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特表2023-515665神経伝達物質トランスポーターの阻害剤の有効性を評価するための組成物及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-13
(54)【発明の名称】神経伝達物質トランスポーターの阻害剤の有効性を評価するための組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/11 20060101AFI20230406BHJP
   C12N 15/09 20060101ALI20230406BHJP
   C12Q 1/6837 20180101ALI20230406BHJP
   C12Q 1/6869 20180101ALI20230406BHJP
   C12Q 1/686 20180101ALI20230406BHJP
   C12Q 1/68 20180101ALI20230406BHJP
   C12Q 1/6844 20180101ALI20230406BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20230406BHJP
【FI】
C12N15/11 Z ZNA
C12N15/09 200
C12Q1/6837 Z
C12Q1/6869 Z
C12Q1/686 Z
C12Q1/68
C12Q1/6844 Z
G01N33/53 M
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022552541
(86)(22)【出願日】2021-02-23
(85)【翻訳文提出日】2022-10-26
(86)【国際出願番号】 US2021019265
(87)【国際公開番号】W WO2021178166
(87)【国際公開日】2021-09-10
(31)【優先権主張番号】62/986,603
(32)【優先日】2020-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520425176
【氏名又は名称】デノボ バイオファーマ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ウィテカー,ジョン,ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】ダリ,ザフリン
(72)【発明者】
【氏名】サン,ホン
(72)【発明者】
【氏名】ルー,ハイピン
(72)【発明者】
【氏名】リー,シャオジュン
(72)【発明者】
【氏名】ウー,ウィルソン
(72)【発明者】
【氏名】ルオ,ウェン
【テーマコード(参考)】
4B063
【Fターム(参考)】
4B063QA19
4B063QQ02
4B063QQ08
4B063QQ42
4B063QQ52
4B063QR08
4B063QR32
4B063QR35
4B063QR55
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4B063QR82
4B063QS25
4B063QS32
4B063QX02
4B063QX10
(57)【要約】
本発明は、ゲノム薬理学の分野に関し、これは、例えば、有効性又は有害作用などの様々な個別の反応を予測するための1つ又は複数のゲノムバイオマーカー並びに関連する診断方法、装置、試薬、システム、及びキットを、治療薬、例えば、特定の神経伝達物質トランスポーターの阻害剤、例えば、リアフェンシンなどに適用するものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
rs12217173、rs12217173と連鎖不平衡にある一塩基多型(SNP)であって、前記SNPの連鎖平衡のD’値が約0.900以上であるか、若しくは前記SNPとrs12217173との間のr値が約0.800以上であるSNP、及びその相補的SNPからなる群から選択される、SNPを含むか、それから構成されるか、若しくはそれから本質的に構成される単離ポリヌクレオチド。
【請求項2】
前記SNPが、rs12217173、表1A~1Eのいずれかに列挙されるSNP、又はその相補的SNPである、請求項1に記載の単離ポリヌクレオチド。
【請求項3】
前記SNPが、rs12217173、rs12219340、rs4612751、rs12572120、又はその相補的SNPである、請求項2に記載の単離ポリヌクレオチド。
【請求項4】
前記SNPが、rs12217173、又はその相補的SNPである、請求項3に記載の単離ポリヌクレオチド。
【請求項5】
2つ以上、3つ以上、4つ以上、若しくは5つ以上の前記単離ポリヌクレオチドを含むか、それらから構成されるか、又はそれらから本質的に構成される単離ポリヌクレオチドのパネル。
【請求項6】
前記SNPが、rs12217173、rs12219340、rs4612751、rs12572120、又はその相補的SNPである、請求項5に記載のパネル。
【請求項7】
前記単離ポリヌクレオチドが、配列番号1~51に記載される配列のいずれか、それらの相補配列、又はそれらと連鎖不平衡にある配列を含むか、それらから構成されるか、又はそれらから本質的に構成される、請求項1~4のいずれか1項に記載の単離ポリヌクレオチド又は請求項1~4のいずれか1項に記載の単離ポリヌクレオチド。
【請求項8】
前記単離ポリヌクレオチドが、配列番号51、1、2、若しくは5に記載される配列、それらの相補配列、又はそれらと連鎖不平衡にある配列を含むか、それらから構成されるか、又はそれらから本質的に構成される、請求項7に記載の単離ポリヌクレオチド又はパネル。
【請求項9】
前記単離ポリヌクレオチドが、配列番号51に記載される配列、その相補配列、又はそれと連鎖不平衡にある配列を含むか、それから構成されるか、又はそれから本質的に構成される、請求項8に記載の単離ポリヌクレオチド又はパネル。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の単離ポリヌクレオチド又はパネルを含むキットであって、前記キットは、任意選択で、使用説明書を含むキット。
【請求項11】
基板と、前記基板上に直接若しくは間接的に固定化された請求項1~9のいずれか1項に記載の単離ポリヌクレオチド又はパネルと、を含むマイクロアレイ。
【請求項12】
rs12217173、rs12217173と連鎖不平衡にある一塩基多型(SNP)であって、前記SNPの連鎖平衡のD’値が約0.900以上であるか、若しくは前記SNPとrs12217173との間のr値が約0.800以上であるSNP、及びその相補的SNPからなる群から選択される、1つ若しくは複数のSNPを検出するための試薬。
【請求項13】
rs12217173、表1A~1Eのいずれかに列挙されるSNP、又はその相補的SNPを検出するための請求項12に記載の試薬。
【請求項14】
rs12217173、rs12219340、rs4612751、rs12572120、又はそれらの相補的SNPを検出するための請求項13に記載の試薬。
【請求項15】
rs12217173、又はその相補的SNPを検出するための請求項14に記載の試薬。
【請求項16】
前記1つ又は複数のSNPが、配列番号1~51に記載される配列のいずれかに記載される配列、それらの相補配列、又はそれらと連鎖不平衡にある配列を含む、請求項12~15のいずれか1項に記載の試薬。
【請求項17】
前記1つ又は複数のSNPが、配列番号51、1、2、若しくは5に記載される配列、それらの相補配列、又はそれらと連鎖不平衡にある配列を含む、請求項16に記載の試薬。
【請求項18】
前記1つ又は複数のSNPが、配列番号51に記載される配列、その相補配列、又はそれと連鎖不平衡にある配列を含む、請求項17に記載の試薬。
【請求項19】
前記1つ又は複数のSNPをアッセイするための1つ又は複数の分子を含む、請求項12~18のいずれか1項に記載の試薬。
【請求項20】
前記1つ又は複数の分子が、オリゴヌクレオチド及び/又はポリペプチドを含む、請求項19に記載の試薬。
【請求項21】
前記オリゴヌクレオチドが、配列番号1~51に記載の配列のいずれかに記載される配列、又はその相補配列を含む、請求項20に記載の試薬。
【請求項22】
前記オリゴヌクレオチドが、前記1つ又は複数のSNPを遺伝子型決定するための1つ又は複数のプライマーを含む、請求項20又は21に記載の試薬。
【請求項23】
請求項12~22のいずれか1項に記載の試薬を含むキットであって、前記キットは、任意選択で使用説明書を含むキット。
【請求項24】
請求項1~9のいずれか1項に記載の単離ポリヌクレオチド又はパネルと、請求項12~22のいずれか1項に記載の試薬を含むキットであって、前記キットは、任意選択で使用説明書を含むキット。
【請求項25】
前記単離ポリヌクレオチド又はパネルが、rs12217173、rs12217173と連鎖不平衡にあるSNPであって、前記SNPの連鎖平衡のD’値が約0.900以上であるか、若しくは前記SNPとrs12217173との間のr値が約0.800以上であるSNP、及びその相補的SNPからなる群から選択されるSNPを含み、前記試薬は、前記SNPを検出することができる、請求項24に記載のキット。
【請求項26】
前記単離ポリヌクレオチド又はパネルが、rs12217173、表1A~1Eのいずれかに列挙されるSNP、及び/又はその相補的SNPを含み、前記試薬は、前記SNPを検出することができる、請求項25に記載のキット。
【請求項27】
前記単離ポリヌクレオチド又はパネルが、rs12217173、rs12219340、rs4612751、rs12572120、及び/又はその相補的SNPを含み、前記試薬は、前記SNPを検出することができる、請求項26に記載のキット。
【請求項28】
前記単離ポリヌクレオチドが、rs12217173、又はその相補的SNPを含み、前記試薬は、前記SNPを検出することができる、請求項27に記載のキット。
【請求項29】
前記試薬が、前記SNPを検出することができ、前記単離ポリヌクレオチド又はパネルは、検出アッセイの対照として役立つ、請求項23~28のいずれか1項に記載のキット。
【請求項30】
基板と、前記基板上に直接又は間接的に固定化された請求項12~22のいずれか1項に記載の試薬と、を含むマイクロアレイ。
【請求項31】
基板と、請求項1~9のいずれか1項に記載の単離ポリヌクレオチド又はパネルと、前記基板上に直接若しくは間接的に固定化された請求項12~22のいずれか1項に記載の試薬と、を含むマイクロアレイ。
【請求項32】
前記試薬が、前記SNPを検出することができ、前記単離ポリヌクレオチド又はパネルは、検出アッセイの対照として役立つ、請求項31に記載のマイクロアレイ。
【請求項33】
単離バイオマーカー又は単離バイオマーカーのパネルの評価のために使用され、前記1つ又は複数のバイオマーカーが、rs12217173、rs12217173と連鎖不平衡にある一塩基多型(SNP)であって、前記SNPの連鎖平衡のD’値が約0.900以上であるか、若しくは前記SNPとrs12217173との間のr値が約0.800以上であるSNP、及びその相補的SNPからなる群から選択されるSNPを含む、請求項10~32のいずれか1項に記載のキット、試薬、又はマイクロアレイ。
【請求項34】
前記単離バイオマーカー又はパネルが、以下:シーケンシング、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、キャピラリー電気泳動、質量分析、一本鎖高次構造多型(SSCP)、電気化学分析、変性HPLC及びゲル電気泳動、制限断片長多型、ハイブリダイゼーション分析、一塩基伸長(SBE)、アレル特異的プライマー伸長(ASPE)、制限酵素消化、鎖置換増幅(SDA)、転写媒介増幅(TMA)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、核酸配列ベースの増幅(NASBA)、プライマー伸長、ローリングサークル増幅(RCA)、自己持続性配列複製(3SR)、ループ介在等温増幅(LAMP)、ハイブリダイゼーション、核酸シーケンシング、及び/又はマイクロアレイによりアッセイされ、
任意選択で、前記核酸シークエンシングが、以下:Maxam-Gilbertシーケンシング、鎖停止法、ショットガンシーケンシング、ブリッジPCR、一分子リアルタイムシーケンシング、イオン半導体(イオントレントシーケンシング)、合成によるシーケンシング、ライゲーションによるシーケンシング(SOLiDシーケンシング)、鎖停止(Sangerシーケンシング)、大規模な並列シグネチャーシーケンシング(MPSS)、ポロニーシーケンシング、454パイロシーケンシング、Illumina(Solexa)シーケンシング、DNAナノボールシーケンシング、ヘリスコープ一分子シーケンシング、一分子リアルタイム(SMRT)シーケンシング、ナノポアDNAシーケンシング、トンネル電流DNAシーケンシング、ハイブリダイゼーションによるシーケンシング、質量分析によるシーケンシング、マイクロ流体Sangerシーケンシング、顕微鏡を用いた技法、RNAPシーケンシング、及び/又はインビトロウイルスハイスループットシーケンシングからなる群から選択される、請求項33に記載のキット、試薬、又はマイクロアレイ。
【請求項35】
治療、例えば、うつ病などのCNS疾患又は障害の治療の目的でコンパニオン診断検査を実施するための前記単離バイオマーカー又はパネルの使用に関する説明書をさらに含む、請求項33又は34に記載のキット、試薬、又はマイクロアレイ。
【請求項36】
前記治療のためのコンパニオン診断検査が、rs12217173、表1A~1Eのいずれかに列挙されるSNP、又はその相補的SNPを用いて実施される、請求項35に記載のキット、試薬、又はマイクロアレイ。
【請求項37】
前記治療のためのコンパニオン診断検査が、rs12217173、rs12219340、rs4612751、rs12572120、又はそれらの相補的SNPを用いて実施される、請求項36に記載のキット、試薬、又はマイクロアレイ。
【請求項38】
前記治療のためのコンパニオン診断検査が、rs12217173、又はその相補的SNPを用いて実施される、請求項37に記載のキット、試薬、又はマイクロアレイ。
【請求項39】
前記治療が、大うつ病性障害(MDD若しくはうつ病)、又は異常なレベルのセロトニン(5-HT)、ノルエピネフリン(NE)及び/又はドーパミン(DA)に関連する疾患若しくは障害の治療である、請求項33~38のいずれか1項に記載のキット、試薬、又はマイクロアレイ。
【請求項40】
前記疾患又は障害が、中枢神経系(CNS)疾患又は障害である、請求項39に記載のキット、試薬、又はマイクロアレイ。
【請求項41】
前記CNS疾患又は障害が、以下:大うつ病性障害(MDD)、例えば、MDDのサブタイプ、又は精神病性特徴を有する大うつ病及び/又は周産若しくは産後発症を伴ううつ病、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、双極性障害、強迫性障害(OCD)、摂食障害、注意欠陥多動性障害(ADHD)、睡眠障害、例えば、ナルコレプシー、物質使用障害、トゥレット症候群(TS)、統合失調症、てんかん、片頭痛、及び自閉症スペクトラム障害からなる群から選択される、請求項40に記載のキット、試薬、又はマイクロアレイ。
【請求項42】
前記神経変性障害は、アルツハイマー病(AD)、ハンチントン病、又はパーキンソン病(PD)である、請求項41に記載のキット、試薬、又はマイクロアレイ。
【請求項43】
前記治療が、大うつ病性障害(MDD又はうつ病)の治療である、請求項39に記載のキット、試薬、又はマイクロアレイ。
【請求項44】
前記治療が、それを必要とする被験者に、大うつ病性障害(MDD若しくはうつ病)を治療するための薬剤、又は被験者におけるセロトニン(5-HT)、ノルエピネフリン(NE)及び/又はドーパミン(DA)のレベルを調節するための薬剤を薬学的に有効な量で投与することを含む、請求項33~43のいずれか1項に記載のキット、試薬、又はマイクロアレイ。
【請求項45】
大うつ病性障害(MDD若しくはうつ病)を治療するための前記薬剤、又はセロトニン、ノルエピネフリン及び/又はドーパミンのレベルを調節するための前記薬剤が、以下:
a)リアフェンシン(BMS-820836若しくはAMR-000013)、BMS-866949(CSTI-500若しくはAMR-001181)、又はそれらの類似体若しくは誘導体;或いは
b)セロトニントランスポーター(SERT)、ノルエピネフリントランスポーター(NET)及び/又はドーパミントランスポーター(DAT)の阻害剤
を含む、請求項44に記載のキット、試薬、又はマイクロアレイ。
【請求項46】
前記セロトニントランスポーターの阻害剤が、以下:
a)約0.1nm~約1μm、例えば、約0.1nm~約60nmの範囲の、前記セロトニントランスポーターに対する結合親和性IC50;及び/又は
b)約0.1nm~約1μm、例えば、約2nm~約200nmの範囲の、前記セロトニントランスポーターに対する機能的効力IC50
を有する、請求項45に記載のキット、試薬、又はマイクロアレイ。
【請求項47】
前記ノルエピネフリントランスポーターの阻害剤が、以下:
a)約1nm~約1μm、例えば、約0.8nm~約80nmの範囲の、前記ノルエピネフリントランスポーターに対する結合親和性IC50;及び/又は
b)約0.1nm~約1μm、例えば、約4nm~約400nmの範囲の、前記ノルエピネフリントランスポーターに対する機能的効力IC50
を有する、請求項45又は46に記載のキット、試薬、又はマイクロアレイ。
【請求項48】
前記ドーパミントランスポーターの阻害剤が、以下:
a)約1nm~約1μmの範囲、例えば、約0.6nm~約60nmの範囲の、前記ドーパミントランスポーターに対する結合親和性IC50;及び/又は
b)約0.1nm~約1μmの、例えば、約3nm~約300nm範囲の、前記ドーパミントランスポーターに対する機能的効力IC50
を有する、請求項45~47のいずれか1項に記載のキット、試薬、又はマイクロアレイ。
【請求項49】
前記薬剤が、セロトニン-ノルエピネフリン-ドーパミン再取り込み阻害剤(SNDRI、トリプル再取り込み阻害剤又はTRI)を含む、請求項45~48のいずれか1項に記載のキット、試薬、又はマイクロアレイ。
【請求項50】
前記セロトニン-ノルエピネフリン-ドーパミン再取り込み阻害剤が、式(I):
【化1】

の化合物
(式中:
Xが結合しているキラル中心は、R又はS配置であり;
Xは、インデニル、インダニル、ナフチル、ジヒドロナフチル、テトラヒドロナフチル、ベンゾシクロヘプテニル、ジヒドロベンゾシクロヘプテニル、及びテトラヒドロベンゾシクロヘプテニルからなる群から選択され;
は、H又はメチルであり、好ましくは、R1は、メチルであり;
は、Hであり;
は、Hであり;
は、ピリダジン-3-イル、6-メチルピリダジン-3-イル、6-ジメチルアミノ-ピリジン-3-イル、6-メチルアミノ-ピリダジン-3-イル、6-アミノ-ピリダジン-3-イル、6-モルホリノ-4-イルピリダジン-3-イル、6-トリフルオロメチル-ピリダジン-3-イル、6-シアノ-ピリダジン-3-イル、及びピリダジン-4-イルからなる群から選択され;
は、H又はFであり;
は、H、F又はメトキシであり;
は、Hであり;
は、H、OH、OCH、-CN、F、Cl、又はCHである)
又はその酸化物;
又はその薬学的に許容される塩
である、請求項49に記載のキット、試薬、又はマイクロアレイ。
【請求項51】
が、6-アミノ-ピリダジン-3-イルであり;又はその薬学的に許容される塩である、請求項50に記載のキット、試薬、又はマイクロアレイ。
【請求項52】
Xが、ナフタレン-2-イルであり;又はその薬学的に許容される塩である、請求項50又は51に記載のキット、試薬、又はマイクロアレイ。
【請求項53】
Xが結合するキラル中心は、S配置であり;又はその薬学的に許容される塩である、請求項52に記載のキット、試薬、又はマイクロアレイ。
【請求項54】
前記化合物が、(+)立体異性体;又はその薬学的に許容される塩である、請求項52に記載のキット、試薬、又はマイクロアレイ。
【請求項55】
前記化合物が、式:
【化2】

の化合物、又はその薬学的に許容される塩である、請求項50に記載のキット、試薬、又はマイクロアレイ。
【請求項56】
前記化合物が、式:
【化3】

の化合物、又はその薬学的に許容される塩である、請求項55に記載のキット、試薬、又はマイクロアレイ。
【請求項57】
前記化合物が、デス-メチル代謝産物(BMS-821007)である、請求項50に記載のキット、試薬、又はマイクロアレイ。
【請求項58】
前記セロトニン-ノルエピネフリン-ドーパミン再取り込み阻害剤が、式(II):
【化4】

の化合物、又はその薬学的に許容される塩である、請求項49に記載のキット、試薬、又はマイクロアレイ。
【請求項59】
前記セロトニン-ノルエピネフリン-ドーパミン再取り込み阻害剤が、リアフェンシン、BMS-866949、又はその類似体若しくは誘導体、又はその薬学的に許容される塩である、請求項49に記載のキット、試薬、又はマイクロアレイ。
【請求項60】
前記セロトニン-ノルエピネフリン-ドーパミン再取り込み阻害剤が、以下:マジンドール、ネファゾドン、シブトラミン、ベンラファキシン、エスケタミン、ケタミン、フェンシクリジン(PCP)、トリペレナミン、メピプラゾール、アミチファジン、AN-788、塩酸アンソファキシン、センタナファジン、ダソトラリン、Lu AA34893、Lu AA37096、NS-2360、テダチオキセチン、テソフェンシン、ビシファジン(DOV-220,075)、BMS 866,949、ブラソフェンシン、ジクロフェンシン(Ro 8-4650)、DOV 216,303、EXP-561、NS-2359、RG-7166、SEP-227,162、SEP-228,425、SEP-228,432、3-メチル-PCPy、ナフィロン、3,3,-ジフェニルシクロブタンアミン、3,4-ジクロロタメトラリン、D-161、デスメチルセルトラリン(DMS)、N,O-ジメチル-4β-(2-ナフチル)ピペリジン-3β-カルボキシレート(DMNPC)、DOV-102,677、フェゾラミン(Win-41,528-2)、GSK1360707F、インダトラリン(Lu 19-005)、JNJ-7925476、LR-5182、HDMP-28(メチルナフチデート)、MI-4、PRC200-SS、SKF-83,959、TP1、NS9775、フェニルトロパン、SEP-225289、GSK372475、及び植物薬から選択される、請求項49に記載のキット、試薬、又はマイクロアレイ。
【請求項61】
前記フェニルトロパンが、WF-23、ジクロロパン、又はRTI-55である、請求項60に記載のキット、試薬、又はマイクロアレイ。
【請求項62】
前記植物薬が、コカ粉、イチョウ(Ginkgo biloba)抽出物、セイヨウオトギリ(Hypericum Perforatum)、(セントジョンズワート(St. John’s wort))、オレガノ抽出物、ローズマリー抽出物、又はヘデラゲニン(Hederagenin)を含む、請求項60に記載のキット、試薬、又はマイクロアレイ。
【請求項63】
被験者における大うつ病性障害(MDD若しくはうつ病)を治療するための薬剤、又はセロトニン(5-HT)、ノルエピネフリン(NE)及び/又はドーパミン(DA)のレベルを調節するための薬剤をさらに含む、請求項12~62に記載のキット、試薬、又はマイクロアレイ。
【請求項64】
前記薬剤が、以下:
a)リアフェンシン(BMS-820836若しくはAMR-000013)、BMS-866949(CSTI-500若しくはAMR-001181)、又はその類似体若しくは誘導体;或いは
b)セロトニントランスポーター(SERT)、ノルエピネフリントランスポーター(NET)及び/又はドーパミントランスポーター(DAT)の阻害剤、例えば、セロトニン-ノルエピネフリン-ドーパミン再取り込み阻害剤
を含む、請求項63に記載のキット、試薬、又はマイクロアレイ。
【請求項65】
以下:
a)rs12217173、rs12217173と連鎖不平衡にある一塩基多型(SNP)であって、前記SNPの連鎖平衡のD’値が約0.900以上であるか、若しくは前記SNPとrs12217173との間のr値が約0.800以上であるSNP、及びその相補的SNPからなる群から選択される、1つ若しくは複数のSNPに対する治療を受けているか、又は治療が検討される被験者からの生体サンプルをアッセイすること;及び/又は
b)前記治療に対して起こり得る前記被験者の応答性を決定するために、例えば、前記1つ若しくは複数のSNPのアッセイ結果に基づくコンピュータアルゴリズムを用いて、アウトプット、例えばスコアを生成すること
を含む、コンパニオン診断方法。
【請求項66】
治療の適格性について被験者を分類するための方法において、以下:
b)rs12217173、rs12217173と連鎖不平衡にある一塩基多型(SNP)であって、前記SNPの連鎖平衡のD’値が約0.900以上であるか、若しくは前記SNPとrs12217173との間のr値が約0.800以上であるSNP、及びその相補的SNPからなる群から選択される、1つ若しくは複数のSNPに対する治療を受けているか、又は治療が検討される被験者からの生体サンプルをアッセイすること;及び/又は
b)前記治療若しくは継続治療について適格又は不適格として前記被験者を分類するために、例えば、前記1つ若しくは複数のSNPのアッセイ結果に基づくコンピュータアルゴリズムを用いて、アウトプット、例えばスコアを生成すること
を含む、方法。
【請求項67】
治療について被験者又は被験者の集団をスクリーニングするための方法において、以下:
a)rs12217173、rs12217173と連鎖不平衡にある一塩基多型(SNP)であって、前記SNPの連鎖平衡のD’値が約0.900以上であるか、若しくは前記SNPとrs12217173との間のr値が約0.800以上であるSNP、及びその相補的SNPからなる群から選択される、1つ若しくは複数のSNPに対する治療を受けているか、又は治療が検討される被験者からの生体サンプルをアッセイすること;及び/又は
b)前記被験者若しくは集団が、前記治療若しくは治療の継続から利益を得る可能性が高いかどうかを決定するために、及び/又は前記被験者若しくは集団が、前記治療又は治療の継続から有害作用を経験する可能性があるかどうかを判断するために、例えば、前記1つ若しくは複数のSNPのアッセイ結果に基づくコンピュータアルゴリズムを用いて、アウトプット、例えばスコアを生成すること
を含む、方法。
【請求項68】
治療中に被験者をモニタリングするための方法において、以下:
a)rs12217173、rs12217173と連鎖不平衡にある一塩基多型(SNP)であって、前記SNPの連鎖平衡のD’値が約0.900以上であるか、若しくは前記SNPとrs12217173との間のr値が約0.800以上であるSNP、及びその相補的SNPからなる群から選択される、1つ若しくは複数のSNPに対する治療を受けているか、又は治療が検討される被験者からの生体サンプルをアッセイすること;及び/又は
b)前記被験者が継続治療を受けるべきかどうかを決定するために、例えば、前記1つ若しくは複数のSNPのアッセイ結果に基づくコンピュータアルゴリズムを用いて、アウトプット、例えばスコアを生成すること
を含む、方法。
【請求項69】
治療を受けているか、又は治療が検討される被験者から生体サンプルを取得することをさらに含む、請求項65~68のいずれか1項に記載の方法。
【請求項70】
治療を受けているか、又は治療が検討される被験者からの生体サンプルからゲノムDNAを単離することをさらに含む、請求項65~69のいずれか1項に記載の方法。
【請求項71】
前記被験者を前記治療に付すことをさらに含む、請求項65~70のいずれか1項に記載の方法。
【請求項72】
前記被験者に対する前記治療を継続することをさらに含む、請求項65~70のいずれか1項に記載の方法。
【請求項73】
前記被験者に対する前記治療を推奨しないこと、前記被験者に対する前記治療を変更すること、又は前記被験者の前記治療を中止することをさらに含む、請求項65~70のいずれか1項に記載の方法。
【請求項74】
前記1つ又は複数のSNPが、rs12217173、表1A~1Eのいずれかに列挙されるSNP、又はその相補的SNPからなる群から選択される、請求項65~73のいずれか1項に記載の方法。
【請求項75】
前記1つ又は複数のSNPが、rs12217173、rs12219340、rs4612751、rs12572120、又はその相補的SNPからなる群から選択される、請求項65~73のいずれか1項に記載の方法。
【請求項76】
前記1つ又は複数のSNPが、rs12217173、又はその相補的SNPである、請求項65~73のいずれか1項に記載の方法。
【請求項77】
前記1つ又は複数のSNPが、配列番号1~51に記載される配列のいずれかに記載される配列、それらの相補配列、又はそれらと連鎖不平衡にある配列を含む、請求項65~73のいずれか1項に記載の方法。
【請求項78】
前記1つ又は複数のSNPが、配列番号51、1、2、若しくは5に記載される配列、それらの相補配列、又はそれらと連鎖不平衡にある配列を含む、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
前記1つ又は複数のSNPが、配列番号51に記載される配列、その相補配列、又はそれと連鎖不平衡にある配列を含む、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記1つ又は複数のSNPが、以下:シーケンシング、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、キャピラリー電気泳動、質量分析、一本鎖高次構造多型(SSCP)、電気化学分析、変性HPLC及びゲル電気泳動、制限断片長多型、ハイブリダイゼーション分析、一塩基伸長(SBE)、アレル特異的プライマー伸長(ASPE)、制限酵素消化、鎖置換増幅(SDA)、転写媒介増幅(TMA)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、核酸配列ベースの増幅(NASBA)、プライマー伸長、ローリングサークル増幅(RCA)、自己持続性配列複製(3SR)、ループ介在等温増幅(LAMP)、ハイブリダイゼーション、核酸シーケンシング、及び/又はマイクロアレイによりアッセイされ、
任意選択で、前記核酸シークエンシングが、以下:Maxam-Gilbertシーケンシング、鎖停止法、ショットガンシーケンシング、ブリッジPCR、一分子リアルタイムシーケンシング、イオン半導体(イオントレントシーケンシング)、合成によるシーケンシング、ライゲーションによるシーケンシング(SOLiDシーケンシング)、鎖停止(Sangerシーケンシング)、大規模な並列シグネチャーシーケンシング(MPSS)、ポロニーシーケンシング、454パイロシーケンシング、Illumina(Solexa)シーケンシング、DNAナノボールシーケンシング、ヘリスコープ一分子シーケンシング、一分子リアルタイム(SMRT)シーケンシング、ナノポアDNAシーケンシング、トンネル電流DNAシーケンシング、ハイブリダイゼーションによるシーケンシング、質量分析によるシーケンシング、マイクロ流体Sangerシーケンシング、顕微鏡を用いた技法、RNAPシーケンシング、及び/又はインビトロウイルスハイスループットシーケンシングからなる群から選択される、請求項65~79のいずれか1項に記載の方法。
【請求項81】
前記治療が、大うつ病性障害(MDD若しくはうつ病)、又は異常なレベルのセロトニン(5-HT)、ノルエピネフリン(NE)及び/又はドーパミン(DA)に関連する疾患若しくは障害の治療である、請求項65~80のいずれか1項に記載の方法。
【請求項82】
前記疾患又は障害が、中枢神経系(CNS)疾患又は障害である、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
前記CNS疾患又は障害が、以下:大うつ病性障害(MDD)、例えば、MDDのサブタイプ、又は精神病性特徴を有する大うつ病及び/又は周産若しくは産後発症を伴ううつ病、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、双極性障害、強迫性障害(OCD)、摂食障害、注意欠陥多動性障害(ADHD)、睡眠障害、例えば、ナルコレプシー、物質使用障害、トゥレット症候群(TS)、統合失調症、てんかん、片頭痛、及び自閉症スペクトラム障害からなる群から選択される、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
前記神経変性障害は、アルツハイマー病(AD)、ハンチントン病、又はパーキンソン病(PD)である、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
前記治療が、大うつ病性障害(MDD又はうつ病)、又はMDDのサブタイプ、例えば、精神病性特徴を有する大うつ病及び/又は周産若しくは産後発症を伴ううつ病の治療である、請求項81に記載の方法。
【請求項86】
前記治療が、それを必要とする被験者に、大うつ病性障害(MDD若しくはうつ病)を治療するための薬剤、又は被験者におけるセロトニン(5-HT)、ノルエピネフリン(NE)及び/又はドーパミン(DA)のレベルを調節するための薬剤を薬学的に有効な量で投与することを含む、請求項65~85のいずれか1項に記載の方法。
【請求項87】
大うつ病性障害(MDD若しくはうつ病)を治療するための前記薬剤、又はセロトニン、ノルエピネフリン及び/又はドーパミンのレベルを調節するための前記薬剤が、以下:
a)リアフェンシン(BMS-820836若しくはAMR-000013)、BMS-866949(CSTI-500若しくはAMR-001181)、又はそれらの類似体若しくは誘導体;或いは
b)セロトニントランスポーター(SERT)、ノルエピネフリントランスポーター(NET)及び/又はドーパミントランスポーター(DAT)の阻害剤
を含む、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
セロトニントランスポーターの前記阻害剤が、以下:
a)約0.1nm~約1μm、例えば、約0.1nm~約60nmの範囲の、前記セロトニントランスポーターに対する結合親和性IC50;及び/又は
b)約0.1nm~約1μm、例えば、約2nm~約200nmの範囲の、前記セロトニントランスポーターに対する機能的効力IC50
を有する、請求項87に記載の方法。
【請求項89】
ノルエピネフリントランスポーターの前記阻害剤が、以下:
a)約1nm~約1μm、例えば、約0.8nm~約80nmの範囲の、前記ノルエピネフリントランスポーターに対する結合親和性IC50;及び/又は
b)約0.1nm~約1μm、例えば、約4nm~約400nmの範囲の、前記ノルエピネフリントランスポーターに対する機能的効力IC50
を有する、請求項87又は88に記載の方法。
【請求項90】
前記ドーパミントランスポーターの阻害剤が、以下:
a)約1nm~約1μmの範囲、例えば、約0.6nm~約60nmの範囲の、前記ドーパミントランスポーターに対する結合親和性IC50;及び/又は
b)約0.1nm~約1μmの、例えば、約3nm~約300nm範囲の、前記ドーパミントランスポーターに対する機能的効力IC50
を有する、請求項87~89のいずれか1項に記載の方法。
【請求項91】
前記薬剤が、セロトニン-ノルエピネフリン-ドーパミン再取り込み阻害剤(SNDRI、トリプル再取り込み阻害剤又はTRI)を含む、請求項87~90のいずれか1項に記載の方法。
【請求項92】
前記セロトニン-ノルエピネフリン-ドーパミン再取り込み阻害剤が、式(I):
【化5】

