(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-15
(54)【発明の名称】実験器具位置合わせシステム及びリキッドハンドリングシステム、並びにこれらを含む方法
(51)【国際特許分類】
G01N 35/04 20060101AFI20230308BHJP
B01L 9/00 20060101ALI20230308BHJP
【FI】
G01N35/04 Z
B01L9/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022543776
(86)(22)【出願日】2021-01-14
(85)【翻訳文提出日】2022-07-19
(86)【国際出願番号】 EP2021050740
(87)【国際公開番号】W WO2021144389
(87)【国際公開日】2021-07-22
(32)【優先日】2020-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516003230
【氏名又は名称】パーキンエルマー セルラー テクノロジーズ ジャーマニー ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】PERKINELMER CELLULAR TECHNOLOGIES GERMANY GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100218604
【氏名又は名称】池本 理絵
(72)【発明者】
【氏名】ニッセン,ニルス
(72)【発明者】
【氏名】ハームセン,ギド
(72)【発明者】
【氏名】クラウニック,クリストフ
【テーマコード(参考)】
2G058
4G057
【Fターム(参考)】
2G058CF18
2G058EA02
2G058EA04
2G058ED02
2G058ED10
2G058ED36
4G057AE21
4G057AE23
(57)【要約】
実験器具とともに使用する実験器具位置合わせシステムは、フレームと固定システムとを備える。フレームは座部を備える。固定システムは、プッシャとプッシャアクチュエータとを備える。プッシャは、フレームに対して開位置と閉位置との間で移動可能である。プッシャアクチュエータは、アクチュエータリンク機構と付勢機構とを備える。アクチュエータリンク機構は、アクチュエータリンク機構が変位されているときにプッシャを閉位置から開位置へ向けて移動させるとともに、アクチュエータリンク機構が変位されていないときにプッシャが閉位置へ向けて移動することを許容するように構成される。付勢機構は、アクチュエータリンク機構が変位されていないときにプッシャを閉位置へ向けて押し進め、これにより、プッシャに実験器具を座部内に位置合わせさせるように機能する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
座部を備えるフレームと、
固定システムと
を備える、実験器具とともに使用する実験器具位置合わせシステムであって、
前記固定システムは、
前記フレームに対して開位置と閉位置との間で移動可能なプッシャと、
プッシャアクチュエータと
を備え、
前記プッシャアクチュエータは、
アクチュエータリンク機構であって、該アクチュエータリンク機構が変位されているときに前記プッシャを前記閉位置から前記開位置へ向けて移動させるとともに、該アクチュエータリンク機構が変位されていないときに前記プッシャが前記閉位置へ向けて移動することを許容するように構成される、アクチュエータリンク機構と、
前記アクチュエータリンク機構が変位されていないときに前記プッシャを前記閉位置へ向けて押し進め、これにより、前記プッシャに実験器具を前記座部内に位置合わせさせるように機能する付勢機構と
を備える、実験器具とともに使用する実験器具位置合わせシステム。
【請求項2】
前記付勢機構はばねを含む、請求項1に記載の実験器具位置合わせシステム。
【請求項3】
前記フレームは、前記座部に隣接して前記プッシャに対向する障壁を備え、
前記実験器具が前記座部内に位置決めされ、前記プッシャが前記開位置から前記閉位置へ向けて移動することを前記アクチュエータリンク機構が許容すると、前記付勢機構は前記プッシャを押し進めて前記実験器具を前記障壁に押し付ける、請求項1に記載の実験器具位置合わせシステム。
【請求項4】
前記実験器具が前記座部内に位置決めされ、前記プッシャが前記開位置から前記閉位置へ向けて移動することを前記アクチュエータリンク機構が許容すると、前記プッシャは前記実験器具を前記座部に対して位置合わせするように変位させる、請求項1に記載の実験器具位置合わせシステム。
【請求項5】
前記プッシャは、横方向の内方へ前記座部に向けて、及び前記座部から離れるように上方へ面する傾斜座面を備える、請求項1に記載の実験器具位置合わせシステム。
【請求項6】
前記アクチュエータリンク機構は、係合部材を備えており、前記アクチュエータリンク機構を変位させて前記プッシャを前記閉位置から前記開位置へ向けて移動させるために操作者によって変位されるように構成される、請求項1に記載の実験器具位置合わせシステム。
【請求項7】
前記アクチュエータリンク機構は、前記操作者が前記係合部材を解放したときに前記プッシャが前記開位置から前記閉位置へ向けて移動することを許容するように構成される、請求項6に記載の実験器具位置合わせシステム。
【請求項8】
前記係合部材は前記プッシャに機械的に結合される、請求項6に記載の実験器具位置合わせシステム。
【請求項9】
前記係合部材は、レバー部材を含み、前記操作者による第1の方向への移動を該第1の方向に対して横向きの第2の方向への前記プッシャの並進移動へ方向転換する、請求項8に記載の実験器具位置合わせシステム。
【請求項10】
前記第1の方向は鉛直であり、前記第2の方向は水平である、請求項9に記載の実験器具位置合わせシステム。
【請求項11】
前記アクチュエータリンク機構は、前記プッシャの移動をプッシャ進行軸に沿った線形並進に制限するガイド特徴部を備える、請求項1に記載の実験器具位置合わせシステム。
【請求項12】
前記プッシャの位置を判定するように機能する検知システムを更に備える、請求項1に記載の実験器具位置合わせシステム。
【請求項13】
前記検知システムは、
光ビームを発生させる光エミッタと、
前記光ビームを受けるように構成された光検知部と
を備えてなり、
前記プッシャは、該プッシャが前記閉位置にあるときに前記光ビームが前記光検知部に到達することを防止し、
前記プッシャは、該プッシャが前記座部内において前記実験器具によって変位されたときに前記光ビームが前記光検知部に到達することを許容するものである、請求項12に記載の実験器具位置合わせシステム。
【請求項14】
前記実験器具は、チップボックスと、ピペットチップボックスと、ウェルプレートと、マイクロウェルプレートと、複数の流体受入部を保持するように構成されたラックとのうちの少なくとも1つである、請求項1に記載の実験器具位置合わせシステム。
【請求項15】
実験器具位置合わせシステムを設けるステップであって、ここで、該実験器具位置合わせシステムは、
座部を備えるフレームと、
固定システムと
を備え、
前記固定システムは、
前記フレームに対して開位置と閉位置との間で移動可能なプッシャと、
プッシャアクチュエータと
を備え、
前記プッシャアクチュエータは、
前記プッシャを前記開位置から前記閉位置へ向けて押し進めるように機能する付勢機構と、
アクチュエータリンク機構と
を備えるものである、実験器具位置合わせシステムを設けるステップと、
前記アクチュエータリンク機構を機械的に変位させることにより、前記アクチュエータリンク機構に前記プッシャを前記閉位置から前記開位置へ移動させるステップと、
前記プッシャが前記開位置にある状態で前記実験器具を前記座部内に位置決めするステップと、
前記アクチュエータリンク機構を解放し、前記付勢機構が前記プッシャを前記閉位置へ向けて移動させることを許容し、これにより、前記プッシャに前記実験器具を前記座部内に位置合わせさせるステップと
を含んでなる、実験器具を位置合わせする方法。
【請求項16】
前記方法は、前記実験器具を移動させるように動作可能な運搬システムを設けるステップであって、該運搬システムは前記実験器具を解放可能に保持するように構成されたキャリアを備える、前記実験器具を移動させるように動作可能な運搬システムを設けるステップを更に含み、
前記アクチュエータリンク機構を機械的に変位させることは、前記キャリアとともに係合部材を変位させることを含み、
前記方法は、前記キャリアを前記実験器具から取り外すステップを更に含み、
前記アクチュエータリンク機構を解放することは、前記キャリアを前記アクチュエータリンク機構から引き出すことを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
位置合わせシステムと、
リキッドハンドラと
を備える、実験器具とともに使用するリキッドハンドリングシステムであって、
前記位置合わせシステムは、
座部を備えるフレームと、
固定システムと
を備え、
前記固定システムは、
前記フレームに対して開位置と閉位置との間で移動可能なプッシャと、
プッシャアクチュエータと
を備え、
前記プッシャアクチュエータは、
アクチュエータリンク機構であって、該アクチュエータリンク機構が変位されているときに前記プッシャを前記閉位置から前記開位置へ向けて移動させるとともに、該アクチュエータリンク機構が変位されていないときに前記プッシャが前記閉位置へ向けて移動することを許容するように構成される、アクチュエータリンク機構と、
前記アクチュエータリンク機構が変位されていないときに前記プッシャを前記閉位置へ向けて押し進め、これにより、前記プッシャに前記実験器具を前記座部内に位置合わせさせるように機能する付勢機構と
を備える、リキッドハンドリングシステム。
【請求項18】
前記実験器具を移動させるように動作可能な運搬システムを更に備え、
前記運搬システムは、前記実験器具を解放可能に保持するように構成されたキャリアを備え、
前記運搬システムは、前記アクチュエータリンク機構を変位させて前記プッシャを前記閉位置から前記開位置へ向けて移動させるとともに、前記実験器具を前記座部内に載置するように構成される、請求項17に記載のリキッドハンドリングシステム。
【請求項19】
