(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-17
(54)【発明の名称】自動化された車両を試験する装置及び方法
(51)【国際特許分類】
G01M 17/00 20060101AFI20230410BHJP
【FI】
G01M17/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022552535
(86)(22)【出願日】2021-03-03
(85)【翻訳文提出日】2022-10-26
(86)【国際出願番号】 US2021020643
(87)【国際公開番号】W WO2021178516
(87)【国際公開日】2021-09-10
(32)【優先日】2020-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517196535
【氏名又は名称】ホリバ インスツルメンツ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】HORIBA Instruments Incorporated
【住所又は居所原語表記】9755 RESEARCH DRIVE IRVINE, CALIFORNIA UNITED STATES 92618
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ブルトン,レオ アルフォンス ゲラルト
(57)【要約】
プロセッサは、第1ローカル基準フレームとの関係において1つ又は複数の物体を記述する場所又はモーションデータの組に応答して、場所又はモーションデータの組とグローバル基準フレームとの関係における場所又はモーションデータの変換された組が同一になるように、第1ローカル基準フレームとは異なる第2ローカル基準フレームとの関係において1つ又は複数の物体を記述する場所又はモーションデータの変換された組を生成している。また、プロセッサは、車両がそれに応答して制御動作を実行するように、場所又はモーションデータの変換された組を車両に出力している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両試験装置であって、
プロセッサを有し、
前記プロセッサは、
(i)第1ローカル基準フレームとの関係において1つ又は複数の物体を記述する場所又はモーションデータの組に応答して、前記場所又はモーションデータの組とグローバル基準フレームとの関係における前記場所又はモーションデータの変換された組が同一になるように、試験車両信号、ダイナモメータ速度フィードバック信号、操向角度信号、又はGPSヘッディング信号に基づいて前記第1ローカル基準フレームとは異なる第2ローカル基準フレームとの関係において前記1つ又は複数の物体を記述する場所又はモーションデータの変換された組を生成し、且つ、
(ii)前記車両がそれに応答して制御動作を実行するように、前記場所又はモーションデータの変換された組を車両に出力する、
ようにプログラミングされている、車両試験装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、1つ又は複数の車両センサの出力から前記場所又はモーションデータの組を導出するように、且つ、車両速度信号又はGPS信号に基づいて外部基準フレーム内の前記試験車両の対応する場所又はモーションを記録するように、更にプログラミングされている請求項1に記載の車両試験装置。
【請求項3】
車両試験装置であって、
プロセッサを有し、
前記プロセッサは、
(i)現実の又はシミュレートされたルートを横断するための車両の持続時間の複数のインスタントのそれぞれごとに、前記複数のインスタントのそれぞれごとに、物体のスケジュールされた位置及び前記物体の実際の時間的位置が、前記インスタントにおける前記ルートに沿った前記スケジュールされた場所及び前記インスタントにおける前記ルートに沿った前記車両の時間的場所とは無関係に、グローバル基準フレームとの関係において同一となるように、前記インスタントにおいて前記ルートに沿って前記車両の前記時間的場所を定義するデータ及び前記インスタントにおいて前記ルートに沿って前記スケジュールされた場所を定義するデータに基づいて、前記インスタントにおいて前記ルートに沿ったスケジュールされた場所に対してローカルである基準フレームとの関係における物体のスケジュールされた位置を定義するデータを前記車両に対してローカルである基準フレームとの関係における前記物体の実際の時間的位置を定義するデータに変換するように、且つ、(ii)前記車両がそれに応答して制御動作を実行するように、前記複数のインスタントのそれぞれごとに、前記物体の前記実際の時間的位置を定義する前記データを前記車両に出力するように、
プログラミングされている、車両試験装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、1つ又は複数の車両センサからの出力に基づいて前記物体の前記スケジュールされた位置に対応する且つ車両速度信号又はGPS信号に基づいて外部基準フレーム内の前記車両の場所又はモーションに対応するデータを記録するように更にプログラミングされている請求項3に記載の車両試験装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、(a)前記複数のインスタントのそれぞれごとに、前記物体の前記スケジュールされた速度及び前記物体の実際の時間的速度が、前記インスタントにおける前記ルートに沿った前記スケジュールされた場所及びヘッディング及び前記インスタントにおける前記ルートに沿った前記車両の前記時間的場所及びヘッディングとは無関係に、グローバル基準フレームとの関係において同一となるように、前記インスタントにおける前記ルートに沿った前記車両の前記時間的場所を定義する前記データ、前記インスタントにおける前記ルートに沿った前記車両の時間的ヘッディングを定義するデータ、前記インスタントにおける前記ルートに沿った前記スケジュールされた場所を定義する前記データ、及び前記インスタントにおける前記ルートに沿ったスケジュールされたヘッディングを定義するデータに基づいて、前記複数のインスタントのそれぞれごとに、前記インスタントにおける前記スケジュールされた場所に対してローカルである前記基準フレームとの関係において前記物体のスケジュールされた速度を定義するデータを前記車両に対してローカルである前記基準フレームとの関係において前記物体の実際の時間的速度を定義するデータに変換するように、且つ、(b)前記車両がそれに応答して制御動作を実行するように、前記複数のインスタントのそれぞれごとに、前記物体の前記実際の時間的速度を定義する前記データを前記車両に出力するように、更にプログラミングされている請求項3に記載の車両試験装置。
【請求項6】
前記スケジュールされた位置及びスケジュールされた場所は、道路上の運転サイクルの際に収集されたセンサデータによって定義されている請求項3に記載の車両試験装置。
【請求項7】
前記車両は、ダイナモメータを有するように動作自在に構成されており、且つ、前記車両に対してローカルである前記基準フレームは、前記ダイナモメータ又は車両からの速度データによって定義されている請求項3に記載の車両試験装置。
【請求項8】
車両用の試験方法であって、
物体のスケジュールされた位置及び時間的に対応する前記物体の実際の時間的位置が、ルートに沿った前記スケジュールされた場所及び前記ルートに沿った前記車両の時間的場所とは無関係に、グローバル基準フレームとの関係において同一となるように、前記ルートに沿った前記車両の前記時間的場所を定義するデータ及び前記ルートに沿った前記スケジュールされた場所を定義するデータに基づいて、現実の又はシミュレートされたルートに沿った前記スケジュールされた場所に対してローカルである基準フレームとの関係において前記物体のスケジュールされた位置を定義するデータを前記車両に対してローカルである基準フレームとの関係において前記物体の実際の時間的位置を定義するデータに変換することと、
前記車両がそれに応答して制御動作を実行するように、前記物体の前記実際の時間的位置を定義する前記データを前記車両に出力することと、
を有する試験方法。
【請求項9】
