(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-27
(54)【発明の名称】プロセス中に物体をハンドリングするための把持用工具、システム、挟持用ユニットおよび方法
(51)【国際特許分類】
B25J 15/08 20060101AFI20230420BHJP
【FI】
B25J15/08 L
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022556660
(86)(22)【出願日】2021-03-22
(85)【翻訳文提出日】2022-11-04
(86)【国際出願番号】 DK2021050085
(87)【国際公開番号】W WO2021185424
(87)【国際公開日】2021-09-23
(32)【優先日】2020-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522369876
【氏名又は名称】フューンボ テクノロジー アクティーゼルスカブ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【氏名又は名称】赤木 啓二
(72)【発明者】
【氏名】イェンス フューンボ
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707BS10
3C707ES04
3C707ES15
3C707KS17
3C707KT01
3C707KT05
(57)【要約】
把持用工具(2)がハウジング(7)内に配設された伝達機構を含み、伝達機構が、ハウジング(7)の外側に位置設定された複数のアーム(11)に結合されている、物体(6)をハンドリングするための把持用工具(2)、システム、挟持用ユニット(35)および方法。アーム(11)は、半径方向平面内で第1の端部(15)から第2の端部(16)まで延在し、ここで、各アーム(11)上には1つ以上の把持用フィンガ(12)が配設されている。把持用フィンガ(12)は、アーム(11)上で再位置付けされ得、あるいは、多数の把持用フィンガ(12)を同じアーム(11)上に配設してもよい。アーム(11)は好ましくは屈曲または湾曲輪郭を有しており、ここで屈曲線または湾曲は、ハウジング(7)の中央長手方向軸(A)に対面している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセス中に物体(6)をハンドリングするための把持用工具(2)において、
- 前記把持用工具(1)の長手方向軸(A)を画定するハウジング(7)と、
- 前記ハウジング( )と共に配設された駆動機構と、
- 前記ハウジング(7)の一端部に配設されたインタフェース(8)であって、機械の整合するインタフェース(9)に結合されるかまたは表面上に配設されるように構成されているインタフェース(8)と、
- 前記ハウジング(7)の反対側の端部に配設されている複数のアーム(11)であって、各アーム(11)が、前記物体(6)と接触するように構成された第1の把持用要素(12a)を少なくとも含んでおり、各アーム(11)は、作動された時点で回転軸を中心として回転させられるように構成されており、各アーム(11)が、半径方向平面内で第1の端部(15)から第2の端部(16)まで延在する本体(14)を有し、前記半径方向平面が前記長手方向軸(A)に直交しており、前記駆動機構は、前記半径方向平面内で前記物体(6)と接触しかつ離脱するように前記少なくとも第1の把持用要素(12a)を回転させるように構成され、前記本体(14)は、前記長手方向軸に対面する第1の側(17)と前記長手方向軸から離れる方向に対面する反対側の第2の側(18)を有している、複数のアーム(11)と;
を含む把持用工具であって、
- 前記本体(14)の前記第1の側(17)は、第1の位置における第1の接線と、第2の位置における第2の接線とを有しており、前記第1の接線が、交差点(22)において前記第2の接線と交差していて、前記交差点(22)は、前記アーム(11)が収縮位置にあるとき、アーム(11)の前記長手方向軸(A)から回転軸(B)まで延在する半径を伴う仮想円の内部に位置設定されていることを特徴とする、把持用工具。
【請求項2】
前記第1の側(17’)が、前記第1および第2の端部(15、16)間で延在する湾曲輪郭、または少なくとも第1の線分および第2の線分によって画定される屈曲輪郭を有することを特徴とする、請求項1に記載の把持用工具。
【請求項3】
少なくとも第2の把持用要素(12b)が前記アーム上に配設されており、前記第2の把持用要素(12b)が前記アーム(11)の前記第1および第2の端部(15、16)の間の中間位置(21)に配設されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の把持用工具。
【請求項4】
少なくとも前記第1の把持用要素(12a)が機械的結合、好ましくはクイック解除式締結具または挟持要素によって前記アーム(11)に対し解除可能な形で連結されていることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の把持用工具。
【請求項5】
前記第1の把持用要素(12a)が前記長手方向で測定された第1の高さを有し、前記第2の把持用要素が前記長手方向で測定された第2の高さを有し、前記第1の高さが前記第2の高さと等しいかまたは異なるものであることを特徴とする、請求項3または4に記載の把持用工具。
【請求項6】
前記収縮位置にある前記アームは、
- 各アーム上の少なくとも1つの把持用要素(12a、12b)が互いに接触しており、かつ/または
- 一方のアーム(11)の前記第1の側(17)が、隣接するアーム(11)の前記第1の側(17)に少なくとも部分的に接触している、
ような形で、互いとの関係において位置付けされていることを特徴とする、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の把持用工具。
【請求項7】
前記少なくとも第1の把持用要素(12a)は、各アーム(11)を各回転軸(B)との関係において前記同じ半径方向位置に維持しながら、前記把持用工具(2)の全把持範囲内で動作させられるように構成されていることを特徴とする、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の把持用工具。
【請求項8】
前記少なくとも第1の把持用要素(12a)が、フィンガとしてまたは前記アーム(27)の頂部側(24)から外向きに延在する細長い把持用要素(28)として整形されていることを特徴とする、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の把持用工具。
【請求項9】
前記少なくとも第1の把持用要素(12a)が、前記アーム(11)上の複数の個別位置(20、21、21’)におよび/または前記アーム(11)上の細長い位置付け用要素(33)内に選択的に配設可能であることを特徴とする、請求項1ないし8のいずれか1項に記載の把持用工具。
【請求項10】
プロセス中に物体(6)をハンドリングするように構成されたシステムにおいて、
- 物体(6)を加工するように構成された機械、
を含み、
- 前記機械が、少なくとも1つの工具に結合されるように構成された少なくとも1つのインタフェース(9)を含み、前記少なくとも1つの工具が、請求項1ないし9のいずれか1項に記載の把持用工具(2)であり、
- 前記機械がさらに、前記把持用工具(2)に動力を供給するためのエネルギ源および、少なくとも前記把持用工具(2)の動作を制御するように構成されたコントローラを含んでいる、
システム。
【請求項11】
前記機械が、少なくとも1つのロボットアーム(3)を伴うロボットユニット(1)であり、前記ロボットアーム(3)は、ベース端部から自由端部まで延在し、前記整合するインタフェース(9)が前記ロボットアーム(3)の前記自由端部に位置設定されていることを特徴とする、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
プロセス中に物体(6)をハンドリングするように構成された挟持用ユニット(35)において、表面(36)上に配設されるように構成されている挟持用ユニット(35)であって:
