(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-13
(54)【発明の名称】インフラマソーム活性化の抑制
(51)【国際特許分類】
A61K 31/192 20060101AFI20230306BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230306BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20230306BHJP
A61P 3/06 20060101ALI20230306BHJP
A61P 3/04 20060101ALI20230306BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20230306BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20230306BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20230306BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20230306BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20230306BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20230306BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20230306BHJP
A61P 17/06 20060101ALI20230306BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20230306BHJP
A61P 17/04 20060101ALI20230306BHJP
A61P 17/14 20060101ALI20230306BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20230306BHJP
A61P 11/16 20060101ALI20230306BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20230306BHJP
A61P 25/32 20060101ALI20230306BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20230306BHJP
A61P 11/06 20060101ALI20230306BHJP
A61P 11/08 20060101ALI20230306BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20230306BHJP
A61P 5/14 20060101ALI20230306BHJP
A61K 31/138 20060101ALI20230306BHJP
A61K 31/395 20060101ALI20230306BHJP
C07K 14/47 20060101ALN20230306BHJP
【FI】
A61K31/192
A61P43/00 111
A61P1/16
A61P3/06
A61P3/04
A61P3/10
A61P19/02
A61P1/04
A61P9/10
A61P29/00 101
A61P25/00
A61P37/02
A61P29/00
A61P17/06
A61P17/00
A61P17/04
A61P17/14
A61P31/04
A61P11/16
A61P37/06
A61P43/00 105
A61P25/32
A61P13/12
A61P11/06
A61P11/08
A61P11/00
A61P5/14
A61K31/138
A61K31/395
C07K14/47
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022542031
(86)(22)【出願日】2021-01-11
(85)【翻訳文提出日】2022-07-15
(86)【国際出願番号】 US2021012983
(87)【国際公開番号】W WO2021142450
(87)【国際公開日】2021-07-15
(32)【優先日】2020-01-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】597025806
【氏名又は名称】ワシントン・ユニバーシティ
【氏名又は名称原語表記】Washington University
(71)【出願人】
【識別番号】522272118
【氏名又は名称】センセイオン セラピューティクス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】SENSEION THERAPEUTICS, INC.
【住所又は居所原語表記】7241 Forsyth Boulevard St. Louis, Missouri 63105, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110002745
【氏名又は名称】弁理士法人河崎特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】サー, ラジャン
(72)【発明者】
【氏名】フー, ホンジェン
(72)【発明者】
【氏名】クマール, アシュトシュ
(72)【発明者】
【氏名】ラーナー, ダニエル
【テーマコード(参考)】
4C086
4C206
4H045
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC62
4C086MA01
4C086MA04
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4C206AA01
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4C206ZC06
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4C206ZC35
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4C206ZC41
4C206ZC54
4H045AA10
4H045AA30
4H045CA40
4H045FA74
4H045GA45
(57)【要約】
