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特表2023-521424吸収性物品のための改善された接着剤
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-24
(54)【発明の名称】吸収性物品のための改善された接着剤
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/56 20060101AFI20230517BHJP
   A61F 13/551 20060101ALI20230517BHJP
【FI】
A61F13/56 110
A61F13/551 200
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022562172
(86)(22)【出願日】2021-04-22
(85)【翻訳文提出日】2022-10-11
(86)【国際出願番号】 US2021028587
(87)【国際公開番号】W WO2021216834
(87)【国際公開日】2021-10-28
(31)【優先権主張番号】63/013,573
(32)【優先日】2020-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 卓久
(74)【代理人】
【識別番号】100152423
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 一真
(74)【代理人】
【識別番号】100196047
【弁理士】
【氏名又は名称】柳本 陽征
(72)【発明者】
【氏名】マリアンヘラ、カプティ
(72)【発明者】
【氏名】ビト、カルラ
(72)【発明者】
【氏名】マティアス、モランド
(72)【発明者】
【氏名】ナカ、ザイデル
(72)【発明者】
【氏名】アンドレア、プファー、スウィッツァー
(72)【発明者】
【氏名】チャド、エム.ウェルディショファー
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200AA03
3B200BA16
3B200BB20
3B200CA11
3B200DA27
3B200DE02
3B200DE03
3B200DE09
(57)【要約】
使い捨て吸収性物品が記載されている。使い捨て吸収性物品は、吸収性物品の着用者に面する表面の少なくとも一部を形成するトップシートと、吸収性物品の衣服に面する表面の少なくとも一部を形成するバックシートと、トップシートとバックシートとの間に配設された吸収性コアと、使い捨て吸収性物品を下着に取り付けるための接着剤と、を含む。接着剤は、衣服に面する表面に配設される。吸収性物品は、剥離力試験に従って少なくとも1.0N、より好ましくは約1.1N、又は最も好ましくは約1.2Nの剥離力を示し、かつ接着剤残留物試験に従って下着に残留物を残さない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使い捨て吸収性物品であって、
前記吸収性物品の着用者に面する表面の少なくとも一部を形成するトップシートと、
前記吸収性物品の衣服に面する表面の少なくとも一部を形成するバックシートと、
前記トップシートと前記バックシートとの間に配設された吸収性コアと、
前記使い捨て吸収性物品を下着に取り付けるための接着剤であって、前記接着剤は、前記衣服に面する表面に配設され、前記吸収性物品は、剥離力試験に従って少なくとも1.0N、より好ましくは約1.1N、又は最も好ましくは約1.2Nの剥離力を示し、かつ接着剤残留物試験に従って下着に残留物を残さない、接着剤と、を備える、使い捨て吸収性物品。
【請求項2】
前記吸収性物品は、1.0N~約5.0N、より好ましくは1.0N~約4.0N、又は最も好ましくは1.0N~約3.0Nの剥離力を示す、請求項1に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項3】
前記接着剤は、以下の:周波数掃引-振動レオメトリー試験方法に従って、37℃で0.01Hz~1Hzの周波数範囲にわたって、0.28~1.2、より好ましくは0.28~1.13、又は最も好ましくは0.28~0.51のtanδ-1値、周波数掃引-振動レオメトリー試験方法に従って、37℃で0.01~1Hzで、85kPa未満、より好ましくは74kPa以下、又は最も好ましくは57kPa以下の貯蔵弾性率-1値、周波数掃引-振動レオメトリー試験方法に従って、37℃で50~100Hzの周波数範囲にわたって、1.9以下、より好ましくは1.8以下、又は最も好ましくは1.38以下のtanδ-2値、周波数掃引-振動レオメトリー試験方法に従って、37℃で50Hz~100Hzで、40kPaより大きい、より好ましくは73kPa以上、又は最も好ましくは146kPa以上の貯蔵弾性率-2値であって、前記貯蔵弾性率-2値は貯蔵弾性率-1値より大きい、貯蔵弾性率-2値のそれぞれを示す、請求項1又は2に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項4】
前記接着剤は、アクリレート系であるか、又はエチレン酢酸ビニルとスチレンブロックコポリマーとの混合物を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記接着剤は、37℃で50Hz~100Hzの周波数範囲で、0.25~1.9、より好ましくは0.25~1.8、又は最も好ましくは0.25~1.38のtanδ-2を示す、請求項1~4のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記接着剤は、約10mJ/m~約25mJ/m、より好ましくは約12.5mJ/m~約25mJ/m、又は最も好ましくは約15mJ/m~約25mJ/mの表面エネルギーを示す、請求項1~5のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記接着剤は、1パーセント~10パーセント、より好ましくは2パーセント~10パーセント、又は最も好ましくは3パーセント~10パーセントの表面エネルギーの極性成分を示す、請求項1~6のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項8】
前記接着剤は、37℃で0.01~1Hzの周波数で、1kPa~84kPa、より好ましくは3kPa~74kPa、又は最も好ましくは12kPa~57kPaの貯蔵弾性率-1値を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項9】
前記接着剤は、37℃で50~100Hzの周波数で、0.25~1.9、より好ましくは0.25~1.8、又は最も好ましくは0.25~1.38のtanδ-2値を示す、請求項1~8のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項10】
前記接着剤は、37℃の温度で、100秒以下、より好ましくは30秒以下、又は最も好ましくは20秒以下の緩和時間を示す、請求項1~9のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項11】
前記接着剤は、伸長試験方法によって判定される際、37℃で、32kPa以上、より好ましくは約40kPa以上、又は最も好ましくは約50kPa以上の降伏応力を示す、請求項1~10のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項12】
前記接着剤は、32kPa~100kPa、より好ましくは40kPa~100kPa、又は最も好ましくは50kPa~100kPaの降伏応力を示す、請求項1~11のいずれか一項に記載の接着剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使い捨て吸収性物品を衣類、特に肌着に固定するための改良された接着剤に関する。
【背景技術】
【0002】
婦人衛生物品は、月経液、尿、及び他の液体の侵襲(liquid insult)を吸収するために広く使用されている。多くの場合、婦人衛生物品は、物品をユーザの肌着に取り付けることによって着用される。婦人衛生物品を個人衛生用の下着に固定するための接着剤の使用は、当該技術分野において周知である。一般に、これらの接着剤は、パンティ固定用接着剤、位置固定接着剤、又は位置決め接着剤と呼ばれる。便宜上、以下に総称して「PFA」と呼ばれる。
【0003】
PFAは、着用者が適切に保護され、ユーザが良好な使用体験をすることを確実にするのに重要な役割を果たす。婦人衛生物品のPFAには、本質的に3つの主な責任がある。最初に、PFAは、最初の取り付け段階で、婦人衛生物品を下着に取り付けるのに十分な強度であるべきである。しかしながら、これは、最初に考えられるよりも困難であると判明している場合がある。これらの物品のユーザは、衛生的な懸念に起因して、最初の貼り付け中に、婦人衛生物品にあまり大きな圧力を加えない傾向がある、例えば、より製品への接触が少ないほど、汚染が少なくなると考えるのである。貼り付け時の圧力が小さいと、最初の貼り付け中に吸収性物品が良好に取り付けられない可能性がある。この問題は、一部の婦人衛生物品、例えば成人失禁パッドが、伸縮性バリアカフを含むという事実によって悪化する可能性がある。カフの弾性力は、婦人衛生物品をユーザの肌着から引き離すように作用する場合がある。
【0004】
婦人衛生物品の肌着への最初の貼り付け時に悩ましい別の問題は、ユーザが、貼り付け前に、婦人衛生物品を接着するためにより平坦な表面を作成するように、それらの下着を伸長させる傾向があることである。この伸長によって、接着剤上に直接的剪断が引き起こされる可能性がある。接着剤にかかるこの剪断応力もまた、婦人衛生物品の肌着への初期付着に悪影響を及ぼし得る。
【0005】
第2に、下着に貼り付けられると、PFAは、婦人衛生物品を所定の場所に保つべきである。婦人衛生物品のユーザは、典型的には、ユーザらが婦人衛生物品を着用している時間全体にわたって静止しているというわけではない。したがって、PFAは、ユーザの動き及びユーザの下着の動きに関係なく、婦人衛生物品を所定の場所に保持するのに十分に強くなければならない。そうすることができないと、物品にしわやひだが寄ることが増加する可能性があり、これは、漏れの可能性の増加と共に着用者の不快感をもたらし得る。
【0006】
第3に、下着からの婦人衛生物品の除去もまた、婦人衛生物品がユーザによってどのように受け止められるかにおいて重要な役割を果たす。例えば、上記の第1及び第2の責任に対応するために、製造業者は、物品においてより多量のPFAを利用しようと試み得る。しかしながら、そのような貼り付けはまた、消費者のネガティブな受け止めを結果的にもたらし得る。例えば、より多くの量のPFAを用いれば、除去中に、製品が裂けたり、接着剤残留物が下着に残ったりし得る。物品を除去した後にもなお下着の上に接着剤残留物が残っていると、ユーザの頭に、婦人衛生物品に関してネガティブなイメージを作リ出す可能性がある。
【0007】
婦人衛生物品に利用するための適切なPFAを選ぼうと試みる際に留意すべき、追加の検討事項がある。例えば、下着の材料は、PFAが上記3つの責任に関してどのように反応するかに影響を与える可能性がある。下着に利用される材料の2つの一般的な種類としては、綿(天然)及びマイクロファイバー(合成)が挙げられる。一部の市販のPFAは、綿製の肌着ではかなり良好に上述した3つの機能を実行することができるが、その一方で、通常、マイクロファイバー製下着という状況下では、同じように良好には機能しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、綿、マイクロファイバーなどを含む様々な下着の材料について、良好な初期取り付け性、定位置残留保護性、及び良好な取り外し特性を提供することができるPFAが必要である。本開示のPFAは、市販のPFAに関連する問題点のうちの1つ以上を軽減することができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示のPFAは、特に、綿及びマイクロファイバーの肌着に関して、従来のPFAと比べて、下着への婦人衛生物品の良好な取り付け性、良好な定位置残留性を提供するための、着用者の複雑な動作中の十分な接着性、及び良好な取り外し特性を提供することができる。
【0010】
本開示のPFAは、PFAの初期取り付け性、PFAの定位置残留機能、及び/又は残留物を残さず若しくはより少なくするPFAの取り外し容易性を促進する特性を示す。第1の例では、本開示のPFAは、周波数掃引-振動レオメトリー試験方法に従って、37℃で0.01Hz~1Hzの周波数範囲にわたって、0.28~1.2、より好ましくは0.28~1.13、又は最も好ましくは0.28~0.51のtanδ-1値を示す。本開示のPFAはまた、周波数掃引-振動レオメトリー試験方法に従って、37℃で0.01~1Hzで、85kPa未満、より好ましくは74kPa以下、又は最も好ましくは57kPa以下の貯蔵弾性率-1値を示す。本開示のPFAは、周波数掃引-振動レオメトリー試験方法に従って、37℃で50~100Hzの周波数範囲にわたって、1.9以下、より好ましくは1.8以下、又は最も好ましくは1.38以下のtanδ-2値を示す。そして最終的に、本開示のPFAはまた、周波数掃引-振動レオメトリー試験方法に従って、37℃で50Hz~100Hzで、40kPaより大きい、より好ましくは73kPa以上、又は最も好ましくは146kPa以上の貯蔵弾性率-2値であって、貯蔵弾性率-2値は貯蔵弾性率-1値より大きい、貯蔵弾性率-2値を示す。
【0011】
第2の例では、吸収性物品用の接着剤を使用する方法が開示される。この方法は、前述の第1の例に開示された特性を示す接着剤を配合するステップを含む。
【0012】
第3の例では、吸収性物品を製造する方法が開示される。この方法は、トップシート材料を得るステップと、吸収性材料を得るステップと、バックシート材料を得るステップと、前述の第1の例で開示された特性を示す接着剤を得るステップと、を含む。
【0013】
第4の例では、吸収性物品を製造する方法が開示される。この方法は、トップシート材料を得るステップと、吸収性材料を得るステップと、バックシート材料を得るステップと、を含み、バックシート材料が、バックシートの衣服に面する表面に配設され、前述の第1の例で開示された特性を呈する接着剤を含む。
【0014】
第5の例では、使い捨て吸収性物品が開示される。使い捨て吸収性物品は、吸収性物品の着用者に面する表面の少なくとも一部を形成するトップシートと、吸収性物品の衣服に面する表面の少なくとも一部を形成するバックシートと、トップシートとバックシートとの間に配設された吸収性コアと、使い捨て吸収性物品を下着に取り付けるための接着剤であって、接着剤は、衣服に面する表面に配設されている、接着剤と、を備える。吸収性物品は、剥離力試験に従って少なくとも1.0N、より好ましくは約1.1N、又は最も好ましくは約1.2Nの剥離力を示し、接着剤残留物試験に従って下着に残留物を残さない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1A】本開示に従う接着剤試料1~4の貯蔵弾性率-1値を示すグラフである。
図1B】本開示に記載の基準を満たさない接着剤試料5~9の貯蔵弾性率-1値を示すグラフである。
図2A】本開示に従う接着剤試料1~4のtanδ-1値を示すグラフである。
図2B】本開示に記載の基準を満たさない接着剤試料5~9のtanδ-1値を示すグラフである。
図3A】本開示に従う接着剤試料1~4の貯蔵弾性率-2値を示すグラフである。
