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特表2023-5132023-ヘキセン-1-オール異性体混合物及びその調製プロセス
<図1>
  • 特表-3-ヘキセン-1-オール異性体混合物及びその調製プロセス 図1
  • 特表-3-ヘキセン-1-オール異性体混合物及びその調製プロセス 図2
  • 特表-3-ヘキセン-1-オール異性体混合物及びその調製プロセス 図3
  • 特表-3-ヘキセン-1-オール異性体混合物及びその調製プロセス 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-30
(54)【発明の名称】3-ヘキセン-1-オール異性体混合物及びその調製プロセス
(51)【国際特許分類】
   C07C 29/38 20060101AFI20230323BHJP
   C07C 33/025 20060101ALI20230323BHJP
   C07C 29/80 20060101ALI20230323BHJP
   C07C 29/88 20060101ALI20230323BHJP
   C11B 9/00 20060101ALI20230323BHJP
【FI】
C07C29/38
C07C33/025
C07C29/80
C07C29/88
C11B9/00 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022547928
(86)(22)【出願日】2021-02-04
(85)【翻訳文提出日】2022-09-29
(86)【国際出願番号】 IL2021050138
(87)【国際公開番号】W WO2021156870
(87)【国際公開日】2021-08-12
(31)【優先権主張番号】62/970,766
(32)【優先日】2020-02-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517202489
【氏名又は名称】アガン アロマ アンド ファイン ケミカルズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】AGAN AROMA & FINE CHEMICALS LTD.
【住所又は居所原語表記】3 HaAshlag Street, P.O.Box 262, Northern Industrial Zone, Ashdod, ISRAEL
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シェメシュ サッソン
(72)【発明者】
【氏名】アルモグ レモ バラク
(72)【発明者】
【氏名】ショウシャン シャニ
(72)【発明者】
【氏名】セラ-エレズ ロテム
【テーマコード(参考)】
4H006
4H059
【Fターム(参考)】
4H006AA01
4H006AA02
4H006AB14
4H006AC41
4H006AD11
4H006AD16
4H006BC51
4H006BD60
4H059BA12
4H059BB03
4H059BC10
4H059CA32
4H059EA35
(57)【要約】
3-ヘキセン-1-オールを含む組成物、これを含む香気付与配合物、この種の組成物、又は香気付与配合物を含む製造品を開示する。本組成物は、trans-3-ヘキセン-1-オールを67重量%~82重量%の濃度範囲で、cis-3-ヘキセン-1-オールを18重量%~33重量%の濃度範囲で含み、trans-3-ヘキセン-1-オールとcis-3-ヘキセン-1-オールの総濃度が少なくとも97重量%である組成物。更に、3-ヘキセン-1-オールを含む組成物を調製するプロセスであって、ルイス酸の存在下で1-ペンテンをホルムアルデヒドに接触させて、3-ヘキセン-1-オールを含む粗混合物を得ることと;3-ヘキセン-1-オールを含む混合物を塩基と接触させることを含むプロセスを開示する。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3-ヘキセン-1-オールを含む組成物を調製するプロセスであって、
ルイス酸の存在下で1-ペンテンをホルムアルデヒドに接触させて、3-ヘキセン-1-オールを含む粗混合物を得ることと;
3-ヘキセン-1-オールを含む前記混合物を塩基と接触させて、3-ヘキセン-1-オールを含む前記組成物を得ることとを含むプロセス。
【請求項2】
(a)ルイス酸の存在下で1-ペンテンをホルムアルデヒドに接触させて、3-ヘキセン-1-オールを含む粗混合物を得ることと;
(b)前記粗混合物を蒸留して、3-ヘキセン-1-オールが富化された混合物を得ることと;
(c)3-ヘキセン-1-オールが富化された前記混合物を前記塩基と接触させることとを含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記塩基との前記接触に続き、前記混合物から前記3-ヘキセン-1-オールを分離して、3-ヘキセン-1-オールを含む前記組成物を得ることを更に含む、請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記3-ヘキセン-1-オールの前記分離は蒸留を含む、請求項3に記載のプロセス。
【請求項5】
前記組成物中の3-ヘキセン-1-オールの濃度は少なくとも95重量%又は少なくとも96重量%又は少なくとも97重量%である、請求項1~4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項6】
前記組成物はtrans-3-ヘキセン-1-オールを67重量%~82重量%の濃度範囲で、cis-3-ヘキセン-1-オールを18重量%~33重量%の濃度範囲で含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項7】
前記粗組成物におけるcis-3-ヘキセン-1-オールに対するtrans-3-ヘキセン-1-オールの比は、7:3~8:2(trans:cis)の範囲にある、請求項1~6のいずれかに記載のプロセス。
【請求項8】
前記混合物と前記塩基との前記接触は、塩素原子の脱離によって少なくとも1種の塩素化テトラヒドロピランの量を低減する、請求項1~7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
前記少なくとも1種の塩素化テトラヒドロピランは、3-エチル-4-クロロ-テトラヒドロピランを含む、請求項8に記載のプロセス。
【請求項10】
前記塩基との前記接触後の3-エチル-4-クロロ-テトラヒドロピランの濃度は、0.1重量%以下又は0.05重量%以下である、請求項9に記載のプロセス。
【請求項11】
前記塩基との前記接触後の塩素化テトラヒドロピランの総濃度は、0.1重量%以下である、請求項8~10のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項12】
前記組成物中の2-ヘキセン-1-オールと4-ヘキセン-1-オールの総濃度は0.25重量%以下である、請求項1~11のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項13】
前記組成物中の塩素化テトラヒドロピランの総濃度は0.1重量%以下である、請求項1~11のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項14】
前記1-ペンテンと前記ホルムアルデヒドとの接触は、前記1-ペンテンと1,3,5-トリオキサンの接触によって行われる、請求項1~12のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項15】
前記1-ペンテンと前記ホルムアルデヒドとの接触は、2時間以下の時間に亘って前記1-ペンテンと前記ホルムアルデヒドとを含む混合物を前記ルイス酸に添加することを含む、請求項1~14のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項16】
前記ルイス酸はAlClを含む、請求項1~15のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項17】
trans-3-ヘキセン-1-オールを67重量%~82重量%の濃度範囲で、cis-3-ヘキセン-1-オールを18重量%~33重量%の濃度範囲で含み、trans-3-ヘキセン-1-オールとcis-3-ヘキセン-1-オールの総濃度が少なくとも95重量%又は少なくとも96重量%又は少なくとも97重量%である組成物。
【請求項18】
前記組成物中の2-ヘキセン-1-オールと4-ヘキセン-1-オールの総濃度は0.25重量%以下である、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
前記組成物中の3-エチル-4-クロロ-テトラヒドロピランの濃度は0.05重量%以下である、請求項17又は18に記載の組成物。
【請求項20】
前記組成物中の塩素化テトラヒドロピランの総濃度は0.1重量%以下である、請求項17~19のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
前記組成物におけるcis-3-ヘキセン-1-オールに対するtrans-3-ヘキセン-1-オールの比は、7:3~8:2(trans:cis)の範囲にある、請求項17~20のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項22】