- 請求項1ないし9のいずれか1項に記載の把持用工具(2)と、
- 前記把持用工具(2)の動作を制御するように構成された局所コントローラであって、遠隔ユーザインタフェースまたは局所ユーザインタフェースのうちの少なくとも1つに電気的に接続されている局所コントローラと、
- 局所エネルギ源、または外部エネルギ源に連結されるように構成された結合用要素のうちの少なくとも1つであって、前記局所または外部エネルギ源が前記挟持用ユニット(35)に対して動力を供給するように構成されている、局所エネルギ源または結合用要素のうちの少なくとも1つと、
を含む挟持用ユニット。
【請求項13】
前記表面上に配設されるように整形された底部表面を有するアダプタ要素(37)をさらに含み、前記アダプタ要素(37)がさらに、前記把持用工具(2)の前記インタフェース(8)に結合されるかまたはこのインタフェース内に一体化されるように構成された頂部表面を有することを特徴とする、請求項12に記載の挟持用ユニット。
【請求項14】
請求項10または11に記載のシステムまたは請求項12または13に記載の挟持用ユニット(35)を用いてプロセス中に物体(6)をハンドリングする方法において:
- 前記把持用工具(2)を選択された物体(6)との関係における所定の位置に移動させるか、あるいは前記物体(6)を前記把持用工具(2)との関係における所定の位置に移動させるステップと;
- 前記把持用工具(2)を作動させて、半径方向平面内の前記把持用フィンガ(12)を前記選択された物体(6)と接触するように回転させるステップと、
- 前記物体(6)についてのプロセスまたは前記物体(6)が関与するプロセスを行なうステップと、
- 前記把持用工具(2)をさらに作動させて、前記把持用フィンガ(12)を前記半径方向平面内の前記選択された物体(6)から離脱させるように回転させるステップと、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械のアームに結合されるかまたは表面上に配設されるように構成された、把持用工具、好ましくは、多数の把持用要素を伴う把持具において、把持用工具のハウジングに対して回転可能な形で連結された複数のアームを含み、各アームが、物体を把持するための少なくとも1つの把持点を有する把持用工具に関する。
【背景技術】
【0002】
組立て、加工、選別および梱包中に物体をハンドリングするためにロボットのロボットアーム上に組付けられた把持用工具を使用することは、公知である。把持用工具には、特定の物体を把持点で把持するように各々設計された2つ以上の把持用アームが取付けられている。把持用アームは、把持プロセス中にさまざまな位置の間で移動するように構成されており、ここで把持用工具の動作はロボットユニット内の局所コントローラによって制御される。任意には、局所コントローラは、中央コントローラからの指令を受信することができる。
【0003】
それぞれのインタフェースを含むロボットアームには、各々がロボットアームに少なくとも一定の自由度(DOF)を提供する1つ以上の関節が取付けられている。典型的には、ロボットアームは、5~7のDOFを有するが、いくつかのロボットアームには、2または3のDOFしか無い。把持用工具ならびにロボットユニットの設計は、ロボットユニットによってハンドリングされるよう意図された物体のサイズ、形状および重量に基づいて選択される。
【0004】
ロボットアームひいては把持用工具の軸方向移動を監視するためのセンサおよび/またはカメラを使用することが公知である。これらのセンサまたはカメラからの信号は次に、特定の物体との関係において把持用アームを正しく位置付けするために、局所コントローラによって使用される。局所コントローラは、代替的には、把持用工具を位置付けするために物体の2次元または3次元マップを使用することができる。
【0005】
Robert Bosch GmbHによる特許文献1(米国特許出願公開第2013/0341944号明細書)は、把持用装置がそのハウジング内に配設された共通の伝達機構に全て連結されている3つのアームを含んでいる、保護装置が備わったハンドリング用ロボット向けの把持用装置について開示している。各アームは、一方の端部が挟持用配設により伝達機構の回転シャフトに連結され、他方の端部が把持用フィンガに連結されている、半径方向平面内で延在する細長い本体を有している。把持用フィンガは、スナップイン結合を用いてアームに連結される。
【0006】
非常に大きい物体を把持するためには、手作業によりアームをより長いアームと交換しなければならない。
【0007】
Schunk GmbHによる特許文献2(欧州特許第2390068号明細書)は、空気圧式に動作させられる伝達機構と全て連結された3つのアームを伴う把持用装置において、各アームがL字形本体を有し、ここで脚部間の屈曲が中央長手方向軸から外向きに対面している把持用装置を開示している。アームの一方の脚部は、伝達機構の回転シャフトに連結され、アームの他方の脚部は、自由端部において把持用フィンガに連結されている。把持具フィンガは、物体と接触するように回転させられるアームの側に配設される。アームは、回転シャフトとアームの両方の中の陥凹部内に配設された係止用ピンによって回転シャフトとの関係において固定される。この把持用装置は、0~100mmの外径を有する円形物体、および10~125mmの内径を有する環状物体を把持することができると記されている。
【0008】
しかしながら、特許文献2(欧州特許第2390068号明細書)は、把持用フィンガがそれぞれのアーム内でどのようにして所定の場所に保持されるかについて言及しておらず、また、把持用フィンガの交換可能性について暗示または示唆することもしていない。例示された構成は、把持用フィンガがアームに堅固に取付けられるか、またはアームの一体化された部分を形成することを示唆している。
【0009】
把持用装置の別の例は、ハウジングの内部で共通の伝達機構に全て連結された3つのアームを含む、OnRobot社製の型式3FG15である。各アームは、長手方向平面内で延在する全体としてL字形の本体を有し、ここで一方の端部には伝達機構の回転シャフトに連結された小さなディスクが組付けられている。把持用装置は、20~160mmの把持範囲を有するが、把持用フィンガを全把持範囲内で動作させるためには、アームをディスクとの関係において手動で移動させなければならない。さらに、把持用フィンガをそれぞれのアーム上に再位置付けすることはできない。
【0010】
長手方向平面内で延在する類似のアームを伴う把持用装置が、特許文献3(中国特許出願公開第103963067号明細書)、特許文献4(米国特許第4598942号明細書)および特許文献5(米国特許第4765669号明細書)中で開示されている。上述の把持用装置において、把持プロセスは、半径方向平面内で行なわれている。
【0011】
特許文献6(特開2006-082140号公報)は、機械の整合するインタフェースに結合されるように構成されたインタフェースを有するハウジングと共に配設された駆動機構を含む把持用工具について記述している。把持用工具は、ハウジングの反対側の端部に配設された3つの回転可能なアームを有し、各アームは、半径方向平面内で延在し、物体と接触させられるべく適応されたシェル形の本体を有する。作動された時点で回転軸を中心として各アームを回転させて、このアームを半径方向平面内の物体と接触させるかまたは離脱させることができる。
【0012】
他の把持用装置は、長手方向平面内で移動するように構成された2つまたは3つのアームを含む。アームには、把持用フィンガを移動させて物体と接触させるために、1つ以上の関節が取付けられていてよい。
【0013】
したがって、柔軟性、動作範囲および昇降能力が改善された把持用工具または挟持用工具に対するニーズが存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許出願公開第2013/0341944号明細書
【特許文献2】欧州特許第2390068号明細書
【特許文献3】中国特許出願公開第103963067号明細書
【特許文献4】米国特許第4598942号明細書
【特許文献5】米国特許第4765669号明細書
