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特表2023-513191磁気共鳴CEST結像周波数ドリフト補正方法、装置、媒体及び結像デバイス
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  • 特表-磁気共鳴CEST結像周波数ドリフト補正方法、装置、媒体及び結像デバイス 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-30
(54)【発明の名称】磁気共鳴CEST結像周波数ドリフト補正方法、装置、媒体及び結像デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/055 20060101AFI20230323BHJP
   G01N 24/00 20060101ALI20230323BHJP
   G01R 33/54 20060101ALI20230323BHJP
【FI】
A61B5/055 370
A61B5/055 382
G01N24/00 580Y
G01N24/00 510Y
G01R33/54
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022547891
(86)(22)【出願日】2021-03-31
(85)【翻訳文提出日】2022-08-05
(86)【国際出願番号】 CN2021084260
(87)【国際公開番号】W WO2021197365
(87)【国際公開日】2021-10-07
(31)【優先権主張番号】202010244399.3
(32)【優先日】2020-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505072650
【氏名又は名称】浙江大学
【氏名又は名称原語表記】ZHEJIANG UNIVERSITY
(74)【代理人】
【識別番号】100128347
【弁理士】
【氏名又は名称】西内 盛二
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ ▲イー▼
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼ 瑞斌
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 洪▲錫▼
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼ 丹
【テーマコード(参考)】
4C096
【Fターム(参考)】
4C096AB44
4C096AD06
4C096AD07
4C096AD10
4C096AD24
4C096BA02
4C096BA03
4C096BA06
4C096BB02
4C096BB03
4C096BB40
4C096CC19
4C096DA11
4C096DA30
(57)【要約】
【課題】本発明は、磁気共鳴CEST結像周波数ドリフト補正方法、装置、媒体及び結像デバイスを開示する。
【解決手段】方法のステップは、まず、周波数ドリフト補正モジュールにおいて、小さいフリップ角の高周波パルスを利用して目標層面を励起し、単行の自由誘導減衰信号又は2行の非位相エンコード勾配エコー信号を収集する。次に、単行の自由誘導減衰信号又は2行の非位相エンコード勾配エコー信号の位相情報和収集時間に基づいて、それぞれ主磁場周波数ドリフト値を算出することができる。次いで、主磁場周波数ドリフト算出値に応じて気共鳴デバイスの中心周波数をリアルタイムに調整し、主磁場周波数ドリフトのリアルタイム補正を実現する。最後に、さらにCEST結像を行う。本発明は、磁気共鳴CEST結像における主磁場周波数ドリフト問題に対して、自由誘導減衰信号又は非位相エンコード勾配エコー信号を収集する周波数ドリフト補正モジュールに基づいて周波数ドリフトをリアルタイムに補正し、さらに磁気共鳴CEST結像のロバスト性及び再現性を向上させることを提案する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気共鳴CEST結像周波数ドリフト補正方法であって、以下のステップS1~S3を含み、
ステップS1では、90°未満のフリップ角で高周波パルスを発して目標層面を励起するように、CEST結像システムを制御し、
ステップS2では、前記高周波パルスが発された後、単行の自由誘導減衰信号を収集し、前記単行の自由誘導減衰信号を分割し、信号における奇数サンプル点データを奇数行とし、偶数サンプル点データを偶数行とし、奇数行と偶数行における対応するサンプル点の位相差の代表数を算出して、奇数行と偶数行の行間位相差とし、さらに当該行間位相差をサンプリング周期で割ることにより、主磁場周波数ドリフト値を算出し、前記代表数が算術平均数又は中央数を含み、
ステップS3では、得られた主磁場周波数ドリフト値に応じて、磁気共鳴デバイスの中心周波数をリアルタイムに調整する
ことを特徴とする磁気共鳴CEST結像周波数ドリフト補正方法。
【請求項2】
前記主磁場周波数ドリフト値
の計算式は、下記の通りであり、
【数1】
ここで、
は、前記自由誘導減衰信号のサンプリング周期であり、
は、奇数行と偶数行の行間位相差であり、計算式は下記の通りであり、
【数2】
ここで、
は、奇数行のi番目のデータサンプル点と偶数行のi番目のデータサンプル点との間の位相差であり、
は、偶数行又は奇数行の信号におけるサンプル点数である
