(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-14
(54)【発明の名称】摩擦攪拌溶接ツールおよびそれを生産するための方法
(51)【国際特許分類】
B23K 20/12 20060101AFI20230407BHJP
【FI】
B23K20/12 344
B23K20/12 G
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022549196
(86)(22)【出願日】2021-02-01
(85)【翻訳文提出日】2022-10-11
(86)【国際出願番号】 AT2021060035
(87)【国際公開番号】W WO2021163742
(87)【国際公開日】2021-08-26
(32)【優先日】2020-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522322561
【氏名又は名称】スターテック ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フィグナー、ガンター
(72)【発明者】
【氏名】カリスカノグル、オザン
(72)【発明者】
【氏名】オッペネイガー、ルーカス
(72)【発明者】
【氏名】ファイフアー、クリスチャン
【テーマコード(参考)】
4E167
【Fターム(参考)】
4E167AA02
4E167AA05
4E167BG05
(57)【要約】
本発明は、ピンと、ピンと強固に接続された肩(3)とを備える、900℃よりも高い融点を有する母材、特に鋼で構成されたコンポーネント(7)を溶接するための摩擦攪拌溶接ツール(1)に関する。厚い壁のコンポーネント(7)を有するツールでさえも、その特に長い耐用期間を実現するために、本発明によれば、少なくとも部分的に第1材料で構成された肩(3)と、少なくとも部分的に第2材料で構成されたピンとが提供される。さらに、本発明は、少なくとも部分的に第1材料で構成された肩(3)と、少なくとも部分的に第2材料で構成されたピンとに関する。さらに、本発明は、900℃よりも高い融解温度を有する1または複数の母材のコンポーネント(7)を接合するための方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピンと、前記ピンと強固に接続された肩とを備える、母材で構成されるコンポーネントを溶接するための摩擦攪拌溶接ツールであって、前記母材は、鋼によって形成され、900℃超の融点を有し、前記肩は、少なくとも部分的に第1材料で構成され、前記ピンは、少なくとも部分的に第2材料で構成され、前記第1材料と前記母材との材料の組み合わせは第1動摩擦係数を有し、前記第2材料と前記母材との材料の組み合わせは第2動摩擦係数を有し、前記第1動摩擦係数は前記第2動摩擦係数よりも低い、摩擦攪拌溶接ツール。
【請求項2】
前記第1材料は、900℃よりも高い、好ましくは2000℃よりも高い融解温度を有する、請求項1に記載の摩擦攪拌溶接ツール。
【請求項3】
前記第2材料は、900℃よりも高い、好ましくは2000℃よりも高い、特に3000℃よりも高い融解温度を有する、請求項1または2に記載の摩擦攪拌溶接ツール。
【請求項4】
前記第1材料および前記第2材料は、異なる強度を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の摩擦攪拌溶接ツール。
【請求項5】
前記第1材料は、前記母材に対して、前記第2材料よりも低い化学的親和性を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の摩擦攪拌溶接ツール。
【請求項6】
前記摩擦攪拌溶接ツールは、第3材料を含み、特に、第3材料によって形成されたシャフトを有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の摩擦攪拌溶接ツール。
【請求項7】
前記第1材料は、モリブデンを含み、特に、モリブデン合金として具現化されている、請求項1から6のいずれか一項に記載の摩擦攪拌溶接ツール。
【請求項8】
前記第2材料は、タングステンを含み、特に、タングステン-レニウムによって形成されている、請求項1から7のいずれか一項に記載の摩擦攪拌溶接ツール。
【請求項9】
前記第1材料および/または前記第2材料は、セラミック材料を含み、特に、酸化物セラミック材料、および/または炭化物、窒化物、またはケイ化物のような非酸化物セラミック材料を含み、または、このタイプの材料によって形成されている、請求項1から8のいずれか一項に記載の摩擦攪拌溶接ツール。
【請求項10】
前記第1材料および/または前記第2材料は、耐火金属、耐火金属合金、ニッケル合金、コバルト合金、および/または鉄合金を含み、または、このタイプの材料によって形成されている、請求項1から9のいずれか一項に記載の摩擦攪拌溶接ツール。
【請求項11】
ピンおよび肩を有する摩擦攪拌溶接ツールを生産するための方法であって、前記方法により、鋼、特に構造用鋼によって形成された、900℃よりも高い融解温度を有する母材のコンポーネントが摩擦攪拌溶接により接合可能となり、特に、請求項1から10のいずれか一項に記載の摩擦攪拌溶接ツールを生産するための方法であって、第1材料で構成された第1コンポーネント部分は、第2材料で構成された第2コンポーネント部分と強固に接続され、これにより、少なくとも前記肩の部分領域が前記第1材料によって形成され、少なくとも前記ピンの部分領域が前記第2材料によって形成され、前記第1材料と前記母材との材料の組み合わせは、第1動摩擦係数を有し、前記第2材料と前記母材との材料の組み合わせは、第2動摩擦係数を有し、前記第1動摩擦係数は、前記第2動摩擦係数よりも低い、方法。
