(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-12
(54)【発明の名称】投与量調節可能な無針注射器
(51)【国際特許分類】
A61M 5/307 20060101AFI20230405BHJP
A61M 5/24 20060101ALI20230405BHJP
A61M 5/31 20060101ALI20230405BHJP
A61M 5/315 20060101ALI20230405BHJP
【FI】
A61M5/307
A61M5/24 500
A61M5/31 520
A61M5/315 550P
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022551414
(86)(22)【出願日】2021-02-26
(85)【翻訳文提出日】2022-10-24
(86)【国際出願番号】 CA2021050242
(87)【国際公開番号】W WO2021168580
(87)【国際公開日】2021-09-02
(32)【優先日】2020-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513249275
【氏名又は名称】イデー インターナショナル アールアンドディー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】IDEE INTERNATIONAL R&D INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】弁理士法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】メナッサ,カリム
(72)【発明者】
【氏名】メナッサ,モーリス
(72)【発明者】
【氏名】ガドウア,アダム
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA10
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD02
4C066EE14
4C066HH27
4C066HH28
4C066NN04
4C066QQ73
(57)【要約】
【課題】
注射液の量を調節可能に皮内または経皮的に所定の生物体の組織に注射するための無針注射器及びその注射器を使用する方法を提供する。
【解決手段】
無針注射器は、前部、中間部及び後部を有するバレルと、前記バレルの前部に接続可能な後端部を有し、前記バレルの前部に対して回転可能なキャップを備え、前記キャップは、注射される液体を含むカートリッジを受け入れるための排出端部を有し、バレルの前部の長手方向の軸を中心とするキャップの回転量で、注射器によってカートリッジから排出されるべき液体の投与量を離散的な単位で調節し、さらに、カートリッジにおけるプランジャの注射器ピストンの衝突力を調節するためのピストンキャップを備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
注射液体、好ましくは液体医薬品、の量を不連続的な調節可能に、それを必要とする対象に皮内または経皮的に注射するための無針注射器であって、
前記無針注射器は、
前部、中間部、後部を有するバレルと、
前記バレルの前部に接続可能な後端部を有し、
前記バレルの前部に対して回転可能なキャップであって、
前記キャップは、注射される液体を含むカートリッジを受け入れるための排出端部を有し、
前記バレルの前部の長手方向の軸を中心とした前記キャップの回転により、
前記無針注射器によって前記カートリッジから排出される液体の量を調節する
ことを特徴とする無針注射器。
【請求項2】
請求項1に記載の前記無針注射器において、
前記バレルの前部が、前記キャップの内部ねじと嵌合するための外部ねじを備える前端を有する管状体からなる
ことを特徴とする無針注射器。
【請求項3】
請求項1または2に記載の無針注射器において、
前記キャップの前記排出端部が前記カートリッジのネジと嵌合するためのネジを有する
ことを特徴とする無針注射器。
【請求項4】
請求項1または2に記載の無針注射器において、
前記カートリッジがバヨネットカップリングを用いて前記キャップの前記排出端部に接続されていることを特徴とする無針注射器。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の無針注射器において、
前記カートリッジが、前記カートリッジを通して液体を排出するためのオリフィスを備える前記排出端部と、前記無針注射器の前記バレル内で摺動可能に係合するカートリッジプランジャを備える後端とを有する管状のカートリッジ本体からなることを特徴とする無針注射器。
【請求項6】
請求項5に記載の無針注射器において、
カートリッジ本体が前記キャップと前記バレルの前部の前端を貫通して延びていることを特徴とする無針注射器。
【請求項7】
請求項5または6に記載の無針注射器において、
前記バレルの前部が、カートリッジプランジャの後端が前記バレルの前部を通して見えるようにするための、好ましくは前記バレルの前部に透明なプラスチック窓を有する開口部を含んでおり、
前記カートリッジを構成する前記キャップが前記バレルの前部に対して回転されるときにプランジャの前方または後方の動きが開口部を通して見えるようにすることを特徴とする無針注射器。
【請求項8】
請求項7に記載の無針注射器において、
前部が、注射が行われるときに注射器から排出される投与量を示すための、好ましくは透明プラスチック窓上に位置するインジケータをさらに含むことを特徴とする無針注射器。
【請求項9】
請求項5~8のいずれか1項に記載の無針注射器において、
前記キャップが前記バレルの前面部にねじ込まれる、
または前部からねじ外されると、カートリッジプランジャの後端部の位置が前面部内で移動し、注射器から注射される液体の投与量の表示を提供することを特徴とする無針注射器。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の無針注射器において、
