IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ビーワイディー カンパニー リミテッドの特許一覧

<>
  • 特表-モータ制御システム及び車両 図1
  • 特表-モータ制御システム及び車両 図2
  • 特表-モータ制御システム及び車両 図3
  • 特表-モータ制御システム及び車両 図4
  • 特表-モータ制御システム及び車両 図5
  • 特表-モータ制御システム及び車両 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-01
(54)【発明の名称】モータ制御システム及び車両
(51)【国際特許分類】
   H02P 29/00 20160101AFI20230424BHJP
   B60L 3/04 20060101ALI20230424BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20230424BHJP
   B60L 58/10 20190101ALI20230424BHJP
【FI】
H02P29/00
B60L3/04 E
B60L50/60
B60L58/10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022555927
(86)(22)【出願日】2021-03-17
(85)【翻訳文提出日】2022-11-14
(86)【国際出願番号】 CN2021081357
(87)【国際公開番号】W WO2021185288
(87)【国際公開日】2021-09-23
(31)【優先権主張番号】202010188480.4
(32)【優先日】2020-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510177809
【氏名又は名称】ビーワイディー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100221372
【弁理士】
【氏名又は名称】岡崎 信治
(72)【発明者】
【氏名】徐▲魯▼▲輝▼
(72)【発明者】
【氏名】▲喩▼▲軼▼▲龍▼
(72)【発明者】
【氏名】杜智勇
(72)【発明者】
【氏名】▲齊▼阿喜
(72)【発明者】
【氏名】▲楊▼▲広▼明
【テーマコード(参考)】
5H125
5H501
【Fターム(参考)】
5H125AA01
5H125AC12
5H125BA00
5H125BB02
5H125BC05
5H125CD04
5H125EE06
5H125EE07
5H125EE08
5H125EE13
5H125EE16
5H501AA20
5H501BB08
5H501CC04
5H501EE08
5H501HA09
5H501HB07
5H501HB16
5H501LL01
5H501LL22
5H501LL23
5H501LL35
5H501LL52
5H501LL53
5H501MM01
5H501MM09
(57)【要約】
モータ制御システム及び車両であり、該モータ制御システム(1)は、主制御ユニット(10)、電源ユニット(20)及び駆動ユニット(30)を含み、前記主制御ユニット(10)は、モータのサンプリングデータと前記駆動ユニット(30)の電力供給信号を取得し、前記サンプリングデータに基づいてモータ制御信号を生成し、かつ前記サンプリングデータに基づいてモータ駆動が異常であると決定した場合又は前記電力供給信号に基づいて前記駆動ユニット(30)への電力供給が異常であると決定した場合、安全イネーブル信号を出力し、前記電源ユニット(20)は、前記主制御ユニット(10)に電力を供給し、かつ前記主制御ユニット(10)の状態を監視し、それ自体が異常であるか又は前記主制御ユニット(10)が異常である場合、安全遮断信号を出力し、前記駆動ユニット(30)は、モータ制御信号に基づいてモータを駆動し、かつ前記安全イネーブル信号と前記安全遮断信号のうちのいずれかの信号を受信した場合、安全経路に切り替える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主制御ユニット、電源ユニット及び駆動ユニットを含み、
前記主制御ユニットは、モータのサンプリングデータと前記駆動ユニットの電力供給信号を取得し、前記サンプリングデータに基づいてモータ制御信号を生成し、前記サンプリングデータに基づいてモータ駆動が異常であると決定した場合又は前記電力供給信号に基づいて前記駆動ユニットへの電力供給が異常であると決定した場合、安全イネーブル信号を出力し、
前記電源ユニットは、前記主制御ユニットに電力を供給し、前記主制御ユニットの状態を監視し、それ自体が異常であるか又は前記主制御ユニットが異常である場合、安全遮断信号を出力し、
前記駆動ユニットは、モータ制御信号に基づいてモータを駆動し、前記安全イネーブル信号と前記安全遮断信号のうちのいずれかの信号を受信した場合、安全経路に切り替えることを特徴とする、モータ制御システム。
【請求項2】
前記サンプリングデータは、モータ回転速度と母線電圧のうちの少なくとも1種を含み、
前記主制御ユニットは、モータ駆動が異常である場合、サンプリングデータに基づいて安全経路に切り替えるように駆動ユニットを制御し、モータ回転速度と所定の回転速度との差分の絶対値が回転速度差分設定値より小さい場合、又は、母線電圧と所定の電圧との差分の絶対値が電圧差分設定値より小さい場合、全てオフになるように駆動ユニットの6つの駆動パワーユニットを制御することを特徴とする、請求項1に記載のモータ制御システム。
【請求項3】
前記主制御ユニットは、前記駆動ユニットへの電力供給が異常である場合、全てオフになるように前記駆動ユニットの6つの駆動パワーユニットを制御し、
前記電源ユニットは、それ自体が異常であるか又は前記主制御ユニットが異常である場合、全てオフになるように前記駆動ユニットの6つの駆動パワーユニットを制御することを特徴とする、請求項1又は2に記載のモータ制御システム。
【請求項4】
前記主制御ユニットは、複数の制御コア又は複数の処理チップである複数の制御サブユニットを含むことを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載のモータ制御システム。
【請求項5】
複数の前記制御サブユニットは、
モータのサンプリングデータを取得し、前記モータのサンプリングデータに基づいて前記モータ制御信号を生成する主機能サブユニットと、
情報診断を行って診断情報を生成し、前記主機能サブユニットのプロセスデータを取得することにより、前記主機能サブユニットの状態を監視する監視サブユニットとを少なくとも含むことを特徴とする、請求項4に記載のモータ制御システム。
【請求項6】
前記サンプリングデータは、モータ角度データを含み、
複数の前記制御サブユニットは、前記モータ角度データを変換復号することにより、モータ制御に必要な角度を取得する第1の補助処理サブユニットをさらに含むことを特徴とする、請求項5に記載のモータ制御システム。
【請求項7】
前記監視サブユニットは、診断情報、制御をイネーブルするか否かの情報、及びモータを安全状態にすることができる制御情報に基づいて、モータ安全制御信号を生成し、
