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特表2023-520187マイクロ構造の3D印刷のためのシステム、方法及びファイルフォーマット
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-16
(54)【発明の名称】マイクロ構造の3D印刷のためのシステム、方法及びファイルフォーマット
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/393 20170101AFI20230509BHJP
   B33Y 80/00 20150101ALI20230509BHJP
   B33Y 50/00 20150101ALI20230509BHJP
   A61F 13/38 20060101ALI20230509BHJP
   G06F 30/10 20200101ALI20230509BHJP
   G06F 113/10 20200101ALN20230509BHJP
【FI】
B29C64/393
B33Y80/00
B33Y50/00
A61F13/38
G06F30/10
G06F113:10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022557095
(86)(22)【出願日】2021-03-24
(85)【翻訳文提出日】2022-11-18
(86)【国際出願番号】 US2021023962
(87)【国際公開番号】W WO2021195267
(87)【国際公開日】2021-09-30
(31)【優先権主張番号】62/994,582
(32)【優先日】2020-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/058,782
(32)【優先日】2020-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522371237
【氏名又は名称】オーピーティー インダストリーズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】オウ,ジフェイ
(72)【発明者】
【氏名】チュウ,カイ-ホン,アンソニー
(72)【発明者】
【氏名】シュメイング,アンドレ
【テーマコード(参考)】
3B200
4F213
5B146
【Fターム(参考)】
3B200AA06
3B200AA08
3B200AA09
3B200BB05
3B200CA18
3B200DA25
4F213AH81
4F213AR12
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL02
4F213WL85
4F213WL96
5B146AA11
5B146DE01
5B146DE12
5B146EA06
5B146EC01
(57)【要約】
3Dマイクロ構造を印刷するためのシステム、方法及び新ファイルフォーマットが提供される。いくつかの実装形態では、ワイヤの集合として表現されるワイヤフレームモデルにより3Dオブジェクトを定義する新ファイルフォーマットが提供される。ワイヤ及びそれらのパラメータは新ファイルフォーマット内に定義されるので、オブジェクトは3D描画操作を支援するためにより効率的且つ迅速に処理され得る。このような方法は睫毛、ブッシュ、スワブ及び他の新規アイテムなどの新しい物品を印刷するために使用され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ構造を含む3Dオブジェクトを表すためのデータフォーマットであって、前記データフォーマットは、
3Dワイヤフレームオブジェクト内の複数の3D座標を識別するノード情報と、
前記3Dワイヤフレームオブジェクト内のワイヤオブジェクトを集合的に識別する複数のノードを識別するワイヤ情報と、
前記ワイヤオブジェクトが付着する表面を識別するシェル情報と
を含み、
前記データ構造の解釈が3D印刷操作を制御するために使用される、データフォーマット。
【請求項2】
前記データ構造はさらに、前記ワイヤオブジェクトの反復複製を前記表面上の複数点に対し定義するポピュレート関数を含む、請求項1に記載のフォーマット。
【請求項3】
前記データ構造はさらに、少なくとも2つのジオメトリをブレンドするように適応されたブレンド関数を含む、請求項1に記載のフォーマット。
【請求項4】
前記データ構造はさらに、レガシィメッシュジオメトリを記述するメッシュ情報を含む、請求項1に記載のフォーマット。
【請求項5】
前記データ構造はさらに、前記ワイヤオブジェクトへ付着される1つ又は複数の子オブジェクトを記述する分岐関数を含む、請求項1に記載のフォーマット。
【請求項6】
前記データ構造はさらに、前記ワイヤオブジェクトの厚さ、形状及び/又は捩れのうちの少なくとも1つを制御するパラメータを含む、請求項1に記載のフォーマット。
【請求項7】
前記データフォーマットは、コンピュータシステムにより受信され解釈されると、前記3Dオブジェクトの表現を描画する、請求項1に記載のフォーマット。
【請求項8】
前記データ構造は3Dスワブ又は塗布器を生成するために使用される、請求項1に記載のフォーマット。
【請求項9】
前記データ構造は少なくとも2つの設計のブレンド設計を生成するために使用される、請求項1に記載のフォーマット。
【請求項10】
3Dオブジェクトのディジタル表現を処理する方法であって、
前記3Dオブジェクトのワイヤフレーム表現であって少なくとも1つのワイヤを定義するワイヤフレーム表現を提供する行為と、
処理される前記3Dオブジェクトのスライスを決定する行為と、
前記決定されたスライスに関し、前記3Dオブジェクトの前記スライスを有する前記ワイヤフレーム表現の前記少なくとも1つのワイヤの交差を定義する少なくとも1つの交点を決定する行為と、
前記交点に関し、描画される前記交点に関係する対応形状を決定する行為と
を含む方法。
【請求項11】
描画される前記交点に関係する前記対応形状の前記行為はさらに、前記対応形状を前記少なくとも1つのワイヤの少なくとも1つのパラメータに基づき決定することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つのパラメータは、前記ワイヤオブジェクトの厚さ、形状及び捩れを含むグループのうちの少なくとも1つ又は複数を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記描画される交点に関係する前記対応形状を決定する前記行為はさらに、前記対応形状を前記スライスと前記少なくとも1つのワイヤとの交差の角度に基づき決定することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記描画される交点に関係する前記対応形状を決定する前記行為はさらに、前記対応形状を前記スライスと前記少なくとも1つのワイヤの形状との交差の角度に基づき決定することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
処理される前記3Dオブジェクトの少なくとも1つの異なるスライスを決定することと、前記スライスと前記少なくとも1つの異なるスライスに関し、これらを様々な処理エンティティにより並列に処理することとをさらに含む請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記様々な処理エンティティは、前記処理される関連スライスと交差する前記ワイヤフレーム表現の任意の線に関する情報を提供される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
スライシングの前記行為は印刷工程の一部として行われる、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
前記3Dオブジェクトの少なくとも1つの一部に関してメッシュ表現を決定し、合成スライスを形成するために前記メッシュ表現のスライスと前記ワイヤフレーム表現の対応するスライスとを合成するプロセスをさらに含む請求項10に記載の方法。
【請求項19】
前記処理される前記3Dオブジェクトのスライス毎に、前記3Dオブジェクトの対応するスライスと交差する複数の線を計算するためにベクトル空間を使用する行為をさらに含む請求項10に記載の方法。
【請求項20】
前記3Dオブジェクトの前記対応するスライスと交差する前記複数の線を決定するために線型方程式を使用することをさらに含む請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記3Dオブジェクトのスライス毎に、前記3Dオブジェクトのそれぞれのスライスと交差する前記ワイヤフレームの線を表す一組の交点を決定する行為をさらに含む請求項19に記載の方法。
【請求項22】
3Dオブジェクトのディジタル表現を処理する方法であって、
前記3Dオブジェクトのワイヤフレーム表現を提供する行為と、
前記ワイヤフレーム表現を複数のチャンクへセグメント化する行為と、
前記複数のチャンクの各チャンクを対応する処理エンティティへ割り当てる行為と、
前記複数のチャンクの各チャンクを前記対応する処理エンティティによりほぼ並列に描画する行為と
を含む方法。
【請求項23】
前記ワイヤフレーム表現を前記複数のチャンクへセグメント化する前記行為はさらに、 前記複数のチャンクのうちの少なくとも1つのチャンクに関して、前記複数のチャンクのうちの前記少なくとも1つのチャンクと交差する前記ワイヤフレーム表現のワイヤオブジェクトのサブセットを決定する行為を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記ワイヤフレーム表現の前記複数のチャンクのうちの前記少なくとも1つのチャンクの表現を決定する行為をさらに含む請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記ワイヤフレーム表現の前記複数のチャンクのうちの前記少なくとも1つのチャンクの表現をその割り当てられた処理エンティティへ提供する行為をさらに含む請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記複数のチャンクのうちの前記少なくとも1つのチャンクに関し、前記複数のチャンクのうちの前記少なくとも1つのチャンクと交差する線に関係する線情報を、その割り当てられた処理エンティティへ提供する行為をさらに含む請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記描画された複数のチャンクの各チャンクを前記3Dオブジェクトを表すモデル内へマージする行為をさらに含む請求項22に記載の方法。
【請求項28】
前記ワイヤフレーム表現のワイヤを一系列のノードとして表すことをさらに含む請求項22に記載の方法。
【請求項29】
前記ワイヤの厚さ、形状及び捩れのうちの少なくとも1つを含む複数のパラメータにより前記ワイヤを表すことをさらに含む請求項28に記載の方法。
【請求項30】
3D印刷されたスワブ又は塗布器であって、
a.以下のものを有するバルブと、
i.構造強度及び流体保持力を提供する内部格子構造、
ii.前記バルブの形状に寄与し、流体を吸収する前記内部格子構造上への強化網構造、及び
iii.前記強化網構造から突出する複数の毛、
b.前記バルブへ接続された柄と
を含む、3D印刷されたスワブ又は塗布器。
【請求項31】
前記柄は、ワイヤの平行ストランドであって、互いに束ねられ、ストランド間のループにより強化される平行ストランドを含む、請求項30に記載の3D印刷されたスワブ又は塗布器。
【請求項32】
前記柄は格子付き軸壁構造及び内部剪断強化要素を含む、請求項30に記載の3D印刷されたスワブ又は塗布器。
【請求項33】
前記柄は前記平行ストランドの低減された直径を有する折れ点を含む、請求項30に記載の3D印刷されたスワブ又は塗布器。
【請求項34】
前記毛はそれらの中間部近傍で強化される、請求項30に記載の3D印刷されたスワブ又は塗布器。
【請求項35】
前記毛は螺旋状アレイで配置される、請求項30に記載の3D印刷されたスワブ又は塗布器。
【請求項36】
前記内部格子構造は前記バルブと前記柄との間で連続的である、請求項30に記載の3D印刷されたスワブ又は塗布器。
【請求項37】
前記内部格子構造は自由曲線からオフセットされたシェルにより印刷される、請求項30に記載の3D印刷されたスワブ又は塗布器。
【請求項38】
前記毛は約100μm未満の直径を有する、請求項30に記載の3D印刷されたスワブ又は塗布器。
【請求項39】
前記スワブは、少なくとも1つのワイヤオブジェクトを集合的に識別する複数のノードを識別する複数のワイヤ情報を含むデータ構造により定義される、請求項30に記載の3D印刷されたスワブ又は塗布器。
【請求項40】
バルブ及び軸を含む3D印刷されたスワブ又は塗布器であって、
前記バルブは前記軸の延長部として内部コアを含み、前記内部コアは前記バルブを前記軸へ接続して剛性を前記スワブ又は塗布器へ提供する、3D印刷されたスワブ又は塗布器。
【請求項41】
前記バルブは内部コアから生じる毛の放射状アレイを含む、請求項40に記載の3D印刷されたスワブ又は塗布器。
【請求項42】
毛の前記放射状アレイは約50um~約200um離間される、請求項41に記載の3D印刷されたスワブ又は塗布器。
【請求項43】
前記バルブは、その内部上に、前記バルブの形状に寄与し、流体を吸収する毛構造を有する一次外部網構造を含む、請求項40に記載の3D印刷されたスワブ又は塗布器。
【請求項44】
前記バルブは、追加剛性を提供する外部網と内部コアとの間に入れ子にされた二次内部網構造を含む、請求項40に記載の3D印刷されたスワブ又は塗布器。
【請求項45】
前記バルブは前記一次外部網構造から突出する複数の毛を含む、請求項43に記載の3D印刷されたスワブ又は塗布器。
【請求項46】
前記軸は円筒形式の菱形グリッドパターンの線要素からなる一次構造を含む、請求項40に記載の3D印刷されたスワブ又は塗布器。
【請求項47】
前記軸は、前記菱形グリッドパターンへ付着される内部螺旋状面からなる二次構造であって内部剪断抵抗を提供する二次構造を含む、請求項46に記載の3D印刷されたスワブ又は塗布器。
【請求項48】
前記軸は、洗練された仕上げを提供するために外部上で螺旋をなす細い線要素からなるテクスチャ仕上げを含む、請求項40に記載の3D印刷されたスワブ又は塗布器。
