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特表2023-514194外科的アンカリング素子および展開装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-05
(54)【発明の名称】外科的アンカリング素子および展開装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/064 20060101AFI20230329BHJP
   A61B 17/56 20060101ALI20230329BHJP
   A61B 17/08 20060101ALI20230329BHJP
   A61F 2/08 20060101ALI20230329BHJP
【FI】
A61B17/064
A61B17/56
A61B17/08
A61F2/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022548555
(86)(22)【出願日】2021-02-11
(85)【翻訳文提出日】2022-10-05
(86)【国際出願番号】 US2021017680
(87)【国際公開番号】W WO2021163342
(87)【国際公開日】2021-08-19
(31)【優先権主張番号】62/972,718
(32)【優先日】2020-02-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/972,722
(32)【優先日】2020-02-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521338503
【氏名又は名称】エンボディ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラニング,イサック
(72)【発明者】
【氏名】ボール,ロバート,ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】スネル,ダグラス
(72)【発明者】
【氏名】チャーチル,アール.,ショーン
(72)【発明者】
【氏名】マッキンタイアー,ルイス
(72)【発明者】
【氏名】ケンパー,ネイサン
【テーマコード(参考)】
4C097
4C160
【Fターム(参考)】
4C097AA21
4C097BB01
4C097BB04
4C097CC05
4C097MM09
4C160CC06
4C160CC12
4C160LL21
(57)【要約】
【課題】身体内の下にある組織(腱および/または骨など)の上で移植片を適所に固定するために使用できるアンカリングシステムを提供する。
【解決手段】アンカリングシステムは、アンカリング素子300と、移植片および下にある組織を通してアンカリング素子300の一部を挿入するために使用される展開装置(または器具)とを含む。アンカリング素子300は、それぞれ長手方向に沿って延びる第1のビーム310および第2のビーム320と、第1のビームが第2のビームと実質的に整列するように第1のビームの第1の近位部分を第2のビームの第2の近位部分に橋渡しする接続部材330とを含む。さらに、アンカリング素子300は、第1のビームの内側から突出して大略的に近位方向に斜めに延びる第1のバーブ362と、第2のビームの内側から突出して大略的に近位方向に斜めに延びる第2のバーブ364とを含み、各バーブは、凹部750によってビームから分離された近位対向面を含む。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ長手方向に沿って延びる第1のビームおよび第2のビームと、
前記第1のビームが前記第2のビームと実質的に整列するように、前記第1のビームの第1の近位部分を前記第2のビームの第2の近位部分に橋渡しする接続部材と、
前記第1のビームの内側から突出する第1のバーブであって、前記第1のバーブは大略的に近位方向に斜めに延びる、第1のバーブと、
前記第2のビームの内側から突出する第2のバーブであって、前記第2のバーブは大略的に近位方向に斜めに延びる、第2のバーブと、を備え、
前記第1のバーブは、凹部によって前記第1のビームから分離された近位対向面を含む、
外科用アンカリング素子。
【請求項2】
前記第1の凹部内に配置された補強リッジをさらに含む、請求項1に記載のアンカリング素子。
【請求項3】
前記接続部材が、前記ビームの前記近位端よりもさらに近位に延びている、請求項1に記載のアンカリング素子。
【請求項4】
前記第1のビーム、前記第2のビーム、前記接続部材、前記第1のバーブ、および前記第2のバーブが、単一の一体的材料片から形成されたモノリシック構造を備える、請求項1に記載のアンカリング素子。
【請求項5】
前記第1のビームが近位端と遠位端との間に延び、前記近位端が第1の形状を有する第1の表面で終端し、前記遠位端が実質的に異なる形状を有する表面で終端する、請求項1に記載のアンカリング素子。
【請求項6】
前記近位端が実質的に円形の表面で終端し、前記遠位端が実質的に涙滴形状の表面で終端する、請求項5に記載のアンカリング素子。
【請求項7】
前記近位端は、横軸と整列した表面で終端し、前記遠位端は、前記横軸に対して斜めの角度を向くようにされた表面で終端する、請求項6に記載のアンカリング素子。
【請求項8】
前記第3のバーブは、前記第1のビームの前記遠位端と連続している、請求項7に記載のアンカリング素子。
【請求項9】
外科用アンカリング素子を展開するための展開装置であって、
前記展開装置の遠位端から延びるように構成され、外科用アンカリング素子のビームを受容するように構成された少なくとも一対の針部材と、
前記針部材内に配置されたときにアンカリング素子と係合するように構成された少なくとも1つのアンカー係合ロッドと、
前記一対の針および前記アンカリング素子を、前記展開装置内の第1の近位位置から前記展開装置の前記遠位端から延びる第2の遠位位置まで並進させるように構成された少なくとも1つの押し込み部材と、を備え、
前記針部材を後退させると、前記アンカー係合ロッドは、前記アンカリング素子が前記針部材から解放されるように、前記アンカリング素子を前記第2の遠位位置に維持する、
展開装置。
【請求項10】
前記アンカー係合ロッドは、実質的にU字形であり、前記針部材内の前記アンカリング素子と係合する2つの遠位端を有する、請求項9に記載の展開装置。
【請求項11】
アンカー係合ロッドが、前記押し込み部材の両側に沿って形成された一対のチャネル内に移動可能に保持される、請求項10に記載の展開装置。
【請求項12】
前記展開装置が2つ以上のアンカリング素子を装填されてそれを展開するよう構成されるように、第2の押し込み部材、第2の対の針部材、および第2のアンカー係合ロッドをさらに含む、請求項9に記載の展開装置。
【請求項13】
作動アセンブリを収容する本体をさらに備え、前記作動アセンブリは、
第1のボタンが前記本体上で押されて前記展開装置が作動されると、前記第1のアンカー係合ロッドを第1の位置から第2の位置まで押し、
第2のボタンが前記本体上で押されて前記展開装置が作動されると、前記第2のアンカー係合ロッドを第3の位置から第4の位置まで押すように構成されている、請求項9に記載の展開装置。
【請求項14】
外科用アンカリング素子を移植する方法であって、
接続部材によって一緒に橋渡しされた第1のビームおよび第2のビームを含むフレーム構造を備えて組織からの前記アンカリング素子の引き出しに抵抗するように構成された第1のアンカリング素子の遠位端に近接する保持部分を有する、前記第1のアンカリング素子が装填された展開装置を提供すること、を含み、
前記展開装置は、
前記第1のアンカリング素子の前記第1のビームおよび前記第2のビームを受容するように構成された第1の針部材および第2の針部材を含む、少なくとも一対の針部材と、
前記針部材内に配置されたときに前記第1のアンカリング素子と係合するように構成された少なくとも1つのアンカー係合ロッドと、
前記一対の針および前記アンカー係合ロッドと係合するように構成された少なくとも1つの押し込み部材と、を備え、
前記方法はさらに、
前記少なくとも1つの押し込み部材を作動させて、それにより、前記一対の針および前記第1のアンカリング素子を、前記展開装置内の第1の位置から前記展開装置の前記遠位端から延びる第2の位置まで並進させることと、
前記アンカー係合ロッドが前記アンカリング素子を前記第2の位置に維持することによって前記アンカリング素子を前記針部材から解放するように、前記アンカー係合ロッドとは独立して前記針部材を後退させることと、を含む、方法。
【請求項15】
前記第1のアンカリング素子の前記第1のビームおよび前記第2のビームはそれぞれ、前記第1のビームおよび前記第2のビームから内側に延びる複数のバーブを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記押し込み部材を作動させることは、ハンドグリップトリガを使用して実行される、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記ハンドグリップトリガがロッカー機構を含み、前記ハンドグリップトリガを第1の方向に揺動させると、前記針部材および前記アンカー係合ロッドが延びる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ハンドグリップトリガを第2の方向に揺動させると、前記アンカー係合ロッドとは無関係に前記針部材が引き抜かれる、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
実質的に複製された展開アセンブリを使用して、前記展開装置を使用して第2のアンカリング素子を移植することをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記展開装置がセレクタ機構を含み、前記方法が、前記セレクタ機構を使用して、前記展開装置内に装填された複数のアンカリング素子のうちのどれを展開するかを選択することをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に医療装置に関し、特に、組織を修復するために使用される外科的アンカリング素子(surgical anchoring device)および展開装置(deployment device)に関する。
【背景技術】
【0002】
回旋筋腱板の修復は、肩の断裂した(または部分的に断裂した)腱を修復するために行われる外科的処置である。この処置は、大きな切開または関節鏡技術を使用して行うことができる。断裂した腱(棘上筋腱など)を修復するために、外科医はアンカーおよび縫合糸を使用して腱を上腕骨に再付着させる。修復領域は、治癒を促進するために移植片で覆われる。
【0003】
現在、アンカーを使用することにより移植片を適用して、下にある腱および/または骨にその移植片を固定することが行われる。
【0004】
アンカーは炎症を引き起こすことがある。さらに、アンカーは、肩の上部で1つ以上の開口部を通して装置を挿入することによって移植されるが、このことが、所望の関節腔のすべてにアクセスすることを困難にしている可能性がある。
【0005】
上述の欠点に対処するシステムおよび方法が当技術分野で必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
一つの態様では、本開示(以下、発明のことを「開示」ということがある)は、外科用アンカリング素子を対象とする。アンカリング素子は、それぞれ長手方向に沿って延びる第1のビームおよび第2のビームと、第1のビームが第2のビームと実質的に整列するように第1のビームの第1の近位部分を第2のビームの第2の近位部分に橋渡しする接続部材とを含む。さらに、アンカリング素子は、第1のビームの内側から突出する第1のバーブ(barb)を含んでもよく、第1のバーブは、大略的に近位方向に斜めに延びる。第1のバーブは、凹部によって第1のビームから分離された近位対向面を含んでいてもよい。
【0007】
別の態様では、本開示は、外科用アンカリング素子を対象とする。アンカリング素子は、接続部材によって橋渡しされた第1のビームおよび第2のビームを含む。アンカリング素子は、第1のビームから突出し、第1のバーブと第2のバーブとを含む第1の組のバーブ、および、第2のビームから突出し、第3のバーブと第4のバーブとを含む第2の組のバーブをさらに備えていてもよい。バーブのうちの少なくとも1つは、近位表面、第1の側面、第2の側面、および遠位リッジ表面の交点に対応する先端部分を含んでいてもよい。
【0008】
別の態様では、本開示は、外科用アンカリング素子を移植する方法を対象とする。該方法は、第1のアンカリング素子が装填された展開装置を提供することを含む。第1のアンカリング素子は、接続部材によって互いに橋渡しされた第1のビームおよび第2のビームを含むフレーム構造を有し、組織からのアンカリング素子の引き出しに抵抗するように構成された、第1のアンカリング素子の遠位端に近接する保持部分を有する。
【0009】