複数の前記制御サブユニットは、前記サンプリングデータに基づいてモータ駆動状態を決定し、前記主機能サブユニットによって出力されたモータ制御信号と、前記監視サブユニットによって出力されたモータ安全制御信号と、モータ駆動状態とに基づいて、最終モータ制御信号を出力する第2の補助処理サブユニットをさらに含むことを特徴とする、請求項6に記載のモータ制御システム。
【請求項8】
前記第2の補助処理サブユニットは、
前記サンプリングデータに基づいて前記モータ駆動状態を決定する迅速保護モジュールと、
モータ駆動が正常である場合、前記主機能サブユニットのモータ制御信号を前記最終モータ制御信号とし、前記主機能サブユニットのモータ制御信号に基づいてモータの動作を制御し、或いは、モータ駆動が異常である場合、前記監視サブユニットのモータ安全制御信号を前記最終モータ制御信号とし、前記サンプリングデータに基づいて安全経路に切り替えるように前記駆動ユニットを制御する制御信号処理モジュールとを含むことを特徴とする、請求項7に記載のモータ制御システム。
【請求項9】
それぞれ前記駆動ユニットの3相の上アーム回路と3相の下アーム回路に電力を供給する2つの駆動電源を含み、
或いは、それぞれ前記駆動ユニットの3相の上アーム回路と3相の下アーム回路の6つの駆動パワーユニットに電力を供給する6つの駆動電源を含むことを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載のモータ制御システム。
【請求項10】
モータと、請求項1~9のいずれか1項に記載のモータ制御システムとを含み、前記モータ制御システムは、前記モータに対して駆動制御を行うことを特徴とする、車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本開示は、ビーワイディーカンパニーリミテッドが2020年3月17日に提出した、名称が「モータ制御システム及び車両」の中国特許出願第「202010188480.4」号の優先権を主張するものである。
【0002】
本開示は、車両の技術分野に関し、特にモータ制御システム及び該モータ制御システムを含む車両に関する。
【背景技術】
【0003】
現在、電気自動車の発展はますます加速している。バッテリー式電気自動車の動力源は、基本的にモータ駆動動力源であり、ハイブリッド自動車もモータ駆動システムを備える。車両への応用分野において、モータ駆動制御に対して、機能及び性能を考慮するだけでなく、予期しない状態の出現を回避するために、安全性及び信頼性をより多く考慮する必要がある。モータコントローラの設計過程において、一般的に、機能及び性能を考慮する解決手段が多く、モータコントローラの安全性の設計が十分ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、関連技術における技術的課題の1つを少なくともある程度解決しようとする。
【0005】
このため、本開示は、モータ制御の安全性を向上させることができるモータ制御システムを提供することを目的とする。
【0006】
本開示は、前記モータ制御システムを含む車両を提供することを別の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本開示の第1の態様の実施例のモータ制御システムは、主制御ユニット、電源ユニット及び駆動ユニットを含む。前記主制御ユニットは、モータのサンプリングデータと前記駆動ユニットの電力供給信号を取得し、前記サンプリングデータに基づいてモータ制御信号を生成し、前記サンプリングデータに基づいてモータ駆動が異常であると決定した場合又は前記電力供給信号に基づいて前記駆動ユニットへの電力供給が異常であると決定した場合、安全イネーブル信号を出力する。前記電源ユニットは、前記主制御ユニットに電力を供給し、前記主制御ユニットの状態を監視し、それ自体が異常であるか又は前記主制御ユニットが異常である場合、安全遮断信号を出力する。前記駆動ユニットは、モータ制御信号に基づいてモータを駆動し、前記安全イネーブル信号と前記安全遮断信号のうちのいずれかの信号を受信した場合、安全経路に切り替える。
【0008】
本開示の実施例のモータ制御システムによれば、主制御ユニットによりモータ駆動及び駆動ユニットへの電力供給を監視し、電源ユニットにより主制御ユニットの状態を監視し、すなわち、様々な監視メカニズムを設定し、また、駆動ユニットが安全遮断信号と安全イネーブル信号のうちのいずれかの信号を受信した場合、安全経路に切り替え、すなわち、複数の安全遮断経路を増加させることにより、モータ駆動が異常である場合、モータを安全状態にすることができるため、モータ制御の安全レベルを向上させることができる。
【0009】
上記目的を達成するために、本開示の第2の態様の実施例の車両は、モータと、前記モータ制御システムとを含み、前記モータ制御システムは、前記モータに対して駆動制御を行う。
【発明の効果】
【0010】
本開示の実施例の車両によれば、上記実施例のモータ制御システムを用いることにより、モータ制御の安全レベルを向上させ、安全性を向上させることができる。
【0011】
本開示の追加の態様及び利点は、一部が以下の説明において示され、一部が以下の説明において明らかになるか又は本開示の実施により把握される。
【0012】
本開示の上記及び/又は追加の態様及び利点は、以下の図面を参照して実施例を説明することにより、明らかになって理解されやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】従来技術におけるモータ制御システムのトポロジー構成の概略図である。
図2】本開示の一実施例に係るモータ制御システムのトポロジー構成の概略図である。
図3】本開示の一実施例に係る、安全経路に切り替えるように駆動ユニットを制御するフローチャートである。
図4】本開示の一実施例に係る主制御ユニットの内部構成の概略図である。
図5】本開示の一実施例に係る、制御信号を処理し、安全経路に切り替えるように駆動ユニットを制御するフローチャートである。
図6】本開示の一実施例に係る車両のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示の実施例を詳細に説明する。上記実施例は図面に示される。全体を通して同一又は類似する符号は、同一又は類似する部品、若しくは同一又は類似する機能を有する部品を示す。以下、図面を参照しながら説明される実施例は例示的なものであり、本開示を解釈するものであり、本開示を限定するものと理解すべきではない。
【0015】
図1は、従来技術における典型的なモータ駆動システムのトポロジー構成の概略図である。電気自動車の応用シーンでは、モータ制御システムは、システム統合の信頼性及びシステムの安全性を考慮する必要があるが、図1に示す従来の解決手段では、制御信号に対する監視の欠如、安全対象に対する追跡監視の欠如、及び設計過程における信頼できるオフ経路の欠如、機能独立性の不当な分割などにより、従来のモータ制御システムの電気自動車への応用がより高い安全レベルに達することができない。
【0016】
以下、図2図5を参照して本開示の実施例に係るモータ制御システムを説明する。
【0017】
図2は、本開示の一実施例に係るモータ制御システムのトポロジー構成の概略図である。図2に示すように、本開示の実施例のモータ制御システム1は、主制御ユニット10、電源ユニット20及び駆動ユニット30を含む。
【0018】