(a)前記物体の前記スケジュールされた速度及び時間的に対応する前記物体の実際の時間的速度のペアが、前記ルートに沿った前記スケジュールされた場所及びヘッディング及び前記ルートに沿った前記時間的場所及びヘッディングとは無関係に、グローバル基準フレームとの関係において同一となるように、前記ルートに沿った前記車両の前記時間的場所を定義する前記データ、前記ルートに沿った前記車両の時間的ヘッディングを定義するデータ、前記ルートに沿った前記スケジュールされた場所を定義する前記データ、及び前記ルートに沿ったスケジュールされたヘッディングを定義するデータに基づいて、前記スケジュールされた場所に対してローカルである前記基準フレームとの関係において前記物体のスケジュールされた速度を定義するデータを前記車両に対してローカルである前記基準フレームとの関係において前記物体の実際の時間的速度を定義するデータに変換することと、
(b)前記車両がそれに応答して制御動作を実行するように、前記物体の前記実際の時間的速度を定義する前記データを前記車両に出力することと、
を更に有する請求項8に記載の試験方法。
【請求項10】
道路上の運転サイクルにおいて、前記スケジュールされた位置及びスケジュールされた場所を定義するセンサデータを収集することを更に有する請求項8に記載の試験方法。
【請求項11】
前記車両は、ダイナモメータを備えて動作自在に構成されており、且つ、前記車両に対してローカルである前記基準フレームは、前記ダイナモメータ又は車両からの速度データによって定義されている請求項8に記載の試験方法。
【請求項12】
ダイナモメータ又は道路又はトラック上で車両又は前記車両の一部分の操作と連携して試験するための車両縦速度制御システム物体及びターゲットシミュレータであって、
データを受け取るための車両データバス入力チャネルと、
受け取られたデータを保存及び処理するプロセッサと、
データを前記車両に出力する車両データバス出力チャネルと、
物体速度又は場所を保存するメモリストレージと、
を有し、
前記入力チャネルは、車両通信バスに接続し、且つ、車両縦速度制御システムによって検知された少なくとも物体データを有する車両データ及び車両速度、場所、又は移動距離データを受け取り、第1試験の際に、前記車両データは、物体場所スケジュールを確立するためにプロセッサによって処理され、後続の試験の際に、前記プロセッサは、相関された物体セットを定義するために、車両速度又は導出された移動距離に基づいたシミュレートされたルートに沿った前記車両のシミュレートされた車両場所又は導出されたシミュレートされた場所を時間又は場所に基づいた前記物体場所スケジュールと相関させ、変換された相関された物体セットを定義するために車両速度、場所、又は移動距離履歴に基づいて前記相関された物体セットを変換し、入力データストリームを有する前記物体データを識別し、変換されたデータストリームを定義するために前記物体データを前記変換された相関された物体データセットによって置換し、且つ、前記変換されたデータストリームを前記出力チャネルに出力し、且つ、前記出力チャネルは、前記車両通信バスに接続している、車両縦速度制御システム物体及びターゲットシミュレータ。
【請求項13】
GPSヘッディング又は車両操向角度信号を前記プロセッサまで搬送する第2入力チャネルを更に有し、前記プロセッサは、前記第2入力チャネルデータに基づいて前記相関された物体セットを更に変換している請求項12に記載の車両縦速度制御システム物体及びターゲットシミュレータ。
【請求項14】
自律型車両又はパワートレーンを較正する試験方法であって、
ダイナモメータ上における自律型車両又は自律型車両の一部分の試験の際に、前記自律型車両が変換されたスケジュールに基づいてモーションを制御するように、少なくとも1つの物体の場所の前記変換されたスケジュールを前記自律型車両に調節して提供又はシミュレートすることを有し、物体場所の第1スケジュール及び車両モーションパラメータ又は車両制御パラメータの第2スケジュールは、以前の現実世界試験の際に記録されており、或いは、現実世界車両試験シナリオのシミュレーションのために生成されており、且つ、前記変換されたスケジュールは、前記第1スケジュール及び前記第2スケジュールを含むモーションパラメータ又は車両制御パラメータの差及びダイナモメータ又はダイナモメータ上において動作する車両からの少なくとも1つのフィードバックパラメータに基づいている、試験方法。
【請求項15】
前記モーションパラメータの差は、前記第2スケジュールのレコーディング又は生成後の縦速度制御システム較正パラメータ又はパワートレーン較正パラメータへの変更に起因する請求項14に記載の試験方法。
【請求項16】
試験方法であって、
縦速度制御が道路運転の際の第1車両上の設定点に伴って有効である第1試験の際に、負荷スケジュールを定義するために現実世界動的パワートレーントルク又は車両トルク要求を通知する車両パラメータの値を記録し、且つ、速度スケジュールを定義するために車両速度又はエンジン速度を記録すること、並びに、
縦速度制御がダイナモメータ上において起動停止されている第2車両又は前記第2車両の一部分の第2試験の際に、(i)前記負荷スケジュールに従って燃料インジェクタ、インテークマニホルド圧力、モーターコントローラ、又はスロットル弁、並びに、(ii)前記ダイナモメータが、前記第2車両のパワートレーン又は前記第2車両の一部分が実験室動的パワートレーントルクを生成するようにする動的トルクを適用するように前記速度スケジュールに従って前記ダイナモメータを調製して制御し、且つ、実験室動的トルク、前記第2車両からの排気ガス放出、又は前記第2車両のエネルギー消費の履歴を定義する値を記録すること、或いは、
縦速度制御がダイナモメータ上において有効である第2車両又は前記第2車両の一部分の第2試験の際に、且つ、前記第1試験からの前記設定点を使用することにより、前記第2車両の縦速度制御システムからの少なくともターゲットデータを有する車両データストリームをインターセプトし、入力データストリームを有する物体データを識別し、前記物体データを相関された且つ変換された物体セットデータによって置換し、結果的に得られたデータストリームを出力チャネルに出力し、且つ、実験室動的トルク、前記第2車両からの排気ガス放出、又は前記第2車両のエネルギー消費の履歴を定義する値を記録すること、
を有する方法。
【請求項17】
前記相関及び変換された物体セットデータと関連する相関及び変換は、時間に基づいている請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記相関及び変換された物体セットデータと関連する相関は、時間に基づいており、且つ、前記相関及び変換された物体セットデータと関連する変換は、前記ダイナモメータ上において移動した距離に基づいている請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記第2車両は、前記第1車両である請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本出願は、2020年3月3日付けで出願された米国仮特許出願第62/984,683号の利益を主張するものであり、この特許文献の開示内容は、引用により、そのすべてが本明細書において包含される。
【0002】
本開示は、自律型車両制御システムの較正と、ホスト車両のエネルギー効率に対するその影響及び自律型車両制御システムを有する内燃機関車両の排気ガス放出に対するその影響の計測と、に関する。更に詳しくは、本出願は、実験室試験に基づいてハイブリッド電気車両(HEV)を含む内燃機関(ICE)を有する自動車からの現実世界ガス放出及び電池電気車両(BEV)を含む自律型縦速度制御又は制動特徴を保有する任意の自動車タイプの現実世界エネルギー効率及び自動制動応答を特徴付けることに関する。
【背景技術】
【0003】
背景
最近の自動車は、地球上において見出される環境、道路勾配、運転状態のほとんどすべての組合せの下において確実に動作することができる。このような車両は、世界のすべてを通じて一般的であり、且つ、0℃を十分に下回るものから40°超までの範囲の周辺温度において、乾燥した砂漠状態から多湿の雨林まで、且つ、渋滞した低速の都市交通からドイツのアウトバーン上の高速度動作まで、一様に且つ確実に動作している。
【0004】
多数の自動車を保有する多くの国々は、自動車製造者が遵守しなければならない排気ガス放出又は車両効率規格を有する。但し、経験は、現実世界における車両の放出、燃費、又はエネルギー効率に影響を及ぼすことが既知である広範な範囲の現実世界環境、道路、及び運転状態の下において車両を試験することが困難であり且つ費用を所要することを示している。そして、HEVのエネルギー効率及び一回の充電当たりのBEVのマイレージ距離は、相対的に低い周辺温度において減少することが周知である。
【0005】
