(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-05
(54)【発明の名称】モジュール型複合作用パネル及びそれを用いた構造システム
(51)【国際特許分類】
E04B 5/38 20060101AFI20230329BHJP
【FI】
E04B5/38 Z
E04B5/38 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022541694
(86)(22)【出願日】2021-12-30
(85)【翻訳文提出日】2022-07-04
(86)【国際出願番号】 US2021065747
(87)【国際公開番号】W WO2022150224
(87)【国際公開日】2022-07-14
(32)【優先日】2021-01-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509311850
【氏名又は名称】スキッドモア オーウィングス アンド メリル リミテッド ライアビリティ パートナーシップ
【氏名又は名称原語表記】Skidmore,Owings & Merrill LLP
【住所又は居所原語表記】7 World Trade Center,250 Greenwich Street,New York,New York 10007 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベジャク,チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】シェン,ユンルー
(72)【発明者】
【氏名】ストリーター,マシュー
(57)【要約】
複合構造床システムを構成するプレハブモジュール型複合構造パネル。構造パネルは、支持要素間のスパン方向に整列した鋼製補強要素に剛接合された木材パネルで構成される。複数のプレハブパネルをモジュール式に配列して組み立て、コンクリートを追加することで、あらゆる建築形状に適応可能な複合コンクリート床システムを作成することができる。木材パネルは、鋼製補強要素と複合的に作用し、仮設の状態では型枠として機能し、支柱は最小限か全く不要である。恒久的な状態では、鋼製補強要素はコンクリートスラブを補強するために使用され、木材パネルはコンクリートスラブと複合して機能し、法規制で許可されている強度や耐用年数を満たすことができる。鋼材と木材を接続する方法、およびパネルを支持梁に接続する方法も開示される。構造用パネルは、壁、柱、ブレース、梁などの他の建築要素の型枠を作るために、垂直方向に配向し、必要に応じてつなぎ合わせることも可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合作用パネルであって、
互いに平行に整列し、かつ、それぞれがスパン方向に沿って延在する鋼製補強部材と、
構造用コネクタを介して前記鋼製補強部材に固定された木材パネルと
を備え、
前記鋼製補強部材は、第1のコードおよびウェブ要素として機能し、前記木材パネルは、前記複合作用パネルの第2のコードとして機能し、
前記鋼製補強部材および前記木材パネルは、複合作用およびトラス挙動を実現する、
ことを特徴とする複合作用パネル。
【請求項2】
前記構造用コネクタは、前記鋼製補強部材に沿った離散的な位置に配置されている、請求項1に記載の複合作用パネル。
【請求項3】
前記構造用コネクタは、前記鋼製補強部材と前記木材パネルとをスパン方向に沿って連続的に固定する、請求項1に記載の複合作用パネル。
【請求項4】
前記鋼製補強部材および前記木材パネルは、前記鋼製補強要素が溶接またはボルト止めされる金属板と、機械的締結具、釘、スパイク付きプレート、および接着剤からなる群から選択される締結要素からなるコネクタ構造によって、一緒に接続される、請求項1記載の複合作用パネル。
【請求項5】
前記木材パネルが、クロスラミネート材(CLT)、ネイルラミネート材(NLT)、ダウエルラミネート材(DLT)、およびグルーラミネート材(GLT)からなる群より選択される、請求項1に記載の複合作用パネル。
【請求項6】
前記鋼製補強要素が、3次元トラスまたは平面鉄筋トラスのいずれかである、請求項1に記載の複合作用パネル。
【請求項7】
各鋼製補強部材が、(a)前記トップコードとしての変形鉄筋と、2本のウェブ対角線を形成するように曲げられ、かつ、前記変形鉄筋に固定された2本の連続棒と、ウェブ対角線のそれぞれの基部にそれぞれ取り付けられた2本の底棒とを含む、三次元鉄筋トラスを有し、前記ウェブ対角棒がギャロップ状に曲げられている、請求項1に記載の複合作用パネル。
【請求項8】
各鋼製補強部材が、(a)トップバーと、(b)ギャロップ状に曲げられた1本の連続した斜めウェブ材と、(c)前記斜めウェブ材の基部に取り付けられた1本のボトムバーとを含む、平面トラスを有する、請求項1に記載の複合作用パネル。
【請求項9】
前記鋼製補強要素は、有孔金属板またはプレハブ鉄鋼形材を有することを特徴とする請求項1に記載の複合作用パネル。
【請求項10】
前記複合作用パネルがプレハブである、ことを特徴とする請求項1に記載の複合作用パネル。
【請求項11】
前記鋼製補強要素は、前記スパン方向および前記スパン方向を横切る別の方向の両方に延在している、ことを特徴とする請求項1に記載の複合作用パネル。
【請求項12】
請求項1に記載の複合作用パネルと、
前記鋼製補強要素が埋め込まれているコンクリートと
を備える構造要素。
【請求項13】
前記構造要素が、屋根システム、床システム、壁、柱、ブレース、または梁の一部である、ことを特徴とする請求項12に記載の構造要素。
【請求項14】
前記構造要素が、屋根システムまたは床システムの一部である、ことを特徴とする請求項13に記載の構造要素。
【請求項15】
請求項1に記載の複数の複合作用パネルと、
隣接する複合作用パネル間のスプライス補強材と、
前記鋼製補強要素を埋め込むコンクリートと
を備える複合モノリシックシステム。
【請求項16】
前記複合モノリシックシステムが、床システムまたは屋根システムである、ことを特徴とする請求項15に記載の複合モノリシックシステム。
【請求項17】
前記床システムまたは前記屋根システムのための支持骨組みをさらに備え、該支持骨組みは、鋼鉄梁、プレキャストコンクリート梁、現場打ちコンクリート梁、または木材梁からなる群から選択される、ことを特徴とする請求項16に記載の複合モノリシックシステム。
【請求項18】
前記複合パネルは、前記支持骨組み間の単純スパンであるか、または前記支持骨組みとの複合作用を達成するためにコンクリートスラブ用の開口を有する前記支持骨組みの頂部を横切って続いている、ことを特徴とする請求項17に記載の複合モノリシックシステム。
【請求項19】
前記木材パネルは、前記木材パネルからの所望の参加に基づいて選択された前記パネル及びコンクリートの厚さ、及び所望のレベルの複合作用のために追加された追加のせん断コネクタにより、前記永久状態での前記構造床の強度及び/又はサービス性能に寄与するように設計することができる、ことを特徴とする請求項17に記載の複合モノリシックシステム。
【請求項20】
前記スラブ内のコンクリートの量を減らすために、前記木材パネルの頂部にボイド型枠を取り付け得る、ことを特徴とする請求項17に記載の複合モノリシックシステム。
【請求項21】
請求項1に記載の複合作用パネルをプレハブ化することと、
前記複合作用パネルを設置場所に輸送することと、
前記パネルを所望の向きに支持することと、
コンクリートスラブ内に鋼製補強要素を埋め込むことと
を備える方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年1月7日に出願された米国特許出願第17/143,543号に基づく優先権の利益を主張するものであり、その全体は、法律で許される範囲において、参照文献としてここに組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般に、構造システムの構築に関するものである。より具体的には、本開示は、床、天井、及び壁システムの構築に関する。
