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特表2023-516095ケトヘキソキナーゼ(KHK)iRNA組成物およびその使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-17
(54)【発明の名称】ケトヘキソキナーゼ(KHK)iRNA組成物およびその使用方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/113 20100101AFI20230410BHJP
   C12N 9/12 20060101ALI20230410BHJP
   A61K 31/713 20060101ALI20230410BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20230410BHJP
   A61K 47/54 20170101ALI20230410BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20230410BHJP
   A61K 47/42 20170101ALI20230410BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20230410BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20230410BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20230410BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20230410BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20230410BHJP
   A61P 9/12 20060101ALI20230410BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20230410BHJP
【FI】
C12N15/113 130Z
C12N9/12 ZNA
A61K31/713
A61K48/00
A61K47/54
A61K9/08
A61K47/42
A61P1/16
A61P3/06
A61P3/10
A61P13/12
A61P9/00
A61P9/12
A61K45/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022553106
(86)(22)【出願日】2021-03-05
(85)【翻訳文提出日】2022-11-02
(86)【国際出願番号】 US2021020983
(87)【国際公開番号】W WO2021178736
(87)【国際公開日】2021-09-10
(31)【優先権主張番号】62/985,948
(32)【優先日】2020-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505369158
【氏名又は名称】アルナイラム ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ALNYLAM PHARMACEUTICALS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100122301
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 憲史
(74)【代理人】
【識別番号】100157956
【弁理士】
【氏名又は名称】稲井 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100170520
【弁理士】
【氏名又は名称】笹倉 真奈美
(72)【発明者】
【氏名】トレンブレイ,フレデリック
(72)【発明者】
【氏名】マキニンチ,ジェイムズ ディ
【テーマコード(参考)】
4B050
4C076
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4B050DD11
4B050LL01
4C076AA12
4C076AA95
4C076BB16
4C076CC16
4C076CC17
4C076CC21
4C076CC41
4C076DD25Z
4C076DD26Z
4C076DD41Z
4C076DD43Z
4C076EE41Z
4C076EE59
4C084AA13
4C084AA19
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZA361
4C084ZA362
4C084ZA421
4C084ZA422
4C084ZA751
4C084ZA752
4C084ZA811
4C084ZA812
4C084ZC201
4C084ZC202
4C084ZC331
4C084ZC332
4C084ZC351
4C084ZC352
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA66
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZA36
4C086ZA42
4C086ZA75
4C086ZA81
4C086ZC20
4C086ZC33
4C086ZC35
(57)【要約】
本発明は、ケトヘキソキナーゼ(KHK)遺伝子ターゲティングRNAi剤、例えば、dsRNA剤に関する。本発明はまた、このようなRNAi剤を使用してKHK遺伝子の発現を阻害する方法、および対象におけるKHK関連疾患を処置または防止する方法にも関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二本鎖領域を形成するセンス鎖およびアンチセンス鎖を含み、アンチセンス鎖が、KHKをコードするmRNAに対する相補性領域を含み、相補性領域が、表2~5のうちのいずれか1つにおけるアンチセンスヌクレオチド配列のうちのいずれか1つと、3ヌクレオチド以下異なる、少なくとも15の連続ヌクレオチドを含む、細胞内のケトヘキソキナーゼ(KHK)の発現を阻害するための二本鎖リボ核酸(dsRNA)。
【請求項2】
二本鎖領域を形成するセンス鎖およびアンチセンス鎖を含み、センス鎖が、配列番号1の、ヌクレオチド943~965;788~810;734~756;1016~1038;1013~1035;1207~1229;1149~1171;574~596;1207~1229または828~850のヌクレオチド配列のうちのいずれか1つと3ヌクレオチド以下異なる、少なくとも15の連続ヌクレオチドを含み、アンチセンス鎖が、配列番号2の対応するヌクレオチド配列に由来する、少なくとも15の連続ヌクレオチドを含む、細胞内のケトヘキソキナーゼ(KHK)の発現を阻害するための二本鎖リボ核酸(dsRNA)。
【請求項3】
アンチセンス鎖が、AD-252498.1、AD-252339.1、AD-252285.1、AD-252531.1、AD-254265.1、AD-254403.1、AD-252627.1、AD-252146.1、AD-252666.1およびAD-252379.1からなる群から選択される二重鎖の、アンチセンス鎖のヌクレオチド配列うちのいずれか1つと、3ヌクレオチド以下異なる、少なくとも15の連続ヌクレオチドを含む、請求項1または2に記載のdsRNA剤。
【請求項4】
少なくとも1つの修飾ヌクレオチドを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のdsRNA剤。
【請求項5】
センス鎖のヌクレオチドの実質的に全ては、修飾を含むか;アンチセンス鎖のヌクレオチドの実質的に全ては、修飾を含むか;またはセンス鎖のヌクレオチドの実質的に全て、およびアンチセンス鎖のヌクレオチドの実質的に全ては、修飾を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のdsRNA剤。
【請求項6】
センス鎖のヌクレオチドの全ては、修飾を含むか;アンチセンス鎖のヌクレオチドの全ては、修飾を含むか;またはセンス鎖のヌクレオチドの全て、およびアンチセンス鎖のヌクレオチドの全ては、修飾を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載のdsRNA剤。
【請求項7】
修飾ヌクレオチドのうちの少なくとも1つは、デオキシヌクレオチド、3’末端デオキシチミジン(dT)ヌクレオチド、2’-O-メチル修飾ヌクレオチド、2’-フルオロ修飾ヌクレオチド、2’-デオキシ修飾ヌクレオチド、ロックヌクレオチド、アンロックヌクレオチド、配座固定ヌクレオチド、拘束エチルヌクレオチド、脱塩基性ヌクレオチド、2’-アミノ修飾ヌクレオチド、2’-O-アリル修飾ヌクレオチド、2’-C-アルキル修飾ヌクレオチド、2’-ヒドロキシル修飾ヌクレオチド、2’-メトキシエチル修飾ヌクレオチド、2’-O-アルキル修飾ヌクレオチド、モルホリノヌクレオチド、ホスホルアミデート、非天然塩基を含むヌクレオチド、テトラヒドロピラン修飾ヌクレオチド、1,5-アンヒドロヘキシトール修飾ヌクレオチド、シクロヘキシニル修飾ヌクレオチド、ホスホロチオエート基を含むヌクレオチド、メチルホスホネート基を含むヌクレオチド、5’-リン酸を含むヌクレオチド、5’-リン酸模倣体を含むヌクレオチド、熱不安定性ヌクレオチド、グリコール修飾ヌクレオチド(GNA)、および2-O-(N-メチルアセトアミド)修飾ヌクレオチド;ならびにこれらの組合せからなる群から選択される、請求項4から6のいずれか一項に記載のdsRNA剤。
【請求項8】
ヌクレオチド上の修飾は、LNA、HNA、GNA、2’-メトキシエチル、2’-O-アルキル、2’-O-アリル、2’-C-アリル、2’-フルオロ、2’-デオキシ、2’-ヒドロキシル、およびグリコール;ならびにこれらの組合せからなる群から選択される、請求項4から6のいずれか一項に記載のdsRNA剤。
【請求項9】
修飾ヌクレオチドのうちの少なくとも1つは、デオキシヌクレオチド、2’-O-メチル修飾ヌクレオチド、2’-フルオロ修飾ヌクレオチド、2’-デオキシ修飾ヌクレオチド、グリコール修飾ヌクレオチド(GNA)およびビニルホスホネートヌクレオチド;ならびにこれらの組合せからなる群から選択される、請求項4から6のいずれか一項に記載のdsRNA。
【請求項10】
ヌクレオチド上の修飾のうちの少なくとも1つが、熱不安定性ヌクレオチド修飾である、請求項4から6のいずれか一項に記載のdsRNA。
【請求項11】
熱不安定性ヌクレオチド修飾が、脱塩基性修飾;二重鎖内の対向ヌクレオチドとのミスマッチ;ならびに不安定性糖修飾、2’-デオキシ修飾、非環状ヌクレオチド、アンロック核酸(UNA)、およびグリセロール核酸(GNA)からなる群から選択される、請求項10に記載のdsRNA。
【請求項12】
二本鎖領域が、19~30ヌクレオチド対の長さである、請求項1から11のいずれか一項に記載のdsRNA剤。
【請求項13】
二本鎖領域が、19~25ヌクレオチド対の長さである、請求項12に記載のdsRNA剤。
【請求項14】
二本鎖領域が、19~23ヌクレオチド対の長さである、請求項12に記載のdsRNA剤。
【請求項15】
二本鎖領域が、23~27ヌクレオチド対の長さである、請求項12に記載のdsRNA剤。
【請求項16】
二本鎖領域が、21~23ヌクレオチド対の長さである、請求項12に記載のdsRNA剤。
【請求項17】
各鎖が、独立に、30ヌクレオチド以下の長さである、請求項1から16のいずれか一項に記載のdsRNA剤。
【請求項18】
センス鎖が、21ヌクレオチドの長さであり、アンチセンス鎖が、23ヌクレオチドの長さである、請求項1から17のいずれか一項に記載のdsRNA剤。
【請求項19】
相補性領域が、少なくとも17ヌクレオチドの長さである、請求項1から18のいずれか一項に記載のdsRNA剤。
【請求項20】
相補性領域が、19~23ヌクレオチドの間の長さである、請求項1から19のいずれか一項に記載のdsRNA剤。
【請求項21】
相補性領域が、19ヌクレオチドの長さである、請求項1から18のいずれか一項に記載のdsRNA剤。
【請求項22】
少なくとも1つの鎖が、少なくとも1ヌクレオチドの3’突出を含む、請求項1から21のいずれか一項に記載のdsRNA剤。
【請求項23】
少なくとも1つの鎖が、少なくとも2ヌクレオチドの3’突出を含む、請求項1から21のいずれか一項に記載のdsRNA剤。
【請求項24】
リガンドをさらに含む、請求項1から23のいずれか一項に記載のdsRNA剤。
【請求項25】
リガンドが、dsRNA剤のセンス鎖の3’末端とコンジュゲートされている、請求項24に記載のdsRNA剤。
【請求項26】
リガンドが、N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)誘導体である、請求項24または25に記載のdsRNA剤。
【請求項27】
リガンドが、一価、二価、または三価の分枝状リンカーを介して接合されている1つまたは複数のGalNAc誘導体である、請求項24から26のいずれか一項に記載のdsRNA剤。
【請求項28】
リガンドが
【化1】
である、請求項26または27に記載のdsRNA剤。
【請求項29】
以下の図式
【化2】
において示されるリガンドとコンジュゲートされ、Xは、OまたはSである、請求項28に記載のdsRNA剤。
【請求項30】
Xが、Oである、請求項29に記載のdsRNA剤。
【請求項31】
少なくとも1つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結またはメチルホスホネートヌクレオチド間連結をさらに含む、請求項1から30のいずれか一項に記載のdsRNA剤。
【請求項32】
ホスホロチオエートヌクレオチド間連結またはメチルホスホネートヌクレオチド間連結が、1つの鎖の3’末端にある、請求項31に記載のdsRNA剤。
【請求項33】
鎖が、アンチセンス鎖である、請求項32に記載のdsRNA剤。
【請求項34】
鎖が、センス鎖である、請求項32に記載のdsRNA剤。
【請求項35】
ホスホロチオエートヌクレオチド間連結またはメチルホスホネートヌクレオチド間連結が、1つの鎖の5’末端にある、請求項31に記載のdsRNA剤。
【請求項36】
鎖が、アンチセンス鎖である、請求項35に記載のdsRNA剤。
【請求項37】
鎖が、センス鎖である、請求項35に記載のdsRNA剤。
【請求項38】
ホスホロチオエートヌクレオチド間連結またはメチルホスホネートヌクレオチド間連結が、1つの鎖の5’末端および3’末端の両方にある、請求項31に記載のdsRNA剤。
【請求項39】
鎖が、アンチセンス鎖である、請求項38に記載のdsRNA剤。
【請求項40】
二重鎖のアンチセンス鎖の5’末端の1位における塩基対が、AU塩基対である、請求項1から39のいずれか一項に記載のdsRNA剤。
【請求項41】
請求項1から40のいずれか一項に記載のdsRNA剤を含有する細胞。
【請求項42】
ケトヘキソキナーゼ(KHK)をコードする遺伝子の発現を阻害するための医薬組成物であって、請求項1から40のいずれか一項に記載のdsRNA剤を含む医薬組成物。
【請求項43】
dsRNA剤が、非緩衝液中にある、請求項42に記載の医薬組成物。
【請求項44】
非緩衝液が、生理食塩液または水である、請求項43に記載の医薬組成物。
【請求項45】
前記dsRNA剤が、緩衝液中にある、請求項42に記載の医薬組成物。
【請求項46】
緩衝液が、酢酸塩、クエン酸塩、プロラミン、炭酸塩、もしくはリン酸塩、またはこれらの任意の組合せを含む、請求項45に記載の医薬組成物。
【請求項47】
緩衝液が、リン酸緩衝生理食塩液(PBS)である、請求項46に記載の医薬組成物。
【請求項48】
細胞内のケトヘキソキナーゼ(KHK)遺伝子の発現を阻害する方法であって、細胞を、請求項1から40のいずれか一項に記載のdsRNA剤、または請求項42から47のいずれか一項に記載の医薬組成物と接触させ、これにより、細胞内のKHK遺伝子の発現を阻害することを含む方法。
【請求項49】
細胞が、対象内部の細胞である、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
対象が、ヒトである、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
対象が、ケトヘキソキナーゼ(KHK)関連障害を有する、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
細胞を、dsRNA剤と接触させることが、ケトヘキソキナーゼの発現を、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、または95%阻害する、請求項48から51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
ケトヘキソキナーゼの発現を阻害することが、対象の血清中のケトヘキソキナーゼタンパク質レベルを、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、または95%低下させる、請求項48から52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
ケトヘキソキナーゼ発現の低減から利益を得る障害を有する対象を処置する方法であって、対象へと、治療有効量の、請求項1から40のいずれか一項に記載のdsRNA剤、または請求項42から47のいずれか一項に記載の医薬組成物を投与し、これにより、ケトヘキソキナーゼ発現の低減から利益を得る障害を有する対象を処置することを含む方法。
【請求項55】
ケトヘキソキナーゼ発現の低減から利益を得る障害を有する対象における、少なくとも1つの症状を防止する方法であって、対象へと、予防有効量の、請求項1から40のいずれか一項に記載のdsRNA剤、または請求項42から47のいずれか一項に記載の医薬組成物を投与し、これにより、ケトヘキソキナーゼ発現の低減から利益を得る障害を有する対象における、少なくとも1つの症状を防止することを含む方法。
【請求項56】
障害が、ケトヘキソキナーゼ関連障害である、請求項54または55に記載の方法。
【請求項57】
KHK関連疾患が肝疾患を含む、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
肝疾患が、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)または非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)である、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
KHK関連疾患が、脂質異常症または異常な脂質沈着または機能障害を含む、請求項56に記載の方法。
【請求項60】
脂質異常症が、高脂血症、高LDLコレステロール、低HDLコレステロール、高トリグリセリド血症、食後高トリグリセリド血症、脂肪細胞機能障害、内臓脂肪沈着、肥満および代謝性症候群のうちの1つまたは複数を含む、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
KHK関連疾患が血糖制御の障害を含む、請求項56に記載の方法。
【請求項62】
血糖制御の障害が、インスリンに対する免疫応答に関係しないインスリン抵抗性、2型糖尿病および耐糖能障害のうちの1つまたは複数を含む、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
KHK関連疾患が、腎疾患を含む、請求項56に記載の方法。
【請求項64】
腎疾患が、急性腎障害、尿細管機能障害、近位尿細管の炎症誘発性変化および慢性腎疾患のうちの少なくとも1つを含む、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
KHK関連疾患が、心血管疾患を含む、請求項56に記載の方法。
【請求項66】
心血管疾患が、高血圧症および内皮細胞機能障害のうちの少なくとも1つを含む、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
対象が、ヒトである、請求項54から66のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
対象が、腎臓の機能を損なっているまたは損ないやすい、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
dsRNA剤が、対象へと、約0.01mg/kg~約50mg/kgの用量において投与される、請求項54から68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
dsRNA剤が、対象へと、皮下投与される、請求項54から69のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
KHK関連疾患の処置のための薬剤を投与することをさらに含む、請求項54から70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
対象に由来する試料(複数可)中のケトヘキソキナーゼレベルを決定することをさらに含む、請求項54から71のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
対象試料(複数可)中のケトヘキソキナーゼレベルが、血液試料(複数可)中または血清試料(複数可)中のケトヘキソキナーゼタンパク質レベルである、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
対象におけるフルクトース代謝のレベルを測定することをさらに含む、請求項54から73のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
対象における尿酸レベルを測定することをさらに含む、請求項54から74のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
対象における血清脂質レベルを測定することをさらに含む、請求項54から75のいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
請求項1から40のいずれか一項に記載のdsRNA剤、または請求項42から47のいずれか一項に記載の医薬組成物を含むキット。
【請求項78】
請求項1から40のいずれか一項に記載のdsRNA剤、または請求項42から47のいずれか一項に記載の医薬組成物を含むバイアル。
【請求項79】
請求項1から40のいずれか一項に記載のdsRNA剤、または請求項42から47のいずれか一項に記載の医薬組成物を含むシリンジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
【0002】
本出願は、その全内容が参照により本明細書に組み込まれる2020年3月6日に出願された米国特許仮出願第62/985,948号の利益を主張する。
【0003】
配列表
本出願は、ASCIIフォーマットにおいて、電子的に提出され、参照によりその全体において本明細書に組み込まれる配列表を含有する。2021年1月26日に作成された前記ASCIIコピーは、121301-10120_SL.txtと名付けられ、266,695バイトのサイズである。
【背景技術】
【0004】
疫学的研究は、西洋食が現代の肥満の蔓延の主因の1つであることを示している。濃縮ソフトドリンクおよび加工食品の使用と関連するフルクトース摂取の増加が、広まる主な原因であると提案されている。高フルクトースコーンシロップは、1967年までに食品産業における広範な使用が始まった。グルコースおよびフルクトースは、分子当たりで同じカロリー値を有するが、2つの糖は、異なって代謝され、異なるGLUTトランスポーターを利用する。フルクトースは、ほとんど排他的に肝臓において代謝され、グルコース代謝経路とは異なってフルクトース代謝経路は、産生物によるフィードバック阻害によって調節されない[Khaitan Z et al., (2013) J. Nutr. Metab. 2013, Article ID 682673, 1-12]。ヘキソキナーゼおよびホスホフルクトキナーゼ(PFK)がグルコースからのグリセルアルデヒド-3-Pの産生を調節する一方で、肝臓におけるフルクトースのフルクトース-1-リン酸へのリン酸化に関与するフルクトキナーゼまたはケトヘキソキナーゼ(KHK)は、フルクトース-1-リン酸の濃度の増加によって下方制御されない。結果として、細胞に進入する全てのフルクトースは、急速にリン酸化される[Cirillo P. et al., (2009) J. Am. Soc. Nephrol. 20: 545-553]。フルクトースをフルクトース-1-リン酸にリン酸化するためのATPの持続的な利用は、細胞内リン酸枯渇、ATP枯渇、AMPデアミナーゼの活性化および尿酸の形成を生じる[Khaitan Z. et al., (2013) J. Nutr. Metab. Article ID 682673, 1-12]。尿酸の増加は、KHKの上方制御をさらに刺激し[Lanaspa M.A. et al., (2012) PLOS ONE 7(10): 1-11]、内皮細胞および脂肪細胞機能障害を引き起こす。続いてフルクトース-1-リン酸は、アルドラーゼBの作用によってグリセルアルデヒドに転換され、リン酸化されてグリセルアルデヒド-3-リン酸になる。後者は、解糖経路への下流に進んでピルビン酸を形成し、ピルビン酸はクエン酸サイクルに入り、クエン酸サイクルから、栄養十分な条件下で、クエン酸がミトコンドリアからサイトゾルに運び出され、脂質生合成のためのアセチルコエンザイムAを産生する(図1)。
【0005】
KHKによるフルクトースのリン酸化およびそれに続く脂質生合成の活性化は、例えば、脂肪肝、高トリグリセリド血症、脂質異常症およびインスリン抵抗性をもたらす。腎臓の近位尿細管細胞における炎症誘発性の変化も、KHK活性によって誘導されることも示された[Cirillo P. et al., (2009) J. Am. Soc. Nephrol. 20: 545-553]。KHKによるフルクトースのリン酸化は、肝疾患(例えば、脂肪肝、脂肪性肝炎)、脂質異常症(例えば、高脂血症、高LDLコレステロール、低HDLコレステロール、高トリグリセリド血症、食後高トリグリセリド血症)、血糖制御の障害(例えば、インスリン抵抗性、2型糖尿病)、心血管疾患(例えば、高血圧症、内皮細胞機能障害)、腎疾患(例えば、急性腎障害、尿細管機能障害、近位尿細管の炎症誘発性変化、慢性腎疾患)、代謝性症候群、脂肪細胞機能障害、内臓脂肪沈着、肥満、高尿酸血症、痛風、摂食障害および過剰な糖渇望(sugar craving)などの疾患、障害または状態と関連する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、当技術分野において、KHK活性に関連する疾患、障害および状態を処置するための組成物および方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ケトヘキソキナーゼ(KHK)をコードする遺伝子のRNA転写物の、RNA誘導サイレンシング複合体(RISC)媒介切断に影響を及ぼすiRNA組成物を提供する。ケトヘキソキナーゼ(KHK)は、細胞内、例えば、ヒト対象などの対象内部の細胞内のでありうる。
【0008】
ある態様において、本発明は、二本鎖領域を形成するセンス鎖およびアンチセンス鎖を含み、センス鎖が、配列番号1のヌクレオチド配列と、0、1、2、または3ヌクレオチド以下異なる、少なくとも15の連続ヌクレオチドを含み、アンチセンス鎖が、配列番号2のヌクレオチド配列と、1、2、または3ヌクレオチド以下異なる、少なくとも15の連続ヌクレオチドを含む、細胞内のケトヘキソキナーゼの発現を阻害するための二本鎖リボ核酸(dsRNA)剤を提供する。
【0009】
別の態様において、本発明は、二本鎖領域を形成するセンス鎖およびアンチセンス鎖を含み、アンチセンス鎖が、ケトヘキソキナーゼをコードするmRNAに対する相補性領域を含み、相補性領域が、表2~5のうちのいずれか1つにおけるアンチセンスヌクレオチド配列のうちのいずれか1つと、0、1、2、または3ヌクレオチド以下異なる、少なくとも15の連続ヌクレオチドを含む、細胞内のケトヘキソキナーゼの発現を阻害するための二本鎖リボ核酸(dsRNA)を提供する。
【0010】
一態様において、本発明は、二本鎖領域を形成するセンス鎖およびアンチセンス鎖を含み、センス鎖が、配列番号1のヌクレオチド配列の、ヌクレオチド943~965;788~810;734~756;1016~1038;1013~1035;1207~1229;1149~1171;574~596;1207~1229または828~850のヌクレオチド配列のうちのいずれか1つと、0、1、2、または3ヌクレオチド以下異なる、少なくとも15の連続ヌクレオチドを含み、アンチセンス鎖が、配列番号2の対応するヌクレオチド配列に由来する、少なくとも19の連続ヌクレオチドを含む、細胞内のケトヘキソキナーゼの発現を阻害するための二本鎖リボ核酸(dsRNA)を提供する。
【0011】
一実施形態において、アンチセンス鎖は、AD-252498.1;AD-252339.1;AD-252285.1;AD-252531.1;AD-254265.1;AD-254403.1;AD-252627.1;AD-252146.1;AD-252666.1およびAD-252379.1からなる群から選択される二重鎖の、アンチセンス鎖のヌクレオチド配列のうちのいずれか1つと、0、1、2、または3ヌクレオチド以下(nor more than)異なる、少なくとも15の連続ヌクレオチドを含む。
【0012】
一実施形態において、dsRNA剤は、少なくとも1つの修飾ヌクレオチドを含む。
【0013】
一実施形態において、センス鎖のヌクレオチドの実質的に全ては、修飾を含むか;アンチセンス鎖のヌクレオチドの実質的に全ては、修飾を含むか;またはセンス鎖のヌクレオチドの実質的に全て、およびアンチセンス鎖のヌクレオチドの実質的に全ては、修飾を含む。
【0014】
一実施形態において、センス鎖のヌクレオチドの全ては、修飾を含むか;アンチセンス鎖のヌクレオチドの全ては、修飾を含むか;またはセンス鎖のヌクレオチドの全て、およびアンチセンス鎖のヌクレオチドの全ては、修飾を含む。
【0015】
一実施形態において、修飾ヌクレオチドのうちの少なくとも1つは、デオキシヌクレオチド、3’末端デオキシチミジン(dT)ヌクレオチド、2’-O-メチル修飾ヌクレオチド、2’-フルオロ修飾ヌクレオチド、2’-デオキシ修飾ヌクレオチド、ロックヌクレオチド、アンロックヌクレオチド、配座固定ヌクレオチド、拘束エチルヌクレオチド、脱塩基ヌクレオチド、2’-アミノ-修飾ヌクレオチド、2’-O-アリル-修飾ヌクレオチド、2’-C-アルキル-修飾ヌクレオチド、2’-ヒドロキシル(hydroxly)-修飾ヌクレオチド、2’-メトキシエチル修飾ヌクレオチド、2’-O-アルキル修飾ヌクレオチド、モルホリノヌクレオチド、ホスホロアミダート、非天然塩基を含むヌクレオチド、テトラヒドロピラン修飾ヌクレオチド、1,5-アンヒドロヘキシトール修飾ヌクレオチド、シクロヘキシニル修飾ヌクレオチド、ホスホロチオエート基を含むヌクレオチド、メチルホスホネート基を含むヌクレオチド、5’-リン酸を含むヌクレオチド、5’-リン酸模倣体を含むヌクレオチド、熱不安定性ヌクレオチド、グリコール修飾ヌクレオチド(GNA)、および2-O-(N-メチルアセトアミド)修飾ヌクレオチド;ならびにこれらの組合せからなる群から選択される。
【0016】
一実施形態において、ヌクレオチド上の修飾は、LNA、グリコール核酸(GNA)、ヘキシトール核酸(HNA)、2’-メトキシエチル、2’-O-アルキル、2’-O-アリル、2’-C-アリル、2’-フルオロ、2’-デオキシ、2’-ヒドロキシル、およびグリコール;ならびにこれらの組合せからなる群から選択される。
【0017】
一実施形態において、修飾ヌクレオチドのうちの少なくとも1つは、デオキシヌクレオチド、2’-O-メチル修飾ヌクレオチド、2’-フルオロ修飾ヌクレオチド、2’-デオキシ修飾ヌクレオチド、グリコール修飾ヌクレオチド(GNA)、例えば、Ggn、Cgn、Tgn、またはAgn、およびビニルホスホネートヌクレオチド;ならびにこれらの組合せからなる群から選択される。
【0018】
別の実施形態において、ヌクレオチド上の修飾のうちの少なくとも1つは、熱不安定性ヌクレオチド修飾である。
【0019】
一実施形態において、熱不安定性ヌクレオチド修飾は、脱塩基性修飾;二重鎖内の対向ヌクレオチドとのミスマッチ;ならびに不安定性糖修飾、2’-デオキシ修飾、非環状ヌクレオチド、アンロック核酸(UNA)、およびグリセロール核酸(GNA)からなる群から選択される。
【0020】
二本鎖領域は、19~30ヌクレオチド対の長さ;19~25ヌクレオチド対の長さ;19~23ヌクレオチド対の長さ;23~27ヌクレオチド対の長さ;または21~23ヌクレオチド対の長さでありうる。
【0021】
一実施形態において、各鎖は、独立に、30ヌクレオチド以下の長さである。
【0022】
一実施形態において、センス鎖は、21ヌクレオチドの長さであり、アンチセンス鎖は、23ヌクレオチドの長さである。
【0023】
相補性領域は、少なくとも17ヌクレオチドの長さ;19~23ヌクレオチドの間の長さ;または19ヌクレオチドの長さでありうる。
【0024】
一実施形態において、少なくとも1つの鎖は、少なくとも1ヌクレオチドの3’突出を含む。別の実施形態において、少なくとも1つの鎖は、少なくとも2ヌクレオチドの3’突出を含む。
【0025】
一実施形態において、dsRNA剤は、リガンドをさらに含む。
【0026】
一実施形態において、リガンドは、dsRNA剤のセンス鎖の3’末端とコンジュゲートされている。
【0027】
一実施形態において、リガンドは、N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)誘導体である。
【0028】
一実施形態において、リガンドは、一価、二価、または三価の分枝状リンカーを介して接合されている1つまたは複数のGalNAc誘導体である。
【0029】
一実施形態において、リガンドは、
【0030】
【化1】
である。
【0031】
一実施形態において、dsRNA剤は、以下の図式
【0032】
【化2】
において示されるリガンドとコンジュゲートされ、Xは、OまたはSである。
【0033】
一実施形態において、Xは、Oである。
【0034】
一実施形態において、dsRNA剤は、少なくとも1つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結またはメチルホスホネートヌクレオチド間連結をさらに含む。
【0035】
一実施形態において、ホスホロチオエートヌクレオチド間連結またはメチルホスホネートヌクレオチド間連結は、1つの鎖の3’末端、例えば、アンチセンス鎖またはセンス鎖にある。
【0036】
別の実施形態において、ホスホロチオエートヌクレオチド間連結またはメチルホスホネートヌクレオチド間連結は、1つの鎖の5’末端、例えば、アンチセンス鎖またはセンス鎖にある。
【0037】
一実施形態において、ホスホロチオエートヌクレオチド間連結またはメチルホスホネートヌクレオチド間連結は、1つの鎖の5’末端および3’末端の両方にある。一実施形態において、鎖は、アンチセンス鎖である。
【0038】
一実施形態において、二重鎖のアンチセンス鎖の5’末端の1位における塩基対は、AU塩基対である。
【0039】
本発明はまた、本発明のdsRNA剤のうちのいずれか、および本発明のdsRNA剤のうちのいずれかを含む医薬組成物を含有する細胞も提供する。
【0040】
本発明の医薬組成物は、dsRNA剤を、非緩衝液中、例えば、生理食塩液または水中に含む場合もあり、本発明の医薬組成物は、dsRNA剤を、緩衝液中、例えば、酢酸塩、クエン酸塩、プロクラミン塩、炭酸塩、もしくはリン酸塩、またはこれらの任意の組合せを含む緩衝液;あるいはリン酸緩衝生理食塩液(PBS)中に含む場合もある。
【0041】
一態様において、本発明は、細胞内のケトヘキソキナーゼ(KHK)遺伝子の発現を阻害する方法を提供する。方法は、細胞を、本発明のdsRNA、または本発明の医薬組成物のいずれかと接触させ、これにより、細胞内のKHK遺伝子の発現を阻害することを含む。
【0042】
一実施形態において、細胞は、対象、例えば、ヒト対象、例えば、肝疾患[例えば、脂肪肝、脂肪性肝炎、特に(especiallynon)非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)]、脂質異常症(例えば、高脂血症、高LDLコレステロール、低HDLコレステロール、高トリグリセリド血症、食後高トリグリセリド血症)、血糖制御の障害(例えば、インスリン抵抗性、2型糖尿病)、心血管疾患(例えば、高血圧症、内皮細胞機能障害)、腎疾患(例えば、急性腎障害、尿細管機能障害、近位尿細管の炎症誘発性変化、慢性腎疾患)、代謝性症候群、脂肪細胞機能障害、内臓脂肪沈着、肥満、高尿酸血症、痛風、摂食障害および過剰な糖渇望からなる群から選択されるケトヘキソキナーゼ関連障害などのケトヘキソキナーゼ関連障害を有する対象内部の細胞である。
【0043】
一実施形態において、細胞を、dsRNA剤と接触させることは、KHKの発現を、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、または95%阻害する。
【0044】
一実施形態において、ケトヘキソキナーゼの発現を阻害することは、対象の血清中のKHKタンパク質レベルを、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、または95%低下させる。
【0045】
一態様において、本発明は、ケトヘキソキナーゼ(KHK)発現の低減から利益を得る障害を有する対象を処置する方法を提供する。方法は、対象へと、治療有効量の、本発明のdsRNA、または本発明の医薬組成物のいずれかを投与し、これにより、KHK発現の低減から利益を得る障害を有する対象を処置することを含む。
【0046】
別の態様において、本発明は、ケトヘキソキナーゼ(KHK)発現の低減から利益を得る障害を有する対象における、少なくとも1つの症状を防止する方法を提供する。方法は、対象へと、予防有効量の、本発明のdsRNA、または本発明の医薬組成物のいずれかを投与し、これにより、KHK発現の低減から利益を得る障害を有する対象における、少なくとも1つの症状を防止することを含む。
【0047】
ある特定の実施形態において、対象へのdsRNAの投与は、フルクトース代謝の低減を引き起こす。ある特定の実施形態において、dsRNAの投与は、対象におけるKHK、特に肝臓KHK、特にKHKの上昇を有する対象におけるKHK-Cのレベルにおける低減を引き起こす。ある特定の実施形態において、dsRNAの投与は、対象におけるフルクトース代謝の低減を引き起こす。ある特定の実施形態において、dsRNAの投与は、尿酸、例えば血清尿酸の上昇を有する、例えば、痛風に関連する血清尿酸の上昇を有する対象における血清尿酸のレベルにおける低減を引き起こす。ある特定の実施形態において、dsRNAの投与は、少なくとも1つの異常な血清脂質レベルを有する対象において、血清脂質、例えば食後トリグリセリドを含むトリグリセリド、LDL、HDLまたはコレステロールの正常化を生じる。ある特定の実施形態において、dsRNAの投与は、脂質沈着の正常化、例えば、肝臓における脂質沈着の低減(例えば、NAFLDまたはNASHの低減)、内臓脂肪沈着の低減、体重の低減を生じる。ある特定の実施形態において、dsRNAの投与は、インスリンに対する免疫応答に関連しない異常なインスリン応答、または異常なグルコース応答を有する対象における、インスリンまたはグルコース応答の正常化を生じる。ある特定の実施形態において、dsRNAの投与は、腎機能の改善または腎機能の低下の停止もしくは速度の低減をもたらす。ある特定の実施形態において、dsRNAは、高血圧症、すなわち血圧の上昇の低減を生じる。
【0048】
一実施形態において、障害は、ケトヘキソキナーゼ(KHK)関連障害である。ある特定の実施形態において、KHK関連疾患は、肝疾患、例えば、NAFLDまたはNASHなどの脂肪性肝疾患である。ある特定の実施形態において、KHK関連疾患は、脂質異常症、例えば、血清トリグリセリドの上昇、血清LDLの上昇、血清コレステロールの上昇、血清HDLの低下、食後高トリグリセリド血症である。別の実施形態において、KHK関連疾患は、血糖制御の障害、例えば、インスリンに対する免疫応答から生じていないインスリン抵抗性、グルコース抵抗性、2型糖尿病である。ある特定の実施形態において、KHK関連疾患は、心血管疾患、例えば、高血圧症、内皮細胞機能障害である。ある特定の実施形態において、KHK関連疾患は、腎疾患、例えば、急性腎障害、尿細管機能障害、近位尿細管の炎症誘発性変化、慢性腎疾患である。ある特定の実施形態において、KHK関連疾患は、代謝性症候群である。ある特定の実施形態において、KHK関連疾患は、脂質沈着または機能障害の疾患、例えば、内臓脂肪沈着、脂肪肝、肥満である。ある特定の実施形態において、KHK関連疾患は、尿酸上昇の疾患、例えば、痛風、高尿酸血症である。ある特定の実施形態において、KHK関連疾患は、過剰な糖渇望などの摂食障害である。
【0049】
一実施形態において、対象は、ヒトである。
【0050】
一実施形態において、dsRNA剤は、対象へと、約0.01mg/kg~約50mg/kgの用量において投与される。
【0051】
一実施形態において、dsRNA剤は、対象へと、皮下投与される。
【0052】
一実施形態において、本発明の方法は、対象に由来する試料中のケトヘキソキナーゼレベルをさらに決定することを含む。
【0053】
一実施形態において、ケトヘキソキナーゼの、対象試料中レベルは、血液試料中または血清試料中の、ケトヘキソキナーゼタンパク質レベルである。
【0054】
ある特定の実施形態において、本発明の方法は、さらなる治療剤を対象へと投与することをさらに含む。
【0055】
ある特定の実施形態において、種々のKHK関連疾患のために当技術分野において公知の処置は、本発明のRNAi剤と組み合わせて使用される。
【0056】
種々の実施形態において、本発明の方法は、対象における尿酸レベル、特に血清尿酸レベルを測定することをさらに含む。種々の実施形態において、本発明の方法は、対象における尿フルクトースレベルを測定することをさらに含む。種々の実施形態において、本発明の方法は、対象における血清脂質レベルを測定することをさらに含む。ある特定の実施形態において、本発明の方法は、対象におけるインスリンまたはグルコース感受性を測定することをさらに含む。ある特定の実施形態において、発現レベルの低減またはフルクトース代謝活性のレベルの低減は、KHK関連疾患が処置されているまたは防止されていることを示す。
【0057】
本発明はまた、本発明のdsRNA、または本発明の医薬組成物のいずれかと、適宜、使用のための指示書とを含むキットも提供する。
【図面の簡単な説明】
【0058】
図1図1は、フルクトースの古典的および代替的脂質生成経路を示す。古典的経路において、トリグリセリド(TG)は、アルドラーゼB(Aldo B)および脂肪酸シンターゼ(FAS)を含む複数の酵素の作用によるフルクトース代謝の直接産生物である。代替的経路において、フルクトースのフルクトース-1-リン酸(F-1-P)へのリン酸化の際に生じるヌクレオチド代謝回転から産生される尿酸は、ミトコンドリアの酸化ストレス(mtROS)を生じ、クレブス回路中のアコニターゼ(ACO2)の活性における低減を引き起こす。結果として、ACO2基質、クエン酸は、蓄積し、それがATPクエン酸リアーゼ(ACL)および脂肪酸シンターゼの活性化を通じてTG合成のための基質として作用するサイトゾルに放出される。AMPD2、AMPデアミナーゼ2;IMP、イノシン一リン酸;PO、リン酸[Johnson et al. (2013) Diabetes. 62:3307-3315から]。
図2図2は、マウスへの表示のdsRNA薬剤の10mg/kg単回用量の皮下投与後のヒトKHK mRNAのレベルを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0059】
本発明は、ケトヘキソキナーゼ(KHK)遺伝子のRNA転写物の、RNA誘導サイレンシング複合体(RISC)媒介切断を実行する(effect)iRNA組成物を提供する。遺伝子は、細胞内、例えば、ヒト対象などの対象内部の細胞内の遺伝子でありうる。これらのiRNAの使用は、哺乳動物における、対応する遺伝子(ケトヘキソキナーゼ遺伝子)のmRNAのターゲティング分解を可能とする。
【0060】
本発明のiRNAは、他の哺乳動物種のケトヘキソキナーゼオーソログ内において保存される遺伝子の部分を含め、ヒトケトヘキソキナーゼ遺伝子をターゲティングするようにデザインされている。理論に限定されることを意図せずに述べると、これらのiRNAにおける、前出の特性および特異的標的部位または特異的修飾の組合せまたは部分的組合せは、本発明のiRNAに、有効性、安定性、効能、持続性、および安全性の改善を付与すると考えられる。
【0061】
したがって、本発明は、ケトヘキソキナーゼ遺伝子のRNA転写物の、RNA誘導サイレンシング複合体(RISC)媒介切断に影響を及ぼすiRNA組成物を使用して、ケトヘキソキナーゼ関連障害、疾患または状態、例えば、肝疾患(例えば、脂肪肝、脂肪性肝炎、NAFLD、NASH)、脂質異常症(例えば、高脂血症、高LDLコレステロール、低HDLコレステロール、高トリグリセリド血症、食後高トリグリセリド血症)、血糖制御の障害(例えば、インスリンに対する免疫応答によらないインスリン抵抗性、2型糖尿病)、心血管疾患(例えば、高血圧症、内皮細胞機能障害)、腎疾患(例えば、急性腎障害、尿細管機能障害、近位尿細管の炎症誘発性変化、慢性腎疾患)、代謝性症候群、脂肪細胞機能障害、内臓脂肪沈着、肥満、高尿酸血症、痛風、摂食障害および過剰な糖渇望を処置および防止するための方法を提供する。
【0062】
本発明のiRNAは、最大において、約30ヌクレオチドまたはこれ未満の長さ、例えば、19~30、19~29、19~28、19~27、19~26、19~25、19~24、19~23、19~22、19~21、19~20、20~30、20~29、20~28、20~27、20~26、20~25、20~24,20~23、20~22、20~21、21~30、21~29、21~28、21~27、21~26、21~25、21~24、21~23または21~22ヌクレオチドの長さであり、KHK遺伝子のmRNA転写物の少なくとも一部と、実質的に相補的である領域を有するRNA鎖(アンチセンス鎖)を含む。ある特定の実施形態において、本開示のRNAi剤は、約21~23ヌクレオチドの長さであり、KHK遺伝子のmRNA転写物の少なくとも一部と、実質的に相補的である領域を有するRNA鎖(アンチセンス鎖)を含む。
【0063】
ある特定の実施形態において、本発明の二本鎖RNAi剤の鎖の一方または両方は、KHK遺伝子のmRNA転写物の少なくとも一部と、実質的に相補的である、少なくとも19連続ヌクレオチドの領域を伴う、最大において、66ヌクレオチドの長さ、例えば、36~66、26~36、25~36、31~60、22~43、27~53ヌクレオチドの長さである。一部の実施形態において、長さの長いアンチセンス鎖を有する、このようなiRNA剤は、好ましくは、20~60ヌクレオチドの長さの、第2のRNA鎖(センス鎖)を含むことが可能であり、この場合、センス鎖およびアンチセンス鎖は、18~30連続ヌクレオチドの二重鎖を形成する。
【0064】
本発明のiRNAの使用は、哺乳動物における、対応する遺伝子(ケトヘキソキナーゼ遺伝子)のmRNAのターゲティング分解を可能とする。インビトロアッセイを使用して、本発明者らは、KHK遺伝子をターゲティングするiRNAが、RNAiを、強力に媒介する結果として、KHK遺伝子発現の著明な阻害をもたらすことを裏付けている。したがって、これらのiRNAを含む方法および組成物は、ケトヘキソキナーゼ関連障害、例えば、肝疾患(例えば、脂肪肝、脂肪性肝炎、NAFLD、NASH)、脂質異常症(例えば、高脂血症、高LDLコレステロール、低HDLコレステロール、高トリグリセリド血症、食後高トリグリセリド血症)、血糖制御の障害(例えば、インスリンに対する免疫応答によらないインスリン抵抗性、2型糖尿病)、心血管疾患(例えば、高血圧症、内皮細胞機能障害)、腎疾患(例えば、急性腎障害、尿細管機能障害、近位尿細管の炎症誘発性変化、慢性腎疾患)、代謝性症候群、脂肪細胞機能障害、内臓脂肪沈着、肥満、高尿酸血症、痛風、摂食障害および過剰な糖渇望を有する対象を処置するために有用である。
【0065】
したがって、本発明は、KHK遺伝子のRNA転写物の、RNA誘導サイレンシング複合体(RISC)媒介切断に影響を及ぼすiRNA組成物を使用して、KHK遺伝子の発現の阻害または低減から利益を得る障害、例えば、肝疾患(例えば、脂肪肝、脂肪性肝炎、NAFLD、NASH)、脂質異常症(例えば、高脂血症、高LDLコレステロール、低HDLコレステロール、高トリグリセリド血症、食後高トリグリセリド血症)、血糖制御の障害(例えば、インスリンに対する免疫応答によらないインスリン抵抗性、2型糖尿病)、心血管疾患(例えば、高血圧症、内皮細胞機能障害)、腎疾患(例えば、急性腎障害、尿細管機能障害、近位尿細管の炎症誘発性変化、慢性腎疾患)、代謝性症候群、脂肪細胞機能障害、内臓脂肪沈着、肥満、高尿酸血症、痛風、摂食障害および過剰な糖渇望などのケトヘキソキナーゼ関連疾患、を有する対象を処置するための方法および組合せ療法を提供する。
【0066】
本発明はまた、KHK遺伝子の発現の阻害または低減から利益を得る障害、例えば、肝疾患(例えば、脂肪肝、脂肪性肝炎、NAFLD、NASH)、脂質異常症(例えば、高脂血症、高LDLコレステロール、低HDLコレステロール、高トリグリセリド血症、食後高トリグリセリド血症)、血糖制御の障害(例えば、インスリンに対する免疫応答によらないインスリン抵抗性、2型糖尿病)、心血管疾患(例えば、高血圧症、内皮細胞機能障害)、腎疾患(例えば、急性腎障害、尿細管機能障害、近位尿細管の炎症誘発性変化、慢性腎疾患)、代謝性症候群、脂肪細胞機能障害、内臓脂肪沈着、肥満、高尿酸血症、痛風、摂食障害および過剰な糖渇望を有する対象における、少なくとも1つの症状を防止するための方法も提供する。
【0067】
ある特定の実施形態において、対象へのdsRNAの投与は、フルクトース代謝における低減を引き起こす。ある特定の実施形態において、dsRNAの投与は、対象におけるKHK、特に肝臓KHK、特にKHKの上昇を有する対象におけるKHK-Cのレベルの低減を生じる。ある特定の実施形態において、dsRNAの投与は、対象におけるフルクトース代謝における低減を引き起こす。ある特定の実施形態において、dsRNAの投与は、尿酸、例えば、血清尿酸の上昇を有する、例えば、痛風に関連する血清尿酸の上昇を有する、対象における血清尿酸のレベルにおける低減を生じる。ある特定の実施形態において、dsRNAの投与は、少なくとも1つの異常な血清脂質レベルを有する対象において、血清脂質、例えば、食後トリグリセリドを含むトリグリセリド、LDL、HDLまたはコレステロールの正常化を生じる。ある特定の実施形態において、dsRNAの投与は、脂質沈着の正常化、例えば、肝臓における脂質沈着の低減(例えば、NAFLDまたはNASHの低減)、内臓脂肪沈着の低減、体重の低減を生じる。ある特定の実施形態において、dsRNAの投与は、インスリンに対する免疫応答に関連しない異常なインスリン応答、または異常なグルコース応答を有する対象における、インスリンまたはグルコース応答の正常化を生じる。ある特定の実施形態において、dsRNAの投与は、腎機能の改善または腎機能の低下の停止もしくは速度の低減をもたらす。ある特定の実施形態において、dsRNAは、高血圧症、すなわち血圧の上昇の低減を生じる。
【0068】
以下の「発明を実施するための形態」は、iRNAを含有する組成物をどのようにして作り、使用して、KHK遺伝子の発現を阻害するのかについて開示するほか、KHK遺伝子の発現の阻害および/または低減から利益を得る対象、例えば、ケトヘキソキナーゼ関連障害に罹患しやすいか、またはこれを伴うと診断された対象を処置するための組成物、使用、および方法を開示する。
【0069】
I.定義
本発明が、よりたやすく理解されうるように、まず、ある特定の用語について規定する。加えて、パラメータの値または値の範囲が列挙される場合は常に、値および列挙される値の中間の範囲もまた、本発明の一部であると意図されることに注意されたい。
【0070】
本明細書において、「ある(a)」および「ある(an)」という冠詞は、1つまたは1つを超える(すなわち、少なくとも1つの)、冠詞の文法的対象を指すように使用される。例として述べると、「要素」とは、1つの要素または1つを超える要素、例えば、複数の要素を意味する。
【0071】
本明細書において、「~を含むこと」という用語は、「~を含むがこれらに限定されないこと」という語句を意味するように使用され、これと互換的に使用される。
【0072】
本明細書において、「または」という用語は、文脈により、そうでないことが明確に指し示されない限りにおいて、「および/または」という用語を意味するように使用され、これと互換的に使用される。例えば、「センス鎖またはアンチセンス鎖」は、「センス鎖もしくはアンチセンス鎖、またはセンス鎖およびアンチセンス鎖」と理解される。
【0073】
「約」という用語は、本明細書において、当技術分野における、典型的な公差の範囲内にあることを意味するように使用される。例えば、「約」とは、平均値から、約2標準偏差であると理解されうる。ある特定の実施形態において、「約」は、±10%を意味する。ある特定の実施形態において、「約」は、±5%を意味する。「約」が、一連の数または範囲の前に存在する場合、「約」は、一連の数または数の範囲の各々を修飾しうることが理解される。
【0074】
数または一連の数の前の、「少なくとも」、「以上」または「またはこれを超える」という用語は、「少なくとも」という用語と隣接する数、および文脈から明らかである通り、論理的に含まれうる後続の全ての数または整数を含むように理解される。例えば、核酸分子内のヌクレオチドの数は、整数でなければならない。例えば、「21ヌクレオチドの核酸分子のうちの、少なくとも19のヌクレオチド」とは、19、20、または21のヌクレオチドが、指し示された特性を有することを意味する。「少なくとも」が、一連の数または範囲の前に存在する場合、「少なくとも」は、一連の数または数の範囲の各々を修飾しうることが理解される。
【0075】
本明細書において使用される、「~以下」または「~未満」は、文脈から論理的である通り、この語句と隣接する値、および、ゼロまでの、これを論理的に下回る値または整数であると理解される。例えば、「2ヌクレオチド以下」の突出を伴う二重鎖は、2、1、または0ヌクレオチドの突出を有する。「以下」が、一連の数または範囲の後に存在する場合、「以下」は、一連の数または数の範囲の各々を修飾しうることが理解される。本明細書において使用された、範囲は、上限および下限の両方を含む。
【0076】
本明細書において使用される検出法は、存在する解析物の量が、方法の検出レベルを下回ることの決定を含みうる。
【0077】
指し示される標的部位と、センス鎖またはアンチセンス鎖のヌクレオチド配列との間において齟齬が生じる場合は、指し示される配列が優先される。
【0078】
配列と転写物上に指し示されるその部位、または他の配列との間において齟齬が生じる場合は、本明細書において列挙されるヌクレオチド配列が優先される。
【0079】
本明細書において、「KHK」という用語は、ケトヘキソキナーゼをコードする周知の遺伝子のほか、そのタンパク質産物を指す。
【0080】
KHK(ケトヘキソキナーゼ)遺伝子は、染色体2p23に位置しており、フルクトキナーゼとしても公知のケトヘキソキナーゼをコードする。KHKは、リン酸受容体としてアルコールを有するホスホトランスフェラーゼ酵素である。KHKは、炭水化物キナーゼのリボキナーゼファミリーに属する(Trinh et al., ACTA Cryst., D65: 201-211)。ケトヘキソキナーゼの2つのアイソフォーム、KHK-A(多種のa)およびKHK-C(多種のb)は同定されており、全長mRNAの代替的スプライシングから生じる。KHK-C mRNAは、主に肝臓、腎臓および小腸において高レベルで発現される。KHK-Cは、フルクトース結合に対してKHK-Aより大幅に低いKを有し、結果として食事性フルクトースをリン酸化することに非常に有効である。
【0081】
ヒトKHK mRNA転写物の配列は、例えば、GenBank受託番号GI:1370477611(変異体10、XM_017004061.1;配列番号1;リバース相補体、配列番号2)において見出されうる。
【0082】
ヒトKHK mRNA転写物の配列は、例えば、GenBank受託番号GI:1370477602(変異体1、XM_006712008.4;配列番号3;リバース相補体、配列番号4)において見出されうる。
【0083】
ヒトKHK mRNA転写物の配列は、例えば、GenBank受託番号GI:1370477603(変異体2、XM_006712009.4;配列番号5;リバース相補体、配列番号6)において見出されうる。
【0084】
ヒトKHK mRNA転写物の配列は、例えば、GenBank受託番号GI:1370477604(変異体3、XM_005264294.4;配列番号7;リバース相補体、配列番号8)において見出されうる。
【0085】
ヒトKHK mRNA転写物の配列は、例えば、GenBank受託番号GI:1370477605(変異体4、XM_017004060.2;配列番号9;リバース相補体、配列番号10)において見出されうる。
【0086】
ヒトKHK mRNA転写物の配列は、例えば、GenBank受託番号GI:1370477606(変異体5、XM_006712010.4;配列番号11;リバース相補体、配列番号12)において見出されうる。
【0087】
ヒトKHK mRNA転写物の配列は、例えば、GenBank受託番号GI:1370477607(変異体6、XM_006712011.4;配列番号13;リバース相補体、配列番号14)において見出されうる。
【0088】
ヒトKHK mRNA転写物の配列は、例えば、GenBank受託番号GI:1370477608(変異体7、XM_006712012.4;配列番号15;リバース相補体、配列番号16)において見出されうる。
【0089】
ヒトKHK mRNA転写物の配列は、例えば、GenBank受託番号GI:1370477609(変異体8、XM_005264296.4;配列番号17;リバース相補体、配列番号18)において見出されうる。
【0090】
ヒトKHK mRNA転写物の配列は、例えば、GenBank受託番号GI:1370477610(変異体9、XM_006712013.4;配列番号19;リバース相補体、配列番号20)において見出されうる。
【0091】
ヒトKHK mRNA転写物の配列は、例えば、GenBank受託番号GI:1370477612(変異体11、XM_006712014.4;配列番号21;リバース相補体、配列番号22)において見出されうる。
【0092】
ヒトKHK mRNA転写物の配列は、例えば、GenBank受託番号GI:1370477613(変異体12、XM_005264298.4;配列番号23;リバース相補体、配列番号24)において見出されうる。
【0093】
ヒトKHK-C mRNA転写物の配列は、例えば、GenBank受託番号GI:1519473652(変異体b、NM_006488.3;配列番号25;リバース相補体、配列番号26)において見出されうる。
【0094】
ヒトKHK-A mRNA転写物の配列は、例えば、GenBank受託番号GI:1676318137(変異体a、NM_000221.3;配列番号27;リバース相補体、配列番号28)において見出されうる。
【0095】
マウス(Mus musculus)KHK mRNA転写物の配列は、例えば、GenBank受託番号GI:887229617(変異体1、NM_001310524.1;配列番号29;リバース相補体、配列番号30)において見出されうる。
【0096】
ラット(Rattus norvegicus)KHK mRNA転写物の配列は、例えば、GenBank受託番号GI:126432547(NM_031855.3;配列番号31;リバース相補体、配列番号32)において見出されうる。
【0097】
ウサギ(Oryctolagus cuniculus)KHK mRNA転写物の配列は、例えば、GenBank受託番号GI:1040208599(変異体2、XM_017340872.1;配列番号33;リバース相補体、配列番号34)において見出されうる。
【0098】
アカゲザル(Macaca mulatta)KHK mRNA転写物の配列は、例えば、GenBank受託番号GI:1622855994(変異体1、XM_015111942.2;配列番号35;リバース相補体、配列番号36)において見出されうる。
【0099】
KHKについてのさらなる情報は、例えば、www.ncbi.nlm.nih.gov/gene/3795において見出される。
【0100】
KHK mRNA配列のさらなる例については、公開データベース、例えば、GenBank、UniProt、OMIM、およびマカク属(Macaca)ゲノムプロジェクトウェブサイトを介してたやすく入手可能である。
【0101】
本明細書において使用される、「KHK」という用語はまた、KHK遺伝子内の一塩基多型(SNP)など、KHK遺伝子の、天然に存在するDNA配列変異も指す。例示的なKHKのDNA配列におけるSNPは、www.ncbi.nlm.nih.gov/projects/SNP/において利用可能なdbSNPデータベースを介して見出されうる。
