(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-17
(54)【発明の名称】組成物
(51)【国際特許分類】
C12N 5/0775 20100101AFI20230510BHJP
C12N 1/04 20060101ALI20230510BHJP
C12Q 1/04 20060101ALI20230510BHJP
A61P 15/08 20060101ALI20230510BHJP
A61K 35/48 20150101ALI20230510BHJP
【FI】
C12N5/0775
C12N1/04
C12Q1/04
A61P15/08
A61K35/48
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022560233
(86)(22)【出願日】2021-04-02
(85)【翻訳文提出日】2022-11-24
(86)【国際出願番号】 EP2021058809
(87)【国際公開番号】W WO2021198517
(87)【国際公開日】2021-10-07
(32)【優先日】2020-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522386840
【氏名又は名称】イノセルズ ベーフェー
【氏名又は名称原語表記】INOCELLS B.V.
【住所又は居所原語表記】Gaetano Martinolaan 63a 6229 GS Maastricht The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100132067
【氏名又は名称】岡田 喜雅
(74)【代理人】
【識別番号】100137903
【氏名又は名称】菅野 亨
(72)【発明者】
【氏名】アフマド アコンディ モハマド メフディ
(72)【発明者】
【氏名】アイ ジャファル
(72)【発明者】
【氏名】エブラヒミ バラ ソマイエ
(72)【発明者】
【氏名】モハマディ ゾーレ
【テーマコード(参考)】
4B063
4B065
4C087
【Fターム(参考)】
4B063QA18
4B063QA19
4B063QQ06
4B063QQ08
4B063QX01
4B065AA93X
4B065BA22
4B065BD09
4B065BD12
4B065CA44
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB61
4C087BB64
4C087CA04
4C087MA66
4C087NA14
4C087ZA81
(57)【要約】
本発明は、卵巣反応不良の処置のための方法における使用のための子宮内膜幹細胞、特に子宮内膜間葉系幹細胞(EnMSC)を含む組成物、および子宮内膜幹細胞、特に子宮内膜間葉系幹細胞のバンキングのための方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
卵巣反応不良の処置のための方法における使用のための子宮内膜幹細胞を含む組成物であって、前記子宮内膜幹細胞が、子宮内膜組織試料に由来する、組成物。
【請求項2】
前記子宮内膜幹細胞が、ヒト自己子宮内膜幹細胞である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記子宮内膜幹細胞が、子宮内膜間葉系幹細胞である、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記子宮内膜間葉系幹細胞が、CD90、CD146およびCD105マーカーに対して陽性、かつCD34およびCD31マーカーに対して陰性である、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記子宮内膜間葉系幹細胞が、Oct-4、CD146およびSTRO-1を発現する、請求項3または4に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物が、卵巣内に、または少なくとも一方の卵巣に投与される、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物が、7.2~7.4のpHの、以下:PBS溶液、自己血清、無菌生理食塩水または細胞培養培地から選択される生理学的に適切な溶液をさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記子宮内膜幹細胞が、50万~1000万細胞数/mL、好ましくは95万~800万細胞数/mL、最も好ましくは150万~650万細胞数/mLの濃度である、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物が、1用量あたり50万~200万細胞数、好ましくは1用量あたり80万~130万細胞数の量で、1~5用量、好ましくは2~4用量投与される、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
卵巣反応不良を処置する方法であって、請求項1~9のいずれか一項に記載の子宮内膜幹細胞を含む組成物を投与するステップを含む、方法。
【請求項11】
本発明による子宮内膜幹細胞または組成物のバンキングのための方法であって、
a.対象から子宮内膜幹細胞を得ること;
b.細菌、酵母または真菌汚染についてチェックすること;
c.好ましくはGibcoのMycoTectキット(カタログ番号15672-017)を使用して、マイコプラズマについて子宮内膜幹細胞の試料を試験すること;
d.前記子宮内膜幹細胞が対数後期に達した後、5000000~20000000個細胞/mLで前記子宮内膜幹細胞を凍結培地に再懸濁させること;
e.50mLのFalconチューブ内、1000gで15分間、前記再懸濁された子宮内膜幹細胞を遠心分離すること;
f.遠心分離された子宮内膜幹細胞から上清を吸引し、凍結培地を添加し、均質になるまで細胞を粉砕すること;
g.ステップf.から得られた前記子宮内膜幹細胞の1mLをバイアルに等分し、バイアルを-20℃のフリーザーで、容器中、3時間凍結すること;
h.前記容器を-80℃のフリーザーに移し、終夜貯蔵すること;
i.液体N
2タンク中のラックにおいて、ステップf.から得られた前記バイアルを翌日貯蔵すること
を含む、方法。
【請求項12】
前記子宮内膜幹細胞が、子宮内膜間葉系幹細胞である、請求項11に記載の子宮内膜幹細胞または組成物のバンキングのための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、卵巣反応不良(POR)の処置のための方法における使用のための組成物、および子宮内膜幹細胞を含むそのような組成物を作製するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば卵巣反応不良の結果として、女性対象のかなりの部分、例えばすべての年齢の不妊女性対象は、不妊症を経験している。卵巣反応不良(POR)は、回収された卵母細胞の数の低減をもたらす卵胞反応の低減によって特徴付けられる疾患である。