実験室に基づいたテールパイプ放出及びエネルギー効率試験は、これまで、限られた範囲の周辺状態、車両速度スケジュール、及び運転状態の下において実行されている。世界中の車両の数が近年において劇的に増大していることから、且つ、車両が益々コンピュータ制御されたものになっていることから、国家環境大気質基準(NAAQ)規格が「実現エリア」内において充足されることを継続し得るように且つ現時点の「非実現エリア」内において最終的に充足され得るように、政府及び自動車製造者が、相対的に広い範囲の動作状態に跨って車両の放出について相対的に良好に理解するこが必要になっている。また、車両製造者が相対的に広い範囲の周辺及び動作条件に跨って車両放出制御及びパワートレーン較正に対する潜在的な変更の効果を評価し得ることも必要になっている。
【0006】
車両の「現実世界」放出の研究及び理解と関連する困難は、例えば、縦速度制御又は適応型クルーズ制御(ACC)を有するものなどの自律型車両及び半自律型車両のケースにおいて更に複雑なものになっている。その理由は、実験室のダイナモメータが車両に対する現実的な現実世界負荷印加を提供している状態において、現実世界において速度を制御するのと同一の方法で縦速度制御がその速度を自律的に制御するように縦速度制御を有する車両を動作させる方法が判明していないからである。このようにして実験室において車両を動作させ得ることは、縦速度制御較正に対して又は車両のパワートレーン較正に対して実施される変更の影響を評価するために特に有用となり、且つ、本明細書における議論の主題である。
【0007】
実験室の試験方法は、実際の試験条件下における放出及び効率計測について非常に正確であり且つ反復可能であることが知られているが、現実世界の運転は、従来の実験室試験プロトコルがそうはならない相対的に広い範囲の条件に対して車両を晒す可能性がある。その理由としては、現実世界の温度及び大気圧状態の完全な範囲を実験室内においてシミュレートすることの難しさ、実際の交通条件下における現実世界の運転者振る舞いの影響、などを含む、多くのものが存在している。
【0008】
現時点においては、車両がその他の車両と自律的にやり取りしている間に排気放出、燃費、又は車両効率を計測するために、実験室環境内において自律的に制御された車両を「ブラインド試験」することは不可能である(ブラインド試験は、評価対象である変更を除いて、主題車両に対する変更が許容されていないことを必要としており、且つ、車両制御システムの詳細な技術的知識は必要とされていない)。但し、自律的な特徴は、特に、車両パワートレーンが、従来の運転者制御下における類似の現実世界運転のために利用されることになる較正との比較において異なる較正を利用するように変化した場合には、大部分の車両における放出及びエネルギー効率に影響を及ぼす可能性が高い。
【0009】
車両及び自律型システムの開発者によって保有されている技術的知識の深さに伴って、現実世界交通におけるその他の競合する車両が、現実世界におけるシステムの動作に関するある程度のコンフィデンスを取得するために、自動化された車両制御システムに対して有する効果を隔離及びシミュレートすることが可能であり得るが、このタイプの試験は、現実世界におけるものと同一の方式で完全な車両システム振る舞いを実証してはいない。完全な車両システム試験は、実験室の結果が現実世界の性能を正確且つ十分に反映することの最高レベルのコンフィデンスを提供することになり、且つ、車両の特定の型式及びモデルに関する詳細な技術的情報に対する定期的なアクセスを有していない規制する側の人々にとって適切且つ適当なものとなろう。そして、車両の放出、効率、及び燃費特性は、自動化された縦制御の利用に伴って劣化され得る可能性がある一方で、その改善のためのシステムを利用することも可能である。但し、これらの目標を実現するには、自動車製造者及び規制する側の人々の両方のために試験精度及び代表性を極大化するために、十分に制御された実験室に基づいた試験装置及び関連する方法が必要とされている。
【0010】
放出又はエネルギー効率の準拠を目的とした従来の実験室試験は、通常、ダイナモメータ上において1つ又は複数の車両速度スケジュールにおいて動作する主題車両の排気放出又はエネルギー効率を計測することを含む。様々な車両速度スケジュールは、様々なタイプの現実世界車両動作を表すことを意図している。例えば、環境保護庁(EPA)は、都市動作、ハイウェイ動作、及び相対的に過激な車両動作を表すための異なる速度スケジュールを利用している。それぞれのケースにおいて、車両は、運転者により、対応する速度スケジュールに可能な限り近接した状態において動作させられている。但し、相対的に新しい車両モデルは、自律的で動的な縦速度制御を益々増大する数において便利な特徴として利用している。これらの特徴は、渋滞した都市交通からハイウェイ動作までの範囲の任意の動作条件下において安全な車両の分離を自動的に維持することによって真に便利であることから、且つ、技術のコストが迅速に低下しつつあることから、将来においては、ほとんどの車両において自律型速度制御特徴が見出される且つ使用される可能性が高い。そして、これらは、将来の完全に自律的な車両の主要技術の1つであることを継続する可能性が高い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
但し、自律型車両速度制御の利用可能性及び使用が成長を継続することに伴って、実験室環境において、特に、ダイナモメータを使用した特定の車両速度スケジュールにおける主題車両の動作に基づいた従来の試験方式において、このような車両を試験する方法が未だ判明してはいない。その独自の速度をほとんどの時間において制御している車両の場合に、標準的な車両速度スケジュールが将来において使用されることになるかどうかが判明してはいない。例えば、速度スケジュールは、主題車両が、それぞれのケースにおいて「交通の速度」において移動するリーディング車両の速度に応答して後続するように強制されている速度として単純に解釈される場合もあり、或いは、この代わりに、「交通の速度」自体(主題車両が埋め込まれている且つ後続しなければならない交通)として解釈される場合もある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
概要
本明細書において、特定の実施形態は、適宜、任意の縦制御された車両モデルについて、任意のルート上において、且つ、対象の周辺条件の任意の組において、ICE車両のケースにおける正確且つ反復可能な排気ガスマス放出計測及び任意の車両タイプのエネルギー効率計測及び自動制動アクション-現実世界のエネルギー効率及びテールパイプ放出を表す計測及びアクション-を取得するために自律型車両又は自律型縦速度又は加速度制御を有する車両の実験室試験を実施することに関し得る。これらの実施形態は、放出及びエネルギー効率への影響及び自律型縦制御車両機能の自動又は緊急事態制動アクションが正確に判定されることを許容するための装置及び方法を提供している。更には、制御された環境において現実世界の交通イベントをシミュレート又は複製することにより、放出、エネルギー効率、及び安全システム性能を較正、評価、及び改善することができる。
【0013】
更に詳しくは、特定の実施形態は、交通及び物体の存在を表す適切な車両データバス信号の生成によってその他の車両の交通及び道端の物体をシミュレートする、車両のセンサに基づいて物体のビューを表す実際のデータバス信号をインターセプト及び除去する、且つ、生成された信号をオリジナルの信号の代わりにデータバス上に「注入」又は置換する、装置に関する。生成された信号は、必ずしも、現実世界の基礎又は起源を有する必要はないが、いくつかの目的のためには、生成された信号が、実験室においてシミュレートされる対象の以前の道路運転の際に信号を記録することによって得られた現実世界データバス信号から導出されていることが有利である。
【0014】
後者のケースにおいては、縦速度制御を有する車両は、速度制御センサによって検出されている物体の車両速度及び相対場所又はモーションが車両データバスから記録されている状態において、現実世界内の望ましいルートに沿って動作させられている。次いで、車両又はパワートレーンは、実験室内に又は指定された試験ルート又はトラック上に移動され、且つ、縦速度制御が作動した状態において動作させられている。試験が実験室において実施されている場合には、車両は、ダイナモメータとの関連において動作させられることになる。すべてのケースにおいて、物体検出又はモーションを含む車両データバス信号は、除去され、且つ、現実世界の車両速度とシミュレートされた車両速度履歴の間の差に基づいて「変換」されたデータバス信号によって置換されている。「変換」された信号は、現実世界速度がシミュレートされたもの又は試験の際の速度と同一であった場合に同一の物体が保有するべく見出されたであろう相対的な場所及びモーションを表している。この結果、縦速度制御及びパワートレーン較正を有する車両は、試験の間において変化し、これは、不可避に車両の速度に対して影響を及ぼし、これは、正確に同一の交通シナリオを再生成する必要性なしに、且つ、それぞれの試験ごとに現実世界に戻ることなしに、再試験することが可能であり、且つ、直接的に比較することができる。
