(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-23
(54)【発明の名称】液体をミスト状にして噴霧するためのノズル
(51)【国際特許分類】
A61M 11/00 20060101AFI20230315BHJP
【FI】
A61M11/00 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022547117
(86)(22)【出願日】2021-02-04
(85)【翻訳文提出日】2022-08-01
(86)【国際出願番号】 FR2021050208
(87)【国際公開番号】W WO2021156573
(87)【国際公開日】2021-08-12
(32)【優先日】2020-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522307328
【氏名又は名称】エヴォン
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】オーセシーレ,クレア
(72)【発明者】
【氏名】エークル,マフティン
(57)【要約】
本発明は、分注容器に取り付けられるように意図された流体噴霧ノズル(1)であり、軸A1に沿って長手方向に延在する少なくとも1つの流体入口毛細管と、少なくとも1つの入口毛細管からの流体を受け入れて少なくとも2つの導管に供給することができる供給手段と、供給手段からの流体を受け入れることができる少なくとも2つの導管であって、軸A1に沿って長手方向に延在し、かつ軸A1に対して半径方向にオフセットされた導管を備えるピラーと、少なくとも2つの導管と流体連通した少なくとも2つの乱流チャネルと、軸対称を有し、かつ一定の断面sを有する少なくとも1つの噴霧開口部に供給するために少なくとも2つの乱流チャネルから接線方向に流入する流体を受け入れるための乱流チャンバであって、開口部向かって減少する断面を有し、最大断面Sおよび最大直径Dを有する乱流チャンバとを備えるノズル(1)であって、乱流チャンバ(3)の最大断面Sに対する噴霧開口部の断面sの比が1%≦s/S≦20%になるような比であることを特徴とするノズル(1)に関する。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を噴霧するためのノズル(1)であり、分注容器に取り付けられるように設計されたノズル(1)であって、
軸A1に沿って長手方向に延在する少なくとも1つの流体入口毛細管(7)と、
噴霧される流体を受け入れるための乱流チャンバ(3)であって、最大断面Sおよび最大直径Dを有する乱流チャンバ(3)と、
軸A1に沿って長手方向に延在し、かつ前記軸A1から半径方向にオフセットされた少なくとも2つの導管(51、511、512、513)であって、前記入口毛細管(7)と流体接続している、少なくとも2つの導管(51、511、512、513)と、
前記少なくとも2つの導管(51、511、512、513)と流体接続し、前記少なくとも2つの導管(51、511、512、513)を前記乱流チャンバ(3)と接続する少なくとも2つの乱流チャネル(4、41、42、43)であって、したがって前記少なくとも2つの導管(51、511、512、513)が前記入口毛細管(7)を前記少なくとも2つの乱流チャネル(4、41、42、43)に接続する、少なくとも2つの乱流チャネル(4、41、42、43)と、
前記乱流チャンバ(3)によって供給される噴霧オリフィス(2)であり、軸対称および一定の断面sを有する噴霧オリフィス(2)であって、前記乱流チャンバ(3)が前記A1軸に沿って前記噴霧オリフィス(2)に向かって減少する断面を有する、噴霧オリフィス(2)と
を備えるノズル(1)であって、
前記噴霧オリフィス(2)の断面積sの前記乱流場(3)の最大断面積Sとの比が、1%≦s/S≦20%であり、
前記噴霧ノズル(1)は、前記ノズル(1)とは独立したアクチュエータによって操作され、
前記入口毛細管(7)は5000s
-1超の流体剪断速度を可能にする断面積を有する
ことを特徴とするノズル(1)。
【請求項2】
1%≦s/S≦10%であることを特徴とする請求項1に記載の噴霧ノズル(1)。
【請求項3】
前記噴霧オリフィス(2)は、40%d≦ h≦ 150%d、好ましくは50%d≦ h≦ 100%dとなるような直径dおよび高さhを有する円筒形状を有する、請求項1または請求項2に記載の噴霧ノズル(1)。
【請求項4】
前記少なくとも2つの乱流チャネル(4、41、42、43)はそれぞれ、直角四辺形の断面を有し、前記断面が0.001mm
2~0.06mm
2である、請求項1~請求項3のいずれかに記載の噴霧ノズル(1)。
【請求項5】
前記四辺形は正方形である、請求項4に記載の噴霧ノズル(1)。
【請求項6】
前記供給手段(6)は、前記少なくとも2つの導管(51、511、512、513)に供給するために、
その基部が前記軸A1に対して垂直な平面に沿って延在する、略円筒形状の中空断面チャンバか、
前記軸A1に対して垂直な平面上で半径方向に延在するいくつかの供給チャネル(61、62、63)のいずれか
を備える、請求項1~請求項5のいずれかに記載の噴霧ノズル(1)。
【請求項7】