【0003】
Ferrarettiら[1]によって記載されるボローニャ基準によれば、IVFにおける反応不良を定義するために、以下の3つの特性の少なくとも2つが存在しなければならない:(i)高齢の母親、またはPORについてのリスク因子のいずれか、(ii)以前の卵巣反応不良(従来の刺激プロトコールにより≦3卵母細胞)、および(iii)異常な卵巣予備能力試験(すなわち、<3~6卵胞の胞状卵胞数(AFC)、または<0.5~1.1ng/mlのAMH)。
【0004】
最大刺激後のPORの2つの出来事は、高齢の母親または異常な卵巣予備能力試験(ORT)の非存在下での反応不良として患者を定義するのに十分である。定義によって、PORという用語は、卵巣反応を指し、したがって、1回の刺激サイクルは、PORの診断のために必須と考えられる。しかしながら、高齢および異常なORTの両方が、卵巣予備能力の低減を示し、卵巣刺激サイクルの結果の代替として作用し得るので、異常なORTの高齢の患者は、低反応者として分類され得る。
【0005】
多くの研究が、ゴナドトロピン投薬量の増加、デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)(5、6)の使用、テストステロン(7)、回収された卵母細胞数における成長ホルモン(8、9)、IVF/ICSIサイクルを通したPORの妊娠率および生児出生率などの異なる刺激プロトコールの効果(2~4)の調査を成し遂げている。しかしながら、有効性の欠如のために、より精密で有効な方法に従う必要がある。したがって、新たな戦略は、PORの不妊症を管理し、卵母細胞/胚提供からそれらを救うための存在になるはずである。
【0006】
PORと診断された対象は、一般に、その年齢の健康な女性対象と比較して、抗ミュラー管ホルモン(AMH)レベルの減少、卵胞刺激ホルモン(FSH)の増加、胞状卵胞数(AFC)の減少および低い卵母細胞の質を有する。さらに、POR対象は、卵胞反応の低減および卵母細胞を産生する卵巣の能力の低減を示した。PORの女性対象によって産生される卵母細胞は、典型的には、良好な卵巣予備能力を有する女性によって産生される卵母細胞と比較して、質が劣っている。PORの発生は、卵胞の枯渇のプロセスおよび卵母細胞の質の低下に関連し、かなりの数のPOR対象は、血のつながった子孫に対する熱望がある。現在、これらの対象において妊娠を達成する唯一の方法は、体外受精(IVF)などの生殖補助医療(ART)の手段によるものであり、これは、高用量のゴナドトロピンによる卵巣刺激を必要とする。生殖補助技術を受けているPORの対象における結果を改善するために、さまざまなモダリティが試みられている。これらとして、高用量FSH処置、黄体形成ホルモン(LH)補充、ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)アンタゴニストサイクル、ならびにエストラジオールプライミング、成長ホルモン、L-アルギニンおよびデヒドロエピアンドロステロン(DHEA)などの補助処置の使用が挙げられる。これらのゴナドトロピン処置および妊孕性処置は、腹部痛、悪心、嘔吐、体重増加、ざ瘡、乳房痛または圧痛、および気分変動などの負の副作用があり、これらは、処置の中止をもたらし得る。さらに、ゴナドトロピン処置は、初期胞状卵胞の排卵前期への発達を促進するために広く使用されているが、多くのPOR対象は、ゴナドトロピン治療に反応しない。PORの女性対象は、卵母細胞の回収の間に卵母細胞の数が少ないことがあり、そのため、正常な卵巣予備能力を有する女性対象と比較した場合に、移植のための胚が少なく、受胎の可能性が低い。これらのPOR対象は、卵胞発達がないことに起因して、回収された卵母細胞の欠如に起因して、受精の成功の欠如、または妊娠失敗の増加(例えば、高い流産率、これは、POR対象において見出される最初の低い卵母細胞の質に起因すると考えられる)のいずれかで、IVFサイクルの中途でのキャンセルが必要なことがある。このため、多くのPOR対象を、ドナー卵母細胞プログラムまたは養子縁組プログラムのいずれかに頼ることになる。
【0007】
Zafardoustら[10]は、POR対象における妊娠率を改善するための自己月経血由来間葉系間質細胞の適用を記載している。しかしながら、子宮内膜組織に由来するEnSCは、月経幹細胞と比較して、より高いテロメラーゼ活性、より低い壊死細胞パーセンテージ、低汚染物質および/またはより高い細胞増殖性を有し得る。本発明によって、子宮内膜組織からこれらの細胞を調製するための方法、およびPOR対象を処置するためのその有利な使用が提示される。
【0008】
PORの対象を管理することは不妊症の専門家にとって難題であり、ほとんどの対象が血のつながった子孫に対する熱望がある。そのため、以下の利点:負の副作用が少ない、自己卵母細胞の許容、新しい卵母細胞形成、卵母細胞の質の向上、体外受精ではない受胎、自然受胎の許容、POR状態と比較してより低いFSH血清レベルの再確立(正常な血清レベルの方へ)、POR状態と比較してより高いAMH血清レベルの再確立(正常な血清レベルの方へ)、およびPOR状態と比較してより高いエストラジオール(E2)血清レベルの再確立(正常な血清レベルの方へ)のうちの少なくとも1つを有するPOR処置に対する要望がある。血清レベルは、血液の血清レベルを意味することが理解される。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、卵巣反応不良の処置のための方法における使用のための子宮内膜幹細胞、好ましくは子宮内膜間葉系幹細胞を含む組成物を提供する。本発明は、子宮内膜幹細胞、特に子宮内膜間葉系幹細胞を含む組成物を作製するためおよびバンキングのための方法にさらに関する。
【0010】
驚くべきことに、本発明による組成物が、生殖細胞様の細胞を生じさせ、ならびに/またはある特定のホルモン血清レベル、例えば以下:AMH、FSHおよびエストラジオールの血清レベルのうちの少なくとも1つを、非POR血清レベルに(正常な血清レベルの方へ)再確立させることを見出した。
【0011】
本発明の組成物は、以下の利点:負の副作用が少ない、自己卵母細胞の許容、新しい卵母細胞形成、卵母細胞品質の増加、体外受精ではない受胎、自然受胎の許容、卵巣機能の再生、卵形成、POR状態と比較してより低いFSH血清レベルの再確立(正常な血清レベルの方へ)、POR状態と比較してより高いAMH血清レベルの再確立(正常な血清レベルの方へ)、およびPOR状態と比較してより高いエストラジオール(E2)血清レベルの再確立(正常な血清レベルの方へ)のうちの少なくとも1つを有する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、卵巣反応不良の処置のための方法における使用のための子宮内膜幹細胞を含む組成物であって、前記子宮内膜幹細胞が、子宮内膜組織試料に由来する、組成物を提供する。
