(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-06
(54)【発明の名称】ヘテロ環化合物、これを含む有機発光素子、有機発光素子の有機物層用組成物、および有機発光素子の製造方法
(51)【国際特許分類】
C07D 307/78 20060101AFI20230227BHJP
C07D 333/54 20060101ALI20230227BHJP
C07D 409/02 20060101ALI20230227BHJP
C07D 407/02 20060101ALI20230227BHJP
C07D 409/04 20060101ALI20230227BHJP
C07D 407/04 20060101ALI20230227BHJP
C07D 405/14 20060101ALI20230227BHJP
C07D 405/04 20060101ALI20230227BHJP
C07D 409/14 20060101ALI20230227BHJP
C07D 495/04 20060101ALI20230227BHJP
C07F 7/10 20060101ALI20230227BHJP
C07F 9/53 20060101ALI20230227BHJP
H10K 50/00 20230101ALI20230227BHJP
H10K 50/16 20230101ALI20230227BHJP
H10K 50/15 20230101ALI20230227BHJP
H05B 33/10 20060101ALI20230227BHJP
C07D 417/14 20060101ALI20230227BHJP
【FI】
C07D307/78
C07D333/54
C07D409/02 CSP
C07D407/02
C07D409/04
C07D407/04
C07D405/14
C07D405/04
C07D409/14
C07D495/04 105Z
C07F7/10 V
C07F9/53
H05B33/14 B
H05B33/22 B
H05B33/22 D
H05B33/10
C07D417/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022526766
(86)(22)【出願日】2020-12-04
(85)【翻訳文提出日】2022-05-10
(86)【国際出願番号】 KR2020017602
(87)【国際公開番号】W WO2021132930
(87)【国際公開日】2021-07-01
(31)【優先権主張番号】10-2019-0174330
(32)【優先日】2019-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513298491
【氏名又は名称】エルティー・マテリアルズ・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】LT Materials Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】113-19, Dangha-Ro, Namsa-Myeon, Cheoin-Gu, Yongin-si, Gyeonggi-do 17118, korea
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジ-ヨン
(72)【発明者】
【氏名】イ,ジョン-ス
(72)【発明者】
【氏名】モ,ジュン-テ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ドン-ジュン
【テーマコード(参考)】
3K107
4C063
4C071
4H049
4H050
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC04
3K107CC12
3K107CC21
3K107CC24
3K107DD53
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3K107FF14
3K107GG04
3K107GG28
4C063AA01
4C063AA03
4C063AA05
4C063BB01
4C063BB02
4C063BB10
4C063CC76
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4C063DD76
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4C071AA01
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4C071GG01
4C071JJ07
4C071LL05
4H049VN01
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4H049VV02
4H050AA01
4H050AB90
(57)【要約】
本明細書は、式1で表されるヘテロ環化合物、これを含む有機発光素子、有機発光素子の有機物層用組成物及び有機発光素子の製造方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式1で表されるヘテロ環化合物:
【化1】
前記式1において、
Xは、O;またはSであり、
R1~R5は、互いに同一または異なっており、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン;シアノ基;置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC2~C60のアルケニル基;置換もしくは非置換のC2~C60のアルキニル基;置換もしくは非置換のC1~C60のアルコキシ基;置換もしくは非置換のC3~C60のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロシクロアルキル基;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール基;-P(=O)RR’;-SiRR’R’’および-NRR’からなる群から選択されるか、または互いに隣接する2以上の基は、互いに結合して置換もしくは非置換のC6~C60の脂肪族または芳香族炭化水素環または置換もしくは非置換のC2~C60の脂肪族または芳香族ヘテロ環を形成し、
Ar1およびAr2は、互いに同一または異なっており、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;または置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール基であり、
L1は、置換もしくは非置換のC6~C60のアリーレン基;または置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリーレン基であり、
Z1は、水素;重水素;ハロゲン;シアノ基;置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール基;及び置換もしくは非置換のアミン基からなる群から選択され、
m及びnは、1~4の整数であり、sは、0~3の整数であり、
前記R、R’およびR’’は、互いに同一または異なっており、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;または置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール基である。
【請求項2】
前記式1は、下記式1-Aまたは1-Bで表されるものである、請求項1に記載のヘテロ環化合物:
【化2】
前記式1-A及び1-Bにおいて、
R1~R5、X、AR1、Ar2、L1、m、n及びsの定義は、前記式1における定義と同一であり、
Z2は、水素;重水素;ハロゲン;シアノ基;置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基;及び置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール基からなる群から選択され、
L3およびL4は、互いに同一または異なっており、それぞれ独立して、直接結合;置換もしくは非置換のC6~C60のアリーレン基;または置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリーレン基からなる群から選択され、
Z3及びZ4は、互いに同一または異なっており、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン;シアノ基;置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール基;および置換もしくは非置換のアミン基からなる群から選択され、
a及びbは、0~5の整数であり、
c及びdは、1~6の整数である。
【請求項3】
前記式1-Aは、下記式1-1-A~1-4-Aのいずれかで表されるものである、請求項2に記載のヘテロ環化合物:
【化3】
前記式1-1-A~1-4-Aにおいて、
R1~R5、X、AR1、Ar2、L1、Z2、m、nおよびsの定義は、前記式1-Aにおける定義と同じである。
【請求項4】
前記式1-Bは、下記式1-1-B~1-4-Bのいずれかで表されるものである、請求項2に記載のヘテロ環化合物:
【化4】
前記式1-1-B~1-4-Bにおいて、
R1~R5、X、AR1、Ar2、L1、L3、L4、Z3、Z4、m、a、b、c、dおよびsの定義は、前記式1-Bにおける定義と同じである。
【請求項5】
前記L1は、下記構造式のいずれかである、請求項1に記載のヘテロ環化合物:
【化5】
前記構造式において、
X1は、O;またはSである。
【請求項6】
前記式1は、下記化合物のいずれかで表されるものである、請求項1に記載のヘテロ環化合物:
【化6】
【請求項7】
第1の電極;第1の電極と対向して備えられた第2の電極;及び前記第1の電極と前記第2の電極の間に備えられた1層以上の有機物層を含む有機発光素子であって、前記有機物層のうち、1層以上は、請求項1~6のいずれか一項に記載のヘテロ環化合物を含むものである、有機発光素子。
【請求項8】
前記式1のヘテロ環化合物を含む有機物層は、下記式2で表されるヘテロ環化合物をさらに含むものである、請求項7に記載の有機発光素子:
【化7】
前記式2において、
X11は、O;またはSであり、
R21~R25は、互いに同一または異なっており、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン;シアノ基;置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC2~C60のアルケニル基;置換もしくは非置換のC2~C60のアルキニル基;置換もしくは非置換のC1~C60のアルコキシ基;置換もしくは非置換のC3~C60のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロシクロアルキル基;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール基;-NRR’からなる群から選択されるか、または互いに隣接する2以上の基は、互いに結合して置換もしくは非置換のC6~C60の脂肪族、芳香族炭化水素環、または置換もしくは非置換のC2~C60の脂肪族または芳香族ヘテロ環を形成し、
L11およびL22は、互いに同一または異なっており、それぞれ独立して、直接結合;置換もしくは非置換のC6~C60のアリーレン基;または置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリーレン基であり、
Z11及びZ22は、互いに同一または異なっており、それぞれ独立して、シアノ基;置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール基;および置換もしくは非置換のアミン基からなる群から選択され、
前記RおよびR’は、互いに同一または異なっており、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;または置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール基であり、