主制御ユニット10は、モータのサンプリングデータと駆動ユニット30の電力供給信号を取得し、サンプリングデータに基づいてモータ制御信号を生成し、サンプリングデータに基づいてモータ駆動が異常であると決定した場合又は電力供給信号に基づいて駆動ユニット30への電力供給が異常であると決定した場合、安全イネーブル信号を出力する。
【0019】
サンプリングデータは、電流サンプリングデータ、電圧サンプリングデータ及びモータ角度データなどを含んでもよい。主制御ユニット10は、サンプリングデータに基づいてトルク監視を行い、モータが安全対象トルクに基づいて動作するか否かを判断し、両者が一致しなければ、モータ駆動が異常であると判断し、dis/en_able信号などの安全イネーブル信号を駆動ユニット30に出力する。主制御ユニット10はまた、駆動ユニット30への電力供給を監視し、電力供給が異常である場合、例えば、供給された電力が高すぎる場合、安全イネーブル信号を駆動ユニット30に送信する。
【0020】
電源ユニット20は、主制御ユニット10に電力を供給し、例えば、主制御ユニット10の低圧部分にVccを提供し、主制御ユニット10の状態を監視する。電源ユニット20と主制御ユニット10は、SPI(Serial Peripheral Interface、シリアル・ペリフェラル・インタフェース)により通信することができる。電源ユニット20は、それ自体が異常であるか又は主制御ユニット10が異常である場合、FS_signalなどの安全遮断信号を駆動ユニット30に出力する。具体的には、図1に示すように、電源ユニット20は、主制御ユニット10の低圧電力供給のために独立した電力供給領域を提供することができるとともに、DS_signal信号により主制御ユニット10を監視し、主制御ユニット10に故障が発生すれば、FS_signal信号により安全遮断信号を駆動ユニット30に送信することができる。
【0021】
駆動ユニット30は、モータ制御信号に基づいてモータを駆動し、安全イネーブル信号と安全遮断信号のうちのいずれかの信号を受信した場合、安全経路に切り替える。駆動ユニット30の電力供給電源部分は、主制御ユニット10により監視され、電力供給に異常が発生すると、主制御ユニット10は、駆動ユニット30への電力供給を遮断するとともに、駆動ユニット30を安全経路に切り替える。駆動ユニット30は、3相の上アーム回路31及び3相の下アーム回路32を含み、安全経路に切り替えられる場合、駆動信号の出力を停止することができる。すなわち、6つの駆動パワーユニット、例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)をオフにするか、又はそのうちの3相のアームを短絡させることにより、駆動が異常である場合、モータを安全状態にすることができる。
【0022】
本開示の実施例のモータ制御システム1によれば、主制御ユニット10によりモータ駆動及び駆動ユニット30への電力供給を監視し、電源ユニット20により主制御ユニット10の状態を監視する。すなわち、様々な監視メカニズムを設定し、また、駆動ユニット30が安全遮断信号と安全イネーブル信号のうちのいずれかの信号を受信した場合、安全経路に切り替える。すなわち、複数の安全遮断経路を増加させることにより、モータ駆動が異常である場合、モータを安全状態にすることができるため、モータ制御の安全レベルを向上させることができる。
【0023】
いくつかの実施例において、サンプリングデータは、モータ回転速度と母線電圧のうちの少なくとも1種を含んでもよい。主制御ユニット10は、モータ駆動が異常である場合、サンプリングデータに基づいて安全経路に切り替えるように駆動ユニット30を制御し、モータ回転速度と所定の回転速度との差分の絶対値が回転速度差分設定値より小さい場合、又は、母線電圧と所定の電圧との差分の絶対値が電圧差分設定値より小さい場合、全てオフになるように駆動ユニット30の6つの駆動パワーユニットを制御する。
【0024】
或いは、モータ回転速度と所定の回転速度との差分の絶対値が回転速度差分設定値以上である場合、又は、母線電圧と所定の電圧との差分の絶対値が電圧差分設定値以下である場合、さらに駆動ユニット30の3相の上アーム回路に故障が発生するか否かを判断し、故障が発生すれば、短絡させるように3相の上アーム回路31を制御し、故障が発生しなければ、短絡させるように駆動ユニットの3相の下アーム回路32を制御する。
【0025】
具体的には、駆動ユニット30は、主制御ユニット10及び電源ユニット20により制御されてもよい。正常な制御状態では、主制御ユニット10は、駆動ユニット30をイネーブルし、駆動ユニット30は、主制御ユニット10のPWM信号を受信し、パワーユニット、すなわち3相の上アーム回路31及び3相の下アーム回路32を駆動する。主制御ユニット10は、異常を発見すると、dis/en_able信号を送信して、駆動ユニット30を安全経路に切り替えることができる。この場合、母線電圧サンプリング又はモータ回転速度に基づいて、6つの駆動パワーユニットに入ってIGBTを確実にオフにする状態に入るか又は3相回路が能動的に短絡する状態に入るかを判断する。
【0026】
図3は、本開示の一実施例に係る、主制御ユニットが安全経路に入るように駆動ユニットを制御するフローチャートである。具体的には、以下のステップS1~S6を含む。
【0027】
S1では、dis/enable信号を送信し、故障モードに入る。
【0028】
S2では、(モータ回転速度-所定の回転速度)の絶対値<回転速度差分設定値、又は(母線電圧-所定の電圧)の絶対値<電圧差分設定値を満たすか否かを判断する。満たせれば、ステップS3に進み、そうでなければ、ステップS4に移行する。
【0029】
S3では、オフ処理を行うように駆動ユニットの6つの駆動パワーユニットを制御し、警報を出す。
【0030】
S4では、故障信号が3相の上アーム回路に対するものであるか否かを判断し、そうであれば、ステップS5に進み、そうでなければ、ステップS6に移行する。
【0031】
S5では、駆動ユニットの3相の下アーム回路を短絡させ、かつ警報を出す。
【0032】
S6では、駆動ユニットの3相の上アーム回路を短絡させ、かつ警報を出す。
【0033】
同時に、主制御ユニット10は、駆動ユニット30への電力供給を監視する。主制御ユニット10は、駆動ユニット30への電力供給が異常である場合、全てオフになるように駆動ユニット30の6つの駆動パワーユニットを制御することにより、モータが安全状態に入る。
【0034】
同時に、電源ユニット20は、主制御ユニット10から送信された状態情報を受信し、例えば、Ds_signal信号により主制御ユニット10を監視する。電源ユニット20は、それ自体が異常であるか又は主制御ユニット10が異常である場合、全てオフになるように駆動ユニット30の6つの駆動パワーユニットを制御することにより、モータが安全状態に入る。
【0035】
したがって、本開示の実施例のモータ制御システム1は、主制御ユニット10及び電源ユニット20によりマルチパス監視を実現し、かつ駆動が異常である場合、モータを安全状態にする。
【0036】
本開示の実施例において、主制御ユニット10は、マルチチップ処理又はマルチコア処理を用いて、信号、制御対象に対する監視及び様々な診断を実現し、モータに対するより全面的かつ信頼できる制御を提供する。実施例において、主制御ユニット10は、複数の制御コア又は複数の処理チップである複数の制御サブユニットを含む。