前記キャップが1つ以上の位置に解放可能にロックされていることを特徴とする無針注射器。
【請求項11】
請求項10に記載の無針注射器において、
前記キャップが、前記キャップの後端に取り付けられたロックリングによって解放可能にロックされていることを特徴とする無針注射器。
【請求項12】
請求項11に記載の無針注射器において、
前記ロックリングが、解除側が外側に向いた概ねU字型の断面を有する環状本体と、前記環状本体に着座するOリングとからなることを特徴とする無針注射器。
【請求項13】
請求項12に記載の無針注射器において、
複数のボール、好ましくはプラスチックボールが、前記環状本体の内壁の小孔に着座し、
前記キャップの回転中、ボールは、螺旋状の移動経路に従って前部の本体の周りをスライドし、選択した位置で、ボールが前部の長手方向に伸びる溝に出会い、
Oリングがボールを溝内に押し込んで前記キャップを所定の位置に解放可能にロックするようにすることを特徴とする無針注射器。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか1項に記載の無針注射器において、
前記カートリッジから液体を排出するためにカートリッジプランジャに対して衝突するピストンアセンブリ内の、ピストンの位置を調節するために、注射器の後部バレル部におけるシャフトのネジ付き後端部に接続されたピストンキャップをさらに備え、ピストンキャップを回転させるとピストンストロークの長さが変わり、それによってカートリッジプランジャに対するピストンの衝突力の増加または減少が得られることを特徴とする無針注射器。
【請求項15】
請求項14に記載の無針注射器において、
ピストンアセンブリは、ピストンと、ケーシングと、磁石を備え、
ピストンキャップ及びシャフトが回転するとき、磁石及びケーシングの前端とプランジャの後端と連絡するコネクタの後端との間の間隔が変化し、ピストンによってプランジャに与えられる力が変化するようになっていることを特徴とする無針注射器。
【請求項16】
請求項15に記載の無針注射器において、
前記バレルの後部が、ピストンの位置、ひいてはピストンに加えられる力の指示を提供するための指標を含んでいることを特徴とする無針注射器。
【請求項17】
請求項16に記載の無針注射器において、
ピストンの前方及び後方の変位は、加えられる力の所定の設定において一定であることを特徴とする無針注射器。
【請求項18】
請求項1~17のいずれか1項に記載の無針注射器において、
前記キャップの回転は、注射器によって前記カートリッジから注射される液体の投与量を1つ以上の投与量の増分によって調節し、回転を増加させると注射される液体の投与量が増加するようにすることを特徴とする無針注射器。
【請求項19】
請求項18に記載の無針注射器において、
投与量の増加分が0.025mLであることを特徴とする無針注射器。
【請求項20】
請求項13に記載の無針注射器において、
選択された位置が、注射される液体の投与量の増分に相関することを特徴とする無針注射器。
【請求項21】
請求項1~20のいずれか1項に記載の無針注射器において、
前記キャップを回転させて、カートリッジプランジャを一又は複数の個別の投与量単位で液体を注射する位置に設定することを特徴とする無針注射器。
【請求項22】
請求項21に記載の無針注射器において、
液体が注射器から排出された後、前記キャップを回転させて前記カートリッジプランジャを、投与される用量の総量に対応する1つ以上の量の非連続的用量増加分で液体をさらに注射する位置にリセットすることを特徴とする無針注射器。
【請求項23】
請求項1~22のいずれか1項に記載の無針注射器を用いて必要とする対象に液体を注射する方法であって、前記無針注射器を用いる方法は、
前記キャップを前記バレルの前部に装着するステップと、
前記キャップの前記排出端部に前記カートリッジを挿入するステップと、
前記カートリッジが前記バレルの前部で後方に移動するように前記キャップを回転させるステップと、
前記キャップの回転量により投与される液体の量を選択するステップと、
注射器のトリガーを操作ステップと、
液体を被験者に注射するステップと、
を含む方法であって、
前記カートリッジは、カートリッジ本体と、プランジャと、注射される液体の量を有するチャンバとを含み、
前記キャップの注射口に取り付けられる
ことを特徴とする無針注射器を用いる方法。
【請求項24】
請求項23に記載の無針注射器を用いて必要とする対象に液体を注射する方法において、
前記キャップを回転させるステップにおいて、
投与される用量は、好ましくはその中に透明なプラスチック窓を有する開口部の下に移動するプランジャの後端の位置と、注射器から排出される液体の用量を示す窓上の指標によって選択されること
を特徴とする無針注射器を用いる方法。
【請求項25】
請求項23または24に記載の無針注射器を用いる方法において、
前記キャップを回転させるステップと、
トリガーを作動させるステップが、
投与される追加の用量のために繰り返されることを特徴とする無針注射器を用いる方法。
【請求項26】
請求項23~25のいずれか1項に記載の無針注射器を用いる方法において、
前記キャップを回転させることにより非連続的な投与単位を選択し、
1つ以上の投与単位が各注射に対して選択可能であるようにすることを特徴とする無針注射器を用いる方法。
【請求項27】
請求項23~26のいずれか1項に記載の無針注射器を用いる方法において、
トリガーを作動させる前に、前記カートリッジから液体を排出するために前記プランジャに衝突するピストンアセンブリ内のピストンの位置を調節するために、無針注射器の前記バレルの後部のシャフトのねじ付き後端部に接続されたピストンキャップを回転させるステップをさらに含み、
前記ピストンキャップを回転させてピストンストロークの長さを変更し、