【特許文献6】特開2006-082140号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、上述の問題を解決することのできる把持用工具を提供することにある。
【0016】
本発明の別の目的は、全把持範囲内で動作可能な把持用工具を提供することにある。
【0017】
本発明のさらなる目的は、工具類を使用することなく把持用フィンガの位置の調整を可能にする把持用工具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の目的は、プロセス中に物体をハンドリングするための把持用工具において、
- 把持用工具の長手方向軸を画定するハウジングと、
- ハウジングと共に配設された駆動機構と、
- ハウジングの一端部に配設されたインタフェースであって、機械の整合するインタフェースに結合されるかまたは表面上に配設されるように構成されているインタフェースと、
- ハウジングの反対側の端部に配設されている複数のアームであって、各アームが、物体と接触するように構成された第1の把持用要素を少なくとも含んでおり、ここで各アームは、作動された時点で回転軸を中心として回転させられるように構成されており、各アームが、半径方向平面内で第1の端部から第2の端部まで延在する本体を有し、半径方向平面が長手方向軸に直交しており、ここで、駆動機構は、半径方向平面内で物体と接触しかつ離脱するように少なくとも第1の把持用要素を回転させるように構成され、本体は、長手方向軸に対面する第1の側と長手方向軸から離れるように対面する反対側の第2の側を有している、複数のアームと;
を含む把持用工具であって、
- ここで、本体の第1の側は、第1の位置における第1の接線と、第2の位置における第2の接線とを有しており、第1の接線が、交差点において第2の接線と交差していて、交差点は、アームが収縮位置にあるとき、アームの長手方向軸から回転軸まで延在する半径を伴う仮想円の内部に位置設定されていることを特徴とする、把持用工具によって達成される。
【0019】
これにより、同じタイプの従来の把持用工具に比べて改善された柔軟性を有するロボットまたは挟持の利用分野向けの把持用工具の代替的設計が提供される。該把持用工具は、コンパクトで軽量の設計を有し、増大した昇降能力を提供する。
【0020】
把持用工具は、長手方向で第1の端部から第2の端部まで延在する保護ハウジングを有する。ハウジングはさらに、半径方向でも延在し、外側表面および内側表面を形成し、ここで内側表面、第1および第2の端部は共に1つの内部チャンバを形成する。ハウジングは、任意の好適な材料、好ましくは軽量材料、例えばプラスチック材料、繊維強化材料または金属、例えばアルミニウムまたはステンレス鋼で作られていてよい。こうして、駆動機構、電気的構成要素および他の高感度の構成要素を、把持用工具が設置される環境内に存在する粉塵、水分、有害ガスおよび他の粒子から遮蔽することができる。
【0021】
第1の端部は、後述するように、外部機械上に位置設定された整合するインタフェースに対して把持用工具を組付けるためのインタフェースを形成するように適応され得る。把持用工具は、工具類を使用することなく、例えばねじ結合または解除可能な連結を用いて、ロボットアーム上に組付け可能である。代替的には、把持用工具を機械に組付けるために、締結具を使用してもよい。インタフェースはさらに、把持用工具に対して加圧空気または加圧油、電力および/または制御信号を供給するための他の結合用要素を含み得る。こうして、把持用工具を外部エネルギ源によって駆動できることから、重量およびコストが節約される。これによって同様に、把持用工具の簡単かつ迅速な組付けも可能になる。
【0022】
第1の端部は同様に、後述するように、挟持用工具として機能するように表面上で把持用工具を配設するように構成されたインタフェースを形成するように適応させることもできる。インタフェースは、把持用工具を表面上に位置付けできるようにするための1つ以上の支持要素、組付け用要素または締結用要素を含むことができる。インタフェースは、好ましくは、把持用工具を表面との関係において正しく配向できるように構成されたアダプタまたはベースとして整形され得る。インタフェースは、把持用工具に対して加圧空気または加圧油、電力および/または制御信号を供給するための結合用要素を含み得る。こうして、把持用工具を外部エネルギ源によって駆動できることから、重量およびコストが節約される。代替的には、把持用工具は、内部エネルギ源、例えばバッテリ、光電池、またはそれらの組合せを含み得る。
【0023】
第2の端部は、内部チャンバを閉鎖するためのエンドプレートを含み得る。回転シャフトがエンドプレートを貫通して延在し、アームを駆動機構に結合させることを可能にすることができる。エンドプレート内の開口部をさらに密封して、粉塵、水分、有害ガスおよび他の粒子が内部チャンバに進入するのを防ぐことができる。代替的には、アームはエンドプレートから突出するピンに連結され得、アクチュエータはアームを作動させるためにアームに結合され得る。突出ピンを中心にしてアームを回転させるために、リニアアクチュエータ、油圧アクチュエータ、空気圧アクチュエータ、または電気機械アクチュエータを使用することができる。これにより、電気ケーブル又は流体ホースのみがエンドプレートを貫通して延在し、こうしてエンドプレートの密閉性を高めることが可能になる。
【0024】
各アームは、半径方向平面内で第1の端部から第2の端部まで延在する本体を有する。第1の端部は、アームが半径方向平面内部で回転できるようにするため、回転シャフトまたは突出ピンに連結されるように構成されている。第2の端部は、アームの自由端部を形成する。本体はさらに、頂部側、底部側、第1の側および第2の側を有する。収縮位置に置かれた場合、第1の側は、ハウジングひいては把持用工具の中央長手方向軸に向かって対面している。第2の側は、長手方向軸から離れる方向に対面している。少なくとも2つのアーム、好ましくは3つのアームが、駆動機構または個別のアクチュエータに結合されている。
【0025】
アームは、エンドプレートとの関係において配設され得、回転シャフトまたは突出ピンによって画定された回転軸を中心にして回転することができる。各アームのための回転軸は、長手方向軸から一定の半径方向距離のところ、好ましくは等しい半径方向距離のところに位置設定されてよい。半径方向平面は、機械のインタフェースから一定の長手方向距離のところに位置設定され得る。コンパクトかつ軽量の設計に起因して、この長手方向距離は最小限に短縮され、これにより、より高い昇降能力が可能となる。
【0026】
把持用工具は、多数の把持用工具または把持用工具と別の工具の組合せなどの多数の工具を組付けるために工具コネクタに結合され得る。好ましくは、工具コネクタは、同時に少なくとも2つの工具を組付けることができるような形で構成され得るが、3つ、4つまたはそれ以上の工具も同様に組付け可能である。工具コネクタは、把持用工具および機械のインタフェース間に配設可能である。工具コネクタは、アームの半径方向平面が機械のインタフェースに直交して配設され得るような形で、整形され得る。代替的には、アームの半径方向平面を、機械のインタフェースに対して例えば30~60度などの鋭角で配設することができる。これにより、多数の把持用工具を同時に機械に連結することが可能になり、ここで把持用工具は同時にまたは個別に動作させることができる。
【0027】
一実施形態によると、第1の側は、第1および第2の端部間で延在する湾曲輪郭、または少なくとも第1の線分および第2の線分によって画定される屈曲輪郭を有する。
【0028】
アームは、少なくとも第1の側に長手方向軸に向かって対面する凸状の側が存在している本体を有する。凸状の側は、湾曲または屈曲輪郭によって形成されている。第1の側は、第1の点に第1の接線を、第2の点に第2の接線を有し、ここで第1の接線と第2の接線は交差点において交差している。この交差点は、アームが収縮位置へと回転させられる時に長手方向軸と回転軸の間の半径方向距離によって画定される仮想円の内部に位置設定されている。交差する接線は、90~180度の鈍角を形成する。特許文献2(欧州特許第2390068号明細書)とは異なり、本体は中央長手方向軸から離れるように屈曲させられ、したがって2つの平坦な側の接線の間の交差点はアームの回転軸よりも大きい半径方向距離のところに位置設定されている。