前記実験器具を移動させるように動作可能な運搬システムであって、前記実験器具を解放可能に保持するように構成されたキャリアを備える、運搬システムと、
位置合わせシステムと
を備えてなる、実験器具とともに使用する実験器具ハンドリングシステムであって、
前記位置合わせシステムは、
座部を備えるフレームと、
固定システムと
を備え、
前記固定システムは、
前記フレームに対して開位置と閉位置との間で移動可能なプッシャと、
プッシャアクチュエータと
を備え、
前記プッシャアクチュエータは、
アクチュエータリンク機構であって、該アクチュエータリンク機構が前記キャリアによって変位されているときに前記プッシャを前記閉位置から前記開位置へ向けて移動させるとともに、該アクチュエータリンク機構が変位されていないときに前記プッシャが前記閉位置へ向けて移動することを許容するように構成される、アクチュエータリンク機構と、
前記アクチュエータリンク機構が変位されていないときに前記プッシャを前記閉位置へ向けて押し進め、これにより、前記プッシャに前記実験器具を前記座部内で位置合わせさせるように機能する付勢機構と
を備える、実験器具ハンドリングシステム。
【請求項20】
前記アクチュエータリンク機構は、前記キャリアが前記座部へ向けて移動して前記実験器具を前記座部内に降ろすときに前記キャリアによって変位される係合部材を備える、請求項19に記載の実験器具ハンドリングシステム。
【請求項21】
前記アクチュエータリンク機構は、前記キャリアが前記係合部材から離れる方向へ移動して前記係合部材を解放するときに前記プッシャが前記開位置から前記閉位置へ向けて移動することを許容するように構成される、請求項20に記載の実験器具ハンドリングシステム。
【請求項22】
前記係合部材は前記プッシャに機械的に結合される、請求項20に記載の実験器具ハンドリングシステム。
【請求項23】
前記係合部材は、第1の方向への前記キャリアの移動を該第1の方向に対して横向きの第2の方向への前記プッシャの並進移動へ方向転換するレバー部材を含む、請求項22に記載の実験器具ハンドリングシステム。
【請求項24】
前記第1の方向は鉛直であり、前記第2の方向は水平である、請求項23に記載の実験器具ハンドリングシステム。
【請求項25】
前記キャリアは、前記実験器具を保持するように構成されたグリッパを備える、請求項19に記載の実験器具ハンドリングシステム。
【請求項26】
前記キャリアは、キャリアアームと、該キャリアアームから延在する支持特徴部と、キャリアアクチュエータとを備え、
前記支持特徴部は、前記実験器具に係合して該実験器具を支持するように構成され、
前記キャリアアクチュエータは、前記支持特徴部を前記実験器具から係合解除して該実験器具を前記キャリアから前記座部内へ解放するように動作可能である、請求項19に記載の実験器具ハンドリングシステム。
【請求項27】
前記運搬システムはロボットアームを備え、前記キャリアは前記ロボットアーム上のエンドエフェクタである、請求項19に記載の実験器具ハンドリングシステム。
【請求項28】
自動的にプログラムに従って前記運搬システムを操作し、前記実験器具を前記座部内へ降ろす及び前記実験器具を前記座部から取り外すように構成されたコントローラを更に備える、請求項19に記載の実験器具ハンドリングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、実験器具に関し、より詳細には、実験器具をハンドリングする装置及び方法に関する。
【0002】
[関連出願]
本出願は、2020年1月17日に出願された米国仮特許出願第62/962,357号及び2020年1月22日に出願された米国仮特許出願第62/964,441号の利益及び優先権を主張する。これらの米国仮特許出願の開示内容は、その全体を引用することによって本明細書の一部をなすものとする。
【背景技術】
【0003】
実験室用のリキッドハンドリングシステムは、所定量の液体を移送及び操作するために使用される。リキッドハンドリングシステム内の実験器具容器(例えば、マイクロウェルプレート又は試料管ホルダ)内に1つ以上の液体試料を供給することができる。リキッドハンドリングシステムは、試料の一部を実験器具から取り出す(例えば、吸引による)及び/又は材料を実験器具内の試料に加える(例えば、吐出による)ために使用される1つ以上のピペッタ(pipettor)を含みうる。場合によっては、実験器具又はツールをシステム内において移動させることが望ましい又は必要となることがある。ロボットにより実験器具を移動及び載置する、及び/又はロボットにより実験器具に対して手順を実行する、場合によっては自動的にプログラムに従って実行することが望ましい又は必要となることがある。また、ピペットチップ(pipette tips)をピペッタ上に取り付ける、及び/又はピペットチップをピペッタから取り外すことが望ましい又は必要となることがある。
【発明の概要】
【0004】
幾つかの実施の形態によれば、実験器具とともに使用する実験器具位置合わせシステム(labware aligning system)は、フレームと固定システム(fixation system)とを備える。フレームは座部(seat)を備える。固定システムは、プッシャとプッシャアクチュエータとを備える。プッシャは、フレームに対して開位置と閉位置との間で移動可能である。プッシャアクチュエータは、アクチュエータリンク機構と付勢機構とを備える。アクチュエータリンク機構は、アクチュエータリンク機構が変位されるときにプッシャを閉位置から開位置へ向けて移動させるとともに、アクチュエータリンク機構が変位されないときにプッシャが閉位置へ向けて移動することを許容するように構成される。付勢機構は、アクチュエータリンク機構が変位されないときにプッシャを閉位置へ向けて押し進め、これにより、プッシャに実験器具を座部内に位置合わせさせるように機能する。
【0005】
幾つかの実施の形態において、付勢機構はばねを含む。
【0006】
幾つかの実施の形態において、フレームは、座部に隣接してプッシャに対向する障壁を備え、実験器具が座部内に位置決めされ、プッシャが開位置から閉位置へ向けて移動することをアクチュエータリンク機構が許容すると、付勢機構はプッシャを押し進めて実験器具を障壁に押し付ける。
【0007】
幾つかの実施の形態によれば、実験器具が座部内に位置決めされ、プッシャが開位置から閉位置へ向けて移動することをアクチュエータリンク機構が許容すると、プッシャは実験器具を座部に対して位置合わせするように変位させる。
【0008】
幾つかの実施の形態において、プッシャは、横方向の内方へ座部に向けて、及び座部から離れるように上方へ面する傾斜座面を備える。
【0009】
幾つかの実施の形態によれば、アクチュエータリンク機構は、係合部材を備えており、アクチュエータリンク機構を変位させてプッシャを閉位置から開位置へ向けて移動させるために操作者によって変位されるように構成される。
【0010】
幾つかの実施の形態において、アクチュエータリンク機構は、操作者が係合部材を解放したときにプッシャが開位置から閉位置へ向けて移動することを許容するように構成される。
【0011】
幾つかの実施の形態において、係合部材はプッシャに機械的に結合される。
【0012】
幾つかの実施の形態において、係合部材は、レバー部材を含み、操作者による第1の方向への移動を第1の方向に対して横向きの第2の方向へのプッシャの並進移動へ方向転換する。
【0013】
幾つかの実施の形態において、第1の方向は鉛直であり、第2の方向は水平である。
【0014】
幾つかの実施の形態によれば、アクチュエータリンク機構は、プッシャの移動をプッシャ進行軸に沿った線形並進に制限するガイド特徴部を備える。
【0015】
幾つかの実施の形態によれば、実験器具位置合わせシステムは、プッシャの位置を判定するように機能する検知システムを更に備える。
【0016】
幾つかの実施の形態において、検知システムは、光ビームを発生させる光エミッタと、光ビームを受けるように構成された光検知部とを備える。プッシャは、プッシャが閉位置にあるときに光ビームが光検知部に到達することを防止する。プッシャは、プッシャが座部内において実験器具によって変位されたときに光ビームが光検知部に到達することを許容する。
【0017】
幾つかの実施の形態によれば、実験器具は、チップボックス、ピペットチップボックス、ウェルプレート、マイクロウェルプレート、及び複数の流体受入部を保持するように構成されたラックのうちの少なくとも1つである。
【0018】
方法も開示され、当該方法は、フレームと固定システムとを備えた実験器具位置合わせシステムを設けることを含む、実験器具を位置合わせする方法を含む。フレームは座部を備える。固定システムは、プッシャとプッシャアクチュエータとを備える。プッシャは、フレームに対して開位置と閉位置との間で移動可能である。プッシャアクチュエータは、プッシャを開位置から閉位置へ向けて押し進めるように機能する付勢機構と、アクチュエータリンク機構とを備える。方法は、アクチュエータリンク機構を機械的に変位させることにより、アクチュエータリンク機構にプッシャを閉位置から開位置へ向けて移動させることと、プッシャが開位置にある状態で実験器具を座部内に位置決めすることと、アクチュエータリンク機構を解放し、付勢機構がプッシャを閉位置へ向けて移動させることを許容し、これにより、プッシャに実験器具を座部内に位置合わせさせることとを更に含む。
【0019】
幾つかの実施の形態によれば、方法は、実験器具を移動させるように動作可能な運搬システムを設けることであって、運搬システムは実験器具を解放可能に保持するように構成されたキャリアを備える、実験器具を移動させるように動作可能な運搬システムを設けることを更に含み、アクチュエータリンク機構を機械的に変位させることは、キャリアとともに係合部材を変位させることを含み、方法は、キャリアを実験器具から取り外すことを更に含み、アクチュエータリンク機構を解放することは、キャリアをアクチュエータリンク機構から引き出すことを含む。
【0020】