m1及びm2は、0~4の整数であり、
s1は、0~2の整数であり、
n1及びn2は、1~6の整数である。
【請求項9】
前記式2は、下記化合物のいずれかである、請求項8に記載の有機発光素子:
【化8】
【請求項10】
前記有機物層は、発光層を含み、前記発光層は、前記ヘテロ環化合物を含むものである、請求項7に記載の有機発光素子。
【請求項11】
前記有機物層は、発光層を含み、前記発光層は、ホスト材料を含み、前記ホスト材料は、前記ヘテロ環化合物を含むものである、請求項7に記載の有機発光素子。
【請求項12】
前記有機発光素子は、発光層、正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層、電子ブロッキング層および正孔ブロッキング層からなる群から選択される1層または2層以上をさらに含むものである、請求項7に記載の有機発光素子。
【請求項13】
請求項1~6のいずれか一項に記載のヘテロ環化合物及び下記式2で表されるヘテロ環化合物を含むものである、有機発光素子の有機物層用組成物:
【化9】
前記式2において、
X11は、O;またはSであり、
R21~R25は、互いに同一または異なっており、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン;シアノ基;置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC2~C60のアルケニル基;置換もしくは非置換のC2~C60のアルキニル基;置換もしくは非置換のC1~C60のアルコキシ基;置換もしくは非置換のC3~C60のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロシクロアルキル基;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール基;-NRR’からなる群から選択されるか、または互いに隣接する2以上の基は、互いに結合して置換もしくは非置換のC6~C60の脂肪族または芳香族炭化水素環または置換もしくは非置換のC2~C60の脂肪族または芳香族ヘテロ環を形成し、
L11およびL22は、互いに同一または異なっており、それぞれ独立して、直接結合;置換もしくは非置換のC6~C60のアリーレン基;または置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリーレン基であり、
Z11及びZ22は、互いに同一または異なっており、それぞれ独立して、シアノ基;置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール基;および置換もしくは非置換のアミン基からなる群から選択され、
前記RおよびR’は、互いに同一または異なっており、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;または置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール基であり、
m1及びm2は、0~4の整数であり、
s1は、0~2の整数であり、
n1及びn2は、1~6の整数である。
【請求項14】
前記組成物中の前記ヘテロ環化合物:前記式2で表されるヘテロ環化合物の重量比は1:10~10:1である、請求項13に記載の有機発光素子の有機物層用組成物。
【請求項15】
基板を用意する工程;
前記基板上に第1の電極を形成する工程;
第1の電極上に1層以上の有機物層を形成する工程;及び
前記有機物層上に第2の電極を形成する工程を含み、
前記有機物層を形成する工程は、請求項13に記載の有機物層用組成物を用いて1層以上の有機物層を形成する工程を含むものである、有機発光素子の製造方法。
【請求項16】
前記有機物層を形成する工程は、前記式1のヘテロ環化合物及び前記式2のヘテロ環化合物を予備混合して熱真空蒸着法を用いて形成するものである、請求項15に記載の有機発光素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年12月24日にて韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2019-0174330号の出願日の利益を主張し、その内容の全ては本明細書に含まれる。
【0002】
本明細書は、ヘテロ環化合物、これを含む有機発光素子、有機発光素子の有機物層用組成物、および有機発光素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
有機電界発光素子は、自発光型表示素子の一種であって、視野角が広く、コントラストに優れるだけでなく、応答速度が速いという長所がある。
【0004】
有機発光素子は、2つの電極間に有機薄膜を配置させた構造を有する。このような構造の有機発光素子に電圧が印加されると、2つの電極から注入された電子と正孔が有機薄膜で結合して対をなした後、消滅しながら光を発する。前記有機薄膜は、必要に応じて単層または多層から構成されることができる。
【0005】
有機薄膜の材料は、必要に応じて発光機能を有していてもよい。例えば、有機薄膜の材料としては、それ自体が単独で発光層を構成できる化合物が使用されてもよく、またはホスト-ドーパント系発光層のホストまたはドーパントの役割を果たす化合物が使用されてもよい。その他にも、有機薄膜の材料として、正孔注入、正孔輸送、電子ブロック、正孔ブロック、電子輸送、電子注入などの役割を果たす化合物が使用されてもよい。
【0006】
有機発光素子の性能、寿命または効率を向上させるために、有機薄膜の材料の開発が求められ続けている。
【0007】
有機発光素子において、使用可能な物質に求められる条件、例えば、適切なエネルギー準位、電気化学的安定性、及び熱的安定性などを満たすことができ、置換基によって有機発光素子において求められる様々な役割を果たす化学構造を有する化合物を含む有機発光素子に関する研究が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本出願は、ヘテロ環化合物、これを含む有機発光素子、有機発光素子の有機物層用組成物、および有機発光素子の製造方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本出願の一実施態様において、下記式1で表されるヘテロ環化合物を提供する。
【化1】
前記式1において
Xは、O;またはSであり
R1~R5は、互いに同一または異なっており、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン;シアノ基;置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC2~C60のアルケニル基;置換もしくは非置換のC2~C60のアルキニル基;置換もしくは非置換のC1~C60のアルコキシ基;置換もしくは非置換のC3~C60のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロシクロアルキル基;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール基;-P(=O)RR’;-SiRR’R’’および-NRR’からなる群から選択されるか、または互いに隣接する2以上の基は互いに結合して置換もしくは非置換のC6~C60の脂肪族または芳香族炭化水素環または置換もしくは非置換のC2~C60の脂肪族または芳香族ヘテロ環を形成し
Ar1およびAr2は、互いに同一または異なっており、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;または置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール基であり
L1は、置換もしくは非置換のC6~C60のアリーレン基;または置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリーレン基であり
Z1は、水素;重水素;ハロゲン;シアノ基;置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール基;及び置換もしくは非置換のアミン基からなる群から選択され
m及びnは、1~4の整数であり、sは、0~3の整数であり
前記R、R’およびR’’は、互いに同一または異なっており、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;または置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール基である。
【0011】
また、本出願の一実施態様によれば、第1の電極;第1の電極と対向して備えられた第2の電極;及び前記第1の電極と第2の電極との間に備えられた1層以上の有機物層を含む有機発光素子であって、前記有機物層のうち1層以上は、前記式1で表されるヘテロ環化合物を含むものである、有機発光素子を提供する。
【0012】
なお、本出願の一実施態様において、前記式1のヘテロ環化合物を含む有機物層は、下記式2で表されるヘテロ環化合物をさらに含むものである、有機発光素子を提供する。
【化2】
【0013】
前記式2において
X11は、O;またはSであり
R21~R25は、互いに同一または異なっており、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン;シアノ基;置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC2~C60のアルケニル基;置換もしくは非置換のC2~C60のアルキニル基;置換もしくは非置換のC1~C60のアルコキシ基;置換もしくは非置換のC3~C60のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロシクロアルキル基;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール基;及び-NRR’からなる群から選択されるか、または互いに隣接する2以上の基は、互いに結合して置換もしくは非置換のC6~C60の脂肪族、芳香族炭化水素環、または置換もしくは非置換のC2~C60の脂肪族または芳香族ヘテロ環を形成し
L11およびL22は、互いに同一または異なっており、それぞれ独立して、直接結合;置換もしくは非置換のC6~C60のアリーレン基;または置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリーレン基であり
Z11及びZ22は、互いに同一または異なっており、それぞれ独立して、シアノ基;置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール基;および置換もしくは非置換のアミン基からなる群から選択され
前記RおよびR’は、互いに同一または異なっており、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;または置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール基であり
m1及びm2は、0~4の整数であり
s1は、0~2の整数であり
n1及びn2は、1~6の整数である。
【0014】
また、本出願の他の実施態様は、前記式1で表されるヘテロ環化合物、及び前記式2で表されるヘテロ環化合物を含むものである、有機発光素子の有機物層用組成物を提供する。
【0015】
最後に、本出願の一実施態様は、基板を用意する工程;前記基板上に第1の電極を形成する工程;前記第1の電極上に1層以上の有機物層を形成する工程;及び前記有機物層上に第2の電極を形成する工程を含み、前記有機物層を形成する工程は、本出願の一実施態様による有機物層用組成物を用いて1層以上の有機物層を形成する工程を含むものである、有機発光素子の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0016】