【0102】
例示的なKHKヌクレオチド配列はまた、配列番号1~36においても見出されうる。配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34および36は、それぞれ、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33および35の逆相補体配列である。
【0103】
前出のGenBank受託番号および遺伝子データベース番号の各々については、本出願の出願日現在の全内容が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0104】
本明細書において使用される、「標的配列」とは、ケトヘキソキナーゼ遺伝子の転写時に形成されるmRNA分子であって、一次転写産物のRNAプロセシングの産物であるmRNAを含むmRNA分子のヌクレオチド配列の連続部分を指す。配列の標的部分は、KHK遺伝子の転写時に形成されるmRNA分子のヌクレオチド配列のこの部分における、またはこの近傍における、iRNAにより導かれる切断のための基質として用いられるのに、少なくとも十分に長いであろう。一実施形態において、標的配列は、KHKのタンパク質コード領域内にある。
【0105】
標的配列は、約19~36ヌクレオチドの長さ、例えば、約19~30ヌクレオチドの長さでありうる。例えば、標的配列は、約19~30ヌクレオチド、19~30、19~29、19~28、19~27、19~26、19~25、19~24、19~23、19~22、19~21、19~20、20~30、20~29、20~28、20~27、20~26、20~25、20~24、20~23、20~22、20~21、21~30、21~29、21~28、21~27、21~26、21~25、21~24、21~23、または21~22ヌクレオチドの長さでありうる。一部の実施形態において、標的配列は、約19~約30ヌクレオチドの長さである。他の実施形態において、標的配列は、約19~約25ヌクレオチドの長さである。さらに他の実施形態において、標的配列は、約19~約23ヌクレオチドの長さである。一部の実施形態において、標的配列は、約21~約23ヌクレオチドの長さである。上記において列挙された範囲および長さの中間の範囲および長さもまた、本開示の一部であると想定される。
【0106】
本明細書において使用される、「配列を含む鎖」という用語は、標準的なヌクレオチド命名法を使用して言及される配列により記載されるヌクレオチド鎖を含むオリゴヌクレオチドを指す。
【0107】
「G」、「C」、「A」、「T」、および「U」は、各々、一般に、それぞれ、グアニン、シトシン、アデニン、チミジン、およびウラシルを、塩基として含有するヌクレオチドを表す。しかし、「リボヌクレオチド」または「ヌクレオチド」という用語はまた、下記においてさらに詳述される、修飾ヌクレオチド、またはサロゲートの置きかえ部分(例えば、表1を参照されたい)も指す場合があることが理解されるであろう。当業者は、グアニン、シトシン、アデニン、およびウラシルが、このような置きかえ部分を保有するヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドの塩基対合特性を、実質的に変更せずに、他の部分により置きかえられうることを十分に承知しているであろう。例えば、限定せずに述べると、イノシンを、その塩基として含むヌクレオチドは、アデニン、シトシン、またはウラシルを含有するヌクレオチドと塩基対合しうる。よって、ウラシル、グアニン、またはアデニンを含有するヌクレオチドは、本発明において特色づけられるdsRNAのヌクレオチド配列内において、例えば、イノシンを含有するヌクレオチドにより置きかえられうる。別の例において、オリゴヌクレオチド内のいずれかの位置におけるアデニンおよびシトシンは、それぞれ、標的mRNAと、G-Uゆらぎ塩基対合を形成するように、グアニンおよびウラシルにより置きかえられうる。このような置きかえ部分を含有する配列は、本発明において特色づけられる組成物および方法に適する。
【0108】
本明細書において互換的に使用される、「iRNA」、「RNAi剤」、「iRNA剤」、「RNA干渉剤」という用語は、この用語が本明細書において規定される通り、RNAを含有し、RNA誘導サイレンシング複合体(RISC)経路を介して、RNA転写物のターゲティング切断を媒介する薬剤を指す。iRNAは、RNA干渉(RNAi)として公知の過程を介して、mRNAの配列特異的分解を方向付ける。iRNAは、細胞内、例えば、哺乳動物対象などの対象内部の細胞内のケトヘキソキナーゼ遺伝子の発現を、モジュレートする、例えば、阻害する。
【0109】
一実施形態において本発明のRNAi剤は、標的RNA配列、例えば、ケトヘキソキナーゼの標的mRNA配列と相互作用して、標的RNAの切断を方向付ける一本鎖RNAを含む。理論に束縛されることを望まずに述べると、細胞へと導入された、長鎖の二本鎖RNAは、Dicerとして公知のIII型エンドヌクレアーゼにより、siRNAへと分解されると考えられる[Sharp et al. (2001) Genes Dev. 15:485]。リボヌクレアーゼIII様酵素であるDicerは、dsRNAを、特徴的な2塩基の3’突出を伴う、19~23塩基対の短鎖干渉RNAへとプロセシングする[Bernstein, et al., (2001) Nature 409:363]。次いで、siRNAは、RNA誘導サイレンシング複合体(RISC)へと組み込まれ、ここで、1つまたは複数のヘリカーゼが、siRNA二重鎖をほどき、相補性のアンチセンス鎖が、標的の認識を誘導することを可能とする[Nykanen, et al., (2001) Cell 107:309]。適切な標的mRNAに結合すると、RISC内の、1つまたは複数のエンドヌクレアーゼは、標的を切断して、サイレンシングを誘導する[Elbashir, et al., (2001) Genes Dev. 15:188]。したがって、一態様において、本発明は、細胞内において生成し、標的遺伝子、すなわち、ケトヘキソキナーゼ(KHK)遺伝子のサイレンシングを実行するRISC複合体の形成を促進する一本鎖RNA(siRNA)に関する。したがって、本明細書において、「siRNA」という用語はまた、上記において記載されたiRNAを指すようにも使用される。
【0110】
ある特定の実施形態において、RNAi剤は、標的mRNAを阻害するように、細胞または生物へと導入される一本鎖siRNA(ssRNAi)でありうる。一本鎖RNAi剤は、RISCエンドヌクレアーゼであるArgonaute 2に結合し、次いで、これが、標的mRNAを切断する。一本鎖siRNAは、一般に、15~30ヌクレオチドであり、化学修飾されている。一本鎖siRNAのデザインおよび試験については、それらの各々の全内容が、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第8,101,348号、およびLima et al., (2012) Cell 150:883-894において記載されている。本明細書において記載されるアンチセンスヌクレオチド配列のうちのいずれかは、本明細書において記載されるか、またはLima et al., (2012) Cell 150:883-894において記載されている方法により化学修飾された、一本鎖siRNAとして使用されうる。
【0111】
ある特定の実施形態において、本発明の組成物、使用、および方法における使用のための「iRNA」は、二本鎖RNAであり、本明細書において、「二本鎖RNA剤」、「二本鎖RNA(dsRNA)分子」、「dsRNA剤」、または「dsRNA」と称される。「dsRNA」という用語は、2つの、アンチパラレルの、実質的に相補的な核酸鎖を含む二重鎖構造を有する、リボ核酸分子の複合体を指し、標的RNA、すなわちケトヘキソキナーゼ(KHK)3遺伝子に対して「センス」および「アンチセンス」の方向を有すると称される。本発明の一部の実施形態において、二本鎖RNA(dsRNA)は、本明細書において、RNA干渉またはRNAiと称される、転写後遺伝子サイレンシング機構を介して、標的RNA、例えば、mRNAの分解を誘発する。
【0112】
一般に、dsRNA分子の各鎖のヌクレオチドの大部分は、リボヌクレオチドであるが、本明細書において、詳細に記載される通り、各鎖または鎖の両方はまた、1つまたは複数の非リボヌクレオチド、例えば、デオキシリボヌクレオチドまたは修飾ヌクレオチドも含みうる。加えて、本明細書において使用される「iRNA」は、化学修飾を伴うリボヌクレオチドを含む場合があり;iRNAは、複数のヌクレオチドにおける、実質的な修飾を含みうる。
【0113】
本明細書において使用される、「修飾ヌクレオチド」という用語は、独立に、修飾糖部分、修飾ヌクレオチド間連結、もしくは修飾ヌクレオ塩基、またはこれらの任意の組合せを有するヌクレオチドを指す。したがって、修飾ヌクレオチドという用語は、例えば、官能基または原子の、ヌクレオシド間連結、糖部分、またはヌクレオ塩基への置換、付加、またはこれらからの除去を包含する。本発明の薬剤における使用に適する修飾は、本明細書において開示されるか、または当技術分野において公知である、全ての種類の修飾を含む。siRNA型分子において使用される、任意のこのような修飾は、本明細書および特許請求の範囲を目的とする「iRNA」、または「RNAi剤」により包含される。
【0114】
本開示のある特定の実施形態において、ヌクレオチドの天然に存在する形態として認められるデオキシヌクレオチドの組入れは、RNAi剤中に存在する場合に、修飾ヌクレオチドを構成すると考えられる。
【0115】
二重鎖領域は、RISC経路を介して、所望の標的RNAの特異的分解を可能とする、任意の長さであることが可能であり、約19~36塩基対の長さ、例えば、約19~30塩基対の長さ、例えば、約9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、または36塩基対の長さ、約19~30、19~29、19~28、19~27、19~26、19~25、19~24、19~23、19~22、19~21、19~20、20~30、20~29、20~28、20~27、20~26、20~25、20~24、20~23、20~22、20~21、21~30、21~29、21~28、21~27、21~26、21~25、21~24、21~23、または21~22塩基対などの長さの範囲でありうる。ある特定の実施形態において、二重鎖領域は、19~21塩基対の長さ、例えば、21塩基対の長さである。上記において列挙された範囲および長さの中間の範囲および長さもまた、本開示の一部であると想定される。
【0116】
二重鎖構造を形成する2つの鎖は、1つの大型のRNA分子の異なる部分の場合もあり、別個のRNA分子の場合もある。2つの鎖が、1つの大型分子の一部であり、したがって、一方の鎖の3’末端と、対する他方の鎖の5’末端との間において二重鎖構造を形成する、非中断ヌクレオチド鎖により接続される場合、接続するRNA鎖は、「ヘアピンループ」と称される。ヘアピンループは、少なくとも1つの非対合ヌクレオチドを含みうる。一部の実施形態において、ヘアピンループは、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、23、またはこれを超える非対合ヌクレオチドを含みうる。一部の実施形態において、ヘアピンループは、10ヌクレオチド以下でありうる。一部の実施形態において、ヘアピンループは、8非対合ヌクレオチド以下でありうる。一部の実施形態において、ヘアピンループは、4~10非対合ヌクレオチドでありうる。一部の実施形態において、ヘアピンループは、4~8ヌクレオチドでありうる。
【0117】
ある特定の実施形態において、二本鎖オリゴマー化合物の2つの鎖は、一体に連結されうる。2つの鎖は、両末端でまたは一方の末端だけで互いに連結されうる。一方の末端で連結することは、第1の鎖の5’末端が第2の鎖の3’末端に連結される、または第1の鎖の3’末端が第2の鎖の5’末端に連結されることを意味する。2つの鎖が両末端で互いに連結される場合、第1の鎖の5’末端は、第2の鎖の3’末端に連結され、第1の鎖の3’末端は、第2の鎖の5’末端に連結される。2つの鎖は、(N)n;式中Nは、独立に、修飾または未修飾ヌクレオチドであり、nは3~23である、を含むがこれらに限定されない、オリゴヌクレオチドリンカーによって一体に連結されうる。一部の実施形態(embodiemtns)において、nは3~10、例えば、3、4、5、6、7、8、9または10である。一部の実施形態において、オリゴヌクレオチドリンカーは、GNRA、(G)4、(U)4および(dT)4からなる群から選択され、ここでNは、修飾または未修飾ヌクレオチドであり、Rは、修飾または未修飾プリンヌクレオチドである。リンカーにおけるヌクレオチドの一部は、リンカーにおける他のヌクレオチドとの塩基対相互作用に関与しうる。2つの鎖はまた、非ヌクレオシドリンカー、例えば、本明細書において記載されるリンカーによって一体に連結されうる。任意のオリゴヌクレオチド化学修飾または本明細書において記載される変異が、オリゴヌクレオチドリンカーにおいて使用されうることは、当業者によって理解される。
【0118】
ヘアピンおよびダンベル型オリゴマー化合物は、14、15、15、16、17、18、19、29、21、22、23、24または25ヌクレオチド対以上の二重鎖領域を有する。二重鎖領域は、200、100または50以下の長さであってよい。一部の実施形態において、二重鎖領域の範囲は、15~30、17~23、19~23および19~21ヌクレオチド対の長さである。
【0119】
ヘアピンオリゴマー化合物は、単鎖突出または末端非対合領域を、一部の実施形態において3’に、および一部の実施形態においてヘアピンのアンチセンス側に有しうる。一部の実施形態において、突出は、1~4、さらに一般には2~3ヌクレオチドの長さである。RNA干渉を誘導できるヘアピンオリゴマー化合物は、本明細書において「shRNA」とも言及される。
【0120】
dsRNAの、2つの実質的な相補鎖が、別個のRNA分子に含まれる場合、これらの分子、共有結合的に接続される必要はないが、共有結合的に接続される場合がある。2つの鎖が、一方の鎖の3’末端と、対する他方の鎖の5’末端との間において二重鎖構造を形成する、非中断ヌクレオチド鎖以外の手段により、共有結合的に接続される場合、接続構造は、「リンカー」と称される。RNA鎖は、同じ数のヌクレオチドを有する場合もあり、異なる数のヌクレオチドを有する場合もある。最大の塩基対数は、最も短いdsRNA鎖中のヌクレオチド数から、二重鎖中に存在する、任意の突出を差し引いた数である。二重鎖構造に加えて、RNAiは、1つまたは複数のヌクレオチド突出を含みうる。RNAi剤についての一実施形態において、少なくとも1つの鎖は、少なくとも1ヌクレオチドの3’突出を含む。別の実施形態において、少なくとも1つの鎖は、少なくとも2ヌクレオチドの3’突出、例えば、2、3、4、5、6、7、9、10、11、12、13、14、または15ヌクレオチドの3’突出を含む。他の実施形態において、RNAi剤の、少なくとも1つの鎖は、少なくとも1ヌクレオチドの5’突出を含む。ある特定の実施形態において、少なくとも1つの鎖は、少なくとも2ヌクレオチドの5’突出、例えば、2、3、4、5、6、7、9、10、11、12、13、14、または15ヌクレオチドの5’突出を含む。さらに他の実施形態において、RNAi剤の1つの鎖の、3’末端および5’末端のいずれも、少なくとも1ヌクレオチドの突出を含む。
【0121】
ある特定の実施形態において、本発明のiRNA剤は、その各鎖が、19~23ヌクレオチドを含み、標的RNA配列、例えば、ケトヘキソキナーゼ(KHK)遺伝子と相互作用して、標的RNAの切断を方向付けるdsRNAである。
【0122】
一部の実施形態において、本開示のiRNAは、標的RNA配列、例えば、KHKの標的mRNA配列と相互作用して、標的RNAの切断を方向付ける、24~30ヌクレオチドのdsRNAである。
【0123】
本明細書において使用される、「ヌクレオチドの突出」という用語は、二本鎖iRNAの二重鎖構造から突出する、少なくとも1つの非対合ヌクレオチドを指す。例えば、dsRNAの一方の鎖の3’末端が、他方の鎖の5’末端を越えて伸長するか、またはこの逆である場合、ヌクレオチドの突出が存在する。dsRNAは、少なくとも1ヌクレオチドの突出を含むことが可能であるが;代替的に、突出は、少なくとも2ヌクレオチド、少なくとも3ヌクレオチド、少なくとも4ヌクレオチド、少なくとも5ヌクレオチド、またはこれを超えるヌクレオチドを含みうる。ヌクレオチドの突出は、デオキシヌクレオチド/ヌクレオシドを含む、ヌクレオチド/ヌクレオシド類似体を含みうるか、またはこれらからなりうる。突出(複数可)は、センス鎖上にある場合もあり、アンチセンス鎖上にある場合もあり、これらの任意の組合せの上にある場合もある。さらに、ヌクレオチド(複数可)の突出は、dsRNAのアンチセンス鎖またはセンス鎖5’末端に存在する場合もあり、3’末端に存在する場合もあり、両末端に存在する場合もある。
【0124】
dsRNAの一実施形態において、少なくとも1つの鎖は、少なくとも1ヌクレオチドの3’突出を含む。別の実施形態において、少なくとも1つの鎖は、少なくとも2ヌクレオチドの、例えば、2、3、4、5、6、7、9、10、11、12、13、14または15ヌクレオチドの3’突出を含む。他の実施形態において、RNAi剤の少なくとも1つの鎖は、少なくとも1ヌクレオチドの5’突出を含む。ある特定の実施形態において、少なくとも1つの鎖は、少なくとも2ヌクレオチド、例えば、2、3、4、5、6、7、9、10、11、12、13、14または15ヌクレオチドの5’突出を含む。さらに他の実施形態において、RNAi剤の1つの鎖の3’末端および5’末端の両方は、少なくとも1ヌクレオチドの突出を含む。
【0125】
一実施形態において、dsRNAのアンチセンス鎖は、3’末端または5’末端において、1~10ヌクレオチド、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10ヌクレオチドの突出を有する。一実施形態において、dsRNAのセンス鎖は、3’末端または5’末端において、1~10ヌクレオチド、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10ヌクレオチドの突出を有する。別の実施形態において、突出内のヌクレオチドのうちの1つまたは複数は、チオリン酸ヌクレオシドにより置きかえられる。
【0126】
ある特定の実施形態において、dsRNAのアンチセンス鎖は、3’末端または5’末端において、1~10ヌクレオチド、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10ヌクレオチドの突出を有する。ある特定の実施形態において、センス鎖もしくはアンチセンス鎖、またはこれらの両方における突出は、10ヌクレオチド、例えば、1~30ヌクレオチド、2~30ヌクレオチド、10~30ヌクレオチド、10~25ヌクレオチド、10~20ヌクレオチド、または10~15ヌクレオチドの長さを超えて伸長する長さを含みうる。ある特定の実施形態において、伸長突出は、二重鎖のセンス鎖上に存在する。ある特定の実施形態において、伸長突出は、二重鎖のセンス鎖の3’末端上に存在する。ある特定の実施形態において、伸長突出は、二重鎖のセンス鎖の5’末端上に存在する。ある特定の実施形態において、伸長突出は、二重鎖のアンチセンス鎖上に存在する。ある特定の実施形態において、伸長突出は、二重鎖のアンチセンス鎖の3’末端上に存在する。ある特定の実施形態において、伸長突出は、二重鎖のアンチセンス鎖の5’末端上に存在する。ある特定の実施形態において、伸長突出内のヌクレオチドのうちの1つまたは複数は、チオリン酸ヌクレオシドにより置きかえられる。ある特定の実施形態において、突出は、突出が、生理学的条件下において安定である、ヘアピン構造を形成することが可能であるように、自己相補性部分を含む。
【0127】
「平滑」または「平滑末端」とは、二本鎖RNA剤のこの末端において、非対合ヌクレオチドが存在しない、すなわち、ヌクレオチド突出が存在しないことを意味する。「平滑末端の」二本鎖RNA剤は、その全長にわたり、二本鎖である、すなわち、分子のいずれの末端においても、ヌクレオチド突出が存在しない。本発明のRNAi剤は、一方の末端において、ヌクレオチド突出を伴わないRNAi剤(すなわち、1つの突出末端と、1つの平滑末端とを伴う薬剤)、またはいずれの末端においても、ヌクレオチド突出を伴わないRNAi剤を含む。このような分子は、その全長にわたり、二本鎖であることが極めて多いであろう。
【0128】
「アンチセンス鎖」または「ガイド鎖」という用語は、標的配列、例えば、KHK mRNAと実質的に相補的な領域を含む、iRNA鎖、例えば、dsRNA鎖を指す。
【0129】
本明細書において使用される、「相補性領域」という用語は、配列、例えば、標的配列、例えば、本明細書において規定される、ケトヘキソキナーゼヌクレオチド配列と実質的に相補的なアンチセンス鎖上の領域を指す。相補性領域が、標的配列と、完全に相補的ではない場合、ミスマッチは、分子の内部領域内の場合もあり、末端領域内の場合もある。一般に、許容度が最も大きなミスマッチは、例えば、iRNAの5’末端または3’末端から、5、4、3ヌクレオチドの範囲の末端領域内にある。一部の実施形態において、本発明の二本鎖RNA剤は、アンチセンス鎖内に、ヌクレオチドミスマッチを含む。一部の実施形態において、本発明の二本鎖RNA剤のアンチセンス鎖は、標的mRNAとの、4つ以下のミスマッチを含む、例えば、アンチセンス鎖は、標的mRNAとの、4つ、3つ、2つ、1つ、または0のミスマッチを含む。一部の実施形態において、本発明の二本鎖RNA剤のアンチセンス鎖は、センス鎖との、4つ以下のミスマッチを含む、例えば、アンチセンス鎖は、センス鎖との、4つ、3つ、2つ、1つ、または0のミスマッチを含む。一部の実施形態において、本発明の二本鎖RNA剤は、センス鎖内に、ヌクレオチドミスマッチを含む。一部の実施形態において、本発明の二本鎖RNA剤のセンス鎖は、アンチセンス鎖との、4つ以下のミスマッチを含む、例えば、センス鎖は、アンチセンス鎖との、4つ、3つ、2つ、1つ、または0のミスマッチを含む。一部の実施形態において、ヌクレオチドミスマッチは、例えば、iRNAの3’末端から、5、4、3ヌクレオチドの範囲内にある。別の実施形態において、ヌクレオチドミスマッチは、例えば、iRNA剤の3’末端ヌクレオチド内にある。一部の実施形態において、ミスマッチ(複数可)は、シード領域内にない。
【0130】
したがって、本明細書において記載されるRNAi剤は、標的配列との、1つまたは複数のミスマッチを含有しうる。一実施形態において、本明細書において記載されるRNAi剤は、3つ以下のミスマッチ(すなわち、3つ、2つ、1つ、または0のミスマッチ)を含有する。一実施形態において、本明細書において記載されるRNAi剤は、2つ以下のミスマッチを含有する。一実施形態において、本明細書において記載されるRNAi剤は、1つ以下のミスマッチを含有する。一実施形態において、本明細書において記載されるRNAi剤は、0のミスマッチを含有する。ある特定の実施形態において、RNAi剤のアンチセンス鎖が、標的配列とのミスマッチを含有する場合、ミスマッチは、相補性領域の5’末端または3’末端から最後の5ヌクレオチドの範囲内に制約されてもよい。例えば、このような実施形態において、23ヌクレオチドのRNAi剤について、KHK遺伝子の領域と相補性である鎖は、一般に、中央部の13ヌクレオチドの範囲内の任意のミスマッチを含有しない。本明細書において記載される方法、または当技術分野において公知の方法は、標的配列とのミスマッチを含有するRNAi剤が、KHK遺伝子の発現の阻害において、有効であるのかどうかを決定するのに使用されうる。KHK遺伝子の発現の阻害における、ミスマッチを伴うRNAi剤の有効性の検討は、とりわけ、KHK遺伝子内の、特定の相補性領域が、集団内において、多型性の配列変異を有することが公知である場合に、重要である。
【0131】
本明細書において使用される、「センス鎖」または「パッセンジャー鎖」という用語は、この用語が本明細書において規定される通り、アンチセンス鎖の領域と、実質的に相補的である領域を含むiRNA鎖を指す。
【0132】
本明細書において使用される、「ヌクレオチドの実質的に全てが修飾されている」とは、大部分が修飾されているが、完全には修飾されていないことであり、5つ、4つ、3つ、2つ、または1つを超えない、非修飾ヌクレオチドを含みうる。
【0133】
本明細書において使用される、「切断領域」という用語は、切断部位に、直に隣接して配置された領域を指す。切断部位とは、切断が生じる、標的上の部位である。一部の実施形態において、切断領域は、切断部位のいずれかの末端上にあり、切断部位に直に隣接する、3つの塩基を含む。一部の実施形態において、切断領域は、切断部位のいずれかの末端上にあり、切断部位に直に隣接する、2つの塩基を含む。一部の実施形態において、切断部位は、アンチセンス鎖のヌクレオチド10および11が結合した部位において特異的に生じ、切断領域は、ヌクレオチド11、12、および13を含む。
【0134】
本明細書において使用され、そうでないことが指し示されない限りにおける、「相補性」という用語は、第1のヌクレオチド配列について、第2のヌクレオチド配列との関係において記載するのに使用される場合、当業者により理解される通り、ある特定の条件下において、第2のヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドとハイブリダイズし、二重鎖構造を形成する、第1のヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの能力を指す。このような条件は、例えば、50℃または70℃において、12~16分間にわたる、400mMのNaCl、40mMのPIPES pH6.4、1mMのEDTA、およびそれに続く洗浄を含みうる、厳密な条件でありうる[例えば、"Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Sambrook, et al. (1989) Cold Spring Harbor Laboratory Pressを参照されたい]。生物の内部において遭遇しうる、生理学的に関連する条件など、他の条件も、適用されうる。当業者は、ハイブリダイズされるヌクレオチドの最終的な適用に従い、2つの配列の相補性についての試験に最も適切な条件のセットを決定することができるであろう。
【0135】
iRNA内の相補性配列、例えば、本明細書において記載されるdsRNA内の相補性配列は、第1のヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの、第2のヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドとの、ヌクレオチド配列の一方または両方の全長にわたる塩基対合を含む。本明細書において、このような配列は、互いに照らして、「完全に相補的」であると称されうる。しかし、本明細書において、第1の配列が、第2の配列に照らして、「実質的に相補的」であると称される場合、2つの配列は、完全に相補的な場合もあり、それらの最終的な適用、例えば、インビトロまたはインビボで、遺伝子発現の阻害に最も関連する条件下において、ハイブリダイズする能力を保持しながら、一般に、30塩基対までの二重鎖のためのハイブリダイゼーション時において、5つ、4つ、3つ、または2つを超えない1つまたは複数のミスマッチ塩基対を形成する場合もある。しかし、2つのオリゴヌクレオチドが、ハイブリダイゼーション時に、1つまたは複数の一本鎖突出を形成するようにデザインされる場合、このような突出は、相補性の決定に関して、ミスマッチとは考えられないものとする。例えば、21ヌクレオチドの長さの、1つのオリゴヌクレオチドと、23ヌクレオチドの長さの、別のオリゴヌクレオチドとを含み、長い方のオリゴヌクレオチドが、短い方のオリゴヌクレオチドと、完全に相補的である、21ヌクレオチドの配列を含むdsRNAも、やはり、本明細書において記載される目的のためには、「完全に相補的」であると称されうる。
【0136】
本明細書において使用される「相補性」配列はまた、ハイブリダイズするそれらの能力に関する、上記の要件が満たされる限りにおいて、非ワトソン-クリック型塩基対、または非天然ヌクレオチドおよび修飾ヌクレオチドから形成される塩基対も含みうるか、または完全にこれらから形成されうる。このような非ワトソン-クリック型の塩基対は、G:Uゆらぎ塩基対合またはフーグステイン型塩基対合を含むがこれらに限定されない。
【0137】
本明細書において、「相補性」、「完全に相補的」、および「実質的に相補的」という用語は、それらの使用の文脈から理解される通り、dsRNAのセンス鎖と、アンチセンス鎖との間、または二本鎖RNA剤のアンチセンス鎖と、標的配列などの2つのオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド間の塩基マッチングに関して使用されうる。
【0138】
本明細書において使用される、メッセンジャーRNA(mRNA)「の少なくとも一部と実質的に相補的」であるポリヌクレオチドとは、目的のmRNA(例えば、ケトヘキソキナーゼ遺伝子をコードするmRNA)の連続部分と実質的に相補的であるポリヌクレオチドを指す。例えば、ポリヌクレオチドは、配列が、ケトヘキソキナーゼ遺伝子をコードするmRNAの非中断部分と、実質的に相補的である場合、ケトヘキソキナーゼ mRNAの少なくとも一部と相補的である。
【0139】
したがって、一部の実施形態において、本明細書において開示されるアンチセンスポリヌクレオチドは、標的であるKHK配列と、完全に相補的である。
【0140】
他の実施形態において、本明細書において開示されるアンチセンスポリヌクレオチドは、標的であるKHK配列と、実質的に相補的であり、その全長にわたり、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、もしくは35のうちのいずれか1つのヌクレオチド配列の同等領域、または配列番号1-1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、もしくは35のうちのいずれか1つの断片に対して、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、または約99%相補的であるなど、少なくとも80%相補的である、連続ヌクレオチド配列を含む。
【0141】
一部の実施形態において、本明細書において開示されるアンチセンスポリヌクレオチドは、標的であるKHK配列の断片と、実質的に相補的であり、その全長にわたり、配列番号1の、ヌクレオチド943-965;788-810;734-756;1016-1038;1013-1035;1207-1229;1149-1171;574-596;1207-1229または828-850の群から選択される、配列番号1の断片に対して、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、または約99%相補的であるなど、少なくとも80%相補的である、連続ヌクレオチド配列を含む。
【0142】
他の実施形態において、本明細書において開示されるアンチセンスポリヌクレオチドは、標的KHK配列の断片と、実質的に相補的であり、その全長にわたり、表2~5のうちのいずれか1つにおける、センス鎖ヌクレオチド配列のうちのいずれか1つ、または表2~5のうちのいずれか1つにおける、センス鎖ヌクレオチド配列のうちのいずれか1つの断片と、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、または100%相補的であるなど、少なくとも80%相補的である、連続ヌクレオチド配列を含む。
【0143】
一実施形態において、本開示のRNAi剤は、アンチセンスポリヌクレオチドと、実質的に相補的であるセンス鎖を含み、アンチセンスポリヌクレオチドは、標的であるKHK配列と同じであり、この場合、センス鎖ポリヌクレオチドは、その全長にわたり、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、もしくは36のヌクレオチド配列の同等領域、または配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、もしくは36のうちのいずれか1つの断片に対して、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、または100%相補的であるなど、少なくとも約80%相補的である、連続ヌクレオチド配列を含む。
【0144】
一部の実施形態において、本開示のiRNAは、アンチセンスポリヌクレオチドと、実質的に相補的であるセンス鎖を含み、アンチセンスポリヌクレオチドは、標的であるケトヘキソキナーゼ配列と相補的であり、この場合、センス鎖ポリヌクレオチドは、その全長にわたり、表2~5のうちのいずれか1つにおける、アンチセンス鎖のヌクレオチド配列のうちのいずれか1つ、または表2~5のうちのいずれか1つにおける、アンチセンス鎖のヌクレオチド配列のうちのいずれか1つの断片に対して、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、または100%相補的であるなど、少なくとも約80%相補的である、連続ヌクレオチド配列を含む。
【0145】
ある特定の実施形態において、センス鎖およびアンチセンス鎖は、二重鎖である、AD-252498.1、AD-252339.1、AD-252285.1、AD-252531.1、AD-254265.1、AD-254403.1、AD-252627.1、AD-252146.1、AD-252666.1またはAD-252379.1のうちのいずれか1つから選択される。
【0146】
一部の実施形態において、二本鎖iRNA剤の二本鎖領域は、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、23、24、25、26、27、28、29、30またはこれを超えるヌクレオチド対の長さ以上である。
【0147】
一部の実施形態において、二本鎖iRNA剤のアンチセンス鎖は、少なくとも14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、23、24、25、26、27、28、29または30ヌクレオチドの長さであるか、これに等しい。
【0148】
一部の実施形態において、二本鎖iRNA剤のセンス鎖は、少なくとも10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、23、24、25、26、27、28、29または30ヌクレオチドの長さであるか、これに等しい。
【0149】
一実施形態において、二本鎖iRNA剤のセンス鎖およびアンチセンス鎖は、各15~30ヌクレオチドの長さである。
【0150】
一実施形態において、二本鎖iRNA剤のセンス鎖およびアンチセンス鎖は、各19~25ヌクレオチドの長さである。
【0151】
一実施形態において、二本鎖iRNA剤のセンス鎖およびアンチセンス鎖は、各21~23ヌクレオチドの長さである。
【0152】
一実施形態において、iRNA剤のセンス鎖は、21ヌクレオチドの長さであり、アンチセンス鎖は、23ヌクレオチドの長さであり、鎖は、3’末端に2ヌクレオチド長一本鎖突出を有する21個の連続塩基対の二本鎖領域を形成する。
【0153】
一部の実施形態において、各鎖のヌクレオチドの大部分は、リボヌクレオチドであるが、本明細書において、詳細に記載される通り、各鎖または鎖の両方はまた、1つまたは複数の非リボヌクレオチド、例えば、デオキシリボヌクレオチドおよび/または修飾ヌクレオチドも含みうる。加えて、「iRNA」は、化学修飾を伴うリボヌクレオチドを含む場合がある。このような修飾は、本明細書において開示されるか、または当技術分野において公知である、全ての種類の修飾を含みうる。iRNA分子において使用される、任意のこのような修飾は、本明細書および特許請求の範囲を目的とする「iRNA」により包含される。
【0154】
本開示についてのある特定の実施形態において、RNAi剤中に存在する場合のデオキシヌクレオチドの組入れは、修飾ヌクレオチドを構成すると考えられる。
【0155】
本発明のある態様において、本発明の方法および組成物における使用のための薬剤は、アンチセンス阻害機構を介して、標的mRNAを阻害する、一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド分子である。一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド分子は、標的mRNA内の配列と相補的である。一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドは、mRNAとの塩基対合により、化学量論的に翻訳を阻害する場合もあり、翻訳機構を、物理的に妨害することにより、翻訳を阻害する場合もあるが、Dias, N. et al., (2002) Mol Cancer Ther 1:347-355を参照されたい。一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド分子は、約14~約30ヌクレオチドの長さであることが可能であり、標的配列と相補性である配列を有しうる。例えば、一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド分子は、本明細書において記載されるアンチセンス配列のうちのいずれか1つに由来する、少なくとも約14、15、16、17、18、19、20、またはこれを超える連続ヌクレオチドである配列を含みうる。
【0156】
一実施形態において、KHK遺伝子の発現の少なくとも部分的な抑制は、KHK遺伝子が転写され、KHK遺伝子の発現が阻害されるように処置される第1の細胞または細胞群から単離されうる、またはそれにおいて検出されうるKHK mRNAの量の、第1の細胞または細胞群と、実質的に同一であるが、このように処置されていない、第2の細胞または細胞群(対照細胞)と比較した低減により評価される。阻害の程度は:
【0157】
【数1】
として表されうる。
【0158】
本明細書において使用される、dsRNAなどの「iRNAと細胞を接触させること」という語句は、任意の可能な手段により細胞を接触させることを含む。細胞をiRNAと接触させることは、インビトロにおいて細胞をiRNAと接触させること、またはインビボにおいて細胞をiRNAと接触させることを含む。接触は、直接的になされる場合もあり、間接的になされる場合もある。したがって、例えば、iRNAは、方法を実施する個人により、細胞と、物理的に接触させられる場合もあり、代替的に、iRNAは、それがその後細胞と接触することを可能とする状況、またはそれをその後細胞と接触させる状況に置かれる場合もある。
【0159】
インビトロにおける細胞の接触は、例えば、細胞を、iRNAと共にインキュベートすることによりなされうる。インビボにおける細胞の接触は、例えば、iRNAを、細胞が位置する組織へと、またはこの近傍に注射することによりなされる場合もあり、薬剤が、その後、接触させられる細胞が位置する組織に到達するように、iRNAを、別の領域、例えば、血流または皮下腔へと注射することによりなされる場合もある。例えば、iRNAは、iRNAを、目的の部位、例えば、肝臓へと方向付けるリガンド、例えば、GalNAcを含有する場合もあり、これとカップリングされる場合もある。インビトロにおいて接触させる方法と、インビボにおいて接触させる方法との組合せもまた、可能である。例えば、細胞はまた、インビトロにおいて、iRNAと接触させられ、その後対象へと移植される場合もある。
【0160】
ある特定の実施形態において、細胞をiRNAと接触させることは、細胞への取込みまたは吸収を容易とするか、またはこれらをもたらすことにより、「iRNAを、細胞へと導入すること」または「iRNAを、細胞へとデリバリーすること」を含む。iRNAの吸収または取込みは、自発的拡散または能動的な細胞内過程を介して生じる場合もあり、補助的薬剤または補助的デバイスにより生じる場合もある。iRNAの、細胞への導入は、インビトロにおける導入の場合もあり、インビボにおける導入の場合もある。例えば、インビボにおける導入のために、iRNAは、組織部位へと注射される場合もあり、全身投与される場合もある。インビトロにおける、細胞への導入は、電気穿孔およびリポフェクションなど、当技術分野において公知の方法を含む。さらなる手法については、本明細書の下記において記載されるか、または当技術分野において公知である。
【0161】
「脂質ナノ粒子」または「LNP」という用語は、核酸分子、例えば、iRNA、またはiRNAが転写されるプラスミドなど、薬学的活性分子を封入する脂質層を含む小胞である。LNPについては、例えば、それらの全内容が、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,858,225号、同第6,815,432号、同第8,158,601号、および同第8,058,069号において記載されている。
【0162】
本明細書において使用される、「対象」とは、標的遺伝子を、内因的に発現するか、または異種発現する、霊長動物(ヒト、非ヒト霊長動物、例えば、サルおよびチンパンジーなど)、非霊長動物(ウシ、ブタ、ウマ、ヤギ、ウサギ、ヒツジ、ハムスター、モルモット、ネコ、イヌ、ラット、またはマウスなど)を含む哺乳動物、または鳥類などの動物である。ある実施形態において、対象は、本明細書において記載される、KHK発現の低減から利益を得る疾患もしくは障害のために処置されるか、またはこれらについて評価されるヒト;KHK発現の低減から利益を得る疾患もしくは障害の危険性があるヒト;KHK発現の低減から利益を得る疾患もしくは障害を有するヒト;またはKHK発現の低減から利益を得る疾患もしくは障害のために処置されるヒトなどのヒトである。一部の実施形態において、対象は、女性のヒトである。他の実施形態において、対象は、男性のヒトである。一実施形態において、対象は、成人対象である。別の実施形態において、対象は、小児科対象である。
【0163】
本明細書において使用される、「~を処置すること」または「処置」という用語は、対象におけるKHK関連障害の少なくとも1つの徴候または症状の低減など、有益な結果または所望の結果を指す。処置はまた、望ましくないKHK発現と関連する、1つまたは複数の徴候または症状の軽減;望ましくないKHKの活性化または安定化の程度の減少;望ましくないKHKの活性化または安定化の改善または緩和も含む。「処置」はまた、処置の非存在下において期待される生存と比較した、生存の延長も意味しうる。
【0164】
対象におけるKHKもしくは疾患マーカーのレベルまたは症状の文脈における、「低下」という用語は、このようなレベルの、統計学的に有意な低下を指す。低下は、例えば、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、またはこれを超える低下でありうる。ある特定の実施形態において、低下は、少なくとも20%である。ある特定の実施形態において、低下は、疾患マーカー、例えば、タンパク質レベルまたは遺伝子発現レベルの少なくとも50%の低下である。対象におけるKHKレベルの文脈における、「低下」は、このような障害を伴わない個体について、正常の範囲内として許容されるレベルまでの降下である。ある特定の実施形態において、標的の発現は正常化される、すなわち、このような障害を伴わない個体で正常の範囲内として許容されるレベルへ、またはレベルまで降下する。例えば、体重、血圧または血清脂質レベルの正常化である。本明細書において使用される、対象における「低下」は、対象における細胞中の遺伝子発現またはタンパク質産生の低下を指す場合があり、対象の全ての細胞または組織における発現の低下を必要としない。例えば、本明細書において使用される、対象における低下は、対象の肝臓における遺伝子発現またはタンパク質産生の低下を含みうる。
【0165】
「低下」という用語はまた、疾患または状態の症状を正常化すること、すなわち、KHK関連疾患を罹患している対象におけるレベルとKHK関連疾患を罹患していない正常な対象におけるレベルとの間の差異を低減させることに関連して使用される場合もある。例えば、正常体重70kgの対象が、処置前に90kgの体重(20kg過体重)であり、処置後に80kg(10kg過体重)である場合、対象の体重は、正常体重に向けて50%(10/20x100%)低下している。同様に、女性のHDLレベルが、正常レベルが60mg/dLであって、50mg/dL(不十分)から57mg/dLに増加する場合、対象の以前のレベルと正常レベルとの間の差異は、70%低減している(対象レベルと正常との間の10mg/dLの差異が7mg/dL低減している、7/10x100%)。本明細書において使用される、疾患が症状についての値の上昇と関連する場合、「正常」は、正常の上限値と考えられる。疾患が症状についての値の低減と関連する場合、「正常」は、正常の下限と考えられる。
【0166】
本明細書において、KHK遺伝子の発現またはKHKタンパク質の産生の低減から利益を得る疾患、障害、またはそれらの状態に言及して使用される場合の、「防止」または「~を防止すること」は、対象が、このような疾患、障害、または状態、例えば、KHK遺伝子発現またはKHK活性の徴候または症状およびフルクトース代謝の増加と関連する症状を発症する可能性の低減を指す。機序に束縛されることなく、フルクトース-1-リン酸を形成するようにKHKによって触媒されるフルクトースリン酸化は、フィードバック阻害によって調節されず、ATPおよび細胞内リン酸の枯渇を生じ、AMPレベルを増加させ、尿酸の産生をもたらしうることは公知である。さらに、フルクトース-1-リン酸は、クエン酸サイクルに供給され、アセチルCo-A刺激脂肪酸合成の産生を増加させる、グリセルアルデヒドに代謝される。尿酸および脂肪酸合成の上昇に関連する疾患および状態は、例えば、肝疾患[例えば、脂肪肝、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)を含む脂肪性肝炎]、脂質異常症(例えば、高脂血症、高LDLコレステロール、低HDLコレステロール、高トリグリセリド血症、食後高トリグリセリド血症)、血糖制御の障害(例えば、インスリンに対する免疫応答に関連しないインスリン抵抗性、2型糖尿病)、心血管疾患(例えば、高血圧症、内皮細胞機能障害)、腎疾患(例えば、急性腎障害、尿細管機能障害、近位尿細管の炎症誘発性変化、慢性腎疾患)、代謝性症候群、脂質沈着または機能障害の疾患(例えば、脂肪細胞機能障害、内臓脂肪沈着、肥満)、尿酸上昇の疾患(例えば、高尿酸血症、痛風)および過剰な糖渇望などの摂食障害を含む。疾患、障害、もしくは状態の無発症、またはこのような疾患、障害、もしくは状態と関連する症状もしくは併存症の発生の低減(例えば、この疾患または障害について、臨床的に許容されたスケールにおいて、少なくとも約10%)、または日単位、週単位、月単位、もしくは年単位による遅延した徴候もしくは症状もしくは疾患進行の提示は、有効な防止であると考えられる。
【0167】
本明細書において使用される、「ケトヘキソキナーゼ疾患」または「KHK関連疾患」という用語は、KHK遺伝子発現またはKHKタンパク質産生によって引き起こされるまたはそれに関連する疾患または障害である。「KHK関連疾患」という用語は、KHK遺伝子発現、複製またはタンパク質活性の低減から利益を得る疾患、障害または状態を含む。KHK関連疾患の非限定的例は、例えば、肝疾患[例えば、脂肪肝、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)を含む脂肪性肝炎]、脂質異常症(例えば、高脂血症、高LDLコレステロール、低HDLコレステロール、高トリグリセリド血症、食後高トリグリセリド血症)、血糖制御の障害(例えば、インスリンに対する免疫応答に関連しないインスリン抵抗性、2型糖尿病)、心血管疾患(例えば、高血圧症、内皮細胞機能障害)、腎疾患(例えば、急性腎障害、尿細管機能障害、近位尿細管の炎症誘発性変化、慢性腎疾患)、代謝性症候群、脂質沈着または機能障害の疾患(例えば、脂肪細胞機能障害、内臓脂肪沈着、肥満)、尿酸上昇の疾患(例えば、高尿酸血症、痛風)および過剰な糖渇望などの摂食障害を含む。種々の疾患(disesase)または状態の徴候および症状に関するさらなる詳細は、本明細書で提示され、当技術分野において周知である。
【0168】
ある特定の実施形態において、KHK関連疾患は、尿酸の上昇(例えば、高尿酸血症、痛風)と関連する。
【0169】
ある特定の実施形態において、KHK関連疾患は、脂質レベルの上昇[例えば、脂肪肝、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)を含む脂肪性肝炎、脂質異常症]と関連する。
【0170】
本明細書において使用される、「治療有効量」は、KHK関連疾患を有する対象へと投与された場合に、疾患の処置を実行する(例えば、既存の疾患、または疾患の1つもしくは複数の症状を減少させるか、改善するか、または維持することにより)のに十分である、RNAi剤の量を含むことが意図される。「治療有効量」は、RNAi剤、薬剤がどのように投与されるのか、疾患ならびにその重症度および既往歴、年齢、体重、家族歴、遺伝子組成、存在する場合、先行処置または併用処置の種類、および処置される対象の、他の個々の特徴に応じて変動しうる。
【0171】
本明細書において使用される、「予防有効量」は、KHK関連障害を有する対象へと投与された場合に、疾患または疾患の1つもしくは複数の症状を防止または改善するのに十分である、RNAi剤の量を含むことが意図される。疾患の改善は、疾患の経過の緩徐化、または遅発性疾患の重症度の軽減を含む。「予防有効量」は、RNAi剤、薬剤がどのように投与されるのか、疾患の危険性の程度および既往歴、年齢、体重、家族歴、遺伝子組成、存在する場合、先行処置または併用処置の種類、および処置される対象の、他の個々の特徴に応じて変動しうる。
【0172】
「治療有効量」または「予防有効量」はまた、任意の処置に適用可能な、妥当な有益性/危険性比において、何らかの所望の効果をもたらす、RNAi剤の量も含む。本発明の方法において利用されるiRNAは、このような処置に適用可能な、妥当な有益性/危険性比をもたらすのに十分な量において投与されうる。
【0173】
本明細書において、「薬学的に許容される」という語句は、正しい医学的判断の範囲内において、ヒト対象および動物対象の組織との接触における使用であって、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題もしくは合併症を伴わず、妥当な有益性/危険性比に見合う使用に適する化合物、素材、組成物、または剤形を指すのに用いられる。
【0174】
本明細書において使用される、「薬学的に許容可能な担体」という語句は、液体もしくは固体の充填剤、希釈剤、賦形剤、製造補助剤[例えば、滑沢剤、滑石、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、またはステアリン酸亜鉛、またはステアリン(steric)酸]、または対象化合物の、1つの臓器もしくは体内の部分から、別の臓器もしくは体内の部分への移送または輸送に関与する、溶媒封入材料など、薬学的に許容可能な材料、組成物、または媒体を意味する。各担体は、製剤の他の成分と適合性であり、処置される対象に対して有害でないという意味において、「許容可能」でなければならない。このような担体は、当技術分野において公知である。薬学的に許容される担体は、注射による投与のための担体を含む。
【0175】
本明細書において使用される、「試料」という用語は、対象から単離された、同様の体液、細胞、または組織のほか、対象内部に存在する体液、細胞、または組織のコレクションを含む。体液の例は、血液、血清および漿液、血漿、脳脊髄液、眼液、リンパ、尿、唾液などを含む。組織試料は、組織、臓器、または限局領域に由来する試料を含みうる。例えば、試料は、特定の臓器、臓器の部分、またはこれらの臓器内の体液もしくは細胞に由来しうる。ある特定の実施形態において、試料は、肝臓(例えば、全肝臓もしくは肝臓のある特定のセグメント、または、例えば、肝細胞など、肝臓内のある特定の種類の細胞)に由来しうる。一部の実施形態において、「対象に由来する試料」とは、対象から得られた尿を指す。「対象に由来する試料」は、対象からの血液、または血液由来の血清もしくは血漿を指す場合がある。
【0176】
II.本発明のiRNA
本発明は、ケトヘキソキナーゼ遺伝子の発現を阻害するiRNAを提供する。一部の実施形態において、iRNAは、対象、例えば、ケトヘキソキナーゼ関連障害を発症しやすいヒトなどの哺乳動物内部の細胞などの細胞内のKHK遺伝子の発現を阻害するための二本鎖リボ核酸(dsRNA)分子を含む。dsRNAi剤は、KHK遺伝子の発現において形成されるmRNAのうちの、少なくとも一部と相補性である相補性領域を有するアンチセンス鎖を含む。相補性領域は、約19~30ヌクレオチドの長さ(例えば、約30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、または19ヌクレオチドの長さ)である。KHK遺伝子を発現する細胞と接触させると、iRNAは、例えば、PCRもしくは分岐DNA(bDNA)ベースの方法、または、例えば、ウェスタンブロット法またはフローサイトメトリー法を使用する免疫蛍光解析などによる、タンパク質ベースの方法によりアッセイされる通り、KHK遺伝子(例えば、ヒト、霊長動物、非霊長動物、またはラットのKHK遺伝子)の発現を、少なくとも約50%阻害する。一部の実施形態において、発現の阻害は、本明細書の実施例に提示されるqPCR法により、例えば、この実施例において用意される、適切な生物細胞系内の濃度を10nMとするsiRNAについて決定される。一部の実施形態において、インビボにおける発現の阻害は、例えば、3mg/kgにおける、例えば、単回投与として投与された場合の、ヒト遺伝子を発現する齧歯動物、例えば、ヒト標的遺伝子を発現するマウスまたはAAV感染マウスの、RNA発現の最低レベルにおける、ヒト遺伝子のノックダウンにより決定される。
【0177】
dsRNAは、相補的であり、dsRNAが使用される条件下において、二重鎖構造を形成するようにハイブリダイズする、2つのRNA鎖を含む。dsRNAのうちの一方の鎖(アンチセンス鎖)は、標的配列と、実質的に相補的であり、一般に、完全に相補的である、相補性領域を含む。標的配列は、KHK遺伝子の発現時に形成される、mRNAの配列に由来しうる。他方の鎖(センス鎖)は、適切な条件下において組み合わされた場合に、2つの鎖がハイブリダイズし、二重鎖構造を形成するように、アンチセンス鎖と相補的である領域を含む。本明細書の別の箇所において記載され、当技術分野において公知の通り、dsRNAの相補性配列はまた、別個のオリゴヌクレオチド上の相補性配列と対比される、単一核酸分子の自己相補性領域としても含有されうる。
【0178】
一般に、二重鎖構造は、15~30塩基対の長さ、例えば、15~29、15~28、15~27、15~26、15~25、15~24、15~23、15~22、15~21、15~20、15~19、15~18、15~17、18~30、18~29、18~28、18~27、18~26、18~25、18~24、18~23、18~22、18~21、18~20、19~30、19~29、19~28、19~27、19~26、19~25、19~24、19~23、19~22、19~21、19~20、20~30、20~29、20~28、20~27、20~26、20~25、20~24、20~23、20~22、20~21、21~30、21~29、21~28、21~27、21~26、21~25、21~24、21~23、または21~22塩基対の長さである。ある特定の実施形態において、二重鎖構造は、18~25塩基対の長さ、例えば、18~25、18~24、18~23、18~22、18~21、18~20、19~25、19~24、19~23、19~22、19~21、19~20、20~25、20~24、20~23、20~22、20~21、21~25、21~24、21~23、21~22、22~25、22~24、22~23、23~25、23~24または24~25塩基対の長さ、例えば、19~21塩基対の長さである。上記において列挙された範囲および長さの中間の範囲および長さもまた、本開示の一部であると想定される。
【0179】
同様に、標的配列と相補的な領域は、15~30ヌクレオチドの長さ、例えば、15~29、15~28、15~27、15~26、15~25、15~24、15~23、15~22、15~21、15~20、15~19、15~18、15~17、18~30、18~29、18~28、18~27、18~26、18~25、18~24、18~23、18~22、18~21、18~20、19~30、19~29、19~28、19~27、19~26、19~25、19~24、19~23、19~22、19~21、19~20、20~30、20~29、20~28、20~27、20~26、20~25、20~24、20~23、20~22、20~21、21~30、21~29、21~28、21~27、21~26、21~25、21~24、21~23、または21~22ヌクレオチドの長さ、例えば、19~23ヌクレオチドの長さまたは21~23ヌクレオチドの長さである。上記において列挙された範囲および長さの中間の範囲および長さもまた、本開示の一部であると想定される。
【0180】
一部の実施形態において、二重鎖構造は、19~30塩基対の長さである。同様に、標的配列と相補的な領域は、19~30ヌクレオチドの長さである。
【0181】
一部の実施形態において、dsRNAは、約19~約23ヌクレオチドの長さ、または約25~約30ヌクレオチドの長さである。一般に、dsRNAは、Dicer酵素のための基質として用いられるのに十分な程度に長い。例えば、当技術分野において、約21~23ヌクレオチドの長さを超えるdsRNAが、Dicerのための基質として用いられうることは周知である。当業者がまた認識する通り、切断のためにターゲティングされるRNAの領域は、しばしば、mRNA分子である、大型のRNA分子の一部であることが極めて多い。該当する場合、mRNA標的の「一部」は、それが、RNAiにより導かれる切断(すなわち、RISC経路を介する切断)のための基質となることを可能とするのに十分な長さの、mRNA標的の連続配列である。
【0182】
当業者はまた、二重鎖領域が、dsRNAの、主要な機能的部分、例えば、約19~約30塩基対、例えば、約19~30、19~29、19~28、19~27、19~26、19~25、19~24、19~23、19~22、19~21、19~20、20~30、20~29、20~28、20~27、20~26、20~25、20~24、20~23、20~22、20~21、21~30、21~29、21~28、21~27、21~26、21~25、21~24、21~23、または21~22塩基対の二重鎖領域であることも認識するであろう。したがって、一実施形態において、所望のRNAを、切断のためにターゲティングする、例えば、15~30塩基対の機能的二重鎖へとプロセシングされる限りにおいて、30塩基対を超える二重鎖領域を有する、RNA分子またはRNA分子の複合体は、dsRNAである。したがって、当業者は、一実施形態において、miRNAが、dsRNAであることを認識するであろう。別の実施形態において、dsRNAは、天然に存在するmiRNAではない。別の実施形態において、ケトヘキソキナーゼ遺伝子の発現をターゲティングするのに有用なiRNA剤は、標的細胞内において、大型のdsRNAの切断によっては生成しない。
【0183】
本明細書において記載されるdsRNAは、例えば、1~4、2~4、1~3、2~3、1、2、3、または4ヌクレオチドの、1つまたは複数の一本鎖ヌクレオチド突出をさらに含みうる。少なくとも1つのヌクレオチドの突出を有するdsRNAは、それらの平滑末端対応物と比べて、優れた阻害特性を有しうる。ヌクレオチドの突出は、デオキシヌクレオチド/ヌクレオシドを含む、ヌクレオチド/ヌクレオシド類似体を含みうるか、またはこれらからなりうる。突出(複数可)は、センス鎖上にある場合もあり、アンチセンス鎖上にある場合もあり、これらの任意の組合せの上にある場合もある。さらに、ヌクレオチド(複数可)の突出は、dsRNAのアンチセンス鎖またはセンス鎖の5’末端上、3’末端上、または両末端上に存在しうる。
【0184】
dsRNAは、当技術分野において公知の標準的方法により合成されうる。本発明の二本鎖RNAi化合物は、2工程手順を使用して調製されうる。まず、二本鎖RNA分子の個々の鎖を、個別に調製する。次いで、鎖の構成要素をアニーリングさせる。siRNA化合物の個々の鎖は、液相有機合成もしくは固相有機合成、またはこれらの両方を使用して調製されうる。有機合成は、非天然ヌクレオチドまたは修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド鎖が、容易に調製されうるという利点をもたらす。同様に、本発明の一本鎖オリゴヌクレオチドは、液相有機合成もしくは固相有機合成、またはこれらの両方を使用して調製されうる。
【0185】
本発明のiRNA化合物は、2工程手順を使用して調製されうる。まず、二本鎖RNA分子の個々の鎖を、個別に調製する。次いで、鎖の構成要素をアニーリングさせる。siRNA化合物の個々の鎖は、液相有機合成もしくは固相有機合成、またはこれらの両方を使用して調製されうる。有機合成は、非天然ヌクレオチドまたは修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド鎖が、容易に調製されうるという利点をもたらす。本発明の一本鎖オリゴヌクレオチドは、液相有機合成もしくは固相有機合成、またはこれらの両方を使用して調製されうる。
