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特表2023-518992基礎坑におけるカルスト地域の側壁の安全な厚さを確定するための方法及びグラウト注入装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-09
(54)【発明の名称】基礎坑におけるカルスト地域の側壁の安全な厚さを確定するための方法及びグラウト注入装置
(51)【国際特許分類】
   E02D 29/00 20060101AFI20230427BHJP
【FI】
E02D29/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022558336
(86)(22)【出願日】2020-12-23
(85)【翻訳文提出日】2022-09-22
(86)【国際出願番号】 CN2020138501
(87)【国際公開番号】W WO2021248872
(87)【国際公開日】2021-12-16
(31)【優先権主張番号】202010531608.2
(32)【優先日】2020-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522377228
【氏名又は名称】中鉄一局集団第二工程有限公司
【氏名又は名称原語表記】CHINA RAILWAY FIRST GROUP SECOND ENGINEERING CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Science And Technology Development Department No. 49 Guofang Road, Lunan District Tangshan, Hebei 063000 (CN)
(71)【出願人】
【識別番号】522377239
【氏名又は名称】中鉄大連地鉄五号線有限公司
【氏名又は名称原語表記】CHINA RAILWAY DALIAN METRO LINE 5 CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Science And Technology Development Department No. 5 Shenyang Road, Xigang District Dalian, Liaoning 116000 (CN)
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】李 興盛
(72)【発明者】
【氏名】蒋 騰飛
(72)【発明者】
【氏名】姜 諳男
(72)【発明者】
【氏名】薛 永鋒
(72)【発明者】
【氏名】侯 拉平
(72)【発明者】
【氏名】劉 鉄明
(72)【発明者】
【氏名】華 波
(72)【発明者】
【氏名】王 伝嘉
(72)【発明者】
【氏名】盧 迪
(72)【発明者】
【氏名】李 玉宏
(72)【発明者】
【氏名】杜 華林
(72)【発明者】
【氏名】劉 楊
(72)【発明者】
【氏名】宋 業華
(72)【発明者】
【氏名】孫 喜軍
(72)【発明者】
【氏名】王 亮
(72)【発明者】
【氏名】馬 振譜
【テーマコード(参考)】
2D147
【Fターム(参考)】
2D147AA02
2D147LA00
2D147NA01
(57)【要約】
【課題】 基礎坑におけるカルスト地域の側壁の安全な厚さを確定するための方法及びグラウト注入装置を提供することを課題とする。
【解決手段】 本発明は基礎坑におけるカルスト地域の側壁の安全な厚さを確定するための方法を開示し、カルスト地域の影響を受けた基礎坑側壁の長さm、カルスト地域の長さn、基礎坑側壁の鋼支持力F1、空気圧力F2及びカルスト地域における水圧F3を確定するステップと、弾塑性論、エネルギー保存則及びカタストロフィー理論に基づき、カルスト地域の側壁の軸方向変位、ポテンシャル及び安全な厚さを算出するステップとを含み、本発明はさらに基礎坑におけるカルスト地域用のグラウト注入装置を開示し、金属網、止水板、グラウト注入管、揚水管及び一方向連通装置を含み、本発明は基礎坑におけるカルスト地域の水噴出リスクを迅速に除去することができ、施工中における、グラウトを注入しにくく、カルスト水が逆流する等の難題が解決され、カルスト領域の封止が可能になり、建設投資が節約され、施工安全が確保される。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
