(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-17
(54)【発明の名称】がんの治療のためのIL15/IL15Rアルファヘテロ二量体FC融合タンパク質
(51)【国際特許分類】
A61K 38/20 20060101AFI20230310BHJP
A61P 35/04 20060101ALI20230310BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230310BHJP
A61K 47/68 20170101ALI20230310BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20230310BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20230310BHJP
C07K 19/00 20060101ALN20230310BHJP
C07K 16/00 20060101ALN20230310BHJP
C07K 14/54 20060101ALN20230310BHJP
C07K 14/715 20060101ALN20230310BHJP
C12N 5/0783 20100101ALN20230310BHJP
【FI】
A61K38/20
A61P35/04
A61P35/00
A61K47/68
A61K45/00
A61K39/395 U
A61K39/395 D
C07K19/00 ZNA
C07K16/00
C07K14/54
C07K14/715
C12N5/0783
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022544745
(86)(22)【出願日】2021-01-28
(85)【翻訳文提出日】2022-08-25
(86)【国際出願番号】 US2021015552
(87)【国際公開番号】W WO2021155042
(87)【国際公開日】2021-08-05
(32)【優先日】2020-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509012625
【氏名又は名称】ジェネンテック, インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】510089100
【氏名又は名称】ゼンコア インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ウンゲウィッケル, アレクサンダー ヨアヒム ポール
(72)【発明者】
【氏名】シブワ, ビッタル
(72)【発明者】
【氏名】ヤダブ, ライブハラン
【テーマコード(参考)】
4B065
4C076
4C084
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA94X
4B065BB19
4B065BB34
4B065CA24
4B065CA44
4C076AA95
4C076CC27
4C076EE59
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4C084AA03
4C084AA19
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4C084BA23
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4C084ZB26
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4C085EE03
4H045AA10
4H045AA11
4H045BA10
4H045BA41
4H045CA40
4H045DA02
4H045DA51
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
本開示は、IL15タンパク質-Fcドメイン融合を含む第1の単量体と、IL15Rαタンク質-Fcドメイン融合を含む第2の単量体とを含むヘテロ二量体タンパク質を投与することによりがんを治療する方法を提供する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固形腫瘍の治療を必要とする対象における固形腫瘍を治療する方法であって、対象に対し、治療的有効量のヘテロ二量体タンパク質を投与することを含み、ヘテロ二量体タンパク質は、(i)IL-15タンパク質及び第1のFcドメインを含む第1の単量体であって、前記IL-15タンパク質が前記第1のFcドメインのN末端に共有結合している、第1の単量体と、(ii)IL-15Rαタンパク質及び第2のFcドメインを含む第2の単量体であって、前記IL-15Rαタンパク質が前記第2のFcドメインのN末端に共有結合している、第2の単量体とを含み;前記第1及び前記第2のFcドメインは、S267K/L368D/K370S:S267K/S364K/E357Q;S364K/E357Q:L368D/K370S;L368D/K370S:S364K;L368E/K370S:S364K;T411E/K360E/Q362E:D401K;L368D/K370S:S364K/E357L;K370S:S364K/E357Q;S267K/S364K/E357Q:S267K/L368D/K370S;L368D/K370S:S364K/E357Q;S364K:L368D/K370S;S364K:L368E/K370S;D401K:T411E/K360E/Q362E;S364K/E357L:L368D/K370S;及びS364K/E357Q:K370S(EU番号付けによる)からなる群から選択される一組のアミノ酸置換を含む、方法。
【請求項2】
CD8
+エフェクターメモリーT細胞の増殖を誘導するための方法であって、対象に対し、有効量のヘテロ二量体タンパク質を投与することを含み、ヘテロ二量体タンパク質は、(i)IL-15タンパク質及び第1のFcドメインを含む第1の単量体であって、前記IL-15タンパク質が前記第1のFcドメインのN末端に共有結合している、第1の単量体と、(ii)IL-15Rαタンパク質及び第2のFcドメインを含む第2の単量体であって、前記IL-15Rαタンパク質が前記第2のFcドメインのN末端に共有結合している、第2の単量体とを含み;前記第1及び前記第2のFcドメインは、S267K/L368D/K370S:S267K/S364K/E357Q;S364K/E357Q:L368D/K370S;L368D/K370S:S364K;L368E/K370S:S364K;T411E/K360E/Q362E:D401K;L368D/K370S:S364K/E357L;K370S:S364K/E357Q;S267K/S364K/E357Q:S267K/L368D/K370S;L368D/K370S:S364K/E357Q;S364K:L368D/K370S;S364K:L368E/K370S;D401K:T411E/K360E/Q362E;S364K/E357L:L368D/K370S;及びS364K/E357Q:K370S(EU番号付けによる)からなる群から選択される一組のアミノ酸置換を含む、方法。
【請求項3】
NK細胞の増殖を誘導するための方法であって、対象に対し、有効量のヘテロ二量体タンパク質を投与することを含み、ヘテロ二量体タンパク質は、(i)IL-15タンパク質及び第1のFcドメインを含む第1の単量体であって、前記IL-15タンパク質が前記第1のFcドメインのN末端に共有結合している、第1の単量体と、(ii)IL-15Rαタンパク質及び第2のFcドメインを含む第2の単量体であって、前記IL-15Rαタンパク質が前記第2のFcドメインのN末端に共有結合している、第2の単量体とを含み;前記第1及び前記第2のFcドメインが、S267K/L368D/K370S:S267K/S364K/E357Q;S364K/E357Q:L368D/K370S;L368D/K370S:S364K;L368E/K370S:S364K;T411E/K360E/Q362E:D401K;L368D/K370S:S364K/E357L;K370S:S364K/E357Q;S267K/S364K/E357Q:S267K/L368D/K370S;L368D/K370S:S364K/E357Q;S364K:L368D/K370S;S364K:L368E/K370S;D401K:T411E/K360E/Q362E;S364K/E357L:L368D/K370S;及びS364K/E357Q:K370S(EU番号付けによる)からなる群から選択される一組のアミノ酸置換を含む、方法。
【請求項4】
CD8
+エフェクターメモリーT細胞及びNK細胞の増殖を誘導するための方法であって、対象に対し、有効量のヘテロ二量体タンパク質を投与することを含み、ヘテロ二量体タンパク質は、(i)IL-15タンパク質及び第1のFcドメインを含む第1の単量体であって、前記IL-15タンパク質が前記第1のFcドメインのN末端に共有結合している、第1の単量体と、(ii)IL-15Rαタンパク質及び第2のFcドメインを含む第2の単量体であって、前記IL-15Rαタンパク質が前記第2のFcドメインのN末端に共有結合している、第2の単量体とを含み;前記第1及び前記第2のFcドメインは、S267K/L368D/K370S:S267K/S364K/E357Q;S364K/E357Q:L368D/K370S;L368D/K370S:S364K;L368E/K370S:S364K;T411E/K360E/Q362E:D401K;L368D/K370S:S364K/E357L;K370S:S364K/E357Q;S267K/S364K/E357Q:S267K/L368D/K370S;L368D/K370S:S364K/E357Q;S364K:L368D/K370S;S364K:L368E/K370S;D401K:T411E/K360E/Q362E;S364K/E357L:L368D/K370S;及びS364K/E357Q:K370S(EU番号付けによる)からなる群から選択される一組のアミノ酸置換を含む、方法。
【請求項5】
対象にIFNγ生成を誘導するための方法であって、対象に対し、有効量のヘテロ二量体タンパク質を投与することを含み、ヘテロ二量体タンパク質は、(i)IL-15タンパク質及び第1のFcドメインを含む第1の単量体であって、前記IL-15タンパク質が前記第1のFcドメインのN末端に共有結合している、第1の単量体と、(ii)IL-15Rαタンパク質及び第2のFcドメインを含む第2の単量体であって、前記IL-15Rαタンパク質が前記第2のFcドメインのN末端に共有結合している、第2の単量体とを含み;前記第1及び前記第2のFcドメインが、S267K/L368D/K370S:S267K/S364K/E357Q;S364K/E357Q:L368D/K370S;L368D/K370S:S364K;L368E/K370S:S364K;T411E/K360E/Q362E:D401K;L368D/K370S:S364K/E357L;K370S:S364K/E357Q;S267K/S364K/E357Q:S267K/L368D/K370S;L368D/K370S:S364K/E357Q;S364K:L368D/K370S;S364K:L368E/K370S;D401K:T411E/K360E/Q362E;S364K/E357L:L368D/K370S;及びS364K/E357Q:K370S(EU番号付けによる)からなる群から選択される一組のアミノ酸置換を含む、方法。
【請求項6】
前記第1のFcドメイン及び/又は第2のFcドメインの各々が、独立して、アミノ酸置換Q295E、N384D、Q418E及びN421D(EU番号付けによる)をさらに含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1のFcドメイン及び/又は第2のFcドメインの各々が、独立して、G236R/L328R;E233P/L234V/L235A/G236del/S239K;E233P/L234V/L235A/G236del/S267K;E233P/L234V/L235A/G236del/S239K/A327G;E233P/L234V/L235A/G236del/S267K/A327G;及びE233P/L234V/L235A/G236del(EU番号付けによる)からなる群から選択されるアミノ酸置換をさらに含み、FcドメインはIgG1又はIgG3のFcドメインに由来している、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記第1のFcドメイン及び/又は第2のFcドメインの各々が、独立して、L328R;S239K;及びS267K(EU番号付けによる)からなる群から選択されるアミノ酸置換をさらに含み、FcドメインはIgG2のFcドメインに由来している、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1のFcドメイン及び/又は第2のFcドメインの各々が、独立して、G236R/L328R;E233P/F234V/L235A/G236del/S239K;E233P/F234V/L235A/G236del/S267K;E233P/F234V/L235A/G236del/S239K;E233P/F234V/L235A/G236del/S267K;及びE233P/F234V/L235A/G236del(EU番号付けによる)からなる群から選択されるアミノ酸置換をさらに含み、Fcドメインは、IgG4のFcドメインに由来している。請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
IL-15タンパク質が、N1D、N4D、D8N、D30N、D61N、E64Q、N65D及びQ108Eからなる群から選択される1つ又は複数のアミノ酸置換を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記IL-15タンパク質及び前記IL-15Rαタンパク質が:65DPC;E87C:65DCA;V49C:S40C;L52C:S40C;E89C:K34C;Q48C:G38C;E53C:L42C;C42S:A37C及びL45C:A37Cからそれぞれ選択される一組のアミノ酸置換又は付加を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記IL-15タンパク質が、配列番号1及び配列番号2からなる群から選択されるポリペプチド配列を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記IL-15Rαタンパク質が、配列番号3及び配列番号4からなる群から選択されるポリペプチド配列を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
第1のFcドメインが、アミノ酸置換L368D及びK370Sを含み;第2のFcドメインが、アミノ酸置換S364K及びE357Qをさらに含み;前記第1のFcドメイン及び前記第2のFcドメインの各々が、アミノ酸置換C220S、E233P、L234V、L235A、G236del、S267K、M428L及びN434S(EU番号付けによる)をさらに含み;前記IL-15タンパク質が、アミノ酸置換D30N、E64Q及びN65Dを含み;前記IL-15Rαタンパク質が配列番号4を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
第1のFcドメインが、アミノ酸置換S364K及びE357Qを含み;第2のFcドメインが、アミノ酸置換L368D及びK370Sを含み;前記第1のFcドメイン及び前記第2のFcドメインの各々が、アミノ酸置換C220S、E233P、L234V、L235A、G236del、S267K、M428L及びN434S(EU番号付けによる)をさらに含み;前記IL-15タンパク質が、アミノ酸置換D30N、E64Q及びN65Dを含み;前記IL-15Rαタンパク質が配列番号4を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
第1のFcドメインが、アミノ酸置換L368D及びK370Sを含み;第2のFcドメインが、アミノ酸置換K246T、S364K及びE357Qを含み;前記第1のFcドメイン及び前記第2のFcドメインの各々が、アミノ酸置換C220S、E233P、L234V、L235A、G236del、S267K、M428L及びN434S(EU番号付けによる)をさらに含み;前記IL-15タンパク質が、アミノ酸置換D30N、E64Q及びN65Dを含み;前記IL-15Rαタンパク質が配列番号4を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
第1のFcドメインが、アミノ酸置換S364K及びE357Qを含み;第2のFcドメインが、アミノ酸置換K246T、L368D及びK370Sを含み;前記第1のFcドメイン及び前記第2のFcドメインの各々が、アミノ酸置換C220S、E233P、L234V、L235A、G236del、S267K、M428L及びN434S(EU番号付けによる)をさらに含み;前記IL-15タンパク質が、アミノ酸置換D30N、E64Q及びN65Dを含み;前記IL-15Rαタンパク質が配列番号4を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
IL-15タンパク質が、第1のリンカーを介して第1のFcドメインのN末端に共有結合している、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
IL-15Rαタンパク質が、第2のリンカーを介して第2のFcドメインのN末端に共有結合している、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
IL-15タンパク質が、第1のリンカーを介して第1のFcドメインのN末端に共有結合しており、IL-15Rαタンパク質が、第2のリンカーを介して第2のFcドメインのN末端に共有結合している、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
第1のリンカー及び/又は第2のリンカーが、独立して、可変長Gly-Serリンカーである、請求項18~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
第1のリンカー及び/又は第2のリンカーが、独立して、(Gly-Gly-Gly-Gly-Ser)n(配列番号39)、(Ser-Ser-Ser-Ser-Gly)n(配列番号40)、(Gly-Ser-Ser-Gly-Gly)n(配列番号41)、及び(Gly-Gly-Ser-Gly-Gly)n(配列番号42)からなる群から選択されるリンカーを含み、nは1から5の間の整数である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記ヘテロ二量体タンパク質が、XENP22822、XENP23504、XENP24045、XENP24306、XENP22821、XENP23343、XENP23557、XENP24113、XENP24051、XENP24341、XENP24052、XENP24301、及びXENP32803タンパク質からなる群から選択される、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
固形腫瘍の治療を必要とする対象における固形腫瘍を治療する方法であって、対象に対し、治療的有効量のヘテロ二量体タンパク質を投与することを含み、ヘテロ二量体タンパク質は、(i)IL-15タンパク質及び第1のFcドメインを含む第1の単量体であって、前記IL-15タンパク質が前記第1のFcドメインのN末端に共有結合している、第1の単量体と、(ii)IL-15Rαタンパク質のスシドメイン及び第2のFcドメインを含む第2の単量体であって、IL-15Rαタンパク質の前記スシドメインが前記第2のFcドメインのN末端に共有結合している、第2の単量体とを含み;前記第1のFcドメイン及び前記第2のFcドメインの各々は、アミノ酸置換E233P、L234V、L235A、G236del、及びS267K(EU番号付けによる)を含み;前記IL-15タンパク質は、N65Dアミノ酸置換と、N4D、D30N、及びE64Qからなる群から選択される1つ又は複数のアミノ酸置換とを含む、方法。
【請求項25】
CD8
+エフェクターメモリーT細胞の増殖を誘導するための方法であって、対象に対し、有効量のヘテロ二量体タンパク質を投与することを含み、ヘテロ二量体タンパク質は、(i)IL-15タンパク質及び第1のFcドメインを含む第1の単量体であって、前記IL-15タンパク質が前記第1のFcドメインのN末端に共有結合している、第1の単量体と、(ii)IL-15Rαタンパク質のスシドメイン及び第2のFcドメインを含む第2の単量体であって、IL-15Rαタンパク質の前記スシドメインが前記第2のFcドメインのN末端に共有結合している、第2の単量体とを含み;前記第1のFcドメイン及び前記第2のFcドメインの各々は、アミノ酸置換E233P、L234V、L235A、G236del、及びS267K(EU番号付けによる)を含み;前記IL-15タンパク質は、N65Dアミノ酸置換と、N4D、D30N、E64Qからなる群から選択される1つ又は複数のアミノ酸置換とを含む、方法。
【請求項26】
NK細胞の増殖を誘導するための方法であって、対象に対し、有効量のヘテロ二量体タンパク質を投与することを含み、ヘテロ二量体タンパク質は、(i)IL-15タンパク質及び第1のFcドメインを含む第1の単量体であって、前記IL-15タンパク質が前記第1のFcドメインのN末端に共有結合している、第1の単量体と、(ii)IL-15Rαタンパク質のスシドメイン及び第2のFcドメインを含む第2の単量体であって、IL-15Rαタンパク質の前記スシドメインが前記第2のFcドメインのN末端に共有結合している、第2の単量体とを含み;前記第1のFcドメイン及び前記第2のFcドメインの各々は、アミノ酸置換E233P、L234V、L235A、G236del、及びS267K(EU番号付けによる)を含み;前記IL-15タンパク質は、N65Dアミノ酸置換と、N4D、D30N、E64Qからなる群から選択される1つ又は複数のアミノ酸置換とを含む、方法。
【請求項27】
CD8
+エフェクターメモリーT細胞及びNK細胞の増殖を誘導するための方法であって、対象に対し、有効量のヘテロ二量体タンパク質を投与することを含み、ヘテロ二量体タンパク質は、(i)IL-15タンパク質及び第1のFcドメインを含む第1の単量体であって、前記IL-15タンパク質が前記第1のFcドメインのN末端に共有結合している、第1の単量体と、(ii)IL-15Rαタンパク質のスシドメイン及び第2のFcドメインを含む第2の単量体であって、IL-15Rαタンパク質の前記スシドメインが前記第2のFcドメインのN末端に共有結合している、第2の単量体とを含み;前記第1のFcドメイン及び前記第2のFcドメインの各々は、アミノ酸置換E233P、L234V、L235A、G236del、及びS267K(EU番号付けによる)を含み;前記IL-15タンパク質は、N65Dアミノ酸置換と、N4D、D30N、E64Qからなる群から選択される1つ又は複数のアミノ酸置換とを含む、方法。
【請求項28】
対象にIFNγを誘導するための方法であって、対象に対し、有効量のヘテロ二量体タンパク質を投与することを含み、ヘテロ二量体タンパク質は、(i)IL-15タンパク質及び第1のFcドメインを含む第1の単量体であって、前記IL-15タンパク質が前記第1のFcドメインのN末端に共有結合している、第1の単量体と、(ii)IL-15Rαタンパク質のスシドメイン及び第2のFcドメインを含む第2の単量体であって、IL-15Rαタンパク質の前記スシドメインが前記第2のFcドメインのN末端に共有結合している、第2の単量体とを含み;前記第1のFcドメイン及び前記第2のFcドメインの各々は、アミノ酸置換E233P、L234V、L235A、G236del、及びS267K(EU番号付けによる)を含み;前記IL-15タンパク質は、N65Dアミノ酸置換と、N4D、D30N、E64Qからなる群から選択される1つ又は複数のアミノ酸置換とを含む、方法。
【請求項29】
前記第1のFcドメインが、アミノ酸置換L368D及びK370Sをさらに含み、前記第2のFcドメインが、アミノ酸置換S364K及びE357Q(EU番号付けによる)をさらに含む、請求項24~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記第1のFcドメインが、アミノ酸置換S364K及びE357Qをさらに含み、前記第2のFcドメインが、アミノ酸置換L368D及びK370S(EU番号付けによる)をさらに含む、請求項24~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記第1のFcドメインが、アミノ酸置換Q295E、N384D、Q418E及びN421D(EU番号付けによる)をさらに含む、請求項24~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記第2のFcドメインが、アミノ酸置換Q295E、N384D、Q418E及びN421D(EU番号付けによる)をさらに含む、請求項24~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記第2のFcドメインが、アミノ酸置換K246T(EU番号付けによる)をさらに含む、請求項24~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記IL-15タンパク質が、アミノ酸置換D30N、E64Q及びN65Dを含む、請求項24~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記IL-15タンパク質が、配列番号5に示されるアミノ酸配列を含む、請求項24~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記IL-15Rαタンパク質のスシドメインが、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含む、請求項24~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
IL-15タンパク質が、第1のリンカーを介して第1のFcドメインのN末端に共有結合している、請求項24~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
IL-15Rαタンパク質が、第2のリンカーを介して第2のFcドメインのN末端に共有結合している、請求項24~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
IL-15タンパク質が、第1のリンカーを介して第1のFcドメインのN末端に共有結合しており、IL-15Rαタンパク質が、第2のリンカーを介して第2のFcドメインのN末端に共有結合している、請求項24~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
第1のリンカー及び/又は第2のリンカーが、独立して、可変長Gly-Serリンカーである、請求項37~39のいずれか1つに記載の方法。
【請求項41】
第1のリンカー及び/又は第2のリンカーが、独立して、(Gly-Gly-Gly-Gly-Ser)n(配列番号39)、(Ser-Ser-Ser-Ser-Gly)n(配列番号40)、(Gly-Ser-Ser-Gly-Gly)n(配列番号41)、及び(Gly-Gly-Ser-Gly-Gly)n(配列番号42)からなる群から選択されるリンカーを含み、nは1から5の間の整数である、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記第1の単量体が、配列番号9に示されるアミノ酸配列を含み、第2の単量体が、配列番号10に示されるアミノ酸配列を含む、請求項1~5及び24~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記第1の単量体が、配列番号9に示されるアミノ酸配列を含み、第2の単量体が、配列番号16に示されるアミノ酸配列を含む、請求項1~5及び24~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記ヘテロ二量体タンパク質が、XENP24306、XENP32803、又はそれらの組み合わせである、請求項1~5及び24~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
第1のヘテロ二量体タンパク質と第2のヘテロ二量体タンパク質の組み合わせが、対象に投与される、請求項1~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
第1のヘテロ二量体タンパク質が、配列番号9に示されるアミノ酸配列を含む第1の単量体と、配列番号10に示されるアミノ酸配列を含む第2の単量体とを含み;第2のヘテロ二量体タンパク質が、配列番号9に示されるアミノ酸配列を含む第1の単量体と、配列番号16に示されるアミノ酸配列を含む第2の単量体とを含む、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記第1のヘテロ二量体タンパク質と第2のヘテロ二量体タンパク質とが同時に投与される、請求項45又は46に記載の方法。
【請求項48】
前記第1のヘテロ二量体タンパク質と第2のヘテロ二量体タンパク質とが連続して投与される、請求項45又は46に記載の方法。
【請求項49】
前記固形腫瘍が、局所的に進行性、再発性又は転移性である、請求項1、6~24及び29~48のいずれか1つに記載の方法。
【請求項50】
前記固形腫瘍が、扁平上皮がん、皮膚扁平上皮がん、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、胃腸がん、胃(gastric)がん、膵臓がん、膠芽細胞腫、子宮頸がん、卵巣がん、肝がん、膀胱がん、脂肪肉腫、軟部組織肉腫、尿路上皮癌、尿管及び腎盂、多発性骨髄腫、骨肉腫、肝細胞癌、黒色腫、胃(stomach)がん、乳がん、結腸がん、結腸直腸がん、子宮内膜癌、唾液腺癌、腎細胞癌、肝がん、食道がん、前立腺がん、外陰部がん、甲状腺がん、肝臓癌、メルケル細胞癌、生殖細胞がん、高頻度マイクロサテライト不安定性がん及び頭頚部扁平上皮癌からなる群から選択される、請求項1、6~24及び29~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記固形腫瘍が、黒色腫、腎細胞癌、非小細胞肺がん、頭頚部扁平上皮癌、及びトリプルネガティブ乳がんから選択される、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記固形腫瘍は、黒色腫、腎細胞癌、及び非小細胞肺がんから選択される、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記固形腫瘍が、黒色腫、非小細胞肺がん、頭頚部扁平上皮癌、及びトリプルネガティブ乳がんから選択される、請求項51に記載の方法。
【請求項54】
対象が、固形腫瘍を治療するための薬剤を以前に投与されたことがない、請求項1、6~24及び29~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
対象が、現在チェックポイント阻害剤を投与されている、請求項1、6~24及び29~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
対象が、チェックポイント阻害剤を以前に投与されたことがある、請求項1、6~24及び29~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
チェックポイント阻害剤がPD-1を標的とする、請求項55又は56に記載の方法。
【請求項58】
チェックポイント阻害剤がPD-L1を標的とする、請求項55又は56に記載の方法。
【請求項59】
チェックポイント阻害剤がCTLA-4を標的とする、請求項55又は56に記載の方法。
【請求項60】
前記ヘテロ二量体タンパク質又はヘテロ二量体タンパク質の組み合わせが、体重で、約0.0025mg/kg、約0.005mg/kg、約0.01mg/kg、約0.015mg/kg、約0.02mg/kg、約0.025mg/kg、約0.03mg/kg、約0.04mg/kg、約0.05mg/kg、約0.06mg/kg、約0.08mg/kg、約0.1mg/kg、約0.12mg/kg、約0.16mg/kg、約0.2mg/kg、約0.24mg/kg及び約0.32mg/kgからなる群から選択される用量で投与される、請求項1~59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記ヘテロ二量体タンパク質又はヘテロ二量体タンパク質の組み合わせが、体重で、0.01mg/kg、0.02mg/kg、0.04mg/kg、及び0.06mg/kgからなる群から選択される用量で投与される、請求項62に記載の方法。
【請求項62】
前記ヘテロ二量体タンパク質又はヘテロ二量体タンパク質の組み合わせが、体重で、0.0025mg/kg、0.005mg/kg、0.01mg/kg、0.015mg/kg、0.02mg/kg、0.025mg/kg、0.03mg/kg、0.04mg/kg、0.05mg/kg、0.06mg/kg、0.08mg/kg、0.10mg/kg、0.16mg/kg、0.20mg/kg、0.24mg/kg及び0.32mg/kgからなる群から選択される用量で投与される、請求項1~60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
前記ヘテロ二量体タンパク質又はヘテロ二量体タンパク質の組み合わせが、体重で、0.01mg/kg、0.02mg/kg、0.04mg/kg、及び0.06mg/kgからなる群から選択される用量で投与される、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記ヘテロ二量体タンパク質が、Q1W、Q2W、Q3W、Q4W、Q5W及びQ6Wからなる群から選択される頻度で投与される、請求項1-63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
前記ヘテロ二量体タンパク質が、Q2Wの頻度で投与される、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
対象に対し、PD-L1/PD-1軸を標的とする薬剤を投与することをさらに含む、請求項1~65のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
PD-L1/PD-1軸を標的とする前記薬剤が、抗PD-1抗体である、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
抗PD-1抗体が、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、ピディリズマブ、セミプリマブ、スパルタリズマブ、カムレリズマブ、シンチリマブ、チスレリズマブ、トリパリマブ、MDX-1106、AMP-514及びAMP-224から選択される、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
PD-L1/PD-1軸を標的とする前記薬剤が、抗PD-L1抗体である、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
抗PD-L1抗体が、アベルマブ、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、BMS-936559、BMS-39886、KN035、CK-301及びMSB0010718Cから選択される、請求項69に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示は、IL15-IL15Rヘテロ二量体Fc融合タンパク質を使用したがんの治療の分野に関する。
【0002】
関連出願の相互参照
[0002]本出願は、2020年1月28日出願の米国仮出願第62/966,976号の優先的利益を主張し、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
配列表
[0003]本出願は、ASCII形式で電子的に提出された配列表を含み、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。2021年1月28日に作成された前記ASCIIコピーは、000218-0006-WO1_SL.txtという名称であり、サイズは110,469バイトである。
【背景技術】
【0004】
[0004]がんは、世界で最も多い死因であり、2012年には世界中で推定1400万人が新たに罹患し、800万人が死亡した(Torre et al. Cancer Epidemiol Biomarkers Prev. 2016;25(1):16-27)。2018年までにこの傾向は高まり、新規症例が1800万を超え、死亡例が900万を超えるまで増加した(New global cancer data:GLOBOCAN 2018. https://www.uicc.org/news/new-global-cancer-data-globocan-2018)。このような傾向は、危機の増大と、がん治療のための効果的な療法の必要性を示唆している。がん免疫療法(CIT)は、近年腫瘍学において有望な手法として発展したものであり、チェックポイント阻害剤、養子細胞移入、標的とされる抗体(T/NK細胞エンゲージャ)、がんワクチン、及びサイトカインを広く含む。
【0005】
[0005]サイトカインは、白血球の増殖、分化、及び生存を制御することにより、免疫細胞をブーストすることができる(Berraondo et al. Br J Cancer 2019;120(1):6-15)。サイトカインの既知の生物学並びに免疫系及びがん生物学におけるその役割にも関わらず、IFNα(例えば、特に毛様細胞性白血病及び慢性骨髄性白血病)並びにIL-2(例えば進行性黒色腫及び転移性RCC)を含む限られた症候のがん治療に対してのみ、限定された数のサイトカインが承認されている。これは、これらサイトカインの低い忍容性、狭い治療指数、及び不良なPK挙動に一部関連している(Berraondo et al. 2019、上掲)。
【0006】
[0006]例えば、アルデスロイキン(Proleukin(登録商標))としても知られる組み換えIL-2が、20年以上CIT剤として臨床使用されている。抗腫瘍剤としてのその臨床的有用性が証明されているにも関わらず、Proleukin(登録商標)は、毛細管漏出症候群(CLS)などの主要な毒性を誘導する可能性があり、Proleukinを投与される患者は、入院環境において広範なモニタリングを必要とする。IL-2は、分化-4陽性(CD4+)調節性T細胞(Treg)、内皮細胞、及び活性化T細胞のクラスターといった細胞に対して作用する分泌サイトカインであり、これら細胞は、CD122及びCD132と一緒に、高親和性三量体受容体複合体にIL-2Rα(CD25)を発現する。IL-2は、活性化誘導細胞死(AICD)を誘導することも知られている。Treg機能の増大及びAICDの誘導は、経時的に抗腫瘍免疫を低減すると思われる2つの方法である。
【0007】
[0007]インターロイキン(IL)-15は、他の共通γ鎖(CD132)サイトカイン、例えばIL-2、IL-4、IL-7、IL-9、及びIL-21のように、免疫応答の調節に重要な役割を果たす。共通γ鎖に加えて、IL-15及びIL-2はまた、それらのヘテロ三量体受容体複合体においてβサブユニット(CD122)を共有し、重複する生物学的効果を有する。しかしながら、IL-15及びIL-2は、下流のシグナル伝達のための固有のα受容体サブユニットを有する。IL-15及びIL-2は、がん免疫において重要な役割を果たすことが知られており、ナチュラルキラー(NK)細胞と、分化-8陽性(CD8+)T細胞のクラスターとの増殖と活性化を誘導することにより、免疫系をブースとすることが示された。
【0008】
[0008]IL-15は、IL-15Rα(CD215)との関連で、単球及び樹状細胞により、CD122及びCD132を主に発現する他の細胞、例えばNK細胞及びメモリーCD8+T細胞(中等度の親和性のヘテロ二量体受容体複合体)に対してトランスで提示される。したがって、IL-15/IL-15Rαは、NK及びT細胞上のCD122及びCD132に結合すると、CD8+ T細胞の増殖及びメモリーCD8+ T細胞の維持、並びにNK細胞の増殖及び細胞傷害性の亢進を誘導することにより、持続性のT細胞応答を強化する。重要なことに、IL-15/IL-15Rαの生物学的影響は、CD25発現Tregで最小であり、IL-15/IL-15Rαは、IL-2に関連して引き起こされる血管漏出を低減すると考えられ、AICDを誘導することは知られていない。
【0009】
[0009]したがって、IL-15は、CIT剤としてIL-2を上回る潜在的利点を有する。過去十年間に、複数のIL-2及びIL-15に基づく治療学、組み換えヒトIL-15(rhIL-15)及び操作IL-15/IL-15Rα-Fcスーパーアゴニスト(ALT-803)などが、臨床的有用性の向上と毒性の低下の達成を目指す様々な臨床試験において試験された。しかしながら、薬物動態(PK)的曝露、薬力学(PD)的応答、又は急性毒性については、これまでその臨床的影響に限界があった。例えば、rhIL-15又はrhIL-15/rhIL-15Rα複合体のIVボーラス投与は、高い標的媒介薬物動態(TMDD)及び急速な腎クリアランス(CL)(約60kDaの小さな分子サイズによる)に起因して低いPK曝露をもたらし;頻繁な投与を必要とした。さらに、IVボーラス投与は、CLS及び低血圧を含む急性毒性により制限された。IVボーラス投与に関連付けられるPK及び安全性の制限により、忍容性及びPD効果を向上させる皮下(SC)注射又は連続的なIV点滴などの代替的な投与経路が模索された。これら手法のいくつかはPD応答(即ち、NK及びCD8+T細胞の拡大)及び忍容性を改善したが、rhIL-15及びALT-803のSC投与には頻繁な注射部位反応が伴い、頻繁な投与(SC)又は複数日にわたる連続的注入が治療サイクル毎に必要とされる。IL-15経路アゴニストの利用可能な臨床データは、PKプロファイルが最適化され且つ治療指数が改善されたIL-15治療法を開発するための理論的根拠を提供した。
【0010】
[0010]したがって、特にIL-15経路アゴニストのために、CIT剤に対する需要が依然として存在している。
【発明の概要】
【0011】
[0011]第1の態様において、本開示は、固形腫瘍の治療を必要とする対象における固形腫瘍を治療する方法を提供し、この方法は、対象に対し、治療的有効量のヘテロ二量体タンパク質を投与することを含み、ヘテロ二量体タンパク質は、(i)IL-15タンパク質及び第1のFcドメインを含む第1の単量体であって、前記IL-15タンパク質が前記第1のFcドメインのN末端に共有結合している、第1の単量体と、(ii)IL-15Rαタンパク質及び第2のFcドメインを含む第2の単量体であって、前記IL-15Rαタンパク質が前記第2のFcドメインのN末端に共有結合している、第2の単量体とを含み;前記第1及び前記第2のFcドメインは、S267K/L368D/K370S:S267K/S364K/E357Q;S364K/E357Q:L368D/K370S;L368D/K370S:S364K;L368E/K370S:S364K;T411E/K360E/Q362E:D401K;L368D/K370S:S364K/E357L;K370S:S364K/E357Q;S267K/S364K/E357Q:S267K/L368D/K370S;L368D/K370S:S364K/E357Q;S364K:L368D/K370S;S364K:L368E/K370S;D401K:T411E/K360E/Q362E;S364K/E357L:L368D/K370S;及びS364K/E357Q:K370S(EU番号付けによる)からなる群から選択される一組のアミノ酸置換を含む。
【0012】
[0012]第2の態様では、本開示は、対象におけるCD8+エフェクターメモリーT細胞の増殖を誘導するための方法を提供し、この方法は、対象に対し、有効量のヘテロ二量体タンパク質を投与することを含み、ヘテロ二量体タンパク質は、(i)IL-15タンパク質及び第1のFcドメインを含む第1の単量体であって、前記IL-15タンパク質が前記第1のFcドメインのN末端に共有結合している、第1の単量体と、(ii)IL-15Rαタンパク質及び第2のFcドメインを含む第2の単量体であって、前記IL-15Rαタンパク質が前記第2のFcドメインのN末端に共有結合している、第2の単量体とを含み;前記第1及び前記第2のFcドメインは、S267K/L368D/K370S:S267K/S364K/E357Q;S364K/E357Q:L368D/K370S;L368D/K370S:S364K;L368E/K370S:S364K;T411E/K360E/Q362E:D401K;L368D/K370S:S364K/E357L;K370S:S364K/E357Q;S267K/S364K/E357Q:S267K/L368D/K370S;L368D/K370S:S364K/E357Q;S364K:L368D/K370S;S364K:L368E/K370S;D401K:T411E/K360E/Q362E;S364K/E357L:L368D/K370S;及びS364K/E357Q:K370S(EU番号付けによる)からなる群から選択される一組のアミノ酸置換を含む。
【0013】
[0013]第3の態様では、本開示は、対象におけるNK細胞の増殖を誘導するための方法を提供し、この方法は、対象に対し、有効量のヘテロ二量体タンパク質を投与することを含み、ヘテロ二量体タンパク質は、(i)IL-15タンパク質及び第1のFcドメインを含む第1の単量体であって、前記IL-15タンパク質が前記第1のFcドメインのN末端に共有結合している、第1の単量体と、(ii)IL-15Rαタンパク質及び第2のFcドメインを含む第2の単量体であって、前記IL-15Rαタンパク質が前記第2のFcドメインのN末端に共有結合している、第2の単量体とを含み;前記第1及び前記第2のFcドメインは、S267K/L368D/K370S:S267K/S364K/E357Q;S364K/E357Q:L368D/K370S;L368D/K370S:S364K;L368E/K370S:S364K;T411E/K360E/Q362E:D401K;L368D/K370S:S364K/E357L;K370S:S364K/E357Q;S267K/S364K/E357Q:S267K/L368D/K370S;L368D/K370S:S364K/E357Q;S364K:L368D/K370S;S364K:L368E/K370S;D401K:T411E/K360E/Q362E;S364K/E357L:L368D/K370S;及びS364K/E357Q:K370S(EU番号付けによる)からなる群から選択される一組のアミノ酸置換を含む。