1-ヘキサノールを濃度5重量%以下又は4重量%以下又は3重量%以下又は2重量%以下で更に含む、請求項17~21のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項23】
前記1-ヘキサノール濃度の範囲は、1重量%~2重量%である、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
3-ヘキセン-1-オールを含む組成物を含み、前記組成物は請求項1~16のいずれか一項に記載のプロセスによって得ることが可能な香気付与配合物。
【請求項25】
請求項17~23のいずれか一項に記載の組成物を含む香気付与配合物。
【請求項26】
請求項24又は25に記載の香気付与配合物を含む製造品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願]
本願は、2020年2月6日出願の米国特許仮出願第62/970,766号の優先権の利益を主張するものであり、該特許出願の全内容を本明細書の一部を構成するものとしてここに援用する。
【0002】
[技術分野及び背景技術]
本発明はその幾つかの実施形態において香気物質に関する。より詳細には、cis-3-ヘキセン-1-オールとtrans-3-ヘキセン-1-オールとの新規な香気混合物、この混合物を含む配合物及び製品、この混合物の調製プロセスに関するが、これらに限定されない。
【0003】
香気物質は、飲料、化粧品、衛生材料、洗剤、入浴剤、医薬、農業化成品等の各分野で広く使用される。香気物質は製品に香り、香気、芳香又はフレグランスを付与するために用いられる。
【0004】
フレグランス(即ち、香り、香気又は芳香)は、フレグランス組成物中の様々な成分の組み合わせによって決定される。通常、フレグランスは各種香気物質を、必要な場合に担体及び他の化学物質と更にブレンドすることにより創出される。これら物質は、「トップノート」、「ミドルノート」、「ボトムノート」として知られる各成分を得るためにブレンドされる。
【0005】
「トップノート」は、適用直後に知覚される特性である。「ベースノート」はフレグランスのエッセンスであり、通常、ゆっくりと蒸発する大きく重い分子からなる。ベースノートには、適用後24時間以上遅れて知覚されるものがある。「ミドルノート」は、トップノートからベースノートの間に亘って知覚される特性であり、通常トップノートに続いて現れる。
【0006】
近年、グリーンノートフレグランス類が特に注目されている。刈りたての青草の香りのフレッシュなアロマを与える剤が、例えば、香水、キャンドル、ポプリ、バス・ボディ製品、メルトアンドポアソープ、コールドプロセスソープ、ジェルワックス等に使用されたり、人工草や人工芝にグラス香を付与するためにも使われている。
【0007】
グリーンノート付与性の香気物質として最も良く知られるのは、cis-3-ヘキセン-1-オールであり、当業界では(Z)-3-ヘキセン-1-オール、cis-3-ヘキセノール、(z)-3-ヘキセノールとも称され、「青葉アルコール」としても知られている。当産業界で広く使われる他のグリーンノート付与剤としては、n-ヘキサナール、n-ヘキサノール、(E)-2-ヘキセナール(trans-2-ヘキセナール)、(E)-2-ヘキセン-1-オール(trans-2-ヘキセン-1-オール)、(Z)-3-ヘキセナール(cis-3-ヘキセナール)及びこれらのエステル誘導体等が挙げられる。
【0008】
通常、緑色植物や青葉から青葉アルコールや他のグラス香付与物質を抽出することは、生産コストが高い上に低収量であるので、商業的な効果は得られない。更に、グリーンノートの需要は、ミント(Mentha arvensis)オイルや他の植物オイル等の伝統的な天然素材からの供給を越えつつある。そのため、これらの材料を得る代替的な方法を見出すことに研究努力は向けられている。
【0009】
特許文献1は、酵素的プロセスを利用するヘキセノールの製造方法を開示している。
【0010】
過去数十年間、cis-3-ヘキセン-1-オール及びその誘導体の調製するための合成プロセスが開発されてきた。これらプロセスは通常、3-ヘキシン-1-オール又は共役エノラートの選択的脱水素化によるものであり、広範な出発物質を使用することができる。例えば、非特許文献1~3を参照されたい。
【0011】
特許文献2は、1,3-ペンタジエンを用いる2-メチル-5,6-ジヒドロフランの開環による合成方法を開示している。
【0012】
特許文献3は、ルイス酸触媒存在下におけるホルムアルデヒド、ホルマリン、パラホルムアルデヒド又はトリオキサンと1-ペンテンとの反応、それに続くワークアップ手続き及び減圧蒸留によって、ゲラニオールとcis-3-ヘキセン-1-オールの混合物を得ることを開示している。続いてこの混合物を精製してcis-3-ヘキセン-1-オールを得る。一例として、パラホルムアルデヒドと塩化アルミニウムを用いた場合、ゲラニオールとtrans-3-ヘキセン-1-オールの混合物が得られている。
【0013】
更なる背景技術としては、特許文献4が挙げられ、アルケンアルコール(ヘキセノール等)又はその誘導体のE及びZ異性体の分離を開示している。アルケンアルコール又はその誘導体のこれらE及びZ異性体を含むフィード流を銀イオン及び/又は銅イオンを担持するイオン交換媒体に継続的に接触させることで異性体を分離している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許出願公開2018/0037913号
【特許文献2】中国特許出願公開1244518号
【特許文献3】中国特許出願公開101875599号
【特許文献4】PCT国際出願公開WO2006/116419号
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】RK Singh, E Singh, Handbook of Meat, Poultry and Seafood, 2007
【非特許文献2】J. Dorsky, Perfumes: Art, Science and Technology, 2012
【非特許文献3】Fragrance chemistry and technology, Zhao Yi Bin, Chemical Industry Press, 2007
【発明の概要】
【0016】
[発明が解決しようとする課題及び課題を解決するための手段]
本発明の幾つかの実施形態の一様相によれば、3-ヘキセン-1-オールを含む組成物を調製するプロセスであって、
ルイス酸の存在下で1-ペンテンをホルムアルデヒドに接触させて、3-ヘキセン-1-オールを含む粗(第1)混合物(以下、粗第1混合物とも称する)を得ることと;
3-ヘキセン-1-オールを含む(粗第1)混合物を塩基と接触させて、3-ヘキセン-1-オールを含む組成物を得ることとを含むプロセスが提供される。
【0017】
本発明の幾つかの実施形態の一様相によれば、trans-3-ヘキセン-1-オールを67重量%~82重量%の濃度範囲で、cis-3-ヘキセン-1-オールを18重量%~33重量%の濃度範囲で含む組成物であって、trans-3-ヘキセン-1-オールとcis-3-ヘキセン-1-オールの総濃度が少なくとも97重量%(例えば、後述の実施例のセクションに記載されるガスクロマトグラフィーで決定される)である組成物が提供される。
【0018】
本発明の幾つかの実施形態の一様相によれば、3-ヘキセン-1-オールを含む組成物を含む香気付与配合物であって、該組成物は各実施形態それぞれ及びそれらいずれかの組み合わせに記載される配合物が提供される。
【0019】
本発明の幾つかの実施形態の一様相によれば、3-ヘキセン-1-オールを含む組成物を含む香気付与配合物であって、該組成物は明細書に記載される各実施形態それぞれ及びそれらいずれかの組み合わせに従うプロセスによって得られる配合物が提供される。
【0020】
本発明の幾つかの実施形態の一様相によれば、本明細書に記載される各実施形態のそれぞれに従う香気付与配合物を含む製造品が提供される。
プロセスに関する本発明の幾つかの実施形態によれば、このプロセスは、
(a)ルイス酸の存在下で1-ペンテンをホルムアルデヒドに接触させて、3-ヘキセン-1-オールを含む粗(第1)混合物を得ることと;
(b)粗(第1)混合物を蒸留して、3-ヘキセン-1-オールが富化された(第1)混合物(以下、第1混合物とも称する)を得ることと;
(c)3-ヘキセン-1-オールが富化された(第1)混合物を塩基と接触させることとを含む。
【0021】
プロセスに関する本発明の幾つかの実施形態によれば、このプロセスは、塩基との接触に続き、混合物から3-ヘキセン-1-オールを分離して、3-ヘキセン-1-オールを含む組成物を得ることを更に含む。
【0022】
3-ヘキセン-1-オールの分離に関する本発明の幾つかの実施形態によれば、3-ヘキセン-1-オールの分離は蒸留を含む(例えば、後述の実施例のセクションに記載される)。
【0023】
プロセスに関する本発明の幾つかの実施形態によれば、粗(第1)混合物におけるcis-3-ヘキセン-1-オールに対するtrans-3-ヘキセン-1-オールの比は、7:3~8:2(trans:cis)の範囲にある。
【0024】
プロセスに関する本発明の幾つかの実施形態によれば、(第1)混合物と塩基との接触によって、塩素原子の脱離(例えばHClの脱離)により、少なくとも1種の塩素化テトラヒドロピランの量が低減される。
