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特表2023-519246PNPLA3の発現を阻害するためのRNAi薬、その医薬組成物、及び使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-10
(54)【発明の名称】PNPLA3の発現を阻害するためのRNAi薬、その医薬組成物、及び使用方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 48/00 20060101AFI20230428BHJP
   C12N 15/113 20100101ALI20230428BHJP
   A61K 31/713 20060101ALI20230428BHJP
   A61K 47/54 20170101ALI20230428BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230428BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20230428BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20230428BHJP
【FI】
A61K48/00
C12N15/113 Z ZNA
A61K31/713
A61K47/54
A61P43/00 111
A61P43/00 105
A61P1/16
A61P29/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022557767
(86)(22)【出願日】2021-03-26
(85)【翻訳文提出日】2022-10-18
(86)【国際出願番号】 US2021024299
(87)【国際公開番号】W WO2021195467
(87)【国際公開日】2021-09-30
(31)【優先権主張番号】63/000,137
(32)【優先日】2020-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512219840
【氏名又は名称】アローヘッド ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100093676
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149010
【弁理士】
【氏名又は名称】星川 亮
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス,アンソニー
(72)【発明者】
【氏名】ペイ,タオ
(72)【発明者】
【氏名】スー,ザオ
(72)【発明者】
【氏名】シェーンベック,カシ
(72)【発明者】
【氏名】ディン、ジ-ミン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA95
4C076CC29
4C076DD66
4C076EE59
4C084AA13
4C084NA13
4C084NA14
4C084ZA751
4C084ZA752
4C084ZB111
4C084ZB112
4C084ZB211
4C084ZB212
4C084ZC411
4C084ZC412
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA13
4C086NA14
4C086ZA75
4C086ZB11
4C086ZB21
4C086ZC41
(57)【要約】
本開示は、パタチン様ホスホリパーゼドメイン含有タンパク質3(PNPLA3)遺伝子発現を阻害することができるRNAi薬、例えば、二本鎖RNAi薬に関する。PNPLA3 RNAi薬を含む医薬組成物及びその使用方法も開示される。本明細書に開示されるPNPLA3 RNAi薬は、肝細胞を含む細胞への送達を促進するために標的化リガンドにコンジュゲートされ得る。インビボでのPNPLA3 RNAi薬の送達により、PNPLA3遺伝子発現の阻害が提供される。RNAi薬は、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、肝線維症、及び硬変を含むアルコール性又は非アルコール性肝疾患を含む、PNPLA3関連疾患及び障害の治療方法において使用することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
PNPLA3遺伝子の発現を阻害するためのRNAi薬であって、
配列番号46~60、176、181、及び188の配列のうちのいずれか1つと0又は1個のヌクレオチドが異なる少なくとも17個の連続したヌクレオチドを含むアンチセンス鎖と、
前記アンチセンス鎖に少なくとも部分的に相補的であるヌクレオチド配列を含むセンス鎖と、を含む、RNAi薬。
【請求項2】
前記アンチセンス鎖が、配列番号46~60、176、181、及び188の配列のうちのいずれか1つのヌクレオチド2~18を含む、請求項1に記載のRNAi薬。
【請求項3】
前記センス鎖が、配列番号2、3、4、9~20、214、219、及び220のセンス鎖配列のうちのいずれか1つと0又は1個のヌクレオチドが異なる少なくとも17個の連続したヌクレオチドのヌクレオチド配列を含み、前記センス鎖が、前記17個の連続したヌクレオチドにわたって前記アンチセンス鎖と少なくとも85%の相補性の領域を有する、請求項1又は2に記載のRNAi薬。
【請求項4】
前記RNAi薬の少なくとも1個のヌクレオチドが、修飾ヌクレオチドであるか、又は修飾ヌクレオシド間連結を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のRNAi薬。
【請求項5】
前記RNAi薬の前記センス鎖及び/又はアンチセンス鎖の前記ヌクレオチドの全て又は実質的に全てが、修飾ヌクレオチドである、請求項1~3のいずれか一項に記載のRNAi薬。
【請求項6】
前記修飾ヌクレオチドが、2’-O-メチルヌクレオチド、2’-フルオロヌクレオチド、2’-デオキシヌクレオチド、2’,3’-セコヌクレオチド模倣物、ロックドヌクレオチド、2’-F-アラビノヌクレオチド、2’-メトキシエチルヌクレオチド、脱塩基ヌクレオチド、リビトール、逆方向ヌクレオチド、逆方向2’-O-メチルヌクレオチド、逆方向2’-デオキシヌクレオチド、2’-アミノ修飾ヌクレオチド、2’-アルキル修飾ヌクレオチド、モルホリノヌクレオチド、ビニルホスホネート含有ヌクレオチド、シクロプロピルホスホネート含有ヌクレオチド、及び3’-O-メチルヌクレオチドからなる群から選択される、請求項4~5のいずれか一項に記載のRNAi薬。
【請求項7】
前記修飾ヌクレオチドの全て又は実質的に全てが、2’-O-メチルヌクレオチド、2’-フルオロヌクレオチド、又はそれらの組み合わせである、請求項5に記載のRNAi薬。
【請求項8】
前記アンチセンス鎖が、配列番号90、95、及び102の修飾アンチセンス鎖配列のうちのいずれか1つのヌクレオチド配列からなるか、本質的にそれからなるか、又はそれを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のRNAi薬。
【請求項9】
前記センス鎖が、配列番号131、136、及び137の修飾センス鎖配列のうちのいずれかのヌクレオチド配列からなるか、本質的にそれからなるか、又はそれを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のRNAi薬。
【請求項10】
前記アンチセンス鎖が、配列番号90、95、及び102の修飾配列のうちのいずれか1つのヌクレオチド配列を含み、前記センス鎖が、配列番号131、136、及び137の修飾配列のうちのいずれか1つのヌクレオチド配列を含む、請求項1に記載のRNAi薬。
【請求項11】
前記RNAi薬が、標的化リガンドに連結されている、請求項1~10のいずれか一項に記載のRNAi薬。
【請求項12】
前記標的化リガンドが、N-アセチル-ガラクトサミンを含む、請求項11に記載のRNAi薬。
【請求項13】
前記標的化リガンドが、(NAG37)又は(NAG37)sの構造を含む、請求項11又は12に記載のRNAi薬。
【請求項14】
前記標的化リガンドが、前記センス鎖に連結されている、請求項11~13のいずれか一項に記載のRNAi薬。
【請求項15】
前記標的化リガンドが、前記センス鎖の5’末端に連結されている、請求項14に記載のRNAi薬。
【請求項16】
前記センス鎖が、18~30ヌクレオチド長であり、前記アンチセンス鎖が、18~30ヌクレオチド長である、請求項1~15のいずれか一項に記載のRNAi薬。
【請求項17】
前記センス鎖及び前記アンチセンス鎖が、それぞれ、18~27ヌクレオチド長である、請求項16に記載のRNAi薬。
【請求項18】
前記センス鎖及び前記アンチセンス鎖が、それぞれ、18~24ヌクレオチド長である、請求項17に記載のRNAi薬。
【請求項19】
前記センス鎖及び前記アンチセンス鎖が、それぞれ、21ヌクレオチド長である、請求項18に記載のRNAi薬。
【請求項20】
前記RNAi薬が、2つの平滑末端を有する、請求項16~19のいずれか一項に記載のRNAi薬。
【請求項21】
前記センス鎖が、1つ又は2つの末端キャップを含む、請求項1~20のいずれか一項に記載のRNAi薬。
【請求項22】
前記センス鎖が、1つ又は2つの逆方向脱塩基残基を含む、請求項1~22のいずれか一項に記載のRNAi薬。
【請求項23】
前記RNAi薬が、配列番号(176及び214)、(90及び131)、(181及び219)、(95及び136)、(188及び220)、及び/又は(102及び137)を有する二重鎖配列を形成するセンス鎖及びアンチセンス鎖からなる、請求項1に記載のRNAi薬。
【請求項24】
前記センス鎖が、前記ヌクレオチド配列の3’末端、前記ヌクレオチド配列の5’末端、又は両方において逆方向脱塩基残基を更に含む、請求項1~23のいずれか一項に記載のRNAi薬。
【請求項25】
配列番号90、95、及び102のヌクレオチド配列のうちの1つと0又は1個のヌクレオチドが異なる修飾ヌクレオチド配列を含むか、それからなるか、又は本質的にそれからなるアンチセンス鎖を含み、
a、c、g、及びuが、それぞれ、2’-O-メチルアデノシン、シチジン、グアノシン、及びウリジンを表し、Af、Cf、Gf、及びUfが、それぞれ、2’-フルオロアデノシン、シチジン、グアノシン、及びウリジンを表し、sが、ホスホロチオエート連結を表し、前記センス鎖の前記ヌクレオチドの全て又は実質的に全てが、修飾ヌクレオチドである、請求項1に記載のRNAi薬。
【請求項26】
前記センス鎖が、配列番号214、219、及び256のヌクレオチド配列のうちの1つと0又は1個のヌクレオチドが異なる修飾ヌクレオチド配列を含むか、それからなるか、又は本質的にそれからなり、
a、c、g、i、及びuが、それぞれ、2’-O-メチルアデノシン、シチジン、グアノシン、イノシン、及びウリジンを表し、Af、Cf、Gf、及びUfが、それぞれ、2’-フルオロアデノシン、シチジン、グアノシン、及びウリジンを表し、sが、ホスホロチオエート連結を表し、前記アンチセンス鎖の前記ヌクレオチドの全て又は実質的に全てが、修飾ヌクレオチドである、請求項1に記載のRNAi薬。
【請求項27】
前記センス鎖が、前記ヌクレオチド配列の3’末端、前記ヌクレオチド配列の5’末端、又は両方において逆方向脱塩基残基を更に含む、請求項24~26のいずれか一項に記載のRNAi薬。
【請求項28】
前記RNAi薬の前記センス鎖が、標的化リガンドに連結されている、請求項24~27のいずれか一項に記載のRNAi薬。
【請求項29】
前記標的化リガンドが、アシアロ糖タンパク質受容体に対する親和性を有する、請求項28に記載のRNAi薬。
【請求項30】
前記標的化リガンドが、N-アセチル-ガラクトサミンを含む、請求項29に記載のRNAi薬。
【請求項31】
前記標的化リガンドが、
【化1】
を含む、請求項1に記載のRNAi薬。
【請求項32】
前記アンチセンス鎖が、配列番号90、95、及び102の修飾ヌクレオチド配列からなり、前記センス鎖が、配列番号131、136、及び137の修飾ヌクレオチド配列からなり、
a、c、g、及びuが、それぞれ、2’-O-メチルアデノシン、シチジン、グアノシン、及びウリジンであり、Af、Cf、Gf、及びUfが、それぞれ、2’-フルオロアデノシン、シチジン、グアノシン、及びウリジンであり、sが、ホスホロチオエート連結であり、(invAb)が、逆方向脱塩基デオキシリボース残基であり、(NAG37)sが、以下の化学構造:
【化2】
を有する、請求項1に記載のRNAi薬。
【請求項33】
請求項1~32のいずれか一項に記載のRNAi薬を含む組成物であって、薬学的に許容される賦形剤を更に含む、組成物。
【請求項34】
細胞においてPNPLA3遺伝子の発現を阻害するための方法であって、細胞に、有効量の請求項1~32のいずれか一項に記載のRNAi薬又は請求項33に記載の組成物を導入することを含む、方法。
【請求項35】
前記細胞が、対象内にある、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記対象が、ヒト対象である、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記PNPLA3遺伝子発現が、少なくとも約30%阻害される、請求項34~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
PNPLA3関連疾患又は障害を治療する方法であって、それを必要とするヒト対象に、治療有効量の請求項33に記載の組成物を投与することを含む、方法。
【請求項39】
前記疾患が、NAFLD、NASH、肝線維症、アルコール性脂肪性肝疾患、又は硬変である、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記RNAi薬が、前記ヒト対象の体重1kg当たり約0.05mg~約5.0mgの用量で投与される、請求項34~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記RNAi薬が、2回又は3回以上の用量で投与される、請求項34~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
PNPLA3遺伝子発現によって少なくとも部分的に媒介される疾患、障害、又は症状の治療のための、請求項1~32のいずれか一項に記載のRNAi薬又は請求項33に記載の組成物の使用。
【請求項43】
前記症状が、肝硬変である、請求項42に記載の使用。
【請求項44】
PNPLA3遺伝子発現によって少なくとも部分的に媒介される疾患、障害、又は症状を治療するための医薬組成物の調製のための、請求項1~32のいずれか一項に記載のRNAi薬又は請求項33に記載の組成物の使用。
【請求項45】
前記疾患が、NAFLD、NASH、肝線維症、又は硬変などのアルコール性若しくは非アルコール性肝疾患である、請求項42~44のいずれか一項に記載の使用。
【請求項46】
前記RNAi薬が、前記ヒト対象の体重1kg当たり約0.05mg~約5.0mgの用量で投与される、請求項42~45のいずれか一項に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2020年3月26日に出願された米国特許仮出願第63/000,137号の利益を主張し、当該米国特許仮出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(配列表)
本出願は、ASCIIフォーマットで電子的に提出され、その全体が参照により本明細書に組み込まれる配列表を含む。上記ASCIIコピーは、2021年3月25日に作成され、名称は103693_002475_PCT_SL.txtであり、サイズは248,025バイトである。
【0003】
(発明の分野)
本開示は、パタチン様ホスホリパーゼドメイン含有タンパク質3(Patatin-like phospholipase domain-containing protein 3、PNPLA3)の阻害のためのRNA干渉(RNA interference、RNAi)薬、例えば、二本鎖RNAi薬、PNPLA3 RNAi薬を含む医薬組成物、及びその使用方法に関する。
【0004】
(背景)
非アルコール性脂肪性肝疾患(nonalcoholic fatty liver disease、NAFLD)は、世界中で最も一般的な慢性肝疾患であり、世界の人口の約20%が罹患していると推定される。一部の個人では、脂肪症と呼ばれる肝臓における異所性脂肪の蓄積により、炎症及び肝細胞損傷が引き起こされ、非アルコール性脂肪性肝炎(nonalcoholic steatohepatitis、NASH)と呼ばれるより高度な段階の疾患となる。NAFLDの治療は、しばしば、体重減少、及びインスリン抵抗性又は脂質異常症などの任意の二次状態の治療に向けられる。
【0005】
II型膜貫通タンパク質であるパタチン様ホスホリパーゼドメイン含有3(PNPLA3)は、肝臓を含む様々な細胞で発現される。肝細胞において、PNPLA3は、小胞体及び脂質膜上で発現され、主にトリアシルグリセロールヒドロラーゼ活性を示す。
【0006】
本発明は、PNPLA3レベルを低下させ、NAFLDなどの肝臓疾患を治療するための新規なアプローチを提供する。
【0007】
(概要)
配列番号46~60、176、181及び188の配列のうちのいずれか1つと0又は1個のヌクレオチドが異なる少なくとも17個の連続したヌクレオチドを含むアンチセンス鎖と、アンチセンス鎖に少なくとも部分的に相補的なヌクレオチド配列を含むセンス鎖と、を含む、PNPLA3遺伝子の発現を阻害するためのRNAi薬が本明細書に開示される。
【0008】
いくつかの実施形態では、アンチセンス鎖は、配列番号46~60、176、181、及び188の配列のうちのいずれか1つのヌクレオチド2~18を含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、センス鎖は、配列番号2、3、4、9~20、214、219、及び220のセンス鎖配列のうちのいずれか1つと0又は1個のヌクレオチドが異なる少なくとも17個の連続したヌクレオチドのヌクレオチド配列を含み、センス鎖は、17個の連続したヌクレオチドにわたってアンチセンス鎖と少なくとも85%の相補性の領域を有する。
【0010】
いくつかの実施形態では、RNAi薬の少なくとも1個のヌクレオチドは、修飾ヌクレオチドであるか、又は修飾ヌクレオシド間連結を含む。
【0011】
いくつかの実施形態によれば、RNAi薬のセンス鎖及び/又はアンチセンス鎖のヌクレオチドの全て又は実質的に全ては、修飾ヌクレオチドである。
【0012】
いくつかの実施形態では、修飾ヌクレオチドは、2’-O-メチルヌクレオチド、2’-フルオロヌクレオチド、2’-デオキシヌクレオチド、2’,3’-セコヌクレオチド模倣物、ロックドヌクレオチド、2’-F-アラビノヌクレオチド、2’-メトキシエチルヌクレオチド、脱塩基ヌクレオチド、リビトール、逆方向ヌクレオチド、逆方向2’-O-メチルヌクレオチド、逆方向2’-デオキシヌクレオチド、2’-アミノ修飾ヌクレオチド、2’-アルキル修飾ヌクレオチド、モルホリノヌクレオチド、ビニルホスホネート含有ヌクレオチド、シクロプロピルホスホネート含有ヌクレオチド、及び3’-O-メチルヌクレオチドからなる群から選択される。
【0013】
他の実施形態では、修飾ヌクレオチドの全て又は実質的に全ては、2’-O-メチルヌクレオチド、2’-フルオロヌクレオチド、又はそれらの組み合わせである。
【0014】
いくつかの実施形態では、アンチセンス鎖は、配列番号90、95、及び102の修飾アンチセンス鎖配列のうちのいずれか1つのヌクレオチド配列からなるか、本質的にそれからなるか、又はそれを含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、センス鎖は、配列番号131、136、及び137の修飾センス鎖配列のうちのいずれかのヌクレオチド配列からなるか、本質的にそれからなるか、又はそれを含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、アンチセンス鎖は、配列番号90、95及び102の修飾配列のうちのいずれか1つのヌクレオチド配列を含み、センス鎖は、配列番号131、136、及び137の修飾配列のうちのいずれか1つのヌクレオチド配列を含む。
【0017】
他の実施形態では、RNAi薬は、標的化リガンドに連結されている。いくつかの実施形態では、標的化リガンドは、N-アセチル-ガラクトサミンを含む。更に他の実施形態では、標的化リガンドは、(NAG37)又は(NAG37)sの構造を含む。更なる実施形態では、標的化リガンドは、センス鎖に連結される。いくつかの実施形態では、標的化リガンドは、センス鎖の5’末端に連結される。
【0018】
いくつかの実施形態では、センス鎖は、18~30ヌクレオチド長であり、アンチセンス鎖は、18~30ヌクレオチド長である。他の実施形態では、センス鎖及びアンチセンス鎖を標的化することは、それぞれ、18~27ヌクレオチド長である。他の実施形態では、センス鎖及びアンチセンス鎖を標的化することは、それぞれ、18~24ヌクレオチド長である。更に他の実施形態では、センス鎖及びアンチセンス鎖は、それぞれ、21ヌクレオチド長である。
【0019】
いくつかの実施形態では、RNAi薬は、2つの平滑末端を有する。
【0020】
いくつかの実施形態では、センス鎖は、1つ又は2つの末端キャップを含む。他の実施形態では、センス鎖は、1つ又は2つの逆方向脱塩基残基を含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、RNAi薬は、配列番号(176及び214)(90及び131)、(181及び219)、(95及び136)、(188及び220)、及び/又は(102及び137)を有する二重鎖配列を形成するセンス鎖及びアンチセンス鎖からなる。
【0022】
いくつかの実施形態では、センス鎖が、ヌクレオチド配列の3’末端、ヌクレオチド配列の5’末端、又は両方において逆方向脱塩基残基を更に含む。
【0023】
いくつかの態様では、本明細書で提供されるRNAi薬は、配列番号90、95、及び102のヌクレオチド配列のうちの1つと0又は1個のヌクレオチドが異なる修飾ヌクレオチド配列を含むか、それからなるか、又は本質的にそれからなるアンチセンス鎖を含み、a、c、g、及びuは、それぞれ、2’-O-メチルアデノシン、シチジン、グアノシン、及びウリジンを表し、Af、Cf、Gf、及びUfは、それぞれ、2’-フルオロアデノシン、シチジン、グアノシン、及びウリジンを表し、sは、ホスホロチオエート連結を表し、センス鎖のヌクレオチドの全て又は実質的に全ては、修飾ヌクレオチドである。
【0024】
いくつかの実施形態では、本開示のセンス鎖は、配列番号214、219、及び256のヌクレオチド配列のうちの1つから0又は1個のヌクレオチドが異なる修飾ヌクレオチド配列を含むか、それからなるか、又は本質的にそれからなり、a、c、g、i、及びuは、それぞれ、2’-O-メチルアデノシン、シチジン、グアノシン、イノシン、及びウリジンを表し、Af、Cf、Gf、及びUfは、それぞれ、2’-フルオロアデノシン、シチジン、グアノシン、及びウリジンを表し、sは、ホスホロチオエート連結を表し、アンチセンス鎖のヌクレオチドの全て又は実質的に全ては、修飾ヌクレオチドである。他の実施形態では、センス鎖は、ヌクレオチド配列の3’末端、ヌクレオチド配列の5’末端、又は両方において逆方向脱塩基残基を更に含む。他の実施形態では、RNAi薬のセンス鎖は、標的化リガンドに連結されている。
【0025】