【0029】
収縮位置は、把持用工具が最小限の把持距離を有している位置として画定される。把持用工具が最大の把持距離を有する伸長位置へとアームを回転させることも可能である。最小および最大把持距離は、共に把持用工具の把持範囲を画定するものである。
【0030】
アームの本体は、第1および第2の側の一方または両方が湾曲した表面輪郭を有する全体的に湾曲した輪郭を有していてよい。アームは、例中、環状区分形状の本体を有していてよい。代替的には、第1の側は、第2の側より大きい曲率を有し得る。したがって、アームは、細身の本体輪郭を有することができ、重量は削減される。
【0031】
本体は同様に、第1および第2の側のうちの一方または両方が屈曲した表面輪郭を有する全体的に屈曲した輪郭を有していてもよい。第1の側および/または第2の側は、例中、屈曲部ラインにおいて交差させられる第1の線分と第2の線分を有し得る。第1および第2の線分は、直線であってよい。任意には、第1および第2の線分の間に中央線分が配設されていてよい。中央線分は曲線であり得る。したがって、アームは細身の本体を有することができ、重量は削減される。
【0032】
代替的には、本体は、湾曲したまたは屈曲する第1の側および直線の第2の側を有し得る。こうしてアームは、全体として三角形、円弧状または楕円区分形状の本体を有することができる。これにより、構造的強度が増大した本体輪郭が提供され、こうしてより大きな挟持または把持力が可能になる。
【0033】
アームおよび/または把持用要素は、任意の好適な材料、好ましくは軽量材料、例えばプラスチック材料、繊維強化材料または金属、例えばアルミニウムまたはステンレス鋼製であってよい。しかしながら、他の材料を使用することも可能である。
【0034】
一実施形態によると、少なくとも第2の把持用要素がアーム上に配設されており、第2の把持用要素がアームの第1および第2の端部の間の中間位置に配設されている。
【0035】
各アーム上の把持用要素の数は、特定の利用分野および物体の寸法に応じて選択可能である。例中、アーム上に単一の把持用要素を配設することが可能である。代替的には、2つ、3つまたはそれ以上の把持用要素をアーム上に配設することができる。把持用要素は、半径方向平面に直交して延在するかまたは半径方向平面との関係において一定の角度で設置され得る。
【0036】
任意には、アームの自由端部、例えば第2の端部は、把持用要素としても作用し得る。この実施形態においては、アーム上には、さらなる把持用要素は全く配設されなくてよい。代替的には、アーム上で中間位置に、1つ以上のさらなる把持用要素を配設することができる。この設計は、ロボットユニットが大型物体をハンドリングする利用分野のために好ましい可能性がある。
【0037】
アーム上の把持用要素の局所的位置は、特定の利用分野および物体の寸法に適応可能である。
【0038】
第1の把持用要素を、アーム上の最外側部分、例えば第2の端部に配設することができる。これにより、把持用工具が大型物体を把持することが可能になる。
【0039】
代替的にまたは付加的には、1つ以上の第2の把持用要素をアーム上の1つ以上の中間位置に配設することが可能である。こうして、把持用工具が小型および中型の物体を把持することが可能になる。
【0040】
例中、第1の把持用要素を第2の端部に配設し、第2の把持用要素を選択された中間位置に配設することが可能である。例中、第1および第2の把持用要素の両方を、異なる中間位置に配設することができる。これにより、把持用工具は、異なるサイズおよび形状の物体を把持することができるようになる。
【0041】
ここで、中間位置は、アームの第1および第2の端部間の任意の位置として画定される。第2の端部または第2の端部に最も近いところにある位置が最外側位置を画定する。第1の端部に最も近いところにある位置が最内側位置を画定する。
【0042】
一実施形態によると、少なくとも第1の把持用要素は、機械的結合、好ましくはクイック解除式締結具または挟持要素によってアームに対し解除可能な形で連結されている。
【0043】
把持用要素は、アームに対して堅固に連結されて、例えばアームの一体化した部分を形成することができる。これにより、把持用要素およびアームをモノブロックで製造することが可能になるものの、把持用要素を再位置付けすることはできない。したがって、代替的には、アームの自由端部を別の把持用要素として使用するか、または異なる長さおよび/または異なる把持用要素を有するアームキットを使用することができる。
【0044】
好ましくは、把持用要素は、アームに対して解除可能な形で連結され得る。アームは、把持用要素用に1つ、2つ、3つまたはそれ以上の組付け位置を含むことができる。把持用要素は、第1の連結部分を含むことができ、アームは第2の連結部分を含むことができ、ここで第1および第2の連結部分は互いに解除可能な形で連結可能であり、これにより、把持用要素をアーム上に再位置付けすることおよび/または把持用要素の置換が可能となる。
【0045】
例中、解除可能な連結は、ねじ式結合、スナップ式結合、クイック解除式締結具またはばね式結合であり得る。アームに挟持力を加えるための挟持用要素などの他のタイプの解除可能な連結も同様に使用可能である。これにより、把持用要素は、工具類を使用せずに再位置付けまたは置換可能となる。このような解除可能な連結は、公知であることから、詳述しない。
【0046】
従来の把持用工具、例えばOnRobot社製の3FG15においては、把持用フィンガは、工具類を用いてディスクとの関係においてアームの位置を調整することによって、再位置付けされる。
【0047】
一実施形態によると、第1の把持用要素は、長手方向で測定された第1の高さを有し、第2の把持用要素は、長手方向で測定された第2の高さを有し、第1の高さは第2の高さに等しいかまたは異なるものである。
【0048】
把持用要素は、アームの頂部表面から把持用要素の自由端部表面まで長手方向に測定された高さを有し得る。把持用要素はさらに、半径方向に、幅、例えば直径を有し得る。把持用要素の寸法および輪郭は、特定の利用分野およびハンドリングすべき物体に応じて選択され得る。
【0049】
さらに把持用フィンガは、軟質材料、把持用要素の残りの部分よりも高い摩擦係数を有する材料、または粗い表面または表面微細構造を有する材料で覆われていてよい。代替的には、把持用要素は、軟質材料、高い摩擦係数を有する材料、または粗い表面または表面微細構造を有する材料で作られていてよい。このような材料は当業者にとって公知であり、さらに詳述しない。
【0050】
アームに2つ以上の把持用要素が取付けられている場合には、第1および第2の把持用要素は等しい高さを有することができる。代替的には、第1の把持用要素は第1の高さを有し、第2の把持用要素は第2の高さを有する。第1の高さは第2の高さより低いか、またはその逆である。
【0051】
任意には、把持用工具と共に把持用要素キットを使用することができ、この場合、個別の把持用要素は異なる高さおよび/または異なる輪郭を有する。
【0052】
一実施形態によると、収縮位置にあるアームは、
- 各アーム上の少なくとも1つの把持用要素が互いに接触しており、かつ/または
- 一方のアームの第1の側が、隣接するアームの第1の側に少なくとも部分的に接触している、
ような形で、互いとの関係において位置付けされている。
【0053】
本発明の特別な実施形態において、アームは、収縮位置へと回転させられた時点で、アーム上の選択された把持用要素セットが互いに接触するような形で設計され得る。代替的にまたは付加的には、1つのアームの第1の側は、隣接するアームの第2の側と部分的に接触することができる。
【0054】
任意には、アームは、例えば数ミリメートルの小さな間隙が隣接するアームの間に形成されるような形で、位置付けされてよい。
【0055】
個別の把持用要素の間の接触表面は、把持用要素上の摩耗を削減する目的で接触表面積を増大させるように適応され得る。
【0056】
一実施形態によると、少なくとも第1の把持用要素は、各アームを各回転軸との関係において同じ半径方向位置に維持しながら、把持用工具の全把持範囲内で動作させられるように構成されている。
