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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-12
(54)【発明の名称】合成ガスを製造するための方法
(51)【国際特許分類】
   C01B 3/38 20060101AFI20230405BHJP
   C01B 3/02 20060101ALI20230405BHJP
   C25B 1/042 20210101ALI20230405BHJP
   C25B 9/00 20210101ALI20230405BHJP
   C07C 29/151 20060101ALI20230405BHJP
   C07C 31/04 20060101ALI20230405BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20230405BHJP
【FI】
C01B3/38
C01B3/02 H
C25B1/042
C25B9/00 A
C07C29/151
C07C31/04
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022551575
(86)(22)【出願日】2021-02-24
(85)【翻訳文提出日】2022-10-04
(86)【国際出願番号】 EP2021054520
(87)【国際公開番号】W WO2021170628
(87)【国際公開日】2021-09-02
(31)【優先権主張番号】PA202000259
(32)【優先日】2020-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590000282
【氏名又は名称】トプソー・アクチエゼルスカベット
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】シェルネホフ・エーミル・アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ハン・パト・ア
【テーマコード(参考)】
4G140
4H006
4H039
4K021
【Fターム(参考)】
4G140EA03
4G140EA05
4G140EA06
4G140EA07
4G140EB01
4G140EB03
4G140EB18
4G140EB42
4G140EB43
4G140EB44
4H006AA02
4H006AC41
4H006BA00
4H006BE20
4H006BE40
4H006BE41
4H006FE11
4H039CA60
4H039CL25
4K021AA01
4K021BA02
4K021DB31
4K021DC01
4K021DC03
4K021DC11
(57)【要約】
水の電気分解、炭化水素供給材料の管状水蒸気改質および自己熱改質を並列に組み合わせる、合成ガスの製造方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のステップ:
(a)炭化水素供給材料を供するステップ;
(b)水および/または水蒸気の電気分解による、個別の水素含有流および個別の酸素含有流を用意するステップ;
(c)ステップ(a)からの炭化水素供給材料の第1の部分を、管状水蒸気改質器において水蒸気改質して、水素、一酸化炭素および二酸化炭素を含む管状水蒸気改質ガスとするステップ;
(d)前記炭化水素供給材料の第2の部分を、自己熱改質器において、ステップ(b)で得られた酸素含有流の少なくとも一部で自己熱改質して、水素、一酸化炭素および二酸化炭素を含む自己熱改質ガス流とするステップ;
(e)ステップ(c)からの水蒸気改質ガスをステップ(d)からの自己熱改質ガスと組み合わせるステップ;
(f)ステップ(b)からの個別の水素含有流の少なくとも一部を、ステップ(a)からの炭化水素供給材料中に、および/またはステップ(c)からの水蒸気改質ガス流中に、および/またはステップ(d)からの自己熱改質ガス流中に、および/またはステップ(e)からの組み合わされた水蒸気改質ガスおよび自己熱改質ガス流中に添加するステップ;および
(g)合成ガスを回収するステップ
を含む、合成ガスの製造方法。
【請求項2】
管状水蒸気改質器からの煙道ガスにおける二酸化炭素が回収され、ステップ(c)における水蒸気改質に添加される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップ(b)における水および/または水蒸気の電気分解に、再生可能エネルギーによって電力が供給される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
水素流が、組み合わされた管状水蒸気改質ガスおよび自己熱改質ガス流に、ステップ(g)において回収される合成ガスにおいて、1.9~2.2のモジュールM=(H-CO)/(CO+CO)を与える量で添加される、請求項1~3のいずれか1つに記載の方法。
【請求項5】
ステップ(g)において回収される合成ガスにおけるモジュールM=(H-CO)/(CO+CO)が、2~2.1の範囲にある、請求項1~4のいずれか1つに記載の方法。
【請求項6】
ステップ(a)からの炭化水素供給材料の一部および/またはステップ(c)からの管状水蒸気改質ガスを熱交換改質するさらなるステップを含む、請求項1~5のいずれか1つに記載の方法。
【請求項7】
炭化水素供給材料が、天然ガス、メタン、LNG、ナフサまたはそれらの混合物を、そのまま、または予備改質および/または脱硫されたものとして含む、請求項1~6のいずれか1つに記載の方法。
【請求項8】
ステップ(g)において回収される合成ガスが、さらなるステップにおいて、メタノール生成物に転化される、請求項1~7のいずれか1つに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、合成ガスの製造に向けられている。より詳細には、本発明は、水素および炭素酸化物含有合成ガスの製造において、水の電気分解、並行して炭化水素供給材料の管状水蒸気改質および自己熱改質、ならびに任意選択的に追加的な熱交換改質を組み合わせる。
【背景技術】
【0002】