【請求項49】
3D印刷された塗布器であって、
a.以下のものを有するバルブと、
i.構造強度を提供する内部格子構造、
ii.前記内部格子構造から突出する複数の剛毛、及び
iii.前記剛毛の長さに沿った場所において前記剛毛へ接続される複数の強化ワイヤ、
b.前記バルブへ接続される柄と
を含む、3D印刷された塗布器。
【請求項50】
前記剛毛の長さに沿った前記場所は前記剛毛の中点近くにある、請求項49に記載の3D印刷された塗布器。
【請求項51】
前記剛毛の長さは、前記剛毛がバウンディングジオメトリ内に閉じ込められるように制限される、請求項49に記載の3D印刷された塗布器。
【請求項52】
各剛毛の直径はメソファイル内で個々に規定される、請求項49に記載の3D印刷された塗布器。
【請求項53】
前記剛毛は約100μm未満である直径を有する、請求項49に記載の3D印刷された塗布器。
【請求項54】
前記塗布器は、少なくとも1つのワイヤオブジェクトを集合的に識別する複数のノードを識別する複数のワイヤ情報を含むデータ構造により定義される、請求項49に記載の3D印刷されたスワブ又は塗布器。
【請求項55】
3D印刷するための繊維又は物品を設計する方法であって、
a.第1組の値を有する複数のパラメータを含む第1のファイルにより表される第1の設計を生成することと、
b.前記パラメータの第2組の値を有する第2のファイルにより表される第2の設計を生成することと、
c.前記第1の設計と前記第2との設計のブレンドである第3の設計を生成するために前記パラメータの値を前記第1の値と前記第2の値との間で補間することであって、前記第3の設計は3D印刷に好適な繊維又は物品である、ことと
を含む方法。
【請求項56】
前記第1の設計及び前記第2の設計は三角形要素のメッシュにより表されない、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記第1及び第2の設計は同様なトポグラフィを有する、請求項55に記載の方法。
【請求項58】
前記繊維は毛皮、羽毛、格子、又は織物である、請求項55に記載の方法。
【請求項59】
前記繊維は約100μmの最小長さスケールを有する、請求項55に記載の方法。
【請求項60】
前記繊維は平方インチ当たり少なくとも1,000個の毛を有する、請求項55に記載の方法。
【請求項61】
前記パラメータは、ファイバの直径、ファイバの撚り角度、ファイバの断面プロファイル、又はこれらの任意の組み合せから選択される、請求項55に記載の方法。
【請求項62】
前記設計は共有点のリスト内に格納された共有頂点を含む、請求項55に記載の方法。
【請求項63】
前記補間する行為はさらに、前記第3の設計を生成するために前記第1の値と前記第2の値との加重平均を適用することを決定することを含む、請求項55に記載の方法。
【請求項64】
前記3D物品に関して、第3の設計を生成するための複数のインスタンスにわたる前記加重平均を調整することをさらに含む請求項63に記載の方法。
【請求項65】
第1の設計に関連付けられたインデックスを提供すること、
前記第2の設計を決定するために変換行列を適用すること、
前記第1のジオメトリ又は前記第2のジオメトリの少なくとも一方のジオメトリの少なくとも重み付け部を指示する重み付け値を提供することと、
前記第3の設計を決定するために前記重み付け値を使用することにより加重平均を適用すること、
をさらに含む請求項55に記載の方法。
【請求項66】
3D印刷するための繊維又は物品を設計する方法であって、
a.複数のファイバを定義する頂点のリスト及び前記ファイバの特徴を定義する一組のパラメータを含むファイルにより特徴付けられた設計を提供することと、
b.3D印刷されると前記設計の所望特性を生じる前記パラメータの一組の値を選択することと
を含む方法。
【請求項67】
前記設計は3D印刷される際に反復される又はタイル化される、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記パラメータは、ファイバの直径、ファイバの撚り角度、ファイバの断面プロファイル、又はこれらの任意の組み合せである、請求項66に記載の方法。
【請求項69】
前記パラメータは分岐関数である、請求項66に記載の方法。
【請求項70】
前記設計は、別個のワイヤフレームと前記パラメータの個々の値とにより定義される各ファイバを有する、請求項66に記載の方法。
【請求項71】
前記設計は別個のワイヤフレームにより各ファイバを定義しない、請求項66に記載の方法。
【請求項72】
前記ファイバはシェル面のポピュレート関数として表される、請求項66に記載の方法。
【請求項73】
前記データ構造はさらにボリュメトリックマッピング関数を含む、請求項1に記載のフォーマット。
【請求項74】
前記データ構造はさらに前記ワイヤフレームオブジェクトの頂点のアレイを含む、請求項1に記載のフォーマット。
【請求項75】
前記データ構造はさらに、前記ワイヤオブジェクトの中央ポリラインスパインを定義する頂点を識別する情報を含む、請求項1に記載のフォーマット。
【請求項76】
前記データ構造はさらに、前記頂点のそれぞれにおける前記ワイヤオブジェクトの直径を含む、請求項75に記載のフォーマット。
【請求項77】
前記データ構造はさらに、開始点における開始面の法線方向を識別する情報を含む、請求項1に記載のフォーマット。
【請求項78】
前記データ構造はさらに、その頂点に沿った前記ワイヤオブジェクトの回転情報を含む、請求項75に記載のフォーマット。
【請求項79】
前記ワイヤフレーム表現を複数のチャンクへセグメント化する行為と、
前記複数のチャンクの各チャンクを対応する処理エンティティへ割り当てる行為と、
前記複数のチャンクの各チャンクを前記対応する処理エンティティによりほぼ並列に描画する行為と
をさらに含む請求項10に記載の方法。
【請求項80】
前記ワイヤフレーム表現を前記複数のチャンクへセグメント化する前記行為はさらに、前記複数のチャンクのうちの少なくとも1つのチャンクに関して、前記複数のチャンクのうちの前記少なくとも1つのチャンクと交差する前記ワイヤフレーム表現のワイヤオブジェクトのサブセットを決定する行為をさらに含む請求項79に記載の方法。
【請求項81】
前記ワイヤフレーム表現の前記複数のチャンクのうちの前記少なくとも1つのチャンクの表現を決定する行為をさらに含む請求項80に記載の方法。
【請求項82】
前記ワイヤフレーム表現の前記複数のチャンクのうちの前記少なくとも1つのチャンクの表現をその割り当てられた処理エンティティへ提供する行為をさらに含む請求項81に記載の方法。
【請求項83】
前記複数のチャンクのうちの前記少なくとも1つのチャンクに関し、前記複数のチャンクのうち前記少なくとも1つのチャンクと交差する線に関係する線情報を、その割り当てられた処理エンティティへ提供する行為をさらに含む請求項82に記載の方法。
【請求項84】
前記描画された複数のチャンクの各チャンクを前記3Dオブジェクトを表すモデル内へマージする行為をさらに含む請求項79に記載の方法。
【請求項85】
前記ワイヤフレーム表現のワイヤを一系列のノードとして表すことをさらに含む請求項79に記載の方法。
【請求項86】
前記ワイヤの厚さ、形状及び捩れのうちの少なくとも1つを含む複数のパラメータにより前記ワイヤを表すことをさらに含む請求項85に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は2020年3月25日申請の米国仮特許出願第62/994,582号:題名「SYSTEMS, METHODS AND FILE FORMAT FOR 3D PRINTING OF MICROSTRUCTURES」の仮出願の非仮出願(35 USC 119(e))であり、そして2020年7月30日申請の米国仮特許出願第63/058,782号:題名「SYSTEMS, METHODS AND FILE FORMAT FOR 3D PRINTING OF MICROSTRUCTURES」の仮出願の非仮出願(35 USC 119(e))である。これら出願の全体を参照により本明細書に援用する。
【0002】
著作権保護に制約される資料の通知
本特許文書内の資料の一部は米国及び他の国々の著作権法下の著作権保護に従う。本著作権の所有者は、本特許文書又は特許開示のいかなる者による複製に対しては公に入手可能な米国特許商標庁ファイル又は記録内に出現するので異議は無いが、そうでなければいかなる著作権も全て留保する。本著作権所有者は、これにより、本特許文書が秘密に維持されるその権利(制限しないが37C.F.R.§1.14に準じたその権利を含む)のうちのいかなる権利も放棄しない。
【背景技術】
【0003】
背景
ディジタル3Dモデルから3次元オブジェクトを構築するために使用される多くの異なるタイプの3D印刷技術が存在する。3D印刷プロセスは、材料が他の材料の中でも特にプラスチック、液体又は粉粒子を使用することによりオブジェクトを生成するためにコンピュータ制御を使用することにより蒸着、接合、固化される様々なプロセスを使用し得る。
【発明の概要】
【0004】
概要
最新3D印刷技術は、従来の製造技術により作ることが困難又は不可能である複雑なジオメトリを許容し得る。いくつかの実施形態では、本発明者らは、100μm未満の印刷解像度を許容する高解像度立体リソグラフィ3D印刷(特にディジタル光処理技術(DLP:Digital Light Processing)印刷技術)が使用され得るということを理解している。高解像度3D印刷は、オブジェクト重量を低減する、メタマテリアルを構築する、生体模倣(biomimicry)設計を実現する、又は美的表面テクスチャを単純に実現するために込み入った構造を生成することを可能にする。
【0005】
最新3Dプリンタの解像度は改善してきているが、毛皮、羽毛、マイクロ格子又は織物などの極めて密なマイクロ構造を直接印刷することは非実用的であり得る。これは主として、微細材料構造を有するCADモデルの効率的ディジタル表現の欠如に起因し得る。一般的に、3Dプリンタ及び関連CAD/CAM設計ソフトウェアは通常、中規模~大規模固体物を処理するために最適化される。これらのオブジェクトは、.stl又は他のメッシュ型データフォーマットとして当事者間で転送される可能性がある三角メッシュにより忠実に表される可能性がある。これらのオブジェクトはまた、最新3Dプリンタにおける主特徴になったその滑らかな仕上げにより特徴付けられる。しかし、密なマイクロ構造を表しそして処理することになると、これらのマイクロ構造を表すこのようなファイルは極端に大きくなり、そして、印刷のためのこのような複雑な構造をスライスすることもまたコンピュータ的に高価であり得る。
【0006】
本明細書において説明されるいくつかの実施形態では、3Dマイクロ構造を印刷するためのシステム、方法及び新ファイルフォーマットが提供される。このようなマイクロ構造は例えば0.001~5mmの高精度特徴を有し得る。これらの特徴は、表面レリーフテクスチャ、3次元織物構造、格子、毛皮、又は羽毛状構造を含む可能性がある。これらの小さな特徴はしばしば、軟度、伸縮性及び触知性のニュアンスを捕捉するために高忠実度を必要とする。従来のCAD手法により、あらゆる単一ストランドの精密3Dモデルが理論上これらのニュアンスの高忠実度表現を生成する可能性があるが、このようなファイルは非常に大きく、そして処理し印刷するのが困難だろう。例えば、典型的毛皮試料は平方インチ当たり何千個もの毛を含む可能性があり、このことは、何百万個の三角形による単純な衣服設計は厄介且つ非実用的である可能性があるということを意味する。
【0007】
このファイル節約とジオメトリック忠実性とのジレンマに対処するために、3Dマイクロ構造を表すために使用される新ファイルフォーマット(本明細書ではMESOフォーマット(.MESO又は.meso)と呼ばれる)が設計者と3Dプリンタとの間の先進インターフェースとしての機能を果たすために提供される。いくつかの実施形態では、このファイル交換フォーマットは、スケッチ及び設計から完成印刷物までに得るべき我々の印刷エコシステム内のコンピュータ的設計及びデータ転送の効率的ワークフローを確立する。
【0008】
いくつかの実施形態では、材料設計及びエンジニアリングのための新空間を切り開く.mesoファイルフォーマット及びスライスプロセスが提供される。1つのゴールは、コンピュータ的に高価又は不可能であると以前は考えられた密なマイクロ構造をモデル化するために設計者及びエンジニアを支援することである。具体的には、このような密構造は以下にさらに概説される様々なアプリケーションのために使用され得る。このような実施形態は以下のものを含む1つ又は複数の改善を許容し得る:
【0009】
材料使用量及び重量を低減すること:バルク固体構造は注意深く設計されたマイクロ格子構造により置換され得る。いくつかの実施形態では、格子のジオメトリが設計の機械的性質全体を決定する。このようにして、製造者は、3D印刷のために使用される材料を低減し、そして設計全体の重量を低減し得る。
【0010】
機械的メタマテリアル:マイクロ適合(micro compliant)ジョイント又はヒンジ構造を取り込むことにより、負のポアソン比を呈示する機械的メタマテリアル(例えば、印可力に対し垂線方向により厚くなりしたがって高エネルギー吸収及び破壊抵抗を有する肥大構造又は材料)を設計及び製造する能力が提供される。このようにして、いくつかの構造特性を呈示する新しい機械的要素が生成され得る。
【0011】
生体模倣設計:天然材料は、それらの階層構造に主に起因して人工材料より優れ得る。毛皮又は羽毛のような材料は、伝統的CADソフトウェアによりモデル化しそして他の製造法により精密に複製するのが困難である。本明細書において説明されるいくつかの実施形態では、モデル化の複雑性は、3D印刷のためのこのような構造の密度及び細かな詳細を維持する一方で劇的に低減される。
【0012】
カスタム化表面テクスチャ:商取引において使用される多くの物理的製品はしわ、窪み、隆起、レリーフなどの表面テクスチャを含む。いくつかの実施形態によると、我々はこのようなテクスチャを極高解像度で設計及び製造し得る。このようなテクスチャは、大量生産されるのではなくむしろ容易に個々にカスタム化され得る。
【0013】