【0014】
[0014]第4の態様では、本開示は、対象におけるCD8+エフェクターメモリーT細胞及びNK細胞の増殖を誘導するための方法を提供し、この方法は、対象に対し、有効量のヘテロ二量体タンパク質を投与することを含み、ヘテロ二量体タンパク質は、(i)IL-15タンパク質及び第1のFcドメインを含む第1の単量体であって、前記IL-15タンパク質が前記第1のFcドメインのN末端に共有結合している、第1の単量体と、(ii)IL-15Rαタンパク質及び第2のFcドメインを含む第2の単量体であって、前記IL-15Rαタンパク質が前記第2のFcドメインのN末端に共有結合している、第2の単量体とを含み;前記第1及び前記第2のFcドメインは、S267K/L368D/K370S:S267K/S364K/E357Q;S364K/E357Q:L368D/K370S;L368D/K370S:S364K;L368E/K370S:S364K;T411E/K360E/Q362E:D401K;L368D/K370S:S364K/E357L;K370S:S364K/E357Q;S267K/S364K/E357Q:S267K/L368D/K370S;L368D/K370S:S364K/E357Q;S364K:L368D/K370S;S364K:L368E/K370S;D401K:T411E/K360E/Q362E;S364K/E357L:L368D/K370S;及びS364K/E357Q:K370S(EU番号付けによる)からなる群から選択される一組のアミノ酸置換を含む。
【0015】
[0015]第5の態様では、本開示は、対象におけるIFNγ生成を誘導するための方法を提供し、この方法は、対象に対し、有効量のヘテロ二量体タンパク質を投与することを含み、ヘテロ二量体タンパク質は、(i)IL-15タンパク質及び第1のFcドメインを含む第1の単量体であって、前記IL-15タンパク質が前記第1のFcドメインのN末端に共有結合している、第1の単量体と、(ii)IL-15Rαタンパク質及び第2のFcドメインを含む第2の単量体であって、前記IL-15Rαタンパク質が前記第2のFcドメインのN末端に共有結合している、第2の単量体とを含み;前記第1及び前記第2のFcドメインは、S267K/L368D/K370S:S267K/S364K/E357Q;S364K/E357Q:L368D/K370S;L368D/K370S:S364K;L368E/K370S:S364K;T411E/K360E/Q362E:D401K;L368D/K370S:S364K/E357L;K370S:S364K/E357Q;S267K/S364K/E357Q:S267K/L368D/K370S;L368D/K370S:S364K/E357Q;S364K:L368D/K370S;S364K:L368E/K370S;D401K:T411E/K360E/Q362E;S364K/E357L:L368D/K370S;及びS364K/E357Q:K370S(EU番号付けによる)からなる群から選択される一組のアミノ酸置換を含む。
【0016】
[0016]いくつかの実施形態では、前記第1及び/又は第2のFcドメインの各々は、独立して、アミノ酸置換Q295E、N384D、Q418E及びN421D(EU番号付けによる)をさらに含む。
【0017】
[0017]いくつかの実施形態では、前記第1のFcドメイン及び/又は第2のFcドメインの各々は、独立して、G236R/L328R;E233P/L234V/L235A/G236del/S239K;E233P/L234V/L235A/G236del/S267K;E233P/L234V/L235A/G236del/S239K/A327G;E233P/L234V/L235A/G236del/S267K/A327G;及びE233P/L234V/L235A/G236del(EU番号付けによる)からなる群から選択されるアミノ酸置換をさらに含み、Fcドメインは、IgG1又はIgG3のFcドメインに由来している。いくつかの実施形態では、前記第1のFcドメイン及び/又は第2のFcドメインの各々は、独立して、L328R;S239K;及びS267K(EU番号付けによる)からなる群から選択されるアミノ酸置換をさらに含み、FcドメインはIgG2のFcドメインに由来している。いくつかの実施形態では、前記第1のFcドメイン及び/又は第2のFcドメインの各々は、独立して、G236R/L328R;E233P/F234V/L235A/G236del/S239K;E233P/F234V/L235A/G236del/S267K;E233P/F234V/L235A/G236del/S239K;E233P/F234V/L235A/G236del/S267K;及びE233P/F234V/L235A/G236del(EU番号付けによる)からなる群から選択されるアミノ酸置換をさらに含み、Fcドメインは、IgG4のFcドメインに由来している。
【0018】
[0018]いくつかの実施形態では、IL-15タンパク質は、N1D、N4D、D8N、D30N、D61N、E64Q、N65D及びQ108Eからなる群から選択される1つ又は複数のアミノ酸置換を含む。
【0019】
[0019]いくつかの実施形態では、IL-15タンパク質及びIL-15Rαタンパク質は、E87C:65DPC;E87C:65DCA;V49C:S40C;L52C:S40C;E89C:K34C;Q48C:G38C;E53C:L42C;C42S:A37C及びL45C:A37Cからそれぞれ選択される一組のアミノ酸置換又は付加を含む。
【0020】
[0020]いくつかの実施形態では、IL-15タンパク質は、配列番号2(完全長ヒトIL-15)及び配列番号1(切断型ヒトIL-15)からなる群から選択されるポリペプチド配列を含む。いくつかの実施形態では、前記IL-15Rαタンパク質は、配列番号3(完全長ヒトIL-15Rα)及び配列番号4(ヒトIL-15Rαのスシドメイン)からなる群から選択されるポリペプチド配列を含む。
【0021】
[0021]いくつかの実施形態では、第1のFcドメインは、アミノ酸置換L368D及びK370Sを含み;第2のFcドメインは、アミノ酸置換S364K及びE357Qを含み;前記第1のFcドメイン及び前記第2のFcドメインの各々は、アミノ酸置換C220S、E233P、L234V、L235A、G236del、S267K、M428L及びN434S(EU番号付けによる)をさらに含み;前記IL-15タンパク質は、アミノ酸置換D30N、E64Q及びN65Dを含み;前記IL-15Rαタンパク質は配列番号4を含む。
【0022】
[0022]いくつかの実施形態では、第1のFcドメインは、アミノ酸置換S364K及びE357Qを含み;第2のFcドメインは、アミノ酸置換L368D及びK370Sを含み;前記第1のFcドメイン及び前記第2のFcドメインの各々は、アミノ酸置換C220S、E233P、L234V、L235A、G236del、S267K、M428L及びN434S(EU番号付けによる)をさらに含み;前記IL-15タンパク質は、アミノ酸置換D30N、E64Q及びN65Dを含み;前記IL-15Rαタンパク質は配列番号4を含む。
【0023】
[0023]いくつかの実施形態では、第1のFcドメインは、アミノ酸置換L368D及びK370Sを含み;第2のFcドメインは、アミノ酸置換K246T、S364K及びE357Qを含み;前記第1のFcドメイン及び前記第2のFcドメインの各々は、アミノ酸置換C220S、E233P、L234V、L235A、G236del、S267K、M428L及びN434S(EU番号付けによる)を含み;前記IL-15タンパク質は、アミノ酸置換D30N、E64Q及びN65Dを含み;前記IL-15Rαタンパク質は配列番号4を含む。
【0024】
[0024]いくつかの実施形態では、第1のFcドメインは、アミノ酸置換S364K及びE357Qを含み;第2のFcドメインは、アミノ酸置換K246T、L368D及びK370Sを含み;前記第1のFcドメイン及び前記第2のFcドメインの各々は、アミノ酸置換C220S、E233P、L234V、L235A、G236del、S267K、M428L及びN434S(EU番号付けによる)を含み;前記IL-15タンパク質は、アミノ酸置換D30N、E64Q及びN65Dを含み;前記IL-15Rαタンパク質は配列番号4を含む。
【0025】
[0025]いくつかの実施形態では、IL-15タンパク質は、第1のリンカーを介して第1のFcドメインのN末端に共有結合している。いくつかの実施形態では、IL-15Rαタンパク質は、第2のリンカーを介して第2のFcドメインのN末端に共有結合している。いくつかの実施形態では、IL-15タンパク質は、第1のリンカーを介して第1のFcドメインのN末端に共有結合しており、IL-15Rαタンパク質は、第2のリンカーを介して第2のFcドメインのN末端に共有結合している。
【0026】
[0026]いくつかの実施形態では、第1のリンカー及び/又は第2のリンカーは、独立して、可変長Gly-Serリンカーである。いくつかの実施形態では、第1のリンカー及び/又は第2のリンカーは、独立して、(Gly-Gly-Gly-Gly-Ser)n(配列番号39)、(Ser-Ser-Ser-Ser-Gly)n(配列番号40)、(Gly-Ser-Ser-Gly-Gly)n(配列番号41)、及び(Gly-Gly-Ser-Gly-Gly)n(配列番号42)からなる群から選択されるリンカーを含み、nは1から5の間の整数である。
【0027】
[0027]いくつかの実施形態では、ヘテロ二量体タンパク質は、XENP22822、XENP23504、XENP24045、XENP24306、XENP22821、XENP23343、XENP23557、XENP24113、XENP24051、XENP24341、XENP24052、XENP24301、及びXENP32803タンパク質からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、ヘテロ二量体タンパク質はXENP24306である。いくつかの実施形態では、ヘテロ二量体タンパク質はXENP32803である。いくつかの実施形態では、ヘテロ二量体タンパク質は、XENP24306とXENP32803の組み合わせである。
【0028】
[0028]第6の態様では、本開示は、固形腫瘍の治療を必要とする対象における固形腫瘍を治療する方法を提供し、この方法は、対象に対し、治療的有効量のヘテロ二量体タンパク質を投与することを含み、ヘテロ二量体タンパク質は、(i)IL-15タンパク質及び第1のFcドメインを含む第1の単量体であって、前記IL-15タンパク質が前記第1のFcドメインのN末端に共有結合している、第1の単量体と、(ii)IL-15Rαタンパク質のスシドメイン及び第2のFcドメインを含む第2の単量体であって、IL-15Rαタンパク質の前記スシドメインが前記第2のFcドメインのN末端に共有結合している、第2の単量体とを含み;前記第1のFcドメイン及び前記第2のFcドメインの各々は、アミノ酸置換E233P、L234V、L235A、G236del、及びS267K(EU番号付けによる)を含み;前記IL-15タンパク質は、N65Dアミノ酸置換と、N4D、D30N、及びE64Qからなる群から選択される1つ又は複数のアミノ酸置換とを含む。
【0029】
[0029]第7の態様では、本開示は、対象にCD8+エフェクターメモリーT細胞の増殖を誘導するための方法を提供し、この方法は、対象に対し、有効量のヘテロ二量体タンパク質を投与することを含み、ヘテロ二量体タンパク質は、(i)IL-15タンパク質及び第1のFcドメインを含む第1の単量体であって、前記IL-15タンパク質が前記第1のFcドメインのN末端に共有結合している、第1の単量体と、(ii)IL-15Rαタンパク質のスシドメイン及び第2のFcドメインを含む第2の単量体であって、IL-15Rαタンパク質の前記スシドメインが前記第2のFcドメインのN末端に共有結合している、第2の単量体とを含み;前記第1のFcドメイン及び前記第2のFcドメインの各々は、アミノ酸置換E233P、L234V、L235A、G236del、及びS267K(EU番号付けによる)を含み;前記IL-15タンパク質は、N65Dアミノ酸置換と、N4D、D30N、及びE64Qからなる群から選択される1つ又は複数のアミノ酸置換とを含む。
【0030】
[0030]第8の態様では、本開示は、対象にNK細胞の増殖を誘導するための方法を提供し、この方法は、対象に対し、有効量のヘテロ二量体タンパク質を投与することを含み、ヘテロ二量体タンパク質は、(i)IL-15タンパク質及び第1のFcドメインを含む第1の単量体であって、前記IL-15タンパク質が前記第1のFcドメインのN末端に共有結合している、第1の単量体と、(ii)IL-15Rαタンパク質のスシドメイン及び第2のFcドメインを含む第2の単量体であって、IL-15Rαタンパク質の前記スシドメインが前記第2のFcドメインのN末端に共有結合している、第2の単量体とを含み;前記第1のFcドメイン及び前記第2のFcドメインの各々は、アミノ酸置換E233P、L234V、L235A、G236del、及びS267K(EU番号付けによる)を含み;前記IL-15タンパク質は、N65Dアミノ酸置換と、N4D、D30N、及びE64Qからなる群から選択される1つ又は複数のアミノ酸置換とを含む。
【0031】
[0031]第9の態様では、本開示は、CD8+エフェクターメモリーT細胞及びNK細胞の増殖を誘導するための方法を提供し、この方法は、対象に対し、有効量のヘテロ二量体タンパク質を投与することを含み、ヘテロ二量体タンパク質は、(i)IL-15タンパク質及び第1のFcドメインを含む第1の単量体であって、前記IL-15タンパク質が前記第1のFcドメインのN末端に共有結合している、第1の単量体と、(ii)IL-15Rαタンパク質のスシドメイン及び第2のFcドメインを含む第2の単量体であって、IL-15Rαタンパク質の前記スシドメインが前記第2のFcドメインのN末端に共有結合している、第2の単量体とを含み;前記第1のFcドメイン及び前記第2のFcドメインの各々は、アミノ酸置換E233P、L234V、L235A、G236del、及びS267K(EU番号付けによる)を含み;前記IL-15タンパク質は、N65Dアミノ酸置換と、N4D、D30N、及びE64Qからなる群から選択される1つ又は複数のアミノ酸置換とを含む。
【0032】
[0032]第10の態様では、本開示は、対象にIFNγの生成を誘導するための方法を提供し、この方法は、対象に対し、有効量のヘテロ二量体タンパク質を投与することを含み、ヘテロ二量体タンパク質は、(i)IL-15タンパク質及び第1のFcドメインを含む第1の単量体であって、前記IL-15タンパク質が前記第1のFcドメインのN末端に共有結合している、第1の単量体と、(ii)IL-15Rαタンパク質のスシドメイン及び第2のFcドメインを含む第2の単量体であって、IL-15Rαタンパク質の前記スシドメインが前記第2のFcドメインのN末端に共有結合している、第2の単量体とを含み;前記第1のFcドメイン及び前記第2のFcドメインの各々は、アミノ酸置換E233P、L234V、L235A、G236del、及びS267K(EU番号付けによる)を含み;前記IL-15タンパク質は、N65Dアミノ酸置換と、N4D、D30N、及びE64Qからなる群から選択される1つ又は複数のアミノ酸置換とを含む。
【0033】
[0033]いくつかの実施形態では、第1のFcドメインは、アミノ酸置換L368D及びK370Sをさらに含み、前記第2のFcドメインは、アミノ酸置換S364K及びE357Q(EU番号付けによる)をさらに含む。
【0034】
[0034]いくつかの実施形態では、第1のFcドメインは、アミノ酸置換S364K及びE357Qをさらに含み、前記第2のFcドメインは、アミノ酸置換L368D及びK370S(EU番号付けによる)をさらに含む。
【0035】
[0035]いくつかの実施形態では、第1のFcドメインは、アミノ酸置換Q295E、N384D、Q418E及びN421D(EU番号付けによる)をさらに含む。
【0036】
[0036]いくつかの実施形態では、第2のFcドメインは、アミノ酸置換Q295E、N384D、Q418E及びN421D(EU番号付けによる)をさらに含む。
【0037】
[0037]いくつかの実施形態では、第2のFcドメインは、アミノ酸置換K246T(EU番号付けによる)をさらに含む。
【0038】
[0038]いくつかの実施形態では、IL-15タンパク質は、アミノ酸置換D30N、E64Q及びN65Dを含む。
【0039】
[0039]いくつかの実施形態では、IL-15タンパク質は、配列番号5に示されるアミノ酸配列を含む。
【0040】
[0040]いくつかの実施形態では、IL-15Rαタンパク質のスシドメインは、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含む。
【0041】
[0041]いくつかの実施形態では、第1の単量体は、配列番号9に示されるアミノ酸配列を含み、第2の単量体は、配列番号10に示されるアミノ酸配列を含む。
【0042】
[0042]いくつかの実施形態では、第1の単量体は、配列番号9に示されるアミノ酸配列を含み、第2の単量体は、配列番号16に示されるアミノ酸配列を含む。
【0043】
[0043]いくつかの実施形態では、IL-15タンパク質は、第1のリンカーを介して第1のFcドメインのN末端に共有結合している。
【0044】
[0044]いくつかの実施形態では、IL-15Rαタンパク質は、第2のリンカーを介して第2のFcドメインのN末端に共有結合している。いくつかの実施形態では、IL-15タンパク質は、第1のリンカーを介して第1のFcドメインのN末端に共有結合しており、IL-15Rαタンパク質は、第2のリンカーを介して第2のFcドメインのN末端に共有結合している。
【0045】
[0045]いくつかの実施形態では、第1のリンカー及び/又は第2のリンカーは、独立して、可変長Gly-Serリンカーである。いくつかの実施形態では、第1のリンカー及び/又は第2のリンカーは、独立して、(Gly-Gly-Gly-Gly-Ser)n(配列番号39)、(Ser-Ser-Ser-Ser-Gly)n(配列番号40)、(Gly-Ser-Ser-Gly-Gly)n(配列番号41)、及び(Gly-Gly-Ser-Gly-Gly)n(配列番号42)からなる群から選択されるリンカーを含み、nは1から5の間の整数である。
【0046】
[0046]本明細書に開示される方法のいくつかの実施形態では、第1の単量体は、配列番号9に示されるアミノ酸配列を含み、第2の単量体は、配列番号10に示されるアミノ酸配列を含む。本明細書に開示される方法のいずれかの、いくつかの実施形態では、第1の単量体は、配列番号9に示されるアミノ酸配列を含み、第2の単量体は、配列番号16に示されるアミノ酸配列を含む。本明細書に開示される方法のいずれかの、いくつかの実施形態では、ヘテロ二量体タンパク質はXENP24306である。本明細書に開示される方法のいずれかの、いくつかの実施形態では、ヘテロ二量体タンパク質はXENP32803である。本明細書に開示される方法のいずれかの、いくつかの実施形態では、XENP24306とXENP32803の組み合わせが使用される。
【0047】
[0047]本明細書に開示される方法のいずれかの、いくつかの実施形態では、XENP24306タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の約50-約100%、約70-約95%、約80-約90%、又は約80-約85%を占める。本明細書に開示される方法のいずれかの、いくつかの実施形態では、XENP32803タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の約1-約50%、約5-約30%、約10-約20%、又は約15-約20%を占める。本明細書に開示される方法のいずれかの、いくつかの実施形態では、XENP24306タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の約85%を占め、XENP32803タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の約15%を占める。本明細書に開示される方法のいずれかの、いくつかの実施形態では、XENP24306タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の約84%を占め、XENP32803タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の約16%を占める。本明細書に開示される方法のいずれかの、いくつかの実施形態では、XENP24306タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の約83%を占め、XENP32803タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の約17%を占める。本明細書に開示される方法のいずれかの、いくつかの実施形態では、XENP24306タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の約82%を占め、XENP32803タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の約18%を占める。本明細書に開示される方法のいずれかの、いくつかの実施形態では、XENP24306タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の約81%を占め、XENP32803タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の約19%を占める。本明細書に開示される方法のいずれかの、いくつかの実施形態では、XENP24306タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の約80%を占め、XENP32803タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の約20%を占める。
【0048】
[0048]本明細書に開示される方法のいずれかの、いくつかの実施形態では、2つ以上のヘテロ二量体タンパク質の組み合わせが、対象に投与される。いくつかの実施形態では、第1のヘテロ二量体タンパク質と第2のヘテロ二量体タンパク質との組み合わせが、対象に投与される。
【0049】
[0049]いくつかの実施形態では、第1のヘテロ二量体タンパク質は、配列番号9に示されるアミノ酸配列を含む第1の単量体と、配列番号10に示されるアミノ酸配列を含む第2の単量体とを含み;第2のヘテロ二量体タンパク質は、配列番号9に示されるアミノ酸配列を含む第1の単量体と、配列番号16に示されるアミノ酸配列.第2の単量体とを含む。
【0050】
[0050]いくつかの実施形態では、前記第1のヘテロ二量体タンパク質と第2のヘテロ二量体タンパク質とは、同時に投与される。いくつかの実施形態では、前記第1のヘテロ二量体タンパク質と第2のヘテロ二量体タンパク質とは、連続して投与される。いくつかの実施形態では、前記第1のヘテロ二量体タンパク質と第2のヘテロ二量体タンパク質とは、同じ組成物中において投与される。いくつかの実施形態では、前記第1のヘテロ二量体タンパク質と第2のヘテロ二量体タンパク質とは、別々の組成物中において投与される。
【0051】
[0051]いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法のいずれかにより治療される固形腫瘍は、局所的に進行性、再発性又は転移性である。いくつかの実施形態では、前記固形腫瘍は、扁平上皮がん、皮膚扁平上皮がん、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、胃腸がん、胃(gastric)がん、膵臓がん、膠芽細胞腫、子宮頸がん、卵巣がん、肝がん、膀胱がん、脂肪肉腫、軟部組織肉腫、尿路上皮癌、尿管及び腎盂、多発性骨髄腫、骨肉腫、肝細胞癌、黒色腫、胃(stomach)がん、乳がん、結腸がん、結腸直腸がん、子宮内膜癌、唾液腺癌、腎細胞癌、肝がん、食道がん、前立腺がん、外陰部がん、甲状腺がん、肝臓癌、メルケル細胞癌、生殖細胞がん、高頻度マイクロサテライト不安定性がん及び頭頚部扁平上皮癌からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、前記固形腫瘍は、黒色腫、腎細胞癌、非小細胞肺がん、頭頚部扁平上皮癌、及びトリプルネガティブ乳がんから選択される。いくつかの実施形態では、前記固形腫瘍は、黒色腫、腎細胞癌、及び非小細胞肺がんから選択される。いくつかの実施形態では、前記固形腫瘍は、黒色腫、非小細胞肺がん、頭頚部扁平上皮癌、及びトリプルネガティブ乳がんから選択される。
【0052】
[0052]いくつかの実施形態では、対象は、以前にその状態の治療のための薬剤を投与されたことがない。いくつかの実施形態では、対象は、現在チェックポイント阻害剤を投与されている。いくつかの実施形態では、対象は、以前にチェックポイント阻害剤を投与されたことがある。いくつかの実施形態では、チェックポイント阻害剤はPD-1を標的とする。いくつかの実施形態では、チェックポイント阻害剤はPD-L1を標的とする。いくつかの実施形態では、チェックポイント阻害剤はCTLA-4を標的とする。
【0053】
[0053]いくつかの実施形態では、ヘテロ二量体タンパク質は、体重で、約0.0025mg/kg、約0.005mg/kg、約0.01mg/kg、約0.015mg/kg、約0.02mg/kg、約0.025mg/kg、約0.03mg/kg、約0.04mg/kg、約0.05mg/kg、約0.06mg/kg、約0.08mg/kg、約0.10mg/kg、約0.12mg/kg、約0.16mg/kg、約0.20mg/kg、約0.24mg/kg及び約0.32mg/kgからなる群から選択される用量で投与される。いくつかの実施形態では、ヘテロ二量体タンパク質は、体重で、約0.01mg/kg、約0.02mg/kg、約0.04mg/kg、約0.06mg/kg、約0.09mg/kg、約0.135mg/kg、及び約0.2025mg/kgからなる群から選択される用量で投与される。いくつかの実施形態では、ヘテロ二量体タンパク質は、Q1W、Q2W、Q3W、Q4W、Q5W及びQW6からなる群から選択される頻度で投与される。いくつかの実施形態では、ヘテロ二量体タンパク質は、体重で、0.0025mg/kg、0.005mg/kg、0.01mg/kg、0.015mg/kg、0.02mg/kg、0.025mg/kg、0.03mg/kg、0.04mg/kg、0.05mg/kg、0.06mg/kg、0.08mg/kg、0.10mg/kg、0.16mg/kg、0.20mg/kg、0.24mg/kg及び0.32mg/kgからなる群から選択される用量で投与される。いくつかの実施形態では、ヘテロ二量体タンパク質は、体重で、0.01mg/kg、0.02mg/kg、0.04mg/kg、0.06mg/kg、0.09mg/kg、0.135mg/kg、及び0.2025mg/kgからなる群から選択される用量で投与される。いくつかの実施形態では、ヘテロ二量体タンパク質は、Q1W、Q2W、Q3W、Q4W、Q5W及びQ6Wからなる群から選択される頻度で投与される。
【0054】
[0054]いくつかの実施形態では、ヘテロ二量体タンパク質の組み合わせ(例えばXENP24306+XENP32803)は、体重で、約0.0025mg/kg、約0.005mg/kg、約0.01mg/kg、約0.015mg/kg、約0.02mg/kg、約0.025mg/kg、約0.03mg/kg、約0.04mg/kg、約0.05mg/kg、約0.06mg/kg、約0.08mg/kg、約0.10mg/kg、約0.12mg/kg、約0.16mg/kg、約0.20mg/kg、約0.24mg/kg及び約0.32mg/kgからなる群から選択される用量で投与される。いくつかの実施形態では、ヘテロ二量体タンパク質の組み合わせ(例えばXENP24306+XENP32803)は、体重で、約0.01mg/kg、約0.02mg/kg、約0.04mg/kg、約0.06mg/kg、約0.09mg/kg、約0.135mg/kg、及び約0.2025mg/kgからなる群から選択される用量で投与される。いくつかの実施形態では、ヘテロ二量体タンパク質の組み合わせは、Q1W、Q2W、Q3W、Q4W、Q5W及びQ6Wからなる群から選択される頻度で投与される。いくつかの実施形態では、ヘテロ二量体タンパク質の組み合わせ(例えばXENP24306+XENP32803)は、体重で、0.0025mg/kg、0.005mg/kg、0.01mg/kg、0.015mg/kg、0.02mg/kg、0.025mg/kg、0.03mg/kg、0.04mg/kg、0.05mg/kg、0.06mg/kg、0.08mg/kg、0.10mg/kg、0.16mg/kg、0.20mg/kg、0.24mg/kg及び0.32mg/kgからなる群から選択される用量で投与される。いくつかの実施形態では、ヘテロ二量体タンパク質の組み合わせ(例えばXENP24306+XENP32803)は、体重で、0.01mg/kg、0.02mg/kg、0.04mg/kg、0.06mg/kg、0.09mg/kg、0.135mg/kg、及び0.2025mg/kgからなる群から選択される用量で投与される。いくつかの実施形態では、ヘテロ二量体タンパク質の組み合わせは、Q1W、Q2W、Q3W、Q4W、Q5W及びQ6Wからなる群から選択される頻度で投与される。
【0055】
[0055]いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法は、対象に対し、PD-L1/PD-1軸を標的とする薬剤を投与することをさらに含む。いくつかの実施形態では、PD-L1/PD-1軸を標的とする前記薬剤は、抗PD-1抗体である。いくつかの実施形態では、抗PD-1抗体は、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、ピディリズマブ、セミプリマブ、スパルタリズマブ、カムレリズマブ、シンチリマブ、チスレリズマブ、トリパリマブ、MDX-1106、AMP-514及びAMP-224から選択される。いくつかの実施形態では、PD-L1/PD-1軸を標的とする前記薬剤は、抗PD-L1抗体である。いくつかの実施形態では、抗PD-L1抗体は、アベルマブ、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、BMS-936559、BMS-39886、KN035、CK-301及びMSB0010718Cから選択される。
【0056】
[0056]これら態様及びその他の態様は、本開示全体を踏まえると当業者には自明であろう。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【
図1】[0057]XENP24306(~82%)とXENP32803(~18%)との組み合わせが、ヒトPBMCにおいて、ヒトNK細胞(A)とCD8
+T細胞(B)の用量依存性の増殖を促進することを示している。22名の個別のヒトドナー由来のPBMCを、示される全濃度のXENP24306(~82%)とXENP32803(~18%)との組み合わせで4日間処置し、Ki67
+(細胞増殖のマーカー)の頻度を、CD3
- CD56
+NK細胞(A)又はCD3
+CD8
+CD16
-T細胞(B)についてフローサイトメトリーにより決定した。各点は、22名のドナーの平均値を表し、エラーバーはSEMを表す。曲線あてはめを、最小二乗法を使用して生成した。EC
50値は、可変勾配(4パラメータ)式を使用するアゴニスト対応答を用いる非線形回帰解析により決定した。[CD=分化のクラスター;NK=ナチュラルキラー;PBMC=末梢血単核細胞]。
【
図2】[0058]ヒトPBMCにおいて、XENP24306(~82%)とXENP32803(~18%)との組み合わせ、組み換え野生型IL-15(rIL15)及び野生型IL-15/野生型IL-15Rαヘテロ二量体Fc融合(XENP22853)によって誘導された、CD8
+ ターミナルエフェクターT細胞増殖の比較を示している。[EC
50=半数効果濃度]。
【
図3A-B】[0059]反復用量のXENP24306(~82%)とXENP32803(~18%)との組み合わせ及び異なる用量(0;0.03mg/kg;0.2mg/kg及び0.6mg/kg)で処置したカニクイザルの全血におけるCD8β
+T細胞(A(雄)及びB(雌))の絶対数を表すグラフである。
【
図3C-D】反復用量のXENP24306(~82%)とXENP32803(~18%)との組み合わせ及び異なる用量(0;0.03mg/kg;0.2mg/kg及び0.6mg/kg)で処置したカニクイザルの全血におけるNK細胞(C(雄)及びD(雌))の絶対数を表すグラフである。カニクイザル由来の全血を、抗体で染色し、CD8
+T細胞をCD45
+ CD3
+ CD8β
+ CD4
- CD16
-として、及びNK細胞をCD45
+ CD3
-CD16
+として同定した。各データ点は、1つのグループにつき3から5匹のカニクイザルの平均値を表し;エラーバーはSDを示す。
【
図4】[0060]合計3回の、ヘテロ二量体タンパク質のQ2Wでの静脈内投与(0.03mg/kg;0.2mg/kg及び0.6mg/kgの用量)後の、カニクイザル(雄と雌との組み合わせ)における、平均(±SD)ヘテロ二量体タンパク質(XENP24306(~82%)とXENP32803(~18%)との組み合わせの血清濃度(ng/mL)対時間(日数)プロファイルを示すグラフである。
【
図5】[0061]ヒトPBMCを移植した非肥満糖尿病/重症複合免疫不全ガンマ(NSG)マウスにおける体重減少を表すグラフである。XENP24306(~82%)とXENP32803(~18%)との組み合わせが、抗PD1二価抗体である、3mg/kgのXENP16432の存在下又は非存在下において、様々な濃度で投与された。試料:(A)PBS;(B)3.0mg/kgのXENP16432;(C)0.3mg/kgのXENP24306(~82%)とXENP32803(~18%)との組み合わせ;(D)0.1mg/kgのXENP24306(~82%)とXENP32803(~18%)との組み合わせ;(E)0.03mg/kgのXENP24306(~82%)とXENP32803(~18%)との組み合わせ;(F)0.01mg/kgのXENP24306(~82%)とXENP32803(~18%)との組み合わせ;(G)0.3mg/kgのXENP24306(~82%)とXENP32803(~18%)との組み合わせ+3.0mg/kgのXENP16432;(H)0.1mg/kgのXENP24306(~82%)とXENP32803(~18%)との組み合わせ+3.0mg/kgのXENP16432;(I)0.03mg/kgのXENP24306(~82%)とXENP32803(~18%)との組み合わせ+3.0mg/kgのXENP16432;及び(J)0.01mg/kgのXENP24306(~82%)とXENP32803(~18%)との組み合わせ+3.0mg/kgのXENP16432。
【
図6】[0062]ヒト腫瘍細胞(pp65-MCF7)及びヒト白血球源としてhuPBMCを移植した非肥満糖尿病/重症複合免疫不全ガンマ(NSG)マウスにおける腫瘍体積の変化のグループ中央値を表すグラフである。XENP24306(~82%)とXENP32803(~18%)との組み合わせが、3mg/kgのXENP16432の存在下又は非存在下において様々な濃度で投与された。試料:(A)PBS;(B)3.0mg/kgのXENP16432;(C)1.0mg/kgのXENP24306(~82%)とXENP32803(~18%)との組み合わせ;(D)0.3mg/kgのXENP24306(~82%)とXENP32803(~18%)との組み合わせ;(E)0.1mg/kgのXENP24306(~82%)とXENP32803(~18%)との組み合わせ;(F)1.0mg/kgのXENP24306(~82%)とXENP32803(~18%)との組み合わせ+3.0mg/kgのXENP16432;(G)0.3mg/kgのXENP24306(~82%)とXENP32803(~18%)との組み合わせ+3.0mg/kgのXENP16432;及び(H)0.1mg/kgのXENP24306(~82%)とXENP32803(~18%)との組み合わせ+3.0mg/kgのXENP16432。
【
図7】[0063]IL15/IL15Rαヘテロ二量体タンパク質(例えば、XENP24306、XENP32803、又はXENP24306(~82%)とXENP32803(~18%)との組み合わせ)に関する単剤療法の試験スキーマであり、用量漸増段階及び拡大段階という2つの段階に登録された患者と、これら2つの段階に関する詳細を示している。DL=用量レベル;DLT=用量制限毒性;MTD=最大耐用量;PD=薬力学;Q2W=2週毎;Q3W=3週毎;Q4W=4週毎;RCC=腎細胞癌;RED=推奨拡大用量。
a PD効果は、末梢血NK細胞及びCD8
+T細胞の列挙とKi67染色によって評価される。
bn=1/用量レベルから3+3+3設計に変更するための安全閾値は実施例6に定義される。≦100%増量投与から≦50%増量投与に変更するための安全閾値が実施例6に定義される。
d累積毒性が許容されない忍容性(例えば、IL15/IL15Rαヘテロ二量体タンパク質の頻繁な用量遅延)をもたらす場合、IL15/IL15Rαヘテロ二量体タンパク質の投与頻度を低下させてもよい。
【
図8】[0064]IL15/IL15Rαヘテロ二量体タンパク質(例えば、アテゾリズマブ(抗PD-L1抗体)と組み合わせた、XENP24306、XENP32803、又はXENP24306(~82%)とXENP32803(~18%)との組み合わせ)に関する併用療法研究スキーマであり、用量漸増段階及び拡大段階という2つの段階に登録した患者と、これら2つの段階に関する詳細を示している。Bx=生検;CIT=がん免疫療法;cSCC=皮膚扁平上皮癌;DL=用量レベル;DLT=用量制限毒性;GC=胃がん;HNSCC=頭頚部扁平上皮癌;MCC=メルケル細胞癌;MSI-H=高頻度マイクロサテライト不安定性;MTD=最大耐用量;NSCLC=非小細胞肺がん;PD=薬力学;Q2W=2週毎;Q3W=3週毎;Q4W=4週毎;RCC=腎細胞癌;RED= 推奨拡大用量;SCLC=小細胞肺癌;TBD=未定;TNBC=トリプルネガティブ乳がん;UCC=尿路上皮癌。
a≦00%増量投与から≦50%へ切り替えるための安全閾値は、実施例6に定義される。
b初期単剤療法のIL15/IL15Rαヘテロ二量体タンパク質の0.01mg/kgの用量レベルがPD活性を示す場合、IL15/IL15Rαのヘテロ二量体タンパク質の開始用量は、初期併用療法のアテゾリズマブ組み合わせコホートにおいて0.005mg/kgを超えないであろう。
c累積毒性が許容されない忍容性(例えば、IL15/IL15Rαヘテロ二量体タンパク質の頻繁な用量遅延)をもたらす場合、IL15/IL15Rαヘテロ二量体タンパク質/アテゾリズマブの投与頻度を低下してもよい。
d初期IL15/IL15Rαヘテロ二量体タンパク質の用量レベルを知らせるPD効果は、実施例6に定義される。
e 患者は、単剤として又は組み合わせで以前に抗PD-L1/PD-1阻害剤を投与され、それまでの治療から臨床的有用性を得たことがなければならない。
f症候には、黒色腫、NSCLC、HNSCC、TNBC、UCC、RCC、SCLC、GC、MCC、cSCC、MSI-Hがんが含まれる。
g黒色腫、RCC、UCC、NSCLC、HNSCC、及びTNBCを有する患者が登録される。
hPD-L1閾値は、症候によって異なる場合があり、この後決定される。
【
図9】[0065]XENP24306単量体1(配列番号9)、XENP24306単量体2(配列番号10)、XENP32803単量体1(配列番号9)、及びXENP32803単量体2(配列番号16)のアミノ酸配列を提供する。単量体1の配列において、IL15部分には下線が引かれており、リンカーはスラッシュでオフセットされて、太字且つ下線で示されている。Fc部分は2番目のスラッシュの後ろにあり、いずれのフォーマッティングも含まない。単量体2の配列において、IL15Rα部分には下線が引かれており、リンカーはスラッシュでオフセットされて、太字且つ下線で示されている。Fc部分は2番目のスラッシュの後ろにあり、いずれのフォーマッティングも含まない。
【
図10A】[0066]ヒトIL-15前駆体タンパク質(完全長ヒトIL-15)(配列番号2)、成熟又は切断型ヒトIL-15タンパク質(配列番号1)、完全長ヒトIL-15Rαタンパク質(配列番号3)、ヒトIL-15Rαタンパク質の細胞外ドメイン(配列番号54)のアミノ酸配列を提供している。
【
図10B】ヒトIL-15Rαタンパク質のスシドメイン(配列番号4)、完全長ヒトIL-15Rβタンパク質(配列番号55)及びヒトIL-15Rβタンパク質の細胞外ドメイン(配列番号56)のアミノ酸配列を提供している。
【
図11A】[0067]XENP2853野生型IL-15-Fcの第1の単量体(配列番号11)のアミノ酸配列を提供している。
【
図11B】XENP2822タンパク質(配列番号19及び配列番号20)、及びXENP23504タンパク質(配列番号29及び配列番号30)のアミノ酸配列を提供している。
【
図11C】XENP24045タンパク質(配列番号23及び配列番号24)、及びXENP22821タンパク質(配列番号17及び配列番号18)のアミノ酸配列を提供している。
【
図11D】XENP23343タンパク質(配列番号31及び配列番号32)、及びXENP23557タンパク質(配列番号21及び配列番号22)のアミノ酸配列を提供している。
【
図11E】XENP24113タンパク質(配列番号33及び配列番号34)、及びXENP24051タンパク質(配列番号25及び配列番号26)のアミノ酸配列を提供している。
【
図11F】XENP24341タンパク質(配列番号35及び配列番号36)、及びXENP24052タンパク質(配列番号27及び配列番号28)のアミノ酸配列を提供している。
【
図11G】XENP24301タンパク質(配列番号37及び配列番号38)のアミノ酸配列を提供している。
【発明を実施するための形態】
【0058】
一般
[0068]本明細書に開示される方法の実施、並びに組成物の調製及び使用には、別途指示がない限り、分子生物学、生化学、クロマチン構造と分析、計算化学、細胞培養、組み換えDNA及び関連分野における、当分野の技術の範囲内の一般的な技術が用いられる。これら技術は文献で十分に説明されている。例えば、Sambrook et al. MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL,Second edition,Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989 and Third edition,2001;Ausubel et al.,CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY,John Wiley & Sons,New York,1987 and periodic updates;the series METHODS IN ENZYMOLOGY、Academic Press,San Diego;Wolffe,CHROMATIN STRUCTURE AND FUNCTION、Third edition,Academic Press,San Diego,1998;METHODS IN ENZYMOLOGY,Vol. 304,“Chromatin”(P.M. Wassarman and A. P. Wolffe,eds.),Academic Press,San Diego,1999;及びMETHODS IN MOLECULAR BIOLOGY,Vol. 119,“Chromatin Protocols”(P.B.Becker,ed.)Humana Press,Totowa,1999を参照されたい。
【0059】
[0069]用語「本明細書」は、明細書全体を意味する。
【0060】
[0070]本明細書に記載される実施形態のいずれもが、本開示の異なる態様及び明細書の異なる部分(実施例にのみ記載される実施形態を含む)に記載されるものを含め、明確に否定されるか又は不適切であると明記されない限り、本明細書に開示される1つ又は複数の他の実施形態と組み合わせることができると理解すべきである。実施形態の組み合わせは、複数の従属項により特許請求される特定の組み合わせに限定されない。
【0061】
[0071]本明細書において言及されるいずれの出版物、特許、及び公開済み特許出願も、参照により本明細書に具体的に組み込まれる。矛盾する場合は、その特異的定義を含む本明細書が優先する。
【0062】
[0072]本明細書を通して、「含む(comprise)」という語又はその文法的変形は、言及された整数(若しくは成分)又は整数(若しくは成分)の群を言外に含み、いずれの他の整数(若しくは成分)又は整数(若しくは成分)の群も除外しない。
【0063】
[0073]本明細書を通して、組成物が特定の成分を有する、含む、又は備える(又はその変形)と記載される場合、組成物が言及された成分から本質的になっても、又はそのような成分からなってもよいと考慮される。同様に、方法又は過程が特定の工程段階を有する、含む、又は備えると記載される場合、その過程は、言及された工程段階から本質的になっても、又はそのような工程段階からなってもよい。さらに、本明細書に記載される組成物及び方法が作用可能である限り、工程の順序又は特定の動作を実施する順序は重要でないと理解すべきである。さらに、2つ以上の工程又は動作を同時に実行することができる。
【0064】
[0074]用語「~を含む」は、「限定しないが~を含む」を意味するために使用される。「~を含む」及び「限定しないが~を含む」は、交換可能に使用される。
【0065】
[0075]用語「例えば(”e.g.”又は”for example”)」に続く1つ又は複数の例は、排他的又は限定的であることを意味しない。
【0066】
