(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-08
(54)【発明の名称】基板処理チャンバ用の誘電体窓
(51)【国際特許分類】
H05H 1/46 20060101AFI20230426BHJP
C23C 16/50 20060101ALI20230426BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20230426BHJP
H01L 21/205 20060101ALI20230426BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20230426BHJP
【FI】
H05H1/46 L
C23C16/50
H01L21/302 101M
H01L21/205
H01L21/31 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022557681
(86)(22)【出願日】2021-03-22
(85)【翻訳文提出日】2022-11-14
(86)【国際出願番号】 US2021023420
(87)【国際公開番号】W WO2021194935
(87)【国際公開日】2021-09-30
(32)【優先日】2020-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロング・マオリン
(72)【発明者】
【氏名】マーティン・マイケル・ジョン
(72)【発明者】
【氏名】タリー・マシュー・ローウェル
(72)【発明者】
【氏名】ワン・ユホウ
(72)【発明者】
【氏名】パターソン・アレクサンダー・ミラー
(72)【発明者】
【氏名】ビッグス・デヴィッド・ロバート
【テーマコード(参考)】
2G084
4K030
5F004
5F045
【Fターム(参考)】
2G084AA02
2G084AA04
2G084AA05
2G084AA08
2G084BB25
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2G084DD63
4K030FA01
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5F004AA16
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5F045EH03
5F045EH11
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5F045EM05
(57)【要約】
【解決手段】基板処理システムにおける処理チャンバ用の蓋アセンブリは、誘電体窓を含む。誘電体窓は、平坦な上面と下面とを有する上部を含む。下面は、誘電体窓のプラズマに面する表面である。誘電体窓の下部は円筒状であり、下面から下向きに延び、下部の外径は、誘電体窓の上方に配置された内側コイルと外側コイルとの間のギャップに位置合わせされている、及び内側コイル及び外側コイルのうちの1つと重なり合っている、のうちの少なくとも1つを満たす。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板処理システムにおける処理チャンバ用の蓋アセンブリであって、前記蓋アセンブリは、
誘電体窓を備え、前記誘電体窓は、
平坦な上面と下面とを有する上部であって、前記下面は、前記誘電体窓のプラズマに面する表面である、上部と、
下部であって、前記下部は、円筒状であり、前記下面から下向きに延び、前記下部の外径が、(i)前記誘電体窓の上方に配置された内側コイルと外側コイルとの間のギャップに位置合わせされている、及び(ii)前記内側コイル及び前記外側コイルのうちの1つと重なり合っている、のうちの少なくとも1つを満たす、下部と、
を備える、蓋アセンブリ。
【請求項2】
請求項1に記載の蓋アセンブリであって、前記下部の前記外径は、前記ギャップの中間点に位置合わせされている、蓋アセンブリ。
【請求項3】
請求項1に記載の蓋アセンブリであって、前記誘電体窓は、前記上部及び前記下部を備える単一の一体化された部品で構成されている、蓋アセンブリ。