【0057】
従来の把持用工具とは異なり、本把持用工具は、アームの半径方向位置を調整する必要なく、把持用工具の全把持範囲内で動作可能である。さらに、把持用フィンガの位置は、工具類を使用せずに、調整可能である。
【0058】
これは、それぞれのアーム上に2つ以上の把持用要素を具備することにより達成され得、ここで、最内側把持用要素を最小把持位置へと回転させることができ、最外側把持用要素を最大把持位置へと回転させることができる。最小および最大把持位置は、共に把持用工具の最大つまり全把持範囲を画定する。
【0059】
これは同様に、単にクイック解除式連結を介してアーム上の把持用要素の位置を調整することによって達成可能であり、これにより、工具類を使用せずに迅速かつ簡単にアーム上で把持用要素を再位置付けすることが可能になる。
【0060】
把持用工具は、把持用要素が物体の外部表面と接触するように移動させられた場合に、第1の把持範囲を有し得る。さらに、把持用工具は、把持用要素が物体の内部表面と接触するように移動させられた場合に、第2の把持範囲を有し得る。
【0061】
一実施形態によると、少なくとも第1の把持用要素は、アームの頂部側から突出するフィンガまたはアームの頂部側に沿って延在する細長い把持用要素として整形されている。
【0062】
好ましくは、把持用要素は、予め決定された横断面およびその長手方向軸に沿った予め決定された輪郭を有する把持用フィンガとして整形されてよい。把持用フィンガは、任意の好適な横断面輪郭および/または長手方向輪郭を有することができる。例中、把持用フィンガは、円形、楕円形、多角形、三角形、矩形または別の好適な横断面を有することができる。把持用要素は、その長手方向軸に沿って恒常な輪郭を有することができ、代替的には、輪郭は長手方向軸に沿って変動してよい。こうして、把持用フィンガは、物体の所望される1つ以上のタイプに適応された本体を有することが可能となる。
【0063】
把持用要素は同様に、アームに沿って局所的な第1の端部から局所的な第2の端部まで延在する細長い把持用要素としても整形され得る。この細長い把持用要素は、部分的にまたは完全にアームの長さに沿って延在し得る。細長い把持用要素はさらに、局所的な第1の側、局所的な第2の側および局所的な頂部側を有し得る。こうして、把持用要素の代替的設計が可能となる。
【0064】
細長い把持用要素は、局所的第1の端部から局所的第2の端部までまたはその逆にテーバの付いた高さを有し得る。したがって、局所的頂部側は、アームの頂部側との関係において角度が付いていてよい。代替的には、細長い把持用要素は、局所的第1の端部から局所的第2の端部まで、またはその逆に延在する段付きの輪郭を有していてよい。したがって、局所的頂部側は、各々予め決定された高さと長さを有する複数の段を形成し得る。段付きの輪郭は、特定の利用分野およびハンドリングするべく意図された物体に応じて選択可能である。
【0065】
一実施形態によると、少なくとも第1の把持用要素は、アーム上の複数の個別位置におよび/またはアーム上の細長い位置付け用要素内に選択的に配設可能である。
【0066】
アームは、把持用フィンガまたは細長い要素をアームとの関係において選択的に位置付けするための複数の位置を含み得る。好ましくは、アームの長さに沿って、2つ、3つ、4つまたはそれ以上の位置を分布させることができる。例中、1つの把持用フィンガを1つの位置、例えば第2の端部に堅固に連結することができ、1つ以上の追加の把持用フィンガを他の位置のうちの1つ以上に選択的に配設することができる。例中、1つ以上の把持用フィンガの全てを、位置のうちの1つ以上に選択的に配設することができる。例中、細長い把持用要素は、多数の位置全体にわたって延在し、2つ以上の位置でアームに対し選択的に連結され得る。
【0067】
把持用要素は、雄連結部分を含むことができ、アームは雌連結部分を含むことができ、あるいはその逆も可能である。雌連結部分は、例えば内部ねじ山または第1のスナップ嵌合要素を伴うキャビティ(非貫通孔)または貫通孔として形成可能である。雄部分は、例えば外部ねじ山または第2のスナップ嵌合要素を伴う突出要素として形成可能である。第1のスナップ嵌合要素は、第2のスナップ嵌合要素と係合するように構成され得る。これにより、把持用要素の迅速かつ容易な挿入および除去が可能となる。
【0068】
アームは同様に、細長い位置付け用要素を含むこともでき、ここでこの位置付け用要素に沿った任意の位置に、把持用要素を選択的に配設することができる。位置付け用要素は、キャビティ(非貫通孔)または貫通孔であり得る。把持用要素は、摩擦、圧入、挟持力、ばね力または他の手段によって、選択された位置に保持され得る。これにより同様に、把持用要素をアームの長さに沿って選択的に配設することも可能となる。
【0069】
代替的には、位置付け用要素は、各々把持用要素用の選択的位置を画定する複数のスロットを含む組継ぎを含むことができる。把持用フィンガの雄連結部分は、把持用フィンガを回し1つのスロットから別のスロットへと押すことができるように、引っ込んだまたは平坦な部分を含むことができる。次に把持用フィンガを回して元に戻し、その位置に係止することができる。細長い把持用要素が2つ以上の雄部分を含む場合、雄部分は、1セットのスロットから引き出され、その後別のスロットセット内に押込まれ得る。
【0070】
把持用工具は、異なるサイズおよび形状の物体を把持するように構成され得る。物体は、円形または楕円形の横断面、または多角形形状の横断面を有することができる。これらの物体は、好適には、物体の外部表面と接触する把持用フィンガによって把持されてよい。
【0071】
把持用工具は同様に、物体の内部表面と接触するように把持用フィンガを回転させることによって、物体を把持するように構成されてもよい。このような物体は、環状または輪状の輪郭を有し得る。物体は同様に、開口空間、例えばキャビティまたは貫通孔を含むこともでき、ここで把持用フィンガは、この空間の内側表面と接触している。
【0072】
本発明の目的は同様に、プロセス中に物体をハンドリングするように構成されたシステムにおいて、
- 物体を加工するように構成された機械、
を含み、
- 機械が、上述の通りの少なくとも1つの把持用工具に結合されるように構成された少なくとも1つのインタフェースを含み、
- 機械がさらに、把持用工具に動力を供給するためのエネルギ源および、少なくとも把持用工具の動作を制御するように構成されたコントローラを含んでいる、
システムによって達成される。
【0073】
これにより、改善された把持の柔軟性および増大した昇降能力を有するシステムが提供される。本把持用工具は、異なるサイズおよび形状の物体を把持することができる。
【0074】
機械は、上方の把持用工具のインタフェースに結合されるように構成された整合するインタフェースを含む。このインタフェースは、さらに、機械内のエネルギ源に対して、または機械に結合されたエネルギ源に対して把持用工具の駆動機構を連結するための電気的結合用要素および/またはホース結合用要素を含むことができる。エネルギ源は、空気圧式、油圧式または電気式動力を把持用工具に提供するように構成され得る。こうして、機械または外部エネルギ源により把持用工具に動力を供給することが可能になる。
【0075】
機械はさらに、少なくとも把持用工具の動作を制御するように構成されたコントローラを含む。機械には、物体を操作し、工作しかつ/または処理するための好適な手段が取付けられていてよい。これらの手段の動作も同様に、コントローラによって制御されてよい。把持用工具は機械内に物体をロードし、プロセス中この物体を保持し、かつ/または加工済みの物体を機械からアンロードすることができる。機械は、中で把持用工具が使用され、そこで物体に対してプロセスが行なわれるか物体がそのプロセスの一部を成している、あらゆる機械であってよい。
【0076】
任意には、コントローラは、インタフェースを介して把持用工具内の1つ以上のセンサに対し電気的に接続され得る。コントローラは、これらのセンサ信号を用いて、把持用工具の軸方向移動および/または把持用要素の作動を制御することができる。
【0077】
一実施形態によると、機械は、少なくとも1つのロボットアームを伴うロボットユニットであり、ここでロボットアームは、ベース端部から自由端部まで延在し、整合するインタフェースは、ロボットアームの自由端部に位置設定されている。