ことを特徴とする請求項1に記載の磁気共鳴CEST結像周波数ドリフト補正方法。
【請求項3】
前記ステップS1におけるフリップ角は、10°未満である
ことを特徴とする請求項1に記載の磁気共鳴CEST結像周波数ドリフト補正方法。
【請求項4】
磁気共鳴CEST結像周波数ドリフト補正装置であって、ステップS1~S3を実行するための周波数ドリフト補正モジュールを備え、
ステップS1では、90°未満のフリップ角で高周波パルスを発して目標層面を励起するように、CEST結像システムを制御し、
ステップS2では、前記高周波パルスが発された後、単行の自由誘導減衰信号を収集し、前記単行の自由誘導減衰信号を分割し、信号における奇数サンプル点データを奇数行とし、偶数サンプル点データを偶数行とし、奇数行と偶数行における対応するサンプル点の位相差の代表数を算出して、奇数行と偶数行の行間位相差とし、さらに当該行間位相差をサンプリング周期で割ることにより、主磁場周波数ドリフト値を算出し、前記代表数が算術平均数又は中央数を含み、
ステップS3では、得られた主磁場周波数ドリフト値に応じて、磁気共鳴デバイスの中心周波数をリアルタイムに調整する
ことを特徴とする磁気共鳴CEST結像周波数ドリフト補正装置。
【請求項5】
前記主磁場周波数ドリフト値
の計算式は、下記の通りであり、
【数1】
ここで、
は、前記自由誘導減衰信号のサンプリング周期であり、
は、奇数行と偶数行の行間位相差であり、計算式は、下記の通りであり、
【数2】
ここで、
は、奇数行のi番目のデータサンプル点と偶数行のi番目のデータサンプル点との間の位相差であり、
は、偶数行又は奇数行信号におけるサンプル点数である
ことを特徴とする請求項4に記載の磁気共鳴CEST結像周波数ドリフト補正装置。
【請求項6】
前記ステップS1におけるフリップ角は、10°未満である
ことを特徴とする請求項4に記載の磁気共鳴CEST結像周波数ドリフト補正装置。
【請求項7】
コンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、
前記記憶媒体には、コンピュータプログラムが記憶され、前記コンピュータプログラムがプロセッサによって実行されたとき、請求項1~3のいずれか一項に記載の磁気共鳴CEST結像周波数ドリフト補正方法が実施される
ことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項8】
磁気共鳴結像デバイスであって、磁気共鳴スキャナと制御ユニットとを備え、
前記制御ユニットには、コンピュータプログラムが記憶され、前記コンピュータプログラムが実行されたとき、請求項1~3のいずれか一項に記載の磁気共鳴CEST結像周波数ドリフト補正方法が実施され、磁気共鳴スキャナは補正後の中心周波数に基づいて磁気共鳴CEST結像を行う
ことを特徴とする磁気共鳴結像デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、磁気共鳴技術分野に関し、特に磁気共鳴CEST結像周波数ドリフト補正の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気共鳴CEST(Chemical Exchange Saturation Transfer)結像は、新型の分子磁気共鳴結像技術であり、従来の磁気共鳴結像技術と比較して、当該技術は、内因性低濃度代謝産物の空間分布を間接に検知することができ、様々な疾患においてその臨床適用価値を検証した。CEST結像は直接水サチュレーションなどの様々な干渉効果の影響を受けるため、臨床的に常に非対称性磁化分析法(Magnetization Transfer Ratio Asymmetry Analysis, MTRasym)を用いて他の干渉効果を除去して純粋なCEST効果を提供する。しかしながら、MTRasym分析法は主磁場周波数ドリフトに非常に敏感であり、主磁場周波数ドリフトはMTRasym分析法がCEST効果に顕著な高推定又は低推定をもたらし、さらに磁気共鳴CEST結像のロバスト性及び再現性に影響を与える。いくつかの研究者はいくつかの後処理方法により主磁場周波数ドリフトを補正することができるが、後処理方法は主磁場周波数による脂肪抑制効率が低下するという問題を解決することができず、CEST図像に高い脂肪信号が出現し、CEST図像の臨床基準価値を低下させる。自由誘導減衰信号又は勾配エコー信号に基づく周波数ドリフト補正モジュールの磁気共鳴CEST結像シーケンスは主磁場周波数ドリフトのリアルタイム補正だけでなく、脂肪信号の効果的な抑制をも確保することができ、これにより磁気共鳴CEST結像ロバスト性及び再現性を向上させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、自由誘導減衰信号又は勾配エコー信号に基づく周波数ドリフト補正モジュールの磁気共鳴CEST結像シーケンスを提供し、主磁場周波数ドリフトのリアルタイム補正を実現するとともに、脂肪信号の効果的な抑制を確保することで、磁気共鳴CEST結像ロバスト性及び再現性を向上させることにある。
【0004】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の技術手段を用いて実現される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の様態では、本発明は、以下のステップS1~S3を含む磁気共鳴CEST結像周波数ドリフト補正方法を提供する。