【請求項4】
請求項1に記載の蓋アセンブリであって、前記上部及び前記下部は、一緒に取り付けられた別個の部品である、蓋アセンブリ。
【請求項5】
請求項4に記載の蓋アセンブリであって、前記下部は、前記上部に固定して取り付けられている、蓋アセンブリ。
【請求項6】
請求項4に記載の蓋アセンブリであって、前記下部は、前記上部に取り外し可能に取り付けられている、蓋アセンブリ。
【請求項7】
請求項1に記載の蓋アセンブリであって、前記下部は、石英で構成されている、蓋アセンブリ。
【請求項8】
請求項1に記載の蓋アセンブリであって、前記下部は、アルミナで構成されている、蓋アセンブリ。
【請求項9】
請求項1に記載の蓋アセンブリであって、前記下部は、前記下部の内側に定められた内容積と前記下部の外側に定められた外容積との間のガス流を可能にするように構成された複数のガスチャネルを含む、蓋アセンブリ。
【請求項10】
請求項1に記載の蓋アセンブリであって、前記内側コイル及び前記外側コイルを更に備える、蓋アセンブリ。
【請求項11】
請求項1に記載の蓋アセンブリであって、前記誘電体窓は、π形の断面を有する、蓋アセンブリ。
【請求項12】
基板処理システムにおける処理チャンバであって、
前記処理チャンバ内で第1のプラズマ場及び第2のプラズマ場を生成するように構成された内側コイル及び外側コイルと、
誘電体窓とを備え、前記誘電体窓は、
平坦な上面と下面とを有する上部であって、前記下面は、前記誘電体窓のプラズマに面する表面である、上部と、
前記第1のプラズマ場と前記第2のプラズマ場とを分離するように構成された下部であって、前記下部は、円筒状であり、前記下面から下向きに延び、前記下部の外径が、(i)前記内側コイルと前記外側コイルとの間のギャップに位置合わせされている、及び(ii)前記内側コイル及び前記外側コイルのうちの1つと重なり合っている、のうちの少なくとも1つを満たす、下部と、
を備える、処理チャンバ。
【請求項13】
請求項12に記載の処理チャンバであって、前記下部の前記外径は、前記ギャップの中間点に位置合わせされている、処理チャンバ。
【請求項14】
請求項12に記載の処理チャンバであって、前記誘電体窓は、前記上部及び前記下部を備える単一の一体化された部品で構成されている、処理チャンバ。
【請求項15】
請求項12に記載の処理チャンバであって、前記上部及び前記下部は、一緒に取り付けられた別個の部品である、処理チャンバ。
【請求項16】
請求項15に記載の処理チャンバであって、前記下部は、前記上部に取り外し可能に取り付けられている、処理チャンバ。
【請求項17】
請求項12に記載の処理チャンバであって、前記下部は石英で構成されている、処理チャンバ。
【請求項18】
請求項12に記載の処理チャンバであって、前記下部は、アルミナで構成されている、処理チャンバ。
【請求項19】
請求項12に記載の処理チャンバであって、前記下部は、複数のガスチャネルを含む、処理チャンバ。
【請求項20】
請求項12に記載の処理チャンバであって、前記誘電体窓は、π形の断面を有する、処理チャンバ。
【請求項21】
基板処理システムにおける処理チャンバ用の誘電体窓であって、前記誘電体窓は、
平坦な上面と下面とを有する上部であって、前記下面は、前記誘電体窓のプラズマに面する表面である、上部と、
石英及びアルミナのうちの1つで構成されている下部であって、前記下部は、円筒状であり、前記下面から下向きに延び、前記下部の外径が、(i)前記誘電体窓の上方に配置された内側コイルと外側コイルとの間のギャップに位置合わせされている、及び(ii)前記内側コイル及び前記外側コイルのうちの1つと重なり合っている、のうちの少なくとも1つを満たす、下部と、
を備える、誘電体窓。
【請求項22】
請求項21に記載の誘電体窓であって、π形の断面を有する、誘電体窓。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2020年3月23日に出願された米国仮特許出願第62/993,433号の利益を主張する。上記で参照された出願の開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、基板処理システム用の誘電体窓に関する。