【0013】
組成物は、好ましくは自己およびヒトの子宮内膜間葉系幹細胞を含む。
【0014】
定義
本明細書において使用される「マーカー」または「バイオマーカー」(「生物学的マーカー」または「分子マーカー」または「遺伝子マーカー」または「タンパク質マーカー」などとしても公知)という用語は、いくつかの生物学的状態または状況または疾患または疾患に関連する合併症の測定可能な指標を指す。バイオマーカーは、血液中を循環しているまたは血清、生体液もしくは組織中に存在する任意の分子(無機もしくは有機分子、タンパク質またはヌクレオチド配列)または物質、あるいは特定の組織または細胞において発現される遺伝子またはポリヌクレオチドであり得る。本発明の実施形態において、マーカーは、ヒト対象のもしくは対象の血液の血清、またはヒト対象もしくは対象由来の子宮内膜細胞もしくは幹細胞中に存在するかまたは発現される、タンパク質および/またはホルモンである。
【0015】
本明細書において使用される「エストラジオール」(「エストロゲン」または「オエストラジオール」または「E2」または「17β-エストラジオール」などとしても公知)という用語は、いくつかの生物学的状態の測定可能な指標を指す。
【0016】
本明細書において使用される「継代」(「細胞継代」などとしても公知)という用語は、継代培養を指す。継代数は、細胞培養物が継代培養されている回数である。
【0017】
適用される方法において言及されるすべての数は、一般に、約10%の偏差を有することがさらに認識されるであろう。
【0018】
POR
POR対象は、同等の年齢の女性対象と比較して、卵巣刺激への反応または生殖能力が低減している女性対象である。
【0019】
PORは、Practice Committee of American Society for Reproductive Medicine 2015[11]によって定義されるように、閉経または早期卵巣機能不全(POF、原発性卵巣機能不全(POI)とも称される)とは異なる。POI/POFと診断された女性対象は、40歳未満であり、閉経後のFSH血清レベルと3~6カ月の月経なし(例えば、続発性無月経または希発月経)を有する。POI/POF対象において、FSH血清レベルは少なくとも2つの異なる場合で40mlU/mLを上回り、AMH血清レベルは1ng/mLを下回り、AFCは3未満である。
【0020】
PORは、IVF刺激に対する反応不良、10mlU/mLを上回るFSH血清レベル、1.1ng/mLを下回るAMH血清レベル、および3~6未満のAFCによって特徴付けられる。PORは、クロミフェンチャレンジテストの間の卵胞期前期(たとえば、月経周期の開始の2~3日目)において測定された高いFSHおよび/もしくは高いエストラジオール血清レベル、ならびに/または卵巣体積の減少によりさらに診断することができる。
【0021】
基礎FSH血清レベルは、残っている卵胞プールのサイズの良好な予測因子であり得る。基礎血清FSHレベルの上昇はPORを示し、基礎FSH血清レベルの増加を有する女性対象は、高頻度で、IVFプログラムにおいて回収された卵母細胞が減少している。月経周期の2~3日目のFSHおよびLHの基礎血清レベルは、好ましくは、卵巣予備能力のスクリーニングのために試験するために使用される。月経周期の1日目は、月経の初日であると理解される。月経周期の前半は卵胞期であり、黄体期である後半に続き、両期は、28日の平均月経周期ではおよそ14日続く。黄体期は「分泌期」とも称される。FSH血清レベルは、ゴナドトロピンの増加の原因として非連続的な卵巣活動を除外するために、さまざまな場合において測定されるべきである。しかしながら、卵巣予備能力の評価が不妊症の管理に関するものである限り、FSH血清レベルの増加のみでは、有用性は限定的である。
【0022】
健康な非POR対象における大部分のエストラジオールは、アンドロステンジオン(卵胞膜細胞において産生される)のエストロンへの芳香族化、それに続く17β-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼによるエストロンのエストラジオールへの変換によって、卵巣の顆粒膜細胞によって産生される。
【0023】
例えばPOR処置などにおける卵巣機能障害の回復は、処置後および処置前の血清E2レベル間の統計比較を使用して、例えば1週間、6週間、1カ月、3カ月、6カ月などの所定の時間間隔にわたる動物およびヒト対象における血清E2レベルを使用して評価され得る。
【0024】
本発明による組成物の投与後の基礎血清E2レベルの増加は、以下:FSH血清レベルの減少、AMH血清レベルの増加、および胞状卵胞数の増加のうちの少なくとも1つに加えて、処置有効性の正の徴候として考えられ得る。
【0025】
動物およびヒト対象の血液の血清中のエストラジオール(E2)の量は、酵素結合免疫吸着検査法(ELISA)技法を使用して測定されてもよい。
【0026】
AMHは、好ましくは、卵巣反応不良についての別のマーカーである。健康な非POR対象におけるAMHは、卵嚢(卵巣中の卵胞)の発達の際に細胞によって分泌される。2~6ng/mLの間のAMH血清レベルは正常と考えられる。1.1ng/mLを下回る血清AMHレベルは、PORをさらに示し得る。
【0027】
EnSC
子宮内膜は、月経の脱落後の1~2mmの厚さから月経周期の分泌期(すなわち、黄体期)において14mmの厚さに再成長し、出産後、およびエストラジオール補充療法に曝露された場合の閉経後の女性対象において完全に再生され得る。切除などの広範囲の医原性破壊的手順後でさえ、子宮内膜は、出血し続ける一部の女性対象において(女性対象の約25~75%において)再成長する。
【0028】
子宮内膜は、機能層および基底層の2つの層からなる。機能層は、緩い血管新生間質によって囲まれた腺の上3分の2を含む。それぞれの月経周期において新しい機能層の置き換えのための胚供給元である基底層は、腺、間質および大血管の下3分の1で構成される。機能層は、ホルモンレベルの変化から生じる月経血とともに毎月脱落し、月経後に迅速に再構築される。
【0029】
この大規模な再生能力は、子宮内膜が、組織の維持/再成長をサポートする幹細胞の土台を有することを示唆する。子宮内膜幹細胞(EnSC)は、最初は、基底層にのみ位置していると思われていた。新しい証拠は、子宮内膜の機能層中にいくつかの幹細胞が存在することを示している。
【0030】