【請求項12】
前記第1コンポーネント部分は、物質的に結合される方式で、前記第2コンポーネント部分に接続される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1コンポーネント部分は、前記第2コンポーネント部分に溶接される、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1コンポーネント部分は、摩擦溶接方法を用いて前記第2コンポーネント部分に接続される、請求項11から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記第1コンポーネント部分は、圧接方法を用いて前記第2コンポーネント部分に接続される、請求項11から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記肩が前記母材に接触している間に作用する所望の平均動摩擦係数であって、前記第1材料と前記母材との材料の組み合わせが有する第1動摩擦係数と、前記第2材料と前記母材との材料の組み合わせが有する第2動摩擦係数との間にある所望の平均動摩擦係数に応じて、前記所望の平均動摩擦係数を実現するために、前記肩の第1部分領域は、前記第1材料によって形成され、前記肩の第2部分領域は、前記第2材料によって形成される、請求項11から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記第1コンポーネント部分を前記第2コンポーネント部分に接続する前に、前記第1コンポーネント部分は、前記第1材料から形成された前記肩の前記部分領域に対応する輪郭で形成される、請求項11から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記第1コンポーネント部分は、本質的に回転対称的な外側輪郭を有し、特に、おおよそリング状に具現化される、請求項11から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
鋼、特に構造用鋼によって形成された1つの母材、または鋼、特に構造用鋼によって形成された複数の母材の、900℃よりも高い融解温度を有するコンポーネントを、摩擦攪拌溶接によって接合するための方法であって、請求項1から10のいずれか一項に記載の摩擦攪拌溶接ツールが用いられる、方法。
【請求項20】
前記コンポーネントは、管状に具現化される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記コンポーネントは、10mmよりも大きい壁厚を有する、請求項19または20に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピンと、ピンと強固に接続された肩とを備える、900℃よりも高い融点を有する母材、特に鋼で構成されたコンポーネントを溶接するための摩擦攪拌溶接ツールに関する。
【0002】
さらに、本発明は、ピンおよび肩を有する摩擦攪拌溶接ツールを生産するための方法に関し、この方法により、900℃よりも高い融解温度を有する母材のコンポーネントが、摩擦攪拌溶接により接合可能となる。
【0003】
さらに、本発明は、900℃よりも高い融解温度を有する1または複数の母材のコンポーネントを接合するための、特に、摩擦攪拌溶接によって、鋼、好ましくは構造用鋼のコンポーネントを接合するための方法に関する。
【0004】
900℃よりも高い融解温度を有するコンポーネントを接合するための、特に、鋼または複数の異なる鋼合金のコンポーネントを接合するための摩擦攪拌溶接ツールが、従来技術から知られている。このタイプのツールは、ピンと、標準的にはピンと垂直に配置される肩とを含む。互いに隣り合わせに配置された2つのコンポーネントが接合される場合、圧縮力が、肩を介して、接合されているコンポーネントに印加される。同時に、コンポーネントの加熱が、摩擦攪拌溶接ツールが回転軸を中心にコンポーネントに対して回転することに起因して行われ、これにより、コンポーネントは、摩擦攪拌溶接ツールの領域における接合ゾーンにおいて可塑化および混合され、これにより、接合が発生する。ピンは、これにより、接合ゾーンにおいて可塑化材料を確実に攪拌し、そこで、摩擦攪拌溶接の間、大きな機械的および熱負荷に露出され、摩擦攪拌溶接ツールの肩は、熱生成の大部分を担う。肩のサイズは、これにより、標準的には、肩の下の最大面圧力および接合されているコンポーネント上の軸方向における必要な圧縮力から得られる。
【0005】
摩擦攪拌溶接ツールにおいて用いられる場合、ピン材料としての利用のために有益な特性、例えば、高融解温度を有する材料は、接合されていえるコンポーネントの母材との過度の摩擦に起因して、肩において過度のまたは不十分な熱生成という結果をもたらし、これにより、最適な溶接が実現しないことが示されている。
【0006】
溶接プロセス中の過度のまたは不十分な温度を防止するために、肩が、これに従って、より大きくまたはより小さく具現化されることが、従来技術から知られている。しかしながら、接合ゾーンにおける圧縮が最適ではないので、これは、結果的に、溶接接合の品質に関する問題を生じさせる。
【0007】