本発明は、インフラマソーム活性化を抑制する様々な方法を対象とする。例えば、本発明は、炎症が疾患または状態状況に寄与する疾患または状態を治療する様々な方法に関する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インフラマソーム活性化の抑制を必要とする対象においてそれを行うための方法であって、前記方法が、対象に、治療有効量の式(I)の化合物、またはその塩を投与することを含み、
【化1】
式中、
R
1およびR
2は、それぞれ独立して、水素、置換または非置換アルキル、置換または非置換アルケニル、置換または非置換アルコキシ、置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリールであり、
R
3は、-Y-C(O)R
4、-Z-N(R
5)(R
6)、または-Z-Aであり、
R
4は、水素、置換もしくは非置換アルキル、-OR
7、または-N(R
8)(R
9)であり、
X
1およびX
2は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換アルキル、ハロ、-OR
10、または
-N(R
11)(R
12)であり、
R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11、およびR
12は、それぞれ独立して、水素、または置換もしくは非置換アルキルであり、
YおよびZは、それぞれ独立して、少なくとも2個の炭素原子を有する置換または非置換炭素含有部分であり、
Aは、少なくとも1つの窒素ヘテロ原子、ボロン酸、または
【化2】
を有する置換または非置換の5員または6員複素環式環であり、
nは、1または2である、方法。
【請求項2】
R
1またはR
2のうちの少なくとも1つが、少なくとも2つの炭素原子を有する置換または非置換の直鎖状または分枝状アルキルである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
R
1およびR
2が、
【化3】
からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
R
1が、水素またはC1~C6アルキルである、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
R
1が、ブチルである、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
R
2が、シクロアルキルである、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
R
2が、シクロペンチルである、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
R
3が、-Y-C(O)R
4である、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
R
4が、-OR
7または-N(R
8)(R
9)である、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
R
3が、-Z-N(R
5)(R
6)である、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
R
3が、-Z-Aである、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
Aが、
【化4】
からなる群から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
Aが、
【化5】
からなる群から選択される、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
YおよびZが、それぞれ独立して、2~10個の炭素を有する置換もしくは非置換アルキレン、2~10個の炭素を有する置換もしくは非置換アルケニレン、または置換もしくは非置換アリーレンである、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
YおよびZが、それぞれ独立して、2~10個の炭素を有するアルキレン、2~10個の炭素を有するアルケニレン、またはフェニレンである、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
YおよびZが、それぞれ独立して、4~10個の炭素を有するシクロアルキレンである、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
Yが、3~8個の炭素または3~7個の炭素を有するアルキレンまたはアルケニレンである、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
Yが、アルキレン、または4個の炭素を有する任意のアルケニレンである、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
Zが、2~4個の炭素を有するアルキレンである、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
Zが、3または4個の炭素を有するアルキレンである、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
YおよびZが、それぞれ独立して、
【化6】
からなる群から選択される、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
Yが、2~3個の炭素を有するアルキレンである場合、X
1およびX
2の両方が、それぞれフルオロまたはそれぞれ置換もしくは非置換アルキルである、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
R
3が、
【化7】
からなる群から選択される、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
X
1およびX
2が、それぞれ独立して、置換もしくは非置換C1~C6アルキルまたはハロである、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
X
1およびX
2が、それぞれ独立して、C1~C6アルキル、フルオロ、クロロ、ブロモ、またはヨードである、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
X
1およびX
2が、それぞれ独立して、メチル、フルオロ、またはクロロである、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11、およびR
12が、それぞれ独立して、水素またはアルキルである、請求項1~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11、およびR
