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特表2023-520819抗ウイルス1,3-ジ-オキソ-インデン化合物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-19
(54)【発明の名称】抗ウイルス1,3-ジ-オキソ-インデン化合物
(51)【国際特許分類】
   C07D 307/93 20060101AFI20230512BHJP
   A61K 31/343 20060101ALI20230512BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20230512BHJP
   A61P 31/14 20060101ALI20230512BHJP
   A61P 31/16 20060101ALI20230512BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230512BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20230512BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20230512BHJP
   A61P 27/16 20060101ALI20230512BHJP
   A61P 17/02 20060101ALI20230512BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20230512BHJP
   A61P 11/06 20060101ALI20230512BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20230512BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20230512BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20230512BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20230512BHJP
【FI】
C07D307/93 CSP
A61K31/343
A61K45/00
A61P31/14
A61P31/16
A61P43/00
A61P21/00
A61P27/02
A61P27/16
A61P17/02
A61P9/00
A61P11/06
A61P3/10
A61P25/00
A61P29/00
A61P11/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022562086
(86)(22)【出願日】2021-04-20
(85)【翻訳文提出日】2022-10-11
(86)【国際出願番号】 EP2021060263
(87)【国際公開番号】W WO2021214073
(87)【国際公開日】2021-10-28
(31)【優先権主張番号】63/012,770
(32)【優先日】2020-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504389991
【氏名又は名称】ノバルティス アーゲー
(71)【出願人】
【識別番号】599098493
【氏名又は名称】カトリーケ・ユニフェルシテイト・ルーヴァン
【氏名又は名称原語表記】Katholieke Universiteit Leuven
(71)【出願人】
【識別番号】301040648
【氏名又は名称】コーリア リサーチ インスティテュート オブ ケミカル テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ネイツ, ヨハン
(72)【発明者】
【氏名】プーン, ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】フィスター, キース ブルース
(72)【発明者】
【氏名】ジュン, ヨン-シク
(72)【発明者】
【氏名】ハン, ソ ボン
(72)【発明者】
【氏名】マルパニ, ヤシュワルダン アール.
(72)【発明者】
【氏名】チャクラサリ, プラシャント
(72)【発明者】
【氏名】キム, チョンセン
(72)【発明者】
【氏名】シン, ジン ソ
(72)【発明者】
【氏名】キム, ヘ ソ
(72)【発明者】
【氏名】リ, チョン-キョ
(72)【発明者】
【氏名】リ, サン-ホ
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA19
4C084NA05
4C084ZB33
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BA05
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA01
4C086ZA33
4C086ZA34
4C086ZA36
4C086ZA59
4C086ZA62
4C086ZA75
4C086ZA89
4C086ZA94
4C086ZB33
4C086ZC35
4C086ZC54
(57)【要約】
本開示は、本明細書に記載の式(I)の化合物を、
薬学的に許容される塩、そのような化合物を含有する医薬組成物、並びにウイルス感染症を治療するためにこれらの化合物、塩、及び組成物を使用するための方法と一緒に、提供する。本発明は、コクサッキーウイルス、エンテロウイルス、エコーウイルス、ポリオウイルス、及びライノウイルスを含むピコルナウイルスの阻害剤であり、したがって、ポリオ、麻痺、急性出血性結膜炎、ウイルス性髄膜炎、手足口病、水疱性疾患、A型肝炎、筋炎、心筋炎、膵炎、糖尿病、流行性筋痛症、脳炎、風邪、ヘルパンギナ、口蹄疫、喘息、慢性閉塞性肺疾患、肺炎、副鼻腔炎、又は中耳炎を含むウイルス感染症を治療するのに有用である新規1,3-ジオキソインデン化合物に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩:
【化31】
(式中、
及びGのうちの一方は、直鎖又は分岐鎖C-Cアルキル、直鎖又は分岐鎖C-Cアルキルオキシ、直鎖又は分岐鎖C-Cハロアルキル、直鎖又は分岐鎖C-Cハロアルキルオキシ、ハロ及び3~7員シクロアルキルから選択され;G及びGのうちの他方はHであり;Rは、H及び直鎖又は分岐鎖C-Cアルキルから選択される)。
【請求項2】
が、直鎖又は分岐鎖C-Cハロアルキル、直鎖又は分岐鎖C-Cハロアルキルオキシ、及び3~7員シクロアルキルから選択される、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
が、直鎖又は分岐鎖C-Cハロアルキルである、請求項1若しくは2に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
が、CFである、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項5】
が、直鎖又は分岐鎖C-Cハロアルキルオキシである、請求項1若しくは2に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項6】
が、OCFである、請求項1、2、及び5のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項7】
が、3~7員シクロアルキルである、請求項1若しくは2に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項8】
が、シクロプロピルである、請求項1、2、及び7のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項9】
が、Hである、請求項1~8のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項10】
が、メチルである、請求項1若しくは9に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項11】
が、OCHである、請求項1若しくは9に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項12】
が、イソプロピルである、請求項1若しくは9に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項13】
が、ハロである、請求項1若しくは9に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項14】
が、Hである、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項15】
が、メチルである、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項16】
前記化合物が、式(II)の化合物である、請求項1~15のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩:
【化32】
【請求項17】
式(III)を有する、請求項1~15のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩:
【化33】
【請求項18】
前記化合物が、式(IV)の化合物である、請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩:
【化34】
(式中、Gは、直鎖又は分岐鎖C-Cハロアルキル、直鎖又は分岐鎖C-Cハロアルキルオキシ、及び3~7員シクロアルキルから選択される)。
【請求項19】
が、CF、OCF、及びシクロプロピルから選択される、請求項1~9及び18のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項20】
が、H及びメチルから選択される、請求項1~15、18、及び19のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項21】
以下から選択される、請求項1~17のいずれか一項に記載の化合物:
【表22-1】
【表22-2】
【表22-3】
【表22-4】
又はその薬学的に許容される塩。
【請求項22】
ウイルス疾患を予防又は治療するための、請求項1~17、及び21のいずれか一項に記載の化合物、その薬学的に許容される塩、又はその光学異性体。
【請求項23】
請求項1~17、及び21のいずれか一項に記載の化合物、その薬学的に許容される塩、又はその光学異性体と、薬学的に許容される希釈剤又は賦形剤とを含む、ウイルス疾患を予防又は治療するための医薬組成物。
【請求項24】
請求項1~17、及び21のいずれか一項に記載の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は請求項23に記載の医薬組成物と、1つ以上の治療活性剤とを含む、組み合わせ物。
【請求項25】
治療有効量の請求項1~17、及び21のいずれか一項に記載の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は請求項23に記載の医薬組成物、又は請求項24に記載の組み合わせ物を対象に投与することを含む、ウイルス疾患を治療する方法。
【請求項26】
ウイルス疾患を予防又は治療するための、請求項22に記載の化合物若しくはその薬学的に許容される塩若しくはその光学異性体、又は請求項23に記載の医薬組成物、又は請求項24に記載の組み合わせ物の使用。
【請求項27】
前記ウイルス疾患が、コクサッキーウイルスによって引き起こされる、請求項22に記載の化合物、又は請求項23に記載の医薬組成物、又は請求項24に記載の方法、又は請求項26に記載の使用。
【請求項28】
前記ウイルス疾患が、ポリオウイルスによって引き起こされる、請求項22に記載の化合物、又は請求項23に記載の医薬組成物、又は請求項24に記載の方法、又は請求項26に記載の使用。
【請求項29】
前記ウイルス疾患が、エコーウイルスによって引き起こされる、請求項22に記載の化合物、又は請求項23に記載の医薬組成物、又は請求項24に記載の方法、又は請求項26に記載の使用。
【請求項30】
前記ウイルス疾患が、エンテロウイルスによって引き起こされる、請求項22に記載の化合物、又は請求項23に記載の医薬組成物、又は請求項24に記載の方法、又は請求項26に記載の使用。
【請求項31】
前記ウイルス疾患が、ライノウイルスによって引き起こされる、請求項22に記載の化合物、又は請求項23に記載の医薬組成物、又は請求項24に記載の方法、又は請求項26に記載の使用。
【請求項32】
前記ウイルス疾患が、ピコルナウイルスによって引き起こされる、請求項22に記載の化合物、又は請求項23に記載の医薬組成物、又は請求項24に記載の方法、又は請求項26に記載の使用。
【請求項33】
前記ウイルス疾患が、ポリオ、麻痺、急性出血性結膜炎、ウイルス性髄膜炎、手足口病、水疱性疾患、A型肝炎、筋炎、心筋炎、膵炎、糖尿病、流行性筋痛症、脳炎、インフルエンザ、ヘルパンギナ、口蹄疫、喘息、慢性閉塞性肺疾患、肺炎、副鼻腔炎、又は中耳炎である、請求項22に記載の化合物、又は請求項23に記載の医薬組成物、又は請求項24に記載の方法、又は請求項26に記載の使用。
【請求項34】
【化35】
若しくは
【化36】
である、請求項1に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項35】
ウイルス疾患を予防又は治療するための、請求項18~21及び34のいずれか一項に記載の化合物、その薬学的に許容される塩、又はその光学異性体。
【請求項36】
請求項18~21及び34のいずれか一項に記載の化合物、その薬学的に許容される塩、又はその光学異性体と、薬学的に許容される希釈剤又は賦形剤とを含む、ウイルス疾患を予防又は治療するための医薬組成物。
【請求項37】
請求項18~21及び34のいずれか1つに記載の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は請求項36に記載の医薬組成物と、1つ以上の治療活性剤とを含む、組み合わせ物。
【請求項38】
治療有効量の請求項18~21及び34のいずれか一項に記載の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は請求項36に記載の医薬組成物、又は請求項37に記載の組み合わせ物を対象に投与することを含む、ウイルス疾患を治療する方法。
【請求項39】
ウイルス疾患を予防又は治療するための、請求項18~21及び34のいずれか一項に記載の化合物若しくはその薬学的に許容される塩若しくはその光学異性体、又は請求項36に記載の医薬組成物、又は請求項37に記載の組み合わせ物の使用。
【請求項40】
前記ウイルス疾患が、コクサッキーウイルス、ポリオウイルス、エコーウイルス、エンテロウイルス、ライノウイルス、及びピコルナウイルスのうちの1つによって引き起こされる、請求項18~21及び34のいずれか一項に記載の化合物、又は請求項36に記載の医薬組成物、又は請求項38に記載の方法、又は請求項39に記載の使用。
【請求項41】
前記ウイルス疾患が、ポリオ、麻痺、急性出血性結膜炎、ウイルス性髄膜炎、手足口病、水疱性疾患、A型肝炎、筋炎、心筋炎、膵炎、糖尿病、流行性筋痛症、脳炎、インフルエンザ、ヘルパンギナ、口蹄疫、喘息、慢性閉塞性肺疾患、肺炎、副鼻腔炎、又は中耳炎である、請求項18~21及び34のいずれか一項に記載の化合物、又は請求項36に記載の医薬組成物、又は請求項38に記載の方法、又は請求項39に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コクサッキーウイルス、エンテロウイルス、エコーウイルス、ポリオウイルス、及びライノウイルスを含むピコルナウイルスの阻害剤であり、したがって、ポリオ、麻痺、急性出血性結膜炎、ウイルス性髄膜炎、手足口病、水疱性疾患、A型肝炎、筋炎、心筋炎、膵炎、糖尿病、流行性筋痛症、脳炎、風邪、ヘルパンギナ、口蹄疫、喘息、慢性閉塞性肺疾患、肺炎、副鼻腔炎、又は中耳炎を含むウイルス感染症を治療するのに有用である新規1,3-ジオキソインデン化合物に関する。本発明は、本明細書に開示される新規四環式ピリドン化合物、そのような化合物を含有する医薬組成物、並びにウイルス性疾患の治療及び予防においてこれらの化合物及び組成物を使用する方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
ピコルナウイルスは、RNAゲノムが7.2~8.5Kb長である無エンベローププラス鎖一本鎖RNAウイルスである。これらのウイルスは、約22~30nmのサイズを有する非常に小さな球状であり、ずいぶん昔に最初に同定された。ピコルナウイルス科に属するウイルスの中には、ライノウイルス、ポリオウイルス、コクサッキーウイルスA、コクサッキーウイルスB、及びエコーウイルスを含むエンテロウイルス、並びにA型肝炎ウイルスがある。
【0003】
ピコルナウイルスが原因となる疾患は、呼吸器疾患から消化器疾患、循環器疾患、及び皮膚疾患まで多岐にわたり、その例としては、ポリオ、麻痺、急性出血性結膜炎、ウイルス性髄膜炎、手足口病、水疱性疾患、A型肝炎、筋炎、心筋炎、膵炎、糖尿病、流行性筋痛症、脳炎、風邪、ヘルパンギナ、及び口蹄疫が挙げられる。しかしながら、これらの疾患を治癒させるための治療薬は存在しない。開発中の薬物の大部分は、脱外皮阻害剤である。ピコルナウイルス科に属するウイルスは、衛生的、社会的、及び経済的な問題を惹起する、前述の呼吸器疾患を含む様々な疾患を引き起こす。ピコルナウイルスは、水系感染症の主な原因物質である。非常に安定で、消毒が困難であるので、RNAウイルスは絶え間なく関連疾患を引き起こす。
【0004】
ヒトライノウイルス(hRV)は、最近、喘息の増悪の大部分に関連付けられており、多くの安定した喘息患者の気管支組織にさえも存在することが知られている。喘息患者及び非喘息患者から採取したそれぞれの気管支粘膜生検材料を比較すると、非喘息患者と比べて、喘息患者の下気道ではヒトライノウイルスが有意に高い頻度で検出されることが示された。ヒトライノウイルスの存在と喘息の臨床的重症度との間に相関関係があることも報告されている。更に、ライノウイルスは、慢性閉塞性肺疾患、肺炎、副鼻腔炎、及び中耳炎、並びに喘息を引き起こす。
【0005】
ライノウイルスは、感冒の主な原因であるが、エンテロウイルス誘発性疾患には、髄膜炎、気道感染症などが含まれる。ポリオウイルスに対するワクチン接種を提供するための広範囲にわたる努力によって、世界中でポリオの発症は著しく減少しているが、ニジェール、ナイジェリア、エジプト、インド、パキスタン、及びアフガニスタンでは疾患の症例が依然として報告されている。A型肝炎は、現在、A型肝炎ウイルス用のワクチンのおかげである程度制御することが可能である。しかしながら、コクサッキーウイルス、エコーウイルス、又はライノウイルス用のワクチンは、これまで開発されていない。
【0006】
特に、コクサッキーウイルスBは、重篤な場合には、心臓移植を必要とする特発性拡張型心筋症に発展し得る心筋炎の主な原因である。
【0007】
エンビロキシム誘導体が、広い抗エンテロウイルス及び抗ライノウイルス活性を有する最も有望な候補であると見なされている。エンビロキシムは、ウイルス複製においてRNA中間体を形成するのに必要なウイルスタンパク質3Aに結合することによってプラス鎖RNAの合成に干渉する(Heinz B A and Vance L M:J Virol,1995,69(7),4189-97)。しかしながら、臨床研究では、化合物は、有意ではない治療効果しか有しない又はほとんど治療効果を有しないことが観察され、不良な薬物動態及び望ましくない副作用が付随して検出された(Miller F D et al.:Antimicrob Agents Chemother,1985,27(1),102-6)。
【0008】
プロテアーゼ阻害剤AG7088は、ウイルスプロテアーゼ2Cの微細構造及び機能に関する知見に基づいて開発された。ナノモル濃度範囲内の細胞培養物において、AG7088は、48種のライノウイルスタイプ、並びにコクサッキーウイルスA21、B3、エンテロウイルス70、及びエコーウイルス11に対する効果を有する(Pattick A K et al.:Antimicrobila Agents Chemother,1999,43(10),2444-50)。
【0009】
ウイルスカプシドの分子構造が明らかになったおかげで、カプシドブロッカー「WIN物質」を意図的に設計するための前提条件が得られた(Diana G D:Curr Med Chem 2003,2,1-12)。それらは、ライノウイルス及びエンテロウイルスの吸着及び/又は脱外皮を阻害する。WIN物質のうちのいくつかは、ピコルナウイルスの個々の属又はウイルス型に対してのみ高度に特異的な効果を有する。他の誘導体は、ライノウイルス及びエンテロウイルスの両方の複製を阻害する。例えば、アリルドン、ジソキサリル、及びピロダビルは、WIN物質に属する。これらの化合物は、細胞培養物において非常に良好な抗ウイルス効果を示した。しかしながら、溶解度が不十分である(アルリドン)、バイオアベイラビリティが低い(アリルドン及びジソキサリル)、代謝及び排出が急速である(ジソキサリル及びWIN54954)こと、並びに皮膚発疹などの副作用(WIN54954)によって、臨床適用が不可能になった。
【0010】
一種のWIN物質であるプレコナリルは、非常に良好な経口バイオアベイラビリティを有し、ウイルスカプシドにおける疎水性ポケットに結合した後に、ライノウイルス、エコーウイルス、及びコクサッキーウイルスの侵入を阻害する(Pevear D C et al.:Antimicrob Agents Chemother 1999,43(9),2109-15;McKinlay M A et al.:Annu Rev Microbiol 1992,46,635-54)。したがって、プレコナリルは、感冒からウイルス性髄膜炎又は心筋炎に及ぶ広範囲にわたるウイルス疾患に対して潜在的に有効である。ライノウイルス、エンテロウイルス71、及びコクサッキーウイルスB3については抵抗性が観察された(Ledford R M et al.:J Virol 2004,78(7),3663-74;Groarke J M et al.:J Infect Dis 1999,179(6),1538-41)。しかしながら、証明された治療効果は、米国でライノウイルス感染症を治療するための剤としてプレコナリル(Picovir、Viropharma,USA)を登録するには十分ではなかった。2002年3月に、治療成功率が低すぎ、副作用が観察されたことから、対応する申請は食品医薬品局(Food and Drug Administration、FDA)によって拒否された。
【0011】
BTA-798は、インビトロ及びインビボにおいてライノウイルスで評価したとき、プレコナリルよりも高い抗ウイルス活性を有することが見出され、現在臨床試験中である(Ryan,J.et al.Antiviral Res[18th Intl Conf Antiviral Res(April 11-14,Barcelona)2005]2005,65(3):Abst LB-11)。
【0012】
しかしながら、エンテロウイルス又はライノウイルスの治療における使用の承認を獲得した抗ウイルス薬はこれまで開発されていない。エンテロウイルス又はライノウイルスに対する新たな治療及び療法が依然として必要とされている。
コクサッキーウイルス、エンテロウイルス、エコーウイルス、ポリオウイルス、及びライノウイルスを含むピコルナウイルスに対する有効なウイルス増殖抑止剤に関する集中的かつ徹底的な研究の結果、新規1,3-ジオキソインデン誘導体がコクサッキーウイルス、エンテロウイルス、エコーウイルス、ポリオウイルス、及びライノウイルスを含むピコルナウイルスに対して高度に抑制活性を示すという知見が得られ、本発明に至った。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Heinz B A and Vance L M:J Virol,1995,69(7),4189-97
【非特許文献2】Miller F D et al.:Antimicrob Agents Chemother,1985,27(1),102-6
【非特許文献3】Pattick A K et al.:Antimicrobila Agents Chemother,1999,43(10),2444-50
【非特許文献4】Diana G D:Curr Med Chem 2003,2,1-12
【非特許文献5】Pevear D C et al.:Antimicrob Agents Chemother 1999,43(9),2109-15
【非特許文献6】McKinlay M A et al.:Annu Rev Microbiol 1992,46,635-54
【非特許文献7】Ledford R M et al.:J Virol 2004,78(7),3663-74
【非特許文献8】Groarke J M et al.:J Infect Dis 1999,179(6),1538-41
【非特許文献9】Ryan,J.et al.Antiviral Res[18th Intl Conf Antiviral Res(April 11-14,Barcelona)2005]2005,65(3):Abst LB-11
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、抗ウイルス活性を有する化合物を提供する。本発明はまた、化合物を含有する医薬組成物、並びにウイルスの複製又は再活性化を阻害し、ウイルスに関連する又はウイルスによって引き起こされる疾患状態を治療するために化合物及び組成物を使用する方法を提供する。本発明の更なる目的は、以下の説明及び実施例に記載される。
