有してもよい。製剤は、約2重量パーセント以上の金属塩含有量を有してもよい。
【0050】
製剤は、約10重量パーセント以下の金属塩含有量を有してもよい。例えば、製剤は、約5重量パーセント以下の金属塩含有量を有してもよい。製剤は、約2重量パーセント以下の金属塩含有量を有してもよい。
【0051】
製剤は、約0.5重量パーセント~約10重量パーセントの金属塩含有量を有してもよい。例えば、製剤は、約0.5重量パーセント~約5重量パーセントの金属塩含有量を有してもよい。製剤は、約0.5重量パーセント~約2重量パーセントの金属塩含有量を有してもよい。
【0052】
製剤は、約1重量パーセント~約10重量パーセントの金属塩含有量を有してもよい。例えば、製剤は、約1重量パーセント~約5重量パーセントの金属塩含有量を有してもよい。製剤は、約1重量パーセント~約2重量パーセントの金属塩含有量を有してもよい。
【0053】
製剤は、約5重量パーセント以上のエアロゾル形成体含有量を有してもよい。製剤は、約10重量パーセント以上のエアロゾル形成体含有量を有してもよい。製剤は、約20重量パーセント以上のエアロゾル形成体含有量を有してもよい。製剤は、約30重量パーセント以上のエアロゾル形成体含有量を有してもよい。製剤は、約40重量パーセント以上のエアロゾル形成体含有量を有してもよい。
【0054】
製剤は、約50重量パーセント以上のエアロゾル形成体含有量を有してもよい。
【0055】
製剤は、約60重量パーセント以上のエアロゾル形成体含有量を有してもよい。製剤は、約70重量パーセント以上のエアロゾル形成体含有量を有してもよい。製剤は、約80重量パーセント以上のエアロゾル形成体含有量を有してもよい。製剤は、約90重量パーセント以上のエアロゾル形成体含有量を有してもよい。
【0056】
製剤は、約95重量パーセント以下のエアロゾル形成体含有量を有してもよい。
【0057】
製剤は、約5重量パーセント~約95重量パーセントのエアロゾル形成体含有量を有してもよい。例えば、製剤は、約10重量パーセント~約95重量パーセントのエアロゾル形成体含有量を有してもよい。製剤は、約20重量パーセント~約95重量パーセントのエアロゾル形成体含有量を有してもよい。製剤は、約30重量パーセント~約95重量パーセントのエアロゾル形成体含有量を有してもよい。製剤は、約40重量パーセント~約95重量パーセントのエアロゾル形成体含有量を有してもよい。
【0058】
製剤は、約50重量パーセント~約95重量パーセントのエアロゾル形成体含有量を有することが好ましい。
【0059】
製剤は、約60重量パーセント~約95重量パーセントのエアロゾル形成体含有量を有してもよい。例えば、製剤は、約70重量パーセント~約95重量パーセントのエアロゾル形成体含有量を有してもよい。製剤は、約80重量パーセント~約95重量パーセントのエアロゾル形成体含有量を有してもよい。製剤は、約90重量パーセント~約95重量パーセントのエアロゾル形成体含有量を有してもよい。
【0060】
製剤は、1,3-ブタンジオール、グリセリン、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、およびソルビトールから成る群から選択される一つ以上のエアロゾル形成体を含み得る。グリセリンは、植物性グリセリンを含み得る。
【0061】
一つ以上のエアロゾル形成体は、グリセリンおよびプロピレングリコールの組み合わせを含み得る。一つ以上のエアロゾル形成体は、植物性グリセリンおよびプロピレングリコールの組み合わせを含み得る。
【0062】
一部の好ましい実施形態では、一つ以上のエアロゾル形成体は、大部分の量のグリセリンを含む。グリセリン系製剤は、より硬い固体材料を提供し得ることが見出された。また、グリセリン系製剤に少量のプロピレングリコールを含めることにより、プロピレングリコールを含有しないグリセリン系組成物よりも剛直性が低い、または脆性が低い固体が提供され得ることも見出された。
【0063】
以下に記載するように、製剤中にプロピレングリコールを含めることは、製剤の気化を改善する場合があり、これは所与の加熱サイクルに対するより多くのエアロゾルの生成につながり得る。
【0064】
また、ニコチンを含むグリセリン系製剤にプロピレングリコールを含めることによって、プロピレングリコールがグリセリン(290℃)と比較して低い沸点(188℃)を有することによるニコチンのより効率的な気化に起因して、エアロゾルのニコチン含有量が改善され得る。しかしながら、製剤中に大量のプロピレングリコールがある場合、プロピレングリコールは加熱サイクル中に気化し得るため、エアロゾルのニコチン含有量が減少する。従って、ニコチン製剤中に限られた量のプロピレングリコールを有することが有利である場合がある。
【0065】
製剤のグリセリン含有量重量パーセントとプロピレングリコール含有量重量パーセントの比は、約1以上であってもよい。
【0066】
製剤のグリセリン含有量重量パーセントとプロピレングリコール含有量重量パーセントの比は、約1.5以上であってもよい。製剤のグリセリン含有量重量パーセントとプロピレングリコール含有量重量パーセントの比は、約2以上であってもよい。製剤のグリセリン含有量重量パーセントとプロピレングリコール含有量重量パーセントの比は、約2.5以上であってもよい。製剤のグリセリン含有量重量パーセントとプロピレングリコール含有量重量パーセントの比は、約3以上であってもよい。