さらに、肩およびピンは、別個のコンポーネント部分から形成されること、および肩のサイズから独立して、肩の回転速度を用いた肩を介しての入熱に影響を及ぼすために、肩はピンと異なる速度で駆動されることが、従来技術から知られている。しかしながら、アルミニウムと低融解温度を有する他の材料とを溶接する場合はこのように所望の効果が実現可能であるが、接合ゾーンからの可塑化材料は、ピンと肩との間の間隙を貫通し、ツールへのダメージを生じさせ、そこで、例えば鋼のような、900℃よりも高い融解温度を有する母材が溶接される場合、その耐用期間はより短くなることが示されている。
【0008】
これは、本発明によって対処される。その目的は、最初に記すタイプの摩擦攪拌溶接ツールを特定することである。このツールにより、摩擦攪拌溶接ツールの所与の幾何学的形状をもってでさえ、溶接接合の特に高い品質が、同時にツールの非常に長い耐用期間と共に、実現可能となる。
【0009】
さらに、最初に記すタイプの摩擦攪拌溶接ツールを生産するための方法が特定される。この方法により、このタイプの摩擦攪拌溶接ツールが生産可能となる。
【0010】
最後に、最初に記すタイプのコンポーネントを接合するための方法が特定される。この方法により、接続の特に高い品質が、効率的な方式で実現可能となる。
【0011】
本発明によれば、最初に記すタイプの摩擦攪拌溶接ツールにより、第1目的が達成される。ここで、肩は、少なくとも部分的に第1材料で構成され、ピンは、少なくとも部分的に第2材料で構成されている。
【0012】
本発明の文脈において、摩擦攪拌溶接ツールが、肩の領域においてピンの領域と少なくとも部分的に異なる材料で構成される場合、従来技術からの摩擦攪拌溶接ツールの欠点が克服可能であることが見出された。第1材料は、典型的には、化学組成の観点で、機械的特性および/または熱特性の観点で、第1材料が強固に接続される第2材料と異なる。結果として、最適化された摩擦攪拌溶接ツールが、所望の用途に応じて、容易に形成可能となる。
【0013】
第1材料が900℃よりも高い、好ましくは2000℃よりも高い融解温度を有する場合に、有益である。
【0014】
好ましくは、900℃よりも高い、好ましくは2000℃よりも高い、特に3000℃よりも高い融解温度を有する第2材料が提供される。そこで、摩擦攪拌溶接ツールの特に長い耐用期間が実現可能となる。典型的には、第2材料の融解温度は、第1材料の融解温度より高い。
【0015】
第1材料および第2材料が異なる強度を有することが効果的であると判明している。結果として、特に、多くの場合、肩の領域ではより低い強度で十分だが、特にピンの領域では特に高い強度が典型的に必要とされるので、必要とされる条件に特によく適応したツールが実現可能となる。
【0016】
第1材料と母材との材料の組み合わせが第1動摩擦係数を有し、第2材料と母材との材料の組み合わせが第2動摩擦係数を有し、第1動摩擦係数は第2動摩擦係数と異なり、特に、第2動摩擦係数よりも低い場合に有益である。このように、ツールは、例えば、肩の領域においてピンの領域より低い動摩擦係数を有するように具現化されてよい。そこで、単純な方式で、肩を介して十分に高い圧縮力が、同時に低い面圧力で、かつ過度の熱生成を発生させずに導入可能となり、ピンの領域においても、特に良好な接続のために、接合ゾーンで可塑化されたコンポーネントを攪拌するために十分な摩擦が生じることを確実にする。
【0017】
溶接プロセス中の所望の条件、または肩において必要な圧縮力に応じて、材料は、勿論、第1動摩擦係数が第2動摩擦係数よりも大きくなるように選択されてもよい。
【0018】
完全に第1材料によって形成された肩と、完全に第2材料によって形成されたピンとが提供されてよいが、部分的にのみ第1材料を用い、部分的に第2材料および場合によっては1または複数の他の材料を用いて、肩を形成することも可能である。同様に、ピンも、部分的にのみ第2材料、第1材料および場合によっては他の材料によって形成されてよい。それに応じて、肩およびピンの領域を、母材との異なる動摩擦係数を有する異なる材料で構成される部分領域に分割することによって、そこで、肩の領域およびピンの領域の両方において、所望の動摩擦係数を実現することが容易に可能となる。肩の平均動摩擦係数は、典型的には、ピンの平均動摩擦係数と異なる。
【0019】
これは、例えば、第1コンポーネント部分がリング状で、この第1コンポーネント部分の外径が肩の外径に対応するものとして具現化されるが、第1コンポーネント部分の内径は肩の内径よりも大きく、肩の内径はピンの外径と一致可能であるものとして具現化されるというように、実現可能となる。肩の領域において、第1材料は、そこで、肩の外径から第1コンポーネント部分の内径まで、肩の第1部分領域にわたって拡張し、第2材料は、第1コンポーネント部分の内径から肩の内径、または肩の領域におけるピンまで拡張する。さらに、ピンは、第2材料によって形成されてもよく、これにより、第2コンポーネント部分は、部分的にまたは完全に、肩の第2部分領域およびピンを形成する。
【0020】
標準的には、肩の平均動摩擦係数は、ピンの平均動摩擦係数よりも低い。平均動摩擦係数は、これにより、対応する面積比率を介して実現可能となる。動摩擦係数が摩擦攪拌溶接ツールの母材に対する相対速度にも依存する場合、摩擦攪拌溶接プロセス中におけるそれぞれの面積部分の速度も、第1または第2材料で構成される当該肩の部分領域の選択に考慮されてよい。
【0021】
個々の材料によって形成される面積にわたって実現可能な平均動摩擦係数の数学的決定が好ましい場合でさえ、対応する摩擦攪拌溶接ツールは、勿論、肩の領域の所望の溶接品質に必要な組成、すなわち、第1材料および場合によっては第2および/または第3材料で構成される当該肩の部分領域のサイズが試験で決定されるように、形成されてもよい。
【0022】