いくつかの実施形態では、標的化リガンドは、アシアロ糖タンパク質受容体に対する親和性を有する。いくつかの実施形態では、標的化リガンドは、N-アセチル-ガラクトサミンを含む。
【0026】
更なる実施形態では、標的化リガンドは、
【0027】
【化1】
を含む。
【0028】
更なる実施形態では、アンチセンス鎖は、配列番号90、95、及び102の修飾ヌクレオチド配列からなり、センス鎖は、配列番号131、136、及び137の修飾ヌクレオチド配列からなり、a、c、g、及びuは、それぞれ、2’-O-メチルアデノシン、シチジン、グアノシン、及びウリジンであり、Af、Cf、Gf、及びUfは、それぞれ、2’-フルオロアデノシン、シチジン、グアノシン、及びウリジンであり、sは、ホスホロチオエート連結であり、(invAb)は、逆方向脱塩基デオキシリボース残基であり、(NAG37)sは、以下の化学構造を有する。
【0029】
【化2】
【0030】
本開示のRNAi薬を含む組成物であって、薬学的に許容される賦形剤を更に含む、組成物も開示される。
【0031】
細胞においてPNPLA3遺伝子の発現を阻害するための方法であって、細胞に、有効量の本開示のRNAi薬又は本開示の組成物を導入することを含む、方法も本明細書で提供される。
【0032】
いくつかの実施形態では、細胞は、対象内にある。いくつかの実施形態では、対象は、ヒト対象である。
【0033】
他の実施形態では、PNPLA3遺伝子発現は、少なくとも約30%阻害される。いくつかの実施形態では、PNPLA3遺伝子発現は、肝細胞の細胞質において少なくとも約50%阻害される。
【0034】
PNPLA3関連疾患又は障害を治療する方法であって、それを必要とするヒト対象に、治療有効量の本開示の組成物を投与することを含む、方法が本明細書で更に提供される。
【0035】
いくつかの実施形態では、疾患は、NAFLD、NASH、肝線維症、アルコール性脂肪性肝疾患、又は硬変である。
【0036】
いくつかの実施形態では、RNAi薬は、ヒト対象の体重1kg当たり約0.05mg~約5.0mgの用量で投与される。
【0037】
他の実施形態では、RNAi薬は、2回又は3回の用量で投与される。
【0038】
PNPLA3遺伝子発現によって少なくとも部分的に媒介される疾患、障害、又は症状の治療のための、本開示のRNAi薬又は本開示の組成物の使用も本明細書で提供される。
【0039】
いくつかの実施形態では、症状は、肝硬変である。
【0040】
PNPLA3遺伝子発現によって少なくとも部分的に媒介される疾患、障害、又は症状を治療するための医薬組成物の調製のための、本開示のRNAi薬又は本開示の組成物の使用が本明細書で更に提供される。
【0041】
いくつかの実施形態では、疾患は、NAFLD、NASH、肝線維症、又は硬変などのアルコール性若しくはアルコール性肝疾患である。いくつかの実施形態では、RNAi薬は、ヒト対象の体重1kg当たり約0.05mg~約5.0mgの用量で投与される。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】RNAi薬で処置した非ヒト霊長類(non-human primate、NHP)からのPCRによるPNPLA3のベースライン相対的全肝臓発現を示すグラフである。研究#1:データは、幾何平均±SD(n=4)である。
図2】試験した全ての動物における、定量的ISHによる肝細胞の細胞質における平均PNPLA3 mRNAノックダウンを示すグラフである(研究#1及び研究#2)。研究#2:データは、平均±SD(n=14)である。
【0043】
(実施態様の詳細な記述)
本開示の方法は、本開示の一部を形成する、添付の図面に関連してなされる以下の詳細な説明を参照することにより、より容易に理解することができる。本開示の方法は、本明細書に記載及び/又は示される特定の方法に限定されないこと、更に、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を例によって説明することのみを目的とし、請求項に記載の方法に限定することを意図しないことを理解されたい。
【0044】
本明細書において、明確性のために、別々の実施形態の文脈において記載される、本開示の方法の複数の特徴はまた、単一の実施形態において組み合わせて提供されてもよいことを理解されたい。逆に、簡潔さのために単一の実施形態として記載された本開示の方法の種々の特徴はまた、別個に、又は任意の部分的組み合わせで提供されてもよい。
【0045】
定義
本明細書で使用されるとき、「RNAi薬」(「RNAiトリガー」とも称される)は、配列特異的な方法で標的メッセンジャーRNA(messenger RNA、mRNA)のmRNA転写物の翻訳を低下又は阻害することができる、RNA又はRNA様(例えば、化学的に修飾されたRNA)オリゴヌクレオチド分子を含む組成物を意味する。本明細書で使用されるとき、RNAi薬は、RNA干渉メカニズム(すなわち、哺乳類細胞のRNA干渉経路機構(RNA誘導サイレンシング複合体、RISC)との相互作用によりRNA干渉を引き起こす)を介して、あるいは任意の代替的なメカニズム又は経路によって、作用し得る。RNAi薬という語は、本明細書で使用されるとき、主にRNA干渉メカニズムを介して作用すると考えられるが、本開示のRNAi薬は、いかなる特定の経路又は作用メカニズムにも拘束されるものではなく、またこれらに制限されるものではない。本明細書に開示されるRNAi薬は、センス鎖及びアンチセンス鎖からなり、当該RNAi薬としては、短(又は小さな低分子)干渉RNA(short(or small)interfering RNA、siRNA)、二本鎖RNA(double stranded RNA、dsRNA)、マイクロRNA(micro RNA、miRNA)、短ヘアピンRNA(short hairpin RNA、shRNA)、及びダイサー(dicer)基質が挙げられるがこれらに制限されない。本明細書に記載のRNAi薬のアンチセンス鎖は、標的化されるmRNA(すなわち、PNPLA3 mRNA)に少なくとも部分的に相補的である。RNAi薬は、1つ若しくは2つ以上の修飾ヌクレオチド及び/又は1つ若しくは2つ以上の非ホスホジエステル連結を含み得る。
【0046】
本明細書で使用されるとき、所与の遺伝子の発現に関する場合の用語「サイレンス」、「低減」、「阻害」、「ダウンレギュレートする」、又は「ノックダウン」とは、遺伝子の発現が、遺伝子が転写される細胞、細胞群、組織、臓器、又は対象における遺伝子から転写されたRNAのレベル、又はmRNAから翻訳されたポリペプチド、タンパク質、若しくはタンパク質サブユニットのレベルによって測定される際、細胞、細胞群、組織、臓器、又は対象が、本明細書に記載されるRNAi薬などのオリゴマー化合物で治療されたときに、そのように治療されていない第2の細胞、細胞群、組織、臓器、又は対象に比べて、低減されていることを意味する。
【0047】
本明細書で使用されるとき、用語「配列」又は「ヌクレオチド配列」は、核酸塩基又はヌクレオチドの連続又は順序を意味し、標準命名法を用いて文字の連続で記述される。核酸分子は、未修飾及び/又は修飾ヌクレオチドを含み得る。ヌクレオチド配列は、未修飾及び/又は修飾ヌクレオチドを含み得る。
【0048】
本明細書で使用されるとき、「塩基」、「ヌクレオチド塩基」、「ヌクレオチド」、又は「核酸塩基」は、ポリヌクレオチドの成分である複素環式ピリミジン又はプリン化合物であり、第一級プリン塩基性アデニン及びグアニン、並びに第一級ピリミジン塩基シトシン、チミン、及びウラシルが挙げられる。ヌクレオチドは、未修飾であり得る。核酸塩基は、限定されないが、ユニバーサル塩基、疎水性塩基、無差別塩基(promiscuous base)、サイズ拡大塩基、及びフッ素化塩基を含むように更に修飾されてもよい。(例えば、Modified Nucleosides in Biochemistry,Biotechnology and Medicine,Herdewijn,P.ed.Wiley-VCH,2008を参照されたい)。そのような修飾ヌクレオチド(修飾ヌクレオチドを含むホスホロアミダイト化合物を含む)の合成は、当該技術分野で既知である。
【0049】
本明細書で使用されるとき、かつ、別途記載のない限り、用語「相補的」とは、第1の核酸塩基又はヌクレオチド配列(例えば、RNAi薬のセンス鎖又は標的化されるmRNA)を第2の核酸塩基又はヌクレオチド配列(例えば、RNAi薬のアンチセンス鎖又は単鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド)との関連で記述するのに使用されるとき、第1のヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドが、第2のヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドと、特定の標準条件下で、ハイブリダイズして(哺乳動物生理学的条件(又はその他では好適なインビボ若しくはインビトロ条件)下で塩基対水素結合を形成して)、二重鎖又は二重らせん構造を形成することができることを意味する。当業者は、ハイブリダイゼーション試験に最も適した条件のセットを選択することができるであろう。相補的配列には、ワトソンクリック塩基対又は非ワトソンクリック塩基対が含まれ、また、少なくとも上記のハイブリダイゼーション要件が充足される限りにおいて、天然ヌクレオチド若しくは修飾ヌクレオチド又はヌクレオチド模倣体が含まれる。配列同一性又は相補性は、修飾に依存しない。例えば、本明細書で定義されるa及びAfは、U(又はT)に相補的であり、同一性又は相補性を決定する目的ではAと同一である。
【0050】
本明細書で使用されるとき、「完璧に相補的」又は「完全に相補的」とは、ハイブリダイズした核酸塩基又はヌクレオチド配列分子の対において、第1のオリゴヌクレオチドの連続配列中の塩基の全て(100%)が、第2のポリヌクレオチドの連続配列中の同じ数の塩基にハイブリダイズすることを意味する。連続配列は、第1又は第2のヌクレオチド配列の全部又は一部を含み得る。
【0051】
本本明細書で使用されるとき、「部分的に相補的」とは、ハイブリダイズした核酸塩基又はヌクレオチド配列分子の対において、第1のポリヌクレオチドの連続配列中の塩基の全てではないが少なくとも70%が、第2のポリヌクレオチドの連続配列中の同じ数の塩基にハイブリダイズすることを意味する。連続配列は、第1又は第2のヌクレオチド配列の全部又は一部を含み得る。
【0052】
本明細書で使用されるとき、「実質的に相補的」とは、ハイブリダイズした核酸塩基又はヌクレオチド配列分子の対において、第1のポリヌクレオチドの連続配列中の塩基の全てではないが少なくとも約85%が、第2のポリヌクレオチドの連続配列中の同じ数の塩基にハイブリダイズすることを意味する。連続配列は、第1又は第2のヌクレオチド配列の全部又は一部を含み得る。
【0053】
本明細書で使用されるとき、「相補的な」、「完全に相補的な」、「部分的に相補的な」、及び「実質的に相補的な」という用語は、RNAi薬のセンス鎖とアンチセンス鎖との間、又はRNAi薬のアンチセンス鎖とPNPLA3 mRNAの配列との間の、核酸塩基又はヌクレオチドの一致に関して使用される。
【0054】
本明細書で使用されるとき、用語「実質的に同一」又は「実質的に同一性」は、核酸配列に適用される際、核酸配列(又はヌクレオチド配列の一部)が、参照配列と比較して、少なくとも約85%以上の配列同一性、好ましくは少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%の同一性を有することを意味する。配列同一性の百分率は、比較ウィンドウにわたって2つの最適に揃えられた配列を比較することによって決定される。この百分率は、同じ種類の核酸塩基が両方の配列に生じる位置の数を決定し、一致した位置の数を得て、一致した位置の数をウィンドウ内の位置の総数で割り、その結果に100を掛けて配列同一性の割合(%)を得ることによって計算される。本明細書に開示される発明は、本明細書に開示されるものと実質的に同一のヌクレオチド配列を包含する。
【0055】
本明細書で使用されるとき、「個人」、「患者」、及び「対象」という用語は、トリ、ヒト、及び他の霊長類、並びに商業的に関連する哺乳動物又はマウス、ラット、サル、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ネコ、及びイヌなどの動物モデルを含む他の哺乳動物を含むがこれらに限定されない、任意の動物種のメンバーを指すために互換的に使用される。好ましくは、対象はヒトである。
【0056】
本明細書で使用されるとき、用語「治療する」、「治療」などは、対象における疾患又は状態の1つ又は2つ以上の症状の回数、重篤度、及び/又は頻度の軽減又は緩和を提供するために行われる方法又はステップを意味する。本明細書で使用されるとき、「治療する」及び「治療」は、対象における疾患の1つ又は2つ以上の症状の数、重症度、及び/又は頻度の予防、管理、予防的治療、及び/又は阻害若しくは低減を含んでもよい。
【0057】
本明細書で使用されるとき、RNAi薬に言及する場合の「細胞に導入する」という語句は、RNAi薬を細胞内に機能的に送達することを意味する。「機能的に送達」という語句は、RNAi薬が期待される生物学的活性、例えば、遺伝子発現の配列特異的阻害を有することを可能にする様式で、細胞にRNAi薬を送達することを意味する。
【0058】
別途記載のない限り、本明細書で使用される記号
【0059】
【化3】
の使用は、本明細書に記載される本発明の範囲に従って連結されてもよい任意の基(複数可)を意味する。
【0060】
本明細書で使用されるとき、用語「異性体」は、同一の分子式を有するが、それらの原子の結合の性質又は配列が異なるか、又は空間における原子の配置が異なる、化合物を意味する。空間におけるその原子の配置において異なる異性体を、「立体異性体」と呼ぶ。互いの鏡像ではない立体異性体を、「ジアステレオマー」と呼び、重ね合わせられない鏡像である立体異性体を、「エナンチオマー」又は時に光学異性体と呼ぶ。4つの非同一置換基に結合した炭素原子は、「キラル中心」と呼ばれる。
【0061】
本明細書で使用されるとき、特定のコンフォメーションを有するものとして構造中で特定されている場合を除き、非対称中心が存在し、よってエナンチオマー、ジアステレオマー、又はその他の立体異性配置が生じるような各構造について、本明細書に開示される各構造は、そのような可能な異性体全てを表すことが意図され、これにはその光学的に純粋な形態及びラセミ体が含まれる。例えば、本明細書に開示される構造は、ジアステレオマーの混合物、並びに単独の立体異性体を包含することが意図される。
【0062】
本明細書で使用されるとき、用語「含む(comprising)」、「含む(including)」、「含む(containing)」、及び「によって特徴づけられる(characterized by)」は、交換可能で、包括的で、開放型であり、かつ、追加の記載されていない要素又は方法ステップを除外しない。本明細書における「含む」という用語の任意の記載は、特に組成物の成分の記載又はデバイスの要素の記載において、記載された成分又は要素から本質的になり、かつそれらからなる組成物及び方法を包含すると理解される。
【0063】
本出願の請求項に使用されるとき、「からなる」という語句は、請求項に特定されていない要素、ステップ、又は成分を除外する。本出願の請求項に使用されるとき、「から本質的になる」という語句は、特定される材料又はステップ、並びに、請求される特許の基本的かつ新しい特徴に実質的に影響しないものに、特許請求の範囲を制限する。
【0064】
本明細書に開示される化合物及び組成物は、その化合物又は組成物が置かれている環境に応じて、特定の原子(例えば、N、O、又はS原子)をプロトン化状態又は脱プロトン化状態で有し得ることが、当業者には容易に理解され評価されるであろう。したがって、本明細書で使用されるとき、本明細書に開示される構造は、特定の官能基(例えば、OH、SH、又はNH)がプロトン化又は脱プロトン化し得ることが想定される。本明細書の開示は、当業者には容易に理解され得るように、環境(例えばpH)に基づくプロトン化の状態にかかわらず、開示される化合物及び組成物を包含することが意図される。それに対応して、不安定なプロトン又は塩基性原子を有する本明細書に記載の化合物は、対応する化合物の塩形態を表すと理解されるべきである。本明細書に記載の化合物は、遊離酸、遊離塩基、又は塩形態であり得る。本明細書に記載の化合物の薬学的に許容される塩は、本発明の範囲内にあると理解されるべきである。
【0065】
本明細書で使用されるとき、2つの化合物又は分子間の接続を指す場合、「連結された」又は「コンジュゲートされた」という用語は、2つの化合物又は分子が共有結合によって結合されていることを意味する。記載されない限り、本明細書で使用される「連結された」及び「コンジュゲートされた」という用語は、任意の介在原子又は原子基を伴う又は伴わない、第1の化合物と第2の化合物との間の接続を指してもよい。
【0066】
本明細書で使用されるとき、「含む(including)」という用語は、本明細書では「含むが、これらに限定されない」という語句を意味し、これと互換的に使用される。「又は」という用語は、文脈が別途明確に示していない限り、本明細書では「及び/又は」という用語を意味し、これと互換的に使用される。
【0067】
特に定義されない限り、本明細書で用いる技術的及び科学的な用語は全て、当業者によって共通に解釈されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されているものと同様又は同等の方法及び材料を、本発明を実施又は試験するために使用することが可能であるが、好適な方法及び材料を以下に記載する。本明細書で言及される全ての刊行物、特許出願、特許、及び他の参考文献は、参照することによりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。不一致である場合、定義を含め本明細書が適用される。加えて、材料、方法、及び例は、単に例示的なものであり、限定を意図したものではない。
【0068】
本発明の他の目的、特徴、態様、及び利点は、以下の詳細な説明、添付の図面、及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【0069】
(詳細な説明)
RNAi薬
PNPLA3遺伝子の発現を阻害するためのRNAi薬(本明細書では、PNPLA3 RNAi薬又はPNPLA3 RNAiトリガーと称される)が本明細書に記載される。各PNPLA3 RNAi薬は、センス鎖及びアンチセンス鎖を含む。センス鎖及びアンチセンス鎖は、それぞれ、16~49ヌクレオチド長であり得る。センス鎖及びアンチセンス鎖は、同じ長さ又は異なる長さのいずれでもあり得る。いくつかの実施形態では、センス鎖及びアンチセンス鎖は、それぞれ独立して、18~27ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態において、センス鎖及びアンチセンス鎖の両方が、それぞれ21~26ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態では、センス鎖及びアンチセンス鎖は、それぞれ、21~24ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態では、センス鎖及びアンチセンス鎖は、それぞれ独立して、19~21ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態において、センス鎖は約19ヌクレオチド長、アンチセンス鎖は約21ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態では、センス鎖は約21ヌクレオチド長であり、アンチセンス鎖は約23ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態において、センス鎖は23ヌクレオチド長、アンチセンス鎖は21ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態では、センス鎖及びアンチセンス鎖の両方が、それぞれ、21ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態では、RNAi薬のセンス鎖及びアンチセンス鎖は、それぞれ独立して、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、又は39ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態において、二重鎖RNAi薬は、約16、17、18、19、20、21、22、23又は24ヌクレオチドの二重鎖長を有する。
【0070】
PNPLA3 RNAi薬の形成に使用されるヌクレオチド配列の例は、表2、表3、及び表4に提供される。表2、表3、及び表4のセンス鎖及びアンチセンス鎖配列を含むRNAi薬二重鎖の例は、表5A及び表5Bに示される。
【0071】
いくつかの実施形態では、センス鎖とアンチセンス鎖との間の完全な、実質的な、又は部分的な相補性の領域は、16~26(例えば、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、又は26)ヌクレオチド長であり、アンチセンス鎖の5’末端又はその付近に存在する(例えば、この領域は、アンチセンス鎖の5’末端から、完全、実質的、又は部分的に相補的でない0、1、2、3、又は4個のヌクレオチドによって隔てられていてもよい)。
【0072】
本明細書に記載のPNPLA3 RNAi薬のセンス鎖は、PNPLA3 mRNA中の同じ数のヌクレオチドのコアストレッチ配列(本明細書では「コアストレッチ」又は「コア配列」とも称される)と少なくとも85%の同一性を有する少なくとも16個の連続したヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、センス鎖コアストレッチ配列は、アンチセンス鎖のコアストレッチ配列に対して100%(完全に)相補的であるか、又は少なくとも約85%(実質的に)相補的であり、したがって、センス鎖コアストレッチ配列は、典型的には、PNPLA3 mRNA標的に存在する同じ長さのヌクレオチド配列(例えば、標的配列と称される場合もある)と完全に同一であるか、又は少なくとも約85%同一である。いくつかの実施形態では、このセンス鎖コアストレッチは、16、17、18、19、20、21、22、又は23ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態では、このセンス鎖コアストレッチの長さは、17ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態では、このセンス鎖コアストレッチの長さは、19ヌクレオチド長である。
【0073】
本明細書に記載のPNPLA3 RNAi薬のアンチセンス鎖は、PNPLA3 mRNA中の同じ数のヌクレオチド及び対応するセンス鎖中の同じ数のヌクレオチドのコアストレッチと、少なくとも85%の相補性を有する少なくとも16個の連続したヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、アンチセンス鎖コアストレッチは、PNPLA3 mRNA標的に存在する同じ長さのヌクレオチド配列(例えば、標的配列)に対して100%(完全に)相補的であるか、又は少なくとも約85%(実質的に)相補的である。いくつかの実施形態では、このアンチセンス鎖コアストレッチは、16、17、18、19、20、21、22、又は23ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態では、このアンチセンス鎖コアストレッチは、19ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態では、このアンチセンス鎖コアストレッチは、17ヌクレオチド長である。センス鎖コアストレッチ配列は、対応するアンチセンスコア配列と同じ長さであってよく、又は異なる長さであってもよい。