【0015】
一態様では、本発明は、式(I)の化合物を提供し、
【化1】
(式中、
及びGのうちの一方は、直鎖又は分岐鎖C-Cアルキル、直鎖又は分岐鎖C-Cアルキルオキシ、直鎖又は分岐鎖C-Cハロアルキル、直鎖又は分岐鎖C-Cハロアルキルオキシ、ハロ及び3~7員シクロアルキルから選択され;G及びGのうちの他方はHであり;Rは、H及び直鎖又は分岐鎖C-Cアルキルから選択される)、任意選択で、当該化合物は、鏡像異性的に純粋な形態である。別の態様では、本発明は、治療有効量の本発明の化合物及び1つ以上の薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。別の態様では、本発明は、治療有効量の本発明の化合物及び1つ以上の治療活性剤を含む組み合わせ物、特に医薬組み合わせ物を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本明細書を解釈する目的で、以下の定義が適用され、適当と認められる場合は、単数形で使用される用語は複数形も含む。
【0017】
本明細書で使用される用語は、文脈が明らかに他のことを示さない限り、以下の意味を有する。
【0018】
本明細書で使用される場合、「対象」という用語は、動物を指す。特定の態様では、動物とは、哺乳動物である。対象とはまた、例えば、霊長類(例えば、ヒト)、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、マウス、魚、及び鳥なども指す。特定の実施形態では、対象とは、ヒトである。本明細書で使用される場合、「患者」とは、ヒト対象を指す。本明細書で使用される場合、対象は、そのような対象がそのような治療から生物学的、医学的、又は生活の質において利益を得る場合、治療を「必要としている」。
【0019】
本明細書で使用される場合、「阻害する」又は「阻害」という用語は、所与の状態、症状、若しくは障害、若しくは疾患の低減若しくは抑制、又は生物学的活性若しくはプロセスのベースライン活性の著しい減少を指す。
【0020】
本明細書で使用される場合、任意の疾患又は障害を「治療すること」又は「治療」という用語は、一実施形態では、疾患又は障害を改善すること(すなわち、疾患、又はその臨床症状のうち少なくとも1つの進行の遅延又は阻止又は低減すること)を指す。別の実施形態では、「治療すること」又は「治療」とは、患者によって認識可能であり得ないものを含む、少なくとも1つの身体的パラメータを緩和又は改善することを指す。更に別の実施形態では、「治療する」又は「治療」とは、身体的(例えば、識別可能な症状の安定化)、生理学的(例えば、身体的パラメータの安定化)、又はその両方のいずれかで、疾患又は障害を調節することを指す。更に別の実施形態では、「治療すること」又は「治療」とは、疾患又は障害の発症又は発病若しくは進行を、予防又は遅延させることを指す。
【0021】
本明細書で使用される場合、本発明の文脈で使用される「a」、「an」、「the」、及び同様の用語(特に、特許請求の範囲の文脈における)は、本明細書で別段の指定がない限り、又は文脈によって明確に矛盾しない限り、単数形及び複数形の両方を網羅すると解釈されるべきである。
【0022】
本明細書に記載される全ての方法は、本明細書で別途指示されない限り、又は文脈によって明らかに矛盾しない限り、任意の好適な順序で実施することができる。本明細書で提供されるいずれか及び全ての例、又は例示的な言い回し(例えば、「など」)の使用は、単に本発明をより明らかにすることを意図するものであって、特許請求される本発明の範囲を限定するものではない。
【0023】
本明細書で使用される場合、「ハロ」又は「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素であり得る。
【0024】
本明細書で使用される場合、「C1-6アルキル」又は「C-Cアルキル」は、1~6個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキルを示す。C又はCなどの異なる数の炭素原子が指定されている場合、それに応じて定義を補正すべきであり、例えば、「C1-4アルキル」は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、及びtert-ブチルを表す。
【0025】
本明細書で使用される場合、「C1-6アルコキシ」は、1~6個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルコキシ(-O-アルキル)を示す。C又はCなどの異なる数の炭素原子が指定されている場合、それに応じて定義を補正すべきであり、例えば、「C1-4アルコキシ」は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、及びtert-ブトキシを表す。
【0026】
本明細書で使用される場合、「C1-4ハロアルキル」又は「C-Cハロアルキル」は、少なくとも1つの水素がハロゲンで置換されている、1~4個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキルを示す。ハロゲン置換の数は、1から非置換アルキル基における水素原子の数までであり得る。C又はCなどの異なる数の炭素原子が指定されている場合、それに応じて定義を補正すべきである。したがって、「C1-4ハロアルキル」は、ハロゲンで置換された少なくとも1個の水素を有する、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、及びtert-ブチルを表し、例えば、ハロゲンがフッ素である場合、CFCF-、(CFCH-、CH-CF-、CFCF-、CF、CFH-、CFCFCH(CF)-、又はCFCFCFCF-である。
【0027】
本明細書で使用される場合、「C3-8シクロアルキル」という用語は、3~8個の炭素原子の飽和単環式炭化水素環を指す。そのような基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、及びシクロヘキシルが挙げられる。C-Cなどの異なる数の炭素原子が指定されている場合、それに応じて定義を補正すべきである。
【0028】
本発明の様々な実施形態が本明細書に記載される。各実施形態で指定された特徴は、更なる実施形態を提供するために他の指定された特徴と組み合わされ得ることが認識されるであろう。以下の列挙される実施形態は、本発明の代表的なものである。
【0029】
実施形態1.式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩:
【化2】
(式中、
及びGのうちの一方は、直鎖又は分岐鎖C-Cアルキル、直鎖又は分岐鎖C-Cアルキルオキシ、直鎖又は分岐鎖C-Cハロアルキル、直鎖又は分岐鎖C-Cハロアルキルオキシ、ハロ及び3~7員シクロアルキルから選択され;G及びGのうちの他方はHであり;Rは、H及び直鎖又は分岐鎖C-Cアルキルから選択される)。
【0030】
実施形態2.Gが、直鎖又は分岐鎖C-Cハロアルキル、直鎖又は分岐鎖C-Cハロアルキルオキシ、及び3~7員シクロアルキルから選択される、実施形態1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【0031】
実施形態3.Gが、直鎖又は分岐鎖C-Cハロアルキルである、実施形態1若しくは2に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【0032】
実施形態4.Gが、CFである、実施形態1~3のいずれか1つに記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【0033】
実施形態5.Gが、直鎖又は分岐鎖C-Cハロアルキルオキシである、実施形態1若しくは2に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【0034】
実施形態6.Gが、OCFである、実施形態1、2、及び5のいずれか1つに記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【0035】
実施形態7.Gが、3~7員シクロアルキルである、実施形態1若しくは2に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【0036】
実施形態8.Gが、シクロプロピルである、実施形態1、2、及び7のいずれか1つに記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【0037】
実施形態9.Gが、Hである、実施形態1~8のいずれか1つに記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【0038】
実施形態10.Gが、メチルである、実施形態1若しくは9に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【0039】
実施形態11.Gが、OCHである、実施形態1若しくは9に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【0040】
実施形態12.Gが、イソプロピルである、実施形態1若しくは9に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【0041】
実施形態13.Gが、ハロである、実施形態1若しくは9に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【0042】
実施形態14.Gが、Hである、実施形態1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【0043】
実施形態15.Gが、メチルである、実施形態1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【0044】
実施形態16.化合物が、式(II)の化合物である、実施形態1~15のいずれか1つに記載の化合物又はその薬学的に許容される塩:
【化3】
【0045】
実施形態17.式(III)を有する、実施形態1~10及び12~13のいずれか1つに記載の化合物又はその薬学的に許容される塩:
【化4】
【0046】
実施形態17a.化合物が、式(IV)の化合物である、実施形態1~9のいずれか1つに記載の化合物又はその薬学的に許容される塩:
【化5】
(式中、Gは、直鎖又は分岐鎖C-Cハロアルキル、直鎖又は分岐鎖C-Cハロアルキルオキシ、及び3~7員シクロアルキルから選択される)。
【0047】
実施形態17b.Gが、CF、OCF、及びシクロプロピルから選択される、実施形態1~9及び17aのいずれか1つに記載の化合物。
【0048】
実施形態17c.Rが、H及びメチルから選択される、実施形態1~9、17a、及び17bのいずれか1つに記載の化合物。
【0049】
実施形態18.以下から選択される、実施形態1~17のいずれか1つに記載の化合物:
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
又はその薬学的に許容される塩。
【0050】
実施形態18a.以下からなる群から選択される、化合物、又はその薬学的に許容される塩、又はその光学異性体:N-((4bR,9bR)-1-アミノ-4b-ヒドロキシ-7-イソプロピル-10-オキソ-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)アセトアミド;N-(1-アミノ-4b-ヒドロキシ-10-オキソ-7-(トリフルオロメチル)-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)アセトアミド(19);N-((4bR,9bR)-1-アミノ-4b-ヒドロキシ-10-オキソ-7-(トリフルオロメチル)-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)アセトアミド;N-((4bS,9bS)-1-アミノ-4b-ヒドロキシ-10-オキソ-7-(トリフルオロメチル)-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)アセトアミド;N-((4bR,9bR)-1-アミノ-7-ブロモ-4b-ヒドロキシ-10-オキソ-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)アセトアミド;N-(1-アミノ-7-シクロプロピル-4b-ヒドロキシ-10-オキソ-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)アセトアミド;N-((4bR,9bR)-1-アミノ-7-シクロプロピル-4b-ヒドロキシ-10-オキソ-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)アセトアミド;N-((4bS,9bS)-1-アミノ-7-シクロプロピル-4b-ヒドロキシ-10-オキソ-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)アセトアミド;N-(1-アミノ-4b-ヒドロキシ-10-オキソ-7-(トリフルオロメトキシ)-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)アセトアミド;N-((4bR,9bR)-1-アミノ-4b-ヒドロキシ-10-オキソ-7-(トリフルオロメトキシ)-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)アセトアミド;N-((4bS,9bS)-1-アミノ-4b-ヒドロキシ-10-オキソ-7-(トリフルオロメトキシ)-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)アセトアミド;N-(1-アミノ-7-クロロ-4b-ヒドロキシ-10-オキソ-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)アセトアミド;N-((4bR,9bR)-1-アミノ-7-クロロ-4b-ヒドロキシ-10-オキソ-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)アセトアミド;N-((4bS,9bS)-1-アミノ-7-クロロ-4b-ヒドロキシ-10-オキソ-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)アセトアミド;N-(1-アミノ-4b-ヒドロキシ-7-メチル-10-オキソ-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)アセトアミド;N-((4bR,9bR)-1-アミノ-4b-ヒドロキシ-7-メチル-10-オキソ-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)アセトアミド及びN-((4bS,9bS)-1-アミノ-4b-ヒドロキシ-7-メチル-10-オキソ-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)アセトアミド;N-(1-アミノ-4b-ヒドロキシ-8-メチル-10-オキソ-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)アセトアミド;N-((4bR,9bR)-1-アミノ-4b-ヒドロキシ-8-メチル-10-オキソ-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)アセトアミド;N-(1-アミノ-4b-ヒドロキシ-10-オキソ-7-(トリフルオロメチル)-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)-N-メチルアセトアミド;N-((4bR,9bR)-1-アミノ-4b-ヒドロキシ-7-メトキシ-10-オキソ-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)アセトアミド;又はその薬学的に許容される塩。
【0051】
実施形態18b.
【化6】
若しくは
【化7】
である、実施形態1の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【0052】
実施形態19.ウイルス疾患を予防又は治療するための、実施形態1~18のいずれか1つに記載の化合物、その薬学的に許容される塩、又はその光学異性体。
【0053】
実施形態20.実施形態1~18のいずれか1つに記載の化合物、その薬学的に許容される塩、又はその光学異性体と、薬学的に許容される希釈剤又は賦形剤とを含む、ウイルス疾患を予防又は治療するための医薬組成物。
【0054】
実施形態21.実施形態1~18のいずれか1つに記載の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は実施形態20に記載の医薬組成物と、1つ以上の治療活性剤とを含む、組み合わせ物。
【0055】
実施形態22.治療有効量の実施形態1~18のいずれか1つに記載の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は実施形態20に記載の医薬組成物、又は実施形態21に記載の組み合わせ物を対象に投与することを含む、ウイルス疾患を治療する方法。
【0056】
実施形態23.ウイルス疾患を予防又は治療するための、実施形態19に記載の化合物若しくはその薬学的に許容される塩若しくはその光学異性体、又は実施形態20に記載の医薬組成物、又は実施形態21に記載の組み合わせ物の使用。
【0057】
実施形態24.ウイルス疾患が、コクサッキーウイルスによって引き起こされる、実施形態19に記載の化合物、又は実施形態20に記載の医薬組成物、又は実施形態21に記載の方法、又は実施形態23に記載の使用。
【0058】
実施形態25.ウイルス疾患が、ポリオウイルスによって引き起こされる、実施形態19に記載の化合物、又は実施形態20に記載の医薬組成物、又は実施形態21に記載の方法、又は実施形態23に記載の使用。
【0059】
実施形態26.ウイルス疾患が、エコーウイルスによって引き起こされる、実施形態19に記載の化合物、又は実施形態20に記載の医薬組成物、又は実施形態21に記載の方法、又は実施形態23に記載の使用。
【0060】
実施形態27.ウイルス疾患が、エンテロウイルスによって引き起こされる、実施形態19に記載の化合物、又は実施形態20に記載の医薬組成物、又は実施形態21に記載の方法、又は実施形態23に記載の使用。
【0061】
実施形態28.ウイルス疾患が、ライノウイルスによって引き起こされる、実施形態19に記載の化合物、又は実施形態20に記載の医薬組成物、又は実施形態21に記載の方法、又は実施形態23に記載の使用。
【0062】
実施形態29.ウイルス疾患が、ピコルナウイルスによって引き起こされる、実施形態19に記載の化合物、又は実施形態20に記載の医薬組成物、又は実施形態21に記載の方法、又は実施形態23に記載の使用。
【0063】
実施形態30.ウイルス疾患が、ポリオ、麻痺、急性出血性結膜炎、ウイルス性髄膜炎、手足口病、水疱性疾患、A型肝炎、筋炎、心筋炎、膵炎、糖尿病、流行性筋痛症、脳炎、インフルエンザ、ヘルパンギナ、口蹄疫、喘息、慢性閉塞性肺疾患、肺炎、副鼻腔炎、又は中耳炎である、実施形態19に記載の化合物、又は実施形態20に記載の医薬組成物、又は実施形態21に記載の方法、又は実施形態23に記載の使用。
【0064】
式I、II、又はIIIの化合物は新規であり、本明細書に記載の式(I)~(III)の化合物を調製するための中間体として有用である。
【0065】
本発明の別の実施形態は、医薬として上記の化合物、又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0066】
ヒトにおけるウイルス疾患及び/又は感染症を治療又は予防するための医薬を製造するための、式I、II、若しくはIIIの化合物又はその薬学的に許容される塩の使用も、本発明の範囲内である。
【0067】
式I、II、若しくはIIIの化合物、又はその薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される担体と、を含む医薬組成物も、本発明の範囲内に含まれる。
【0068】
この実施形態の更なる態様によれば、本発明による医薬組成物は、治療有効量の少なくとも1つの他の抗ウイルス剤を更に含む。
【0069】
本発明はまた、感染症を有するか又は感染症を有するリスクがあるヒトにおける、ウイルス感染症を治療するための上記のとおりの医薬組成物の使用も提供する。
【0070】
本発明はまた、疾患を有するか又は疾患を有するリスクがあるヒトにおけるウイルス疾患又は感染症を治療するための上記のとおりの医薬組成物の使用も提供する。
【0071】
本発明の別の態様は、抗ウイルス的に有効な量の本発明の化合物、その薬学的に許容される塩、又は上記の組成物を、単独で、又は一緒に若しくは別々に投与される少なくとも1つの他の抗ウイルス剤と組み合わせてヒトに投与することによって、ヒトにおけるウイルス疾患及び/又は感染症を治療又は予防する方法に関する。
【0072】
本発明の追加の態様は、ウイルス疾患及び/又は感染症を治療するのに有効な組成物と、ウイルスによる疾患及び/又は感染症を治療するために当該組成物が使用され得ることを示すラベルを含む包装材料と、を含む製品であって、当該組成物が、本発明による式I、II、若しくはIIIの化合物又はその薬学的に許容される塩を含む、製品を指す。
【0073】
本発明の更に別の態様は、ウイルスの複製を阻害する方法であって、当該ウイルスの複製が阻害される条件下において、有効量の式I、II、若しくはIIIの化合物又はその塩に当該ウイルスを曝露させることを含む、方法に関する。この方法は、インビトロ又はインビボで実施することができる。
【0074】
更に、ウイルスの複製を阻害するための式I、II、若しくはIIIの化合物又はその塩の使用も、本発明の範囲内に含まれる。
【0075】
一実施形態では、本発明は、本発明の化合物及び別の治療剤(複数可)を含む医薬組成物を提供する。任意選択で、医薬組成物は、上記のように、薬学的に許容される担体を含み得る。いくつかの実施形態では、式I、II、又はIIIの化合物は、ウイルス阻害剤又はワクチンから選択される少なくとも1つの追加の剤と同時投与される。
【0076】
これらの追加の剤を、本発明の化合物と組み合わせて、単一の医薬剤形を作製してもよい。あるいは、これらの追加の剤は、例えば、キットを用いて、複数の剤形の一部として患者に別々に投与されてもよい。そのような追加の剤は、本発明の化合物又はその薬学的に許容される塩の投与の前、投与と同時に、又は投与の後に患者に投与されてもよい。
【0077】
1日当たりの適用可能な本発明の化合物の用量範囲は、通常、0.01~100mg/kg(体重)、時に0.1~50mg/kg(体重)である。各薬用量単位は、便利には、5%~95%の活性化合物(w/w)を含有し得る。時に、このような調製物は、20%~80%の活性化合物を含有する。
【0078】
実際の薬学的有効量又は治療薬用量は、当然ながら、患者の年齢及び体重、投与経路、及び疾患の重症度といった、当業者によって既知の要因に依存するであろう。いずれの場合も、組み合わせは、患者の固有の状態に基づいて薬学的有効量の送達を可能にする投与量及び様式で投与される。
【0079】
本発明の組成物が、本発明の化合物と、1つ以上の追加の治療剤又は予防剤との組み合わせを含む場合、化合物及び追加の剤はいずれも、通常単剤療法レジメンで投与される薬用量の約10~100%、例えば、約10~80%の薬用量レベルで存在し得る。
【0080】
そのような併用療法における使用のために企図される抗ウイルス剤には、ヒトにおけるウイルスの形成及び/又は複製に必要な宿主又はウイルス機構のいずれかを妨げる薬剤が含まれるが、これらに限定されない、ヒトにおけるウイルスの形成及び/又は複製を阻害するのに有効な薬剤(化合物又は生物製剤)が含まれる。
【0081】
本発明の多くの化合物は1個以上のキラル中心を含有する。これらの化合物は、単一の異性体として、又は異性体の混合物として作製され、使用され得る。ジアステレオマー及び鏡像異性体を含む異性体を分離するための方法は、当該技術分野で公知であり、好適な方法の例は、本明細書に記載されている。特定の実施形態では、本発明の化合物は、単一の実質的に純粋な異性体として使用され、これは、化合物の試料の少なくとも90%が指定の異性体であり、試料の10%未満が任意の他の異性体又は異性体の混合物であることを意味する。いくつかの実施形態では、試料の少なくとも95%が単一の異性体である。異性体間のインビトロ活性の差が比較的小さい、例えば約4倍未満である場合、本明細書に記載されるものなどの方法を用いて、細胞培養物におけるウイルス複製に対する活性レベルに基づいて、単一の異性体を選択してよい:より低いIC50又はEC50を有する異性体を選択してよい。
【0082】
本発明の化合物は、以下の一般的な合成経路によって合成され得、その具体例は、実施例においてより詳細に記載される。
【0083】
本発明はまた、本明細書に記載の式I、II、又はIIIの化合物、及び式I、II、又はIIIの化合物の調製に有用な中間体を作製する方法を提供する。
【0084】
本発明は、プロセスの任意の段階で得ることができる中間生成物が出発物質として使用され、残りのステップが実行されるか、又は出発物質が反応条件下においてその場で形成されるか、又は反応成分がそれらの塩若しくは光学的に純粋な材料の形態で使用される、本プロセスの任意の変形を更に含む。