【背景技術】
【0003】
本明細書で提供される「背景技術」の記載は、本開示の背景を全般的に提示することを目的としている。本明細書の「背景技術」に記載されている範囲における、本明細書にて名前を挙げた発明者の業績、並びに、出願時点で先行技術と見なされないかも知れない本明細書の態様は、明示的にも暗黙的にも本開示に対する先行技術として認められていない。
【0004】
半導体装置の製造時、エッチングプロセス及び堆積プロセスが、処理チャンバ内で実施される場合がある。イオン化されたガス、又はプラズマが、プラズマチャンバ内に導入されて、半導体ウェハーなどの基板から材料をエッチング(又は除去)すること、及び基板上に材料をスパッタ又堆積させることができる。製造又は製作プロセスにおける使用のためにプラズマを形成することは、典型的には、プロセスガスを処理チャンバ内に導入することにより始まる。基板は、処理チャンバ内において静電チャック又はペデスタルなどの基板支持体上に配置される。
【0005】
処理チャンバは、トランス結合プラズマ(TCP)リアクタコイルを含む場合がある。電源により生成された無線周波数(RF)信号が、TCPリアクタコイルに供給される。TCPリアクタコイルは、トランス結合容量性同調(TCCT)整合ネットワークにより駆動される。TCCT整合ネットワークは、電源により供給されたRF信号を受け取り、TCPリアクタコイルに供給される電力の調節を可能にする。セラミックなどの材料から構築された誘電体窓が、処理チャンバの上面に組み込まれている。誘電体窓は、TCPリアクタコイルから処理チャンバの内部にRF信号が伝達されることを可能にしている。RF信号は、処理チャンバ内のガス分子を励起させてプラズマを生成させる。
【発明の概要】
【0006】
基板処理システムにおける処理チャンバ用の蓋アセンブリは、誘電体窓を含む。誘電体窓は、平坦な上面と下面とを有する上部を含む。下面は、誘電体窓のプラズマに面する表面である。誘電体窓の下部は円筒状であり、下面から下向きに延び、下部の外径は、誘電体窓の上方に配置された内側コイルと外側コイルとの間のギャップに位置合わせされている、及び内側コイル及び外側コイルのうちの1つと重なり合っている、のうちの少なくとも1つを満たす。
【0007】
他の特徴では、下部の外径は、ギャップの中間点に位置合わせされている。誘電体窓は、上部及び下部を備える単一の一体化された部品で構成されている。上部及び下部は、一緒に取り付けられた別個の部品である。下部は、上部に固定して取り付けられている。下部は、上部に取り外し可能に取り付けられている。
【0008】
他の特徴では、下部は、石英で構成されている。下部は、アルミナで構成されている。下部は、下部の内側に定められた内容積と下部の外側に定められた外容積との間のガス流を可能にするように構成された複数のガスチャネルを含む。蓋アセンブリは、内側コイル及び外側コイルを更に含む。誘電体窓は、π形の断面を有する。
【0009】
基板処理システムにおける処理チャンバは、処理チャンバ内で第1のプラズマ場及び第2のプラズマ場を生成するように構成された内側コイル及び外側コイルと、誘電体窓とを含む。誘電体窓は、平坦な上面と下面とを有する上部を含む。下面は、誘電体窓のプラズマに面する表面である。誘電体窓の下部が、第1のプラズマ場と第2のプラズマ場とを分離するように構成されている。下部は、円筒状であり、下面から下向きに延びている。下部の外径が、内側コイルと外側コイルとの間のギャップに位置合わせされている、及び内側コイル及び外側コイルのうちの1つと重なり合っている、のうちの少なくとも1つを満たす。
【0010】
他の特徴では、下部の外径は、ギャップの中間点に位置合わせされている。誘電体窓は、上部及び下部を備える単一の一体化された部品で構成されている。上部及び下部は、一緒に取り付けられた別個の部品である。下部は、上部に取り外し可能に取り付けられている。下部は、石英で構成されている。下部は、アルミナで構成されている。下部は、複数のガスチャネルを含む。誘電体窓は、π形の断面を有する。
【0011】
