(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-28
(54)【発明の名称】装置内の気流を検出するための手段を備えた電気的に作動するエアロゾル発生装置
(51)【国際特許分類】
A24F 40/51 20200101AFI20230320BHJP
A24F 40/20 20200101ALI20230320BHJP
A24F 40/40 20200101ALI20230320BHJP
【FI】
A24F40/51
A24F40/20
A24F40/40
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022547782
(86)(22)【出願日】2021-02-04
(85)【翻訳文提出日】2022-08-04
(86)【国際出願番号】 EP2021052664
(87)【国際公開番号】W WO2021156365
(87)【国際公開日】2021-08-12
(32)【優先日】2020-02-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100158469
【氏名又は名称】大浦 博司
(72)【発明者】
【氏名】オリアナ バレリオ
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA03
4B162AA05
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4B162AB12
4B162AB22
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4B162AD23
(57)【要約】
本発明は、エアロゾルを発生するための電気的に作動するエアロゾル発生装置に関する。装置は、装置を通して延び、装置内の気流を支持するように構成された空気経路を備える。装置は、空気経路と流体連通して配設され、ユーザーが吸煙を行うときに、装置の使用時に気流が音響発生部材を通過することによって生じる音響を発生するように構成されている、音響発生部材をさらに備える。装置は、振動センサーを含む吸煙検出器をさらに備える。振動センサーは、空気経路から流体的に分離されており、音響発生部材から振動センサーに伝播する音響を検出するように構成されている。本発明は、こうした装置と、エアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品とを備えるエアロゾル発生システムにさらに関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾルを発生するための電気的に作動するエアロゾル発生装置であって、前記装置が、
- エアロゾル形成基体またはエアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品の少なくとも一部分を取り外し可能に受容するための受容空洞と、
- 前記装置を通して延び、前記装置内の気流を支持するように構成された空気経路と、
- 前記空気経路と流体連通して配設され、ユーザーが吸煙を行うときに、前記装置の使用時に気流が音響発生部材を通過することによって生じる音響を発生するように構成された音響発生部材であって、前記音響発生部材が、前記受容空洞の遠位端部分内に位置する、音響発生部材と、
- 振動センサーを含む吸煙検出器であって、前記振動センサーが、前記空気経路から流体的に分離されており、前記音響発生部材から前記振動センサーに伝播する前記音響を検出するように構成されている、吸煙検出器と、を備える、電気的に作動するエアロゾル発生装置。
【請求項2】
前記音響発生部材が、前記気流が音響発生変位構造を通過するときに、前記気流を少なくとも部分的に変位するための前記音響発生変位構造を含む、請求項1に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項3】
前記音響発生変位構造が、一つ以上の溝、または一つ以上の隆起、一つ以上のディンプル、または一つ以上の突出部のうちの少なくとも一つを含む、請求項2に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項4】
前記一つ以上の溝の長さ延長部、または前記一つ以上の隆起の長さ延長部、または一つ以上の溝の長さ延長部および前記一つ以上の隆起の長さ延長部が、前記装置の使用時に前記気流が前記音響発生部材を通過する方向に対して直角を成す、請求項3に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項5】
前記一つ以上の溝、または前記一つ以上の隆起、または前記一つ以上の溝および前記一つ以上の隆起が、三角形形状、正弦波形状、または長方形形状のうちの一つを含む、請求項3または4のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項6】
前記隆起の高さ、または前記溝の深さのうちの少なくとも一つが、前記装置の使用時に前記気流が前記音響発生部材を通過する方向に前記音響発生変位構造に沿って変化する、特に増大する、請求項3~5のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項7】
前記音響発生変位構造が、前記装置を通した前記空気経路の少なくとも一部分を画定する壁部材の一部である、請求項2~6のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項8】
前記音響発生変位構造が、周期的なパターンを含む、請求項2~7のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項9】
前記周期的なパターンが、0.1ミリメートル~2ミリメートル、特に0.2ミリメートル~1ミリメートル、好ましくは0.25ミリメートル~0.5ミリメートルの範囲内の周期長を有する、請求項8に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項10】
前記音響発生部材が、振動要素を通過する気流を定期的に中断するように構成された少なくとも一つの気流駆動型の前記振動要素を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項11】
前記少なくとも一つの振動要素が、リード、またはラメラ、または一対のリードまたは一対のラメラを含む、請求項10に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項12】
前記空気経路および前記音響発生部材が、前記装置の使用時に発生される前記音響15キロヘルツを超える、好ましくは20キロヘルツを超える、より好ましくは40キロヘルツを超える周波数範囲にあるように構成されている、請求項1~11のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項13】
前記振動センサーが、マイクロフォン、加速度計、歪みゲージ、またはピエゾ変換器、または磁気音響変換器を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項14】
前記振動センサーが、前記装置を通した前記空気経路の少なくとも一部分を画定する前記壁部材の側面に対向する壁部材の側面に配設される、請求項1~13のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項15】
前記音響発生部材が、前記受容空洞の遠位端面に位置する、請求項1~14のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾルを発生するための、特にエアロゾル形成基体の物質を気流中に放出することによってエアロゾルを発生するための電気的に作動するエアロゾル発生装置に関し、装置は、装置内の気流を検出するための手段を備える。本発明は、こうした装置と、エアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品とを備えるエアロゾル発生システムにさらに関する。
【背景技術】
【0002】
エアロゾル形成基体の物質を気流中に放出することによって吸入可能なエアロゾルを発生するために使用される電気的に作動するエアロゾル発生装置は、先行技術から一般的に公知である。例えば、こうした装置は、加熱されたときに吸入可能なエアロゾルを形成する揮発性化合物を放出する能力を有するエアロゾル形成基体を加熱するための電気ヒーターを備えてもよい。別の例として、こうした装置は、吸入可能なエアロゾルを形成するように、エアロゾル形成基体の粒子または液滴を気流中に分散させるためのアトマイザーを備えてもよい。
【0003】