【0037】
さらに、図2又は図4に示すように、複数の制御サブユニットは、主機能サブユニット11及び監視サブユニット12を少なくとも含む。主機能サブユニット11は、3相の電流Ia、Ib、Ic、電圧Udc、及び角度データなどのモータのサンプリングデータを取得し、モータのサンプリングデータに基づいてモータ制御信号を生成し、駆動が正常である場合、駆動ユニット30は、該モータ制御信号に基づいてモータを駆動することができる。具体的には、主機能サブユニット11は、主にトルク制御、故障管理などを完了し、例えば、同時にプロセスデータを監視サブユニット12に入力する。監視サブユニット12は、情報診断を行って診断情報を生成し、主機能サブユニット11のプロセスデータを取得することにより、主機能サブユニットの状態を監視し、すなわち、制御フローの監視を行う。具体的には、図4に示すように、監視サブユニット12は、主にトルク監視、故障診断、信号診断、通信診断、出力診断などの機能を完了する。
【0038】
主制御ユニット10が複数の制御コアを用いることを例として説明する。主制御ユニット10は、少なくとも2つの制御コアを含む。1つは主機能を完了し、例えば主機能コア(主機能サブユニット11)と呼ばれてもよい。駆動が正常である場合、主機能コアは、サンプリングデータに基づいてモータ制御信号を生成することにより、駆動ユニット30を制御する。もう1つの制御コアは、制御対象を監視し、例えばロックステップ監視コア(監視サブユニット12)と呼ばれてもよい。該制御コアは、優先的にロックステップ機能を有し、ロックステップ監視コアが、同時に主機能コアに必要な信号を監視する。
【0039】
実施例において、サンプリングデータは、モータ角度データを含んでもよい。複数の制御サブユニットは、第1の補助処理サブユニット13をさらに含む。第1の補助処理サブユニット13は、モータ角度データを変換復号することにより、モータ制御に必要な角度を取得し、モータ角度データを主機能サブユニット11に伝送する。具体的には、図2又は4に示すように、第1の補助処理サブユニット13は、主に変換復号を完了し、励磁信号excをレゾルバに出力してから、レゾルバのsin/cos信号を復調して、モータ制御に必要な角度を取得する。
【0040】
実施例において、監視サブユニット12は、さらに、診断情報、制御をイネーブルするか否かの情報、及びモータを安全状態にすることができる制御情報に基づいて、モータ安全制御信号を生成する。複数の制御サブユニットは、第2の補助処理サブユニット14をさらに含む。第2の補助処理サブユニット14は、サンプリングデータに基づいてモータ駆動状態を決定し、主機能サブユニット11によって出力されたモータ制御信号と、監視サブユニット12によって出力されたモータ安全制御信号と、モータ駆動状態とに基づいて、最終モータ制御信号を出力する。
【0041】
さらに、第2の補助処理サブユニット14は、迅速保護モジュール141及び制御信号処理モジュール142を含む。迅速保護モジュール141は、サンプリングデータに基づいてモータ駆動状態を決定し、例えば、故障が発生した場合にモータが安全状態にあるよう、サンプリングされた電流、電圧、レゾルバ信号などに基づいて駆動が故障したと決定する場合、迅速にオフにすることなどの処理を行う。制御信号処理モジュール142は、モータ駆動が正常である場合、主機能サブユニット11のモータ制御信号を最終モータ制御信号とし、主機能サブユニット11のモータ制御信号PWM0に基づいてモータ動作を制御し、例えば、PWM×3_Tを3相の上アーム回路に出力し、PWM×3_Bを3相の下アーム回路に出力する。或いは、モータ駆動が異常である場合、監視サブユニット12のモータ安全制御信号PWM1を最終モータ制御信号とし、さらにサンプリングデータに基づいて安全経路に切り替えるように駆動ユニット30を制御する。
【0042】
具体的には、図4に示すように、第2の補助処理サブユニット14は、主にPWMなどの最終モータ制御信号の処理を完了する。主機能サブユニット11は、入力された電流信号、電圧信号及び位置信号により、モータ制御アルゴリズムで正常な制御に必要なPWMを計算して取得し、例えば、Data_PWM0を出力する。監視サブユニット12は、診断情報、出力された、PWMをイネーブルするか否かの情報、及びモータを安全状態にすることができるPWM情報に基づいて、PWM1を出力する。すなわち、故障が存在し、制御信号の出力をイネーブルする場合、監視サブユニット12は、安全制御信号を出力する。すなわち、モータを安全に動作させることができるData_PWM1信号を出力する。迅速保護モジュール141は、故障が発生した場合にモータが安全状態にあるようにするために、サンプリングして取得された電流、電圧、レゾルバなどの故障情報により、迅速にオフにすることなどの処理を行う。制御信号処理モジュール142は、Data_PWM0、Data_PWM1及び迅速保護モジュール141の処理情報を統合して、最終的に出力されたPWM_out波形を処理し、故障した場合に母線電圧サンプリング又はモータ回転速度に基づいて、安全経路に切り替えるように駆動ユニット30を制御する。
【0043】
図5は、本開示の一実施例に係る、制御信号処理モジュール141がPWM波形処理プロセスを行うフローチャートであり、以下のステップS11~S19を含む。
【0044】
S11では、Data_PWM0、Data_PWM1及び電流電圧迅速処理信号を受信する。
【0045】
S12では、モータ駆動異常信号があるか否かを診断し、モータ駆動異常信号があれば、ステップS14に移行し、そうでなければ、ステップS13に進む。
【0046】
S13では、PWM_out=Data_PWM0であり、モータが正常な制御状態にある。
【0047】
S14では、PWM_out=Data_PWM1であり、モータを安全状態にする。
【0048】
S15では、(モータ回転速度-所定の回転速度)の絶対値<回転速度差分設定値、又は(母線電圧-所定の電圧)の絶対値<電圧差分設定値を満たすか否かを判断する。満たせれば、ステップS16に進み、満たさなければ、ステップS17に移行する。
【0049】
S16では、オフ処理を行うように駆動ユニットの6つの駆動パワーユニットを制御し、警報を出す。
【0050】
S17では、故障信号が3相の上アーム回路に対するものであるか否かを判断し、そうであれば、ステップS18に進み、そうでなければ、ステップS19に移行する。
【0051】
S18では、駆動ユニットの3相の下アーム回路を短絡させ、警報を出す。
【0052】
S19では、駆動ユニットの3相の上アーム回路を短絡させ、警報を出す。
【0053】
本開示の実施例のモータ制御システム1では、主制御ユニット10は、複数の制御コア又は複数の処理チップを用いて、監視サブユニット12により主機能サブユニット11を監視し、第2の補助処理サブユニット14により制御機能を最適化し、すなわち、制御機能を最適化し統合することにより、安全レベルの向上に役立つ。
【0054】
さらに、図2に示すように、実施例において、駆動ユニット30の各パワーユニットは、独立して電力を供給することができる。例えば、モータ制御システム1は、2つの駆動電源を含む。2つの駆動電源は、それぞれ、駆動ユニット30の3相の上アーム回路31と3相の下アーム回路32に電力Vccを供給する。或いは、モータ制御システム1は、6つの駆動電源を含む。6つの駆動電源は、それぞれ、駆動ユニット30の3相の上アーム回路と3相の下アーム回路の6つの駆動パワーユニットに電力を供給する。それにより、電源の独立した電力供給を実現する。