12が、それぞれ独立して、水素またはC1~C3アルキルである、請求項1~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
【化8】
からなる群から選択される、請求項1~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記化合物が、
【化9】
からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項31】
インフラマソーム活性化の抑制を必要とする対象においてそれを行うための方法であって、対象に、治療有効量のDCPIB(4-[(2-ブチル-6,7-ジクロロ-2-シクロペンチル-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-イル)オキシ]ブタン酸)またはその同属体を投与することを含む、方法。
【請求項32】
インフラマソーム活性化の抑制を必要とする対象においてそれを行うための方法であって、対象に、
【化10】
およびそれらの塩からなる群から選択される、治療有効量の化合物を投与することを含む、方法。
【請求項33】
前記方法が、非アルコール性脂肪性肝疾患、肥満誘導性インスリン抵抗性、関節炎、炎症性腸疾患、および/または冠動脈疾患の治療を必要とする対象においてそれを行うためのものである、請求項1~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記方法が、関節リウマチ、全身性硬化症、全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群、ライター症候群、全身性若年特発性関節炎、および脊椎関節症を含むリウマチ性および結合組織疾患からなる群から選択される、少なくとも1つの炎症性疾患の治療を必要とする対象においてそれを行うためのものである、請求項1~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記方法が、巨細胞動脈炎、リウマチ性多発筋痛症、高安動脈炎、結節性多発動脈炎、川崎病、ANCA関連血管炎(vasculitis)、免疫複合体媒介性血管炎(vasculitis)、ベーチェット症候群、再発性多発軟骨炎、およびサルコイドーシスを含む全身性血管炎(vasculitides)からなる群から選択される、少なくとも1つの炎症性疾患の治療を必要とする対象においてそれを行うためのものである、請求項1~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記方法が、乾癬、乾癬性関節炎、湿疹、慢性蕁麻疹、好中球性皮膚症、および円形脱毛症を含む皮膚科炎症性疾患からなる群から選択される、少なくとも1つの炎症性疾患の治療を必要とする対象においてそれを行うためのものである、請求項1~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記方法が、敗血症/全身性炎症応答症候群、および急性呼吸窮迫症候群からなる群から選択される、少なくとも1つの炎症性疾患の治療を必要とする対象においてそれを行うためのものである、請求項1~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記方法が、心臓、肺、肝臓、腎臓、膵島、および他の実質臓器移植の免疫拒絶からなる群から選択される、少なくとも1つの炎症性疾患の治療を必要とする対象においてそれを行うためのものである、請求項1~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記方法が、骨髄および他の血液組織移植の免疫拒絶からなる群から選択される、少なくとも1つの炎症性疾患の治療を必要とする対象においてそれを行うためのものである、請求項1~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記方法が、アテローム性動脈硬化症、心膜炎、および心筋炎を含む前記心臓の炎症性疾患からなる群から選択される、少なくとも1つの炎症性疾患の治療を必要とする対象においてそれを行うためのものである、請求項1~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記方法が、潰瘍性大腸炎およびクローン病を含む炎症性腸疾患、非アルコール性炎症性腸脂肪性肝炎および線維症、アルコール性肝炎、ならびに自己免疫性肝炎を含む前記胃腸系の炎症性疾患からなる群から選択される、少なくとも1つの炎症性疾患の治療を必要とする対象においてそれを行うためのものである、請求項1~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記方法が、糸球体腎炎、間質性腎炎、抗尿細管基底膜抗体媒介性尿細管間質性腎炎、およびIgG4関連疾患からなる群から選択される、少なくとも1つの炎症性疾患の治療を必要とする対象においてそれを行うためのものである、請求項1~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記方法が、喘息、気管支炎、および肺間質性線維症、および肺臓炎を含む前記肺の炎症性疾患からなる群から選択される、少なくとも1つの炎症性疾患の治療を必要とする対象においてそれを行うためのものである、請求項1~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記方法が、家族性地中海熱、腫瘍壊死因子受容体関連周期性症候群(TRAPS)、家族性寒冷自己炎症症候群、マックル-ウェルズ症候群、およびシュニッツラー症候群を含む自己炎症性疾患からなる群から選択される、少なくとも1つの炎症性疾患の治療を必要とする対象においてそれを行うためのものである、請求項1~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記方法が、多発性硬化症、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー、ギラン-バレー症候群、多発性硬化症、および特発性横断性脊髄炎を含む中枢および末梢神経系の炎症性疾患からなる群から選択される、少なくとも1つの炎症性疾患の治療を必要とする対象においてそれを行うためのものである、請求項1~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記方法が、多発性筋炎、皮膚筋炎、封入体筋炎、免疫媒介性壊死性筋症を含む炎症性筋症からなる群から選択される、少なくとも1つの炎症性疾患の治療を必要とする対象においてそれを行うためのものである、請求項1~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記方法が、甲状腺炎の治療を必要とする対象においてそれを行うためのものである、請求項1~46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
