(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-04
(54)【発明の名称】ロボットマニピュレータ設置場所
(51)【国際特許分類】
B25J 9/16 20060101AFI20230328BHJP
B25J 13/08 20060101ALI20230328BHJP
【FI】
B25J9/16
B25J13/08 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022549772
(86)(22)【出願日】2021-02-10
(85)【翻訳文提出日】2022-10-19
(86)【国際出願番号】 EP2021053132
(87)【国際公開番号】W WO2021165106
(87)【国際公開日】2021-08-26
(31)【優先権主張番号】102020104356.2
(32)【優先日】2020-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521181769
【氏名又は名称】フランカ エーミカ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】FRANKA EMIKA GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【氏名又は名称】加藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】スペニンガー、アンドレアス
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707CS00
3C707JU03
3C707KS01
3C707KS13
3C707KS15
3C707KT02
3C707KT06
3C707KT15
3C707LS20
3C707LW15
(57)【要約】
本発明は、ワークステーション(3)におけるロボットマニピュレータ(1)の設置場所を決定する方法に関し、以下のステップを含む:-カメラユニット(7)によって、ロボットマニピュレータ(1)、ロボットマニピュレータ(1)のワークステーション(3)、およびワークステーション(3)で加工されるワークピース(5)のそれぞれの画像を記録し(S1)、ここで、それぞれの画像には空間情報が含まれ、-それぞれの画像を演算ユニット(9)に送信し(S2)、-演算ユニット(9)によって、ワークピース(5)を加工するための予め定義されたタスクに基づいて、および、演算ユニット(9)によってそれぞれの画像から決定された情報に基づいて、予め定義されたコスト関数および/またはニューラルネットワークの非線形最適化を適用することによって、ロボットマニピュレータ(1)の設置場所を決定する(S3)。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークステーション(3)におけるロボットマニピュレータ(1)の設置場所を決定する方法であって、以下のステップ:
-カメラユニット(7)によって、前記ロボットマニピュレータ(1)、前記ロボットマニピュレータ(1)の前記ワークステーション(3)、および前記ワークステーション(3)で加工されるワークピース(5)のそれぞれの画像を記録し(S1)、ここで、それぞれの画像には空間情報が含まれ、
-前記それぞれの画像を演算ユニット(9)に送信し(S2)、
-前記演算ユニット(9)によって、前記ワークピース(5)を加工するための予め定義されたタスクに基づいて、および、前記演算ユニット(9)によって前記それぞれの画像から決定された空間情報に基づいて、予め定義されたコスト関数および/またはニューラルネットワークの非線形最適化を適用することによって、前記ロボットマニピュレータ(1)の前記設置場所を決定する(S3)、
を含む、方法。
【請求項2】
-決定された前記設置場所に関する情報を、ユーザーへの提案として出力ユニット(13)に出力し(S4)、
-入力ユニット(11)における前記ユーザーによる入力を検出し(S5)、前記入力には前記提案の修正または前記提案の確認が含まれる、ステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記非線形最適化の前記コスト関数は、前記ロボットマニピュレータ(1)のレギュレータに実装されたレギュレータの種類、および/または前記レギュレータにおける動作指令の生成の種類、および/または指定されたタスクのパラメータに依存する;および/または、前記ニューラルネットワークの入力変数は、前記ロボットマニピュレータ(1)の前記レギュレータに実装されたレギュレータの種類および/または前記レギュレータにおける動作指令の生成の種類および/または指定されたタスクのパラメータである、請求項1~請求項2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