【0003】
構造床は、建築構造システムの主要な構成要素の1つである。それらは、構造梁及び柱への荷重(居住者、家具、及び設備など)を担い、ひいては、その荷重を基礎に伝達する。従来の近代建築の床は、様々な形状の床板を作ることができる汎用性、鉄筋との複合によって作用する際に長距離に渡すことができる能力、振動や音に対する耐久性などから、典型的にコンクリートが使用されている。木造の床も使用されているが、典型的に、コンクリートの上床スラブとともに使用されている。しかし、火災による耐荷重性の低下が懸念されるため、地上6階以上の高層建築物では、広範な制限無く木造床を使用することは、ほとんどの管轄で現在許可されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コンクリート床の建設中、湿ったコンクリートは、コンクリートが固まるまで型枠によって支持される必要がある。構造床のために一般的に使用される型枠として、典型的に鉄骨建築物に使用される、現場打ち波形金属デッキ型枠、典型的にはコンクリート建築物に使用される、間隔の狭い支保工に支持された仮設合板型枠、及び典型的にはプレキャストコンクリート建築物に使用される、建築サービス中に現場打ち上床スラブと複合的に作用するプレキャストコンクリートパネルが含まれる。金属デッキ型枠は、一般的に支柱なしで約10フィートのスパンに使用されるが、それ以上のスパンでは、型枠を補強するために必要な波形の深さにより、床の厚みが過剰になり、コストが高くなる。アジア市場では、鉄骨建築物の波形金属デッキの代わりにトラスデッキが一般的に使用されており、鉄筋格子トラスがフラット金属の補強に使用されている。トラスデッキは通常、波形金属デッキと同じスパン幅に制限される。仮設合板型枠にも欠点がある。合板型枠のための支柱が下の階の建設活動の妨げになり、支柱と型枠の設置に必要な時間が建設スケジュールの妨げになり、合板型枠は通常撤去後廃棄されるため環境に悪影響を及ぼすことになる。プレキャストコンクリートパネルは、通常、より長いスパン用の仮設支保工が必要である。
【0005】
フィリグリー・ワイドラブ・システム(Filigree Wideslab System、Mid-State Filigree Systems, Inc. 1992)は、永久型枠として機能する補強済みプレキャスト床パネルからなり、パネルを補強するためにプレキャストユニットの上部からスチール格子トラスが突き出ている(製品資料参照)。しかし、他のプレキャストコンクリートパネル型枠と同様に、運搬や所定の位置への吊り上げが重いという問題がある。
【0006】
さらに、ほとんどの居住空間では、構造スラブ、特に金属デッキの下に乾式壁または木材などの追加の天井仕上げを使用している。これは、追加の材料及び労働コストを生じさせるとともに、環境への影響を増大させる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書で開示されるのは、プレハブモジュール型複合作用パネル、複合作用パネルを採用した構造システム、複合作用パネルの製造方法、および複合作用パネルを採用した構造システムの架設方法に関する一つ以上の発明である。
【0008】
開示された複合作用パネルは、支保工無しで長いスパンを達成し、同時に魅力的な永久天井仕上げとして定位置に留まることができる軽量の型枠を提供することができる。型枠が構造システムの一部としてコンクリートと複合して作用することができれば、さらに効率を上げることができる。そのため、従来のコンクリート補強材から作られた補強要素を有する軽量木材パネルがこの目的を叶えることができる。
【0009】
本明細書で使用される際、「木材」は、特に断りのない限り、天然及び人工の木材を含む。「木材」と「材木」は、本明細書において互換的に使用される。「木材パネル」とは、1枚の木材シートで構成されているか、複数の木材シートで構成されているか、または、所定の木材シートが単層であるか多層であるかにかかわらず、木材の層を意味する。「複合作用パネル」とは、本明細書に開示された原理を具現化したパネルを意味する。また、木筋パネル、木筋トラスパネル、またはプレハブモジュラーパネルと呼ばれることもある。「ギャロッピング」とは、鋼棒の曲げ形状に関する蛇行形状を意味し、正弦波的な特性を含む。「プレハブ」とは、あらかじめ製作され、設置場所に運搬して設置することが可能なものをいう。
【0010】
ひとつの態様における複合作用パネルは、互いに平行に整列し、かつ、それぞれがスパン方向に沿って延在する鋼製補強部材と、構造用コネクタを介して前記鋼製補強部材に固定された木材パネルとを有し、鋼製補強部材は、第1のコードおよびウェブ要素として機能し、木材パネルは、複合作用パネルの第2のコードとして機能し、鋼製補強部材および木材パネルは、複合作用およびトラス挙動を実現する。
【0011】
一実施形態において、構造用コネクタは、鋼製補強部材に沿った離散的な位置に配置されている。
【0012】
一実施形態において、構造用コネクタは、鋼製補強部材と木材パネルとをスパン方向に沿って連続的に固定する。
【0013】
一実施形態において、鋼製補強部材および木材パネルは、鋼製補強要素が溶接またはボルト止めされる金属板と、機械的締結具、釘、スパイク付きプレート、および接着剤からなる群から選択される締結要素からなるコネクタ構造によって、一緒に接続される。
【0014】
一実施形態において、木材パネルは、クロスラミネート材(CLT)、ネイルラミネート材(NLT)、ダウエルラミネート材(DLT)、およびグルーラミネート材(GLT)からなる群より選択される。
【0015】
一実施形態において、鋼製補強要素は、3次元トラスまたは平面鉄筋トラスのいずれかである。
【0016】
一実施形態において、各鋼製補強部材は、(a)トップコードとしての変形鉄筋と、2本のウェブ対角線を形成するように曲げられ、かつ、変形鉄筋に固定された2本の連続棒と、ウェブ対角線のそれぞれの基部にそれぞれ取り付けられた2本の底棒とを含む、三次元鉄筋トラスを有し、ウェブ対角棒がギャロップ状に曲げられている。
【0017】
一実施形態において、各鋼製補強部材は、(a)トップバーと、(b)ギャロップ状に曲げられた1本の連続した斜めウェブ材と、(c)斜めウェブ材の基部に取り付けられた1本のボトムバーとを含む、平面トラスを有する。
【0018】
一実施形態において、鋼製補強要素は、有孔金属板またはプレハブ鉄鋼形材を有する。
【0019】
本明細書に開示される一実施形態において、複合作用パネルは、プレハブである。
【0020】
一実施形態では、鋼製補強要素は、スパン方向とスパン方向を横切る別の方向との両方に延びる。
【0021】
他の態様における構造要素は、上記実施形態にかかる複合作用パネルと、鋼製補強要素が埋め込まれているコンクリートまたはセメント材料とを有する。
【0022】
一実施形態において、構造要素は、屋根システム、床システム、壁、柱、ブレース、又は梁の一部である。
【0023】
一実施形態において、構造要素は、屋根システムまたは床システムの一部である。
【0024】
他の態様における複合モノリシックシステムは、上記の実施形態のいずれかに従う複数の複合作用パネルと、隣接する複合作用パネル間のスプライス補強材と、鋼製補強要素を埋め込むコンクリートまたはセメント系材料とを有する。
【0025】
一実施形態において、複合モノリシックシステムは、床システム又は屋根システムである。
【0026】
一実施形態において、複合モノリシックシステムは、床システム又は屋根システムを支持する支持骨組みをさらに有し、支持骨組みは、鋼鉄梁、プレキャストコンクリート梁、場所打ちコンクリート梁、又は木材梁からなる群から選択される。
【0027】
複合モノリシックシステムの一実施形態において、支持骨組み間の単純スパンであるか、または支持骨組みとの複合作用を達成するためにコンクリートスラブ用の開口を有する支持骨組みの頂部を横切って続いている。