前記乱流チャンバ(3)は、軸A1と母線との間の角度αが25°≦ α≦ 55°、好ましくは30°≦α≦ 45°であるような円錐台形状を有する、請求項1~請求項6のいずれかに記載の噴霧ノズル(1)。
【請求項8】
前記少なくとも2つの導管(51、511、512、513)は、ピラー(5)内に設けられ、前記ピラー(5)は、包囲シリンダ(52)を備え、内面Scを有し、前記包囲シリンダ(52)は、同軸スペーサ(53)を備え、前記スペーサ(53)の外面は前記スペーサ(53)の縁部が前記包囲シリンダ(52)の内面Scと接触することにより、前記ピラー(5)内に少なくとも3つの導管(51、511、512、513)を形成するように多角形である、請求項1~請求項7のいずれかに記載の噴霧ノズル(1)。
【請求項9】
前記少なくとも1つの入口毛細管(7)は、それぞれがその長さに沿って一定の直径Dを有する少なくとも2つの部分(71、72、73、74)を備え、各部分(71、72、73、74)は、少なくとも1つの下流側部分(71、72、73、74)の直径D以上の直径Dを有し、各部分(71、72、73、74)は、少なくとも1つの上流側部分(71、72、73、74)の直径D以下の直径Dを有する、請求項1~請求項8のいずれかに記載の噴霧ノズル(1)。
【請求項10】
請求項1~請求項9のいずれかに記載のノズル(1)を備える、流体を分注するのに適した医療機器。
【請求項11】
請求項1~請求項8のいずれかに記載のノズル(1)によって実施されることを特徴とする、噴霧による流動粘性流体の分注方法。
【請求項12】
前記分注は、液滴の少なくとも90%が100μm未満の液滴径を有する均質な液滴のミスト状にして行われることを特徴とする、請求項11に記載のプロセス。
【請求項13】
前記分注は、メジアン径が10μm~50μmである均質な液滴のミスト状にして行われることを特徴とする、請求項11または請求項12に記載のプロセス。
【請求項14】
前記分注は、液滴の12%未満が10μm未満の液滴径を有する均質な液滴のミスト状にして行われることを特徴とする、請求項11~請求項13のいずれかに記載のプロセス。
【請求項15】
前記分注は、2未満である中央値からのDv10およびDv90の偏差の比によって特徴付けられる液滴分散を有する均質なミスト状にして行われることを特徴とする、請求項11、請求項12、請求項13または請求項14のいずれかに記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体をミスト状にして噴霧する機器用のノズルに関する。該機器は、流体を噴霧するために、ポンプ、シリンジポンプ、ばね、または電気機械システム(すなわちモータ)などの機械システムを使用して、手動または自動で操作される。
【背景技術】
【0002】
いずれの流体も粘度が上昇するにつれて、噴霧されたときに大きな液滴を形成する傾向があることは、当業者に知られている。このことにより、均質なミストを生成する噴霧ではなく、不均質な噴霧になる。その結果、噴霧された製品が無駄になり、製品の塗布が不均一になる。医薬流体の粘度は、薬物の吸収に対して好影響を有し、したがって、このタイプの流体を正確に噴霧することができる必要性があることが示されている。先行技術のノズルは、低粘度では性能が限られている。したがって、先行技術のノズルは、特に「エアレス」と呼ばれるシステムによって、すなわち噴射剤なしで、医療用の粘性流体を噴霧する能力を組み合わせた場合、満足のいくものではない。
【0003】
実際に、この技術的問題を回避する解決策は、噴射剤の使用である。しかしながら、この解決策は、例えば、無菌性に関する理由から特定の医薬品を噴出する場合には不十分であることが判明している。実際に、噴射剤ガスの存在は、投与領域の無菌性、清浄度、または微生物学的バランスに影響を及ぼし得る。そのようなガスの環境影響も考慮しなければならない。
【0004】
噴射剤を含まないミスト化の解決策はまた、噴霧器の標的領域全てにおいて少ない量の噴霧流体で均一に被覆するのを確実にし、コスト節約をもたらし、さらに、ミスト状の噴霧は、敏感な領域または痛みを伴う領域に投与する間の患者の快適さに関する第2の利点を有する。
【0005】
現在、ミストを形成することができる圧電性のミスト化解決策がある。しかしながら、これらの解決策は、使用できる流量範囲、システムの応答性(すなわち、投与速度)、およびミストの方向の制御に関して、依然として比較的制限されている。加えて、これらのシステムは、機器の高い最終コストを課すものであり、このことは、特に使い捨てシステムにおいて、そのような解決策の展開に対する制限要因となり得る。
【0006】
例えば、欧州特許第2570190号明細書は、流体を分注するための噴霧ノズルであって、流体を受け入れるための流体チャンバと、流体を流体チャンバから半径方向内向きに乱流チャンバ内に供給するための少なくとも1つの供給チャネルと、乱流チャンバに面する入口端部および噴霧ノズルの環境を通して流体を排出するための出口端部を有する出口チャネルとを備える噴霧ノズルに関する。この発明の出口チャネルは、流体の流れの方向に狭くなる。この開示はさらに、そのような噴霧ノズルを備える噴霧器に関する。この先行技術において、高粘性流体に関して進歩性は不十分である。
【0007】