基板処理システムにおける処理チャンバ用の誘電体窓は、平坦な上面と下面とを有する上部を含む。下面は、誘電体窓のプラズマに面する表面である。誘電体窓の下部は、石英及びアルミナのうちの1つで構成されている。下部は、円筒状であり、下面から下向きに延びている。下部の外径は、誘電体窓の上方に配置された内側コイルと外側コイルとの間のギャップに位置合わせされている、及び(ii)内側コイル及び外側コイルのうちの1つと重なり合っている、のうちの少なくとも1つを満たす。
【0012】
他の特徴では、誘電体窓は、π形の断面を有する。
【0013】
本開示の適用可能な更なる領域が、発明を実施するための形態、特許請求の範囲、及び図面から明らかとなるであろう。発明を実施するための形態及び具体例は、例示のみを目的としており、開示の範囲を限定することを意図していない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本開示は、発明を実施するための形態及び添付の図面からより完全に理解されるであろう。
【0015】
【
図1】
図1は、本開示による、誘電体窓を含むプラズマ処理システムの一例の機能ブロック図である。
【0016】
【
図2A】
図2Aは、本開示による、例示的な誘電体窓の断面側面図である。
【0017】
【
図2B】
図2Bは、本開示による、例示的な誘電体窓の下側の斜視図である。
【0018】
【
図2C】
図2Cは、本開示による、例示的な誘電体窓の底面図である。
【0019】
【
図3A】
図3Aは、本開示による他の例示的な誘電体窓を示す。
【
図3B】
図3Bは、本開示による他の例示的な誘電体窓を示す。
【
図3C】
図3Cは、本開示による他の例示的な誘電体窓を示す。
【0020】
図面において、参照番号は、類似の及び/又は同一の要素を識別するために再利用される場合がある。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(例えば、セラミックなどの材料を含む)誘電体窓が、基板処理システムにおける処理チャンバの上面に組み込まれる。無線周波数(RF)信号が、(例えば、内側コイル及び外側コイルを含むトランス結合プラズマ(TCP)リアクタコイルから)処理チャンバの内部容積内へと伝達されて、プラズマが生成される。内側コイル及び外側コイルは、処理チャンバ内で2つの別個のプラズマ場(例えば、Bフィールド)を生成する。典型的には、誘電体窓は、平坦な上面及び下面を有する。平坦な下(プラズマに面した)面は、プラズマ中でのRF電力の分配の制御及び調節可能性を阻害する。したがって、中央からエッジにわたるプラズマ均一性の調節可能性が限定され、いくつかの用途(例えば、高アスペクト比エッチング)では、グローバルなエッチング傾斜が生じる場合がある。
【0022】
本開示の原則によるシステム及び方法は、パイ(すなわち、π)形の断面を有する誘電体窓を実装している。例えば、誘電体窓は、平坦な上部と、上部の下面から下向きに延びる円筒状下部とを有する。円筒状部分は、誘電体窓の下方のプラズマを、内側コイル及び外側コイルに対応する2つの隔離されたプラズマゾーンに物理的に分離する。円筒状部分の寸法(例えば、直径、高さ、及び厚さを含むが、これらに限定されない)は、均一性及び調節可能性などの所望のプラズマ特性に従って選択されてよい。
【0023】
図1は、処理チャンバ104及びTCPリアクタコイル108を含むプラズマ処理システム100を示す。誘電体(又はTCP)窓112が、TCPリアクタコイル108と処理チャンバ104との間に配置されている。誘電体窓112は、ピナクル116(ピナクルは登録商標)の上方に配置され、RFソース信号を処理チャンバ104に伝送して、プラズマの生成を可能にする。ピナクル116は、処理チャンバ104の上側ライナに対応してよい。ピナクル116は、TCPリアクタコイル108及び誘電体窓112を含むがこれらに限定されない、処理チャンバ104の蓋アセンブリ120を支持するように構成されてよい。本開示による誘電体窓112は、以下でより詳細に説明するようにパイ(すなわち、π)形の断面を有する。
【0024】