【0067】
こうした組成物は、本明細書で論じる有利な気化特性に加えて、硬度および剛直性または脆性のバランスを提供して、最適な封止を提供し得ることが見出された。
【0068】
一つ以上のエアロゾル形成体は、一つ以上の多価アルコールを含んでもよい。一つ以上の多価アルコールは、一つ以上の水混和性多価アルコールを含んでもよい。本明細書で使用される「水混和性多価アルコール」という用語は、20℃で液体であり、かつあらゆる比率で水と混合して均質な溶液を形成する多価アルコールを説明する。
【0069】
製剤は、水を含み得る。
【0070】
製剤は、約0.5重量パーセント以上の含水量を有してもよい。製剤は、約1重量パーセント以上の含水量を有してもよい。製剤は、約5重量パーセント以上の含水量を有してもよい。製剤は、約10重量パーセント以上の含水量を有してもよい。製剤は、約15重量パーセント以上の含水量を有してもよい。製剤は、約20重量パーセント以上の含水量を有してもよい。
【0071】
製剤は、約30重量パーセント以下の含水量を有してもよい。製剤は、約25重量パーセント以下の含水量を有してもよい。製剤は、約20重量パーセント以下の含水量を有してもよい。製剤は、約15重量パーセント以下の含水量を有してもよい。製剤は、約10重量パーセント以下の含水量を有してもよい。製剤は、約8重量パーセント以下の含水量を有してもよい。製剤は、約5重量パーセント以下の含水量を有してもよい。
【0072】
製剤は、約0.5重量パーセント~約30重量パーセントの含水量を有してもよい。製剤は、約0.5重量パーセント~約25重量パーセントの含水量を有してもよい。製剤は、約0.5重量パーセント~約20重量パーセントの含水量を有してもよい。製剤は、約0.5重量パーセント~約15重量パーセントの含水量を有してもよい。製剤は、約0.5重量パーセント~約10重量パーセントの含水量を有してもよい。製剤は、約0.5重量パーセント~約8重量パーセントの含水量を有してもよい。製剤は、約0.5重量パーセント~約5重量パーセントの含水量を有してもよい。
【0073】
製剤は、約1重量パーセント~約20重量パーセントの含水量を有してもよい。製剤は、約5重量パーセント~約20重量パーセントの含水量を有してもよい。製剤は、約10重量パーセント~約20重量パーセントの含水量を有してもよい。製剤は、約15重量パーセント~約20重量パーセントの含水量を有してもよい。
【0074】
製剤は、ニコチンを含み得る。製剤は、液体ニコチンを含み得る。
【0075】
ニコチンは、ニコチン塩基であってもよい。ニコチンはニコチン塩であってもよい。製剤は、天然ニコチンを含み得る。製剤は、合成ニコチンを含み得る。
【0076】
ニコチンは、たばこ風味構成成分などの他のたばこ構成成分を含み得るたばこ抽出物として提供されてもよい。
【0077】
製剤は、約0.5重量パーセント以上のニコチン含有量を有してもよい。製剤は、約1重量パーセント以上のニコチン含有量を有してもよい。製剤は、約1.5重量パーセント以上のニコチン含有量を有してもよい。製剤は、約2重量パーセント以上のニコチン含有量を有してもよい。製剤は、約3重量パーセント以上のニコチン含有量を有してもよい。製剤は、約5重量パーセント以上のニコチン含有量を有してもよい。
【0078】
製剤は、約10重量パーセント以下のニコチン含有量を有してもよい。製剤は、約8重量パーセント以下のニコチン含有量を有してもよい。製剤は、約5重量パーセント以下のニコチン含有量を有してもよい。製剤は、約3重量パーセント以下のニコチン含有量を有してもよい。製剤は、約2重量パーセント以下のニコチン含有量を有してもよい。
【0079】
製剤は、約0.5重量パーセント~約10重量パーセントのニコチン含有量を有してもよい。例えば、製剤は、約0.5重量パーセント~約8重量パーセントのニコチン含有量を有してもよい。製剤は、約0.5重量パーセント~約5重量パーセントのニコチン含有量を有してもよい。製剤は、約0.5重量パーセント~約3重量パーセントのニコチン含有量を有してもよい。製剤は、約1重量パーセント~約10重量パーセントのニコチン含有量を有してもよい。例えば、製剤は、約1重量パーセント~約8重量パーセントのニコチン含有量を有してもよい。製剤は、約1重量パーセント~約5重量パーセントのニコチン含有量を有してもよい。製剤は、約1重量パーセント~約3重量パーセントのニコチン含有量を有してもよい。製剤は、約1重量パーセント~約2重量パーセントのニコチン含有量を有してもよい。製剤は、約2重量パーセント~約5重量パーセントのニコチン含有量を有してもよい。製剤は、約2重量パーセント~約3重量パーセントのニコチン含有量を有してもよい。製剤は、約3重量パーセント~約5重量パーセントのニコチン含有量を有してもよい。
【0080】
製剤は、標準的な温度および圧力で液体であることが好ましい。
【0081】
製剤は、一つ以上の有機酸を含み得る。一部の実施形態において、一つ以上の有機酸は水溶性有機酸であってもよい。本発明に関連して本明細書で使用される「水溶性有機酸」という用語は、20℃にて約100mg/mL以上、好ましくは約500mg/mL以上、より好ましくは約750mg/mL以上、最も好ましくは約1000mg/mL以上の水溶性を有する有機酸を記述する。