【0025】
少なくとも1種の塩素化テトラヒドロピランの量低減に関する本発明の幾つかの実施形態によれば、少なくとも1種の塩素化テトラヒドロピランは3-エチル-4-クロロ-テトラヒドロピランを含む。
【0026】
少なくとも1種の塩素化テトラヒドロピランの量低減に関する本発明の幾つかの実施形態によれば、塩基との接触後の3-エチル-4-クロロ-テトラヒドロピランの濃度は、0.1重量%以下又は0.05重量%以下である。
【0027】
少なくとも1種の塩素化テトラヒドロピランの量低減に関する本発明の幾つかの実施形態によれば、塩基との接触後の塩素化テトラヒドロピランの総濃度は、0.1重量%以下である。
【0028】
プロセスに関する本発明の幾つかの実施形態によれば、1-ペンテンとホルムアルデヒドの接触は、1-ペンテンと1,3,5-トリオキサン(例えば、ホルムアルデヒドの前駆体として)の接触によって行われる。
【0029】
プロセスに関する本発明の幾つかの実施形態によれば、1-ペンテンとホルムアルデヒドとの接触は、2時間以下の期間(時間)に亘って1-ペンテンとホルムアルデヒドを含む混合物をルイス酸に添加することを含む。ここで、反応体積と添加速度によっては、それ以外の時間も企図され、例えば24時間まで、20時間まで、18時間まで、16時間まで、12時間まで、10時間まで、8時間まで等が挙げられることを付記する。
【0030】
プロセスに関する本発明の幾つかの実施形態によれば、ルイス酸はAlClであるか、AlClを含む。
【0031】
本発明の幾つかの実施形態によれば、組成物中の3-ヘキセン-1-オールの濃度は少なくとも97重量%である。
【0032】
本発明の幾つかの実施形態によれば、組成物はtrans-3-ヘキセン-1-オールを67重量%~82重量%の濃度範囲で、cis-3-ヘキセン-1-オールを18重量%~33重量%の濃度範囲で含む。
【0033】
本発明の幾つかの実施形態によれば、組成物中の2-ヘキセン-1-オールと4-ヘキセン-1-オールの総濃度は0.25重量%以下である。
【0034】
本発明の幾つかの実施形態によれば、組成物中の3-エチル-4-クロロ-テトラヒドロピランの濃度は0.05重量%以下である。
【0035】
本発明の幾つかの実施形態によれば、組成物中の塩素化テトラヒドロピランの総濃度は0.1重量%以下である。
【0036】
本発明の幾つかの実施形態によれば、組成物におけるcis-3-ヘキセン-1-オールに対するtrans-3-ヘキセン-1-オールの比は、7:3~8:2(trans:cis)の範囲にある。
【0037】
本発明の幾つかの実施形態によれば、組成物は1-ヘキサノールを濃度5重量%以下、4重量%以下、3重量%以下又は2重量%以下で更に含む。
【0038】
本発明の幾つかの実施形態によれば、組成物は1-ヘキサノールを濃度0.01重量%~5重量%、0.01重量%~4重量%、0.01重量%~3重量%、0.01重量%~2重量%、0.1重量%~5重量%、0.1重量%~4重量%、0.1重量%~3重量%、0.1重量%~2重量%、1重量%~5重量%、1重量%~4重量%、1重量%~3重量%又は1重量%~2重量%であって、その中間の任意の値及び範囲も含めて更に含む。
【0039】
特に定義しない限り、本明細書で使用する全ての技術及び/又は科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者により通常理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと同様の又は等価な方法及び材料を、本発明の実施形態の実践又は試験に使用することができるが、例示的な方法及び/又は材料を下に記載する。矛盾する場合、定義を含む特許明細書が優先する。加えて、材料、方法、及び実施例は単なる例示であり、必ずしも限定を意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0040】
本発明の幾つかの実施形態について、その例示のみを目的として添付の図面を参照して本明細書に記載する。以下、特に図面を詳細に参照して示す細部は、例示を目的とし、また本発明の実施形態の詳細な説明を目的とすることを強調する。同様に、図面と共に以下の説明により、本発明の実施形態をどのように実践し得るかが当業者には明らかとなる。
【0041】
図1図1は、本発明の幾つかの実施形態に従う、3-ヘキセン-1-オールを含む生成物(組成物)を調製するプロセスの一例を示すフローチャートである。
【0042】
図2図2は、本発明の幾つかの実施形態に従う、1-ペンテンとトリオキサンからの3-ヘキセン-1-オール調製の一例を示す合成スキームであり、塩素化ピラン誘導体(クロロ-ピラン)副生成物から塩素(HCl)の脱離を含む。
【0043】
図3図3は、本発明の幾つかの実施形態に従う、3-ヘキセン-1-オールの大規模調製の最初の段階で得られた粗混合物(粗第1混合物)のガスクロマトグラフィースペクトル(x軸は保持時間(分)を表す;保持時間)である。9.173のピークは1-ヘキサノールに対応する。10.5付近のピークは4-ヘキセン-1-オールと2-ヘキセン-1-オールに対応する。
【0044】
図4図4は、本発明の幾つかの実施形態に従う、3-ヘキセン-1-オールの粗(第2)混合物中の塩素化ピラン誘導体副生成物から塩素(HCl)の脱離した後のサンプル(粗第2混合物)のガスクロマトグラフィースペクトル(x軸は保持時間(分)を表す)である。4.8分付近のピークは、塩素化ピラン誘導体の塩素脱離生成物(続く蒸留により容易に除去される)に対応する。10分付近の円は、塩素化ピラン誘導体及び2-ヘキセン-1-オールと4-ヘキセン-1-オールの減少量を示す。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本発明はその幾つかの実施形態において香気物質に関する。より詳細には、cis-3-ヘキセン-1-オールとtrans-3-ヘキセン-1-オールとの新規な香気混合物、この混合物を含む配合物及び製品、この混合物の調製プロセスに関するが、これらに限定されない。
【0046】
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、必ずしもその用途が、以下の記載に示すか又は実施例で例示する詳細に限定されるものではないことを理解するべきである。本発明は、他の実施形態が可能であり、また、様々な手段で実施又は実行することが可能である。
【0047】
前述の「背景技術」で説明したように、cis-3-ヘキセン-1-オール及びtrans-3-ヘキセン-1-オールは、当産業分野で広く使用されるグリーンノート付与剤である。従って、これら化合物を調製するための合成プロセスであって、対費用効果が高く高純度の組成物を提供するプロセスが望まれている。重要な点として、このようなプロセスでは、この種の香気付与組成物が提供され、しかも香気付与剤の香気をマスクしたり変えたりする可能性がある副生成物を含まないことが望ましい。
【0048】
本発明者らは、1-ペンテンとホルムアルデヒドとの反応による3-ヘキセン-1-オールの調製によって、比較的簡単で安価なプロセスによって特に望ましい香りとなる比率でのcis-3-ヘキセン-1-オールとtrans-3-ヘキセン-1-オールの組み合わせが得られることを見出した。
【0049】
本発明者らはまた、1-ペンテンとホルムアルデヒドとの反応による3-ヘキセン-1-オールの調製では通常、塩素化ピラン誘導体が相当レベルで副生することを見出した。この塩素化ピラン誘導体は、組成物の香気に悪影響を及ぼしたり、及び/又は無毒性が非常に重要視される製品を適用(例えば、摂取を含む)に不適と思われる状態にする可能性があり、しかも3-ヘキセン-1-オールからは容易に取り除けない。この現象のため、製品のクオリティ低下と高価な分離技術とのどちらを取るかという問題が生じる。
【0050】
本発明者らは更に実験を積み重ねた結果、塩素化ピラン誘導体の塩素原子の脱離(例えば、HClの脱離)を行って、3-ヘキセン-1-オールから簡便な技法(蒸留等)で容易に且つ効率的に分離可能な塩素脱離生成物を得れば、上述の問題を解決できることを更に見出した。本発明の実施にあたり、本発明者らは、3-ヘキセン-1-オール組成物(ルイス酸としてAlClを使用)を過度な努力をせずに大規模且つ高純度で調製した。
【0051】
従って、本発明の実施形態は、cis-3-ヘキセン-1-オール及び/又はtrans-3-ヘキセン-1-オールを含み、副生成物レベルが低い組成物、このような組成物の調製方法、このような組成物(配合物)を含む香気付与配合物及び製造品のそれぞれに関する。本発明の実施形態は更に、trans-3-ヘキセン-1-オールとcis-3-ヘキセン-1-オールが6:4~9:1(trans:cis)の比、とりわけ67:33~82:18(trans:cis)の比である混合物を含む新規組成物に関する。
【0052】
組成物:
本発明の幾つかの実施形態の一様相によれば、組成物であって、trans-3-ヘキセン-1-オールを組成物に対して67重量%~82重量%の範囲で、cis-3-ヘキセン-1-オールを組成物に対して18重量%~33重量%の範囲で含む組成物が提供される。
【0053】
本明細書に例示するように、上述のtrans-3-ヘキセン-1-オール濃度及びcis-3-ヘキセン-1-オール濃度を有する組成物は特に望ましい香気を発し、製品に悪影響を及ぼすレベルの不純物や副生成物を伴うことなく容易に調製できる。即ち、本組成物においては、製品に悪影響(例えば、製品の香気性)を及ぼす可能性がある不純物や副生成物のレベルは、それら影響が実質的にゼロであるような十分低いレベルかゼロである。