合成ガス(例えばメタノール合成のための)の製造は、典型的には炭化水素の水蒸気改質によって行われる。
【0003】
水蒸気改質の主要な反応は以下である(メタンに関して):
【0004】
【化1】
類似の反応が他の炭化水素に関して起こる。水蒸気改質は通常、水性ガスシフト反応を伴う:
【0005】
【化2】
水蒸気改質は、典型的には、管状改質器(水蒸気メタン改質器(SMR)とも呼ばれる)と自己熱改質(ATR)の組み合わせ(一次および二次改質、または2段階改質としても知られる)によって実施される。あるいは、単独型SMRまたは単独型ATRを使用して合成ガスを製造することもできる。
【0006】
ATR反応器の主な要素は、バーナー、燃焼チャンバー、および耐火物で裏打ちされた圧力シェル内に含まれる触媒床である。ATR反応器では、化学量論量未満の量の酸素による炭化水素供給材料の部分酸化または燃焼に、水蒸気改質触媒の固定床中での部分的に燃焼した炭化水素供給材料流の水蒸気改質が続く。水蒸気改質は、高温により燃焼チャンバー内でもある程度起こる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
2段階改質において、水蒸気メタン改質器(SMR)は大きくなければならず、吸熱性の水蒸気改質反応を駆動するためにはかなりの量の熱が必要とされる。従って、水蒸気改質器のサイズおよびデューティを低減できることが望ましい。さらに、2段階改質コンセプトにおけるATRは、酸素を必要とする。今日、これは、典型的には極低温空気分離ユニット(ASU)で製造される。このASUのサイズとコストは大きい。酸素が他の手段によって生成され得るならば、それが望ましいだろう。
【0008】
SMRは、適切なメタノール合成ガス組成に必要とされるものに対して過剰に水素を生成し、一方でATRはより少ない量で水素を生成する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
我々は、水および/または水蒸気の電気分解と一緒に並行して管状水蒸気改質および自己熱改質を組み合わせると、電気分解からの酸素をATRにおいて使用することができ、高価なASUが合成ガスの製造において不要になることを見出した。
【0010】
同時に、電気分解からの水素はメタノール生成に必要な水素に寄与し、これは、プロセスへの追加的な二酸化炭素の添加を可能にし、さらに、メタノール合成に必要なモジュールをもたらす。
【0011】
従って、本発明は、以下のステップ含む、合成ガスの製造方法を提供する:
(a)炭化水素供給材料を供するステップ;
(b)水および/または水蒸気の電気分解による、個別の水素含有流および個別の酸素含有流を用意するステップ;
(c)ステップ(a)からの炭化水素供給材料の第1の部分を、管状水蒸気改質器において水蒸気改質して、水素、一酸化炭素および二酸化炭素を含む管状水蒸気改質ガスとするステップ;
(d)前記炭化水素供給材料の第2の部分を、自己熱改質器において、ステップ(b)で得られた酸素含有流の少なくとも一部で自己熱改質して、水素、一酸化炭素および二酸化炭素を含む自己熱改質ガス流とするステップ;
(e)ステップ(c)からの水蒸気改質ガスをステップ(d)からの自己熱改質ガスと組み合わせるステップ;
(f)ステップ(b)からの個別の水素含有流の少なくとも一部を、ステップ(a)からの炭化水素供給材料中に、および/またはステップ(c)からの水蒸気改質ガス流中に、および/またはステップ(d)からの自己熱改質ガス流中に、および/またはステップ(e)からの組み合わされた水蒸気改質ガスおよび自己熱改質ガス流中に添加するステップ;および
(g)合成ガスを回収するステップ。
【0012】
管状水蒸気改質は、管状水蒸気改質におけるバーナーからの煙道ガス中にCOを生成する。本発明の一実施態様において、煙道ガス中のCoは回収され、管状水蒸気改質プロセスに添加される。
【0013】
これにより、有利には、添加されたCOがメタノール製造に利用される場合に、本発明による方法のCOフットプリントが低減される。
【0014】
さらにCO排出を最小化するために、供給材料の一部を、管状水蒸気改質器の下流の熱交換改質器において熱交換改質することができ、および/または管状水蒸気改質ガスをさらに熱交換改質して、燃料消費を低減することができる。
【0015】
電気分解は、当技術分野で知られている様々な手段、例えば、固形酸化物をベースとする電気分解、またはアルカリ電池もしくは高分子電池(PEM)による電気分解によって行うことができる。
【0016】
電気分解のための電力が(少なくとも部分的に)持続可能なソースによって生成される場合、当該方法によって製造される生成物の単位あたりのCO-排出が低減される。
【0017】
好ましくは、水および/または水蒸気の電気分解は、再生可能エネルギーのみによって電力が供給される。
【0018】
既に上述したように、電気分解ユニットからの全ての酸素がステップ(d)において自己熱改質器に添加され、空気の分離による酸素の調製のためのASUが回避される。
【0019】
本発明による方法は、好ましくは、メタノール合成ガスの製造に使用される。
【0020】
メタノール合成ガスは、好ましくは、1.90~2.20またはより好ましくは2をわずかに超える(例えば2.00~2.10)の、いわゆるモジュール(M=(H2-CO2)/(CO+CO2))に相当する組成を有する。
【0021】
従って、本発明による方法がメタノール合成ガスの製造に使用されると、上流でSMRまたはATRに、またはステップ(e)の下流の改質されたガスに添加される水素の量を、水素を改質ステップにより生成される合成ガスおよび任意選択的に管状水蒸気改質器から回収されるCO添加と混合する場合に、1.90~2.20、または好ましくは2.00~2.10というMの所望の値が達成されるように、調整することができる。
【0022】
概して、本発明の種々の実施形態において使用するために適した炭化水素供給原料は、天然ガス、メタン、LNG、ナフサまたはそれらの混合物を、そのまま、または予備改質および/または脱硫されたものとして含む。
【0023】
本発明による方法はまた、供給材料ガス中の水素濃度を増加させることが望ましく、水素および酸素が有利には電気分解によって生成される他の用途のための合成ガスを製造するために使用することもできる。
【国際調査報告】