【0085】
本発明はまた、プロセスの任意の段階で中間体として得ることができる化合物が出発物質として使用され、残りのプロセス工程が実行されるプロセスの形態、又は出発物質が反応条件下において形成されるか、若しくは誘導体の形態、例えば保護形態若しくは塩の形態で使用されるプロセスの形態、又は本発明によるプロセスによって得ることができる化合物がプロセス条件下において製造され、その場で更に処理されるプロセスの形態に関する。
【0086】
「光学異性体」又は「立体異性体」という用語は、本発明の所与の化合物について存在し得る様々な立体異性体構成のいずれかを指し、幾何異性体を含む。置換基は炭素原子のキラル中心に結合し得ることが理解される。「キラル」という用語は、それらの鏡像パートナーに対する非重ね合わせ性(non-superimposability)の特性を有する分子を指し、一方で「アキラル」という用語は、それらの鏡像パートナーに対して重ね合わせることができる分子を指す。したがって、本発明は、化合物の鏡像異性体、ジアステレオマー、又はラセミ体を含む。「鏡像異性体」とは、互いに重ね合わせることができない鏡像である、一対の立体異性体である。一対の鏡像異性体の1:1混合物は、「ラセミ」混合物である。この用語は、適宜、ラセミ混合物を呼称するために使用される。「ジアステレオ異性体」とは、少なくとも2個の不斉原子を有するが、互いに鏡像ではない、立体異性体である。絶対立体化学は、カーン・インゴルド・プレローグR-Sシステムに従って指定される。化合物が純粋な鏡像異性体である場合、各キラル炭素での立体化学はR又はSのいずれかによって指定され得る。絶対配置が未知である分割化合物は、ナトリウムD線の波長で平面偏光を回転させる方向(右旋性又は左旋性)に応じて、(+)又は(-)と呼称され得る。本明細書に記載の特定の化合物は、1個以上の不斉中心又は軸を含有し、したがって、絶対立体化学に関して(R)-又は(S)-として定義され得る、鏡像異性体、ジアステレオマー、及び他の立体異性体形態を生じさせることがある。
【0087】
出発物質及び手順の選択に応じて、化合物は、不斉炭素原子の数に応じて、可能な異性体のうちの1つの形態、又はそれらの混合物として、例えば、純粋な光学異性体として、又はラセミ体及びジアステレオ異性体混合物などの異性体混合物として存在し得る。本発明は、ラセミ混合物、ジアステレオマー混合物、及び光学的に純粋な形態を含む、そのような可能な立体異性体を全て含むことを意図する。光学活性な(R)-及び(S)-異性体は、キラルシントン若しくはキラル試薬を用いて調製され得るか、又は従来の技術を用いて分割され得る。化合物が二重結合を含有する場合、置換基は、E配置又はZ配置であってもよい。化合物が二置換シクロアルキルを含有する場合、シクロアルキル置換基は、シス配置又はトランス配置を有してもよい。全ての互変異性体形態もまた含まれることが意図される。
【0088】
異性体の任意の得られた混合物は、構成物の物理化学的差異に基づいて、純粋又は実質的に純粋な幾何異性体若しくは光学異性体又はジアステレオマーに、例えばクロマトグラフィ及び/又は分別結晶によって分離することができる。
【0089】
最終生成物又は中間体の任意の得られたラセミ体を、既知の方法によって、例えば、光学活性な酸又は塩基を用いて得られたそのジアステレオマー塩を分離し、光学活性な酸性又は塩基性化合物を遊離させることによって、光学対掌体に分割することができる。したがって、特に、塩基性部分を使用して、例えば、光学活性酸、例えば、酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、ジアセチル酒石酸、ジ-O,O’-p-トルオイル酒石酸、マンデル酸、リンゴ酸、又はカンファ-10-スルホン酸で形成された塩の分別結晶によって、本発明の化合物をそれらの光学対掌体に分割することができる。ラセミ生成物はまた、キラルクロマトグラフィー、例えば、キラル吸着剤を用いた高圧液体クロマトグラフィ(high pressure liquid chromatography:HPLC)によって分離することもできる。
【0090】
更に、それらの塩を含む本発明の化合物は、それらの水和物の形態で得ることができ、又はそれらの結晶化に使用される他の溶媒を含むこともできる。本発明の化合物は、本質的に又は設計によって、薬学的に許容される溶媒(水を含む)と溶媒和物を形成してもよい。したがって、本発明は、溶媒和形態及び非溶媒和形態の両方を包含することが意図される。「溶媒和物」という用語は、1つ以上の溶媒分子との本発明の化合物(その薬学的に許容される塩を含む)の分子複合体を指す。そのような溶媒分子は、レシピエント、例えば、水及びエタノールなどに無害であることが知られており、医薬技術分野で一般的に使用されるものである。「水和物」という用語は、溶媒分子が水である複合体を指す。
【0091】
本発明の化合物(その塩、水和物、及び溶媒和物を含む)は、本質的に又は設計により多形を形成し得る。
【0092】
本明細書で使用される場合、「塩(salt)」又は「塩(salts)」という用語は、本発明の化合物の酸付加塩又は塩基付加塩を指す。「塩」には、特に、「薬学的に許容される塩」が含まれる。「薬学的に許容される塩」という用語は、本発明の化合物の生物学的有効性及び特性を保持し、かつ典型的には生物学的に又は他の点で望ましくないというものではない塩を指す。多くの場合、本発明の化合物は、アミノ基及び、/若しくはカルボキシル基又はそれと同様の基の存在によって、酸塩及び/又は塩基塩を形成することができる。
【0093】
薬学的に許容される酸付加塩は、無機酸及び有機酸と形成され得、例えば、酢酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベシル酸塩、臭化物/臭化水素酸塩、重炭酸塩/炭酸塩、重硫酸塩/硫酸塩、カンファースルホン酸塩、塩化物/塩酸塩、クロロテオフィロン酸塩、クエン酸塩、エタンジスルホン酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、馬尿酸塩、ヨウ化水素酸塩/ヨウ化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メチル硫酸塩、ナフトエ酸塩、ナプシル酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オクタデカン酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、リン酸塩/リン酸水素塩/リン酸ニ水素塩、ポリガラクツロン酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、スルホサリチル酸塩、酒石酸塩、トシル酸塩、及びトリフルオロ酢酸塩である。
【0094】
塩を誘導することができる無機酸としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、及びリン酸などを挙げることができる。
【0095】
塩を誘導することができる有機酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、及びスルホサリチル酸などを挙げることができる。薬学的に許容される塩基付加塩は、無機塩基及び有機塩基で形成することができる。
【0096】
塩を誘導することができる無機塩基としては、例えば、アンモニウム塩及び周期表のI~XII列の金属が挙げられる。特定の実施形態では、塩は、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、銀、亜鉛、及び銅から誘導され、特に好適な塩としては、アンモニウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩、及びマグネシウム塩が挙げられる。
【0097】
塩を誘導することができる有機塩基としては、例えば、一級、二級、及び三級アミン、天然に存在する置換アミンを含む置換アミン、環状アミン、及び塩基性イオン交換樹脂などが挙げられる。特定の有機アミンとしては、イソプロピルアミン、ベンザチン、コリネート(cholinate)、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、リジン、メグルミン、ピペラジン、及びトロメタミンが挙げられる。
【0098】
本発明の薬学的に許容される塩は、従来の化学的方法によって、塩基性部分又は酸性部分から合成することができる。概して、そのような塩は、これらの化合物の遊離酸形態を化学量論量の適切な塩基(Na、Ca、Mg、若しくはK水酸化物、炭酸塩、又は重炭酸塩など)と反応させることによって、又はこれらの化合物の遊離塩基形態を化学量論量の適切な酸と反応させることによって、調製することができる。そのような反応は、典型的には、水中若しくは有機溶媒中、又は2つの混合物中で行われる。概して、実行可能である場合、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、又はアセトニトリルのような非水性媒体の使用が望ましい。追加の好適な塩のリストは、例えば、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」第20版、Mack Publishing Company(Easton、Pa.(1985年);及び「Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use」、Stahl及びWermuth(Wiley-VCH、Weinheim、ドイツ、2002年)において見出すことができる。
【0099】
本明細書に示される任意の式は、本発明の化合物の非標識形態、並びに非天然同位体分布を有する最大3個の原子、例えば、重水素又は13C若しくは15Nが濃縮された部位を有する同位体標識形態を表すことを意図している。同位体標識化合物は、1個又は複数の原子が、天然存在質量分布以外の選択された原子質量又は質量数を有する原子によって置き換えられていることを除いて、本明細書に示される式によって表される構造を有する。本発明の化合物に有用に過剰組み込みされ得る同位体の例としては、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素、及び塩素の同位体、例えばそれぞれ、H、H、11C、13C、14C、15N、18F、31P、32P、35S、36Cl、125Iが挙げられる。本発明は、本発明の様々な同位体標識化合物、例えばH及び14Cなどの放射性同位体、又はH及び13Cなどの非放射性同位体が通常の同位体分布を実質的に超えるレベルで存在するものを含む。このような同位体標識化合物は、代謝研究(例えば、14Cによる)、反応速度論研究(例えば、H又はHによる)、ポジトロン放射断層撮影法(positron emission tomography:PET)又は薬物若しくは基質の組織分布アッセイを含む単光子放射型コンピュータ断層撮影法(single-photon emission computed tomography:SPECT)などの検出技術又は撮像技術において、又は患者の放射線治療において有用である。特に、本発明の18F標識化合物は、PET又はSPECT研究にとって特に望ましい場合がある。本発明の同位体標識化合物は、概して、当業者に既知の従来の技術、又は典型的に用いられる非標識試薬の代わりに適切な同位体標識試薬を用いて、添付の実施例及び調製に記載されているものと類似したプロセスによって、調製され得る。標識された試料は、微量の化合物を検出するために放射性標識が使用される場合など、非常に低い同位体取り込みで有用であり得る。
【0100】
更に、より重い同位体、特に重水素(すなわち、H又はD)によるより広範な置換は、より大きな代謝安定性に起因する特定の治療上の利点、例えば、インビボでの半減期の延長、又は薬用量必要条件の低減、又は治療指数の改善をもたらし得る。この文脈における重水素は、本発明の化合物の置換基と見なされ、典型的には、置換基として重水素を有する化合物の試料は、標識された位置(複数可)に少なくとも50%の重水素が組み込まれていることが理解される。このようなより重い同位体、具体的には重水素の濃度は、同位体濃縮係数(isotopic enrichment factor)によって定義され得る。「同位体濃縮係数」という用語は、本明細書で使用される場合、同位体存在量と特定の同位体の天然存在量との比を意味する。本発明の化合物中の置換基が重水素で示される場合、そのような化合物は、各々の指定された重水素原子について、少なくとも3500(各指定された重水素原子において52.5%の重水素組込み)、少なくとも4000(60%の重水素組込み)、少なくとも4500(67.5%の重水素組込み)、少なくとも5000(75%の重水素組込み)、少なくとも5500(82.5%の重水素組込み)、少なくとも6000(90%の重水素組込み)、少なくとも6333.3(95%の重水素組込み)、少なくとも6466.7(97%の重水素組込み)、少なくとも6600(99%の重水素組込み)、又は少なくとも6633.3(99.5%の重水素組込み)の同位体濃縮係数を有する。
【0101】
本発明による薬学的に許容される溶媒和物は、結晶化の溶媒が、同位体置換されたもの、例えばDO、d-アセトン、d-DMSOであり得るものを含む。
【0102】
水素結合の供与体及び/又は受容体として作用することができる基を含有する本発明の化合物は、好適な共結晶形成剤と共結晶を形成することが可能であり得る。これらの共結晶は、既知の共結晶形成手順によって本発明の化合物から調製され得る。そのような手順には、結晶化条件下における本発明の化合物と共結晶形成剤との粉砕、加熱、共昇華、共溶融、又は溶液中での接触、及びそれによって形成された共結晶の単離が含まれる。好適な共結晶形成剤は、国際公開第2004/078163号に記載されているものを含む。したがって、本発明は更に、本発明の化合物を含む共結晶を提供する。
【0103】
本明細書に記載される全ての方法は、本明細書で別途指示されない限り、又は文脈によって明らかに矛盾しない限り、任意の好適な順序で実施することができる。本明細書で提供されるいずれか及び全ての例、又は例示的な言い回し(例えば、「など」)の使用は、単に本発明をより明らかにすることを意図するものであって、特許請求される本発明の範囲を限定するものではない。
【0104】
本発明の化合物は、経口、非経口、及び吸入などを含む、既知の方法によって投与することができる。特定の実施形態では、本発明の化合物は、丸剤、ロゼンジ剤、トローチ剤、カプセル剤、液剤、又は懸濁剤として経口投与される。他の実施形態では、本発明の化合物は、注射又は注入によって投与される。注入は、典型的には、多くの場合、約15分~4時間の期間にわたって静脈内に行われる。他の実施形態では、本発明の化合物は、鼻腔内又は吸入によって投与される。吸入法は、呼吸器感染症の治療に特に有用である。本発明の化合物は、経口バイオアベイラビリティを示すので、いくつかの実施形態では、当該化合物は経口投与され得る。
【0105】
本発明の化合物はまた、対象におけるウイルス感染症の治療のために、他の薬剤(組み合わせパートナー)、例えば、式Iであるか又は式Iではない追加の抗ウイルス剤と組み合わせて使用してもよい。
【0106】
「組み合わせ/併用」という用語は、同時若しくは順次のいずれかで一緒に使用するのに好適な別々の剤形として、又は特に組み合わせパートナーが、協同的、例えば相乗的、効果、若しくはこれらの任意の組み合わせを示すことを可能にする時間間隔内で、本発明の化合物及び組み合わせパートナーが独立して同時若しくは別々に投与され得る、併用投与のための部品のキットとして、1つの単位剤形で固定された組み合わせのいずれかを意味する。
【0107】
本発明の特定の実施形態では、本発明の化合物は、本明細書で名付けられたものなど、第2の抗ウイルス剤と組み合わせて使用される。
【0108】
第2の抗ウイルス剤は、本発明の化合物と組み合わせて投与されてもよく、ここで、第2の抗ウイルス剤は、本発明の1つの化合物又は複数の化合物の前、同時、又は後に投与される。本発明の化合物と第2の薬剤との同時投与が望まれ、投与経路が同じである場合、本発明の化合物は、第2の薬剤と共に同じ剤形に製剤化されてもよい。本発明の化合物及び第2の薬剤を含有する剤形の例は、錠剤又はカプセル剤である。
【0109】
いくつかの実施形態では、本発明の化合物と第2の抗ウイルス剤との組合せは、相乗的活性を提供し得る。本発明の化合物及び第2の抗ウイルス剤は、一緒に、別々であるが同時に、又は順次投与されてもよい。
【0110】
化合物の「有効量」とは、本明細書に記載のウイルス感染症及び/又は疾患若しくは状態を治療又は予防するために必要な量又は十分な量である。一例では、式Iのウイルス阻害剤の有効量は、対象においてウイルス感染症を治療するのに十分な量である。有効量は、対象のサイズ及び体重、病気の種類、又は本発明の特定の化合物のような要因に応じて変化し得る。例えば、本発明の化合物の選択は、「有効量」を構成するものに影響を及ぼし得る。当業者は、本明細書に含まれる要因を研究し、過度の実験を伴わずに本発明の化合物の有効量に関する決定を行うことができるであろう。
【0111】
投与レジメンは、有効量を構成するものに影響を及ぼし得る。本発明の化合物は、ウイルス感染症の発症前又は発症後のいずれかで対象に投与することができる。更に、いくつかの分割された投与量及び時差薬用量(staggered dosages)は毎日又は順次投与され得るか、あるいは用量は、連続的に注入され得るか又はボーラス注射であり得る。更に、本発明の化合物(複数可)の薬用量は、治療的又は予防的状況の緊急性によって示されるように、比例的に増加又は減少し得る。
【0112】
本発明の化合物は、本明細書に記載の状態、障害、若しくは疾患の治療、又はこれらの疾患の治療に使用するための医薬組成物の製造のために使用されてもよい。本発明は、これらの疾患の治療における本発明の化合物の使用方法、又はこれらの疾患の治療のための本発明の化合物を有する医薬組成物の調製方法を提供する。
【0113】
「医薬組成物」という言い回しは、哺乳動物、例えば、ヒトへの投与に好適な調製物を含む。本発明の化合物が、哺乳動物、例えばヒトに医薬として投与される場合、当該化合物は、それ自体を与えてもよく、又は例えば0.1~99.5%(時に、0.5~90%)の、有効成分としての少なくとも1つの式(I)の化合物若しくはその任意の亜属を、薬学的に許容される担体、若しくは任意選択で2つ以上の薬学的に許容される担体と組み合わせて含有する医薬組成物として与えてもよい。
【0114】
「薬学的に許容される担体」という語句は、当技術分野で認識されており、本発明の化合物を哺乳動物に投与するのに好適な、薬学的に許容される材料、組成物、又はビヒクルを含む。担体は、液体又は固体充填剤、希釈剤、賦形剤、溶媒、又はカプセル化材料を含み、対象薬剤を、1つの器官若しくは身体の一部分から別の器官に、又は身体の一部分に、運搬又は輸送することに関与する。各担体は、製剤の他の成分と適合性であり、患者に有害ではないという意味で「許容可能」である必要がある。薬学的に許容される担体として機能することができる材料のいくつかの例としては、ラクトース、グルコース、及びスクロースなどの糖;トウモロコシデンプン及びジャガイモデンプンなどのデンプン;セルロース、並びにカルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、及び酢酸セルロースなどのその誘導体;トラガント末;麦芽;ゼラチン;タルク;カカオバター及び坐剤ワックスなどの賦形剤;落花生油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、大豆油などの油;プロピレングリコールなどのグリコール;グリセリン、ソルビトール、マンニトール、及びポリエチレングリコールなどのポリオール;オレイン酸エチル及びラウリン酸エチルなどのエステル;寒天;水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウムなどの緩衝剤;アルギン酸;パイロジェンフリー水;等張性生理食塩水;リンゲル溶液;エチルアルコール;リン酸緩衝液、並びに医薬製剤で使用される他の非毒性適合性物質が挙げられる。典型的には、薬学的に許容される担体は、滅菌されている及び/又は実質的に発熱物質を含まない。
【0115】
ラウリル硫酸ナトリウム及びステアリン酸マグネシウムなどの湿潤剤、乳化剤、及び潤滑剤、並びに着色剤、離型剤、コーティング剤、甘味剤、香味剤及び芳香剤、防腐剤及び酸化防止剤もまた、組成物中に存在することができる。
【0116】
薬学的に許容される抗酸化剤の例としては、以下が挙げられる:アスコルビン酸、塩酸システイン、重硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、及び亜硫酸ナトリウムなどの水溶性抗酸化剤、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、α-トコフェロールなどの油溶性抗酸化剤;並びにクエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸などの金属キレート剤。
【0117】
本発明の製剤は、経口、経鼻、吸入、局所、経皮、頬側、舌下、直腸、膣、及び/又は非経口投与に適したものを含む。製剤は、便利には、単位剤形で提示され得、薬学分野において周知の任意の方法によって調製され得る。単一剤形を製造するために担体材料と組み合わせることができる活性成分の量とは、概して、治療効果を生じる化合物の量である。概して、100パーセントのうち、この量は、約1パーセント~約99パーセント、時に約5パーセント~約70パーセント、時に約10パーセント~約30パーセントの活性成分の範囲である。
【0118】
これらの製剤又は組成物を調製する方法は、本発明の化合物を、担体、及び任意選択で、1つ以上の副成分と会合させる工程を含む。概して、製剤は、本発明の化合物を、液体担体若しくは微細に分割された固体担体又はその両方と均一かつ密接に会合させ、次いで、必要に応じて生成物を成形することによって調製される。
【0119】
経口投与に好適な本発明の製剤は、カプセル、カシェ剤、丸剤、錠剤、ロゼンジ剤(風味付けされた基剤、例えば、通常はスクロース及びアカシア又はトラガントを用いる)、粉剤、顆粒剤の形態で、又は水性若しくは非水性液体中の液剤若しくは懸濁剤として、又は水中油型若しくは油中水型エマルジョンとして、又はエリキシル剤若しくはシロップ剤として、又はトローチ剤(ゼラチン及びグリセリン、又はスクロース及びアカシアなどの不活性ベースを用いる)として、及び/又はうがい薬などとしての形態であってもよく、各々が、所定量の本発明の化合物を有効成分として含有している。本発明の化合物はまた、ボーラス、舐剤、又はペースト剤として投与されてもよい。
【0120】
経口投与(カプセル剤、錠剤、丸剤、糖衣錠、粉剤、及び顆粒剤など)のための本発明の固体剤形では、活性成分は、クエン酸ナトリウム若しくはリン酸二カルシウムなどの1つ以上の薬学的に許容される担体、及び/又は以下のいずれかと混合される:デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、及び/又はケイ酸などの充填剤又は増量剤;例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース、及び/又はアカシアなどの結合剤;グリセロールなどの湿潤剤;寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモ又はタピオカデンプン、アルギン酸、特定のケイ酸塩、及び炭酸ナトリウムなどの崩壊剤;パラフィンなどの溶液遅延剤;4級アンモニウム化合物などの吸収促進剤;例えば、セチルアルコール及びモノステアリン酸グリセロールなどの湿潤剤;カオリン及びベントナイト粘土などの吸収剤;タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、及びこれらの混合物などの潤滑剤;並びに、着色剤。カプセル剤、錠剤、及び丸剤の場合、医薬組成物はまた、緩衝剤を含んでもよい。同様の種類の固体組成物はまた、ラクトース又は乳糖としてのそのような賦形剤、並びに高分子量ポリエチレングリコールなどを用いて、軟質及び硬質充填ゼラチンカプセルの充填剤としても使用され得る。
【0121】
錠剤は、任意選択で、1つ以上の副成分と共に圧縮又は成形することによって作製され得る。圧縮錠剤は、結合剤(例えば、ゼラチン又はヒドロキシプロピルメチルセルロース)、潤滑剤、不活性希釈剤、防腐剤、崩壊剤(例えば、デンプングリコール酸ナトリウム又は架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム)、表面活性剤又は分散剤を用いて調製してもよい。成形錠剤は、不活性液体希釈剤で湿らせた粉末化合物の混合物を、好適な機械で成形することによって作製され得る。
【0122】
錠剤、並びに糖衣錠、カプセル剤、丸剤、及び顆粒剤などの本発明の医薬組成物の他の固体剤形は、任意選択で、刻み目をつけたり、腸溶性コーティング及び医薬製剤化分野で周知の他のコーティングなどのコーティング及びシェルを用いて調製したりしてもよい。それらはまた、例えば、所望の放出プロファイルを提供するための様々な割合のヒドロキシプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリックス、リポソーム、及び/又はマイクロスフェアを用いて、中の活性成分の徐放又は制御放出を提供するように製剤化されてもよい。それらは、例えば、細菌保持フィルタを介した濾過によって、又は滅菌水に溶解することができる滅菌固体組成物の形態で滅菌剤を組み込むことによって、又は使用直前にいくつかの他の滅菌注射用媒体によって滅菌されてもよい。これらの組成物はまた、任意選択で乳白剤を含有していてもよく、また、胃腸管の特定の部分においてのみ、又は例えば特定の部分において、任意選択で徐放的に活性成分(複数可)を放出する組成物であってもよい。使用され得る埋込み用組成物の例としては、ポリマー物質及びワックスが挙げられる。活性成分はまた、必要に応じて、上記の賦形剤のうち1つ以上を有するマイクロカプセル化形態であり得る。