実際に、噴霧を可能にするのは、ガス(多くの場合、空気)と流体との速度差である。低粘性流体に完全に適したこのタイプの技術は、100センチポアズ(cps)を超える流体に対しては動作不能になる。加えて、空気などの噴射剤ガスの使用は、特に医療分野において無菌性の要件を尊重しなければならないので、健康製品、栄養製品、または皮膚化粧品を噴霧する場合に問題となり得る。
【0008】
欧州特許第0412524号明細書は、円筒状本体と本体内に配置されたステムとノズル先端とを備える噴霧容器と組み合わせた、粘性医療溶液の鼻腔内投与のための使い捨てノズルアダプタを開示している。本体は、円筒状チャンバと、噴霧容器を取り付けるためのチャネルを介してチャンバと連通する中央ボアとを有する。ステムは、その端部に少なくとも1つの小サイズ部分および1つの中サイズ部分を備える。ノズル先端は、上壁と、そこから延在する円筒状部分とを有し、上壁には、テーパ状凹部と、円筒状部分の内面においてテーパ状凹部から外方に延在する乱流溝とを備える中央噴霧開口が設けられる。本発明の乱流溝は、外方に向かって増大する断面積を有し、その断面積は少なくとも0.03mm2~0.08mm2である。ノズル先端は、本体チャンバの開口部に嵌合され、ステムの中サイズ部分と係合して、溝と連通するステムの小サイズ部分を取り囲む環状チャネルを形成する。この先行技術においても、高粘性流体に関して進歩性は不十分である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の主題は、先行技術の不利点を克服し、噴射剤なしでミスト状にして粘性流動流体を噴霧するノズルの能力を改善することである。この目的を達成するために、本発明の目的は、0.01s-1で3000Pa.sを超える粘度で、微少流量(すなわち、好ましくは0.10ml/s~1ml/sの流量)で流れる高粘性かつ流動性の流体からミストの生成を可能にする空気または任意の他の噴射剤を含まないノズルである。これにより、粘性流体を大きな表面に薄い層で少量を付着させることが可能になる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、分注容器に取り付けるための流体噴霧ノズルであり、前記ノズルは、
・軸A1に沿って長手方向に延在する少なくとも1つの流体入口毛細管と、
・噴霧される流体を受け入れるための乱流チャンバであって、最大断面Sおよび最大直径Dを有する乱流チャンバと、
・軸A1に沿って長手方向に延在し、前記軸A1から半径方向にオフセットされた少なくとも2つの導管であって、入口毛細管と流体接続している少なくとも2つの導管と、
・前記少なくとも2つの導管と流体接続し、前記少なくとも2つの導管を乱流チャンバと接続し、そのことにより前記少なくとも2つの導管が入口毛細管を少なくとも2つの乱流チャネルに接続するようにする少なくとも2つの乱流チャネルと、
・乱流チャンバによって供給される噴霧オリフィスであって、軸対称であり、一定の断面sを有する噴霧オリフィスとを備え、軸A1に沿って、前記乱流チャンバは前記噴霧オリフィスに向かって減少する断面を有する、ノズルであって、
・噴霧オリフィスの断面積sの乱流チャンバの最大断面積Sとの比が、1%≦s/S≦20%であり、
・噴霧ノズルは、ノズルから独立したアクチュエータによって操作され、
・入口毛細管は、5000s-1超の流体剪断速度を可能にする断面積を有する
ことを特徴とするノズルに関する。
【0011】
したがって、この解決策は上述の目的を達成する。特に、粘性流動流体から均質なミストを生成することが可能となる。
【0012】
本発明に係るノズルは、以下の特徴のうちの1つまたは複数を、単独でまたは組み合わせて含み得る。
・1%≦S/S≦10%である。
・噴霧オリフィスは、40%d≦ h≦ 150%d、好ましくは50%d≦ h≦ 100%dとなるような直径dおよび高さhを有する。
・少なくとも2つの乱流チャネルはそれぞれ、直角四辺形の断面を有する・前記断面は0.001mm2~0.06mm2である。
・四辺形は正方形である。
・供給手段は、少なくとも2つの導管に供給するために、
・その基部が軸A1に対して垂直な平面に沿って延在する、略円筒形状の中空断面チャンバか、
・軸A1に垂直な平面上で半径方向に延在するいくつかの供給チャネルかのいずれかを備える。
・乱流チャンバは、軸A1と母線との間の角度αが25°≦ α≦ 55°、好ましくは30°≦α≦ 45°であるような円錐台形状を有する。
・少なくとも2つの導管はピラー内に形成される。前記ピラーは、内面を有するジャケットシリンダを備える。前記ジャケットシリンダは、外面が多角形である同軸スペーサを備え、スペーサの縁部がジャケットシリンダの内面に接触して、少なくとも3つのピラー導管を形成する。
・少なくとも1つの入口毛細管は、それぞれがその長さに沿って一定の直径を有する少なくとも2つの部分を備え、各部分は、少なくとも1つの下流側部分の直径以上の直径を有し、各部分は、少なくとも1つの上流側部分の直径以下の直径を有する。
【0013】
本発明はさらに、流体を分注することができ、先行する請求項のいずれかに記載のノズルを備える医療機器に関する。
【0014】
さらに本発明の主題は、噴霧によって流動粘性流体を分注する方法であって、上記特徴のいずれかに記載のノズルによって実施されることを特徴とする方法である。
【0015】
