IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ リム ルーの特許一覧

特表2023-514073運動能力を向上させるための光生体調節システム
<>
  • 特表-運動能力を向上させるための光生体調節システム 図1
  • 特表-運動能力を向上させるための光生体調節システム 図2
  • 特表-運動能力を向上させるための光生体調節システム 図3
  • 特表-運動能力を向上させるための光生体調節システム 図4
  • 特表-運動能力を向上させるための光生体調節システム 図5
  • 特表-運動能力を向上させるための光生体調節システム 図6
  • 特表-運動能力を向上させるための光生体調節システム 図7
  • 特表-運動能力を向上させるための光生体調節システム 図8
  • 特表-運動能力を向上させるための光生体調節システム 図9
  • 特表-運動能力を向上させるための光生体調節システム 図10
  • 特表-運動能力を向上させるための光生体調節システム 図11
  • 特表-運動能力を向上させるための光生体調節システム 図12
  • 特表-運動能力を向上させるための光生体調節システム 図13
  • 特表-運動能力を向上させるための光生体調節システム 図14
  • 特表-運動能力を向上させるための光生体調節システム 図15
  • 特表-運動能力を向上させるための光生体調節システム 図16
  • 特表-運動能力を向上させるための光生体調節システム 図17
  • 特表-運動能力を向上させるための光生体調節システム 図18
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-05
(54)【発明の名称】運動能力を向上させるための光生体調節システム
(51)【国際特許分類】
   A61N 5/06 20060101AFI20230329BHJP
   A61N 5/067 20060101ALI20230329BHJP
【FI】
A61N5/06 Z
A61N5/067
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022544837
(86)(22)【出願日】2021-01-26
(85)【翻訳文提出日】2022-07-22
(86)【国際出願番号】 IB2021050569
(87)【国際公開番号】W WO2021156701
(87)【国際公開日】2021-08-12
(31)【優先権主張番号】62/969,779
(32)【優先日】2020-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517299973
【氏名又は名称】リム ルー
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】リム ルー
【テーマコード(参考)】
4C082
【Fターム(参考)】
4C082PA01
4C082PA02
4C082PC09
4C082PE09
4C082PG12
4C082PG15
4C082PG16
4C082PJ11
4C082RC06
4C082RE34
4C082RL15
(57)【要約】
被験者の運動能力を向上させる自己管理式システムであって、第1、第2、第3および第4の構成済み照射ユニットを含む構成済み照射ユニットを有し、(A)前記第1の構成済み照射ユニットは、一次視覚皮質のOZ位置を含む脳の第1の領域に光エネルギーを誘導するように配置され、(B)前記第2の構成済み照射ユニットは、一次感覚運動皮質のCZ位置を含む脳の第2の領域に光エネルギーを誘導するように配置され、(C)前記第3の構成済み照射ユニットは、一次感覚運動皮質のC3位置を含む脳の第3の領域に光エネルギーを誘導するように配置され、(D)前記第4の構成済み照射ユニットは、一次感覚運動皮質のC4位置を含む脳の第4の領域に光エネルギーを誘導するように配置される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の運動能力を向上させる自己管理式システムであって、前記システムは、
第1、第2、第3および第4の構成済み照射ユニットを含む構成済み照射ユニットであって、前記第1、第2、第3および第4の構成済み照射ユニットはそれぞれ、携帯型中空ケーシングを含み、前記携帯型中空ケーシングは、決まった寸法で、サイズ設定した内部空間容積、および頭蓋骨に装着するのに適した外部表面構成を有し、各構成済み照射ユニットの前記携帯型中空ケーシングは、
(i)各構成済み照射ユニットの前記中空ケーシングの構成済み外面の少なくとも一部を形成する光エネルギー透過材料と、
(ii)各構成済み照射ユニットの前記中空ケーシングの前記内部空間容積の中に収容されて入っている少なくとも1つの光発生ユニットであって、近赤外赤色光波長および可視赤色波長からなる群から選択される少なくとも1つの事前選択した波長の光エネルギーを、頭蓋骨を貫通して脳に入るのに十分な所定のエネルギー強度で、事前設定した継続時間にわたって、所定のパルス周波数で、まとめてオンデマンドで発生させることが可能である、光発生ユニットと
からなり、
前記第1、第2、第3および第4の構成済み照射ユニットは、頭蓋骨に装着した後に光エネルギーを放出でき、前記放出された光エネルギーを頭蓋骨を通して脳の少なくとも一部にin-vivoで通過させることができる、構成済み照射ユニットと、
フレームであって、前記第1,第2,第3および第4の構成済み照射ユニットを支持するように適応し、前記第1,第2,第3および第4の構成済み照射ユニットの前記光透過外面を頭蓋骨上の固定位置に所望の照射方向に自由に配置するように適応している、フレームと、
携帯型コントローラアセンブリであって、前記構成済み照射ユニットから脳の少なくとも一部にin-vivoで光エネルギーをオンデマンドで供給することを制御でき、前記コントローラアセンブリは、
(a)携帯型で補給可能なオンデマンド直流電流の電源、
(b)このような直流電流の流れを制御し、誘導するための中央処理装置、
(c)直流電流を前記中央処理装置へオンデマンドで送るための電源と電気通信状態にある少なくとも1つのコネクタ、
(d)直流電流を前記中央処理装置から前記光発生ユニットへオンデマンドで送るために構成済み照射ユニット電気通信状態にある少なくとも1つのコネクタ、
を有する、コントローラアセンブリと
を含むシステムにおいて、
(A)前記第1の構成済み照射ユニットは、一次視覚皮質のOZ位置を含む脳の第1の領域に光エネルギーを誘導するように配置され、
(B)前記第2の構成済み照射ユニットは、一次感覚運動皮質のCZ位置を含む脳の第2の領域に光エネルギーを誘導するように配置され、
(C)前記第3の構成済み照射ユニットは、一次感覚運動皮質のC3位置を含む脳の第3の領域に光エネルギーを誘導するように配置され、
(D)前記第4の構成済み照射ユニットは、一次感覚運動皮質のC4位置を含む脳の第4の領域に光エネルギーを誘導するように配置される
ことを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記システムは、
構成済み照射レンズであって、
携帯型中空ケーシングであって、固定の寸法で、決まったサイズの内部空間容積で、外面の構成が、被験者の呼吸能力を実質的に損なうことなく、生きた被験者の鼻組織に侵入することなく、鼻孔の鼻腔空間へのin-vivoでの挿入に適している、携帯型中空ケーシングを含み、前記構成済み照射レンズの前記携帯型ケーシングは、
