(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-17
(54)【発明の名称】デバイス用コーティング
(51)【国際特許分類】
A61L 29/08 20060101AFI20230510BHJP
A61L 29/12 20060101ALI20230510BHJP
A61L 29/10 20060101ALI20230510BHJP
A61L 31/12 20060101ALI20230510BHJP
A61L 31/10 20060101ALI20230510BHJP
A61L 31/08 20060101ALI20230510BHJP
A61L 29/06 20060101ALI20230510BHJP
A61L 31/06 20060101ALI20230510BHJP
A61L 27/18 20060101ALI20230510BHJP
A61L 27/30 20060101ALI20230510BHJP
A61L 27/34 20060101ALI20230510BHJP
A61L 27/50 20060101ALI20230510BHJP
A61L 29/16 20060101ALI20230510BHJP
A61L 31/16 20060101ALI20230510BHJP
A61L 27/54 20060101ALI20230510BHJP
A61M 1/00 20060101ALN20230510BHJP
【FI】
A61L29/08 100
A61L29/12
A61L29/10
A61L31/12
A61L31/10
A61L31/08
A61L29/06
A61L31/06
A61L27/18
A61L27/30
A61L27/34
A61L27/50 300
A61L29/16
A61L31/16
A61L27/54
A61M1/00 160
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022560467
(86)(22)【出願日】2021-04-01
(85)【翻訳文提出日】2022-11-28
(86)【国際出願番号】 EP2021058766
(87)【国際公開番号】W WO2021198495
(87)【国際公開日】2021-10-07
(32)【優先日】2020-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522389841
【氏名又は名称】トラクティヴス ソシエダ リミタダ
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】テクスィド バルテス、ロベルト
(72)【発明者】
【氏名】ジラベルト ポレス、ジョアン
(72)【発明者】
【氏名】ボロス、ゴメス、サルバドール
【テーマコード(参考)】
4C077
4C081
【Fターム(参考)】
4C077AA19
4C077DD21
4C077EE04
4C077KK09
4C077PP14
4C077PP16
4C081AB13
4C081AB15
4C081AC07
4C081AC08
4C081BA14
4C081BB05
4C081CA152
4C081CA211
4C081CA271
4C081CC01
4C081CE02
4C081CG07
4C081DA03
4C081DC04
4C081EA06
(57)【要約】
本発明は、デバイス用のコーティングに関し、コーティングは、重合フィルムを含み、重合フィルムは、ドーパミンまたはその塩、及び少なくとも1つのアミノ酸またはその塩を含む重合溶液から形成される重合生成物と、重合フィルム上に形成される金属層と、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デバイス用コーティングであって、前記コーティングは、
重合フィルムであって、前記重合フィルムが、ドーパミンまたはその塩、及び少なくとも1つのアミノ酸またはその塩を含む重合溶液から形成される重合生成物を含む、前記重合フィルムと、
前記重合フィルム上に形成された金属層と、を含む、前記デバイス用コーティング。
【請求項2】
コーティングされたデバイスであって、
デバイスと、
前記デバイスの表面の少なくとも一部上に、請求項1に記載のコーティングと、を含む、前記コーティングされたデバイス。
【請求項3】
デバイス上にコーティングを形成する方法であって、
a.前記デバイスの表面の少なくとも一部を、ドーパミンまたはその塩、及び少なくとも1つのアミノ酸またはその塩を含む重合溶液に曝露することと、
b.前記デバイスの表面の少なくとも一部上に重合フィルムを形成するように、前記重合溶液を重合することと、
c.前記重合フィルム上に金属層を形成するように、前記重合フィルムを、金属イオンを含む溶液に曝露することと、を含む、前記方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つのアミノ酸が、リジン、ヒスチジン、グリシン、セリン、アルギニン、ロイシン、アスパラギン、グルタミン酸、アラニン、チロシン、及びプロリンの列挙から選択された少なくとも1つのアミノ酸を含む、請求項1に記載のコーティング、請求項2に記載のコーティングされたデバイス、または請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つのアミノ酸が、リジン及びグリシンのうちの少なくとも1つを含む、請求項1もしくは請求項4に記載のコーティング、請求項2もしくは請求項4に記載のコーティングされたデバイス、または請求項3もしくは請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つのアミノ酸が、リジンを含む、請求項1、4もしくは5のいずれか1項に記載のコーティング、請求項2、4もしくは5のいずれか1項に記載のコーティングされたデバイス、または請求項3~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記金属層が、連続的である、請求項1もしくは4~6のいずれか1項に記載のコーティング、請求項2もしくは4~6のいずれか1項に記載のコーティングされたデバイス、または請求項3~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記金属層が、0.2mg/cm
2以上の量で存在する、請求項1もしくは4~7のいずれか1項に記載のコーティング、請求項2もしくは4~7のいずれか1項に記載のコーティングされたデバイス、または請求項3~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記金属層が、銀を含む、請求項1もしくは4~8のいずれか1項に記載のコーティング、請求項2もしくは4~8のいずれか1項に記載のコーティングされたデバイス、または請求項3~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記金属層が、20nm以上の表面粗さ、Ra及び/または25nm以上の表面粗さ、Rqを有する、請求項1もしくは4~9のいずれか1項に記載のコーティング、請求項2もしくは4~9のいずれか1項に記載のコーティングされたデバイス、または請求項3~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記金属層が、100°以上の水接触角を有する、請求項1もしくは4~10のいずれか1項に記載のコーティング、請求項2もしくは4~10のいずれか1項に記載のコーティングされたデバイス、または請求項3~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記重合溶液のpHが、7~12である、請求項1もしくは4~11のいずれか1項に記載のコーティング、請求項2もしくは4~11のいずれか1項に記載のコーティングされたデバイス、または請求項3~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記デバイスの前記表面の少なくとも一部が、重合体から形成される、請求項2もしくは4~12のいずれか1項に記載のコーティングされたデバイス、または請求項3~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記デバイスの前記表面の少なくとも一部が、シリコーン重合体またはポリウレタンから形成される、請求項13に記載のコーティングされたデバイス、または請求項13に記載の方法。