【0055】
要約すると、本開示の実施例のモータ制御システム1は、より完全な診断メカニズムを増加させ、多層の監視処理により、また制御機能を最適化し統合し、モータ制御システム1に対する多層の動力遮断経路を増加させ、独立した電力供給システムを用い、信号を監視し、制御対象を監視することにより、動力出力の安全性を保証し、電気制御システムがより信頼できるようにし、モータ制御の安全レベルを明らかに向上させ、さらに車両の安全動作を保証することができる。
【0056】
上記実施例のモータ制御システムを基に、以下、図面を参照して本開示の第2の態様の実施例に係る車両を説明する。
【0057】
図6は、本開示の一実施例に係る車両のブロック図であり、図6に示すように、本開示の実施例の車両100は、モータ2と、上記実施例のモータ制御システム1とを含む。モータ制御システム1は、モータ2を制御して、車両の安全レベルを向上させ、モータ制御システム1の構造及び安全設計について、上記実施例の説明を参照することができる。
【0058】
本開示の実施例の車両100によれば、上記実施例のモータ制御システム1を用いることにより、モータ2の制御の安全レベルを向上させ、安全性を向上させることができる。
【0059】
なお、本開示の説明において、用語「中心」、「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」、「時計回り」、「反時計回り」、「軸方向」、「半径方向」、「周方向」などで示す方位又は位置関係は、図面に示す方位又は位置関係に基づくものであり、本開示を容易に説明し説明を簡略化するためのものに過ぎず、示された装置又は部品が特定の方位を有するとともに、特定の方位で構成されて動作しなければならないことを示すか又は示唆するものではないため、本開示を限定するものであると理解すべきではない。
【0060】
また、用語「第1の」、「第2の」は、説明目的のためのみに用いられ、相対的な重要性を示すか又は示唆し、或いは示された技術的特徴の数を暗示的に明示すると理解すべきではない。これにより、「第1の」、「第2の」で限定された特徴は、1つ以上の該特徴を明示的又は暗示的に含んでもよい。本開示の説明において、「複数」とは、明確かつ具体的な限定がない限り、2つ以上を意味する。
【0061】
本開示において、明確な規定及び限定がない限り、用語「取り付け」、「連結」、「接続」、「固定」などは、広義に理解されるべきであり、例えば、固定接続、着脱可能な接続、又は一体的な接続であってもよく、機械的な接続、又は電気的な接続であってもよく、直接的な連結、又は中間媒体を介した間接的な連結であってもよく、2つの部品の内部の連通、又は2つの部品の相互作用の関係であってもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて本開示における上記用語の具体的な意味を理解することができる。
【0062】
本開示において、明確な規定及び限定がない限り、第1の特徴が第2の特徴の「上」又は「下」にあることは、第1の特徴と第2の特徴とが直接的に接触することを含んでもよく、第1の特徴と第2の特徴とが中間媒体を介して間接的に接触することを含んでもよい。また、第1の特徴が第2の特徴の「上」、「上方」又は「上面」にあることは、第1の特徴が第2の特徴の真上及び斜め上にあることを含んでもよく、第1の特徴の水平高さが第2の特徴より高いことだけを表すことを含んでもよい。第1の特徴が第2の特徴の「下」、「下方」又は「下面」にあることは、第1の特徴が第2の特徴の真下及び斜め下にあることを含んでもよく、第1の特徴の水平高さが第2の特徴より低いことだけを表すことを含んでもよい。
【0063】
本明細書の説明において、用語「一実施例」、「いくつかの実施例」、「例」、「具体的な例」又は「いくつかの例」などを参照する説明は、該実施例又は例を組み合わせて説明された具体的な特徴、構成、材料又は特性が本開示の少なくとも1つの実施例又は例に含まれることを意味する。本明細書において、上記用語の例示的な表現は、必ずしも同じ実施例又は例を意味するわけではない。また、説明された具体的な特徴、構造、材料又は特性は、任意の1つ以上の実施例又は例において適切に組み合わせることができる。また、互いに矛盾しない限り、当業者であれば、本明細書で説明された異なる実施例又は例、及び異なる実施例又は例の特徴を結合するか又は組み合わせることができる。
【0064】
以上、本開示の実施例を示し、説明したが、上記実施例は、例示的なものであり、本開示を限定するものと理解すべきではなく、当業者であれば、本開示の範囲で上記実施例に対して変更、修正、交換及び変形を行うことができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2022-11-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本開示は、ビーワイディーカンパニーリミテッドが2020年3月17日に提出した、名称が「モータ制御システム及び車両」の中国特許出願第「202010188480.4」号の優先権を主張するものである。
【0002】
本開示は、車両の技術分野に関し、特にモータ制御システム及び該モータ制御システムを含む車両に関する。
【背景技術】
【0003】
現在、電気自動車の発展はますます加速している。バッテリー式電気自動車の動力源は、基本的にモータ駆動動力源であり、ハイブリッド自動車もモータ駆動システムを備える。車両への応用分野において、モータ駆動制御に対して、機能及び性能を考慮するだけでなく、予期しない状態の出現を回避するために、安全性及び信頼性をより多く考慮する必要がある。モータコントローラの設計過程において、一般的に、機能及び性能を考慮する解決手段が多く、モータコントローラの安全性の設計が十分ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、関連技術における技術的課題の1つを少なくともある程度解決しようとする。
【0005】
このため、本開示は、モータ制御の安全性を向上させることができるモータ制御システムを提供することを目的とする。
【0006】
本開示は、前記モータ制御システムを含む車両を提供することを別の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本開示の第1の態様の実施例のモータ制御システムは、主制御ユニット、電源ユニット及び駆動ユニットを含む。前記主制御ユニットは、モータのサンプリングデータと前記駆動ユニットの電力供給信号を取得し、前記サンプリングデータに基づいてモータ制御信号を生成し、前記サンプリングデータに基づいてモータ駆動が異常であると決定した場合又は前記電力供給信号に基づいて前記駆動ユニットへの電力供給が異常であると決定した場合、安全イネーブル信号を出力する。前記電源ユニットは、前記主制御ユニットに電力を供給し、前記主制御ユニットの状態を監視し、それ自体が異常であるか又は前記主制御ユニットが異常である場合、安全遮断信号を出力する。前記駆動ユニットは、モータ制御信号に基づいてモータを駆動し、前記安全イネーブル信号と前記安全遮断信号のうちのいずれかの信号を受信した場合、安全経路に切り替える。