(i)前記構成済み照射レンズの前記中空ケーシングの構成済み外面の少なくとも一部を形成する光エネルギー透過材料と、
(ii)前記構成済み照射レンズの前記中空ケーシングの前記内部空間容積の中に収容されて入っている少なくとも1つの光発生ユニットであって、近赤外赤色光波長および可視赤色波長からなる群から選択される少なくとも1つの事前選択した波長の光エネルギーを、鼻組織を貫通して脳に入るのに十分な所定のエネルギー強度で、事前設定した継続時間にわたって、オンデマンドで発生させることが可能である、光発生ユニットと
からなる、携帯型中空ケーシングを有し、
前記構成済み照射レンズは、in-vivoでの挿入後に光エネルギーを鼻腔内の所望の方向に放出でき、前記放出した光エネルギーを鼻腔から脳の少なくとも一部にin-vivoで通過させることができる、構成済み照射レンズと、
自己管理式塗布手段であって、前記構成済み照射レンズを支持するように適応し、前記構成済み照射レンズの前記光透過外面を被験者の鼻腔の内膜に隣接する鼻孔内の固定位置に所望の照射方向に自由に配置するように適応している、自己管理式塗布手段と
をさらに含む、システムにおいて、
前記携帯型コントローラアセンブリはさらに、前記構成済み照射レンズからの光エネルギーの供給をオンデマンドで制御できる
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記構成済み照射レンズは、嗅球、嗅内皮質および海馬からなる群から選択される脳の第5の領域に光エネルギーを誘導するように配置される
請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記構成済み照射レンズは、前記第1、第2、第3および第4の構成済み照射ユニットのうちの少なくとも1つと位相がずれた光エネルギーをパルス化する
請求項2または3に記載のシステム。
【請求項5】
前記光エネルギーの波長は、約810nmである
請求項1ないし4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記光エネルギーは、約30~50Hzの周波数でパルス化される
請求項1ないし5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記光エネルギーは、約70~90Hzの周波数でパルス化される
請求項1ないし5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記光エネルギーは、約12~15Hzの周波数でパルス化される
請求項1ないし5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
被験者の運動能力を向上させる自己管理式方法であって、前記方法は、
第1、第2、第3および第4の構成済み照射ユニットを含む構成済み照射ユニットであって、前記第1、第2、第3および第4の構成済み照射ユニットはそれぞれ、携帯型中空ケーシングを含み、前記携帯型中空ケーシングは、決まった寸法で、サイズ設定した内部空間容積、および頭蓋骨に装着するのに適した外部表面構成を有し、各構成済み照射ユニットの前記携帯型中空ケーシングは、
(i)各構成済み照射ユニットの前記中空ケーシングの構成済み外面の少なくとも一部を形成する光エネルギー透過材料と、
(ii)各構成済み照射ユニットの前記中空ケーシングの前記内部空間容積の中に収容されて入っている少なくとも1つの光発生ユニットであって、近赤外赤色光波長および可視赤色波長からなる群から選択される少なくとも1つの事前選択した波長の光エネルギーを、頭蓋骨を貫通して脳に入るのに十分な所定のエネルギー強度で、事前設定した継続時間にわたって、所定のパルス周波数で、まとめてオンデマンドで発生させることが可能である、光発生ユニットと
からなり、
前記第1、第2、第3および第4の構成済み照射ユニットは、頭蓋骨に装着した後に光エネルギーを放出でき、前記放出された光エネルギーを頭蓋骨を通して脳の少なくとも一部にin-vivoで通過させることができる、構成済み照射ユニットと、
フレームであって、前記第1および第2の構成済み照射ユニットを支持するように適応し、前記第1および第2の構成済み照射ユニットの前記光透過外面を頭蓋骨上の固定位置に所望の照射方向に自由に配置するように適応している、フレームと、
携帯型コントローラアセンブリであって、前記構成済み照射レンズから脳の少なくとも一部にin-vivoで光エネルギーをオンデマンドで供給することを制御でき、前記コントローラアセンブリは、
(a)携帯型で補給可能なオンデマンド直流電流の電源、
(b)このような直流電流の流れを制御し、誘導するための中央処理装置、
(c)直流電流を中央処理装置へオンデマンドで送るための電源と電気通信状態にある少なくとも1つのコネクタ、
(d)直流電流を前記中央処理装置から前記光発生ユニットへオンデマンドで送るために構成済み照射ユニット電気通信状態にある少なくとも1つのコネクタ、
を有する、コントローラアセンブリと
からなる光エネルギー放出装置を得る工程と、
前記第1、第2、第3および第4の構成済み照射ユニットによって放出された光エネルギーが被験者の頭蓋骨を貫通して脳の少なくとも一部にin-vivoで入るように、前記第1、第2、第3および第4の構成済み照射ユニットの透明な外面を被験者の頭蓋骨に隣接する所望の固定位置に配置する工程と、
前記配置された構成済み照射ユニットの前記光発生ユニットが、近赤外赤色光波長および可視赤色波長からなる群から選択される少なくとも1つの事前選択した波長の光エネルギーを、被験者の頭蓋骨を貫通して脳に入るのに十分な所定のエネルギー強度で、事前設定した継続時間にわたって、所定のパルス周波数で、まとめてオンデマンドで発生させるようにする工程と
を含む、方法において、
(A)前記第1の構成済み照射ユニットは、一次視覚皮質のOZ位置を含む脳の第1の領域に光エネルギーを誘導するように配置され、
(B)前記第2の構成済み照射ユニットは、一次感覚運動皮質のCZ位置を含む脳の第2の領域に光エネルギーを誘導するように配置され、
(C)前記第3の構成済み照射ユニットは、一次感覚運動皮質のC3位置を含む脳の第3の領域に光エネルギーを誘導するように配置され、
(D)前記第4の構成済み照射ユニットは、一次感覚運動皮質のC4位置を含む脳の第4の領域に光エネルギーを誘導するように配置される
ことを特徴とする方法。
【請求項10】
前記光エネルギー放出装置はさらに、
構成済み照射レンズであって、
携帯型中空ケーシングであって、固定の寸法で、決まったサイズの内部空間容積で、外面の構成が、被験者の呼吸能力を実質的に損なうことなく、生きている被験者の鼻組織に侵入することなく、鼻孔の鼻腔空間へのin-vivoでの挿入に適している、携帯型中空ケーシングを含み、前記構成済み照射レンズの前記携帯型ケーシングは、
(i)前記構成済み照射レンズの前記中空ケーシングの構成済み外面の少なくとも一部を形成する光エネルギー透過材料と、
(ii)前記構成済み照射レンズの前記中空ケーシングの前記内部空間容積の中に収容されて入っている少なくとも1つの光発生ユニットであって、近赤外赤色光波長および可視赤色波長からなる群から選択される少なくとも1つの事前選択した波長の光エネルギーを、鼻組織を貫通して脳に入るのに十分な所定のエネルギー強度で、事前設定した継続時間にわたって、オンデマンドで発生させることが可能である、光発生ユニットと
からなる、携帯型中空ケーシングを有し、
前記構成済み照射レンズは、in-vivoでの挿入後に光エネルギーを鼻腔内の所望の方向に放出でき、前記放出した光エネルギーを鼻腔から脳の少なくとも一部にin-vivoで通過させることができる、構成済み照射レンズと、