【0074】
PNPLA3 RNAi薬のセンス鎖及びアンチセンス鎖がアニーリングして二重鎖を形成する。PNPLA3 RNAi薬のセンス鎖及びアンチセンス鎖は、部分的に、実質的に、又は完全に、互いに対して相補的であり得る。相補的二重鎖領域内で、センス鎖コアストレッチ配列は、アンチセンスコアストレッチ配列と少なくとも約85%相補的又は100%相補的である。いくつかの実施形態では、センス鎖コアストレッチ配列は、アンチセンス鎖コアストレッチ配列の対応する16、17、18、19、20、21、22、又は23個のヌクレオチド配列と少なくとも約85%又は100%相補的である、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個、少なくとも20個、少なくとも21個、少なくとも22個、又は少なくとも23個のヌクレオチドの配列を含む(すなわち、PNPLA3 RNAi薬のセンス及びアンチセンスコアストレッチ配列は、少なくとも85%塩基対となるか又は100%塩基対となる、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個、少なくとも20個、少なくとも21個、少なくとも22個、又は少なくとも23個のヌクレオチドの領域を有する。)
【0075】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるPNPLA3 RNAi薬のアンチセンス鎖は、表2又は表3のアンチセンス鎖配列のいずれかと0、1、2、又は3個のヌクレオチドが異なる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるPNPLA3 RNAi薬のセンス鎖は、表2又は表4のセンス鎖配列のいずれかと0、1、2、又は3個のヌクレオチドが異なる。
【0076】
いくつかの実施形態では、センス鎖及び/又はアンチセンス鎖は、任意にかつ独立して、コアストレッチ配列の3’末端、5’末端、又は3’及び5’末端の両方において追加の1、2、3、4、5、又は6個のヌクレオチド(延長部)を含むことができる。アンチセンス鎖の追加のヌクレオチドは、存在する場合、PNPLA3 mRNA中の対応する配列に相補的であってもよいし、又は相補的でなくてもよい。センス鎖の追加のヌクレオチドは、存在する場合、PNPLA3 mRNA中の対応する配列と同一であってもよいし、又は同一でなくてもよい。アンチセンス鎖の追加のヌクレオチドは、存在する場合、対応するセンス鎖の追加のヌクレオチド(存在する場合)と相補的であってもよいし、又は相補的でなくてもよい。
【0077】
本明細書で使用されるとき、延長部は、センス鎖コアストレッチ配列及び/又はアンチセンス鎖コアストレッチ配列の5’及び/又は3’末端に、1、2、3、4、5、又は6個のヌクレオチドを含む。センス鎖の延長部ヌクレオチドは、対応するアンチセンス鎖のヌクレオチド(コアストレッチ配列ヌクレオチド、又は延長部ヌクレオチドのいずれか)と相補的であってもよいし、又は相補的でなくてもよい。逆に、アンチセンス鎖の延長部ヌクレオチドは、対応するセンス鎖のヌクレオチド(コアストレッチ配列ヌクレオチド、又は延長部ヌクレオチドのいずれか)と相補的であってもよく、又は相補的でなくてもよい。いくつかの実施形態において、RNAi薬のセンス鎖及びアンチセンス鎖の両方が、3’及び5’延長部を含む。いくつかの実施形態において、一方の鎖の1つ又は2つ以上の3’延長部ヌクレオチドは、他方の鎖の1つ又は2つ以上の5’延長部ヌクレオチドと、塩基対となる。他の実施形態において、一方の鎖の1つ又は2つ以上の3’延長部ヌクレオチドは、他方の鎖の1つ又は2つ以上の5’延長部ヌクレオチドと、塩基対とはならない。いくつかの実施形態では、PNPLA3 RNAi薬は、3’延長部を有するアンチセンス鎖及び5’延長部を有するセンス鎖を有する。いくつかの実施形態では、延長部ヌクレオチドは、非対であり、オーバーハングを形成する。本明細書で使用されるとき、「オーバーハング」は、本明細書に開示されるRNAi薬のハイブリダイズ部分又は二重鎖部分の一部を形成しないセンス鎖又はアンチセンス鎖のいずれかの末端に位置する1つ又は2つ以上の非対ヌクレオチドのストレッチを指す。
【0078】
いくつかの実施形態では、PNPLA3 RNAi薬は、1、2、3、4、5、又は6ヌクレオチド長の3’延長部を有するアンチセンス鎖を含む。他の実施形態では、PNPLA3 RNAi薬は、1、2、又は3ヌクレオチド長の3’延長部を有するアンチセンス鎖を含む。いくつかの実施形態では、アンチセンス鎖延長部ヌクレオチドのうちの1つ又は2つ以上は、対応するPNPLA3 mRNA配列に相補的なヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、アンチセンス鎖延長部ヌクレオチドのうちの1つ又は2つ以上は、対応するPNPLA3 mRNA配列に相補的でないヌクレオチドを含む。
【0079】
いくつかの実施形態では、PNPLA3 RNAi薬は、1、2、3、4、又は5ヌクレオチド長の3’延長部を有するセンス鎖を含む。いくつかの実施形態では、センス鎖伸長ヌクレオチドのうちの1つ又は2つ以上は、アデノシン、ウラシル、若しくはチミジンヌクレオチド、ATジヌクレオチド、又はPNPLA3 mRNA配列中のヌクレオチドに対応するか若しくはそれと同一であるヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、3’センス鎖延長部は、限定されないが以下の配列:T、UT、TT、UU、UUT、TTT、又はTTTT(それぞれ、5’から3’へと列挙される)のうちの1つを含むか、又はそれからなる。
【0080】
センス鎖は、3’延長部及び/又は5’延長部を有し得る。いくつかの実施形態では、PNPLA3 RNAi薬は、1、2、3、4、5,又は6ヌクレオチド長の5’延長部を有するセンス鎖を含む。いくつかの実施形態では、センス鎖延長部ヌクレオチドのうちの1つ又は2つ以上は、PNPLA3 mRNA配列中のヌクレオチドに対応するか又はそれと同一であるヌクレオチドを含む。
【0081】
PNPLA3 RNAi薬を形成するのに使用されるヌクレオチド配列の例が、表2、表3、及び表4に提供される。いくつかの実施形態では、PNPLA3 RNAi薬のアンチセンス鎖は、表2又は表3の配列のいずれかのヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、PNPLA3 RNAi薬アンチセンス鎖は、表3の修飾配列のうちのいずれか1つを含むか、又はそれからなる。いくつかの実施形態では、PNPLA3 RNAi薬のアンチセンス鎖は、表2又は表3の配列のいずれかのヌクレオチド(5’末端→3’末端)1~17、2~15、2~17、1~18、2~18、1~19、2~19、1~20、2~20、1~21、又は2~21の配列を含む。いくつかの実施形態では、PNPLA3 RNAi薬のセンス鎖は、表2又は表4の配列のいずれかの配列を含む。いくつかの実施形態では、PNPLA3 RNAi薬センス鎖は、表2又は表4の配列のいずれかのヌクレオチド(5’末端→3’末端)1~18、1~19、1~20、1~21、2~19、2~20、2~21、3~20、3~21、又は4~21の配列を含む。特定の実施形態では、PNPLA3 RNAi薬センス鎖は、表4の修飾配列のいずれか1つの修飾配列を含むか、又はそれからなる。
【0082】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるRNAi薬のセンス鎖及びアンチセンス鎖は、同じヌクレオチド数を含む。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるRNAi薬のセンス鎖及びアンチセンス鎖は、異なるヌクレオチド数を含む。いくつかの実施形態において、RNAi薬のセンス鎖の5’末端及びアンチセンス鎖の3’末端は、平滑末端を形成する。いくつかの実施形態では、RNAi薬のセンス鎖3’末端及びアンチセンス鎖5’末端は、平滑末端を形成する。いくつかの実施形態において、RNAi薬の両端は、平滑末端を形成する。いくつかの実施形態において、RNAi薬のいずれの末端も平滑末端ではない。本明細書で使用されるとき、「平滑末端」とは、2つのアニーリングされた鎖の末端ヌクレオチドが相補的である(相補的塩基対を形成している)二本鎖RNAi遺伝子の末端を指す。
【0083】
いくつかの実施形態では、RNAi薬のセンス鎖5’末端及びアンチセンス鎖3’末端は、ほつれた末端を形成する。いくつかの実施形態において、RNAi薬のセンス鎖3’末端及びアンチセンス鎖5’末端は、ほつれた末端を形成する。いくつかの実施形態において、RNAi薬の両端は、ほつれた末端を形成する。いくつかの実施形態において、RNAi薬のいずれの端も、ほつれた末端ではない。本明細書で使用されるとき、ほつれた末端とは、2つのアニーリングされた鎖の末端ヌクレオチドが対を形成する(すなわちオーバーハングを形成しない)が相補的ではない(すなわち、非相補的対を形成する)二本鎖RNAi薬の末端を指す。いくつかの実施形態では、二本鎖RNAi薬の一方の鎖の末端における1つ又は2つ以上の不対ヌクレオチドは、オーバーハングを形成する。非対ヌクレオチドは、センス鎖上又はアンチセンス鎖上にあってよく、3’又は5’オーバーハングのいずれかを形成する。いくつかの実施形態において、RNAi薬は、平滑末端及びほつれた末端、平滑末端及び5’オーバーハング末端、平滑末端及び3’オーバーハング末端、ほつれた末端及び5’オーバーハング末端、ほつれた末端及び3’オーバーハング末端、2つの5’オーバーハング末端、2つの3’オーバーハング末端、5’オーバーハング末端及び3’オーバーハング末端、2つのほつれた末端、又は2つの平滑末端を含む。典型的には、存在する場合、オーバーハングは、センス鎖、アンチセンス鎖、又はセンス鎖及びアンチセンス鎖の両方の3’末端に位置する。
【0084】
本明細書に開示されるPNPLA3 RNAi薬はまた、1つ又は2つ以上の修飾ヌクレオチドからなってもよい。いくつかの実施形態では、PNPLA3 RNAi薬のセンス鎖のヌクレオチドの実質的に全て及びアンチセンス鎖のヌクレオチドの実質的に全ては、修飾ヌクレオチドである。本明細書に開示されるPNPLA3 RNAi薬は更に、1つ又は2つ以上の修飾ヌクレオシド間連結、例えば、1つ又は2つ以上のホスホロチオエート連結からなってもよい。いくつかの実施形態では、PNPLA3 RNAi薬は、1つ又は2つ以上の修飾ヌクレオチド、及び1つ又は2つ以上の修飾ヌクレオシド間連結を含む。いくつかの実施形態では、2’-修飾ヌクレオチドは、修飾ヌクレオシド間連結と組み合わされる。
【0085】
いくつかの実施形態では、PNPLA3 RNAi薬は、塩、混合塩、又は遊離酸として調製又は提供される。いくつかの実施形態では、PNPLA3 RNAi薬は、ナトリウム塩として調製される。当該技術分野で周知のそのような形態は、本明細書に開示される本発明の範囲内である。
【0086】
修飾ヌクレオチド
修飾ヌクレオチドは、様々なオリゴヌクレオチド構築物で使用される場合、細胞において化合物の活性を維持し、同時にこれらの化合物の血清安定性を高めることができ、オリゴヌクレオチド構築物の投与時にヒトにおいてインターフェロン活性を活性化する可能性を最小限に抑えることもできる。
【0087】
いくつかの実施形態では、PNPLA3 RNAi薬は、1つ又は2つ以上の修飾ヌクレオチドを含む。本明細書で使用されるとき、「修飾ヌクレオチド」は、リボヌクレオチド(2’-ヒドロキシルヌクレオチド)以外のヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、少なくとも50%(例えば、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%)のヌクレオチドが、修飾ヌクレオチドである。本明細書で使用されるとき、修飾ヌクレオチドとしては、デオキシリボヌクレオチド、ヌクレオチド模倣体、脱塩基ヌクレオチド、2’-修飾ヌクレオチド、逆方向ヌクレオチド、修飾核酸塩基含有ヌクレオチド、架橋ヌクレオチド、ペプチド核酸(PNA)、2’,3’-セコヌクレオチド模倣体(ロックド核酸塩基類似体)、ロックドヌクレオチド、3’-O-メトキシ(2’ヌクレオシド間連結)ヌクレオチド、2’-F-アラビノヌクレオチド、5’-Me、2’-フルオロヌクレオチド、モルホリノヌクレオチド、ビニルホスホネートデオキシリボヌクレオチド、ビニルホスホネート含有ヌクレオチド、及びシクロプロピルホスホネート含有ヌクレオチドが挙げられるが、これらに限定されない。2’-修飾ヌクレオチド(すなわち、5員糖環の2’位にヒドロキシル基以外の基を有するヌクレオチド)としては、2’-O-メチルヌクレオチド、2’-フルオロヌクレオチド(本明細書では2’-デオキシ-2’-フルオロヌクレオチドとも称される)、2’-デオキシヌクレオチド、2’-メトキシエチル(2’-O-2-メトキシエチル))ヌクレオチド(2’-MOEとも称される)、2’-アミノヌクレオチド、及び2’-アルキルヌクレオチドが挙げられるが、これらに限定されない。所与の化合物中の全ての位置を均一に修飾する必要はない。逆に、2つ以上の修飾を、単一のPNPLA3 RNAi薬、又は更にはその単一のヌクレオチドに組み込むことができる。PNPLA3 RNAi薬のセンス鎖及びアンチセンス鎖は、当該技術分野で既知の方法により、合成及び/又は修飾することができる。あるヌクレオチドでの修飾は、別のヌクレオチドでの修飾とは無関係である。
【0088】
修飾核酸塩基としては、合成及び天然のヌクレオ塩基、例えば、5-置換ピリミジン、6-アザピリミジン並びにN-2、N-6、及びO-6置換プリン、(例えば、2-アミノプロピルアデニン、5-プロピニルウラシル、又は5-プロピニルシトシン)、5-メチルシトシン(5-me-C)、5-ヒドロキシメチルシトシン、イノシン、キサンチン、ヒポキサンチン、2-アミノアデニン、アデニン及びグアニンの6-アルキル(例えば、6-メチル、6-エチル、6-イソプロピル、又は6-n-ブチル)誘導体、アデニン及びグアニンの2-アルキル(例えば、2-メチル、2-エチル、2-イソプロピル、又は2-n-ブチル)及び他のアルキル誘導体、2-チオウラシル、2-チオチミン、2-チオシトシン、5-ハロウラシル、シトシン、5-プロピニルウラシル、5-プロピニルシトシン、6-アゾウラシル、6-アゾシトシン、6-アゾチミン、5-ウラシル(プソイドウラシル)、4-チオウラシル、8-ハロ、8-アミノ、8-スルフヒドリル、8-チオアルキル、8-ヒドロキシル、並びに他の8-置換アデニン及びグアニン、5-ハロ(例えば、5-ブロモ)、5-トリフルオロメチル、並びに他の5-置換ウラシル及びシトシン、7-メチルグアニン及び7-メチルアデニン、8-アザグアニン及び8-アザアデニン、7-デアザグアニン、7-デアザアデニン、3-デアザグアニン、並びに3-デアザアデニンが挙げられる。
【0089】
いくつかの実施形態では、アンチセンス鎖の5’末端及び/又は3’末端は、脱塩基残基(Ab)を含み得、これは、「脱塩基部位」又は「脱塩基ヌクレオチド」とも称され得る。脱塩基残基(Ab)は、糖部分の1’位での核酸塩基を欠くヌクレオチド又はヌクレオシドである。(例えば、米国特許第5,998,203号を参照されたい)。いくつかの実施形態では、脱塩基残基は、ヌクレオチド配列において内部に配置され得る。いくつかの実施形態では、Ab又はAbAbが、アンチセンス鎖の3’末端に付加され得る。いくつかの実施形態では、センス鎖の5’末端は、1つ又は2つ以上の追加の脱塩基残基(例えば、(Ab)又は(AbAb))を含み得る。いくつかの実施形態では、UUAb、UAb、又はAbは、センス鎖の3’末端に追加され得る。いくつかの実施形態では、脱塩基(デオキシリボース)残基は、リビトール(脱塩基リボース)残基で置き換えることができる。
【0090】
いくつかの実施形態では、RNAi薬のヌクレオチドの全て又は実質的に全てが修飾ヌクレオチドである。本明細書で使用されるとき、存在するヌクレオチドの実質的に全てが修飾ヌクレオチドであるRNAi薬は、リボヌクレオチド(すなわち未修飾)であるセンス鎖及びアンチセンス鎖の両方において、4個以下(すなわち、0、1、2、3、又は4個)のヌクレオチドを有するRNAi薬である。本明細書で使用されるとき、存在するヌクレオチドの実質的に全てが修飾ヌクレオチドであるセンス鎖は、リボヌクレオチドであるセンス鎖において、2個以下(すなわち、0、1、又は2個)の修飾ヌクレオチドを有するセンス鎖である。本明細書で使用されるとき、存在するヌクレオチドの実質的に全てが修飾ヌクレオチドであるアンチセンス鎖は、リボヌクレオチドであるセンス鎖において、2個以下(すなわち、0、1、又は2個)の修飾ヌクレオチドを有するアンチセンス鎖である。いくつかの実施形態では、RNAi薬の1つ又は2つ以上のヌクレオチドは、未修飾リボヌクレオチドである。
【0091】
修飾ヌクレオシド間連結
いくつかの実施形態では、PNPLA3 RNAi薬の1つ又は2つ以上のヌクレオチドは、非標準的な連結又は骨格(すなわち、修飾ヌクレオシド間連結又は修飾骨格)により連結している。修飾ヌクレオシド間連結又は骨格としては、5’-ホスホロチオエート基(本明細書において小文字の「s」として表される)、キラルホスホロチオエート、チオホスフェート、ホスホロジチオエート、ホスホトリエステル、アミノアルキル-ホスホトリエステル、アルキルホスホネート(例えば、メチルホスホネート又は3’-アルキレンホスホネート)、キラルホスホネート、ホスフィネート、ホスホロアミダート(例えば、3’-アミノホスホロアミダート、アミノアルキルホスホロアミダート、又はチオノホスホロアミダート)、チオノアルキル-ホスホネート、チオノアルキルホスホトリエステル、モルホリノ連結、通常の3’-5’連結を有するボラノホスフェート、ボラノホスフェートの2’-5’連結類似体、又は隣接するヌクレオシド対単位が、3’-5’から5’-3’に、又は2’-5’から5’-2’に連結されている逆方向の極性を有するボラノホスフェートが挙げられるがこれらに限定されない。いくつかの実施形態において、修飾ヌクレオシド間連結又は骨格は、リン原子を有さない。リン原子を有さない修飾ヌクレオシド間連結としては、短鎖アルキル又はシクロアルキル糖間連結、混合ヘテロ原子及びアルキル又はシクロアルキル糖間連結、あるいは、1つ又は2つ以上の短鎖ヘテロ原子又は複素環式糖間連結が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、修飾ヌクレオシド間骨格としては、シロキサン骨格、スルフィド骨格、スルホキシド骨格、スルホン骨格、ホルムアセチル及びチオホルムアセチル骨格、メチレンホルムアセチル及びチオホルムアセチル骨格、アルケン含有骨格、スルファメート骨格、メチレンイミノ及びメチレンヒドラジノ骨格、スルホネート及びスルホンアミド骨格、アミド骨格、並びに混合されたN、O、S、及びCH成分を有する他の骨格が挙げられるが、これらに限定されない。
【0092】
いくつかの実施形態では、PNPLA3 RNAi薬のセンス鎖は、1、2、3、4、5、又は6個のホスホロチオエート連結を含み得、PNPLA3 RNAi薬のアンチセンス鎖は1、2、3、4、5、又は6個のホスホロチオエート連結を含み得、又はセンス鎖及びアンチセンス鎖の両方は、独立して、1、2、3、4、5、又は6個のホスホロチオエート連結を含み得る。いくつかの実施形態では、PNPLA3 RNAi薬のセンス鎖は、1、2、3、又は4個のホスホロチオエート連結を含み得、PNPLA3 RNAi薬のアンチセンス鎖は、1、2、3、又は4個のホスホロチオエート連結を含み得、又はセンス鎖及びアンチセンス鎖の両方は、独立して、1、2、3、又は4個のホスホロチオエート連結を含み得る。
【0093】
いくつかの実施形態では、PNPLA3 RNAi薬のセンス鎖は、少なくとも2個のホスホロチオエートヌクレオシド間連結を含む。いくつかの実施形態では、ホスホロチオエートヌクレオシド間連結は、センス鎖の3’末端から位置1~3のヌクレオチド間にある。いくつかの実施形態では、1個のホスホロチオエートヌクレオシド間連結が、センス鎖ヌクレオチド配列の5’末端にあり、別のホスホロチオエート連結が、センス鎖ヌクレオチド配列の3’末端にある。いくつかの実施形態では、2個のホスホロチオエートヌクレオシド間連結が、センス鎖の5’末端に位置し、別のホスホロチオエート連結が、センス鎖の3’末端にある。いくつかの実施形態では、センス鎖は、ヌクレオチド間にいかなるホスホロチオエートヌクレオシド間連結も含まないが、5’末端及び3’末端の両方の末端ヌクレオチド間に1、2、又は3個のホスホロチオエート連結を含有し、任意に存在する逆方向脱塩基残基末端キャップを含む。いくつかの実施形態では、標的化リガンドは、ホスホロチオエート連結を介してセンス鎖に連結される。
【0094】
いくつかの実施形態では、PNPLA3 RNAi薬のアンチセンス鎖は、4個のホスホロチオエートヌクレオシド間連結を含む。いくつかの実施形態では、4個のホスホロチオエートヌクレオシド間連結は、アンチセンス鎖の5’末端から1~3位のヌクレオチド間、及び5’末端から19~21、20~22、21~23、22~24、23~25、又は24~26位のヌクレオチド間にある。いくつかの実施形態では、3個のホスホロチオエートヌクレオシド間連結が、アンチセンス鎖の5’末端から1~4位の間に位置し、第4のホスホロチオエートヌクレオシド間連結が、アンチセンス鎖の5’末端から20~21位の間に位置する。いくつかの実施形態では、PNPLA3 RNAi薬は、アンチセンス鎖中に少なくとも3個又は4個のホスホロチオエートヌクレオシド間連結を含む。
【0095】
キャッピング残基又は部分
いくつかの実施形態では、センス鎖は、当該技術分野で「キャップ」、「末端キャップ」、又は「キャッピング残基」と称される場合もある1つ又は2つ以上のキャッピング残基又は部分を含んでもよい。本明細書で使用されるとき、「キャッピング残基」は、本明細書に開示されるRNAi薬のヌクレオチド配列の1つ又は2つ以上の末端に組み込まれ得る非ヌクレオチド化合物又は他の部分である。キャッピング残基は、RNAi薬を提供することができ、いくつかの場合では、例えばエキソヌクレアーゼ分解に対する保護などの特定の有益な特性を有するRNAi薬を提供することができる。いくつかの実施形態では、逆方向脱塩基残基(inverted abasic residue、invAb)(当該技術分野では「逆方向塩基部位」とも称される)は、キャッピング残基として付加される。(例えば、F.Czauderna,Nucleic Acids Res.,2003,31(11),2705-16)を参照されたい)。キャッピング残基は、一般に当該技術分野で既知であり、例えば、逆方向脱塩基残基並びに末端C(プロピル)、C13(ヘキシル)、又はC1225(ドデシル)基などの炭素鎖を含む。いくつかの実施形態では、キャッピング残基は、センス鎖の5’末端、3’末端、又は5’末端及び3’末端の両方のいずれかに存在する。いくつかの実施形態では、センス鎖の5’末端及び/又は3’末端は、キャッピング残基として2つ以上の逆方向脱塩基デオキシリボース部分を含み得る。
【0096】
いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上の逆方向脱塩基残基(invAb)がセンス鎖の3’末端に付加される。いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上の逆方向脱塩基残基(invAb)がセンス鎖の5’末端に付加される。いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上の逆方向脱塩基ヌクレオシドが、標的化リガンドとRNAi薬のセンス鎖の核酸塩基配列との間に挿入され得る。いくつかの実施形態では、RNAi薬のセンス鎖の末端若しくは両方の末端、又は末端若しくは両方の末端の付近に1つ若しくは2つ以上の逆脱塩基残基又は逆脱塩基部位を含めることにより、RNAi薬の活性の増強又は他の所望の特性が可能になる。