SWELL1-LRRC8六量体アセンブリおよび輸送を安定化して、シグナル伝達を回復させる、方法。
【請求項49】
薬理学的シャペロンが、SWELL1-LRRC8のアセンブリおよび輸送を補助する、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記薬理学的シャペロンが、生物学的または小分子薬物を含む、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
SWELL1-LRRC8単量体を一緒に結合する分子ステープルとして機能する、小分子または生物薬理学的シャペロン。
【請求項52】
SWELL1-LRRC8単量体を一緒に結合する分子糊として機能する、小分子または生物薬理学的シャペロン。
【請求項53】
SWELL1-LRRC8タンパク質発現を増加させるように機能する、小分子または生物薬理学的シャペロン。
【請求項54】
SWELL1-LRRC8膜転位を増加させるように機能する、小分子または生物薬理学的シャペロン。
【請求項55】
SWELL1-LRRC8シグナル伝達を増加させるように機能する、小分子または生物薬理学的シャペロン。
【請求項56】
SWELL1-LRRC8分解を低減するように機能する、小分子または生物薬理学的シャペロン。
【請求項57】
SWELL1-LRRC8複合体に結合するための細孔および保存された疎水性ポケット内の残基R103Eにおいて前記SWELL-LRRC8複合体に結合する、小分子または生物薬理学的。
【請求項58】
SWELL1-LRRC8分子内の複数の部位に結合して、代謝症候群の設定において、アセンブリを安定化し、分解を最小限に抑えるように機能する、小分子または生物薬理学的シャペロン。
【請求項59】
SWELL1-LRRC8チャネル複合体を閉鎖または阻害する、小分子または生物製剤。
【請求項60】
SWELL1-LRRC8チャネルコンダクタンスを阻害する、小分子または生物製剤。
【請求項61】
前記方法が、関節リウマチ、全身性硬化症、および全身性エリテマトーデスからなる群から選択される、少なくとも1つの炎症性疾患の治療を必要とする対象においてそれを行うためのものである、請求項1に記載の方法。
【請求項62】
前記方法が、潰瘍性大腸炎およびクローン病を含む炎症性腸疾患、非アルコール性炎症性腸脂肪性肝炎および線維症、アルコール性肝炎、ならびに自己免疫性肝炎からなる群から選択される、少なくとも1つの炎症性疾患の治療を必要とする対象においてそれを行うためのものである、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インフラマソーム活性化を抑制する様々な方法を対象とする。例えば、本発明は、炎症が疾患または状態状況に寄与する疾患または状態を治療する様々な方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インフラマソーム活性化、特にインフラマソーム活性化の調節障害は、関節リウマチ、全身性硬化症、および全身性エリテマトーデスを含むリウマチ性および結合組織疾患などの広範囲の炎症性疾患に関与している。他の主要な炎症性疾患としては、潰瘍性大腸炎およびクローン病を含む炎症性腸疾患、非アルコール性炎症性腸脂肪性肝炎および線維症、アルコール性肝炎、ならびに自己免疫性肝炎などの胃腸系のものが挙げられる。さらに他の炎症状態としては、臓器および組織移植の免疫拒絶が挙げられる。インフラマソーム活性化の抑制およびこれらの疾患の治療に有効な治療薬に対する緊急の必要性が依然として存在する。
【発明の概要】
【0003】
本発明の様々な態様は、インフラマソーム活性化を抑制する方法を対象とする。様々な実施形態では、インフラマソーム活性化の抑制を必要とする対象においてそれを行うための方法は、対象に、治療有効量のDCPIB(4-[2[ブチル-6,7-ジクロロ-2-シクロペンチル-2,3-ジヒドロ-1-オキソ-1H-インデン-5-イル)オキシ]ブタン酸)またはその同属体を投与することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、対象に、
【化1】
およびそれらの塩からなる群から選択される、治療有効量の化合物を投与することを含む。
【0004】
様々な実施形態では、方法は、対象に、治療有効量の式(I)の化合物、またはその塩を投与することを含み、
【化2】
式中、R
1およびR
2は、それぞれ独立して、水素、置換または非置換アルキル、置換または非置換アルケニル、置換または非置換アルコキシ、置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリールであり、R
3は、-Y-C(O)R
4、-Z-N(R
5)(R
6)、または-Z-Aであり、R
4は、水素、置換もしくは非置換アルキル、-OR
7、または-N(R
8)(R
9)であり、X
1およびX
2は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換アルキル、ハロ、-OR
10、または-N(R
11)(R
12)であり、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11、およびR
12は、それぞれ独立して、水素、または置換もしくは非置換アルキルであり、YおよびZは、それぞれ独立して、少なくとも2個の炭素原子を有する置換または非置換炭素含有部分であり、Aは、少なくとも1つの窒素ヘテロ原子、ボロン酸、または
【化3】
を有する置換もしくは非置換の5員もしくは6員複素環式環であり、nは、1または2である。
【0005】
様々な実施形態では、インフラマソーム活性化を抑制する方法は、炎症が疾患または状態状況に寄与する疾患または状態を治療することを含む。
【0006】
他の目的物および特徴は、部分的には明らかであり、部分的には以下で指摘されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】SWELL1依存的なTRPV4非依存的機構。
【
図5】SN-401およびSN-406は、LPS+MSU(機械的刺激)に応答して、マクロファージインフラマソームの活性化を頑強に阻害する。
【
図6】パネルA~Cは、3つの独立した実験からの選択された炎症性マーカー、IL1β、TNF-α、およびCXCL10の相対的なmRNA発現を示す。
【
図7】パネルA、野生型(WT)一次マクロファージ(210mOsm)における低張的に誘導された電流の経時的な電流プロット、およびDCPIBによる阻害は、DCPIB感受性SWELL1電流を明らかにする。パネルB、上記(A)からの電流電圧プロット。
【