【0123】
本発明の化合物の経口投与のための液体剤形には、薬学的に許容される乳剤、マイクロエマルジョン製剤、液剤、懸濁剤、シロップ剤、及びエリキシル剤が含まれる。活性成分に加えて、液体剤形は、例えば水若しくは他の溶媒、可溶化剤、及び乳化剤、例として、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、油(特に、綿実油、落花生油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、及びゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコール、及びソルビタンの脂肪酸エステル、並びにこれらの混合物などの、当該技術分野で一般的に使用される不活性希釈剤を含有し得る。
【0124】
不活性希釈剤に加えて、経口組成物はまた、湿潤剤、乳化剤及び懸濁剤、甘味剤、香味剤、着色剤、芳香剤、並びに防腐剤などのアジュバントも含み得る。
【0125】
懸濁液は、活性化合物に加えて、例えば、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール、及びソルビタンエステル、微結晶セルロース、アルミニウムメタ水酸化物、ベントナイト、寒天及びトラガント、並びにこれらの混合物として、懸濁剤を含有してもよい。
【0126】
直腸又は膣内投与のための本発明の医薬組成物の製剤は、本発明の1つ以上の化合物を、例えば、カカオバター、ポリエチレングリコール、坐剤ワックス、若しくはサリチル酸塩を含む1つ以上の好適な非刺激性賦形剤又は担体と混合することによって調製され得る坐剤として提示されてもよく、これは、室温では固体であるが、体温では液体であり、したがって直腸又は膣腔内で溶融して活性化合物を放出する。
【0127】
膣内投与に適した本発明の製剤にはまた、適切であることが当技術分野で知られている、そのような担体を含有するペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォーム、又はスプレーも含まれる。
【0128】
本発明の化合物の局所投与又は経皮投与のための剤形には、粉末、スプレー、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、液剤、パッチ、及び吸入剤が含まれる。活性化合物は、滅菌条件下において、薬学的に許容される担体と、及び必要とされ得る任意の防腐剤、緩衝剤、又は噴射剤と、混合されてもよい。
【0129】
軟膏、ペースト、クリーム、及びゲルは、本発明の活性化合物に加えて、動物及び植物性脂肪、油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、タルク、及び酸化亜鉛、又はこれらの混合物などの賦形剤を含有してもよい。
【0130】
粉末及びスプレーは、本発明の化合物に加えて、ラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム、及びポリアミド粉末、又はこれらの物質の混合物などの賦形剤を含有し得る。スプレーは、クロロフルオロ炭化水素、並びにブタン及びプロパンなどの揮発性未置換炭化水素といった、通常的な噴射剤を更に含有し得る。
【0131】
経皮パッチは、本発明の化合物の体内への制御された送達を提供するという追加の利点を有する。そのような剤形は、化合物を適切な媒体に溶解又は分散させることによって作製することができる。吸収促進剤を使用して、皮膚にわたる化合物の流動を増加させることもできる。そのような流動の速度は、速度制御膜を設けるか、又は活性化合物をポリマーマトリックス若しくはゲル中に分散させるかのいずれかによって制御することができる。
【0132】
眼科用製剤、眼軟膏、粉末、及び液剤などもまた、本発明の範囲内であるとして想到される。
【0133】
非経口投与に適した本発明の医薬組成物は、使用直前に滅菌の注射可能溶液又は分散液に再構成することができる、滅菌等張性水溶液若しくは非水性溶液、分散液、懸濁液、若しくはエマルジョン、又は滅菌粉末などの1つ以上の薬学的に許容される担体と組み合わせて、本発明の1つ以上の化合物を含むことができ、これは、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、意図されるレシピエントの血液と製剤を等張にする溶質、又は懸濁剤若しくは増粘剤を含有してもよい。
【0134】
本発明の医薬組成物に使用され得る好適な水性担体及び非水性担体の例としては、水、エタノール、グリコールエーテル、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及びポリエチレングリコールなど)、及びこれらの好適な混合物、オリーブ油などの植物油、並びにオレイン酸エチルなどの注射可能な有機エステルが挙げられる。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティング材料の使用、分散液の場合には必要な粒径の維持、及び界面活性剤の使用によって維持することができる。
【0135】
これらの組成物はまた、防腐剤、湿潤剤、乳化剤、及び分散剤などのアジュバントを含有してもよい。微生物の作用の予防は、様々な抗菌剤及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、及びフェノールソルビン酸などを含めることによって、確実にすることができる。糖及び塩化ナトリウムなどの等張剤を組成物に含めることもまた、望ましい場合がある。加えて、注射可能な医薬品形態の長期吸収は、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンなどの吸収を遅延させる薬剤を含めることによってもたらされ得る。
【0136】
場合によっては、薬物の効果を延長するために、皮下又は筋肉内注射からの薬物の吸収を遅らせることが望ましい。これは、水溶性が乏しい結晶質又は非晶質材料の液体懸濁液の使用によって達成され得る。そして薬物の吸収速度はその溶解速度に依存し、次に、結晶サイズ及び結晶形態に依存し得る。あるいは、非経口投与された薬物形態の遅延吸収は、薬物を油性ビヒクルに溶解又は懸濁することによって達成される。
【0137】
注射可能なデポー形態は、ポリラクチド-ポリグリコリドなどの生分解性ポリマー中に、対象化合物のマイクロカプセルマトリックスを形成することによって作製される。薬物対ポリマーの比、及び使用される特定のポリマーの性質に応じて、薬物放出速度を制御することができる。他の生分解性ポリマーの例としては、ポリ(オルトエステル)及びポリ(無水物)が挙げられる。デポー注射可能製剤はまた、体組織と適合性のあるリポソーム又はマイクロエマルジョン製剤中に薬物を封入することによっても調製される。
【0138】
本発明の調製物は、経口的に、非経口的に、局所的に、又は直腸的に与えられ得る。これらは、当然のことながら、各投与経路に適した形態によって与えられる。例えば、これらは、錠剤又はカプセルの形態で、注射、吸入、点眼、軟膏、座薬などによって、注射、注入、又は吸入による投与で、ローション又は軟膏による局所で、及び坐剤による直腸で、投与される。
【0139】
本明細書で使用される場合、「非経口投与」及び「非経口的に投与される」という語句は、経腸及び局所投与以外の、通常注射による投与様式を意味し、限定するものではないが、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内、及び胸骨下への注射及び注入を含む。時に、静脈内注入が、本発明の化合物の送達方法である。注入は、単回の1日用量又は複数回用量を送達するために使用されてもよい。いくつかの実施形態では、本発明の化合物は、15分~4時間、典型的には0.5~3時間の間隔にわたり注入によって投与される。そのような注入は、1日1回、1日2回、又は1日当たり最大3回使用されてもよい。
【0140】
「全身投与」、「全身的に投与される」、「末梢投与」、及び「末梢的に投与される」という語句は、本明細書で使用される場合、患者の系に入り、したがって、代謝及び他の同様のプロセス、例えば皮下投与に対応するような、中枢神経系への直接以外の化合物、薬物、又は他の材料の投与を意味する。
【0141】
これらの化合物は、治療のために、経口、経鼻を含む任意の適切な投与経路によって、例えば、スプレーによって、直腸、膣内、非経口、槽内、及び局所的に、粉末、軟膏、又は滴剤(口腔及び舌下を含む)によって、ヒト及び他の動物に投与されてもよい。
【0142】
選択された投与経路に関係なく、好適な水和形態で使用され得る本発明の化合物、及び/又は本発明の医薬組成物は、当業者に既知である従来の方法によって薬学的に許容される剤形に製剤化される。
【0143】
本発明の医薬組成物中の活性成分の実際の薬用量レベルは、患者に対して毒性ではなく、特定の患者、組成物、及び投与様式に対して所望の治療奏功を達成するのに有効な量の活性成分を得るように、変化させてもよい。
【0144】
選択される薬用量レベルは、使用される本発明の具体的な化合物、又はそのエステル、塩、若しくはアミドの活性、投与経路、投与時間、使用されている具体的な化合物の排出速度、治療期間、使用される具体的な化合物と併用される他の薬物、化合物、及び/又は材料、治療されている患者の年齢、性別、体重、状態、全身の健康状態、及び以前の病歴、並びに医薬分野で周知の同様の要因を含む、様々な要因に依存する。
【0145】
当該技術分野における通常の技能を有する医師又は獣医師であれば、必要とされる医薬組成物の有効量を容易に決定し、処方することができる。例えば、医師又は獣医師は、所望の治療効果を達成し、所望の効果が達成されるまで薬用量を徐々に増加させるために必要とされるよりも低いレベルで、医薬組成物に使用される本発明の化合物の用量を開始することができる。
【0146】
概して、本発明の化合物の好適な1日用量とは、治療効果を生じるのに有効な最低用量である化合物の量である。そのような有効用量は、概して、上記の要因に依存する。概して、患者のための本発明の化合物の静脈内及び皮下用量は、指定の効果のために使用される場合、1日当たり約0.0001~約100mg/キログラム(体重)、時に1日当たり約0.01~約50mg/kg、時に1日当たり約0.1~約20mg/kgの範囲である。有効量とは、ウイルス感染症を予防又は治療する量である。
【0147】
必要に応じて、活性化合物の有効な1日用量は、1日当たりの単回用量として、又は1日をとおして適切な間隔で別々に投与される2、3、4、5、又は6以上の副用量として、任意選択で、単位剤形で投与され得る。経口又は吸入によって送達される化合物は、一般に、1日当たり1~4回の用量で投与される。注射によって送達される化合物は、典型的には、1日1回、又は1日おきに1回投与される。注入によって送達される化合物は、典型的には、1日当たり1~3回の用量で投与される。複数回用量が1日以内に投与される場合、用量は、約4時間、約6時間、約8時間、又は約12時間の間隔で投与されてもよい。
【0148】
本発明の化合物を単独で投与することも可能であるが、当該化合物は本明細書に記載されるものなどの医薬組成物として投与することも可能である。したがって、本発明の化合物を使用する方法は、医薬組成物として化合物を投与することを含み、ここで、本発明の少なくとも1つの化合物は、投与前に薬学的に許容される担体と混合される。
全般的な合成手順
【0149】
本明細書に記載の化合物は、以下の一般的な合成経路によって合成され得、その具体例は、実施例においてより詳細に記載される。
【0150】
本発明の化合物を合成するために利用される全ての出発物質、構成要素、試薬、酸、塩基、脱水剤、溶媒、及び触媒は、市販されているか、又は当業者に既知の有機合成方法によって製造され得るかのいずれかである(Houben-Weyl、第4版(1952年)、Methods of Organic Synthesis、Thieme、第21巻)。
【表2-1】
【表2-2】
【0151】
本発明の化合物は、本明細書に提供される実施例及びスキームを考慮して、当業者に既知の手順を使用して、一般的に入手可能な化合物から調製される。
【0152】
本明細書の範囲内では、本発明の化合物の特定の所望の最終生成物の構成物ではない、容易に除去可能な基のみが、文脈が別途示されない限り、「保護基」と呼称される。そのような保護基による官能基の保護、保護基そのもの、及びそれらの開裂反応は、標準的な参考文献、例えば、Science of Synthesis:Houben-Weyl Methods of Molecular Transformation.Georg Thieme Verlag(Stuttgart、ドイツ、2005年)第41627頁(URL:http://www.science-of-synthesis.com(電子版第48巻));J.F.W.McOmie、「Protective Groups in Organic Chemistry」、Plenum Press(London及びNew York、1973年)、T.W.Greene及びP.G.M.Wuts、「Protective Groups in Organic Synthesis」第3版、Wiley(New York、1999年)、「The Peptides」;第3巻(E.Gross及びJ.Meienhofer編)、Academic Press(London及びNew York、1981年)、「Methoden der Organischen Chemie」(「有機化学の方法」)、Houben Weyl、第4版、第15/I巻、Georg Thieme Verlag(Stuttgart、1974年)、H.-D.Jakubke及びH.Jeschkeit、「Aminosauren,Peptide,Proteine」(「アミノ酸、ペプチド、タンパク質」)、Verlag Chemie、(Weinheim、Deerfield Beach、及びBasel、1982年)、及びJochen Lehmann、「Chemie der Kohlenhydrate:Monosaccha-ride und Derivate」(「炭水化物の化学:単糖類及び誘導体」)、Georg Thieme Verlag(Stuttgart、1974年)などに記載されている。保護基の特徴は、例えば、加溶媒分解、還元、光分解、又は代替的に生理学的条件下において(例えば、酵素的開裂によって)、容易に(すなわち、望まない二次反応の発生なしに)除去できる点であり得る。
【0153】
少なくとも1個の塩形成基を有する本発明の化合物の塩は、それ自体が既知の様式で調製され得る。例えば、酸基を有する本発明の化合物の塩は、例えば、好適な有機カルボン酸のアルカリ金属塩などの金属化合物、例えば、2-エチルヘキサン酸のナトリウム塩で、対応する水酸化物、炭酸塩、若しくは炭酸水素塩などの有機アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属化合物、例えば、ナトリウム若しくはカリウムの水酸化物、炭酸塩、若しくは炭酸水素塩で、対応するカルシウム化合物で、又はアンモニア若しくは好適な有機アミンで当該化合物を処理することによって形成することができ、時に、化学量論的量又はわずかに過剰の塩形成剤が使用される。本発明の化合物の酸付加塩は、例えば、化合物を酸又は好適な陰イオン交換試薬で処理することによって、通常的な様式で得られる。酸及び塩基性塩形成基、例えば、遊離カルボキシ基及び遊離アミノ基を含有する本発明の化合物の分子内塩は、例えば、弱塩基又はイオン交換体での処理によって、例えば酸付加塩などの塩の等電点への中和によって形成され得る。
【0154】
塩は、通常的な様式で遊離化合物に変換することができる。金属塩及びアンモニウム塩は、例えば、好適な酸及び酸付加塩による処理によって、例えば、好適な塩基性剤で処理することによって変換され得る。
【0155】
本発明に従って得ることができる異性体の混合物は、個々の異性体にそれ自体が既知の様式で分離することができる。ジアステレオ異性体は、例えば、多相溶媒混合物間の分配、再結晶、及び/若しくは、例えばシリカゲル上でのクロマトグラフィ分離によって、又は例えば、逆相カラム上での中圧液体クロマトグラフィによって分離することができ、そしてラセミ体は、例えば光学的に純粋な塩形成試薬との塩の形成及びそのようにして得ることができるジアステレオ異性体の混合物の分離、例えば分別結晶によって、又は光学活性カラム材料上でのクロマトグラフィによって、分離することができる。
【0156】
中間体及び最終生成物は、標準的な方法に従って、例えば、クロマトグラフィ法、分配法、(再)結晶化などを用いて、後処理及び/又は精製することができる。
【実施例
【0157】
本発明は以下の実施例によって更に説明されるが、これらは限定として解釈されるべきではない。実施例をとおして使用されるアッセイは、当技術分野において十分に確立されている。これらのアッセイにおける有効性の実証は、概して、対象における有効性の予測と見なされる。
【0158】
本発明の化合物は、以下の反応スキーム及び実施例を参照して、当業者に既知の有機合成方法によって生成することができる。式(I)の化合物を合成するための一般的な方法を、以下のスキームに提供する。
LC-MSによる高解像度質量分析
【0159】
エレクトロスプレーイオン化源を備えたLTQ-XL Orbitrap質量分析計(ThermoFisher Scientific)を使用して、ESI-MSデータを記録した。MSシステムの解像度は、およそ30000であった。試料プローブからUPLC(Acquity、Waters)によって薬物候補を質量分析計に注入した。3分間で5%~95%の勾配で、0.15mL/分の流量でAcquity UPLC BEH C18 1×50mmカラムにおいて分離を行った。溶媒Aは、0.1%トリフルオロ酢酸を含む水であり、溶媒Bは、0.1%トリフルオロ酢酸を含む75%メタノール及び25%イソプロピルアルコールであった。システムの質量精度は、5ppm未満であることが見出されている。
実施例1及び2:N-((4bR,9bR)-1-アミノ-4b-ヒドロキシ-7-イソプロピル-10-オキソ-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)アセトアミド
【化8】
4-ニトロイソベンゾフラン-1,3-ジオン(2):
【0160】
AcO(1リットル)中3-ニトロフタル酸1(1.0kg、4.7モル)の初期懸濁液を、140℃で2.5時間還流させた。次いで、これを80℃に冷却し、激しく撹拌しながらジエチルエーテル(4リットル)にゆっくりと添加した。ブフナー漏斗で濾過することによって沈殿物を収集し、これをEtOで洗浄して、生成物を固形物として得た。
エチル4-ニトロ-1,3-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-カルボキシレート(3):
【0161】
乾燥DCM(260mL)中無水物2(50g、0.26モル)の懸濁液に、アセト酢酸エチル(42mL、0.31モル)及びAcO(48.5mL、0.52モル)を周囲温度で添加した。この懸濁液に、EtN(108mL、0.78モル)を30分間にわたって室温で滴加した。これを同じ温度で更に15分間撹拌し、次いで、DCMを蒸発させた。次いで、得られた粗製物を2リットルの水に溶解させ、0℃に冷却した。これをオーバーヘッドスターラーに固定し、激しい撹拌条件下で、温度を0℃未満に維持しながら、300mLの2N HClをそれに滴下した。これを0℃で更に15分間撹拌し、次いで、ブフナー漏斗で濾過し、氷冷水(500mL)で洗浄した。次いで、これを3日間風乾させて生成物を得た。
4-ニトロ-1H-インデン-1,3(2H)-ジオン(4):
【0162】
エチル4-ニトロ-1,3-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-カルボキシレート3(272.5g、1.04モル)を、1リットルのMeCN:水(20:1、1.0M)に入れた。この懸濁液に、TFA(60mL、1.14モル)を室温でゆっくりと仕込み、次いで、50℃で加熱し続けた。4時間後、およそ100mLの溶媒が残るまで、反応塊をロータリーエバポレーター(rotavapour)で濃縮した。次いで、沈殿した固形物をブフナー漏斗で濾過し、(1:1)CHCl:ヘキサンで洗浄した。これにより、固体生成物が得られ、濾液を再び濃縮して、第2のクロップ(crop)でより多くの生成物を得た。
【化9】
2,2-ジヒドロキシ-4-ニトロ-1H-インデン-1,3(2H)-ジオン(5):
【0163】
4-ニトロ-1H-インデン-1,3(2H)-ジオン(4)(250g、1.31モル)を1,4-ジオキサン(2リットル)及びAcOH(200mL)中にとった。これに、SeO(291g、2.62モル)を室温で添加し、次の4時間110℃で還流させ続けた。これを、次の12時間室温で撹拌した。次いで、これに500g~600gのセライトを仕込んだ。これを入念に撹拌し、セライトパッドで濾過した。残渣を酢酸エチル(300~500mL)で洗浄した。得られた濾液を濃縮して粗塊を得、次いで、これを次の工程でそのまま使用した。
4b,9b-ジヒドロキシ-7-イソプロピル-4-ニトロ-4b,9b-ジヒドロ-10H-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-10-オン(7):
【0164】
2,2-ジヒドロキシ-4-ニトロ-1H-インデン-1,3(2H)-ジオン5(粗、1.31モル)を氷AcOH(2リットル)中にとり、3-イソプロピルフェノール6(196g、1.44モル)を仕込み、次の10時間還流させ続けた。次いで、これを完全に濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中30%EA)で精製して、純粋な生成物を得た。
9b-クロロ-4b-ヒドロキシ-7-イソプロピル-4-ニトロ-4b,9b-ジヒドロ-10H-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-10-オン(8):
【0165】
4b,9b-ジヒドロキシ-7-イソプロピル-4-ニトロ-4b,9b-ジヒドロ-10H-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-10-オン7(50g、0.147モル)をDCM(500mL)中にとり、次いで、この懸濁液に、単一ロットで塩化オキサリル(1.2当量)を仕込んだ。次いで、これにDMF(50mL)をゆっくりと仕込んだ。次いで、次の6時間室温で反応塊を撹拌したままにした。これを水(500mL)でクエンチし、層を分離させた。水層をDCM(300mL×2)で抽出した。合わせた有機層を水(300mL)及びブライン(300mL)で洗浄した。これを硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮して粗塊を得、次いで、これをシリカのショートパッド(ヘキサン中30%酢酸エチル)で精製して、純粋な生成物を得た。mp:H-NMR(300MHz,CDCl):δ 1.18(dd,J=3.6Hz,J=6.9Hz,6H),2.84(sept,J=6.9Hz,1H),6.34(s,1H),6.70(s,1H),6.94(dd,J=1.0Hz,J=7.8Hz,1H),7.45(d,J=7.8Hz,1H),7.81-7.83(m,1H),8.21(m,1H),8.52(m,1H)。
9b-アミノ-4b-ヒドロキシ-7-イソプロピル-4-ニトロ-4b,9b-ジヒドロ-10H-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-10-オン(9):
【0166】
9b-クロロ-4b-ヒドロキシ-7-イソプロピル-4-ニトロ-4b,9b-ジヒドロ-10H-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-10-オン8(36.0g、0.1モル)をTHF(350mL)中にとり、-40℃に冷却した。これに、IPA(100mL、0.20モル)中NHの2.0M溶液を滴下漏斗を使用して添加し、温度を-20℃未満で維持した。反応塊を-20℃で1時間モニタリングし、次いで、室温まで加温した。これを、反応が終結するまで室温で撹拌し、次いで、完全に濃縮した。粗製物を酢酸エチル(500mL)中にとり、水(200mL×2)及びブライン(100mL)で洗浄した。これを無水NaSOで乾燥させ、次いで、濃縮して粗塊を得、これをシリカのショートパッドで精製して、純粋な生成物を得た。H-NMR(300MHz,CDCl)δ 1.18(d,J=6.9Hz,6H),2.84(sept,J=6.9Hz,1H),3.46(s,1H),6.25(s,1H),6.74(s,2H),6.90(dd,J=1.2Hz,J=7.8Hz,1H),7.55(d,J=7.8Hz,1H),7.77(t,J=8.1Hz,1H),8.22(dd,J=1.2Hz,J=8.4Hz,1H),8.52(dd,J=1.2Hz,J=8.1Hz,1H)。
N-(4b-ヒドロキシ-7-イソプロピル-4-ニトロ-10-オキソ-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)アセトアミド(10):
【0167】
