(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-10
(54)【発明の名称】自動車用センサの設置設定の特定
(51)【国際特許分類】
G01S 7/40 20060101AFI20230428BHJP
B62D 65/16 20060101ALI20230428BHJP
G01V 3/12 20060101ALI20230428BHJP
G01S 13/931 20200101ALI20230428BHJP
【FI】
G01S7/40 104
B62D65/16 Z
G01V3/12 A
G01S13/931
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022556010
(86)(22)【出願日】2021-03-10
(85)【翻訳文提出日】2022-09-26
(86)【国際出願番号】 EP2021055971
(87)【国際公開番号】W WO2021185637
(87)【国際公開日】2021-09-23
(31)【優先権主張番号】102020203392.7
(32)【優先日】2020-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100195408
【氏名又は名称】武藤 陽子
(72)【発明者】
【氏名】ヘルト,クリスティアン
【テーマコード(参考)】
2G105
3D114
5J070
【Fターム(参考)】
2G105AA01
2G105BB11
2G105CC01
2G105DD02
2G105EE02
2G105HH04
2G105HH07
3D114CA11
5J070AC02
5J070AC13
5J070AF03
5J070BD01
(57)【要約】
自動車(14)でのセンサ(10;12)の実際の設置設定(30、32)を決定するためのセンサおよび方法であって、センサ(10;12)が、異なる設置設定(30、32)で設置されるように、および異なる設置設定(30、32)の各々で動作するように設計されており、1つのチェックすべき設置設定(30、32)に対するセンサ(10;12)のミスアライメント(E)を決定し、測定方法の測定データが、正しいと仮定されたチェックすべき設置設定(30、32)に基づいて解釈されるステップ(S10;S12)と、センサ(10;12)の決定されたミスアライメント(E
1;E
2)に基づいて、チェックすべき設置設定(30、32)を正しいまたは正しくないと認識するステップ(S14)とを含み、1つのチェックすべき設置設定(30、32)が正しいと認識される場合には、この設置設定(30、32)が、センサ(10;12)の実際の設置設定(30、32)として決定される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車(14)の交通環境内のオブジェクトを捕捉するための自動車用センサ(10;12)であって、前記センサ(10;12)のミスアライメントを決定するための測定方法を実行するように構成されている自動車用センサにおいて、
異なる設置設定(30、32)で前記自動車(14)に設置されるように、および前記異なる設置設定(30、32)の各々で動作するように設計されており、
前記異なる設置設定(30、32)から、前記センサ(10;12)の実際の設置設定(30、32)を決定するための方法を実行するように構成されており、前記方法が、
1つのチェックすべき設置設定(30、32)に対する前記センサ(10;12)のミスアライメント(E)を、前記測定方法の測定データに依拠して決定し、前記測定方法の前記測定データが、正しいと仮定された前記チェックすべき設置設定(30、32)に基づいて解釈されるステップ(S10;S12)と、
前記センサ(10;12)の前記決定されたミスアライメント(E)に基づいて、前記チェックすべき設置設定(30、32)が正しいまたは正しくないと認識するステップ(S14)とを含み、
少なくとも、前記チェックすべき設置設定(30)が正しくないと認識される場合には、少なくとも2つのチェックすべき設置設定(30、32)のうちの少なくとも1つのさらなるチェックすべき設置設定(30、32)に対し、ミスアライメント(E)を決定するステップ(S10;S12)および1つの設置設定(30、32)を正しいまたは正しくないと認識するステップ(S14)が実施され、
1つのチェックすべき設置設定(30、32)が正しいと認識される場合には、前記設置設定(30、32)が、前記センサの前記実際の設置設定(30、32)として決定される(S14)ことを特徴とする自動車用センサ。
【請求項2】