の化合物
(式中:
Xが結合しているキラル中心は、R又はS配置であり;
Xは、インデニル、インダニル、ナフチル、ジヒドロナフチル、テトラヒドロナフチル、ベンゾシクロヘプテニル、ジヒドロベンゾシクロヘプテニル、及びテトラヒドロベンゾシクロヘプテニルからなる群から選択され;
は、H又はメチルであり、好ましくは、R1は、メチルであり;
は、Hであり;
は、Hであり;
は、ピリダジン-3-イル、6-メチルピリダジン-3-イル、6-ジメチルアミノ-ピリジン-3-イル、6-メチルアミノ-ピリダジン-3-イル、6-アミノ-ピリダジン-3-イル、6-モルホリノ-4-イルピリダジン-3-イル、6-トリフルオロメチル-ピリダジン-3-イル、6-シアノ-ピリダジン-3-イル、及びピリダジン-4-イルからなる群から選択され;
は、H又はFであり;
は、H、F又はメトキシであり;
は、Hであり;
は、H、OH、OCH、-CN、F、Cl、又はCHである)
又はその酸化物;
又はその薬学的に許容される塩
である、請求項91に記載の方法。
【請求項93】
が、6-アミノ-ピリダジン-3-イルであり;又はその薬学的に許容される塩である、請求項92に記載の方法。
【請求項94】
Xが、ナフタレン-2-イルであり;又はその薬学的に許容される塩である、請求項92又は93に記載の方法。
【請求項95】
Xが結合するキラル中心が、S配置であり;又はその薬学的に許容される塩である、請求項94に記載の方法。
【請求項96】
前記化合物が、(+)立体異性体;又はその薬学的に許容される塩である、請求項94に記載の方法。
【請求項97】
前記化合物が、式:
【化6】

の化合物、又はその薬学的に許容される塩である、請求項92に記載の方法。
【請求項98】
前記化合物が、式:
【化7】

の化合物、又はその薬学的に許容される塩である、請求項97に記載の方法。
【請求項99】
前記化合物が、デス-メチル代謝産物(BMS-821007)である、請求項92に記載の方法。
【請求項100】
前記セロトニン-ノルエピネフリン-ドーパミン再取り込み阻害剤が、式(II):
【化8】

の化合物、又はその薬学的に許容される塩である、請求項91に方法。
【請求項101】
前記セロトニン-ノルエピネフリン-ドーパミン再取り込み阻害剤が、リアフェンシン、BMS-866949、又はその類似体若しくは誘導体、又はその薬学的に許容される塩である、請求項91に記載の方法。
【請求項102】
前記セロトニン-ノルエピネフリン-ドーパミン再取り込み阻害剤が、以下:マジンドール、ネファゾドン、シブトラミン、ベンラファキシン、エスケタミン、ケタミン、フェンシクリジン(PCP)、トリペレナミン、メピプラゾール、アミチファジン、AN-788、塩酸アンソファキシン、センタナファジン、ダソトラリン、Lu AA34893、Lu AA37096、NS-2360、テダチオキセチン、テソフェンシン、ビシファジン(DOV-220,075)、BMS 866,949、ブラソフェンシン、ジクロフェンシン(Ro 8-4650)、DOV 216,303、EXP-561、NS-2359、RG-7166、SEP-227,162、SEP-228,425、SEP-228,432、3-メチル-PCPy、ナフィロン、3,3,-ジフェニルシクロブタンアミン、3,4-ジクロロタメトラリン、D-161、デスメチルセルトラリン(DMS)、N,O-ジメチル-4β-(2-ナフチル)ピペリジン-3β-カルボキシレート(DMNPC)、DOV-102,677、フェゾラミン(Win-41,528-2)、GSK1360707F、インダトラリン(Lu 19-005)、JNJ-7925476、LR-5182、HDMP-28(メチルナフチデート)、MI-4、PRC200-SS、SKF-83,959、TP1、NS9775、フェニルトロパン、SEP-225289、GSK372475、及び植物薬から選択される、請求項101に記載の方法。
【請求項103】
前記フェニルトロパンが、WF-23、ジクロロパン又はRTI-55である、請求項102に記載の方法。
【請求項104】
前記植物薬が、コカ粉、イチョウ(Ginkgo biloba)抽出物、セイヨウオトギリ(Hypericum Perforatum)、(セントジョンズワート(St. John’s wort))、オレガノ抽出物、ローズマリー抽出物、又はヘデラゲニン(Hederagenin)を含む、請求項102に記載の方法。
【請求項105】
被験者における大うつ病性障害(MDD若しくはうつ病)を治療するための薬剤、又はセロトニン(5-HT)、ノルエピネフリン(NE)及び/又はドーパミン(DA)のレベルを調節するための別の薬剤を被験者に投与することをさらに含む、請求項81~104に記載の方法。
【請求項106】
前記別の薬剤が、抗うつ薬、オメガ-3脂肪酸、ビタミンD、COX-2阻害剤、例えば、セレコキシブ、リチウム化合物、甲状腺ホルモン、刺激薬(若しくは精神刺激薬)、例えば、アンフェタミン若しくはモダフィニル、葉酸塩、又はテストステロンである、請求項105に記載の方法。
【請求項107】
rs12217173、rs12217173と連鎖不平衡にある一塩基多型(SNP)であって、前記SNPの連鎖平衡のD’値が約0.900以上であるか、若しくは前記SNPとrs12217173との間のr値が約0.800以上であるSNP、及びその相補的SNPからなる群から選択される、1つ若しくは複数のSNPを用いて、新規のバイオマーカーを同定する方法。
【請求項108】
前記SNPが、rs12217173、又はその相補的SNPである、請求項107に記載の方法。
【請求項109】
前記新規のバイオマーカーが、DNA、RNA、ポリペプチド、siRNA、又はバイオマーカーの別の形態である、請求項107又は108に記載の方法。
【請求項110】
rs12217173、rs12217173と連鎖不平衡にある一塩基多型(SNP)であって、前記SNPの連鎖平衡のD’値が約0.900以上であるか、若しくは前記SNPとrs12217173との間のr値が約0.800以上であるSNP、及びその相補的SNPからなる群から選択される、1つ若しくは複数のSNPを用いて、薬物標的を同定する方法。
【請求項111】
前記SNPが、rs12217173、又はその相補的SNPである、請求項110に記載の方法。
【請求項112】
前記薬物標的は、前記1つ又は複数のSNPに関連する生物学的経路に基づいて同定される、請求項110又は111に記載の方法。
【請求項113】
被験者における中枢神経系(CNS)疾患又は障害を治療するための方法であって、前記方法は、治療を必要とし、且つ、rs12217173、rs12217173と連鎖不平衡にある一塩基多型(SNP)であって、前記SNPの連鎖平衡のD’値が約0.900以上であるか、若しくは前記SNPとrs12217173との間のr値が約0.800以上であるSNP、及びその相補的SNPからなる群から選択される、1つ若しくは複数のSNPに対してホモ接合型マイナーアレルを有する被験者に、有効量の以下:
a)リアフェンシン(BMS-820836若しくはAMR-000013)、BMS-866949(CSTI-500若しくはAMR-001181)、又はそれらの類似体若しくは誘導体;或いは
b)セロトニントランスポーター(SERT)、ノルエピネフリントランスポーター(NET)及び/又はドーパミントランスポーター(DAT)の阻害剤
を投与することを含む方法。
【請求項114】
前記1つ又は複数のSNPが、rs12217173、表1A~1Eのいずれかに列挙されるSNP、又はその相補的SNPからなる群から選択される、請求項113に記載の方法。
【請求項115】
前記1つ又は複数のSNPが、rs12217173、rs12219340、rs4612751、rs12572120、又はその相補的SNPからなる群から選択される、請求項114に記載の方法。
【請求項116】
前記1つ又は複数のSNPが、rs12217173、又はその相補的SNPである、請求項115に記載の方法。
【請求項117】
前記1つ又は複数のSNPが、配列番号1~51に記載される配列のいずれかに記載される配列、それらの相補配列、又はそれらと連鎖不平衡にある配列を含む、請求項113~116のいずれか1項に記載の方法。
【請求項118】
前記1つ又は複数のSNPが、配列番号51、1、2、若しくは5に記載される配列、それらの相補配列、又はそれらと連鎖不平衡にある配列を含む、請求項117に記載の方法。
【請求項119】
前記1つ又は複数のSNPが、配列番号51に記載される配列、その相補配列、又はそれと連鎖不平衡にある配列を含む、請求項118に記載の方法。
【請求項120】
前記中枢神経系(CNS)疾患又は障害が、異常なレベルのセロトニン(5-HT)、ノルエピネフリン(NE)及び/又はドーパミン(DA)に関連する、請求項113~119のいずれか1項に記載の方法。
【請求項121】
前記CNS疾患又は障害が、以下:大うつ病性障害(MDD)、例えば、MDDのサブタイプ、又は精神病性特徴を有する大うつ病及び/又は周産若しくは産後発症を伴ううつ病、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、双極性障害、強迫性障害(OCD)、摂食障害、注意欠陥多動性障害(ADHD)、睡眠障害、例えば、ナルコレプシー、物質使用障害、トゥレット症候群(TS)、統合失調症、てんかん、片頭痛、及び自閉症スペクトラム障害からなる群から選択される、請求項113~120のいずれか1項に記載の方法。
【請求項122】
前記神経変性障害は、アルツハイマー病(AD)、ハンチントン病、又はパーキンソン病(PD)である、請求項121に記載の方法。
【請求項123】
前記CNS疾患又は障害が、大うつ病性障害(MDD又はうつ病)、又はMDDのサブタイプ、例えば、精神病性特徴を有する大うつ病及び/又は周産若しくは産後発症を伴ううつ病の治療である、請求項113~122のいずれか1項に記載の方法。
【請求項124】
前記セロトニントランスポーターの阻害剤が、以下:
a)約0.1nm~約1μm、例えば、約0.1nm~約60nmの範囲の、前記セロトニントランスポーターに対する結合親和性IC50;及び/又は
b)約0.1nm~約1μm、例えば、約2nm~約200nmの範囲の、前記セロトニントランスポーターに対する機能的効力IC50
を有する、請求項113~123のいずれか1項に記載の方法。
【請求項125】
前記ノルエピネフリントランスポーターの阻害剤が、以下:
a)約1nm~約1μm、例えば、約0.8nm~約80nmの範囲の、前記ノルエピネフリントランスポーターに対する結合親和性IC50;及び/又は
b)約0.1nm~約1μm、例えば、約4nm~約400nmの範囲の、前記ノルエピネフリントランスポーターに対する機能的効力IC50
を有する、請求項113~124のいずれか1項に記載の方法。
【請求項126】
前記ドーパミントランスポーターの阻害剤が、以下:
a)約1nm~約1μmの範囲、例えば、約0.6nm~約60nmの範囲の、前記ドーパミントランスポーターに対する結合親和性IC50;及び/又は
b)約0.1nm~約1μmの、例えば、約3nm~約300nm範囲の、前記ドーパミントランスポーターに対する機能的効力IC50
を有する、請求項113~125のいずれか1項に記載の方法。
【請求項127】
セロトニントランスポーター、ノルエピネフリントランスポーター及び/又はドーパミントランスポーターの前記阻害剤が、セロトニン-ノルエピネフリン-ドーパミン再取り込み阻害剤(SNDRI、トリプル再取り込み阻害剤又はTRI)を含む、請求項113~126のいずれか1項に記載の方法。
【請求項128】
前記セロトニン-ノルエピネフリン-ドーパミン再取り込み阻害剤が、式(I):
【化9】

の化合物
(式中:
Xが結合しているキラル中心は、R又はS配置であり;
Xは、インデニル、インダニル、ナフチル、ジヒドロナフチル、テトラヒドロナフチル、ベンゾシクロヘプテニル、ジヒドロベンゾシクロヘプテニル、及びテトラヒドロベンゾシクロヘプテニルからなる群から選択され;
は、H又はメチルであり;好ましくは、R1は、メチルであり;
は、Hであり;
は、Hであり;
は、ピリダジン-3-イル、6-メチルピリダジン-3-イル、6-ジメチルアミノ-ピリジン-3-イル、6-メチルアミノ-ピリダジン-3-イル、6-アミノ-ピリダジン-3-イル、6-モルホリノ-4-イルピリダジン-3-イル、6-トリフルオロメチル-ピリダジン3-イル、6-シアノ-ピリダジン-3-イル、及びピリダジン-4-イルからなる群から選択され;
は、H又はFであり;
は、H、F又はメトキシであり;
は、Hであり;
は、H、OH、OCH、-CN、F、Cl、又はCHである)
又はその酸化物;
又はその薬学的に許容される塩
である、請求項127に記載の方法。
【請求項129】
が、6-アミノ-ピリダジン-3-イルであり;又はその薬学的に許容される塩である、請求項128に記載の方法。
【請求項130】
Xが、ナフタレン-2-イルであり;又はその薬学的に許容される塩である、請求項128又は129に記載の方法。
【請求項131】
Xが結合するキラル中心が、S配置であり;又はその薬学的に許容される塩である、請求項130に記載の方法。
【請求項132】
前記化合物が、(+)立体異性体;又はその薬学的に許容される塩である、請求項130に記載の方法。
【請求項133】
前記化合物が、式:
【化10】

の化合物、又はその薬学的に許容される塩である、請求項128に記載の方法。
【請求項134】
前記化合物が、式:
【化11】

の化合物、又はその薬学的に許容される塩である、請求項133に記載の方法。
【請求項135】
前記化合物が、デス-メチル代謝産物(BMS-821007)である、請求項128に記載の方法。
【請求項136】
前記セロトニン-ノルエピネフリン-ドーパミン再取り込み阻害剤が、式(II):
【化12】