【0008】
本開示の実施例のモータ制御システムによれば、主制御ユニットによりモータ駆動及び駆動ユニットへの電力供給を監視し、電源ユニットにより主制御ユニットの状態を監視し、すなわち、様々な監視メカニズムを設定し、また、駆動ユニットが安全遮断信号と安全イネーブル信号のうちのいずれかの信号を受信した場合、安全経路に切り替え、すなわち、複数の安全遮断経路を増加させることにより、モータ駆動が異常である場合、モータを安全状態にすることができるため、モータ制御の安全レベルを向上させることができる。
【0009】
上記目的を達成するために、本開示の第2の態様の実施例の車両は、モータと、前記モータ制御システムとを含み、前記モータ制御システムは、前記モータに対して駆動制御を行う。
【発明の効果】
【0010】
本開示の実施例の車両によれば、上記実施例のモータ制御システムを用いることにより、モータ制御の安全レベルを向上させ、安全性を向上させることができる。
【0011】
本開示の追加の態様及び利点は、一部が以下の説明において示され、一部が以下の説明において明らかになるか又は本開示の実施により把握される。
【0012】
本開示の上記及び/又は追加の態様及び利点は、以下の図面を参照して実施例を説明することにより、明らかになって理解されやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】従来技術におけるモータ制御システムのトポロジー構成の概略図である。
図2】本開示の一実施例に係るモータ制御システムのトポロジー構成の概略図である。
図3】本開示の一実施例に係る、安全経路に切り替えるように駆動ユニットを制御するフローチャートである。
図4】本開示の一実施例に係る主制御ユニットの内部構成の概略図である。
図5】本開示の一実施例に係る、制御信号を処理し、安全経路に切り替えるように駆動ユニットを制御するフローチャートである。
図6】本開示の一実施例に係る車両のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示の実施例を詳細に説明する。上記実施例は図面に示される。全体を通して同一又は類似する符号は、同一又は類似する部品、若しくは同一又は類似する機能を有する部品を示す。以下、図面を参照しながら説明される実施例は例示的なものであり、本開示を解釈するものであり、本開示を限定するものと理解すべきではない。
【0015】
図1は、従来技術における典型的なモータ駆動システムのトポロジー構成の概略図である。電気自動車の応用シーンでは、モータ制御システムは、システム統合の信頼性及びシステムの安全性を考慮する必要があるが、図1に示す従来の解決手段では、制御信号に対する監視の欠如、安全対象に対する追跡監視の欠如、及び設計過程における信頼できるオフ経路の欠如、機能独立性の不当な分割などにより、従来のモータ制御システムの電気自動車への応用がより高い安全レベルに達することができない。
【0016】
以下、図2図5を参照して本開示の実施例に係るモータ制御システムを説明する。
【0017】
図2は、本開示の一実施例に係るモータ制御システムのトポロジー構成の概略図である。図2に示すように、本開示の実施例のモータ制御システム1は、主制御ユニット10、電源ユニット20及び駆動ユニット30を含む。
【0018】
主制御ユニット10は、モータのサンプリングデータと駆動ユニット30の電力供給信号を取得し、サンプリングデータに基づいてモータ制御信号を生成し、サンプリングデータに基づいてモータ駆動が異常であると決定した場合又は電力供給信号に基づいて駆動ユニット30への電力供給が異常であると決定した場合、安全イネーブル信号を出力する。
【0019】
サンプリングデータは、電流サンプリングデータ、電圧サンプリングデータ及びモータ角度データなどを含んでもよい。主制御ユニット10は、サンプリングデータに基づいてトルク監視を行い、モータが安全対象トルクに基づいて動作するか否かを判断し、両者が一致しなければ、モータ駆動が異常であると判断し、dis/en_able信号などの安全イネーブル信号を駆動ユニット30に出力する。主制御ユニット10はまた、駆動ユニット30への電力供給を監視し、電力供給が異常である場合、例えば、供給された電力が高すぎる場合、安全イネーブル信号を駆動ユニット30に送信する。
【0020】
電源ユニット20は、主制御ユニット10に電力を供給し、例えば、主制御ユニット10の低圧部分にVccを提供し、主制御ユニット10の状態を監視する。電源ユニット20と主制御ユニット10は、SPI(Serial Peripheral Interface、シリアル・ペリフェラル・インタフェース)により通信することができる。電源ユニット20は、それ自体が異常であるか又は主制御ユニット10が異常である場合、FS_signalなどの安全遮断信号を駆動ユニット30に出力する。具体的には、図1に示すように、電源ユニット20は、主制御ユニット10の低圧電力供給のために独立した電力供給領域を提供することができるとともに、DS_signal信号により主制御ユニット10を監視し、主制御ユニット10に故障が発生すれば、FS_signal信号により安全遮断信号を駆動ユニット30に送信することができる。
【0021】
駆動ユニット30は、モータ制御信号に基づいてモータを駆動し、安全イネーブル信号と安全遮断信号のうちのいずれかの信号を受信した場合、安全経路に切り替える。駆動ユニット30の電力供給電源部分は、主制御ユニット10により監視され、電力供給に異常が発生すると、主制御ユニット10は、駆動ユニット30への電力供給を遮断するとともに、駆動ユニット30を安全経路に切り替える。駆動ユニット30は、3相の上アーム回路31及び3相の下アーム回路32を含み、安全経路に切り替えられる場合、駆動信号の出力を停止することができる。すなわち、6つの駆動パワーユニット、例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)をオフにするか、又はそのうちの3相のアームを短絡させることにより、駆動が異常である場合、モータを安全状態にすることができる。
【0022】
本開示の実施例のモータ制御システム1によれば、主制御ユニット10によりモータ駆動及び駆動ユニット30への電力供給を監視し、電源ユニット20により主制御ユニット10の状態を監視する。すなわち、様々な監視メカニズムを設定し、また、駆動ユニット30が安全遮断信号と安全イネーブル信号のうちのいずれかの信号を受信した場合、安全経路に切り替える。すなわち、複数の安全遮断経路を増加させることにより、モータ駆動が異常である場合、モータを安全状態にすることができるため、モータ制御の安全レベルを向上させることができる。
【0023】
いくつかの実施例において、サンプリングデータは、モータ回転速度と母線電圧のうちの少なくとも1種を含んでもよい。主制御ユニット10は、モータ駆動が異常である場合、サンプリングデータに基づいて安全経路に切り替えるように駆動ユニット30を制御し、モータ回転速度と所定の回転速度との差分の絶対値が回転速度差分設定値より小さい場合、又は、母線電圧と所定の電圧との差分の絶対値が電圧差分設定値より小さい場合、全てオフになるように駆動ユニット30の6つの駆動パワーユニットを制御する。
【0024】
