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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-30
(54)【発明の名称】係留のシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   B63B 21/04 20060101AFI20230323BHJP
【FI】
B63B21/04 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022547036
(86)(22)【出願日】2021-02-04
(85)【翻訳文提出日】2022-09-27
(86)【国際出願番号】 GB2021050240
(87)【国際公開番号】W WO2021160992
(87)【国際公開日】2021-08-19
(31)【優先権主張番号】2001866.9
(32)【優先日】2020-02-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522199479
【氏名又は名称】オービタル マリン パワー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ミラー、カラム
(72)【発明者】
【氏名】クラウストン、デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ヒューゴン、トーマス
(72)【発明者】
【氏名】アナル、ウィリアム
(57)【要約】
浮体式船を係留するための係留システムが開示される。係留システムは、係留索に取り付けるためのコネクタ構造体と、海底にアンカー固定されることになるアンカー構造体とを含む。アンカー構造体は、入口領域から終端領域まで延在する開口したガイド溝を備え、前記コネクタ構造体の少なくとも前記係合部分を収容するようにサイズ設定されている。コネクタとアンカー構造体とが接続および分離されている間に、ガイド溝に対する長手方向開口により、取付け部分に接続された係留索へのアクセスが提供される。接続および分離は、水面から制御することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浮体式船を係留するための係留システムであって、
係留索に取り付けるための取付け部分、および係合部分を有するコネクタ構造体と、
海底にアンカー固定されるように構成されたアンカー構造体と
を備え、
前記アンカー構造体が、入口領域から終端領域まで延在する開口したガイド溝であって、前記コネクタ構造体の少なくとも前記係合部分を収容するようにサイズ設定されたガイド溝を有し、
長手方向開口が、前記開口したガイド溝から上向きに延在しており、前記係合部分が前記ガイド溝内にあるときに、前記取付け部分に接続された係留索に対するアクセスを提供し、
前記係合部分が前記ガイド溝の前記終端領域に係合したとき、
少なくとも前記終端領域が、前記コネクタ構造体を支持するように構成されており、
前記入口領域から上向きにまたは離れるように前記ガイド溝から出る前記係合部分の動きに対抗して、前記係合部分が前記終端領域によって保持される、係留システム。
【請求項2】
前記長手方向開口が、前記終端領域の遠位方向に前記ガイド溝から延在している、請求項1に記載の係留システム。
【請求項3】
前記ガイド溝が、それらの間に延在する底面領域によって少なくとも部分的に画定されており、前記ガイド溝の少なくとも前記終端領域において概して上向きに配向されている、請求項1または2に記載の係留システム。
【請求項4】
前記ガイド溝が、概して互いに向かって配向された側面領域によって少なくとも部分的に画定されている、請求項1から3のいずれか1項に記載の係留システム。
【請求項5】
前記長手方向開口が、前記側面領域間で前記ガイド溝に沿って延在している、請求項4に記載の係留システム。
【請求項6】
前記コネクタ構造体の前記係合部分が降ろされて前記ガイド溝に入ることができるように、前記ガイド溝の前記入口領域が構成されていてよい、請求項1から5のいずれか1項に記載の係留システム。
【請求項7】
前記ガイド溝の少なくとも前記入口領域が傾斜を備えており、前記傾斜は、前記係合部分が降ろされて前記入口領域に入り、前記傾斜に載ったとき、前記係合部分を前記ガイド溝に沿って前記終端領域に向けて遠位方向に導くように配向されている、請求項6に記載の係留システム。
【請求項8】
前記入口領域が、接近軌道の範囲内からの前記係合部分を受けるように構成されており、前記ガイド溝が長手方向中心面を画定しており、前記長手方向中心面に対する横方向の接近軌道の範囲が、横方向にテーパ状の入口領域によって収容される、請求項1から7のいずれか1項に記載の係留システム。
【請求項9】
前記ガイド溝の前記終端領域が、前記コネクタ構造体の前記係合部分を受け、前記係合部分に、任意選択で協調的に、係合するための、少なくとも1つの受入れ形状部を備える、請求項1から8のいずれか1項に記載の係留システム。
【請求項10】
前記ガイド溝が、概して互いに向かって配向された側面領域と、それらの間に延在していて、概して上向きに配向された底面領域とによって少なくとも部分的に画定されており、一方または両方の側面領域の遠位部分が、前記受入れ形状部を画定している、請求項9に記載の係留システム。
【請求項11】
前記コネクタ構造体の前記係合部分が、前記受入れ形状部またはそれぞれの前記受入れ形状部に対応した係合形状部を備える、請求項9または10に記載の係留システム。
【請求項12】
前記係合形状部またはそれぞれの前記係合形状部が、回転可能要素を備える、請求項11に記載の係留システム。
【請求項13】
前記アンカー構造体がバラスト積載されており、前記アンカー構造体を海底に固定するための錨爪を備えており、かつ/または前記アンカー構造体が、ねじまたは杭によって海底に固定される、請求項1から12のいずれか1項に記載の係留システム。
【請求項14】
前記取付け部分が、これに取り付けられた前記係留索の横方向および/または垂直方向の動きを容易にするように適合されている、請求項1から13のいずれか1項に記載の係留システム。
【請求項15】
前記ガイド溝の入口部分に位置付けられ且つ前記ガイド溝の前記入口部分をブロックするようにサイズ設定された蓋構造体をさらに備える、請求項1から14のいずれか1項に記載の係留システム。
【請求項16】
前記コネクタ構造体の前記取付け部分に取り付けられる係留索を備える、請求項1から15のいずれか1項に記載の係留システム。
【請求項17】
前記コネクタ構造体に接続するための引き揚げ索を備える、請求項1~16のいずれか1項に記載の係留システム。
【請求項18】
係留索を海底に接続する方法であって、