一態様によると、データ構造から成る3Dオブジェクトを表すためのデータフォーマットが提供される。このフォーマットは、3Dワイヤフレームオブジェクト内の複数の3D座標を識別するノード情報、3Dワイヤフレームオブジェクト内のワイヤオブジェクトを集合的に識別する複数のノードを識別するワイヤ情報、及びワイヤオブジェクトが付着する表面を識別するシェル情報を含み、データ構造の解釈が3D印刷操作を制御するために使用される。一実施形態によると、データ構造はさらに、ワイヤオブジェクトの反復複製を表面上の複数点に対し定義するポピュレート関数(populate function)を含む。一実施形態によると、データ構造はさらに、少なくとも2つのジオメトリをブレンドするようにされたブレンド(blended)関数を含む。一実施形態によると、データ構造はさらに、レガシィメッシュジオメトリを記述するメッシュ情報を含む。一実施形態によると、データ構造はさらに、ワイヤオブジェクトへ付着される1つ又は複数の子オブジェクトを記述する分岐関数(branch function)を含む。一実施形態によると、データ構造はさらに、ワイヤオブジェクトの厚さ、形状及び/又は捩れのうちの少なくとも1つを制御するパラメータを含む。一実施形態によると、データフォーマットは、コンピュータシステムにより受信され解釈されると、3Dオブジェクトの表現を描画する。一実施形態によると、データ構造は3Dスワブ(swab)又は塗布器を生成するために使用される。一実施形態によると、データ構造は少なくとも2つの設計のブレンド設計を生成するために使用される。
【0014】
一態様によると、3Dオブジェクトのディジタル表現を処理する方法が提供される。本方法は、3Dオブジェクトのワイヤフレーム表現であって少なくとも1つのワイヤを定義するワイヤフレーム表現を提供すること、処理される3Dオブジェクトのスライスを決定すること、決定されたスライスに関し、3Dオブジェクトのスライスを有するワイヤフレーム表現の少なくとも1つのワイヤの交差を定義する少なくとも1つの交点を決定すること、及びこの交点に関し、描画される交点に関係する対応形状を決定することを含む。一実施形態によると、描画される交点に関係する対応形状の行為はさらに、対応形状を少なくとも1つのワイヤの少なくとも1つのパラメータに基づき決定することを含む。一実施形態によると、少なくとも1つのパラメータは、ワイヤオブジェクトの厚さ、形状及び捩れを含むグループのうちの少なくとも1つ又は複数を含む。一実施形態によると、描画される交点に関係する対応形状を決定する行為はさらに、対応形状をスライスと少なくとも1つのワイヤとの交差の角度に基づき決定することを含む。一実施形態によると、描画される交点に関係する対応形状を決定する行為はさらに、対応形状をスライスと少なくとも1つのワイヤの形状との交差の角度に基づき決定することを含む。一実施形態によると、本方法はさらに、処理される3Dオブジェクトの少なくとも1つの異なるスライスを決定することと、スライスと少なくとも1つの異なるスライスに関し、これらを様々な処理エンティティにより並列に処理することとを含む。一実施形態によると、様々な処理エンティティは、処理される関連スライスと交差するワイヤフレーム表現の任意の線に関する情報を提供される。一実施形態によると、スライシングの行為は印刷工程の一部として行われる。一実施形態によると、本方法はさらに、3Dオブジェクトの少なくとも一部に関してメッシュ表現を決定し、そして合成スライスを形成するためにメッシュ表現のスライスとワイヤフレーム表現の対応するスライスとを合成するプロセスを含む。一実施形態によると、本方法はさらに、処理されるそれぞれの3Dオブジェクトのスライス毎に、3Dオブジェクトの対応するスライスと交差する複数の線を計算するためにベクトル空間を使用する行為を含む。一態様によると、本方法はさらに、3Dオブジェクトの対応するスライスと交差する複数の線を決定するために線型方程式を使用することを含む。一態様によると、本方法はさらに、3Dオブジェクトのスライス毎に、3Dオブジェクトのそれぞれのスライスと交差するワイヤフレームの線を表す一組の交点を決定する行為を含む。
【0015】
一態様によると、3Dオブジェクトのディジタル表現を処理する方法が提供される。本方法は、3Dオブジェクトのワイヤフレーム表現を提供すること、ワイヤフレーム表現を複数のチャンクへセグメント化すること、複数のチャンクの各チャンクを対応する処理エンティティへ割り当てること、及び複数のチャンクの各チャンクを対応する処理エンティティによりほぼ並列に描画することを含む。一実施形態によると、本方法はさらに、ワイヤフレーム表現を複数のチャンクへセグメント化する行為を含み、そしてさらに、複数のチャンクの少なくとも1つに関して、複数のチャンクの少なくとも1つと交差するワイヤフレーム表現のワイヤオブジェクトのサブセットを決定する行為を含む。一実施形態によると、本方法はさらに、ワイヤフレーム表現の複数のチャンクのうちの少なくとも1つのチャンクの表現を決定する行為を含む。一実施形態によると、本方法はさらに、ワイヤフレーム表現の複数のチャンクのうちの少なくとも1つのチャンクの表現をその割り当てられた処理エンティティへ提供する行為を含む。一実施形態によると、本方法はさらに、複数のチャンクのうちの少なくとも1つのチャンクに関し、複数のチャンクのうちの少なくとも1つのチャンクと交差する線に関係する線情報をその割り当てられた処理エンティティへ提供する行為を含む。一実施形態によると、本方法はさらに、描画された複数のチャンクの各チャンクを3Dオブジェクトを表すモデル内へマージする行為を含む。一実施形態によると、本方法はさらに、ワイヤフレーム表現のワイヤを一系列のノードとして表すことを含む。一実施形態によると、本方法はさらに、ワイヤの厚さ、形状及び捩れのうちの少なくとも1つを含む複数のパラメータによりワイヤを表すことを含む。
【0016】
一態様によると、3D印刷されたスワブ(swab)又は塗布器が提供される。スワブ又は塗布器は、構造強度及び流体保持力を提供する内部格子構造を有するバルブ、バルブの形状に寄与しそして流体を吸収する内部格子構造上への強化網構造、強化網構造から突出する複数の毛、及びバルブへ接続される柄を含む。一実施形態によると、柄は、束ねられそしてストランド間のループにより強化されるワイヤの平行ストランドを含む。一実施形態によると、柄は格子付き軸壁構造(gridded shaft wall structure)及び内部剪断強化要素を含む。一実施形態によると、柄は、平行ストランドの低減された直径を有する折れ点を含む。一実施形態によると、毛はそれらの中間部近傍で強化される。一実施形態によると、毛は螺旋状アレイで配置される。一実施形態によると、内部格子構造はバルブと柄との間で連続的である。一実施形態によると、内部格子構造は自由曲線からオフセットされたシェルにより印刷される。一実施形態によると、毛は約100μm未満の直径を有する。一実施形態によると、スワブは、少なくとも1つのワイヤオブジェクトを集合的に識別する複数のノードを識別する複数のワイヤ情報を含むデータ構造により定義される。
【0017】
一態様によると、3D印刷されたスワブ又は塗布器が提供される。塗布器はバルブ及び軸を含み、バルブは軸の延長部として内部コアを含み、内部コアはバルブを軸へ接続してそして剛性をスワブ又は塗布器へ提供する。一実施形態によると、バルブは内部コアから生じる毛の放射状アレイを含む。一実施形態によると、毛の放射状アレイは約50um~約200um離間される。一実施形態によると、バルブは、その内部上に、バルブの形状に寄与しそして流体を吸収する毛構造を有する一次外部網構造を含む。一実施形態によると、バルブは、追加剛性を提供する外部網と内部コアとの間に入れ子にされた二次内部網構造を含む。一実施形態によると、バルブは一次外部網構造から突出する複数の毛を含む。一実施形態によると、軸は円筒形式の菱形グリッドパターンの線要素からなる一次構造を含む。一実施形態によると、軸は、菱形グリッドパターンへ付着される内部螺旋状面からなる二次構造であって内部剪断抵抗を提供する二次構造を含む。一実施形態によると、軸は、洗練された仕上げを提供するために外部上で螺旋をなす細い線要素からなるテクスチャ仕上げを含む。
【0018】
一態様によると、3D印刷された塗布器が提供される。3D印刷された塗布器は、構造強度を提供する内部格子構造を有するバルブ、内部格子構造から突出する複数の剛毛、剛毛の長さに沿った場所において剛毛へ接続される複数の強化ワイヤ、及びバルブへ接続される柄を含む。一実施形態によると、剛毛の長さに沿った場所は剛毛の中点近くにある。一実施形態によると、剛毛の長さは剛毛がバウンディングジオメトリ内に閉じ込められるように制限される。一実施形態によると、各剛毛の直径はメソファイル内で個々に規定される。一実施形態によると、剛毛は約100μm未満である直径を有する。一実施形態によると、3D印刷された塗布器は複数のワイヤ情報を含むデータ構造により定義され、ワイヤ情報は少なくとも1つのワイヤオブジェクトを集合的に識別する複数のノードを識別する。
【0019】
一態様によると、3D印刷のための繊維又は物品を設計する方法が提供される。本方法は、第1組の値を有する複数のパラメータを含む第1のファイルにより表される第1の設計を生成すること、パラメータの第2組の値を有する第2のファイルにより表される第2の設計を生成すること、及び第1の設計と第2との設計のブレンドである第3の設計を生成するためにパラメータの値を第1の値と第2の値との間で補間することを含み、第3の設計は3D印刷に好適な繊維又は物品である。一実施形態によると、第1の設計及び第2の設計は三角形要素のメッシュにより表されない。一実施形態によると、第1及び第2の設計は同様なトポグラフィを有する。一実施形態によると、繊維は毛皮、羽毛、格子、又は織物である。一実施形態によると、繊維は約100μmの最小長さスケールを有する。一実施形態によると、繊維は平方インチ当たり少なくとも1,000個の毛を有する。一実施形態によると、パラメータは、ファイバの直径、ファイバの撚り角度、ファイバの断面プロファイル、又はこれらの任意の組み合せから選択される。一実施形態によると、設計は共有点のリスト内に格納された共有頂点を含む。一実施形態によると、補間する行為はさらに、第3の設計を生成するために第1の値と第2の値との加重平均を適用することを決定することを含む。一実施形態によると、本方法はさらに、3D物品に関して、第3の設計を生成するための複数のインスタンスにわたる加重平均を調整することを含む。一実施形態によると、本方法はさらに、第1の設計に関連付けられたインデックスを提供すること、第2の設計を決定するために変換行列を適用すること、第1のジオメトリ又は第2のジオメトリの少なくとも一方のジオメトリの少なくとも1つの重み付け部を指示する重み付け値を提供すること;及び第3の設計を決定するために重み付け値を使用することにより加重平均を適用することを含む。
【0020】
一態様によると、3D印刷のための織物又は物品を設計する方法が提供される。本方法は、複数のファイバを定義する頂点のリスト及びファイバの特徴を定義する一組のパラメータを含むファイルにより特徴付けられた設計を提供すること;及び3D印刷されると設計の所望特性を生じるパラメータの一組の値を選択することを含む。一実施形態によると、設計は3D印刷される際に反復される又はタイル化される。一実施形態によると、パラメータは、ファイバの直径、ファイバの撚り角度、ファイバの断面プロファイル、又はこれらの任意の組み合せである。一実施形態によると、パラメータは分岐関数である。一実施形態によると、設計は、別個のワイヤフレームとパラメータの個々の値とにより定義される各ファイバを有する。一実施形態によると、設計は別個のワイヤフレームにより各ファイバを定義しない。一実施形態によると、ファイバはシェル面のポピュレート関数として表される。一実施形態によると、データ構造はさらにボリュメトリックマッピング関数(volumetric mapping function)を含む。一実施形態によると、データ構造はさらにワイヤフレームオブジェクトの頂点のアレイを含む。一実施形態によると、本方法はさらに、ワイヤオブジェクトの中央ポリラインスパイン(polyline spine)を定義する頂点を識別する情報を含む。一実施形態によると、データ構造はさらに、頂点のそれぞれにおけるワイヤオブジェクトの直径を含む。一実施形態によると、データ構造はさら、開始点における開始面の法線方向を識別する情報を含む。一実施形態によると、データ構造はさらに、その頂点に沿ったワイヤオブジェクトの回転情報を含む。一実施形態によると、本方法はさらに、ワイヤフレーム表現を複数のチャンクへセグメント化する行為、複数のチャンクの各チャンクを対応する処理エンティティへ割り当てる行為、及び複数のチャンクの各チャンクを対応する処理エンティティによりほぼ並列に描画する行為を含む。一実施形態によると、ワイヤフレーム表現を複数のチャンクへセグメント化する行為はさらに、複数のチャンクのうちの少なくとも1つのチャンクに関して、複数のチャンクのうちの少なくとも1つのチャンクと交差するワイヤフレーム表現のワイヤオブジェクトのサブセットを決定する行為を含む。一実施形態によると、本方法はさらに、ワイヤフレーム表現の複数のチャンクのうちの少なくとも1つのチャンクの表現を決定する行為を含む。一実施形態によると、本方法はさらに、ワイヤフレーム表現の複数のチャンクのうちの少なくとも1つのチャンクの表現をその割り当てられた処理エンティティへ提供する行為を含む。一実施形態によると、本方法はさらに、複数のチャンクのうちの少なくとも1つのチャンクに関し、複数のチャンクのうちの少なくとも1つのチャンクと交差する線に関係する線情報をその割り当てられた処理エンティティへ提供する行為を含む。一実施形態によると、本方法はさらに、描画された複数のチャンクの各チャンクを3Dオブジェクトを表すモデル内へマージする行為を含む。一実施形態によると、本方法はさらに、ワイヤフレーム表現のワイヤを一系列のノードとして表すことを含む。一実施形態によると、本方法はさらに、ワイヤの厚さ、形状及び捩れのうちの少なくとも1つを含む複数のパラメータによりワイヤを表すことを含む。
【0021】
先の概念と以下にさらに詳細に論述される追加概念とのすべての組み合わせ(このような概念は互に矛盾しないという前提で)は本明細書において開示される本発明の主題の一部であるように企図されるということを理解すべきである。特に、本開示内の主題のすべての組み合わせは本明細書において開示される本発明主題の一部であるように企図される。また、1つ又は複数の3D印刷システムが、このようなマイクロ構造を3D印刷するために1つ又は複数のシステム、方法及びファイルフォーマットを実装するために使用され得るということを理解すべきである。例えば、いくつかの実施形態は、参照によりその全体を本明細書に援用する2019年8月27日申請の米国特許出願第16/552,382号に記載の1つ又は複数のシステムと併せて使用され得る。しかし、他のプリンタ方法及びシステムが本明細書に記載の実施形態と共に使用され得るということを理解すべきである。