[0076]冠詞(”a”及び”an”)は、本明細書では、冠詞の文法的対象の1つ又は、2つ以上(即ち、少なくとも1つ)を指すために使用される。例として、「要素(”element”)」は、1つの要素又は2つ以上の要素を意味する。
【0067】
[0077]本明細書において使用されるとき、本開示の方法に用いられる組成物の成分、パラメータ、計算、又は測定値の数量を修飾する用語「約」は、例えば、実世界において単離されたポリペプチド又は薬学的組成物を作製するために使用される一般的な測定及び液体取り扱い手順により;これら手順の不注意による誤差により;組成物を作製するか又は方法を実行するために用いられる成分の製造、供給源、又は純度の差などにより;本開示の組成物又は方法の化学的又は物理的属性に実質的な影響を及ぼすことなく生じうる数量の変動を指す。このような変動は、所与の値又は範囲の、一般的には10%以内、さらに一般的には5%以内の大きさの範囲内でありうる。用語「約」は、特定の初期混合物に起因する組成物の異なる平衡条件により異なる量も包含する。用語「約」によって修飾されているかどうかに関わらず、パラグラフは、その数量に相当するものを含む。本明細書における「約」に続く値又はパラメータへの言及は、その値又はパラメータ自体を対象とする実施形態を含む(且つ説明する)。例えば、「約X」に言及する記載には、「X」の記載が含まれる。数値範囲は、その範囲を規定する数値を包含する。
【0068】
[0078]本明細書において使用される用語「又は」は、文脈上そうでないことが明白でない限り、「及び/又は」を意味すると理解されるべきである。
【0069】
[0079]本開示の広い範囲を示す数値範囲及びパラメータは近似値であるにもかかわらず、特定の実施例に示される数値は可能な限り正確に報告される。しかしながら、任意の数値は、それぞれの試験測定値に見られる標準偏差から必然的に生じる特定の誤差を本質的に含む。さらに、本明細書に開示されるすべての範囲は、そこに含まれるすべての下位範囲を包含すると理解されたい。例えば、「1から10」と記述される範囲は、最小値1と最大値10の間のすべての下位範囲(1と10を含む);即ち、1以上の最小値で始まるすべての下位範囲、例えば、1から6.1、及び10以下の最大値で終わるすべての下位範囲例えば、5.5から10を含むと考えるべきである。範囲の開示は、その範囲の端点の開示としても考慮されるべきである。
【0070】
[0080]例示的方法及び材料が以下に記載されるが、本明細書に開示されるものと類似又は同等の方法及び材料も、本出願の実施又は試験に使用できる。材料、方法、及び実施例は、例示にすぎず、限定を意図しない。
【0071】
定義
[0081]以下の用語は、別途指示がない限り、以下の意味を有するものと理解すべきである:
【0072】
[0082]本明細書において使用される用語「アブレーション」は、活性の低下又は除去を指す。したがって、例えば、「FcγR結合をアブレートする」は、Fc領域アミノ酸バリアントが、特異的バリアントを含まないFc領域と比較して、50%未満の開始結合を有し、70%未満、80%未満、90%未満、95%未満又は98%未満の活性喪失が好ましく、一般に、活性は、BIACORE(登録商標)アッセイ(Pharmacia Biosensor AB,Uppsala,Sweden及びPiscataway,N.J.)において検出可能な結合のレベルを下回ることを意味する。別途明記されない限り、本明細書に記載されるFcドメインは、FcRn受容体への結合を保持する。
【0073】
[0083]対象に対して物質、化合物又は薬剤「を投与すること」又は対象への物質、化合物又は薬剤「の投与」は、その物質、化合物又は薬剤の、対象又は対象の細胞、組織、器官又は体液への接触を指す。このような投与は、当業者に既知の様々な方法のうちの1つを使用して実行することができる。例えば、化合物又は薬剤は、肺又は直腸への吸入により、舌下又は鼻腔内に投与することができる。投与は、例えば、1回、複数回、及び/又は1つ又は複数の延長期間にわたって実施することもできる。いくつかの実施形態では、投与には、自己投与を含む直接投与と、薬物の処方行為を含む間接投与との両方が含まれる。例えば、本明細書において使用される場合、患者に薬物を自己投与すること、又は別の人に薬物を投与してもらうことを指示する医師、及び/又は患者に薬物の処方を提供する医師は、薬物を患者に投与している。
【0074】
[0084]本明細書において使用される用語、分子の「親和性」は、分子と結合パートナー、例えば受容体、リガンド又は抗原との間の相互作用の強度を指す。分子のその結合パートナーに対する親和性は、典型的には、特定の相互作用の結合親和性平衡解離定数(KD)として表され、KDが低いほど親和性が高い。KD結合親和性定数は、例えばBIACORE(登録商標)システム(Pharmacia Biosensor AB,Uppsala,Sweden and Piscataway,N.J.)を使用して、表面プラズモン共鳴により測定することができる。各々が参照により本明細書に組み込まれる、Jonsson et al.,Ann. Biol. Clin. 51:19 26(1993);Jonsson et al.,Biotechniques 11:620 627(1991);Jonsson et al.,J. Mol. Recognit. 8:125 131(1995);Johnsson et al.,Anal. Biochem. 198:268 277(1991);Hearty S et al.,Methods Mol Biol. 907:411-42(2012)も参照されたい。KDは、KinExA(登録商標)システム(Sapidyne Instruments,Hanover,Germany and Boise,ID)を使用して測定してもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるヘテロ二量体タンパク質のIL-15 バリアントは、野生型IL-15と比較して、IL-2/IL-15βγ受容体に対する結合親和性が低下した。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるヘテロ二量体タンパク質第1の及び/又は第2のFcバリアントは、ヒト、カニクイザル、及びマウスFcγ受容体に対する親和性が低下した。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるヘテロ二量体タンパク質の第1及び/又は第2のFcバリアントは、ヒト、カニクイザル、及びマウスFcγ受容体に結合しない。
【0075】
[0085]本明細書において使用される用語「アミノ酸」及び「アミノ酸同一性」は、DNA及びRNAによってコードされる20個の天然に存在する アミノ酸のうちの1つを指す。
【0076】
[0086]本明細書において使用される用語「アミノ酸置換」又は「置換」は、親ポリペプチド配列の特定の位置におけるアミノ酸の異なるアミノ酸での置き換えを指す。特に、いくつかの実施形態では、置換は、特定の位置に天然には存在せず、生物内又は任意の生物内に天然には存在しないアミノ酸に対するものである。例えば、置換E272Yは、位置272のグルタミン酸がチロシンで置き換えられているバリアントポリペプチド、この場合はFcバリアントを指す。明確にするために、核酸コード配列を変更するが、開始アミノ酸を変更しない(例えば、宿主生物の発現レベルを増加させるためにCGG(アルギニンをコードする)をCGA(依然としてアルギニンをコードする)に交換する)ように操作されたタンパク質は、「アミノ酸置換」ではない。即ち、同じタンパク質をコードする新しい遺伝子が生成されたにもかかわらず、タンパク質が、開始位置である特定の位置に同じアミノ酸を有する場合、それはアミノ酸置換とは考慮されない。
【0077】
[0087]本明細書において使用される用語「アミノ酸挿入」、「アミノ酸付加」又は「付加」又は「挿入」は、親ポリペプチド配列の特定の位置におけるアミノ酸配列の付加を指す。例えば、-233E又は233Eは、233位の後且つ234位の前のグルタミン酸の挿入を示す。さらに、-233ADE又は233ADEは、233位の後且つ234位の前のAlaAspGluの挿入を示す。
【0078】
[0088]本明細書において使用される用語「アミノ酸欠失」又は「欠失」は、親ポリペプチド配列の特定の位置におけるアミノ酸配列の除去を指す。例えば、E233-又はE233#、E233()又はE233delは、233位におけるグルタミン酸の欠失を指す。さらに、EDA233-又はEDA233#は、233位で始まる配列GluAspAlaの欠失を示す。
【0079】
[0089]本明細書において使用される用語「抗体」又は「Ab」は、免疫グロブリン分子の可変領域に位置する特異的な標的又は抗原、例えば炭水化物、ポリヌクレオチド、脂質、ポリペプチドなどを認識して少なくとも1つの抗原認識部位を通して結合することのできる、免疫グロブリン分子(例えば、完全抗体、抗体断片又は修飾抗体)を指す。本明細書において使用される用語「抗体」は、あらゆる種類の抗体を含むことができ、これには、限定されないが、所与の抗原に特異的に結合するモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、ヒト抗体、操作された抗体(ヒト化抗体、完全ヒト抗体、キメラ抗体、単鎖抗体、人工的に選択された抗体、CDR-付与抗体などを含む)が含まれる。いくつかの実施形態では、「抗体」及び/又は「免疫グロブリン」(Ig)は、任意選択的にジスルフィド結合により相互接続した、少なくとも2つの重(H)鎖(約50-70kDa)と2つの軽(L)鎖(約25kDa)とを含むポリペプチドを指す。軽鎖には、λとκの二種類がある。ヒトにおいて、λ及びκ軽鎖は類似しているが、各抗体には一種類のみが存在する。重鎖は、ミュー、デルタ、ガンマ、アルファ、又はイプシロンとして分類され、抗体のアイソタイプをそれぞれIgM、IgD、IgG、IgA、及びIgEとして定義する。概説として、Fundamental Immunology Ch. 7(Paul,W.,ed.,2nd ed. Raven Press,N.Y.(1989))(参照によりその全体が組み込まれる)を参照されたい。
【0080】
[0090]本明細書において使用される用語「チェックポイント阻害剤」は、チェックポイントタンパク質を標的としてブロックする化合物を指す。チェックポイント阻害剤は、チェックポイントタンパク質とそのパートナータンパク質との間の相互作用を妨害する。チェックポイント阻害剤の例には、限定されないが、PD-1/PD-L1軸を標的とする薬剤と、CTLA-4を標的とする薬剤とが含まれる。
【0081】
[0091]本明細書において使用される用語「エフェクター機能」は、抗体のFc領域と、Fc受容体又は別のエフェクター分子(例えば、Fc受容体様(FcRL)分子、補体成分C1q、及び3分裂モチーフ含有タンパク質21(TRIM21))との相互作用に起因する生化学的事象を指す。エフェクター機能には、限定されないが、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)、抗体依存性細胞媒介性食作用(ADCP)及び補体依存性細胞傷害(CDC)が含まれる。本明細書で使用される用語「ADCC」又は「抗体依存性細胞媒介性細胞傷害」は、FcγRを発現する非特異的細胞傷害性細胞が標的細胞上の結合した抗体を認識し、続いて標的細胞の溶解を引き起こす細胞媒介反応を指す。ADCCはFcγRIIIaへの結合と相関し、FcγRIIIaへの結合の増加は、ADCC活性の増加をもたらす。本明細書で論じるように、本開示の多くの実施形態は、ADCC活性を完全にアブレートする。本明細書において使用される用語「ADCP」又は抗体依存性細胞媒介性食作用」は、FcγRを発現する非特異的細胞傷害性細胞が標的細胞上の結合した抗体を認識し、続いて標的細胞の食作用を引き起こす細胞媒介反応を意味する。本明細書において使用される用語「CDC」又は「補体依存性細胞傷害」は、古典的補体経路の活性化をもたらすエフェクター機能を指し、これは、抗体の、標的細胞上の抗原への結合によって引き起こされ、血中に補体関連タンパク質群を含む一連のカスケードを活性化する。
【0082】
[0092]本明細書において使用される用語「Fc」、「Fc領域」又は「Fcドメイン」は、本明細書では交換可能に使用され、いくつかの事例では、第1の定常領域の免疫グロブリンドメイン(例えば、CH1)又はその一部分を除外する抗体の定常領域を含むポリペプチドを指し、いくつかの事例ではヒンジの一部を指す。したがって、Fcは、IgA、IgD、及びIgGの最後の2つの定常領域の免疫グロブリンドメイン(例えば、CH2及びCH3)と、IgE及びIgMの最後の3つの定常領域の免疫グロブリンドメインと、これらドメインへのフレキシブルヒンジN末端とを指すことができる。IgA及びIgMの場合、FcはJ鎖を含みうる。IgGの場合、Fcドメインは、免疫グロブリンドメインCγ2及びCγ3(Cγ2及びCγ3)並びにCγ1(Cγ1)とCγ2(Cγ2)との間の下側ヒンジ領域を含む。いくつかの実施形態では、Fcは、免疫グロブリンの切断型CH1ドメインと、CH2及びCH3を指す。Fc領域の境界は変化しうるが、ヒトIgG重鎖Fc領域は通常、そのカルボキシル末端に残基E216又はC226又はP230を含むと定義され、番号付けはEU番号付けに従う。いくつかの実施形態では、本明細書にさらに詳細に記載されるように、例えば1つ又は複数のFcγR受容体又はFcRn受容体に対する結合を変更するために、アミノ酸修飾がFc領域に対して行われる。いくつかの実施形態では、Fcドメインは、ヒトIgG1重鎖のFcドメインに由来している。いくつかの実施形態では、Fcドメインは、ヒトIgG2重鎖のFcドメインに由来している。「エーデルマンに規定されるEUフォーマット」又は「EU番号付け」又は「EUインデックス」は、Edelman GM et al.(Proc. Natl. Acad. USA(1969),63,78-85、参照により本明細書に全体が組み込まれる)に記載されるヒトFcドメインの残基の番号付けを指す。
【0083】
[0093]本明細書において使用される用語「Fc融合タンパク質」及び「イムノアドヘシン」は、交換可能に使用され、一般に、(任意選択的に本明細書に記載されるリンカー部分を通して)本明細書に記載される異なるタンパク質に、例えばIL-15及び/又はIL-15Rに結合された、Fc領域を含むタンパク質を指す。いくつかの例では、2つのFc融合タンパク質は、ホモ二量体Fc融合タンパク質又はヘテロ二量体Fc融合タンパク質を形成することができ、後者が好ましい。
【0084】
[0094]本明細書において使用される用語「Fcバリアント」又は「バリアントFc」は、Fcドメインにアミノ酸修飾を含むタンパク質を指す。本発明のFcバリアントは、それらを構成するアミノ酸修飾に従って定義される。したがって、例えば、N434S又は434Sは、親Fcポリペプチドと比較して434位に置換セリンを有するFcバリアントであり、番号付けはEUインデックスに従う。同様に、M428L/N434Sは、親Fcポリペプチドと比較して置換M428L及びN434Sを有するFcバリアントを定義する。WTアミノ酸の識別は未特定であってもよく、その場合、上記バリアントは428L/434Sと呼ばれる。置換が提供される順序は任意であり、即ち、例えば、428L/434Sは、M428L/N434Sと同じFcバリアントであることなどに留意されたい。抗体に関連する本発明で論じられるすべての位置について、別途記載のない限り、アミノ酸位置の番号付けはEUインデックスに従う。修飾は、付加、欠失、又は置換でありうる。置換は、天然に存在するアミノ酸、及び場合によっては合成アミノ酸を含むことができる。例には、限定されないが、米国特許第6,586,207号;国際公開第98/48032号;国際公開第03/073238号;米国特許出願公開第2004-0214988号;国際公開第05/35727A2号;国際公開第05/74524A2号;J. W. Chin et al.,(2002),Journal of the American Chemical Society 124:9026-9027;J. W. Chin,& P. G. Schultz,(2002),ChemBioChem 11:1135-1137;J. W. Chin,et al.,(2002),PICAS United States of America 99:11020-11024;及び、L. Wang,& P. G. Schultz,(2002),Chem. 1-10が含まれ、これはすべて参照により全体が組み込まれる。
【0085】
[0095]本明細書において使用される用語「Fcガンマ受容体」、「FcγR」及び「FcガンマR」は、交換可能に使用され、IgG抗体のFc領域に結合するタンパク質のファミリーのいずれかのメンバーを指し、FcγR遺伝子によってコードされる。FcγRは、任意の生物由来のものでよい。いくつかの実施形態では、FcγRはヒトFcγRである。ヒトでは、このファミリーには、限定されないが、アイソフォームFcγRIa、FcγRIb及びFcγRIcを含むFcγRI(CD64);アイソフォームFcγRIIa(アロタイプH131及びR131を含む)、FcγRIIb(FcγRIIb-1及びFcγRIIb-2を含む)、及びFcγRIIcを含むFcγRII(CD32);アイソフォームFcγRIIIa(アロタイプV158及びF158を含む)及びFcγRIIIb(アロタイプFcγRIIb-NA1及びFcγRIIb-NA2を含む)を含むFcγRIII(CD16)(Jefferis et al.,2002,Immunol Lett 82:57-65(参照により全体が組み込まれる))、並びに、任意の未発見のヒトFcγR又はFcγRアイソフォーム若しくはアロタイプが含まれる。
【0086】
[0096]本明細書において使用される用語「FcRn」又は「新生児Fc受容体」は、IgG抗体Fc領域に結合し、FcRn遺伝子によって少なくとも部分的にコードされるタンパク質を指す。FcRnは、任意の生物に由来するものでよい。いくつかの実施形態では、FcRnは、ヒトFcRnである。当技術分野で知られているように、機能性FcRnタンパク質は、多くの場合重鎖及び軽鎖と呼ばれる2つのポリペプチドを含む。軽鎖はベータ2ミクログロブリンであり、重鎖はFcRn遺伝子によってコードされる。本明細書で別途明記されない限り、FcRn又はFcRnタンパク質は、FcRn重鎖とベータ2ミクログロブリンとの複合体を指す。様々なFcRnバリアントを使用して、FcRn受容体への結合を増加させ、場合によっては血清半減期を増加させることができる。一般に、別途明記されない限り、本明細書に開示されるFcモノマーは、FcRn受容体への結合を保持する(且つ、以下に述べるように、FcRn受容体への結合を増加させるアミノ酸バリアントを含むことができる)。
【0087】
[0097]本明細書において使用される用語「修飾」は、ポリペプチド配列におけるアミノ酸置換、挿入、及び/若しくは欠失又はタンパク質に化学的に結合している部分への変更を指す。例えば、修飾は、タンパク質に結合した変化した炭水化物又はPEG構造でありうる。本明細書において「アミノ酸修飾」とは、ポリペプチド配列におけるアミノ酸の置換、挿入及び/又は欠失を意味する。明確にするために、別途明記されない限り、アミノ酸修飾は常に、DNAによってコードされるアミノ酸、例えば、DNA及びRNAにコドンを有する20個のアミノ酸に言及している。
【0088】
[0098]用語「核酸」、「ポリヌクレオチド」及び「オリゴヌクレオチド」は、交換可能に使用され、線形又は円形コンホメーション、且つ一本鎖又は二本鎖形態の、デオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチドポリマーを指す。本開示の目的のために、これら用語は、ポリマーの長さに関する限定と解釈されない。これら用語は、天然ヌクレオチド、並びに塩基部分、糖部分及び/又はホスフェート部分において修飾されたヌクレオチドの既知のアナログ(例えば、ホスホロチオエート骨格)を包含することができる。一般に、特定のヌクレオチドのアナログは、同じ塩基-ペアリング特異性を有し;即ち、AのアナログはTとの塩基対であろう。
【0089】
[0099]本明細書において使用される用語「天然に存在しない修飾」は、アイソタイプでないアミノ酸修飾を指す。例えば、IgGのいずれも434位にセリンを含まないので、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4(又はそれらのハイブリッド)における置換434Sは、天然に存在しない修飾と考えられる。
【0090】
[00100]用語「患者」、「対象」及び「個体」は、本明細書において交換可能に使用され、治療が必要なヒト又は非ヒト動物を指す。これら用語には、哺乳動物、例えばヒト、及び霊長類(例えば、サル)が含まれる。いくつかの実施形態では、対象はヒトである。いくつかの実施形態では、対象はがんの治療を必要としている。本明細書において使用される用語「治療/処置すること」及び「治療/処置」は、症状の重症度及び/又は頻度の低下、症状及び/又はその原因の排除、症状の発生及び/又はその原因の予防、並びに損傷の改善又は修復を指す。
【0091】
[00101]本明細書において使用される、タンパク質配列に関する「アミノ酸配列同一性パーセント(%)」は、配列同一性最大パーセントが得られるように、配列を整列させ、必要に応じてギャップを導入した後に、いかなる保存的置換も配列同一性の部分として考慮せずに、特定の(親)配列におけるアミノ酸残基と同一である、候補配列中のアミノ酸残基のパーセンテージとして定義される。アミノ酸配列同一性パーセントを決定する目的のための整列は、当技術分野における技術の範囲内にある種々の方法で、例えば、BLAST、BLAST-2、ALIGN、又はMegalign(DNASTAR)ソフトウェアといった公的に入手可能なコンピュータソフトウェアを使用して達成することができる。当業者であれば、比較されている配列の完全長にわたって最大の整列を達成するために必要な任意のアルゴリズムを含む、整列を測定するための適切なパラメータを決定することができる。1つの特定のプログラムは、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第20160244525号の段落[0279]~[0280]に概説されているALIGN-2プログラムである。
【0092】
[00102]本明細書において使用される用語「ポリペプチド」、「ペプチド」及び「タンパク質」は、交換可能に使用され、アミノ酸残基のポリマーを指す。この用語は、1つ又は複数のアミノ酸が対応する天然に存在するアミノ酸の化学アナログ又は修飾された誘導体であるアミノ酸ポリマーにも適用される。細胞における融合タンパク質の発現は、融合タンパク質の細胞への送達に起因するか、又は融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドの細胞への送達により生じさせることができ、ポリヌクレオチドは転写され、転写物が翻訳されて、融合タンパク質が生成される。トランススプライシング、ポリペプチド切断及びポリペプチドライゲーションも、細胞におけるタンパク質の発現に関与している可能性がある。細胞へのポリヌクレオチド及びポリペプチド送達のための方法は従来技術に既知である。
【0093】
[00103]本明細書において使用される用語「位」は、タンパク質の配列中の位置を指す。位置は、連続的に、又は確立されたフォーマット、例えば抗体番号付けのためのEUインデックスに従って、番号付けされうる。位置は、参照配列に対して定義されうる。このような場合、参照配列は、比較目的で提供され、本開示のヘテロ二量体タンパク質(又はその一部分)は、参照配列に対する追加のアミノ酸変更(例えば、置換、挿入、及び欠失)を含みうる。いくつかの実施形態では、本開示のヘテロ二量体タンパク質(又はその一部分)は、参照配列に対するいかなる追加的アミノ酸変更も含まない。
【0094】
[00104]本明細書において使用される用語「残基」は、タンパク質中の位置及びそれに関連付けられるアミノ酸同一性を指す。例えば、アスパラギン297(Asn297又はN297とも呼ばれる)は、特定のタンパク質中の297位における残基である。
【0095】
[00105]本明細書において使用される用語「治療的有効量」は、治療される状態の症状のうちの1つ又は複数をある程度まで軽減するであろう、単剤として又は1つ若しくは複数の追加の薬剤との組み合わせで投与される治療剤の量を指す。いくつかの実施形態では、治療的有効量は、有効な又は所望の臨床結果をもたらすために十分な量である。がんの治療に関して、治療的有効量は、以下の効果のうちの少なくとも1つを有する量を指す:がん(及び/又はそれに関連付けられる症状)の進行を緩和する、改善する、安定化する、後退させる、予防する、遅らせる又は遅延させる。本開示において使用されうる有効量は、投与方式、対象の年齢、体重、及び健康全般に応じて変化する。適切な量及び投薬レジメンは、当技術分野で常套的なスキルを使用して決定することができる。
【0096】
[00106]本明細書において使用される用語「有効量」は、完全に又は部分的に有効な又は所望の結果を引き起こすために十分な量であろう、単剤として又は1つ若しくは複数の追加の薬剤との組み合わせで投与される薬剤の量を指す。本開示において使用されうる有効量は、投与方式、対象の年齢、体重、及び健康全般に応じて変化する。適切な量及び投薬レジメンは、当技術分野で常套的なスキルを使用して決定することができる。
【0097】
[00107]用語「野生型」又は「WT」は、本明細書において交換可能に使用され、対立遺伝子の変種を含め、天然に見られるアミノ酸配列又はヌクレオチド配列を指す。WTタンパク質は、意図的に修飾されていないアミノ酸配列を有するか、又は意図的に修飾されていないヌクレオチド配列によってコードされている。
【0098】
一般
[00108]本開示は、固形腫瘍の治療を必要とする対象における固形腫瘍の治療方法に関し、この方法は、対象に対し、IL-15及びIL-15受容体アルファ(IL-15Rα)タンパク質ドメインを含む治療的有効量のヘテロ二量体Fc融合タンパク質(又はヘテロ二量体Fc融合タンパク質の組み合わせ)を投与することを含む。本開示は、CD8+エフェクターメモリーT細胞及び/又はNK細胞の増殖を対象に誘導するため、又はIFNγ生成を対象に誘導するための方法に関し、この方法は、対象に対し、IL-15及びIL-15受容体アルファ(IL-15Rα)タンパク質ドメインを含む有効量のヘテロ二量体Fc融合タンパク質(又はヘテロ二量体Fc融合タンパク質の組み合わせ)を投与することを含む。Fcドメインは、IgG Fcドメイン、例えば、IgG1、IgG2、IgG3又はIgG4のFcドメインから得ることができる。
【0099】
IL15-IL15Rαヘテロ二量体Fc融合タンパク質
[00109]開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2018/0118805号に開示されるIL15-IL15Rαヘテロ二量体Fc融合タンパク質のいずれか、又はそれらの組み合わせが、本明細書に開示される方法に使用されうる。これらには、特に、立体バリアント(例えば、「ノブ・ホール」、「スキュー」、「静電ステアリング」、「静電対」バリアント)、pIバリアント、アイソタイプバリアント、FcγRバリアント、及びアブレーションバリアント(例えば、「FcγRアブレーションバリアント」又は「Fcノックアウト(FcKO又はKO)」バリアント)といったFcバリアント、並びに本明細書に開示される様々なIL-15及びIL15Rαタンパク質が含まれる。
【0100】
[00110]したがって、いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法において有用なヘテロ二量体タンパク質は、(i)IL-15タンパク質及び第1のFcドメインを含む第1の単量体であって、前記IL-15タンパク質が前記第1のFcドメインのN末端に共有結合している第1の単量体と、(ii)IL-15Rαタンパク質及び第2のFcドメインを含む第2の単量体であって、前記IL-15Rαタンパク質が前記第2のFcドメインのN末端に共有結合している、第2の単量体とを含み;前記第1のFcドメイン及び前記第2のFcドメインは、それぞれ、S267K/L368D/K370S:S267K/S364K/E357Q;S364K/E357Q:L368D/K370S;L368D/K370S:S364K;L368E/K370S:S364K;T411E/K360E/Q362E:D401K;L368D/K370S:S364K/E357L;K370S:S364K/E357Q;S267K/S364K/E357Q:S267K/L368D/K370S;L368D/K370S:S364K/E357Q;S364K:L368D/K370S;S364K:L368E/K370S;D401K:T411E/K360E/Q362E;S364K/E357L:L368D/K370S;及びS364K/E357Q:K370S(EU番号付けによる)からなる群から選択される一組のアミノ酸置換を含む。
【0101】
[00111]いくつかの実施形態では、前記第1のFcドメイン及び前記第2のFcドメインは、それぞれ、アミノ酸置換のS267K/L368D/K370S:S267K/S364K/E357Qの組(EU番号付けによる)を含む。いくつかの実施形態では、前記第1のFcドメイン及び前記第2のFcドメインは、それぞれ、アミノ酸置換のS364K/E357Q:L368D/K370Sの組(EU番号付けによる)を含む。いくつかの実施形態では、前記第1のFcドメイン及び前記第2のFcドメインは、それぞれ、アミノ酸置換のL368D/K370S:S364Kの組(EU番号付けによる)を含む。いくつかの実施形態では、前記第1のFcドメイン及び前記第2のFcドメインは、それぞれ、アミノ酸置換のL368E/K370S:S364Kの組(EU番号付けによる)を含む。いくつかの実施形態では、前記第1のFcドメイン及び前記第2のFcドメインは、それぞれ、アミノ酸置換のT411E/K360E/Q362E:D401Kの組(EU番号付けによる)を含む。いくつかの実施形態では、前記第1のFcドメイン及び前記第2のFcドメインは、それぞれ、アミノ酸置換のL368D/K370S:S364K/E357Lの組(EU番号付けによる)を含む。いくつかの実施形態では、前記第1のFcドメイン及び前記第2のFcドメインは、それぞれ、アミノ酸置換のK370S:S364K/E357Qの組(EU番号付けによる)を含む。いくつかの実施形態では、前記第1のFcドメイン及び前記第2のFcドメインは、それぞれ、アミノ酸置換のS267K/S364K/E357Q:S267K/L368D/K370Sの組(EU番号付けによる)を含む。いくつかの実施形態では、前記第1のFcドメイン及び前記第2のFcドメインは、それぞれ、アミノ酸置換のL368D/K370S:S364K/E357Qの組(EU番号付けによる)を含む。いくつかの実施形態では、前記第1のFcドメイン及び前記第2のFcドメインは、それぞれ、アミノ酸置換のS364K:L368D/K370Sの組(EU番号付けによる)を含む。いくつかの実施形態では、前記第1のFcドメイン及び前記第2のFcドメインは、それぞれ、アミノ酸置換のS364K:L368E/K370Sの組(EU番号付けによる)を含む。いくつかの実施形態では、前記第1のFcドメイン及び前記第2のFcドメインは、それぞれ、アミノ酸置換のD401K:T411E/K360E/Q362Eの組(EU番号付けによる)を含む。いくつかの実施形態では、前記第1のFcドメイン及び前記第2のFcドメインは、それぞれ、アミノ酸置換のS364K/E357L:L368D/K370Sの組(EU番号付けによる)を含む。いくつかの実施形態では、前記第1のFcドメイン及び前記第2のFcドメインは、それぞれ、アミノ酸置換のS364K/E357Q:K370Sの組(EU番号付けによる)を含む。
【0102】
[00112]いくつかの実施形態では、前記第1のFcドメイン及び/又は第2のFcドメインの各々は、独立して、Q295E、N384D、Q418E及びN421D、又はそれらの組み合わせ(EU番号付けによる)からなる群から選択されるアミノ酸置換をさらに含む。いくつかの実施形態では、第1のFcドメインは、Q295E、N384D、Q418E及びN421D、又はそれらの組み合わせ(EU番号付けによる)からなる群から選択されるアミノ酸置換をさらに含む。いくつかの実施形態では、第2のFcドメインは、Q295E、N384D、Q418E及びN421D、又はそれらの組み合わせ(EU番号付けによる)からなる群から選択されるアミノ酸置換をさらに含む。いくつかの実施形態では、前記第1のFcドメイン及び前記第2のFcドメインの各々は、Q295E、N384D、Q418E及びN421D、又はそれらの組み合わせ(EU番号付けによる)からなる群から選択されるアミノ酸置換をさらに含む。いくつかの実施形態では、第1のFcドメインは、アミノ酸置換Q295E、N384D、Q418E及びN421D(EU番号付けによる)をさらに含む。いくつかの実施形態では、第2のFcドメインは、アミノ酸置換Q295E、N384D、Q418E及びN421D(EU番号付けによる)をさらに含む。いくつかの実施形態では、前記第1のFcドメイン及び前記第2のFcドメインの各々は、アミノ酸置換Q295E、N384D、Q418E及びN421D(EU番号付けによる)をさらに含む。
【0103】
[00113]いくつかの実施形態では、第1のFcドメインは、遊離システインを220位に含まない。いくつかの実施形態では、第1のFcドメインは、アミノ酸置換C220S(EU番号付けによる)を含む。いくつかの実施形態では、第2のFcドメインは、遊離システインを220位に含まない。いくつかの実施形態では、第2のFcドメインは、アミノ酸置換C220S(EU番号付けによる)を含む。いくつかの実施形態では、第1のFcドメイン及び第2のFcドメインは、遊離システインを220位に含まない。いくつかの実施形態では、第1のFcドメイン及び第2のFcドメインの両方がアミノ酸置換C220S(EU番号付けによる)を含む。
【0104】
[00114]いくつかの実施形態では、第1のFcドメインは、E233P、L234V、L235A、G236del、G236R、S239K、S267K、A327G、及びL328R又はそれらの組み合わせ(EU番号付けによる)からなる群から選択されるアミノ酸置換のうちのいずれか1つをさらに含む。いくつかの実施形態では、第1のFcドメインは、アミノ酸置換E233P、L234V、L235A、G236del、及びS267K(EU番号付けによる)をさらに含む。いくつかの実施形態では、第2のFcドメインは、E233P、L234V、L235A、G236del、G236R、S239K、S267K、A327G、及びL328R、又はそれらの組み合わせ(EU番号付けによる)からなる群から選択されるアミノ酸置換のうちのいずれか1つをさらに含む。いくつかの実施形態では、第2のFcドメインは、アミノ酸置換E233P、L234V、L235A、G236del、及びS267K(EU番号付けによる)をさらに含む。いくつかの実施形態では、第1のFcドメイン及び第2のFcドメインは各々が、アミノ酸置換E233P、L234V、L235A、G236del、及びS267K(EU番号付けによる)を含む。
【0105】
[00115]様々なFcドメイン置換の位置は、野生型IgG1のFcドメイン(配列番号12)中の対応する位置を基準にしている。野生型IgG1のFcドメイン(配列番号12)のアミノ酸配列は、比較目的で提供される例示的配列であり、ヘテロ二量体タンパク質のFcドメインは、野生型IgG1のFcドメイン(配列番号12)に対する追加のアミノ酸変更(例えば、置換、挿入、及び欠失)を含んでもよい。例えば、ヘテロ二量体タンパク質のFcドメインは、異なる野生型ヒトIgG1の対立遺伝子に由来するものでもよい。いくつかの実施形態では、ヘテロ二量体タンパク質のFcドメインは、野生型IgG1のFcドメイン(配列番号12)に対するいかなる追加のアミノ酸変更も含まない。当業者であれば、IgG2、IgG3又はIgG4のFcドメインに由来するFcドメインにおける対応する置換を決定することができるであろう。例えば、当業者であれば、残基E233、L234、L235及びG236が、IgG1又はIgG3のFcドメインに由来するFcドメイン中に存在することが分かるであろう。いくつかの実施形態では、様々なFcドメイン置換の位置は、野生型IgG3のFcドメイン(配列番号14)中の対応する位置を基準にしている。野生型IgG3のFcドメイン(配列番号14)のアミノ酸配列は、比較目的で提供される例示的配列であり、ヘテロ二量体タンパク質のFcドメインは、野生型IgG3のFcドメイン(配列番号14)に対する追加のアミノ酸変更(例えば、置換、挿入、及び欠失)を含んでもよい。例えば、ヘテロ二量体タンパク質のFcドメインは、異なる野生型ヒトIgG3の対立遺伝子に由来するものでもよい。いくつかの実施形態では、ヘテロ二量体タンパク質のFcドメインは、野生型IgG3のFcドメイン(配列番号14)に対するいかなる追加のアミノ酸変更も含まない。
【0106】
[00116]いくつかの実施形態では、前記第1のFcドメイン及び/又は第2のFcドメインの各々は、独立して、G236R/L328R;E233P/L234V/L235A/G236del/S239K;E233P/L234V/L235A/G236del/S267K;E233P/L234V/L235A/G236del/S239K/A327G;E233P/L234V/L235A/G236del/S267K/A327G;及び E233P/L234V/L235A/G236del(EU番号付けによる)からなる群から選択されるアミノ酸置換をさらに含み、Fcドメインは、IgG1又はIgG3のFcドメインに由来している。いくつかの実施形態では、前記第1の第2のFcドメインは、G236R/L328R;E233P/L234V/L235A/G236del/S239K;E233P/L234V/L235A/G236del/S267K;E233P/L234V/L235A/G236del/S239K/A327G;E233P/L234V/L235A/G236del/S267K/A327G;及びE233P/L234V/L235A/G236del(EU番号付けによる)からなる群から選択されるアミノ酸置換をさらに含み、FcドメインはIgG1又はIgG3のFcドメインに由来している。いくつかの実施形態では、前記第2のFcドメインは、G236R/L328R;E233P/L234V/L235A/G236del/S239K;E233P/L234V/L235A/G236del/S267K;E233P/L234V/L235A/G236del/S239K/A327G;E233P/L234V/L235A/G236del/S267K/A327G;及びE233P/L234V/L235A/G236del(EU番号付けによる)からなる群から選択されるアミノ酸置換をさらに含み、FcドメインはIgG1又はIgG3のFcドメインに由来している。いくつかの実施形態では、前記第1のFcドメイン及び第2のFcドメインは、G236R/L328R;E233P/L234V/L235A/G236del/S239K;E233P/L234V/L235A/G236del/S267K;E233P/L234V/L235A/G236del/S239K/A327G;E233P/L234V/L235A/G236del/S267K/A327G;及びE233P/L234V/L235A/G236del(EU番号付けによる)からなる群から選択されるアミノ酸置換をさらに含み、FcドメインはIgG1又はIgG3のFcドメインに由来している。
【0107】
[00117]当業者であれば、IgG2のFcドメインに由来するFcドメインにおける対応する残基がP233、V234、及びA235であり、IgG2に由来するFcドメインが残基G236に対応する残基を欠くことも理解するであろう。したがって、当業者であれば、FcドメインがIgG2のFcドメイン(即ち、野生型IgG2中に存在するPVA-配列)である場合、本明細書におけるE233P、L234V、L235A、及びG236delへの言及が、P233、V234、A235及び-236への言及であることを理解するであろう。いくつかの実施形態では、様々なFcドメイン置換の位置は、野生型IgG2のFcドメイン(配列番号13)中の対応する位置を基準にしている。野生型IgG2のFcドメイン(配列番号13)のアミノ酸配列は、比較目的で提供される例示的配列であり、ヘテロ二量体タンパク質のFc部分は、野生型IgG2のFcドメイン(配列番号13)に対する追加のアミノ酸変更(例えば、置換、挿入、及び欠失)を含んでもよい。例えば、ヘテロ二量体タンパク質のFcドメインは、異なる野生型ヒトIgG2の対立遺伝子に由来するものでもよい。いくつかの実施形態では、ヘテロ二量体タンパク質のFcドメインは、野生型IgG2のFcドメイン(配列番号13)に対するいかなる追加のアミノ酸変更も含まない。
【0108】
[00118]いくつかの実施形態では、前記第1のFcドメイン及び/又は第2のFcドメインの各々は、独立して、L328R;S239K;S267K;S239K/A327G;及びS267K/A327G(EU番号付けによる)からなる群から選択されるアミノ酸置換をさらに含み、FcドメインはIgG2のFcドメインに由来している。いくつかの実施形態では、前記第1のFcドメインは、L328R;S239K;S267K;S239K/A327G;及びS267K/A327G(EU番号付けによる)からなる群から選択されるアミノ酸置換をさらに含み、FcドメインはIgG2のFcドメインに由来している。いくつかの実施形態では、前記第2のFcドメインは、L328R;S239K;S267K;S239K/A327G;及びS267K/A327G(EU番号付けによる)からなる群から選択されるアミノ酸置換をさらに含み、FcドメインはIgG2のFcドメインに由来している。いくつかの実施形態では、前記第1のFcドメイン及び第2のFcドメインは、L328R;S239K;S267K;S239K/A327G;及びS267K/A327G(EU番号付けによる)からなる群から選択されるアミノ酸置換をさらに含み、FcドメインはIgG2のFcドメインに由来している。
【0109】
[00119]当業者であれば、IgG4に由来するFcドメインでは、残基234がフェニルアラニンであることも理解するであろう。したがって、当業者であれば、FcドメインがIgG4のFcドメインに由来している場合、本明細書におけるL234(例えば、L234V)への言及が、F234(例えば、F234V)への言及であることを理解するであろう。いくつかの実施形態では、様々なFcドメイン置換の位置は、野生型IgG4のFcドメイン(配列番号15)中の対応する位置を基準にしている。野生型IgG4のFcドメイン(配列番号15)のアミノ酸配列は、比較目的で提供される例示的配列であり、ヘテロ二量体タンパク質のFcドメインは、野生型IgG4のFcドメイン(配列番号15)に対する追加のアミノ酸変更(例えば、置換、挿入、及び欠失)を含んでもよい。例えば、ヘテロ二量体タンパク質のFcドメインは、異なる野生型ヒトIgG4の対立遺伝子に由来するものでもよい。いくつかの実施形態では、ヘテロ二量体タンパク質のFcドメインは、野生型IgG4のFcドメイン(配列番号15)に対するいかなる追加のアミノ酸変更も含まない。
【0110】
[00120]いくつかの実施形態では、前記第1のFcドメイン及び/又は第2のFcドメインの各々は、独立して、G236R/L328R;E233P/F234V/L235A/G236del/S239K;E233P/F234V/L235A/G236del/S267K;E233P/F234V/L235A/G236del/S239K/A327G;E233P/F234V/L235A/G236del/S267K/A327G;及びE233P/F234V/L235A/G236del(EU番号付けによる)からなる群から選択されるアミノ酸置換をさらに含み、Fcドメインは、IgG4のFcドメインに由来している。いくつかの実施形態では、第1のFcドメインは、G236R/L328R;E233P/F234V/L235A/G236del/S239K;E233P/F234V/L235A/G236del/S267K;E233P/F234V/L235A/G236del/S239K/A327G;E233P/F234V/L235A/G236del/S267K/A327G;及びE233P/F234V/L235A/G236del(EU番号付けによる)からなる群から選択されるアミノ酸置換をさらに含み、FcドメインはIgG4又はIgG3のFcドメインに由来している。いくつかの実施形態では、前記第2のFcドメインは、G236R/L328R;E233P/F234V/L235A/G236del/S239K;E233P/F234V/L235A/G236del/S267K;E233P/F234V/L235A/G236del/S239K/A327G;E233P/F234V/L235A/G236del/S267K/A327G;及びE233P/F234V/L235A/G236del(EU番号付けによる)からなる群から選択されるアミノ酸置換をさらに含み、FcドメインはIgG4のFcドメインに由来している。いくつかの実施形態では、前記第1のFcドメイン及び第2のFcドメインは、G236R/L328R;E233P/F234V/L235A/G236del/S239K;E233P/F234V/L235A/G236del/S267K;E233P/F234V/L235A/G236del/S239K/A327G;E233P/F234V/L235A/G236del/S267K/A327G;及びE233P/F234V/L235A/G236del(EU番号付けによる)からなる群から選択されるアミノ酸置換をさらに含み、Fcドメインは、IgG4のFcドメインに由来している。
【0111】
[00121]いくつかの実施形態では、第1のFcドメインは、アミノ酸置換M428L又はN434S(EU番号付けによる)をさらに含む。いくつかの実施形態では、第1のFcドメインは、アミノ酸置換M428L(EU番号付けによる)をさらに含む。いくつかの実施形態では、第1のFcドメインは、アミノ酸置換N434S(EU番号付けによる)をさらに含む。いくつかの実施形態では、第2のFcドメインは、アミノ酸置換M428L又はN434S(EU番号付けによる)をさらに含む。いくつかの実施形態では、第2のFcドメインは、アミノ酸置換M428L(EU番号付けによる)をさらに含む。いくつかの実施形態では、第2のFcドメインは、アミノ酸置換N434S(EU番号付けによる)をさらに含む。いくつかの実施形態では、第1のFcドメインは、アミノ酸置換M428L及びN434S(EU番号付けによる)をさらに含む。いくつかの実施形態では、第2のFcドメインは、アミノ酸置換M428L及びN434S(EU番号付けによる)をさらに含む。いくつかの実施形態では、第1のFcドメイン及び第2のFcドメインの各々は、アミノ酸置換M428L及びN434S(EU番号付けによる)をさらに含む。