【0186】
siRNAは、例えば、バルクで、種々の方法によって産生されうる。例示的方法は:有機合成およびRNA切断、例えばインビトロ(in vitro)切断を含む。
【0187】
siRNAは、一本鎖RNA分子または、二本鎖RNA分子のそれぞれの鎖を別々に合成することによって作製されてよく、その後、次に鎖の構成要素はアニーリングされうる。
【0188】
大きなバイオリアクター、例えば、Pharmacia Biotec AB(Uppsala Sweden)からのOligoPilot IIは、所与のsiRNAについて大量の特定のRNA鎖を産生するために使用されうる。OligoPilotII反応器は、1.5モル過剰なだけのホスホルアミダイトヌクレオチドを使用してヌクレオチドを効率的にカップリングできる。RNA鎖を作製するために、リボヌクレオチドアミダイトが、使用される。モノマー付加の典型的なサイクルが、siRNAのための21~23ヌクレオチド鎖を合成するために使用されうる。典型的には、2つの相補鎖は別々に産生され、次いで、例えば、固体支持体からの遊離および脱保護後にアニーリングされる。
【0189】
有機合成が、別々のsiRNA種を産生するために使用されうる。KHK遺伝子へのsiRNA種の相補性は、正確に特定されうる。例えばsiRNA種は、多型、例えば単一ヌクレオチド多型を含む領域に相補的でありうる。さらに、多型の位置は、正確に規定されうる。一部の実施形態において、多型は、内部領域において、例えば、一方の末端または両方の末端から少なくとも4、5、7または9ヌクレオチドに位置する。
【0190】
一実施形態において、生成されたRNAは、endsiRNAを除くために注意深く精製され、インビトロで、例えば、ダイサーまたは同等のRNAse IIIベースの活性を使用して、siRNAに切断される。例えば、dsiRNAは、ショウジョウバエ(Drosophila)由来のインビトロ抽出物中で、または精製された構成要素、例えば、精製RNAseまたはRISC複合体(RNA誘導サイレンシング複合体)を使用して、インキュベートされうる。例えば、Ketting et al. Genes Dev 2001 Oct 15;15(20):2654-9およびHammond Science 2001 Aug 10;293(5532):1146-50を参照されたい。
【0191】
dsiRNA切断は、一般に複数のsiRNA種を産生し、それぞれは、原料dsiRNA分子の特定の21~23nt断片である。例えば、重複領域に相補的な配列および原料dsiRNA分子の隣接領域を含むsiRNAは、存在しうる。
【0192】
合成の方法とは無関係に、siRNA調製物は、製剤のために適切である溶液(例えば、水溶液および/または有機溶液)中に調製されうる。例えば、siRNA調製物は、沈殿され、純粋な2回蒸留水に再溶解され、凍結乾燥されうる。次に乾燥siRNAは、目的の製剤工程のために適切な溶液中に再懸濁されうる。
【0193】
ある態様において、本発明のdsRNAは、少なくとも2つのヌクレオチド配列である、センス配列およびアンチセンス配列を含む。センス鎖は、表2~5のうちのいずれか1つに提示された配列群から選択され、センス鎖の、対応するアンチセンス鎖は、表2~5のうちのいずれか1つの配列群から選択される。この態様において、2つの配列のうちの1つは、2つの配列のうちの他方と相補的であり、配列のうちの1つは、ケトヘキソキナーゼ遺伝子の発現において生成するmRNAの配列と、実質的に相補的である。このように、この態様において、dsRNAは、1つのオリゴヌクレオチドが、表2~5のうちのいずれか1つにおいて、センス鎖として記載され、第2のオリゴヌクレオチドが、表2~5のうちのいずれか1つにおいて、センス鎖の、対応するアンチセンス鎖として記載される、2つのオリゴヌクレオチドを含むであろう。
【0194】
ある特定の実施形態において、dsRNAの、実質的に相補的な配列は、別個のオリゴヌクレオチドに含有される。他の実施形態において、dsRNAの、実質的に相補的な配列は、単一のオリゴヌクレオチドに含有される。
【0195】
ある特定の実施形態において、センス鎖またはアンチセンス鎖は、二重鎖である、AD-252498.1、AD-252339.1、AD-252285.1、AD-252531.1、AD-254265.1、AD-254403.1、AD-252627.1、AD-252146.1、AD-252666.1またはAD-252379.1のうちのいずれか1つの、センス鎖またはアンチセンス鎖から選択される。
【0196】
表2および4における配列は、修飾配列またはコンジュゲート配列として記載されないが、本開示のRNAiのRNA、例えば、本発明のdsRNAは、修飾されていないか、コンジュゲートされていないか、またはその中の記載とは異なる形において修飾されるか、もしくはコンジュゲートされた、表2~5のうちのいずれか1つに明示された配列のうちのいずれか1つを含みうることが理解されるであろう。言い換えると、本発明は、修飾されていないか、コンジュゲートされていないか、または本明細書において記載される通りに修飾されるか、もしくはコンジュゲートされた、表2~5のdsRNAを包含する。
【0197】
当業者は、約20~23塩基対、例えば、21塩基対の二重鎖構造を有するdsRNAが、RNA干渉の誘導において、特に、有効であると言われていることについて承知している[Elbashir et al., EMBO 2001, 20:6877-6888]。しかし、他の研究者らは、より短い二重鎖構造またはより長いRNA二重鎖構造もまた、有効でありうることを見出している[Chu and Rana (2007) RNA 14:1714-1719; Kim et al. (2005) Nat Biotech 23:222-226]。上記において記載された実施形態において、表2~5のうちのいずれか1つに提示されたオリゴヌクレオチド配列の性質により、本明細書において記載されるdsRNAは、最小において、21ヌクレオチドの長さの、少なくとも1つの鎖を含みうる。一方または両方の末端における、少数のヌクレオチドだけを差し引いた、表2~5のうちのいずれか1つ内の配列のうちのいずれか1つを有する、より短い二重鎖も、上記において記載されたdsRNAと比較して、同様に有効でありうることが妥当に期待されうる。よって、表2~5のうちのいずれか1つの配列のうちのいずれか1つに由来する、少なくとも19、20、またはこれを超える連続ヌクレオチドの配列を有し、全長配列を含むdsRNAの、約5、10、15、20、25、または30%を超えない阻害により、ケトヘキソキナーゼ遺伝子の発現を阻害する、それらの能力において異なるdsRNAは、本発明の範囲内にあることが想定される。
【0198】
加えて、表2~5に提示されたRNAは、ケトヘキソキナーゼ転写物における、RISC媒介切断に感受性の部位(複数可)を同定する。このように、本発明は、これらの部位のうちの1つの内部をターゲティングするiRNAをさらに特色とする。iRNAが、この特定の部位の内部のいずれかの位置において、転写物の切断を促進する場合に、本明細書において使用されるiRNAは、RNA転写物の特定部位の内部をターゲティングすると言われる。このようなiRNAは、一般に、ケトヘキソキナーゼ遺伝子内の、選択された配列と隣接する領域から採取された、さらなるヌクレオチド配列へとカップリングされた、表2~5のうちのいずれか1つに提示された配列のうちのいずれか1つに由来する、少なくとも約19連続ヌクレオチドを含む。
【0199】
本明細書において記載されるRNAi剤は、標的配列との、1つまたは複数のミスマッチを含有しうる。一実施形態において、本明細書において記載されるRNAi剤は、3つ以下のミスマッチ(すなわち、3つ、2つ、1つ、または0のミスマッチ)を含有する。一実施形態において、本明細書において記載されるRNAi剤は、2つ以下のミスマッチを含有する。一実施形態において、本明細書において記載されるRNAi剤は、1つ以下のミスマッチを含有する。一実施形態において、本明細書において記載されるRNAi剤は、0のミスマッチを含有する。ある特定の実施形態において、RNAi剤のアンチセンス鎖が、標的配列とのミスマッチを含有する場合、ミスマッチは、相補性領域の5’末端または3’末端から最後の5ヌクレオチドの範囲内に制約されてもよい。例えば、このような実施形態において、23ヌクレオチドのRNAi剤について、KHK遺伝子の領域と相補性である鎖は、一般に、中央部の13ヌクレオチドの範囲内の任意のミスマッチを含有しない。本明細書において記載される方法、または当技術分野において公知の方法は、標的配列とのミスマッチを含有するRNAi剤が、KHK遺伝子の発現の阻害において、有効であるのかどうかを決定するのに使用されうる。KHK遺伝子の発現の阻害における、ミスマッチを伴うRNAi剤の有効性の検討は、とりわけKHK遺伝子の、特定の相補性領域が、集団内において、多型性の配列変異を有することが公知である場合に、重要である。
【0200】
III.本発明の修飾iRNA
ある特定の実施形態において、本開示のRNAiのRNA、例えば、dsRNAは、修飾されておらず、例えば、当技術分野において公知であり、本明細書において記載される化学修飾またはコンジュゲーションを含まない。他の実施形態において、本開示のRNAiのRNA、例えば、dsRNAは、安定性または他の有益な特徴を増強するように、化学修飾されている。本発明のある特定の実施形態において、本開示のRNAiのヌクレオチドの実質的に全ては、修飾されている。本発明についての他の実施形態において、iRNAのヌクレオチドの全て、またはiRNAのヌクレオチドの実質的に全ては、修飾されている、すなわち、5つ、4つ、3つ、2つ、または1つを超えない非修飾ヌクレオチドが、iRNA鎖内に存在する。
【0201】
本発明において特色づけられる核酸は、参照により本明細書に組み込まれる、"Current protocols in nucleic acid chemistry," Beaucage, S.L. et al. (Edrs.), John Wiley & Sons, Inc., New York, NY, USAにおいて記載されている方法など、当技術分野において十分に確立された方法により、合成または修飾されうる。修飾は、例えば、末端修飾、例えば、5’末端修飾(リン酸化、コンジュゲーション、反転連結)または3’末端修飾(コンジュゲーション、DNAヌクレオチド反転連結など);塩基修飾、例えば、安定化塩基、不安定性塩基、またはパートナーの拡大レパートリーと塩基対合する塩基による置きかえ、塩基の除去(脱塩基性ヌクレオチド)、またはコンジュゲート塩基;糖修飾(例えば、2’位または4’位における)もしくは糖の置きかえ;またはホスホジエステル連結の修飾または置きかえを含む骨格修飾を含む。本明細書において記載される実施形態において有用なiRNA化合物の具体例は、修飾骨格を含有するRNA、または天然ヌクレオシド間連結を含有しないRNAを含むがこれらに限定されない。修飾骨格を有するRNAは、とりわけ、骨格内にリン原子を有さないRNAを含む。本明細書の目的のために、かつ、場合によって、当技術分野において言及される通り、それらのヌクレオシド間骨格内に、リン原子を有さない修飾RNAはまた、オリゴヌクレオシドであるとも考えられうる。一部の実施形態において、修飾iRNAは、それらのヌクレオシド間骨格内に、リン原子を有するであろう。
【0202】
修飾RNA骨格は、例えば、通常の3’-5’連結を有する、ホスホロチオエート、キラルホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホトリエステル、アミノアルキルホスホトリエステル、メチル、および3’-アルキレンホスホネートおよびキラルホスホネートを含む、他のアルキルホスホネート、ホスフィネート、3’-アミノホスホルアミデートおよびアミノアルキルホスホルアミデートを含むホスホルアミデート、チオノホスホルアミデート、チオノアルキルホスホネート、チオノアルキルホスホトリエステル、ならびにボラノホスフェート、これらの2’-5’連結類似体、ならびに隣接するヌクレオシド単位の対が、5’-3’に対して、3’-5’連結されるか、または5’-2’に対して、2’-5’連結される、逆極性を有する類似体を含む。多様な塩形態、混合塩形態、および遊離酸形態もまた、含まれる。本発明の一部の実施形態において、本発明のdsRNA剤は、遊離酸形態にある。本発明についての他の実施形態において、本発明のdsRNA剤は、塩形態にある。本発明についての一実施形態においてdsRNA剤は、ナトリウム塩形態にある。ある特定の実施形態において、本発明のdsRNA剤が、ナトリウム塩形態にある場合、ナトリウムイオンは、薬剤中に、薬剤中に存在する、ホスホジエステル基および/またはホスホロチオエート基の実質的に全てに対する対イオンとして存在する。ホスホジエステル連結および/またはホスホロチオエート連結の実質的に全てが、ナトリウム対イオンを有する薬剤は、ナトリウム対イオンを伴わない、5つ、4つ、3つ、2つ、または1つを超えない、ホスホジエステル連結および/またはホスホロチオエート連結を含む。一部の実施形態において、本発明のdsRNA剤が、ナトリウム塩形態にある場合、ナトリウムイオンは、薬剤中に、薬剤中に存在する、ホスホジエステル基および/またはホスホロチオエート基の全てに対する対イオンとして存在する。
【0203】
上記のリン含有連結の調製について教示する、代表的な米国特許は、それらの各々の全内容が、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第3,687,808号;同第4,469,863号;同第4,476,301号;同第5,023,243号;同第5,177,195号;同第5,188,897号;同第5,264,423号;同第5,276,019号;同第5,278,302号;同第5,286,717号;同第5,321,131号;同第5,399,676号;同第5,405,939号;同第5,453,496号;同第5,455,233号;同第5,466,677号;同第5,476,925号;同第5,519,126号;同第5,536,821号;同第5,541,316号;同第5,550,111号;同第5,563,253号;同第5,571,799号;同第5,587,361号;同第5,625,050号;同第6,028,188号;同第6,124,445号;同第6,160,109号;同第6,169,170号;同第6,172,209号;同第6,239,265号;同第6,277,603号;同第6,326,199号;同第6,346,614号;同第6,444,423号;同第6,531,590号;同第6,534,639号;同第6,608,035号;同第6,683,167号;同第6,858,715号;同第6,867,294号;同第6,878,805号;同第7,015,315号;同第7,041,816号;同第7,273,933号;同第7,321,029号;米国再発行特許第39464号を含むがこれらに限定されない。
【0204】
その中においてリン原子を含まない修飾RNA骨格は、短鎖アルキルまたはシクロアルキルによるヌクレオシド間連結、混合ヘテロ原子およびアルキルまたはシクロアルキルによるヌクレオシド間連結、または1つもしくは複数の短鎖の、ヘテロ原子または複素環を伴うヌクレオシド間連結により形成される骨格を有する。修飾RNA骨格は、モルホリノ連結(部分的に、ヌクレオシドの糖部分から形成される)を有する修飾RNA骨格;シロキサン骨格;スルフィド骨格、スルホキシド骨格、およびスルホン骨格;ホルムアセチル骨格およびチオホルムアセチル骨格;メチレンホルムアセチル骨格およびチオホルムアセチル骨格;アルケン含有骨格;スルファメート骨格;メチレンイミノ骨格およびメチレンヒドラジノ骨格;スルホネート骨格およびスルホンアミド骨格;アミド骨格;および混合N、O、S、およびCH構成部分を有する骨格を含む。
【0205】
上記のオリゴヌクレオシドの調製について教示する、代表的な米国特許は、それらの各々の全内容が、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,034,506号;同第5,166,315号;同第5,185,444号;同第5,214,134号;同第5,216,141号;同第5,235,033号;同第5,64,562号;同第5,264,564号;同第5,405,938号;同第5,434,257号;同第5,466,677号;同第5,470,967号;同第5,489,677号;同第5,541,307号;同第5,561,225号;同第5,596,086号;同第5,602,240号;同第5,608,046号;同第5,610,289号;同第5,618,704号;同第5,623,070号;同第5,663,312号;同第5,633,360号;同第5,677,437号;および同第5,677,439号を含むがこれらに限定されない。
【0206】
ヌクレオチド単位の、糖およびヌクレオシド間連結の両方、すなわち、骨格が、新規の基により置きかえられた、本明細書において提示されるiRNAにおける使用に適するRNA模倣体が想定される。塩基単位は、適切な核酸ターゲティング(target)化合物とのハイブリダイゼーションのために維持される。RNA模倣体が、優れたハイブリダイゼーション特性を有することが示されている、1つのこのようなオリゴマー化合物は、ペプチド核酸(PNA)と称される。PNA化合物において、RNAの糖骨格は、アミド含有骨格、特に、アミノエチルグリシン骨格により置きかえられる。ヌクレオ塩基は、保持され、骨格のアミド部分のアザ窒素原子に、直接的に、または間接的に結合される。PNA化合物調製について教示する、代表的な米国特許は、それらの各々の全内容が、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,539,082号;同第5,714,331号;および同第5,719,262号を含むがこれらに限定されない。本発明のiRNAにおける使用に適する、さらなるPNA化合物については、例えば、Nielsen et al., Science, 1991, 254, 1497-1500において記載されている。
【0207】
本開示において特色づけられる、一部の実施形態は、ホスホロチオエート骨格を伴うRNA、およびヘテロ原子骨格を伴うオリゴヌクレオシドを含み、特に、上記において参照された米国特許第5,489,677号の-CH-NH-CH-、-CH-N(CH)-O-CH-[メチレン(メチルイミノ)骨格またはMMI骨格として公知である]、-CH-O-N(CH)-CH-、-CH-N(CH)-N(CH)-CH-、および-N(CH)-CH-CH-、および上記において参照された米国特許第5,602,240号のアミド骨格を含む。一部の実施形態において、本明細書において特色づけられるRNAは、上記において参照された米国特許第5,034,506号のモルホリノ骨格構造を有する。天然のホスホジエステル骨格は、O-P(O)(OH)-OCH2-として表されうる。
【0208】
修飾RNAはまた、1つまたは複数の置換糖部分も含有しうる。RNAi剤、例えば、本明細書において特色づけられるdsRNAは、2’位において、以下:OH;F;O-アルキル、S-アルキル、もしくはN-アルキル;O-アルケニル、S-アルケニル、もしくはN-アルケニル;O-アルキニル、S-アルキニル、もしくはN-アルキニル;またはO-アルキル-O-アルキル[式中、アルキル、アルケニル、およびアルキニルは、置換または非置換の、C~C10のアルキル、またはC~C10のアルケニルおよびアルキニルでありうる]のうちの1つを含みうる。例示的な適切な修飾は、O[(CHO]CH、O(CHOCH、O(CHNH、O(CHCH、O(CHONH、およびO(CHON[(CHCH)][式中、nおよびmは、1~約10である]を含む。他の実施形態において、dsRNAは、2’位において、以下:C~C10の低級アルキル、置換低級アルキル、アルカリール、アラルキル、O-アルカリールまたはO-アラルキル、SH、SCH、OCN、Cl、Br、CN、CF、OCF、SOCH、SOCH、ONO、NO、N、NH、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルカリール、アミノアルキルアミノ、ポリアルキルアミノ、置換シリル、RNA切断基、レポーター基、挿入剤、RNAi剤の薬物動態特性を改善するための基、またはRNAi剤の薬力学特性を改善するための基、および同様の特性を有する、他の置換基のうちの1つを含む。一部の実施形態において、修飾は、2’-メトキシエトキシ[2’-O-(2-メトキシエチル)または2’-MOEとしても公知の、2’-O-CHCHOCH](Martin et al., Helv. Chim. Acta, 1995, 78:486-504)、すなわち、アルコキシ-アルコキシ基を含む。別の例示的修飾は、2’-ジメチルアミノオキシエトキシ、すなわち、本明細書の下記の実施例において記載される通り、2’-DMAOEとしても公知の、O(CHON(CH基、および2’-ジメチルアミノエトキシエトキシ(当技術分野においてまた、2’-O-ジメチルアミノエトキシエチルまたは2’-DMAEOEとしても公知である)、すなわち、2’-O-CH-O-CH-N(CHである。さらなる例示的修飾は、5’-Me-2’-Fヌクレオチド、5’-Me-2’-OMeヌクレオチド、5’-Me-2’-デオキシヌクレオチド(これら3つのファミリー内の、R異性体およびS異性体の両方);2’-アルコキシアルキル;および2’-NMA(N-メチルアセトアミド)を含む。
【0209】
他の修飾は、2’-メトキシ(2’-OCH)、2’-アミノプロポキシ(2’-OCHCHCHNH)、および2’-フルオロ(2’-F)を含む。同様の修飾はまた、iRNAのRNA上の他の位置、特に、3’末端ヌクレオチド上の糖の3’位、または2’-5’連結されたdsRNA内、および5’末端ヌクレオチドの5’位においてもなされうる。iRNAはまた、ペントフラノシル糖の代わりに、シクロブチル部分などの糖模倣体も有しうる。このような修飾糖構造について教示する、代表的な米国特許は、それらのうちのある特定の特許が、本出願と共に共同所有される、米国特許第4,981,957号;同第5,118,800号;同第5,319,080号;同第5,359,044号;同第5,393,878号;同第5,446,137号;同第5,466,786号;同第5,514,785号;同第5,519,134号;同第5,567,811号;同第5,576,427号;同第5,591,722号;同第5,597,909号;同第5,610,300号;同第5,627,053号;同第5,639,873号;同第5,646,265号;同第5,658,873号;同第5,670,633号;および同第5,700,920号を含むがこれらに限定されない。前出の各々の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0210】
iRNAはまた、ヌクレオ塩基(当技術分野において、単に、「塩基」と称されることが多い)の修飾または置換も含みうる。本明細書において使用される、「非修飾」ヌクレオ塩基または「天然」ヌクレオ塩基は、プリン塩基である、アデニン(A)およびグアニン(G)、ならびにピリミジン塩基である、チミン(T)、シトシン(C)、およびウラシル(U)を含む。修飾ヌクレオ塩基は、デオキシチミジン(dT)、5-メチルシトシン(5-me-C)、5-ヒドロキシメチルシトシン、キサンチン、ヒポキサンチン、2-アミノアデニン、アデニンおよびグアニンの、6-メチル誘導体および他のアルキル誘導体、アデニンおよびグアニンの、2-プロピル誘導体および他のアルキル誘導体、2-チオウラシル、2-チオチミン、および2-チオシトシン、5-ハロウラシルおよび5-ハロシトシン、5-プロピニルウラシルおよび5-プロピニルシトシン、6-アゾウラシル、6-アゾシトシン、および6-アゾチミン、5-ウラシル(シュードウラシル)、4-チオウラシル、8-ハロアデニンおよび8-ハログアニン、8-アミノアデニンおよび8-アミノグアニン、8-チオールアデニンおよび8-チオールグアニン、8-チオアルキルアデニンおよび8-チオアルキルグアニン、8-ヒドロキシルアデニン類似体(anal)および8-ヒドロキシルグアニン類似体、他の8-置換アデニンおよび8-置換グアニン、5-ハロウラシルおよび5-ハロシトシン、特に、5-ブロモウラシルおよび5-ブロモシトシン、5-トリフルオロメチルウラシルおよび5-トリフルオロメチルシトシン、および他の5-置換ウラシルおよび5-置換シトシン、7-メチルグアニンおよび7-メチルアデニン、8-アザグアニンおよび8-アザアデニン、7-デアザグアニンおよび7-デアザアデニン(daazaadenine)、ならびに3-デアザグアニンおよび3-デアザアデニンなど、他の合成ヌクレオ塩基および天然ヌクレオ塩基を含む。さらなるヌクレオ塩基は、米国特許第3,687,808号に開示されているヌクレオ塩基;Modified Nucleosides in Biochemistry, Biotechnology and Medicine, Herdewijn, P. ed. Wiley-VCH, 2008に開示されているヌクレオ塩基;The Concise Encyclopedia Of Polymer Science And Engineering, pages 858-859, Kroschwitz, J. L, ed. John Wiley & Sons, 1990に開示されているヌクレオ塩基;Englisch et al., Angewandte Chemie, International Edition, 1991, 30, 613により開示されているヌクレオ塩基;およびSanghvi, Y S., Chapter 15, dsRNA Research and Applications, pages 289-302, Crooke, S. T. and Lebleu, B., Ed., CRC Press, 1993により開示されているヌクレオ塩基を含む。これらのヌクレオ塩基のうちのある特定のヌクレオ塩基は、本発明において特色づけられるオリゴマー化合物の結合アフィニティーを増大させるために、特に、有用である。これらは、5-置換ピリミジン、6-アザピリミジン、ならびにN-2置換プリン、N-6置換プリン、ならびに2-アミノプロピルアデニン、5-プロピニルウラシル、および5-プロピニルシトシンを含む0~6置換プリンを含む。5-メチルシトシン置換は、核酸二重鎖安定性を0.6~1.2℃増大させることが示されており(Sanghvi, Y. S., Crooke, S. T. and Lebleu, B., Eds., dsRNA Research and Applications, CRC Press, Boca Raton, 1993, pp. 276-278)、なおより特定すると、2’-O-メトキシエチル糖修飾と組み合わされた場合に、例示的塩基置換である。
【0211】
上記において言及された修飾ヌクレオ塩基のうちのある特定の修飾ヌクレオ塩基のほか、他の修飾ヌクレオ塩基の調製について教示する、代表的な米国特許は、それらの各々の全内容が、参照により本明細書に組み込まれる、上記において言及された、米国特許第3,687,808号;同第4,845,205号;同第5,130,30号;同第5,134,066号;同第5,175,273号;同第5,367,066号;同第5,432,272号;同第5,457,187号;同第5,459,255号;同第5,484,908号;同第5,502,177号;同第5,525,711号;同第5,552,540号;同第5,587,469号;同第5,594,121号;同第5,596,091号;同第5,614,617号;同第5,681,941号;同第5,750,692号;同第6,015,886号;同第6,147,200号;同第6,166,197号;同第6,222,025号;同第6,235,887号;同第6,380,368号;同第6,528,640号;同第6,639,062号;同第6,617,438号;同第7,045,610号;同第7,427,672号;および同第7,495,088号を含むがこれらに限定されない。
【0212】
本開示のRNAi剤はまた、1つまたは複数の二環式糖部分を含むようにも修飾されうる。「二環式糖」とは、2つの炭素、隣接しているかまたは隣接していない原子の架橋により形成された環により修飾されたフラノシル環である。「二環式ヌクレオシド」(「BNA」)は、糖環の2つの炭素原子、隣接しているかまたは隣接していない2つの炭素、を接続し、これにより、二環式環系を形成する架橋を含む架橋によって形成される環を含む糖部分を有するヌクレオシドである。ある特定の実施形態において、架橋は、糖環の4’炭素と、2’炭素とを、2’非環式酸素原子を適宜介して接続する。したがって、一部の実施形態において、本開示の薬剤は、1つまたは複数のロック核酸(LNA)を含みうる。ロック核酸は、リボース部分が2’炭素と、4’炭素とを接続する、追加の架橋を含む修飾リボース部分を有するヌクレオチドである。言い換えると、LNAは、4’-CH-O-2’架橋を含む、二環式糖部分を含むヌクレオチドである。この構造は、リボースを、3’側内部構造コンフォメーション内に、有効に「ロックする」。ロック核酸の、siRNAへの付加は、血清中のsiRNAの安定性を増大させ、オフターゲット効果を低減することが示されている[Elmen, J. et al., (2005) Nucleic Acids Research 33(1):439-447; Mook, OR. et al., (2007) Mol Canc Ther 6(3):833-843; Grunweller, A. et al., (2003) Nucleic Acids Research 31(12):3185-3193]。本開示のポリヌクレオチドにおける使用のための二環式ヌクレオシドの例は、限定せずに述べると、リボシル環の4’原子と、2’原子との間の架橋を含むヌクレオシドを含む。ある特定の実施形態において、本開示のアンチセンスポリヌクレオチド剤は、4’-2’架橋を含む、1つまたは複数の二環式ヌクレオシドを含む。
ロックヌクレオシドは、構造(立体化学は省略する)
【0213】
【化3】
式中、Bは、核酸塩基または修飾核酸塩基であり、Lは、リボース環の2’炭素を4’炭素へと接続する連結基である、によって表しうる。
【0214】
このような4’-2’架橋二環式ヌクレオシドの例は、4’-(CH)-O-2’(LNA);4’-(CH)-S-2’;4’-(CH-O-2’(ENA);4’-CH(CH)-O-2’(別称:「拘束エチル」または「cEt」)、および4’-CH(CHOCH)-O-2’(およびこれらの類似体;例えば、米国特許第7,399,845号を参照されたい);4’-C(CH)(CH)-O-2’(およびこれらの類似体;例えば、米国特許第8,278,283号を参照されたい);4’-CH-N(OCH)-2’(およびこれらの類似体;例えば、米国特許第8,278,425号を参照されたい);4’-CH-O-N(CH)-2’(例えば、米国特許公開第2004/0171570号を参照されたい);4’-CH-N(R)-O-2’[式中、Rは、H、C1~C12アルキル、または窒素保護基である](例えば、米国特許第7,427,672号を参照されたい);4’-CH-C(H)(CH)-2’(例えば、Chattopadhyaya et al., J. Org. Chem., 2009, 74, 118-134を参照されたい);ならびに4’-CH-C(=CH)-2’(およびこれらの類似体;例えば、米国特許第8,278,426号を参照されたい)を含むがこれらに限定されない。前出の各々の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0215】
ロック核酸ヌクレオチドの調製について教示する、さらなる、代表的な米国特許および米国特許公開は、それらの各々の全内容が、参照により本明細書に組み込まれる、以下:米国特許第6,268,490号;同第6,525,191号;同第6,670,461号;同第6,770,748号;同第6,794,499号;同第6,998,484号;同第7,053,207号;同第7,034,133号;同第7,084,125号;同第7,399,845号;同第7,427,672号;同第7,569,686号;同第7,741,457号;同第8,022,193号;同第8,030,467号;同第8,278,425号;同第8,278,426号;同第8,278,283号;US2008/0039618;およびUS2009/0012281を含むがこれらに限定されない。
【0216】
例えば、α-L-リボフラノースおよびβ-D-リボフラノースを含む、1つまたは複数の糖立体化学配置(WO99/14226を参照されたい)を有する、前出の二環式ヌクレオシドのうちのいずれかが調製されうる。
【0217】
本開示のRNAi剤はまた、1つまたは複数の拘束エチルヌクレオチドを含むようにも修飾されうる。本明細書において使用される、「拘束エチルヌクレオチド」または「cEt」とは、4’-CH(CH)-O-2’架橋(すなわち、前述の構造におけるL)を含む二環式糖部分を含むロック核酸である。一実施形態において、拘束エチルヌクレオチドは、本明細書において、「S-cEt」と称される、Sコンフォメーション内にある。
【0218】
本開示のiRNAはまた、1つまたは複数の「配座固定ヌクレオチド」(「CRN」)も含みうる。CRNは、リボースのC2’炭素と、C4’炭素とを接続するリンカー、またはリボースのKHKと、-C5’炭素とを接続するリンカーを伴うヌクレオチド類似体である。CRNは、リボース環を、安定的コンフォメーションへとロッし、mRNAに対するハイブリダイゼーションアフィニティーを増大させる。リンカーは、リボース環のパッカリングの減少を結果としてもたらす、安定性およびアフィニティーに最適の位置に酸素を配置するのに十分な長さである。
【0219】
上記において言及されたCRNのうちのある特定のCRNの調製について教示する、代表的な公報は、それらの各々の全内容が、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許公開第2013/0190383号;およびPCT公開第WO2013/036868号を含むがこれらに限定されない。
【0220】
一部の実施形態において、本開示のiRNAは、UNA(アンロック核酸)ヌクレオチドである、1つまたは複数の単量体を含む。UNAは、アンロック非環状核酸であり、この場合、糖の結合のうちのいずれかが除去され、アンロック「糖」残基を形成する。一例において、UNAはまた、C1’-C4’間結合(すなわち、C1’炭素と、C4’炭素との間の、共有結合的炭素-酸素-炭素間結合)が除去された単量体も包含する。別の例において、糖のC2’-KHK’間結合(すなわち、C2’炭素と、KHK’炭素との間の、共有結合的炭素-炭素間結合)が除去されている[参照により本明細書に組み込まれる、Nuc. Acids Symp. Series, 52, 133-134 (2008)およびFluiter et al., Mol. Biosyst., 2009, 10, 1039を参照されたい]。
【0221】
UNAの調製について教示する、代表的な米国公報は、それらの各々の全内容が、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第8,314,227号;および米国特許公開第2013/0096289号;同第2013/0011922号;および同第2011/0313020号を含むがこれらに限定されない。
【0222】
RNA分子の末端に対する、潜在的な安定化修飾は、N-(アセチルアミノカプロイル)-4-ヒドロキシプロリノール(Hyp-C6-NHAc)、N-(カプロイル-4-ヒドロキシプロリノール(Hyp-C6)、N-(アセチル-4-ヒドロキシプロリノール(Hyp-NHAc)、チミジン-2’-O-デオキシチミジン(エーテル)、N-(アミノカプロイル)-4-ヒドロキシプロリノール(Hyp-C6-アミノ)、2-ドコサノイル-ウリジン-3’-リン酸、反転塩基であるdT(idT)、および他の安定化修飾を含みうる。この修飾についての開示は、WO2011/005861において見出されうる。
【0223】
本開示のiRNAのヌクレオチドに対する、他の修飾は、アンチセンスiRNA鎖上に、5’リン酸または5’リン酸模倣体、例えば、5’末端のリン酸またはリン酸模倣体を含む。適切なリン酸模倣体については、例えば、それらの全内容が、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許公開第2012/0157511号において開示されている。
【0224】
A.本発明のモチーフを含む修飾iRNA
本発明のある特定の態様において、本発明の二本鎖RNA剤は、例えば、それらの各々の全内容が、参照により本明細書に組み込まれる、WO2013/075035において開示されている、化学修飾を伴う薬剤を含む。WO2013/075035は、特に、切断部位における、またはこの近傍における、dsRNAi剤のセンス鎖またはアンチセンス鎖に導入されうる、3つの連続ヌクレオチド上の、3つの同一な修飾によるモチーフを提示している。一部の実施形態において、dsRNAi剤のセンス鎖およびアンチセンス鎖は、他の形において、完全に修飾されうる。これらのモチーフの導入は、存在する場合、センス鎖またはアンチセンス鎖の修飾パターンを中断する。dsRNAi剤は、例えば、センス鎖上において、GalNAc誘導体リガンドとコンジュゲートされてもよい。
【0225】
より具体的には、二本鎖RNA剤のセンス鎖およびアンチセンス鎖が、dsRNAi剤の、少なくとも1つの鎖の切断部位において、またはこの近傍において、3つの連続ヌクレオチド上の、3つの同一な修飾による、1つまたは複数のモチーフを有するように、完全に修飾された場合。
【0226】
したがって、本発明は、インビボにおいて、標的遺伝子(すなわち、KHK遺伝子)の発現を阻害することが可能な、二本鎖RNA剤を提供する。RNAi剤は、センス鎖およびアンチセンス鎖を含む。RNAi剤の各鎖は、例えば、17~30ヌクレオチドの長さ、25~30ヌクレオチドの長さ、27~30ヌクレオチドの長さ、19~25ヌクレオチドの長さ、19~23ヌクレオチドの長さ、19~21ヌクレオチドの長さ、21~25ヌクレオチドの長さ、または21~23ヌクレオチドの長さでありうる。
【0227】
センス鎖およびアンチセンス鎖は、典型的に、本明細書においてまた、「dsRNAi剤」とも言及される、二重鎖である、二本鎖RNA(「dsRNA」)を形成する。dsRNAi剤の二重鎖領域は、例えば、27~30ヌクレオチド対の長さ、19~25ヌクレオチド対の長さ、19~23ヌクレオチド対の長さ、19~21ヌクレオチド対の長さ、21~25ヌクレオチド対の長さ、または21~23ヌクレオチド対の長さでありうる。別の例において、二重鎖領域は、19、20、21、22、23、24、25、26、および27ヌクレオチドの長さから選択される。
【0228】
ある特定の実施形態において、dsRNAi剤は、鎖の一方または両方の3’末端、5’末端、または両末端において、1つまたは複数の突出領域またはキャッピング基を含有しうる。突出は、独立に、1~6ヌクレオチドの長さ、例えば、2~6ヌクレオチドの長さ、1~5ヌクレオチドの長さ、2~5ヌクレオチドの長さ、1~4ヌクレオチドの長さ、2~4ヌクレオチドの長さ、1~3ヌクレオチドの長さ、2~3ヌクレオチドの長さ、または1~2ヌクレオチドの長さでありうる。ある特定の実施形態において、突出領域は、上記において提示された伸長突出領域を含みうる。突出は、一方の鎖が、他方の鎖より長い結果である場合もあり、同じ長さの2つの鎖が付着末端鎖である結果の場合もある。突出は、標的mRNAと、ミスマッチを形成する場合もあり、ターゲティングされる遺伝子配列と相補的である場合もあり、別の配列である場合もある。第1の鎖と、第2の鎖とはまた、例えば、ヘアピンを形成するように、さらなる塩基により接続される場合もあり、他の非塩基リンカーにより接続される場合もある。
【0229】
ある特定の実施形態において、dsRNAi剤の突出領域内のヌクレオチドは、各々、独立に、2’-F、2’-O-メチル、チミジン(T)、2’-O-メトキシエチル-5-メチルウリジン(Teo)、2’-O-メトキシエチルアデノシン(Aeo)、2’-O-メトキシエチル-5-メチルシチジン(m5Ceo)、およびこれらの任意の組合せなどの2’糖修飾ヌクレオチドを含むがこれらに限定されない、修飾ヌクレオチドの場合もあり、非修飾ヌクレオチドの場合もある。
【0230】
例えば、TTは、いずれかの鎖上のいずれかの末端のための突出配列でありうる。突出は、標的mRNAと、ミスマッチを形成する場合もあり、ターゲティングされる遺伝子配列と相補的である場合もあり、別の配列である場合もある。
【0231】
dsRNAi剤のセンス鎖、アンチセンス鎖、または両方の鎖における、5’突出または3’突出は、リン酸化されうる。一部の実施形態において、突出領域(複数可)は、2つのヌクレオチドの間に、ホスホロチオエートを有する、2つのヌクレオチドを含有し、この場合、2つのヌクレオチドは、同じ場合もあり、異なる場合もある。一部の実施形態において、突出は、センス鎖、アンチセンス鎖、または両方の鎖の3’末端に存在する。一部の実施形態において、この3’突出は、アンチセンス鎖内に存在する。一部の実施形態において、この3’突出は、センス鎖内に存在する。
【0232】
dsRNAi剤は、その全体的な安定性に影響を及ぼさずに、RNAiの干渉活性を強化しうる、1つだけの突出を含有しうる。例えば、一本鎖突出は、センス鎖の3’末端に配置される場合もあり、代替的に、アンチセンス鎖の3’末端に配置される場合もある。RNAiはまた、アンチセンス鎖の5’末端(またはセンス鎖の3’末端)に配置された平滑末端を有する場合もあり、この逆の場合もある。一般に、dsRNAi剤のアンチセンス鎖は、3’末端において、ヌクレオチドの突出を有し、5’末端は、平滑末端である。理論に束縛されることを望まずに述べると、アンチセンス鎖の5’末端における平滑末端と、アンチセンス鎖の3’末端突出との非対称性は、RISC工程へのガイド鎖のローディングに好適である。
【0233】
ある特定の実施形態において、dsRNAi剤は、19ヌクレオチドの長さの両端型平滑末端であり、センス鎖は、5’末端からの7、8、9位における、3つの連続ヌクレオチド上における、3つの2’-F修飾のうちの、少なくとも1つのモチーフを含有する。アンチセンス鎖は、5’末端からの11、12、13位における、3つの連続ヌクレオチド上における、3つの2’-O-メチル修飾のうちの、少なくとも1つのモチーフを含有する。
【0234】
他の実施形態において、dsRNAi剤は、20ヌクレオチドの長さの両端型平滑末端
であり、センス鎖は、5’末端の8、9、10位における、3つの連続ヌクレオチド上における、3つの2’-F修飾のうちの、少なくとも1つのモチーフを含有する。アンチセンス鎖は、5’末端の11、12、13位における、3つの連続ヌクレオチド上における、3つの2’-O-メチル修飾のうちの、少なくとも1つのモチーフを含有する。
【0235】
さらに他の実施形態において、dsRNAi剤は、21ヌクレオチドの長さの両端型平滑末端であり、センス鎖は、5’末端の9、10、11位における、3つの連続ヌクレオチド上における、3つの2’-F修飾のうちの、少なくとも1つのモチーフを含有する。アンチセンス鎖は、5’末端の11、12、13位における、3つの連続ヌクレオチド上における、3つの2’-O-メチル修飾のうちの、少なくとも1つのモチーフを含有する。
【0236】
ある特定の実施形態において、dsRNAi剤は、21ヌクレオチドのセンス鎖、および23ヌクレオチドのアンチセンス鎖を含み、センス鎖は、5’末端の9、10、11位における、3つの連続ヌクレオチド上における、3つの2’-F修飾のうちの、少なくとも1つのモチーフを含有し;アンチセンス鎖は、5’末端の11、12、13位における、3つの連続ヌクレオチド上における、3つの2’-O-メチル修飾のうちの、少なくとも1つのモチーフを含有し、RNAi剤の一方の末端は、平滑末端であるが、他方の末端は、2ヌクレオチドの突出を含む。一部の実施形態において、2ヌクレオチドの突出は、アンチセンス鎖の3’末端にある。
【0237】
2ヌクレオチドの突出が、アンチセンス鎖の3’末端にある場合、末端の3つのヌクレオチドの間に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結が存在する場合があり、3ヌクレオチドのうちの2つは、突出ヌクレオチドであり、第3のヌクレオチドは、突出ヌクレオチドに隣接する対合ヌクレオチドである。一実施形態において、RNAi剤は、加えて、センス鎖の5’末端、およびアンチセンス鎖の5’末端の両方において、末端の3つのヌクレオチドの間に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結を有する。ある特定の実施形態において、モチーフの一部であるヌクレオチドを含む、dsRNAi剤のセンス鎖内およびアンチセンス鎖内のあらゆるヌクレオチドは、修飾ヌクレオチドである。ある特定の実施形態において、各残基は、独立に、例えば、交互モチーフ内の、2’-O-メチルまたは3’-フルオロにより修飾される。dsRNAi剤は、リガンド(GalNAcなど)をさらに含んでもよい。
【0238】
ある特定の実施形態において、dsRNAi剤は、センス鎖およびアンチセンス鎖を含み、センス鎖は、25~30ヌクレオチド残基の長さであり、5’末端ヌクレオチド(1位)から始まり、第1の鎖の1~23位は、少なくとも8つのリボヌクレオチドを含み;アンチセンス鎖は、36~66ヌクレオチド残基の長さであり、3’末端のヌクレオチドから始まり、センス鎖の1~23位と対合する位置において、二重鎖を形成するように、少なくとも8つのリボヌクレオチドを含み;この場合、アンチセンス鎖の、少なくとも3’末端ヌクレオチドは、センス鎖と非対合であり、3’末端における、最大において6つの連続ヌクレオチドは、センス鎖と非対合であり、これにより、1~6ヌクレオチドの一本鎖3’突出を形成し;アンチセンス鎖の5’末端は、センス鎖と非対合である、10~30の連続ヌクレオチドを含み、これにより、10~30ヌクレオチドの一本鎖5’突出を形成し;少なくともセンス鎖の5’末端および3’末端ヌクレオチドは、センス鎖と、アンチセンス鎖とが、最大の相補性についてアライメントされる場合に、アンチセンス鎖のヌクレオチドと塩基対合し、これにより、センス鎖と、アンチセンス鎖との間に、実質的な二重鎖領域を形成し;アンチセンス鎖は、二本鎖核酸が、哺乳動物細胞へと導入される場合に、標的遺伝子の発現を低減するように、アンチセンス鎖の、少なくとも19リボヌクレオチドの長さにわたり、標的RNAと十分に相補的であり;センス鎖は、3つの連続ヌクレオチド上の、3つの2’-F修飾のうちの、少なくとも1つのモチーフを含有し、この場合、モチーフのうちの少なくとも1つは、切断部位において、またはこの近傍において存在する。アンチセンス鎖は、鎖の切断部位において、またはこの近傍において、3つの連続ヌクレオチド上の、2’-O-メチル修飾のうちの、少なくとも1つのモチーフを含有する。
【0239】
ある特定の実施形態において、dsRNAi剤は、センス鎖およびアンチセンス鎖を含み、dsRNAi剤は、少なくとも25ヌクレオチドであり、最大において29ヌクレオチドの長さである、第1の鎖と、5’末端の11、12、13位における、3つの連続ヌクレオチド上の、3つの2’-O-メチル修飾のうちの、少なくとも1つのモチーフを伴う、最大において30ヌクレオチドの長さである、第2の鎖とを含み;第1の鎖の3’末端と、第2の鎖の5’末端とは、平滑末端を形成し、第2の鎖は、その3’末端において、第1の鎖より1~4ヌクレオチド長く、少なくとも25ヌクレオチドの長さである二重鎖領域と、第2の鎖とは、RNAi剤が、哺乳動物細胞へと導入される場合に、標的遺伝子の発現を低減するように、第2の鎖の、少なくとも19ヌクレオチドの長さにわたり、標的mRNAと十分に相補的であり、この場合、DicerによるdsRNAi剤の切断は、優先的に、第2の鎖の3’末端を含むsiRNAを結果としてもたらし、これにより、哺乳動物における標的遺伝子の発現を低減する。dsRNAi剤は、リガンドをさらに含んでもよい。
【0240】
ある特定の実施形態において、dsRNAi剤のセンス鎖は、3つの連続ヌクレオチド上の、3つの同一な修飾のうちの、少なくとも1つのモチーフを含有し、この場合、モチーフのうちの1つは、センス鎖内の切断部位において存在する。
【0241】
ある特定の実施形態において、dsRNAi剤のアンチセンス鎖はまた、3つの連続ヌクレオチド上の、3つの同一な修飾のうちの、少なくとも1つのモチーフも含有する場合があり、この場合、モチーフのうちの1つは、アンチセンス鎖内の切断部位において、またはこの近傍において存在する。
【0242】
19~23ヌクレオチドの長さの二重鎖領域を有するdsRNAi剤のために、アンチセンス鎖の切断部位は、典型的に、5’末端の10、11、および12位近傍である。したがって、3つの同一な修飾によるモチーフは、アンチセンス鎖の5’末端の、最初のヌクレオチドからのカウント、またはアンチセンス鎖の5’末端の二重鎖領域内の、最初の対合ヌクレオチドからのカウントにより、アンチセンス鎖の9、10、11位;10、11、12位;11、12、13位;12、13、14位;または13、14、15位においしうる。アンチセンス鎖内の切断部位はまた、dsRNAi剤の二重鎖領域の5’末端からの長さに従っても変化しうる。
【0243】
dsRNAi剤のセンス鎖は、鎖の切断部位において、3つの連続ヌクレオチド上の、3つの同一な修飾のうちの、少なくとも1つのモチーフを含有する場合があり;アンチセンス鎖は、鎖の切断部位において、またはこの近傍において、3つの連続ヌクレオチド上の、3つの同一な修飾のうちの、少なくとも1つのモチーフを有しうる。センス鎖とアンチセンス鎖とが、dsRNA二重鎖を形成する場合、センス鎖およびアンチセンス鎖は、センス鎖上の3つのヌクレオチドによる1つのモチーフと、アンチセンス鎖上の3つのヌクレオチドによる1つのモチーフとが、少なくとも1つのヌクレオチドの重複を有する、すなわち、センス鎖内のモチーフの3つのヌクレオチドのうちの少なくとも1つが、アンチセンス鎖内のモチーフの3つのヌクレオチドのうちの少なくとも1つと共に、塩基対を形成するようにアライメントされうる。代替的に、少なくとも2つのヌクレオチドが重複する場合もあり、3つのヌクレオチド全てが重複する場合もある。
【0244】
一部の実施形態において、dsRNAi剤のセンス鎖は、3つの連続ヌクレオチド上の、3つの同一な修飾による、1つを超えるモチーフを含有しうる。第1のモチーフは、鎖の切断部位において、またはこの近傍において存在する場合があり、他のモチーフは、ウィング修飾でありうる。本明細書における、「ウィング修飾」という用語は、同じ鎖の切断部位またはこの近傍におけるモチーフから隔てられた、鎖の別の部分において存在するモチーフを指す。ウィング修飾は、第1のモチーフに隣接するか、または少なくとも1つもしくは複数のヌクレオチドにより隔てられる。モチーフが、互いと直に隣接する場合、モチーフの化学的特性は、互いと顕著に異なり、モチーフが、1つまたは複数のヌクレオチドにより隔てられている場合(than)、化学的特性は、同じ場合もあり、異なる場合もある。2つまたはこれを超えるウィング修飾が存在しうる。例えば、2つのウィング修飾が存在する場合、各ウィング修飾は、切断部位もしくはこの近傍、またはリードモチーフのいずれかの側に存在する、第1のモチーフに対して、1つの末端において存在しうる。
【0245】
センス鎖と同様に、dsRNAi剤のアンチセンス鎖は、3つの連続ヌクレオチド上の、3つの同一な修飾による、1つを超えるモチーフを含有する場合があり、モチーフのうちの少なくとも1つは、鎖の切断部位において、またはこの近傍において存在する。このアンチセンス鎖もまた、アライメントにおいて、センス鎖上に存在しうるウィング修飾と同様の、1つまたは複数のウィング修飾を含有しうる。
【0246】
一部の実施形態において、dsRNAi剤のセンス鎖上またはアンチセンス鎖上のウィング修飾は、典型的に、鎖の3’末端、5’末端、または両末端において、最初の1つまたは2つの末端ヌクレオチドを含まない。
【0247】
他の実施形態において、dsRNAi剤のセンス鎖上またはアンチセンス鎖上のウィング修飾は、典型的に、鎖の3’末端、5’末端、または両末端において、二重鎖領域内の、最初の1つまたは2つの対合ヌクレオチドを含まない。
【0248】
dsRNAi剤のセンス鎖およびアンチセンス鎖が、各々、少なくとも1つのウィング修飾を含有する場合、ウィング修飾は、二重鎖領域の同じ末端に位置する可能性があり、1つ、2つ、または3つのヌクレオチドの重複を有しうる。
【0249】
dsRNAi剤のセンス鎖およびアンチセンス鎖が、各々、少なくとも2つのウィング修飾を含有する場合、センス鎖およびアンチセンス鎖は、1つの鎖に由来する、2つずつの修飾が、二重鎖領域の一方の末端に位置し、1つ、2つ、または3つのヌクレオチドの重複を有し;1つの鎖に由来する、2つずつの修飾が、二重鎖領域の他方の末端に位置し、1つ、2つ、または3つのヌクレオチドの重複を有し;1つの鎖に由来する、2つずつの修飾は、リードモチーフの各側に位置し、二重鎖領域内に、1つ、2つ、または3つのヌクレオチドの重複を有するようにアライメントされうる。
【0250】
一部の実施形態において、モチーフの一部であるヌクレオチドを含む、dsRNAi剤のセンス鎖内およびアンチセンス鎖内のあらゆるヌクレオチドは、修飾されうる。各ヌクレオチドは、非連結型リン酸酸素の一方もしくは両方、または連結型リン酸酸素のうちの1つもしくは複数の、1つまたは複数の変更;リボース糖の構成要素、例えば、リボース糖上の、2’-ヒドロキシルの変更;リン酸部分の、「脱リン酸」リンカーによる全体的な置きかえ;天然に存在する塩基の修飾または置きかえ;およびリボース-リン酸骨格の置きかえまたは修飾を含みうる、同じ修飾または異なる修飾により修飾されうる。
【0251】
核酸は、サブユニットのポリマーであるので、修飾の多く、例えば、塩基、またはリン酸部分、またはリン酸部分の非結合型Oの修飾は、核酸内において反復される位置において生じる。一部の場合に、修飾は、核酸内の対象位置の全てにおいて生じるであろうが、多くの場合には、そうでないであろう。例として述べると、修飾は、3’末端位または5’末端位だけにおいて生じる場合があり、末端領域内だけにおいて、例えば、末端ヌクレオチド上の位置において、または鎖の最後の2つ、3つ、4つ、5つ、もしくは10のヌクレオチドにおいて生じうる。修飾は、二重鎖領域、単鎖領域、またはこれらの両方において生じうる。修飾は、RNAの二重鎖領域だけにおいて生じる場合もあり、RNAの単鎖領域だけにおいて生じる場合もある。例えば、非結合型O位におけるホスホロチオエート修飾は、末端の一方または両方だけにおいて生じる場合もあり、末端領域内だけにおいて、例えば、末端ヌクレオチド上の位置において、または鎖の最後の2つ、3つ、4つ、5つ、もしくは10のヌクレオチドにおいて生じる場合もあり、二重鎖領域内および単鎖領域内において、特に、末端において生じる場合もある。5’末端または両末端は、リン酸化されうる。
【0252】
例えば、安定性を増強するために、突出内に特定の塩基を含むか、または単鎖突出内、例えば、5’突出内もしくは3’突出内、またはこれらの両方に修飾ヌクレオチドもしくはヌクレオチドサロゲートを含むことが可能でありうる。例えば、突出内にプリンヌクレオチドを含むことが所望でありうる。一部の実施形態において、3’突出内または5’突出内の塩基の全部または一部は、例えば、本明細書において記載される修飾により修飾されうる。修飾は、例えば、当技術分野において公知の修飾を伴う、リボース糖の2’位における修飾の使用、例えば、ヌクレオ塩基内のリボ糖ではなく2’-デオキシ-2’-フルオロ(2’-F)または2’-O-メチル修飾されたデオキシリボヌクレオチドの使用、およびリン酸基内の修飾、例えば、ホスホロチオエート修飾の使用を含みうる。突出は、標的配列と相同である必要がない。
【0253】
一部の実施形態において、センス鎖およびアンチセンス鎖の各残基は、独立に、LNA、CRN、cET、UNA、グリコール核酸(GNA)、ヘキシトール核酸(HNA)、2’-メトキシエチル、2’-O-メチル、2’-O-アリル、2’-C-アリル、2’-デオキシ、2’-ヒドロキシル、または2’-フルオロにより修飾される。鎖は、1つを超える修飾を含有しうる。一実施形態において、センス鎖およびアンチセンス鎖の各残基は、独立に、2’-O-メチルまたは2’-フルオロにより修飾される。
【0254】
少なくとも2つの異なる修飾は、典型的に、センス鎖上およびアンチセンス鎖上に存在する。これらの2つの修飾は、2’-O-メチル修飾の場合もあり、2’-フルオロ修飾の場合もあり、他の修飾の場合もある。
【0255】
ある特定の実施形態において、NまたはNは、交互パターンによる修飾を含む。本明細書において使用される、「交互モチーフ」という用語は、各修飾が、1つの鎖の交互ヌクレオチド上において存在する、1つまたは複数の修飾を有するモチーフを指す。交互ヌクレオチドとは、ヌクレオチド2つごとに1つ、もしくはヌクレオチド3つごとに1つ、または同様のパターンを指す場合がある。例えば、A、B、およびCが、各々、ヌクレオチドに対する修飾のうちの、1つ種類を表す場合、交互モチーフは、「ABABABABABAB・・・」、「AABBAABBAABB・・・」、「AABAABAABAAB・・・」、「AAABAAABAAAB・・・」、「AAABBBAAABBB・・・」、または「ABCABCABCABC・・・」などでありうる。
【0256】
交互モチーフ内に含有される修飾の種類は、同じ場合もあり、異なる場合もある。例えば、A、B、C、Dが、各々、ヌクレオチド上の修飾のうちの、1つ種類を表す場合、交互パターン、すなわち、ヌクレオチド1つおきのヌクレオチド上の修飾は、同じでありうるが、センス鎖またはアンチセンス鎖の各々は、「ABABAB・・・」、「ACACAC・・・」、「BDBDBD・・・」、または「CDCDCD・・・」など、交互モチーフ内の修飾のいくつかの可能性から選択されうる。
【0257】
一部の実施形態において、ds本発明のRNAi剤は、アンチセンス鎖上の交互モチーフのための修飾パターンと比べてシフトした、センス鎖上の交互モチーフのための修飾パターンを含む。シフトは、センス鎖の修飾ヌクレオチド群が、アンチセンス鎖の異なる修飾ヌクレオチド群に対応し、この逆も成り立つようなシフトでありうる。例えば、センス鎖が、dsRNA二重鎖内のアンチセンス鎖と対合する場合、二重鎖領域内において、センス鎖内の交互モチーフは、鎖の5’から3’へと、「ABABAB」により始まる場合があり、アンチセンス鎖内の交互モチーフは、鎖の5’から3’へと、「BABABA」により始まる場合がある。別の例として述べると、センス鎖と、アンチセンス鎖との間において、修飾パターンの、完全なシフトまたは部分的なシフトがなされるように、二重鎖領域内において、センス鎖内の交互モチーフは、鎖の5’から3’へと、「AABBAABB」により始まる場合があり、アンチセンス鎖内の交互モチーフは、鎖の5’から3’へと、「BBAABBAA」により始まる場合がある。
【0258】
一部の実施形態において、dsRNAi剤は、初期における、アンチセンス鎖上の、2’-O-メチル修飾と、2’-F修飾との交互モチーフパターンと比べて、シフトを有する、初期における、センス鎖上の、2’-O-メチル修飾と、2’-F修飾との交互モチーフパターンを含む、すなわち、センス鎖上の2’-O-修飾ヌクレオチドは、アンチセンス鎖上の2’-F修飾ヌクレオチドと塩基対合し、この逆も成り立つ。センス鎖の1位は、2’-F修飾により始まる場合があり、アンチセンス鎖の1位は、2’-O-メチル修飾により始まる場合がある。
【0259】
3つの連続ヌクレオチド上の、3つの同一な修飾による、1つまたは複数のモチーフの、センス鎖またはアンチセンス鎖への導入は、センス鎖内またはアンチセンス鎖内に存在する、初期の修飾パターンを中断する。3つの連続ヌクレオチド上の、3つの同一な修飾による、1つまたは複数のモチーフを、センス鎖またはアンチセンス鎖へと導入することによる、センス鎖またはアンチセンス鎖の修飾パターンに対する、この中断は、標的遺伝子に対する遺伝子サイレンシング活性を増強しうる。
【0260】
一部の実施形態において、3つの連続ヌクレオチド上の、3つの同一な修飾によるモチーフが、鎖のうちのいずれかへと導入される場合、モチーフに隣接するヌクレオチドの修飾は、モチーフの修飾と異なる修飾である。例えば、モチーフを含有する配列の一部は、「・・・NYYYN・・・」[配列中、「Y」は、3つの連続ヌクレオチド上の、3つの同一な修飾によるモチーフの修飾を表し、「N」および「N」は、モチーフ「YYY」に隣接するヌクレオチドに対する修飾であって、Yの修飾と異なる修飾を表し、この場合、NおよびNは、同じ修飾の場合もあり、異なる修飾の場合もある]である。代替的に、ウィング修飾が存在する場合、NまたはNは、存在する場合もあり、存在しない場合もある。
【0261】