図8】パネルA、SWELL1 KO一次マクロファージ(210mOsm)における低張的に誘導された電流の経時的なプロット、およびDCPIBによる応答なしは、測定可能なDCPIB感受性のない、またはSWELL1電流を明らかにする。パネルB、上記(A)からの電流電圧プロット。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の様々な態様は、広範囲の疾患および状態に関与し、その中心となる、インフラマソーム活性化(炎症)を抑制する方法を対象とする。SWELL1阻害剤を介してSWELL1チャネルを標的化することにより、炎症応答を効果的に調節することができることが発見されている。
【0009】
機械的刺激および細胞腫脹は、様々な生理学的および病態生理学的文脈において炎症およびインフラマソーム活性を活性化することができる。炎症性シグナル伝達の機械的活性化において、機械的応答性であると考えられるTRPV4イオンチャネルが、インフラマソームおよび細胞炎症を活性化するのに必要なCa
2+流入の媒介に関与していると考えられる。1つのモデルを
図1に示す。このモデルでは、SWELL1-LRRC8アニオン(Cl
-)チャネルは、広く発現され、この炎症応答を媒介するマクロファージでも発現される。炎症性刺激(LPS)+/-機械的刺激に応答して、TRPV4およびSWELL1の両方のチャネルが開く。TRPV4チャネルは刺激Ca
2+シグナルをもたらし、SWELL1は、細胞を過分極させる(膜電位を下方駆動する)役割を果たす過分極Cl
-流入をもたらし、これはCa
2+流入の駆動力を増加させることによって、TRPV4を介してCa
2+をさらに増強する。このように、SWELL1チャネルは、インフラマソームのTRPV4活性化および炎症を調節する増幅器として機能する。したがって、SWELL1阻害剤は、TRPV4を下方調節することによって(TRPV4は炎症およびインフラマソーム活性化の既知で検証された標的である)、炎症応答を弱めることができる。
【0010】
第2のモデルを
図2に示す。細胞内塩化物単独で、マクロファージにおける炎症シグナル伝達を調節することができる。VRACおよびVRAC阻害剤は、塩化物依存的およびTRPV4非依存的機構を介して、特異的に抗炎症活性を有することが示されている。例えば、VRAC活性化は、マクロファージにおける酸化されたLPL誘導脂質蓄積を促進する。VRACの開口は、Cl流出を引き起こし、細胞内[Cl]の低減を引き起こしたことが示されている。Hong et al.,”Alteration of volume-regulated chloride channel during macrophage-derived foam cell formation in atherosclerosis,”Atherosclerosis,Volume 216,Issue 1,May 2011,Pages 59-66を参照されたい。また、細胞内[Cl]の低減は、マクロファージでの脂質蓄積につながる、顕著な量のシグナル伝達(JNK-p38)を促進する。Wu et al.,”Reduction of Intracellular Chloride Concentration Promotes Foam Cell Formation,”Vascular Biology and Vascular Medicine,2016 Volume 80 Issue 4 Pages 1024-1033を参照されたい。したがって、このモデルでは、SWELL1媒介塩化物電流は塩化物流出を促進し、これは細胞内塩化物の濃度を低減する。細胞内塩化物の低減は、TRPV4非依存的様式で、NFkB媒介性炎症性経路活性化を阻害することが理解される。
【0011】
したがって、様々な実施形態では、インフラマソーム活性化の抑制を必要とする対象においてそれを行うための方法は、対象に、DCPIB(4-[(2-ブチル-6,7-ジクロロ-2-シクロペンチル-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-イル)オキシ]ブタン酸)またはその同属体などの、治療有効量のSWELL1阻害剤を投与することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、対象に、
【化4】
およびそれらの塩からなる群から選択される、治療有効量の化合物((SWELL1阻害剤)を投与することを含む。
【0012】
様々な実施形態では、方法は、対象に、治療有効量の式(I)の化合物、およびはその塩を投与することを含み、
【化5】
式中、R
1およびR
2は、それぞれ独立して、水素、置換または非置換アルキル、置換または非置換アルケニル、置換または非置換アルコキシ、置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリールであり、R
3は、-Y-C(O)R
4、-Z-N(R
5)(R
6)、または-Z-Aであり、R
4は、水素、置換もしくは非置換アルキル、-OR
7、または-N(R
8)(R
9)であり、X
1およびX
2は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換アルキル、ハロ、-OR
10、または-N(R
11)(R
12)であり、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11、およびR
12は、それぞれ独立して、水素、または置換もしくは非置換アルキルであり、YおよびZは、それぞれ独立して、少なくとも2個の炭素原子を有する置換または非置換炭素含有部分であり、Aは、少なくとも1つの窒素ヘテロ原子、ボロン酸、または
【化6】
を有する置換もしくは非置換の5員もしくは6員複素環式環であり、nは、1または2である。
【0013】
様々な実施形態では、R1またはR2のうちの少なくとも1つは、少なくとも2つの炭素原子を有する置換または非置換の直鎖状または分枝状アルキルである。さらなる実施形態では、R1は、水素またはC1~C6アルキルである。例えば、いくつかの実施形態では、R1は、ブチルである。様々な実施形態では、R2は、シクロアルキル(例えば、シクロペンチル)である。
【0014】
様々な実施形態では、R
1およびR
2は、
【化7】
からなる群から選択される。
【0015】
様々な実施形態では、R3は、-Y-C(O)R4である。いくつかの実施形態では、R3は、-Z-N(R5)(R6)である。さらなる実施形態では、R3は、-Z-Aである。
【0016】
上述のように、Aは、少なくとも1つの窒素ヘテロ原子を有する置換または非置換の5員または6員複素環式環であり得る。いくつかの実施形態では、Aは、少なくとも2個、3個、または4個の窒素ヘテロ原子を有する、置換または非置換の5員または6員複素環式環である。いくつかの実施形態では、Aは、少なくとも1つの窒素ヘテロ原子、および酸素または硫黄から選択される少なくとも1つの他のヘテロ原子を有する、置換または非置換の5員または6員複素環式環である。様々な実施形態では、Aは、ボロン酸または
