(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-13
(54)【発明の名称】ガス流の供給に関連する改善
(51)【国際特許分類】
A61M 16/10 20060101AFI20230406BHJP
A61M 16/06 20060101ALI20230406BHJP
【FI】
A61M16/10 A
A61M16/06 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022552227
(86)(22)【出願日】2021-02-26
(85)【翻訳文提出日】2022-10-17
(86)【国際出願番号】 IB2021051587
(87)【国際公開番号】W WO2021171224
(87)【国際公開日】2021-09-02
(32)【優先日】2020-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504298349
【氏名又は名称】フィッシャー アンド ペイケル ヘルスケア リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100196221
【氏名又は名称】上潟口 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】ペイトン マシュー ジョン
(57)【要約】
本開示は、患者にガス流を提供する流れ発生装置であって、ガス流が酸素分画を備える、流れ発生装置と、患者の鼻及び/又は口における酸素分画に関連する入力を受信し、患者の鼻及び/又は口における酸素分画に基づいてガス流の流量を調整するように構成された制御装置とを備える方法及び呼吸システムに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者にガス流を提供する流れ発生装置であって、前記ガス流が酸素分画を備える、流れ発生装置と、
センサから入力を受信し、
前記患者の鼻及び/又は口における酸素分画に基づいて前記ガス流の流量を調整するように構成された、制御装置と
を備える、
呼吸システム。
【請求項2】
患者にガス流を提供する流れ発生装置であって、前記ガス流が酸素分画を備える、流れ発生装置と、
患者の鼻及び/又は口における酸素分画に関連する入力を受信し、
前記患者の鼻及び/又は口における前記酸素分画に基づいて前記ガス流の流量を調整するように構成された、制御装置と
を備える、
呼吸システム。
【請求項3】
前記流れ発生装置が、高流量ガス流を提供する、請求項1又は2に記載の呼吸システム。
【請求項4】
前記制御装置が、前記患者の鼻又は口における前記酸素分画の表示を得るようにさらに構成される、請求項1、2、又は3に記載の呼吸システム。
【請求項5】
前記ガス流量が、前記患者の鼻及び/又は口における前記酸素分画と前記ガス流の酸素分画との関係に基づいて調整される、1~4のいずれか一項に記載の呼吸システム。
【請求項6】
前記センサが、前記制御装置に結合されるO2分画センサである、請求項1、又は3~5のいずれか一項に記載の呼吸システム。
【請求項7】
ガス流を加湿するための加湿器、
吸気チューブ、
導管(たとえば、ドライライン又は加熱された呼吸チューブ)、
患者インターフェース、
圧力逃し弁フィルタ、
フィルタ
のうちの1つ又は複数をさらに備える、
請求項1~6のいずれか一項に記載の呼吸システム。
【請求項8】
前記制御装置が、
前記患者の口及び/又は鼻における前記酸素分画に基づいて、前記ガス流が吸気要求量を満たすか、吸気要求量を満たさないかを判定する
ようにさらに構成される、請求項1~7のいずれか一項に記載の呼吸システム。
【請求項9】
前記制御装置が、
前記患者の口及び/又は鼻における酸素分画と前記ガス流の酸素分画との関係に基づいて、前記ガス流が吸気要求量を満たすか、吸気要求量を満たさないかを判定する
ようにさらに構成される、請求項1~8のいずれか一項に記載の呼吸システム。
【請求項10】
患者が吸気要求量を満たしているか満たしていないかをユーザに伝えるように構成されたユーザインターフェース及び前記制御装置
をさらに備える、請求項7又は8に記載の呼吸システム。
【請求項11】
前記酸素分画が、少なくとも約21%より大きく、任意に、
100%、又は
約30%~約50%である、
請求項1~10のいずれか一項に記載の呼吸システム。
【請求項12】
前記流量が、任意に、毎分約20リットル以上、又は、前記流量が、任意に、毎分約20~90リットル、又は、任意に、毎分約40~70リットルである、請求項1~11のいずれか一項に記載の呼吸システム。
【請求項13】
非密閉患者インターフェース、好ましくは、非密閉鼻カニューレを備える、又は、それとともに使用される、請求項1~12のいずれか一項に記載の呼吸システム。
【請求項14】
前記ガス流が前記患者の吸気要求量を満たすかどうかが、前記口及び/又は鼻における前記酸素分画を前記ガス流の酸素分画と比較することを含む、請求項8又は9に記載の呼吸システム。
【請求項15】
前記患者の鼻及び/又は口における前記判定された酸素分画が前記ガス流の酸素分画より小さい場合、前記ガス流が前記患者の吸気要求量を満たしていないと判定される、請求項8、9、又は14に記載の呼吸システム。
【請求項16】
前記患者の鼻及び/又は口の酸素分画が、前記ガス流の酸素分画に等しい又は略等しい(「一致する」)場合、前記ガス流が前記患者の吸気要求量を満たしている又はそれに近いと判定される、請求項8、9、又は14に記載の呼吸システム。
【請求項17】
前記吸気要求量が満たされていない場合、前記ガス流流量が、前記制御装置によって増加される、請求項8~16のいずれか一項に記載の呼吸システム。
【請求項18】
前記ガス流流量が、任意に、毎分約20リットル以上、又は、任意に、毎分約20~約90リットル、又は、任意に、毎分約40~約70リットルの流量まで増加される、請求項17に記載の呼吸システム。
【請求項19】
前記吸気要求量を超えている場合、前記ガス流流量が、前記制御装置によって維持又は減少される、請求項8~16のいずれか一項に記載の呼吸システム。
【請求項20】
前記患者の吸気要求量が満たされていないと判定されるまで、前記ガス流流量が維持される、請求項8~19のいずれか一項に記載の呼吸システム。
【請求項21】
前記患者の吸気要求量が満たされていないという判定が、前記制御装置が、
以前の患者呼吸サイクルの設定数を監視することと、
周囲空気の巻き込みを有する、以前の患者呼吸サイクルの数を判定することと、
周囲空気の巻き込みを有する、以前の患者呼吸サイクルの前記数を設定閾値と比較することと
を含む、請求項8、9、又は14、15に記載の呼吸システム。
【請求項22】
周囲空気の巻き込みを有する、以前の患者呼吸サイクルの前記数が設定閾値を超える場合、患者の吸気要求量は満たされない、請求項21に記載の呼吸システム。
【請求項23】
前記システムが、麻酔処置の前に、患者に前記ガス流を提供するように作動し、前記ガス流の前記酸素分画が100%である、請求項1~22のいずれか一項に記載の呼吸システム。
【請求項24】
前記システムが、鎮静処置中に、患者に前記ガス流を提供するように作動し、前記ガス流の前記酸素分画が約21%以上である、先の請求項1~23のいずれか一項に記載の呼吸システム。
【請求項25】
前記患者が前記鎮静処置中に無呼吸になる場合、前記ガス流の前記酸素分画が、約21%~約100%である、請求項24に記載の呼吸システム。
【請求項26】
呼吸システムから患者にガスの流れを提供する方法であって、
酸素分画を備える患者にガス流を提供するステップと、
前記患者の鼻及び/又は口における酸素分画に基づいて前記ガス流流量を調整するステップと
を含む、方法。
【請求項27】
呼吸システムから患者にガスの流れを提供する方法であって、
酸素分画を備える患者にガス流を提供するステップと、
前記ガス流が前記患者の吸気要求量を満たしているかどうかを、前記患者の口及び/又は鼻における酸素分画から判定するステップと
を含む、方法。
【請求項28】
前記ガス流が高流量である、請求項26又は27に記載の方法。
【請求項29】
前記患者の鼻又は口における前記酸素分画の表示を得ることをさらに含む、請求項26~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記ガス流量が、前記患者の鼻及び/又は口における前記酸素分画と前記ガス流の酸素分画との関係に基づいて調整される、請求項26~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記ガス流が前記患者の吸気要求量を満たすかどうかを判定することが、前記患者の口及び/又は鼻における前記酸素分画と前記ガス流の酸素分画との関係に基づく、請求項27~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記患者の鼻及び/又は口における前記酸素分画が前記ガス流の酸素分画より小さい場合、前記ガス流が前記患者の吸気要求量を満たしていないと判定される、請求項27~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記患者の鼻及び/又は口における酸素分画が、前記ガス流の酸素分画に等しい又は略等しい(「一致する」)場合、前記ガス流が前記患者の吸気要求量を満たしていると判定される、請求項27~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記吸気要求量が満たされていない場合、前記ガス流流量は増加される、請求項26~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記ガス流流量が、任意に、毎分約20リットル以上、又は、任意に、毎分約20~約90リットル、又は、任意に、毎分約40~約70リットルの流量まで増加される、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記吸気要求量を超えている場合、前記ガス流流量が維持又は減少される、請求項26~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記患者の吸気要求量が満たされていないと判定されるまで、前記ガス流流量が維持される、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記患者の吸気要求量が満たされていないという判定が、
以前の患者呼吸サイクルの設定数を監視するステップと、
周囲空気の巻き込みを有する、以前の患者呼吸サイクルの数を判定するステップと、
周囲空気の巻き込みを有する、以前の患者呼吸サイクルの前記数を設定閾値と比較するステップと
を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
周囲空気の巻き込みを有する、以前の患者呼吸サイクルの前記数が設定閾値を超える場合、患者の吸気要求量が満たされない、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
ガス流が、麻酔処置の前に前記患者に提供され、前記ガス流の前記酸素分画が100%である、請求項26~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
ガス流が、鎮静処置中に、前記患者に提供され、前記ガス流の前記酸素分画は約21%以上である、請求項26~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記患者が前記鎮静処置中に無呼吸になる場合、前記ガス流の前記酸素分画が約21%~約100%である、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