9b-アミノ-7-シクロプロピル-4b-ヒドロキシ-4-ニトロ-4b,9b-ジヒドロ-10H-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-10-オン9(950mg、2.80mmol)をAcOH(10mL、0.1M)中にとり、これに、無水酢酸(0.263mL、2.8mmol)を周囲温度で添加した。これを次の30分間80℃で加熱した。反応塊を濃縮し、次いで、EA(100mL)中にとった。これを水(30mL)及びブライン(30mL)で洗浄した。これを無水NaSOで乾燥させ、濃縮した。得られた粗製物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中30~40%EA)で精製して、純粋な生成物を得た。
N-(1-アミノ-4b-ヒドロキシ-7-イソプロピル-10-オキソ-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)アセトアミド(11):
【0168】
N-(4b-ヒドロキシ-7-イソプロピル-4-ニトロ-10-オキソ-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)アセトアミド10(500mg、1.3mmol)を、EtOH:水(10:1、15mL、0.1M)中にとり、これにFe粉末(0.219mg、3.92mmol)を添加した。これに触媒量の濃HCl(3滴)を仕込み、次の3時間90℃で還流させた。反応塊を熱条件下においてセライトで濾過し、EAを使用して残渣を洗浄した。これを濃縮し、次いで、EA(250mL)中にとった。これを水(100mL)及びブライン(100mL)で洗浄した。これを無水NaSOで乾燥させ、濃縮した。得られた粗製物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(1:1=EA:ヘキサン)で精製して、純粋な生成物を得た。
N-((4bR,9bR)-1-アミノ-4b-ヒドロキシ-7-イソプロピル-10-オキソ-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)アセトアミド(12)及びN-((4bS,9bS)-1-アミノ-4b-ヒドロキシ-7-イソプロピル-10-オキソ-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)アセトアミド(13):
【0169】
N-(1-アミノ-4b-ヒドロキシ-7-イソプロピル-10-オキソ-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)アセトアミド(560mg)を、(ADカラム、SFC=100mL/分、CO2/EtOH=70/30、236bar)を用いてキラルクロマトグラフィーによって精製して、243mgのN-((4bR,9bR)-1-アミノ-4b-ヒドロキシ-7-イソプロピル-10-オキソ-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)アセトアミド12を(ピーク2、tR 4.33分);1H NMR(500MHz,METHANOL-d4)δ 7.41-7.50(m,1H),7.32-7.40(m,1H),6.94-7.03(m,1H),6.79-6.91(m,1H),6.58-6.74(m,2H),2.77-2.94(m,1H),1.96-2.05(m,3H),1.12-1.26(m,6H)として、そして、246mgのN-((4bS,9bS)-1-アミノ-4b-ヒドロキシ-7-イソプロピル-10-オキソ-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)アセトアミド13を(ピーク1、tR2.30分);1H NMR(400MHz,METHANOL-d4)δ:7.39-7.46(m,1H),7.35(br d,J=7.8Hz,1H),6.97(br d,J=7.3Hz,1H),6.84(br d,J=7.6Hz,1H),6.61-6.69(m,2H),2.82(dt,J=13.6,6.8Hz,1H),1.98(s,3H),1.17(dd,J=6.9,1.6Hz,6H)として得た。
【0170】
実施例3~5:N-(1-アミノ-4b-ヒドロキシ-10-オキソ-7-(トリフルオロメチル)-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)アセトアミド(19);N-((4bR,9bR)-1-アミノ-4b-ヒドロキシ-10-オキソ-7-(トリフルオロメチル)-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)アセトアミド(20)及びN-((4bS,9bS)-1-アミノ-4b-ヒドロキシ-10-オキソ-7-(トリフルオロメチル)-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)アセトアミド(21)
【化10】
【0171】
N-(1-アミノ-4b-ヒドロキシ-10-オキソ-7-(トリフルオロメチル)-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)アセトアミド(19)(500mg)を、(ADカラム、SFC=100mL/分、CO2/IPA=80/20、226bar)を用いてキラルクロマトグラフィーによって精製して、N-((4bR,9bR)-1-アミノ-4b-ヒドロキシ-10-オキソ-7-(トリフルオロメチル)-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)アセトアミド(20)を(ピーク2、tR4.50分);1H NMR(500MHz,METHANOL-d4)δ 7.58-7.70(m,1H),7.42-7.53(m,1H),7.26(br d,J=7.80Hz,1H),6.97-7.11(m,2H),6.67-6.83(m,1H),2.02(s,3H)として、そして、N-((4bS,9bS)-1-アミノ-4b-ヒドロキシ-10-オキソ-7-(トリフルオロメチル)-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)アセトアミド(21)を(ピーク1、tR2.49分);1H NMR(500MHz,METHANOL-d4)δ:-1.13(br d,J=7.6Hz,1H),-1.29(br t,J=7.6Hz,1H),-1.50(br d,J=7.3Hz,1H),-1.79--1.69(m,2H),-2.09--1.95(m,1H),-6.75(s,3H)として得た。
【化11】
4b,9b-ジヒドロキシ-4-ニトロ-7-(トリフルオロメチル)-4b,9b-ジヒドロ-10H-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-10-オン(15):
【0172】
1,4-ジオキサン:AcOH(10:1、330mL、0.6M)中4-ニトロ-1H-インデン-1,3(2H)-ジオン4(42.1g、0.22モル)の溶液に、SeO(48.8g、0.44モル)を添加した。得られた溶液を130℃で3時間環流させた。次いで、これを冷却し、EA(~200mL)を使用してセライトで濾過した。濾液を完全に濃縮し、粗2,2-ジヒドロキシ-4-ニトロ-1H-インデン-1,3(2H)-ジオン5をMeSOH(350mL、0.6M)中にとった。これに、3-(トリフルオロメチル)フェノール14(29mL、0.24モル)を滴下し、次の24時間室温(30℃)で撹拌したままにした。次いで、反応塊を氷水(1500mL)でクエンチし、固形物を濾過した。残渣をEA(500mL)に溶解させ、水(200mL)及びブライン(200mL)で洗浄した。これを無水NaSOで乾燥させ、粗製物に濃縮した。粗製物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(5~10%DCMを含むヘキサン中10~40%EA)で精製して、純粋な生成物を得た。
9b-クロロ-4b-ヒドロキシ-4-ニトロ-7-(トリフルオロメチル)-4b,9b-ジヒドロ-10H-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-10-オン(16):
【0173】
4b,9b-ジヒドロキシ-4-ニトロ-7-(トリフルオロメチル)-4b,9b-ジヒドロ-10H-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-10-オン15(25g、68mmol)をDCM(270mL、0.25M)中にとり、室温で塩化オキサリル(7.1mL、82mmol)を仕込んだ。これに、DMF(26mL、340mmol)をゆっくりと添加し、周囲温度(20℃)で撹拌したままにした。次いで、反応混合物を次の6時間室温(20℃)で撹拌した。反応物に塩化オキサリル(1.8mL、0.3当量)を再び仕込み、次の12時間撹拌したままにした。反応混合物を、水(~300mL)で希釈した。水層をDCM(~300mL×2)で抽出した。合わせた有機層を水(~300mL)及びブライン(~300mL)で洗浄した。これを無水NaSOで乾燥させ、濃縮して、粗生成物を得た。粗製物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中10~25%EA)で精製して、純粋な生成物を得た。
9b-アミノ-4b-ヒドロキシ-4-ニトロ-7-(トリフルオロメチル)-4b,9b-ジヒドロ-10H-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-10-オン(17):
【0174】
9b-クロロ-4b-ヒドロキシ-4-ニトロ-7-(トリフルオロメチル)-4b,9b-ジヒドロ-10H-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-10-オン16(20.5g、53mmol)をTHF(350mL、0.15M)中にとり、-40℃に冷却した。これに、IPA(65mL、0.13mol)中2.0M NHを10分間にわたって滴下した。次いで、反応混合物を次の3時間-40℃で撹拌したままにした。次いで、これをEA(~200~300mL)で希釈し、10%ブライン(~200mL×2)で洗浄した。有機層を、無水NaSOで乾燥させ、濃縮して、粗生成物を得た。
N-(4b-ヒドロキシ-4-ニトロ-10-オキソ-7-(トリフルオロメチル)-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)アセトアミド(18):
【0175】
9b-アミノ-4b-ヒドロキシ-4-ニトロ-7-(トリフルオロメチル)-4b,9b-ジヒドロ-10H-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-10-オン17(21g、50mmol)を氷AcOH(250mL、0.2M)中にとり、直ちにAcO(9.5mL、0.1mol)を仕込んだ。次いで、反応混合物を次の60分間80℃で加熱した。反応混合物を濃縮して粗製物を得た。粗塊をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(共溶媒として10%DCMを含むHx中20~40%EA)でそのまま精製して、純粋な生成物を得た。
N-(1-アミノ-4b-ヒドロキシ-10-オキソ-7-(トリフルオロメチル)-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)アセトアミド(19):
【0176】
N-(4b-ヒドロキシ-4-ニトロ-10-オキソ-7-(トリフルオロメチル)-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)アセトアミド18(9.0g、22mmol)を、EtOH:水(10:1、110mL、0.2M)中にとり、これに、Fe粉末(3.7g、66mmol)、続いて、濃HCl(0.5mL)を仕込んだ。これを、次の3時間90℃で還流させた。熱EA(~50~100mL)を使用して、温条件下において、反応塊をセライトで濾過した。濾液を濃縮し、EA(~600~800mL)中にとり、水(400mL)で洗浄した。水層をEA(~200mL×2)で抽出した。合わせた有機層を水(~300mL)及びブライン(~200mL)で洗浄した。これを無水NaSOで乾燥させ、濃縮して、(~100~150mL)にした。次いで、沈殿した固形物を十分に超音波処理し、濾過して、純粋な生成物を得た。濾液を濃縮して粗製物を得た。粗製物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(添加剤としてDCMを含むHx中20~50%EA)で精製して、追加の量の純粋な生成物を得た。H-NMR(300MHz,CDOD)δ 2.0(s,3H),6.74(s,1H),7.00-7.02(m,2H),7.24(d,J=7.8Hz,1H),7.43-7.48(m,1H),7.61(d,J=7.8Hz,1H)。LCMS:378.6[M+H]
【表3】
N-((4bR,9bR)-1-アミノ-4b-ヒドロキシ-10-オキソ-7-(トリフルオロメチル)-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)アセトアミド(20)
【0177】
N-(1-アミノ-4b-ヒドロキシ-10-オキソ-7-(トリフルオロメチル)-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)アセトアミド(19)(500mg)を、(ADカラム、SFC=100mL/分、CO2/IPA=80/20、226bar)を用いてキラルクロマトグラフィーによって精製して、202mgのN-((4bR,9bR)-1-アミノ-4b-ヒドロキシ-10-オキソ-7-(トリフルオロメチル)-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)アセトアミド(20)を(ピーク2、tR4.50分);1H NMR(500MHz,METHANOL-d4)δ 7.58-7.70(m,1H),7.42-7.53(m,1H),7.26(br d,J=7.80Hz,1H),6.97-7.11(m,2H),6.67-6.83(m,1H),2.02(s,3H)として、そして、205mgのN-((4bS,9bS)-1-アミノ-4b-ヒドロキシ-10-オキソ-7-(トリフルオロメチル)-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)アセトアミド(21)を(ピーク1、tR2.49分);1H NMR(500MHz,METHANOL-d4)δ:-1.13(br d,J=7.6Hz,1H),-1.29(br t,J=7.6Hz,1H),-1.50(br d,J=7.3Hz,1H),-1.79--1.69(m,2H),-2.09--1.95(m,1H),-6.75(s,3H)として得た。
実施例6:N-((4bR,9bR)-1-アミノ-7-ブロモ-4b-ヒドロキシ-10-オキソ-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)アセトアミド(31)
【化12】
7-ブロモ-4b,9b-ジヒドロキシ-4-ニトロ-4b,9b-ジヒドロ-10H-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-10-オン(23):
【0178】
4-ニトロ-1H-インデン-1,3(2H)-ジオン4(10.0g、52.3mmol)をAcOH:ジオキサン(1:10、105mL、0.5M)中にとった。これにSeO(12.77g、115.1mmol)を仕込み、105~110℃で5時間還流させた。次いで、反応塊を熱条件下においてセライトで濾過し、次いで、濃縮して揮発性物質を除去して、粗2,2-ジヒドロキシ-4-ニトロ-1H-インデン-1,3(2H)-ジオン5を得た。次いで、この粗生成物を氷AcOH(210mL、0.25mmol)中にとり、これに、3-ブロモフェノール22(9.96g、57.5mmol)を仕込み、次の12時間還流させ続けた。反応塊を濃縮し、EA(500~600mL)中にとった。これをセライトで濾過し、残渣をEAで洗浄した。濾液を水(200mL×2)及びブライン(100mL)で洗浄した。これを無水NaSOで乾燥させ、濃縮して、粗生成物を得た。粗製物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中35~40%EA)で2回精製して、純粋な生成物を得た。
7-ブロモ-9b-クロロ-4b-ヒドロキシ-4-ニトロ-4b,9b-ジヒドロ-10H-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-10-オン(24):
【0179】
7-ブロモ-4b,9b-ジヒドロキシ-4-ニトロ-4b,9b-ジヒドロ-10H-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-10-オン23(39.5g、0.105mol)をDCM(520mL、0.2M)中にとり、塩化オキサリル(11mL、0.13mol)を室温で仕込んだ。これに、DMF(40mL、0.53mol)をゆっくりと(30分間にわたって0.05mL/分、次いて30分間にわたって0.1mL/分、次いで残り)を添加し、周囲温度(30℃)で撹拌したままにした。次いで、反応混合物を次の12時間室温(20℃)で撹拌した。反応混合物を、水(~300mL)で希釈した。水層をDCM(~500mL×2)で抽出した。合わせた有機層を水(~300mL)及びブライン(~300mL)で洗浄した。これを無水NaSOで乾燥させ、濃縮して、粗生成物を得た。粗製物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中10~30%EA)で精製して、純粋な生成物を得た。
9b-アミノ-7-ブロモ-4b-ヒドロキシ-4-ニトロ-4b,9b-ジヒドロ-10H-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-10-オン(25):
【0180】
9b-クロロ-4b-ヒドロキシ-4-ニトロ-8-(トリフルオロメチル)-4b,9b-ジヒドロ-10H-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-10-オン24(21.2、53.4mmol)をTHF(530mL、0.1M)中にとり、-40℃に冷却した。これに、IPA(54mL、0.11mmol)中2.0M NHを同じ温度で仕込み、次の3時間撹拌したままにした。反応混合物を水(~150mL)及びブライン(150mL)で希釈した。水層をEA(~300mL×2)で抽出した。合わせた有機層をブライン(~100mL)で洗浄した。これを無水NaSOで乾燥させ、濃縮して、粗生成物を得た。粗製物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(共溶媒として20%DCMを含むヘキサン中20~30%EA)で精製して、純粋な生成物を得た。
Tert-ブチル(7-ブロモ-4b-ヒドロキシ-4-ニトロ-10-オキソ-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)カルバメート(26):
【0181】
Boc無水物(8.74g、40mmol)及び分子状I(0.69g、2.67mmol)を、THF(5.0mL、5.0M)中9b-アミノ-7-ブロモ-4b-ヒドロキシ-4-ニトロ-4b,9b-ジヒドロ-10H-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-10-オン25(10.1g、31mmol)のラセミ混合物の溶液に添加し、次の72時間室温(30℃)で撹拌した。反応塊を濃縮し、精製した。粗製物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(5~10%DCMを含むヘキサン中10~30%EA)で精製して、純粋な生成物を得た。
Tert-ブチル(1-アミノ-7-ブロモ-4b-ヒドロキシ-10-オキソ-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)カルバメート(27):
【0182】
混合物ラセミtert-ブチル(7-ブロモ-4b-ヒドロキシ-4-ニトロ-10-オキソ-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)カルバメート26(10.3g、21.5mmol)を、EtOH:水(10:1、110.0mL、0.20M)中にとり、これに、Fe粉末(3.57g、63.9mmol)、続いて、濃 HCl(0.8mL、cat.)を仕込んだ。これを、次の3時間90℃で還流させた。熱EA(50~100mL)を使用して、温条件下において、反応塊をセライトで濾過した。濾液を濃縮し、EA(~1000~1200mL)中にとり、水(~300~500mL)及びブライン(~300mL)で洗浄した。これを無水NaSOで乾燥させ、濃縮して、粗製物を得た。粗製物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(hx中10~30%EA)で精製して、純粋な生成物を得た。
Tert-ブチル((4bR,9bR)-1-アミノ-7-ブロモ-4b-ヒドロキシ-10-オキソ-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)カルバメート(28)及びtert-ブチル((4bR,9bR)-1-アミノ-7-ブロモ-4b-ヒドロキシ-10-オキソ-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)カルバメート(29):
【0183】
Tert-ブチル(1-アミノ-7-ブロモ-4b-ヒドロキシ-10-オキソ-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)カルバメート(27)を、(ADカラム、HPLC=20mL/分、ヘプタン/EtOH=70/30、724psi)を用いてキラルクロマトグラフィーによって精製して、tert-ブチル((4bR,9bR)-1-アミノ-7-ブロモ-4b-ヒドロキシ-10-オキソ-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)カルバメート(28)を(ピーク2、tR15.59分);1H NMR(500MHz,METHANOL-d4)δ:7.48(br t,J=7.7Hz,1H),7.37(br s,1H),7.11(br s,1H),7.02(br d,J=7.1Hz,1H),6.95(s,1H),6.72(br s,1H),1.42(br s,5H),1.13(br s,4H)LCMS:447.2/449.2[M+H]として、そして、tert-ブチル((4bS,9bS)-1-アミノ-7-ブロモ-4b-ヒドロキシ-10-オキソ-9b,10-ジヒドロ-4bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)カルバメート(29)を(ピーク1、tR8.97分);1H NMR(500MHz,METHANOL-d4)δ:7.48(br t,J=7.6Hz,1H),7.37(br s,1H),7.11(br s,1H),7.02(br d,J=6.9Hz,1H),6.95(s,1H),6.72(br s,1H),1.42(br s,5H),1.13(br s,4H)LCMS:447.2/449.2[M+H]として得た。
(4bR,9bR)-1,9b-ジアミノ-7-ブロモ-4b-ヒドロキシ-4b,9b-ジヒドロ-10H-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-10-オン(30):
【0184】
Tert-ブチル((4bR,9bR)-1-アミノ-7-ブロモ-4b-ヒドロキシ-10-オキソ-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)カルバメート28(112mg、0.25mmol)をDCM(2.5mL、0.1M)中にとり、直ちにジオキサン(0.63mL、2.50mmol)中4.0M HClを仕込んだ。次いで、反応混合物を、次の6時間室温(20℃)で撹拌した。反応混合物をEA(50mL)で希釈し、飽和NaHCO(20mL)と共に5~10分間激しく撹拌した。層を分離し、水層をEA(30mL×2)で抽出した。合わせた有機層を水(20mL)及びブライン(20mL)で洗浄した。これを無水NaSOで乾燥させ、濃縮して、生成物を得た。粗製物を更に精製することなく次の工程でそのまま使用した。
N-((4bR,9bR)-1-アミノ-7-ブロモ-4b-ヒドロキシ-10-オキソ-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)アセトアミド(31):
【0185】
(4bR,9bR)-1,9b-ジアミノ-7-ブロモ-4b-ヒドロキシ-4b,9b-ジヒドロ-10H-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-10-オン30(76mg、0.22mmol)を氷AcOH(2.2mL、0.1M)中にとり、直ちにAcO(0.03mL、1.2mmol)を仕込んだ。次いで、反応混合物を次の30分間80℃で加熱した。次いで、10mLの2N HCl(水溶液)を添加し、次の2時間80℃で撹拌した。反応混合物を濃縮して粗製物を得た。粗塊をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(共溶媒として1~2%MeOHを含むHx中20~50%EA)でそのまま精製して、純粋な生成物をH-NMR(300MHz,MeOD)δ 7.50-7.40(br,1H),7.40-7.25(br,1H),7.10(d,J=7.4Hz,1H),7.05-6.85(m,2H),6.69(br,1H),1.99(s,3H)として得た。