iRNAは、少なくとも1つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結またはメチルホスホネートヌクレオチド間連結をさらに含みうる。ホスホロチオエートヌクレオチド間連結またはメチルホスホネートヌクレオチド間連結による修飾は、センス鎖、アンチセンス鎖、または両方の鎖の、鎖の任意の位置の、任意のヌクレオチドにおいて生じうる。例えば、ヌクレオチド間連結による修飾は、センス鎖上またはアンチセンス鎖上の、あらゆるヌクレオチドにおいて生じる場合もあり;各ヌクレオチド間連結による修飾は、センス鎖上またはアンチセンス鎖上の交互パターンにおいて生じる場合もあり;センス鎖またはアンチセンス鎖が、両方のヌクレオチド間連結による修飾を、交互パターンにおいて含有する場合もある。センス鎖上の、ヌクレオチド間連結による修飾の交互パターンは、アンチセンス鎖と同じ場合もあり、異なる場合もあり、センス鎖上の、ヌクレオチド間連結による修飾の交互パターンは、アンチセンス鎖上の、ヌクレオチド間連結による修飾の交互パターンと比べて、シフトを有しうる。一実施形態において、二本鎖RNAi剤は、6つ~8つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結を含む。一部の実施形態において、アンチセンス鎖は、5’末端における、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結、および3’末端における、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結を含み、センス鎖は、5’末端または3’末端における、少なくとも2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結を含む。
【0262】
一部の実施形態において、dsRNAi剤は、突出領域内に、ホスホロチオエートヌクレオチド間連結またはメチルホスホネートヌクレオチド間連結による修飾を含む。例えば、突出領域は、2つのヌクレオチドの間に、ホスホロチオエートヌクレオチド間連結またはメチルホスホネートヌクレオチド間連結を有する、2つのヌクレオチドを含有しうる。ヌクレオチド間連結による修飾はまた、突出ヌクレオチドを、二重鎖領域内の、末端の対合ヌクレオチドと連結するようにもなされうる。例えば、少なくとも2つ、3つ、4つ、または全ての突出ヌクレオチドは、ホスホロチオエートヌクレオチド間連結またはメチルホスホネートヌクレオチド間連結を介して連結されうるが、突出ヌクレオチドを、突出ヌクレオチドに隣接する、対合ヌクレオチドと連結する、さらなるホスホロチオエートヌクレオチド間連結またはメチルホスホネートヌクレオチド間連結がなされてもよい。例えば、末端の3つのヌクレオチドの間に、少なくとも2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結が存在する場合があり、この場合、3つのヌクレオチドのうちの2つは、突出ヌクレオチドであり、第3のヌクレオチドは、突出ヌクレオチドに隣接する対合ヌクレオチドである。これらの末端における3つのヌクレオチドは、アンチセンス鎖の3’末端にある場合もあり、センス鎖の3’末端にある場合もあり、アンチセンス鎖の5’末端にある場合もあり、アンチセンス鎖の5’末端にある場合もある。
【0263】
一部の実施形態において、2ヌクレオチドの突出は、アンチセンス鎖の3’末端にあり、末端の3つのヌクレオチドの間に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結が存在するが、この場合、3つのヌクレオチドのうちの2つは、突出ヌクレオチドであり、第3のヌクレオチドは、突出ヌクレオチドに隣接する対合ヌクレオチドである。加えて、dsRNAi剤は、末端の3つのヌクレオチドの間に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結を、センス鎖の5’末端、およびアンチセンス鎖の5’末端の両方において有してもよい。
【0264】
一実施形態において、dsRNAi剤は、二重鎖内の標的とのミスマッチ(複数可)、またはこれらの組合せを含む。ミスマッチは、突出領域内において生じる場合もあり、二重鎖領域内において生じる場合もある。塩基対は、解離または融解を促進する、それらの傾向に基づきランク付けされうる[例えば、特定の対合の会合または解離の自由エネルギーについて、最も簡単な手法は、個々の対塩基における対について検討することであるが、最近接塩基対法(next neighbor)または同様の解析もまた、使用されうる]。解離の促進に関して:A:Uは、G:Cより好ましく;G:Uは、G:Cより好ましく;I:Cは、G:C(I=イノシン)より好ましい。ミスマッチ、例えば、非カノニカルまたはカノニカル以外の対合(本明細書の別の箇所において記載される)は、カノニカル(A:T、A:U、G:C)の対合より好ましく;ユニバーサル塩基を含む対合は、カノニカルの対合より好ましい。
【0265】
ある特定の実施形態において、dsRNAi剤は、独立に、A:U、G:U、I:C、およびミスマッチ対、例えば、非カノニカルの対合もしくはカノニカルの対合以外の対合、または二重鎖の5’末端における、アンチセンス鎖の解離を促進するように、ユニバーサル塩基を含む対合の群から選択される、アンチセンス鎖の5’末端の二重鎖領域内の、最初の1つ、2つ、3つ、4つ、または5つの塩基対のうちの少なくとも1つを含む。
【0266】
ある特定の実施形態において、アンチセンス鎖の5’末端の二重鎖領域内の、1位におけるヌクレオチドは、A、dA、dU、U、およびdTから選択される。代替的に、アンチセンス鎖の5’末端の二重鎖領域内の、最初の1つ、2つ、または3つの塩基対のうちの少なくとも1つは、AU塩基対である。例えば、アンチセンス鎖の5’末端の二重鎖領域内の、最初の塩基対は、AU塩基対である。
【0267】
他の実施形態において、センス鎖の3’末端におけるヌクレオチドが、デオキシチミジン(dT)であるか、またはアンチセンス鎖の3’末端におけるヌクレオチドが、デオキシチミジン(dT)である。例えば、センス鎖、アンチセンス鎖、または両方の鎖の3’末端において、デオキシチミジンヌクレオチドの短い配列、例えば、2つのdTヌクレオチドが存在する。
【0268】
ある特定の実施形態において、センス鎖配列は、式(I):
5’n-N-(XXX)-N-YYY-N-(ZZZ)-N-n3’(I)
[式中:
iおよびjは、各々、独立に、0または1であり;
pおよびqは、各々、独立に、0~6であり;
各Nは、独立に、0~25の修飾ヌクレオチドを含み、各配列が、少なくとも2つの、修飾が異なるヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表し;
各Nは、独立に、0~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表し;
各nおよび各nは、独立に、突出ヌクレオチドを表し;
ここで、NbとYとは、同じ修飾を有さず;
XXX、YYY、およびZZZは、各々、独立に、3つの連続ヌクレオチド上の、3つの同一な修飾による、1つのモチーフを表す。一部の実施形態において、YYYは、全て、2’-F修飾ヌクレオチドである]
により表されうる。
【0269】
一部の実施形態において、NまたはNは、交互パターンによる修飾を含む。
【0270】
一部の実施形態において、YYYモチーフは、センス鎖の切断部位において、またはこの近傍において存在する。例えば、dsRNAi剤が、17~23ヌクレオチドの長さの二重鎖領域を有する場合、YYYモチーフは、5’末端の、最初のヌクレオチドからのカウントにより;または5’末端の二重鎖領域内の、最初の対合ヌクレオチドにおけるカウントによってもよい、センス鎖の、切断部位(例えば、6、7、8;7、8、9;8、9、10;9、10、11;10、11、12;または11、12、13位において存在しうる)において、またはこの近傍において存在しうる。
【0271】
一実施形態において、iは、1であり、jは、0であるか、またはiは、0であり、jは、1であるか、またはiおよびjのいずれも、1である。したがって、センス鎖は、以下の式:
5’n-N-YYY-N-ZZZ-N-n3’(Ib);
5’n-N-XXX-N-YYY-N-n3’(Ic);または
5’n-N-XXX-N-YYY-N-ZZZ-N-n3’(Id)
により表されうる。
【0272】
センス鎖が、式(Ib)により表される場合、Nは、0~10、0~7、0~5、0~4、0~2、または0の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。各Nは、独立に、2つ~20、2つ~15、または2つ~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表しうる。
【0273】
センス鎖が、式(Ic)として表される場合、Nは、0~10、0~7つ、0~10、0~7つ、0~5つ、0~4つ、0~2つ、または0の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。各Nは、独立に、2つ~20、2つ~15、または2つ~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表しうる。
【0274】
センス鎖が、式(Id)として表される場合、各Nは、独立に、0~10、0~7、0~5、0~4、0~2、または0の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。一部の実施形態において、Nは、0、1、2、3、4、5、または6である。各Nは、独立に、2つ~20、2つ~15、または2つ~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表しうる。
【0275】
X、Y、およびZの各々は、互いと同じ場合もあり、異なる場合もある。
【0276】
他の実施形態において、iは、0であり、jは、0であり、センス鎖は、式:
5’n-N-YYY-N-n3’(Ia)
により表されうる。
【0277】
センス鎖が、式(Ia)により表される場合、各Nは、独立に、2つ~20、2つ~15、または2つ~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表しうる。
【0278】
一実施形態において、RNAiのアンチセンス鎖配列は、式(II):
5’nq’-N’-(Z’Z’Z’)-N’-Y’Y’Y’-N’-(X’X’X’)-N’-n’3’(II)
[式中:
kおよびlは、各々、独立に、0または1であり;
p’およびq’は、各々、独立に、0~6であり;
各N’は、独立に、0~25の修飾ヌクレオチドを含み、各配列が、少なくとも2つの、修飾が異なるヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表し;
各N’は、独立に、0~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表し;
各n’および各n’は、独立に、突出ヌクレオチドを表し;
ここで、N’とY’とは、同じ修飾を有さず;
X’X’X’、Y’Y’Y’、およびZ’Z’Z’は、各々、独立に、3つの連続ヌクレオチド上の、3つの同一な修飾による、1つのモチーフを表す]
により表されうる。
【0279】
一部の実施形態において、N’またはN’は、交互パターンによる修飾を含む。
【0280】
Y’Y’Y’モチーフは、アンチセンス鎖の切断部位において、またはこの近傍において存在する。例えば、dsRNAi剤が、17~23ヌクレオチドの長さの二重鎖領域を有する場合、Y’Y’Y’モチーフは、5’末端の、最初のヌクレオチドからのカウントにより;または5’末端の二重鎖領域内の、最初の対合ヌクレオチドにおけるカウントによってもよい、アンチセンス鎖の、9、10、11;10、11、12;11、12、13;12、13、14;または13、14、15位において存在しうる。一部の実施形態において、Y’Y’Y’モチーフは、11、12、13位において存在する。
【0281】
ある特定の実施形態において、Y’Y’Y’モチーフは、全て、2’-OMe修飾ヌクレオチドである。
【0282】
ある特定の実施形態において、kは、1であり、lは、0であるか、またはkは、0であり、lは、1であるか、またはkおよびlのいずれも、1である。
【0283】
したがって、アンチセンス鎖は、以下の式:
5’nq’-N’-Z’Z’Z’-N’-Y’Y’Y’-N’-np’3’(IIb);
5’nq’-N’-Y’Y’Y’-N’-X’X’X’-np’3’(IIc);または
5’nq’-N’-Z’Z’Z’-N’-Y’Y’Y’-N’-X’X’X’-N’-np’3’(IId)
により表されうる。
【0284】
アンチセンス鎖が、式(IIb)により表される場合、N’は、0~10、0~7つ、0~10、0~7つ、0~5つ、0~4つ、0~2つ、または0の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。各N’は、独立に、2つ~20、2つ~15、または2つ~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。
【0285】
アンチセンス鎖が、式(IIc)として表される場合、N’は、0~10、0~7つ、0~10、0~7つ、0~5つ、0~4つ、0~2つ、または0の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。各N’は、独立に、2つ~20、2つ~15、または2つ~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。
【0286】
アンチセンス鎖が、式(IId)として表される場合、各N’は、独立に、0~10、0~7つ、0~10、0~7つ、0~5つ、0~4つ、0~2つ、または0の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。各N’は、独立に、2つ~20、2つ~15、または2つ~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。一部の実施形態において、Nは、0、1、2、3、4、5、または6である。
【0287】
他の実施形態において、kは、0であり、lは、0であり、アンチセンス鎖は、式:
5’np’-Na’-Y’Y’Y’-Na’-nq’3’(Ia)
により表されうる。
【0288】
アンチセンス鎖が、式(IIa)として表される場合、各N’は、独立に、2つ~20、2つ~15、または2つ~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。X’、Y’、およびZ’の各々は、互いと同じ場合もあり、異なる場合もある。
【0289】
センス鎖およびアンチセンス鎖の各ヌクレオチドは、独立に、LNA、CRN、UNA、cEt、グリコール核酸(GNA)、ヘキシトール核酸(HNA)、2’-メトキシエチル、2’-O-メチル、2’-O-アリル、2’-C-アリル、2’-ヒドロキシル、または2’-フルオロにより修飾されうる。例えば、センス鎖およびアンチセンス鎖の各ヌクレオチドは、独立に、2’-O-メチルまたは2’-フルオロにより修飾される。各X、Y、Z、X’、Y’、およびZ’は、特に、2’-O-メチル修飾を表す場合もあり、2’-フルオロ修飾を表す場合もある。
【0290】
一部の実施形態において、dsRNAi剤のセンス鎖は、二重鎖領域が、21ntである場合に、5’末端の、最初のヌクレオチドからのカウントにより、または5’末端の二重鎖領域内の、最初の対合ヌクレオチドにおけるカウントによってもよい鎖の9、10、および11位において存在するYYYモチーフを含有する場合があり;Yは、2’-F修飾を表す。センス鎖は、加えて、二重鎖領域の反対端において、ウィング修飾としての、XXXモチーフまたはZZZモチーフを含有する場合もあり;XXXおよびZZZは、各々、独立に、2’-OMe修飾または2’-F修飾を表す。
【0291】
一部の実施形態において、アンチセンス鎖は、5’末端の、最初のヌクレオチドからのカウントにより、または5’末端の二重鎖領域内の、最初の対合ヌクレオチドにおけるカウントによってもよい鎖の11、12、13位において存在するY’Y’Y’モチーフを含有する場合があり;Y’は、2’-O-メチル修飾を表す。アンチセンス鎖は、加えて、二重鎖領域の反対端において、ウィング修飾としての、X’X’X’モチーフまたはZ’Z’Z’モチーフを含有する場合もあり;X’X’X’およびZ’Z’Z’は、各々、独立に、2’-OMe修飾または2’-F修飾を表す。
【0292】
上記の式(Ia)、(Ib)、(Ic)、および(Id)のうちのいずれか1つにより表されるセンス鎖は、それぞれ、式(IIa)、(IIb)、(IIc)、および(IId)のうちのいずれか1つにより表されるアンチセンス鎖と共に、二重鎖を形成する。
【0293】
したがって、本発明の方法における使用のためのdsRNAi剤は、各鎖が、14~30ヌクレオチドを有する、センス鎖およびアンチセンス鎖を含むことが可能であり、iRNA二重鎖は、式(III):
センス:5’n-N-(XXX)-N-YYY-N-(ZZZ)-N-n3’
アンチセンス:3’n’-N’-(X’X’X’)-N’-Y’Y’Y’-N’-(Z’Z’Z’)-N’-n’5’
(III)
[式中:
i、j、k、およびlは、各々、独立に、0または1であり;
p、p’、q、およびq’は、各々、独立に、0~6であり;
各Nおよび各N’は、独立に、0~25の修飾ヌクレオチドを含み、各配列が、少なくとも2つの、修飾が異なるヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表し;
各Nおよび各N’は、独立に、0~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表し;
ここで、それらの各々が存在する場合もあり、存在しない場合もある、各n’、n、n’、およびnは、独立に、突出ヌクレオチドを表し;
XXX、YYY、ZZZ、X’X’X’、Y’Y’Y’、およびZ’Z’Z’は、各々、独立に、3つの連続ヌクレオチド上の、3つの同一な修飾による、1つのモチーフを表す]
により表されうる。
【0294】
一実施形態において、iは、0であり、jは、0であるか;またはiは、1であり、jは、0であるか;またはiは、0であり、jは、1であるか;またはiおよびjのいずれも、0であるか;iおよびjのいずれも、1である。別の実施形態において、kは、0であり、lは、0であるか;またはkは、1であり、lは、0であり;kは、0であり、lは、1であるか;またはkおよびlのいずれも、0であるか;kおよびlのいずれも、1である。
【0295】
iRNA二重鎖を形成する、センス鎖と、アンチセンス鎖との例示的組合せは、下記の式:
5’n-N-YYY-N-n3’
3’n’-N’-Y’Y’Y’-N’n’5’
(IIIa)
5’n-N-YYY-N-ZZZ-N-n3’
3’n’-N’-Y’Y’Y’-N’-Z’Z’Z’-N’n’5’
(IIIb)
5’n-N-XXX-N-YYY-N-n3’
3’n’-N’-X’X’X’-N’-Y’Y’Y’-N’-n’5’
(IIIc)
5’n-N-XXX-N-YYY-N-ZZZ-N-n3’
3’n’-N’-X’X’X’-N’-Y’Y’Y’-N’-Z’Z’Z’-N-n’5’
(IIId)
を含む。
【0296】
dsRNAi剤が、式(IIIa)により表される場合、各Nは、独立に、2つ~20、2つ~15、または2つ~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。
【0297】
dsRNAi剤が、式(IIIb)により表される場合、各Nは、独立に、1~10、1~7、1~5、または1~4の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。各Nは、独立に、2つ~20、2つ~15、または2つ~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。
【0298】
dsRNAi剤が、式(IIIc)として表される場合、各N、N’は、独立に、0~10、0~7つ、0~10、0~7つ、0~5つ、0~4つ、0~2つ、または0の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。各Nは、独立に、2つ~20、2つ~15、または2つ~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。
【0299】
dsRNAi剤が、式(IIId)として表される場合、各N、N’は、独立に、0~10、0~7つ、0~10、0~7つ、0~5つ、0~4つ、0~2つ、または0の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。各N、N’は、独立に、2つ~20、2つ~15、または2つ~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。N、N’、Nb、およびN’の各々は、独立に、交互パターンによる修飾を含む。
【0300】
式(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、および(IIId)における、X、Y、およびZの各々は、互いと同じ場合もあり、異なる場合もある。
【0301】
dsRNAi剤が、式(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、および(IIId)により表される場合、Yヌクレオチドのうちの少なくとも1つは、Y’ヌクレオチドのうちの1つと共に、塩基対を形成しうる。代替的に、Yヌクレオチドのうちの少なくとも2つは、対応するY’ヌクレオチドと共に、塩基対を形成するか;またはYヌクレオチドの3つ全ては、全て、対応するY’ヌクレオチドと共に、塩基対を形成する。
【0302】
dsRNAi剤が、式(IIIb)または(IIId)により表される場合、Zヌクレオチドのうちの少なくとも1つは、Z’ヌクレオチドのうちの1つと共に、塩基対を形成しうる。代替的に、Zヌクレオチドのうちの少なくとも2つは、対応するZ’ヌクレオチドと共に、塩基対を形成するか;またはZヌクレオチドの3つ全ては、全て、対応するZ’ヌクレオチドと共に、塩基対を形成する。
【0303】
dsRNAi剤が、式(IIIc)または(IIId)として表される場合、Xヌクレオチドのうちの少なくとも1つは、X’ヌクレオチドのうちの1つと共に、塩基対を形成しうる。代替的に、Xヌクレオチドのうちの少なくとも2つは、対応するX’ヌクレオチドと共に、塩基対を形成するか;またはXヌクレオチドの3つ全ては、全て、対応するX’ヌクレオチドと共に、塩基対を形成する。
【0304】
ある特定の実施形態において、Yヌクレオチド上の修飾は、Y’ヌクレオチド上の修飾と異なるか、Zヌクレオチド上の修飾は、Z’ヌクレオチド上の修飾と異なるか、またはXヌクレオチド上の修飾は、X’ヌクレオチド上の修飾と異なる。
【0305】
ある特定の実施形態において、dsRNAi剤が、式(IIId)により表される場合、N修飾は、2’-O-メチル修飾または2’-フルオロ修飾である。他の実施形態において、RNAi剤が、式(IIId)により表される場合、N修飾は、2’-O-メチル修飾または2’-フルオロ修飾であり、n’>0であり、少なくとも1つのn’は、ホスホロチオエート連結を介して、隣接ヌクレオチドと連結される。さらに他の実施形態において、RNAi剤が、式(IIId)により表される場合、N修飾は、2’-O-メチル修飾または2’-フルオロ修飾であり、n’>0であり、少なくとも1つのn’は、ホスホロチオエート連結を介して、隣接ヌクレオチドと連結され、センス鎖は、二価または三価の分枝状リンカー(下記に記載される)を介して接合されている1つまたは複数のGalNAc誘導体とコンジュゲートされている。他の実施形態において、RNAi剤が、式(IIId)により表される場合、N修飾は、2’-O-メチル修飾または2’-フルオロ修飾であり、n’>0であり、少なくとも1つのn’は、ホスホロチオエート連結を介して、隣接ヌクレオチドと連結され、センス鎖は、少なくとも1つのホスホロチオエート連結を含み、センス鎖は、二価または三価の分枝状リンカーを介して接合されている1つまたは複数のGalNAc誘導体とコンジュゲートされている。
【0306】
一部の実施形態において、dsRNAi剤が、式(IIIa)により表される場合、N修飾は、2’-O-メチル修飾または2’-フルオロ修飾であり、n’>0であり、少なくとも1つのn’は、ホスホロチオエート連結を介して、隣接ヌクレオチドと連結され、センス鎖は、少なくとも1つのホスホロチオエート連結を含み、センス鎖は、二価または三価の分枝状リンカーを介して接合されている1つまたは複数のGalNAc誘導体とコンジュゲートされている。
【0307】
一部の実施形態において、dsRNAi剤は、式(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、および(IIId)により表される少なくとも2つの二重鎖を含有する多量体であり、この場合、二重鎖は、リンカーにより接続される。リンカーは、切断型の場合もあり、切断型でない場合もある。多量体は、リガンドをさらに含んでもよい。二重鎖の各々は、同じ遺伝子をターゲティングする場合もあり、2つの異なる遺伝子をターゲティングする場合もあり;二重鎖の各々は、2つの異なる標的部位における、同じ遺伝子をターゲティングする場合もある。
【0308】
一部の実施形態において、dsRNAi剤は、式(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、および(IIId)により表される3つ、4つ、5つ、6つ、またはこれを超える二重鎖を含有する多量体であり、この場合、二重鎖は、リンカーにより接続される。リンカーは、切断型の場合もあり、切断型でない場合もある。多量体は、リガンドをさらに含んでもよい。二重鎖の各々は、同じ遺伝子をターゲティングする場合もあり、2つの異なる遺伝子をターゲティングする場合もあり;二重鎖の各々は、2つの異なる標的部位における、同じ遺伝子をターゲティングする場合もある。
【0309】
一実施形態において、式(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、および(IIId)のうちの少なくとも1つにより表される、2つのdsRNAi剤は、5’末端、および3’末端の一方または両方において、互いと連結され、リガンドとコンジュゲートされてもよい。薬剤の各々は、同じ遺伝子をターゲティングする場合もあり、2つの異なる遺伝子をターゲティングする場合もあり;薬剤の各々は、2つの異なる標的部位における、同じ遺伝子をターゲティングする場合もある。
【0310】
ある特定の実施形態において、本発明のRNAi剤は、2’-フルオロ修飾を含有する、少数のヌクレオチド、例えば、2’-フルオロ修飾を含有する、10以下のヌクレオチドを含有しうる。例えば、RNAi剤は、2’-フルオロ修飾を伴う、10、9つ、8つ、7つ、6つ、5つ、4つ、3つ、2つ、1つ、または0のヌクレオチドを含有しうる。具体的な実施形態において、本発明のRNAi剤は、2’-フルオロ修飾を伴う、10のヌクレオチド、例えば、センス鎖内の、2’-フルオロ修飾を伴う、4つのヌクレオチド、およびアンチセンス鎖内の、2’-フルオロ修飾を伴う、6つのヌクレオチドを含有する。別の具体的実施形態において、本発明のRNAi剤は、センス鎖内の、2’-フルオロ修飾を伴う、6つのヌクレオチド、例えば、2’-フルオロ修飾を伴う、4つのヌクレオチド、およびアンチセンス鎖内の、2’-フルオロ修飾を伴う、2つのヌクレオチドを含有する。
【0311】
他の実施形態において、本発明のRNAi剤は、2’-フルオロ修飾を含有する、極少数のヌクレオチド、例えば、2’-フルオロ修飾を含有する、2つ以下のヌクレオチドを含有しうる。例えば、RNAi剤は、2’-フルオロ修飾を伴う、2つ、1つ、または0のヌクレオチドを含有しうる。具体的な実施形態において、RNAi剤は、2’-フルオロ修飾を伴う、2つのヌクレオチド、例えば、センス鎖内の、2-フルオロ(2-fluoro)修飾を伴う、0のヌクレオチド、およびアンチセンス鎖内の、2’-フルオロ修飾を伴う、2つのヌクレオチドを含有しうる。
【0312】
多様な公報が、本発明の方法において使用されうる多量体iRNAについて記載している。このような公報は、それらの各々の全内容が、参照により本明細書に組み込まれる、WO2007/091269、米国特許第7,858,769号、WO2010/141511、WO2007/117686、WO2009/014887、およびWO2011/031520を含む。
【0313】
ある特定の実施形態において、本開示の組成物および方法は、本明細書において記載されるRNAi剤のビニルホスホネート(VP)修飾を含む。例示的実施形態において、本開示の5’-ビニルホスホネート修飾ヌクレオチドは、構造:
【0314】
【化4】
[式中、Xは、OまたはSであり;
Rは、水素、ヒドロキシ、フルオロまたはC1~20アルコキシ(例えば、メトキシもしくはn-ヘキサデシルオキシ)であり;
5’は、=C(H)-P(O)(OH)であり、C5’炭素とR5’との間の二重結合は、EまたはZ配置(orientation)(例えば、E配置)にあり;および
Bは、核酸塩基または修飾核酸塩基であり、ここでBは、アデニン、グアニン、シトシン、チミンまたはウラシルであってもよい。]
を有する。
【0315】
本開示のビニルホスホネートは、本開示のdsRNAアンチセンス鎖またはセンス鎖へと接合されていてもよい。ある特定の実施形態において、本開示のビニルホスホネートは、dsRNAのアンチセンス鎖へと接合され、これはdsRNAのアンチセンス鎖の5’末端における接合であってもよい。
【0316】
ビニルホスフェート修飾もまた、本開示の組成物および方法のために想定される。例示的ビニルホスフェート構造は、前述の構造を含み、式中、R5’は、=C(H)-OP(O)(OH)2であり、C5’炭素とR5’との間の二重結合は、EまたはZ配置[例えば、E配置]にある。
【0317】
下記においてより詳細に記載される通り、1つまたは複数の炭水化物部分の、iRNAへのコンジュゲーションを含有するiRNAは、iRNAの1つまたは複数の特性を最適化しうる。多くの場合において、炭水化物部分は、iRNAの修飾サブユニットへと接合されるであろう。例えば、iRNAの、1つまたは複数のリボヌクレオチドサブユニットのリボース糖は、別の部分、例えば、炭水化物リガンドが接合された、非炭水化物(例えば、環状)担体により置きかえられうる。本明細書において、サブユニットのリボース糖が、このように置きかえられたリボヌクレオチドサブユニットは、リボース置換修飾サブユニット(RRMS)と称される。環状担体は、炭素環式環系の場合もあり、すなわち、全ての環原子が炭素原子の場合もあり、複素環式環系の場合もある、すなわち、1つまたは複数の環原子が、ヘテロ原子、例えば、窒素、酸素、硫黄の場合もある。環状担体は、単環式環系の場合もあり、2つまたはこれを超える環、例えば、融合環を含有する場合もある。環状担体は、完全飽和環系の場合もあり、1つまたは複数の二重結合を含有する場合もある。
【0318】
リガンドは、担体を介して、ポリヌクレオチドへと接合されていてもよい。担体は、(i)少なくとも1つの「骨格接合点」、例えば(sich as)、2つの「骨格接合点」、および(ii)少なくとも1つの「テザリング接合点」を含む。本明細書において使用される、「骨格接合点」とは、官能基、例えば、ヒドロキシル基、または、一般に、担体の、リボ核酸の骨格、例えば、リン酸骨格、または修飾リン酸骨格、例えば、硫黄含有骨格への組込みに利用可能であり、これに適する結合を指す。一部の実施形態において、「テザリング接合点」(TAP)とは、選択部分を接続する、環状担体の構成要素である環原子、例えば、炭素原子またはヘテロ原子(骨格接合点をもたらす原子と顕著に異なる原子)を指す。部分は、例えば、炭水化物、例えば、単糖、二糖、三糖、四糖、オリゴ糖、または多糖でありうる。選択部分は、テザーを、環状担体へと介在させることにより接続されてもよい。したがって、環状担体は、官能基、例えば、アミノ基を含むか、または一般に、別の化学的実体、例えば、リガンドの、構成要素である環への組込みまたはテザリングに適する結合をもたらすことが多いであろう。
【0319】
iRNAは、担体を介して、リガンドへとコンジュゲートされていてもよく、この場合、担体は、環状基の場合もあり、非環状基の場合もあり;一部の実施形態において、環状基は、ピロリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、[1,3]ジオキソラン、オキサゾリジニル、イソキサゾリジニル、モルホリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、キノキサリニル、ピリダジノニル、テトラヒドロフラニル、およびデカリンから選択され;一部の実施形態において、非環状基は、セリノール骨格またはジエタノールアミン骨格である。
【0320】
i.熱不安定性修飾
ある特定の実施形態において、dsRNA分子は、アンチセンス鎖のシード領域内に熱不安定性修飾を組み込むことにより、RNA干渉について最適化されうる。本明細書において使用される「シード領域」は、基準鎖の5’末端の2~9位を意味する。例えば、熱不安定性修飾は、オフターゲットの遺伝子サイレンシングを低減するまたは阻害するようにアンチセンス鎖のシード領域に組み込まれうる。
【0321】
「熱不安定性修飾(複数可)」という用語は、このような修飾(複数可)を有さないdsRNAの融解温度(Tm)より低い全体的なTmを有するdsRNを結果としてもたらす修飾(複数可)を含む。例えば、熱不安定性修飾(複数可)は、摂氏1、2、3または4度などの1~4℃、dsRNAのTmを低下できる。また、「熱不安定性ヌクレオチド」という用語は、1つまたは複数の熱不安定性修飾を含有するヌクレオチドを指す。
【0322】
アンチセンス鎖の5’末端からカウントして、最初の9ヌクレオチドの位置の範囲内に、二重鎖の、少なくとも1つの熱不安定性修飾を含むアンチセンス鎖を伴うdsRNAは、オフターゲットの遺伝子サイレンシング活性を低減していることが発見されている。したがって、一部の実施形態において、アンチセンス鎖は、アンチセンス鎖の5’領域の、最初の9ヌクレオチドの位置の範囲内に、二重鎖の、少なくとも1つの(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、またはこれを超える)熱不安定性修飾を含む。一部の実施形態において、二重鎖の、1つまたは複数の熱不安定性修飾(複数可)は、アンチセンス鎖の5’末端から、2~9位、または、一部の実施形態において、4~8位内に配置される。一部のさらなる実施形態において、二重鎖の熱不安定性修飾(複数可)は、アンチセンス鎖の5’末端から、6、7、または8位に配置される。一部のなおさらなる実施形態において、二重鎖の熱不安定性修飾は、アンチセンス鎖の5’末端の7位に配置される。一部の実施形態において、二重鎖の熱不安定性修飾は、アンチセンス鎖の5’末端から、2、3、4、5、または9位に配置される。
【0323】
iRNA剤は、各鎖が、14~40ヌクレオチドを有する、センス鎖およびアンチセンス鎖を含む。RNAi剤は、式(L):
【0324】
【化5】
[式(L)中、B1、B2、B3、B1’、B2’、B3’、およびB4’は、各々、独立に、2’-O-アルキル、2’-置換アルコキシ、2’-置換アルキル、2’-ハロ、ENA、およびBNA/LNAからなる群から選択される修飾を含有するヌクレオチドである。一実施形態において、B1、B2、B3、B1’、B2’、B3’、およびB4’は、各々、2’-OMe修飾を含有する。一実施形態において、B1、B2、B3、B1’、B2’、B3’、およびB4’は、各々、2’-OMeまたは2’-F修飾を含有する。一実施形態において、B1、B2、B3、B1’、B2’、B3’、およびB4’のうちの少なくとも1つは、2’-O-N-メチルアセトアミド(2’-O-NMA)修飾を含有する]
により表されうる。
【0325】
C1は、アンチセンス鎖のシード領域(すなわち、アンチセンス鎖の5’末端の2~8位における)と向かい合う部位に配置された、熱不安定性ヌクレオチドである。例えば、C1は、アンチセンス鎖の5’末端の2~8位におけるヌクレオチドと対合する、センス鎖の位置にある。一例において、C1は、センス鎖の5’末端の15位にある。C1ヌクレオチドは、脱塩基性修飾を含みうる、熱不安定性修飾;二重鎖内の対向ヌクレオチドとのミスマッチ;および2’-デオキシ修飾などの糖修飾、または非環状ヌクレオチド、例えば、アンロック核酸(UNA)もしくはグリセロール核酸(GNA)を保有する。一実施形態において、C1は、i)アンチセンス鎖内の対向ヌクレオチドとのミスマッチ;ii)
【0326】
【化6】
からなる群から選択される、脱塩基性修飾;およびiii)
【0327】
【化7】
[式中、Bは、修飾ヌクレオ塩基または非修飾ヌクレオ塩基であり、RおよびRは、独立に、H、ハロゲン、OR、またはアルキルであり;Rは、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、または糖である]
からなる群から選択される糖修飾からなる群から選択される、熱不安定性修飾を有する。一実施形態において、C1内の熱不安定性修飾は、G:G、G:A、G:U、G:T、A:A、A:C、C:C、C:U、C:T、U:U、T:T、およびU:Tからなる群から選択されるミスマッチであり;ミスマッチ対内の、少なくとも1つのヌクレオ塩基は、2’-デオキシヌクレオ塩基であってもよい。一例において、C1内の熱不安定性修飾は、GNAまたは
【0328】
【化8】
である。
T1、T1’、T2’、およびT3は、各々、独立に、2’-OMe修飾の立体的嵩高さ以下の立体的嵩高さをヌクレオチドにもたらす修飾を含むヌクレオチドを表す。立体的嵩高さとは、修飾の立体効果の合計を指す。当業者には、ヌクレオチドの修飾の立体効果を決定するための方法が公知である。修飾は、ヌクレオチドのリボース糖の2’位における修飾の場合もあり、非リボースヌクレオチド、非環状ヌクレオチド、またはヌクレオチドの骨格への修飾であって、リボース糖の2’位への修飾と同様または同等の修飾の場合もあり、2’-OMe修飾の立体的嵩高さ以下の立体的嵩高さをヌクレオチドにもたらす。例えば、T1、T1’、T2’、およびT3’は、各々、独立に、DNA、RNA、LNA、2’-F、および2’-F-5’-メチルから選択される。一実施形態において、T1は、DNAである。一実施形態において、T1’は、DNA、RNA、またはLNAである。一実施形態において、T2’は、DNAまたはRNAである。一実施形態において、T3’は、DNAまたはRNAである。
、n、およびqは、独立に、4~15ヌクレオチドの長さである。
、q、およびqは、独立に、1~6ヌクレオチド(複数可)の長さである。
、q、およびqは、独立に、1~3ヌクレオチド(複数可)の長さであり;代替的に、nは、0である。
は、独立に、0~10ヌクレオチド(複数可)の長さである。
およびqは、独立に、0~3ヌクレオチド(複数可)の長さである。
【0329】
代替的に、nは、0~3ヌクレオチドの長さである。
【0330】
一実施形態において、nは、0でありうる。一例において、nは、0であり、qおよびqは、1である。別の例において、nは、0であり、qおよびqは、1であり、センス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端からカウントする)内に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴い、アンチセンス鎖の1および2位(アンチセンス鎖の5’末端からカウントする)に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴い、アンチセンス鎖の18~23位(アンチセンス鎖の5’末端からカウントする)内に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴う。
【0331】
一実施形態において、n、q、およびqは、各々、1である。
【0332】
一実施形態において、n、n、q、q、およびqは、各々、1である。
【0333】
一実施形態において、C1は、センス鎖が、19~22ヌクレオチドの長さである場合、センス鎖の5’末端の14~17位にあり、nは、1である。一実施形態において、C1は、センス鎖の5’末端の15位にある。
【0334】
一実施形態において、T3’は、アンチセンス鎖の5’末端の2位に始まる。一例において、T3’は、アンチセンス鎖の5’末端の2位にあり、qは、1に等しい。
【0335】
一実施形態において、T1’は、アンチセンス鎖の5’末端の14位に始まる。一例において、T1’は、アンチセンス鎖の5’末端の14位にあり、qは、1に等しい。
【0336】
例示的実施形態において、T3’は、アンチセンス鎖の5’末端の2位からから始まり、T1’は、アンチセンス鎖の5’末端の14位から始まる。一例において、T3’は、アンチセンス鎖の5’末端の2位から始まり、qは、1に等しく、T1’は、アンチセンス鎖の5’末端の14位から始まり、qは、1に等しい。
【0337】
一実施形態において、T1’と、T3’とは、11ヌクレオチドの長さ(すなわち、T1’ヌクレオチドおよびT3’ヌクレオチドをカウントしない)で隔てられている。
【0338】
一実施形態において、T1’は、アンチセンス鎖の5’末端の14位にある。一例において、T1’は、アンチセンス鎖の5’末端の14位にあり、qは、1に等しく、2’位、または非リボース、非環状もしくは骨格における位置における修飾は、2’-OMeリボース未満の立体的嵩高さをもたらす。
【0339】
一実施形態において、T3’は、アンチセンス鎖の5’末端の2位にある。一例において、T3’は、アンチセンス鎖の5’末端の2位にあり、qは、1に等しく、2’位、または非リボース、非環状もしくは骨格における位置における修飾は、2’-OMeリボース以下の立体的嵩高さをもたらす。
【0340】
一実施形態において、T1は、センス鎖の切断部位にある。一例において、T1は、センス鎖が、19~22ヌクレオチドの長さである場合に、センス鎖の5’末端の11位にあり、nは、1である。例示的実施形態において、T1は、センス鎖が、19~22ヌクレオチドの長さである場合に、センス鎖の5’末端の11位における、センス鎖の切断部位にあり、nは、1である。
【0341】
一実施形態において、T2’は、アンチセンス鎖の5’末端の6位に始まる。一例において、T2’は、アンチセンス鎖の5’末端の6~10位にあり、qは、1である。
【0342】
例示的実施形態において、T1は、センス鎖が、19~22ヌクレオチドの長さである場合に、センス鎖の切断部位、例えば、センス鎖の5’末端の11位にあり、nは、1であり;T1’は、アンチセンス鎖の5’末端の14位にあり、qは、1に等しく、T1’への修飾は、リボース糖の2’位、または非リボース、非環状もしくは骨格における位置にあり、2’-OMeリボースほど立体的に嵩が高くなく;T2’は、アンチセンス鎖の5’末端の6~10位にあり、qは、1であり;T3’は、アンチセンス鎖の5’末端の2位にあり、qは、1に等しく、T3’への修飾は、2’位、または非リボース、非環状もしくは骨格における位置にあり、2’-OMeリボース以下の立体的嵩高さをもたらす。
【0343】
一実施形態において、T2’は、アンチセンス鎖の5’末端の8位に始まる。一例において、T2’は、アンチセンス鎖の5’末端の8位に始まり、qは、2である。
【0344】
一実施形態において、T2’は、アンチセンス鎖の5’末端の9位に始まる。一例において、T2’は、アンチセンス鎖の5’末端の9位にあり、qは、1である。
【0345】
一実施形態において、B1’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、9であり、T1’は、2’-Fであり、qは、1であり、B2’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、4であり、T2’は、2’-Fであり、qは、1であり、B3’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、6であり、T3’は、2’-Fであり、qは、1であり、B4’は、2’-OMeであり、qは、1であり;センス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端からカウントする)内に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴い、アンチセンス鎖の1および2位(アンチセンス鎖の5’末端からカウントする)に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴い、アンチセンス鎖の18~23位(アンチセンス鎖の5’末端からカウントする)内に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴う。
【0346】
一実施形態において、nは、0であり、B3は、2’-OMeであり、nは、3であり、B1’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、9であり、T1’は、2’-Fであり、qは、1であり、B2’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、4であり、T2’は、2’-Fであり、qは、1であり、B3’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、6であり、T3’は、2’-Fであり、qは、1であり、B4’は、2’-OMeであり、qは、1であり;センス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端からカウントする)内に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴い、アンチセンス鎖の1および2位(アンチセンス鎖の5’末端からカウントする)に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴い、アンチセンス鎖の18~23位(アンチセンス鎖の5’末端からカウントする)内に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴う。
【0347】
一実施形態において、B1は、2’-OMeまたは2’-Fであり、nは、8であり、T1は、2’Fであり、nは、3であり、B2は、2’-OMeであり、nは、7であり、nは、0であり、B3は、2’OMeであり、nは、3であり、B1’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、9であり、T1’は、2’-Fであり、qは、1であり、B2’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、4であり、T2’は、2’-Fであり、qは、2であり、B3’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、5であり、T3’は、2’-Fであり、qは、1であり、B4’は、2’-OMeであり、qは、1である。
【0348】
一実施形態において、B1は、2’-OMeまたは2’-Fであり、nは、8であり、T1は、2’Fであり、nは、3であり、B2は、2’-OMeであり、nは、7であり、nは、0であり、B3は、2’-OMeであり、nは、3であり、B1’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、9であり、T1’は、2’-Fであり、qは、1であり、B2’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、4であり、T2’は、2’-Fであり、qは、2であり、B3’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、5であり、T3’は、2’-Fであり、qは、1であり、B4’は、2’-OMeであり、qは、1であり;センス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端からカウントする)内に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴い、アンチセンス鎖の1および2位(アンチセンス鎖の5’末端からカウントする)に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴い、アンチセンス鎖の18~23位(アンチセンス鎖の5’末端からカウントする)内に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴う。
【0349】
一実施形態において、B1は、2’-OMeまたは2’-Fであり、nは、6であり、T1は、2’Fであり、nは、3であり、B2は、2’-OMeであり、nは、7であり、nは、0であり、B3は、2’OMeであり、nは、3であり、B1’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、7であり、T1’は、2’-Fであり、qは、1であり、B2’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、4であり、T2’は、2’-Fであり、qは、2であり、B3’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、5であり、T3’は、2’-Fであり、qは、1であり、B4’は、2’-OMeであり、qは、1である。
【0350】
一実施形態において、B1は、2’-OMeまたは2’-Fであり、nは、6であり、T1は、2’Fであり、nは、3であり、B2は、2’-OMeであり、nは、7であり、nは、0であり、B3は、2’-OMeであり、nは、3であり、B1’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、7であり、T1’は、2’-Fであり、qは、1であり、B2’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、4であり、T2’は、2’-Fであり、qは、2であり、B3’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、5であり、T3’は、2’-Fであり、qは、1であり、B4’は、2’-OMeであり、qは、1であり;センス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端からカウントする)内に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴い、アンチセンス鎖の1および2位(アンチセンス鎖の5’末端からカウントする)に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴い、アンチセンス鎖の18~23位(アンチセンス鎖の5’末端からカウントする)内に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴う。
【0351】
一実施形態において、B1は、2’-OMeまたは2’-Fであり、nは、8であり、T1は、2’Fであり、nは、3であり、B2は、2’-OMeであり、nは、7であり、nは、0であり、B3は、2’OMeであり、nは、3であり、B1’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、9であり、T1’は、2’-Fであり、qは、1であり、B2’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、4であり、T2’は、2’-Fであり、qは、1であり、B3’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、6であり、T3’は、2’-Fであり、qは、1であり、B4’は、2’-OMeであり、qは、1である。
【0352】
一実施形態において、B1は、2’-OMeまたは2’-Fであり、nは、8であり、T1は、2’Fであり、nは、3であり、B2は、2’-OMeであり、nは、7であり、nは、0であり、B3は、2’-OMeであり、nは、3であり、B1’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、9であり、T1’は、2’-Fであり、qは、1であり、B2’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、4であり、T2’は、2’-Fであり、qは、1であり、B3’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、6であり、T3’は、2’-Fであり、qは、1であり、B4’は、2’-OMeであり、qは、1であり;センス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端からカウントする)内に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴い、アンチセンス鎖の1および2位(アンチセンス鎖の5’末端からカウントする)に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴い、アンチセンス鎖の18~23位(アンチセンス鎖の5’末端からカウントする)内に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴う。
【0353】
一実施形態において、B1は、2’-OMeまたは2’-Fであり、nは、8であり、T1は、2’Fであり、nは、3であり、B2は、2’-OMeであり、nは、7であり、nは、0であり、B3は、2’OMeであり、nは、3であり、B1’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、9であり、T1’は、2’-Fであり、qは、1であり、B2’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、5であり、T2’は、2’-Fであり、qは、1であり、B3’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、5であり、T3’は、2’-Fであり、qは、1であり、B4’は、2’-OMeであり、qは、1であり;アンチセンス鎖の3’末端において、少なくとも2つのさらなるTTを伴ってもよい。
【0354】
一実施形態において、B1は、2’-OMeまたは2’-Fであり、nは、8であり、T1は、2’Fであり、nは、3であり、B2は、2’-OMeであり、nは、7であり、nは、0であり、B3は、2’-OMeであり、nは、3であり、B1’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、9であり、T1’は、2’-Fであり、qは、1であり、B2’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、5であり、T2’は、2’-Fであり、qは、1であり、B3’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、5であり、T3’は、2’-Fであり、qは、1であり、B4’は、2’-OMeであり、qは、1であり;アンチセンス鎖の3’末端において、少なくとも2つのさらなるTTを伴ってもよく;センス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端からカウントする)内に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴い、アンチセンス鎖の1および2位(アンチセンス鎖の5’末端からカウントする)に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴い、アンチセンス鎖の18~23位(アンチセンス鎖の5’末端からカウントする)内に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴う。
【0355】
一実施形態において、B1は、2’-OMeまたは2’-Fであり、nは、8であり、T1は、2’Fであり、nは、3であり、B2は、2’-OMeであり、nは、7であり、nは、0であり、B3は、2’-OMeであり、nは、3であり、B1’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、9であり、T1’は、2’-Fであり、qは、1であり、B2’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、4であり、qは、0であり、B3’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、7であり、T3’は、2’-Fであり、qは、1であり、B4’は、2’-OMeであり、qは、1である。
【0356】
一実施形態において、B1は、2’-OMeまたは2’-Fであり、nは、8であり、T1は、2’Fであり、nは、3であり、B2は、2’-OMeであり、nは、7であり、nは、0であり、B3は、2’-OMeであり、nは、3であり、B1’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、9であり、T1’は、2’-Fであり、qは、1であり、B2’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、4であり、qは、0であり、B3’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、7であり、T3’は、2’-Fであり、qは、1であり、B4’は、2’-OMeであり、qは、1であり;センス鎖の1~5位(5’末端からカウントする)内の、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴い、アンチセンス鎖の1および2位(アンチセンス鎖の5’末端からカウントする)に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴い、アンチセンス鎖の18~23位(5’末端からカウントする)内の、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴う。
【0357】
一実施形態において、B1は、2’-OMeまたは2’-Fであり、nは、8であり、T1は、2’Fであり、nは、3であり、B2は、2’-OMeであり、nは、7であり、nは、0であり、B3は、2’OMeであり、nは、3であり、B1’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、9であり、T1’は、2’-Fであり、qは、1であり、B2’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、4であり、T2’は、2’-Fであり、qは、2であり、B3’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、5であり、T3’は、2’-Fであり、qは、1であり、B4’は、2’-Fであり、qは、1である。
【0358】
一実施形態において、B1は、2’-OMeまたは2’-Fであり、nは、8であり、T1は、2’Fであり、nは、3であり、B2は、2’-OMeであり、nは、7であり、nは、0であり、B3は、2’-OMeであり、nは、3であり、B1’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、9であり、T1’は、2’-Fであり、qは、1であり、B2’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、4であり、T2’は、2’-Fであり、qは、2であり、B3’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、5であり、T3’は、2’-Fであり、qは、1であり、B4’は、2’-Fであり、qは、1であり;センス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端からカウントする)内に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴い、アンチセンス鎖の1および2位(アンチセンス鎖の5’末端からカウントする)に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴い、アンチセンス鎖の18~23位(アンチセンス鎖の5’末端からカウントする)内に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴う。
【0359】
一実施形態において、B1は、2’-OMeまたは2’-Fであり、nは、8であり、T1は、2’Fであり、nは、3であり、B2は、2’-OMeであり、nは、7であり、nは、0であり、B3は、2’-OMeであり、nは、3であり、B1’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、9であり、T1’は、2’-Fであり、qは、1であり、B2’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、4であり、qは、0であり、B3’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、7であり、T3’は、2’-Fであり、qは、1であり、B4’は、2’-Fであり、qは、1である。
【0360】