【化8】
であり得る。
【0017】
【0018】
ある特定の実施形態では、Aは、
【化10】
である。
【0019】
ある特定の実施形態では、R
3は、
【化11】
からなる群から選択される。
【0020】
様々な実施形態では、R4は、-OR7または-N(R8)(R9)である。
【0021】
様々な実施形態では、X1およびX2は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換C1~C6アルキルまたはハロである。いくつかの実施形態では、X1およびX2は、それぞれ独立して、C1~C6アルキル、フルオロ、クロロ、ブロモ、またはヨードである。ある特定の実施形態では、X1およびX2は、それぞれ独立して、メチル、フルオロ、またはクロロである。
【0022】
様々な実施形態では、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、およびR12は、それぞれ独立して、水素またはアルキルである。例えば、いくつかの実施形態では、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、およびR12は、それぞれ独立して、水素またはC1~C3アルキルである。
【0023】
様々な実施形態では、YおよびZは、それぞれ独立して、2~10個の炭素を有する置換もしくは非置換アルキレン、2~10個の炭素を有する置換もしくは非置換アルケニレン、または置換もしくは非置換アリーレンである。いくつかの実施形態では、YおよびZは、それぞれ独立して、2~10個の炭素を有するアルキレン、2~10個の炭素を有するアルケニレン、またはフェニレンである。YおよびZはまた、それぞれ独立して、4~10個の炭素を有するシクロアルキレンであってよい。ある特定の実施形態では、Yは、3~8個の炭素または3~7個の炭素を有するアルキレンまたはアルケニレンである。例えば、Yはアルキレン、または4個の炭素を有する任意のアルケニレンであり得る。さらなる実施形態では、Zは、2~4個の炭素を有するアルキレンである。例えば、Zは、3または4個の炭素を有するアルキレンであり得る。
【0024】
様々な実施形態では、YまたはZは、
【化12】
からなる群から選択され得る。様々な実施形態では、Yが、2~3個の炭素を有するアルキレンである場合、X
1およびX
2の両方は、それぞれフルオロまたはそれぞれ置換もしくは非置換アルキル(例えば、メチルまたはエチル)である。いくつかの実施形態では、Yは、3個の炭素を有するアルキレンではない。ある特定の実施形態では、R
7は、水素またはC1~C6アルキルではない。いくつかの実施形態では、X
1および/またはX
2は、ハロではない。ある特定の実施形態では、X
1および/またはX
2は、クロロではない。いくつかの実施形態では、R
1および/またはR
2は、アルキルではない。
【0025】
実施形態によれば、式(I)の化合物は、
【化13】
およびそれらの塩からなる群から選択され得る。
【0026】
本明細書に記載のある特定の実施形態では、投与される化合物は、
【化14】
およびそれらの塩からなる群から選択される。
【0027】
様々な実施形態では、インフラマソーム活性化を抑制する方法は、炎症が疾患または状態状況に寄与する疾患または状態(すなわち、炎症性疾患)を治療することを含む。本方法により治療することができる様々な炎症性疾患としては、以下が挙げられる:
関節リウマチ、全身性硬化症、全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群、ライター症候群、全身性若年特発性関節炎、および脊椎関節症を含む、リウマチ性および結合組織疾患;
巨細胞動脈炎、リウマチ性多発筋痛症、高安動脈炎、結節性多発動脈炎、川崎病、ANCA関連血管炎(vasculitis)、免疫複合体媒介性血管炎(vasculitis)、ベーチェット症候群、再発性多発軟骨炎、およびサルコイドーシスを含む全身性血管炎(vasculitides);
乾癬、乾癬性関節炎、湿疹、慢性蕁麻疹、好中球性皮膚症、および円形脱毛症を含む皮膚科炎症性疾患;
敗血症/全身炎症応答症候群および急性呼吸窮迫症候群;
心臓、肺、肝臓、腎臓、膵島、および他の実質臓器移植の免疫拒絶;
骨髄および他の血液組織移植の免疫拒絶;
アテローム性動脈硬化症、心膜炎、および心筋炎を含む心臓の炎症性疾患;
潰瘍性大腸炎およびクローン病を含む炎症性腸疾患、非アルコール性炎症性腸脂肪性肝炎および線維症、アルコール性肝炎、ならびに自己免疫性肝炎を含む胃腸系の炎症性疾患;
糸球体腎炎、間質性腎炎、抗尿細管基底膜抗体媒介性尿細管間質性腎炎、およびIgG4関連疾患;
喘息、気管支炎、および肺間質性線維症、肺臓炎を含む肺の炎症性疾患;
家族性地中海熱、腫瘍壊死因子受容体関連周期性症候群(TRAPS)、家族性寒冷自己炎症症候群、マックル-ウェルズ症候群、およびシュニッツラー症候群を含む自己炎症性疾患;
多発性硬化症、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー、ギラン-バレー症候群、多発性硬化症、および特発性横断性骨髄炎を含む中枢および末梢神経系の炎症性疾患;
多発性筋炎、皮膚筋炎、封入体筋炎、免疫媒介性壊死性筋症を含む炎症性筋症;ならびに
甲状腺炎。
【0028】
いくつかの実施形態では、方法は、非アルコール性脂肪症、非アルコール性脂肪性肝疾患、肥満誘導性インスリン抵抗性、関節炎、炎症性腸疾患、および/または冠動脈疾患の治療を必要とする対象においてそれを行うためのものである。
【0029】
本明細書に記載の状況、疾患、障害、および状態の各々、ならびにその他は、本明細書に記載の方法から利益を得ることができる。一般に、状況、疾患、障害、または状態を治療することは、その状況、疾患、障害、または状態に罹患するか、またはそれにかかりやすい可能性があるが、その臨床症状または無症状の症状をまだ経験していないか、または示していない哺乳動物における臨床症状の出現を予防または遅延させることを含む。治療はまた、状況、疾患、障害、または状態を阻害すること、例えば、疾患、またはその少なくとも1つの臨床症状もしくは不顕性症状の発症を阻止または低減することを含み得る。さらに、治療は、疾患を緩和すること、例えば、状況、疾患、障害、もしくは状態、またはその臨床症状もしくは不顕性症状のうちの少なくとも1つの退行を引き起こすことを含み得る。治療される対象に対する利益は、対象または医師にとって統計的に有意であるか、または少なくとも知覚可能であり得る。
【0030】