ユーザーの体験を可能な限り均一に保つために、エアロゾル形成基体からの物質放出は、ユーザーが吸煙を行うときに、ある特定のレベルに維持される必要がある。しかしながら、物質放出は消費中に、特にユーザーの吸煙中にシステムを通して引き込まれる気流に起因して変化する場合がある。この理由から、物質放出の正確な制御のために、適正な吸煙検出は重要である。吸煙検出は、例えば、ユーザーが吸煙を行うときの、装置を通した気流の圧力降下を測定することによって実現され得る。このため、多くの装置は、ユーザーが吸煙を行っていることを示す気流を直接検出するために、装置を通した空気経路と直接流体連通する圧力センサーを備える。しかしながら、こうした配設では、センサーは、例えば、エアロゾル形成に由来する熱効果および水蒸気効果など、空気経路内の条件に直接曝露される。このため、適正な気流検出に悪影響が及ぶ場合があり、不良な、または機能しない吸煙検出につながる可能性がある。
【0004】
したがって、先行技術の解決法の利点を使用しつつも、それらの制限を軽減する、吸煙検出のための手段を備えた電気的に作動するエアロゾル発生装置を提供することが望ましい。特に、ユーザーの吸煙を示す、装置を通した気流を検出するための改善された手段を備えた、電気的に作動するエアロゾル発生装置を有することが望ましい。
【発明の概要】
【0005】
本発明によると、エアロゾルを発生するための電気的に作動するエアロゾル発生装置、特にエアロゾル形成基体の物質を気流中に放出することによってエアロゾルを発生するための電気的に作動するエアロゾル発生装置が提供されている。装置は、装置を通して延び、装置内の気流を支持するように構成された空気経路を備える。装置は、空気経路と流体連通して配設され、ユーザーが吸煙を行うときに、装置の使用時に気流が音響発生部材を通過することによって生じる音響を発生するように構成されている、音響発生部材をさらに備える。さらに、装置は、振動センサーを含む吸煙検出器を備える。少なくとも装置内において、振動センサーは、空気経路から流体的に分離されており、音響発生部材から振動センサーに伝播する音響を検出するように構成されている。したがって、音響発生部材から振動センサーに伝播する音響の検出により、ユーザーの吸煙を示す、装置を通した気流を検出することが可能になり得る。
【0006】
本発明によると、ユーザーが吸煙を行っていることを示す、気流、特に気流の変化は、気流を使用して、伝播して振動センサーによって遠隔的に検出され得る装置の少なくとも一部分の空気振動(音響)または振動を発生させることによって、確実に検出され得ることが認識されている。伝播振動の遠隔検出可能性のために、振動センサーは、装置内の空気経路から流体的に分離されて配設されてもよい。有利なことに、振動センサーの流体的に分離された配設により、気流および吸煙検出は、誤差の少ない、したがって信頼性の高いものになる。さらに、音響発生部材の使用は、遠隔振動センサーに伝達される振動を発生するという点で、空気経路を通した気流の増幅器として作用し得ることが認識されている。
【0007】
使用される「音響」または「伝播振動」という用語は、基本的に、気体、流体または固体媒体、特に空気、またはエアロゾル発生装置の構造的構成要素(固体物質)を通して伝播する機械的音響波を指す。「音響波」という用語は、媒体の断熱圧縮および減圧(それぞれ、空気または装置の固体物質)によるエネルギー伝播のタイプを指す。
【0008】
「音響波」または「音響」という用語は、人間によるその聴知覚、特に聴覚によって知覚可能/可聴な音響波または音響に関連し得る。人が聞こえる周波数は、典型的には、20ヘルツ(Hz)~20.000ヘルツ(Hz)の範囲内である。同様に、「音響波」または「音響」という用語は、人間の可聴周波数スペクトルを超える周波数範囲内、特に20.000ヘルツ(Hz)を超える周波数範囲、または20ヘルツ(Hz)未満の周波数範囲内の音響波または音響に関連し得る。したがって、「音響波」または「音響」という用語はまた、超音波または超音波音響、または超低周波音波または超低周波音響に関連し得る。
【0009】
一般的に、音響発生部材は、気流が振動発生部材を通過することによって音響を発生するのに適した任意の機械的部材であり得る。この場合、音響発生部材はまた、気流駆動型音響発生部材として表示されてもよい。
【0010】
音響を発生するために、音響発生部材は、音響発生変位構造を通過するときに気流を部分的に変位させるように構成された、音響発生変位構造を含んでもよい。パイプ、ホイッスル、およびフルートなどの変位気鳴楽器におけるように、音響発生変位構造を通過する気流は、気流内の振動、すなわち、気流の断熱圧縮および減圧が発生するように、変位構造によって分割および修正される。典型的には、音響発生変位構造は、一つ以上の縁、特に音響発生変位構造を通過するときに気流が遭遇する鋭利な縁を含み得る。
【0011】
音響発生変位構造は、一つ以上の溝、または一つ以上の隆起、一つ以上のディンプル、または一つ以上の突出部のうちの少なくとも一つを含むことが好ましい。空気が一つ以上の溝、ディンプル、突出部、または隆起それぞれに沿って通過するとき、一つ以上の溝、ディンプル、突出部、または隆起と接触する層状の気流は、一つ以上の溝または隆起それぞれとの衝突に起因して乱流気流に変換される。したがって、気流の運動エネルギー、すなわち動圧力の一部は、静圧力に変換される。音響発生変位構造が、複数の溝または隆起をそれぞれ含む場合、気流の部分的変位は、気流中に複数の交互の高圧領域および低圧領域を生成し、これは気流中に振動、すなわち、音響を生じさせる。
【0012】
一般的に、音響の周波数および振幅は、溝、ディンプル、突出部または隆起それぞれの形状、高さまたは深さ、および周期性に依存する。さらに、音響の周波数および振幅は、振動発生変位構造に沿って通過する気流の速度に依存する。したがって、複数の溝、ディンプル、突出部または隆起の場合、溝、ディンプル、突出部、または隆起の形状、高さ、または深さ、および溝、ディンプル、突出部、または隆起の周期性は、特定の周波数(周波数スペクトル)および振幅を有する振動を選択的に発生するように設計され得る。
【0013】
一つ以上の溝、または一つ以上の隆起、または一つ以上の溝および一つ以上の隆起は、気流を部分的に変位させるのに適した任意の種類の形状を有し得る。一つ以上の溝、または一つ以上の隆起、または一つ以上の溝および一つ以上の隆起は、三角形形状、湾曲した、特に正弦波形状、または長方形形状のうちの一つを含み得ることが好ましい。使用されるように、一つ以上の溝または隆起それぞれの形状は、一つ以上の溝または隆起それぞれの長さ延長部に対して直角を成す断面に見られるように、一つ以上の溝または隆起の断面形状を指す。
【0014】
一般的に、複数の溝または隆起は、音響発生変位構造に沿って均等または不均等に分布し得る。音響発生変位構造は、周期的なパターンを含むことが好ましい。すなわち、溝または隆起、または溝および隆起の両方は、隣接する溝または隆起それぞれの各対の間に一定の距離を有する周期的なパターンで配設される。周期的なパターンは、特定の、特に狭帯域周波数スペクトルを有する振動の発生に関して有利である。
【0015】
発生される音響の周波数に応じて、周期的なパターンは、1ミリメートル当たり0.5個の隆起または溝~1ミリメートル当たり10個の隆起または溝、特に1ミリメートル当たり1個の隆起または溝~1ミリメートル当たり5個の隆起または溝、好ましくは1ミリメートル当たり2個の隆起または溝~1ミリメートル当たり4個の隆起または溝の範囲内の周期性を有してもよい。すなわち、周期的なパターンは、0.1ミリメートル~2ミリメートル、特に0.2ミリメートル~1ミリメートル、好ましくは0.25ミリメートル~0.5ミリメートルの範囲内の周期長を有してもよい。したがって、発生変位構造は、0.1ミリメートル~2ミリメートル、特に0.2ミリメートル~1ミリメートル、好ましくは0.25ミリメートル~0.5ミリメートルの範囲内の隣接する溝または隆起の各対間の距離を有する、複数の隆起または溝、または複数の隆起および溝の両方を含み得る。
【0016】
例えば、音響発生変位構造の周期的なパターンが0.25mmの周期長を有し、音響発生変位構造を通過する気流の速度が10メートル/秒である場合、約40キロヘルツ(kHz)の周波数を有する音響が発生され得る。
【0017】
周期的なパターンは、線形の周期的なパターンであってもよい。周期的なパターンは、複数の平行な溝または隆起のアレイなど、一次元であってもよい。すなわち、パターンは、一方向のみに沿った周期性を含む。周期的なパターンは、多次元、特に二次元パターンであってもよい。すなわち、パターンは、二つ以上の方向、特に二つの方向に沿った周期性を含む。例えば、パターンは、第一の方向に沿った第一の周期性および第二の方向に沿った第二の周期性を含んでもよい。第一の方向および第二の方向は、横断方向、特に互いに対して直角を成してもよい。一例として、周期的なパターンは、第一の方向に沿って第一の周期性を有する複数の平行な第一の溝または第一の隆起の第一のアレイ、および第二の方向に沿って第二の周期性を有する複数の平行な第二の溝または第二の隆起の第二のアレイを含み得る。特に、こうした周期的なパターンは、交差パターンまたはグリッドパターンであってもよい。
【0018】