吸気要求量を満たす又はそれに近づくために、患者の鼻及び/又は口における酸素分画及びガス流の酸素分画に基づいてガス流流量を調整する制御装置及び流れ発生装置で構成される呼吸システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、呼吸システムが患者の吸気要求量を満たすのに十分なガスの流れを提供しているかどうかを判定するための、及び/又は、患者の吸気要求量を満たす若しくは患者の吸気要求量に少なくとも近づくガス流を提供するための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高流量呼吸システムは、ガスの流れに、患者への高い流量、及び、呼吸支援のための酸素濃度を提供するために使用される。たとえば、ガスのそのような流れが、患者の呼吸を支援する、及び/又は、患者を酸素化するために提供されてもよい。患者の酸素化は、患者の肺機能が低下し、支援を必要とする場合、たとえば、患者が呼吸器疾患又は障害を患っているときの集中治療において、又は、麻酔処置の前に患者の酸素貯留を増加させる必要があるとき(「前酸素化」と呼ばれる)などの、さまざまな環境において望ましいことがある。用語「麻酔処置」は、全身麻酔、処置時の鎮静、及び領域/局所麻酔を網羅するために使用することができる。高流量呼吸システムの他の用途もある可能性があり、本明細書の実施形態は、高流量呼吸システムの他の出願のいずれかとともに使用される可能性がある。
【0003】
効果的な呼吸支援を提供するために、高流量呼吸システムは、吸気要求量、好ましくは、患者のピーク吸気要求量が満たされるような、十分に高い流量を提供しなければならない。しかしながら、解剖学、生理学、不安、意識水準、及び呼吸器疾患状態を含むさまざまな要因に起因する、ピーク吸気要求量における多くの患者間及び患者内の可変性が存在することに注目すべきである。「高い」流量を提供することが患者の吸気要求量を満たすだけ十分に高くないことがあるので、そのような可変性は、高流量呼吸システムが患者の吸気要求量を満たすために好適な流量でガス流を提供しているどうかを判定することをより困難にする。さらに、過度に高い流量と関連付けられる患者の不快感を最小化又は回避することが重要である。
【0004】
したがって、呼吸システムが、ピーク吸気要求量などの患者の吸気要求量を満たす流量でガスの流れを提供しているかどうかを判定するための方法及び装置を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
吸気要求量に基づいて患者にガス流を提供すること、及び/又は、吸気要求量の表示を得ることが本発明の目的である。たとえば、実施形態は、呼吸システムが患者の吸気要求量を満たすガスの流れを提供しているかどうかを判定する。これは、たとえば、瞬間的な吸気要求量又はピーク吸気要求量である可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの態様において、本発明は、患者にガス流を提供する流れ発生装置であって、ガス流が酸素分画を備える、流れ発生装置と、センサから入力を受信し、患者の鼻及び/又は口における酸素分画に基づいてガス流の流量を調整するように構成された制御装置とを備える呼吸システムを備えると言われてもよい。
【0007】
別の態様において、本発明は、患者にガス流を提供する流れ発生装置であって、ガス流が酸素分画を備える、流れ発生装置と、患者の鼻及び/又は口における酸素分画に関連する入力を受信し、患者の鼻及び/又は口における酸素分画に基づいてガス流の流量を調整するように構成された制御装置とを備える呼吸システムを備えると言われていてもよい。
【0008】
任意に、流れ発生装置は、高流量ガス流を提供する。
【0009】
任意に、制御装置は、患者の鼻又は口における酸素分画の表示を得るようにさらに構成される。
【0010】
任意に、ガス流量は、患者の鼻及び/又は口における酸素分画とガス流の酸素分画との関係に基づいて調整される。
【0011】
任意に、センサは、制御装置に結合されるO2分画センサである。
【0012】
任意に、システムは、
ガス流を加湿するための加湿器、
吸気チューブ、
導管(たとえば、ドライライン又は加熱された呼吸チューブ)、
患者インターフェース、
圧力逃し弁、
フィルタ
のうちの1つ又は複数をさらに備える。
【0013】
任意に、制御装置は、患者の口及び/又は鼻における酸素分画に基づいて、ガス流が吸気要求量を満たすか、吸気要求量を満たさないかを判定するようにさらに構成される。
【0014】
任意に、制御装置は、患者の口及び/又は鼻における酸素分画とガス流の酸素分画との関係に基づいて、ガス流が吸気要求量を満たすか、吸気要求量を満たさないかを判定するようにさらに構成される。
【0015】
任意に、システムは、患者が吸気要求量を満たしているか満たしていないかをユーザに伝えるように構成されたユーザインターフェース及び制御装置をさらに備える。
【0016】
任意に、酸素分画は、少なくとも約21%より大きく、任意に、100%、又は、約30%~約50%である。
【0017】
任意に、流量は、毎分約20リットル以上、任意に、毎分約20~90リットル、任意に、毎分約40~70リットルである。
【0018】
任意に、システムは、非密閉患者インターフェース、好ましくは、非密閉鼻カニューレを備える、又は、それとともに使用される。
【0019】
任意に、ガス流が患者の吸気要求量を満たすかどうかは、口及び/又は鼻における酸素分画をガス流の酸素分画と比較することを含む。
【0020】
任意に、患者の鼻及び/又は口における判定された酸素分画がガス流の酸素分画より小さい場合、ガス流が患者の吸気要求量を満たしていないと判定される。
【0021】
任意に、患者の鼻及び/又は口の酸素分画が、ガス流の酸素分画に等しい又は略等しい(「一致する」)場合、ガス流が患者の吸気要求量を満たしている又はそれに近いと判定される。
【0022】
任意に、吸気要求量が満たされていない場合、ガス流流量は、制御装置によって増加される。
【0023】
任意に、ガス流流量は、毎分約20リットル以上、任意に、毎分約20~約90リットル、又は、毎分約40~約70リットル、の流量まで増加される。
【0024】
任意に、吸気要求量を超えている場合、ガス流流量は、制御装置によって維持又は減少される。
【0025】
任意に、患者の吸気要求量が満たされていないと判定されるまで、ガス流流量は維持される。
【0026】
任意に、患者の吸気要求量が満たされていないという判定は、制御装置が、以前の患者呼吸サイクルの設定数を監視することと、周囲空気の巻き込みを有する、以前の患者呼吸サイクルの数を判定することと、周囲空気の巻き込みを有する、以前の患者呼吸サイクルの数を設定閾値と比較することとを含む。
【0027】
任意に、周囲空気の巻き込みを有する、以前の患者呼吸サイクルの数が設定閾値を超える場合、患者の吸気要求量は満たされない。
【0028】
任意に、システムは、麻酔処置の前に、患者にガス流を提供するように作動し、ガス流の酸素分画は100%である。
【0029】
任意に、システムは、鎮静処置中に、患者にガス流を提供するように作動し、ガス流の酸素分画は約21%以上である。
【0030】
任意に、鎮静処置中、ガス流の酸素分画は、約21%~約100%である。
【0031】
別の態様において、本発明は、酸素分画を備える患者にガス流を提供するステップと、患者の鼻及び/又は口における酸素分画に基づいてガス流流量を調整するステップとを含む、呼吸システムから患者にガスの流れを提供する方法を備えると言われてもよい。
【0032】
別の態様において、本発明は、酸素分画を備える患者にガス流を提供するステップと、ガス流が患者の吸気要求量を満たしているかどうかを、患者の口及び/又は鼻における酸素分画から判定するステップとを含む、呼吸システムから患者にガスの流れを提供する方法を備えると言われてもよい。
【0033】
任意に、ガス流は高流量である。
【0034】
任意に、方法は、患者の鼻又は口における酸素分画の表示を得ることをさらに含む。
【0035】
任意に、ガス流量は、患者の鼻及び/又は口における酸素分画とガス流の酸素分画との関係に基づいて調整される。
【0036】
任意に、ガス流が患者の吸気要求量を満たすかどうかを判定することは、患者の口及び/又は鼻における酸素分画とガス流の酸素分画との関係に基づく。
【0037】
任意に、患者の鼻及び/又は口における酸素分画がガス流の酸素分画より小さい場合、ガス流が患者の吸気要求量を満たしていないと判定される。
【0038】
任意に、患者の鼻及び/又は口における酸素分画が、ガス流の酸素分画に等しい又は略等しい(「一致する」)場合、ガス流が患者の吸気要求量を満たしていると判定される。
【0039】
任意に、吸気要求量が満たされていない場合、ガス流流量は増加される。
【0040】
任意に、ガス流流量は、毎分約20リットル以上、任意に、毎分約20~約90リットル、又は、毎分約40~約70リットルの流量まで増加される。
【0041】
任意に、吸気要求量を超えている場合、ガス流流量は維持又は減少される。
【0042】
任意に、患者の吸気要求量が満たされていないと判定されるまで、ガス流流量は維持される。
【0043】
任意に、患者の吸気要求量が満たされていないという判定は、以前の患者呼吸サイクルの設定数を監視するステップと、周囲空気の巻き込みを有する、以前の患者呼吸サイクルの数を判定するステップと、周囲空気の巻き込みを有する、以前の患者呼吸サイクルの数を設定閾値と比較するステップとを含む。
【0044】
任意に、周囲空気の巻き込みを有する、以前の患者呼吸サイクルの数が設定閾値を超える場合、患者の吸気要求量は満たされない。
【0045】
任意に、ガス流は、麻酔処置の前に、患者に提供され、ガス流の酸素分画は100%である。
【0046】
任意に、ガス流は、鎮静処置中に、患者に提供され、ガス流の酸素分画は約21%以上である。
【0047】
任意に、鎮静処置中、ガス流の酸素分画は、約21%~約100%である。
【0048】
任意に、制御装置及び流れ発生装置は、吸気要求量を満たす又はそれに近づくために、患者の鼻及び/又は口における酸素分画及びガス流の酸素分画に基づいて、ガス流流量を調整する。
【0049】
別の態様において、本発明は、高流量のガス流を受ける患者に提供されるガス流の流量を調整する方法を備えると言われてもよく、その方法は、a)患者に高い流量のガス流を提供することであって、ガス流が標的ガスを備える、提供することと、b)患者の鼻及び/又は口から標的ガス測定値を得ることと、c)標的ガス測定値に基づいてガス流の流量を調整することとを含む。
【0050】
別の態様において、本発明は、高流量のガス流を受ける患者に提供されるガス流の流量を調整するためのシステムを備えると言われてもよく、そのシステムは、患者に高い流量のガス流を提供するように構成された流れ源であって、ガス流が標的ガスを備える、流れ源と、患者の鼻及び/又は口からの標的ガス測定値を備える入力を受信するように構成された制御装置とを備え、制御装置は、標的ガス測定値に基づいて、ガス流の流量を調整するように構成される。
【0051】
方法及び/又はシステムは、以下の特徴を有してもよい。
【0052】
任意に、方法は、所望の標的ガス測定値が得られるまで、ステップa)~c)を繰り返すことをさらに含む、又は、制御装置は、所望の標的ガス測定値が得られるまで、ステップa)~c)を繰り返すように構成される。
【0053】
任意に、標的ガス測定値が所望の標的ガス測定値をより小さい場合、所望の標的ガス測定値が得られるまで、ガス流の流量は増加される。
【0054】
任意に、標的ガス測定値が所望の標的ガス測定値より大きい場合、所望の標的ガス測定値が得られるまで、ガス流の流量は減少される。
【0055】
任意に、標的ガスはO2を含む。
【0056】
任意に、a)は、高い流量で患者に100%のO2/1のO2分画を提供することを含む。
【0057】
任意に、標的ガス測定値は、測定されたO2分画を備える。
【0058】
任意に、方法は、最適化するステップをさらに含む、又は、制御装置は、患者のピーク吸気要求量を満たすために、ガス流の流量を最適化するように構成される。
【0059】
任意に、所望の標的ガス測定値は、約100%又は100%近くの測定されたO2分画/約1又は1近くのO2分画を備える。
【0060】
任意に、測定されたO2分画が実質的に100%/1の分画より小さい場合、約100%又は100%近くの測定されたO2分画/約1又は1近くの測定されたO2分画が得られるまで、ガス流の流量は増加される。
【0061】