幾つかの実施の形態によれば、実験器具とともに使用するリキッドハンドリングシステムは、位置合わせシステムとリキッドハンドラとを備える。位置合わせシステムは、フレームと固定システムとを備える。フレームは座部を備える。固定システムは、プッシャとプッシャアクチュエータとを備える。プッシャは、フレームに対して開位置と閉位置との間で移動可能である。プッシャアクチュエータは、アクチュエータリンク機構と付勢機構とを備える。アクチュエータリンク機構は、アクチュエータリンク機構が変位されるときにプッシャを閉位置から開位置へ向けて移動させるとともに、アクチュエータリンク機構が変位されないときにプッシャが閉位置へ向けて移動することを許容するように構成される。付勢機構は、アクチュエータリンク機構が変位されないときにプッシャを閉位置へ向けて押し進め、これにより、プッシャに実験器具を座部内に位置合わせさせるように機能する。
【0021】
幾つかの実施の形態において、リキッドハンドリングシステムは、実験器具を移動させるように動作可能な運搬システムを更に備え、運搬システムは、実験器具を解放可能に保持するように構成されたキャリアを備え、運搬システムは、アクチュエータリンク機構を変位させてプッシャを閉位置から開位置へ向けて移動させるとともに、実験器具を座部内に載置するように構成される。
【0022】
幾つかの実施の形態によれば、実験器具とともに使用する実験器具ハンドリングシステムは、運搬システムと位置合わせシステムとを備える。運搬システムは、実験器具を移動させるように動作可能である。運搬システムは、実験器具を解放可能に保持するように構成されたキャリアを備える。位置合わせシステムは、フレームと固定システムとを備える。フレームは座部を備える。固定システムは、プッシャとプッシャアクチュエータとを備える。プッシャは、フレームに対して開位置と閉位置との間で移動可能である。プッシャアクチュエータは、アクチュエータリンク機構と付勢機構とを備える。アクチュエータリンク機構は、アクチュエータリンク機構がキャリアによって変位されているときにプッシャを閉位置から開位置へ向けて移動させるとともに、アクチュエータリンク機構が変位されていないときにプッシャが閉位置へ向けて移動することを許容するように構成される。付勢機構は、アクチュエータリンク機構が変位されていないときにプッシャを閉位置へ向けて押し進め、これにより、プッシャに実験器具を座部内に位置合わせさせるように機能する。
【0023】
幾つかの実施の形態によれば、アクチュエータリンク機構は、キャリアが座部へ向けて移動して実験器具を座部内に降ろすときにキャリアによって変位される係合部材を備える。
【0024】
幾つかの実施の形態において、アクチュエータリンク機構は、キャリアが係合部材から離れる方向へ移動して係合部材を解放するときにプッシャが開位置から閉位置へ向けて移動することを許容するように構成される。
【0025】
幾つかの実施の形態において、係合部材はプッシャに機械的に結合される。
【0026】
幾つかの実施の形態において、係合部材は、第1の方向へのキャリアの移動を第1の方向に対して横向きの第2の方向へのプッシャの並進移動へ方向転換するレバー部材を含む。
【0027】
幾つかの実施の形態において、第1の方向は鉛直であり、第2の方向は水平である。
【0028】
幾つかの実施の形態によれば、キャリアは、実験器具を保持するように構成されたグリッパを備える。
【0029】
幾つかの実施の形態において、キャリアは、キャリアアームと、キャリアアームから延在する支持特徴部と、キャリアアクチュエータとを備え、支持特徴部は、実験器具に係合して実験器具を支持するように構成され、キャリアアクチュエータは、支持特徴部を実験器具から係合解除して実験器具をキャリアから座部内へ解放するように動作可能である。
【0030】
幾つかの実施の形態によれば、運搬システムはロボットアームを備え、キャリアはロボットアーム上のエンドエフェクタである。
【0031】
幾つかの実施の形態によれば、実験器具ハンドリングシステムは、自動的にプログラムに従って運搬システムを操作し、実験器具を座部内へ降ろす及び実験器具を座部から取り外すように構成されたコントローラを更に備える。
【0032】
本明細書の一部を構成する添付の図面は、本技術の実施形態を示す。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】実験器具ハンドリングシステムを含む、例証的な実験室用のリキッドハンドリングシステムの正面図である。
【
図2】
図1に係る実験器具ハンドリングシステムの断片的な上方背面斜視図である。
【
図3】
図1に係る実験器具ハンドリングシステムの断片的な分解上方正面斜視図である。
【
図4】
図1に係る実験器具ハンドリングシステムの一部を構成する実験器具ホルダの断片的な分解上方背面斜視図である。
【
図5】
図4に係る実験器具ホルダの一部を構成するプッシャの側面図である。
【
図6】プッシャが開位置にある、
図1の実験器具ハンドリングシステムの断片的な上面図である。
【
図7】プッシャが開位置にある、
図1に係る実験器具ハンドリングシステムの断片的な側面図である。
【
図8】プッシャが開位置にある、
図1に係る実験器具ハンドリングシステムの断片的な底面斜視図である。
【
図9】実験器具が実験器具ホルダ内に載置され、キャリアのアームが開位置にあり、プッシャが開位置にある、
図1に係る実験器具ハンドリングシステムの断片的な上面図である。
【
図10】実験器具が実験器具ホルダ内に着座し、プッシャが固定位置にある、
図4に係る実験器具ホルダの上面図である。
【
図11】実験器具が実験器具ホルダ内に着座し、プッシャが固定位置にあり、ピペットチップが実験器具から取り外された、
図1に係る実験室用のリキッドハンドリングシステムの断片的な側面図である。
【
図12】代替的な実験器具が実験器具ホルダ内に着座し、
図4の実験器具ホルダ内に着座した実験器具内のバイアルとピペッタが位置合わせされた、
図1に係る実験室用のリキッドハンドリングシステムの断片的な側面図である。
【
図13】
図1に係るシステム等の実験室用のリキッドハンドリングシステムの一部を構成するコントローラを表す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本技術の例証的な実施形態が示されている添付の図面を参照し、本技術について以降でより詳細に説明する。図面において、領域又は特徴部分の相対的な大きさは、明瞭化のために誇張される場合がある。しかし、本技術は、多くの異なる形態で具現できるものであり、本明細書において記載されている実施形態に限定して解釈すべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が詳細かつ完全なものとなり、当業者に対して本技術の範囲を十分に伝えるように提供される。
【0035】
様々な構成要素、構成部品、領域、層、及び/又はセクションについて説明するために本明細書において「第1の」、「第2の」等の用語を使用する場合があるが、これらの構成要素、構成部品、領域、層、及び/又はセクションは、これらの用語によって限定すべきでないことが理解されるであろう。これらの用語は、1つの構成要素、構成部品、領域、層、又はセクションを別の領域、層、又はセクションと区別するためにのみ使用される。したがって、以下で論じる第1の構成要素、構成部品、領域、層、又はセクションは、本技術の教示から逸脱することなく、第2の構成要素、構成部品、領域、層、又はセクションという用語となる場合がある。
【0036】
「の下に(beneath)」、「の下に(below)」、「の下側の(lower)」、「の上に(above)」、「の上側の(upper)」等のような空間的に相対的な用語は、図に示す、1つの要素又は特徴部の、(複数の場合もある)別の要素又は特徴部に対する関係を述べるため、説明の容易さのために本明細書において使用することができる。空間的に相対的な用語は、図に示す向きに加えて、使用中又は動作中の装置の異なる向きを包含することが意図されることが理解されるであろう。例えば、図における装置が反転される場合、他の要素又は特徴部「の下に(below)」又は「の下に(beneath)」として述べられる要素は、他の要素又は特徴部「の上に(above)」向けられることになる。そのため、例示的な用語「の下に(below)」は、「の上に(above)」の向きと「の下に(below)」の向きの両方を包含し得る。装置は、その他の方法で(90度回転して又は他の向きに)向けることができ、本明細書で使用される空間的に相対的な記述語(descriptors)は、相応して解釈される。
【0037】
本明細書において用いられる場合、別段明示される場合を除き、単数形「a」、「an」及び「the」は、複数形も包含することを意図される。本明細書において用いられる場合、「備える、含む(includes、comprises)」及び/又は「備えている、含んでいる(including、comprising)」という用語は、述べられている特徴、完全体、ステップ、動作、要素、及び/又はコンポーネントの存在を特定するが、1つ以上の他の特徴、完全体、ステップ、動作、要素、コンポーネント、及び/又はそれらの群の存在又は追加を除外しないことが更に理解されるであろう。構成要素が別の構成要素に「接続」又は「連結」されているという場合、それは、他の構成要素に直接的に接続若しくは連結されている場合があるか、又は介在する構成要素が存在する場合があることが理解されるであろう。本明細書において用いられる場合、「及び/又は(and/or)」という用語は、関連付けられて列挙された項目のうちの1つ以上の任意及び全ての組み合わせを含む。
【0038】
「自動的に(automatically)」という用語は、動作が、実質的に、場合によっては全体的に、人間による入力又は手動による入力なしに実行されるとともに、プログラムに従って指示又は実行される場合があることを意味する。
【0039】
「プログラムに従って(programmatically)」という用語は、コンピュータプログラムモジュール、コード、及び/又は指示によって電子的に指示及び/又は主に実行される動作をいう。
【0040】
「電子的に(electronically)」という用語は、構成部品間の無線接続及び有線接続の両方を含む。
【0041】
図1を参照すると、本技術の或る特定の実施形態に係る一例示の実験器具ハンドリングシステム101が示されている。例示の実験器具ハンドリングシステム101は、本技術の例示の実施形態に係るリキッドハンドリングシステム10(
図1)の一部を構成するが、開示の方法、システム、及び装置がリキッドハンドリングのシステム及び/又は用途に限定されず、実験器具を位置合わせすることが望まれる他のシステム及び用途に本開示を適用可能であることを理解すべきである。