【請求項15】
請求項3~14のいずれか1項に記載の方法によって取得可能なコーティングされたデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調整された特性を有することができるデバイス用コーティングに関する。本発明はまた、該コーティング及びデバイス上にコーティングを形成するための方法を含むコーティングされたデバイスも提供する。
【背景技術】
【0002】
院内感染(HAI)は、世界的に主要な死亡原因を表す。全ての患者が、HAIに感染する可能性があるが、基礎疾患、埋め込まれた医療デバイス、注射、伝染性疾患、または直近の手術が、HAIの機会を増加させる。現在、全入院の約5~10%が、あるタイプのHAIをもたらす。これが、米国及び欧州連合において年間約500万人の患者に影響を与える。院内感染は、年間21万人の患者を抱える米国において4番目の主要な死亡原因である。HAIに対する治療には、米国において年間280~450億ドルがかかると推定される。
【0003】
HAIの約70%は、セントラルライン関連の血流感染症(11%)、カテーテル-関連のUTI(36%)、人工呼吸器関連の肺炎(11%)、及び外科部位感染症(20%)を含む、埋め込み可能な医療デバイスのコロニー形成によって直接的に引き起こされると推定される。
【0004】
具体的には、尿導カテーテル、中心静脈カテーテルなどの静脈カテーテル、気管ステント、モンゴメリチューブ、及び気管内チューブは、コロニー形成されやすい。これらのタイプのデバイスは全て、患者に埋め込まれた円筒形のチューブを含む。
【0005】
これらのデバイスの埋め込みは、抗生物質耐性細菌、真菌、ウイルス、及び他の病原体によって、チューブの内部表面における細菌感染につながり得る。これは、例えば、血流における感染症、肺炎、尿路感染症、髄膜炎、または胃腸炎を引き起こす可能性がある。
【0006】
本発明は、調整された特性、一例が細菌に対して調整された耐性である、を有し得る表面を有するコーティングを提供することによって、これらの問題に対処することができる。本発明のコーティングのこれらの調整された特性は、本発明のコーティングの金属層の表面構造をもたらし得る。本発明のコーティングの金属層の表面構造は、重合フィルム内の成分によって影響され得る。これらは、金属層が形成される条件によってさらに影響され得る。
【0007】
本発明は、デバイス用のコーティングを提供し、コーティングが重合フィルムを含み、重合フィルムがドーパミンまたはその塩、及び少なくとも1つのアミノ酸またはその塩を含む溶液から形成される重合生成物、及び重合フィルム上に形成される金属層を含む。
【0008】
本発明はまた、デバイスを備えるコーティングされたデバイス、及びデバイスの表面の少なくとも一部上に本明細書に記載されるようなコーティングを提供する。
【0009】
ドーパミン含有重合溶液中に少なくとも1つのアミノ酸またはその塩が存在することは、重合フィルム上に形成される金属層の特性に影響を与えることが見出されている。例えば、少なくとも1つのアミノ酸またはその塩の存在は、エラストマーデバイスなどの可撓性基材に好適である、安定的かつ連続的な金属層の生成を支援することができ、かつ細菌に対する金属層の耐性にも影響を与えることできることが見出されている。具体的には、連続的な本発明の金属層は、良好な耐細菌性を有することが見出されている。
【0010】
加えて、重合フィルムの形成中に、重合溶液中の少なくとも1つのアミノ酸またはその塩の量を変化させることで、重合フィルム上に形成される金属層の異なる特性をもたらし、コーティングの特性を調整するためのさらなる能力を提供し得る。具体的には、重合フィルムの形成中に少なくとも1つのアミノ酸またはその塩を、0.001mg/mL~10mg/mLの濃度で重合溶液中に提供することは、特に望ましい耐細菌特性を有する金属層をもたらすことが見出されている。かかる有益な効果は、10mg/mLの濃度を上回るほど顕著ではない場合がある。
【0011】
上述のように、重合フィルムは、ドーパミンまたはその塩、及び少なくとも1つのアミノ酸またはその塩を含む溶液から形成される。この結果、重合フィルムは、少なくとも1つのアミノ酸、またはその塩を含む、ポリドーパミンであり得る。
【0012】
本発明とともに使用され得るデバイスの幾何学形状は、特に限定されない。しかしながら、本発明は、円筒形状(例えば、チューブ)などの内部領域を有するデバイスに特に有用であることが見出されている。本発明のアプローチを使用して、これらの到達困難な面積に調整されたコーティングを提供することができる。
【0013】
本発明のデバイスは、医療デバイスであり得る。本明細書において、医療デバイスは、医療目的で使用されることを意図する任意のデバイスであり得る。例えば、医療デバイスは、埋め込み可能な医療デバイス、すなわち、患者の体内に永久的にまたは一時的に設置されることが意図されるデバイスであり得る。埋め込み可能な医療デバイスは、ステント、カテーテル、またはチューブの形態の別のデバイスであり得る。具体的には、埋め込み可能な医療デバイスは、尿導カテーテル、中心静脈カテーテルなどの静脈カテーテル、気管ステント、モンゴメリチューブ、または気管内チューブであってもよい。概して、本発明の埋め込み可能な医療デバイスは、医療デバイスの外部の環境と流体、具体的には液体で連通している実質的に内部表面を備える、埋め込み可能な医療デバイスであり得る。かかる内部表面は、本発明によって提供される特性の調整が可能なことから特に利益を受けるであろう。
【0014】
コーティングは、デバイスの表面の少なくとも一部上に存在する。コーティングは、デバイスの外部の環境と流体連通しているデバイスの全ての表面上に存在し得る。このようにして、コーティングの利益は、外部環境に曝露される全ての表面上で達成される。
【0015】
コーティングが形成される表面は、任意の材料で作製され得る。例えば、表面は、金属表面または重合表面であってもよい。重合表面は、シリコーン、ポリウレタン、及びラテックスを含む。例えば、重合表面は、ポリジメチルシロキサンであり得る。
【0016】
コーティングされた表面は、可撓性であり得る。本発明のコーティングは、特に可撓性基材に好適である。本明細書で使用される場合、可撓性という用語は、5GPa未満、または3GPa未満、または2GPa未満、好ましくは、1GPa未満、及び最も好ましくは、0.5GPa未満のヤング率を有する材料を指すことができる。
【0017】