【0082】
別途記載のない限り、本明細書に列挙した水溶性値は、OECD(1995),Test No. 105: Water Solubility,OECD Guidelines for the Testing of Chemicals,Section 1,OECD Publishing,Paris,https://doi.org/10.1787/9789264069589-enの事前試験に基づいて測定された水溶解度である。段階的手順において、蒸留水の増加体積が20℃にて10mlのガラスストッパ付きメスシリンダー中の0.1gのサンプル(固形物質は粉砕されなければならない)に添加される。しかしながら、物質が酸である場合、サンプルは第一の工程で蒸留水に添加される。ある量の水の毎回の添加後に、混合物を10分間振盪し、サンプルの溶解していない部分がないかを視覚的に確認した。10mlの水を添加した後、サンプルまたはサンプルの一部が溶解していないままである場合、この実験は100mlのメスシリンダーで継続される。その体積の水でサンプルの完全な溶解が起こるおよその溶解度が以下の表1に示されている。
【0083】
溶解度が低いとき、物質を溶解するのに長い時間が必要とされる場合があり、少なくとも24時間かけるべきである。24時間後、物質が依然として溶解していない場合、メスシリンダーが超音波浴中に40℃で15分間置かれ、さらに24時間かかるとみておく(最大96時間)。物質が依然として溶解していない場合、溶解度が限界値を下回るか、または可溶性ではないと見なされる。
【表1】
【0084】
一つ以上の有機酸は、マロン酸、クエン酸、2-エチル酪酸、酢酸、アジピン酸、安息香酸、酪酸、ケイ皮酸、シクロヘプタン-カルボン酸、フマル酸、グリコール酸、ヘキサン酸、乳酸、レブリン酸、リンゴ酸、ミリスチン酸、オクタン酸、シュウ酸、プロパン酸、ピルビン酸、コハク酸、およびウンデカン酸から成る群から選択され得る。
【0085】
一部の実施形態では、一つ以上の有機酸は、マロン酸、クエン酸、乳酸、安息香酸、レブリン酸、フマル酸、および酢酸からなる群から選択される。
【0086】
一部の実施形態では、一つ以上の有機酸は、マロン酸、クエン酸、乳酸、フマル酸、および酢酸から成る群から選択される。
【0087】
一つ以上の有機酸は、乳酸からなることが最も好ましい。
【0088】
製剤は、約0.1重量パーセント以上の有機酸含有量を有してもよい。製剤は、約0.5重量パーセント以上の有機酸含有量を有してもよい。製剤は、約1重量パーセント以上の有機酸含有量を有してもよい。製剤は、約2重量パーセント以上の有機酸含有量を有してもよい。製剤は、約3重量パーセント以上の有機酸含有量を有してもよい。製剤は、約4重量パーセント以上の有機酸含有量を有してもよい。製剤は、約5重量パーセント以上の有機酸含有量を有してもよい。
【0089】
製剤は、約6重量パーセント以下の有機酸含有量を有してもよい。製剤は、約5重量パーセント以下の有機酸含有量を有してもよい。製剤は、約4重量パーセント以下の有機酸含有量を有してもよい。製剤は、約3重量パーセント以下の有機酸含有量を有してもよい。製剤は、約2重量パーセント以下の有機酸含有量を有してもよい。製剤は、約1重量パーセント以下の有機酸含有量を有してもよい。製剤は、約0.5重量パーセント以下の有機酸含有量を有してもよい。
【0090】
製剤は、約0.1重量パーセント~約6重量パーセントの有機酸含有量を有してもよい。製剤は、約0.1重量パーセント~約5重量パーセントの有機酸含有量を有してもよい。製剤は、約0.1重量パーセント~約4重量パーセントの有機酸含有量を有してもよい。製剤は、約0.1重量パーセント~約3重量パーセントの有機酸含有量を有してもよい。製剤は、約0.1重量パーセント~約2重量パーセントの有機酸含有量を有してもよい。製剤は、約0.1重量パーセント~約1重量パーセントの有機酸含有量を有してもよい。製剤は、約0.1重量パーセント~約0.5重量パーセントの有機酸含有量を有してもよい。
【0091】
製剤は、約0.5重量パーセント~約6重量パーセントの有機酸含有量を有してもよい。製剤は、約1重量パーセント~約6重量パーセントの有機酸含有量を有してもよい。製剤は、約2重量パーセント~約6重量パーセントの有機酸含有量を有してもよい。製剤は、約3重量パーセント~約6重量パーセントの有機酸含有量を有してもよい。製剤は、約4重量パーセント~約6重量パーセントの有機酸含有量を有してもよい。製剤は、約5重量パーセント~約6重量パーセントの有機酸含有量を有してもよい。
【0092】
本明細書に開示されるように、製剤を形成する方法も提供されている。
【0093】
方法は、構成成分を組み合わせて製剤を形成する工程を含み得る。
【0094】
一部の実施形態では、特に数多くの随意の成分が含まれる場合、構成成分を特定の順序で組み合わせることが好ましい場合がある。一つ以上の金属塩が存在する場合、一つ以上のエアロゾル形成体を最初に組み合わせ、その後、一つ以上の高分子増粘剤を添加してもよい。任意の適切な段階で、さらなる随意の構成成分が添加されてもよい。随意に、処理中の損失を低減するために、ニコチンなどの揮発性成分は、プロセスにおいて可能な限り遅くに添加されてもよい。