前記ロボットマニピュレータ(1)と前記ワークステーション(3)との前記画像は、共通の写真に収められている、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記設置場所に加えて、前記ロボットマニピュレータ(1)の設置方向は、少なくとも1つの傾斜角度を決定することによって、前記演算ユニット(9)によって決定される、請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記ロボットマニピュレータ(1)の前記設置場所は、前記ワークステーション(3)のオブジェクト、および/または前記ロボットマニピュレータ(1)、および/またはそれぞれの幾何学的物体における前記ワークステーション(3)のオブジェクトの幾何学的モデリングによって決定される、請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ロボットマニピュレータ(1)の前記設置場所は、前記ロボットマニピュレータ(1)と前記ロボットマニピュレータ(1)の周辺からのオブジェクトとの間の機械的相互作用が考慮されるような技術力学の効果をモデル化したシミュレーションに基づいて決定される、請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記ロボットマニピュレータ(1)は2つのロボットアームを有し、それぞれのロボットアームのそれぞれのエンドエフェクタに関して、共通の作業空間を最大化することによって前記設置場所の提案が決定される、請求項1~請求項7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記コスト関数は、最大化される品質関数であり、
前記品質関数は、前記ロボットマニピュレータ(1)の多数のポーズについて決定されたそれぞれの可操作度に基づいて決定され、それぞれのポーズに有効なヤコビアン行列に基づいてそれぞれの可操作度が決定される、請求項1~請求項8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
カメラユニット(7)と演算ユニット(9)とを有する、ワークステーション(3)におけるロボットマニピュレータ(1)の設置場所を決定するためのシステム(100)であって、
前記カメラユニット(7)は、前記ロボットマニピュレータ(1)、前記ロボットマニピュレータ(1)の前記ワークステーション(3)、および前記ワークステーション(3)で加工されるワークピース(5)のそれぞれの画像を記録するために使用され、それぞれの画像は空間情報を持ち、前記カメラユニット(7)は、それぞれの画像を前記演算ユニット(9)に送信するように設計され、
前記演算ユニット(9)は、前記ワークピース(5)を加工するための所定のタスクに基づいて、および前記演算ユニット(9)がそれぞれの画像から決定した空間情報に基づいて、前記演算ユニット(9)によって所定のコスト関数および/またはニューラルネットワークの非線形最適化を適用し、前記ロボットマニピュレータ(1)の前記設置場所を決定するように設計されている、
システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットの衝突処理方法、およびこの方法を実行するように設計および構成されたロボットに関する。
【発明の概要】
【0002】
本発明の目的は、指定されたタスクを実行するためのロボットマニピュレータの設置場所を、実行される指定されたタスクに対して最適化された最小限の労力で決定することである。
【0003】
本発明は、独立請求項の特徴から生じるものである。有利な改良および実施形態は、従属請求項の主題である。
【発明を実施するための形態】
【0004】
本発明の第1の態様は、ワークステーションにおけるロボットマニピュレータの設置場所を決定するための方法に関し、以下のステップを有する:
-カメラユニットによって、ロボットマニピュレータ、ロボットマニピュレータのワークステーション、およびワークステーションで加工されるワークピースのそれぞれの画像を記録し、ここで、それぞれの画像には空間情報が含まれ、
-それぞれの画像を演算ユニットに送信し、
-演算ユニットによって、ワークピースを加工するための予め定義されたタスクのパラメータに基づいて、および演算ユニットによってそれぞれの画像から決定された空間情報に基づいて、予め定義されたコスト関数および/またはニューラルネットワークの非線形最適化を適用することによって、ロボットマニピュレータの設置場所を決定する。
【0005】
ロボットマニピュレータの設置場所は、特にワークステーションに対するロボットマニピュレータのベースまたは台座の位置、特に生産現場に関する。このような設置場所では、特にロボットマニピュレータのエンドエフェクタによって、加工されるワークピースに簡単かつ迅速に到達できることが重要である。本発明によれば、これは、有利には、カメラユニットによって記録された画像に基づいて達成される。カメラユニットは、好ましくは、画像に空間情報が含まれるように、ステレオカメラユニットや多数の個別カメラで構成されるカメラユニットである。