前記実際の設置設定(30、32)を決定するための前記方法に際し、前記センサ(10;12)の前記決定されたミスアライメント(E)に基づいて、前記チェックすべき設置設定(30、32)が正しいまたは正しくないとの認識が、問題となっている前記設置設定に関するミスアライメントの許容範囲(E
max)内にあるミスアライメント量(E)が決定されるかどうかの場合分けに依拠して行われる、請求項1に記載の自動車用センサ。
【請求項3】
前記異なる設置設定(30、32)が、同時に前記センサ(10;12)のそれぞれのインスタンスによって占有可能な異なる設置位置(30、32)を有する設置設定を含む、請求項1または2に記載の自動車用センサ。
【請求項4】
前記異なる設置設定(30、32)が、前記センサ(10;12)のセンサ軸の互いに違った目標アライメントを有する設置設定を含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の自動車用センサ。
【請求項5】
前記実際の設置設定(30、32)を決定するための前記方法において正しいと認識された前記設置設定(30、32)を保存するために、設定メモリ(34)を備える、請求項1から4のいずれ1項に記載の自動車用センサ。
【請求項6】
前記正しいと認識された設置設定(30、32)に対して決定された前記センサ(10;12)の前記ミスアライメント(E)に依拠して前記センサ(10;12)の較正を行うように構成されている、請求項1から5のいずれか1項に記載の自動車用センサ。
【請求項7】
前記センサ(10;12)のミスアライメントを決定するための前記測定方法が、少なくとも1つのオブジェクト(20)の測位測定を含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の自動車用センサ。
【請求項8】
前記センサ(10;12)が、レーダセンサである、請求項1から7のいずれか1項に記載の自動車用センサ。
【請求項9】
前記正しいと認識された設置設定(30、32)についての情報を、通信ユニット(15)を介して外部へ出力するように構成されている、請求項1から8のいずれか1項に記載の自動車用センサ。
【請求項10】
自動車(14)でのセンサ(10;12)の実際の設置設定(30、32)を決定するための方法であって、前記センサ(10;12)が、異なる設置設定(30、32)で設置されるように、および前記異なる設置設定(30、32)の各々で動作するように設計されており、かつ前記センサ(10;12)が、前記センサ(10;12)のミスアライメント(E)を決定するための測定方法を実行するように構成されており、前記方法が、
1つのチェックすべき設置設定(30、32)に対する前記センサ(10;12)のミスアライメント(E)を、前記測定方法の測定データに依拠して決定し、前記測定方法の前記測定データが、正しいと仮定された前記チェックすべき設置設定(30、32)に基づいて解釈されるステップ(S10;S12)と、
前記センサ(10;12)の前記決定されたミスアライメント(E)に基づいて、前記チェックすべき設置設定(30、32)が正しいまたは正しくないと認識するステップ(S14)とを含み、
少なくとも、前記チェックすべき設置設定(30、32)が正しいと認識される場合には、少なくとも2つのチェックすべき設置設定(30、32)のうちの少なくとも1つのさらなるチェックすべき設置設定(30、32)に対し、ミスアライメント(E)を決定するステップ(S10;S12)および1つの設置設定を正しいまたは正しくないと認識するステップ(S14)が実施され、
1つのチェックすべき設置設定(30、32)が正しいと認識される場合には、前記設置設定(30、32)が、前記センサ(10;12)の前記実際の設置設定(30、32)として決定される方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の交通環境内のオブジェクトを捕捉するための自動車用センサであって、センサのミスアライメントを決定するための測定方法を実行するよう構成されている、自動車用センサに関する。
【背景技術】
【0002】
2つ以上の同一の測位センサが、1つの車両内に異なる位置でまたは異なる設置設定で設置され得る場合が望ましい。これに関してはとりわけ、同種のセンサが、つまり1つの部品番号しか持たない1種類の部品だけが用いられ得ることが望ましい。これは、各設置設定に対して異なる部品を備蓄するのに比べ、バリアント管理、予備部品管理などを簡略化する。異なる設置設定とは例えば、レーダセンサの場合、車両の両サイドでの死角検知機能を実装するために、中程度の到達距離を持つ1つのレーダに関しては、右後ろの角に、中程度の到達距離を持つもう1つのレーダセンサに関しては、左後ろの角にあってもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、複数の異なる設置設定に由来する1つの実際の設置設定に対する自動車用センサの構成を容易にすることであり、これらの設置設定のためにこのセンサが設計されている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題は本発明により、冒頭に挙げた種類のセンサであって、異なる設置設定で自動車に設置されるように、および異なる設置設定の各々で動作するように設計されており、異なる設置設定から、このセンサの実際の設置設定を決定するための方法を実行するよう構成されており、この方法は、