好ましくは、異なる、特に、母材に対して第2材料より低い化学的親和性を有する第1材料が提供される。ここで、化学的親和性は、それぞれの材料が母材に結合する傾向を意味する。そこで、ピンの領域において、良好な攪拌と、従って、溶接接合の高い強度を実現するために、高い化学的親和性がある場合が有利となる。肩の領域では、平滑面との溶接を実現し、過度の入熱および肩の領域における摩擦攪拌溶接ツールの過度な摩耗を防止するために、ピンの領域より低い親和性が有利であってよい。従って、第1材料が母材に対して第2材料よりも低い化学的親和性を有する場合が有益となる。
【0023】
摩擦攪拌溶接ツールを形成するために、第1材料は、原則として、任意の所望の方式で、例えば、圧入、形状篏合、および/または物質的に結合される接続方法により、第2材料に接続されてよい。例えば、摩擦攪拌溶接ツールは、本質的に、第2材料で構成されてよく、部分的にまたは完全に、肩の領域において第1材料でコーティングされてよい。肩の領域において、第1材料は、摩擦攪拌溶接ツールのより大きい部分領域であって、第2材料で構成された部分領域に対する堆積溶接により塗布されることも可能である。
【0024】
同様に、勿論、第2材料で構成されたピンまたは第2材料で構成されたピンの部分領域が、摩擦攪拌溶接ツールのより大きい第1コンポーネント部分であって、第1材料で構成されたコンポーネント部分に、特に、圧入、形状篏合、および/または物質的に結合される方式、例えば、溶接またはねじ込みによって接続されることも可能である。
【0025】
好ましくは、摩擦攪拌溶接ツールは、第1材料で構成されたリングを備え、リングは、第2材料で構成された第2コンポーネント部分に、溶接方法、特に、摩擦攪拌溶接方法により接続され、コンポーネント部分は、ピンと、リングによって形成されていない肩の部分領域とを形成する。第1材料で構成されたリングは、肩の外側端部を形成してよく、または、溝に配置されてもよく、これにより、リングは、肩の中央または内部第1部分領域を形成する。
【0026】
勿論、第1材料から形成された摩擦攪拌溶接ツールの第1コンポーネント部分または第2材料から形成された摩擦攪拌溶接ツールの第2コンポーネント部分は、少なくとも部分的にまたは完全に、摩擦攪拌溶接ツールのシャフトも形成してよい。
【0027】
特に、コスト最適化の目的のために、第3材料を含み、特に、第3材料によって形成されたシャフトを有する摩擦攪拌溶接ツールが提供されてもよい。このように、肩およびピンに用いられるコスト集約的な材料の利用が、例えば最小化可能であり、これにより、摩擦攪拌溶接ツールは、特に低コストで生産可能となる。摩擦攪拌溶接ツールの個々のコンポーネント部分、特に、ピン領域、肩領域、およびシャフト領域は、任意の可能な形状篏合、圧入、および/または物質的に結合される方式で、例えば、摩擦溶接によって、互いに接続されてよい。
【0028】
勿論、溶接されている領域において溶接されているコンポーネント部分を構成する1または複数の異なる母材に応じて、摩擦攪拌溶接ツールは、幅広く異なる材料を含んでよく、第1材料は、本質的に、任意の所望の材料によって形成されてよい。特に、肩において有益な摩擦特性を実現するために、特に、第1材料がモリブデンを含み、特に、モリブデン合金として具現化される場合に効果的であえることが判明している。
【0029】
第2材料は、原則として、対応する用途に適した任意の所望の材料から形成されてもよい。高温が接合ゾーンで発生してさえも、特に長い耐用期間を実現するために、好ましくは、タングステンを含み、特に、タングステン-レニウムによって形成された第2材料が提供される。
【0030】
それに応じて、有利な特性を実現するために、セラミック材料、特に、酸化物セラミック材料、および/または炭化物、窒化物、またはケイ化物のような非酸化物セラミック材料を含み、または、このタイプの材料によって形成される第1材料および/または第2材料が提供されてもよい。
【0031】
特に長い耐用期間は、第1材料および/または第2材料が耐火金属、耐火金属合金、ニッケル合金、コバルト合金、および/または鉄合金を含み、またはこのタイプの材料によって形成される場合に実現可能となる。耐火金属、すなわち、第4、第5、および第6族のベースメタル、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、およびタングステンは、極めて高い融解温度、および摩擦攪拌溶接ツールとしての用途に有益な機械的特性を有する。さらなる目的は、最初に記すタイプの方法により達成され、ここで、第1材料で構成された第1コンポーネント部分は、第2材料で構成された第2コンポーネント部分と強固に接続され、これにより、少なくとも肩の部分領域は、第1材料によって形成され、少なくともピンの部分領域は、第2材料によって形成されている。
【0032】
このように、肩の領域における摩擦攪拌溶接ツールの特性は、ピンの領域における特性から独立して、容易に実現可能となる。
【0033】
摩擦攪拌溶接ツールを形成するために、第1コンポーネント部分は、原則として、任意の所望の方式で、例えば、圧入および/または形状嵌合接続によって、第2コンポーネント部分に接続されてよい。しかしながら、第1コンポーネント部分が、物質的に結合される方式で第2コンポーネント部分に接続されることが、特に好ましい。そこで、特に強固な接続が実現される。
【0034】