【0015】
車両速度センサ又はダイナモメータフィードバックに基づいて予め検出された物体の相対的な場所及びモーションを変換する、車両からの関係するデータバス信号をインターセプトし且つ除去する、且つ、データバス信号をその場所において変換された置換する、装置が開示されている。
【0016】
また、例えば、検出された物体の組の場所又はモーションを現実世界などの1つの基準フレームから、例えば、実験室ダイナモメータ又は試験トラックシミュレーションなどの別の基準フレームへ変換する方法も開示されている。物体は、静的なもの、動的なもの、又はこれらの両方の組合せであってよい。
【0017】
また、実験室ダイナモメータ又は道路又は試験トラックとの関連において、且つ、車両又はダイナモメータからの速度フィードバックに基づいた変換された又はシミュレートされた物体場所又はモーションに基づいて、自動化された縦速度制御を有する車両を試験する試験方法も開示されている。
【0018】
携帯型の放出計測システム(PEMS)の放出データ又はエネルギー消費が任意選択によって現実世界の運転を含むその試験方法のために収集された場合には、受け入れ可能な範囲内の合意を保証するために、PEMSデータを同一の状態によって実施された実験室又はその他の試験シミュレーションの際に収集された対応する放出又はエネルギー効率データと直接的に比較することができる。この任意選択の「検証」プロセスは、実験室又はシミュレーション試験及び現実世界計測の両方が、いずれも、正しく且つ再現可能であるという高い程度のコンフィデンスを実証するように機能している。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図面の簡単な説明
【
図1】車両の以前の現実世界の運転から記録された又は試験用のシミュレートされたシナリオとして生成された相対的な現実世界物体検出場所の視野スケジュールの描画である。
【
図2】車両を試験するための現実世界運転データを記録、保存、変換、及び送信する装置を示す。
【
図3】現実世界において道路上において動作している縦速度制御を有する車両を示す。動作の際に、縦速度制御センサからの車両速度及び物体検出のデータバス信号が記録されている。また、天候情報も、オンボード天候ステーションによって記録されている。
【
図4】車両負荷及び天候状態がシミュレートされている状態において実験室内において試験されている車両を示す。また、オリジナルの信号の代わりに「変換」された相対的な物体場所信号を車両データバス上に置換する装置も示されている。
【
図5】実験室試験において置換された変換された相対物体場所及びモーションの、これらが導出された現実世界相対物体場所との比較における視野描画である。
【
図6】シミュレートされた車両場所における静的物体データベース場所データを変換された動的物体又はターゲットデータベースデータと組み合わせるプロセスを示しており、同一のシミュレートされた車両場所から観察されたものである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
詳細な説明
本明細書には、本発明の様々な実施形態について記述されている。但し、開示されている実施形態は、例示を目的としたものに過ぎず、且つ、その他の実施形態は、明示的に図示又は記述されてはいない様々な且つ代替の形態を有することができる。図は、必ずしも縮尺が正確ではなく、いくつかの特徴は、特定のコンポーネントの詳細を示すために誇張又は極小化されている場合がある。従って、本明細書において開示されている特定の構造的且つ機能的な詳細は、限定として解釈してはならず、本発明を様々に利用するように当業者に教示するための代表的な基礎としてのみ解釈されたい。当業者は、図の任意のものを参照して図示及び記述されている様々な特徴が、明示的に図示又は記述されていない実施形態を生成するために、1つ又は複数のその他の図において示されている特徴と組み合わせられ得ることを理解するであろう。図示されている特徴の組合せは、代表的な用途用の代表的な実施形態を提供している。但し、特定の用途又は実装形態の場合には、本開示の教示と一貫性を有する特徴の様々な組合せ及び変更が望ましい場合がある。
【0021】
図1は、縦速度制御センサによって検出された且つ従来の現実世界車両試験から記録された又は実験室内において車両を試験するためのシミュレートされたシナリオとして生成された現実世界物体の組の相対的な場所の視野(FOV)時間スケジュールの描画である。時間列70は、例示を目的として、3つの連続的な試験時間ステップt=t
n71、t=t
n+172、t=t
n+273、及び最終時間ステップt=t
f74を示している。
【0022】
ベースFOV列76は、それぞれ、その関連する時間ステップt=tn71、t=tn+172、t=tn+273、及びt=tf74において車両の縦速度制御システムによって検出された又はそのようにシミュレートされた物体の組78、80、82、84を示す例示用のFOVプロットを示している。それぞれのFOVプロット内の物体には、例えば、時間ステップt=tn+273などのように、参照のために付番されており、対応するFOVプロット82は、車両の前面において配置された6つの検出された物体の組86を示している。
【0023】
更には、それぞれの時間ステップ71、72、73、74及びそれぞれの関連付けられたFOVプロット78、80、82、84と関連付けられているのは、車両速度アレイ88、90、92、94であり、これらは、それぞれ、検討対象の試験時間までの試験時間と関連付けられた全体車両速度履歴を有する。例えば、車両の前面において配置された6つの検出された物体86の組を示す対応するt=tn+2FOVプロット82を有する時間ステップt=tn+273において、図は、これらの時間と関連付けられた車両速度の完全な組又はスケジュールを有する関連付けられた車両速度アレイ[vn...vn+2]92を示している。
【0024】
例示を目的として、t=tnFOVプロット78は、車両縦速度制御システムによって検出された4つの物体を示しており、これらは、図示のように1~4と付番されている。t=tn+1FOVプロット80及びt=tn+2FOVプロット82を示す後続のシーケンシャルな時間ステップにおいては、5つの物体及び6つの物体が、それぞれ、検出され、且つ、これも、図示のように、1~5及び1~6として付番されている。時間ステップはシーケンシャルであることから、且つ、これらが時間的に近接状態において離隔していると仮定することにより、互いに対する且つ車両に対する物体1~4のほとんど静的な場所に起因して、物体1~4は、恐らくは、すべての3つのFOV内において同一の物体である一方で、物体5及び6は、恐らくは、それぞれ、時間ステップt=tn+1及びt=tn+2において新たに検出された物体である。t=tfのFOV84において示されている物体1~2は、多量の時間が試験において経過した場合には、特に、車両が車道レーンの変化を示した場合には、まったく異なる物体であり得る。
【0025】
図1に描かれた時間ステップの進捗及び関連するFOV及び車両速度アレイは、有効な縦速度制御を有する試験車両から、現実世界の道路運転の際に、且つ、常に「後続」の試験車両の速度を限定する「リーディング車両」の背後を後続することにより、記録され得るFOV及び速度データを表している。縦速度制御システムの運転者制御設定は、現在の車両において共通的に見出されるように、速度設定点及び異なる後続距離設定又は較正の選択肢を含むことができる。そして、縦速度制御システムは、運転者が通常の状況下においては変更し得ない「ベース較正」又は別の事前に設定された較正との関連において動作していてもよい。
【0026】
運転者が製造車両上において後続距離設定を変更する必要がある場合に、或いは、車両製造者が車両開発プロセスにおいて縦速度制御システム較正又はパワートレーン較正を変更する必要がある場合には、結果は、恐らくは、設定点速度を実現及び維持することにおける、或いは、道路運転の際に遭遇する任意のリーディング車両の背後において車両速度の関数として特定の後続距離を維持するように車両が「積極的」に又は正確に試みる方式における試験車両の性能又は応答性における、なんらかの変化となろう。例えば、車両製造者は、(内燃機関パワートレーンのケースにおける)改善された燃費又は(BEVのケースにおける)エネルギー効率を目的として、リーディング車両の速度の変化に対する、或いは、試験車両によって経験される道路勾配の変化に対する、相対的に乏しく積極的な応答を所望する場合がある。従って、ICEを装備した車両の排気放出及び燃費に対する変更された較正の効果及びBEVのエネルギー効率に対する効果を判定するために実験室試験を実行することにより、車両製造者が、パワートレーン及び縦速度制御システムの両方用の「トライアル較正」を評価することができることが有利である。