係留索に取り付けられた取付け部分、および係合部分を有するコネクタ構造体と、海底にアンカー固定されたアンカー構造体とを用意する段階であって、前記アンカー構造体が、前記コネクタ構造体の少なくとも前記係合部分を収容するようにサイズ設定された開口したガイド溝を有し、長手方向開口が、前記開口したガイド溝から上向きに延在する、段階と、
前記コネクタ構造体の前記係合部分を降ろして前記ガイド溝の入口領域に入れるか、または前記係合部分を前記ガイド溝の入口領域に隣接するように降ろし、前記係合部分を概して水平方向に動かして前記入口領域に入れる段階と、
前記係合部分を前記ガイド溝に沿って、前記ガイド溝の前記入口領域から終端領域へ遠位方向に動かす段階と、
前記入口領域から上向きのまたは離れる方への前記係合部分の動きに対抗して、前記終端領域が、前記係合部分を保持するように、かつ前記コネクタ構造体を支持するように構成されるように、前記コネクタ構造体の前記係合部分を前記ガイド溝の前記終端領域に係合させる段階と、
前記ガイド溝に対する、前記入口領域から概して上向きにまたは遠位方向に離れる方向に、前記係留索を前記取付け部分から延在させる段階と
を備える方法。
【請求項19】
前記コネクタ構造体を、少なくとも部分的に引き揚げ索からまたは前記係留索から吊られた状態で、水柱を通して降ろす段階を備える、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記入口領域に入り、前記ガイド溝に沿って前記終端領域に向かう前記係合部分の動きが、水面においてまたは水面の上から制御される前記係留索および/または前記引き揚げ索によって行われてよい、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記コネクタ構造体を前記入口領域に入れかつ/または前記ガイド溝に沿って前記終端領域まで動かす間に、前記係留索および/または存在する場合には前記引き揚げ索のうちの1つまたは複数が、前記長手方向開口を介して前記コネクタ構造体に取り付けまたは接続される、請求項19または20に記載の方法。
【請求項22】
前記ガイド溝に沿った前記係合部分の動きの前、最中、または後に、前記係留索が、前記入口領域から離れるように遠位方向に延在する、請求項18から21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記係合部分を傾斜した入口領域に降ろす段階を備え、前記傾斜が、前記係合部分を前記ガイド溝の前記終端領域に向かって偏向させる、請求項18から22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
係留索を分離する方法であって、
係留索に取り付けられた取付け部分、および係合部分を有するコネクタ構造体と、海底にアンカー固定されたアンカー構造体とを用意する段階であって、前記アンカー構造体が、開口したガイド溝であって、前記開口したガイド溝から上向きに延在する長手方向開口を含むガイド溝を有し、
前記ガイド溝の終端領域が、対抗して前記係合部分を保持し、前記コネクタ構造体を支持するように構成されるように、前記係合部分が前記終端領域に係合し、前記係留索が、前記ガイド溝に対して、前記ガイド溝の入口領域から概して上向きにまたは遠位方向に離れる方向に、前記取付け部分から延在する、段階を備え、
前記方法が、
前記係合部分を前記ガイド溝に沿って、前記終端領域から前記ガイド溝の前記入口領域に近位方向に動かす段階と、
前記コネクタ構造体の前記係合部分を引き揚げて前記ガイド溝の前記入口領域から出すか、または前記係合部分を概して水平方向に動かして前記入口領域から出す段階と
を備える方法。
【請求項25】
前記コネクタ構造体が、前記係留索を介して前記ガイド溝から出るように動かされる、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記入口領域に蓋構造体を挿入する段階、および/または前記入口領域から蓋構造体を取り外す段階を備える、請求項18から25のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船、特に洋上の再生可能エネルギー施設、詳細には潮汐タービンなどの永久的または半永久的に位置する船を係留するための係留システム、ならびに係留索を遠隔で係合および解放する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
再生可能エネルギー発生施設または石油およびガスの生産施設などの洋上設備は、永久的または半永久的に(すなわち、連続して数ヶ月または数年にわたって)施設にアンカー固定される浮体式船を含んでよい。
【0003】
そのような船の係留索は、浮体式船を動かすように作用する潮汐、波、および水面状態に起因して浮体式船に加えられる力に抵抗することが必要である。
【0004】
海中状態により、特に海洋環境において、係留索が劣化することがあり、定期的な検査およびメンテナンス(交換を含む)が必須である。
【0005】
EP1882106またはEP2800685に記載されているものなど、従来の分離可能なアンカー固定システムは、遠隔作業機(ROV)を使用して、接続および分離するように適合されている。また従来のシステムは、特に石油およびガスの生産用途で必要とされるものと同様に、軸を中心とした回転および/または事前定義された負荷を上回ると解放可能であることなど、特定用途に固有の要件を満たすように設計されることがある。さらなる例がJPS60240594に記載されており、この例では、ケーブルの端部のソケットが、海底にアンカー固定された直立管のスロット開口を通して受けられ、ケーブルの張力により、管の閉じた上端において保持されることが可能である。この構成の問題は、ケーブルとソケットとを正確に位置決めすることが設置に必要であり、ケーブルに十分な張力が維持されない限り、ケーブルおよびソケットが管から外れやすくなることである。
【0006】
分離可能なアンカーシステムの操作の複雑さおよび(例えばROVを配置するための)関連コストを低減する必要性が、依然として存在している。
【発明の概要】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、浮体式船を係留するための係留システムであって、
係留索に取り付けるための取付け部分、および係合部分を有するコネクタ構造体と、
海底にアンカー固定されるように構成されたアンカー構造体と
を備え、
前記アンカー構造体が、入口領域から終端領域まで延在する開口したガイド溝であって、前記コネクタ構造体の少なくとも前記係合部分を収容するようにサイズ設定されたガイド溝を有し、
長手方向開口が、前記開口したガイド溝から上向きに延在しており、前記係合部分が前記ガイド溝内にあるときに、前記取付け部分に接続された係留索に対するアクセスを提供し、
前記係合部分が前記ガイド溝の前記終端領域に係合したとき、
少なくとも前記終端領域が、前記コネクタ構造体を支持するように構成されており、
前記入口領域から上向きにまたは離れるように前記ガイド溝から出る前記係合部分の動きに対抗して、前記係合部分が前記終端領域によって保持される、係留システム。