第1コンポーネント部分は、原則として、任意の所望の物質的に結合される方式で、例えば、焼結、3D印刷方法等によって、第2コンポーネント部分に接続されてよく、または、第2コンポーネント部分は、第1コンポーネント部分に接続されてよいが、好ましくは、第2コンポーネント部分に溶接される第1コンポーネント部分が提供される。そこで、焼結方法、コーティング方法、または3D印刷方法とは対照的に、当該方法の間に、第1コンポーネント部分の外側輪郭が完全に変更されること、または第1コンポーネント部分が完全に融解されることは、絶対に必要ではない。そこで、摩擦攪拌溶接ツールを形成するための方法の間に、外側輪郭を本質的に保持する第1コンポーネント部分および第2コンポーネント部分が提供されてもよい。例えば、第1コンポーネント部分は、そこで、リングとして具現化されてよく、これは、第2コンポーネント部分上に溶接され、これは、ピンと、特に、第1コンポーネント部分のための溝を有する肩の一部とを含む。溶接は、結果として、従来技術から知られている幅広く異なる手法で、例えば、レーザ溶接、拡散溶接、電子ビーム溶接等によって行われてよい。
【0035】
第1コンポーネント部分と第2コンポーネント部分との間の特に強固な接続が、第1コンポーネント部分が摩擦溶接方法を用いて第2コンポーネント部分に接続される場合に実現可能となることが示されている。
【0036】
好ましくは、圧接方法を用いて第2コンポーネント部分に接続される第1コンポーネント部分が提供される。さらに、摩擦溶接方法および圧接方法の組み合わせも、勿論可能である。
【0037】
肩が母材に接触している間に作用する所望の平均動摩擦係数であって、第1材料と母材との材料の組み合わせが有する第1動摩擦係数と、第2材料と母材との材料の組み合わせが有する第2動摩擦係数との間にある所望の平均動摩擦係数に応じて、所望の平均動摩擦係数を実現するために、肩の第1部分領域は、第1材料によって形成され、肩の第2部分領域は、第2材料によって形成されることが効果的であると判明している。換言すると、肩が完全には第1材料によって形成されない場合、そこで、第1材料によって形成される当該肩の部分領域のサイズは、どの平均動摩擦係数が肩の領域において望ましいかに応じて、選択される。例えば、母材と組み合わせた材料、特に、鋼、特に、パイプラインのパイプに用いられるような高強度構造用鋼と組み合わせた材料における、第1材料の平均動摩擦係数が0.1であり、同じ母材と組み合わせた材料における第2材料の動摩擦係数が0.3である場合、0.2である肩の平均動摩擦係数は、例えば、溶接プロセス中に溶接されているコンポーネントに接触する肩の面積は、50%が第1材料から形成され、50%が第2材料から形成されると、そこで、実現可能となる。肩の面は、そこで、他の材料の追加の部分領域も、勿論原則として可能であるものの、第1部分領域および第2部分領域で構成される。ピンまたは回転軸に近接する領域における肩の速度は外縁よりも低く、動摩擦係数は相対速度にも依存し得るので、第1材料から形成される肩の領域と第2材料から形成される肩の領域は、第1材料が肩の内側または外側のいずれに配置されるかに応じて、結果的に異なる比率となってよい。
【0038】
好ましくは第2材料より低い動摩擦係数を有する第1材料が用いられる場合に、特に大きな効果を実現するために、第1材料は、典型的には、肩の外縁に、例えば外側リングとして配置される。そこで、第1材料または第2材料によって形成される肩の面積比率のみならず、むしろ、少なくともある程度は、第1材料または第2材料によって形成される肩の位置、または、摩擦攪拌溶接ツールの回転軸から対応する位置までの距離も、溶接または溶接されているコンポーネントへの入熱の品質に関連する。好ましくは、摩擦攪拌溶接ツールは、おおよそ回転対称であるように具現化される。
【0039】
特に単純な生産を実現するために、有利には、第1コンポーネント部分を第2コンポーネント部分に接続する前に、第1材料から形成された肩の部分領域に対応する輪郭で形成された第1コンポーネント部分が提供される。そこで、第1コンポーネント部分は、例えば、肩の対応する部分を形成するために、第2コンポーネント部分の溝に位置するリングとして具現化されてよい。原則として、第1コンポーネント部分は、勿論、第2コンポーネント部分に対する形状嵌合接続を実現するために、多角形等として具現化されてもよい。第2コンポーネント部分は、ピンの一部、ピン全体の両方を形成してよく、ツールのシャフトの一部または全体を形成してもよい。
【0040】
好ましくは、本質的に回転対称的な外側輪郭を有し、特に、おおよそリング状に具現化される第1コンポーネント部分が提供される。これにより、摩擦攪拌溶接ツールの特に単純な生産が可能となる。
【0041】
勿論、本発明に従って具現化される摩擦攪拌溶接ツールは、本発明に係る方法によって形成されてよい。
【0042】
第3目的は、本発明に従って具現化される摩擦攪拌溶接ツールが用いられる、最初に記すタイプの方法により、本発明に従って達成される。結果として、特に高い品質での溶接が、摩擦攪拌溶接ツールの長い耐用期間と同時に実現される。
【0043】
原則として、任意の所望のコンポーネントが本発明に係る摩擦攪拌溶接ツールを用いて接合可能であるが、対応する摩擦攪拌溶接ツールは、接合されているコンポーネントが管状で具現化される対応する方法で用いられることに、特に良好に適合することが示されている。例えば、パイプラインを構築するパイプは、そこで、円周方向に沿って延びる溶接を形成しつつ、摩擦攪拌溶接ツールに変化を加えることなく溶接可能となる。これは、海面下の深さ3000mに設置されるパイプラインの構造を、例えば、特に効率的な方式で達成するために重要である。
【0044】