重合フィルムは、ドーパミンまたはその塩、及び少なくとも1つのアミノ酸またはその塩を含む重合溶液から形成された重合生成物を含む。重合生成物は、重合溶液が、ドーパミンの重合に好適な条件に曝露されたときに重合溶液から形成される生成物である。重合溶液は、0.001mg/mL以上の少なくとも1つのアミノ酸またはその塩を含み得る。重合溶液は、0.01mg/mL以上の少なくとも1つのアミノ酸またはその塩を含み得る。重合溶液は、0.1mg/mL以上の少なくとも1つのアミノ酸またはその塩を含み得る。重合溶液は、1mg/mL以上の少なくとも1つのアミノ酸またはその塩を含み得る。理論に拘束されることを望むものではないが、重合溶液中の少なくとも1つのアミノ酸またはその塩の濃度が高いほど、得られる重合フィルム及び金属層の特性へのその影響が大きいと考えられる。
【0018】
重合溶液は、50mg/mL以下の少なくとも1つのアミノ酸またはその塩を含み得る。重合溶液は、20mg/mL以下の少なくとも1つのアミノ酸またはその塩を含み得る。重合溶液は、10mg/mL以下の少なくとも1つのアミノ酸またはその塩を含み得る。重合溶液は、8mg/mL以下の少なくとも1つのアミノ酸またはその塩を含み得る。重合溶液は、6mg/mL以下の少なくとも1つのアミノ酸またはその塩を含み得る。重合溶液は、4mg/mL以下の少なくとも1つのアミノ酸またはその塩を含み得る。重合溶液は、2mg/mL以下の少なくとも1つのアミノ酸またはその塩を含み得る。重合溶液は、1mg/mL以下の少なくとも1つのアミノ酸またはその塩を含み得る。少なくとも1つのアミノ酸またはその塩の濃度が低いと、得られるコーティングの特性に最も有効な影響を与える領域に使用される少なくとも1つのアミノ酸またはその塩の量を制限する。
【0019】
重合溶液は、10mg/mL以下の少なくとも1つのアミノ酸またはその塩を含み得る。重合溶液は、0.001mg/mL以上及び10mg/mL以下の少なくとも1つのアミノ酸またはその塩を含み得る。重合溶液は、0.2mg/mL以上及び10mg/mL以下の少なくとも1つのアミノ酸またはその塩を含み得る。理論に拘束されることを望むものではないが、重合中に0.001mg/mL以上10mg/mL以下、特に0.2mg/mL以上の濃度で重合溶液中に少なくとも1つのアミノ酸またはその塩が存在することは、使用される少なくとも1つのアミノ酸の総量を制限しながら、得られる重合フィルムの特性に影響を与えることが見出された。
【0020】
重合溶液は、10mg/mL以下のドーパミンまたはその塩を含み得る。重合溶液は、0.7mg/mL以上のドーパミンまたはその塩を含み得る。重合溶液は、0.7mg/mL以上及び10mg/mL以下のドーパミンまたはその塩を含み得る。
【0021】
ドーパミンまたはその塩、及び少なくとも1つのアミノ酸またはその塩の量に関して、ドーパミン対少なくとも1つのアミノ酸のモル比は、50:1~1:50、好ましくは、10:1~1:10の範囲内、好ましくは、5:1~1:5の範囲内、最も好ましくは2:1~1:2の範囲内であるか、またはこれらの範囲内であってもよい。ドーパミン対少なくとも1つのアミノ酸のモル比は、50:1~1:10、または50:1~1:5、または50:1~1:2の範囲内であることが好ましい場合がある。ドーパミン対少なくとも1つのアミノ酸のモル比は、50:1~2:1、または50:1~10:1の範囲内であることが特に好ましい場合がある。
【0022】
少なくとも1つのアミノ酸の量を指す場合、これは、存在するアミノ酸の総量を指す場合もあれば、1つの特定のアミノ酸、例えば、リジンのみを指す場合もある。
【0023】
重合溶液は、緩衝液をさらに含み得る。重合溶液は、溶媒中のドーパミンまたはその塩、少なくとも1つのアミノ酸またはその塩、及び緩衝液からなるか、またはそれらから本質的になることができる。緩衝液は、トリス(ヒスロキシメチル)アミノメタン(Tris)、[トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ]プロパンスルホン酸(TAPS)、2-(ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ)酢酸(Bicine)、N-[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]グリシン(Tricine)、3-[N-トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ]-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸(TAPSO)、4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸(HEPES)、2-[[1,3-ジヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)プロパン-2-イル]アミノ]エタンスルホン酸(TES)、または3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)であり得る。具体的には、緩衝液は、トリスであり得る。重合溶液は、1mmol/L以上及び100mmol/L以下の濃度の緩衝液を含み得る。
【0024】
重合溶液は、ドーパミンの塩または遊離塩基を含み得る。ドーパミン塩は、塩酸ドーパミンであってもよい。
【0025】
ドーパミンまたはその塩の重合は、当該技術分野で既知の任意の重合プロセスによって生じ得る。例えば、ドーパミンの重合は、酸化重合であってもよい。ドーパミンの酸化重合は、重合溶液をアルカリ性にすることによって達成され得る。ドーパミンの酸化重合は、重合溶液のpHを7~12、好ましくは、8~9に調整することによって達成され得る。酸化重合中にデバイスの表面の一部が溶液中に存在するとき、フィルムは、表面のその部分上に形成されることになる。重合は、4~36時間の間で進めることが可能であり得る。重合は、任意の好適な温度、具体的には、15℃以上及び/または80℃以下、例えば、25℃で行われ得る。容易には、重合は、室温で生じ得る。本明細書に記載されるように、室温は、20℃であり得る。
【0026】
得られた重合フィルムは、2,000nm以下の厚さを有し得る。重合フィルムは、1,000nm以下の厚さを有し得る。重合フィルムは、800nm以下の厚さを有し得る。重合フィルムは、500nm以下の厚さを有し得る。重合フィルムは、250nm以下の厚さを有し得る。より薄い重合フィルムは、より厚い重合フィルムよりも、より迅速に形成され得、より少ない材料を必要とし得る。重合フィルムは、1nmを超える厚さを有し得る。
【0027】
少なくとも1つのアミノ酸またはその塩は、少なくとも1つのタイプのタンパク質原性アミノ酸またはその塩であり得る。実際、本発明の少なくとも1つのアミノ酸またはその塩は、Mytildus edulis footタンパク質-5(Mefp-5)中に存在する少なくとも1つのタンパク質原性アミノ酸、またはその塩からなり得、Mefp-5は、セリン、グルタミン酸、リジン、グリシン、プロリン、アスパラギン、アラニン、ヒスチジン、及びアルギニンを含む。好ましくは、少なくとも1つのアミノ酸またはその塩は、リジンもしくはその塩、またはグリシンもしくはその塩を含む。本発明は、少なくとも1つのアミノ酸またはその塩がリジンまたはその塩を含むときに特に有効であり得る。少なくとも1つのアミノ酸またはその塩は、リジンまたはその塩からなり得る。
【0028】