【0112】
[00122]いくつかの実施形態では、前記第1のFcドメイン及び/又は第2のFcドメインは、アミノ酸置換K246T(EU番号付けによる)をさらに含む。いくつかの実施形態では、第1のFcドメインは、アミノ酸置換K246T(EU番号付けによる)をさらに含む。いくつかの実施形態では、第2のFcドメインは、アミノ酸置換K246T(EU番号付けによる)をさらに含む。K246T置換は、第2のFcドメインに出現すると、第2の単量体のアミノ酸番号付け(例えば、配列番号10及び16参照)に基づいてK100T変異とも呼ばれる。いくつかの実施形態では、第1のFcドメイン及び第2のFcドメインは、アミノ酸置換K246T(EU番号付けによる)をさらに含む。
【0113】
[00123]いくつかの実施形態では、第1のFcドメインは、アミノ酸置換L368D及びK370Sを含み;第2のFcドメインは、アミノ酸置換S364K及びE357Qを含み;前記第1のFcドメイン及び前記第2のFcドメインの各々は、アミノ酸置換C220S、E233P、L234V、L235A、G236del、S267K、M428L及びN434Sをさらに含む(EU番号付けによる)。いくつかの実施形態では、第1のFcドメインは、アミノ酸置換S364K及びE357Qを含み;第2のFcドメインは、アミノ酸置換L368D及びK370Sを含み;前記第1のFcドメイン及び前記第2のFcドメインの各々は、アミノ酸置換C220S、E233P、L234V、L235A、G236del、S267K、M428L及びN434Sをさらに含む(EU番号付けによる)。
【0114】
[00124]いくつかの実施形態では、第1のFcドメインは、アミノ酸置換L368D及びK370Sを含み;第2のFcドメインは、アミノ酸置換K246T、S364K、及びE357Qを含み;前記第1のFcドメイン及び前記第2のFcドメインの各々は、アミノ酸置換C220S、E233P、L234V、L235A、G236del、S267K、M428L及びN434Sをさらに含む(EU番号付けによる)。いくつかの実施形態では、第1のFcドメインは、アミノ酸置換S364K及びE357Qを含み;第2のFcドメインは、アミノ酸置換K246T、K246T及びK370Sを含み;前記第1のFcドメイン及び前記第2のFcドメインの各々は、アミノ酸置換C220S、E233P、L234V、L235A、G236del、S267K、M428L及びN434Sをさらに含む(EU番号付けによる)。
【0115】
[00125]いくつかの実施形態では、ヘテロ二量体タンパク質の第1のFcドメインは、配列番号6に示される配列を含む。いくつかの実施形態では、ヘテロ二量体タンパク質の第2のFcドメインは、配列番号7に示される配列を含む。いくつかの実施形態では、ヘテロ二量体タンパク質の第2のFcドメインは、配列番号8に示される配列を含む。
【0116】
[00126]いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるFcバリアントドメインのアミノ酸置換のうちのいずれか1つは、単量体の一方又は両方の単量体上にある(例えば、第1のFcドメイン上;第2のFcドメイン上又は両方のFcドメイン上)。
【0117】
[00127]いくつかの実施形態では、第1の単量体のFcドメインは、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4に由来する。いくつかの実施形態では、第1の単量体のFcドメインは、IgG1に由来する。いくつかの実施形態では、第1の単量体のFcドメインは、IgG2に由来する。いくつかの実施形態では、第1の単量体のFcドメインは、IgG3に由来する。いくつかの実施形態では、第1の単量体のFcドメインは、IgG4に由来する。いくつかの実施形態では、第2の単量体のFcドメインは、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4に由来する。いくつかの実施形態では、第2の単量体のFcドメインは、IgG1に由来する。いくつかの実施形態では、第2の単量体のFcドメインは、IgG2に由来する。いくつかの実施形態では、第2の単量体のFcドメインは、IgG3に由来する。いくつかの実施形態では、第2の単量体のFcドメインは、IgG4に由来する。
【0118】
[00128]本明細書において使用される「IL-15」、「IL15」又は「インターロイキン15」は、交換可能に使用することができ、サイトカインのファミリーに属する4-α-ヘリックスタンパク質を指しうる。IL-15は、IL-2/IL-15受容体β(IL-15Rβ)(CD122)サブユニットで構成される受容体複合体を通してシグナル伝達する。いくつかの実施形態では、IL-15タンパク質は、配列番号2(完全長ヒトIL-15)に示されるポリペプチド配列を含む。いくつかの実施形態では、IL-15タンパク質は、配列番号1(切断型又は成熟ヒトIL-15)に示されるポリペプチド配列を含む。
【0119】
[00129]いくつかの実施形態では、第1の単量体のIL-15タンパク質は、野生型IL-15タンパク質(配列番号1)とは異なるアミノ酸配列を有するIL-15タンパク質バリアントである。いくつかの実施形態では、IL-15バリアントは、急性毒性を低下させることにより忍容性を向上させて薬物動態を拡大させることを目標として、IL-2/IL-15βγ受容体複合体に対して低下した結合親和性(野生型IL-15と比較して)を有し、CD8+T細胞及びNK細胞上でのIL-15媒介性シグナル伝達を介して最終的に抗腫瘍免疫を促進するように操作される。一部の実施形態では、第1の単量体のIL-15タンパク質バリアントの配列は、野生型IL-15配列タンパク質(配列番号1)と比較して、少なくとも1つの(即ち、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれよりも多くの)アミノ酸置換を有する。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、IL-15R及び/又はIL-2/IL-15βγ受容体複合体と相互作用するIL-15のドメインに、アミノ酸置換又は欠失のうちの1つ又は複数を含みうる。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、野生型IL-15の親和性と比較して、IL-2/IL-15βγ受容体複合体に対する結合親和性の低下を引き起こす、IL-15タンパク質のドメインにおけるアミノ酸置換又は欠失のうちの1つ又は複数を含みうる。いくつかの実施形態では、IL-15タンパク質は、N1D、N4D、D8N、D30N、D61N、E64Q、N65D及びQ108Eからなる群から選択される1つ又は複数のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、前記IL15タンパク質は、E87C、V49C、L52C、E89C、Q48C、E53C、C42S及びL45Cからなる群から選択される1つ又は複数のアミノ酸置換を含む。本明細書に開示されるIL-15タンパク質のアミノ酸置換は、野生型IL-15(成熟形態;配列番号1)に対するものである。野生型IL-15(成熟形態;配列番号1)のアミノ酸配列は、比較目的で提供される例示的配列であり、ヘテロ二量体タンパク質のIL-15タンパク質は、野生型IL-15に対する追加のアミノ酸変更(例えば、置換、挿入、及び欠失)を含みうる。例えば、ヘテロ二量体タンパク質のIL-15タンパク質は、異なる野生型ヒトIL-15の対立遺伝子に由来するものでよい。いくつかの実施形態では、ヘテロ二量体タンパク質のIL-15タンパク質は、野生型IL-15と比較していかなる追加のアミノ酸変更も含まない。いくつかの実施形態では、第1の単量体中に存在するIL-15タンパク質バリアントは、配列番号5(XENP24306/XENP32803)に示されるアミノ酸配列を含む。
【0120】
[00130]いくつかの実施形態では、IL-15タンパク質は、アミノ酸置換D30N、E64Q及びN65Dを含む。いくつかの実施態様では、IL-15タンパク質は、以下のアミノ酸置換:N4D及びN65Dを含む。いくつかの実施形態では、IL-15タンパク質は、以下のアミノ酸置換:D30N及びN65Dを含む。いくつかの実施形態では、第1の単量体中に存在するIL-15タンパク質は、N65Dアミノ酸置換及びN4D、D30N、E64Qからなる群から選択される1つ又は複数のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、第1の単量体中に存在するIL-15タンパク質は、N65Dアミノ酸置換及びN4D、D30N、E64Qからなる群から選択される1つ又は複数のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、第1の単量体中に存在するIL-15タンパク質は、N65Dアミノ酸置換を含み、アミノ酸置換N4D、D30N、E64Qからなる。本明細書に開示されるIL-15タンパク質のアミノ酸置換は、野生型IL-15(配列番号1)に対するものである。野生型IL-15(配列番号1)のアミノ酸配列は、比較目的で提供される例示的配列であり、ヘテロ二量体タンパク質のIL-15タンパク質は、野生型IL-15に対する追加のアミノ酸変更(例えば、置換、挿入、及び欠失)を含みうる。例えば、ヘテロ二量体タンパク質のIL-15タンパク質は、異なる野生型ヒトIL-15の対立遺伝子に由来するものでよい。いくつかの実施形態では、ヘテロ二量体タンパク質のIL-15タンパク質は、野生型IL-15と比較していかなる追加のアミノ酸変更も含まない。
【0121】
[00131]IL-15Rαタンパク質は、小胞体(ER)から細胞質を通したIL-15の輸送と、細胞表面上でのIL-15/IL-15Rα複合体の提示とを促進する、IL-15に対する極めて高い親和性を有する膜貫通タンパク質である。本明細書において使用される用語「IL-15Rαのスシドメイン」は、IL-15Rα又は組み換えヒトIL-15受容体αの切断型細胞外領域を指す。いくつかの実施形態では、IL-15Rαタンパク質は、配列番号3(完全長ヒトIL-15Rα)のポリペプチド配列を含む。いくつかの実施形態では、IL-15Rαタンパク質は、配列番号4(ヒトIL-15Rαのスシドメイン)のポリペプチド配列を含む。
【0122】
[00132]いくつかの実施形態では、前記IL15Rαタンパク質は、残基65(65DPC又はD96/P97/C98、65DCA又はD96/C97/A98)、S40C、K34C、G38C、L42C及びA37Cの後ろにDPC又はDCA挿入からなる群から選択される1つ又は複数のアミノ酸変更を含む。IL-15Rαタンパク質のこれらアミノ酸置換の番号付けは、ヒトIL-15Rαのスシドメイン(配列番号4)に対するものである。ヒトIL-15Rαのスシドメイン(配列番号4)のアミノ酸配列は、比較目的で提供される例示的配列であり、ヘテロ二量体タンパク質のIL-15Rαタンパク質は、ヒトIL-15Rαのスシドメイン(配列番号4)に対する追加のアミノ酸変更(例えば、置換、挿入、及び欠失)を含みうる。例えば、ヘテロ二量体タンパク質のIL-15Rαタンパク質は、異なる野生型ヒトIL-15Rαの対立遺伝子に由来するものでよい。いくつかの実施形態では、ヘテロ二量体タンパク質のIL-15Rαタンパク質は、ヒトIL-15Rαのスシドメイン(配列番号4)に対するいかなる追加のアミノ酸変更も含まない。
【0123】
[00133]いくつかの実施形態では、IL15タンパク質及びIL15Rαタンパク質は、E87C:65DPC(残基65又はD96/P97/C98の後のDPC挿入);E87C:65DCA(残基65又はD96/C97/A98の後ろのDCA挿入);V49C:S40C;L52C:S40C;E89C:K34C;Q48C:G38C;E53C:L42C;C42S:A37C;及びL45C:A37Cからなる群からそれぞれ選択される一組のアミノ酸置換又は付加を含む。IL-15Rαタンパク質のこれらアミノ酸置換の番号付けは、ヒトIL-15Rαのスシドメイン(配列番号4)に対するものである。ヒトIL-15Rαのスシドメイン(配列番号4)のアミノ酸配列は、比較目的で提供される例示的配列であり、ヘテロ二量体タンパク質のIL-15Rαタンパク質は、ヒトIL-15Rαのスシドメイン(配列番号4)に対する追加のアミノ酸変更(例えば、置換、挿入、及び欠失)を含みうる。例えば、ヘテロ二量体タンパク質のIL-15Rαは、異なる野生型ヒトIL-15Rαの対立遺伝子に由来するものでもよい。いくつかの実施形態では、ヘテロ二量体タンパク質のIL-15Rαタンパク質は、ヒトIL-15Rαのスシドメイン(配列番号4)に対するいかなる追加のアミノ酸変更も含まない。
【0124】
[00134]いくつかの実施形態では、IL-15Rαタンパク質は、配列番号3(完全長ヒトIL-15Rα)のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、IL-15Rαタンパク質は、配列番号4(ヒトIL-15Rαのスシドメイン)のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、IL-15タンパク質は、アミノ酸置換D30N、E64Q及びN65Dを含み;IL-15Rαタンパク質は、配列番号4(ヒトIL-15Rαのスシドメイン)を含む。
【0125】
[00135]本開示のヘテロ二量体タンパク質は、IL-15/IL-15Rα-Fcヘテロ二量体融合タンパク質である。ヘテロ二量体Fcドメインの一方の側のN末端は、IL-15タンパク質のC末端に共有結合し、他方の側は、IL-15Rαのスシドメイン(切断型細胞外領域)に共有結合する。いくつかの実施形態では、IL-15タンパク質及びIL-15Rα(スシドメイン)は、IL-15及びIL-15RαのC末端と、Fc領域の各々のN末端との間に、可変長リンカーを有しうる。いくつかの実施形態では、IL-15タンパク質は、第1のリンカーを介して第1のFcドメインのN末端に共有結合している。いくつかの実施形態では、IL-15Rαタンパク質は、第2のリンカーを使用して第2のFcドメインのN末端に共有結合している。本明細書において使用される用語「リンカー」は、2つ以上のドメインを結合するポリペプチド配列を指す。リンカーの特性及び特定の目的のためのそれらの安定性は、当技術分野において既知である。例えば、Chen et al. Adv Drug Deliv Rev. October 15;65(10):1357-1369(2013)(様々な種類のリンカー、それらの特性、並びに関連するリンカー設計ツール及びデータベースを開示する)を参照することができ、これは参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、リンカーは、柔軟性であるか、剛性であるか、又はin vivoで切断可能である。いくつかの実施形態では、リンカーは柔軟性である。柔軟性のリンカーは、典型的には、小さな非極性アミノ酸(例えばGly)又は極性アミノ酸(例えば、Ser又はThr)を含む。本開示に使用することのできる柔軟性リンカーの例は、主にGly及びSer残基のストレッチ(「GS」リンカー)からなる配列である。いくつかの実施形態では、柔軟性リンカーは、4つのGly及びSer残基の反復を含む。いくつかの実施形態では、柔軟性リンカーは、5つのGly及びSer残基の1-5の反復を含む。柔軟性リンカーの非限定的な例には、(Gly-Gly-Gly-Gly-Ser)n(配列番号39)、(Ser-Ser-Ser-Ser-Gly)n(配列番号40)、(Gly-Ser-Ser-Gly-Gly)n(配列番号41)、及び(Gly-Gly-Ser-Gly-Gly)n(配列番号42)(式中、nは1から5の間の任意の整数でありうる)を含む。いくつかの実施形態では、リンカーは、5から25のアミノ酸残基長である。いくつかの実施形態では、柔軟性リンカーは、5、10、15、20、又は25の残基を含む。他の適切なリンカーは、AS(配列番号43)、AST(配列番号44)、TVAAPS(配列番号45)、TVA(配列番号46)、ASTSGPS(配列番号47)、KESGSVSSEQLAQFRSLD(配列番号48)、EGKSSGSGSESKST(配列番号49),(Gly)6(配列番号50),(Gly)8(配列番号51)、及びGSAGSAAGSGEF(配列番号52)からなる群から選択されうる。一般に、柔軟性リンカーは、良好な柔軟性及び溶解度を提供し、機能ドメイン間の距離を保つための受動的リンカーとして機能しうる。柔軟性リンカーの長さは、適正なフォールディングを可能にするか、又は融合タンパク質の最適な生物活性を達成するために調整することができる。いくつかの実施形態では、リンカーは、配列(Gly-Gly-Gly-Gly-Ser;配列番号53)を含む。いくつかの実施形態では、第1及び第2のリンカーは、異なる配列を含む。いくつかの実施形態では、第1及び第2のリンカーは、同じ配列を含む。いくつかの実施形態では、第1及び第2のリンカーは、配列番号53に示される配列を含む。いくつかの実施形態では、第1及び第2のリンカーは、配列番号53に示される配列からなる。
【0126】
[00136]いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法において有用なヘテロ二量体タンパク質は、(i)IL-15タンパク質及び第1のFcドメインを含む第1の単量体であって、前記IL-15タンパク質が前記第1のFcドメインのN末端に共有結合している、第1の単量体と、(ii)IL-15Rαタンパク質のスシドメイン及び第2のFcドメインを含む第2の単量体であって、IL-15Rαタンパク質の前記スシドメインは、前記第2のFcドメインのN末端に共有結合している、第2の単量体とを含み;前記第1のFcドメイン及び前記第2のFcドメインの各々は独立して、アミノ酸置換E233P、L234V、L235A、G236del、及びS267K(EU番号付けによる)を含み;前記IL-15タンパク質は、N65Dアミノ酸置換及びN4D、D30N、E64Qからなる群から選択される1つ又は複数のアミノ酸置換を含む。様々なFcドメイン置換の位置は、野生型IgG1のFcドメイン(配列番号12)中の対応する位置を基準としている。野生型IgG1のFcドメイン(配列番号12)のアミノ酸配列は、比較目的で提供される例示的配列であり、ヘテロ二量体タンパク質のIL-15Rαタンパク質は、野生型IgG1のFcドメイン(配列番号12)に対して追加のアミノ酸変更(例えば、置換、挿入、及び欠失)を含んでもよい。例えば、ヘテロ二量体タンパク質のFcドメインは、異なる野生型ヒトIgG1の対立遺伝子に由来するものでもよい。いくつかの実施形態では、ヘテロ二量体タンパク質のFcドメインは、野生型IgG1のFcドメイン(配列番号12)に対するいかなる追加のアミノ酸変更も含まない。本明細書に開示されるIL-15タンパク質のアミノ酸置換は、野生型IL-15(成熟形態;配列番号1)に対するものである。野生型IL-15(成熟形態;配列番号1)のアミノ酸配列は、比較目的で提供される例示的配列であり、ヘテロ二量体タンパク質のIL-15タンパク質は、野生型IL-15に対する追加のアミノ酸変更(例えば、置換、挿入、及び欠失)を含みうる。例えば、ヘテロ二量体タンパク質のIL-15タンパク質は、異なる野生型ヒトIL-15の対立遺伝子に由来するものでよい。いくつかの実施形態では、ヘテロ二量体タンパク質のIL-15タンパク質は、野生型IL-15と比較していかなる追加のアミノ酸変更も含まない。
【0127】
[00137]当業者であれば、IgG2、IgG3又はIgG4のFcドメインに由来するFcドメイン中の対応する置換を決定することができるであろう。例えば、当業者であれば、残基E233、L234、L235、G236及びA327が、IgG1又はIgG3のFcドメインに由来するFcドメイン中に存在することが分かるであろう。いくつかの実施形態では、様々なFcドメイン置換の位置は、野生型IgG3のFcドメイン(配列番号14)中の対応する位置を基準にしている。野生型IgG3のFcドメイン(配列番号14)のアミノ酸配列は、比較目的で提供される例示的配列であり、ヘテロ二量体タンパク質のIL-15Rαタンパク質は、野生型IgG3のFcドメイン(配列番号14)に対して追加のアミノ酸変更(例えば、置換、挿入、及び欠失)を含んでもよい。例えば、ヘテロ二量体タンパク質のFcドメインは、異なる野生型ヒトIgG3の対立遺伝子に由来するものでもよい。いくつかの実施形態では、ヘテロ二量体タンパク質のFcドメインは、野生型IgG3のFcドメイン(配列番号14)に対するいかなる追加のアミノ酸変更も含まない。したがって、当業者は、前記第1のFcドメイン及び前記第2のFcドメインの各々が、FcドメインがIgG1又はIgG3のFcドメインに由来しているとき、アミノ酸置換E233P、L234V、L235A、G236del、及びS267K(EU番号付けによる)を独立して含むことを理解するであろう。
【0128】
[00138]当業者であれば、IgG2のFcドメインに由来するFcドメイン中の対応する残基がP233、V234、A235及びG327であり、IgG2に由来するFcドメインが残基G236に対応する残基を欠くことも理解するであろう。したがって、当業者は、FcドメインがIgG2のFcドメイン(即ち、野生型IgG2中に存在するPVA-配列)である場合、本明細書におけるE233P、L234V、L235A G236del及びA327Gへの言及が、P233、V234、A235、-236への言及であり、残基327における置換でないことを理解するであろう。いくつかの実施形態では、様々なFcドメイン置換の位置は、野生型IgG2のFcドメイン(配列番号13)中の対応する位置を基準にしている。野生型IgG2のFcドメイン(配列番号13)のアミノ酸配列は、比較目的で提供される例示的配列であり、ヘテロ二量体タンパク質のIL-15Rαタンパク質は、野生型IgG2のFcドメイン(配列番号13)に対して追加のアミノ酸変更(例えば、置換、挿入、及び欠失)を含んでもよい。例えば、ヘテロ二量体タンパク質のFcドメインは、異なる野生型ヒトIgG2の対立遺伝子に由来するものでもよい。いくつかの実施形態では、ヘテロ二量体タンパク質のFcドメインは、野生型IgG2のFcドメイン(配列番号13)に対するいかなる追加のアミノ酸変更も含まない。したがって、当業者は、前記第1のFcドメイン及び前記第2のFcドメインの各々が、FcドメインがIgG2のFcドメインに由来しているとき、アミノ酸置換S267K(EU番号付けによる)を独立して含むことを理解するであろう。
【0129】
[00139]当業者であれば、IgG4に由来するFcドメインでは、残基234がフェニルアラニンであり、残基327がグリシンであることも理解するであろう。したがって、当業者であれば、FcドメインがIgG4Fcドメインに由来している場合、本明細書におけるL234(例えば、L234V)及びA327(例えば、A327G)への言及が、それぞれF234(例えば、F234V)への言及であり、残基327における置換でないことを理解するであろう。いくつかの実施形態では、様々なFcドメイン置換の位置は、野生型IgG4のFcドメイン(配列番号15)中の対応する位置を基準にしている。野生型IgG4のFcドメイン(配列番号15)のアミノ酸配列は、比較目的で提供される例示的配列であり、ヘテロ二量体タンパク質のIL-15Rαタンパク質は、野生型IgG4のFcドメイン(配列番号15)に対して追加のアミノ酸変更(例えば、置換、挿入、及び欠失)を含んでもよい。例えば、ヘテロ二量体タンパク質のFcドメインは、異なる野生型ヒトIgG4の対立遺伝子に由来するものでもよい。いくつかの実施形態では、ヘテロ二量体タンパク質のFcドメインは、野生型IgG4のFcドメイン(配列番号15)に対するいかなる追加のアミノ酸変更も含まない。したがって、当業者であれば、FcドメインがIgG4のFcドメインに由来しているとき、前記第1のFcドメイン及び前記第2のFcドメインの各々が、アミノ酸置換E233P、F234V、L235A、G236del、及びS267K(EU番号付けによる)を独立して含むことを理解するであろう。
【0130】
[00140]いくつかの実施形態では、第1のFcドメイン及び/又は第2のFcドメインは、より低いpH(6.0)で全身曝露をさらに延長し、FcRn結合の強化を通して半減期を延ばすように独立して操作される。いくつかの実施形態では、Fc領域に対する追加の操作により、本開示のヘテロ二量体タンパク質はエフェクターを持たなくなり(即ちFcγ受容体への結合を無効にする)、T細胞及びNK細胞の抗体媒介性CLが排除される。いくつかの実施形態では、第1のFcドメイン及び/又は第2のFcドメインは、ホモ二量体化形成よりヘテロ二量体化形成を促すように独立して操作される。いくつかの実施形態では、第1のFcドメイン及び/又は第2のFcドメインは、改善されたPKを有するように独立して操作される。いくつかの実施形態では、第1のFcドメイン及び/又は第2のFcドメインは、2つの単量体間のpI差を増大させることにより、ヘテロ二量体からのホモダイマーの精製を可能にするように、独立して操作される。一部の実施形態では、Fcバリアントドメインは、(1)ジスルフィド結合の形成,(2)選択された宿主細胞との不適合性(3)選択された宿主細胞での発現時の末端不均一性N末端不均一性、(4)グリコシル化,(5)補体との相互作用,(6)新生児受容体以外のFc受容体への結合,(7)抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)、若しくは(8)抗体依存性細胞食作用(ADCP)に影響するか、又はそれに関わる1つ又は複数のナイーブFcアミノ酸残基を欠く分子又は配列をさらに含みうる。Fcバリアントは、以下でさらに詳細に記載される。
【0131】
[00141]いくつかの実施形態では、本開示の第1のFcドメイン又は第2のFcドメインは、「スキュー」バリアント(例えば、米国特許第10,259,887号の
図1A-1Cに示される一組のアミノ酸置換;これらのすべては参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)を含みうる。スキューバリアントは、ホモ二量体化の形成よりもヘテロ二量体化の形成を促す。いくつかの実施形態では、スキューバリアントは、S364K/E357Q(第1のFcドメインの):L368D/K370S(第2のFcドメインの);L368D/K370S:S364K;L368E/K370S:S364K;T411E/K360E/Q362E:D401K;L368D/K370S:S364K,E357L,K370S S364K/E357Q、T366S/L368A/Y407V:T366W及びT366S/L368A/Y407V/Y349C:T366W/S354C(EU番号付けによる)からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、前記第1のFcドメインは、アミノ酸置換L368D及びK370Sをさらに含み、前記第2のFcドメインは、アミノ酸置換S364K及びE357Q(EU番号付けによる)をさらに含む。いくつかの実施形態では、前記第1のFcドメインは、アミノ酸置換S364K及びE357Qをさらに含み、前記第2のFcドメインは、アミノ酸置換L368D及びK370S(EU番号付けによる)をさらに含む。
【0132】
[00142]いくつかの実施形態では、第1のFcドメインは、Q295E、N384D、Q418E及びN421D、又はそれらの組み合わせ(EU番号付けによる)からなる群から選択されるアミノ酸置換をさらに含む。いくつかの実施形態では、第2のFcドメインは、Q295E、N384D、Q418E及びN421D、又はそれらの組み合わせ(EU番号付けによる)からなる群から選択されるアミノ酸置換のうちのいずれか1つをさらに含む。いくつかの実施形態では、前記第1のFcドメインは、アミノ酸置換Q295E、N384D、Q418E及びN421D(EU番号付けによる)をさらに含む。いくつかの実施形態では、前記第2のFcドメインは、アミノ酸置換Q295E、N384D、Q418E及びN421D(EU番号付けによる)をさらに含む。いくつかの実施形態では、前記第1のFcドメイン及び第2のFcドメインは、アミノ酸置換Q295E、N384D、Q418E及びN421D(EU番号付けによる)をさらに含む。
【0133】
[00143]いくつかの実施形態では、第1のFcドメインは、遊離システインを220位に含まない。いくつかの実施形態では、第1のFcドメインは、アミノ酸置換C220S(EU番号付けによる)を含む。いくつかの実施形態では、第2のFcドメインは、遊離システインを220位に含まない。いくつかの実施形態では、第2のFcドメインは、アミノ酸置換C220S(EU番号付けによる)を含む。いくつかの実施形態では、第1のFcドメイン及び第2のFcドメインは、遊離システインを220位に含まない。いくつかの実施形態では、第1のFcドメイン及び第2のFcドメインは、アミノ酸置換C220S(EU番号付けによる)を含む。
【0134】
[00144]いくつかの実施形態では、本開示の第1のFcドメイン又は第2のFcドメインは、改善されたPKのためのアミノ酸置換(Xtend置換)を含みうる。いくつかの実施形態では、本開示の第1のFcドメイン及び/又は第2のFcドメインは、独立して、アミノ酸置換M428L及び/又はN434S(EU番号付けによる)を含む。いくつかの実施形態では、第1のFcドメインは、アミノ酸置換M428L又はN434Sを含む。いくつかの実施形態では、第1のFcドメインは、アミノ酸置換M428L及びN434Sを含む。いくつかの実施形態では、第1のFcドメインは、アミノ酸置換M428Lを含む。いくつかの実施形態では、第1のFcドメインは、アミノ酸置換N434Sを含む。いくつかの実施形態では、第2のFcドメインは、アミノ酸置換M428L又はN434Sを含む。いくつかの実施形態では、第2のFcドメインは、アミノ酸置換M428L及びN434Sを含む。いくつかの実施形態では、第2のFcドメインは、アミノ酸置換M428Lを含む。いくつかの実施形態では、第2のFcドメインは、アミノ酸置換N434Sを含む。
【0135】
[00145]いくつかの実施形態では、前記第1のFcドメイン及び/又は第2のFcドメインは、アミノ酸置換K246T(EU番号付けによる)をさらに含む。いくつかの実施形態では、第1のFcドメインは、アミノ酸置換K246T(EU番号付けによる)をさらに含む。いくつかの実施形態では、第2のFcドメインは、アミノ酸置換K246T(EU番号付けによる)をさらに含む。K246T置換は、第2のFcドメインに出現すると、第2の単量体のアミノ酸番号付け(例えば、配列番号10及び16参照)に基づいてK100T変異とも呼ばれる。いくつかの実施形態では、第1のFcドメイン及び第2のFcドメインは、アミノ酸置換K246T(EU番号付けによる)をさらに含む。
【0136】
[00146]いくつかの実施形態では、ヘテロ二量体タンパク質の第1のFcドメインは、配列番号6に示される配列を含む。いくつかの実施形態では、ヘテロ二量体タンパク質の第2のFcドメインは、配列番号7に示される配列を含む。いくつかの実施形態では、ヘテロ二量体タンパク質の第2のFcドメインは、配列番号8に示される配列を含む。
【0137】
[00147]いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるFcバリアントドメインのアミノ酸置換のうちのいずれか1つは、単量体の一方又は両方の単量体上にある(例えば、第1のFcドメイン上;第2のFcドメイン上又は両方のFcドメイン上)。
【0138】
[00148]いくつかの実施形態では、第1の単量体のFcドメインは、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4に由来する。いくつかの実施形態では、第1の単量体のFcドメインは、IgG1に由来する。いくつかの実施形態では、第1の単量体のFcドメインは、IgG2に由来する。いくつかの実施形態では、第1の単量体のFcドメインは、IgG3に由来する。いくつかの実施形態では、第1の単量体のFcドメインは、IgG4に由来する。いくつかの実施形態では、第2の単量体のFcドメインは、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4に由来する。いくつかの実施形態では、第2の単量体のFcドメインは、IgG1に由来する。いくつかの実施形態では、第2の単量体のFcドメインは、IgG2に由来する。いくつかの実施形態では、第2の単量体のFcドメインは、IgG3に由来する。いくつかの実施形態では、第2の単量体のFcドメインは、IgG4に由来する。
【0139】
[00149]いくつかの実施形態では、前記第1のFcドメインは、以下のアミノ酸置換:C220S、E233P、L234V、L235A、G236del、S267K、L368D、K370S、M428L及びN434S(EU番号付けによる)を含む。[00149]いくつかの実施形態では、前記第2のFcドメインは、以下のアミノ酸置換:C220S、E233P、L234V、L235A、G236del、S267K、S364K、E357Q、M428L及びN434S(EU番号付けによる)を含む。いくつかの実施形態では、前記第2のFcドメインは、以下のアミノ酸置換:C220S、E233P、L234V、L235A、G236del、S267K、L368D、K370S、M428L及びN434S(EU番号付けによる)を含む。いくつかの実施形態では、前記第1のFcドメインは、以下のアミノ酸置換:C220S、E233P、L234V、L235A、G236del、S267K、S364K、E357Q、M428L及びN434S(EU番号付けによる)を含む。いくつかの実施形態では、第1のFcドメインは、野生型IgGのFcドメインと比較して、いかなる追加のアミノ酸変更も含まない。いくつかの実施形態では、第1のFcドメインは、野生型IgG1のFcドメインと比較して、いかなる追加のアミノ酸変更も含まない。いくつかの実施形態では、第1のFcドメインは、配列番号12と比較して、いかなる追加のアミノ酸変更も含まない。いくつかの実施形態では、第2のFcドメインは、野生型IgGのFcドメインと比較して、いかなる追加のアミノ酸変更も含まない。いくつかの実施形態では、第2のFcドメインは、野生型IgG1のFcドメインと比較して、いかなる追加のアミノ酸変更も含まない。いくつかの実施形態では、第2のFcドメインは、配列番号12と比較して、いかなる追加のアミノ酸変更も含まない。
【0140】
[00150]いくつかの実施形態では、前記第1のFcドメイン及び前記第2のFcドメインの各々は、独立して、G236R、S239K、L328R、及びA327G(EU番号付けによる)からなる群から選択されるアミノ酸置換の追加の組を含む。
【0141】
[00151]いくつかの実施形態では、第1の単量体のFcドメインは、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4に由来する。いくつかの実施形態では、第1の単量体のFcドメインは、IgG1に由来する。いくつかの実施形態では、第1の単量体のFcドメインは、IgG2に由来する。いくつかの実施形態では、第1の単量体のFcドメインは、IgG3に由来する。いくつかの実施形態では、第1の単量体のFcドメインは、IgG4に由来する。いくつかの実施形態では、第2の単量体のFcドメインは、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4に由来する。いくつかの実施形態では、第2の単量体のFcドメインは、IgG1に由来する。いくつかの実施形態では、第2の単量体のFcドメインは、IgG2に由来する。いくつかの実施形態では、第2の単量体のFcドメインは、IgG3に由来する。いくつかの実施形態では、第2の単量体のFcドメインは、IgG4に由来する。
【0142】
[00152]いくつかの実施形態では、ヘテロ二量体タンパク質は、(i)IL-15タンパク質及び第1のFcドメインを含む第1の単量体であって、前記IL-15タンパク質が前記第1のFcドメインのN末端に共有結合している、第1の単量体と、(ii)IL-15Rαタンパク質の野生型スシドメイン及び第2のFcドメインを含む第2の単量体であって、IL-15Rαタンパク質の前記スシドメインが前記第2のFcドメインのN末端に共有結合している、第2の単量体とを含み;第1のFcドメインは、アミノ酸置換C220S、E233P、L234V、L235A、G236del、S267K、Q295E、L368D、K370S、N384D、Q418E、N421D、M428L、及びN434Sを含み、第2のFcドメインは、アミノ酸置換C220S、E233P、L234V、L235A、G236del、S267K、E357Q、S364K、M428L、及びN434S(EU番号付けによる)を含み;前記IL-15タンパク質は、野生型IL-15タンパク質(配列番号1)と比較して、アミノ酸置換D30N、E64Q及びN65Dを含む。
【0143】
[00153]いくつかの実施形態では、ヘテロ二量体タンパク質は、(i)IL-15タンパク質及び第1のFcドメインを含む第1の単量体であって、前記IL-15タンパク質が前記第1のFcドメインのN末端に共有結合している、第1の単量体と、(ii)野生型IL-15Rαタンパク質のスシドメイン及び第2のFcドメインを含む第2の単量体であって、IL-15Rαタンパク質の前記スシドメインが前記第2のFcドメインのN末端に共有結合している、第2の単量体とを含み;第1のFcドメインは、アミノ酸置換C220S、E233P、L234V、L235A、G236del、S267K、Q295E、E357Q、S364K、N384D、Q418E、N421D、M428L、及びN434Sを含み;第2のFcドメインは、アミノ酸置換C220S、E233P、L234V、L235A、G236del、S267K、L368D、K370S、M428L、及びN434S(EU番号付けによる)を含み;前記IL-15タンパク質は、野生型IL-15タンパク質(配列番号1)と比較して、アミノ酸置換D30N、E64Q及びN65Dを含む。
【0144】
[00154]いくつかの実施形態では、ヘテロ二量体タンパク質は、(i)IL-15タンパク質及び第1のFcドメインを含む第1の単量体であって、前記IL-15タンパク質が前記第1のFcドメインのN末端に共有結合している、第1の単量体と、(ii)野生型IL-15Rαタンパク質のスシドメイン及び第2のFcドメインを含む第2の単量体であって、IL-15Rαタンパク質の前記スシドメインが前記第2のFcドメインのN末端に共有結合している、第2の単量体とを含み;第1のFcドメインは、アミノ酸置換C220S、E233P、L234V、L235A、G236del、S267K、Q295E、L368D、K370S、N384D、Q418E、N421D、M428L、及びN434Sを含み、第2のFcドメインは、アミノ酸置換C220S、C220S、E233P、L234V、L235A、G236del、K246T、S267K、E357Q、S364K、M428L、及びN434S(EU番号付けによる)を含み;前記IL-15タンパク質は、野生型IL-15タンパク質(配列番号1)と比較して、アミノ酸置換D30N、E64Q及びN65Dを含む。
【0145】
[00155]いくつかの実施形態では、ヘテロ二量体タンパク質は、(i)IL-15タンパク質及び第1のFcドメインを含む第1の単量体であって、前記IL-15タンパク質が前記第1のFcドメインのN末端に共有結合している、第1の単量体と、(ii)野生型IL-15Rαタンパク質のスシドメイン及び第2のFcドメインを含む第2の単量体であって、IL-15Rαタンパク質の前記スシドメインが前記第2のFcドメインのN末端に共有結合している、第2の単量体とを含み;第1のFcドメインは、アミノ酸置換C220S、E233P、L234V、L235A、G236del、S267K、Q295E、E357Q、S364K、N384D、Q418E、N421D、M428L、及びN434Sを含み;第2のFcドメインは、アミノ酸置換C220S、C220S、E233P、L234V、L235A、G236del、K246T、S267K、L368D、K370S、M428L、及びN434S(EU番号付けによる)を含み;前記IL-15タンパク質は、野生型IL-15タンパク質(配列番号1)と比較して、アミノ酸置換D30N、E64Q及びN65Dを含む。
【0146】
[00156]いくつかの実施形態では、第1の単量体は、配列番号9に示されるアミノ酸配列を含み、第2の単量体は、配列番号10に示されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1の単量体は、配列番号9に示されるアミノ酸配列を含み、第2の単量体は、配列番号16に示されるアミノ酸配列を含む。
【0147】
[00157]いくつかの実施形態では、第1の単量体は、(1)IL-15と、(2)配列番号6に示される配列を含む第1のFcドメインとを含む。いくつかの実施形態では、第2の単量体は、(1)IL-15Rαと、(2)配列番号7に示される配列を含む第2のFcドメインとを含む。
【0148】
[00158]いくつかの実施形態では、ヘテロ二量体タンパク質中に存在するアミノ酸置換は、米国特許出願公開第2018/0118805号に開示されており、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0149】
[00159]本明細書において参照される配列は、以下の表1に示される。
【0150】
[00160]いくつかの実施形態では、本開示のヘテロ二量体タンパク質は、XENP20818、XENP20819、XENP21471、XENP21472、XENP21473、XENP21474、XENP21475、XENP21476、XENP21477、XENP21988、XENP21989、XENP21990、XENP21991、XENP21992、XENP22013、XENP22014、XENP22015、XENP22017、XENP22815、XENP22816、XENP22817、XENP22818、XENP22819、XENP22820、XENP22821、XENP22822、XENP22823、XENP22824、XENP22825、XENP22826、XENP22827、XENP22828、XENP22829、XENP22830、XENP22831、XENP22832、XENP22833、XENP22834、XENP23343、XENP23472、XENP23504、XENP23554、XENP23555、XENP23557、XENP23559、XENP23560、XENP23561、XENP24017、XENP24018、XENP24019、XENP24020、XENP24043、XENP24044、XENP24046、XENP24051、XENP24052、XENP24113、XENP24301、XENP24306、XENP24341、及びXENP32803のヘテロ二量体タンパク質からなる群から選択される。その配列は米国特許第10,501,543号の
図104A-104AYに開示されており、参照により本明細書に組み込まれる。
【0151】
[00161]いくつかの実施形態では、本開示のヘテロ二量体タンパク質は、XENP22822、XENP23504、XENP24045、XENP24306、XENP22821、XENP23343、XENP23557、XENP24113、XENP24051、XENP24341、XENP24052、XENP24301、及びXENP32803のヘテロ二量体タンパク質からなる群から選択される。これらは以下の表2に記載される。XENP22822、XENP23504、XENP24045、XENP24306、XENP22821、XENP23343、XENP23557、XENP24113、XENP24051、XENP24341、XENP24052、及びXENP24301の配列は、米国特許出願公開第2018/0118805号にも示されており、参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、本開示のヘテロ二量体タンパク質は、XENP24306である。いくつかの実施形態では、本開示のヘテロ二量体タンパク質は、XENP32803である。いくつかの実施形態では、本開示の2つ以上(例えば、2、3、4、5など)のヘテロ二量体タンパク質の組み合わせは、本明細書に開示される方法に使用される。いくつかの実施形態では本開示の2つのヘテロ二量体タンパク質の組み合わせは、本明細書に開示される方法に使用される。いくつかの実施形態では、XENP24306とXENP32803との組み合わせは、本明細書に開示される方法に使用される。
【0152】
[00162]いくつかの実施形態では、XENP24306タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の約99%、約98%、約97%、約96%、約95%、約94%、約93%、約92%、約91%、約90%、約89%、約88%、約87%、約86%、約85%、約84%、約83%、約82%、約81%、約80%、約75%、約70%、約65%、約60%、約55%、約50%、約45%、約40%、約35%、約30%、約25%、約20%、約15%、約10%、又は約5%を占める。いくつかの実施形態では、XENP24306タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の約85%を占める。いくつかの実施形態では、XENP24306タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の約84%を占める。いくつかの実施形態では、XENP24306タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の約83%を占める。いくつかの実施形態では、XENP24306タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の約82%を占める。いくつかの実施形態では、XENP24306タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の約81%を占める。いくつかの実施形態では、XENP24306タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の約80%を占める。
【0153】