一実施形態において、B1は、2’-OMeまたは2’-Fであり、nは、8であり、T1は、2’Fであり、nは、3であり、B2は、2’-OMeであり、nは、7であり、nは、0であり、B3は、2’-OMeであり、nは、3であり、B1’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、9であり、T1’は、2’-Fであり、qは、1であり、B2’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、4であり、qは、0であり、B3’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、7であり、T3’は、2’-Fであり、qは、1であり、B4’は、2’-Fであり、qは、1であり;センス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端からカウントする)内に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴い、アンチセンス鎖の1および2位(アンチセンス鎖の5’末端からカウントする)に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴い、アンチセンス鎖の18~23位(アンチセンス鎖の5’末端からカウントする)内に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴う。
【0361】
RNAi剤は、センス鎖またはアンチセンス鎖の5’末端において、リン含有基を含みうる。5’末端のリン含有基は、5’末端ホスフェート(5’-P)、5’末端ホスホロチオエート(5’-PS)、5’末端ホスホロジチオエート(5’-PS)、5’末端ビニルホスホネート(5’-VP)、5’末端メチルホスホネート(MePhos)、または5’-デオキシ-5’-C-マロニル(
【0362】
【化9】
)でありうる。5’末端のリン含有基が、5’末端のビニルホスホネート(5’-VP)である場合、5’-VPは、5’-E-VP異性体(すなわち、trans-ビニルホスフェート、
【0363】
【化10】
)、5’-Z-VP異性体(すなわち、cis-ビニルホスフェート、
【0364】
【化11】
)、またはこれらの混合物でありうる。
【0365】
一実施形態において、RNAi剤は、センス鎖の5’末端において、リン含有基を含む。一実施形態において、RNAi剤は、アンチセンス鎖の5’末端において、リン含有基を含む。
【0366】
一実施形態において、RNAi剤は、5’-Pを含む。一実施形態において、RNAi剤は、アンチセンス鎖内に、5’-Pを含む。
【0367】
一実施形態において、RNAi剤は、5’-PSを含む。一実施形態において、RNAi剤は、アンチセンス鎖内に、5’-PSを含む。
【0368】
一実施形態において、RNAi剤は、5’-VPを含む。一実施形態において、RNAi剤は、アンチセンス鎖内に、5’-VPを含む。一実施形態において、RNAi剤は、アンチセンス鎖内に、5’-E-VPを含む。一実施形態において、RNAi剤は、アンチセンス鎖内に、5’-Z-VPを含む。
【0369】
一実施形態において、RNAi剤は、5’-PSを含む。一実施形態において、RNAi剤は、アンチセンス鎖内に、5’-PSを含む。
【0370】
一実施形態において、RNAi剤は、5’-PSを含む。一実施形態において、RNAi剤は、アンチセンス鎖内に、5’-デオキシ-5’-C-マロニルを含む。
【0371】
一実施形態において、B1は、2’-OMeまたは2’-Fであり、nは、8であり、T1は、2’Fであり、nは、3であり、B2は、2’-OMeであり、nは、7であり、nは、0であり、B3は、2’OMeであり、nは、3であり、B1’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、9であり、T1’は、2’-Fであり、qは、1であり、B2’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、4であり、T2’は、2’-Fであり、qは、2であり、B3’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、5であり、T3’は、2’-Fであり、qは、1であり、B4’は、2’-OMeであり、qは、1である。RNAi剤はまた、5’-PSも含む。
【0372】
一実施形態において、B1は、2’-OMeまたは2’-Fであり、nは、8であり、T1は、2’Fであり、nは、3であり、B2は、2’-OMeであり、nは、7であり、nは、0であり、B3は、2’OMeであり、nは、3であり、B1’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、9であり、T1’は、2’-Fであり、qは、1であり、B2’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、4であり、T2’は、2’-Fであり、qは、2であり、B3’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、5であり、T3’は、2’-Fであり、qは、1であり、B4’は、2’-OMeであり、qは、1である。RNAi剤はまた、5’-Pも含む。
【0373】
一実施形態において、B1は、2’-OMeまたは2’-Fであり、nは、8であり、T1は、2’Fであり、nは、3であり、B2は、2’-OMeであり、nは、7であり、nは、0であり、B3は、2’OMeであり、nは、3であり、B1’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、9であり、T1’は、2’-Fであり、qは、1であり、B2’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、4であり、T2’は、2’-Fであり、qは、2であり、B3’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、5であり、T3’は、2’-Fであり、qは、1であり、B4’は、2’-OMeであり、qは、1である。RNAi剤はまた、5’-VPも含む。5’-VPは、5’-E-VP、5’-Z-VP、またはこれらの組合せでありうる。
【0374】
一実施形態において、B1は、2’-OMeまたは2’-Fであり、nは、8であり、T1は、2’Fであり、nは、3であり、B2は、2’-OMeであり、nは、7であり、nは、0であり、B3は、2’OMeであり、nは、3であり、B1’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、9であり、T1’は、2’-Fであり、qは、1であり、B2’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、4であり、T2’は、2’-Fであり、qは、2であり、B3’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、5であり、T3’は、2’-Fであり、qは、1であり、B4’は、2’-OMeであり、qは、1である。RNAi剤はまた、5’-PSも含む。
【0375】
一実施形態において、B1は、2’-OMeまたは2’-Fであり、nは、8であり、T1は、2’Fであり、nは、3であり、B2は、2’-OMeであり、nは、7であり、nは、0であり、B3は、2’OMeであり、nは、3であり、B1’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、9であり、T1’は、2’-Fであり、qは、1であり、B2’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、4であり、T2’は、2’-Fであり、qは、2であり、B3’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、5であり、T3’は、2’-Fであり、qは、1であり、B4’は、2’-OMeであり、qは、1である。RNAi剤はまた、5’-デオキシ-5’-C-マロニルも含む。
【0376】
一実施形態において、B1は、2’-OMeまたは2’-Fであり、nは、8であり、T1は、2’Fであり、nは、3であり、B2は、2’-OMeであり、nは、7であり、nは、0であり、B3は、2’-OMeであり、nは、3であり、B1’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、9であり、T1’は、2’-Fであり、qは、1であり、B2’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、4であり、T2’は、2’-Fであり、qは、2であり、B3’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、5であり、T3’は、2’-Fであり、qは、1であり、B4’は、2’-OMeであり、qは、1であり;センス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端からカウントする)内に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴い、アンチセンス鎖の1および2位(アンチセンス鎖の5’末端からカウントする)に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴い、アンチセンス鎖の18~23位(アンチセンス鎖の5’末端からカウントする)内に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴う。RNAi剤はまた、5’-Pも含む。
【0377】
一実施形態において、B1は、2’-OMeまたは2’-Fであり、nは、8であり、T1は、2’Fであり、nは、3であり、B2は、2’-OMeであり、nは、7であり、nは、0であり、B3は、2’-OMeであり、nは、3であり、B1’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、9であり、T1’は、2’-Fであり、qは、1であり、B2’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、4であり、T2’は、2’-Fであり、qは、2であり、B3’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、5であり、T3’は、2’-Fであり、qは、1であり、B4’は、2’-OMeであり、qは、1であり;センス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端からカウントする)内に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴い、アンチセンス鎖の1および2位(アンチセンス鎖の5’末端からカウントする)に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴い、アンチセンス鎖の18~23位(アンチセンス鎖の5’末端からカウントする)内に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴う。RNAi剤はまた、5’-PSも含む。
【0378】
一実施形態において、B1は、2’-OMeまたは2’-Fであり、nは、8であり、T1は、2’Fであり、nは、3であり、B2は、2’-OMeであり、nは、7であり、nは、0であり、B3は、2’-OMeであり、nは、3であり、B1’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、9であり、T1’は、2’-Fであり、qは、1であり、B2’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、4であり、T2’は、2’-Fであり、qは、2であり、B3’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、5であり、T3’は、2’-Fであり、qは、1であり、B4’は、2’-OMeであり、qは、1であり;センス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端からカウントする)内に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴い、アンチセンス鎖の1および2位(アンチセンス鎖の5’末端からカウントする)に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴い、アンチセンス鎖の18~23位(アンチセンス鎖の5’末端からカウントする)内に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴う。RNAi剤はまた、5’-VPも含む。5’-VPは、5’-E-VP、5’-Z-VP、またはこれらの組合せでありうる。
【0379】
一実施形態において、B1は、2’-OMeまたは2’-Fであり、nは、8であり、T1は、2’Fであり、nは、3であり、B2は、2’-OMeであり、nは、7であり、nは、0であり、B3は、2’-OMeであり、nは、3であり、B1’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、9であり、T1’は、2’-Fであり、qは、1であり、B2’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、4であり、T2’は、2’-Fであり、qは、2であり、B3’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、5であり、T3’は、2’-Fであり、qは、1であり、B4’は、2’-OMeであり、qは、1であり;センス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端からカウントする)内に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴い、アンチセンス鎖の1および2位(アンチセンス鎖の5’末端からカウントする)に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴い、アンチセンス鎖の18~23位(アンチセンス鎖の5’末端からカウントする)内に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴う。RNAi剤はまた、5’-PSも含む。
【0380】
一実施形態において、B1は、2’-OMeまたは2’-Fであり、nは、8であり、T1は、2’Fであり、nは、3であり、B2は、2’-OMeであり、nは、7であり、nは、0であり、B3は、2’-OMeであり、nは、3であり、B1’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、9であり、T1’は、2’-Fであり、qは、1であり、B2’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、4であり、T2’は、2’-Fであり、qは、2であり、B3’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、5であり、T3’は、2’-Fであり、qは、1であり、B4’は、2’-OMeであり、qは、1であり;センス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端からカウントする)内に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴い、アンチセンス鎖の1および2位(アンチセンス鎖の5’末端からカウントする)に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴い、アンチセンス鎖の18~23位(アンチセンス鎖の5’末端からカウントする)内に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴う。RNAi剤はまた、5’-デオキシ-5’-C-マロニルも含む。
【0381】
一実施形態において、B1は、2’-OMeまたは2’-Fであり、nは、8であり、T1は、2’Fであり、nは、3であり、B2は、2’-OMeであり、nは、7であり、nは、0であり、B3は、2’-OMeであり、nは、3であり、B1’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、9であり、T1’は、2’-Fであり、qは、1であり、B2’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、4であり、qは、0であり、B3’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、7であり、T3’は、2’-Fであり、qは、1であり、B4’は、2’-OMeであり、qは、1である。RNAi剤はまた、5’-Pも含む。
【0382】
一実施形態において、B1は、2’-OMeまたは2’-Fであり、nは、8であり、T1は、2’Fであり、nは、3であり、B2は、2’-OMeであり、nは、7であり、nは、0であり、B3は、2’-OMeであり、nは、3であり、B1’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、9であり、T1’は、2’-Fであり、qは、1であり、B2’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、4であり、qは、0であり、B3’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、7であり、T3’は、2’-Fであり、qは、1であり、B4’は、2’-OMeであり、qは、1である。dsRNA剤はまた、5’-PSも含む。
【0383】
一実施形態において、B1は、2’-OMeまたは2’-Fであり、nは、8であり、T1は、2’Fであり、nは、3であり、B2は、2’-OMeであり、nは、7であり、nは、0であり、B3は、2’-OMeであり、nは、3であり、B1’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、9であり、T1’は、2’-Fであり、qは、1であり、B2’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、4であり、qは、0であり、B3’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、7であり、T3’は、2’-Fであり、qは、1であり、B4’は、2’-OMeであり、qは、1である。RNAi剤はまた、5’-VPも含む。5’-VPは、5’-E-VP、5’-Z-VP、またはこれらの組合せでありうる。
【0384】
一実施形態において、B1は、2’-OMeまたは2’-Fであり、nは、8であり、T1は、2’Fであり、nは、3であり、B2は、2’-OMeであり、nは、7であり、nは、0であり、B3は、2’-OMeであり、nは、3であり、B1’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、9であり、T1’は、2’-Fであり、qは、1であり、B2’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、4であり、qは、0であり、B3’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、7であり、T3’は、2’-Fであり、qは、1であり、B4’は、2’-OMeであり、qは、1である。RNAi剤はまた、5’-PSも含む。
【0385】
一実施形態において、B1は、2’-OMeまたは2’-Fであり、nは、8であり、T1は、2’Fであり、nは、3であり、B2は、2’-OMeであり、nは、7であり、nは、0であり、B3は、2’-OMeであり、nは、3であり、B1’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、9であり、T1’は、2’-Fであり、qは、1であり、B2’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、4であり、qは、0であり、B3’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、7であり、T3’は、2’-Fであり、qは、1であり、B4’は、2’-OMeであり、qは、1である。RNAi剤はまた、5’-デオキシ-5’-C-マロニルも含む。
【0386】
一実施形態において、B1は、2’-OMeまたは2’-Fであり、nは、8であり、T1は、2’Fであり、nは、3であり、B2は、2’-OMeであり、nは、7であり、nは、0であり、B3は、2’-OMeであり、nは、3であり、B1’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、9であり、T1’は、2’-Fであり、qは、1であり、B2’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、4であり、qは、0であり、B3’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、7であり、T3’は、2’-Fであり、qは、1であり、B4’は、2’-OMeであり、qは、1であり;センス鎖の1~5位(5’末端からカウントする)内の、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴い、アンチセンス鎖の1および2位(アンチセンス鎖の5’末端からカウントする)に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴い、アンチセンス鎖の18~23位(5’末端からカウントする)内の、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴う。RNAi剤はまた、5’-Pも含む。
【0387】
一実施形態において、B1は、2’-OMeまたは2’-Fであり、nは、8であり、T1は、2’Fであり、nは、3であり、B2は、2’-OMeであり、nは、7であり、nは、0であり、B3は、2’-OMeであり、nは、3であり、B1’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、9であり、T1’は、2’-Fであり、qは、1であり、B2’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、4であり、qは、0であり、B3’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、7であり、T3’は、2’-Fであり、qは、1であり、B4’は、2’-OMeであり、qは、1であり;センス鎖の1~5位(5’末端からカウントする)内の、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴い、アンチセンス鎖の1および2位(アンチセンス鎖の5’末端からカウントする)に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴い、アンチセンス鎖の18~23位(5’末端からカウントする)内の、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴う。RNAi剤はまた、5’-PSも含む。
【0388】
一実施形態において、B1は、2’-OMeまたは2’-Fであり、nは、8であり、T1は、2’Fであり、nは、3であり、B2は、2’-OMeであり、nは、7であり、nは、0であり、B3は、2’-OMeであり、nは、3であり、B1’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、9であり、T1’は、2’-Fであり、qは、1であり、B2’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、4であり、qは、0であり、B3’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、7であり、T3’は、2’-Fであり、qは、1であり、B4’は、2’-OMeであり、qは、1であり;センス鎖の1~5位(5’末端からカウントする)内の、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴い、アンチセンス鎖の1および2位(アンチセンス鎖の5’末端からカウントする)に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴い、アンチセンス鎖の18~23位(5’末端からカウントする)内の、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴う。RNAi剤はまた、5’-VPも含む。5’-VPは、5’-E-VP、5’-Z-VP、またはこれらの組合せでありうる。
【0389】
一実施形態において、B1は、2’-OMeまたは2’-Fであり、nは、8であり、T1は、2’Fであり、nは、3であり、B2は、2’-OMeであり、nは、7であり、nは、0であり、B3は、2’-OMeであり、nは、3であり、B1’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、9であり、T1’は、2’-Fであり、qは、1であり、B2’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、4であり、qは、0であり、B3’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、7であり、T3’は、2’-Fであり、qは、1であり、B4’は、2’-OMeであり、qは、1であり;センス鎖の1~5位(5’末端からカウントする)内の、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴い、アンチセンス鎖の1および2位(アンチセンス鎖の5’末端からカウントする)に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴い、アンチセンス鎖の18~23位(5’末端からカウントする)内の、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴う。RNAi剤はまた、5’-PSも含む。
【0390】
一実施形態において、B1は、2’-OMeまたは2’-Fであり、nは、8であり、T1は、2’Fであり、nは、3であり、B2は、2’-OMeであり、nは、7であり、nは、0であり、B3は、2’-OMeであり、nは、3であり、B1’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、9であり、T1’は、2’-Fであり、qは、1であり、B2’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、4であり、qは、0であり、B3’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、7であり、T3’は、2’-Fであり、qは、1であり、B4’は、2’-OMeであり、qは、1であり;センス鎖の1~5位(5’末端からカウントする)内の、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴い、アンチセンス鎖の1および2位(アンチセンス鎖の5’末端からカウントする)に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴い、アンチセンス鎖の18~23位(5’末端からカウントする)内の、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴う。RNAi剤はまた、5’-デオキシ-5’-C-マロニルも含む。
【0391】
一実施形態において、B1は、2’-OMeまたは2’-Fであり、nは、8であり、T1は、2’Fであり、nは、3であり、B2は、2’-OMeであり、nは、7であり、nは、0であり、B3は、2’OMeであり、nは、3であり、B1’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、9であり、T1’は、2’-Fであり、qは、1であり、B2’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、4であり、T2’は、2’-Fであり、qは、2であり、B3’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、5であり、T3’は、2’-Fであり、qは、1であり、B4’は、2’-Fであり、qは、1である。RNAi剤はまた、5’-Pも含む。
【0392】
一実施形態において、B1は、2’-OMeまたは2’-Fであり、nは、8であり、T1は、2’Fであり、nは、3であり、B2は、2’-OMeであり、nは、7であり、nは、0であり、B3は、2’OMeであり、nは、3であり、B1’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、9であり、T1’は、2’-Fであり、qは、1であり、B2’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、4であり、T2’は、2’-Fであり、qは、2であり、B3’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、5であり、T3’は、2’-Fであり、qは、1であり、B4’は、2’-Fであり、qは、1である。RNAi剤はまた、5’-PSも含む。
【0393】
一実施形態において、B1は、2’-OMeまたは2’-Fであり、nは、8であり、T1は、2’Fであり、nは、3であり、B2は、2’-OMeであり、nは、7であり、nは、0であり、B3は、2’OMeであり、nは、3であり、B1’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、9であり、T1’は、2’-Fであり、qは、1であり、B2’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、4であり、T2’は、2’-Fであり、qは、2であり、B3’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、5であり、T3’は、2’-Fであり、qは、1であり、B4’は、2’-Fであり、qは、1である。RNAi剤はまた、5’-VPも含む。5’-VPは、5’-E-VP、5’-Z-VP、またはこれらの組合せでありうる。
【0394】
一実施形態において、B1は、2’-OMeまたは2’-Fであり、nは、8であり、T1は、2’Fであり、nは、3であり、B2は、2’-OMeであり、nは、7であり、nは、0であり、B3は、2’OMeであり、nは、3であり、B1’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、9であり、T1’は、2’-Fであり、qは、1であり、B2’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、4であり、T2’は、2’-Fであり、qは、2であり、B3’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、5であり、T3’は、2’-Fであり、qは、1であり、B4’は、2’-Fであり、qは、1である。dsRNAi RNA(dsRNAi RNA)はまた、5’-PSも含む。
【0395】
一実施形態において、B1は、2’-OMeまたは2’-Fであり、nは、8であり、T1は、2’Fであり、nは、3であり、B2は、2’-OMeであり、nは、7であり、nは、0であり、B3は、2’OMeであり、nは、3であり、B1’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、9であり、T1’は、2’-Fであり、qは、1であり、B2’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、4であり、T2’は、2’-Fであり、qは、2であり、B3’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、5であり、T3’は、2’-Fであり、qは、1であり、B4’は、2’-Fであり、qは、1である。RNAi剤はまた、5’-デオキシ-5’-C-マロニルも含む。
【0396】
一実施形態において、B1は、2’-OMeまたは2’-Fであり、nは、8であり、T1は、2’Fであり、nは、3であり、B2は、2’-OMeであり、nは、7であり、nは、0であり、B3は、2’-OMeであり、nは、3であり、B1’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、9であり、T1’は、2’-Fであり、qは、1であり、B2’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、4であり、T2’は、2’-Fであり、qは、2であり、B3’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、5であり、T3’は、2’-Fであり、qは、1であり、B4’は、2’-Fであり、qは、1であり;センス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端からカウントする)内に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴い、アンチセンス鎖の1および2位(アンチセンス鎖の5’末端からカウントする)に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴い、アンチセンス鎖の18~23位(アンチセンス鎖の5’末端からカウントする)内に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴う。RNAi剤はまた、5’-Pも含む。
【0397】
一実施形態において、B1は、2’-OMeまたは2’-Fであり、nは、8であり、T1は、2’Fであり、nは、3であり、B2は、2’-OMeであり、nは、7であり、nは、0であり、B3は、2’-OMeであり、nは、3であり、B1’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、9であり、T1’は、2’-Fであり、qは、1であり、B2’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、4であり、T2’は、2’-Fであり、qは、2であり、B3’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、5であり、T3’は、2’-Fであり、qは、1であり、B4’は、2’-Fであり、qは、1であり;センス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端からカウントする)内に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴い、アンチセンス鎖の1および2位(アンチセンス鎖の5’末端からカウントする)に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴い、アンチセンス鎖の18~23位(アンチセンス鎖の5’末端からカウントする)内に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴う。RNAi剤はまた、5’-PSも含む。
【0398】
一実施形態において、B1は、2’-OMeまたは2’-Fであり、nは、8であり、T1は、2’Fであり、nは、3であり、B2は、2’-OMeであり、nは、7であり、nは、0であり、B3は、2’-OMeであり、nは、3であり、B1’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、9であり、T1’は、2’-Fであり、qは、1であり、B2’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、4であり、T2’は、2’-Fであり、qは、2であり、B3’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、5であり、T3’は、2’-Fであり、qは、1であり、B4’は、2’-Fであり、qは、1であり;センス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端からカウントする)内に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴い、アンチセンス鎖の1および2位(アンチセンス鎖の5’末端からカウントする)に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴い、アンチセンス鎖の18~23位(アンチセンス鎖の5’末端からカウントする)内に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴う。RNAi剤はまた、5’-VPも含む。5’-VPは、5’-E-VP、5’-Z-VP、またはこれらの組合せでありうる。
【0399】
一実施形態において、B1は、2’-OMeまたは2’-Fであり、nは、8であり、T1は、2’Fであり、nは、3であり、B2は、2’-OMeであり、nは、7であり、nは、0であり、B3は、2’-OMeであり、nは、3であり、B1’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、9であり、T1’は、2’-Fであり、qは、1であり、B2’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、4であり、T2’は、2’-Fであり、qは、2であり、B3’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、5であり、T3’は、2’-Fであり、qは、1であり、B4’は、2’-Fであり、qは、1であり;センス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端からカウントする)内に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴い、アンチセンス鎖の1および2位(アンチセンス鎖の5’末端からカウントする)に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴い、アンチセンス鎖の18~23位(アンチセンス鎖の5’末端からカウントする)内に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴う。RNAi剤はまた、5’-PSも含む。
【0400】
一実施形態において、B1は、2’-OMeまたは2’-Fであり、nは、8であり、T1は、2’Fであり、nは、3であり、B2は、2’-OMeであり、nは、7であり、nは、0であり、B3は、2’-OMeであり、nは、3であり、B1’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、9であり、T1’は、2’-Fであり、qは、1であり、B2’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、4であり、T2’は、2’-Fであり、qは、2であり、B3’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、5であり、T3’は、2’-Fであり、qは、1であり、B4’は、2’-Fであり、qは、1であり;センス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端からカウントする)内に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴い、アンチセンス鎖の1および2位(アンチセンス鎖の5’末端からカウントする)に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴い、アンチセンス鎖の18~23位(アンチセンス鎖の5’末端からカウントする)内に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴う。RNAi剤はまた、5’-デオキシ-5’-C-マロニルも含む。
【0401】
一実施形態において、B1は、2’-OMeまたは2’-Fであり、nは、8であり、T1は、2’Fであり、nは、3であり、B2は、2’-OMeであり、nは、7であり、nは、0であり、B3は、2’-OMeであり、nは、3であり、B1’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、9であり、T1’は、2’-Fであり、qは、1であり、B2’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、4であり、qは、0であり、B3’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、7であり、T3’は、2’-Fであり、qは、1であり、B4’は、2’-Fであり、qは、1である。RNAi剤はまた、5’-Pも含む。
【0402】
一実施形態において、B1は、2’-OMeまたは2’-Fであり、nは、8であり、T1は、2’Fであり、nは、3であり、B2は、2’-OMeであり、nは、7であり、nは、0であり、B3は、2’-OMeであり、nは、3であり、B1’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、9であり、T1’は、2’-Fであり、qは、1であり、B2’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、4であり、qは、0であり、B3’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、7であり、T3’は、2’-Fであり、qは、1であり、B4’は、2’-Fであり、qは、1である。RNAi剤はまた、5’-PSも含む。
【0403】
一実施形態において、B1は、2’-OMeまたは2’-Fであり、nは、8であり、T1は、2’Fであり、nは、3であり、B2は、2’-OMeであり、nは、7であり、nは、0であり、B3は、2’-OMeであり、nは、3であり、B1’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、9であり、T1’は、2’-Fであり、qは、1であり、B2’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、4であり、qは、0であり、B3’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、7であり、T3’は、2’-Fであり、qは、1であり、B4’は、2’-Fであり、qは、1である。RNAi剤はまた、5’-VPも含む。5’-VPは、5’-E-VP、5’-Z-VP、またはこれらの組合せでありうる。
【0404】
一実施形態において、B1は、2’-OMeまたは2’-Fであり、nは、8であり、T1は、2’Fであり、nは、3であり、B2は、2’-OMeであり、nは、7であり、nは、0であり、B3は、2’-OMeであり、nは、3であり、B1’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、9であり、T1’は、2’-Fであり、qは、1であり、B2’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、4であり、qは、0であり、B3’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、7であり、T3’は、2’-Fであり、qは、1であり、B4’は、2’-Fであり、qは、1である。RNAi剤はまた、5’-PSも含む。
【0405】
一実施形態において、B1は、2’-OMeまたは2’-Fであり、nは、8であり、T1は、2’Fであり、nは、3であり、B2は、2’-OMeであり、nは、7であり、nは、0であり、B3は、2’-OMeであり、nは、3であり、B1’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、9であり、T1’は、2’-Fであり、qは、1であり、B2’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、4であり、qは、0であり、B3’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、7であり、T3’は、2’-Fであり、qは、1であり、B4’は、2’-Fであり、qは、1である。RNAi剤はまた、5’-デオキシ-5’-C-マロニルも含む。
【0406】
一実施形態において、B1は、2’-OMeまたは2’-Fであり、nは、8であり、T1は、2’Fであり、nは、3であり、B2は、2’-OMeであり、nは、7であり、nは、0であり、B3は、2’-OMeであり、nは、3であり、B1’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、9であり、T1’は、2’-Fであり、qは、1であり、B2’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、4であり、qは、0であり、B3’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、7であり、T3’は、2’-Fであり、qは、1であり、B4’は、2’-Fであり、qは、1であり;センス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端からカウントする)内に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴い、アンチセンス鎖の1および2位(アンチセンス鎖の5’末端からカウントする)に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴い、アンチセンス鎖の18~23位(アンチセンス鎖の5’末端からカウントする)内に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴う。RNAi剤はまた、5’-Pも含む。
【0407】
一実施形態において、B1は、2’-OMeまたは2’-Fであり、nは、8であり、T1は、2’Fであり、nは、3であり、B2は、2’-OMeであり、nは、7であり、nは、0であり、B3は、2’-OMeであり、nは、3であり、B1’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、9であり、T1’は、2’-Fであり、qは、1であり、B2’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、4であり、qは、0であり、B3’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、7であり、T3’は、2’-Fであり、qは、1であり、B4’は、2’-Fであり、qは、1であり;センス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端からカウントする)内に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴い、アンチセンス鎖の1および2位(アンチセンス鎖の5’末端からカウントする)に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴い、アンチセンス鎖の18~23位(アンチセンス鎖の5’末端からカウントする)内に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴う。RNAi剤はまた、5’-PSも含む。
【0408】
一実施形態において、B1は、2’-OMeまたは2’-Fであり、nは、8であり、T1は、2’Fであり、nは、3であり、B2は、2’-OMeであり、nは、7であり、nは、0であり、B3は、2’-OMeであり、nは、3であり、B1’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、9であり、T1’は、2’-Fであり、qは、1であり、B2’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、4であり、qは、0であり、B3’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、7であり、T3’は、2’-Fであり、qは、1であり、B4’は、2’-Fであり、qは、1であり;センス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端からカウントする)内に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴い、アンチセンス鎖の1および2位(アンチセンス鎖の5’末端からカウントする)に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴い、アンチセンス鎖の18~23位(アンチセンス鎖の5’末端からカウントする)内に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴う。RNAi剤はまた、5’-VPも含む。5’-VPは、5’-E-VP、5’-Z-VP、またはこれらの組合せでありうる。
【0409】
一実施形態において、B1は、2’-OMeまたは2’-Fであり、nは、8であり、T1は、2’Fであり、nは、3であり、B2は、2’-OMeであり、nは、7であり、nは、0であり、B3は、2’-OMeであり、nは、3であり、B1’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、9であり、T1’は、2’-Fであり、qは、1であり、B2’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、4であり、qは、0であり、B3’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、7であり、T3’は、2’-Fであり、qは、1であり、B4’は、2’-Fであり、qは、1であり;センス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端からカウントする)内に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴い、アンチセンス鎖の1および2位(アンチセンス鎖の5’末端からカウントする)に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴い、アンチセンス鎖の18~23位(アンチセンス鎖の5’末端からカウントする)内に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴う。RNAi剤はまた、5’-PSも含む。
【0410】
一実施形態において、B1は、2’-OMeまたは2’-Fであり、nは、8であり、T1は、2’Fであり、nは、3であり、B2は、2’-OMeであり、nは、7であり、nは、0であり、B3は、2’-OMeであり、nは、3であり、B1’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、9であり、T1’は、2’-Fであり、qは、1であり、B2’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、4であり、qは、0であり、B3’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、7であり、T3’は、2’-Fであり、qは、1であり、B4’は、2’-Fであり、qは、1であり;センス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端からカウントする)内に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴い、アンチセンス鎖の1および2位(アンチセンス鎖の5’末端からカウントする)に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴い、アンチセンス鎖の18~23位(アンチセンス鎖の5’末端からカウントする)内に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴う。RNAi剤はまた、5’-デオキシ-5’-C-マロニルも含む。
【0411】
一実施形態において、B1は、2’-OMeまたは2’-Fであり、nは、8であり、T1は、2’Fであり、nは、3であり、B2は、2’-OMeであり、nは、7であり、nは、0であり、B3は、2’-OMeであり、nは、3であり、B1’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、9であり、T1’は、2’-Fであり、qは、1であり、B2’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、4であり、T2’は、2’-Fであり、qは、2であり、B3’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、5であり、T3’は、2’-Fであり、qは、1であり、B4’は、2’-OMeであり、qは、1であり;センス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端からカウントする)内に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴い、アンチセンス鎖の1および2位(アンチセンス鎖の5’末端からカウントする)に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴い、アンチセンス鎖の18~23位(アンチセンス鎖の5’末端からカウントする)内に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴う。RNAi剤はまた、5’-Pおよびターゲティングリガンドも含む。一実施形態において、5’-Pは、アンチセンス鎖の5’末端にあり、ターゲティングリガンドは、センス鎖の3’末端にある。
【0412】
一実施形態において、B1は、2’-OMeまたは2’-Fであり、nは、8であり、T1は、2’Fであり、nは、3であり、B2は、2’-OMeであり、nは、7であり、nは、0であり、B3は、2’-OMeであり、nは、3であり、B1’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、9であり、T1’は、2’-Fであり、qは、1であり、B2’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、4であり、T2’は、2’-Fであり、qは、2であり、B3’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、5であり、T3’は、2’-Fであり、qは、1であり、B4’は、2’-OMeであり、qは、1であり;センス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端からカウントする)内の、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴い、アンチセンス鎖の1および2位(アンチセンス鎖の5’末端からカウントする)に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴い、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴う。RNAi剤はまた、5’-PSおよびターゲティングリガンドも含む。一実施形態において、5’-PSは、アンチセンス鎖の5’末端にあり、ターゲティングリガンドは、センス鎖の3’末端にある。
【0413】
一実施形態において、B1は、2’-OMeまたは2’-Fであり、nは、8であり、T1は、2’Fであり、nは、3であり、B2は、2’-OMeであり、nは、7であり、nは、0であり、B3は、2’-OMeであり、nは、3であり、B1’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、9であり、T1’は、2’-Fであり、qは、1であり、B2’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、4であり、T2’は、2’-Fであり、qは、2であり、B3’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、5であり、T3’は、2’-Fであり、qは、1であり、B4’は、2’-OMeであり、qは、1であり;センス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端からカウントする)内に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴い、アンチセンス鎖の1および2位(アンチセンス鎖の5’末端からカウントする)に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴い、アンチセンス鎖の18~23位(アンチセンス鎖の5’末端からカウントする)内に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴う。RNAi剤はまた、5’-VP(例えば、5’-E-VP、5’-Z-VP、またはこれらの組合せ)、およびターゲティングリガンドも含む。
【0414】
一実施形態において、5’-VPは、アンチセンス鎖の5’末端にあり、ターゲティングリガンドは、センス鎖の3’末端にある。
【0415】
一実施形態において、B1は、2’-OMeまたは2’-Fであり、nは、8であり、T1は、2’Fであり、nは、3であり、B2は、2’-OMeであり、nは、7であり、nは、0であり、B3は、2’-OMeであり、nは、3であり、B1’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、9であり、T1’は、2’-Fであり、qは、1であり、B2’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、4であり、T2’は、2’-Fであり、qは、2であり、B3’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、5であり、T3’は、2’-Fであり、qは、1であり、B4’は、2’-OMeであり、qは、1であり;センス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端からカウントする)内に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴い、アンチセンス鎖の1および2位(アンチセンス鎖の5’末端からカウントする)に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴い、アンチセンス鎖の18~23位(アンチセンス鎖の5’末端からカウントする)内に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴う。RNAi剤はまた、5’-PSおよびターゲティングリガンドも含む。一実施形態において、5’-PSは、アンチセンス鎖の5’末端にあり、ターゲティングリガンドは、センス鎖の3’末端にある。
【0416】
一実施形態において、B1は、2’-OMeまたは2’-Fであり、nは、8であり、T1は、2’Fであり、nは、3であり、B2は、2’-OMeであり、nは、7であり、nは、0であり、B3は、2’-OMeであり、nは、3であり、B1’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、9であり、T1’は、2’-Fであり、qは、1であり、B2’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、4であり、T2’は、2’-Fであり、qは、2であり、B3’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、5であり、T3’は、2’-Fであり、qは、1であり、B4’は、2’-OMeであり、qは、1であり;センス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端からカウントする)内に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴い、アンチセンス鎖の1および2位(アンチセンス鎖の5’末端からカウントする)に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴い、アンチセンス鎖の18~23位(アンチセンス鎖の5’末端からカウントする)内に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴う。RNAi剤はまた、5’-デオキシ-5’-C-マロニルおよびターゲティングリガンドも含む。一実施形態において、5’-デオキシ-5’-C-マロニルは、アンチセンス鎖の5’末端にあり、ターゲティングリガンドは、センス鎖の3’末端にある。