【0054】
本発明の幾つかの実施形態の一様相によれば、組成物であって、3-ヘキセン-1-オールを(例えば、本明細書に記載の各実施形態のいずれかに従って、組成物に対して少なくとも50重量%の濃度、又は組成物に対して少なくとも60重量%の濃度、組成物に対して少なくとも70重量%の濃度、組成物に対して少なくとも80重量%の濃度又は組成物に対して少なくとも90重量%の濃度で)含み、塩素化ピラン(例えば、塩素化テトラヒドロピラン)等の副生成物濃度が低い組成物が提供される。幾つかの実施形態においては、組成物中のtrans-3-ヘキセン-1-オールの濃度は67重量%~82重量%の範囲にある。幾つかの実施形態においては、組成物中のcis-3-ヘキセン-1-オールの濃度は18重量%~33重量%の範囲にある。幾つかの実施形態においては、組成物中のtrans-3-ヘキセン-1-オールの濃度は67重量%~82重量%の範囲にあり、且つ組成物中のcis-3-ヘキセン-1-オールの濃度は18重量%~33重量%の範囲にある。
【0055】
本明細書において特に断らない限り、「3-ヘキセン-1-オール」及び「3-ヘキセノール」(本明細書において交換可能に使用する)とは、trans-3-ヘキセン-1-オール及び/又はcis-3-ヘキセン-1-オールを意味し、それらの組み合わせも含む。
【0056】
本組成物(本明細書に記載の各実施形態のいずれかに従う)中の3-ヘキセノールは、trans-3-ヘキセン-1-オールとcis-3-ヘキセン-1-オールを組み合わせて含んでいても良く、組成物中のcis-3-ヘキセン-1-オールに対するtrans-3-ヘキセン-1-オールの比は、約6:4~約9:1(trans:cis)の範囲にある。幾つかの実施形態においては、組成物中のcis-3-ヘキセン-1-オールに対するtrans-3-ヘキセン-1-オールの比は、約7:3~約8:2(trans:cis)の範囲にある。
【0057】
本明細書において、「塩素化ピラン」及び「塩素化ピラン誘導体」(本明細書において交換可能に使用する)とは、ピラン、ジヒドロピラン及び/又はテトラヒドロピランのいずれかで、1以上の塩素原子で置換され、更に1以上の追加の置換基(例えば、アルキル)で置換されていても良いものを意味する。
【0058】
本明細書において、「塩素化テトラヒドロピラン」及び「塩素化テトラヒドロピラン誘導体」(本明細書において交換可能に使用する)とは、テトラヒドロピランであって、1以上の塩素原子で置換され、更に1以上の追加の置換基(例えば、アルキル)で置換されていても良いものを意味する。
【0059】
ピラン誘導体の置換基の例としては、ヒドロキシ(-OH)やアルキル(例えば、メチル、エチル等のC1-4-アルキル)、アルケニル(例えば、ビニル等のC2-4-アルケニル)、アルコキシが挙げられるが、これらに限定されない。ここで、アルキル、アルケニル及び/又はアルコキシは、非置換でも置換(例えば、ヒドロキシ及び/又はクロロによる)でも良い。エチルが置換基の例として挙げられる。
【0060】
本明細書に記載の幾つかの実施形態において、本明細書に記載の様相のいずれかに従い、本組成物における塩素化ピランの総濃度は0.5重量%以下であり、0.2重量%以下、0.1重量%以下、0.05重量%以下、0.02重量%以下、0.01重量%以下、0.005重量%以下でも良い。
【0061】
本明細書に記載の幾つかの実施形態において、本明細書に記載の様相のいずれかに従い、本組成物における塩素化テトラヒドロピランの総濃度は0.5重量%以下であり、0.2重量%以下、0.1重量%以下、0.05重量%以下、0.02重量%以下、0.01重量%以下、0.005重量%以下でも良い。
【0062】
本発明の幾つかの実施形態によれば、塩素化テトラヒドロピランの一例は3-エチル-4-クロロ-テトラヒドロピランである(図2参照)。
【0063】
いかなる特定の理論にも拘束されないが、少なくとも幾つかの実施形態による3-ヘキセノールの調製においては、特に3-エチル-4-クロロ-テトラヒドロピランで汚染されやすいため、3-エチル-4-クロロ-テトラヒドロピラン濃度の低い組成物(本明細書に記載の各実施形態のいずれかに従う)が有利である。
【0064】
本明細書に記載の幾つかの実施形態において、本組成物の3-エチル-4-クロロ-テトラヒドロピラン濃度は低く、例えば、0.2重量%以下、更には0.1重量%以下、0.05重量%以下、0.02重量%以下、0.01重量%以下、0.005重量%以下でも良い。
【0065】
濃度低減が有利となる副生成物の更なる例としては、4-ヘキセン-1-オールや2-ヘキセン-1-オール等の3-ヘキセノール異性体が挙げられる。
【0066】
本明細書に記載の幾つかの実施形態において、本明細書に記載の様相のいずれかに従い、本組成物における4-ヘキセン-1-オールと2-ヘキセン-1-オールの総濃度は1重量%以下であり、0.5重量%でも良い。
【0067】
本明細書に記載の幾つかの実施形態において、本組成物は実質的に4-ヘキセン-1-オールと2-ヘキセン-1-オールを含まない。
【0068】
本明細書において、「実質的に含まない」とは、濃度(例えば、4-ヘキセン-1-オールと2-ヘキセン-1-オールの総濃度)0.25重量%以下を意味し、0.1重量%以下、0.05重量%以下、0.025重量%以下、0.01重量%以下、0.005重量%以下、0.0025重量%以下、0.001重量%以下でも良い。
【0069】
本明細書に記載の各実施形態の幾つかにおいて、本組成物の3-ヘキセノールの濃度(即ち、trans-3-ヘキセン-1-オールとcis-3-ヘキセン-1-オールの総濃度)は少なくとも95重量%、少なくとも96重量%又は少なくとも97重量%である。このような幾つかの実施形態において、本組成物の3-ヘキセノール濃度は少なくとも98重量%である。幾つかの実施形態において、本組成物の3-ヘキセノール濃度は少なくとも99重量%である。幾つかの実施形態において、本組成物の3-ヘキセノール濃度は少なくとも99.5重量%である。幾つかの実施形態において、本組成物の3-ヘキセノール濃度は少なくとも99.8重量%である。幾つかの実施形態において、本組成物の3-ヘキセノール濃度は少なくとも99.9重量%である。
【0070】
本明細書に記載の各実施形態の幾つかにおいて、本組成物は保持時間約10.9分又は11.3分にガスクロマトグラフィーのピークを示さない。ガスクロマトグラフィー分析は次の(及び実施例のセクションに例示する)条件下で行うことが好ましい。注入体積:1μL、カラム:(例えば、ZB-WAXカラム)にポリエチレングリコールキャピラリーカラム相、カラム長:30m、カラム内径:0.25mm、フィルム厚:0.25μm、ヘッド圧:16.371psi、温度プログラム:5℃/分の速度で50℃~100℃に昇温;続き10℃/分の速度で100℃~220℃に昇温;220℃で3分間(計25分);必要あればフレームイオン化検出器を利用(温度:260℃、エア流量:360mL/分、H流量:30mL/分、He追加:24.8mL/分)。
【0071】
本明細書に記載の各実施形態の幾つかにおいて、本明細書記載のガスクロマトグラフィーによる分析で、本組成物は約9.5分のピーク及び/又は約9.95分のピーク(例えば、trans-及びcis-3-ヘキセン-1-オールのそれぞれに関連)を示し、約9.9分のピークよりも約1.0分又は約1.35分長い保持時間、及び/又は約9.5分のピークよりも約1.45分又は約1.8分長い保持時間にピークを示さない(好ましくは、ガスクロマトグラフィー分析を上述の条件で行う場合)。
【0072】
本明細書において「ピークが無い」とは、ガスクロマトグラフィースペクトル(例えば、trans-3-ヘキセン-1-オール又はcis-3-ヘキセン-1-オール)における最大ピークで示されるような、主生成物の面積の少なくとも0.1%の面積を有するピークがないことを意味する。
【0073】
本明細書に記載の実施形態の幾つかにおいて、本組成物は1-ヘキサノールを濃度0.01~5重量%、0.01~4重量%、0.01~3重量%、0.01~2重量、0.1~5重量%、0.1~4重量%、0.1~3重量%、0.1~2重量%、1~5重量%、1~4重量%、1~3重量%又は1~2重量%であって、これら範囲中の中間値とサブレンジを包含する値で更に含む。
【0074】
本明細書に記載の実施形態の幾つかにおいて、各実施形態のいずれかにおいて記載される組成物は、本明細書に記載のプロセスに関する実施形態に従うプロセスによって得ることができる。
【0075】
本明細書全体を通じて、「重量%」と記載されていればいずれも、当業界で知られている手段や方法で決定される値である。幾つかの実施形態において、重量%はガスクロマトグラフィー、例えば本明細書記載の条件下での定量ガスクロマトグラフィーで決定される。
【0076】
プロセス
本発明の幾つかの実施形態の一様相によれば、3-ヘキセン-1-オールを含む組成物の調製方法が提供される。
【0077】
本発明の幾つかの実施形態によれば、本組成物は本明細書の各実施形態のいずれか、及びこれらの組み合わせのいずれかに記載される組成物である。
【0078】
本発明の各実施形態によれば、本プロセスは、ルイス酸の存在下で1-ペンテンをホルムアルデヒドに接触させて、3-ヘキセン-1-オールを含む粗混合物(以下、第1混合物とも称する)を得ること、及び3-ヘキセン-1-オールを含む混合物(例えば、第1混合物)を塩基と接触させることを含む。