展開装置は、第1のアンカリング素子の第1のビームおよび第2のビームを受容するように構成された第1の針部材および第2の針部材を含む少なくとも一対の針部材と、針部材内に配置されたときに第1のアンカリング素子と係合するように構成された少なくとも1つのアンカー係合ロッドと、針部材の対およびアンカー係合ロッドと係合するように構成された少なくとも1つの押し込み部材と、をさらに含んでいてもよい。
【0010】
該方法は、少なくとも1つの押し込み部材を作動させて、それにより、一対の針および第1のアンカリング素子を、展開装置内の第1の位置から展開装置の遠位端から延びる第2の位置まで並進させることを含んでいてもよい。
【0011】
また、該方法は、アンカー係合ロッドがアンカリング素子を第2の位置に維持することによってアンカリング素子を針部材から解放するように、アンカー係合ロッドとは独立して針部材を後退させることを含んでいてもよい。
【0012】
本実施の形態の他のシステム、方法、特徴、および利点は、以下の図面および詳細な説明を検討すれば、当業者には明らかであるか、または明らかになるであろう。そのような追加のシステム、方法、特徴、および利点はすべて、この説明およびこの概要に含まれ、実施の形態の範囲内にあり、以下の特許請求の範囲によって保護されることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本発明の実施の形態は、以下の図面および説明を参照することにより、よりよく理解することができる。図中の構成要素は、必ずしも縮尺どおりではなく、代わりに実施の形態の原理を示すために強調がなされている。さらに、図において同様の参照番号は、異なる図面全体にわたって対応する部分を示す。
図1】回旋筋腱板の腱を修復するための処置を示す概略図である。
図2】治癒を促進するために回旋筋腱板の腱の一部に移植片を適用する処置を示す概略図である。
図3】アンカリング素子の一実施の形態を示す概略図である。
図4A】アンカリング素子の一実施の形態を示す概略上面図である。
図4B】アンカリング素子の一実施の形態を示す概略底面図である。
図4C】アンカリング素子の一実施の形態を示す概略側面図である。
図5】アンカリング素子の概略斜視側面図である。
図6】アンカリング素子の概略斜視上面図である。
図7】別の実施の形態によるアンカリング素子の一部を示す概略図である。
図8】アンカリング素子を示す概略斜視側面図である。
図9】展開装置を示す概略側面図である。
図10】展開装置を示す概略斜視背面図である。
図11】展開装置を示す概略底面図である。
図12】遠位端から見た展開装置の概略図である。
図13A】展開装置の一部を示す概略破断斜視図である。
図13B図13Aの展開装置の本体部分を示す概略分解図である。
図14A】展開チューブアセンブリの概略斜視図である。
図14B】展開装置の一部を示す概略破断斜視図である。
図15図14Aおよび図14Bの展開装置のチューブアセンブリを示す概略分解図である。
図16図14Aおよび図14Bの展開装置のチューブアセンブリを示す遠位部分の概略分解図である。
図17A】一対のアンカリング素子が展開装置に装填された、ロック状態にある展開装置の概略図を示す。
図17B】一対のアンカリング素子が展開装置に装填された、ロック状態にある展開装置の概略図を示す。
図17C】一対のアンカリング素子が展開装置に装填された、ロック状態にある展開装置の概略図を示す。
図18】一対のアンカリング素子が展開装置に装填された、ロック状態にある展開装置の概略図を示す。
図19】一対のアンカリング素子が展開装置に装填された、ロック状態にある展開装置の概略図を示す。
図20】作動状態にある展開装置の概略図を示す。
図21】作動状態にある展開装置の概略図を示す。
図22】作動状態にある展開装置の概略図を示す。
図23】作動状態にある展開装置の概略図を示す。
図24】第1のアンカリング素子が展開された展開状態にある展開装置の概略図を示す。
図25】第1のアンカリング素子が展開された展開状態にある展開装置の概略図を示す。
図26】第1のアンカリング素子が展開された展開状態にある展開装置の概略図を示す。
図27】単一のアンカリング素子が展開装置に装填された、ロック状態にある展開装置の概略図を示す。
図28】単一のアンカリング素子が展開装置に装填された、ロック状態にある展開装置の概略図を示す。
図29】単一のアンカリング素子が展開装置に装填された、ロック状態にある展開装置の概略図を示す。
図30】作動状態にある展開装置の概略図を示す。
図31】作動状態にある展開装置の概略図を示す。
図32】第2のアンカリング素子が展開された展開状態にある展開装置の概略図を示す。
図33】第2のアンカリング素子が展開された展開状態にある展開装置の概略図を示す。
図34】2つの要素が組織/移植片材料内にドライブされた状態で、アンカリング素子がその内部に配置された針部材を示す概略斜視図である。
図35】2つの要素が組織/移植片材料内にドライブされた状態で、アンカリング素子がその内部に配置された針部材の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施の形態は、身体内の下にある組織(腱および/または骨など)の上で移植片を適所に固定するために使用できるアンカリングシステムを提供する。アンカリングシステムを使用して、たとえば、回旋筋腱板の腱および/または上腕骨の一部の上に移植片を固定することができる。アンカリングシステムは、アンカリング素子と、移植片および下にある組織を通してアンカリング素子の一部を挿入するために使用される展開装置(または器具)とを含む。
【0015】
実施の形態に係るアンカリング素子は、複数のバーブ(barb)を含むアーチ形の本体またはフレーム構造を備える。フレーム構造は、第1のビームおよび第2のビームを含む。2つのビームの近位端部分は、接続部材によって橋渡しされる。バーブは、各ビームの内面対向側すなわち内側から突出している。各バーブは、中心長手軸に向かう方向で斜め内向き、かつ近位上向きに向けられている。アンカリング素子が組織に挿入されると、バーブの向きにより、組織からアンカリング素子を引き抜くように作用するであろう任意の力にアンカリング素子が抵抗することが保証される。
【0016】
実施の形態に係る展開装置は、ユーザが片手で把持することができる本体と、本体から先端まで延びる細長い展開チューブアセンブリとを備える。展開チューブアセンブリは、アンカリング素子を移動可能に固定または保持する一対のチューブを含む。内部の押し込み部材は本体のトリガを使用して展開可能である。アンカリング素子が展開装置に装填されて展開装置がトリガされると、押し込み部材は、アンカー係合ロッドおよび針部材を移動させて展開装置の遠位先端から両方を延ばすことができ、したがって、針部材内に配置されたアンカリング素子を用いて、移植片および下にある組織を通して針部材をドライブする。そして、針部材が後退させられ、アンカリング素子が移植片/組織内に残される。
【0017】
アンカリング素子は展開装置の外部に沿って装填されるので、展開チューブアセンブリの直径は十分に小さく保たれることができ、非常に小さな関節鏡切開を通して挿入されてもよいし、または、かかる関節鏡切開に向けられてもよい。展開装置の設計により、肩への外側アプローチが容易になる。これによって肩峰下の関節腔へのアクセスが可能になるが、肩の上面から真向かいにアプローチするとアクセスがより困難になる可能性がある。
【0018】
図1は、患者の肩の腱を修復するための外科的処置を示す概略図である。患者100は、具体的には、外科医102によって行われる関節鏡手術を受けている。図1には、上腕骨110および回旋筋腱板の腱112の一部が拡大図で示されている。本実施例では、外科医102は、棘上筋腱114を上腕骨110に固定するためにアンカーおよび縫合糸を先頃、適用したばかりである。
【0019】
腱が十分に修復されると、外科医102は、切開を通して移植片などのインプラントを挿入してもよい(おそらくは挿入を容易にするために別の装置を使用して)。そして移植片を、治癒を促進するために、修復された腱および/または下にある骨の一部の上に配置することができる。
【0020】
図2は、一実施例として、修復されたばかりの腱114上および上腕骨110の一部上に適用された移植片202の概略を示す。
【0021】
例示的な実施の形態では、縫合糸およびアンカーを使用して腱が最初に骨に固定される処置を示しているが、他の実施の形態では、最初に腱を再付着させることなく、移植片を1つ以上の腱に適用することができる。たとえば、部分的な断裂のみを有する腱に移植片を適用することができる。
【0022】
さらに、開示されたアンカリング素子は、移植片以外の材料を固定するために利用されてもよいことが理解されるであろう。たとえば、アンカリング素子は、軟組織を他の軟組織に固定するために、または軟組織を骨に固定するために使用されてもよい。また、いくつかの実施の形態では、アンカーを使用して、シート状インプラント(移植片以外の)を固定し、かつ、縫合糸のアンカーポイントを提供してもよい。
【0023】
修復された腱上に移植片202が配置されると、移植片202を適所に保持するために1つ以上の縫合糸またはアンカーが必要となる。本実施の形態は、移植片を適所に保持するために使用できるアンカリング要素を有するフィラメントと、アンカリング要素を有するフィラメントを展開するための器具との両方を開示する。
【0024】
図3は、腱、骨に沿って、および/または腱と骨との接合部において移植片を適所に固定するために使用されるアンカリング素子300の概略図である。アンカリング素子300は、接続部材330によって橋渡しされた第1のビーム310および第2のビーム320を含むフレーム構造350を備えている。さらに、アンカリング素子300は、第1のビーム310および第2のビーム320から外に向かって延びるかまたは突出する複数のバーブ(「逆刺」)360を含む。具体的には、第1のビーム310は、第1のバーブ362および第2のバーブ366を含み、第2のビーム320は、第3のバーブ364および第4のバーブ368を含む。バーブを含む第1のビーム310および/または第2のビーム320の部分または領域は、バーブつき領域と呼ばれ、バーブを含まない第1のビーム310および/または第2のビーム320の部分または領域は、バーブなし領域と呼ばれる。
【0025】
いくつかの実施の形態では、バーブなし領域の外面は大略的に滑らかである。さらに、各バーブのテーパつき形状に起因してそれらの長さに沿って断面サイズが変化するバーブとは異なり、バーブなしビーム部分は、ビームおよび/または接続部材の直径に対応するほぼ一定の断面サイズを有してもよい。
【0026】
図3では、第1のビーム310および第2のビーム320は、各ビームの本体が円形断面を有するように、形状が実質的に円筒形である。しかし、他の実施の形態では、ビーム構造は、異なる曲率および形状のロッドおよびバーを含む、任意の細長いジオメトリを包含してもよい。同様に、接続部材330も実質的に円形の断面形状を有してもよいが、他の実施の形態では別の形状を有してもよい。異なる実施の形態では、構成要素/要素は、任意の三次元形状を含んでいてもよい。
【0027】
たとえば、図3において、ビームは実質的に線形または直線である一方、接続部材330は弧状に湾曲している。さらに、異なる実施の形態では、バーブは任意の適切なジオメトリを有することができることを理解されたい。例示的ジオメトリには、T字バージオメトリ、矢尻ジオメトリ、くさびジオメトリ、角錐ジオメトリなどが含まれるが、これらに限定されない。実施の形態は、任意の適切なバーブ状要素または特定の方向に沿った材料からの引き出しに抵抗する要素を採用できることを理解されたい。
【0028】
場合によっては、アンカリング素子300は、フレーム構造とバーブとの両方が単一の一体的材料片で構成されたモノリシック構造を備えることができる。たとえば、アンカリング素子300は、単一の生体適合性材料から形成された3Dプリント構造とすることができる。他の場合では、フレーム構造およびバーブは、機械的に接合された別個の構造を備えることができる。
【0029】
一実施例では、アンカリング素子を、第1の生体適合性材料からなるビームを第2の生体適合性材料でコーティングすることによって作製することができる。ビームに沿ったいくつかの位置で、第2の生体適合性材料コーティングをバーブに成形することができる。別の実施例では、各組のバーブを、ビーム上に配置されてたとえば接着剤を使用して適所に固定できる材料のスリーブとして形成することができる。この場合、ビームおよびスリーブを異なる材料で作製することができる。さらに、所望の用途に応じて、アンカリング素子300を中空または中実にすることができ、および/またはアンカリング素子300の一部を充填しても、または中空にしてもよい。たとえば、異なる重量分布が患者に利益をもたらす場合、アンカリング素子300を、一部が中空で軽く、他の部分が充填されて重くなるように印刷することができる。生体吸収性材料が利用される場合、各部分が体内で溶解するのにかかる時間量を制御する方法として、アンカリング素子の異なる部分の全体厚さを変えることが有利であることがある。
【0030】
アンカリング素子に関連するバーブの数、およびビームに沿ったそれらの分布はさまざまであることができる。場合によっては、バーブはほぼ規則的なパターンで配置できる。