【0097】
いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上の逆方向脱塩基残基(invAb)がセンス鎖の5’末端に付加される。いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上の逆方向脱塩基ヌクレオシドが、標的化リガンドとRNAi薬のセンス鎖の核酸塩基配列との間に挿入され得る。逆方向脱塩基残基は、ホスフェート、ホスホロチオエート(例えば、本明細書では(invAb)sとして示される)、又は他のヌクレオシド間連結を介して連結されてもよい。いくつかの実施形態では、RNAi薬のセンス鎖の末端若しくは両端の末端、又は末端若しくは両方の末端の付近に1つ又は2つ以上の反転脱塩基残基を含めることにより、RNAi薬の活性の増強又は他の所望の特性が可能になり得る。いくつかの実施形態では、逆方向脱塩基(デオキシリボース)残基は、逆方向リビトール(脱塩基リボース)残基で置き換え得る。いくつかの実施形態では、アンチセンス鎖コアストレッチ配列の3’末端、又はアンチセンス鎖配列の3’末端は、逆方向脱塩基残渣を含んでもよい。逆方向脱塩基デオキシリボース残基の化学構造を以下の表6に示す。
【0098】
PNPLA3 RNAi薬
本明細書に開示されるPNPLA3 RNAi薬は、PNPLA3遺伝子(例えば、配列番号1)の特定の位置を標的化するように設計されている。
【0099】
NM_025225.2ホモサピエンスパタチン様ホスホリパーゼドメイン含有3(PNPLA3)、mRNA(配列番号1):
ATGGTCCGAGGGGGGCGGGGCTGACGTCGCGCTGGGAATGCCCTGGCCGAGACACTGAGGCAGGGTAGAGAGCGCTTGCGGGCGCCGGGCGGAGCTGCTGCGGATCAGGACCCGAGCCGATTCCCGATCCCGACCCAGATCCTAACCCGCGCCCCCGCCCCGCCGCCGCCGCCATGTACGACGCAGAGCGCGGCTGGAGCTTGTCCTTCGCGGGCTGCGGCTTCCTGGGCTTCTACCACGTCGGGGCGACCCGCTGCCTGAGCGAGCACGCCCCGCACCTCCTCCGCGACGCGCGCATGTTGTTCGGCGCTTCGGCCGGGGCGTTGCACTGCGTCGGCGTCCTCTCCGGTATCCCGCTGGAGCAGACTCTGCAGGTCCTCTCAGATCTTGTGCGGAAGGCCAGGAGTCGGAACATTGGCATCTTCCATCCATCCTTCAACTTAAGCAAGTTCCTCCGACAGGGTCTCTGCAAATGCCTCCCGGCCAATGTCCACCAGCTCATCTCCGGCAAAATAGGCATCTCTCTTACCAGAGTGTCTGATGGGGAAAACGTTCTGGTGTCTGACTTTCGGTCCAAAGACGAAGTCGTGGATGCCTTGGTATGTTCCTGCTTCATCCCCTTCTACAGTGGCCTTATCCCTCCTTCCTTCAGAGGCGTGCGATATGTGGATGGAGGAGTGAGTGACAACGTACCCTTCATTGATGCCAAAACAACCATCACCGTGTCCCCCTTCTATGGGGAGTACGACATCTGCCCTAAAGTCAAGTCCACGAACTTTCTTCATGTGGACATCACCAAGCTCAGTCTACGCCTCTGCACAGGGAACCTCTACCTTCTCTCGAGAGCTTTTGTCCCCCCGGATCTCAAGGTGCTGGGAGAGATATGCCTTCGAGGATATTTGGATGCATTCAGGTTCTTGGAAGAGAAGGGCATCTGCAACAGGCCCCAGCCAGGCCTGAAGTCATCCTCAGAAGGGATGGATCCTGAGGTCGCCATGCCCAGCTGGGCAAACATGAGTCTGGATTCTTCCCCGGAGTCGGCTGCCTTGGCTGTGAGGCTGGAGGGAGATGAGCTGCTAGACCACCTGCGTCTCAGCATCCTGCCCTGGGATGAGAGCATCCTGGACACCCTCTCGCCCAGGCTCGCTACAGCACTGAGTGAAGAAATGAAAGACAAAGGTGGATACATGAGCAAGATTTGCAACTTGCTACCCATTAGGATAATGTCTTATGTAATGCTGCCCTGTACCCTGCCTGTGGAATCTGCCATTGCGATTGTCCAGAGACTGGTGACATGGCTTCCAGATATGCCCGACGATGTCCTGTGGTTGCAGTGGGTGACCTCACAGGTGTTCACTCGAGTGCTGATGTGTCTGCTCCCCGCCTCCAGGTCCCAAATGCCAGTGAGCAGCCAACAGGCCTCCCCATGCACACCTGAGCAGGACTGGCCCTGCTGGACTCCCTGCTCCCCCAAGGGCTGTCCAGCAGAGACCAAAGCAGAGGCCACCCCGCGGTCCATCCTCAGGTCCAGCCTGAACTTCTTCTTGGGCAATAAAGTACCTGCTGGTGCTGAGGGGCTCTCCACCTTTCCCAGTTTTTCACTAGAGAAGAGTCTGTGAGTCACTTGAGGAGGCGAGTCTAGCAGATTCTTTCAGAGGTGCTAAAGTTTCCCATCTTTGTGCAGCTACCTCCGCATTGCTGTGTAGTGACCCCTGCCTGTGACGTGGAGGATCCCAGCCTCTGAGCTGAGTTGGTTTTATGAAAAGCTAGGAAGCAACCTTTCGCCTGTGCAGCGGTCCAGCACTTAACTCTAATACATCAGCATGCGTTAATTCAGCTGGTTGGGAAATGACACCAGGAAGCCCAGTGCAGAGGGTCCCTTACTGACTGTTTCGTGGCCCTATTAATGGTCAGACTGTTCCAGCATGAGGTTCTTAGAATGACAGGTGTTTGGATGGGTGGGGGCCTTGTGATGGGGGGTAGGCTGGCCCATGTGTGATCTTGTGGGGTGGAGGGAAGAGAATAGCATGATCCCACTTCCCCATGCTGTGGGAAGGGGTGCAGTTCGTCCCCAAGAACGACACTGCCTGTCAGGTGGTCTGCAAAGATGATAACCTTGACTACTAAAAACGTCTCCATGGCGGGGGTAACAAGATGATAATCTACTTAATTTTAGAACACCTTTTTCACCTAACTAAAATAATGTTTAAAGAGTTTTGTATAAAAATGTAAGGAAGCGTTGTTACCTGTTGAATTTTGTATTATGTGAATCAGTGAGATGTTAGTAGAATAAGCCTTAAAAAAAAAAAAATCGGTTGGGTGCAGTGGCACACGGCTGTAATCCCAGCACTTTGGGAGGCCAAGGTTGGCAGATCACCTGAGGTCAGGAGTTCAAGACCAGTCTGGCCAACATAGCAAAACCCTGTCTCTACTAAAAATACAAAAATTATCTGGGCATGGTGGTGCATGCCTGTAATCCCAGCTATTCGGAAGGCTGAGGCAGGAGAATCACTTGAACCCAGGAGGCGGAGGTTGCGGTGAGCTGAGATTGCACCATTTCATTCCAGCCTGGGCAACATGAGTGAAAGTCTGACTCAAAAAAAAAAAATTTAAAAAACAAAATAATCTAGTGTGCAGGGCATTCACCTCAGCCCCCCAGGCAGGAGCCAAGCACAGCAGGAGCTTCCGCCTCCTCTCCACTGGAGCACACAACTTGAACCTGGCTTATTTTCTGCAGGGACCAGCCCCACATGGTCAGTGAGTTTCTCCCCATGTGTGGCGATGAGAGAGTGTAGAAATAAAGAC
【0100】
本明細書で定義されるように、アンチセンス鎖配列は、PNPLA3遺伝子を、遺伝子と塩基対合する際に、アンチセンス鎖の5’末端核酸塩基が遺伝子上の位置から(3’末端に向かって)19ヌクレオチド下流の位置とアラインしたときに、遺伝子上の所与の位置で標的化するように設計される。例えば、本明細書の表1及び表2に示されるように、2180位のPNPLA3遺伝子を標的化するように設計されたアンチセンス鎖配列は、遺伝子と塩基対合する際に、アンチセンス鎖の5’末端核酸塩基がPNPLA3遺伝子の位置2198とアラインすることを必要とする。
【0101】
本明細書で提供されるように、少なくとも16個の連続したヌクレオチドのコアストレッチ配列にわたってアンチセンス鎖と遺伝子との少なくとも85%の相補性(例えば、少なくとも85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、又は100%の相補性)があるならば、PNPLA3 RNAi薬は、アンチセンス鎖の1位(5’→3’)の核酸塩基が遺伝子に相補的であることは必要ではない。例えば、PNPLA3遺伝子の2180位を標的化するように設計された本明細書に開示されるPNPLA3 RNAi薬の場合、PNPLA3 RNAi薬のアンチセンス鎖の5’末端核酸塩基は、遺伝子の2198位とアラインさせる必要がある;しかしながら、アンチセンス鎖の5’末端核酸塩基は、PNPLA3遺伝子の2200位に相補的であり得るが、少なくとも16個の連続したヌクレオチドのコアストレッチ配列にわたってアンチセンス鎖と遺伝子との少なくとも85%の相補性(例えば、少なくとも85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、又は100%%の相補性)があるならば、それは必要ではない。特に、本明細書に開示される様々な実施例で示されるように、PNPLA3 RNAi薬のアンチセンス鎖による遺伝子の特定の結合部位(例えば、PNPLA3 RNAi薬が、2180位、1586位、1179位、又はいくつかの他の位置のPNPLA3遺伝子を標的化するように設計されているかどうか)は、PNPLA3 RNAi薬によって達成される阻害レベルに重要である。
【0102】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるPNPLA3 RNAi薬は、表1に示すPNPLA3の位置又はその付近にあるPNPLA3遺伝子を標的化する。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるPNPLA3 RNAi薬のアンチセンス鎖は、表1に開示される標的PNPLA3 19mer配列に対して完全に、実質的に、又は少なくとも部分的に相補的なコアストレッチ配列を含む。
【0103】
【表1】
1.本明細書の遺伝子位置に言及する場合、本出願人は、ヒトPNPLA3の参照遺伝子としてGenebank NM_025225.2を使用する。2020年2月9日又はその頃に、遺伝子配列はNM_025225.3として更新された。更新された遺伝子の参照により、上記の表1における「標的遺伝子位置」として特定された数が変化するが、これは本明細書に開示されるRNAi薬に使用されるヌクレオチド配列に影響を及ぼさない。
【0104】
いくつかの実施形態では、PNPLA3 RNAi薬は、アンチセンス鎖(5’→3’)の19位が、表1に開示される19mer標的配列の1位と塩基対を形成することができるアンチセンス鎖を含む。いくつかの実施形態では、PNPLA3 RNAi薬は、アンチセンス鎖(5’→3’)の1位が、表1に開示される19mer標的配列の19位と塩基対を形成することができるアンチセンス鎖を含む。
【0105】
いくつかの実施形態では、PNPLA3 RNAi薬は、アンチセンス鎖(5’→3’)の2位が、表1に開示される19mer標的配列の位置18と塩基対を形成することができるアンチセンス鎖を含む。いくつかの実施形態では、PNPLA3 RNAi薬は、アンチセンス鎖(5’→3’)の2~18位が、表1に開示される19mer標的配列の18~2位に位置するそれぞれの相補的塩基の各々と塩基対を形成することができるアンチセンス鎖を含む。
【0106】
本明細書に開示されるPNPLA3 RNAi薬では、アンチセンス鎖(5’末端→3’末端)の1位のヌクレオチドは、PNPLA3遺伝子に完全に相補的であり得るか、又はPNPLA3遺伝子に非相補的であり得る。いくつかの実施形態では、アンチセンス鎖(5’末端→3’末端)の1位のヌクレオチドは、U、A、又はdTである。いくつかの実施形態では、アンチセンス鎖(5’末端→3’末端)の1位のヌクレオチドは、センス鎖とA:U又はU:A塩基対を形成する。
【0107】
いくつかの実施形態では、PNPLA3 RNAi薬のアンチセンス鎖は、表2又は表3中のアンチセンス鎖配列のいずれかのヌクレオチド(5’末端→3’末端)2~18、2~19、2~20、又は2~21の配列を含む。いくつかの実施形態では、PNPLA3 RNAiセンス鎖は、表2又は表4中のセンス鎖配列のいずれかのヌクレオチド(5’末端→3’末端)3~21、2~21、1~21、3~20、2~20、1~20、3~19、2~19、1~19、3~18、2~18、又は1~18の配列を含む。
【0108】
いくつかの実施形態では、PNPLA3 RNAi薬アンチセンス鎖は、配列番号46~60、176、181、及び188のアンチセンス鎖配列のうちのいずれかのヌクレオチド(5’末端→3’末端)2~18、2~19、2~20、又は2~21の配列を含む。いくつかの実施形態では、PNPLA3 RNAiセンス鎖は、配列番号2、3、4、9~20、214、219、及び220のセンス鎖配列のうちのいずれかのヌクレオチド(5’末端→3’末端)3~21、2~21、1~21、3~20、2~20、1~20、3~19、2~19、1~19、3~18、2~18、又は1~18の配列を含む。
【0109】
いくつかの実施形態では、PNPLA3 RNAi薬は、(i)表2又は表3中のアンチセンス鎖配列のうちのいずれかのヌクレオチド(5’末端→3’末端)2~18又は2~19の配列を含むアンチセンス鎖と、(ii)表2又は表4中のセンス鎖配列のいずれかのヌクレオチド(5’末端→3’末端)3~21、2~21、1~21、3~20、2~20、1~20、3~19、2~19、1~19、3~18、2~18、又は1~18の配列を含むセンス鎖とからなる。
【0110】
いくつかの実施形態では、PNPLA3 RNAi薬は、(i)配列番号46~60、176、181、及び188のアンチセンス鎖配列のいずれかのヌクレオチド(5’末端→3’末端)2~18又は2~19の配列を含むアンチセンス鎖と、(ii)配列番号2、3、4、9~20、214、219、及び220のセンス鎖配列のいずれかのヌクレオチド(5’末端→3’末端)3~21、2~21、1~21、3~20、2~20、1~20、3~19、2~19、1~19、3~18、2~18、又は1~18の配列を含むセンス鎖とからなる。
【0111】
いくつかの実施形態では、PNPLA3 RNAi薬は、以下の表2に示すコア19merヌクレオチド配列を含む。
【0112】
【表2-1】
【0113】
【表2-2】
【0114】
表2の配列を含むか又はこれらからなるPNPLA3 RNAi薬のセンス鎖及びアンチセンス鎖は、修飾ヌクレオチド又は非修飾ヌクレオチドであり得る。いくつかの実施形態では、表2の配列を含むか又はこれらからなるセンス鎖配列及びアンチセンス鎖配列を有するPNPLA3 RNAi薬は、全て又は実質的に全て修飾ヌクレオチドである。
【0115】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるPNPLA3 RNAi薬のアンチセンス鎖は、表2のアンチセンス鎖配列のいずれかと0、1、2、又は3個のヌクレオチドが異なる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるPNPLA3 RNAi薬のアンチセンス鎖は、配列番号46~60、176、181、及び188のアンチセンス鎖配列のいずれかと0、1、2、又は3個のヌクレオチドが異なる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるPNPLA3 RNAi薬のセンス鎖は、表2のセンス鎖配列のいずれかと0、1、2、又は3個のヌクレオチドが異なる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるPNPLA3 RNAi薬のセンス鎖は、配列番号2、3、4、9~20、214、219、及び220のセンス鎖配列のいずれかと0、1、2、又は3個のヌクレオチドが異なる。
【0116】
本明細書で使用されるとき、表2に開示される配列に列挙された各Nは、任意及び全ての核酸塩基(修飾ヌクレオチド及び未修飾ヌクレオチドの両方に見られるものを含む)から独立して選択され得る。いくつかの実施形態では、表2に開示される配列に列挙されたNヌクレオチドは、他の鎖上の対応する位置のNヌクレオチドに相補的な核酸塩基を有する。いくつかの実施形態では、表2に開示される配列に列挙されたNヌクレオチドは、他の鎖上の対応する位置のNヌクレオチドに相補的ではない核酸塩基を有する。いくつかの実施形態では、表2に開示される配列に列挙されたNヌクレオチドは、他の鎖上の対応する位置のNヌクレオチドと同じ核酸塩基を有する。いくつかの実施形態では、表2に開示される配列に列挙されたNヌクレオチドは、他の鎖上の対応する位置のNヌクレオチドとは異なる核酸塩基を有する。
【0117】
特定の修飾PNPLA3 RNAi薬アンチセンス鎖配列、並びにその基礎となる非修飾配列が、表3に提供される。特定の修飾PNPLA3 RNAi薬のセンス鎖、並びにその基礎となる非修飾配列が、表4に提供される。PNPLA3 RNAi薬の形成において、表3及び表4、並びに表2、上記、に列挙されるその基礎となる各非修飾配列中の各ヌクレオチドは、修飾ヌクレオチドであり得る。
【0118】
本明細書に記載のPNPLA3 RNAi薬は、センス鎖でアンチセンス鎖をアニーリングすることによって形成される。表2又は表4に列挙される配列を含むセンス鎖は、2つの配列が連続する16、17、18、19、20、又は21個のヌクレオチド配列にわたって少なくとも約85%の相補性の領域を有するならば、表2又は表3に列挙される配列を含む任意のアンチセンス鎖とハイブリダイズさせることができる。
【0119】
いくつかの実施形態では、PNPLA3 RNAi薬のアンチセンス鎖は、表2又は表3の配列のいずれかのヌクレオチド配列を含む。
【0120】
いくつかの実施形態では、PNPLA3 RNAi薬は、表2、表3又は表4のいずれかの配列のセンス鎖及びアンチセンス鎖の核酸塩基配列を有する二重鎖を含むか、又はそれからなる。いくつかの実施形態では、PNPLA3 RNAi薬は、配列番号(176及び214)、(90及び131)、(181及び219)、(95及び136)、(188及び220)、及び/又は(102及び137)を有する二重鎖配列を含むか、又はそれからなる。いくつかの実施形態では、配列番号(176及び214)、(90及び131)、(181及び219)、(95及び136)、(188及び220)、又は(102及び137)を含むPNPLA3 RNAi薬二重鎖配列は、ナトリウム塩、混合塩、又は遊離酸として調製又は提供される。
【0121】
修飾ヌクレオチドを含むアンチセンス鎖の例を表3に提供する。修飾ヌクレオチドを含むセンス鎖の例を表4に提供する。
【0122】
表3及び表4で使用されるとき、修飾ヌクレオチド及び連結基を示すのに以下の命名法を使用する。
A=アデノシン-3’-ホスフェート
C=シチジン-3’-ホスフェート
G=グアノシン-3’-ホスフェート
U=ウリジン-3’-ホスフェート
I=イノシン-3’-ホスフェート
a=2’-O-メチルアデノシン-3’-ホスフェート
as=2’-O-メチルアデノシン-3’-ホスホロチオエート
c=2’-O-メチルシチジン-3’-ホスフェート
cs=2’-O-メチルシチジン-3’-ホスホロチオエート
g=2’-O-メチルグアノシン-3’-ホスフェート
gs=2’-O-メチルグアノシン-3’-ホスホロチオエート
t=2’-O-メチル-5-メチルウリジン-3’-ホスフェート
ts=2’-O-メチル-5-メチルウリジン-3’-ホスホロチオエート
u=2’-O-メチルウリジン-3’-ホスフェート
us=2’-O-メチルウリジン-3’-ホスホロチオエート
i=2’-O-メチルイノシン-3’-ホスフェート
is=2’-O-メチルイノシン-3’-ホスホロチオエート
Af=2’-フルオロアデノシン-3’-ホスフェート
Afs=2’-フルオロアデノシン-3’-ホスホロチオエート
Cf=2’-フルオロシチジン-3’-ホスフェート
Cfs=2’-フルオロシチジン-3’-ホスホロチオエート
Gf=2’-フルオログアノシン-3’-ホスフェート
Gfs=2’-フルオログアノシン-3’-ホスホロチオエート
Tf=2’-フルオロ-5’-メチルウリジン-3’-ホスフェート
Tfs=2’-フルオロ-5’-メチルウリジン-3’-ホスホロチオエート
Uf=2’-フルオロウリジン-3’-ホスフェート
Ufs=2’-フルオロウリジン-3’-ホスホロチオエート
UNA=2’,3’-セコ-アデノシン-3’-ホスフェート、表6を参照されたい。
UNAs=2’,3’-セコ-アデノシン-3’-ホスホロチオエート、表6を参照されたい。
UNA=2’,3’-セコ-シチジン-3’-ホスフェート、表6を参照されたい。
UNAs=2’,3’-セコ-シチジン-3’-ホスホロチオエート、表6を参照されたい。
UNA=2’,3’-セコ-グアノシン-3’-ホスフェート、表6を参照されたい。
UNAs=2’,3’-セコ-グアノシン-3’-ホスホロチオエート、表6を参照されたい。
UNA=2’,3’-セコ-ウリジン-3’-ホスフェート、表6を参照されたい。
UNAs=2’,3’-セコ-ウリジン-3’-ホスホロチオエート、表6を参照されたい。
a_2N=2’-O-メチル-2-アミノアデノシン-3’-ホスフェート、表6を参照されたい。
a_2Ns=2’-O-メチル-2-アミノアデノシン-3’-ホスホロチオエート、表6を参照されたい。
(invAb)=逆方向脱塩基デオキシリボヌクレオチド、表6を参照されたい。
(invAb)s=逆方向脱塩基デオキシリボヌクレオチド-5’-ホスホロチオエート、表6を参照されたい。
【0123】
当業者が容易に理解するように、配列によって(例えば、ホスホロチオエート連結「s」などによって)別段示されない限り、オリゴヌクレオチド中に存在する場合、ヌクレオチドモノマーは、5’-3’-ホスホジエステル結合によって相互に連結される。当業者が明確に理解されるように、本明細書に開示される修飾ヌクレオチド配列に示されるホスホロチオエート連結の含入は、オリゴヌクレオチド中に典型的に存在するホスホジエステル結合に置き換わる。更に、当業者は、所与のオリゴヌクレオチド配列の3’末端にある末端ヌクレオチドは、典型的には、エクスビボで、ホスフェート部分の代わりに所与のモノマーのそれぞれの3’位置にヒドロキシル(-OH)基を有することを容易に理解するであろう。更に、本明細書に開示される実施形態では、それぞれの鎖を5’→ 3’で見るときに、逆方向脱塩基残基は、デオキシリボースの3’位がそれぞれの鎖上の前のモノマーの3’末端に連結されるように挿入される(例えば、表6を参照されたい)。更に、当業者が容易に理解及び認識するように、本明細書に示されるホスホロチオエート化学構造は、典型的には硫黄原子上のアニオンを示し、本明細書に開示される本発明は、全てのホスホロチオエート互変異性体(例えば、硫黄原子が二重結合を有し、アニオンが酸素原子上にある)を包含する。本明細書で別途明示しない限り、当業者のそのような理解は、本明細書に開示されるPNPLA3 RNAi薬及びPNPLA3 RNAi薬の組成物を記載するときに使用される。