第1の電源122が、第1のRF電源信号をTCCT整合ネットワーク124に供給する。TCCT(又は第1の)整合ネットワーク124は、第1の電源122とTCPリアクタコイル108との間に含まれる。TCCT整合ネットワーク124は、TCPリアクタコイル108に供給される電力の調節を可能にする。
【0025】
静電チャック、ペデスタル、又は他の好適な基板支持体などの基板支持体128が、処理チャンバ104内に配置されている。基板支持体128は、基板130を支持する。プラズマ処理システムは、バイアス(又は第2の)整合ネットワーク136に接続されているバイアスRF電源132を更に含む。第2の整合ネットワーク136は、バイアスRF電源132と基板支持体128との間に接続されている。第2の整合ネットワーク136が、第2の整合ネットワーク136から見たときの、バイアスRF電源132のインピーダンス(例えば、50Ω)を、プラズマ処理チャンバ104内の基板支持体128及びプラズマ138のインピーダンスと合致させる。
【0026】
プラズマ処理システム100は、電圧制御インターフェース(VCI)140を更に含む。VCI 40は、ピックアップ装置142、電圧センサ144、コントローラ146、及び電圧センサ144とコントローラ146との間に配置された回路を含んでよい。ピックアップ装置142は、基板支持体128内へと延びている。ピックアップ装置142は、導体148を介して電圧センサ144に接続され、RF電圧信号を生成する。
【0027】
電圧センサ144の動作は、監視されてよく、手動で制御されてよく、及び/又はコントローラ146を介して制御されてよい。コントローラ146は、電圧センサ144のチャネルの出力電圧をディスプレイ150上に表示してよい。ディスプレイ150は、コントローラ146とは別個に示されているが、コントローラ146に含めてよい。システムオペレータは、(i)チャネル間を切り替えるかどうか、(ii)チャネルのうちのどの1つ以上を作動させるか、及び/又は(ii)チャネルのうちのどの1つ以上を作動停止させるか、を示す入力信号を提供してよい。
【0028】
動作時、イオン化可能なガスが、ガス入口156を通ってプラズマ処理チャンバ104内に流入し、ガス出口158を通ってプラズマ処理チャンバ104から流出する。第1のRF信号は、RF電源122により生成され、TCPリアクタコイル108に送達される。第1のRF信号は、TCPリアクタコイル108から放射され、誘電体窓112を通り、処理チャンバ104内に入る。これにより、処理チャンバ104内のガスがイオン化し、プラズマ138が形成される。プラズマ138は、処理チャンバ104の壁に沿ってシース160を生成する。プラズマ138は、電子と、正に帯電したイオンとを含む。正に帯電したイオンよりも遥かに軽い電子は、より容易に移動する傾向があり、プラズマ処理チャンバ104の内面においてDCバイアス電圧及びDCシース電位を生成する。基板130における平均のDCバイアス電圧及びDCシース電位が、正に帯電したイオンが基板130に衝突する際のエネルギーに影響を及ぼす。このエネルギーは、エッチング又は堆積が生じる速度などの処理特性に影響を及ぼす。
【0029】
コントローラ146は、RF電源132により生成されるバイアスRF信号を調整して、基板130におけるDCバイアス及び/又はDCシース電位の大きさを変化させてよい。コントローラ146は、電圧センサ144のチャネルの出力、及び/又はチャネルの出力に基づいて導出された代表値を、1つ以上の設定点値と比較してよい。設定点値は、予め定められて、コントローラ146のメモリ162内に記憶されてよい。バイアスRF信号は、(i)電圧センサ144の出力及び/又は代表値と、(ii)1つ以上の設定点値、との間の差に基づいて調整されてよい。バイアスRF信号は、第2の整合ネットワーク136を通過する。次いで、第2の整合ネットワーク136により提供された出力(整合された信号と称される)が、基板支持体128に送られる。バイアスRF信号は、絶縁体128を通して基板130に送られる。
【0030】