【0008】
コネクタ構造体は、コネクタ構造体とアンカー構造体とを接続するために、ガイド溝に沿って入口領域を介して終端領域まで動く。コネクタ構造体が係留索に取り付けられている間に、ガイド溝の上側開口により、そのような動きを行うことが実現される。
【0009】
コネクタ構造体の係合部分がガイド溝の端部の終端領域に係合したとき、コネクタ構造体は、入口領域に向けた逆方向においてのみ、ガイド溝から取り外すことができる。入口領域から離れる方への、またはガイド溝から出るように上向きへの、係合部分のさらなる動きが防止される。
【0010】
係留船(永久的または半永久的に係留される船など)は、船から距離を置いて海底に位置付けられた、すなわち船のすぐ下にはない1つまたは複数のアンカーまで延在する1つまたは複数の係留索を介して、係留されてよい。水面にある係留船の限られた動きを許容するため(潮汐、うねりなどを許容するため)に、係留索には、ある程度のたるみが設けてある。海底において、係留索を介してアンカーに加えられる力は、概して海底に沿っており、または船がアンカーから離れるように動く場合には、海底に対して角度をなして力が加えられることがある。係合部分と終端領域との係合により、コネクタ構造体がアンカー構造体から係合解除されることが防止されるように、係留システムを係留索に対して配向することができる。
【0011】
また、終端領域は、コネクタ構造体の少なくとも係合部分を支持(すなわち、その重量を支持)するように構成されており、それによりコネクタ構造体の係合部分は、入口部分に向かって付勢されない限り終端領域に保たれることになる。したがって使用時に、コネクタ部分は、これに取り付けられた係留索がたるんだときでも、アンカー構造体に連結された状態に保たれる。海流が係留船の位置を大きく変動させることがある潮汐のある場所において、このことは特に有益である。
【0012】
概して平坦な海底に位置する配向にアンカーセクションがあるときに、終端領域は、そのような支持を係合部分に対して提供するように構成されていることが理解される。
【0013】
いくつかの実施形態において、アンカー構造体に対する、入口領域から上向きのまたは離れる方への係合部分の動きに対抗して、コネクタ構造体の少なくとも係合部分は、終端領域によって保持される。
【0014】
係留システムは、係留索コネクタの一部分または係留索自体がガイド溝から出て延在している間に、接続を確立できる点で、従来の分離可能な係留またはアンカーと対照的である。いくつかの実施形態において、係留索コネクタは、単に係留索を介して水面からこのように接続されることが可能なので、高価な配置方法(ROVを使用することなど)が必要なくなる。
【0015】
ひいては、水面からの接続および分離が容易なことにより、より短い耐用寿命を有するより細い係留索の使用が可能になることがある。
【0016】
係合部分がガイド溝の終端領域に係合しているとき、取付け部分は、(海底に対して)概して上向きに延在する係留索に取り付けられていてよい。係留索とコネクタ構造体とのそのようなアクセスは、長手方向開口によって提供される。
【0017】
長手方向開口は、ガイド溝から終端領域の遠位方向に延在してよい。したがって、コネクタ構造体は、終端領域と係合したとき、終端領域から遠位方向に概して海底に沿ってかつ/または上向きおよび遠位方向に角度をなして延在する係留索に接続されていてよい。
【0018】
本明細書における「近位」および「遠位」および同様の用語は、ガイド溝に沿って入口領域から終端領域に向かう方向の参照フレームから参照されている。
【0019】
終端領域および/またはそこから延在するガイド溝の一部分など、ガイド溝の少なくとも一部分は、概して水平方向に延在してよい。こうして使用時に、係合部分は、使用時にガイド溝の前記少なくとも一部分に沿って概して水平方向に動かされてよい。
【0020】
ガイド溝は、適切に配向された表面領域によって画定されてよい。それぞれの前記表面領域は、単一の表面または複数の表面を備えてよい。表面領域は、管状構造によってなど、網状の表面によって画定されてよい。
【0021】
ガイド溝は、概して互いに向かって配向されていてよい側面領域によって、少なくとも部分的に画定されてよい。
【0022】
ガイド溝は、概して上向きに配向された底面領域を、例えば少なくとも終端領域に備えていてよい。
【0023】
底面領域は、溝の全体または一部分に沿って、ガイド溝の全体にわたって延在してよい。底面領域は、溝の全体または一部分に沿って、ガイド溝の一部にわたって延在してよい。
【0024】
底面領域は、ガイド溝の少なくとも一部分に沿って側面領域間に延在してよい。
【0025】
長手方向開口は、側面領域間に、ガイド溝に沿って、任意選択でその終端領域の遠位方向に延在してよい。
【0026】
終端領域において、底面領域は、長手方向開口の一方の側または両側(すなわち横方向)に延在してよい。
いくつかの実施形態において、底面領域は、ガイド溝の入口領域において側面領域間に延在しており、ガイド溝の終端領域において、底面領域は、側面領域から長手方向開口のいずれかの側まで延在してよい。
【0027】
垂直な長手方向中心面(longitudinal plane of symmetry)が、ガイド溝に沿って延在してよく、ガイド溝および任意選択でアンカー構造体全体が、長手方向面を中心として対称であってよい。
【0028】
コネクタ構造体の係合部分が降ろされてガイド溝に入ることができるように、ガイド溝の入口領域が構成されてよい。
【0029】
係合部分が入口領域に隣接するように降ろされ、次いで概して水平方向(遠位方向)に動かされてガイド溝に入れられるように、ガイド溝の入口領域が構成されてよい。
【0030】
ガイド溝の少なくとも入口領域は、傾斜を含んでいてよい。傾斜は、底面領域の一部分によって画定されてよい。
【0031】
係合部分が降ろされて入口領域に入り、傾斜に載ったとき、傾斜は、係合部分をガイド溝に沿って終端領域に向けて遠位方向に導くように配向されていてよい。
【0032】
傾斜は、水平面に対して、約40°~80°、または約50°~70°、または約45°、50°、66°、60°、または65°などの角度を成していてよい。
【0033】
傾斜は、平坦な輪郭を有していてもよいし、湾曲していてもよい(例えば放物線状)。
【0034】
傾斜した入口領域は、平坦な領域(すなわち、概して海底に沿って延在している領域)まで延在してよい。
ガイド溝の平坦な領域は、終端領域を含んでよい。
【0035】
傾斜した入口領域と平坦な領域との間、任意選択で平坦な終端領域との間での遷移は、急であってもよいし(すなわち、角を含んでいてもよいし)、またはゆるやかであってもよい(すなわち、傾斜から平坦へ滑らかな遷移を含んでいてもよい)。
【0036】
いくつかの実施形態において、ガイド溝の終端領域(および/または任意の中間領域)は、(同じまたは異なる角度で)傾斜していてよい。ガイド溝全体が傾斜していてよい。