【0022】
これらの例示的態様及び例のさらなる他の態様、例及び利点が以下に詳細に論述される。さらに、前述の情報及び以下の詳細説明の両方は、様々な態様及び例の図解例に過ぎなく、そして請求される態様及び例の性質及び特徴を理解するための概要又はフレームワークを提供するように意図されているということを理解すべきである。本明細書において開示されるいかなる例も本明細書において開示されるオブジェクト、目的及び必要性のうちの少なくとも1つに準拠する任意のやり方で任意の他の例と組み合わせられ得、「例」、「いくつかの例」、「代替例」、「様々な例」、「一例」「少なくとも1つの例」、「本例及び他の例」などへの参照は、必ずしも互に排他的ではなく、そして、いくつかの例に関連して説明される特定機能、構造、又は特徴が少なくとも1つの例に含まれ得るということを指示するように意図されている。本明細書におけるこのような用語の出現は必ずしもすべてが同じ例を指すものではない。
【0023】
図面の簡単な説明
少なくとも1つの実施形態の様々な態様が、原寸に比例して描かれるようには意図されていない添付図面を参照して本明細書で論述される。添付図面は、様々な態様及び実施形態の図解及びさらなる理解を提供するために含まれて取り込まれており、そして本明細書の一部を構成するが、本発明の限界の定義として意図されていない。ここで、添付図面、詳細説明又は任意の請求項内の技術的特徴には参照符号が伴うが、参照符号は、添付図面、詳細説明、及び/又は請求項の了解度を増加する目的だけのために含まれた。したがって、参照符号もその欠如も、任意の請求要素の範囲にいかなる制限的影響も与えるようには意図されていない。添付図面において、様々な図面において例示される同様な又はほぼ同様な各部品は同様な参照符号により表される。明暸性の目的のため、あらゆる部品があらゆる図面においてラベル付けされるわけではないかもしれない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】様々な実施形態によるワイヤフレームモデルを処理することができる分散コンピュータシステムのブロック図を示す。
図2】様々な実施形態によるワイヤフレームモデル情報を操作するためのプロセスを示す。
図3】様々な実施形態による切断面とワイヤとの交差に基づき形状を決定するためのプロセスを示す。
図4】多くの処理エンティティによる3Dオブジェクト表現を並列に操作するためのプロセスを示す。
図5A】ワイヤフレーム情報を表す例示的方法を示す。
図5B】切断面と3Dオブジェクトとを交差させることにより形成され得る様々なオブジェクト形状を示す。
図6】様々な実施形態による例示的.MESOフォーマットを示す。
図7】様々な実施形態による単純なワイヤの例示的ワイヤフレーム表現を示す。
図8】表面を表すことができる例示的シェル表現を示す。
図9】加重平均を使用することにより形状をブレンドする方法を示す。
図10】表面に沿って形状をブレンドする方法を示す。
図11】一次ワイヤから延伸する分岐又は子ワイヤフレームを有するワイヤの例示的ワイヤフレーム表現を示す。
図12】表面上にポピュレートされた多くのワイヤの線図を示す。
図13】様々な実施形態による3Dオブジェクトをスライスするための例示的プロセスを示す。
図14】様々な実施形態によるワイヤフレーム表現をスライスするための例示的プロセスを示す。
図15】様々な実施形態による3Dモデルの一部を並列に処理するための例示的プロセスを示す。
図16A】画像後処理の様々な実施形態を示す。
図16B】画像後処理の様々な実施形態を示す。
図17A】様々な実施形態による例示的光強度傾斜フィルタリング(light intensity gradient filtering)操作を示す。
図17B】様々な実施形態による例示的光強度中空傾斜フィルタリング(light intensity hollow gradient filtering)操作を示す。
図18A】3Dオブジェクトの例示的開始スライスを示す。
図18B】光強度中空傾斜フィルタリングが適用された図18Aの例示的開始スライスを示す。
図19】いかなるフィルタも適用されていない場合のスライスの処理を示す。
図20】様々な実施形態による活性化された隣接画素の強度を低減するフィルタリングが適用されるスライスを示す。
図21A】様々な実施形態を使用することにより生成され得る例示的単純ファイバを示す。
図21B図21Aの単純ファイバの例示的断面を示す。
図22】様々な実施形態による単純ファイバの例示的データ表現を示す。
図23A】様々な実施形態を使用することにより生成され得る例示的ノード状毛を示す。
図23B図23Aのノード状毛の例示的断面を示す。
図24A】様々な実施形態を使用することにより生成され得る例示的捩れ毛を示す。
図24B図24Aの捩れ毛の例示的断面を示す。
図25】様々な実施形態による複数のポピュレート関数を同じメッシュ面へ適用する例を示す。
図26】表面へ適用される毛を示す一様なポピュレート関数を示す。
図27】異なる重み付けをそれぞれが含む多くのブレンドされたジオメトリを含む例示的羽毛レイアウトを示す。
図28A図27に示す羽毛設計レイアウトを生成するために使用される2つの異なる親ジオメトリを示す。
図28B図27に示す羽毛設計レイアウトを生成するために使用される2つの異なる親ジオメトリを示す。
図29図30に示すようなモジュールユニットを使用することにより生成され得る格子構造を示す。
図31図32に示すようなマッピング製織ユニットを使用することによりに生成され得る織物構造を示す。
図33A図34A~34Bに一例として示されるものなどのスワブ構造を生成するために合成され得る多くの3D格子構造を示す。
図33B図34A~34Bに一例として示されるものなどのスワブ構造を生成するために合成され得る多くの3D格子構造を示す。
図33C図34A~34Bに一例として示されるものなどのスワブ構造を生成するために合成され得る多くの3D格子構造を示す。
図33D図34A~34Bに一例として示されるものなどのスワブ構造を生成するために合成され得る多くの3D格子構造を示す。
図34A】例示的スワブ構造の全体を示す。
図34B】例示的スワブ構造の全体を示す。
図35】いくつかの実施形態による例示的軸構造を示す。
図36A】スワブ設計の他の実施形態を示す。
図36B】スワブ設計の他の実施形態を示す。
図36C】本明細書において説明されそして図36A~36Bに示されるスワブ設計の実験結果対従来のフロック加工スワブの実験結果を示す。
図36D】本明細書において説明されそして図36A~36Bに示されるスワブ設計の実験結果対従来のフロック加工スワブ及び綿棒の実験結果を示す。
図37】様々な実施形態による例示的化粧塗布器設計を示す。
図38】様々な実施形態による種々の化粧塗布器設計を示す。
図39A】いくつかの実施形態による様々な他のタイプの化粧塗布器を示す。
図39B】いくつかの実施形態による様々な他のタイプの化粧塗布器を示す。
図39C】いくつかの実施形態による様々な他のタイプの化粧塗布器を示す。
図40】ワイヤフレーム表現を使用する睫毛の例示的設計を示す。
図41】いくつかの実施形態による種々の睫毛設計を示す。
図42】様々な実施形態によるワイヤフレーム表現を使用する柱支持技術を示す。
図43】いくつかの実施形態による張り出し毛を係留するためのフレーム支持体を示す。
図44】様々な実施形態による例示的コクーン支持戦略を示す。
図45A】コクーン支持体及び断面の例を示す。
図45B】コクーン支持体及び断面の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
詳細な説明
上に論述されたように、様々な実施形態は3Dオブジェクトを表すために使用されるシステム、方法及びデータ構造に関する。特に、3Dオブジェクトは、1つ又は複数のワイヤ及び/又は同ワイヤからなる他のオブジェクトタイプを含むワイヤフレームモデルにより表される。
【0026】
図1は様々な実施形態によるワイヤフレームモデルを処理することができる分散コンピュータシステム100のブロック図を示す。例えば、1又は複数のユーザは、1つ又は複数のワイヤフレームモデル103を処理及び/又は格納することができる設計システム(例えばシステム102)又は他のシステムを利用し得る。このようなシステムは、例えば、1つ又は複数のワイヤフレームモデルを定義することができる3Dオブジェクト設計ソフトウェアを含み得る。
【0027】
いくつかの態様では、ワイヤフレームモデルを受信することができそして様々な実施形態に従ってそれらを処理することができる処理システム101が提供される。上に論述されたように、いくつかのオブジェクトの重量を低減するために固体要素としてそれらを表現するのではなくむしろワイヤフレームモデルを使用することが有益かもしれない。本システムはワイヤフレームモデルと連動するので、容易に処理されるやり方でワイヤを表すことの助けとなるファイルフォーマットが提供される。例えば、処理システム101は、描画及び/又は印刷される(例えば、3Dプリンタにより)スライスを決定するために1つ又は複数のワイヤフレームモデルをスライスすることができるスライシングエンジン104を含み得る。
【0028】
さらに、いくつかの実施形態では、処理システム101は、ワイヤフレームモデルの様々な部分を並列に処理することができる1つ又は複数の処理エンティティ105を含み得る。これは、伝統的モデリング型処理ではモデルの並列処理が可能ではないので重要である。処理システム101はまた、出力ステージ107において他の処理エンティティにより視認され得る、印刷され得る、又はそうでなければ使用され得る出力フォーマットを生成するために使用され得る1つ又は複数の後処理機能106を含み得る。
【0029】
上に論述されたように、ワイヤフレーム情報と連動することの1つの利点は、ワイヤフレームオブジェクトの要素が、伝統的タイプの3Dモデリングより簡単なやり方で処理され得る線により表され得るということである。図2は、様々な実施形態によるワイヤフレームモデル情報を操作するための例示的プロセス200を示す。
【0030】
特に、ブロック201において、プロセス200が始まる。ブロック202において、本システムは特定3Dオブジェクトを表すワイヤフレーム情報を受信する。ブロック203において、本システムは処理される3Dオブジェクトのスライスを決定する。ブロック204において、本システムは、1つ又は複数の交点を決定するためにワイヤフレームとスライスとの交差をスライス毎に決定する。すなわち、特定切断面を所与として、3Dモデルの1つ又は複数のワイヤフレーム要素は、当該特定スライス内に描画される複数の点を定義する切断面と交差することになる。ブロック205では、本システムは描画される対応形状を交点毎に決定する。ブロック206において、プロセス200は終了する。
【0031】
上に論述されたように、対応形状は切断面と交差する点毎に決定され得る。点に関連付けられた形状は、ワイヤフレームモデルに格納された情報だけでなくそれを貫通したワイヤに対する切断角の決定に従って切断場所に描画され得る。図5は、どのように角度が様々な円錐断面に対する切断面の交差の形状に影響を与えるかを示す。
【0032】
図3は、様々な実施形態による形状を切断面とワイヤとの交差に基づき決定するためのプロセス300を示す。ブロック301において、プロセス300が始まる。ブロック302において、本システムは、特定スライスと交差するワイヤに関し、ワイヤとスライスとの交差の角度を決定する。図5に示すように、形状は切断面とオブジェクトとの交差の角度に基づき変化し得る。単純円状ワイヤオブジェクトに関して、交差の角度は円、放物線、楕円又は双曲線を描画し得る。さらに、本システムは、スライスと交差する当該ワイヤの関連パラメータを決定し得る。例えば、ワイヤフレームモデルデータファイル内で、いくつかのパラメータが特定ワイヤを記述するために使用され得る。例えば、1つ又は複数のパラメータはワイヤオブジェクトの厚さ、形状、及び/又は捩れを制御し得る(ブロック303において)。ブロック304において、本システムは、点に関して描画される対応形状をこれらパラメータ及び/又は交差の決定された角度に基づき決定する。このプロセスは、切断面と交差する任意数のワイヤ要素に関して反復され得る。切断面の反復毎に、出力において描画され得る(例えば特定層上に印刷され得る)2D表現が計算され得る。
【0033】
さらに、上に論述されたように、ワイヤフレーム表現により表される3Dオブジェクトは複数の処理エンティティによりより効率的に処理され得る。図4は、いくつかの処理エンティティによる3Dオブジェクト表現を並列に操作するためのプロセス400を示す。
【0034】
ブロック401において、プロセス400が始まる。ブロック402において、本システムは3Dオブジェクトを表すワイヤフレーム情報を受信する。以下にさらに論述されるように、ワイヤフレーム情報は.MESOフォーマットで表され格納され得る。ブロック403では、本システムは3Dオブジェクトのワイヤフレーム表現を複数のチャンクへセグメント化する。ブロック404では、本システムは複数のチャンクをそれぞれの処理エンティティへ割り当てる。処理エンティティのそれぞれは並列に動作し、そしてそれらの割り当てられたチャンクを描画する(例えばブロック405において)。ブロック406では、本システムは、描画されたチャンクをフィルタリング、平滑化及び/又は合成することなどの1つ又は複数の後描画操作を行い得る。ブロック407において、プロセス400は終了する。
【0035】
上に論述されたように、スライスデータを決定するための計算は、ワイヤフレームモデルが線として解釈され得るので単純化され得る。いくつかの実施形態では、メッシュモデルを解析する代わりに、.MESOデータが線として「直接」解釈される。一実施形態では、3D空間内に位置するワイヤフレームモデルの2D線に関して、スライス層毎に、モデルの線とスライス層との交差が計算される。3D空間内のこの交点は、3D空間内の層(x,y,z)毎にスライスデータの2D座標(層#123に関しては層#123の(u,v))へ変換され得る。いくつかの実装形態では、あらゆる交差(あらゆる層)に関して、スライス上へ描かれる必要がある線交差の形状は.MESO線のパラメータ(直径、プロファイル形状、捩れ及び交差角度など)により決定される。この情報は、図5Aに示すように、対応する適切な放物線/円錐交差(円状メソ線プロファイル形状の)を計算するために使用される。