【0078】
ロボットユニットは、各々ベース端部から自由端部まで延在している1つ以上のロボットアームを含む。ロボットアームは、多軸方向移動が可能となるように1つ以上の関節を含むことができる。ロボットユニットはさらに、ロボットの動作そしてロボットアームに取付けられた把持用工具の動作も制御するように構成されたコントローラを含む。ロボットならびに把持用工具に動力供給するための手段、例えば電源、空気圧エネルギ源および油圧エネルギ源は、ロボットユニット上に配設されるかまたはロボットユニットに結合されてよい。したがって、ロボット工具はコンパクトで軽量の構成を有することができる。
【0079】
コントローラは、作業者または人工頭脳(AI)がロボットユニットをプログラミングしかつ/または動作させることを可能にするように構成されたユーザインタフェースに接続されてよい。ユーザインタフェースは、ロボットユニット上に位置設定されたユーザ端末であり得る。ユーザインタフェースは同様に、遠隔端末または計算デバイスであってよい。公知の技術またはAIシステムを用いてロボットユニットをプログラミングし、動作させることが可能である。
【0080】
機械またはロボットユニットには、工具の軸方向移動を検知するための1つ以上のセンサが取付けられていてよい。センサは加速度計、ジャイロスコープまたは別の好適なセンサであってよい。これにより、コントローラは、ロボットアームひいては工具の軸方向移動をこれらのセンサからの信号に基づいて監視することが可能になる。
【0081】
代替的または付加的に、把持用工具には、物体との関係における把持用工具の位置を検出するための1つ以上のセンサが取付けられていてよい。センサは、視覚センサ、触覚センサ、超音波センサ、近接センサ、力トルクセンサまたは別の好適なセンサであってよい。これらのセンサは、インタフェースを介して、コントローラに対して電気的に接続され得る。これにより、コントローラは、センサ信号に基づいて物体との関係において把持用工具を正しく位置付けすることが可能となる。コントローラは、任意には、把持用工具を正しく位置付けするために、物体の2次元または3次元マップを使用することができる。
【0082】
コントローラは、把持用工具が物体の重心と整列するように把持用工具の位置を調整することができる。コントローラは、力トルクセンサからの信号を用いて、把持用工具と物体との間のあらゆる誤整列および/または、安全性閾値を拡張するあらゆる負荷を検出することができる。コントローラはこのとき、相応して把持用工具を再位置付けすることができる。代替的には、把持用工具に誤整列がある場合であっても、物体を把持することができる。このとき、局所コントローラは、物体の配向を調整することによってこの誤整列を補償することができる。
【0083】
本発明の目的はさらに、プロセス中に物体をハンドリングするように構成された挟持用ユニットにおいて、表面上に配設されるように構成されている挟持用ユニットであって:
- 以上で説明した通りの把持用工具と、
- 把持用工具の動作を制御するように構成された局所コントローラであって、遠隔ユーザインタフェースまたは局所ユーザインタフェースのうちの少なくとも1つに電気的に接続されている局所コントローラと、
- 局所エネルギ源または外部エネルギ源に連結されるように構成された結合用要素のうちの少なくとも1つであって、局所または外部エネルギ源が挟持用ユニットに対して動力を供給するように構成されている、エネルギ源または結合用要素のうちの少なくとも1つと、
を含む挟持用ユニットによって達成される。
【0084】
こうして改善された把持柔軟性および増大した昇降能力を有する挟持用工具が提供される。この把持用工具は、異なるサイズおよび形状の物体を把持することができる。挟持用工具は、その設置を容易にするため異なる表面の上に配設されるように適応される。
【0085】
挟持用工具は、把持用工具内、例えばハウジング内に配設された局所コントローラを有する。局所コントローラは、把持用工具の動作を制御するように構成されており、エネルギ源に対して電気的に接続されている。局所コントローラはマイクロプロセッサ、電気回路、プログラマブル論理回路または別の好適なコントローラであってよい。局所コントローラはさらに、先に言及した把持用工具内のセンサに対して電気的に接続され得、ここで、局所コントローラは、把持用工具の動作を制御するためにこれらのセンサ信号を使用する。
【0086】
挟持用工具はさらに、把持用工具およびその電気的構成要素に動力供給するため、例えばバッテリまたは光電池などの内部エネルギ源を有する。代替的または付加的に、挟持用工具は、それを外部エネルギ源、例えば送電網に連結するための結合用要素を含むことができる。これにより、挟持用工具を独立型ユニットとして構成することが可能となる。
【0087】
一実施形態によると、挟持用ユニットは、表面上に配設されるように整形された底部表面を有するアダプタ要素をさらに含み、アダプタ要素はさらに、把持用工具のインタフェースに結合されるかまたはこのインタフェース内に一体化されるように構成された頂部表面を有する。
【0088】
把持用工具のハウジングそして任意には第1の端部は、重量材料、例えば鋳鉄または鋼製であってよく、あるいは、増大した壁厚を有していてよい。したがって、インタフェースを形成する第1の端部は、単に例えばテーブルの特定の表面上に設置されるように整形されていてよい。
【0089】
第1の端部は同様に、締結具により表面上に組付けられるように構成されたブラケットとして整形されてもよく、あるいは、挟持具を用いて表面にブラケットを固定することができる。第1の端部は代替的には、吸着カップ、高摩擦パッド、磁石および/またはスパイクを含んでいてもよい。こうして、挟持用工具を、低摩擦表面、傾斜面、さらには垂直な表面上に設置することが可能になる。
【0090】
挟持用工具はさらに、把持用工具の第1の端部に取付けられるように構成されたアダプタ要素を含んでいてよく、代替的には、アダプタ要素は、第1の端部内に一体化され得る。アダプタ要素は、表面と接触させられるように整形された底部側を有することができる。アダプタ要素はさらに、把持用工具に取付けられるように整形されているかまたは把持用工具のハウジングの第1の端部を形成するように整形されている頂部側を有することができる。
【0091】
底部側および頂部側は、平行に配設されるかまたは、把持用工具が表面との関係において傾動させられるような形で一定の角度で配設され得る。アダプタ要素は、頂部側を1つ以上の傾動軸を中心として傾動させることができるように、調整可能な機構を含み得る。これにより、物体を加工するために最適な位置に物体を設置することが可能になる。
【0092】
挟持用工具はさらに、作業者が把持用工具を動作させることができるように構成されたユーザインタフェースを含む。ユーザインタフェースは、ユーザ端末、グラフィカルユーザインタフェース、押しボタンまたは別の好適なユーザインタフェースであってよい。代替的にまたは付加的には、挟持用工具は、遠隔装置、例えばユーザ端末またはコンピュータデバイスと無線通信する無線送受信機、例えばアンテナを含み得る。コンピュータデバイスは、タブレット、スマートホン、ラップトップ、PDA、ファブレット、または別の好適なコンピュータデバイスであってよい。計算プログラムまたはアプリケーションは、コンピュータデバイス上で実行するように構成されていてよく、したがって、好適な制御信号を介して局所コントローラと通信し得る。これにより、作業者は、好ましくは直感的に把持用工具を動作させることが可能となる。
【0093】
本発明の目的は、さらに、上述の通りの把持用工具を伴うシステムまたは挟持用ユニットを用いてプロセス中に物体をハンドリングする方法において:
- 把持用工具を選択された物体との関係における所定の位置に移動させるか、あるいは物体を把持用工具との関係における所定の位置に移動させるステップと;
- 把持用工具を作動させて、半径方向平面内の把持用フィンガを選択された物体と接触するように回転させるステップと、
- 物体についてのプロセスまたは物体が関与するプロセスを行なうステップと、