S1:カルスト地域の影響を受けた基礎坑側壁の長さm、前記カルスト地域の長さn、基礎坑側壁の鋼支持力F、空気圧力F及びカルスト地域における水圧Fを確定するステップと、
S2:弾塑性論に基づき、カルスト地域の側壁の軸方向変位、即ち、以下の変形
ここで、dはカルスト地域の側壁の安全な厚さであるステップと、
S3:前記カルスト地域の側壁のポテンシャルを計算するステップであって、具体的な数式は、
ここで、Wは水噴出防止層の変形ポテンシャルであり、Wは外力による仕事であるステップと、
S4:前記カルスト地域の側壁の安全な厚さを算出するステップであって、具体的な数式は、
ここで、Eは遮水岩層の弾性係数であり、μはポアソン比であるステップと、
S5:算出したカルスト地域での基礎坑側壁の安全な厚さと実際の検出結果を比較し、且つグラウト注入方式を確定するステップと、を含むことを特徴とする、カルスト地域の側壁の安全な厚さを確定する方法。
【請求項2】
前記S2に記載の変形率の境界条件は以下のとおりであることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
金属網(3)、止水板(4)、グラウト注入管(1)、揚水管(2)及びグラウトを導き出すための一方向連通装置(5)を含み、
前記金属網(3)はカルスト地域(7)の水出口(7.1)を被覆し、前記止水板(4)の縁部は、前記カルスト地域(7)の水出口(7.1)の縁部に固定して接続され、前記止水板(4)は、前記カルスト地域(7)の水出口(7.1)を完全に被覆せず、前記金属網(3)は、前記止水板(4)と前記カルスト地域(7)の水出口(7.1)の間にあり、
前記揚水管(2)は、カルスト地域内の水を抽出するために用いられ、前記揚水管(2)は前記金属網(3)を貫通し、且つ前記カルスト地域内に配置され、
前記グラウト注入管(1)の側壁には、複数の第1接続端(1-1)が設けられ、
前記一方向連通装置(5)の一端は、第2接続端(5-1)であり、前記第2接続端(5-1)は、前記第1接続端(1-1)に螺合副接続され、前記一方向連通装置(5)は、グラウトを前記金属網(3)に導き出して前記カルスト地域(7)の水出口(7.1)を封止する封止壁を形成することを特徴とする、基礎坑におけるカルスト地域用のグラウト注入装置。
【請求項4】
前記一方向連通装置(5)は、外部部材(5-2)、内部部材(5-3)、バネ(5-4)及び台座(5-5)を含み、
前記第2接続端(5-1)は、前記外部部材(5-2)の一端に設けられ、前記外部部材(5-2)が中空であり、前記外部部材(5-2)は前記台座(5-5)に密封するように接続され、
前記内部部材(5-3)は、前記外部部材(5-2)の内部に設けられ、前記第2接続端(5-1)に近接する前記内部部材(5-3)の一端は外部に連通し、前記内部部材(5-3)の他端は、バネ(5-4)を介して前記台座(5-5)に接続され、
前記外部部材(5-2)と前記内部部材(5-3)の側壁には、それぞれ複数の第1グラウト吐出口(5-2-1)及び複数の第2グラウト吐出口(5-3-1)が設けられ、前記内部部材(5-3)は、グラウトの圧力により、前記台座(5-5)に向かって運動すると同時に前記バネ(5-4)を圧縮し、前記複数の第2グラウト吐出口(5-3-1)と複数の第1グラウト吐出口(5-2-1)を重ね合わせ、前記グラウトを流出させることを特徴とする、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記一方向連通装置(5)を前記金属網(3)に固定するための磁石(9)をさらに含み、前記磁石(9)が一方向連通装置(5)の外側壁に固定して接続されることを特徴とする、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記内部部材(5-3)の外径は前記外部部材(5-2)の内径に等しいことを特徴とする、請求項2に記載の装置。
【請求項7】
前記外部部材(5-2)の他端に雄ねじが設けられ、前記台座(5-5)には、雌ねじが設けられ、前記外部部材(5-2)の他端に螺合副接続されることを特徴とする、請求項5に記載の装置。