このプロセスによれば、均質な液滴のミスト状にして分注が行われ得る。ミストの液滴の少なくとも90%は、100μm未満の液滴径を有する。分注はさらに、メジアン径が10μm~50μmである均質な液滴のミスト状にして行われ得る。分注は、液滴の12%未満が10μm未満の液滴径を有する均質な液滴のミスト状にして実現されてもよい。最後に、分注は、2未満である中央値からのDv10およびDv90の偏差比によって特徴付けられる液滴分散を有する均質なミストとして行われ得る。
定義
【0016】
本発明において、以下の用語は次のように定義される。
・「上流側」は、ノズルを通る流体の流れの方向に従って定義され、別の要素に対してノズル内の流体入口の近くに位置する任意の要素を指す。
・「下流側」は、ノズルを通る流体の流れの方向に従って定義され、別の要素に対してノズルの流体出口の近くに位置する任意の要素を指す。
・「ミスト」は霧に類似しており、非常に微細な液滴の塊として定義される。
・「毛細管」は、その長さに比して薄い断面を有する導管である。断面は特定されない。
・「ピラー」は、本発明の文脈において、組み立てられたときに少なくとも供給手段および導管のための支持体としての機能を果たす1つまたは複数の部品から構成される要素である。ピラーは、供給手段と乱流チャネルとの間に配置される。ピラーは、少なくとも1つの毛細管からチャネルへ流体を搬送するための手段を少なくとも備える。
・「乱流チャネル長」:乱流チャネルの長さは、前記チャネルに沿った同一の断面を有する最長距離として定義される。
・「粘性流体」:粘度が10mPa.sより高い流体である。
・「流動流体」:流体の剪断速度が増加するにつれて減少する動的粘度を有する流体である。
・「Dv10、Dv50、Dv90」は、一組の粒子(この場合、液滴)の粒径の体積分布の指標となる粒度分析で使用される量である。4μmのDv10は、粒子の10%(体積で)が直径4μm未満であることを示す。D50はメジアン径を示す。粒子の半分がD90より小さく、半分がD90より大きく、粒子の10%はD90より大きい。換言すれば、Dv10、Dv50およびDv90は、粒子集団の10%、50%および90%(それぞれ)がこの粒径より小さい粒径を示す。
・「分布」または「SPAN」は、ミスト中で測定された異なる液滴径の中央値またはDv50付近の分布である。これは、Dv10とDv90との差と、Dv50の比によって得られる。この比は無単位である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明が避けたい噴霧を左側(a)に示し、望ましいミスト噴霧を右側(b)に示した説明図である。
【
図2】3つの断面(2a、2b、2c)を有する本発明に係る一実施形態の正面図である。
【
図3】円錐台形状の乱流チャンバのオリフィスおよび基部を示す、
図2の分離正面図である。
【
図4】ノズル内の流体経路の斜視図であり、ピラーが透明である図である。
【
図5】供給手段が角度を成して離間した複数のチャネルから構成された本発明の別の実施形態に係るノズルの流体路の斜視図である。
【
図6】入口毛細管の3つの異なる実施形態を示す3つの図(6a、6b、6c)からなり、流体経路を示す図である。
【
図7】導管がピラーシリンダ(ここでは透明で示されている)内に挿入されたスペーサによって形成された一実施形態に係るノズル内の流体経路の斜視図である。
【
図8】スペーサと包囲シリンダとの間の導管を示すためのピラーの断面図である。
【
図9】導管の長さがH1からH2に変更された本発明に係る2つの実施形態を示す図である。
【
図10】本発明に係るノズルを通して噴霧するのに適した流動流体の粘度と剪断との間の対数関係を示す図である。
【
図11】放出される流体を保持する容器を接続するための隙間を有する本発明に係るノズルの断面図である。
【
図12】複数の平行な入口毛細管を有する本発明に係る特定の一実施形態のスペーサの斜視図である。
【
図13】
図12に示すような複数の入口毛細管を有する、得られた流体経路の斜視図である。
【
図14】ピラーが乱流チャンバ、オリフィス、および乱流チャネルを形成する部品と一体化された本発明に係るノズルの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下の説明は、上記に示された図面からより良く理解されるであろう。説明のために、ノズルは好ましい実施形態で示されている。しかしながら、本願は、図示されている特定の配置、構造、特徴、実施形態、および外観に限定されないことを理解されたい。図面は、原寸に比例して描かれておらず、請求項の範囲を示されている実施形態に限定することを意図するものではない。
【0019】
全般的には、本発明は、流体用、より詳細には、分注容器に取り付けられる粘性流動流体用の噴霧ノズル1に関する。
【0020】
考察される流体は、その粘度が20mPa.s程度、好ましくは20mPa.s未満である場合、すなわち流体の粘度が低い場合、流動流体でなくてもよい。
【0021】
したがって、本発明に係るノズル1は、流体リザーバ、具体的には流動粘性流体のリザーバに取り付けられるように設計されている。
【0022】
図1は、本発明に係るノズル1で得られる拡散ミストを、全ての条件が満たされない場合に得られるもの、すなわち、非常に局所的な表面上への大量の液体の放出と比較した図である。