ガス供給システム164が、ガスインジェクタ168を介して、1つ以上のガス混合物(例えば、プロセスガス混合物、パージガスなど)を処理チャンバ104に選択的に供給する。例えば、ガス供給システム164は、ガス混合物をガスインジェクタ168に供給するための、ガス供給源と、弁と、フローコントローラとの1つ以上のセット、ガスマニホールドなど(図示せず)、を含んでよい。コントローラ146は、ガス混合物を処理チャンバ104に供給するように、ガス供給システム164及び/又はガスインジェクタ168を制御するように構成されてよい。
【0031】
ここで
図2A、
図2B、及び
図2Cを参照すると、本開示の原則による例示的な誘電体窓200は、パイ(すなわち、π)形の断面を有する。
図2Aは、誘電体窓200の断面側面図である。
図2Bは、誘電体窓200の下側の斜視図である。
図2Cは、誘電体窓200の底面図である。図示するように、誘電体窓200は、平坦な上(例えば、円形又は円盤形)部204と、上部204の下面212から下向きに延びる円筒状下部(例えば、環状リング)208とを有する。
【0032】
上部204及び下部208は、同じ又は異なる材料を含んでよい。例えば、下部208は、石英又は他の好適な誘電体材料(例えば、高純度アルミナ)で構成されてよい。いくつかの実施例では、上部204及び下部208は、単一の一体化された部品を備えてよい。他の実施例では、下部208は、上部204に固定して又は取り外し可能に取り付けられた別個の部品に対応してよい。例えば、下部208は、エポキシなどの耐プラズマ接着剤を使用して、上部204に取り付けられてよい。
【0033】
下部208が上部204に取り外し可能に取り付けられている実施例では、下部208の保守、クリーニング、及び/又は修理を容易にするために、下部208を取り外すことができる。更に、下部208は、上部204を取り外すことなく、取り外され、置き換えられてよい。
【0034】
円筒状部分208は、誘電体窓200の下方のプラズマを、(例えば、TCPリアクタコイル108の)内側コイル228及び外側コイル232により生成されたそれぞれのプラズマゾーンに対応する2つの隔離された容積220及び224に物理的に分離する。例えば、下部208は、容積220を取り囲み、画定している。一方で、容積220は、下部208の外側に画定される。円筒状部分208の寸法(例えば、直径、高さ、及び厚さを含むが、これらに限定されない)は、均一性及び調節可能性などの所望のプラズマ特性に従って選択されてよい。
【0035】
図示するように、下部208は、内側コイル228と外側コイル232と間のギャップ236に従って配置されている。例えば、下部208の直径は、下部208の外側エッジ(すなわち、外径)が、内側コイル228と外側コイル232との間のギャップ236内に位置するように選択される。下部208の直径は、プラズマの所望の性能特性に従って選択されてよい。一実施例では、下部208の直径は、下部208の外径が、ギャップ236(
図2Aに示すように)の中間点に又はその近くに位置するように選択される。他の実施例では、下部208の直径は、下部208の外径が、内側コイル228及び外側コイル232のうちの一方により近いように選択される。他の実施例では、下部208の直径は、下部208の外径が、内側コイル228及び外側コイル232のうちの一方に重なり合うように選択される。
【0036】
下部208が取り外し可能である実施例では、下部208は、所望の性能及び調節特性に応じて置き換えられてよい。例えば、下部208は、性能特性を調整するために、所望の寸法(例えば、材料、高さ、直径、厚さなど)を有する下部と置き換えられてよい。このように、内側部分208の直径は、6~14インチ(例えば、152~281mm)に変化させてよい。内側部分208の高さは、1~5インチ(例えば、25~127mm)に変化させてよい。内側部分208の厚さは、0.5~2インチ(例えば、12~51mm)に変化させてよい。
【0037】
図3A、
図3B、及び
図3Cは、本開示による、上部304及び下部308を含む誘電体窓300の他の例を示す。内側コイル312及び外側コイル316は、上部304に配置されている。
図3Aでは、下部308の外径は、内側コイル312よりも外側コイル316に、より近くに位置している。