【0124】
本明細書に開示されるPNPLA3 RNAi薬とともに使用される標的化リガンド、標的化基、及び連結基の特定の例を以下の表6に提供する。より具体的には、標的化基及び連結基(一緒に標的化リガンドを形成することができる)は、(NAG37)及び(NAG37)sを含み、それらの化学構造が以下の表6に提供される。各センス鎖及び/又はアンチセンス鎖は、配列の5’及び/又は3’末端にコンジュゲートされた、本明細書に列挙される任意の標的化リガンド、標的化基、又は連結基、並びに他の基を有し得る。
【0125】
【表3-1】
【0126】
【表3-2】
【0127】
【表4-1】
【0128】
【表4-2】
(A2N)=2-アミノアデニンヌクレオチド、I=ヒポキサンチン(イノシン)ヌクレオチド
【0129】
本明細書に記載のPNPLA3 RNAi薬は、アンチセンス鎖とセンス鎖とをアニーリングすることによって形成される。表2又は表4に列挙される配列を含むセンス鎖は、2つの配列が連続する16、17、18、19、20、又は21個のヌクレオチド配列にわたって少なくとも約85%の相補性の領域を有するならば、表2又は表3に列挙される配列を含む任意のアンチセンス鎖にハイブリダイズさせることができる。
【0130】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるPNPLA3 RNAi薬のアンチセンス鎖は、表3のアンチセンス鎖配列のいずれかと0、1、2、又は3個のヌクレオチドが異なる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるPNPLA3 RNAi薬のセンス鎖は、表4のセンス鎖配列のいずれかと0、1、2、又は3個のヌクレオチドが異なる。
【0131】
いくつかの実施形態では、PNPLA3 RNAi薬のアンチセンス鎖は、表2又は表3の配列のいずれかのヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、PNPLA3 RNAi薬アンチセンス鎖は、表2又は表3の配列のいずれかのヌクレオチド(5’末端→3’末端)1~17、2~17、1~18、2~18、1~19、2~19、1~20、2~20、1~21、又は2~21の配列を含む。いくつかの実施形態では、PNPLA3 RNAi薬アンチセンス鎖は、表3の修飾配列のいずれか1つの修飾配列を含むか、又はそれからなる。
【0132】
いくつかの実施形態では、PNPLA3 RNAi薬センス鎖は、表2又は表4の配列のいずれかのヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、PNPLA3 RNAi薬のアンチセンス鎖は、表2又は表4の配列のいずれかのヌクレオチド(5’末端→3’末端)1~17、2~17、3~17、4~17、1~18、2~18、3~18、4~18、1~19、2~19、3~19、4~19、1~20、2~20、3~20、4~20、1~21、2~21、3~21、又は4~21の配列を含む。いくつかの実施形態では、PNPLA3 RNAi薬のセンス鎖は、表4の修飾配列のいずれか1つの修飾配列を含むか、又はそれからなる。
【0133】
本明細書に開示されるPNPLA3 RNAi薬では、アンチセンス鎖(5’末端→3’末端)の1位のヌクレオチドは、PNPLA3遺伝子に完全に相補的であり得るか、又はPNPLA3遺伝子に非相補的であり得る。いくつかの実施形態では、アンチセンス鎖(5’末端→3’末端)の1位のヌクレオチドは、U、A、又はdTである。いくつかの実施形態では、アンチセンス鎖(5’末端→3’末端)の1位のヌクレオチドは、センス鎖とA:U又はU:A塩基対を形成する。
【0134】
表2又は表4に列挙される配列を含むセンス鎖は、2つの配列が連続する16、17、18、19、20、又は21個のヌクレオチド配列にわたって少なくとも約85%の相補性の領域を有するならば、表2又は表3に記載される配列を含む任意のアンチセンス鎖とハイブリダイズさせることができる。いくつかの実施形態では、PNPLA3 RNAi薬は、表4の修飾配列のうちのいずれかの修飾配列からなるセンス鎖、及び表3の修飾配列のうちのいずれかの修飾配列からなるアンチセンス鎖を有する。特定の代表的な配列対が、表5A及び表5Bに示す二重鎖ID番号に例示されている。
【0135】
いくつかの実施形態では、PNPLA3 RNAi薬は、本明細書に提示される二重鎖ID番号のうちのいずれか1つによって表される二重鎖を含むか、それからなるか、又は本質的にそれからなる。いくつかの実施形態では、PNPLA3 RNAi薬は、本明細書に提示される二重鎖ID番号のいずれかによって表される二重鎖のいずれかのセンス鎖及びアンチセンス鎖ヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、PNPLA3 RNAi薬は、本明細書に提示される二重鎖ID番号のいずれかによって表される二重鎖のいずれかのセンス鎖及びアンチセンス鎖ヌクレオチド配列、並びに標的化基及び/又は連結基を含み、標的化基及び/又は連結基は、センス鎖又はアンチセンス鎖と共有結合により連結されている(すなわち、コンジュゲートされている)。いくつかの実施形態では、PNPLA3 RNAi薬は、本明細書に提示される二重鎖ID番号のいずれかのセンス鎖及びアンチセンス鎖修飾ヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、PNPLA3 RNAi薬は、本明細書に提示されるいずれかの二重鎖ID番号のセンス鎖及び/又はアンチセンス鎖の修飾ヌクレオチド配列と、標的化基及び/又は連結基とを含み、標的化基及び/又は連結基は、センス鎖又はアンチセンス鎖に共有結合により連結されている。
【0136】
いくつかの実施形態では、PNPLA3 RNAi薬は、表2又は表5A及び5Bのアンチセンス鎖/センス鎖二重鎖のいずれかのヌクレオチド配列を有するアンチセンス鎖及びセンス鎖を含み、標的化基又は標的化リガンドを更に含む。いくつかの実施形態では、PNPLA3 RNAi薬は、表2又は表5A及び表5Bのアンチセンス鎖/センス鎖二重鎖のいずれかのヌクレオチド配列を有するアンチセンス鎖及びセンス鎖を含み、アシアロ糖タンパク質受容体リガンド標的化基を更に含む。
【0137】
標的化基は、リンカーあり又はなしで、表2、表3、及び表4に開示されるいずれかのセンス鎖及び/又はアンチセンス鎖の5’又は3’末端に連結され得る。リンカーは、標的化基あり又はなしで、表2、表3、及び表4に開示されるいずれかのセンス鎖及び/又はアンチセンス鎖の5’又は3’末端に取り付けられ得る。
【0138】
いくつかの実施形態では、PNPLA3 RNAi薬は、表2又は表5A及び表5Bのアンチセンス鎖/センス鎖二重鎖のうちのいずれかのヌクレオチド配列を有するアンチセンス鎖及びセンス鎖を含み、それぞれ、表6に定義されるように、(NAG37)及び(NAG37)sからなる群から選択される標的化リガンドを更に含む。
【0139】
いくつかの実施形態では、PNPLA3 RNAi薬は、表3又は表4のアンチセンス鎖及び/又はセンス鎖ヌクレオチド配列のいずれかの修飾ヌクレオチド配列を有するアンチセンス鎖及びセンス鎖を含む。
【0140】
いくつかの実施形態では、PNPLA3 RNAi薬は、表5A及び表5Bの二重鎖のいずれかのアンチセンス鎖及び/又はセンス鎖ヌクレオチド配列のいずれかの修飾ヌクレオチド配列を有するアンチセンス鎖及びセンス鎖を含み、アシアロ糖タンパク質受容体リガンド標的化基を更に含む。
【0141】
いくつかの実施形態では、PNPLA3 RNAi薬は、表5A及び表5Bの二重鎖のいずれかを含むか、それからなるか、又は本質的にそれからなる。
【0142】
【表5】
【0143】
【表6】
【0144】
いくつかの実施形態では、PNPLA3 RNAi薬は、塩、混合塩、又は遊離酸として調製又は提供される。本明細書に記載のRNAi薬は、PNPLA3を発現する細胞に送達されると、インビボ及び/又はインビトロで1つ又は2つ以上のPNPLA3遺伝子の発現を阻害する。
【0145】
標的化リガンド又は標的化基、連結基、及び送達ビヒクル
いくつかの実施形態では、PNPLA3 RNAi薬は、標的化基、連結基、標的化リガンド、送達ポリマー、又は送達ビヒクルを含むがこれらに限定されない、1つ又は2つ以上の非ヌクレオチド基にコンジュゲートされる。この非ヌクレオチド基は、RNAi薬の標的化、送達又は接合を増強することができる。表6には、標的化基及び連結基の例が提供されている。非ヌクレオチド基は、センス鎖及び/又はアンチセンス鎖のいずれかの3’及び/又は5’末端に共有結合連結され得る。いくつかの実施形態では、PNPLA3 RNAi薬は、センス鎖の3’及び/又は5’末端に連結された非ヌクレオチド基を含む。いくつかの実施形態では、非ヌクレオチド基は、PNPLA3 RNAi薬のセンス鎖の5’末端に連結される。非ヌクレオチド基は、リンカー/連結基を介して、直接又は間接的にRNAi薬に連結され得る。いくつかの実施形態において、非ヌクレオチド基は、不安定な分割化能、又は反転可能な結合又はリンカーを介して、RNAi薬に連結される。
【0146】
いくつかの実施形態では、非ヌクレオチド基は、これが細胞特異的又は組織特異的な分布及びRNAi薬又はコンジュゲートの細胞特異的取り込みを改善するために取り付けられる、RNAi薬又はコンジュゲートの薬物動態又は体内分布特性を向上させる。いくつかの実施形態において、非ヌクレオチド基は、RNAi薬のエンドサイトーシスを向上させる。
【0147】
標的化基又は標的化部分は、これらがコンジュゲート又はRNAi薬の細胞特異的(いくつかの場合では器官特異的を含む)分布及び細胞特異的(又は器官特異的)取り込みを改善するために取り付けられる、コンジュゲート又はRNAi薬の薬物動態又は体内分布特性を向上させる。標的化基は、一価、二価、三価、四価であり得るか、又はそれが向けられる標的のためのより高い原子価を有する。代表的な標的化基としては、細胞表面分子に親和性を有する化合物、細胞受容体リガンド、ハプテン、抗体、モノクローナル抗体、抗体フラグメント、及び細胞表面分子に親和性を有する抗体模倣体が挙げられるがこれらに限定されない。
【0148】
いくつかの実施形態では、標的化基は、リンカー、例えば、いくつか場合ではリンカーとして機能し得る、PEGリンカー、又は1つ、2つ、若しくは3つの脱塩基、及び/又はリビトール(脱塩基リボース)残基を用いて、RNAi薬に連結される。いくつかの実施形態では、標的化リガンドは、ガラクトース誘導体クラスターを含む。
【0149】
本明細書に記載のPNPLA3 RNAi薬は、5’末端及び/又は3’末端において、アミノ基(本明細書ではアミンとも称される)などの反応性基を有するように合成することができる。この反応性基は、その後、当該技術分野で典型的な方法を使用して、標的化部分を取り付けるのに使用することができる。
【0150】
いくつかの実施形態において、標的化基はアシアロ糖タンパク質受容体リガンドを含む。本明細書で使用されるとき、アシアロ糖タンパク質受容体リガンドは、アシアロ糖タンパク質受容体に対して親和性を有する部分を含むリガンドである。本明細書に記載されるように、アシアロ糖タンパク質受容体は、肝細胞上で高度に発現される。いくつかの実施形態において、アシアロ糖タンパク質受容体リガンドは、1つ又は2つ以上のガラクトース誘導体を含むか又はこれらからなる。本明細書で使用されるとき、ガラクトース誘導体という用語は、ガラクトースと、アシアロ糖タンパク質受容体に対する親和性がガラクトース以上である親和性を有するガラクトース誘導体との、両方を含む。ガラクトース誘導体としては、ガラクトース、ガラクトサミン、N-ホルミルガラクトサミン、N-アセチル-ガラクトサミン、N-プロピオニル-ガラクトサミン、N-n-ブタノイル-ガラクトサミン、及びN-イソ-ブタノイルガラクトサミンが挙げられるがこれらに限定されない(例えば、S.T.Iobst and K.Drickamer,J.B.C.,1996,271,6686を参照されたい)。肝臓に対するオリゴヌクレオチド及び他の分子のインビボ標的化に有用なガラクトース誘導体及び一群のガラクトース誘導体は、当該技術分野で基地である(例えば、Baenziger and Fiete,1980,Cell,22,611-620;Connolly et al.,1982,J.Biol.Chem.,257,939-945を参照されたい)。
【0151】
ガラクトース誘導体は、肝細胞の表面上に発現されるアシアロ糖タンパク質受容体への結合を介して、インビボで、肝細胞に対して分子を標的化するのに使用されている。アシアロ糖タンパク質受容体へのアシアロ糖タンパク質受容体リガンドの結合は、肝細胞への細胞特異的標的化及び肝細胞への分子のエンドサイトーシスを促進する。アシアロ糖タンパク質受容体リガンドは、単量体(例えば、一価又は単座とも称される単一のガラクトース誘導体を有する)又は多量体(例えば、複数のガラクトース誘導体を有する)であり得る。ガラクトース誘導体又はガラクトース誘導体クラスターは、当該技術分野で既知の方法を使用して、RNAi薬のセンス鎖又はアンチセンス鎖の3’末端又は5’末端に取り付けることができる。ガラクトース誘導体クラスターなどの標的化リガンドの調製は、例えば、Arrowhead Pharmaceuticals,Inc.に対する国際特許出願公開第2018/044350号、及びArrowhead Pharmaceuticals,Inc.に対する国際特許出願公開第2017/156012号に記載されており、それらの両方の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0152】
本明細書で使用されるとき、ガラクトース誘導体クラスターは、2~4つの末端ガラクトース誘導体を有する分子を含む。末端ガラクトース誘導体は、そのC-1炭素を介して分子に取り付けられる。いくつかの実施形態において、ガラクトース誘導体クラスターは、ガラクトース誘導体三量体である(三分枝型ガラクトース誘導体、又は三価ガラクトース誘導体とも呼ばれる)。いくつかの実施形態において、ガラクトース誘導体クラスターはN-アセチル-ガラクトサミンを含む。いくつかの実施形態において、ガラクトース誘導体クラスターは3つのN-アセチル-ガラクトサミンを含む。いくつかの実施形態において、ガラクトース誘導体クラスターは、ガラクトース誘導体四量体である(四分枝型ガラクトース誘導体、又は四価ガラクトース誘導体とも呼ばれる)。いくつかの実施形態において、ガラクトース誘導体クラスターは4つのN-アセチル-ガラクトサミンを含む。
【0153】
本明細書で使用されるとき、ガラクトース誘導体三量体は、それぞれ中心分岐点に連結された3つのガラクトース誘導体を含む。本明細書で使用されるとき、ガラクトース誘導体四量体は、それぞれ中心分岐点に連結された4つのガラクトース誘導体を含む。ガラクトース誘導体は、糖のC-1炭素を介して中心分岐点に取り付けられ得る。いくつかの実施形態において、ガラクトース誘導体は、リンカー又はスペーサーを介して分岐点に連結される。いくつかの実施形態では、リンカー又はスペーサーは、PEG基などのフレキシブルな親水性スペーサーである(例えば、米国特許第5,885,968号、Biessen et al.J.Med.Chem.1995 Vol.39 p.1538-1546を参照されたい)。いくつかの実施形態では、PEGスペーサーは、PEGスペーサーである。この分岐点は、3つのガラクトース誘導体の取り付けが可能であり、更に、RNAi薬に分岐点を取り付けることが可能であるような、任意の小分子であり得る。分岐点基の例は、ジリジン又はジグルタミン酸塩である。分岐点のRNAi薬への取り付けは、リンカー又はスペーサーを介して行うことができる。いくつかの実施形態において、リンカー又はスペーサーは、可撓性の親水性スペーサー(例えばPEGスペーサーが挙げられるがこれらに限定されない)を含む。いくつかの実施形態において、リンカーは、剛性のリンカー(例えば環状基)を含む。いくつかの実施形態において、ガラクトース誘導体は、N-アセチル-ガラクトサミンを含むか又はこれからなる。いくつかの実施形態において、ガラクトース誘導体クラスターは、ガラクトース誘導体四量体からなり、これは例えば、N-アセチル-ガラクトサミン四量体であり得る。
【0154】
本開示の実施形態は、インビボでPNPLA3 RNAi薬を肝細胞に送達するための医薬組成物を含む。このような医薬組成物は、例えば、ガラクトース誘導体群にコンジュゲートされたPNPLA3 RNAi薬を含み得る。いくつかの実施形態において、ガラクトース誘導体クラスターは、ガラクトース誘導体三量体(これは例えば、N-アセチル-ガラクトサミン三量体であり得る)、又はガラクトース誘導体四量体(これは例えば、N-アセチル-ガラクトサミン四量体であり得る)からなる。
【0155】
標的化リガンド又は標的化基は、本明細書に開示されるPNPLA3 RNAi薬のセンス鎖又はアンチセンス鎖の3’末端又は5’末端に連結され得る。
【0156】
標的化リガンドとしては、表6に定義される(NAG37)及び(NAG37)sが挙げられるが、これらに限定されない。ガラクトースクラスター標的化リガンドを含む他の標的化基及び標的化リガンドは、当技術分野で既知である。
【0157】
いくつかの実施形態において、連結基がRNAi薬にコンジュゲートされる。連結基は、標的化基又は送達ポリマー又は送達ビヒクルに対する薬物の共有結合連結を促進する。連結基は、RNAi薬のセンス鎖又はアンチセンス鎖の3’末端又は5’末端に連結することができる。いくつかの実施形態において、連結基はRNAi薬のセンス鎖に連結する。いくつかの実施形態において、連結基は、RNAi薬のセンス鎖の5’又は3’末端にコンジュゲートされる。いくつかの実施形態において、連結基は、RNAi薬のセンス鎖の5’末端にコンジュゲートされる。連結基の例としては、反応性基、例えば、一次アミン及びアルキン、アルキル基、脱塩基ヌクレオシド、リビトール(脱塩基リボース)、並びに/又はPEG基が挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0158】
いくつかの実施形態では、標的化基は、RNAi薬のセンス鎖及び/又はアンチセンス鎖上のヌクレオチドに内部的に連結される。いくつかの実施形態において、標的化基はリンカーを介してRNAi薬に連結される。
【0159】
リンカー又は連結基は、1つ又は2つ以上の共有結合によって、対象の1つの化学基(RNAi薬など)又はセグメントを、対象の別の化学基(例えば標的化基又は送達ポリマー)又はセグメントに連結する、2つの原子間の接続である。不安定な連結は、不安定な結合を含む。連結は、2つの結合原子間の距離を増大させるスペーサーを任意に含むことができる。スペーサーは、連結に可撓性及び/又は長さを更に付加することができる。スペーサーとしては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基、アラルケニル基、及びアラルキニル基が挙げられるが、これらに限定されない。このそれぞれが1つ又は2つ以上のヘテロ原子、複素環、アミノ酸、ヌクレオチド、及び糖類を含み得る。スペーサー基は当該技術分野で周知であり、上述のリストは本明細書の範囲を制限することを意味するものではない。
【0160】
いくつかの実施形態では、2つ又は3つ以上のRNAi薬が単一の組成物に含まれる場合、各RNAi薬は、同じ標的化基又は2つの異なる標的化基(すなわち、異なる化学構造を有する標的化基)に連結されてもよい。いくつかの実施形態では、標的化基は、追加のリンカーを使用せずに、本明細書に開示されるPNPLA3 RNAi薬に連結されている。いくつかの実施形態では、標的化基自体は、コンジュゲーションが容易に存在するのを促進するためにリンカー又は他の部位を有するように設計されている。いくつかの実施形態では、2つ又は3つ以上のPNPLA3 RNAi薬が単一分子に含まれる場合、各RNAi薬は、同じリンカー又は異なるリンカー(すなわち、異なる化学構造を有するリンカー)を利用してもよい。
【0161】
表2、表3、又は表4に列挙されたPNPLA3 RNAi薬ヌクレオチド配列のいずれかは、修飾又は未修飾にかかわらず、3’及び/又は5’標的化基又は連結基を含むことができる。あるいは、3’又は5’標的化基又は連結基を含む、表3又は表4に列挙されるか又は本明細書に記載されるPNPLA3 RNAi薬配列のいずれかは、3’若しくは5’標的化基又は連結基を含まなくてもよく、又は表6に示されているものを含むがこれらに限定されない異なる3’若しくは5’標的化基若しくは連結基を含むことができる。表5A及び表5Bに列挙されたPNPLA3 RNAi薬二重鎖のいずれかは、修飾又は未修飾にかかわらず、表6に示されるものを含むがこれらに限定されない標的化基又は連結基を更に含むことができ、標的化基又は連結基は、PNPLA3 RNAi薬二重鎖のセンス鎖又はアンチセンス鎖のいずれかの3’末端又は5’末端に取り付けることができる。
【0162】
標的化基及び連結基(組み合わせられたときに標的化リガンドを形成することができる)の例を表6に提供する。表4は、5’末端又は3’末端に連結される標的化基又は連結基を有するPNPLA3 RNAi薬のセンス鎖のいくつかの実施形態を提供する。
【0163】
【表7-1】
【0164】
【表7-2】
【0165】
【表7-3】
【0166】
表6における上記構造の各々において、NAGは、上記の構造及び本明細書に提供される記載を考慮して取り付けることが当業者によって理解されるであろうN-アセチル-ガラクトサミン又は別のガラクトース誘導体を含む。
【0167】
各(NAGx)は、リン酸基((NAG37)におけるように)、若しくはホスホロチオエート基((NAG37)sにおけるように)、又は別の結合基を介して、PNPLA3 RNAi薬に取り付けられてもよい。
【0168】
【化4】
【0169】
当該技術分野で周知の他の連結基を用いてもよい。
【0170】
いくつかの実施形態では、送達ビヒクルを使用して、RNAi薬を細胞又は組織に送達することができる。送達ビヒクルは、細胞又は組織へのRNAi薬の送達を改善する化合物である。送達ビヒクルには、ポリマー(例えば、両親媒性ポリマー、膜活性ポリマー)、ペプチド、メリチンペプチド、メリチン様ペプチド(MLP)、脂質、可逆性修飾ポリマー又はペプチド、又は可逆性修飾膜活性ポリアミンを挙げることができ、又はこれらからなるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、RNAi薬は、脂質、ナノ粒子、ポリマー、リポソーム、ミセル、DPC、又は当該技術分野で利用可能な他の送達システムと組み合わせることができる。RNAi薬はまた、標的化基、脂質(コレステロール及びコレステリル誘導体を含むがこれらに限定されない)、ナノ粒子、ポリマー、リポソーム、ミセル、DPC(例えば、国際公開第2000/053722号、同第2008/0022309号、同第2011/104169号、及び同第2012/083185号、同第2013/032829号、同第2013/158141号を参照のこと、これらの各々は参照により本明細書に組み込まれる)、ヒドロゲル、シクロデキストリン、生分解性ナノカプセル、及び生体接着性ミクロスフェア、タンパク質性ベクター、又は当該技術分野で既知かつ利用可能な核酸又はオリゴヌクレオチドの送達に好適である他の送達システムに化学的にコンジュゲートすることができる。
【0171】
医薬組成物及び製剤