前記プランジャに対するピストンの衝撃力の増加または減少をもたらすことを特徴とする無針注射器を用いる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人または動物に注射するための無針注射器に関する。
【背景技術】
【0002】
バネや空気圧を用いた無針(またはニードルフリー)注射器に関する特許やその他の文献が多数存在する。そのうち、ほとんどは、一定量を投与し、または一定圧力で動作させて使用される装置である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は、比較的簡単な無針(またはニードルフリー)注射器を提供し、投与される薬物などの液体の量及び注射の圧力を容易に調節することができる。従って、本装置は、調節可能な不連続な量の液体医薬品を皮内または経皮的に脂肪または筋肉に注射するために、注射器やボトルなどの外部リザーバを必要とせず、容易に調節することが可能である。
【0004】
本発明の一態様によれば、調節可能な不連続な用量の液体を、それを必要とする被験者に皮内または経皮的に注射するための無針注射器を提供し、該無針注射器は、前部、中間部及び後部を有するバレルと、前記バレルの前部に接続可能な後端部を有し、前記バレルの前部に対して回転可能なキャップを備え、前記キャップは、注射される液体を含むカートリッジを受け入れるための排出端部を有し、バレルの前部の長手方向の軸を中心とするキャップの回転量で、注射器によってカートリッジから排出されるべき液体の投与量を離散的な単位で調節する。
【0005】
本発明の一実施形態では、バレルの前部はが、前記キャップの内部ねじと嵌合するための外部ねじを備える前端を有する管状体からなる。また、排出端部が前記カートリッジのネジと嵌合するためのネジを有する。さらに、カートリッジは、バヨネットカップリングを用いて前記キャップの前記排出端部に接続されている。
【0006】
本発明の一実施形態では、カートリッジが、カートリッジを通して液体を排出するためのオリフィスを備える前記排出端部と、前記無針注射器のバレル内で摺動可能に係合すカートリッジプランジャを備える後端とを有する管状のカートリッジ本体からなる。また、カートリッジ本体は、キャップとバレルの前部の前端を貫通して延びている。
【0007】
本発明の一実施形態では、バレルの前部が、カートリッジプランジャの後端が前記バレルの前部を通して見えるようにするための開口部を含んでおり、開口部は、好ましくは前記バレルの前部に透明なプラスチック窓を有し、そして、カートリッジを構成するキャップがバレルの前部に対して回転されるときに、プランジャの前方または後方の動きが開口部を通して見えるようにする。また、バレルの前部は、注射が行われるときに注射器から排出される投与量を示すためのインジケータをさらに含み、好ましくは透明プラスチック窓上に配置される。
【0008】
キャップがバレルの前面部にねじ込まれる、または前部からねじ外されると、カートリッジプランジャの後端部の位置が前面部内で移動し、注射器から注射される液体の投与量の表示を提供する。キャップは、キャップの後端に取り付けられたロックリングによって、典型的には、1つ以上の位置に解除可能にロックされる。本発明の一実施形態では、ロックリングは、解除側が外側に向いた概ねU字型の断面を有する環状本体と、環状本体に着座したOリングとからなる。
【0009】
本発明の一実施形態では、複数のボール(好ましくはプラスチックボール)が環状本体の内壁の小孔に着座し、キャップの回転中、ボールは、螺旋状の移動経路に従って前部の本体の周りを滑り、選択された位置で、ボールが前部の長手方向に延びる溝に出会い、Oリングがボールを溝に押し込んでキャップを所定の位置に解除可能にロックするように、キャップを回転させる。また、キャップの回転は、注射器によってカートリッジから注射される液体の投与量を1つ以上の投与量増分によって調節し、回転を増加させると注射される液体の投与量が増加するようにする。好ましくは、用量増分は0.025mL以上とすることができるが、必要に応じて他の用量増加分に変更することができる。さらに、キャップを回転させて、カートリッジプランジャを、1つ以上の非連続的な用量増加分で液体を注射するための位置に設定する。本発明の一実施形態では、液体が注射器から排出された後、キャップは、カートリッジプランジャを、投与される用量の総量に対応する1つ以上の量の非連続的な用量増加分で液体をさらに注射するための位置にリセットするために回転される。
【0010】
本発明の一実施形態では、注射器は、カートリッジから液体を排出するためにカートリッジプランジャに対して衝突するピストンアセンブリ内のピストンの位置を調節するために、注射器の後部バレル部においてシャフトのネジ付き後端部に接続されたピストンキャップをさらに備え、ピストンキャップを回転させるとピストンストロークの長さが変わり、それによってカートリッジプランジャに対するピストンの衝突力の増加または減少が得られる。ピストンアセンブリは、ピストンと、ケーシングと、磁石を備え、ピストンキャップ及びシャフトが回転するとき、磁石及びケーシングの前端とプランジャの後端と連絡するコネクタの後端との間の間隔が変化し、ピストンによってプランジャに与えられる力が変化するようになっている。バレルの後部は、ピストンの位置、ひいてはピストンに付与される力の指示を提供するための指標を含んでいる。ピストンの前方及び後方への変位は、与えられた力の設定において一定である。
【0011】