【0417】
一実施形態において、B1は、2’-OMeまたは2’-Fであり、nは、8であり、T1は、2’Fであり、nは、3であり、B2は、2’-OMeであり、nは、7であり、nは、0であり、B3は、2’-OMeであり、nは、3であり、B1’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、9であり、T1’は、2’-Fであり、qは、1であり、B2’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、4であり、qは、0であり、B3’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、7であり、T3’は、2’-Fであり、qは、1であり、B4’は、2’-OMeであり、qは、1であり;センス鎖の1~5位(5’末端からカウントする)内の、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴い、アンチセンス鎖の1および2位(アンチセンス鎖の5’末端からカウントする)に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴い、アンチセンス鎖の18~23位(5’末端からカウントする)内の、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴う。RNAi剤はまた、5’-Pおよびターゲティングリガンドも含む。一実施形態において、5’-Pは、アンチセンス鎖の5’末端にあり、ターゲティングリガンドは、センス鎖の3’末端にある。
【0418】
一実施形態において、B1は、2’-OMeまたは2’-Fであり、nは、8であり、T1は、2’Fであり、nは、3であり、B2は、2’-OMeであり、nは、7であり、nは、0であり、B3は、2’-OMeであり、nは、3であり、B1’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、9であり、T1’は、2’-Fであり、qは、1であり、B2’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、4であり、qは、0であり、B3’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、7であり、T3’は、2’-Fであり、qは、1であり、B4’は、2’-OMeであり、qは、1であり;センス鎖の1~5位(5’末端からカウントする)内の、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴い、アンチセンス鎖の1および2位(アンチセンス鎖の5’末端からカウントする)に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴い、アンチセンス鎖の18~23位(5’末端からカウントする)内の、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴う。RNAi剤はまた、5’-PSおよびターゲティングリガンドも含む。一実施形態において、5’-PSは、アンチセンス鎖の5’末端にあり、ターゲティングリガンドは、センス鎖の3’末端にある。
【0419】
一実施形態において、B1は、2’-OMeまたは2’-Fであり、nは、8であり、T1は、2’Fであり、nは、3であり、B2は、2’-OMeであり、nは、7であり、nは、0であり、B3は、2’-OMeであり、nは、3であり、B1’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、9であり、T1’は、2’-Fであり、qは、1であり、B2’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、4であり、qは、0であり、B3’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、7であり、T3’は、2’-Fであり、qは、1であり、B4’は、2’-OMeであり、qは、1であり;センス鎖の1~5位(5’末端からカウントする)内の、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴い、アンチセンス鎖の1および2位(アンチセンス鎖の5’末端からカウントする)に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴い、アンチセンス鎖の18~23位(5’末端からカウントする)内の、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴う。RNAi剤はまた、5’-VP(例えば、5’-E-VP、5’-Z-VP、またはこれらの組合せ)、およびターゲティングリガンドも含む。一実施形態において、5’-VPは、アンチセンス鎖の5’末端にあり、ターゲティングリガンドは、センス鎖の3’末端にある。
【0420】
一実施形態において、B1は、2’-OMeまたは2’-Fであり、nは、8であり、T1は、2’Fであり、nは、3であり、B2は、2’-OMeであり、nは、7であり、nは、0であり、B3は、2’-OMeであり、nは、3であり、B1’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、9であり、T1’は、2’-Fであり、qは、1であり、B2’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、4であり、qは、0であり、B3’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、7であり、T3’は、2’-Fであり、qは、1であり、B4’は、2’-OMeであり、qは、1であり;センス鎖の1~5位(5’末端からカウントする)内の、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴い、アンチセンス鎖の1および2位(アンチセンス鎖の5’末端からカウントする)に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴い、アンチセンス鎖の18~23位(5’末端からカウントする)内の、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴う。RNAi剤はまた、5’-PSおよびターゲティングリガンドも含む。一実施形態において、5’-PSは、アンチセンス鎖の5’末端にあり、ターゲティングリガンドは、センス鎖の3’末端にある。
【0421】
一実施形態において、B1は、2’-OMeまたは2’-Fであり、nは、8であり、T1は、2’Fであり、nは、3であり、B2は、2’-OMeであり、nは、7であり、nは、0であり、B3は、2’-OMeであり、nは、3であり、B1’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、9であり、T1’は、2’-Fであり、qは、1であり、B2’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、4であり、qは、0であり、B3’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、7であり、T3’は、2’-Fであり、qは、1であり、B4’は、2’-OMeであり、qは、1であり;センス鎖の1~5位(5’末端からカウントする)内の、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴い、アンチセンス鎖の1および2位(アンチセンス鎖の5’末端からカウントする)に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴い、アンチセンス鎖の18~23位(5’末端からカウントする)内の、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴う。RNAi剤はまた、5’-デオキシ-5’-C-マロニルおよびターゲティングリガンドも含む。一実施形態において、5’-デオキシ-5’-C-マロニルは、アンチセンス鎖の5’末端にあり、ターゲティングリガンドは、センス鎖の3’末端にある。
【0422】
一実施形態において、B1は、2’-OMeまたは2’-Fであり、nは、8であり、T1は、2’Fであり、nは、3であり、B2は、2’-OMeであり、nは、7であり、nは、0であり、B3は、2’-OMeであり、nは、3であり、B1’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、9であり、T1’は、2’-Fであり、qは、1であり、B2’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、4であり、T2’は、2’-Fであり、qは、2であり、B3’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、5であり、T3’は、2’-Fであり、qは、1であり、B4’は、2’-Fであり、qは、1であり;センス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端からカウントする)内に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴い、アンチセンス鎖の1および2位(アンチセンス鎖の5’末端からカウントする)に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴い、アンチセンス鎖の18~23位(アンチセンス鎖の5’末端からカウントする)内に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴う。RNAi剤はまた、5’-Pおよびターゲティングリガンドも含む。一実施形態において、5’-Pは、アンチセンス鎖の5’末端にあり、ターゲティングリガンドは、センス鎖の3’末端にある。
【0423】
一実施形態において、B1は、2’-OMeまたは2’-Fであり、nは、8であり、T1は、2’Fであり、nは、3であり、B2は、2’-OMeであり、nは、7であり、nは、0であり、B3は、2’-OMeであり、nは、3であり、B1’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、9であり、T1’は、2’-Fであり、qは、1であり、B2’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、4であり、T2’は、2’-Fであり、qは、2であり、B3’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、5であり、T3’は、2’-Fであり、qは、1であり、B4’は、2’-Fであり、qは、1であり;センス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端からカウントする)内に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴い、アンチセンス鎖の1および2位(アンチセンス鎖の5’末端からカウントする)に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴い、アンチセンス鎖の18~23位(アンチセンス鎖の5’末端からカウントする)内に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴う。RNAi剤はまた、5’-PSおよびターゲティングリガンドも含む。一実施形態において、5’-PSは、アンチセンス鎖の5’末端にあり、ターゲティングリガンドは、センス鎖の3’末端にある。
【0424】
一実施形態において、B1は、2’-OMeまたは2’-Fであり、nは、8であり、T1は、2’Fであり、nは、3であり、B2は、2’-OMeであり、nは、7であり、nは、0であり、B3は、2’-OMeであり、nは、3であり、B1’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、9であり、T1’は、2’-Fであり、qは、1であり、B2’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、4であり、T2’は、2’-Fであり、qは、2であり、B3’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、5であり、T3’は、2’-Fであり、qは、1であり、B4’は、2’-Fであり、qは、1であり;センス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端からカウントする)内に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴い、アンチセンス鎖の1および2位(アンチセンス鎖の5’末端からカウントする)に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴い、アンチセンス鎖の18~23位(アンチセンス鎖の5’末端からカウントする)内に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴う。RNAi剤はまた、5’-VP(例えば、5’-E-VP、5’-Z-VP、またはこれらの組合せ)、およびターゲティングリガンドも含む。一実施形態において、5’-VPは、アンチセンス鎖の5’末端にあり、ターゲティングリガンドは、センス鎖の3’末端にある。
【0425】
一実施形態において、B1は、2’-OMeまたは2’-Fであり、nは、8であり、T1は、2’Fであり、nは、3であり、B2は、2’-OMeであり、nは、7であり、nは、0であり、B3は、2’-OMeであり、nは、3であり、B1’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、9であり、T1’は、2’-Fであり、qは、1であり、B2’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、4であり、T2’は、2’-Fであり、qは、2であり、B3’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、5であり、T3’は、2’-Fであり、qは、1であり、B4’は、2’-Fであり、qは、1であり;センス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端からカウントする)内に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴い、アンチセンス鎖の1および2位(アンチセンス鎖の5’末端からカウントする)に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴い、アンチセンス鎖の18~23位(アンチセンス鎖の5’末端からカウントする)内に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴う。RNAi剤はまた、5’-PSおよびターゲティングリガンドも含む。一実施形態において、5’-PSは、アンチセンス鎖の5’末端にあり、ターゲティングリガンドは、センス鎖の3’末端にある。
【0426】
一実施形態において、B1は、2’-OMeまたは2’-Fであり、nは、8であり、T1は、2’Fであり、nは、3であり、B2は、2’-OMeであり、nは、7であり、nは、0であり、B3は、2’-OMeであり、nは、3であり、B1’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、9であり、T1’は、2’-Fであり、qは、1であり、B2’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、4であり、T2’は、2’-Fであり、qは、2であり、B3’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、5であり、T3’は、2’-Fであり、qは、1であり、B4’は、2’-Fであり、qは、1であり;センス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端からカウントする)内に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴い、アンチセンス鎖の1および2位(アンチセンス鎖の5’末端からカウントする)に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴い、アンチセンス鎖の18~23位(アンチセンス鎖の5’末端からカウントする)内に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴う。RNAi剤はまた、5’-デオキシ-5’-C-マロニルおよびターゲティングリガンドも含む。一実施形態において、5’-デオキシ-5’-C-マロニルは、アンチセンス鎖の5’末端にあり、ターゲティングリガンドは、センス鎖の3’末端にある。
【0427】
一実施形態において、B1は、2’-OMeまたは2’-Fであり、nは、8であり、T1は、2’Fであり、nは、3であり、B2は、2’-OMeであり、nは、7であり、nは、0であり、B3は、2’-OMeであり、nは、3であり、B1’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、9であり、T1’は、2’-Fであり、qは、1であり、B2’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、4であり、qは、0であり、B3’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、7であり、T3’は、2’-Fであり、qは、1であり、B4’は、2’-Fであり、qは、1であり;センス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端からカウントする)内に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴い、アンチセンス鎖の1および2位(アンチセンス鎖の5’末端からカウントする)に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴い、アンチセンス鎖の18~23位(アンチセンス鎖の5’末端からカウントする)内に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴う。RNAi剤はまた、5’-Pおよびターゲティングリガンドも含む。一実施形態において、5’-Pは、アンチセンス鎖の5’末端にあり、ターゲティングリガンドは、センス鎖の3’末端にある。
【0428】
一実施形態において、B1は、2’-OMeまたは2’-Fであり、nは、8であり、T1は、2’Fであり、nは、3であり、B2は、2’-OMeであり、nは、7であり、nは、0であり、B3は、2’-OMeであり、nは、3であり、B1’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、9であり、T1’は、2’-Fであり、qは、1であり、B2’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、4であり、qは、0であり、B3’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、7であり、T3’は、2’-Fであり、qは、1であり、B4’は、2’-Fであり、qは、1であり;センス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端からカウントする)内に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴い、アンチセンス鎖の1および2位(アンチセンス鎖の5’末端からカウントする)に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴い、アンチセンス鎖の18~23位(アンチセンス鎖の5’末端からカウントする)内に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴う。RNAi剤はまた、5’-PSおよびターゲティングリガンドも含む。一実施形態において、5’-PSは、アンチセンス鎖の5’末端にあり、ターゲティングリガンドは、センス鎖の3’末端にある。
【0429】
一実施形態において、B1は、2’-OMeまたは2’-Fであり、nは、8であり、T1は、2’Fであり、nは、3であり、B2は、2’-OMeであり、nは、7であり、nは、0であり、B3は、2’-OMeであり、nは、3であり、B1’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、9であり、T1’は、2’-Fであり、qは、1であり、B2’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、4であり、qは、0であり、B3’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、7であり、T3’は、2’-Fであり、qは、1であり、B4’は、2’-Fであり、qは、1であり;センス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端からカウントする)内に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴い、アンチセンス鎖の1および2位(アンチセンス鎖の5’末端からカウントする)に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴い、アンチセンス鎖の18~23位(アンチセンス鎖の5’末端からカウントする)内に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴う。RNAi剤はまた、5’-VP(例えば、5’-E-VP、5’-Z-VP、またはこれらの組合せ)、およびターゲティングリガンドも含む。一実施形態において、5’-VPは、アンチセンス鎖の5’末端にあり、ターゲティングリガンドは、センス鎖の3’末端にある。
【0430】
一実施形態において、B1は、2’-OMeまたは2’-Fであり、nは、8であり、T1は、2’Fであり、nは、3であり、B2は、2’-OMeであり、nは、7であり、nは、0であり、B3は、2’-OMeであり、nは、3であり、B1’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、9であり、T1’は、2’-Fであり、qは、1であり、B2’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、4であり、qは、0であり、B3’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、7であり、T3’は、2’-Fであり、qは、1であり、B4’は、2’-Fであり、qは、1であり;センス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端からカウントする)内に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴い、アンチセンス鎖の1および2位(アンチセンス鎖の5’末端からカウントする)に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴い、アンチセンス鎖の18~23位(アンチセンス鎖の5’末端からカウントする)内に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴う。RNAi剤はまた、5’-PSおよびターゲティングリガンドも含む。一実施形態において、5’-PSは、アンチセンス鎖の5’末端にあり、ターゲティングリガンドは、センス鎖の3’末端にある。
【0431】
一実施形態において、B1は、2’-OMeまたは2’-Fであり、nは、8であり、T1は、2’Fであり、nは、3であり、B2は、2’-OMeであり、nは、7であり、nは、0であり、B3は、2’-OMeであり、nは、3であり、B1’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、9であり、T1’は、2’-Fであり、qは、1であり、B2’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、4であり、qは、0であり、B3’は、2’-OMeまたは2’-Fであり、qは、7であり、T3’は、2’-Fであり、qは、1であり、B4’は、2’-Fであり、qは、1であり;センス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端からカウントする)内に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴い、アンチセンス鎖の1および2位(アンチセンス鎖の5’末端からカウントする)に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴い、アンチセンス鎖の18~23位(アンチセンス鎖の5’末端からカウントする)内に、2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結による修飾を伴う。RNAi剤はまた、5’-デオキシ-5’-C-マロニルおよびターゲティングリガンドも含む。一実施形態において、5’-デオキシ-5’-C-マロニルは、アンチセンス鎖の5’末端にあり、ターゲティングリガンドは、センス鎖の3’末端にある。
【0432】
特定の実施形態において、本発明のRNAi剤は、
(a)センス鎖であって、
(i)21ヌクレオチドの長さ;
(ii)3’末端へと接合されたASGPRリガンドであって、三価の分枝状リンカーを介して接合された、3つのGalNAc誘導体を含むASGPRリガンド;ならびに
(iii)1、3、5、7、9~11、13、17、19、および21位における2’-F修飾、ならびに2、4、6、8、12、14~16、18、および20位における2’-OMe修飾(5’末端からカウントする)
を有するセンス鎖と;
(b)アンチセンス鎖であって、
(i)23ヌクレオチドの長さ;
(ii)1、3、5、9、11~13、15、17、19、21、および23位における2’-OMe修飾、ならびに2、4、6~8、10、14、16、18、20、および22位(5’末端からカウントする)における2’F修飾;ならびに
(iii)ヌクレオチド位置21と22との間、およびヌクレオチド位置22と23との間(5’末端からカウントする)におけるホスホロチオエートヌクレオチド間連結
を有するアンチセンス鎖と
を含み;
この場合、dsRNA剤は、アンチセンス鎖の3’末端における、2つのヌクレオチド突出、およびアンチセンス鎖の5’末端における平滑末端を有する。
【0433】
別の特定の実施形態において、本発明のRNAi剤は、
(a)センス鎖であって、
(i)21ヌクレオチドの長さ;
(ii)3’末端へと接合されたASGPRリガンドであって、三価の分枝状リンカーを介して接合された、3つのGalNAc誘導体を含むASGPRリガンド;
(iii)1、3、5、7、9~11、13、15、17、19、および21位における2’-F修飾、ならびに2、4、6、8、12、14、16、18、および20位における2’-OMe修飾(5’末端からカウントする);ならびに
(iv)ヌクレオチド位置1と2との間、およびヌクレオチド位置2と3との間(5’末端からカウントする)におけるホスホロチオエートヌクレオチド間連結
を有するセンス鎖と;
(b)アンチセンス鎖であって、
(i)23ヌクレオチドの長さ;
(ii)1、3、5、7、9、11~13、15、17、19、および21~23位における2’-OMe修飾、ならびに2、4、6、8、10、14、16、18、および20位(5’末端からカウントする)における2’F修飾;ならびに
(iii)ヌクレオチド位置1と2との間、ヌクレオチド位置2と3との間、ヌクレオチド位置21と22との間、およびヌクレオチド位置22と23との間(5’末端からカウントする)におけるホスホロチオエートヌクレオチド間連結
を有するアンチセンス鎖と
を含み;
この場合、RNAi剤は、アンチセンス鎖の3’末端における、2つのヌクレオチド突出、およびアンチセンス鎖の5’末端における平滑末端を有する。
【0434】
別の特定の実施形態において、本発明のRNAi剤は、
(a)センス鎖であって、
(i)21ヌクレオチドの長さ;
(ii)3’末端へと接合されたASGPRリガンドであって、三価の分枝状リンカーを介して接合された、3つのGalNAc誘導体を含むASGPRリガンド;
(iii)1~6、8、10、および12~21位における2’-OMe修飾、7、および9位における2’-F修飾、ならびに11位(5’末端からカウントする)におけるデオキシヌクレオチド(例えば、dT);ならびに
(iv)ヌクレオチド位置1と2との間、およびヌクレオチド位置2と3との間(5’末端からカウントする)におけるホスホロチオエートヌクレオチド間連結
を有するセンス鎖と;
(b)アンチセンス鎖であって、
(i)23ヌクレオチドの長さ;
(ii)1、3、7、9、11、13、15、17、および19~23位における2’-OMe修飾、ならびに2、4~6、8、10、12、14、16、および18位における2’-F修飾(5’末端からカウントする);ならびに
(iii)ヌクレオチド位置1と2との間、ヌクレオチド位置2と3との間、ヌクレオチド位置21と22との間、およびヌクレオチド位置22と23との間(5’末端からカウントする)におけるホスホロチオエートヌクレオチド間連結
を有するアンチセンス鎖と
を含み;
この場合、RNAi剤は、アンチセンス鎖の3’末端における、2つのヌクレオチド突出、およびアンチセンス鎖の5’末端における平滑末端を有する。
【0435】
別の特定の実施形態において、本発明のRNAi剤は、
(a)センス鎖であって、
(i)21ヌクレオチドの長さ;
(ii)3’末端へと接合されたASGPRリガンドであって、三価の分枝状リンカーを介して接合された、3つのGalNAc誘導体を含むASGPRリガンド;
(iii)1~6、8、10、12、14、および16~21位における2’-OMe修飾、ならびに7、9、11、13、および15位における2’-F修飾;ならびに
(iv)ヌクレオチド位置1と2との間、およびヌクレオチド位置2と3との間(5’末端からカウントする)におけるホスホロチオエートヌクレオチド間連結
を有するセンス鎖と;
(b)アンチセンス鎖であって、
(i)23ヌクレオチドの長さ;
(ii)1、5、7、9、11、13、15、17、19、および21~23位における2’-OMe修飾、ならびに2~4、6、8、10、12、14、16、18、および20位における2’-F修飾(5’末端からカウントする);ならびに
(iii)ヌクレオチド位置1と2との間、ヌクレオチド位置2と3との間、ヌクレオチド位置21と22との間、およびヌクレオチド位置22と23との間(5’末端からカウントする)におけるホスホロチオエートヌクレオチド間連結
を有するアンチセンス鎖と
を含み;
この場合、RNAi剤は、アンチセンス鎖の3’末端における、2つのヌクレオチド突出、およびアンチセンス鎖の5’末端における平滑末端を有する。
【0436】
別の特定の実施形態において、本発明のRNAi剤は、
(a)センス鎖であって、
(i)21ヌクレオチドの長さ;
(ii)3’末端へと接合されたASGPRリガンドであって、三価の分枝状リンカーを介して接合された、3つのGalNAc誘導体を含むASGPRリガンド;
(iii)1~9、および12~21位における2’-OMe修飾、ならびに10、および11位における2’-F修飾;ならびに
(iv)ヌクレオチド位置1と2との間、およびヌクレオチド位置2と3との間(5’末端からカウントする)におけるホスホロチオエートヌクレオチド間連結
を有するセンス鎖と;
(b)アンチセンス鎖であって、
(i)23ヌクレオチドの長さ;
(ii)1、3、5、7、9、11~13、15、17、19、および21~23位における2’-OMe修飾、ならびに2、4、6、8、10、14、16、18、および20位における2’-F修飾(5’末端からカウントする);ならびに
(iii)ヌクレオチド位置1と2との間、ヌクレオチド位置2と3との間、ヌクレオチド位置21と22との間、およびヌクレオチド位置22と23との間(5’末端からカウントする)におけるホスホロチオエートヌクレオチド間連結
を有するアンチセンス鎖と
を含み;
この場合、RNAi剤は、アンチセンス鎖の3’末端における、2つのヌクレオチド突出、およびアンチセンス鎖の5’末端における平滑末端を有する。
【0437】
別の特定の実施形態において、本発明のRNAi剤は、
(a)センス鎖であって、
(i)21ヌクレオチドの長さ;
(ii)3’末端へと接合されたASGPRリガンドであって、三価の分枝状リンカーを介して接合された、3つのGalNAc誘導体を含むASGPRリガンド;
(iii)1、3、5、7、9~11、および13位における2’-F修飾、および2、4、6、8、12、および14~21位における2’-OMe修飾;ならびに
(iv)ヌクレオチド位置1と2との間、およびヌクレオチド位置2と3との間(5’末端からカウントする)におけるホスホロチオエートヌクレオチド間連結
を有するセンス鎖と;
(b)アンチセンス鎖であって、
(i)23ヌクレオチドの長さ;
(ii)1、3、5~7、9、11~13、15、17~19、および21~23位における2’-OMe修飾、ならびに2、4、8、10、14、16、および20位における2’-F修飾(5’末端からカウントする);ならびに
(iii)ヌクレオチド位置1と2との間、ヌクレオチド位置2と3との間、ヌクレオチド位置21と22との間、およびヌクレオチド位置22と23との間(5’末端からカウントする)におけるホスホロチオエートヌクレオチド間連結
を有するアンチセンス鎖と
を含み;
この場合、RNAi剤は、アンチセンス鎖の3’末端における、2つのヌクレオチド突出、およびアンチセンス鎖の5’末端における平滑末端を有する。
【0438】
別の特定の実施形態において、本発明のRNAi剤は、
(a)センス鎖であって、
(i)21ヌクレオチドの長さ;
(ii)3’末端へと接合されたASGPRリガンドであって、三価の分枝状リンカーを介して接合された、3つのGalNAc誘導体を含むASGPRリガンド;
(iii)1、2、4、6、8、12、14、15、17、および19~21位における2’-OMe修飾、ならびに3、5、7、9~11、13、16、および18位における2’-F修飾;ならびに
(iv)ヌクレオチド位置1と2との間、およびヌクレオチド位置2と3との間(5’末端からカウントする)におけるホスホロチオエートヌクレオチド間連結
を有するセンス鎖と;
(b)アンチセンス鎖であって、
(i)25ヌクレオチドの長さ;
(ii)1、4、6、7、9、11~13、15、17、および19~23位における2’-OMe修飾、2、3、5、8、10、14、16、および18位における2’-F修飾、ならびに24および25位(5’末端からカウントする)におけるデオキシヌクレオチド(desoxy-nucleotides)(例えば、dT);ならびに
(iii)ヌクレオチド位置1と2との間、ヌクレオチド位置2と3との間、ヌクレオチド位置21と22との間、およびヌクレオチド位置22と23との間(5’末端からカウントする)におけるホスホロチオエートヌクレオチド間連結
を有するアンチセンス鎖と
を含み;
この場合、RNAi剤は、アンチセンス鎖の3’末端における、4つのヌクレオチド突出、およびアンチセンス鎖の5’末端における平滑末端を有する。
【0439】
別の特定の実施形態において、本発明のRNAi剤は、
(a)センス鎖であって、
(i)21ヌクレオチドの長さ;
(ii)3’末端へと接合されたASGPRリガンドであって、三価の分枝状リンカーを介して接合された、3つのGalNAc誘導体を含むASGPRリガンド;
(iii)1~6、8、および12~21位における2’-OMe修飾、ならびに7、および9~11位における2’-F修飾;ならびに
(iv)ヌクレオチド位置1と2との間、およびヌクレオチド位置2と3との間(5’末端からカウントする)におけるホスホロチオエートヌクレオチド間連結
を有するセンス鎖と;
(b)アンチセンス鎖であって、
(i)23ヌクレオチドの長さ;
(ii)1、3~5、7、8、10~13、15、および17~23位における2’-OMe修飾、ならびに2、6、9、14、および16位における2’-F修飾(5’末端からカウントする);ならびに
(iii)ヌクレオチド位置1と2との間、ヌクレオチド位置2と3との間、ヌクレオチド位置21と22との間、およびヌクレオチド位置22と23との間(5’末端からカウントする)におけるホスホロチオエートヌクレオチド間連結
を有するアンチセンス鎖と
を含み;
この場合、RNAi剤は、アンチセンス鎖の3’末端における、2つのヌクレオチド突出、およびアンチセンス鎖の5’末端における平滑末端を有する。
【0440】
別の特定の実施形態において、本発明のRNAi剤は、
(a)センス鎖であって、
(i)21ヌクレオチドの長さ;
(ii)3’末端へと接合されたASGPRリガンドであって、三価の分枝状リンカーを介して接合された、3つのGalNAc誘導体を含むASGPRリガンド;
(iii)1~6、8、および12~21位における2’-OMe修飾、ならびに7、および9~11位における2’-F修飾;ならびに
(iv)ヌクレオチド位置1と2との間、およびヌクレオチド位置2と3との間(5’末端からカウントする)におけるホスホロチオエートヌクレオチド間連結
を有するセンス鎖と;
(b)アンチセンス鎖であって、
(i)23ヌクレオチドの長さ;
(ii)1、3~5、7、10~13、15、および17~23位における2’-OMe修飾、ならびに2、6、8、9、14、および16位における2’-F修飾(5’末端からカウントする);ならびに
(iii)ヌクレオチド位置1と2との間、ヌクレオチド位置2と3との間、ヌクレオチド位置21と22との間、およびヌクレオチド位置22と23との間(5’末端からカウントする)におけるホスホロチオエートヌクレオチド間連結
を有するアンチセンス鎖と
を含み;
この場合、RNAi剤は、アンチセンス鎖の3’末端における、2つのヌクレオチド突出、およびアンチセンス鎖の5’末端における平滑末端を有する。
【0441】
別の特定の実施形態において、本発明のRNAi剤は、
(a)センス鎖であって、
(i)19ヌクレオチドの長さ;
(ii)3’末端へと接合されたASGPRリガンドであって、三価の分枝状リンカーを介して接合された、3つのGalNAc誘導体を含むASGPRリガンド;
(iii)1~4、6、および10~19位における2’-OMe修飾、ならびに5、および7~9位における2’-F修飾;ならびに
(iv)ヌクレオチド位置1と2との間、およびヌクレオチド位置2と3との間(5’末端からカウントする)におけるホスホロチオエートヌクレオチド間連結
を有するセンス鎖と;
(b)アンチセンス鎖であって、
(i)21ヌクレオチドの長さ;
(ii)1、3~5、7、10~13、15、および17~21位における2’-OMe修飾、ならびに2、6、8、9、14、および16位における2’-F修飾(5’末端からカウントする);ならびに
(iii)ヌクレオチド位置1と2との間、ヌクレオチド位置2と3との間、ヌクレオチド位置19と20との間、およびヌクレオチド位置20と21との間(5’末端からカウントする)におけるホスホロチオエートヌクレオチド間連結
を有するアンチセンス鎖と
を含み;
この場合、RNAi剤は、アンチセンス鎖の3’末端における、2つのヌクレオチド突出、およびアンチセンス鎖の5’末端における平滑末端を有する。
【0442】
ある特定の実施形態において、本発明の方法における使用のためのiRNAは、表2~5のうちのいずれか1つにおいて列挙された薬剤から選択される薬剤である。これらの薬剤は、リガンドをさらに含みうる。
【0443】
III.リガンドへとコンジュゲートされたiRNA
本開示のRNAiのRNAの、別の修飾は、iRNAへと、活性、細胞内分布、またはiRNAの、例えば、細胞への取込みを増強する、1つまたは複数のリガンド、部分、またはコンジュゲートを、化学的に連結することを伴う。このような部分は、コレステロール部分などの脂質部分を含むがこれらに限定されない(Letsinger et al., Proc. Natl. Acid. Sci. USA, 1989, 86: 6553-6556)。他の実施形態において、リガンドは、コール酸[Manoharan et al., Biorg. Med. Chem. Let., 1994, 4:1053-1060]、チオエーテル、例えば、ベリル-S-トリチルチオール[Manoharan et al., Ann. N.Y. Acad. Sci., 1992, 660:306-309; Manoharan et al., Biorg. Med. Chem. Let., 1993, 3:2765-2770]、チオコレステロール[Oberhauser et al., Nucl. Acids Res., 1992, 20:533-538]、脂肪族鎖、例えば、ドデカンジオールもしくはウンデシル残基[Saison-Behmoaras et al., EMBO J, 1991, 10:1111-1118; Kabanov et al., FEBS Lett., 1990, 259:327-330; Svinarchuk et al., Biochimie, 1993, 75:49-54]、リン脂質、例えば、ジヘキサデシル-rac-グリセロールもしくはトリエチル-アンモニウム1,2-ジ-O-ヘキサデシル-rac-グリセロ-3-ホスホネート[Manoharan et al., Tetrahedron Lett., 1995, 36:3651-3654; Shea et al., Nucl. Acids Res., 1990, 18:3777-3783]、ポリアミン鎖もしくはポリエチレングリコール鎖[Manoharan et al., Nucleosides & Nucleotides, 1995, 14:969-973]、またはアダマンタン酢酸[Manoharan et al., Tetrahedron Lett., 1995, 36:3651-3654]、パルミチル部分[Mishra et al., Biochim. Biophys. Acta, 1995, 1264:229-237]、またはオクタデシルアミン部分もしくはヘキシルアミノカルボニルオキシコレステロール部分[Crooke et al., J. Pharmacol. Exp. Ther., 1996, 277:923-937]である。
【0444】
ある特定の実施形態において、リガンドは、それが組み込まれるiRNA剤の分布、ターゲティング、または寿命を変更する。ある特定の実施形態において、リガンドは、例えば、このようなリガンドが存在しない分子種と比較した、選択標的、例えば、分子、細胞または細胞型、コンパートメント、例えば、細胞コンパートメントもしくは臓器コンパートメント、組織、臓器、または体内の領域に対するアフィニティーの増強をもたらす。一部の実施形態において、リガンドは、二重鎖核酸内における、二重鎖の対合に参与しない。
【0445】
リガンドは、タンパク質(例えば、ヒト血清アルブミン(HSA)、低密度リポタンパク質(LDL)、またはグロブリン);炭水化物(例えば、デキストラン、プルラン、キチン、キトサン、イヌリン、シクロデキストリン、N-アセチルグルコサミン、N-アセチルガラクトサミン、またはヒアルロン酸);または脂質などの天然に存在する物質を含みうる。リガンドはまた、合成ポリマー、例えば、合成ポリアミノ酸などの組換え分子または合成分子でもありうる。ポリアミノ酸の例は、ポリリシン(PLL)、ポリL-アスパラギン酸、ポリL-グルタミン酸、スチレン-無水マレイン酸コポリマー、ポリ(L-ラクチド-co-グリコリド)コポリマー、ジビニルエーテル-無水マレイン酸コポリマー、N-(2-ヒドロキシプロピル)メタクリルアミドコポリマー(HMPA)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリウレタン、ポリ(2-エチルアクリル酸)、N-イソプロピルアクリルアミドポリマー、またはポリホスファジンを含む。ポリアミンの例は、ポリエチレンイミン、ポリリシン(PLL)、スペルミン、スペルミジン、ポリアミン、シュードペプチド-ポリアミン、ペプチド模倣体ポリアミン、デンドリマーポリアミン、アルギニン、アミジン、プロトアミン、カチオン性脂質、カチオン性ポルフィリン、ポリアミンの四級塩、またはアルファ-ヘリックス型ペプチドを含む。
【0446】
リガンドはまた、ターゲティング基、例えば、細胞ターゲティング剤または組織ターゲティング剤、例えば、レクチン、糖タンパク質、脂質、またはタンパク質、例えば、腎細胞など、指定の細胞型に結合する抗体も含みうる。ターゲティング基は、チロトロピン、メラノトロピン、レクチン、糖タンパク質、サーファクタントタンパク質A、ムチン系炭水化物、多価ラクトース、多価ガラクトース、N-アセチル-ガラクトサミン、N-アセチル-グルコサミン多価マンノース、多価フコース、グリコシル化ポリアミノ酸、多価ガラクトース、トランスフェリン、ビスホスホネート、ポリグルタメート、ポリアスパレート、脂質、コレステロール、ステロイド、胆汁酸、フォレート、ビタミンB12、ビタミンA、ビオチン、またはRGDペプチドもしくはRGDペプチド模倣体でありうる。ある特定の実施形態において、リガンドは、多価ガラクトース、例えば、N-アセチルガラクトサミンである。
【0447】
リガンドの他の例は、色素、挿入剤(例えば、アクリジン)、架橋剤(例えば、ソラーレン、マイトマイシンC)、ポルフィリン(TPPC4、テキサフィリン、サフィリン)、複素環芳香族炭水化物(例えば、フェナジン、ジヒドロフェナジン)、人工エンドヌクレアーゼ(例えば、EDTA)、親油性分子[例えば、コレステロール、コール酸、アダマンタン酢酸、1-ピレン酪酸、ジヒドロテストステロン、1,3-ビス-O(ヘキサデシル)グリセロール、ゲラニルオキシヘキシル基、ヘキサデシルグリセロール、ボルネオール、メントール、1,3-プロパンジオール、ヘプタデシル基、パルミチン酸、ミリスチン酸,O3-(オレオイル)リトコール酸、O3-(オレオイル)コレン酸、ジメトキシトリチル、またはフェノキサジン、およびペプチドコンジュゲート(例えば、アンテナペディアペプチド、Tatペプチド)、アルキル化剤、リン酸、アミノ、メルカプト、PEG(例えば、PEG-40K)、MPEG、[MPEG]、ポリアミノ、アルキル、置換されたアルキル、放射性標識化マーカー、酵素、ハプテン(例えば、ビオチン)、輸送/吸収促進剤(例えば、アスピリン、ビタミンE、葉酸)、合成リボヌクレアーゼ(例えば、イミダゾール、ビスイミダゾール、ヒスタミン、イミダゾールクラスター、アクリジン-イミダゾールコンジュゲート、テトラアザ大員環のEu3+複合体)、ジニトロフェニル、HRP、またはAPを含む。
【0448】
リガンドは、タンパク質、例えば、糖タンパク質、もしくはペプチド、例えば、コリガンドに対して特異的アフィニティーを有する分子、または抗体、例えば、肝細胞など、指定の細胞型に結合する抗体でありうる。リガンドはまた、ホルモンおよびホルモン受容体も含みうる。リガンドはまた、脂質、レクチン、炭水化物、ビタミン、補因子、多価ラクトース、多価ガラクトース、N-アセチル-ガラクトサミン、N-アセチル-グルコサミン多価マンノース、または多価フコースなど、ペプチド以外の分子種も含みうる。リガンドは、例えば、リポ多糖、p38MAPキナーゼの活性化因子、またはNF-κBの活性化因子でありうる。
【0449】
リガンドは、物質、例えば、例えば、細胞骨格を破壊することにより、例えば、細胞微小管、マイクロフィラメント、または中間径フィラメントを破壊することにより、iRNA剤の、細胞への取込みを増大させうる薬物でありうる。薬物は、例えば、タキソール、ビンクリスチン、ビンブラスチン、サイトカラシン、ノコダゾール、ジャプラキノリド、ラトルンクリンA、ファロイジン、スウィンホリドA、インダノシン、またはミオセルビン(myoservin)でありうる。
【0450】
一部の実施形態において、本明細書において記載される、iRNAへと接合されているリガンドは、薬物動態モジュレーター(PKモジュレーター)として作用する。PKモジュレーターは、親油性物質、胆汁酸、ステロイド、リン脂質類似体、ペプチド、タンパク質結合性薬剤、PEG、ビタミンなどを含む。例示的なPKモジュレーターは、コレステロール、脂肪酸、コール酸、リトコール酸、ジアルキルグリセリド、ジアシルグリセリド、リン脂質、スフィンゴ脂質、ナプロキセン、イブプロフェン、ビタミンE、ビオチンを含むがこれらに限定されない。多数のホスホロチオエート連結を含むオリゴヌクレオチドもまた、血清タンパク質に結合することが公知であり、したがって、骨格内に、複数のホスホロチオエート連結を含む、短いオリゴヌクレオチド、例えば約5塩基、10塩基、15塩基、または20塩基のオリゴヌクレオチドもまた、リガンド(例えば、PKモジュレーティングリガンド)として、本発明に適する。加えて、血清成分(例えば、血清タンパク質)に結合するアプタマーもまた、本明細書において記載される実施形態におけるPKモジュレーティングリガンドとしての使用に適する。
【0451】
本発明のリガンドコンジュゲート型iRNAは、連結分子の、オリゴヌクレオチドへの接合に由来する、反応性のペンダント官能基(下記において記載される)など、反応性のペンダント官能基を保有するオリゴヌクレオチドの使用により合成されうる。この反応性オリゴヌクレオチドは、市販のリガンド、様々な保護基のうちのいずれかを保有する合成リガンド、または連結部分が接合されているリガンドと、直接反応させられうる。
【0452】
本発明のコンジュゲートにおいて使用されるオリゴヌクレオチドは、周知の固相合成法を介して、好都合に、かつ、規定的に作製されうる。このような合成のための装置は、例えば、Applied Biosystem(登録商標)(Foster City、Calif.)を含む、いくつかの販売元により販売されている。加えて、または代替的に、当技術分野において公知である、このような合成のための、他の任意の方法も利用されうる。同様の技法を使用して、ホスホロチオエート誘導体およびアルキル化誘導体など、他のオリゴヌクレオチドを調製することもまた、公知である。
【0453】
本発明のリガンドコンジュゲート型iRNA、および配列特異的連結型ヌクレオシドを保有するリガンド分子において、オリゴヌクレオチドおよびオリゴヌクレオシドは、標準的なヌクレオチド前駆体もしくはヌクレオシド前駆体、または連結部分を既に保有するヌクレオチドコンジュゲート前駆体もしくはヌクレオシドコンジュゲート前駆体、リガンド分子を既に保有するリガンド-ヌクレオチドコンジュゲート前駆体もしくはリガンド-ヌクレオシドコンジュゲート前駆体、またはヌクレオシド以外のリガンド保有構成要素を用いて、適切なDNA合成器上においてアセンブルされうる。
【0454】
連結部分を既に保有する、ヌクレオチドコンジュゲート前駆体を使用する場合、典型的に、配列特異的連結型ヌクレオシドの合成が完了し、次いで、リガンドコンジュゲート型オリゴヌクレオチドを形成するように、リガンド分子が、連結部分と反応させられる。一部の実施形態において、本発明のオリゴヌクレオチドまたは連結型ヌクレオシドは、市販されており、オリゴヌクレオチド合成において規定的に使用されている、標準的なホスホルアミダイトおよび非標準的なホスホルアミダイトに加えて、リガンド-ヌクレオシドコンジュゲートに由来するホスホルアミダイトを使用して、自動式合成器により合成される。
【0455】
A.脂質コンジュゲート
ある特定の実施形態において、リガンドまたはコンジュゲートは、脂質または脂質ベースの分子である。このような脂質または脂質ベースの分子は、一部の実施形態において、血清タンパク質、例えば、ヒト血清アルブミン(HSA)に結合する。HSA結合性リガンドは、コンジュゲートの、標的組織、例えば、体内の腎臓以外の標的組織への分布を可能とする。例えば、標的組織は、肝臓の実質細胞を含む肝組織でありうる。HSAに結合しうる、他の分子もまた、リガンドとして使用されうる。例えば、ナプロキセンまたはアスピリンが使用されうる。脂質または脂質ベースのリガンドは、(a)コンジュゲートの分解に対する抵抗性を増大させる場合もあり、(b)標的細胞または標的細胞膜へのターゲティングまたは輸送を増大させる場合もあり、(c)血清タンパク質、例えば、HSAへの結合を調整するのに使用される場合もある。
【0456】
脂質ベースのリガンドは、コンジュゲートの、標的組織への結合を阻害する、例えば、制御するのに使用されうる。例えば、HSAに強く結合する、脂質または脂質ベースのリガンドは、腎臓へとターゲティングされる可能性が小さく、したがって、体内からクリアリングされる可能性が小さいであろう。HSAに弱く結合する、脂質または脂質ベースのリガンドは、コンジュゲートを、腎臓へとターゲティングするのに使用されうる。
【0457】
ある特定の実施形態において、脂質ベースのリガンドは、HSAに結合する。一部の実施形態において、脂質ベースのリガンドは、コンジュゲートが、一部の実施形態において、腎臓以外の組織へと分布するように、十分なアフィニティーにより、HSAに結合する。しかし、アフィニティーは、HSA-リガンド間の結合が解消されえないほどには強くならないことが好ましい。
【0458】
他の実施形態において、脂質ベースのリガンドは、コンジュゲートが、一部の実施形態において、腎臓へと分布するように、HSAに、弱く結合するか、または全く結合しない。腎細胞へとターゲティングする、他の部分もまた、脂質ベースのリガンドの代わりに、またはこれに加えて使用されうる。
【0459】
別の態様において、リガンドは、標的細胞、例えば、増殖細胞により取り込まれる部分、例えば、ビタミンである。これらは、特に、例えば、悪性型細胞または非悪性型細胞、例えば、がん細胞による、望ましくない細胞増殖により特徴づけられる障害を処置するために有用である。例示的ビタミンは、ビタミンA、E、およびKを含む。他の例示的ビタミンは、ビタミンB(B vitamin)、例えば、葉酸、B12、リボフラビン、ビオチン、ピリドキサル、または肝細胞などの標的細胞により取り込まれる、他のビタミンもしくは栄養物を含む。また、HSAおよび低密度リポタンパク質(LDL)も含まれる。
【0460】
B.細胞透過剤
別の態様において、リガンドは、細胞透過剤、一部の実施形態において、ヘリックス型細胞透過剤である。一部の実施形態において、薬剤は、両親媒性である。例示的薬剤は、tatまたはアンテノペディアなどのペプチドである。薬剤が、ペプチドである場合、薬剤は修飾されることが可能であり、ペプチジル模倣体、インバートマー、非ペプチド連結またはシュードペプチド連結、およびD-アミノ酸の使用を含む。ヘリックス剤は、一部の実施形態において、親油性相および疎油性相を有する、一部の実施形態において、アルファ-ヘリックス剤である。
【0461】
リガンドは、ペプチドの場合もあり、ペプチド模倣体の場合もある。ペプチド模倣体(本明細書においてまた、オリゴペプチド模倣体とも言及される)は、天然ペプチドと同様の、規定された三次元構造へとフォールディングすることが可能な分子である。ペプチドおよびペプチド模倣体の、iRNA剤への接合は、細胞による認識および吸収を増強することなどにより、iRNAの薬物動態分布に影響を及ぼしうる。ペプチド部分またはペプチド模倣体部分は、約5~50アミノ酸長、例えば、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、または50アミノ酸長でありうる。
【0462】
ペプチドまたはペプチド模倣体は、例えば、細胞透過性ペプチド、カチオン性ペプチド、両親媒性ペプチド、または疎水性ペプチド(例えば、主に、Tyr、Trp、またはPheからなる)でありうる。ペプチド部分は、デンドリマーペプチド、拘束ペプチド、または架橋ペプチドでありうる。別の代替例において、ペプチド部分は、疎水性MTS(membrane translocation sequence)を含みうる。例示的な疎水性MTS含有ペプチドは、アミノ酸配列AAVALLPAVLLALLAP(配列番号37)を有する組換え線維芽細胞増殖因子(RFGF)である。疎水性MTSを含有するRFGF類似体[例えば、アミノ酸配列AALLPVLLAAP(配列番号38)はまた、ターゲティング部分でもありうる。ペプチド部分は、ペプチド、オリゴヌクレオチド、およびタンパク質を含む、大型の極性分子を、細胞膜を越えて運びうる、「デリバリー」ペプチドでありうる。例えば、HIV Tatタンパク質[GRKKRRQRRRPPQ(配列番号39)]およびショウジョウバエ属(Drosophila)アンテナペディアタンパク質[RQIKIWFQNRRMKWKK(配列番号40)]に由来する配列は、デリバリーペプチドとして機能することが可能であることが見出されている。ペプチドまたはペプチド模倣体は、ファージディスプレイライブラリー、またはOBOC(one-bead-one-compound)コンビナトリアルライブラリー(Lam et al., Nature, 354:82-84, 1991)から同定されるペプチドなど、DNAのランダム配列によりコードされうる。細胞をターゲティングすることを目的として組み込まれた単量体単位を介して、dsRNA剤へとテザリングされるペプチドまたはペプチド模倣体の例は、アルギニン-グリシン-アスパラギン酸(RGD)ペプチドまたはRGD模倣体である。ペプチド部分は、約5アミノ酸~約40アミノ酸の長さの範囲でありうる。ペプチド部分は、安定性または直接的なコンフォメーション特性を増大させる構造的修飾などの構造的修飾を有しうる。下記において記載される構造的修飾のうちのいずれかが利用されうる。
【0463】
本発明の組成物および方法における使用のためのRGDペプチドは、直鎖状の場合もあり、環状の場合もあり、特異的組織(複数可)へのターゲティングを容易とするように修飾されうる、例えば、グリコシル化またはメチル化されうる。RGD含有ペプチドおよびペプチド模倣体は、D-アミノ酸のほか、合成RGD模倣体を含みうる。RGDに加えて、インテグリンリガンドをターゲティングする、他の部分も使用することができる。このリガンドの、例示的コンジュゲートは、PECAM-1またはVEGFをターゲティングする。
【0464】
「細胞透過性ペプチド」は、細胞、例えば、細菌細胞もしくは真菌細胞などの微生物細胞、またはヒト細胞などの哺乳動物細胞を透過することが可能である。微生物細胞透過性ペプチドは、例えば、α-ヘリックス型直鎖状ペプチド[例えば、LL-37またはセクロピンP1(Ceropin P1)]、ジスルフィド結合含有ペプチド(例えば、α-デフェンシン、β-デフェンシン、またはバクテネシン)、または1つまたは2つの主要アミノ酸だけを含有するペプチド(例えば、PR-39またはインドリシジン)でありうる。細胞透過性ペプチドはまた、核局在化シグナル(NLS)も含みうる。例えば、細胞透過性ペプチドは、HIV-1 gp41およびSV40大型T抗原のNLSなどの融合ペプチドドメインに由来するMPGなどの二部分型両親媒性ペプチドでありうる(Simeoni et al., Nucl. Acids Res. 31:2717-2724, 2003)。
【0465】
C.炭水化物コンジュゲート
本発明の組成物および方法についての、一部の実施形態において、iRNAは、炭水化物をさらに含む。炭水化物コンジュゲートiRNAは、本明細書において記載される、インビボにおける核酸のデリバリーのほか、インビボにおける治療的使用に適する組成物に有利である。本明細書において使用される、「炭水化物」とは、酸素原子、窒素原子、もしくは硫黄原子が、各炭素原子へと結合した、少なくとも6つの炭素原子(直鎖状の場合もあり、分枝状の場合もあり、環状の場合もある)を有する、1つまたは複数の単糖単位から構成される炭水化物自体;または各々が、酸素原子、窒素原子、もしくは硫黄原子が、各炭素原子へと結合した、少なくとも6つの炭素原子(直鎖状の場合もあり、分枝状の場合もあり、環状の場合もある)を有する、1つまたは複数の単糖単位から構成される炭水化物部分を、その一部として有する化合物である化合物を指す。代表的炭水化物は、糖(約4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、または9つの単糖単位を含有する、単糖、二糖、三糖、およびオリゴ糖)、ならびにデンプン、グリコーゲン、セルロース、および多糖ガムなどの多糖を含む。具体的単糖は、C5およびこれを上回る糖(例えば、C5、C6、C7、またはC8)を含み;二糖および三糖は、2つまたは3つの単糖単位(例えば、C5、C6、C7、またはC8)を有する糖を含む。
【0466】
ある特定の実施形態において、本発明の組成物および方法における使用のための炭水化物コンジュゲートは、単糖である。
【0467】
