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特表2023-513756リン酸残基内で修飾された新規mRNA5’-末端キャップ類似体、それを組み込んだRNA分子、それらの使用、及びRNA分子又はペプチドを合成する方法
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  • 特表-リン酸残基内で修飾された新規mRNA5’-末端キャップ類似体、それを組み込んだRNA分子、それらの使用、及びRNA分子又はペプチドを合成する方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-03
(54)【発明の名称】リン酸残基内で修飾された新規mRNA5’-末端キャップ類似体、それを組み込んだRNA分子、それらの使用、及びRNA分子又はペプチドを合成する方法
(51)【国際特許分類】
   C07H 21/02 20060101AFI20230327BHJP
   A61K 31/7125 20060101ALI20230327BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20230327BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20230327BHJP
   C12Q 1/6844 20180101ALI20230327BHJP
   C12P 21/02 20060101ALI20230327BHJP
   C12N 9/12 20060101ALN20230327BHJP
   C07K 14/37 20060101ALN20230327BHJP
   C07K 14/435 20060101ALN20230327BHJP
【FI】
C07H21/02 CSP
A61K31/7125
A61K48/00
C12N15/12 ZNA
C12Q1/6844 Z
C12P21/02 C
C12N9/12
C07K14/37
C07K14/435
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022548961
(86)(22)【出願日】2021-02-12
(85)【翻訳文提出日】2022-10-07
(86)【国際出願番号】 PL2021050006
(87)【国際公開番号】W WO2021162566
(87)【国際公開日】2021-08-19
(31)【優先権主張番号】P.432884
(32)【優先日】2020-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】PL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522320475
【氏名又は名称】ユニベルシテット・ヴァルシャフスキ
(71)【出願人】
【識別番号】522320486
【氏名又は名称】エクスポロルナ・セラピューティクス・エスピー・ゼット・オー・オー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】マチン・ワルミンスキ
(72)【発明者】
【氏名】パヴェル・シコルスキ
(72)【発明者】
【氏名】ヨアンナ・コヴァルスカ
(72)【発明者】
【氏名】ヤツェク・イェミエリティ
【テーマコード(参考)】
4B050
4B063
4B064
4C057
4C084
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4B050CC07
4B050KK07
4B050LL05
4B063QA20
4B063QQ42
4B063QQ52
4B063QR08
4B063QR32
4B063QR35
4B063QS24
4B064AE63
4B064AG01
4B064CA21
4B064CC24
4C057AA30
4C057BB01
4C057DD03
4C057MM02
4C057MM09
4C084AA13
4C084NA20
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086AA04
4C086EA18
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA20
4H045AA10
4H045AA30
4H045CA15
4H045CA30
4H045CA40
4H045EA20
4H045EA50
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は新しい5'mRNA末端キャップ類似体、それらを含有するRNA分子、それらの使用、及びそれらのインビトロでの合成のための方法、並びにインビトロ又は細胞培養におけるタンパク質又はペプチド合成のための方法であって、RNA分子を翻訳する方法、に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化1】
(式中、
R1、R3、R4はH、CH3、アルキルからなる群から選択され、異なる数字をもつR置換基は同一であっても異なっていてもよく、
塩基1
【化2】
からなる群から選択され、
式中、R5はH、CH3、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルアリールからなる群から選択され、
X1、X3はO、S、Seからなる群から選択され、異なる数字をもつX置換基は同一であっても異なっていてもよく、
X2、X4はO、S、Se、BH3からなる群から選択され、異なる数字をもつX置換基は同一であっても異なっていてもよく、
X5はO、CH2、CF2、CCl2からなる群から選択され、
X1、X2、X3、X4、及びX5のうちの少なくとも1つの置換基はOとは異なり、
R1が水素又はCH3であり、R2が水素であり、R3がCH3であり、X1、X3、X4、及びX5が酸素であり、X2が硫黄であり、塩基1がGである化合物を除く)
の化合物。
【請求項2】
式:
【化3】
のm7GppSpApG化合物、
式:
【化4】
の化合物m7GppSpAmpG、
式:
【化5】
の化合物m7GppSpm6ApG、
式:
【化6】
の化合物m7GppSpm6AmpG、
式:
【化7】
の化合物m7GpppApSG、
式:
【化8】
の化合物m7Gppp5'SApG、
式:
【化9】
の化合物m7Gppp5'SAmpG、
式:
【化10】
の化合物m7GppCH2pApG、
式:
【化11】
の化合物m7GppCH2pAmpG、
式:
【化12】
の化合物m7GppCH2pm6ApG
からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
単一の立体異性体から本質的になる、又は少なくとも2つの立体異性体、第1のジアステレオ異性体及び第2のジアステレオ異性体の混合物を含み、ジアステレオ異性体が、立体中心リン原子の周りに異なる立体化学的配置を有すること以外は同一であり、前記立体中心リン原子が硫黄原子、セレン原子、又はボラン基に結合している、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
5'末端に請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物を有するRNA分子。
【請求項5】
請求項4に記載のRNA分子を合成するインビトロの方法であって、RNAポリメラーゼの存在下で、ATP、CTP、UTP及びGTP、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物、並びにポリヌクレオチドマトリックスを、ポリヌクレオチドマトリックス上でRNAコピーRNAポリメラーゼによる転写が可能な条件下で反応させる工程を含み、RNAコピーのいくつかは請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物を含有し、請求項4に記載のRNA分子を形成することになる、方法。
【請求項6】
タンパク質又はペプチドのインビトロでの合成方法であって、請求項4に記載のRNA分子を無細胞タンパク質合成系で翻訳する工程を含み、RNA分子がオープンリーディングフレームを含み、オープンリーディングフレームによりコードされるRNAタンパク質又はペプチドのオープンリーディングフレームからの翻訳を可能にする条件下である、方法。
【請求項7】
タンパク質又はペプチドをインビボで合成するための方法であって、請求項4に記載のRNA分子を細胞内に導入する工程を含み、RNA分子がオープンリーディングフレームを含み、このオープンリーディングフレームを通してコードされたタンパク質又はペプチドを形成するためのRNA分子のオープンリーディングフレームからの翻訳を可能にする条件下であり、前記細胞が患者の体内に含有されないことを特徴とする、方法。
【請求項8】
RNA分子のインビトロ合成における、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項9】
タンパク質又はペプチドのインビトロ合成における、請求項4に記載のRNA分子の使用。
【請求項10】
医学、薬学、又は診断学における使用のための、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物又は請求項4に記載のRNA分子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リン酸残基内で修飾された新規mRNA5'-末端キャップ類似体、それを組み込んだRNA分子、それらの使用、及びインビトロでRNA分子を合成する方法、並びにインビトロ又は細胞内でタンパク質又はペプチドを合成する方法であって、RNA分子を翻訳する工程を含む、方法に関する。
【背景技術】
【0002】
真核生物のmRNAの5'末端に存在する7-メチルグアノシン(m7G)キャップは、主にmRNAを早期分解から保護し、mRNAの輸送及び翻訳に関与するタンパク質の分子プラットフォームとして機能することによって、数多くの基本的な細胞プロセスにおける重要な役割を担う。1したがって、5'キャップの化学修飾は、キャップ依存性のプロセス、及びひいては、mRNA代謝を選択的に調節するための分子ツールを設計する道を開く。25'キャップの存在は、通常の条件下で、mRNAサーベイランス及び効率的な翻訳に必要である。m7GpppG型の化学的に合成されたmRNAキャップ類似体は、キャップ付加mRNAのインビトロでの合成のために試薬として利用される。3
【0003】
インビトロ転写された(IVT)5'-キャップ付加mRNAは、mRNAの翻訳、輸送、及び代謝回転を研究するための有用なツールであり、新たに出現したクラスの非常に有望な治療用分子である。IVT mRNAは、真核生物細胞抽出物、培養細胞、又は更には生体全体におけるタンパク質発現における用途を見出す。最後に、IVT mRNAは、抗がん及び抗ウイルスのワクチン接種並びに遺伝子置換療法を目的とする外因性タンパク質の安全な送達のツールとして、近年大きな注目を集めている。4
【0004】
mRNAキャップ類似体を使用した5'-キャップ付加mRNAの合成は、インビトロでの転写によって達成することができる。3この共転写キャッピングと呼ばれる方法によって、4つのNTP全て及びm7GpppG等のキャップジヌクレオチドの存在下でDNA鋳型上のRNAポリメラーゼによりRNAの合成が実施される。DNA鋳型は、通常、最初の転写ヌクレオチドとしてGを組み込むように設計される。ポリメラーゼは、GTP又はm7GpppGから転写を開始し、それにより一つのヌクレオチドを新生RNAの5'末端に組み込む。キャップ類似体の組込みの割合(キャッピング効率)を向上させるために、他のNTPに対してGTP濃度を下げ、キャップジヌクレオチドの濃度を上げる(GTPに対して4~10倍過剰にする)。残念ながら、キャップジヌクレオチドの逆組込みが起き得る可能性があり、翻訳不活性な「Gpppm7Gキャップ付加」RNAが一部生じ得る。この問題は、7-メチルグアノシンの2'又は3'位を(通常はOH基の1つをOCH3によって置換することによって)修飾し逆組込みを阻止する「アンチリバースキャップ類似体」(ARCA)の発見により解決されてきた。5、6
【0005】