【0095】
エアロゾル発生システムは、エアロゾル発生物品を備え得る。
【0096】
エアロゾル発生物品は、製剤からエアロゾルを発生するように構成されたアトマイザーを備えてもよい。
【0097】
エアロゾル発生物品はカートリッジであってもよい。
【0098】
製剤およびアトマイザーを含有するカートリッジは、「カトマイザー」と呼ばれる場合がある。
【0099】
アトマイザーは熱式アトマイザーであってもよい。
【0100】
本明細書で使用される「熱式アトマイザー」という用語は、製剤を加熱してエアロゾルを発生するよう構成されているアトマイザーを説明する。
【0101】
エアロゾル発生物品は、任意の適切なタイプの熱式アトマイザーを備えてもよい。例えば、熱式アトマイザーは、ヒーターを含んでもよい。熱式アトマイザーは電気ヒーターを備えてもよい。一実施例では、熱式アトマイザーは、抵抗発熱体を含む電気ヒーターを含み得る。別の実施例では、熱式アトマイザーは、誘導発熱体を含む電気ヒーターを含み得る。
【0102】
ヒーターは発熱体を備えてもよい。発熱体は、グリッド要素であってもよい。発熱体は、グリッド層であってもよい。発熱体は、メッシュ要素であってもよい。発熱体は、メッシュ層であってもよい。こうした実施形態において、製剤は、グリッドまたはメッシュを形成する隙間空間の中に流れ得る。
【0103】
エアロゾル発生物品は、ミキサーを備え得る。ミキサーは、少なくとも二つの液体を混合するのに適している場合がある。ミキサーは、ユーザー入力に応答して製剤を攪拌するように動作可能であってもよい。一実施例では、ミキサーは機械的に作動し得る。別の実施例では、ミキサーは電気的に作動してもよい。ミキサーは、攪拌器であってもよい。攪拌器は、線形共鳴アクチュエータであってもよい。ミキサーは、磁気スターラなどの、液体を混合するのに適した異なるタイプの装置または機構であってもよい。
【0104】
有利なことに、ミキサーを含めることは、ポリマー増粘剤(複数可)の粒子が溶液から沈降することを防止し、これは、良好な封止を可能にする。
【0105】
エアロゾル発生システムは、エアロゾル発生装置を備え得る。
【0106】
エアロゾル発生装置は、製剤を含有するための貯蔵部を備えてもよい。
【0107】
エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生物品の少なくとも一部分を受容するように構成された装置空洞を画定するハウジングを備えてもよい。
【0108】
エアロゾル発生装置は、製剤からエアロゾルを発生するように構成されたアトマイザーを備えてもよい。
【0109】
アトマイザーは熱式アトマイザーであってもよい。
【0110】
本明細書で使用される「熱式アトマイザー」という用語は、製剤を加熱してエアロゾルを発生するよう構成されているアトマイザーを説明する。
【0111】
エアロゾル発生装置は、任意の適切なタイプの熱式アトマイザーを備えてもよい。例えば、熱式アトマイザーは、ヒーターを含んでもよい。熱式アトマイザーは電気ヒーターを備えてもよい。一実施例では、熱式アトマイザーは、抵抗発熱体を含む電気ヒーターを含み得る。別の実施例では、熱式アトマイザーは、誘導発熱体を含む電気ヒーターを含み得る。
【0112】
ヒーターは発熱体を備えてもよい。発熱体は、グリッド要素であってもよい。発熱体は、グリッド層であってもよい。発熱体は、メッシュ要素であってもよい。発熱体は、メッシュ層であってもよい。こうした実施形態において、製剤は、グリッドまたはメッシュを形成する隙間空間の中に流れ得る。
【0113】
エアロゾル発生装置は、ミキサーを備え得る。ミキサーは、少なくとも二つの液体を混合するのに適している場合がある。ミキサーは、ユーザー入力に応答して製剤を攪拌するように動作可能であってもよい。一実施例では、ミキサーは機械的に作動し得る。別の実施例では、ミキサーは電気的に作動してもよい。ミキサーは、攪拌器であってもよい。攪拌器は、線形共鳴アクチュエータであってもよい。ミキサーは、磁気スターラなどの、液体を混合するのに適した異なるタイプの装置または機構であってもよい。
【0114】
有利なことに、ミキサーを含めることは、ポリマー増粘剤(複数可)の粒子が溶液から沈降することを防止し、これは、良好な封止を可能にする。
【0115】
本発明によると、本発明による製剤と、製剤からエアロゾルを発生するように構成されたアトマイザーとを備えるエアロゾル発生システムがさらに提供されている。
【0116】
アトマイザーは熱式アトマイザーであってもよい。
【0117】
エアロゾル発生システムは、任意の適切なタイプの熱式アトマイザーを備えてもよい。
【0118】
熱式アトマイザーは電気ヒーターを備えてもよい。例えば、熱式アトマイザーは、発熱体を含む電気ヒーターを備えてもよく、発熱体は、抵抗発熱体または誘導性発熱体であってもよい。
【0119】
発熱体はグリッドまたはメッシュ要素または層であってもよい。こうした実施形態において、製剤は、グリッドまたはメッシュ要素を形成する隙間空間の中に流れ得る。
【0120】
エアロゾル発生システムは、製剤を含有する本発明によるエアロゾル発生物品と、エアロゾル発生物品の少なくとも一部分を受容するように構成された装置空洞を画定するハウジングとを備えるエアロゾル発生装置とを備えてもよい。