本発明の別の態様において、本明細書に記載の無針注射器を用いて必要とする対象者に液体を注射する方法を提供する。該方法は、キャップを前記バレルの前部に装着するステップと、前記キャップの前記排出端部に前記カートリッジを挿入するステップと、カートリッジがバレルの前部で後方に移動するようにキャップを回転させるステップと、キャップの回転量により投与される液体の量を選択するステップと、注射器のトリガーを操作ステップと、液体を被験者に注射するステップと、を含む方法であって、前記カートリッジは、カートリッジ本体と、プランジャと、注射される液体の量を有するチャンバとを含み、キャップの注射口に取り付けられる。本発明の一実施形態では、キャップを回転させるステップにおいて、投与される用量は、好ましくはその中に透明なプラスチック窓を有する開口部の下に移動するプランジャの後端の位置と、注射器から排出される液体の用量を示す窓上の指標によって選択される。また、キャップを回転させるステップと、トリガーを作動させるステップが、投与される追加の用量のために繰り返される。さらに、キャップを回転させることにより非連続的な投与単位を選択し、1つ以上の投与単位が各注射に対して選択可能であるようにする。本発明の一実施形態では、無針注射器を用いる方法は、トリガーを作動させる前に、ピストンキャップを回転させるステップをさらに含み、ピストンキャップを回転させることは、ピストンストロークの長さを変更し、カートリッジプランジャに対するピストンの衝撃力の増加または減少をもたらす。
【発明の効果】
【0012】
有利なことに、本明細書に記載の無針注射器及び方法は、複数の注射器又はカートリッジを必要とせずに、単一のカートリッジから1つ以上の調節可能な非連続用量の液体医薬を投与することを提供する。このため、同じ医薬品の複数の用量をより便利かつ効率的に投与し、時間及びコストを削減することができる。さらに、薬液を注射する際の衝撃力を、注射する表面や対象物に応じて高くしたり低くしたりして調節することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。
【0014】
【
図3】
図2の3-3線に概ね沿ってとらえた注射器の縦断面図。
【
図4】
図1~
図3の注射器に使用されるバレルの前部を示す斜視図。
【
図7】
図1~
図3の注射器に用いられるプランジャの前端部を示す側面図。
【
図8】
図1~
図3の注射器に使用されるシリンジバレルを示す上面図。
【
図10】
図8の10-10線に沿って概ねとらえたシリンジバレルの縦断面図。
【
図11】
図8の11-11線に沿って概ねとらえた断面図。
【
図18】
図17の18-18線に沿って概ねとらえたスペーサを示す断面図。
【
図19】
図1~
図3の注射器に使用されるピストン及びストローク調節アセンブリを示す分解斜視図。
【
図21】本発明の無針注射器の第2実施形態を示す斜視図。
【
図32】ネジ式アダプターを用いるワンド型の注射器を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1~
図3に示すように、一の実施形態における無針注射器は、ピストルの形状をしており、その底部に接続された管状のバルブ2と、バルブ2から下方に延びるハンドル3とを有する、一般に1で示される細長い円筒形のバレルを含む。トリガーアセンブリ4は、バルブ2及びハンドル3の前においてバレル1から下方に延びている。
【0016】
図3に示されているように、バレル1は、前部6及び後部7によって構成されている。前部6の外部ネジ付き後端8は、後部7の内部ネジ付き前端9と嵌合する。前部6の環状フランジ11は、後部7への前部の動きを制限し、Oリング12及びOリング13は、2つのセクション間のシールを提供する。
【0017】
内部ねじ式キャップ15が、バレルの前部6の外部ねじ式外端16に取り付けられている。キャップ15の後端部にある長手方向に延びる隆起部17(
図1及び
図2)は、キャップ16をバレルの前部6に対して長手方向に移動させるために手動で回転させることを容易にする。キャップ15は、注射中に注射器から注射される液体の用量を調節するために使用される。本発明の一実施形態では、注射器によって注射され得る用量は、例えば、0.025mLの増加分で、0.025mL以上の範囲であってよい。注射器の構成部品の設計、注射器又はカートリッジに対して加えられる力、又は排出される液体を含む注射器又はカートリッジの容量によって、他の用量及び増加分が実現され得る。
【0018】
バレルの前部6内及びシリンジ(またはカートリッジ)バレル21内には、プランジャ19が摺動可能に設けられている。プランジャ本体20は、大径の後端部22を有し、そこには注射器から注射される液体の投与量を示すためのインジケータ24(
図3)が設けられている。インジケータ24は、バレルの前部6の上部に設けられた開口部25(
図2及び
図3)を通して見ることができる。キャップ15がバレルの前部6に螺合されるか、またはそこから螺合解除されると、プランジャ本体20の後端部22の位置が開口部25の下に移動し、インジケータ24は、注射器から注射される液体の投与量を示す指標を提供する。
図7に最もよく示されているように、プランジャ19の前端29には、Oリング27とテフロン(登録商標)リング28を含むシールが設けられ、シリンジバレル21内でプランジャ19を密封している。
【0019】
シリンジバレル21は、シリンジバレル21の上下にある耳部31(
図8、
図10、
図11)と、キャップ15の細径前端に取り付けられたコネクタ32によって規定されるバヨネット結合を用いて、キャップ15の前端30に取り付けられる。
図12から
図15を参照すると、コネクタ32は、環状のバックプレート34と、その中央孔35がシリンジバレル21を受容し、バックプレート34に反対側の端部でストッパー37によって接続された一対の三日月形のアーム36を含んでいる。アーム36は、互いに向かって開き、一緒になって、中央孔35の周囲で、中央孔35から間隔を置いたリングの主要部分を規定する。シリンジバレル21をキャップ15に装着する場合、コネクタ32をキャップ15の前端30の内側に配置し、耳部31がアーム36の間の隙間38を通過してバックプレート34に略接するまでシリンジバレル21をコネクタバックプレートの中央孔35を通過させてスライドさせる。次に、シリンジバレル21は、耳部31がストッパー37に係合するまでその長手方向軸の周りに回転される。シリンジバレル21上の前フランジ41(