ドーパミンまたは少なくとも1つのアミノ酸の塩は、独立して、任意の塩であり得る。例えば、ドーパミンまたは少なくとも1つのアミノ酸の塩は、無機酸塩(例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩)、スルホン酸塩(例えば、メシル酸塩、エシル酸塩、イセチオン酸塩、トシル酸塩、ナプシル酸塩)、またはカルボン酸塩(例えば、酢酸塩、プロピオン酸塩、マレイン酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩、フマル酸塩)であり得る。少なくとも1つのアミノ酸またはその塩は、少なくとも1つのアミノ酸の塩酸塩を含み得る。例えば、少なくとも1つのアミノ酸またはその塩は、リジン塩酸塩からなり得る。
【0029】
ムール貝タンパク質Mefp-5は、その高い3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン含有量から生じる顕著な付着特性を有する。理論に拘束されることを望むものではないが、本発明の発明者らは、アミノ酸3,4-ジヒドロキシフェニルアラニンまたはその塩に構造的に類似するドーパミンの重合生成物の特性はまた、重合溶液中のMefp-5タンパク質からの少なくとも1つのアミノ酸またはその塩の含有によっても影響を受け得ると考える。
【0030】
上述したように、リジンは、特に好ましい。驚くべきことに、重合フィルムを形成する重合溶液中にリジンまたはグリシンを含有することが、重合フィルム上にその後形成され得る金属コーティングの量を増加させることが見出された。リジン及びグリシンの含有は、その後の金属コーティングの表面形態に影響を与える可能性があることもまた見出された。したがって、リジン及びグリシンなどの重合溶液中のアミノ酸の存在は、得られた重合フィルム上の後続の金属コーティングの最終的な特性に影響を与えることが見出された。
【0031】
リジンの組み込みを使用して、金属コーティングと細菌との相互作用に影響を与え得ることがさらに見出された。具体的には、リジンの増加量は、金属層上の細菌コロニー形成に対するより大きな耐性と関連付けられる。
【0032】
理論に拘束されることを望むものではないが、細菌耐性特性における変化は、処理された表面に付着し、コロニー形成する細菌の能力における変化に起因して生じると考えられる。細菌耐性特性における変化は、基準表面に対して測定することができる。基準表面は、重合中に少なくとも1つのアミノ酸またはその塩の不在下で形成される等価表面であってもよい。細菌の付着に十分な耐性を有する表面は、細菌忌避性と称され得る。
【0033】
本発明の細菌忌避性表面は、基準表面に対して評価され得、例えば、本発明の表面は、細菌付着のインビトロアッセイ後の基準表面よりも少ない数のコロニー形成単位(CFU)を有し得る。かかる基準表面は、重合溶液が少なくとも1つのアミノ酸またはその塩を含まないことを除いて、本発明の金属層であり得る。代替的に、基準表面は、ポリジメチルシロキサン(PDMS)であってもよい。
【0034】
本発明と関連付けられる調整された細菌耐性特性は、本明細書では医療デバイスとして称される医療分野において利用されるデバイスに対して有用である。本発明を利用する医療デバイスは、HAIの発生の数における減少に寄与することができる。
【0035】
上述したように、重合フィルムは、デバイスの少なくとも一部上に形成され得る。次いで、デバイスのこの部分は、本発明に沿った後続の処理によって付与される、細菌耐性特性などの調整された特性から利益を得ることになる。このようにして、耐細菌性などの特性を、これらの特性から最も利益を受けるであろうデバイスの領域に調整することが可能である。例えば、カテーテルの場合、カテーテルのチューブの内部表面は、細菌のコロニー形成に特に影響を受けやすいため、本発明の重合フィルム及び金属層で可能な細菌耐性特性から特に利益を受ける。重合フィルムは、デバイスの少なくとも一部上に形成され得、その部分は、チューブの内部表面(例えば、ステント及びカテーテルのチューブ)などのデバイスの外部環境と連通している実質的な内部表面である。実質的に医療機器の内部表面は、多くの場合、流体を輸送するために使用されるため、特に細菌のコロニー形成のリスクがある。
【0036】
重合フィルムは、その部分が基材の外部表面である、デバイスの表面の少なくとも一部上に形成されてもよい。デバイスの外部表面は、チューブ、ステント、またはカテーテルの外側表面であり得る。チューブ、ステント、またはカテーテルの外側は、デバイスが埋め込まれる組織と直接物理的に接触している。したがって、組織と直接物理的に接触する表面上で細菌のコロニー形成に起因するHAIのリスクがある。したがって、本発明で可能な細菌耐性特性は、これらの表面に特に適し得る。
【0037】
重合フィルムは、デバイスの全ての表面上に形成されてもよい。これにより、デバイス全体に細菌耐性特性などの調整された特性を形成する能力が提供され、HAIの低減に寄与することができる。
【0038】
金属層は、全ての重合フィルム上にあってもよく、またはフィルムの一部上にのみあってもよい。金属層がフィルムの一部上に形成されている場合、フィルムのこの部分は、本発明により可能な細菌耐性特性などの調整された特性から利益を得ることになる。このようにして、これらの特性から最も利益を得ることになるデバイスの領域に特性を調整することが可能である。例えば、カテーテルの場合、カテーテルのチューブの内部表面は、細菌のコロニー形成に特に影響を受けやすいため、本発明により可能となる金属層の細菌耐性特性から特に利益を得る。金属層は、重合フィルムの少なくとも一部上に形成され得、この部分は、基材の外部表面と連通している基材の実質的な内部表面上にある。例えば、実質的な内部表面は、チューブの内部表面(例えば、カテーテルチューブの内部表面、ステントチューブの内部表面、モンゴメリチューブの内部表面、または気管内チューブの内部表面)であり得る。
【0039】
金属層は、重合フィルムの少なくとも一部上に形成され得、重合フィルムは、デバイスの外部表面上に形成される。デバイスの外部表面は、チューブ、ステント、またはカテーテルの外側表面であり得る。チューブ、ステント、またはカテーテルの外側表面は、デバイスが埋め込まれる組織と直接接触している。これらの表面の細菌コロニー形成に起因するHAIのリスクがある。したがって、本発明で可能な細菌耐性特性は、これらの表面に特に適し得る。
【0040】
本発明の金属層は、全ての重合フィルム上に形成され得る。これは、重合フィルムによって被覆されたデバイスの面積全体に、細菌耐性特性などの調整された特性を形成する能力を提供し、HAIの低減に寄与することができる。具体的には、重合フィルムがデバイスの全ての表面上に形成される場合、金属層もまたデバイスの全ての表面上に存在することになる。
【0041】
本発明の金属層は、連続フィルムであり得、すなわち、フィルム内に断絶がなく、そのため金属層の残りの部分に接続されていない金属層の領域が存在しない。連続フィルムは、少なくとも1μm2の面積にわたって連続するフィルムであり得、連続フィルムは、少なくとも10μm2、好ましくは、少なくとも100μm2、より好ましくは、少なくとも1mm2、最も好ましくは、少なくとも1cm2の面積にわたって連続するフィルムであり得る。本発明は、金属イオンを重合フィルムに組み込むのではなく、連続的な金属層を生成するのに有効であることが見出されている。本発明の金属層が連続フィルムである場合、金属層の細菌耐性特性において断絶は存在し得ない。それゆえ、金属層が連続フィルムである本発明の金属層は、改善された耐細菌性を有する。具体的には、金属層中の微細構造及びナノ構造は、疎水性及び細菌忌避性特性に寄与し得る。金属が銀である金属層は、特に細菌耐性特性を有し得ることが見出されている。
【0042】
金属層は、金属を含む。好ましくは、金属層は、11族金属(例えば、銅、銀、または金)を含み得る。上述したように、金属層が、銀金属を含むか、または銀金属からなることが特に好ましい。