本発明の方法はまた、SWELL1-LRRC8六量体アセンブリおよび輸送を安定化して、シグナル伝達を回復させることに関する。薬理学的シャペロンは、SWELL1-LRRC8のアセンブリおよび輸送を補助し得る。薬理学的シャペロンは、生物または低分子薬物(例えば、本明細書に記載の化合物)を含み得る。
【0031】
本発明は、様々な小分子または生物薬理学的シャペロン(例えば、本明細書に記載の化合物)に関する。例えば、小分子または生物薬理学的シャペロンは、分子ステープルとして機能して、SWELL1-LRRC8単量体に一緒に結合することができる。小分子または生物薬理学的シャペロンは、分子糊として機能して、SWELL1-LRRC8単量体に一緒に結合することができる。小分子または生物薬理学的シャペロンは、SWELL1-LRRC8タンパク質発現を増加させるように機能し得る。小分子または生物薬理学的シャペロンは、SWELL1-LRRC8膜転位を増加させるように機能し得る。さらに、小分子または生物薬理学的シャペロンは、SWELL1-LRRC8シグナル伝達を増加させるように機能し得る。
【0032】
小分子または生物薬理学的シャペロンはまた、SWELL1-LRRC8分解を低減するように機能し得る。小分子または生物薬理学的は、SWELL1-LRRC8複合体に結合するための細孔および保存された疎水性ポケット内の残基R103EにおいてSWELL-LRRC8複合体に結合し得る。小分子または生物薬理学的シャペロンは、SWELL1-LRRC8分子内の複数の部位に結合して、代謝症候群の設定において、アセンブリを安定化し、分解を最小限に抑えるように機能し得る。小分子または生物製剤は、SWELL1-LRRC8チャネル複合体を閉鎖または阻害することができる。小分子または生物製剤は、SWELL1-LRRC8チャネルコンダクタンスを阻害することができる。
【0033】
本発明の様々な方法によれば、式(I)の化合物を含む医薬組成物は、それを必要とする対象に投与される。医薬組成物は、経口、静脈内、筋肉内、動脈内、髄内、くも膜下腔内、脳室内、経皮、皮下、腹腔内、鼻腔内、非経口、局所、舌下、または直腸手段を含むが、これらに限定されない経路によって投与され得る。様々な実施形態では、投与は、経口、鼻腔内、腹腔内、静脈内、筋肉内、直腸、および経皮からなる群から選択される。
【0034】
本明細書に記載の化合物のうちの任意の1つ以上の治療有効用量の決定は、当業者の能力の範囲内である。治療有効用量は、所望の結果をもたらす活性成分のその量を指す。正確な投薬量は、治療を必要とする対象に関連する要因に照らして、開業医によって決定されるであろう。投薬量および投与は、十分なレベルの活性成分を提供するか、または所望の効果を維持するように調整される。考慮され得る要因としては、疾患または状態状況の重症度、対象の全身の健康状態、対象の年齢、体重、および性別、食事、投与の時間および頻度、薬物の組み合わせ、反応感受性、ならびに療法に対する忍容性/応答が挙げられる。長時間作用型医薬組成物は、特定の製剤の半減期およびクリアランス速度に応じて、3~4日毎、毎週、または2週間毎に1回投与され得る。
【0035】
典型的には、化合物の通常の投薬の量は、投与経路に応じて、1kg体重当たり約0.05~約100mgまで変化し得る。特定の投薬量および送達方法に関するガイダンスは、文献に提供され、当業者に一般に利用可能である。それは、一般に、例えば、体重1kg当たり約0.1mg~約75mg、約0.5mg~約50mg、または約1mg~約25mgの範囲の1日当たりの経口用量が与えられるように投与されるであろう。活性成分は、1日当たりの単回用量で、または代替的に、分割用量(例えば、1日2回、1日3回、1日4回など)で投与することができる。一般に、非経口経路が用いられる場合、より低い用量を投与することができる。したがって、例えば、静脈内投与には、例えば、体重1kg当たり約0.05mg~約30mg、約0.1mg~約25mg、または約0.1mg~約20mgの範囲の用量を使用することができる。
【0036】
経口投与用の薬学的組成物は、当技術分野で既知の薬学的に許容される担体を使用して、経口投与に好適な用量で製剤化することができる。そのような担体は、対象による摂取のために、薬学的組成物を、錠剤、丸薬、糖衣錠、カプセル、液体、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁液などとして製剤化することを可能にする。ある特定の実施形態では、組成物は、非経口投与用に製剤化される。製剤および投与のための技法のさらなる詳細は、REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES(Mack Publishing Co.,Easton,Pa.、参照により本明細書に組み込まれる)の最新版に見出すことができる。医薬組成物が調製された後、それらを適切な容器に入れ、指示された状態の治療のためのラベルを付けることができる。そのようなラベルには、投与の量、頻度、および方法が含まれる。
【0037】
活性成分(例えば、式(I)の化合物)に加えて、医薬組成物は、医薬的に使用可能な調製物への活性化合物の処理を容易にする賦形剤および補助剤を含む、好適な医薬的に許容される担体を含有し得る。本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体」という用語は、任意の種類の非毒性で不活性の固体、半固体、または液体充填剤、希釈剤、封入材料、または製剤補助剤を意味する。薬学的に許容される担体として機能し得る材料のいくつかの例は、ラクトース、グルコース、およびスクロースなどの糖類、トウモロコシデンプンおよびジャガイモデンプンなどのデンプン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、および酢酸セルロースなどのセルロースおよびその誘導体、粉末トラガカント、麦芽、ゼラチン、タルク、ココアバターおよび座薬ワックスなどの賦形剤、ピーナッツ油、綿実油、紅花油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、および大豆油などの油、プロピレングリコールなどのグリコール、オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチルなどのエステル、寒天、Tween 80などの洗剤、水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムなどの緩衝剤、アルギン酸、パイロジェンフリー水、等張生理食塩水、リンガー溶液、エチルアルコール、人工脳脊髄液(CSF)、およびリン酸緩衝液などの緩衝剤、ならびにラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムなどの他の非毒性適合性滑沢剤、ならびに着色剤、放出剤、コーティング剤、甘味料、香味料、および芳香剤、防腐剤、ならびに酸化防止剤も、所望の投与経路に基づき、製剤者の判断に従って、組成物中に存在し得る。