キャップ類似体にARCA特性を与える修飾は、7-メチルグアノシン内で修飾されたmRNAをもたらすが、mRNAの発現及び代謝に関与する様々なプロセスに対するこれらの修飾の効果は、まだ十分に研究されていない。m7GpppN型ジヌクレオチド(式中、N=任意のヌクレオチド)の使用に対する別の制限は、N内で、天然の後成的修飾、例えば2'-O-メチル化、又はアデノシンのN6位でのメチル化が導入できないことである。19このタイプの修飾は、いくつかの真核生物のmRNAに自然に生じ、まだ十分に理解されていないが、重要な生物学的機能を有するが、しかし、m7GpppN構造のN内へのそれらの導入は、mRNAへの組込み効率が著しく低下する(アデニンのN6位でのメチル化の場合)、又は、mRNAへのキャップの逆組込みが生じる(Nの2'-Oメチル化又は両修飾の組合せの場合)ことがある20。ジヌクレオチドで得られたmRNAは、例えば市販の酵素VCEを用いて、最初の転写ヌクレオチド内で酵素的に2'-O-メチル化に供され得る21。しかし、この解決方法では合成費用が高くなり、mRNAの調製プロセスでの追加工程を意味し、治療用途のmRNAでは特に不利となる。問題に対する別の公知の解決方法は、一般構造m7GpppN*pGを有するキャップ類似体の使用である(式中、N*はメチル化により後成的に修飾され得る天然のヌクレオチドである)20、22
【0006】
共転写キャッピング法は、RNAの5'末端に様々な修飾されたキャップ構造を組み込むことを可能とすることが示されている。これらの修飾されたキャップ構造は、分子タグを保有する、又は翻訳効率及び安定性の向上等の新しい性質をmRNAに与える可能性がある。とりわけ、特に有益なジヌクレオチドキャップ類似体は、それらの間でも三リン酸架橋で修飾されているものである7。5',5'-三リン酸架橋の単一の原子置換でさえ、mRNAの性質に大きな影響を与えることが可能であることが示されている。例えば、所謂β-S-ARCAにより導入される、キャップのオリゴリン酸架橋のβ位での単一の原子置換は、インビトロ及びインビボにおけるmRNAの翻訳効率の著しい向上をもたらし、8,9一方で単一のOからCH2へのα-β位での置換は、翻訳効率の低下をもたらす。10キャップ内での異なる単一原子置換の生物学的効果が劇的に異なることは、オリゴリン酸鎖の修飾に対する翻訳機構の感度が高いことを示しており、これが分野のさらなる研究であることを示唆している。キャップ構造のそのような修飾は、時にmRNA合成プロセスに影響を与え、キャッピング効率23及び全体の翻訳効率が低下する可能性がある。
【0007】
先行技術では、インビトロで転写されたmRNAを、非キャップ付加(5'三リン酸)RNAの酵素的除去及びHPLCによる精製の手順に供することでmRNAの免疫原性が低下し、そのようなmRNAによりコードされるタンパク質のインビボでの発現効率が向上することが示されている11,12。しかし、酵素法による非キャップ付加mRNAの除去は時間がかかり高価であるため、いくつかの用途では、非キャップ付加mRNAの除去の手順に供されていなくても効率的に発現するmRNA分子を得ることが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際出願第2019175356号
【特許文献2】米国特許第7074596号
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Moore, M., From birth to death: The complex lives of eukaryotic mRNAs. Science 2005年, 309 (5740), 1514~1518頁.
【非特許文献2】Ziemniak, M.; Strenkowska, M.; Kowalska, J.; Jemielity, J., Potential therapeutic applications of RNA cap analogs. Future Medicinal Chemistry 2013年, 5 (10), 1141~1172頁.
【非特許文献3】Grudzien-Nogalska, E.; Stepinski, J.; Jemielity, J.; Zuberek, J.; Stolarski, R.; Rhoads, R. E.; Darzynkiewicz, E., Synthesis of anti-reverse cap analogs (ARCAs) and their applications in mRNA translation and stability. Translation Initiation: Cell Biology, High-Throughput Methods, and Chemical-Based Approaches 2007年, 431, 203~227頁.
【非特許文献4】Sahin, U.; Kariko, K.; Tureci, O., mRNA-based therapeutics - developing a new class of drugs. Nature Reviews Drug Discovery 2014年, 13 (10), 759~780頁.
【非特許文献5】Stepinski, J.; Waddell, C.; Stolarski, R.; Darzynkiewicz, E.; Rhoads, R. E., Synthesis and properties of mRNAs containing the novel "anti-reverse" cap analogs 7-methyl(3 '-O-methyl)GpppG and 7-methyl(3 '-deoxy)GpppG. Rna-a Publication of the Rna Society 2001年, 7 (10), 1486~1495頁.
【非特許文献6】Jemielity, J.; Fowler, T.; Zuberek, J.; Stepinski, J.; Lewdorowicz, M.; Niedzwiecka, A.; Stolarski, R.; Darzynkiewicz, E.; Rhoads, R. E., Novel "anti-reverse" cap analogs with superior translational properties. Rna-a Publication of the Rna Society 2003年, 9 (9), 1108~1122頁.
【非特許文献7】Jemielity, J.; Kowalska, J.; Rydzik, A. M.; Darzynkiewicz, E., Synthetic mRNA cap analogs with a modified triphosphate bridge - synthesis, applications and prospects. New Journal of Chemistry 2010年, 34 (5), 829~844頁.
【非特許文献8】Grudzien-Nogalska, E.; Jemielity, J.; Kowalska, J.; Darzynkiewicz, E.; Rhoads, R. E., Phosphorothioate cap analogs stabilize mRNA and increase translational efficiency in mammalian cells. Rna-a Publication of the Rna Society 2007年, 13 (10), 1745~1755頁.
【非特許文献9】Kuhn, A. N.; Diken, M.; Kreiter, S.; Selmi, A.; Kowalska, J.; Jemielity, J.; Darzynkiewicz, E.; Huber, C.; Tureci, O.; Sahin, U., Phosphorothioate cap analogs increase stability and translational efficiency of RNA vaccines in immature dendritic cells and induce superior immune responses in vivo. Gene Therapy 2010年, 17 (8), 961~971頁.
【非特許文献10】Grudzien, E.; Kalek, M.; Jemielity, J.; Darzynkiewicz, E.; Rhoads, R. E., Differential inhibition of mRNA degradation pathways by novel cap analogs. Journal of Biological Chemistry 2006年, 281 (4), 1857~1867頁
【非特許文献11】Katalin Kariko, Hiromi Muramatsu, Janos Ludwig, Drew Weissman, Generating the optimal mRNA for therapy: HPLC purification eliminates immune activation and improves translation of nucleoside-modified, protein-encoding mRNA, Nucleic Acids Research, Vol. 39, Issue 21, 1 November 2011年, 142頁.
【非特許文献12】Sikorski, Pawel J; Warminski, Marcin; Kubacka, Dorota; Ratajczak, Tomasz; Nowis, Dominika; Kowalska, Joanna; Jemielity, Jacek; The identity and methylation status of the first transcribed nucleotide in eukaryotic mRNA 5′ cap modulates protein expression in living cells. Nucleic Acids Research 2020年, 305~1048頁.
【非特許文献13】M. Warminski et al. Journal of the American Chemical Society 2018年, 140, 5987~5999頁.
【非特許文献14】M. Kalek, J. Jemielity, J. Stepinski, R. Stolarski, E. Darzynkiewicz, Tetrahedron Letters 2005年, 46, 2417-2421頁.
【非特許文献15】J. Kowalska et al. RNA 2008年, 14, 1119~1131頁.
【非特許文献16】Coleman, T., Wang, G. and Huang, F. (2004年) Superior 5 ' homogeneity of RNA from ATP-initiated transcription under the T7 phi 2.5 promoter. Nucleic Acids Research, 32:e14
【非特許文献17】Norbert Pardi, Michael J. Hogan, Frederick W. Porter, Drew Weissman, N. Nature Reviews Drug Discovery vol. 17, 261~279頁 (2018年).
【非特許文献18】Berraondo P, Martini PGV, Avila MA, et al Messenger RNA therapy for rare genetic metabolic diseases Gut 2019年;68:1323-1330頁.
【非特許文献19】Jin Wanga et. al., Nucleic Acids Research, Volume 47, Issue 20, 18 November 2019年,
【非特許文献20】Masahide Ishikawa, Ryuta Murai, Hiroyuki Hagiwara, Tetsuya Hoshino, Kamui Suyama, Nucleic Acids Symposium Series, Volume 53, Issue 1, September-October 2009年, 129~130頁.
【非特許文献21】Anand Ramanathan, G. Brett Robb, Siu-Hong Chan, Nucleic Acids Research, Volume 44, Issue 16, 19 September 2016年, 7511~7526頁,
【非特許文献22】Pawel J Sikorski, Marcin Warminski, Dorota Kubacka, Tomasz Ratajczak, Dominika Nowis, Joanna Kowalska, Jacek Jemielity, Nucleic Acids Research, Volume 48, Issue 4, 28 February 2020年, 1607~1626頁,
【非特許文献23】Sylwia Walczak et al., Chem. Sci., 2017年, 8, 260~267頁.