特に、コンポーネントが10mmよりも大きい、特に20mmよりも大きい壁厚を有し、特に、溶接が壁厚全体にわたって拡張する場合に、当該方法が用いられる場合に好ましい。典型的には平坦に、好ましくは管状に具現化されるコンポーネントは、そこで、当該コンポーネントの小さい面に沿って溶接される前に、互いに対向して設置され、これにより、溶接は、コンポーネントの一面からコンポーネントの対向面まで拡張する場合に、互いに対向するコンポーネントの小さい面の壁厚に対応する、または高さに対応する高さを有する。
【0045】
それに応じて大きい壁厚を有する場合でさえも、安定した摩擦攪拌溶接接合をさらに実現するために、特に、過度のまたは不十分な量の熱は、少なくとも溶接厚さの部分領域にわたって、最適ではない摩擦攪拌溶接接合を生じさせ得るので、特に正確に定義された量の熱が入力される必要がある。このような正確に定義された入熱は、本発明に係る摩擦攪拌溶接ツールにより容易に可能となる。なぜなら、特に、肩の動摩擦係数が、ピンの動摩擦係数および材料から独立して達成可能だからである。
【0046】
本発明の追加の特徴、利点、および効果は、後述される例示的な実施形態から続く。これにより参照される図面は、以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【
図1】本発明に従って具現化される異なる摩擦攪拌溶接ツールを示す。
【
図2】本発明に従って具現化される異なる摩擦攪拌溶接ツールを示す。
【
図3】本発明に従って具現化される異なる摩擦攪拌溶接ツールを示す。
【
図4】2つのコンポーネントを溶接中の本発明に係る摩擦攪拌溶接ツールを示す。
【
図8】2つのコンポーネントを接合中のさらなる摩擦攪拌溶接ツールを示す。
【発明を実施するための形態】
【0048】
図1は、本発明に従って具現化される摩擦攪拌溶接ツール1を通る断面を示す。見てわかるように、本質的に回転軸9に対して回転対称に具現化される摩擦攪拌溶接ツール1は、シャフト4、ピン2、および肩3を含み、肩3は、回転軸9に対しておおよそ垂直に方向付けられ、第1材料、この場合はモリブデン合金の第1コンポーネント部分5によって形成されており、ピン2およびシャフト4は、第2材料、この場合はタングステン-レニウムの第2コンポーネント部分6によって形成されている。図示されるように、第1コンポーネント部分5は、リング状に具現化されており、第1コンポーネント部分5の内径13はピンの外径11に対応し、これは、この場合、結果的に肩の内径13に対応する。リング状の第1コンポーネント部分5の外径は、肩の外径12に対応する。そこで、肩3は、この場合、完全に第1コンポーネント部分5または第1材料によって形成されている。
【0049】
ピン2の領域におけるタングステン-レニウムの使用に起因して、このタイプのツールにより高温耐性が実現される。肩3の領域におけるモリブデン合金の使用により、鋼、特に構造用鋼のコンポーネント7が溶接されている場合に、肩3において、ピン2の領域より低い動摩擦係数が実現され、これにより、タングステン-レニウムのみで構成された摩擦攪拌溶接ツール1と比較して、軸方向における接触圧、摩擦攪拌溶接ツール1の回転軸9周りの回転速度、および前進速度のような同一のプロセスパラメータで、肩3を介してのより低い入熱が実現される。ピン2の領域において、タングステン-レニウムと構造用鋼との材料の組み合わせが示す、より高い動摩擦係数が、接合ゾーンにおける集約的な攪拌を実現するために有益である。そこで、摩擦攪拌溶接を用いて、大きな壁厚10を有するコンポーネント7は、摩擦攪拌溶接ツール1の長い耐用期間および溶接接合の高い品質の両方が実現されるような方式で、一緒に溶接されてもよい。
【0050】
図2は、本発明に係るさらなる摩擦攪拌溶接ツール1を示す。肩3は、ここでも再度、完全にモリブデン合金のリング状の第1コンポーネント部分5によって形成され、ピン2およびシャフト4の部分領域は、タングステン-レニウムから形成された第2コンポーネント部分6によって形成されている。しかしながら、
図1に示す摩擦攪拌溶接ツール1とは対照的に、ここでのシャフト4は、部分的にのみ、第2コンポーネント部分6によって形成され、部分的に、第3材料の第3コンポーネント部分8によって形成されている。第3材料は、例えば生産コストの観点で、タングステン-レニウムよりも好ましいことがある。
【0051】
図3は、本発明に係る摩擦攪拌溶接ツール1のさらなる例示的な実施形態を示す。この例示的な実施形態において、第1コンポーネント部分5は肩3全体にわたって延伸せず、むしろ、肩3の第1部分領域14のみを形成し、これにより、肩3の第2部分領域15は第2コンポーネント部分6によって形成され、ピン2もこれによって形成される。そこで、肩3の外側の第1部分領域14のみが、第1コンポーネント部分5によって形成され、これは、この場合もリング状に具現化され、モリブデン合金で構成されている。この場合、リング状の第1コンポーネント部分5は、従って、肩の外径12から、ピン2までではなく、またはピンの外径11までではなく、むしろ、肩の内径13と肩の外径12との間のおおよそ中央にある内径13のみに拡張する。ここで、肩の内径13も、ピンの外径11に対応する。第1コンポーネント部分5の内径13を修正することによって、または第1材料によって形成された第1部分領域14および第2材料によって形成された肩3の第2部分領域15を修正することによって、例えば鋼のような母材上で用いられる際に発生する肩3の所望の平均動摩擦係数は、そこで、第1材料と母材との材料の組み合わせの第1動摩擦係数と、第2材料と母材との材料の組み合わせの第2動摩擦係数との間で随意に調節可能となる。例示的な実施形態において、モリブデン合金と鋼との材料の組み合わせの第1動摩擦係数は、タングステン-レニウムと鋼との材料の組み合わせの第2動摩擦係数よりも低く、これにより、