【0043】
理論に拘束されることを望むものではないが、本発明、特にリジンの存在によって実証することができる耐細菌性に関して、金属層の表面粗さ及び疎水性を調節する能力は、これらの特性の調整を可能にすると考えられる。
【0044】
本発明の重合フィルムは、金属イオンの還元を介して金属を固定して、金属層を形成するためのプラットフォームを提供する。
【0045】
金属層は、0.05mg/cm2以上の量で存在し得る。金属層は、0.1mg/cm2以上の量で存在し得る。金属層は、0.2mg/cm2以上の量で存在し得る。本明細書において、金属層の量は、金属層の外面の単位面積当たりの金属層の質量を指す。
【0046】
本発明のコーティングは、表面粗さを有し、コーティングの表面粗さは、金属層の表面粗さを指す。金属層の表面は、20nm以上の表面粗さ、Ra-算術平均及び/または25nm以上の表面粗さ、Rq-二乗平均平方根を有し得る。金属層の表面は、50nm以上の表面粗さ、Raを有し得る。好ましくは、金属層の表面は、100nm以上の表面粗さ、Raを有する。いくつかの実施形態では、金属層の表面は、50nm以上の表面粗さ、Rqを有する。好ましくは、金属層の表面は、100nm以上の表面粗さ、Rqを有する。理論に拘束されることを望むものではないが、より大きい表面粗さは、より大きい程度の細菌耐性特性をもたらし得ると考えられる。
【0047】
本発明の文脈において、表面粗さは、算術平均粗さ(Ra)及び/または二乗平均平方根粗さ(Rq)によって定義され得る。これらのパラメータは、ISO4287及びISO4288規格に沿って解釈されてもよい。
【0048】
デバイスは、被覆層をさらに含み得、該被覆層は、金属層上に形成される。被覆層は、金属層の一部上または金属層の全ての上に形成され得る。被覆層は、金属層の一部のみの上に形成されてもよい。具体的には、被覆層は、ステント、カテーテル、またはチューブの外部表面上の金属層上に形成されてもよい。ステント、カテーテル、またはチューブの外部表面上の金属層は、特に物理的損傷の影響を受けやすく、被覆層によって提供される物理的保護から特に利益を得ることができる。被覆層は、除去可能であり得る。このようにして、被覆層は、使用前に下層の金属層に対して保護を提供し得るが、次いで、金属層を露出させるために除去することができる。
【0049】
被覆層は、水溶性であり得る。このようにして、被覆層は、含水環境に接触したときに除去されてもよい。被覆層は、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、アクリレート族からの重合体、またはシリコーン重合体から選択される重合体を含み得る。
【0050】
本発明はまた、デバイス上にコーティングを形成する方法を提供し、本方法は、デバイスの表面の少なくとも一部を、ドーパミンまたはその塩、及び少なくとも1つのアミノ酸またはその塩を含む重合溶液に曝露することと、デバイスの表面の少なくとも一部上に重合フィルムを形成するように重合溶液を重合することと、重合フィルム上に金属層を形成するように重合フィルムを、金属イオンを含む溶液に曝露することと、を含む。
【0051】
本発明のコーティングに関連して本明細書に記載される任意の特徴は、コーティングを形成する方法に類似して適用され、その逆も同様である。
【0052】
本発明はまた、デバイス上にコーティングを形成する方法を提供し、本方法は、(a)デバイスの表面の少なくとも一部を、ドーパミンまたはその塩、及び少なくとも1つのアミノ酸またはその塩を含む重合溶液に曝露することと、(b)デバイスの表面の少なくとも一部上に重合フィルムを形成するように重合溶液を重合することであって、重合溶液のpHは、7~12であり得る、重合することと、(c)重合フィルム上に金属層を形成するように、重合フィルムを、銀イオンなどの金属イオンを含む溶液に曝露することと、を含む。
【0053】
金属イオンを含む溶液は、重合フィルム上に金属層を堆積させるように還元することができる任意の金属イオンを含み得る。溶液中の金属イオンは、+1酸化状態であり得る。+1酸化状態の金属イオンは、+1酸化状態の11族金属イオン(例えば、Cu(I)、Ag(I)、またはAu(I))であってもよい。好ましい実施形態では、金属イオンを含む溶液は、銀イオンを含む。例えば、金属イオンを含む溶液は、トレンス試薬であってもよい。トレンス試薬は、ジアミン銀(I)を含む溶液である。金属イオンの還元をもたらす条件は、還元基の存在であり得る。還元基は、本発明の重合フィルム中に存在する還元基からなり得る。還元基が重合フィルム中に存在する還元基からなる場合、重合フィルムを単に金属イオンを含む溶液に曝露するだけで、該金属イオンの還元及び金属層の形成をもたらし得る。還元基は、重合フィルム中に存在する還元基及び金属イオンを含む溶液に添加される追加の還元基を含み得る。追加の還元基の添加は、金属層のより迅速な形成を可能にし得る。
【0054】
金属層は、重合フィルムを、金属イオンを含む溶液に曝露することによって重合フィルム上に形成され得、金属イオンを含む溶液は、40℃以上及び120℃以下である。金属層は、重合フィルムを、金属イオンを含む溶液に曝露することによって重合フィルム上に形成され得、金属イオンを含む溶液は、45℃以上及び120℃以下である。金属層は、重合フィルムを、金属イオンを含む溶液に曝露することによって重合フィルム上に形成され得、金属イオンを含む溶液は、60℃以上及び100℃以下である。例えば、金属層は、重合フィルムを、金属イオンを含む溶液に曝露することによって、重合フィルム上に形成され得、金属イオンを含む溶液は、80℃である。金属層は、重合フィルムを、金属イオンを含む溶液に、30分以上及び8時間以下で曝露することによって、重合フィルム上に形成され得る。金属層は、重合フィルムを、金属イオンを含む溶液に、1時間以上及び4時間以下の間曝露することによって、重合フィルム上に形成され得る。好ましい実施形態では、金属層は、重合フィルムを、金属イオンを含む溶液に2時間曝露することによって、重合フィルム上に形成され得る。具体的には、銀イオンを含む溶液が、30分以上及び8時間以下の期間の間、45℃以上及び120℃以下である、銀イオンを含む溶液に重合フィルムを曝露することは、本発明の連続銀層を形成するのに役立ち得ることが見出されている。曝露の時間及び温度の両方が、連続金属層の形成に影響を与える可能性がある。
【0055】
本発明の方法は、デバイスの表面の少なくとも一部を、最大100mmol/Lのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(Tris緩衝液)、最大濃度10mg/mLのドーパミン塩酸塩、及び最大濃度100mg/mLの少なくとも1つのアミノ酸塩酸塩を含有する溶液に曝露することと、溶液のpHを7~12に調整することと、4~36時間後、室温で7~12のpHにおいて、蒸留水でデバイスを洗浄して、任意のドーパミン/アミノ酸凝集体を除去し、重合フィルム(銀が堆積され得る骨格を提供する)を残すことと、重合フィルムをトレンス試薬中で加熱及び培養することによって、重合フィルム上に金属層を形成することと、を含み得る。
【0056】
トレンス試薬は、硝酸銀溶液から出発して調製され得、硝酸銀は、0.01mol/L以上及び10mol/L以下の濃度で存在する。水酸化アンモニウム(15%v/v)を、1:100以上(水酸化アンモニウム:硝酸銀)及び1:10以下(水酸化アンモニウム:硝酸銀)の割合で硝酸銀溶液に添加する。これが金属銀の堆積をもたらし、連続した被膜を形成する。得られた本発明の金属層は、その上に形成される重合層の性質により調整される表面形態及び疎水性を有する。