の化合物、又はその薬学的に許容される塩である、請求項127に記載の方法。
【請求項137】
前記セロトニン-ノルエピネフリン-ドーパミン再取り込み阻害剤が、リアフェンシン、BMS-866949、又はその類似体若しくは誘導体、又はその薬学的に許容される塩である、請求項127に記載の方法。
【請求項138】
前記セロトニン-ノルエピネフリン-ドーパミン再取り込み阻害剤が、以下:マジンドール、ネファゾドン、シブトラミン、ベンラファキシン、エスケタミン、ケタミン、フェンシクリジン(PCP)、トリペレナミン、メピプラゾール、アミチファジン、AN-788、塩酸アンソファキシン、センタナファジン、ダソトラリン、Lu AA34893、Lu AA37096、NS-2360、テダチオキセチン、テソフェンシン、ビシファジン(DOV-220,075)、BMS 866,949、ブラソフェンシン、ジクロフェンシン(Ro 8-4650)、DOV 216,303、EXP-561、NS-2359、RG-7166、SEP-227,162、SEP-228,425、SEP-228,432、3-メチル-PCPy、ナフィロン、3,3,-ジフェニルシクロブタンアミン、3,4-ジクロロタメトラリン、D-161、デスメチルセルトラリン(DMS)、N,O-ジメチル-4β-(2-ナフチル)ピペリジン-3β-カルボキシレート(DMNPC)、DOV-102,677、フェゾラミン(Win-41,528-2)、GSK1360707F、インダトラリン(Lu 19-005)、JNJ-7925476、LR-5182、HDMP-28(メチルナフチデート)、MI-4、PRC200-SS、SKF-83,959、TP1、NS9775、フェニルトロパン、SEP-225289、GSK372475、及び植物薬から選択される、請求項127に記載の方法。
【請求項139】
前記フェニルトロパンが、WF-23、ジクロロパン、又はRTI-55である、請求項138に記載の方法。
【請求項140】
前記植物薬が、コカ粉、イチョウ(Ginkgo biloba)抽出物、セイヨウオトギリ(Hypericum Perforatum)、(セントジョンズワート(St. John’s wort))、オレガノ抽出物、ローズマリー抽出物、又はヘデラゲニン(Hederagenin)を含む、請求項138に記載の方法。
【請求項141】
大うつ病性障害(MDD若しくはうつ病)、又は異常なレベルのセロトニン(5-HT)、ノルエピネフリン(NE)及び/又はドーパミン(DA)に関連する疾患又は傷害を治療する目的で、別の薬剤を被験者に投与することをさらに含む、請求項113~140のいずれか1項に記載の方法。
【請求項142】
前記別の薬剤が、抗うつ薬、オメガ-3脂肪酸、ビタミンD、COX-2阻害剤、例えば、セレコキシブ、リチウム化合物、甲状腺ホルモン、刺激薬(若しくは精神刺激薬)、例えば、アンフェタミン若しくはモダフィニル、葉酸塩、又はテストステロンである、請求項141に記載の方法。
【請求項143】
セロトニントランスポーター、ノルエピネフリントランスポーター及び/又はドーパミントランスポーターの別の阻害剤による治療を受けたことあり、且つ、セロトニントランスポーター、ノルエピネフリントランスポーター及び/又はドーパミントランスポーターの前記別の阻害剤に応答しなかったか、又は十分に応答しなかった被験者に、有効量の以下:
a)リアフェンシン(BMS-820836若しくはAMR-000013)、BMS-866949(CSTI-500若しくはAMR-001181)、又はその類似体若しくは誘導体;或いは
b)セロトニントランスポーター(SERT)、ノルエピネフリントランスポーター(NET)及び/又はドーパミントランスポーター(DAT)の阻害剤
を投与することを含む、請求項113~142のいずれか1項に記載の方法。
【請求項144】
前記別の阻害剤が、ノルエピネフリン再取り込み阻害剤(NRI)、例えば、アトモキセチン若しくはレボキセチン、ドーパミン再取り込み阻害剤、例えば、ブプロピオン若しくはメチルフェニデート、選択的セロトニン及びノルエピネフリン再取り込み阻害剤(SSNRI若しくはSNRI)、例えば、ベンラファキシン、デスベンラファキシン、若しくはデュロキセチン、又は選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、例えば、フルオキセチン、シタロプラム、又はエスシタロプラムである、請求項143に記載の方法。
【請求項145】
有効量の以下:
a)リアフェンシン(BMS-820836若しくはAMR-000013)、BMS-866949(CSTI-500若しくはAMR-001181)、又はその類似体若しくは誘導体;或いは
b)セロトニントランスポーター(SERT)、ノルエピネフリントランスポーター(NET)及び/又はドーパミントランスポーター(DAT)の阻害剤
を約0.1mg/日~約10mg/日の範囲の用量で被験者に投与することを含む、請求項113~144のいずれか1項に記載の方法。
【請求項146】
有効量のリアフェンシンを約0.1mg/日~約10mg/日の範囲の用量で被験者に投与することを含む、請求項145に記載の方法。
【請求項147】
有効量の以下:
a)リアフェンシン(BMS-820836若しくはAMR-000013)、BMS-866949(CSTI-500若しくはAMR-001181)、又はその類似体若しくは誘導体;或いは
b)セロトニントランスポーター(SERT)、ノルエピネフリントランスポーター(NET)及び/又はドーパミントランスポーター(DAT)の阻害剤
を経口、鼻腔内、吸入、非経口、静脈内、腹腔内、皮下、筋肉内、皮内、局所、及び直腸経路からなる群から選択される経路を介して被験者に投与することを含む、請求項113~146のいずれか1項に記載の方法。
【請求項148】
前記被験者が、ヒトである、請求項113~147のいずれか1項に記載の方法。
【請求項149】
治療を必要とし、且つ、rs12217173、rs12217173と連鎖不平衡にある一塩基多型(SNP)であって、前記SNPの連鎖平衡のD’値が約0.900以上であるか、若しくは前記SNPとrs12217173との間のr値が約0.800以上であるSNP、及びその相補的SNPからなる群から選択される、1つ若しくは複数のSNPに対してホモ接合型マイナーアレルを有する被験者の中枢神経系(CNS)疾患又は障害を治療する薬剤を製造する目的での、有効量の以下:
a)リアフェンシン(BMS-820836若しくはAMR-000013)、BMS-866949(CSTI-500若しくはAMR-001181)、又はそれらの類似体若しくは誘導体;或いは
b)セロトニントランスポーター(SERT)、ノルエピネフリントランスポーター(NET)及び/又はドーパミントランスポーター(DAT)の阻害剤
の使用。
【請求項150】
前記被験者が、ヒトである、請求項149に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2020年3月6日に出願された米国仮特許出願第62/986,603号に対する優先権を主張し、その開示内容は、その全体があらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
ASCIIテキストファイルでの配列表の提出
本特許又は出願ファイルは、コンピュータで読み取り可能なASCIIテキスト形式で提出された配列表(ファイル名:4594-2000740_20210216_SeqList_ST25.txt、記録:2021年2月16日、サイズ:23,403バイト)を含む。配列表ファイルの内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
技術分野
本発明は、ゲノム薬理学の分野に関し、これは、例えば、有効性又は有害作用などの様々な個別の反応を予測するための1つ又は複数のゲノムバイオマーカー並びに関連する診断方法、装置、試薬、システム、及びキットを、治療薬、例えば、特定の神経伝達物質トランスポーターの阻害剤、例えば、リアフェンシンなどに適用するものである。
【背景技術】
【0004】
背景
ゲノム薬理学は、薬物治療に対する被験者の反応に影響を及ぼす遺伝性形質の研究である。薬物治療に対する差異的な反応は、根底にある遺伝的多型(突然変異と呼ばれる場合もある遺伝的変異)に起因する可能性があり、これが、薬物代謝に影響を及ぼす。これらの遺伝子多型について被験者を検査することは、有害薬物反応を予防又は最小限に抑え、適切な薬物投与レジメンを促進するのに役立ち得る。
【0005】
臨床現場では、ゲノム薬理学により、医師は、個別の被験者各々について、適切な医薬剤、及びそうした薬剤の適切な投与量を選択することが可能になる。即ち、ゲノム薬理学は、所与の療法に応答するのに適した遺伝子構造を有する被験者を識別することができる。さらに、ゲノム薬理学は、医薬化合物の代謝を制御する遺伝子に遺伝的変異を有する被験者を識別することができるため、適正な治療(又は治療なし)の決定を下し、且つ適正な用量を投与することができる。
【0006】
DB104、即ち、リアフェンシン(旧名BMS-820836及びAMR-000013)は、それぞれ、セロトニントランスポーター(SERT)、ノルエピネフリントランスポーター(NET)及び/又はドーパミントランスポーター(DAT)をターゲティングすることによる、3つのモノアミン:セロトニン(5-HT)、ノルエピネフリン(NE)及びドーパミン(DA)の一部若しくは全部の再取り込みの強力且つ選択的な阻害剤である。DB104は、現在のエピソードにおいて、異なるクラスからの2種の抗うつ薬の適切な用量及び持続時間の別々の試験に対する不十分な応答を経験した成人における大うつ病性障害(MDD)の治療のための単独療法として評価されている。DB104は、うつ病に対する個々のモノアミン作動性治療を補完性により相乗させて、抗うつ薬の有効性と忍容性を最大化することにより、抗うつ薬治療を段階的に進歩させるために開発された。
【0007】
DB104は、重要な前臨床研究、早期開発、及びその後の治療抵抗性うつ病における複数の第2相臨床試験を通して採用された。DB104の忍容性は良好であり、有害事象による用量依存的な中止のエビデンスはなかった。しかし、このプログラムは、第2相試験の不十分な結果のために、第2相試験後は継続されなかった。(Bhagwagar Z. et al. 2015)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
分子レベルでの患者の応答に基づいて疾患及び障害の個別化治療の開発を可能にする目的で、薬物感受性を決定するための、又は患者の応答をモニターするための新規並びに代替的な組成物及び方法が求められる。ゲノム薬理学を使用して、中枢神経系(CNS)疾患又は障害、例えば、大うつ病性障害(MDD)の治療及び予後のための新規並びに改善された組成物及び方法を発見及び/又は開発することができる。本開示は、こうしたニーズ及び関連するニーズを満たす。
【0009】
概要
本概要は、請求される主題の範囲を制限するために使用することを意図するものではない。請求される主題の他の特徴、詳細、有用性、及び利点は、添付の図面及び添付の特許請求の範囲に開示される態様を含む詳細な説明から明らかであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一態様において、本開示は、大うつ病性障害(MDD)などのCNS疾患又は障害の治療を目的とする、セロトニントランスポーター(SERT)、ノルエピネフリントランスポーター(NET)及び/又はドーパミントランスポーター(DAT)の阻害剤、例えば、リアフェンシン(旧名BMS-820836及びAMR-000013)を用いた治療レジメンを受けている患者の間での異なる反応(例えば、有効性、有害作用、及び他の評価項目)と相関する1つ又は複数のゲノムバイオマーカーを記載する。こうした1つ又は複数のバイオマーカーは、薬物反応を予測し、利益を受けるであろう人だけに薬物を適用し、及び/又は治療によって不良の転帰及び/又は有害作用を有する可能性のある人を除外するのに役立ち得るコンパニオン診断検査に使用することができる。
【0011】
一態様において、本開示は、rs12217173、rs12217173と連鎖不平衡にある一塩基多型(SNP)であって、前記SNPの連鎖平衡のD’値が約0.900以上であるか、若しくは前記SNPとrs12217173との間のr値が約0.800以上であるSNP、及びその相補的SNPからなる群から選択される、SNPを含むか、それから構成されるか、若しくは本質的に構成される単離ポリヌクレオチドを提供する。
【0012】
別の態様では、本開示は、上記単離ポリヌクレオチドの2つ以上、3つ以上、4つ以上、又は5つ以上を含むか、それらから構成されるか、若しくは本質的に構成される単離ポリヌクレオチドのパネルを提供する。
【0013】
さらに別の態様では、本開示は、上記の単離されたポリヌクレオチド又はパネルを含むキットを提供し、このキットは、任意選択で、使用説明書を含む。
【0014】
さらに別の態様では、本開示は、基板と、この基板に直接的若しくは間接的に固定化された上記単離ポリヌクレオチド又はパネルと、を含むマイクロアレイを提供する。
【0015】
さらに別の態様では、本開示は、rs12217173、rs12217173と連鎖不平衡にある一塩基多型(SNP)であって、前記SNPの連鎖平衡のD’値が約0.900以上であるか、若しくは前記SNPとrs12217173との間のr値が約0.800以上であるSNP、及びその相補的SNPからなる群から選択される、1つ若しくは複数のSNPを検出する試薬を提供する。
【0016】
また、上記試薬を含むキットも提供され、このキットは、任意選択で、使用説明書を含む。さらに、上記単離ポリヌクレオチド又はそのいずれかのパネル及び上記試薬を含むキットも提供され、このキットは、任意選択で、使用説明書を含む。基板と、この基板に直接的若しくは間接的に固定化された上記試薬と、を含むマイクロアレイもさらに提供される。基板と、この基板に直接的若しくは間接的に固定化された上記単離ポリヌクレオチド又はパネル及び上記試薬と、を含むマイクロアレイがさらに提供される。
【0017】
また別の態様では、本開示は、コンパニオン診断法を提供し、これは、以下:a)rs12217173、rs12217173と連鎖不平衡にある一塩基多型(SNP)であって、前記SNPの連鎖平衡のD’値が約0.900以上であるか、若しくは前記SNPとrs12217173との間のr値が約0.800以上であるSNP、及びその相補的SNPからなる群から選択される、1つ若しくは複数のSNPに対する治療を受けているか、又は治療が検討される被験者からの生体サンプルをアッセイすること;及び/又はb)前記治療に対して考えられる前記被験者の応答性を決定するために、例えば、前記1つ若しくは複数のSNPのアッセイ結果に基づくコンピュータアルゴリズムを用いて、アウトプット、例えばスコアを生成することを含む。
【0018】
さらに別の態様では、本開示は、治療に対する適格性について被験者を分類する方法を提供し、これは、以下:b)rs12217173、rs12217173と連鎖不平衡にある一塩基多型(SNP)であって、前記SNPの連鎖平衡のD’値が約0.900以上であるか、若しくは前記SNPとrs12217173との間のr値が約0.800以上であるSNP、及びその相補的SNPからなる群から選択される、1つ若しくは複数のSNPに対する治療を受けているか、又は治療が検討される被験者からの生体サンプルをアッセイすること;及び/又はb)治療若しくは治療の継続に対して適合性若しくは不適合性として被験者を分類するために、例えば、前記1つ若しくは複数のSNPのアッセイ結果に基づくコンピュータアルゴリズムを用いて、アウトプット、例えばスコアを生成することを含む。
【0019】
さらに別の態様では、本開示は、治療について被験者又は被験者の集団をスクリーニングする方法を提供し、これは、a)rs12217173、rs12217173と連鎖不平衡にある一塩基多型(SNP)であって、前記SNPの連鎖平衡のD’値が約0.900以上であるか、若しくは前記SNPとrs12217173との間のr値が約0.800以上であるSNP、及びその相補的SNPからなる群から選択される、1つ若しくは複数のSNPに対する治療を受けているか、又は治療が検討される被験者からの生体サンプルをアッセイすること;及び/又はb)被験者又は集団が治療若しくは治療の継続から利益を得る可能性が高いかどうかを決定するために、及び/又は被験者又は集団が治療若しくは治療の継続から有害作用を経験する可能性があるかどうかを判断するために、例えば、前記1つ若しくは複数のSNPのアッセイ結果に基づくコンピュータアルゴリズムを用いて、アウトプット、例えばスコアを生成することを含む。
【0020】
さらに別の態様では、本開示は、治療中に被験者をモニタリングする方法を提供し、これは、a)rs12217173、rs12217173と連鎖不平衡にある一塩基多型(SNP)であって、前記SNPの連鎖平衡のD’値が約0.900以上であるか、若しくは前記SNPとrs12217173との間のr値が約0.800以上であるSNP、及びその相補的SNPからなる群から選択される、1つ若しくは複数のSNPに対する治療を受けている被験者からの生体サンプルをアッセイすること;及び/又はb)被験者が、継続治療を受けるべきかどうかを決定するために、例えば、前記1つ若しくは複数のSNPのアッセイ結果に基づくコンピュータアルゴリズムを用いて、アウトプット、例えばスコアを生成することを含む。
【0021】
さらに別の態様では、本開示は、被験者における中枢神経系(CNS)疾患又は障害を治療する方法を提供し、この方法は、有効量の以下:a)リアフェンシン(BMS-820836若しくはAMR-000013)、BMS-866949(CSTI-500若しくはAMR-001181)、又はその類似体若しくは誘導体;或いはb)セロトニントランスポーター(SERT)、ノルエピネフリントランスポーター(NET)及び/又はドーパミントランスポーター(DAT)の阻害剤を、治療を必要とし、且つ、rs12217173、rs12217173と連鎖不平衡にある一塩基多型(SNP)であって、前記SNPの連鎖平衡のD’値が約0.900以上であるか、若しくは前記SNPとrs12217173との間のr値が約0.800以上であるSNP、及びその相補的SNPからなる群から選択される、1つ若しくは複数のSNPに対するホモ接合型マイナーアレルを有する被験者に投与することを含む。
【0022】
さらに別の態様では、本開示は、治療を必要とし、且つ、rs12217173、rs12217173と連鎖不平衡にある一塩基多型(SNP)であって、前記SNPの連鎖平衡のD’値が約0.900以上であるか、若しくは前記SNPとrs12217173との間のr値が約0.800以上であるSNP、及びその相補的SNPからなる群から選択される、1つ若しくは複数のSNPに対するホモ接合型マイナーアレルを有する被験者における中枢神経系(CNS)疾患又は障害を治療するための薬剤の製造を目的とする、有効量の以下:a)リアフェンシン(BMS-820836若しくはAMR-000013)、BMS-866949(CSTI-500若しくはAMR-001181)、又はそれらの類似体若しくは誘導体;或いはb)セロトニントランスポーター(SERT)、ノルエピネフリントランスポーター(NET)及び/又はドーパミントランスポーター(DAT)の阻害剤の使用を提供する。
【0023】
一部の実施形態では、本開示は、rs12217173、又は表1(表1A~1E)からの他の一塩基多型(SNP)、若しくはその相補配列、及び/又はそれらと連鎖不平衡にある他のSNPからなる群から選択されるSNPを含むバイオマーカーのパネルを提供する。一部の実施形態では、バイオマーカーは、それぞれ配列番号51に記載されるヌクレオチド配列、若しくはそれらの相補配列、及び/又はそれらと連鎖不平衡状態のヌクレオチド配列を含み得る(表1又は表1A~1E)。
配列番号51:rs12217173)
直接フランキング配列:
【化1】
【0024】
一部の実施形態では、本明細書に開示されるバイオマーカーの評価のための試薬が本明細書に提供され、これは、SNPをアッセイするための1つ又は複数の分子を含み得る。一部の実施形態において、上記分子は、オリゴヌクレオチド又はポリペプチドであり得る。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、配列番号51に記載のヌクレオチド配列、又はその相補配列を含み得る。一部の実施形態では、SNPは、PCR、シーケンシング、キャピラリー電気泳動、質量分析、一本鎖高次構造多型(SSCP)、電気化学分析、変性HPLC及びゲル電気泳動、制限酵素断片長多型、ハイブリダイゼーション分析、単一塩基伸長、及び/又はマイクロアレイによってアッセイされ得る。
【0025】
一部の実施形態では、単離されたバイオマーカーのパネルの評価のためのキットが本明細書に提供され、これは、本明細書に開示される試薬を含み、ここで、バイオマーカーは、1つのSNP rs12217173、又はそれと連鎖不平衡にあるものを含み得る。一部の実施形態では、キットは、コンパニオン診断検査を実施するためにバイオマーカーを使用する際の説明書をさらに含み得る。
【0026】
一部の実施形態では、rs12217173を含むか、又はそれと連鎖不平衡にある単離バイオマーカーのパネルを用いる治療のためのコンパニオン診断検査が本明細書に提供される。一部の実施形態では、コンパニオン診断検査は、以下:a)治療を受けているか、又は治療が検討される被験者から生体サンプルを取得すること;b)前記生体サンプルからゲノムDNAを単離すること;c)バイオマーカー又はバイオマーカーのパネルをアッセイすること;d)前記バイオマーカー又はバイオマーカーのパネルのアッセイ結果に基づき、コンピュータアルゴリズムを用いてアウトプットを生成すること、及び/又はe)前記治療に対して考えられる前記被験者の応答性を決定することを含み得る。一部の実施形態では、SNPは、PCR、シーケンシング、キャピラリー電気泳動、質量分析、一本鎖高次構造多型(SSCP)、電気化学分析、変性HPLC及びゲル電気泳動、制限酵素断片長多型、ハイブリダイゼーション分析、単一塩基伸長、及び/又はマイクロアレイによってアッセイすることができる。
【0027】
さらに、本明細書に開示されるコンパニオン診断検査を用いて、疾患治療に対する被験者の応答性を予測する方法も提供される。一部の実施形態では、治療は、DB104、又はSERT、及び/又はNET、及び/又はDATに対する他の阻害剤を用いる治療レジメンを含み得る。一部の実施形態では、疾患は、主な抵抗性うつ病、うつ病、双極性、及び他の精神障害からなる群から選択され得る。一部の実施形態では、この方法は、治療から利益を得る可能性が最も高い患者、又は治療から有害作用を経験する可能性が最も高い患者を選択するために使用することができる。
【0028】
一部の実施形態では、本明細書に開示される単離バイオマーカーのパネルを用いて、新たなバイオマーカーを同定する方法が本明細書に提供される。一部の実施形態では、新たなバイオマーカーは、DNA、RNA、ポリペプチド、siRNA、又はバイオマーカーの別の形態であってよい。本明細書に開示される単離バイオマーカー、単離バイオマーカーのパネルを用いて、薬物標的を同定する方法が本明細書にさらに提供される。一部の実施形態では、薬物標的は、バイオマーカーに関連する生物学的経路に基づいて同定することができ、ここで、生物学的経路は、rs12217173により影響を及ぼされるゲノム領域に関連するか、又はそれによって調節される遺伝子から選択され得る。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図面の簡単な説明
図1A図1は、例示的なDB104構造、前臨床結果、及び臨床試験計画を表す。図1Aは、DB104の構造を示すと共に、それが、ヒトSERT、NET及びDATの強力で選択的な阻害剤であることを示す。インビトロ結合結果:競合結合実験を使用して、SERT、DAT、及びNETに対するBMS-820836のインビトロ結合力(IC50値)を決定した。アッセイには、各トランスポーターを過剰発現するヒト胚性腎臓(HEK)細胞株から調製した膜を使用した。アッセイ間でのIC50値の直接比較を可能にするために、放射性リガンドを各トランスポーターについてそれぞれの親和性定数(Kd)濃度で使用した。BMS-820836は、表に列挙されるIC50値で、SERT、DAT、及びNET結合部位を完全に飽和させた。モノアミン再取り込み阻害:細胞ベースのアッセイを用いて、BMS-820836が、3H標識ドーパミン([H]DA)、ノルエピネフリン([H]NE)、及びセロトニン([H]5-HT)の再取り込みを阻害する能力を決定した。BMS-820836は、表に列挙されるIC50で、HEK293/hDAT細胞への[H]DAの取り込みを強力且つ完全に阻害した。
図1B図1Bは、CN162-006試験計画:フレキシブル用量試験を示す。
図1C図1Cは、CN162-007試験計画:固定用量、用量反応試験を示す。
図2図2は、検出(discovery)セットからの異なるrs12217173の遺伝子型とDB104有効性入院患者の例示的な相関を示す。DB104及び標準治療(SOC)(デュロキセチン/エスシタロプラム)処置を受けた患者のMADRS合計スコアの平均変化は、ベースライン処置から1~6週後に示される。エラーバーは、平均の標準誤差を示す。DB104処置群の場合、186人の患者をゲノムワイドスキャンで使用し、同定されたバイオマーカーrs12217173の結果を示す。rs12217173の3つの考えられる遺伝子型は、異なる色で表され、遺伝子型標識の隣の数字はそれぞれの遺伝子型を保有する患者数である。(SOC)処置アームの場合、B相では応答者ではないが、C相を終了し、且つ臨床サンプルを有する182人の患者からの結果を、濃い青色の線で示す。
図3図3は、検証(validation)セットにおけるrs12217173の遺伝子型とDB104有効性との例示的な相関関係を示す。DB104及びSOC(デュロキセチン/エスシタロプラム)処置を受けた患者のMADRS合計スコアの平均変化は、ベースライン処置後の1~6週目に示され、エラーバーは平均の標準誤差を表す。DB104処置アームの場合、ゲノムワイドスキャンで使用されなかった47人の患者を検証セットとして使用し、その遺伝子型と有効性の相関結果をここに示す。(SOC)処置群の場合、B相では応答者ではないが、C相を終了し、且つ臨床サンプルを有する182人の患者からの結果を、濃い青色の線で示す。
図4図4は、結合データセットにおけるrs12217173の遺伝子型とDB104及びSOC有効性との例示的な相関を示す。DB104及びSOC(デュロキセチン/エスシタロプラム)処置を受けた患者のMADRS合計スコアの平均変化は、ベースライン処置後の1~6週目に示され、エラーバーは平均の標準誤差を示す。DB104については、遺伝子型決定のための利用可能なサンプルを有した233人の患者全員が示される。SOCについては、試験B相でSOCに応答できなかったが、C相でSOCにランダム化され、且つ遺伝子型決定に利用可能なサンプルを有した182人の患者全員が示される。
図5図5は、DGM4(rs12217173)が、ANK3遺伝子と重複することを示す。ヒトゲノム上のDGM4及びその位置、chr10:61,750,000~62,500,000は、ゲノムブラウザChr10:61,750,000~62,500,000によって示され、中央の赤い縦線は、DGM4 SNP位置を示す。
図6図6は、GTExコンソーシアムによって調査された54のヒト組織におけるANK3遺伝子発現を示すと共に、ANK3が脳の小脳及び小脳半球領域において優先的に発現していることを示す。
図7図7(表2A)は、6週目におけるベースラインからのMADRS合計スコア変化を示す-0.25mg及び0.5mg用量レベルを除く(C相でMADRSを有する被験者)。注:MMRM(混合モデル反復測定(Mixed Model Repeated Measures))には、非構造化共分散行列と共に次の固定因子が含まれた:ベースラインMADRSスコア、来院、処置、処置と来院との相互作用、年齢、性別、人種、地域、及び試験;処置の応答差(MADRS合計スコアの≧50%低下)及び寛解(MADRS合計スコア≦10)率は、カイ二乗検定を用いて検定した。
図8図8(表2B)は、6週目におけるベースラインからのMADRS合計スコア変化を示す-0.25mg及び0.5mg用量レベルを除く(遺伝子型GGを有する被験者)。注:MMRM(混合モデル反復測定(Mixed Model Repeated Measures))には、非構造化共分散行列と共に次の固定因子が含まれた:ベースラインMADRSスコア、来院、処置、処置と来院の相互作用、年齢、性別、人種、地域、及び試験:処置の応答差(MADRS合計スコアの≧50%低下)及び寛解(MADRS合計スコア≦10)率は、カイ二乗検定を用いて検定した。
図9図9(表3A)は、異なる民族群(HAPマップ)における遺伝子型頻度を示す。
図10図10(表3B)は、異なる民族群(1000ゲノム)におけるrs12217173遺伝子型頻度を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
発明の詳細な説明
請求される主題の1つ又は複数の実施形態の詳細な説明は、請求される主題の原理を例示する添付の図と共に以下に提供される。請求される主題は、そうした実施形態に関連して説明されるが、いずれか特定の実施形態に限定されるわけではない。請求される主題は、様々な形態で具現化され得うるものであり、多数の代替物、変形及び同等物を包含することを理解すべきである。従って、本明細書に開示される特定の詳細は、限定的なものとして解釈するべきではなく、むしろ、特許請求の範囲の基礎として、及びほぼ全ての適切に詳述されたシステム、構造、又は様式で、請求された主題を使用するように当業者に教示するための代表的な基礎として解釈されるべきである。多数の具体的な詳細事項が、本開示の完全な理解を提供するために以下の説明に記載される。これらの詳細事項は、例示の目的で提供されるものであり、請求される主題は、これらの具体的な詳細事項の一部又は全部を含まずに、請求項に従って実施され得る。他の実施形態を使用することができ、請求される主題の範囲から逸脱することなく、構造的変更を行うことができることを理解されたい。個別の実施形態の1つ又は複数に記載される様々な特徴及び機能性は、それらが記載されている特定の実施形態への適用可能性に限定されないことを理解されたい。そうではなく、それらは、単独で、又は何らかの組み合わせで、本開示の他の実施形態の1つ又は複数に、そのような実施形態が記載されているかどうか、及びそのような特徴が記載された実施形態の一部であるとして提示されるか否かにかかわらず、適用することができる。明瞭にするために、請求される主題に関連する技術分野で知られている技術項目は、請求される主題が必要以上に不明瞭にならないように詳細には記載されていない。
【0031】
本出願において言及される全ての刊行物は、あたかも個別の刊行物が各々参照により個々に組み込まれた場合と同程度に、あらゆる目的のためにその全体が参照により組み込まれる。
【0032】
見出しは全て、読者の便宜のためであり、特に指定されない限り、見出しに続く本文の意味を制限するために使用すべきではない。
【0033】
本開示全体を通して、請求される主題の様々な態様が、範囲設定形式で表示される。範囲設定形式での記述は、あくまで便宜上及び簡潔さのためであり、請求される主題の範囲に対する変更の余地がない制限として解釈されるべきではないことを理解されたい。従って、ある範囲の記載は、その範囲内の考えられるあらゆる部分範囲及び個々の数値を具体的に開示したと考えるべきである。例えば、値の範囲が提示される場合、その範囲の上限及び下限の間の各介在値、並びにその記載範囲内のあらゆる他の記載値又は介在値は、請求される主題内に包含されることが理解される。これらのより小さい範囲の上限及び下限は、独立して、より小さい範囲に含まれてもよく、また、記載される範囲において具体的に除外される範囲を前提として、特許請求される主題に包含される。記載された範囲が、上下限の一方又は両方を含む場合、これらの包含される上下限の一方又は両方を除外した範囲も、請求される主題に含まれる。これは、範囲の幅に関係なく適用される。例えば、1から6のような範囲の記載は、1から3、1から4、1から5、2から4、2から6、3から6などの部分範囲を具体的に開示しており、並びにその範囲内の個々の数、例えば、1、2、3、4、5、及び6を含むと考えるべきである。
【0034】
A.一般的技法
本発明の実施は、特に指示のない限り、分子生物学(組換え技術を含む)、微生物学、細胞生物学、生化学、及び免疫学の従来の技術を使用するものであり、これらは当業者の技術の範囲内である。このような技術は、例えば、“Molecular Cloning: A Laboratory Manual”, second edition (Sambrook et al., 1989);“Oligonucleotide Synthesis”(M. J. Gait, ed., 1984);“Animal Cell Culture”(R. I. Freshney, ed., 1987);“Methods in Enzymology”(Academic Press, Inc.);“Current Protocols in Molecular Biology”(F. M. Ausubel et al., eds., 1987, and periodic updates);“PCR: The Polymerase Chain Reaction”, (Mullis et al., eds., 1994)などの文献で十分に説明されている。
【0035】
B.定義
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する分野の通常の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書で示される患者、出願、公開出願及び他の刊行物は全て、その全体が参照により組み込まれる。本項に記載する定義が、参照により本明細書に組み込まれる患者、出願、公開出願及び他の刊行物に記載された定義と矛盾するか、又はそれ以外に一致しない場合には、本項に記載する定義が、参照により本明細書に組み込まれる定義よりも優先する。
【0036】
本明細書で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」には、他に示されない限り複数の指示対象が含まれる。例えば、「1つの(a)」二量体は、1つ又は複数の二量体を含む。
【0037】
本明細書で使用される用語「バイオマーカー」又は「マーカー」は、一般に、遺伝子、タンパク質、炭水化物構造、又は糖脂質を含む分子を指し、哺乳動物の組織若しくは細胞上のその発現、又は分泌は、公知の方法(又は本明細書に開示された方法)によって検出することができ、これは、治療レジメンに対する哺乳動物の細胞又は組織の感受性を予測するか、又はそれらを予測(若しくは予測を補助)するために、また、一部の実施形態では、治療レジメンに対する個体の応答性を予測(又は予測を補助)するために、使用することができる。
【0038】
本明細書において、「ゲノム薬理学バイオマーカー」とは、被験者における特定の臨床薬物反応又は感受性と相関する客観的バイオマーカーである(例えば、McLeod et al., Eur. J. Cancer (1999) 35:1650-1652を参照)。これは、生化学的バイオマーカー、又は臨床徴候若しくは症状であってもよい。ゲノム薬理学マーカーの存在又は量は、薬物の投与前の特定の薬物又は薬物のクラスに対する被験者の予測された応答に関連する。被験者における1つ又は複数のゲノム薬理学マーカーの存在又は量を評価することにより、被験者にとって最も適した薬物療法、又はより高い程度で成功し得ると予測される薬物療法を選択することができる。例えば、被験者における特定の腫瘍マーカーのためのDNA、RNA、又はタンパク質の存在又は量に基づいて、被験者に存在する可能性のあるCNS疾患又は障害の治療のために最適化された薬物若しくは治療コースを選択することができる。同様に、特定の配列変異又は多型の存在若しくは非存在は、薬物反応と相関する可能性がある。従って、ゲノム薬理学バイオマーカーの使用は、治療薬を投与することを必要とせずに、各被験者に対する最も適切な治療の適用を可能にする。ゲノム薬理学バイオマーカーを発見するための方法は、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2014/0031242 A1号又は同第2015/0368720 A1号に開示されている通り、公知である。
【0039】
本明細書で使用される場合、用語「多型遺伝子座」は、個体の集団からの有意な数の核酸サンプルにおいて2つ以上の代替ヌクレオチド配列が観察される核酸中の領域を指す。多型遺伝子座は、例えば、2つ以上のヌクレオチドのヌクレオチド配列、挿入されたヌクレオチド若しくはヌクレオチド配列、欠失ヌクレオチド若しくはヌクレオチド配列、又はマイクロサテライトであり得る。2ヌクレオチド長以上である多型遺伝子座は、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15以上、20以上、30以上、50以上、75以上、100以上、500以上のヌクレオチド長、又は約1000ヌクレオチド長であってもよく、ここで、ヌクレオチド配列の全部又は一部が領域内で異なる。多型遺伝子座は、1ヌクレオチド長であることが多く、本明細書ではこれを「一塩基多型」又は「SNP」と呼ぶ。一部の実施形態では、SNPを用いて、高密度遺伝子型決定を行ってもよい。一部の実施形態では、約1,000~5,000,000以上のSNPが使用され得る。一部の実施形態では、高密度遺伝子型決定は、アレイベースであってもよい。一部の実施形態では、高密度遺伝子型決定は、ハイスループットシーケンシングなどのシーケンシングを用いて実施してもよい。
【0040】
多型遺伝子座に2つ、3つ、又は4つの代替ヌクレオチド配列がある場合、各ヌクレオチド配列は、「多型バリアント」又は「核酸バリアント」と呼ばれる。例えば、2つの多型バリアントが存在する場合、集団からの少数のサンプルに提示される多型バリアントは、「マイナーアレル」と呼ばれることがあり、より優勢に提示される多型バリアントは、「メジャーアレル」と呼ばれることがある。多くの生物は各染色体(例えば、ヒト)のコピーを有し、2つのメジャーアレル又は2つのマイナーアレルを有する個体は、多くの場合、多型に関して「ホモ接合型である」と呼ばれ、1つのメジャーアレルと1つのマイナーアレルを有する個体は、通常、多型に関して「ヘテロ接合型である」と呼ばれる。1つのアレルに関してホモ接合型である個体は、別のアレルに関してヘテロ接合型又はホモ接合型である個体と比較して、異なる表現型に対する素因を有する場合がある。
【0041】
一塩基多型は、遺伝子のコード配列、遺伝子の非コード領域、又は遺伝子間領域(遺伝子間の領域)に含まれ得る。コード配列内のSNPは、遺伝暗号の縮重のために、産生されるタンパク質のアミノ酸配列を必ずしも変化させるとは限らない。
【0042】
コード領域のSNPには、同義SNPと非同義SNPの2種類がある。同義SNPは、タンパク質配列に影響を及ぼさないが、非同義SNPは、タンパク質のアミノ酸配列を変化させる。非同義SNPには、ミスセンスとナンセンスの2種類がある。タンパク質コード領域にないSNPは、依然として遺伝子スプライシング、転写因子結合、メッセンジャーRNA分解、又は非コードRNAの配列に影響を与える可能性がある。このタイプのSNPの影響を受ける遺伝子発現は、eSNP(発現SNP)と呼ばれ、当該遺伝子の上流又は下流であり得る。
【0043】
1つ又は複数のゲノム薬理学バイオマーカーを同定する遺伝子解析では、関連する表現型において異なる値を有する個体からのサンプルを、アレロタイプ化及び/又は遺伝子型決定することが多い。本明細書で使用される用語「アレロタイプ」は、患者及び対照からのプールされたDNAサンプル、及び/又は個別の被験者各々からの個別のDNAサンプル中の多型バリアントについてのアレル頻度を決定するためのプロセスを指す。各群からのDNAを遺伝子型決定することにより、各群の各遺伝子座のアレル頻度を算出する。次に、これらのアレル頻度を互いに比較する。一部の実施形態では、DNAサンプルは、Affymetrix(Santa Clara, Calif.)及び/又はIllumina (Santa Clara, Calif.)によって製造されたもの、例えば、Affymetrix 500Kアレイなどの全ゲノムSNPアレイを使用して遺伝子型決定される。Affymetrixアレイに加えて、IlluminaチップとSequenom MassArrayも使用することができる。任意の好適な遺伝子型コーリングアルゴリズムを使用することができる。一部の実施形態では、遺伝子型コールは、Mahalanobis Distance Classifier(RLMM)アルゴリズムを用いるRobust Linear Model、Bayesian step(BRLMM)アルゴリズムを用いるRLMM、Axiom(商標)GT1アルゴリズム、パーフェクトマッチプローブ(BRLMM-P)アルゴリズムを用いるBRLMM、又はBirdseedアルゴリズム(Rabbee et al., Bioinformatics (2006) 22: 7-12; Korn et al., Nat Genet (2008) 40: 1253-60)を使用して生成する。
【0044】
遺伝子型又は多型バリアントは、「ハプロタイプ」に関して発現される場合もあり、本明細書で使用される場合、これは一緒に遺伝される傾向がある一連のDNA変異、又は多型を指す。ハプロタイプは、アレルの組み合わせ、又は同じ染色体上に存在するSNPのセットを指すこともある。例えば、2つのSNPは、各SNP位置がシトシン変異及びアデニン変異を含む遺伝子内に存在し得る。集団中の特定の個体は、各SNP位置にシトシンを備える遺伝子を有する1つのアレル(ヘテロ接合型)又は2つのアレル(ホモ接合型)を保有し得る。遺伝子中の各SNPに対応する2つのシトシンは、これらの個体の一方又は両方のアレル上で一緒に移動することから、これらの個体は、遺伝子中の2つのSNPに関してシトシン/シトシンハプロタイプを有するものとして特徴付けることができる。
【0045】
時として、多型バリアントは、集団の有意な割合に当該バリアントが呈示されているかどうかを決定することなく、データベース中に報告される。これらの報告された多型バリアントのサブセットは、集団の統計的に有意な部分に呈示されないため、それらのいくつかはシーケンシングエラーであり、及び/又は生物学的に関連性がない。従って、報告された多型バリアントが、統計的に有意であるか否か、又は生物学的に関連するか否かは、個体の集団内で当該バリアントの存在が検出され、且つ、当該バリアントの頻度が決定されるまで、不明であることが多い。多型バリアントは、集団の1%以上、時として5%以上、10%以上、15%以上、又は20%以上、また往々にして、集団の25%以上、30%以上、35%以上、40%以上、45%以上、又は50%以上に呈示されれば、統計的に有意である(且つ、場合によっては、生物学的に関連する)。しかし、特定の遺伝性疾患及び/又は希少疾患の場合、バリアントが呈示するのは、集団のごくわずかであり得るが、生物学的には依然として関連性がある。
【0046】
本明細書で使用される用語「サンプル」は、対象の被験者から得られるか、又は当該被験者に由来する組成物を指し、これは、例えば、物理的、生化学的、化学的及び/又は生理学的特徴に基づいて、特性決定及び/又は同定しようとする細胞及び/又は他の分子実体を含む。例えば、「臨床サンプル」又は「疾患サンプル」という語句及びそれらの変形は、特性決定しようとする細胞及び/又は分子実体を含むと予想されるか、又は含むことがわかっている対象の被験者から得られた任意のサンプルを指す。
【0047】
用語「組織又は細胞サンプル」は、被験者又は患者の組織から得られた類似の細胞の収集物を指す。組織又は細胞サンプルの供給源は、新鮮、凍結及び/又は保存された器官若しくは組織サンプル又は生検若しくは吸引物からの固体組織;血液又は任意の血液成分;脳脊髄液、羊水、腹腔液、又は間質液などの体液;被験者の妊娠又は発育の任意の時点からの細胞であってよい。組織サンプルはまた、初代若しくは培養細胞又は細胞株であってもよい。任意選択で、組織又は細胞サンプルは、疾患組織/器官から得られる。組織サンプルには、防腐剤、抗凝固剤、緩衝剤、固定剤、栄養素、抗生物質など、自然界で組織と天然には混じっていない化合物を含有させてもよい。
【0048】
本明細書に記載の生体サンプルは、血漿、血清、全血、又は乾燥血液スポットサンプルであってよい。本明細書で使用される「血漿(plasma)」又は「血漿(blood plasma)」は、細胞外液(細胞外の全ての体液)の血管内液部分を指す。それは、大部分が水であり、溶解したタンパク質、グルコース、凝固因子、ミネラルイオン、ホルモン及び二酸化炭素(血漿は、老廃物輸送のための主要な媒体である)を含む。血漿は、血球がチューブの底に落ちるまで、抗凝固剤を含む新鮮な血液のチューブを遠心分離機で回転させることによって調製される。次に、血漿を流し出すか、又は取り除く。「血清」は、フィブリノーゲン又は他の凝固因子を含まない血漿(即ち、全血から細胞及び凝固因子の両方を除去したもの)である。
【0049】
本明細書において互換的に使用される「ポリヌクレオチド」又は「核酸」は、任意の長さのヌクレオチドのポリマーを指し、DNA及びRNAを含む。ヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、修飾ヌクレオチド若しくは塩基、及び/又はそれらの類似体、或いはDNA若しくはRNAポリメラーゼによってポリマーに組み込まれ得る任意の基質であり得る。ポリヌクレオチドは、例えば、メチル化ヌクレオチド及びそれらの類似体などの修飾ヌクレオチドを含み得る。存在する場合、ヌクレオチド構造に対する修飾は、ポリマーのアセンブリの前又は後のいずれに付与されたのものでもよい。ヌクレオチドの配列は、非ヌクレオチド成分によって中断され得る。ポリヌクレオチドは、重合後に、標識成分との共役などによりさらに修飾されてもよい。他のタイプの修飾としては、例えば、「キャップ」、類似体による1つ又は複数の天然に存在するヌクレオチドの置換、ヌクレオチド間修飾、例えば、非荷電結合(例えば、メチルホスホネート、ホスホトリエステル、ホスホアミデート、カルバメートなど)を用いたもの及び荷電結合(例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエートなど)を用いたもの、ペンダント部分を含むもの、例えば、タンパク質(例えば、ヌクレアーゼ、毒素、抗体、シグナルペプチド、ポリ-L-リシンなど)、インターカレーター(例えば、アクリジン、ソラレンなど)を用いたもの、キレート剤(例えば、金属、放射性金属、ホウ素、酸化金属など)を用いたもの、アルキル化剤を用いたもの、修飾結合(例えば、αアノマー核酸など)を用いたもの、並びにポリヌクレオチドの非修飾形態が挙げられる。さらに、追加のヌクレオチドへのさらなる結合を用意するために、糖類に通常存在するヒドロキシル基のいずれかを、例えば、ホスホン酸基、リン酸基により置換してもよいし、標準的な保護基によって保護するか、又は活性化してもよいし、或いは、固体支持体に共役させてもよい。5’末端及び3’末端OHは、1~20個の炭素原子のアミン又は有機キャッピング基部分でリン酸化又は置換することができる。また、他のヒドロキシルを標準的な保護基に誘導体化してもよい。ポリヌクレオチドはまた、当技術分野で公知のリボース又はデオキシリボース糖の類似形態を含み得るが、こうしたものとして、例えば、2’-O-メチル-2’-O-アリル、2’-フルオロ-又は2’-アジドリボース、炭素環式糖類似体、α-アノマー糖、アラビノース、キシロース若しくはリキソースなどのエピマー糖、ピラノース糖、フラノース糖、セドヘプツロース、非環式類似体及びメチルリボシドなどの脱塩基ヌクレオシド類似体が挙げられる。1つ又は複数のホスホジエステル結合は、代替の連結基により置換されていてもよい。こうした代替の連結基として、限定するものではないが、リン酸塩が、P(O)S(「チオエート」)、P(S)S(「ジチオエート」)、「(O)NR2(「アミデート」)、P(O)R、P(O)OR’、CO又はCH2(「ホルムアセタール」)により置換されている実施形態が挙げられ、ここで、各R又はR’は、独立して、H、又は任意選択でエーテル(--O--)結合を含む置換若しくは非置換アルキル(1~20C)、アリール、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル若しくはアラルジルである。ポリヌクレオチド中の全ての結合が同一である必要はない。以上の説明は、RNA及びDNAを含め、本明細書で言及される全てのポリヌクレオチドに適用される。
【0050】
本明細書で使用される「オリゴヌクレオチド」は、概して短い、一般に一本鎖の、一般に合成ポリヌクレオチドを指し、これは、必ずというわけではないが、概して、約200ヌクレオチド長未満である。用語「オリゴヌクレオチド」及び「ポリヌクレオチド」は、相互に排他的ではない。ポリヌクレオチドに関する上記の説明は、オリゴヌクレオチドにも同様に、且つ十分に適用可能である。
【0051】
本明細書で使用される「増幅」は、一般に、所望の配列の複数のコピーを産生するプロセスを指す。「複数のコピー」とは、少なくとも2つのコピーを意味する。「コピー」は、必ずしもテンプレート配列に対する完全な配列相補性又は同一性を意味するわけではない。例えば、コピーは、デオキシイノシンなどのヌクレオチド類似体、意図的な配列改変(例えば、鋳型にハイブリダイズ可能であるが、相補的ではない配列を含むプライマーを介して導入された配列改変など)、及び/又は増幅中に生じる配列エラーを含み得る。
【0052】
本明細書で使用される用語「アレイ」又は「マイクロアレイ」は、基板上のハイブリダイズ可能なアレイ要素、例えば、ポリヌクレオチドプローブ(例えば、オリゴヌクレオチド)、ビーズ、又は結合試薬(例えば、抗体)の規則的な構成を指す。基板は、ガラス又はシリカスライドなどの固体基板、ファイバー光学バインダー、又はニトロセルロース膜などの半固体基板であり得る。ヌクレオチド配列は、DNA、RNA、又はそれらの任意の並べ替えであってよい。
【0053】
本明細書において使用される場合、用語「表現型」は、個体間で比較することができる形質を指し、例えば、ある状態の有無、個体間の外観の視覚的に観察可能な相違、代謝的変動、生理学的変動、生体分子の機能の変動などである。表現型は、定性的又は定量的であり得る。表現型の一例は、薬物などの治療に対する応答性である。
【0054】
「応答性」は、患者に対する利益を示す任意の評価項目を用いて評価することができ、こうした評価項目として、限定されないが、以下のものが挙げられる:(1)緩徐化及び完全な停止を含め、疾患進行のある程度の阻害;(2)疾患エピソード及び/又は症状の数の減少;(3)病変サイズの減少;(4)隣接する末梢器官及び/又は組織への疾患細胞浸潤の阻害(即ち、減少、緩徐化又は完全な停止);(5)疾患の広がりの抑制(即ち、減少、緩徐化又は完全な停止);(6)障害に関連する1つ又は複数の症状のある程度の軽減;(7)治療後の無病呈示期間の増加;(8)治療後の所定の時点での死亡率の低下;及び/又は(9)治療後の有害作用の欠如。応答性は、患者に対する副作用及び/又は毒性を示す任意の評価項目を用いて評価することもできる。
【0055】
「治療する(こと)」若しくは「治療」又は「緩和」は、治療的処置を指し、この場合、その目的は、標的とする病理学的状態又は障害を治癒しない場合、それを緩徐化(軽減)するか、又はその状態の再発を予防することである。被験者は、治療的量の治療薬を受けた後、被験者が、特定の疾患の1つ又は複数の徴候及び症状の観察可能及び/又は測定可能な減少又は非存在を示す場合、首尾よく「治療」されている。例えば、CNS疾患又は障害に関連する1つ又は複数の症状の寛解の期間の増加、及び/又はある程度の軽減、罹患率及び死亡率の低下、クオリティオブライフ課題の改善。CNS疾患又は障害の徴候若しくは症状の減少もまた、患者によって感知され得る。治療によって、CNS疾患若しくは障害の全ての徴候の消失として定義される完全奏効、又は部分奏功、好ましくは、CNS疾患若しくは障害の徴候の50%超、より好ましくは75%の減少を達成することができる。患者が安定を経験する場合も、患者は治療されているとみなされる。一部の実施形態では、治療薬による治療は、患者が、治療後3ヶ月、好ましくは6ヶ月、より好ましくは1年、さらにより好ましくは治療後2年以上無病であるのに有効である。治療の成功及び疾患の改善を評価するためのこれらのパラメータは、当技術分野の適切な技術を有する医師が周知の常用的な手順によって容易に測定可能である。
【0056】
用語「予測」又は「予後」は、患者が薬物又は一連の薬物に好都合又は不都合に応答する可能性を指すために本明細書で使用される。一実施形態では、予測は、それらの応答の程度に関する。一実施形態において、予測は、患者が治療後、例えば、特定の治療薬による治療後、並びに疾患の再発なしに一定期間にわたって生存する、若しくは改善するか否か及び/又はその確率に関する。本発明の予測方法は、任意の特定の患者にとって最も適切な治療法を選択することにより、治療決定を下すために、臨床に使用することができる。本発明の予測方法は、患者が、特定の治療レジメン、例えば所与の治療薬又は組合せの投与、外科的介入、ステロイド治療などを含む、所与の治療レジメンに好ましく応答する可能性が高いかどうかを予測するのに有用なツールである。
【0057】
本明細書で使用される場合、用語「特異的に結合する」は、特異的結合ペアの結合特異性を指す。他の潜在的な標的の存在下での特定の標的の抗体による認識は、そのような結合の特徴の1つである。特異的結合は、2つの異なる分子を必要とし、ここで、分子の1つは、化学的又は物理的手段を介して第2の分子と特異的に結合する。2つの分子は、それらの互いの結合が、それらの結合パートナーを類似の特徴を有する他のアッセイ要素から識別することができるようなものであるという意味で関連している。結合要素ペアのメンバーは、リガンドと受容体(抗リガンド)、特異的結合ペア(SBP)メンバー及びSBPパートナーなどと呼ばれる。ある分子は、分子の凝集のためのSBPメンバーであってもよく;例えば、第2の抗体及びそれに対応する抗原の免疫複合体に対して産生された抗体は、免疫複合体のSBPメンバーであると考えることができる。
【0058】
本明細書で使用される場合、用語「ホモログ」は、天然に存在する核酸に対する軽微な修飾によって、天然に存在する核酸(即ち、「プロトタイプ」又は「野生型」核酸)とは異なるが、天然に存在する形態の基本的なヌクレオチド構造を維持する核酸を指すために使用される。このような変化として、限定されないが、欠失(例えば、核酸の切断型)挿入及び/又は置換を含め、1つ又は少数のヌクレオチドの変化が挙げられる。ホモログは、天然に存在する核酸と比較して、増強、減少、又は実質的に類似した特性を有し得る。ホモログは、天然に存在する核酸に相補的であってもよいし、又はそれに一致していてもよい。ホモログは、限定されないが、組換えDNA技術、化学合成などを含め、核酸の生産のための当技術分野で公知の技法を用いて製造することができる。
【0059】
本明細書で使用される場合、「相補的」又は「一致した」は、2つの核酸配列が少なくとも50%の配列同一性を有することを意味する。好ましくは、2つの核酸配列は、少なくとも60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有する。「相補的又は一致している」とはまた、2つの核酸配列が、低、中及び/又は高ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズできることを意味する。
【0060】
本明細書で使用される場合、「実質的に相補的である、又は実質的に一致する」とは、2つの核酸配列が少なくとも90%の配列同一性を有することを意味する。好ましくは、2つの核酸配列は、少なくとも95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有する。或いは、「実質的に相補的又は実質的に一致する」とは、2つの核酸配列が高ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズできることを意味する。
【0061】
一般に、ハイブリッドの安定性は、イオン濃度と温度に応じて変化する。典型的には、ハイブリダイゼーション反応は、より低いストリンジェンシーの条件下で実施した後、変動するが、より高いストリンジェンシーの洗浄を実施する。中度にストリンジェントなハイブリダイゼーションとは、プローブなどの核酸分子が相補的な核酸分子と結合することを可能にする条件を指す。ハイブリダイズされた核酸分子は、一般に、少なくとも60%の同一性を有し、例えば70%、75%、80%、85%、90%、又は95%の同一性のうちの少なくともいずれかを含む。中度にストリンジェントな条件は、42℃で、50%ホルムアミド、5×デンハルト溶液、5×SSPE、0.2%SDS中でのハイブリダイゼーション、続いて42℃で、0.2×SSPE、0.2%SDSでの洗浄に相当する条件である。例えば、42℃で、50%ホルムアミド、5×デンハルト溶液、5×SSPE、0.2%SDS中でのハイブリダイゼーション、続いて65℃で、0.1×SSPE、及び0.1%SDSでの洗浄により、高ストリンジェンシー条件を提供することができる。
【0062】
低ストリンジェンシーハイブリダイゼーションとは、22℃で、10%ホルムアミド、5×デンハルト溶液、6×SSPE、0.2%SDS中でのハイブリダイゼーション、続いて37℃で、1×SSPE、0.2%SDSでの洗浄に相当する条件を指す。デンハルト溶液は、1%フィコール、1%ポリビニルピロリドン、及び1%ウシ血清アルブミン(BSA)を含有する。20×SSPE(塩化ナトリウム、リン酸ナトリウム、エチレンジアミド四酢酸(EDTA))は、3M塩化ナトリウム、0.2Mリン酸ナトリウム、及び0.025M(EDTA)を含有する。他の適切な中度ストリンジェンシー及び高ストリンジェンシーのハイブリダイゼーションバッファー及び条件は、当業者に周知である。
【0063】
本明細書で使用される場合、用語「アウトプット」は、コンピュータアルゴリズムから生成された値又はスコアを指す。アウトプットは、本明細書に開示されるバイオマーカーをコンピュータアルゴリズムへのインプットとして用いたアッセイ結果に基づいて生成され得る。「アウトプット」は、定量的又は定性的のいずれであってもよく、コンパニオン診断検査において、治療に対する被験者の応答の可能性を決定するために使用することができる。
【0064】
コンパニオン診断検査又は方法は、一般に、対応する薬物又は生物製剤の安全且つ効果的な使用に不可欠な情報を提供する。この検査は、患者に対する特定の治療薬の利益が、あらゆる重大な副作用及びリスクの可能性に勝るか否かを、医療従事者が判断するのに役立つ。特定の態様では、本明細書に開示されるコンパニオン診断検査は、特定の治療薬、例えば、リアフェンシン、BMS-866949、又はその類似体若しくは誘導体から利益を得る可能性が最も高い患者を識別する;特定の治療薬による治療の結果として重大な副作用のリスクが高くなり得る患者を識別する;及び/又は、安全性若しくは有効性の改善を達成するように治療を調整する目的で、特定の治療薬による治療に対する応答をモニターすることができる。コンパニオン診断薬は、1つ又は複数の薬物(又はカクテルなどの併用療法)と共同開発して、当該治療法に対する応答者及び不応答者を決定する患者の生物学的特性に基づき、その特定の薬物による治療のための患者群を選択又は除外する上で役立ち得る。いくつかの態様では、コンパニオン診断薬は、コンパニオンバイオマーカー、即ち、応答又は重篤な毒性の可能性の予測を予見的に補助するバイオマーカーに基づいて開発される。一部の実施形態では、本開示は、本明細書に開示される1つ又は複数の、例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、又はそれ以上のSNPを含むコンパニオンバイオマーカーを提供する。
【0065】
用語「薬学的に許容される塩」は、哺乳動物、特にヒトなどの患者への投与に許容される塩、即ち、所与の投与レジメンについて許容される哺乳動物の安全性を有する対イオンとの塩を意味する。このような塩は、薬学的に許容される無機又は有機塩基から、及び薬学的に許容される無機酸又は有機酸から誘導することができる。「薬学的に許容される塩」は、化合物の薬学的に許容される塩を指し、この塩は、当技術分野で周知の様々な有機及び無機対イオンから誘導され、あくまでも例として、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、テトラアルキルアンモニウムなどが挙げられ;また、分子が塩基性官能基を含有する場合には、有機酸又は無機酸の塩、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、ギ酸塩、酒石酸塩、ベシル酸塩、メシル酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、シュウ酸塩等が挙げられる。
【0066】
本明細書に記載される本発明の態様及び実施形態は、態様及び実施形態「から構成される」及び/又は「から本質的に構成される」を含むことが理解される。
【0067】
本発明の他の目的、利点及び特徴は、添付の図面と併せて提供される以下の詳述から明らかになるであろう。
【0068】
C.単離ポリヌクレオチド、バイオマーカー、関連組成物及びその使用
一態様において、本開示は、rs12217173、rs12217173と連鎖不平衡にある一塩基多型(SNP)であって、前記SNPの連鎖平衡のD’値が約0.900以上であるか、若しくは前記SNPとrs12217173との間のr値が約0.800以上であるSNP、及びその相補的SNPからなる群から選択される、SNPを含むか、それから構成されるか、又はそれから本質的に構成される単離ポリヌクレオチドを提供する。
【0069】
一部の実施形態では、SNPは、rs12217173、表1A~1Eのいずれかに列挙される1つ若しくは複数のSNP、又はその相補的SNPである。他の実施形態では、SNPは、rs12217173、rs12219340、rs4612751、rs12572120、又はその相補的SNPである。また別の実施形態では、SNPは、rs12217173、又はその相補的SNPである。
【0070】
別の態様では、本開示は、2つ以上、3つ以上、4つ以上、又は5つ以上の上記単離ポリヌクレオチドを含むか、それらから構成されるか、又はそれらから本質的に構成される単離ポリヌクレオチドのパネルを提供する。一部の実施形態では、上記パネルは、rs12217173、rs12219340、rs4612751、rs12572120、又はそれらの相補的SNPの2つ、3つ又は全てを含む。
【0071】
パネル内の1つ又は複数の単離ポリヌクレオチドは、適切な配列のいずれかを含むか、それから構成されるか、又はそれから本質的に構成され得る。例えば、パネル内の1つ又は複数の単離ポリヌクレオチドは、配列番号1~51に記載される配列のいずれか、それらの相補配列、又はそれらと連鎖不平衡にある配列を含むか、それらから構成されるか、又はそれから本質的に構成され得る。別の例では、パネル内の1つ又は複数の単離ポリヌクレオチドは、配列番号51、1、2、若しくは5に記載される配列、その相補配列、又はそれと連鎖不平衡にある配列を含むか、それから構成されるか、又はそれから本質的に構成され得る。また別の例では、パネル内の1つ又は複数の単離ポリヌクレオチドは、配列番号51に記載の配列、その相補配列、又はそれとの連鎖不平衡にある配列を含むか、それから構成されるか、又はそれから本質的に構成され得る。
【0072】
さらに別の態様では、本開示は、上記単離ポリヌクレオチド又はパネルを含むキットを提供し、このキットは、任意選択で、使用説明書を含む。
【0073】
さらにまた別の態様では、本開示は、基板と、該基板上に直接若しくは間接的に固定化された上記単離ポリヌクレオチド又はパネルと、を含むマイクロアレイを提供する。
【0074】
さらに別の態様では、本開示は、rs12217173、rs12217173と連鎖不平衡にある一塩基多型(SNP)であって、前記SNPの連鎖平衡のD’値が約0.900以上であるか、若しくは前記SNPとrs12217173との間のr値が約0.800以上であるSNP、及びその相補的SNPからなる群から選択される、1つ若しくは複数のSNPを検出するための試薬を提供する。
【0075】
本試薬を使用して、任意の好適な一塩基多型又はSNPを検出することができる。一部の実施形態では、本試薬を使用して、rs12217173、表1A~1Eのいずれかに列挙されるSNP、又はその相補的SNPのうち1つ又は複数を検出することができる。一部の実施形態では、本試薬を使用して、rs12217173、rs12219340、rs4612751、rs12572120、又はそれらの相補的SNPを検出することができる。一部の実施形態では、本試薬を使用して、rs12217173、又はその相補的SNPを検出することができる。
【0076】
1つ又は複数のSNPは、任意の好適な配列を含み得る。一部の実施形態では、1つ又は複数のSNPは、配列番号1~51に記載される配列のいずれかに記載される配列、その相補配列、又はそれと連鎖不平衡にある配列を含む。一部の実施形態では、1つ又は複数のSNPは、配列番号51、1、2、若しくは5に記載される配列、その相補配列、又はそれと連鎖不平衡にある配列を含む。一部の実施形態では、1つ又は複数のSNPは、配列番号51に記載の配列、その相補配列、又はそれと連鎖不平衡にある配列を含む。
【0077】
本試薬は、1つ又は複数のSNPをアッセイするための1つ又は複数の分子を含むことができる。本試薬は、任意の好適なタイプの分子を含み得る。一部の実施形態において、本試薬中の1つ又は複数の分子は、オリゴヌクレオチド及び/又はポリペプチドを含み得る。本試薬中のオリゴヌクレオチドは、任意の好適な配列を含み得る。一部の実施形態では、本試薬中のオリゴヌクレオチドは、配列番号1~51に記載の配列のいずれかに記載される配列、又はその相補配列を含む。一部の実施形態では、本試薬中のオリゴヌクレオチドは、1つ又は複数のSNPを遺伝子型決定するための1つ又は複数のプライマーを含む。
【0078】
さらに別の態様では、本開示は、上記試薬を含むキットを提供し、このキットは、任意選択で、使用説明書を含む。
【0079】
さらにまた別の態様では、本開示は、上記単離ポリヌクレオチド又はパネルと、上記試薬と、を含むキットを提供し、このキットは、任意選択で、使用説明書を含む。
【0080】
本キットは、任意の好適な単離ポリヌクレオチド又はポリヌクレオチドのパネルを含み得る。一部の実施形態では、本キットにおける単離ポリヌクレオチド又はポリヌクレオチドのパネルは、rs12217173、rs12217173と連鎖不平衡にあるSNPであって、前記SNPの連鎖平衡のD’値が約0.900以上であるか、若しくは前記SNPとrs12217173との間のr値が約0.800以上であるSNP、及びその相補的SNPからなる群から選択されるSNPを含み、上記試薬は、上記SNPを検出することができる。一部の実施形態では、本キットにおける単離ポリヌクレオチド又はポリヌクレオチドのパネルは、rs12217173、表1A~1Eのいずれかに列挙されるSNP、及び/又はその相補的SNPを含み、上記試薬は、上記SNPを検出することができる。一部の実施形態では、本キットにおける単離ポリヌクレオチド又はポリヌクレオチドのパネルは、rs12217173、rs12219340、rs4612751、rs12572120、及び/又はその相補的SNPを含み、上記試薬は、上記SNPを検出することができる。一部の実施形態では、本キットにおける単離ポリヌクレオチド又はポリヌクレオチドのパネルは、rs12217173、又はその相補的SNPを含み、上記試薬は、上記SNPを検出することができる。
【0081】
本キットにおいて、試薬、単離ポリヌクレオチド又はポリヌクレオチドのパネルは、任意の適切な目的又は機能のために使用することができる。例えば、本キットにおいて、試薬はSNPを検出することができ、単離ポリヌクレオチド又はパネルは、検出アッセイの対照として役立つ。
【0082】
また別の態様では、本開示は、基板と、該基板上に直接又は間接的に固定化された上記試薬と、を含むマイクロアレイを提供する。
【0083】
さらに別の態様では、本開示は、基板と、上記単離ポリヌクレオチド、又は単離ポリヌクレオチドのパネルと、上記基板上に直接若しくは間接的に固定化された試薬と、を含むマイクロアレイを提供する。
【0084】
本マイクロアレイにおいて、試薬、単離ポリヌクレオチド又はポリヌクレオチドのパネルは、任意の適切な目的又は機能のために使用することができる。例えば、上記試薬は、上記SNPを検出することができ、上記単離ポリヌクレオチド又はパネルは、検出アッセイのための対照として役立つ。
【0085】
本キット、試薬、又はマイクロアレイは、任意の適切な目的又は機能のために使用することができる。例えば、本キット、試薬、又はマイクロアレイは、単離バイオマーカー又は単離バイオマーカーのパネルの評価のために使用することができ、ここで、上記1つ又は複数のバイオマーカーは、rs12217173、rs12217173と連鎖不平衡にある一塩基多型(SNP)であって、前記SNPの連鎖平衡のD’値が約0.900以上であるか、若しくは前記SNPとrs12217173との間のr値が約0.800以上であるSNP、及びその相補的SNPからなる群から選択されるSNPを含む。
【0086】
単離バイオマーカー又はパネルは、任意の好適な技術又は手順を用いてアッセイすることができる。例えば、単離バイオマーカー又はパネルは、以下:シーケンシング、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、キャピラリー電気泳動、質量分析、一本鎖高次構造多型(SSCP)、電気化学分析、変性HPLC及びゲル電気泳動、制限断片長多型、ハイブリダイゼーション分析、一塩基伸長(SBE)、アレル特異的プライマー伸長(ASPE)、制限酵素消化、鎖置換増幅(SDA)、転写媒介増幅(TMA)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、核酸配列ベースの増幅(NASBA)、プライマー伸長、ローリングサークル増幅(RCA)、自己持続性配列複製(3SR)、ループ介在等温増幅(LAMP)、ハイブリダイゼーション、核酸シーケンシング、及び/又はマイクロアレイによりアッセイすることができる。任意の好適な核酸シークエンシング技術又は手順を使用することができる。例えば、核酸シーケンシングは、以下:Maxam-Gilbertシーケンシング、鎖停止法、ショットガンシーケンシング、ブリッジPCR、一分子リアルタイムシーケンシング、イオン半導体(イオントレントシーケンシング)、合成によるシーケンシング、ライゲーションによるシーケンシング(SOLiDシーケンシング)、鎖停止(Sangerシーケンシング)、大規模な並列シグネチャーシーケンシング(MPSS)、ポロニーシーケンシング、454パイロシーケンシング、Illumina(Solexa)シーケンシング、DNAナノボールシーケンシング、ヘリスコープ一分子シーケンシング、一分子リアルタイム(SMRT)シーケンシング、ナノポアDNAシーケンシング、トンネル電流DNAシーケンシング、ハイブリダイゼーションによるシーケンシング、質量分析によるシーケンシング、マイクロ流体Sangerシーケンシング、顕微鏡を用いた技法、RNAPシーケンシング、及び/又はインビトロウイルスハイスループットシーケンシングであってよい。
【0087】
本キット、試薬、又はマイクロアレイは、治療、例えば、うつ病などのCNS疾患又は障害の治療の目的でコンパニオン診断検査を実施するための単離バイオマーカー又はパネルの使用に関する説明書をさらに含み得る。
【0088】
治療のためのコンパニオン診断検査は、任意の好適なバイオマーカー又はバイオマーカーのパネルを用いて実施することができる。一部の実施形態では、治療のためのコンパニオン診断検査は、rs12217173、表1A~1Eのいずれかに列挙されるSNP、又はその相補的SNPを用いて実施される。一部の実施形態では、治療のためのコンパニオン診断検査は、rs12217173、rs12219340、rs4612751、rs12572120、又はそれらの相補的SNPを用いて実施される。一部の実施形態では、治療のためのコンパニオン診断検査は、rs12217173、又はその相補的SNPを用いて実施される。
【0089】
コンパニオン診断検査は、任意の適切な治療を評価するために実施することができる。例えば、治療は、大うつ病性障害(MDD若しくはうつ病)、又は異常なレベルのセロトニン(5-HT)、ノルエピネフリン(NE)及び/又はドーパミン(DA)に関連する疾患若しくは障害の治療であってよい。一部の実施形態では、疾患又は障害は、中枢神経系(CNS)疾患又は障害である。
【0090】
コンパニオン診断検査は、任意の適切なCNS疾患又は障害に対する治療を評価するために実施することができる。例えば、CNS疾患又は障害は、大うつ病性障害(MDD)、例えば、MDDのサブタイプ、又は精神病性特徴を有する大うつ病及び/又は周産若しくは産後発症を伴ううつ病、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、双極性障害、強迫性障害(OCD)、摂食障害、注意欠陥多動性障害(ADHD)、睡眠障害、例えば、ナルコレプシー、物質使用障害、トゥレット症候群(TS)、統合失調症、てんかん、片頭痛、及び自閉症スペクトラム障害であり得る。神経変性障害は、アルツハイマー病(AD)、ハンチントン病、又はパーキンソン病(PD)であり得る。一部の実施形態では、治療は、大うつ病性障害(MDD又はうつ病)の治療である。
【0091】
コンパニオン診断検査は、任意の適切な薬物を用いる治療を評価するために実施することができる。例えば、治療は、それを必要とする被験者に、大うつ病性障害(MDD若しくはうつ病)を治療するための薬剤、又は被験者におけるセロトニン(5-HT)、ノルエピネフリン(NE)及び/又はドーパミン(DA)のレベルを調節するための薬剤を薬学的に有効な量で投与することを含み得る。
【0092】
治療は、それを必要とする被験者に、大うつ病性障害(MDD若しくはうつ病)を治療するための任意の適切な薬剤、又はセロトニン(5-HT)、ノルエピネフリン(NE)及び/又はドーパミン(DA)のレベルを調節するための薬剤を投与することを含み得る。例えば、薬剤は、リアフェンシン(BMS-820836若しくはAMR-000013)、BMS-866949(CSTI-500若しくはAMR-001181)、又はそれらの類似体若しくは誘導体を含むことができる。別の例では、薬剤は、セロトニントランスポーター(SERT)、ノルエピネフリントランスポーター(NET)及び/又はドーパミントランスポーター(DAT)の阻害剤を含み得る。
【0093】
セロトニントランスポーターの任意の適切な阻害剤を使用することができる。例えば、セロトニントランスポーターの阻害剤は、a)約0.1nm~約1μm、例えば、約0.1nm~約60nmの範囲の、セロトニントランスポーターに対する結合親和性IC50;及び/又はb)約0.1nm~約1μm、例えば、約2nm~約200nmの範囲の、セロトニントランスポーターに対する機能的効力IC50を有し得る。一部の実施形態では、セロトニントランスポーターの阻害剤は、約0.1nm、1nm、10nm、100nm、若しくは1μm、又はその任意の部分範囲で、セロトニントランスポーターに対する結合親和性IC50を有する。一部の実施形態では、セロトニントランスポーターの阻害剤は、約0.1nm、1nm、10nm、20nm、30nm、40nm、50nm、60nm、又はそれらの任意の部分範囲で、セロトニントランスポーターに対する結合親和性IC50を有する。一部の実施形態では、セロトニントランスポーターの阻害剤は、約0.1nm、1nm、10nm、100nm、若しくは1μm、又はそれらの任意の部分範囲で、セロトニントランスポーターに対する機能的効力IC50を有する。一部の実施形態では、セロトニントランスポーターの阻害剤は、約2nm、10nm、20nm、30nm、40nm、50nm、60nm、70nm、80nm、90nm、100nm、150nm、200nm、又はそれらの任意の部分範囲で、セロトニントランスポーターに対する機能的効力IC50を有する。
【0094】
ノルエピネフリントランスポーターの任意の好適な阻害剤を使用することができる。例えば、ノルエピネフリントランスポーターの阻害剤は、以下:a)約1nm~約1μm、例えば、約0.8nm~約80nmの範囲の、ノルエピネフリントランスポーターに対する結合親和性IC50;及び/又はb)約0.1nm~約1μm、例えば、約4nm~約400nmの範囲の、ノルエピネフリントランスポーターに対する機能的効力IC50を有し得る。一部の実施形態では、ノルエピネフリントランスポーターの阻害剤は、約0.1nm、1nm、10nm、100nm、若しくは1μm、又はその任意の部分範囲で、ノルエピネフリントランスポーターに対する結合親和性IC50を有する。一部の実施形態では、ノルエピネフリントランスポーターの阻害剤は、約0.8nm、1nm、10nm、20nm、30nm、40nm、50nm、60nm、70nm、80nm、又はその任意の部分範囲で、ノルエピネフリントランスポーターに対する結合親和性IC50を有する。一部の実施形態では、ノルエピネフリントランスポーターの阻害剤は、約0.1nm、1nm、10nm、100nm、若しくは1μm、又はその任意の部分範囲で、ノルエピネフリントランスポーターに対する機能的効力IC50を有する。一部の実施形態では、ノルエピネフリントランスポーターの阻害剤は、約4nm、10nm、20nm、30nm、40nm、50nm、60nm、70nm、80nm、90nm、100nm、200nm、300nm、400nm、又はその任意の部分範囲で、ノルエピネフリントランスポーターに対する機能的効力IC50を有する。
【0095】
ドーパミントランスポーターの任意の好適な阻害剤を使用することができる。例えば、ドーパミントランスポーターの阻害剤は、以下:a)約1nm~約1μmの範囲、例えば、約0.6nm~約60nmの範囲の、ドーパミントランスポーターに対する結合親和性IC50;及び/又はb)約0.1nm~約1μmの、例えば、約3nm~約300nm範囲の、ドーパミントランスポーターに対する機能的効力IC50を有し得る。一部の実施形態では、ドーパミントランスポーターの阻害剤は、約0.1nm、1nm、10nm、100nm、若しくは1μm、又はその任意の部分範囲で、ドーパミントランスポーターに対する結合親和性IC50を有する。一部の実施形態では、ドーパミントランスポーターの阻害剤は、約0.6nm、1nm、10nm、20nm、30nm、40nm、50nm、60nm、又はその任意の部分範囲でドーパミントランスポーターに対する結合親和性IC50を有する。一部の実施形態では、ドーパミントランスポーターの阻害剤は、約0.1nm、1nm、10nm、100nm、若しくは1μm、又はそれらの任意の部分範囲で、ドーパミントランスポーターに対する機能的効力IC50を有する。一部の実施形態では、ドーパミントランスポーターの阻害剤は、約3nm、10nm、20nm、30nm、40nm、50nm、60nm、70nm、80nm、90nm、100nm、200nm、300nm、又はその任意の部分範囲で、ドーパミントランスポーターに対する機能的効力IC50を有する。
【0096】
一部の実施形態では、薬剤は、ノルエピネフリン再取り込み阻害剤(NRI)、例えば、アトモキセチン若しくはレボキセチン、ドーパミン再取り込み阻害剤、例えば、ブプロピオン若しくはメチルフェニデート、選択的セロトニン及びノルエピネフリン再取り込み阻害剤(SSNRI若しくはSNRI)、例えば、ベンラファキシン、デスベンラファキシン、若しくはデュロキセチン、又は選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、例えば、フルオキセチン、シタロプラム、若しくはエスシタロプラムを含むことができる。
【0097】
薬剤は、セロトニン-ノルエピネフリン-ドーパミン再取り込み阻害剤(SNDRI、トリプル再取り込み阻害剤又はTRI)を含み得る。任意の好適なセロトニン-ノルエピネフリン-ドーパミン再取り込み阻害剤を使用することができる。例えば、セロトニン-ノルエピネフリン-ドーパミン再取り込み阻害剤は、式(I):
【化2】