- 把持用工具をさらに作動させて、把持用フィンガを半径方向平面内の選択された物体から離脱させるように回転させるステップと、
を含む方法によって達成される。
【0094】
これにより、把持用工具が異なるサイズおよび形状の物体を把持することのできる、物体の操作方法が提供される。これにより、把持用フィンガを特定の物体に適応させるためにいかなる工具類も必要とされないことから、把持用工具の柔軟性が増大する。同様に、これによって、アームの半径方向平面と機械のインタフェースとの間の距離が最小限に短縮されこうして曲げモーメントが削減されることから、従来の把持用工具に比べ把持能力が増大する。
【0095】
物体は、機械との関係におけるロード位置へと、個別またはグループのいずれかの形で補給され得る。その後把持用工具を選択された物体との関係において所定の位置に移動させることができる。例えば把持用工具の位置付けに先立って、またはその最中に、駆動機構により、把持用要素を開放位置に回転させることができる。把持用工具をさらに物体に向かって移動させることができ、把持用要素を物体と接触するように移動させて把持力を加えることができる。
【0096】
その後、物体をその位置から上昇させ、機械により新しい位置および/または配向へと操作することができる。把持用工具をさらに、アンロード位置に向かって移動させることができる。その後、把持用要素を物体から離脱させるように移動させることができ、把持用工具を物体から離れるように移動させることができる。任意には、新しい物体をピックアップするために、把持用工具をロード位置に移動し戻すことができる。
【0097】
代りに物体を把持用工具との関係における所定の位置へと移動させることができる。物体を位置付けする前に、把持用要素を開放位置へと回転させることができる。その後、把持用要素を物体と接触するように回転させることができる。このとき、物体は、挟持用工具によって所定の場所に保持されながら、好適なプロセスを受けることができる。その後、把持用要素を物体から離脱するように回転させることができ、加工済の物体を把持用工具から取外すことができる。
【0098】
本発明は、例によってのみかつ図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【
図1】
図1は、把持用工具を伴うロボットユニットの例示的実施形態を示す。
【
図3】
図3は、物体を伴うロボットユニットの側面図を示す。
【
図4a-4b】
図4a~bは、把持用フィンガが収縮位置および伸長位置にある状態での、アームの第1の実施形態を示す。
【
図5a-5b】
図5a~bは、把持用フィンガが収縮位置および伸長位置にある状態での、アームの第2の実施形態を示す。
【
図6】
図6は、把持用フィンガの設置のための2つの位置を伴うアームを示す。
【
図7】
図7は、三角形の本体を有するアームの第2の実施形態を示す。
【
図8】
図8は、湾曲した本体を有するアームの第3の実施形態を示す。
【
図9】
図9は、把持用フィンガの設置のための多数の位置を伴うアームの第4の実施形態を示す。
【
図10】
図10は、第1の把持用フィンガおよびこの第1の把持用フィンガよりも短い第2の把持用フィンガを伴うアームを示す。
【
図11】
図11は、第1の把持用フィンガおよびこの第1の把持用フィンガよりも大きい第2の把持用フィンガを伴うアームを示す。
【
図12a-12f】
図12a~fは、把持用フィンガの6つの変形実施形態を示す。
【
図13】
図13は、把持用フィンガの一変形実施形態を伴うアームを示す。
【
図14a-14b】
図14a~bは、アーム上に配設された細長い把持用要素の第1の実施形態を示す。
【
図15a-15b】
図15a~bは、アーム上に配設された細長い把持用要素の第2の実施形態を示す。
【
図16】
図16は、細長い位置付け用要素を伴うアームの第5の実施形態を示す。
【
図17】
図17は、細長い位置付け用要素の変形実施形態を示す。
【
図18】
図18は、把持用工具が物体を保持している状態の、挟持用工具を示す。
【
図19】
図19は、多数の工具を組付けるための工具コネクタを示す。
【0100】
以下では、図を1つずつ説明し、図中に見られる様々な部分および位置を、異なる図中において同じ番号で付番するものとする。特定の図に標示された全ての部分および位置が、必ずしもその図と共に論述されるわけではない。
【発明を実施するための形態】
【0101】
図1は、ロボットユニット1のロボットアーム3に組付けられた把持用工具2を伴うロボットユニット1の例示的実施形態を示す。ここで、ロボットアーム3は、ベース4から、インタフェース9が配設されている自由端部まで延在している。ロボットユニット1はさらに、ロボットアーム3および把持用工具2の動作を制御するように構成された局所コントローラ5を含む。
【0102】
図2および3は、把持用工具2によって把持された物体6を伴うロボットユニット1を示す。把持用工具2は、第1の端部および反対側の第2の端部を有するハウジング7を含む。第1の端部は、ロボットアーム3の整合する第2のインタフェース9に組付けられるように構成された第1のインタフェース8として形成される。伝達機構10が、ハウジング7の内側に配設され、個別の回転シャフト(図示せず)を介していくつかのアーム11に連結される。伝達機構10はさらに、第1および第2のインタフェース8、9を介して動力を受取るように構成されている。
【0103】
図3に示されているように、アーム11は、半径方向平面を形成し、この半径方向平面の中でアームはその回転シャフトによって画定された回転軸を中心として回転させられる。半径方向平面は、第1および第2の端部を通って延在する把持用工具2の長手方向軸(
図4aで図示)に直交している。半径方向平面は、第1および第2のインタフェース8、9によって画定された別の半径方向平面から最小限の距離のところに配設される。
【0104】
図4a~bは、各々アーム11上の中間位置に配設された把持用フィンガ12が取付けられているアーム11の第1の実施形態を示す。
図4aは伸長位置へと回転させられたアーム11と把持用フィンガ12を示し、一方
図4bは、収縮位置へと回転させられたアーム11と把持用フィンガ12を示す。
【0105】
アーム11および把持用フィンガ12は、半径方向平面内でハウジング7の第2の端部13との関係において回転させられる。
図4aでは、把持用フィンガ12は、局所的最大把持位置を標示する伸長位置まで回転させられる。
図4bにおいて、把持用フィンガ12は、把持用フィンガ12が互いに接触する収縮位置まで回転させられる。この位置は、把持用工具2の最小把持位置を標示している。
【0106】
図5a~bは、各々アーム11上の最外側位置に配設された把持用フィンガ12’が取付けられているアーム11の第2の実施形態を示す。
図5aは伸長位置へと回転させられたアーム11と把持用フィンガ12’を示し、一方
図5bは、収縮位置へと回転させられたアーム11と把持用フィンガ12’を示す。
【0107】
アーム11および把持用フィンガ12’は、半径方向平面内でハウジング7の第2の端部13との関係において回転させられる。
図5aでは、把持用フィンガ12’は、把持用工具2の最大把持位置を標示する伸長位置まで回転させられる。
図5bにおいて、把持用フィンガ12’は、アーム11が互いに部分的に平行である収縮位置まで回転させられる。この位置は、局所的最小把持位置を標示している。
【0108】
図6は、アーム11が半径方向平面内で延在する本体14を有している、アーム11の第1の実施形態を示す。ここでは、アーム11は、屈曲輪郭を有する。本体14は第1の端部15から第2の端部16まで延在し、第1の側17と第2の側18とを有する。第1の端部15は、そのアーム11のための回転軸を画定する回転シャフト19に連結される。
【0109】
アーム11は、
図5a~bに標示されている通りの把持用フィンガ12の設置のための第1の位置または最外側位置20を有する。アーム12はさらに、
図4a~bに標示されている通りの把持用フィンガ12の代替的設置のための第2の位置または中間位置21を有する。
【0110】
第1の側17は、交差点22で互いに交差する第1の線分と第2の線分によって形成される。ここで、交差点22は、第1の側17の屈曲線によって形成されている。2つの線分は、鈍角αを形成する。この交差点22は、