図3B】本開示に記載の基準を満たさない接着剤試料5~9の貯蔵弾性率-2値を示すグラフである。
図4A】本開示に従う接着剤試料1~4のtanδ-2値を示すグラフである。
図4B】本開示に記載の基準を満たさない接着剤試料5~9のtanδ-2値を示すグラフである。
図5A】2つの異なる温度、すなわち25℃及び37℃での接着剤試料1のtanδ-1値を示すグラフである。
図5B】2つの異なる温度、すなわち25℃及び37℃での接着剤試料2のtanδ-1値を示すグラフである。
図5C】2つの異なる温度、すなわち25℃及び37℃での接着剤試料3のtanδ-1値を示すグラフである。
図5D】2つの異なる温度、すなわち25℃及び37℃での接着剤試料4のtanδ-1値を示すグラフである。
図6A】2つの異なる温度、すなわち25℃及び37℃での接着剤試料5のtanδ-1値を示すグラフである。
図6B】2つの異なる温度、すなわち25℃及び37℃での接着剤試料6のtanδ-1値を示すグラフである。
図6C】2つの異なる温度、すなわち25℃及び37℃での接着剤試料7のtanδ-1値を示すグラフである。
図6D】2つの異なる温度、すなわち25℃及び37℃での接着剤試料8のtanδ-1値を示すグラフである。
図6E】2つの異なる温度、すなわち25℃及び37℃での接着剤試料9のtanδ-1値を示すグラフである。
図7A】2つの異なる温度、すなわち25℃及び37℃での接着剤試料1のtanδ-1値を示すグラフである。
図7B】2つの異なる温度、すなわち25℃及び37℃での接着剤試料2のtanδ-1値を示すグラフである。
図7C】2つの異なる温度、すなわち25℃及び37℃での接着剤試料3のtanδ-1値を示すグラフである。
図7D】2つの異なる温度、すなわち25℃及び37℃での接着剤試料4のtanδ-1値を示すグラフである。
図8A】2つの異なる温度、すなわち25℃及び37℃での接着剤試料5のtanδ-1値を示すグラフである。
図8B】2つの異なる温度、すなわち25℃及び37℃での接着剤試料6のtanδ-1値を示すグラフである。
図8C】2つの異なる温度、すなわち25℃及び37℃での接着剤試料7のtanδ-1値を示すグラフである。
図8D】2つの異なる温度、すなわち25℃及び37℃での接着剤試料8のtanδ-1値を示すグラフである。
図8E】2つの異なる温度、すなわち25℃及び37℃での接着剤試料9のtanδ-1値を示すグラフである。
図9A】試料1~9の接着剤の接合コンプライアンス値を示すグラフである。
図9B】試料1~9の接着剤の剥離コンプライアンス値を示すグラフである。
図10A】マイクロファイバー製下着の一部に接合された試料1の接着剤を示すマイクロCT画像である。
図10B】マイクロファイバー製下着の一部に接合された試料6の接着剤を示すマイクロCT画像である。
図11A】マイクロファイバー製下着の一部に接合された試料7の接着剤の断面を示すSEM画像である。
図11B】マイクロファイバー製下着の一部に接合された試料7の接着剤の断面を示すSEM画像である。
図11C】マイクロファイバー製下着の一部に接合された試料7の接着剤の断面を示すSEM画像である。
図11D】マイクロファイバー製下着の一部に接合された試料7の接着剤の断面を示すSEM画像である。
図12A】マイクロファイバー製下着の一部に接合された試料4の接着剤の断面を示すSEM画像である。
図12B】マイクロファイバー製下着の一部に接合された試料4の接着剤の断面を示すSEM画像である。
図12C】マイクロファイバー製下着の一部に接合された試料4の接着剤の断面を示すSEM画像である。
図12D】マイクロファイバー製下着の一部に接合された試料4の接着剤の断面を示すSEM画像である。
図13】本開示に従って構成された吸収性物品の概略図である。
図14】本開示に従って構成された別の吸収性物品の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本明細書で使用される場合、「吸収性物品」は、体液などの身体から滲出する液体又は排出物を、吸収及び収容する物品を指し、生理用ナプキン、パンティライナー、及び失禁用パッド(及び衣服の股部領域に装着される他の物品)、並びにユーザの下着内に配置され、下着に接着されるように意図される追加の物品を含むことを意図している。
【0017】
吸収性物品に関して「長手方向」とは、着用者の視点から見て、物品の前方から後方へ、又は後方から前方への方向を指す。
【0018】
吸収性物品に関して「横方向」とは、着用者の視点から見て、長手方向に対して垂直かつ物品の側方から側方への方向を指す。
【0019】
複数の構成要素で構成された着用可能吸収性物品の構成要素に関して、「着用者に面する」構成要素は、物品が着用される際に着用者の皮膚の最も近くに配設される構成要素であり、「衣服に面する」構成要素は、着用者の皮膚から最も遠くに配設される構成要素である。着用可能吸収性物品のウェブ、シート又はバット構成要素の2つの互いに対面する主表面に関して、「着用者に面する」表面とは、物品が着用される際に着用者の皮膚に面する表面であり、その反対側の「外側に面する」表面とは、着用者の皮膚から遠ざかる方向に面する表面である。
【0020】
前述のように、PFAの性能については、関連する多数の検討事項が存在する。例えば、前述のように、肌着の材料はPFAの性能に大きく影響を与える可能性がある。消費者によって広く使用されている材料の1つは、マイクロファイバー材料製の肌着である。マイクロファイバーは、織物産業における、最近の主要な開発物のうちの1つである。これらの繊維は従来、1デニール未満の太さを有する。マイクロファイバーは、マイクロファイバーが独特の物理的及び機械的性能を有する織物を形成するために使用される、特に衣類産業においての用途が見出されている。マイクロファイバーはシルクよりも薄く、非常に良好な強度、均質性、及び加工特性を有するため、マイクロファイバーは着用者に豪華な外観及び感触を提供することができる。
【0021】
また、前述のように、綿の下着では良好に機能するPFAも、マイクロファイバー製下着ではそれほど良好には機能しない場合がある。これは、下着と接着剤とによって構成される系の表面特性という観点、及び肌着とパッドとの間の相対的な伸縮性の不一致という観点から理解され得る。
【0022】
下着、特にマイクロファイバー材料への吸収性物品の取り付けに伴うこの問題は広く見られる問題である。接着剤、具体的にはPFAの不具合は、消費者が、その吸収性物品の使用に関して訴える主要な苦情の1つである。また、当該技術分野、例えば米国特許出願公開第2005/0256481号及び同第2015/0038936(A1)号によって実証されるように、マイクロファイバーと共に使用するのに好適な接着剤に対する要望は、10年以上にわたって存在してきた。しかしながら、今日、消費者に入手可能な様々な肌着の材料に対して、上述の3つの責任(すなわち、初期取り付け性、定位置残留性、及び残留物を残さない取り外し)に対応することができる市販のPFAは存在しない。
【0023】
事態を更に複雑にすることには、上で特定された問題に加えて、本発明者らが更に発見したのは、消費者の貼り付けの習慣によって、PFAの取り付けの結果が強く影響を受けるということである。すべてのPFAは、接合剤を流動させ、物品と下着との間の接合を実現するために初期圧力を要する。また、前述のように、消費者は、衛生上の懸念のために、貼り付け中に製品に触れることを回避しようとする傾向があり、したがって、製品の非常に限定された領域(通常は正面及びウィング)にのみ非常に少ない圧力を加えるものである。したがって、消費者の貼り付け習慣は、本来重要な、下着との初期接合を作り出すという点で、不十分なものとなる傾向がある。
【0024】
更に、理論に縛られることを望むものではないが、洗浄の習慣も同様に、PFAの性能に影響を与え得ると考えられている。柔軟剤及びドライヤーシートなどの洗濯及び乾燥補助剤の登場以降、PFAの性能に影響が出たと考えられている。PFAの性能の低下は、布地柔軟剤中の疎水性活性物質(例えば、アルキルエステル四級アンモニウム及び脂肪酸)を衣類の表面上に堆積させるこれらの洗浄及び乾燥助剤によって、悪影響を受ける可能性があると更に考えられる。
【0025】
洗浄の回数及び頻度は、肌着材料に関係なく、PFAが肌着に取り付けられる能力に影響を与える可能性があると更に考えられる。これは、洗浄が増えるにつれて、衣服による表面の「毛羽立ち」又は繊維のゆるみが増えることに起因すると考えられている。この「毛羽立ち」の増加は、接着剤の固定点を追加的に提供し、より強い接合を作り出すのを助けることができる。しかしながら、固定点の増加は、下着から物品(及びそのPFA)を取り外すのには悪影響を与える可能性があり、下着に残される残留PFAの増加につながる可能性がある。
【0026】
解決する必要がある問題の複雑さはともかくとして、本発明者らは、驚くべきことに、PFAの性能、具体的には、マイクロファイバー及び/又は綿の下着に関して、PFAがどのような性能を発揮するのかに影響を与えるいくつかの基準を見出した。本開示のPFAは、従来のPFAのものと比べ、吸収性物品に関するPFAの3つの主な責任のうちの1つ以上で優ることができるものである。しかも、本開示のPFAは、市販のPFAに対しても改善されたものである。
【0027】
接着剤のレオロジー挙動及び機械的挙動は、その接着剤がPFAとして発揮する性能において重要な役割を果たす。PFAのレオロジーに関連する1つの基準は、減衰係数である。前述の、初期貼り付け性、定位置残留性、及び取り外しに関する要件に対処するため、減数係数を、少なくとも2つの異なる周波数範囲で測定することができる。これは、接着剤の寿命のうちの異なるフェーズに関わる異なる時間スケールに関係がある。貼り付けとそれに続く初期の着用の間、PFAは、非常に長い時間、流動可能であり、衣服の繊維と密接に接触することができ、接着強度を高めることができる。この時間スケールは、通常、1秒~100秒ほど又はそれ以上であり、これに対しては、初期の配置性及び定位置残留性の基準について、減衰係数(tanδ-1)は、約0.01Hz(=1/100秒)~約1Hz=(1/1秒)であり得る。上記のように、tanδ-1の測定は、初期貼り付け性、並びに定位置残留性の基準にとって重要であり得る。tanδ-1は、37℃で0.01~1Hzの周波数で本明細書に記載されるように測定される。37℃は、体温並びにPFAがその性能を発揮するであろう条件を、より厳密に模倣するものと考えられている。
【0028】
本開示のPFAの場合、PFAが、肌着の布のマクロ表面構造に取り付けられるのを可能にするtanδ-1値を示すように、PFAを構成することができる。理論に縛られることを望むものではないが、(本明細書に開示されるように、貯蔵弾性率-1(G’1)の低い値と相まって)tanδ-1の高い値は、コンプライアンスの値を高くすると考えられる。またコンプライアンスの値が高いほど、下着の表面に接着剤がより適合するようになり、かつより密接に接触するようになり、その結果、下着へPFAがより強く接合するようになる。このコンプライアンス値については、以下で更に詳細に説明する。特に最初の貼り付けの最中において、肌着のより多くの数の繊維に付着する能力は、素材(例えば、綿、マイクロファイバーなど)に関係なく、吸収性物品が下着に最初に成功裏に取り付けられるのに重要な役割を果たすと考えられている。
【0029】
本開示のPFAは、本明細書に記載の周波数掃引-振動レオメトリー試験方法に従って、37℃で0.01Hz~1Hzの周波数範囲にわたって測定される際、0.28~1.2、より好ましくは0.28~1.13、又は最も好ましくは0.28~0.51のtanδ-1値を示すことができ、具体的にはこの範囲内のすべての値及びそれによって作られる任意の範囲を取り得る。本開示のPFAは、37℃で0.01Hzで、0.28~0.9のtanδ-1値を示すことができ、具体的にはこの範囲内のすべての値及びそれによって作られる任意の範囲を取り得る。本開示のPFAが、0.01Hz~1Hzの範囲全体にわたって、上記のtanδ-1値を示すことができることに注目すべきである。したがって、0.01Hz及び1Hzでは、tanδ-1値は、0.28~1.2であり得るが、具体的にはこの範囲内のすべての値及びそれによって作られる任意の範囲を取り得る。
【0030】
これまで説明したように、ユーザの肌着における吸収性物品の貼り付けと、それに続く初期の着用中に、PFAは、長い時間、流動可能であり、肌着の繊維と密接に接触することができる。しかしながら、指定された周波数範囲内では、物品が下着に貼り付けられるのに決まった時間はなく、実際、全くその反対である。時間という観点から見れば、物品の下着への貼り付けは、非常に変動的である。また、上記のように、最初の貼り付けは、PFAと肌着との間に良好な接着を確立するのに重要である。
【0031】
前述のように、吸収性物品が下着に貼り付けられると、下着に接合するためにPFAに提供される時間の量は、様々に変動する。驚くべきことに、本発明者らは、PFAの下着への接合の有用性が望まれる場合、PFAの緩和時間が重要であり得ることを見出した。更に、本発明者らは、緩和時間が測定される時点での温度が、測定結果に影響を与える可能性があることを見出した。例えば、25℃で測定されたPFAの緩和時間は、37℃で測定された同じPFAの緩和時間よりも実質的に長くなり得る。
【0032】
吸収性物品の貼り付け中、これらの温度の混合、又はこれらの温度の間の温度の混合が存在すると考えられる。例えば、吸収性物品が最初に下着に貼り付けられるとき、PFA及び吸収性物品は、室温、すなわち25℃に相当近い可能性が高い。しかしながら、下着が再度着用されると、吸収性物品及びPFAは温度上昇を開始する。最終的に、吸収性物品及びPFAは、体温近くの温度、すなわち37℃から2、3度/数度低い温度で定常状態に達する。高温では、PFAの緩和時間は、25℃で測定される緩和時間よりも実質的に小さくなり得る。本開示のPFAは、37℃で、100秒以下、より好ましくは30秒以下、又は最も好ましくは20秒以下の緩和時間を有し得るが、具体的にはこの範囲内のすべての値及びそれによって作られる任意の範囲を取り得る。
【0033】
表1に開示される試料接着剤の緩和時間は、以下の式によって計算された。
【0034】
【数1】
式中、tanδはtanδ-1であり、ωは周波数であり、τは緩和時間である。
【0035】
前述のように、PFAの減衰係数は、初期取り付け性及び定位置残留性に関するPFAの挙動を決定するために重要である。しかしながら、本発明者らはまた、消費者が典型的には、1秒もかからずに吸収性物品を取り外すため、下着から製品を取り外す場合に、より高い周波数での減衰係数も重要であり得ることを見出した。パッドを0.01秒以上で取り外すことができると仮定すると、取り外しのために、tanδ-2値を、37℃で50~100Hzで測定することができる。tanδ-1の説明におけるPFAの望ましい属性に匹敵する重大な関心事として、本開示のPFAは、パンティから接着剤とともに剥離することができ、物品取り外し後に肌着の上に残留物が残る可能性を最小限に抑えるのに十分なほど凝集力が大きい。前述のように、吸収性物品の取り外しの後になお残ったPFA残留物は、ユーザの念頭に、その吸収性物品のブランドに対する負のイメージを作り出す可能性がある。
【0036】