【0037】
ガイド溝の傾斜したそれぞれの領域の傾斜の傾きは、一定であってもよいし異なっていてもよい。例えば傾斜は、ガイド溝に長手方向に沿った方向において湾曲していてよい。
【0038】
入口領域は、接近軌道の範囲内からの係合部分を受けるように構成されていてよい。
【0039】
長手方向面における軌道の範囲は、本明細書で開示するように、側面領域の一部分の間に延在する傾斜した入口領域によって収容されてよい。こうして入口領域は、垂直平面から見たとき、底面領域に向かってテーパ状になっていてよい。したがって、コネクタ構造体の係合部分は、傾斜から近位方向に延在した軌道と入口領域の最も遠位の部分(通常は、終端領域の最も近位の部分に一致する)から垂直方向に延在した軌道との間の、軌道の長手方向範囲内から、入口領域に接近することができる。
【0040】
入口領域の最上部分は、長手方向面において、係合部分よりも遠くに延在していてよい。こうして、係合部分と入口領域との間の(長手方向面に対する)角度の範囲も、収容されてよい。
【0041】
長手方向中心面に対する横方向軌道の範囲は、横方向にテーパ状の入口領域によって収容されてよい。例えば、入口領域を画定する側面領域の部分は、ガイド溝に沿って遠位方向に収束してよい。
【0042】
入口領域は、ガイド溝の終端領域に向かって遠位方向にテーパ状になった、開口した漏斗またはシュートとして、概して形成されてよい。
【0043】
中間領域および/または終端領域はテーパ状であってよく、例えばその側面領域がテーパ状であってよい。入口領域のテーパは、終端領域に向かって継続していてよい。ガイド溝全体がテーパ状であってよい。
【0044】
ガイド溝の終端領域は、底面領域の遠位部分およびそれぞれの側面領域の遠位部分によって画定されてよい。
【0045】
終端領域は、コネクタ構造体の係合部分を受け、その係合部分(例えば、本明細書に開示する係合形状部)に係合するための少なくとも1つの受入れ形状部を備えていてよい。
【0046】
少なくとも1つの側面領域の遠位部分が、受入れ形状部を画定してよい。
【0047】
それぞれの側面領域の遠位部分が、受入れ形状部を画定してよい。受入れ形状部は、互いに同じであることが好都合である。アンカー構造体は、1つまたは複数のさらなる受入れ形状部を、ガイド溝の遠位端にわたって備えていてよい。
【0048】
受入れ形状部は、係合部分と協調的に係合するように構成されていてよい。
【0049】
その受入れ形状部またはそれぞれの受入れ形状部は、ガイド溝のそれぞれの側において、角張ったまたは丸みを帯びた凹部、長手方向スロットなどの形を取ってよい。使用時、コネクタ構造体の係合部分は、遠位方向へのさらなる動きを防止するように、受入れ形状部またはそれぞれの受入れ形状部に当接してよく、その受入れ形状部またはそれぞれの受入れ形状部は、アンカー構造体に対する係合部分の上向きの動きを防止するように、その少なくとも一部分の上方に延在してよい。それにより、コネクタ構造体は、アンカー構造体に対して入口領域から上向きのまたは離れる方への係合部分の動きに対抗して、終端領域によって保持される。
【0050】
アンカー構造体は、ガイド溝を画定するガイドセクションを備えていてよい。アンカー構造体は、海底に固定されるように適合された底部セクションを備えていてよい。
【0051】
アンカー構造体は、バラスト積載されるように適合されてよい。
【0052】
アンカー構造体は、バラストおもりをこれに置くまたは固定するのに適した場所を備えていてよい。
【0053】
アンカー構造体の少なくとも一部分は中空構造であってよく、バラスト材料で充填されるように適合されていてよい。
【0054】
アンカー構造体の少なくとも一部分は、金属ブロックなどのバラスト材料のブロックから機械加工または鋳造されてよい。例えば、ガイド溝を画定するアンカー構造体の1つまたは複数の部分は、バラスト材料から機械加工または鋳造されてよい。
【0055】
アンカー構造体(その底部セクションなど)は、アンカー構造体を海底に固定するための錨爪をさらに備えていてよい。
代替的にまたはそれに加えて、ねじ、杭などが、アンカー構造体を海底に固定するために使用されてよい。
【0056】
アンカー構造体は、任意の適切な構造を有していてよい。例えば、アンカー構造体の少なくとも一部分は、桁、管状体、バー、または梁などから構築されてよい。
【0057】
アンカー構造体は、安定した、いくつかの実施形態においては概して平坦なプラットフォームを海底に提供するように適合されてよい。底部セクションは、例えば細長い1つまたは複数の梁を備えていてよく、ガイドセクションがそれに取り付けられてよい。ガイドセクションは、底部セクションに直接取り付けられてもよいし、または支持フレームワークによってそこから間隔を置いて取り付けられてもよい。
【0058】
ガイドセクションは、単一構造であってもよいし、中空構造であってもよいし、またはそれ自体が、梁、バー、管状体などのフレームワークから構築されてもよい。ガイド溝は、1つまたは複数のガイド表面によって画定されてもよいし、または前記フレームワークの表面によって画定されてもよい。
【0059】
アンカー構造体の1つまたは複数の部分は、本明細書に開示するように、バラスト材料を受けるための中空構造であってよい。
【0060】
コネクタ構造体の係合部分は、前記受入れ形状部に対応した係合形状部を備えていてよい。係合形状部は、前記受入れ形状部と協調的に係合するように構成されていてよい。
【0061】
係合部分は、そこから横方向に延在した係合形状部を備えていて、その側面領域またはそれぞれの側面領域によって画定された受入れ形状部に係合してよい。
【0062】
ガイド溝が横方向に(長手方向中心面を中心として)対称である実施形態において、コネクタ構造体は、それ自体の長手方向面を中心として横方向に対称であってよく、アンカー構造体とコネクタ構造体とが互いに係合したとき、ガイド溝およびコネクタ構造体の長手方向面は一致してよい。
【0063】
横方向に延在する係合形状部は、ペグまたは他の適切な突出部を備えていてよい。横方向に延在する係合形状部は、例えば、長手方向面に対して垂直な軸線を中心として回転可能な回転可能要素を備えていてよい。横方向に延在する係合形状部は、例えば心棒と、心棒を中心としたブッシュまたは軸受とを備えていてよい。
【0064】
ブッシュまたは軸受などの回転可能要素は、ガイド溝に沿って係合部分を動かすとき補助してよい。時が経つにつれ、(例えば潮汐またはうねりの中の)係留索に加えられる異なる張力によって生じる動きは、回転可能な係合形状部を中心としたコネクタ構造体の回転によって促進されて、二面間の摩耗が低減する。
【0065】
取付け部分は、簡単なアイレット、または2つ以上のアイレットなど、係留索への接続のための任意の適切な手段を含んでよい。取付け部分は、これに取り付けられた係留索の横方向および/または垂直方向の動きを容易にするように適合されていてよい。