【0023】
図1において、ノズル1の乱流チャンバ3および噴霧オリフィス2は、寸法差を示すために図示されている。
図1は、本発明の実寸大では示されていない。
図1は、本発明が避けたい噴霧を左側(a)に示し、望ましいミスト噴霧を右側(b)に示した説明図である。加えて、粗大な液滴を避けることを望む。
【0024】
図2において、左から右に、断面2a、2b、2cは、本発明に係るノズル1のより良い理解のための様々な要素を示す。
【0025】
図2は、本発明のノズル1の実施形態の正面図である。この図において、ノズル1の入口毛細管7は、噴霧オリフィス2の軸A1に対してオフセットされている。軸A1は、円錐台形状の乱流チャンバ3の軸でもある。オフセットは、0mm~0.4mmの距離h7の範囲であり得、h7が0mmである場合、噴霧オリフィスと同軸となる。したがって、距離h7は、噴霧オリフィス2の軸A1と入口毛細管7の軸との間の距離を規定する。このオフセットによって示される利点は、ノズル1の実施形態の実用面での利点である。
【0026】
入口毛細管7の長さLおよび断面積Dは、入口毛細管7を通過する流体の剪断速度を調節するために、本発明との関連において作用され得る変数である。入口毛細管7の断面Dがディスクである(毛細管が円筒形である)特定の場合において、断面は、S=pi×(D/2)2となるような直径Dとなり、ここでSは断面を示す。
【0027】
周知であるように、剪断速度は断面積Sが減少するにつれて増加する。所与の流量において、長さLが増加すると、流体が所与の剪断速度で剪断される時間が増加する。このことは、長さLが流れ形成長より長くなり、この剪断速度で達成すべき粘度が得られることを確実にし得る。しかしながら、ノズル1の入口圧力を減少させ、ひいてはノズル1内の圧力損失を減少させることも目的である。圧力損失は、断面が減少し、長さが増加するにつれて増加する。したがって、本発明によって達成される機能的バランスを見出すことが課題である。
【0028】
図2に示す実施形態では、入口毛細管7は、円形断面を有する円筒形状を有する。好ましくは、入口毛細管7の直径D7は0.1mm~0.3mmであり、その長さLは2mm~11mmである。
【0029】
当業者には、剪断速度は流体速度を空隙で割ったものに等しいので、入口毛細管7の断面Dを減少させることにより、推進される流体のせん断速度が増加することは周知のことである。このことは、入口毛細管7内および全般にノズル1内の前記流体の粘度の低下をもたらす。
【0030】
粘度がより低いので、流量を増加させることが可能であり、ひいては比較的低い圧力のままでより速い流速を達成することが可能である。実際に、一定の粘度において、流量を増加させる場合、圧力を増加させるが、これは粘度が高いほど一層重要である。すなわち、剪断速度を増加させると粘度が低下し、したがって、圧力を(非常に有意に)増加させることなく、より速い流速を達成することが可能になる。速度を増加させることにより、流体の霧化の発生を可能にする臨界速度に到達することが可能になり、ひいては噴霧(またはミスト)を生成することが可能になる。
【0031】
言い換えれば、流体がノズル1に入るとすぐに、したがって流体が入口毛細管7に入るとすぐに、流体を有意に剪断することによって、流体経路全体に沿って低い粘度が達成される。このことは、流体の高流量および高速度を達成することを可能にし、ノズル入口1における圧力を著しく増加させることなく、ノズル出口における流体の霧化、すなわち、噴霧(ミスト)の形成を可能にする。すなわち、本発明は、低圧で流動粘性流体から噴霧(ミスト)を生成することを可能にし、その結果、医療機器の設計を容易にし、そのユーザに対するリスクを制限する。
【0032】
小さい断面は高速度を可能にするが、非常に小さい断面は大きな圧力降下を引き起こし、したがって、噴霧を達成するためにノズル1の入口に非常に高い圧力を加える必要がある。
【0033】
図5に示す実施形態では、入口毛細管7は、上流側から下流側に向かって異なる直径を有する部分71、72、73、74を有し、各々の部分71、72、73、74は、その全長にわたって一定の断面を有するが、入口毛細管7から最も上流側に位置する第1の部分71は、下流側部分72、73、74の直径よりも大きい直径Dを有することに留意されたい。したがって、各々の部分71、72、73、74は、その全長にわたって、下流側部分72、72、74の直径以上であり、上流側に位置する部分71、72、73の直径以下である直径を有する。ここでの目的は、断面積を徐々に減少させて流体の剪断速度を増加させることにより流体の粘度を低下させることであり、その際、著しい特異な圧力損失、ひいては圧力上昇を引き起こすことになる過度の点制限を生じることはない。
【0034】
すなわち、入口毛細管7の部分71、72、73、74が乱流チャンバ3に近いほど、その断面積Dは小さくなる。異なる位置71、72、73、74は、トレイによって互いに分離され得る。これらのプレートは、異なる部分71、72、73、74間のより良好な位置合わせを可能にする。
【0035】
図6の3つの変形例6a、6b、6cは、入口毛細管7の異なる部分71、72、73、74の異なる可能な構成を示す。変形例6aによれば、それぞれがその長さに沿って一定の直径Dを有する2つの部分71、72が存在する。下流側部分71の直径Dは、上流側部分72の直径Dよりも小さい。