本開示のPFAは、本明細書に開示される周波数掃引-振動レオメトリー試験方法に従って測定される場合、37℃で50~100Hzの周波数範囲にわたって、1.9以下、より好ましくは1.8以下、又は最も好ましくは1.38以下のtanδ-2値を示すことができ、具体的にはこの範囲内のすべての値及びそれによって作られる任意の範囲を取り得る。例えば、本開示のこれらのPFAは、37℃で50~100Hzの周波数で、0.25~1.9、より好ましくは0.25~1.8、又は最も好ましくは約0.28~約1.38のtanδ-2値を示すことができ、具体的にはこの範囲内のすべての値及びそれによって作られる任意の範囲を取り得る。本開示のPFAは、50Hz~100Hzの範囲全体にわたって、上記のtanδ-2値を示すことに注目すべきである。したがって、50Hz及び100Hzでは、tanδ-2値は、1.9以下、より好ましくは1.8以下、又は最も好ましくは1.38以下であり得るが、具体的にはこの範囲内のすべての値及びそれによって作られる任意の範囲を取り得る。
【0037】
別のレオロジー基準は、PFAの弾性剛性の測定値である。このメトリックは、貯蔵弾性率と呼ばれる。PFAが表面に粘着するために、本開示のPFAは、吸収性物品が取り付けられる下着の繊維の表面の任意の不連続部に接着剤が適合することができるように、「軟質」な特性を有し得る。この「軟質」な特性は、初期貼り付け性だけでなく、吸収性物品の、定位置残留性の側面及びその剥離性にも影響を及ぼし得る。
【0038】
減衰係数と同様に、0.01Hz~1Hzの周波数範囲におけるPFAの貯蔵弾性率(G’)は、接着剤の「軟質性」及び基材に適合し、接着性を生成するその能力を示すものであり得る-貯蔵弾性率-1と呼ぶ。しかしながら、50Hz~100Hzの周波数範囲での接着剤の貯蔵弾性率は、物品の取り外し時の接着剤の接着力と凝集力との両方の重要な寄与要因であり得る-貯蔵弾性率-2と呼ぶ。この接着力及び凝集力は、吸収性物品の取り外し後に下着の上に残留物が残される可能性を最小限に抑えることができる。そして、2つの異なる周波数範囲での減衰係数と同様に、貯蔵弾性率-1の基準及び貯蔵弾性率-2の基準は、矛盾する関心事であり得る。貼り付け中のより良好な接着をもたらすためには前者が低く、接着剤の凝集性をもたらすためには後者が高くなるため、貯蔵弾性率-1及び貯蔵弾性率-2を、単一のPFAで両立させるのは困難であり得る。
【0039】
本開示のPFAは、37℃で0.01~1Hzの周波数で、85kPa未満、より好ましくは74kPa以下、又は最も好ましくは57kPa以下の貯蔵弾性率-1値を示し得るが、具体的には、この範囲内のすべての値及びそれによって作られる任意の範囲を取り得る。例えば、これらのPFAは、37℃で0.01~1Hzの周波数で、1kPa~84kPa、より好ましくは3kPa~74kPa、又は最も好ましくは12kPa~57kPaの貯蔵弾性率-1値を示し得るが、具体的にはこの範囲内のすべての値及びそれによって作られる任意の範囲を取り得る。前述のものと併せて又はそれとは独立して、本開示のPFAは、37℃で1Hzで、5kPa~84kPa、より好ましくは5kPa~80kPa、最も好ましくは5kPa~74kPaの貯蔵弾性率-1値を示し得るが、具体的にはこの範囲内のすべての値及びそれによって作られる任意の範囲を取り得る。前述のものと併せて又はそれとは独立して、本開示のPFAは、37℃で0.01Hzで、1kPa~50kPa、より好ましくは1kPa~40kPa、又は最も好ましくは1kPa~30kPaの貯蔵弾性率-1値を示し得るが、具体的にはこの範囲内のすべての値及びそれによって作られる任意の範囲を取り得る。
【0040】
貯蔵弾性率-2値に関して、本開示のPFAは、本明細書に開示される周波数掃引-振動レオメトリー試験方法に従って、37℃で50~100Hzで、40kPa以上、より好ましくは73kPa以上、又は最も好ましくは146kPa以上の貯蔵弾性率-2値を示し得るが、具体的にはこの範囲内のすべての値及びそれによって作られる任意の範囲を取り得る。一例として、本開示のPFAは、40~300kPa、より好ましくは73kPa~300kPa、又は最も好ましくは146kPa~300kPaの貯蔵弾性率-2値を示し得るが、具体的にはこの範囲内のすべての値及びそれによって作られる任意の範囲を取り得る。しかしながら、貯蔵弾性率は、その全体を、周波数の連続的な、単調増加関数として考慮しなければならない。これは、貯蔵弾性率-2値が貯蔵弾性率-1値よりも小さくなることがあり得ないということを意味する。
【0041】
tanδ-1値及び貯蔵弾性率-1値を適切に選択すると、本開示のPFAは、これまでに言及された消費者の貼り付け習慣によって引き起こされる負の影響を低減することができると考えられる。ご存じのように、消費者は、知覚される汚染の問題を回避するために、ウィング(それが利用可能な場合)を除いて、物品に過剰な圧力を加えない傾向がある。従来の感圧接着剤は、下着への接合力を形成するために、物品に圧力を加えるという方法で、消費者に多大な相互作用を要求する。対照的に、本開示のPFAは、本明細書に記載のtanδ-1値及び貯蔵弾性率-1値の適切な選択によって、消費者の現在の貼り付け習慣でも十分な接合を形成することができると考えられる。したがって、本明細書に記載のtanδ-1値及び貯蔵弾性率-1値の適切な選択によって、現在のユーザの貼り付け習慣に対処することができる。
【0042】
本発明者らは更に、初期取り付け機能及び定位置残留機能のため、本開示のPFAが、接合コンプライアンス値-J1を示し得るということを発見した。接合コンプライアンス値は、tanδ-1と貯蔵弾性率-1との間の関係を特徴付けるものである。接合コンプライアンスの方程式を以下に示す。
【0043】
【数2】
式中、G’は、本明細書に記載の貯蔵弾性率-1値であり、かつtanδは、本明細書に記載のtanδ-1値の二乗である。
【0044】
理論に縛られることを望むものではないが、接合コンプライアンス値は、接着剤がどのくらい良好に流動し、付着することが求められる構造にどのくらい良好に接合することができるかを示すものと考えられる。綿及び/又はマイクロファイバー製下着の場合、接合コンプライアンス値は、接着剤が下着のマクロ構造(繊維レベル)にどれだけ良好に流れ、付着するかを示す。本開示のPFAの場合、これらのPFAは、7.5mm/N~950mm/N、より好ましくは8.5mm/N~約600mm/N、又は最も好ましくは約9mm/N~約321mm/Nの接合コンプライアンス値を示し得るが、具体的には、この範囲内のすべての値及びそれによって作られる任意の範囲を取り得る。
【0045】
同様に、取り外し機能に関しても、本発明者らは、本開示のPFAが、剥離コンプライアンス値-J2を示すことができることを見出した。剥離コンプライアンス値は、tanδ2と貯蔵弾性率2との間の関係を利用する。
【0046】
【数3】
式中、G’は、本明細書に記載の貯蔵弾性率-2値であり、かつtanδは、本明細書に記載のtanδ-2値の二乗である。
【0047】
理論に縛られることを望むものではないが、剥離コンプライアンス値は、接着剤の凝集力を示すと考えられる。したがって、剥離コンプライアンス値は、下着から物品を取り去る際、接着剤が下着に残留物を残すかどうかを示すことができると考えられる。本開示のPFAの場合、これらのPFAは、0.3mm/N~255.6mm/N、より好ましくは約1.5mm/N~約150mm/N、又は最も好ましくは約2.2mm/N~約13.2mm/Nの剥離コンプライアンス値を示し得るが、具体的にはこの範囲内のすべての値及びそれによって作られる任意の範囲を取り得る。
【0048】
PFAがどのようにその性能を発揮するかに影響を及ぼし得る別の機械的パラメータは、その弾性率又はヤング率である。ご存じのように、ユーザは、婦人衛生物品を肌着に貼り付ける前に肌着を伸ばす場合が多い。肌着のこの伸張は、婦人衛生物品のPFAに応力を引き起こす可能性がある。より高い弾性率を有するPFAは、これらの力により良好に対処することができると考えられている。これを念頭に置いた上で言うと、本開示のPFAは、0.11/秒の伸び率及び23℃±2度Cの周囲温度で測定された際、0.1MPa~1.5MPa、より好ましくは0.12MPa~1.2MPa、最も好ましくは0.14MPa~1MPaの弾性率を有し得る。
【0049】
剥離に関して、本発明者らはまた、PFAの降伏応力が、取り外しの最中に、PFAが下着に残留物を残すかどうかに関する追加情報を提供することができるということを見出した。本開示のPFAは、本明細書に記載の降伏応力の伸長試験方法に従って37℃で測定される場合、32kPa以上、より好ましくは40kPa以上、又は最も好ましくは50kPa以上の降伏応力を示し得るが、具体的にはこの範囲内のすべての値及びそれによって作られる任意の範囲を取り得る。例えば、いくつかの具体的な構成では、本開示のPFAは、32kPa~約100kPa、より好ましくは約40kPa~約100kPa、又は最も好ましくは約50kPa~約100kPaの降伏応力を示し得るが、具体的にはこの範囲内のすべての値及びそれによって作られる任意の範囲を取り得る。
【0050】
理論に縛られることを望むものではないが、PFAは、その取り外しの最中に、応力を受けると考えられる。ご存じのように、使用中、PFAは、吸収性物品のバックシートとPFAとの間の接着界面並びにPFAと下着との間の接着界面を作り出す。接着剤の降伏応力が約32kPa未満である場合には、接着界面は取り外しに耐え、その代わりに、PFAはその内部で不具合を起こすと考えられる。この内部での不具合は、下着に残る残留物が増加することにつながる可能性がある。しかしながら、PFAの降伏応力が32kPaを超える場合、接着剤は、PFAに、PFAと下着との間の接着界面を破壊させるのに十分な強度を有し、それによってPFAの残留物が下着に残る可能性を低減すると考えられる。
【0051】
上記の基準は、接着剤が様々な材料の下着に首尾よく取り付けられるかどうかに関して、最も影響が大きいと考えられている。しかしながら、本発明者らは、驚くべきことに、本明細書で言及される基準を満たす接着剤が、マイクロファイバー及び綿素材と一緒では、良好に機能しない接着剤より低い表面エネルギー値を示し得ることも見出した。また、本発明者らは、良好に機能するPFAが、機能しない接着剤の場合よりも、全表面エネルギーのより低い割合である表面極性を示し得ることを見出した。表面エネルギーは、下着へのPFAの初期取り付け性及び下着へのPFAの持続的な付着性に影響を与える可能性があると考えられる。これは、例えば、布地柔軟剤中の疎水性活性物質(例えば、アルキルエステル四級アンモニウム及び脂肪酸)が衣類の表面において堆積する前に、前述のように、洗浄/乾燥助剤が消費者によって利用される場合において特に当てはまると考えられる。
【0052】
本開示のPFAは、綿製及びマイクロファイバー製下着の両方への良好な付着性に対応するために、本明細書に開示される全表面エネルギー法に従って測定された場合に、1平方メートル当たり25ミリジュール未満の表面エネルギーを示し得るが、具体的にはこの範囲内のすべての値及びそれによって作られる任意の範囲を取り得る。例えば、本開示のこれらのPFAは、10mJ/m~24mJ/m、より好ましくは12.5mJ/m~24mJ/m、又は最も好ましくは15mJ~24mJ/mの表面エネルギーを示し得るが、具体的にはこの範囲内のすべての値及びそれによって作られる任意の範囲を取り得る。
【0053】
本発明者らはまた、上記基準を満たした接着剤の場合には、表面エネルギーの極性成分も、ある特定の範囲内に収まることを見出した。すなわち、本開示のPFAは、10%未満の極性成分を示し得る。例えば、極性成分は、1%~9%、より好ましくは2%~9%、又は最も好ましくは3%~9%であり得るが、具体的にはこの範囲内のすべての値及びそれによって作られる任意の範囲を取り得る。
【0054】
上記の基準の各々が、非常に多くの接着剤で測定された。これらの測定値を示すデータが、本明細書で提供される。
【0055】
組成物
更に、本開示のPFAは任意の好適な化学構造を含み得る。(念のために言うと、)本開示のPFAは、感圧型の接着剤であるが、その通常の乾燥状態で、本質的に粘着性、粘弾性、及び凝集性を有する接着剤を意味するように意図されている。その最も単純な形態では、本開示のPFAは、ポリマー又はポリマーブレンドと、粘着付与剤とを含み得る。
【0056】
いくつかの例示的なPFAは、任意の数のポリマー主鎖を含み得る。例えば、本開示のPFAは、熱可塑性ポリウレタン(thermoplastic polyurethane、TPU)シリコーン、アクリレートエステル/ビニルピロリドンコポリマー、ジメチルシリコーンポリマー、又はアクリレートポリマーのうちの少なくとも1つを含むポリマー主鎖を含み得る。
【0057】
本開示のPFAは、60~90重量%の純粋なゴム状コポリマー(C3~C12アルキルエステル)と、10~40重量%の極性成分との混合物を含み得る。(C3~C12アルキルエステル)のいくつかの好適な例としては、イソオクチルアクリレート、2-エチル-ヘキシルアクリレート、及びn-ブチルアクリレートが挙げられる。極性成分のいくつかの好適な例としては、アクリル酸、メタクリル酸、エチレン酢酸ビニル、N-ビニルピロリドン、及びスチレンブロックコポリマーが挙げられる。
【0058】
1つの具体的例では、本開示のPFAは、エチレン酢酸ビニルとスチレンブロックコポリマーとのポリマー主鎖を含む。これらのPFAは、1つ以上の粘着付与剤又はそれらのブレンドを利用し得る。粘着付与剤を使用する利点としては、(i)(特に、(アプリケータと組み合わせ点との間の距離を、ライン速度で割ったものとして定義される)プロセスのオープンタイムが短い場合に、積層プロセスにおける第2の基材へのより良好な移行が大略的に可能となる)接着剤のオープンタイムを増加させること、及び(ii)(特に、繊維が最適に絡み合う状態を達成するのが困難である接合の場合に、より多くのポリマー基材(例えば、ポリエステル繊維)への接合強度を高めるのに貢献する)接着剤の所望の極性を実現するのを可能にすることが挙げられる。本開示のPFAの場合、驚くべきことに、本発明者らは、洗濯習慣の結果、又はほとんどのマイクロファイバー製造業者の場合には、その表面仕上げ処理のために、表面エネルギーの極性成分よりも著しく高い分散成分を示す肌着に対して、粘着付与剤の量を最小化することにより、より良好な接着性を実現するための正味のプラス効果が得られることを見出した。
【0059】
粘着付与剤は、好ましくは、6,000Da未満の分子量(Mw)及び室温未満又はわずかに室温を超えるTg(ガラス転移温度)を有する。室温を相当に超えるTgは、本明細書で言及される貯蔵弾性率値とは適合しない接着剤をもたらすであろう。
【0060】
粘着付与剤の好適な種類には、例えば、芳香族、脂肪族、及び脂環族炭化水素樹脂、混合型芳香族及び脂肪族修飾炭化水素樹脂、芳香族修飾脂肪族炭化水素樹脂;テルペン、修飾テルペン;天然ロジン、修飾ロジン、ロジンエステル、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0061】
好適な市販の粘着付与剤としては、Exxon Mobil Chemical Company(Houston,Texas)からの商品名ESCOREZシリーズ、例えば、ESCOREZ5300、ESCOREZ5400、及びESCOREZ5600が挙げられ、Eastman Chemical社(Kingsport,Tenn.)からの商品名EASTOTACシリーズ、例えば、EASTOTAC H-100R及びEASTOTAC H-100Lが挙げられる。
【0062】
別の具体的例では、本開示によるPFAは、アシレートポリマーベースの主鎖を含む。これらの接着剤は、80~100重量%のイソオクチルアクリレート及び0~20重量%のアクリル酸を含み得る。更に、アクリル系感圧型接着剤は、自己粘着性であってもよく、又は粘着付与されてもよい。アクリル系接着剤にとって有用な粘着付与剤(2重量%未満)としては、ともにHercules,Inc.(Wilmington,DL)から入手可能な、FORAL(商標)85などのロジンエステル若しくはPICCOTEX(商標)LC-55WKmなどの芳香族樹脂、又はExxon Chemical Co.,(Houston,TX)から入手可能な、例えばESCOREZ(商標)1310LCなどの他の脂肪族樹脂がある。