【0028】
モノリシック構造システムの一実施形態において、木材パネルは、木材パネルからの所望の参加に基づいて選択された木材パネル及びコンクリートの厚さ、及び所望のレベルの複合作用のために追加された追加のせん断コネクタにより、永久状態での構造床の強度及び/又はサービス性能に寄与するように設計することができる。
【0029】
他の態様における方法は、先の実施形態のいずれかに従う複合作用パネルをプレハブ化することと、複合作用パネルを設置場所に輸送することと、複合作用パネルを所望の向きで支持することと、及びコンクリートスラブ内に鋼製補強要素を埋め込むこととを有する。
【0030】
理解されるように、木材パネルは、一時的な状態において湿ったコンクリートの重量を支えるスチール補強要素と複合して作用し、かつ、一方向または双方向の鉄筋コンクリートスラブの典型的なスパンまで、最小限の支保工または支保工なしでスパンするように設計することができる。恒久的な状態では、鋼製補強部材はコンクリートスラブを補強するために使用され、木材パネルはコンクリートスラブと複合的に作用して強度および使用性の要件を満たすことができる。木材パネルの下面は、好ましくは、建設中に保護層で保護され、恒久的な状態では、視覚的に美しい天井仕上げとして機能することができる。好ましくは、プレハブ型枠は予め準備されているため、現場の労力を軽減し、施工速度を向上させることができる。支保工を大幅に削減することで、下の階で建設活動を行うことができ、さらに工期を短縮することができる。複数のプレハブ複合作用パネルをモジュール配列で組み立てることにより、あらゆる建物形状に適応可能な床システムを作成することができる。プレハブ式複合アクションパネルは軽量で積み重ねが可能なため、運搬や架設が容易に行える。天井は木製のまま仕上げられるので、天井材を追加する必要がなく、環境への影響も軽減される。このシステムは汎用性があり、鉄骨フレーム、コンクリート打ち放し梁や柱、プレキャストコンクリートシステム、木造フレームに使用することができる。
【0031】
開示された一つ以上の発明の他のシステム、方法、特徴、および利点は、以下の図面および詳細な説明を検討すれば、当業者には明らかであるか、または明らかになるであろう。このような追加のシステム、方法、特徴、および利点はすべて、本明細書に含まれ、本発明の範囲内にあり、添付の特許請求の範囲によって保護されることを意図する。
【0032】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付図面は、本明細書に開示されたシステムの実施形態を例示し、説明とともに、開示されたシステムの利点および原理を例示する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】
図1は、本明細書に開示される原理と一致するコンクリート又はセメント系材料の配置(打設)後に複合木材床システムパネルとして使用することができる単一の複合作用パネルの例示的な例の斜視図である。
【
図2】
図2は、本明細書に開示される原理と一致する、コンクリートの打設前の単一の複合作用パネルの例示的な例の斜視図である。
【
図3】
図3は、
図2に示される木筋トラスパネルの組み立て前の、例示的な複合アクションパネル又は木筋トラスパネルの個々の構成要素を描いた分解図である。
【
図4A】
図4Aは、
図3に示される単一木筋トラスパネルの鋼材補強要素として採用され得る単一鉄筋トラスアセンブリの構成要素を描いた例示的な鉄筋トラスアセンブリの斜視図である。
【
図6A】
図6Aは、
図4Aに示されるプレハブ鉄筋トラスの典型的な断面で切断された断面図であり、断面の位置については、
図5Bを参照のこと。
【
図6B】
図6Bは、
図4Aに示されるプレハブ鉄筋トラスの端部で切断された断面図であり、断面の位置は、
図5Bを参照のこと。
【
図6C】
図6Cは、
図4Aに示されるプレハブ鉄筋トラスのスパン方向に対して垂直な方向で見た端部の断面図であり、断面の位置は、
図5Aを参照のこと。
【
図7】
図7は、
図3に示されるプレハブ鉄筋トラスおよび横方向補強材のレイアウトを示す、
図2に示される例示的な単一複合作用パネルの平面図である。
【
図8A】
図8Aは、線8a―8a’に沿って取られた
図7に示される複合アクションパネルアセンブリの長手方向立面図である。
【
図8B】
図8Bは、線8b―8b’に沿って取られた
図7に示される複合アクションパネルアセンブリの横方向立面図である。
【
図9】
図9は、
図2に示す例示的な単一の複合木材床システムパネルに示されるように、木材パネル10にレイアウトされたコネクタを示す平面図である。
【
図10A】
図10Aは、
図9の断面10aにおいて、木材パネルおよびコネクタプレートアセンブリのコーナーの詳細を示す平面図である。
【
図10B】
図10Bは、
図9の断面10bにおいて、木材パネルおよびコネクタプレートアセンブリの側縁の詳細を示す平面図である。
【
図11A】
図11Aは、
図9の断面11aにおいて、本開示と整合する
図2に示される例示的な複合作用パネルの端部における断面詳細図である。
【
図12A】
図12Aは、
図3に描かれた木材パネルと鉄筋トラスケージ構成要素との間のポジティブ接続を行うために使用することができる代替接続タイプの断面を示し、この接続タイプを、他の接続タイプのいずれかと組み合わせて使用して、木材パネルと鉄筋トラスケージとの間のポジティブ接続を形成することができる。
【
図12B】
図12Bは、
図3に描かれた木材パネルと鉄筋トラスケージ構成要素との間のポジティブ接続を行うために使用することができる代替接続タイプの断面を示し、この接続タイプを、他の接続タイプのいずれかと組み合わせて使用して、木材パネルと鉄筋トラスケージとの間のポジティブ接続を形成することができる。
【
図12C】
図12Cは、
図3に描かれた木材パネルと鉄筋トラスケージ構成要素との間のポジティブ接続を行うために使用することができる代替接続タイプの断面を示し、この接続タイプを、他の接続タイプのいずれかと組み合わせて使用して、木材パネルと鉄筋トラスケージとの間のポジティブ接続を形成することができる。
【
図12D】
図12Dは、
図3に描かれた木材パネルと鉄筋トラスケージ構成要素との間のポジティブ接続を行うために使用することができる代替接続タイプの断面を示し、この接続タイプを、他の接続タイプのいずれかと組み合わせて使用して、木材パネルと鉄筋トラスケージとの間のポジティブ接続を形成することができる。
【
図12E】
図12Eは、
図3に描かれた木材パネルと鉄筋トラスケージ構成要素との間のポジティブ接続を行うために使用することができる代替接続タイプの断面を示し、この接続タイプを、他の接続タイプのいずれかと組み合わせて使用して、木材パネルと鉄筋トラスケージとの間のポジティブ接続を形成することができる。
【
図12F】
図12Fは、
図3に描かれた木材パネルと鉄筋トラスケージ構成要素との間のポジティブ接続を行うために使用することができる代替接続タイプの断面を示し、この接続タイプを、他の接続タイプのいずれかと組み合わせて使用して、木材パネルと鉄筋トラスケージとの間のポジティブ接続を形成することができる。
【
図13A】
図13Aは、梁(端部42a側部43)及び柱41の骨組みのための構造鋼と、床システムを構築するための一連のプレハブモジュール型複合作用パネル50(
図2参照)とを使用した例示的構造システムの斜視図である。
【
図13B】
図13Bは、構造用鋼フレームに採用された場合の開示された複合作用パネルのモジュール特性を示す、
図13に示された例示的な構造システムの平面図である。
【
図14】
図14は、
図13Bの断面14における、モジュールシステムの2つの隣接する複合作用パネル間の側面接続の詳細を示す断面図であり、この断面は、建設プロセス中のコンクリートのブリードを防止するために複合作用パネル間に設置されるメカニズムを描いたものである。
【
図15A】
図15Aは、