【0036】
変形例6bは、3つの部分71、72、73を有し、各部分はその全長に沿って一定の直径Dを有する。上流側部分73の直径Dは、中央部分72の直径よりも大きく、中央部分72自体は下流側部分71の直径よりも大きい。これは、
図5に示す実施形態である。
【0037】
一方、変形例6cは、それぞれ一定の直径Dを有する4つの部分71、72、73、74を有する。直径Dは供給手段6に向かって減少しており、2つの中央部分72、73は同様の断面を有する。このことは、中間断面の中央部分72、73の長さを増加させる。この設計の利点は、1つのみの毛細管直径が存在する場合に入口毛細管7の長さL(この剪断での流れ形成長)を増加させることである。また、圧力損失をあまり増加させないために、最小断面よりも中間断面の長さを増加させることが好ましい。
【0038】
図6に示す3つの実施形態では、入口毛細管7の部分71、72、73、74は、軸A1に沿って噴霧オリフィス2と同軸である。
【0039】
図11は、複数の平行な入口毛細管を有する本発明に係る特定の一実施形態のノズル1の斜視図である。いくつかの平行な入口毛細管7を有することの利点は、工業生産がとても容易であることである。プラスチック射出成形では、小さな断面を有する入口毛細管7を作製することは不可能であるが、このアセンブリにより、ノズル1の入口シリンダが挿入されるはるかに大きな直径(プラスチック射出成形で実現可能)を有するシリンダを作製することが可能になる。これはプラスチック射出成形においても実現可能である。この実施形態では、ノズル1は、放出される流体を収容する容器を受け入れるのに適した第1の開口部81と、ノズル入口シリンダを受け入れるのに適した第2の開口部82とを有する支持体8を備える。このノズル入口シリンダは
図12に示されている。図示されている実施形態では、このノズル入口シリンダにはスペーサ53が設けられており、その機能については本出願において後で説明する。溝がノズル入口シリンダ内に長手方向に設けられ、その結果、ノズル入口シリンダの外壁は、第2の凹部82の内壁と連結することによって、互いに平行であり、かつ軸A1に沿って延在する入口毛細管7を形成することができる。したがって、各々の入口毛細管7は、ノズル1の入口シリンダとその支持体8との間の空間によって形成される。支持体8の利点は、ノズル1がルアー接続を介してシリンジに直接接続され得ることである(82はオスルアーであり、シリンジ端部はメスルアーである)。この方法は、工業生産方法(大規模な生産)によって製造され得る部品を用いて、ノズル1の入口で所望の剪断速度を達成することを可能にする。
【0040】
一般的には、流体入口毛細管(複数可)7は、5000s-1超の流体剪断速度を発生させる直径Dを有する。入口毛細管7が可変部分71、72、73、74を有する実施形態の場合、5000s-1超の剪断速度を達成することを可能にするのは上流側部分74である。続くセクション71、72、73は、さらに速い剪断速度を達成することを可能にする。
【0041】
図2の軸2aに沿った断面は、上述の入口毛細管7とスペーサ53との間の流体経路を可能にする接続を示す。実施形態2aのスペーサ53は六角柱である。有利には、この形状は、容易に組み立てられ、かつ位置決めされ得る2つの連結部品を使用することによって、小さな通路断面を有する導管の形成を可能にする。導管の形成を可能にするのは、包囲シリンダとスペーサ53との間の間隙である。小さい断面積は、高剪断速度を維持することを可能にする。
【0042】
より詳細には、入口毛細管7は、導管512によって円錐台形状の乱流チャンバ3に接続される。これらの導管512は、様々な方法で実現され得る。これらの導管512を実現する1つの方法は、機械加工された部品を積み重ねて、前記導管512が設けられたピラー5を形成することである。しかしながら、この方法は時間がかかり、面倒であり、工業的に魅力がない。代替として、
図2に示される実施形態では、これらの導管512は、プラスチック射出によって互いに独立して作製され得る2つの部品を連結することによって作製される。これらの2つの部品は、六角柱スペーサ53および包囲シリンダ52の形態をとる。このことは、部品の数を2つに制限し、ノズル1の組み立てを簡素化する。
図2に示す実施形態では、スペーサ53および包囲シリンダはピラー5を形成する。したがって、軸2bに沿った断面は、ピラー5を通る入口毛細管7と乱流チャンバ3との間の流体経路を可能にする接続を示している。具体的には、断面2bは、包囲シリンダ52内でのスペーサ53の連結によって形成された6つの小さな断面の流路を示す。この例では、スペーサ53は6つの導管512を形成する六角形であるが、いくつかの実施形態は12個の導管512を有する。スペーサ53の「ファセット」の数が多いほど、導管512の断面積が小さくなり、ひいては、剪断速度が増加する。特に、流体経路は、スペーサ53の外壁と包囲シリンダ52の内壁(複数可)との間を通る。この例では、包囲シリンダ52の断面は円形である。導管512は、軸A1に沿って長手方向に延在する。矢印は、ピラー5の導管512に沿った噴霧可能な流体からの流れの方向を示す。
【0043】