【非特許文献24】E. Grudzien Nogalska et al., Methods in Enzymology, Vol. 431, 2007年, 203~227頁.
【非特許文献25】Anna Maria Rydzik et. al., Organic & Biomolecular Chemistry, Issue 22, 2009年.
【非特許文献26】M. Kalek et al., Bioorganic & Medicinal Chemistry, Vol. 14, Issue 9, 1 May 2006年, 3223~3230頁
【非特許文献27】J. Kowalska et.al. (2009年), Phosphoroselenoate Dinucleotides for Modification of mRNA 5′ End. ChemBioChem, 10: 2469~2473頁.
【非特許文献28】J. Kowalska, et. al., Nucleic Acids Research, Volume 42, Issue 16, 15 September 2014年, 10245~10264頁,
【非特許文献29】A. Rydzik et.al., Nucleic Acids Research, Volume 45, Issue 15, 6 September 2017年, 8661~8675頁,
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、先行技術のキャップ類似体を使用して得られるmRNAと比較して、より高いキャッピング効率を有するmRNAを得ること、及びこれらのmRNAによりコードされるより高い発現量のタンパク質を得ることを可能にするであろう、新しいmRNA5'末端(キャップ)類似体を、特に、使用されるmRNAが非キャップ付加mRNAを除去するための酵素処理を事前に受けていない、当技術分野で提供することである。
【0011】
本発明の特定の目的は、キャップ類似体を正しい方向で組み込むことを確実にするために、7-メチルグアノシン部分のリボースに属するOH基の修飾を必要としない5'末端mRNAの類似体を提供することである。
【0012】
本発明の特定の目的はまた、それらを含有するmRNAの翻訳効率を低下させないが、好ましくは向上させる、mRNAの5'末端の類似体を提供することでもある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の対象は、以下に定義するように、リン酸残基内で修飾されたmRNAの5'末端の新規トリヌクレオチド類似体(キャップ類似体)である。
【0014】
本発明の実施形態は、式:
【0015】
【化1】
【0016】
(式中、
R1、R2、R3はH、CH3、アルキルからなる群から選択され、異なる数字をもつ置換基Rは同一であっても異なっていてもよく、
塩基1は構成:
【0017】
【化2】
【0018】
をもつ群から選択され、
式中、R4はH、CH3、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルアリールからなる群から選択され、
X1、X3は構成:O、S、Seからなる群から選択され、異なる数字をもつ置換基Xは同一であっても異なっていてもよく、
X2、X4はO、S、Se、BH3からなる群から選択され、異なる数字をもつ置換基Xは同一であっても異なっていてもよく、
X5はO、CH2、CF2、CCl2からなる群から選択され、
X1、X2、X3、X4、及びX5のうちの少なくとも1つの置換基はOとは異なり、
R1が水素又はCH3を表し、R2が水素を表し、R3がCH3を表し、X1、X3、X4、及びX5が酸素を表し、X2が硫黄を表し、塩基1がグアニンを表す化合物を除く)
の化合物である。
【0019】
有利には、本発明による化合物において、R2はOHを表し、同時に、R3はOHを表す。
【0020】
有利には、本発明による化合物において、X5はCH2を表す。
【0021】
有利には、本発明による化合物において、X2はSを意味する。
【0022】
有利には、本発明による化合物において、X3はSを意味する。
【0023】
有利には、本発明による化合物において、X4はSを意味する。
【0024】
有利には、本発明による化合物は、
式:
【0025】
【化3】
【0026】
の化合物m7GppSpApG、
式:
【0027】
【化4】
【0028】
の化合物m7GppSpAmpG、
式:
【0029】
【化5】
【0030】
の化合物m7GppSpm6ApG、
式:
【0031】
【化6】
【0032】
の化合物m7GppSpm6AmpG、
式:
【0033】
【化7】
【0034】
の化合物m7GpppApSG、
式:
【0035】
【化8】
【0036】
の化合物m7Gppp5'SApG、
式:
【0037】
【化9】
【0038】
の化合物m7Gppp5'SAmpG、
式:
【0039】
【化10】
【0040】
の化合物m7GppCH2pApG、
式:
【0041】
【化11】
【0042】
の化合物m7GppCH2pAmpG、
式:
【0043】
【化12】
【0044】
の化合物m7GppCH2pm6ApG
からなる群から選択される。
【0045】
好ましくは、本発明による化合物は、単一の立体異性体から本質的になる、又は少なくとも2つの立体異性体、第1のジアステレオ異性体及び第2のジアステレオ異性体の混合物を含み、ジアステレオ異性体は、立体中心リン原子の周りに異なる立体化学的配置を有すること以外は同一であり、立体中心リン原子は硫黄原子、セレン原子、又はボラン基に結合している。
【0046】
本発明の別の実施形態は、5'末端に上記で定義した本発明による化合物を含有するRNA分子である。
【0047】
本発明のさらなる実施形態は、上記で定義した本発明によるRNA分子のインビトロでの合成のための方法であって、RNAポリメラーゼの存在下で、ATP、CTP、UTP及びGTP、上記で定義した本発明による化合物、並びにポリヌクレオチド鋳型を、RNAポリメラーゼがポリヌクレオチド鋳型上でRNAコピーを合成することを可能にする条件下で反応させる工程を含み、RNAコピーのいくつかは上記で定義した本発明による化合物を含有し、その結果、本発明によるRNA分子が作製されることになる、方法である。
【0048】
本発明の別の実施形態は、タンパク質又はペプチドをインビトロで合成するための方法であって、上記で定義した本発明によるRNA分子を無細胞タンパク質合成系で翻訳する工程を含み、RNA分子がオープンリーディングフレームを含み、オープンリーディングフレームによりコードされるタンパク質又はペプチドのRNA分子のオープンリーディングフレームからの翻訳を可能にする条件下である、方法である。
【0049】
本発明の別の実施形態は、タンパク質又はペプチドをインビボで合成するための方法であって、上記で定義した本発明によるRNA分子を細胞内に導入する工程を含み、上記RNA分子がオープンリーディングフレームを含み、オープンリーディングフレームによりコードされるタンパク質又はペプチドの形成を伴うRNA分子のオープンリーディングフレームからの翻訳を可能にする条件下であり、上記細胞は患者の体内に含有されないことを特徴とする方法である。
【0050】
本発明の別の実施形態は、RNA分子のインビトロ合成における、上記で定義した本発明による化合物の使用である。
【0051】
本発明の別の実施形態は、タンパク質又はペプチドのインビトロ合成において、上記で定義した本発明によるRNA分子を使用することである。
【0052】
本発明の別の実施形態は、医学、診断学、又は薬学における使用のための、上記で定義した本発明による化合物又は上記で定義した本発明によるRNA分子である。
【発明の効果】
【0053】
驚くべきことに、本発明によるmRNA5'末端(キャップ)のトリヌクレオチド類似体は、当技術分野で公知のmRNA5'-末端(キャップ)類似体を使用して得られたmRNAと比較して、より高いキャッピング効率を有するmRNAを得ること、及びこれらのmRNAによってコードされるより高い発現量のタンパク質を得ることを可能にすることが判明した。
【0054】
更に、本発明により提案される化合物は、得られるmRNAに正しい方向でのみ組み込まれるため、本発明は、mRNAキャップの5',5'-三リン酸鎖におけるOのSによる、又はOのCH2による、又はOの別の原子若しくは原子団による部位特異的な置換を、さらなるARCA修飾(すなわち、7-メチルグアノシンの2'-O又は3'-O位での公知のメチル化)24,25を必要とせずに可能にする。
【0055】
国際出願第WO2019175356号は、RNAキャッピングのための修飾された5'トリヌクレオチドを開示している。しかし、本出願で記載される化合物とは異なり、それらは7-メチルグアノシン内にARCA型の修飾を有する。この非天然な修飾が存在すると、キャップ合成の費用が増加し、特に特定の三リン酸架橋修飾との組合せで、例えば、酵素DcpSによるキャップ分解が遅くなる結果、インビボでマイナスの結果となる可能性がある26。その結果、細胞内にキャップが蓄積し、それにより治療用途ではmRNAの発現効率が低下し、高用量又は反復投与の場合には毒性さえ誘発される可能性がある。したがって、R2=OHであり、R3=OHである本発明による化合物は特に好ましい。
【0056】