図1の実施形態に関しては、実験器具ハンドリングシステム101は、システム10内において実験器具50を運搬及び位置決めする。
【0042】
以下でより詳細に論じるように、図示されている例示の実験器具ハンドリングシステム101は、実験器具運搬システム70と実験器具位置合わせシステム又は実験器具ホルダ100(以下、実験器具ホルダ100という)とを含む。幾つかの実施形態において、実験器具運搬システム70は、実験器具50を運搬するとともに、実験器具50を実験器具ホルダ100内に載置する。他の実施形態又は使用において、実験器具運搬システム70は、設けられない、又は実験器具50を運搬する及び/又は実験器具50を実験器具ホルダ100内に設置するために使用されない。
【0043】
図1を参照すると、例示のシステム10は、プラットホーム又はデッキ12と、フレーム14と、コントローラ20と、分析機器16と、リキッドハンドラ30と、ピペッティングモジュール40と、ピペッティングモジュール位置決め器49とを含む。
【0044】
論考を目的として、そして
図1及び
図6に示すように、作業空間においては、鉛直に対応するZ軸と水平面を共に画定するX軸及びY軸とが規定されている。
【0045】
例示の実施形態において、実験器具50は、作業領域内において(デッキ12に対して)運搬可能な容器であるが、本開示は実験器具のタイプに限定されない。例示の実験器具は、トレイ、ラック、キャリア、又はプラッタ52(
図3)と、プラッタ52上に取り付けられた複数の標的ユニット又は対象物60(
図3)とを含む。例示の実施形態のような幾つかの実施形態において、対象物60はピペットチップである。
【0046】
しかし、実験器具は、本技術の実施形態に応じて他の形態を取ることができる。幾つかの実施形態において、実験器具50は、システム10によって操作される1つ以上の液体試料を保持するように構成された容器である。実験器具50は、それぞれがそれぞれの液体試料を保持するように構成された複数の受入部を含みうる。受入部は、ピペットチップ60の代わりにプラッタ52内に取り外し可能に着座する個別のバイアル又は他の入れ物とすることができる。更なる例として、実験器具50は、液体試料を直接的に収容するために一体の凹部若しくは受入部を含むウェルプレート若しくはマイクロウェルプレートとすることができる、又はこれを含みうる。しかし、開示の方法、システム、及び装置は、対象物(例えば、ピペットチップ)又は液体試料を保持する実験器具と共に使用することに限定されないことが理解されるであろう。
【0047】
実験器具50は、ピペットチップ、バイアル、若しくは他の適したタイプの液体容器若しくは入れ物を保持する別の構成のプラッタ若しくはラックとすることができるか、又はこれを含みうる。
【0048】
図3の例示のプラッタ52は、プラッタ52の両側に沿って水平に延在する溝54の形態のキャリア係合特徴部を含む。例示のプラッタ52は、それぞれがプラッタ52の上側からアクセス可能な複数の受入部又はスロット57も含む。このようなシステムにおいて、ピペットチップ60は、それぞれのスロット57の内部にそれぞれ取り付けることができる。幾つかの実施形態において、スロット57は、定められたX-Y配列で配置される。例えば、例示のプラッタ52は、8×12の配列のスロット57(合計で96個のスロット)を含む。
【0049】
図1に係る本開示の実施形態に関して、リキッドハンドラ30は、所望量の液体を容器から吸引及び/又は容器内へ吐出することができる任意の装置として理解することができる。例としてのリキッドハンドラ30は、例えば、1つ以上の長さの管30Aによってピペッティングモジュール40に流体接続されたシリンジ又はポンプを含みうる。例示のリキッドハンドラ30は、コントローラ20によって制御することができる。
【0050】
例示のピペッティングモジュール40は、ハウジング又はベース42と、ベース42上に取り付けられた複数のピペッタ44とを含みうる。ピペッタ44は、例えば、単一の列又は定められたX-Y配列で配置することができる。
【0051】
ピペッティングモジュール位置決め器49は、ピペッティングモジュール40をデッキ12の周囲で動き回らせるような実施形態で設けることができる。ピペッティングモジュール40は、選択的にピペッタ44をベース42に対して下降及び上昇(伸張及び退縮)させる及び/又はベース42をデッキ12に対して上昇及び下降させるために、1つ以上のピペッタアクチュエータ49Aを含みうる。ピペッティングモジュール位置決め器49及び(複数の場合もある)アクチュエータ49Aは、コントローラ20によって制御することができる。
【0052】
図11を参照するとともに、引き続き
図1の例証的な実施形態を参照すると、各ピペッタ44が長手方向軸T-Tと遠位端部46とを有していることが理解できる。同様に、各ピペッタ44が、遠位端部46の開口48Aで終端する、軸方向に延在する通路48Bを有していることが理解できる。
図1に係るシステムに応じた使用において、各ピペッタ44は、(複数の場合もある)ピペッタアクチュエータ49Aによって長手方向軸T-Tに沿って上昇及び下降させることができる。幾つかの実施形態において、軸T-Tは、鉛直軸Z-Zに対して実質的に平行である。幾つかの実施形態において、ピペッタ44のうちの1つ以上は、管30Aによってリキッドハンドラ30に流体接続される。
【0053】
各ピペッタ44は、(
図11に概略的に示されている)ピペットチップ取り外し機構47も含みうる。
【0054】
続けて
図11を参照すると、各例示のピペットチップ60は、管状であるとともに、遠位端部60Aと対向する近位端部60Bとを有する。各ピペットチップ60は、ピペットチップ60を完全に貫通して延在するとともに遠位端部60Aの終端開口64で終端する貫通路66を含む。各ピペットチップ60は、近位端部60B上に連結基部62も含む。各ピペットチップ60は、連結基部62が上方に面するようにスロット57のそれぞれの内部に着座する。
【0055】
ピペッタ44の遠位端部46と連結基部62とは、各ピペットチップ60をそれぞれの遠位端部46に解放可能又は取り外し可能に固定するように協働的に適合又は構成される。幾つかの実施形態において、ピペッタ44及びピペットチップ連結基部62は、遠位端部46が連結基部62に軸方向に挿入されたときに連結基部62が遠位端部46を把持する(例えば、締まり嵌めによる、及び/又は遠位端部46若しくは連結基部62上に取り付けられたОリング(例えば、エラストマーのOリング)による)又は遠位端部46と相互係止するように構成される。幾つかの実施形態において、把持又は相互係止は、本明細書において説明するような動作時においてピペットチップ60を端部46上に保持するのに十分でありながら、取り外し動作時に意図的に作用した場合にピペットチップ60を端部46から外すこと及び取り外すことも許容する。幾つかの実施形態において、ピペットチップ取り外し機構47は、各ピペットチップ60を関連付けられたピペッタ44から選択的に及び強制的に押し外すように構成される。
【0056】
図3を参照すると、幾つかの実施形態において、実験器具50は、プラッタ52を含むチップボックス又はピペットチップボックスとして設けられ、例えば製造者によって、ピペットチップ60を内部に事前に設置することができる。
【0057】
例示の運搬システム70(
図1)は、関節ロボット型運搬アーム72と、(運搬アーム72上のエンドエフェクタとして設けられる)キャリア80と、1つ以上の運搬アームアクチュエータ74とを含む。運搬アームアクチュエータ74は、キャリア80を上昇及び下降させることを含め、キャリア80をデッキ12の周囲で動き回らせるように動作可能である。
【0058】
幾つかの実施形態において、キャリア80はロボットグリッパである。例示のキャリア80(
図3)は、キャリアベース82と、ベース82上に取り付けられた一対の対向するキャリアフィンガ又はアーム84とを含む。例示のキャリアアーム84は、キャリアベース82から片持状態で突出するとともに、長手方向軸A-Aに沿って延在する。例示のアーム84は、軸A-Aを中心に離隔しており、それらの間には開放空間が画定される。各アーム84には、対向するアーム84へ向けて横方向の内方へ突出する支持特徴部又はタブ86が設けられる。例示の実施形態において、支持アーム84及びタブ86はキャリア座部81を画定しているが、このような例は例示のために提供されるものであり、限定するためのものではない。
【0059】
例としてのキャリア80は、アーム84を横方向軸L-Lに沿った横方向において互いに向かうように(狭まり方向DGに)及び横方向に離れるように(広がり方向DRに)選択的に変位させるように構成されたキャリアアクチュエータ83を更に含む。これにより、キャリアアクチュエータ83は、アーム84が第1の距離で広がった開位置(
図9)、及び、代替的に、アーム84が第1の距離よりも短い第2の距離で横方向に広がった閉位置(
図6)にキャリア80を載置するために使用することができる。
【0060】
本明細書における開示から、運搬システム70及びキャリア80が本明細書に示されている構成とは異なる構成とすることができることが認識されるであろう。例えば、運搬システム70は、運搬アーム72に代えて又はこれに加えて、レールガントリ機構(a rail and gantry mechanism)を含みうる。
【0061】
リキッドハンドラ30と、ピペッティングモジュール40と、ピペッティングモジュール位置決め器49と、実験器具運搬システム70との構造及び機能は例示的なものにすぎず、これらのシステム及び構成部品を本技術の実施形態に応じて別様な構造とするとともに動作させることができることが認識されるであろう。
【0062】
例示の実験器具ホルダ100は、実験器具ホルダ座部102を画定するフレーム110と固定システム131とを含むが、本開示はそのような実施形態に限定されない。実験器具ホルダ100は、実験器具有無検知システム178(
図8)を更に含みうる。
【0063】
図3のフレーム110は、フレームベース112と、3つの固定止め部116A、116B及び116Cとを含む。
【0064】
例としてのフレーム110は、第1の又は主軸M-M(
図10)、第2の又は横方向軸L-L、及び第3の又は高さ方向軸H-H(
図7)を有する。幾つかの実施形態において、高さ方向軸H-Hは実質的に鉛直であり、主軸M-M及び横方向軸L-Lは実質的に互いに垂直であるとともに高さ方向H-Hに対して垂直である。