【0121】
エアロゾル発生システムは、製剤を含有する本発明による消耗品エアロゾル発生物品と、エアロゾル発生物品の少なくとも一部分を受容するように構成された装置空洞を画定するハウジングを備える再使用可能なエアロゾル発生装置とを備えてもよい。
【0122】
エアロゾル発生装置は、電池および制御電子機器を備えてもよい。
【0123】
エアロゾル発生システムは、製剤およびアトマイザーを含有する本発明によるエアロゾル発生物品と、エアロゾル発生物品の少なくとも一部分を受容するように構成された装置空洞を画定するハウジングを備えるエアロゾル発生装置とを備えてもよい。
【0124】
エアロゾル発生システムは、製剤を含有する本発明によるエアロゾル発生物品と、エアロゾル発生物品およびアトマイザーの少なくとも一部分を受容するように構成された装置空洞を画定するハウジングを備えるエアロゾル発生装置とを備えてもよい。
【0125】
疑義を避けるために、製剤に関する上述の特徴はまた、適切な場合、エアロゾル発生物品、エアロゾル発生装置、およびエアロゾル発生システムに関する場合がある。同様に、エアロゾル発生物品に関する上述の特徴はまた、適切な場合、エアロゾル発生装置およびエアロゾル発生システムに関する場合があり、その逆も可能である。
例証としてのみであるが、以下の実施例および添付図面を参照しながら、ここで特定の実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0126】
【
図1】
図1は、エアロゾル発生装置と、本発明による製剤を含むエアロゾル発生物品とを備えるエアロゾル発生システムの断面側面図を概略的に示す。
【
図2】
図2は、エアロゾル発生物品がエアロゾル発生装置の中に挿入された、
図1のエアロゾル発生システムの断面図を概略的に示す。
【
図3】
図3は、エアロゾル発生装置と、本発明による製剤を含むエアロゾル発生物品とを備える代替的なエアロゾル発生システムの断面図を概略的に示す。
【
図4】
図4は、本発明による製剤を含むエアロゾル発生物品の断面図を概略的に示す。
【
図5】
図5は、本発明による製剤を含むエアロゾル発生物品の断面図を概略的に示す。
【
図6】
図6は、異なるエアロゾル形成体組成物の範囲の、吸煙当たりの平均エアロゾル化収集質量をmgで示すグラフである。
【
図7】
図7は、異なるエアロゾル形成体組成物の範囲の、吸煙当たりの平均ニコチンをmgで示すグラフである。
【
図8】
図8は、異なるエアロゾル形成体組成物の範囲の、平均ニコチンパーセントを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0127】
ユーザーに送達するためのエアロゾル発生システムは典型的に、製剤から吸入可能なエアロゾルを発生するように構成されたアトマイザーを備える。一部の公知のエアロゾル発生システムは、製剤を加熱し気化させてエアロゾルを発生させるように構成されている、電気ヒーターなどの熱式アトマイザーを備える。エアロゾル発生システムで使用するための典型的な製剤は、ニコチン製剤であり、グリセリン、および/またはプロピレングリコールなどのエアロゾル形成体を含む液体ニコチン製剤であり得る。
【0128】
エアロゾル発生システムは、エアロゾル発生装置と、製剤を含有するエアロゾル発生物品とを備え得る。典型的なエアロゾル発生システムは、エアロゾル発生物品からの製剤の望ましくない漏れという問題に苦しむ場合がある。製剤の漏れは、例えば、エアロゾル発生物品の貯蔵部内の製剤が多すぎる時、エアロゾル発生物品またはシステムの一つ以上の部品を形成する材料が、設計された通りに製剤を保持しない時、圧力の変化に起因(例えば、飛行機による輸送中に高い高度にある時)、または、高温にある(例えば、高外気温に起因して)、などの数多くの異なる状況で生じ得る。
【0129】
典型的な製剤と比較して、エアロゾル発生物品またはシステムからの漏れのリスクが低減された、製剤を提供することが望ましい。
【0130】
図1および
図2は、エアロゾル発生装置10およびエアロゾル発生物品20を含む、エアロゾル発生システムを示す。この実施例では、エアロゾル発生物品20はカートリッジである。
【0131】
エアロゾル発生装置10は、エアロゾル発生物品20を空洞18内に受容するように構成されている。エアロゾル発生物品20は、ハウジング24を含む。ハウジング24は、貯蔵部22を画定する。貯蔵部22は、取り外し可能なカバー26によって覆われ得る貯蔵部開口部を有する。エアロゾル形成基体は、貯蔵部22内に配置される。貯蔵部22内のエアロゾル形成基体は、本発明による製剤であり得る。
【0132】
図1および2に示す実施例では、エアロゾル発生物品20は、貯蔵部22内の製剤からエアロゾルを発生するように構成されたアトマイザーを含む。アトマイザーは熱式アトマイザーであってもよい。
図1および2に示す実施例では、アトマイザーは電気ヒーター30である。
【0133】
図1および2の実施例では、エアロゾル発生物品20は、エアロゾル形成基体およびアトマイザーを含有し、したがって、「カトマイザー」と呼ばれ得る。
【0134】