ステップS1では、90°未満のフリップ角で高周波パルスを発して目標層面を励起するように、CEST結像システムを制御し、
ステップS2では、前記高周波パルスが発された後、単行の自由誘導減衰信号を収集してステップS21を実行するか、又は2つの異なる時刻にそれぞれ1行の非位相エンコード勾配エコー信号を収集してステップS22を実行し、
ステップS21では、収集された自由誘導減衰信号を奇数行と偶数行に分割し、当該奇数行と偶数行との位相差をサンプリング周期で割り、主磁場周波数ドリフト値を取得し、
ステップS22では、収集された2行の非位相エンコード勾配エコー信号の位相差を両方の信号収集時間差で割り、主磁場周波数ドリフト値を取得し、
ステップS3では、得られた主磁場周波数ドリフト値に応じて、磁気共鳴デバイスの中心周波数をリアルタイムに調整する。
【0006】
好ましくは、前記ステップS21における主磁場周波数ドリフト値の計算方法としては、
前記単行の自由誘導減衰信号を分割し、信号における奇数サンプル点データを奇数行とし、偶数サンプル点データを偶数行とし、奇数行と偶数行における対応するサンプル点の位相差の代表数を算出して、奇数行と偶数行の行間位相差とし、さらに当該行間位相差とサンプリング周期とにより主磁場周波数ドリフト値を算出し、前記代表数が算術平均数、中央数を含み、
さらに、前記主磁場周波数ドリフト値
の計算式は、下記の通りであり、
【数1】
ここで、
は、前記自由誘導減衰信号のサンプリング周期であり、
は、奇数行と偶数行の行間位相差であり、計算式は、下記の通りであり、
【数2】
ここで、
は、奇数行のi番目のデータサンプル点と偶数行のi番目のデータサンプル点との間の位相差であり、
は、偶数行又は奇数行信号におけるサンプル点数である。
【0007】
好ましくは、前記ステップS22における主磁場周波数ドリフト値の計算方法としては、
2行の非位相エンコード勾配エコー信号における対応するサンプル点の位相差の代表数を算出し、2行の非位相エンコード勾配エコー信号の行間位相差とし、さらに当該行間位相差と2行の非位相エンコード勾配エコー信号のサンプル時間間隔により主磁場周波数ドリフト値を算出し、
さらに、主磁場周波数ドリフト値
の計算式は、下記の通りであり、
【数3】
ここで、
は、2行の非位相エンコード勾配エコー信号のサンプル時間間隔であり、
は、2行の非位相エンコード勾配エコー信号の行間位相差であり、計算式は、下記の通りであり、
【数4】
ここで、
は、2行の非位相エンコード勾配エコー信号におけるそれぞれのi番目のデータサンプル点間の位相差であり、
は、各行の非位相エンコード勾配エコー信号のサンプル点数である。
【0008】
好ましくは、前記ステップS1におけるフリップ角は、10°未満である。
【0009】
第2の様態では、本発明は、磁気共鳴CEST結像周波数ドリフト補正装置を提供し、ステップS1~S3を実行するための周波数ドリフト補正モジュールを備え、
ステップS1では、90°未満のフリップ角で高周波パルスを発して目標層面を励起するように、CEST結像システムを制御し、
ステップS2では、前記高周波パルスが発された後、単行の自由誘導減衰信号を収集してステップS21を実行するか、又は2つの異なる時刻にそれぞれ1行の非位相エンコード勾配エコー信号を収集してステップS22を実行し、
ステップS21では、収集された自由誘導減衰信号を奇数行と偶数行に分割し、当該奇数行と偶数行との位相差をサンプリング周期で割り、主磁場周波数ドリフト値を取得し、
ステップS22では、収集された2行の非位相エンコード勾配エコー信号の位相差を両方の信号収集時間差で割り、主磁場周波数ドリフト値を取得し、
ステップS3では、得られた主磁場周波数ドリフト値に応じて、磁気共鳴デバイスの中心周波数をリアルタイムに調整する。
【0010】
好ましくは、前記ステップS21における主磁場周波数ドリフト値の計算方法としては、
前記単行の自由誘導減衰信号を分割し、信号における奇数サンプル点データを奇数行とし、偶数サンプル点データを偶数行とし、奇数行と偶数行における対応するサンプル点の位相差の代表数を算出して、奇数行と偶数行の行間位相差とし、さらに当該行間位相差とサンプリング周期とにより主磁場周波数ドリフト値を算出し、前記代表数が算術平均数、中央数を含み、
さらに、前記主磁場周波数ドリフト値
の計算式は、下記の通りであり、
【数1】
ここで、
は、前記自由誘導減衰信号のサンプリング周期であり、
は、奇数行と偶数行の行間位相差であり、計算式は、下記の通りであり、
【数2】
ここで、
は、奇数行のi番目のデータサンプル点と偶数行のi番目のデータサンプル点との間の位相差であり、
は、偶数行又は奇数行信号におけるサンプル点数である。
【0011】
好ましくは、前記ステップS22における主磁場周波数ドリフト値の計算方法としては、
2行の非位相エンコード勾配エコー信号における対応するサンプル点の位相差の代表数を算出し、2行の非位相エンコード勾配エコー信号の行間位相差とし、さらに当該行間位相差と2行の非位相エンコード勾配エコー信号のサンプル時間間隔により主磁場周波数ドリフト値を算出し、
さらに、主磁場周波数ドリフト値
の計算式は、下記の通りであり、
【数3】
ここで、
は、2行の非位相エンコード勾配エコー信号のサンプル時間間隔であり、
は、2行の非位相エンコード勾配エコー信号の行間位相差であり、計算式は、下記の通りであり、
【数4】
ここで、
は、2行の非位相エンコード勾配エコー信号におけるそれぞれのi番目のデータサンプル点間の位相差であり、