図5aに標示されているように、アーム11の中央長手方向軸Aから回転軸Bまで延在する半径を有する仮想円の中に位置設定されている。
【0111】
図7は、三角形の本体14’を有するアーム11’の第2の実施形態を示す。第1の側17は同様に、屈曲線において鈍角αを有する2つの線分によって形成される。第2の側18’は、第1および第2の端部15’、16’の間に延在する直線によって形成される。
【0112】
図8は、湾曲した本体14’’を有するアーム11’の第3の実施形態を示す。ここで第1の側17’は、第1の端部15’’から第2の端部16’’まで延在する湾曲した表面輪郭を有する。第2の側18’’は同様に、第1の端部15’’から第2の端部16’’まで延在する湾曲した表面輪郭を有する。第1の側17’は、第1の位置に第1の接線を、第2の位置に第2の接線を有し、ここで2つの接線は交差点22で交差する。2つの接線は、鈍角αを形成する。
【0113】
第1の位置は好ましくは、第1の端部15’’またはその近くに位置設定される。第2の位置は好ましくは、第2の端部16’’またはその近くに位置設定される。
【0114】
図9は、把持用フィンガ12の設置のための多数の位置を有するアーム11’’’の第4の実施形態を示す。ここでは、3つの位置が示されているが、アーム11’’’は追加の位置を含み得る。
【0115】
最外側位置が第2の端部16に位置設定され、一方、最内側位置が第1の端部15に向かって、例えば屈曲部に位置設定される。
【0116】
図10は、第1の把持用フィンガ12aが第2の端部16に配設されているアーム11を示している。第2の把持用フィンガ12bはさらに、中間位置21に配設されている。アーム11は、底部側23と頂部側24の間で測定される厚みを有する。第1の把持用フィンガ12aは、把持用フィンガ12aの頂部側24から端部表面まで測定される第1の高さを有する。第2の把持用フィンガ12bは、把持用フィンガ12bの頂部側24から端部表面まで測定される第2の高さを有する。ここで第1の高さは、第2の高さよりも大きい。
【0117】
図11は、別の第1の把持用フィンガ12a’が第2の端部16に配設されているアーム11を示している。別の第2の把持用フィンガ12b’はさらに、中間位置21に配設されている。第1の把持用フィンガ12a’は、把持用フィンガ12a’の頂部側24から端部表面まで測定される第1の高さを有する。第2の把持用フィンガ12b’は、把持用フィンガ12b’の頂部側24から端部表面まで測定される第2の高さを有する。ここで第2の高さは、第1の高さよりも大きい。
【0118】
図12a~fは、把持用フィンガ25の6つの変形実施形態を示す。ここで、把持用フィンガ25は、選択された位置20、21、21’に、解除可能な連結26を介してアーム11に対して組付けられるように構成された別個のフィンガである。ここで、解除可能な連結26は、クイック解除式締結具である。
【0119】
例中、第1の把持用フィンガ12aは、アーム11に対し堅固に連結され得、一方第2の把持用フィンガ12bはアーム11に対して解除可能な形で連結され得、あるいはその逆でもあり得る。代替的には、第1および第2の把持用フィンガ12a、12bは両方共、解除可能な形で連結されるかまたはアーム11に対して堅固に連結されてよい。
【0120】
図12aにおいて、把持用フィンガ12、25は、円形の横断面輪郭を有する。把持用フィンガ12、25は、
図12bにおいて、収縮位置へと回転させられた時点で隣接する把持用フィンガ12、25と接触するための平坦な補助表面を伴う円形の横断面輪郭を有する。
図12cにおいて、平坦な補助表面の代りに、把持用フィンガ12、25は突出部分を有する。ここでは、突出部分は三角形の形状を有するが、他の形状を使用することも可能である。
【0121】
把持用フィンガ12、25は、
図12cにおいて、方形または矩形の横断面輪郭を有する。把持用フィンガ12、25は、
図12dにおいて、三角形の横断面輪郭を有する。最後に、
図12eにおいて、把持用フィンガ12、25は、多角形の横断面輪郭を有する。
【0122】
図12a~eにおいて把持用フィンガ12、25は、高さに沿って恒常な輪郭を有するものの、把持用フィンガ12、25の輪郭は高さに沿って変動し得る。例中、把持用フィンガ12、25は、円錐形状のまたはテーパの付いた輪郭を高さ方向に有することができる。
【0123】
図13は、把持用フィンガ12’の変形実施形態を伴うアーム11を示しており、ここで把持用フィンガ12’は、
図4a~5bに示された横断面輪郭に比べて増大した横断面輪郭を有する。ここで、把持用フィンガ12’の直径はアーム11の厚みよりも大きい。
【0124】
図14a~bは、アーム27上に配設された細長い把持用要素28の第1の実施形態を示す。ここで、細長い把持用要素28は、アーム27と一体化されてモノブロックを形成しているが、上述のように、細長い把持用要素28をアーム27に対して解除可能な形で連結することも同様に可能である。
【0125】
細長い把持用要素28は、アーム27の頂部側24に沿って、局所的第1の端部31から局所的第2の端部30まで延在する。細長い把持用要素28は、頂部側24から局所的頂部側29まで測定された高さを有する。ここで、細長い把持用要素28は、局所的第2の端部30から局所的第1の端部31までテーパの付いた段付きの輪郭を有する。
【0126】
図15a~bは、アーム27上に配設された細長い把持用要素28’の第2の実施形態を示す。ここで、細長い把持用要素28’は、局所的第1の端部31から局所的第2の端部30までテーパの付いた段付きの輪郭を有する。
【0127】
図16は、細長い位置付け用要素33を伴うアーム32の第5の実施形態を示す。ここでは、細長い位置付け用要素は細長い貫通孔として形成されている。
【0128】
把持用フィンガ12、25または把持用要素28は、細長い位置付け用要素33の長さに沿った任意の位置に選択的に配設され得る。把持用フィンガ12、25または把持用要素28はここでは、摩擦、プレス嵌めまたは挟持具によって選択された位置に保持されている。
【0129】
図17は、アーム32’上の細長い位置付け用要素33’の変形実施形態を示す。ここでは、細長い位置付け用要素33’は、各々把持用フィンガ12、25または把持用要素28のための選択的位置を画定する複数のスロット34を含んでいる。把持用フィンガ12、25または把持用要素28はここでは、組継ぎによって所定の場所に保持される。
【0130】
図18は、物体6を保持する把持用工具2’を伴う挟持用ユニット35を示し、ここで挟持用ユニット35は表面36上に配設されている。挟持用ユニット35は、表面36上に設置され把持用工具2’の第1の端部に結合されるように構成されたアダプタ要素37を含む。
【0131】
挟持用ユニット35は、把持用工具2’に動力供給する内部エネルギ源およびユーザインタフェース(図示せず)を有する。ユーザインタフェースは、挟持用ユニット35の内部に配設された局所コントローラに対して電気的に接続されている。把持用工具の動作は局所コントローラによって制御される。
【0132】
図19は、多数の工具、好ましくは、多数の把持用工具2を組付けるための工具コネクタ38を示す。工具コネクタ38は、機械、好ましくはロボットユニット1のロボットアーム3に組付けられるように構成されている。
【符号の説明】
【0133】
1.ロボットユニット
2.把持用工具
3.ロボットアーム
4.ベース
5.局所コントローラ
6.物体
7.ハウジング
8.第1のインタフェース
9.第2のインタフェース
10.伝達機構
11.アーム
12.把持用フィンガ
12a.第1の把持用フィンガ
12b.第2の把持用フィンガ
13.第2の端部
14.本体
15.第1の端部
16.第2の端部
17.第1の側
18.第2の側
19.回転シャフト
20.最外側位置
21.中間位置
22.交差点
23.底部側
24.頂部側
25.把持用フィンガ
26.解除可能な連結
27.アーム
28.細長い把持用要素
29.局所的頂部側
30.局所的第2の側
31.局所的第1の側
32.アーム
33.細長い位置付け用要素
34.スロット
35.挟持用ユニット
36.表面
37.アダプタ要素
38.工具コネクタ
【国際調査報告】