【表4】
実施例7~9:N-(1-アミノ-7-シクロプロピル-4b-ヒドロキシ-10-オキソ-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)アセトアミド(40);N-((4bR,9bR)-1-アミノ-7-シクロプロピル-4b-ヒドロキシ-10-オキソ-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)アセトアミド(41)及びN-((4bS,9bS)-1-アミノ-7-シクロプロピル-4b-ヒドロキシ-10-オキソ-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)アセトアミド(42)
【化13】
(3-ブロモフェノキシ)(tert-ブチル)ジメチルシラン(32):
【0186】
3-ブロモフェノール22(2.08g、12mmol)を乾燥DCM(40mL、0.3M)中にとった。これに、TBDMS-Cl(2.0g、13mmol)を仕込んだ。次いで、これにイミダゾール(1.37g、20mmol)を仕込み、次の15時間室温で撹拌した。反応塊をそのまま濾過し、残渣をDCMで洗浄した。濾液を濃縮し、得られた粗製物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(0~5%EA:ヘキサン)で精製して、純粋な生成物を得た。H-NMR(300MHz,CDCl)δ 0.20(s,6H),0.97(s,9H),6.74-6.78(m,1H),7.00(s,1H),7.07-7.09(m,1H)。
Tert-ブチル(3-シクロプロピルフェノキシ)ジメチルシラン(34):
【0187】
(3-ブロモフェノキシ)(tert-ブチル)ジメチルシラン32(430mg、1.5mmol)をトルエン:水(予め窒素でパージ)(7.33mL、0.2M)中にとった。これに、シクロプロパンボロン酸33(154mg、1.8mmol)を仕込んだ。次いで、これに、PCy(42mg、0.15mmol)、KPO(1.1g、5.24mmol)、及びPd(OAc)(17mg、0.07mmol)を仕込んだ。次いで、これを次の3時間110℃で還流させた。反応塊をセライトに通し、エーテルで洗浄した。有機層を水(30mL)及びブライン(30mL)で洗浄した。これを無水NaSOで乾燥させ、濃縮して、粗製物を得、これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(0~5%EA:ヘキサン)で精製して、純粋な生成物を得た。H-NMR(300MHz,CDCl)δ 0.19(s,6H),0.63-0.68(m,2H),0.89-1.02(m,11H),1.79-1.88(m,1H),6.52-6.54(m,1H),6.59-6.68(m,2H),7.06-7.11(m,1H)。
3-シクロプロピルフェノール(35)
【0188】
Tert-ブチル(3-シクロプロピルフェノキシ)ジメチルシラン34(1.74g、7.0mmol)をTHF(23mL、0.3M)中にとり、これに1.0M TBAF(9.1mL、9.1mmol)を添加した。これを、次の75分間室温で撹拌した。反応塊を濃縮し、次いで、EA(200mL)中にとった。これを飽和NHCl(50mL)、水(50mL)、及びブライン(50mL)で洗浄した。これを無水NaSOで乾燥させ、濃縮した。得られた粗製物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中5%EA)で精製して、純粋な生成物を得た。H-NMR(500MHz,CDCl)δ 0.69-0.73(m,2H),0.95-0.99(m,2H),1.85-1.90(m,1H),4.71(br,1H),6.56-6.57(m,1H),6.63(dd,J=2.5Hz,J=8.0Hz,1H),6.70(d,J=8.0Hz,1H),7.13-7.16(m,1H,ArH)。
7-シクロプロピル-4b,9b-ジヒドロキシ-4-ニトロ-4b,9b-ジヒドロ-10H-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-10-オン(36):
【0189】
2,2-ジヒドロキシ-4-ニトロ-1H-インデン-1,3(2H)-ジオン5(1.80g、8.0mmol)及び3-シクロプロピルフェノール35(1.1g、8.0mmol)を、2時間氷AcOH(40mL、0.2M)中で環流させた。反応塊を濃縮し、EA(200mL)に溶解させた。これを水(50mL)及びブライン(50mL)で洗浄した。これを無水NaSOで乾燥させ、濃縮した。次いで、得られた粗製物をDCM:ヘキサン(およそ50mL)中にとり、得られた固形物を超音波処理した。これを濾過して純粋な生成物を得た。濾液を再び濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中30%EA)で精製して、残りの生成物を得た。H-NMR(300MHz,CDOD)δ 0.65-0.67(m,2H),0.95-0.99(m,2H),1.81-1.86(m,1H),3.67(br,1H),6.22(br,1H),6.50(s,1H),6.77(d,J=8.0Hz,1H),7.43(d,J=8.0Hz,1H),7.78-7.82(m,1H),8.18(d,J=7.5Hz,1H),8.50(d,J=8.0Hz,1H)。
9b-クロロ-7-シクロプロピル-4b-ヒドロキシ-4-ニトロ-4b,9b-ジヒドロ-10H-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-10-オン(37):
【0190】
7-シクロプロピル-4b,9b-ジヒドロキシ-4-ニトロ-4b,9b-ジヒドロ-10H-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-10-オン36(1.70g、5.0mmol)をDCM(20mL、0.25M)中にとり、塩化オキサリル(0.52mL、6.0mmol)を仕込んだ。次いで、これにDMF(2mL)をゆっくりと仕込んだ。3時間後、追加の塩化オキサリル(0.08mL)を添加した。次いで、反応物を次の30分間室温で撹拌した。反応塊をDCMで200mLに希釈した。これを水(100mL×2)で洗浄した。次いで、これを飽和ブライン(100mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥させた。これを濃縮して粗製物を得、これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(Hx中10~15%EA)で精製して、純粋な生成物を得た。H-NMR(300MHz,CDCl)δ 0.61-0.68(m,2H),0.93-0.99(m,2H),1.81-1.87(m,1H),6.28(br,1H),6.49(s,1H),6.78(d,J=8.1Hz,1H,ArH),7.39(d,J=8.1Hz,1H),7.78-7.823(m,1H),8.19(d,J=7.5Hz,1H),8.49(d,J=8.1Hz,1H)。
9b-アミノ-7-シクロプロピル-4b-ヒドロキシ-4-ニトロ-4b,9b-ジヒドロ-10H-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-10-オン(38):
【0191】
9b-クロロ-7-シクロプロピル-4b-ヒドロキシ-4-ニトロ-4b,9b-ジヒドロ-10H-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-10-オン37(715mg、2.0mmol)を乾燥THF(20.0mL、0.1M)中にとった。これを-40℃に冷却し、次いで、IPA(2.0mL、4.0mmol)中2.0M NHを仕込んだ。次いで、これを次の2時間-40℃~-30℃で撹拌した。反応塊を25℃で体積が半分になるまで濃縮し、次いで、水でクエンチした。これを再び濃縮して全ての揮発性物質を除去し、次いで、EA(150mL)中にとった。これを水(50mL×2)及びブライン(50mL)で洗浄した。これを無水NaSOで乾燥させ、濃縮した。得られた粗製物を、TEA(1:2=EA:ヘキサン)で予め不活化しておいたシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、純粋な生成物を得た。H-NMR(300MHz,CDOD)δ 0.59-0.64(m,2H),0.85-0.90(m,2H),1.73-1.85(m,1H),6.56(s,1H),6.81(d,J=7.8Hz,1H),7.46(d,J=7.8Hz,1H),7.77-7.80(m,1H),8.25(d,J=7.5Hz,1H),8.58(d,J=8.1Hz,1H)。
9b-クロロ-7-シクロプロピル-4b-ヒドロキシ-4-ニトロ-4b,9b-ジヒドロ-10H-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-10-オン(39):
【0192】
2,4,6トリクロロ安息香酸(168mg、0.75mmol)をTHF(5mL、0.1M)中にとり、これに、NMM(0.083mL、0.75mmol)を0℃で添加した。これに塩化アセチル(0.054mL、0.75mmol)を仕込み、次の30分間0℃で撹拌した。次いで、これに9b-アミノ-7-シクロプロピル-4b-ヒドロキシ-4-ニトロ-4b,9b-ジヒドロ-10H-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-10-オン38(170mg、0.5mmol)を単一のロットで仕込み、次の3時間0℃で撹拌した。反応塊を濃縮し、次いで、EA(100mL)中にとった。これを水(30mL)及びブライン(30mL)で洗浄した。これを無水NaSOで乾燥させ、濃縮した。得られた粗製物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(1:1=EA:ヘキサン)で精製して、純粋な生成物を得た。H-NMR(300MHz,CDCl)δ 0.59-0.64(m,2H),0.92-0.98(m,2H),1.77-1.85(m,1H),2.07(s,3H),6.06(br,1H),6.46(br,2H),6.76(dd,J=7.8Hz,J=1.2Hz,1H),7.38(d,J=7.8Hz,1H),7.71-7.76(m,1H),8.19(d,J=7.5Hz,1H),8.45(d,J=7.8Hz,1H)。
N-(1-アミノ-7-シクロプロピル-4b-ヒドロキシ-10-オキソ-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)アセトアミド(40):
【0193】
N-(7-シクロプロピル-4b-ヒドロキシ-4-ニトロ-10-オキソ-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)アセトアミド39(150mg、0.39mmol)を、EtOH:水(10:1、8mL、0.05M)中にとり、これに、Fe粉末(66mg、1.18mmol)を添加した。これに2滴の濃HClを仕込み、次いで、反応物を次の2時間還流させた。反応塊をセライトで濾過し、残渣を熱条件においてEAで洗浄した。濾液を濃縮し、粗製物をEA(100mL)中にとった。これを水(30mL)及びブライン(30mL)で洗浄した。これを無水NaSOで乾燥させ、濃縮した。次いで、得られた粗製物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(1:1=ヘキサン中EA)で精製して、純粋な生成物を得た。H-NMR(300MHz,CDOD)δ 0.59-0.61(m,2H),0.89-0.92(m,2H),1.79-1.85(m,1H),2.01(s,3H),6.44(s,1H),6.52-6.72(m,2H),6.95-7.02(m,1H),7.29-7.32(m,1H),7.39-7.44(m,1H)。
【表5】
N-((4bR,9bR)-1-アミノ-7-シクロプロピル-4b-ヒドロキシ-10-オキソ-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)アセトアミド(41)及びN-((4bS,9bS)-1-アミノ-7-シクロプロピル-4b-ヒドロキシ-10-オキソ-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)アセトアミド(42)
【0194】
N-(1-アミノ-7-シクロプロピル-4b-ヒドロキシ-10-オキソ-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)アセトアミド(40)(500mg)を、(ADカラム、HPLC=20mL/分、ヘプタン/EtOH=70/30、722psi)を用いてキラルクロマトグラフィーによって精製して、N-((4bR,9bR)-1-アミノ-7-シクロプロピル-4b-ヒドロキシ-10-オキソ-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)アセトアミド(41)を(ピーク2、tR17.95分);1H NMR(500MHz,METHANOL-d4)δ:7.43(br s,1H),7.30(br s,1H),6.98(br s,1H),6.60-6.76(m,2H),6.45(br s,1H),1.99(s,3H),1.84(br s,1H),0.91(br d,J=8.0Hz,2H),0.58-0.66(m,2H)として、
【表6】
【0195】
そして、N-((4bS,9bS)-1-アミノ-7-シクロプロピル-4b-ヒドロキシ-10-オキソ-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)アセトアミド(42)を(ピーク1、tR9.16分);1H NMR(500MHz,METHANOL-d4)δ:7.44(br d,J=2.8Hz,1H),7.33(br d,J=5.7Hz,1H),7.00(br d,J=1.7Hz,1H),6.73(br d,J=6.9Hz,1H),6.64-6.71(m,1H),6.47(br s,1H),2.00(s,3H),1.79-1.92(m,1H),0.86-0.99(m,2H),0.57-0.70(m,2H)として得た。
【表7】
実施例10~12:N-(1-アミノ-4b-ヒドロキシ-10-オキソ-7-(トリフルオロメトキシ)-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)アセトアミド(48);N-((4bR,9bR)-1-アミノ-4b-ヒドロキシ-10-オキソ-7-(トリフルオロメトキシ)-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)アセトアミド(49)及びN-((4bS,9bS)-1-アミノ-4b-ヒドロキシ-10-オキソ-7-(トリフルオロメトキシ)-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)アセトアミド(50)
【化14】
【化15】
4b,9b-ジヒドロキシ-4-ニトロ-7-(トリフルオロメトキシ)-4b,9b-ジヒドロ-10H-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-10-オン(44):
【0196】
2,2-ジヒドロキシ-4-ニトロ-1H-インデン-1,3(2H)-ジオン5(1.34g、6mmol)をTFA(24mL、0.25M)中にとった。これに、3-(トリフルオロメトキシ)フェノール43(1.07、6mmol)を仕込み、これを、次の12時間室温(30℃)で撹拌した。反応塊を濃縮した。次いで、これをEA(200mL)中にとり、水(100mL×2)及びブライン(100mL)で洗浄した。これを無水NaSOで乾燥させ、濃縮して、粗塊を得た。次いで、粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(1:2=ヘキサン中EA)で精製して、純粋な生成物を得た。
9b-クロロ-4b-ヒドロキシ-4-ニトロ-7-(トリフルオロメトキシ)-4b,9b-ジヒドロ-10H-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-10-オン(45):
【0197】
4b,9b-ジヒドロキシ-4-ニトロ-7-(トリフルオロメトキシ)-4b,9b-ジヒドロ-10H-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-10-オン44(385mg、1.0mmol)をDCM(4.0mL、0.25M)中にとった。これに、塩化オキサリル(0.103mL、1.21mmol)、続いて、DMF(0.4mL、5.0mmol)を仕込み、室温(30℃)で3時間撹拌した。反応塊をDCM(~100mL)で希釈し、水(50mL×2)及びブライン(50mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、濃縮して、粗製物を得た。粗製物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中10→15%EA)で精製して、純粋な生成物を得た。
9b-アミノ-4b-ヒドロキシ-4-ニトロ-7-(トリフルオロメトキシ)-4b,9b-ジヒドロ-10H-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-10-オン(46):
【0198】
9b-クロロ-4b-ヒドロキシ-4-ニトロ-7-(トリフルオロメトキシ)-4b,9b-ジヒドロ-10H-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-10-オン45(200mg、0.50mmol)をTHF(5.0mL、0.1M)中にとった。これを-40℃に冷却し、IPA(0.5mL、1.0mmol)中2.0M NHを仕込み、次の3時間-10℃で加温した。反応塊を濃縮し、水(50mL)でクエンチし、EA(100mL)で抽出した。合わせた有機層を水(50mL)及びブライン(30mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、濃縮して、粗製物を得た。粗製物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーのショートパッド(ヘキサン中30~40%EA)で精製して、純粋な生成物を得た。
N-(4b-ヒドロキシ-4-ニトロ-10-オキソ-7-(トリフルオロメトキシ)-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)アセトアミド(47):
【0199】
2,4,6トリクロロ安息香酸(89mg、0.40mmol)をTHF(2.0mL、0.1M)中にとり、これを0℃に冷却した。これに、NMM(0.44mL、0.40mmol)、続いて、AcCl(0.021mL、0.30mmol)を添加した。反応塊を10分間撹拌し、これに、9b-アミノ-4b-ヒドロキシ-4-ニトロ-7-(トリフルオロメトキシ)-4b,9b-ジヒドロ-10H-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-10-オン46(76mg、0.2mmol)を添加した。反応塊を次の1.5時間0℃で撹拌した。反応塊を濃縮し、残渣を水(50mL)でクエンチし、EA(50mL×2)で抽出した。合わせた有機層を水(30mL)及びブライン(30mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、濃縮して、粗製物を得た。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中30~35%EA)で精製して、純粋な生成物を得た。
N-(1-アミノ-4b-ヒドロキシ-10-オキソ-7-(トリフルオロメトキシ)-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)アセトアミド(48):
【0200】
N-(4b-ヒドロキシ-4-ニトロ-10-オキソ-7-(トリフルオロメトキシ)-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)アセトアミド47(21mg、0.05mmol)をEtOH:水(10:1、2.5mL、0.02M)中にとり、Fe粉末(8.3mg、0.15mmol)を仕込んだ。これに濃HCl(1滴)を仕込み、次の3時間90℃で還流させた。反応塊を、熱条件下においてセライトで濾過した。残渣をEA(~20mL)で洗浄した。これを濃縮し、次いで、EA(~50mL)中にとった。これを水(~20mL)及びブライン(~20mL)で洗浄した。これを無水NaSOで乾燥させ、濃縮して、粗塊を得た。粗塊を逆相HPLC(溶出液としてMeCN:水)でそのまま精製して、純粋な生成物を得た。H-NMR(300MHz,CDOD)δ 2.01(s,3H),6.71(s,1H),6.77(d,J=8.4Hz,1H),6.87(d,J=8.4Hz,1H),7.02(d,J=7.2Hz,1H),7.45-7.52(m,2H)。
【表8】
N-((4bR,9bR)-1-アミノ-4b-ヒドロキシ-10-オキソ-7-(トリフルオロメトキシ)-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)アセトアミド(49)及びN-((4bS,9bS)-1-アミノ-4b-ヒドロキシ-10-オキソ-7-(トリフルオロメトキシ)-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)アセトアミド(50):
【0201】
N-(1-アミノ-4b-ヒドロキシ-10-オキソ-7-(トリフルオロメトキシ)-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)アセトアミド(48)(200mg)を、(ADカラム、SFC=100mL/分、CO2/IPA=85/15、206bar)を用いてキラルクロマトグラフィーによって精製して、N-((4bR,9bR)-1-アミノ-4b-ヒドロキシ-10-オキソ-7-(トリフルオロメトキシ)-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)アセトアミド(49)を(ピーク2、tR7.41分);1H NMR(500MHz,METHANOL-d4)δ:7.37-7.55(m,2H),7.00(d,J=7.3Hz,1H),6.85(br d,J=8.3Hz,1H),6.75(br d,J=6.9Hz,1H),6.69(s,1H),1.99(s,3H)として、
【表9】
そして、N-((4bS,9bS)-1-アミノ-4b-ヒドロキシ-10-オキソ-7-(トリフルオロメトキシ)-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)アセトアミド(50)を(ピーク1、tR4.10分);1H NMR(500MHz,METHANOL-d4)δ:7.42-7.52(m,2H),7.00(d,J=7.3Hz,1H),6.84(br d,J=8.3Hz,1H),6.75(br d,J=8.3Hz,1H),6.68(s,1H),1.99(s,3H)として得た。
【表10】
実施例13~15:N-(1-アミノ-7-クロロ-4b-ヒドロキシ-10-オキソ-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)アセトアミド及びN-((4bR,9bR)-1-アミノ-7-クロロ-4b-ヒドロキシ-10-オキソ-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)アセトアミド及びN-((4bS,9bS)-1-アミノ-7-クロロ-4b-ヒドロキシ-10-オキソ-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)アセトアミド
【化16】
2,2-ジヒドロキシ-4-ニトロ-1H-インデン-1,3(2H)-ジオン(5):
【0202】
ジオキサン:AcoH(20mL/2mL)中4-ニトロ-1H-インデン-1,3(2H)-ジオン4(2.3g、12mmol)の混合物に、二酸化セレン(2.7g、24mmol)を添加した。得られた反応塊を130℃で3時間還流させた。反応塊を周囲温度に冷却し、酢酸エチルで希釈し、セライト床を通して濾過し、酢酸エチルで洗浄し、溶媒を蒸発させて、粗製物を得た。残渣を精製することなくそのまま次の工程に使用した。
7-クロロ-4b,9b-ジヒドロキシ-4-ニトロ-4b,9b-ジヒドロ-10H-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-10-オン(52):
【0203】
酢酸(20mL)中2,2-ジヒドロキシ-4-ニトロ-1H-インデン-1,3(2H)-ジオン5(3.7g、粗)の混合物に、3-クロロフェノール51(1.6g、12mmol)を添加した。得られた反応塊を110℃で12時間還流させた。反応塊を周囲温度に冷却し、酢酸エチルで希釈し、セライト床を通して濾過し、酢酸エチルで洗浄し、溶媒を蒸発させて、粗製物を得た。粗製物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン)で精製して、生成物を得た。