EnSCは、細胞増殖性、長期培養能力、多系列分化能、および幹細胞マーカーの発現などの性質に基づいて特定されている。上皮前駆細胞、子宮内膜間葉系幹細胞(EnMSC)および内皮幹細胞の3種類の子宮内膜幹細胞が子宮内膜中に存在する。上皮前駆細胞集団は、基底層の残余腺内に位置する。CD146およびCD140b/PDGFRbを発現する子宮内膜幹細胞の亜集団は、好ましくは、子宮内膜間葉系幹細胞である。それらは、主に、機能層および基底層中の小血管の近くに位置する。
【0031】
上皮前駆細胞は、それらが月経血中に存在しないので、月経血から得ることはできない。上皮前駆細胞は、マーカーとしてのSSEA-1およびLGR5に対して陽性であることによって特徴付けられる。上皮前駆細胞は、FGF2およびEGFなどの成長因子を放出する。FGF2およびEGFなどの成長因子は、子宮内膜組織試料から同時単離された他の細胞の増殖に影響を及ぼす。
【0032】
子宮内膜組織試料は、好ましくは少なくとも基底層、最も好ましくは基底層および機能層を含む。子宮内膜組織試料は、好ましくは、対象の月経周期の分泌期からの新鮮な組織試料である。対象の月経周期の分泌期からの新鮮な組織試料は、組成物を著しく改善すると思われる。子宮内膜組織試料は、無菌条件で得ることができる。子宮内膜組織試料および由来する幹細胞は、好ましくは、膣微生物で汚染された月経血およびその由来する幹細胞と比較して汚染物質が少ない。子宮内膜組織試料は、好ましくは、月経血試料よりも壊死細胞のパーセンテージが低い。子宮内膜組織試料は、好ましくは、上皮前駆細胞、子宮内膜間葉系幹細胞(EnMSC)および内皮幹細胞を含む。子宮内膜間葉系幹細胞は、月経幹細胞よりも高い細胞増殖性を有する。上皮前駆細胞は、高い増殖率およびテロメラーゼ活性を有し、好ましくは、子宮内膜組織試料中のEnSCおよび子宮内膜組織試料に由来するEnMSCをサポートしている。増殖率およびテロメラーゼ活性を定量化するための方法は、例えば、hTERTなどのテロメアマーカーについてのリアルタイムPCR、および[12]において述べられた増殖についてのKI67染色である。子宮内膜組織に由来するEnMSCはまた、hTERTレベルの増加、したがってテロメラーゼ活性の増加を示し得る。子宮内膜組織試料取得の方法は、当技術分野において公知である。
【0033】
本発明において使用されるEnMSCおよびEnSCは、好ましくは、月経血に由来する月経幹細胞よりもむしろ子宮内膜組織に由来する子宮内膜幹細胞である。子宮内膜組織に由来するEnSCは、月経幹細胞と比較して、より高いテロメラーゼ活性、より低い壊死細胞パーセンテージ、低汚染物質および/またはより高い細胞増殖性を有し得る。月経幹細胞は、SOX2およびCD117マーカーに対して陽性である。さらに、EnSCは、少なくともSOX2およびCD117マーカーの非存在(陰性)によって、ならびに/または少なくともSUSD2、W5C5およびLGR5マーカーの存在(陽性)によって特徴付けられ得る。
【0034】
EnSCは、SUSD2、W5C5およびLGR5マーカーに加えて、SSEA4およびhTERTマーカーに対して陽性であることによって特徴付けられ得る。
【0035】
EnSCは、さらに、CD73、CD105、CD90、CD29、CD146、CD166、STRO1、LGR5(EnSC)、SSEA-4(EnSC)、h-TERT、SUSD2、N-カドヘリンおよびNanogマーカーに対して陽性、かつSOX2およびCD117マーカーに対して陰性であることによって特徴付けられ得る。
【0036】
EnMSCまたは組成物は、さらに、CD146、またはCD146およびPDGFRbマーカーに対して陽性であることよって特徴付けられ得る。
【0037】
EnMSCまたは組成物は、さらに、前記子宮内膜間葉系幹細胞がOct-4、CD146およびSTRO-1を発現することを特徴とし得る。
【0038】
EnMSCまたは組成物は、CD90、CD146およびCD105マーカーに対して陽性、かつCD34およびCD31マーカーに対して陰性であり得る。
【0039】
EnMSCは、さらに、少なくともSOX2およびCD117マーカーの非存在(陰性)によって、ならびに/または少なくともSUSD2、W5C5およびLGR5マーカーの存在(陽性)によって特徴付けられ得る。
【0040】
EnMSCは、さらに、SSEA4およびhTERTマーカーに対して陽性であることによって特徴付けられ得る。
【0041】
EnMSCは、容易にアクセス可能で、低コストであり、最小限の倫理的障害、低免疫原性および/または低腫瘍原性を有する。EnMSCの分化能力は、好ましくは、他の幹細胞の分化能力よりも高い。EnMSCは、例えば、他の間葉系幹細胞よりも良好に、軟骨形成、脂肪生成および骨形成系列にインビトロで分化し得る。
【0042】
EnMSCは、さらに、以下:プラスチック接着、線維芽細胞様であること、多系列分化能を有すること、古典的間葉系幹細胞表面マーカーの発現、および培養における安定な核型のうちの1つまたは複数によって特徴付けられる。
【0043】
EnMSCは、驚くべきことに、生殖細胞様の細胞を生じさせ、ならびに/または例えばAMH、FSHおよびエストラジオールなどのある特定のホルモン血清レベルを、非POR血清レベルに(正常な血清レベルの方へ)再確立させることが見出された。
【0044】
EnMSCは、好ましくは、自己である。自己は、POR対象由来を意味することが理解される。自己幹細胞移植は、対象から取り出され、同じ対象に戻し移植される、取り出しと移植との間に任意選択のバンキングを有する、幹細胞の移植である。
【0045】
方法
本発明は、さらに、子宮内膜幹細胞、特に間葉系幹細胞を含む組成物を作製するための方法であって、
a.平衡塩溶液に子宮内膜組織試料を浸漬するステップ;
b.ステップa.から得られた子宮内膜組織試料を緩衝生理食塩水溶液で洗浄するステップ;
c.刻まれた子宮内膜組織試料が生成するようにステップb.から得られた子宮内膜組織試料を刻むステップ;
d.上皮細胞および幹細胞を含む消化物が生成するようにステップc.から得られた刻まれた子宮内膜組織試料を消化するステップ;
e.ステップd.から得られた消化物を遠心分離するステップ;
f.ステップe.から得られた消化物を濾過により上皮細胞画分および幹細胞画分に分離し、任意選択でCD146および/またはCD105および/またはCD90などの特異的間葉系幹細胞マーカーを使用することによって幹細胞を選別するステップ;
g.培地中でステップf.からの子宮内膜間葉系幹細胞を培養するステップ;
h.フローサイトメトリーによる子宮内膜間葉系幹細胞の特性評価ステップであって、前記子宮内膜間葉系幹細胞が、CD90、CD146およびCD105マーカーに対して陽性、かつCD34およびCD31マーカーに対して陰性である、ステップ;