[00163]いくつかの実施形態では、XENP32803タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の約95%、約90%、約85%、約80%、約75%、約70%、約75%、約70%、約65%、約55%、約50%、約45%、約40%、約35%、約30%、約25%、約20%、約19%、約18%、約17%、約16%、約15%、約14%、約13%、約12%、約11%、約10%、約9%、約8%、約7%、約6%、約5%、約4%、約3%、約2%又は約1%を占める。いくつかの実施形態では、XENP32803タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の約15%を占める。いくつかの実施形態では、XENP32803タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の約16%を占める。いくつかの実施形態では、XENP32803タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の約17%を占める。いくつかの実施形態では、XENP32803タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の約18%を占める。いくつかの実施形態では、XENP32803タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の約19%を占める。いくつかの実施形態では、XENP32803タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の約20%を占める。
【0154】
[00164]いくつかの実施形態では、XENP24306タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の約50-100%、約70-95%、約80-90%、又は約80-85%を占める。本明細書に開示される方法のいずれかの、いくつかの実施形態では、XENP32803タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の約1-50%、約5-30%、約10-20%、又は約15-20%を占める。いくつかの実施形態では、XENP24306タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の約85%を占め、XENP32803タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の約15%を占める。いくつかの実施形態では、XENP24306タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の約84%を占め、XENP32803タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の約16%を占める。いくつかの実施形態では、XENP24306タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の約83%を占め、XENP32803タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の約17%を占める。いくつかの実施形態では、XENP24306タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の約82%を占め、XENP32803タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の約18%を占める。いくつかの実施形態では、XENP24306タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の約81%を占め、XENP32803タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の約19%を占める。いくつかの実施形態では、XENP24306タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の約80%を占め、XENP32803タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の約20%を占める。
【0155】
[00165]いくつかの実施形態では、XENP24306タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の99%、98%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、91%、90%、89%、88%、87%、86%、85%、84%、83%、82%、81%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、又は5%を占める。いくつかの実施形態では、XENP24306タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の85%を占める。いくつかの実施形態では、XENP24306タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の84%を占める。いくつかの実施形態では、XENP24306タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の83%を占める。いくつかの実施形態では、XENP24306タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の82%を占める。いくつかの実施形態では、XENP24306タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の81%を占める。いくつかの実施形態では、XENP24306タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の80%を占める。
【0156】
[00166]いくつかの実施形態では、XENP32803タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の95%、90%、85%、80%、75%、70%、75%、70%、65%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%又は1%を占める。いくつかの実施形態では、XENP32803タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の15%を占める。いくつかの実施形態では、XENP32803タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の16%を占める。いくつかの実施形態では、XENP32803タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の17%を占める。いくつかの実施形態では、XENP32803タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の18%を占める。いくつかの実施形態では、XENP32803タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の19%を占める。いくつかの実施形態では、XENP32803タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の20%を占める。
【0157】
[00167]いくつかの実施形態では、XENP24306タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の50-100%、70-95%、80-90%、又は80-85%を占める。本明細書に開示される方法のいずれかの、いくつかの実施形態では、XENP32803タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の1-50%、5-30%、10-20%、又は15-20%を占める。いくつかの実施形態では、XENP24306タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の85%を占め、XENP32803タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の15%を占める。いくつかの実施形態では、XENP24306タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の84%を占め、XENP32803タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の16%を占める。いくつかの実施形態では、XENP24306タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の83%を占め、XENP32803タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の17%を占める。いくつかの実施形態では、XENP24306タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の82%を占め、XENP32803タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の18%を占める。いくつかの実施形態では、XENP24306タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の81%を占め、XENP32803タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の19%を占める。いくつかの実施形態では、XENP24306タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の80%を占め、XENP32803タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の20%を占める。
【0158】
IL15-IL15Rαヘテロ二量体Fc融合タンパク質を用いた治療の方法
[00168]一態様において、本開示は、固形腫瘍の治療を必要とする対象における固形腫瘍の治療方法を提供し、この方法は、対象に対し、治療的有効量の、本明細書に開示されるヘテロ二量体タンパク質のいずれか又はそれらの任意の組み合わせを投与することを含む。
【0159】
[00169]別の態様では、本開示は、固形腫瘍の治療を必要とする対象における固形腫瘍の治療における使用のための、本明細書に開示されるヘテロ二量体タンパク質のいずれか又はそれらの任意の組み合わせを提供する。
【0160】
[00170]別の態様では、本開示は、固形腫瘍の治療を必要とする対象における固形腫瘍の治療のための医薬の製造における、治療的有効量の、本明細書に開示されるヘテロ二量体タンパク質のいずれか又はそれらの任意の組み合わせの使用を提供する。
【0161】
[00171]いくつかの実施形態では、2つ以上(例えば、2、3、4、5、6など)のヘテロ二量体タンパク質の組み合わせが、本明細書に記載される方法に使用される。いくつかの実施形態では、第1のヘテロ二量体タンパク質と第2のヘテロ二量体タンパク質との組み合わせが、対象に投与される。
【0162】
[00172]いくつかの実施形態では、第1のヘテロ二量体タンパク質は、配列番号9に示されるアミノ酸配列を含む第1の単量体と、配列番号10に示されるアミノ酸配列を含む第2の単量体とを含み;第2のヘテロ二量体タンパク質は、配列番号9に示されるアミノ酸配列を含む第1の単量体と、配列番号16に示されるアミノ酸配列.第2の単量体とを含む。
【0163】
[00173]いくつかの実施形態では、第1のヘテロ二量体タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の約99%、約98%、約97%、約96%、約95%、約94%、約93%、約92%、約91%、約90%、約89%、約88%、約87%、約86%、約85%、約84%、約83%、約82%、約81%、約80%、約75%、約70%、約65%、約60%、約55%、約50%、約45%、約40%、約35%、約30%、約25%、約20%、約15%、約10%、又は約5%を占める。いくつかの実施形態では、第1のヘテロ二量体タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の約85%を占める。いくつかの実施形態では、第1のヘテロ二量体タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の約84%を占める。いくつかの実施形態では、第1のヘテロ二量体タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の約83%を占める。いくつかの実施形態では、第1のヘテロ二量体タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の約82%を占める。いくつかの実施形態では、第1のヘテロ二量体タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の約81%を占める。いくつかの実施形態では、第1のヘテロ二量体タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の約80%を占める。
【0164】
[00174]いくつかの実施形態では、第2のヘテロ二量体タンパク質は、組み合わせの約95%、約90%、約85%、約80%、約75%、約70%、約75%、約70%、約65%、約55%、約50%、約45%、約40%、約35%、約30%、約25%、約20%、約19%、約18%、約17%、約16%、約15%、約14%、約13%、約12%、約11%、約10%、約9%、約8%、約7%、約6%、約5%、約4%、約3%、約2%又は約1%を占める。いくつかの実施形態では、第2のヘテロ二量体タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の約15%を占める。いくつかの実施形態では、第2のヘテロ二量体タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の約16%を占める。いくつかの実施形態では、第2のヘテロ二量体タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の約17%を占める。いくつかの実施形態では、第2のヘテロ二量体タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の約18%を占める。いくつかの実施形態では、第2のヘテロ二量体タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の約19%を占める。いくつかの実施形態では、第2のヘテロ二量体タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の約20%を占める。
【0165】
[00175]いくつかの実施形態では、第1のヘテロ二量体タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の約50-約100%、約70-約95%、約80-約90%、又は約80-約85%を占める。本明細書に開示される方法のいずれかの、いくつかの実施形態では、第2のヘテロ二量体タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の約1-約50%、約5-約30%、約10-約20%、又は約15-約20%を占める。いくつかの実施形態では、第1のヘテロ二量体タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の約85%を占め、第2のヘテロ二量体タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の約15%を占める。いくつかの実施形態では、第1のヘテロ二量体タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の約84%を占め、第2のヘテロ二量体タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の約16%を占める。いくつかの実施形態では、第1のヘテロ二量体タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の約83%を占め、第2のヘテロ二量体タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の約17%を占める。いくつかの実施形態では、第1のヘテロ二量体タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の約82%を占め、第2のヘテロ二量体タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の約18%を占める。いくつかの実施形態では、第1のヘテロ二量体タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の約81%を占め、第2のヘテロ二量体タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の約19%を占める。いくつかの実施形態では、第1のヘテロ二量体タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の約80%を占め、第2のヘテロ二量体タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の約20%を占める。
【0166】
[00176]いくつかの実施形態では、第1のヘテロ二量体タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の99%、98%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、91%、90%、89%、88%、87%、86%、85%、84%、83%、82%、81%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、又は5%を占める。いくつかの実施形態では、第1のヘテロ二量体タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の85%を占める。いくつかの実施形態では、第1のヘテロ二量体タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の84%を占める。いくつかの実施形態では、第1のヘテロ二量体タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の83%を占める。いくつかの実施形態では、第1のヘテロ二量体タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の82%を占める。いくつかの実施形態では、第1のヘテロ二量体タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の81%を占める。いくつかの実施形態では、第1のヘテロ二量体タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の80%を占める。
【0167】
[00177]いくつかの実施形態では、第2のヘテロ二量体タンパク質は、組み合わせの95%、90%、85%、80%、75%、70%、75%、70%、65%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%又は1%を占める。いくつかの実施形態では、第2のヘテロ二量体タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の15%を占める。いくつかの実施形態では、第2のヘテロ二量体タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の16%を占める。いくつかの実施形態では、第2のヘテロ二量体タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の17%を占める。いくつかの実施形態では、第2のヘテロ二量体タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の18%を占める。いくつかの実施形態では、第2のヘテロ二量体タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の19%を占める。いくつかの実施形態では、第2のヘテロ二量体タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の20%を占める。
【0168】
[00178]いくつかの実施形態では、第1のヘテロ二量体タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の50-100%、70-95%、80-90%、又は80-85%を占める。本明細書に開示される方法のいずれかの、いくつかの実施形態では、第2のヘテロ二量体タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の1-50%、5-30%、10-20%、又は15-20%を占める。いくつかの実施形態では、第1のヘテロ二量体タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の85%を占め、第2のヘテロ二量体タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の15%を占める。いくつかの実施形態では、第1のヘテロ二量体タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の84%を占め、第2のヘテロ二量体タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の16%を占める。いくつかの実施形態では、第1のヘテロ二量体タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の83%を占め、第2のヘテロ二量体タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の17%を占める。いくつかの実施形態では、第1のヘテロ二量体タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の82%を占め、第2のヘテロ二量体タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の18%を占める。いくつかの実施形態では、第1のヘテロ二量体タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の81%を占め、第2のヘテロ二量体タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の19%を占める。いくつかの実施形態では、第1のヘテロ二量体タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の80%を占め、第2のヘテロ二量体タンパク質は、組み合わせたヘテロ二量体タンパク質の20%を占める。
【0169】
[00179]いくつかの実施形態では、前記第1のヘテロ二量体タンパク質と第2のヘテロ二量体タンパク質とは、同時に投与される。いくつかの実施形態では、前記第1のヘテロ二量体タンパク質と第2のヘテロ二量体タンパク質とは、連続して投与される。いくつかの実施形態では、第1のヘテロ二量体タンパク質は、第2のヘテロ二量体タンパク質の前に投与される。いくつかの実施形態では、第2のヘテロ二量体タンパク質は、第1のヘテロ二量体タンパク質の前に投与される。いくつかの実施形態では、前記第1のヘテロ二量体タンパク質と第2のヘテロ二量体タンパク質とは、同じ組成物中において投与される。いくつかの実施形態では、前記第1のヘテロ二量体タンパク質と第2のヘテロ二量体タンパク質とは、別々の組成物中において投与される。
【0170】
[00180]固形腫瘍は、通常嚢胞又は液体エリアを含まない組織の異常な腫瘤を指す。異なる種類の固形腫瘍が、それらを形成する細胞の種類に対して名付けられている。本明細書に開示される方法及び使用によって治療される固形腫瘍には、限定されないが、癌腫、リンパ腫、芽細胞腫及び肉腫が含まれる。このような腫瘍のさらに詳細な例には、扁平上皮がん、皮膚扁平上皮癌(cSCC)、小細胞肺癌(SCLC)、非小細胞肺がん(NSCLC)、胃腸がん、胃がん(GC)、膵臓がん、膠芽細胞腫、子宮頸がん、卵巣がん、肝がん、膀胱がん、脂肪肉腫、軟部組織肉腫、尿路上皮癌、(UCC)、尿管及び腎盂、多発性骨髄腫、骨肉腫、肝細胞癌、黒色腫、胃がん、乳がん、結腸がん、結腸直腸がん、子宮内膜癌、唾液腺癌、腎細胞癌(RCC)、肝がん、食道がん、前立腺がん、外陰部がん、甲状腺がん、肝臓癌、メルケル細胞癌(MCC)、生殖細胞がん、高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)がん及び頭頚部がんが含まれる。いくつかの実施形態では、固形腫瘍は、局所的に進行性、再発性、又は転移性の不治の固形腫瘍である。いくつかの実施形態では、固形腫瘍は、黒色腫、NSCLC、頭頚部扁平上皮癌(HNSCC)、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)、UCC、RCC、SCLC、GC、MCC、cSCC及びMSI-Hがんからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、固形腫瘍は、黒色腫、RCC、NSCLC、HNSCC及びTNBCから選択される。いくつかの実施形態では、固形腫瘍は黒色腫である。いくつかの実施形態では、固形腫瘍はRCCである。いくつかの実施形態では、固形腫瘍は、黒色腫、RCC及びNSCLCから選択される。いくつかの実施形態では、固形腫瘍は、黒色腫、NSCLC、HNSCC及びTNBCから選択される。いくつかの実施形態では、固形腫瘍はNSCLCである。いくつかの実施形態では、固形腫瘍はHNSCCである。いくつかの実施形態では、固形腫瘍はTNBCである。いくつかの実施形態では、固形腫瘍は、標準的治療が、存在しない、効果がない若しくは耐えられないと証明されているか、又は不適切と考えられる固形腫瘍であるか、或いは治験薬の臨床試験が標準治療として認められている固形腫瘍である。
【0171】
[00181]本明細書に記載される方法及び使用は、そのような効果を生成するために、対象に対し、治療的有効量の、本明細書に記載されるヘテロ二量体タンパク質のいずれか、若しくはそれらの組み合わせ、又は本明細書に記載される組成物を投与することを含む。そのような治療を必要とする対象の同定は、対象又は医療専門家の判断において行われてよく、主観的(例えば意見)でも客観的(例えば試験又は診断方法によって測定可能な)でもよい。このような治療は、がんに罹患した、がんを有する、がんにかかりやすい、又はがんのリスクのある対象に対して適切に施されるであろう。
【0172】
[00182]別の態様では、本開示は、対象にCD8+エフェクターメモリーT細胞の増殖を誘導するための方法を提供し、この方法は、対象に対し、有効量の、本明細書に開示されるヘテロ二量体タンパク質のいずれか又はそれらの任意の組み合わせを投与することを含む。
【0173】
[00183]別の態様では、本開示は、対象にNK細胞の増殖を誘導するための方法を提供し、この方法は、対象に対し、有効量の、本明細書に開示されるヘテロ二量体タンパク質のいずれか又はそれらの任意の組み合わせを投与することを含む。
【0174】
[00184]別の態様では、本開示は、対象にNK細胞の増殖を誘導するための方法を提供し、この方法は、対象に対し、有効量の、本明細書に開示されるヘテロ二量体タンパク質のいずれか又はそれらの任意の組み合わせを投与することを含み、有効量の、本明細書に開示されるヘテロ二量体タンパク質のいずれか又はそれらの任意の組み合わせの投与時に、NK細胞の増殖応答が、CD8+エフェクターメモリーT細胞の増殖応答より強い。
【0175】
[00185]別の態様では、本開示は、対象にCD8+エフェクターメモリーT細胞及びNK細胞の増殖を誘導するための方法を提供し、この方法は、対象に対し、有効量の、本明細書に開示されるヘテロ二量体タンパク質のいずれか又はそれらの任意の組み合わせを投与することを含む。いくつかの実施形態では、有効量の、本明細書に開示されるヘテロ二量体タンパク質のいずれか又はそれらの任意の組み合わせの投与時に、NK細胞の増殖応答がCD8+エフェクターメモリーT細胞の増殖応答より強い。
【0176】
[00186]別の態様では、本開示は、対象にCD4+エフェクターメモリーT細胞の増殖を誘導するための方法を提供し、この方法は、対象に対し、有効量の、本明細書に開示されるヘテロ二量体タンパク質のいずれか又はそれらの任意の組み合わせを投与することを含む。
【0177】
[00187]別の態様では、本開示は、対象にIFNγ生成を誘導するための方法を提供し、この方法は、対象に対し、有効量の、本明細書に開示されるヘテロ二量体タンパク質のいずれか又はそれらの任意の組み合わせを投与することを含む。
【0178】
[00188]投与の経路には、限定されないが、非経口的、経口的、若しくは経鼻的なもの、膀胱への点滴注入、又は従来の非毒性の薬学的に許容される担体及びアジュバントを含む適切な送達デバイス若しくはインプラントを介したものが含まれる。いくつかの実施形態では、非経口投与は、注射、点滴又はインプラント術によるものである。いくつかの実施形態では、非経口投与は、皮下、静脈内、動脈内、筋肉内、腹腔内、皮内、髄腔内、骨内、心内、膀胱内、硝子体内、空洞内、硬膜外、脳内、脳室内、胸膜内、吸入性、又は経皮的投与などである。いくつかの実施形態では、非経口投与は皮下投与である。いくつかの実施形態では、非経口投与は静脈内投与である。いくつかの実施形態では、非経口投与は筋肉内投与である。いくつかの実施形態では、非経口投与は腹腔内投与である。
【0179】
[00189]いくつかの実施形態では、本開示のヘテロ二量体タンパク質は、全身投与される。いくつかの実施形態では、ヘテロ二量体タンパク質は局所投与される。いくつかの実施形態では、ヘテロ二量体タンパク質は、薬学的に許容されるバッファーを含む組成物として投与される。適切な担体及びその製剤は、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences by E.W.Martinに記載されている。いくつかの実施形態では、ヘテロ二量体タンパク質は、非経口投与経路に適切な剤形で提供される。
【0180】
[00190]ヘテロ二量体タンパク質を含む組成物は、単位投与形態(例えば、単回用量のアンプル、シリンジ又はバッグ)で提供されうる。いくつかの実施形態では、ヘテロ二量体タンパク質は、複数の用量を含むバイアルで提供される。適切な防腐剤が、組成物に添加されてもよい(以下参照)。組成物は、溶液、懸濁液、乳濁液、点滴デバイス、又はインプラント術用の送達装置の形態であっても、又は使用前に水又は別の適切なビヒクルで再構成される乾燥粉末として提示されてもよい。本明細書に開示されるヘテロ二量体タンパク質とは別に、組成物は、許容される適切な担体及び/又は添加物を含んでもよい。いくつかの実施形態では、組成物は、非経口投与に適している。1つ又は複数のヘテロ二量体タンパク質は、放出制御のための、ミクロスフェア、マイクロカプセル、ナノ粒子、又はリポソームなどに組み込むことができる。さらに、組成物は、懸濁剤、溶解補助剤、安定剤、pH調節剤、等張性調節剤、及び/又は分散剤を含みうる。
【0181】
[00191]ヘテロ二量体タンパク質を含む薬学的組成物は、滅菌注射に適した形態でもよい。このような組成物を調製するために、タンパク質は、非経口的に許容される液体ビヒクルに溶解又は懸濁される。用いることのできる許容されるビヒクル及び溶媒には、水、適当な量の塩酸の付加により適切なpHに調節された水、水酸化ナトリウム又は適切なバッファー、1,3-ブタンジオール、リンゲル液、並びに等張食塩水及びデキストローズ溶液がある。水性製剤は、1つ又は複数の防腐剤(例えば、メチル、エチル又はn-プロピルp-ヒドロキシベンゾエート)を含んでもよい。
【0182】
[00192]いくつかの実施形態では、本開示のヘテロ二量体タンパク質は、経口投与される。生物学的に活性なタンパク質及びペプチドの経口投与のための方法は、当技術分野において既知である。経口投与されるタンパク質の劣化を防ぐための多数の戦略が示されている。ヘテロ二量体タンパク質の経口投与のための方法の例には、限定されないが、コアシェル粒子(米国特許第7,090,868号)及びナノチューブ(米国特許第7,195,780号)の使用;リポソームと水性乳濁液及び懸濁液(米国特許第7,316,818号;国際公開第06/062544号;米国特許第6,071,535号;及び米国特許第5,874,105号);ガス充填リポソーム(米国特許第6,551,576号;米国特許第6,808,720号;及び米国特許第7,083,572号);水性媒体に分散させたナノ液滴(米国特許出願公開2007/0184076号);疎水性タンパク質の投与のために生物学的障壁を越えた浸透を提供するペプチド-エフェクターを含有するマトリックス担体(国際公開第06/097793号、国際公開第05/094785号、及び国際公開第03/066859号);非共有結合タンパク質-多糖類複合体の使用(EP0491114B1);米国特許第8,936,786号に記載される薬学的組成物の使用;Peptelligence(登録商標)システム(Enteris Biopharma)の使用(国際公開第2014/138241号、国際公開第2016/115082号及び国際公開第2004/064758号)が含まれる。これら特許公報及び特許のすべては、参照により本明細書に具体的に含まれる。
【0183】
[00193]投与される本開示のヘテロ二量体タンパク質の量は、投与の形式、患者の年齢及び体重、並びに治療されるがんの臨床症状に応じて変動する。ヒトへの投与量は、マウス又は非ヒト霊長類に使用されるタンパク質の量から推定することにより決定することができる。一部の実施形態では、投与量は、体重で、約0.0001mgのタンパク質/kg~約5mg/kgの化合物;又は約0.001mg/kg~約4mg/kg、又は約0.005mg/kg~約1mg/kg体重、又は約0.005mg/kg~約0.3mg/kg、又は約0.005mg/kg~約0.2mg/kg、又は約0.005mg/kg~約0.02mg/kgで変動しうる。いくつかの実施形態では、この用量は、体重1kgあたり約0.0001、約0.00025、約0.0003、約0.0005、約0.001、約0.003、約0.005、約0.008、約0.01、約0.015、約0.02、約0.03、約0.04、約0.05、約0.06、約0.07、約0.08、約0.09、約0.1、約0.12、約0.135、約0.15、約0.16、約0.2、約0.2025、約0.24、約0.25、約0.3、約0.32、約0.35、約0.4、約0.45、約0.5、約0.55、約0.6、約0.65、約0.7、約0.75、約0.8、約0.85、約0.9、約0.95、約1、約1.1、約1.15、約1.2、約1.25、約1.3、約1.35、約1.4、約1.45、約1.5、約1.6、約1.7、約1.8、約1.9、約2、約2.5、約3、約3.5、約4、約4.5、又は約5mgでありうる。いくつかの実施形態では、用量は、体重で、約0.0025mg、約0.005mg、約0.01mg、約0.015mg/kg、約0.02mg/kg、約0.025mg/kg、約0.03mg/kg、約0.04mg/kg、約0.05mg/kg、約0.06mg/kg、約0.08mg/kg、約0.1mg/kg、約0.12mg/kg、約0.16mg/kg、約0.2mg/kg、約0.24mg/kg及び約0.32mg/kgである。いくつかの実施形態では、投与量は、体重で約0.0025mg/kgである。いくつかの実施形態では、投与量は、体重で約0.01mg/kgである。いくつかの実施形態では、投与量は、体重で約0.015mg/kgである。いくつかの実施形態では、投与量は、体重で約0.02mg/kgである。いくつかの実施形態では、投与量は、体重で約0.03mg/kgである。いくつかの実施形態では、投与量は、体重で約0.04mg/kgである。いくつかの実施形態では、投与量は、体重で約0.06mg/kgである。いくつかの実施形態では、投与量は、体重で約0.08mg/kgである。いくつかの実施形態では、投与量は、体重で約0.09mg/kgである。いくつかの実施形態では、投与量は、体重で約0.12mg/kgである。いくつかの実施形態では、投与量は、体重で約0.135mg/kgである。いくつかの実施形態では、投与量は、体重で約0.16mg/kgである。いくつかの実施形態では、投与量は、体重で約0.2025mg/kgである。いくつかの実施形態では、投与量は、体重で約0.24mg/kgである。いくつかの実施形態では、投与量は、体重で約0.32mg/kgである。いくつかの実施形態では、本開示のヘテロ二量体タンパク質は、これら投与量に従ってIV点滴により投与される。
【0184】
[00194]一部の実施形態では、投与量は、体重で、0.0001mgのタンパク質/kg~5mgの化合物/kg;又は0.001mg/kg~4mg/kg、又は0.005mg/kg~1mg/kg、又は0.005mg/kg~0.3mg/kg、又は0.005mg/kg~0.2mg/kg、又は0.005mg/kg~0.02mg/kgで変動しうる。いくつかの実施形態では、この用量は、体重で、0.0001、0.0003、0.0005、0.001、0.003、0.005、0.008、0.01、0.015、0.02、0.03、0.05、0.08、0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、0.45、0.5、0.55、0.6、0.65、0.7、0.75、0.8、0.85、0.9、0.95、1、1.1、1.15、1.2、1.25、1.3、1.35、1.4、1.45、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.5、3、3.5、4、4.5、又は5mg/kgでありうる。いくつかの実施形態では、用量は、体重で、0.0025mg/kg、0.005mg/kg、0.01mg/kg、0.015mg/kg、0.02mg/kg、0.025mg/kg、0.03mg/kg、0.04mg/kg、0.05mg/kg、0.06mg/kg、0.08mg/kg、0.09mg/kg、0.10mg/kg、0.12mg/kg、0.135mg/kg、0.16mg/kg、0.20mg/kg、0.2025mg/kg、0.24mg/kg及び0.32mg/kgからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、投与量は、体重で0.0025mg/kgである。いくつかの実施形態では、投与量は、体重で0.01mg/kgである。いくつかの実施形態では、投与量は、体重で0.015mg/kgである。いくつかの実施形態では、投与量は、体重で0.02mg/kgである。いくつかの実施形態では、投与量は、体重で0.03mg/kgである。いくつかの実施形態では、投与量は、体重で0.04mg/kgである。いくつかの実施形態では、投与量は、体重で0.06mg/kgである。いくつかの実施形態では、投与量は、体重で0.08mg/kgである。いくつかの実施形態では、投与量は、体重で0.09mg/kgである。いくつかの実施形態では、投与量は、体重で0.12mg/kgである。いくつかの実施形態では、投与量は、体重で0.135mg/kgである。いくつかの実施形態では、投与量は、体重で0.16mg/kgである。いくつかの実施形態では、投与量は、体重で0.2025mg/kgである。いくつかの実施形態では、投与量は、体重で0.24mg/kgである。いくつかの実施形態では、投与量は、体重で0.32mg/kgである。いくつかの実施形態では、本開示のヘテロ二量体タンパク質は、これら投与量に従ってIV点滴により投与される。
【0185】
[00195]一部の実施形態では、ヘテロ二量体タンパク質の組み合わせの投与量は、体重で、約0.0001mgのタンパク質/kg~約5mgの化合物/kg;又は約0.001mg/kg~約4mg/kg、又は約0.005mg/kg~約1mg/kg、又は約0.005mg/kg~約0.3mg/kg、又は約0.005mg/kg~約0.2mg/kg、又は約0.005mg/kg~約0.02mg/kgで変動しうる。いくつかの実施形態では、この用量は、体重で、約0.0001、約0.0003、約0.0005、約0.001、約0.003、約0.005、約0.008、約0.01、約0.015、約0.02、約0.03、約0.05、約0.08、約0.1、約0.15、約0.2、約0.25、約0.3、約0.35、約0.4、約0.45、約0.5、約0.55、約0.6、約0.65、約0.7、約0.75、約0.8、約0.85、約0.9、約0.95、約1、約1.1、約1.15、約1.2、約1.25、約1.3、約1.35、約1.4、約1.45、約1.5、約1.6、約1.7、約1.8、約1.9、約2、約2.5、約3、約3.5、約4、約4.5、又は約5mg/kgでありうる。いくつかの実施形態では、用量は、体重で、約0.0025mg、約0.005mg、約0.01mg、約0.015mg/kg、約0.02mg/kg、約0.025mg/kg、約0.03mg/kg、約0.04mg/kg、約0.05mg/kg、約0.06mg/kg、約0.08mg/kg、約0.10mg/kg、約0.12mg/kg、約0.16mg/kg、約0.20mg/kg、約0.24mg/kg及び約0.32mg/kgである。いくつかの実施形態では、投与量は、体重で約0.0025mg/kgである。いくつかの実施形態では、投与量は、体重で約0.01mg/kgである。いくつかの実施形態では、投与量は、体重で約0.015mg/kgである。いくつかの実施形態では、投与量は、体重で約0.02mg/kgである。いくつかの実施形態では、投与量は、体重で約0.03mg/kgである。いくつかの実施形態では、投与量は、体重で約0.04mg/kgである。いくつかの実施形態では、投与量は、体重で約0.06mg/kgである。いくつかの実施形態では、投与量は、体重で約0.08mg/kgである。いくつかの実施形態では、投与量は、体重で約0.12mg/kgである。いくつかの実施形態では、投与量は、体重で約0.16mg/kgである。いくつかの実施形態では、投与量は、体重で約0.24mg/kgである。いくつかの実施形態では、投与量は、体重で約0.32mg/kgである。いくつかの実施形態では、本開示のヘテロ二量体タンパク質の組み合わせは、これら投与量に従ってIV点滴により投与される。
【0186】
[00196]一部の実施形態では、ヘテロ二量体タンパク質の組み合わせの投与量は、体重で、0.0001mgのタンパク質/kg~5mgの化合物/kg;又は0.001mg/kg~4mg/kg、又は 0.005mg/kg~1mg/kg、又は0.005mg/kg~0.3mg/kg、又は0.005mg/kg~0.2mg/kg、又は0.005mg/kg~0.02mg/kgで変動しうる。いくつかの実施形態では、この用量は、体重で、0.0001、0.0003、0.0005、0.001、0.003、0.005、0.008、0.01、0.015、0.02、0.03、0.05、0.08、0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、0.45、0.5、0.55、0.6、0.65、0.7、0.75、0.8、0.85、0.9、0.95、1、1.1、1.15、1.2、1.25、1.3、1.35、1.4、1.45、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.5、3、3.5、4、4.5、又は5mg/kgでありうる。いくつかの実施形態では、用量は、体重で、0.0025mg/kg、0.005mg/kg、0.01mg/kg、0.015mg/kg、0.02mg/kg、0.025mg/kg、0.03mg/kg、0.04mg/kg、0.05mg/kg、0.06mg/kg、0.08mg/kg、0.10mg/kg、0.12mg/kg、0.16mg/kg、0.20mg/kg、0.24mg/kg及び0.32mg/kgである。いくつかの実施形態では、投与量は、体重で0.0025mg/kgである。いくつかの実施形態では、投与量は、体重で0.01mg/kgである。いくつかの実施形態では、投与量は、体重で0.015mg/kgである。いくつかの実施形態では、投与量は、体重で0.02mg/kgである。いくつかの実施形態では、投与量は、体重で0.03mg/kgである。いくつかの実施形態では、投与量は、体重で0.04mg/kgである。いくつかの実施形態では、投与量は、体重で0.06mg/kgである。いくつかの実施形態では、投与量は、体重で0.08mg/kgである。いくつかの実施形態では、投与量は、体重で0.12mg/kgである。いくつかの実施形態では、投与量は、体重で0.16mg/kgである。いくつかの実施形態では、投与量は、体重で0.24mg/kgである。いくつかの実施形態では、投与量は、体重で0.32mg/kgである。いくつかの実施形態では、本開示のヘテロ二量体タンパク質の組み合わせは、これら投与量に従ってIV点滴により投与される。
【0187】