本明細書に開示されるPNPLA3 RNAi薬は、医薬組成物又は製剤(本明細書では「医薬品」とも称される)として調製することができる。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、少なくとも1つのPNPLA3 RNAi薬を含む。これらの医薬組成物は、標的細胞内、細胞群、組織、又は生体内の標的mRNAの発現を阻害するのに特に有用である。
【0172】
医薬組成物は、標的PNPLA3 mRNAのレベルの低減又は標的遺伝子の発現の阻害により利益を得られるであろう疾患、障害、又は状態を有する対象を治療するために使用することができる。医薬組成物は、標的mRNAのレベルの低減又は標的遺伝子の発現の阻害により利益を得られるであろう疾患、障害、又は状態の発症リスを有する対象を治療するために使用することができる。一実施形態では、方法は、本明細書に記載される標的化リガンドに連結されたPNPLA3 RNAi薬を治療対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上の薬学的に許容される賦形剤(ビヒクル、担体、希釈剤、及び/又は送達ポリマーを含む)がPNPLA3 RNAi薬を含む医薬組成物に添加され、それにより、ヒトを含む対象へのインビボ送達に好適である医薬製剤又は医薬品が形成される。
【0173】
本明細書で開示されるPNPLA3 RNAi薬を含む医薬組成物及び方法は、治療有効量の本明細書に記載のPNPLA3 RNAi薬を対象に投与し、それにより、対象においてPNPLA3の発現を阻害することにより、細胞、細胞群、細胞群、組織、器官、又は対象において標的mRNAのレベルを低下させる。いくつかの実施形態では、対象は、標的化細胞又は組織において標的遺伝子の病因性アップレギュレーションを有すると以前に同定又は診断されている。いくつかの実施形態では、対象は、NAFLD、NASH、肝線維症、及び/又は硬変などのアルコール性若しくは非アルコール性肝疾患を有すると以前に同定又は診断されている。いくつかの実施形態では、対象は、NAFLD、NASH、肝線維症、及び/又は硬変などのアルコール性若しくは非アルコール性肝疾患に関連する症状に罹患している。
【0174】
いくつかの実施形態では、PNPLA3 RNAi薬を含む記載された医薬組成物は、対象における硬変を含むNAFLD、NASH、肝線維症、アルコール性若しくは非アルコール性肝疾患、及び/又はPNPLA3の過剰発現に関連する臨床症状を治療又は管理するために使用される。いくつかの実施形態では、治療(予防を含む)有効量の1つ又は2つ以上の医薬組成物が、そのような治療を必要とする対象に投与される。いくつかの実施形態では、本開示のいずれかのPNPLA3 RNAi薬の投与は、対象における疾患の症状の数、重篤度、及び/又は頻度を減少するために使用することができる。
【0175】
PNPLA3 RNAi薬を含む記載される医薬組成物は、PNPLA3 mRNAの発現の低減又は阻害から利益を得られるであろう疾患又は障害を有する対象において少なくとも1つの症状を治療するために使用することができる。いくつかの実施形態では、対象に、PNPLA3 RNAi薬を含む治療有効量の1つ又は2つ以上の医薬組成物が投与され、それにより、症状を治療する。他の実施形態では、対象に、予防的有効量の1つ又は2つ以上のPNPLA3 RNAi薬が投与され、それにより、少なくとも1つの症状を予防又は阻害する。
【0176】
投与経路は、PNPLA3 RNAi薬が身体に接触する経路である。一般に、哺乳動物の治療のために薬物及びオリゴヌクレオチド及び核酸を投与する方法は、当該技術分野で周知であり、本明細書に記載の組成物の投与に適用することができる。本明細書に開示されるPNPLA3 RNAi薬は、特定の経路に合わせて調整された調製物において、任意の適切な経路を介して投与することができる。これにより、本明細書に記載される医薬組成物は、例えば、静脈内、筋肉内、皮内、皮下、関節内、又は腹腔内などの注射により投与することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、皮下注射によって投与される。
【0177】
本明細書に記載のPNPLA3 RNAi薬を含む医薬組成物は、当該技術分野で既知のオリゴヌクレオチド送達技術を用いて、細胞、細胞群、組織、又は対象に送達することができる。一般に、(インビトロ又はインビボで)核酸分子を送達するための当該技術分野で認識されている任意の好適な方法を、本明細書に記載の組成物での使用に適合させることができる。例えば、送達は、局所的投与(例えば、直接注射、埋め込み、局所投与)、全身投与、皮下投与、静脈内、腹腔内、又は頭蓋内(例えば、脳室内、実質内、及び髄腔内)、筋肉内、経皮、気道(エアロゾル)、鼻、口腔、直腸、若しくは局所(口腔及び舌下を含む)投与を含む、非経口的経路によるものであり得る。特定の実施形態において、この組成物は皮下又は静脈内の注入又は注射によって投与される。
【0178】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、1つ又は2つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含む。本明細書に記載の医薬組成物は、対象への投与のために製剤化される。
【0179】
本明細書で使用されるとき、医薬組成物又は医薬品には、薬理学的有効量の記載される治療用化合物のうちの少なくとも1つと、1つ又は2つ以上の薬学的に許容される賦形剤とが含まれる。薬学的に許容される賦形剤(賦形剤)とは、薬物送達システムに意図的に含まれる医薬品活性成分(Active Pharmaceutical Ingredient、API、治療用製品、例えば、PNPLA3 RNAi薬)以外の物質である。賦形剤は、意図された用量で治療効果を発揮しないか、発揮することが意図されていないものである。賦形剤は、a)製造中に薬物送達システムの処理を助けるよう、b)APIの安定性、生物学的利用能、若しくは患者の受容性を保護、支援、若しくは増強するように作用し、c)製品識別を補助するように作用し、及び/又はd)保存時若しくは使用時のAPIの全体的な安全性、有効性、送達の任意の他の属性を増強するように作用し得る。薬学的に許容される賦形剤は、不活性物質であってよく、また不活性物質でなくてもよい。
【0180】
賦形剤としては、吸収促進剤、抗付着剤、抗泡剤、抗酸化剤、結合剤、緩衝剤、担体、コーティング剤、着色剤、送達促進剤、送達ポリマー、界面活性剤(detergents)、デキストラン、デキストロース、希釈剤、崩壊剤、乳化剤、増量剤、充填剤、香料剤、滑剤、保湿剤、滑沢剤、油類、ポリマー、防腐剤、生理食塩水、塩、溶媒、糖、界面活性剤(surfactants)、懸濁剤、徐放性マトリックス、甘味剤、増粘剤、等張化剤、ビヒクル、撥水剤、及び湿潤剤が挙げられるがこれらに限定されない。
【0181】
注射による使用に好適な医薬組成物としては、滅菌水溶液(水溶性の場合)又は分散液、及び滅菌注射溶液又は分散液の即時調製用の滅菌粉末が挙げられる。静脈内投与では、好適な担体としては、生理食塩水、静菌水、Cremophor(登録商標)ELTM(BASF、Parsippany,NJ)、又はリン酸緩衝生理食塩水(PBS)が挙げられる。好適な担体は、製造及び保存条件下で安定である必要があり、細菌及び真菌などの微生物の汚染作用から保護されている必要がある。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコールなど)、及びそれらの適当な混合物を含んだ溶媒又は分散媒であってよい。例えばレシチンなどのコーティングの使用により、分散液の場合には必要な粒径の維持により、また、界面活性剤の使用により、適正な流動性を保つことができる。多くの場合、組成物中に、例えば糖類、マンニトール、ソルビトールなどの多価アルコール、及び塩化ナトリウムなどの等張剤を含むことが好ましい。組成物中に、例えばモノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンなどの吸収を遅らせる物質を含有させることによって、注射用組成物の長期的な吸収をもたらすことができる。
【0182】
滅菌注入用溶液は、必要量の活性化合物を、必要に応じて上記に列挙した成分の1つ又は組み合わせとともに適切な溶媒に添加した後、濾過による滅菌を行うことにより調製することができる。一般に、分散液は、活性化合物を基本の分散媒及び上記に挙げた必要な他の成分を含む滅菌賦形剤に組み込むことにより調製される。滅菌注射溶液の調製用の滅菌粉末の場合、調製の方法には、予め滅菌濾過されたその溶液から有効成分及び任意の更なる所望の成分の粉末を生じる真空乾燥及び凍結乾燥が挙げられる。
【0183】
いくつかの実施形態では、皮下投与に好適な本明細書に開示されるPNPLA3 RNAi薬を含む医薬製剤は、水性リン酸ナトリウム緩衝液中で調製することができる(例えば、水中の0.5mMリン酸ナトリウム一塩基、0.5mMリン酸ナトリウム二塩基性中で製剤化されたPNPLA3 RNAi薬)。
【0184】
関節内投与に適した製剤は、例えば水性微結晶懸濁液の形態などの、微結晶形態であり得る薬物の滅菌水性調製物の形態であり得る。リポソーム製剤又は生分解性ポリマー系も、関節内及び眼内投与の両方のための薬剤を投与するのに使用することができる。
【0185】
本明細書に開示されるPNPLA3 RNAi薬の経口投与に好適な製剤も調製することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるPNPLA3 RNAi薬は経口投与される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるPNPLA3 RNAi薬は、経口投与のためのカプセル中に製剤化される。
【0186】
活性化合物は、インプラント及びマイクロカプセル化送達システムを含む制御放出製剤などの、化合物が身体から速やかに排出されるのを防ぐ担体とともに、調製することができる。エチレン酢酸ビニル、ポリ酸無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、及びポリ乳酸などの生分解性の生体適合性ポリマーを使用することができる。かかる製剤の調製方法は当業者には明らかであろう。リポソーム懸濁液も、製薬的に許容される担体として使用することができる。これらは、例えば、米国特許第4,522,811号に記載されるような当業者には周知の方法に従って調製することができる。
【0187】
PNPLA3 RNAi薬は、投与の容易性及び投与量の均一性のために投与単位形態として製剤化することができる。投与単位形態とは、治療対象のための単位投与量として適した物理的に異なる単位を指し、各単位には、要求される医薬担体と関連して所望の治療効果を生じるように計算された活性化合物の所定量が含まれる。本開示の投与単位形態に対する仕様は、活性化合物の固有の特性と、達成されるべき治療効果と、個々における治療のためにそのような活性化合物を配合する当分野で固有の制限、によって決定され、直接依存する。
【0188】
医薬組成物は、医薬組成物において一般に見られる他の付加的成分を含むことができる。このような追加の成分としては、かゆみ止め薬、収斂剤、局所麻酔剤、鎮痛剤、抗ヒスタミン剤、又は抗炎症剤(例えば、アセトアミノフェン、NSAID、ジフェンヒドラミン)が挙げられるがこれらに限定されない。本明細書で定義されるRNAi薬を発現する又は含む細胞、組織、又は単離された器官は、「医薬組成物」として使用され得ることも想到される。本明細書で使用されるとき、「薬理学的有効量」、「治療有効量」、又は単に「有効量」とは、薬理学的、治療的、又は予防的結果を生じるRNAi薬の量である。
【0189】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法は、本明細書に開示されるRNAi薬を投与することに加えて、第2の治療薬又は治療を投与するステップを更に含む。いくつかの実施形態では、第2の治療薬は、別のPNPLA3 RNAi薬(例えば、PNPLA3標的内の異なる配列を標的化するPNPLA3 RNAi薬)である。他の実施形態では、第2の治療薬は、小分子薬物、抗体、抗体断片、又はアプタマーであり得る。
【0190】
いくつかの実施形態では、記載されるPNPLA3 RNAi薬は、任意に、1つ又は2つ以上の追加の治療薬と組み合わされる。PNPLA3 RNAi薬及び追加の治療薬は、単一の組成物で投与することができ、又はそれらは別々に投与することができる。いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上の追加の治療薬は、RNAi薬とは別々の剤形で別々に投与される(例えば、PNPLA3 RNAi薬は、皮下注射によって投与され、治療投与レジメンの方法で使用される追加の治療は経口投与される)。いくつかの実施形態では、記載されるPNPLA3 RNAi薬はそれを必要とする対象に皮下注射によって投与されるが、1つ又は2つ以上の任意の追加の治療薬は経口投与され、これらは一緒になって、NAFLD、NASH、肝線維症、及び/又は硬変を含むアルコール性若しくは非アルコール性肝疾患に関連する疾患及び状態の治療レジメンを提供する。いくつかの実施形態では、記載されるPNPLA3 RNAi薬は、それを必要としている対象に皮下注射よって投与され、1つ又は2つ以上の所望による追加の治療薬は、別の皮下注射によって投与される。いくつかの実施形態では、PNPLA3 RNAi薬及び1つ又は2つ以上の追加の治療薬は、単一の剤形(例えば、皮下注射のために単一の組成物に配合された「カクテル」)中で組み合わされる。PNPLA3 RNAi薬は、1つ又は2つ以上の追加の治療薬とともに又は当該治療薬なしで、1つ又は2つ以上の賦形剤と組み合わせて、医薬組成物を形成することができる。
【0191】
一般に、PNPLA3 RNAi薬の有効量は、約0.1~約100mg/kg体重/用量、例えば、約1.0~約50mg/kg体重/用量の範囲である。いくつかの実施形態において、活性化合物の有効量は、1回の用量当たり約0.25~約5mg/kg体重の範囲にある。いくつかの実施形態では、活性成分の有効量は、1回の用量当たり約0.5~約4mg/kg体重の範囲にある。投与は、投与されるPNPLA3 RNAi薬の用量、特定のPNPLA3 RNAi薬の活性レベル、及び特定の対象に対する所望の阻害レベルに応じて、毎週、隔週、毎月、又は任意の他の間隔であり得る。本明細書の実施例は、特定の動物種における阻害に好適なレベルを示す。投与量は、患者の全体的な健康状態、送達される化合物の相対的な生物学的効力、薬物の製剤化、製剤における賦形剤の存在及び種類、並びに投与経路などの変数に依存するであろう。また、投与される初期投与量は、所望の血液レベル又は組織レベルを急速に達成するために上記の上限レベルを超えて増加させることができ、又は初期投与量は、最適量よりも少なくすることができることが理解されよう。
【0192】
疾患を治療するために、又は疾患を治療するための医薬品若しくは組成物を形成するために、PNPLA3 RNAi薬を含む本明細書に記載される医薬組成物は、賦形剤又は第2の治療薬若しくは治療(第2又は他のRNAi薬、小分子薬、抗体、抗体フラグメント、ペプチド及び/又はアプタマーが挙げられるがこれらに限定されない)と組み合わせることができる。
【0193】
記載されるPNPLA3 RNAi薬は、薬学的に許容される賦形剤又は補助剤に添加される場合、キット、容器、パック、又はディスペンサーにパッケージ化することができる。本明細書に記載の医薬組成物は、事前に充填された注射器、ペン型注射器、自動注射器、注入バッグ/デバイス、又はバイアルにパッケージ化され得る。
【0194】
治療方法及び発現阻害方法
本明細書に開示されるPNPLA3 RNAi薬は、化合物の投与から利益が得られるであろう疾患又は障害を有する対象(例えば、ヒト又は哺乳動物)を治療するために使用することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるRNAi薬は、PNPLA3 mRNAの発現及び/又はPNPLA3タンパク質レベルの低減及び/又は阻害から利益を得られるであろう対象(例えば、ヒト)、例えば、NAFLD、NASH、肝線維症、又は硬変を含むアルコール性若しくは非アルコール性肝疾患に関連する症状を有すると診断されたか、又はそれらを患っている対象を治療するために使用することができる。
【0195】
いくつかの実施形態では、対象に、治療有効量の任意の1つ又は2つ以上のPNPLA3 RNAi薬が投与される。対象の治療には、治療的処置及び/又は予防的治療が含まれ得る。対象に、治療有効量の本明細書に記載の任意の1つ又は2つ以上のPNPLA3 RNAi薬が投与される。対象は、ヒト、患者、又はヒト患者であり得る。対象は、成人、青年、小児、乳児であり得る。本明細書に記載の医薬組成物の投与は、ヒト又は動物に対するものであり得る。
【0196】
本明細書に記載のPNPLA3 RNAi薬は、PNPLA3関連疾患若しくは障害を有するか、又はPNPLA3遺伝子発現によって少なくとも部分的に媒介される疾患若しくは障害を有する対象における少なくとも1つの症状を治療するために使用され得る。いくつかの実施形態では、PNPLA3 RNAi薬は、PNPLA3 mRNAの低減から利益を受けるか、又はPNPLA3 mRNAの低減によって少なくとも部分的に媒介される疾患又は障害を有する対象の臨床症状を治療又は管理するために使用される。対象に、治療有効量の本明細書に記載のPNPLA3 RNAi薬のうちの1つ若しくは2つ以上又はPNPLA3 RNAi薬含有組成物が投与される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法は、本明細書に記載されるPNPLA3 RNAi薬を含む組成物を治療される対象に投与することを含む。他の実施形態では、対象に、予防有効量の記載されたPNPLA3 RNAi薬のうちのいずれか1つ又は2つ以上が投与され、それにより、少なくとも1つの症状を予防又は阻害することによって対象を治療する。
【0197】
特定の実施形態では、本開示は、PNPLA3遺伝子発現によって少なくとも部分的に媒介される疾患、障害、状態、又は病状の治療のための方法であって、患者に、本明細書に記載のPNPLA3 RNAi薬のいずれかを投与することを含む、方法を提供する。
【0198】
いくつかの実施形態では、記載されるPNPLA3 RNAi薬を投与された対象におけるPNPLA3遺伝子の遺伝子発現レベル及び/又はmRNAレベルは、PNPLA3 RNAi薬を投与される前の対象又はPNPLA3 RNAi薬を受けていない対象と比較して、少なくとも約30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、95%、96%、97%、98%、99%、又は99%より大きく、低減される。対象における遺伝子発現レベル及び/又はmRNAレベルは、対象の細胞、細胞群、及び/又は組織において低減され得る。いくつかの実施形態では、PNPLA3遺伝子発現は、PNPLA3 RNAi薬を投与される前の対象又はPNPLA3 RNAi薬を受けていない対象と比較して、肝細胞の細胞質において少なくとも約50%、55%、60%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、又は70%より大きく、阻害される。
【0199】
いくつかの実施形態では、記載されるPNPLA3 RNAi薬を投与された対象におけるPNPLA3タンパク質レベルは、PNPLA3 RNAi薬を投与される前の対象又はPNPLA3 RNAi薬を受けていない対象と比較して、少なくとも約30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、又は99%より大きく、低減される。対象内のタンパク質レベルは、対象の細胞、細胞群、組織、血液、及び/又はその他の体液において低減され得る。
【0200】
PNPLA3 mRNAレベル及びPNPLA3タンパク質レベルの低減は、当該技術分野で既知の任意の方法によって評価することができる。本明細書で使用されるとき、PNPLA3 mRNAレベル及び/又はタンパク質レベルの低減又は減少は、本明細書では纏めて、PNPLA3の低減若しくは減少又はPNPLA3の発現の阻害若しくは低減と称する。本明細書に記載の実施例は、PNPLA3遺伝子発現の阻害を評価するための既知の方法を例示している。当業者は、インビボ及び/又はインビトロでのPNPLA3遺伝子発現の阻害を評価するための好適な方法を更に知ることができるであろう。
【0201】
いくつかの実施形態では、NAFLD、NASH、肝線維症、及び/又は硬変を含むアルコール性若しくは非アルコール性肝疾患によって引き起こされる疾患、障害、又は症状の治療(予防的(prophylactic)又は予防的(preventative)治療を含む)方法であって、それを必要とする対象に、表1の配列を有するPNPLA3 mRNAの部分に少なくとも部分的に相補的であるアンチセンス鎖を含む治療有効量のPNPLA3 RNAi薬を投与することを含む、方法が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、NAFLD、NASH、肝線維症、及び/又は硬変を含むアルコール性若しくは非アルコール性肝疾患によって引き起こされる疾患又は症状の治療(予防的(prophylactic)又は予防的(preventative)治療を含む)方法であって、それを必要とする対象に、表2又は表3の配列のいずれかの配列を含むアンチセンス鎖と、アンチセンス鎖に少なくとも部分的に相補的である表2又は表4の配列のいずれかを含むセンス鎖と、を含む治療有効量のPNPLA3 RNAi薬を投与することを含む、方法が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、NAFLD、NASH、肝線維症、及び/又は硬変を含むアルコール性若しくは非アルコール性肝疾患によって引き起こされる疾患又は症状の治療(予防的(prophylactic)又は予防的(preventative)治療を含む)方法であって、それを必要とする対象に、表2又は表4の配列のいずれかを含むセンス鎖と、センス鎖に少なくとも部分的に相補的である表2又は表3の配列のいずれかの配列を含むアンチセンス鎖と、を含む治療有効量のPNPLA3 RNAi薬を投与することを含む、方法が本明細書に開示される。
【0202】
いくつかの実施形態では、細胞においてPNPLA3遺伝子の発現を阻害するための方法であって、表1の配列を有するPNPLA3 mRNAの部分に少なくとも部分的に相補的なアンチセンス鎖を含むPNPLA3 RNAi薬を細胞に投与することを含む、方法が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、細胞においてPNPLA3遺伝子の発現を阻害する方法であって、細胞に、表2又は表3の配列のいずれかの配列を含むアンチセンス鎖と、アンチセンス鎖に少なくとも部分的に相補的である表2又は表4の配列のうちのいずれかを含むセンス鎖と、を含むPNPLA3 RNAi薬を投与することを含む、方法が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、細胞においてPNPLA3遺伝子の発現を阻害する方法であって、表2又は表4の配列のいずれかを含むセンス鎖と、センス鎖に少なくとも部分的に相補的である表2又は表3の配列のいずれかの配列を含むアンチセンス鎖と、を含むPNPLA3 RNAi薬を投与することを含む、方法が本明細書に開示される。
【0203】