図7は、本発明に係る第3の実施形態の流体経路を示す。実際には、
図7では、軸A1に沿って長手方向に延在する導管51を通過する流体経路を示すために、ピラー5は示されていない。この終端の態様において、第1の実施形態について示された全ての要素およびそれらの寸法は、ピラー5およびその構成要素を除いて同一である。ピラー5の円周に沿って、軸A1の周りに等間隔に配置された一連の12個の導管51がある。これらの導管51は、シリンダ内の「ファセットを有する」スペーサ53から形成された略平坦な形状を有する。上述したように、スペーサ53の「ファセット」の数が多いほど、導管51の通路断面が小さくなり、ひいては、導管51内の剪断速度が増加する。このことにより、粘度を低く保つために高い剪断速度が維持され得、剪断速度は、これらの導管51の上流側の流体経路における剪断速度よりも高くなり得、さらなる流動化を可能にする。
【0044】
図8は、スペーサ53の表面と包囲シリンダ52の内面との間の空間によって画定された導管51を示す。スペーサ53は、噴霧される流体を供給手段6から乱流チャネル4へ搬送するための同数の導管を形成する12個の表面から構成される。
【0045】
図9は、流体が剪断される長さをより長くするためにピラー5の高さH1、H2が可変である2つの実施形態9a、9bを示す。
【0046】
高さH2と比較した高さH1の利点は、長さが短いほど圧力降下がより小さくなり、ひいてはノズル入口1におけるより圧力がより低くなることである。高さH1より高い高さH2の利点は、流体が剪断される長さがより長くなり、ひいてはより良好な剪断をもたらすことである。ここでも、妥協策が提示されなければならず、それが本発明の主題である。
【0047】
図14は、本発明に係るノズル1の別の斜視図であり、放出される流体が通過する入口毛細管7を示している。
図13に示されるような複数の入口毛細管7を有する実施形態が可能である。スペーサ53の表面と包囲シリンダ52(図示せず)の内面との間の空間によって画定される導管を含むピラー5も示されている。流体は、導管(図示せず)を出ると、乱流チャネル(図示せず)を通過し、次に噴霧オリフィス2を通ってミストとして放出される前に乱流チャンバ3内に接線方向に入る。この実施形態では、ピラー5は、チャネル、コーン、および噴霧オリフィスが形成される部分と一体化されている。すなわち、この実施形態では、単一の部品が、包囲シリンダ、乱流チャネル4、乱流チャンバ3およびオリフィス2を支持する。
【0048】
ピラー5の導管512と入口毛細管7との接続は、典型的には略平坦な円筒形状の中空トレイの形態をとる供給手段6によってなされ得る。これは
図4に示されている。
図4は、ノズル1内に噴霧される流体が辿る流体経路を示している。
図4に示す実施形態では、ノズル1は、入口毛細管7を乱流チャンバ3に接続する3つの導管511、512、513を有する。この実施形態では、これらの3つの導管511、512、513は、軸A1に沿って長手方向に延在する円形断面を有する円筒形状の導管である。3つの導管511、512、513は、角度的に等距離にあり、したがって120°離間している。
【0049】
図2の軸2c沿った断面は、より具体的には、ピラー5と円錐台形状の乱流チャンバ3との間の流体経路に続く接続を示している。
図2cの断面は、噴霧される流体を円形リングの中心に向かって乱流チャンバ3に対して接線方向に搬送するために、ピラー5を乱流チャネル4に接続する円形リングを示す。言い換えれば、円形リングは、導管512を乱流チャネル4、41、42、43の入口に接続する。前記乱流チャネル4、41、42、43は、コーンに対して接線方向に円錐台形状の乱流チャンバ3に流体を搬送して乱流を生成する。
【0050】
図3は、噴霧オリフィス2および乱流チャンバ3の正面図である。本発明の文脈において、乱流チャンバの最大断面積Sに対する噴霧オリフィスの断面積sの比は、1%≦s/S≦20%であり、好ましくは、この比は1%~10%であり、さらにより好ましくは、この比は1%~6%である。これらの区間のそれぞれの限界値が本発明に含まれることに留意すべきである。
【0051】
図7に示されている円形リングは、導管511、512、513を、それらがそれぞれ流体接続される3つの乱流チャネル41、42、43に接続する。3つの乱流チャネル41、42、43はそれぞれ、矩形断面を有する。この断面は0.001mm
2~0.06mm
2であり、好ましくは、0.003mm
2~0.01mm
2である。この断面は、以下のことを可能にする。
・流体の剪断速度をさらに増加させ、ひいては粘度をさらに低下させる。
・上流側チャネル内の流体速度に対して流体速度(加速度)を増加させ、その結果、乱流チャンバ3内に到達する際に高速度を実現して、より速い渦、ひいてはより良好な噴霧を生成する。
・高流体速度を実現し、比較的少ない流量(流量=速度×断面、所与の速度では、断面が小さいほど流量が減少する)で噴霧を生成することを可能にする。
【0052】
入口毛細管7と同様に、乱流チャネル41、42、43の断面を減少させることは、流体の剪断を増加させ、ひいては流体の速度を増加させる。この速度の増加は、より良好な乱流発生を可能にし、ひいてはより良好な噴霧を可能にする。
【0053】