図8及び
図10)とコネクタアーム36の前端との間には、Oリング40が設けられている。Oリング40は圧縮バネとして働き、シリンジバレル21が一旦定位置に置かれると、その移動を防止する。
【0020】
シリンジバレル21の外側の前端部43には、皮内注射用のスペーサ42を装着することができる。スペーサ42は、Oリング44(
図3)によってシリンジバレル21の外側の端部43にシールされている。
図16から
図18に最もよく示されているように、スペーサ42は、バレル21から液体を排出するための通路47が貫通している円筒形の本体46を含んでいる。通路47の出口端48は、シリンジバレル21の排出端43にあるオリフィス49(
図1、
図9、
図10)と同じ直径である。スペーサ42の後端部に設けられた一対のラグ51は、シリンジバレル21上の前フランジ41に設けられたノッチ52(
図9)に挿入される。スペーサ42の本体46には、薬瓶のアダプタ(図示せず)が係合するための環状の溝53が設けられている。
【0021】
プランジャ19は、磁石58を含む真鍮ケーシング57のネジ付きネック56に取り付けられたリトラクタ55(
図3、
図19、
図20)によって規定されたピストン54によって前方に駆動される。Oリング60(
図3)は、バレルの前部6に対してリトラクタ55のリトラクタ本体61をシールし、Oリング62は、バレル1の後部7に対して磁石ケーシング57をシールしている。リトラクタ本体61に設けられた環状フランジ63は、ピストン54の前方移動時にバレル1内を摺動する。ピストン54が前方に移動すると、ガスは、バレルの前部6の底部の開口部65から、バルブ本体68の上部の開口部67を介してバルブ2内に排出される。バレルの前部6の後端部には、環状の鋼製のショックアブソーバ69が取り付けられている。
【0022】
円筒形磁石58とケーシング57、ひいてはピストン全体は、調節シャフト72の前端に取り付けられた鋼製保持器71によって、静止位置(
図3)に保持されている。シャフト72は、シャフト上の環状フランジ74内のOリング73によってバレル内にシールされている。フランジ75もシャフト72の前端に設けられ、フランジ74と75の間の領域は、バルブ2からのガスを受け入れるためのチャンバ76を画定する。チャンバ76に入ったガスは、ピストン54を前進させるためにフランジ75のノッチ77を通過する。ガスは、バレル1の底部及びバルブ本体68の上部にそれぞれ設けられた開口部78及び79を介してチャンバ76に入る。
図20に最もよく示されているように、シャフト72のネジ付き後端80は、バレルの後部7の内部ネジ付き解除後端81を貫通して延びている。
【0023】
注射後、ユーザは、キャップ152を回転させて、投与される用量に対応する量だけプランジャを後方に(排出端から離れるように)付勢することによって、カートリッジプランジャ159を注射位置にリセットする。例えば、1回の回転でプランジャを後方に移動させて1用量単位(0.025mLなど)の投与に備え、用量単位の複数の個別の増分を投与するために、キャップ152を必要に応じて複数回回転させる。例えば、0.025mLの増分投与単位を有する注射器のキャップ152の2回の回転は、注射器トリガーの1回の作動で0.05mL(すなわち、2×0.025mL)の合計注射を提供することになる。
【0024】
シャフト72のネジ付き後端81(
図3、
図20)には、シャフトを回転させるためのキャップ82(ピストンキャップ)がネジ83で接続されている。キャップ15と同様に、キャップ82は、長手方向に延びる隆起部84を含み、キャップの手動操作を容易にする。キャップ82及びシャフト72が回転されると、磁石ケーシング57の前端とショックアブソーバ69(
図3及び
図20)との間の間隔が変化し、これによりピストンストロークの長さが変わり、結果としてピストン54によりシリンジプランジャ19に付与される力が変化する。
【0025】
圧縮空気または高圧の他の気体は、バルブ本体68の後端部86に導入される。上述したように、バルブ2は、環状フランジ63の前方で、磁石58及びケーシング57の後方にあるチャンバ64及び76から圧力下のガスをそれぞれ受け入れるための開口部67及び79を含むバルブ本体68を含む。バルブ本体68の内ネジ式の前端部には、外ネジ式の前端部88を有するスリーブ87が装着されている。スリーブ87は、スリーブ内の直径方向に対向する開口部93及び94を縁取るOリング89、90及び91によってバルブ本体68内に密封されている。
【0026】
バルブステム前部96は、バルブ本体68の開口部93及び97へのアクセスを許容又は防止するために、スリーブ87内で摺動可能である。バルブステム前部96は、スリーブ87から延びる半球状の前端部98を有し、これは、バルブステム前部96を後方に押すためにトリガー99によって係合される。
図1及び
図3に最もよく示されているように、トリガー99は、トリガーアセンブリ4の一部を形成しており、このトリガーアセンブリは、概してU字形のトリガーガード100も含んでいる。トリガーガード100は、その上端101でバレル1に、その下端102でハンドル3に接続されている。
【0027】
注射器の静止位置では、空気は、バルブステム後部105の後端部のフランジ104内のOリング103によって、開口部78及び79を介して後部チャンバ76に入るのを阻止される。空気は、バルブステム後部105の長手方向に延びる通路106を通過することができる。空気は、バルブステム前部96の後端とバルブステム後部105の前端に設けられたフランジ109によって囲まれたチャンバ108を流れ、開口部67及び63を通ってフロントチャンバ64に入る。
【0028】
バルブステム前部96が後方に押されると、その尖った小径の後端110(