【0038】
本明細書に記載の化合物の合成は、国際公開第2020/252041A1号に記載されており、すべての関連する目的のために参照により本明細書に組み込まれる。さらに、本明細書に記載の様々な化合物は、
図3に示されるスキームに従って調製され得る。本明細書に記載の様々な化合物を合成するために作製され得る、
図3の合成スキームに対する変更は、二重矢印によって示される。方法:i)AlCl
3、DCM、5℃~室温。ii)12N HCl。iii)1)パラホルムアルデヒド、ジメチルアミン、酢酸、85℃。iv)DMF、85℃。v)H
2SO
4。vi)KOtBu、ヨウ化ブチル。vii)ピリジン-HCl、195℃。viii)BrCH
2CO
2Et、K
2CO
3、DMF、60℃。ix)10N NaOH。
【0039】
別段の指示がない限り、本明細書に記載のアルキル、アルケニル、およびアルキニル基は、好ましくは、主鎖中に1~20個の炭素原子を含有する。これらは、直鎖状もしくは分枝状鎖または環状(例えば、シクロアルキル)であり得る。アルケニル基は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合が存在する限り、飽和または不飽和炭素鎖を含有することができる。アルキニル基は、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合が存在する限り、飽和または不飽和炭素鎖を含有することができる。別段の指示がない限り、本明細書に記載のアルコキシ基は、主鎖中に1~20個の炭素原子を有する飽和または不飽和、分枝状または非分枝状炭素鎖を含有する。
【0040】
本明細書に別段の指示がない限り、「アリール」という用語は、6~14個の環炭素原子を含有し、例えばフェニルを含む単環式、二環式、または三環式芳香族基を指す。「ヘテロアリール」という用語は、5~14個の環原子を有し、炭素原子および少なくとも1、2、または3個の酸素、窒素、または硫黄ヘテロ原子を含有する単環式、二環式、または三環式芳香族基を指す。
【0041】
本明細書で言及される「塩」という用語には、アミン塩、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、およびそれらの混合物などの様々な薬学的に許容されるその塩が含まれる。
【実施例】
【0042】
本発明をさらに例示するために、以下の非限定的な実施例が提供される。
【0043】
実施例1:SN-401およびSN-406は、マクロファージインフラマソーム活性化を頑強に阻害する。
活性SN-401、SN-406、ならびに不活性SN071およびSN072(陰性対照)の存在下および不在下で、リポ多糖(LPS)およびLPS+尿酸一ノナトリウム結晶(MSU、機械的炎症性刺激)に応答してマクロファージインフラマソーム活性化(IL-1β)を直接試験した。化合物の構造については、
図4を参照されたい。MSU結晶による機械的刺激は、マクロファージがMSUを貪食し、大きな体積変化を受けるとき、推定的機械感受性SWELL1-LRRC8チャネル複合体の生理学的活性化機構として機能する。これは、単純な脂肪肝を線維性脂肪症に向かわせることによってNASHに寄与すると考えられているコレステロール結晶に類似している。LPSプライミング、続いてMSUは、一次マクロファージからのインフラマソーム媒介性IL-1β分泌を頑強に活性化し、これは、SWELL1活性SN-401およびSN-406によって完全に抑制されるが、SWELL1オンターゲット作用機序と一致する不活性SN071/SN072によっては抑制されない(
図5)。これらのデータは、SN-401および活性同属体が抗炎症活性を有することを示す。SN-40Xが親油性カルボン酸であるという事実と合わせて、経口送達からの初回通過効果が重なって、脂肪性肝炎に寄与する常在肝マクロファージおよびクッパー細胞に抗炎症活性を発揮するのに十分な肝臓薬物濃度が増加し得る。
【0044】
実施例2:SWELL1-LRRC8調節因子SN-401およびSN-406は、LPS誘導性炎症性サイトカイン産生の発現を阻害する。
RAW264.7細胞を、ビヒクル(DMSO)またはSN-401(10μM)およびSN-406(10μM)のいずれかとともに2時間インキュベートし、続いて、細胞を、LPS(50ng/ml)単独で、またはSN-401(10μM)およびSN-406(10μM)とともに、のいずれかで30分間活性化した。活性化細胞をqRT-PCR分析のために採取した後(
図6、パネルA~Cを参照されたい)。3つの独立した実験からの選択された炎症性マーカー、IL1β、TNF-α、およびCXCL10の相対的なmRNA発現。示された群間の統計的有意性は、両側スチューデントt検定を使用することによって計算された。誤差バーは平均±s.e.m.を表す。*、P<0.05、**、P<0.01、***、P<0.001、****、P<0.0001。
【0045】
実施例3:一次マクロファージにおけるSWELL1電流
野生型(WT)一次マクロファージ(210mOsm)における低張的に誘導された電流の経時的な電流を、DCPIBによる阻害とともに測定し、DCPIB感受性SWELL1電流を明らかにした。
図7(パネルA、経時的な電流プロット、パネルB、上記(A)からの電流電圧プロット)を参照されたい。SWELL1 KO一次マクロファージ(210mOsm)における低張的に誘導された電流の経時的な電流を、DCPIB応答とともに測定した。DCPIBによる応答は特定されず、測定可能なDCPIB感受性またはSWELL1電流は明らかにならなかった。
図8(パネルA、経時的な電流プロット、パネルB、上記(A)からの電流電圧プロット)を参照されたい。
【0046】
本発明の要素またはその好ましい実施形態を紹介する場合、冠詞「a」、「an」、「the」、および「said」は、要素のうちの1つ以上が存在することを意図する。「含む(comprising)」、「含む(including)」、および「有する(having)」という用語は、包括的であり、列挙された要素以外のさらなる要素があり得ることを意味することを意図している。
【0047】
上記を考慮すると、本発明のいくつかの目的が達成され、他の有利な結果が達成されることが分かるであろう。
【0048】
本発明の範囲から逸脱することなく、上記の方法において様々な変更を行うことができるため、上記の説明に含まれ、添付の図面に示されるすべての主題は、例示的であると解釈され、限定的な意味で解釈されないことが意図される。
【0049】
本発明を詳細に説明した後、添付の特許請求の範囲に定義される本発明の範囲から逸脱することなく、修飾および変形が可能であることが明らかであろう。
【国際調査報告】