周期的なパターンは、非線形の周期的なパターンであってもよい。例えば、周期的なパターンは、複数の湾曲した、特にリング形状の溝、または湾曲した、特にリング形状の隆起を含んでもよい。周期的なパターンは、複数のリング形状の溝または複数のリング形状の隆起を形成する同心リングパターンを含み得る。リングパターンまたはリング形状は、円形、楕円形、長円形、長方形、四角形、または多角形であってもよい。対称的である周期的なリングパターンは、円筒状の受容空洞の遠位端面における、音響発生変位構造の配設に関して有利である。
【0019】
別の例として、周期的なパターンは、スパイラル形状の溝または隆起に形成されるスパイラルパターンを含んでもよい。
【0020】
別の例として、周期的なパターンは、ハニカムパターンの輪郭を形成する複数の溝または隆起を含むハニカムパターンを含んでもよい。
【0021】
音響発生を高めるために、少なくとも一つ以上の溝または一つ以上の隆起の長さ延長部は、横断方向、特に装置の使用時に気流が音響発生部材を通過する方向に対して直角を成してもよい。
【0022】
隆起の高さまたは溝の深さのうちの少なくとも一つは、装置の使用時に気流が音響発生部材を通過する方向に、音響発生変位構造に沿って一定に変化してもよい。あるいは、隆起の高さまたは溝の深さのうちの少なくとも一つは、装置の使用時に気流が音響発生部材を通過する方向に、音響発生変位構造に沿って変化、特に増大してもよい。これは、例えば、特定の引き出し抵抗(RTD)を提供するために、音響発生を空気経路の幾何学的形状および寸法に適合させることを可能にし得る。
【0023】
音響発生部材、特に音響発生変位構造は、装置を通した空気経路の少なくとも一部分を画定する壁部材の一部であることが好ましい。有利なことに、これは、装置の製造および組立を単純化し得る。特に、音響発生変位構造と装置の壁部材を一体型にすることにより、装置のコンパクトな設計が可能になる。例えば、音響発生変位構造は、装置を通した空気経路の少なくとも一部分を画定する装置の壁部材内に形成される、一つ以上の溝、または一つ以上の隆起、または一つ以上の溝および一つ以上の隆起を含み得る。
【0024】
同様に、音響発生部材、特に音響発生変位構造は、装置を通した空気経路の少なくとも一部分を画定する壁部材とは分離した、特にこれに取り付けられた別個の部材または要素であってもよい。
【0025】
音響発生変位構造は、好ましくは剛直な構造である。そのため、全体としての音響発生変位構造も、音響発生変位構造のいかなる構造的構成要素も、質量中心の偏心を経験しない。しかしながら、これは、音響が、音響発生変位構造を通して伝播し得ることを除外するものではない。
【0026】
音響発生変位構造に代替的に、またはこれに加えて、音響発生部材は、振動要素を通過する気流を定期的に中断するための少なくとも一つの気流駆動型振動要素を含んでもよい。中断式気鳴楽器におけるように、特にオーボエまたはクラリネットなどのリード気鳴楽器におけるように、気流は、ラメラまたは一対のラメラのなどの可撓性の振動要素に方向付けられ、振動要素を振動させる。可撓性の振動要素の気流駆動による振動に起因して、振動要素を通過する気流が定期的に中断され、これが空気を動かし、それによって音響を生成する。
【0027】
したがって、少なくとも一つの振動要素は、ラメラ、またはリード、または一対のリードまたは一対のラメラを含み得る。
【0028】
同様に、少なくとも一つの振動要素は、気流が振動要素を通過するのを定期的に中断するための制限された移動可能な要素を含み得る。その自由な移動を制限するために、移動可能な要素は、ピーホイッスル内の玉のように、ケージ内に配設され得る。同様に、移動可能な要素は、移動可能な要素をばね要素の一方の端に連結することによって制限されてもよく、ばね要素の他方の端は装置内に固定的に取り付けられる。
【0029】
もちろん、音響発生部材は、複数の振動要素、例えば、複数のラメラまたはリードを含むことが可能である。複数の振動要素を有することは、有利なことに、発生された音響の振幅を高め、これが次に、振動センサーに向けた音響伝播を促進する。
【0030】
上述のように、発生された音響の振幅および周波数/周波数スペクトルは、空気経路および音響発生部材の寸法および構成によって影響を受け得る。発生された音響を装置のユーザーによって知覚不能にするために、特に望ましくないノイズ曝露を回避するために、発生された音響は、好ましくは、人間の可聴周波数スペクトルの範囲外にあり、さらにより好ましくは、多くの動物、特にイヌまたはネコなどのペットの可聴周波数スペクトルの範囲外にある。したがって、空気経路および音響発生部材は、装置の使用時に発生される音響が15キロヘルツ(kHz)を超える、好ましくは20キロヘルツ(kHz)を超える、より好ましくはキロヘルツ(kHz)を超える周波数範囲にあるように構成され得る。
【0031】
少なくとも装置内において、振動センサーを、装置を通した空気経路から流体的に分離させるために、振動センサーは、少なくとも装置内において、装置を通した空気経路から流体的に分離された装置の区画内に配設されてもよい。このため、振動センサーは、空気経路と直接流体連通しておらず、特に空気経路を通過する流体(空気、エアロゾル、エアロゾル粒子)と直接接触していない。これは、振動センサーが、例えば、装置を包囲する周囲空気への直接流体連通を介して装置を通した空気経路と間接流体連通し、次に、例えば、装置の空気吸込み口または空気出口を介して装置を通した空気経路と直接流体連通することを除外しない。この構成では、振動センサーは、空気経路を通過する任意の流体(空気、エアロゾル、エアロゾル粒子)から依然として十分に隔離されている。
【0032】
したがって、空気経路から流体的に分離された装置の区画は、装置環境、特に装置を包囲する周囲空気と流体連通していてもよい。
【0033】
別の方法として、装置を通した空気経路から流体的に分離された装置の区画はまた、装置環境、特に装置を包囲する周囲空気から流体密封されてもよい。
【0034】
振動センサーは、装置を通した空気経路から流体的に分離されているが、音響発生部材で発生された音響は、異なる媒体を介して、音響発生部材から振動センサーに向かって容易に伝播し得る。すなわち、音響は、装置内の空気を通して、装置を包囲する周囲空気を通して、および装置の壁部材、例えば、空気経路の少なくとも一部分を画定する壁部材、または上述の区画を空気経路から分離する分離する壁部材などの装置の固体物質を通して、伝播し得る。異なる媒体の音響伝搬特性に応じて、および装置の物理的構造および寸法に応じて、音響は、音響発生部材から振動センサーに向かって直ぐに伝播し得る。別の方法として、または追加的に、音響は、装置環境を介して、音響発生部材から振動センサーに伝播してもよい。すなわち、音響は、少なくとも部分的に装置から漏れ出、振動センサーに到達する前に装置に再び入り得る。
【0035】
振動センサーは、振動センサーへの音響の伝達が、振動センサーの少なくとも一部分を包囲する空気から生じるように、装置内に配設されてもよい。したがって、振動センサーは、流体、特に空気によって少なくとも部分的に包囲されるように、装置内に配設されてもよい。
【0036】
同様に、振動センサーは、振動センサーへの音響の伝達が、振動センサーが接触する装置構成要素の固体物質から発生するように、装置内に配設されてもよい。例えば、振動センサーは、センサーを空気経路から流体的に分離する装置の壁部材など、装置の壁部材に配設されてもよい。特に、振動センサーは、特に装置を通した空気経路の少なくとも一部分を画定する壁部材の側面に対向する壁部材の側面上に配設されてもよい。
【0037】
振動センサーは、電気音響変換器を含み得る。電気音響変換器は、音響エネルギーを電気エネルギーに変換するように構成された装置である。振動センサーへの音響伝達の性質に応じて、振動センサーは、例えば、マイクロフォン、加速度計、歪みゲージ、または圧電音響変換器もしくは磁気音響変換器を含み得る。
【0038】
圧電音響変換器は、圧電効果を使用して、音響によって生じる圧力、加速度、歪み、または力の変化を測定し、測定された変化を電気信号に変換することによって、音響を検出する装置である。同様に、磁気音響変換器は、電磁誘導を使用して、音響によって生じる圧力、加速度、歪み、または力の変化を測定し、測定された変化を電気信号に変換することによって、音響を検出する装置である。
【0039】
同様に、加速度計または歪みゲージは、これらのタイプのセンサーに連結される音響よって生じる動的負荷に曝露される構造の運動および振動を測定するのに使用され得る。歪みゲージは、印加された力と共に抵抗が変化するセンサーである。歪みゲージは、力、圧力、張力を、測定可能な電気抵抗の変化に変換する。加速度計は、気圧の振動、または感知質量体が機械的に連結された中実体内の振動/音響に応答する、膜などの感知質量体の適正な加速度を測定する。
【0040】