図20)がバルブステム後部105の通路106の前端部に入り込んで通路を閉じる。バルブステム前部96の後方への移動中、後端110に設けられたヘリカルスプリング111は、バルブステム前部96に設けられたフランジ109とバルブステム後部105の前端との間で圧縮される。バルブステム前部96は、ステム前部96の縮径された中央領域115の両端付近の溝に設けられたOリング113及び114によってスリーブ87内にシールされている。ステム前部96が後方に摺動すると、ステム前部96の縮径された領域115の後端が開口部65及び67と整合するように移動し、それによってフロントチャンバ64内のガスが開口部65及び67を通り、縮径された領域115に沿って、スリーブの開口部93及びバルブ本体68の開口部97の底部を通り、ハンドル3内の通路117及び118(
図3)に入って大気に放出することが可能となる。
【0029】
バルブステム前部96が後方へ移動してスプリング111を圧縮すると、バルブステム後部105を螺旋スプリング120に抗して後方へ押す。ステム後部105の後端にあるフランジ104(
図20)がバルブ本体68の広い後部、入口端86に摺動すると、圧力下のガスは後部バルブステムの縮径部周辺の通路123に入る。ガスは、開口部79及び78を通って流れ、ピストン54の後方のチャンバ76に入る。バルブステム後部109は、休止位置にあるとき(
図3)、Oリング104、125及び126によってスリーブ87の後端及びバルブ本体68内にシールされ、解除位置にあるとき、即ちガスがチャンバ76に流入しているとき、Oリング125、126及び127(
図20)によりシールされている。チャンバ76に流入する圧力下のガスは、ピストン54を前方に駆動して、リトラクタ55の前端がプランジャ19の後端部22に衝突してシリンジバレル21の内容物を排出させる。ピストン54が前方に移動すると、ガスは、上述の方法でチャンバ64から排出される。トリガー99が解放されると、スプリング110及び120は、バルブステム前部96及びバルブステム後部109をそれぞれ
図3及び
図20に示す静止位置へ戻す。バルブステムの休止位置に移動すると、管状のステム後部109を通って流れるガスが、ステム後部109内の通路107、バルブステム前部フランジ112とバルブステム後部109の前端との間のチャンバ130、及び開口部65及び94を介してチャンバ64に入り、ピストン54を後方に駆動する。磁石58は、鋼製保持器71に突き当たって静止し、静止位置に保持される。磁石が後方に移動すると、ガスは、開口部78及び79、通路123、通路123の前端の肩132間の隙間131、バルブ本体68の底部の第2の開口部133(
図20)及びハンドル3の通路117及び118を介してチャンバ76から排出される。
【0030】
図21から
図23に示されるように、無針注射器の第2の実施形態は、一般に140で示される細長い円筒形のバレルと、バレル140の下にある管状のバルブ141と、バルブ141から下方に延びるグリップまたはハンドル142とをも含んでいる。本発明のこの実施形態では、バレル140、バルブ141のバルブ本体143及びグリップ142は、射出成形によって一体に形成されたものである。トリガーアセンブリ144は、バルブ本体143及びグリップ142の前でバレル140から下方に延びている。
【実施例】
【0031】
バレル140は、前部145、中間部146、後部147、及び中間部146を後部147に接続する管状コネクタ148によって画定される。
図24から
図26に最もよく示されているように、バレル140の前部145は、内部ねじ付き管状キャップ152と嵌合するための外部ねじ付き前端150を有する管状本体149を含んでいる。キャップ152の解除された前部、排出端153は、使い捨て注射器またはカートリッジ157(
図27及び
図28)の管状本体156上のねじ山155と嵌合するためのねじ山154(
図25)を含んでいる。このタイプの使い捨て注射器の例は、Menassaに対する米国特許第9,662,460号に記載されており、参照により本明細書に組み込まれる)。キャップ152の長手方向に延びる溝158は、キャップをバレル140の前部145の長手方向に移動させるためのキャップの手動回転を容易にする。
【0032】
使い捨て注射器157は、ピストンまたはプランジャ(カートリッジプランジャ)159を摺動可能に受容するための管状本体156を含む。本体156は、開いた内端160と閉じた外端161を有する。外側端または前端161の近くの環状15フランジ162は、バレル140内への本体156の動きを制限する。フランジ162後ろの本体156上のねじ山155は、注射器を注射器に取り付けるときに、キャップ152の内部ねじ切りされた排出端153と係合する。本体156内のチャンバ164からの流体、典型的には薬は、本体156の外端161のオリフィス165を通って排出される。外端161の凹部166は、従来の外部ネジ付き針、カテーテル又は他の装置(図示せず)を注射器に接続するためのルアーロックの一部を形成している。本体156の円筒形外端161に設けられた長手方向に延びるリブ168は、注射器157を注射器バレル140にねじ込む際に、本体の把持を容易にするものである。プランジャ159は、補強ガセット171を有するその長さの大部分を通して十字形断面の細長い本体170を含む。Oリング172がプランジャ本体170を本体156内に密封している。
【0033】
図28に最もよく示されているように、チャンバ164の排出端174とプランジャ159の対応する端175は、本質的に同じ形状を有する。チャンバ164の端部174は、オリフィス165に向かって先細りになっており、環状突起部又は制限179を含む。プランジャ159の端部175は、チャンバ164の端部174と同一のテーパを有し、その先端181の近くに環状の溝180(弱点線)を有している。環状突起部179に遭遇したときに先端が圧縮できるように、長手方向に延びるスロット(図示せず)が端部175に設けられることができる。
【0034】