自己管理式塗布手段であって、前記構成済み照射レンズを支持するように適応し、前記構成済み照射レンズの前記光透過外面を被験者の鼻腔の内膜に隣接する鼻孔内の固定位置に所望の照射方向に自由に配置するように適応している、自己管理式塗布手段と
をさらに含み、
前記携帯型コントローラアセンブリはさらに、前記構成済み照射レンズからの光エネルギーの供給をオンデマンドで制御できる、方法であって、
前記方法はさらに、前記構成済み照射レンズによって放出された光エネルギーが被験者の鼻組織を貫通してin-vivoで脳の少なくとも一部に入るように、前記構成済み照射レンズの透明な外面を被験者の鼻腔の内膜に隣接する鼻孔内の所望の固定位置に配置することと、
前記配置された構成済み照射レンズの前記光発生ユニットが、近赤外赤色光波長および可視赤色波長からなる群から選択される少なくとも1つの事前選択した波長の光エネルギーを、被験者の鼻組織を貫通して脳に入るのに十分な所定のエネルギー強度で、事前設定した継続時間にわたって、オンデマンドで発生させるようにすることとを含む
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記構成済み照射レンズは、嗅球、嗅内皮質および海馬からなる群から選択される脳の第5の領域に光エネルギーを誘導するように配置される
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記構成済み照射レンズは、前記第1、第2、第3および第4の構成済み照射ユニットのうちの少なくとも1つと位相がずれた光エネルギーをパルス化する
請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
前記光エネルギーの波長は、約810nmである
請求項9ないし12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記光エネルギーは、約30~50Hzの周波数でパルス化される
請求項9ないし13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記光エネルギーは、約70~90Hzの周波数でパルス化される
請求項9ないし13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記光エネルギーは、約12~15Hzの周波数でパルス化される
請求項9ないし13のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光生体調節に関し、さらに詳細には、運動能力を向上させるための光生体調節システムおよびその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
空間知覚および位置感覚
空間知覚とは、周囲環境と自分自身との関係を認識するヒトの能力である。
【0003】
空間知覚と位置感覚は、スポーツおよび運動能力に強く関係している。例えば、プロのサッカー選手は一般に、身体の運動学に対して通常よりも高い知覚を持っており、この知覚は、複雑で動的な視覚シーンに応じて能力を発揮するのに役立っている。フィギュアスケートでは、この能力は最高レベルで訓練される。別の例として、フェンシング選手の達成レベルは、視覚による識別、視覚と空間の関係、視覚による一連の記憶、狭い所に注意を向ける集中、視覚による情報処理などの空間知覚関連の技能と密接に相関している。
【0004】
これは、eスポーツ、ビデオゲームを使用するスポーツ大会にも当てはまる。研究によれば、eスポーツのシューティングゲームを高レベルでプレイする個人は、周辺課題および同定課題でのパフォーマンスがより速く正確であるなど、空間知覚技能を良好に発達させていることがわかっている。
【0005】
視覚処理
視覚処理とは、自分の周りの世界からの視覚情報を利用し解釈する脳の能力を指す。
【0006】
視覚処理は空間知覚と結びついていることが多い。ある研究では、わずかな時間に提示された視覚ディスプレイから情報を取得するのが速かったクリケット選手は、実際の試合でかなり優れた打者であることがわかった。別の研究では、ホッケー選手の氷上での実際のパフォーマンスには視覚処理の技能が重要であることがわかっている。
【0007】
運動技能
運動技能とは、所定の動きを最大限確実に引き出すために身に付けた能力である。運動学習とは、練習または経験の結果として技能を発揮するために能力を比較的永続的に変化させることである。運動パフォーマンスとは、運動技能を実行する行為である。運動技能の目標は、エネルギー消費を削減しながら、技能を正常かつ正確に発揮する能力を最適化することである。これは、特定の運動技能を継続的に実践することで達成できる。
【0008】
スポーツで用いられる運動技能には、走る、ジャンプする、飛び跳ねる、速歩きする、転がる、跳躍する、かわす、滑る、投げる、捕まえる、蹴る、打つ、ドリブルする、バランスをとる、ねじる、回す、曲げるなど、様々な種類がある。良い例が、上記の運動技能の多くを高レベルで発揮しなければならない体操である。
【0009】
手と目の協調
手と目の協調とは、目の動きと手の動きを視覚入力の処理と協調させて制御し、手の固有受容感覚を使用して目を誘導しながら手を伸ばして握るように誘導することである。
【0010】
手と目の協調は、運動能力に関係していることがよく知られている。スポーツでは、目と手が同じ空間軌道をたどれば追跡能力が向上するが、目が手よりも約75~100ミリ秒先に行けばなお良い。これは、眼球制御系からの情報が手の運動制御系にすばやく送られて追跡と筋肉の動きを補佐し、空間知覚およびその他の機能によって支持されることを示唆している。
【0011】
反射の条件付け
反射とは、刺激に反応し、意図的に思考せずに行われる行動を指す。条件反射は、条件反応として知られ、後天的な反応であり、被験者は、以前は無関係だった中立刺激を特定の反応を誘発する別の刺激と関連付けることを学習する。
【0012】
刺激にすばやく反応し、思案によって減速することのないようにする必要がある多くのアスリートには、良好な条件反射が重要である。例えば、短距離走者は、開始ピストルの音(刺激)に200ミリ秒未満で反応して全力疾走を開始するように条件付ける必要がある。さもないとすぐに競争相手に不利になる。別の例として、テニス選手は、意図的に思考することなく向かってくるショットを返す。そして条件付けがうまく機能している選手は、ボールが飛ぶのを素早く判断し、正確なタイミングと強さでボールを返す。
【0013】
動きに関する可塑性
可塑性とは、環境の影響およびトレーニング/学習を変更して適応する脳の能力を指す。プロのアスリートや熟練者になりたい人は、脳の可塑性を高め、筋肉の記憶を強化するために、一貫して特異性をもってトレーニングする必要がある。
【0014】
光生体調節
光生体調節(PBM)とは、低レベル光線療法(LLLT)としても知られ、認知症およびアルツハイマー病をはじめとするいくつかの病状の治療に有望であることがわかっている生体刺激技術である。PBMを用いて脳を刺激し、望ましい結果を引き出すことができる。
【0015】
PBM相互作用の生化学機構は、直接的な効果と間接的な効果に分類できる。直接的な効果としては、Na+/K+ATPaseなどのイオンチャネルの活動が増加することが挙げられ、間接的な効果としては、カルシウム、環状アデノシン一リン酸(cAMP)および活性酸素種(ROS)などの重要な二次メッセンジャーの調節が挙げられ、これらはすべて、多様な生物学的カスケードをもたらす。これらの生物学的カスケードは、恒常性を維持し、保護遺伝子因子、抗酸化遺伝子因子、増殖性遺伝子因子を活性化するなどの効果につながるほか、神経認知障害で不足している脳血流などの体系的な反応につながる。