【0031】
たとえば、図3に示す実施の形態では、アンカリング素子300は、対向するビーム上に対称的に配置された4つのバーブを備える。他の実施の形態では、アンカリング素子は、任意の適切な間隔で配置された任意の適切な異なる数のバーブを備えることができる。バーブの数は、アンカーの意図された貫通深さ、およびその設置後に組織からアンカーを引き抜くように作用するであろう任意の引き出し力に対する所望の抵抗に従って選択することができる。異なる実施の形態では、バーブなし部分の長さは、それらがアンカリング素子の移動を可能にするのに十分な長さであるが移植を困難にするほど長くはないように選択されてもよい。さらに、バーブが移植片の下の組織に係合するように、バーブなし部分の長さは、移植片の厚さを通過するのに十分な長さとしてもよい。したがって、アンカリング素子は、任意の適切な長さで製造され、任意の数のバーブを含んでいてもよいことが理解されよう。
【0032】
明確にするために、説明は、遠位方向および近位方向(または部分)に言及する。本明細書で使用される場合、「遠位方向」は、装置を保持しているユーザから離れるように向けられた方向である。また、「近位方向」は、装置を保持しているユーザに向かう方向である。したがって、遠位側または領域は、装置を保持しているユーザから離れて配置される装置の部分を指し、近位側または領域は、通常の使用中に装置を保持しているユーザの近くに配置される装置の部分を指す。
【0033】
さらに、内側(ないそく)および外側(がいそく)という用語は、装置またはその構成要素/要素の側面を指し、構成要素の「内側」は大略的に装置の中心に向かう向きであり、構成要素の「外側」は大略的に装置の中心から離れる向きである。
【0034】
さらに、この発明の詳細な説明全体および特許請求の範囲を通じて使用される場合、「長手軸」という用語は、アンカリング素子および展開装置を含む各装置の長さを延ばす方向である、長手方向に延びる軸を指す。本例では、長手軸は近位-遠位方向に延びる。
【0035】
この発明の詳細な説明および特許請求の範囲を通じて使用される場合、「横軸」という用語は、アンカリング素子および展開装置を含む各装置の幅にわたる方向である、横方向に延びる軸を指す。さらに、この発明の詳細な説明全体および特許請求の範囲を通じて使用される場合、「横断軸」という用語は、アンカリング素子および展開装置を含む各装置の厚さに沿って延びる方向である横断方向に延びる軸を指す。3つの軸の各軸は、他の2つの軸に対して直交していると理解してもよい。
【0036】
図3では、参照のために、長手軸390、横軸370、および横断軸380が矢印で示されている。さらに、アンカリング素子300は、遠位端374および近位端372を含むように示されている。アンカリング素子300を大略的に二等分する(点線で示されている)中心長手軸396に近い第1のビーム310の側に、例示目的で内側394もラベル付けされている。外向きの、または中心から離れた側は、外側392としてラベル付けされている。さらに、アンカリング素子300の近位端372は、図面の上または上側にある端部(たとえば、接続部材330を含む端部)である一方、アンカリング素子300の遠位端374は、図面の下または下側にある端部(たとえば、バーブ360を含む端部)である。便宜上、アンカリング素子の遠位端または遠位部分を説明するために、下、底部、下方などの用語を使用することもある一方、アンカリング素子の近位端または近位部分を説明するために、上、頂部、上方などの用語を使用することもある。
【0037】
参照目的で、アンカリング素子300の横正中線を近位領域342および遠位領域344に大略的に画定する中心横軸398(点線で示される)が含まれる。さらに、アンカリング素子300は中心長手軸396に関して実質的に対称または鏡像である一方、アンカリング素子300は中心横軸398に関して非対称である。
【0038】
いくつかの実施の形態では、アンカリング素子300は、曲がり道(archway)に似た形状を有することができる。たとえば、図3に示すように、接続部材330はアーチの頂部を表すことができ、第1のビーム310および第2のビーム320はアーチを支持する柱に対応することができる。さらに、いくつかの実施の形態では、ビーム310および320の長さは、接続部材330の長さ(第1の端部338から第2の端部336まで延びる)よりも長くすることができる。場合によっては、ビームは、接続部材330の長さの1.5~2倍の長さを有することができる。一実施の形態では、第1の端部338と第2の端部336との間の直線距離は、ビームの長さの半分に対応することができる。
【0039】
図3の実施の形態において、接続部材の遠位側と2つのビームの内側とが接合されて、実質的に滑らかで連続的な湾曲が形成される。いくつかの他の実施例では、アンカリング素子300は、実質的にU字形の構造を有すると理解されてもよい(図3では、「U」字形は上下逆さまである)。したがって、一実施の形態では、外方の構成要素または要素(すなわち、第1のビーム310、第2のビーム320および接続部材330)は、内部領域340を取り囲む境界または周囲を提供することができる。図3において、内部領域340は、実質的に放物線形状または輪郭を有する。バーブ360が配置されるのは、この内部領域340内である。
【0040】
異なる実施の形態では、バーブ360は、ビームの一方または両方の内側面に沿ってさまざまな位置に配置されてもよい。本明細書で提示される実施の形態では、第1のバーブ362と第2のバーブ366との間の第1の間隔は、第3のバーブ364と第4のバーブ368との間の第2の間隔と実質的に同様である。しかし、他の実施の形態では、異なるバーブつき領域の間の間隔は、比較的長い間隔と比較的短い間隔との間で交互になることができる(たとえば、アンカリング素子300が中心長手軸396に対して対称でなくなるように)。
【0041】
より具体的には、図3において、各ビームのバーブの間の空間は、バーブ360がアンカリング素子300の遠位領域344に配置される一方、近位領域342がバーブなしのままであってアンカリング素子300が組織に埋め込まれた後にアンカリング素子300を引っ張るかもしれない引き出し力に対する抵抗を最適化することを保証するように選択される。たとえば、アンカリング素子300が組織内に押し込まれると、(装置の遠位部分に配置される)バーブ360が最初に挿入される一方、近位部分は、バーブなしのまま保たれて展開装置がアンカリング素子300を把持して移動させる能力を高め、そして移植片を通って延び、最終的にアンカリング素子300が設置されるとアンカリング素子300に安定性を提供する。しかし別の場合には、バーブの配置は、意図された貫通深さをサポートするだけでなく、任意の引き出し力に対する所望の抵抗をサポートする任意の他の適切なパターンとすることができる。
【0042】
いくつかの実施の形態では、バーブ360の向きは、アンカリング素子300が、組織からアンカリング素子を引き抜くように作用するであろう任意の力に確実に抵抗するように機能する。図3に示される向きは、引き抜きに対する増大された抵抗を提供するように示されている。
【0043】
図3では、アンカリング素子300の各バーブは、大略的に近位方向に斜め上向きの向きにされる。具体的には、第1のバーブ362は第1の方向D1に沿う向きにされ、第2のバーブ366は第2の方向D3に沿う向きにされ、第3のバーブ364は第3の方向D2に沿う向きにされ、第4のバーブ368は第4の方向D4に沿う向きにされ、各方向D1~D4は、突出したバーブの平均的または大略的な方向に対応する(たとえば、各バーブの近位表面および遠位表面は、D1~D4とラベル付けされた中心方向よりも急勾配でないかまたはかかる中心方向よりも急勾配であるか、のいずれかである方向に延びる)。
【0044】
図3の実施の形態では、第1の方向D1は、接続部材330と第2のビーム320との間の交点(接続部材330の第2の端部336の周り)に向かう方向に延びる第1のバーブ362に対応する一方、第3の方向D2は、ほぼ反対であり、接続部材330と第1のビーム320との間の交点(接続部材330の第1の端部338の周り)に向かう方向に延びる第3のバーブ364に対応する。さらに、第2の方向D3は、第3のバーブ364の遠位表面(下側)に向かいそして中心横軸398に近い第2のビーム320の部分に向かう方向に延びる第2のバーブ366に対応する一方、第4の方向D4は、第1のバーブ362の遠位表面(下側)に向かいそして中心横軸398に近い第1のビーム310の部分に向かう方向に延びる第4のバーブ368に対応する。こうして、バーブ360の向きは、二重の十字形状を形成する。
【0045】
異なる実施の形態では、アンカリング素子は、フレーム構造およびバーブについてさまざまなサイズを有するように構成することができる。場合によっては、フレーム構造は0.5mmから2mmの間の直径を有することができる。他の場合では、フレーム構造は0.5mm未満の直径を有することができる。さらに他の場合では、フレーム構造は2mm超の直径を有することができる。また、各バーブは、1mmから5mmの間の最大半径方向長さを有することができる。他の場合では、各バーブは、5mm超の最大半径方向長さを有することができる。
【0046】
アンカリング素子は、さまざまな材料で作製されてもよい。場合によっては、アンカリング素子を1つ以上の生体適合性材料で作製することができる。生体適合性材料は、組織を置換するために、または、隣接組織を損傷しない方法で他の組織と接触させつつ機能させるために使用できる、任意の天然または合成材料としてもよい。生体適合性材料の例には、金属、セラミック、およびポリマーが含まれるが、これらに限定されない。より具体的な例には、ナイロン、プロレン、ダクロン、ポリジオキサノン(PDS)、ポリプロピレン、および超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)が含まれる。場合によっては、生体適合性材料は、隣接組織によって徐々に吸収される生体吸収性ポリマーとすることができる。生体吸収性材料の例には、ポリL乳酸(PLLA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、およびポリ(D,L乳酸)(PDLLA)が含まれる。
【0047】
明確にするために、アンカリング素子300の追加の図が、ここで図4A図4Cにて提供される。図4Aは、アンカリング素子300を上から見下ろした平面図で示しており、観察者には近位端372が直接見えている。いくつかの実施の形態では、第1のビーム310および第2のビーム320は、実質的に滑らかであってその外面の実質的大部分に沿って一定の断面サイズを有しつつ、追加の要素も含むことができる。たとえば、第1のビーム310は第1の拡大クラウン要素(「第1のクラウン」)410を含み、第2のビーム320は第2の拡大クラウン要素(「第2のクラウン」)420を含む。さらに、(この場合は、第1のクラウン410の直径にも対応する)第1の幅W1は、第2の幅W2(第2のクラウン420の直径に対応する)とも実質的に等しい一方、接続部材330の第3の幅W3は、第1の幅W1または第2の幅W2のいずれかよりも小さくてもよい。各幅は横断軸380に沿って測定される。
【0048】
アンカリング素子のクラウン要素は、他の図のうち図16図34および図35に関して以下で論じられる針部材(1512A,1512B,1522Aおよび1522B)の内径と同じ直径を有してもよい。これにより、針部材がアンカリング素子に対して後退させられている間、アンカリング素子の安定性が維持される。クラウン要素はビームの近位端にて示されているが、これらの拡大された針係合要素は、ビームの長さに沿った任意の位置に配置されてもよいことが理解されるであろう。
【0049】
いくつかの実施の形態では、アンカリング素子の遠位先端の形状は、針部材の遠位先端と実質的に同じ形状を有してもよい。たとえば、グリーン(Greene)先端針に対応するために、アンカリング素子の遠位先端のベベルは、図3に示されるように、ビームの側面に沿ってスカラップ部分397を含んでいてもよい。このスカラップ部分は、グリーン先端針グラインドの湾曲アスペクトに対応する。アンカリング素子の遠位先端のジオメトリは、アンカーが組織/移植片材料を介した挿入中に圧縮されることを防ぐのに役立つ。この特徴については、以下の図34および図35に関してより詳細に論じられる。
【0050】
いくつかの実施の形態では、ビームは、ビームの遠位端における形状とは異なる形状を近位端にて有する表面で終端してもよい。たとえば、いくつかの実施の形態では、ビームは、実質的に円形の表面で終端する近位端と、実質的に涙滴形状の表面で終端する遠位端とを有してもよい。たとえば、第1のクラウン410および第2のクラウン420の両方がそれぞれ、(円筒ビームの基端に対応して)実質的に円形であって、ここで第1のディスク412および第2のディスク422にラベル付けされた近位側対向面を有する。第1のディスク412および第2のディスク422の外面は、実質的に平坦かつ平面的で滑らかである。後の図で説明するように、ディスクの形状および寸法は、展開装置の押し込み部分と整列しつつそれに対して面一になるように選択される。さらに、いくつかの実施の形態では、第1のディスク412および第2のディスク422の表面は、ビームの円筒部分の向きに対して実質的に直交する方向を向くようにされる。