図13Bの断面15aにおける、内部支持状態において鋼製ワイドフランジ梁によって支持されるプレハブモジュール型複合作用パネルの端部支持詳細を示す断面図である。
【
図15B】
図15Bは、内部支持状態において鋼製ワイドフランジ梁によって支持されたプレハブモジュール型複合作用パネルの代替詳細断面図であり、プレハブ複合作用パネルの木材部分が鋼高さ方向の頂部の下に設置され、それによって全体的な構造深さが減少している構成を示す。
【
図15C】
図15Cは、内部支持状態において鋼製ワイドフランジ梁によって支持されたプレハブモジュール型複合作用パネルの代替詳細断面図であり、内部鋼製支持梁の上を連続的に走行する複合作用パネルを示す詳細図である。マルチ複合作用パネルモジュール型レイアウトにおける内部支持条件の位置については、
図13Bを参照のこと。
【
図16A】
図16Aは、
図13Bの断面16aにおける、端部支持状態において鋼製ワイドフランジ梁によって支持されたプレハブモジュール型複合作用パネルの端部支持詳細を示す断面図である。
【
図16B】
図16Bは、端部支持状態において鋼製ワイドフランジ梁によって支持されたプレハブモジュール型複合作用パネルの端部支持詳細を示す代替断面図である。断面の位置については、
図13Bの断面16aを参照のこと。
図15Bに示される代替例と同様に、本代替例の構成は、プレハブ複合作用パネルの木材部分が鋼高さ方向の頂部の下に設置され、それによって全体の構造深さが減少するものである。
【
図17A】
図17Aは、室内支持状態において場所打ちコンクリート梁によって支持されるプレハブモジュール型複合作用パネルの端部支持詳細を示す断面図である。断面切断位置については、
図13Bの断面15aを参照のこと。
【
図17B】
図17Bは、端部支持状態において場所打ちコンクリート梁によって支持されるプレハブモジュール型複合作用パネルの端部支持詳細を示す断面図である。断面切断位置については、
図13Bの断面16aを参照のこと。
【
図18】
図18は、単一のプレハブモジュール型複合作用パネルの潜在的な吊り上げ構成の斜視図である。
【
図19A】
図19Aは、本明細書に開示される原理と一致するモジュール型複合材床システムの製造及び架設に関連する主要な工程及び材料を概説する一般的なフローチャートである。
【
図19B】
図19Bは、本明細書に開示される原理と一致する単一のプレハブモジュール型複合作用パネルの製造工程を概説するフローチャートである。
【
図19C】
図19Cは、本明細書に開示される原理と一致する1つ以上のプレハブ複合作用パネルを使用する構造床システムの架設プロセスを概説するフローチャートである。
【
図20】
図20は、例示的な構造システムの単一のベイを示す斜視図であり、典型的な構造システムで使用される主要な要素タイプを同定するものである。
【
図21A】
図21Aは、プレハブモジュール型木材梁要素の主要構成要素を示す斜視図である。
【
図21B】
図21Bは、プレハブモジュール型木材柱要素の主要構成要素を示す斜視図である。
【
図21C】
図21Cは、プレハブモジュール型木材壁要素の主要構成要素を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
添付図面に例示されているように、本明細書に開示された原理に合致するプレハブモジュール型複合作用パネルに従った一つ以上の実施態様を詳細に説明する。プレハブモジュール式複合作用パネルは、建物または他の構造物の床または屋根システムに組み込まれ、面積荷重に抵抗すると同時に、適用の各レベルで連続ダイアフラムを提供するために使用されてもよい。複合作用パネルのモジュールの特性は、複合作用パネルを利用するシステムが、好ましくは添付の図面及び明細書に例示されるように接続された一連の反復複合作用パネル要素を用いて任意の建物の形状に適合するように調整され得るようなフレキシビリティを可能にする。複合作用パネルのプレハブ性は、スラブ補強を現場設置するための別の職人の必要性を排除しながら、複合作用パネルが店頭製作され、建設公差を改善し、建設速度を向上させることを可能にする。
【0035】
本開示の複合作用パネル及びそれを採用するシステムの例示的な実施形態が、添付の図面及び明細書に示されている。しかしながら、複合作用パネルは、本明細書に開示されるような構造床又は屋根システム、他のシステムを達成するために、本明細書に示される主要材料(木材、鋼及びコンクリート)の任意の組み合わせが構造システムの寿命期間中の任意の時点で利用され得るように実施されてよい。本明細書に開示される原理と一致するモジュール式複合木材床システムは、従来の建築材料を利用しながら、仮設型枠及び支保工を削減又は排除して、建設の速度を高め、全体的な建築コストを低減させることを可能にする。本開示の追加の利点としては、軽量で積み重ね可能であるため輸送及び架設が容易であること、隔離した炭素をプロジェクトに導入するため持続可能性が向上すること、及び吊り天井の必要性を潜在的に排除する魅力的な外観仕上げを提供することが挙げられるがそれに限られるわけではない。
【0036】
図1は、本明細書に開示される原理と一致する一つ以上の複合作用パネルを採用する単一の複合木材床システムの例示的な実施形態の斜視図である。
図1に示すように、モジュール型複合木材床システムパネルは、複合作用パネルを形成するコネクタ30を介して鋼補強材20に接続された木材パネル10を含む。コンクリート40(理解を容易にするために模型で示す)は、複合作用パネルの上に打設され、全ての鋼補強材を包囲し、埋め込む。この例示的な説明では、木材パネル10、鉄筋トラス20及びコネクタ30は、プレハブ化され、1つ以上の複合作用パネルに組み合わされて、現場に出荷される。設置される際、1つ以上の複合作用パネルが現場で設置され、その後、コンクリート40が所定の位置に打設されて、モノリシックな床システムが作成される。
図2は、コンクリート40を打設する前のプレハブ式複合作用パネルを示す。
【0037】
図1に図示された木材パネル10は、木材パネルの例示的なサイズ及び形状を示しているが、本開示の原理に従って、任意の形状及びサイズのパネルを実施することが可能である。
図1に図示された木材パネル10は、3枚重ねの厚さを有するクロスラミネート木材プロファイルを示すが、任意の枚数重ねが使用されてもよい。木材パネルは、複合コンクリート形材の一部として機能するために十分な強度を有する必要がある。また、ダボラミネート材、釘ラミネート材、接着剤ラミネート材など、別のラミネート方法も可能である。さらに、上述のように、木材は天然木または人工木で作ることができる。
【0038】
この例示的な例では、鉄骨補強材20は、異形鋼棒と丸鋼棒とで構成されている。しかしながら、他の材料(木材10およびコンクリート40)間の複合作用を達成するために、代替タイプの鉄骨補強材を使用することも可能である。これらの代替タイプは、鋼板、パンチング鋼板、および圧延形鋼を含むが、これらに限定されない。さらにこの例示的な例は、鋼補強材の例示的なサイズおよび構成を示すが、鋼補強材40は、必要な強度およびサービス性能を達成するために様々な方法で構成することができる。
【0039】
図3は、
図2に示される例示的な実施例の分解斜視図である。
図3は、例示的なアセンブリ又は複合作用パネルの基部にある木材パネル10を示す。コネクタ30は、木材パネル10とプレハブ鉄筋トラス21との間の構造的接続を可能にする。この例示的な実施例では、
図11A~11Cに示すように、コネクタプレート30は、セルフタッピングラグねじ32を介して木材パネル10に接続される。これは、木材パネル10とコネクタ30との間の接続の1つの潜在的な方法に過ぎない。代替的な接続技術は、以下の議論においてより詳細に説明される(