の化合物
(式中:
Xが結合しているキラル中心は、R又はS配置であり;
Xは、インデニル、インダニル、ナフチル、ジヒドロナフチル、テトラヒドロナフチル、ベンゾシクロヘプテニル、ジヒドロベンゾシクロヘプテニル、及びテトラヒドロベンゾシクロヘプテニルからなる群から選択され;
は、H又はメチルであり、好ましくは、R1は、メチルであり;
は、Hであり;
は、Hであり;
は、ピリダジン-3-イル、6-メチルピリダジン-3-イル、6-ジメチルアミノ-ピリジン-3-イル、6-メチルアミノ-ピリダジン-3-イル、6-アミノ-ピリダジン-3-イル、6-モルホリノ-4-イルピリダジン-3-イル、6-トリフルオロメチル-ピリダジン-3-イル、6-シアノ-ピリダジン-3-イル、及びピリダジン-4-イルからなる群から選択され;
は、H又はFであり;
は、H、F又はメトキシであり;
は、Hであり;
は、H、OH、OCH、-CN、F、Cl、又はCHである)
又はその酸化物;
又はその薬学的に許容される塩
であり得る。
【0098】
一部の実施形態では、Rは、6-アミノ-ピリダジン-3-イルであり;又はその薬学的に許容される塩である。
【0099】
一部の実施形態では、Xは、ナフタレン-2-イルであり;又はその薬学的に許容される塩である。
【0100】
一部の実施形態では、Xが結合するキラル中心は、S配置であり;又はその薬学的に許容される塩である。
【0101】
一部の実施形態では、化合物は、(+)立体異性体;又はその薬学的に許容される塩である。
【0102】
一部の実施形態では、化合物は、式:
【化3】