任意に、測定されたO2分画が100%/1の分画である場合、約100%又は100%近くの測定されたO2分画/約1又は1近くの測定されたO2分画が得られるまで、ガス流の流量は減少される。
【0062】
任意に、流量は、毎分約20L以上である。
【0063】
任意に、流量は、毎分約20L~約90Lである。
【0064】
任意に、ガス流は加湿される。
【0065】
任意に、患者は、自発的に呼吸している。
【0066】
任意に、患者は、麻酔処置の前に、前酸素化を施している。
【0067】
別の態様において、本発明は、患者のピーク吸気要求量が満たされるかどうかを判定する方法を備えると言われてもよく、その方法は、a)患者に高い流量のガス流を提供することであって、ガス流が(100%/1などの)ガス分画の標的ガスを備える、提供することと、b)患者の鼻及び/又は口における又は患者の鼻及び/又は口近くの標的ガス分画を測定することとを含み、測定された標的ガス分画が実質的に100%/1の分画より小さい場合、患者のピーク吸気要求量は満たされず、測定された標的ガス分画が約100%又は100%近く/約1又は1近くの分画(すなわち、ほぼ1又は最大1であるが、1を超えない分画)の場合、患者のピーク吸気要求量は実質的に満たされ、測定された標的ガス分画が100%/1の分画である場合、患者のピーク吸気要求量は満たされる、又は、それを超える。
【0068】
別の態様において、本発明は、ピーク吸気要求量及び患者が満たされるかどうか判定するためのシステムを備えると言われてもよく、そのシステムは、患者に高い流量でガス流れを提供するように構成された流れ源であって、ガス流が100%/1の標的ガス分画の標的ガスを備える、流れ源と、患者の鼻及び/又は口における又は患者の鼻及び/又は口近くの標的ガス分画測定値を備える入力を受信するように構成された制御装置とを備え、制御装置は、患者のピーク吸気要求量に関連する出力を提供するように構成され、測定された標的ガス分画が実質的に100%/1の分画より小さい場合、患者のピーク吸気要求量は満たされず、
測定された標的ガス分画が約100%又は100%近く/約1又は1近くの分画(すなわち、ほぼ1又は最大1であるが、1を超えない分画)の場合、患者のピーク吸気要求量は実質的に満たされ、
測定された標的ガス分画が100%/1の分画である場合、患者のピーク吸気要求量は満たされる、又は、それを超える。
【0069】
方法及び/又はシステムは、以下の特徴を有してもよい。
【0070】
任意に、方法は、患者の呼吸要求量が満たされるかどうかについての出力を提供するステップを含む、又は、制御装置は、患者の呼吸要求量が満たされるかどうかについての出力を提供するように構成される。
【0071】
任意に、出力は、ディスプレイ上に提供される。
【0072】
任意に、方法は、患者のピーク吸気要求量を実質的に満たすために、ガス流の流量を調整するステップを含む、又は、制御装置は、患者のピーク吸気要求量を実質的に満たすために、ガス流の流量を調整するように構成される。
【0073】
任意に、流量は、毎分約20L以上である。
【0074】
任意に、流量は、毎分約20L~約90Lである。
【0075】
任意に、ガス流は加湿される。
【0076】
任意に、患者は、自発的に呼吸している。
【0077】
任意に、患者は、麻酔処置の前に、前酸素化を施している。
【0078】
本明細書において、「高流量」は、普通/通常よりも高い、たとえば、健康な患者の通常の吸気流量より高い流量を有する任意のガス流を意味するが、これに限定されるものではない。代替的に又は追加的に、それは、文脈に関連する他の閾値流量より高くなる可能性がある、たとえば、吸気要求量を満たす流量で患者にガス流を提供する場合、その流量は、その他の場合に提供されたことがある名目上の流量より高いので、「高流量」とみなされてもよい。したがって、「高流量」は文脈に依存するものであり、何が「高流量」であるかは、多くの要因、たとえば、患者の健康状態、提供される処置/治療/支援の種類、患者の性質(大きい、小さい、大人、子供)などに依存する。当業者は、文脈から、何が「高流量」であるか分かる。それは、その他の場合に提供されることがある流量を上回る流量の大きさである。
【0079】
しかし、高流量のいくつかの指示値は、以下の通りとすることができるが、これらに限定されるものではない。
・ いくつかの構成における、毎分約5又は10リットル(5又は10LPM、すなわち、L/分)以上の流量での患者へのガスの送達。
・ いくつかの構成において、流量は、毎分約20リットル以上、任意に、毎分約20~90リットル、任意に、毎分約40~70リットルである。
・ いくつかの構成における、約5若しくは10LPM~約150LPM、又は約15LPM~約95LPM、又は約20LPM~約90LPM、又は約25LPM~約85LPM、又は約30LPM~約80LPM、又は約35LPM~約75LPM、又は約40LPM~約70LPM、又は約45LPM~約65LPM、又は約50LPM~約60LPMの流量での患者へのガスの送達。たとえば、本明細書に記載されるさまざまな実施形態及び構成によれば、システムを介して又は流れ源からインターフェースに供給される又は提供されるガスの流量は、少なくとも約5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150LPM以上の流れを含んでもよいが、これらに限定されず、有効範囲は、これらの値(たとえば、約20LPM~約90LPM、約40LPM~約70LPM、約40LPM~約80LPM、約50LPM~約80LPM、約60LPM~約80LPM、約70LPM~約100LPM、約70LPM~約80LPM)のいずれかであるように選択されてもよい。
【0080】
「高流量」においては、送達されるガスは、たとえば、治療の用途に応じて選択される。送達されるガスは、一定割合の酸素を含んでもよい。いくつかの構成において、送達されるガス中の酸素の割合は、約15%~約100%、20%~約100%、又は約30%~約100%、又は約40%~約100%、又は約50%~約100%、又は約60%~約100%、又は約70%~約100%、又は約80%~約100%、又は約90%~約100%、又は約100%、又は100%であってもよい。
【0081】
いくつかの実施形態において、送達されるガスは、一定割合の二酸化炭素を含んでもよい。いくつかの構成において、送達されるガス中の二酸化炭素の割合は、0%超、約0.3%~約100%、約1%~約100%、約5%~約100%、約10%~約100%、約20%~約100%、又は約30%~約100%、又は約40%~約100%、又は約50%~約100%、又は約60%~約100%、又は約70%~約100%、又は約80%~約100%、又は約90%~約100%、又は約100%、又は100%であってもよい。
【0082】
高流量は、患者の酸素化を増加させる及び/又は呼吸の仕事を減少させるために、患者の通常の実際の吸気流れを満たす又は超えるのに有効であることが分かっている。さらに、高流量治療は、上気道の解剖学的死腔が高流量の流入ガス流によって洗い流されるように、鼻咽頭内に洗い流し効果を発生させることができる。これにより、二酸化炭素、窒素などの再呼吸を最小限にしながら、すべての呼吸に利用できる新鮮なガスの貯留を作ることができる。
【0083】
例として、
図3を参照して、高流量呼吸システム10が説明される。高流量は、酸素及び/又は他のガスの送達によって、並びに、患者の気道からのCO2の除去によって、ガス交換及び/又は呼吸支援を促進するための手段として使用されてもよい。高流量は、医療及び/若しくは麻酔処置前、医療及び/若しくは麻酔処置前中、又は医療及び/若しくは麻酔処置後に特に有用であってもよい。
【0084】
医療処置の前に使用される場合、医療及び/又は麻酔処置中に患者が無呼吸期にある間に、高流量ガス流により患者に酸素を予め投与し、血中酸素飽和度及び肺の酸素量を高くして酸素バッファを提供することができる。
【0085】
呼吸機能が損なわれる(たとえば、減少する又は停止する)ことがある医療処置中(麻酔処置中など)に健康な呼吸機能を維持するためには、継続的な酸素供給が不可欠である。この供給が損なわれると、低酸素症及び/又は高炭酸ガス血症が発生するおそれがある。これが起こった場合に検知するために、患者が無意識である全身麻酔などの麻酔処置中、患者は監視される。酸素供給及び/又はCO2除去が損なわれた場合、臨床医は医療処置を停止し、酸素供給及び/又はCO2除去を促す。これは、たとえば、麻酔バッグ及びマスクにより患者を手動で換気することによって、又は、高流量呼吸システムを使用して患者の気道に高流量ガス流を提供することによって、実現することができる。
【0086】
高流量ガス流のさらなる利点としては、高流量ガス流は患者の気道内圧を増加させ、それによって、気道、気管、肺/肺胞、及び細気管支を開く圧支持を提供することを挙げることができる。これらの構造が開くと、酸素化が向上し、CO2の除去をある程度支援する。
【0087】
圧力の増加により、挿管中に喉頭などの構造が声帯の視界を遮らないようにすることもできる。高流量ガス流は、加湿した場合、気道の乾燥も防ぐことができ、粘膜線毛の損傷を軽減し、喉頭痙攣のリスク並びに鼻血、(鼻血の結果としての)誤嚥、及び気道閉塞、腫脹及び出血などの気道乾燥に関連するリスクを低下させる。高流量ガス流の別の利点は、手術中に気道内に発生した煙を流れによって排除できることである。たとえば、煙は、レーザ及び/又は焼灼デバイスにより発生させることができる。
【0088】
本明細書において、「酸素濃度」は、「酸素分画」の用語で言及されてもよい。たとえば、周囲空気の酸素濃度は、21%の酸素分画である(これは、0.21と表すことができる)。別の例において、純粋な空気の酸素濃度は、100%の酸素分画である(これは、1と表すことができる)。用語「酸素分画」及び「酸素濃度」は、交換可能に使用することができる。
【0089】
本明細書において、「吸気要求量」は、患者が吸気するガスの流量を指す。
【0090】
本明細書において、「(患者の)ピーク吸気要求量」は、患者が吸気するガスのピーク流量を指す。ガスの流量が、ピーク吸気要求量に略等しい又はピーク吸気要求量より大きい流量で、患者に提供されるとき、ピーク吸気要求量は満たされる。
【0091】
本明細書において、「(患者の)瞬間吸気要求量」は、瞬間時点に患者が吸気するガスの流量を指す。ガスの流量が、瞬間吸気要求量に略等しい又は瞬間吸気要求量より大きい流量で、患者に提供されるとき、瞬間吸気要求量は満たされる。
【0092】
本明細書において、「吸気要求量を満たす(meeting inspiratory demand)」又は「流量を満たす(meeting a flow rate)」又は同様の文脈における「満たす(meeting)」という用語は、等しい(equal to)、又は近い(close to)、又はその他の場合には、好適な許容差内であることを意味する。許容差は、説明される実施形態の利点を実現するものによって定義され、たとえば、+/-10%、+/-9%、+/-8%、+/-7%、+/-6%、+/-5%、+/-4%、+/-3%+/-2%、+/-1%、0%、又は、それら数の間にいくつかの分数である可能性がある(しかし、これらは単なる例であり、限定するものではない)。「満たす(meeting)」は、それが完全一致でなければならないことを意味しない。さらにまた、この文脈における「満たす(meeting)」は、「少なくとも満たす(at least meeting)」も意味する可能性があり、それは、吸気要求量(すなわち、要求流量)を実際に超えることを意味する可能性がある。理解されるように、多くの場合、吸気要求量(すなわち、要求流量)を満たしている又は超えているかどうかは分からないが、それは利点を損なわない。それが満たす又は超えるの一方であることを知る因子は十分である。
【0093】
本明細書において、「患者における酸素の測定された濃度が、送達される酸素の濃度に等しい」又は同様の文脈における用語「等しい」又は類似の用語は、その点である(at)、又は近い(close to)、又はその他の場合には、好適な許容差内であることを意味する。許容差は、説明される実施形態の利点を実現するものによって定義され、たとえば、+/-10%、+/-9%、+/-8%、+/-7%、+/-6%、+/-5%、+/-4%、+/-3%+/-2%、+/-1%、0%、又は、それら数の間にいくつかの分数である可能性がある(しかし、これらは単なる例であり、限定するものではない)。「等しい(equal)」は、それが完全一致でなければならないことを意味しない。