【0027】
時間に伴う現実世界交通状態及び道端の物体場所の固定された組の場合に、上述のように、わずかに異なる車両パワートレーン又は縦速度制御システム較正(即ち、「トライアル較正」の利用)は、第1時間ステップt
n71の後のすべての時間ステップにおける「ベース較正」と関連するものと比較された場合に異なっている関連するFOV及び車両速度アレイの現実世界運転時間ステップレコーディングを結果的にもたらすことになろう。
図1は、この振る舞いの一例を示している。初期時間ステップt
nにおいて、異なる較正を有する車両によって示されるモーションの任意の差の前において、図示のように、関連付けられたベース較正FOV78とトライアル較正FOV96は、同一であり、且つ、車両速度アレイ[v
n]78及び[v’
n]100は、同一である。但し、これらは、後続の時間ステップにおいては、異なっている。例えば、v
n+1>v’
n+1であり、且つ、v
n+1>約v’
n+1である場合には、時間ステップt
n+1のベースFOV80は、恐らくは、トライアル較正FOV97と同一の物体を示すことになるが、これらは、図示のように、わずかに相対的に近接した有利な地点から観察されるものとして出現することになろう。類似の理由付けは、図示されている後続の時間ステップFOVの間の差を説明している。
【0028】
時間調整されたベース較正車両速度履歴[vn...vf]94とトライアル較正車両速度履歴[v’n...v’f]99の間の差の算出は、トライアル較正FOV96、97、98、99が記録されているベース較正FOV78、80、82、84の単純な幾何学的変換によって導出されることを許容している。同一の1次元の通路に沿った移動の場合に、時間の任意のインスタンスtnにおける速度履歴アレイ[v1...vn]と関連付けられた実際の場所dと速度履歴アレイ[v’1...v’n]と関連付けられたシミュレートされた場所d’の間の差は、小さな時間ステップの場合には、以下の式により、付与されており、
d-d’=[v1...vn]dot{[t1...-tn]-[t0...-tn-1]}
この値は、例えば、ACCシステム物体検出ロギング又は仮想的に生成されたシミュレートされた物体場所及びモーションを伴う現実世界運転の際に相対的物体場所及びモーションのデータベースを生成するために使用される実際の又はシミュレートされた試験車両(ベース車両)との関係におけるシミュレートされた車両の場所の小さな変化を表している。ベース車両との関係におけるシミュレートされた車両の場所の差は、物体場所が任意の所与の時間ステップについて変換されなければならない理由である。変換プロセスについては、詳細に後述することとする。
【0029】
図2は、ベース較正との比較において、且つ、車両パワートレーン上の現実世界負荷をシミュレートするためのシャーシ、エンジン、又はパワートレーンダイナモメータとの関連において、車両のトライアルパワートレーン及び縦速度制御システム較正の放出及び燃費又はエネルギー効率への影響を評価する際に使用されるFOVシミュレーション装置110を示している。
【0030】
FOVシミュレーション装置又はFOVシミュレータ110は、エンクロージャ116、プロセッサ112,メモリストレージ114、動作モードを選択するためのスイッチ152、12ボルト電源144、並びに、車両データバスからデータを受け取るための、データを車両縦速度制御システムと関連する車両データバスに送信するための、或いは、データをコンピュータとの間において伝達及び転送するための、様々な外部データケーブルを有する。個々のコンポーネントの機能については、更に詳しく後述することとする。
【0031】
メモリモジュール114は、車両縦速度制御システムターゲット物体識別バスメッセージ識別子及び関連するメッセージ構造を保存するためのターゲットIDデータベースメモリ148と、検出された物体の取得された又はシミュレートされた時間又は場所に基づいた車両縦速度制御システムセットを保存するためのFOVフレームメモリ146と、FOVフレームメモリ146内において保存されているFOVフレームと相関された取得又はシミュレートされた車両速度を保存するための車両速度履歴メモリ150と、を有する。
【0032】
車両縦速度制御バス(VLSCB)ケーブル130は、一端においてFOVシミュレータコネクタ132へのVLSCBケーブルを使用することにより、且つ、他端においては物体出力データバスコネクタ136へのVLSCBケーブルを使用することにより、FOVシミュレータ110を検出された物体情報を提供する車両縦速度制御システムバスと接続している。また、VLSCBケーブの反対側端部には、物体入力データバスコネクタ140へのVLSCBケーブルが存在している。車両速度データメッセージは、車両から接続された速度データバスケーブル118により、車両データバスからFOVシミュレータ110まで搬送されており、反対側端部には、車両速度バスコネクタ122及び車両速度FOVシミュレータコネクタ120が存在している。
【0033】
試験対象の車両がダイナモメータとの関連において動作している際には、任意選択により、ダイナモメータからFOVシミュレータへ速度情報を搬送するためにダイナモメータコントローラ速度信号ケーブル124を使用することができる。或いは、ダイナモメータコントローラ速度信号ケーブル124は、ダイナモメータコントローラコネクタ128及びFOVシミュレータダイナモメータ速度コネクタ126を使用してダイナモメータコントローラ(図示されてはいない)に接続されている。この結果、ユーザーは、使用する速度信号を選択することができる。
【0034】
電源144は、スタンドアロン装置として機能し得るように12VDC電力をパワー入力ライン142上のFOVシミュレータ110に提供しており、且つ、コンピュータインターフェイスケーブル160は、コンピュータをコンピュータインターフェイスコネクタ164及びFOVシミュレータコンピュータコネクタ162と接続することによって外部コンピュータ(図示されてはいない)と通信するために使用されている。以下、FOVシミュレータ装置の例示用の使用法について説明することとする。
【0035】
まず、放出、燃費、又はエネルギー効率を試験(例えば、BEV)又は較正する対象の縦速度制御172を装備した車両が識別されている。FOVシミュレータが、ホストコンピュータに接続され、且つ、車両1タイプによって使用される車両固有のターゲット物体識別メッセージ識別子及びフォーマットの完全な組が、プロセッサ112により、FOVシミュレータ110にアップロードされ且つターゲットIDデータベース148内において保存されている。車両1によって使用されている車両固有の車両速度識別メッセージ識別子及びフォーマットが、類似の方式で、FOVシミュレータ110にアップロードされ且つターゲットIDデータベース148内において保存されている。外部コンピュータへの接続は、一端においてFOVシミュレータコンピュータコネクタ162を有し且つ反対側端部においてコンピュータインターフェイスコネクタ164を有するコンピュータインターフェイスケーブル160を使用して実施されている。現実世界において記録されたシナリオの代わりに仮想的な交通又はシミュレートされた運転シナリオを使用する必要がある場合には、シミュレートされたFOV物体検出フレーム及びその対応する車両速度及び関連するタイムスタンプが、それぞれ、FOVフレームメモリ146及び車両速度履歴メモリ150にアップロードされている。
【0036】
現実世界物体検出シナリオ及び交通状態を使用することが有利であり得るが、その理由は、定義により、それらが現実的であり且つ有意であるからである。そして、使用ケース又は「ワーストケース」シナリオは、現実世界動作に基づくことができる。このケースにおいては、スイッチ152は、オフ又は「0」位置に設定され、これにより、FOVシミュレータ110が、ターゲットIDデータベース148によって定義されているように車両1からすべてのFOV物体検出フレーム及び車両速度フレームを記録するようにしている。記録されたFOVフレームデータ及び車両速度履歴データ及び関連するタイムスタンプが、識別され、且つ、それぞれ、プロセッサ112により、FOVフレームメモリ146及び車両速度履歴メモリ150内において保存されている。
【0037】