ある特定の実施形態において、単糖は、N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)である。1つまたは複数のN-アセチルガラクトサミン(GalNAc)誘導体を含むGalNAcコンジュゲートについては、例えば、その全内容が参照により本明細書に組み込まれる、US8,106,022において記載されている。一部の実施形態において、GalNAcコンジュゲートは、iRNAを、特定の細胞へとターゲティングするリガンドとして用いられる。一部の実施形態において、GalNAcコンジュゲートは、例えば、肝細胞(例えば、肝細胞)のアシアロ糖タンパク質受容体に対するリガンドとして用いられることにより、iRNAを、肝細胞へとターゲティングする。
【0468】
一部の実施形態において、炭水化物コンジュゲートは、1つまたは複数のGalNAc誘導体を含む。GalNAc誘導体は、リンカー、例えば、二価または三価の分枝状リンカーを介して接合されていてもよい。一部の実施形態において、GalNAcコンジュゲートは、センス鎖の3’末端とコンジュゲートされている。一部の実施形態において、GalNAcコンジュゲートは、リンカー、例えば、本明細書において記載されるリンカーを介して、iRNA剤と(例えば、センス鎖の3’末端と)コンジュゲートされている。一部の実施形態において、GalNAcコンジュゲートは、センス鎖の5’末端とコンジュゲートされている。一部の実施形態において、GalNAcコンジュゲートは、リンカー、例えば、本明細書において記載されるリンカーを介して、iRNA剤と(例えば、センス鎖の5’末端と)コンジュゲートされている。
【0469】
本発明のある特定の実施形態において、GalNAcまたはGalNAc誘導体は、一価リンカーを介して、本発明のiRNA剤へと接合されている。一部の実施形態において、GalNAcまたはGalNAc誘導体は、二価リンカーを介して、本発明のiRNA剤へと接合されている。本発明についての、さらに他の実施形態において、GalNAcまたはGalNAc誘導体は、三価リンカーを介して、本発明のiRNA剤へと接合されている。本発明についての他の実施形態において、GalNAcまたはGalNAc誘導体は、四価リンカーを介して、本発明のiRNA剤へと接合されている。
【0470】
ある特定の実施形態において、本発明の二本鎖RNAi剤は、iRNA剤へと接合された、1つのGalNAcまたはGalNAc誘導体を含む。ある特定の実施形態において、本発明の二本鎖RNAi剤は、各々が、独立に、複数の一価リンカーを介して、二本鎖RNAi剤の、複数のヌクレオチドへと接合された、複数の(例えば、2、3、4、5、または6)GalNAcまたはGalNAc誘導体を含む。
【0471】
一部の実施形態において、例えば、本発明のiRNA剤の2つの鎖が、一方の鎖の3’末端と、それぞれの他方の鎖の5’末端との間の非中断ヌクレオチド鎖により接続され、複数の非対合ヌクレオチドを含むヘアピンループを形成する、1つの大型分子の一部である場合、ヘアピンループ内の、各非対合ヌクレオチドは、独立に、一価リンカーを介して接合された、GalNAcまたはGalNAc誘導体を含みうる。ヘアピンループはまた、二重鎖の一方の鎖内の伸長突出によっても形成されうる。
【0472】
一部の実施形態において、例えば、本発明のiRNA剤の2つの鎖が、一方の鎖の3’末端と、それぞれの他方の鎖の5’末端との間の非中断ヌクレオチド鎖により接続され、複数の非対合ヌクレオチドを含むヘアピンループを形成する、1つの大型分子の一部である場合、ヘアピンループ内の、各非対合ヌクレオチドは、独立に、一価リンカーを介して接合された、GalNAcまたはGalNAc誘導体を含みうる。ヘアピンループはまた、二重鎖の一方の鎖内の伸長突出によっても形成されうる。
【0473】
本発明についての一実施形態において組成物および方法における使用のための炭水化物コンジュゲートは、
【0474】
【化12】
【0475】
【化13】
【0476】
【化14】
【0477】
【化15】
からなる群から選択される。
【0478】
別の実施形態において、本発明の組成物および方法における使用のための炭水化物コンジュゲートは、単糖である。一実施形態において、単糖は、
【0479】
【化16】
などのN-アセチルガラクトサミンである。
【0480】
一部の実施形態において、RNAi剤は、以下の図式[式中、Xは、OまたはSである]
【0481】
【化17】
において示されるリンカーを介して、炭水化物コンジュゲートへと接合されている。
【0482】
一部の実施形態において、RNAi剤は、表1において規定され、下記:
【0483】
【化18】
に示される通りに、L96とコンジュゲートされている。
【0484】
本明細書において記載される実施形態における使用のための、別の代表的炭水化物コンジュゲートは、
【0485】
【化19】
(式XXXVI)[式中、XまたはYのうちの一方が、オリゴヌクレオチドである場合、他方は、水素である]
を含むがこれらに限定されない。
【0486】
一部の実施形態において、適切なリガンドは、それらの全内容が、参照により本明細書に組み込まれる、WO2019/055633において開示されているリガンドである。一実施形態において、リガンドは、下記の構造:
【0487】
【化20】
を含む。
【0488】
本発明のある特定の実施形態において、GalNAcまたはGalNAc誘導体は、一価リンカーを介して、本発明のiRNA剤へと接合されている。一部の実施形態において、GalNAcまたはGalNAc誘導体は、二価リンカーを介して、本発明のiRNA剤へと接合されている。本発明についての、さらに他の実施形態において、GalNAcまたはGalNAc誘導体は、三価リンカーを介して、本発明のiRNA剤へと接合されている。
【0489】
本発明についての一実施形態において二本鎖RNAi剤は、iRNA剤へと接合された、1つまたは複数のGalNAcまたはGalNAc誘導体を含む。GalNAcは、センス鎖上またはアンチセンス(antsisense)鎖上のリンカーを介して、任意のヌクレオチドへと接合されていてもよい。GalNacは、センス鎖の5’末端、センス鎖の3’末端、アンチセンス鎖の5’末端、またはアンチセンス鎖の3’末端へと接合されていてもよい。一実施形態において、GalNAcは、例えば、三価リンカーを介して、センス鎖の3’末端へと接合されている。
【0490】
他の実施形態において、本発明の二本鎖RNAi剤は、各々が、独立に、複数のリンカー、例えば、一価リンカーを介して、二本鎖RNAi剤の、複数のヌクレオチドへと接合された、複数の(例えば、2、3、4、5、または6)GalNAcまたはGalNAc誘導体を含む。
【0491】
一部の実施形態において、例えば、本発明のiRNA剤の2つの鎖が、一方の鎖の3’末端と、それぞれの他方の鎖の5’末端との間の非中断ヌクレオチド鎖により接続され、複数の非対合ヌクレオチドを含むヘアピンループを形成する、1つの大型分子の一部である場合、ヘアピンループ内の、各非対合ヌクレオチドは、独立に、一価リンカーを介して接合された、GalNAcまたはGalNAc誘導体を含みうる。
【0492】
一部の実施形態において、炭水化物コンジュゲートは、PKモジュレーターまたは細胞透過性ペプチドなどであるがこれらに限定されない、上記において記載された、1つまたは複数のさらなるリガンドをさらに含む。
【0493】
本発明における使用に適する、さらなる炭水化物コンジュゲートおよびリンカーは、それらの各々の全内容が、参照により本明細書に組み込まれる、PCT公開第WO2014/179620号および第WO2014/179627号において記載されている、炭水化物コンジュゲートおよびリンカーを含む。
【0494】
D.リンカー
一部の実施形態において、本明細書において記載されるコンジュゲートまたはリガンドは、切断型の場合もあり、切断型でない場合もある、多様なリンカーにより、iRNAオリゴヌクレオチドへと接合されていてもよい。
【0495】
「リンカー」または「連結基」という用語は、化合物の2つの部分を接続する有機部分、例えば、化合物の2つの部分を共有結合的に接合する有機部分を意味する。リンカーは、典型的に、直接的結合、または酸素もしくは硫黄などの原子、NR8、C(O)、C(O)NH、SO、SO、SONHなどの単位、または置換アルキルもしくは非置換アルキル、置換アルケニルもしくは非置換アルケニル、置換アルキニルもしくは非置換アルキニル、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールアルケニル、ヘテロアリールアルキニル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロシクリルアルケニル、ヘテロシクリルアルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルキルアリールアルキル、アルキルアリールアルケニル、アルキルアリールアルキニル、アルケニルアリールアルキル、アルケニルアリールアルケニル、アルケニルアリールアルキニル、アルキニルアリールアルキル、アルキニルアリールアルケニル、アルキニルアリールアルキニル、アルキルヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリールアルケニル、アルキルヘテロアリールアルキニル、アルケニルヘテロアリールアルキル、アルケニルヘテロアリールアルケニル、アルケニルヘテロアリールアルキニル、アルキニルヘテロアリールアルキル、アルキニルヘテロアリールアルケニル、アルキニルヘテロアリールアルキニル、アルキルヘテロシクリルアルキル、アルキルヘテロシクリルアルケニル、アルキルヘテロ(herero)シクリルアルキニル、アルケニルヘテロシクリルアルキル、アルケニルヘテロシクリルアルケニル、アルケニルヘテロシクリルアルキニル、アルキニルヘテロシクリルアルキル、アルキニルヘテロシクリルアルケニル、アルキニルヘテロシクリルアルキニル、アルキルアリール、アルケニルアリール、アルキニルアリール、アルキルヘテロアリール、アルケニルヘテロアリール、アルキニルヘテロアリールなどであるがこれらに限定されない原子鎖であって、1つもしくは複数のメチレンが、O、S、S(O)、SO、N(R8)、C(O)、置換アリールもしくは非置換アリール、置換ヘテロアリールもしくは非置換ヘテロアリール、または置換複素環もしくは非置換複素環[式中、R8は、水素、アシル、脂肪族、または置換脂肪族である]により中断もしくは終結する原子鎖を含む。一実施形態において、リンカーは、約1~24原子、2~24、3~24、4~24、5~24、6~24、6~18、7~18、8~18、7~17、8~17、6~16、7~17、または8~16原子である。
【0496】
切断型連結基とは、細胞外においては十分に安定であるが、標的細胞内に入ると、切断されて、リンカーが一体に保持している、2つの部分を放出する連結基である。ある特定の実施形態において、切断型連結基は、標的細胞内、または第1の基準条件(例えば、細胞内条件を模倣するか、またはこれを表すように選択されうる)下において、対象の血液中、または第2の基準条件(例えば、血液中または血清中において見出される条件を模倣するか、またはこれを表すように選択されうる)下の、少なくとも約10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、もしくはこれを超える速度、または少なくとも100倍の速度において切断される。
【0497】
切断型連結基は、切断剤、例えば、pH、レドックスポテンシャル、または分解性分子の存在に感受性である。一般に、切断剤は、血清中または血液中より、細胞の内部において、高頻度であるか、または高レベルもしくは高活性において見出される。このような分解剤の例は、特定の基質について選択されるレドックス剤、または基質特異性を有さないレドックス剤であって、例えば、細胞内に存在し、還元によりレドックス切断型連結基を分解しうるメルカプタン;エステラーゼ;エンドソーム、または酸性環境、例えば、5もしくはこれ未満のpHを結果としてもたらす酸性環境を創出しうる薬剤;一般酸、ペプチダーゼ(基質特異的でありうる)、およびホスファターゼとして作用することにより、酸切断型連結基を加水分解または分解しうる酵素などの、酸化酵素または還元酵素もしくは還元剤を含むレドックス剤を含む。
【0498】
ジスルフィド結合などの切断型連結基は、pHに感受性でありうる。ヒト血清のpHは、7.4であるが、細胞内の平均pHは、やや低値であり、約7.1~7.3の範囲である。エンドソームは、5.5~6.0の範囲の、酸性度が強いpHを有し、リソソームは、およそ5.0の、酸性度がなお強いpHを有する。一部のリンカーは、ある特定のpHにおいて切断され、これにより、カチオン性脂質を、細胞内部のリガンドから、または所望の細胞コンパートメントへと放出する切断型連結基を有するであろう。
【0499】
リンカーは、特定の酵素により切断される切断型連結基を含みうる。リンカーへと組み込まれる切断型連結基の種類は、ターゲティングされる細胞に依存しうる。例えば、肝ターゲティングリガンドは、エステル基を含むリンカーを介して、カチオン性脂質へと連結されうる。肝細胞は、エステラーゼに富むので、リンカーは、エステラーゼに富まない細胞型より、肝細胞内において、より効率的に切断されるであろう。エステラーゼに富む、他の細胞型は、肺、腎皮質、および精巣の細胞を含む。
【0500】
ペプチド結合を含有するリンカーは、肝細胞および滑膜細胞など、ペプチダーゼに富む細胞型をターゲティングする場合に使用されうる。
【0501】
一般に、候補切断型連結基の適性は、候補連結基を切断する、分解剤(または分解条件)の能力について調べることにより査定されうる。また、候補切断型連結基を、血液中の切断、または他の非標的組織との接触時における切断に抵抗する能力について調べることも所望されるであろう。したがって、第1の条件が、標的細胞内の切断を指し示すように選択され、第2の条件が、他の組織内、または体液中、例えば、血液中もしくは血清中の切断を指し示すように選択される場合の、第1の条件と、第2の条件との間における、切断に対する相対感受性を決定することができる。査定は、無細胞系、細胞、細胞培養物、臓器培養物もしくは組織培養物、または動物全体において実施されうる。無細胞条件または培養物条件において初期査定を行い、動物全体における、さらなる査定により確認することが有用でありうる。一部の実施形態において、有用な候補化合物は、細胞(または細胞内条件を模倣するように選択されたインビトロ条件下において)内において、血液中または血清中(または細胞外条件を模倣するように選択されたインビトロ条件下において)と比較して、少なくとも約2、4、10、20、30、40、50、60、70、80、90、または100倍の速度において切断される。
【0502】
i.レドックス切断型連結基
ある特定の実施形態において、切断型連結基は、還元時または酸化時に切断される、レドックス切断型連結基である。還元切断型連結基の例は、ジスルフィド連結基(-S-S-)である。候補切断型連結基が、適切な「還元切断型連結基」であるのかどうか、または、例えば、特定のiRNA部分および特定のターゲティング剤を伴う使用に適するのかどうかを決定するために、本明細書において記載される方法を検討することができる。例えば、候補物質は、ジチオトレイトール(DTT)、または細胞内、例えば、標的細胞内において観察される切断速度を模倣する、当技術分野において公知の試薬を使用する、他の還元剤を伴うインキュベーションにより査定されうる。候補物質はまた、血液中条件または血清中条件を模倣するように選択される条件下においても査定されうる。一実施形態(one)において、候補化合物は、血中の最大において、約10%切断される。他の実施形態において、有用な候補化合物は、細胞(または細胞内条件を模倣するように選択されたインビトロ条件下において)内において、血液中(または細胞外条件を模倣するように選択されたインビトロ条件下において)と比較して、少なくとも約2、4、10、20、30、40、50、60、70、80、90、または約100倍の速度において分解される。候補化合物の切断速度は、標準的な酵素反応速度アッセイを、細胞内媒体(media)を模倣するように選び出された条件下において使用して決定され、細胞外媒体を模倣するように選び出された条件と比較されうる。
【0503】
ii.リン酸ベースの切断型連結基
ある特定の実施形態において、切断型リンカーは、リン酸ベースの切断型連結基を含む。リン酸ベースの切断型連結基は、リン酸基を分解または加水分解する薬剤により切断される。細胞内のリン酸基を切断する薬剤の例は、細胞内のホスファターゼなどの酵素である。リン酸ベースの連結基の例は、-O-P(O)(ORk)-O-、-O-P(S)(ORk)-O-、-O-P(S)(SRk)-O-、-S-P(O)(ORk)-O-、-O-P(O)(ORk)-S-、-S-P(O)(ORk)-S-、-O-P(S)(ORk)-S-、-S-P(S)(ORk)-O-、-O-P(O)(Rk)-O-、-O-P(S)(Rk)-O-、-S-P(O)(Rk)-O-、-S-P(S)(Rk)-O-、-S-P(O)(Rk)-S-、-O-P(S)(Rk)-Sであり、式中、各出現においてRkは、独立にC1~C20アルキル、C1~C20ハロアルキル、C6~C10アリールまたはC7~C12アラルキルでありうる。例示的実施形態は、-O-P(O)(OH)-O-、-O-P(S)(OH)-O-、-O-P(S)(SH)-O-、-S-P(O)(OH)-O-、-O-P(O)(OH)-S-、-S-P(O)(OH)-S-、-O-P(S)(OH)-S-、-S-P(S)(OH)-O-、-O-P(O)(H)-O-、-O-P(S)(H)-O-、-S-P(O)(H)-O、-S-P(S)(H)-O-、-S-P(O)(H)-S-および-O-P(S)(H)-S-を含む。一実施形態において、リン酸ベースの連結基は、-O-P(O)(OH)-O-である。これらの候補連結基は、上記において記載された方法と類似の方法を使用して査定されうる。
【0504】
iii.酸切断型連結基
ある特定の実施形態において、切断型リンカーは、酸切断型連結基を含む。酸切断型連結基は、酸性条件下において切断される連結基である。一部の実施形態において、酸切断型連結基は、pHを約6.5以下(例えば、約6.0、5.75、5.5、5.25、5.0、またはこれ未満)とする酸性環境において、または一般酸として作用しうる酵素などの薬剤により切断される。細胞内において、エンドソームおよびリソソームなど、特異的な低pH細胞小器官は、酸切断型連結基のための切断環境をもたらす。酸切断型連結基の例は、ヒドラゾン、エステル、およびアミノ酸のエステルを含むがこれらに限定されない。酸切断型基は、一般式:-C=NN-、C(O)O、または-OC(O)を有しうる。例示的実施形態は、エステル(アルコキシ基)の酸素へと接合された炭素が、アリール基、置換アルキル基、またはジメチルペンチルもしくはt-ブチルなどの三級アルキル基である実施形態である。これらの候補連結基は、上記において記載された方法と類似の方法を使用して査定されうる。
【0505】
iv.エステルベースの連結基
他の実施形態において、切断型リンカーは、エステルベースの切断型連結基を含む。エステルベースの切断型連結基は、細胞内のエステラーゼおよびアミダーゼなどの酵素により切断される。エステルベースの切断型連結基の例は、アルキレン基、アルケニレン基、およびアルキニレン基のエステルを含むがこれらに限定されない。エステル切断型連結基は、一般式:-C(O)O-または-OC(O)-を有する。これらの候補連結基は、上記において記載された方法と類似の方法を使用して査定されうる。
【0506】
v.ペプチドベースの切断型連結(cleaving)基
さらに他の実施形態において、切断型リンカーは、ペプチドベースの切断型連結基を含む。ペプチドベースの切断型連結基は、細胞内のペプチダーゼおよびプロテアーゼなどの酵素により切断される。ペプチドベースの切断型連結基は、オリゴペプチド(例えば、ジペプチド、トリペプチドなど)およびポリペプチドをもたらすように、アミノ酸の間において形成されるペプチド結合である。ペプチドベースの切断型連結基は、アミド基[-C(O)NH-]を含まない。アミド基は、任意のアルキレン、アルケニレン、またはアルキニレン(alkynelene)の間において形成されうる。ペプチド結合は、アミノ酸の間において形成されて、ペプチドおよびタンパク質をもたらす、特殊な種類のアミド結合である。ペプチドベースの切断型連結基は、一般に、アミノ酸の間において形成され、ペプチドおよびタンパク質をもたらすペプチド結合(すなわち、アミド結合)に限定され、アミド官能基の全体を含まない。ペプチドベースの切断型連結基は、一般式:-NHCHRAC(O)NHCHRBC(O)-[式中、RAおよびRBは、2つの隣接するアミノ酸のR基である]を有する。これらの候補連結基は、上記において記載された方法と類似の方法を使用して査定されうる。
【0507】
一部の実施形態において、本開示のiRNAは、リンカーを介して、炭水化物とコンジュゲートされている。iRNAの、本発明の組成物および方法のリンカーを伴う、炭水化物コンジュゲートの非限定例は、
【0508】
【化21】
(式XLIV)、[式中、XまたはYのうちの一方が、オリゴヌクレオチドである場合、他方は、水素である]
を含むがこれらに限定されない。
【0509】
本発明の組成物および方法についての、ある特定の実施形態において、リガンドは、二価または三価の分枝状リンカーを介して接合された、1つまたは複数の「GalNAc」(N-アセチルガラクトサミン)誘導体である。
【0510】
本発明についての一実施形態においてdsRNAは、式(XLV)~(XLVI)のうちのいずれかに示された構造の群から選択される、二価または三価の分枝状リンカー:
【0511】
【化22】
[式中、
q2A、q2B、q3A、q3B、q4A、q4B、q5A、q5B、およびq5Cは、独立に、各出現について、0~20を表し、この場合、反復単位は、同じ場合もあり、異なる場合もあり;
2A、P2B、P3A、P3B、P4A、P4B、P5A、P5B、P5C、T2A、T2B、T3A、T3B、T4A、T4B、T4A、T5B、T5Cは、各々、独立に、各出現について、非存在、CO、NH、O、S、OC(O)、NHC(O)、CH、CHNH、またはCHOであり;
2A、Q2B、Q3A、Q3B、Q4A、Q4B、Q5A、Q5B、Q5Cは、独立に、各出現について、非存在、アルキレン、置換アルキレンであり、この場合、1つまたは複数のメチレンは、O、S、S(O)、SO、N(R)、C(R’)=C(R’’)、C≡C、またはC(O)のうちの1つまたは複数により、中断される場合もあり、終結する場合もあり;
2A、R2B、R3A、R3B、R4A、R4B、R5A、R5B、R5Cは、各々、独立に、各出現について、非存在、NH、O、S、CH、C(O)O、C(O)NH、NHCH(R)C(O)、-C(O)-CH(R)-NH-、CO、CH=N-O、
【0512】
【化23】

、またはヘテロシクリルであり;
2A、L2B、L3A、L3B、L4A、L4B、L5A、L5BおよびL5Cは、各々、独立に、各出現について、リガンドを表す;すなわち、単糖(GalNAcなど)、二糖、三糖、四糖、オリゴ糖、または多糖を表し;Rは、Hまたはアミノ酸側鎖である]とコンジュゲートされている。三価コンジュゲートGalNAc誘導体は、式(XLIX):
【0513】
【化24】
[式中、L5A、L5BおよびL5Cは、GalNAc誘導体などの単糖を表す]
のRNAi剤など、標的遺伝子の発現を阻害するためのRNAi剤を伴う使用に、特に、有用である。
【0514】
GalNAc誘導体をコンジュゲートする、適切な二価の分枝状リンカーおよび三価の分枝状リンカー基の例は、上記において、式II、VII、XI、X、およびXIIIとして列挙された構造を含むがこれらに限定されない。
【0515】
RNAコンジュゲートの調製について教示する、代表的な米国特許は、それらの各々の全内容が、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第4,828,979号;同第4,948,882号;同第5,218,105号;同第5,525,465号;同第5,541,313号;同第5,545,730号;同第5,552,538号;同第5,578,717号;同第5,580,731号;同第5,591,584号;同第5,109,124号;同第5,118,802号;同第5,138,045号;同第5,414,077号;同第5,486,603号;同第5,512,439号;同第5,578,718号;同第5,608,046号;同第4,587,044号;同第4,605,735号;同第4,667,025号;同第4,762,779号;同第4,789,737号;同第4,824,941号;同第4,835,263号;同第4,876,335号;同第4,904,582号;同第4,958,013号;同第5,082,830号;同第5,112,963号;同第5,214,136号;同第5,082,830号;同第5,112,963号;同第5,214,136号;同第5,245,022号;同第5,254,469号;同第5,258,506号;同第5,262,536号;同第5,272,250号;同第5,292,873号;同第5,317,098号;同第5,371,241号;同第5,391,723号;同第5,416,203号;同第5,451,463号;同第5,510,475号;同第5,512,667号;同第5,514,785号;同第5,565,552号;同第5,567,810号;同第5,574,142号;同第5,585,481号;同第5,587,371号;同第5,595,726号;同第5,597,696号;同第5,599,923号;同第5,599,928号;同第5,688,941号;同第6,294,664号;同第6,320,017号;同第6,576,752号;同第6,783,931号;同第6,900,297号;同第7,037,646号;および同第8,106,022号を含むがこれらに限定されない。
【0516】
所与の化合物内の全ての位置が、一様に修飾されることは必要でなく、実際、前述の修飾のうちの1つを超える修飾は、単一の化合物内に組み込まれる場合もあり、iRNA内の単一のヌクレオシドに組み込まれる場合さえある。本発明はまた、キメラ化合物である、iRNA化合物も含む。
【0517】
本発明の文脈における、「キメラ」iRNA化合物または「キメラ」とは、各々が、少なくとも1つの単量体単位、すなわち、dsRNA化合物の場合におけるヌクレオチドから構成される、2つまたはこれを超える、化学的に顕著に異なる領域を含有するiRNA化合物、一部の実施形態において、dsRNAi剤である。これらのiRNAは、典型的に、iRNAに、ヌクレアーゼ分解に対する抵抗性の増大、細胞内取込みの増大、または標的核酸に対する結合アフィニティーの増大を付与するように、RNAが修飾された、少なくとも1つの領域を含有する。iRNAのさらなる領域は、RNA:DNAハイブリッド体またはRNA:RNAハイブリッド体を切断することが可能な酵素のための基質として用いられうる。例として述べると、RNアーゼHは、RNA:DNA二重鎖のRNA鎖を切断する、細胞内エンドヌクレアーゼである。したがって、RNアーゼHの活性化は、RNA標的の切断を結果としてもたらし、これにより、iRNAによる遺伝子発現の阻害の効率を大幅に増強する。結果として、キメラdsRNAが使用される場合、同じ標的領域とハイブリダイズするホスホロチオエートデオキシdsRNAと比較して、より短いiRNAにより同等の結果が得られうることが多い。RNA標的の切断は、ゲル電気泳動および、必要な場合、関連の当技術分野において公知の核酸ハイブリダイゼーション法により、常套的に検出されうる。
【0518】
ある特定の場合に、iRNAのRNAは、非リガンド基により修飾されうる。活性、細胞内分布、またはiRNAの細胞への取込みを増強するために、多数の非リガンド分子が、iRNAへとコンジュゲートされており、このようなコンジュゲーションを実施するための手順は、学術文献において入手可能である。このような非リガンド部分は、コレステロール部分などの脂質部分[Kubo, T. et al., Biochem. Biophys. Res. Comm., 2007, 365(1):54-61; Letsinger et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1989, 86:6553]、コール酸[Manoharan et al., Biorg. Med. Chem. Lett., 1994, 4:1053]、チオエーテル、例えば、ヘキシル-S-トリチルチオール[Manoharan et al., Ann. N.Y. Acad. Sci., 1992, 660:306; Manoharan et al., Biorg. Med. Chem. Let., 1993, 3:2765]、チオコレステロール[Oberhauser et al., Nucl. Acids Res., 1992, 20:533]、脂肪族鎖、例えば、ドデカンジオールもしくはウンデシル残基[Saison-Behmoaras et al., EMBO J, 1991, 10:111; Kabanov et al., FEBS Lett., 1990, 259:327; Svinarchuk et al., Biochimie, 1993, 75:49]、リン脂質、例えば、ジヘキサデシル-rac-グリセロールもしくはトリエチル-アンモニウム1,2-ジ-O-ヘキサデシル-rac-グリセロ-3-H-ホスホネート[Manoharan et al., Tetrahedron Lett., 1995, 36:3651; Shea et al., Nucl. Acids Res., 1990, 18:3777]、ポリアミン鎖もしくはポリエチレングリコール鎖[Manoharan et al., Nucleosides & Nucleotides, 1995, 14:969]、またはアダマンタン酢酸[Manoharan et al., Tetrahedron Lett., 1995, 36:3651]、パルミチル部分[Mishra et al., Biochim. Biophys. Acta, 1995, 1264:229]、またはオクタデシルアミン部分もしくはヘキシルアミノカルボニルオキシコレステロール部分[Crooke et al., J. Pharmacol. Exp. Ther., 1996, 277:923]を含んだ。このようなRNAコンジュゲートの調製について教示する代表的米国特許は、上記において列挙されている。典型的なコンジュゲーションプロトコールは、配列の1つまたは複数の位置において、アミノリンカーを保有するRNAの合成を伴う。次いで、適切なカップリング試薬または活性化試薬を使用して、アミノ基を、コンジュゲートされている分子と反応させる。コンジュゲーション反応は、RNAが固体支持体に結合したまま実施される場合もあり、RNAを切断した後、溶液相中において実施される場合もある。HPLCによるRNAコンジュゲートの精製は、典型的に、純粋なコンジュゲートをもたらす。
【0519】
IV.本開示のiRNAのデリバリー
本開示のiRNAの、細胞、例えば、ヒト対象(例えば、ケトヘキソキナーゼ関連障害に罹患しやすいか、またはこれを伴うと診断された対象など、それを必要とする対象)などの対象内部の細胞へのデリバリーは、多数の異なる形において達成されうる。例えば、デリバリーは、インビトロまたはインビボにおいて、細胞の、本開示のiRNAとの接触により実施されうる。インビボにおけるデリバリーはまた、iRNA、例えば、dsRNAを含む組成物を、対象へと投与することによっても、直接的に実施されうる。代替的に、インビボにおけるデリバリーは、iRNAをコードする、1つまたは複数のベクターを投与し、iRNAの直接的な発現をもたらすことにより、間接的にも実施されうる。これらの代替法については、下記において、さらに論じられる。
【0520】
一般に、核酸分子をデリバリーする任意の方法(インビトロまたはインビボにおいて)は、本開示のiRNAを伴う使用に適合させられうる[例えば、参照によりそれらの全体において本明細書に組み込まれる、Akhtar S. and Julian RL. (1992) Trends Cell. Biol. 2(5):139-144;およびWO94/02595を参照されたい]。インビボにおけるデリバリーについて、iRNA分子をデリバリーするために検討すべき因子は、例えば、デリバリーされた分子の生物学的安定性、非特異的作用の防止、およびデリバリーされた分子の標的組織内蓄積を含む。RNA干渉はまた、直接的な注射による、CNSへの局所的デリバリーによる成功も示している[Dorn, G., et al. (2004) Nucleic Acids 32:e49; Tan, PH., et al (2005) Gene Ther. 12:59-66; Makimura, H., et al (2002) BMC Neurosci. 3:18; Shishkina, GT., et al (2004) Neuroscience 129:521-528; Thakker, ER., et al (2004) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 101:17270-17275; Akaneya,Y., et al (2005) J. Neurophysiol. 93:594-602]。RNAの修飾または医薬担体はまた、iRNAの、標的組織へのターゲティングを可能とし、所望されないオフターゲット効果を回避することも可能である。iRNA分子は、細胞内の取込みを増強し、分解を防止するように、コレステロールなどの親油性基との化学コンジュゲーションにより修飾されうる。例えば、親油性コレステロール部分とコンジュゲートされたApoBに対して方向付けられたiRNAが、マウスへと全身注射される結果として、肝臓および空腸の両方における、apoB mRNAのノックダウンがもたらされた[Soutschek, J., et al (2004) Nature 432:173-178]。
【0521】
代替的実施形態において、iRNAは、ナノ粒子、デンドリマー、ポリマー、リポソーム、またはカチオン性デリバリーシステムなどの薬物デリバリーシステムを使用してデリバリーされうる。正に帯電したカチオン性デリバリーシステムは、iRNA分子(負に帯電した)の結合を容易とし、また、細胞によるiRNAの効率的な取込みを可能とするように、負に帯電した細胞膜における相互作用も増強する。カチオン性脂質、デンドリマー、またはポリマーは、iRNAに結合される場合もあり、iRNAを封入する小胞またはミセル[例えば、Kim SH, et al (2008) Journal of Controlled Release 129(2):107-116を参照されたい]を形成するように誘導される場合もある。小胞またはミセルの形成は、全身投与された場合に、iRNAの分解をさらに防止する。カチオン性iRNA複合体を作製し、投与するための方法は、十分に、当業者の能力の範囲内にある[例えば、参照によりそれらの全体において本明細書に組み込まれる、Sorensen, DR, et al (2003) J. Mol. Biol 327:761-766; Verma, UN, et al (2003) Clin. Cancer Res. 9:1291-1300; Arnold, AS et al (2007) J. Hypertens. 25:197-205を参照されたい]。iRNAの全身デリバリーに有用な薬物デリバリーシステムの、一部の非限定例は、DOTAP[Sorensen, DR., et al (2003), supra; Verma, UN, et al (2003), supra]、「固体核酸脂質粒子」[Zimmermann, TS, et al (2006) Nature 441:111-114]、カルジオリピン[Chien, PY, et al (2005) Cancer Gene Ther. 12:321-328; Pal, A, et al (2005) Int J. Oncol. 26:1087-1091]、ポリエチレンイミン[Bonnet ME, et al (2008) Pharm. Res. Aug 16 Epub ahead of print; Aigner, A. (2006) J. Biomed. Biotechnol. 71659]、Arg-Gly-Asp(RGD)ペプチド[Liu, S. (2006) Mol. Pharm. 3:472-487]、およびポリアミドアミン[Tomalia, DA, et al (2007) Biochem. Soc. Trans. 35:61-67; Yoo, H., et al (1999) Pharm. Res. 16:1799-1804]を含む。一部の実施形態において、iRNAは、シクロデキストリンと共に、全身投与のための複合体を形成する。iRNAおよびシクロデキストリンの投与のための方法および医薬組成物は、参照によりその全体において本明細書に組み込まれる、米国特許第7,427,605号において見出されうる。
【0522】
A.本発明のiRNAをコードしたベクター
ケトヘキソキナーゼ遺伝子をターゲティングするiRNAは、DNAベクターまたはRNAベクターへと挿入された転写単位から発現される[例えば、Couture, A, et al., TIG. (1996), 12:5-10;Skillern, A, et al.、PCT国際公開第WO00/22113号;Conrad、PCT国際公開第WO00/22114号;およびConrad、米国特許第6,054,299号を参照されたい]。発現は、使用される具体的コンストラクト、および標的組織または標的細胞型に応じて、一過性(数時間~数週間のオーダーにおける)の場合もあり、持続性(数週間~数カ月間またはこれを超える)の場合もある。これらのトランス遺伝子は、組込型の場合もあり、非組込型ベクターの場合もある、直鎖状コンストラクト、環状プラスミド、またはウイルスベクターとして導入されうる。トランス遺伝子はまた、追加の染色体性プラスミドとして受け継がれることを可能とするように構築される場合もある[Gassmann, et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1995) 92:1292]。
【0523】
本明細書において記載される方法および組成物と共に利用されうるウイルスベクター系は、(a)アデノウイルスベクター;(b)レンチウイルスウイルスベクター、モロニーマウス白血病ウイルスなどを含むがこれらに限定されない、レトロウイルスベクター;(c)アデノ随伴ウイルスベクター;(d)単純ヘルペスウイルスベクター;(e)SV40ベクター;(f)ポリオーマウイルスベクター;(g)パピローマウイルスベクター;(h)ピコルナウイルスベクター;(i)オルトポックスウイルスベクター、例えば、ワクシニアウイルスベクター、またはアビポックスウイルスベクター、例えば、カナリアポックスウイルスベクターまたは鶏痘ウイルスベクターなどのポックスウイルスベクター;および(j)ヘルパー依存性アデノウイルスまたはガットレスアデノウイルスを含むがこれらに限定されない。複製欠損ウイルスもまた、有利でありうる。ベクターにより、細胞ゲノムへと組み込まれる場合もあり、組み込まれない場合もある。コンストラクトは、所望の場合、トランスフェクションのためのウイルス配列を含みうる。代替的に、コンストラクトは、エピソーム内の複製が可能なベクター、例えば、EPVベクターおよびEBVベクターへと組み込まれうる。iRNAの組換え発現のためのコンストラクトは、一般に、標的細胞内のiRNAの発現を確保するように、調節的要素、例えば、プロモーター、エンハンサーなどを要求する。ベクターおよびコンストラクトについて検討すべき他の側面は、当技術分野において公知である。
【0524】
V.本発明の医薬組成物
本発明はまた、本発明のiRNAを含む、医薬組成物および製剤も含む。本明細書の一実施形態においては、本明細書において記載される、iRNAを含有する医薬組成物と、薬学的に許容される担体とが提示される。iRNAを含有する医薬組成物は、ケトヘキソキナーゼ関連障害を防止または処置するために有用である。このような医薬組成物は、デリバリー方式に基づき製剤化される。一例は、例えば、皮下(SC)デリバリー、筋内(IM)デリバリー、または静脈内(IV)デリバリーによる非経口デリバリーを介する全身投与のために製剤化された組成物である。本発明の医薬組成物は、ケトヘキソキナーゼ遺伝子の発現を阻害するのに十分な投与量において投与されうる。
【0525】
一部の実施形態において、本発明の医薬組成物は、滅菌である。別の実施形態において、本発明の医薬組成物は、発熱物質非含有である。
【0526】
本発明の医薬組成物は、ケトヘキソキナーゼ遺伝子の発現を阻害するのに十分な投与量において投与されうる。一般に、本開示のiRNAの適切な用量は、1日当たり、レシピエントの体重1キログラム当たり、約0.001~約200.0ミリグラムの範囲であり、一般に、1日当たり、体重1キログラム当たり、約1~50mgの範囲であろう。典型的に、本開示のiRNAの適切な用量は、約0.1mg/kg~約5.0mg/kg、または、約0.3mg/kg~約3.0mg/kgの範囲であろう。反復投与レジメンは、毎月、3~6カ月間ごとに1回、または1年ごとに1回など、定期的な、治療量のiRNAの投与を含みうる。ある特定の実施形態において、iRNAは、1カ月ごとに約1回~6カ月ごとに約1回投与される。
【0527】
初期の処置レジメンの後、処置は、より低い頻度において投与されうる。処置の持続期間は、疾患の重症度に基づき決定されうる。
【0528】
他の実施形態において、投与が、1、2、3、または4カ月を超えない間隔においてなされるように、医薬組成物の単回投与のための用量は、長期にわたり残存しうる。本発明の一部の実施形態において、本発明の医薬組成物の単回投与のための用量は、1カ月ごとに約1回投与される。本発明の他の実施形態において、本発明の医薬組成物の単回投与のための用量は、毎年4回(すなわち、約3カ月ごとに)投与される。本発明についての他の実施形態において、本発明の医薬組成物の単回投与のための用量は、毎年2回(すなわち、6カ月ごとに約1回)投与される。
【0529】
当業者は、対象において存在する突然変異、既往の処置、対象の全般的健康状態または年齢、および存在する他の疾患を含むがこれらに限定されない、ある特定の因子が、対象を有効に処置するのに要求される投与量およびタイミングに影響を及ぼしうることを理解するであろう。さらに、適切な予防有効量または治療有効量の組成物による、対象の処置は、単回処置または処置シリーズを含みうる。
【0530】
iRNAは、特定の組織(例えば、肝細胞)をターゲティングするようにデリバリーされうる。
【0531】
本発明の医薬組成物は、溶液、エマルジョン、およびリポソーム含有製剤を含むがこれらに限定されない。これらの組成物は、あらかじめ形成された液体、自己乳化固体、および自己乳化半固体を含むがこれらに限定されない、様々な成分から作出されうる。製剤は、肝臓をターゲティングする製剤を含む。
【0532】
好都合に、単位剤形において提示される、本発明の医薬製剤は、医薬業界において周知の常套的な技法に従い調製されうる。このような技法は、有効成分を、医薬担体(複数可)または賦形剤(複数可)と会合させる工程を含む。一般に、製剤は、有効成分を、液体担体と、一様にかつ緊密に会合させることにより調製される。
【0533】
A.さらなる製剤
i.エマルジョン
本発明の組成物は、エマルジョンとして調製および製剤化されうる。エマルジョンは、典型的に、1つの液体が、別の液体中に、通例、直径が0.1μmを超える液滴の形態において分散させられた、不均一系である[例えば、Ansel's Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems, Allen, LV., Popovich NG., and Ansel HC., 2004, Lippincott Williams & Wilkins (8th ed.), New York, NY; Idson, in Pharmaceutical Dosage Forms, Lieberman, Rieger and Banker (Eds.), 1988, Marcel Dekker, Inc., New York, N.Y., volume 1, p. 199; Rosoff, in Pharmaceutical Dosage Forms, Lieberman, Rieger and Banker (Eds.), 1988, Marcel Dekker, Inc., New York, N.Y., Volume 1, p. 245; Block in Pharmaceutical Dosage Forms, Lieberman, Rieger and Banker (Eds.), 1988, Marcel Dekker, Inc., New York, N.Y., volume 2, p. 335; Higuchi et al., in Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co., Easton, Pa., 1985, p. 301を参照されたい]。エマルジョンは、互いと緊密に混合され、分散させられた、2つの不混和液相を含む二相系であることが多い。一般に、エマルジョンは、油中水(w/o)型の場合もあり、水中油(o/w)型の場合もある。水性相が、微小な液滴へと微細に分割され、微小な液滴として、バルク油性相へと分散させられる場合、結果として得られる組成物は、油中水(w/o)エマルジョンと呼ばれる。代替的に、油性相が、微小な液滴へと微細に分割され、微小な液滴として、バルク水性相へと分散させられる場合、結果として得られる組成物は、水中油(o/w)エマルジョンと呼ばれる。エマルジョンは、分散相に加えて、さらなる成分と、水性相、油性相、または別個の相としてのそれ自体において、溶液として存在しうる、活性薬物とを含有しうる。乳化剤、安定化剤、色素、および抗酸化剤などの医薬賦形剤もまた、必要に応じて、エマルジョン中に存在しうる。医薬エマルジョンはまた、例えば、油中水中油(o/w/o)エマルジョン、および水中油中水(w/o/w)エマルジョンの場合など、2つを超える相から構成される、複数のエマルジョンでもありうる。このような複合体製剤は、単純な二元エマルジョンがもたらさない、ある特定の利点をもたらすことが多い。o/wエマルジョンの個々の油滴が、小型の水滴を封入する、複数のエマルジョンは、w/o/wエマルジョンを構成する。同様に、油性の連続相中において安定化させられた、水の小球内に封入された油滴系は、o/w/oエマルジョンをもたらす。
【0534】
エマルジョンは、熱力学的安定性が殆どまたは全く存在しないことにより特徴づけられる。エマルジョンの分散相または不連続相は、外部相または連続相へと十分に分散させられ、乳化剤または製剤の粘性により、この形態において維持されることが多い。エマルジョンを安定化させる、他の手段は、エマルジョンのいずれかの相へと組み込まれうる乳化剤の使用を伴う。乳化剤は、大きく、4つの類別:合成界面活性剤、天然に存在する乳化剤、吸収塩基、および微細分散固体へと分類されうる[例えば、Ansel's Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems, Allen, LV., Popovich NG., and Ansel HC., 2004, Lippincott Williams & Wilkins (8th ed.), New York, NY; Idson, in Pharmaceutical Dosage Forms, Lieberman, Rieger and Banker (Eds.), 1988, Marcel Dekker, Inc., New York, N.Y., volume 1, p. 199を参照されたい]。
【0535】
表面活性剤としてもまた公知の、合成界面活性剤は、エマルジョン製剤において、広範に適用されており、文献中において総説されている[例えば、Ansel's Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems, Allen, LV., Popovich NG., and Ansel HC., 2004, Lippincott Williams & Wilkins (8th ed.), New York, NY; Rieger, in Pharmaceutical Dosage Forms, Lieberman, Rieger and Banker (Eds.), 1988, Marcel Dekker, Inc., New York, N.Y., volume 1, p. 285; Idson, in Pharmaceutical Dosage Forms, Lieberman, Rieger and Banker (Eds.), Marcel Dekker, Inc., New York, N.Y., 1988, volume 1, p. 199を参照されたい]。界面活性剤は、典型的に、両親媒性であり、親水性部分と、疎水性部分とを含む。界面活性剤の、親水性性質の、疎水性性質に対する比は、親水性/親油性バランス(HLB)と称されており、製剤を調製する場合の、界面活性剤の類別および選択において、有用なツールである。界面活性剤は、親水性基の性質に基づき、異なるクラス:非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両親媒性界面活性剤へと分類されうる[例えば、Ansel's Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems, Allen, LV., Popovich NG., and Ansel HC., 2004, Lippincott Williams & Wilkins (8th ed.), New York, NY Rieger, in Pharmaceutical Dosage Forms, Lieberman, Rieger and Banker (Eds.), 1988, Marcel Dekker, Inc., New York, N.Y., volume 1, p. 285を参照されたい]。
【0536】
多種多様な非乳化材料もまた、エマルジョン製剤に含まれ、エマルジョンの特性に寄与する。これらは、脂肪、油、蝋、脂肪酸、脂肪アルコール、脂肪エステル、保湿剤、親水性コロイド、保存剤、および抗酸化剤を含む[Block, in Pharmaceutical Dosage Forms, Lieberman, Rieger and Banker (Eds.), 1988, Marcel Dekker, Inc., New York, N.Y., volume 1, p. 335; Idson, in Pharmaceutical Dosage Forms, Lieberman, Rieger and Banker (Eds.), 1988, Marcel Dekker, Inc., New York, N.Y., volume 1, p. 199]。
【0537】
皮内経路、経口経路、および非経口経路を介する、エマルジョン製剤の適用、およびそれらの製造のための方法については、文献において総説されている[例えば、Ansel's Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems, Allen, LV., Popovich NG., and Ansel HC., 2004, Lippincott Williams & Wilkins (8th ed.), New York, NY; Idson, in Pharmaceutical Dosage Forms, Lieberman, Rieger and Banker (Eds.), 1988, Marcel Dekker, Inc., New York, N.Y., volume 1, p. 199を参照されたい]。
【0538】
ii.マイクロエマルジョン
本発明についての一実施形態において、iRNAおよび核酸の組成物は、マイクロエマルジョンとして製剤化される。マイクロエマルジョンは、最適に等方性であり、熱力学的に安定な、単一の溶液である、水、油、両親媒物の系として規定されうる[例えば、Ansel's Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems, Allen, LV., Popovich NG., and Ansel HC., 2004, Lippincott Williams & Wilkins (8th ed.), New York, NY; Rosoff, in Pharmaceutical Dosage Forms, Lieberman, Rieger and Banker (Eds.), 1988, Marcel Dekker, Inc., New York, N.Y., volume 1, p. 245を参照されたい]。典型的に、マイクロエマルジョンとは、まず、油を、界面活性剤水溶液中に分散させ、次いで、十分量の第4の成分、一般に、中間鎖長のアルコールを添加して、透明系を形成することにより調製される系である。したがって、マイクロエマルジョンはまた、表面活性分子の界面膜により安定化させられる、2つの不混和液体の、熱力学的に安定であり、等方的に透明な分散体としても記載されている[Leung and Shah, in: Controlled Release of Drugs: Polymers and Aggregate Systems, Rosoff, M., Ed., 1989, VCH Publishers, New York, pages 185-215]。
【0539】
iii.マイクロ粒子
本開示のiRNAは、粒子、例えば、マイクロ粒子へと組み込まれうる。マイクロ粒子は、噴霧乾燥により作製されうるが、また、凍結乾燥、蒸発、流動層乾燥、真空乾燥、またはこれらの技法の組合せを含む、他の方法によっても作製されうる。
【0540】
iv.透過増強剤
一実施形態において、本発明は、核酸、特に、iRNAの、動物の皮膚への、効率的なデリバリーをもたらす、多様な透過増強剤を利用する。大半の薬物は、溶液中、イオン化形態および非イオン化形態の両方において存在する。しかし、通例、脂質可溶性または親油性の薬物だけが、細胞膜をたやすく越える。越えられる膜が、透過増強剤により処理される場合、非親油性薬物であってもなお、細胞膜を越えることが発見されている。細胞膜を越える、非親油性薬物の拡散の補助に加えて、透過増強剤はまた、親油性薬物の透過性も増強する。
【0541】
透過増強剤は、5つの大きな類別、すなわち、界面活性剤、脂肪酸、胆汁塩、キレート化剤、および非キレート化非界面活性剤のうちの1つに属するものとして分類されうる[例えば、Malmsten, M. Surfactants and polymers in drug delivery, Informa Health Care, New York, NY, 2002; Lee et al., Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems, 1991, p.92を参照されたい]。上述の透過増強剤のクラスの各々、ならびに医薬組成物の製造および医薬剤のデリバリーにおけるこれらの使用は、当技術分野において周知である。
【0542】
v.賦形剤
担体化合物と対照的に、「医薬担体」または「賦形剤」とは、1つまたは複数の核酸を、動物へとデリバリーするための、薬学的に許容される溶媒、懸濁剤、または、他の任意の、薬理学的に不活性の媒体である。賦形剤は、液体の場合もあり、固体の場合もあり、核酸、および所与の医薬組成物の他の成分と組み合わされた場合に、所望のバルク、粘稠性などをもたらすように、計画された、念頭にある投与方式により選択される。このような薬剤は、当技術分野において周知である。
【0543】
vi.他の成分
本発明の組成物は、加えて、医薬組成物中に、当技術分野において確立された、それらの用法レベルにおいて、常套的に見出される、他の補助成分を含有しうる。したがって、例えば、組成物は、例えば、鎮痒剤、収斂剤、局所麻酔剤、または抗炎症剤など、さらなる、適合性の、薬学的に活性の材料を含有する場合もあり、着色剤、香味剤、保存剤、抗酸化剤、乳白剤、増粘剤、および安定化剤など、本発明の組成物の多様な剤形の物理的調合において有用な、さらなる材料を含有する場合もある。しかし、このような材料は、添加された場合に、本発明の組成物の成分の生物学的活性に、過度に干渉しないものとする。製剤は、滅菌処理され、所望の場合に、製剤の核酸(複数可)と、有害な形において相互作用しない補助剤、例えば、滑沢剤、保存剤、安定化剤、保湿剤、乳化剤、浸透圧に影響を与えるための塩、緩衝剤、着色剤、香味剤、または芳香物質などと混合される。
【0544】
水性懸濁液は、懸濁液の粘性を増大させる物質であって、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、またはデキストランを含む物質を含有しうる。懸濁液はまた、安定化剤も含有しうる。
【0545】
一部の実施形態において、本発明において特色づけられる医薬組成物は、(a)1つまたは複数のiRNA、および(b)iRNA以外の機構により機能し、ケトヘキソキナーゼ関連障害、例えば、高トリグリセリド血症の処置において有用である、1つまたは複数の薬剤を含む。
【0546】
このような化合物の毒性および予防的有効性は、例えば、LD50(集団のうちの50%に対して、致死性である用量)、およびED50(集団のうちの50%において、予防的に有効である用量)を決定するための、細胞培養物または実験動物における、標準的な薬学的手順により決定されうる。毒性作用と、治療効果との用量比は、治療指数であり、LD50/ED50の比として表される。高治療指数を呈する化合物が好ましい。
【0547】
細胞培養アッセイおよび動物研究から得られるデータは、ヒトにおける使用のための、投与量範囲の策定において使用されうる。本発明における、本明細書において特色づけられる組成物の投与量は、一般に、毒性を、殆どまたは全く伴わない、ED50、または、ED80、またはED90を含む、循環濃度の範囲内にある。投与量は、利用される剤形、および利用される投与経路に応じて、この範囲内において変動しうる。本発明において特色づけられる方法において使用される任意の化合物について、予防有効用量は、まず、細胞培養アッセイから推定されうる。細胞培養物中において決定される、IC50(すなわち、症状の最大半量の阻害を達成する、被験化合物の濃度)またはこれを超える阻害レベルを含む用量は、化合物または、適切な場合、標的配列のポリペプチド産物の、循環血漿濃度範囲を達成する(例えば、ポリペプチド濃度の低下を達成する)ように、動物モデルにおいて策定されうる。このような情報は、ヒトにおける有用用量を、より正確に決定するのに使用されうる。血漿中レベルは、例えば、高速液体クロマトグラフィーにより測定されうる。
【0548】
上記において論じられた、それらの投与に加えて、本発明において特色づけられるiRNAは、ケトヘキソキナーゼ関連障害、例えば、高トリグリセリド血症の防止または処置のために使用される、他の公知の薬剤と組み合わせても投与されうる。いずれにせよ、投与する医師は、当技術分野において公知であるか、または本明細書において記載されている、有効性についての標準的な尺度を使用して観察される結果に基づき、iRNA投与の量およびタイミングを調整することができる。
【0549】
VI.ケトヘキソキナーゼの発現を阻害するための方法
本発明はまた、細胞内のKHK遺伝子の発現を阻害する方法も提供する。方法は、細胞を、細胞内のKHKの発現を阻害するのに有効な量のRNAi剤、例えば、二本鎖RNA剤と接触させ、これにより、細胞内のKHKの発現を阻害することを含む。
【0550】
細胞の、iRNA、例えば、二本鎖RNA剤との接触は、インビトロにおいてなされる場合もあり、インビボにおいてなされる場合もある。インビボにおける細胞の、iRNAとの接触は、対象、例えば、ヒト対象の内部の細胞または細胞群の、iRNAとの接触を含む。細胞を接触させるインビトロ法とインビボ法との組合せもまた、可能である。上記において論じられた通り、細胞の接触は、直接的な場合もあり、間接的な場合もある。さらに、細胞の接触は、本明細書において記載されるか、または当技術分野において公知の、任意のリガンドを含む、ターゲティングリガンドを介して達せられうる。一部の実施形態において、ターゲティングリガンドは、炭水化物部分、例えば、GalNAKHKリガンド、またはRNAi剤を、目的の部位へと方向付ける、他の任意のリガンドである。
【0551】
本明細書において使用される、「~を阻害すること」という用語は、「~を低減すること」、「~をサイレンシングすること」、「~を下方調節すること」、「~を抑制すること」、および他の同様の用語と互換的に使用され、任意のレベルの阻害を含む。
【0552】
「ケトヘキソキナーゼの発現を阻害すること」という語句は、任意のケトヘキソキナーゼ遺伝子[例えば、マウスケトヘキソキナーゼ遺伝子、ラットケトヘキソキナーゼ遺伝子、サルケトヘキソキナーゼ遺伝子、またはヒトケトヘキソキナーゼ遺伝子など]のほか、ケトヘキソキナーゼ遺伝子の変異体または突然変異体の発現の阻害を指すように意図される。したがって、ケトヘキソキナーゼ遺伝子は、野生型ケトヘキソキナーゼ遺伝子の場合もあり、突然変異体ケトヘキソキナーゼ遺伝子の場合もあり、遺伝子操作された細胞、細胞群、もしくは生物の文脈における、トランスジェニックケトヘキソキナーゼ遺伝子の場合もある。
【0553】