i.骨細胞および脂肪細胞への分化などの多分化能の性質による子宮内膜間葉系幹細胞の特性評価ステップ
を含む、方法に関する。
【0046】
子宮内膜間葉系細胞が調製される場合、CD146および/またはCD105および/またはCD90などの特異的間葉系幹細胞マーカーを使用することによって幹細胞を選別する任意選択のステップが適用される。
【0047】
子宮内膜幹細胞、好ましくは子宮内膜間葉系幹細胞を含む組成物を作製するための方法は、好ましくは、自己子宮内膜幹細胞を含む。
【0048】
組成物を作製するための方法のステップa.は、例えば移動培地として、平衡塩溶液に子宮内膜組織試料を浸漬することを含む。
【0049】
子宮内膜組織試料は、好ましくは、対象の月経周期の分泌期からの新鮮な組織試料である。
【0050】
平衡塩溶液は、好ましくはハンクス液であり、これは、0.5~4wt%のペニシリン、0.5~4wt%のストレプトマイシンおよび0.25~1.5wt%のアンフォテリシン、好ましくは1.75~2.25wt%のペニシリン、1.75~2.25wt%のストレプトマイシンおよび0.75~1.25wt%のアンフォテリシンを含む。ハンクス液についての代替物は、ダルベッコ改変イーグル培地:栄養混合物F12(DMEM/F12)(子宮内膜組織試料を得た後24時間)またはPBS(子宮内膜組織試料を得た後4~6時間)であり得る。
【0051】
組成物を作製するための方法のステップb.は、ステップaから得られた子宮内膜組織試料を緩衝生理食塩水溶液で洗浄することを含む。
【0052】
緩衝生理食塩水溶液は、好ましくはPBS緩衝リン酸生理食塩水であり、これは、0.5~4wt%のペニシリン、0.5~4wt%のストレプトマイシンおよび0.25~1.5wt%のアンフォテリシン、好ましくは1.75~2.25wt%のペニシリン、1.75~2.25wt%のストレプトマイシンおよび0.75~1.25wt%のアンフォテリシンを含む。PBS緩衝リン酸生理食塩水についての代替物は、無菌生理食塩水(例えば、NaCl 0.9wt%)またはDMEM/F12などの細胞培養培地であり得る。
【0053】
組成物を作製するための方法のステップc.は、刻まれた子宮内膜組織試料が生成するようにステップbから得られた子宮内膜組織試料を刻むことを含む。
【0054】
ステップc.における子宮内膜組織試料は、刻まれた子宮内膜組織試料が生成するように、例えば、メス、かみそりまたははさみを使用して刻まれ得る。
【0055】
組成物を作製するための方法のステップd.は、上皮細胞および幹細胞を含む消化物が生成するようにステップc.から得られた子宮内膜組織試料を消化することを含む。
【0056】
ステップd.における消化は、例えばコラゲナーゼAなどのタンパク分解性コラゲナーゼ1を用いて実施されてもよい。例えばコラゲナーゼAなどのコラゲナーゼ1による消化は、30~120分間、好ましくは35~90分間、より好ましくは45~75分間、最も好ましくは46~60分間であり得る。
【0057】
ステップd.における消化は、PBS緩衝リン酸生理食塩水中で実施されてもよく、これは、0.5~4wt%のペニシリン、0.5~4wt%のストレプトマイシンおよび0.25~1.5wt%のアンフォテリシン、好ましくは1.75~2.25wt%のペニシリン、1.75~2.25wt%のストレプトマイシンおよび0.75~1.25wt%のアンフォテリシンを含む。PBS緩衝リン酸生理食塩水についての代替物は、無菌生理食塩水(例えば、NaCl 0.9wt%)であり得る。
【0058】
例えばコラゲナーゼAなどのコラゲナーゼ1は、動物由来材料を含まない培養物から得られ得る。コラゲナーゼ調製物は、コラゲナーゼ、カゼイナーゼ、クロストリパインおよびトリプシンを含むいくつかのプロテアーゼの活性を含有する。コラゲナーゼAは、1型および2型コラゲナーゼに類似のタンパク分解活性のレベルを含有する。
【0059】
組成物を作製するための方法のステップe.は、ステップd.から得られた消化物を遠心分離することを含む。ステップe.における消化物は、室温(例えば、20℃)で、1~15分間、好ましくは2~10分間、最も好ましくは4~8分間、500~5000rpm、好ましくは800~1500rpm、最も好ましくは1000~1300rpmで遠心分離されてもよい。任意の好適な遠心分離機、例えばHettich Universal 320遠心分離機を使用することができる。遠心分離ステップにおいて使用される培地は、10wt%のFBSを有するDMEM/F12であってもよい。
【0060】
組成物を作製するための方法のステップf.は、消化物を濾過により上皮細胞画分および幹細胞画分に分離することを含む。
【0061】
濾過は、70μmおよび40μmの細胞ストレーナーによるか、または消化物の選別機としてFACS(蛍光標識細胞分取)システムを使用することによる消化物の濾過を含んでいてもよい。本発明により使用される細胞ストレーナーの例は、BD無菌細胞ストレーナー40ミクロン(BD 352340)およびBD無菌細胞ストレーナー70ミクロン(BD 352350)であり得る。
【0062】
ステップf.の後に、得られた幹細胞画分の例えば1200~1500rpm、室温で5分間の遠心分離を含むサブステップf2.が続いてもよい。
【0063】
70μmの第1の細胞ストレーナーは、細胞残屑および未消化組織を分離するために使用されてもよく、40μmの第2の細胞ストレーナーは、上皮細胞を分離するために使用されてもよい。
【0064】
組成物を作製するための方法のステップg.は、培地中でステップf.からの子宮内膜間葉系幹細胞を培養することを含む。
【0065】
ステップg.における子宮内膜間葉系幹細胞の培養は、インキュベーターにおいて、35~38℃、2~10%のCO2および95%の空気湿度で2週間、好ましくは37℃、5%のCO2および95%の空気湿度で2週間、最も好ましくは37℃で、培地中、5%のCO2および95%の空気湿度で2週間であり得る。
【0066】
子宮内膜間葉系幹細胞を含む組成物を作製するための方法では、ステップg.において、培地は、好ましくは、3日ごとに交換される。
【0067】
培養するステップg.における培地は、DMEM/F12、8~12wt%のFBS、および0.25~1.5wt%のペニシリン、0.25~1.5wt%のストレプトマイシン、好ましくは0.75~1.25wt%のペニシリン、0.75~1.25wt%のストレプトマイシンを含み得る。培養するステップg.における培地は、好ましくは、それが成長するために、血液および内皮細胞を阻害するか、またはそれらに好適ではない。
【0068】
細胞培養物が2倍になる培養時間は、49.9時間であり得る。増殖曲線の例を
図1に示す。
【0069】