【0066】
例えば、取付け部分は、ユニバーサルジョイント、1つまたは複数のHプレート(任意選択でその端部に互いに直交するアイレットを有する)、または係留索を取り付けるための他の適切な手段を備えていてよい。
【0067】
取付け部分は、コネクタ構造体を通って延在する前記長手方向面に対して対称に配置されていてよい。そのような対称性により、アンカー構造体との接続中および分離中に、コネクタ構造体の平衡を保ちそれを配向することが補助されてよい。
【0068】
コネクタ構造体は、取付け部分と係合形状部との間で概して三角形の構成を備えていてよい。
【0069】
コネクタ構造体は、引き揚げ索を接続するための1つまたは複数のさらなるコネクタを備えていてよい。引き揚げ索コネクタは、解放可能であってよい。コネクタは、遠隔で解放可能であってよい。
【0070】
引き揚げ索の遠隔分離のための任意の適切な構成、例えば引き揚げ索とともに配置されてよい制御索によって制御される構成が、使用可能である。例えば、引き揚げ索は、1つまたは複数の液圧式の制御索を介して動力供給される液圧作動式のピンを介して、解放されることが可能である。引き揚げ索は、引き抜き索によって制御される遠隔で解放可能なフックを備えていてよい。いくつかの実施形態において、引き揚げ索は、いわゆる「エンドレス索」として構成されてよく、コネクタ構造体またはそのアイレットの周りに固定され、水面に向かって上に折り返されてよい。
【0071】
いくつかの実施形態において、再接続が、同様の手段によって遠隔で確立されてよい。
【0072】
使用時、コネクタ構造体は、引き揚げ索に接続され、水柱を通って入口領域内に降ろされてよい。この目的のために、コネクタ構造体は、さらにまたは代替的に係留索にも接続されてよい。代替的に、引き揚げ索は、水柱内でコネクタ構造体の位置を制御するために主に使用されてよく、係留索は、ガイド溝に沿って係合部分をガイドするための、付加的な制御のために使用されてよい。
【0073】
取付け部分においてまたはその近位で、コネクタ構造体に接続するための、専用の(任意選択で係留索よりも軽量な構造の)ガイド索も利用されてよい。
【0074】
係留システムは、ガイド溝の入口部分に位置付けられそれをブロックするようにサイズ設定された蓋構造体を含んでいてよい。蓋構造体は、ガイド溝にわたって全体的に延在していてよい。
【0075】
蓋構造体は、任意選択で、ガイド溝の入口部分に置かれて、ガイド溝を画定する前記表面領域の汚れ(例えば、沈泥または海洋生物の堆積)を軽減してよい。蓋構造体は、使用時にガイド溝の入口部分に向かう近位方向への係合部分の動きにも抵抗してよい。蓋構造体は、ガイド溝の終端領域から離れる係合部分の動きを防止するかそれに抵抗してよい。
【0076】
蓋構造体は、任意の適切な構造であってよいが、入口部分を最も効果的に汚れから保護するように、中空または中実の構造であることが好都合である。蓋構造体は、バラスト積載されるか、バラスト積載されるように適合されてよい。蓋構造体の上部には、(解放可能であってよく、任意選択で遠隔で解放可能であってよい)コネクタが設けてあり、このコネクタにより、使用時に蓋構造体が上げ下げされてよい。
【0077】
係留システムは、コネクタ構造体の取付け部分に取り付けられる係留索を備えていてよい。係留索は、編組ケーブル、チェーンなどであってよい。
【0078】
係留システムは、コネクタ構造体に接続するための引き揚げ索を備えていてよい。引き揚げ索は、編組ケーブル、チェーンなどであってよい。
【0079】
係留索は、係留船に加えられる力に耐えるために、比較的重い構造であってよい。引き揚げ索は、係留索に比べて軽量の構造であってよく、いくつかの実施形態において、コネクタ構造体の動きは、より軽い重量の引き揚げ索を使用してより簡単に制御されてよい。同様の考えが、蓋構造体を動かすため、またはアンカー構造体、バラストなどを配置するために使用される引き揚げ索にも当てはまり、これについては以下でさらに詳細に考察する。
【0080】
係留システムは、アンカー構造体、コネクタ構造体、および存在する場合には蓋構造体を上げ下げするのに必要になるような水面装置を備えていてよい。水面装置は、機械的ウィンチを備えていてよい。水面装置は、係留索、および/または引き揚げ索の任意のガイド索に加えられる力を動かす際に使用するための、1つもしくは複数の船および/または1つもしくは複数のフロートを備えていてよい。
【0081】
本発明の第2の態様によれば、係留索を海底に接続する方法であって、
係留索に取り付けられた取付け部分、および係合部分を有するコネクタ構造体と、海底にアンカー固定されたアンカー構造体とを用意する段階であって、前記アンカー構造体が、前記コネクタ構造体の少なくとも前記係合部分を収容するようにサイズ設定された開口したガイド溝を有し、長手方向開口が、前記開口したガイド溝から上向きに延在する、段階と、
前記コネクタ構造体の前記係合部分を降ろして前記ガイド溝の入口領域に入れるか、または前記係合部分を前記ガイド溝の入口領域に隣接するように降ろし、前記係合部分を概して水平方向に動かして前記入口領域に入れる段階と、
前記係合部分を前記ガイド溝に沿って、前記ガイド溝の前記入口領域から終端領域に遠位方向に動かす段階と、
前記入口領域から上向きのまたは離れる方への前記係合部分の動きに対抗して、前記終端部分が、前記係合部分を保持するように、かつ前記コネクタ構造体を支持するように構成されるように、前記コネクタ構造体の前記係合部分を前記ガイド溝の前記終端部分に係合させる段階と、
前記ガイド溝に対する、前記入口領域から概して上向きにまたは遠位方向に離れる方向に、前記係留索を前記取付け部分から延在させる段階と
を備える方法。
【0082】
係留索が取付け部分に接続されている間に、係合部分は、ガイド溝に沿って遠位方向に、ガイド溝の入口領域から終端領域に動かされることが理解される。長手方向開口は、この方法全体の間に、係留索が取付け部分に接続された状態を保つためのアクセスを提供する。係留索は、例えば、コネクタ構造体を旋回させるように動かされることが必要になる場合があり、ガイド溝への長手方向開口は、そのようなアクセスを提供する。
【0083】
係留索が入口領域から概して遠位方向に離れる方向に延在しているとき、張力は、概して海底に沿って係留索を介して加えられ、コネクタ構造体をアンカー構造体と係合した状態に保持するように作用する。
【0084】
コネクタ構造体とアンカー構造体との間に加えられる力の主成分が、それらを互いに係合した状態に保持するように作用することを前提として、方向の範囲は、「入口領域から概して遠位方向に離れる方向」という用語によって包含されることが理解される。係留索が延在する先にある船が、水面上を動く場合、力の上向きの成分は、係留索を介して加えられてよい。係合部分とガイド溝の終端領域との係合により、コネクタ構造体がガイド溝から取り外されることが防止される。
【0085】