操作時には、シリンジ157のオリフィス端は薬瓶(図示せず)に接続され、プランジャ159はチャンバ164内に薬を引き込むために後退される。注射時にプランジャ159を本体156に押し込むと、先端181がチャンバ164の端部174に詰まり、環状突起部179が溝180に入り込む。プランジャ159が引き込まれるとき、プランジャの狭い先端181はオリフィス165に対して位置したままであるが、プランジャの残りの部分が引き込まれる。従って、オリフィス165は内側から永久に塞がれ、注射器の再使用を防止する。
【0035】
装填されたシリンジ157がキャップ152に装着された状態で、シリンジ本体156は、キャップ152及びバレル前部145の前端部を貫通して延在する。キャップ152は、キャップ152の後端部に取り付けられたロックリング183(
図23、
図25、
図26)によって、複数の位置のうちの1つに解放可能にロックされる。ロックリング183は、解除側を外側に向けた断面U字型の環状体185を有する。本体185には、Oリング186が着座している。プラスチック製のボール188は、環状体185の内壁に設けられた小孔に着座している。ボール188は、Oリング186によって、バレル前部145の本体に対して内側に偏っている。キャップ152の回転中、ボール188は、螺旋状の移動経路に従ってバレル前部145の本体の周囲を摺動する。選択された位置で、ボール188は、バレル前部145の長手方向に延びる溝190(
図25)に遭遇する。Oリング186は、ボール188を溝190に押し込んで、キャップ152を所定の位置に解放可能にロックする。
【0036】
装填されたシリンジ157がキャップ152に装着されると、プランジャ159の後端191は、バレル前部145の縮径された後端193に取り付けられた透明なプラスチック製の円筒窓192の下に見えるようになる。後端193の上部にある孔194によって、シリンジプランジャ159の後端191を見ることができる。窓192上の線196及び数字197(
図24及び
図25)の形の指標は、注射が行われたときに注射器から排出される用量の指標を提供する。バレル前部145のネジ付き後端193がバレル中間部146の内ネジ付き前端198と嵌合すると、窓192は2つのバレル前部145、バレル中間部146の間に挟まれた状態となる。耳200(
図24及び
図25)は、窓192の前端から前方に向かって延び、バレル前部145の後端に設けられた切欠201に入って、バレル前部145及びバレル中間部146に対する窓192の回転をそれぞれ防止している。
【0037】
バレル中間部146の前端部にある六角フランジ203は、コネクタ148へのセクションの取り付けの際にセクションの回転を容易にする。取り付けの間、バレル部中間146の外部ねじ切りされた後端204は、コネクタ148の内部ねじ切りされた後端206と嵌合する。別の実施形態では、(
図31に示すような)ねじ付きナット300がバレル中間部146に取って代わり、図示のインジェクタのねじ付きセクション301で注射器の本体と接続する(
図32及び
図33を参照)。ねじ付きナット300は、例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第9,067,020号に記載されている制御ボックスなどの他のワンド型注射器及び付属品との前部バレルの取り付けを可能にする。コネクタ148の後端205上の外部ねじ山207は、バレル後部147の前端上の内部ねじ山と嵌合する。Oリング210及び211(
図28)は、注射器のこれら3つの要素間にシールを提供する。
【0038】
トリガーアセンブリ144は、その前端部付近でコネクタ148に取り付けられている。トリガーアセンブリ144は、コネクタ148に摺動するスリーブ214と、スリーブ214から下方に延びる概ねC字形のトリガーガード215と、トリガーガード215の上端部に枢動可能に取り付けられたトリガー216とを含む。トリガーガード215の底部後端218は、グリップ142の前端部のノッチ219(
図22及び
図23)内に延在している。
【0039】
バレル中間部146には、スリーブベアリング221が装着されている。ピストン223の縮径された前端222は、ベアリング221内を、格納位置(
図23)と、シリンジプランジャ159の後端191に衝突する拡張位置(図示せず)との間で摺動する。ピストン223は、ベアリング221を通る空気流を許容する等距離に間隔を置いた3つの長手方向に延びる溝224(
図29)を含む。ピストン223は、ピストンアセンブリ225(
図23、
図29及び
図30)の前端を画定している。
【0040】
シリンジプランジャ159は、ピストン223、真鍮ケーシング226及び磁石227(
図23、
図29及び
図30)によって規定されるピストンアセンブリ225によって前方に駆動される。ピストン223は、真鍮製ケーシング226のねじ山付きネック228に取り付けられている。真鍮ケーシング226は、Oリング229によってバレル140内に密閉されている。ピストン223上のピストンリングを規定する環状フランジ230は、ピストンの前進運動の間、バレル140内を摺動する。フランジ230はOリング232を含み、バレル中間部146とピストンとの間にシールを提供する。ピストン223が前方に移動すると、ガスは、コネクタ148の後端とケーシング226の前端との間のフロントチャンバ233(
図23)から、バレル後部147の底部の開口部234を通ってバルブ141に排出される。
【0041】
磁石227と真鍮ケーシング226は、アジャスタシャフト237の前端部に取り付けられた鋼製リテーナ236によって静止位置(
図30)に保持されている。シャフト237は、シャフト上の環状フランジ241内のOリング240によってバレル140内に密封されている。フランジ241と真鍮ケーシング226の後端との間の領域は、バルブ141からガスを受け入れるためのチャンバ242を画定する。チャンバ242に入るガスは、ピストン・アセンブリを前方に駆動する。ガスは、バレル140の底部及びバルブ本体143の上部に設けられた開口部244を介して、チャンバ242に入る。