【0006】
カメラユニットは、好ましくは、ユーザー用の携帯用端末装置に配置される。ユーザー用の携帯用端末装置は、特に、携帯電話、タブレットまたはラップトップコンピュータなどである。カメラユニットがこのようなユーザー用の携帯用端末装置で使用される場合、最近の携帯用端末装置は一般的に高品質のカメラユニットを備え、複数のレンズシステムを備えているので、画像の空間情報を生成するために、携帯用端末装置のカメラユニットの複数のレンズはステレオカメラユニットとして使用することができる。そのため、有利には、ロボットマニピュレータの設置場所を決定するために、既存のユーザー用の携帯用端末装置を利用することができる。
【0007】
それぞれの画像は、様々な実施形態において、カメラユニットによって記録することができる:
【0008】
一方、ロボットマニピュレータのワークステーションでは、ロボットマニピュレータ、ロボットマニピュレータのワークステーション、加工されるワークピースの共同画像を記録することができる。この場合、1枚の画像にロボットマニピュレータ、ワークステーション、ワークピースの両方が含まれる。そのため、これら3つの要素(ロボットマニピュレータ、ワークピース、ワークステーション)が1枚の写真に収められている。その結果、有利には、ロボットマニピュレータ、ワークステーション、およびワークピースを含む単一の画像を記録するだけでよい。本実施形態によれば、さらなる画像は必要ない。
【0009】
さらに、それぞれの画像は、カメラユニットによって時間的および/または空間的にオフセットして記録することができる。カメラユニットからの1つのカメラ画像でロボットマニピュレータを、カメラユニットからの別の画像でワークステーションを、そしてカメラユニットからの3番目の画像で最終的にワークピースを記録することが可能である。この場合、個々の画像を合成して共通の画像を形成することができ、カメラユニットに対する画像ごとの要素(ロボットマニピュレータ、ワークピース、ワークステーション)のそれぞれの1つを有するそれぞれの画像の空間情報によって、カメラユニットに対するそれぞれの画像(ワークピース、ロボットマニピュレータ、ワークステーション)上のそれぞれの要素のそれぞれの相対位置情報および/または相対方向情報を用いて、3要素(ロボットマニピュレータ、ワークピース、ワークステーション)間のそれぞれの相対空間情報も生成でき、個々の画像を組み合わせることによって作業空間に関してロボットマニピュレータとワークピースとの相対位置が生成されることが可能である。ロボットマニピュレータの設置位置は、特に既知または仮想のものであり、最適化において数回適用される。
【0010】
また、ワークステーションにあるロボットマニピュレータを1枚の画像で記録し、ワークピースを2枚目の画像で記録することも可能である。この場合、合計2枚の画像を記録し、その空間情報を合成する。
【0011】
したがって、実施形態では、ロボットマニピュレータ、ワークステーション、ワークピースが含まれる1つの画像が記録されるとともに、ロボットマニピュレータ、ワークステーション、ワークピースからこれらの要素の1つ又はこれらの要素の2つがそれぞれ記録される複数の画像が記録される。
【0012】
演算ユニットは、特にロボットマニピュレータの制御ユニットであり、代替的に、演算ユニットは、ロボットマニピュレータの別の制御ユニットに接続されたユーザーコンピュータであることが好ましい。演算ユニットは、特に、1つ以上の画像の空間情報を処理するように設計され、したがって、CADシステムまたは3次元シミュレーションと同様に、ワークピースとロボットマニピュレータとの互いに対する、および作業空間との関係におけるコンピュータ生成された空間画像を生成する。
【0013】
特に、ワークステーションにおけるロボットマニピュレータの相対位置は、ワークピースとロボットマニピュレータとの間の後の相対的な公称位置に関しても、このそれぞれの相対位置を最適化しなければならないため、次のステップにおける調査の対象となる。好ましくは、ロボットマニピュレータの設置場所の全体像が、ワークステーションとの関係、可能な位置、またはワークピースの公称位置との関係で考慮される。このように、それぞれの画像から得られるロボットマニピュレータとワークピースの空間的な広がりに関する情報が考慮される。この場合、最適な設置場所は、演算ユニットによって、非線形最適化の実行および/または人工ニューラルネットワークの適用によって決定される。
【0014】