方法は、ガイド溝の少なくとも一部分に沿って概して水平方向に、係合部分を動かす段階を備えてよい。例えば、本明細書で開示するように、係合部分は、概して水平方向に動かされて終端領域と係合し、かつ/または係合部分は、傾斜した入口部分に沿って、ガイド溝の概して水平な部分に導かれてよい。
【0086】
方法は、水柱を通してコネクタ構造体を降ろす段階を備えてよい。コネクタ構造体は、少なくとも部分的に前記係留索から吊られた状態で、水柱を通して降ろされてよい。コネクタ構造体は、少なくとも部分的に引き揚げ索から吊られた状態で、水柱を通して降ろされてよい。方法は、引き揚げ索を(本明細書で開示する1つまたは複数のコネクタを介して)コネクタ構造体に取り付ける段階を備えてよい。
【0087】
前記入口領域に入り、前記ガイド溝に沿って前記終端領域に向かう前記係合部分の動きが、前記係留索および/または存在する場合には前記引き揚げ索によって行われてよい。
【0088】
いくつかの実施形態において、ガイド索も、コネクタ構造体に(任意選択で水面において)接続されてよく、水柱を通って入口領域に入りかつ/またはガイド溝に沿ったコネクタ構造体の動きが、少なくとも部分的にガイド索によってガイドされてよい。
【0089】
水柱を通って入口領域に入りかつ/またはガイド溝に沿って終端領域に向かうコネクタ構造体の動きは、水面においてまたは水面の上から制御されてよい。
【0090】
方法は、前記係留索、引き揚げ索、および/またはガイド索を配置および/または回収する段階を備えてよく、それにより方法の1つまたは複数の段階を実施する。方法は、前記係留索、引き揚げ索、および/またはガイド索に力を加えるように水面の船を動かす段階を備えてよく、それにより方法の1つまたは複数の段階を実施する。方法は、係留索、ガイド索、およびまたは引き揚げ索を介して、コネクタ部分を引くまたは引きずる段階を含んでよい。
【0091】
前記コネクタ構造体を前記入口領域に入れかつ/または前記ガイド溝に沿って前記終端領域まで動かす間に、係留索、引き揚げ索、および/またはガイド索のうちの1つまたは複数は、前記長手方向開口を介して前記コネクタ構造体に取り付けまたは接続されてよい。
【0092】
前記コネクタ構造体を前記入口領域に入れかつ/または前記ガイド溝に沿って前記終端領域まで動かす間に、係留索、引き揚げ索、ガイド索、および/または取付け部分のうちの1つまたは複数は、前記長手方向開口を通って延在してよい。
【0093】
コネクタ部分を動かす段階を含む段階は、ROVおよび/または潜水要員の使用を含まない。
【0094】
前記ガイド溝に沿った前記係合部分の動きの前、最中、または後に、前記係留索は、入口領域から遠位方向に離れるように延在してよい。
【0095】
方法は、少なくともある長さの係留索を海底に沿って横たえる段階を備えてよい。
【0096】
長手方向開口は、終端領域の遠位方向にガイド溝から延在してよく、方法は、係留索を取付け部分から、海底に沿ってなど概して水平方向に延在させる段階を備えてよい。
【0097】
方法は、前記係合部分を傾斜した入口領域に降ろす段階を備えてよく、前記傾斜が、前記係合部分を前記ガイド溝の前記終端領域に向かって偏向させる。
【0098】
方法は、水面の上で係留索を取付け部分に(任意の適切な手段により)接続する段階を備えてよい。
【0099】
方法は、アンカー構造体を海底にアンカー固定する段階を備えてよい。アンカー固定は、バラスト積載(例えば、アンカー構造体にバラストおもりを置く)、海底への穴開け杭打ち、海底への錨爪の突き刺し、または当技術分野において知られている任意の他の適切なアンカー固定方法のうちの1つまたは複数によって、実施されてよい。
【0100】
方法は、水柱を通して、例えば引き揚げ索により、アンカー構造体を降ろす段階を備えてよい。
【0101】
方法は、コネクタ構造体および/またはアンカー構造体から引き揚げ索を分離する段階を含んでよい。そのような分離は、引き揚げ索を外に出してたるみを導入し、それにより、制御索を使用することによって、またはエンドレス索によってなど、引き揚げ索を1つまたは複数のコネクタから「フックを外す」ことにより達成されてよい。
【0102】
ガイド溝は、垂直な長手方向中心面を備えていてよい。方法は、長手方向面から離れる横方向軌道の範囲内の軌道に沿って、係合部分を動かして入口領域に入れる段階を備えてよい。方法は、ガイド溝のテーパ状の入口領域に係合部分を接触させる段階を含んでよく、係合部分は、テーパ状入口領域に接して摺動するかそれに沿って転がり、それにより終端領域に向かってガイドされる。
【0103】
方法は、蓋構造体を入口領域に挿入する段階を備えてよい。
【0104】
方法は、係合部分を後で動かして入口領域に入れられるようにするために、入口領域から前記蓋構造体を取り外す段階をさらに備えてよい。
【0105】
蓋構造体は、引き揚げ索を使用して挿入および/または取り外しされてよい。
【0106】
したがって方法は、蓋構造体から引き揚げ索を接続および/または分離する段階を備えてよい。コネクタ構造体に対して引き揚げ索が使用される実施形態においては、蓋構造体に対して同じまたは異なる引き揚げ索が使用されてよい。
【0107】
引き揚げ索の接続および/または分離は、海底上の水面で実施されてよい。海底での蓋構造体に対する/からの引き揚げ索の分離および/または接続は、水面から制御されてよい。
【0108】
方法は、第1の態様の係留システムの使用を備えてよい。
【0109】
方法は、WO2018/115806に記載の浮体式動力発生装置などの係留船を備えてよい。方法は、係留索の近位端を船に接続する段階を備えてよい。これは、コネクタ構造体を水柱に通して降ろす前、または後(例えば、コネクタ構造体がアンカー構造体に係合した後)に行われてよい。係留索の近位端は、例えば係留システムを配置するための配置船から、係留されることになる船に移しかえられてよい。
【0110】
方法は、2つ以上の係留索、例えば単一の船から延在する2つ以上の係留索を接続する段階を備えてよい。
【0111】
本発明の第3の態様によれば、係留索を分離する方法が提供される。係留索の分離は、第2の態様の方法の段階を逆の順序で行う段階を備えてよい。
【0112】
係留索を分離する方法は、
係留索に取り付けられた取付け部分、および係合部分を有するコネクタ構造体と、海底にアンカー固定されたアンカー構造体とを用意する段階であって、前記アンカー構造体が、開口したガイド溝であって、前記開口したガイド溝から上向きに延在する長手方向開口を含むガイド溝を有し、
前記係合部分が前記ガイド溝の前記終端領域に係合し、前記係留索が、前記ガイド溝に対して、前記ガイド溝の入口領域から概して遠位方向に離れる方向に、前記取付け部分から延在する、段階を備え、
前記方法が、前記係合部分を前記ガイド溝に沿って、前記終端領域から前記ガイド溝の前記入口領域に近位方向に動かす段階と、
前記コネクタ構造体の前記係合部分を引き揚げて前記ガイド溝の前記入口領域から出すか、または前記係合部分を概して水平方向に動かして前記入口領域から出す段階とを備える。