【0063】
極性成分に関して、本発明に特に有用な、例えば熱可塑性エラストマー材料としては、すべてShell Chemical Co,(Houston,TX)から入手可能な、例えば、KRATON(商標)D1107Pなどのスチレン-イソプレンブロックコポリマー、又はKRATON(商標)G1657などの直鎖状スチレン-(エチレン-ブチレン)ブロックコポリマー、あるいはKRATON(商標)G1657Xなどの直鎖スチレン-(エチレン-プロピレン)ブロックコポリマー及びKRATON(商標)D1118Xなどのスチレン-ブタジエン星形ブロックコポリマーがある。
【0064】
これらの熱可塑性エラストマー材料又はエラストマー材料はまた、粘着付与樹脂又は可塑剤で修飾されて、それらの溶融粘度を低下させ、アクリル系感圧型接着剤とブレンドされたときに、最小相寸法が好ましくは約20マイクロメートル未満である、微細分散物の形成を促進し得る。エラストマー材料又は熱可塑性エラストマー材料と共に用いて有用な粘着付与樹脂又は可塑剤は、好ましくは、分子レベルで混和性、すなわち、エラストマー材料又は熱可塑性エラストマー材料のポリマーセグメントのいずれか又はすべてにおいて可溶性である。粘着付与樹脂は、存在する場合、前述のように、接着剤の表面エネルギーの極性画分を低減するという理由から、低い濃度に保たれる必要があり、エラストマー材料又は熱可塑性エラストマー材料100重量部に対して、約5~600重量部、より典型的には最大約500重量部を構成し得る。本開示のPFAに好適な粘着付与剤の例としては、液体ゴム、炭化水素樹脂、ロジン、例えば二量体化若しくは水素化バルサム及びエステル化アビエチン酸などの天然樹脂、ポリテルペン、テルペンフェノール、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、及びロジンエステルが挙げられるが、これらに限定されない。可塑剤もまた、本開示のPFAにおける重要な成分であり、通常5~10重量%で存在する。可塑剤の例としては、ポリブテン、パラフィン油、ワセリン、及び例えばフタル酸ジトリデシルなどの長い脂肪族側鎖を有する特定のフタル酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0065】
本開示の接着剤はまた、任意選択的に、例えば、1つ以上の酸化防止剤、UV安定剤、光沢剤、着色剤、香料、臭気抑制活性物質などの添加剤を含み得る。接着剤は、5重量%未満のそのような添加剤を含んでいてよい。当業者に既知の任意の酸化防止剤を、本開示の接着剤中で使用してもよい。
【0066】
試料
いくつかの試料を取得し、本明細書に開示される基準などに対して試験した。
【0067】
試料1~3は、ポリアクリレート系接着剤であり、それぞれは、マイクロファイバー製下着への良好な接着性を有した。
【0068】
試料4は、エチレンビニルアセテート系接着剤とスチレンブロックコポリマー系接着剤との混合物であり、マイクロファイバー製下着への良好な接着性を有した。
【0069】
試料5~6は、ポリウレタンエラストマー系接着剤であり、それぞれは、マイクロファイバー製下着に十分な接着性を提供しなかった。
【0070】
試料7~8は、スチレンブロックコポリマー系接着剤であり、それぞれは、マイクロファイバー製下着に十分な接着性を提供しなかった。
【0071】
試料9は、スチレンブロックコポリマー系接着剤であった。
【0072】
試料1~2は、汎用接着剤として市販されている接着剤を利用した。試料1は、商品名「Voxmude Double Sided Clear Adhesive Gel Grip Tape」で入手可能である。このテープは、様々な壁表面及び床表面に利用できるものとして広告されている。
【0073】
試料2は、Anothera社から、商品名「Avalution Nano Tape」で入手可能である。このテープは、様々な表面、例えば、ガラス、金属、台所キャビネット、及びタイルで利用できるものとして広告されている。
【0074】
試料3及び4は、布を皮膚に固定するために市販されている布地接着テープ/積層体であった。試料3は、商品名「Essentials Wardrobe Tape Strips」で3M社から入手可能である。試料4は、Hollywood Fashigh Secrets(登録商標)Fashion Tapeとして入手可能である。
【0075】
試料5は、汎用接着剤として市販されている接着剤であった。試料5は、「Ivy Grip Tape,Washable Adhesive Tape」の商品名で入手可能である。このテープは、製品を壁、携帯電話ホルダーなどに取り付けることができるものとして列挙されている。
【0076】
試料6は市販されており、商品名「The Stikk brand gel pad」で市販されている。これらのゲルパッドは、電気コード/ワイヤの束を壁又はそれぞれの包囲体に取り付けるために利用される。
【0077】
試料7~9は、市販のPFAである。
【0078】
試料1~4は現在、市場で販売されているということに注目すべきである。いずれも現在、PFAとして利用されてはいない。また、例えば、試料1及び2の示された用途とは反対に、PFAは一時的なものである。言い換えれば、PFAは、典型的には、塗布されて数時間経過後に除去される。対照的に、試料1及び2の示された用途は、これらのテープが、製品どうしの間に、はるかに長い(例えば数か月から数年まで)時間の付着を提供することを意図していることを示している。
【0079】
試料3及び4の使用の適用は、それらの適用が皮膚へ布を付着させるためのものであるので、試料1及び2のものよりも一時的なものである。しかしながら、これらのテープは、ブラウスの隙間用に主に使用され、ネックラインを固定したり、一般に、衣類の不具合発生の可能性を低減したりする。しかしながら、ネックラインに配置された接着剤によって経験される応力及びひずみと、PFAによって経験される応力及びひずみとは、非常に異なるものである。PFAが使用中に配設される領域は、ネックラインよりもはるかに大きな範囲の運動を受ける可能性があるので、PFAが経験する応力及びひずみは、はるかに大きい。
【0080】
表1は、測定された接着剤の、総表面エネルギー、表面エネルギーの極性成分、表面極性、降伏応力及び緩和時間を示す。
【0081】
【表1】
【0082】
更に、剥離力試験及び接着剤残留物試験を、これらの多数の試料に対して行った。データを以下の表2に提供する。剥離力試験データは、本明細書に記載の剥離力試験によって取得され、残留物試験は、本明細書に記載の接着剤残留物試験に従って実施された。
【0083】
【表2】
【0084】
良好な初期取り付け性、定位置残留性、及び取り外し特性を提供するために、本開示のPFAは、剥離力試験に従って、少なくとも1.0N、より好ましくは約1.1N、又は最も好ましくは約1.2Nの剥離力を示し得るが、具体的にはこの範囲内のすべての値及びそれによって作られる任意の範囲を取り得る。また、残留物を残してしまうこと及び/又は吸収性物品のバックシートを残してしまうことの可能性を低減するためには、剥離力は、約5N未満、より好ましくは約4N未満、又は最も好ましくは約3N以下であり得ると考えられるが、具体的にはこの範囲内のすべての値及びそれによって作られる任意の範囲を取り得る。したがって、本開示のPFAは、少なくとも1.0N~約5.0N、より好ましくは約1.0N~約4.0N、又は最も好ましくは約1.0N~約3.0Nの剥離力を示し得るが、具体的にはこの範囲内のすべての値及びそれによって作られる任意の範囲を取り得る。
【0085】
試料4’は、試料4の、アクリレート系接着剤バージョンである。試料4’は、試料4と同じ商品名で販売されている。接着剤残留物試験方法に従うと、試料1~4及び試料4’は、物品の取り外し時に、下着に残留物を残さないことも注目すべきである。
【0086】
表2の剥離試験及び残留物試験データについて、パッドは、以下の材料から構築された:(i)18gsmのスパンボンドbico不織布トップシート、(ii)55gsmのスパンレース二次トップシート、(iii)各々が135gsmの一対のパルプエアレイドコア、(iv)実質的にエアフェルトを含まない一対の超吸収性ポリマー層、及び(v)12gsmのフィルムバックシート。
【0087】
「完全な被覆」の接着剤を利用した試料については、接着剤を、300mm×59mmのパッドのエリアを覆うように塗布した。試料7の場合、接着剤の坪量は15gsmであった。接着剤の残留物は、それらを購入した坪量で、物品の衣服に面する表面に塗布された。
【0088】
図1A図1B図2A、及び図2Bは、試料1~4が、綿及びマイクロファイバー製下着の両方に対して良好に機能する接着剤に関して特許請求の範囲内にあることを示す。図1A図1B図2A、及び図2Bは、0.01Hz~1Hzの周波数範囲における、それぞれ試料1~9の貯蔵弾性率-1値及びtanδ-1値を示すグラフである。ご存じのように、この周波数範囲は、PFAと吸収性物品の、初期接合機能と、定位置残留機能を示すものであり得る。具体的には、図1A及び図1Bは、それぞれ、試料1~4及び5~9の、貯蔵弾性率-1値のグラフを示す。
【0089】
図2A及び図2Bは、それぞれ試料1~4及び5~9の、tanδ-1のグラフを示す。グラフが示すように、試料1~4は、本開示のPFAの範囲内にあり、綿及びマイクロファイバー製下着の両方への良好な接着性を提供する。対照的に、試料5~9は、マイクロファイバー製下着に対して、良好な接着性を提供しない。
【0090】
図3A図3B図4A、及び図4Bは、50Hz~100Hzの周波数範囲における、それぞれ試料1~9の貯蔵弾性率-2値及びtanδ-2値を示すグラフである。ご存じのように、この周波数範囲は、接着剤の凝集性を示すことができ、肌着からの取り外しの最中に、接着剤がどのようにその性能を発揮するかの指標であり得る。具体的には、図3A及び図3Bでは、それぞれ試料1~4及び試料5~9の、貯蔵弾性率-2値のグラフを示す。
【0091】
図4A及び図4Bは、それぞれ、試料1~4及び試料5~9のtanδ-2値のグラフを示す。示されるように、試料1~4は、これまでに記載されているtanδ-2の範囲内である。
【0092】
図5A図5E及び図6A図6Eは、それぞれ、試料1~4及び試料5~9について、25℃におけるtanδ-1値の挙動と、37℃におけるtanδ-1値の挙動とを示すグラフである。図7A図7E及び図8A図8Eは、それぞれ、試料1~4及び試料5~9について、25℃における貯蔵弾性率-1値の挙動と、37℃における貯蔵弾性率-1値の挙動とを示すグラフである。
【0093】
これらの温度点の両方における本開示のPFAの挙動は、重要であり得る。理論に縛られることを望むものではないが、使用中、ユーザの下着は、体温(37℃)に近いか、又は少なくとも体温から2、3度/数度低い温度と考えられる。しかしながら、吸収性物品の貼り付け中に、下着が引き下げられ、吸収性物品が貼り付けられる。下着が下方に下げられている間、下着は、室温(25℃)に近い温度であるか、又は少なくともそれに近づくと考えられる。そして、この温度で、最初の貼り付けが行われる。下着への物品の貼り付けに続いて、下着は(吸収性物品と共に)、着用位置に引き上げられる。この位置では、吸収性物品と下着の両方が昇温すると考えられる。また、短い時間のうちに、吸収性物品及び下着の両方が体温に近い温度になるか、又は少なくとも漸近的に体温に近づくと考えられる。これを念頭に置くと、室温(25℃)で、体温(37℃)での同様のtanδ-1範囲0.28~1.2を有する接着剤であって、0.01Hz~0.1Hzの周波数範囲において、85KPa未満の貯蔵弾性率-1値を有する接着剤は、下着が綿製又はマイクロファイバー材料製であるかどうかにかかわらず、下着へのより良好な取り付けを形成すると更に考えられる。
【0094】
図9A及び図9Bは、それぞれ、接合コンプライアンス値及び剥離コンプライアンス値のグラフを示す。
【0095】
図10A及び図10Bは、それぞれ、試料1及び6のマイクロCT画像を示し、マイクロファイバー製肌着基材へのそれらの取り付けを示す。示されるように、図10Aでは、接着剤1000とマイクロファイバー製肌着基材1010との間には、目に見えるような間隙がない。対照的に、図10Bでは、接着剤1050とマイクロファイバー製肌着基材1060との間には、実質的な間隙がある。また、間隙は、分析されたマイクロCT画像内の全長に存在する。
【0096】
図11A図11Dは、試料7のSEM画像を示し、マイクロファイバー製下着の一部への接合の試みを示す。接着剤1150及びマイクロファイバー製下着1160の断面を取り、接着剤1150が下着1160内の繊維の一部にのみどのように接合するかを示した。具体的には、図11C及び図11Dでは、接着剤1150は、下着1160内の高い点で、繊維束の部分に接触する。明確にするために言っておくと、下着は、他の繊維束で織られた繊維の束を含む。したがって、各繊維束は、その各繊維束がそれ自体に垂直な方向に延びる繊維束の上を横切る高点と、それ自体に対して垂直に延びる次の隣接する繊維の下で横切る低点とを有する。接着剤1150は、繊維束の高点にある程度付着した状態で示されている。
【0097】
図12A図12Dは、試料4のSEM画像を示し、それがマイクロファイバー製下着1250の一部にどのように接合するかを示す。(図11A図11Dに示される)接着剤1150とは対照的に、接着剤1200は、繊維の高点に付着するだけでなく、様々な繊維束に対してより大きな表面積で付着しているのが示されている。図12A図12Dによって提供される画像では、接着剤1200は、SEM下の断面において、図11A図11Dの画像とは対照的に、接着剤1200と、画像の平面に対して垂直に配向された繊維との間に間隙がないという程度に流れる。したがって、接着剤1200は、画像の平面におけるそれらの周囲の一部が接着剤でコーティングされるように、これらの繊維上に配設される。また、接着剤1200は、示されるように、接着剤が、画像の平面に垂直な隣接する繊維間を流れるように、繊維の外周に接合することができる。
【0098】
吸収性物品
本開示のPFAは、使い捨てインサートの場合のように、ユーザの下着又は材料の外側シェルに物品を取り付けるように、非常に多くの吸収性物品で利用され得る。本開示のPFAが利用され得る例示的な物品としては、月経パッド、生理用パッド、失禁パッド、男性用失禁ガード、ライナー、耐久性のあるパンティのための吸収性インサート、使い捨ておむつ用の吸収性インサートなどがある。本開示のPFAは、とりわけ、3M社(St.Paul,Minn.)から入手可能な試料の1つと類似の、除去可能で再配置可能な接着剤であり得る。
【0099】
一般に、吸収性物品製造業者は、PFA接着剤を自社で配合/ブレンドするのではなく、接着剤供給業者からPFAを購入する。そのような場合、接着剤供給業者は、本開示の範囲内でPFAを作り、続いて、そのPFAを、材料ウェブ、例えばフィルムに塗布し得る。次いで、接着剤製造業者は、そのフィルムを、それにPFAが塗布された状態で、吸収性物品製造業者に供給し得る。吸収性物品製造業者は、フィルムを、それにPFAが塗布された状態で取得した後、婦人衛生物品、成人失禁パッド、男性用失禁ガード、又は耐久性のあるパンティ及び/若しくは使い捨ておむつ又はそれらの組み合わせ用の吸収性ライナー又は吸収性インサートのうちの少なくとも1つを製造し得る。次いで、吸収性物品製造業者は、生産されている吸収性物品のバックシートに、PFAを塗布し得る。