また、本発明は、mRNAの5'末端の第1のホスホジエステル結合の構造において、OのSによる部位特異的な置換を可能にする。mRNAの第1のホスホジエステル結合の構造におけるOのSによる置換により、特に、使用されるmRNAが非キャップ付加mRNAを除去するための事前の酵素処理に供されていない場合、当技術分野で公知のキャップ技術類似体を使用して得られたmRNAと比較して、そのようなmRNAによりコードされるより高いタンパク質の発現量を可能にする。
【0057】
更に、本発明はいくつかの修飾を同時に行うことを可能にし、特に、三リン酸鎖又は第1のホスホジエステル結合の構造におけるOのSによる置換を、最初の転写ヌクレオチドの2'-O-メチル化及びアデノシンのN6-メチル化等のmRNAの5'末端における天然の後成的修飾の導入と一緒に行うことが可能である。
【0058】
また、驚くべきことに、本発明によるトリヌクレオチドにおける特定のリン酸修飾の存在は、先行技術から公知のジヌクレオチドにおける同じ修飾の存在とは異なる効果を分子の性質に与え得ることも見出された。例えば、OからCH2への置換を有する本発明によるキャップ類似体は、先行技術のトリヌクレオチドキャップ類似体を使用して得られたmRNAと比較して、そのようなmRNAによりコードされるタンパク質の発現量がより高いことを特徴とする、インビトロで転写されたmRNAを得ることを可能にすることが見出された。先行技術のジヌクレオチドキャップ類似体(化合物m2 7,3'-OGppCH2pG)を使用して得られたmRNAキャップの三リン酸架橋におけるOのCH2による置換により、OのCH2による置換を保有しない先行技術のキャップ類似体(化合物m2 7,3'-OGpppG)を使用して得られたmRNAと比較して、タンパク質の発現の著しい低下をもたらすことが、先行研究により示されている。10更に、X5位でOからCH2への置換又はX2位でOからSへの置換を有する本発明によるトリヌクレオチドキャップ類似体(それぞれ、m7GppCH2pAmpG及びm7GppSpAmpG D2)で修飾したmRNAは、非常に似た翻訳特性を有し、一方でそれぞれのジヌクレオチド(それぞれ、m2 7,3'-OGppCH2pG及びm2 7,2'-OGppSpG D2)は翻訳特性に対して逆の効果(修飾なしの化合物に対して、前者は翻訳効率を低下させ、後者は向上させる)を有している25、8。これは、ジヌクレオチドの観測が直接トリヌクレオチドに当てはまるわけではないことを意味する。
【0059】
また驚くべきことに、OのCH2による置換、又はOのSによる置換を保有する本発明によるキャップ類似体は、同じ修飾を含有し、同じ濃度で使用されるジヌクレオチドキャップ類似体で得られるキャッピング収率よりも、高いキャッピング収率で、インビトロで転写されたmRNAの作製を可能にすることも見出された。
【0060】
本発明のキャップ類似体は、最初に転写されたヌクレオチド位置に存在する、ヌクレオチド内に任意の核酸塩基を含有するインビトロで転写されたmRNAを効率的に調製することができる[ほとんどのウイルスポリメラーゼ(T7、SP6)によるインビトロでの転写に用いられる配列の制限により、プリン組込みにのみ適した公知のジヌクレオチドキャップ類似体とは対照的である]。
【0061】
本明細書で引用した刊行物及び本明細書に示された参考文献は、参考文献として本明細書に組み込まれる。
【0062】
本発明をよりよく理解するために、図面の簡単な説明が、実施例及び添付図面に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0063】
図1】本発明による選択されたトリヌクレオチドキャップ類似体(GTPに対して6倍過剰に使用)又は当技術分野で公知のジヌクレオチドキャップ類似体(同じくGTPに対して6倍過剰に使用)を使用して得られたRNAのキャッピング効率の分析を提示する図である。
図2】酵素的に処理された及びHPLC精製されたmRNAについて得られた、3T3-L1細胞におけるタンパク質発現を時間の関数として示す図である。
図3】酵素的に処理された及びHPLC精製されたmRNAについて得られた、JAWSII細胞におけるタンパク質発現を時間の関数として示す図である。
図4】酵素的に処理された及びHPLC精製されたmRNAについて、3T3-L1細胞における総タンパク質発現を示す図である。
図5】酵素的に処理された及びHPLC精製されたmRNAについて、JAWSII細胞における総タンパク質発現を示す図である。
図6】非キャップ付加mRNAの除去の手順に供されていないmRNAについて得られた、JAWSII細胞におけるタンパク質発現を時間の関数として示す図である。
図7】非キャップ付加mRNAの除去の手順に供されていないmRNAについて得られた、JAWSII細胞における総タンパク質発現を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0064】
用語「アルキル」は、示された数の炭素原子、好ましくは1~10個の炭素原子を有する、飽和した、直鎖状又は分岐状の炭化水素置換基を指す。アルキル置換基の例は、-メチル、-エチル、-n-プロピル、-n-ブチル、-n-ペンチル、-n-ヘキシル、-n-ヘプチル、-n-オクチル、-n-ノニル、及び-n-デシルである。代表的な分岐状(C1~C10)アルキルとしては、-イソプロピル、-sec-ブチル、-イソブチル、-tert-ブチル、-イソペンチル、-ネオペンチル、-1-メチルブチル、-2-メチルブチル、-3-メチルブチル、-1 , 1-ジメチルプロピル、-1,2-ジメチルプロピル、-1-メチルペンチル、-2-メチルペンチル、-3-メチルペンチル、-4-メチルペンチル、-1-エチルブチル、-2-エチルブチル、-3-エチルブチル、-1, 1-ジメチルブチル、-1,2-ジメチルブチル、1,3-ジメチルブチル、-2,2-ジメチルブチル、-2,3-ジメチルブチル、-3,3-ジメチルブチル、-1-メチルヘキシル、2-メチルヘキシル、- 3-メチルヘキシル、-4-メチルヘキシル、-5-メチルヘキシル、-1,2-ジメチルペンチル、-1,3-ジメチルペンチル、-1,2-ジメチルヘキシル、-1,3-ジメチルヘキシル、-3,3-ジメチルヘキシル、1,2-ジメチルヘプチル、-1,3-ジメチルヘプチル、及び-3,3-ジメチルヘプチル等が挙げられる。
【0065】
用語「アルケニル」は、示された数の炭素原子を有し、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含有する、飽和した、直鎖状又は分岐状の非環状炭化水素置換基を指す。アルケニル置換基の例は、-ビニル、-アリル、-1-ブテニル、-2-ブテニル、-イソブチレニル(isobutyleneyl)、-1-ペンテニル、-2-ペンテニル、-3-メチル-1-ブテニル、-2-メチル-2-ブテニル、-イソプレニル、-2,3-ジメチル-2-ブテニル、-1-ヘキセニル、-2-ヘキセニル、-3-ヘキセニル、-1-ヘプテニル、-2-ヘプテニル、-3-ヘプテニル、-1-オクテニル、-2-オクテニル、-3-オクテニル、-1-ノネニル、-2-ノネニル、-3-ノネニル、-1-デセニル、-2-デセニル、-3-デセニル等である。
【0066】
用語「アルキニル」は、示された数の炭素原子を有し、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を含有する、飽和した、直鎖状又は分岐状の非環状炭化水素置換基を指す。アルキニル置換基の例は、アセチレニル、プロピニル、-1-ブチニル、-2-ブチニル、-1-ペンチニル、-2-ペンチニル、-3-メチル-1-ブチニル、4-ペンチニル、-1-ヘキシニル、2-ヘキシニル、-5-ヘキシニル等である。
【0067】
用語「アリール」は、示された数の炭素原子、好ましくは6~10個の炭素原子を有する不飽和の、環状、芳香族又はヘテロ芳香族(すなわち、炭素の代わりにヘテロ原子を含有する)の置換炭化水素を指す。アリールの例は、フェニル、ナフチル、アントラシル、フェナントリルである。
【0068】
用語「アルキルアリール」は、一緒に結合したアルキル部分とアリール部分(上に定義したとおり)から構成される不飽和炭化水素置換基を指す。アルキルアリールの例は、ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピル、ナフチルメチル、ナフチルエチル等である。
【0069】
用語「ヘテロ原子」は、酸素、硫黄、窒素、リン等の群から選択される原子を意味する。
【0070】
用語「HPLC」は、高速液体クロマトグラフィーを意味し、「HPLC」用溶媒として指定された溶媒は、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)分析に十分な純度の溶媒を意味する。
【0071】
用語「NMR」は、核磁気共鳴を意味する。
【0072】
用語「HRMS」は、高分解能質量分析を意味する。
【0073】
以下の実施例は、本発明を例証し、その特定の態様を明らかにするためにのみ提供されるものであり、本発明を限定するものではなく、添付の特許請求の範囲で定義されるその全範囲と同一視されるべきものではない。以下の実施例では、別途指示しない限り、当分野で使用されている標準的な材料及び方法を使用し、又は特定の材料及び方法についてメーカーの推奨に従った。
【実施例
【0074】
固体支持合成法と溶液相合成法を組み合わせてトリヌクレオチドキャップ類似体を合成し、その後、2工程の精製プロセスを用いて化合物を単離した。出発点はジヌクレオチド(5'-一リン酸pNpG;5'-チオエステルp5'SNpG、5'-メチレンビスホスホネートpCH2pNpG、及び3',5'-ホスホロチオエート結合を有するジヌクレオチドpNpSG)の合成であった。ホスホロアミダイトの酸化のためにDDTT[((ジメチルアミノ-メチリデン)アミノ)-3H-1,2,4-ジチアゾリン-3-チオン]を使用することにより、3',5'-ホスホロチオエート結合を形成した。ジヌクレオチドを支持体から切断し、脱保護し、ZnCl2媒介カップリング反応に適したトリエチルアンモニウム塩としてイオン交換クロマトグラフィーによって単離した。