本明細書に記載の化合物は、有機発光素子の有機物層材料として使用することができる。前記化合物は、有機発光素子において正孔注入材料、正孔輸送材料、発光材料、電子輸送材料、電子注入材料などの役割を果たすことができる。特に、前記化合物を有機発光素子の発光層材料として使用できる。例えば、前記化合物は、単独で発光材料として使用されてもよく、前記化合物は、2つの化合物を一緒に発光材料として使用されてもよく、発光層のホスト材料として使用されてもよい。
【0017】
特に、式1の化合物は、コア構造の骨格を中心に位置を異にした置換基を導入して、コンジュゲーション(conjugation)範囲を拡大することによって熱安定性に優れた特性を示す。特に、強い正孔特性により発光層のホスト材料として従来の技術より優れた素子特性を示すことを特徴とする。
【0018】
また、前記式1の化合物は、低いT1エネルギーを有し、ドーパントとしての三重項エキシトンエネルギー伝達がより容易であり、特にアミン類の置換基は、化合物のHOMO値を高めて正孔注入障壁を下げ、REDドーパントの正孔トラップを解消することで、高い発光効率が得られることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本出願の一実施態様による有機発光素子の積層構造を概略的に示す図である。
【
図2】本出願の一実施態様による有機発光素子の積層構造を概略的に示す図である。
【
図3】本出願の一実施態様による有機発光素子の積層構造を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本出願について詳細に説明する。
本明細書において、シアノ基は-CNを意味してもよい。
本明細書において、「化学式または化合物の構造において置換基が表示されていない場合」は、炭素原子に水素原子が結合されたことを意味する。ただし、重水素(2H、Deuterium)は、水素の同位元素であるので、一部の水素原子は重水素であってもよい。
【0021】
本出願の一実施態様において、「化学式または化合物の構造において置換基が表示されていない場合」は、置換基として置換可能な位置全部が水素または重水素であることを意味することができる。すなわち、重水素の場合、水素の同位元素であって、一部の水素原子は同位元素である重水素であってもよく、この場合、重水素の含有量は0%~100%であってもよい。
【0022】
本出願の一実施態様において、「化学式または化合物の構造において置換基が表示されていない場合」において、重水素の含有量が0%、水素の含有量が100%などと重水素を明確に排除しない場合には、水素と重水素は化合物において混在して使用することができる。すなわち、「置換基Xは、水素である」と表現されている場合には、水素の含有量が100%、重水素の含有量が0%などと重水素を排除しないものであって、水素と重水素が混在している状態を意味することができる。
【0023】
本出願の一実施態様において、重水素は水素の同位元素(isotope)のうちの一つであって、陽子(proton)1個と中性子(neutron)1個からなる重陽子(deuteron)を原子核(nucleus)として有する元素であり、水素-2と表すことができ、元素記号はDまたは2Hとも書くことができる。
【0024】
本出願の一実施態様において、同位元素は原子番号(atomic number、Z)は同一であるが、質量数(mass number、A)が異なる原子を意味する同位元素は同数の陽子(proton)を有するが、中性子(neutron)の数が異なる元素としても解釈することができる。
【0025】
本出願の一実施態様において、特定の置換基の含有量T%の意味は、基本となる化合物が有し得る置換基の合計数をT1と定義し、そのうち、特定の置換基の個数をT2と定義する場合、T2/T1×100=T%と定義することができる。
【0026】
すなわち、一例において、
【化3】
で表されるフェニル基において、重水素の含有量20%というのは、フェニル基が有し得る置換基の合計数は5(式中T1)個であり、そのうちの重水素の個数が1(式中T2)である場合、20%で表示されることができる。すなわち、フェニル基において重水素の含有量20%であるというのは、下記構造式で表されることができる。
【化4】
【0027】
また、本出願の一実施態様において、「重水素の含有量が0%であるフェニル基」の場合、重水素原子を含まない、すなわち、水素原子5個を有するフェニル基を意味することができる。
【0028】
本明細書において、前記ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素であってもよい。
【0029】
本明細書において、前記アルキル基は、炭素数1~60の直鎖または分岐鎖を含み、他の置換基によってさらに置換されてもよい。前記アルキル基の炭素数は1~60、具体的には1~40、より具体的には1~20であってもよい。具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、n-プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、sec-ブチル基、1-メチル-ブチル基、1-エチル-ブチル基、ペンチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、ヘキシル基、n-ヘキシル基、1-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、4-メチル-2-ペンチル基、3,3-ジメチルブチル基、2-エチルブチル基、ヘプチル基、n-ヘプチル基、1-メチルヘキシル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基、オクチル基、n-オクチル基、tert-オクチル基、1-メチルヘプチル基、2-エチルヘキシル基、2-プロピルペンチル基、n-ノニル基、2,2-ジメチルヘプチル基、1-エチル-プロピル基、1,1-ジメチル-プロピル基、イソヘキシル基、2-メチルペンチル基、4-メチルヘキシル基、5-メチルヘキシル基などがあるが、これらのみに限定されるものではない。
【0030】
本明細書において、前記アルケニル基は、炭素数2~60の直鎖または分岐鎖を含み、他の置換基によってさらに置換されてもよい。前記アルケニル基の炭素数は2~60、具体的には2~40、より具体的には2~20であってもよい。具体例としては、ビニル基、1-プロぺニル基、イソプロぺニル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、1-ペンテニル基、2-ペンテニル基、3-ペンテニル基、3-メチル-1-ブテニル基、1,3-ブタジエニル基、アリル基、1-フェニルビニル-1-イル基、2-フェニルビニル-1-イル基、2,2-ジフェニルビニル-1-イル基、2-フェニル-2-(ナフチル-1-イル)ビニル-1-イル基、2,2-ビス(ジフェニル-1-イル)ビニル-1-イル基、スチルベニル基、スチレニル基などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0031】
本明細書において、前記アルキニル基は、炭素数2~60の直鎖または分岐鎖を含み、他の置換基によってさらに置換されてもよい。前記アルキニル基の炭素数は2~60、具体的には2~40、より具体的には2~20であってもよい。
【0032】
本明細書において、アルコキシ基は、直鎖、分岐鎖または環状鎖であってもよい。アルコキシ基の炭素数は特に限定されないが、炭素数1~20であることが好ましい。具体的には、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、tert-ブトキシ、sec-ブトキシ、n-ペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、n-ヘキシルオキシ、3,3-ジメチルブチルオキシ、2-エチルブチルオキシ、n-オクチルオキシ、n-ノニルオキシ、n-デシルオキシ、ベンジルオキシ、p-メチルベンジルオキシなどであってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0033】
本明細書において、前記シクロアルキル基は、炭素数3~60の単環または多環を含み、他の置換基によってさらに置換されてもよい。ここで、多環とは、シクロアルキル基が他の環基と直接結合または縮合した基を意味する。ここで、他の環基とは、シクロアルキル基であってもよいが、他の種類の環基、例えばヘテロシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基などであってもよい。前記シクロアルキル基の炭素数は3~60、具体的には3~40、より具体的には5~20であってもよい。具体的には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、3-メチルシクロペンチル基、2,3-ジメチルシクロペンチル基、シクロヘキシル基、3-メチルシクロヘキシル基、4-メチルシクロヘキシル基、2,3-ジメチルシクロヘキシル基、3,4,5-トリメチルシクロヘキシル基、4-tert-ブチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0034】
本明細書において、前記ヘテロシクロアルキル基は、ヘテロ原子としてO、S、Se、NまたはSiを含み、炭素数2~60の単環または多環を含み、他の置換基によってさらに置換されてもよい。ここで、多環とは、ヘテロシクロアルキル基が他の環基と直接結合または縮合した基を意味する。ここで、他の環基とは、ヘテロシクロアルキル基であってもよいが、他の種類の環基、例えば、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基などであってもよい。前記ヘテロシクロアルキル基の炭素数は2~60、具体的には2~40、より具体的には3~20であってもよい。
【0035】
本明細書において、前記アリール基は、炭素数6~60の単環または多環を含み、他の置換基によってさらに置換されてもよい。ここで、多環とは、アリール基が他の環基と直接結合または縮合した基を意味する。ここで、他の環基とは、アリール基であってもよいが、他の種類の環基、例えば、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、ヘテロアリール基などであってもよい。前記アリール基の炭素数は6~60、具体的には6~40、より具体的には6~25であってもよい。前記アリール基の具体例としては、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、アントリル基、クリセニル基、フェナントレニル基、ペリレニル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基、フェナレニル基、ピレニル基、テトラセニル基、ペンタセニル基、インデニル基、アセナフチレニル基、2,3-ジヒドロ-1H-インデニル基、これらの縮合環基などが挙げられるが、これらのみに限定されるものではない。
【0036】
本明細書において、前記フルオレニル基は置換されてもよく、隣接する置換基が互いに結合して環を形成してもよい。
【0037】
前記フルオレニル基が置換される場合、下記構造式等であってもよいが、これに限定されるものではない。
【化5】
【0038】