非線形最適化は、基本的にコスト関数を最小化するか、あるいはコスト関数を最大化するもので、この関数を品質関数と呼ぶことが望ましい。非線形最適化の目的は、少なくともある範囲で変更可能なパラメータや変数を、そのパラメータや変数に依存する構造的に規定されたコスト関数を最小化するように変更することである。この所定のコスト関数は、特に項の和で構成され、項は、以下の少なくとも1つに基づいて形成されることが好ましい:タスクの実行速度;ワークピースの加工に要する時間;タスクの実行に伴う摩耗や損傷、タスクの実行に伴う慣性力;所定の軸からのロボットマニピュレータの重心の偏向;タスクの実行に伴うエネルギー消費量;ロボットマニピュレータによる処理の前に、ワークピースを箱から、またはベルトコンベアや別の保管容器からできるだけ最適に取り、ワークピースが処理された後に別の箱、または別のベルトコンベア、または別の保管場所に搬送できるような、ワークピースの搬送経路;ロボットマニピュレータがワークピースに対して搬送できる最大積載量;ワークピースおよび/またはロボットマニピュレータの重心の軌道;ロボットマニピュレータの慣性モーメント、特にロボットマニピュレータの台座またはベースを通る垂直軸等に関する慣性モーメント;可操作度が小さくなるほど、コスト関数の値が大きくなる、可操作度の逆数(用語「可操作度」の説明については、以下を参照されたい)。
【0015】
ワークピースの加工が意図したとおりに全く実施可能であることは、さらなる項として提供することができ、代替的に、好ましくは、タスクの実施可能性それ自体が、その後制限される非線形最適化の制限として使用される。特に、ロボットマニピュレータの設置可能位置は、コスト関数が予め定められた閾値を超えるか、または予め定められた閾値以下のコスト関数の変化がもたらされるまで変化させられる。コスト関数の個々の項のそれぞれの値は、画像の空間情報から得られ、特に、対応するシミュレーションまたは解析解から得られ、そこから、タスクの個々の部分に対するロボットマニピュレータのポーズおよび移動パターンが、想定される設置場所に応じて判明する。
【0016】
人工ニューラルネットワークを使用するには、特に、人工ニューラルネットワークが既に与えられたデータで学習されることが必要である。このような人工ニューラルネットワークが学習済みフォームで利用できる場合、特にタスクのパラメータを人工ニューラルネットワークの入力データとして指定し、人工ニューラルネットワークが、学習したパラメータと関数とに基づいて、ロボットマニピュレータまたはワークの空間情報を考慮して、ワークステーションとの関係でロボットマニピュレータの最適設置場所を配置する数学マッピングの意味での対応結果を提供する必要がある。
【0017】
したがって、カメラユニットによって記録された1つ以上の画像に基づいてのみ、指定されたタスクを実行するためのロボットマニピュレータの最適な設置場所が自動的に、したがって短時間で決定されることは、本発明の有利な効果である。
【0018】
有利な実施形態によれば、本方法は、ロボットマニピュレータの決定された設置場所からのロボットマニピュレータによる指定されたタスクの実行も含む。
【0019】
さらなる有利な実施形態によれば、本方法は、さらに以下のステップを含む:
-決定された設置場所に関する情報を出力ユニットでユーザーへの提案として出力、および、
-提案の修正または提案の確認を含む、入力ユニットでのユーザーによる入力を検出。
【0020】
出力ユニットは、ユーザーの携帯用端末装置の画面、またはユーザーコンピュータの画面、3Dメガネのディスプレイ、ホログラムなどであることが好ましい。さらに、出力ユニットは入力ユニットと接続されていることが好ましく、表示ユニットと入力ユニットとは、例えばタッチセンシティブスクリーンなど、同じコンポーネント内に配置されていることが特に好ましい。更に好ましくは、仮想幾何学的ボリューム形状の提案は、ユーザーが、提案された設置場所の包括的な印象を得るために、特にスワイプジェスチャーによって、または一般的なCADシステムのように入力を行うことによって、提案された設置場所を回転させ、移動できるように、3Dビューで表示される。
【0021】
さらなる有利な実施形態によれば、非線形最適化のコスト関数は、ロボットマニピュレータのレギュレータに実装されているレギュレータの種類および/またはレギュレータにおける動作指令の生成の種類および/または指定されたタスクのパラメータに依存し、および/またはニューラルネットワークの入力変数が、ロボットマニピュレータのレギュレータに実装されているレギュレータの種類および/またはレギュレータにおける動作指令の生成の種類および/または指定されたタスクのパラメータである。ロボットマニピュレータのレギュレータとしては、フォースレギュレータ、ポジションレギュレータ、インピーダンスレギュレータ、アドミタンスレギュレータ、スピードレギュレータが考えられる。動作指令の種類としては、特に関節角度の軌跡、直交座標系、特に地球座標系での軌跡、一定速度の軌跡、動的動作プリミティブの組合せなどがある。与えられたタスクのパラメータは、具体的には、加工前後のワークピースの搬送方法を示す始点と終点、ロボットマニピュレータがワークピースに与える力、軌道、速度、加速度などである。
【0022】
さらに有利な実施形態によれば、ロボットマニピュレータとワークステーションの画像は、共通の写真に含まれている。
【0023】