【0051】
図4Bは、アンカリング素子300を上下逆さまの底面図で示しており、観察者には遠位端374が直接見えている。この図では、第2のバーブ364の遠位または第1の底面414および第4のバーブ368の第2の底面424を、接続部材330の遠位面とともにより明確に見ることができる。いくつかの実施の形態では、第4の幅W4は第1の幅W1とも実質的に等しく(図4Aを参照)、第5の幅W5は第2の幅W2とも実質的に等しく(図4Aを参照)、これにより、以下で説明するように、展開装置の展開チューブに沿ったアンカリング素子300の滑らかな並進が可能になる。
【0052】
図4Bは、涙滴形状を有するバーブの底面のテーパつきジオメトリも示す。さらに、後の図でより明確に示されるように、第1の底面414および第2の底面424は実質的に平坦または平面的であり、テーパつき先端474が各面の丸みを帯びた外方エッジ部分472に対してさらに近位および内側にあるように、斜め上向き方向を向くようにされる。すなわち、第1の底面414および第2の底面424は、横軸370に対して斜めの角度を向くようにされる(図3も参照)。
【0053】
図4Cは、アンカリング素子300の外側面図を示す。図4Cでは、クラウン要素の構造をより明確に見ることができる。図4Cでは、第1のクラウン410が示されており、下のビーム本体の直径よりもわずかに大きい直径を有する円筒部分を備えている。さらに、いくつかの実施の形態では、第1のクラウン410は、上部クラウン部分416と、上部クラウン部分416より狭い下部クラウン部分418とを含む。下部クラウン部分418は、ビーム本体と上部クラウン416との間の遷移を滑らかにすることができる。たとえば、いくつかの実施の形態では、下部クラウン部分418は、図4Cに示されるようにベベル付けされた表面であってもよい。したがって、全体として、クラウン要素はビームに対して拡大されていてもよい。さらに、外側面図は、接続部材330の湾曲によって提供されるアンカリング素子300のさらなる長さを示す。接続部材330の最上部(その中心に対応する)が、第1のビーム310の近位端よりもさらに近位に延びていることが分かる。
【0054】
参照目的で、各ビームは3つの領域を備えると理解することができる。一実施例として、図5では、近位領域550、中間領域552、および遠位領域554を含む第2のビーム320が示されている。第2のビーム320の説明は、第1のビーム310にも適用されると理解されたい(逆もまた同じ)。中間領域552は、近位領域550と遠位領域554との間に延び、ビームの、バーブなしで実質的に滑らかな部分を備える。対照的に、近位領域552は、その内側で接続部材330の第2の端部336に接合されて第2のクラウン420を含む一方、遠位領域554には、第3のバーブ364および第4のバーブ368でバーブが設けられる。
【0055】
さらに、各バーブは、ベース部分510とテーパつき部分520とを含み、2つの部分が接合されて連続要素を形成すると理解することができる。ベース部分510は、第1のビーム310の内側から外向きに突出し、バーブのテーパつき部分520に構造的支持および補強を提供する。さらに、ベース部分510は、テーパつき部分520の第2の横方向長さ522よりも小さい第1の横方向長さ512を有する。
【0056】
ここで、図6図9を参照して、バーブに関する追加の詳細を提供する。図6は、アンカリング素子300の斜視上面図を示しており、第3のバーブ364の上面610が例として説明されている。上面610の詳細は、他のバーブに適用可能であると理解されてもよい。この図では、上面610の形状をより明確に見ることができ、それは実質的に矢尻状の形状を備え、第1の幅632で第1の側630から延び、中心領域620で第2の幅634まで減少し、幅がゼロに近い狭い先端または丸みを帯びた先端部分640へとテーパ付けられるかまたは減少する。さらに、上面610は実質的に滑らかで平坦であり、それが先端640に近づくにつれて斜め上向きに延びる。
【0057】
図7は、第3のバーブ364および第4のバーブ368を含む、第2のビーム320の遠位領域554の拡大図である。アンカリング素子300は実質的に対称であるため、第3のバーブ364について提供される詳細は第1のバーブにも適用可能とされてもよく、第4のバーブ368についての詳細は第2のバーブにも適用可能とされてもよいことを理解されたい。
【0058】
図7では、第3のバーブ364の第1のテーパつき部分792は、近位対向上面610、第1の下面720、第1の側面722、およびリッジ面718を含む複数の表面側を含むことが分かる。いくつかの実施の形態では、テーパつき部分は、ほぼ半錐体の三次元形状を含むことができる。さらに、アンカリング素子300は横軸370にわたって横断軸380の方向において対称であるため、テーパつき部分792は、反対側にて第2の下面および第2の側面も含むことが理解できる。リッジ面(「リッジ」)718、上面610、第1の下面720、および第2の下面(図示せず)を備える4つの面のそれぞれは、先端部分640に融合し、これは、狭く丸い先端またはより尖ったもしくは鋭い先端を有することができる。さらに、第1の下面720は、第3のバーブ364の第1のベース部分794の下に部分的に延びることが分かる。第1のベース部分794は、第2のビーム320に接合されるベース732から外向きに突出し、一点で先細るまで第4のバーブ368に向かって遠位方向に下向きに延びるアーム部分796を含む。第1のベース部分794は、凹部750を画定する第1の上面も含む。すなわち、近位対向上面610は、凹部750によってビーム320から分離されてもよい。凹部750は、組織からの引き出しを防止するフック形状をバーブ364に提供する。それは、組織への貫通を容易にする、より狭いベースプロファイルも提供する。さらに、このより狭いベースプロファイルに補強を提供するために、補強リブ746を凹部750内に配置してもよい。補強リブ746は、凹部750から上向きに突出し、第1のテーパつき部分792の本体内に延び、より大きな構造的支持をバーブに追加する。
【0059】
2つのバーブの間の間隔754は、図7でより明確に見ることができ、第3のバーブ364のアーム部分796の端部から第4のバーブ368の第2の上面710まで延びる。2つのバーブは非常に類似していることが理解できるが、第3のバーブ364とは異なる第4のバーブ368の1つの構造上の特徴は、下面の形状である。第3のバーブ364は、アーム部分796に到達するまで続く第1の下面720を有していたが、第4のバーブ368の最下面780は、先端786から外方エッジ部分788まで滑らかで連続的な平面としてさらに延びており、第2のビーム320の最下端770に沿って涙滴形の第2の底面424(図4Bを参照)に当接していることが分かる。
【0060】
バーブのさらなる構造的詳細は、図8の上下逆さまの図で見ることができる。図8において、第1のバーブ362および第2のバーブ366の表面が示され、それぞれのリッジがより明確に示されている。第2のバーブ366は、第1のビーム310の最下端890から第1のリッジ718に到達するまで近位方向に斜めに延びる第1の底面414を含む。第1のリッジ718は、第2のバーブ366のテーパつき部分の底部に沿って走る実質的に長方形のパネルであり、第1の底面414よりもより尖鋭に上向きに延びる。第1のリッジ718は、第1の下面880および第2の下面882が合流する、バーブの中心領域に対応する。第1の下面880、第2の下面882、第1のリッジ718、および上面(図示せず)は、先端884に融合する。対照的に、第1のバーブ362の第2のリッジ816は、第1のビーム310の両側に向かって2つのプロング818に分岐するまで、バーブの遠位面に沿ってさらに延び、それによってY字形を形成する。
【0061】
各実施の形態のアンカリング素子は、展開装置の遠位先端から針対およびアンカリング素子を延ばすアセンブリを使用して移植することができる。針は患者の組織に突き刺さる。そして、針を後退させている間、展開装置に対するアンカリング素子の位置を押し込み部材が維持して、アンカリング素子を移植片および/または組織内に残す。いくつかの実施の形態では、上述のアンカリング素子を移植するための一般的な方法は、以下に説明するような展開装置を使用して達成することができる。具体的には、展開装置は、押し込み部材と、押し込み部材を作動させて移植片を通して針対およびアンカリング素子を下にある組織内に同時にドライブすることができる構成要素との両方を含んでいてもよい。そして、展開装置は、針を後退させることによってアンカリング素子を移植片および/または組織内に解放することができる。
【0062】
図9は、展開装置900の一実施例の概略外観側面図である。この展開装置900の追加概略図が、図10図12に示されている。展開装置900は、バーブつき部分およびバーブなし部分を備えた2つのビームからなるアンカリング素子(たとえば、図3のアンカリング素子300)を展開するために使用することができる。特に、展開装置900は、先に論じたアンカリング素子を組織内に展開するために使用することができる。
【0063】
図9に示すように、展開装置900は、展開チューブアセンブリ(「チューブアセンブリ」)910に結合された本体部分(「本体」)920から構成される。この外観図では、本体920が、前端952と後端950との間を長手方向に延びる外部ハウジング926、ならびに、ハンドグリップトリガ922、複数のファスナ928、および、非押圧、中立、初期、突出、またはデフォルト状態に現在あるオプションの第1のセレクタボタン924を含むことが分かる。この場合のファスナ928は、ハウジング926に形成された凹部内に固定される。さらに、いくつかの実施の形態では、ハンドグリップトリガ922は、ハウジング926に向かって上向きに湾曲する前に外向きに突出してからより大きな第2の部分を提供するように下向きに延びる前方部分を有することができ、それによって、ユーザフレンドリーな把持ユニットを形成する輪郭を提供する。便宜上、前方、前部などの用語は、展開装置の遠位端に向かって配置された特徴を説明するためにも使用されてもよい一方、後方、後部、背部などの用語は、展開装置の近位端に向かって配置された特徴を説明するためにも使用されてもよい。
【0064】
図9図12の外観図において、展開チューブアセンブリ910は、先端部分912に接続されたチューブハウジング914を備えることが分かる。チューブアセンブリ910の最大の第1の横断幅942は、本体920の最大の第2の横断幅944よりも大幅に小さい。展開チューブアセンブリ910は、移植片および/または組織を通してアンカリング素子を挿入するための手段を含んでもよく、図14A図16を参照してさらに論じられる。
【0065】
参照目的で、図9および他の図において、展開装置900は、遠位端930(先端部分912に向かう)、近位端934(後端950に向かう)、下側932、および上側936を含む方向ラベルとともに示される。
【0066】
図10図12では、第1の側1030および第2の側1032(中心横軸1270に対して)も識別される。いくつかの実施の形態では、第1の側1030および第2の側1032は、2つの相補的部分を表し、場合によっては、中心横軸1270に対して展開装置900の実質的に対称または鏡像部分を表す。
【0067】
図11では、底面を上にした展開装置900の斜視図が示されている。チューブハウジング914は実質的に円筒形であり(すなわち、横平面において実質的に円形の断面形状を有する)、第1の横幅1142は図9の第1の横断幅942と等しいかまたはほぼ同じであることが分かる。
【0068】
他の実施の形態では、チューブハウジング914は、卵形または楕円形の断面形状を有してもよい。さらに、本体920は、図9の第2の横断幅944よりも小さい第2の横幅1148を有する。さらに、いくつかの実施の形態では、チューブアセンブリ910の第1の長手方向長さ1144は、本体920の第2の長手方向長さ1146と同様であるが、他の実施の形態では、各構成要素の寸法は、たとえば移植されるアンカリング素子の寸法に基づいて、異なっていてもよい。たとえば、いくつかの実施の形態では、チューブアセンブリは、操作者により大きな移動の柔軟性を提供するために本体部分よりもはるかに長くてもよい。
【0069】
また、図11は、2つのセレクタボタン(すなわち、対向して配置された第1のセレクタボタン924および第2のセレクタボタン1124)を含むセレクタ機構も、より明確に示す。第2のセレクタボタン1124は、説明のために図11では押し下げられた状態にあり、ハウジング926の外面とほぼ面一である外面を有する。
【0070】
さらに、いくつかの実施の形態では、ハンドグリップトリガ922は、装置上でのユーザの把持の保証を向上させることができるテクスチャリングまたは他の表面パターンを含んでいてもよい。たとえば、図11に示されるように、ハンドグリップトリガ922は、把持を改善するために突起を含んでいてもよい。
【0071】