7,9b-ジクロロ-4b-ヒドロキシ-4-ニトロ-4b,9b-ジヒドロ-10H-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-10-オン(53):
【0204】
DCM(6mL)中7-クロロ-4b,9b-ジヒドロキシ-4-ニトロ-4b,9b-ジヒドロ-10H-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-10-オン52(400mg、1.2mmol)の混合物に、塩化オキサリル(0.12mL、1.44mmol)を添加し、得られた反応塊にDMF(0.4mL)を1時間にわたって滴下し、次いで、反応塊を周囲温度で15時間撹拌した。反応塊をDCMで希釈し、水(50mL×2)で洗浄し、次いで、有機層をブライン溶液で洗浄し、NaSOで乾燥させ、溶媒を蒸発させて、粗製物を得た。粗製物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン)で精製して、生成物を得た。
9b-アミノ-7-クロロ-4b-ヒドロキシ-4-ニトロ-4b,9b-ジヒドロ-10H-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-10-オン(54):
【0205】
-40℃のTHF(3mL)中7,9b-ジクロロ-4b-ヒドロキシ-4-ニトロ-4b,9b-ジヒドロ-10H-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-10-オン53(220mg、0.63mmol)の混合物に、5分間にわたってIPA(0.8mL、1.6mmol)中アンモニアを添加し、反応塊を-40℃で2時間撹拌した。反応塊を酢酸エチルで希釈し、ブライン溶液(50mL×2)で洗浄した。次いで、有機層をNaSOで乾燥させ、溶媒を蒸発させて、(粗)生成物を得た。粗製物を精製することなく次の工程でそのまま使用した
N-(7-クロロ-4b-ヒドロキシ-4-ニトロ-10-オキソ-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)アセトアミド(55):
【0206】
AcoH(6mL)中9b-アミノ-7-クロロ-4b-ヒドロキシ-4-ニトロ-4b,9b-ジヒドロ-10H-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-10-オン54(210mg、0.63mmol)の溶液に、無水酢酸(0.07mL、0.76mmol)を添加した。得られた反応塊を、80℃で1時間撹拌した。反応塊を蒸発乾固させ、残渣を酢酸エチル(50mL)に溶解させ、有機層を水(25mL×2)で洗浄し、有機層をNaSOで乾燥させ、溶媒を蒸発させて、粗製物を得た。粗製物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン)で精製して、生成物を得た。
N-(1-アミノ-7-クロロ-4b-ヒドロキシ-10-オキソ-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)アセトアミド(56):
【0207】
EtOH:HO(9mL)中N-(7-クロロ-4b-ヒドロキシ-4-ニトロ-10-オキソ-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)アセトアミド(100mg、0.26mmol)の溶液に、Fe粉末(45mg 0.8mmol)及び濃HCl(1滴)を添加した。得られた反応塊を90℃で3時間撹拌した。反応塊をセライト床を通して濾過し、酢酸エチルで洗浄した。溶媒を蒸発させて残渣を得、残渣を酢酸エチル(100mL)に溶解させた。有機層を水(50mL×2)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、溶媒を蒸発させて、粗製物を得た。粗製物を(酢酸エチル:ヘキサン)を用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、生成物を得た。H NMR(300MHz,Methanol-d)δ 7.62 - 7.24(m,2H),6.99(t,J=8.8Hz,2H),6.82(d,J=1.9Hz,1H),6.72(s,1H),2.01(s,3H)。
【表11】
N-((4bR,9bR)-1-アミノ-7-クロロ-4b-ヒドロキシ-10-オキソ-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)アセトアミド(57)及びN-((4bS,9bS)-1-アミノ-7-クロロ-4b-ヒドロキシ-10-オキソ-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)アセトアミド(58):
【0208】
N-(1-アミノ-7-クロロ-4b-ヒドロキシ-10-オキソ-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)アセトアミド(56)(200mg)を、(ICカラム、SFC=100mL/分、CO/MeOH=85/15、206bar)を用いてキラルクロマトグラフィーによって精製して、N-((4bR,9bR)-1-アミノ-7-クロロ-4b-ヒドロキシ-10-オキソ-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)アセトアミド(57)を(ピーク2、tR7.20分);1H NMR(500MHz,METHANOL-d4)δ:7.42-7.49(m,1H),7.39(br d,J=3.8Hz,1H),6.99(br d,J=4.5Hz,1H),6.90-6.96(m,1H),6.80(br s,1H),6.66-6.77(m,1H),1.99(br s,3H)として、
【表12】
そして、N-((4bS,9bS)-1-アミノ-7-クロロ-4b-ヒドロキシ-10-オキソ-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)アセトアミド(58)を(ピーク1、tR4.92分);H NMR(500MHz,METHANOL-d)δ:7.47(t,J=7.8Hz,1H),7.41(br d,J=8.3Hz,1H),7.01(d,J=7.3Hz,1H),6.97(br d,J=8.3Hz,1H),6.82(s,1H),6.76(br s,1H),2.01(s,3H)として得た。
【表13】
実施例16~18:N-(1-アミノ-4b-ヒドロキシ-7-メチル-10-オキソ-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)アセトアミド及びN-((4bR,9bR)-1-アミノ-4b-ヒドロキシ-7-メチル-10-オキソ-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)アセトアミド及びN-((4bS,9bS)-1-アミノ-4b-ヒドロキシ-7-メチル-10-オキソ-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)アセトアミド
【化17】
4b,9b-ジヒドロキシ-7-メチル-4-ニトロ-4b,9b-ジヒドロ-10H-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-10-オン(60)
【0209】
2,2-ジヒドロキシ-4-ニトロ-1H-インデン-1,3(2H)-ジオン5(6.3g、粗、26.15mmol)を氷AcOH(44mL)に懸濁させた。m-クレゾール59(3.0mL、28.77mmol)を添加した。この得られた溶液を、次の6時間120℃で還流させ、次いで、濃縮した。この残渣をカラムクロマトグラフィー(50%ジクロロメタンを含むヘキサン中50%EA)で精製し、再び沈殿させて、純粋な生成物を得た。H NMR(300MHz,CDCl)δ 8.51(dd,J=8.0,0.8Hz,1H),8.19(dd,J=7.7,0.9Hz,1H),7.80(t,J=7.8Hz,1H),7.45(d,J=7.8Hz,1H),6.85(d,J=7.8Hz,48H),6.67(s,1H),2.31(s,3H)。
9b-クロロ-4b-ヒドロキシ-7-メチル-4-ニトロ-4b,9b-ジヒドロ-10H-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-10-オン(61)
【0210】
4b,9b-ジヒドロキシ-7-メチル-4-ニトロ-4b,9b-ジヒドロ-10H-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-10-オン60(5.3g、16.91mmol)をDCM(67mL)に懸濁させた。塩化オキサリル(1.7mL、20.3mmol)を周囲温度でゆっくりと(5分)添加し、次いで、乾燥DMF(5mL)を周囲温度でゆっくりと添加した。この反応混合物を周囲温度で一晩撹拌し、DCMで希釈し、水で洗浄した。有機層を無水NaSOで乾燥させ、濃縮し、次いで、カラムクロマトグラフィー(25%DCMを含むHex中25%EA)で精製し、再度沈殿させて(DCM/Hex=1/2)、生成物を得た。H NMR(300MHz,CDCl)δ 8.53(dd,J=8.0,0.9Hz,1H),8.23(dd,J=7.7,1.0Hz,1H),7.83(t,J=7.9Hz,1H),7.44(d,J=7.9Hz,1H),6.89(d,J=7.9Hz,1H),6.68(d,J=7.2Hz,1H),6.34(s,1H),2.32(d,J=6.1Hz,3H)。
9b-アミノ-4b-ヒドロキシ-7-メチル-4-ニトロ-4b,9b-ジヒドロ-10H-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-10-オン(62)
【0211】
9b-クロロ-4b-ヒドロキシ-7-メチル-4-ニトロ-4b,9b-ジヒドロ-10H-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-10-オン61(2.29g、6.9mmol)を乾燥THF(69mL)に溶解させ、次いで、IPA(6.9mL)中NHの2.0M溶液を-40℃で添加した。反応混合物を-10℃に加温し、次いで、3時間撹拌し、この反応混合物をEAで希釈し、水で洗浄した。この有機層を無水NaSOで乾燥させ、濃縮し、次いで、カラムクロマトグラフィー(3.3%DCMを含むHex中33%EA)で精製し、再度沈殿させ(DCM/Hex=1/2)、次いで、生成物を得た。H NMR(300MHz,CDCl)δ 8.52(d,J=8.0Hz,1H),8.14(d,J=7.6Hz,1H),7.75(t,J=7.8Hz,1H),7.31(m,1H),6.83(t,J=8.6Hz,1H),6.67(s,1H),2.30(d,J=6.0Hz,3H)。
N-(4b-ヒドロキシ-7-メチル-4-ニトロ-10-オキソ-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)アセトアミド(63)
【0212】
9b-アミノ-4b-ヒドロキシ-7-メチル-4-ニトロ-4b,9b-ジヒドロ-10H-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-10-オン(310mg、1.0mmol)及びび無水酢酸(0.113mL、1.2mmol)を酢酸(10mL)に溶解させた。この得られた溶液を、80℃で2時間撹拌した。この反応混合物を室温に冷却し、次いで、EAで希釈し、水で洗浄した。有機層を無水MgSOで乾燥させ、濃縮し、次いで、カラムクロマトグラフィー(5%DCMを含むヘキサン中50%EA)で精製し、再度沈殿させて(DCM/Hex=1/2)、生成物を得た。H NMR(300MHz,CDCl)δ 8.47(dd,J=8.1,0.8Hz,1H),8.22(d,J=6.9Hz,1H),7.76(t,J=7.8Hz,1H),7.42(d,J=7.8Hz,1H),6.85(d,J=7.9Hz,1H),6.64(s,1H),6.50(s,1H),6.08(s,1H),2.31(s,3H),2.10(s,3H)。
N-(1-アミノ-4b-ヒドロキシ-7-メチル-10-オキソ-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)アセトアミド(64)
【0213】
N-(4b-ヒドロキシ-7-メチル-4-ニトロ-10-オキソ-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)アセトアミド63(150mg、0.4233mmol)をエタノール(8mL)に溶解させた。この溶液に、鉄粉末(70mg1.27mmol)、水(0.8mL)、及び濃HCl(2滴)を添加した。この得られた溶液を90℃で2時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、セライトパッドを通して濾過した。濾液を濃縮し、次いで、カラムクロマトグラフィー(5%DCMを含むHex中50%~150%EA)で精製し、EAで再沈殿させ、次いで、生成物を得た。H NMR(300MHz,CDCl)δ 8.83(s,0.5H),7.52(m,1.5H),7.23(m,1.6H),7.17(d,J=7.5Hz,0.7H),6.85(m,1H),6.77(d,J=7.8Hz,0.7H),6.66(m,1.5H),6.60(d,J=8.1Hz,0.7H),6.54(brs,0.3H),5.76(d,J=8.9Hz,1H),5.55(brs,1H),2.29(s,2H),2.26(s,1H),2.06(s,3H)。
【表14】
N-((4bR,9bR)-1-アミノ-4b-ヒドロキシ-7-メチル-10-オキソ-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)アセトアミド(65)及びN-((4bS,9bS)-1-アミノ-4b-ヒドロキシ-7-メチル-10-オキソ-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)アセトアミド(66)
【0214】
N-(1-アミノ-4b-ヒドロキシ-7-メチル-10-オキソ-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)アセトアミド(64)(200mg)を、(ADカラム、HPLC=20mL/分、ヘプタン/IPA=70/30、759psi)を用いてキラルクロマトグラフィーによって精製して、N-((4bR,9bR)-1-アミノ-4b-ヒドロキシ-7-メチル-10-オキソ-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)アセトアミド(65)を(ピーク2、tR12.49分);1H NMR(500MHz,METHANOL-d4)δ:7.38-7.47(m,1H),7.28-7.37(m,1H),6.97(br d,J=6.6Hz,1H),6.79(br d,J=6.9Hz,1H),6.66(br d,J=7.3Hz,1H),6.59(br s,1H),2.27(s,3H),1.99(s,3H)として、
【表15】
そして、N-((4bS,9bS)-1-アミノ-4b-ヒドロキシ-7-メチル-10-オキソ-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)アセトアミド(66)を(ピーク1、tR7.77分);1H NMR(500MHz,METHANOL-d4)δ:7.44(br s,1H),7.34(br s,1H),6.99(br d,J=5.7Hz,1H),6.80(br d,J=6.1Hz,1H),6.68(br d,J=4.0Hz,1H),6.61(br s,1H),2.28(s,3H),2.01(s,3H)として得た。
【表16】
実施例19:N-(1-アミノ-4b-ヒドロキシ-8-メチル-10-オキソ-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)アセトアミド。
【化18】
【0215】
上記化合物についての手順は、m-クレゾールの代わりにp-クレゾールを使用したことを除いて、実施例16~18で述べたのと同様の経路に従って、生成物N-(1-アミノ-4b-ヒドロキシ-8-メチル-10-オキソ-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)アセトアミドを得た。H NMR(500MHz,METHANOL-d)δ:7.44(br t,J=7.2Hz,1H),7.30(br s,1H),7.09(br d,J=7.8Hz,1H),6.99(br d,J=6.9Hz,1H),6.67(br t,J=9.2Hz,2H),2.30(br s,3H),2.01(s,3H)。
【表17】
実施例20:N-((4bR,9bR)-1-アミノ-4b-ヒドロキシ-8-メチル-10-オキソ-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)アセトアミド。
【化19】
【0216】
ラセミ体N-(1-アミノ-4b-ヒドロキシ-8-メチル-10-オキソ-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)アセトアミド(200mg)を、(ADカラム、SFC=100mL/分、CO2/EtOH=75/25、226bar)を用いてキラルクロマトグラフィーによって精製して、上記生成物N-((4bR,9bR)-1-アミノ-4b-ヒドロキシ-8-メチル-10-オキソ-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)アセトアミドを(ピーク2、tR5.43分);1H NMR(400MHz,METHANOL-d4)δ:7.42(br t,J=7.1Hz,1H),7.27(br s,1H),7.06(br d,J=7.9Hz,1H),6.97(br d,J=6.8Hz,1H),6.64(br d,J=8.1Hz,2H),2.28(s,3H),1.98(s,3H)として、またN-((4bS,9bS)-1-アミノ-4b-ヒドロキシ-8-メチル-10-オキソ-9b,10-ジヒドロ-4bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)アセトアミドを(ピーク1、tR3.68分)として得た。
【表18】
実施例21:N-(1-アミノ-4b-ヒドロキシ-10-オキソ-7-(トリフルオロメチル)-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)-N-メチルアセトアミド
【化20】
【0217】
上記の化合物についての手順は、IPA中2.0Mアンモニアの代わりにTHF中2.0Mメチルアミンを使用したことを除いて、実施例3~5で述べたのと同様の経路に従って、生成物N-(1-アミノ-4b-ヒドロキシ-10-オキソ-7-(トリフルオロメチル)-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)-N-メチルアセトアミドを得た。1H NMR(500MHz,METHANOL-d4)δ:7.63(br d,J=7.6Hz,1H),7.44(br t,J=7.8Hz,1H),7.31(br d,J=8.0Hz,1H),7.10(s,1H),6.99(br d,J=7.3Hz,1H),6.70(br d,J=7.3Hz,1H),2.88(s,3H),2.19(s,3H)。
【表19】
実施例22~24:N-(1-アミノ-4b-ヒドロキシ-7-メトキシ-10-オキソ-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)アセトアミド(実施例22)、N-((4bR,9bR)-1-アミノ-4b-ヒドロキシ-7-メトキシ-10-オキソ-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)アセトアミド(実施例23)、及びN-((4bS,9bS)-1-アミノ-4b-ヒドロキシ-7-メトキシ-10-オキソ-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)アセトアミド(実施例24)
【化21】
【0218】
上記の化合物についての手順は、m-クレゾールの代わりに3-メトキシフェノールを使用したことを除いて、実施例16~18で述べたのと同様の経路に従って、ラセミ体N-(1-アミノ-4b-ヒドロキシ-7-メトキシ-10-オキソ-9b,10-ジヒドロ-4bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)アセトアミド(実施例22)(200mg)を得、これを、(ADカラム、HPLC=20mL/分、ヘプタン/IPA=70/30、723psi)を用いてキラルクロマトグラフィーによって精製して、上記生成物N-((4bR,9bR)-1-アミノ-4b-ヒドロキシ-7-メトキシ-10-オキソ-4b,10-ジヒドロ-9bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)アセトアミドを(ピーク2、tR24.20分);1H NMR(500MHz,METHANOL-d4)δ:7.39-7.50(m,1H),7.31(br dd,J=3.1,2.4Hz,1H),6.92-7.05(m,1H),6.62-6.74(m,1H),6.44-6.57(m,1H),6.34(s,1H),3.72(s,3H),1.99(s,3H)(実施例23)として、またN-((4bS,9bS)-1-アミノ-4b-ヒドロキシ-7-メトキシ-10-オキソ-9b,10-ジヒドロ-4bH-インデノ[1,2-b]ベンゾフラン-9b-イル)アセトアミドを(ピーク1、tR9.78分)(実施例24)として得た。
【表20】
本発明の化合物の生物活性は以下の方法を用いて決定した。
細胞変性効果(CPE)を使用したピコルナウイルスに対する薬物有効性の判定
阻害アッセイ
【0219】
このアッセイでは、HeLa(ヒト子宮頸癌細胞)、MRC-5(ヒト胎児肺線維芽細胞)、及びRD細胞(ヒト横紋筋肉腫に由来)を用いた。比較のために、リバビリン(Riv)、プレコナリル(pleco)、及びBTA-798(BTA)を対照として使用した。試薬を100%ジメチルスルホキシド(DMSO)中10~40mg/mLの濃度で溶解させた。水溶性試薬をPBS(-)溶液中に溶解させ、-20℃で保存した。実験の日に、各ウェル中のジメチルスルホキシドの濃度が0.5%~1%になるように、それらを3倍~5倍の濃度で使用した。
【0220】
ウイルス誘発性細胞変性効果(CPE)阻害アッセイを使用して、薬学的有効性を判定した。これに関しては、ウイルスに好適な細胞を96ウェルプレートで成長させた後、2%FBSを補充したDME(DME/2%FBS)又は2%FBSを補充したMEM(MEM/2%FBS)によるウイルスの希釈物を100CCID50に対応する濃度(50%細胞培養感染量)でプレートの各ウェルに100μLの量接種し、33℃又は37℃で30分間~1時間インキュベートして、ウイルスを細胞上に吸着させた。培養培地を除去した後、様々な濃度の薬物希釈物のアリコートを各ウェルに100μLの量で添加した。HRV(ヒトライノウイルス)は33℃で成長させたが、他のウイルスは37℃のCO2インキュベーター内で2~3日間インキュベートした。あるいは、2倍高い濃度を有する各薬物希釈物50μLを添加し、次いで、50μLのウイルス希釈物を添加した後、培地を除去することなく細胞を2~3日間培養した。DME/2%又はMEM/2%FBS中において37℃で2~3日間、ウイルスを宿主HeLa細胞内でインキュベートした。
【0221】
HeLa細胞では、MTTアッセイを使用して、ベースラインと最大との間の中間の応答を誘導する薬物の濃度であるEC50(50%最大有効濃度)について薬物を測定した。RD及びMRC-5細胞では、FDA(フルオレセインジアセテート)又はMTTを使用して、CPEを判定した。有効性の結果に対する薬物毒性の効果を判定するために、ウイルスの接種時に、模擬感染も含めた。ウイルスを含まない培地を細胞培養物に添加し、次いで、ウイルスを接種したウイルス感染細胞と同じ処理に供した。すなわち、1時間のインキュベーション後に培地を除去し、培地による薬物の希釈物をもう1回添加した。2~3日間インキュベートした後、細胞を顕微鏡下で観察し、薬物を含有する模擬感染ウェル中の生存細胞の数を薬物を含有しない対照ウェル中の生存細胞の数と比較したMTTアッセイを使用して、細胞の50%を死滅させたCC50(50%細胞毒性濃度)について細胞を測定した。FDA加水分解アッセイでは、培地の除去後FDAを各ウェルに添加し、20~30分間インキュベートした後、蛍光強度を分光蛍光光度計を使用して測定してMTTと同様にCPEを判定した。
【0222】
すなわち、以下の数式1を使用して、細胞毒性測定のための模擬感染細胞の生存率(%生存率)を計算した:
【0223】
細胞薬物=生存×[A(薬物)-A(バックグラウンド溶液)/A(細胞対照)-(バックグラウンド×100%溶液)]
【0224】
100%細胞生存とは、薬物の細胞毒性がないことを意味するが、最も高い細胞毒性は、0%細胞生存によって反映される。50%細胞毒性濃度は、細胞数を50%減少させるために必要な濃度として定義した。この薬物の濃度は、CC50として表される。より高い値は、細胞毒性が低いことを意味する。