【0075】
p5'SNpG及びpNpSGジヌクレオチドをm7GDP-Im[15]とカップリング反応に供し、それぞれm7Gppp5'SNpG及びm7GpppNpSG型の類似体を得て、一方でpCH2pNpGジヌクレオチドをm7GMP-Im[15]とカップリング反応に供し、m7GppCH2pNpG型の類似体を得た。β-チオリン酸部分を保有する類似体の合成には、ジヌクレオチド5'-リン酸を対応するP-イミダゾリドに活性化する必要があり、その後m7GDP-β-Sとカップリングさせた[15]。全ての化合物をイオン交換クロマトグラフィーにより単離し、更にRP HPLCで精製して、生物学的研究に適したアンモニウム塩を得た。β-チオリン酸又は3',5'-ホスホロチオエートを保有する類似体の場合、RP HPLC精製工程中に化合物のジアステレオマーを分離し、溶出順序に従ってD1及びD2と表示した。本発明による三リン酸架橋内で修飾された他のトリヌクレオチドは、実施例1~8に記載の合成戦略を、ジヌクレオチドキャップ類似体についての文献に記載されている適切なリン酸架橋修飾を導入するための方法と組み合わせて使用することにより得ることができる。26, 27、28、29、30
【0076】
(実施例1)
5'-リン酸化ジヌクレオチド(pNpG)の合成
ジヌクレオチドの合成は、AKTA Oligopilot plus 10 synthesizer(GE Healthcare社)を使用して5'-O-DMT-2'-O-TBDMS-rGiBu 3'-lcaa PrimerSupport 5G(308μmol/g)固体支持体(GE Healthcare社)上で実施した。カップリング工程では、アセトニトリル中2.0当量の5'-O-DMT-2'-O-TBDMS/2'-O-Me-3'-O-ホスホロアミダイト(rAAc、rAm Pacm6AAc又はm6Am Pac)[12]又はビスシアノエチルホスホロアミダイト及び0.30Mの5-(ベンジルチオ)-1-H-テトラゾールを、15分間カラムを通して再循環させた。脱トリチル化試薬としてトルエン中3%(v/v)ジクロロ酢酸の溶液を使用し、酸化のためにピリジン/水(9:1)中0.05Mのヨウ素を、キャップAとしてアセトニトリル中20%(v/v)N-メチルイミダゾールを、及びキャップBとしてアセトニトリル中40%(v/v)無水酢酸と40%(v/v)ピリジンとの混合物を使用した。合成の最終サイクルの後、まだ固体支持体上にあるRNAをアセトニトリル中20%(v/v)ジエチルアミンで処理し、2-シアノエチル保護基を除去した。最後に、固体支持体をアセトニトリルで洗浄し、アルゴンで乾燥させた。生成物を固体支持体から切断し、AMA(40%メチルアミン/33%水酸化アンモニウム、1:1v/v;55℃、1時間)で脱保護し、蒸発乾固し、DMSO(200μL)に再溶解した。トリエチルアンモニウムトリヒドロフルオリドを使用してTBDMS基を除去し(TEA・3HF;250μL、65℃、3時間)、その後混合物を冷まして水(20mL)中0.25MのNaHCO3で希釈した。生成物をDEAE Sephadex上のイオン交換クロマトグラフィー(勾配溶出、0~0.9MのTEAB)により単離し、蒸発後にpNpGジヌクレオチドのトリエチルアンモニウム塩を得た。収量は、吸光係数ε=27.1L/mmol/cm)として、260nmでのUV吸収により推定した。
【0077】
【表1】
【0078】
p(m6Am)pG:1H NMR (500 MHz, D2O, 25℃): δ = 8.37 (s, 1H, H8A), 8.14 (s, 1H, H2A), 7.89 (s, 1H, H8G), 6.09 (d, 3JH,H = 4.4 Hz, 1H, H1'A), 5.81 (d, 3JH,H = 5.1 Hz, 1H, H1'G), 4.91 (m, 1H, H3'A), 4.68 (dd, 3JH,H = 5.1 Hz, 3JH,H = 5.1 Hz, 1H, H2'G), 4.48-4.43 (m, 3H, H2'A, H4'A, H3'G), 4.34 (m, 1H, H4'G), 4.25-4.08 (m, 4H, H5'A, H5"A, H5'G, H5"G), 3.53 (s, 3H, 2'-O-CH3), 3.46 (q, 3JH,H = 7.3 Hz, 18H, CH2 [TEAH+]), 3.09 (s, TEAH+と重なっている, N6-CH3), 1.31 (t, 3JH,H = 7.3 Hz, 27H, CH3 [TEAH+]) ppm; 31P NMR (202.5 MHz, D2O, H3PO4, 25℃): δ = 1.1 (s, 1P, PA), 0.0 (s, 1P, PG) ppm;
【0079】
(実施例2)
ジヌクレオチド3',5'-チオホスホジエステル(pApSG)の合成
合成は25μmolスケールでAKTA Oligopilot plus 10 synthesizer(GE Healthcare社)を使用して5'-O-DMT-2'-O-TBDMS-rGiBu 3'-lcaa PrimerSupport 5G(308μmol/g)固体支持体(GE Healthcare社)上で実施した。カップリング工程では、アセトニトリル中5.0当量の5'-O-DMT-2'-O-TBDMS- rAAc 3'-O-ホスホロアミダイト又はビスシアノエチルホスホロアミダイト及び0.30Mの5-(ベンジルチオ)-1-H-テトラゾールを、15分間カラムを通して再循環させた。脱トリチル化試薬としてトルエン中3%(v/v)ジクロロ酢酸の溶液を使用し、キャップAとしてアセトニトリル中20%(v/v)N-メチルイミダゾールを、及びキャップBとしてアセトニトリル中40%(v/v)無水酢酸と40%(v/v)ピリジンとの混合物を使用した。ホスホロチオエートへの酸化は、((ジメチルアミノ-メチリデン)アミノ)-3H-1,2,4-ジチアゾリン-3-チオン(DDTT)を使用して実施し、5'-リン酸への酸化はピリジン/水(9:1)中0.05Mのヨウ素を使用して実施した。合成の最終サイクルの後、まだ固体支持体上にあるRNAをアセトニトリル中20%(v/v)ジエチルアミンで処理し、2-シアノエチル保護基を除去した。最後に、固体支持体をアセトニトリルで洗浄し、アルゴンで乾燥させた。生成物を固体支持体から切断し、AMA(40%メチルアミン/33%水酸化アンモニウム、1:1v/v;55℃、1時間)で脱保護し、蒸発乾固し、DMSO(200μL)に再溶解した。トリエチルアンモニウムトリヒドロフルオリドを使用してTBDMS基を除去し(TEA・3HF;250μL、65℃、3時間)、その後混合物を冷まして水(20mL)中0.25MのNaHCO3で希釈した。生成物をDEAE Sephadex上のイオン交換クロマトグラフィー(勾配溶出、0~0.9MのTEAB)により単離し、蒸発後にpApSGのトリエチルアンモニウム塩(395mOD260nm、14.6μmol)をおよそ2:3の比率の2つのジアステレオマーの混合物として得た。
【0080】
pApSG D1:RP-HPLC:Rt=11.012分*;HRMS ESI(-):m/z 707.08078(C20H25N10O13P2S-[M-H]-の計算値:707.08040);
pApSG D2:RP-HPLC:Rt=11.179分*;HRMS ESI(-):m/z 707.08088(C20H25N10O13P2S-[M-H]-の計算値:707.08040);
*線形勾配溶出:CH3COONH4、pH5.9中0~50%MeOH、30分
【0081】
(実施例3)
ジヌクレオチド5'-ホスホロチオレート(p5'SApG及びp5'SAmpG)の合成
5'-OH-NpGジヌクレオチドの合成は50μmolスケールでAKTA Oligopilot plus 10 synthesizer(GE Healthcare社)を使用して5'-O-DMT-2'-O-TBDMS-rGiBu 3'-lcaa PrimerSupport 5G(308μmol/g)固体支持体(GE Healthcare社)上で実施した。カップリング工程では、アセトニトリル中2.5当量のアデノシン3'-O-ホスホロアミダイト(5'-O-DMT-2'-O-PivOM-rAPac又は 5'-O-DMT-rAm Pac)及び0.30Mの5-(ベンジルチオ)-1-H-テトラゾールを、15分間カラムを通して再循環させた。脱トリチル化試薬としてトルエン中3%(v/v)ジクロロ酢酸の溶液を使用し、酸化のためにピリジン/水(9:1)中0.05Mのヨウ素を、キャップAとしてアセトニトリル中20%(v/v)N-メチルイミダゾールを、及びキャップBとしてアセトニトリル中40%(v/v)無水酢酸と40%(v/v)ピリジンの混合物を使用した。合成の最終サイクルの後、支持体をアセトニトリル中20%(v/v)ジエチルアミンで処理して2-シアノエチル保護基を除去し、アセトニトリルで洗浄し、アルゴンで乾燥させた。その後、DMF(5mL)中メチルトリフェノキシホスホニウムヨージド(1.5g)を15分間前後に押し出す(カラムに取り付けた2本のシリンジを使用して)ことによって、まだ固体支持体上にあるジヌクレオチドを5'-ヨウ素誘導体に変換した。次に樹脂をDMF(10mL)及びアセトニトリル(10ml)で洗浄し、乾燥させて、DMF(1mL)中チオリン酸トリエチルアンモニウム(およそ0.16M)及びトリエチルアミン(0.64M)を含むフラスコに移し替えた。スラリーを4℃で一晩撹拌し、濾過し、アセトニトリルで洗浄した。生成物を切断し、AMA(40%メチルアミン/33%水酸化アンモニウム、1:1v/v;55℃、1時間)を使用して脱保護し、DEAE Sephadex上のイオン交換クロマトグラフィー(勾配溶出、0~0.9MのTEAB)により単離し、蒸発後にp5'SNpGジヌクレオチドのトリエチルアンモニウム塩を得た。