【0065】
図10に戻り、例示のフレームベース112は、前端側部112A、対向する後端側部112B、第1の横側部112C、及び対向する第2の横側部112Dによって境界が形成される、平面状の水平方向に方向付けられた支持面114(
図3)を含む。凹部118(
図4)がベース112の1つの角部に画定される。支持面114は、実質的に水平なホルダベース面を画定する。
【0066】
止め部116Aは、側部112Bと側部112Dとの間の角部の近くの後端側部112Bの縁部に位置する。この実施形態において、止め部116Bは、止め部116Aと止め部116Bとが互いに垂直となって角座部117を集合的に画定するように、側部112Bと側部112Dとの間の角部の近くの側部112Dの縁部に位置する。止め部116Cも横側部112Dの縁部に位置し、止め部116Bから軸方向に離隔する。止め部116B及び止め部116Cは、横側部障壁を集合的に構成する。止め部116Aは端障壁を構成する。止め部の他の構成を使用することができ、本開示は、例示のために提供されており限定するためのものではない例示の実施形態に限定されない。
【0067】
図4を参照すると、例示の固定システム131は、プッシャ130と、マウントアセンブリ150と、プッシャアクチュエータリンク機構160と、ばね156とを含む。アクチュエータリンク機構160及びばね156は、協働してプッシャアクチュエータを構成する。
【0068】
本開示の目的のために、プッシャは、実験器具の構成部品をフレームの座部内へ付勢する役割を担う、及び/又はこれを行うことが可能な機構であるものとして理解することができる。
図4及び
図5の例示のプッシャ130は、平面状の水平に方向付けられた支持面132Aを有する本体又はベース132を含む。例示のプッシャ130は、支持面132Aから上方へ突出するとともに座面136を有する、一体の止め部、ポスト、又は支え特徴部134を更に含む。座面136(
図5)は、下方面136Aと面取り又は傾斜上方面136Bとを含む。以下で論じるように、プッシャ130は、ベース112に摺動可能に連結され、実質的に水平な摺動又はプッシャ進行軸P-Pに沿って内方向DC及び反対の外方向DOに摺動する。プッシャ進行軸P-Pは主軸M-Mに対して実質的に平行である。
【0069】
図5を参照すると、プッシャ130の下方面136Aは、実質的に平面状であり、プッシャ下方平面を画定する。プッシャ下方平面は、鉛直Z-Zに対して実質的に平行に(すなわち、支持面114の水平な基面に対して実質的に垂直に)延在する。プッシャ下方平面は、プッシャ進行軸P-Pとともに斜角(oblique angle)A1(
図10)を形成する。
【0070】
例示のプッシャ130の上方面136Bは、実質的に平面状であり、プッシャ上方平面を画定する。プッシャ上方平面は、鉛直Z-Zに対して斜角A2(
図5)で延在する。上方面136Bは、プッシャ進行軸P-Pとともに斜角A3(
図10)を形成する。座面136の上方面136Bは、横方向の内方へ座部102に向けて、そして座部102から離れる上方に面する。
【0071】
プッシャ130の形状及び構造が例示的なものであり、プッシャが本技術の他の実施形態に応じて異なる構成を有することができることが認識されるであろう。
【0072】
レバーガイドスロット140(
図4)は、例示のプッシャ130の外側の横側部に画定される。レバーガイドスロット140は、実質的に鉛直に延在する。
【0073】
一体のリニアガイドレール142(
図5、
図8)は、プッシャ130の内側の横側部に沿って延在する。ガイドレール142は、実質的に水平な軸に沿って延在する。
【0074】
一体の検知タブ144(
図5、
図8)は、プッシャ130の前端から前方に突出する。
【0075】
マウントアセンブリ150(
図4)は、固定ブロック152及びガイドトラック154を含む。固定ブロック152はベース112に固定され、そしてガイドトラック154は固定ブロック152に固定される。ガイドトラック154は、ガイドレール142が摺動可能に受け入れられるガイド溝154Aを画定する。例示のガイドレール142及びそれによるプッシャ130は、これにより、ベース112に連結され、プッシャ進行軸P-Pに沿って摺動する。ガイドトラック154とガイドレール142(
図5、
図8)との間の係合により、プッシャ130がプッシャ進行軸P-Pに沿った直線移動に制限される。
【0076】
ばね156は付勢機構としての役割を持つことができるが、それは単に付勢機構の一例である。例示の実施形態に関し、ばね156は、任意の適切なタイプのばねとすることができる。幾つかの実施形態において、及び例示のように、ばね156は巻線コイルばねである。ばね156の一端部156Aは、プッシャ130に固定される(例えば、ばねピンによる)。ばね156の対向する端部156Bは、ベース112に固定される(例えば、取り付け特徴部又は締結具による)。
【0077】
図4及び
図6~
図8を参照すると、プッシャアクチュエータリンク機構160は、係合部材又はレバー部材170と、レバーホルダ162と、回動ピン164と、ガイドピン166とを含む。レバー部材170は、上方脚部172と、下方脚部174と、回動穴173と、係合特徴部176とを含む。レバーホルダ162は、ベース112上に堅く取り付けられる。レバー部材170は、水平回動軸Q-Q(
図6)周りの回転のために、回動ピン164によってレバーホルダ162に回動可能に連結される。上方脚部172は、回動軸Q-Qから横方向にオフセットしている。
【0078】
ガイドピン166は、下方脚部174に固定され、横方向の内方へ延在する。ガイドピン166は、プッシャ130のガイドスロット140(
図7、
図8)内に摺動可能に着座し、レバー部材170をプッシャ130に機械的に結合する。
【0079】
係合特徴部176は、上方脚部172の上端に位置する。係合特徴部176は、頂部側に係合面を含んでおり、ベース112へ向かって延在する内側セクション176Aと、ベース112から離れる方向に延在する外側セクション176Bとを有する。
【0080】
ここで
図8を参照すると、検知システム178は、係合部材又は光エミッタ178Aと光センサ178Bとを含み、これらは離隔して間にスロット179を画定することができる。以下で論じるように、プッシャ130が閉位置へ向けて内方に摺動すると検知タブ144がスロット179内に受けられ、プッシャ130が開位置へ向けて外方に摺動すると検知タブ144がスロット179から外される。
【0081】
図10を参照すると、例示の座部102は、ベース112と、止め部116A~116Cと、レバーホルダ162と、プッシャ130とによって境界が形成される。座部102は、ベース前端部112Aの近くの前端部102Aと、ベース後端部112Bの近くの後端部102Bと、ベース側部112Cの近くの第1の横側部102Cと、ベース横側部112Dの近くの第2の横側部102Dとを有する。例示の座部102は、頂部開口102E(
図3)も含む。
【0082】
ここで、本技術の方法に係る、システム10及び実験器具ハンドリングシステム101の例示的な動作並びにホルダ100の使用について、
図6~
図11を参照して説明する。以下の手順が例示的なものであり、操作者の望みに応じて変更できることが認識されるであろう。
【0083】
最初に、実験器具ホルダ100は空であり、キャリア座部81内には実験器具が配設されていない。ばね156は、(
図2及び
図3に示すように)プッシャ130を閉位置に保持する。プッシャ130の前端は凹部118(
図4)の縁部に当接する。幾つかの実施形態において、プッシャ130が閉位置にあるときにばね156は引張状態にあり(すなわち、弛緩状態から伸ばされている)、これにより、ばね156はプッシャ130を前方向DRに引き出す持続的な負荷を加える。
【0084】
引き続き
図1を参照すると、実験器具50は、デッキ12上又は他の場所に配設することができる。例えば、実験器具50は、運搬システム70によってアクセス可能な場所において1つ以上の他のチップボックス上に積載されるチップボックスとすることができる。運搬システム70は、実験器具50を把持し、実験器具50をホルダ100へ運搬し、実験器具50をホルダ100内に降ろし、実験器具50を解放するように動作する。これらの動作は、コントローラ20によって実行することができる。
【0085】
より具体的には、そして
図2及び
図3において例示されるように、キャリア80のアーム84は、キャリアアクチュエータ83によって方向DRに広げられ開位置となる。開位置において、アーム84は所定の距離だけ離隔する。開位置において、支持タブ86間の間隔は、実験器具50の対応する幅よりも大きい。
【0086】
例示の実施形態について
図1に示すように、運搬アーム72は、次に、運搬アームアクチュエータ74によって駆動され、実験器具溝55(
図7及び
図8)に対して位置合わせした状態で支持タブ86を位置決めする。そして、キャリアアクチュエータ83(
図3)は、アーム84を内方に変位させて把持位置とする。把持位置において、アーム84は、第1のアーム離間距離よりも短い距離だけ離隔しており、支持タブ86は溝55内に受けられる。実験器具50は、これにより、キャリア80によって把持される。支持タブ86は、実験器具50の一部の下方に位置決めされ、これにより、実験器具50の重量が支持タブ86によって支持される。
【0087】
そして、
図1の運搬アーム72は、運搬アームアクチュエータ74によって駆動され、キャリア80及び把持した実験器具50を、座部102の上方に、概ね(しかし、通常、正確ではない)座部102と位置合わせした状態で(例えば、
図2に示すように)位置決めする。例えば、幾つかの実施形態において、実験器具50は、座部102の横側部の境界102A~102D(
図10)に対して実質的に中央に置かれる。
【0088】
そして、運搬アーム72は、運搬アームアクチュエータ74によって駆動され、キャリア80(
図7の方向D4)及び把持した実験器具50を座部102内に下降させる。キャリア80が下降すると、左アーム84が
図4のレバーアーム係合特徴部176の内側セクション176Aに接触する。アーム駆動部74が更にキャリア80を下方に移動させると、アーム84が係合特徴部176に鉛直方向下向きの力を加える。この力により、レバー部材170が機械的に変位し、回動軸Q-Q(
図6)周りを方向D5(