【請求項8】
前記複数の第1グラウト吐出口(5-2-1)の間隔は、複数の第2グラウト吐出口(5-3-1)の間隔に等しいことを特徴とする、請求項5に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は基礎坑施工におけるグラウト注入の分野に関し、特に基礎坑におけるカルスト地域の側壁の安全な厚さを確定するための方法及びグラウト注入装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カルスト地域で基礎坑を開削する時、カルスト水の分布が不均一であり且つ検出しにくく、水噴出事故が発生しやすく、開削中にカルスト水の具体的な分布位置及び領域を検知できず、且つ水噴出口を効果的に保護する措置が取られない場合、往々して施工フィールドを水没させ、器具に衝撃して破壊させ、装置や作業者の事故、工事期間増加、建設投資増加等の問題を引き起こす可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、基礎坑におけるカルスト地域の側壁の安全な厚さを確定するための方法を提供して、上記技術的課題を解消する。
【0004】
本発明は、以下のステップを含む基礎坑におけるカルスト地域の側壁の安全な厚さを確定するための方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
S1:カルスト地域の影響を受けた基礎坑側壁の長さm、前記カルスト地域の長さn、基礎坑側壁の鋼支持力F、空気圧力F及びカルスト地域における水圧Fを確定する。
【0006】
S2:弾塑性論に基づき、カルスト地域の側壁の軸方向変位、即ち、以下の変形率を算出する。
【0007】
【0008】
ここで、dはカルスト地域の側壁の安全な厚さである。
【0009】
S3:前記カルスト地域の側壁のポテンシャルを計算する。具体的な数式は以下のとおりである。
【0010】
【0011】
ここで、W1は水噴出防止層の変形ポテンシャルであり、W2は外力による仕事である。
【0012】
S4:前記カルスト地域の側壁の安全な厚さを算出する。具体的な数式は以下のとおりである。
【0013】
【0014】
ここで、Eは遮水岩層の弾性係数であり、μはポアソン比である。
【0015】
S5:算出したカルスト地域での基礎坑側壁の安全な厚さと実際の検出結果を比較し、且つグラウト注入方式を確定する。
【0016】
本発明は、金属網、止水板、グラウト注入管、揚水管及びグラウトを導き出すための一方向連通装置を含む基礎坑におけるカルスト地域用のグラウト注入装置をさらに提供する。
【0017】
前記金属網はカルスト地域の水出口を被覆し、前記止水板の縁部は前記カルスト地域の水出口の縁部に固定して接続され、前記止水板は前記カルスト地域の水出口を完全に被覆せず、前記金属網は前記止水板と前記カルスト地域の水出口の間にあり、
【0018】
前記揚水管は、カルスト地域内の水を抽出するために用いられ、一端が前記金属網を貫通し、他端が前記カルスト地域内に配置され、
【0019】
前記グラウト注入管の側壁には、雌ねじ付きの第1接続端が複数設けられ、
【0020】
前記一方向連通装置端は、雄ねじが設けられる第2接続端であり、前記第2接続端は、前記第1接続端に螺合副接続され、前記一方向連通装置は、グラウトを前記金属網に導き出して封止壁を形成するために用いられる。
【0021】
さらに、前記一方向連通装置は、外部部材、内部部材、バネ及び台座を含み、
【0022】
前記第2接続端は、前記外部部材の一端に設けられ、前記外部部材が中空であり、前記外部部材が前記台座に密封するように接続され、
【0023】
前記内部部材は、前記外部部材の内部に設けられ、前記第2接続端に近接する前記内部部材の一端は外部に連通し、前記内部部材の他端はバネを介して前記台座に接続され、
【0024】
前記外部部材と前記内部部材の側壁には、それぞれ複数の第1グラウト吐出口及び複数の第2グラウト吐出口が設けられ、前記内部部材は、グラウトの圧力により、前記台座に向かって運動すると同時に前記バネを圧縮し、前記複数の第2グラウト吐出口と複数の第1グラウト吐出口を重ね合わせ、前記グラウトを流出させる。
【0025】