或いは、モータ回転速度と所定の回転速度との差分の絶対値が回転速度差分設定値以上である場合、又は、母線電圧と所定の電圧との差分の絶対値が電圧差分設定値以下である場合、さらに駆動ユニット30の3相の上アーム回路に故障が発生するか否かを判断し、故障が発生すれば、短絡させるように3相の上アーム回路31を制御し、故障が発生しなければ、短絡させるように駆動ユニットの3相の下アーム回路32を制御する。
【0025】
具体的には、駆動ユニット30は、主制御ユニット10及び電源ユニット20により制御されてもよい。正常な制御状態では、主制御ユニット10は、駆動ユニット30をイネーブルし、駆動ユニット30は、主制御ユニット10のPWM信号を受信し、パワーユニット、すなわち3相の上アーム回路31及び3相の下アーム回路32を駆動する。主制御ユニット10は、異常を発見すると、dis/en_able信号を送信して、駆動ユニット30を安全経路に切り替えることができる。この場合、母線電圧サンプリング又はモータ回転速度に基づいて、6つの駆動パワーユニットに入ってIGBTを確実にオフにする状態に入るか又は3相回路が能動的に短絡する状態に入るかを判断する。
【0026】
図3は、本開示の一実施例に係る、主制御ユニットが安全経路に入るように駆動ユニットを制御するフローチャートである。具体的には、以下のステップS1~S6を含む。
【0027】
S1では、dis/enable信号を送信し、故障モードに入る。
【0028】
S2では、(モータ回転速度-所定の回転速度)の絶対値<回転速度差分設定値、又は(母線電圧-所定の電圧)の絶対値<電圧差分設定値を満たすか否かを判断する。満たせれば、ステップS3に進み、そうでなければ、ステップS4に移行する。
【0029】
S3では、オフ処理を行うように駆動ユニットの6つの駆動パワーユニットを制御し、警報を出す。
【0030】
S4では、故障信号が3相の上アーム回路に対するものであるか否かを判断し、そうであれば、ステップS5に進み、そうでなければ、ステップS6に移行する。
【0031】
S5では、駆動ユニットの3相の下アーム回路を短絡させ、かつ警報を出す。
【0032】
S6では、駆動ユニットの3相の上アーム回路を短絡させ、かつ警報を出す。
【0033】
同時に、主制御ユニット10は、駆動ユニット30への電力供給を監視する。主制御ユニット10は、駆動ユニット30への電力供給が異常である場合、全てオフになるように駆動ユニット30の6つの駆動パワーユニットを制御することにより、モータが安全状態に入る。
【0034】
同時に、電源ユニット20は、主制御ユニット10から送信された状態情報を受信し、例えば、Ds_signal信号により主制御ユニット10を監視する。電源ユニット20は、それ自体が異常であるか又は主制御ユニット10が異常である場合、全てオフになるように駆動ユニット30の6つの駆動パワーユニットを制御することにより、モータが安全状態に入る。
【0035】
したがって、本開示の実施例のモータ制御システム1は、主制御ユニット10及び電源ユニット20によりマルチパス監視を実現し、かつ駆動が異常である場合、モータを安全状態にする。
【0036】
本開示の実施例において、主制御ユニット10は、マルチチップ処理又はマルチコア処理を用いて、信号、制御対象に対する監視及び様々な診断を実現し、モータに対するより全面的かつ信頼できる制御を提供する。実施例において、主制御ユニット10は、複数の制御コア又は複数の処理チップである複数の制御サブユニットを含む。
【0037】
さらに、図2又は図4に示すように、複数の制御サブユニットは、主機能サブユニット11及び監視サブユニット12を少なくとも含む。主機能サブユニット11は、3相の電流Ia、Ib、Ic、電圧Udc、及び角度データなどのモータのサンプリングデータを取得し、モータのサンプリングデータに基づいてモータ制御信号を生成し、駆動が正常である場合、駆動ユニット30は、該モータ制御信号に基づいてモータを駆動することができる。具体的には、主機能サブユニット11は、主にトルク制御、故障管理などを完了し、例えば、同時にプロセスデータを監視サブユニット12に入力する。監視サブユニット12は、情報診断を行って診断情報を生成し、主機能サブユニット11のプロセスデータを取得することにより、主機能サブユニットの状態を監視し、すなわち、制御フローの監視を行う。具体的には、図4に示すように、監視サブユニット12は、主にトルク監視、故障診断、信号診断、通信診断、出力診断などの機能を完了する。
【0038】
主制御ユニット10が複数の制御コアを用いることを例として説明する。主制御ユニット10は、少なくとも2つの制御コアを含む。1つは主機能を完了し、例えば主機能コア(主機能サブユニット11)と呼ばれてもよい。駆動が正常である場合、主機能コアは、サンプリングデータに基づいてモータ制御信号を生成することにより、駆動ユニット30を制御する。もう1つの制御コアは、制御対象を監視し、例えばロックステップ監視コア(監視サブユニット12)と呼ばれてもよい。該制御コアは、優先的にロックステップ機能を有し、ロックステップ監視コアが、同時に主機能コアに必要な信号を監視する。
【0039】
実施例において、サンプリングデータは、モータ角度データを含んでもよい。複数の制御サブユニットは、第1の補助処理サブユニット13をさらに含む。第1の補助処理サブユニット13は、モータ角度データを変換復号することにより、モータ制御に必要な角度を取得し、モータ角度データを主機能サブユニット11に伝送する。具体的には、図2又は4に示すように、第1の補助処理サブユニット13は、主に変換復号を完了し、励磁信号excをレゾルバに出力してから、レゾルバのsin/cos信号を復調して、モータ制御に必要な角度を取得する。
【0040】
実施例において、監視サブユニット12は、さらに、診断情報、制御をイネーブルするか否かの情報、及びモータを安全状態にすることができる制御情報に基づいて、モータ安全制御信号を生成する。複数の制御サブユニットは、第2の補助処理サブユニット14をさらに含む。第2の補助処理サブユニット14は、サンプリングデータに基づいてモータ駆動状態を決定し、主機能サブユニット11によって出力されたモータ制御信号と、監視サブユニット12によって出力されたモータ安全制御信号と、モータ駆動状態とに基づいて、最終モータ制御信号を出力する。
【0041】
さらに、第2の補助処理サブユニット14は、迅速保護モジュール141及び制御信号処理モジュール142を含む。迅速保護モジュール141は、サンプリングデータに基づいてモータ駆動状態を決定し、例えば、故障が発生した場合にモータが安全状態にあるよう、サンプリングされた電流、電圧、レゾルバ信号などに基づいて駆動が故障したと決定する場合、迅速にオフにすることなどの処理を行う。制御信号処理モジュール142は、モータ駆動が正常である場合、主機能サブユニット11のモータ制御信号を最終モータ制御信号とし、主機能サブユニット11のモータ制御信号PWM0に基づいてモータ動作を制御し、例えば、PWM×3_Tを3相の上アーム回路に出力し、PWM×3_Bを3相の下アーム回路に出力する。或いは、モータ駆動が異常である場合、監視サブユニット12のモータ安全制御信号PWM1を最終モータ制御信号とし、さらにサンプリングデータに基づいて安全経路に切り替えるように駆動ユニット30を制御する。
【0042】