本明細書において、前記ヘテロアリール基は、ヘテロ原子としてS、O、Se、NまたはSiを含み、炭素数2~60の単環または多環を含み、他の置換基によってさらに置換されてもよい。ここで、前記多環とは、ヘテロアリール基が他の環基と直接結合または縮合した基を意味する。ここで、他の環基とは、ヘテロアリール基であってもよいが、他の種類の環基、例えば、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリール基などであってもよい。前記ヘテロアリール基の炭素数は2~60、具体的には2~40、より具体的には3~25であってもよい。前記ヘテロアリール基の具体例としては、ピリジル基、ピロリル基、ピリミジル基、ピリダジニル基、フラニル基、チオフェン基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、トリアゾリル基、フラザニル基、オキサジアゾリル基、チアジアゾリル基、ジチアゾリル基、テトラゾリル基、ピラニル基、チオピラニル基、ジアジニル基、オキサジニル基、チアジニル基、ジオキシニル基、トリアジニル基、テトラジニル基、キノリル基、イソキノリル基、キナゾリニル基、イソキナゾリニル基、キノゾリリル基、ナフチリジル基、アクリジニル基、フェナントリジニル基、イミダゾピリジニル基、ジアザナフタレニル基、トリアザインデン基、インドリル基、インドリジニル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンゾチオフェン基、ベンゾフラン基、ジベンゾチオフェン基、ジベンゾフラン基、カルバゾリル基、ベンゾカルバゾリル基、ジベンゾカルバゾリル基、フェナジニル基、ジベンゾシロール基、スピロビ(ジベンゾシロール)、ジヒドロフェナジニル基、フェノキサジニル基、フェナントリジル基、イミダゾピリジニル基、チエニル基、インドロ[2,3-a]カルバゾリル基、インドロ[2,3-b]カルバゾリル基、インドリニル基、10,11-ジヒドロ-ジベンゾ[b,f]アゼピン基、9,10-ジヒドロアクリジニル基、フェナントラジニル基、フェノチアチアジニル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基、フェナントロリニル基、ベンゾ[c][1,2,5]チアジアゾリル基、5,10-ジヒドロジベンゾ[b,e][1,4]アザシリニル、ピラゾロ[1,5-c]キナゾリニル基、ピリド[1,2-b]インダゾリル基、ピリド[1,2-a]イミダゾ[1,2-e]インドリニル基、5,11-ジヒドロインデノ[1,2-b]カルバゾリル基などが挙げられるが、これらのみに限定されるものではない。
【0039】
本明細書において、前記アミン基は、モノアルキルアミン基;モノアリールアミン基;モノヘテロアリールアミン基;-NH2;ジアルキルアミン基;ジアリールアミン基;ジヘテロアリールアミン基;アルキルアリールアミン基;アルキルヘテロアリールアミン基;及びアリールヘテロアリールアミン基からなる群より選択されてもよく、炭素数は特に限定されないが、1~30であるものが好ましい。前記アミン基の具体例としては、メチルアミン基、ジメチルアミン基、エチルアミン基、ジエチルアミン基、フェニルアミン基、ナフチルアミン基、ビフェニルアミン基、ジビフェニルアミン基、アントラセニルアミン基、9-メチル-アントラセニルアミン基、ジフェニルアミン基、フェニルナフチルアミン基、ジトリルアミン基、フェニルトリルアミン基、トリフェニルアミン基、ビフェニルナフチルアミン基、フェニルビフェニルアミン基、ビフェニルフルオレニルアミン基、フェニルトリフェニレニルアミン基、ビフェニルトリフェニレニルアミン基などがあるが、これらのみに限定されるものではない。
【0040】
本明細書において、アリーレン基は、アリール基に結合位置が2つあるもの、すなわち2価の基を意味する。これらはそれぞれ2価の基であることを除けば、前述したアリール基の説明が適用可能である。また、ヘテロアリーレン基は、ヘテロアリール基に結合位置が2つあるもの、すなわち2価の基を意味する。これらはそれぞれ2価の基であることを除けば、前述したヘテロアリール基の説明が適用可能である。
【0041】
本明細書において、ホスフィンオキシド基は、-P(=O)R101R102で表され、R101およびR102は、互いに同一または異なっており、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン基;アルキル基;アルケニル基;アルコキシ基;シクロアルキル基;アリール基;及びヘテロ環基のうちの少なくとも1つからなる置換基であってもよい。前記ホスフィンオキシド基は、具体的にはジフェニルホスフィンオキシド基、ジナフチルホスフィンオキシドなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0042】
本明細書において、シリル基はSiを含み、前記Si原子がラジカルとして直接結合している置換基であり、-SiR104R105R106で表され、R104~R106は互いに同一または異なっており、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン基;アルキル基;アルケニル基;アルコキシ基;シクロアルキル基;アリール基;及びヘテロ環基のうちの少なくとも1つからなる置換基であってもよい。シリル基の具体例としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t-ブチルジメチルシリル基、ビニルジメチルシリル基、プロピルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、ジフェニルシリル基、フェニルシリル基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0043】
本明細書において、「隣接する」基は、当該置換基が置換された原子と直接結合された原子に置換された置換基、当該置換基と立体構造的に最も近く位置した置換基、または当該置換基が置換された原子に置換された他の置換基を意味することができる。例えば、ベンゼン環においてオルト(ortho)位に置換された2つの置換基および脂肪族環において同一炭素に置換された2つの置換基は、互いに「隣接する」基として解釈されることができる。
【0044】
隣接する基が形成できる脂肪族または芳香族炭化水素環またはヘテロ環は、一価ではないことを除けば、前述のシクロアルキル基、シクロヘテロアルキル基、アリール基およびヘテロアリール基として例示された構造を適用することができる。
【0045】
本明細書において、前記「置換」という用語は、化合物の炭素原子に結合した水素原子が他の置換基に変わることを意味し、置換される位置は水素原子が置換される位置、すなわち置換基が置換可能な位置であれば限定されず、2以上置換される場合、2以上の置換基は互いに同一または異なっていてもよい。
【0046】
本明細書において、「置換もしくは非置換」とは、C1~C60の直鎖または分岐鎖のアルキル;C2~C60の直鎖または分岐鎖のアルケニル;C2~C60の直鎖または分岐鎖のアルキニル;C3~C60の単環または多環のシクロアルキル;C2~C60の単環または多環のヘテロシクロアルキル;C6~C60の単環または多環のアリール;C2~C60の単環または多環のヘテロアリール;-SiRR’R’’;-P(=O)RR’;C1~C20のアルキルアミン;C6~C60の単環または多環のアリールアミン;及びC2~C60の単環または多環のヘテロアリールアミンからなる群から選択される1以上の置換基で置換もしくは非置換であるか、または前記例示の置換基の中から選択される2以上の置換基が連結された置換基で置換もしくは非置換であることを意味し
前記R、R’及びR’’は、互いに同一または異なっており、それぞれ独立して、置換または非置換のC1~C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;または置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール基である。
【0047】
本出願の一実施態様において、前記式1で表される化合物を提供する。
【0048】
本出願の一実施態様において、前記式1は、下記式[1-A]または[1-B]で表されることができる。
【化6】
【0049】
前記式1-A及び1-Bにおいて
R1~R5、X、Ar1、Ar2、L1、m、n、及びsの定義は、前記式1における定義と同一であり
Z2は、水素;重水素;ハロゲン;シアノ基;置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基;及び置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール基からなる群から選択され
L3およびL4は、互いに同一または異なっており、それぞれ独立して、直接結合;置換もしくは非置換のC6~C60のアリーレン基;または置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリーレン基であり
Z3及びZ4は、互いに同一または異なっており、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン;シアノ基;置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール基;および置換もしくは非置換のアミン基からなる群から選択され
a及びbは、0~5の整数であり
c及びdは、1~6の整数である。
【0050】
本出願の一実施態様において、前記式1-Aは、下記式1-1-A~1-4-Aのいずれかで表されることができる。
【化7】
【0051】
前記式1-1-A~1-4-Aにおいて
R1~R5、X、Ar1、Ar2、L1、Z2、m、n、およびsの定義は、前記式1-Aにおける定義と同一である。
【0052】
本出願の一実施態様において、前記式1-Bは、下記式1-1-B~1-4-Bのいずれかで表されることができる。
【化8】
【0053】
前記式1-1-B~1-4-Bにおいて
R1~R5、X、Ar1、Ar2、L1、L3、L4、Z3、Z4、m、a、b、c、d、およびsの定義は、前記式1-Bにおける定義と同一である。
【0054】
本出願の一実施態様において、Xは、Oであってもよい。
本出願の一実施態様において、Xは、Sであってもよい。
本出願の一実施態様において、R1~R5は、互いに同一または異なっており、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン;シアノ基;置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC2~C60のアルケニル基;置換もしくは非置換のC2~C60のアルキニル基;置換もしくは非置換のC1~C60のアルコキシ基;置換もしくは非置換のC3~C60のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロシクロアルキル基;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール基;-P(=O)RR’;-SiRR’R’’および-NRR’からなる群から選択されるか、または互いに隣接する2以上の基は、互いに結合して置換もしくは非置換のC6~C60の脂肪族または芳香族炭化水素環または置換もしくは非置換のC2~C60の脂肪族あるいは芳香族ヘテロ環を形成することができる。
【0055】
また他の一実施態様において、R1~R5は、互いに同一または異なっており、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール基;-P(=O)RR’;-SiRR’R’’および-NRR’からなる群から選択されることができる。
【0056】
また他の一実施態様において、R1~R5は、水素であってもよい。
【0057】
本出願の一実施態様において、Ar1およびAr2は、互いに同一または異なっており、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;または置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール基であってもよい。
【0058】
また他の一実施態様において、Ar1およびAr2は、互いに同一または異なっており、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC1~C40のアルキル基;置換もしくは非置換のC6~C40のアリール基;または置換もしくは非置換のC2~C40のヘテロアリール基であってもよい。
【0059】
また他の一実施態様において、Ar1およびAr2は、互いに同一または異なっており、それぞれ独立して、C1~C40のアルキル基;C6~C40のアリール基;またはC2~C40のヘテロアリール基であってもよい。
【0060】
また他の一実施態様において、Ar1およびAr2は、互いに同一または異なっており、それぞれ独立して、C1~C40のアルキル基;またはC6~C40のアリール基であってもよい。
【0061】
また他の一実施態様において、Ar1およびAr2は、互いに同一または異なっており、それぞれ独立して、C1~C20の直鎖のアルキル基;またはC6~C20の単環のアリール基であってもよい。
【0062】