は、各行の非位相エンコード勾配エコー信号のサンプル点数である。
【0012】
好ましくは、前記ステップS1におけるフリップ角は、10°未満である。
【0013】
第3の様態では、本発明は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供し、前記記憶媒体には、コンピュータプログラムが記憶され、前記コンピュータプログラムがプロセッサによって実行されたとき、上記第1の様態のうちのいずれか一項に記載の磁気共鳴CEST結像周波数ドリフト補正方法が実現される。
【0014】
第4の様態では、本発明は、磁気共鳴結像デバイスを提供し、磁気共鳴スキャナと制御ユニットとを備え、前記制御ユニットには、コンピュータプログラムが記憶され、前記コンピュータプログラムが実行されたとき、上記第1の様態のうちのいずれか一項に記載の磁気共鳴CEST結像周波数ドリフト補正方法が実施され、磁気共鳴スキャナは補正後の中心周波数に基づいて磁気共鳴CEST結像を行う。
【0015】
本発明では、磁気共鳴スキャナとは、磁気共鳴走査結像を行うことが可能なプラントを指す。磁気共鳴CEST結像は、従来の磁気共鳴CEST結像を使用することができ、従来の磁気共鳴CEST結像シーケンスは、通常、CESTサチュレーション、スペクトルプレサチュレーション反転回復スバター、高速スピンエコー収集の3つのモジュールを含む。
【発明の効果】
【0016】
従来の技術に対して、本発明は以下の優れた効果を有する。本発明は、周波数ドリフト補正モジュールにおいて単行の自由誘導減衰信号又は2行の非位相エンコード勾配エコー信号を収集し、自由誘導減衰信号奇数部分と偶数部分の位相差又は2行の非位相エンコード勾配エコー信号の行間位相差を算出し、位相差を時間差で除算することにより、主磁場周波数ドリフト値を取得する。次いで、主磁場周波数ドリフト値に応じて磁気共鳴デバイスの中心周波数をリアルタイムに調整することにより、主磁場周波数ドリフトをリアルタイムに補正することができるだけでなく、脂肪信号の効果的な抑制を確保することができ、これにより、磁気共鳴CEST結像のロバスト性及び再現性を向上させ、後続のCEST図像の定量分析の信頼性に保障を提供し、磁気共鳴CEST結像の臨床利用価値を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】自由誘導減衰信号を収集する周波数ドリフト補正モジュールに基づく磁気共鳴CEST結像シーケンスブロック図である。
図2】勾配エコー信号を収集する周波数ドリフト補正モジュールに基づく磁気共鳴CEST結像シーケンスブロック図である。
図3】自由誘導減衰信号を収集する周波数ドリフト補正モジュールに基づく磁気共鳴CEST結像シーケンスと周波数ドリフト補正モジュールが印加されていない従来の磁気共鳴CEST結像シーケンスとをそれぞれ用いて水模擬走査実験においてCEST図像の比較を行う。
図4】自由誘導減衰信号を収集する周波数ドリフト補正モジュールに基づく磁気共鳴CEST結像シーケンスと周波数ドリフト補正モジュールが印加されていない従来の磁気共鳴CEST結像シーケンスとをそれぞれ用いてヒト脳の脳走査実験におけるCEST図像の比較を行う。
図5】自由誘導減衰信号を収集する周波数ドリフト補正モジュールに基づく磁気共鳴CEST結像シーケンスと周波数ドリフト補正モジュールが印加されていない従来の磁気共鳴CEST結像シーケンスとをそれぞれ用いて人間の脳走査実験において得られたCEST図像上の関心領域のCEST平均値の比較である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面及び実施形態を参照しながら本発明をさらに説明する。
【0019】
本発明の好ましい実施例において、磁気共鳴CEST結像周波数ドリフト補正方法を提供し、当該補正方法は、従来の磁気共鳴CEST結像システムに適用することができ、CEST結像結像を行う前にシステムの主磁場周波数ドリフトをリアルタイムに補正する。当該方法の具体的なステップは以下の通りである。
S1:まず、90°(好ましくは10°未満)のフリップ角で高周波(RF)パルスを発してターゲット層面を励起するように、CEST結像システムに制御指令を送信して制御を行う。
S2:高周波パルスを発した後、直ちにその誘導信号を収集し、ここで、本発明は、2種の異なる信号を収集しかつそれぞれ特定の方法を利用して主磁場周波数ドリフト値を算出することができる。以下、2種の方法をそれぞれ説明する。
【0020】
第1種の方法としては、高周波パルスを発した後、直ちに単行の自由誘導減衰信号を収集する。図1に示すように、単行の自由誘導減衰信号の収集時間をt時刻と記す。次いで、収集された自由誘導減衰信号を奇数行と偶数行に分割し、当該奇数行と偶数行との位相差をサンプリング周期で割り、主磁場周波数ドリフト値を取得する。
【0021】
なお、収集された自由誘導減衰信号は実際にタイミングを有する離散点データであるため、前記奇数行と偶数行は、実際にはこれらの離散点データをその順序に応じて奇数と偶数に分けたものである。すなわち、その具体的な方法としては、信号における奇数サンプル点データを奇数行として抽出し、偶数サンプル点データを偶数行として抽出し、これにより単行の信号を2行の信号に分割することができる。
【0022】