【0113】
いくつかの実施形態において、方法は、係留索が入口領域から概して遠位方向に延在している間に、アンカー構造体からコネクタ構造体を分離する段階を備えてよい。例えば、方法は、コネクタ構造体に引き揚げ索を接続し、コネクタ構造体を終端領域から離れるように近位方向に動かして入口領域から出す段階を備えてよい。
【0114】
いくつかの実施形態において、方法は、係留索が入口領域に向かって概して上向きおよび/または近位方向に延在するように、それを動かす段階を備えてよい。
【0115】
方法は、少なくとも部分的に、係留索を引くことにより、コネクタ構造体を終端領域から離れるように近位方向に動かして入口領域から出す段階を備えてよい。代替的にまたはそれに加えて、引き揚げ索および/またはガイド索が使用されてよい。
【0116】
本発明は、海洋用途に限定されず、湖、河川、河口などを含む任意の水域においても有用である。したがって、本明細書における「海底」の参照は、任意のそのような水域の底に当てはまるとみなされるべきであり、したがって「河床」、「湖底」などと入れ換え可能である。
【0117】
「上」、「下」、「水平」、「垂直」、「~に沿って」、「~の側に」、「平坦」、「横方向」、または「横方向に」などの用語は、アンカーセクションが平坦な海底に置かれたときの配向を参照しており、アンカーの他の配向に関するそのような特徴を除外するように解釈されるべきではない。使用時に、アンカー構造体の配向は、海底の傾き、ごみ、または他の特徴に起因して水平とは異なってよいことが理解されるべきである。
【0118】
本発明の態様に関して本明細書で開示する任意選択の特徴は、本発明の任意の他の態様の任意選択の特徴に対応することが意図されている。したがって、装置の特徴の機能、構造、または使用に関する本明細書における開示は、本明細書で開示する方法の段階に対応すると理解されるべきであり、方法に関する本明細書における開示も、そのような方法を実施するのに必要なそのような特徴を有する装置を包含すると理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0119】
ここで以下の図を参照しながら、非限定的な例示的実施形態について説明する。
【0120】
図1】係留システムの斜視図である。
図2】係留システムの分解斜視図である。
図3】ガイド溝の入口領域に蓋構造体が挿入されていない状態の係留システムを示す斜視断面図である。
図4】ガイド溝の入口領域に蓋構造体が挿入された状態の係留システムを示す斜視断面図である。
図5】係留システムの配置中の船を示す図である。
図6】代替的なアンカー構造体の概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0121】
図1図4は、係留システム1の実施形態を示している。係留システムは、コネクタ構造体10と、使用時には海底に置かれるアンカー構造体20とを含む。また、このシステムは、以下でさらに詳細に考察する蓋構造体30も含む。
【0122】
アンカー構造体20は、概して22として示されるガイド溝を画定しており、このガイド溝は、入口領域24から終端領域26まで延在している。終端領域は、コネクタ構造体を保持する凹部またはフック200、202の形態の受入れ形状部を含み、これについては以下でさらに詳細に考察する。
【0123】
溝の側部は、側面プレート28aおよび28bによって画定されている。ガイド溝22の底面領域(入口領域24の傾斜面24aを含む)は、示してある実施形態において鋳造ブロック28cによって画定されていて、アンカー構造体にバラストを提供している。
【0124】
側面プレート28aおよび28bは、任意選択のテーパ状突起228aおよび228bも含み、これらのテーパ状突起228aおよび228bは、使用時にコネクタ構造体を入口領域に向けてガイドし、アンカー構造体に係合させるのを補助する。
【0125】
代替的な実施形態において、別個のバラストが使用されてよく、アンカー構造体全体または溝を画定する部分が、単一のブロックから鋳造されるか他の態様で形成されてよく、または中空の、管状の、桁もしくは実際には任意の他の適切な形態の構造物が使用されてよい。さらなる実施形態において、受入れ形状部は、側面プレートに一体化されていてよい。
【0126】
ガイド溝22は、その上側に沿って入口領域24から終端領域26まで、側面プレート間および受入れ形状部間で開口している。示してある実施形態において、ガイド溝の上側開口は、終端領域の遠位方向にも延在しており、図1図3、および図4においては、係留索取付け部分(以下で考察)によって塞がれている。
【0127】
コネクタ構造体10は、その一方の端部に向かう取付け部分12と、その他方の端部に向かう係合部分14とを含む。アンカー構造体20と同様に、示してあるコネクタ構造体は、長手方向面を中心として対称である。
【0128】
ガイド溝22は、係合部分14を収容するようにサイズ設定されている。係合部分がガイド溝22の終端領域26に係合したとき、それはガイド溝から出るようにさらに遠位方向Dまたは上向きUに動くことが防止される。終端領域26は、係合部分の重量を、(示してある実施形態において、その底面領域の上向きの配向により)支持するようにも構成されている。こうして、コネクタ構造体10に加えられる力がないときには、係合部分はそのように係合された状態に保たれる。
【0129】
係合部分14は、そこから横方向に延在した2つの係合形状部140および142を含む。係合形状部は、それぞれの受入れ形状部200、202に協調的に係合するようにサイズ設定されている。コネクタ構造体およびアンカー構造体は左右対称なので、どちらの係合形状部もいずれかの受入れ形状部に係合することができる。
【0130】
係合形状部140、142はそれぞれ、中心ピンまたは中心軸140b、142bを備えており、この中心ピンまたは中心軸140b、142bの周りに、(軸受またはブッシュの形態の)回転可能部材140a、142aがある。回転可能部材140、142は、ガイド溝の終端領域に係合したときに、過度な摩耗を生じさせることなく、コネクタ部分を回転させることができる。そのような動きは、通常、使用時に係留索に接続されることによって生じる。
【0131】
取付け部分12は、係留索をコネクタ構造体に取り付けるための、係留チェーンなどの手段を含む。取付け部分は、アイレット120を備えており、このアイレット120を通して、Hプレート122のピン121が固定されている。この構成は、コネクタ部分に対する係留チェーン(図示せず)の横方向の動きを可能にし、それにより使用時にコネクタ部分の横方向の力、ひいては動きを低減する。
【0132】