また他の一実施態様において、Ar1およびAr2は、互いに同一または異なっており、それぞれ独立して、メチル基;またはフェニル基であってもよい。
【0063】
本出願の一実施態様において、Ar1およびAr2は、互いに同一であってもよい。
本出願の一実施態様において、Ar1およびAr2は、互いに異なってもよい。
本出願の一実施態様において、L1は、置換もしくは非置換のC6~C60のアリーレン基;または置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリーレン基であってもよい。
【0064】
また他の一実施態様において、L1は、置換もしくは非置換のC6~C40のアリーレン基;または置換もしくは非置換のC2~C40のヘテロアリーレン基であってもよい。
【0065】
また他の一実施態様において、L1は、置換もしくは非置換の単環または多環のC6~C40のアリーレン基;または置換もしくは非置換のC2~C40の単環または多環のヘテロアリーレン基であってもよい。
【0066】
また他の実施態様において、L1は、単環または多環のC6~C40のアリーレン基;またはC2~C40の単環または多環のヘテロアリーレン基であってもよい。
【0067】
また他の一実施態様において、L1は、フェニレン基;ビフェニレン基;ナフタレン基;トリフェニレン基;二価のジベンゾフラン基;二価のジベンゾチオフェン基;または二価のナフト[2,1-b]ベンゾフラン基であってもよい。
【0068】
本出願の一実施態様において、L1は、下記構造式のいずれかであってもよい。
【化9】
前記構造式において
X1は、O;またはSである。
【0069】
また他の一実施態様において、L1は、下記構造式のいずれかであってもよい。
【化10】
前記構造式において
X1は、O;またはSである。
【0070】
本出願の一実施態様において、Z2は、水素;重水素;ハロゲン;シアノ基;置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール基からなる群から選択されることができる。
【0071】
また他の一実施態様において、Z2は、水素;重水素;ハロゲン;シアノ基;置換もしくは非置換のC1~C40のアルキル基;置換もしくは非置換のC2~C40のヘテロアリール基からなる群から選択されることができる。
【0072】
また他の一実施態様において、Z2は、C1~C40のアルキル基;およびC2~C40のヘテロアリール基からなる群から選択されることができる。
【0073】
本出願の一実施態様において、L3およびL4は、互いに同一または異っており、それぞれ独立して、直接結合;置換もしくは非置換のC6~C60のアリーレン基;または置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリーレン基であってもよい。
【0074】
また他の一実施態様において、L3およびL4は、互いに同一または異なっており、それぞれ独立して、直接結合;置換もしくは非置換のC6~C40のアリーレン基;または置換もしくは非置換のC2~C40のヘテロアリーレン基であってもよい。
【0075】
また他の一実施態様において、L3およびL4は、互いに同一または異なっており、それぞれ独立して、直接結合;またはC6~C40のアリーレン基であってもよい。
【0076】
また他の一実施態様において、L3およびL4は、互いに同一または異なっており、それぞれ独立して、直接結合;またはC6~C40の単環または多環のアリーレン基であってもよい。
【0077】
また他の一実施態様において、L3およびL4は、互いに同一または異なっており、それぞれ独立して、直接結合;C6~C10の単環のアリーレン基;またはC10~C40の多環式アリーレン基であってもよい。
【0078】
また他の一実施態様において、L3およびL4は、互いに同一または異なっており、それぞれ独立して、直接結合;フェニレン基;またはビフェニレン基であってもよい。
【0079】
本出願の一実施態様において、Z3およびZ4は、互いに同一または異なっており、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン;シアノ基;置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール基;および置換もしくは非置換のアミン基からなる群から選択されることができる。
【0080】
また他の一実施態様において、Z3およびZ4は、互いに同一または異なっており、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール基;および置換もしくは非置換のアミン基からなる群から選択されることができる。
【0081】
また他の一実施態様において、Z3およびZ4は、互いに同一または異なっており、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC1~C40のアルキル基;置換もしくは非置換のC6~C40のアリール基;置換もしくは非置換のC2~C40のヘテロアリール基;および置換もしくは非置換のアミン基からなる群から選択されることができる。
【0082】
また他の一実施態様において、Z3およびZ4は、互いに同一または異なっており、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC1~C40のアルキル基;置換もしくは非置換のC2~C40のヘテロアリール基;及び置換もしくは非置換のC6~C40のアリール基からなる群から選択されることができる。
【0083】
また他の一実施態様において、Z3およびZ4は、互いに同一または異なっており、それぞれ独立して、C1~C40のアルキル基;C2~C40のヘテロアリール基;およびC1~C40のアルキル基またはC6~C40のアリール基で置換もしくは非置換のC6~C40のアリール基からなる群から選択されることができる。
【0084】
また他の一実施態様において、Z3およびZ4は、互いに同一または異なっており、それぞれ独立して、フェニル基;ビフェニル基;ジメチルフルオレニル基;ジフェニルフルオレニル基;トリフェニレニル基;スピロビフルオレニル基;ジベンゾフラン基;ジベンゾチオフェン基;またはメチル基であってもよい。
【0085】
本出願の一実施態様において、R、R’およびR’’は、互いに同一または異なっており、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;または置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール基であってもよい。
【0086】
また他の一実施態様において、R、R’およびR’’は、互いに同一または異なっており、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基であってもよい。
【0087】
また他の一実施態様において、R、R’およびR’’は、互いに同一または異なっており、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC6~C60の単環または多環のアリール基であってもよい。
【0088】
また他の一実施態様において、R、R’およびR’’は、互いに同一または異なっており、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC6~C40の単環のアリール基であってもよい。
【0089】
また他の一実施態様において、R、R’、およびR’’は、互いに同一または異なっており、それぞれ独立して、C6~C20の単環のアリール基であってもよい。
【0090】
また他の一実施態様において、R、R’およびR’’は、フェニル基であってもよい。
【0091】
本出願の一実施態様によれば、前記式1は以下の化合物のいずれかで表されることができるが、これらのみに限定されるものではない。
【化11】
【0092】
また、前記式1の構造に多様な置換基を導入することにより、導入された置換基固有の特性を有する化合物を合成することができる。例えば、有機発光素子の製造時に用いられる正孔注入層物質、正孔輸送層物質、発光層物質、電子輸送層物質、及び電荷生成層物質に主に用いられる置換基を前記コア構造に導入することにより、各有機物層で要求される条件を満たす物質を合成することができる。
【0093】
また、前記式1の構造に多様な置換基を導入することにより、エネルギーバンドギャップを微細に調整可能にし、一方で、有機物の間における界面での特性が向上され、物質の用途を多様にすることができる。
【0094】
また、本出願の一実施態様において、第1の電極;該第1の電極と対向して備えられた第2の電極;及び前記第1の電極と前記第2の電極との間に備えられた1層以上の有機物層を含む有機発光素子であって、前記有機物層のうちの1層以上は、前記式1によるヘテロ環化合物を含むものである、有機発光素子を提供する。
【0095】
また他の実施態様において、第1の電極;該第1の電極と対向して備えられた第2の電極;及び前記第1の電極と第2の電極との間に備えられた1層以上の有機物層を含む有機発光素子であって、前記有機物層のうちの1層以上は、前記式1によるヘテロ環化合物の1種を含むものである、有機発光素子を提供する。
【0096】
また他の実施態様において、第1の電極;該第1の電極と対向して備えられた第2の電極;および前記第1の電極と前記第2の電極との間に備えられた1層以上の有機物層を含む有機発光素子であって、前記有機物層のうちの1層以上は、前記式1によるヘテロ環化合物の2種を含むものである、有機発光素子を提供する。
【0097】
前記式1で表されるヘテロ環化合物についての具体的な内容は、前述のとおりである。
【0098】
本出願の一実施態様において、前記第1の電極は陽極であってもよく、前記第2の電極は陰極であってもよい。
【0099】
また他の一実施態様において、前記第1の電極は陰極であってもよく、前記第2の電極は陽極であってもよい。
【0100】
本出願の一実施態様において、前記有機発光素子は、青色有機発光素子であってもよく、前記式1によるヘテロ環化合物は、青色有機発光素子の材料として使用することができる。例えば、前記式1によるヘテロ環化合物は、青色有機発光素子の青色発光層のホスト材料に含まれてもよい。
【0101】
本出願の一実施態様において、前記有機発光素子は緑色有機発光素子であってもよく、前記式1によるヘテロ環化合物は、前記緑色有機発光素子の材料として使用することができる。例えば、前記式1によるヘテロ環化合物は、緑色有機発光素子の緑色発光層のホスト材料に含まれてもよい。
【0102】
本出願の一実施態様において、前記有機発光素子は赤色有機発光素子であってもよく、前記式1によるヘテロ環化合物は前記赤色有機発光素子の材料として使用することができる。例えば、前記式1によるヘテロ環化合物は、赤色有機発光素子の赤色発光層のホスト材料に含まれてもよい。
【0103】
本発明の有機発光素子は、上述したヘテロ環化合物を用いて1層以上の有機物層を形成することを除けば、通常の有機発光素子の製造方法および材料によって製造することができる。
【0104】
前記ヘテロ環化合物は、有機発光素子の製造時、真空蒸着法だけでなく、溶液塗布法によって有機物層に形成することができる。ここで、溶液塗布法とは、スピンコーティング、ディップコーティング、インクジェットプリンティング、スクリーンプリンティング、スプレー法、ロールコーティングなどを意味するが、これらのみに限定されるものではない。
【0105】
本発明の有機発光素子の有機物層は、単層構造からなることもできるが、2層以上の有機物層が積層された多層構造からなることができる。例えば、本発明の有機発光素子は、有機物層として正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層などを含む構造を有することができる。しかし、有機発光素子の構造はこれに限定されず、より少ない数の有機物層を含むことができる。
また、本出願の一実施態様において、前記式1のヘテロ環化合物を含む有機物層は、下記式2で表されるヘテロ環化合物をさらに含むものである、有機発光素子を提供する。
【化12】
【0106】
前記式2において
X11は、O;またはSであり