【0094】
本明細書に開示される数値の範囲(たとえば、1~10)に対する言及は、その範囲内のすべての有理数(たとえば、1、1.1、2、3、3.9、4、5、6、6.5、7、8、9、及び10)、並びにまた、その範囲内の有理数の任意の範囲(たとえば、2~8、1.5~5.5及び3.1~4.7)に対する言及も組み込み、よって、本明細書に明示的に開示されるすべての範囲のすべての部分範囲がこれにより明示的に開示されることが意図される。これらは、具体的に意図した例にすぎず、列挙した最小値と最大値との間の数値の考えられるすべての組合せが、同様に本出願に明示されているものとみなされる。
【0095】
本明細書において使用される「を備える(comprising)」という用語は、「から少なくとも部分的になる(consisting at least in part of)」を意味する。「を備える(comprising)」という用語を含む本明細書における各文言を解釈する際、それ以外の特徴又は当該用語によって前置されたものもまた存在してもよい。関連する用語、たとえば、「を備える(comprise)」及び「を備える(comprises)」も同様に解釈される。特に明確に必要とされない限り、明細書及び特許請求の範囲の全体を通して、「備える(comprise)」、「備えている(comprising)」などの語は、排他的又は網羅的意味ではなく包含的な意味で、すなわち「含むが、これらに限定されない(including,but not limited to)」の意味で解釈されるべきである。
【0096】
特許明細書、他の外部文献、又は他の情報源が参照される本明細書において、本明細書は概して、本開示の特徴を考察するための文脈を提供することを目的とする。別段の具体的な記載がない限り、そのような外部文献への言及は、そのような文献、又はそのような情報源がいずれの管轄においても、先行技術である、又は当該技術分野における一般知識の一部を形成するという自認として解釈されるものではない。
【0097】
本発明はまた、本出願の明細書で個々に又は集合的に言及されるか又は示される部品、要素、及び特徴を、上記部品、要素、又は特徴の2つ以上の一部又は全部の組合せにおいて含むと広く言われてもよい。前述の記載において、整数又はその既知の均等物を有する構成要素を参照してきたが、これらの整数は、個々に記載するかのように本明細書に組み込まれる。
【0098】
本発明に関連する当業者には、添付の特許請求の範囲で定義される本発明の範囲から逸脱することなく、本発明の構造の多くの変更並びに広く異なる実施形態及び用途が想起されるであろう。本明細書の開示及び記載は、純粋に例示的なものであり、いかなる意味においても限定的であることを意図するものではない。本発明が関連する当該技術分野における既知の均等物を有する特定の整数が本明細書で言及されるが、そのような既知の均等物は、個々に記載するかのように本明細書に組み込まれるとみなされる。本発明は、前述のもので構成され、また、以下で単なる例として挙げる構造も想定する。
【0099】
実施形態は、以下の図を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【
図2A】患者へのガスの流れ及び巻き込み空気を示し、ガスの流れは、ピーク吸気要求量を満たしていない。
【
図2B】空気の巻き込みのない、患者へのガスの流れを示し、ガスの流れは、ピーク吸気要求量を満たしている。
【
図3】ピーク吸気要求量を判定するための呼吸システムを示す。
【
図4】ピーク吸気要求量を判定するための呼吸システムの作動を示す。
【
図5】患者の呼吸の一部では吸気要求量を満たすことができるが、患者のピーク吸気要求量を満たすことができない流れ、及び、患者の吸気要求量及びピーク吸気要求量を満たす流れを示す。
【発明を実施するための形態】
【0101】
概要
吸気酸素の知られている分画を送達すること(すなわち「酸素化」)が重要である多くの臨床的状況が存在する(本明細書における「分画」に対する言及は、用語「濃度」及び「比率」と交換可能に使用することができる)。たとえば、全身麻酔前の酸素化段階(一般に、前酸素化と呼ばれる)の間、肺ができるだけ多くの酸素を含むことを確実にするために、吸気酸素の分画を投与することが望ましい。さらなる例は、呼吸窮迫の治療を受けている患者に吸気酸素の知られている分画を投与することが望ましいことである。別のさらに一般的な例において、呼吸支援が患者に提供されていてもよい。たとえば、呼吸支援が、高い流量(「高流量」)のガス流を使用して、患者に提供されていてもよい。臨床的状況において、患者は、状況に応じて、自発的に呼吸していてもよく、又は、自発的に呼吸していなくてもよい。
【0102】
患者を酸素化(患者の酸素ニーズを満たす酸素を送達すること)するためにガスの流れを送達することが望ましい場合、ガスの流れは、(通常、周囲空気の酸素濃度を超える)所望の酸素濃度で提供することができる。たとえば、周囲空気は患者を効果的に酸素化するだけ十分に高い酸素濃度を有していなくてもよいので、これは、周囲空気が患者の酸素化ニーズを満たすことができない状況においてでもよい。これは、ガスの流れが患者の酸素化ニーズを満たすような、酸素濃度が周囲空気で見られるよりも高い酸素濃度を有するガスの流れを送達するために、呼吸システムを作動させることによって実現することができる。
【0103】
患者を効果的に酸素化するガスの流れに関して、ガスの流れは、患者に必要な酸素濃度と、患者の吸気要求量を満たす流量とを有しなければならない。ピーク吸気要求量の場合要求量を満たすために必要とされる流量は、呼吸サイクル中に患者が吸気するガスのピーク流量である。瞬間要求の場合、要求量を満たすために特定の時間に必要とされる流量は、患者がその特定の時間に吸気する流量である。
【0104】
患者に送達されているガスの流量が吸気要求量を満たさない場合、周囲空気の巻き込みが起きている可能性がある。周囲空気の巻き込みは、患者の鼻及び/又は口を介して起こることがある。周囲空気の巻き込みは、患者の口が開いている場合、患者の口を介して起こる可能性がある。これが起こる場合、成分ガスの濃度は、周囲空気中のその成分ガスの異なる濃度のために変えられる(通常、薄められる)。これは、成分ガスの意図された濃度が実際には提供されないことを意味する。
【0105】
これは、一例として、患者の呼吸流れ1(したがって、吸気要求量7)、及び、それがどのように患者の呼吸サイクルの経路を切り替えるかを示す線グラフを示す
図1を参照してさらに説明される。吸気要求量は、時間に関して変化し(瞬間吸気要求量7)、ピーク吸気要求量5に到達する。患者に所望の酸素濃度を送達するとき、呼吸システムからのガスの流れ6の流量が、(ピーク6’’であれ、瞬間6’であれ)吸気要求量7流量と同じであることが望ましく、その他の場合には、
図2Aに示されるように、患者は、吸気中、周囲空気8を巻き込む(なお、
図2Aには、簡略化のために鼻のみ示されているが、巻き込みは、鼻及び/又は口を通して起こる可能性があることに留意すべきである)。
【0106】
周囲空気の酸素の濃度が、呼吸システムから提供されるガスの流れ中の酸素の濃度より小さいとき、患者が受け取る酸素濃度(したがって、酸素化のレベル)を薄められて、下げられるので、周囲空気の巻き込みは望ましくない。逆に、呼吸システムから提供されるガスの流量が吸気要求流量を満たす場合、患者は、呼吸システムによって提供されるガスの流れのみを吸気する(すなわち、周囲空気を巻き込まない)、したがって、ガスの流れによって提供されるとき、所望の酸素濃度を受け取る。これは、呼吸システムが患者の吸気要求量以上である流量でガスの流れを送達するときに起こる。
【0107】
したがって、巻き込みを回避する又は減少させるために、ネーザルハイフローからの流量は、望ましくは、患者の吸気要求量(すなわち、吸気されている流量)を満たす又は超える。患者の吸気要求量が提供されているガス流れの流量によって満たされる場合、患者は、周囲空気を巻き込まないことがある。
【0108】
これは、ピーク吸気要求量を満たすことによって、ピーク吸気要求量を満たすことによって、実現される可能性があり、ガス流れ6は、ピーク吸気要求量5以上の一定の高流量(
図1の水平点線6’’を参照)で患者に提供されてもよく、それは、ガス流れ6が、呼吸サイクルの任意の特定部分における瞬間吸気要求量を、少なくとも満たし、通常は、超えることを意味する。すなわち、ガス流流量が常にピーク吸気要求量を満たしている場合、瞬間吸気要求量はピーク吸気要求量を決して超えないので、ガス流流量は、サイクルのいかなる点でも要求量(ガス流6が一定であると仮定すれば、瞬間吸気要求量)を満たしているであろう。
【0109】
或いは、これは、あらゆる時点で瞬間吸気要求量7を満たす又は超えることによって実現される可能性がある(曲線状点線6’を参照)。本明細書における「吸気要求量」に対する言及は、ピーク吸気要求量又は瞬間吸気要求量を包含するために使用することができる。参照番号6は、提供されるガスの流れに全般的に言及するために使用することができる。参照番号6’’は、ピーク吸気要求量を満たすガス流に言及する。参照番号6’は、瞬間吸気要求量を満たす、変化するガス流に言及することができる(ピーク吸気要求量を満たすガス流6’’はそれの特別なケースである)。
【0110】
解剖学、生理学、不安、意識水準、及び呼吸器疾患状態を含むさまざまな要因に起因する、吸気要求量における多くの患者間及び患者内の可変性が存在する。したがって、吸気要求量を満たすのに十分な流量のガス流れを判定及び提供することが難しい可能性がある。1つの解決策は、患者の吸気要求量(ピーク又は瞬間)を満たすことが確かである非常に高い流量を提供することであろう。しかし、吸気要求量を上回るガス流の非常に高い流量を有することは、患者に不快感を引き起こす可能性がある。したがって、吸気要求量を過度に上回る、必要以上に高い流量を提供することなく、(ピーク吸気要求量であれ、瞬間吸気要求量であれ)吸気要求量を満たすために、好適な流量又は流量の範囲を患者に送達することが望ましい。
【0111】
一般的には、本明細書に記載の実施形態は、患者の口及び/又は鼻に、好適なセンサ、たとえば、ガスサンプラアタッチメントを有するカニューレなどのガスサンプリングデバイスを配置することによって、これを実現する(たとえば、参照により全体として本明細書に組み込まれる米国特許出願第62/408480号明細書及び米国特許出願第62/492783号明細書を参照)が、それらに限定されない。サンプラが、送達されているガス濃度より小さい値(又は、異なる値、たとえば、より高い値、しかし、通常、送達されるガス濃度は通常は周囲より通常は高いので、小さい値)を測定した場合、吸気要求量は満たされておらず、患者に提供するガスの流量を増加させる必要がある。患者の吸気要求量が満たされている場合、ガスサンプラは、送達されている酸素の濃度に等しい(これは、当該濃度であること、当該濃度に近いこと、又は、当該濃度の許容差内であることも含むことを意味する、上記の定義を参照)酸素の濃度を測定するであろう。この場合、患者に提供されるガスの流量は、維持することができる。そのため、(制御装置及び/又はセンサによって)決定された酸素分画に基づいて、ガス流が吸気要求量を満たすか、又は、吸気要求量を満たさないかを判定することができる。次いで、ガス流が吸気要求量を満たす(流量を維持又は減少させる)か、吸気要求量を満たさない(ガス流が増加される)かに応じて、流量の調整を行うことができる。これを行うために、呼吸システムの制御装置は、患者の鼻及び/又は口におけるガス濃度(たとえば、酸素の濃度)に関連する入力を受信する。これは、センサから直接受信される入力、又は、ガス濃度である若しくはガス濃度に関連する測定値を入力するユーザから受信する入力である可能性がある。場合によっては、ユーザは、センサからその測定値を確認するが、その情報を他の方法で確認してもよい。いくつかの実施形態において、制御装置は、患者の鼻及び/又は口におけるガス濃度が送達されるガス濃度を満たすかどうかについて、センサ、ユーザ、又は他のソースのいずれから情報を受け取ってもよく、呼吸システム流量を制御するために、その情報を使用してもよい。すなわち、制御装置は、鼻及び/又は口のガス濃度が送達されるガス濃度を満たすかどうかを判定せず、単に、その判定に関する入力を受け取る。本明細書における、患者の口及び/又は鼻のガス分画を検知することに対する言及は、センサから呼吸器/制御装置に直接、検知及び入力される、又は、検知されるが、その後、たとえば、センサ出力を読み取ったユーザによる入力などの別の方法で間接的に受け取られることを意味すると読まれる可能性がある。センサからの入力を受信することは、両方の選択肢、すなわち、センサからの直接的及び間接的な入力の両方を網羅すると考えることができる。