【0057】
本発明の重合フィルムは、デバイスの表面の少なくとも一部を、ドーパミン及びリジンを含む重合溶液中に沈めることによって形成され得る。次いで、溶液のpHを、7~12に調整して、ドーパミン/リジンの酸化重合をもたらし、重合フィルムを形成し得る。本発明のコーティングを形成するために、重合フィルムを、次いでトレンス試薬中に沈めてもよい。トレンス試薬中に沈めながら、培養及び加熱した後、金属銀は、重合フィルム上で還元されて、金属層を形成する。本実施形態は、
図1に要約される。
【0058】
得られた金属層は、表面粗さを有し、これは超疎水性に寄与すると考えられる。表面は、120°以上の水接触角を有する超疎水性であり得る。本発明の金属層の調整された疎水性と表面粗さとの組み合わせが、耐細菌性に寄与しているようであることが本発明者らによって見出された。
【0059】
表面の水接触角は、表面と水滴との間に形成される角度から判定される。表面を圧縮空気流の下で乾燥させ、水滴を乾燥表面上に堆積させる。水接触角の測定は、Kruss DSA100ドロップシェイプアナライザを使用して液滴法で行う。接触角に応じて異なるレベルの湿潤性を、
図14で表す。水接触角は、25℃で測定される。
【図面の簡単な説明】
【0060】
本発明は、添付の図面によって説明される。
【
図1】本発明のデバイス上にコーティングを形成する方法の一実施形態である。
【
図2】(A)重合溶液中のリジン濃度の関数としての、シリコーン試料上の表面によって正規化された銀定量化、及び(B)重合溶液中のリジン濃度の関数としてのシリコーン試料上の銀表面の水接触角である。エラーバーは、標準偏差(SD)を示す。
【
図3】異なるリジン濃度a)PDAのみ、b)リジン0.2mg/mL、c)リジン3mg/mL、d)リジン10mg/mLに対してポリドーパミン(PDA)/リジンコーティングで固定化された金属銀表面でシリコーンコーティングされた表面粗さのFE-SEM顕微鏡画像及び共焦点3D再構成である。
【
図4】重合溶液中で異なるリジン濃度を有する銀コーティングされた試料の粗さ値(Ra及びRq)である。
【
図5】異なるリジン濃度でコーティングされたポリジメチルシロキサン(PDMS)試料上の付着細菌の定量化である。付着性試験を、グラム陽性細菌のStaphylococcus aureus(MRSA)(A)及びグラム陰性細菌のPseudomonas aeruginosa(PAO1)(B)を用いて行った。全ての試料は、細菌のコロニー形成の参照としてコーティングされていないPDMSと比較された。エラーバーは、SDを示し、
*P<0.005で「顕著」を示し、
**P<0.001で「非常に顕著」を示し、n.s.は、「顕著ではない」ことを示す。
【
図6】72時間の細菌増殖曲線後の光学密度の終点値である。可能性のある抗菌効果を評価するために、細菌(PAO1またはMRSA)を、異なる試料に曝露した。評価された試料を、異なるリジン濃度を有する本発明の陰性対照及び金属層としてPDMSとした。エラーバーは、SDを示す。
【
図7】重合溶液中のグリシン/リジン濃度の異なる混合物に対する銀コーティングされた試料の粗さの値(Ra及びRq)である。
【
図8】重合フィルムが異なるグリシン濃度を有する重合溶液から形成される、本発明のコーティングでコーティングされたPDMS試料上の付着細菌の定量化である。付着性試験を、グラム陽性細菌のStaphylococcus aureus(MRSA)(A)及びグラム陰性細菌のPseudomonas aeruginosa(PAO1)(B)を用いて行った。全ての試料は、細菌のコロニー形成の参照としてコーティングされていないPDMSと比較された。エラーバーは、SDを示し、
*P<0.005で「顕著」を示し、
**P<0.001で「非常に顕著」を示し、n.s.は、「顕著ではない」ことを示す。
【
図9】生体内で15日後、尿導Foleyカテーテル上の細菌付着性の定量化である。研究されたFoleyカテーテルは、BARD製の、対照としてDeganiac(著作権)レギュラー2ウェイFoleyカテーテル、内部細菌忌避性金属層(Tractivus)、及びBactiguard(著作権) Foleyカテーテルを有する同じカテーテルであった。
【
図10】生体内でミニブタに対して実施された気管ステントの細菌定量化(CFU)である。細菌は、15日間の各期間後、研究終了時にステントの表面上で気管支洗浄により定量化された。
【
図11】本発明の金属層と接触した赤血球の挙動を評価するための溶血性試験である。
【
図12】グリシンを含む本発明の金属層の水接触角(WCA)である。
【
図13】厚さ測定なし及び厚さ測定あり(それぞれ、A及びB)のシリコーン基板上の金属銀層の共焦点顕微鏡画像である。厚さ測定により、1μm付近の厚さを有する金属層が明らかになった。
【
図14】接触角に応じて、表面上の水滴の異なるレベルの湿潤性の表現である。低湿潤性:不十分な相互作用基材-疎水性を示す水(θ>90°)、標準湿潤性(θ<90°)、及び完全湿潤(θ~0°)
【0061】
実施例1-PDMS基材調製
ポリジメチルシロキサン(PDMS)基材が、Sylgard(商標)184 Silicone Elastomerキット(参照2085925)の2つの成分を10:1(シリコーンエラストマー:硬化剤)の割合で混合し、次に塗料塗布器で混合物を拡散させることによって調整されて、500μm厚のフィルムを取得した。フィルムを、150℃で10分間培養し、その後、直径10mmの円形に切断した。基材円を、洗浄し、70%v/vエタノールの水溶液中に保存した。
【0062】
実施例2-PDAコーティング
PDA溶液を、0.121gの塩酸ドーパミン(参照H852、Sigma Aldrich(登録商標))、及び対応する量のリジン及び/またはグリシンを、100mLの50mMのTris緩衝液(参照Sigma Aldrich(登録商標))に添加することによって調製した。溶液のpHを、塩基性(pH>8、好ましくは、10)に調節して、最適化されたPDAの自己-重合を可能にした。実施例1からのPDMSフィルムを、ドーパミン溶液に室温で6時間浸漬させた。新たにコーティングした膜を、MilliQで濯いで、過剰なPDAを除去した。
【0063】
実施例3-銀コーティング
実施例2からPDAコーティングされた試料を、トレンス試薬に浸漬させて、金属コーティングを実施した。トレンス試薬を、100mLのMilliQ水に1.70gの硝酸銀(参照、Sigma Aldrich(登録商標))を添加することによって調製した。次いで、十分な量の15%(v/v)のアンモニア水溶液を、撹拌下で添加して、酸化銀を沈殿させ、形成された銀沈殿物を再溶解させた。PDMSフィルムを、トレンス溶液上に、80℃の温度で1.5時間浸漬させた。新たにコーティングした膜を、MilliQで濯いて、過剰なPDAを除去した。
【0064】
実施例4-表面粗さ及び疎水性研究
発明者らは、ドーパミンの酸化重合中、重合溶液中の少なくとも1つのアミノ酸の存在が、銀還元プロセスを増加させ、したがって、より多くの銀が重合フィルム上に堆積することを可能にすることを見出した(
図2Aを参照)。このより高い量の銀は、金属層のマイクロナノ構造をより顕著にし、金属層の疎水性を調節する(
図2Bを参照)。重合溶液中のリジンの濃度により、堆積した銀の量及び疎水性の両方が増加する。
【0065】
理論に拘束されるものではないが、この疎水性における増加は、金属層の表面のマイクロナノの粗さの形態変化によって引き起こされると考えられる。