【0225】
更に、抗ウイルス効果は、以下の数式2を使用して計算することができる:
抗ウイルス効果=[A(薬物/ウイルス)-A(ウイルス対照)/A(細胞対照)-A(ウイルス対照)]
【0226】
生存率が100%である場合、その抗ウイルス効果は100%であるが、生存率が0%である場合、その抗ウイルス効果はない。ウイルスに感染したウェル内の細胞が50%の生存率を示すことができる薬物の濃度はEC50として計算されるが、この値が低いほど、抗ウイルス効果がより優れている。
【0227】
以下の表1に、いくつかの例において化合物に対して細胞毒性を示すCC50の濃度、及びピコルナウイルスに属する多数のライノウイルスに対して活性を示すEC50濃度を列挙する。
マルチサイクル細胞変性効果(CPE)低減アッセイを使用したピコルナウイルスに対する薬物効果の判定
【0228】
マルチサイクルCPE低減アッセイを使用して、ピコルナウイルスに対する薬物有効性の判定を行った。まず、MIS[3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-5-(3-カルボキシメトキシフェニル)-2-(4-スルホフェニル)-2H-テトラゾリウムに基づくCPE低減アッセイによって、化合物の抗ウイルス活性を求めた。
【0229】
具体的には、96ウェルプレートにおいてコンフルエントになるまで成長させた細胞を、50%細胞培養感染量(CCID50)が100のウイルスに感染させた。37℃で2時間の吸着期間後、ウイルスを除去し、化合物の連続希釈物を添加した。培養物を、感染した及び未処理のウイルス対照(VC)で完全なCPEが観察されるまで、37℃で3日間更にインキュベートした。培地を除去した後、90μLの培養培地及び10μLのMTS-フェナジンメトサルフェート(Promega、Leiden、The Netherlands)を各ウェルに添加した。37℃で2時間のインキュベーション期間後、マイクロプレートリーダーにおいて498nmで各ウェルの光学密度(OD)を読み取った。
【0230】
抗ウイルス活性を評価するための%CPE値を、以下の数式3を使用して計算した:
%CPE=100×[OD(CC)-OD(ウイルス+化合物)/OD(CC)-OD(VC)]
【0231】
薬物の細胞毒性を測定するための%CPE値を、以下の数式4によって計算した:
%CPE=100×[OD(CC)-OD(ウイルス+化合物)/OD(CC)-OD(ブランク)]
上記の数式3及び数式4中、
OD(CC)は、ウイルスによって誘導されても、化学物質によって処理されてもいないバックグラウンド細胞培養物のODを表し、
OD(VC)は、ウイルスによって誘導されたが、化学物質によって処理されてはいない対照細胞培養物のODを表し、
OD(ウイルス+化合物)は、濃縮化合物で処理された、ウイルスに感染した細胞培養物のODを表し、
OD(化合物)は、濃縮化合物のみで処理された細胞培養物のODを表し、OD(ブランク)は、細胞培養物のみが添加されたウェルのODを表す。
【0232】
有効濃度(EC50)は、誘導されたウイルスのCPEによって細胞の50%が生存可能な薬物の濃度を表し、細胞毒性濃度(CC50)は、化合物が細胞の50%を死滅させた薬物の濃度を表し、これらは対数補間によって計算した。
【0233】
以下の表1中、実施例のいくつかの化合物について、様々なウイルスに対する毒性濃度(CC50)及び有効濃度(EC50)を列挙する。
【表21】
【0234】
上記の表1に示すように、本発明による化合物のほとんどは高いCC50を示すので、細胞毒性が低いことが分かる。更に、本発明による新規化合物は、ほとんどの場合、多数のライノウイルス(HRV)に対して非常に高い抗ウイルス活性を有することが見出された。更に、本発明による新規化合物は、ほとんどの場合、コクサッキーウイルスB4(Cox B4)及びポリオウイルス1(PV1)に対して高い抗ウイルス活性を有することが見出された。
【0235】
したがって、本発明による化合物は、様々なライノウイルスに対して低い細胞毒性及び高い抗ウイルス活性を示すので、ライノウイルスが属するピコルナウイルスによって引き起こされる疾患を予防又は治療するための薬理学的組成物に有用に使用することができる。
【0236】
したがって、本発明による化合物は、細胞毒性が低く、コクサッキーウイルス、ポリオウイルス及びライノウイルスが属するピコルナウイルスに対して優れた抗ウイルス活性を示すので、そのようなウイルスによって引き起こされる疾患、例えば、ポリオ、急性出血性結膜炎、ウイルス性髄膜炎、手足口病、水疱性疾患、A型肝炎、筋炎、心筋炎、膵炎、糖尿病、流行性筋痛症、脳炎、インフルエンザ、ヘルパンギナ、口蹄疫、喘息、慢性閉塞性肺疾患、肺炎、副鼻腔炎、及び中耳炎を含む、呼吸器系、心循環系、及び神経系の疾患の予防又は治療に有効に使用することができる。
【0237】
互いに平衡状態にある本発明による式で表される化合物は、細胞毒性が低いだけでなく、コクサッキーウイルス、エンテロウイルス、エコーウイルス、ポリオウイルス、及びライノウイルスを含むピコルナウイルスに対して非常に優れた抗ウイルス活性も有するので、ポリオ、急性出血性結膜炎、ウイルス性髄膜炎、手足口病、水疱性疾患、A型肝炎、筋炎、心筋炎、膵炎、糖尿病、流行性筋痛症、脳炎、インフルエンザ、ヘルパンギナ、口蹄疫、喘息、慢性閉塞性肺疾患、肺炎、副鼻腔炎、又は中耳炎などのウイルス疾患を予防又は治療するための医薬組成物として有効に使用することができる。
【手続補正書】
【提出日】2022-10-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩:
【化31】
(式中、
及びGのうちの一方は、直鎖又は分岐鎖C-Cアルキル、直鎖又は分岐鎖C-Cアルキルオキシ、直鎖又は分岐鎖C-Cハロアルキル、直鎖又は分岐鎖C-Cハロアルキルオキシ、ハロ及び3~7員シクロアルキルから選択され;G及びGのうちの他方はHであり;Rは、H及び直鎖又は分岐鎖C-Cアルキルから選択される)。
【請求項2】
が、直鎖又は分岐鎖C-Cハロアルキル、直鎖又は分岐鎖C-Cハロアルキルオキシ、及び3~7員シクロアルキルから選択される、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
が、直鎖又は分岐鎖C-Cハロアルキルである、請求項1若しくは2に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
が、CFである、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項5】
が、直鎖又は分岐鎖C-Cハロアルキルオキシである、請求項1若しくは2に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項6】
が、OCFである、請求項1、2、及び5のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項7】
が、3~7員シクロアルキルである、請求項1若しくは2に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項8】
が、シクロプロピルである、請求項1、2、及び7のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項9】
が、Hである、請求項1~8のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項10】
が、メチルである、請求項1若しくは9に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項11】
が、OCHである、請求項1若しくは9に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項12】
が、イソプロピルである、請求項1若しくは9に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項13】
が、ハロである、請求項1若しくは9に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項14】
が、Hである、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項15】
が、メチルである、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項16】
前記化合物が、式(II)の化合物である、請求項1~15のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩:
【化32】
【請求項17】
式(III)を有する、請求項1~15のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩:
【化33】
【請求項18】
前記化合物が、式(IV)の化合物である、請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩:
【化34】
(式中、Gは、直鎖又は分岐鎖C-Cハロアルキル、直鎖又は分岐鎖C-Cハロアルキルオキシ、及び3~7員シクロアルキルから選択される)。
【請求項19】
が、CF、OCF、及びシクロプロピルから選択される、請求項1~9及び18のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩
【請求項20】
が、H及びメチルから選択される、請求項1~15、18、及び19のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩
【請求項21】
以下から選択される、請求項1~17のいずれか一項に記載の化合物:
【表22-1】
【表22-2】
【表22-3】
【表22-4】
又はその薬学的に許容される塩。
【請求項22】
ウイルス疾患を予防又は治療するための、請求項1~17、及び21のいずれか一項に記載の化合物、その薬学的に許容される塩、又はその光学異性体を含む組成物
【請求項23】
請求項1~17、及び21のいずれか一項に記載の化合物、その薬学的に許容される塩、又はその光学異性体と、薬学的に許容される希釈剤又は賦形剤とを含む、ウイルス疾患を予防又は治療するための医薬組成物。
【請求項24】
請求項1~17、及び21のいずれか一項に記載の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は請求項23に記載の医薬組成物と、1つ以上の治療活性剤とを含む、組み合わせ物。
【請求項25】
ウイルス疾患を治療するための、請求項1~17、及び21のいずれか一項に記載の化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物、又は請求項23に記載の医薬組成物、又は請求項24に記載の組み合わせ物。
【請求項26】
ウイルス疾患を予防又は治療するための、請求項22若しくは請求項23に記載の組成物、又は請求項24に記載の組み合わせ物。
【請求項27】
前記ウイルス疾患が、コクサッキーウイルスによって引き起こされる、請求項22若しくは請求項23に記載の組成物、又は請求項25若しくは請求項26に記載の組成物又は組み合わせ物
【請求項28】
前記ウイルス疾患が、ポリオウイルスによって引き起こされる、請求項22若しくは請求項23に記載の組成物、又は請求項25若しくは請求項26に記載の組成物又は組み合わせ物
【請求項29】
前記ウイルス疾患が、エコーウイルスによって引き起こされる、請求項22若しくは請求項23に記載の組成物、又は請求項25若しくは請求項26に記載の組成物又は組み合わせ物
【請求項30】
前記ウイルス疾患が、エンテロウイルスによって引き起こされる、請求項22若しくは請求項23に記載の組成物、又は請求項25若しくは請求項26に記載の組成物又は組み合わせ物
【請求項31】
前記ウイルス疾患が、ライノウイルスによって引き起こされる、請求項22若しくは請求項23に記載の組成物、又は請求項25若しくは請求項26に記載の組成物又は組み合わせ物
【請求項32】
前記ウイルス疾患が、ピコルナウイルスによって引き起こされる、請求項22若しくは請求項23に記載の組成物、又は請求項25若しくは請求項26に記載の組成物又は組み合わせ物
【請求項33】
前記ウイルス疾患が、ポリオ、麻痺、急性出血性結膜炎、ウイルス性髄膜炎、手足口病、水疱性疾患、A型肝炎、筋炎、心筋炎、膵炎、糖尿病、流行性筋痛症、脳炎、インフルエンザ、ヘルパンギナ、口蹄疫、喘息、慢性閉塞性肺疾患、肺炎、副鼻腔炎、又は中耳炎である、請求項22若しくは請求項23に記載の組成物、又は請求項25若しくは請求項26に記載の組成物又は組み合わせ物
【請求項34】
【化35】
若しくは
【化36】
である、請求項1に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項35】
ウイルス疾患を予防又は治療するための、請求項18~21及び34のいずれか一項に記載の化合物、その薬学的に許容される塩、又はその光学異性体を含む組成物
【請求項36】
請求項18~21及び34のいずれか一項に記載の化合物、その薬学的に許容される塩、又はその光学異性体と、薬学的に許容される希釈剤又は賦形剤とを含む、ウイルス疾患を予防又は治療するための医薬組成物。
【請求項37】
請求項18~21及び34のいずれか1つに記載の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は請求項36に記載の医薬組成物と、1つ以上の治療活性剤とを含む、組み合わせ物。
【請求項38】
ウイルス疾患を治療するための、請求項18~21及び34のいずれか一項に記載の化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物、又は請求項36に記載の医薬組成物、又は請求項37に記載の組み合わせ物。
【請求項39】
ウイルス疾患を予防又は治療するための、請求項18~21及び34のいずれか一項に記載の化合物若しくはその薬学的に許容される塩若しくはその光学異性体を含む組成物、又は請求項36に記載の医薬組成物、又は請求項37に記載の組み合わせ物。
【請求項40】
前記ウイルス疾患が、コクサッキーウイルス、ポリオウイルス、エコーウイルス、エンテロウイルス、ライノウイルス、及びピコルナウイルスのうちの1つによって引き起こされる、請求項18~21及び34のいずれか一項に記載の化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物、又は請求項36に記載の医薬組成物、又は請求項38若しくは請求項39に記載の組成物又は組み合わせ物
【請求項41】
前記ウイルス疾患が、ポリオ、麻痺、急性出血性結膜炎、ウイルス性髄膜炎、手足口病、水疱性疾患、A型肝炎、筋炎、心筋炎、膵炎、糖尿病、流行性筋痛症、脳炎、インフルエンザ、ヘルパンギナ、口蹄疫、喘息、慢性閉塞性肺疾患、肺炎、副鼻腔炎、又は中耳炎である、請求項18~21及び34のいずれか一項に記載の化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物、又は請求項36に記載の医薬組成物、又は請求項38若しくは請求項39に記載の組成物又は組み合わせ物
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0237
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0237】
互いに平衡状態にある本発明による式で表される化合物は、細胞毒性が低いだけでなく、コクサッキーウイルス、エンテロウイルス、エコーウイルス、ポリオウイルス、及びライノウイルスを含むピコルナウイルスに対して非常に優れた抗ウイルス活性も有するので、ポリオ、急性出血性結膜炎、ウイルス性髄膜炎、手足口病、水疱性疾患、A型肝炎、筋炎、心筋炎、膵炎、糖尿病、流行性筋痛症、脳炎、インフルエンザ、ヘルパンギナ、口蹄疫、喘息、慢性閉塞性肺疾患、肺炎、副鼻腔炎、又は中耳炎などのウイルス疾患を予防又は治療するための医薬組成物として有効に使用することができる。
一実施形態において、例えば、以下の項目が提供される。
(項目1)
式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩:
【化31】
(式中、
及びG のうちの一方は、直鎖又は分岐鎖C -C アルキル、直鎖又は分岐鎖C -C アルキルオキシ、直鎖又は分岐鎖C -C ハロアルキル、直鎖又は分岐鎖C -C ハロアルキルオキシ、ハロ及び3~7員シクロアルキルから選択され;G 及びG のうちの他方はHであり;R は、H及び直鎖又は分岐鎖C -C アルキルから選択される)。
(項目2)
が、直鎖又は分岐鎖C -C ハロアルキル、直鎖又は分岐鎖C -C ハロアルキルオキシ、及び3~7員シクロアルキルから選択される、項目1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
(項目3)
が、直鎖又は分岐鎖C -C ハロアルキルである、項目1若しくは2に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
(項目4)
が、CF である、項目1~3のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
(項目5)
が、直鎖又は分岐鎖C -C ハロアルキルオキシである、項目1若しくは2に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
(項目6)
が、OCF である、項目1、2、及び5のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
(項目7)
が、3~7員シクロアルキルである、項目1若しくは2に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
(項目8)
が、シクロプロピルである、項目1、2、及び7のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
(項目9)
が、Hである、項目1~8のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
(項目10)
が、メチルである、項目1若しくは9に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
(項目11)
が、OCH である、項目1若しくは9に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
(項目12)
が、イソプロピルである、項目1若しくは9に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
(項目13)
が、ハロである、項目1若しくは9に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
(項目14)
が、Hである、項目1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
(項目15)
が、メチルである、項目1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
(項目16)
前記化合物が、式(II)の化合物である、項目1~15のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩:
【化32】
(項目17)
式(III)を有する、項目1~15のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩:
【化33】
(項目18)
前記化合物が、式(IV)の化合物である、項目1~9のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩:
【化34】
(式中、G は、直鎖又は分岐鎖C -C ハロアルキル、直鎖又は分岐鎖C -C ハロアルキルオキシ、及び3~7員シクロアルキルから選択される)。
(項目19)
が、CF 、OCF 、及びシクロプロピルから選択される、項目1~9及び18のいずれか一項に記載の化合物。
(項目20)
が、H及びメチルから選択される、項目1~15、18、及び19のいずれか一項に記載の化合物。
(項目21)
以下から選択される、項目1~17のいずれか一項に記載の化合物:
【表22-1】
【表22-2】
【表22-3】
【表22-4】
又はその薬学的に許容される塩。
(項目22)
ウイルス疾患を予防又は治療するための、項目1~17、及び21のいずれか一項に記載の化合物、その薬学的に許容される塩、又はその光学異性体。
(項目23)
項目1~17、及び21のいずれか一項に記載の化合物、その薬学的に許容される塩、又はその光学異性体と、薬学的に許容される希釈剤又は賦形剤とを含む、ウイルス疾患を予防又は治療するための医薬組成物。
(項目24)
項目1~17、及び21のいずれか一項に記載の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は項目23に記載の医薬組成物と、1つ以上の治療活性剤とを含む、組み合わせ物。
(項目25)
治療有効量の項目1~17、及び21のいずれか一項に記載の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は項目23に記載の医薬組成物、又は項目24に記載の組み合わせ物を対象に投与することを含む、ウイルス疾患を治療する方法。
(項目26)
ウイルス疾患を予防又は治療するための、項目22に記載の化合物若しくはその薬学的に許容される塩若しくはその光学異性体、又は項目23に記載の医薬組成物、又は項目24に記載の組み合わせ物の使用。
(項目27)
前記ウイルス疾患が、コクサッキーウイルスによって引き起こされる、項目22に記載の化合物、又は項目23に記載の医薬組成物、又は項目24に記載の方法、又は項目26に記載の使用。
(項目28)
前記ウイルス疾患が、ポリオウイルスによって引き起こされる、項目22に記載の化合物、又は項目23に記載の医薬組成物、又は項目24に記載の方法、又は項目26に記載の使用。
(項目29)
前記ウイルス疾患が、エコーウイルスによって引き起こされる、項目22に記載の化合物、又は項目23に記載の医薬組成物、又は項目24に記載の方法、又は項目26に記載の使用。
(項目30)
前記ウイルス疾患が、エンテロウイルスによって引き起こされる、項目22に記載の化合物、又は項目23に記載の医薬組成物、又は項目24に記載の方法、又は項目26に記載の使用。
(項目31)
前記ウイルス疾患が、ライノウイルスによって引き起こされる、項目22に記載の化合物、又は項目23に記載の医薬組成物、又は項目24に記載の方法、又は項目26に記載の使用。
(項目32)
前記ウイルス疾患が、ピコルナウイルスによって引き起こされる、項目22に記載の化合物、又は項目23に記載の医薬組成物、又は項目24に記載の方法、又は項目26に記載の使用。
(項目33)
前記ウイルス疾患が、ポリオ、麻痺、急性出血性結膜炎、ウイルス性髄膜炎、手足口病、水疱性疾患、A型肝炎、筋炎、心筋炎、膵炎、糖尿病、流行性筋痛症、脳炎、インフルエンザ、ヘルパンギナ、口蹄疫、喘息、慢性閉塞性肺疾患、肺炎、副鼻腔炎、又は中耳炎である、項目22に記載の化合物、又は項目23に記載の医薬組成物、又は項目24に記載の方法、又は項目26に記載の使用。
(項目34)
【化35】
若しくは
【化36】
である、項目1に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
(項目35)
ウイルス疾患を予防又は治療するための、項目18~21及び34のいずれか一項に記載の化合物、その薬学的に許容される塩、又はその光学異性体。
(項目36)
項目18~21及び34のいずれか一項に記載の化合物、その薬学的に許容される塩、又はその光学異性体と、薬学的に許容される希釈剤又は賦形剤とを含む、ウイルス疾患を予防又は治療するための医薬組成物。
(項目37)
項目18~21及び34のいずれか1つに記載の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は項目36に記載の医薬組成物と、1つ以上の治療活性剤とを含む、組み合わせ物。
(項目38)
治療有効量の項目18~21及び34のいずれか一項に記載の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は項目36に記載の医薬組成物、又は項目37に記載の組み合わせ物を対象に投与することを含む、ウイルス疾患を治療する方法。
(項目39)
ウイルス疾患を予防又は治療するための、項目18~21及び34のいずれか一項に記載の化合物若しくはその薬学的に許容される塩若しくはその光学異性体、又は項目36に記載の医薬組成物、又は項目37に記載の組み合わせ物の使用。
(項目40)
前記ウイルス疾患が、コクサッキーウイルス、ポリオウイルス、エコーウイルス、エンテロウイルス、ライノウイルス、及びピコルナウイルスのうちの1つによって引き起こされる、項目18~21及び34のいずれか一項に記載の化合物、又は項目36に記載の医薬組成物、又は項目38に記載の方法、又は項目39に記載の使用。
(項目41)
前記ウイルス疾患が、ポリオ、麻痺、急性出血性結膜炎、ウイルス性髄膜炎、手足口病、水疱性疾患、A型肝炎、筋炎、心筋炎、膵炎、糖尿病、流行性筋痛症、脳炎、インフルエンザ、ヘルパンギナ、口蹄疫、喘息、慢性閉塞性肺疾患、肺炎、副鼻腔炎、又は中耳炎である、項目18~21及び34のいずれか一項に記載の化合物、又は項目36に記載の医薬組成物、又は項目38に記載の方法、又は項目39に記載の使用。
【国際調査報告】