R21~R25は、互いに同一または異なっており、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン;シアノ基;置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC2~C60のアルケニル基;置換もしくは非置換のC2~C60のアルキニル基;置換もしくは非置換のC1~C60のアルコキシ基;置換もしくは非置換のC3~C60のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロシクロアルキル基;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール基;および置換もしくは非置換のアミン基からなる群から選択されるか、または互いに隣接する2以上の基は互いに結合して置換もしくは非置換のC6~C60の脂肪族または芳香族炭化水素環または置換もしくは非置換のC2~C60の脂肪族または芳香族ヘテロ環を形成し
L11およびL22は、互いに同一または異なっており、それぞれ独立して、直接結合;置換もしくは非置換のC6~C60のアリーレン基;または置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリーレン基であり
Z11及びZ22は、互いに同一または異なっており、それぞれ独立して、シアノ基;置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール基;および置換もしくは非置換のアミン基からなる群から選択され
前記RおよびR’は、互いに同一または異なっており、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;または置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール基であり
m1及びm2は、0~4の整数であり
s1は、0~2の整数であり
n1及びn2は、1~6の整数である。
【0107】
本出願の一実施態様において、前記式2は、下記式3~5のいずれかで表されることができる。
【化13】
【化14】
【化15】
【0108】
前記式3~5において
X11、L11、L22、Z11、Z22、R21~R24、m1、m2、n1およびn2の定義は、前記式2における定義と同じであり
R32およびR33は、水素;重水素;ハロゲン;シアノ基;置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC2~C60のアルケニル基;置換もしくは非置換のC2~C60のアルキニル基;置換もしくは非置換のC1~C60のアルコキシ基;置換もしくは非置換のC3~C60のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロシクロアルキル基;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール基;及び-NRR’からなる群から選択される。
【0109】
本出願の一実施態様において、X11は、Oである。
本出願の一実施態様において、X11は、Sである。
本出願の一実施態様において、R21~R25は、互いに同一または異なっており、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン;シアノ基;置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC2~C60のアルケニル基;置換もしくは非置換のC2~C60のアルキニル基;置換もしくは非置換のC1~C60のアルコキシ基;置換もしくは非置換のC3~C60のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロシクロアルキル基;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール基;及び-NRR’からなる群から選択されるか、または互いに隣接する2以上の基は互いに結合して置換もしくは非置換のC6~C60の脂肪族または芳香族炭化水素環または置換もしくは非置換のC2~C60の脂肪族または芳香族ヘテロ環を形成することができる。
【0110】
また他の一実施態様において、R21~R25は、互いに同一または異なっており、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール基からなる群から選択されるか、または互いに隣接する2以上の基は、互いに結合して置換もしくは非置換のC6~C60の脂肪族または芳香族ヘテロ環または置換もしくは非置換のC2~C60の脂肪族または芳香族ヘテロ環を形成することができる。
【0111】
また他の一実施態様において、R21~R25は、互いに同一または異なっており、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のC6~C40のアリール基;及び置換もしくは非置換のC2~C40のヘテロアリール基からなる群から選択されるか、または互いに隣接する2以上の基は、互いに結合して置換もしくは非置換のC6~C40の脂肪族または芳香族炭化水素環を形成することができる。
また他の一実施態様において、R21~R25は、水素であってもよい。
【0112】
本出願の一実施態様において、L11およびL22は、互いに同一または異なっており、それぞれ独立して、直接結合;置換もしくは非置換のC6~C60のアリーレン基;または置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリーレン基であってもよい。
【0113】
また他の一実施態様において、L11およびL22は、互いに同一または異なっており、それぞれ独立して、直接結合;置換もしくは非置換のC6~C40のアリーレン基;または置換もしくは非置換のC2~C40のヘテロアリーレン基であってもよい。
【0114】
また他の一実施態様において、L11およびL22は、互いに同一または異なっており、それぞれ独立して、直接結合;置換もしくは非置換のC6~C20のアリーレン基;または置換もしくは非置換のC2~C20のヘテロアリーレン基であってもよい。
【0115】
また他の一実施態様において、L11およびL22は、互いに同一または異なっており、それぞれ独立して、直接結合;C6~C20のアリーレン基;またはC2~C20のヘテロアリーレン基であってもよい。
【0116】
また他の一実施態様において、L11およびL22は、互いに同一または異なっており、それぞれ独立して、直接結合;フェニレン基;ビフェニレン基;ナフタレン基;二価のピリジン基;または二価のジベンゾチオフェン基であってもよい。
【0117】
本出願の一実施態様において、R32およびR33は、水素であってもよい。
【0118】
本出願の一実施態様において、Z11およびZ22は、互いに同一または異なっており、それぞれ独立して、シアノ基;置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール基;および置換もしくは非置換のアミン基からなる群から選択されることができる。
【0119】
また他の一実施態様において、Z11およびZ22は、互いに同一または異なっており、それぞれ独立して、シアノ基;置換もしくは非置換のC1~C40のアルキル基;置換もしくは非置換のC6~C40のアリール基;置換もしくは非置換のC2~C40のヘテロアリール基;および置換もしくは非置換のアミン基からなる群から選択されることができる。
【0120】
また他の一実施態様において、Z11およびZ22は、互いに同一または異なっており、それぞれ独立して、シアノ基;シアノ基、C1~ C40のアルキル基、及びC6~C40のアリール基からなる群から選択される1以上の置換基で置換もしくは非置換のC6~40のアリール基;C1~40のアルキル基、C6~C40のアリール基およびC2~C40のヘテロアリール基からなる群から選択される1以上の置換基で置換もしくは非置換のC2~C40のヘテロアリール基;及びC6~C40のアリール基およびC2~C40のヘテロアリール基からなる群から選択される1以上の置換基で置換もしくは非置換のアミン基からなる群から選択されることができる。
【0121】
また他の一実施態様において、Z11は、C1~C40のアルキル基、C6~C40のアリール基およびC2~C40のヘテロアリール基からなる群から選択される1以上の置換基で置換もしくは非置換であるC2~C40のヘテロアリール基であってもよい。
【0122】
また他の一実施態様において、Z22は、シアノ基;シアノ基、C1~C40のアルキル基およびC6~C40のアリール基からなる群から選択される1以上の置換基で置換もしくは非置換のC6~C40のアリール基;C1~C40のアルキル基、C6~C40のアリール基およびC2~C40のヘテロアリール基からなる群から選択される1以上の置換基で置換もしくは非置換のC2~C40のヘテロアリール基;及びC6~C40のアリール基およびC2~C40のヘテロアリール基からなる群から選択される1以上の置換基で置換もしくは非置換のアミン基からなる群から選択されることができる。
【0123】
また他の一実施態様において、Z11は、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、トリフェニレニル基、ジフェニルフルオレニル基、ジメチルフルオレニル基、ジベンゾチオフェン基、およびジベンゾフラン基からなる群から選択される1以上の置換基で置換もしくは非置換のトリアジン基;フェニル基で置換もしくは非置換のピリミジン基;フェニル基で置換もしくは非置換のピリジン基;フェニル基で置換もしくは非置換のキノリン基;フェニル基で置換もしくは非置換のキナゾリン基;フェナントロリン基;ベンゾチアゾール基;フェニル基で置換もしくは非置換のベンゾイミダゾール基;ベンゾ[b]ナフト[1,2-d]チオフェン基;フェニル基で置換もしくは非置換のベンゾ[4,5]チエノ[3,2-d]ピリミジン;またはフェニル基で置換もしくは非置換のベンゾフロ[3,2-d]ピリミジンであってもよい。
【0124】
また他の実施態様において、Z22は、シアノ基;フェニル基で置換もしくは非置換のカルバゾール基;フェニル基またはメチル基で置換もしくは非置換の縮合カルバゾール基;ジメチルフルオレニル基;ジフェニルフルオレニル基;スピロビフルオレニル基;シアノ基で置換もしくは非置換のフェニル基;ビフェニル基;トリフェニレニル基;フェニル基またはトリフェニレニル基で置換もしくは非置換のジベンゾチオフェン基;縮合ジベンゾチオフェン基;ジベンゾフラン基;またはフェニル基、ビフェニル基、ジベンゾフラン基、ジベンゾチオフェン基およびナフチル基からなる群から選択される1以上の置換基で置換もしくは非置換のアミン基であってもよい。
【0125】
本出願の一実施態様において、前記縮合カバゾール基は、カルバゾール基の置換基で縮合された環が結合していることを意味し、縮合された環は、フェニル環、ナフチル環、ベンゾフラン環、またはインドール環であってもよい。
【0126】
本出願の一実施態様において、前記縮合ジベンゾフラン基は、ジベンゾフランの置換基で縮合された環が結合されていることを意味し、縮合された環は、フェニル環、ナフチル環、ベンゾフラン環、またはインドール環であってもよい。
【0127】
前記式1のヘテロ環化合物および前記式2のヘテロ環化合物を有機発光素子の有機物層に含む場合、より優れた効率および寿命効果を示す。この結果は、2つの化合物を同時に含む場合、エキシプレックス(exciplex)現象が起こることが予想される。
【0128】
前記エキシプレックス(exciplex)現象は、両分子間の電子交換により、ドナー(p-host)のHOMOレベル、アクセプター(n-host)のLUMOレベルの大きさのエネルギーを放出する現象である。両分子間のエキシプレックス(excipleX)現象が起こると、Reverse Intersystem Crossing(RISC)が起こり、これにより蛍光の内部量子効率が100%まで上がることができる。正孔輸送能力の良いドナー(p-host)と電子輸送能力の良いアクセプタ(n-host)を発光層のホストとして用いる場合、正孔はp-hostに注入され、電子はn-hostに注入されるため、駆動電圧を低くすることができ、それによって寿命の向上に役立つことができる。
【0129】
本出願の一実施態様において、前記式2は、下記化合物のいずれであってもよい。