図12の前向きの図(遠位側930の方を向いている)では、チューブアセンブリ910の追加詳細を見ることができる。チューブアセンブリ910は、第1のハウジング側面1242が第2のハウジング側面1244に接合する領域を画定する横断正中線1270(上側936から下側932まで延びる)を取り囲む領域で本体920から延びる。いくつかの実施の形態では、展開装置900は「再装填」を必要とする前に1つのアンカリング素子を送達するように構成されてもよい一方、いくつかの実施の形態では、展開装置900は、2つの異なるアンカリング素子を迅速に送達することができる、2つのアンカリング素子を同時に格納してもよい二重展開システムを含むことができる。このような構成が図12に示され、展開装置900の遠位端に対応する先端部分912の一次開口部1230が、チューブアセンブリ910の内部の図を提供する。先端部分912は、上に配置された第1のアンカリング素子(「第1アンカー」)1210、および下に配置された第2のアンカリング素子(「第2のアンカー」)1220を実質的に取り囲む。
【0072】
異なる実施の形態では、第1のアンカー1210および第2のアンカー1210は、上述のアンカリング素子300に対応してもよい。いくつかの実施の形態では、2つのアンカーは、中心点1250を通って延びる長手軸に対してそれらが実質的に対称であるように展開装置900内に配置されてもよい。本明細書で説明するように展開装置が二重展開を提供する実施の形態では、2つ以上のセレクタボタンが含まれてもよいことを理解されたい。しかし、展開装置が単一の展開システムを含む場合、セレクタボタンを1つだけ含んでもよく、またはセレクタボタンを含まなくてもよい。
【0073】
ここで図13Aを参照すると、明確にするためにハウジングを取り除いた、本体920の分離斜視図が示されている。本体920は、展開チューブアセンブリの構成要素を作動させるための手段を含む。本体920は、展開装置900を容易に保持するための手段も含んでいてもよい。この目的のために、本体920はハンドグリップトリガ922を含んでいてもよい。ハンドグリップトリガ922は、左手または右手のいずれかに適応するように設計されてもよい。ユーザの手は、ハンドグリップトリガ922を上向きに握って装置を作動させるために、ハンドグリップトリガ922と係合し、ハウジング926の一部を包み込んでもよい。いくつかの実施の形態では、さまざまな異なる材料、コーティング、および/または表面処理をハンドグリップトリガ620およびハウジング926に使用して、把持を改善して滑りを防ぐことができることを理解されたい。
【0074】
異なる実施の形態では、ハンドグリップトリガ922は、本体920内に存在して展開装置内の押し込み部材の作動を可能にする追加の作動構成要素に結合されてもよい。たとえば、ハンドグリップトリガ922は、作動すると連結アセンブリ1320を第1の構成から第2の構成に変化させてもよい(以下の図17A図26を参照)。
【0075】
図13Aに示されるように、連結アセンブリ1320は、以下でより詳細に議論されるように、アセンブリの伸長および収縮を可能にする複数の連結構成要素を備える。連結アセンブリ1320は、作動アセンブリ1300と連動して枢動し、作動シーケンスを開始することができる。異なる実施の形態では、作動アセンブリ1300は、スライダアセンブリ1310、圧縮ばね(「ばね」)1330、および一組のアンカー係合ロッドドライバ(「ドライバ」)1340を含むことができる。ばね1330は、細長いジオメトリを有してスライダアセンブリ1310の両側から延びるばね係合ポストまたは突出部分1332を取り囲んでいる。スライダアセンブリ1310内に形成された内部空間内で、ドライバ1340は、チューブハウジング914から本体920内に延びる一組の押し込み部材(第1の押し込み部材1302および第2の押し込み部材1304)に接続される(図14A図15を参照)。また、押し込み部材は、本明細書では針ブロックとも呼ばれることがある。
【0076】
本体920に収容された構成要素をよりよく理解できるようにするために、本体920の分解斜視図が図13Bに示されている。図13Bでは、ハウジング926は第1のハウジング側面1242および第2のハウジング側面1244を備えることが分かる。ハンドグリップトリガ922は、連結アセンブリ1320の第1のリンク1320aの下部を受容してそれと移動可能に接続するように設計された実質的に中空の内部空間1322を含む。いくつかの実施の形態では、トリガ922は、一組のピボットまたはロッカー要素(ここではトリガ922の外面から外向きに延びる2つのノブとして示される)をさらに含み、その動作は以下でさらに論じられる。さらに、上述のように、いくつかの実施の形態では、トリガ922は、装置に対するユーザの把持を向上させることができる把持要素1326を含んでいてもよい。
【0077】
連結アセンブリ1320を参照すると、第1のリンク1320aは第2のリンク1320bに移動可能に接続され、第2のリンク1320bは第3のリンク1320cに移動可能に接続され、これは、(第1のスライド構成要素1310aおよび第2のスライド構成要素1310bを備えることがここで見られる)スライダアセンブリ1310に移動可能に接続される。参照目的で、第2のスライド構成要素1310bは、第1の領域1370、第2の領域1380、第3の領域1390および第4の領域1392を含むいくつかの領域を備えるように示されている。第1の領域1370および第2の領域1380は一緒に、スライド構成要素の前方領域1376を備える。さらに、スライド構成要素の第1の領域1370は、内側内向きに延びる舌部分またはリッジ1308を含む。各スライド構成要素のリッジ1308は、押し込み部材の側面に沿って形成された複数の溝と係合するようなサイズおよび寸法にされる(図17Bおよび図17Cを参照)。第4の領域1392は、連結アセンブリ1320と係合するように構成された部分を含む。第2のスライド構成要素1310bのみが上記のラベルを含むが、これらの領域は第1のスライド構成要素1310aにも存在することを理解されたい。一実施の形態では、各スライド構成要素は、第1の領域1370のリッジの位置を除いて、対向するスライド構成要素に関して相補的または鏡像である。より具体的には、第1のスライド構成要素1310aのリッジは第1の領域の最上端近くに配置されるかまたはそれに当接し、第2のスライド構成要素1310aのリッジは第1の領域の最下端近くに配置されるかまたはそれに当接する。
【0078】
異なる実施の形態では、第3のリンク1310cは、各スライド構成要素の第4の領域1392の内側対向側面から延びる突出部分1332の周りでおよびそれに対して枢動するように構成される。第1の領域1370を囲んでいるのは、セレクタアセンブリ1324であり、これは、2つのセレクタボタンと、スライダアセンブリ1310がその中に延びる実質的に長方形の開口部とを備える。いずれかの側のセレクタボタンを押すと、隣接するスライド構成要素を内側方向に押すことができ、それにより、対応する押し込み部材と係合する(図20を参照)。第1のドライバ1340aおよび第2のドライバ1340bを含む一組のドライバ1340は、互いに対して対称的または鏡像で配置され、第1のスライド構成要素1310aおよび第2のスライド構成要素1310bの間に配置される。第1のドライバ1340aは、第1のドライバばね1342aをさらに含み、第2のドライバ1340bは、第2のドライバばね1342bを含む。
【0079】
ここで図14Aを参照すると、チューブアセンブリ910の分離斜視図が示されている。チューブアセンブリ910は、アンカーがそこから解放されるその遠位端に一次開口部1230を有する先端部分930を含む。先端部分930は、複数の構成要素およびその部分が配置される細長いチューブハウジング914に接合される。後部または近位の開口部から外向きに延びているのは、一対の押し込み部材1420(第1の押し込み部材および第2の押し込み部材を備える)である。上部押し込み部材の第1の側面に沿って形成されたチャネル内に配置されるのは、第1のアンカー係合ロッド1480であり、下部押し込み部材の第1の側面に沿って形成されるチャネル内に配置されるのは、第2のアンカー係合ロッド1490である。いくつかの実施の形態では各チャネルは、アンカー係合ロッドを見ることができるスリット開口部を含む。一実施の形態では、チューブハウジング914の内部構成要素は、中心長手軸1450に対して実質的に対称に配置される。
【0080】
図14Bに移ると、チューブアセンブリ910は、外部チューブハウジング914なしで描かれており、内部の展開構成要素を明らかにしている。押し込み部材1420は、ハウジング926の遠位端に形成されたアパーチャ1472を通って本体920のハウジング926に入るまで、先端部分930に隣接したその後方の領域から延びることが分かる。そして、押し込み部材1420の後部部分1436は、近位方向にハウジング926内に延び、作動アセンブリ1300の構成要素と接触する。たとえば、図14Bにおいて、押し込み部材1420の係合部分1434は、スライダアセンブリ1310を備える2つのスライド構成要素の間に部分的に配置される。ドライバ1342(図13B参照)と係合するように構成された押し込み部材1420の側面に沿って延びる2つのアンカー係合ロッド1482も見える。いくつかの実施の形態では、アンカー係合ロッド1482は、保持クリップ1414によって押し込み部材1420に形成されたチャネル内にさらに移動可能に固定または保持される。
【0081】
チューブアセンブリ910の別個の構成要素をよりよく示すために、チューブアセンブリ910の分解斜視図が図15に示されている。上述のように、チューブアセンブリ910は、チューブアセンブリ910から1つ以上のアンカーを展開するための手段を含む。この実施例では、チューブアセンブリ910の外部はチューブハウジング914および先端部分912を含み、一次開口部1230から延びてチューブハウジング914の遠位端に形成された二次開口部1530内に続く連続内部コンパートメントを提供する。いくつかの実施の形態では、コンパートメントは、形状が実質的に円筒形である。いくつかの実施の形態では、チューブハウジング914は、押し込み部材の内部構成または状態を見ることができる窓開口部1510も含む。たとえば、第1の窓がチューブハウジング914の上面に存在してもよく、第2の窓がチューブハウジング914の下面に存在してもよい。場合によっては、2つの窓を、横断軸380に関して互いに整列させることができる。
【0082】
図15の実施例では、チューブアセンブリ910の内部構成要素は、第1の押し込み部材1302および第2の押し込み部材1304、第1のアンカー係合ロッド1480、第2のアンカー係合ロッド1490、第1の保持クリップ1514、第2の保持クリップ1524、第1の針部材1512a、第2の針部材1512b、第3の針部材1522a、および第4の針部材1522bを含む。展開装置が装填されると、チューブアセンブリ910は、第1のアンカー1210および第2のアンカー1220の一方または両方も含む。
【0083】
異なる実施の形態では、第1の押し込み部材1302および第2の押し込み部材1304は、反対方向に向けられているものの、形状および寸法を実質的に同様とすることができる。したがって、組み立てられると、第1の押し込み部材1302の実質的に平坦な下側は、第2の押し込み部材1304の実質的に平坦な上面に直接対向し、場合によっては、かかる上面と接触することができる。参照目的で、第1の押し込み部材1302は、前方部分1530(ノーズ部分1528をさらに含む)、中間部分1518、凹部分1532、および係合部分1534を含むいくつかの部分を備えるように示されている。図15では第1の押し込み部材1302のみがこのようなラベルを含むが、これらの部分は第2の押し込み部材1304にも存在することを理解されたい。
【0084】
いくつかの実施の形態では、展開装置がその初期または中立構成にあるとき(作動前)、前方部分1530および中間部分1518の両方がチューブハウジング914内に配置される。しかし、展開装置が作動状態にあるとき、ノーズ部分1528はチューブハウジング914から先端部分912内へと前方に移動し、アンカーおよび針部材を遠位方向に押して一次開口部から出すことができる(たとえば、図30を参照)。さらに、凹部分1532および係合部分1534は、本明細書ではチューブアセンブリ910の構成要素を備えるものとして説明されているが、それらはそれぞれ、本体ハウジング内に延びるように、および/または展開装置の本体内に配置された構成要素と係合するように構成されている。各押し込み部材の係合部分は、一対のレッジ1560の間の空間と端部1564との間に形成された複数の溝1562をさらに含む(ここでは第2の押し込み部材1304に関して示される)。係合部分1534に関するさらなる詳細は、以下に図17A図17Cで説明する。
【0085】