[00197]いくつかの実施形態では、本開示のヘテロ二量体タンパク質、又はそれらの組み合わせは、毎日、即ち、24時間毎に投与される。いくつかの実施形態では、ヘテロ二量体タンパク質又はそれらの組み合わせは、毎週、即ち、1週間に1回(Q1W)投与される。いくつかの実施形態では、ヘテロ二量体タンパク質又はそれらの組み合わせは、2週間に1回、即ち、14日に1回(Q2W)投与される。いくつかの実施形態では、ヘテロ二量体タンパク質又はそれらの組み合わせは、3週間に1回、即ち、21日に1回(Q3W)投与される。いくつかの実施形態では、ヘテロ二量体タンパク質又はそれらの組み合わせは、4週間に1回、即ち、28日に1回(Q4W)投与される。いくつかの実施形態では、ヘテロ二量体タンパク質又はそれらの組み合わせは、5週間に1回(Q5W)投与される。いくつかの実施形態では、ヘテロ二量体タンパク質又はそれらの組み合わせは6週間に1回(Q6W)投与される。いくつかの実施形態では、ヘテロ二量体タンパク質又はそれらの組み合わせは、7週間に1回(Q7W)投与される。いくつかの実施形態では、ヘテロ二量体タンパク質又はそれらの組み合わせは、8週間に1回(Q8W)投与される。いくつかの実施形態では、ヘテロ二量体タンパク質又はそれらの組み合わせは9週間に1回(Q9W)投与される。いくつかの実施形態では、ヘテロ二量体タンパク質又はそれらの組み合わせは、10週間に1回(Q10W)投与される。いくつかの実施形態では、ヘテロ二量体タンパク質又はそれらの組み合わせは、11週間に1回(Q11W)投与される。いくつかの実施形態では、ヘテロ二量体タンパク質又はそれらの組み合わせは12週間に1回(Q12W)投与される。いくつかの実施形態では、ヘテロ二量体タンパク質又はそれらの組み合わせは、1か月に1回投与される。いくつかの実施形態では、ヘテロ二量体タンパク質又はそれらの組み合わせは、2カ月に1回投与される。いくつかの実施形態では、ヘテロ二量体タンパク質又はそれらの組み合わせは、3カ月に1回投与される。いくつかの実施形態では、ヘテロ二量体タンパク質又はそれらの組み合わせは、4カ月に1回投与される。いくつかの実施形態では、ヘテロ二量体タンパク質又はそれらの組み合わせは、5か月に1回投与される。いくつかの実施形態では、ヘテロ二量体タンパク質又はそれらの組み合わせは、6カ月に1回投与される。いくつかの実施形態では、ヘテロ二量体タンパク質又はそれらの組み合わせは、7カ月に1回投与される。いくつかの実施形態では、ヘテロ二量体タンパク質又はそれらの組み合わせは、8か月に1回投与される。いくつかの実施形態では、ヘテロ二量体タンパク質又はそれらの組み合わせは、9カ月に1回投与される。いくつかの実施形態では、ヘテロ二量体タンパク質又はそれらの組み合わせは、10カ月に1回投与される。いくつかの実施形態では、ヘテロ二量体タンパク質又はそれらの組み合わせは、11か月に1回投与される。いくつかの実施形態では、ヘテロ二量体タンパク質又はそれらの組み合わせは、12カ月に1回投与される。いくつかの実施形態では、ヘテロ二量体タンパク質又はそれらの組み合わせは、1年に1回投与される。いくつかの実施形態では、本開示のヘテロ二量体タンパク質又はそれらの組み合わせは、本明細書に開示される頻度に従ってIV点滴により投与される。
【0188】
[00198]いくつかの実施形態では、対象は、以前にその状態の治療のための薬剤を投与されたことがない。いくつかの実施形態では、対象は、現在チェックポイント阻害剤を投与されている。いくつかの実施形態では、対象は、以前にチェックポイント阻害剤を投与されたことがある。いくつかの実施形態では、チェックポイント阻害剤はPD-1を標的とする。いくつかの実施形態では、チェックポイント阻害剤はPD-L1を標的とする。いくつかの実施形態では、チェックポイント阻害剤はCTLA-4を標的とする。いくつかの実施形態では、PD-1を標的とするチェックポイント阻害剤は、抗PD-1抗体である。PD-1に特異的に結合する抗体は、当技術分野において既知であり、例えば、Naidoo et al. Ann Oncol.2015;26(12):2375-2391,Philips et al. Int Immunol. 2015;27(1):39-46,Tunger et al. J Clin Med.2019;8(10)and Sunshine et al. Curr Opin Pharmacol.2015;32-8;並びに米国特許第8008449号、米国特許第8168757号、米国特許出願公開20110008369号、米国特許出願公開20130017199号、米国特許出願公開20130022595号、及び国際公開第2006121168号、国際公開第20091154335号、国際公開第2012145493号、国際公開第2013014668号、国際公開第2009101611号、EP2262837、及びEP2504028に記載されている。抗PD-1抗体の例には、限定されないが、ニボルマブ(BMS-936558)、ペンブロリズマブ(商品名Keytruda、以前はランブロリズマブ;Merck3475及びSCH-900475としても知られる)、ピディリズマブ(CT-011)、セミプリマブ、スパルタリズマブ(PDR001)、カムレリズマブ(SHR1210)、シンチリマブ(IBI308)、チスレリズマブ(BGB-A317)、トリパリマブ(JS 001)、MDX-1106、AMP-514(Amplimmune)及びAMP-224(Amplimmune)が含まれる。ニボルマブは、国際公開第2006/121168号に記載される抗PD-1抗体である。ペンブロリズマブは、国際公開第2009/114335号及びHamid et al.(2013).New England Journal of Medicine 369(2):134-44に記載される抗PD-1抗体である。ピディリズマブは、PD-1に結合するヒト化 IgGkモノクローナル抗体である。ピディリズマブ及び他のヒト化抗PD1モノクローナル抗体は、国際公開第2009/101611号に開示されている。AMP-224は、PD-1とB7-H1との間の相互作用をブロックするPD-L2 Fc融合可溶型受容体であり、国際公開第2010/027827号及び国際公開第2011/066342号に開示されている。他の抗PD-1抗体には、とりわけ、AMP514、例えば、米国特許第8609089号、米国特許出願公開2010028330号及び/又は米国特許出願公開20120114649号に開示されている抗PD-1抗体が含まれる。いくつかの実施形態では、抗PD-1抗体はニボルマブである。
【0189】
[00199]いくつかの実施形態では、PD-L1を標的とするチェックポイント阻害剤は、抗PD-L1抗体である。PD-L1に特異的に結合する抗体は、当技術分野において既知であり、例えば、Naidoo et al. Ann Oncol.2015 Dec;26(12):2375-2391,Philips et al. Int Immunol.2015 Jan;27(1):39-46、Tunger et al. J Clin Med. 2019 Sep 25;8(10),Sunshine et al. Curr Opin Pharmacol.2015:32-8、並びに米国特許第7943743号及び米国特許出願公開20120039906号に記載されている。抗PD-L1抗体の例には、限定されないが、BMS-936559(MSB-0010718C及びMDX-1105としても知られる)、BMS-39886、アテゾリズマブ(MDPL3280A;Tecentriq)、アベルマブ(Bavencio)、デュルバルマブ(MEDI4736;Imfinzi)、KN035、CK-301(Checkpoint Therapeutics)、及びMSB0010718Cが含まれる。BMS-936559は、国際公開第2007/005874号に記載される抗PD-L1抗体である。アテゾリズマブは、PD-L1に結合するヒトFc最適化IgG1を有するヒト化モノクローナル抗体である。BMS-39886は、Brahmer JR et al. N Engl J Med 2012;366:2455-2465に記載される抗PD-L1抗体である。いくつかの実施形態では、抗PD-L1抗体は、アテゾリズマブである。
【0190】
[00200]いくつかの実施形態では、CTLA-4を標的とするチェックポイント阻害剤は、抗CTLA-4抗体である。CTLA-4に特異的に結合する抗体は、当技術分野において既知であり、例えば、Callahan MK et al. Semin Oncol. 2010;37(5):473-484に記載されている。抗CTLA-4抗体の例には、限定されないが、イピリムマブ及びトレメリムマブが含まれる。イピリムマブ及びトレメリムマブはどちらも、CTLA-4に対する完全ヒト抗体である。イピリムマブ(MDX-010又はYervoyとしても知られる;Bristol-Myers Squibb,Princeton,NJ)は、12-14日の血漿半減期を有するIgG1である(Hodi,F.S et al. The New England Journal of Medicine.2010;363(8):711-723)。トレメリムマブ(CP-675,206又はチシリムマブとしても知られる;Pfizer,New York,NY)は、概ね22日の血漿半減期を有するIgG2である(Reuben,JM et al. Cancer.2006;106(11):2437-44)。
【0191】
併用療法としてIL15-IL15Rαヘテロ二量体Fc融合タンパク質とPD-L1/PD-1阻害剤とを用いる治療の方法
[00201]本開示の別の態様は、固形腫瘍の治療を必要とする対象における本明細書に開示される固形腫瘍の治療方法を提供し、この方法は、対象に対し、有効量の(a)本明細書に開示される任意のヘテロ二量体タンパク質(即ち、IL15-IL15Rαヘテロ二量体Fc融合タンパク質)又はその組み合わせと、(b)PD-L1/PD-1軸を標的とする薬剤とを投与することを含む。ヘテロ二量体タンパク質は、本明細書に開示される方法のいずれかに従って投与されうる。ヘテロ二量体タンパク質は、本明細書に開示される組成物のいずれかで投与されうる。
【0192】
[00202]いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるヘテロ二量体タンパク質のうちの2つ以上が対象に投与されうる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるヘテロ二量体タンパク質のうちの3つ以上が対象に投与されうる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるヘテロ二量体タンパク質のうちの4つ以上が対象に投与されうる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるヘテロ二量体タンパク質のうちの5つ以上が対象に投与されうる。
【0193】
[00203]いくつかの実施形態では、第1のヘテロ二量体タンパク質と第2のヘテロ二量体タンパク質との組み合わせが、対象に投与される。いくつかの実施形態では、第1のヘテロ二量体タンパク質は、配列番号9に示されるアミノ酸配列を含む第1の単量体と、配列番号10に示されるアミノ酸配列を含む第2の単量体とを含み;第2のヘテロ二量体タンパク質は、配列番号9に示されるアミノ酸配列を含む第1の単量体と、配列番号16に示されるアミノ酸配列.第2の単量体とを含む。
【0194】
[00204]プログラム死-リガンド-1(PD-L1)は、多くのヒトのがんにおいて腫瘍細胞と腫瘍浸潤性免疫細胞によって広く発現される細胞表面タンパク質である。PD-L1の過剰発現は、複数のがんを有する患者の予後不良に関連付けられている。PD-L1は、活性化T細胞上での発現が慢性感染症又はがんといった長期間刺激の状態で維持される、PD-1とB7.1という2つの既知の受容体に結合する。PD-1又はB7.1によるPD-L1のライゲーションは、T細胞増殖、サイトカイン生成、及び細胞溶解反応を阻害し、それによりT細胞の機能的不活性化又は阻害をもたらす。腫瘍細胞上でのPD-L1の異常発現は、免疫回避をもたらす抗腫瘍免疫を妨げることが報告された。PD-L1/PD-1及びPD-L1/B7.1経路の妨害は、腫瘍特異的T細胞免疫を再活性化するための魅力的な戦略であり、実際に、PD-L1又はPD-1の複数の阻害剤は、黒色腫、RCC、NSCLC、SCLC、尿路上皮性膀胱がん、HNSCC、卵巣がん、及びTNBCを含む広範囲の腫瘍型に臨床有効性又は有望な抗腫瘍活性を示した。証明された利益は、これまでに選択された適応症における複数の抗PD-L1抗体(例えば、アテゾリズマブ、アベルマブ、及びデュルバルマブ)、並びに抗PD-1抗体(例えば、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、及びセミプリマブ-rwlc)の承認に繋がった。
【0195】
[00205]いくつかの実施形態では、PD-L1/PD-1軸を標的とする薬剤は、PD-1の阻害剤である。いくつかの実施形態では、PD-L1/PD-1軸を標的とする薬剤は、PD-L1の阻害剤である。
【0196】
[00206]いくつかの実施形態では、PD-1の阻害剤は、抗PD-1抗体である。PD-1に特異的に結合する抗体は、当技術分野において既知であり、例えば、Naidoo et al. Ann Oncol.2015;26(12):2375-2391,Philips et al. Int Immunol. 2015;27(1):39-46,Tunger et al. J Clin Med.2019;8(10)and Sunshine et al. Curr Opin Pharmacol.2015;32-8;並びに米国特許第8008449号、米国特許第8168757号、米国特許出願公開20110008369号、米国特許出願公開20130017199号、米国特許出願公開20130022595号、及び国際公開第2006121168号、国際公開第20091154335号、国際公開第2012145493号、国際公開第2013014668号、国際公開第2009101611号、EP2262837、及びEP2504028に記載されている。抗PD-1抗体の例には、限定されないが、ニボルマブ(BMS-936558)、ペンブロリズマブ(商品名Keytruda、以前はランブロリズマブ;Merck3475及びSCH-900475としても知られる)、ピディリズマブ(CT-011)、セミプリマブ、スパルタリズマブ(PDR001)、カムレリズマブ(SHR1210)、シンチリマブ(IBI308)、チスレリズマブ(BGB-A317)、トリパリマブ(JS 001)、MDX-1106、AMP-514(Amplimmune)及びAMP-224(Amplimmune)が含まれる。ニボルマブは、国際公開第2006/121168号に記載される抗PD-1抗体である。ペンブロリズマブは、国際公開第2009/114335号及びHamid et al.(2013).New England Journal of Medicine 369(2):134-44に記載される抗PD-1抗体である。ピディリズマブは、PD-1に結合するヒト化IgGkモノクローナル抗体である。ピディリズマブ及び他のヒト化抗PD1モノクローナル抗体は、国際公開第2009/101611号に開示されている。AMP-224は、PD-1とB7-H1との間の相互作用をブロックするPD-L2Fc融合可溶型受容体であり、国際公開第2010/027827号及び国際公開第2011/066342号に開示されている。他の抗PD-1抗体には、とりわけ、AMP514、例えば、米国特許第8609089号、米国特許出願公開2010028330号及び/又は米国特許出願公開20120114649号に開示されている抗PD-1抗体が含まれる。いくつかの実施形態では、抗PD-1抗体はニボルマブである。いくつかの実施形態では、抗PD-1抗体は、XENP24306と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、抗PD-1抗体は、XENP32803と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、抗PD-1抗体は、XENP24306及びXENP32803と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、ニボルマブは、XENP24306と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、ニボルマブは、XENP32803と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、ニボルマブは、XENP24306及びXENP32803と組み合わせて投与される。
【0197】
[00207]いくつかの実施形態では、PD-L1の阻害剤は、抗PD-L1抗体である。PD-L1に特異的に結合する抗体は、当技術分野において既知であり、例えば、Naidoo et al. Ann Oncol.2015 Dec;26(12):2375-2391,Philips et al. Int Immunol.2015 Jan;27(1):39-46、Tunger et al. J Clin Med. 2019 Sep 25;8(10),Sunshine et al. Curr Opin Pharmacol.2015:32-8、並びに米国特許第7943743号及び米国特許出願公開20120039906号に記載されている。抗PD-L1抗体の例には、限定されないが、BMS-936559(MSB-0010718C及びMDX-1105としても知られる)、BMS-39886、アテゾリズマブ(MDPL3280A;Tecentriq)、アベルマブ(Bavencio)、デュルバルマブ(MEDI4736;Imfinzi)、KN035、CK-301(Checkpoint Therapeutics)、及びMSB0010718Cが含まれる。BMS-936559は、国際公開第2007/005874号に記載される抗PD-L1抗体である。アテゾリズマブは、PD-L1に結合するヒトFc最適化IgG1を有するヒト化モノクローナル抗体である。BMS-39886は、Brahmer JR et al. N Engl J Med 2012;366:2455-2465に記載される抗PD-L1抗体である。いくつかの実施形態では、抗PD-L1抗体は、アテゾリズマブである。いくつかの実施形態では、抗PD-L1抗体は、XENP24306と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、抗PD-L1抗体は、XENP32803と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、抗PD-L1抗体は、XENP24306及びXENP32803と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、アテゾリズマブは、XENP24306と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、アテゾリズマブは、XENP32803と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、アテゾリズマブは、XENP24306及びXENP32803と組み合わせて投与される。
【0198】
[00208]本開示のヘテロ二量体タンパク質(又はその組み合わせ)と組み合わせて投与されるPD-L1/PD-1軸を標的とする薬剤の量は、投与の方式、患者の年齢及び体重、並びに治療されるがんの臨床症状に応じて変動する。いくつかの実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体は、その承認された投与量で投与される。医師であれば、本開示のタンパク質と組み合わせて投与するための適正な投与量を決定することができるであろう。いくつかの実施形態では、PD-L1/PD-1軸を標的とする薬剤は、承認された投薬レジメンを使用して投与される。一部の実施形態では、投与量は、体重で、約0.5mgのタンパク質/kg~約100mgの化合物/kg;又は約1mgのタンパク質/kg~約100mgの化合物/kg;又は約2mgのタンパク質/kg~約50mgの化合物/kg;又は約2.5mgのタンパク質/kg~約10mgの化合物/kg、又は約3mgのタンパク質/kg~約5mgの化合物/kgで変動しうる。いくつかの実施形態では、この用量は、体重で、約0.1、約0.3、約0.5、約1、約3、約5、約7.5、約10、約15、約25、約50、約75、約100mg/kgでありうる。いくつかの実施形態では、抗PD-1抗体の投与量は、3mg/kgである。いくつかの実施形態では、ニボルマブの投与量は、約3mg/kgである。いくつかの実施形態では、ニボルマブの投与量は、2週毎に約3mg/kgである。いくつかの実施形態では、ニボルマブの投与量は、約1mg/kgである。いくつかの実施形態では、ニボルマブの投与量は、約240mgである。いくつかの実施形態では、ニボルマブの投与量は、約480mgである。いくつかの実施形態では、ニボルマブの投与量は、2週毎に約240mgである。いくつかの実施形態では、ニボルマブの投与量は、4週毎に約480mgである。いくつかの実施形態では、抗PD-L1抗体の投与量は、約3mg/kgである。いくつかの実施形態では、抗PD-L1抗体の投与量は、約840mgである。いくつかの実施形態では、アテゾリズマブの投与量は、約840mgである。いくつかの実施形態では、アテゾリズマブの投与量は、約1200mgである。いくつかの実施形態では、アテゾリズマブの投与量は、約1680mgである。いくつかの実施形態では、アテゾリズマブの投与量は、2週毎に約840mgである。いくつかの実施形態では、アテゾリズマブの投与量は、3週毎に約1200mgである。いくつかの実施形態では、アテゾリズマブの投与量は、4週毎に約1680mgである。いくつかの実施形態では、ペンブロリズマブの投与量は、約200mgである。いくつかの実施形態では、ペンブロリズマブの投与量は、3週毎に約200mgである。いくつかの実施形態では、ペンブロリズマブの投与量は、2週毎に約200mgである。いくつかの実施形態では、ペンブロリズマブの投与量は、毎週約200mgである。
【0199】
[00209]一部の実施形態では、投与量は、体重で、0.5mgのタンパク質/kg~100mgの化合物/kg;又は1mgのタンパク質/kg~100mgの化合物/kg;又は2mgのタンパク質/kg~50mgの化合物/kg;又は2.5mgのタンパク質/kg~10mgの化合物/kg、又は3mgのタンパク質/kg~5mgの化合物/kgで変動しうる。いくつかの実施形態では、この用量は、体重で、0.1、0.3,0.5、1、3、5、7.5、10、15、25、50、75、100mg/kgでありうる。いくつかの実施形態では、抗PD-1抗体の投与量は、3mg/kgである。いくつかの実施形態では、ニボルマブの投与量は、3mg/kgである。いくつかの実施形態では、ニボルマブの投与量は、2週毎に3mg/kgである。いくつかの実施形態では、ニボルマブの投与量は、1mg/kgである。いくつかの実施形態では、ニボルマブの投与量は、240mgである。いくつかの実施形態では、ニボルマブの投与量は、480mgである。いくつかの実施形態では、ニボルマブの投与量は、2週毎に240mgである。いくつかの実施形態では、ニボルマブの投与量は、4週毎に480mgである。いくつかの実施形態では、抗PD-L1抗体の投与量は、3mg/kgである。いくつかの実施形態では、抗PD-L1抗体の投与量は、840mgである。いくつかの実施形態では、アテゾリズマブの投与量は、840mgである。いくつかの実施形態では、アテゾリズマブの投与量は、1200mgである。いくつかの実施形態では、アテゾリズマブの投与量は、1680mgである。いくつかの実施形態では、アテゾリズマブの投与量は、2週毎に840mgである。いくつかの実施形態では、アテゾリズマブの投与量は、3週毎に1200mgである。いくつかの実施形態では、アテゾリズマブの投与量は、4週毎に1680mgである。いくつかの実施形態では、ペンブロリズマブの投与量は、200mgである。いくつかの実施形態では、ペンブロリズマブの投与量は、3週毎に200mgである。いくつかの実施形態では、ペンブロリズマブの投与量は、2週毎に200mgである。いくつかの実施形態では、ペンブロリズマブの投与量は、毎週200mgである。
【0200】
[00210]本明細書に開示されるヘテロ二量体タンパク質、又はその組み合わせは、PD-L1/PD-1軸を標的とする薬剤(例えば抗PD1又は抗PD-L1抗体)と同時に又は連続して投与されうる。いくつかの実施形態では、PD-L1/PD-1軸を標的とする薬剤は、ヘテロ二量体タンパク質の投与の後で投与される。いくつかの実施形態では、PD-L1/PD-1軸を標的とする薬剤は、ヘテロ二量体タンパク質の投与の前に投与される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるヘテロ二量体タンパク質又はその組み合わせ及びPD-L1/PD-1軸を標的とする薬剤(例えば抗PD1又は抗PD-L1抗体)が、同じ組成物で投与される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるヘテロ二量体タンパク質、又はその組み合わせは、PD-L1/PD-1軸を標的とする薬剤(例えば抗PD1又は抗PD-L1抗体)とは異なる組成物で投与される。
【0201】
[00211]いくつかの実施形態では、PD-L1/PD-1軸を標的とする薬剤を使用した治療は、がんのための確立された治療法であり、このレジメンへのヘテロ二量体タンパク質治療の付加は、患者に対する治療効果を向上させる。このような向上は、患者一人当たりの応答増加又は患者集団における応答増加として測定することができた。本明細書に開示されるヘテロ二量体タンパク質又はその組み合わせとPD-L1/PD-1軸を標的とする薬剤とは、相乗作用しうる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるヘテロ二量体タンパク質、又はその組み合わせは、単剤療法として投与されるときのその治療的有効用量より少ない投与量で投与されうる。いくつかの実施形態では、PD-L1/PD-1軸を標的とする薬剤は、単剤療法として投与されるときのその治療的有効用量より少ない投与量で投与されうる。
【0202】
[00212]いくつかの実施形態では、PD-L1/PD-1軸を標的とする薬剤は、IV点滴により投与される。いくつかの実施形態では、PD-L1/PD-1軸を標的とする薬剤は、本開示のヘテロ二量体タンパク質と組み合わせて各14日間サイクルの1日目に、IV点滴により固定用量で投与されるいくつかの実施形態では、アテゾリズマブは、本開示のヘテロ二量体タンパク質と組み合わせて、各14日間サイクルの1日目に約840mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、アテゾリズマブは、本開示のヘテロ二量体タンパク質と組み合わせて、各14日間サイクルの1日目に840mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、アテゾリズマブは、承認された投薬レジメンを使用して投与される。いくつかの実施形態では、ニボルマブは、承認された投薬レジメンを使用して投与される。いくつかの実施形態では、ペンブロリズマブは、承認された投薬レジメンを使用して投与される。
【0203】
[00213]いくつかの実施形態では、対象は、以前にその状態の治療のための薬剤を投与されたことがない。いくつかの実施形態では、対象は、現在チェックポイント阻害剤を投与されている。いくつかの実施形態では、対象は、以前にチェックポイント阻害剤を投与されたことがある。いくつかの実施形態では、チェックポイント阻害剤はPD-1を標的とする。いくつかの実施形態では、チェックポイント阻害剤はPD-L1を標的とする。いくつかの実施形態では、チェックポイント阻害剤はCTLA-4を標的とする。
【0204】
[00214]本開示のヘテロ二量体タンパク質とPD-L1/PD-1軸を標的とする薬剤(例えば抗PD1又は抗PD-L1抗体)との組み合わせにより治療される固形腫瘍の例には、限定されないが、癌腫、リンパ腫、芽細胞腫及び肉腫が含まれる。このような固形腫瘍のさらに詳細な例には、扁平上皮がん、皮膚扁平上皮がん(cSCC)、小細胞肺癌(SCLC)、非小細胞肺がん(NSCLC)、胃腸がん、胃がん(GC)、膵臓がん、膠芽細胞腫、子宮頸がん、卵巣がん、肝がん、膀胱がん、脂肪肉腫、軟部組織肉腫、尿路上皮癌、(UCC)、尿管及び腎盂、多発性骨髄腫、骨肉腫、肝細胞癌、黒色腫、胃がん、乳がん、結腸がん、結腸直腸がん、子宮内膜癌、唾液腺癌、腎細胞癌(RCC)、肝がん、食道がん、前立腺がん、外陰部がん、甲状腺がん、肝臓癌、メルケル細胞癌(MCC)、生殖細胞がん、高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)がん及び頭頚部がんが含まれる。いくつかの実施形態では、固形腫瘍は、局所的に進行性、再発性、又は転移性の不治の固形腫瘍である。いくつかの実施形態では、固形腫瘍は、黒色腫、NSCLC、頭頚部扁平上皮癌(HNSCC)、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)、UCC、RCC、SCLC、GC、MCC、cSCC及びMSI-Hがんからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、固形腫瘍は、黒色腫、腎細胞癌(RCC)、NSCLC、頭頚部扁平上皮癌(HNSCC)、及びトリプルネガティブ乳がんから選択される。いくつかの実施形態では、固形腫瘍は、黒色腫、RCC、NSCLC、HNSCC及びTNBCから選択される。いくつかの実施形態では、固形腫瘍は、黒色腫、RCC、及びNSCLCから選択される。いくつかの実施形態では、固形腫瘍は、黒色腫、NSCLC、HNSCC及びTNBCから選択される。いくつかの実施形態では、固形腫瘍は黒色腫である。いくつかの実施形態では、固形腫瘍はRCCである。いくつかの実施形態では、がんはNSCLCである。いくつかの実施形態では、固形腫瘍はHNSCCである。いくつかの実施形態では、固形腫瘍はTNBCである。いくつかの実施形態では、固形腫瘍は、標準的治療が、存在しないか、無効若しくは耐えられないものであるか、又は不適切であると考えられるか、或いは治験薬の臨床試験が標準治療として認められている固形腫瘍である。
【0205】
[00215]併用療法はまた、より忍容性の高い治療レジメンに繋がるPD-L1/PD-1軸を標的とする薬剤(例えば抗PD1又は抗PD-L1抗体)のより低い用量又はより頻度の低い投与で、改善された応答を提供しうる。例えば、1つ又は複数のヘテロ二量体タンパク質とPD-L1/PD-1軸を標的とする薬剤(例えば抗PD1又は抗PD-L1抗体)との併用療法は、増加したADCC、ADCP、及び/又はNK細胞、T細胞、好中球又は単核球細胞のレベル又は免疫応答を含む様々な機序を通して強化された臨床活動を提供する。
【0206】
番号付き実施形態
[00216]本開示の特定の実施形態は、以下の番号付き実施形態に示される。
1.固形腫瘍の治療を必要とする対象における固形腫瘍を治療する方法であって、対象に対し、治療的有効量のヘテロ二量体タンパク質を投与することを含み、ヘテロ二量体タンパク質は、(i)IL-15タンパク質及び第1のFcドメインを含む第1の単量体であって、前記IL-15タンパク質が前記第1のFcドメインのN末端に共有結合している、第1の単量体と、(ii)IL-15Rαタンパク質及び第2のFcドメインを含む第2の単量体であって、前記IL-15Rαタンパク質が前記第2のFcドメインのN末端に共有結合している、第2の単量体とを含み;前記第1及び前記第2のFcドメインは、S267K/L368D/K370S:S267K/S364K/E357Q;S364K/E357Q:L368D/K370S;L368D/K370S:S364K;L368E/K370S:S364K;T411E/K360E/Q362E:D401K;L368D/K370S:S364K/E357L;K370S:S364K/E357Q;S267K/S364K/E357Q:S267K/L368D/K370S;L368D/K370S:S364K/E357Q;S364K:L368D/K370S;S364K:L368E/K370S;D401K:T411E/K360E/Q362E;S364K/E357L:L368D/K370S;及びS364K/E357Q:K370S(EU番号付けによる)からなる群から選択される一組のアミノ酸置換を含む、方法。
2.CD8+エフェクターメモリーT細胞の増殖を誘導するための方法であって、対象に対し、有効量のヘテロ二量体タンパク質を投与することを含み、ヘテロ二量体タンパク質は、(i)IL-15タンパク質及び第1のFcドメインを含む第1の単量体であって、前記IL-15タンパク質が前記第1のFcドメインのN末端に共有結合している、第1の単量体と、(ii)IL-15Rαタンパク質及び第2のFcドメインを含む第2の単量体であって、前記IL-15Rαタンパク質が前記第2のFcドメインのN末端に共有結合している、第2の単量体とを含み;前記第1及び前記第2のFcドメインは、S267K/L368D/K370S:S267K/S364K/E357Q;S364K/E357Q:L368D/K370S;L368D/K370S:S364K;L368E/K370S:S364K;T411E/K360E/Q362E:D401K;L368D/K370S:S364K/E357L;K370S:S364K/E357Q;S267K/S364K/E357Q:S267K/L368D/K370S;L368D/K370S:S364K/E357Q;S364K:L368D/K370S;S364K:L368E/K370S;D401K:T411E/K360E/Q362E;S364K/E357L:L368D/K370S;及びS364K/E357Q:K370S(EU番号付けによる)からなる群から選択される一組のアミノ酸置換を含む、方法。
3.NK細胞の増殖を誘導するための方法であって、対象に対し、有効量のヘテロ二量体タンパク質を投与することを含み、ヘテロ二量体タンパク質は、(i)IL-15タンパク質及び第1のFcドメインを含む第1の単量体であって、前記IL-15タンパク質が前記第1のFcドメインのN末端に共有結合している、第1の単量体と、(ii)IL-15Rαタンパク質及び第2のFcドメインを含む第2の単量体であって、前記IL-15Rαタンパク質が前記第2のFcドメインのN末端に共有結合している、第2の単量体とを含み;前記第1及び前記第2のFcドメインが、S267K/L368D/K370S:S267K/S364K/E357Q;S364K/E357Q:L368D/K370S;L368D/K370S:S364K;L368E/K370S:S364K;T411E/K360E/Q362E:D401K;L368D/K370S:S364K/E357L;K370S:S364K/E357Q;S267K/S364K/E357Q:S267K/L368D/K370S;L368D/K370S:S364K/E357Q;S364K:L368D/K370S;S364K:L368E/K370S;D401K:T411E/K360E/Q362E;S364K/E357L:L368D/K370S;及びS364K/E357Q:K370S(EU番号付けによる)からなる群から選択される一組のアミノ酸置換を含む、方法。
4.CD8+エフェクターメモリーT細胞及びNK細胞の増殖を誘導するための方法であって、対象に対し、有効量のヘテロ二量体タンパク質を投与することを含み、ヘテロ二量体タンパク質は、(i)IL-15タンパク質及び第1のFcドメインを含む第1の単量体であって、前記IL-15タンパク質が前記第1のFcドメインのN末端に共有結合している、第1の単量体と、(ii)IL-15Rαタンパク質及び第2のFcドメインを含む第2の単量体であって、前記IL-15Rαタンパク質が前記第2のFcドメインのN末端に共有結合している、第2の単量体とを含み;前記第1及び前記第2のFcドメインは、S267K/L368D/K370S:S267K/S364K/E357Q;S364K/E357Q:L368D/K370S;L368D/K370S:S364K;L368E/K370S:S364K;T411E/K360E/Q362E:D401K;L368D/K370S:S364K/E357L;K370S:S364K/E357Q;S267K/S364K/E357Q:S267K/L368D/K370S;L368D/K370S:S364K/E357Q;S364K:L368D/K370S;S364K:L368E/K370S;D401K:T411E/K360E/Q362E;S364K/E357L:L368D/K370S;及びS364K/E357Q:K370S(EU番号付けによる)からなる群から選択される一組のアミノ酸置換を含む、方法。
5.対象にIFNγ生成を誘導するための方法であって、対象に対し、有効量のヘテロ二量体タンパク質を投与することを含み、ヘテロ二量体タンパク質は、(i)IL-15タンパク質及び第1のFcドメインを含む第1の単量体であって、前記IL-15タンパク質が前記第1のFcドメインのN末端に共有結合している、第1の単量体と、(ii)IL-15Rαタンパク質及び第2のFcドメインを含む第2の単量体であって、前記IL-15Rαタンパク質が前記第2のFcドメインのN末端に共有結合している、第2の単量体とを含み;前記第1及び前記第2のFcドメインが、S267K/L368D/K370S:S267K/S364K/E357Q;S364K/E357Q:L368D/K370S;L368D/K370S:S364K;L368E/K370S:S364K;T411E/K360E/Q362E:D401K;L368D/K370S:S364K/E357L;K370S:S364K/E357Q;S267K/S364K/E357Q:S267K/L368D/K370S;L368D/K370S:S364K/E357Q;S364K:L368D/K370S;S364K:L368E/K370S;D401K:T411E/K360E/Q362E;S364K/E357L:L368D/K370S;及びS364K/E357Q:K370S(EU番号付けによる)からなる群から選択される一組のアミノ酸置換を含む、方法。
6.前記第1のFcドメイン及び/又は第2のFcドメインの各々が、独立して、アミノ酸置換Q295E、N384D、Q418E及びN421D(EU番号付けによる)をさらに含む、実施形態1~5のいずれか1つに記載の方法。
7.前記第1のFcドメイン及び/又は第2のFcドメインの各々が、独立して、G236R/L328R;E233P/L234V/L235A/G236del/S239K;E233P/L234V/L235A/G236del/S267K;E233P/L234V/L235A/G236del/S239K/A327G;E233P/L234V/L235A/G236del/S267K/A327G;及び E233P/L234V/L235A/G236del(EU番号付けによる)からなる群から選択されるアミノ酸置換をさらに含み、Fcドメインは、IgG1又はIgG3のFcドメインに由来している、実施形態1~6のいずれか1つに記載の方法。
8.前記第1のFcドメイン及び/又は第2のFcドメインの各々が、独立して、L328R;S239K;及びS267K(EU番号付けによる)からなる群から選択されるアミノ酸置換をさらに含み、FcドメインはIgG2のFcドメインに由来している、実施形態1~6のいずれか1つに記載の方法。
9.前記第1のFcドメイン及び/又は第2のFcドメインの各々が、独立して、G236R/L328R;E233P/F234V/L235A/G236del/S239K;E233P/F234V/L235A/G236del/S267K;E233P/F234V/L235A/G236del/S239K;E233P/F234V/L235A/G236del/S267K;及びE233P/F234V/L235A/G236del(EU番号付けによる)からなる群から選択されるアミノ酸置換をさらに含み、Fcドメインは、IgG4のFcドメインに由来している、実施形態1~6のいずれか1つに記載の方法。
10.前記IL-15タンパク質が、N1D、N4D、D8N、D30N、D61N、E64Q、N65D及びQ108Eからなる群から選択される1つ又は複数のアミノ酸置換を含む、実施形態1~9のいずれか1つに記載の方法。
11.前記IL-15タンパク質及び前記IL-15Rαタンパク質が:65DPC;E87C:65DCA;V49C:S40C;L52C:S40C;E89C:K34C;Q48C:G38C;E53C:L42C;C42S:A37C及びL45C:A37Cからそれぞれ選択される一組のアミノ酸置換又は付加を含む、実施形態1~9のいずれか1つに記載の方法。
12.前記IL-15タンパク質が、配列番号1及び配列番号2からなる群から選択されるポリペプチド配列を含む、実施形態1~11のいずれか1つに記載の方法。
13.前記IL-15Rαタンパク質が、配列番号3及び配列番号4からなる群から選択されるポリペプチド配列を含む、実施形態1~12のいずれか1つに記載の方法。
14.第1のFcドメインが、アミノ酸置換L368D及びK370Sを含み;第2のFcドメインが、アミノ酸置換S364K及びE357Qをさらに含み;前記第1のFcドメイン及び前記第2のFcドメインの各々が、アミノ酸置換C220S、E233P、L234V、L235A、G236del、S267K、M428L及びN434S(EU番号付けによる)をさらに含み;前記IL-15タンパク質が、アミノ酸置換D30N、E64Q及びN65Dを含み;前記IL-15Rαタンパク質が配列番号4を含む、実施形態1~5のいずれか1つに記載の方法。
15.第1のFcドメインが、アミノ酸置換S364K及びE357Qを含み;第2のFcドメインが、アミノ酸置換L368D及びK370Sを含み;前記第1のFcドメイン及び前記第2のFcドメインの各々が、アミノ酸置換C220S、E233P、L234V、L235A、G236del、S267K、M428L及びN434S(EU番号付けによる)をさらに含み;前記IL-15タンパク質が、アミノ酸置換D30N、E64Q及びN65Dを含み;前記IL-15Rαタンパク質が配列番号4を含む、実施形態1~5のいずれか1つに記載の方法。
16.第1のFcドメインが、アミノ酸置換L368D及びK370Sを含み;第2のFcドメインが、アミノ酸置換K246T、S364K及びE357Qを含み;前記第1のFcドメイン及び前記第2のFcドメインの各々が、アミノ酸置換C220S、E233P、L234V、L235A、G236del、S267K、M428L及びN434S(EU番号付けによる)をさらに含み;前記IL-15タンパク質が、アミノ酸置換D30N、E64Q及びN65Dを含み;前記IL-15Rαタンパク質が配列番号4を含む、実施形態1~5のいずれか1つに記載の方法。
17.第1のFcドメインが、アミノ酸置換S364K及びE357Qを含み;第2のFcドメインが、アミノ酸置換K246T、L368D及びK370Sを含み;前記第1のFcドメイン及び前記第2のFcドメインの各々が、アミノ酸置換C220S、E233P、L234V、L235A、G236del、S267K、M428L及びN434S(EU番号付けによる)をさらに含み;前記IL-15タンパク質が、アミノ酸置換D30N、E64Q及びN65Dを含み;前記IL-15Rαタンパク質が配列番号4を含む、実施形態1~5のいずれか1つに記載の方法。
18.IL-15タンパク質が、第1のリンカーを介して第1のFcドメインのN末端に共有結合している、実施形態1~17のいずれか1つに記載の方法。
19.IL-15Rαタンパク質が、第2のリンカーを介して第2のFcドメインのN末端に共有結合している、実施形態1~18のいずれか1つに記載の方法。
20.IL-15タンパク質が、第1のリンカーを介して第1のFcドメインのN末端に共有結合しており、IL-15Rαタンパク質が、第2のリンカーを介して第2のFcドメインのN末端に共有結合している、実施形態1~19のいずれか1つに記載の方法。
21.第1のリンカー及び/又は第2のリンカーが、独立して、可変長Gly-Serリンカーである、実施形態18~20のいずれか1つに記載の方法。
22.第1のリンカー及び/又は第2のリンカーが、独立して、(Gly-Gly-Gly-Gly-Ser)n(配列番号39)、(Ser-Ser-Ser-Ser-Gly)n(配列番号40)、(Gly-Ser-Ser-Gly-Gly)n(配列番号41)、及び(Gly-Gly-Ser-Gly-Gly)n(配列番号42)からなる群から選択されるリンカーを含み、nは1から5の間の整数である、実施形態21に記載の方法。
23.前記ヘテロ二量体タンパク質が、XENP22822、XENP23504、XENP24045、XENP24306、XENP22821、XENP23343、XENP23557、XENP24113、XENP24051、XENP24341、XENP24052、XENP24301、及びXENP32803タンパク質からなる群から選択される、実施形態1~22のいずれか1つに記載の方法。
24.固形腫瘍の治療を必要とする対象における固形腫瘍を治療する方法であって、対象に対し、治療的有効量のヘテロ二量体タンパク質を投与することを含み、ヘテロ二量体タンパク質は、(i)IL-15タンパク質及び第1のFcドメインを含む第1の単量体であって、前記IL-15タンパク質が前記第1のFcドメインのN末端に共有結合している、第1の単量体と、(ii)IL-15Rαタンパク質のスシドメイン及び第2のFcドメインを含む第2の単量体であって、IL-15Rαタンパク質の前記スシドメインが前記第2のFcドメインのN末端に共有結合している、第2の単量体とを含み;前記第1のFcドメイン及び前記第2のFcドメインの各々は、アミノ酸置換E233P、L234V、L235A、G236del、及びS267K(EU番号付けによる)を含み;前記IL-15タンパク質は、N65Dアミノ酸置換と、N4D、D30N、及びE64Qからなる群から選択される1つ又は複数のアミノ酸置換とを含む、方法。
25.CD8+エフェクターメモリーT細胞の増殖を誘導するための方法であって、対象に対し、有効量のヘテロ二量体タンパク質を投与することを含み、ヘテロ二量体タンパク質は、(i)IL-15タンパク質及び第1のFcドメインを含む第1の単量体であって、前記IL-15タンパク質が前記第1のFcドメインのN末端に共有結合している、第1の単量体と、(ii)IL-15Rαタンパク質のスシドメイン及び第2のFcドメインを含む第2の単量体であって、IL-15Rαタンパク質の前記スシドメインが前記第2のFcドメインのN末端に共有結合している、第2の単量体とを含み;前記第1のFcドメイン及び前記第2のFcドメインの各々は、アミノ酸置換E233P、L234V、L235A、G236del、及びS267K(EU番号付けによる)を含み;前記IL-15タンパク質は、N65Dアミノ酸置換と、N4D、D30N、E64Qからなる群から選択される1つ又は複数のアミノ酸置換とを含む、方法。