さらに、前記一方向連通装置を前記金属網に固定するための磁石をさらに含み、前記磁石は一方向連通装置の外側壁に固定して接続される。
【0026】
さらに、カルスト地域内の水を抽出するための揚水管をさらに含み、前記揚水管の一端は、前記金属網を貫通し、前記カルスト地域内に配置される。
【0027】
さらに、前記内部部材の外径は前記外部部材の内径に等しい。
【0028】
前記外部部材の他端には、雄ねじが設けられ、前記台座には、雌ねじが設けられ、前記外部部材の他端に螺合副接続される。
【0029】
さらに、前記複数の第1グラウト吐出口の間隔は、複数の第2グラウト吐出口の間隔に等しい。
【発明の効果】
【0030】
本発明は基礎坑におけるカルスト地域における水噴出リスクを迅速に除去することができ、従来のグラウト注入構造に対して、施工中における、グラウトを注入しにくく、カルスト水が逆流する等の難題が解決され、カルスト領域の封止を効果的に実現し、施工効果が高く、建設投資が節約され、施工安全が確保され、本発明は、カルスト地域の側壁の安全な厚さの計算モデルを構築することにより、各要素とカルスト地域の側壁の安全な厚さ間の関係を分析し、カルスト地域の側壁の安全な厚さを合理的に予測できる計算式を提供し、カルスト地域での基礎坑の水噴出問題を合理的に対処できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
本発明の実施例又は従来技術における技術的解決手段をより明確に説明するために、以下に、実施例又は従来技術の説明に必要な図面を簡単に説明し、当然ながら、以下に説明される図面は本発明のいくつかの実施例であり、当業者にとって、創造的労働を要することなく、さらにこれらの図面に基づいて他の図面に想到し得る。
図1】本発明の実施例に係るカルスト地域の側壁の厚さを確定するフローチャートである。
図2】本発明の実施例に係る基礎坑とカルスト地域の正面図である。
図3】本発明の実施例に係る基礎坑とカルスト地域の側面図である。
図4】本発明の実施例の基礎坑への応用の概略図である。
図5】本発明の実施例の図4におけるAの拡大図である。
図6】本発明の実施例の図2の斜視図である。
図7】本発明の実施例に係るグラウト注入管と一方向連通装置を組み合わせた概略図である。
図8】本発明の実施例に係るグラウト注入管の構造概略図である。
図9】本発明の実施例に係る一方向連通装置の構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の実施例の目的、技術的解決手段及び利点をより明らかにするために、以下、本発明の実施例における図面を参照しながら、本発明の実施例における技術的解決手段を明らか且つ完全に説明し、説明される実施例が全ての実施例ではなく、本発明の一部の実施例に過ぎないことは言うまでもない。本発明における実施例に基づき、当業者が創造的労働を行うことなく得た他の実施例は、すべて本発明が保護する範囲に含まれるものとする。
【0033】
現在、基礎坑11におけるカルスト地域7内の水の分布が不均一であり且つ検出しにくく、カルスト地域の側壁の厚さが薄すぎると、水噴出が発生しやすいという問題に対して、施工中に水噴出事故が発生しやすく、この場合、往々して施工フィールドを水没させ、器具に衝撃して破壊させ、装置や作業者の事故、工事期間増加、建設投資増加等の悪影響を引き起こす可能性があり、本発明は、カルスト地域の側壁の安全な厚さの計算モデルを構築することにより、各要素とカルスト地域の側壁の安全な厚さ間の関係を分析し、カルスト地域の側壁の安全な厚さを合理的に予測できる計算式を提供し、カルスト地域での基礎坑の水噴出問題を合理的に対処できるようになる。基礎坑におけるカルスト地域の水噴出による不安定破壊の力学的分析によって、覆われたカルスト地域の深基礎坑の水噴出プロセスを含む特徴をより全面的に把握し、効果的な処理構造等の予防措置を取り、基礎坑の安全開削を確保することができる。
【0034】
基礎坑のカタストロフィーによる不安定範囲は、主にカルスト地域に集中し、且つカルスト地域の耐圧位置を中心として周辺へ放射状で破壊され、側壁に明らかな破壊面があり、様々な周囲岩石の条件、カルスト地域の寸法、カルスト地域の側壁の厚さに応じて、カルスト地域の内圧が増加する中に、塑性領域は、カルスト地域から側壁へ拡散状で発展し、塑性領域の影響範囲が外広がりの四角形を呈する。カルスト地域の輪郭断面を四角形に簡素化し、さらに該現象のカタストロフィーメカニズムを分析し、図1図3に示すような力学的モデルを確立することができる。