図12A~12Fを参照されたい)。鉄筋トラス21は、全ての請負ポイントにおいてコネクタ30に溶接される。この例示的な実施例では、複合作用パネルはワンウェイシステムとして設計され詳述されており、これは、複合作用パネルが鉄筋トラスのスパン方向又は長さ(図では長さ方向)に広がり、クロススパン方向又は横方向の両端(図では短端)で支持されることを意味している。鉄筋トラス21は、このスパン方向と平行に延びるように構成されている。木材パネ10に、コネクタ30を介して鉄筋トラス21を並列に接続することで、プレハブ複合作用パネルが出来上がる。横方向補強材22は、スパン方向と直交する方向に設けられる。この例示的な例では、横方向補強材22は、標準的な建設技術を使用して所定の位置にワイヤで縛られる追加の補強棒として提供されるが、横方向補強棒22は、鉄筋トラス21に統合されて複合作用パネルの複合強度に貢献することができ、ツーウェイシステムの適用を可能にする。
【0040】
図4Aは、
図3に図示され、上述した単一の鉄筋トラス21の斜視図である。鉄筋トラス21は、1本の直線状に連続する上部棒21Aと、ギャロップ状に曲がる2本の斜め傾斜棒21Bと、2本の直線状に連続する下部棒21Cと、2本の水平端部支持棒21D(各端部に1本)と、2本の垂直端部支持棒21E(各端部に1本)から成る3次元のトラスである。全ての鉄筋が接点で溶接され、1つの立体的な鉄筋トラス21となる。
【0041】
図4Bは、
図4Aで上述した構成要素の分解斜視図である。傾斜連続棒21Bは、上部棒21A及び下部棒21Cに溶接されている。下部棒21Cは、垂直端部支持棒21Eに溶接されている水平端部支持棒21Dに溶接されている。垂直端部支持棒21Eはまた、上部棒21Aに溶接されている。前述したように、これは好ましい鉄筋トラス構成の1つを表している。他の構成が、本開示の原理と一致するように実施されてよい。
【0042】
図5Aは、
図4Aに示されるプレハブ鉄筋トラス21の平面図である。
図5B及び
図6Cに示される部分については、断面が参照される。
【0043】
図5Bは、
図4Aに示されるプレハブ鉄筋トラス21の立面図である。断面5aの位置は、
図5Aを参照のこと。この立面図は、斜め傾斜棒21Bのギャロッピング構成の一例を示している。図示のように、斜めギャロップ棒21Bは、トラスの上部及び下部の両方で一定の間隔で発生する水平セグメントを有し、斜め傾斜棒21Bと上部棒21A及び下部棒21Cのそれぞれとの間の十分な接触を可能にしている。斜め傾斜棒21Bの水平セグメントは、この好ましい実施形態では示されているが、斜め傾斜棒21Bと上下部の棒(21A及び21C)との間の十分な接触が達成される限り、必要とされるものではない。このトラスプロファイルは、丸鋼棒の連続片から作成されているが、トラス挙動は、先に述べたように、代替構成を使用して達成することができる。鉄筋トラス21と木材パネル10との間の複合作用を可能にする任意のトラス構成は、本明細書に開示される原理と一致する。
図6A及び
図6Bに示される断面の参照として、断面6a及び6bが使用される。
【0044】
図6Aは、
図4Aに示されたプレハブ鉄筋トラス21の典型的な断面で切断された断面図である。断面の位置は、
図5Bを参照のこと。この断面に示すように、上部棒21Aは、2本の斜め傾斜棒21Bの間に挟まれ、この接触に沿って両者の間に溶接がなされる。また、この断面には、斜め傾斜棒21Bに対する下部棒21Cの位置も示されている。
【0045】
図6Bは、
図4Aに例示したプレハブ鉄筋トラス21の端部で切断した断面図である。断面の位置は、
図5Bを参照のこと。この断面に示すように、上部棒21Aは垂直端部支持棒21Eの上方に位置し、下部棒21Cは水平端部支持棒21Dの上方に位置している。水平端支持棒21Dは、垂直端部支持棒21Eの内側を延在する。これらの各棒は、接触する位置で溶接部を介して接続されている。
【0046】
図6Cは、
図4Aに例示したプレハブ鉄筋トラス21のスパン方向と直交する方向に見て端部で切断した断面図である。断面の位置は、
図5Aを参照のこと。この断面では、下部棒21C及び上部棒21Aそれぞれと、支持鉄筋(水平21D及び垂直21E)との関係を示している。さらに、斜め傾斜棒21Bの水平方向のセグメントと、鉄筋トラス21の端部における斜め傾斜棒21Bの終端を示す断面である。
【0047】
図7は、
図2に示した例示的な複合作用パネルの平面図である。この
図7は、プレハブ鉄筋トラス21と横方向補強材22が、下方の木材パネル10上にどのようにレイアウトされるかを示している。スパン方向に走る一連の鉄筋トラスは、木材パネルの幅方向に平行、かつ、等間隔に配置されている。同様に、スパン方向に垂直に走る横方向補強材22は、木材パネルの長さ方向に平行、かつ、等間隔で配置される。
【0048】
図8A及び
図8Bは、それぞれ、
図7に示す複合作用パネルの縦方向断面図及び横方向断面図である。断面切断位置については、
図7を参照のこと。
図8Aは、横方向補強材22の例示的な分布、および、木材パネル10に関連するプレハブ鉄筋トラス21の立面図を示している。
図8Bは、木材パネル10の幅方向にわたるプレハブ鉄筋トラス21の例示的な分布、ならびに上部棒21Aおよび下部棒21Cに対する横方向補強材22の仰角を示す図である。鉄筋トラスアセンブリの詳細については、
図5及び
図6が参照される。
【0049】
図9は、
図2に示される例示的な複合作用パネルに示されるような、木材パネル10上にレイアウトされるコネクタ30の平面図である。この図に示すように、例示的な複合作用パネルは、3種類の鋼コネクタプレートを有する。典型的な内側コネクタプレート31Aは、複合作用パネルのスパン方向に対して横方向に延びる連続した鋼板のストリップであり、斜め傾斜棒21B(
図5A及び5Bを参照)と内側コネクタプレート31Aとの間の接触を確保するように配置されている。この接触により、内側コネクタプレート31Aと斜め傾斜棒21Cとの間の溶接が可能になる。端部コネクタプレート31Bは、複合作用パネルの両端部に配置されている。内側コネクタプレート31Aと同様に、端部コネクタプレート31Bは、連続した鋼板のストリップであり、斜め傾斜棒21Bとの接触を確保するように配置され、端部コネクタプレート31Bと斜め傾斜棒21Bとの間の溶接を可能にしている。端部コネクタプレート31Bの大きさは、現場でのコンクリート打設時の湿潤コンクリートの染み出しを防止するために調整することができる。側部コネクタプレート31Cは、木材パネル10の片側に位置する連続した一枚の帯状の鋼板である。側部コネクタプレート31Cには、最端部の斜め傾斜棒21Bが溶接されている。
【0050】
この例示的な実施例では、ラグねじ締結具32が、コネクタプレート30を木材パネル10と接続するために使用される。代替的な接続タイプは、
図12A~12Fに示されるものを含むが、これらに限定されるものではない。
【0051】
図10Aは、木材パネル10及びコネクタプレート30アセンブリのコーナーの平面詳細図である。この詳細図では、側部コネクタプレート31Cが木材パネル10を越えて延在していることが示されている。この延在により、コネクタプレートは、端部と側部の接続部における注水止めとしても機能することができる。複合作用パネル端部及び側部コネクタ部の詳細については、
図13~16を参照のこと。また、
図16Aを参照して、端部接続の詳細を収容するために、必要に応じて端部コネクタプレート31Bを木材パネルを越えて延在させることも可能である。
【0052】
図10Bは、木材パネル10及びコネクタプレート30アセンブリの典型的な端部の平面詳細図である。プレハブ鉄筋トラス21は、これらのトラス21とコネクタプレート(内側31A及びエッジ31C)との間の重なりを説明するために、この詳細図において細線で示されている。
【0053】
図11Aは、本開示と一致する
図2に示す例示的な複合作用パネルの端部で切断された断面詳細図である。断面カット位置については、
図9を参照のこと。この詳細図は、端部支持状態において、端部コネクタプレート31Bが木材パネル10と同一平面上にあることを示している。複合作用パネル端部及び側部接続の詳細については、
図13~16を参照されたい。これは、端部プレート31B、鉄筋トラス21及び木材パネル10の例示的構成として使用されるが、本明細書に開示される原理と一致する代替構成も可能である。この詳細図には、端部コネクタプレート31B及び内側コネクタプレート31Aを木材パネルに接続するラグねじ締結具32も示されている。代替の接続タイプは、