26.NK細胞の増殖を誘導するための方法であって、対象に対し、有効量のヘテロ二量体タンパク質を投与することを含み、ヘテロ二量体タンパク質は、(i)IL-15タンパク質及び第1のFcドメインを含む第1の単量体であって、前記IL-15タンパク質が前記第1のFcドメインのN末端に共有結合している、第1の単量体と、(ii)IL-15Rαタンパク質のスシドメイン及び第2のFcドメインを含む第2の単量体であって、IL-15Rαタンパク質の前記スシドメインが前記第2のFcドメインのN末端に共有結合している、第2の単量体とを含み;前記第1のFcドメイン及び前記第2のFcドメインの各々は、アミノ酸置換E233P、L234V、L235A、G236del、及びS267K(EU番号付けによる)を含み;前記IL-15タンパク質は、N65Dアミノ酸置換と、N4D、D30N、E64Qからなる群から選択される1つ又は複数のアミノ酸置換とを含む、方法。
27.CD8+エフェクターメモリーT細胞及びNK細胞の増殖を誘導するための方法であって、対象に対し、有効量のヘテロ二量体タンパク質を投与することを含み、ヘテロ二量体タンパク質は、(i)IL-15タンパク質及び第1のFcドメインを含む第1の単量体であって、前記IL-15タンパク質が前記第1のFcドメインのN末端に共有結合している、第1の単量体と、(ii)IL-15Rαタンパク質のスシドメイン及び第2のFcドメインを含む第2の単量体であって、IL-15Rαタンパク質の前記スシドメインが前記第2のFcドメインのN末端に共有結合している、第2の単量体とを含み;前記第1のFcドメイン及び前記第2のFcドメインの各々は、アミノ酸置換E233P、L234V、L235A、G236del、及びS267K(EU番号付けによる)を含み;前記IL-15タンパク質は、N65Dアミノ酸置換と、N4D、D30N、E64Qからなる群から選択される1つ又は複数のアミノ酸置換とを含む、方法。
28.対象にIFNγを誘導するための方法であって、対象に対し、有効量のヘテロ二量体タンパク質を投与することを含み、ヘテロ二量体タンパク質は、(i)IL-15タンパク質及び第1のFcドメインを含む第1の単量体であって、前記IL-15タンパク質が前記第1のFcドメインのN末端に共有結合している、第1の単量体と、(ii)IL-15Rαタンパク質のスシドメイン及び第2のFcドメインを含む第2の単量体であって、IL-15Rαタンパク質の前記スシドメインが前記第2のFcドメインのN末端に共有結合している、第2の単量体とを含み;前記第1のFcドメイン及び前記第2のFcドメインの各々は、アミノ酸置換E233P、L234V、L235A、G236del、及びS267K(EU番号付けによる)を含み;前記IL-15タンパク質は、N65Dアミノ酸置換と、N4D、D30N、E64Qからなる群から選択される1つ又は複数のアミノ酸置換とを含む、方法。
29.前記第1のFcドメインが、アミノ酸置換L368D及びK370Sをさらに含み、前記第2のFcドメインが、アミノ酸置換S364K及びE357Q(EU番号付けによる)をさらに含む、実施形態24~28のいずれか1つに記載の方法。
30.前記第1のFcドメインが、アミノ酸置換S364K及びE357Qをさらに含み、前記第2のFcドメインが、アミノ酸置換L368D及びK370S(EU番号付けによる)をさらに含む、実施形態24~28のいずれか1つに記載の方法。
31.前記第1のFcドメインが、アミノ酸置換Q295E、N384D、Q418E及びN421D(EU番号付けによる)をさらに含む、実施形態24~30のいずれか1つに記載の方法。
32.前記第2のFcドメインが、アミノ酸置換Q295E、N384D、Q418E及びN421D(EU番号付けによる)をさらに含む、実施形態24~30のいずれか1つに記載の方法。
33.前記第2のFcドメインが、アミノ酸置換K246T(EU番号付けによる)をさらに含む、実施形態24~32のいずれか1つに記載の方法。
34.前記IL-15タンパク質が、アミノ酸置換D30N、E64Q及びN65Dを含む、実施形態24~33のいずれか1つに記載の方法。
35.前記IL-15タンパク質が、配列番号5に示されるアミノ酸配列を含む、実施形態24~34のいずれか1つに記載の方法。
36.IL-15Rαタンパク質の前記スシドメインが、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含む、実施形態24~35のいずれか1つに記載の方法。
37.IL-15タンパク質が、第1のリンカーを介して第1のFcドメインのN末端に共有結合している、実施形態24~36のいずれか1つに記載の方法。
38.IL-15Rαタンパク質が、第2のリンカーを介して第2のFcドメインのN末端に共有結合している、実施形態24~37のいずれか1つに記載の方法。
39.IL-15タンパク質が、第1のリンカーを介して第1のFcドメインのN末端に共有結合しており、IL-15Rαタンパク質が、第2のリンカーを介して第2のFcドメインのN末端に共有結合している、実施形態24~38のいずれか1つに記載の方法。
40.第1のリンカー及び/又は第2のリンカーが、独立して、可変長Gly-Serリンカーである、実施形態37~39のいずれか1つに記載の方法。
41.第1のリンカー及び/又は第2のリンカーが、独立して、(Gly-Gly-Gly-Gly-Ser)n(配列番号39)、(Ser-Ser-Ser-Ser-Gly)n(配列番号40)、(Gly-Ser-Ser-Gly-Gly)n(配列番号41)、及び(Gly-Gly-Ser-Gly-Gly)n(配列番号42)からなる群から選択されるリンカーを含み、nは1から5の間の整数である、実施形態40に記載の方法。
42.前記第1の単量体が、配列番号9に示されるアミノ酸配列を含み、第2の単量体が、配列番号10に示されるアミノ酸配列を含む、実施形態1~5及び24~28のいずれか1つに記載の方法。
43.前記第1の単量体が、配列番号9に示されるアミノ酸配列を含み、第2の単量体が、配列番号16に示されるアミノ酸配列を含む、実施形態1~5及び24~28のいずれか1つに記載の方法。
44.前記ヘテロ二量体タンパク質が、XENP24306、XENP32803、又はそれらの組み合わせである、実施形態1~5及び24~28のいずれか1つに記載の方法。
45.第1のヘテロ二量体タンパク質と第2のヘテロ二量体タンパク質との組み合わせが、対象に投与される、実施形態1~44のいずれか1つに記載の方法。
46.第1のヘテロ二量体タンパク質が、配列番号9に示されるアミノ酸配列を含む第1の単量体と、配列番号10に示されるアミノ酸配列を含む第2の単量体とを含み;第2のヘテロ二量体タンパク質が、配列番号9に示されるアミノ酸配列を含む第1の単量体と、配列番号16に示されるアミノ酸配列.第2の単量体とを含む、実施形態45に記載の方法。
47.前記第1のヘテロ二量体タンパク質と第2のヘテロ二量体タンパク質とが同時に投与される、実施形態45又は46に記載の方法。
48.前記第1のヘテロ二量体タンパク質と第2のヘテロ二量体タンパク質とが連続して投与される、実施形態45又は46に記載の方法。
49.前記固形腫瘍が、局所的に進行性、再発性又は転移性である、実施形態1、6~24及び29~48のいずれか1つに記載の方法。
50.前記固形腫瘍が、扁平上皮がん、皮膚扁平上皮がん、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、胃腸がん、胃(gastric)がん、膵臓がん、膠芽細胞腫、子宮頸がん、卵巣がん、肝がん、膀胱がん、脂肪肉腫、軟部組織肉腫、尿路上皮癌、尿管及び腎盂、多発性骨髄腫、骨肉腫、肝細胞癌、黒色腫、胃(stomach)がん、乳がん、結腸がん、結腸直腸がん、子宮内膜癌、唾液腺癌、腎細胞癌、肝がん、食道がん、前立腺がん、外陰部がん、甲状腺がん、肝臓癌、メルケル細胞癌、生殖細胞がん、高頻度マイクロサテライト不安定性がん及び頭頚部扁平上皮癌からなる群から選択される、実施形態1、6~24及び29~48のいずれか1つに記載の方法。
51.前記固形腫瘍が、黒色腫、腎細胞癌、非小細胞肺がん、頭頚部扁平上皮癌、及びトリプルネガティブ乳がんから選択される、実施形態50に記載の方法。
52.前記固形腫瘍が、黒色腫、腎細胞癌、及び非小細胞肺がんから選択される、実施形態51に記載の方法。
53.前記固形腫瘍が、黒色腫、非小細胞肺がん、頭頚部扁平上皮癌、及びトリプルネガティブ乳がんから選択される、実施形態51に記載の方法。
54.対象が、固形腫瘍を治療するための薬剤を以前に投与されたことがない、実施形態1、6~24及び29~53のいずれか1つに記載の方法。
55.対象が、現在チェックポイント阻害剤を投与されている、実施形態1、6~24及び29~53のいずれか1つに記載の方法。
56.対象が、チェックポイント阻害剤を以前に投与されたことがある、実施形態1、6~24及び29~53のいずれか1つに記載の方法。
57.チェックポイント阻害剤がPD-1を標的とする、実施形態55又は56に記載の方法。
58.チェックポイント阻害剤がPD-L1を標的とする、実施形態55又は56に記載の方法。
59.チェックポイント阻害剤がCTLA-4を標的とする、実施形態55又は56に記載の方法。
60.前記ヘテロ二量体タンパク質又はヘテロ二量体タンパク質の組み合わせが、体重で、約0.0025mg/kg、約0.005mg/kg、約0.01mg/kg、約0.015mg/kg、約0.02mg/kg、約0.025mg/kg、約0.03mg/kg、約0.04mg/kg、約0.05mg/kg、約0.06mg/kg、約0.08mg/kg、約0.1mg/kg、約0.12mg/kg、約0.16mg/kg、約0.2mg/kg、約0.24mg/kg及び約0.32mg/kgからなる群から選択される用量で投与される、実施形態1~59のいずれか1つに記載の方法。
61.前記ヘテロ二量体タンパク質又はヘテロ二量体タンパク質の組み合わせが、体重で、約0.01mg/kg、約0.02mg/kg、約0.04mg/kg、及び約0.06mg/kgからなる群から選択される用量で投与される、実施形態60に記載の方法。
62.前記ヘテロ二量体タンパク質又はヘテロ二量体タンパク質の組み合わせが、体重で、0.0025mg/kg、0.005mg/kg、0.01mg/kg、0.015mg/kg、0.02mg/kg、0.025mg/kg、0.03mg/kg、0.04mg/kg、0.05mg/kg、0.06mg/kg、0.08mg/kg、0.10mg/kg、0.16mg/kg、0.20mg/kg、0.24mg/kg及び0.32mg/kgからなる群から選択される用量で投与される、実施形態1~60のいずれか1つに記載の方法。
63.前記ヘテロ二量体タンパク質又はヘテロ二量体タンパク質の組み合わせが、体重で、0.01mg/kg、0.02mg/kg、0.04mg/kg、及び0.06mg/kgからなる群から選択される用量で投与される、実施形態62に記載の方法。
64.前記ヘテロ二量体タンパク質が、Q1W、Q2W、Q3W、Q4W、Q5W及びQ6Wからなる群から選択される頻度で投与される、実施形態1~63のいずれか1つに記載の方法。
65.前記ヘテロ二量体タンパク質が、Q2Wの頻度で投与される、実施形態64に記載の方法。
66.対象に対し、PD-L1/PD-1軸を標的とする薬剤を投与することをさらに含む、実施形態1~65のいずれか1つに記載の方法。
67.PD-L1/PD-1軸を標的とする前記薬剤が、抗PD-1抗体である、実施形態66に記載の方法。
68.抗PD-1抗体が、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、ピディリズマブ、セミプリマブ、スパルタリズマブ、カムレリズマブ、シンチリマブ、チスレリズマブ、トリパリマブ、MDX-1106、AMP-514及びAMP-224から選択される、実施形態67に記載の方法。
69.PD-L1/PD-1軸を標的とする前記薬剤が、抗PD-L1抗体である、実施形態68に記載の方法。
70.抗PD-L1抗体が、アベルマブ、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、BMS-936559、BMS-39886、KN035、CK-301及びMSB0010718Cから選択される、実施形態69に記載の方法。
【実施例】
【0207】
実施例1:XmAb24306の非臨床薬理学
[00217]以下に詳述するように、IL15/IL15Rαヘテロ二量体タンパク質(XENP24306(~82%)とXENP32803(~18%)(「XENP24306+XENP32803」))との組み合わせを、複数のin vitro及びin vivoの試験において評価し、非臨床薬理学特性を特徴づけた。in vitro試験は、IL15/IL15Rαヘテロ二量体タンパク質の組み合わせがヒト及びカニクイザルのIL-2/IL-15βγ受容体複合体(CD122/CD132)への結合を示し、ヒト及びカニクイザルのCD8+T細胞及びNK細胞に活性を有するが、げっ歯類の細胞(マウス及びラット)において不活性であることを実証した。XENP24306+XENP32803は、新生児Fc受容体(FcRn)結合(pH6.0)の増加を示したが、抗体依存性細胞傷害(ADCC)又は補体依存性細胞傷害(CDC)の媒介という点ではエフェクター機能を有していなかった。in vitro及びin vivoの両試験は、XENP24306+XENP32803が、好ましくはCD8+T細胞及びNK細胞を拡大し、CD4+ Tヘルパーリンパ球の拡大に中程度の影響を与えるが、Treg集団及びサイトカイン放出症候群(CRS)関連サイトカインの拡大に対する影響は最小である。
【0208】
in vitro試験
[00218]XENP24306及びXENP32803のIL-15成分は、3つのアミノ酸置換(D30N、E64Q、及びN65D)を含む。これら置換は、IL-15の効力低下をもたらす。ヒト及びカニクイザルのIL-2/IL-15βγ受容体複合体(CD122/CD132)に対する結合親和性XENP24306+XENP32803を、表面プラズモン共鳴により決定した。同様の結合キネティクス及び親和性を、2つの種の間で観察し、薬理学及び毒性試験用の前臨床動物種としてのカニクイザルの関連性を確立した。
【0209】
[00219]XENP24306及びXENP32803は、エフェクターレスであり、FcγR及びヒト補体成分1q(C1q)に対する結合の欠如によって示され、ADCC又はCDC機序を介した標的細胞の死滅を誘導することは期待されない。具体的には、Fc領域XENP24306及びXENP32803は、ヒト、カニクイザル、及びマウスFcγRに対する結合を除去するように操作され;バイオレイヤーインターフェロメトリー(BLI)法により結合相互作用は検出されなかった。また、補体系を開始するC1複合体の重要な成分であるヒトC1qに対するXENP24306+XENP32803の結合がBLIを使用して評価され、結合は観察されなかった。
【0210】
[00220]さらに、XmAb24306の半減期を延長することを目標として、XENP24306及びXENP32803のFc領域が、より低いpH(6.0)でFcRnに対する結合を強化するように操作された。ヒト、カニクイザル、及びマウスFcRnとの結合相互作用がBLI方法によって決定され、これら受容体に対するXENP24306+XENP32803の親和性が、エンドソーム輸送に関して生理学的に関連性のあるpHであるpH6.0で有意に強化された。
【0211】
[00221]XENP24306+XENP32803種の選択性を、ホスホ-STAT5アッセイを使用して評価した。CD122/CD132発現リンパ球に対するIL-15/IL-15Rα受容体複合体の結合は、ヤヌスキナーゼ シグナルトランスデューサーの活性化及び転写シグナル伝達経路の活性化因子につながり、それはSTAT5のリン酸化と、それに続く細胞増殖をもたらした。XENP24306+XENP32803は、マウス又はラットのCD8+ T細胞にSTAT5のリン酸化を誘導せず、それにより、毒性試験のためのげっ歯類の使用又は抗腫瘍活性に関するXENP24306+XENP32803の評価のための同系マウスモデルの使用が排除された。
【0212】
[00222]XENP24306+XENP32803の効力を、in vitro細胞増殖アッセイにおいて評価した。ヒトCD8
+ T細胞及びNK細胞は、XENP24306+XENP32803処置に対して強い増殖応答を示した。これら2つの標的細胞集団のなかで、XENP24306+XENP32803は、CD8
+T細胞(半数効果濃度[EC
50]:12.7μg/mL)の増殖よりNK細胞(半数効果濃度[EC
50]:1.2μg/mL)に対して相対的に高い効力を示した(
図1A及び1B)。CD8
+T細胞及びNK細胞の増殖に加えて、XENP24306+XENP32803はヒトPBMCにもIFNγ生成を誘導した。XENP24306+XENP32803はまた、カニクイザルPBMCにおいてNK細胞(EC
50:0.5μg/mL)及びCD8
+ T細胞(EC
50:3.8μg/mL)の増殖を促進し、これにより、薬理学及び毒性試験用の非臨床動物種としてカニクイザルが妥当であることが確認された。
【0213】
[00223]XENP24306及びXENP32803は、IL-15/IL-15Rαヘテロ二量体Fc融合タンパク質として設計された、効力の低下した組み換えヒトIL-15である。CD8
+ ターミナルエフェクターT細胞上に示されるように、XENP24306+XENP32803について、組み換え野生型IL-15の概ね900分の1の効力と、同様のフォーマット(野生型IL-15/野生型IL-15Rαヘテロ二量体Fc融合;名称XENP22853;配列番号11(野生型IL-15-Fcの第1の単量体)及び配列番号7(IL-15Rα-Fcの第2の単量体))の組み換え野生型IL-15(rIL15)の概ね400分の1の効力が観察された(
図2)。XENP24306+XENP32803の効力を、異なるヒト免疫細胞サブセットで評価した。具体的には、ヒトPBMCを、漸増濃度のXENP24306+XENP32803、組み換え野生型IL15、又は野生型IL-15/野生型IL-15Rαヘテロ二量体Fc融合(XENP22853)で4日間処置し、細胞周期タンパク質Ki67の細胞内染色により増殖についてフローサイトメトリーによりアッセイした。
図2は、CD3
+ CD8
+ CD45RA
+ CCR7
- CD28
- CD95
+ 集団のゲーティングにより定義されたCD8
+ ターミナルエフェクターT細胞の結果を示している。曲線あてはめを、最小二乗法を使用して生成した。EC
50値は、アゴニスト対応答及び可変勾配(4パラメータ)式を使用する非線形回帰解析により決定した。XENP24306+XENP32803は、細胞増殖マーカーKi67と細胞活性化マーカーCD69及びCD25とを発現するこれら細胞サブセットの頻度の上昇により示されるように、エフェクターメモリーCD8
+及びCD4
+ T細胞とNK細胞の活性化を強化した。XmAb24306は、ナイーブCD8
+又はCD4
+ T細胞に対して最小の影響しか与えなかった。
【0214】
[00224]2つの追加のin vitro毒性試験:(1)ヒト原形質膜タンパク質細胞アレイを使用したXENP24306+XENP32803の結合プロファイルの評価、及び(2)XENP24306+XENP32803により誘導されるサイトカイン放出の評価を実施し、可溶型及び固定化XENP24306+XENP32803のサイトカイン生成を誘導する能力を比較した。最適化した濃度のXENP24306+XENP32803(20μg/mL)を使用した複数の実験のデータは、XENP24306+XENP32803について同定された説得力のあるオフターゲット結合相互作用がないことを示した。XENP24306+XENP32803によるサイトカイン放出症候群(CRS)の潜在的リスクを、非刺激ヒトPBMCを使用してin vitroで調査した。XENP24306+XENP32803がCRSに関連付けられるサイトカインの生成を誘導する可能性を評価するために、in vitroでのヒトPBMCの刺激を、推奨されるFIH用量(0.01mg/kg))濃度のXENP24306+XENP32803で血中10及び20μg/mL(予想されるCmax(0.23μg/mL)の43倍及び87倍)で実施した。XENP24306+XENP32803の両方の固定化された可溶型フォーマットが、IFNγの生成を誘導した。XmAb24306(ビヒクルコントロールと比較して9~14倍)によるIFNγ誘導の大きさは、ポジティブコントロールとして使用された抗CD28抗体(ビヒクルコントロールと比較して393倍)又は抗CD3抗体(ビヒクルコントロールと比較して1605倍)に観察されたものの数分の1であった。IL-1β、IL-2、IL-4、IL-6、IL-8、IL-10、IL-12p70、IL-13、又はTNFといった他のいずれのサイトカインの誘導も観察されなかった。XENP24306+XENP32803は、IL-6及びTNFとったCRSに関与することが知られている炎症性サイトカインを誘導せず、このことは、XENP24306+XENP32803がCRSを誘導するリスクが低いことを示している。
【0215】
in vivo試験
[00225]免疫応答を、カニクイザルにおいてXENP24306+XENP32803の単回又は反復投与の後で評価した。XENP24306+XENP32803のIV投与の後で、IL-6、腫瘍壊死因子-α(TNFα)、及びIFNγといった炎症性サイトカインの明らかな上昇は観察されなかった。IP-10、MCP-1(単球化学誘引物質タンパク質-1)、MIP-1α(マクロファージ炎症性タンパク質-1α)、MIP-1β(マクロファージ炎症性タンパク質-1β)、TARC(胸腺及び活性化調節ケモカイン)、及びエオタキシンといった他のサイトカイン及びケモカインの一過性の上昇が観察され、PD活性が示された。これらサイトカイン及びケモカインは、投与から1日以内にピーク血清濃度に到達し、15日目までに処置前のレベルに戻った。可溶型CD25の血清濃度は、処置後約4日目にピークに達し、15日目までに処置前のレベルに戻った。
【0216】
[00226]XENP24306+XENP32803処置は、末梢血中のCD8
+ T細胞とNK細胞の数を拡大し、予想される免疫細胞集団の標的化が妥当であることを確認するものであった。おそらくは辺縁趨向に起因する血液リンパ球の最初の減少に続き、CD8
+ T細胞及びNK細胞は、処置前のレベルを上回る用量依存性の拡大を呈した。血中のピーク応答は投与の1週間後に達成され、細胞数は、2週間後に処置前のレベル近くに戻るように見えた。セントラル及びエフェクターメモリー、ターミナルエフェクター、並びに幹細胞メモリー細胞を含むCD8
+ メモリーT細胞サブセットは拡大したが、ナイーブCD8
+ T細胞は拡大しなかった。CD4
+ T細胞、Tregs、B細胞、及び顆粒球は、最小の拡大を示すか、又はXENP24306+XENP32803に応答しなかった。Ki67発現(細胞増殖マーカー)の頻度の一過性及び用量依存性の上昇は、これら標的細胞集団のなかにも観察され、絶対細胞数の拡大と一貫していた。XENP24306+XENP32803(0.03、0.2、及び0.6mg/kg、Q2W)の反復投与は、各投与後のサイトカイン及びケモカイン応答の一過性の増大を示した。XENP24306+XENP32803に対する応答は用量依存性であり、サイトカイン、ケモカイン、及びsCD25のレベルで可逆的であった。反復用量の毒性試験は、末梢血中のCD8
+ T細胞及びNK細胞の拡大(概ね中用量で6倍及び高用量で14~17倍)が各投与後に一過性であり、反復されるXENP24306+XENP32803処置(
図3)後にピーク数の減少が観察された。末梢CD8
+ T細胞及びNK細胞の数は、4週間の回復期間後に処置前のレベルに戻った。
【0217】
[00227]XENP24306+XENP32803が白血球の増殖及びエフェクター活性を強化する能力を、マウス移植片対宿主病(GVHD)モデルでの反復用量試験において試験した。XENP24306+XENP32803(0、7、14、及び21日目に投与される4つの用量レベル:0.01、0.03、0.1、又は0.3mg/kg)は、単剤としてヒトPBMCを移植した非肥満糖尿病/重症複合免疫不全ガンマ(NSG)マウスにおいて評価された。この試験では、GVHDの臨床徴候(即ち、体重減少及び死亡率)により測定可能なマウス宿主に対する免疫応答、及び免疫モニタリング評価、例えば末梢ヒトCD8+ T細胞及びNK細胞数の増加と血清IFNγ濃度の上昇をモニタリングした。用量依存性のGVHD-誘導活性が、0.3mg/kgのXENP24306+XENP32803で処置したマウスに見られる有意な体重減少に観察され、CD8+ T細胞及びNK細胞の数の有意な増加と血清IFNγ濃度の有意な上昇が、より低い用量で観察された。CD8+ T細胞及びNK細胞の数に時間(7、14、21日目)及び用量依存性の増加が観察された。CD4+ T細胞の拡大は、試験した2つの最高用量レベルで14日目にのみ観察された。NK細胞の拡大増強により明らかになった最小の薬理学的活性用量は0.01mg/kgであり、CD8+ T細胞及び血清IFNγの有意な強化を示すためにはより高い用量が必要であった。したがって、XENP24306+XENP32803は、GVHDに貢献するCD8+ T細胞及びNK細胞の増殖とエフェクター強化を促進した。
【0218】
[00228]XENP24306+XENP32803(0、7、14及び21日目に投与される3つの用量レベル:0.1、0.3、又は1.0mg/kg)を、単剤として、マウスにおける抗腫瘍有効性について評価した。MCF-7ヒト乳がん細胞及びヒトPBMCを移植したNSGマウスを使用して、XENP24306+XENP32803が抗腫瘍応答を促進するかを決定した。腫瘍増殖の低減により示される有意な抗腫瘍活性が、単剤として与えられたときのすべてのXENP24306+XENP32803用量レベル(0.1、0.3、及び1.0mg/kg)で観察された。時間及び用量依存性の、末梢CD8+ T細胞、CD4+ T細胞、及びNK細胞の数の増加及び血清IFNγ濃度の上昇が測定され、XENP24306+XENP32803が抗腫瘍応答を促進することが実証された。
【0219】
実施例2:動物における薬物動態と薬物代謝
[00229]XENP24306(~82%)とXENP32803(~18%)との組み合わせ(「XENP24306+XENP32803」)は、ヒト及びカニクイザルのIL-2/IL-15βγヘテロ二量体受容体複合体に同等な親和性で結合し、ヒト及びカニクイザル両方のCD8+ T細胞とNK細胞において活性である。したがって、XENP24306+XENP32803の薬物動態(PK)を、優良実験室規範(GLP)毒性試験のための用量選択をサポートするため、並びにファイーストインヒューマン(FIH)試験における用量の選択及び用量レジメンをサポートするために、カニクイザルにおいて調査した。GLP毒性試験をサポートするために、カニクイザルの血清試料中のXENP24306+XENP32803を定量化するために、電気化学発光アッセイが開発され、検証された。ヤギ抗ヒトIL-15Rα抗体を捕獲として使用し、マウス抗ヒト/霊長類のIL-15ビオチン化抗体及びスルホタグ付きストレプトアビジンを、一次及び二次検出試薬として使用した。定量化下限値(LLOQ)は30.0ng/mLであった。
【0220】
[00230]時間分解蛍光法は、カニクイザルの血清試料における非GLP PK/PD試験のXENP24306+XENP32803濃度を定量化するために開発された。このアッセイのLLOQは1.4ng/mLであった。
【0221】
カニクイザルにおける単回用量薬物動態
[00231]GLP試験設計の有効性を評価し、最大許容用量を規定するために設計された予備パイロット試験設計を実行した。XENP24306+XENP32803の単回用量薬物動態は、カニクイザルにおける雄では3.0mg/kgで、雌では0.6mg/kgでの2つの独立したPK/PD試験において特徴づけした。XENP24306+XENP32803は、雄カニクイザルに対する単回の3.0mg/kgのIV投与の後で、平均クリアランス(CL)が66.4mL/日/kgであり、定常状態での平均分布容積(V
ss)が107mL/kgであるという多相プロファイルを示した。平均C
max及び曝露(時点0から無限遠[AUC
0-∞の濃度時間曲線下面積])は、それぞれ69.6μg/mL及び45.4日μg/mLであった。雌カニクイザルに対する0.6mg/kgのXENP24306+XENP32803の単回IV投与の後で、平均C
maxは11.9μg/mLであり、曝露(AUC
0-∞)は11.7日μg/mLであり、CLは52.6mL/日/kgであり、V
ssは89.0mL/kgであった。表3を参照されたい。
【0222】
カニクイザルにおける反復用量薬物動態
[00232]XENP24306+XENP32803の毒物動態学(TK)を、カニクイザルにおける5週間のGLP反復用量毒性試験において特徴づけた。3つの用量レベル(0.03、0.2、及び0.6mg/kgのXENP24306+XENP32803)を、14日間隔で合計3用量投与した。全身曝露がすべての動物において確認され、カニクイザルのXENP24306+XENP32803曝露に性別による差は観察されなかった(
図4)。C
maxは、初回用量の後、用量に比例していた。反復投与には、C
maxが減少するわずかな傾向があった;しかしながら、範囲(平均±SD)は、初回、2回目、及び3回目の用量の後にC
maxについて重複していた。AUC
0-14は、初回用量後、用量比例よりわずかに下回っていた。これに加えて、曝露(AUC)は、反復XENP24306+XENP32803投与により、特に0.2mg/kgの用量(7.74~5.96日μg g/mL、22%の減少)及び0.6mg/kgの用量(21.1~14.9日μg/mL、30%の減少;表4)で減少した。反復投与時の全身曝露(AUC)のこのような減少は、標的細胞集団の増大の結果としてのTMDDの増大に起因していると思われた。初回用量の後のXENP24306+XENP32803のCLは、18~28mL/日/kgの範囲であり、V
ssは、52~86mL/kgの範囲であった。これら試験に観察されたXENP24306+XENP32803の通常より高いIgGクリアランス(典型的なIgGの場合<10mL/日/kg)は、TMDDの結果であると思われた。XENP24306+XENP32803については、初回用量後の用量増加に伴うCLの上昇と、反復投与後のAUC
0-14における用量比例よりは小さいさらなる増加によって示されるように、複数の用量レベルにわたる時変の非線形PK挙動が観察された。同様のPK挙動がヒトのXENP24306+XENP32803に予想される。XENP24306+XENP32803の投与に応答した標的細胞集団の増大が、TMDD効果を増大させ、この試験に観察されたような時変の薬物動態をもたらすと思われた。AUC値の低下により示されるように、反復投与の後に蓄積は観察されず、初回用量と2回目の用量との間のAUC比は0.704~0.991倍であった(表4)。
【0223】
実施例3:薬力学的影響
サイトカイン、ケモカイン及び可溶型CD25に対する影響
[00233]サイトカインを、単回用量0.6又は3.0mg/kgのIL15/IL15Rαヘテロ二量体タンパク質(2つの独立したカニクイザルPK/PD試験におけるXENP24306(~82%)とXENP32803(~18%))との組み合わせ(「XENP24306+XENP32803」))の後で評価した。0.6mg/kg及び3.0mg/kgのXENP24306+XENP32803用量の両方で、血清マーカー、並びにサイトカインとケモカインは、投与後8~16時間以内にピークに達し、15日目までに概ね処置前のレベルに戻った。XENP24306+XENP32803治療後に上昇した血清マーカーは、エオタキシン、エオタキシン-3、IL-8、IP-10、MCP-1、MCP-4、MDC、MIP-1α、MIP-1β、及びTARCを含んでいた。これらサイトカイン及びケモカインの発現増加はさらに、XENP24306+XENP32803によって誘導されるリンパ球拡大に寄与しうる。
【0224】
[00234]2つの独立したPK/PD試験において、単回用量0.6又は3.0mg/kgのXENP24306+XENP32803の後でのsCD25/IL-2Rαを評価した。0.6mg/kg及び3.0mg/kgのXENP24306+XENP32803用量グループの両方で、sCD25のパターンは、投与後3~4日間に漸増を示し、これはT細胞上でのCD25発現と一致していた。
【0225】
リンパ球に対する影響
[00235]単回用量0.6mg/kg又は3.0mg/kgのXENP24306+XENP32803の後で、リンパ球は、投与後3日まで、軽度~中程度減少した。この後、変動する用量依存性の中程度~顕著な増加が起こり、投与後7~9日でピークに達した。その後リンパ球は、試験終了までに、処置前のレベルに向かって回復又は部分的に回復した。単球は、リンパ球を忠実に反映する傾向があったが、その程度はずっと小さかった。0.6mg/kg用量の動物に対して実施された血液塗抹検査により、リンパ球の多くが不定型/反応性であることが認められた。
単核細胞浸潤
単回用量0.6mg/kgのXENP24306+XENP32803の後では、肝臓の洞様毛細血管に最小~軽度の単核細胞浸潤が観察された。単回用量3.0mg/kgのXENP24306+XENP32803では、単核細胞浸潤は、肝臓、腎臓、肺、空腸、膀胱、及び皮膚に認められた。
【0226】
実施例4:反復用量の毒性
[00236]2つの反復用量GLP試験を実施した:(1)本実施例に記載される4週間の回復期を伴う5週間の毒性試験、及び(2)実施例5に記載される専用の心血管安全性薬理学試験。
【0227】
[00237]5週間の反復用量GLP毒性試験が、IL15/IL15Rαヘテロ二量体タンパク質(XENP24306(~82%)とXENP32803(~18%))との組み合わせ(「XENP24306+XENP32803」)の毒性、薬理学、及びTKを評価するために、雄及び雌のカニクイザルにおいて実施された。動物は、1、15、及び29日目にIVボーラスを介して、ビヒクル(コントロールグループ)を投与されるか、又は0.03、0.2、若しくは0.6mg/kgのXENP24306+XENP32803 を投与され、34日目(主要な試験コホート)又は64日目(回復コホート;コントロール及び0.6mg/kgのXmAb24306)に剖検に供された。XENP24306+XENP32803に関連する影響の可逆性又は持続性を評価するために、30日間の回復期が設計された。
【0228】
[00238]毒性の評価は、臨床観察、体重、定量的食品検査、眼科学、ECG、臨床病理学パラメータ(血液学、凝固、臨床化学、尿検査、及び尿化学)、生物分析的及びTKパラメータ、ADA、サイトカイン、フローサイトメトリー分析、重大な剖検所見、臓器重量、並びに病理組織検査に基づいていた。
【0229】
[00239]TK分析により、試験したすべての用量レベルでXENP24306+XENP32803の全身曝露が確認された。曝露に性別による差はなかった。Cmaxは、初回用量の後、用量に比例していた。初回用量の後のAUC0-14は用量と共に増加したが、用量比例よりはやや少なく、曝露(AUC)は反復投与時に減少した。XENP24306+XENP32803は、カニクイザルにおいて、試験した用量レベルでのTMDDに起因して非線形動力学を有するように見えた(実施例2)。
【0230】
[00240]反復用量GLP毒性試験におけるすべての所見は、予想されるT細胞及びNK細胞の拡大の薬理的応答、及び関連する炎症誘発応答を伴う活性化と一貫していた。専用の反復用量GLP毒性試験から規定されるNOAELは、0.03mg/kgのXENP24306+XENP32803と決定された。NOAELに対する0.01mg/kg、IV Q2Wの提案されるXENP24306+XENP32803のFIH用量の対応する安全マージンは、実施例5に記載される。
【0231】
実施例5:安全性薬理学
[00241]単回の、専用GLP安全性薬理学試験を、心血管系に対するIL15/IL15Rαヘテロ二量体タンパク質(XENP24306(~82%)とXENP32803(~18%)の組み合わせ(「XENP24306+XENP32803」))の潜在的影響を評価するために、遠隔測定機器を取り付けた雄カニクイザル(1グループあたり4匹、ビヒクルコントロールグループを含む)において実施した。XENP24306+XENP32803は、1及び15日目に、IVボーラス注射により0.03、0.2、及び0.6mg/kg(GLP毒性試験と同じ用量)で投与され、動物は23日目にコロニーに戻された。以下のパラメータ及びエンドポイントが評価された:臨床徴候、摂食量(定量評価)、体重、心血管評価(心収縮、拡張、及びMAP、心拍数、並びにECG(定量評価と、RR間隔、PR間隔、QRS間隔、及びQT間隔の測定並びに誘導された心拍数補正QT[QTca]間隔とを含む)、体温、血清アルブミン濃度、及びXENP24306+XENP32803曝露並びにADA発生率。
【0232】
[00242]XENP24306+XENP32803は、すべての用量(0.03、0.2、及び0.6mg/kg)で臨床的に良好な忍容性を示し、すべての動物は試験期間にわたって生存し、獣医の介入は不要であった。いずれの用量においても、臨床徴候、試験物に関連する摂食量の変化、体重変化、又はECG異常は観察されなかった。ECGは、カニクイザルに考えられる定性的正常であり、処置に関連するPR間隔、QRS間隔、又はQTca間隔の変化はなかった。
【0233】
[00243]XENP24306+XENP32803の全身曝露は、すべての用量レベルで示された。試験期間中、処置に関連する体重又は定性的摂食量の変化は生じなかった。
【0234】
[00244]カニクイザルにおけるGLP試験の所見の全体性に基づいて、無毒性量(NOAEL)用量は、0.03mg/kgのXENP24306+XENP32803と考慮された。XENP24306+XENP32803の免疫アゴニスト特性により、FIH用量の決定は、推定最小薬理作用量(MABEL)の手法に基づいていた。単剤としての用量0.01mg/kgのXENP24306+XENP32803、IVが、XENP24306+XENP32803のFIH用量として提案される。このFIH用量は、EC
20(0.23μg/mL;20名のドナーの幾何平均)に基づいており、XENP24306+XENP32803の最も感受性の高いin vitroアッセイである、ヒトPBMC中のin vitro NK細胞(CD3
-CD56
+)増殖(Ki67を発現する細胞のパーセント)を使用して得られた。
図1を参照されたい。推奨されるFIH用量である0.01mg/kgのXENP24306+XENP32803は、安全であると推定され、最小の生物学的影響を提供し、ヒトにおける治療媒介性反応のリスクが最小であると思われる。推奨されるFIH用量(即ち、0.01mg/kg)でヒトにIV投与されるXENP24306+XENP32803のC
maxは、このEC
20レベルを超えないと思われる。ヒトにおけるXENP24306+XENP32803の開始用量0.01mg/kgは、カニクイザルの5週間のGLP毒性試験におけるNOAEL用量(0.03mg/kgのXENP24306+XENP32803、Q2W)に対し、3倍の安全マージンを有する。0.01mg/kgのXENP24306+XENP32803でヒトにIV投与されるXENP24306+XENP32803のC
maxは、カニクイザルにおいてNOAEL用量で観察されるC
max(0.75±0.04μg/mL;初回用量)を3.3倍下回ると予想される。表5を参照されたい。さらに、ヒトにおける0.01mg/kgのXENP24306+XENP32803でのAUCは、カニクイザルにNOAEL用量で観察されるAUCを1.8倍下回ると予測される(表5)。即ち、関連する非臨床GLP毒性モデル(カニクイザル)においてXENP24306+XENP32803のNOAELで観察されるC
max及びAUCは、MABELに基づくXENP24306+XENP32803 IVの開始用量0.01mg/kgをさらに支持し、試験に十分な安全マージンを提供する(表5)。
【0235】
[00245]XENP24306+XENP32803のヒトへの投与頻度はQ2Wであり、Q2Wで投与されたときに有意な急性毒性がなく、XENP24306+XENP32803が概ね良好な耐容性を示した5週間のカニクイザルにおけるGLP毒性試験によって支持されている。ピーク末梢PD応答(NK及びCD8
+ T細胞といった標的細胞の拡大)は、投与の1週間後に達成され、これら末梢標的細胞数は、それらのベースラインに向かって XENP24306+XENP32803投与後2週間目の終わりまでに減少していった。さらに、PD活性を示すサイトカイン及びケモカインは、投与後8~16時間の間にピークに達し、投与から14日以内にベースラインに戻った(実施例3参照)。したがって、初期投与頻度Q2Wは、試験処置の初回サイクルを含む用量制限毒性観察期間にXENP24306+XENP32803を用いる単剤療法の用量漸増試験において適切と考えられる。
【0236】
実施例6:IL15/IL15Rαヘテロ二量体タンパク質の組み合わせの、単剤療法非盲検多施設共同グローバル用量漸増試験
[00246]IL15/IL15Rαヘテロ二量体タンパク質(XENP24306(~82%)とXENP32803(~18%)との組み合わせ(「XENP24306+XENP32803」))の安全性、忍容性薬物動態及び活性を評価するための、単剤療法非盲検多施設共同グローバル用量漸増試験が実施されるであろう。
【0237】
[00247]試験は、最大28日間のスクリーニング期間、処置期間、及び処置後90日間の最小フォローアップ期間からなる。
【0238】
[00248]患者は、2段階:用量漸増段階及び拡大段階に登録される。
【0239】
[00249]局所的に進行性、再発性、又は転移性の不治の固形腫瘍を有する概ね21~54名の患者が、用量漸増段階の試験に登録される。XENP24306+XENP32803の初回量は、0.01mg/kg Q2Wである。XENP24306+XENP32803は、IV点滴によって投与される。XENP24306+XENP32803の用量を、安全閾値(1名の患者の用量制限毒性(DLT)又は所与のコホートのDLT評価期間中の少なくとも2名の患者における別の明確に同定可能な原因に起因しないグレード≧2の主要臓器有害事象と定義される)が観察されるまで、各連続コホートの先行する用量レベルの最大100%まで増加させる。その後、単剤XENP24306+XENP32803の最大耐用量(MTD)又は最大投与量(MAD)を決定するために、各々3~9名の患者のコホートを、3+3+3設計に従う漸増用量レベルで評価する。
図7。
【0240】
[00250]この試験の患者はまず、スクリーニング期間(継続期間≦28日)中に適格性について評価される。適格性の確認に続いて、患者は、各14日間サイクル(Q2W)の初日に、0.01mg/kgのXENP24306+XENP32803をIV点滴により投与される。XENP24306+XENP32803のPKを評価する。患者は、用量漸増の間のXENP24306+XENP32803処置の最初の8サイクルについて、拡大の間の最初の2サイクルについて、及びその後はそれよりも低い頻度で、定期的な血液学的評価及び代謝の実験室評価のために、身体検査及び採血により毎週評価される。腫瘍評価は、ベースライン及び試験開始後に行われる。
【0241】
[00251]単剤療法用量漸増コホートのクリアされたコホート(即ち、バックフィルコホート)に登録する患者は、以下のPD-L1選択腫瘍型:黒色腫、非小細胞肺がん(NSCLC)、頭頚部扁平上皮癌(HNSCC)、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)尿路上皮癌、(UCC)、腎細胞癌(RCC)、小細胞肺癌(SCLC)、GC、メルケル細胞癌(MCC)、皮膚扁平上皮癌(cSCC)、高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)がんのうちの1つを有しなければならない。
【0242】
[00252]利用可能な標準的治療の後で進行した局所的に進行性、再発性、又は転移性の不治の悪性腫瘍を有するか、又は標準的治療の効果がない若しくは標準的治療が耐えられないことが証明されているか、又は治験薬の臨床試験が標準治療として認められている概ね185~240名の患者が、試験の拡大コホートに登録する。このような拡大段階は、単剤としてのXENP24306+XENP32803の安全性、薬物動態、PD活性、及び予備的な抗腫瘍活性をよりよく特徴づけるための、規定された患者のコホートからなる。XENP24306+XENP32803は、拡大段階において、IV点滴によって投与される。暫定的なXENP24306+XENP32803の推奨拡大用量(RED)は、用量漸増において確立されたMTD/MAD以下で提案されるであろう。XENP24306+XENP32803のREDが提案されたら、さらなる患者が拡大段階で登録され、REDで処置される。
【0243】
[00253]すべての患者は、研究を通して、及び試験処置の最終用量後少なくとも90日間又は別の全身性抗がん療法の開始までのいずれか先に生じるまでの間、有害事象について注意深くモニタリングされる。有害事象はNCI CTCAE v5.0に従って類別される。
【0244】
[00254]単剤としてのXENP24306+XENP32803の薬物動態、免疫原性応答、及びPD特性を特徴づけるために、投与の前後の様々な時点で血液試料を採取する。
【0245】
[00255]患者は、スクリーニング(ベースライン)において及び試験中定期的間隔で腫瘍評価に供され、固形癌効果判定基準(RECIST)v1.1により測定されるる。免疫に基づく治療学(iRECIST)の改訂RECIST v1.1も、がん免疫療法(CIT)に関連付けられる応答の異なるパターンをよりよく特徴づけるため、及びXENP24306+XENP32803の予備的活性プロファイルのよりよい理解を可能にするために、この研究に使用することができる。iRECISTは、この試験において標準のRECIST v1.1を補充し、試験者が患者にとっての有用性とリスクを総合的に評価できるようにすることを意図している。
【0246】
[00256]この試験の活動目的は、単剤として投与されたときのXENP24306+XENP32803の活性の予備評価を、以下のエンドポイントに基づいて行うことである:
・XENP24306+XENP32803の血清濃度;
・有害事象を有する参加者のパーセンテージ;
・完全寛解(CR)又は部分寛解(PR)を有する患者の割合として定義される客観的奏効率(ORR);
・文書化された客観的奏功が最初に発生してから、いずれかの原因による疾患進行又は死亡(いずれか先に発生した方)までの時間として定義される、応答持続時間(DOR);
・登録からいずれかの原因による疾患進行又は死亡(いずれか先に発生した方)までの時間と定義される、登録後無増悪生存期間(PFS);及び