1つのチェックすべき設置設定に対するセンサのミスアライメントを、測定方法の測定データに依拠して決定し、測定方法の測定データが、正しいと仮定されたチェックすべき設置設定に基づいて解釈されるステップと、
センサの決定されたミスアライメントに基づいて、チェックすべき設置設定を正しいまたは正しくないと認識するステップとを含み、
少なくとも、このチェックすべき設置設定が正しくないと認識される場合には、少なくとも2つのチェックすべき設置設定のうちの少なくとも1つのさらなるチェックすべき設置設定に対し、ミスアライメントを決定するステップおよび1つの設置設定を正しいまたは正しくないと認識するステップが実施され、
1つのチェックすべき設置設定が正しいと認識される場合には、この設置設定が、センサの実際の設置設定として決定される、センサによって解決される。
【0005】
正しいと仮定されたチェックすべき設置設定に基づいて、測定方法の測定データを解釈することは、このチェックすべき設置設定に相当する1つの設置設定でセンサが自動車に設置されているとして、測定方法の測定データを解釈することを意味する。
【0006】
したがって、センサの実際の設置設定を決定するための方法において、センサのミスアライメントを決定するための測定方法を実行する際または測定方法の測定データを解釈する際に、実際に正しい設置設定を正しい設置設定と仮定して測定データが解釈される場合にしか、センサの許容されるミスアライメントが決定され得ないことを利用する。しかしセンサが別の設置設定で車両に設置されている場合は、誤った正しくない設置設定の仮定の下で測定方法の測定データが解釈されるので、許容範囲内に存在するセンサのミスアライメントは決定され得ないであろう。むしろ、これらの設置設定の間の違いに応じて、センサの許容されない高いミスアライメントが決定されるか、またはセンサの許容されない、例えば定量化できないミスアライメントが決定されるであろう。
【0007】
これに関し特に有利なのは、いずれにしてもセンサに既に実装されている、センサのミスアライメントを決定するための測定方法が、1つの正しい設置設定に対するセンサのミスアライメントの決定に加えて、規定された異なる設置設定から実際の設置設定を決定することもできるように使用され得ることである。このために、ともかく測定方法または測定方法の測定データの解釈が、異なる設置設定のために何回か実施され得る。各正しくない設置設定に対しては、許容範囲外のセンサのミスアライメントが決定されるであろうし、正しい設置設定に対してのみ、センサの許容されるミスアライメントが決定されるであろう。
【0008】
したがってセンサのミスアライメントを決定する際には、ミスアライメントを決定するために、チェックすべき設置設定の仮定の下で、測定方法の測定データが解釈される。センサの同じインスタンスが異なる設置設定で設置され得、その後、センサの各々の実際の設置設定が決定され得ることが特に有利である。
【0009】
センサは、異なる設置設定の各々で動作するよう設計されている。センサには、異なる設置設定の各々で動作するように、例えば異なる動作方法もしくはソフトウェア方法などの形態での異なる機能および/または異なるパラメータ設定もしくはソフトウェア設定が実装され得る。
【0010】
1つのチェックすべき設置設定に対するミスアライメントは、例えば、このチェックすべき設置設定の1つに割り当てられた目標アライメントに対するミスアライメントとして決定され得る。
【0011】
1つまたは複数の実施形態では、1つのチェックすべき設置設定に対するセンサのミスアライメントの決定が、この正しいと仮定されたチェックすべき設置設定に基づく測定方法の実施を含む。これに対して1つまたは複数のほかの実施形態では、1回実施された測定方法の測定データが、チェックすべき設置設定のうちの少なくとも2つの異なるチェックすべき設置設定のために、異なって解釈される。したがって、測定方法の測定データが、それぞれの異なるチェックすべき設置設定の仮定の下で何回か解釈され得る。
【0012】
好ましいのは、センサが測位センサであること、つまりセンサが、自動車の交通環境内のオブジェクトを測位するように構成されていることである。