マイクロフォンは、音響エネルギーを電気エネルギーに変換する電磁誘導を使用する電磁マイクロフォン(ダイナミックマイクロフォンまたは可動コイルマイクロフォンとしても知られる)であってもよい。電磁マイクロフォンは頑丈で、比較的安価で、水分に対して耐性がある。電磁マイクロフォンは、逆向きであるだけであって、ラウドスピーカーにおけるのと同じ動的原理を使用している。永久磁石の磁場内に位置付けられた小さな移動可能な誘導コイルは、ダイアフラムに取り付けられる。音響がマイクロフォンに入ると、音響波がダイアフラムを動かす。ダイアフラムが振動すると、コイルが磁場内で移動し、電磁誘導を介してコイル内に変動する電流を生成する。このタイプのマイクロフォンはまた、磁気音響変換器として示されてもよく、または磁気音響変換器の特定の実施例であってもよい。
【0041】
マイクロフォンは、コンデンサマイクロフォン、エレクトレットマイクロフォン、または圧電マイクロフォンなどの静電マイクロフォンであってもよい。後者はまた、圧電音響変換器として示されてもよく、または圧電音響変換器の特定の実施例であってもよく、その詳細は以下に説明される。
【0042】
マイクロフォンは、光ファイバーマイクロフォンであってもよい。光ファイバーマイクロフォンは、光ファイバーを通過する光の強度の変化を感知することによって、音響波を電気信号に変換する。動作中、レーザー源からの光は、光ファイバーを通って移動し、反射ダイアフラムの表面を照射する。ダイアフラムの音響振動は、ダイアフラムから特定の方向に反射する光の強度を変調する。変調された光は、第二の光ファイバーを介して光検出器に伝送され、光検出器は強度を変調された光を電気信号に変換する。光ファイバーマイクロフォンは、高いダイナミックレンジおよび周波数範囲を有する。有利なことに、光ファイバーマイクロフォンは、電場、磁場、または静電場に干渉しない。したがって、光ファイバーマイクロフォンは、電気的に作動するエアロゾル発生装置での使用、特に誘導加熱エアロゾル発生装置に関して理想的である。
【0043】
装置は、装置を通した空気経路を含む装置ハウジングを備え得る。装置ハウジングは、空気経路を通した気流中に排出される物質を含むエアロゾル形成基体を受容するように構成され得る。
【0044】
一般的に、エアロゾル発生装置は、空気が装置を通した空気経路に入り得る、少なくとも一つの空気吸込み口を備え得る。そのため、空気吸込み口は、装置を通した空気経路の出発点とみなされ得る。同様に、エアロゾル発生装置は、空気が装置を通した空気経路から出得る、少なくとも一つの空気出口を備え得る。そのため、空気出口は、装置を通した空気経路の終点とみなされ得る。空気出口は、例えば、装置のマウスピース部分内に提供されてもよい。
【0045】
エアロゾル発生装置は、エアロゾル形成基体または基体を含むエアロゾル発生物品の少なくとも一部分を取り外し可能に受容するための受容空洞を備え得る。
【0046】
受容空洞は、それを通してエアロゾル形成基体またはエアロゾル発生物品が受容空洞の中に挿入され得る挿入開口部を含み得る。本明細書で使用される場合、エアロゾル形成基体またはエアロゾル発生物品が挿入される方向は、挿入方向として示される。挿入方向は、長さ軸、特に受容空洞の中心軸の延長部に対応することが好ましい。
【0047】
受容空洞の中への挿入後に、エアロゾル発生物品の少なくとも一部分は依然として、挿入開口部を通して外向きに延びていてもよい。外側に延びる部分は、好ましくは、特にユーザーの口の中に入るために、ユーザーとの相互作用のために提供される。したがって、装置の使用中に、挿入開口部は、ユーザーの口に近くてもよい。
【0048】
その結果、本明細書で使用される場合、装置の使用時に挿入開口部に近接するセクション、またはユーザーの口に近接するセクションはそれぞれ一般的に、接頭辞「近位」を有して示される。より遠くに離れて配設されているセクションは一般的に、接頭語「遠位」を有して示される。
【0049】
この慣例に関して、受容空洞は、エアロゾル発生装置の近位部分に配設されてもよく、または位置してもよい。挿入開口部は、エアロゾル発生装置の近位端に、特に受容空洞の近位端に配設されてもよく、または位置してもよい。
【0050】
装置を通した空気経路は、受容空洞の少なくとも一部分を画定する壁を少なくとも部分的に通って延び得る。こうした構成は、例えば、WO2013/102609A2に記載されている。
【0051】
加えて、または代替的に、装置を通した空気経路は、受容空洞の内表面に沿って少なくとも部分的に延びてもよい。このため、受容空洞は、受容空洞の内部の中に延びる複数の突出部を含み得る。複数の突出部は、隣り合う突出部の間に空気経路または少なくとも装置を通した空気経路の一部分が形成されるように、すなわち隣り合う突出部の間の隙間(自由空間)によって、互いから距離を置いていることが好ましい。加えて、複数の突出部は、基体または物品を受容空洞内に保持するために、エアロゾル形成基体またはエアロゾル発生物品の少なくとも一部分に接触するように構成されてもよい。こうした構成の例は、WO2018/050735A1に記載されている。
【0052】
この構成に関して、装置の空気吸込み口は、基体または物品を空洞の中へと挿入するために使用される受容空洞の挿入開口部において実現されることが好ましい。基体または物品が空洞の中に受容されているとき、空気は挿入開口部のへりにおいて、および受容空洞の内表面とエアロゾル形成基体またはエアロゾル発生物品の外周との間に形成された空気経路の部分をさらに通して、受容空洞の中へと引き込まれてもよい。
【0053】
空気経路の一部分は、エアロゾル形成基体または物品を通って延びることが好ましい。そこから、空気経路はユーザーの口内に直接通過し得る。別の方法として、空気経路は、装置のマウスピース部分を通って延びてもよく、空気は、マウスピース部分の空気出口において装置から出る。
【0054】
エアロゾル発生装置は、受容空洞内に、特に受容空洞の遠位端に配設された一つ以上の端停止部を備えてもよい。一つ以上の端停止部は、受容空洞の中へのエアロゾル形成基体またはエアロゾル発生物品の挿入深さを制限するように構成されていることが好ましい。特に、一つ以上の端停止部は、エアロゾル形成基体またはエアロゾル発生物品が、受容空洞の近位端における受容空洞の挿入開口部に対向する受容空洞の遠位端面に当接するのを防止するように構成されてもよい。したがって、一つ以上の端停止部は、有利なことに、受容空洞の遠位部分内に自由空間を提供し、基体または物品が受容空洞内に受容されたときに、受容空洞の遠位端とエアロゾル発生物品の遠位端との間の自由な気流を可能にする。一つ以上の端停止部は、エアロゾル発生物品、特にエアロゾル発生物品の遠位端が、物品が受容空洞の内に受容されているときに当接しうる接触表面を備えてもよい。
【0055】
好ましくは、エアロゾル発生装置は、複数の別個の端停止部、例えば、受容空洞内に、特に受容空洞の遠位端に配設されている三つの端停止部を備えてもよい。
【0056】
複数の端停止部は、受容空洞の長さ軸、特に中心軸の周りに対称的に配設されてもよい。複数の端停止部は、受容空洞の長さ軸、特に中心軸の周りに等しく間隔を置いて配設されることが好ましい。上述のように、これは、端停止部および受容空洞内に受容された物品の周りの自由な気流を可能にする。
【0057】
一般に、受容空洞は、任意の適切な形状を有してもよい。特に、受容空洞の形状は、その中に受容されるエアロゾル形成基体またはエアロゾル発生物品の形状に対応してもよい。好ましくは、受容空洞は、実質的に円筒状の形状またはテーパー付き形状、例えば実質的に円錐状または実質的に円錐台状の形状を有してもよい。
【0058】
同様に、受容空洞は、受容空洞の長さ軸に対して直角を成す平面、または物品の挿入方向に対して直角を成す平面で見られる通りの任意の適切な断面を有してもよい。特に、受容空洞の断面は、その中に受容されるエアロゾル発生物品の形状に対応してもよい。受容空洞は、実質的に円形断面を有することが好ましい。別の方法として、受容空洞は、実質的に楕円形の断面、または実質的に長円形の断面、または実質的に正方形の断面、または実質的に長方形の断面、または実質的に三角形の断面、または実質的に多角形の断面を有してもよい。本明細書で使用される通り、上述の形状および断面は、いかなる突出部も考慮せずに、受容空洞の形状または断面を指すことが好ましい。
【0059】
受容空洞は、受容空洞モジュールとして、特にエアロゾル発生装置の主本体の中に挿入されてもよい管状スリーブとして形成されてもよい。有利なことに、これは、エアロゾル発生装置のモジュール式の組立を可能にする。
【0060】
別の方法として、受容空洞の少なくとも一部は、主本体と一体的に形成されてもよい。主本体の一部として受容空洞の少なくとも一部を提供することによって、エアロゾル発生装置を構築するために必要な部品の数を減少させる場合がある。
【0061】
音響発生部材は、受容空洞の遠位端部分内、特に受容空洞の遠位端面上に位置し得る。受容空洞の遠位端面は、装置の他の部分、特に振動センサーおよび/または電子部品(電気回路、コントローラ、電源)を備える装置の一部分から受容空洞を分離する壁部材によって形成され得る。振動センサーは、受容空洞の遠位端面を画定する壁部材の側面に対向するこうした壁部材の側面に配設されることが好ましい。