エアロゾル発生物品20は、貯蔵部22内に提供されたエアロゾル形成基体が枯渇した時に、ユーザーによって交換可能である。
【0135】
図1は、エアロゾル発生装置10の中に挿入する直前のエアロゾル発生物品20を示す。
図1の矢印1は、エアロゾル発生装置10の中へのエアロゾル発生物品20の挿入方向を示す。
【0136】
エアロゾル発生装置10は携帯型であり、従来の葉巻たばこまたは紙巻たばこに匹敵するサイズを有する。エアロゾル発生装置10は、本体11およびマウスピース部分12を備える。本体11は、電池14(リン酸鉄リチウム電池など)、制御電子回路16、および空洞18を備える。
【0137】
マウスピース部分12は、ヒンジ付接続部21によって本体11に接続され、
図1に示す開位置と
図2に示す閉位置との間で移動可能である。マウスピース部分12は、エアロゾル発生物品20の挿入および取り外しを可能にするために開位置に定置され、エアロゾルを発生するためにエアロゾル発生システムが使用される時に閉位置に定置される。
【0138】
マウスピース部分12は、複数の空気吸込み口13および空気出口15を備える。使用時に、ユーザーは出口15を吸うかまたは吸入して、空気を空気吸込み口13からマウスピース部分を通して出口15に引き出し、その後、ユーザーの口または肺に入る。内部バッフル17は、マウスピース部分12を通してエアロゾル発生物品20を通過する空気の流れを強制するために提供される。
【0139】
ハウジング24は、エアロゾル形成基体内に浸された毛細管材料を含む。この実施例では、毛細管材料は、電気ヒーター30に隣接して位置付けられる。
【0140】
空洞18は円形断面を有し、エアロゾル発生物品20のハウジング24を受容するようにサイズ設定される。電気コネクター19は、制御電子回路16および電池14とエアロゾル発生物品20上の対応する電気接点との間に電気的接続を提供するために、空洞18の側部に提供される。このセットアップにより、電気ヒーター30に電力を供給することが可能になる。
【0141】
図2は、エアロゾル発生装置10の空洞18の中に挿入されたエアロゾル発生物品20を示す。この位置で、電気コネクター19は、エアロゾル発生物品20上の対応する電気接点に対して置かれている。カバー26は完全に取り外され、マウスピース部分12が閉位置に移動している。
【0142】
マウスピース部分12は、留め金機構によって閉位置に保持される(図示せず)。マウスピースを閉位置に保持するためのその他の適切な機構(スナップ式装着または磁気式クロージャーなど)が使用されてもよいことが当業者には明らかであろう。
【0143】
閉位置にあるマウスピース部分12は、エアロゾル発生システムの配向がどうであれ、使用時に良好な電気的接続が維持されるように、エアロゾル発生物品20を電気コネクター19と電気的に接触した状態に保持する。
【0144】
使用時に、エアロゾル発生装置10がユーザーによって起動されると、電気ヒーター30は、貯蔵部22内のエアロゾル形成基体の少なくとも一部分をエアロゾル化する。ユーザーが出口15を吸うかまたは吸煙するにつれて、空気は空気吸込み口13を通って、電気ヒーター30および毛細管材料の上に流れる。電気ヒーター30および毛細管材料上に流れる空気は、気化されたエアロゾル形成基体からの揮発したエアロゾル構成成分を同伴する。次に、同伴したエアロゾル形成基体を有する空気は、出口15を通ってユーザーへと流れ出る。この気流レジームを
図2に示す。
【0145】
図3は、エアロゾル発生システムの代替的な実施形態を示す。
図3に示す実施形態は、
図1および2に示す実施形態とほぼ同じように機能する。しかしながら、
図3の実施形態では、エアロゾル発生物品20は、エアロゾル発生装置10から取り外し可能ではない。代わりに、貯蔵部22のエアロゾル発生基体が枯渇した後、貯蔵部22は、貯蔵部開口部40を通してユーザーによって再充填され得る。
【0146】
図3では、貯蔵部開口部40は、エアロゾル発生基体が再充填され得る開位置で示されている。しかしながら、貯蔵部開口部40は、キャップ(図示せず)などの閉鎖部で封止されてもよい。
【0147】
図3に示す実施形態は、その他の点では、
図1および2に示す実施形態と同様に機能する。
【0148】
図4および5は、代替的なエアロゾル発生物品200の概略断面図である。
図4は、ユーザーが使用する前のエアロゾル発生物品200を示す。エアロゾル発生物品200は、貯蔵部開口部215を有する貯蔵部210を画定する本体212を含む。エアロゾル形成基体211は、貯蔵部210内に配置される。エアロゾル発生物品200は、貯蔵部開口部215にわたって位置するヒーター222を含む。この実施例では、ヒーター222は、メッシュ層223の形態の発熱体を有する。エアロゾル発生物品200はまた、移動要素224を含む。移動要素224は、好ましくは、多孔性材料から形成される。
図4の実施例では、移動要素224は、ガラス繊維の層から形成される。移動要素224は、貯蔵部210からヒーター222のメッシュ層213へのエアロゾル形成基体211の流れの制御を提供する。この実施例では、エアロゾル形成基体211は、本発明による製剤である。
【0149】
使用時に、製剤は、貯蔵部210から多孔性移動要素224の中へと流れる。次いで、製剤は、ヒーター222のメッシュ層223に流れ、ここでエアロゾルへと熱的に気化される。