【0016】
最もよく調査されているPBMの作用機序は、ミトコンドリア機能に対する基本作用である。PBMは、複合体I、II、III、IVおよびコハク酸脱水素酵素を含むミトコンドリアの電子伝達系の複合体の活性を高めることが実証されている。複合体IVでは、酵素チトクロームcオキシダーゼ(CCO)が光受容体および変換器として機能する。CCOは、PBMで処理できる赤色(620~700nm)および近赤外線(780~1110nm)の波長の光を特に受け入れて変換する。このプロセスにより、生成されるATPの量、および環状アデノシン一リン酸(cAMP)および活性酸素種(ROS)が増加する。ATPが増加すると、cAMPおよびカルシウムを調節するイオンチャネルの活性が増す。その結果、多様な生物学的カスケードが刺激され、転写のために最大110の遺伝子が活性化し、それが治癒および回復の活動につながり、ミトコンドリアによるエネルギー産生の長期化につながる。PBMに対する最も顕著な反応の1つがナトリウムポンプおよびNa+/K+ATPaseの活性化であり、これにより、膜の安定性および脱分極に対する耐性が良好になる。
【0017】
ATPおよびcAMPのレベルが上がることに加えて、PBMによって一酸化窒素(NO)レベルが上がることが観察されている。光子がCCOに吸収されると、NOはCCOから解離する。CCOからNOが解離することで、ATP産生が増強され、血管拡張剤およびリンパ流の拡張剤として作用し、多くの有益な細胞経路を活性化する。
【0018】
PBMを使用して運動能力を向上させることが有利であり、これは、空間知覚、視覚処理、手と目の協調、反射の条件付け、運動技能、および動きに関わる可塑性の改善によって達成可能である。
【発明の概要】
【0019】
1つの態様では、本発明は、被験者の運動能力を向上させる自己管理式システムであって、前記システムは、
第1、第2、第3および第4の構成済み照射ユニットを含むかこれらからなる構成済み照射ユニットであって、前記第1、第2、第3および第4の構成済み照射ユニットはそれぞれ、携帯型中空ケーシングを含み、携帯型中空ケーシングは、決まった寸法で、サイズ設定した内部空間容積、および頭蓋骨に装着するのに適した外部表面構成を有し、各構成済み照射ユニットの前記携帯型中空ケーシングは、
(i)各構成済み照射ユニットの前記中空ケーシングの構成済み外面の少なくとも一部を形成する光エネルギー透過材料と、
(ii)各構成済み照射ユニットの前記中空ケーシングの前記内部空間容積の中に収容されて入っている少なくとも1つの光発生ユニットであって、近赤外赤色光波長および可視赤色波長からなる群から選択される少なくとも1つの事前選択した波長の光エネルギーを、頭蓋骨を貫通して脳に入るのに十分な所定のエネルギー強度で、事前設定した継続時間にわたって、所定のパルス周波数で、まとめてオンデマンドで発生させることが可能である、光発生ユニットと
からなり、
前記第1、第2、第3および第4の構成済み照射ユニットは、頭蓋骨に装着した後に光エネルギーを放出でき、前記放出された光エネルギーを頭蓋骨を通して脳の少なくとも一部にin-vivoで通過させることができる、
構成済み照射ユニットと、
フレームであって、前記第1,第2,第3および第4の構成済み照射ユニットを支持するように適応し、前記第1,第2,第3および第4の構成済み照射ユニットの前記光透過外面を頭蓋骨上の固定位置に所望の照射方向に自由に配置するように適応している、フレームと、
携帯型コントローラアセンブリであって、前記構成済み照射ユニットから脳の少なくとも一部にin-vivoで光エネルギーをオンデマンドで供給することを制御でき、前記コントローラアセンブリは、
(a)携帯型で補給可能なオンデマンド直流電流の電源、
(b)このような直流電流の流れを制御し、誘導するための中央処理装置、
(c)直流電流を中央処理装置へオンデマンドで送るための電源と電気通信状態にある少なくとも1つのコネクタ、および
(d)直流電流を前記中央処理装置から前記光発生ユニットへオンデマンドで送るために構成済み照射ユニット電気通信状態にある少なくとも1つのコネクタ、
を有する、コントローラアセンブリと
を含むシステムにおいて、
(A)前記第1の構成済み照射ユニットは、一次視覚皮質のOZ位置を含む脳の第1の領域に光エネルギーを誘導するように配置され、
(B)前記第2の構成済み照射ユニットは、一次感覚運動皮質のCZ位置を含む脳の第2の領域に光エネルギーを誘導するように配置され、
(C)前記第3の構成済み照射ユニットは、一次感覚運動皮質のC3位置を含む脳の第3の領域に光エネルギーを誘導するように配置され、
(D)前記第4の構成済み照射ユニットは、一次感覚運動皮質のC4位置を含む脳の第4の領域に光エネルギーを誘導するように配置される、
システムを提供する。
【0020】
別の態様では、本発明は、被験者の運動能力を向上させる自己管理式方法であって、前記方法は、
第1、第2、第3および第4の構成済み照射ユニットを含むかこれらからなる構成済み照射ユニットであって、前記第1、第2、第3および第4の構成済み照射ユニットはそれぞれ、携帯型中空ケーシングを含み、携帯型中空ケーシングは、決まった寸法で、サイズ設定した内部空間容積、および頭蓋骨に装着するのに適した外部表面構成を有し、各構成済み照射ユニットの前記携帯型中空ケーシングは、
(i)各構成済み照射ユニットの前記中空ケーシングの構成済み外面の少なくとも一部を形成する光エネルギー透過材料と、
(ii)各構成済み照射ユニットの前記中空ケーシングの前記内部空間容積の中に収容されて入っている少なくとも1つの光発生ユニットであって、近赤外赤色光波長および可視赤色波長からなる群から選択される少なくとも1つの事前選択した波長の光エネルギーを、頭蓋骨を貫通して脳に入るのに十分な所定のエネルギー強度で、事前設定した継続時間にわたって、所定のパルス周波数で、まとめてオンデマンドで発生させることが可能である、光発生ユニットと
からなり、
前記第1、第2、第3および第4の構成済み照射ユニットは、頭蓋骨に装着した後に光エネルギーを放出でき、前記放出された光エネルギーを頭蓋骨を通して脳の少なくとも一部にin-vivoで通過させることができる、
構成済み照射ユニットと、
フレームであって、前記第1および第2の構成済み照射ユニットを支持するように適応し、前記第1および第2の構成済み照射ユニットの前記光透過外面を頭蓋骨上の固定位置に所望の照射方向に自由に配置するように適応している、フレームと、
携帯型コントローラアセンブリであって、前記構成済み照射レンズから脳の少なくとも一部にin-vivoで光エネルギーをオンデマンドで供給することを制御でき、前記コントローラアセンブリは、
(a)携帯型で補給可能なオンデマンド直流電流の電源、
(b)このような直流電流の流れを制御し、誘導するための中央処理装置、
(c)直流電流を中央処理装置へオンデマンドで送るための電源と電気通信状態にある少なくとも1つのコネクタ、および
(d)直流電流を前記中央処理装置から前記光発生ユニットへオンデマンドで送るために構成済み照射ユニット電気通信状態にある少なくとも1つのコネクタ、
を有する、コントローラアセンブリと
からなる光エネルギー放出装置を得る工程と、