図3は、重合溶液中のリジンの濃度が変化する、本発明の金属層でコーティングされたシリコーンの表面粗さのFE-SEM顕微鏡画像及び共焦点3D再構成を示す。
【0066】
重合媒体にリジンを添加しないとき、試料は、Ra=20nmの粗さを伴う平坦な表面を有し、これはナノスケールでの粗さに関して低い値と考えられる。リジン濃度を0.2mg/mLに増加させるとき、5μmの高さを有する数個の鋭利な構造が試料表面上に形成されることが観察された(
図3B)。リジンのより高い濃度値は、新しい構造の形成をもたらし、銀コーティング上に四角形状のパターンを明らかにした(
図3C及び
図3D)。この構築パターンは、ゼロ及びほぼゼロのアミノ酸濃度で観察された初期のナノ粗さと、より高いアミノ酸濃度での鋭い構造の形成に起因して観察されたマイクロ粗さの2つの粗さの領域を有する。リジンの濃度に対する算術及び二次平均粗さ(Ra及びRq)の値は、それぞれ
図4A及び
図4Bに提示される。Ra及びRqの値は、FESEM及び共焦点画像(
図3)の結果を確認し、すなわち、重合溶液中のアミノ酸濃度を増加させると、取得された金属層の粗さのレベルが増加する。粗さの2つの段階の存在は、基材の疎水性及び細菌耐性特性の増加において重要な役割を果たすと考えられる。
【0067】
本発明の金属層はまた、グリシンを含む重合溶液ならびにグリシン及びリジンを含む重合溶液からも調製された。得られた金属層の表面の水接触角は、
図12に提供される。
【0068】
実施例5-FESEM及び共焦点顕微鏡検査
実施例3の銀コーティングPDMSフィルムを圧縮空気流下で乾燥させ、試料の表面形態を電界放射型走査電子顕微鏡(Zeiss Merlin、FESEM)で研究した。表面粗さは、共焦点顕微鏡法及び干渉法(Leica DCM 3D 3.3.2)により評価された。試料区分の共焦点画像を使用して、金属コーティングの厚さを測定した。これを行うために、数ミリメートル(好ましくは3mm)の薄層を、外科用メスを使用して主試料から切断して、切り取り試片を取得した。
図13に示されるように、両側接着テープを使用して、切り取り試片を試料ホルダー支持体上に設置し、共焦点顕微鏡を使用して評価した。次いで、画像処理ソフトウェア(LeicaMap6.2)を使用して、フィルム厚さの異なる測定値を取得し、1μm付近の平均を取得した。
【0069】
研究した表面の長さ(mm)の値、及び表面の深さ(μm)の値から、算術表面粗さ(Ra)及び二次表面粗さ(Rq)が判定され得る。Raは、以下の式によって判定される。
【数1】
式中、xは、研究領域の長さであり、Z(x)は、研究領域の深さであり、lbは、実施された測定の数である。結果は、Z軸の長さ単位で表される。
【0070】
Rqは、以下の式によって判定される。
【数2】
式中、xは、研究領域の長さであり、Z
2(x)は、研究領域の深さの平方であり、lbは、実施された測定の数である。結果は、Z軸の長さ単位で表される。
【0071】
本発明の試料に対するRa及びRq値は、15のlb値、及び約15μmのx値で判定された。
【0072】
実施例6-誘導結合プラズマ
誘導結合プラズマ質量分析解析(ICP)を使用して、本発明のコーティング中に存在する金属銀の量を定量化した。本発明の銀コーティングされたPDMSフィルムを、5mLのMilliQ水中に少なくとも1日間浸漬させた。浸漬後、1mLの水試料を採取し、それをCP-OES Perkin Elmer Avio500上で実行して、その中の銀の量を判定するまで4℃で保存した。1mLの試料中の銀の量から、銀でコーティングされたPDMSフィルム中の銀の総量を判定することができる。ICPは、試料をイオン化するために誘導結合プラズマを使用する質量分析の一種である。試料を噴霧し、原子及び小さい多原子イオン、この場合は銀イオンを作り出し、これが次いで検出される。
【0073】
実施例7-細菌付着性研究
本発明の金属層を、グラム陽性細菌(Staphylococcus aureus-MRSA)及びグラム陰性細菌(Pseudomonas aeruginosa-PAO1)の両方を用いて細菌付着性研究において試験した。これらの両方の研究において、ポリジメチルシロキサン(PDMS)のシリコーン系試料を、陰性対照として使用した。
【0074】
グラム陽性細菌に関して、
図5A及び
図8Aは、重合溶液中のアミノ酸の存在が、最大2桁の大きさの細菌付着における低減をもたらすことを実証する。グラム陰性細菌に関して、
図5B及び
図8Bは、重合溶液中のアミノ酸の存在が、細菌付着における低減をもたらすことを実証する。さらに、
図5Bは、重合溶液中のアミノ酸のより高い濃度が、より細菌忌避性金属層をもたらし得ることを実証する。
【0075】
実施例8-抗菌効果研究
本発明の金属層を、細菌増殖アッセイにおいて試験して、細菌付着性研究で示されるCFUにおける減少が、より大きい細菌忌避効果に起因する可能性があることを確認した。
図6は、本発明の金属層の試料に曝露された細菌接種物の72時間の増殖後の細菌の光学密度値を示す。
【0076】
72時間後、重合溶液中の試験したアミノ酸濃度のいずれかについて、グラム-陽性細菌(MRSA)またはグラム陰性細菌(PAO1)のいずれかの光学密度において差は観察されなかった。また、陰性対照(PDMS)に対する本発明の金属層間の光学密度において差はなかった。これにより、細菌付着研究において示されるCFUの減少が、細菌のコロニー形成に抵抗する、より多くの細菌忌避性コーティングに起因する可能性があることが確認された。
【0077】
実施例9-細菌忌避性コーティングを有する尿導カテーテル
本発明の用途の概念実証として、Degania Medical(著作権)から購入した通常のFoley尿導カテーテルは、内部が細菌忌避性金属層でコーティングされた。コーティングされたカテーテルの細菌忌避挙動を、動物モデルとして通常のブタで実施した生体内試験中に評価した。コーティングされたカテーテル(Tractivus)、通常のカテーテル(対照)、及び抗菌カテーテル(BARD)を、6匹のブタのグループに15日間埋め込んで、終点でデバイス内に付着した細菌の量を観察した。
図9に示される結果は、抗菌カテーテルと比較しても、試験中に細菌の付着が一桁低減したことを明らかにした。
【0078】
実施例10-細菌忌避性コーティングを有する気管ステント
本発明の有効性を評価するために、生体内試験中のバイオフィルム形成を定量化するために、本発明の細菌忌避性金属層を、シリコーン気管ステント上に適用した。生体内試験を、ミニブタを動物モデルとして用いて実施し、気管ステントを、ミニブタの気管に30日間埋め込んだ。15日目及び終点(30日)において、気管支洗浄液を収集するために、可撓性気管支鏡を使用してステントの気管支洗浄を実施した。
図10は、30日後に摘出されたデバイスの表面上に固定された気管支洗浄及び細菌の細菌定量化を示す。本発明の細菌忌避性金属層を有する気管ステントの表面上では、1桁未満の細菌及びバイオフィルムは、観察されなかった。
【0079】
実施例11-中心静脈カテーテル
中心静脈カテーテル(CVC)における実施態様のための本発明の好適性を評価するために、具体的には、金属コーティングが赤血球に提示されかつ効果を及ぼす場合、赤血球と接触したときに本発明が溶血を引き起こさないことを確認するために溶血試験を行った(
図11)。本発明の金属コーティングでコーティングされたCVCに、健康なドナーからの血液を30分の期間及び24時間にわたって導入することによって、溶血試験を実施した。その結果は、赤血球内に存在する溶血レベルが2%を下回ることを実証する。これらの低い溶血値は、本発明を使用して、循環器系に埋め込まれなければならないデバイスにおける細菌感染を回避することができることを示す。