【0079】
図1は、本発明の幾つかの実施形態に従うプロセスを示す。図1に示すように、本プロセスは10から始まり、ここでルイス酸の存在下で1-ペンテンをホルムアルデヒドに接触させ(例えば、本明細書に記載の各実施形態のいずれかに従う)、粗第1混合物を得る。必要とあらば、続いて20を行い、ここでは粗第1混合物(例えば、ステップ10で得られた混合物)を蒸留して3-ヘキセン-1-オールが富化された第1混合物を得る(例えば、粗第1混合物の蒸留に関する本明細書に記載の実施形態のいずれかに従う)。続いて本プロセスは30に進み、ここで、第1混合物(例えば、ステップ20及び/又はステップ10において得られた混合物)に塩基を接触させて(例えば、塩基接触に関する本明細書に記載の実施形態のいずれかに従う)、第2混合物(例えば、粗第2混合物)を得る。必要とあらば、続いて40を行い、ここでは、塩基との接触で得られた混合物(ステップ30で得られた混合物)から3-ヘキセン-1-オールを、例えば蒸留で分離する(例えば、3-ヘキセン-1-オール分離に関する本明細書に記載の実施形態のいずれかに従う)。ステップ50において、生成物(例えば、本明細書に記載の各実施形態のいずれかに従う3-ヘキセン-1-オールを含む組成物)を得る。
【0080】
本明細書に例示するように、次の事項は明らかにされていた。即ち、それらは、1種以上の塩素化ピラン誘導体(例えば、3-エチル-4-クロロ-テトラヒドロピラン等の塩素化テトラヒドロピラン)が通常不純物として(例えば、粗混合物の濃度4重量%以上、及び/又は得られた3-ヘキセノール濃度の約10%以上の濃度で)生成すること;このような不純物を蒸留で3-ヘキセノールから分離することが困難であろうこと;そして、3-ヘキセノールの混合物と塩基との接触(本明細書に記載の各実施形態のいずれかに従う)は、この不純物を塩素原子脱離(塩素原子を含まない、例えば各塩素原子の代わりにC-C二重結合を有する分子を得るための)によって、3-ヘキセノールから更に容易に分離される(例えば、蒸留により)1以上の化合物に転化する際に有効であり得ることとである。
【0081】
幾つかの実施形態において、ルイス酸の存在下での1-ペンテンのホルムアルデヒドへの接触は、1-ペンテンとホルムアルデヒドとの反応を生じさせ、3-ヘキセノールを生成する(図1、ステップ10;図2)。
【0082】
ルイス酸は、本明細書記載の反応に対する触媒として作用することが好ましい。このルイス酸は触媒量(即ち、1-ペンテンやホルムアルデヒドの量よりもかなり少ない量)として任意に存在させることができる。例えば、1-ペンテン及び/又はホルムアルデヒドに対するルイス酸のモル比は、0.8以下、0.7以下、0.6以下、0.5以下、0.4以下、0.3以下、0.2以下又は0.1以下とすることができる。
【0083】
本明細書に記載の各実施形態の幾つかにおいて、1-ペンテン及び/又はホルムアルデヒドに対するルイス酸のモル比は少なくとも0.01(例えば、0.01~0.8)、少なくとも0.05(例えば、0.05~0.8)、少なくとも0.1(例えば、0.1~0.8)、少なくとも0.2(例えば、0.2~0.8)又は少なくとも0.4(例えば、0.4~0.8)である。
【0084】
「ルイス酸」とは、当業界での通常の意味であり、電子対アクセプターである化合物または種である。ルイス酸の例としては、金属化合物(金属は、アルミニウム、ホウ素、ケイ素、スズ、チタン、ジルコニウム、鉄、銅、亜鉛等である)であり、通常1以上の電子吸引性基(1以上のハロゲン原子(例えば、フロオロ、クロロ又はブロモ)で置換されている金属化合物(BF、AlCl、TiCl、ZnCl、BCl等)が挙げられるが、これらに限定されない。このようなルイス酸は、1以上のハロゲン原子に加えて、1以上の炭化水素基(アルキル、シクロアルキル、アリール等)及び/又は1以上のニトリル(シアノ)置換基で置換されても良い。置換基の総数は金属の原子価に依存する。
【0085】
ルイス酸は液状(例えば、溶液又は懸濁液)でも、及び/又は顆粒、フレーク、粉体等の固体状でも良い。
【0086】
本明細書に記載の各実施形態の幾つかにおいて、ルイス酸は少なくとも1個の塩素原子を含み、これらは塩素化ピラン誘導体発生のための塩素源となる可能性がある。
【0087】
AlCl(塩化アルミニウムとも称す)は、(塩素含有)ルイス酸の非限定的な例であり、ルイス酸に関する本明細書に記載の実施形態のいずれかに従い使用することができる。幾つかの実施形態において、AlClの形状は顆粒状である。AlClは触媒量(本明細書に記載の各実施形態のいずれかに従う)存在しても良く、例えば1-ペンテン及び/又はホルムアルデヒドに対するAlClのモル比は0.8以下、0.7以下、0.6以下、0.5以下、0.4以下、0.3以下、0.2以下又は0.1以下とすることができる。
【0088】
本明細書に記載の各実施形態の幾つかにおいて、1-ペンテン及び/又はホルムアルデヒドに対するAlClのモル比は、少なくとも0.01(例えば、0.01~0.8)、少なくとも0.05(例えば、0.05~0.8)、少なくとも0.1(例えば、0.1~0.8)、少なくとも0.2(例えば、0.2~0.8)又は少なくとも0.4(例えば、0.4~0.8)である。例示的な実施形態において、1-ペンテン及び/又はホルムアルデヒドに対するAlClのモル比は約0.6である。
【0089】
この(塩素含有)ルイス酸は、代替的又は付加的に、他の塩化アルミニウム種であることもできる。例えば、アルキルアルミニウムジクロリド(即ち、RAlCl、式中Rはアルキル)やジアルキルアルミニウムクロリド(即ち、R’R’ ’AlCl、式中R’、R’ ’はそれぞれアルキル)である。このようなルイス酸の例としては、CHAlClや(CHAlClが挙げられるが、これらに限定されない。また、ニトリル置換塩化アルミニウム(式中、R’及び/又はR’ ’はニトリル(シアノ))も企図される。
【0090】
(塩素含有)ルイス酸の更なる例としては、塩化ホウ素(例えば、BCl)や塩化鉄(例えば、FeCl)、塩化スズ(例えば、SnCl)、塩化チタン(例えば、TiCl)、上述のこれらのアルキル化誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0091】
本反応は、反応液の色を観察することでモニターすることもでき、幾つかの実施形態では黄色が好ましい。褐色は、収率低下の原因となり得る重合反応や分子量の大きい化合物の生成を示唆することがある。
【0092】
本明細書において、「ホルムアルデヒド」とはホルムアルデヒドそのもの(即ち、HC=O)だけでなく、ホルムアルデヒドを遊離すること、及び/又はホルムアルデヒドと平衡にあることが当業界で知られている化合物、例えばホルムアルデヒドオリゴマー及び/又はホルムアルデヒドポリマー(例えば、パラホルムアルデヒド)及び/又はこれらの水和物(例えば、HC(OH))を包含する。本明細書に記載のホルムアルデヒドの量は、例えばホルムアルデヒドオリゴマー及び/又はホルムアルデヒドポリマーを利用する実施形態においてはホルムアルデヒドのモル当量を含むものと理解されたい。
【0093】
例示的実施形態において、1,3,5-トリオキサン(ホルムアルデヒド三量体。本明細書では単に「トリオキサン」とも称す)は、1-ペンテンと接触させるホルムアルデヒド種である(無水トリオキサンでもよい)。ここでは、トリオキサン1モルはホルムアルデヒド3モルと考えられる。
【0094】
本明細書に記載の実施形態の幾つかにおいて、1-ペンテンはAlClの存在下1,3,5-トリオキサンと接触させる(例えば、本明細書に記載の実施形態のいずれかに従う条件及び/又は比率にて)。
【0095】
1-ペンテンとホルムアルデヒドとの接触は温度制御下、例えば、20℃以下、10℃以下(例えば、-5℃~10℃)、5℃以下(例えば、-5℃~5℃)、2℃以下(例えば、-5℃~2℃)の温度で行うことができる。
【0096】
反応温度を制御された温度範囲内に維持するために(例えば、本明細書に記載の実施形態のいずれかに従って)、1-ペンテンとホルムアルデヒドの接触は徐々に行うことができ(例えば、1-ペンテン及び/又はホルムアルデヒドをルイス酸に徐々に添加し、ルイス酸を触媒として作用させることで反応を開始させることも可能)、例えば、これにより反応の発熱により反応液が過剰に加熱されないようにする。このような接触に適切な正確な速度は、例えば装置や冷却系の特性に依存し得るだけでなく、当業者の手腕に委ねられる。
【0097】
更に、幾つかの実施形態によれば、1-ペンテンとホルムアルデヒドの接触時間(期間)も長すぎてはならない。過剰な接触時間は、例えば、重合等の望ましくない副反応を伴う可能性がある。本明細書に記載の各実施形態の幾つかにおいて、1-ペンテンとホルムアルデヒドの接触時間は、24時間以内、12時間以内、6時間以内、3時間以内、2時間以内、1時間以内又は30分以内である。
【0098】
例示的な実施形態において、1-ペンテンとホルムアルデヒドとの接触(本明細書に記載の各実施形態のいずれかに従う)は、1-ペンテンとホルムアルデヒドを含む混合物を2時間を超えない(例えば、1.5~2時間)時間に亘ってルイス酸(触媒として作用することで反応を開始させることも可能)に添加することを含む。
【0099】