子宮内膜間葉系幹細胞は、細胞が特性評価および投与される前に、1~8回、好ましくは2~5回、最も好ましくは3回継代され得る。ある特定の継代数、例えば3回の継代の後、子宮内膜間葉系幹細胞は、サイドポピュレーション細胞、内皮細胞または非増殖性細胞を過増殖させている可能性がある。例えば、3回の継代において、およびその後に、細胞培養物は均質である。
【0070】
組成物を作製するための方法のステップh.は、フローサイトメトリーにより、培養された幹細胞画分からの子宮内膜間葉系幹細胞を特性評価することを含み、前記子宮内膜間葉系幹細胞は、CD90、CD146およびCD105マーカーに対して陽性、かつCD34およびCD31マーカーに対して陰性である。
【0071】
特性評価は、フローサイトメーターを使用して実施することができる。
【0072】
ステップh.において、細胞は、10wt%のウシ胎仔血清(FBS)、0.25~1.5wt%のペニシリン、0.25~1.5wt%のストレプトマイシンおよび0.25~1.5wt%のアンフォテリシン、好ましくは0.75~1.25wt%のペニシリン、0.75~1.25wt%のストレプトマイシンおよび0.75~1.25wt%のアンフォテリシンを有するハンクス液中にあり得る。
【0073】
ステップh.の後に、1200~1500rpm、室温で5分間の遠心分離を含むサブステップh2.が続いてもよい。
【0074】
組成物を作製するための方法のステップi.は、骨細胞および脂肪細胞への分化などの多分化能の性質による子宮内膜間葉系幹細胞の特性評価を含む。
【0075】
骨細胞への分化などの多分化能の性質による子宮内膜間葉系幹細胞の特性評価は、アリザリンレッドS染色によって確認されてもよい。アリザリンレッドSは、カルシウム沈着について染色するために使用されるアントラキノン色素であり、これは、成熟骨細胞の指標である。
【0076】
脂肪細胞への分化などの多分化能の性質による子宮内膜間葉系幹細胞の特性評価は、オイルレッドO染色によって確認されてもよい。オイルレッドOは、脂質を強く染色する色素である。
【0077】
子宮内膜間葉系幹細胞を含む組成物を作製するための方法であって、
a.ハンクス液に子宮内膜組織試料を浸漬するステップ;
b.ステップa.から得られた子宮内膜組織試料を、ペニシリン、アンフォテリシンおよびストレプトマイシンを含むPBS緩衝リン酸生理食塩水溶液で洗浄するステップ;
c.刻まれた子宮内膜組織試料が生成するようにステップb.から得られた子宮内膜組織試料を刻むステップ;
d.上皮細胞および幹細胞を含む消化物が生成するように、タンパク分解性コラゲナーゼでステップb.から得られた子宮内膜組織試料を消化するステップ;
e.ステップd.から得られた消化物を遠心分離するステップ;
f.70μmおよび40μmの細胞ストレーナーを使用して、消化物を濾過により上皮細胞画分および幹細胞画分に分離するステップ;あるいはCD146および/またはCD105および/またはCD90などの特異的間葉系幹細胞マーカーを使用することによって幹細胞を選別するステップ;
g.インキュベーターにおいて、37℃で、培地中、5%のCO2および95%の空気湿度で2週間、ステップf.からの子宮内膜間葉系幹細胞を培養するステップ;
h.フローサイトメトリーによる子宮内膜間葉系幹細胞の特性評価ステップであって、前記子宮内膜間葉系幹細胞が、CD90、CD146およびCD105マーカーに対して陽性、かつCD34およびCD31マーカーに対して陰性である、ステップ;
i.骨細胞および脂肪細胞への分化などの多分化能の性質による子宮内膜間葉系幹細胞の特性評価ステップ
を含む、方法がさらに好ましい。
【0078】
製剤
卵巣反応不良の処置のための方法における使用のための子宮内膜間葉系幹細胞を含む組成物は、7.2~7.4の間のpHを有していてもよい。
【0079】
卵巣反応不良の処置のための方法における使用のための子宮内膜間葉系幹細胞を含む組成物は、以下:PBS溶液、自己血清、無菌生理食塩水(例えば、NaCl 0.9wt%)、または細胞培養培地、例えば、好ましくは7.2~7.4のpHの培養において使用されるDMEM/F12から選択される生理学的に適切な溶液を含んでいてもよく、好ましくは、溶液は、7.2~7.4のpHのPBS溶液である。
【0080】
生理学的に適切なPBS溶液の例は、7.4のpHの137mmol/LのNaCl、2.7mmol/LのKCl、10mmol/LのNa2HPO4および1.8mmol/LのKH2PO4を含む水溶液である。
【0081】
本発明による組成物は、50万~1000万細胞数/mL、好ましくは95万~800万細胞数/mL、最も好ましくは150万~650万細胞数/mLの濃度で子宮内膜間葉系幹細胞を含んでいてもよい。
【0082】
医薬としての使用のための本発明による組成物は、移植後最長で6か月まで、1.1ng/mLを上回るAMHの血清レベルの増加、および/またはそれぞれの卵巣における成熟卵胞数の増加、および/またはエストラジオール(E2)血清レベルの増加、および/またはFSH血清レベルの減少、および/または卵巣体積の増加、および/または胞状卵胞数の増加というその効果によって定義され得る。
【0083】
組成物の投与
本発明による組成物は、新鮮に、または凍結された後に投与され得る。投与がクライオ凍結後に起こる場合、解凍プロセス後の再培養が行われてもよい。再培養の間、細胞は、成長の対数期に達してもよく、次いで投与することができる。
【0084】
本発明による組成物は、動脈、卵巣動脈、卵巣内または少なくとも一方の卵巣に投与されてもよい。卵巣内に投与される場合、細胞は、好ましくは、例えば超音波誘導を使用して、膣を通して注射される。
【0085】
本発明による組成物は、好ましくは、1用量あたり50万~200万細胞数、好ましくは1用量あたり80万~130万細胞数の量で、1~5用量、好ましくは2~4用量投与される。
【0086】
バンキング
本発明は、本発明による子宮内膜幹細胞、特に子宮内膜間葉系幹細胞または組成物のバンキングのための方法にさらに関する。
【0087】
本発明は、本発明による子宮内膜間葉系幹細胞または組成物のバンキングのための方法であって、
a.対象から子宮内膜間葉系幹細胞を得ること;
b.例えば顕微鏡下で、細菌、酵母または真菌汚染についてチェックすること;
c.好ましくはGibcoのMycoTectキット(カタログ番号15672-017)を使用して、マイコプラズマについて子宮内膜間葉系幹細胞の試料を試験すること;
d.子宮内膜間葉系幹細胞が対数後期に達した後、5000000~20000000個細胞/mLで子宮内膜間葉系幹細胞を凍結培地に再懸濁させること;
e.50mLのFalconチューブ内、1000gで15分間、再懸濁された子宮内膜間葉系幹細胞を遠心分離すること;
f.遠心分離された子宮内膜間葉系幹細胞から上清を吸引し、凍結培地を添加し、均質になるまで細胞を粉砕すること;