図7)に回転する。レバー部材170の回転により、
図4のガイドピン166が後方(
図7の方向DO)かつ上方に変位し、これにより、ガイドピン166がプッシャ130を後方向DOへ押しながらガイドスロット140内を上方に摺動する。リンク機構160は、これにより、第1の方向へのキャリアアーム84の移動を第1の方向に対して横向きの第2の方向へのプッシャ130の並進移動に方向転換する。より具体的には、リンク機構160は、これにより、キャリアアーム84の鉛直方向下向きの並進移動をプッシャ130の水平方向外向きの並進移動に方向転換又は変換する。幾つかの実施形態において、プッシャ進行軸P-P(
図7)は、アーム84の下向きの移動の軸に対して実質的に垂直である。プッシャ130の変位によってばね156が伸び、ばね156の戻り力によってアーム84に対するレバー部材170のしっかりとした接触が維持される。
【0089】
例示の
図1の運搬アームアクチュエータ74は、プッシャ130が開位置(
図6~
図8)へと変位して実験器具50がベース112の支持面114(
図3)上で静止するまで、キャリア80を座部102内へと下降させる。
【0090】
図6のレバー部材170、アーム84、及び実験器具50は、実験器具50とプッシャ130との間の接触が防止されるように相対的に構成及び配置される。(
図4及び
図6~
図8のリンク機構160を介して)アーム84は、閉位置にあるプッシャ130によって占められる容積部に実験器具50が入る前にプッシャ130を外方に変位させ、実験器具50が支持面114上で静止するまでプッシャ130をこのより開いた位置で保持する。すなわち、リンク機構170は、実験器具50が座部102内に下降させられることによるプッシャ130と実験器具50との間の接触又は干渉を未然に防ぐような位置にプッシャ130を載置及び維持する。プッシャ130の開位置において、ばね156は弛緩位置から伸ばされる。
【0091】
プッシャ130は、距離L2(
図7)だけ閉位置(
図2、すなわち、レバー部材170が直立した準備位置にある)から開位置(
図7、すなわち、キャリアアーム84がレバー部材170上の最下位置にある)に進行する。
【0092】
実験器具50が支持面114(
図3)上に載置された状態で、アクチュエータ83はアーム84をキャリア開位置に戻して離すように移動させる。その際、左アーム84は、レバー部材係合特徴部176に沿って内側セクション176Aから外側セクション176B(
図4)へ外方に(方向D6、
図9)摺動する。支持タブ86は、これにより、実験器具溝55から引き出され、実験器具50のない側方に位置決めされる。左アーム84の鉛直方向の位置は、レバー部材170の位置が変化せず、これによってプッシャ130が開位置に維持されるように、この遷移時には同じ状態で維持される。
【0093】
キャリアアーム84が開位置にある状態で、運搬アームアクチュエータ74は、座部102及びレバー部材170から鉛直方向に離れるようにキャリア80を上昇させる。左キャリアアーム84が持ち上げられると、係合特徴部176は、左キャリアアーム84によってそれ以上は変位せず、上方に移動することが許容される。結果として、レバー部材170が方向D5とは反対の方向に回転する。このレバー部材170の解放により、ばね156がプッシャ130を閉方向DC(
図10)に閉位置へ向けて摺動させることが許容される。
【0094】
ばね156の戻り力がプッシャ130によって実験器具50に加えられる。プッシャ130が閉位置へ向けて移動すると、プッシャ130は実験器具50の近い角部に係合する。プッシャ130が閉位置へ向けて移動し続けると、ばね156の力によって、プッシャ130が実験器具50を座部102内に位置合わせする。より具体的には、ばねの負荷が加わったプッシャ130により、実験器具が変位して座部102と位置合わせされる。
【0095】
プッシャ130は方向DCに変位するが、付勢された下方面136Aは、実験器具50に加わった力を角座部117へ向けて前方向(方向DF1、
図10)及び横方向(方向DF2)の両方に分散させる。プッシャ130から最も遠い実験器具50の角部及び側部は、これにより、止め部116A~116Cに対して押し上げられるとともに負荷を加える。
【0096】
図11に示されるように、例示のプッシャ130は、固定位置を取るまで距離L3だけ方向DCに進行し、この固定位置でプッシャ130は実験器具50によって更なる進行が防がれる。固定位置(
図10及び
図11)において、レバー部材170は、直立した準備位置へ部分的に戻される。戻り進行距離L3は開放進行距離L2(
図7)よりも短い。固定位置におけるプッシャ130と座部後端部102B(
図10)との間の距離は、開位置におけるプッシャ130と座部後端部102Bとの間の距離よりも短いが、閉位置におけるプッシャ130と座部後端部102Bとの間の距離よりも長い。
【0097】
ばねによって負荷が加えられたプッシャ130は、プッシャ130と止め部116A~116Cとの間で実験器具50を挟む。これにより、実験器具50は、ホルダ100及び座部102に対して強制的に位置合わせされ、位置決めされ、重ね合わされる。実験器具50は、プッシャ130の下方面136A(
図10)と止め部116A~116Cとの間に捕捉される。幾つかの実施形態において、ばね156は、プッシャ130を介して実験器具50に負荷を加え続けるように固定位置において伸びた状態が維持され、これにより、実験器具が座部102内において適切な位置に固定される。
【0098】
そして、実験器具50は、ホルダ100内に固定した状態でシステム10によって操作することができる。幾つかの実施形態において、システム10は、ピペッティングモジュール40を使用して、実験器具が座部102内に固定された状態で操作を実行する。
【0099】
幾つかの実施形態において、ピペッティングモジュール40は、実験器具50が座部102内に固定された状態でピペットチップ投入動作を実行するために使用される。例えば、幾つかの実施形態において、
図11に示すように、ピペッティングモジュール位置決め器49がピペッティングモジュール40を移動させて実験器具50に対して鉛直方向に位置合わせ又は重ね合わせする。そして、ピペッタアクチュエータ49Aは、ピペッタ遠位端部46をピペットチップ60の連結基部62のそれぞれに下降させる。ピペットチップ60は、これにより、ピペッタ遠位端部46に固定される。そして、ピペッタアクチュエータ49Aは、ピペッタ44を上昇させ、固定されたピペットチップ60をスロット57から取り外す。
図11において、最も左側のピペッタ44-1は、ピペットチップ60に挿入された後に上昇した状態で示され、ピペットチップ60はピペッタ44-1の遠位端部46上に設置されて使用の準備が完了しており、次の隣接するピペッタ44-2は、スロット57内に依然として着座しているピペットチップ60内へ下降された状態で示され、残りのピペッタ44は、ピペットチップ60を回収することなく上昇した位置にある状態で示されている。
【0100】
ピペットチップ60が設置されたピペッタ44は、この後、更なる動作を実行するために使用することができる。このような更なる動作は、(例えば、以下に記載のような)リキッドハンドラ30を使用してピペットチップ60を通じて液体を吸引及び/又は吐出することを含みうる。
【0101】
図11の例示の取り外し機構47は、この後、ピペットチップ60をピペッタ44から取り外すために使用することができる。例えば、ピペッティングモジュール位置決め器49(
図1)は、
図11に示すように再びピペッティングモジュール40を移動させて実験器具50に対して鉛直方向に位置合わせ又は重ね合わせすることができる。ピペッティングモジュール40がこのように位置合わせされた状態で、取り外し機構47は、ピペットチップ60をピペッタ44から押し外してスロット57のそれぞれに入れることができる。
【0102】
更なる実施形態において、実験器具50に空のスロット57(すなわち、ピペットチップ60が配設されていないスロット57)を設けることができるとともに、実験器具50を本明細書に記載のようにホルダ座部102内に設置することができる。そして、ピペッティングモジュール位置決め器49及び取り外し機構47は、(ピペッタ44に本来設置されていた)ピペットチップ60をスロット57内に降ろすために使用することができる。例えば、実験器具50は、廃棄される使用済みのピペットチップ60を回収するために使用される空のトレイとすることができる。
【0103】
この後に実験器具50をホルダ100から取り外すことが望まれる場合、座部102の上方であって概して(例えば、
図2に示すように)座部102と位置合わせした状態で運搬アームアクチュエータ74(
図1)によって、キャリア80を位置決めすることができる。キャリアアーム84が未だ開位置にない場合、キャリアアクチュエータ83(
図3)は、アーム84を開位置に載置する。そして、運搬アーム72は、運搬アクチュエータ74によって駆動され、キャリア80を座部102へ向けて(方向D4に)下降させる。キャリア80が下降されると、左アーム84がレバーアーム係合特徴部176の外側セクション176B(
図6)に接触する。運搬アームアクチュエータ74が更にキャリアを下方に移動させると、アーム84は、係合特徴部176に下向きの鉛直方向の力を加える。例示の実施形態において、この力によって、上記のように、レバー部材170が回動軸Q-Q周りを方向D5に回転するとともに、プッシャ130をばね156の戻り力に抗して開方向DOに押す。このような実施形態において、実験器具50は、これにより、解放される(すなわち、これ以上プッシャ130と止め部116A~116Cとの間に挟まれない)。運搬アームアクチュエータ74は、プッシャ130が全開位置(
図7)へ変位してキャリア支持タブ86が実験器具溝55に対して位置合わせされるまで、キャリア80を座部内に下降させる。
【0104】
そして、アクチュエータ83は、アーム84を把持位置へ内方に向けて変位させる。その際、左アーム84は、係合特徴部176のレバー部材表面に沿って外側セクション176Bから内側セクション176Aへ内方に(方向DG、
図3)摺動する。支持タブ86はこれによって実験器具溝55に挿入され、実験器具50はこれによってキャリア80によって把持される。左アーム84の鉛直方向の位置は、レバー部材170の位置が変化せず、これによってプッシャ130が開位置に維持されるように、この遷移時には同じ状態で維持される。