図12A~12Fに示されるものを含むが、これらに限定されるものではない。
【0054】
図11B及び11Cは、本開示と一致する
図2に示される例示的な複合作用パネルを通過して切断された追加の断面詳細図である。断面切断位置については、
図9を参照されたい。
図11Aと同様に、これらの断面詳細図は、内側コネクタプレート31Aを木材パネルに接続するために使用される締結具32を示す。さらに、
図11Bは、鉄筋トラス21と内側コネクタプレート31Aとの間の接触を示している。鉄筋トラス21と内側コネクタプレート31Aは、この接触長さにわたって溶接されている。
【0055】
図12A~12Fはそれぞれ、
図2に示される例示的なパネルを、横方向から見た断面詳細図である。これらの詳細図は、鉄筋トラスアセンブリ21と木材パネル10との間の複合作用を可能にする接続の代替手段を示している。注意すべきは、鉄筋トラスアセンブリ21を下層の木材パネル10に接続する手段は、
図12A~12Fに提示されるものを含むが、これらに限定されない。
【0056】
図12Aは、コネクタプレート30を木材パネル10に連結するラグねじ締結具33Aを示す。この構成では、鉄筋トラス21は、コネクタプレート30に溶接されている。また、これらのラグねじ締結具33Aは、
図12Bに示すように、傾斜した向きで設置してもよい。
【0057】
機械的接続の代替手段が
図12C及び12Dに示されており、これは釘33B及びパンチ金属板33Cを含む。スパイクプレートと呼ばれることもあるパンチ金属板33Cは、木材トラスの建設に典型的に使用される部品であるが、本開示では十分な荷重伝達機構として機能することも可能である。また、鋼部材と木材部材との接続は、エポキシ系工法であってもよい。これには、エポキシ33Dを介してコネクタプレート30を木材パネル10に直接接続すること、および、エポキシを介して鉄筋トラス21を木材パネル10に直接接続することが含まれるが、これらに限定されるわけではない。
【0058】
図13Aは、梁(端部42及び側部43)及び柱41の骨組みのための構造鋼、並びに床システムを構築するための一連のプレハブモジュール型複合作用パネル50(
図2参照)を使用した例示的構造システムの斜視図である。複合作用パネルは、この図において代表的に示されており、詳細な鋼製トラスは、明確化のために含まれていない。この例示的なシステムに示されるように、モジュール型床システムパネル50は、互いに隣接して設置され、端部支持部材42の間にまたがって設置される。システムの構造的安定性を提供することに加えて、側面支持部材は、端部複合作用パネルのための端部支持として作用するように、プレハブモジュール型複合作用パネル50の長手方向面に平行に提供される。
【0059】
図13Bは、
図13Aに示される例示的な構造システムの平面図である。この平面図は、開示された複合作用パネルのモジュール型の特性を明確に示している。プレハブモジュール型複合作用パネル50は、構造システムの幾何学的形状に基づいて形状およびサイズを決定し、同じモジュールを反復して全体の床システムを開発することを可能にする。この図に示されているのは、要素をフレーム化するために構造鋼を使用するシステムであるが、追加のシステムには、鉄筋コンクリートフレーミング、プレキャスト鉄筋コンクリートフレーミング、プレストレス鉄筋コンクリートフレーミング、木材フレーミング、及びこれらのフレーミングタイプの任意の組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0060】
図13A及び13Bはまた、隣接する複合作用パネルのインターフェースで必要とされる追加のスプライス補強を図示している。主スプライス補強棒25A及び横方向スプライス補強棒25Bは、モジュール型複合作用パネル50の各内側端部及び側部にそれぞれ必要とされる。フック付きエッジ補強材25Cも、床システムのエッジの周囲に必要とされる。これらの追加の補強棒は、コンクリート打設前の輸送及び架設プロセスの任意の時点で設置することができる。
【0061】
図14は、2つの隣接するモジュール型複合作用パネル50の間の側部接続部で取られた断面詳細図である。断面切断の位置については、
図13Bを参照されたい。この詳細図は、架設公差によって引き起こされる潜在的な継ぎ目11を通過するコンクリートの浸透を防止する例示的な水止め機構を示す。この例で示される詳細は、隣接する複合作用パネルを接続し、湿ったコンクリートの浸透を防止するために現場設置されてよい合板の薄片14を利用するが、代替の水止め機構は、薄いゲージ金属片(側面コネクタプレート31C、
図9を参照)、テープまたはゴムガスケットを含むがこれらに限定されるものではない。また、床パネルとしてCLTパネルを使用する建設において一般的に行われるように、木材パネルの自然な重なりを可能にするべくオフセットされたトッププライを有する木材パネル10を提供してもよい。
【0062】
図15Aは、内側支持条件41Aで鋼製ワイドフランジ梁によって支持されたプレハブモジュール型複合作用パネル50の端部支持詳細を示す断面詳細図である。断面切断位置については、
図13Bを参照されたい。この例示的な詳細において、両方の隣接する木材パネル10は、鋼製端部支持梁フランジ41A上に直接支承されている。プレハブモジュール型複合作用パネル50は、複合梁作用が、鋼製せん断スタッド44を介して端部支持部材41Aとコンクリート40との間で達成できるように、サイズ決めされて建てられる。追加の主スプライス補強材25Aは、スラブ連続性を達成するために支持ラインにわたって提供される。この構成では、コンクリートを打設する前の仮設状態の間、プレハブモジュール型複合作用パネル50の安定性を確保するために、架設ストラップ15又は同等のものが必要とされる。仮設安定性を提供する代替手段としては、木材と鋼鉄とのボルト接続、木材と木材との接続などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0063】
代替的な内側パネル端部支持方法は、
図15B及び15Cに示されるものを含むが、これらに限定されるものではない。
図15Bに示すように、接続は、端部コネクタプレート31Bと端部支持梁41Aとの直接支承によって行われてもよい。また、
図15Cに示すように、支持梁41Aの上部を横切って連続的に木材パネル10を延在させることによっても接続を行うことができる。
図15Cに示す詳細では、複合作用が望まれる場合、支持梁41Aとコンクリート40との間の複合作用を確実にするために、木材パネル10を切り欠くための追加の配慮が必要である。
【0064】
図16Aは、端部支持条件41Aで鋼製ワイドフランジ梁によって支持されたプレハブモジュール型複合作用パネル50の端部支持詳細を示す断面詳細図である。断面切断位置については、
図13Bを参照されたい。
図16Aと同様に、木材パネル10は、鋼製端部支持梁フランジ41Aに直接支承されている。また、
図16Aと同様に、プレハブモジュール型複合作用パネル50は、端部支持部材41Aとコンクリート40との間で複合梁作用を達成できるようにサイズ設定されている。この位置におけるスラブトップ補強材26Aの端部は、典型的な鉄筋コンクリート詳細規格に従って引っ掛けられ、スラブ段鼻棒26Bの端部は、この例示的な詳細に示すように提供される。
図16Bに示される代替的な外部端部支持構成に関する情報については、上記の
図15Bの説明を参照されたい。
【0065】
図17Aは、内側支持状態41Bで鉄筋コンクリート梁によって支持されたプレハブモジュール型複合作用パネル50の端部支持詳細を示す断面詳細である。断面切断位置については、