g.ステップf.から得られた子宮内膜間葉系幹細胞の1mLをバイアルに等分し、バイアルを-20℃のフリーザーで、容器中、3時間凍結すること;
h.容器を-80℃のフリーザーに移し、終夜貯蔵すること;
i.液体N2タンク中のラックにおいて、ステップf.から得られたバイアルを翌日貯蔵すること
を含む、方法にさらに関する。
【0088】
本発明による子宮内膜幹細胞全般または組成物を同等の方法でバンキングする方法は、同様に、本発明の一部である。
【0089】
本発明による組成物は、添加剤などの組成物の前に言及された構成要素とは異なる任意選択の構成要素をさらに含んでいてもよく、前に言及された構成要素および任意選択の構成要素の合計は、総組成物の100wt%である。したがって、本発明は、前に言及された構成要素および任意選択の構成要素からなる組成物に関する。
【0090】
本発明が、本明細書に記載される特性のすべての可能な組み合わせに関すること、特に特許請求の範囲内に存在する特性の組み合わせが好ましいことに留意されたい。したがって、本発明による組成物に関する特性のすべての組み合わせ、本発明による方法に関する特性のすべての組み合わせ、ならびに本発明による組成物に関する特性および本発明による方法に関する特性のすべての組み合わせが本明細書に記載されていることが認識されるであろう。
【0091】
「含む(including)」、「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含有する(containing)」または「含む(involving)」という用語が他の要素の存在を排除しないことにさらに留意されたい。しかしながら、ある特定の構成要素を含む生成物/組成物に対する記載がこれらの構成要素からなる生成物/組成物も開示することも理解されるべきである。これらの構成要素からなる生成物/組成物は、生成物/組成物の調製のためのより単純でより経済的な方法を提供するという点で有利であり得る。同様に、ある特定のステップを含む方法に対する記載が、これらのステップからなる方法も開示することも理解されるべきである。これらのステップからなる方法は、より単純で、より経済的な方法を提供するという点で有利であり得る。
【0092】
値がパラメーターについての下限および上限について言及される場合、下限の値および上限の値の組み合わせによって作り出される範囲も開示されていると理解される。
【0093】
本発明は、以下の例によってここに明らかにするが、しかしながら、それらに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【
図1】7日間の細胞培養後のEnMSCについての増殖曲線。
【
図2】したがって、
図2は、(A)形態学的特徴およびヒトEnMSCの間葉系列へのインビトロ分化を示す。(a)ヒトEnMSC(継代3回)は、(b)アリザリンレッドSで染色される石灰化する細胞に分化している。(c)オイルレッドOで染色された脂肪細胞(スケールバー:50μm)。(B)間葉系幹細胞(CD90、CD105)、子宮内膜幹細胞(CD146)、造血性(CD34)、および内皮(CD31)マーカーについての単離されたヒトEnMSCにおけるフローサイトメトリー分析。青線は、CD31についてはアイソタイプ対照のIgG1により、ならびにCD105、CD90、CD146およびCD34についてはIgG2aにより得られたバックグラウンド蛍光を示す。
【
図3】したがって、
図3は、以下を示す。A:4つの異なるレチノイン酸(RA)濃度におけるヒトEnMSCの生殖細胞様の細胞への分化:a-3日間/RA 20μM後のヒトEnMSC、b-7日間/RA 15μM後の分化した細胞、c-7日間/RA 10μM後の分化した細胞、d-7日間/RA 5μM後の分化した細胞、e-7日間/RAなし後の対照細胞。B:10μmのRA誘導7日後の2D培地における生殖細胞発現マーカーについての免疫細胞化学的分析。細胞核をDAPIで染色した(スケールバーは100μmである)。
【実施例】
【0095】
EnMSC
非POR対象からのヒト子宮内膜組織試料を黄体期に採取した。ハンクス液に浸漬された機能層および基底層を含むヒト子宮内膜組織試料を、ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(2wt%のペニシリン、2wt%のストレプトマイシンおよび1wt%のアンフォテリシン)中で洗浄し、刻み、次いでコラゲナーゼ1、すなわちコラゲナーゼA(1mg/mL)を含有するハンクス平衡塩溶液(HBSS)中、撹拌しながら37℃で30~45分間消化した。次いで、得られた消化物を、Hettich Universal 320遠心分離機において遠心分離した。得られたペレットを、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で洗浄した。次いで、得られた遠心分離された上皮細胞および幹細胞を含む消化物を、70μMおよび40μMのストレーナー(BD Biosciences、米国、93070)に通過させるか、または選別して、腺上皮構成要素を除去した。子宮内膜幹細胞(EnSC)を、プラスチックフラスコ(25cm
2)中、10wt%のウシ胎仔血清(FBS)、1wt%の抗生物質のペニシリン、1wt%のストレプトマイシンを有するDMEM/F12培地中で培養し、次いで加湿チャンバー(5%のCO
2および95%の空気湿度)において37℃でインキュベートし、コンフルエンスまで複製させた(
図1)。フローサイトメトリー分析を、間葉系幹細胞(CD90、CD105)、子宮内膜幹細胞(CD146)、造血性(CD34)、および内皮(CD31)マーカーについて得られたヒトEnMSCにおいて行った。形態学的に特性評価し、ヒトEnMSC(
図2Aの(a))の間葉系列へのインビトロ分化を示すために、ヒトEnMSC(継代3回後)を、石灰化する細胞への分化を示すアリザリンレッドで染色し(
図2Aの(b))、脂肪細胞への分化を示すオイルレッドOで染色した(
図2Aの(c))。
【0096】
骨形成分化:子宮内膜間葉系幹細胞を、10%のFBSを有するDMEM中で、拡大増殖および継代した。骨形成分化は、1cm2あたり2×104個細胞でEnMSCを播種することによって3回目の継代細胞において誘導し、細胞をコンフルエンスに達するようにし、次いでさらに24時間インキュベートした。次いで、培地を、10%のFBSと、10mMのβ-グリセロホスフェート、0.1μMのデキサメタゾンおよび200μMのアスコルビン酸-2-ホスフェートとが補充されたDMEM/F12を含有する分化培地に交換した。分化培地を、3~4日ごとに21日間交換した。
【0097】