【0105】
キャリアアーム84が実験器具50を把持し、プッシャ130が開位置にある状態で、運搬アームアクチュエータ74は、座部102及びレバー部材170から鉛直方向に離れるようにキャリア80(及び実験器具50)を上昇させる。左キャリアアーム84が持ち上げられると、係合特徴部176は、上方に移動することが許容され、レバー部材170は方向D5(
図7)とは反対の方向に回転する。これにより、ばね156がプッシャ130を押し進めて閉方向DC(
図10)に摺動させることが許容される。実験器具50は座部から取り外されていることから、例示の実施形態において、プッシャ130は、全閉位置(
図2)に戻ることが許容される。そして、実験器具50をキャリア80によって別の場所へ運搬することができる。
【0106】
検知システム178の光センサ178B(
図8)は、コントローラ20(
図1)によって監視することができ、光センサの出力をコントローラ20によって使用して、ホルダ100(
図1)が満たされているかどうか(すなわち、実験器具があるかないか)を判定することができる。例えば、光エミッタ178A(
図8)は、光ビームを光センサ178Bに向けることで、スロット179にわたって光障壁を形成する。プッシャ130が閉位置にあるとき、検知タブ144はスロット179内に配設され、光エミッタ178Aから光センサ178Bへの光を遮り、これにより、座部が空であることをコントローラ20に示す。実験器具50が座部102内に固定されている場合、実験器具50の幅によってプッシャ130が固定位置に保持され、ここで検知タブ144がスロット179から引き出される。この場合、検知タブ144は、光エミッタ178Aから光センサ178Bへの光を遮らず、これにより、座部が満たされていることをコントローラ20に示す。
【0107】
したがって、プッシャアクチュエータリンク機構160は、プッシャアクチュエータリンク機構160が操作者によって(例えば、キャリア80によって又は手動によって)変位されたときに、閉位置(
図2及び
図3)から開位置(
図7)にプッシャ130を移動させるように構成されることが理解されるであろう。また、プッシャアクチュエータリンク機構160は、プッシャアクチュエータリンク機構160が操作者によってこれ以上変位されないときプッシャ130を開位置から閉位置へ戻るように移動させることを許容するように構成される。ばね156は、プッシャアクチュエータリンク機構160が操作者によって変位されないときにプッシャ130を閉位置へ向けて押し進めるとともに、これによってプッシャ130が実験器具50を座部102内に位置合わせさせるように機能する。実験器具50が座部102内に位置決めされるとともに、プッシャ130が開位置から閉位置へ向けて移動することをプッシャアクチュエータリンク機構160が許容するとき、プッシャ130は(例えば、
図10に示すように)座部102に対して位置合わせするように実験器具を変位させる。
【0108】
図12を参照すると、更なる実施形態において、実験器具50は、代替的な実験器具50’に置き換えることができる。実験器具50’は、以下の点を除き、実験器具50と同様に構成及び使用することができる。
【0109】
実験器具50’は、スロット57に対応するスロット57’を有する、プラッタ52に対応するプラッタ52’を含む。実験器具50’は、システム10によって操作される1つ以上の液体試料を保持するように構成される、バイアル又は他の入れ物若しくは受入部68も含む。バイアル68は、それぞれ、ピペットチップ60の代わりに、スロット57’のそれぞれに取り外し可能に着座する。各バイアル68は、近位端部68Aで上方に向けられた開口を有する。
【0110】
ピペッタ44には、ピペットチップ60を取り付けることができる。ピペッティングモジュール位置決め器49(
図1)は、
図12に示すように、
図12のピペッティングモジュール40を移動させて実験器具50’に対して鉛直方向に位置合わせ又は重ね合わせすることができる。そして、ピペッタアクチュエータ49A(
図1)は、ピペッタチップ60をバイアル68のそれぞれに下降させる。
【0111】
そして、幾つかの実施形態において、システム10は、挿入されたピペッタ44内にバイアル68から液体を吸引する。そして、幾つかの実施形態において、システム10は、挿入されたピペッタ44からバイアル68内に液体を吐出する。
【0112】
吸引及び/又は吐出は、リキッドハンドラ30を使用して可能にすることができる。例えば、幾つかの実施形態において、リキッドハンドラ30は、真空を発生させ、所定量の液体を各バイアル68から対応するピペッタ44内に吸引する。吸引された液体は、分析機器16等の別の装置へ管30Aを通じて移送することができる、又はその後にピペッタ44から吐出することができる。幾つかの実施形態において、所定量の液体は、リキッドハンドラ30から管30Aを通じてピペッタ44へ供給され、ピペッタ44からバイアル68内へと吐出される。
【0113】
更なる例として、実験器具50’は、液体試料を収容するための一体の凹部若しくは受入部を含むウェルプレート若しくはマイクロウェルプレートとすることができる、又はこれを含みうる。この場合において、液体試料は、別個のバイアルを収容していないスロット57’内に直接的に吐出される、又はスロット57’から直接的に吸引される。
【0114】
前述の例は網羅的なものではなく、システム10は、固定された実験器具50、50’又は他の適した実験器具に対して任意の適した動作を行うことができる。
【0115】
本明細書に記載の動作は、コントローラ20によって又はコントローラ20を介して実行することができる。システム10のアクチュエータ49、49A、74、83及び他の装置は、電子的に制御することができる。幾つかの実施形態によれば、コントローラ20は、記載のステップの一部、及び幾つかの実施形態においてはその全てをプログラムに従って実行することができる。幾つかの実施形態によれば、アクチュエータ49、49A、74、83の動作は、コントローラ20によって完全に自動的にプログラムに従って実行される。コントローラ20には、ユーザコマンドを受け取るためのHMI22を設けることができる。
【0116】
幾つかの実施形態において、コントローラ20は、自動的にプログラムに従って、キャリア80を用いて実験器具50、50’を把持するステップと、キャリア80内の実験器具50、50’をホルダ100へ運搬するステップと、実験器具50、50’を座部102内に載置する(上記のようにリンク機構160を介してプッシャ130を開くことを含む)ステップとを実行する。
【0117】
幾つかの実施形態において、コントローラ20は、自動的にプログラムに従って、ホルダ100内に設置された実験器具50、50’の上方にピペッティングモジュール40を位置決めするステップと、ピペッタ44をピペットチップ60又はバイアル68内に挿入するステップとを実行する。幾つかの実施形態において、コントローラ20は、自動的にプログラムに従って、上記のようにバイアル68から液体を吸引する又はバイアル68内に液体を吐出するステップも実行する。
【0118】
幾つかの実施形態において、コントローラ20は、自動的にプログラムに従って、キャリア80を座部102内に挿入する(上記のようにリンク機構160を介してプッシャ130を開くことを含む)ステップと、座部102内のキャリア80を用いて実験器具50、50’を把持するステップと、実験器具50、50’を持ち上げてホルダ100から出すステップと、キャリア80内の実験器具50、50’をホルダ100から離れる方向に運搬するステップとを実行する。
【0119】
幾つかの実施形態において、実験器具50、50’は、キャリア80又は別のロボット機構を使用するのではなく、手動によりホルダ100内に載置される、及び/又はホルダ100から取り外される。これは、2つの技法のいずれかを使用して達成することができる。実験器具50が以下で言及されるが、この論考は他の実験器具(例えば、実験器具50’)にも同様に当てはまる。
【0120】
第1の技法によれば、操作者(すなわち、人間であるユーザ)は、レバー部材170の上方脚部172を下方(方向D4、
図7)及び/又は側方(方向D5、
図7)へ押すことで、プッシャ130を開位置へ押し進める。操作者は、操作者の指若しくは手を使用して直接的に、又は例えば手持ち器具を使用して間接的に手動でこの方法によってレバー部材170を押す又は変位させる。そして、操作者又はユーザは、レバー部材170を開位置に維持しながら、座部102内のベース支持面114上に実験器具50を載置する。ひとたび実験器具50が座部102内に載置又は位置決めされると、操作者はレバー部材170を手動で解放し、これにより、プッシャ130(ばね156の力を受けている状態で)が退避するとともに、本明細書に記載のものと同じ方法で座部内に実験器具50を確実に位置決めすることができる。
【0121】
別の技法によれば、人間の操作者は、レバー部材170を押すことなく、実験器具50を座部102内に手動で載置する又は押す。この場合において、実験器具50の角部はプッシャ130の斜面136B(
図5)に接触する。鉛直方向の下方へ向けられた実験器具50からの負荷は、斜面136Bによって方向転換され、実験器具50が斜面136の下方の縁部から離れるまでばね156の戻り力に抗してプッシャ130が外方(方向DO)へ摺動するように押し進める。実験器具50が支持面114上に着座し、操作者によって解放されると、プッシャ130(ばね156の力を受けた状態)は、上記と同じ方法で実験器具50を座部内に確実に位置決めする。
【0122】
実験器具50は、単に実験器具を手で持ち上げて座部102から出すことによって取り外すことができ、これにより、プッシャ130が閉位置に戻ることが許容される。望ましい場合、レバー部材170(
図7)は、取り外しを容易にするために、実験器具50を持ち上げる前にプッシャ130を実験器具50から離れる方向に押し進めるために、手で押すことができる。
【0123】
運搬システム70等の運搬システムを含むシステムにおいて、ロボット及び手の両方によって実験器具をホルダ100に積載することができる、及び/又はホルダ100から取り外すことができる。
【0124】
更なる実施形態によれば、ホルダ100は、運搬システム又はキャリアを含まない又は採用しないシステム、装置、又は手順において使用することができる。この場合において、実験器具は、手で単独でホルダに設置することができる、又はホルダから取り外すことができる。