【0013】
少なくとも2つのチェックすべき設置設定のうちの少なくとも1つのさらなる設置設定は、すべての既に正しくないと認識された設置設定とは違うことが好ましい。
【0014】
異なる設置設定からの実際の設置設定の決定は、異なる設置設定から実際の設置設定を特定することとも言える。
【0015】
例えば、異なるチェックすべき設置設定に対し、ミスアライメントを決定するステップが実施されてもよく、その後、1つのチェックすべき設置設定が正しいまたは正しくないと認識するステップが、チェックすべき設置設定の1つまたは複数に対して実施される。
有利な実施形態は従属請求項から明らかである。
【0016】
実際の設置設定を決定するための方法に際し、センサの決定されたミスアライメントに基づいて、チェックすべき設置設定が正しいまたは正しくないとの認識が、問題となっている設置設定に関するミスアライメントの許容範囲内にあるミスアライメント量が決定されるかどうかの場合分けに依拠して行われることが好ましい。ミスアライメントの許容範囲は、例えば、ミスアライメントの許容最大量によって決定され得る。ミスアライメントの許容範囲内にある量が決定されない場合、このチェックすべき設置設定は正しくないと認識される。これは一般的に、許容されないミスアライメントが決定される場合である。これは例えば、許容範囲外にあるミスアライメント量が決定される場合またはミスアライメントが定量化できない場合であり得る。異なる設置設定の間の違いは、1つの設置設定での1つのセンサの許容されるミスアライメントのそれぞれの範囲よりかなり大きいのが典型的である。
【0017】
これらの異なるチェックすべき設置設定は、例えば、自動車での異なる鏡面対称的な横方向の位置(例えば左側、右側)および/もしくは自動車の中心の長手軸からの異なる横方向の間隔(例えば外側の、内側の位置)を含み得る自動車での異なる横方向の位置により、ならびに/または方位角におけるセンサ視野の中心軸の異なる向き(例えばフロント、リア、サイドのアライメント)により互いに区別し得る。
【0018】
最も簡単な場合には、例えば、自動車での左の位置および右の位置に相当する2つの設置設定が区別され得る。例えば、自動車での前方の設置位置および後方の設置位置を含む異なる設置位置を有する設置設定も区別され得る。例えば、外側の設置位置および内側の設置位置に相当する異なる設置位置を有する設置設定も区別され得る。例えば、上記の設置設定の組合せに相当する設置設定も区別され得る。つまり例えば車両フロントでのまたは車両リアでの設置位置に関し、左の外側の設置設定と、左の内側の設置設定と、右の内側の設置設定と、右の外側の設置設定とが区別され得る。
【0019】
サイドの設置位置およびフロント側またはリア側の設置位置に相当する異なる設置位置を有する設置設定が区別され得る。
異なる設置設定が、センサのそれぞれのインスタンスによって同時に占有可能な異なる設置位置を有する設置設定を含むことが好ましい。つまり1つの自動車内で、例えば1つのセンサが左側に設置されていてもよく、かつ1つの同種のセンサが右側に設置されていてもよい。
【0020】
1つまたは複数の実施形態では、異なる設置設定が、センサのセンサ軸の互いに違った目標アライメントを有する設置設定を含む。このセンサ軸では、とりわけ、センサの視野の中心軸、またはセンサの視野の中心軸を横切るセンサ軸、特にセンサの上下軸であり得る。例えば目標アライメントが、少なくとも5°、さらに好ましくは少なくとも10°、さらに好ましくは少なくとも90°互いに違ってもよい。このようにして、例えばセンサがレーダセンサの視野の中心軸の周りで180°回転して配置されている設置設定が区別され得る。
【0021】
実際の設置設定を決定するための方法では、1つのチェックすべき設置設定が正しいと認識される場合、この設置設定が、センサのその後の動作において基礎となり得る。センサは、例えば、実際の設置設定を決定するための方法において正しいと認識された設置設定を保存するために、設定メモリを備え得る。ちょうど2つの設置設定が区別されるべき最も簡単な場合には、設定メモリが、例えば設置方向などの設置設定を表示するための1ビットを含み得る。設定メモリは、例えば1ビットの容量を備え得る。
【0022】
1つまたは複数の実施形態では、センサは、正しいと認識された設置設定に対して決定されたセンサのミスアライメントに依拠してセンサの較正を行うように構成されている。したがってセンサは、実際の設置設定を認識した後にさらに、それ自体で知られているやり方で、測定方法の測定データに基づいて決定されたミスアライメントに依拠して較正を行い得る。較正は、例えばパラメータ適合および/またはミスアライメントの計算による補正によって行われ得る。較正は、例えば、決定されたミスアライメントに基づいて、センサの機械的な較正機構を介し、センサのアライメントを機械的に適合することでも行われ得る。