【0035】
本発明は、以下のステップを含むカルスト地域の側壁の安全な厚さを確定する方法を提供する。
【0036】
カルスト地域の側壁は厚さが均一な無数の薄立方体から角錐台体を構成し、カルスト地域の影響を受けた基礎坑側壁の長さm、前記カルスト地域の長さn、基礎坑側壁の鋼支持力F1、空気圧力F2及びカルスト地域における水圧F3を確定する場合、基礎坑側におけるカルスト地域の側壁に受けられる圧力がF=F1+F2-F3であり、カルスト地域の側壁は弾塑性媒体であり、弾塑性論に基づき、カルスト地域の側壁の軸方向変位、即ち、以下の変形率を算出し、
【0037】
【0038】
ここで、dはカルスト地域の側壁の安全な厚さであり、
【0039】
その境界条件は以下のとおりである。
【0040】
【0041】
(1)、(2)から以下が得られる。
【0042】
【0043】
【0044】
【0045】
エネルギー保存則を利用し、前記カルスト地域の側壁のポテンシャルを算出し、数式は以下のとおりである。
【0046】
【0047】
ここで、Wはカルスト地域の側壁の変形ポテンシャルであり、屈曲変形ポテンシャルW11と中間歪みポテンシャルW12の和であり、即ち、
【0048】
【0049】
【0050】
【0051】
【0052】
は、径方向変位による仕事W21と軸方向外部移動による仕事W22を含む、外力による仕事であり
【0053】
【0054】
【0055】
【0056】
(9)、(12)を(5)に代入し、
【0057】
【0058】
【0059】
ここで、a、a、aは中間変量であり、
【0060】
【0061】
【0062】
【0063】
ここで、x、yは中間変量であり、
【0064】
(16)を(14)に代入すると、行列形態の下式を得て、
【0065】
【0066】
その場合、カスプカタストロフィーモデルに適合し、
【0067】
カタストロフィー理論に基づき、システムの平衡方程式は以下のとおりである。
【0068】
【0069】
これにより、カルスト地域の側壁の水噴出防止の安全な厚さを求め得る。
【0070】
【0071】
式(19)から分かるように、カルスト地域の側壁の安全な厚さは、カルスト地域の側壁の弾性係数である遮水岩層の弾性係数、ポアソン比、カルスト水圧、鋼支持軸力、空気圧力、基礎坑の寸法及びカルスト地域の寸法の影響を受け、基礎坑の周辺カルスト地域の側壁の弾性係数が大きいほど、最小安全厚さが小さく、つまり、周囲岩石が硬い時、水噴出が発生しにくい。基礎坑の開削範囲及びカルスト地域の寸法が大きいほど、基礎坑の最小安全厚さが大きい。
【0072】
以上の分析によると、前記ステップS5は、さらに、実際の地質調査条件に応じて、対応する安全な厚さを算出するステップであってもよく、検出した厚さと比べて、安全な厚さが現在の検出厚さより大きい場合、下記の基礎坑におけるカルスト地域用のグラウト注入装置を使用してグラウトを注入して予防を行う。
【0073】
本発明はさらに基礎坑におけるカルスト地域用のグラウト注入装置を提供し、図4-6に示すように、金属網3、止水板4、グラウト注入管1及び一方向連通装置5を含み、前記金属網3は、カルスト地域7の水出口7.1を被覆し、ステンレス鋼製の止水板4の縁部は、前記カルスト地域7の水出口7.1の縁部にボルト8を介して固定して接続され、前記止水板4は、前記カルスト地域7の水出口7.1を完全に被覆せず、カルスト地域の水流出を防止するために、止水板の頂縁とカルスト地域の頂部に隙間を予約し、グラウト注入管1と一方向連通装置5をカルスト地域内に延伸し、前記金属網3は、前記止水板4と前記カルスト地域7の水出口7.1の間にあり、止水板4の押圧により、金属網3はカルスト地域7の水出口7.1に固定され、
【0074】
図8に示すように、前記グラウト注入管1の一端は、グラウトを内部に注入するために開口し、前記グラウト注入管1の側壁には、雌ねじ付きの第1接続端1-1が複数設けられ、
【0075】
図9に示すように、前記一方向連通装置5の一端は雄ねじが設けられる第2接続端5-1であり、前記第2接続端5-1は、前記第1接続端1-1に螺合副接続され、前記一方向連通装置5は、グラウトを前記金属網3に導き出して封止壁を形成するために用いられる。