PNPLA3 RNAi薬の使用は、NAFLD、NASH、肝線維症、硬変を含むアルコール性若しくは非アルコール性肝疾患、及び/又は増強若しくは向上したPNPLA3発現に関連する疾患/障害の治療的(予防を含む)処置のための方法を提供する。記載されるPNPLA3 RNAi薬は、RNA干渉を媒介して、PNPLA3タンパク質の生成に必要な1つ又は2つ以上の遺伝子の発現を阻害する。PNPLA3 RNAi薬はまた、NAFLD、NASH、肝線維症、及び/又は硬変を含むアルコール性若しくは非アルコール性肝疾患を含む、様々な疾患、障害、又は状態を治療又は予防するために使用され得る。更に、PNPLA3 RNAi薬を肝細胞にインビボで送達するための組成物が記載される。
【0204】
細胞、組織、器官、及び非ヒト生物
本明細書に記載のPNPLA3 RNAi薬の少なくとも1つを含む細胞、組織、器官、及び非ヒト生物が企図される。この細胞、組織、器官、又は非ヒト生物は、RNAi薬を細胞、組織、器官、又は非ヒト生物に送達することによって生成される。
【0205】
例示的な実施形態
本開示の技術の例示的な実施形態が本明細書で提供される。これらの実施形態は、例示のみを目的としており、本開示又は本開示に添付の特許請求の範囲を限定するものではない。
【0206】
実施形態1.PNPLA3遺伝子の発現を阻害するためのRNAi薬であって、
配列番号46~87、174~211、及び257~258の配列のうちのいずれか1つと0又は1個のヌクレオチドが異なる少なくとも17個の連続したヌクレオチドを含むアンチセンス鎖と、アンチセンス鎖に少なくとも部分的に相補的なヌクレオチド配列を含むセンス鎖と、を含む、RNAi薬。
【0207】
実施形態2.アンチセンス鎖が、配列番号46~87、174~211、及び257~258の配列のうちのいずれか1つのヌクレオチド2~18を含む、実施形態1に記載のRNAi薬。
【0208】
実施形態3.センス鎖が、配列番号2~45及び212~256のセンス鎖配列のうちのいずれか1つと0又は1個のヌクレオチドが異なる少なくとも17個の連続したヌクレオチドのヌクレオチド配列を含み、センス鎖が、17個の連続したヌクレオチドわたってアンチセンス鎖と少なくとも85%の相補性の領域を有する、実施形態1又は実施形態2に記載のRNAi薬。
【0209】
実施形態4.RNAi薬の少なくとも1つのヌクレオチドが、修飾ヌクレオチドであるか、又は修飾ヌクレオシド間連結を含む、実施形態1~3のいずれか1つに記載のRNAi薬。
【0210】
実施形態5.RNAi薬のセンス鎖及びアンチセンス鎖のヌクレオチドの全て又は実質的に全てが、修飾ヌクレオチドである、実施形態1~3のいずれか1つに記載のRNAi薬。
【0211】
実施形態6.修飾ヌクレオチドが、2’-O-メチルヌクレオチド、2’-フルオロヌクレオチド、2’-デオキシヌクレオチド、2’,3’-セコヌクレオチド模倣物、ロックドヌクレオチド、2’-F-アラビノヌクレオチド、2’-メトキシエチルヌクレオチド、脱塩基ヌクレオチド、リビトール、逆方向ヌクレオチド、逆方向2’-O-メチルヌクレオチド、逆方向2’-デオキシヌクレオチド、2’-アミノ修飾ヌクレオチド、2’-アルキル修飾ヌクレオチド、モルホリノヌクレオチド、ビニルホスホネート含有ヌクレオチド、シクロプロピルホスホネート含有ヌクレオチド、及び3’-O-メチルヌクレオチドからなる群から選択される、実施形態4又は5に記載のRNAi薬。
【0212】
実施形態7.修飾ヌクレオチドの全て又は実質的に全てが、2’-O-メチルヌクレオチド、2’-フルオロヌクレオチド、又はそれらの組み合わせである、実施形態5に記載のRNAi薬。
【0213】
実施形態8.アンチセンス鎖が、配列番号88~128の修飾アンチセンス鎖配列のうちのいずれか1つのヌクレオチド配列を含む、実施形態1~7のいずれか1つに記載のRNAi薬。
【0214】
実施形態9.センス鎖が、センス鎖が、配列番号129~173の修飾センス鎖配列のいずれかのヌクレオチド配列を含む、実施形態1~8のいずれか1つに記載のRNAi薬。
【0215】
実施形態10.アンチセンス鎖が、配列番号88~128の修飾配列のうちのいずれか1つのヌクレオチド配列を含み、センス鎖が、配列番号129~173の修飾配列のうちのいずれか1つのヌクレオチド配列を含む、実施形態1に記載のRNAi薬。
【0216】
実施形態11.RNAi薬が、標的化リガンドに連結されている、実施形態1~10のいずれか1つに記載のRNAi薬。
【0217】
実施形態12.標的化リガンドが、n-アセチル-ガラクトサミンを含む、実施形態11に記載の方法。
【0218】
実施形態13.標的化リガンドが、(NAG37)又は(NAG37)sの構造を含む、実施形態11又は12に記載のRNAi薬。
【0219】
実施形態14.標的化リガンドが、センス鎖に連結されている、実施形態11~14のいずれか1つに記載のRNAi薬。
【0220】
実施形態15.標的化リガンドが、センス鎖の5’末端に連結されている、実施形態15に記載のRNAi薬。
【0221】
実施形態16.センス鎖が、18~30ヌクレオチド長であり、アンチセンス鎖が、18~30ヌクレオチド長である、実施形態1~16のいずれか1つに記載のRNAi薬。
【0222】
実施形態17.センス鎖及びアンチセンス鎖が、それぞれ、18~27ヌクレオチド長である、実施形態17に記載のRNAi薬。
【0223】
実施形態18.センス鎖及びアンチセンス鎖が、それぞれ、18~24ヌクレオチド長である、実施形態18に記載のRNAi薬。
【0224】
実施形態19.センス鎖及びアンチセンス鎖が、それぞれ、21ヌクレオチド長である、実施形態19に記載のRNAi薬。
【0225】
実施形態20.RNAi薬が、2つの平滑末端を有する、実施形態17~20のいずれか1つに記載のRNAi薬。
【0226】
実施形態21.センス鎖が、1つ又は2つの末端キャップを含む、実施形態1~21のいずれか1つに記載のRNAi薬。
【0227】
実施形態22.センス鎖が、1つ又は2つの逆方向脱塩基残基を含む、実施形態1~22のいずれか1つに記載のRNAi薬。
【0228】
実施形態23.RNAi薬が、表5Bに列挙される配列番号を有する二重鎖のうちのいずれか1つの二重鎖配列を形成するセンス鎖及びアンチセンス鎖からなる、実施形態1に記載のRNAi薬。
【0229】
実施形態24.センス鎖が、ヌクレオチド配列の3’末端、ヌクレオチド配列の5’末端、又は両方において逆方向脱塩基残基を更に含む、実施形態1~23のいずれか1つに記載のRNAi薬。
【0230】
実施形態25.配列番号88~128のヌクレオチド配列のうちの1つと0又は1個のヌクレオチドが異なる修飾ヌクレオチド配列を含むか、それからなるか、又は本質的にそれからなり、a、c、g、及びuが、それぞれ、2’-O-メチルアデノシン、シチジン、グアノシン、及びウリジンを表し、Af、Cf、Gf、及びUfが、それぞれ、2’-フルオロアデノシン、シチジン、グアノシン、及びウリジンを表し、sが、ホスホロチオエート連結を表し、センス鎖のヌクレオチドの全て又は実質的に全てが、修飾ヌクレオチドである、実施形態1に記載のRNAi薬。
【0231】
実施形態26.センス鎖が、配列番号129~173のヌクレオチド配列のうちの1つと0又は1個のヌクレオチドが異なる修飾ヌクレオチド配列を含むか、それらから本質的になるか、又はそれらから本質的になり、a、c、g、i、及びuが、それぞれ、2’-O-メチルアデノシン、シチジン、グアノシン、イノシン、及びウリジンを表し、Af、Cf、Gf、及びUfが、それぞれ、2’-フルオロアデノシン、シチジン、グアノシン、及びウリジンを表し、sが、ホスホロチオエート連結を表し、アンチセンス鎖のヌクレオチドの全て又は実質的に全てが、修飾ヌクレオチドである、実施形態1に記載のRNAi薬。
【0232】
実施形態27.センス鎖が、ヌクレオチド配列の3’末端、ヌクレオチド配列の5’末端、又は両方において逆方向脱塩基残基を更に含む、実施形態24~26のいずれか1つに記載のRNAi薬。
【0233】
実施形態28.RNAi薬のセンス鎖が、標的化リガンドに連結されている、実施形態24~27のいずれか1つに記載のRNAi薬。
【0234】
実施形態29.標的化リガンドが、アシアロ糖タンパク質受容体に対する親和性を有する、実施形態28に記載のRNAi薬。
【0235】
実施形態30.標的化リガンドが、N-アセチル-ガラクトサミンを含む、実施形態29に記載のRNAi薬。
【0236】
実施形態31.標的化リガンドが、
【0237】
【化5】
を含む、実施形態1に記載のRNAi薬。
【0238】
実施形態32.アンチセンス鎖が、配列番号88~128の修飾ヌクレオチド配列からなり、センス鎖が、配列番号129~173の修飾ヌクレオチド配列からなり、a、c、g、及びuが、それぞれ、2’-O-メチルアデノシン、シチジン、グアノシン、及びウリジンであり、Af、Cf、Gf、及びUfが、それぞれ、2’-フルオロアデノシン、シチジン、グアノシン、及びウリジンであり、sが、ホスホロチオエート連結であり、(invAb)が、逆方向脱塩基デオキシリボース残基であり、(NAG37)sが、以下の化学構造を有する、実施形態1に記載のRNAi薬。
【0239】
【化6】
【0240】
実施形態33.実施形態1~32のいずれか1つのRNAi薬を含む組成物であって、薬学的に許容される賦形剤を更に含む、組成物。
【0241】
実施形態34.細胞においてPNPLA3遺伝子の発現を阻害するための方法であって、細胞に、有効量の実施形態1~32のいずれか1つに記載のRNAi薬又は実施形態33のいずれか1つに記載の組成物を導入することを含む、方法。
【0242】
実施形態35.細胞が、対象内にある、実施形態34に記載の方法。
【0243】
実施形態36.対象が、ヒト対象である、実施形態35に記載の方法。
【0244】
実施形態37.PNPLA3遺伝子発現が、少なくとも約30%阻害される、実施形態34~36のいずれか1つに記載の方法。
【0245】
実施形態38.PNPLA3関連疾患又は障害を治療する方法であって、それを必要とするヒト対象に、治療有効量の実施形態33の組成物を投与することを含む、方法。
【0246】
実施形態39.疾患が、NAFLD、NASH、肝線維症、アルコール性脂肪性肝疾患、又は硬変である、実施形態38に記載の方法。
【0247】
実施形態40.RNAi薬が、ヒト対象の体重1kg当たり約0.05mg~約5.0mgの用量で投与される、実施形態34~39のいずれか1つに記載の方法。
【0248】
実施形態41.RNAi薬が、2回又は3回以上の用量で投与される、実施形態34~40のいずれか1つに記載の方法。
【0249】
実施形態42.PNPLA3遺伝子発現によって少なくとも部分的に媒介される疾患、障害、又は症状の治療のための、実施形態1~32のいずれか1つに記載のRNAi薬又は実施形態33に記載の組成物の使用。
【0250】
実施形態43.症状が、肝硬変である、実施形態42に記載の使用。
【0251】
実施形態44.PNPLA3遺伝子発現によって少なくとも部分的に媒介される疾患、障害、又は症状を治療するための医薬組成物の調製のための、実施形態1~32のいずれか1つに記載のRNAi薬又は実施形態33に記載の組成物の使用。
【0252】
実施形態45.前疾患が、NAFLD、NASH、肝線維症、又は硬変などのアルコール性若しくは非アルコール性肝疾患である、実施形態42~44のいずれか1つに記載のRNAi薬の使用。
【0253】
実施形態46.RNAi薬が、ヒト対象の体重1kg当たり約0.05mg~約5.0mgの用量で投与される、実施形態33に記載の組成物の使用。
【0254】
ここで、上述の実施形態及び項目が、以下の非限定的な実施例で例示される。
【実施例
【0255】
実施例1.PNPLA3 RNAi薬の合成。
上記の表5A及び表5Bに示されるPNPLA3 RNAi薬二重鎖を以下の一般手順に従って合成した:
【0256】
A.合成.
オリゴヌクレオチド合成に使用される固相上のホスホロアミダイト技術に基づいて、RNAi薬のセンス鎖及びアンチセンス鎖を合成した。そのような標準合成は、一般に当該技術分野で既知である。規模に応じて、MerMade96E(登録商標)(Bioautomation)、MerMade12(登録商標)(Bioautomation)、又はOP Pilot 100(GE Healthcare)が使用された。制御された多孔質ガラス(CPG、500Å又は600Å、Prime Synthesis、Aston,PA,USAから入手)でできた固体支持体上で、合成を実施した。それぞれの鎖の3’末端に位置するモノマーを合成の開始点として固体支持体に取り付けた。全てのRNA及び2’修飾RNAホスホロアミダイトは、Thermo Fisher Scientific(Milwaukee,WI,USA)又はHongene Biotech(Shanghai,PRC)から購入した。2’-O-メチルホスホロアミダイトとしては、以下が挙げられる:(5’-O-ジメトキシトリチル-N-(ベンゾイル)-2’-O-メチル-アデノシン-3’-O-(2-シアノエチル-N,N-ジイソプロピルアミノ)ホスホロアミダイト、5’-O-ジメトキシトリチル-N-(アセチル)-2’-O-メチル-シチジン-3’-O-(2-シアノエチル-N,N-ジイソプロピル-アミノ)ホスホロアミダイト、(5’-O-ジメトキシトリチル-N-(イソブチリル)-2’-O-メチル-グアノシン-3’-O-(2-シアノエチル-N,N-ジイソプロピルアミノ)ホスホロアミダイト、及び5’-O-ジメトキシトリチル-2’-O-メチル-ウリジン-3’-O-(2-シアノエチル-N,N-ジイソプロピルアミノ)ホスホロアミダイト。2’-デオキシ-2’-フルオロ-ホスホロアミダイトは、2’-O-メチルアミダイトと同じ保護基を有していた。5’-(4,4’-ジメトキシトリチル)-2’,3’-セコ-ウリジン、2’-ベンゾイル-3’-[(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホロアミダイトもThermo Fisher Scientific又はHongene Biotechから購入した。5’-ジメトキシトリチル-2’-O-メチル-イノシン-3’-O-(2-シアノエチル-N,N-ジイソプロピルアミノ)ホスホロアミダイトは、Glen Research(Virginia)又はHongene Biotechから購入した。逆方向脱塩基(3’-O-ジメトキシトリチル-2’-デオキシリボース-5’-O-(2-シアノエチル-N,N-ジイソプロピルアミノ)ホスホロアミダイトは、ChemGenes(Wilmington,MA,USA)又はSAFC(St Louis,MO,USA)から購入した。5’-O-ジメトキシトリチル-N,N-(フェノキシアセテート)-2’-O-メチル-ジアミノプリン-3’-O-(2-シアノエチル-N,N-ジイソプロピルアミノ)ホスホロアミダイトは、ChemGenes又はHongene Biotechから入手した。
【0257】
標的化リガンドを含むホスホロアミダイトを、無水ジクロロメタン又は無水アセトニトリル(50mM)に溶解し、他の全てのアミダイトを無水アセトニトリル(50mM)又は無水ジメチルホルムアミドに溶解し、モレキュラーシーブ(3Å)を添加した。5-ベンジルチオ-1H-テトラゾール(BTT、アセトニトリル中250mM)又は5-エチルチオ-1H-テトラゾール(ETT、アセトニトリル中250mM)を、活性化剤溶液として使用した。結合時間は12分間(RNA)、15分間(標的化リガンド)、90秒間(2’OMe)、及び60秒間(2’F)であった。ホスホロチオエート連結を導入するために、3-フェニル 1,2,4-ジチアゾリン-5-オン(POS、PolyOrg,Inc.、Leominster,MA,USAから入手)の無水アセトニトリル中100mM溶液を用いた。標的化リガンドが存在しない「裸の」RNAi薬として特に特定されない限り、以下の実施例で合成及び試験された各PNPLA3 RNAi薬二重鎖は、表6に表される標的化リガンド化学構造においてN-アセチル-ガラクトサミンを「NAG」として利用した。
【0258】
B.支持体結合オリゴマーの切断及び脱保護。
固相合成を完了させた後、乾燥させた固体支持体を、水中40重量%メチルアミンと、28%水酸化アンモニウム溶液(Aldrich)との体積1:1の溶液で、1.5時間30℃で処理した。この溶液を蒸発させ、固体残留物を水中で再構成した(下記参照)。
【0259】
C.精製。
TSKgel SuperQ-5PW 13μmカラム及びShimadzu LC-8システムを用いて、アニオン交換HPLCにより粗オリゴマーを精製した。緩衝液Aは、20mM Tris、5mM EDTA、pH9.0であり、20%アセトニトリルを含有していた。緩衝液Bは、緩衝液Aと同じものに、1.5M塩化ナトリウムを加えたものであった。260nmでUVトレースが記録された。適切な画分をプールしてから、Sephadex G-25 fineを詰めたGE Healthcare XK 26/40カラムを用いて、サイズ排除HPLCに通し、濾過DI水又は100mM重炭酸アンモニウム(pH 6.7)及び20%アセトニトリルをランニング緩衝液として用いた。
【0260】
D.アニーリング。
相補的鎖を、1×リン酸塩緩衝生理食塩水(Corning、Cellgro)中の等モル量のRNA溶液(センス及びアンチセンス)を合わせて混合し、RNAi薬を形成した。一部のRNAi薬を凍結乾燥し、-15~-25℃で保管した。1×リン酸塩緩衝生理食塩水中でUV-Visスペクトロメーターを用いて溶液吸光度を測定することにより二重鎖濃度を求めた。次に、260nmでの溶液吸光度に換算係数及び希釈係数を掛けて、二重鎖濃度を求めた。使用した変換係数は、0.050mg/(mL・cm)であったか、又は実験的に決定された吸光係数から計算した。
【0261】
実施例2.PNPLA3-SEAPマウスモデル。
特定のPNPLA3 RNAi薬を評価するために、PNPLA3-SEAPマウスモデルを使用した。入手容易性に応じて6~8週齢の雌C57BL/6アルビノマウス又はICRマウスに、PNPLA3 RNAi薬又は対照の投与の少なくとも29日前に投与された流体力学的尾静脈注射により、プラスミドをインビボで一過的にトランスフェクトした。2種類のSEAPプラスミドを調製した。第1のプラスミドは、SEAP(secreted human placental alkaline phosphatase、分泌ヒト胎盤アルカリホスファターゼ)レポーター遺伝子の3’UTRに挿入されたヒトPNPLA3 cDNA配列(GenBank NM_025225.2(配列番号1))を含む。経時的な全長転写物の認識される不安定性のために、ヒトPNPLA3 cDNA配列(具体的にはGenBank NM_025225.2のヌクレオチド501~2210)を含む第2のプラスミドを合成した。2つのプラスミドのうちの1つを選択して、マウスにトランスフェクトした。動物の体重の10%の総体積のリンゲル液中のそれぞれのプラスミド50μgを尾静脈からマウスに注射して、PNPLA3-SEAPモデルマウスを作製した。以前に記載されているように、27ゲージ針で5~7秒間かけて溶液を注射した(Zhang G et al.,「High levels of foreign gene expression in hepatocytes after tail vein injection of naked plasmid DNA.」Human Gene Therapy 1999 Vol.10,p1735-1737.)。PNPLA3 RNAi薬によるPNPLA3の発現の阻害は、測定されるSEAP発現の同時阻害をもたらす。処置を施す前(投与の7日前~1日前)に、Phospha-Light(商標)SEAPレポーター遺伝子アッセイシステム(Invitrogen)によって血清中のSEAP発現レベルを測定し、マウスを平均SEAPレベルに従って群化した。
【0262】
マウスを2~3%イソフルランで麻酔し、血液試料を顎下領域から血清分離チューブ(Sarstedt AG & Co.、Numbrecht,Germany)に採取した。血液は環境温度で20分かけて凝固させた。このチューブを8,000×gで3分間遠心分離し、血清を分離して、4℃で保管した。血清を収集し、製造元の説明書に従って、Phospha-Light(商標)SEAP Reporter Gene Assay System(Invitrogen)によって測定した。各動物の血清SEAPレベルは、このモデルでのPNPLA3発現の非処置関連の低下を説明するために、ビヒクル対照を注射した対照マウス群に対して正規化することができる。そのようにするために、最初に、ある時点での各動物のSEAPレベルを、その動物における処置前の発現レベル(-1日目)で割って、「処置前に対して正規化された」発現の比を決定した。次いで、個々の動物の「処置前に対して正規化された」比を、正常なビヒクル対照群における全マウスの平均の「処置前に対して正規化された」比で割ることにより、特定の時点での発現を対照群に対して正規化した。あるいは、各動物の血清SEAPレベルを、処置前のレベルのみに正規化することによって評価した。
【0263】
実施例3.PNPLA3-SEAPマウスにおけるPNPLA3 RNAi薬のインビボ試験。
全長ヒトPNPLA3転写物を含むプラスミドを使用して、PNPLA3-SEAPマウスモデルを上記の実施例2に記載のように使用した。1日目に、各マウスに、以下の表7に従って、生理食塩水中に配合された3.0mg/kg(mpk)のPNPLA3 RNAi薬又はビヒクル対照(RNAi薬を含まない生理食塩水)のいずれかを含む200μl/20g動物重量の単回皮下投与を施した。
【0264】
【表8】
【0265】
各PNPLA3 RNAi薬は、本明細書の二重鎖構造に記載される修飾配列を有する3つのN-アセチル-ガラクトサミン基(三座配位子)を含む標的化リガンドにセンス鎖の5’末端においてコンジュゲートされた修飾ヌクレオチドを含んだ。((NAG37)sリガンドを含むPNPLA3 RNAi薬に関連する特定の修飾及び構造情報については表3~表5を参照されたい)。PNPLA3 RNAi薬J1D00001(群2)及びJ1D00002(群3)は、遺伝子の688位でPNPLA3遺伝子の発現を阻害するように設計されたヌクレオチド配列を含み、PNPLA3 RNAi薬J1D00004(群4)は、1586位の遺伝子でPNPLA3遺伝子の発現を阻害するように設計されたヌクレオチド配列を含み、PNPLA3 RNAi薬J1D00008(群5)は、2180位の遺伝子でPNPLA3遺伝子の発現を阻害するように設計されたヌクレオチド配列を含み、PNPLA3 RNAi薬J1D00010(群6)及びJ1D00011(群7)は、1179位の遺伝子でPNPLA3遺伝子の発現を阻害するように設計されたヌクレオチド配列を含み、PNPLA3 RNAi薬J1D00012(群8)は、571位の遺伝子でPNPLA3遺伝子の発現を阻害するように設計されたヌクレオチド配列を含み、PNPLA3 RNAi薬J1D00016(群9)は、1745位の遺伝子でPNPLA3遺伝子の発現を阻害するように設計されたヌクレオチド配列を含んだ。(例えば、参照されるPNPLA3遺伝子については配列番号1及び表2を参照されたい)。
【0266】
注射は、首及び肩領域にわたる緩んだ皮膚の、皮膚と筋肉の間(すなわち皮下注射)に行った。各群で4匹のマウスを試験した(n=4)。-1日目(処置前)、8日目、15日目、22日目、及び29日目に血清を採取し、SEAP発現レベルを上記の実施例2に記載の手順に従って決定した。実験のデータを以下の表8及び表9に示す。
【0267】
【表9】
上記の実施例2に記載されているように、ビヒクル対照群(群1)における経時的なSEAPの段階的な低減は、動物における天然細胞の複製によるマウスの細胞におけるSEAPレポーター遺伝子の損失によるものであり、阻害化合物の結果ではない。
【0268】
【表10】
【0269】
実施例4.PNPLA3-SEAPマウスにおけるPNPLA3 RNAi薬のインビボ試験。