・登録からいずれかの原因による死亡までの時間と定義される、登録後の全生存期間(OS)。
【0247】
[00257]この試験の安全性の目的は、単剤として投与されたときのXENP24306+XENP32803の安全性を、有害事象の発生と重症度、及び標的とされるバイタルサインのベースラインからの変化、又は臨床検査結果若しくはECGパラメータに基づいて評価することである。
【0248】
[00258]この試験の薬物動態(PK)の目的は、単剤として投与されたときのXENP24306+XENP32803のPKプロファイルを、特定の時点のXENP24306+XENP32803の血清濃度に基づいて特徴づけることである。
【0249】
[00259]この試験の免疫原性の目的は、単剤として投与されたときのXENP24306+XENP32803に対する免疫応答(Ia)を、ベースラインでのXENP24306+XENP32803に対するADA及び試験中におけるXENP24306+XENP32803に対するADAの発生に基づいて評価することである。
【0250】
実施例7:XENP24306の単剤療法非盲検多施設共同グローバル用量漸増試験
[00260]XENP24306の安全性、忍容性薬物動態及び活性を評価するための単剤療法非盲検多施設共同グローバル用量漸増試験が実施されるであろう。
【0251】
[00261]試験は、最大28日間のスクリーニング期間、処置期間、及び処置後90日間の最小フォローアップ期間からなる。
【0252】
[00262]患者は、2段階:用量漸増段階及び拡大段階に登録される。
【0253】
[00263]局所的に進行性、再発性、又は転移性の不治の固形腫瘍を有する概ね21~54名の患者が、用量漸増段階の試験に登録される。XENP24306の初回量は、0.01mg/kg Q2Wである。XENP24306は、IV点滴によって投与される。XENP24306の用量を、安全閾値(1名の患者の用量制限毒性(DLT)又は所与のコホートのDLT評価期間中の少なくとも2名の患者における別の明確に同定可能な原因に起因しないグレード≧2の主要臓器有害事象と定義される)が観察されるまで、各連続コホートの先行する用量レベルの最大100%まで増加させる。その後、単剤XENP24306の最大耐用量(MTD)又は最大投与量(MAD)を決定するために、各々3~9名の患者のコホートを、3+3+3設計に従う漸増用量レベルで評価する。
図7。
【0254】
[00264]この試験の患者はまず、スクリーニング期間(継続期間≦28日)中に適格性について評価される。適格性の確認に続いて、患者は、各14日間サイクル(Q2W)の初日に、0.01mg/kgのXENP24306をIV点滴により投与される。XENP24306のPKを評価する。患者は、用量漸増の間のXENP24306治療の最初の8サイクルの、拡大の間の最初の2サイクルの、及びその後はそれよりも低い頻度での、定期的な血液学的及び代謝の実験室評価のために、身体検査及び血液濃度により毎週評価される。腫瘍評価は、ベースライン及び試験開始後に行われる。
【0255】
[00265]単剤療法用量漸増コホートのクリアされたコホート(即ち、バックフィルコホート)に登録する患者は、以下のPD-L1選択腫瘍型:黒色腫、非小細胞肺がん(NSCLC)、頭頚部扁平上皮癌(HNSCC)、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)尿路上皮癌、(UCC)、腎細胞癌(RCC)、小細胞肺癌(SCLC)、GC、メルケル細胞癌(MCC)、皮膚扁平上皮癌(cSCC)、高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)がんのうちの1つを有しなければならない。
【0256】
[00266]利用可能な標準的治療の後で進行した局所的に進行性、再発性、又は転移性の不治の悪性腫瘍を有するか、又は標準的治療の効果がない若しくは標準的治療が耐えられないことが証明されているか、又は治験薬の臨床試験が標準治療として認められている概ね185~240名の患者が、試験の拡大コホートに登録する。このような拡大段階は、単剤としてのXENP24306の安全性、薬物動態、PD活性、及び予備的な抗腫瘍活性をよりよく特徴づけるための、規定された患者のコホートからなる。XENP24306は、拡大段階において、IV点滴によって投与される。暫定的なXENP24306の推奨拡大用量(RED)は、用量漸増において確立されたMTD/MAD以下で提案されるであろう。XENP24306のREDが提案されたら、さらなる患者が拡大段階で登録され、REDで処置される。
【0257】
[00267]すべての患者は、研究を通して、及び試験処置の最終用量後少なくとも90日間又は別の全身性抗がん療法の開始までのいずれか先に生じるまでの間、有害事象について注意深くモニタリングされる。有害事象はNCI CTCAE v5.0に従って類別される。
【0258】
[00268]単剤としてのXENP24306の薬物動態、免疫原性応答、及びPD特性を特徴づけるために、投与の前後の様々な時点で血液試料を採取する。
【0259】
[00269]患者は、スクリーニング(ベースライン)において及び試験中定期的間隔で腫瘍評価に供され、固形癌効果判定基準(RECIST)v1.1により測定されるる。免疫に基づく治療学(iRECIST)の改訂RECIST v1.1も、がん免疫療法(CIT)に関連付けられる応答の異なるパターンをよりよく特徴づけるため、及びXENP24306の予備的活性プロファイルのよりよい理解を可能にするために、この試験に使用される。iRECISTは、この試験において標準のRECIST v1.1を補充し、試験者が患者にとっての有用性とリスクを総合的に評価できるようにすることを意図している。
【0260】
[00270]この試験の活動目的は、単剤として投与されたときのXENP24306の活性の予備評価を、以下のエンドポイントに基づいて行うことである:
・XENP24306の血清濃度;
・有害事象を有する参加者のパーセンテージ;
・完全寛解(CR)又は部分寛解(PR)を有する患者の割合として定義される客観的奏効率(ORR);
・文書化された客観的奏功が最初に発生してから、いずれかの原因による疾患進行又は死亡(いずれか先に発生した方)までの時間として定義される、応答持続時間(DOR);
・登録からいずれかの原因による疾患進行又は死亡(いずれか先に発生した方)までの時間と定義される、登録後無増悪生存期間(PFS);及び
・登録からいずれかの原因による死亡までの時間と定義される、登録後の全生存期間(OS)。
【0261】
[00271]この試験の安全性の目的は、単剤として投与されたときのXENP24306の安全性を、有害事象の発生と重症度、及び標的とされるバイタルサインのベースラインからの変化、又は臨床検査結果若しくはECGパラメータに基づいて評価することである。
【0262】
[00272]この試験の薬物動態(PK)の目的は、単剤として投与されたときのXENP24306のPKプロファイルを、特定の時点のXENP24306の血清濃度に基づいて特徴づけることである。
【0263】
[00273]この試験の免疫原性の目的は、単剤として投与されたときのXENP24306に対する免疫応答(Ia)を、ベースラインでのXENP24306に対するADA及び試験中におけるXENP24306に対するADAの発生に基づいて評価することである。
【0264】
実施例8:XENP32803の単剤療法非盲検多施設共同グローバル用量漸増試験
[00274]XENP32803の安全性、忍容性薬物動態及び活性を評価するための単剤療法非盲検多施設共同グローバル用量漸増試験が実施されるであろう。
【0265】
[00275]試験は、最大28日間のスクリーニング期間、処置期間、及び処置後90日間の最小フォローアップ期間からなる。
【0266】
[00276]患者は、2段階:用量漸増段階及び拡大段階に登録される。
【0267】
[00277]局所的に進行性、再発性、又は転移性の不治の固形腫瘍を有する概ね21~54名の患者が、用量漸増段階の試験に登録される。XENP32803の初回量は、0.01mg/kg Q2Wである。XENP32803は、IV点滴によって投与される。XENP32803の用量を、安全閾値(1名の患者の用量制限毒性(DLT)又は所与のコホートのDLT評価期間中の少なくとも2名の患者における別の明確に同定可能な原因に起因しないグレード≧2の主要臓器有害事象と定義される)が観察されるまで、各連続コホートの先行する用量レベルの最大100%まで増加させる。その後、単剤XENP32803の最大耐用量(MTD)又は最大投与量(MAD)を決定するために、各々3~9名の患者のコホートを、3+3+3設計に従う漸増用量レベルで評価する。
図7。
【0268】
[00278]この試験の患者はまず、スクリーニング期間(継続期間≦28日)中に適格性について評価される。適格性の確認に続いて、患者は、各14日間サイクル(Q2W)の初日に、0.01mg/kgのXENP32803をIV点滴により投与される。XENP32803のPKを評価する。患者は、用量漸増の間のXENP32803治療の最初の8サイクルの、拡大の間の最初の2サイクルの、及びその後はそれよりも低い頻度での、定期的な血液学的及び代謝の実験室評価のために、身体検査及び血液濃度により毎週評価される。腫瘍評価は、ベースライン及び試験開始後に行われる。
【0269】
[00279]単剤療法用量漸増コホートのクリアされたコホート(即ち、バックフィルコホート)に登録する患者は、以下のPD-L1選択腫瘍型:黒色腫、非小細胞肺がん(NSCLC)、頭頚部扁平上皮癌(HNSCC)、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)尿路上皮癌、(UCC)、腎細胞癌(RCC)、小細胞肺癌(SCLC)、GC、メルケル細胞癌(MCC)、皮膚扁平上皮癌(cSCC)、高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)がんのうちの1つを有しなければならない。
【0270】
[00280]利用可能な標準的治療の後で進行した局所的に進行性、再発性、又は転移性の不治の悪性腫瘍を有するか、又は標準的治療の効果がない若しくは標準的治療が耐えられないことが証明されているか、又は治験薬の臨床試験が標準治療として認められている概ね185~240名の患者が、試験の拡大コホートに登録する。このような拡大段階は、単剤としてのXENP32803の安全性、薬物動態、PD活性、及び予備的な抗腫瘍活性をよりよく特徴づけるための、規定された患者のコホートからなる。XENP32803は、拡大段階において、IV点滴によって投与される。暫定的なXENP32803の推奨拡大用量(RED)は、用量漸増において確立されたMTD/MAD以下で提案されるであろう。XENP32803のREDが提案されたら、さらなる患者が拡大段階で登録され、REDで処置される。
【0271】
[00281]すべての患者は、研究を通して、及び試験処置の最終用量後少なくとも90日間又は別の全身性抗がん療法の開始までのいずれか先に生じるまでの間、有害事象について注意深くモニタリングされる。有害事象はNCI CTCAE v5.0に従って類別される。
【0272】
[00282]単剤としてのXENP32803の薬物動態、免疫原性応答、及びPD特性を特徴づけるために、投与の前後の様々な時点で血液試料を採取する。
【0273】
[00283]患者は、スクリーニング(ベースライン)において及び試験中定期的間隔で腫瘍評価に供され、固形癌効果判定基準(RECIST)v1.1により測定されるる。免疫に基づく治療学(iRECIST)の改訂RECIST v1.1も、がん免疫療法(CIT)に関連付けられる応答の異なるパターンをよりよく特徴づけるため、及びXENP32803の予備的活性プロファイルのよりよい理解を可能にするために、この試験に使用される。iRECISTは、この試験において標準のRECIST v1.1を補充し、試験者が患者にとっての有用性とリスクを総合的に評価できるようにすることを意図している。
【0274】
[00284]この試験の活動目的は、単剤として投与されたときのXENP32803の活性の予備評価を、以下のエンドポイントに基づいて行うことである:
・XENP32803の血清濃度;
・有害事象を有する参加者のパーセンテージ;
・完全寛解(CR)又は部分寛解(PR)を有する患者の割合として定義される客観的奏効率(ORR);
・文書化された客観的奏功が最初に発生してから、いずれかの原因による疾患進行又は死亡(いずれか先に発生した方)までの時間として定義される、応答持続時間(DOR);
・登録からいずれかの原因による疾患進行又は死亡(いずれか先に発生した方)までの時間と定義される、登録後無増悪生存期間(PFS);及び
・登録からいずれかの原因による死亡までの時間と定義される、登録後の全生存期間(OS)。
【0275】
[00285]この試験の安全性の目的は、単剤として投与されたときのXENP32803の安全性を、有害事象の発生と重症度、及び標的とされるバイタルサインのベースラインからの変化、又は臨床検査結果若しくはECGパラメータに基づいて評価することである。
【0276】
[00286]この試験の薬物動態(PK)の目的は、単剤として投与されたときのXENP32803のPKプロファイルを、特定の時点のXENP32803の血清濃度に基づいて特徴づけることである。
【0277】
[00287]この試験の免疫原性の目的は、単剤として投与されたときのXENP32803に対する免疫応答(Ia)を、ベースラインでのXENP32803に対するADA及び試験中におけるXENP32803に対するADAの発生に基づいて評価することである。
【0278】
実施例9:抗PD-L1/PD-1阻害剤と組み合わせたXENP24306+XENP32803の非臨床薬理学in vivo試験。
[00288]IL15/IL15Rαヘテロ二量体タンパク質(XENP24306(~82%)とXENP32803(~18%)との組み合わせ(「XENP24306+XENP32803」))が白血球の増殖及びエフェクター活性を強化する能力を、マウス移植片対宿主病(GVHD)モデルでの反復用量試験において試験した。XENP24306+XENP32803(0、7、14、及び21日目に投与される4つの用量レベル:0.01、0.03、0.1、又は0.3mg/kg)が、3.0mg/kgの固定用量で投与される抗PD-1阻害剤であるXENP16432との組み合わせで、ヒトPBMCを移植した非肥満糖尿病/重症複合免疫不全ガンマ(NSG)マウスにおいて評価された。この試験では、GVHDの臨床徴候(即ち、体重減少及び死亡率)により測定可能なマウス宿主に対する免疫応答、及び免疫モニタリング評価、例えば末梢ヒトCD8
+ T細胞及びNK細胞数の増加と血清IFNγ濃度の上昇をモニタリングした。用量依存性のGVHD-誘導活性が、0.3mg/kgのXENP24306+XENP32803で処置したマウスに見られる有意な体重減少に観察され、CD8
+ T細胞及びNK細胞の数の有意な増加と血清IFNγ濃度の有意な上昇が、より低い用量で検出された(
図5)。CD8
+ T細胞及びNK細胞の数に時間(7、14、21日目)及び用量依存性の増加が観察された。CD4
+ T細胞の拡大は、試験した2つの最高用量レベルで14日目にのみ観察された。NK細胞の拡大増強により明らかになった最小の薬理学的活性用量は0.01mg/kgであり、CD8
+T細胞及び血清IFNγの有意な強化を示すためにはより高い用量が必要であった。したがって、XENP24306+XENP32803は、GVHDに貢献するCD8
+ T細胞及びNK細胞の増殖とエフェクター強化を促進した。XENP24306+XENP32803(0.1及び0.3mg/kgの用量の)と抗PD-1抗体との組み合わせグループは、抗PD-1抗体のみと比較して、有意に優れたGVHD誘導活性を示した。
【0279】
[00289]この試験は、ヒト免疫細胞上での、IL15/IL15Rα-Fc融合タンパク質であるXENP24306+XENP32803の免疫賦活活性を説明する。重要なことに、この試験は、抗PD1処置のみを上回る免疫応答を強化するための、XENP24306+XENP32803と、XENP16432/抗PD1、抗PD1の二価抗体とを使用する併用治療の有用性を実証するものであり、承認された抗PD-L1剤とXENP24306+XENP32803とを組み合わせることにより臨床的有用性を向上させる可能性を示唆する。
【0280】
[00290]XENP24306+XENP32803のみが投与されるとき、未処置のコントロールと比べて増加したNK細胞の拡大により明らかになった最小薬理学的作用量(MPAD)は0.01mg/kgであった。T細胞及び血清IFNγ、並びにGVHDの増悪の有意な増強を実証するために、より高い用量が必要であった。
【0281】
[00291]XENP24306+XENP32803とXENP16432/抗PD1との併用処置はまた、抗PD1の単剤処置と比較して、白血球数及びIFNγ生成の有意な増強を促進した。特に、白血球数がXENP24306+XENP32803の増幅の影響に応答して増加すると、XENP24306+XENP32803の測定されたトラフ血清濃度は、おそらくは漸進的に拡大する白血球集団に対する標的媒介薬物動態により、減少した。
【0282】
[00292]XENP24306+XENP32803(0、7、14及び21日目に投与される3つの用量レベル:0.1、0.3、又は1.0mg/kg)を、3.0mg/kgの固定用量で投与される抗PD-1阻害剤であるXENP16432との組み合わせで、マウスにおける抗腫瘍有効性について評価した。MCF-7ヒト乳がん細胞及びヒトPBMCを移植したNSGマウスを使用して、抗PD-1と組み合わせたXENP24306+XENP32803が抗腫瘍応答を促進するかを決定した。時間及び用量依存性の、末梢CD8
+ T細胞、CD4
+ T細胞、及びNK細胞の数の増加及び血清IFNγ濃度の上昇が測定され、XENP24306+XENP32803が抗腫瘍応答を促進することが実証された。
図6。
【0283】
[00293]PBSで処置した動物(グループA)は、試験の最後まで安定した腫瘍増殖を示した。試験の過程で安楽死させた/死亡していた動物はグループAにはいなかった。XENP16432/抗PD1で処置した動物(グループB)は最初、13日目までPBS処置した動物(グループA)と同様の腫瘍増殖動態を示した。しかしながら、15日目に開始。
【0284】
[00294]XENP16432/抗PD1で処置した動物は、PBSで処置したマウスと比較して、統計的に有意な腫瘍増殖の阻害を示した。XENP16432/抗PD1で処置した動物に見られた腫瘍体積の減少は、一般的な同種異系抗腫瘍応答と一貫している。試験の過程で安楽死させた/死亡していたXENP16432/抗PD1で処置したマウスはいなかった。0.1mg/kgのXENP24306+XENP32803(グループE)での処置は、既に8日目に、PBSで処置した動物と比較して有意な腫瘍サイズの縮小を誘導した。13日目までに、XENP24306+XENP32803の3つすべての用量レベル(1.0、0.3及び0.1mg/kg;グループC、D及びE)は、PBSで処置したマウスと比較して、有意且つ用量依存性の腫瘍増殖の低減を示した。腫瘍体積は、試験の最後まで縮小したままであった。単剤のXENP24306+XENP32803での処置はまた、0.1mg/kgのXENP24306+XENP32803で処置した動物(グループE)について、単剤のXENP16432/抗PD1(グループB)での処置と比較して、既に8日目に、有意な腫瘍増殖の阻害をもたらした。13日目までに、1.0mg/kgのXENP24306+XENP32803(グループC)は、腫瘍体積の減少に関して、XENP16432/抗PD1を上回る有意性を獲得しており、0.3mg/kgのXENP24306+XENP32803(グループD)の場合、XENP16432/抗PD1を上回る有意性が19日目に生じた。
【0285】
[00295]加えて、抗PD-1(単剤)処置グループと比較して、抗PD-1阻害剤と組み合わせたより高い用量のXENP24306+XENP32803(0.3及び1.0mg/kg)は、有意により大幅な腫瘍増殖の低減、より顕著な末梢CD8+ T細胞及びNK細胞の拡大、並びにIFNγの上昇を示した。特に、XENP16432/抗PD1と組み合わせて投与されると、0.3及び0.1mg/kgのXENP24306+XENP32803(グループG及びH)は、PBSコントロール及び単剤のXENP16432/抗PD1グループの両方と比較して、既に8日目に、用量依存性で統計的に有意な腫瘍体積の減少をもたらした。XENP24306+XENP32803とXEN16432の3つすべての組み合わせ用量グループは、11日目に、PBS及び単剤のXENP16432/抗PD1の両方と比較して、用量依存性で統計的に有意な腫瘍サイズの減少を示した。
【0286】
[00296]この試験は、IL15/IL15Rα-Fc融合タンパク質であるXENP24306+XENP32803の抗腫瘍活性を説明する。重要なことに、この試験はまた、抗PD1処置のみを上回る抗腫瘍免疫応答を強化するために一緒に投与される、XENP24306+XENP32803と、抗PD1二価抗体であるXENP16432とを使用した併用処置のさらなる有用性を実証するものであり、承認された抗PD-L1剤とXENP24306+XENP32803とを組み合わせることにより臨床的有用性を向上させる可能性を示唆する。用量依存性のXENP24306+XENP32803の抗腫瘍活性は、末梢血白血球数の用量依存性の増加及びIFNγ生成の上昇と相関していた。
【0287】
[00297]最低レベルの0.1mg/kgを含む、XENP24306+XENP32803のすべての用量レベルは、この抗腫瘍モデルにおいて活性であり、XENP24306+XENP32803のすべての用量レベルは、白血球拡大及びIFNγ生成の増加を促進し、最高1mg/kgの用量のXENP24306+XENP32803は最大の効果を媒介した。XENP24306+XENP32803とXENP16432/抗PD1の併用治療はまた、抗PD1単剤療法と比較して、白血球数及びIFNγ生成の増強を増加させた。
【0288】
実施例10:アテゾリズマブと組み合わせたXENP24306+XENP32803の併用療法非盲検多施設共同グローバル用量漸増試験
[00298]アテゾリズマブなどの抗PD-L1/PD-1抗体と組み合わせたXENP24306(例えば、~82%)+XENP32803(例えば、~18%)の安全性、忍容性薬物動態及び活性を評価するための併用療法非盲検多施設共同グローバル用量漸増試験が実施されるであろう。
【0289】
[00299]試験は、最大28日間のスクリーニング期間、処置期間、及び処置後90日間の最小フォローアップ期間からなる。PD-L1で選択された腫瘍を有する併用療法の拡大コホートへの登録を考える患者は、28日間のスクリーニング期間の前に実施されるPD-L1ステータスに関する組織プレスクリーニングを受けることができる。
【0290】
[00300]患者は、2段階:用量漸増段階及び拡大段階に登録される。
【0291】
[00301]局所的に進行性、再発性、又は転移性の不治の固形腫瘍を有する概ね21~54名の患者が、試験の併用療法部分の用量漸増段階に登録される。XENP24306+XENP32803及びアテゾリズマブは、IV点滴によって投与される。適格性の確認に続いて、患者は、各14日間サイクルの初日に、アテゾリズマブと組み合わせたXENP24306+XENP32803をIV点滴により投与される。XENP24306+XENP32803の併用療法の開始用量は、2週毎に0.01mg/kg IVである。アテゾリズマブは、各14日間サイクルの1日目に、XENP24306+XENP32803と組み合わせて、840mgの固定用量でIV点滴により投与される。アテゾリズマブは、XENP24306+XENP32803及びその後の観察期間の後で投与される。
【0292】
[00302]XENP24306+XENP32803の用量を、安全閾値(1名の患者の用量制限DLT)又は所与のコホートのDLT評価期間中の少なくとも2名の患者における別の明確に同定可能な原因に起因しないグレード≧2の主要臓器有害事象と定義される)が観察されるまで、各連続コホートの先行する用量レベルの最大100%まで増加させる。その後、アテゾリズマブと組み合わせたXENP24306+XENP32803のMTD(又はMAD)を決定するために、各々3~9名の患者のコホートを、3+3+3設計に従う漸増用量レベルで評価する。
図8。
【0293】
[00303]併用療法用量漸増コホートのクリアされたコホート(即ち、バックフィルコホート)に登録する患者は、以下のPD-L1選択腫瘍型:黒色腫、非小細胞肺がん(NSCLC)、頭頚部扁平上皮癌(HNSCC)、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)尿路上皮癌、(UCC)、腎細胞癌(RCC)、小細胞肺癌(SCLC)、胃がん(GC)、メルケル細胞癌(MCC)、皮膚扁平上皮癌(cSCC)、高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)がんのうちの1つを有しなければならない。
【0294】
[00304]全体で、概ね25~35箇所の世界中の治験地において、最大で概ね225~350名の患者がこの試験に登録されうる。この試験の患者はまず、スクリーニング期間(継続期間≦28日)中に適格性について評価される。アテゾリズマブと組み合わせたXENP24306+XENP32803の開始用量は、試験の単剤療法部分でPD活性を示すXENP24306+XENP32803の用量を下回る1つの用量レベルより高くなることはない(実施例6)。単剤療法のXENP24306+XENP32803の初回用量レベル0.01mg/kgがPD活性を示す場合、XENP24306+XENP32803の開始用量が最初のアテゾリズマブ組み合わせコホートにおいて0.005mg/kgより高くなることはない。XENP24306+XENP32803及びアテゾリズマブは、拡大段階において、IV点滴によって投与される。暫定的なXENP24306+XENP32803の推奨拡大用量(RED)は、用量漸増において確立されたMTD/MAD以下で提案されるであろう。
【0295】
[00305]アテゾリズマブと組み合わせたXENP24306+XENP32803のREDが提案されたら、さらなる患者が拡大段階に登録され、REDで処置される。
【0296】
[00306]XENP24306+XENP32803のPKを評価する。患者は、用量漸増の間のアテゾリズマブ処置と組み合わせたXENP24306+XENP32803の最初の8サイクルについて、拡大の間の最初の2サイクルについて、及びその後はそれよりも低い頻度で、定期的な血液学的評価及び代謝の実験室評価のために、身体検査及び採血により毎週評価される。腫瘍評価は、ベースライン及び試験開始後に行われる。
【0297】
[00307]すべての患者は、研究を通して、及び試験処置の最終用量後少なくとも90日間又は別の全身性抗がん療法の開始までのいずれか先に生じるまでの間、有害事象について注意深くモニタリングされる。有害事象はNCI CTCAE v5.0に従って類別される。
【0298】
[00308]アテゾリズマブと組み合わせたXENP24306+XENP32803の薬物動態、免疫原性応答、及びPD特性を特徴づけるために、投与の前後の様々な時点で血液試料を採取する。
【0299】
[00309]患者は、RECIST v1.1により測定される、スクリーニング(ベースライン)で及び試験中定期的に腫瘍評価に供される。iRECISTも、がん免疫療法(CIT)に関連付けられる応答の異なるパターンをよりよく特徴づけるため、及びアテゾリズマブと組み合わせたXENP24306+XENP32803の予備的活性プロファイルのよりよい理解を可能にするために、この研究に使用することができる。iRECISTは、この試験において標準のRECIST v1.1を補充し、試験者が患者にとっての有用性とリスクを総合的に評価できるようにすることを意図している。
【0300】
[00310]この試験の活動目的は、アテゾリズマブと組み合わせて投与されたときのXENP24306+XENP32803の活性の予備評価を、以下のエンドポイントに基づいて行うことである:
・XENP24306+XENP32803の血清濃度;
・有害事象を有する参加者のパーセンテージ;
・≧4週間の間隔を空けた2回の連続した機会に完全寛解(CR)又は部分寛解(PR)を有する患者の割合として定義される、客観的奏効率(ORR);
・文書化された客観的奏功が最初に発生してから、いずれかの原因による疾患進行又は死亡(いずれか先に発生した方)までの時間として定義される、応答持続時間(DOR);
・登録からいずれかの原因による疾患進行又は死亡(いずれか先に発生した方)までの時間と定義される、登録後無増悪生存期間(PFS);及び
・登録からいずれかの原因による死亡までの時間と定義される、登録後の全生存期間(OS)。
【0301】
[00311]この試験の安全性の目的は、アテゾリズマブと組み合わせて投与されたときのXENP24306+XENP32803の安全性を、有害事象の発生と重症度、及び標的とされるバイタルサインのベースラインからの変化、又は臨床検査結果若しくはECGパラメータに基づいて評価することである。
【0302】
[00312]この試験の薬物動態(PK)の目的は、アテゾリズマブと組み合わせて投与されたときのXENP24306+XENP32803のPKプロファイルを、特定の時点のXENP24306+XENP32803の血清濃度に基づいて特徴づけることである。
【0303】
[00313]この試験の免疫原性の目的は、アテゾリズマブと組み合わせて投与されたときのXENP24306+XENP32803に対する免疫応答を、試験中におけるXENP24306+XENP32803に対するADAと、XENP24306+XENP32803及びアテゾリズマブに対するADAに基づいて評価することである。
【0304】
実施例11:アテゾリズマブと組み合わせたXENP24306の併用療法非盲検多施設共同グローバル用量漸増試験
[00314]アテゾリズマブなどの抗PD-L1/PD-1抗体と組み合わせたXENP24306の安全性、忍容性薬物動態及び活性を評価するための併用療法非盲検多施設共同グローバル用量漸増試験が実施されるであろう。
【0305】
[00315]試験は、最大28日間のスクリーニング期間、処置期間、及び処置後90日間の最小フォローアップ期間からなる。PD-L1で選択された腫瘍を有する併用療法の拡大コホートへの登録を考える患者は、28日間のスクリーニング期間の前に実施されるPD-L1ステータスに関する組織プレスクリーニングを受けることができる。
【0306】
[00316]患者は、2段階:用量漸増段階及び拡大段階に登録される。
【0307】
[00317]局所的に進行性、再発性、又は転移性の不治の固形腫瘍を有する概ね21~54名の患者が、試験の併用療法部分の用量漸増段階に登録される。XENP24306及びアテゾリズマブは、IV点滴によって投与される。適格性の確認に続いて、患者は、各14日間サイクルの初日に、アテゾリズマブと組み合わせたXENP24306をIV点滴により投与される。XENP24306の併用療法の開始用量は、2週毎に0.01mg/kg IVである。アテゾリズマブは、各14日間サイクルの1日目に、XENP24306と組み合わせて、840mgの固定用量でIV点滴により投与される。アテゾリズマブは、XENP24306及びその後の観察期間の後で投与される。
【0308】
[00318]XENP24306の用量を、安全閾値(1名の患者の用量制限DLT又は所与のコホートのDLT評価期間中の少なくとも2名の患者における別の明確に同定可能な原因に起因しないグレード≧2の主要臓器有害事象と定義される)が観察されるまで、各連続コホートの先行する用量レベルの最大100%まで増加させる。その後、アテゾリズマブと組み合わせたXENP24306のMTD(又はMAD)を決定するために、各々3~9名の患者のコホートを、3+3+3設計に従う漸増用量レベルで評価する。
図8。
【0309】
[00319]併用療法用量漸増コホートのクリアされたコホート(即ち、バックフィルコホート)に登録する患者は、以下のPD-L1選択腫瘍型:黒色腫、非小細胞肺がん(NSCLC)、頭頚部扁平上皮癌(HNSCC)、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)尿路上皮癌、(UCC)、腎細胞癌(RCC)、小細胞肺癌(SCLC)、胃がん(GC)、メルケル細胞癌(MCC)、皮膚扁平上皮癌(cSCC)、高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)がんのうちの1つを有しなければならない。
【0310】
[00320]全体で、概ね25~35箇所の世界中の治験地において、最大で概ね225~350名の患者がこの試験に登録されうる。この試験の患者はまず、スクリーニング期間(継続期間≦28日)中に適格性について評価される。アテゾリズマブと組み合わせたXENP24306の開始用量は、試験の単剤療法部分でPD活性を示すXENP24306の用量を下回る1つの用量レベルより高くなることはない(実施例6)。単剤療法のXENP24306の初回用量レベル0.01mg/kgがPD活性を示す場合、XENP24306の開始用量が最初のアテゾリズマブ組み合わせコホートにおいて0.005mg/kgより高くなることはない。XENP24306及びアテゾリズマブは、拡大段階において、IV点滴によって投与される。暫定的なXENP24306の推奨拡大用量(RED)は、用量漸増において確立されたMTD/MAD以下で提案されるであろう。
【0311】
[00321]アテゾリズマブと組み合わせたXENP24306のREDが提案されたら、さらなる患者が拡大段階に登録され、REDで処置される。
【0312】
[00322]XENP24306のPKを評価する。患者は、用量漸増の間のアテゾリズマブと組み合わせたXENP24306処置の最初の8サイクルについて、拡大の間の最初の2サイクルについて、及びその後はそれよりも低い頻度で、定期的な血液学的評価及び代謝の実験室評価のために、身体検査及び採血により毎週評価される。腫瘍評価は、ベースライン及び試験開始後に行われる。
【0313】
[00323]すべての患者は、研究を通して、及び試験処置の最終用量後少なくとも90日間又は別の全身性抗がん療法の開始までのいずれか先に生じるまでの間、有害事象について注意深くモニタリングされる。有害事象はNCI CTCAE v5.0に従って類別される。
【0314】
[00324]アテゾリズマブと組み合わせたXENP24306の薬物動態、免疫原性応答、及びPD特性を特徴づけるために、投与の前後の様々な時点で血液試料を採取する。
【0315】
[00325]患者は、RECIST v1.1により測定される、スクリーニング(ベースライン)で及び試験中定期的に、腫瘍評価に供される。iRECISTも、がん免疫療法(CIT)に関連付けられる応答の異なるパターンをよりよく特徴づけるため、及びアテゾリズマブと組み合わせたXENP24306の予備的活性プロファイルのよりよい理解を可能にするために、この研究に使用される。iRECISTは、この試験において標準のRECIST v1.1を補充し、試験者が患者にとっての有用性とリスクを総合的に評価できるようにすることを意図している。
【0316】
[00326]この試験の活動目的は、アテゾリズマブと組み合わせて投与されたときのXENP24306の活性の予備評価を、以下のエンドポイントに基づいて行うことである:
・XENP24306の血清濃度;
・有害事象を有する参加者のパーセンテージ;
・≧4週間の間隔を空けた2回の連続した機会に完全寛解(CR)又は部分寛解(PR)を有する患者の割合として定義される、客観的奏効率(ORR);
・文書化された客観的奏功が最初に発生してから、いずれかの原因による疾患進行又は死亡(いずれか先に発生した方)までの時間として定義される、応答持続時間(DOR);
・登録からいずれかの原因による疾患進行又は死亡(いずれか先に発生した方)までの時間と定義される、登録後無増悪生存期間(PFS);及び
・登録からいずれかの原因による死亡までの時間と定義される、登録後の全生存期間(OS)。
【0317】
[00327]この試験の安全性の目的は、アテゾリズマブと組み合わせて投与されたときのXENP24306の安全性を、有害事象の発生と重症度、及び標的とされるバイタルサインのベースラインからの変化、又は臨床検査結果若しくはECGパラメータに基づいて評価することである。
【0318】
[00328]この試験の薬物動態(PK)の目的は、アテゾリズマブと組み合わせて投与されたときのXENP24306のPKプロファイルを、特定の時点のXENP24306の血清濃度に基づいて特徴づけることである。
【0319】
[00329]この試験の免疫原性の目的は、アテゾリズマブと組み合わせて投与されたときのXENP24306に対する免疫応答を、試験中におけるXENP24306に対するADAと、XENP24306及びアテゾリズマブに対するADAとに基づいて評価することである。
【0320】
実施例12:アテゾリズマブと組み合わせたXENP32803の併用療法非盲検多施設共同グローバル用量漸増試験
[00330]アテゾリズマブなどの抗PD-L1/PD-1抗体と組み合わせたXENP32803の安全性、忍容性薬物動態及び活性を評価するための併用療法非盲検多施設共同グローバル用量漸増試験が実施されるであろう。
【0321】
[00331]試験は、最大28日間のスクリーニング期間、処置期間、及び処置後90日間の最小フォローアップ期間からなる。PD-L1で選択された腫瘍を有する併用療法の拡大コホートへの登録を考える患者は、28日間のスクリーニング期間の前に実施されるPD-L1ステータスに関する組織プレスクリーニングを受けることができる。
【0322】
[00332]患者は、2段階:用量漸増段階及び拡大段階に登録される。
【0323】
[00333]局所的に進行性、再発性、又は転移性の不治の固形腫瘍を有する概ね21~54名の患者が、試験の併用療法部分の用量漸増段階に登録される。XENP32803及びアテゾリズマブは、IV点滴によって投与される。適格性の確認に続いて、患者は、各14日間サイクルの初日に、アテゾリズマブと組み合わせたXENP32803をIV点滴により投与される。XENP32803の併用療法の開始用量は、2週毎に0.01mg/kg IVである。アテゾリズマブは、各14日間サイクルの1日目に、XENP32803と組み合わせて、840mgの固定用量でIV点滴により投与される。アテゾリズマブは、XENP32803及びその後の観察期間の後で投与される。
【0324】
[00334]XENP32803の用量を、安全閾値(1名の患者の用量制限DLT又は所与のコホートのDLT評価期間中の少なくとも2名の患者における別の明確に同定可能な原因に起因しないグレード≧2の主要臓器有害事象と定義される)が観察されるまで、各連続コホートの先行する用量レベルの最大100%まで増加させる。その後、アテゾリズマブと組み合わせたXENP32803のMTD(又はMAD)を決定するために、各々3~9名の患者のコホートを、3+3+3設計に従う漸増用量レベルで評価する。
図8。
【0325】
[00335]併用療法用量漸増コホートのクリアされたコホート(即ち、バックフィルコホート)に登録する患者は、以下のPD-L1選択腫瘍型:黒色腫、非小細胞肺がん(NSCLC)、頭頚部扁平上皮癌(HNSCC)、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)尿路上皮癌、(UCC)、腎細胞癌(RCC)、小細胞肺癌(SCLC)、胃がん(GC)、メルケル細胞癌(MCC)、皮膚扁平上皮癌(cSCC)、高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)がんのうちの1つを有しなければならない。
【0326】
[00336]全体で、概ね25~35箇所の世界中の治験地において、最大で概ね225~350名の患者がこの試験に登録されうる。この試験の患者はまず、スクリーニング期間(継続期間≦28日)中に適格性について評価される。アテゾリズマブと組み合わせたXENP32803の開始用量は、試験の単剤療法部分でPD活性を示すXENP32803の用量を下回る1つの用量レベルより高くなることはない(実施例6)。単剤療法のXENP32803の初回用量レベル0.01mg/kgがPD活性を示す場合、XENP32803の開始用量が最初のアテゾリズマブ組み合わせコホートにおいて0.005mg/kgより高くなることはない。XENP32803及びアテゾリズマブは、拡大段階において、IV点滴によって投与される。暫定的なXENP32803の推奨拡大用量(RED)は、用量漸増において確立されたMTD/MAD以下で提案されるであろう。
【0327】
[00337]アテゾリズマブと組み合わせたXENP32803のREDが提案されたら、さらなる患者が拡大段階に登録され、REDで処置される。
【0328】
[00338]XENP32803のPKを評価する。患者は、用量漸増の間のアテゾリズマブと組み合わせたXENP32803処置の最初の8サイクルについて、拡大の間の最初の2サイクルについて、及びその後はそれよりも低い頻度で、定期的な血液学的評価及び代謝の実験室評価のために、身体検査及び採血により毎週評価される。腫瘍評価は、ベースライン及び試験開始後に行われる。
【0329】
[00339]すべての患者は、研究を通して、及び試験処置の最終用量後少なくとも90日間又は別の全身性抗がん療法の開始までのいずれか先に生じるまでの間、有害事象について注意深くモニタリングされる。有害事象はNCI CTCAE v5.0に従って類別される。
【0330】
[00340]アテゾリズマブと組み合わせたXENP32803の薬物動態、免疫原性応答、及びPD特性を特徴づけるために、投与の前後の様々な時点で血液試料を採取する。
【0331】
[00341]患者は、RECIST v1.1により測定される、スクリーニング(ベースライン)で及び試験中定期的に、腫瘍評価に供される。iRECISTも、がん免疫療法(CIT)に関連付けられる応答の異なるパターンをよりよく特徴づけるため、及びアテゾリズマブと組み合わせたXENP32803の予備的活性プロファイルのよりよい理解を可能にするために、この研究に使用される。iRECISTは、この試験において標準のRECIST v1.1を補充し、試験者が患者にとっての有用性とリスクを総合的に評価できるようにすることを意図している。
【0332】
[00342]この試験の活動目的は、アテゾリズマブと組み合わせて投与されたときのXENP32803の活性の予備評価を、以下のエンドポイントに基づいて行うことである:
・XENP32803の血清濃度;
・有害事象を有する参加者のパーセンテージ;
・≧4週間の間隔を空けた2回の連続した機会に完全寛解(CR)又は部分寛解(PR)を有する患者の割合として定義される、客観的奏効率(ORR);
・文書化された客観的奏功が最初に発生してから、いずれかの原因による疾患進行又は死亡(いずれか先に発生した方)までの時間として定義される、応答持続時間(DOR);
・登録からいずれかの原因による疾患進行又は死亡(いずれか先に発生した方)までの時間と定義される、登録後無増悪生存期間(PFS);及び
・登録からいずれかの原因による死亡までの時間と定義される、登録後の全生存期間(OS)。
【0333】
[00343]この試験の安全性の目的は、アテゾリズマブと組み合わせて投与されたときのXENP32803の安全性を、有害事象の発生と重症度、及び標的とされるバイタルサインのベースラインからの変化、又は臨床検査結果若しくはECGパラメータに基づいて評価することである。
【0334】
[00344]この試験の薬物動態(PK)の目的は、アテゾリズマブと組み合わせて投与されたときのXENP32803のPKプロファイルを、特定の時点のXENP32803の血清濃度に基づいて特徴づけることである。
【0335】
[00345]この試験の免疫原性の目的は、アテゾリズマブと組み合わせて投与されたときのXENP32803に対する免疫応答を、試験中におけるXENP32803に対するADAと、XENP32803及びアテゾリズマブに対するADAとに基づいて評価することである。
【0336】
[00346]本開示は、明確な理解を目的として、説明及び例示によりある程度詳細に提供されたが、当業者には、本開示の主旨又は範囲から逸脱せずに、様々な変形例及び修正例が実施可能であることが自明であろう。したがって、上記の記載及び実施例は、限定的なものとして解釈されるべきでない。
【0337】
実施例13:IL15/IL15Rαヘテロ二量体タンパク質の組み合わせのみ又はアテゾリズマブとの組み合わせの非盲検多施設共同グローバル用量漸増試験
[00347]実施例6によるIL15/IL15Rαヘテロ二量体タンパク質(XENP24306(~82%)とXENP32803(~18%)との組み合わせ(「XENP24306+XENP32803」))の安全性、忍容性薬物動態及び活性を評価するための単剤療法非盲検多施設共同グローバル用量漸増試験と、実施例10によるアテゾリズマブなどの抗PD-L1/PD-1抗体と組み合わせたXENP24306+XENP32803の安全性、忍容性薬物動態及び活性を評価するための併用療法非盲検多施設共同グローバル用量漸増試験が実施された。
【0338】
[00348]固形腫瘍を有する12名の患者が、この試験に採用された。試験の用量漸増試験群(第1a相)において、各14日間サイクル(Q2W)の初日に、IV点滴により、1名の患者に0.01mg/mlのXENP24306+XENP32803を投与し;3名の患者に0.02mg/mlのXENP24306+XENP32803を投与し;3名の患者に0.04mg/mlのXENP24306+XENP32803を投与し;2名の患者に0.06mg/mlのXENP24306+XENP32803を投与した。実施例6及び
図7参照。これら患者の薬力学的(PD)活性を、CD8+ T細胞及び/又はNK細胞の拡大によりモニタリングした。
【0339】
[00349]CD3-CD16+/CD56+ NK細胞の用量依存性の拡大が、第1a相用量漸増試験においてXENP24306+XENP32803に観察された。試験の併用療法群(第1b相)のXENP24306+XENP32803の開始用量は、0.01mg/kgのXENP24306+XENP32803に設定され、3名の患者に、840mgのアテゾリズマブと組み合わせた0.01mg/mlのXENP24306+XENP32803をIVによりQ2Wで投与した。実施例10及び
図8参照。
【配列表】
【国際調査報告】