また、2行の信号の間の位相差もそのサンプル点データを利用して算出される。本発明における奇数行と偶数行における対応するサンプル点の位相差の代表数を算出して、奇数行と偶数行の行間位相差とし、さらに当該行間位相差とサンプリング周期により主磁場周波数ドリフト値を算出する。特に、本発明で言う代表数は、統計学的にサンプルの平均レベルを代表することができる指標を意味し、算術平均数、中央数等を含むが、これらに限定されない。サンプルの代表数を算出するとき、全てのサンプルにおけるサンプル点を選択することができ、それをサンプリングした後にサンプリングサンプルを利用して算出することもできる。しかし、方法の実現を容易にする観点から言えば、本発明は、全てのサンプル点の算術平均数を代表数として採用することを推奨する。したがって、主磁場周波数ドリフト値
の計算式は、下記の通りである。
【数1】
【0023】
ここで、
は、自由誘導減衰信号のサンプリング周期であり、すなわち、2つの隣り合うサンプル点の間のサンプル時間間隔である。
は、奇数行と偶数行の行間位相差であり、全てのサンプル点の算術平均数を用いて算出し、式は下記の通りである。
【数2】
【0024】
ここで、
は、奇数行のi番目のデータサンプル点と偶数行のi番目のデータサンプル点との間の位相差であり、
は、偶数行又は奇数行の信号におけるサンプル点数である。
【0025】
第2種の方法としては、高周波パルスを発した後、直ちに2つの異なる時刻にそれぞれ1行の非位相エンコード勾配エコー信号を収集する。図2に示すように、2つの信号収集時刻をそれぞれtとtと記する。次いで、収集された2行の非位相エンコード勾配エコー信号の位相差を2行の非位相エンコード勾配エコー信号の信号収集時間差で割り、主磁場周波数ドリフト値を取得する。
【0026】
第1種の方法と類似し、非位相エンコード勾配エコー信号もタイミングを有する離散点データであるため、2行の信号の位相差も2行の非位相エンコード勾配エコー信号における対応するサンプル点の位相差の代表数を算出し、2行の非位相エンコード勾配エコー信号の行間位相差とし、さらに当該行間位相差と2行の非位相エンコード勾配エコー信号のサンプル時間間隔により主磁場周波数ドリフト値を算出する必要がある。同様に、ここの代表数も算術平均数、中央数等を含むが、これらに限定されない。方法の実現を容易にする観点から言えば、本発明は全てのサンプル点の算術平均数を代表数として採用することを推奨する。したがって、主磁場周波数ドリフト値
の計算式は、下記の通りである。
【数3】
【0027】
ここで、
は、2行の非位相エンコード勾配エコー信号のサンプル時間間隔であり、すなわち、
である。
は、2行の非位相エンコード勾配エコー信号の行間位相差であり、全てのサンプル点の算術平均数を用いて算出し、式は下記の通りである。
【数4】
【0028】
ここで、
は、2行の非位相エンコード勾配エコー信号におけるそれぞれのi番目のデータサンプル点間の位相差であり、
であり、
は、2行目の非位相エンコード勾配エコー信号におけるi番目のデータサンプル点間の位相であり、
は、1行目の非位相エンコード勾配エコー信号におけるi番目のデータサンプル点間の位相であり、
は、各行の非位相エンコード勾配エコー信号のサンプル点数である。
【0029】
S3:上記の2種の方法のうちのいずれか1種により主磁場周波数ドリフト値を取得した後、当該ドリフト値に応じて磁気共鳴CEST結像の高周波パルス及データ収集器の中心周波数をリアルタイムに調整することができる。その後、調整後の高周波パルス中心周波数に応じて従来の磁気共鳴CEST結像を行うことができる。
これにより、本発明は、自由誘導減衰信号又は勾配エコー信号を収集する周波数ドリフト補正方法を提供し、それは主磁場周波数ドリフトのリアルタイム補正を実現することができるだけでなく、さらに脂肪信号の効果的な抑制を確保することができ、これにより磁気共鳴CEST結像ロバスト性及び再現性を向上させる。ここの磁気共鳴CEST結像は、従来の磁気共鳴CEST結像を採用することができ、本発明の重点ではないため、簡単に説明する。従来の磁気共鳴CEST結像シーケンスは、CESTサチュレーション、スペクトルプレサチュレーション反転回復スバター、高速スピンエコー収集の3つのモジュールを含み、
(1)CESTサチュレーションモジュールについては、当該モジュールは、4つの矩形サチュレーションパルスを含み、各サチュレーションパルスの後に1つの破壊勾配を印加し、
(2)スペクトルプレサチュレーション反転回復スバターモジュールについては、当該モジュールは、フリップ角が90度より大きい高周波パルスを含み、高周波パルスの後に層選択方向、位相エンコード方向、周波数エンコード方向にそれぞれ1つの破壊勾配を印加し、
(3)高速スピンエコー収集モジュールについては、当該モジュールは、主に1つの90°の高周波励起パルスと複数個の180°の重集束パルスを含み、高周波励起パルスと重集束パルスを印加すると同時に層面選択エンコード勾配を印加し、各180°の重集束パルス後に位相エンコード勾配及び周波数エンコード勾配が続き、周波数エンコード勾配を印加する時にアナログデジタル変換器を利用してデータ収集を行う。
【0030】
上記周波数ドリフト補正方法に対応し、さらに自由誘導減衰信号又は勾配エコー信号を収集する磁気共鳴CEST結像周波数ドリフト補正方法を提供することができ、装置は、周波数ドリフト補正モジュールを含む。ここで、周波数ドリフト補正モジュールは、S1~S3(具体的には前記した通りであり、説明を省略する)を実行し、主磁場周波数ドリフトのリアルタイム補正を完了しかつ脂肪信号の効果的な抑制することを確保するために用いられる。主磁場周波数ドリフトのリアルタイム補正を完了した後、CEST結像システムは、調整後の高周波パルス中心周波数に応じて従来の磁気共鳴CEST結像を行うことを担当する。