本明細書に記載の実施形態のいずれかに従い、1-ペンテン、ホルムアルデヒド及び/又はルイス酸に対する溶媒として極性溶媒を使用することができる。この極性溶媒としては非プロトン性極性溶媒が好ましく、例としてはアセトニトリル、ピリジン、エステル、(例えば、酢酸エチルやプロピレンカーボネート)、エーテル(例えば、テトラヒドロフラン)、ケトン(例えば、アセトン)、アミド(例えば、ジメチルホルムアミドやN-メチル-2-ピロリドン)、ジメチルスルホキシド及び/又はハロゲン化炭化水素が挙げられる。幾つかの実施形態において、この溶媒は例えば、クロロホルム、ブロモホルム、ジクロロメタンや類似の溶媒等のハロゲン化炭化水素である。ジクロロメタンは例示的な溶媒である。
【0100】
本明細書において「粗製物」及び「粗混合物」という用語は、プロセスの中間段階(例えば、1-ペンテンとホルムアルデヒドの接触後)で得られる混合物を特定することのみを意図するものであり、この混合物の組成を限定する意図はないと理解されたい。
【0101】
(本明細書に記載の各実施形態のいずれかに従う)粗第1混合物中の3-ヘキセノールは、trans-3-ヘキセン-1-オールとcis-3-ヘキセン-1-オールとの組み合わせから成っていても良い。このような幾つかの実施形態において、粗第1混合物中のcis-3-ヘキセン-1-オールに対するtrans-3-ヘキセン-1-オールの比は、6:4~9:1(trans:cis)の範囲にある。幾つかの実施形態において、粗混合物中のcis-3-ヘキセン-1-オールに対するtrans-3-ヘキセン-1-オールの比は、7:3~8:2(trans:cis)の範囲にある。幾つかの実施形態において、粗混合物のtrans:cis比は、本プロセスで最終的に得られる組成物のtrans:cis比と実質的に同様である(即ち、50%以内で異なるか、20%以内又は10%以内で異なっても良い)。
【0102】
幾つかの実施形態に従えば、本プロセスは、粗第1混合物を処理して3-ヘキセン-1-オールが(粗混合物に対して)富化された第1混合物を得ることを更に含む。この得られた第1混合物は本明細書において「富化第1混合物」称し、粗混合物中に存在する塩素化ピラン(例えば、塩素化テトラヒドロピラン)を更に含むことがある(例えば、本明細書に記載の各実施形態のいずれかに従う)。幾つかの実施形態において、得られた第1混合物は、3-ヘキセン-1-オールだけでなく塩素化ピランも富化される(粗混合物に対して)。粗混合物を蒸留することは、3-ヘキセノール富化混合物(富化第1混合物)を得るための技法の一例である。
【0103】
本明細書に例示するように、粗第1混合物を処理(例えば、粗混合物の蒸留)して、混合物の3-ヘキセノール濃度を上げる(更に塩素化ピラン濃度も上げても良い)ことにより、次のステップにて塩基と接触させる際に生成する異性体(4-ヘキセン-1-オールや2-ヘキセン-1-オール等)の量を低減できる。
【0104】
ここで、「富化」とは、初期濃度(例えば、本明細書に記載の粗第1混合物)に対する何れの濃度(例えば、3-ヘキセノール濃度)の増加をも意味する。
【0105】
各実施形態の幾つかにおいて、3-ヘキセノール富化混合物(富化第1混合物)中の3-ヘキセノール濃度は、粗混合物の3-ヘキセノール濃度の少なくとも1.5倍(即ち、50%多い)である。幾つかの実施形態において、3-ヘキセノール富化混合物中の3-ヘキセノール濃度は、粗混合物の3-ヘキセノール濃度の少なくとも2倍である。
【0106】
各実施形態の幾つかにおいて、3-ヘキセノール富化混合物中の3-ヘキセノール濃度は少なくとも50重量%(且つ粗混合物の3-ヘキセノール濃度の少なくとも1.5倍又は少なくとも2倍でも良く)である。幾つかの実施形態において、3-ヘキセノール富化混合物中の3-ヘキセノール濃度は、少なくとも60重量%(且つ粗混合物の3-ヘキセノール濃度の少なくとも1.5倍又は少なくとも2倍でも良く)である。幾つかの実施形態において、3-ヘキセノール富化混合物中の3-ヘキセノール濃度は、少なくとも70重量%(且つ粗混合物の3-ヘキセノール濃度の少なくとも1.5倍又は少なくとも2倍でも良く)である。幾つかの実施形態において、3-ヘキセノール富化混合物中の3-ヘキセノール濃度は、少なくとも80重量%(且つ粗混合物の3-ヘキセノール濃度の少なくとも1.5倍又は少なくとも2倍でも良く)である。幾つかの実施形態において、3-ヘキセノール富化混合物中の3-ヘキセノール濃度は、少なくとも90重量%(且つ粗混合物の3-ヘキセノール濃度の少なくとも1.5倍又は少なくとも2倍でも良く)である。
【0107】
粗第1混合物の処理は、耐酸装置(例えば、ガラス製及び/又はガラスライニング付き)等、当業界で知られる適切ないずれかの装置を利用して行うことが好ましい。
【0108】
本明細書に記載の実施形態の幾つかにおいて、本プロセスは、
(a)ルイス酸の存在下で1-ペンテンをホルムアルデヒドに接触させて、3-ヘキセン-1-オールを含む粗(第1)混合物を得ること(本明細書に記載の各実施形態のいずれかに従い)と;
(b)粗混合物を蒸留して、3-ヘキセン-1-オールが富化された(第1)混合物(本明細書に記載の各実施形態のいずれか従う)を得ることにおいて、富化混合物は少なくとも1種の塩素化テトラヒドロピラン(例えば、3-エチル-4-クロロ-テトラヒドロピラン)を更に含んでいても良い(且つ富化されていてもいても良い)ことと;
(c)3-ヘキセン-1-オールが富化された(第1)混合物を塩基と接触させることにおいて、塩素原子の脱離により塩素化テトラヒドロピラン(例えば、3-エチル-4-クロロ-テトラヒドロピラン)の量を低減させても良いこと(本明細書に記載の各実施形態のいずれかに従い)とを含む。
【0109】
本明細書に記載の実施形態の幾つかにおいて、この塩基は水酸化物塩(例えば、金属水酸化物及び/又は四級アンモニウム水酸化物)、アミド塩(例えば、NaNH、LiN(C及び/又はLiN(CH(CH)、水素化物塩(例えば、NaH)及び/又はグアニジン(例えば、HNC(NH又はその置換誘導体)を含む。このような幾つかの実施形態において、塩基は金属水酸化物であり、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物でも良い。水酸化カリウムは塩基の一例である。
【0110】
本明細書に記載の各実施形態の幾つかにおいて、塩基との接触(本明細書に記載の各実施形態のいずれかに従う)後、混合物中に残存する塩素化ピランの総濃度は0.5重量%以下であり、0.2重量%以下、0.1重量%以下、0.05重量%以下、0.02重量%以下、0.01重量%以下、0.005重量%以下であっても良い。
【0111】
本明細書に記載の実施形態の幾つかにおいて、塩基との接触(本明細書に記載の各実施形態のいずれかに従う)後、混合物中に残存する塩素化テトラヒドロピランの総濃度は0.5重量%以下であり、0.2重量%以下、0.1重量%以下、0.05重量%以下、0.02重量%以下、0.01重量%以下、0.005重量%以下であっても良い。
【0112】
本明細書に記載の実施形態の幾つかにおいて、塩基との接触(本明細書に記載の各実施形態のいずれかに従う)後、混合物中に残存する3-エチル-4-クロロ-テトラヒドロピランの濃度は0.2重量%以下であり、0.1重量%以下、0.05重量%以下、0.02重量%以下、0.01重量%以下、0.005重量%以下であっても良い。
【0113】
3-ヘキセノールを含む混合物(粗第1混合物又は富化第1混合物)と塩基との接触(本明細書に記載の各実施形態のいずれかに従う)は、少なくとも50℃(例えば、50~150℃)、少なくとも75℃(例えば、75~125℃)、少なくとも100℃で行うことができる。
【0114】
本明細書に記載の実施形態の幾つかにおいて、3-ヘキセノール混合物(粗第1混合物又は富化第1混合物)は塩基を含む組成物(例えば、ポリエチレングリコール等の溶媒を更に含む組成物)に徐々に添加されるか、この組成物が混合物に添加される。このような緩やかな添加は、少なくとも30分、例えば、30分~6時間、1時間~3時間、1時間~2時間又は約90分の期間に亘って徐々に行うことができる。
【0115】
3-ヘキセノールを含む混合物(粗第1混合物又は富化第1混合物)と塩基との接触(本明細書に記載の各実施形態のいずれかに従う)は、ある期間(例えば、3-ヘキセノール混合物と塩基とが全て合一された後の期間)、少なくとも2時間(例えば、2~24時間)又は少なくとも4時間(例えば、4~12時間又は5~7時間)の期間に亘って行うことができる。
【0116】
3-ヘキセノールを含む混合物(粗第1混合物又は富化第1混合物)と塩基との接触(本明細書に記載の各実施形態のいずれかに従う)によって、本明細書において第2混合物(例えば、第2粗混合物)とも称される混合物が得られる。
【0117】
本明細書に記載の実施形態の幾つかにおいて、本プロセスは、塩基との接触(例えば、本明細書に記載の実施形態のいずれかに従う)に続き、(粗第2)混合物中の他の化合物(例えば、塩素原子脱離生成物の少なくとも1種)から3-ヘキセノールを分離することを更に含む。このような幾つかの実施形態において、この種の分離操作によって本明細書に記載の各実施形態のいずれかに従う組成物が得られる。
【0118】
本明細書に例示するように、塩素原子脱離生成物からの3-ヘキセノール分離は、3-ヘキセノールと脱離生成物を含む混合物(粗第2混合物、即ち、本明細書に記載の実施形態のいずれかに従う塩基との接触により得られた混合物)を蒸留することにより容易且つ簡便に行うことができる。
【0119】
この蒸留は、続く実施例のセクションに記すように行うことができる。
【0120】
各種応用:
本明細書に記載するように、本明細書に記載の各実施形態のいずれかに従う組成物は、cis-3-ヘキセン-1-オール及び/又はtrans-3-ヘキセン-1-オールを含む。このような香気化合物は本明細書記載のプロセスによって得ることができ、香気付与(フレグランス)配合物及び/又は、このような香気付与剤の包含が有益である製造品に有利に添加することができる。
【0121】
本発明の幾つかの実施形態の一様相に従えば、本明細書の各実施形態のいずれかに記載の組成物を含む香気付与配合物(フレグランス配合物)が提供される。幾つかの実施形態において、この香気付与配合物は少なくとも1種の追加的香気物質(即ち、本組成物以外)を含む。代替的又は付加的に、本香気付与配合物は、許容される担体等である非香気物質の少なくとも1種の追加成分(例えば、アルコール性担体又は含水担体)を含むことができる。許容される担体は、化粧料として許容される担体、農学的に許容される担体、食用担体及び/又は洗浄剤に適した担体を含み得る。
【0122】
本明細書及び当業界において「香気物質」とは、通常「快」と考えられている香気を呈する化学物質又は化学物質混合物を意味する。
【0123】
3-ヘキセノールは、具体的な応用、もし存在する場合の他の香気成分の性質と量、及び/又はtrans-3-ヘキセン-1-オールとcis-3-ヘキセン-1-オールの相対的比率に依存して、幅広い量で使用できる。3-ヘキセノールの比は通常、それを含む製造品又は配合物の総重量の0.001~20重量%であるが、50重量%まで上げられる。本明細書に記載のように、3-ヘキセノールを含む本組成物は幅広い量(例えば、本明細書に記載の香気付与配合物及び/又は製造品中)で使用できるが、この量は、組成物中の具体的な3-ヘキセノール濃度、trans-3-ヘキセン-1-オールとcis-3-ヘキセン-1-オールの比率、及び/又はもし存在する場合の他の香気成分の性質と量に依存する。
【0124】
本明細書に記載の実施形態のいずれかに従う香気付与配合物は、フレグランスコンセントレート及び/又は本明細書に記載される製造品に添加し得るフレグランス配合物として提供することができる。
【0125】
本発明の幾つかの実施形態の一様相に従えば、本明細書に記載の組成物及び/又は香気付与配合物を含む製造品が提供される。
【0126】
幾つかの実施形態において、この製造品は、香気付与剤の添加が有益である製造品を含む。
【0127】
幾つかの実施形態において、この製造品は、バス/シャワージェル、ヘアコンディショナー、シャンプー、リキッドソープ、固形石鹸、化粧品、タルカムパウダーを含むボディケア製品;香料製品、特にアルコール性の香料;液体洗浄剤等のクレンジング製品又は組成物;ファブリック柔軟剤等のファブリックケア製品;及びポプリやインセンス等のライフスタイル製品を含む。
【0128】
このような製造品の例としては、ベビーケア製品、ビューティケア製品、ファブリック・ホームケア製品、ファミリーケア製品、フェミニンケア製品、ヘルスケア製品、スナック製品及び/又は飲料製品が挙げられるが、これらに限定されない。より具体的な例としては、ファインフレグランス製品又は配合物(例えば、香水やコロン、オードトワレ、アフターシェーブローション、プレシェーブ、化粧水、トニック、皮膚に直接適用する他のフレグランス含有組成物)、オムツ、胸あて(涎掛け)やワイプ;ブリーチ、カラー、ダイ、コンディショナー、シャンプー、スタイリング用配合物や製品を含むヘアトリートメント(ヒト、イヌ及び/又はネコ)に関する製品及び/又は方法;クリーム、ローション、他の局所適用製品を含むデオドラント及び制汗剤、パーソナルクレンジング、化粧品及びスキンケア製品又は配合物及びシェービング製品;ファブリック、硬い表面及びファブリックケアやホームケアの分野における他の表面の処理に関する製品及び/又は方法(空気ケア、車ケア、食器洗浄、ファブリックのコンディショニング(柔軟を含む)、洗濯洗剤、洗濯、濯ぎ用添加剤及び/又はケア、硬い表面のクリーニング及び/又は処理)、及び他のクリーニング組成物;トイレットペーパー、フェイシャルティシュー、ペーパーハンカチ及び/又はペーパータオルに関する製品及び/又は方法;タンポンや生理用ナプキン;及び歯磨きペーストや歯用ジェル、歯用リンス、義歯接着剤、歯ホワイトニングを含むオーラルケアに関連する製品及び/又は方法が挙げられるが、これらに限定されない。
【0129】
本明細書における「洗浄組成物」は、洗浄剤、特に洗浄洗剤、液体、ジェル又はペーストの各形態のオールパーパス洗浄剤、液体ファインファブリック洗剤、手洗い・食器洗浄剤、軽い汚れ用食器洗浄剤、食洗機用洗浄剤を包含し、これらは種々の錠剤、顆粒、液体、リンスエイドの各タイプのクリーニング剤及び消毒剤を含み、更に抗菌性手洗いタイプのクリーナー、クリーニングバー、マウスウオッシュ、義歯クリーナー、歯磨き、車又はカーペットシャンプー、浴室クリーナー、ヘアシャンプー及びヘアリンス、シャワージェル、バスフォーム、金属クリーナー、更にはブリーチ添加剤及び「シミ落としスティック」又はプレトリートメントタイプ剤、基材積載製品(ドライヤー付きシート、ドライ・ウエットワイプ、パッド、不織基材、スポンジ等)更にはスプレーやミスト等のクリーニング補助剤が含まれる。
【0130】
特に断らない限り本明細書における「ファブリックケア組成物」は、ファブリック柔軟組成物、ファブリック向上組成物、ファブリックリフレッシュ組成物及びそれらの組み合わせを包含する。
【0131】
本発明の各実施形態における3-ヘキセノール含有組成物及び/又は香気付与配合物は、1種以上の他の香気付与剤(フレグランス)と共に使用することができる。
【0132】
本発明の各実施形態における組成物は、本組成物又は組成物を含むフレグランス配合物と、それらの適用先である製造品とを単に直接混合するだけで用いることができる。また、本組成物又はそれを含むフレグランス配合物は、例えばポリマー、カプセル、マイクロカプセル、ナノカプセル、リポソーム、フィルムフォーマー、吸着材(炭素、ゼオライト等)、環状オリゴ糖、これらの混合物のようなデリバリーシステムに結合又は担持させることができる。また、光、酵素等の外部刺激を受けて香気物質を遊離するような基材に化学的に結合させることができ、その後製造品に適用できる。
【0133】
そして、本発明の実施形態は、本明細書に記載の製造品の製造方法を更に包含する。この製造方法は、該製造品に香気物質又はそれを含む香気付与配合物を通常、従来の技法及び方法を利用して添加することを含む。本実施形態における香気物質添加によって、製造品の香気ノートを改善、強化又は調節することができる。
【0134】
本出願からの特許存続期間中、香気物質を有益に添加した多くの関連する製造品が開発されるであろうが、用語「製造品」の意味する範囲には、このような新技術の全てが先験的に含まれることが意図されると期待される。
【0135】
本明細書で使用される「約」という用語は±10%又は±5%を意味する。
【0136】
用語「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(having)」及びその活用形は、「それのみに限定されるものではないが、含む(including but not limited to)」を意味する。
【0137】
「からなる」という用語は、「含み、それのみに限定される」ことを意味する。
【0138】
「から実質的になる」という用語は、組成物、方法又は構造が追加の成分、工程及び/又は部分を含み得ることを意味する。但しこれは、追加の成分、工程及び/又は部分が、請求項に記載の組成物、方法又は構造の基本的且つ新規な特性を実質的に変更しない場合に限られる。
【0139】
本明細書において、単数形を表す「a」、「an」及び「the」は、文脈が明らかに他を示さない限り、複数をも対象とする。例えば、「化合物(a compound)」又は「少なくとも1種の化合物」には、複数の化合物が含まれ、それらの混合物をも含み得る。
【0140】
本願全体を通して、本発明の様々な実施形態は範囲形式にて示され得る。範囲形式での記載は、単に利便性及び簡潔さのためであり、本発明の範囲の柔軟性を欠く制限ではないことを理解されたい。従って、範囲の記載は、可能な下位の範囲の全部、及びその範囲内の個々の数値を具体的に開示していると考えるべきである。例えば、1~6といった範囲の記載は、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6等の部分範囲のみならず、その範囲内の個々の数値、例えば1、2、3、4、5及び6も具体的に開示するものとする。これは、範囲の大きさに関わらず適用される。
【0141】
本明細書において数値範囲を示す場合、それは常に示す範囲内の任意の引用数(分数又は整数)を含むことを意図する。第1の指示数と第2の指示数「との間の範囲」という表現と、第1の指示数「から」第2の指示数「までの範囲」という表現は、本明細書で代替可能に使用され、第1の指示数及び第2の指示数と、それらの間の分数及び整数の全部を含むことを意図する。
【0142】
本明細書で使用する「方法」という用語は、所定の課題を達成するための様式、手段、技術及び手順を意味し、化学分野の従事者に知られているもの、又は知られている様式、手段、技術及び手順から従事者が容易に開発できるものが含まれるが、これらに限定されない。
【0143】