図3を参照すれば、試験の目的に基づいて、望ましい任意の現実世界交通又は物体シナリオを実施しつつ、車両1を対象の任意のルート上において現実世界において運転することができる。また、任意選択により、例えば、ICE又はハイブリッド電気車両の放出及び燃費のケースにおいては、例えば、PEMS4を使用することにより、或いは、BEVのエネルギー効率のケースにおいては、電力使用量メータ(図示されてはいない)を使用することにより、車両放出及び燃費データ又はエネルギー効率データを取得及び保存することができる。大気圧、周辺空気温度、及び湿度を含むPEMS天候ステーションデータ30の継続的計測及び記録又は別の天候ステーション(図示されてはいない)の使用は、実験室内の運転を正確に複製及びシミュレートするために運転の際に収集するべき有利なデータである。
【0038】
図2を再度参照すれば、全体的な現実世界運転の際に、FOV物体検出フレームメッセージは、例えば、プロセッサ112により、VLSCBケーブル130上において受け取られた入力メッセージを保存されているターゲットIDデータベース148と比較することにより、識別されており、且つ、そのすべてがFOVフレームメモリ146内において保存されている。同様に、例えば、速度データバスケーブル118上において受け取られたものなどの車両速度メッセージも、関連する時刻と共に車両速度履歴メモリ150内において保存されている保存された車両速度メッセージフォーマットと比較することにより、識別されている。上述の装置との関係において、これは、スイッチ152を「0」位置において設定し且つ車両縦速度制御バス入力データライン170を車両縦速度制御バス出力データライン156に接続することにより、実現することができる。物体入力データバスコネクタ140が上述のように車両1に接続されている場合には、これは、物体出力データバスコネクタ136からのデータメッセージのすべてを搬送している。或いは、この代わりに、物体入力データバスコネクタ140は、VLSCBケーブル130が設置の際に繋ぎ合わされていない場合には、車両1から接続切断された状態に留まることができる。
【0039】
この結果、別個のコンピュータ又は現実世界運転から取得されたデータを使用することにより、即ち、上述の2つの選択肢のいずれかを踏襲することにより、FOVフレームメモリ146及び車両速度履歴メモリ150にシミュレーションシナリオが入力されているかどうかとは無関係に、FOVシミュレータ110は、現実世界運転用のデータのベースラインセット又は対象の交通シナリオをメモリストレージ114内において含むことになろう。
【0040】
以前の現実世界運転の際にデータのベースラインセットを記録するためにFOVシミュレータ110が使用されている場合には、天候ステーションによって予め記録された現実世界雰囲気状態に基づいてダイナモメータ負荷印加及びシミュレートされた雰囲気状態との関連において同一のデータを車両1に供給して戻すために、後からFOVシミュレータ110を使用することができる。これを実行することにより、現実世界運転の際のパワートレーンの以前の現実世界制御が実験室内において複製されている。或いは、この代わりに、シミュレートされた運転又はシミュレートされた運転シナリオ又は操作の際のパワートレーンの制御を実験室内において(或いは、トラック上において)生成することができる。
【0041】
図2及び
図4を参照すれば、試験又は較正対象の車両1又はパワートレーンが、通常の試験方式によってダイナモメータに結合されており、或いは、この代わりに、隔離された道路又は試験トラック上において試験することもできる。シャーシロール12を有するシャーシダイナモメータ10のケースにおいては、ダイナモメータを使用する適切な負荷印加は、エンジン、パワートレーン、及びシャーシダイナモメータ試験の技術分野において知られている既知のダイナモメータ負荷印加方法と一貫性を有する方式によって実現されている。現実世界雰囲気状態を複製することが望ましい場合には、現実世界において計測された値と試験セル50内の試験用に利用可能である雰囲気状態の間の雰囲気圧力、温度、及び湿度の任意の差に起因した空力抵抗の差について補正するために、当技術分野において既知のように、ダイナモメータによって適用される道路負荷を調節することができる。ICEを有する車両のケースにおいては、パワートレーンが現実世界において実行したように又は実行することになるように動作するようにするために、高度/温度/湿度シミュレータ57を使用することができる。資本集約的な代替肢は、環境的に制御されたチャンバ(図示されてはいない)内において封入された試験セル50を使用することにより、車両又はパワートレーン全体の雰囲気状態をシミュレートするというものである。
【0042】
例えば、ロール速度又は等価な車両速度信号などのダイナモメータ速度信号は、速度信号ケーブル124を使用してFOVシミュレータ110をダイナモメータコントローラに接続することにより、ダイナモメータコントローラ11からFOVシミュレータ110に入力されている。個々のセンサ又は車両縦速度制御システムによって識別されたセンサ融合型FOV物体を担持する車両データバスが配置されている(図示されてはいない)。VLSCBケーブル130は、一端においてFOVシミュレータ110に接続されており、且つ、繋ぎ合わされたバスのデータソース側における物体出力データベースバスコネクタ136へのVLSCBケーブル及び繋ぎ合わされたバスのデータ使用側における物体入力データバスコネクタ140へのVLSCBケーブルを使用することにより、双方向VLSCBケーブル130をバス内に繋ぎ合わせる又は接続することにより、検出された物体情報を提供する車両縦速度制御システムバス内に繋ぎ合わされている。この結果、静的試験環境において生成されたセンサに基づいたFOVデータをFOVシミュレータ110によってインターセプトすることが可能であり、且つ、FOVシミュレータ110により、ダイナモメータコントローラ速度信号の履歴と現実世界の又はシミュレートされたシナリオデータが予め入力された車両速度履歴メモリ150の間の差に基づいて、変換済みのFOVデータによって置換することができる。車両速度メッセージ(図示されてはいない)を搬送する車両データバスが、配置され、且つ、車両速度バスコネクタ122を使用する速度データバスケーブル118を使用してFOVシミュレータ110に接続されており、且つ、FOVシミュレータ110は、自身を車両からの12VDC電圧ソース又は独立した電源に接続することにより、電力供給されている。
【0043】
ダイナモメータ試験を開始する前に、スイッチ152は、「オン」又は「1」位置に設定され、これにより、FOVシミュレータ110が、ターゲットIDデータベース148によって定義されているように車両1からFOVシミュレータ110に入力されたすべてのFOV物体検出フレームを類似のメッセージによって置換するようにしており、この場合に、物体の相対的場所は、速度データバスケーブル118上の速度データフレーム入力の組内において含まれた車両速度履歴及びその相関するタイムスタンプの差に基づいてプロセッサ112(
図2)によって変換されている。正味の結果は、車両パワートレーンコントローラが車両縦速度制御システムセンサFOV又はフューズ融合型FOVに基づいて且つ試験の際の試験セル内の実際の雰囲気状態に基づいてパワートレーンを制御する代わりに、パワートレーンコントローラ制御が、それぞれ、予め記録された又は生成された現実世界FOV又はシミュレートされたFOVに基づいて、のみならず、予め記録された現実世界雰囲気状態に等しい又は異なる望ましい周辺試験状態をシミュレートするシミュレートされた雰囲気状態に基づいて、パワートレーンを制御するようにされるというものである。
【0044】
実験室又はトラック試験の目的が、従来の道路上の運転を複製することであるか又は従来の道路上の運転の際に使用された構成との比較においてパワートレーン又は縦速度制御システムに対する較正変更を評価することである場合には、縦速度制御システムの運転者制御設定が現実世界運転設定に対してマッチングされている。さもなければ、実験室又はトラック試験の目的に応じて、その他の試験値が使用されている。前者のケースにおいては、速度制御されたファン25、雰囲気シミュレータ57、又は試験セルを封入した天候制御型チャンバ、並びに、ダイナモメータコントローラのすべてが、FOVシミュレータメモリモジュール114内のタイムスタンプが付与されたデータとの関係において試験の開始に対応した状態に設定されている。試験シーケンスを開始するために、開始スイッチ(図示されてはいない)が押下されている。押下されたら、FOV及び車両速度データが、その関連するタイムタンプの順序においてメモリモジュール114からプロセッサ112によって取得されている。VLSCBケーブル130上においてFOVシミュレータ116によって受け取られたすべての到来するFOVフレームが、ターゲットIDデータベースメモリ148を参照してプロセッサ112によって識別されている。すべてのその他のメッセージが、FOVシミュレータにより、VLSCB出力ケーブル134上に即座に再ブロードキャストされている。