【0036】
示されるように、スライス面とオブジェクトとの交差の角度に依存して、形状は図5Aに一例として示されるように任意数の形状(例えば放物線、円、楕円、双曲線)であり得る。計算された円錐交差は次にスライスデータへ追加される。
【0037】
ワイヤフレームモデルは線として解釈され得、そして、スライス毎に、ワイヤフレームモデルの交差は単純なやり方で計算され得るので、モデルの処理は並列に操作され得る。すなわち、ワイヤフレームモデルのいくつかの部分に関して、線交差計算及び円錐交差計算はコンピュータ的に並列化され得る。これは、並列スライシングアルゴリズムと組み合わせて、大量のデータに関して交差計算を潜在的に非常にスケーリング可能にする。また、このスライシングスタイルは.MESOファイルフォーマットの様々な実施形態(ファイルフォーマット内に直接提供されるプロファイル形状、線直径などの線パラメータなど)により可能にされる。以下は、様々な実施形態を説明する例示的実装形態である。様々な特徴は単独で又は本明細書において説明される他の特徴と組み合わせて使用され得るということを理解すべきである。
【0038】
例示的MESOデータ構造
いくつかの実施形態では、ワイヤフレームモデルに関連付けられた線情報を格納する.MESO(又は.meso)データ構造と本明細書では呼ばれるデータ構造が提供される。いくつかの実施形態では、.MESO構造は、AMプロセスのためのメッシュ再構築及びスキャンパス生成のためのインデックスベースのデータ構造である。.MESO構造は、ファイバ状構造に焦点を当てて、特にメソ構造を3D印刷するために設計されるが、このフォーマットは他のエリアへ適用され得る。このようなファイバ構造は、限定しないがファイバ、羽毛、格子、織物構造、及び/又は様々な要素を組み合わせで使用する複合構造を含む可能性がある。他のインデックスベースのジオメトリフォーマット(例えば.obj)が使用されてきたが、.MESOデータ構造は、操作及びメソスケールジオメトリの支援を提供し得る。
【0039】
設計考慮点
いくつかの実施形態では、.MESOフォーマットは以下の設計考慮点のうちの1つ又は複数を呈示し得る:
簡潔性:材料をワイヤフレーム及びシェルへ抽出する。ジオメトリを設計するためにノードグラフを採用する。
汎用性:毛皮、羽毛、格子、織物又は表面テクスチャのような広範囲の材料を設計し得る。
忠実性:設計の微細特徴を維持する。
スケーラビリティ:メートル長である材料を設計するようにスケーリングし得る。ナノスケールで構造を設計するようにスケーリングし得る。
後方向互換性:既存メッシュとの。
将来互換性:将来特徴
【0040】
いくつかの実施形態では、.mesoフォーマットのいくつかの実施形態は、印刷するためのファイルサイズのサイズ低減及び/又は低減された処理負荷を提供し得る。いくつかの実施形態では、第1のサイズ低減機構が使用される。第1に、いくつかの実施形態では、.mesoファイルフォーマットは、ファイルサイズの著しい低減を提供する特徴であるインデックスベースのデータフォーマットである。このフォーマットの一実装形態では、ファイルの第1の部分は3D座標(モデルの所謂ノード)を含む。この1つの利点は複数回格納される冗長情報を回避することである。ファイルの第2の部分は、以前に定義されたノード間の接続のためのデータを含む。.meso内で、ボリューム及びメッシュは、以前に定義された基準座標をノードとして生成した。インデックス(ノード)ベースのファイルフォーマット化の導入を通して、冗長情報の大部分は初期ノード定義により置換され得る。例えば、立方体の頂点は、ファイル内の様々な点においてノード座標を複数回保存する代わりにノードとして一回定義され、そしてその後そのインデックスだけがメッシュにより参照される。
【0041】
.mesoフォーマットで使用され得る別のファイルサイズ低減機構は、データフォーマット自体内の大量の暗黙的に保存された情報である。図5Bは、どのようにファイルサイズ低減が実現されるかを示す。3D印刷における標準3Dファイルフォーマットはすべての情報をファイル内に明示的に格納するが、.mesoはデータのより高い抽象性をファイル内に格納する。これは、ワイヤフレーム(線状ボリューム)又はシェル(面状ボリューム)としての構造がそれらの所謂スパインだけにより記述されるということを意味する。ファイルサイズの低減は、上記図の中央部の線のボリュームと比較すると理解されるようになる。標準ファイルフォーマットは、すべての頂点及びメッシュ(したがって8個の頂点及び12個のメッシュ三角形)を明示的且つ別々に格納するだろうが、.mesoフォーマットは、この構造を2つのスパインノード座標とプロファイルと線の直径情報とだけにより保存し得る。ファイルサイズの低減は、ワイヤフレーム線構造を構築しようとするデータフォーマットの予備知識により成し遂げられる。線の必須中核情報だけが格納される。メッシュ化のための再構築又は後の製造前のコンパイルプロセスはまた、線の必須中核情報だけを扱うための十分な解析インテリジェンスを含む。ファイルサイズ低減は、より高い符号化度(データのより丹念且つインテリジェントな解析を意味する)により達成される。
【0042】
ファイルフォーマットの一般性と特定目的のためのその有用性とのトレードオフがあり得る。このトレードオフでは、交換フォーマットを最適化する際の確実性を提供するメソスケールで3D印刷する目的が優先され得る。さらに、コンパクトなファイル構造を生成する際に特に有用な.mesoファイル構造の以下のものを含むいくつかの特徴がある:
【0043】
自己相似性
毛皮及び格子などの要素はしばしば、同様又は同一モジュールユニットからなる。これらのユニットは、2D、3D又はフラクタルパターンで繰り返される可能性があり、ユニット間の変換において小さな変動を有する。したがって、このフォーマットは、その親の変形形態として一連のジオメトリを記述し得る。
【0044】
形状ブレンディング(shape-blending)
自己相似ユニット間で変換する能力はまた、同様なトポロジーの離散状態間の或る程度のブレンディングを許容する。これは、自然界における共通特徴(様々な種間の骨特徴から鳥に関する羽毛率まで)である。これは、設計者/製造者が同様なトポロジーのいくつかの個別形状の重み付けブレンドとして新しいジオメトリを生成し得るということを意味する。
【0045】
明確な特徴
メソスケールでは、ジオメトリのいくつかの特徴は他の特徴より顕著になった。これは、機械的性質に帰する特徴に特に当てはまる。或るサイズの詳細はプリンタ解像度の制限に近づくにつれてそれほど重要でなくなる。これは、毛皮の触知性に影響を与える可能性がある有力なジオメトリパラメータ(断面プロファイルなど)に設計者が重きを置くことを可能にする。自由形式形状の代わりに設計者はメソ構造をパラメータ的に記述し得る。
【0046】
このような理解により、これらのジオメトリをボリュメトリックメッシュとして格納する代わりに、いくつかの実施形態による.MESOフォーマットは、個々のファイバのジオメトリック特性を格納するために、単純化された一組のパラメトリック記述を使用する。この技術は、大量のジオメトリをより少ない情報により迅速に再構築するために.MESOを使用するいかなるプログラムも許容する。
【0047】
これらのパラメータはメッシュ再構築のための指示を提供する。例えば、ファイバの三角形は、直径、撚り角度、断面プロファイルなどのパラメータによりポリライン曲線から再構築される。ジオメトリのこの抽象化表現はスケールと解像度とを両立し得る。例えば、毛皮の小試料は何千/何百万個の個々の毛から構成され得る。一方で、各毛は個々に操作される可能性がある特徴及び形式を有するべきであるが、他方で、各毛は同様な基本形状の変形形態である。いくつかの実施形態では、.MESOフォーマットは微細ファイバの特異性を利用する;この例示的フォーマットは、毛皮のより表現性に富む特性がユーザにより決定されることを可能にする一方で下位編成(underlying organization)を想定する。
【0048】
低減されたファイルサイズに加えて、いくつかの.MESOフォーマットは、他のメッシュフォーマットと比較していくつかの他の恩恵を提示し得る。各ジオメトリはパラメータ的に記述されるので、これらの下位パラメータを下流で修正する(各ファイバの長さを変更する又は直径をスケーリングするなど)ことは容易である。これは、設計の編集可能性を保持するので連携すると特に有用である。これはまた、ユーザが有用情報を容易に抽出することを可能にする単純且つ編成された構造を提供する。
【0049】
これは、例示的.MESOデータ構造のいくつかの実施形態にとって独自であるファイル構造の以下のことを含むいくつかの特徴に至った:
【0050】
データ間の高依存性
OBJは一般的に使用されるインデックスベースのファイルフォーマットである。三角形の各頂点が個々の座標として格納されるSTLとは異なり、OBJファイルでは、三角形の頂点は点の共有リストから取り出される。これは、共有頂点を表す際の冗長性を回避し、そしてメッシュトポロジー情報を維持し、その結果、コンパクト且つ一貫したメッシュを生じる。
【0051】
いくつかの実施形態では、.MESOフォーマットは、ファイルサイズを低減するために同じ論理を使用し得る。ジオメトリ間の高い自己相似性により、いくつかの実装形態では、.MESOフォーマットは、いくつかのジオメトリがパラメトリック関数内で参照されることを可能にし得る。これは、詳細なジオメトリのインスタンスが一回だけ記録されそして何度も参照されるのでさらなるレベルのデータ効率を提供する。一例はサブD関数内に子ワイヤフレームの基準を含み、ここでは、ワイヤフレーム及びメッシュ面の1インスタンスが反復を介し任意数の子を生成し得る。図6は様々な実施形態による例示的.MESOフォーマットを示す。
【0052】
オブジェクト補間
形状ブレンディング。いくつかの異なる形状を補間することにより新しい形状を導出する。
【0053】
データ構造概観
MESOファイルは主として以下の2つのタイプのジオメトリック情報を含む:1)ジオメトリ及び2)パラメトリック関数。
【0054】
ジオメトリは点(頂点)、線(ワイヤフレーム)及び表面(面)を含む。これらのジオメトリは、各ノードにおいて符号化される追加情報によりノード間の接続として表される。パラメトリック関数が適用されることになるパラメトリック関数一次ジオメトリ。
【0055】
パラメトリック関数は、再構築及びスライシング中の特定関数のための指示であるパラメータを含むオブジェクトである。パラメトリック関数は、それ自身の記述を拡張するやり方としてジオメトリにより参照される可能性があるデータ構造内の独立オブジェクトである。ほとんどの場合、これらの関数は現在のジオメトリから子ジオメトリを生成するために使用される。
【0056】
一実施形態では、.MESOフォーマットはJSONスキーマを基に構築される。.MESOフォーマットは、以下のうちの1つ又は複数のオブジェクトを単独で又は任意の他のオブジェクトと組み合わせで含む:
【0057】
【表1】
【0058】
ヘッダ
.MESOフォーマットは、ファイルを処理するためにソフトウェアをスライスするための情報を含むヘッダを含み得る。.MESOフォーマットは、例えばファイルにより定義されたオブジェクトが印刷される材料を識別する情報(例えばmaterialID)、オブジェクトを印刷することになる機械のタイプ(例えばmachineID)、及びスライスプロセスを開始するために必要とされる設定を含み得る。.MESOフォーマットはまた、所有権及び日付に関する情報を含む。いくつかの実施形態では、ファイルは実際のジオメトリスライシングを制御するスライシング設定を含み得る。
【0059】
ノード
ファイル内のすべての一次ジオメトリの頂点を表す3D座標のアレイ。このアレイはファイルがインポートされるとインデックスが作成される。
【0060】
【表2】
【0061】
ワイヤ
各ワイヤは、ノードのアレイ及び各ノードにおける属性(毛状構造又は格子構造の高度抽象化パラメータ表現を可能にする)を含む。一群のワイヤフレームにインデックスが作成される。図7は様々な実施形態による単純ワイヤの例示的ワイヤフレーム表現を示す。
【0062】
【表3】
【0063】
メッシュ
メッシュは、.STLのような加法製造おいて一般的に使用される他のファイルフォーマットとの互換性を提供する。これは防水メッシュであるべきである。
【0064】
シェル
各シェルは面のアレイを含む。各面はノード情報の3~4インスタンスを含む。厚さが各面へ割り当てられるので、シェルは閉じた又は開いた多様体又は非多様体である可能性がある。図8は表面を表すことができる例示的シェル表現を示す。
【0065】
【表4】
【0066】
レベルフラグはスライシング中にこのジオメトリへ適用される設定及び振る舞いを指示するために使用される。
【0067】
【表5】
【0068】
各ボリュームはボリュームに使用されるスライシング設定のための基準/インデックスを保持する。これは以下のことを意味する:すべてのx設定を保存し、それらを識別すると、ボリューム毎の基準及び安全なIDだけが、ファイルサイズを保存し、柔軟且つ適応型フォーマッティングを表すことになる。
【0069】
さらに、マスクジオメトリが暗領域を生成するために使用され得る。ユーザに利用可能なスライシング設定を制限するための個別フラグが提供される可能性がある。
【0070】
ブレンド化
ブレンドされた形状は一次ジオメトリの重み付けにより定義される。そのノード場所及び属性は、それが参照する一次ジオメトリの加重平均である。
【0071】
【表6】
【0072】
図9は2つの異なるタイプの設計間の加重平均を使用することにより形状をブレンドする方法を示す。図10は表面に沿って形状をブレンドする方法を示し、そしていくつかの設計は表面に沿って多次元でブレンドされ得る。任意数の設計がブレンド関数を使用することによりブレンドされ得るということを理解すべきである。
【0073】
プロファイル
プロファイルは、ワイヤフレームの各頂点を拡張する/太くするために一連の2Dベクトルを含む。これらのベクトルは、各頂点において曲線法線及び正面向きベクトルにアライメントする局所配向へ変換される。
【0074】
【表7】
【0075】
分岐