の化合物、又はその薬学的に許容される塩である。
【0103】
一部の実施形態では、化合物は、式:
【化4】

の化合物、又はその薬学的に許容される塩である。
【0104】
一部の実施形態では、化合物は、デス-メチル代謝産物(BMS-821007)である。
【0105】
一部の実施形態では、セロトニン-ノルエピネフリン-ドーパミン再取り込み阻害剤は、式(II):
【化5】

の化合物、又はその薬学的に許容される塩、例えば、そのHCl塩である。
【0106】
一部の実施形態では、セロトニン-ノルエピネフリン-ドーパミン再取り込み阻害剤は、リアフェンシン、BMS-866949、又はその類似体若しくは誘導体、又はその薬学的に許容される塩である。
【0107】
一部の実施形態では、セロトニン-ノルエピネフリン-ドーパミン再取り込み阻害剤は、マジンドール、ネファゾドン、シブトラミン、ベンラファキシン、エスケタミン、ケタミン、フェンシクリジン(PCP)、トリペレナミン、メピプラゾール、アミチファジン、AN-788、塩酸アンソファキシン、センタナファジン、ダソトラリン、Lu AA34893、Lu AA37096、NS-2360、テダチオキセチン、テソフェンシン、ビシファジン(DOV-220,075)、BMS 866,949、ブラソフェンシン、ジクロフェンシン(Ro 8-4650)、DOV 216,303、EXP-561、NS-2359、RG-7166、SEP-227,162、SEP-228,425、SEP-228,432、3-メチル-PCPy、ナフィロン、3,3,-ジフェニルシクロブタンアミン、3,4-ジクロロタメトラリン、D-161、デスメチルセルトラリン(DMS)、N,O-ジメチル-4β-(2-ナフチル)ピペリジン-3β-カルボキシレート(DMNPC)、DOV-102,677、フェゾラミン(Win-41,528-2)、GSK1360707F、インダトラリン(Lu 19-005)、JNJ-7925476、LR-5182、HDMP-28(メチルナフチデート)、MI-4、PRC200-SS、SKF-83,959、TP1、NS9775、フェニルトロパン、SEP-225289、GSK372475、又は植物薬である。任意の好適なフェニルトロパンを使用することができる。例えば、フェニルトロパンは、WF-23、ジクロロパン又はRTI-55であり得る。任意の好適な植物薬を使用することができる。例えば、植物薬は、コカ粉、イチョウ(Ginkgo biloba)抽出物、セイヨウオトギリ(Hypericum perforatum)、(セントジョンズワート(St. John’s wort))、オレガノ抽出物、ローズマリー抽出物、又はヘデラゲニン(Hederagenin)を含み得る。
【0108】
本キット、試薬、又はマイクロアレイは、被験者における大うつ病性障害(MDD若しくはうつ病)を治療するための薬剤、又はセロトニン(5-HT)、ノルエピネフリン(NE)及び/又はドーパミン(DA)のレベルを調節するための薬剤をさらに含むことができる。本キット、試薬、又はマイクロアレイは、大うつ病性障害(MDD若しくはうつ病)を治療するための任意の適切な薬剤、又は被験者におけるセロトニン(5-HT)、ノルエピネフリン(NE)及び/又はドーパミン(DA)のレベルを調節するための薬剤、例えば、前述した薬剤のいずれかをさらに含むことができる。一部の実施形態では、薬剤は、以下:a)リアフェンシン(BMS-820836若しくはAMR-000013)、BMS-866949(CSTI-500若しくはAMR-001181)、又はその類似体若しくは誘導体;或いはb)セロトニントランスポーター(SERT)、ノルエピネフリントランスポーター(NET)及び/又はドーパミントランスポーター(DAT)の阻害剤、例えば、セロトニン-ノルエピネフリン-ドーパミン再取り込み阻害剤を含む。
【0109】
D.コンパニオン診断及びその他の方法
また別の態様では、本開示は、コンパニオン診断方法を提供し、これは、以下:a)rs12217173、rs12217173と連鎖不平衡にある一塩基多型(SNP)であって、前記SNPの連鎖平衡のD’値が約0.900以上であるか、若しくは前記SNPとrs12217173との間のr値が約0.800以上であるSNP、及びその相補的SNPからなる群から選択される、1つ若しくは複数のSNPに対する治療を受けているか、又は治療が検討される被験者からの生体サンプルをアッセイすること;及び/又はb)前記治療に対して起こり得る前記被験者の応答性を決定するために、例えば、前記1つ若しくは複数のSNPのアッセイ結果に基づくコンピュータアルゴリズムを用いて、アウトプット、例えばスコアを生成することを含む。
【0110】
さらに別の態様では、本開示は、治療の適格性について被験者を分類するための方法を提供し、これは、以下:a)rs12217173、rs12217173と連鎖不平衡にある一塩基多型(SNP)であって、前記SNPの連鎖平衡のD’値が約0.900以上であるか、若しくは前記SNPとrs12217173との間のr値が約0.800以上であるSNP、及びその相補的SNPからなる群から選択される、1つ若しくは複数のSNPに対する治療を受けているか、又は治療が検討される被験者からの生体サンプルをアッセイすること;及び/又はb)前記治療若しくは継続治療について適格又は不適格として被験者を分類するために、例えば、前記1つ若しくは複数のSNPのアッセイ結果に基づくコンピュータアルゴリズムを用いて、アウトプット、例えばスコアを生成することを含む。
【0111】
さらにまた別の態様では、本開示は、治療について被験者又は被験者の集団をスクリーニングするための方法を提供し、これは、以下:a)rs12217173、rs12217173と連鎖不平衡にある一塩基多型(SNP)であって、前記SNPの連鎖平衡のD’値が約0.900以上であるか、若しくは前記SNPとrs12217173との間のr値が約0.800以上であるSNP、及びその相補的SNPからなる群から選択される、1つ若しくは複数のSNPに対する治療を受けているか、又は治療が検討される被験者からの生体サンプルをアッセイすること;及び/又はb)被験者若しくは集団が、治療若しくは治療の継続から利益を得る可能性が高いかどうかを決定するために、及び/又は被験者若しくは集団が、治療又は治療の継続から有害作用を経験する可能性があるかどうかを判断するために、例えば、前記1つ若しくは複数のSNPのアッセイ結果に基づくコンピュータアルゴリズムを用いて、アウトプット、例えばスコアを生成することを含む。
【0112】
さらに別の態様では、本開示は、治療中に被験者をモニタリングするための方法を提供し、これは、以下:a)rs12217173、rs12217173と連鎖不平衡にある一塩基多型(SNP)であって、前記SNPの連鎖平衡のD’値が約0.900以上であるか、若しくは前記SNPとrs12217173との間のr値が約0.800以上であるSNP、及びその相補的SNPからなる群から選択される、1つ若しくは複数のSNPに対する治療を受けている被験者からの生体サンプルをアッセイすること;及び/又はb)被験者が継続治療を受けるべきかどうかを決定するために、例えば、前記1つ若しくは複数のSNPのアッセイ結果に基づくコンピュータアルゴリズムを用いて、アウトプット、例えばスコアを生成することを含む。
【0113】
一部の実施形態では、本方法は、治療を受けているか、又は治療が検討される被験者から生体サンプルを取得することをさらに含み得る。
【0114】
一部の実施形態では、本方法は、治療を受けているか、又は治療が検討される被験者からの生体サンプルからゲノムDNAを単離することをさらに含み得る。
【0115】
一部の実施形態では、本方法は、被験者を治療、例えば、大うつ病性障害(MDD)などのCNS疾患又は障害の治療に付すことをさらに含み得る。
【0116】
一部の実施形態では、本方法は、被験者に対する治療、例えば、大うつ病性障害(MDD)などのCNS疾患又は障害の治療を継続することをさらに含み得る。
【0117】
一部の実施形態では、本方法は、被験者に対する治療を推奨しないこと、被験者に対する治療を変更すること、又は被験者の治療、例えば、大うつ病性障害(MDD)などのCNS疾患又は障害の治療を中止することをさらに含み得る。
【0118】
本方法は、任意の適切な1つ若しくは複数の一塩基多型(SNP)に対する治療を受けているか、又は治療が検討される被験者からの生体サンプルをアッセイすることを含み得る。一部の実施形態では、本方法は、rs12217173、表1A~1Eのいずれかに列挙されるSNP、又はその相補的SNPからなる群から選択される1つ若しくは複数のSNPについて、被験者からの生体サンプルをアッセイすることを含む。一部の実施形態では、本方法は、rs12217173、rs12219340、rs4612751、rs12572120、又はそれらの相補的SNPからなる群から選択される1つ又は複数のSNPについて、被験者からの生体サンプルをアッセイすることを含む。一部の実施形態では、本方法は、rs12217173又はその相補的SNPについて、被験者からの生体サンプルをアッセイすることを含む。一部の実施形態では、本方法は、配列番号1~51に記載の配列のいずれかに記載される配列、その相補配列、又はそれと連鎖不平衡にある配列を含む1つ若しくは複数のSNPについて、被験者からの生体サンプルをアッセイすることを含む。一部の実施形態では、本方法は、配列番号51、1、2、若しくは5に記載の配列、その相補配列、又はそれとの連鎖不平衡にある配列を含む1つ若しくは複数のSNPについて、被験者からの生体サンプルをアッセイすることを含む。一部の実施形態では、本方法は、配列番号51に記載の配列、その相補配列、又はそれとの連鎖不平衡にある配列を含む1つ若しくは複数のSNPについて、被験者からの生体サンプルをアッセイすることを含む。
【0119】
単離バイオマーカー又はパネルは、任意の適切な技術又は手順を用いてアッセイすることができる。例えば、単離バイオマーカー又はパネルは、以下:シーケンシング、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、キャピラリー電気泳動、質量分析、一本鎖高次構造多型(SSCP)、電気化学分析、変性HPLC及びゲル電気泳動、制限断片長多型、ハイブリダイゼーション分析、一塩基伸長(SBE)、アレル特異的プライマー伸長(ASPE)、制限酵素消化、鎖置換増幅(SDA)、転写媒介増幅(TMA)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、核酸配列ベースの増幅(NASBA)、プライマー伸長、ローリングサークル増幅(RCA)、自己持続性配列複製(3SR)、ループ介在等温増幅(LAMP)、ハイブリダイゼーション、核酸シーケンシング、及び/又はマイクロアレイによりアッセイすることができる。任意の好適な核酸シークエンシング技術又は手順を使用することができる。例えば、核酸シーケンシングは、以下:Maxam-Gilbertシーケンシング、鎖停止法、ショットガンシーケンシング、ブリッジPCR、一分子リアルタイムシーケンシング、イオン半導体(イオントレントシーケンシング)、合成によるシーケンシング、ライゲーションによるシーケンシング(SOLiDシーケンシング)、鎖停止(Sangerシーケンシング)、大規模な並列シグネチャーシーケンシング(MPSS)、ポロニーシーケンシング、454パイロシーケンシング、Illumina(Solexa)シーケンシング、DNAナノボールシーケンシング、ヘリスコープ一分子シーケンシング、一分子リアルタイム(SMRT)シーケンシング、ナノポアDNAシーケンシング、トンネル電流DNAシーケンシング、ハイブリダイゼーションによるシーケンシング、質量分析によるシーケンシング、マイクロ流体Sangerシーケンシング、顕微鏡を用いた技法、RNAPシーケンシング、及び/又はインビトロウイルスハイスループットシーケンシングであってよい。
【0120】
本方法は、任意の適切な治療を評価するために使用することができる。例えば、本方法は、大うつ病性障害(MDD若しくはうつ病)又は異常なレベルのセロトニン(5-HT)、ノルエピネフリン(NE)及び/又はドーパミン(DA)に関連する疾患又は障害の治療を評価するために使用することができる。疾患又は障害は、中枢神経系(CNS)疾患又は障害であり得る。一部の実施形態では、CNS疾患又は障害は、大うつ病性障害(MDD)、例えば、MDDのサブタイプ、又は精神病性特徴を有する大うつ病及び/又は周産若しくは産後発症を伴ううつ病、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、双極性障害、強迫性障害(OCD)、摂食障害、注意欠陥多動性障害(ADHD)、睡眠障害、例えば、ナルコレプシー、物質使用障害、トゥレット症候群(TS)、統合失調症、てんかん、片頭痛、又は自閉症スペクトラム障害であり得る。神経変性障害は、アルツハイマー病(AD)、ハンチントン病、又はパーキンソン病(PD)であり得る。一部の実施形態では、本方法を使用して、大うつ病性障害(MDD若しくはうつ病)、又はMDDのサブタイプ、例えば、精神病性特徴を有する大うつ病及び/又は周産若しくは産後発症を伴ううつ病に対する治療を評価することができる。
【0121】
本方法は、任意の適切な薬剤を用いた治療を評価するために使用することができる。例えば、本方法を使用して、大うつ病性障害(MDD若しくはうつ病)を治療するための薬剤、又は被験者におけるセロトニン(5-HT)、ノルエピネフリン(NE)及び/又はドーパミン(DA)のレベルを調節するための薬剤を、それを必要とする被験者に、薬学的に有効な量で投与することを含む治療を評価することができる。一部の実施形態では、本方法を使用して、リアフェンシン(BMS-820836若しくはAMR-000013)、BMS-866949(CSTI-500若しくはAMR-001181)、又はそれらの類似体若しくは誘導体を用いた、大うつ病性障害の治療、或いは、セロトニン、ノルエピネフリン及び/又はドーパミンのレベルを調節するための治療を評価することができる。一部の実施形態では、本方法を使用して、セロトニントランスポーター(SERT)、ノルエピネフリントランスポーター(NET)及び/又はドーパミントランスポーター(DAT)の阻害剤を用いた、大うつ病性障害の治療、或いは、セロトニン、ノルエピネフリン及び/又はドーパミンのレベルを調節するための治療を評価することができる。
【0122】
セロトニントランスポーターの任意の適切な阻害剤を使用することができる。例えば、セロトニントランスポーターの阻害剤は、a)約0.1nm~約1μm、例えば、約0.1nm~約60nmの範囲の、セロトニントランスポーターに対する結合親和性IC50;及び/又はb)約0.1nm~約1μm、例えば、約2nm~約200nmの範囲の、セロトニントランスポーターに対する機能的効力IC50を有し得る。一部の実施形態では、セロトニントランスポーターの阻害剤は、約0.1nm、1nm、10nm、100nm、若しくは1μm、又はその任意の部分範囲で、セロトニントランスポーターに対する結合親和性IC50を有する。一部の実施形態では、セロトニントランスポーターの阻害剤は、約0.1nm、1nm、10nm、20nm、30nm、40nm、50nm、60nm、又はそれらの任意の部分範囲で、セロトニントランスポーターに対する結合親和性IC50を有する。一部の実施形態では、セロトニントランスポーターの阻害剤は、約0.1nm、1nm、10nm、100nm、若しくは1μm、又はそれらの任意の部分範囲で、セロトニントランスポーターに対する機能的効力IC50を有する。一部の実施形態では、セロトニントランスポーターの阻害剤は、約2nm、10nm、20nm、30nm、40nm、50nm、60nm、70nm、80nm、90nm、100nm、150nm、200nm、又はそれらの任意の部分範囲で、セロトニントランスポーターに対する機能的効力IC50を有する。
【0123】
ノルエピネフリントランスポーターの任意の好適な阻害剤を使用することができる。例えば、ノルエピネフリントランスポーターの阻害剤は、以下:a)約1nm~約1μm、例えば、約0.8nm~約80nmの範囲の、ノルエピネフリントランスポーターに対する結合親和性IC50;及び/又はb)約0.1nm~約1μm、例えば、約4nm~約400nmの範囲の、ノルエピネフリントランスポーターに対する機能的効力IC50を有し得る。一部の実施形態では、ノルエピネフリントランスポーターの阻害剤は、約0.1nm、1nm、10nm、100nm、若しくは1μm、又はその任意の部分範囲で、ノルエピネフリントランスポーターに対する結合親和性IC50を有する。一部の実施形態では、ノルエピネフリントランスポーターの阻害剤は、約0.8nm、1nm、10nm、20nm、30nm、40nm、50nm、60nm、70nm、80nm、又はその任意の部分範囲で、ノルエピネフリントランスポーターに対する結合親和性IC50を有する。一部の実施形態では、ノルエピネフリントランスポーターの阻害剤は、約0.1nm、1nm、10nm、100nm、若しくは1μm、又はその任意の部分範囲で、ノルエピネフリントランスポーターに対する機能的効力IC50を有する。一部の実施形態では、ノルエピネフリントランスポーターの阻害剤は、約4nm、10nm、20nm、30nm、40nm、50nm、60nm、70nm、80nm、90nm、100nm、200nm、300nm、400nm、又はその任意の部分範囲で、ノルエピネフリントランスポーターに対する機能的効力IC50を有する。
【0124】
ドーパミントランスポーターの任意の好適な阻害剤を使用することができる。例えば、ドーパミントランスポーターの阻害剤は、以下:a)約1nm~約1μmの範囲、例えば、約0.6nm~約60nmの範囲の、ドーパミントランスポーターに対する結合親和性IC50;及び/又はb)約0.1nm~約1μmの、例えば、約3nm~約300nm範囲の、ドーパミントランスポーターに対する機能的効力IC50を有し得る。一部の実施形態では、ドーパミントランスポーターの阻害剤は、約0.1nm、1nm、10nm、100nm、若しくは1μm、又はその任意の部分範囲で、ドーパミントランスポーターに対する結合親和性IC50を有する。一部の実施形態では、ドーパミントランスポーターの阻害剤は、約0.6nm、1nm、10nm、20nm、30nm、40nm、50nm、60nm、又はその任意の部分範囲でドーパミントランスポーターに対する結合親和性IC50を有する。一部の実施形態では、ドーパミントランスポーターの阻害剤は、約0.1nm、1nm、10nm、100nm、若しくは1μm、又はそれらの任意の部分範囲で、ドーパミントランスポーターに対する機能的効力IC50を有する。一部の実施形態では、ドーパミントランスポーターの阻害剤は、約3nm、10nm、20nm、30nm、40nm、50nm、60nm、70nm、80nm、90nm、100nm、200nm、300nm、又はその任意の部分範囲で、ドーパミントランスポーターに対する機能的効力IC50を有する。
【0125】
一部の実施形態では、本方法を使用して、ノルエピネフリン再取り込み阻害剤(NRI)、例えば、アトモキセチン若しくはレボキセチン、ドーパミン再取り込み阻害剤、例えば、ブプロピオン若しくはメチルフェニデート、選択的セロトニン及びノルエピネフリン再取り込み阻害剤(SSNRI若しくはSNRI)、例えば、ベンラファキシン、デスベンラファキシン、若しくはデュロキセチン、又は選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、例えば、フルオキセチン、シタロプラム、若しくはエスシタロプラムを用いた、大うつ病性障害の治療、或いは、セロトニン、ノルエピネフリン及び/又はドーパミンのレベルを調節するための治療を評価することができる。
【0126】
一部の実施形態では、本方法を使用して、セロトニン-ノルエピネフリン-ドーパミン再取り込み阻害剤(SNDRI、トリプル再取り込み阻害剤又はTRI)を用いた、大うつ病性障害の治療、或いは、セロトニン、ノルエピネフリン及び/又はドーパミンのレベルを調節するための治療を評価することができる。任意の適切なセロトニン-ノルエピネフリン-ドーパミン再取り込み阻害剤を使用することができる。例えば、セロトニン-ノルエピネフリン-ドーパミン再取り込み阻害剤は、式(I):
【化6】