図3Bでは、下部308の外径は、外側コイル316の一部と重なり合っている。
【0038】
図3Cでは、下部308は、複数のガスチャネル又は穴320を含む。穴320は、下部308の内容積(例えば、
図2Aの内容積220)に供給されたガスが、下部308の外側の外容積(例えば、
図2Aの外容積224)へと流入することを可能にしている。穴320は、同じ又は異なる直径を有してよい。例としてのみ、穴320は、0.25~2インチ(例えば、6~51mm)の直径を有してよい。
【0039】
前述の説明は本質的に単なる例示に過ぎず、本開示、その適用又は使用を限定することは決して意図されていない。本開示の広範な教示は、様々な形で実現できる。したがって、本開示は特定の例を含むが、図面、明細書、及び以下の特許請求の範囲を検討すると、他の修正形態が明らかになるであろうから、本開示の真の範囲はそのように限定されるべきではない。方法における1つ以上の工程は、本開示の原理を変更することなく、異なる順序で(又は同時に)実行されてよいことを理解すべきである。更に、実施形態の各々は、特定の特徴を有するものとして上述されているが、本開示の任意の実施形態に関して記載されているこれらの特徴のうちのいずれか1つ以上を、他の実施形態のいずれかに実装することができ、及び/又は、他の実施形態のいずれかの特徴と組み合わせることができ、その組み合わせは、たとえ明示的に説明されていなくてよい。換言すれば、記載した実施形態は相互排他的ではなく、1つ以上の実施形態の順序を互いに並べ換えることは、本開示の範囲内に留まる。
【0040】
要素間の空間的及び機能的関係(例えば、モジュール間、回路要素間、半導体層間など)は、「接続された」、「係合された」、「結合された」、「隣接する」、「隣の」、「上の」、「上方の」、「下方の」、「配置された」を含む様々な用語を使用して説明される。「直接」であると明示的に記載されていない限り、上述した開示に、第1の要素と第2の要素との間の関係が記載されている場合、その関係は、第1の要素と第2の要素との間に他の介在要素が存在しない直接的な関係であり得るが、1つ以上の介在要素が(空間的又は機能的のいずれかで)第1の要素と第2の要素との間に存在する間接的な関係でもあり得る。本明細書で使用する場合、A、B、及びCのうちの少なくとも1つ、という語句は、非排他的論理和ORを使用した論理(A OR B OR C)を意味すると解釈されるべきであり、「Aのうちの少なくとも1つ、Bのうちの少なくとも1つ、及びCのうちの少なくとも1つ」を意味すると解釈されるべきではない。
【0041】
いくつかの実装形態では、コントローラは、上述した実施例の一部であってよいシステムの一部である。このようなシステムは、処理ツール(単数又は複数)、チャンバ(単数又は複数)、処理用プラットフォーム(単数又は複数)、及び/又は特定の処理構成要素(ウェハーペデスタル、ガスフローシステムなど)を含む、半導体処理装置を備えることができる。これらシステムは、半導体ウェハー又は基板の処理前、処理中、及び処理後の作業を制御するための電子機器に組み込まれてよい。電子機器は、システム(単数又は複数)の様々な構成要素又は副部品を制御してよい「コントローラ」と呼ばれてよい。コントローラは、処理要件及び/又はシステムのタイプに応じて、処理ガスの送達、温度設定(例えば、加熱及び/又は冷却)、圧力設定、真空設定、電力設定、無線周波数(RF)発生器設定、RF整合回路設定、周波数設定、流量設定、流体送達設定、位置及び作業設定、特定のシステムと接続しているか又はインターフェースしているツール及び他の搬送ツール並びに/又はロードロックに対するウェハーの搬出入、を含む、本明細書に開示されるあらゆるプロセスを制御するようにプログラムされてよい。
【0042】