いくつかの実施の形態では、第1のアンカー係合ロッド1480および第2のアンカー係合ロッド1490は、反対方向に向けられているものの、形状および寸法を実質的に同様とすることができる。この実施例では、各アンカー係合ロッドは、3つの部分を備える細長いU字形を含む。したがって、第1のアンカー係合ロッド1480は、第2のプロングまたはアーム1586と実質的に平行であってそれと整列している第1のプロングまたはアーム1582を含む。第1のプロング1582および第2のプロング1586は、第1のフック部分1584によって一緒に橋渡しされる。同様に、第2のアンカー係合ロッド1490は、第4のプロングまたはアーム1596と実質的に平行であってそれと整列している第3のプロングまたはアーム1592を含む。第3のプロング1592および第4のプロング1596は、第2のフック部分1594によって一緒に橋渡しされる。
【0086】
中心長手軸1410は、最初に図14Aにて表された。それは図15にも含まれており、チューブアセンブリ910の中心線を通って延びることが理解されよう。したがって、チューブアセンブリ910の任意の構成要素からの内側方向(すなわち、中心に向かう)は、中心長手線1410に向かって延びる方向であると理解されよう。各アンカー係合ロッドのプロング部分の大部分は実質的に線形であり、中心長手軸1410に平行であるが、フック部分はU字形であることを理解されたい。したがって、各アンカー係合ロッドは、連続した細長いU字形のロッドを備える。さらに、各フック部分は、中心長手軸1410に対して斜めに向けられている。換言すれば、各フック部分は中心長手軸1410から離れる方向にわずかに曲げられている。したがって、第1のフック部分1584は、上向きに曲がるかまたは湾曲するU字形のセグメントであり、第2のフック部分1594は、下向きに曲がるかまたは湾曲するU字形のセグメントである。フック部分の機能については、以下に図18図25を参照して説明する。
【0087】
前述のように、各押し込み部材は、各アンカー係合ロッドの部分を受容するためのチャネルも含む。図15では、第1の押し込み部材1302は、中間部分1518の下エッジおよび凹部分1532の第1の側面1030に沿って延びる第1のチャネル1516を含むことが分かる。ここでは示されていないが、第2のチャネルは、中間部分1518および凹部分1532の第2の側1130に同様に形成されることを理解されたい。さらに、第2の押し込み部材1304は、第3のチャネル1526と、反対側に形成された第4のチャネルとを含む。各チャネルは、各アンカー係合ロッドのプロングをぴったりと収容するような形状およびサイズであり、チャネルに沿って前後に滑らかに移動できるようにしながら、プロングをしっかりと保持する。いくつかの実施の形態では、チャネルは、プロングがチャネルから抜け出ることを防止するために、チャネル内に配置されたプロングの直径よりも小さい横断幅を有する長手方向開口部を有する。同様に、各押し込み部材の凹部分1532は、本体ハウジングに形成されたアパーチャを介して、展開装置の本体とチューブハウジング914との間で前後にスライドするように構成される。したがって、凹部分1532は、より小さい横断方向厚さおよび実質的に平坦な上面を有し、それが本体ハウジングを通って滑らかに動くことを可能にする。
【0088】
いくつかの実施の形態では、チューブアセンブリ910は、展開装置から各アンカーを解放するための手段を含む。図15に示すように、チューブアセンブリ910は、アンカーを保持してアンカー係合ロッドが装填アンカーと相互作用できる空間を提供するための針部材をさらに含む。より具体的には、第1のアンカー1210の第1のビームは、第1の針部材1512aに形成された細長いチャンバ内に収容されるかまたは移動可能に保持され、第1のアンカー1210の第2のビームは、第2の針部材1512bに形成された細長いチャンバ内に収容されるかまたは移動可能に保持される。同様に、第2のアンカー1220の第1のビームは、第3の針部材1522aに形成された細長いチャンバ内に移動可能に保持または維持され、第2のアンカー1220の第2のビームは、第4の針部材1522bに形成された細長いチャンバ第4内に移動可能に保持または維持される。
【0089】
さらに、各アンカーのバーブおよび接続部材(図3を参照)は、各針部材の内側に沿って形成された細長いスリットを通って各針部材から外向きに延び、アンカーが同時に両方の針部材に配置されることを可能にする。この目的のために、2つの針部材は、接続部材の横幅に対応する第1の距離1582だけ離れている。したがって、いくつかの実施の形態では、各アンカーのバーブおよび接続部材は、針部材のチャンバ内に保持される第1のビームおよび第2のビームに対してチューブアセンブリ910内で露出される。各チャンバは、各アンカーのビームをぴったりと収容するような形状およびサイズであり、ビームを確実に保持しつつ、アンカーがチャンバに沿って前後に滑らかに動くことを可能にすることが理解できる。換言すれば、各細長いスリットは、アンカーを2つの針部材にしっかりと保持するために、ビームの直径よりも小さく接続部材の直径およびバーブの横断幅よりも大きい横断幅を有し、展開が生じるようにアンカーが解放されるまで針部材を後退させることができる。
【0090】
押し込み部材が展開装置内で前後に並進するときに各針部材が押し込み部材に対してその位置を維持することを確実にするために、いくつかの実施の形態では、押し込み部材および針部材は、固定されるか、または別様に一緒に締結されてもよい。たとえば、図15において、第1の針部材1512aおよび第2の針部材1512bは、第1の保持クリップ1514によって第1の押し込み部材1302の前方部分1530に保持または接合される。同様に、第3の針部材1522aおよび第4の針部材1522bは、第2の保持クリップ1524によって第2の押し込み部材1304の前方部分に保持または接合される。湾曲した保持クリップは、保持クリップをぴったりと受容するようにサイズ決めおよび寸法決めされた前方部分1530に設けられた凹部領域内に固定され、保持クリップは、針部材が面一かつしっかりと前方部分の実質的に凹状の側壁領域に対して適所に保持されるように針部材の近位端を「抱く」。
【0091】
ここで、チューブアセンブリ910の遠位端に関する追加の詳細が図16を参照して提供され、チューブアセンブリ910の構成要素の部分分解斜視図が示される。明確にするために、図16では4つの針部材が分離されており、アンカーおよびアンカー係合ロッドは針部材から取り外されている。上述のように、いくつかの実施の形態では、針部材のそれぞれは、実質的に同様の構成要素であると理解されてもよい。したがって、第1の針部材1512aが前方開口部1616および後方開口部1620を含み、同様に第2の針部材1512bが前方開口部1610および後方開口部1620を含むことが観察できる。さらに、第3の針部材1522aが前方開口部1636および後方開口部1640を含み、同様に第4の針部材1522bが前方開口部1630および後方開口部1634を含む。さらに、第2の針部材1512bは、チューブの長手方向長さにわたって延びる第1のスリット1612を含むことが分かり、第4の針部材1522bは、針部材の長手方向長さにわたって延びる第2のスリット1632を含む。第1の針部材1512aおよび第3の針部材1512bもそのようなスリットを含み、アンカーが針部材を通って前方開口部から後方開口部まで自由に移動できることを理解されたい。
【0092】
第1のアンカー1210および第1のアンカー係合ロッド1480の分離図、ならびに第2のアンカー1220および第2のアンカー係合ロッド1490の同様の図も、展開装置の押し込み機能に関してさらなる明確さを提供する。図16に示されるように、第1のプロング1582と第2のプロング1586との間の第2の距離1644は、第1のアンカー1210の第1のビームと第2のビームとの間の第3の距離1642と実質的に等しく、2つの構成要素が長手方向平面で整列されることを可能にする。さらに、第1のアンカー1210の第1のディスク1652は、第1のプロング1582の第1の遠位端1656のものと実質的に同様の表面積および形状を有する。同様に、第1のアンカー1220の第2のディスク1654は、第2のプロング1586の第2の遠位端1658のものと実質的に同様の表面積および形状を有する。各遠位端は、本明細書において押し込み部分または押し込み面とも呼ばれてもよい。点線で示されているように、2つの表面は互いに対向し、作動時に互いに押し付け合うように構成されている。したがって、アンカー係合ロッドが前方に移動すると、隣接するアンカーが同時に同じ方向に押される。
【0093】
図9図16に示される作動構成要素の例示的構成は、トリガの上向きの並進を押し込み部材の対応する遠位への並進に変換する方法を提供する。これにより、トリガを握ることによって発生する力を、移植片および下にある組織を通してアンカーをドライブする力に変換することができる。一実施例として、図17A図26は、合わせて、ハンドグリップトリガ922を握ったときにアンカーがどのように先端部分912から展開されるかを示している。図17Aでは、展開装置900が、第1の押し込み部材1302および第2の押し込み部材1304が後退させられているかまたは収納されている一次ロック状態1750で示されている。一次ロック状態1750は、展開装置が作動されていないが、セレクタボタンが押された状態を指す。ここに示されていない中立位置は、展開装置が作動されておらず、セレクタボタンも押されていない状態を指す。ばね1330も、突出部分1332の周りでその最初の伸長構成にある。さらに、連結アセンブリ1320は、最初の収縮位置にある。この第1の段階では、例として、第2のセレクタボタン1124が、先の図11および図12に示されるように押されている。他の場合には、第1のセレクタボタンが最初に押されてもよい。
【0094】
いくつかの実施の形態では、第2のセレクタボタン1124を押すと、本体920内の第2のスライド構成要素1310bの相対位置が変化する。この構成は、ここで、図17Bおよび図17Cを参照して論じられる。どのセレクタボタンも押されていない場合、両方のスライド構成要素は押し込み部材から離れたままである。しかし、セレクタボタンが押されると、対応するスライド構成要素は、隣接する押し込み部材の係合部分と係合するために位置をシフトさせる。図17Bおよび図17Cは、セレクタアセンブリ1324の2つの斜視破断図を提供する。図17Aおよび図17Bでは、第1の押し込み部材1302および第2の押し込み部材1304の係合部分1534、ならびに第1のスライド構成要素1310aおよび第2のスライド構成要素1310bのそれぞれの前方領域1376が示されている。第2のセレクタボタン1124が押されている。
【0095】
図17Bでは、第2のセレクタボタン1124を押した結果、2つのリッジ(ここでは第1のリッジ1776および第2のリッジ1778として示される)がここで第1の押し込み部材1302の係合部分に挿入されるかまたはそれによって受容されるように、第2のスライド構成要素1310bが圧縮されるかまたは内向きに押されることが分かる。より具体的には、第1のリッジ1776は第1の溝1772に挿入され、第2のリッジ1778は第2の溝1774に挿入されている。異なる実施の形態では、各溝の形状およびサイズは、対応する各リッジをぴったりと受容するように構成される。したがって、一実施の形態では、各リッジは、各溝を備える3つの内面に対して面一になるかまたは直接隣接する。2つの溝空間を埋めることによって、リッジおよびレッジは、第1の押し込み部材1302の係合部分の第2の側面1032に沿って実質的に連続した上面を形成する。さらに、ここで第1の後方リッジ1788が、第1の押し込み部材1302の端部分の外方側に押し付けられる。したがって、第1の押し込み部材1302はここで、第2のスライド構成要素1310bが前方または後方に移動する場合に第2のスライド構成要素1310bとのその相対位置を保持するように、第2のスライド構成要素1310bに「ロック」される。
【0096】
対照的に、装置の第1の側面1030に沿って、第1のセレクタボタン924は、非押圧、中立、または初期状態のままである。図17Bに示されるように、セレクタボタンが押されていないとき、隣接するスライド構成要素は、押し込み部材の係合部分から離間したままである。換言すれば、この場合、第3のリッジ1766は、第2の押し込み部材1302の第1の側面1030に沿って形成された第3の溝1762の外部に配置され、第4のリッジ1768は、第2の押し込み部材1304の第1の側面1030に沿って形成された第4の溝1764の外部に配置される。同様に、第2の後方リッジ1786も、第2の押し込み部材1304の端部から離間している。したがって、第2の押し込み部材1304は、第1のスライド構成要素1310aが前方または後方に移動する場合に第1のスライド構成要素1310aとのその相対位置を保持しないように、第1のスライド構成要素1310aに対して「ロック解除」される。どちらのセレクタボタンも押されていない場合、展開装置の両側は、中立構成とも呼ばれるこの配置にあることを理解されたい。
【0097】