の化合物
(式中:
Xが結合しているキラル中心は、R又はS配置であり;
Xは、インデニル、インダニル、ナフチル、ジヒドロナフチル、テトラヒドロナフチル、ベンゾシクロヘプテニル、ジヒドロベンゾシクロヘプテニル、及びテトラヒドロベンゾシクロヘプテニルからなる群から選択され;
は、H又はメチルであり、好ましくは、R1は、メチルであり;
は、Hであり;
は、Hであり;
は、ピリダジン-3-イル、6-メチルピリダジン-3-イル、6-ジメチルアミノ-ピリジン-3-イル、6-メチルアミノ-ピリダジン-3-イル、6-アミノ-ピリダジン-3-イル、6-モルホリノ-4-イルピリダジン-3-イル、6-トリフルオロメチル-ピリダジン-3-イル、6-シアノ-ピリダジン-3-イル、及びピリダジン-4-イルからなる群から選択され;
は、H又はFであり;
は、H、F又はメトキシであり;
は、Hであり;
は、H、OH、OCH、-CN、F、Cl、又はCHである)
又はその酸化物;
又はその薬学的に許容される塩
であり得る。
【0127】
一部の実施形態では、Rは、6-アミノ-ピリダジン-3-イルであり;又はその薬学的に許容される塩である。
【0128】
一部の実施形態では、Xは、ナフタレン-2-イルであり;又はその薬学的に許容される塩である。
【0129】
一部の実施形態では、Xが結合するキラル中心は、S配置であり;又はその薬学的に許容される塩である。
【0130】
一部の実施形態では、化合物は、(+)立体異性体;又はその薬学的に許容される塩である。
【0131】
一部の実施形態では、化合物は、式:
【化7】

の化合物;又はその薬学的に許容される塩である。
【0132】
一部の実施形態では、化合物は、式:
【化8】

の化合物;又はその薬学的に許容される塩である。
【0133】
一部の実施形態では、化合物はデス-メチル代謝産物(BMS-821007)である。
【0134】
一部の実施形態では、セロトニン-ノルエピネフリン-ドーパミン再取り込み阻害剤は、式(II):
【化9】

の化合物;又はその薬学的に許容される塩、例えば、そのHCl塩である。
【0135】
一部の実施形態では、本方法を使用して、リアフェンシン、BMS-866949、又はその類似体若しくは誘導体;又はそれらの薬学的に許容される塩を用いた、大うつ病性障害の治療、或いは、セロトニン、ノルエピネフリン及び/又はドーパミンのレベルを調節するための治療を評価することができる。
【0136】
一部の実施形態では、本方法を使用して、マジンドール、ネファゾドン、シブトラミン、ベンラファキシン、エスケタミン、ケタミン、フェンシクリジン(PCP)、トリペレナミン、メピプラゾール、アミチファジン、AN-788、塩酸アンソファキシン、センタナファジン、ダソトラリン、Lu AA34893、Lu AA37096、NS-2360、テダチオキセチン、テソフェンシン、ビシファジン(DOV-220,075)、BMS 866,949、ブラソフェンシン、ジクロフェンシン(Ro 8-4650)、DOV 216,303、EXP-561、NS-2359、RG-7166、SEP-227,162、SEP-228,425、SEP-228,432、3-メチル-PCPy、ナフィロン、3,3,-ジフェニルシクロブタンアミン、3,4-ジクロロタメトラリン、D-161、デスメチルセルトラリン(DMS)、N,O-ジメチル-4β-(2-ナフチル)ピペリジン-3β-カルボキシレート(DMNPC)、DOV-102,677、フェゾラミン(Win-41,528-2)、GSK1360707F、インダトラリン(Lu 19-005)、JNJ-7925476、LR-5182、HDMP-28(メチルナフチデート)、MI-4、PRC200-SS、SKF-83,959、TP1、NS9775、フェニルトロパン、SEP-225289、GSK372475、又は植物薬を用いた、大うつ病性障害の治療、或いは、セロトニン、ノルエピネフリン及び/又はドーパミンのレベルを調節するための治療を評価することができる。任意の好適なフェニルトロパン、例えば、WF-23、ジクロロパン又はRTI-55を使用することができる。任意の好適な植物薬、例えば、コカ粉、イチョウ(Ginkgo biloba)抽出物、セイヨウオトギリ(Hypericum perforatum)、(セントジョンズワート(St. John’s wort))、オレガノ抽出物、ローズマリー抽出物、又はヘデラゲニン(Hederagenin)を使用することができる。
【0137】
本方法を使用して、大うつ病性障害(MDD若しくはうつ病)又は異常なレベルのセロトニン(5-HT)、ノルエピネフリン(NE)及び/又はドーパミン(DA)に関連する疾患又は障害を治療する目的で、別の薬剤を被験者に投与することをさらに含む、大うつ病性障害の治療、又はセロトニン、ノルエピネフリン及び/又はドーパミンのレベルを調節する治療を評価することができる。任意の適切な他の薬剤を使用することができる。一部の実施形態では、他の薬剤は、抗うつ薬、オメガ-3脂肪酸、ビタミンD、COX-2阻害剤、例えば、セレコキシブ、リチウム化合物、甲状腺ホルモン、刺激薬(若しくは精神刺激薬)、例えば、アンフェタミン若しくはモダフィニル、葉酸塩、又はテストステロンであり得る。
【0138】
また別の態様では、本開示は、rs12217173、rs12217173と連鎖不平衡にある一塩基多型(SNP)であって、前記SNPの連鎖平衡のD’値が約0.900以上であるか、若しくは前記SNPとrs12217173との間のr値が約0.800以上であるSNP、及びその相補的SNPからなる群から選択される、1つ若しくは複数のSNPを用いて、新規のバイオマーカーを同定する方法を提供する。任意の適切なSNP、例えば、本開示に開示されるSNPを本方法で使用することができる。例えば、rs12217173、又はその相補的SNPを本方法に用いることができる。新規のバイオマーカーは、任意の好適なタイプの物質であってよい。例えば、新規バイオマーカーは、DNA、RNA、ポリペプチド、siRNA、又はバイオマーカーの別の形態であってよい。
【0139】
さらに別の態様では、本開示は、rs12217173、rs12217173と連鎖不平衡にある一塩基多型(SNP)であって、前記SNPの連鎖平衡のD’値が約0.900以上であるか、若しくは前記SNPとrs12217173との間のr値が約0.800以上であるSNP、及びその相補的SNPからなる群から選択される、1つ若しくは複数のSNPを用いて、薬物標的を同定する方法を提供する。任意の適切なSNP、例えば、本開示に開示されるSNPを本方法で使用することができる。例えば、rs12217173、又はその相補的SNPを本方法に用いることができる。薬物標的は、任意の適切なタイプのパラメータに基づいて同定することができる。例えば、薬物標的は、1つ又は複数のSNPに関連する生物学的経路に基づいて同定することができる。
【0140】
E.治療方法
さらに別の態様では、本開示は、被験者における中枢神経系(CNS)疾患又は障害を治療するための方法を提供し、この方法は、治療を必要とし、且つ、rs12217173、rs12217173と連鎖不平衡にある一塩基多型(SNP)であって、前記SNPの連鎖平衡のD’値が約0.900以上であるか、若しくは前記SNPとrs12217173との間のr値が約0.800以上であるSNP、及びその相補的SNPからなる群から選択される、1つ又は複数のSNPに対してホモ接合型マイナーアレルを有する被験者に、有効量の以下:a)リアフェンシン(BMS-820836若しくはAMR-000013)、BMS-866949(CSTI-500若しくはAMR-001181)、又はそれらの類似体若しくは誘導体;或いはb)セロトニントランスポーター(SERT)、ノルエピネフリントランスポーター(NET)及び/又はドーパミントランスポーター(DAT)の阻害剤を投与することを含む。
【0141】
本方法は、治療を必要とし、且つ、任意の適切な1つ又は複数のSNPに対してホモ接合型マイナーアレルを有する被験者に使用することができる。一部の実施形態では、本方法は、治療を必要とし、且つ、rs12217173、表1A~1Eのいずれかに列挙されるSNP、又はその相補的SNPからなる群から選択される1つ若しくは複数のSNPに対してホモ接合型マイナーアレルを有する被験者に使用することができる。一部の実施形態では、本方法は、治療を必要とし、且つ、rs12217173、rs12219340、rs4612751、rs12572120、又はそれらの相補的SNPからなる群から選択される1つ若しくは複数のSNPに対してホモ接合型マイナーアレルを有する被験者に使用することができる。一部の実施形態では、本方法は、治療を必要とし、rs12217173、又はその相補的SNPである1つ若しくは複数のSNPに対してホモ接合型マイナーアレルを有する被験者に使用することができ、上記ホモ接合型マイナーアレルは、GGである。一部の実施形態では、本方法は、治療を必要とし、且つ、配列番号1~51に記載の配列のいずれかに記載される配列、それらの相補配列、又はそれと連鎖不平衡にある配列を含む1つ若しくは複数のSNPに対してホモ接合型マイナーアレルを有する被験者に使用することができる。一部の実施形態では、本方法は、治療を必要とし、且つ、配列番号51、1、2、若しくは5に記載の配列、その相補配列、又はそれと連鎖不平衡にある配列を含む1つ若しくは複数のSNPに対してホモ接合型マイナーアレルを有する被験者に使用することができる。一部の実施形態では、本方法は、治療を必要とし、且つ、配列番号51に記載の配列、その相補配列、又はそれとの連鎖不平衡にある配列を含む1つ若しくは複数のSNPに対してホモ接合型マイナーアレルを有する被験者に使用することができ、上記ホモ接合型マイナーアレルは、GGである。
【0142】
本方法を使用して、任意の適切なCNS疾患又は障害を治療することができる。例えば、本方法を使用して、被験者、例えば、被験者のシナプスにおいて異常なレベルのセロトニン(5-HT)、ノルエピネフリン(NE)及び/又はドーパミン(DA)に関連するCNS疾患又は障害を治療することができる。CNS疾患又は障害は、大うつ病性障害(MDD)、例えば、MDDのサブタイプ、又は精神病性特徴を有する大うつ病及び/又は周産若しくは産後発症を伴ううつ病、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、双極性障害、強迫性障害(OCD)、摂食障害、注意欠陥多動性障害(ADHD)、睡眠障害、例えば、ナルコレプシー、物質使用障害、トゥレット症候群(TS)、統合失調症、てんかん、片頭痛、又は自閉症スペクトラム障害であり得る。神経変性障害は、アルツハイマー病(AD)、ハンチントン病、又はパーキンソン病(PD)であり得る。一部の実施形態では、本方法を使用して、大うつ病性障害(MDD若しくはうつ病)、又はMDDのサブタイプ、例えば、精神病性特徴を有する大うつ病及び/又は周産若しくは産後発症を伴ううつ病を治療することができる。
【0143】
セロトニントランスポーターの任意の適切な阻害剤を使用することができる。例えば、セロトニントランスポーターの阻害剤は、a)約0.1nm~約1μm、例えば、約0.1nm~約60nmの範囲の、セロトニントランスポーターに対する結合親和性IC50;及び/又はb)約0.1nm~約1μm、例えば、約2nm~約200nmの範囲の、セロトニントランスポーターに対する機能的効力IC50を有し得る。一部の実施形態では、セロトニントランスポーターの阻害剤は、約0.1nm、1nm、10nm、100nm、若しくは1μm、又はその任意の部分範囲で、セロトニントランスポーターに対する結合親和性IC50を有する。一部の実施形態では、セロトニントランスポーターの阻害剤は、約0.1nm、1nm、10nm、20nm、30nm、40nm、50nm、60nm、又はそれらの任意の部分範囲で、セロトニントランスポーターに対する結合親和性IC50を有する。一部の実施形態では、セロトニントランスポーターの阻害剤は、約0.1nm、1nm、10nm、100nm、若しくは1μm、又はそれらの任意の部分範囲で、セロトニントランスポーターに対する機能的効力IC50を有する。一部の実施形態では、セロトニントランスポーターの阻害剤は、約2nm、10nm、20nm、30nm、40nm、50nm、60nm、70nm、80nm、90nm、100nm、150nm、200nm、又はそれらの任意の部分範囲で、セロトニントランスポーターに対する機能的効力IC50を有する。
【0144】
ノルエピネフリントランスポーターの任意の好適な阻害剤を使用することができる。例えば、ノルエピネフリントランスポーターの阻害剤は、以下:a)約1nm~約1μm、例えば、約0.8nm~約80nmの範囲の、ノルエピネフリントランスポーターに対する結合親和性IC50;及び/又はb)約0.1nm~約1μm、例えば、約4nm~約400nmの範囲の、ノルエピネフリントランスポーターに対する機能的効力IC50を有し得る。一部の実施形態では、ノルエピネフリントランスポーターの阻害剤は、約0.1nm、1nm、10nm、100nm、若しくは1μm、又はその任意の部分範囲で、ノルエピネフリントランスポーターに対する結合親和性IC50を有する。一部の実施形態では、ノルエピネフリントランスポーターの阻害剤は、約0.8nm、1nm、10nm、20nm、30nm、40nm、50nm、60nm、70nm、80nm、又はその任意の部分範囲で、ノルエピネフリントランスポーターに対する結合親和性IC50を有する。一部の実施形態では、ノルエピネフリントランスポーターの阻害剤は、約0.1nm、1nm、10nm、100nm、若しくは1μm、又はその任意の部分範囲で、ノルエピネフリントランスポーターに対する機能的効力IC50を有する。一部の実施形態では、ノルエピネフリントランスポーターの阻害剤は、約4nm、10nm、20nm、30nm、40nm、50nm、60nm、70nm、80nm、90nm、100nm、200nm、300nm、400nm、又はその任意の部分範囲で、ノルエピネフリントランスポーターに対する機能的効力IC50を有する。
【0145】
ドーパミントランスポーターの任意の好適な阻害剤を使用することができる。例えば、ドーパミントランスポーターの阻害剤は、以下:a)約1nm~約1μm、例えば、約0.6nm~約60nmの範囲の、ドーパミントランスポーターに対する結合親和性IC50;及び/又はb)約0.1nm~約1μm、例えば、約3nm~約300nm範囲の、ドーパミントランスポーターに対する機能的効力IC50を有し得る。一部の実施形態では、ドーパミントランスポーターの阻害剤は、約0.1nm、1nm、10nm、100nm、若しくは1μm、又はその任意の部分範囲で、ドーパミントランスポーターに対する結合親和性IC50を有する。一部の実施形態では、ドーパミントランスポーターの阻害剤は、約0.6nm、1nm、10nm、20nm、30nm、40nm、50nm、60nm、又はその任意の部分範囲でドーパミントランスポーターに対する結合親和性IC50を有する。一部の実施形態では、ドーパミントランスポーターの阻害剤は、約0.1nm、1nm、10nm、100nm、若しくは1μm、又はそれらの任意の部分範囲で、ドーパミントランスポーターに対する機能的効力IC50を有する。一部の実施形態では、ドーパミントランスポーターの阻害剤は、約3nm、10nm、20nm、30nm、40nm、50nm、60nm、70nm、80nm、90nm、100nm、200nm、300nm、又はその任意の部分範囲で、ドーパミントランスポーターに対する機能的効力IC50を有する。
【0146】
一部の実施形態では、本方法は、ノルエピネフリン再取り込み阻害剤(NRI)、例えば、アトモキセチン若しくはレボキセチン、ドーパミン再取り込み阻害剤、例えば、ブプロピオン若しくはメチルフェニデート、選択的セロトニン及びノルエピネフリン再取り込み阻害剤(SSNRI若しくはSNRI)、例えば、ベンラファキシン、デスベンラファキシン、若しくはデュロキセチン、又は選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、例えば、フルオキセチン、シタロプラム、若しくはエスシタロプラムを使用することができる。
【0147】
一部の実施形態では、本方法は、セロトニン-ノルエピネフリン-ドーパミン再取り込み阻害剤(SNDRI、トリプル再取り込み阻害剤又はTRI)を使用することができる。任意の好適なセロトニン-ノルエピネフリン-ドーパミン再取り込み阻害剤を使用することができる。例えば、セロトニン-ノルエピネフリン-ドーパミン再取り込み阻害剤は、式(I):
【化10】

の化合物
(式中:
Xが結合しているキラル中心は、R又はS配置であり;
Xは、インデニル、インダニル、ナフチル、ジヒドロナフチル、テトラヒドロナフチル、ベンゾシクロヘプテニル、ジヒドロベンゾシクロヘプテニル、及びテトラヒドロベンゾシクロヘプテニルからなる群から選択され;
は、H又はメチルであり、好ましくは、R1は、メチルであり;
は、Hであり;
は、Hであり;
は、ピリダジン-3-イル、6-メチルピリダジン-3-イル、6-ジメチルアミノ-ピリジン-3-イル、6-メチルアミノ-ピリダジン-3-イル、6-アミノ-ピリダジン-3-イル、6-モルホリノ-4-イルピリダジン-3-イル、6-トリフルオロメチル-ピリダジン-3-イル、6-シアノ-ピリダジン-3-イル、及びピリダジン-4-イルからなる群から選択され;
は、H又はFであり;
は、H、F又はメトキシであり;
は、Hであり;
は、H、OH、OCH、-CN、F、Cl、又はCHである)
又はその酸化物;
又はその薬学的に許容される塩
であり得る。好ましくは、R1は、メチルである。
【0148】
一部の実施形態では、Rは、6-アミノ-ピリダジン-3-イルであり;又はその薬学的に許容される塩である。
【0149】
一部の実施形態では、Xは、ナフタレン-2-イル;又はその薬学的に許容される塩である。
【0150】
一部の実施形態では、Xが結合するキラル中心は、S配置であり;又はその薬学的に許容される塩である。
【0151】
一部の実施形態では、化合物は、(+)立体異性体;又はその薬学的に許容される塩である。
【0152】
一部の実施形態では、化合物は、式:
【化11】

の化合物;又はその薬学的に許容される塩である。
【0153】
一部の実施形態では、化合物は、式:
【化12】

の化合物;又はその薬学的に許容される塩である。
【0154】
一部の実施形態では、化合物は、デス-メチル代謝産物(BMS-821007)である。
【0155】
一部の実施形態では、セロトニン-ノルエピネフリン-ドーパミン再取り込み阻害剤は、式(II):
【化13】