前記第1、第2、第3および第4の構成済み照射ユニットによって放出された光エネルギーが被験者の頭蓋骨を貫通して脳の少なくとも一部にin-vivoで入るように、前記第1、第2、第3および第4の構成済み照射ユニットの透明な外面を被験者の頭蓋骨に隣接する所望の固定位置に配置する工程と、
前記配置された構成済み照射ユニットの前記光発生ユニットが、近赤外赤色光波長および可視赤色波長からなる群から選択される少なくとも1つの事前選択した波長の光エネルギーを、被験者の頭蓋骨を貫通して脳に入るのに十分な所定のエネルギー強度で、事前設定した継続時間にわたって、所定のパルス周波数で、まとめてオンデマンドで発生させるようにする工程と
を含む、方法において、
(A)前記第1の構成済み照射ユニットは、一次視覚皮質のOZ位置を含む脳の第1の領域に光エネルギーを誘導するように配置され、
(B)前記第2の構成済み照射ユニットは、一次感覚運動皮質のCZ位置を含む脳の第2の領域に光エネルギーを誘導するように配置され、
(C)前記第3の構成済み照射ユニットは、一次運動皮質のC3位置を含む脳の第3の領域に光エネルギーを誘導するように配置され、
(D)前記第4の構成済み照射ユニットは、一次運動皮質のC4位置を含む脳の第4の領域に光エネルギーを誘導するように配置される、
方法を提供する。
【0021】
本発明は、添付の図面と併せて解釈すると、よりよく理解でき、より容易に理解できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明のシステムの好適な実施形態の斜視図である。
図2】本発明のシステムの好適な実施形態の別の斜視図である。
図3】本発明のシステムの好適な実施形態の正面図である。
図4】本発明のシステムの好適な実施形態の背面図である。
図5】本発明のシステムの好適な実施形態の側面図である。
図6】本発明のシステムの好適な実施形態の上面図である。
図7】本発明のシステムの好適な実施形態の底面図である。
図8】被験者に適用した本発明のシステムの好適な実施形態の斜視図である。
図9】被験者に適用した本発明のシステムの好適な実施形態の別の斜視図である。
図10】被験者に適用した本発明のシステムの好適な実施形態の別の斜視図である。
図11】被験者に適用した本発明のシステムの好適な実施形態の別の斜視図である。
図12】被験者に適用した鼻腔内ユニットを有する本発明のシステムの代替実施形態の斜視図である。
図13】被験者に適用した鼻腔内ユニットを有する本発明のシステムの代替実施形態の別の斜視図である。
図14】被験者に適用した鼻腔内ユニットを有する本発明のシステムの代替実施形態の別の斜視図である。
図15】被験者に適用した鼻腔内ユニットを有する本発明のシステムの代替実施形態の別の斜視図である。
図16】本発明のシステムの代替実施形態で使用した好適な鼻腔内ユニットの斜視図である。
図17】本発明のシステムの代替実施形態で使用した好適な鼻腔内ユニットの別の斜視図である。
図18】本発明のシステムの代替実施形態で使用した好適な鼻腔内ユニットの別の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、スポーツおよび陸上競技での反射に基づく能力を向上させるためのウェアラブルデバイスに関する。好ましくは、デバイスは、ヒトの空間知覚と視覚知覚、標的の識別、および手と目の協調のうちの1つ以上を改善し、より迅速かつ正確な運動反応をもたらすものである。デバイスは、光生体変調(PBM)を使用し、好ましくは近赤外光を約810nmで供給する。デバイスの他の調整可能なパラメータとして、好ましくは光発生ユニットの位置、パルス周波数、および位相同期を含んでいてよい。
【0024】
好適なシステム/装置の構成要素
本発明のシステムおよび装置は、好ましくは少なくとも以下の構成部品を含む。
(1)携帯型中空ケーシング、
(2)中空ケーシングの内部空間容積内に収容されて入っている1つ以上の光発生ユニット、
(3)電流源、
(4)プロセスコントローラアセンブリ、および
(5)任意選択で、スマートフォン、タブレットコンピュータまたはその他のコンピューティングデバイス。
【0025】
これらの構成要素は、好ましくは、電流源からコントローラアセンブリに直流電流を送るための少なくとも1つのコネクタと、コントローラアセンブリから光発生ユニットに直流電流を送るための少なくとも1つのコネクタとによって電気的に連結されてよい。
【0026】
1.携帯型中空ケーシング
本発明は、決まった寸法で、サイズ設定した内部空間容積、および被験者に装着するのに適した外部表面構成を有する、少なくとも1つの携帯型中空ケーシングを含む。携帯型ケーシングの意図した目的および目標には次の2点がある:(i)被験者に簡単に装着できるように構成された閉じ込めチャンバとしての役割を果たすこと、そして(ii)放射された光波を反射して被験者に向ける成形レンズとして作用すること。
【0027】
好ましくは、携帯型ケーシングは、外面の少なくとも一部を覆う光透過材料で作製され形成されてよく、少なくとも1つの光発生ユニットを収容し、閉じ込めることを目的としたその容積測定領域を包含する。定義上、そのような光透過材料は、透明、半透明、および不透明の物質を含み、包含する。ただし、ほとんどの場合、完全に透き通った透明な物質が好ましい。
【0028】
2.光発生ユニット
光発生ユニットは、以下を含む波長で治療用光を供給することが可能であるが、波長は必ずしもこれらに限定されない:(i)可視色スペクトル範囲では、可視赤色光の波長が約620~780nmの範囲、そして(ii)非可視スペクトル範囲では、近赤外光の波長が約780~1400nmの範囲。また、発生した光エネルギーの波および粒子は、代わりに、(i)(レーザのように)コヒーレントか(レーザではない発光ダイオード(LEDのように)コヒーレントでないかのいずれか、(ii)供給がパルス状態かパルス状態でない(連続波)かのいずれか、(iii)強度が一定か一定でないかのいずれか、(iv)位相が均一か不均一かのいずれか、(v)分極していて分極していない、かつ(vi)束が規則的または不規則であるとしてよい。
【0029】
電磁放射を発生させるための従来の既知の手段、または放射エネルギーを伝播するための物品は、本装置で使用するために許容されるものである。大部分の実施形態では、低レベルのレーザユニットまたはLEDのいずれかを照射を目的とする光発生ユニットとして使用することを意図し、想定している。
【0030】
3.電流源
本発明の装置およびシステムの構成要素として、携帯型で補給可能なオンデマンドの直流電流源が存在することが好ましい。本発明が提供する治療システムおよび方法は、特定のエネルギー容量(ジュールで測定)を供給することを目的とし、この容量は、電力(ワット数)と時間(秒)の関数であり、各治療に有効であると考えられている。
【0031】
電源は通常、直流電流の形でエネルギーを運ぶ。十分な量の電流を、例えば単一の電池源から、または直列か並列で一つに結合した複数の乾電池の組から繰り返し運ぶことができる。いくつかの他の望ましい実施形態では、電力源は、再充電可能なモバイルバッテリ、直流電池ユニット(一般家庭用交流コンセントから充電可能)、または電源アダプタを介した交流電流(AC)の形態である。これらの構成要素が異なる組み合わせになっているいくつかの代替の実施形態があることが想定され、意図され、その実施形態は、電力、エネルギー容量、および治療時間が異なっている構成に適している。
【0032】