【0100】
同様に、婦人衛生物品、成人失禁パッド、男性用失禁ガード、又は耐久性のあるパンティ及び/若しくは使い捨ておむつ又はそれらの組み合わせ用の吸収性ライナー又は吸収性インサートのうちの少なくとも1つを製造する吸収性物品製造業者は、接着剤供給業者から本開示のPFAを得ることができる。その後、吸収性物品製造業者は、吸収性物品のバックシート及び/又は衣服に面する表面の一部に、そのPFAを塗布し得る。
【0101】
本開示の吸収性物品は、トップシートと、バックシートと、トップシートとバックシートとの間に配設された吸収系と、を含む。トップシート及びバックシートは、周辺部において、吸収系の一般的には外側に、直接的又は間接的に結合されている。本開示のPFAは、少なくとも部分的にバックシートの少なくとも一部分を含む、吸収性物品の衣服に面する側に塗布される。
【0102】
本開示のPFAの任意の好適なパターンを利用することができる。一例として、物品の長手方向軸線に概ね平行に配向された複数のストライプが利用されてもよく、例えば、2~35本のストライプであってもよい。別の例では、物品の横軸線に概ね平行に配向された複数のストライプが利用されてもよく、例えば、2~70本のストライプであってもよい。長手方向に配向されたストライプ及び/又は横方向に配向されたストライプの組み合わせが利用されてもよい。隣接するストライプどうしの間に、任意の好適な間隔を利用することができ、かつ任意の好適なストライプ幅を利用することもできる。隣接するストライプどうしの間の間隔を可変とし、かつ/又はストライプ幅を可変とすることも考えられる。また、吸収性物品へのPFAの塗布の例は、2020年3月5日に出願された米国特許出願第16/809601号、発明の名称「Absorbent Article with Adhesive Pattern」と、米国特許出願公開第2016/0166447号とに開示されている。
【0103】
吸収性物品の衣服に面する表面上における、PFAの例示的な配置を図13及び図14に示す。図13は、衣服に面する側から見た、本開示による例示的な吸収性物品(10)を表す。図13及び図14の両方の物品は、長手方向軸線(I)、横軸線(II)、前端部分(i)、後端部分(ii)、及び中央部分(iii)を有し、ウィングを有さない生理用ナプキン(10)(図13)又はウィングを有する生理用ナプキン(10)(図14)であり、そのバックシート(20)は、一連のPFAのストライプ(40)及びPFAを含まないストライプ(50)の形態の、PFAのパターン(30)を含む。
【0104】
任意のウィング(「サイドパネル」とも呼ばれる)は、当業者に周知の本発明による吸収性物品における一般的な要素である。ウィングの意図は、下着の側部を保護することであり、典型的には、ウィングは下着の股部領域に沿って折り曲げられて、下着の下に取り付けられる。ウィングは、別個の部材として提供されてもよく、物品、典型的にはパンティライナー若しくは生理用ナプキンに取り付けられる、又は、例えば、トップシート、バックシート、又はその両方の延長部分と一体化することによって、それらは吸収性物品の材料と一体であることができる。
【0105】
前述のように、本発明の目的のために、ウィングは(それらが延長部分と一体化することによって形成される場合であっても)バックシートの一部とは見なされない。ウィングは、典型的には、肌着の股部の下にそれらを固着するためにバックシート側面にPFAを含み、任意の典型的なPFA分布は、連続適用又はパターン化適用などで本発明で使用することができ、例えば、ウィング上のPFAのパターン化適用は、物品が取り外された場合に物品のバックシート上のパターン化されたPFA適用と同じ利益を提供して、ウィング材料が引き裂かれるリスクを低減し得る。例えば、ウイングバック表面の少なくとも一部は、上記適用の任意の点がPFAが適用されていない別の部分から決して10mmを超えて離れないように、バックシート上のパターン化されたPFA適用について前述した同一の形態で、例えば、PFAの非連続性の塗布で、PFAのパターン化適用を含み得る。PFAのパターンは、例えばストライプ、円、ドット、幾何学的図形、星形、装飾的図形、不規則形状などの、任意の可能な適用パターンから選択することができる、複数の別個の又は部分的にのみ接続された要素によって形成され得る。例えば、PFAのストライプ又は正方形は、特に好適なパターンである。
【0106】
図14は、衣服に面する側から見た、本発明による例示的な吸収性物品を表す。物品はまた、そのウィング(70)上に、4つの正方形の形態のPFAパターンを含む。
【0107】
トップシートは、任意の好適な基材を含み得る。いくつかの例としては、フィルム、不織布、フィルム及び不織布の積層体、フィルムどうしの積層体、不織布どうしの積層体、フィルムと不織布の複合体、フィルムどうしの複合体、及び不織布どうしの複合体が挙げられる。2つの異なる材料の積層体は、それぞれが作製された後の材料の組み合わせと見なされる。例えば、フィルムウェブは、機械的処理、接着剤、超音波又は融合接着などを介して不織布ウェブと組み合わされ得る。
【0108】
2つの異なる材料の複合体は、材料のうちの1つが作製される際の材料の組み合わせと見なされる。例えば、半溶融フィルムウェブは、不織布上に押し出され得る。この複合材料は、半溶融材料が不織布繊維の隙間にある程度流動することができるため、追加の接着を必要としない。
【0109】
トップシートの形態に関わらず、トップシートは、順応性のある、柔らかい感触であり、かつ着用者の皮膚及び毛に非刺激性であることが好ましい。更に、トップシートは液体透過性であり、液体(例えば、経血及び/又は尿)がその厚みを通って容易に浸透可能なものである。好適なトップシートは、織布材料及び不織布材料(繊維の不織布ウェブ);孔あき成形熱可塑性フィルム、有孔プラスチックフィルム、及びハイドロフォーミングされた熱可塑性フィルムなどのポリマー材料;多孔質発泡体;網状発泡体、網状熱可塑性フィルム;及び熱可塑性スクリムなどの、広範囲の材料から製造されてもよい。好適な織布材料及び不織布材料は、天然繊維(例えば、木質繊維若しくは綿繊維)、合成繊維(例えば、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、若しくはポリエチレン繊維などのポリマー繊維)、又は天然繊維と合成繊維との組み合わせから構成され得る。トップシートが不織布ウェブを含む場合、ウェブは、多くの周知の手法によって製造してもよい。例えば、ウェブは、スパンボンド、カード、湿式堆積、メルトブロー、水流交絡、上記の組み合わせなどの処理を施されてもよい。
【0110】
本開示のトップシートには、突起又は凹部などのテクスチャが提供され得る。突起及び/又は凹部は、所望に応じて疎水的に又は親水的に処理され得る。突起及び凹部のいくつかの好適な例、並びにそれらのそれぞれの処理及び方法は、米国特許出願公開第2017/0258955号、同第2018/0071151号、同第2017/0027774号、同第2017/0029994号、同第2018/0216269号、同第2019/0374405号、同第2019/0380887号、及び同第2019/0298587に記載されている。
【0111】
前述のように、本開示の吸収性物品は、トップシートとバックシートとの間に配設された吸収系を含む。吸収系は、いくつかの層を含み得る。例えば、トップシートに最も近い側にある材料の層(捕捉層又は二次トップシートと呼ばれる場合が多い)を利用して、トップシートから液体の侵襲を迅速に取得することができる。
【0112】
二次トップシート又は捕捉層は、任意の好適な材料を含み得る。いくつかの例としては、フィルム及び不織布、又はそれらの積層体若しくは複合材が挙げられる。フィルムベースの二次トップシートは、正しく利用される場合、再度の濡れに対して良好なバリアを提供することができる。しかしながら、フィルムの二次トップシートが適切な流体輸送開口部を含み、トップシートから取得された液体の侵襲を1つ以上の貯蔵層に通過させることを確実にするよう注意する必要がある。
【0113】
不織布ベースの二次トップシートも利用され得る。例えば、本開示の二次トップシートは、薄い織物層又不織布を含むことができ、後者としては、カード法により製造された樹脂接合不織布、エンボス加工され、カード法により製造された樹脂接合不織布、嵩高の、カード法により製造された樹脂接合不織布、カード法により製造された、エアスルー接合不織布、カード法により製造された熱接合不織布、スパンボンド法により製造された不織布などが挙げられる。例えば、木材パルプ、綿、羊毛などの天然繊維、並びにポリ乳酸繊維などの生分解性繊維、及びポリオレフィン(例えば、ポリエチレン及びポリプロピレン)、ポリエステル、ポリアミド、合成セルロース誘導体(例えば、RAYON(登録商標)、Lyocell)、セルロースアセテート、バイコンポーネント繊維、及びこれらのブレンドなどの合成繊維を含む種々の繊維を、二次トップシート又は捕捉層に使用することができる。二次トップシート又は捕捉層の坪量は、所望の用途に応じて異なり得る。いくつかの好適な二次トップシートは、「FLUID MANAGEMENT LAYER FOR AN ABSORBENT ARTICLE」と題された米国特許出願公開第2020/0306099号、「Fluid Management Layer For An Absorbent Article」と題された米国特許出願公開第2020/0315870号、「Absorbent Layer For An Absorbent Article」と題された米国特許出願公開第2020/0315861号に記載されている。追加の例示的な二次トップシートは、米国特許第10、532、123号、米国特許出願公開第2019/0247244号、及び同第2018/0098893号に記載されている。
【0114】
吸収系は、それらに加えて、又はそれらから独立して、吸収性コアを含み得る。吸収性コアは、当業者に周知の任意の材料から形成され得る。このような材料の例としては、複数プライの縮みセルロース詰め物(creped cellulose wadding)、毛羽立てられたセルロース繊維(fluffed cellulose fibers)、エアフェルトとしても知られる木材パルプ繊維、織物繊維、繊維のブレンド、繊維の塊又は芯、繊維の風成ウェブ、ポリマー繊維のウェブ、及びポリマー繊維のブレンドが挙げられる。その他の好適な吸収性コア材料には、ポリウレタンフォーム又は高内相エマルション(「HIPE」)フォームなどの吸収性フォームが挙げられる。好適なHIPEフォームは、米国特許第5,550,167号、同第5,387,207号、同第5,352,711号、及び同第5,331,015号に開示されている。吸収性コアは、当該技術分野において周知の、AGM繊維を含む吸収性ゲル材料(AGM)などの超吸収性材料を含むことができる。したがって、吸収性コアは、超吸収性材料を含む層を構成し得る。
【0115】
吸収性コアは、構成要素のブレンド及び/又は非常に多くの層を含み得る。例えば、ある層は、セルロース(パルプ)とAGMとの混合物を含み得る。別の層は、発泡体層、例えば、HIPE発泡体層又はポリウレタン発泡体層を含み得る。追加のHIPE発泡体層構成が可能である。例えば、HIPE発泡体又はその一部は、不織ウェブ上に堆積され得る。そのような構造は、更に詳細に、米国特許出願公開第2015/0313770号、同第2015/0335498号、同第2015/0349391号、同第2017/0071795号、同第2017/0119587号、及び同第2017/0119597号に記載されている。追加の構造が、米国特許第10、045、890号、同第9,956,586号、及び同第10,016,779号に明示されている。更に別の例として、吸収性コア層は、AGMが堆積及び接着剤によって固定される不織ウェブを含み得る。そのようなプロセス及び構造が、更に詳細に、米国特許第8,187,240号、同第7,838,722号、同第8,735,645号、同第8,784,594号、及び同第9,492,334号に記載されている。
【0116】
上記の層どうしの非常に多くの組み合わせが可能である。例えば、不織布/AGM層が、セルロース層及び/又はHIPE発泡体層に結合され得る。別の例としては、セルロース層が、HIPE発泡体層及び/又はポリウレタン発泡体層と結合され得る。更に別の例として、セルロース及びAGMの混合物を含む層が、HIPE発泡体層及び/又はポリウレタン発泡体層と結合され得る。例えば、成人失禁という文脈において、より大きな吸収性コアが必要とされ得る場合、前述の組み合わせのいずれかを、互いに組み合わせて利用してもよく、かつ/又は複製してもよい。例えば、不織布/AGM層が、セルロース層に結合され、そのセルロース層が別のセルロース層に結合され、その別のセルロース層が、不織布/AGM層に結合され得る。
【0117】
吸収性コアの追加的例には、複数の層を有するものが含まれる。一例では、吸収性コアは、AGMを実質的に含まない分配層、実質的にパルプを含まない超吸収層、AGMを実質的に含まない第2の分配層、及び実質的にパルプを含まない第2の超吸収性層を含み得る。これらの層は、任意の好適な様式で配置され得る。例えば、第1の分配層は、第1の超吸収層が第1の分配層と第2の分配層との間に配設される二次トップシートに近接して配設され得る。第2の超吸収性層は、第2の分配層とバックシートとの間に配設され得る。あるいは、第2の超吸収性層は、第1の超吸収層と第2の分配層との間に配設され得る。あるいは他の例では、第1の分配層は、第1の超吸収性層と第2の超吸収性層との間に配設され得る。そのような吸収性コア構造の例は、更に詳細に、米国特許出願公開第2020/0375810(A1)号、同第2019/0314212(A1)号、同第2018/0098893(A1)号、及び同第2018/0098896(A1)号に提供されている。
【0118】
いくつかの吸収性物品では、吸収性コアは比較的薄く、厚さが約5mm未満、又は約3mm未満、又は約1mm未満であり得る。厚さは、当該技術分野において周知のいずれかの手段によって、1.72kPaの均一な圧力下にある間に、パッドの長手方向中心線沿いの中間点の厚さを測定することによって、決めることができる。吸収性物品の全体的な厚さは同様に比較的薄くてもよい。場合によっては、パンティライナーは、1.5mm~約3.0mmの範囲であり得る。月経パッドは、2.0mm~約3.5mmの範囲の厚さを有することができる。成人失禁パッドは、約2.6mm~約6.5mmの厚さを有し得る。
【0119】
AGMに関しては、ポリアクリレート系材料、典型的には部分的に中和されたポリマーは、一般に吸収性物品に組み込まれ、超吸収性ポリマー又は超吸収体として知られており、架橋されている。ポリアクリレート材料は、典型的にはナトリウムで中和され、カルボキシレート基は主ポリマー鎖から懸垂されている。水と接触して、ナトリウムは分離し、溶液中に進み、カルボキシルイオンのみを残す。負に帯電していることにより、これらのイオンは互いに反発して、それによりポリマーがより多くの水を解じて吸収するが、これは代わりに、カルボキシルイオンによって誘引され、更なるカルボキシルイオンが利用可能となる。水中の水素は、原子間の極性力に関連する原子結合により、ポリアクリレートによって捕捉される。異なるポリマー鎖を架橋する架橋は、三次元構造をもたらし、液体吸収時に膨潤したゲルを構成する。
【0120】