【0045】
FOVフレームは、単純に言葉どおりに再ブロードキャストされてはいない。順番に、且つ、そのタイムスタンプに従って同期化された状態において、メモリモジュール114から取得されたFOVフレームは、時間の進捗に伴って、ベース車両とシミュレートされた車両の間の場所の差(d-d’)を考慮するように変換されている。この場合にも、これらの場所の差は、現時点の試験時刻までのすべての瞬間的な車両速度差のすべてのものの蓄積された影響に起因している。これらは、以上において示されているように、車両速度履歴メモリ150内において保存されている時間対応ベース速度履歴及び速度信号ケーブル124又は車両データバスケーブル118上のシミュレートされた速度履歴入力を考慮することにより、算出されている。更に詳しくは、保存されているFOVフレーム内において含まれている検出された物体の相対的幾何学的場所は、試験ルートに沿った場所の差を考慮するように変換されている。次いで、置換用のデータフレームが、FOVシミュレータVLSCB出力ケーブル130上に且つ車両172にブロードキャストされ、これにより、シミュレーションの際に入力ケーブル138を介して車両172からのオリジナルデータフレームが置換されている。
【0046】
上述のベース車両の現実世界の又はシミュレートされた運転からのロギング(記録)されたデータの変換は、
図5において、且つ、方法論的には
図6において、更に詳細に視覚的に示されている。
【0047】
交通の制御において埋め込まれている自律型車両の重要なケース、即ち、自律型制御システムがその前方の且つその予想経路内のその他の車両の存在に起因して車両1の速度を能動的に制限しているケース、について、
図5は、現実世界運転の際に自律型車両制御システムによって識別及び記録された又はシミュレーションのために生成された物体及び/又はターゲットの組の場所を変換する一般的な方法を示している。例示を目的として、図示の場所B215にある際の、自律型車両制御システム個別センサからの、或いは、例えば、バーズアイFOVであるFOV
B209などのセンサ融合型バーズアイFOVからの、所定の時間のインスタンスにおける出力物体を有する物体シンボルの一般的な組207によって表された物体及び/又はターゲットの組を検討してみよう。描画の簡潔性を目的として、FOV
B209が、例えば、その他の近傍の車両の場所及び速度を示す内側の運動するターゲットFOV201と、例えば、限定を伴うことなしに、道路サイン及びガードレールを含む静的物体の場所を示す外側物体FOV217と、を有するものと仮定しよう。この単純化されたケースにおいては、図示のように、全般的な変換方法をグラフィカルに示すことが簡単である。
【0048】
図5は、以前の現実世界運転において又は仮想的な又はシミュレートされた運転において横断される場所A213及び場所B215という2つの例示用の車両場所を描いている。以前の現実世界の又はシミュレートされた道路運転の際に、車両1は、まず、バーズアイFOV
B209と関連する場所B215において到着する前にバーズアイFOV
A(その全体は示されていない)と関連する場所A213において配置されていた。それぞれの場所と関連する現実世界において記録された又はシミュレートされたパラメータが以下において定義されている。
場所A213:
バーズアイFOV
A(その全体は示されていない)は、静的物体FOV
sj225及びモバイル物体FOV
mj(図示されてはいない)、即ち、組み合わせられた静的且つ動的物体の相対的場所及び速度、を有しており、
t
rj221は、車両1が場所A213に到達する時刻であり、
d
rj223は、場所A213まで運転された累積距離であり、且つ、
φ
rj229は、場所A213における車両のヘッディングである。
場所B215:
バーズアイFOV
B209は、静的FOV
sj217及びモバイル物体FOV
mj201、即ち、組み合わせられた静的且つ動的物体の相対場所及び速度、を有しており、
t
ri233は、車両1が場所B215に到達する時刻であり、
d
ri235は、場所B215まで運転された累積距離であり、且つ、
φ
ri231は、場所B215における車両のヘッディングである。
場所A213対場所B215の場所の差と関連付けられた且つAvBと表記された算出及び定義された変数が以下において定義されている。
AvB:
ヘッディングの差θ241は、θ=φri-φrjによって付与され、
場所A213と場所B215の間の直線は、r243によって定義され、且つ、
場所A213と場所B215の間の実際のルート経路は、ΔS247として定義されている。
【0049】
現実世界運転が完了したら、或いは、現実世界シミュレーションが完了したら、上述の現実世界によって記録された又はシミュレーションのパラメータは、すべての物体及びターゲットのデータベース301(
図6)と、全体現実世界運転又はシミュレーションのために車両1自律型制御システムによって検出されたその速度又はモーションと、を有する。データベース301の物体のそれぞれが静的であるのか又は動的であるのかを問わず、ローカル基準フレームを参照して検出されている間に、それぞれの物体は、実際には、当業者によって容易に算出されるグローバル座標系との関係におけるなんらかの位置において同様に配置されていた。物体及びそのモーションが、それらが検知された際の車両1の場所及びヘッディングから、或いは、異なる又は仮定の車両1の場所から、観察されるかどうかとは無関係に、それらの場所及び時間における場所の変化は、任意のグローバル基準フレーム内において同一でなければならない。この事実は、自律型又は適応型クルーズ制御システムを有する任意の車両を試験するために、特に、自律型制御システムの較正に対する又はデータベース301を生成するために使用された同一の車両1のパワートレーンに対する変更又はシステムに実施されたその他の小さな変更を評価するために、有利に使用することができる。この背後の理由は、例えば、較正変更などの車両1の性能全体に対する小さな変更は、通常、相対的に小さな性能の変化と、車両1がリーディング車両の場所及び速度及び/又は運転者が選択可能な最大速度設定の同一の組合せによって常に制御されているケースにおいては、時間に伴う車両のグローバル場所の釣り合いの取れた方式による小さな変化と、を結果的にもたらすからである。
【0050】
現実世界の又はシミュレートされた道路運転の際に車両1の自律型システムによって且つローカル基準フレームを参照して検知又は観察された記録対象の物体の組の場所及び速度又はモーションは、当業者により、異なるグローバル場所及び座標系向きから物体の同一の組の異なるビューに変換することができる。例えば、第1自律型制御システム又はパワートレーン較正の下において動作している場所B215における車両1の自律型制御システムによって検知される記録対象の物体の場所及びモーションは、第1のものとは異なる第2の自律型制御システム又はパワートレーン較正の下において動作している場合には、同一の車両1の自律型制御システムが有することになるビューに容易に変換することが可能であり、且つ、これにより、性能差に起因して、同一のルート上において対応する又は等しい試験時刻において車両1の場所が場所Aになることを結果的にもたらしている。
【0051】
上述の変換は、次式として象徴的に記述することが可能であり、
【数1】
且つ、例えば、自律型制御システム又はパワートレーンに対する較正の変更に起因した場所の変化などのその予想された経路においてリーディング車両によって制限された且つ同一の運転者によって制御された自律型制御設定下において動作している自律的に制御された車両1の場所の小さな変化は、車両1のヘッディング及び場所の差を考慮するために同一の試験時刻におけるオリジナルの現実世界運転又はシミュレーションからのモバイル物体の視野を相対的に高度ではない実際の場所に変換することにより、構築することができることを意味しており、この場合に、視野FOVdは、同一のルート又は同一のシミュレートされたルートに沿った車両1の実際の場所において自律型システムセンサ又はセンサ融合型の視野を有する。
【0052】