【0112】
図7を参照すると、測定された酸素の濃度が送達されている酸素の濃度に等しいとき、それは実際には、流量が患者の吸気要求量を上回っている事実によるものである可能性がある。この場合、不快感又は他の好ましくない結果(たとえば、O2の浪費)をもたらすことがある必要以上に過度な治療を提供しないように、送達されている流量を減少させることが望ましいことがある。この場合、(実際の吸気要求量を超えるのではなく)実際の吸気要求量に近づけるために、以下のようにして、患者に提供される流量を滴定することが可能である。流量は、減少させることができ、次いで、別の測定を行うことができる。測定された酸素濃度が送達された濃度と依然として等しい場合、吸気要求量は依然として、少なくとも満たされている(又は、場合によっては超えている)ので、流量は再び減少される。測定された酸素濃度がその送達された酸素濃度より小さくなるまで、これは続けることができ、それは、その患者が空気を巻き込んでいることを示すので、これは、吸気要求量を満たす点の直下であろう。任意に、この時点で、最終的に吸気要求量にする又は近づけるために、流量を再び増加させることができる。したがって、酸素濃度レベルが最適な値に到達する又は近づくまで、流量は減少される。したがって、患者に提供される流量は、患者の吸気要求量が満たされるかどうかに基づいて滴定することができ、患者の吸気要求量は、(吸気酸素の分画としても知られる)患者によって吸気される酸素の濃度に基づいて判定されてもよい。より複雑な制御技術が利用されてもよい。
【0113】
図3は、患者に呼吸支援(好ましくは、酸素化)を提供するために、(知られている酸素分画を有する)ガスの流れを提供し、ガスの流れが患者の吸気要求量(すなわち、患者によって吸気されるガスの流量)を満たす流量を有するかどうか判定し、任意に、吸気要求流量(「吸気要求量」)又は必要に応じて任意の他の流量を満たすように、ガス6の流れの流量を調整することができる呼吸システムを示す。1つの選択肢において、呼吸システムは、ガスの流れが患者のピーク吸気要求量5(すなわち、ピーク吸気で患者によって吸気されるガスの流量)を満たす流量6を有するかどうか判定し、任意に、ピーク吸気要求流量(「ピーク吸気要求量」)又は必要に応じて任意の他の流量を満たすように、ガス6’’の流れの流量を調整する。これは、ピーク吸気要求量のときに、又は、サイクル全体を通して、鼻及び/又は口におけるO2濃度を測定することによって実現される。或いは、呼吸システムは、吸気サイクルの任意の部分で、提供されている流量6が瞬間吸気要求量7(すなわち、瞬間時点に患者によって吸気されるガスの流量)を満たしているかどう判定するために構成される可能性がある。これは、呼吸サイクルを通して連続的又は周期的に、鼻及び/又は口におけるO2濃度を測定することによって実現される。任意に、呼吸システムは、瞬間吸気要求流量(「瞬間吸気要求量」)又は必要に応じて任意の他の流量を満たすように、ガスの流れの流量6’を調整する。代替的に又は追加的に、より一般的には、呼吸システムは、患者の鼻及び/又は口における決定された酸素分画又は他のパラメータに基づいて、ガス流流量6を調整する可能性がある。たとえば、制御装置は、患者の鼻及び/又は口における酸素分画に関連する入力を受信し、患者の口及び/又は鼻における酸素分画に基づいてガス流流量を調整するように構成することができる。任意の変形形態において、O2濃度の測定値は、センサから直接の、又は、たとえば、センサを読み取るユーザによって間接的に提供される、呼吸システムへの入力として提供することができる。
【0114】
好ましくは、提供されている流量がピーク吸気要求量5を満たしているかどうか判定するように呼吸システムが構成される選択肢が使用される。ピーク吸気要求量が判定されて、満たされる場合、(流量6’’が一定に維持されると仮定すれば)呼吸サイクルの任意の他の部分における任意の吸気要求量7が満たされることになるであろう(
図1の水平点線を参照)。
【0115】
当然のことながら、代替形態において、周期的又は連続的に、瞬間吸気要求量7は判定され、装置流量6’は、その瞬間吸気要求量7を満たすために、周期的又は連続的に、変更される(滴定される)(
図1の曲線状点線6’’を参照)。
【0116】
以下で説明される実施形態において、そのような判定は、患者によって吸気されるガスの酸素分画(又は、その濃度の、若しくは、いくつかの他の方法で判定された、いくつかのプロキシ測定値)を、呼吸システム10によって提供されるガスの流れの酸素分画又は濃度と比較することによって実現される。任意に、呼吸システムは、ガスの流量6’(
図1の曲線状点線を参照)を滴定し、それで、それらが必要とされない、又は、患者に有害である可能性がある限り、必要以上に高い流量を回避しながら、患者の瞬間吸気要求量を満たすように構成することができる。
【0117】
図2Bを参照すると、呼吸システムによって提供される流量6が瞬間吸気要求流量7以上である(「満たす」)とき、患者の吸気要求量7は満たされる(「吸気要求量」は
図1の6’を参照)。たとえば、患者の鼻及び/又は口における酸素分画が、ガス流の酸素分画に等しい又は略等しい(「一致する」)場合、ガス流が患者の吸気要求量を満たしていると判定される。呼吸システムによって提供される流量がピーク吸気要求流量5以上であるとき、ピーク吸気要求量は満たされることになる(「ピーク吸気要求量」は
図1の6’’を参照)。本実施形態(
図3による)は、ガスの流れが吸気要求量(構成に応じて、ピーク又は瞬間のいずれか)を満たすかどうかを判定することができ、満たさない場合(
図2Aに通り)、患者の吸気要求量7(好ましくは、ピーク吸気要求量6’’)を満たすだけ十分に高い流量6’で、患者にガス6の流れを提供するために、作動を任意に変更し、それにより、
図2Bに示されるように、周囲空気の巻き込みがなくなる、又は、わずかになる。いくつかの実施形態において、患者による空気の周囲の巻き込みがあるとき、呼吸システムによる流量の変更に、流量制限が加えられてもよい。たとえば、周囲空気の巻き込みが判定されたとき、呼吸システムは、ガスの流量を増加させてもよいが、呼吸システムは、所定の流量制限以上に、流量を連続的に増加させることができない。これは、患者にとって不利益であることがある、過度に又は必要以上に高い流量を避けるためである。
【0118】
ここで、実施形態が説明される。実施形態は、一例として、「吸気要求量」を満たすためのシステム(装置)及び/又は方法を説明することに注意すべきである。これは、構成に応じて、「ピーク吸気要求量」を満たすこと、又は、「瞬間吸気要求量」を満たすことに関する可能性がある。ピーク吸気要求量を満たすために、鼻及び/又は口における酸素濃度の測定は、ピーク吸気要求量のときに、又は、呼吸サイクルを通して行われる(連続的又は周期的な判定)。しかし、これらの実施形態は、瞬間吸気要求量を満たすために、同様に使用される可能性がある。そのために、鼻及び/又は口における酸素濃度の測定が呼吸サイクルを通して連続的又は周期的に判定されることを除いて、同じ装置/方法が使用される。
【0119】
1つの実施形態
患者に流れ治療又は他の治療を提供するための呼吸システム(「呼吸器」と呼ぶこともできる)10が、1つの実施形態に従って、さらに詳細に説明される。呼吸システムは、患者にガス流を送達し、患者に提供されるガス流の流量が患者の吸気要求量を満たすかどうか判定するために構成される。結果として、呼吸システムは、吸気要求量を満たすために、患者へのガス流流量を修正することもできる。呼吸システムは、麻酔処置(たとえば、麻酔又は鎮静)中、麻酔剤又は鎮静剤が麻酔処置中に患者に投与された後の前酸素化(たとえば、その全体が本明細書に組み込まれる、PCT出願国際公開第2016/157102号及び国際公開第2016/133406号(それぞれ米国版に相当するものは、米国特許出願公開第20180280641号明細書及び米国特許出願公開第20180126110号明細書である)の開示による麻酔又は鎮静)、たとえば、高流量呼吸支援、高流量治療、換気、高流量ガス流の供給、又は、(呼吸システムガス流若しくは巻き込まれた空気によるかどうかにかかわらず)患者の吸気要求量が満たされているかどうかの監視が必要である任意の他の場所を含むがこれらに限定されない、任意の好適な酸素化の目的のために使用されてもよい。
【0120】
呼吸システムは、高流量ガス31、たとえば、酸素、又は酸素と1つ又は複数の他のガスとの混合物を提供するための流れ源50を備える。代替的に、呼吸システムは流れ源に結合するための接続部を有することができる。よって、流れ源は、文脈に依存して、呼吸システムの一部を形成するか、又はそれに対して別個のものであると考えられてもよく、又はさらには、流れ源の一部が呼吸システムの一部を形成し、流れ源の一部が呼吸システム外にある。要するにシステムは、以下を有することができる。
・ 流れ源
・ ガス流を加湿するための加湿器、
・ 吸気チューブ、
・ 導管(たとえば、ドライライン又は加熱された呼吸チューブ)、
・ 患者インターフェース、
・ 圧力逃し弁
・ フィルタ
【0121】
システムは、さらに詳細に説明される。
【0122】
流れ源は、酸素の壁埋め込み型供給源、酸素のタンク50A、他のガスのタンク、及び/又は流れ発生装置50Bを有する高流量装置である可能性がある。
図3は、流れ源50であって、流れ発生装置50Bを有し、任意の吸気口50C、並びに、閉止弁及び/又は調整器及び/又は他のガス流制御装置50Dを介したO2源(たとえば、タンク又はO2発生装置)50Aへの任意の接続部を有する流れ源50を示すが、これは、単なる1つの選択肢である。流れ発生装置50Bは、1つ又は複数の弁を使用して、患者16に送達される流れを制御することができる、又は、任意に、流れ発生装置50Bは、ブロワを備えることができる。流れ源は、説明されたように、流れ発生装置50B、O2源50A、空気源50Cのうちの1つ又は組合せである可能性がある。流れ源50は、呼吸システム10の一部として示されているが、外部酸素タンク又は壁埋め込み型源の場合、別個の構成要素と考えられてもよく、この場合、呼吸システムは、そのような流れ源に接続するための接続ポートを有する。流れ源は、送達導管及び患者インターフェース51を介して患者に送達することができるガスの(好ましくは、高流量の)流れを提供する。
【0123】
患者インターフェース51は、非密閉鼻カニューレなどの(たとえば、高流量治療で使用されるときの)密閉されてない(非密閉)インターフェース、又は、鼻マスク、全面マスク、若しくは鼻ピローなどの(たとえば、CPAPで使用されるときの)密閉された(密閉)インターフェースであってもよい。いくつかの実施形態において、患者インターフェース51は、たとえば、気圧性外傷(たとえば、大気に対する圧力の違いによる、呼吸システムの肺又は他の器官への組織損傷)の防止を支援する非密閉患者インターフェースである。いくつかの実施形態において、患者インターフェース51は、患者の鼻及び/又は口を密閉する密閉マスクである。患者インターフェースは、マニホールド及び鼻プロングを有する鼻カニューレ、並びに/若しくはマスク、並びに/若しくは鼻ピローマスク、並びに/若しくは鼻マスク、並びに/若しくは気管切開インターフェース、又は、任意の他の好適な種類の患者インターフェースであってもよい。流れ源は、先に説明したように、たとえば、0.5リットル/分~375リットル/分、又はこの範囲内の任意の範囲、又はさらにはより高い又はより低い限界のベースガス流量を提供することができる。流量の範囲及び性質の詳細は後段で説明される。