位置に関して、いくつかの好適な実施形態では、電源は、完全にコントローラアセンブリの内部領域の中に保持され入っている別個の実体である。ただし、他の好適な実施形態では、電流源は、携帯型で充電式のモバイルバッテリなどの電気ケーブルおよびコネクタモジュールリンク機構を介してコントローラアセンブリと電気的に通信する、自己完結型の別個の独立したユニットであってよい。代替の実施形態では、電流源は、システムおよび装置を電源アダプタ経由でローカル電気網に接続することによって得られる。
【0033】
4.プロセスコントローラアセンブリ
プロセスコントローラアセンブリは、以下の少なくとも3つの構造上の特徴を有する携帯型ユニットの構成要素である。
(i)電流源からコントローラアセンブリに転送されるような電流を受け取るための受信回路、
(ii)ある時間にわたってコントローラアセンブリによって受け取られるような電流の流れを制御して方向付けるための中央処理装置(CPU)、および
(iii)コントローラアセンブリから光発生ユニットに直流電流を供給するための供給回路。
【0034】
プロセスコントローラアセンブリは、装置の他の重要な構成要素に電気的につながっているため、通常は以下のものも有することが意図され、想定されている。
(a)電流源からコントローラアセンブリへ直流電流を転送するための少なくとも1つのコネクタ、および
(b)コントローラアセンブリから光発生ユニットに直流電流を運ぶための少なくとも1つのコネクタ。
これらのコネクタは通常、絶縁銅線ケーブルとジャックモジュールとして形成され、それによって電流源と光生成ユニットの両方との迅速かつ簡単な連結と電気通信を可能にする。
【0035】
コントローラアセンブリを照射レンズに連結するために、従来から知られている交換可能な電気ケーブルおよびコネクタを使用することが意図され、想定されている。これはまた、ユーザに明確な利点と利益をもたらす。つまり、1つの構成済み照射レンズ(光を第1波長で透過できる)を別の照射レンズ(光を第2の異なる波長で透過できる)に交換するという選択肢であり、それによって、単一のコントローラアセンブリで、様々に異なるレーザと代替発光ダイオードの使用が可能になって様々に異なる波長の可視光エネルギーと不可視光エネルギーを供給できる。
【0036】
いくつかの好適な実施形態では、電流源は内部にあり、コントローラアセンブリの内部空間容積内に入っていて、電池(乾電池または充電式ユニット)として現れる。この場合、コントローラアセンブリは、絶縁銅線ケーブルとモジュラージャックコネクタの接続に適合したソケットも有し、そのもう一方の端部は、中空ケーシング内に配置された光発生ユニットに結合されている。
【0037】
コントローラアセンブリの中央処理装置(「CPU」)は、多くの異なるパラメータに関して光エネルギーを調節できることが好ましく、そのパラメータには、波長、コヒーレンシー/同期、エネルギー(ジュール(J))、電力(ワット(W)またはミリワット(mW))または放射度(W/cm2)、放射露光度(J/cm2)、露光時間(秒)、パルスモード(連続またはパルス)、周波数(ヘルツ(Hz))、デューティサイクル(パーセンテージ)、フラクションプロトコル(患者の治療セッションの数)、光ビームサイズ(到達ビームの面積)、および光ビーム透過(供給)距離があるが、これらに限定されない。
【0038】
プロセスコントローラアセンブリは、電流源がなければ動作しない。また、コントローラアセンブリは、好ましくは所定時間後にユニットのスイッチを切ること以外に、光発生ユニットを的確かつ効率的に駆動するための電力を供給する回路である。コントローラはまた、光発生ユニットに供給される電力が一定になるようにする。したがって、電源がモバイルバッテリまたはバッテリである場合にバッテリの強度を監視し、モバイルバッテリまたはバッテリが十分な電力を供給して回路を的確に駆動できなければユニットのスイッチを切ることが望ましい。
【0039】
好適な実施形態では、コントローラは、ヘッドセットアセンブリの一部である。あるいは、コントローラは、ヘッドセットから切り離されているが、通信ケーブルを介して接続されている。
【0040】
5.スマートフォン、タブレットコンピュータまたはその他のコンピューティングデバイス
1つの代替実施形態では、コントローラアセンブリの機能は、スマートフォン、スマートウォッチ、タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータまたは任意の適切なコンピューティングデバイスによって全体または一部が制御される。例えばスマートフォンは、より一般的なモバイルプラットフォームの1つで動作するとしてよい。光発生ユニットは、ケーブルを介するか無線でスマートフォンに接続可能である。スマートフォンには、コントローラアセンブリでソフトウェア機能を十分に再現するダウンロード可能なソフトウェアアプリケーションが搭載されている。コンピュータチップにインターフェース処理ソフトウェアを含んでいる変更したアタッチメントが、既存のコントローラと独自のスマートフォンプラットフォームとの間に物理的な接続を実現する。ソフトウェアアプリケーションは、さらに多くのソフトウェア制御およびグラフィックインターフェースも含む。スマートフォンの代替品として、スマートウォッチ、タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータまたはソフトウェアアプリケーションがダウンロードされている任意の適切なコンピューティングデバイスがある。
【0041】
さらに別の代替実施形態では、コントローラアセンブリは、スマートフォン、スマートウォッチ、タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータまたは任意の適切なコンピューティングデバイスと協働で動作する。特に、コンピューティングデバイスは、以下のことができるソフトウェアアプリケーションをダウンロードされている:(i)コントローラアセンブリをオンにしたりオフにしたりする、かつ/または(ii)コントローラアセンブリに命令を送信して個々の光発生ユニットの光エネルギーのパラメータを調整し、パラメータには、波長、コヒーレンシー/同期、エネルギー(ジュール(J))、電力(ワット(W)またはミリワット(mW))または放射度(W/cm2)、放射線の露光度または容量または周波数密度(J/cm2)、露光時間(秒)、パルスモード(連続またはパルス)、周波数(ヘルツ(Hz))、デューティサイクル(パーセンテージ)、フラクションプロトコル(患者の治療セッションの数)、光ビームサイズ(到達ビームの面積)、および光ビーム透過(供給)距離があるが、これらに限定されない。
【0042】
さらに、コンピューティングデバイスは、システムインターフェースとして機能でき、ユーザは、インターフェースを介して命令を入力してコントローラアセンブリをオンにしたりオフにしたりし、かつ/または個々の光発生ユニットの光エネルギーのパラメータを調整する。命令は、タッチ画面、マウス、キーパッド、キーボード、マイク、カメラまたはビデオカメラなどの任意の既知の入力要素によって入力されてよい。ユーザがシステムインターフェースに命令を入力すると、命令はコントローラアセンブリに送信され、コントローラアセンブリは、光発生ユニットによって供給される光エネルギーのパラメータを調整する。
【0043】
これらの実施形態では、任意の従来の既知の交換可能な電気ケーブルおよびコネクタを使用して、コンピューティングデバイスをコントローラアセンブリに接続できる。あるいは、コンピューティングデバイスは、無線手段によってコントローラアセンブリと通信するとしてよい。これらの構成要素間の接続は、BLUETOOTH(登録商標)、Wi-Fi、近距離無線通信(NFC)、無線周波数識別(RFID)、3G、長期的進化(LTE)、ユニバーサルシリアルバス(USB)などのプロトコル、ならびに当業者に既知の他のプロトコルおよび技術を介した適切な有線通信または無線通信を用いて実現される。