の化合物;又はその薬学的に許容される塩、例えば、そのHCl塩である。
【0156】
一部の実施形態では、本方法は、リアフェンシン、BMS-866949、又はその類似体若しくは誘導体、又はその薬学的に許容される塩を使用し得る。
【0157】
一部の実施形態では、本方法は、セロトニン-ノルエピネフリン-ドーパミン再取り込み阻害剤、即ち、マジンドール、ネファゾドン、シブトラミン、ベンラファキシン、エスケタミン、ケタミン、フェンシクリジン(PCP)、トリペレナミン、メピプラゾール、アミチファジン、AN-788、塩酸アンソファキシン、センタナファジン、ダソトラリン、Lu AA34893、Lu AA37096、NS-2360、テダチオキセチン、テソフェンシン、ビシファジン(DOV-220,075)、BMS 866,949、ブラソフェンシン、ジクロフェンシン(Ro 8-4650)、DOV 216,303、EXP-561、NS-2359、RG-7166、SEP-227,162、SEP-228,425、SEP-228,432、3-メチル-PCPy、ナフィロン、3,3,-ジフェニルシクロブタンアミン、3,4-ジクロロタメトラリン、D-161、デスメチルセルトラリン(DMS)、N,O-ジメチル-4β-(2-ナフチル)ピペリジン-3β-カルボキシレート(DMNPC)、DOV-102,677、フェゾラミン(Win-41,528-2)、GSK1360707F、インダトラリン(Lu 19-005)、JNJ-7925476、LR-5182、HDMP-28(メチルナフチデート)、MI-4、PRC200-SS、SKF-83,959、TP1、NS9775、フェニルトロパン、SEP-225289、GSK372475、又は植物薬を使用することができる。任意の好適なフェニルトロパン、例えば、WF-23、ジクロロパン又はRTI-55を使用することができる。任意の好適な植物薬、例えば、コカ粉、イチョウ(Ginkgo biloba)抽出物、セイヨウオトギリ(Hypericum perforatum)、(セントジョンズワート(St. John’s wort))、オレガノ抽出物、ローズマリー抽出物、又はヘデラゲニン(Hederagenin)を使用することができる。
【0158】
本方法はさらに、大うつ病性障害(MDD若しくはうつ病)又は異常なレベルのセロトニン(5-HT)、ノルエピネフリン(NE)及び/又はドーパミン(DA)に関連する疾患又は障害を治療するために、別の薬物を被験者に投与することを含み得る。任意の好適な他の薬物、例えば、抗うつ薬、オメガ-3脂肪酸、ビタミンD、COX-2阻害剤、例えば、セレコキシブ、リチウム化合物、甲状腺ホルモン、刺激薬(若しくは精神刺激薬)、例えば、アンフェタミン若しくはモダフィニル、葉酸塩、又はテストステロンを使用することができる。
【0159】
本方法を用いて、任意の適切な被験者を治療することができる。例えば、本方法は、セロトニントランスポーター、ノルエピネフリントランスポーター及び/又はドーパミントランスポーターの別の阻害剤による治療を受けたことあり、且つ、セロトニントランスポーター、ノルエピネフリントランスポーター及び/又はドーパミントランスポーターの別の阻害剤に応答しなかったか、又は十分に応答しなかった被験者に、有効量の以下:a)リアフェンシン(BMS-820836若しくはAMR-000013)、BMS-866949(CSTI-500若しくはAMR-001181)、又はその類似体若しくは誘導体;或いはb)セロトニントランスポーター(SERT)、ノルエピネフリントランスポーター(NET)及び/又はドーパミントランスポーター(DAT)の阻害剤を投与することを含み得る。別の阻害剤は、ノルエピネフリン再取り込み阻害剤(NRI)、例えば、アトモキセチン若しくはレボキセチン、ドーパミン再取り込み阻害剤、例えば、ブプロピオン若しくはメチルフェニデート、選択的セロトニン及びノルエピネフリン再取り込み阻害剤(SSNRI若しくはSNRI)、例えば、ベンラファキシン、デスベンラファキシン、若しくはデュロキセチン、又は選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、例えば、フルオキセチン、シタロプラム、又はエスシタロプラムであってよい。
【0160】
本方法は、任意の適切な用量で有効量の原薬を投与することを含み得る。例えば、本方法は、有効量の以下:a)リアフェンシン(BMS-820836若しくはAMR-000013)、BMS-866949(CSTI-500若しくはAMR-001181)、又はその類似体若しくは誘導体;或いはb)セロトニントランスポーター(SERT)、ノルエピネフリントランスポーター(NET)及び/又はドーパミントランスポーター(DAT)の阻害剤を、約0.1mg/日~約10mg/日の範囲の用量、例えば、約0.1mg/日、0.5mg/日、1mg/日、2mg/日、3mg/日、4mg/日、5mg/日、6mg/日、7mg/日、8mg/日、9mg/日、10mg/日、又はその任意の部分範囲で被験者に投与することを含み得る。別の例では、本方法は、有効量のリアフェンシンを約0.1mg/日~約10mg/日の範囲の用量で、例えば、約0.1mg/日、0.5mg/日、1mg/日、2mg/日、3mg/日、4mg/日、5mg/日、6mg/日、7mg/日、8mg/日、9mg/日、10mg/日、又はその任意の部分範囲で被験者に投与することを含み得る。
【0161】
本方法は、任意の適切な投与経路を介して有効量の原薬を投与することを含み得る。例えば、本方法は、有効量の以下:a)リアフェンシン(BMS-820836若しくはAMR-000013)、BMS-866949(CSTI-500若しくはAMR-001181)、又はその類似体若しくは誘導体;或いはb)セロトニントランスポーター(SERT)、ノルエピネフリントランスポーター(NET)及び/又はドーパミントランスポーター(DAT)の阻害剤を、経口、鼻腔内、吸入、非経口、静脈内、腹腔内、皮下、筋肉内、皮内、局所、及び直腸経路からなる群から選択される経路を介して、被験者に投与することを含み得る。
【0162】
本方法は、任意の適切な被験者を治療するために使用することができる。例えば、被験者は、ヒトであり得る。
【0163】
また別の態様では、本開示は、治療を必要とし、且つ、rs12217173、rs12217173と連鎖不平衡にある一塩基多型(SNP)であって、前記SNPの連鎖平衡のD’値が約0.900以上であるか、若しくは前記SNPとrs12217173との間のr値が約0.800以上であるSNP、及びその相補的SNPからなる群から選択される、1つ若しくは複数のSNPに対してホモ接合型マイナーアレルを有する被験者の中枢神経系(CNS)疾患又は障害を治療する薬剤を製造する目的での、有効量の以下:a)リアフェンシン(BMS-820836若しくはAMR-000013)、BMS-866949(CSTI-500若しくはAMR-001181)、又はそれらの類似体若しくは誘導体;或いはb)セロトニントランスポーター(SERT)、ノルエピネフリントランスポーター(NET)及び/又はドーパミントランスポーター(DAT)の阻害剤の使用を提供する。
【0164】
この使用は、任意の適切な被験者における中枢神経系(CNS)疾患又は障害を治療するための薬剤の製造に使用することができる。例えば、被験者は、ヒトであり得る。
【0165】
F.例示的な実施形態及び実施例
一部の実施形態では、本開示は、DB104を含む治療レジメンを受けている患者の間で、抑うつ障害及び他の中枢神経系疾患などの疾患を治療する際に、異なる応答(有効性、有害作用、及び他の評価項目)と相関することが見出されたゲノムバイオマーカーを記載する。新たに見出されたバイオマーカーをコンパニオン診断検査に使用することができ、これは、薬物反応を予測して、治療により利益を受ける人だけに薬物を適用するか、又は治療による不良の転帰及び/又は有害作用を有する可能性のある人々を除外するのに役立ち得る。
【0166】
一部の実施形態では、本開示は、遺伝子バイオマーカーの遺伝子型決定により得られる結果を用いることによって、SERT、及び/又はNET、及び/又はDATに対するDB104又は他の阻害剤を含む治療レジメンに対する応答者を予測する方法を含む。
【0167】
うつ病のモノアミン仮説は、5-HT、NE及びDA系における原発性機能障害を仮定し、40年超にわたって抗うつ薬の開発の指針となってきた。三環系抗うつ薬、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、及びより最近では二重(セロトニン及びノルエピネフリン)再取り込み阻害剤(SNRI)などの薬物クラスは、主にSERT及びNETを阻害することによって作用する(Lane RM. 2015)。DB104は、SERT、NET、及びDATをそれぞれターゲティングするトリプル再取り込み阻害剤である(図1A)。DB104は、現在のエピソードにおいて、異なるクラスからの2種の抗うつ薬の適切な用量及び期間の個別の試験に対して不十分な応答を経験した成人(即ち、「不十分な応答を有するMDDを有する成人」)におけるMDDの治療を目的とする単剤療法として開発されている。こうした不十分な応答は、MDDに関連する多くの障害及び費用の原因となる一般的な臨床症状である。MDDの費用及び疾患負荷の約50%は、現在のエピソードにおける以前の抗うつ薬治療に対する不十分な応答者と関連していると推定されている。不十分な応答に関連する罹患率、死亡率、並びに医療的及び経済的コストが高いため、不十分な応答患者の積極的な識別及び管理が不可欠である。
【0168】
DB104の第2b相プログラムは、2つの有効性試験(CN162006及びCN162007)から構成され、いずれの有効性試験も、同様の計画を有し、MDD患者を含む。CN162006は、少なくとも1種、しかし4種未満の抗うつ薬と1種の有望な治療薬(デュロキセチン)に対する不十分な応答の病歴を有する患者が、柔軟に用量決定されたDB104(0.5~2mg/日)に切り替えられるか、又はデュロキセチンを維持するフレキシブル用量試験である(Bhagwagar Z. et al. 2015)。CN162007は、少なくとも1種、しかし4種未満の抗うつ薬と1種の有望な治療薬(デュロキセチン/エスシタロプラム)に対する不十分な応答の病歴を有する患者を、固定用量のDB104(0.25、0.5、1、2mg/日)に切り替えるか、又はデュロキセチン/エスシタロプラム(図1B及び1C)を維持する固定用量の用量応答試験である。主要評価項目は、両試験とも、6週目のモンゴメリー・アスバーグうつ病評価尺度(Montgomery-Asberg Depression Rating Scale)(MADRS)合計スコアのベースラインからの変化であるが、いずれの試験でも、主要評価項目のデュロキセチン/エスシタロプラムの継続に対するDB104の有意な改善は実証されなかった。(Bhagwagar Z. et al. 2015)。
【0169】
また、生殖細胞系列の遺伝子多型は、集団全体で有効性を実証できなかった薬物についても、異なる患者において同じ薬物に対する様々な応答に寄与すると考えられる。本発明者らは、上記の第II相臨床試験(CN162-006及びCN162-007)から収集した多数の全血サンプルを取得したが、これらのサンプルは、DB104を投与され、治療に対するその応答を測定するために試験を十分に完了した233人のユニークな患者に対応するものであった。こうして、これら2つの試験に登録された患者の血液から抽出された生殖細胞系列DNAサンプルを使用して、DB104についてのゲノム薬理学バイオマーカーを同定した。検出段階のために、188のサンプルを選択し、残る45のサンプルは、PCRを用いて潜在的なSNPを検証するために残した。検出データセット及び検証データセットは、人種及び用量/試験数についてバランスを取った。検出段階では、DB104処置群からの188のサンプルを、Illuminaの450万の全ゲノムSNPアレイを用いて、遺伝子型決定した。188のサンプルのうち2つのサンプルはQCに失敗し、ゲノムワイド解析から除外したが、検証セットに追加した。186のサンプルからのこのゲノムワイドスクリーンから、本発明者らは、6.609×10-8のp値を有するSNP rs12217173を同定したが、これは、特にこの試験の限られたサンプルサイズを考慮すれば、5×10-8のゲノムワイド有意性カットオフに極めて近似する。図2は、12217173のGGアレルを有する患者が、AA又はAG遺伝子型を保有する患者並びに標準治療(デュロキセチン/エスシタロプラム)を受けている患者よりも、ベースラインからのMADRS変化についてはるかに良好な改善を呈示したことを示している。
【0170】
DB104の有効性を予測するために考えられるゲノム薬理学バイオマーカーとしてのrs12217173の所見を確認するために、本発明者らは、次に、ゲノムワイドスキャンQCでは不合格であったが、リアルタイムPCR QCには合格した2つの追加サンプルを含む、47人の患者からなる検証セットを使用して、Taqman SNPアッセイでその遺伝子型を測定した。図3は、検証データセットの結果を示し、ここで、rs12217173にGGを有する患者は、AA又はAG遺伝子型を有する患者、並びに標準治療(デュロキセチン/エスシタロプラム)を受けている患者(8ポイント以下のMADRSスコア低下しか経験しなかった)に比べ、MADRSスコアがベースラインから約16ポイント低下した。発見データセットと検証データセットの両方を組み合わせた場合、rs12217173にGGを有する患者は、AA又はAG遺伝子型を有する患者に比べ、やはりはるかに向上したMADRSスコア変化を示した。従って、GG遺伝子型を有する患者は、応答者として定義し、AA又はAG遺伝子型を有する患者は、DB104治療に対する不応答者として定義する。
【0171】
rs12217173が、DB104の特異的なゲノム薬理学バイオマーカーではなく、単に疾患の予後バイオマーカーであるかどうかを調べるために、デュロキセチン/エスシタロプラムで治療した対照群の182人の患者からのDNAサンプルを、Taqman SNPアッセイを用いて遺伝子型決定した。図4は、SOC(デュロキセチン/エスシタロプラム)で治療した場合のrs12217173の遺伝子型を有する患者、並びにDB104治療群中のAA及びAG遺伝子型を有する患者(不応答者)の間で、MADRSスコアの変化に有意な差がないことを示している。従って、MADRSにおけるrs12217173に関連する改善は、DB104治療に関係しており、rs12217173は、DB104の抗うつ病活性を予測するためのゲノム薬理学バイオマーカーであると思われるため、DGM4(Denovo Genomic Marker 4)と名付けられている。
【0172】
CN162006は、DB104用量が、0.5~2mg/日で変化したフレキシブル用量試験であり、CN162007は、0.25、0.5、1、又は2mg/日のDB104用量で患者が治療された固定用量の用量反応試験である。ゲノムワイド研究に利用可能なサンプルの制限のために、前節で説明した解析では、異なる用量のDB104を摂取している患者の取り扱いに違いはなかった。解析を精緻にするために、本発明者らはこれら2つの試験におけるDB104用量の効果をさらに評価した。CN162006では、1日当たりの平均及び中央値の平均用量は1.5mgであり、94%の患者が1日当たり1~2mgの用量を受けた。CN162007試験では、rs12217173にGG遺伝子型を有する患者におけるDB104有効性を調べたところ、1mg群及び2mg群は、同様の有効性を示し、いずれも0.25mg及び0.5mg群よりはるかに良好である。従って、1mg及び2mgの用量レベルの006の患者と007の患者を一緒にプールすることは正当であり、予想通り、DB104治療群とSOC治療群の間には、任意の時点で有意な差はない(図7、表2A)。しかし、DB104治療群において、rs12217173にGG遺伝子型を有する患者は、SOC治療群の患者と比較して、第5週及び第6週でのMADRS合計スコア低下、MADRS奏効率、及びMADRS寛解率に統計的有意性を示した(図8、表2B)。
【0173】
rs12217173遺伝子型の有病率は、異なる民族群で変動し、中国人の17.8%、白人の16.7%、日本人の20.5%がGG遺伝子型を保有し、アフリカ人の1.7%のみがGG遺伝子型を保有している(図9、表3A)。表3B(図10)は、rs12217173遺伝子型の頻度が、1000ゲノムプロジェクト(1000 Genomes project)から、より広範な民族群で変動することを示す。
【0174】
rs12217173のアノテーションとうつ病におけるその潜在的な役割
rs12217173のアノテーションから、それが、ANK3のイントロンに位置する(図5)と共に、脳内で最も高度に発現している(図6)ことがわかる。EBI GWASカタログを検索すると、ANK3は、多くのうつ病関連形質と事前の関連があることが見出され;それは、双極性障害との8つの関連及び統合失調症との3つの関連を含む。
【0175】
ANK3は、軸索起始部においてアダプタータンパク質として機能すると共に、電位依存性ナトリウムチャネルを調節する(Kordeli et al. 1995;Poliak & Peles, 2003)が、それをうつ病及び関連疾患と関連付けるいくつかのエビデンスがある。双極性障害のマウス研究では、RNA干渉を介して海馬歯状回におけるANK3をノックダウンすると、不安関連症状が軽減し、明期活動が増加した;これらの作用は、気分安定剤リチウムによる処置で逆転した(Leussis et al. 2012)。ANK3+/-ノックアウトを野生型と比較した場合も同様の効果が観察された;しかし、長期ストレス後、ANK3+/-マウスは、うつ病関連表現型に移行した。これらのエビデンスを総合すると、ANK3、ストレス及びうつ病の間の遺伝子-環境相互作用を示唆しており、これは、医薬的介入によって改変することができる。C.エレガンス(C. elegans)ANK3/unc-44不活性化変異体を研究したところ、抗うつ薬ミアンセリンが酸化ストレスの条件下で寿命を延ばすために、ANK3発現が必要であることが観察された(Rangaraju et al. 2016)。ヒトでは、ANK3発現は高齢者よりも若年者で低い;が、極端な気分やストレスにさらされている可能性が高い自殺完了者ではこの効果は減少している(Rangaraju et al. 2016)。
【0176】
DB104は、うつ病以外の他の多くのCNS障害において重要な役割を果たす3つのモノアミン;セロトニン、ノルエピネフリン及びドーパミンの再取り込みの強力且つ選択的な阻害剤であるため、同じ遺伝子多型、即ちrs12217173は、他のCNS疾患の治療に際してもDB104の有効性のための有望なゲノム薬理学バイオマーカーである可能性がある。
【0177】
A.一般的な技法
本発明の実施は、特に指示のない限り、分子生物学(組換え技術を含む)、微生物学、細胞生物学、生化学、及び免疫学の従来の技術を利用することになるが、これらは当業者の技術の範囲内である。こうした技術は、例えば、“Molecular Cloning: A Laboratory Manual”, second edition (Sambrook et al., 1989);“Oligonucleotide Synthesis”(M. J. Gait, ed., 1984);“Animal Cell Culture”(R. I. Freshney, ed., 1987);“Methods in Enzymology”(Academic Press, Inc.);“Current Protocols in Molecular Biology”(F. M. Ausubel et al., eds., 1987, and periodic updates);“PCR: The Polymerase Chain Reaction”, (Mullis et al., eds., 1994)などの文献において十分に説明されている。
【0178】
B.定義
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書で言及される全ての特許、出願、公開出願及び他の刊行物は、その全体が参照により組み込まれる。本節に記載する定義が、参照により本明細書に組み込まれる特許、出願、公開出願及びその他の刊行物に記載された定義に反するか又は矛盾する場合、本節に記載される定義が、参照により本明細書に組み込まれる定義に優先するものとする。
【0179】
本明細書で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」には、他に示されない限り複数の指示対象が含まれる。例えば、「1つの(a)」二量体は、1つ又は複数の二量体を含む。
【0180】
本明細書で使用される用語「バイオマーカー」又は「マーカー」は、一般に、遺伝子、タンパク質、炭水化物構造、又は糖脂質を含む分子を指し、哺乳動物の組織中若しくは細胞上のその発現、又は分泌は、公知の方法(又は本明細書に開示された方法)によって検出することができ、これは、哺乳動物細胞又は組織の感受性を予測するか、又はそれらを予測(若しくは予測を補助)するために、また、一部の実施形態では、治療レジメンに対する個体の応答性を予測(又は予測を補助)するために、使用することができる。
【0181】
本明細書で使用される場合、「ゲノム薬理学バイオマーカー」とは、被験者における特定の臨床薬物反応又は感受性と相関する客観的バイオマーカーである(例えば、McLeod et al., Eur. J. Cancer (1999) 35:1650-1652を参照)。これは、生化学的バイオマーカー、又は臨床徴候若しくは症状であってもよい。ゲノム薬理学マーカーの存在又は量は、薬物の投与前に特定の薬物又は薬物のクラスに対する被験者の予測された応答に関連する。被験者における1つ又は複数のゲノム薬理学マーカーの存在又は量を評価することにより、被験者にとって最も適した薬物療法、又はより高度に成功し得ると予測される薬物療法を選択することができる。例えば、被験者における特定の疾病マーカーのためのDNA、RNA、又はタンパク質の存在若しくは量に基づいて、当該被験者に存在する可能性のある特定の疾患の治療のために最適化された薬物若しくは治療コースを選択することができる。同様に、特定の配列変異又は多型の存在若しくは非存在は、薬物反応と相関する可能性がある。従って、ゲノム薬理学バイオマーカーの使用は、治療薬の投与を必要とせずに、各被験者に対する最も適切な治療の適用を可能にする。
【0182】
本明細書で使用される場合、用語「多型遺伝子座」は、個体の集団からの相当数の核酸サンプルにおいて2つ以上の代替ヌクレオチド配列が観察される核酸中の領域を指す。多型遺伝子座は、例えば、2つ以上のヌクレオチドのヌクレオチド配列、挿入されたヌクレオチド若しくはヌクレオチド配列、欠失ヌクレオチド若しくはヌクレオチド配列、又はマイクロサテライトであり得る。2ヌクレオチド長以上である多型遺伝子座は、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15以上、20以上、30以上、50以上、75以上、100以上、500以上、又は約1000ヌクレオチド長であってもよく、ここで、ヌクレオチド配列の全部又は一部が領域内で異なる。多型遺伝子座は、1ヌクレオチド長であることが多く、本明細書ではこれを「一塩基多型」又は「SNP」と呼ぶ。一部の実施形態では、SNPを用いて、高密度遺伝子型決定を行ってもよい。一部の実施形態では、約1,000~5,000,000以上のSNPが使用され得る。一部の実施形態では、高密度遺伝子型決定は、アレイベースであってもよい。一部の実施形態では、高密度遺伝子型決定は、ハイスループットシーケンシングなどのシーケンシングを用いて実施してもよい。
【0183】
多型遺伝子座に2つ、3つ、又は4つの代替ヌクレオチド配列がある場合、各ヌクレオチド配列は、「多型バリアント」又は「核酸バリアント」と呼ばれる。例えば、2つの多型バリアントが存在する場合、集団からの少数のサンプルに呈示される多型バリアントは、「マイナーアレル」と呼ばれることがあり、より優勢に呈示される多型バリアントは、「メジャーアレル」と呼ばれることがある。多くの生物は各染色体のコピーを有し(例えば、ヒト)、2つのメジャーアレル又は2つのマイナーアレルを有する個体は、多くの場合、多型に関して「ホモ接合型である」と呼ばれ、1つのメジャーアレルと1つのマイナーアレルを有する個体は、通常、多型に関して「ヘテロ接合型である」と呼ばれる。1つのアレルに関してホモ接合型である個体は、別のアレルに関してヘテロ接合型又はホモ接合型である個体と比較して、異なる表現型に対する素因を有する場合がある。
【0184】
1つ又は複数のゲノム薬理学バイオマーカーを同定する遺伝子解析では、関連する表現型において異なる値を有する個体からのサンプルを、往々にして、アレロタイプ化及び/又は遺伝子型決定する。本明細書で使用される用語「アレロタイプ」は、患者及び対照からのプールされたDNAサンプル中の多型バリアントについてのアレル頻度を決定するためのプロセスを指す。各群からのDNAをプールすることにより、各群の各遺伝子座のアレル頻度を算出する。次に、これらのアレル頻度を互いに比較する。
【0185】
遺伝子型又は多型バリアントは、「ハプロタイプ」に関して発現される場合もあり、本明細書で使用される場合、これは一緒に遺伝される傾向がある一連のDNA変異、又は多型を指す。ハプロタイプは、アレルの組み合わせ、又は同じ染色体上に存在するSNPのセットを指すこともある。例えば、2つのSNPは、各SNP位置がシトシン変異及びアデニン変異を含む遺伝子内に存在し得る。1集団中の特定の個体は、各SNP位置にシトシンを備える遺伝子を有する1つのアレル(ヘテロ接合型)又は2つのアレル(ホモ接合型)を保有し得る。遺伝子中の各SNPに対応する2つのシトシンは、これらの個体の一方又は両方のアレル上で一緒に移動することから、この個体は、遺伝子中の2つのSNPに関してシトシン/シトシンハプロタイプを有するものとして特徴付けることができる。
【0186】
本明細書で使用される用語「サンプル」は、対象の被験者から得られるか、又は当該被験者に由来する組成物を指し、これは、例えば、物理的、生化学的、化学的及び/又は生理学的特徴に基づいて、特性決定及び/又は同定しようとする細胞及び/又は他の分子実体を含む。例えば、「臨床サンプル」又は「疾患サンプル」という語句及びそれらの変形は、特性決定しようとする細胞及び/又は分子実体を含むと予想されるか、又は含むことがわかっている対象の被験者から得られた任意のサンプルを指す。
【0187】
用語「組織又は細胞サンプル」は、被験者又は患者の組織から得られた類似細胞の収集物を指す。組織又は細胞サンプルの供給源は、新鮮、凍結及び/又は保存された器官若しくは組織サンプル又は生検若しくは吸引物からの固体組織;血液又は任意の血液成分;脳脊髄液、羊水、腹腔液、又は間質液などの体液;被験者の妊娠又は発育の任意の時点からの細胞であってよい。組織サンプルはまた、初代若しくは培養細胞又は細胞株であってもよい。任意選択で、組織又は細胞サンプルは、疾患組織/器官から得られる。組織サンプルには、例えば、防腐剤、抗凝固剤、緩衝剤、固定剤、栄養素、又は抗生物質など、自然界で当該組織と天然には混じっていない化合物を含有させてもよい。
【0188】
本明細書で使用される「血漿(plasma)」又は「血漿(blood plasma)」は、細胞外液(細胞外の全ての体液)の血管内液部分を指す。それは、大部分が水であり、溶解したタンパク質、グルコース、凝固因子、ミネラルイオン、ホルモン及び二酸化炭素(血漿は、老廃物輸送のための主要な媒体である)を含む。血漿は、血球がチューブの底に落ちるまで、抗凝固剤を含む新鮮な血液のチューブを遠心分離機で回転させることによって調製される。次に、血漿を流し出すか、又は取り除く。「血清」は、フィブリノーゲン又は他の凝固因子を含まない血漿(即ち、全血から細胞及び凝固因子の両方を除去したもの)である。
【0189】
本明細書において互換的に使用される「ポリヌクレオチド」又は「核酸」は、任意の長さのヌクレオチドのポリマーを指し、DNA及びRNAを含む。ヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、修飾ヌクレオチド若しくは塩基、及び/又はそれらの類似体、或いはDNA若しくはRNAポリメラーゼによってポリマーに組み込まれ得る任意の基質であり得る。ポリヌクレオチドは、例えば、メチル化ヌクレオチド及びそれらの類似体などの修飾ヌクレオチドを含み得る。存在する場合、ヌクレオチド構造に対する修飾は、ポリマーのアセンブリの前又は後のいずれに付与されたのものでもよい。ヌクレオチドの配列は、非ヌクレオチド成分によって中断され得る。ポリヌクレオチドは、重合後に、標識成分との共役などによりさらに修飾されてもよい。他のタイプの修飾としては、例えば、「キャップ」、類似体による1つ又は複数の天然に存在するヌクレオチドの置換、ヌクレオチド間修飾、例えば、非荷電結合(例えば、メチルホスホネート、ホスホトリエステル、ホスホアミデート、カルバメートなど)を有するもの及び荷電結合(例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエートなど)を有するもの、ペンダント部分を含むもの、例えば、タンパク質(例えば、ヌクレアーゼ、毒素、抗体、シグナルペプチド、ポリ-L-リシンなど)、インターカレーター(例えば、アクリジン、ソラレンなど)を有するもの、キレート剤(例えば、金属、放射性金属、ホウ素、酸化金属など)を含むもの、アルキル化剤を含むもの、修飾された結合(例えば、αアノマー核酸など)を有するもの、並びにポリヌクレオチドの非修飾形態が挙げられる。さらに、追加のヌクレオチドへのさらなる結合を用意するために、糖類に通常存在するヒドロキシル基のいずれかを、例えば、ホスホン酸基、リン酸基により置換してもよいし、標準的な保護基によって保護するか、又は活性化してもよいし、或いは、固体支持体に共役させてもよい。5’末端及び3’末端OHは、1~20個の炭素原子のアミン又は有機キャッピング基部分でリン酸化又は置換することができる。また、他のヒドロキシルを標準的な保護基に誘導体化してもよい。ポリヌクレオチドはまた、当技術分野で公知のリボース又はデオキシリボース糖の類似形態も含み得るが、こうしたものとして、例えば、2’-O-メチル-2’-O-アリル、2’-フルオロ-又は2’-アジドリボース、炭素環式糖類似体、α-アノマー糖、アラビノース、キシロース若しくはリキソースなどのエピマー糖、ピラノース糖、フラノース糖、セドヘプツロース、非環式類似体及びメチルリボシドなどの脱塩基ヌクレオシド類似体が挙げられる。1つ又は複数のホスホジエステル結合は、代替の連結基により置換されていてもよい。こうした代替連結基として、限定するものではないが、リン酸塩が、P(O)S(「チオエート」)、P(S)S(「ジチオエート」)、「(O)NR2(「アミデート」)、P(O)R、P(O)OR’、CO又はCH2(「ホルムアセタール」)により置換されている実施形態が挙げられ、ここで、各R又はR’は、独立して、H、又は任意選択でエーテル(--O--)結合を含む置換若しくは非置換アルキル(1~20C)、アリール、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル若しくはアラルジルである。ポリヌクレオチド中の全ての結合が同一である必要はない。以上の説明は、RNA及びDNAを含め、本明細書で言及される全てのポリヌクレオチドに適用される。
【0190】
本明細書で使用される「オリゴヌクレオチド」は、概して、短い、一般に一本鎖の、一般に合成ポリヌクレオチドを指し、これは、必ずというわけではないが、概して、約200ヌクレオチド長未満である。用語「オリゴヌクレオチド」及び「ポリヌクレオチド」は、相互に排他的ではない。ポリヌクレオチドに関する上記の説明は、オリゴヌクレオチドにも同様に、且つ十分に適用可能である。
【0191】
本明細書で使用される「増幅」は、一般に、所望の配列の複数のコピーを産生するプロセスを指す。「複数のコピー」とは、少なくとも2つのコピーを意味する。「コピー」は、必ずしもテンプレート配列に対する完全な配列相補性又は同一性を意味するわけではない。例えば、コピーは、デオキシイノシンなどのヌクレオチド類似体、意図的な配列改変(例えば、鋳型にハイブリダイズ可能であるが、相補的ではない配列を含むプライマーを介して導入された配列改変など)、及び/又は増幅中に生じる配列エラーを含み得る。
【0192】
本明細書で使用される用語「アレイ」又は「マイクロアレイ」は、基板上のハイブリダイズ可能なアレイ要素、例えば、ポリヌクレオチドプローブ(例えば、オリゴヌクレオチド)、ビーズ、又は結合試薬(例えば、抗体)の規則的な構成を指す。基板は、ガラス又はシリカスライドなどの固体基板、ファイバー光学バインダー、又はニトロセルロース膜などの半固体基板であり得る。ヌクレオチド配列は、DNA、RNA、又はそれらの任意の並べ替えであってよい。
【0193】
本明細書において使用される場合、用語「表現型」は、個体間で比較することができる形質、例えば、ある状態の有無、個体間の外観の視覚的に観察可能な相違、代謝的変動、生理学的変動、生体分子の機能の変動などを指す。表現型は、定性的又は定量的であり得る。表現型の一例は、薬物などの治療に対する応答性である。
【0194】
「応答性」は、患者に対する利益を示す任意の評価項目を用いて評価することができ、こうした評価項目として、限定されないが、以下のものが挙げられる:(1)緩徐化及び完全な停止を含め、疾患進行のある程度の阻害;(2)疾患エピソード及び/又は症状の数の減少;(3)病変サイズの減少;(4)隣接する末梢器官及び/又は組織への疾患細胞浸潤の阻害(即ち、減少、緩徐化若しくは完全な停止);(5)疾患の広がりの抑制(即ち、減少、緩徐化若しくは完全な停止);(6)障害に関連する1つ又は複数の症状のある程度の軽減;(7)治療後の無病呈示期間の増加;(8)治療後の所定の時点での死亡率の低下;及び/又は(9)治療後の有害作用の欠如。応答性は、患者に対する副作用及び/又は毒性を示す任意の評価項目を用いて評価することもできる。
【0195】
「治療する(こと)」若しくは「治療」又は「緩和」は、治療的処置を指し、この場合、その目的は、標的とする病理学的状態若しくは障害を治癒しない場合、それを緩徐化(軽減)する、又は上記状態の再発を予防することである。被験者は、治療的量の治療薬を受けた後、被験者が、特定の疾患の1つ又は複数の徴候及び症状の観察可能及び/又は測定可能な軽減又は非存在を示す場合、良好に「治療」されている。
【0196】
用語「予測」又は「予後」は、本明細書において、患者が、薬物若しくは一連の薬物に好都合又は不都合に応答する可能性を指すために使用される。一実施形態では、予測は、それらの応答の程度に関する。一実施形態において、予測は、患者が治療後、例えば、特定の治療薬による治療後、並びに疾患の再発なしに一定期間にわたって生存する、若しくは改善するか否か及び/又はその確率に関する。本発明の予測方法は、任意の特定の患者に最も適切な治療法を選択することによって治療決定を下すために、臨床に使用することができる。本発明の予測方法は、患者が、特定の治療レジメン、例えば所与の治療薬又は組合せの投与、外科的介入、ステロイド治療などを含む、所与の治療レジメンに好ましく応答する可能性が高いかどうかを予測する上で貴重なツールである。
【0197】
本明細書で使用される場合、用語「アウトプット」は、コンピュータアルゴリズムから生成された値又はスコアを指す。アウトプットは、本明細書に開示されるバイオマーカーをコンピュータアルゴリズムへのインプットとして用いたアッセイ結果に基づいて生成され得る。「アウトプット」は、定量的又は定性的のいずれであってもよく、コンパニオン診断検査において、治療に対する被験者の応答の可能性を決定するために使用することができる。
【0198】
本明細書に記載される本発明の態様及び実施形態は、態様及び実施形態「から構成される」及び/又は「から本質的に構成される」を含むことが理解される。
【0199】
本発明の他の目的、利点及び特徴は、添付の図面と併せて提供される以下の詳述から明らかになるであろう。
【0200】
C.DB104の応答性を予測するためのバイオマーカー
一部の実施形態では、本開示は、DB104などのトリプル再取り込み阻害剤の活性と相関する新規のゲノムバイオマーカーを記載する。これらのバイオマーカーを使用して、DB104治療から利益を得るか、又は有害作用を経験する可能性が最も高い患者を識別することができる。
【0201】
一般に、単離されたSNP含有核酸分子は、本発明に開示される1つ若しくは複数のSNP位置を含み、SNP位置の両側にはヌクレオチド配列がフランキングしている。フランキング配列は、SNP部位及び/又は異種ヌクレオチド配列と天然に関連するヌクレオチド残基を含むことができる。好ましくは、フランキング配列は、SNP位置の両側で最大約500、300、100、60、50、30、25、20、15、10、8、若しくは4ヌクレオチド(又はその間の任意の他の長さ)であるか、又は完全長遺伝子若しくはタンパク質コード配列全体(又はエクソンなど、それらの任意の部分)と同じくらい長い。
【0202】
一態様において、本発明のバイオマーカーは、表1(表1A~1E)に提供されるもの、及びそれらと連鎖不平衡にある他のバイオマーカーである:
rs12217173(配列番号51)直接フランキング配列:
【化14】
【0203】
一部の実施形態では、本発明は、個別のイオマーカー及びバイオマーカーセットを含む。一部の実施形態では、本発明は、バイオマーカーと高い相関を有する他のバイオマーカー、例えばSNPも含み、それらはまた、患者によるDB104応答を予測するために使用され得る。例えば、そうしたSNPは、表1(表1A~1E)に提供されるSNPと連鎖不平衡にある。追加の予測SNPは、表1(表1A~1E)に列挙されるSNPが関連している遺伝子に関係する遺伝子に存在する可能性がある。連鎖不平衡にあるSNPは、様々な公開データベース、例えばHapMapに見出すことができる。
【0204】
一部の実施形態では、連鎖不平衡(LD)は、所与の集団における各アレルの個別の出現頻度から予想されるよりも大きい頻度での2つ以上の異なるSNP部位におけるアレル(例えば、代替ヌクレオチド)の共遺伝を指す。独立して遺伝される2つのアレルの同時発生の予想される頻度は、第1のアレルの頻度に第2のアレルの頻度を掛けたものである。予想される頻度で同時発生するアレルは、「連鎖平衡」にあると言える。対照的に、LDは、2つ以上の異なるSNP部位のアレル間のあらゆるノンランダム遺伝子関連を指し、これは一般に、染色体に沿った2つの遺伝子座の物理的近接性に起因する。例えば、米国特許出願公開第2008/0299125号を参照されたい。
【0205】
一部の実施形態では、LDは、2つ以上のSNP部位が所与の染色体上で互いに物理的に近接している場合に起こり得るため、これらのSNP部位のアレルは、複数世代にわたって分離されないままになる傾向があり、これは、1つのSNP部位の特定のヌクレオチド(アレル)が、付近に位置する異なるSNP部位の特定のヌクレオチド(アレル)とのノンランダム関連を示すという結果を伴う。従って、SNP部位の1つを遺伝子型決定すると、LD状態にある他のSNP部位の遺伝子型決定とほぼ同じ情報が得られる。例えば、米国特許出願公開第2008/0299125号を参照されたい。
【0206】
一部の実施形態では、診断目的のために、特定のSNP部位が診断に有用であることが判明すれば、当業者は、このSNP部位とLD状態にある他のSNP部位も、病態を診断するのに有用であることを認識するであろう。2つ以上のSNP間で様々な程度のLDが存在し得るが、これは、いくつかのSNPは、他のSNPよりも密接に関連している(即ち、より強いLDにある)という結果を伴う。さらに、LDが染色体に沿って延びる物理的距離は、ゲノムの様々な領域間で異なるため、LDが起こるのに必要な2つ以上のSNP部位間の物理的分離の程度は、ゲノムの様々な領域間で異なる可能性がある。例えば、米国特許出願公開第2008/0299125号を参照されたい。
【0207】
D.バイオマーカーの適用
本明細書に記載されるゲノムバイオマーカーから生成された情報を用いて、うつ病などのCNS障害を有する個体のための適切な投与量及び/又は治療レジメンを決定することができる。この知識を、投薬又は薬物選択に適用すれば、有害反応又は治療の失敗を回避することができ、従って、DB104などの治療組成物を投与する際の治療効率を高めることができる。
【0208】
また、本明細書に開示されるバイオマーカー及びそれらの関連SNP又は遺伝子を用いて、大うつ病性障害(MDD)以外の他の疾患又は病態の治療に対する患者の応答を予測することができる。こうした疾患として、限定されないが、MDDのサブタイプ、例えば、精神病性特徴を有する大うつ病及び周産若しくは産後発症を伴ううつ病;心的外傷後ストレス障害(PTSD)、双極性障害、強迫性障害(OCD)、摂食障害、注意欠陥多動性障害(ADHD)、睡眠障害(ナルコレプシーを含む)、物質使用障害、トゥレット症候群(TS)、統合失調症、てんかん、片頭痛、自閉症スペクトラム障害、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、並びに他の精神系及び神経系障害が挙げられる。
【0209】
特定の治療レジメンは、被験者の遺伝子型によって異なる効果を発揮し得ることから、ゲノム薬理学は、被験者の遺伝子型に応じて被験者に対する治療を適合させることを含む。例えば、予後検査の結果に基づいて、臨床医又は医師は、情報又は治療により利益を受けるであろう被験者を、関連情報及び予防的又は治療的処置の対象とし、利益を受けない(例えば、処置に治療効果がなく、及び/又は被験者は有害な副作用を経験する)であろう被験者が、そうした情報及び処置の対象となることを回避することができる。本明細書に記載の方法を用いてゲノム薬理学バイオマーカーから生成された情報を使用して、個体に対する適切な用量及び治療レジメンを決定することができる。この知識は、投薬又は薬物選択に適用すると、有害反応又は治療の失敗を回避し、従って、治療組成物の投与に際して、治療効率を高めることができる。一部の実施形態では、ゲノム薬理学バイオマーカーを用いて、コンパニオン診断検査を開発することができる。
【0210】
従って、別の態様では、本明細書に開示するバイオマーカーを用いたコンパニオン診断検査が本明細書に提供される。例えば、一実施形態では、医師又は臨床医は、医薬組成物を被験者に投与するかどうかを決定する際に、本明細書に記載の方法を用いてバイオマーカーで得られた知識の適用を考慮することができる。別の実施形態では、医師又は臨床医は、患者に投与される治療薬の用量、例えば、治療薬の、処置毎の量、又は処置の頻度を決定する際に、そうした知識の適用を考慮することができる。
【0211】
本発明は、治療に対する被験者の応答性を評価する方法、又は評価を補助するための方法を提供する。本発明はまた、被験者における治療に対する応答性を予測する方法、又は治療/治療に対する応答性をモニタリングするための方法を提供する。本発明は、治療対象の被験者を選択して、該被験者を治療する方法を提供する。一部の実施形態では、上記の方法は、被験者から得られたサンプル中の1つ又は複数のゲノム薬理学バイオマーカーを評価し;前記1つ又は複数のゲノム薬理学バイオマーカーの遺伝子型に基づいて、治療に対する被験者の応答性を予測、評価すること、又は評価を補助することを含む。
【0212】
以下は、ゲノム薬理学実施形態の一例である。特定の治療レジメンは、被験者の遺伝子型によって異なる効果を発揮し得る。候補治療薬が、メジャーアレルとの有意な相互作用及びマイナーアレルとの比較的弱い相互作用(例えば、相互作用の1桁以上の差)を示す場合、そのような治療は、典型的に、マイナーアレルに対しホモ接合型として遺伝子型決定された被験者には投与されず、また、場合によっては、マイナーアレルに対してヘテロ接合型として遺伝子型決定された被験者に投与されないこともある。別の例では、候補治療薬が、メジャーアレルに対してホモ接合型である被験者に投与されたとき、有意に毒性ではないが、マイナーアレルに対してヘテロ接合型又はホモ接合型である被験者に投与されたとき、比較的毒性である場合、その候補治療薬は、典型的には、マイナーアレルに対しヘテロ接合型又はホモ接合型として遺伝子型決定されている被験者には投与されない。
【0213】
本明細書に記載の方法は、CNS疾患、代謝障害、心血管疾患、癌などの病態を予防、緩和又は治療するためのゲノム薬理学法に適用することができる。例えば、個体由来の核酸サンプルを、本明細書に記載の予後検査に供してもよい。
【0214】
特定の実施形態では、治療レジメンは、本明細書に記載の方法によって評価される治療レジメンに応答する可能性に基づいて、該治療レジメンから最も利益を得る個体に、限定して処方及び/又は投与される。従って、治療レジメンに応答する可能性が高い被験者を識別した後、応答する可能性が高いと識別された個体にそうした治療レジメンを処方する方法が提供される。従って、特定の実施形態は、被験者を治療する方法に関し、これは、以下:被験者由来の核酸サンプル中の本明細書に記載のヌクレオチド配列において、治療レジメンに対する応答性に関連するゲノム薬理学バイオマーカーの存在又は非存在を検出すること、及び治療レジメンに対する応答性に関連するゲノム薬理学バイオマーカーの存在がヌクレオチド配列中に検出された場合、サンプルが由来する被験者に治療レジメンを処方又は投与することを含む。
【0215】
治療は、予防的である(例えば、疾患状態が発生又は進行する確率を低下させるために処方又は投与される)こともあれば、治療的であることもあり、場合によっては、疾患状態の進行を遅らせ、緩和又は停止する。障害の発生を緩和又は予防するための公知の予防的又は治療的処置を処方及び/又は投与することができる。
【0216】
ゲノム薬理学的方法はまた、薬物に対する応答を解析及び予測するために使用され得る。例えば、ゲノム薬理学解析によって、個体が特定の薬物による治療に対して良好に反応する可能性が示されれば、薬物を個体に投与することができる。反対に、解析によって、個体が特定の薬物による治療に対して不良に反応する可能性があることが示されれば、代替の治療コースを処方することができる。治療的処置に対する応答は、以下の集団のいずれかの被験者が遺伝子型決定される、バックグラウンド試験で予測することができる:治療レジメンに有利に反応する集団、治療レジメンに有意に反応しない集団、及び治療レジメンに不利に反応する(例えば、1つ又は複数の副作用を呈する)集団。上記の集団は、例として付与したものであり、他の集団及び亜集団も解析され得る。これらの解析の結果に基づいて、被験者を遺伝子型決定して、被験者が、治療レジメンに有利に反応するか、治療レジメンに有意に反応しないか、又は治療レジメンに不利に反応するかを予測する。
【0217】
予測、評価、又は評価の補助のための比較及び/又は計算は、当該ゲノム薬理学バイオマーカーの測定値及び/又は参照値のタイプに適した任意の好都合な方法で行うことができる。比較又は計算の工程は、手動であってもよいし、又は自動でもよい(例えば、コンピュータベースの機械などの機械により)。当業者には明らかなように、ゲノム薬理学バイオマーカーについて複製遺伝子型決定を採用してもよい。
【0218】
また、本明細書に開示されるコンパニオン診断検査を用いて治療に対する被験者の応答性を予後予測する方法も本明細書に提供される。本明細書に記載される試験はまた、臨床薬物試験にも適用可能である。一部の実施形態では、ゲノム薬理学バイオマーカーを使用して、臨床試験のために被験者集団を層別化又は選択することができる。ゲノム薬理学バイオマーカーを用いて、一部の実施形態では、治療に対して毒性反応を示し得る個体を、そうでない者から層別化することができる。他の実施形態では、ゲノム薬理学バイオマーカーを用いて、応答者となる者から不応答者となる者を区別することができる。本明細書に記載されるゲノム薬理学バイオマーカーは、ゲノム薬理学に基づく計画、並びに臨床試験実施の管理に使用することができる。
【0219】
従って、別の実施形態は、治療又は薬物の臨床試験に参加する個体を選択する方法であって、これは、以下:(a)個体から核酸サンプルを取得するステップ;(b)上記治療若しくは薬物に対する良好な応答に関連する多型変異、又は上記核酸サンプル中の上記治療若しくは薬物に対する不良な応答に関連する少なくとも1つの多型変異の同一性を決定するステップ、及び(c)上記核酸サンプルが、上記治療若しくは薬物に対する良好な応答に関連する前記多型変異を含む場合、又は、上記核酸サンプルが、上記治療若しくは薬物に対する不良な応答に関連する前記多型変異を欠いている場合、臨床試験に上記個体を参加させるステップ。加えて、治療又は薬物の臨床試験に参加する個体を選択するための本明細書に記載の方法は、本開示に記載されるいずれか別の制限を伴う方法、又は単独で若しくは任意の組合せで記載される下記のものを含む方法を包含する。参加させるステップ(c)は、任意選択で、核酸サンプルが治療若しくは薬物に対する良好な応答に関連する多型変異を含む場合、及び核酸サンプルが、治療若しくは薬物に対する不良な応答に関連する前記双アレルマーカーを欠いている場合に、上記個体に薬物若しくは治療を投与することを含む。
【0220】
E.追加のバイオマーカー又は薬物標的
また、本明細書に開示されるバイオマーカーに対して近位の多型バリアントを同定する方法も提供される。一部の実施形態では、同定された近位多型バリアントは、場合によっては、公開された多型バリアントであり、これは、例えば、一般に利用可能なデータベースに公開されることがある。他の実施形態において、同定された多型バリアントは、公開されておらず、公知の方法を用いて見出され、こうした方法として、限定されないが、核酸サンプルの1群で同定されたゲノム薬理学バイオマーカー周辺の領域のシーケンシングがある。従って、この方法を用いて、バイオマーカーに近位の複数の多型バリアントが同定される。
【0221】
近位多型バリアントは、バイオマーカー周辺の領域で同定されることが多い。特定の実施形態では、この周辺領域は、バイオマーカーとフランキングする約50kb(例えば、第1多型バリアントの5’側の約50kbと第1多型バリアントの3’側の約50kb)であり、場合によっては、この領域は、より短いフランキング配列、例えば、バイオマーカーの5’及び3’側から約40kb、約30kb、約25kb、約20kb、約15kb、約10kb、約7kb、約5kb、又は約2kbのフランキング配列から構成されることがある。他の実施形態では、上記領域は、より長いフランキング配列、例えば、バイオマーカー(参照)の5’及び3’側から約75kb、約150kb、約300kb、約600kb、約1,200kb、約2,000kb、約4,000kb、又は約10,000kbのフランキング配列から構成される。
【0222】
特定の実施形態において、多型バリアントは、相互作用的に同定される。例えば、前述の方法を用いて、第1の近位多型バリアントが同定された後、第1の近位多型バリアントに近接する別の多型バリアントが同定され(例えば、公開又は見出され)、第1の近位多型バリアントに近接する1つ又は複数の他の多型バリアントの関連の有無が決定される。
【0223】
本明細書に記載の方法は、病態、疾患、又は障害に関連する遺伝子、領域若しくは遺伝子座をさらに特性決定するために使用することができる、追加の多型バリアントを同定する、又は見出すために有用である。例えば、追加の多型バリアントからのアレロタイプ化決定又は遺伝子型決定データを使用して、機能性変異又は連鎖不平衡の領域を同定することができる。特定の実施形態では、バイオマーカーを含む領域内で同定又は見出された多型バリアントを遺伝子型決定した後、それらの多型バリアントがバイオマーカーと連鎖不平衡にあるかどうかを決定することができる。また、バイオマーカーと連鎖不平衡にある領域のサイズも、これらの遺伝子型決定法を用いて評価することができる。従って、多型バリアントがバイオマーカーと連鎖不平衡にあるかどうかを決定する方法が本明細書に提供され、そうした情報は、本明細書に記載される予後予測/診断方法に使用することができる。
【0224】
加えて、バイオマーカーに近接している遺伝子を同定し、それらの機能を解析することもできる。関連表現型に直接若しくは間接的に関連する機能を有する遺伝子、又は同じ細胞経路内の他の遺伝子は、関連表現型を有するさらなる解析のための標的となり得るため、新たなバイオマーカーを同定することができる。
【0225】
さらに、本明細書に開示されるバイオマーカーを用いて、新規の治療薬を開発する方法及び/又は新規の薬物標的を同定する方法が本明細書に提供される。一部の実施形態では、バイオマーカー及びそれらの関連SNP又は遺伝子によって、研究される表現型の基本的な生物学的経路又はメカニズム、例えば、有効性、有害作用、若しくは他の評価項目に関する見通しを得ることができる。
【0226】
F.試薬及びキット
本発明は、本発明に従って使用するためのキット、チップ、デバイス、又はアッセイの調製を企図する。このようなアッセイ、チップ、デバイス、又はキットは、表1に列挙されているものなどのSNPの遺伝子シグネチャーを検出するための複数のプライマー又はプローブを含み得る。そのような方法には、被験者が、医療提供者の助けを借りずに、例えば、頬細胞又は血液のサンプルを得るために使用できる器具及び説明書が含まれ得る。
【0227】
本発明はまた、ゲノムバイオマーカーの測定から生成された試験結果をスコアに変換するコンピュータアルゴリズムの開発を企図し、これは、個体が、DB104治療などの治療介入を受けるべきか否かを決定するために使用されることになる。
【0228】
上述のバイオマーカーに基づく診断キットを開発することができ、それらを用いて、対応する薬物に対する個体の応答を予測することができる。このような検査キットは、被験者が、医療提供者の助けを借りずに、例えば、頬細胞又は血液のサンプルを得るために使用することができる装置及び説明書を含み得る。
【0229】
上に記載又は提案された用途に使用する目的で、キット又は製造品も本発明によって提供される。このようなキットは、本明細書に記載のバイオマーカーを遺伝子型決定する専用の少なくとも1種の試薬を含んでもよく、また、本明細書に記載の方法を実施するための説明書をさらに含んでもよい。
【0230】
一部の実施形態では、本発明は、本発明のポリヌクレオチド又はその任意の特定の部分の特異的増幅を可能にするプライマー及びプライマー対、並びに本発明の核酸分子又はその任意の部分に選択的若しくは特異的にハイブリダイズするプローブを含む組成物及びキットを提供する。プローブは、検出可能なマーカー、例えば、放射性同位元素、蛍光化合物、生物発光化合物、化学発光化合物、金属キレート剤又は酵素などで標識されてもよい。このようなプローブ及びプライマーは、サンプル中のポリヌクレオチドの存在を検出するために、及びポリヌクレオチドによりコードされたタンパク質を発現する細胞を検出するための手段として使用することができる。当業者には理解されるように、非常に多くの様々なプライマー及びプローブが、本明細書に提供される配列に基づいて調製され、ゲノムDNAの存在及び/又はレベルを増幅、クローン化及び/又は決定するために効果的に使用され得る。
【0231】
一部の実施形態において、キットは、ポリペプチドの存在を検出するための試薬を含み得る。このような試薬は、ポリペプチドに特異的に結合する抗体又は他の結合分子であり得る。一部の実施形態では、このような抗体又は結合分子は、多型の結果としてポリペプチドに対する構造的変化を区別することができると考えられることから、遺伝子型決定のために使用され得る。抗体又は結合分子は、例えば、放射性同位元素、蛍光化合物、生物発光化合物、化学発光化合物、金属キレート剤又は酵素などの検出可能なマーカーで標識されていてもよい。ELISAなどの結合アッセイを行うための他の試薬がキットに含まれていてもよい。
【0232】
一部の実施形態では、キットは、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも5つ、少なくとも10、又はそれ以上のバイオマーカーを遺伝子型決定するための試薬を含む。一部の実施形態では、キットは、増幅された核酸を検出するための捕捉プローブのための表面又は基板(例えば、マイクロアレイなど)をさらに含み得る。
【0233】
キットは、バイアル、チューブなどの1つ又は複数の容器手段を厳重に閉じ込めて収容するための区画化された運搬手段をさらに含んでもよく、これら容器手段の各々は、本方法で使用される個別の要素の1つを含む。例えば、容器手段の1つは、検出可能に標識されているか、又は検出可能に標識することができるプローブを含み得る。このようなプローブは、バイオマーカーに特異的なポリヌクレオチドであってもよい。キットが標的核酸を検出するために核酸ハイブリダイゼーションを利用する場合、キットは、標的核酸配列の増幅のためのヌクレオチドを含む容器、及び/又は酵素、蛍光、若しくは放射性同位体標識などのレポーター分子に結合したアビジン若しくはストレプトアビジンなどのビオチン結合タンパク質などのレポーター手段を含む容器を備えていてもよい。
【0234】
本発明のキットは、典型的には、前述した容器と、緩衝液、希釈剤、フィルター、針、シリンジ、及び使用説明書付きのパッケージ挿入物などの、商業的観点及び使用者の観点から望ましい用具を含む1つ又は複数の他の容器とを含む。組成物が特定の治療又は非治療用途に使用されることを示すために、容器にラベルがあってもよく、また、ラベルは、前述したもののように、インビボ又はインビトロいずれかでの使用の指示を示し得る。
【0235】
キットは、さらに、組織又は細胞サンプルの調製、及びサンプルからの核酸(ゲノムDNAなど)の調製のための1セットの説明書及び用具を含んでもよい。
【0236】
本発明は、本発明の方法の実施に際して使用するのに好適な種々の組成物を提供し、それらは、キット内で使用され得る。例えば、本発明は、このような方法において使用することができるアレイなどの表面を提供する。一部の実施形態において、本発明のアレイは、本発明のゲノム薬理学バイオマーカーを検出するのに有用な核酸分子の各々又は収集物を含む。例えば、本発明のアレイは、標的核酸を含むサンプルにハイブリダイズすることができる、一連の離散的に配置された個々の核酸オリゴヌクレオチド又は核酸オリゴヌクレオチド組合せのセットを含むことができ、この場合、そのようなハイブリダイゼーションは、本発明のゲノム薬理学バイオマーカーの遺伝子型を示す。
【0237】
核酸をスライドガラスなどの固体基板に付着させるためのいくつかの技術が当技術分野において周知である。1つの方法は、固体基板に付着することができる部分、例えば、アミン基、アミン基の誘導体、若しくは正電荷を有する別の基などを含む修飾塩基又は類似体を、合成される核酸分子に組み込むことである。次に、合成された生成物をアルデヒド又は別の反応性基でコーティングされたスライドガラスなどの固体基板と接触させると、これは、増幅された生成物上にある反応性基と共有結合を形成し、スライドガラスに共有結合で結合する。cmt.corning.com及びcmgm.stanford.edu/pbrown1のワールドワイドウェブに開示されているように、アミノプロプリルシリカ表面化学を用いるものなどの他の方法も当技術分野において公知である。
【0238】
後で反応性基に変換することができるオリゴヌクレオチドへの基の付着も、当技術分野で公知の方法を用いて可能である。オリゴヌクレオチドのヌクレオチドへの任意の付着は、オリゴヌクレオチドの一部となり、その後、マイクロアレイの固体表面に付着することができる。増幅された核酸は、必要に応じて、及び/又は使用される技術により可能であれば、固体基板への付着の前又は後に、断片への切断又は検出可能な標識の付着などによって、さらに修飾され得る。
【0239】
SNP配列番号:
rs12219340 配列番号1 chr10:62092193
【化15】