さらなる有利な実施形態によれば、演算ユニットは、設置場所に加えて、少なくとも1つの傾斜角を決定することによって、ロボットマニピュレータの設置方向を決定する。特に、ロボットマニピュレータのアームの最も近位の四肢が台座またはベースに対して調整可能な場合、この自由度を利用してロボットマニピュレータの設置場所の傾斜角を考慮することができる。傾斜角の異なる台座が複数ある場合は選択も可能である。さらに、ロボットマニピュレータを床または垂直な壁上に置くという選択肢もあり、これは非線形最適化における2つの可能な変数による離散集合または2つの変数のうちの1つに対するニューラルネットワークの決定に相当する。有利なことに、この実施形態では、追加の自由度を使用することができ、設置場所の最適化をさらに洗練させることができる。
【0024】
さらなる有利な実施形態によれば、ロボットマニピュレータの設置場所は、ワークステーションおよび/またはロボットマニピュレータおよび/または幾何学的物体におけるワークステーションにおけるオブジェクトの幾何学的モデリングによって決定される。これは、ワークステーションのすべての要素、またはロボットマニピュレータとワークピースを含むワークステーションのオブジェクトの少なくとも一部、およびワークステーション自体の空間が解析的に容易に記述可能な形に分割され、そのようにモデリングされるので、有利に非線形最適化または人工ニューラルネットワークの決定を単純化する。つまり、幾何学的なオブジェクトの相対的な振る舞いには、有限の組み合わせが用意されている。さらに、有利には、ロボットマニピュレータの基準点、特にロボットマニピュレータのエンドエフェクタは、ワークステーションにおける空間の中のこれらの離散的な位置にのみ位置することができると仮定される。
【0025】
さらなる有利な実施形態によれば、幾何学的物体における幾何学的モデリングは、ワークステーション、ロボットマニピュレータ、およびワークステーションにおけるオブジェクトを、有限個の異なる離散変数を有するデータベースにおいて予め定義された基本幾何学図形に割り当てることによって行われる。
【0026】
さらなる有利な実施形態によれば、幾何学的物体は、球、立方体、円柱、三次元六角形、のうちの少なくとも1つを含む。
【0027】
さらなる有利な実施形態によれば、ロボットマニピュレータの設置場所は、ロボットマニピュレータとロボットマニピュレータの環境からの物体との間の機械的相互作用が考慮されるように、技術力学の効果をモデル化したシミュレーションに基づき決定される。このような技術力学の効果をモデル化したシミュレーションは、特にゲーム業界や技術シミュレーションにおいて「物理エンジン」と呼ばれている。このような「物理エンジン」は、特に技術力学の基本法則、特に運動量の伝達、静電力の伝達、慣性、摩擦、そして特に非線形材料効果などを再現する。「物理エンジン」を応用することで、非線形最適化や人工ニューラルネットワークにより、ロボットマニピュレータの設置場所を変更した場合の影響をリアルに推定することができる。
【0028】
さらなる有利な実施形態によれば、ロボットマニピュレータは、2つのロボットアームを有し、設置場所の提案は、それぞれのロボットアームのそれぞれのエンドエフェクタに関して共通の作業空間を最大化することによって決定される。
【0029】
さらなる有利な実施形態によれば、コスト関数は、最大化される品質関数であり、品質関数は、ロボットマニピュレータの多数のポーズについて決定されたそれぞれの可操作度に基づいて決定され、それぞれの可操作度は、それぞれのポーズに有効なヤコビ行列に基づいて決定される。可操作度は、特にロボットマニピュレータのそれぞれの姿勢に有効なヤコビアン行列の変換可能性を考慮することによって得られる。ヤコビアン行列が特異である場合、すなわち、逆行列の際に行列成分が無限大になる傾向がある場合、特定の方向の力および/またはトルクをほとんど、または全く記録することができず(ロボットマニピュレータの関節にトルクセンサがある場合)、ロボットマニピュレータによって環境にほとんど、または全く適用することができない。
【0030】
さらなる有利な実施形態によれば、可操作度は、コスト関数の割合として反比例して用いられ、これは、可操作度が低下するにつれてコスト関数が増加することを意味する。
【0031】
本発明のさらなる態様は、カメラユニットと演算ユニットとを有する、ワークステーションにおけるロボットマニピュレータの設置場所を決定するためのシステムに関するものであり、カメラユニットは、ロボットマニピュレータ、ロボットマニピュレータのワークステーション、およびワークステーションで加工されるワークピースのそれぞれの画像を撮影するために使用され、それぞれの画像は、空間情報を有し、カメラユニットは、それぞれの画像を演算ユニットに送信するようになっており、演算ユニットは、所定のコスト関数の非線形最適化を適用してロボットマニピュレータの設置場所を決定する、および/またはワークピースを処理するための所定のタスクに基づいて、および、演算ユニットによって各画像から決定された空間情報に基づいて、演算ユニットによってニューラルネットワークが実行される。
【0032】
提案されたシステムの利点と好ましい改良は、提案された方法と関連して上記でなされた記述の類推的かつ対応する移転から生じる。