【0125】
実施形態において、ホルダ100及び運動学的なばね負荷固定機構131は、幾つかの利益及び利点を提供することができる。例えば、ホルダ100は、正確な実験器具の載置及び位置決めを可能にする。実験器具の正確な位置決めは、連続的な動作、例えば、自動的に位置決めされたピペッタ44を使用したピペットチップ60の取り出し又は受入部68からのピペッティングのために重要であり、更には重大であり得る。高い位置決め精度は、ピペッタ44とピペットチップ60又は受入部68との正確な重ね合わせを可能にするためにピペッタに求められ得る。このような正確な位置合わせは、ホルダ100から実験器具を取り外すことが望ましい場合にキャリアへの正確な戻し移送も可能にする。
【0126】
プッシャ130を座部102から遠くへ押し出すことにより、ホルダ100は、実験器具を座部102内に最初に載置するための許容誤差を高める。それにも関わらず、開示の位置決めシステム及び方法の結果として、実験器具は、この後、実験器具が座部102内に最初に載置された後に正確に位置合わせされる。実施形態において、実験器具は、ホルダ100内への移送又はホルダ100外への移送時に外部からの力が加わらず、キャリア80が外へ移動するときにホルダ100内に係止される。このため、移送時の実験器具50、50’の傾斜又は傾動のリスクを低減又は消滅させることもできる。プッシャ130を遠くへ外に変位させることにより、最初の載置時における実験器具と座部102との間の不正確な又は大まかな位置合わせが許容される。
【0127】
ばね負荷固定機構は、操作者による調整を必要とすることなく、所与のホルダ100内への異なるサイズの実験器具の挿入及び効果的な固定を可能とすることができる。
【0128】
ばね負荷固定機構131は、パッシブであり、動作は電子的ではない。例示の固定機構131は、位置決め機構を開閉するための別個のアクティブなアクチュエータ、センサ、又はスイッチを含まない若しくは必要としない。結果として、ホルダアクチュエータの作動の動作又はタイミングをキャリア80又は実験器具50、50’の移動と調和させる必要がない。ホルダ100は、ロボット又はオペレータの手動によるキャリアの正確な位置決め又はホルダ100の正確な操作に依存しないものとすることができる。固定機構131を操作するためにロボット、ロボットのエンドエフェクタ、又はロボットの典型的な移動経路を変更する必要はない。
【0129】
実験器具ホルダ100は、中間セクション又はその近辺で把持された実験器具を収容することができる。ロボットキャリアを使用してホルダ100を積載するとき、固定機構131は、実験器具がキャリアによって解放されるまで実験器具50、50’を積載することなく動作する。実験器具が把持されている間はばね力が実験器具に加えられないことから、キャリア把持力は制限されない。このため、キャリアは、小さな又は限られた把持力で実験器具を保持することができる。固定機構131は、実験器具に対するキャリアの把持を損なうという懸念なく固定を最適化する量のばね力をプッシャに対して使用するように設計することができる。
【0130】
正確に、一貫して、繰り返し可能に実験器具をホルダ100内に位置決めすることで、ホルダ100と実験器具50、50’とピペッタ44とのX-Y方向の向きの適切な一致を確実にすることができる。
【0131】
本技術の実施形態に係るシステム及びホルダは、例えば、生物化学と、化学処理と、リキッドハンドリングと、実験室における試料の分析とに使用することができる。分析機器16は、任意の適した装置又は機器とすることができる。
【0132】
コントローラ20ロジックの実施形態は、全体がソフトウェアによる実施形態の形態を取ることができる、又はソフトウェアの態様及びハードウェアの態様を組み合わせた実施形態の形態を取ることができ、これら全ては概して「回路」又は「モジュール」という。幾つかの実施形態において、回路は、ソフトウェア及びハードウェアの両方を含み、ソフトウェアは、既知の物理的な属性及び/又は構成を有する特定のハードウェアとともに動作するように構成される。さらに、コントローラロジックは、媒体に具現されたコンピュータ使用可能プログラムコードを有するコンピュータ使用可能記憶媒体上のコンピュータプログラム製品の形態を取ることができる。ハードディスク、CD-ROM、光学記憶装置、送信媒体、例えば、インターネット若しくはイントラネットをサポートする送信媒体、又は他の記憶装置を含む、任意の適したコンピュータ可読媒体を利用することができる。
【0133】
図13は、コントローラ20において使用することができる回路又はデータ処理システム202の概略図である。回路及び/又はデータ処理システムは、任意の適した装置又は複数の装置におけるデジタル信号プロセッサ210に組み込むことができる。プロセッサ210は、アドレス/データバス211を介してHMI22及びメモリ212と通信する。プロセッサ210は、任意の商業的に入手可能な又はカスタム仕様のマイクロプロセッサとすることができる。メモリ212は、データ処理システムの機能を実施するために使用されるソフトウェア及びデータを含むメモリ装置の全体系を代表するものである。メモリ212は、限定するものではないが、キャッシュ、ROM、PROM、EPROM、EEPROM、フラッシュメモリ、SRAM、及びDRAMなどのタイプの装置を含みうる。
【0134】
図13は、メモリ212が、データ処理システムにおいて使用される幾つかのカテゴリのソフトウェア及びデータ、例えば、オペレーティングシステム214とアプリケーションプログラム216と入出力(I/O)デバイスドライバ218とデータ220とを含みうることを示している。
【0135】
データ220は、機器固有のデータを含みうる。
図13は、データ220が、実験器具データ222、実験器具ホルダデータ224と、ピペッティングモジュールデータ226と、手順データ228とを含みうることも示している。
【0136】
実験器具データ222は、実験器具50、50’の特徴に関するデータ又はこの特徴を表すデータを含みうる。このデータは、例えば、実験器具50、50’の固有の識別子(例えば、シリアル番号)及び/又は名称、ピペットチップ60の固有の識別子及び/又は名称、各バイアル68の固有の識別子及び/又は名称、及び/又は実験器具50、50’、又は各バイアル68、又はスロット/受入部57内に収容された単数若しくは複数の分析物についての記述を含みうる。実験器具データ222は、実験器具50、50’、ピペットチップ60、バイアル68、及び/又はスロット若しくは受入部57の寸法を含みうる。実験器具データ222は、実験器具50、50’の外側の境界に対するスロット57、ピペットチップ60、又はバイアル68の空間的又は幾何学的なレイアウト又は位置を表すロケーションデータを含みうる。
【0137】
実験器具ホルダデータ224は、デッキ12又はシステム10の別の基準構造に対する座部102のロケーションについての識別を含みうる。
【0138】
ピペッティングモジュールデータ226は、ベース42に対するピペッタ44の空間的又は幾何学的なレイアウト又は位置を表すピペッタロケーションデータを含みうる。
【0139】
手順データ228は、本明細書に記載の手順を実行するためのプロトコル又はステップのシーケンスを表すデータを含みうる。ステップのシーケンスは、コントローラ20によって実行される上記のステップの全て又は一部を含みうる。ステップのシーケンスは、例えば、分析シーケンスを含みうる。
【0140】
図13は、アプリケーションプログラム216が、(アクチュエータ74、83を制御するための)キャリア位置決め制御モジュール230と、(アクチュエータ49、49Aを制御するための)ピペッタ位置決め制御モジュール234と、リキッドハンドラ30を制御するためのリキッドハンドラ制御モジュール236と、分析機器16の動作を制御するための分析機器制御モジュール238とを含みうることも示している。
【0141】
当業者によって理解されるように、オペレーティングシステム214は、データ処理システムとともに使用するのに適した任意のオペレーティングシステムとすることができる。I/Oデバイスドライバ218は、典型的に、I/Oデータポートやデータストレージや或る特定のメモリ構成部品などの装置と通信するために、アプリケーションプログラム216によってオペレーティングシステム214を通じてアクセスされるソフトウェアルーティンを含む。アプリケーションプログラム216は、データ処理システムの様々な機能を実施するプログラムを例証するものであり、本技術の実施形態に係る動作をサポートする少なくとも1つのアプリケーションを含みうる。最後に、データ220は、アプリケーションプログラム216と、オペレーティングシステム214と、I/Oデバイスドライバ218と、メモリ212内に存在し得る他のソフトウェアプログラムとによって使用される静的及び動的なデータを表す。
【0142】
当業者によって理解されるように、本技術の教示の恩恵を受けながら、他の構成も利用することができる。例えば、1つ以上のモジュールは、オペレーティングシステム、I/Oデバイスドライバ、又はデータ処理システムの他のこのような論理的な区分に組み込むことができる。したがって、本技術は、
図13の構成に限定されるものとして解釈すべきではなく、本明細書に記載の動作を実行することが可能な任意の構成を包含することを意図している。さらに、モジュールのうちの1つ以上は、他の構成部品、例えば、コントローラ20と通信することができる、又はコントローラ20に全体的若しくは部分的に組み込むことができる。
【0143】
本開示の利益を考えると、本発明の趣旨及び範囲から逸脱せずに、当業者は多くの変形及び変更を行うことができる。したがって、図示の実施形態が例示のために述べられたにすぎず、特許請求の範囲によって規定される本発明を限定するものととらえられるべきではないことを理解しなければならない。したがって、特許請求の範囲は、文字通り記載されている要素の組み合わせだけでなく、実質的に同じ方法で実質的に同じ機能を行い実質的に同じ結果を得るための全ての等価な要素も含むものとして読み取られるものとする。したがって、特許請求の範囲は、上記で具体的に図示及び説明したものと、概念的な等価物と、本発明の基本的な概念を組み込むものとを更に含んでいると理解されたい。
【国際調査報告】