本明細書において、「アルキル」は直鎖及び分岐鎖を含む飽和脂肪族炭化水素基を意味する。このアルキル基の炭素数は1~20が好ましい。例えば「1~20」のような数値範囲が記載されている場合は常に、アルキル基の場合、当該アルキル基は1個、2個、3個等、20個までの(20個を含む)炭素原子を有することを意味する。このアルキル基は、炭素数が1~10である中間サイズのアルキル基であることがより好ましい。特に示さない限り、このアルキル基は炭素数1~4の低級アルキル基(C(1-4)アルキル)、更に炭素数1~3の低級アルキル基(C(1-3)アルキル)であることが最も好ましい。アルキルの例としては、メチル、エチル及びプロピルが挙げられるが、非置換であることが好ましい。
【0144】
明確さのために別個の実施形態に関連して記載した本発明の所定の特徴はまた、1つの実施形態において、これら特徴を組み合わせて提供され得ることを理解されたい。逆に、簡潔さのために1つの実施形態に関連して記載した本発明の複数の特徴はまた、別々に、又はいずれかの好適な部分的な組み合わせ、又は好適な他の記載された実施形態に対しても提供され得る。様々な実施形態に関連して記載される所定の特徴は、その要素なしでは特定の実施形態が実施不可能でない限り、その実施形態の必須要件であると捉えてはならない。
【0145】
上述したように、本明細書に記載され、特許請求の範囲に請求される本発明の様々な実施形態及び態様は、以下の実施例によって実験的に支持されるものである。
【0146】
実施例
幾つかの実施形態についての上の記載と共に次の実施例にて本発明を更に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【実施例1】
【0147】
3-ヘキセノール調製プロセスの一例
本発明の実施形態の幾つかによれば、図2に説明する例示的合成スキームに従い、1-ペンテンを1,3,5-トリオキサン(ホルムアルデヒド源としての)と反応させ、3-ヘキセノール(粗第1混合物)を含む粗混合物を得る。続いて、塩素化副生成物を塩基(例えば、水酸化カリウム)と反応させる。
【0148】
プロセスの一例においては、1-ペンテンを1,3,5-トリオキサンと反応させ、次のように粗3-ヘキセノールを大型スケールで得た。
【0149】
混合物1は、250kgのトリオキサン(8.3kmolのホルムアルデヒドに相当)、582kgの1-ペンテン(882L、8.3kmol)及び665kgのジクロロメタン(DCM)をフィード反応器に装荷し、混合することにより得た。
【0150】
混合物2は、8,116kgのDCMを上の反応器に装荷し、665kgのAlCl(4.98kmol)を0℃で装荷して得た。
【0151】
この反応器で混合物2を調製した後、内容物を-5℃に冷却した。混合物1を1.5~2時間の時間をかけて滴下した。この間、温度は-5℃~2℃に保った。
【0152】
この添加操作が完了すると、15分間混合操作を行い、反応液を冷却された3,588kgの2%HClに添加した(温度は15℃まで)。添加終了後に得られた混合物を10℃で15分間攪拌し、分相のため15分間放置した。その後、有機相を10℃において3,046kgの10%NaHCO(pH:8.5~9)で洗い、その後15分間混合し、分相のため15分間放置した。その後、DCMを45℃、650~330mbarでショートカラムにより回収し、1,008kgの粗製物(粗第1混合物)を得た。この混合物は3-ヘキセノールを38%、クロロピラン誘導体(主に3-エチル-4-クロロ-テトラヒドロピラン)を4~6%含むことがガスクロマトグラフィーで分かった。図3に示すように、得られた粗製物のガスクロマトグラフィースペクトルでは、trans-3-ヘキセン-1-オール(9.481分)及びcis-3-ヘキセン-1-オール(9.935分)に関連する各主ピークと、3-エチル-4-クロロ-テトラヒドロピランの立体異性体に関連する小さいながら実質的なピーク(10.933分及び11.308分)が見られた。
【0153】
ガスクロマトグラフィー分析はインストゥルメント7693(Agilent Tchnologies)を用いて行い、各条件は、注入体積:1μL、入口スプリット比:90:1及び、温度250℃であり、ZB-WAXカラム(レステック)(ポリエチレングリコールキャピラリーカラム相、長さ:30m、内径:0.25mm、膜厚:0.25μm、ヘッド圧:16.371psi)とフレームイオン化検出器(FID)(T=260℃、エアフロー:360mL/分、Hフロー:30mL/分、He追加:24.8mL/分)を用いた。試料はジクロロメタンで2%に希釈した。温度は50℃~100℃は5℃/分、その後100℃~220℃は10℃/分、続いて220℃で3分(計25分間)とした。
【0154】
計3,378kgの粗製物(粗第1混合物)が得られるまで上述の手続きを数回繰り返し、続いて蒸留することにより、3-ヘキセノールを85%と共にクロロピラン誘導体(主に3-エチル-4-クロロ-テトラヒドロピラン)を6~8%含む富化混合物(富化第1混合物)1,362kgを得た。蒸留は、理論段数2~30、2~20、2~10又は2~8のガラス充填カラムで行った。
【0155】
続いて、この富化第1混合物をKOH(水酸化カリウム)で処理することによりクロロピラン誘導体の脱塩素化を行って、本明細書に記載の第2混合物を得た。
【0156】
先の蒸留ステップを経ずに脱塩素化を行って富化混合物を得た場合、2-ヘキセノールや4-ヘキセノール等の3-ヘキセノール異性体の顕かな増加が見られた。これら異性体は、後続の蒸留では3-ヘキセノールからの分離が難しく、製品の香気に悪影響を及ぼす。
【0157】
442kgのPEG400(1.1kmol)、続いて247kgのKOH(3.9kmol)を反応器に装荷し、得られた混合物を100℃に加熱した。続いて、温度を100℃に維持しながら、上述の富化3-ヘキセノール蒸留物(85%の3-ヘキセノールと6~8%クロロピラン誘導体、富化第1混合物)1,362kgを1.5時間かけて滴下した。続いて、クロロピラン誘導体濃度が0.05%(ガスクロマトグラフィーで決定)以下となるまでこの反応液を5~7時間攪拌した。反応完了時には、この混合物を室温まで冷却し、741kgの水を添加した。この混合物を60℃で0.5時間加熱することで分相した。続いて、室温にて680kgの飽和NHClを有機相に加え、各相を混合した後、分離した。粗製物(粗第2混合物)が1,227kg得られ、ガスクロマトグラフィーにより、85%の3-ヘキセノール(比80:20;trans:cis)と0.1%以下のクロロピラン誘導体を定量した。図4に示すように、得られた粗製物(クロロピラン誘導体含まず)のガスクロマトグラフィースペクトルでは、trans-3-ヘキセン-1-オール(9.465分)及びcis-3-ヘキセン-1-オール(9.921分)に関連する各主ピークが見られたが、3-エチル-4-クロロ-テトラヒドロピランに関連するピークは観測されなかった。
【0158】
続いてこの粗製品(粗第2混合物)を最終的な蒸留に付すと、1,000kgの3-ヘキセノール(比80:20;trans:cis)が純度約97%(ガスクロマトグラフィーで決定)、クロロピラン誘導体含有量0.1%未満、1-ヘキサノール含有量約1~3%で得られた。最終蒸留は、理論段数10~60、20~50又は20~40のカラムで行った。
【実施例2】
【0159】
3-ヘキセノールの香りに及ぼすクロロピラン誘導体の影響
クロロピラン誘導体を含まない3-ヘキセノール粗組成物を、実施例1に記載した手続きに従って調製した後、蒸留することによって3-ヘキセノール(trans:cis比:72.5:27.5)を少なくとも97重量%の濃度で得た。この組成物の香りを、3-エチル-4-クロロ-テトラヒドロピランを0.1重量%又は0.3重量%含む同様の3-ヘキセノール組成物の香りと比較した。
【0160】
クロロピラン誘導体を含まない3-ヘキセノール(>97%)は、力強くシャープなグリーン、青草系の香りを発した。
【0161】
3-エチル-4-クロロ-テトラヒドロピランは、単独では荒々しく溶媒の様な臭いを発した。濃度0.3重量%(3-ヘキセノール中)では、混合物の香りに3-エチル-4-クロロ-テトラヒドロピランの強い臭いが感じられた。濃度0.1重量%(3-ヘキセノール中)では、3-エチル-4-クロロ-テトラヒドロピランの臭いが3-ヘキセノールの香りでマスクされた。
【0162】
これらの結果、3-ヘキセノール組成物におけるクロロピラン誘導体のレベル低減は非常に有益であることが分かった。
【0163】
3-ヘキセノール(>97%)のグリーン、青草系の香りは1~3%濃度の1-ヘキサノールの存在においてはマスクされない状態であった。
【0164】
本発明を実施形態と共に説明したが、多数の代替、修正及び変種が当業者には明らかであろう。従って、そのような代替、修正及び変種の全ては、添付の特許請求の範囲の趣旨及び広い範囲内に含まれることを意図するものである。
【0165】
本明細書で言及した全ての刊行物、特許及び特許出願は、個々の刊行物、特許及び特許出願のそれぞれについて具体的且つ個別に本明細書に援用する場合と同程度に、それらの全体を本明細書の一部を構成するものとして援用する。加えて、本願における如何なる参考文献の引用又は特定は、このような参考文献が本発明の先行技術として利用可能であることを容認するとして解釈されるべきではない。また、各節の表題が使用される範囲において、必ずしも限定として解釈されるべきではない。
【0166】
更に、本出願の優先権書類は、その全体が本明細書の一部を構成するものとしてここに援用する。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】