【0082】
【表2】
【0083】
(実施例4)
ジヌクレオチド5'-メチレンビスホスホネート(pCH2pApG、pCH2pAmpG、及びpCH2pm6ApG)の合成
5'-OH-NpGジヌクレオチドの合成はAKTA Oligopilot plus 10 synthesizer(GE Healthcare社)を使用して5'-O-DMT-2'-O-TBDMS-rGiBu 3'-lcaa PrimerSupport 5G(308μmol/g)固体支持体(GE Healthcare社)上で実施した。カップリング工程では、アセトニトリル中5.0当量の5'-O-DMT-2'-O-TBDMS/2'-O-Me-3'-O-ホスホロアミダイト(rAAc、rAm Pac、又はm6AAc)及び0.30Mの5-(ベンジルチオ)-1-H-テトラゾールを、15分間カラムを通して再循環させた。脱トリチル化試薬としてトルエン中3%(v/v)ジクロロ酢酸の溶液を使用し、酸化のためにピリジン/水(9:1)中0.05Mのヨウ素を、キャップAとしてアセトニトリル中20%(v/v)N-メチルイミダゾールを、及びキャップBとしてアセトニトリル中40%(v/v)無水酢酸と40%(v/v)ピリジンの混合物を使用した。合成後、支持体をアセトニトリルで洗浄し、アルゴンで乾燥させた。-18℃に冷却したリン酸トリメチル(5ml)中メチレンビス(ホスホン酸ジクロリド)(500mg、2mmol)をカラムに投入し、2℃で7時間放置した。その後、溶液を除去し、支持体をリン酸トリメチル(5mL)及びアセトニトリル(10mL)で洗浄し、アルゴンで乾燥させた。カラムを5mLの0.9MのTEABで洗浄し、樹脂を新たな分のTEABで、2℃で一晩インキュベートした。生成物を固体支持体から切断し、AMA(40%メチルアミン/33%水酸化アンモニウム、1:1v/v;55℃、1時間)で脱保護し、蒸発乾固し、DMSO(200μL)に再溶解した。トリエチルアンモニウムトリヒドロフルオリドを使用してTBDMS基を除去し(TEA・3HF;250μL、65℃、3時間)、それから混合物を冷まし、水で希釈して、塩化水素を用いてpHを1に調整し、室温で7日間放置してフルオロビスホスホネート(fluorobisphosphonate)を加水分解させた。生成物をDEAE Sephadex上のイオン交換クロマトグラフィー(勾配溶出、0~0.9MのTEAB)により単離し、蒸発後にpCH2pNpGジヌクレオチドのトリエチルアンモニウム塩を得た。
【0084】
【表3】
【0085】
pCH2pApG:RP-HPLC:Rt=7.200分;1H NMR (500 MHz, D2O, 25℃): δ = 8.57 (s, 1H, H8A), 8.28 (s, 1H, H2A), 8.03 (s, 1H, H8G), 6.02 (d, 3JH,H = 4.7 Hz, 1H, H1'A), 5.84 (d, 3JH,H = 5.2 Hz, 1H, H1'G), 4.84-4.80 (m, HDOと重なっている, 1H, H3'A), 4.79 (m, HDOと重なっている, 1H, H2'A) 4.74 (dd, 3JH,H = 5.2 Hz, 3JH,H ≒ 5.2 Hz, 1H, H2'G), 4.49 (m, 2H, H4'A, H3'G), 4.34 (m, 1H, H4'G), 4.27 (m, 1H, H5'G), 4.21-4.12 (m, 3H, H5"G, H5'A, H5"A), 3.20 (q, 3JH,H = 7.3 Hz, 1.5H, CH2 [TEAH+]), 2.21 (t, 2JH,P = 18.9 Hz, 2H, P-CH2-P), 1.28 (t, 3JH,H = 7.3 Hz, 2.25H, CH3 [TEAH+]) ppm; 31P NMR (202.5 MHz, D2O, H3PO4, 25℃): δ = 19.1 (m, 1P, Pα), 16.1 (m, 1P, Pβ), 0.3 (s, 1P, PG) ppm; HRMS ESI(-): m/z 769.09100 (C21H28N10O16P3 - [M-H]-の計算値 769.09031);
pCH2p(m6A)pG:RP-HPLC:Rt=9.008分;1H NMR (500 MHz, D2O, 25℃): δ = 8.42 (s, 1H, H8A), 8.16 (s, 1H, H2A), 7.89 (s, 1H, H8G), 5.99 (d, 3JH,H = 3.6 Hz, 1H, H1'A), 5.80 (d, 3JH,H = 5.1 Hz, 1H, H1'G), 4.84-4.76 (m, HDOと重なっている, 2H, H3'A, H2'A), 4.66 (dd, 3JH,H = 5.1 Hz, 3JH,H ≒ 5.1 Hz, 1H, H2'G), 4.49 (m, 1H, H4'A), 4.46 (m, 1H, H3'G), 4.35-4.48 (m, 2H, H4'G, H5'G), 4.22-4.11 (m, 3H, H5"G, H5'A, H5"A), 2.80 (s, 3H, N6-CH3), 2.20 (t, 2JH,P = 19.7 Hz, 2H, P-CH2-P) ppm; 31P NMR (202.5 MHz, D2O, H3PO4, 25℃): δ = 19.2 (m, 1P, Pα), 15.8 (td, 2JP,H = 19.7 Hz, 2JP,P = 9.1 Hz, 1P, Pβ), 0.3 (s, 1P, PG) ppm; HRMS ESI(-): m/z 783.10690 (C22H30N10O16P3 - [M-H]-の計算値783.10596);
【0086】
(実施例5)
β-ホスホロチオエートトリヌクレオチドキャップ類似体(m7GppSpApG D1及びD2、m7GppSpAmpG D1及びD2、m7GppSpm6ApG D1及びD2、m7GppSpm6AmpG D1及びD2)の合成
工程1.pNpGの活性化:ジヌクレオチド5'-リン酸をDMFに溶解し(0.05M溶液を得るため)、その後、イミダゾール(16当量)、2,2'-ジチオジピリジン(6当量)、トリエチルアミン(3当量)、及びトリフェニルホスフィン(6当量)を加えた。混合物を室温で48時間撹拌した。アセトニトリル(DMFの体積の10倍)中過塩素酸ナトリウム(10当量)を加えることにより、生成物を沈殿させた。沈殿物を4℃で遠心分離し、冷アセトニトリルで3回洗浄後、減圧下で乾燥させ、ジヌクレオチドP-イミダゾリド(Im-pNpG)のナトリウム塩を得た。
【0087】
工程2.三リン酸架橋の形成:7-メチルグアノシンβ-チオ二リン酸(m7GDP-β-S;以前に述べられているように入手し、-20℃でTEAB中に保管)[15]を蒸発させて油状とし、DMFに再溶解した(0.05M溶液を得るため)。その後、ZnCl2(8当量)及びIm-pNpG(0.5当量)を加え、混合物を室温で2時間撹拌した。水中Na2EDTA(20mg/mL、8当量)及びNaHCO3(10mg/mL)の溶液を加えることによって反応をクエンチし、生成物をDEAE Sephadex上のイオン交換クロマトグラフィー(勾配溶出、0~1.2MのTEAB)により単離し、蒸発後にm7GppSpNpGのトリエチルアンモニウム塩を得た。ジアステレオマーを、CH3COONH4の水性緩衝液、pH5.9中のアセトニトリルの線形勾配を用いたRP HPLC(C18)により分離し、水から凍結乾燥を繰り返した後、m7GppSpNpGの単一のジアステレオマーのアンモニウム塩を得た。
【0088】
【表4】
【0089】
(実施例6)
チオホスホジエステルトリヌクレオチドキャップ類似体(m7GpppApSG D1及びD2)の合成
ジヌクレオチドpApSG(197mOD、7.27μmol)、7-メチルグアノシン-5'-二リン酸P2-イミダゾリドm7GDP-Im[15](10.0mg、18.2μmol)、及びZnCl2(19.8mg、145μmol)をDMSO(145μL)に溶解し、混合物を室温で24時間撹拌した。水中Na2EDTA(54mg、145μmol)及びNaHCO3(27mg、321μmol)の溶液(2.7mL)を加えることによって反応をクエンチし、生成物をDEAE Sephadex上のイオン交換クロマトグラフィー(勾配溶出、0~1.2MのTEAB)により単離し、蒸発後にm7GpppApSGのトリエチルアンモニウム塩を得た。ジアステレオマーを、CH3COONH4の水性緩衝液、pH5.9中のアセトニトリルの線形勾配を用いたRP HPLC(C18)により分離し、水から凍結乾燥を繰り返した後、m7GpppApSGの単一のジアステレオマーのアンモニウム塩を得た(D1:42.5mOD、1.33μmol;D2:77.0mOD、2.41μmol)。
【0090】
m7GpppApSG D1:RP-HPLC:Rt=8.974分*;HRMS ESI(-):m/z 1146.11093(C31H40N15O23P4S-[M-H]-の計算値:1146.10981);