乱流チャネル41、42、43の長さ、すなわち、円形リングと乱流チャンバ3の接線方向入口との間で噴霧される流体が移動する距離は、理想的には0.2mm~0.71mmである。
【0054】
図4はさらに、基部直径が理想的には0.8mm~1.6mmである円錐台形状を有する乱流チャンバ3を示す。
【0055】
好ましくは、軸A1と円錐台形状のチャンバの母線との間の角度αは、25°≦α≦55°であり、好ましくは、30°≦α≦45°である。
【0056】
円錐台形状チャンバの高さL3は、理想的には0.4mm~0.7mmである。
【0057】
最後に、
図4において、直径dが好ましくは0.05mm~0.5mm、好ましくは0.1mm~0.18mmである円筒形状を有する噴霧オリフィス2も示されている。
【0058】
噴霧オリフィス2の高さhは、理想的には0.1mm~0.15mmである。
【0059】
図5は、本発明に係る第2の実施形態を示す。この終端の態様において、第1の実施形態について示された全ての要素およびそれらの寸法は、供給手段6を除いて同一であり、供給手段6は、ここでは、導管511、512、513と流体接続している3つの角度的に等距離にある供給チャネル61、62、63のセットである。この実施形態は、入口毛細管7から導管51、511、512、513への流体のより良好な経路指定を可能にする。
【0060】
図13は、本発明の代替形態を示す。したがって、
図13は、
図12のスペーサによって形成された入口毛細管を有する
図11に示されるようなノズル1を通してミスト状にして放出される流体によって辿られる流体経路を示している。供給手段6から下流側の流体経路は、
図7、
図8、および
図9の実施形態について説明したものと同一である。
【0061】
いくつかの実施形態によれば、本発明に係るノズル1は、完全に消耗品と見なされ得、したがって、使い捨ておよび/または非常に寿命の短い材料で作製される。したがって、本発明に係るノズル1は、化粧品、食品加工における多くの用途に適合可能であり、したがって、医療分野に限定されない。
【0062】
ノズル1は、独立したアクチュエータと組み合わせて使用される。したがって、噴霧ノズル1は、ノズルから独立したアクチュエータによって作動される。「ノズル作動」は、「ノズル1を通して分注される流体の循環」を意味する。
【0063】
この独立したアクチュエータは、多くの異なる形態を取ることができるが、いずれの場合も、噴霧される流体を循環させる手段を含む。アクチュエータは、機械システム(ポンプ、シリンジポンプ、ばね)もしくは電気機械(モータを使用)を使用して手動でまたは自動で操作され得る。アクチュエータおよび噴霧される流体の循環手段の選択は、噴霧の所望の特性、例えばコーンのサイズ、流量、噴霧の持続時間に依存する。
【0064】
上記の内容から、本発明に係るノズル1は、動粘性流体の高剪断を可能にして、このタイプの流体を効果的かつ安全に噴霧することができることは明らかである。乱流チャネル41、42、43の直径は、低流量ミストを噴霧できるほど小さいが、ノズル1の入口圧力を最小にするように過度の圧力降下を引き起こさない程度に大きい。
【0065】
図10は、ノズル1で噴霧された流体のレオグラム(粘度対剪断速度曲線)を示す。
【0066】
したがって、本発明に係るノズル1は、噴霧によって流動粘性流体を分注するためのプロセスの実施を可能にする。より具体的には、この分注は、レーザー回折(Spraytec/MAL10332887/Malvern/UK)による特性評価により以下の特徴を確立することが可能である均質な液滴のミスト状にして行われる。
・ミスト中の液滴の少なくとも90%が、100μm未満、好ましくは90μm未満、より好ましくは80μm、さらにより好ましくは70μmの直径を有する。最後の好ましい態様では、60μm未満であり、すなわち、ミストは100μm未満のDv90を有する。
・ミストのDv50とも呼ばれるミスト液滴のメジアン径は、10μm~50μm、好ましくは10μm~45μm、より好ましくは15μm~40μmである。
・液滴の12%は、10μm未満、好ましくは10μm未満の直径を有する。
・Dv90とDv10との差とDv50の比が2未満、好ましくは1.8未満、より好ましくは1.6未満になるように、その中央値(Dv50)付近に集中したミストの異なる液滴サイズの分布。すなわち、「SPAN」分布は2未満、好ましくは1.8未満、より好ましくは1.6未満である。
【符号の説明】
【0067】
1:噴霧ノズル
2:噴霧オリフィス
3:乱流チャンバ
4、41、42、43:乱流チャネル
5:ピラー
51、511、512、513:導管
52:包囲シリンダ
53:スペーサ
6:供給手段
61、62、63:供給チャネル
7:入口毛細管(複数)
8:支持体
81:分注される液体の容器を受け入れることができる支持体の第1の解放部
81:入口毛細管を形成する溝を受け入れることができる支持体の第2の解放部
71、72、73、74:入口毛細管7の一定断面の部分
A1:噴霧オリフィスの軸
H1、H2:ピラーの高さ
D7:流体入口毛細管の直径
h7:噴霧オリフィスの軸と流体入口毛細管の軸との間の半径方向距離
L:流体入口毛細管の長さ
d:噴霧オリフィスの直径
h:噴霧オリフィスの高さ
L3:(軸A1に沿った)渦チャンバの高さ
α:軸A1と乱流チャンバの母線との間の角度
【国際調査報告】