【0062】
振動センサーに加えて、吸煙検出器は、振動センサーの出力信号を、音響を示す信号に変換するための電気回路をさらに含んでもよい。電気回路は、電流電圧変換のためのトランスインピーダンスアンプ、反転信号アンプ、シングルエンドから差動への変換器、アナログデジタルコンバータ、およびマイクロコントローラのうちの少なくとも一つを備えてもよい。
【0063】
吸煙検出器または電気回路は、振動センサーの出力信号をフィルタリングするための一つ以上の電子フィルターをさらに含んでもよい。有利なことに、フィルタリングによって、異なるタイプのノイズ、特に振動センサーによって検出される寄生ノイズを低減することが可能になり得る。
【0064】
一般的に、エアロゾル発生、特にエアロゾル形成基体から装置を通した気流への物質放出は、上述でさらに説明するように異なる方法で実現され得る。
【0065】
例えば、装置は、吸入可能なエアロゾルを形成するように、エアロゾル形成基体の粒子または液滴を気流中に分散させるためのアトマイザーを備えてもよい。アトマイザーは、超音波アトマイザーであってもよい。
【0066】
別の方法として、エアロゾル発生装置は、加熱されたときに吸入可能なエアロゾルを形成し、気流中に放出される揮発性化合物を放出する能力を有するエアロゾル形成基体を加熱するための電気ヒーターを備えてもよい。
【0067】
エアロゾル発生装置の電気ヒーターは、誘導ヒーターであってもよい。誘導ヒーターは、装置内、特に上述の装置の受容空洞内に交流電磁場、特に高周波の交流電磁場を発生するように構成されている、インダクタを含む誘導源を含んでもよい。交流電磁場、特に高周波の交流電磁場は、500kHz(キロヘルツ)~30MHz(メガヘルツ)、特に5MHz~15MHz、好ましくは5MHz~10MHzの範囲であってもよい。交流電磁場は、加熱されるエアロゾル形成基体と熱的に接触または熱的に近接しているサセプタを誘導的に加熱するために使用される。インダクタは、装置の使用時に、サセプタおよびエアロゾル形成基体の少なくとも一部分を包囲するように配設されてもよい。インダクタは、インダクタコイル、例えば受容空洞の側壁内に配設されたらせん状コイルであってもよい。例えば、インダクタは、受容空洞の少なくとも一部分を包囲するように配設されてもよい。
【0068】
別の方法として、ヒーターは、抵抗発熱体を備える抵抗ヒーターであってもよい。抵抗発熱体は、抵抗発熱体の内在するオーム抵抗または抵抗負荷に起因して、電流がこれを通過するときに加熱するように構成されている。例えば、抵抗発熱体は、抵抗加熱ワイヤ、抵抗加熱トラック、抵抗加熱グリッド、または抵抗加熱メッシュのうちの少なくとも一つを備えてもよい。装置の使用時に、抵抗発熱体は、加熱されるエアロゾル形成基体と熱的に接触するか、または熱的に近接する。
【0069】
エアロゾル発生装置は、振動センサーによって提供された信号に基づいて、特に装置の空気経路を通した気流を示す、吸煙検出器によって提供された信号に基づいて、ユーザーの吸煙を判定するための吸煙検出器と動作可能に連結されたコントローラをさらに備えてもよい。
【0070】
コントローラは、エアロゾル発生装置の全体的な動作、特に、加熱プロセスを制御するようにさらに構成されてもよい。n個の気流を示す信号に基づいて、コントローラは、エアロゾル形成基体から気流の中への物質放出を制御するように特に構成されてもよい。例えば、エアロゾル発生装置が、エアロゾル形成基体を加熱するための電気ヒーターを備える場合、コントローラは、ヒーターに動作可能に連結されてもよく、ユーザーが吸煙を行うときに、加熱温度を特定のレベルに維持するために加熱プロセスを制御するように構成されてもよい。
【0071】
コントローラおよび吸煙検出器の少なくとも一部は、エアロゾル発生装置の全体的な電気回路の一体型の部品であってもよい。
【0072】
エアロゾル発生装置は、電源、好ましくはリン酸鉄リチウム電池などの電池を備えてもよい。代替として、電源は、コンデンサーなどの別の形態の電荷蓄積装置であってもよい。電源は再充電を必要とする場合があり、また一回以上のユーザー体験のために十分なエネルギーの貯蔵を可能にする容量を有する場合がある。例えば、電源は約六分間、または六分の倍数の時間にわたるエアロゾルの連続的な発生を可能にするのに十分な容量を有してもよい。別の実施例において、電力供給源は、所定の回数の吸煙、または加熱装置の不連続的な起動を可能にするのに十分な容量を有してもよい。
【0073】
本発明は、本発明により、かつ本明細書に記載したようなエアロゾル発生装置を含むエアロゾル発生システムにさらに関する。システムは、装置によって加熱される少なくとも一つのエアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品をさらに備え、物品の少なくとも一部分は、装置、特に装置の受容空洞の中に取り外し可能に受容可能であるか、または取り外し可能に受容される。
【0074】
エアロゾル発生物品は、特に単回使用が意図された消耗品であってもよい。エアロゾル発生物品は、たばこ物品であってもよい。特に、物品は、ロッド状の物品、好ましくは従来の紙巻たばこと似ていてもよい円筒状のロッド形状の物品であってもよい。
【0075】
物品は、以下の要素、すなわちフィルター要素、冷却要素、第一の支持要素、基体要素、および随意の第二の支持要素のうちの一つ以上を備えてもよい。エアロゾル発生物品は、少なくとも第一の支持要素、第二の支持要素、および第一の支持要素と第二の支持要素との間に位置する基体要素を備えることが好ましい。
【0076】
前述の要素のすべては、上述の順序で物品の長さ軸に沿って逐次的に配設されてもよく、第一の支持要素は物品の遠位端に配設されることが好ましく、かつフィルター要素は物品の近位端に配設されることが好ましい。前述の要素の各々は、実質的に円筒状であってもよい。特に、すべての要素は、同じ外側断面形状を有してもよい。加えて、要素は、要素を一緒にまとめて保つように、かつロッド状の物品の所望の断面形状を維持するように、外側ラッパーによって囲まれてもよい。ラッパーは紙で作製されることが好ましい。
【0077】
誘導加熱エアロゾル発生システムの場合、物品はサセプタをさらに備え得る。サセプタは、物品が装置の空洞内に受容されているときに、使用時にサセプタが誘導加熱配設によって誘導加熱されることが可能なように、エアロゾル形成基体と熱的に近接または熱的に接触して位置付けられる。例えば、サセプタは、サセプタ細片、またはサセプタブレード、またはサセプタチューブ、またはサセプタスリーブであってもよい。サセプタは、基体要素の一部であってもよい。本明細書で使用される「サセプタ」という用語は、交番磁場に供されたときに電磁エネルギーを熱へと変換する能力を有する要素を指す。これは、サセプタ材料の電気特性および磁性に依存して、サセプタ内で誘導されるヒステリシス損失および/または渦電流の結果でありうる。ヒステリシス損失は、交流電磁場の影響下で切り替えられる材料内の磁区に起因して、強磁性またはフェリ磁性のサセプタ内で生じる。渦電流は、サセプタが導電性である場合に誘発される場合がある。導電性の強磁性またはフェリ磁性サセプタの場合、渦電流とヒステリシス損失の両方に起因して熱を発生することができる。
【0078】
第一の支持要素および第二の支持要素のうちの少なくとも一つは、中央空気通路を備えてもよい。好ましくは、第一の支持要素および第二の支持要素のうちの少なくとも一つは、中空のセルロースアセテートチューブを備えてもよい。別の方法として、第一の支持要素は、基体要素の遠位前方端を覆い、かつ保護するために使用されてもよい。
【0079】
エアロゾル冷却要素は、大きい表面積および低い引き出し抵抗(例えば、15mmWG~20mmWG)を有する要素である。使用時に、基体要素から放出された揮発性化合物によって形成されたエアロゾルは、エアロゾル発生物品の近位端へと搬送される前にエアロゾル冷却要素を通して引き出され、エアロゾルの形成および冷却を可能にする。
【0080】
フィルター要素は、マウスピースとして、またはエアロゾル冷却要素と一緒にマウスピースの一部として機能することが好ましい。本明細書で使用される「マウスピース」という用語は、エアロゾルが通ってエアロゾル発生物品から出る物品の一部分を指す。
【0081】
同様に、エアロゾル発生物品は、エアロゾルを発生するために気流中に分散されるエアロゾル形成粉末を含有する(エアロゾル形成基体として)カプセルであってもよい。
【0082】
本発明によるエアロゾル発生システムおよびエアロゾル発生物品のさらなる特徴および利点は、エアロゾル発生装置に関してすでに上述されていて、かつ等しく当てはまる。
【0083】
本明細書で使用される「エアロゾル形成基体」という用語は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有する基体に関する。
【0084】