【0124】
加湿器52は、送達されるガスの加湿を提供するために、流れ源50と患者との間に任意に設けることができる。1つ又は複数のセンサ53A、53B、53C、53D、たとえば、流れ、酸素分画、圧力、湿度、温度、又は他のセンサを、システム全体にわたって、及び/又は患者16に、患者16上に、若しくは患者16の近くに置くことができる。代替的に、又は追加的に、そのようなパラメータが得られるセンサが使用される可能性がある。さらに、又は代替的に、センサ53A~53Dは、患者の生理的パラメータ、たとえば、心拍数、酸素飽和度、血液中の酸素の分圧、呼吸速度、血液中のCO2の分圧を検知するための1つ又は複数の生理的センサとすることができる。代替的に、又は追加的に、そのようなパラメータが得られるセンサが使用される可能性がある。他の患者センサは、EEGセンサ、呼吸を検出するための胴バンド、及び任意の他の好適なセンサを備える可能性がある。いくつかの構成において、加湿器は任意であってもよく、又は加湿気体が気道の状態を維持することを助けるという利点から、加湿器が望ましいこともある。センサの1つ又は複数が、呼吸システムの一部を形成してもよく、又は、その外側にあってもよく、呼吸システムは任意の外部センサのために入力を有する。センサは、制御装置19に結合することができる、又は、それらの出力を制御装置19に送信することができる。
【0125】
センサ14は、患者が吸気する空気の酸素分画を測定するために設けられる。これは、たとえば、患者の口及び/又は鼻に近接した(における/の付近の/の近くの)酸素の分画を測定、又は、他の方法で判定するために、患者インターフェース51上に置くことができる。センサ14からの出力は、制御装置19に送信されて、呼吸システムの制御を支援し、ピーク吸気要求量が満たされているかどうか判定し、それに応じて作動を変更する。制御装置19は、流れ源50、加湿器52、及びセンサ14に結合される。これは、以下で説明される呼吸システムのこれらの及び他の側面を制御する。制御装置は、ピーク吸気要求量を満たすだけ十分に高い所望の流量で、ガスの送達される流れを提供するために、流れ源を作動させることができる。代替形態において、センサ14は、患者の口及び/又は鼻における酸素分画の測定値を、その後、その情報を呼吸器/制御装置に入力するユーザに伝えてもよい。以下の任意の開示/実施形態は、必要に応じて、その代替形態を有すると解釈される可能性がある。
【0126】
制御装置19はまた、患者のガス流が、患者の必要量を満たして、必要とされる治療を提供する酸素分画を有する流量を有するように、呼吸システムを作動させるように構成される。酸素分画は、知られている酸素分画であってもよい。たとえば、麻酔の投与より前に患者の前酸素化が望まれる場合、制御装置19は、100%の又は約100%の酸素分画でガス流を提供するために、呼吸システムを作動させることができる。別の例において、患者の鎮静が望ましい場合、制御装置19は、鎮静処置中、約21%以上の酸素分画でガス流を提供するために、呼吸システムを作動させることができる。好ましくは、鎮静処置中に提供されるガス流の酸素分画は、21%より大きく、たとえば、約30%、又は約50%以上である。患者が鎮静処置中に無呼吸になる場合、制御装置19又は臨床医は、ガス流の酸素分画を約21%~約100%のどこかに調整することができる。好ましくは、制御装置19は、ガス流中の酸素分画を、好ましくは、以前の酸素分画より大きい酸素分画に増加させるが、これは、手動で行われる可能性がある。それは、任意の好適な方法で、たとえば、O2源に結合された弁を制御することによって、これを行うことができ、周囲ガス流に対するO2の量を増加/減少させて、総ガス流中のO2の比率(濃度)を制御する。
【0127】
入力/出力インターフェース(ユーザインターフェース)54(たとえば、ディスプレイ及び/又は入力デバイス)が設けられる。入力デバイスは、酸素化必要量、麻酔ガス剤、及び/又はCO2検出を判定するために使用することができるユーザ(たとえば、臨床医又は患者)からの情報を受信するためのものである。たとえば、しかし、限定するものではないが、ユーザインターフェースは、患者の口及び/又は鼻からの酸素濃度情報を、呼吸器/制御装置に入力するために使用することができる。呼吸システムはまた、患者の投与量/酸素化必要量(以下「酸素必要量」)を決定するために、麻酔のために/麻酔に関して(すなわち、前酸素化段階中の前麻酔酸素必要量及び/又は麻酔中の酸素必要量 - これは、患者が無呼吸であるとき、又は、患者が呼吸しているときを含んでもよい)、並びに、抜管期間を含んでもよいそのような処置の後、作動することができる。呼吸システム10はまた、たとえば、決定された患者の鼻及び/又は口における酸素分画に基づいて、高流量気体を調整して麻酔を目的として患者へ提供し、酸素化必要量を満たすために、必要に応じて、患者に送達された高流量気体のパラメータ(たとえば、圧力、流量、ガスの量、ガス組成)を調整するように構成される。呼吸システムはまた、吐き出されるガス流のガスパラメータの推定された指標を、グラフ、デジタル読出し、又は任意の他の好適な手段として表示するためのI/Oの一部とすることができるディスプレイを備える。制御装置は、吸気要求量が満たされているのか満たされていないのかを判定し、ユーザインターフェース上にそれの表示を出力することができる。
【0128】
酸素分画を測定するセンサ、制御装置19、及び/又は任意の他の構成要素は、「検出システム」と考えることができる。上記のように、検出システムは、呼吸システム10に一体化され、検出システムの態様は、他の機能のためにも使用されている。しかしながら、別個の検出システムである可能性があり、呼吸システムと一体化されている、又は、呼吸システムと分離していることは理解されよう。
【0129】
呼吸システム10は、全体として、
図3の点線の箱に示される、一体型の又は別個の構成要素をベースとした構成である可能性がある。いくつかの構成において、呼吸システムは、モジュール式構成の構成要素である可能性がある。さらにまた、呼吸システムは、示される構成要素のうちのいくつかのみ備えてもよく、必ずしも、すべてが重要というわけではない。また、導管及び患者インターフェースは、システムの一部である必要はなく、別であると考えられる可能性がある。以降、これは呼吸システムと呼ばれるが、これは限定するものとみなされてはならない。呼吸システムは、本明細書において、ガスの流量を患者に提供するものは何でも備えると広く考えられ、それにより、検知システムは、ガスの流量が吸気要求量を満たすかどうかを判定するために使用することができる。
【0130】
図4は、呼吸システム10の制御装置が作動されるように構成される方法ステップ100を示すフロー図を示す。フロー図は、瞬間吸気要求量を満たす、より一般的な例を示す。1つの例において、これは、ピーク吸気要求量である可能性がある。ステップ102において、制御装置は、患者が吸気している空気の酸素濃度FO
2patである(又は、を示す)、センサ14からの信号を(直接又はユーザを介して)受信する。ステップ104において、制御装置は、検知された(直接又はユーザを介して受信した)酸素濃度FO
2patを、呼吸システムガス流の酸素濃度FO
2appと比較する。検知された酸素濃度FO
2patが呼吸システムの酸素濃度FO
2appより小さい場合、制御装置は、ステップ106に進み、吸気要求量Q
demandが呼吸システムガス流の流量Q
appによって満たされていないと判定し、ステップ102を繰り返す前に、ステップ108で呼吸システムガス流の流量Q
appを増加させるために進む。
【0131】
ここで、患者へのガス流の流量の調整が説明される。制御装置がステップ106で流量を増加させるべきと判定した場合、制御装置は、流量を増加させる必要性、及び/又は任意に、増加させる流量、若しくは、増加させる流れの量を臨床医に警告する。これは、流量を増加させる必要性を示す警報を鳴らすこと、及び/又は流量又は流量増加量などの情報をディスプレイ上に表示することにより、行うことができる。次いで、臨床医は、それに応じて、流量を増加させるために、装置を作動させることができる。これは、ステップ108において、流量を増加させるために、装置を作動させる制御装置にユーザ入力を送信することにより、行うことができる。或いは、制御装置は、増加させる流量又は増加させる流れの量を決定し、それに応じて、その流量に到達又は増加させるために、流れ源50を作動させる。
【0132】
任意に、増加させる流量は、以下のように決定することができる。
【0133】
測定されるFiO2は、式(1)によって与えられる。
【数1】
【0134】
ここで、周囲流量は、患者により巻き込まれた周囲空気の流量であり、装置流量は、装置によって患者に送達されているガス流の流量である。
【0135】
周囲流量から再編成することで、式(2)を得る。
【数2】
【0136】
周囲流量は、装置流量についての知識を使用して、(2)から計算することができる。
【0137】
吸気流量は、式(3)によって与えられる。
瞬間吸気流量=装置流量+周囲流量
【0138】
瞬間吸気流量は、式(2)で計算される周囲流量、及び、装置流量についての知識を使用して、式(3)から計算することができる。次いで、患者に送達される装置流量は、計算された瞬間吸気流れに増加させることによって、変えることができる。
【0139】
それが決定される方法に関係なく、一例として、ガス流流量は、毎分20リットルより大きい、任意に、毎分約20~約90リットル、又は、毎分約40~約70リットルの流量まで増加する。また、一例として、ガス流流量は、毎分0リットルより大きい、任意に、毎分約1リットル以上、任意に、毎分約5リットル以上、又は、任意に、毎分約10リットル以上の増加量で増加する。いくつかの実施形態において、流量増加は、階段状の増加及び/又は連続的な増加である。
【0140】
他方で、検知された(又は、他の方法で決定された)酸素濃度FO2patが呼吸システムの酸素濃度FO2appに一致する(たとえば、に等しい、にある、の近く、又は、の付近)場合、制御装置は、ステップ110に進み、吸気要求量Qdemandが呼吸システムガス流の流量Qappで満たされている(又は、場合によっては、超えている)、そして、流量を維持しなければならないと判定する。又は、吸気流れに対する滴定が必要である場合、ステップ102を繰り返す前に、ステップ112で呼吸システムガス流の流量Qappを減少させるように判定する。
【0141】
(それを超えるのではなく)実際の吸気要求量に近づけるために、患者に提供される流量を滴定することが決定された場合、以下が実行される。制御装置がステップ110で流量が減少させるべきと判定した場合、制御装置は、流量を減少させる必要性、及び/又は任意に、減少させる流量、若しくは、減少させる流れの量を臨床医に警告する。これは、流量を減少させる必要性を示す警報を鳴らすこと、及び/又は流量又は流量減少量などの情報をディスプレイ上に表示することにより、行うことができる。次いで、臨床医は、それに応じて、流量を減少させるために、呼吸システムを作動させることができる。これは、ステップ112において、流量を減少させるために、装置を作動させる制御装置にユーザ入力信号を送信することにより、行うことができる。或いは、制御装置は、減少させる流量又は減少させる流れの量を決定し、それに応じて、その流量を減少させるために、流れ源50を作動させる。いくつかの実施形態において、ガス流流量は、毎分20リットルより大きい、任意に、毎分約20~約90リットル、又は、毎分約40~約70リットルの流れまで減少する。また、一例として、ガス流流量は、毎分0リットルより大きい、任意に、毎分約1リットル以上、任意に、毎分約5リットル以上、又は、任意に、毎分約10リットル以上の減少量で減少する。
【0142】