【0031】
当業者に分かるべであるとおり、本発明に係る各モジュール、機能は回路、他のハードウェア又は実行可能なプログラムコードにより完了することができ、対応する機能を実現することができればよい。コードを採用する場合、コードは記憶装置に記憶されることができ、かつ算出装置における対応する素子により実行される。本発明の実現は任意の特定のハードウェア及びソフトウェアの組み合わせに限定されない。本発明における各ハードウェアモデルはいずれも市販の製品を採用することができ、実際のユーザニーズに応じて選択することができる。当然のことながら、磁気共鳴CEST結像シーケンス及び装置において、必要な他のハードウェア又はソフトウェアと協力する必要があり、ここでは説明を省略する。
【0032】
好ましい実施例において、上記S1~S3の周波数ドリフト補正方法は、ソフトウェアプログラムの形態でコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶されてもよい。コンピュータプログラムがプロセッサに呼び出されて実行される場合、S1~S3のステップに応じて磁気共鳴CEST結像周波数ドリフト補正を実現することができる。
【0033】
コンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、一般に、メモリハードウェアの形態で提供され、メモリは、ランダム・アクセス・メモリ(Random Access Memory、RAM)を含んでもよいし、不揮発性メモリ(Non-Volatile Memory、NVM)、例えば少なくとも1つ磁気ディスクメモリを含んでもよい。
【0034】
上記処理プログラムのプロセッサは、汎用プロセッサであってもよく、中央処理装置(Central Processing Unit、 CPU)、ネットワークプロセッサ(Network Processor、NP)等を含むが、さらにデジタル信号プロセッサ(Digital Signal Processing、DSP)、専用集積回路(Application Specific Integrated Circuit、ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field-Programmable Gate Array、FPGA)又は他のプログラマブルロジックデバイス、ディスクリートゲート又はトランジスタ論理デバイス、ディスクリートハードウェアコンポーネントであってもよい。
【0035】
当然のことながら、クラウドサーバの広範な適用に伴い、上記ソフトウェアプログラムはクラウドプラットフォームに搭載され、対応するサービスを提供することもできるため、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体はローカルハードウェアの形態に限定されない。
【0036】
別の好ましい実施例において、上記S1~S3の周波数ドリフト補正方法を、周波数補正プログラムの形態で磁気共鳴結像デバイスの制御ユニットに集積することができる。磁気共鳴結像デバイスは、従来の磁気共鳴スキャナ及び制御ユニットを含むべきであり、制御ユニットに上記周波数補正プログラムの他に、CEST結像を実現するために必要な結像シーケンス及び他のソフトウェアプログラムが記憶されている。当該磁気共鳴結像デバイスを利用して結像を行う前に、補正プログラムを実行し、磁気共鳴結像デバイスの中心周波数を補正し、次いでCEST結像シーケンスを呼び出し、磁気共鳴スキャナが補正後の中心周波数に基づいて磁気共鳴CEST結像を行う必要がある。磁気共鳴スキャナは従来の技術を用いて実現することができ、熟練した商業の製品に属するので、ここではその説明を省略する。上記周波数補正プログラムは制御ユニットを別途設けることなく、磁気共鳴スキャナの制御システムに直接集積されてもよい。
【0037】
以下、上記方法に基づいて実施例を組み合わせてその具体的な技術効果を示すことにより、当業者は本発明の本質をよりよく理解することができる。
【0038】
実施例
自由誘導減衰信号又は勾配エコー信号を収集する周波数ドリフト補正モジュールに基づく磁気共鳴CEST結像シーケンスと周波数ドリフト補正モジュールが印加されていない従来の磁気共鳴CEST結像シーケンスをそれぞれ水模擬と15例の被験者の脳の磁気共鳴CEST結像実験において比較テストを行った。具体的な方法は上記S1~S3を参照し、ここで説明を省略し、以下にここでの具体的なパラメータのみを説明する。本実施例において、フリップ角が3度の高周波パルスを用いて目標層面を励起し、それぞれt=6.98ms時刻に単行の自由誘導減衰信号を収集し(図1に示すように)又はt=2.52ms, t=8.33msの2つの時刻にそれぞれ2行の非位相エンコード勾配エコー信号を収集し(図2に示すように)、各行の自由誘導減衰信号又は非位相エンコード勾配エコー信号サンプル点数がn=128である。
【0039】
本実施例において、従来の磁気共鳴CEST結像シーケンスの3つのモジュールは、具体的には以下の通りである。
(1)CESTサチュレーションモジュールについては、当該モジュールは、4つの矩形サチュレーションパルスを含み、サチュレーションパルス持続時間が200msであり、幅度が2uTであり、サチュレーションパルスの後に破壊勾配を印加し、破壊勾配の持続時間が5msであり、幅度が15mT/mであり、