係留システム1は、ガイド溝22の入口領域24に受けられ、それをブロックするようにサイズ設定された蓋構造体30をさらに含む。示してある実施形態において、蓋構造体30は、有利には、ガイド溝の側部間に延在する底面領域全体にわたって延在して、入口領域24をブロックし、海洋生物、沈泥の堆積、またはガイド溝の他の汚れを防止する。そうでなければ、これらは、アンカー構造体に対するコネクタ構造体の接続または分離を妨害するおそれがある。また、蓋構造体は、ガイド溝の終端領域から離れるように係合部分が動くのを防止するか、それに抵抗する。蓋構造体は、引き揚げ索またはガイド索を使用して、蓋構造体を引き揚げかつ/またはガイドするためのコネクタアイレット32、33を備えている。
【0133】
係留システム1は、係留索40を海底に接続するために使用されてよい。水面において、係留索40は、コネクタ構造体のHプレート122の端部のピン123およびボルト124の接続部を係留チェーンの輪または係留ケーブルの末端ループに通すなど、従来の様式でコネクタ構造体10の取付け部分12に接続されることが可能である。
【0134】
図5に関して、より軽量の引き揚げ索50が、コネクタ構造体10に固定されていてよい。引き揚げ索の端部のブライダル52が、コネクタ構造体10の係合部分14に近接したフックまたはアイレットなどの解放可能なコネクタに接続されていてよい。ブライダル52は、代替的に、横方向に延在した係合形状部140、142の周りで輪状にされてもよい。
【0135】
次いでコネクタ部分は、船60から水柱を通って降ろされることが可能である。示してある実施形態において、これは配置船であり、係留索40を外に出すためのウィンチ62およびローラ64を有している。クレーン66は、引き揚げ索50を外に出すための対応したウィンチ(図示せず)を含む。クレーンは、以下で考察するように、コネクタ構造体10の位置を制御するように回転可能および延伸可能である。
【0136】
コネクタ構造体10の係合部分14は、次いで、ガイド溝22の入口領域24内に降ろされる。入口領域24の傾斜面24aは、係合部分14を、傾斜面に沿って、ガイド溝の終端領域26に向かって概して下向きかつ横方向に偏向させるように、傾斜している。
【0137】
下方に延在して終端領域の近位端間に線を形成する入口領域の遠位端24b、および傾斜面24aは、互いにテーパ状になっており、入口領域の上端(すなわち、示してある実施形態において、ブロック28cの上部と同じ高さ)においては、長手方向面において、係合部分14よりも大きい。それにより、入口領域は、長手方向面における軌道の範囲内および/または係合部分と入口領域との相対角度の範囲内から、係合部分を受けるように構成される。
【0138】
ガイド溝の長手方向中心面から横方向にオフセットした軌道に沿って係合部分が降ろされたときに、側面プレート28aおよび28bのテーパ状突起228aおよび228bも、係合部分を入口領域に向けて偏向するのを補助する。
【0139】
ガイド溝に沿った長手方向開口は、取付け部分12が係留索40に接続されている間に、係合部分14がガイド溝に入り、それに沿ってその終端領域26まで動くことを可能にする。示してある実施形態において、長手方向溝は、(係合部分に対して)概して垂直な配向から海底に沿って概して水平な配向までの配向の範囲で、Hプレート122およびアイレット120周りのコネクタ構造体10の部分が少なくとも部分的に長手方向開口内にまたは長手方向開口を通って延在できるようにするのに十分なほど広く、これは図に示す通りである。
【0140】
コネクタ構造体は、図5に示してあるように、船60の船尾から配置されてよく、コネクタ構造体10の位置を多少制御するように、かつガイド溝22に沿って終端部分26まで係合部分12をガイドするのを少なくともある程度補助するように、必要に応じて係留索40が外に出されてもよいし引き込まれてもよい。
【0141】
代替的に、さらなるガイド索を使用することもできる(図示せず)。
【0142】
係合形状部140、142が動いて、ガイド溝22の終端領域26の受入れ形状部200、202に係合すると、例えば英国CamborneのLM Handlingによって製造されたHydraulic Release Shackle(HRS)などの液圧作動式のピンを解放することにより、引き揚げ索50を解放することができる。液圧ピン機構、液圧制御索、および関連機器は、図に示していない。
【0143】
最終段階において、同じまたは別の引き揚げ索を使用して、蓋構造体30を入口領域24に降ろすことができる。(ガイド溝の輪郭を確認できるように側面プレート28bのない状態の側面図を示す)図3図4とを比較することにより確認できるように、蓋構造体30は、入口領域全体にわたって端から端まで長手方向に延在するように構成されている。また、蓋構造体30は、傾斜面24aの輪郭と逆の輪郭を有している。
【0144】
蓋構造体は、汚れからガイド溝を保護するだけでなく、ガイド溝から係合部分14が取り外されることに対してもさらなる障害を提供する。
【0145】
係留索40は、これらの段階を概して逆に実施することにより、分離することができる。しかし、いくつかの実施形態において、ガイド溝22からの係合部分14の取り外しは、係留索だけの作用下で、引き揚げ索を使用することなく行うことができる。長手方向溝により、係留索の取付け部分12は、ガイド溝に対して概して近位方向Pに配向されるように(回転部材140a、142aを中心として)振れるまたは旋回することが可能になり、それによりコネクタ構造体10を、係留索40の作用下でそこから引くことができる。
【0146】
上で述べたように、実質的にまたは完全に水面から(船60、ウィンチ62、および/またはクレーン66を動かすことにより)制御できる係留索の接続および分離が、相対的に容易で分かりやすいことにより、係留索をより素早く、簡単に、コスト効果的に回収し、検査または交換することが可能になる。ひいては、これらの動作は法外に高価なわけではないので、係留索自体を、そのような長期間にわたって必ずその場に保つ必要はなく、より軽量および/またはよりコスト効果的な構造のものにすることができる。
【0147】
図6は、別のアンカー構造体70の概略平面図を示している。アンカー構造体20と同様に、アンカー構造体70はガイド溝722を有している。ガイド溝722は、入口領域724から終端領域726まで延在している。終端領域は、コネクタ構造体を保持する凹部またはフック7200、7202の形態の受入れ形状部を含む。
【0148】
溝の側部は、側面プレート728aおよび728bによって画定されている。側面プレートは、横方向にテーパ状の入口領域724を画定するように、溝の近位端に向かって外向きのテーパ状であり、それにより、横方向の接近軌道の範囲内から溝722の終端領域726に向かってコネクタ構造体の係合部分をガイドするのをさらに補助する。
【0149】
例示的な実施形態が本明細書において説明されてきたが、これらは、本明細書に開示し、添付の特許請求の範囲に述べる本発明の範囲内にあることが可能な修正形態および変形形態に対する限定と解釈されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】