いくつかの実施形態において、流量減少は、階段状の減少及び/又は連続的な減少である。(いずれかの手段で)流量が減少すると、別の測定が行われる。測定された酸素濃度が送達された濃度と依然として等しい場合、吸気要求量は依然として、少なくとも満たされており(又は、場合によっては、超えており)、流量は、上記に従って、再び減らされる。測定された酸素濃度がその送達された酸素濃度より小さくなるまで、これは続けることができ、それは、その患者が空気を巻き込んでいることを示すので、これは、吸気要求量を満たす点の直下であろう。任意に、この時点で、流量は、維持することができる、又は、最終的に吸気要求量にする又は近づけるために、流量を再び増加させることができる。したがって、酸素濃度レベルが最適な値に到達する又は近づくまで、流量は減少され、吸気流れがちょうど満たされていることを示す。吸気要求量にできるだけ近い流量を維持しようと試みる一定のフィードバックループがある可能性がある。代替形態において、患者の吸気要求量が満たされていないと判定されるまで、ガス流流量は維持される。
【0143】
上記のように滴定するとき、流量のさらなる減少が実行されず、流量が維持又は増加される点が存在する。さまざまな方法がある。たとえば、制御装置は、流量を減少させるために、臨床医に呼吸システムを作動させるように連続的に促すように構成することができる、又は、制御装置は、流量を減少させるために、送達されるガス流の酸素分画と口及び/又は鼻における酸素分画との差が閾値を超える(すなわち、鼻及び/又は口における酸素分画が、送達されるガス流の酸素分画より小さい所定の閾値より大きい)まで、流れ源50を作動させる。この時点で、流量の減少は終わる。
【0144】
そのように、一例として、制御装置は、送達される酸素分画と口及び/又は鼻における酸素分画との差が、たとえば、5%の酸素分画より小さい間、臨床医に流量を減少させ続けるように促すように、又は、流量を減少させ続けるために流れ源を制御するように構成される。送達される酸素分画と口及び/又は鼻における酸素分画との差が5%の酸素分画を超える場合、制御装置は、流量をこれ以上減少させるべきでないと判定するが、その代わりに、流量を維持するべき(又は、フィードバックループを実行する場合、再び増加させるべき)と判定する。
【0145】
1つの選択肢では、十分な割合の以前に測定された呼吸サイクルが、空気の巻き込みを起こすまで、行動はとられない。そのとき初めて、制御装置は、臨床医に流量を増加させるように促す、又は、流量を増加させるように流れ源を制御する。たとえば、呼吸システムは、呼吸サイクルの設定数(たとえば、5)に対して流量を維持し、サイクルの任意の1つの間に、任意の巻き込みがある(すなわち、患者の酸素分画がガス流の酸素分画より小さい)かどうか観察する。十分な設定数のサイクルが巻き込みを示す場合、制御装置は、臨床医に流量を増加させるように促す、又は、流量を増加させるように流れ源を制御し、許容可能な数サイクル(たとえば、2以下)が巻き込みを示す場合、装置は、ピーク吸気要求量がサイクルのその設定数を超えて略満たされていると判定し、送達されるガスの流量を維持する可能性がある。サイクルの設定数及び許容可能なサイクルの閾値は、予め定めることができる、又は、ユーザによって決定することができる。
【0146】
1つの例において、患者の吸気要求量が満たされていないという判定は、制御装置が、以前の患者呼吸サイクルの設定数を監視することと、周囲空気の巻き込みを有する、以前の患者呼吸サイクルの数を判定することと、周囲空気の巻き込みを有する、以前の患者呼吸サイクルの数を設定閾値と比較することとを含む。周囲空気の巻き込みを有する、以前の患者呼吸サイクルの数が設定閾値を超える場合、患者の吸気要求量は満たされない。
【0147】
ここで、センサ14は、ピーク患者吸気以外のときに濃度を測定するように、呼吸サイクル全体を通して、連続的/周期的に、患者の鼻/口に近接した酸素濃度を測定していてもよいことに留意すべきである。この場合には、ピーク吸気要求量より小さい装置流量においてでさえ、制御装置は、酸素濃度が十分であると判定してもよく、したがって、流量は、瞬間吸気要求量を満たすのに十分である。しかしながら、患者吸気要求量がピークに達すると、センサ14は再び測定し、ピークにおいて一度、ピーク吸気要求量が満たされているかどうか判定することができるので、これは、それ自体を修正する。
【0148】
Qpeakのパターンは、ユーザインターフェース54上に表示することができ、診断情報、たとえば、患者の呼吸が変わっているかどうか、及び、それがどのように変わっているか、たとえば、呼吸数が、時間が経つにつれて減少していることを提供するために観察することができる。
【0149】
ここで、呼吸システムの作動は、
図3の装置及び
図4のフロー図に関して説明される。装置は、制御装置が、さまざまなセンサからの入力及び他の入力を受信し、患者が必要とする流量及び酸素濃度を判定し、所望の流量及び酸素濃度でガスの流れを提供するために流れ発生装置を制御することによって、高流量治療のために通常の方法で作動する。酸素濃度は、ユーザによって設定されてもよく、又は、装置の治療モードに応じて、制御装置によって設定されてもよい。したがって、高流量治療デバイスは、測定されたO2濃度により決定された流量でガスの流れを提供する。この時点で、流量は、(ピーク)吸気要求量を満たしてもよく、又は、満たさなくてもよい。
図5は、流量Q
appAが患者の呼吸の一部にわたって吸気要求量を満たすが、ピーク吸気要求量Q
peakを満たさず、流量Q
appBが吸気要求量及びピーク吸気要求量Q
peakを満たす例を示す。
【0150】
制御装置は、患者の鼻/口における酸素の濃度を測定したセンサ14からの入力を(直接、又は、ユーザを介して)受信する(ステップ102)。センサは、制御装置に酸素分画の情報を提供してもよい、又は、制御装置は、センサから酸素分画を決定してもよい。或いは、酸素分画の実際の決定がなくてもよいが、制御装置がガス流の酸素分画と患者の鼻/口における酸素分画との間の相対関係を決定することができる別の関連するパラメータがあってもよい。次に、制御装置は、(センサで測定された)患者の鼻/口における酸素濃度が、ガスの流れの酸素濃度より大きい、ガスの流れの酸素濃度に等しい、又はガスの流れの酸素濃度より小さいかどうかを判定する(ステップ104)。患者の鼻/口における酸素濃度がガスの流れ中の酸素濃度より小さい場合(
図5のQ
appAを参照)、制御装置は、ピーク吸気要求量がガス流によって満たされていないと判定する(ステップ106)。これは、鼻/口における酸素濃度がガスの流れ中に提供される酸素濃度より小さいので、患者が周囲空気を巻き込んでいるにちがいないと推定されるためである。この場合、制御装置(又は、臨床医)は、状況を改善するために、たとえば、呼吸システムによって提供される流れガスの流量を増加させるために流れ発生装置50Bの弁及び/又はブロワを制御することによって、呼吸システムの作動を変更することができる(ステップ108)。或いは、制御装置は、ユーザインターフェースを介して、臨床医に手動で流量を変更することを促す可能性がある。
【0151】
患者の鼻/口における酸素濃度がガスの流れの酸素濃度と等しい、又は、略等しい場合(
図5のQ
appBを参照)、制御装置は、ピーク吸気要求量が満たされている(又は、場合によっては、超えている)と判定する(ステップ110)。これは、鼻/口における酸素濃度がガスの流れ中に提供される酸素濃度と等しいので、患者が周囲空気を巻き込んでいなさそうであると推定されるためである。この場合、制御装置は、何もしない、又は、(あまりに多くの流れがあると考えられてもよく、その流量を維持する必要がない例において)患者に提供される流量を低下させるために、たとえば、呼吸システムによって提供される流れガスの流量を減少させるために流れ発生装置を制御することによって、流れ治療装置の作動を変更する可能性がある(ステップ112)。
【0152】
制御装置は、吸気要求量が何であるかを必ずしも決定するというわけではないが、それを行い、伝えることが可能であることに注目すべきである。
【0153】
図6及び7を参照すると、これらの図は、呼吸システム10の制御装置が、呼吸システムが吸気要求量を満たすのに十分なガスの流れを提供しているかどうかをどのように判定し、任意に、瞬間又はピーク吸気要求量を満たすだけ十分に大きい所望の流量を提供するために、患者に送達されているガス流の流量を滴定するかを示す。
図6は、呼吸システムによって提供されるガス流の流量(Q
app)に基づいて、患者吸気(Q
patient)の流れ組成がどのように変化するかを示す棒グラフである。
図7は、呼吸システムが提供するガス流の流量(Q
app)に応じて、患者が吸気する空気の酸素濃度(FiO2)がどのように変化するかを示す線グラフである。
図6及び7に示される状態A~Dは、呼吸システムの作動がどのように変わるかを示すことを支援し、一方、
図4は、制御装置14が状態Aから状態Dに移行するステップ100を示す。
【0154】
状態Aでは、呼吸システム10は、最初に、周囲空気の酸素濃度FO2ambより大きい酸素濃度FO2appを有するガスの流れを、Qapp1の第1の呼吸システム流量で提供する。第1の呼吸システム流量Qapp1は、ピーク吸気要求量Qpeakを満たすには不十分であるので、患者の吸気がピークであるとき、周囲空気は、第1の周囲流量Qamb1で患者の気道に巻き込まれる。患者が吸気する流量Qpatientはピーク吸気要求量Qpeakであり、それは、この状況では、第1の呼吸システム流量Qapp1及び第1の周囲流量Qamb1の組合せである。周囲空気の巻き込みは、患者が吸気するガスの酸素濃度を薄め、それにより、患者は、周囲空気の酸素濃度FO2ambより大きいが、呼吸システムが提供するガス流の所望の酸素濃度FO2appより小さい第1の酸素濃度FO2pat1で、ガスを吸気する。これは、ステップ102において、センサ14が、患者の鼻/口で第1の酸素濃度FO2pat1を検知することを意味する。ステップ104において、制御装置19は、第1の酸素濃度FO2pat1が呼吸システムガス流の酸素濃度FO2appより小さいと判定し、ステップ106において、呼吸システムガス流の流量Qapp1がピーク吸気要求量Qpeakを満たすには不十分であると判定する。制御装置19は、ステップ108において、呼吸システムガス流の流量Qappを、Qapp2の第2の呼吸システム流量まで増加させる。これは状態Bを作り出す。
【0155】
ここで、状態Bでは、呼吸システム10は、ガスの流れをQapp2の第2の呼吸システム流量で提供する。第1の呼吸システム流量Qapp1から増加しているにもかかわらず、第2の呼吸システム流量Qapp2は、ピーク吸気要求量Qpeakを満たすには依然として不十分であるので、患者の吸気がピークであるとき、周囲空気は、第2の周囲流量Qamb2で患者の気道に巻き込まれる。患者が吸気する流量Qpatientはピーク吸気要求量Qpeakであり、それは、この状況では、第2の呼吸システム流量Qapp2及び第2の周囲流量Qamb2の組合せである。周囲空気の巻き込みは、患者が吸気するガスの酸素濃度を薄め、それにより、患者は、周囲空気の酸素濃度FO2ambより大きく、第1の酸素濃度FO2pat1より大きいが、呼吸システムが提供するガス流の酸素濃度FO2appより小さい第2の酸素濃度FO2pat2で、ガスを吸気する。これは、ステップ102において、センサ14が、患者の鼻/口で第2の酸素濃度FO2pat2を検知することを意味する。ステップ104において、制御装置19は、第2の酸素濃度FO2pat2が呼吸システムガス流の酸素濃度FO2appより小さいと判定し、ステップ106において、呼吸システムガス流の流量Qapp1がピーク吸気要求量Qpeakを満たすには不十分であると判定する。制御装置19は、ステップ108において、呼吸システムガス流の流量Qappを、Qapp3の第3の呼吸システム流量まで増加させる。これにより状態Cに至る。
【0156】