m7GpppApSG D2: RP-HPLC: Rt=9.662分*;HRMS ESI(-):m/z 1146.11137(C31H40N15O23P4S-[M-H]-の計算値:1146.10981);
* 線形勾配溶出:CH3COONH4、pH5.9中0~50%MeOH、30分
【0091】
(実施例7)
5'-ホスホロチオレートトリヌクレオチドキャップ類似体(m7Gppp5'SApG及びm7Gppp5'SAmpG)の合成
ジヌクレオチド5'-ホスホロチオレートp5'SNpG、7-メチルグアノシン-5'-二リン酸P2-イミダゾリドm7GDP-Im[15](2当量)、及びZnCl2(20当量)をDMSOに溶解し(0.05Mのp5'SNpGまで)、混合物を室温で3日間撹拌した。水中Na2EDTA(20mg/mL、20当量)及びNaHCO3(10mg/mL)の溶液を加えることによって反応をクエンチし、生成物をDEAE Sephadex上のイオン交換クロマトグラフィー(勾配溶出、0~1.2MのTEAB)により単離し、蒸発後にm7Gppp5'SNpGのトリエチルアンモニウム塩を得た。CH3COONH4の水性緩衝液、pH5.9中のアセトニトリルの線形勾配を用いたRP HPLC(C18)により更に精製すると、(水から凍結乾燥を繰り返した後)m7Gppp5'SNpGのアンモニウム塩が得られた。
【0092】
【表5】
【0093】
(実施例8)
α,β-メチレンビスホスホネートトリヌクレオチドキャップ類似体(m7GppCH2pApG、m7GppCH2pAmpG、及びm7GppCH2pm6ApG)の合成
ジヌクレオチド5'-メチレンビスホスホネートpCH2pNpG、7-メチルグアノシン-5'-一リン酸P-イミダゾリドm7GMP-Im[15](5当量)、及びZnCl2(20当量)をDMSOに溶解し(0.05MのpCH2pNpGまで)、混合物を室温で24時間撹拌した。水中Na2EDTA(20mg/mL、20当量)及びNaHCO3(10mg/mL)の溶液を加えることによって反応をクエンチし、生成物をDEAE Sephadex上のイオン交換クロマトグラフィー(勾配溶出、0~1.2MのTEAB)により単離し、蒸発後にm7GppCH2pNpGのトリエチルアンモニウム塩を得た。CH3COONH4の水性緩衝液、pH5.9中のアセトニトリルの線形勾配を用いたRP HPLC(C18)により更に精製すると、(水から凍結乾燥を繰り返した後)m7GppCH2pNpGのアンモニウム塩が得られた。
【0094】
【表6】
【0095】
m7GppCH2pApG:RP-HPLC:Rt=8.395分;1H NMR (500 MHz, D2O, 25℃): δ = 9.14
(s, 1H, H8m7G), 8.47 (s, 1H, H8A), 8.18 (s, 1H, H2A), 7.95 (s, 1H, H8G), 5.96 (d, 3JH,H = 5.1 Hz, 1H, H1'A), 5.92 (d, 3JH,H = 3.4 Hz, 1H, H1'm7G), 5.81 (d, 3JH,H = 5.5 Hz, 1H, H1'G), 4.85-4.76 (m, HDOと重なっている, 1H, H3'A), 4.75 (m, 2H, H2'A, H2'G) 4.60 (m, 1H, H2'm7G), 4.52-4.46 (m, 3H, H3'G, H3'm7G, H4'A), 4.38 - 4.32 (m, 3H, H4'm7G, H4'G, H5'G), 4.30 - 4.11 (m, 5H, H5'A, H5"A, H5"G, H5'm7G, H5"m7G), 4.03 (s, 3H, N7-CH3), 2.41 (t, 2JH,P = 19.8 Hz, 2H, P-CH2-P) ppm; 31P NMR (202.5 MHz, D2O, H3PO4, 25℃): δ = 17.8 (m, 1P, Pα), 8.7 (m, 1P, Pβ), 0.3 (s, 1P, PG), -10.2 (d, 2JP,P = 26.8 Hz, 1P, Pγ) ppm; HRMS ESI(-): m/z 1128.15467 (C32H42N15O23P4 - [M-H]-の計算値1128.15339);
m7GppCH2p(m6A)pG:RP-HPLC: Rt=9.721分;1H NMR (500 MHz, D2O, 25℃): δ = 9.09 (s, 1H, H8m7G), 8.30 (s, 1H, H8A), 8.06 (s, 1H, H2A), 7.88 (s, 1H, H8G), 5.91 (d, 3JH,H = 4.6 Hz, 1H, H1'A), 5.88 (d, 3JH,H = 3.1 Hz, 1H, H1'm7G), 5.78 (d, 3JH,H = 5.3 Hz, 1H, H1'G), 4.78-4.70 (m, 2H, H3'A, H2'A), 4.65 (dd, 3JH,H = 5.3 Hz, 3JH,H = 5.3 Hz, 1H, H2'G), 4.55 (m, 1H, H2'm7G), 4.50 (m, 1H, H4'A), 4.47 (m, 1H, H3'G), 4.44 (m, 1H, H3'm7G), 4.38-4.15 (m, 8H, H4'm7G, H5'm7G, H4'G, H5'G, H5'A, H5"m7G, H5"A, H5"G), 3.99 (s, 3H, N7-CH3), 3.04 (s, 3H, N6-CH3) 2.41 (t, 2JH,P = 19.0 Hz, 2H, P-CH2-P) ppm; 31P NMR (202.5 MHz, D2O, H3PO4, 25℃): δ = 17.8 (m, 1P, Pα), 8.7 (m, 1P, Pβ), 0.3 (s, 1P, PG), -10.2 (d, 2JP,P = 24.5 Hz, 1P, Pγ) ppm; HRMS ESI(-): m/z 1142.17009 (C33H44N15O23P4 - [M-H]-の計算値1142.16904);
【0096】
本発明による化合物の生物学的特性
本発明による化合物又はベンチマーク(参照)化合物を5'末端に組み込んだ転写物は、RNAポリメラーゼT7及びこのポリメラーゼのΦ6.5プロモーター配列を含むDNA鋳型の存在下で、インビトロでの転写法を使用して得られた。キャッピング効率を解析するために、実施例9に記載されるように短鎖RNA転写物を得た。長さ35ntのRNAをもたらす転写は、本発明による選択された化合物、又は先行技術を代表し、本発明による分析化合物と同じリン酸基の修飾を含有する参照化合物の存在下で実施された。得られたRNAをDNAzyme 10~23で処理して短くし、3'末端の不均一性を低減し、15%ポリアクリルアミドゲルで解析すると、キャップ付加RNAと非キャップ付加mRNAを分離することができた。この解析の結果を図1に示した。哺乳動物細胞におけるタンパク質発現量を解析するために、本発明による化合物又は参照化合物を保有し、レポーター遺伝子としてガウシア(Gaussia)ルシフェラーゼをコードするmRNAを得た。インビトロでの転写反応は、実施例10に記載される条件で実施した。得られたmRNAは、その後実施例10に記載されるように非キャップ付加(5'-三リン酸)RNAを酵素的に除去する手順にかけられ、その後、実施例12に記載されるようにRP HPLC精製が行われ二本鎖RNA不純物が除去された。得られたmRNAを、リポフェクタミンを用いたトランスフェクションにより哺乳動物細胞株(線維芽細胞-3T3-L1、及び樹状細胞-JAWS II)に導入した後、実施例13に記載されるように発光法により、細胞外培地中のガウシアルシフェラーゼ発現を適切な時間間隔で測定した。これらの実験の結果を、時間の関数として図2及び図3に示す。更に、図4図5には、特定の時点で達成されたガウシアルシフェラーゼ発現量の総和である、実験期間全体(88時間)中に達成された全体の(総)ガウシアルシフェラーゼ発現量が示されている。更には、本発明による選択された化合物について、JAWSII細胞におけるタンパク質発現レベルも、非キャップ付加RNA不純物の酵素的除去にかけられていないインビトロで転写されたmRNAについて決定した。これらの実験に使用したmRNAは実施例11に記載されるように調製し、一方、HPLC法によるそれらの精製及びタンパク質発現解析は、それぞれ実施例12及び13に記載されるように実施した。これらの実験の結果を、図6及び図7に示した。
【0097】
(実施例9)
短鎖キャップ付加RNAのインビトロでの転写及びキャッピング効率解析
T7プロモーター配列(TAATACGACTCACTATA)を含有し、35nt長の配列(GGGGAAGCGGGCATGCGGCCAGCCATAGCCGATCA)をコードする、アニールしたオリゴヌクレオチド(CAGTAATACGACTCACTATAGGGGAAGCGGGCATGCGGCCAGCCATAGCCGATCA及びTGATCGGCTATGGCTGGCCGCATGCCCGCTTCCCCTATAGTGAGTCGTATTACTG)[16]を鋳型にRNAを作製した。典型的なインビトロでの転写反応物(20μl)を37℃で2時間インキュベートした:RNA Pol緩衝液(40mMのTris-HCl、pH7.9、10mMのMgCl2、1mMのDTT、2mMのスペルミジン)、10U/μlのT7 RNAポリメラーゼ(ThermoFisher Scientific社)、1U/μlのRiboLock RNase阻害剤(ThermoFisher Scientific社)、2mMのATP/CTP/UTP、0.5mMのGTP、2.5mMの対象のキャップ類似体、及び鋳型としてアニールしたオリゴヌクレオチドを含有した。2時間のインキュベーション後、1U/μlのDNase I(ThermoFisher Scientific社)を加え、37℃で30分間インキュベーションを続けた。それらのRNAの3'末端を均一にするために、転写物(1μM)を、50mMのMgCl2、及び50mMのTris-HCl、pH8.0中で1μMのDNAzyme 10~23 (TGATCGGCTAGGCTAGCTACAACGAGGCTGGCCGC)と37℃で1時間インキュベートし[16]、3'が均一な25nt長のRNAを作製するようにした。転写物をエタノールで沈殿させ、DNAzymeを除去するためにDNase Iで処理した。転写物の濃度は分光光度法で決定した。得られたRNAのキャッピング効率は、15%アクリルアミド/7M尿素ゲルで確認した。