図6は、自律型又は適応型クルーズ制御を装備した車両1が、上述のように、トライアル又は試験較正を伴って、且つ、実験室シャーシ、パワートレーン、又はエンジンダイナモメータとの関連において、動作している間にFOVシミュレータ110のプロセッサ112によって実行された上述の変換プロセスの特定の例を示している。データベース301は、スイッチ152が、「記録」モード、即ち、位置「0」、にある間に、FOVシミュレータ110により、或いは、類似のデータ又は上述のようにシミュレートされた運転のために生成されたデータを収集するために使用されている任意のその他の装置により、現実世界運転の際に収集された自律型車両制御システムセンサデータ又は融合型センサデータのすべてを有する。FOVシミュレータ110が「1」位置にスイッチングされた状態において、変換は、上述のようにダイナモメータ又は車両速度フィードバックに基づいて運転されたダイナモメータ距離d303によって一次元において表されている車両の実際の場所の間の差に基づいて、且つ、以下の方式により、実行されている。
【0053】
1.19マイルの運転された任意のダイナモメータ距離d303におけるトライアル較正試験ケースの場合には、対応する静的物体場所の組SAS203が選択されている。車両1がt=4秒205においてベース較正を有する状態においてこの場所に到達している一方で、車両1は、t’=5秒においてトライアル較正を有する状態においてこの同一の場所に到達している。データベース301を参照すれば、同一の値のベース較正試験時刻t、即ち、t=t’=5秒、に対応している場所は、SBd207として識別された動的物体場所及び速度の対応する組を有するd=1.23マイルである。次いで、SBd207は、上述の方式によって変換され、且つ、上述のデータインターセプト方法を使用して自律型車両制御システムに対する提示用の物体及びターゲットの完全な組を形成するためにSAS203と組み合わせられており、即ち、静的な実験室試験環境において生成されたセンサに基づいたFOVデータは、FOVシミュレータ110によってインターセプトされ、且つ、FOVシミュレータ110により、変換済みのFOVデータによって置換されている。
【0054】
当業者には、運転スタイルが、すべてのタイプの自動車パワートレーンのエネルギー効率と、内燃機関(ICE)を利用するパワートレーンの排気放出レベルと、に影響を及ぼすことが周知である。アクセルペダル運動、制動、及びパワートレーン較正は、いずれも、車両の効率及び放出に影響を及ぼしている。但し、例えば、適応型クルーズ制御(ACC)などの車両上の自律型縦速度制御特徴が、運転者の通常のアクセスペダル入力及び制動活動にとって代わっており、これは、車両が自律的に動作している間にパワートレーン較正の異なる組に依存し得る。
【0055】
試験実験室は、圧力、温度、及び湿度の周辺空気状態が個々に制御され得る天候制御型チャンバ(図示されてはいない)内において収容することができる。このような実験室は、実験室において複製又はシミュレートされるべき以前の現実世界運転状態を反映するための周辺空気状態の複製又はシミュレーション、或いは、試験結果の最大精度を目的とした、且つ、制御対象の変数を除いて同一となるように意図された試験の間における、対象の特定の周辺空気状態のシミュレーション、を許容している。
【0056】
或いは、この代わりに、動的な周辺空気状態を複製又はシミュレートするための相対的に費用効率に優れた実装形態は、最近市販されるようになっている「環境状態シミュレータ」52を利用している。これは、標準放出試験実験室の使用又は継続的な使用を許容しつつ、試験の際にパワートレーンによって経験される周辺状態を動的に変更し且つ望ましい周辺空気状態を複製及びシミュレートするためのあまり資本集約的ではない手段を提供している。このケースにおいては、周辺空気圧力、温度、湿度状態が、環境状態シミュレータ52によって生成され、且つ、吸気ホース56によって環境状態シミュレータ52を主題車両6エンジン吸気システム(図示されてはいない)に接続し且つ排気ガスホース54によって車両のテールパイプ24に接続することにより、パワートレーン及び必要な車両センサにのみ適用されている。環境状態シミュレータ52は、吸気圧力、排気背圧、及び吸気湿度を適宜固定された選択された値に又はプログラムによって制御された動的な値に制御しており、或いは、ダイナモメータ組立体12上の主題車両6の速度と適切に同期された状態において現実世界試験の際に記録された状態を模倣するように制御している。
【0057】
図示の例示用の試験方法の任意のものは、任意選択により、望ましい天候状態が、利用可能となる実験室の周辺状態と異なっている際には、正確な試験を実施するために、周辺雰囲気状態シミュレータ、或いは、この代わりに、全体車両「環境試験チャンバ」を利用することができる。
【0058】
ダイナモメータ上において車両を動作させる前に、試験車両用の適切な道路負荷パラメータ、ルート用の適切な道路勾配パラメータ、及び動的環境状態が選択され、且つ、環境制御システム内に、即ち、関連する環境チャンバ又はパワートレーン「環境状態シミュレータ」用の制御システム内に、プログラミングされている。例えば、異なる天候状態において交通を制御する際に現実世界の道路運転をシミュレートする際などのように、実験室環境状態が望ましい環境状態とは大幅に異なっているケースにおいては、パワートレーンが適切な較正空間内において動作するようにし、これにより、代表的な放出を生成し且つ代表的なエネルギー効率を示すために、適切な環境状態を維持することが重要である。
【0059】
以上において想定されている変換済みのデータは、同時にその他の物体(現実の又はシミュレートされたもの)との間の接触を回避しつつ、道路(現実の又はシミュレートされたもの)をナビゲートするように、制動、操向、加速、などのような様々な制御動作を実行するために、車両によって使用することができる。例えば、変換済みのデータが接近する物体(現実の又はシミュレートされたもの)を通知している場合には、車両は、適切な制動及び/又は操向活動によって応答することができる。
【0060】
本明細書において開示されているプロセス、方法、又はアルゴリズムは、処理装置、コントローラ、又はコンピュータに供給可能であることが可能であり/これらによって実装することが可能であり、これらは、既存のプログラム可能な電子制御ユニット又は専用の電子制御ユニットを含むことができる。同様に、プロセス、方法、又はアルゴリズムは、限定を伴うことなしに、読み出し専用メモリ(ROM)装置などの書き込み不能ストレージ媒体上において永久的に保存された情報と、フロッピーディスク、磁気テープ、コンパクトディスク(CD)、ランダムアクセスメモリ(RAM)装置、及びその他の磁気及び光媒体などの書き込み可能なストレージ媒体上において変更可能に保存された情報と、を含む多くの形態におけるコントローラ又はコンピュータによって実行可能であるデータ及び命令として保存することができる。また、プロセス、方法、又はアルゴリズムは、ソフトウェア実行可能物体内において実装することもできる。或いは、この代わりに、プロセス、方法、又はアルゴリズムは、用途固有の集積回路(ASIC)、フィールドプログラム可能なゲートアレイ(FPGA)、状態機械、コントローラ、又はその他のハードウェアコンポーネント又は装置、或いは、ハードウェア、ソフトウェア、及びファームウェアコンポーネントの組合せなどの適切なハードウェアコンポーネントを使用して全体的に又は部分的に実施することもできる。
【0061】
本明細書において使用されている用語は、限定ではなく、説明の用語であり、且つ、本開示の精神及び範囲を逸脱することなしに、様々な変更が実施され得ることを理解されたい。
【0062】
上述のように、様々な実施形態の特徴は、明示的に記述又は図示されていない場合がある更なる実施形態を形成するために組み合わせることができる。様々な実施形態が、1つ又は複数の望ましい特性との関係においてその他の実施形態又は従来技術の実装形態との比較において利点を提供するものとして又は好ましいものとして記述されている場合があるが、当業者は、1つ又は複数の特徴又は特性が、特定の用途及び実装形態に依存した望ましい全体的なシステム属性を実現するために損なわれる場合があることを認識している。これらの属性は、限定を伴うことなしに、費用、強度、耐久性、ライフサイクルコスト、販売可能性、外観、パッケージング、サイズ、サービス可能性、重量、製造可能性、組立の容易性、などを含む。従って、1つ又は複数の特性との関係においてその他の実施形態又は従来技術の実装形態との比較において望ましくないものとして記述されている実施形態も、本開示の範囲に含まれており、且つ、特定の用途の場合に望ましいものであり得る。
【手続補正書】
【提出日】2022-11-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【国際調査報告】