ここで、状態Cでは、呼吸システム10は、第1の呼吸システム流量Qapp1から増加し、且つ、第2の呼吸システム流量Qapp2からの増加している、Qapp3の第3の呼吸システム流量で、ガスの流れを提供する。第3の呼吸システム流量Qapp3は、少なくとも、ピーク吸気要求量Qpeak以上(点線部分を参照)であり、それは、第3の呼吸システム流量Qapp3がピーク吸気要求量Qpeakを満たしており(上回らない場合、Qapp3がピーク吸気要求量と少なくとも同じくらい大きい流量であることを意味する)、患者が吸気する流量Qpatientは第3の呼吸システム流量Qapp3以下であり、周囲空気の巻き込みがない、すなわち、Qamb=0であることを意味する。患者は、呼吸システムが提供するガス流の酸素濃度FO2appに等しい第3の酸素濃度FO2pat3で、ガスを吸気する。これは、ステップ102において、センサ14が、患者の鼻/口で第3の酸素濃度FO2pat3を検知することを意味する。ステップ104において、制御装置19は、第3の酸素濃度FO2pat3が呼吸システムガス流の酸素濃度FO2appに等しい又は略等しいと判定し、ステップ110において、呼吸システムガス流の流量Qapp3がピーク吸気要求量Qpeakを少なくとも満たすのに十分であると判定する。この時点で、制御装置19は、Qapp3の呼吸システム流量を維持する。
【0157】
状態Cにおいて、呼吸システムガス流の流量Qapp3がピーク吸気要求量Qpeakを実際に超えていてもよいことが可能である。この場合、それは必要以上に高いので、流量を維持することが望ましくないことがある。したがって、代替形態として(呼吸システムガス流の流量Qapp3が状態Cにおいてピーク吸気要求量Qpeakを実際に超えていてもよいことが可能であるので)、先に説明したように、制御装置19は、呼吸システムガス流の流量Qappを減らすために、フィードバック制御を使用して、ステップ112において、QappをQapp4の第4の呼吸システム流量まで減少させるので、それが実質的にピーク吸気流れを満たす。これにより(試験)状態Dに至る。状態Dにおいて、呼吸システム10は、第1及び第2の呼吸システム流量Qapp1、Qapp2より大きいが、第3の呼吸システム流量Qapp3より小さいQapp4の第4の呼吸システム流量で、ガスの流れを提供する。第4の呼吸システム流量Qapp4は、ピーク吸気要求量Qpeakに略等しいが、これは依然として、ピーク吸気要求量Qpeakより大きい又は小さい可能性がある。これは、第4の呼吸システム流量Qapp4がピーク吸気要求量Qpeakを実質的に満たし、患者が吸気する流量Qpatientが第4の呼吸システム流量Qapp4と略等しく(たとえば、それらは、5%、4%、3%、2%、1%、又は他の許容差などの許容差に等しい、又は、それ以内である)、周囲空気の実質的な巻き込みがない、すなわち、Qamb=0であることを意味する。いくつかの実施形態において、許容差は、予め定められてもよく、又は、ユーザによって決定されてもよい。患者は、呼吸システムが提供するガス流の酸素濃度FO2appに略等しい第4の酸素濃度FO2pat4で空気を吸気する。第4の呼吸システム流量Qapp4は実質的に、(患者が呼吸システムによって設定された酸素分画を実際に吸気することを確実とすることによって)患者を適切に酸素化することを確実にしながら呼吸システムガス流が提供することができる最小流量である。
【0158】
(流量が吸気要求量を上回ることがある)状態Cから、状態Dを実現するために、流量は、第4の呼吸システム流量Qapp4がピーク吸気要求量Qpeakに等しいように滴定することができる。一般的に、閉ループ又は他の制御を実行することができ、それによって、流量は減少し、酸素分画は、吸気要求量を満たす最低流量が見いだされるまで、流量が依然として吸気要求量を満たしているかどうかを確認するために測定される。
【0159】
たとえば、流量の増加又は減少を設定することができ、流量Qappがピーク吸気要求量Qpeakに収束するとき、減少させることができる。任意に、状態Dに続く追加の状態が存在する可能性がある。
【0160】
或いは、状態CのQapp3の第3の呼吸システム流量から流量が減少し、流量の減少により状態Dの流量に「達しない」場合、患者のピーク吸気要求量Qpeakは、もはや満たされず、その後、周囲空気の巻き込みが発生するであろう。この状況において、制御装置は、患者が呼吸システムによって提供されるガス流の酸素濃度FO2appより小さい酸素濃度FO2patで吸気していると判定することができ、したがって、ピーク吸気要求量Qpeakがもはや満たされていないと判定する。すなわち、ステップ102において、センサ14は、患者の鼻/口における酸素濃度FO2patを検知する。ステップ104において、制御装置19は、第2の酸素濃度FO2patが呼吸システムガス流の酸素濃度FO2appより小さいと判定し、ステップ106において、呼吸システムガス流の流量Qappがピーク吸気要求量Qpeakを満たすには不十分であると判定する。制御装置19は、ステップ108で、呼吸システムガス流の流量Qappを増加させる。
【0161】
状態Dを実現する他の滴定制御システムが可能であり、上記は単なる例である。また、状態Dに滴定することが重要ではない。流量が吸気要求量を上回ることがある状態Cにとどめることが可能であろう。
【0162】
上記の実施形態において、装置は、患者が呼吸を止めた又は減らしたかどうかを判定するように構成することもできる。これは、ガスのゼロ(又は低い)流量が患者に提供され、さらに、装置が依然として吸気要求量が満たされていると判定する場合、これは、患者が呼吸をしていないことがある、又は、実質的に呼吸を減らしていることがあると表示される可能性があるという前提に基づく。患者が、ゼロ流量のもとで、呼吸している又は呼吸を減らしていない場合、おそらく周囲空気を巻き込んでおり、装置は、吸気要求量が満たされていないと判定するであろう。
【0163】
本実施形態において、システムは、知られている酸素分画(たとえば、100%)を有するガスの流れを特定の流量で供給する可能性がある。それにより、吸気要求量が通常通り満たされているかどうかの確認を行う可能性がある。吸気要求量が満たされている場合、これは、流量が吸気要求量を実際に満たしている事実による可能性がある。しかしながら、それは、患者が呼吸していない又は呼吸を減らしているためである可能性もある。試験として、装置は、流量をゼロに又は低い閾値に減少させて、吸気要求量が満たされているかどうか確認するように構成することができる。吸気要求量が依然として満たされている場合、患者が呼吸している又は呼吸を減らしていないならば、これは信じがたいであろう、なぜなら、そのような低い流量はおそらく、吸気要求量を満たす可能性がないためである。したがって、患者が呼吸していないと推測することができる。警報及び/又は他の好適な行動をとることができる。
【0164】
変形形態
上記の実施形態は、以下に関する。
・ 患者の口及び/又は鼻における酸素分画を判定すること、
・ 患者の口及び/若しくは鼻における酸素分画が、患者に送達されているガス流の酸素分画に等しい、患者に送達されているガス流の酸素分画より小さい、又は患者に送達されているガス流より大きいかどうかを判定すること、及び/或いは、
・ 患者の口及び/又は鼻で判定された酸素分画に基づいて、吸気要求量が満たされている、又は、満たされていないかどうかを判定すること、
・ 吸気要求量を満たすために流量を調整すること。
【0165】
上記のいずれの場合でも、上記のそれらの結果の1つ又は任意のものを実際に判定する、又は、説明された調整を行う必要は厳密にはなくてもよい。説明的及び概念的な目的のために、本実施形態において、態様は「判定する」と特徴付けることができるが、実際は判定が実際に行われなくてもよく、又は、行う必要がなくてもよい。むしろ、より一般的には、患者の口及び/又はにおける酸素分画の表示は、(信号、電圧、電流、データ/情報、値、ユーザ入力、又は同様のもののいずれの形態であれ)使用されて、ガス流中の酸素分画に対して比較することができ、適切な結果又は行動(たとえば、呼吸要求量が満たされているかいないかをユーザ、患者、若しくは臨床医に助言すること、及び/又は、流量を調整すること)を行うことができる。よって、より一般的には、本発明は、(それがどのように判定及び提供される、たとえば、測定、検知、又は他の方法で確認されるかに関係なく)患者の口及び/又は鼻における酸素分画を使用することと、次いで、患者の口及び/又は鼻の酸素分画と空気の巻き込みについての表示を与えるガス流の酸素分画との間の任意の相違(又は、その他)に基づいて、上記のような適切な行動をとるために、送達されている酸素分画についての知識とともにその知識を使用することに関し、それは、次に、吸気要求量が満たされているかいないかについての表示をもたらすことができ、それ自体は、状況を軽減する、又はその他の場合には、好適である行動をとるためにとる必要がある行動についての表示をもたらすことができる。吸気要求量を完全に満たすために流量を調整することは重要ではないが、ただ矛盾があるということを知り、少なくとも部分的に矛盾を改善するために、いくつかの行動をとることが重要である。本発明は、これに関し、上記の実施形態は、単に本発明のいくつかの実施態様であるが、限定的に解釈すべきではなく、より一般的な概念を支援するためにそこにある。
【0166】
たとえば、患者の口及び/又は鼻における酸素分画を判定することへの参照は、信号、データ、電流、電圧、値、情報、若しくは同様のものの形態でセンサからの出力から直接受信するのであれ、又は、その他の場合に、(たとえば、ユーザからの入力によるが、それだけに限定されない)センサからのそのような出力から判定されるのであれ、任意の種類の表示を得ることを意味することができる。
【0167】
しかし、上記のように、そのような判定がまったく行われないことがある、又は、表示は、酸素分画の直接の表示でなくてもよいが、それのためのいくつかのプロキシであってもよい。たとえば、表示は、単に、酸素分画が判定される可能性がある信号、データ、電流、電圧、値、情報、パラメータなどであってもよいが、必ずしもある必要があるというわけではない。表示は、それ自体、吸気要求量を満たすために次に起こる必要があることとの相関関係を作るのに十分であることがある。
【0168】
一例として、ガス流は、患者の口及び/又は鼻における分画、及び、ガス流の酸素分画に基づいて調整される。これは、患者の口及び/又は鼻における酸素分画を示すいくつかのパラメータとガス流の酸素分画を示すいくつかのパラメータとの比較の形態である可能性がある。それは、実際の患者の口及び/又は鼻における酸素分画(ただし、決定された)と、ガス流の実際の酸素分画との比較を含む可能性があるが、それは唯一の指し示すパラメータではなく、より直接的ではないパラメータが使用される可能性がある。比較は、パラメータの1つが、他のパラメータより高い、他のパラメータより低い、及び/又は他のパラメータと同じであるかどうかをそれぞれ見てもよい。いくつかの実施形態では、比較は必要とさえされなくてもよい。単に、患者の口若しくは鼻における酸素分画についての知識(若しくは、それを示すいくつかのパラメータ)、及び/又は、ガス流の酸素分画についての知識(若しくは、それを示すいくつかのパラメータ)だけで、2つを実際に比較しなくても、本発明の実施形態を実行するためには、それが、吸気要求量を判定すること、流量を調整すること、吸気要求量を満たすために流量を調整すること、又は、そのいくつかの組合せであるかどうかにかかわらず、十分であることがある。調整が、吸気要求量を満たすことにおける矛盾を完全には解決しないことさえあり、むしろ、単に流量を患者の吸気要求量により近づけることが可能である。(広義には、「満たす」は「流量を吸気要求量により近づける」ことを意味することができ、それは利益を提供する)。患者の鼻及び/又は口における酸素分画並びにガス流の酸素分画についての知識は、必ずしも実際に吸気要求量を満たすことなく、状況を改善するように、ガス流を調整するために使用されてもよい。しかし、患者の口及び鼻における酸素分画、並びに、ガス流の酸素分画とのその関係は、決断を行うための情報を得るための、及び/又は、システムの作動を調整するための基礎である可能性がある。
【0169】
さらにまた、Qpeakのパターンは、患者、症候、治療、又は他の関連する情報、たとえば、患者の呼吸が変わっているかどうか、及び、それがどのように変わっているか、たとえば、呼吸数が、時間が経つにつれて減少していることを提供するために表示及び観察することができる。これは、値及び/若しくはグラフ又は同様のものの形態で、ユーザインターフェース上に表示される可能性がある。たとえば、流量、吸気要求量、巻き込み流量、又は同様のものは、好適な方法で示される可能性がある。
【国際調査報告】