図3に示す例示的な実施形態において、肩3の領域において、モリブデン合金と鋼との材料の組み合わせの動摩擦係数より高く、タングステン-レニウムと鋼との材料の組み合わせの動摩擦係数よりも低い平均動摩擦係数が得られる。
【0052】
図4は、第2コンポーネント7を溶接中の
図1による摩擦攪拌溶接ツール1を、ここでも再度断面図で示す。見てわかるように、ピン2は、本質的に、コンポーネント7の壁厚10全体にわたって延伸し、コンポーネント7は、この場合、例えば、鋼、好ましくはパイプライン鋼で構成された板状に具現化され、900℃よりも高い融解温度を有する。肩3の領域に第1材料を用いることより、肩3の領域において、ピン2の領域より低い動摩擦係数が実現され、これにより、比較的低い入熱が肩3を介して発生しつつ、コンポーネント7の母材の有利に集約的な攪拌が、ピン2の領域において実現される。
【0053】
図1から
図4に示す例示的な実施形態における肩3を少なくとも部分的に形成するリング状の第1コンポーネント部分5は、第2コンポーネント部分6がピン2と、少なくともシャフト4の部分領域とを形成する摩擦溶接プロセスにより、例示的な実施形態における第2コンポーネント部分6に接続される。
【0054】
この結果、強固で安定した接続がもたらされ、これにより、例えば、肩3がピン2より低速で回転するマルチパート摩擦攪拌溶接ツール1による場合のように、第1コンポーネント部分5と第2コンポーネント部分6との間に間隙ができず、従って、溶接からの可塑化材料がこのような間隙を貫通できないことも確実となる。
【0055】
図5から7は、本発明に係る摩擦攪拌溶接ツール1のさらなる例示的な実施形態を断面図で示す。これらの例示的な実施形態において、本質的に第3材料で構成された摩擦攪拌溶接ツール1の肩3およびピン2は、摩擦攪拌溶接方法が実行される場合にピン2の領域と肩3の領域とで異なる摩擦特性を得るために、少なくとも部分的に異なる材料でコーティングされている。摩擦攪拌溶接ツール1は、これにより、本質的に第3材料で構成されてよく、図示されるように、これらの部分領域において所望の特性を得るために、肩3の領域およびピン2の領域のみがコーティングされてよい。
図5に示す例示的な実施形態において、肩3を形成する面は、これにより、完全に第1材料でコーティングされ、ピン2を形成する面は、完全に第2材料でコーティングされる。そこで、
図5に示す例示的な実施形態において、第1コンポーネント部分5は、肩3の領域におけるコーティングとして具現化され、第2コンポーネント部分6は、ピン2の領域におけるコーティングとして具現化され、第1コンポーネント部分5は、例えば、モリブデン合金で構成されてもよく、第2コンポーネント部分6は、ここでも再度タングステン合金で構成されてよい。
【0056】
図6に示す例示的な実施形態において、同様にコーティングによって形成された第1コンポーネント部分5は、肩3の領域における面を部分的にのみカバーする。ここで、第1材料で構成されないコーティング、または第1コンポーネント部分5によって形成されていない肩の部分領域3は、第2材料から形成されたコーティング、または、第2コンポーネント部分6によって形成され、第2コンポーネント部分6も、ピン2の面を形成する。このように、第1動摩擦係数と第2動摩擦係数との間にある肩3の動摩擦係数が、ここでも再度実現可能となる。
【0057】
図7は、さらなる実施形態を示し、ここで、肩3の領域における面は、第1材料で構成された第1コンポーネント部分5によって形成され、第1コンポーネント部分5は、コーティングとして具現化されている。ここで、ピン2の面は、この場合、第1材料の特性と第2材料の特性との間にある特性を得るために、部分的に第1材料でコーティングされ、部分的に第2材料でコーティングされている。
【0058】
図8は、対応するコンポーネント7を接合するための方法の間の、
図5による摩擦攪拌溶接ツール1の使用を、ここでも再度断面図で示す。
【0059】
図5から8を見てわかるように、摩擦攪拌溶接ツール1は、対応する特性を得るために、そこで、本質的に第3材料、または肩3およびピン2の領域における端面において、第1コンポーネント部分5を形成する第1材料および第2コンポーネント部分6を形成する第2材料でコーティングされた第3コンポーネント部分8によって形成されてもよい。
図1から4に示す例示的な実施形態とは対照的に、
図5から8に示す例示的な実施形態において、第1コンポーネント部分5および第2コンポーネント部分6の輪郭は、そこで、すなわち、第3コンポーネント部分8の面をコーティングすることによって、まず、摩擦攪拌溶接ツール1の生産中に形成される。
【0060】
対応する摩擦攪拌溶接ツール1は、原則として、広く異なる目的のために用いられてよい。好ましくは、対応するツールは、構造用鋼、特に、高強度および超高強度鋼、および、例えば構造用鋼で構成され、円周方向に延びる溶接に沿って10mmよりも大きい壁厚10を有し得る厚壁パイプであって、例えば、大深度におけるパイプラインに利用可能なパイプを一緒に溶接するために用いられる。そこで、鋼の厚壁パイプでさえ、単一の摩擦攪拌溶接ツール1を用いて、ツールを変化させることなく溶接可能となり、これにより、対応するパイプラインが、特にコスト効率的な方式で生産可能となる。
他の可能な項目
【0061】