全長ヒトPNPLA3転写物を含むプラスミドを使用して、PNPLA3-SEAPマウスモデルを上記の実施例2に記載のように使用した。1日目に、各マウスに、以下の表10に従って、生理食塩水中に配合された3.0mg/kg(mpk)のPNPLA3 RNAi薬又はビヒクル対照(RNAi薬を含まない生理食塩水)のいずれかを含む200μl/20g動物重量の単回皮下投与を施した。
【0270】
【表11】
【0271】
各PNPLA3 RNAi薬は、本明細書の二重鎖構造に記載される修飾配列を有する3つのN-アセチル-ガラクトサミン基(三座配位子)を含む標的化リガンドに、センス鎖の5’末端においてコンジュゲートした修飾ヌクレオチドを含んだ。((NAG37)sリガンドを含むPNPLA3 RNAi薬に関する特定の修飾及び構造情報については表3~表5を参照されたい)。PNPLA3 RNAi薬J1D00008(群2)は、2180位の遺伝子でPNPLA3遺伝子の発現を阻害するように設計されたヌクレオチド配列を含み、PNPLA3 RNAi薬J1D00014(群3)は、886位の遺伝子でPNPLA3遺伝子の発現を阻害するように設計されたヌクレオチド配列を含み、PNPLA3 RNAi薬J1D00015(群4)は、1584位の遺伝子でPNPLA3遺伝子の発現を阻害するように設計されたヌクレオチド配列を含み、PNPLA3 RNAi薬J1D00021(群5)は、553位の遺伝子でPNPLA3遺伝子の発現を阻害するように設計されたヌクレオチド配列を含み、PNPLA3 RNAi薬J1D00022(群6)は、680位の遺伝子でPNPLA3遺伝子の発現を阻害するように設計されたヌクレオチド配列を含み、PNPLA3 RNAi薬J1D00005(群7)は、1182位の遺伝子でPNPLA3遺伝子の発現を阻害するように設計されたヌクレオチド配列を含み、PNPLA3 RNAi薬J1D00024(群8)は、746位の遺伝子でPNPLA3遺伝子の発現を阻害するように設計されたヌクレオチド配列を含む。(例えば、参照されるPNPLA3遺伝子については配列番号1及び表2を参照されたい)。
【0272】
注射は、首及び肩領域にわたる緩んだ皮膚の、皮膚と筋肉の間(すなわち皮下注射)に行った。各群で4匹のマウスを試験した(n=4)。-1日目(処置前)、8日目、15日目、22日目、及び29日目に血清を採取し、SEAP発現レベルを上記の実施例2に記載の手順に従って決定した。実験のデータを次の表11及び表12に示す。
【0273】
【表12】
上記の実施例2に記載されているように、ビヒクル対照群(群1)における経時的なSEAPの段階的な低減は、動物における天然細胞の複製によるマウスの細胞におけるSEAPレポーター遺伝子の損失によるものであり、阻害化合物の結果ではない。
【0274】
【表13】
【0275】
実施例5.PNPLA3-SEAPマウスにおけるPNPLA3 RNAi薬のインビボ試験。
短縮型ヒトPNPLA3転写物を含むプラスミドを使用して、PNPLA3-SEAPマウスモデルを上記の実施例2に記載されるように使用した。1日目に、各マウスに、以下の表13に従って、生理食塩水中に配合された3.0mg/kg(mpk)のPNPLA3 RNAi薬又はビヒクル対照(RNAi薬を含まない生理食塩水)のいずれかを含む200μl/20g動物重量の単回皮下投与を施した。
【0276】
【表14】
【0277】
各PNPLA3 RNAi薬は、本明細書の二重鎖構造に記載される修飾配列を有する3つのN-アセチル-ガラクトサミン基(三座配位子)を含む標的化リガンドに、センス鎖の5’末端においてコンジュゲートした修飾ヌクレオチドを含んだ。((NAG37)sリガンドを含むPNPLA3 RNAi薬に関連する特定の修飾及び構造情報については表3~表5を参照されたい)。PNPLA3 RNAi薬J1D00012(群2)、J1D00027(群3)、J1D00028(群4)、J1D00029(群5)は、それぞれ、571位の遺伝子でPNPLA3遺伝子の発現を阻害するように設計されたヌクレオチド配列を含み、PNPLA3 RNAi薬J1D00011(群6)及びJ1D00017(群7)は、1179位の遺伝子でPNPLA3遺伝子の発現を阻害するように設計されたヌクレオチド配列を含み、PNPLA3 RNAi薬J1D00004(群8)、J1D00003(群9)、及びJ1D00041(群10)は、1586位の遺伝子でPNPLA3遺伝子の発現を阻害するように設計されたヌクレオチド配列を含み、PNPLA3 RNAi薬J1D00008(群11)は、2180位の遺伝子でPNPLA3遺伝子の発現を阻害するように設計されたヌクレオチド配列を含んだ。(例えば、参照されるPNPLA3遺伝子については配列番号1及び表2を参照されたい)。
【0278】
注射は、首及び肩領域にわたる緩んだ皮膚の、皮膚と筋肉の間(すなわち皮下注射)に行った。各群で4匹のマウスを試験した(n=4)。-1日目(処置前)、8日目、15日目、22日目、及び29日目に血清を採取し、SEAP発現レベルを上記の実施例2に記載の手順に従って決定した。実験のデータを以下の表14及び表15に示す。
【0279】
【表15】
上記の実施例2に記載されているように、ビヒクル対照群(群1)における経時的なSEAPの段階的な低減は、動物における天然細胞の複製によるマウスの細胞におけるSEAPレポーター遺伝子の損失によるものであり、阻害化合物の結果ではない。
【0280】
【表16】
【0281】
各投与群(すなわち、群2~11)における各PNPLA3 RNAi薬は、ビヒクル対照(群1)と比較して、全ての測定時点でSEAPの減少を示した。
【0282】
実施例6.PNPLA3-SEAPマウスにおけるPNPLA3 RNAi薬のインビボ試験。
短縮型ヒトPNPLA3転写物を含むプラスミドを使用して、PNPLA3-SEAPマウスモデルを上記の実施例2に記載されるように使用した。1日目に、各マウスに、以下の表16に従って、生理食塩水中に配合された3.0mg/kg(mpk)のPNPLA3 RNAi薬又はビヒクル対照(RNAi薬を含まない生理食塩水)のいずれかを含む200μl/20g動物重量の単回皮下投与を施した。
【0283】
【表17】
【0284】
各PNPLA3 RNAi薬は、本明細書の二重鎖構造に記載される修飾配列を有する3つのN-アセチル-ガラクトサミン基(三座配位子)を含む標的化リガンドに、センス鎖の5’末端においてコンジュゲートした修飾ヌクレオチドを含んだ。((NAG37)sリガンドを含むPNPLA3 RNAi薬に関連する特定の修飾及び構造情報については表3~表5を参照されたい)。PNPLA3 RNAi薬J1D00008(群2)、J1D00046(群3)、J1D00047(群4)、及びJ1D00048(群5)は、それぞれ、2180位の遺伝子でPNPLA3遺伝子の発現を阻害するように設計されたヌクレオチド配列を含み、PNPLA3 RNAi薬J1D00011(群6)、J1D00043(群7)、J1D00044(群8)、及びJ1D00045(群9)は、1179位の遺伝子でPNPLA3遺伝子の発現を阻害するように設計されたヌクレオチド配列を含み、PNPLA3 RNAi薬J1D00020(群10)は、544位の遺伝子でPNPLA3遺伝子の発現を阻害するように設計されたヌクレオチド配列を含み、PNPLA3 RNAi薬J1D00026(群11)は、1195位の遺伝子でPNPLA3遺伝子の発現を阻害するように設計されたヌクレオチド配列を含んだ。(SEQ参照されるPNPLA3遺伝子については配列番号1及び表2を参照されたい)。
【0285】
注射は、首及び肩領域にわたる緩んだ皮膚の、皮膚と筋肉の間(すなわち皮下注射)に行った。各群で4匹のマウスを試験した(n=4)。-1日目(処置前)、8日目、15日目、22日目、及び29日目に血清を採取し、SEAP発現レベルを上記の実施例2に記載の手順に従って決定した。実験のデータを以下の表17及び表18に示す:
【0286】
【表18】
上記の実施例2に記載されているように、ビヒクル対照群(群1)における経時的なSEAPの段階的な低減は、動物における天然細胞の複製によるマウスの細胞におけるSEAPレポーター遺伝子の損失によるものであり、阻害化合物の結果ではない。
【0287】
【表19】
【0288】
実施例7.PNPLA3-SEAPマウスにおけるPNPLA3 RNAi薬のインビボ試験。
短縮型ヒトPNPLA3転写物を含むプラスミドを使用して、PNPLA3-SEAPマウスモデルを上記の実施例2に記載されるように使用した。1日目に、各マウスに、以下の表19に従って、生理食塩水中に配合された1.5mg/kg(mpk)のPNPLA3 RNAi薬又はビヒクル対照(RNAi薬を含まない生理食塩水)のいずれかを含む200μl/20g動物重量の単回皮下投与を施した。
【0289】
【表20】
【0290】
各PNPLA3 RNAi薬は、本明細書の二重鎖構造に記載される修飾配列を有する3つのN-アセチル-ガラクトサミン基(三座配位子)を含む標的化リガンドに、センス鎖の5’末端においてコンジュゲートした修飾ヌクレオチドを含んだ。((NAG37)sリガンドを含むPNPLA3 RNAi薬に関連する特定の修飾及び構造情報については表3~表5を参照されたい)。PNPLA3 RNAi薬J1D00008(群2)は、2180位の遺伝子でPNPLA3遺伝子の発現を阻害するように設計されたヌクレオチド配列を含み、PNPLA3 RNAi薬J1D000018(群3)及びJ1D00019(群4)は、538位の遺伝子でPNPLA3遺伝子の発現を阻害するように設計されたヌクレオチド配列を含み、PNPLA3 RNAi薬J1D00013(群5)は、687位の遺伝子でPNPLA3遺伝子の発現を阻害するように設計されたヌクレオチド配列を含み、PNPLA3 RNAi薬J1D000006(群6)及びJ1D00007(群7)は、751位の遺伝子でPNPLA3遺伝子の発現を阻害するように設計されたヌクレオチド配列を含み、PNPLA3 RNAi薬J1D00035(群8)は、1181位の遺伝子でPNPLA3遺伝子の発現を阻害するように設計されたヌクレオチド配列を含み、PNPLA3 RNAi薬J1D00033(群9)は、遺伝子の685位の遺伝子でPNPLA3遺伝子の発現を阻害するように設計されたヌクレオチド配列を含み、PNPLA3 RNAi薬J1D00032(群10)は、373位の遺伝子でPNPLA3遺伝子の発現を阻害するように設計されたヌクレオチド配列を含み、PNPLA3 RNAi薬J1D00040(群11)は、1837位の遺伝子でPNPLA3遺伝子の発現を阻害するように設計されたヌクレオチド配列を含んだ。(例えば、参照されるPNPLA3遺伝子については配列番号1及び表2を参照されたい)。
【0291】
注射は、首及び肩領域にわたる緩んだ皮膚の、皮膚と筋肉の間(すなわち皮下注射)に行った。各群で4匹のマウスを試験した(n=4)。-1日目(処置前)、8日目、15日目、22日目、及び29日目に血清を採取し、SEAP発現レベルを上記の実施例2に記載の手順に従って決定した。実験のデータを以下の表20及び表21に示す:
【0292】
【表21】
上記の実施例2に記載されているように、ビヒクル対照群(群1)における経時的なSEAPの段階的な低減は、動物における天然細胞の複製によるマウスの細胞におけるSEAPレポーター遺伝子の損失によるものであり、阻害化合物の結果ではない。
【0293】
【表22】
【0294】
実施例8.PNPLA3-SEAPマウスにおけるPNPLA3 RNAi薬のインビボ試験。
短縮型ヒトPNPLA3転写物を含むプラスミドを使用して、PNPLA3-SEAPマウスモデルを上記の実施例2に記載されるように使用した。1日目に、各マウスに、以下の表22に従って、生理食塩水中に配合された1.5mg/kg(mpk)のPNPLA3 RNAi薬又はビヒクル対照(RNAi薬を含まない生理食塩水)のいずれかを含む200μl/20g動物重量の単回皮下投与を施した。
【0295】
【表23】
【0296】
各PNPLA3 RNAi薬は、本明細書の二重鎖構造に記載される修飾配列を有する3つのN-アセチル-ガラクトサミン基(三座配位子)を含む標的化リガンドに、センス鎖の5’末端においてコンジュゲートした修飾ヌクレオチドを含んだ。((NAG37)sリガンドを含むPNPLA3 RNAi薬に関連する特定の修飾及び構造情報については表3~表5を参照されたい)。各群(すなわち、群2~10)のPNPLA3 RNAi薬は、それぞれ、2180位の遺伝子でPNPLA3遺伝子の発現を阻害するように設計されたヌクレオチド配列を含んだ。(例えば、参照されるPNPLA3遺伝子については配列番号1及び表2を参照されたい)。
【0297】
注射は、首及び肩領域にわたる緩んだ皮膚の、皮膚と筋肉の間(すなわち皮下注射)に行った。各群で4匹のマウスを試験した(n=4)。-1日目(処置前)、8日目、15日目、22日目、及び29日目に血清を採取し、SEAP発現レベルを上記の実施例2に記載の手順に従って決定した。実験のデータを以下の表23及び表24に示す:
【0298】
【表24】
上記の実施例2に記載されているように、ビヒクル対照群(群1)における経時的なSEAPの段階的な低減は、動物における天然細胞の複製によるマウスの細胞におけるSEAPレポーター遺伝子の損失によるものであり、阻害化合物の結果ではない。
【0299】
【表25】
【0300】
各投与群(すなわち、群2~10)における各PNPLA3 RNAi薬は、ビヒクル対照(群1)と比較して、全ての測定された時点でSEAPの低減を示した。
【0301】
実施例9.PNPLA3-SEAPマウスにおけるPNPLA3 RNAi薬のインビボ試験。
短縮型ヒトPNPLA3転写物を含むプラスミドを使用して、PNPLA3-SEAPマウスモデルを上記の実施例2に記載されるように使用した。1日目に、各マウスに、以下の表25に従う投与群を含む、生理食塩水中に配合された1.5mg/kg(mpk)のPNPLA3 RNAi薬又はビヒクル対照(RNAi薬を含まない生理食塩水)を含む200μl/20g動物重量の単回皮下投与を施した。
【0302】
【表26】
【0303】
各PNPLA3 RNAi薬は、本明細書の二重鎖構造に記載される修飾配列を有する3つのN-アセチル-ガラクトサミン基(三座配位子)を含む標的化リガンドに、センス鎖の5’末端においてコンジュゲートした修飾ヌクレオチドを含んだ。((NAG37)sリガンドを含むPNPLA3 RNAi薬に関連する特定の修飾及び構造情報については表3~表5を参照されたい)。PNPLA3 RNAi薬J1D00008(群2)は、2180位の遺伝子でPNPLA3遺伝子の発現を阻害するように設計されたヌクレオチド配列を含み、PNPLA3 RNAi薬J1D00081(群3)は、887位の遺伝子でPNPLA3遺伝子の発現を阻害するように設計されたヌクレオチド配列を含み、PNPLA3 RNAi薬J1D00083(群4)は、1185位の遺伝子でPNPLA3遺伝子の発現を阻害するように設計されたヌクレオチド配列を含み、PNPLA3 RNAi薬J1D00084(群5)及びJ1D00085(群6)は各々、1191位の遺伝子でPNPLA3遺伝子の発現を阻害するように設計されたヌクレオチド配列を含み、PNPLA3 RNAi薬J1D00087(群7)は、1746位の遺伝子でPNPLA3遺伝子の発現を阻害するように設計されたヌクレオチド配列を含み、PNPLA3 RNAi薬J1D00082(群8)は、1173位の遺伝子でPNPLA3遺伝子の発現を阻害するように設計されたヌクレオチド配列を含む。(例えば、参照されるPNPLA3遺伝子については配列番号1及び表2を参照されたい)。
【0304】
注射は、首及び肩領域にわたる緩んだ皮膚の、皮膚と筋肉の間(すなわち皮下注射)に行った。各群で4匹のマウスを試験した(n=4)。-1日目(処置前)、8日目、15日目、22日目、及び29日目に血清を採取し、SEAP発現レベルを上記の実施例2に記載の手順に従って決定した。実験のデータを以下の表26及び表27に示す:
【0305】
【表27】
上記の実施例2に記載されているように、ビヒクル対照群(群1)における経時的なSEAPの段階的な低減は、動物における天然細胞の複製によるマウスの細胞におけるSEAPレポーター遺伝子の損失によるものであり、阻害化合物の結果ではない。
【0306】
【表28】
【0307】
実施例10.カニクイザルにおけるPNPLA3 RNAi薬のインビボ試験。
PNPLA3 RNAi薬J1D00003、J1D00008、及びJ1D00017をカニクイザル(cynos)で評価した。1日目及び43日目に、各群(n=4)について4つのカニクイザルを、生理食塩水中に配合された4.0mg/kg(10mg/mL)のそれぞれのPNPLA3 RNAi薬を含む0.4mL/kg(動物重量に応じて、約1.5mL体積)の皮下注射、又は対照として機能させるためのRNAi薬を含まない生理食塩水ビヒクルを単独で投与した(以下の表28を参照されたい)。
【0308】
【表29】
【0309】
PNPLA3 RNAi薬は、表3~表6に示すように、センス鎖の5’末端にコンジュゲートされた修飾ヌクレオチド及び三座N-アセチル-ガラクトサミン含有標的化リガンド((NAG37)s)を含んだ。PNPLA3 RNAi薬J1D00003(群2)は、1586位の遺伝子でPNPLA3遺伝子の発現を阻害するように設計されたヌクレオチド配列を含み、PNPLA3 RNAi薬J1D00008(群3)は、2180位の遺伝子でPNPLA3遺伝子の発現を阻害するように設計されたヌクレオチド配列を含み、PNPLA3 RNAi薬J1D00017(群4)は、1179位の遺伝子でPNPLA3遺伝子の発現を阻害するように設計されたヌクレオチド配列を含んだ。
【0310】
-13日目(投与前)、15日目、29日目、57日目、及び76日目に肝臓生検を採取した。各生検収集日に、カニクイザルを麻酔し、腹腔鏡を使用して、各々約80mg~120mgの2つの肝組織試料を抽出した。次いで、生検試料をホモナイズし、カニクイザル肝臓におけるPNPLA3 mRNAのレベルをRT-qPCRによって測定した。次いで、得られた値を、投与前(この場合、-13日目の)PNPLA3 mRNA測定に対して正規化した。得られたmRNAデータは、以下の表29に反映される。
【0311】
【表30】
【0312】
実施例11.カニクイザルにおけるPNPLA3 RNAi薬J1D00008のインビボ試験
本研究の目的は、カニクイザル(cynos)の肝臓における野生型PNPLA3 mRNAのノックダウンの深さ及び持続時間の両方について、RNAi薬J1D00008を評価することであった。ノックダウンは、動物ごとに、投与前に行った肝臓生検から得られたベースライン測定値に対して正規化された。
【0313】
材料及び方法
研究1:カニクイザルを、体重(2~5kg)によって生理食塩水処置群(群1)又はRNA処置群(群2~4)に群化し、群当たりn=4であった。カニクイザルに、0.4ml/kg生理食塩水中で4mg/kgで1日目及び43日目の2回皮下投与した。生検及び採血前に少なくとも12時間にわたり、カニクイザルを一晩絶食させた。投与前及び試験日15、29、57、及び76日目に、肝臓生検試料を全ての動物から収集した。各動物について、肝臓生検試料(各々2つ、約100mg)を、qPCR及びインサイチューハイブリダイゼーション(ISH)によるPNPLA3 mRNAの定量化のために収集した。投与前並びに投与後の15日目、29日目、57日目、及び76日目に、各動物の大腿静脈から血液を採取した。全ての動物、群、及び時点について、RNAを外側左肝葉から単離してqRT-PCRを行い、データをハウスキーピング遺伝子(ARFGAP2)に対して正規化し、相対的な発現をベースライン/投与前生検と比較した。研究の終了時に、PNPLA3発現を群1及び3からの外側左及び右並びに中央肝葉で測定して、発現が肝葉によって変化しないこと、及び外側左肝葉が代表的であることを確認した。カニクイザル肝臓生検のRNAscope(登録商標)ベースインサイチューハイブリダイゼーションアッセイ(ACDbio,Newark,CA)を行った。画像ベースの定量的ソフトウェア分析(HALO(商標)ソフトウェアシステム、Indica Labs、Albuquerque,NM)を利用して、所与の肝臓細胞集団における総PNPLA3 mRNAコピーを定量化した。
【0314】
研究2:第2の非ヒト霊長類研究を、研究1で記載したように行い、以下の修正又は付加を伴った。カニクイザルを体重(2~5kg)によって2つのRNAi処置群に群化し、群当たりn=10とした。動物に、生理食塩水中で4mg/kgで1日目及び29日目に皮下投与し、続いて57日間投与した。
【0315】
結果
研究1から、RNAi薬J1D00008について、PCRによるPNPLA3発現の測定を図1に示す。PNPLA3 mRNAは、ベースライン及びハウスキーピング遺伝子に対して正規化されたそれぞれの時点で51%、55%、47%、及び37%減少した。これらの結果に続いて、インサイチューハイブリダイゼーション(ISH)を行って、PNPLA3 mRNAの細胞内(細胞質対核)分布を評価した。全細胞PNPLA3 mRNAの約50%が核内に分配されていることが観察された。これは、RNAi薬J1D00008が、タンパク質翻訳の部位(すなわち、肝細胞の細胞質)でPNPLA3 mRNAを有意に低下させたが、全細胞レベルでのノックダウンは、残留核PNPLA3 mRNAプールの交絡により、qPCRによって過小評価されたことを示唆している。したがって、細胞質PNPLA3 mRNAノックダウンを定量化した。
【0316】
RNAi薬J1D00008で処置されたカニクイザルの肝臓生検に対して行ったISHによって、有意な残留PNPLA3 mRNAが細胞核で保持されていることが明らかとなり、このプールがqPCRで評価した全肝臓において交絡するノックダウン結果であったという見解を裏付けている。
【0317】
ISH画像の定量化により、RNAi薬J1D00008処理によって、PNPLA3 mRNAが76日全てにわたって細胞質内で44~63%減少したことが示された(表30)。RNAi薬J1D00008などのGalNAc-RNAi薬は、特に肝細胞の細胞質における標的mRNAの分解を媒介するため、PNPLA3ノックダウンの全肝臓定量化は、非標的化細胞種(例えば、星状細胞及びクッパー細胞)由来のPNPLA3 mRNAの相対的な寄与によって弱くなる。したがって、特に肝細胞の細胞質におけるPNPLA3 mRNAの低減を特異的に推定するためにモデルベースの分析を行い、過分な肝細胞PNPLA3 mRNA発現を補正した。表31は、モデリングで用いられる肝臓生理学に対する関連する仮定を列挙する。
【0318】
【表31】
データは、ベースライン±SD(n=4)に対する平均である。
【0319】
【表32】
【0320】
このモデルを使用して、PNPLA3 mRNAは、RNAi薬J1D00008の4mg/kgの単一SC用量を投与した後、肝細胞の細胞質において15日目に81%及び29日目に78%減少した。このモデリングを研究2で繰り返すと、それぞれ15日目及び29日目にPNPLA3 mRNAの66%及び65%の減少が達成された。RNAi薬J1D00008を用いて試験された全てのNHP(n=14)の平均で、PNPLA3 mRNAは、15日目及び29日目に肝細胞の細胞質で70%減少した(図2)。
【0321】
実施例12.安全性
3ヶ月間までのRNAi薬J1D00008投与の非臨床的安全性を、それぞれ最大500mg/kg及び300mg/kgの用量でラット及びサルで評価した。両方の種において、RNAi薬J1D00008は、良好な忍容性であり、評価された最高用量まで毒性の有害な兆候は観察されなかった。
【0322】
他の実施形態
本発明はその詳細な説明と関連して記載されてきたが、前述の説明は本発明の範囲を例示したものであって、発明の範囲を限定することを意図したものではなく、発明の範囲は添付の特許請求の範囲により定義されると理解される。他の態様、利点、及び変更は、以下の特許請求の範囲内である。
図1
図2
【配列表】
2023519246000001.app
【国際調査報告】