特に、エアロゾル形成基体は、加熱されたときにエアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有する基体であり得る。こうしたエアロゾル形成基体は、エアロゾル形成揮発性化合物を放出するために、燃焼ではなく加熱されることが意図される。エアロゾル形成基体は、固体エアロゾル形成基体もしくは液体エアロゾル形成基体もしくはゲル様エアロゾル形成基体、またはこれらの任意の組み合わせであってもよい。すなわちエアロゾル形成基体は、例えば固体構成成分と液体構成成分の両方を含んでもよい。エアロゾル形成基体は、加熱に伴い基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含有するたばこ含有材料を含んでもよい。別の方法として、または追加的に、エアロゾル形成基体は非たばこ材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体はエアロゾル形成体をさらに含んでもよい。適切なエアロゾル形成体の例はグリセリンおよびプロピレングリコールである。エアロゾル形成基体はまた、ニコチンまたは香味料などのその他の添加物および成分を含んでもよい。エアロゾル形成基体はまた、ペースト様の材料、エアロゾル形成基体を含む多孔性材料のサシェ、または例えばゲル化剤または粘着剤と混合されたばらのたばこであってもよく、これはグリセリンなどの一般的なエアロゾル形成体を含むことができ、これはプラグへと圧縮または成形される。
【0085】
同様に、エアロゾル形成基体は、エアロゾル形成粉末であってもよい。エアロゾル形成粉末はニコチン粉末を含んでもよい。「ニコチン」という用語は、ニコチンおよびニコチン塩などのニコチン誘導体を意味する。従って、ニコチン粉末は、ニコチン塩またはニコチン塩水和物としうる。適切なニコチン塩またはニコチン塩水和物には、例えば、酒石酸ニコチン、アスパラギン酸ニコチン、乳酸ニコチン、グルタミン酸ニコチン、重酒石酸ニコチン、サリチル酸ニコチン、フマル酸ニコチン、モノ-ピルビン酸ニコチン、ニコチン塩酸塩、およびその組み合わせが含まれる。
【0086】
ニコチン粉末は、ユーザーの肺へのニコチンの送達のために、適切な任意の粒子サイズ分布を持ちうる。特に、少なくとも約90重量パーセント(wt%)のニコチン粉末は、約10マイクロメートル以下、好ましくは約7マイクロメートル以下の粒子サイズを有しうる。ニコチン粉末は、約0.1~約10マイクロメートルの平均直径の範囲を持つことが好ましく、約1~約7マイクロメートルがより好ましく、約2~約6マイクロメートルが特に好ましい。
【0087】
ニコチン粉末粒子は表面を変性させうるが、例えば、ニコチン塩粒子が被覆されうる。好ましい被覆材料はL-ロイシンである。特に適切なニコチン粉末粒子には、L-ロイシン被覆された重酒石酸ニコチン、L-ロイシン被覆されたグルタミン酸ニコチンおよびL-ロイシン被覆されたアスパラギン酸塩が含まれる。
【0088】
カプセルは、約5~約20ミリグラム、特に約10ミリグラムのニコチン粉末を含むことが好ましい。カプセルは、約10~約30吸煙をユーザーに送達するのに十分なニコチン粉末を含有することが好ましい。
【0089】
本明細書で説明したニコチン粉末は担体を含まないことが好ましい。担体を含まないことにより、ニコチン粉末が吸入され、典型的な喫煙法での吸入または気流レートと同様な吸入レートまたは気流レートで、ユーザーの肺に送達される。さらに、ニコチン粉末は担体を含まないため、吸入器の気流経路は、単純な幾何学的形状または単純な構成を持ちうる。
【0090】
それにもかかわらず、エアロゾル形成粉末は、活性粒子の流動化を増大させ、製剤中の希釈剤または膨化剤として作用することによって用量の均一性を改善する役割を果たす担体粒子をさらに含有しうる。
【0091】
別の方法としてまたはニコチン粉末に加えて、エアロゾル形成粉末はまた、有効な医療材料などの別の有効な薬剤または成分を含んでもよい。この有効な薬剤または成分は、同一のカプセル内で混合されうる。第二の有効な薬剤または成分は、上述したニコチン粉末と同様な平均直径サイズ範囲を持ちうる。
【実施例】
【0092】
以下に非限定的な実施例の非網羅的なリストを提供している。これらの実施例の特徴の任意の一つ以上は、本明細書に記載の別の実施例、実施形態、または態様の任意の一つ以上の特徴と組み合わされてもよい。
【0093】
実施例1:
エアロゾル形成基体の物質を気流の中に放出することによってエアロゾルを発生するための電気的に作動するエアロゾル発生装置であって、装置は、
装置を通して延び、装置内の気流を支持するように構成された空気経路と、
空気経路と流体連通して配設され、ユーザーが吸煙を行うときに、装置の使用時に気流が音響発生部材を通過することによって生じる音響を発生するように構成されている、音響発生部材と、
振動センサーを含む吸煙検出器であって、振動センサーは、空気経路とは流体的に分離され、音響発生部材から振動センサーに伝播する音響を検出し、それによって、ユーザーの吸煙を示す、装置を通した気流を検出することを可能にするように構成された、吸煙検出器と、を備える、電気的に作動するエアロゾル発生装置。
【0094】
実施例2:
音響発生部材は、音響発生変位構造を通過するときに気流を少なくとも部分的に変位するための音響発生変位構造を含む、実施例1によるエアロゾル発生装置。
【0095】
実施例3:
音響発生変位構造は、一つ以上の溝、または一つ以上の隆起、一つ以上のディンプル、または一つ以上の突出部のうちの少なくとも一つを含む、実施例2によるエアロゾル発生装置。
【0096】
実施例4:
一つ以上の溝の長さ延長部、または一つ以上の隆起の長さ延長部、または一つ以上の溝の長さ延長部および一つ以上の隆起の長さ延長部は、横断方向、特に装置の使用時に気流が音響発生部材を通過する方向に対して直角を成す、実施例3によるエアロゾル発生装置。
【0097】
実施例5:
一つ以上の溝、または一つ以上の隆起、または一つ以上の溝および一つ以上の隆起は、三角形形状、正弦波形状、または長方形形状のうちの一つを含む、実施例3または4のいずれか一つによるエアロゾル発生装置。
【0098】
実施例6:
隆起の高さ、または溝の深さのうちの少なくとも一つは、装置の使用時に気流が音響発生部材を通過する方向に、音響発生変位構造に沿って変化する、特に増大する、実施例3~5のいずれか一つによるエアロゾル発生装置。
【0099】
実施例7:
複数の溝、隆起、ディンプル、または突出部は、空気通路に沿って均等または不均等に分布する、実施例3~6のいずれか一つによるエアロゾル発生装置。
【0100】
実施例8:
音響発生部材、特に音響発生変位構造は、装置を通した空気経路の少なくとも一部分を画定する壁部材の一部である、またはそれと一体型である、実施例1~7のいずれか一つによるエアロゾル発生装置。
【0101】
実施例9:
音響発生変位構造は、周期的なパターンを含む、実施例2~8のいずれか一つによるエアロゾル発生装置。
【0102】
実施例10:
周期的なパターンは、0.1ミリメートル~2ミリメートル、特に0.2ミリメートル~1ミリメートル、好ましくは0.25ミリメートル~0.5ミリメートルの範囲内の周期長を有する、実施例9によるエアロゾル発生装置。
【0103】
実施例11:
周期的なパターンは、線形の周期的なパターンまたは非線形の周期的なパターンである、実施例8~10のいずれか一つによるエアロゾル発生装置。
【0104】
実施例12:
周期的なパターンは、一次元の周期的なパターン、特に複数の平行な溝または隆起のアレイである、実施例8~11のいずれか一つによるエアロゾル発生装置。
【0105】
実施例13:
周期的なパターンは、第一の方向に沿って第一の周期性を有する複数の平行な第一の溝または第一の隆起の第一のアレイ、および第二の方向に沿って第二の周期性を有する複数の平行な第二の溝または第二の隆起の第二のアレイを含む、実施例8~11のいずれか一つによるエアロゾル発生装置。
【0106】
実施例14:
第一の方向および第二の方向は、横断方向、特に互いに対して直角を成す、実施例13によるエアロゾル発生装置。
【0107】
実施例15:
周期的なパターンは、一つ以上の湾曲した、特にリング形状の溝、または一つ以上の湾曲した、特にリング形状の隆起のうちの少なくとも一つを含む、実施例8~10のいずれか一つによるエアロゾル発生装置。
【0108】
実施例16:
周期的なパターンは、複数のリング形状の溝、または複数のリング形状の隆起を形成する同心リングパターンを含む、実施例8~10のいずれか一つによるエアロゾル発生装置。
【0109】
実施例17:
周期的なパターンは、スパイラル形状の溝または隆起に形成されるスパイラルパターンを含む、実施例8~10のいずれか一つによるエアロゾル発生装置。
【0110】
実施例18:
周期的なパターンは、ハニカムパターンの輪郭を形成する複数の溝または隆起を含むハニカムパターンを含み得る、実施例3~10のいずれか一つによるエアロゾル発生装置。
【0111】
実施例19:
音響発生変位構造は、剛直な構造である、実施例2~18のいずれか一つによるエアロゾル発生装置。
【0112】
実施例20:
音響発生部材、特に音響発生変位構造は、装置を通した空気経路の少なくとも一部分を画定する壁部材とは分離した、特にこれに取り付けられた別個の部材または要素である、先行する実施例のいずれか一つによるエアロゾル発生装置。
【0113】
実施例21:
音響発生部材は、振動要素を通過する気流を定期的に中断するように構成された少なくとも一つの気流駆動型振動要素を含む、先行する実施例のいずれか一つによるエアロゾル発生装置。
【0114】
実施例22:
少なくとも一つの振動要素は、リード、またはラメラ、または一対のリードまたは一対のラメラを含む、実施例21によるエアロゾル発生装置。
【0115】
実施例23:
空気経路および音響発生部材は、装置の使用時に発生される音響が15キロヘルツ(kHz)を超える、好ましくは20キロヘルツ(kHz)を超える、より好ましくはキロヘルツ(kHz)を超える周波数範囲にあるように構成されている、先行する実施例のいずれか一つによるエアロゾル発生装置。
【0116】
実施例24:
振動センサーは、装置を通した空気経路から流体的に分離された装置の区画内に配設される、先行する実施例のいずれか一つによるエアロゾル発生装置。
【0117】
実施例25:
空気経路から流体的に分離された装置の区画は、装置環境と流体連通している、実施例24によるエアロゾル発生装置。
【0118】
実施例26:
空気経路から流体的に分離された装置の区画は、装置環境から、特に装置を包囲する周囲空気から流体密封される、実施例24によるエアロゾル発生装置。
【0119】
実施例27:
振動センサーは、マイクロフォン、加速度計、歪みゲージ、またはピエゾ変換器、または磁気音響変換器を含む、先行する実施例のいずれか一つによるエアロゾル発生装置。
【0120】
実施例28:
振動センサーは、装置を通した空気経路の少なくとも一部分を画定する壁部材の側面と対向する壁部材の側面に配設される、先行する実施例のいずれか一つによるエアロゾル発生装置。
【0121】
実施例29:
装置は、エアロゾル形成基体または基体を含むエアロゾル発生物品の少なくとも一部分を取り外し可能に受容するための受容空洞を備える、先行する実施例のいずれか一つによるエアロゾル発生装置。
【0122】
実施例30:
受容空洞は、エアロゾル形成基体またはエアロゾル発生物品が受容空洞の中に挿入され得る挿入開口部を含み得る、実施例29によるエアロゾル発生装置。
【0123】
実施例31:
空気経路は、受容空洞の内表面に少なくとも部分的に沿って、および/または受容空洞の少なくとも一部分を画定する壁を通して延びる、実施例29または30のいずれか一つによるエアロゾル発生装置。
【0124】
実施例32:音響発生部材は、受容空洞の遠位端部分内、特に受容空洞の遠位端面上に位置する、実施例29~31のいずれか一つによるエアロゾル発生装置。
【0125】
実施例33:吸煙検出器は、振動センサーの出力信号をフィルタリングするための一つ以上の電子フィルターを含む、先行する実施例のいずれか一つによるエアロゾル発生装置。
【0126】
実施例34:
吸入可能なエアロゾルを形成するように、エアロゾル形成基体の粒子または液滴を気流中に分散させるためのアトマイザーをさらに備える、先行する実施例のいずれか一つによるエアロゾル発生装置。
【0127】
実施例35:エアロゾル形成基体を加熱するための電気ヒーターをさらに備える、実施例1~33のいずれか一つによるエアロゾル発生装置。
【0128】
実施例36:
誘導ヒーターまたは抵抗ヒーターを含む電気ヒーターを備える、実施例35によるエアロゾル発生装置。
【0129】
実施例37:誘導ヒーターは、装置内、特に装置の受容空洞内に交番磁場を発生するための、インダクタ、特に誘導コイルを含む、実施例35によるエアロゾル発生装置。
【0130】
実施例38:
実施例のいずれか一つによるエアロゾル発生装置と、エアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品とを備え、物品の少なくとも一部分は、装置内、特に装置の受容空洞内に取り外し可能に受容可能であるか、または取り外し可能に受容される、エアロゾル発生システム。
【0131】
添付図面を参照しながら本発明の実施例をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0132】
【
図1】
図1は、本発明によるエアロゾル発生装置の第一の例示的な実施形態を断面図で概略的に図示する。
【
図3】
図3は、
図1によるエアロゾル発生装置の音響発生部材のさらなる詳細を示す。
【
図4】
図4は、
図1によるエアロゾル発生装置の音響発生部材の詳細を示す。
【
図5】
図5は、本発明によるエアロゾル発生装置の第二の例示的な実施形態を断面図で概略的に図示する。
【発明を実施するための形態】
【0133】
図1は、本発明によるエアロゾル発生システム1の第一の例示的な実施形態を概略的に図示する。システム1は、二つの主構成要素、すなわち電気的に作動するエアロゾル発生装置100および装置100とともに使用するためのエアロゾル発生物品190を備える。装置100は、物品190内に含まれるエアロゾル形成基体191を加熱するように構成されている。基体191は、加熱されたときに吸入可能なエアロゾルを形成し、使用時のシステム1を通過する気流中に放出される揮発性化合物を放出する能力を有する。
【0134】
エアロゾル発生装置100は、細長い形状を有し、遠位部分101および近位部分102を備える。近位部分102内に、装置100は、エアロゾル発生物品190の少なくとも一部分を受容するための、装置ハウジング110内に形成された受容空洞120を備える。遠位部分101内に、装置100は、電子機器、特にエアロゾル発生装置100に電力供給し、かつその動作を制御するためのコントローラ152を含む、電源150および電気回路151を備える。
【0135】
物品190は、従来の紙巻たばこの形状に類似したロッド形状を有する。本実施形態では、物品190は、同軸整列で次々と配設された四つの要素、すなわち基体要素192、支持要素193、エアロゾル冷却要素194、およびフィルター要素195を備える。基体要素192は、物品190の遠位端に配設され、加熱されるエアロゾル形成基体191を含む。エアロゾル形成基体191は、例えばエアロゾル形成体としてグリセリンを含む均質化したたばこ材料の捲縮したシートを含んでもよい。支持要素193は、中央空気通路を形成する中空コアを含む。冷却要素194は、大きな表面積および低い引き出し抵抗を有し、基体要素192から放出された揮発性化合物によって形成されたエアロゾルを、物品190の近位端に搬送する前に冷却することを可能にする。フィルター要素195は、マウスピースとして機能し、例えば、エアロゾルをフィルタリングするためのセルロースアセテート繊維を含み得る。四つの要素192、193、194および195は、実質的に円筒状の形状であり、ほぼ同じ直径を有する。要素は、円筒状のロッドを形成するように、紙巻たばこ用紙で作製された外側ラッパー196によって囲まれている。外側ラッパー196は、ラッパーの自由端が互いに重なり合うように、前述の要素の周りに巻かれてもよい。ラッパーは、ラッパーの重なり合った自由端を互いに接着する接着剤をさらに含んでもよい。
【0136】
物品190内の基体191を加熱するために、本発明によるエアロゾル発生装置100は、誘導加熱装置を備える。誘導加熱装置は、受容空洞120内に、交番磁場、特に高周波磁場を発生するための誘導コイル140を備える。高周波磁場は、500kHz(キロヘルツ)~30MHz(メガヘルツ)、特に5MHz(メガヘルツ)~15MHz(メガヘルツ)、好ましくは5MHz(メガヘルツ)~10MHz(メガヘルツ)の範囲内でありうることが好ましい。本実施形態では、誘導コイル140は、装置ハウジング110内に配設されたらせん状コイルである。コイル140は、受容空洞120の長さ軸と同軸に整列して、円筒状の空洞120の一部分を円周方向に包囲する。交番磁場は、物品190が空洞120内に受容されたときに誘導コイル140によって発生される磁場を経験するように、物品190のエアロゾル形成基体191内に配設されたサセプタ141を誘導的に加熱するために使用される。本実施形態では、サセプタ140は、エアロゾル形成基体191と物理的に直接接触するように、物品190の長さ軸に沿って基体要素192内に配設されたサセプタブレードである。
【0137】
したがって、誘導加熱装置が作動すると、高周波交流電流が誘導コイル140を通過し、交番磁場が空洞120内に発生する。サセプタ材料の磁性および電気的特性に応じて、交番磁場は、サセプタ141内に渦電流またはヒステリシス損失のうちの少なくとも一つを誘発する。結果として、サセプタ141は、エアロゾル形成基体191から揮発性化合物を気化するのに十分な温度に達するまで加熱される。気化した化合物は、放出されて、物品190の遠位端における基体要素192から支持要素193および冷却要素194を通り、フィルター要素195に向かって物品190を通して通過する気流中に同伴される。このようにして、気化した物質は冷却されて吸入可能なエアロゾルを形成し、その後、エアロゾルは物品190の近位端近位端におけるフィルター要素195を通して物品190から漏れ出得る。