吸収性コアに含まれ得る吸収性ゲル材料は、Procter and Gamble Companyの名称で2005年10月21日に出願された欧州特許第05023061.4号に記載されるポリアクリレート系ポリマーの中から選択することができる。参照される用途で説明されるように、非常にわずかに架橋されているか、又は実質的に全く架橋されていないポリアクリレート系材料は、例えば、経血、血液、血漿、膣分泌物、及び粘液若しくは乳などのタンパク質性又は漿液性体液を吸収するための吸収性物品に組み込まれるが、特に経血又は血液については、従来の架橋超吸収体と比較して、このような体液の改善された吸収能力及び保持能力、並びに改善された吸収速度も同様に提供する。
【0121】
吸収性ゲル材料は、典型的には離散粒子の形態で使用され得る。このような吸収性ゲル材料は、任意の所望の形状、例えば、球状又は半円球状、立方晶、ロッド様の多面体などであり得る。針及びフレークのような最大寸法/最小寸法の比を有する形状もまた、本明細書での使用のために考慮される。吸収性ゲル材料粒子の凝集体を使用してもよい。
【0122】
吸収性コアは、物品の製造中及びその使用中にその一体性を維持するためにコアを包むコアラップ、すなわち流体透過性材料の薄層(通常は、薄紙又は薄い不織布層)を含んでもよい。
【0123】
吸収性物品は、典型的には失禁パッドに見られるサイドカフ、又は典型的には生理用ナプキンに見られるサイドウィング若しくはサイドフラップなどの更なる構成要素を含み得る。吸収性物品がサイドフラップ又はウィングを含む場合、これらのサイドフラップ又はウィングは、本開示のPFAを含み得る。
【0124】
本明細書の吸収性物品は、好ましくは、単回使用後に使い捨て可能であり、通常、複数の単位を含むパッケージで商用化され、いくつかの場合には個々に包装され得る。
【0125】
本開示の吸収性物品のバックシートは、衣服に面する側にある、物品の外側層である。PFAは、バックシートの衣服に面する表面に塗布される。吸収性物品の衣服に面する側の外側層が、本開示の目的のための複合材料(フィルム及び不織布材料の積層体など)である場合、用語「バックシート」は、複合材料を形成する層の最外層のみを示す。例えば、本開示の目的のために、締結接着剤が塗布される衣服に面する表面上の外層であるPEフィルムを伴うNW/PEフィルム積層体が貼り付けられる場合、用語「バックシート」は、外側PEフィルム層のみを示す。
【0126】
本発明の吸収性物品のバックシートは、プラスチックフィルムであり、好ましくは可撓性かつ軟質である。本明細書で使用する場合、用語「可撓性かつ軟質」とは、順応性があり、人体の一般的な形状及び輪郭に容易に適合し、ユーザに皮膚上の心地よい触感を与え得る材料を意味する。バックシートは、吸収性コアに吸収及び保持された滲出物によって、ベッドシーツ、パンツ、パジャマ及び下着などの吸収性物品に接触する物品が濡れることを防止する。バックシートはまた、液体不浸透性でありながら蒸気浸透性(「通気性」)であり得る。この場合、典型的には、液体に対して本質的に不透過性のままで水蒸気透過性である微孔性プラスチックフィルムが使用される。
【0127】
バックシートは、40gsm未満、又は30gsm未満、又は24gsm未満、又は18gsm未満、又は15gsm未満、又は13gsm未満の坪量を有するプラスチックフィルムであり得る。本発明によるバックシートとして、任意の種類のプラスチックフィルムを使用し得る。好適なフィルムは、熱可塑性ポリマー材料によって形成され得、周知のフィルム製造プロセスによって得ることができる。プラスチックフィルムは、例えば、単層押出又は多層共押出プロセスによって得ることができる単層フィルム又は多層フィルムから選択され得る。例えば、米国特許出願公開第2014/0248484号は、ポリエチレンマトリックスを含有する熱可塑性ポリマー材料から作製された初期フィルムウェブである、本発明のバックシートとして使用可能な薄いプラスチックフィルムの製造方法を開示しており、ポリエチレンマトリックス100重量部当たり1~70重量部のポリプロピレンは、加熱された後、冷却されたロール間隙を介して誘導され、それによって、初期フィルムウェブは、ポリエチレンマトリックス材料が溶融するがポリプロピレンの融解温度未満の温度になるまでのみ加熱される。
【0128】
バックシートとして本明細書で使用可能なプラスチックフィルムは、単一ポリマー又は異なるポリマーのブレンドを含み得る。ポリマーに加えて、本開示のプラスチックフィルムは、例えば、顔料、染料、光保護剤、酸化防止剤などの化学添加剤、及び酸化チタン、炭酸カルシウム、又は同様にカオリン、珪藻土、若しくはこれらの混合物などの不活性物質を含むことができる。不活性成分、典型的には炭酸カルシウムの存在は、ポリマーフィルムの物理的特性、特に耐熱性を高めることができ、本発明の文脈において有益であり得、バックシートフィルムは、典型的には、吸収性物品のトップシートに対して周辺部に沿って熱封止される。また、不活性材料は、不活性粒子がチャネルの網状組織を形成するように、冷えた場合に機械的に伸張されるプラスチックフィルムに含まれる場合もあり、これは、良好な透過性を維持しつつ水蒸気の経路を可能にする。このようなフィルムは、通常、「微孔性フィルム」として特定され、本発明のバックシートとして好適であり、それらは、(当該技術分野において周知の)吸収性物品において改善された通気性を提供し得る。
【0129】
本発明のバックシートとして本明細書で使用可能なプラスチックフィルムは、好ましくは熱可塑性ポリオレフィン系フィルムである。本発明のプラスチックフィルムは、例えば、ポリエチレン(PE)系フィルム、ポリプロピレン(PP)系フィルム、又はPE/PPブレンド系フィルムであり得る。
【0130】
フィルムがポリマー(例えばPE)又はポリマーの混合物(例えばPE/PPブレンド)「系」であると言及されている場合、フィルムの大部分は、好ましくは80%重量超、更により好ましくは90%重量超に基づいたポリマー(複数可)によって構成されることが意図される。フィルムの残りの質量は、当該技術分野において周知のその他のポリマー及び慣例的なフィルム添加剤によって形成され得る。
【0131】
上述のように、バックシートは、締結接着剤がその上に配置される吸収性物品の衣服に面する表面を形成する。吸収性物品の使用に先だって、PFAでコーティングされている領域は、典型的には、シリコンコーティングされた剥離紙、シリコンコーティングされたプラスチックフィルム、又は任意のその他の容易に取り外し可能なカバーなどの保護カバー手段によって、汚染及び所望されない別の表面への接着から保護される。保護カバー手段は、例えば、(例えば、バックシート上、及びウィング上の)個々の接着剤領域を覆うため、単一片又は複数片として提供され得る。保護カバー手段はまた、物品の個別包装を提供する、又は当該技術分野において周知の廃棄機能を提供するなどの、その他の機能を実行し得る。任意の市販の剥離紙又はフィルムが使用されてもよい。好適な例としては、Akrosil Corporationから入手可能なBL 30 MG-A SILOX EI/O、BL 30 MG-A SILOX 4 P/O、及びドイツのGronauからcode X-5432で入手可能なM&Wフィルムが挙げられる。
【0132】
本開示のPFAは、バックシートの一部及び/又はウィング/サイドフラップの一部を含むことができる吸収性物品の衣服に面する表面上に配置される。衣服に面する表面上のPFAは、記載されているように、綿製及びマイクロファイバー製の肌着に、良好な接着性及び除去特性を提供することができる。PFAは、それぞれの吸収性物品のバックシート上にそれらを塗布する前に、本開示の特性に対して評価され得る。
【0133】
表3は、読者の便宜のために提供される。表3は、本開示のPFAについて、本明細書で論じられる特性の各々についての、非網羅的な特性のリスト、並びに対応する値の非網羅的なリストを含むものである。本開示のPFAは、これらの特性のすべてを示す必要はない。
【0134】
【表3】
【0135】
追加の実施形態:
実施例A.吸収性物品のための接着剤を使用する方法であって、その方法は、接着剤を配合するステップであって、その接着剤が以下の:周波数掃引-振動レオメトリー試験方法に従って、37℃で0.01Hz~1Hzの周波数範囲にわたって、0.28~1.2、より好ましくは0.28~1.13、又は最も好ましくは、0.28~0.51のtanδ-1値;周波数掃引-振動レオメトリー試験方法に従って、37℃で0.01~1Hzで、85kPa未満、より好ましくは74kPa以下、又は最も好ましくは57kPa以下の貯蔵弾性率-1値;周波数掃引-振動レオメトリー試験方法に従って、37℃で50~100Hzの周波数範囲にわたって、1.9以下、より好ましくは1.8以下、又は最も好ましくは1.38以下のtanδ-2値;周波数掃引-振動レオメトリー試験方法に従って、37℃で50Hz~100Hzで、40kPaより大きく、より好ましくは73kPa以上、又は最も好ましくは146kPa以上の貯蔵弾性率-2値であって、貯蔵弾性率-2値は貯蔵弾性率-1値より大きい、貯蔵弾性率-2値の各々を示す、ステップと、その接着剤を、吸収性物品の製造業者に提供するステップと、を含む、方法。
実施例A1.吸収性物品を製造する方法であって、トップシート材料を得るステップと、吸収性材料を得るステップと、バックシート材料を得るステップと、接着剤を得るステップであって、その接着剤が以下の:周波数掃引-振動レオメトリー試験方法に従って、37℃で0.01Hz~1Hzの周波数範囲にわたって、0.28~1.2、より好ましくは0.28~1.13、又は最も好ましくは、0.28~0.51のtanδ-1値;周波数掃引-振動レオメトリー試験方法に従って、37℃で0.01~1Hzで、85kPa未満、より好ましくは74kPa以下、又は最も好ましくは57kPa以下の貯蔵弾性率-1値;周波数掃引-振動レオメトリー試験方法に従って、37℃で50~100Hzの周波数範囲にわたって、1.9以下、より好ましくは1.8以下、又は最も好ましくは1.38以下のtanδ-2値;周波数掃引-振動レオメトリー試験方法に従って、37℃で50Hz~100Hzで、40kPaより大きく、より好ましくは73kPa以上、又は最も好ましくは146kPa以上の貯蔵弾性率-2値であって、貯蔵弾性率-2値は貯蔵弾性率-1値より大きい、貯蔵弾性率-2値の各々を示す、ステップと、トップシート材料、吸収性材料、及びバックシート材料を組み立てるステップと、バックシートの衣服に面する表面に接着剤を塗布するステップと、を含む、方法。
実施例A2.吸収性物品を製造する方法であって、トップシート材料を得るステップと、吸収性材料を得るステップと、バックシート材料を得るステップであって、バックシート材料が、バックシートの衣服に面する表面に配設された接着剤を含み、その接着剤が以下の特性:周波数掃引-振動レオメトリー試験方法に従って、37℃で0.01Hz~1Hzの周波数範囲にわたって、0.28~1.2、より好ましくは0.28~1.13、又は最も好ましくは、0.28~0.51のtanδ-1値;周波数掃引-振動レオメトリー試験方法に従って、37℃で0.01~1Hzで、85kPa未満、より好ましくは74kPa以下、又は最も好ましくは57kPa以下の貯蔵弾性率-1値;周波数掃引-振動レオメトリー試験方法に従って、37℃で50~100Hzの周波数範囲にわたって、1.9以下、より好ましくは1.8以下、又は最も好ましくは1.38以下のtanδ-2値;周波数掃引-振動レオメトリー試験方法に従って、37℃で50Hz~100Hzで、40kPaより大きく、より好ましくは73kPa以上、又は最も好ましくは146kPa以上の貯蔵弾性率-2値であって、貯蔵弾性率-2値は貯蔵弾性率-1値より大きい、貯蔵弾性率-2値を有する、ステップと、トップシート材料、吸収性材料、及びバックシート材料を組み立てるステップと、を含む、方法。
実施例A3.接着剤が、本明細書に開示される全表面エネルギー法に従って測定される場合、1平方メートル当たり25ミリジュール未満の総表面エネルギー及び10%未満の極性成分を示す、実施例A~A2に記載の方法。
実施例A4.接着剤が、ポリアクリレート系である、実施例A~A3のいずれかに記載の方法。
実施例A5.接着剤が、エチレン酢酸ビニルとスチレンブロックコポリマーとの混合物を含む、実施例A~A3のいずれかに記載の方法。
実施例A6.接着剤が、37℃で50Hz~100Hzの周波数範囲で、0.25~1.9、又はより好ましくは0.25~1.8、又は最も好ましくは0.25~1.38のtanδ-2を示す、実施例A~A5のいずれかに記載の方法。
実施例A7.接着剤が、約10mJ/m~約25mJ/m、より好ましくは約12.5mJ/m~約25mJ/m、又は最も好ましくは約15mJ/m~約25mJ/mの表面エネルギーを示す、実施例A~A6のいずれかに記載の方法。
実施例A8.接着剤が、1%~10%、より好ましくは2%~10%、又は最も好ましくは3%~10%の表面エネルギーの極性成分を示す、実施例A7に記載の方法。
実施例A9.接着剤が、37℃で0.01~1Hzの間の周波数で、1kPa~84kPa、より好ましくは3kPa~74kPa、又は最も好ましくは12kPa~57kPaの貯蔵弾性率-1値を有する、実施例A~A8のいずれかに記載の方法。
実施例A10.接着剤が、37℃で1Hzで、5kPa~84kPa、より好ましくは5kPa~80kPa、又は最も好ましくは5kPa~74kPaの貯蔵弾性率-1値を有する、実施例A~A9のいずれかに記載の方法。
実施例A11.接着剤が、37℃で0.01Hzで、1kPa~50kPa、より好ましくは1kPa~40kPa、又は最も好ましくは1kPa~30kPaの貯蔵弾性率-1値を有する、実施例A~A10のいずれかに記載の方法。
実施例A12.接着剤が、37℃で0.01Hzの周波数で、0.28~0.9のtanδ-1値を示す、実施例A~A11のいずれかに記載の方法。
実施例A13.接着剤が、37℃で50~100Hzの周波数で、0.25~1.9、より好ましくは0.25~1.8、又は最も好ましくは0.25~1.38のtanδ-2値を示す、実施例A~A12のいずれかに記載の方法。
実施例A14.接着剤が、25℃及び37℃の両方で0.01~0.1Hzの周波数範囲で、0.28~1.2、より好ましくは0.28~1.13、又は最も好ましくは0.28~0.51のtanδ-1値を示す、実施例A~A13のいずれかに記載の方法。
実施例A15.接着剤が、37℃の温度で100秒以下、より好ましくは30秒以下、又は最も好ましくは20秒以下の緩和時間を示す、実施例A~A14のいずれかに記載の方法。
実施例A16.接着剤が、32kPa以上、より好ましくは40kPa以上、又は最も好ましくは50kPa以上の降伏応力を示す、実施例A~A15のいずれかに記載の方法。
実施例A17.接着剤が、約32kPa~約100kPa、より好ましくは約40kPa~約100kPa、最も好ましくは約50kPa~約100kPaの降伏応力を示す、実施例A16に記載の方法。
実施例B:使い捨て吸収性物品の、衣服に面する表面における配設のためのパンティ締結接着剤であって、その接着剤が:周波数掃引-振動レオメトリー試験方法に従って、37℃で0.01Hz~1Hzの周波数範囲にわたって、0.28~1.2、より好ましくは0.28~1.13、又は最も好ましくは、0.28~0.51のtanδ-1値;周波数掃引-振動レオメトリー試験方法に従って、37℃で0.01~1Hzで、85kPa未満、より好ましくは74kPa以下、又は最も好ましくは57kPa以下の貯蔵弾性率-1値;周波数掃引-振動レオメトリー試験方法に従って、37℃で50~100Hzの周波数範囲にわたって、1.9以下、より好ましくは1.8以下、又は最も好ましくは1.38以下のtanδ-2値;周波数掃引-振動レオメトリー試験方法に従って、37℃で50Hz~100Hzで、40kPaより大きく、より好ましくは73kPa以上、又は最も好ましくは146kPa以上の貯蔵弾性率-2値であって、貯蔵弾性率-2値は貯蔵弾性率-1値より大きい、貯蔵弾性率-2値を示す、パンティ締結接着剤。