アリザリンレッドS染色:細胞を、PBSで洗浄し、10%(v/v)のホルムアルデヒド中で固定した。15分後、アリザリンレッドS 2%(pH4.1)をそれぞれのフラスコに添加した。フラスコを、室温で20分間インキュベートし、次いでそれらを、dH2Oで4回、5分間振とうして洗浄した。石灰化したECMの分泌が、アリザリンレッドS染色による赤色の小結節として観察された。
【0098】
脂肪生成分化:子宮内膜の全単離物に由来する細胞を、10%のFBSを有するDMEM中で、拡大増殖および継代した。脂肪生成分化は、1cm2あたり2×104個細胞でEnMSCを蒔くことによって3回目の継代細胞において誘導し、細胞をコンフルエンスに達するようにし、次いでさらに24時間インキュベートした。次いで、培地を、10%のFBSとインスリン(10g/ml)、デキサメタゾン(1M)、インドメタシン(200M)およびイソブチルメチルキサンチン(0.5mM)が補充されたDMEM/F12を含有する分化培地に交換した。分化培地を、3~4日ごとに21日間交換した。
【0099】
オイルレッドO染色:オイルレッドO染色を使用して、分化細胞中の脂質の存在を確認した。細胞を、PBSで洗浄し、PBS中の2%のパラホルムアルデヒド、0.2%のグルタルアルデヒド中で15分間固定し、次いでPBSですすいだ。次いで、それらをオイルレッドO(イソプロパノール中で再構成)で10分間染色し、60%のイソプロパノール、続いてPBS中ですすいだ。脂肪滴は、光学顕微鏡下、赤色で可視化された。
【0100】
インビトロモデル
例えば卵形成/卵巣機能の再生(例えば、卵母細胞の発達ならびに/またはエストラジオールおよびAMHなどのホルモン分泌)のためのヒトEnMSCの生殖細胞様の細胞への分化。
ヒト子宮内膜間葉系幹細胞を、培養培地中、37℃、95%の空気湿度および5%のCO
2で7日間のインキュベーションにより分化するように誘導した。培養培地は、10wt%のFBS、1wt%のペニシリン、1wt%のストレプトマイシン、ならびに4つの異なる濃度:5、10、15および20μM(
図B3b~e)のレチノイン酸(RA)(Invitrogen、USA)を有するDMEM(Invitrogen、USA)であった。ヒトEnMSCを、他の4試料と同じ時間分化誘導因子としてのRAなしのDMEM中で培養した対照群を調製した(
図B3f)。培養において、DMEM培地を1日おきに交換した。7日後、培養されたヒトEnMSCは、DAPI、DAZLおよびDDX4について染色する免疫蛍光法によって、生殖細胞様の細胞に分化することを示した(
図3A)。
【0101】
インビボモデル
本発明による組成物を、PORラットモデルにおけるPORを処置する方法において使用した。加えて、ブランク(すなわち、+または陽性)および陰性対照を実行した。
【0102】
ラットを以下の3つの群に無作為に割り当てた。
・PORラット群(表1において幹細胞移植群と呼ばれる)(n=10)。PORラットモデルを、初日の200mg/kgのシクロホスファミド(CTX)のラットへの腹腔内注射、および次いで15日連続して8mg/kg/日の腹腔内注射によって確立した。PORラットモデルを確立してから2週間後、PORラットに、EnMSC(100μL、1×106/mLの濃度)を含むヒトEnSCを含む組成物をマイクロインジェクターで尾静脈内に注射した。
・ブランク対照群(表1において対照+と呼ばれる)(n=10)。これらは、非PORラット、すなわちPORラット群のPORラットモデル確立後2週間、どんな処置も施さない正常なラットであった。
・PORラットモデルの陰性対照群(表1において対照-と呼ばれる)(n=10)。PORラットモデルを、初日の200mg/kgのシクロホスファミド(CTX)のラットへの腹腔内注射、および次いで15日連続して8mg/kg/日の腹腔内注射によって確立した。PORラット群のPORラットモデル確立後2週間、処置を施さなかった。
【0103】
処置の1週間および6週間後、血清FSH、エストラジオール(E2)およびAMH血清レベルを測定した。MSC処置は、PORラットにおいて、非POR、例えばFSH、エストラジオール(E2)およびAMHの正常な血清レベルの再確立をもたらした。
【0104】
EnMSCを含む組成物によるPORラットの処置は、処置なしのPORラットと比較して、血清FSHの血清レベルの減少をもたらした。MSCによるPORラットの処置は、処置なしのPORラットと比較して、血清AMHおよびエストラジオールの血清レベルの増加をもたらした。
【0105】
臨床データ
以下の参加基準を満たす女性ヒト対象(本明細書の以下で対象と呼ぶ)を採用する:卵巣反応不良と診断された、20IU/Lを上回る血清FSHレベルまたは1ng/mL未満のAMH血清レベル、男性不妊症の証拠なし、正常な核型、IVF失敗歴または以前の乏しい反応を有する、従来の卵巣刺激プロトコール後に的確に3以下の卵母細胞。さらに、対象は、以下の除外基準を有さなかった:原発性無月経、異常核型(例えば、ターナー症候群、脆弱X症候群)、甲状腺機能障害、重度の子宮内膜症、妊娠の禁忌、卵巣がんの以前の個人歴、乳がんの以前の個人歴、重度の薬物アレルギーまたはアレルギー体質の病歴、自己免疫疾患、重度の家族遺伝性疾患の病歴、HIV+、B型肝炎+、C型肝炎+、精神疾患、情報伝達の障害、およびアルコールまたは他の薬物の乱用。本発明による自己EnMSCを含む組成物を対象に卵巣内投与する。
【0106】
対象は、下記の改善のうちの少なくとも1つを示す:
・本発明による組成物の投与(移植)後最長で6カ月、1ng/mLを上回る(好ましくは最高で2.5ng/mL)AMHの血清レベルの増加;
・移植後最長で6カ月、それぞれの卵巣における成熟卵胞数の増加;
・移植後最長で6カ月、30pg/mLを上回るエストラジオール(E2)血清レベルの増加;
・移植後最長で6か月、卵胞刺激ホルモン(FSH)血清レベルの減少;
・移植後最長で6カ月、卵巣体積の増加;
・移植後最長で6カ月、3~6への胞状卵胞数の増加。
【0107】
言及されるデータはすべて、臨床試験の間に収集されるが、言及された基準のうちの1つの改善は、この薬物療法に対する正の卵巣反応を示し得る。
【0108】
より具体的には、自己子宮内膜幹細胞療法を受けている2人のPOR患者の臨床データは以下を提示する。
【0109】
1-方法
POR(卵巣反応不良)の最終診断を有する患者を除外基準および参加基準(表1)に従って選択した(表2)。
【表1】
【表2】
【0110】
患者は、表2に従って、右卵巣(より大きい卵巣)に自己子宮内膜間葉系幹細胞の卵巣内注射を受けた。
【表3】
【0111】
2-結果
1か月後、患者を表4および5に従って追跡した。
【表4】
【表5】
【0112】
細胞移植の6か月後、最終結果を、表6に従って、この患者についての初期値と比較した。
【表6】
【0113】
参考文献
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【国際調査報告】