図13に関して前述したように、各スライド構成要素は、第1の領域1370におけるリッジの位置を除いて、対向するスライド構成要素に対して相補的または鏡像とすることができる。より具体的には、第3のリッジ1766、第4のリッジ1768、および第2の後方リッジ1786は、第1のスライド構成要素1302の第1の領域の下半分に沿って配置され、したがって、最下部の第2の押し込み部材1304に形成された溝と整列する。同様に、第1のリッジ1776および第2のリッジ1778および第1の後方リッジ1788は、第2のスライド構成要素1304の第1の領域の上半分に沿って配置され、したがって、最上部の第1の押し込み部材1302に形成された溝と整列する。
【0098】
セレクタボタンの機能を明確にするために、図17Cは、第2のスライド構成要素1310bがアセンブリから取り外された状態の図17Bのアセンブリを示す。ここで、第2の押し込み部材1304が適所にロックされる機構と、第2の押し込み部材1304の上の第1の押し込み部材1302という積み重ね配置が見える。図17Cに示すように、第2のセレクタボタン1124を押すと、本体920内の第2のセレクタボタン1124の相対位置も変化する。セレクタボタンが押されていないとき、両方のセレクタボタンは押し込み部材から離れたままである。しかし、セレクタボタンが押されると、隣接する押し込み部材の係合部分と係合するために、一組のロック突起が内側内向き方向に位置をシフトさせる。
【0099】
図17Cでは、第2のセレクタボタン1124を押した結果、2つのロック突起(ここでは第1の突起1786および第2の突起1788として示されている)がここで第2の押し込み部材1304の係合部分に挿入されるかまたはそれにより受容されるように、第2のセレクタボタン1124が内向きに圧縮または押されることが分かる。より具体的には、第1の突起1786は第5の溝1782に挿入され、第2の突起1788は第6の溝1784に挿入されている。異なる実施の形態では、各溝の形状およびサイズは、対応する各突起をぴったりと受容するように構成される。したがって、一実施の形態では、各突起は、各溝を備える3つの内面に対して面一になるかまたは直接隣接する。2つの溝を埋めることで、突起およびレッジは第2の押し込み部材1304の係合部分の第2の側面1032に沿って実質的に連続した上面を形成する。第2の押し込み部材1304はここで、他の隣接構成要素が前方または後方に移動している間も第2のセレクタボタン1124とのその相対位置を保持するように、第2のセレクタボタン1124に「ロック」される。換言すれば、第1の押し込み部材1302の第2の側1032に形成された第1の組の溝は、第2のスライド構成要素1310bのリッジによって埋められており、第2の押し込み部材1304の第2の側面1032の第2の組の溝は第2のセレクタボタン1124の突起によって埋められている。さらに、第2の組の溝は、展開装置が一次ロック状態1750にある間、第1の組の溝と整列し、その直下に配置されると理解することができる。
【0100】
図18は、押し込み部材、アンカー係合ロッド、およびドライバの相対配置を明らかにするためにハウジングおよび第1のスライド構成要素が取り除かれた、一次ロック状態1750における展開装置の一部の破断側面図を示す。図18では、システムが中心長手軸に対して実質的に対称であることが観察できる。したがって、第1の押し込み部材1302は、第2の押し込み部材1304の真上に配置されて第2の押し込み部材1304と整列され、第1のアンカー係合ロッド1480は、第2のアンカー係合ロッド1490の真上に配置されて第2のアンカー係合ロッド1490と整列され、第1のドライバ1340aは、第2のドライバ1340bの真上に配置されて第2のドライバ1340bと整列される。さらに、2つのアンカー係合ロッドは、2つの押し込み部材のL字形の端部1564の間に形成された開口部または空間を通って延びることが分かる。各アンカー係合ロッドのフック部分は、各フック部分が隣接ドライバの横幅を取り囲むかまたはその周りを包むように、ドライバヘッド部分1860の後ろに配置される。いくつかの実施の形態では、フック部分の、中心長手軸から離れるように湾曲している近位端が、各押し込み部材のL字形の端部に形成された角1850と接触し、および/または角1850を圧迫する。さらに、両方の押し込み部材の凹部1532は、主に本体ハウジング(図示せず)内に主に配置されると理解することができる。
【0101】
図19は、押し込み部材、アンカー係合ロッド、およびアンカーの相対配置を明らかにするために、チューブハウジング、先端部分、および2つの針部材が取り除かれた、一次ロック状態1750における展開装置の部分の破断斜視図を示す。図19では、システムが中心長手軸に関して実質的に対称であることが観察できる。したがって、第1の押し込み部材1302および第2の押し込み部材1304のノーズ部分は互いに整列され、第1のアンカー係合ロッド1480は、第2のアンカー係合ロッド1490の真上に配置されて第2のアンカー係合ロッド1490と整列され、第2の針部材1512bは、第4の針部材1522bの真上に配置されて第4の針部材1522bと整列され、第1のアンカー1210は、第2のアンカー1220の真上に配置されて第1のアンカー1210と整列される。第1の針部材および第3の針部材の取り外しはまた、アンカーの下端(ディスク)とアンカー係合ロッドの遠位端との間の関係をより明確に示し、それによってアンカー係合ロッドは各アンカーと直接接触する。
【0102】
ここで図20図23を参照すると、展開装置900が、第1の押し込み部材1302が前方にスライドして第2の押し込み部材1304がその元の位置を保持している一次作動構成2050で示されている。ばね1330はここで、突出部分1332の周りでその圧縮構成にある。さらに、連結アセンブリ1320は、その収縮位置から伸長位置に遷移している。この第2の段階では、第2のセレクタボタン1124は、上記の図17A図19で説明したように押し続けられる。
【0103】
いくつかの実施の形態では、トリガ922は、トリガ922から外向きに延びてハウジング内に形成された小さなチューブにて移動可能または回転可能に固定された一対の円筒ロッカー要素を介して、第1の回転方向または反対の第2の回転方向のいずれかに枢動するように構成される。したがって、トリガ922の近位端を押すと、近位端が第1の回転方向に上向きに移動する一方で遠位端が下向きに移動するように、トリガ922が回転する。換言すれば、トリガ922の遠位端は最も低い位置にあり、トリガ922の近位端は最も高い位置にある。
【0104】
図20の斜視図では、トリガ922が圧縮されると、トリガ922が大略的に反時計まわり方向に枢動することが分かる。さらに、トリガ922は、突出部分1332の周りに延びるばね1330によって、その中立位置に戻るように付勢されている。トリガ922が上向きに移動するときのその動きは、連結アセンブリ1320の枢動部分によってさらなる回転運動に変換され、これにより、連結アセンブリ1320が真っ直ぐになり、長手方向に長くなる。この同じ動きにより、スライダアセンブリ1310が前方に押され、その結果、ばね1330がスライダアセンブリ1310の第4の領域1392の遠位面2032に接触してそれを圧迫すると、突出部分1332の周りでばね1330が圧縮される。
【0105】
図17Bおよび図17Cに関して論じたように、第1の押し込み部材1302の係合部分は、この実施例ではスライド構成要素1310bにロックされる(第2のセレクタボタンの押下による)。したがって、スライダアセンブリ1310が初期または第1の位置から作動または第2の位置まで遠位方向に前方に押されると、第1の押し込み部材1302も同じ距離だけ作動位置に運ばれるかまたは前方に押される。対照的に、第2のセレクタボタンにロックされている第2の押し込み部材1304は、その元の収納位置を保持する。さらに、第1の押し込み部材の凹部分はここで主にチューブハウジング(図示せず)内に配置される一方、第2の押し込み部材の凹部分は主に本体ハウジング(図示せず)内に配置される。
【0106】
第2の押し込み部材1304に対する第1の押し込み部材1302の新しい相対的な位置決めは、図21の展開装置の破断側面図でより明確に観察可能である。この図では、押し込み部材、アンカー係合ロッド、およびドライバの相対配置を明らかにするために、ハウジングと第1のスライド構成要素とが再び取り除かれている。図21では、システムが、この構成では中心長手軸に対して実質的に対称ではなくなっていることが観察できる。したがって、第1の押し込み部材1302はここで第4の距離2100だけ第2の押し込み部材1304に対してより遠位に配置され、第1のアンカー係合ロッド1480は第5の距離2102だけ第2のアンカー係合ロッド1490に対してより遠位に配置される。一実施の形態では、第5の距離2102は第4の距離2100と実質的に同様である。しかし、第1のドライバ1340aおよび第2のドライバ1340bの両方が、この段階の間、たとえスライダアセンブリ1310が前方に並進していてもそれらの位置を保持し、互いに整列されたままであることを注記することは重要である。しかし、2つのドライバに対するスライダアセンブリ1310の相対位置は、両方のドライバが、第1の段階におけるよりもスライダアセンブリ1310の第4の領域1392により近く配置されるように変化している。
【0107】
さらに、第2のアンカー係合ロッド1490のフック部分は依然としてドライバ頭部1860の後ろに配置されているが、第1のアンカー係合ロッド1480は、どちらのドライバの頭部の周りにもそれが延びなくなるように、前方に移動している。むしろ、第1のアンカー係合ロッド1480はここで、第1の押し込み部材1302のL字形の端部の角1850の遠位面によって前方に押されて、第1のドライバ1340aに対して完全に遠位にある。
【0108】
図22および図23は、押し込み部材、アンカー係合ロッド、およびアンカーの相対配置を明らかにするために、チューブハウジング、先端部分、および2つの針部材が再び取り除かれた、一次作動構成2050における展開装置の一部の破断斜視図を示している。図22は上方斜視図を示し、図23は下方斜視図を示す。図22および図23では、システムが中心長手軸に対して対称ではなくなっていることが観察できる。したがって、第1の押し込み部材1302のノーズ部分は、第2の押し込み部材1304のノーズ部分に対して遠位にある。この前方への移動に合わせて、第1のアンカー係合ロッド1480および第2の針部材1512bが、第1の保持クリップ1514(明確にするためにこの図に含まれる)によって第1の押し込み部材1302と並んで保持され、第2のアンカー係合ロッド1490に対してさらに外向きに突出する。第1のアンカー係合ロッド1480の前方への移動は、第1のアンカー1210がここで第2のアンカー1220に対して第6の距離2200だけさらに外向きに延びるように、第1のアンカー1210に加えられる押し込み力を引き起こしている。一実施の形態では、第4の距離2100および第5の距離2102(図21参照)は、図22に示される第6の距離2200と実質的に同様である。
【0109】
使用中、展開装置は、2つの方法のうちの1つで使用されてもよい。場合によっては、展開装置の先端をインプラント/移植片/組織に対して保持してもよく、トリガを引いて針部材を展開し、インプラント/移植片/組織に突き刺すことができる。他の場合では、インプラント/移植片/組織に係合する前に針部材を最初に展開してもよく、そして展開装置全体を前進させて針部材をインプラント/移植片/組織内に沈めてもよい。
【0110】
次に図24図26を参照すると、展開装置900が、第2の押し込み部材1304と再び整列するまで第1の押し込み部材1302が後方にスライドしている初期展開構成2450で示されており、。ばね1330は、突出部分1332の周りの伸長構成に戻っている。さらに、連結アセンブリ1320は、伸長位置からその収縮(中立)位置に戻っている。この第3の段階では、第2のセレクタボタン1124は、上記の図17A図19で説明したように押され続ける。
【0111】
異なる実施の形態では、一次作動構成2050(図20図23に示す)から初期展開構成2450への遷移を行うために、ハンドグリップトリガ922を第2の回転方向に揺動させる。図24の斜視図において、トリガ922は、大略的に時計まわり方向に枢動されるであろう。したがって、トリガ922の遠位端を押すと、遠位端が第2の回転方向に上向きに移動しつつ近位端が下向きに移動するように、トリガ922が回転する。この場合、展開装置の操作者が先端部分を所望の位置に配置すると、彼または彼女はトリガ922を反対方向に揺動させて、第1のアンカー1210を解放することができる。さらに、ハンドグリップトリガ922が解放されると、ばね1330はトリガ922を付勢して中立位置に戻す(これは、図24の描写に反映されている)。
【0112】
したがって、トリガ922を第2の回転方向に揺動させると、連結アセンブリ1320が収縮し、これによりさらに、スライダアセンブリ1310が後方または近位方向に引き戻される。図17Bおよび図17Cに関して論じたように、第1の押し込み部材1302の係合部分は、スライド構成要素1310bにロックされる。スライダアセンブリ1310が近位方向に後方に引っ張られると、第1の押し込み部材1302も同じ距離だけ後方に運ばれるかまたは動かされる。対照的に、第2の押し込み部材1304は、第2のセレクタボタンにロックされ、その元の位置を保持し続ける。したがって、スライダアセンブリ1310の近位方向への並進運動は、第1の押し込み部材1302が再び第2の押し込み部材1304と整列するまで、ロックされた第1の押し込み部材1302を引っ張る。第1の押し込み部材1302の素早い後退は、針部材を後退させ、したがって、図24に示されるように、展開装置900から第1のアンカー1210を解放する。