【0080】
以下の実施形態のリストは、本説明の一部を形成するものである。
1.デバイス用のコーティングであって、
重合フィルムであって、重合フィルムが、ドーパミンまたはその塩、及び少なくとも1つのアミノ酸またはその塩を含む、重合溶液から形成された重合生成物を含む、重合フィルムと、
重合フィルム上に形成された金属層と、を含む、コーティング。
2.コーティングされたデバイスであって、
デバイスと、
デバイスの表面の少なくとも一部上に、実施形態1に記載のコーティングと、を含む、デバイス。
3.デバイス上にコーティングを形成する方法であって、
a.デバイスの表面の少なくとも一部を、ドーパミンまたはその塩、及び少なくとも1つのアミノ酸またはその塩を含む重合溶液に曝露することと、
b.デバイスの表面の少なくとも一部上に重合フィルムを形成するように、重合溶液を重合することと、
c.重合フィルム上に金属層を形成するように、重合フィルムを、金属イオンを含む溶液に曝露することと、を含む、方法。
4.少なくとも1つのアミノ酸が、リジン、ヒスチジン、グリシン、セリン、アルギニン、ロイシン、アスパラギン、グルタミン酸、アラニン、チロシン、及びプロリンの列挙から選択された少なくとも1つのアミノ酸を含む、実施形態1に記載のコーティング、実施形態2に記載のコーティングされたデバイス、または実施形態3に記載の方法。
5.少なくとも1つのアミノ酸が、リジン及びグリシンのうちの少なくとも1つを含む、実施形態1もしくは実施形態4に記載のコーティング、実施形態2もしくは実施形態4に記載のコーティングされたデバイス、または実施形態3もしくは実施形態4に記載の方法。
6.少なくとも1つのアミノ酸が、リジンを含む、実施形態1、4もしくは5のいずれか1項に記載のコーティング、実施形態2、4もしくは5のいずれか1項に記載のコーティングされたデバイス、または実施形態3~5のいずれか1項に記載の方法。
7.コーティングが、被覆層をさらに含み、被覆層が、金属層上に形成される、実施形態1もしくは4~6のいずれか1項に記載のコーティング、実施形態2もしくは4~6のいずれか1項に記載のコーティングされたデバイス、または実施形態3~6のいずれか1項に記載の方法。
8.被覆層が、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、アクリレート族由来の重合体、またはシリコーン重合体から選択される、重合体を含む、実施形態7に記載のコーティング、実施形態7に記載のコーティングされたデバイス、または実施形態7に記載の方法。
9.被覆層が、水溶性である、実施形態7もしくは実施形態8に記載のコーティング、実施形態7もしくは実施形態8に記載のコーティングされたデバイス、または実施形態7もしくは実施形態8に記載の方法。
10.重合フィルムが、1000nm以下の厚さを有する、実施形態1もしくは4~9のいずれか1項に記載のコーティング、実施形態2もしくは4~9のいずれか1項に記載のコーティングされたデバイス、または実施形態3~9のいずれか1項に記載の方法。
11.金属層が、連続的である、実施形態1もしくは4~10のいずれか1項に記載のコーティング、実施形態2もしくは4~10のいずれか1項に記載のコーティングされたデバイス、または実施形態3~10のいずれか1項に記載の方法。
12.金属層が、0.2mg/cm2以上の量で存在する、実施形態1もしくは4~11のいずれか1項に記載のコーティング、実施形態2もしくは4~11のいずれか1項に記載のコーティングされたデバイス、または実施形態3~11のいずれか1項に記載の方法。
13.金属層が、銀を含む、実施形態1もしくは4~12のいずれか1項に記載のコーティング、実施形態2もしくは4~12のいずれか1項に記載のコーティングされたデバイス、または実施形態3~12のいずれか1項に記載の方法。
14.金属層が、20nm以上の表面粗さ、Ra及び/または25nm以上の表面粗さ、Rqを有する、実施形態1もしくは4~13のいずれか1項に記載のコーティング、実施形態2もしくは4~13のいずれか1項に記載のコーティングされたデバイス、または実施形態3~13のいずれか1項に記載の方法。
15.金属層が、100°以上の水接触角を有する、実施形態1もしくは4~14のいずれか1項に記載のコーティング、実施形態2もしくは4~14のいずれか1項に記載のコーティングされたデバイス、または実施形態3~14のいずれか1項に記載の方法。
16.金属層が、50nm以上の表面粗さ、Raを有する、実施形態1もしくは4~15のいずれか1項に記載のコーティング、実施形態2もしくは4~15のいずれか1項に記載のコーティングされたデバイス、または実施形態3~15のいずれか1項に記載の方法。
17.金属層が、50nm以上の表面粗さ、Rqを有する、実施形態1もしくは4~16のいずれか1項に記載のコーティング、実施形態2もしくは4~16のいずれか1項に記載のコーティングされたデバイス、または実施形態3~16のいずれか1項に記載の方法。
18.金属層が、100nm以上の表面粗さ、Raを有する、実施形態1もしくは4~17のいずれか1項に記載のコーティング、実施形態2もしくは4~17のいずれか1項に記載のコーティングされたデバイス、または実施形態3~17のいずれか1項に記載の方法。
19.金属層が、100nm以上の表面粗さ、Rqを有する、実施形態1もしくは4~18のいずれか1項に記載のコーティング、実施形態2もしくは4~18のいずれか1項に記載のコーティングされたデバイス、または実施形態3~18のいずれか1項に記載の方法。
20.重合溶液のpHが、7~12である、実施形態1もしくは4~19のいずれか1項に記載のコーティング、実施形態2もしくは4~19のいずれか1項に記載のコーティングされたデバイス、または実施形態3~19のいずれか1項に記載の方法。
21.重合溶液中の少なくとも1つのアミノ酸もしくはその塩の濃度が、0.0001mg/mL以上及び10mg/mL以下であるか、または重合溶液中の少なくとも1つのアミノ酸もしくはその塩の濃度が、0.001mg/mL以上及び10mg/mL以下である、実施形態1もしくは4~20のいずれか1項に記載のコーティング、実施形態2もしくは4~20のいずれか1項に記載のコーティングされたデバイス、または実施形態3~20のいずれか1項に記載の方法。
22.重合溶液中の少なくとも1つのアミノ酸またはその塩の濃度が、0.001mg/mL以上である、実施形態1もしくは4~21のいずれか1項に記載のコーティング、実施形態2もしくは4~21のいずれか1項に記載のコーティングされたデバイス、または実施形態3~21のいずれか1項に記載の方法。
23.デバイスの表面の少なくとも一部が、可撓性である、実施形態2もしくは4~22のいずれか1項に記載のコーティングされたデバイス、または実施形態3~22のいずれか1項に記載の方法。
24.デバイスの表面の少なくとも一部が、重合体から形成される、実施形態2もしくは4~23のいずれか1項に記載のコーティングされたデバイス、または実施形態3~23のいずれか1項に記載の方法。
25.デバイスの表面の少なくとも一部が、シリコーン重合体またはポリウレタンから形成される、実施形態24に記載のコーティングされたデバイス、または実施形態24に記載の方法。
26.デバイスの表面の少なくとも一部が、ポリジメチルシロキサンから形成される、実施形態25に記載のコーティングされたデバイスまたは実施形態25に記載の方法。
27.金属イオンを含む溶液が、トレンス試薬である、実施形態3~26のいずれか1項に記載の方法。
28.実施形態3~27のいずれか1項の方法によって取得可能なコーティングされたデバイス。
【国際調査報告】