実施例B1:接着剤が、本明細書に開示される全表面エネルギー法に従って測定される場合、1平方メートル当たり25ミリジュール未満の総表面エネルギー及び10%未満の極性成分を示す、実施例Bに記載の接着剤。
実施例B2:接着剤が、エチレン酢酸ビニルとスチレンブロックコポリマーとの混合物を含むか、又はポリアクリレート系である、実施例B~B1のいずれかに記載の接着剤。
実施例B3:接着剤が、37℃で50Hz~100Hzの周波数範囲で、0.25~1.9、より好ましくは0.25~1.8、又は最も好ましくは0.25~1.38のtanδ-2値を示す、実施例B~B2のいずれかに記載の接着剤。
実施例B4:接着剤が、約10mJ/m~約25mJ/m、より好ましくは約12.5mJ/m~約25mJ/m、又は最も好ましくは約15mJ/m~約25mJ/mの表面エネルギーを示す、実施例B~B3のいずれかに記載の接着剤。
実施例B5:接着剤が、1%~10%、より好ましくは2%~10%、又は最も好ましくは3%~10%の表面エネルギーの極性成分を示す、実施例B~B4のいずれかに記載の接着剤。
実施例B6:接着剤が、37℃で0.01~1Hzの周波数で、1kPa~84kPa、より好ましくは3kPa~74kPa、又は最も好ましくは12kPa~57kPaの貯蔵弾性率-1値を有する、実施例B~B5のいずれかに記載の接着剤。
実施例B7:接着剤が、37℃で0.01Hzで、1kPa~50kPa、より好ましくは1kPa~40kPa、又は最も好ましくは1kPa~30kPaの貯蔵弾性率-1値を有する、実施例B~B6のいずれかに記載の接着剤。
実施例B8:接着剤が、37℃で0.01Hzの周波数で、0.28~0.9のtanδ-1値を示す、実施例B~B7のいずれかに記載の接着剤。
実施例B9:接着剤が、37℃で50~100Hzの周波数で、0.25~1.9、より好ましくは0.25~1.8、又は最も好ましくは0.25~1.38のtanδ-2値を示す、実施例B~B8のいずれかに記載の接着剤。
実施例B10:接着剤が、25℃及び37℃の両方で0.01Hz~0.1Hzの周波数範囲で、0.28~1.2、より好ましくは0.28~1.13、又は最も好ましくは0.28~0.51のtanδ-1値を示す、実施例B~B9のいずれかに記載の接着剤。
実施例B11:接着剤が、37℃の温度で100秒以下、より好ましくは30秒以下、又は最も好ましくは20秒以下の緩和時間を示す、実施例B~B10のいずれかに記載の接着剤。
実施例B12:接着剤が、伸長試験方法によって判定される際、37℃で、32kPa以上、より好ましくは約40kPa以上、又は最も好ましくは約50kPa以上の降伏応力を示す、実施例B~B11のいずれかに記載の接着剤。
実施例B13:接着剤が、32kPa~100kPa、より好ましくは40kPa~100kPa、又は最も好ましくは50kPa~100kPaの降伏応力を示す、実施例B~B12のいずれかに記載の接着剤。
実施例B14:トップシートと、バックシートと、トップシートとバックシートとの間に配設された吸収性コアと、を含む使い捨て吸収性物品であって、実施例B~B13のいずれかに記載の接着剤が、使い捨て吸収性物品の衣服に面する側に配設されている、使い捨て吸収性物品。
【0136】
試験方法
表面エネルギー/接触角法
基材上の接触角は、気密シリンジ及び1.0μLの液滴を分注することができるスチール針を備えるゴニオメータ及び適切な画像分析ソフトウェア(好適な器具は、DSA100液滴形状分析装置(Kruss GmbH(Hamburg、Germany)又は等価物)を使用して決定される。2つの試験流体:ASTM仕様D1193-99に従ったII型試薬水(蒸留水)及び99+%純度のジヨードメタン(両方ともSigma Aldrich(St.Louis,MO)から入手可能)を使用する。これら2つの試験流体からの接触角を更に使用して、Fowkes理論に基づいて表面エネルギーを算出することができる。すべての試験は、約23℃±2℃及び相対湿度約50%±2%で行うものとする。
【0137】
接触角の測定は、原材料から採取した試験片、又は吸収性物品から切り離した材料層から得られた試験片について行う。材料層を吸収性物品から切除する際には、そのプロセスで試料層にいかなる汚染又は変形も付与しないように注意を払う。試験場所が接着剤にあるとき、接着剤層を汚染する可能性を低下させるために、存在し得る保護カバーを、測定が行われるまで取り外さない。試験片は、ゴニオメータのステージに適合し、塗布された試験流体の潜在的な拡散に対応することができるように、適切なサイズのものでなければならない。合計20個の試験場所(各試験流体について10個の場所)に十分な試験片を調製する。
【0138】
角度計を振動隔離テーブルに設置し、製造業者の説明書に従ってステージを水平にする。ビデオ撮像装置は、試験片の表面に試験流体の液滴が当たった時点から試験片の表面から解像できなくなる時点まで、少なくとも10~20枚の画像を撮像可能な取得速度を有する必要がある。典型的な撮像速度は、900枚の画像/秒である。試験片の疎水性/親水性に応じて、液滴は、試験片の表面を急速に濡らしてもよいし、又は濡らさなくてもよい。試験片が、試験流体を遅い速度で吸収することができる場合、液滴の体積の2%以下が試験片に吸収されるまで、画像を取得するべきである。試験片が試験流体を急速に取得できる場合には、第2の画像が2%より大きい体積喪失を示す場合、第1の解像画像を使用しなければならない。
【0139】
試験片を角度計のステージに置き、皮下注射針を製造業者の説明書で推奨される表面からの距離(典型的には3mm)に調整する。必要に応じて、試験片の位置を針の先端の下方の試験場所に置くように調整する。試験片の表面上の液滴の鮮明な画像を撮像することができるように、ビデオ装置の焦点を合わせる。画像取得を開始する。1.0μL±0.05μLのジヨードメタンの液滴を試験片に載せる。移動による液滴の形状の視認できる変形が存在する場合には、異なる試験場所であるが同等の試験場所で繰り返す。2%以下の液滴の体積喪失が存在する画像から、液滴における2回の角度測定(各液滴縁部について1回)を行う。2つの縁部における接触角が4°超異なる場合には、その値を除外するものとし、試験を試験片上の同等の位置で繰り返す。試験片上の9つの更なる同等の箇所を特定し、合計10回の測定(20回の角度測定)を繰り返す。すべての複製の算術平均を計算し、ジヨードメタンとの接触角として、0.01°単位で報告する。同様に、試験流体としての水との接触角を測定し、水との接触角として0.01°単位で報告する。
【0140】
表面エネルギーを算出するために、ジヨードメタン及び水の両方についての接触角を、上述されたように試験するものとする。次いで、各試験流体についての接触角の値を、各試験流体に関する追加情報と共に使用して、ヤング-デュプレの式及びFowkes理論を用いて、次のようにして計算する:
ヤング-デュプレの式(式1)
sl=γ(cosθ+1)
Fowkes理論(式2)
【0141】
【数4】
式1と式2を組み合わせて、式3を得る
【0142】
【数5】
式中、
sl=接着作業
θ=試験片上でのそれぞれの試験流体についての平均接触角
γ及びγ=試験液及び試験片それぞれの表面張力(単位:mJ/m
γ及びγ=それぞれ表面張力の分散成分及び極性成分(単位:mJ/m
試験流体の特性は、以下のとおりである。
【0143】
【表4】
ジヨードメタンなどの純粋に分散性の溶媒が使用される場合、極性成分がゼロであり、かつ
【0144】
【数6】
であるため、式3は更に以下のように、簡略化され得る。
式4(純粋に分散性の溶媒に対して簡略化された式3)
【0145】
【数7】
【0146】
ジヨードメタンについての表からの表面張力値と、θ(測定値)とを使用し、式4を、表面エネルギーの分散成分(γ )について解くことができ、0.01mJ/m単位で報告される。γ について以前に計算された値とともに、水についての表からの値とθ(測定値)を使用して、式3を、表面エネルギー(γ )の極性成分について解くことができ、0.01mJ/m単位で報告される。試験片の総表面エネルギー(γ)は、γ +γ の合計として計算され、0.01mJ/m単位で報告される。ここで、表面エネルギーの極性成分(γ )を、全表面エネルギー(γ)で除算し、次に100を乗算し、0.01%単位で報告することによって表面極性を計算する。
【0147】
周波数掃引-振動レオメトリー試験方法
振動レオメトリー試験方法を使用して、接着テープ又はホットメルト接着剤組成物の貯蔵弾性率及び(tanδとしても既知である)損失係数を測定する。回転レオメーター(DHR 3、TA Instrumentss社(New Castle、DE、USA)製又は等価物)は、少なくとも0℃~150℃の範囲で0.5℃以上の精度で試料温度制御が可能である。レオメーターは、0.1Nの精度で試験片上の軸線方向の力の制御を可能にするための通常の力制御システムを有する必要がある。レオメーターは、ホットメルト接着剤のための25mmのステンレス鋼平行板工具、又は接着テープの場合は20mmのステンレス鋼平行板工具、接着テープの幅が20mmより小さい場合は、8mmの平行板工具構成で動作する。
【0148】
接着テープ試験片の調製
接着テープに関して、接着テープ幅が20mmより小さい場合、測定用の個々の試験片を、直径20mm又は8mmの円形試料カッターで打ち抜く。剥離フィルムを取り外し、測定試験片を、23℃±0.5℃のレオメーターの下部プレートの中央に配置する。上部レオメータープレートを接着テープと接触させるまで下げる。上部プレートを、約5~10Nの軸線方向の力を用い、23℃±0.5℃で約30~90秒間圧縮して、完全に接触するように接着テープ上に押し付ける。その後、軸線方向の力の制御が1.0Nに設定され、実験中は、±0.1N以下の力に維持される。
【0149】
ホットメルト試験片の調製:
レオメーターを150℃に加熱し、接着剤又はポリマー組成物をレオメーターに導入し、間隙を1050μmに設定し、余分に突出している試料をトリミングし、次いで、間隙を1000μmに設定する。(レオメーターの軸線方向の力の制御は、0Nに設定し、実験中は、±0.1N以内の軸方向の力に維持されるように設定し、それによって、上記の間隙が調整されて、その結果、上で言及した工具の補正に加えて、試料自体の熱膨張/縮小が補正され、過剰充填又は過少充填を回避する。)次いで、レオメーターを、37℃に冷却させ、あるいは25℃のデータを取得する場合には、25℃±0.5℃に冷却させる。
【0150】
測定:
試料を37℃±0.5℃(又は25℃のデータを取得する場合、25℃±0.5℃)で300秒間平衡化する。0.1%ひずみでの振動周波数掃引を、0.01~100Hz[1/s]で、37℃±0.5℃で(又は25℃のデータを取得する場合、25℃±0.5℃で)で実行する。対数に関する事柄では、1桁あたり10ポイントが取得される(周波数テーブルを参照)。
【0151】
分析:
周波数掃引から、貯蔵弾性率G’及び損失係数(tanδ)を計算し、対数に関する事柄において1桁あたり10個の周波数に関して0.01~100Hzまでを記録する。貯蔵弾性率値は、キロパスカル(KPa)を単位とし、0.01KPa単位で報告される。(tanδとしても既知である)損失係数は、100分の1単位で記録される。
【0152】
降伏応力の伸長試験方法
伸長試験方法を使用して、接着剤組成物の試験片の降伏応力を求める。接着剤組成物で形成された薄膜試験片を、逆回転ローラーを備えた特殊な固定具を装備した回転レオメーターで分析し、付与された引張ひずみに関連する応力を測定し、記録する。
【0153】
機器の設定
回転式レオメーター(ARES G2、TA Instruments社(New Castle,DE,USA)製又は等価物)には、フィルムの引張変形を照合するために特異的に設計された逆回転円筒形金属ローラーを有する固定具を取り付ける。好適な固定具の例は、伸長粘度固定具、又はEVF(EVF、TA Instruments、又は等価物)である。レオメーターには、少なくとも-50~250℃の温度を0.5℃の許容差内で制御することが可能な強制対流式オーブンFCO(FCO、TA Instruments、又は等価物)及び冷却システム(ACS2、TA Instruments、又は等価物)を更に取り付ける。
【0154】
試験片の調製
接着剤が基材に載せられている場合、その接着剤を試験片として調製する前に、その接着剤を分離させる必要がある。これは、テトラヒドロフラン(Tetrahydrofuran、THF)のような有機溶媒で接着剤を抽出し、その後、室温20℃~30℃で全溶媒を穏やかに蒸発させて、試験片調製のための接着剤を得ることによって行うことができる。
【0155】
試験片を調製するために、2g~10gの接着剤組成物を、平底(直径60mm又は25mm±2mm)を有する円形のポリテトラフルオロエタン(polytetrafluoroethane、PTFE)製のボウルに入れ、170℃に保持された真空オーブンに導入する。周囲圧力において15分後、圧力を10mbarに下げ、続いて接着剤組成物を170℃及び10mbarで45分間保持して、接着剤組成物から気泡を除去する。170℃が接着剤組成物を溶融するのに不十分である場合、ポリマー材料組成物の溶融温度を超える30±10℃の温度を使用する。接着剤組成物を真空オーブンから取り出し、90±30分間かけて周囲実験室条件(23±2℃)に放冷し、その時点で接着剤組成物をPTFE製ボウルから取り出し、2枚のシリコン処理紙(例えば、製品番号114918、Mondi Group社(Hilm,Austria)又は等価物)の間に置く。厚さ500±30μmの金属シムをスペーサーとして加熱プレスで使用して、ポリマーフィルムを形成するのに十分な圧力において90℃で60秒間加熱プレスで加圧したときに、500μmのフィルム厚を得る。90℃が均一な平坦なフィルムを押すには不十分である場合、試料材料組成物が半固体状態にあるように、試料材料組成物の融点よりも約10±5℃低い温度を用いる。試験前に、フィルムを23±2℃の実験室で少なくとも120時間保管する。フィルムから、試料カッターを用いて、測定用の個々の試験片を20.0mm×10.0mm×500μmの最終試験片寸法に打ち抜く。
【0156】
測定
試験片フィルムをEVFに固定するために、試験片をEVFのシリンダに短時間押し付けて、それをシリンダ表面に固定する。試験片は、その長さ方向が、シリンダの回転軸線に対して垂直になるように配置する。
【0157】
次いで、EVFに取り付けられた試験片を、熱コンディショニングのためにレオメーターの強制対流式オーブン内に入れ、37±0.5℃で300±10秒間等温で維持した。この時間が経過した後、試験片を機械的にコンディショニングする。試験片を機械的にコンディショニングするために、トルク変換器をゼロにし、試料を0.001s-1のプレ伸び速度下に0.30秒間置き、次いで、60秒間弛緩させる(この方法では、すべてのひずみを、「真ひずみ」又は「対数ひずみ」としても知られるヘンキーひずみに換算して表す)。
【0158】
37℃±0.5℃のFCOオーブン内において測定を実施する。測定のためのひずみ速度伸びは1s-1であり、最大伸長時のひずみは4.0である。測定後、試験片を破裂について検査する。破裂していた場合には、破断の位置を記録する。破裂が、EVFの2つのシリンダの間のほぼ中央にある場合、収集されたデータを許容可能であると見なす。そうでなければ、ポリマーフィルムの破断が回転シリンダに、又はその近くにある場合、結果を廃棄し、複製試験片に対して再度測定を行う。
【0159】
分析