【0138】
本発明によると、エアロゾル発生装置100は、システム1を通した気流を提供する空気経路180を備え、気流中に、吸入可能なエアロゾルを形成するために、エアロゾル形成基体の物質が放出され得る。
図1の湾曲した矢印180によって示されるように、本実施形態のエアロゾル発生物品システム1は、エアロゾル発生物品190を空洞120の中に挿入するために使用される受容空洞120の近位端の挿入開口部122から始まる空気経路を備える。そのため、挿入開口部122は、装置100の空気吸込み口としても機能する。空気経路180は、受容空洞120の遠位端面(底部)に向かって受容空洞120の内表面に沿ってさらに延びる。空気経路の後半部分は、空洞120の中に挿入されるのに伴い、受容空洞120の内表面とエアロゾル発生物品190の外周との間に形成される。さらに上述したように、空気経路の後半部分は、例えば、受容空洞120の内表面の一部であり、空洞120内の物品190の締付保持を提供するために使用される突出部(図示せず)の間の隙間(自由空間)によって提供されてもよい。受容空洞120の遠位端面(底部)において、空気経路は、エアロゾル発生物品190の基体要素192の中に入るように、
図1の湾曲した矢印181によって図示されるように、近位方向に再配向される。そこから、空気経路はさらに、エアロゾル発生物品190に関して上述したように、物品190の様々な要素192、193、194、および195を通って延び、最終的にシステム1から出る。
【0139】
その結果、ユーザーが吸煙を行うとき、すなわち、陰圧が、空洞120内に受容される物品190のフィルター要素195に印加されるとき、空気は、挿入開口部122のへりで受容空洞120の中へと引き込まれ、さらに空気経路に沿って、受容空洞120の遠位端において底部分の中へと引き込まれる。ここで、気流は、基体要素192を通してエアロゾル発生物品190に入り、さらに支持要素193、エアロゾル冷却要素194、およびフィルター要素195を通過し、最終的に物品190から出る。したがって、誘導加熱装置がオンになると、エアロゾル形成基体からの気化した材料は、基体要素192を通した気流中に同伴され、その後、エアロゾルを形成するように、支持要素193、エアロゾル冷却要素194、およびフィルター要素195を通して、そのさらなる経路上で冷却される。
【0140】
受容空洞120の底部における、エアロゾル発生物品190の中への気流の適正な再配向を可能にするために、エアロゾル発生装置100は、空洞120の中への物品190の挿入深さを制限し、それ故に、物品190が受容空洞120の遠位端面123に当接することを防止するように、受容空洞130の遠位端部分内に配設され得る一つ以上の端停止部(図示せず)を備え得る。
【0141】
上記でさらに述べた通り、適正な吸煙検出は、加熱プロセスの正確な制御を確実にするために重要である。このために、本実施形態によるエアロゾル発生装置100は、装置100の空気経路180、181を通した気流によって生じ、次いでユーザーが吸煙を行っていることを示す、音響を検出するための振動センサー170を含む吸煙検出器を備える。本実施形態では、振動センサー170は、マイクロフォン、例えば、可動コイルマイクロフォンである。
図1で分かる通り、振動センサー170は、装置100を通過する空気経路180、181から流体的に分離されて、受容空洞120の外側に配設される。分離された配設のために、振動センサー170は、温度および水分などの空気経路内の条件に曝露されない。特に、振動センサー170は、エアロゾル形成に由来する浮遊粒子または液滴から隔離され、それ故に任意の堆積から保護される。本実施形態では、上述のように、振動センサー170は、電源150およびコントローラ152を含む電子回路151も含む、遠位部分101内の区画125に配設される。区画125は、装置100の近位部分102内の受容空洞120から流体的に分離されている。
【0142】
装置100を通した気流を示し、ユーザーの吸煙を識別するために使用される音響効果を高めるために、エアロゾル発生装置100は、音響発生部材160をさらに備える。音響発生部材160は、上述の空気経路180、181と流体連通して配設され、ユーザーが吸煙を行うときに、気流が音響発生部材160を通過することによって生じる音響を発生するように構成されている。本実施形態では、音響発生部材160は、音響発生変位構造を通過するときに少なくとも部分的に気流181を変位させるように構成された、音響発生変位構造を含む。
【0143】
図2、
図3および
図4は、
図1による装置内に実装される音響発生変位構造161の詳細を示す。本実施形態では、音響発生変位構造161は、受容空洞120の遠位端に周期的なパターンで配設された、一次元の隆起162のアレイを含む(
図2~4は正確な縮尺ではない)。溝163は、二つの隣接する隆起106それぞれの間に形成される。隆起162の断面形状は、各隆起162がその上部に鋭利な縁を有するように、実質的に三角形である。
【0144】
したがって、気流182が音響発生変位構造161を通過するとき、
図2に示すように、気流182は、変位構造161の隆起162との衝突に起因して部分的に変位し、気流180の一部が乱流となる。このため、気流の運動エネルギー、すなわち、動圧力の一部は、
図3に示すように、複数の交互の高圧領域185および低圧領域186をもたらす静圧力に変換される。気流180内の断熱圧縮および減圧の交互のパターンは、音響波、すなわち、装置100を通して伝播する音響を生じさせる。音響発生変位部材161に由来して、音響波は、特に、受容空洞120を区画125から流体的に分離する壁部材111を通して伝播する。音響波は、振動センサー170に到達するまで、区画125内の空気を通してさらに伝播する。ここで、音響波(音響)が検出され、それ故に装置100を通した気流の存在を示し、これは次にユーザーが吸煙を行っていることを示す。このように、音響発生変位構造161は、壁部材、すなわち装置100を通した空気経路の少なくとも一部分を画定する壁部材111の一部である。
【0145】
振動センサー170に加えて、吸煙検出器は、振動センサー170に動作可能に連結され、振動センター170の出力信号を、受容空洞120内の気流の存在を示す信号に変換するように構成された電気回路をさらに含む。電気回路は、振動センサーの出力信号をフィルタリングするための一つ以上の電子フィルターをさらに含んでもよい。有利なことに、フィルタリングによって、異なるタイプのノイズ、特に振動センサー170によって検出される寄生ノイズを低減することが可能になり得る。吸煙検出器の電気回路は、コントローラ152を含む電気回路151の一体型の部品であってもよい。装置100を通した気流の存在を示す信号に基づいて、コントローラ152は、ユーザーが吸煙を行うときに、物品190中の基体191の加熱温度をある特定のレベルに維持するために、加熱プロセスの制御を調整してもよい。
【0146】
図4に示すように、音響発生変位構造161の周期的なパターンの長さ164は、気流182の速度に応じて特定の周波数範囲内の音響を発生するように選択される。例えば、音響発生変位構造161での気流182の速度が約10メートル/秒であり、変位構造161が0.25ミリメートルごとに現れる隆起162を含む場合、音響は約40キロヘルツ(kHz)の周波数を有する。この周波数は、人間の可聴周波数の範囲外であり、また、多くの動物、特にイヌやネコなどのペットの可聴周波数の範囲外でもある。
【0147】
図5は、本発明によるエアロゾル発生装置100の第二の実施形態を示す。この実施形態では、振動センサー270は、受容空洞220を区画225から流体的に分離する壁部材211に取り付けられている。すなわち、振動センサー270は、装置200を通した空気経路の少なくとも一部分を画定する壁部材211の側面に対向する壁部材211の側面に配設され、また、音響発生変位構造261を形成するか、または少なくともこれを支持する。結果として、振動センサー270は、音響発生変位構造261に、すなわち音源の近くに、特にこれらに直接連結される。有利なことに、この構成は、装置100を通して伝播する音響の検出可能性を高める。それ以外は、
図5による実施形態は、
図1~3に示す第一の実施形態と同一である。従って、同一または類似の特徴は同一の参照番号で示されているが、100だけ増分されている。
【0148】
本明細書および添付の特許請求の範囲の目的において、別途示されていない限り、量(amounts)、量(quantities)、割合などを表すすべての数字は、すべての場合において用語「約」によって修飾されるものとして理解されるべきである。また、すべての範囲は、開示された最大点および最小点を含み、かつそれらの任意の中間範囲を含み、これらは本明細書に具体的に列挙されている場合も列挙されていない場合もある。従って、この文脈において、数字AはA±5%として理解される。
【国際調査報告】