【0023】
1つまたは複数の実施形態では、センサのミスアライメントを決定するための測定方法が、少なくとも1つのオブジェクトの測位測定を含む。
1つまたは複数の実施形態では、センサはレーダセンサである。
【0024】
しかしながらセンサは、例えば自動車の交通環境を捕捉するためのカメラを含むセンサでもあってもよい。
課題はさらに、別の独立特許請求項に基づく方法によって解決される。
【0025】
センサが、正しいと認識された設置設定についての情報を、通信ユニットを介して外へ、例えば外部の制御機器または別の同種のセンサへ出力するように構成されていることが好ましい。これは、複数のセンサ間での、対象となっている設置設定の調整を可能にする。
以下に、本発明の例示的実施形態を図面に基づいてより詳しく解説する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】自動車での1つの設置状況における2つのセンサの概略図である。
【
図2】センサの設置設定を決定するための方法の概略図である。
【
図3】同じ設置位置で2つの可能な設置設定を有する状況を示す図である。
【
図4】センサの設置設定を決定するための方法の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、自動車14の交通環境内のオブジェクトを捕捉するための2つの同種の自動車用レーダセンサ10、12の1つの設置状況を概略的に示す。センサ10、12は、車両フロントに配置されており、方向xに視野の中心軸を有している。レーダセンサ10、12はそれぞれ通信ユニット15を備え、この通信ユニット15を介し、レーダセンサ10、12はバス16によって中央の制御ユニット18と接続している。
【0028】
図1は、基準オブジェクト20が、レーダセンサ10、12の間の中心面に対して非対称に配置されている状況を示す。したがってレーダセンサ10、12は、基準オブジェクト20を様々な角度および様々な距離で捕捉する。
【0029】
この場合、両方のレーダセンサ10、12の各々が、センサのミスアライメントを決定するための測定方法を実施し、この測定方法では、基準オブジェクト20が測位され、かつレーダセンサ10または12に対する測位された相対位置が、例えば左のレーダセンサ12のために規定された、基準オブジェクト20が存在する基準位置と比較される。基準位置は、
図1では基準方向22によって表されている。示された例では、レーダセンサ12が、例えば、基準オブジェクト20の測定されたオブジェクト角度を決定しており、このオブジェクト角度は、ここでは該当している左フロントの設置位置をレーダセンサ12に対して仮定すると、基準方向22から僅かなミスアライメントE
2だけ逸脱している。したがってレーダセンサ12は、左フロントの設置位置に相当する設置設定を、正しいと認識する。
【0030】
右のレーダセンサ10は、例えば左フロントの設置位置を設置設定と仮定すると、基準オブジェクト20の位置の目標方向22からのかなりの逸脱が確認され、したがってこの左の設置設定を正しくないと認識する。右フロントの設置位置に相当する代替的な設置設定をチェックする際は、基準オブジェクト20の基準方向24が予想される。この基準方向24は、例えばミスアライメントE1まで含めて、レーダセンサ10によって捕捉される。レーダセンサ10はこれに基づき、右の位置に相当する設置設定を正しいと認識する。この方法はさらに下でより詳しく解説される。
【0031】
図1で示された各レーダセンサ10、12の設置設定の認識は、基準オブジェクトの測定の枠内で、レーダセンサのそれぞれのミスアライメントE
1、E
2の決定に依拠して行われ得る。センサの最初の取付けまたは交換取付けの後に、いずれにしてもセンサのミスアライメントを決定するための較正が行われる場合、それによりそれぞれのセンサによって、設置設定が自動的に一緒に認識され得る。
【0032】
しかしながら自動車14の最初の始動の後に、またはセンサ10もしくは12の新たな設置の後に、それぞれのセンサの設置設定を自動的に決定するために、センサの動作中にも、センサ10、12のミスアライメントを決定するための測定方法が利用され得る。例えば、センサ10、12のミスアライメントが、走行中に、異なる反射の未知の位置に初めから統計学的解析に依拠して決定され得る。
【0033】
図2は、センサの1つの実際の設置設定を決定するための方法を概略的に示し、この方法は、例えば
図1のそれぞれのセンサ10、12に実装されていてもよい。
【0034】