具体的には、図4に示すように、第2の補助処理サブユニット14は、主にPWMなどの最終モータ制御信号の処理を完了する。主機能サブユニット11は、入力された電流信号、電圧信号及び位置信号により、モータ制御アルゴリズムで正常な制御に必要なPWMを計算して取得し、例えば、Data_PWM0を出力する。監視サブユニット12は、診断情報、出力された、PWMをイネーブルするか否かの情報、及びモータを安全状態にすることができるPWM情報に基づいて、PWM1を出力する。すなわち、故障が存在し、制御信号の出力をイネーブルする場合、監視サブユニット12は、安全制御信号を出力する。すなわち、モータを安全に動作させることができるData_PWM1信号を出力する。迅速保護モジュール141は、故障が発生した場合にモータが安全状態にあるようにするために、サンプリングして取得された電流、電圧、レゾルバなどの故障情報により、迅速にオフにすることなどの処理を行う。制御信号処理モジュール142は、Data_PWM0、Data_PWM1及び迅速保護モジュール141の処理情報を統合して、最終的に出力されたPWM_out波形を処理し、故障した場合に母線電圧サンプリング又はモータ回転速度に基づいて、安全経路に切り替えるように駆動ユニット30を制御する。
【0043】
図5は、本開示の一実施例に係る、制御信号処理モジュール142がPWM波形処理プロセスを行うフローチャートであり、以下のステップS11~S19を含む。
【0044】
S11では、Data_PWM0、Data_PWM1及び電流電圧迅速処理信号を受信する。
【0045】
S12では、モータ駆動異常信号があるか否かを診断し、モータ駆動異常信号があれば、ステップS14に移行し、そうでなければ、ステップS13に進む。
【0046】
S13では、PWM_out=Data_PWM0であり、モータが正常な制御状態にある。
【0047】
S14では、PWM_out=Data_PWM1であり、モータを安全状態にする。
【0048】
S15では、(モータ回転速度-所定の回転速度)の絶対値<回転速度差分設定値、又は(母線電圧-所定の電圧)の絶対値<電圧差分設定値を満たすか否かを判断する。満たせれば、ステップS16に進み、満たさなければ、ステップS17に移行する。
【0049】
S16では、オフ処理を行うように駆動ユニットの6つの駆動パワーユニットを制御し、警報を出す。
【0050】
S17では、故障信号が3相の上アーム回路に対するものであるか否かを判断し、そうであれば、ステップS18に進み、そうでなければ、ステップS19に移行する。
【0051】
S18では、駆動ユニットの3相の下アーム回路を短絡させ、警報を出す。
【0052】
S19では、駆動ユニットの3相の上アーム回路を短絡させ、警報を出す。
【0053】
本開示の実施例のモータ制御システム1では、主制御ユニット10は、複数の制御コア又は複数の処理チップを用いて、監視サブユニット12により主機能サブユニット11を監視し、第2の補助処理サブユニット14により制御機能を最適化し、すなわち、制御機能を最適化し統合することにより、安全レベルの向上に役立つ。
【0054】
さらに、図2に示すように、実施例において、駆動ユニット30の各パワーユニットは、独立して電力を供給することができる。例えば、モータ制御システム1は、2つの駆動電源を含む。2つの駆動電源は、それぞれ、駆動ユニット30の3相の上アーム回路31と3相の下アーム回路32に電力Vccを供給する。或いは、モータ制御システム1は、6つの駆動電源を含む。6つの駆動電源は、それぞれ、駆動ユニット30の3相の上アーム回路と3相の下アーム回路の6つの駆動パワーユニットに電力を供給する。それにより、電源の独立した電力供給を実現する。
【0055】
要約すると、本開示の実施例のモータ制御システム1は、より完全な診断メカニズムを増加させ、多層の監視処理により、また制御機能を最適化し統合し、モータ制御システム1に対する多層の動力遮断経路を増加させ、独立した電力供給システムを用い、信号を監視し、制御対象を監視することにより、動力出力の安全性を保証し、電気制御システムがより信頼できるようにし、モータ制御の安全レベルを明らかに向上させ、さらに車両の安全動作を保証することができる。
【0056】
上記実施例のモータ制御システムを基に、以下、図面を参照して本開示の第2の態様の実施例に係る車両を説明する。
【0057】
図6は、本開示の一実施例に係る車両のブロック図であり、図6に示すように、本開示の実施例の車両100は、モータ2と、上記実施例のモータ制御システム1とを含む。モータ制御システム1は、モータ2を制御して、車両の安全レベルを向上させ、モータ制御システム1の構造及び安全設計について、上記実施例の説明を参照することができる。
【0058】
本開示の実施例の車両100によれば、上記実施例のモータ制御システム1を用いることにより、モータ2の制御の安全レベルを向上させ、安全性を向上させることができる。
【0059】
なお、本開示の説明において、用語「中心」、「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」、「時計回り」、「反時計回り」、「軸方向」、「半径方向」、「周方向」などで示す方位又は位置関係は、図面に示す方位又は位置関係に基づくものであり、本開示を容易に説明し説明を簡略化するためのものに過ぎず、示された装置又は部品が特定の方位を有するとともに、特定の方位で構成されて動作しなければならないことを示すか又は示唆するものではないため、本開示を限定するものであると理解すべきではない。
【0060】
また、用語「第1の」、「第2の」は、説明目的のためのみに用いられ、相対的な重要性を示すか又は示唆し、或いは示された技術的特徴の数を暗示的に明示すると理解すべきではない。これにより、「第1の」、「第2の」で限定された特徴は、1つ以上の該特徴を明示的又は暗示的に含んでもよい。本開示の説明において、「複数」とは、明確かつ具体的な限定がない限り、2つ以上を意味する。
【0061】
本開示において、明確な規定及び限定がない限り、用語「取り付け」、「連結」、「接続」、「固定」などは、広義に理解されるべきであり、例えば、固定接続、着脱可能な接続、又は一体的な接続であってもよく、機械的な接続、又は電気的な接続であってもよく、直接的な連結、又は中間媒体を介した間接的な連結であってもよく、2つの部品の内部の連通、又は2つの部品の相互作用の関係であってもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて本開示における上記用語の具体的な意味を理解することができる。
【0062】
本開示において、明確な規定及び限定がない限り、第1の特徴が第2の特徴の「上」又は「下」にあることは、第1の特徴と第2の特徴とが直接的に接触することを含んでもよく、第1の特徴と第2の特徴とが中間媒体を介して間接的に接触することを含んでもよい。また、第1の特徴が第2の特徴の「上」、「上方」又は「上面」にあることは、第1の特徴が第2の特徴の真上及び斜め上にあることを含んでもよく、第1の特徴の水平高さが第2の特徴より高いことだけを表すことを含んでもよい。第1の特徴が第2の特徴の「下」、「下方」又は「下面」にあることは、第1の特徴が第2の特徴の真下及び斜め下にあることを含んでもよく、第1の特徴の水平高さが第2の特徴より低いことだけを表すことを含んでもよい
【国際調査報告】