「ケトヘキソキナーゼ遺伝子の発現の阻害」は、ケトヘキソキナーゼ遺伝子の、任意のレベルの阻害、例えば、ケトヘキソキナーゼ遺伝子発現の、少なくとも部分的な抑制を含む。ケトヘキソキナーゼ遺伝子の発現は、ケトヘキソキナーゼ遺伝子の発現と関連する、任意の変数のレベル、またはレベルの変化、例えば、ケトヘキソキナーゼ mRNAレベルまたはケトヘキソキナーゼタンパク質レベルに基づき評価されうる。このレベルは、例えば、対象に由来する試料を含む、個々の細胞または細胞群において評価されうる。ケトヘキソキナーゼは、主に、肝臓内において発現されるが、また、脳内、胆嚢内、心臓内、および腎臓内においても発現され、循環中においても存在することが理解される。
【0554】
阻害は、ケトヘキソキナーゼの発現と関連する、1つまたは複数の変数の絶対レベルまたは相対レベルの、対照レベルと比較した低下により評価されうる。対照レベルは、当技術分野において利用される、任意の種類の対照レベル、例えば、投与前のベースラインレベル、または非処置であるか、もしくは対照(例えば、緩衝液だけの対照または非活性薬剤対照など)により処置された、同様の対象、細胞、もしくは試料から決定されるレベルでありうる。
【0555】
本発明の方法についての、一部の実施形態において、ケトヘキソキナーゼ遺伝子の発現は、少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%、またはアッセイの検出レベルを下回るレベルまで阻害される。一部の実施形態において、ケトヘキソキナーゼ遺伝子の発現は、少なくとも70%阻害される。他の組織内、例えば、脳内における発現の著明な阻害を伴わない、ある特定の組織内、例えば、肝臓内における、ケトヘキソキナーゼ発現の阻害が所望でありうることがさらに理解される。一部の実施形態において、発現レベルは、種をマッチさせた、適切な細胞系のsiRNA濃度を10nMとする、実施例2に提示されるアッセイ法を使用して決定される。
【0556】
ある特定の実施形態において、インビボにおける発現の阻害は、例えば、3mg/kgにおける、例えば、単回投与として投与された場合の、ヒト遺伝子を発現する齧歯動物、例えば、ヒト標的遺伝子(すなわち、ケトヘキソキナーゼ)を発現するAAV感染マウスの、RNA発現の最低レベルにおける、ヒト遺伝子のノックダウンにより決定される。モデル動物系における、内因性遺伝子発現のノックダウンもまた、例えば、例えば、3mg/kgにおける単回投与後の、RNA発現の最低レベルにおいて決定されうる。このような系は、ヒトiRNAが、モデル動物遺伝子の有効なノックダウンをもたらすように、ヒト遺伝子の核酸配列と、モデル動物遺伝子の核酸配列とが、十分に近縁である場合に有用である。肝臓内のRNA発現は、実施例2に提示されるPCR法を使用して決定される。
【0557】
ケトヘキソキナーゼ遺伝子の発現の阻害は、ケトヘキソキナーゼ遺伝子の発現が、第1の細胞または細胞群と、実質的に同一であるが、このように処置されていない、第2の細胞または細胞群[iRNAにより処置されていないか、または目的の遺伝子へとターゲティングされるiRNAにより処置されていない対照細胞(複数可)]と比較して阻害されるように、ケトヘキソキナーゼ遺伝子が転写され、処置されている(例えば、1つもしくは複数の細胞を、本発明のiRNAと接触させることにより、または本発明のiRNAを、細胞が存在するか、もしくは存在した対象へと投与することにより)、第1の細胞または細胞群(このような細胞は、例えば、対象に由来する試料中に存在しうる)により発現されるmRNAの量の低減により顕示されうる。一部の実施形態において、阻害は、種をマッチさせた細胞系において、10nMのsiRNA濃度を使用し、以下の式:
【0558】
【数2】
を使用して、処置細胞内のmRNAのレベルを、対照細胞内のmRNAのレベルに対する百分率として表す、実施例2に提示される方法により評価される。
【0559】
他の実施形態において、ケトヘキソキナーゼ遺伝子の発現の阻害は、ケトヘキソキナーゼ遺伝子の発現と機能的に関連するパラメータ、例えば、対象に由来する血液中または血清中のケトヘキソキナーゼタンパク質レベルの低減に関して評価されうる。ケトヘキソキナーゼ遺伝子のサイレンシングは、内因性ケトヘキソキナーゼを発現するか、または発現コンストラクトから異種ケトヘキソキナーゼを発現する任意の細胞内において、当技術分野において公知の任意のアッセイにより決定されうる。
【0560】
ケトヘキソキナーゼタンパク質発現の阻害は、細胞もしくは細胞群により発現するタンパク質レベル、または対象試料中のケトヘキソキナーゼタンパク質レベル(例えば、対象に由来する血液試料中のタンパク質レベル)の低減により顕示されうる。mRNA抑制の評価について、上記において説明された通り、処置細胞内または細胞群内のタンパク質発現レベルの阻害は、同様に、対照細胞内もしくは対照細胞群内のタンパク質レベルに対する百分率として、または対象試料中、例えば、対象に由来する血液中もしくは血清中のタンパク質レベルの変化としても表されうる。
【0561】
ケトヘキソキナーゼ遺伝子の発現の阻害について評価するのに使用されうる、対照細胞、細胞群、または対象試料は、本発明のRNAi剤と接触させられていない細胞、細胞群、または対象試料を含む。例えば、対照細胞、細胞群、または対象試料は、RNAi剤による対象の処置の前における、個々の対象(例えば、ヒト対象または動物対象)に由来する場合もあり、マッチが適切な集団対照に由来する場合もある。
【0562】
細胞または細胞群により発現するケトヘキソキナーゼ mRNAのレベルは、mRNA発現について評価するための、当技術分野において公知の任意の方法を使用して決定されうる。一実施形態において、試料中のケトヘキソキナーゼの発現レベルは、転写されるポリヌクレオチド、またはその部分、例えば、ケトヘキソキナーゼ遺伝子のmRNAを検出することにより決定される。RNAは、例えば、酸フェノール/イソチオシアン酸グアジニン抽出(RNAzol B;Biogenesis)、RNeasy(商標)RNA調製キット[Qiagen(登録商標)]またはPAXgene(商標)[PreAnalytix(商標)、Switzerland]の使用を含む、RNA抽出法を使用して、細胞から抽出されうる。リボ核酸ハイブリダイゼーションを用いる、典型的なアッセイフォーマットは、核ランオンアッセイ、RT-PCR、RNアーゼ保護アッセイ、ノーザンブロット法、インサイチューハイブリダイゼーション、およびマイクロアレイ解析を含む。
【0563】
一部の実施形態において、ケトヘキソキナーゼの発現レベルは、核酸プローブを使用して決定される。本明細書において使用される、「プローブ」という用語は、特異的なケトヘキソキナーゼに選択的に結合することが可能な、任意の分子を指す。プローブは、当業者により合成される場合もあり、適切な生物学的調製物に由来する場合もある。プローブは、標識付けされるように、特異的にデザインされうる。プローブとして利用されうる分子の例は、RNA、DNA、タンパク質、抗体、および有機分子を含むがこれらに限定されない。
【0564】
単離mRNAは、サザン解析またはノーザン解析、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)解析、およびプローブアレイを含むがこれらに限定されない、ハイブリダイゼーションアッセイまたは増幅アッセイにおいて使用されうる。mRNAレベルを決定するための1つ方法は、単離mRNAを、ケトヘキソキナーゼ mRNAとハイブリダイズしうる核酸分子(プローブ)と接触させることを伴う。一実施形態において、例えば、単離mRNAを、アガロースゲル上において泳動させ、mRNAを、ゲルから、ニトロセルロースなどの膜へと転写することにより、mRNAは、固体表面上に固定化され、プローブと接触させられる。代替的実施形態において、例えば、Affymetrix(登録商標)遺伝子チップアレイにおいて、プローブ(複数可)は、固体表面上に固定化され、mRNAは、プローブと接触させられる。当業者は、公知のmRNA検出法を、ケトヘキソキナーゼ mRNAのレベルの決定における使用のために、たやすく適合させることができる。
【0565】
試料中のケトヘキソキナーゼの発現レベルを決定するための代替的方法は、例えば、RT-PCR(Mullis、1987、米国特許第4,683,202号において明示されている実験的実施形態)、リガーゼ連鎖反応[Barany (1991) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:189-193]、自己持続配列複製[Guatelli et al. (1990) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:1874-1878]、転写増幅系[Kwoh et al. (1989) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:1173-1177]、Qベータレプリカーゼ[Lizardi et al. (1988) Bio/Technology 6:1197]、ローリングサークル複製(Lizardiら、米国特許第5,854,033号)、または他の任意の核酸増幅法に続く、当業者に周知の技法を使用する増幅された分子の検出による、例えば、試料中のmRNAに対する核酸増幅工程または逆転写酵素工程(cDNAを調製する工程)を伴う。これらの検出スキームは、とりわけ、このような分子が、極めて少数存在する場合における、核酸分子の検出に有用である。本発明の特定の態様において、KHKの発現レベルは、定量蛍光RT-PCR[すなわち、TaqMan(商標)システム]により決定される。一部の実施形態において、発現レベルは、例えば、種にマッチさせた細胞系において、10nMのsiRNA濃度を使用する、実施例2に提示される方法により決定される。
【0566】
ケトヘキソキナーゼ mRNAの発現レベルは、膜ブロット(ノーザンブロット、サザンブロット、ドットブロットなどのハイブリダイゼーション解析において使用される膜ブロットなど)、またはマイクロウェル、試験管、ゲル、ビーズ、またはファイバー(または結合核酸を含む、任意の固体支持体)を使用してモニタリングされうる。参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,770,722号、同第5,874,219号、同第5,744,305号、同第5,677,195号、および同第5,445,934号を参照されたい。ケトヘキソキナーゼ発現レベルの決定はまた、溶液中の核酸プローブの使用も含みうる。
【0567】
一部の実施形態において、mRNA発現のレベルは、分岐DNA(bDNA)アッセイまたはリアルタイムPCR(qPCR)を使用して評価される。これらの方法の使用は、本明細書に提示される実施例において記載され、例示される。一部の実施形態において、発現レベルは、種をマッチさせた細胞系において、10nMのsiRNA濃度を使用する、実施例2に提示される方法により決定される。
【0568】
KHKタンパク質発現のレベルは、タンパク質レベルの測定のための、当技術分野において公知の任意の方法を使用して決定されうる。このような方法は、電気泳動、キャピラリー電気泳動、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、薄層クロマトグラフィー(TLC)、高拡散クロマトグラフィー、流体沈降素反応またはゲル沈降素反応、吸収分光法、比色アッセイ、分光光度アッセイ、フローサイトメトリー、免疫拡散(単一免疫拡散または二重免疫拡散)、免疫電気泳動、ウェスタンブロット法、ラジオイムノアッセイ(RIA)、酵素免疫測定アッセイ(ELISA)、免疫蛍光アッセイ、電気化学発光アッセイなどを含む。
【0569】
一部の実施形態において、本発明の方法の有効性は、KHKのmRNAレベルまたはタンパク質レベル(例えば、肝生検中の)の低下により評価される。
【0570】
本発明の方法についての、一部の実施形態において、iRNAは、iRNAが、対象内部の特異的部位へとデリバリーされるように、対象へと投与される。ケトヘキソキナーゼの発現の阻害は、対象内部の特異的部位からの体液または組織(例えば、肝臓または血液)に由来する試料中のケトヘキソキナーゼ mRNAまたはケトヘキソキナーゼタンパク質のレベルまたはレベルの変化の測定を使用して評価されうる。
【0571】
本明細書において使用された、解析物のレベルの検出または決定という用語は、素材、例えば、タンパク質、RNAが存在するのかどうかを決定する工程の実施を意味するように理解される。本明細書において使用される、検出または決定する方法は、使用される方法のための検出レベルを下回る解析物レベルの検出または決定を含む。
【0572】
VII.本発明の予防法および処置法
【0573】
本発明はまた、ケトヘキソキナーゼの発現を阻害するために、本発明のiRNAまたは本発明のiRNAを含有する組成物を使用し、それにより、ケトヘキソキナーゼ関連障害を防止するまたは処置する方法も提供し、例えば、ケトヘキソキナーゼ関連障害は、肝疾患[例えば、脂肪肝、脂肪性肝炎、特に非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)]、脂質異常症(例えば、高脂血症、高LDLコレステロール、低HDLコレステロール、高トリグリセリド血症、食後高トリグリセリド血症)、血糖制御の障害(例えば、インスリン抵抗性、2型糖尿病)、心血管疾患(例えば、高血圧症、内皮細胞機能障害)、腎疾患(例えば、急性腎障害、尿細管機能障害、近位尿細管の炎症誘発性変化、慢性腎疾患)、代謝性症候群、脂肪細胞機能障害、内臓脂肪沈着、肥満、高尿酸血症、痛風、摂食障害および過剰な糖渇望からなる群から選択される。本発明の方法において、細胞は、インビトロまたはインビボにおいて、siRNAと接触させられうる、すなわち、細胞は、対象内部の細胞でありうる。
【0574】
本発明の方法を使用する処置に適する細胞は、ケトヘキソキナーゼ遺伝子を発現する任意の細胞、例えば、肝細胞、脳細胞、胆嚢細胞、心臓細胞、または腎臓細胞、または肝細胞でありうる。本発明の方法における使用に適する細胞は、哺乳動物細胞、例えば、霊長動物細胞(キメラ非ヒト動物におけるヒト細胞を含むヒト細胞、または非ヒト霊長動物細胞、例えば、サル細胞もしくはチンパンジー細胞など)の場合もあり、非霊長動物細胞の場合もある。ある特定の実施形態において、細胞は、ヒト細胞、例えば、ヒト肝細胞である。本発明の方法において、ケトヘキソキナーゼ発現は、細胞内において、少なくとも50、55、60、65、70、75、80、85、90、もしくは95、またはアッセイの検出レベルを下回るレベルまで阻害される。
【0575】
本発明のインビボ法は、対象へと、iRNAを含有する組成物を投与することを含む場合があり、この場合、iRNAは、RNAi剤が投与される哺乳動物のケトヘキソキナーゼ遺伝子のRNA転写物のうちの、少なくとも一部と相補的なヌクレオチド配列を含む。組成物は、頭蓋内(例えば、脳室内、実質内、および髄腔内)投与、静脈内投与、筋内投与、皮下投与、経皮投与、気道内投与(エアロゾールによる投与)、経鼻、直腸内投与、および局所投与(口腔内投与および舌下投与を含む)を含む、経口経路、腹腔内経路、または非経口経路を含むがこれらに限定されない、当技術分野において公知の任意の手段により投与されうる。ある特定の実施形態において、組成物は、静脈内注入または静脈内注射により投与される。ある特定の実施形態において、組成物は、皮下注射により投与される。ある特定の実施形態において、組成物は、筋内注射により投与される。
【0576】
一部の実施形態において、投与は、デポー注射を介してである。デポー注射は、長時間にわたって一貫してiRNAを放出しうる。したがって、デポー注射は、所望の効果、例えば、KHKの所望の阻害、または治療効果もしくは予防効果を得るために必要な投薬の頻度を低減しうる。デポー注射は、さらに一貫した血清中濃度もまた提供しうる。デポー注射は、皮下注射または筋内注射を含みうる。一部の実施形態において、デポー注射は、皮下注射である。
【0577】
一部の実施形態において、投与は、ポンプを介してである。ポンプは、外部ポンプまたは外科的に埋め込まれたポンプでありうる。ある特定の実施形態において、ポンプは、皮下に埋め込まれた浸透圧ポンプである。他の実施形態において、ポンプは、注入ポンプである。注入ポンプは、静脈内、皮下、動脈または硬膜外注入のために使用されうる。一部の実施形態において、注入ポンプは、皮下注入ポンプである。他の実施形態において、ポンプは、iRNAを肝臓にデリバリーする外科的に埋め込まれたポンプである。
【0578】
投与の方式は、局所処置または全身処置が望ましいかどうかに基づいて、および処置される領域に基づいて選択されうる。投与の経路および部位は、ターゲティングを増強するように選択されうる。
【0579】
一態様において、本発明はまた、哺乳動物において、ケトヘキソキナーゼ遺伝子の発現を阻害するための方法も提供する。方法は、哺乳動物へと、哺乳動物の細胞内のケトヘキソキナーゼ遺伝子をターゲティングするdsRNAを含む組成物を投与することと、ケトヘキソキナーゼ遺伝子のmRNA転写物の分解を得るのに十分な時間にわたり、哺乳動物を維持し、これにより、細胞内のケトヘキソキナーゼ遺伝子の発現を阻害することとを含む。遺伝子発現の低減は、当技術分野において公知の任意の方法、および本明細書の、例えば、実施例2において記載される方法、例えば、qRT-PCR法により評価されうる。タンパク質産生の低減は、当技術分野において(it)公知の任意の方法、例えば、ELISAにより評価されうる。ある特定の実施形態において、穿刺による肝臓生検試料は、ケトヘキソキナーゼ遺伝子発現またはタンパク質発現の低減をモニタリングするための組織素材として用いられる。他の実施形態において、血液試料は、ケトヘキソキナーゼタンパク質発現の低減をモニタリングするための対象試料として用いられる。
【0580】
本発明は、それを必要とする対象、例えば、ケトヘキソキナーゼ関連障害、例えば、肝疾患[例えば、脂肪肝、脂肪性肝炎、特に非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)]、脂質異常症(例えば、高脂血症、高LDLコレステロール、低HDLコレステロール、高トリグリセリド血症、食後高トリグリセリド血症)、血糖制御の障害(例えば、インスリン抵抗性、2型糖尿病)、心血管疾患(例えば、高血圧症、内皮細胞機能障害)、腎疾患(例えば、急性腎障害、尿細管機能障害、近位尿細管の炎症誘発性変化、慢性腎疾患)、代謝性症候群、脂肪細胞機能障害、内臓脂肪沈着、肥満、高尿酸血症、痛風、摂食障害および過剰な糖渇望などを伴うと診断された対象の処置方法をさらに提供する。
【0581】
本発明は、それを必要とする対象における予防法をさらに提供する。本発明の処置法は、本発明のiRNAを、対象、例えば、ケトヘキソキナーゼ発現の低減から利益を得る対象へと、ケトヘキソキナーゼ遺伝子をターゲティングするiRNA、またはケトヘキソキナーゼ遺伝子をターゲティングするiRNAを含む医薬組成物の予防有効量において投与することを含む。
【0582】
一実施形態において、ケトヘキソキナーゼ関連疾患は、肝疾患[例えば、脂肪肝、脂肪性肝炎、特に、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)]、脂質異常症(例えば、高脂血症、高LDLコレステロール、低HDLコレステロール、高トリグリセリド血症、食後高トリグリセリド血症)、血糖制御の障害(例えば、インスリン抵抗性、2型糖尿病)、心血管疾患(例えば、高血圧症、内皮細胞機能障害)、腎疾患(例えば、急性腎障害、尿細管機能障害、近位尿細管の炎症誘発性変化、慢性腎疾患)、代謝性症候群、脂肪細胞機能障害、内臓脂肪沈着、肥満、高尿酸血症、痛風、摂食障害および過剰な糖渇望からなる群から選択される。
【0583】
本発明のiRNAは、「遊離iRNA」として投与されうる。遊離iRNAは、医薬組成物の非存在下において投与される。ネイキッドiRNAは、適切な緩衝液中のネイキッドiRNAでありうる。緩衝液は、酢酸塩、クエン酸塩、プロラミン、炭酸塩、もしくはリン酸塩、またはこれらの任意の組合せを含みうる。一実施形態において、緩衝液は、リン酸緩衝生理食塩液(PBS)である。iRNAを含有する緩衝液のpHおよび浸透圧は、対象への投与に適するように調整されうる。
【0584】
代替的に、本発明のiRNAは、dsRNAリポソーム製剤などの医薬組成物として投与されうる。
【0585】
KHK遺伝子の発現の阻害から利益を得る対象は、KHK関連障害に罹患しやすいか、またはこれを伴うと診断された対象であり、例えば、ケトヘキソキナーゼ関連障害は、肝疾患[例えば、脂肪肝、脂肪性肝炎、特に非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)]、脂質異常症(例えば、高脂血症、高LDLコレステロール、低HDLコレステロール、高トリグリセリド血症、食後高トリグリセリド血症)、血糖制御の障害(例えば、インスリン抵抗性、2型糖尿病)、心血管疾患(例えば、高血圧症、内皮細胞機能障害)、腎疾患(例えば、急性腎障害、尿細管機能障害、近位尿細管の炎症誘発性変化、慢性腎疾患)、代謝性症候群、脂肪細胞機能障害、内臓脂肪沈着、肥満、高尿酸血症、痛風、摂食障害および過剰な糖渇望からなる群から選択される。
【0586】
ある実施形態において、方法は、標的ケトヘキソキナーゼ遺伝子の発現が、投与1回当たり、約1、2、3、4、5、6、1~6、1~3、または3~6カ月間などにわたり低下するように、本明細書において特色づけられる組成物を投与することを含む。ある特定の実施形態において、組成物は、3~6カ月ごとに1回投与される。
【0587】
一部の実施形態において、本明細書において特色づけられる方法および組成物に有用なiRNAは、標的ケトヘキソキナーゼ遺伝子のRNA(一次RNAまたはプロセシングされたRNA)を特異的にターゲティングする。iRNAを使用して、これらの遺伝子の発現を阻害するための組成物および方法は、本明細書において記載される通りに調製および実施されうる。
【0588】
本発明の方法によるiRNAの投与は、ケトヘキソキナーゼ関連障害、例えば、肝疾患[例えば、脂肪肝、脂肪性肝炎、特に、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)]、脂質異常症(例えば、高脂血症、高LDLコレステロール、低HDLコレステロール、高トリグリセリド血症、食後高トリグリセリド血症)、血糖制御の障害(例えば、インスリン抵抗性、2型糖尿病)、心血管疾患(例えば、高血圧症、内皮細胞機能障害)、腎疾患(例えば、急性腎障害、尿細管機能障害、近位尿細管の炎症誘発性変化、慢性腎疾患)、代謝性症候群、脂肪細胞機能障害、内臓脂肪沈着、肥満、高尿酸血症、痛風、摂食障害および過剰な糖渇望の防止または処置をもたらしうる。
【0589】
対象は、約0.01mg/kg~約200mg/kgなど、治療量のiRNAを投与されうる。
【0590】
iRNAは、一部の実施形態において、皮下投与される、すなわち、皮下注射により投与される。1回または複数回の注射は、所望用量のiRNAを、対象へとデリバリーするのに使用されうる。注射は、ある期間にわたり反復されうる。
【0591】
投与は、定期的に反復されうる。ある特定の実施形態において、初期の処置レジメンの後、処置は、より低い頻度において投与されうる。反復投与レジメンは、1カ月ごとに1回~1年ごとに1回など、定期的な、治療量のiRNAの投与を含みうる。ある特定の実施形態において、iRNAは、1カ月ごとに約1回~3カ月ごとに約1回、または3カ月ごとに約1回~6カ月ごとに約1回投与される。
【0592】
本発明は、KHK遺伝子の発現の低減および/または阻害から利益を得る対象、例えば、KHK関連疾患を有する対象を処置するためのiRNA剤またはその医薬組成物の、他の医薬および/または他の治療法、例えば、例えば、これらの障害を処置するために現在利用されている医薬および/または治療法など、公知の医薬および/または公知の治療法と組み合わせた方法および使用をさらに提供する。
【0593】
したがって、本発明についての一部の態様において、本発明のいずれかの単一のiRNA剤を含む方法は、さらに、対象へと、1つまたは複数のさらなる治療剤を投与することを含む。iRNA剤、ならびにさらなる治療剤および/または処置は、同時に、かつ/または同じ組合せにおいて、例えば、非経口投与される場合もあり、さらなる治療剤は、別個の組成物の一部として、もしくは別個の時点において、かつ/または当技術分野において公知であるか、もしくは本明細書において記載される、別の方法により投与される場合もある。
【0594】
一実施形態において、iRNA剤は、エゼチミブ/シンバスタチンの組合せ剤[例えば、Vytorin(登録商標)(Merck/Schering-Plough Pharmaceuticals)]と組み合わせて投与される。一実施形態において、iRNA剤が、患者へと投与され、次いで、さらなる治療剤が、患者へと投与される(またはこの逆がなされる)。別の実施形態において、iRNA剤と、さらなる治療剤とは、同時に投与される。
【0595】
iRNA剤、ならびにさらなる治療剤および/または処置は、同時に、かつ/または同じ組合せにおいて、例えば、非経口投与される場合もあり、さらなる治療剤は、別個の組成物の一部として、もしくは別個の時点において、かつ/または当技術分野において公知であるか、もしくは本明細書において記載される、別の方法により投与される場合もある。
【0596】
VIII.KHK関連疾患のための診断基準および処置
種々のKHK関連疾患のための処置のための診断基準、治療剤および考慮すべき事柄は、下に示されている。
【0597】
A.高尿酸血症
血清尿酸レベルは、臨床検査値として規定的に得られてはいない。しかし、高尿酸血症(尿酸の上昇)は、痛風、NAFLD、NASH、代謝障害、インスリン抵抗性(インスリンに対する免疫応答から生じていない)、心血管疾患、高血圧症および2型糖尿病を含む、多数の疾患および状態と関連する。KHK発現の低減は、血清尿酸レベルの上昇に関連する1つまたは複数の状態の防止または処置において有用でありうることが期待される。さらに、正常な血清尿酸レベル、例えば、6.8mg/dl以下または6mg/dl以下への、またはこのレベルまでへの血清尿酸レベルの正常化から、尿酸の上昇に関連する1つまたは複数の状態の明白な徴候または症状がない場合でさえ、対象が臨床上の利益を得ることが期待される。
【0598】
高尿酸血症の動物モデルは、例えば、ラットおよびマウスにおいて、例えば、脂肪肝を含む脂肪蓄積、インスリン抵抗性、2型糖尿病、内臓肥満を含む肥満、代謝性症候群、アディポネクチン分泌の低減、腎臓の機能の低下および炎症の1つまたは複数を誘導できる高フルクトース餌を含む[例えば、Johnson et al. (2013) Diabetes. 62:3307-3315を参照されたい]。オキソニン酸、ウリカーゼ阻害剤の投与はまた、高尿酸血症を誘導するためにも使用されうる[例えば、Mazalli et al. (2001) Hypertens. 38:1101-1106を参照されたい]。高尿酸血症の遺伝的モデルは、10倍高いレベルの血清尿酸レベルを伴う高尿酸血症を発症する、Jackson Laboratory(/jaxmice.jax.org/strain/002223.html)から入手可能なB6;129S7-Uoxtm1Bay/Jマウスを含む。
【0599】
高尿酸血症のための種々の処置は、当技術分野において公知である。しかし、一部の薬剤は、限定された集団においてだけ使用されうる。例えば、アロプリノールは、多数の状態、例えば、痛風、虚血再灌流障害を含む心血管疾患、高血圧症、粥状動脈硬化および脳卒中、ならびに炎症性疾患の処置のために血清尿酸レベルを低減させるために使用されるキサンチン酸化酵素阻害剤である[Pacher et al., (2006) Pharma. Rev. 58:87-114]。しかし、アロプリノールの使用は、腎臓の機能障害、例えば、慢性腎疾患、甲状腺機能低下症、高インスリン血症もしくはインスリン抵抗性を有する対象;または腎疾患もしくは腎臓の機能障害にかかりやすい対象、例えば、高血圧症、代謝障害、糖尿病を有する対象ならびに高齢者においては禁忌である。さらに、アロプリノールは、経口血液凝固剤またはプロベンシド(probencid)を摂取している対象、および利尿剤、特にチアジド系利尿剤または腎機能を低下させる可能性があるもしくは潜在的な腎毒性を有する他の薬物を摂取している対象によって摂取されるべきでない。
【0600】
ある特定の実施形態において、本発明の組成物および方法は、高尿酸血症を処置するための他の組成物および方法、例えば、アロプリノール、オキシプリノール、フェブキソスタットと組み合わせて使用される。ある特定の実施形態において、本発明の組成物および方法は、例えば、年齢、併存疾患または薬物相互作用による、腎機能の低下を有する、または腎機能が低下しやすい対象の処置のために使用される。
【0601】
B.痛風
痛風は、成人40名のうちのおよそ1名を冒し、最も一般的には30~60歳の男性を冒す。痛風は、女性はあまり冒さない。痛風は、関節への将来の損傷が処置によって回避されうるわずかな種類の関節炎のうちの1つである。痛風は、尿酸の不十分な腎クリアランスまたは過剰な尿酸産生から生じる高尿酸血症による関節における尿酸結晶への炎症性反応によって引き起こされる急性炎症性関節炎の反復性の発作によって特徴づけられる。フルクトース関連痛風は、場合によって、腎臓、腸管および肝臓において発現されるトランスポーターの変異体と関連する。痛風は、関節および皮下における痛風結節、尿酸ナトリウム(MSU)結晶の形成および沈着によって特徴づけられる。痛風に関連する疼痛は、痛風結節のサイズに関係せず、MSU結晶に対する免疫応答の結果である。血清尿酸と痛風結節サイズの減少速度との間には線形逆相関がある。例えば、非結節性痛風を有する18名の患者の一研究において、尿酸低下治療開始の3か月以内に全ての対象において血清尿酸は、2.7~5.4mg/dL(0.16~0.32mM)に降下した[Pascual and Sivera (2007) Ann. Rheum. Dis. 66:1056-1058]。しかし、10年間未満痛風を有した患者において無症状の膝から、または最初のMTP関節からMSU結晶を消失させるまでに正常な血清尿酸で12か月、対して、10年を超えて痛風を有する者においては18カ月かかった。したがって、痛風の有効な処置は、痛風結節の完全なクリアランスまたは全ての症状、例えば、関節痛および腫脹、炎症の回復を必要としないが、単純に痛風の徴候または症状の少なくとも1つの軽減、例えば、血清尿酸レベルの低下と併せた痛風発作の重症度または頻度の軽減を必要とする。
【0602】
痛風の動物モデルは、オキソニン酸誘発高尿酸血症を含む[例えば、Jang et al. (2014) Mycobiology. 42:296-300を参照されたい]。
【0603】
痛風のために現在利用可能な処置は、多数の対象において禁忌であるまたは無効である。アロプリノール、痛風を有する対象において尿酸レベルを低下させるための一般的な第一選択処置は、上に考察した通り、多数の集団、特に腎臓の機能を損なっている者において禁忌である。さらに、多数の対象は、アロプリノールによる処置に失敗する、例えば、処置にもかかわらず痛風フレアを罹患する対象、またはアロプリノールに関連する発疹もしくは過敏症反応を罹患する対象。
【0604】
ある特定の実施形態において、本発明の組成物および方法は、血清尿酸を低下させる他の薬剤と組み合わせて使用される。ある特定の実施形態において、本発明の組成物および方法は、痛風の症状の処置のための薬剤、例えば、鎮痛剤または抗炎症剤、例えば、NSAIDSと組み合わせて使用される。ある特定の実施形態において、本発明の組成物および方法は、腎機能の低下を有する、または、例えば、年齢、併存疾患または薬物相互作用のために腎機能が低下しやすい対象の処置のために使用される。
【0605】
C.肝疾患
NAFLDは、高尿酸血症と関連し[Xu et al. (2015) J. Hepatol. 62:1412-1419]、次に、フルクトース代謝の上昇と関連する。非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の定義は(a)イメージング、または組織学のいずれかによる肝臓脂肪症の証拠があること、および(b)顕著なアルコール摂取、脂肪合成薬物療法(steatogenic medication)の使用または遺伝性の障害などの続発性の肝臓の脂肪蓄積についての原因がないこと、を必要とする。大部分の患者において、NAFLDは、肥満、糖尿病および脂質異常症などの代謝危険性因子と関連する。NAFLDは、組織学的に非アルコール性脂肪肝(NAFL)と非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)とにさらに分類される。NAFLは、肝細胞のバルーニングの形態において肝細胞傷害の証拠を有さない肝臓脂肪症の存在として規定される。NASHは、線維症を伴うまたは伴わない肝細胞傷害(バルーニング)を伴う肝臓脂肪症および炎症の存在として規定される[Chalasani et al.(2012) Hepatol. 55:2005-2023]。単純な脂肪症を有する患者は、あったとしても非常に遅い組織学的進行を有する一方で、NASHを有する患者は硬化性段階の疾患への組織学的進行を示す場合があることは、一般に合意される。NAFLDおよびNASHを有する患者の長期転帰は、いくつかの研究において報告されている。それらの知見は、以下の通り要約されうる;(a)NAFLDを有する患者は、対応する対照集団と比較して全体的な死亡率の増加を示す、(b)NAFLD、NAFLおよびNASHを有する患者における最も一般的な死因は、心血管疾患である、ならびに(c)NASHを有する(しかし、NAFLを有さない)患者は肝臓関連死亡率の増加を示す。
【0606】
NAFLDの動物モデルは、種々の高脂肪または高フルクトース飼育動物モデルを含む。NAFLDの遺伝的モデルは、The Jackson Laboratoryから入手可能なB6.129S7-Ldlrtm1Her/JおよびB6.129S4-Ptentm1Hwu/Jマウスを含む。
【0607】
NAFLDの処置は、典型的には、NAFLDの発症を生じる状態を管理することである。例えば、脂質異常症を有する患者は、NAFLDのさらなる進行を処置または防止するために、必要に応じて、コレステロールまたはトリグリセリドを正常化する薬剤により処置される。2型糖尿病を有する患者は、グルコースまたはインスリン感受性を正常化する薬剤により処置される。生活習慣の変更、例えば、食事および運動における変更もまたNAFLDを処置するために使用される。NAFLDのマウスモデルにおいて、アロプリノールによる処置は、肝臓脂肪症の発症を防止しただけでなく、マウスにおいて確立された肝臓脂肪症も顕著に改善した(Xu et al., J. Hepatol. 62:1412-1419, 2015)。
【0608】
ある特定の実施形態において、本発明の組成物および方法は、血清尿酸を低下させる他の薬剤と組み合わせて使用される。ある特定の実施形態において、本発明の組成物および方法は、NAFLDの症状の処置のための薬剤と組み合わせて使用される。ある特定の実施形態において、本発明の組成物および方法は、腎機能の低下を有する、または、例えば、年齢、併存疾患または薬物相互作用のために腎機能が低下しやすい対象の処置のために使用される。
【0609】
D.脂質異常症、血糖制御の障害、代謝性症候群および肥満
脂質異常症(例えば、高脂血症、高LDLコレステロール、低HDLコレステロール、高トリグリセリド血症、食後高トリグリセリド血症)、血糖制御の障害(例えば、インスリン抵抗性、2型糖尿病)、代謝性症候群、脂肪細胞機能障害、内臓脂肪沈着、肥満および過剰な糖渇望は、フルクトース代謝の上昇と関連する。状態についての特徴または診断基準は、以下に示されている。代謝障害の動物モデルおよび構成要素特色は、種々の高脂肪または高フルクトース飼育動物モデルを含む。遺伝モデルは、The Jackson Laboratoryから入手可能であり、obまたはob/obマウスとして一般に公知であるレプチン欠損B6.Cg-Lepob/Jを含む。
【0610】
脂質の正常なおよび異常な空腹時レベルは、以下の表に示されている。
【0611】
【表A】
【0612】
食後高トリグリセリド血症は、トリグリセリドリッチリポタンパク質(TRL)の過剰産生または異化の減少によって主に始まり、素因となる遺伝的変異ならびに肥満およびインスリン抵抗性などの医学的状態の結果である。
【0613】
インスリン抵抗性は:
1.2回の異なる時期に取られた100~125mg/dLの空腹時血糖レベル;または
2.グルコース消費後2時間での140~199mg/dLのグルコースレベルの結果を有する経口耐糖能検査
のうちの少なくとも1つの存在によって特徴づけられる。
【0614】
本明細書において使用される、インスリン抵抗性は、インスリン依存性糖尿病、特に1型糖尿病の後期においてしばしば生じる、投与されたインスリンに対する免疫応答の結果としてのインスリンへの応答の欠如を含まない。
【0615】
2型糖尿病は:
1.2回の異なる時期に取られた空腹時血糖レベル≧126mg/dL;
2.≧6.5%以上の結果を有するヘモグロビンA1c(A1C)検査;または
3.グルコース消費後2時間でのグルコースレベル≧200mg/dLの結果を有する経口耐糖能検査
の少なくとも1つによって特徴づけられる。
【0616】
2型糖尿病およびインスリン抵抗性のための薬理学的処置は、メトホルミン[例えば、グルコファージ(glucophage)、グルメッツア(glumetza)]、スルホニル尿素(例えば、グリブリド、グリピジド、グリメピリド)、メグリチニド(例えば、レパグリニド、ナテグリニド)、チアゾリジンジオン(ロシグリタゾン、ピオグリタゾン)、DPP-4阻害剤(シタグリプチン、サキサグリプチン、リナグリプチン)、GLP-1受容体アンタゴニスト(エキセナチド、リラグルチド)およびSGLT2阻害剤(例えば、カナグリフロジン、ダパグリフロジン)などの、血糖を正常化するための薬剤による処置を含む。
【0617】
肥満は、過剰な体脂肪の疾患として特徴づけられる。キログラム(kg)での体重をメートル(m)での身長の二乗で割ることによって算出される肥満度指数(BMI)は、全てではないが大部分の人々の体脂肪についての合理的な推定を提供する。一般に18.5未満のBMIは低体重、18.5~24.9は正常、25.0~29.9は過体重、30.0~34.9は肥満(クラスI)、35~39.9は肥満(クラスII)および40.0以上は極度の肥満(クラスIII)として特徴づけられる。
【0618】
皮下脂肪対内臓脂肪の評価の方法は、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Wajchenberg (2000) Subcutaneous and visceral adipose tissue: their relation to the metabolic syndrome, Endocr Rev. 21:697-738に提供されている。
【0619】
代謝性症候群は、以下の5つの代謝危険性因子:
1.大きな腹囲(女性は≧35インチ、男性は≧40インチ);
2.高トリグリセリドレベル(≧150mg/dl);
3.低HDLコレステロール(女性は≦50mg/dl、男性は≦40mg/dl);
4.血圧の上昇(≧130/85)または高血圧を処置するための薬物治療中;および
5.高い空腹時血糖(≧100mg/dl)または高血糖を処置するための薬物治療中
のうちの少なくとも3つとして規定される状態のクラスターによって特徴づけられる。
【0620】
NAFLDと同様に、代謝性症候群の処置のための薬剤は、具体的な危険性因子の存在に応じる、例えば、脂質が異常である場合は脂質を正常化し、グルコースまたはインスリン感受性が異常である場合はそれらを正常化する。
【0621】
代謝性症候群、インスリン抵抗性および2型糖尿病は、腎臓の機能の低下または腎臓の機能の低下の可能性としばしば関連する。
【0622】
ある特定の実施形態において、本発明の組成物および方法は、脂質異常症、血糖制御の障害、代謝性症候群および肥満を有する対象の処置における使用のためである。例えば、ある特定の実施形態において、本発明の組成物および方法は、代謝性症候群、インスリン抵抗性または2型糖尿病および慢性腎疾患を有する対象における使用のためである。ある特定の実施形態において、組成物および方法は、心血管疾患、甲状腺機能低下症もしくは炎症性疾患のうちの1つまたは複数を罹患している代謝性症候群、インスリン抵抗性もしくは2型糖尿病を有する対象;または高齢の対象(例えば、65歳を超えている)における使用のためである。ある特定の実施形態において、組成物および方法は、代謝性症候群、インスリン抵抗性または2型糖尿病を有し、薬物標識によって実証された、腎機能を低下させる可能性がある薬物も摂取している対象における使用のためである。例えば、ある特定の実施形態において、本発明の組成物および方法は、代謝性症候群、インスリン抵抗性または2型糖尿病を有し、経口血液凝固薬またはプロベンシドにより処置されている対象における使用のためである。例えば、ある特定の実施形態において、本発明の組成物および方法は、代謝性症候群、インスリン抵抗性または2型糖尿病を有し、利尿剤、特にチアジド系利尿剤により処置されている対象における使用のためである。
【0623】
ある特定の実施形態において、本発明の組成物および方法は、血清尿酸を低下させる他の薬剤と組み合わせて使用される。ある特定の実施形態において、本発明の組成物および方法は、代謝性症候群、インスリン抵抗性または2型糖尿病の症状の処置のための薬剤と組み合わせて使用される。ある特定の実施形態において、対象は、例えば、血圧を降下させる薬剤、例えば、利尿剤、ベータ遮断薬、ACE阻害剤、アンジオテンシンII受容体遮断薬、カルシウムチャネル遮断薬、アルファ遮断薬、アルファ-2受容体アンタゴニスト、複合アルファおよびベータ遮断薬(combined alpha- and beta-blocker)、中央アゴニスト、末梢アドレナリン阻害剤、および血管拡張薬(dialators);コレステロールを降下させる薬剤、例えば、スタチン、選択的コレステロール吸収阻害剤、レジンもしくは脂質低下療法;または、血糖を正常化する薬剤、例えば、メトホルミン、スルホニル尿素、メグリチニド、チアゾリジンジオン、DPP-4阻害剤、GLP-1受容体アンタゴニストおよびSGLT2阻害剤により処置される。
【0624】
ある特定の実施形態において、本発明の組成物および方法は、腎機能の低下を有する、または、例えば、年齢、併存疾患または薬物相互作用のために腎機能が低下しやすい対象の処置のために使用される。
【0625】
iRNAおよびさらなる治療剤は、同じ時にまたは同じ組合せ中で例えば、非経口で投与されてよい、またはさらなる治療剤は、別々の組成物の一部として、または別々の時期にまたは当技術分野において公知もしくは本明細書において記載される別の方法によって投与されうる。
【0626】
E.心血管疾患
ある特定の実施形態において、本発明の組成物および方法は、心血管疾患を有する対象の処置における使用のためである。例えば、ある特定の実施形態において、本発明の組成物および方法は、心血管疾患および慢性腎疾患を有する対象の処置における使用のためである。ある特定の実施形態において、組成物および方法は、代謝障害、インスリン抵抗性、高インスリン血症、糖尿病、甲状腺機能低下症または炎症性疾患のうちの1つまたは複数を罹患している心血管疾患を有する対象における使用のためである。ある特定の実施形態において、組成物および方法は、薬物標識によって実証された、腎機能を低下させる可能性がある薬物も摂取している、心血管疾患を有する対象における使用のためである。例えば、ある特定の実施形態において、本発明の組成物および方法は、経口血液凝固薬またはプロベンシドにより処置されている心血管疾患を有する対象における使用のためである。例えば、ある特定の実施形態において、本発明の組成物および方法は、利尿剤、特にチアジド系利尿剤により処置されている心血管疾患を有する対象における使用のためである。例えば、ある特定の実施形態において、本発明の組成物および方法は、アロプリノールによる処置に失敗した心血管疾患を有する対象における使用のためである。
【0627】
ある特定の実施形態において、本発明の組成物および方法は、血清尿酸を低下させる他の薬剤と組み合わせて使用される。ある特定の実施形態において、本発明の組成物および方法は、心血管疾患の症状の処置のための薬剤、例えば、血圧を降下するための薬剤、例えば、利尿剤、ベータ遮断薬、ACE阻害剤、アンジオテンシンII受容体遮断薬、カルシウムチャネル遮断薬、アルファ遮断薬、アルファ-2受容体アンタゴニスト、複合アルファおよびベータ遮断薬、中央アゴニスト、末梢アドレナリン阻害剤、および血管拡張薬;またはコレステロールを降下させる薬剤、例えば、スタチン、選択的コレステロール吸収阻害剤、レジンもしくは脂質低下療法と組み合わせて使用される。
【0628】
F.腎疾患
腎疾患は、例えば、急性腎障害、尿細管機能障害、近位尿細管の炎症誘発性変化および慢性腎疾患を含む。
【0629】
急性腎(腎臓の)不全は、急に腎臓が、血液から老廃物をろ過できなくなり、血清中に老廃物の危険なレベルの蓄積および全身の化学的不均衡を生じる場合に生じる。急性腎不全は、数時間または数日の間に急速に発症する場合があり、既に入院している個人、特に集中治療が必要な重篤な個人において最も一般的である。急性腎不全は、致死性である場合があり、集中的処置が必要である。しかし、急性腎不全は、可逆的でありうる。他は健康である場合は、正常なまたは正常に近い腎機能を回復できる。
【0630】
慢性腎疾患、別称、慢性腎不全は、腎機能が徐々に失われることを示す。慢性腎疾患が進行期に達した場合、危険なレベルの体液、電解質および老廃物が身体に蓄積する場合がある。腎疾患の徴候および症状は、悪心、嘔吐、食欲不振、疲労および虚弱、睡眠障害、尿量の変化、精神の鋭敏さの減少、筋攣縮および筋痙攣、しゃっくり、足および足首の腫脹、持続性のそう痒、心臓の内膜周辺に体液が上がった場合、胸部痛、肺に体液が上がった場合、息切れ、調節困難な高血圧(高血圧症)を含みうる。慢性腎疾患の徴候および症状は、しばしば非特異的であり、ゆっくりと発症する場合があり、不可逆的な損傷が生じるまで出現しない場合がある。
【0631】
腎疾患は、腎損傷をもたらす損傷剤または状態を除去すること、例えば、腎機能を改善するために血圧を正常化する、腎損傷を誘発する場合がある薬剤による処置を終える、腎損傷をもたらす炎症を低下させる、または腎機能を助けるために腎臓の支援(例えば、腎臓透析)を提供することによって処置される。
【0632】
腎臓の機能は、1つまたは複数の規定の臨床検査、BUN(血中尿素窒素)、クレアチニン(血中)、クレアチニン(尿)またはクレアチニンクリアランスを使用して典型的には決定される(例えば、www.nlm.nih.gov/medlineplus/ency/article/003435.htmを参照されたい)。検査は、他の臓器における状態の診断でもありうる。
【0633】
正常値は異なる検査室間で変動する場合があるが、一般に、6から20mg/dLのBUNレベルは正常と考えられる。BUNレベルの上昇は、糸球体腎炎、腎盂腎炎および急性尿細管壊死または腎不全を含む、腎疾患を指し示しうる。
【0634】
血中クレアチニンについての正常結果は、男性は0.7から1.3mg/dL、女性は0.6から1.1mg/dLである。血中クレアチニンの上昇は、腎損傷もしくは不全、感染または血流の低下により腎機能が損なわれていることを指し示している場合がある。
【0635】
尿クレアチニン(24時間試料)値は、500から2000mg/日の範囲でありうる。結果は、年齢および除脂肪体重の量に依存する。正常な結果は、男性は1日当たり体重1kg当たり14から26mg、女性は1日当たり体重1kg当たり11から20mgである。異常な結果は、尿細管細胞への損傷、腎不全、腎臓への血流の減少または腎臓感染(腎盂腎炎)などの腎損傷を指し示す場合がある。
【0636】
クレアチニンクリアランス検査は、尿中クレアチニンレベルを血中クレアチニンレベルと比較することによって腎機能に関する情報を提供する。クリアランスは、1分間当たりのミリリットル(ml/分)としてしばしば測定される。正常値は、男性は97から137ml/分、女性は88から128ml/分である。正常より低いクレアチニンクリアランスは、尿細管細胞への損傷、腎不全、腎臓への血流の減少または腎臓中の腎糸球体ろ過の低下などの腎損傷を指し示す場合がある。
【0637】
ある特定の実施形態において、本発明の組成物および方法は、腎疾患の処置のために使用されうる。このような薬剤が、腎臓に損傷を引き起こさないことは期待される。
【0638】
VIIII.キット
ある特定の態様において、本開示は、ssiRNA化合物、例えば、二本鎖siRNA化合物による医薬製剤、またはsiRNA化合物(例えば、前駆体、例えば、siRNA化合物へとプロセシングされうる、大型のssiRNA化合物、あるいはsiRNA化合物、例えば、二本鎖siRNA化合物、もしくはssiRNA化合物、またはこれらの前駆体をコードするDNA)を含有する、適切な容器を含むキットを提示する。
【0639】
このようなキットは、1つまたは複数のdsRNA剤と、使用のための指示書、例えば、予防有効量または治療有効量のdsRNA剤(複数可)を投与するための指示書とを含む。dsRNA剤は、バイアル内に入れられる場合もあり、あらかじめ充填されたシリンジ内に入れられる場合もある。キットは、dsRNA剤を投与するための手段(例えば、あらかじめ充填されたシリンジなどの注射デバイス)、またはKHKの阻害を測定するための手段(例えば、KHK mRNA、KHKタンパク質、および/またはKHK活性の阻害を測定するための手段)をさらに含んでもよい。KHKの阻害を測定するための、このような手段は、例えば、血漿試料など、対象に由来する試料を得るための手段を含みうる。本発明のキットは、治療有効量有効量または予防有効量を決定するための手段をさらに含んでもよい。
【0640】
ある特定の実施形態において、医薬製剤の個々の成分は、1つの容器、例えば、バイアルまたはあらかじめ充填されたシリンジにより提供されうる。代替的に、医薬製剤の成分を、2つまたはこれを超える容器、例えば、siRNA化合物の調製物のための1つの容器、および担体化合物のための、少なくとも別の容器により、個別に提供することが所望される場合もある。キットは、1つの箱の中の、1つまたは複数の容器など、多数の異なる構成においてパッケージングされうる。異なる成分は、例えば、キットと共に提供される指示書に従い組み合わされうる。成分は、例えば、医薬組成物を調製および投与するために、本明細書において記載される方法に従い組み合わされうる。キットはまた、デリバリーデバイスも含みうる。
【0641】
本発明は、限定的なものとみなされるべきではない、以下の実施例により、さらに例示される。本出願を通して引用される、全ての参考文献、特許、および特許出願公開のほか、非公式の配列表および図面の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【実施例
【0642】
実施例1.iRNAの合成
試薬の供給源
本明細書において、試薬の供給源が、具体的に与えられない場合、このような試薬は、分子生物学における適用のための品質/純度基準において、分子生物学のための試薬の任意の供給源から得ることができる。
【0643】
siRNAのデザイン
【0644】
ヒトケトヘキソキナーゼ(KHK)遺伝子をターゲティングするsiRNA、「ケトヘキソキナーゼアイソフォームX10」(ヒト:NCBI refseqID XM_017004061.1;NCBI GeneID:3795)は、カスタムRおよびPythonスクリプトを使用してデザインした。human XM_017004061 REFSEQ mRNAバージョン1は、2283塩基の長さを有する。非修飾KHKのセンス鎖およびアンチセンス鎖のヌクレオチド配列についての詳細なリストを、表2および4に示す。修飾ケトヘキソキナーゼのセンス鎖およびアンチセンス鎖のヌクレオチド配列についての詳細なリストを、表3および5に示す。
【0645】
本出願を通して、小数を伴わない二重鎖名は、二重鎖のバッチ番号を参照するに過ぎない、小数を伴う二重鎖名と同等であることが理解されるものとする。例えば、AD-959917は、AD-959917.1と同等である。
【0646】
siRNAの合成
siRNAは、当技術分野において公知の常套的な方法を使用して合成され、アニーリングされた。
【0647】
略述すると、siRNA配列は、固体支持体媒介ホスホルアミダイト化学反応を使用して、Mermade 192合成器(BioAutomation)上で、1μmolのスケールで合成した。固体支持体は、カスタムのGalNAcリガンドをロードされた制御型多孔性ガラス(500A)またはユニバーサルの固体支持体(AM biochemical)であった。補助的合成試薬、2’-Fおよび2’-O-メチルRNAおよびデオキシホスホルアミダイトは、Thermo-Fisher(Milwaukee、WI)およびHongene(China)から得た。2’F 2’-O-メチル、GNA(グリコール核酸)、5’リン酸および他の修飾は、対応するホスホルアミダイトを使用して導入した。3’GalNAcコンジュゲート単鎖の合成をGalNAc修飾CPG支持体上で実施した。カスタムCPGユニバーサル固体支持体をアンチセンス単鎖の合成のために使用した。全てのホスホルアミダイト(アセトニトリル中100mM)のためのカップリング時間は、5-エチルチオ-1H-テトラゾール(ETT)を活性化因子(アセトニトリル中0.6M)として使用して5分間であった。ホスホロチオエート連結は、無水アセトニトリル/ピリジン(1:1 v/v)中に、50mMの3-[(ジメチルアミノ-メチリデン)アミノ]-3H-1,2,4-ジチアゾール-3-チオン[DDTT;Chemgenes(Wilmington、MA、USA)製]溶液を使用して作出した。酸化時間は、3分間であった。全ての配列は、DMT基の最終除去(「DMToff」)により合成した。
【0648】
固相合成が完了したら、オリゴリボヌクレオチドを、シーリングした96ディープウェルプレート内、60℃で20分間、200μLのメチルアミン試薬水溶液を使用して、固体支持体から切断し、脱保護した。tert-ブチルジメチルシリル(TBDMS)基により保護された、2’リボ残基(2’-OH)を含有する配列のために、第2の脱保護工程をTEA.3HF(トリエチルアミントリヒドロフルオリド)試薬を使用して、実施した。メチルアミン脱保護溶液に、200μLのジメチルスルホキシド(DMSO)、および300μlのTEA.3HF試薬を添加し、溶液を、60℃において、さらなる約20分間にわたりインキュベートした。切断および脱保護工程の終わりに、合成プレートを、室温へと戻し、アセトニトリル(acetontile):エタノール混合物(9:1)1mLを添加することにより、沈殿させた。プレートを、-80℃において2時間冷却し、マルチチャネルピペットの助けを借りて、上清(superanatant)を、注意深くデカントした。オリゴヌクレオチドペレットを、20mMのNaOAc緩衝液中に再懸濁させ、5mL HiTrapサイズ除外カラム(GE Healthcare)を、A905オートサンプラーおよびFrac 950フラクションコレクターを装備したAKTA Purifier System上において使用して脱塩させた。脱塩試料は、96ウェルプレートに回収した。各配列からのサンプルを、同一性、定量のためのUV(260nm)、および純度を決定するためのIEXクロマトグラフィーによる選択されたサンプルのセットを確認するためにLC-MSによって分析した。
【0649】
単鎖のアニーリングは、Tecanリキッドハンドリングロボット上において実施した。センス単鎖と、アンチセンス単鎖とを、等モル比において、96ウェルプレート内で組み合わせて、アニーリングさせた。相補性単鎖を組み合わせた後、96ウェルプレートをしっかりとシーリングし、オーブン中で100℃において、10分間加熱し、2~3時間にわたり、ゆっくりと、室温に戻した。各二重鎖の濃度を1X PBS中10μMに規格化し、その後、インビトロスクリーニングアッセイに提出した。
【0650】
実施例2.インビトロスクリーニング法
細胞の培養および384ウェルにおけるトランスフェクション
Hep3b細胞(ATCC、Manassas、VA)を、5%COの雰囲気、10%のFBS(ATCC)を補充した、イーグル最小必須培地(Gibco)中、37℃において、コンフルエンシー(confluence)近くまで増殖させてから、トリプシン処理により、プレートから放出した。トランスフェクションは、384ウェルプレート内の個々のウェルの、5μlずつのsiRNA二重鎖へと、ウェル1つ当たり5μlのOpti-MEM+0.1μlのLipofectamine RNAiMax(Invitrogen、Carlsbad CA.;型番:13778-150)を添加することにより実施した。次いで、混合物を、室温において、15分間にわたりインキュベートした。次に、約5x10 Hep3B細胞を含有する40μlのイーグル最小必須培地(ATCC型番30-2003)をsiRNA混合物に添加した。細胞を、RNA精製の前に、24時間にわたりインキュベートした。単回投与実験は、10nMとして実施した。
【0651】
DYNABEADS mRNA単離キット[Invitrogen(商標);型番:610-12]を使用する、全RNAの単離
【0652】
DYNABEAD(Invitrogen;型番61012)を使用する、BioTek-EL406プラットフォーム上の自動式プロトコールを使用して、RNAを単離した。略述すると、70μlのLysis/Binding Buffer、および3μlの磁気ビーズを含有する、10μlの溶解緩衝液を、細胞を伴うプレートへと添加した。プレートを、電磁気シェーカー上、室温において、10分間にわたりインキュベートし、次いで、磁気ビーズを捕捉し、上清を除去した。次いで、ビーズに結合させたRNAを、150μlのWash Buffer Aにより、2回にわたり洗浄し、Wash Buffer Bにより、1回洗浄した。次いで、ビーズを、150μlのElution Bufferにより洗浄し、再捕捉し、上清を除去した。
【0653】
ABI High capacity cDNA逆転写キット(Applied Biosystem、Foster City、CA;型番:4368813)を使用するcDNA合成
ウェル1つ当たり、反応1回当たり10倍濃度の緩衝液1.2μl、25倍濃度のdNTP0.48μl、1.2μlのランダムプライマー、0.6μlの逆転写酵素、0.6μlのRNアーゼ阻害剤、および7.92μlのHOのマスターミックスを添加した。プレートをシーリングし、混合し、次に、電磁気シェーカー上で、10分間にわたり室温でインキュベートし、37℃での2時間のインキュベーションが続いた。
【0654】
リアルタイムPCR
【0655】
2μlのcDNAを、384ウェルプレート(Roche;型番04887301001)内に、ウェル1つ当たり0.5μlのヒトGAPDH TaqMan Probe(4326317E)および0.5μlのKHKヒトプローブ(Hs01071998_m1)および5μlのLightcycler 480プローブマスターミックス(Roche;型番04887301001)を含有するマスターミックスへと添加した。リアルタイムPCRは、LightCycler480 Real Time PCRシステム(Roche)において行った。各二重鎖を少なくとも2回検査し、データは、非標的対照siRNAをトランスフェクトされた細胞に対して正規化した。相対倍数変化を計算するために、ΔΔCt法を使用して、リアルタイムデータを解析し、非標的対照siRNAをトランスフェクトされた細胞により実施されたアッセイに対して正規化した。
【0656】
表2および3における、dsRNA薬剤の単一用量スクリーンの結果を表6に示し、表4および5、dsRNA薬剤の単一用量スクリーンの結果を表7に示す。
【0657】
【表1-1】
【表1-2】
【0658】
【表2-1】
【表2-2】
【0659】
【表3-1】
【表3-2】
【0660】
【表4-1】
【表4-2】
【0661】
【表5-1】
【表5-2】
【0662】
【表6-1】
【表6-2】
【0663】
【表7-1】
【表7-2】
【0664】
実施例3.マウスにおける、dsRNA二重鎖のインビボ(in vivo)スクリーニング
上記のインビトロ研究から同定された、目的の二重鎖を、インビボにおいて査定した。
【0665】
特に、6~8週齢野生型マウス(C57BL/6)にヒトケトヘキソキナーゼをコードするアデノ随伴ウイルス8(AAV8)(hKHK AAV)ベクターのウイルス粒子2x1011個/ml溶液の100mlを尾静脈への静脈内注射によって-14日目に投与した。
【0666】
0日目に、マウスに単一10mg/kg用量の目的の二重鎖またはPBS対照(n=3/群)を皮下投与した。表8は、処置群およびマウスに投与した二重鎖を示す。
【0667】
投与後10日目に、動物を屠殺し、肝臓試料を回収し、液体窒素中で急速凍結した。組織mRNAを抽出し、ヒトKHK発現を上に記載の通りRT-QPCRによって測定した。ヒトKHK mRNAレベルをハウスキーピング遺伝子GAPDHのmRNAレベルと比較した。次いで、値を、PBS媒体対照群の平均に対して正規化した。データはベースライン値に対するパーセントとして表し、平均値+標準偏差として提示した。表9および図2に示す通り、ヒトKHK mRNAレベルは、hKHKをターゲティングするsiRNAの10mg/kgでの単一用量による処置で降下した。
【0668】
【表8】
【0669】
【表9】
【0670】
均等物
当業者は、規定以下の実験を使用して、本明細書において記載される、具体的実施形態および方法に対する、多くの均等物を認識するか、また確認することができるであろう。このような均等物は、以下の特許請求の範囲により包含されることが意図される。
図1
図2
【配列表】
2023516095000001.app
【国際調査報告】