【0098】
(実施例10)
5'-三リン酸で終結したRNAのその後の除去を伴うキャップ付加mRNAのインビトロでの転写
制限酵素AarI(ThermoFisher Scientific社)で消化したpJET_T7_Gluc_128Aプラスミドを鋳型に、ガウシアルシフェラーゼをコードするmRNAを作製した。プラスミドは、T7プロモーター配列及びガウシアルシフェラーゼのコード配列をpJET_luc_128Aにクローニングすることにより得た。[12]典型的なインビトロでの転写反応物(20μl)を37℃で2時間インキュベートした:RNA Pol緩衝液(40mMのTris-HCl、pH7.9、10mMのMgCl2、1mMのDTT、2mMのスペルミジン)、10U/μlのT7 RNAポリメラーゼ、1U/μlのRiboLock RNase阻害剤、2mMのATP/CTP/UTP、0.5mMのGTP、3mMの対象のキャップ類似体、及び鋳型として50ng/μlの消化したプラスミドを含有した。2時間のインキュベーション後、1U/μlのDNase Iを加え、37℃で30分間インキュベーションを続けた。粗mRNAをNucleoSpin Clean-up XS(Macherey-Nagel社)で精製した。転写物の品質を未変性1.2%1×TBEアガロースゲルでチェックし、濃度は分光光度法で決定した。非キャップ付加RNAを除去するため、転写物を5'-ポリホスファターゼ(Epicentre)及びXrn1(New England Biolabs社)で処理した。簡潔に述べると、mRNAを専用緩衝液中で5'-ポリホスファターゼ(20U/5μgのmRNA)と37℃で30分間インキュベートし、その後mRNAをNucleoSpin RNA Clean-up XSで精製した。精製したmRNAを専用緩衝液中でXrn-1(1U/1μgのmRNA)と37℃で60分間インキュベートに供し、その後mRNAをNucleoSpin RNA Clean-up XSで精製した。
【0099】
(実施例11)
5'-三リン酸で終結したRNAのその後の除去を伴わないキャップ付加mRNAのインビトロでの転写
制限酵素AarI(ThermoFisher Scientific社)で消化したpJET_T7_Gluc_128Aプラスミドを鋳型に、ガウシアルシフェラーゼをコードするmRNAを作製した。プラスミドは、T7プロモーター配列及びガウシアルシフェラーゼのコード配列をpJET_luc_128Aにクローニングすることにより得た。[12]典型的なインビトロ転写反応物(20μl)を37℃で2時間インキュベートした:RNA Pol緩衝液(40mMのTris-HCl、pH7.9、10mMのMgCl2、1mMのDTT、2mMのスペルミジン)、10U/μlのT7 RNAポリメラーゼ、1U/μlのRiboLock RNase阻害剤、2mMのATP/CTP/UTP、0.5mMのGTP、3mMの対象のキャップ類似体、及び鋳型として50ng/μlの消化したプラスミドを含有した。2時間のインキュベーション後、1U/μlのDNase Iを加え、37℃で30分間インキュベーションを続けた。粗mRNAをNucleoSpin Clean-up XS(Macherey-Nagel社)で精製した。転写物の品質を未変性1.2%1×TBEアガロースゲルでチェックし、濃度は分光光度法で決定した。
【0100】
(実施例12)
HPLCを使用したキャップ付加mRNAの精製
mRNAを、[11]に記載されるように、Agilent Technologies Series 1200 HPLCでRNASep(商標) Prep-RNA Purification Column(ADS Biotec社)を使用して55℃で精製した。mRNAの精製には、0.9ml/分で22分にわたり、緩衝液A(0.1M酢酸トリエチルアンモニウム、pH7.0)中、35%~55%の緩衝液B(0.1M酢酸トリエチルアンモニウム、pH7.0及び25%アセトニトリル)の線形勾配をかけた。mRNAをイソプロパノールで沈殿させ、回収した画分から回収した。転写物の品質を未変性1.2%1×TBEアガロースゲルでチェックし、濃度は分光光度法で決定した。
【0101】
(実施例13)
タンパク質発現解析
3T3-L1(マウス胚線維芽様細胞、ATCC CL-173)を、10%FBS(Sigma社)、GlutaMAX(Gibco社)、及び1%ペニシリン/ストレプトマイシン(Gibco社)を補充したDMEM(Gibco社)中で、5%CO2及び37℃で増殖させた。マウス未成熟樹状細胞株JAWS II(ATCC CRL-11904)を、10%FBS、ピルビン酸ナトリウム(Gibco社)、1%ペニシリン/ストレプトマイシン、及び5ng/mlのGM-CSF(PeproTech社)を補充したRPMI 1640(Gibco社)中で、5%CO2及び37℃で増殖させた。典型的な実験では、トランスフェクションの当日に、104個のJAWS II細胞及び4×103個の3T3-L1細胞を、96ウェルプレートの1ウェルあたり、抗生物質を含まない100μlの培地中に播種した。10μlのOpti-MEM(Gibco社)に0.3μlのLipofectamine MessengerMAX Transfection Reagent(Invitrogen社)及び25ngのmRNAを混合したものを使用して、各ウェル中の細胞を16時間トランスフェクションした。複数の時点でガウシアルシフェラーゼの発現を評価するために、各時点で培地を完全に除去し、新しいものに交換した。ガウシアルシフェラーゼからの発光を検出するために、PBS中50μlの10ng/mlのh-セレンテラジン(NanoLight社)を10μlの細胞培養培地に加え、Synergy H1(BioTek社)マイクロプレートリーダーで発光を測定した。
【0102】
結論
実施例1~8は、本発明によるトリヌクレオチドキャップ類似体を得るための方法について説明する。特許請求の範囲により包含される発明は、その合成は実施例に記載されていないが、例示した方法と同一又は非常に類似した方法により得ることができる。
【0103】
実施例9は、本発明による化合物を使用して得られたRNAについてキャッピング効率解析の実施及び先行技術を代表する参照化合物とのそれらの比較の方法について説明する。解析の結果、GTPに対して5倍過剰に使用したトリヌクレオチドキャップ類似体の場合、同じタイプの修飾を含み、同じ過剰量で使用したジヌクレオチドキャップ類似体よりもキャッピング効率が有意に高いことが示された。図1に示すように、キャップの三リン酸鎖の修飾について、トリヌクレオチドキャップ類似体の施用で、mRNAへの組込み効率を向上させることができる。更に、トリヌクレオチドキャップ類似体を使用した三リン酸鎖の修飾の組込みは、ARCA型のさらなる修飾(例えば、7-メチルグアノシンの2'-O又は3'-Oの位置でのメチル化)の施用を必要としない。
【0104】
実施例10、11、12及び13は、本発明による化合物の使用で得られた、本発明によるmRNAからの、哺乳動物細胞におけるタンパク質発現を解析する手法を説明する。解析は、異なる起源を有する細胞を代表する2つの細胞株(線維芽細胞-3T3-L及び樹状細胞-JAWS II)で、2つのバリアント:(i)キャップ付加mRNAの不純物を除去するために酵素的に処理したmRNA(図2図3図4、及び図5)、及び(ii)酵素的に処理していないmRNA(図6及び図7)で実施された。本発明による化合物の使用で得られた各mRNAは、研究されたバリアントの少なくとも1つにおける先行技術を代表するキャップ類似体と比較して、より高いタンパク質発現を示した。増加したタンパク質発現を達成することは、バイオテクノロジー及び生物医薬の製造(組換えタンパク質の製造)、並びにmRNAをベースにした遺伝子治療において多く応用できることが分かっている。樹状細胞でのタンパク質発現の増加は、抗がん治療ワクチンへの応用に特に有益である。他の組織(肺、肝臓、その他の臓器)由来の細胞で増加したタンパク質発現は、遺伝子置換治療への応用の場合に特に有益である。[18]本発明による化合物の使用で得られた本発明によるmRNAは、先行技術の方法を使用して得られたmRNAの場合よりも、低いmRNA濃度で治療効果を達成することが期待されるであろう。mRNAの投与量を下げることで、治療の毒性に関連する副作用のリスクを低減し、それにより治療の成功確率が向上することになる。
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図2
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図7
【配列表】
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【国際調査報告】