【化16】
【0130】
また、本出願のまた他の実施態様は、前記式1で表されるヘテロ環化合物、及び前記式2で表されるヘテロ環化合物を含むものである、有機発光素子の有機物層用組成物を提供する。
【0131】
前記式1で表されるヘテロ環化合物、及び前記式2で表されるヘテロ環化合物についての具体的な内容は、前述のとおりである。
【0132】
前記組成物中、前記式1で表されるヘテロ環化合物:前記式2で表されるヘテロ環化合物の重量比は、1:10~10:1であってもよく、1:8~8:1であってもよく、1:5~5:1であってもよく、1:2~2:1であってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0133】
前記組成物は、有機発光素子の有機物形成時に用いることができ、特に発光層のホスト形成時、より好ましく用いることができる。
【0134】
本出願の一実施態様において、前記有機物層は、前記式1で表されるヘテロ環化合物、及び前記式2で表されるヘテロ環化合物を含み、燐光ドーパントと共に使用することができる。
【0135】
本出願の一実施態様において、前記有機物層は、前記式1で表されるヘテロ環化合物、及び前記式2で表されるヘテロ環化合物を含み、イリジウム系ドーパントと併用することができる。
【0136】
前記燐光ドーパント材料としては、当技術分野で知られているものを用いることができる。
【0137】
例えば、LL’MX’、LL’L’’M、LMX’X’’、L2MX’およびL3Mで表される燐光ドーパント材料を使用することができるが、これらの例によって本発明の範囲が限定されるものではない。
【0138】
ここで、L、L’、L’’、X’、およびX’’は、互いに異なる二座配位子であり、Mは、八面体型錯体を形成する金属である。
【0139】
Mは、イリジウム、白金、オスミウムなどであってもよい。
Lは、Sp2炭素及びヘテロ原子により前記イリジウム系ドーパントでMに配位されるアニオン性二座配位子であり、Xは、電子または正孔をトラップする機能をすることができる。Lの非限定的な例としては、2-(1-ナフチル)ベンゾオキサゾール、(2-フェニルベンゾオキサゾール)、(2-フェニルベンゾチアゾール)、(2-フェニルベンゾチアゾール)、(7,8-ベンゾキノリン)、(チオフェン基ピリジン)、フェニルピリジン、ベンゾチオフェン基ピリジン、3-メトキシ-2-フェニルピリジン、チオフェン基ピリジン、トリルピリジンなどがある。X’およびX’の非限定的な例としては、アセチルアセトネート(acac)、ヘキサフルオロアセチルアセトネート、サリシリデン、ピコリネート、8-ヒドロキシキノリネートなどがある。
【0140】
前記燐光ドーパントのより具体的な例を以下に示すが、これらの例のみに限定されるものではない。
【化17】
【0141】
本出願の一実施態様において、前記イリジウム系ドーパントは、緑色燐光ドーパントIr(ppy)3を使用することができる。
【0142】
本出願の一実施態様において、前記ドーパントの含有量は、発光層全体を基準に1%~15%、好ましくは3%~10%、さらに好ましくは5%~10%の含有量を有することができる。
【0143】
本発明の有機発光素子において、前記有機物層は発光層を含むことができ、前記発光層は前記ヘテロ環化合物を含むことができる。
【0144】
また他の有機発光素子において、前記有機物層は発光層を含み、前記発光層はホスト材料を含み、前記ホスト材料は前記ヘテロ環化合物を含むことができる。
【0145】
本発明の有機発光素子において、前記有機物層は電子注入層または電子輸送層を含み、前記電子注入層または電子輸送層は前記ヘテロ環化合物を含むことができる。
【0146】
また他の有機発光素子において、前記有機物層は電子ブロッキング層または正孔ブロッキング層を含み、前記電子ブロッキング層または正孔ブロッキング層は前記ヘテロ環化合物を含むことができる。
【0147】
また他の有機発光素子において、前記有機物層は、電子輸送層、発光層または正孔ブロッキング層を含み、前記電子輸送層、発光層または正孔ブロッキング層は、前記ヘテロ環化合物を含むことができる。
【0148】
本発明の有機発光素子は、発光層、正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層、電子ブロッキング層および正孔ブロッキング層からなる群から選択される1層または2層以上をさらに含むことができる。
【0149】
図1~3に本出願の一実施態様による有機発光素子の電極と有機物層の積層順序を例示した。しかし、これらの図面によって本出願の範囲が限定されることを意図したものではなく、当技術分野で知られている有機発光素子の構造を本出願にも適用することができる。
【0150】
図1によれば、基板100上に陽極200、有機物層300及び陰極400が順次積層された有機発光素子が示されている。しかし、このような構造のみに限定されるものではなく、
図2に示すように、基板上に陰極、有機物層および陽極が順次積層された有機発光素子を具現することもできる。
【0151】
図3は、有機物層が多層である場合を例示したものである。
図3による有機発光素子は、正孔注入層301、正孔輸送層302、発光層303、正孔ブロッキング層304、電子輸送層305、及び電子注入層306を含む。しかし、このような積層構造によって本出願の範囲が限定されるものではなく、必要に応じて発光層を除いた残りの層は省略してもよく、必要な他の機能層をさらに追加してもよい。
【0152】
本出願の一実施態様において、基板を用意する工程;前記基板上に第1の電極を形成する工程;前記第1の電極上に1層以上の有機物層を形成する工程;及び前記有機物層上に第2の電極を形成する工程を含み、前記有機物層を形成する工程は、本出願の一実施態様による有機物層用組成物を用いて1層以上の有機物層を形成する工程を含むものである、有機発光素子の製造方法を提供する。
【0153】
本出願の一実施態様において、前記有機物層を形成する工程は、前記式1のヘテロ環化合物及び前記式2のヘテロ環化合物とを予備混合(pre-mixed)して熱真空蒸着方法を用いて形成するものである、有機発光素子の製造方法を提供する。
【0154】
前記予備混合(pre-mixed)は、前記式1のヘテロ環化合物及び前記式2のヘテロ環化合物を有機物層に蒸着する前に、材料を予め混ぜて1つの供源に入れて混合することを意味する。
【0155】
予備混合された材料は、本出願の一実施態様による有機物層用組成物と言及することができる。
前記式1を含む有機物層は、必要に応じて他の物質をさらに含んでもよい。
前記式1及び前記式2を同時に含む有機層は、必要に応じて他の材料をさらに含んでもよい。
【0156】
本出願の一実施態様による有機発光素子において、前記式1または前記式2の化合物以外の材料を以下に例示するが、これらは例示のためのものに過ぎず、本出願の範囲を限定するためのものではなく、当技術分野で公知の材料に代替されてもよい。
【0157】
陽極材料としては、比較的仕事関数の大きい材料を用いることができ、透明導電性酸化物、金属または導電性高分子などを使用することができる。前記陽極材料の具体例としては、バナジウム、クロム、銅、亜鉛、金などの金属またはこれらの合金;酸化亜鉛、 酸化インジウム、酸化インジウムスズ(ITO)、インジウム酸化亜鉛(IZO)等の金属酸化物;ZnO:AlまたはSnO2:Sbのような金属と酸化物の組み合わせ;ポリ(3-メチルチオフェン)、ポリ[3,4-(エチレン-1,2-ジオキシ)チオフェン](PEDOT)、ポリピロール及びポリアニリンなどの導電性高分子などがあるが、これらのみに限定されるものではない。
【0158】
陰極材料としては、比較的仕事関数の低い材料を用いることができ、金属、金属酸化物または導電性高分子などを使用することができる。前記陰極材料の具体例としては、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、チタニウム、インジウム、イットリウム、リチウム、ガドリニウム、アルミニウム、銀、錫、鉛などの金属またはそれらの合金;LiF/AlまたはLiO2/Alなどの多層構造材料などがあるが、これらのみに限定されるものではない。
【0159】
正孔注入材料としては、公知の正孔注入材料を用いることもできるが、例えば、米国特許第4,356,429号に開示された銅フタロシアニン等のフタロシアニン化合物または文献[Advanced Material,6,p.677(1994)]に記載されているスターバースト型アミン誘導体、例えば、トリス(4-カルバゾイル-9-イルフェニル)アミン(TCTA)、4,4’,4”-トリ[フェニル(m-トリル)アミノ]トリフェニルアミン(m-MTDATA)、1,3,5-トリス[4-(3-メチルフェニルフェニルアミノ)フェニル]ベンゼン(m-MTDAPB)、可溶性導電性高分子であるポリアニリン/ドデシルベンゼンスルホン酸(Polyaniline/DodecylbenzenesulfoniCacid)またはポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(4-スチレンスルホネート)(Poly(3,4-ethylenedioxythiophene)/Poly(4-styrenesulfonate))、ポリアニリン/カンファースルホン酸(Polyaniline/Camphor sulfonicacid)またはポリアニリン/ポリ(4-スチレンスルホネート)(Polyaniline/Poly(4-styrene-sulfonate))等を用いることができる。
【0160】
正孔輸送材料としては、ピラゾリン誘導体、アリールアミン系誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体などを用いることができ、低分子または高分子材料を用いることもできる。
【0161】
電子輸送材料としては、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタン及びその誘導体、ベンゾキノン及びその誘導体、ナフトキノン及びその誘導体、アントラキノン及びその誘導体、テトラシアノアントラキノジメタン及びその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレン及びその誘導体、ジフェノキノン誘導体、8-ヒドロキシキノリン及びその誘導体の金属錯体等を用いることができ、低分子材料だけでなく、高分子材料を用いることもできる。
【0162】
電子注入材料としては、例えば、LiFが当業界で代表的に使用されるが、本出願がこれに限定されるものではない。
【0163】
発光材料としては、赤色、緑色または青色発光材料を用いることができ、必要な場合、2以上の発光材料を混合して使用することができる。このとき、2以上の発光材料を個別の供給源として蒸着して使用するか、または予備混合して1つの供給源として蒸着して使用することもできる。また、発光材料として蛍光材料を用いることもできるが、燐光材料として用いることもできる。発光材料としては、単独として陽極と陰極からそれぞれ注入された正孔と電子を結合して発光させる材料が使用されてもよいが、ホスト材料とドーパント材料が共に発光に関与する材料が使用されてもよい。
【0164】
発光材料のホストを混合して使用する場合には、同一系列のホストを混合して使用してもよく、異なる系列のホストを混合して使用してもよい。例えば、n型ホスト材料またはp型ホスト材料のいずれか2種以上を選択して発光層のホスト材料として用いることができる。
【0165】
本出願の一実施態様による有機発光素子は、使用される材料によって、前面発光型、背面発光型、または両面発光型であってもよい。
【0166】
本出願の一実施態様によるヘテロ環化合物は、有機太陽電池、有機感光体、有機トランジスタなどをはじめとする有機電子素子においても、有機発光素子に適用されるのと類似する原理で作用することができる。
【0167】
以下、実施例を通じて本明細書をより詳細に説明するが、これらは本出願を例示するためのものに過ぎず、本出願の範囲を限定するものではない。
【0168】
【0169】
化合物I-1の製造