(2)スペクトルプレサチュレーション反転回復スバターモジュールについては、当該モジュールは、フリップ角が110度の高周波パルスを含み、高周波パルスの後に層選択方向、位相エンコード方向、周波数エンコード方向にそれぞれ1つの破壊勾配を印加し、破壊勾配持続時間が3.5msであり、幅度が8mT/mであり、
(3)高速スピンエコー収集モジュールについては、当該モジュールは、主に1つの90°の高周波励起パルスと42個の180°の重集束パルスを含み、高周波励起パルスと重集束パルスを印加すると同時に層面選択エンコード勾配を印加し、それぞれの180°の重集束パルス後に位相エンコード勾配及び周波数エンコード勾配が続き、周波数エンコード勾配を印加する時にアナログデジタル変換器を利用してデータ収集を行う。
【0040】
本実施例において自由誘導減衰信号を収集する周波数ドリフト補正モジュールに基づく磁気共鳴CEST結像シーケンスと周波数ドリフト補正モジュールが印加されていない磁気共鳴CEST結像シーケンスの比較実験結果は、図3図4図5に示す通りである。
【0041】
図3図4から分かるように、水模擬でも健康な被試験脳磁気共鳴CEST結像実験においても、主磁場周波数ドリフトにより、周波数ドリフト補正モジュールが印加されていない従来の磁気共鳴CESTシーケンスで得られたCEST図像に大きな画像アーチファクトが存在する。自由誘導減衰信号を収集する周波数ドリフト補正モジュールに基づく磁気共鳴CEST結像シーケンスは、主磁場周波数ドリフトをリアルタイムに補正することができ、得られたCEST図像は相対的に安定し、本発明の有効性を証明する。
【0042】
図5から分かるように、周波数ドリフト補正モジュールが印加されていない従来の磁気共鳴CESTシーケンスで得られたCEST図像上の関心領域のCEST平均値に激しい起伏が発生するのに対し、自由誘導減衰信号を収集する周波数ドリフト補正モジュールに基づく磁気共鳴CEST結像シーケンスで得られたCEST平均値はほとんど変化しておらず、これはさらに本発明の有効性を証明する。
【0043】
なお、勾配エコー信号を収集する周波数ドリフト補正モジュールに基づく磁気共鳴CEST結像シーケンスと自由誘導減衰信号を収集する周波数ドリフト補正モジュールに基づく磁気共鳴CEST結像シーケンスのテスト結果は、理論的に一致するため、当該実例において自由誘導減衰信号を収集する周波数ドリフト補正モジュールに基づく磁気共鳴CEST結像シーケンス結果のみを示することにより、本発明に係る2つの解決手段がいずれも有効性を有することを証明する。
【0044】
以上に記載の実施例は本発明の好ましい解決手段であるが、本発明を限定するものではない。当業者であれば、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、様々な変化及び変形を行うことができる。したがって、同等置換又は等価変換の方式を採用して得られた技術解決手段は、いずれも本発明の保護範囲内に含まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2022-08-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気共鳴CEST結像周波数ドリフト補正方法であって、以下のステップS1~S3を含み、
ステップS1では、90°未満のフリップ角で高周波パルスを発して目標層面を励起するように、CEST結像システムを制御し、
ステップS2では、前記高周波パルスが発された後、単行の自由誘導減衰信号を収集してステップS21を実行するか、又は2つの異なる時刻にそれぞれ1行の非位相エンコード勾配エコー信号を収集してステップS22を実行し、
前記ステップS21では、収集された自由誘導減衰信号を奇数行と偶数行に分割し、当該奇数行と偶数行との位相差をサンプリング周期で割り、主磁場周波数ドリフト値を取得し、
前記ステップS22では、収集された2行の非位相エンコード勾配エコー信号の位相差を両方の信号収集時間差で割り、主磁場周波数ドリフト値を取得し、
ステップS3では、得られた主磁場周波数ドリフト値に応じて、磁気共鳴デバイスの中心周波数をリアルタイムに調整する
ことを特徴とする磁気共鳴CEST結像周波数ドリフト補正方法。
【請求項2】
前記ステップS21における主磁場周波数ドリフト値の計算方法としては、
前記単行の自由誘導減衰信号を分割し、信号における奇数サンプル点データを奇数行とし、偶数サンプル点データを偶数行とし、奇数行と偶数行における対応するサンプル点の位相差の代表数を算出して、奇数行と偶数行の行間位相差とし、さらに当該行間位相差とサンプリング周期とにより主磁場周波数ドリフト値を算出し、前記代表数が算術平均数、中央数を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の磁気共鳴CEST結像周波数ドリフト補正方法。
【請求項3】
前記主磁場周波数ドリフト値
の計算式は、下記の通りであり、
【数1】
ここで、
は、前記自由誘導減衰信号のサンプリング周期であり、
は、奇数行と偶数行の行間位相差であり、計算式は下記の通りであり、
【数2】
ここで、
は、奇数行のi番目のデータサンプル点と偶数行のi番目のデータサンプル点との間の位相差であり、
は、偶数行又は奇数行の信号におけるサンプル点数である
ことを特徴とする請求項2に記載の磁気共鳴CEST結像周波数ドリフト補正方法。
【請求項4】
前記ステップS22における主磁場周波数ドリフト値の計算方法としては、