【0113】
第2の押し込み部材1304に対する第1の押し込み部材1302の新しい相対的な位置決めは、図25の展開装置の破断側面図でより明確に観察可能である。この図では、押し込み部材、アンカー係合ロッド、およびドライバの相対配置を明らかにするために、ハウジングおよび第1のスライド構成要素が取り除かれている。図25では、システムのいくつかの構成要素が中心長手軸に関して再び実質的に対称であることが観察できる。したがって、第1の押し込み部材1302は、第2の押し込み部材1304の真上に配置されて第2の押し込み部材1304と整列し、第1のドライバ1340aは、第2のドライバ1340bの真上に配置されて第2のドライバ1340bと整列する。しかし、第1の押し込み部材1302が近位方向に戻る間、第1のドライバ1340は、第1のアンカー係合ロッド1480のフック部分に対して力を加え、第2のアンカー係合ロッド1490に対して第5の距離2102だけ前方に配置されたその作動位置にそれが確実に留まるようにする。
【0114】
さらに、第1のドライバ1340aおよび第2のドライバ1340bの両方は、この段階の間、それらの位置を保持し、スライダアセンブリ1310が後方に並進したとしても、互いに対して整列されたままである。この場合、スライダアセンブリ1310に対する2つのドライバの位置は、両方のドライバが第2の段階におけるよりもスライダアセンブリ1310の第4の領域1392から遠位に遠くに配置されるように変化している。
【0115】
図26は、押し込み部材、アンカー係合ロッド、およびアンカーの相対配置を明らかにするために、チューブハウジング、先端部分、および2つの針部材が取り除かれた、初期展開構成2450における展開装置の一部の破断斜視図を示す。図26では、押し込み部材が中心長手軸に対して対称である一方、残りの構成要素は互い違いになっていることが分かる。したがって、第1の押し込み部材1302および第2の押し込み部材1304のノーズ部分は互いに整列され、第2の針部材1512bも後退してその元の位置に戻り、したがって第4の針部材1522bの真上に配置されて第4の針部材1522bと整列される。しかし、第1のアンカー係合ロッド1480は、第7の距離2600だけ第2のアンカー係合ロッド1490に対して遠位のままである。一実施の形態では、第7の距離2600は、図22の第6の距離2200と実質的に等しい。これにより、第1のアンカー係合ロッド1480の両方のプロングの先端領域2680がそれらの針部材から第4の距離2610だけ外向きに突出する結果となる一方、第2のアンカー係合ロッド1490の両方のプロングはそれぞれの針部材内に取り囲まれたままになる。すなわち、第1の針部材1512bおよび第2の針部材(図26には図示せず)が後退している一方、第1のアンカー係合ロッド1480は伸長したままであるので、針部材が後退させられている間、アンカーは適所に留まり(たとえば、患者の組織に挿入され)、したがって展開装置からアンカーが解放/展開される。すなわち、針部材はアンカー係合ロッドとは無関係に引き抜かれるので、アンカリング素子は、組織に対しておよび展開装置の本体に対して静止したままである。したがって、アンカリング素子は、展開装置が引き抜かれたとき、移植された位置で適所に留まる。図26における第1の針部材および第3の針部材の除去はまた、チューブアセンブリに第1のアンカー1210がないこと、および、装填された第2のアンカー1220が残っていること、をより明確に示している。
【0116】
ここで、図27図33を参照して、展開装置の機能に関する追加の説明が提供され、第2のアンカーについての展開シーケンスを示している。図27では、展開装置900の前向き図は、第1のセレクタボタン924が押されて2つのアンカーのうちの1つが事前に展開された二次ロック状態2750を示す。したがって、二重展開システムはここで、1つのアンカー(第2のアンカー1220)しか有しない。第2のセレクタボタン1124は、その初期または中立状態に戻っている。異なる実施の形態では、一方のボタンを選択すると、他方のボタンが自動的に中立位置に「飛び出して」戻るようにすることができる。いくつかの他の実施の形態では、すでに押し下げられたボタンを押すと、ボタンをその中立状態に戻すことができる。別の実施例では、展開によってボタンを自動的にその中立状態に戻すことができる。
【0117】
一般的事項として、別段の記載がない限り、第2のアンカー1220の展開のための機構は、図17A図26の第1のアンカー1210について描かれたものと同様である。二次ロック状態2750では、第2のアンカー1220、およびチューブアセンブリ910の他の構成要素は、図28の側面図に示されるようにすべて内部に配置される。
【0118】
図28は、実施の形態のさらなる理解を提供するために、本体ハウジング926、チューブハウジング914、および先端部分912を含む展開装置900の外観図を提供する。
【0119】
図29は、押し込み部材、アンカー係合ロッド、およびアンカーの相対配置を明らかにするために、チューブハウジング、先端部分、および2つの針部材が取り除かれた、二次ロック状態2750における展開装置の一部の破断斜視図を示す。図29では、示されている構成要素が、それらが図26の初期展開構成2450にあったように配置されていることが観察できる。
【0120】
図30および図31のその後の状態では、第1のセレクタボタン924が押され、2つのアンカーのうちの1つが展開され、ハンドグリップトリガ922が再作動された、二次作動構成3050が示されている。図30では、展開装置900の外観の側面図が示されており、二次作動構成3050(および図20の一次作動構成2050)が、先端部分912からの第2の押し込み部材用の第3の受容チューブ1522aの突出部と関連していることを明らかにしている。この図では、第2のアンカー(図示せず)、第3の針部材1522a、および第4の針部材(図示せず)を備える突出部分3022が露出され、チューブアセンブリ910の外部に配置される。相補的な第4の受容チューブ1522bも、図30では見えないものの、同じ量だけ遠位外向きに突出することが理解できる。
【0121】
図31には、押し込み部材、アンカー係合ロッド、およびアンカーの相対配置を明らかにするために、チューブハウジング、先端部分、および2つの針部材が取り除かれた、二次作動構成3050における展開装置の一部の破断斜視図が示されている。
【0122】
図31では、第2の押し込み部材1304はここで、第1の押し込み部材1302に対して遠位にある。第1のアンカー係合ロッド1480および第2のアンカー係合ロッド1490が再び整列される一方、第4の受容チューブ1512bは遠位方向に第8の距離3120だけ移動している。一実施の形態では、第8の距離3120は、第7の距離2600と実質的に等しい。この図には示されていないが、第3の針部材が第4の針部材1512bと協調して移動することを理解されたい。
【0123】
したがって、第2のアンカー係合ロッド1490の両方のプロングが第2のアンカー1220を先端部分912の外に押すまで、第2の押し込み部材1304は遠位方向に並進している。集合的に突出部分3022と呼ばれる、第2のアンカー1220、第3の針部材(図示せず)および第4の針部材1522bは、チューブハウジングの外部にある。チューブハウジングの外部に配置されている間、第2のアンカー1220は、第3および第4の針部材に収納されたままであることが理解されよう。
【0124】
図32および図33を参照すると、先に論じたようにトリガ922に対する力が解放されると、ばねはトリガを中立位置に戻すよう付勢するように作用し、また、針部材が先端部分912内に完全に後退するように第2の押し込み部材を引き戻しもする。
【0125】
図33は、両方のアンカー係合ロッドの遠位端3310が受容チューブの端部から同じ量だけ突出していることを示す破断斜視図を示している。したがって、両方のアンカー係合ロッドはここで、第1のアンカー係合ロッド1480が図26の初期展開構成2450の間と図29の二次ロック状態2750の間との両方にあったのと同じ状態にある。さらに、図19の最初の一次ロック状態とは対照的に、アンカー係合ロッドはここで、チューブアセンブリ910を備える内部構成要素の最遠位構成要素である。
【0126】
図34および図35は、2つの要素が組織/移植片材料内にドライブされる構成でアンカリング素子がその内部に配置された針部材の概略斜視図である。図32は、第1の針部材1512Aおよび第2の針部材1512B内に配置されたアンカリング素子1210を示す。
【0127】
図34にさらに示されるように、アンカリング素子1210の接続部材3400は、第1の針部材1512Aと第2の針部材1512Bとの間に延びる。また、アンカリング素子1210のバーブも針部材のスロットから延びている。図34に示されるように、第1のバーブ3405および第2のバーブ3410は、第1の針部材1512Aのスロットから延び、第3のバーブ3415および第4のバーブ3420は、第2の針部材1512Bのスロットから延びる。
【0128】
いくつかの実施の形態では、針部材は、たとえば、外方ベベルと湾曲エッジとを有するグリーン先端針グラインドを有してもよい。たとえば、図34に示されるように、第2の針部材1512Bは、遠位先端3425と、外向きエッジの外方ベベル3430とを含む。くわえて、図34にさらに示されるように、第2の針部材1512Bの遠位端は、湾曲エッジ3435を含んでいてもよい。この湾曲エッジ3435は大略的に、図3に示されるアンカー装置のスカラップ部分397に対応する。
【0129】
さらに、穿刺状態にあるとき、アンカリング素子は、針部材の遠位先端から凹んでいてもよい。たとえば、図35に示されるように、アンカリング素子1210のベベルつき遠位面3500は、第2の針部材1512Bの遠位端から距離3505だけ凹んでいる。これにより、針部材とアンカリング素子との組み合わせが移植片/組織を貫通するときに、移植片/組織が圧縮されることを防止する。
【0130】
上述の図34および図35に示された第2の針部材1512Bおよびアンカリング素子1210の構成が、第1の針部材1512Aおよびアンカリング素子1210にも適用されてもよいことが理解されるであろう。さらに、そのような構成は、図16に示された第3の針部材1522A、第4の針部材1522B、およびアンカリング素子1220にも適用されてもよい。いくつかの実施の形態では、1つのアンカリング素子と対応する針部材との間の構成は、第2のアンカリング素子とそのそれぞれ対応する針部材との間の構成とは異なっていてもよいことがさらに理解されるであろう。
【0131】
以上の実施の形態では、体内の他の組織に組織移植片を固定するために使用されるアンカリングシステムを説明しているが、このシステムは合成構造にも使用できることを理解されたい。たとえば、アンカリングシステムを使用して、体内の他の組織に合成材料を取り付けることができる。
【0132】
さまざまな実施の形態が説明されたが、説明は限定ではなく例示的であることを意図しており、開示された実施の形態の範囲内にある、より多くの実施の形態および実施態様が可能であることは当業者には明らかであろう。特徴の多くの可能な組み合わせが添付の図面に示され、この発明の詳細な説明で論じられているが、開示された特徴の多くの他の組み合わせが可能である。任意の実施の形態の任意の特徴または要素は、特に制限されない限り、任意の他の実施の形態の任意の他の特徴または要素と組み合わせて、またはそれらの代わりに使用されてもよい。さらに、別段の指定がない限り、システムの方法または機能における任意のステップは、本明細書に記載の任意の他のステップに関して任意の相対的な順序で行われてもよい。
【0133】
関連出願の相互参照
この出願は、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、2020年2月11日に出願され、「Anchoring Device for Tissue and Method of Insertion(組織用アンカリング素子および挿入方法)」と題された米国仮特許出願第62/972,718号、および、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、2020年2月11日に出願され、「Deployment Device for Inserting Anchors into Tissue(組織内にアンカーを挿入するための展開装置)」と題された米国仮特許出願第62/972,722号の利益を主張する。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図14A
図14B
図15
図16
図17A
図17B
図17C
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
【国際調査報告】