分岐は子ワイヤフレームを一次ワイヤ上へ置ためのパラメータを含む。図11は一次ワイヤから延伸する分岐又は子ワイヤフレームを有するワイヤの例示的ワイヤフレーム表現を示す。
【0076】
【表8】
【0077】
ポピュレート
ポピュレートは、子を一次シェル面上へ(例えば毛構造を表面上へ)置くためのパラメータを含む。図12は表面上にポピュレートされたワイヤの線図を示す。
【0078】
【表9】
【0079】
ボリュメトリックマッピング
ボックスマッピングは、一次ジオメトリを変換して歪ませるためのパラメータを含む。一次ジオメトリは標的ボックス内のuvw座標に対する原点においてユニットボックスから再マッピングされる。
【0080】
【表10】
【0081】
スライシング
3D印刷における用語「スライシング」は、その終了時に3D印刷製造準備完了データが与えられる手順を記述するために広範に使用される。したがって、ほとんどのスライシングソフトウェアの入力は或るデータフォーマット(.stl、.obj、又は.mesoなど)で符号化された仮想モデルデータである。スライシングソフトウェアを通った後、データは、機械振る舞いを制御する(モータ制御ユニット、レーザ経路、投影画像等々の位置決めなどの)ために製造機械解釈可能フォーマットへ変換される。
【0082】
いくつかの実施形態では、使用され得る製造プロセスはDLP印刷であるので、スライシングソフトウェアは、プラットホーム移動速度などの他の二次印刷の設定と組み合わせたスライシングの最終結果として投影光シーケンスに主として焦点が合わされる。スライシングの分類法は、製造全体の概観におけるモデルデータスライシング設定、印刷設定、及び機械設定間の相互依存性のフル装備ビューを包含しないので、設計者は、製造データへコンパイルする、又は印刷するためにコンパイルする、のように、用語「コンパイリング」を使用する傾向がある。
【0083】
DLPの従来技術及び3D印刷業界におけるほとんど他の一般的に使用されるスライシングソフトウェアの現状は3Dメッシュスライシングである。3Dモデルデータのためのstlフォーマッティングの普及により正当化され、スライシングアルゴリズムは、他のデータフォーマットを、標準スライシングアルゴリズムを介しスライスされるためにstlスタイルメッシュへ再構築して戻す。この手順は高い後方向互換性を保証するが、これは、効率を犠牲にして発生する可能性があり最適化のための多大な可能性を無視した。特に、3D印刷をプロトタイプから大量生産までスケールアップする目的により、時間経費の観点での計算量及び費用など要因は、生産性レベルを押し上げるための重要な測度である。
【0084】
.mesoデータフォーマットの既に述べられた利点に加えて、設計言語がまた、読み出され、解釈され、そして印刷可能製造データへコンパイルされる際に高度に効率的となるように生成され得る。いくつかの実施形態では、.mesoデータを印刷可能機械データへコンパイルするために使用され得るコアとして次の2つのスライシングエンジンが存在し得る:
●メッシュ再構築スライシングエンジン
●直接ワイヤフレームスライシングエンジン
【0085】
.MESOメッシュ再構築スライシング
図13に示すように、様々な実施形態による3Dオブジェクトをスライスするための例示的プロセスは、3Dオブジェクト内を並行に徐々に移動するスライシング面で進む。.stl及び.objなどの標準データフォーマットを処理することができる後方向互換性のための第1のスライシングエンジン(メッシュ再構築スライシング)が設計される。また、いくつかの実施形態では、ファイルを.mesoに加えて複数の異なるデータフォーマット(例えば.stl)によりコンバインしそして合成されたモデルデータをスライスする能力が提供される。仮想モデルは、2次元メッシュへ変換され、2次元メッシュは閉じられると、スライスされ印刷されるボリュームを形成する。いくつかの実施形態では、アルゴリズムの一態様は、離散的ステップサイズ増分によりモデル内を連続的に進む切断面を生成することである。DLP印刷に関し、この交差面は樹脂上へ投影される光の投影面を表し得る。したがって、切断面とメッシュ包含ボリュームとの間の交差切り口が、面増分ステップ毎に計算され、そして、グレイスケールビットマップ画像データとして保存される。
【0086】
メッシュスライシングのいくつかの実施形態では、GPUスライシングアルゴリズムがメッシュ面間引き(mesh face culling)操作に基づき選択される。含まれるボリュームは、増分ステップの活性フィールドに向く又はそれから外に向く三角形メッシュの量を評価することにより検出される。GPU上で実行するためのこのスライシング技術に関して、人は決定された向く方向を有する2Dメッシュによりモデル全体を再構築し得る。面とモデルボリュームとの2次元交差切り口が、ビットマップフォーマットの画像データとして保存される。あらゆる交差切り口(層又はスライスとも呼ばれる)が樹脂上へ後で投影される。
【0087】
GPUスライシングアルゴリズムは、例えばメッシュ面間引きスライシングアルゴリズムによるメッシュ再構築であり得る。このアルゴリズムは、現在のスライシング層がボリュームの内部又は外部であるかを内向きメッシュ面及び外向きメッシュ面の量をインクリメント及びデクリメントすることにより決定する。例えば、単純立方体に関し:正面図における立方体の外側では、両方の立体面は現在の視野層(view layer)に面する。内向き面の合計量は2である。偶数内向き面数増分に関して、このアルゴリズムは、このエリアのボリュームの外側に在るということを決定する。現在の視野層が立方体の内側に置かれ、したがってそれを切断していれば、内向き面の量は奇数である1であり、したがってボリュームの内側に在るということが評価される。スライス内の対応画素は、埋められるべきであると評価されることになる。
【0088】
例えば、スライスする前に.mesoファイルの実際のメッシュを再構築しない直接的線スライシングアルゴリズムが使用され得る。GPUスライシングアルゴリズムはスライス上に線投影切り口を直接生成するために使用される。メッシュ再構築は、.meso.からのメッシュとして.meso内の明示的情報からすべての暗黙的情報を生成する。このデータはメッシュ再構築面間引きスライシングのために使用される。直接的線スライシングに関して、すべての暗黙的情報のいかなるメッシュ再構築も以前は行われなかった。この情報の復号化は、現在のスライシング層と交差する場合にこのワイヤフレーム線を正確にスライスする間に「ジャストインタイム」で行われる。ワイヤフレーム線とスライシング層との交差の場合、直径、撚り角度などの明示的ワイヤフレーム線情報が、スライス上の画素として保存されるこの線の投影切り口を評価するために使用される。
【0089】
.meso直接ワイヤフレームスライシング
第2のスライシングエンジン(直接ワイヤフレームスライシング)は内部.mesoデータフォーマット用に最適化される。図14は様々な実施形態によるワイヤフレーム表現をスライスするための例示的プロセスを示す。.mesoデータフォーマットはメッシュ(したがって表面)が組み込まれていないが、ボディ全体のより抽象的な記述に基づいていることを考慮すると、現時点では特に線ベースの構造に焦点を当てているため、メッシュ再構築/メッシュスライシング技術をバイパスすることが可能である。直接的線スライシングエンジンは、.meso設計構造内の最小ビルディングブロックの概念的表現(線の一次元数学的概念)を使用する。
【0090】
3次元空間内の一次元線の配置の線形代数概念に由来して、エンジンは、切断面とのすべての線交差を線型方程式を介し計算するためにこのベクトル空間を利用する。再び、この切断面は、図14に示すようなモデル空間を介し層毎に離散的ステップで移動され得る。増分毎に、2D面とすべての1D線とのすべての交差が計算され、交点を生じる(一時的に)。3D空間内のそれらの交点の配向は、スライシング切断面(赤色で指示される)の局所基準座標系において記述され得る。
【0091】
上述の.mesoデータフォーマットは直径、プロファイル、撚り角度等々など各線に関する情報を含んでおり、この情報は次にこの時点で利用される(モデルをメッシュ再構築スライシングのためのメッシュへ再構築するためにスライスする前に使用されることと比較されたい)。線の交点、始点及び終点の情報、並びにプロファイル、直径などの追加情報により所望3Dボリューム出力を生成するために必要であり得る投影2D面が計算され得る。例えば、円筒状/円状プロファイル線の投影の数学的記述は、上に論述したように円錐断面切り口から導出され得る。
【0092】
適用可能並列スライシング(例えば、モデル低減アルゴリズム)と組み合わせて、これは、特に大規模モデルサイズのスライシングの計算効率を増強し得る。グローバルモデルメッシュ再構築のバイパスにより可能にされる.mesoファイルの直接的線スライシングは、.mesoファイルのローカルサブパーティションに対しスライシングアルゴリズムを実行することを可能にし、そして最終アルゴリズム工程における線パラメータのジャストインタイム関与と組み合わせて、このアルゴリズムは分散スライシングのために任意にスケーリング可能且つ並列化可能である。
【0093】
並列スライシング/分散モデルアルゴリズム/モデル低減
いくつかの実施形態では、スライシングアルゴリズムを単一モデル内で並列化するために直接的線スライシング手法により開かれた可能性を起源とする並列スライシングのためのモデル低減アルゴリズムが提供される。標準データフォーマットは、完全に閉じられた場合にボリュームを生成する可能性があるメッシュを定義することによりボリュームを定式化するためにかなり間接的な手法に従う。これは、一般的且つ非常に頻繁なエラー(グローバルエラーによるフォーマットのグリッチ及び非フェールセーフ振る舞いを生じる閉じられていないメッシュ及び表面など)のための多くの余裕を残すだけでなく、ボリュームの測位、始点及び終点及びそれらの局所広がりに関する情報を渡すこともできない。図15は様々な実施形態による3Dモデルの一部を並列に処理するための例示的プロセスを示す。
【0094】
いくつかの実施形態では、.mesoフォーマットは、モデルをローカルサブモデルへ分散するためのそして計算タスクを複数のより小さなタスクへ分散するための処理に有益であるボリュームの始点及び終点を提供する。ここで提供されるモデル低減アルゴリズムは所謂分断攻略アルゴリズム(divide and conquer algorithm)として分類され得る。いくつかの実施形態では、本発明者らは、「マップ低減(map reduce)」と呼ばれるビッグデータアルゴリズムが、ビッグ3Dデータモデルをより効率的なやり方で処理するために使用され得るということを理解した。
【0095】
モデル低減アルゴリズムの中核概念は、標準的オーバーサイズスライシングに関して、モデルをいくつかのより小さなモデルへ分割することであり、これらのモデルは、分散コンピュータクラスタアーキテクチャ(又は、単に複数のスレッド又は他の処理エンティティ)において並列に処理され得る。モデルデータの分解へのカギは、含まれる線始点及び終点のおかげで.mesoにおいてアクセスされ得る3Dデータの空間的依存性である。残念ながら、この情報は.stl又は.objなどの標準フォーマットでは供給されない。
【0096】
すべての線の空間的位置決めに基づき、データセット全体はソートされ得る。例えば、並列スライシングに関して、ソート判定基準はスライシング方向(z軸)である。この序列に従って、モデルはチャンクとも呼ばれる複数の局所的に完全に独立なサブモデルへ分離され得る。加速化スライシングのための経験則は、モデルをクラスタ内で利用可能な処理コアの量に等しい数のチャンク(及び/又は仮想プロセッサ、スレッド、又は他の処理エンティティのような他の処理エンティティ)へ分離することかもしれない。モデルを分離するためのクリア/空エリアを有しないモデルのかなり一般的ケース(例えばグローバルモデル開始時に開始しそしてグローバルモデル終了時に終了する線)では、処理するためのいくつかのやり方がある。1つの手法は、それらの線を複製し、そしてあらゆるトランスバースチャンク(traversed chunk)内へ転送することである。別の手法は、過度に大きい/長い線を複数のより小さな線へ分離することによりデータセットを自動的に再構成することである。
【0097】
いくつかの実施形態では、各チャンクは、「親」メソモデルのすべての特性を有する完全自足(fully self-sufficient)メソサブモデルである。したがって、各チャンクはそれ自体のインスタンスとして個々にスライスされ得る。単一処理エンティティ(例えばGPUメモリ)の1つとして効率的にスライスするには大き過ぎる1つの大きな.mesoモデルから、本システムはモデルを複数のメソサブモデル(そのサイズは、処理エンティティに関してスライスするために効率的である)へ分散し得る。親.mesoモデル内のサブモデルの配置及び構造の情報により、すべてサブモデルの結果スライスは、親メソモデルのスライス結果全体へ合成/融合/重畳され得る。
【0098】
個々の及び離散的ボリュームオブジェクト(メソボリュームクラスを参照)を含む.mesoファイルフォーマットデータをノードベースシステムに加えて使用することにより、大規模モデルを簡単且つ効率的且つ迅速なやり方で処理することが可能である。対照的に、従来の単一メッシュデータファイルはこのような迅速なやり方でサブモデル及び空間的チャンクへ分散されることができない。
【0099】
一実装形態では、サブモデル/チャンクの空間的ソートは、チャンクをメソ親モデルボリューム空間において(例えばスライス方向に(例えばy次元の4つの同じ長さチャンク内で)等距離に)定義するようなアルゴリズムにより行われ得る。次に、メソ親モデルのすべてのノードは、内部的にどのチャンクに属しているか、つまりどのチャンクに空間的に配置されているかが割り当てられる/ラベル付けされる(又は不確かな場合は、ノードは2つのチャンクに関してラベル付けされる)。チャンク毎に、このチャンク内にノードを有するすべてのメソオブジェクト/線が書かれたメソサブモデルが生成される(追加的に、当該チャンクから近い距離に位置するノードを有し、そのボリューム半径が潜在的にそのチャンクに到達する可能性がある到達可能な(in-reaching)オブジェクト/線)。すべてサブモデルのノードは、親モデルと同じようにそのままにされ得る。次に、すべてのサブモデルは、実質的に及び/又は物理的に分離された処理エンティティ(例えばワークステーション、GPU、クラウドインスタンス等々を実行するスライシングエンジンプログラム/ルーチン)へ完全に独立に送出され得る。サブモデルが完全に処理された後、結果のスライスデータはグローバルな親メソモデルボリューム空間内へマージされる(例えば、スライシング方向に沿った等距離チャンキングの観点から単に追加される)。