【0150】
ヒーター222によるエアロゾル形成基体211の加熱の前または加熱中に、エアロゾル形成基体211を混合することが有利である場合がある。エアロゾル形成基体211を混合することは、エアロゾル形成基体211が実質的に均一な混合物になる、または実質的に均質な混合物のままであることを確実にする。
図4に示す実施例では、エアロゾル発生物品200は、エアロゾル形成基体211を攪拌するように動作可能なミキサーを含む。ミキサーは、機械的に作動してもよく、または電気的に作動してもよい。この実施例では、ミキサーは攪拌器226である。攪拌器226は、線形共鳴アクチュエータであってもよい。他の実施例では、ミキサーは、磁気スターラなどの、液体を混合するのに適した異なるタイプの装置または機構であってもよい。別の実施例では、エアロゾル形成基体211は、ユーザーによって機械的に混合されてもよい。別の実施例では、エアロゾル形成基体211は、例えば、超音波振動によって、製造プロセス中に混合されてもよい。
【実施例】
【0151】
本発明による三つの製剤(実施例A、B、C)を、表1に示す組成物を有するように調製した。実施例A、BおよびCの製剤は、標準温度および標準圧力で液体である。
【表2】
【0152】
製剤A、BおよびCを、例えばベッセル内で構成成分を一緒に混合することによって調製した。これらの実施例ではグリセリンであるエアロゾル形成体を、最初にベッセルの中に添加する。次に、これらの実施例ではステアリン酸ナトリウムである金属塩を、ベッセルの中に添加する。次いで、水をベッセルの中に添加する。最後に、この場合はポリビニルアルコールである高分子増粘剤をベッセルの中に添加する。次いで、構成成分をベッセル内で一緒に混合する。
【0153】
次いで、実施例AおよびBの製剤を、ホットプレート上で所定の期間加熱する。この実施例では、実施例AおよびBの製剤を6分間加熱する。実施例AおよびBの製剤のサンプルを、異なる温度に加熱する。一実施例では、実施例AおよびBの製剤のサンプルは、摂氏200度に加熱される。別の実施例では、実施例AおよびBの製剤は、摂氏120度に加熱される。別の実施例では、実施例AおよびBの製剤は、摂氏90度に加熱される。次いで、実施例AおよびBの製剤をホットプレートから除去する。
【0154】
冷却後、6つのサンプルのうちの一部は固化する。摂氏200度まで加熱された実施例AおよびBは、両方とも固化する。摂氏120度に加熱された実施例AおよびBもまた、両方とも固化する。摂氏90度まで加熱された実施例Aは、固化せず、液体のままである。しかしながら、摂氏90度まで加熱された実施例Bは、固化する。
【0155】
ここで、
図4および5に示すエアロゾル発生物品200においてエアロゾル形成基体211として使用される時の、エアロゾル形成基体としての本発明による製剤の使用の実施例を、実施例Cの製剤を参照して説明する。
【0156】
有利なことに、初期工程として、攪拌器226が、エアロゾル形成基体を混合するために一定期間起動され得る。別の実施例では、エアロゾル発生物品200は、エアロゾル形成基体211を混合するために、ユーザーによって振盪されてもよい。混合の初期工程は、エアロゾル形成基体211が加熱前に実質的に均質な混合物であることを確実にする。
【0157】
次いで、エアロゾル発生物品200を、
図1に示すエアロゾル発生装置10の中に挿入する。
【0158】
次いで、エアロゾル発生装置がユーザーによって起動される。エアロゾル発生装置の起動は、エアロゾル発生物品200のヒーター222の起動を伴う。ヒーター222の起動は、移動要素224内に含有されるエアロゾル発生基体211の一部分を加熱する。移動要素224内に含有されるエアロゾル形成基体211の加熱は、エアロゾル発生基体211の少なくとも一部分をエアロゾルへと気化させる。この実施例では、ヒーター222は、0.8ワットの電力で6分間起動される。一実施例では、ヒーター222は、異なる電力レベルで起動されてもよい。別の実施例では、ヒーター222は、異なる期間起動されてもよい。
【0159】
0.8ワットの電力で6分間ヒーター222を起動すると、メッシュ層223の温度は摂氏約200度まで上昇する。
【0160】
ヒーター222のメッシュ層223が冷却すると、加熱されたが蒸発しなかったエアロゾル形成基体211は固体層225へと固化する。固体層225は、移動要素224内に保持されてもよい。この実施例では、形成される固体層225は、貯蔵部開口部215を完全に覆う。
【0161】
図5は、ユーザーによる初回使用後のエアロゾル発生物品200を示す。すなわち、
図5は、6分間の第一の加熱サイクルが生じた後のエアロゾル発生物品200を示す。
【0162】
図5から分かるように、エアロゾル発生物品200の初回使用後、固体層225は、移動要素224内に部分的に形成される。固体層225はまた、ヒーター222のメッシュ層223と接触している。
図5に示す実施例では、固体層225は、貯蔵部開口部215を内部的に封止する。有利なことに、貯蔵部開口部215を封止することは、製剤(すなわち、エアロゾル形成基体)が貯蔵部210から漏れ出ることを防止し得る。
【0163】