2行の非位相エンコード勾配エコー信号における対応するサンプル点の位相差の代表数を算出し、2行の非位相エンコード勾配エコー信号の行間位相差とし、さらに当該行間位相差と2行の非位相エンコード勾配エコー信号のサンプル時間間隔により主磁場周波数ドリフト値を算出する
ことを特徴とする請求項1に記載の磁気共鳴CEST結像周波数ドリフト補正方法。
【請求項5】
主磁場周波数ドリフト値
の計算式は、下記の通りであり、
【数3】
ここで、
は、2行の非位相エンコード勾配エコー信号のサンプル時間間隔であり、
は、2行の非位相エンコード勾配エコー信号の行間位相差であり、計算式は、下記の通りであり、
【数4】
ここで、
は、2行の非位相エンコード勾配エコー信号におけるそれぞれのi番目のデータサンプル点間の位相差であり、
は、各行の非位相エンコード勾配エコー信号のサンプル点数である
ことを特徴とする請求項4に記載の磁気共鳴CEST結像周波数ドリフト補正方法。
【請求項6】
前記ステップS1におけるフリップ角は、10°未満である
ことを特徴とする請求項1に記載の磁気共鳴CEST結像周波数ドリフト補正方法。
【請求項7】
磁気共鳴CEST結像周波数ドリフト補正装置であって、ステップS1~S3を実行するための周波数ドリフト補正モジュールを備え、
ステップS1では、90°未満のフリップ角で高周波パルスを発して目標層面を励起するように、CEST結像システムを制御し、
ステップS2では、前記高周波パルスが発された後、単行の自由誘導減衰信号を収集してステップS21を実行するか、又は2つの異なる時刻にそれぞれ1行の非位相エンコード勾配エコー信号を収集してステップS22を実行し、
前記ステップS21では、収集された自由誘導減衰信号を奇数行と偶数行に分割し、当該奇数行と偶数行との位相差をサンプリング周期で割り、主磁場周波数ドリフト値を取得し、
前記ステップS22では、収集された2行の非位相エンコード勾配エコー信号の位相差を両方の信号収集時間差で割り、主磁場周波数ドリフト値を取得し、
ステップS3では、得られた主磁場周波数ドリフト値に応じて、磁気共鳴デバイスの中心周波数をリアルタイムに調整する
ことを特徴とする磁気共鳴CEST結像周波数ドリフト補正装置。
【請求項8】
前記ステップS21における主磁場周波数ドリフト値の計算方法としては、
前記単行の自由誘導減衰信号を分割し、信号における奇数サンプル点データを奇数行とし、偶数サンプル点データを偶数行とし、奇数行と偶数行における対応するサンプル点の位相差の代表数を算出して、奇数行と偶数行の行間位相差とし、さらに当該行間位相差とサンプリング周期とにより主磁場周波数ドリフト値を算出し、前記代表数が算術平均数、中央数を含む
ことを特徴とする請求項7に記載の磁気共鳴CEST結像周波数ドリフト補正装置。
【請求項9】
前記主磁場周波数ドリフト値
の計算式は、下記の通りであり、
【数1】
ここで、
は、前記自由誘導減衰信号のサンプリング周期であり、
は、奇数行と偶数行の行間位相差であり、計算式は、下記の通りであり、
【数2】
ここで、
は、奇数行のi番目のデータサンプル点と偶数行のi番目のデータサンプル点との間の位相差であり、
は、偶数行又は奇数行信号におけるサンプル点数である
ことを特徴とする請求項8に記載の磁気共鳴CEST結像周波数ドリフト補正装置。
【請求項10】
前記ステップS22における主磁場周波数ドリフト値の計算方法としては、
2行の非位相エンコード勾配エコー信号における対応するサンプル点の位相差の代表数を算出し、2行の非位相エンコード勾配エコー信号の行間位相差とし、さらに当該行間位相差と2行の非位相エンコード勾配エコー信号のサンプル時間間隔により主磁場周波数ドリフト値を算出する
ことを特徴とする請求項7に記載の磁気共鳴CEST結像周波数ドリフト補正装置。
【請求項11】
主磁場周波数ドリフト値
の計算式は、下記の通りであり、
【数3】
ここで、
は、2行の非位相エンコード勾配エコー信号のサンプル時間間隔であり、
は、2行の非位相エンコード勾配エコー信号の行間位相差であり、計算式は、下記の通りであり、
【数4】
ここで、
は、2行の非位相エンコード勾配エコー信号におけるそれぞれのi番目のデータサンプル点間の位相差であり、
は、各行の非位相エンコード勾配エコー信号のサンプル点数である
ことを特徴とする請求項10に記載の磁気共鳴CEST結像周波数ドリフト補正装置。
【請求項12】
前記ステップS1におけるフリップ角は、10°未満である
ことを特徴とする請求項7に記載の磁気共鳴CEST結像周波数ドリフト補正装置。
【請求項13】
コンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、
前記記憶媒体には、コンピュータプログラムが記憶され、前記コンピュータプログラムがプロセッサによって実行されたとき、請求項1~6のいずれか一項に記載の磁気共鳴CEST結像周波数ドリフト補正方法が実施される
ことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項14】
磁気共鳴結像デバイスであって、磁気共鳴スキャナと制御ユニットとを備え、
前記制御ユニットには、コンピュータプログラムが記憶され、前記コンピュータプログラムが実行されたとき、請求項1~6のいずれか一項に記載の磁気共鳴CEST結像周波数ドリフト補正方法が実施され、磁気共鳴スキャナは補正後の中心周波数に基づいて磁気共鳴CEST結像を行う
ことを特徴とする磁気共鳴結像デバイス。

【国際調査報告】