【0076】
さらに、前記一方向連通装置5は、外部部材5-2、内部部材5-3、バネ5-4及び台座5-5を含み、前記第2接続端5-1は、前記外部部材5-2の一端に設けられ、前記外部部材5-2が中空であり、前記外部部材5-2の他端に雄ねじが設けられ、前記台座5-5には、雌ねじが設けられ、前記外部部材5-2の他端に螺合副接続され、前記外部部材5-2を密閉すると共に取り外し可能になり、一方向連通装置5の内部のバネ5-4のメンテナンス又は交換を行い、前記内部部材5-3は、前記外部部材5-2の内部に設けられ、前記第2接続端5-1に近接する前記内部部材5-3の一端は外部に連通し、前記内部部材5-3の他端はバネ5-4を介して前記台座5-5に接続され、前記外部部材5-2と前記内部部材5-3の側壁には、それぞれ複数の第1グラウト吐出口5-2-1及び複数の第2グラウト吐出口5-3-1が設けられ、前記内部部材5-3は、グラウトの圧力により、前記台座5-5に向かって運動すると同時に前記バネ5-4を圧縮し、複数の第2グラウト吐出口5-3-1と複数の第1グラウト吐出口5-2-1を重ね合わせ、前記グラウトを流出させる。
【0077】
さらに、カルスト地域内の水を抽出するための揚水管2を含み、前記揚水管2の一端は前記3を貫通し、前記カルスト地域内に配置される。
【0078】
具体的には、図7に示すように、前記外部部材5-2と前記内部部材5-3はいずれもステンレス鋼の円筒形バレル構造であり、前記グラウト注入管1にグラウトを注入すると同時に、揚水管2を介してカルスト地域内の水を抽出し、これにより、金属網3に対するグラウト付着に影響を与えないようにし、グラウトは、グラウト注入管1の側壁の6つの第1接続端1-1からそれぞれ6つの一方向連通装置5に流入し、一方向連通装置5内の内部部材5-3は、グラウトの圧力を受けると、バネ5-4を押圧し、さらに2つの第2グラウト吐出口5-3-1と2つの第1グラウト吐出口5-2-1を重ね合わせ、前記グラウトを第1グラウト吐出口5-2-1から流出させ、金属網3の付近に迅速に凝固させ、前記一方向連通装置5が所定位置にグラウトを継続的に注入できるように、外部部材5-2の外壁に磁石9が固定され、前記磁石9は、一方向連通装置5を金属網3に吸着できる強力磁石であり、金属網3の1つの領域にグラウトが付着した後、グラウトの注入を停止し、この時、前記内部部材5-3は、バネ5-4の押圧を受けて復帰し、グラウト注入管3と一方向連通装置5を金属網3に交換する位置で、金属網3及びその隣接領域全体にグラウトが充満し、且つ連続的に迅速に凝固してカルスト地域7の水出口7.1を封止する封止壁を形成するまで、グラウトを注入するだけでよく、装置全体の最大幅が金属網3の最大幅より大きいため、装置をカルスト地域に配置する場合、金属網を破れ、装置を配置し、最後に金属網3の残したグラウトを注入していない領域が小さく、且つ他の破損領域をワイヤーで接続して修復し、且つそのうちの5つの一方向連通装置5を取り外し、1つの一方向連通装置5のみを残してグラウトを注入し、この時、単一の一方向連通装置5をメッシュから取り出すことができる。
【0079】
さらに、グラウトが前記内部部材5-3と前記外部部材5-2の間に形成された隙間から流出し、装置を損傷することを防止するために、前記内部部材5-3の外径を前記外部部材5-2の内径に等しくする。
【0080】
さらに、複数の第1グラウト吐出口5-2-1がグラウトを同時に流出させ、グラウト注入効率を向上させることができるように、前記複数の第1グラウト吐出口5-2-1の間隔を、複数の第2グラウト吐出口5-3-1の間隔に等しくする。
【0081】
最後に説明しておくこととして、以上の各実施例は本発明の技術的解決手段を説明するためのものに過ぎず、それを制限するものではなく、前記各実施例を参照して本発明を詳しく説明したが、上述した各実施例に記載の技術的解決手段を修正するか、その一部又は全ての技術的特徴を同等な置換可能であり、これらの修正又は置換によって、対応する技術的解決手段の本質が本発明の各実施例の技術的解決手段の範囲から逸脱しないことは当業者が理解可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】