図13Bの断面15aを参照されたい。この詳細図に示すように、木材パネル10は、内側コンクリート端部支持部材41Bを形成するために使用される梁型枠12によって支持される。梁型枠12の潜在的な特性は、コンクリートの硬化後に除去される仮型枠、構造物の寿命の間そのままにされる永久型枠、またはコンクリート梁と複合される構造システムの永久不可欠な部分を含むが、これらに限定されるものではない。梁型枠は、追加の支保工13を必要とする場合もあれば、必要としない場合もあり、それでも本開示と一致する。
図16Aは、端部支持条件41Aで鋼製ワイドフランジ梁によって支持されるプレハブモジュール型複合作用パネル50の端部支持詳細を示す断面詳細図である。断面切断位置については、
図13Bを参照されたい。
【0066】
設置の順序について、この例示的な例では、梁型枠11が最初に設置され、次にプレハブモジュール型複合作用パネル50が設置されることになる。最後に梁スターラップ筋27B、縦筋27A及び主スプライス補強材25Aが設置される。また、施工速度を上げるために、これらの部材の一部を一体化することも可能である。
【0067】
図17Bは、端部支持状態41Bで鉄筋コンクリート梁によって支持されたプレハブモジュール型複合作用パネル50の端部支持詳細を示す断面詳細図である。
図13Bの断面16aを参照して、断面切断位置を説明する。梁型枠11の構成および架設順序に関する議論については、
図17Aの説明を参照されたい。この断面に示すように、外壁コンクリート端部支持部材41Bの主スプライス棒25Aは、梁に引っ掛けられている。
【0068】
図18は、単一のプレハブモジュール型複合作用パネル50の潜在的な吊り上げ構成を示す斜視図である。この図に示されるように、複合作用パネル50は、二次ケーブル52Aが接続する4つの接続点52Bによって持ち上げられ、一次ケーブル54に結び返されてよい。本開示は、鉄筋ケージから直接吊り上げることを可能にする。追加の留め具は、十分な引き出し容量が利用可能であることを保証するために、吊り上げ接続点で必要に応じて提供される。必要に応じて接続容量を増加させるために、プレハブモジュール型複合作用パネルに追加の吊り具が含まれてもよい。この図は、吊り上げられる単一の複合作用パネルを示しているが、一度に複数の複合作用パネルを吊り上げることも可能である。
【0069】
図19Aは、本明細書に開示される原理と一致するモジュール型複合木材床システムの製造及び架設に関与する主要なステップ及び材料を概説する一般的なフローチャートである。この図に示され、上で詳細に説明したように、木材パネル10、コネクタ30、及び鋼補強要素(鉄筋トラス)20は、プレハブモジュール型複合作用パネル50を構成している。しかしながら、任意の複合作用パネルの製作に先立って、製作される各複合作用パネルのジオメトリを確立するために、個々の複合作用パネル部品の詳細な施工図、ならびに組立図が生成されなければならない。この詳細設計は、従来の2次元の施工図、またはパラメトリックな3次元の文書化ツールを用いて行うことができる。複合作用パネルのジオメトリが文書化プロセスを通じて確立されると、複合作用パネルが製作される。
図19Bは、好ましくは、複合作用パネルが設置される場所から離れた場所、またはショップで実行される、適切な製作プロセスを詳述するフローチャートを提供する。複合作用パネルがショップで製作された後、それらは現場に出荷され、そこで架設計画に基づいて架設されることができる。
図19Cは、架設ステップを詳細に示すフローチャートである。架設されると、コンクリートが打設され(流し込まれ)、この例示的な実施形態ではモノリシックな床又は屋根システムである構造システムがもたらされる。
【0070】
引き続き
図19Aを参照すると、ステップS1において、製作される各複合作用パネルのジオメトリ(複数のジオメトリ)を確立するために、個々の複合作用パネルピースの詳細な施工図、及び組立図が生成される。ステップS2において、木材パネル10及び鋼鉄補強要素20は、上述したようなコネクタ30によって互いに固定される。ステップS3では、プレハブ複合作用パネルが得られる。ステップS4において、プレハブ複合作用パネルは、架設現場へ輸送される。ステップS5において、プレハブ複合作用パネル(および典型的にはその他)は、例えば、床部材、壁部材、または天井部材として、架設現場の所定の位置に置かれ、他の複合作用パネルなどの上述の他の構造部材と仮に接合され、コンクリートが型枠に流し込まれる。コンクリート(またはセメント系材料)が硬化すると、ステップS6で追加の型枠部材が取り除かれ、その結果、
図19Aで例示される床パネルとして説明されている設置済みのモジュール式複合木材およびトラスパネルが得られる。
【0071】
図19Bは、本明細書に開示される原理と一致する単一のモジュール型木材床システムパネルの製作プロセスを概説するフローチャートである。この製作フローチャートに示されるように、プレハブモジュール型複合作用パネルの各構成要素は、プロセスの最初において固有の製作要件を有する(参照ステップS3.1~S3.3)。各コンポーネントが製造されると、それらを組み合わせて複合作用パネルが形成される。接続方法に応じて、接続シーケンス中の製作ステップは異なる。これらの様々な接続タイプの理解については、
図12A~12Fおよび上記の関連する説明を参照されたい。
【0072】
図19Bを引き続き参照すると、ステップS1において、製造される各複合作用パネルの形状を確立するために、個々の複合作用パネル片の詳細な施工図、および組立図が生成される。ステップS2.1、S2.2、S2.3では、個々のコンポーネントの製造のために原材料が調達される。ステップS3.1、S3.2、S3.3では、各複合作用パネル部品を個々の部品図面に従って指定された形状に製作する。木材パネルは、業界の標準的な技術を使用して製作することができる。コネクタは、板材を長さ/サイズに合わせて切断し、板材に穴をあけることで製作することができる。補強部材(鋼鉄トラス)は、鋼鉄棒を長さに合わせて切断し、斜め棒をギャロップ形状に曲げ、上記のようにすべての棒を溶接して製造することができる。
【0073】
ステップS4.1及びS4.2において、指定された接続タイプに応じて必要とされる追加の準備作業が木材パネルに対して行われる。この例では、エポキシ接続が使用されるかどうかが決定される。使用する場合は、木材パネルは、接続板を受けるポケットを設けるよう掘られるか、または、接続板用の腰板溝を設けるよう割かれる。
【0074】
ステップS5では、上述した方法に基づいて、鋼製補強部材(鋼鉄トラス)がコネクタプレートに接続される。本実施形態では、溶接で接続される。あるいは、鋼鉄トラスが個別に出荷され、コネクタプレートが鋼鉄トラスとは独立して木材パネルに接続される場合、このステップは、工程の後半、例えばステップS8で実行することが可能である。
【0075】
ステップS6では、横方向の補強材(横鉄筋)を設置する。なお、鋼製トラスが個別に出荷され、コネクタプレートが鋼製トラスとは独立して木材パネルに接続される場合、このステップはプロセスの後半、例えばステップS9で実行することができる。ステップS7.1、S7.2、S7.3では、選択された方法に基づいてコネクタプレートを木材パネルに取り付ける。ステップS7.1では、セルフタッピングラグねじを用いてコネクタプレートが取り付けられる。代替的または追加的に、ステップS7.2では、釘と最小限のセルフタッピングねじを使用してコネクタプレートを取り付ける。代替的または追加的に、ステップS7.3では、エポキシ樹脂を用いてコネクタプレートを木材パネルに取り付ける。理解できるように、通常、1種類の取り付け方法のみが使用されるが、条件および/または状況に応じて、2種類以上の取り付け方法が使用される場合がある。
【0076】
上述したように、鋼製トラスを個別に出荷/輸送する場合、ステップS8およびS9を実行することができる。ステップS8では、鋼製トラスは、コネクタプレートに溶接される。ステップS9では、横鉄筋が取り付けられる。
【0077】