【0100】
モデル低減アルゴリズムは、3Dスライシングアルゴリズムを並列化するために適用され得るがこれに制約又は制限されない。3Dモデル化における他のアプリケーション(最近傍探索又はフィルタリング操作など)は分散及び並列計算から同様に恩恵を受け得る。
【0101】
メソスケール印刷は学際的手法としてアプローチされるべきであり、そして印刷の品質は様々な相互依存要因に依存する。これらのいくつかはコンピュータ的スライシングに関連する。機械設定、機械プロセス制御、樹脂材料特性などの他の分野は、印刷精度に決定的影響を与えるだけでなく、互いにそしてまたスライシングと相互作用する。したがって、例えば様々なスライシング強度フィルタは、印刷精度及び結果の特性に関して、様々な樹脂又は機械セットアップに対して様々な結果を有し得る(コンパイルとしての仮想モデルから最終製品までの全プロセスのこ学術的な視点)。いくつかのケースでは、このコンパイルプロセスの多くの態様は、最適印刷のための設定及びパラメータを調節するために手によりそして実験に基づいた人間経験により手動で行われる。
【0102】
DLP印刷光強度フィルタリング
コンパイルプロセスはまた、いくつかの実施形態では、各スライス工程後に画像/ビットマップデータ後処理を含み得る。個々の層間のより円滑な遷移を受信するために、深さサブサンプリングが、スライシング面と3Dモデルとの間の単一交差切り口を決定することによるだけでなく、モデル(所望サブサンプリング度によりパラメータ化された)を複数回スライシングし(例えば等距離ステップで)そしてその後画素強度を平均化することにもより適用される。深さサブサンプリングを使用する又は使用しない画像後処理の様々な実施形態を示す深さサブサンプリングが図16A~16Bに示される。
【0103】
これは、印刷のスライシング且つ階層的製造により引き起こされる余り鮮明且つ明瞭でない縁を生じる。モデルジオメトリにおける傾斜及び坂の望ましくない階段近似は、本明細書に記載の深さサブサンプリング方法を適用することにより防止される。投影の様々なグレイスケール画素強度が、印刷の概してより滑らかな表面を生成する。
【0104】
深さサブサンプリングに加えて、スライシング面内のアンチエイリアシングがマルチサンプルアンチエイリアシング(MSAA:Multisample anti-aliasing)により行われる。MSAAは、既にサブサンプリングされたスライスの画素強度傾斜を低減し、そして画像データ内の余りに鋭い角及び縁を滑らかにする。特に、標準90度を逸脱するスライシング及び印刷角度に関し、マルチサンプリングと組み合わせたボトムアップ及びトップダウンサブサンプリングが、最高画素解像度で印刷するための能力を維持することを可能にする。
【0105】
その後、光強度フラグメント(fragment)フィルタが、最適樹脂硬化のために投影光強度を調整することにより印刷の品質を最適化するために適用される。例えば、これは、硬化処理中の光屈折及び光吸収を評価することと使用される樹脂及び所望ジオメトリに関する最適化とを含み得る。この後処理工程の第1の選択肢は、サブスライシング及びマルチサンプルスライシング後にいかなる画素値も変更しないし、画素データを経ない標準デフォルト設定である。2つの他のフィルタカテゴリ(傾斜フィルタリング及び中空傾斜フィルタリング)が四角形代替形態だけでなく放射状代替形態でも提供される。それらのフィルタは、スライシング後にカスタム化可能カーネルをグレイスケールビットマップデータへ適用する。例えば、単一活性画素(例えば小さな毛)のための2乗傾斜強度フィルタが図17Aに示す結果を生成するだろう。
【0106】
傾斜フィルタは、画像全体の活性画素(0ではない)のカーネルを計算することにより適用される。多くの画素内で与えられるフィルタ範囲(2乗フィルタの1/2辺長及び放射フィルタの半径)に加えて、フィルタのカットオフ輝度及び最小輝度が定義され得る。中空傾斜2乗カーネルフィルタリングの図17Bに示す例では、最小輝度は0.1へ設定され、その結果、構造のコアは0でなく0.1である。
【0107】
最小輝度は、フィルタがこの閾値未満の画素値を設定しようとする場合に活性化される。次に最小輝度の閾値がその代りに設定される。また、その反対としてカットオフ輝度(カットオフ輝度の定義された閾値未満のすべての画素値を0へ設定する効果を有する)が適用され得る。
【0108】
図18Aは3Dオブジェクトの角部の例示的平滑化機能を示し、図18Bは光強度中空傾斜フィルタリングが適用された例を示す。図18Aでは、放射カーネル及び25のフィルタ範囲を有する傾斜強度フィルタの例が、平滑化された強度角部の結果効果を示すために与えられる。また、図18Bは、放射カーネル及び25画素範囲により適用された中空傾斜フィルタリングを示す。これは特に、中空構造を印刷するのに有用であり得る、又は複雑性の無い構造のようなより大きな固体及び面を印刷するために適用されるより高い最小輝度値と組み合わせて印刷するのに有用であり得る。いくつかの樹脂及びモデルジオメトリの強度フィルタ最適化の微調節は多数の関与要因に起因して難しいタスクであり得る。特注材料特性などのハイレベルユーザ入力によるこのプロセスの自動化が考えられる。
【0109】
コンパイルプロセスにおけるスライシング中の最適化強度フィルタリングの典型的アプリケーションは、コンピュータ的に最適化された均一硬化プロセスの樹脂内の光屈折に関する印刷精度を最適化するための中空傾斜フィルタである。例えば、図19はいかなるフィルタも適用されていない場合のスライスの処理を示す。図19に見られるように、このフィルタを使用しない場合、樹脂内の光屈折は、最初に意図された光の屈折とUV光散乱、ひいてはモデル内の硬化樹脂の散乱につながる。他の硬化エリアにより囲まれたエリアは、硬化されている単独の画素と比較して、光の屈折によってより多くのUV光を受信する。次に図20に示す中空傾斜放射フィルタの効果と比較すると、その効果は以下のように要約され得る:活性化される近隣画素が多ければ多いほどそして近隣画素がより強く活性化されればされるほど、画素は次第に薄暗くなる。全体的な結果として、高輝度投影により囲まれた画素は、屈折によって既にUV硬化光を受けており、単独の画素が硬化するほど硬化する必要はない。この例における最適化状況に関して、直接投影された光及び屈折散乱からなる導入光の量は均質である。
【0110】
このプロセスによる可能にされる設計/構造
単純ファイバ
ワイヤフレーム構造は様々なファイバタイプの生成を効率的に可能にする。
【数1】
【0111】
ワイヤ構造の単純例は先細毛になるだろう。図21Aは様々な実施形態を使用することにより生成され得る例示的単純ファイバを示す。図21B図21Aの単純ファイバの例示的断面を示す。
【0112】
図21A、21Bを参照すると、この先細毛はノード及び一連のパラメータにより定義される。
【0113】
ノードはスパインの形状を決定する。したがって、この毛は、「ノード」下で列挙される座標を参照する点n1,n2,n3,.....,n6を貫通する。スパインは、様々なノードを参照することにより又は各ノードの座標を変更することにより修正され得る。
【0114】
パラメータは毛の詳細形状を決定する。プロファイルは毛の断面形状を決定する。この場合、「四角」が図22に示すように選択される。毛の直径はノードn1における1.0mmからn6における0.06mmまで徐々に進む。「開始」法線は、毛のベースがベース面に対し同じ高さになるようにz軸へ設定される。この毛は捩れなく、したがって「捩れ」のすべての値は零へ設定される。
【0115】
限定しないがノード状毛(図23Aと23Bに示すような)を含む他のタイプの構造が生成され得、そして次のように定義され得る。
【数2】
【0116】
捩れ毛(図24Aと24Bに示すような)は次のように定義され得る:
【数3】
【0117】
毛皮
密な毛皮は、忠実性及びデータ効率に対する様々な効果を有する.MESOファイルフォーマットにより複数のやり方で実現され得る。例えば、あらゆる毛は別個のワイヤフレームとして表され得る。この場合、各毛は、個々の毛までに至る特徴制御を可能にするだろうその独自パラメータを有することになる。代替的に、このフォーマットは、一群の毛をシェル面のポピュレート関数として表し得る。この方法により、少数のジオメトリ情報だけが毛のより大きな集合を記述するために必要とされる。複数のポピュレート関数が、重畳効果のために同じメッシュ面へ割り当てられ得る。図25は様々な実施形態による複数のポピュレート関数を同じメッシュ面へ適用する例を示す。図26は表面へ適用される毛を示す一様なポピュレート関数を示す。
【0118】
羽毛
上の毛皮例のように、高度に詳細かつ密な構造は、すべてのジオメトリをワイヤフレームとして表すことにより、又はコンパクトなデータを実現するために.MESOフォーマットにより支援されるパラメトリック関数を使用することにより生成される可能性がある。羽毛の場合、分岐関数がフラクタル構造を効率的に符号化し得る。単純ワイヤフレームは羽毛を生成するために分岐され得る。子ワイヤフレームがまた分岐関数を含めば、このフラクタル分岐はいくつかの層にわたって繰り返し得る。
【0119】
図27の例は、それぞれが親ジオメトリの様々な重み付けを含む129個のブレンド化ジオメトリを含む羽毛レイアウト設計を示す。図28A~28Bに示される2つの親はそれ自身の分岐関数を含むワイヤである。
【0120】
格子
格子ジオメトリはモジュールユニットによりボックスマッピング(Box Mapping)をポピュレートすることにより生成される可能性がある。モジュールユニットは、1ユニットサイズボックス内に閉じ込められており、次に、ボリュメトリックマッピング関数内の8つのノードによりマッピングされた一連のボックス上へ再マッピングされる。図29図30に示すようなモジュールユニットを使用することにより生成され得る格子構造を示す。
【0121】
織物
図31に示すような織物構造は、様々な厚さ及びシェル面サイズを有するシェル上へ製織ユニットモジュール(例えば、図32に示すような)をマッピングすることにより実現され得る。この場合、製織構造全体は6つのワイヤと1つのシェルとにより効率的に表される可能性がある。
【0122】
スワブ
図34A、34Bに示すもののようなスワブ設計がワイヤの集合により実現され得る。バルブの構築は、1)図33Aに示すような構造的剛性を提供しそして流体保持力を支援する内部3D格子構造、2)図33Bに示すような形状全体を定義しそして吸収を可能にする網構造、3)図33Cに示すようなバルブの完全性を保証するための網構造の強化要素、及び4)図33Dに示すような網構造上に座す微細毛の螺旋状アレイを含み得る。各毛アレイは薄いスパインによりそれらの中間部において強化される。
【0123】
図34A~34Bに示されるスワブの軸の構築は、1)結合されたワイヤの平行ストランドを使用することにより構築され、そして2)各ストランド間のループ及び筋違により強化され得る。図35に示す例では、軸は、中断点を特徴とし、そして中断点において平行ストランドの短部分の直径を低減することにより実現された。代替軸構築は、1)一次構造としての格子付き軸壁構造、2)内部剪断強化要素、3)外面上の仕上げとしての螺旋テクスチャ曲線で構成される。
【0124】
図36Aに示すような軸の代替構築では、軸は、1)円筒形式の菱形グリッドパターンの線要素で構成される一次構造、2)内部剪断抵抗を提供する菱形グリッドへ付着される内部螺旋面で構成された二次構造、及び3)洗練された仕上げを提供するために外部上で螺旋をなすより薄い線要素で構成されたテクスチャ仕上げを含む。図36Bは、低減された直径を含む中断点を示す。
【0125】
バルブの構築に関して、格子及び毛の線要素は弾力性及びコンプライアンスを提供するためにS字形でカールされ得る。バルブの剛性は以下の要因の組み合わせを制御することにより決定され得る;毛の間隔、毛の直径、毛の曲率/S字形、一次及び二次網構造の密度、及び網構造線の直径。一般的に、互いに密接した要素を有する構造がより密になればなるほど、バルブはより堅固になるだろう;すなわち線要素が厚くなればなるほど、バルブはより堅固になるだろう。
【0126】
例示的毛構造又は網構造の直径は変化する可能性がある(例えば50μm~300μm)。例示的網構造の開口は流体吸収を制御しそして流体を解放するために変更される可能性がある。網の開口サイズは2mmから100umまで変化する可能性がある。
【0127】
軸の構造の特性を変更することにより、様々な剛性が実現される可能性がある。例えば、軸のネック領域はより小さな全体径を有する。菱形グリッドは軸の長さに沿って伸ばされる。線要素はより薄く、そして内部螺旋面はより狭い。これは、狭い半径を中心に曲げられる可能性がある軸の柔軟性且つ軟質領域を生じる。逆もまた同様で、堅固且つ剛性柄領域は逆特性により実現される可能性がある。
【0128】
折れ点は軸に沿った任意の場所に導入され得る。折れ点は増加された脆弱性の狭い領域である。これは、低減された線要素直径により、そして全体径を低減することにより実現される。これはまた、捩り力も増加する砂時計形状領域を生成する。この領域は、簡単な識別のために領域の両端上のリングにより視覚的に強調される。
【0129】
指示子が、軸に沿った任意の場所に導入され得る。指示子は軸の拡大領域である。追加線要素が、軸構造を変更する代わりに既存軸の上に追加される。これは、軸の一様剛性を維持するのを助ける。菱形グリッドパターンで配置される追加線要素が指示子構造を形成する。
【0130】
設計ワークフローに関して、バルブの形状はバウンディングボリューム(bounding volume)により自由に定義され得る可能性がある。折れ点及び/又は指示子(あれば)の長さ及び場所並びに機能部品の所望直径と共に、MESO構造を構築しそして対応値を各線要素へ割り当てるこれらの情報がパラメトリックモデル化ソフトウェアへ供給される。
【0131】