rs4612751 配列番号2 chr10:62092917
【化16】

rs10994306 配列番号3 chr10:62097576
【化17】

rs7083556 配列番号4 chr10:62121387
【化18】

rs12572120 配列番号5 chr10:62088304
【化19】

rs10821741 配列番号6 chr10:62115503
【化20】

rs35050621 配列番号7 chr10:62098778
【化21】

*欠失/挿入変異
rs10821738 配列番号8 chr10:62109449
【化22】

rs10821739 配列番号9 chr10:62109643
【化23】

rs10821740 配列番号10 chr10:62113686
【化24】

rs12775352 配列番号11 chr10:62085590
【化25】

rs10994312 配列番号12 chr10:62122704
【化26】

rs10994313 配列番号13 chr10:62122781
【化27】

rs12781371 配列番号14 chr10:62085918
【化28】

rs7902423 配列番号15 chr10:62123689
【化29】

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【化30】

rs7917540 配列番号17 chr10:62123774
【化31】

rs10994319 配列番号18 chr10:62130265
【化32】

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【化33】

rs1010556 配列番号20 chr10:62133503
【化34】

rs10994326 配列番号21 chr10:62158385
【化35】

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【化36】

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【化37】

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【化38】

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【化39】

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【化40】

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【化41】

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【化42】

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【化43】

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【化44】

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【化45】

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【化46】

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【化47】

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【化48】

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【化49】

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【化50】

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【化51】

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【化52】

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【化53】

rs10821758 配列番号40 chr10:62176632
【化54】

rs950826 配列番号41 chr10:62183837
【化55】

rs10994341 配列番号42 chr10:62184907
【化56】

rs3999537 配列番号43 chr10:62188935
【化57】

rs3999538 配列番号44 chr10:62189165
【化58】

rs10994339 配列番号45 chr10:62182048
【化59】

rs10821762 配列番号46 chr10:62182509
【化60】

rs10994342 配列番号47 chr10:62187607
【化61】

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【化62】

rs12217983 配列番号49 chr10:62064858
【化63】

rs12780890 配列番号50 chr10:62085906
【化64】
【0240】
参照文献
Lane RM. Antidepressant drug development: Focus on triple monoamine reuptake inhibition. J Psychopharmacol. 2015;29(5):526-544. doi:10.1177/0269881114553252
Bhagwagar Z, Torbeyns A, Hennicken D, et al. Assessment of the Efficacy and Safety of BMS-820836 in Patients With Treatment-Resistant Major Depression: Results From 2 Randomized, Double-Blind Studies. J Clin Psychopharmacol. 2015;35(4):454-459. doi:10.1097/JCP.0000000000000335
【0241】
【表1】
【0242】
【表2】
【0243】
【表3】
【0244】
【表4】
【0245】
【表5】
【0246】
【表6】
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4
図5-1】
図5-2】
図6-1】
図6-2】
図7-1】
図7-2】
図8-1】
図8-2】
図9
図10-1】
図10-2】
【配列表】
2023515665000001.app
【国際調査報告】