大まかに言って、コントローラは、様々な集積回路、ロジック、メモリ、及び/又はソフトウェアを有し、命令を受信し、命令を発行し、作業を制御し、クリーニング作業を有効にし、エンドポイント測定を有効にするような電子機器として定義されてよい。集積回路は、プログラム命令を記憶するファームウェアの形態のチップ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)として定義されたチップ、及び/又は1つ以上のマイクロプロセッサ、又はプログラム命令(例えば、ソフトウェア)を実行するマイクロコントローラ、を含んでよい。プログラム命令は、様々な個別設定(又はプログラムファイル)の形態でコントローラに通信される命令であって、特定のプロセスを、半導体ウェハー上で若しくは半導体ウェハーに対して、又はシステムに対して実施するための作業パラメータを定義してよい。いくつかの実施形態では、作業パラメータは、1つ以上の層、材料、金属、酸化物、シリコン、二酸化シリコン、表面、回路、及び/又はウェハーダイの製作時に、1つ以上の処理工程を実現するために、プロセスエンジニアにより定義されるレシピの一部であってよい。
【0043】
いくつかの実装形態では、コントローラは、システムに組み込まれた、システムに結合された、若しくはシステムにネットワーク接続された、又はこれらの組み合わせである、コンピュータの一部であるか、又はそのコンピュータに結合されていてよい。例えば、コントローラは「クラウド」内にあるか、又はファブホストコンピュータシステムの全て若しくは一部であってよく、それによりウェハー処理のリモートアクセスが可能になり得る。コンピュータは、システムへのリモートアクセスを可能にして、製作作業の現在の進行状況を監視し、過去の製作作業の履歴を調査し、複数の製作作業から傾向又は性能の指標を調査して、現在の処理のパラメータを変更し、現在の処理に続く処理工程を設定するか、又は新しいプロセスを開始してよい。いくつかの実施例では、リモートコンピュータ(例えば、サーバ)は、ローカルネットワーク又はインターネットを含んでよいネットワークを経由して、プロセスレシピをシステムに提供することができる。リモートコンピュータは、パラメータ及び/又は設定の入力若しくはプログラミングを可能にするユーザインターフェースを含んでよく、パラメータ及び/又は設定は次いで、リモートコンピュータからシステムに通信される。いくつかの実施例では、コントローラは、1つ以上の作業中に実施される各処理工程のためのパラメータを指定するデータ形式の命令を受信する。パラメータは、実施されるプロセスのタイプ、及びコントローラがインターフェースする又は制御するように構成されているツールのタイプに固有のものであってよいことを理解されたい。したがって、上述したように、コントローラは、1つ以上の個別のコントローラを備え、これらが一緒にネットワーク化され、本明細書に記載されるプロセス及び制御などの共通の目的に向けて動作することなどによって分散されてよい。そのような目的のための分散コントローラの例は、遠隔に位置する(例えば、プラットフォームレベルで、又はリモートコンピュータの一部として)1つ以上の集積回路と通信状態にあるチャンバ上の1つ以上の集積回路であってよく、これらが組み合わされてチャンバでのプロセスを制御する。
【0044】
限定するわけではないが、例示的なシステムは、プラズマエッチングチャンバ又はモジュール、堆積チャンバ又はモジュール、スピンリンスチャンバ又はモジュール、金属めっきチャンバ又はモジュール、クリーニングチャンバ又はモジュール、ベベルエッジエッチングチャンバ又はモジュール、物理蒸着(PVD)チャンバ又はモジュール、化学蒸着(CVD)チャンバ又はモジュール、原子層堆積(ALD)チャンバ又はモジュール、原子層エッチング(ALE)チャンバ又はモジュール、イオン注入チャンバ又はモジュール、トラックチャンバ又はモジュール、及び半導体ウェハーの作製及び/又は製造に関連するか若しくは使用されてよい任意の他の半導体処理システム、を含んでよい。
【0045】
上述したように、ツールにより実施されるプロセス工程に応じて、コントローラは、他のツール回路又はモジュール、他のツール構成要素、クラスタツール、他のツールインターフェース、隣接ツール、隣り合うツール、工場全体に位置するツール、メインコンピュータ、別のコントローラ、又は半導体製造工場内のツール位置及び/又はロードポートとの間でウェハー容器を搬出入する材料搬送で使用されるツール、のうちの1つ以上と通信し得る。
【国際調査報告】