【0044】
本発明のシステムの好適な標的
本発明者の研究によれば、本発明のシステムの好適な標的には、一次視覚皮質、小脳、一次感覚運動皮質の特定の領域、海馬および嗅内皮質(EC)がある。
【0045】
海馬および嗅内皮質(EC)
本発明者は、海馬および嗅内皮質(EC)が本発明におけるPBMの好適な標的として挙げられると考えている。空間知覚および位置感覚は、少なくとも部分的に、海馬の場所細胞および脳の嗅内皮質のグリッド細胞によって決定されるとしてよい。海馬とECを組み合わせて、空間認知をコード化し、環境に関連する各瞬間の体の位置をマッピングしてよい。
【0046】
空間知覚を改善するには、脳が可塑性であることを認識する必要がある。脳の可塑性として、ニューロンの接続性が変化することが挙げられる。本発明者の研究では、パルスPBMが脳の接続性を変化させる可能性があることを示している。接続性へのこの影響により、本発明者は、嗅球(鼻腔のすぐ上にある)からECへの直接投影が鼻腔内PBMと海馬との好適な接続であると提示するに至った。
【0047】
さらに、「筋肉の記憶」に対する条件付けには、新しい運動の記憶を符号化するために海馬および脳の他の関連部分の活動を必要とする。脳が可塑性であることにより、脳はニューロンの接続を引き起こして統合し、これを可能にする。上記のように、本発明者の研究は、パルスPBMが脳の接続性を改善できることを示している。
【0048】
上記に基づいて、本発明者は、鼻腔内PBMを使用することがECおよび海馬に照射する好適な方法であると提案している。したがって、本発明のシステムは、好ましくは鼻腔内PBM塗布器を有するが、これは除去してよい選択肢とすることができる。
【0049】
一次視覚皮質および小脳
本発明者は、一次視覚皮質が少なくとも部分的に視覚処理を改善するための好適な標的であるとも考えている。一次視覚皮質は、V1と呼ばれることも多く、視覚刺激を意識的に処理する構造である。この領域は通常、V1とラベル付けされているか、10/20法ではOZと記述されている。
【0050】
さらに、本発明者は、小脳も好適な標的であると判断した。小脳は、手と目の協調の役割である動きの制御に使用される「フォワードモデル」をもたらす。この役割では、フォワードモデルは、各運動効果器の動きを予測する時間固有の信号を生成するが、これは例えば目および手の動きの予測制御に不可欠である。
【0051】
反射作用の質は、一次視覚皮質のすぐ下に隣接している小脳の健康にも影響されるようである。本態性振戦の制御されていない動きは、機能不全の小脳と関連している可能性がある。
【0052】
H反射は、脊髄伸張反射(SSR)の電気的アナログである。H反射の条件付けは、脳と脊髄の可塑性の階層に左右されると思われ、これには小脳が関与している可能性がある。本発明者は、小脳がすでに起こっている反射の条件付けを維持するのに重要であると確信している。
【0053】
小脳は、運動技能学習に応じて体積が増加することも報告されており、これは運動協調性の獲得に関連している可能性がある。
【0054】
本発明者の研究に基づいて、被験者の視覚処理、手と目の協調、反射の条件付け、および運動技能の学習とパフォーマンスを刺激するPBMデバイスは、OZ位置である一次視覚皮質を対象とすることが好ましいであろう。組織浸透時に光が散乱することにより、OZの光発生ユニットからの光は、一次視覚皮質と小脳の両方を覆う。
【0055】
一次感覚運動皮質
本発明者の研究では、一次感覚運動皮質(本明細書では「M1」と称する)が本発明のシステムの別の好適な標的であることもわかった。我々の身体の各部分は、M1の別個の領域で表される。新しい運動技能を学習することでM1の運動プログラムが発達し、このプログラムは、その運動技能を実行することを担当している脳の他の接続領域との相乗作用に支持される。運動プログラムおよび相乗作用は、学習および可塑性に応じて発達する。
【0056】
脳のM1領域からの動きは、神経インパルスを介して実行され、これが脊髄に伝わり、動きの実行を制御する。身体の特定の部分の動きにつながる感覚運動皮質の領域は、感覚運動皮質の様々な場所で表される。手の動きの場合、場所は概ね10/20法で特定されたC3(左)およびC4(右)の領域にある。
【0057】
スポーツでは、感覚運動皮質の機能が最適であることが極めて望ましい。それが、アスリートがいかにうまく標的を迅速かつ正確に攻撃できるかを決定する。感覚運動リズム(SMR)を12~15Hzの振動周波数でトレーニングすると、集中力と注意力が向上するだけでなく、感覚運動機能が強化される可能性がある。
【0058】
本発明者は、刺激された領域への血流を増加させ、成長因子の発現を増加させ、ミトコンドリア産生を上方制御することにより、PBMが可塑性のためにM1ニューロンを最適化できると確信している。全体として、これらの機構は新しいニューロンの接続を作り出す。本発明のシステムは、学習およびトレーニング向けにM1を下準備するためにトレーニングセッションの直前に使用することが好ましいことがある。本システムは、パフォーマンスを上げるために競技中に使用することも可能である。
【0059】
一次感覚運動皮質(M1)をカバーする本発明のシステムは、脳波記録(EEG)モンタージュの位置CZ、C3、およびC4に相当する場所でM1に沿って配置された3つの発光ダイオード(LED)を有することが好ましい。CZは頭頂部にあり、C3およびC4は、耳介前点とCZとの間の距離の約20%のところにある。
【0060】
好適な標的をPBMによって同時に活性化する
PBMを使用する本発明では、一次感覚運動皮質、一次視覚皮質および海馬の関連区画を同時に活性化することが有益であり、好ましい。反復トレーニングで統合された脳の適正な可塑性を取得すると、運動能力を向上させることができる。
【0061】
本発明者の研究によれば、トレーニング中に関連する波長の光子が感覚運動皮質、視覚皮質、小脳および海馬に同時に供給されると、スポーツパフォーマンスにおける反応時間および手と目の協調の改善を促すことが期待できると予想される。PBMでは、波長とは別に、エネルギー容量につながる電力および露光時間も結果を決定する上で重要である。
【0062】
PBMの好適な周波数
パルス速度は、様々な脳の状態と関係のある様々な脳波周波数に影響する。例えばガンマ脳波(30Hz以上)は、一過性の高次脳処理、記憶機能、さらにはアルツハイマー病マーカーの減少に関連している。低速の波(8Hzより遅い)は、周囲からの断絶および睡眠に関連している。急激な学習および可塑性は、高ガンマ周波数で活性化されることがあり、質の高いパフォーマンスは、低ガンマで表現されることがある。SMRリズムをトレーニングするために、12~15Hzの感覚運動皮質を目指すことができる。
【0063】
本発明者は、PBMを高速ガンマ(60~80Hz)で符号化するか記憶検索を低速ガンマ(40~50Hz)で符号化することによって記憶形成を改善するという選択肢を検討した。この両方が本発明の範囲内である。80Hzの脳の周波数は、40Hzの周波数と調和して結合できる。あるいは、スポーツパフォーマンスに不可欠な集中力および注意力を向上させるために、SMRトレーニング用にLEDを12~15Hzでパルス化できる。
【0064】
本発明のシステムの好適な実施形態
1つの好適な実施形態では、本発明のシステムは、以下の特徴を有する。