エアロゾル発生物品200は、貯蔵部210内に含有されたエアロゾル形成基体211が完全に消費される前に、数回使用され得る。したがって、エアロゾル発生物品200は、複数の加熱サイクルを経験し得る。
【0164】
第二の加熱サイクルの前、固体層225は、多孔性メッシュ層223を遮断して(
図5に示すように)、製剤が貯蔵部開口部215から漏れ出ることを防止する位置のままである。エアロゾル発生物品200が二回目に使用される時、ヒーター222は第二の加熱サイクルの間起動される。第二の加熱サイクル222に対するヒーター222の起動は、メッシュ層223を加熱する。メッシュ層223を加熱すると、固体層225が液体に溶融するまで、メッシュ層223上に形成された固体層225の温度が上昇する。この時点で、一部の実施例では、エアロゾル形成基体は完全に液体であってもよい。エアロゾル形成基体211の温度が上昇するにつれて、エアロゾル形成基体211の一部分は、ヒーター222によって気化される。
【0165】
第二の加熱サイクルが終了した後、ヒーター222のメッシュ層223が冷却されるにつれて、加熱されたが蒸発しなかったエアロゾル形成基体211は、移動要素224内で別の固体層225へと固化する。この実施例では、固体層225は、再びメッシュ層223を覆い、それ故に再び貯蔵部開口部215を封止し、それによって、エアロゾル形成基体211が貯蔵部210から漏れるのを防止する。
【0166】
別の実施例では、第一の加熱サイクルは、製造中に起動される。例えば、第一の加熱サイクルは、貯蔵部210がエアロゾル形成基体211で充填された後に起動されてもよい。
【0167】
一実施例では、さらなる工程が実施される。このさらなる工程は随意であり、本発明の利点および効果を提供するために必要ではない。加熱サイクルが起動され、エアロゾル形成基体211が冷却されるにつれて固体層225が形成され始めると、エアロゾル発生物品200は特定の配向へと回転され、これがメッシュ層223を遮断する位置における固体層225の形成を促進し、それによって貯蔵部開口部215を封止して閉じる。例えば、エアロゾル発生物品200は、第一の加熱サイクル後に逆さまに保管されてもよい。
【0168】
有利なことに、製剤が冷却した後に形成される固体層225は、貯蔵部開口部215を封止して閉じるバリアを提供する。貯蔵部215を封止することは、流体が貯蔵部215から漏れ出ることを防止する。したがって、固体層225は、製剤がエアロゾル発生装置600の使用と使用との間で貯蔵部215から漏れることを防止する。貯蔵部の封止は、圧力変化(例えば、ユーザーが登山または飛行機で移動している時)、および高温(例えば、夏の強い暑さに起因した)に起因するなどの、典型的に貯蔵部215からの製剤の漏れをもたらす、特定の状況において有利であり得る。
【0169】
図6は、プロピレングリコール(PG)の重量パーセントが植物性グリセリン(VG)の重量パーセントに対して変動する場合の、異なるエアロゾル形成体組成物の範囲の、吸煙当たりの平均エアロゾル化収集質量をmgで示す。例えば、「25% PG対VG」のデータは、25重量パーセントのプロピレングリコールおよび75重量パーセントの植物性グリセリンを含有するエアロゾル形成体組成物を含む製剤に対するものである。
【0170】
図7は、プロピレングリコール(PG)の重量パーセントが植物性グリセリン(VG)の重量パーセントに対して変動する場合の、異なるエアロゾル形成体の範囲の、吸煙当たりの平均ニコチン量をmgで示すグラフである。例えば、「25% PG対VG」のデータは、25重量パーセントのプロピレングリコールおよび75重量パーセントの植物性グリセリンを含有するエアロゾル形成体組成物を含む製剤に対するものである。
【0171】
図8は、プロピレングリコール(PG)の重量パーセントが植物性グリセリン(VG)の重量パーセントに対して変動する場合の、異なるエアロゾル形成体の範囲の、平均ニコチンパーセントを示すグラフである。例えば、「25% PG対VG」のデータは、25重量パーセントのプロピレングリコールおよび75重量パーセントの植物性グリセリンを含有するエアロゾル形成体組成物を含む製剤に対するものである。
【0172】
グラフ内のデータは、上で論じたように、プロピレングリコールを、ニコチンを含む製剤中のエアロゾル形成体として含めることによって、エアロゾルのニコチン含有量が改善することを示す。例えば、ニコチンの最大重量パーセントは、エアロゾル形成体に5重量パーセントのプロピレングリコールがある場合である。この改善は、プロピレングリコールがグリセリン(290℃)と比較して低い沸点(188℃)を有することによるニコチンのより効率的な気化に起因し得る。
【0173】
しかしながら、製剤中に大量のプロピレングリコールがある場合(例えば、25重量パーセントのプロピレングリコール)、プロピレングリコールが加熱サイクル中に気化し得るため、エアロゾルのニコチン含有量は減少する。従って、ニコチン製剤中に限られた量のプロピレングリコールを有することが有利である。
【0174】
上述の例示的な実施形態は、特許請求の範囲の範囲を制限することを意図するものではない。上述の例示的な実施形態と一貫性のある他の実施形態が、当業者に明らかであろう。一実施形態に関して説明される特徴はまた、他の実施形態にも適用できる場合がある。
【国際調査報告】