1.ピン(2)と、ピン(2)と強固に接続された肩(3)とを備える、900℃を超える融点を有する母材、特に鋼で構成されたコンポーネント(7)を溶接するための摩擦攪拌溶接ツール(1)であって、摩擦攪拌溶接ツール(1)は、特に、項目12から19の一項に記載の方法において形成され、肩(3)が少なくとも部分的に第1材料で構成され、ピン(2)が少なくとも部分的に第2材料で構成されていることを特徴とする、摩擦攪拌溶接ツール(1)。
【0062】
2.第1材料は、900℃よりも高い、好ましくは2000℃よりも高い融解温度を有することを特徴とする、項目1に記載の摩擦攪拌溶接ツール(1)。
【0063】
3.第2材料は、900℃よりも高い、好ましくは2000℃よりも高い、特に3000℃よりも高い融解温度を有することを特徴とする、項目1または2に記載の摩擦攪拌溶接ツール(1)。
【0064】
4.第1材料および第2材料は、異なる強度を有することを特徴とする、項目1から3の一項に記載の摩擦攪拌溶接ツール(1)。
【0065】
5.第1材料と母材との材料の組み合わせが第1動摩擦係数を有し、第2材料と母材との材料の組み合わせが第2動摩擦係数を有し、第1動摩擦係数は第2動摩擦係数と異なり、特に、第2動摩擦係数よりも低いことを特徴とする、項目1から4の一項に記載の摩擦攪拌溶接ツール(1)。
【0066】
6.第1材料は、母材に対して、第2材料よりも低い化学的親和性を有することを特徴とする、項目1から5の一項に記載の摩擦攪拌溶接ツール(1)。
【0067】
7.摩擦攪拌溶接ツール(1)は、第3材料を含み、特に、第3材料によって形成されたシャフト(4)を有することを特徴とする、項目1から6の一項に記載の摩擦攪拌溶接ツール(1)。
【0068】
8.第1材料は、モリブデンを含み、特に、モリブデン合金として具現化されていることを特徴とする、項目1から7の一項に記載の摩擦攪拌溶接ツール(1)。
【0069】
9.第2材料は、タングステンを含み、特に、タングステン-レニウムによって形成されていることを特徴とする、項目1から8の一項に記載の摩擦攪拌溶接ツール(1)。
【0070】
10.第1材料および/または第2材料は、セラミック材料を含み、特に、酸化物セラミック材料、および/または炭化物、窒化物、またはケイ化物のような非酸化物セラミック材料を含み、または、このタイプの材料によって形成されていることを特徴とする、項目1から9の一項に記載の摩擦攪拌溶接ツール(1)。
【0071】
11.第1材料および/または第2材料は、耐火金属、耐火金属合金、ニッケル合金、コバルト合金、および/または鉄合金を含み、または、このタイプの材料によって形成されていることを特徴とする、項目1から10の一項に記載の摩擦攪拌溶接ツール(1)。
【0072】
12.ピン(2)および肩(3)を有する摩擦攪拌溶接ツール(1)を生産するための方法であって、方法により、特に鋼、好ましくは構造用鋼によって形成された、900℃よりも高い融解温度を有する母材のコンポーネント(7)が摩擦攪拌溶接により接合可能となり、特に、項目1から11の一項に記載の摩擦攪拌溶接ツール(1)を生産するための方法であって、第1材料で構成された第1コンポーネント部分(5)は、第2材料で構成された第2コンポーネント部分(6)と強固に接続され、これにより、少なくとも肩(3)の部分領域が第1材料によって形成され、少なくともピン(2)の部分領域が第2材料によって形成されることを特徴とする、方法。
【0073】
13.第1コンポーネント部分(5)は、物質的に結合される方式で、第2コンポーネント部分(6)に接続されることを特徴とする、項目12に記載の方法。
【0074】
14.第1コンポーネント部分(5)は、第2コンポーネント部分(6)に溶接されることを特徴とする、項目12または13に記載の方法。
【0075】
15.第1コンポーネント部分(5)は、摩擦溶接方法を用いて第2コンポーネント部分(6)に接続されることを特徴とする、項目12から14の一項に記載の方法。
【0076】
16.第1コンポーネント部分(5)は、圧接方法を用いて第2コンポーネント部分(6)に接続されることを特徴とする、項目12から15の一項に記載の方法。
【0077】
17.肩(3)が母材に接触している間に作用する所望の平均動摩擦係数であって、第1材料と母材との材料の組み合わせが有する第1動摩擦係数と、第2材料と母材との材料の組み合わせが有する第2動摩擦係数との間にある所望の平均動摩擦係数に応じて、所望の平均動摩擦係数を実現するために、肩(3)の第1部分領域(14)は、第1材料によって形成され、肩(3)の第2部分領域(15)は、第2材料によって形成されることを特徴とする、項目12から16の一項に記載の方法。
【0078】
18.第1コンポーネント部分(5)を第2コンポーネント部分(6)に接続する前に、第1コンポーネント部分(5)は、第1材料から形成された肩(3)の部分領域に対応する輪郭で形成されることを特徴とする、項目12から17の一項に記載の方法。
【0079】
19.第1コンポーネント部分(5)は、本質的に回転対称的な外側輪郭を有し、特に、おおよそリング状に具現化されることを特徴とする、項目12から18の一項に記載の方法。
【0080】
20.900℃よりも高い融解温度を有する1つの母材または複数の母材のコンポーネント(7)を接合するための、特に、鋼、好ましくは構造用鋼のコンポーネント(7)を、摩擦攪拌溶接によって接合するための方法であって、項目1から11の一項に記載の摩擦攪拌溶接ツール(1)が用いられることを特徴とする、方法。
【0081】
21.コンポーネント(7)は、管状に具現化されることを特徴とする、項目20に記載の方法。
【0082】
22.コンポーネント(7)は、10mmよりも大きい壁厚(10)を有することを特徴とする、項目20または21に記載の方法。
【国際調査報告】