図36C~36Dに示すように、本明細書において説明した方法のうちの少なくともいくつかを使用して生成されるスワブ(InstaSwabと称される)は、自宅試験キットを含む多様なアプリケーションに適合する医療用途に使用されるものなどの他のタイプのスワブ(フロック加工スワブだけでなく中央鼻甲骨に使用される綿棒、前部スワブ又は鼻咽頭スワブなど)を凌駕し得る。実験室結果は、このようなスワブが従来の綿棒より高い液体/固体分離速度と市場先導フロック加工スワブより高い微生物変換効率とを有するということを示す。図36Cは、どれくらい効率的にスワブがバクテリア試料を収集及び放出し得るかを評価するバクテリア溶出試験を示す。バクテリア試料はスワブにより収集される。試料は媒体中へ放出され、次に一連の濃度へ希薄化される。各濃度から、生物コロニー(コロニー形成ユニット、又はCFU:colony forming unit)へ成長するバクテリアユニットの数が計数される。図36Cに示すように、寒天プレート上の各輝点はバクテリアコロニーである。良好なスワブは全面的希釈後に非常に多くの生きたバクテリアを放出するので、これらを検出することは依然として可能である。これは病気診断のための最も重要な判断基準の1つ(試験するために十分な病原体を発見すること)である。
【0132】
化粧塗布器
マスカラブラシ、泡塗布器、ブラシなどの化粧塗布器は一群のワイヤにより実現され得る。.MESOフォーマットは、化粧アプリケーションにとって独自な剛毛特徴(1)剛毛径、2)剛毛間隔、3)製品保持機構、4)全体ジオメトリを含む)の高度カスタム化を可能にする。
【0133】
図37に示すこの化粧塗布器は、1)一次構造としての密な格子コア、2)格子コアから発現する様々な長さ及び直径の剛毛、3)剛毛の中間部間に走る強化ワイヤ、4)密格子構造で構成された軸柄を含む。
【0134】
設計のカスタム化は、基本曲線を有するワイヤの単純化表現を有するMESOファイルフォーマットにより容易にされ得る。塗布器の特徴は、以下のステップによりジオメトリを誘導することにより手順に従って生成される。1)バルブ及び軸の格子コアは3D自由曲線の周囲にシェルをオフセットすることにより生成される。2)ワイヤ構造は、中央コアの軸を中心とした約規定範囲の角度だけ中央コアから成長する。3)自由形式3Dバウンディングジオメトリは各ワイヤ構造のトリミング長を定義する。4)各ワイヤの直径及びプロファイルはそのMESOデータ内で個々に定義される。これは、全体ジオメトリの高度のカスタム化を可能にする。
【0135】
カスタム化はアプリケーション毎に変化する。例えば、マスカラブラシの場合、様々なパラメータが、マスカラの塗布に適するように調整され得る。例えば、剛毛間隔はマスカラ流体の蒸着を制御するために調整され得る。例えば、より粗な間隔が大量塗布を可能にし、その逆も同様である。強化ワイヤの位置及び厚さがブラシ上の流体保持力を制御する。図38は様々な直径、間隔プロファイル及びコア形状を有する様々な実施形態による各種化粧塗布器設計を示す。図39A~39Cは、いくつかの実施形態による様々なブラシ形状を有する様々な他のタイプの化粧塗布器を示す。
【0136】
付け睫毛
付け睫毛の製作は高度に労働集約的な作業である。しかし、本発明者らは、同じ又はより優れた製品が一群のワイヤにより実現されそして3D印刷され得るということを理解した。ワイヤ構造はカスタム化可能曲率及び厚さを有するワイヤのアレイを表すために使用され得る。RAMPシステムと組み合わせて、既存合成モノフィラメント睫毛を近似する0.05~0.15mmの睫毛厚さが実現され得る。
【0137】
いくつかの実施形態では、カスタム化は、基本曲線によるワイヤの単純化表現を有するMESOファイルフォーマットにより容易にされ得る。睫毛の特徴は以下のステップにより手順きに従って生成され得る。1)3D自由形式ワイヤが基本ストリップを形成する。2)一連の正規化値及びベクトルが各睫毛の基本位置及び方向を定義する。3)3D自由形式ワイヤは各位置上へ移動され、そして対応方向へアライメントされる。図40はワイヤフレーム表現を使用する睫毛の例示的設計を示す。図41はいくつかの実施形態による種々の睫毛設計を示す。
【0138】
支持体
支持構造は印刷オブジェクトの安定性及び係留点を提供する犠牲構造である。支持構造はまた、を提供する。これらの構造は通常は除去され廃棄される。支持構造は他のジオメトリと同じデータ構造を使用するが、独自フラグによりラベル付けされる。
【0139】
いくつかの実施形態では、1)柱支持体、2)フレーム支持体及び3)先端支持体の3つのタイプの支持構造がある。
【0140】
柱支持体
柱支持体は、通常は他の印刷部品の基板/好都合場所上に係留されそして最小フットプリントでもって印刷部品と接触する先細ワイヤである。
【0141】
柱支持体は樹脂レベルに対し普通は垂直である。これは、硬化される樹脂の若干の浮力を所与に、偏向を最小化する。いくつかの実施形態では、接触点の直径は、様々な付着強度のために0.05~0.1mmである。小さな接触点は、より厚い軸に急速に成長する。軸は、より大きなフットプリントでもって基板へ係留される、又は最小フットプリントでもって別の印刷物の上に着座する、のいずれかである。
【0142】
長い印刷物の長さに沿って、傾斜柱支持体アレイが、樹脂vetの曲率を考慮するために使用され得る。樹脂vetの底部における曲率に到達すると崩壊しそして変形するだろう薄い支持体が印刷物の前部に向かって使用される一方で、硬いままである対角方向補強支持体が印刷物の端に向かって使用される。剛性の傾斜は、支持構造が予測可能なやり方で連続して崩壊することを可能にする。図42は様々な実施形態によるワイヤフレーム表現を使用する柱支持技術を示す。
【0143】
フレーム支持体
フレーム支持体は、張り出し毛のための係留点を提供するワイヤにより形成される網状構造である。
【0144】
張り出しは、前に印刷された層上に構築されない印刷の部分を指す。連続面の張り出しは、滑らかな面が通常、支持体を必要とする少数の頂点を有するので、柱支持体により対処され得る。しかし、張り出す微細且つ密な毛皮は、除去するのが困難でありそして大量の樹脂を使用するより大きな固体へ融合するだろう柱支持体の均等に密なアレイを生成するだろうために柱支持体により支持されることができない。
【0145】
フレーム支持体は、その網状構造の各ノードと共に各張り出し毛の先端を往復運動させる。これはすべての張り出し毛を中心とするコクーンを形成し、コクーンはツリー状構造により係留される。フレーム支持体の穿孔はまた、樹脂流に対する障害を最小化する。図43はいくつかの実施形態による張り出し毛を係留するためのフレーム支持体を示す。
【0146】
先端支持体
先端支持体は、印刷プロセスの始めに良好な印刷物係留を提供する主目的を有する集積化格子状構造である。
【0147】
ほとんどの従来DLP/SLA印刷プロセスでは、印刷方向は樹脂レベルに対して垂直である。構造プラットホーム接着剤は通常、構造プラットホームから印刷物まで垂直方向に骨格構造のうちのいくつかを増強することにより処理される。この接着剤は、新たに硬化された層からの重力及び引力に対向して印刷物を適所に保持する。これはまた、構造プラットホーム上に同じ高さで着座しない可能性がある不規則形状を有する印刷にとって重要である。これらの接着性骨格構造はまた、張り出し表面が成長する係留点を提供する。
【0148】
従来システムと違って、OPT RAMPSは、樹脂レベルが印刷方向に対して或る角度(通常45度)であるロールツーロール(roll-to-roll)cDLP構成を使用する。基板と印刷物との間の間隔もまた、最良印刷精度のために維持される必要がある。これは、独特な挑戦を「構造プラットホーム接着性」問題へ導入する。印刷方向と樹脂レベルとの角度が、接着性骨格構造を剪断力に晒す。間隔はまた、ほとんどの印刷物が基板との直接的接触無しに懸架されるということを意味する。
【0149】
先端支持体は従来の垂直印刷における印刷ベッド取り付け構造の代用構造である。先端は、基板からさらに上昇される印刷方向に対し垂直である係留エリアを提供する。分岐構造は、支持体フットプリント及び支持密度を増加する一方で豊富な樹脂流を許容する。
【0150】
コクーン支持体
印刷された構造の品質(特に小さな特徴及び微細毛)は印刷方向に高度に依存する。樹脂レベルに対して垂直な構造は最良の結果を与えるが、片持ち梁構造及び張り出しは支持構造を必要とする。従来、これらの条件は、表面が成長するための係留を提供する柱支持構造により解決される。しかし、柱支持体は、個々に支持する微細毛構造へ適用されなく、各毛は、非効率的である密構造を生成するだろう。ブラシなどの多くのアプリケーションは、複数の反対方向を指す微細毛構造を有する。このコクーン支持戦略は、柱により延いては支持される薄い多孔性メッシュを有する大量の微細毛構造を支持し得る。図44は様々な実施形態による例示的コクーン支持戦略を示す。
【0151】
コクーン支持体の生成は、線の方向及び張り出しが、ドット生成を印刷方向に取る(平行性を意味する)ことにより容易に検出されるので、MESOファイルフォーマットにより一意的に可能される。メッシュはまたMESOワイヤデータから抽出され得、ここでは、毛の先端は三角メッシュのノードを形成する。
【0152】
小さな支持柱は、微細毛構造同士をインターフェースするメッシュから成長し得る。支持体及び毛の両方の先細りが、それらの交点においてピンチ点を生成し、好都合な切断点を形成し、取り外しを容易にする。これらの小さな毛はまた、隣接毛長さ間の不揃いを吸収し、より滑らかなコクーンメッシュを生じる。
【0153】
コクーンメッシュは追加保護をすべての微細構造へ提供し、そして正しい形状形成を容易にする。コクーンは、樹脂の流れを規制する流れシールドとして働き、局所乱流を低減し、そして滑らかな自然な再被覆を可能にする。コクーンはまた、局所樹脂温度を増加し、そして樹脂硬化を容易にする。
【0154】
コクーン構造はまた、微細構造を有するオブジェクトの積層及び互いに上に着座する可能性がある支持構造を必要とする他のオブジェクトの積層を可能にする。コクーン構造は微細構造上に直接着座する上記ジオメトリからの支持を防止する。その代りに、上から降りてくる支持体がコクーン上に着座するだろう。そして負荷はメッシュ構造に沿って転送される。図45A、45Bはコクーン支持体及び断面の例をそれぞれ示す。
【0155】
上記実施形態は多数のやり方のうちの任意のやり方で実装され得る。例えば、実施形態はハードウェア、ソフトウェア、又はそれらの組み合わせを使用して実装され得る。ソフトウェアで実施される場合、ソフトウェアコードが、単一コンピュータ内に提供されるか複数のコンピュータ間で分散されるかにかかわらず、任意の好適なプロセッサ又はプロセッサの集合上で実行され得る。上述の機能を行う任意の部品又は部品の集合は上に論述された機能を制御する1つ又は複数のコントローラと一般的に考えられ得るということを理解すべきである。1つ又は複数のコントローラは、無数のやり方で(例えば専用ハードウェアにより、又は上記機能を行うためマイクロコード又はソフトウェアを使用することによりプログラムされた1つ又は複数のプロセッサにより)実装され得る。
【0156】
この点に関し、本発明のいくつかの実施形態の1つの実装形態は、プロセッサ上で実行されると本発明の実施形態の上に論述された機能を行うコンピュータプログラム(すなわち複数の指令)によりコード化される少なくとも1つの非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体(例えばコンピュータメモリ、ポータブルメモリ、コンパクトディスクなど)を含むということを理解すべきである。コンピュータ可読ストレージ媒体は、その上に格納されたプログラムが、本明細書において論述された本発明の態様を実施するために任意のコンピュータ資源上へロードされ得るように移植可能であり得る。加えて、実行されると上に論述された機能を行うコンピュータプログラムへの参照はホストコンピュータ上で実行するアプリケーションプログラムに限定されないということを理解すべきである。むしろ、用語「コンピュータプログラム」は、本発明の上述の態様を実施するようにプロセッサをプログラムするために採用され得る任意のタイプのコンピュータコード(例えばソフトウェア又はマイクロコード)を参照するために一般的意味で本明細書において使用される。
【0157】
本発明の様々な態様は、単独で、組み合わせで使用され得る、又は先に説明した実施形態において特に論述されない多種多様な構成で使用され得、したがってそれらの用途では、これまでに説明した又は添付図面に示した部品の詳細及び配置に限定されない。例えば、一実施形態において説明された態様は他の実施形態に於いて説明された態様と任意のやり方で組み合わせられ得る。
【0158】
また、本発明の実施形態は、その例が提供された1つ又は複数の方法として実施され得る。本方法の一部として行われる行為は任意の好適なやり方で順序付けられ得る。したがって、例示的実施形態において連続行為として示されたとしても、示されたものとは異なる順序で行為が行われる実施形態であっていくつかの行為を同時に行うことを含み得る実施形態が構築され得る。
【0159】
請求要素を修飾するための特許請求の範囲における「第1」、「第2」、「第3」などの序数の使用はそれ自体、いかなる優先度(優先順位)も、方法の動作が行われる一請求要素の別要素に対する順序又は時間的順序も暗示しない。このような用語は、(序数用語の使用が無ければ)同じ名前を有する別要素から或る名前を有する一請求要素を識別するための単にラベルとして利用される。
【0160】
本明細書で使用される語法と用語は、説明する目的のためであり、限定するものと見なすべきでない。「備える」、「成る」、又は「有する」、「含む」、「関与する」そしてその変形の使用は、それ以降列挙される項目と追加項目とを包含するように意味される。
【0161】
本発明のいくつかの実施形態を詳細に説明したが、様々な修正及び改良は当業者には容易に思いつくであろう。このような修正と改良は本発明の精神及び範囲内にあるように意図されている。したがって、これまで述べた説明は単に一例であり、制限するように意図されていない。本発明は、以下の特許請求の範囲及びその等価物により定義されたものだけにより制限される。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16A
図16B
図17A
図17B
図18A
図18B
図19
図20
図21A
図21B
図22
図23A
図23B
図24A
図24B
図25
図26
図27
図28A
図28B
図29
図30
図31
図32
図33A
図33B
図33C
図33D
図34A
図34B
図35
図36A
図36B
図36C
図36D
図37
図38
図39A
図39B
図39C
図40
図41
図42
図43
図44
図45A
図45B
【国際調査報告】