ベンゾ[b]チオフェン-2-イルボロン酸(benzo[b]thiophen-2-ylboroniCacid)(20g,112.35mmol)、2-ブロモ-3-クロロ安息香酸メチル(methyl-2-bromo-3 -chlorobenzoate)(28g,112.35mmol)、Pd(PPh3)4(6.5g,5.62mmol)、K2CO3(31g,224.71mmol)を1,4-Dioxane/H2O(200mL/50mL)に溶かした後、100℃で4時間攪拌した。反応完了した混合液をメチレンクロライド(MC)で溶解して水で抽出し、有機層を無水MgSO4で乾燥した後、シリカゲルろ過した。濾過した濾液をロータリーエバポレーターで溶媒を除去し、カラムクロマトグラフィー(column chromatography)<MC/Hex=1/3>で淡黄色の油状物である化合物I-1(21g、62%)を得た。
【0170】
化合物I-2の製造
化合物I-1(21g,69.31mmol)をエーテル(Ether)200mLに溶かしてメチルマグネシウムブロミド(Methylmagnesiumbromide)(またはフェニルマグネシウムブロミド(Phenylmagnesiumbromide))3Mのエーテル(53mL,173.26mmol)をゆっくり滴下した。反応温度80℃で16時間攪拌した後、反応完了した混合液を0℃でNH4CL 1Mの水溶液200mLをゆっくり滴下して反応を終了させた。混合液を過量の酢酸エチル(EA)で溶解して水で抽出し、有機層を無水MgSO4で乾燥した後、シリカゲルろ過した。濾過した濾液をロータリーエバポレーターで溶媒を除去し、カラムクロマトグラフィー(column chromatography)<MC/Hex=1/1>で無色油である化合物I-2(14g,68%)を得た。
【0171】
化合物Cの製造
化合物I-2(14g,46.36mmol)をジクロロメタン(DCM)150mLに溶かした後、0℃でBF
3OEt
2(5.7mL,46.36mmol)を添加し、1時間攪拌した。反応完了した混合液をMCで溶解させ、NaHCO
3(aq)で抽出し、有機層を無水MgSO
4で乾燥した後、シリカゲルろ過した。濾過した濾液をロータリーエバポレーターで溶媒を除去し、カラムクロマトグラフィー(olumn chromatography)<MC/Hex=1/2>で黄色の油状物である化合物C(12.5g、95%)を得た。
前記製造例1において、下記表1のAとBを中間体としたことを除けば、前記製造例1と同様の方法で合成し、下記化合物Cを合成した。
【表1】
【0172】
<製造例2>目的化合物の製造
【化19】
化合物C(5g,17.56mmol)、N-([1,1’-ビフェニル]-4-イル)-N-(4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル)-[1,1’-ビフェニル]-4-アミン(N-([1,1’-biphenyl]-4-yl)-N-(4-(4,4,5,5-tetramethyl-1,3,2-dioxaborolan-2-yl)phenyl)-[1,1’-biphenyl]-4-amine)(9g,17.56mmol)、Pd
2(dba)
3(1.6g,1.75mmol)、XPhos(1.7g,3.52mmol)、K
2CO
3(5g,35.12mmol)を1,4-Dioxane/H
2O(70mL/15mL)に溶解した後、100℃で15時間攪拌した。反応完了した混合液を過剰のDCMに溶解させて水で抽出し、有機層を無水MgSO
4で乾燥した後、シリカゲルろ過した。濾過した濾液をロータリーエバポレーターで溶媒を除去し、カラムクロマトグラフィー(column chromatography)<MC/Hex=1/2>で黄色固体である目的化合物(15.6g、50%)を得た。
【0173】
前記製造例2において、下記表2のCとDを中間体としたことを除けば、前記製造例2と同様の方法で合成し、下記目的化合物を合成した。
【表2】
【0174】
前記製造例1、2、表1、及び2に記載の化合物以外の前記式1に該当するヘテロ環化合物も前述した製造例に記載の方法と同様に製造した。
【0175】
前記にて製造された化合物の合成確認資料は、下記[表3]及び[表4]に記載のとおりである。
【表3】
【0176】
【0177】
<実験例1>-有機発光素子の作製
1)有機発光素子の作製(Red single host)
1,500Aの厚さでインジウムチンオキシド(ITO,Indium Tinoxide)で薄膜コーティングされたガラス基板を蒸留水超音波で洗浄した。蒸留水洗浄が終わると、アセトン、メタノール、イソプロピルアルコールなどの溶剤で超音波洗浄をして乾燥させた後、UV(Ultraviolet)洗浄機でUVを用いて5分間UVO(Ultraviolet Ozone)処理した。その後、基板をプラズマ洗浄機(PT)に搬送させた後、真空状態でITO仕事関数及び残膜除去のためにプラズマ処理を行い、有機蒸着用熱蒸着装置に搬送した。
【0178】
前記ITO透明電極(陽極)上に共通層である正孔注入層2-TNATA(4,4’,4”-Tris[2-naphthyl(phenyl)amino]triphenylamine)および正孔輸送層NPB(N,N’-Di(1-naphthyl)-N,N’-diphenyl-(1,1’-biphenyl)-4,4’-diamine))を形成させた。
【0179】
その上に発光層を次のように熱真空蒸着させた。発光層は、赤色ホストとして、下記表5に記載の化合物、赤色燐光ドーパントとして(piq)2(Ir)(acac)を用いてホストに(piq)2(IR)(acac)を3%ドープして500A蒸着した。その後、正孔ブロッキング層としてBCPを60A蒸着し、その上に、電子輸送層としてAlq3を200A蒸着した。最後に、電子輸送層上に、リチウムフッ化物(lithiumfluoride:LiF)を10Aの厚さで蒸着して電子注入層を形成した後、電子注入層上にアルミニウム(Al)陰極を1,200Aの厚さで蒸着して陰極を形成することにより有機電界発光素子を作製した。
【0180】
一方、OLED素子作製に必要な全ての有機化合物は、材料別にそれぞれ10-6~10-8torr下で真空昇華精製してOLED作製に使用した。
前記のように作製された有機電界発光素子に対して、マックサイエンス社のM7000で電界発光(EL)特性を測定し、その測定結果をもってマックサイエンス社で製造された寿命測定装置(M6000)を通じて基準輝度が6,000cd/m2のとき、T90を測定した。本発明の有機電界発光素子の特性は、下記表5のとおりである。
【0181】
【0182】
前記表5から分かるように、前記式1に該当する化合物を有機発光素子の発光層として用いる場合、そうでない場合に比べて寿命、効率、及び駆動電圧の特性において優れた効果を示すことが確認された。
【0183】
特に、前記比較化合物A~Dは、アミン基がリンカーなしでコア構造に直接結合された場合であり、このような場合、駆動及び効率が良くなく、特に寿命特性が悪いことが確認された。
【0184】
<実験例2>-有機発光素子の作製
1)有機発光素子の作製(Red N+P mixed host)
1,500Aの厚さでITOが薄膜コーティングされたガラス基板を蒸留水超音波で洗浄した。蒸留水洗浄が終わると、アセトン、メタノール、イソプロピルアルコールなどの溶剤で超音波洗浄をして乾燥させた後、UV洗浄機でUVを用いて5分間UVO処理した。それから基板をプラズマ洗浄機(PT)に搬送した後、真空状態でITO仕事関数及び残膜除去のためにプラズマ処理を行い、有機蒸着用熱蒸着装置に搬送した。
【0185】
前記ITO透明電極(陽極)上に共通層である正孔注入層2-TNATA(4,4’,4”-Tris[2-naphthyl(phenyl)amino]triphenylamine)および正孔輸送層NPB(N,N’-diphenyl-(1,1’biphenyl)-4,4’-diamine)を形成させた。
【0186】
その上に発光層を次のように熱真空蒸着させた。発光層は赤色ホストとして下記表6に記載のように、前記式1に記載の化合物1種と前記式2に記載の化合物1種とを予備混合した後、1つの供給源で400A蒸着し、赤色燐光ドーパントは(piq)2(acac)を3%ドープして蒸着した。その後、正孔ブロッキング層としてBCPを60A蒸着し、その上に電子輸送層としてAlq3を200A蒸着した。最後に、電子輸送層上にリチウムフッ化物(lithiumfluoride:LiF)を10A厚さに蒸着して電子注入層を形成した後、電子注入層上にアルミニウム(Al)陰極を1,200Aの厚さに蒸着して陰極を形成することにより、有機電界発光素子を作製した。
【0187】
一方、OLED素子作製に必要な全ての有機化合物は、材料別にそれぞれ10-6~10-8torr下で真空昇華精製してOLED作製に使用した。
前記のように作製された有機電界発光素子に対して、マックサイエンス社のM7000で電界発光(EL)特性を測定し、その測定結果をもってマックサイエンス社で製造された寿命測定装置(M6000)を通じて基準輝度が6,000cd/m2のとき、T90を測定した。
【0188】
【0189】
前記表6から分かるように、前記式1に該当する化合物と前記式2に該当する化合物を組み合わせて有機発光素子の発光層として用いる場合、式1に該当する化合物を単独で用いる場合に比べて、寿命、効率、および駆動電圧の特性で優れた効果を示すことが確認された。
【0190】
特に、前記式1の化合物は表5から分かるように、インデノチオフェン構造の一方のベンゼン環にリンカーを含むアリールアミン類が置換されることにより、素子に適切なエネルギー準位及び熱的安定性を付与し、前記式1の化合物を用いて寿命及び駆動安定、効率が改善された有機発光素子を作製できることが確認できた。
【0191】
前記式1および前記式2の化合物を有機発光素子の有機物層に含む場合、エキシプレックス(exciplex) 現象が起こるにつれて効率および寿命において優れた結果が得られる。前記式1および前記式2の化合物のエキシプレックス(exciplex)現象は、両分子間の電子交換によりドナー(p型ホスト)のHOMOレベル、アクセプタ(n型ホスト)のLUMOレベルの大きさのエネルギーを放出する現象である。正孔輸送能力の良いドナー(p型ホスト)と電子輸送能力の良いアクセプタ(n型ホスト)を発光層のホストとして用いる場合、正孔はp-hostに注入され、電子はn-hostに注入されるため、駆動電圧を低くすることができ、それは寿命の向上に役立つことができる。
【0192】
<実験例3>-化合物の熱安定性及び物性評価
以下の表7は、化合物の熱安定性評価を示す資料である。以下の表7において、Tsは初期温度を意味し、温度を上げて測定したとき、本出願による化合物の純度が高いことを確認することができた。
【表7】
【化21】
【0193】
以下の表8は、化合物の熱分析による物性評価を示す資料である。
熱分析法とは、化合物の物理変数を温度の関数で表し、連続して測定する方法であって、その中でTd(Therma Ldecomposition)値は、物質が熱によって分解される程度であることが分かり、Td95%は、化合物の質量が5%減少したときの温度値を意味する。
すなわち、Td95%値が高いほど化合物の質量を5%減少させるのに必要な熱が高いことを知ることができる。化合物の分子量または共役構造が増加するほど値が大きくなり、材料の蒸着温度もまた増加する。化合物の構造を多様に設計してTd95%値を調節でき、よって蒸着温度を予測することができる。
【0194】
【0195】
前記表7および表8から分かるように、本発明の式1におけるヘテロ環化合物が、前記表7の Compound(a)、(b)および(C)の化合物よりも優れた熱安定性を示すことが確認できた。
これは、インデノチオフェンの一方のベンゼン環にアリールアミン官能基が直接結合せず、本出願の式1における化合物のように中間リンカー(L1)が挿入される場合、直接結合された形態の化合物に比べて立体効果が減少し、また分子量の増加、構造平面性の増加、共役構造の拡大により、より優れた熱安定性を有する化合物が得られることを確認することができ、これにより前記表5から分かるように、本出願の式1における化合物を含む場合、寿命に優れていることが分かった。
【符号の説明】
【0196】
100 ・・・基板
200 ・・・陽極
300 ・・・有機物層
301 ・・・正孔注入層
302 ・・・正孔輸送層
303 ・・・発光層
304 ・・・正孔ブロッキング層
305 ・・・電子輸送層
306 ・・・電子注入層
400 ・・・陰極
【国際調査報告】