図30に最もよく示されているように、シャフト237のネジ付き後端245は、バレル後部147の内部ネジ付き解除後端247を通って延びている。
【0042】
キャップ248(ピストンキャップ)は、シャフト237のネジ付き後端247(
図23、
図29、
図30)に、シャフトを回転させるためのネジ249によって接続されている。キャップ152と同様に、キャップ248は、長手方向に延びる溝250(
図29)を含み、キャップの手動操作を容易にする。キャップ248とシャフト237が回転されると、磁石227と真鍮ケーシング226の前端とコネクタ148の後端との間の間隔が変化し、これにより、ピストン225によってシリンジプランジャ159に付与される力が変化する。バレル140の側面のインジケータ251は、ピストン225の位置、ひいてはピストンに付与される力の指標を提供する。
【0043】
圧縮空気または高圧の他の気体は、バルブ本体143の入口端252に導入される。上述したように、バルブ141は、フランジ(Oリング)229の前方で、磁石227及び真鍮ケーシング226の後方にあるフロントチャンバ233及び242から高圧ガスをそれぞれ受け入れるための開口部234及び244を含む筒状のバルブ本体143を含む。バルブ本体143の内ネジ式の前端部には、外ネジ式の前端部255を有するスリーブ254が装着されている。スリーブ254は、スリーブ内の直径方向に対向する開口部260及び261を縁取るOリング257、258及び259(
図30)によりバルブ本体143内に密閉されている。
【0044】
前部バルブステム262は、バルブ本体143の溝240及び241へのアクセスを許容又は防止するために、スリーブ254内で摺動可能である。前部バルブステム262は、スリーブ254から延びる半球状の前端部263を有し、これは、トリガー216によって前部バルブステム262を後方へ押すように係合される。
【0045】
注射器の静止位置では、空気は、後部バルブステム266の後端部にあるフランジ(
図30)のOリング264によって、開口部244を介して後部チャンバ242に入るのを阻止される。空気は、後部バルブステム266の長手方向に延びる通路268を通過することができるようになっています。空気は、前部バルブステム262の後端と後部バルブステム266の前端のフランジ270によって囲まれたチャンバ269を自由に流れることができる。
【0046】
前部バルブステム262がトリガー216によって後方に押されると、その尖った小径の後端部272(
図22及び
図30)が後部バルブステム266内の通路268の前端部に入り込んで通路を閉鎖する。前部バルブステム262の後方への移動中に、後端部272に設けられた螺旋状スプリング273は、前部バルブステム262の後端部と後部バルブステム266の前端部との間で圧縮される。前部バルブステム262は、ステムの縮径された中央領域278の両端付近の溝に設けられたOリング276、277によってスリーブ254内に密封されている。前部バルブステム262が後方に摺動すると、ステムの縮径された中央領域278の端部は開口部234と整合するように移動し、それによってフロントチャンバ233内のガスは開口部234を通り、縮径された中央領域278に沿って、スリーブ254の開口部260の底部と開口を通過して大気への排気用グリップ142内の通路280(
図23、
図30)へと移動できるようになっている。
【0047】
前部バルブステム262が後方に移動して螺旋状スプリング273を圧縮すると、後部バルブステム266を螺旋状スプリング282に抗して後方に押し出す。後部ステム266の後端にあるOリング264とフランジ265(
図30)がバルブ本体143の広い後部、入口端252にスライドすると、圧力下のガスは後部バルブステム266の縮径部周辺の通路283に入る。ガスは開口部244を通って流れ、真鍮ケーシング226の後方のチャンバ242に入る。後部バルブステム266は、静止位置(
図23)にあるときはOリング264、285及び286によってスリーブ254の後端及びバルブ本体内でシールされ、噴射位置にあるとき、即ちガスがチャンバ242に流入しているときはOリング285、286及び288(
図30)によってシールされている。チャンバ242に入る圧力下のガスは、ピストン223を前方に駆動して、前端がシリンジプランジャ159の後端191に衝突してシリンジバレル157の内容物を排出させるようにする。ピストン225が前方に移動すると、ガスは、上述した方法でフロントチャンバ233から排出される。トリガー216が解放されると、螺旋状スプリング273及び282は、前部バルブステム262及び後部バルブステム及び266をそれぞれ
図23及び
図30に示す静止位置に復帰させる。バルブステム262、266が静止位置に移動しているとき、管状の後部ステム266を流れるガスは、ステム内の通路268、前部バルブステムフランジ262とバルブステムの前端との間のチャンバ、及び開口部234を介してフロントチャンバ233に入り、ピストン225を後方へ駆動させる。磁石227は、鋼製リテーナ236に対して静止している。ピストン225が後方に移動すると、ガスは、グリップ142の開口部244、通路283、及び通路290を介してチャンバ242から排出される。後部バルブステム266上の分割TEFLON(登録商標)スリーブ292は、ピストン225の静止位置への後方移動を遅らせるチャンバ242からのガスの排出を遅らせる。
【0048】
上記の図及び開示は、例示を意図したものであり、網羅的なものではない。本明細書は、当業者にとって多くの変形例及び代替案を示唆するものである。すべての変形例及び代替案は、添付の特許請求の範囲に包含されることが意図されている。当業者であれば、その趣旨及び範囲から逸脱することなく、本明細書に記載された特定の実施形態に対する他の等価物を認識することができる。
【国際調査報告】