1.波長が810nmの3つのLEDダイオード(電力:100mW/cm2)が、パルス周波数が14Hzの対応するM1領域CZ、C3、およびC4に配置されている。この配置を維持するための任意選択として、一次運動野にあるダイオードは、取り付け可能なバンドの一部とすることができる、
2.1つのLEDダイオードが810nmで一次視覚皮質に配置され(小脳にも照射)(電力:30mW/cm2)、任意選択で14Hzのパルス周波数を選択する。
3.810nmの1つの取り外し可能な鼻腔内LED(電力:25mW/cm2)があり、任意選択で14Hzのパルス周波数を選択する。
4.電源はモバイルバッテリである。
5.鼻腔内ユニットは、他のモジュールと位相がずれている(非同期である)パルスを出すことがある。
【0065】
図1~11に示したように、本発明は、経頭蓋光線療法ヘッドセット102を有する装置100の好適な実施形態を提供する。任意選択で、図12図18に見えているように、鼻腔内ユニット200もある。
【0066】
コントローラアセンブリ150は、経頭蓋ヘッドセット102と鼻腔内ユニット200の両方に対する電源および中央処理装置として機能できる。図1~18に示した好適な実施形態では、コントローラアセンブリ150は、経頭蓋ヘッドセット102に位置している。代替実施形態では、コントローラアセンブリ150は、経頭蓋ヘッドセット102および鼻腔内ユニット200と通信できる別個のユニットである。
【0067】
図1図11を参照すると、ヘッドセット102は、1つ以上の構成済み照射ユニット108、110、112および114を含み、構成済み照射ユニット108、110、112および114の各々は、携帯型中空ケーシングを有し、ケーシングは、固定の寸法で、決まったサイズの内部空間容積で、外面の構成が被験者500の頭蓋骨502に装着するのに適している。
【0068】
携帯型ケーシングは、(i)前記中空ケーシング用に構成された外面の少なくとも一部を形成する光エネルギー透過材料と、(ii)前記中空ケーシングの前記内部空間容積の中に完全に収容されて入っている少なくとも1つの光発生ユニットであって、近赤外赤色光波長および可視赤色波長からなる群から選択される少なくとも1つの事前選択した波長の光エネルギーを、所定のエネルギー強度で、頭蓋骨502を貫通して脳に入るのに十分な所定の持続時間にわたってオンデマンドで発生させることが可能である、光発生ユニットとを含む。
【0069】
ヘッドセット102にはフレーム118が設けられ、構成済み照射ユニット108、110、112および114を支持し、構成済み照射ユニット108、110、112および114の光透過外面を頭蓋骨502上の固定位置に所望の照射方向に自由に配置するようにヘッドセット102を適合させる。ヘッドセット102を頭蓋骨502に固定しやすくするため、かつ被験者500がヘッドセット102を着用するのをより快適にするため、支持構造体128を設けることが好ましい。
【0070】
図1図7に示した好適な実施形態では、フレーム118は、4つの構成済み照射ユニット108、110、112および114を支持し、各々の構成済み照射ユニット108、110、112および114は、光発生ユニットを有する。
【0071】
4つの構成済み照射ユニット108、110、112および114は、特定の場所を標的とするようにヘッドセット102に配置される。図8図11に示した好適な実施形態では、4つの構成済み照射ユニット108、110、112および114は、被験者500の以下の部分を標的とするように配置される。
(A)一次視覚皮質のOZ位置を含む脳の第1の領域、
(B)一次感覚運動皮質のCZ位置を含む脳の第2の領域、
(C)一次感覚運動皮質のC3位置を含む脳の第3の領域、および
(D)一次感覚運動皮質のC4位置を含む脳の第4の領域。
【0072】
図12図18に見えているように、本発明の好適なシステムは、任意選択で、鼻クリップ202を有する鼻腔内光線療法ユニット200を含む。鼻クリップ202は、被験者の片方の鼻孔の中に構成済み照射レンズ204を保持する。構成済み照射レンズ204は、携帯型中空ケーシングを有し、ケーシングは、固定の寸法で、決まったサイズの内部空間容積で、外面の構成が鼻孔の内側に当てるのに適している。携帯型ケーシングは、(i)前記中空ケーシング用に構成された外面の少なくとも一部を形成する光エネルギー透過材料と、(ii)前記中空ケーシングの前記内部空間容積の中に完全に収容されて入っている少なくとも1つの光発生ユニットであって、近赤外赤色光波長および可視赤色波長からなる群から選択される少なくとも1つの事前選択した波長の光エネルギーを、所定のエネルギー強度で、鼻の組織を貫通して脳に入るのに十分な所定の持続時間にわたってオンデマンドで発生させることが可能である、光発生ユニットとを含む。
【0073】
第1のコネクタ300は、経頭蓋ヘッドセット102の構成済み照射ユニット108、110、112および114と電気通信状態にあってよい。第2のコネクタ400は、鼻腔内光療法ユニット200の構成済み照射レンズ204と電気通信状態であってよい。これにより、コントローラアセンブリ150などを介して電源から構成済み照射ユニット108、110、112、および114の光発生ユニット、ならびに鼻腔内光療法ユニット200の構成済み照射レンズ204の光発生ユニットへ、直流電流をオンデマンド搬送することが可能になる。
【0074】
実験の部
目的
この試験の目的は、活動、特にゴルフパッティングに対する好適な内訳(14HzでSMRリズムをトレーニング)で本発明のシステムの好適な実施形態の効果を観察することであった。
【0075】
被験者
年齢が46才、50才、55才および58才の健康な男性参加者4人がこの試験に自発的に参加した。全員が定期的なゴルフプレーヤーというわけではなかった。
【0076】
手順
試験に選ばれたゴルフパッティング施設は、外部の環境騒音から隔離された大型の屋内ゴルフ練習施設の屋内グリーンであった。参加者は、直径10.8cmの穴の端から2.5メートルのところに立つ必要があった。
【0077】
この手順を以下の段階で実施した。
1.オリエンテーション(分析に使用されないデータ)で参加者は、累積平均30%の成功パットを達成するまで一人連続10回パットした。
2.SMRトレーニング中、50才と58才の参加者2人は、1日置きに本発明のシステムを装着して一連の40パットを実施した。46才と55才の参加者2人は、同じ活動を実施したが本発明を使用しなかった対照群であった。これを2週間にわたって実施した。パット後の穴の端とボールの端と間の距離を毎回測定した。1日の終わりに、各参加者の平均距離を測定した。
3.2週目の終わりに結果を収集して分析した。
【0078】
結果
本発明のシステムを使用した事前試験および事後試験での有効SMR群の平均距離は、それぞれ、32.15cmおよび20.62cmであった。平均距離の改善は11.53cmまたは35.86%であった。対照群の距離は、それぞれ26.67cmおよび24.28cmであった。対照群の平均距離の改善は、2.39cmまたは8.96%であった。
【0079】
本発明のシステムを使用している有効SMR群は、ゴルフパットで対照群よりも有意に優れた改善を示した。このデータは、標的ベースのスポーツで手と目の協調を改善するために本発明を使用することに潜在性があることを示唆している。
【0080】
特許請求の範囲は、実施例に記載した好適な実施形態に限定するものではなく、全体の説明と一般した広義の解釈に及ぶものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
【国際調査報告】