【0033】
さらなる利点、特徴、および詳細は、以下の説明から明らかになり、その中で、場合によっては図面を参照しながら、少なくとも1つの例示的な実施形態が詳細に説明される。同一、類似、および/または機能的に同一の部品には、同一の参照番号を付す。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】
図1は、本発明の例示的な実施形態によるロボットマニピュレータの設置場所を決定する方法を示す。
【
図2】
図2は、本発明の例示的な実施形態によるロボットマニピュレータの設置場所を決定するための対応するシステムを示す。
【0035】
図中のイラストは模式的なものであり、縮尺通りではない。
【0036】
図1は、ワークステーション3におけるロボットマニピュレータ1の設置場所を決定するための方法を示し、以下のステップを含んでいる:
-カメラユニット7によって、ロボットマニピュレータ1、ロボットマニピュレータ1のワークステーション3、およびワークステーション3で加工されるワークピース5のそれぞれの画像を記録しS1、ここで、それぞれの画像には、空間情報が含まれ、
-それぞれの画像を演算ユニット9に送信しS2、
-演算ユニット9によって、ワークピース5を加工するための予め定義されたタスクに基づいて、および、演算ユニット9によってそれぞれの画像から決定された情報に基づいて、予め定義されたコスト関数および/またはニューラルネットワークの非線形最適化を適用することによって、ロボットマニピュレータ1の設置場所を決定しS3、
-決定した設置場所に関する情報を、ユーザーへの提案として出力ユニット9に出力しS4、
-入力ユニット11におけるユーザーによる入力を検出しS5、その入力には、提案の修正または提案の確認が含まれる。
【0037】
この方法は、ロボットマニピュレータ1の設置場所を決定するためのシステム100で実施される。したがって、上述した参照符号および用語は、
図2の説明にも関連し、ここでも使用することができる。したがって、この例示的な実施形態に従う方法の更なる詳細は、
図2の説明の下でより詳細に説明される。
【0038】
図2は、ワークステーション3におけるロボットマニピュレータ1の設置場所を決定するためのシステム100を示す。システム100は、カメラユニット7と演算ユニット9とを含む。カメラユニット9は、複数のレンズシステムを有し、ユーザーの携帯電話の一部である。カメラユニット9は、異なるレンズを用いて複数の起点から複数の画像を撮影することが可能であるため、画像データに空間情報が含まれる。また、カメラユニット9は、ワークステーション3におけるロボットマニピュレータ1の初期位置の画像を記録するために使用される。また、カメラユニット9は、加工されるワークピース5の別の画像を記録するために使用される。これらのカメラユニット7からの画像は、ロボットマニピュレータ1の演算ユニット9に送られる。演算ユニット9は、ワークピース5を加工するための予め定められたタスクに基づいて、および演算ユニット9によってそれぞれの画像から求められた空間情報に基づいて、予め定められたコスト関数の非線形最適化を適用して、ロボットマニピュレータ1の設置場所を決定する。コスト関数は、ロボットマニピュレータ1に必要なエネルギーと所要時間との二乗の和で構成される。ロボットマニピュレータの想定設置場所ごとに仮想的にタスクを実行するシミュレーションを行い、設置場所ごとのタスク実行に必要なエネルギーと時間を決定する。様々な設置場所は、進化アルゴリズムを用いて準ランダムに選択され、評価される。この場合、予め定義されたレギュレータタイプが演算ユニット9によって評価される。この変動はそのまま、設置場所に応じたコスト関数の値を決定することになる。
【0039】
本発明は、好ましい例示的な実施形態によってさらに詳細に例示および説明されてきたが、本発明は、開示された例によって限定されず、本発明の範囲から逸脱することなく、当業者によって他の変形形態をそこから導き出すことができる。したがって、考えられる変形形態が多数存在することは明らかである。例として言及された実施形態は、実際には例を表すだけであり、保護の範囲、可能な用途、または本発明の構成を制限するものとして決して解釈されるべきではないことも明らかである。むしろ、前述の記述および図の説明は、当業者が例示的な実施形態を実施することを可能にし、開示された本発明の概念を知っている当業者は、明細書のより広範な説明など、特許請求の範囲およびそれらの法的同等物によって定義される範囲から逸脱することなく、例えば、例示的な実施形態で引用される個々の要素の機能または配置に関して、様々な変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0040】
1:ロボットマニピュレータ
3:ワークステーション
5:ワークピース
7:カメラユニット
9:演算ユニット
11:入力ユニット
13:出力ユニット
100:システム
S1:記録
S2:送信
S3:決定
S4:出力
S5:検出
【国際調査報告】