図19Cは、本明細書に開示される原理と一致する単一のプレハブモジュール型木材床システムパネルの架設プロセスを概略的に示すフローチャートである。このフローチャートに示されるように、本開示は、広範囲の材料タイプを使用して構築される建物又は他の構造において実施され得る。ベースとなる建築材料の種類に応じて、パネルを一度に1つずつ、またはグループで設置できる構造的に安定したシステムを作成するために、様々な建設技術が実施され得る。端部接続の詳細によっては、パネルに仮接続を行う必要があるため、コンクリートを打設する前にシステムの安定性を確保することができる。
【0078】
以下は、本開示を使用して床スラブシステムを構築するために使用され得る、
図19Cに提供されるフローチャートと一致する例示的な構築プロセスの基本的な説明である。
【0079】
ステップ10において、採用する建築構造材の種類についての判断が行われる。本明細書では、鉄骨、コンクリート、および重量木材の3つのタイプが示されている。建築構造材の種類は、支持フレームを建てる方法と、複合作用パネルの支持の詳細に影響を与える。
【0080】
ステップS11.1では、鉄骨構造物のために、鉄骨フレームが建てられる。ステップS11.2では、柱、壁、ブレース、梁などのプレキャストエレメントが、プレキャストコンクリート建築物のために建てられる。または、ステップS11.3では、柱、壁、ブレースなどの構造要素のために、コンクリートを流し込むための型枠が建てられる。ステップS11.4では、構造材として木材を使用する木造建築の場合、木材フレーミングを建てる。
【0081】
建築構造材が非プレキャストコンクリート、すなわち現場打ちコンクリートの場合、ステップS11.3に続いて、ステップS12において、ステップS11.3で建てた型枠にコンクリートを流し込んで支持フレームを形成し、例えば垂直構造要素を作成する。支持フレームは、一般的に受け入れられている任意の建築材料および技術を用いて構築することができる。本明細書は、複合作用パネルが様々な支持タイプを使用して設置されることを可能にするフレキシブルな接続の詳細を開示している。ステップS13では、床梁のための一時的または永久的な型枠が設置される。
【0082】
ステップS14.1、S14.2、およびS15では、プレハブ複合作用パネルが所定の位置に吊り上げられる。S14.1では、複数のパネルがステージング位置に吊り上げられる。そして、ステップS14.2では、複合作用パネルが分配され、最終的な位置に配置される。または、ステップS15で、個々の複合作用パネルが所定の位置に吊り上げられる。複合作用パネルの正確な位置は、例えば所定のフロアにおける全パネルのモジュールレイアウトに依存し、また、支持体の種類および支持体の許容建設公差に依存する。
【0083】
ステップS16では、鉄筋ケージがCLTの端部を越えて延びるかどうかが判断される。答えが「いいえ」であれば、ステップS17.1において、複合作用パネルを固定し、複合作用パネルを固定するための要件は、端部接続タイプに基づくものである。答えが「はい」の場合、ステップS17.2で、複合作用パネルのスプライス補強および追加の端部補強を上記のように行う。隣接するパネル間のスプライスには典型的なマイルド鉄筋が使用されるが、プロジェクトの管轄当局が認める別のスプライスの詳細が採用されてもよい。
【0084】
ステップS18では、コンクリートを打設し、複合作用パネル鋼製補強部材をコンクリート内に埋め込む。コンクリートの打設に先立ち、複合作用パネル及び/又は支持梁に対して必要に応じて支保工を設けることができる。
【0085】
ステップS19では、仮設型枠や支保工があれば、これを撤去する。
【0086】
ステップS20では、木材パネル(すなわち、露出したままにされる木材パネルのその表面)から保護層が除去される。複合作用パネルが床材システムに使用される場合、木材は、下層階のための木材パネル天井を提供するために、露出したままであることができる。
【0087】
図20は、例示的な構造システム60の単一のベイを示す斜視図であり、典型的な構造システムで使用される主要な要素タイプを同定するものである。この
図20は、
図21A~21C及び先行する図面と組み合わせて、本明細書に開示されるモジュール型複合作用パネルが、構造システムの他の典型的な要素にも適用できることを説明するために使用され得る。このようにして、本開示で説明される実施形態が、建物の構造システム全体、または先の図面を通じて詳細に説明されたスラブ要素とは別の個々の要素を形成するために使用されることが可能である。
【0088】
この例示的な単一ベイシステムに示される典型的な要素は、1つ以上の複合作用パネルを組み込んだスラブ50A、梁要素61、柱要素62、ブレース要素63、および壁要素64である。スラブ要素50Aの性能特性の説明については、本明細書の発明の詳細な説明の最初の段落を参照されたい。梁要素61は、スラブ50Aを支持する水平要素であり、柱要素62、壁要素64または他の梁要素によって支持される。柱要素62及び壁要素64は、スラブ要素50A及び梁要素61を支持し、建物荷重を基礎システムに伝達する鉛直要素である。ブレース要素63は、斜めに配向しており、典型的には、隣接する垂直要素を接続するが、梁要素を垂直要素に接続することも可能である。
【0089】
図21Aは、プレハブモジュール型木材梁要素61の主構成要素を示す斜視図である。上記で詳細に説明され、先の図面に示された複合作用パネルと同様に、梁要素は、木材パネル10、コネクタ要素30、及び鋼製補強材61Aから構成される。複合作用パネルと同様に、木材10および鋼製補強材61Aは、現場外でプレハブ化されて接合され、その後、迅速かつ正確な設置を可能にするモジュールパッケージとして設置場所に輸送される。木材10と鋼製補強材61Aの2つの要素は、コネクタ要素30で結合することにより、複合的に作用することができる。スラブ要素50Aとは異なり、梁要素61は、木材の3つの外側側面を有することができ、現場でコンクリートを打設することができるトラフを形成することができる。仮設状態における梁要素61の垂直部分を安定させるために、必要に応じて追加のタイ要素61Bを設けることができる。
【0090】
図21Bは、プレハブモジュール型木材柱要素62の主構成要素を示す斜視図である。この構成は、プレハブモジュール型木材柱要素63にも適用可能である。上述した要素と同様に、柱62(及び
図20のブレース63)は、コネクタ要素30を用いて鋼製補強材62Aで接合されたプレハブ木材パネル10から構成されている。柱およびブレース要素は、中空管を形成する木材の4つの外側側面を有するという点で独特である。架設後、コンクリートが管内に配置され、本開示で提供される以前の説明と一致する潜在的な複合作用を有する構造要素が作成される。梁と同様に、標準的な建設方法に従って、湿ったコンクリートの静水圧下での安定性を確保するために、対向する木材の面を接続するタイが提供される。
【0091】
図21Cは、プレハブモジュール型木材壁要素64の主構成要素を示す斜視図である。壁要素64は、各複合作用パネルの内側面にコネクタ要素30を介して鋼製補強材64Aによりプレハブ化された木材パネル10で構成されている。2つの複合作用パネルは、安定化クロスタイ64Bで互いに対向して設置することができ、複合作用パネルの間には、現場で打設するコンクリートのための空間を残すことができる。各複合作用パネルは別々に設置することができ、又は一対の複合作用パネルを一緒にプレハブ化して両面壁型として設置することができる。その場合、壁体の外側の側面は木材で作られることになる。
【0092】
開示の実施態様の上述の説明は、例示及び説明の目的で与えられた。それは、網羅的ではなく、開示された正確な形態に本開示を限定するものではない。上記の教示に照らして、修正および変形が可能であり、または、本開示を実施することから取得され得る。したがって、本開示の様々な実施形態が説明されてきたが、本開示の範囲内でさらに多くの実施形態及び実装が可能であることは、当業者に明らかであろう。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲及びその均等物に照らし合わせる以外、制限されることはない。
【国際調査報告】