センサ10、12は、異なる設置設定で自動車に設置されるように、および異なる設置設定の各々で動作するように設計されている。異なる設置設定30、32は、例えば、それぞれ設置設定の番号Pと、(X,Y,Z)座標Kと、取付け角度Aとを含んでもよく、かつ例えばステップS10で、仮定された設置設定30に対するセンサ10、12のミスアライメントを決定するための測定方法を実施するための基礎となる。ステップS12では、得られた測定データに依拠し、チェックすべき設置設定30に対するセンサ10、12のミスアライメントE1またはE2が決定される。ステップS14で、決定されたミスアライメントE1またはE2に基づいて、チェックすべき設置設定30が正しくないと認識される場合、ステップS16で、さらなるチェックすべき設置設定32の仮定の下、改めてセンサ10、12のミスアライメントを決定するための測定方法が設置設定32を基礎として実行される。ここでもまた、ステップS18で、センサ10、12のミスアライメントE1またはE2が決定される。こうしてステップS14で、センサ10、12の決定されたミスアライメントに基づいて、第2のチェックされた設置設定32が正しいと認識される場合、ステップS14で、この設置設定32が、センサ10、12の実際の設置設定と決定され、かつステップS20で、センサの設定メモリ34に書き込まれる。その際には例えば、設置方向に依拠した両方の設置設定30、32(P=0、P=1)の区別のための1ビットを保存することで十分であり得る。ステップS20では、正しいと認識された設置設定30、32がさらに、例えば通信ユニット15を介して外へ、例えば外部の制御機器18またはもう1つの同種のセンサ10、12へ出力され得る。ステップS16およびS18は、ステップS14の前に実行されてもよい。
【0035】
このような方法は、基準オブジェクト20の測定に限定されるのではなく、例えば自動車の動作中に未知の周囲内で実施されてもよい。
【0036】
図3は、1つのレーダセンサ10が、1つの同じ設置位置で、2つの異なる設置設定で設置され得る状況を示し、これらの異なる設置設定は、レーダセンサ10がその視野の(一点鎖線で示した)中心軸の周りで180°回転している点が互いに違っていて、
図3ではこれに加え、車両の横方向に関する目標アライメントS
1が示されている。プラグ40が左に向く設置設定でのレーダセンサ10は、基準オブジェクト20を角度aで知覚し、この角度aは、例えば目標アライメントS
1の考慮の下、ミスアライメントまで含めた基準オブジェクト20の基準角度に相当する。これに対し、レーダセンサ10’に相当するもう一方の設置設定では、このレーダセンサ10’が、基準オブジェクト20を負のより大きな角度bで知覚する。ここでもまた、
図2に基づく方法に相応して、それぞれ決定されたミスアライメントに依拠し、正しい設置位置の認識が可能である。
【0037】
図3で概略的に描かれた設置設定が、車両の片側に取り付けられたレーダセンサ10の設置設定である場合、レーダセンサ10の動作中、レーダセンサ10は、前進の際に静的なオブジェクト20の相対移動を典型的には一方向で捕捉するであろう。例えば
図3のレーダセンサ10または10’が車両の右サイドに取り付けられている場合、プラグ40がフロントに方向づけられた一方の設置設定でのレーダセンサ10にとって、静的なオブジェクト20は「プラグ40のない側へ」移動し、その一方でレーダセンサ10’のもう一方の設置設定では、静的なオブジェクト20は典型的には「プラグのある側へ」移動する。したがって設置設定の区別が簡単に可能である。
【0038】
相応するやり方で、例えばプラグ40のある側が常に前方に方向づけられている場合、自動車の左サイドおよび右サイドでの設置設定の区別も行われ得る。
【0039】
設置設定の区別は、例えばフロント側に取り付けられたレーダセンサ10、12の場合、カーブ走行の際に捕捉されるレーダオブジェクト20の異なるヨー・レートに依拠しても行われ得る。
【0040】
図4は、
図2に基づく方法の一形態を図解し、この方法では最初に、ステップS10で決定された、チェックすべき設置設定30に対するセンサ10、12のミスアライメントE
1、E
2が決定され(S12)、その後、チェックすべき設置設定30が正しいと認識されるかどうかが判定される(S14-1)。正しくない場合、次のチェックすべき設置設定32に対し、ステップS10、S12の繰り返し(ステップS16、S18に相当)が行われる。1つのチェックすべき設置設定30、32が、ミスアライメントの許容最大量以下であるミスアライメント(E
n≦E
max)に基づいて正しいと認識される場合(S14-1)、この設置設定30、32が、センサ10、12の実際の設置設定として決定され(S14-2)、かつステップS20で設置設定の保存および/または出力が行われる。
【国際調査報告】