伸長応力の計算については、一定の体積と仮定する。レオメーターによって記録されたトルク対角変位の生データから、伸長応力(キロパスカル又はkPa単位)対ヘンキーひずみデータを計算する。横座標(線形目盛)上のヘンキーひずみ及び縦座標(対数目盛)上の伸長応力を用いて、片対数様式でデータをプロットする。このプロットでは、ヘンキーひずみの0.7と1.3との間の線形範囲が求められる。ゼロのヘンキーひずみにおけるフィッティングされたラインの値(すなわち、y切片)が降伏応力として定義され、これは、四捨五入してキロパスカル単位で報告される。
【0160】
(マイクロファイバー製下着に対するPFAの)剥離力試験方法
本剥離力試験方法を使用して、吸収性物品の衣服に面する側のパンティ締結接着剤(PFA)からマイクロファイバー材料のストリップを剥離するために必要な力を判定する。本方法は、使用中にユーザの下着に付着した吸収性物品の取り外しをシミュレートすることを意図する。測定した力がセルの限界の1%~99%以内となるロードセルを使用した、コンピュータにインターフェースで接続された定速の延伸引張試験機(好適な計器は、MTS Systems Corp.(Eden Prairie,MN)から入手可能な、MTS Alliance、又は等価物であり、Testsuiteソフトウェアを使用するもの)で、剥離力を測定する。すべての試験は、23℃±3℃及び相対湿度50%±2%で調整された室内で実施され、試験試料は、試験前に少なくとも2時間、この環境下で調整される。
【0161】
剥離試験中に試験試料を支持するために、剛性のバッキングプレート(厚さ約1.5mmのステンレス鋼)を使用する。バッキングプレートの寸法は、以下のように試験される試料のサイズによって決定される。プレートの長さは、試験試料の長手方向全長よりも約25mm長く、プレートの幅は、その最も広い位置(ウィングを除く)で測定された試験試料の横方向幅よりも約10mm広い。
【0162】
マイクロファイバー材料のストリップを使用して、着用者の下着をシミュレートする。この剥離試験に使用されるマイクロファイバー材料は、92%ポリエステル/8%スパンデックス、130gsm(又は等価物)である。この特定の材料は、Fruit of the Loom,Inc.のマイクロファイバー製のショーツ(最大サイズ、任意の都合の良い供給源から入手可能)から手に入れることができる。試験前に、材料(又は未使用のショーツ)を1回洗浄して、以下のようにいかなる仕上げ剤も除去する。材料(又は未使用のショーツ)は、48gのTideFree and Gentle(又は等価物、ただし臭気防御、酸素系漂白剤、又は布地柔軟剤などの追加の添加剤なし)とともに、高効率の前方投入型洗濯機(任意の都合の良い供給源から入手)内に配置される。洗濯機は、洗浄及びすすぎ用温水を使用して「通常」サイクルに設定される。洗浄サイクルの後、材料(又は未使用のショーツ)を、衣服乾燥機(乾燥センサ付き混転型、任意の都合の良い供給源から入手)に入れる。衣服乾燥機の温度を「レギュラー」に設定し、乾燥センサによって示されるように乾燥するまで乾燥機を動作させる。乾燥後、少なくとも2時間、材料(又は未使用のショーツ)を、23℃±3℃の温度及び50%±2%の相対湿度に制御された室内で平衡化する。試料上のPFAパターンの長手方向の長さの2倍よりも約30mm長い長さを伴う、PFAパターンの最も広い部分に等しい幅を有する、マイクロファイバー材料のストリップを準備する。マイクロファイバー材料のストリップは、PFAパターンの全幅を覆うのに十分な幅、及びPFAパターンの全長を覆うのに十分な長さでなければならず、それ自体が完全に重なり合い、また依然として引張試験機の上部グリップへと挿入するのに十分な余分な残り部分を有していなければならない。マイクロファイバー材料がショーツから得られる場合、ストリップの長さは、ウエストバンドに垂直な方向に切断され、いかなる縫い目、ウエストバンド材料、又はマチも含むべきではない。材料のどちらの側が、身体に面するように意図されている(すなわち、ショーツの内側)かに留意する。マイクロファイバー材料のストリップの長さは、試験試料上のPFAパターンの長手方向全長を覆うのに十分な長さでなければならない。しかしながら、ショーツから得られたマイクロファイバー材料のストリップが前述のように自らに重なり合うのに十分な長さではない場合、非弾性標準綿材料のストリップ(100%漂白綿織物、約100g/m、Testfabrics,Inc.(West Pittston,PA)から入手可能、又は等価物)を使用して、マイクロファイバーストリップの後端の長さを補足する。標準綿をマイクロファイバーストリップと同じ幅に切断し、以下のようにマイクロファイバーストリップに取り付ける。標準綿のストリップの長手方向端部のうちの1つを、マイクロファイバーストリップの後端部の上に配置し、マイクロファイバーの後端部と25mmだけ重ねる。マイクロファイバー及び綿ストリップの横方向の縁部が整列していることを確認し、次いで、一片のマスキングテープ(1インチ幅、任意の都合の良い供給源から入手)を使用して、標準綿ストリップをマイクロファイバー材料のストリップに固定する。マスキングテープは、その幅がマイクロファイバー及び綿ストリップの等しい部分を覆うように、材料ストリップの長手方向の長さに対して垂直に配置される。マスキングテープは、重ね合わさっているストリップの両側を覆うことができるように十分に長い。マスキングテープは、材料ストリップの両側にしっかりと押し付けられて、確実に、適切な固定を実現させる。各試験試料に対して、新しいマイクロファイバー材料のストリップを使用する。
【0163】
パッド付き重量アセンブリを使用して、マイクロファイバー材料のストリップがPFAに、確実に、適切かつ均等に付着するようにする。重量アセンブリは、試験試料とほぼ同じ長さ及び幅(ウィングを除く試験試料上の最も広い場所で測定された幅)を有する基部により、26~27g/cmの圧力を付与しなければならない。重量アセンブリは、以下のように構築される。ポリエチレンフィルムの単層(厚さ0.02~0.04mm;任意の便利な供給源)をベンチ表面上に平らに置く。所定の基部サイズに切断された、可撓性断熱発泡体(Buna-N/PVC、厚さ1インチ、密度4.5ポンド/立方フィート;McMaster-Carr(Princeton,NJ)から入手可能、又は等価物)を、フィルムの上部の中心に置く。次に、ハンドルを伴う金属重量(所定の基部サイズと同じ長さ及び幅)を、両面テープを使用して断熱発泡体に取り付ける。次に、ポリエチレンフィルムを断熱発泡体の周囲に巻き付け、透明テープを使用して金属重量の側部に固定する。
【0164】
試験試料を調製するために、まず、存在する任意の包装材からそれを除去するが、PFA保護カバー(例えば剥離紙)を無傷のまま残す。包装材が保護カバー(例えば、PFAが包装材に直接付着される)である場合、次に、包装材を無傷のまま残す。試料が折り曲げられている場合、それを穏やかに広げ、しわを滑らかにし、試料のどの端部が前方端部であることが意図されるかを決定する。ウィングが存在する場合、ウィングを広げる。PFA保護カバーを乱すことなく、鋼鉄定規(NIST認定)を使用してPFAパターンの全長を決定し、PFAとしてmm単位まで記録する。
【0165】
以下のように、試料をバッキングプレートに取り付ける。バッキングプレートを水平に平坦な剛性表面上に置く。試料の身体に面する側面を下向きにして、試料をバッキングプレート上に横方向に中心に配置し、試料の前方長手方向縁部を、バッキングプレートの上部長手方向縁部から1cm以内に整列させる。試料は、以下のように片面テープ(幅約1インチ)を使用して、バッキングプレートに固定される。テープは、PFAパターンの任意の部分から約1cmよりも近づかないように配置され、PFA保護カバー(例えば、剥離紙、包装材)のいずれの部分にもテープが取り付けられていない。試料の端部を、試料の横方向軸線にほぼ平行に配置されたテープのストリップと重ね合わせることによって、試料の前方端部をバッキングプレートに固定する。ここで、試料を引っ張ってしわを取り除き、試料の端部を、試料の横方向軸線にほぼ平行に配置されたテープのストリップと重ね合わせることによって、試料の後方端部をバッキングプレートに固定する。試料がウィングを含まない場合、テープのストリップを使用して、試料の両側の横方向縁部の全長をバッキングプレートに固定する。試料がウィングを含む場合、各ウィングをバッキングプレートの横方向縁部の周りに折り曲げ、テープでプレートの裏側に固定する。次に、同様の方法で、試料の両側の横方向縁部の残りの長さを、バッキングプレートの上側面に固定する。試料は、剥離プロセス中にバッキングプレートに対して平坦に維持するために、伸張せずにぴんと張って保持されるような方法で固定される。PFAがバックシート全体を覆う場合、テープが各端部に約1cm以下で重なり合うように、試料の前方縁部及び後方縁部のみでテープが使用される。
【0166】
試料がバッキングプレートに固定され、試料のPFA側が上向きになっている状態で依然として平らな剛性表面上に置かれた後、以下のとおり、マイクロファイバー材料の準備されたストリップを取り付ける。PFA保護カバーを試料から取り出し、PFAパターンが長手方向に連続しているか否か(例えば、その長手方向の長さに沿って横方向の空間がない1つ以上のストライプ)を決定する。PFAパターンの全体の長手方向長さを測定し、PFAとして0.1mm単位で記録する。マイクロファイバー材料のストリップを試料の上に横方向に中心に置く(ショーツの内側は試料に面する)。マイクロファイバー材料のストリップの先端を、PFAパターンの前方縁部の上で1cm以下の距離に位置付ける。マイクロファイバー材料のストリップの長手方向軸線を試料の長手方向軸線と位置合わせし、それをPFAパターンの前方縁部に固定する。マイクロファイバー材料又は試料にしわを作ることなく、PFAパターンの残りの部分にマイクロファイバー材料のストリップを貼り付けし続ける。設計により、マイクロファイバー材料(又はマイクロファイバーの長さを補足するために使用される場合は標準綿)の過剰な長さ部分が、マイクロファイバー材料のストリップの後端と呼ばれる試料の長手方向後端部から突き出している。準備した重量アセンブリを、中央に配置し、次に、試料にわたって、取り付けられたマイクロファイバー材料のストリップの上部に置く。30±2秒が経過した後、重量アセンブリを取り外し、それを脇にどけておく。試料は、試験のために予め浸漬され、重量アセンブリが取り外された後に1分以内に分析されなければならない。
【0167】
引張試験機を定速伸長の一軸延伸のためにプログラムして、以下のように経路長を設定する。標点距離は、バッキングプレートの長さによって決定され、下側グリップ内にはないバッキングプレートの長さよりも約10mm長い距離に設定される。標点距離は、NIST又は同等物に追跡可能な較正された定規を使用して設定される。クロスヘッド及びロードセルをゼロ点調整する。経路長は、PFAパターンの長さPFAによって決定され、PFAよりも約5mm長い距離に設定される。取り付けられたマイクロファイバー材料のストリップを乱すことなく、(試験試料の後方端部が固定される)バッキングプレートの底部長手方向縁部の約10mmを、引張試験機の底部固定具の把持部内に挿入し、試料の一部がグリップ内にはないということを確実にする。バッキングプレートは、引張試験機の中央引張り軸を中心とし、かつ平行でなければならない。ここで、マイクロファイバー材料のストリップ(又はマイクロファイバー材料の長さを補うために使用される場合は標準綿)の後端を引張試験機の上部固定具のグリップに挿入する。材料のストリップが中央に配置され、引張試験機の中央引張り軸線に平行であることを確実にする。上部グリップ中の材料のストリップの量を調節して、PFAパターンの後端におけるマイクロファイバー材料(及び、もし使用される場合には綿)のたるみを最小限に抑え、早期の剥離を防止するために、0.1N以下の張力が存在することを確実にする。経路長全体について1016mm/minの速度でクロスヘッドを上昇させ、試験全体を通して50Hzで力(N)及び伸長(mm)データを収集する。クロスヘッドを元の位置に戻す。力(N)対伸張(mm)のグラフを作成する。
【0168】
長手方向に連続しているPFAパターンを有する試験試料について、経路長に沿って平均の力(F)を計算し、経路長の初期及び最終1cm内のすべてのデータポイントを除外し、0.01N単位で記録する。同様の様式で、試験を合計5つの複製試験試料について繰り返す。平均の力(F)についての算術平均を計算し、マイクロファイバー製下着の平均の力として、0.01N単位で報告する。
【0169】
長手方向に連続していないPFAパターン(例えば、その長手方向の長さに沿って存在する1つ以上の空間)を有する試験試料について、得られたグラフは、一連のピーク(接着領域)及び谷部(非接着領域)からなり得る。このタイプの試料について、経路長に沿った各ピークにおける最大の力を、経路長の初期及び最終1cm内のすべてのデータポイントを除外し、0.01N単位で記録する。すべてのピークについてピークの力(F)の平均を計算し、0.01N単位で記録する。同様の様式で、試験を合計5つの複製試験試料について繰り返す。ピークの力(F)の平均についての算術平均を計算し、マイクロファイバー製下着の平均のピークの力として、0.01N単位で報告する。
【0170】
接着剤残留物試験法
この試験方法は、PFA(パンティ締結接着剤)によってユーザの下着に接着された吸収性物品の使用中の取り外しをシミュレートすることを意図している。取り外し後、下着の上の残留接着剤の存在を、カーボンブラック紙で残留物の見やすさを向上させた後に目視検査によって判定する。すべての試験は、23℃±3℃及び相対湿度50%±2%で調整された室内で実施され、試験試料は、試験前に少なくとも2時間、この環境下で調整される。
【0171】
試験試料の取り外しの最中に、現実的なやり方で下着を支持するために、ユーザの下肢をシミュレートするために一対のシリンダが使用される。各シリンダは、直径6インチ、高さ約18インチであり、高密度ポリプロピレンフォーム(例えば、Amazon.comから入手可能なAmazonBasics高密度ラウンドフォームローラー又は等価物)で構成される。シリンダは、傾斜を防止するのに十分な大きさの剛性基部上で互いに約6インチ離れて取り付けられ、使用中の回転を防止するように固定される。
【0172】
Fruit of the Loom,Incによって製造された、女性用サイズ8、白色、100%綿ショーツ(任意の都合の良い供給源から入手可能)又は等価物を、この試験のための下着として使用される。使用前に、綿ショーツを30回洗浄して、以下のようにあらゆる仕上げ剤を除去する。綿製のショーツは、48gのTideFree and Gentle(又は等価物、ただし臭気防御、酸素系漂白剤、又は布地柔軟剤などの追加の添加剤なし)とともに、高効率の前方投入型洗濯機(任意の都合の良い供給源から入手)内に配置される。洗濯機は、洗浄及びすすぎ用温水を使用して「通常」サイクルに設定される。洗浄サイクルの後、ショーツを、衣服乾燥機(乾燥センサ付き混転型、任意の都合の良い供給源から入手)に入れる。衣服乾燥機の温度を「レギュラー」に設定し、乾燥センサによって示されるように乾燥するまで乾燥機を動作させる。この洗浄/乾燥サイクル全体を30回繰り返す。30回目の乾燥サイクル後、少なくとも2時間にわたって、綿製ショーツを、23℃±3℃の温度及び50%±2%の相対湿度に制御された室内で平衡化する。
【0173】
発泡体パッド、剛性重量物、及び表面加温機を使用して、試験試料を綿ショーツに、確実に、適切かつ均等に取り付ける。発泡体パッドは、69mm×305mmサイズに切断された、一片の可撓性断熱発泡体(Buna-N/PVC、厚さ1インチ、密度4.5ポンド/立方フィート;McMaster-Carr社(Princeton、NJ)から入手可能、又は等価物)である。白色の綿ショーツと接触するときに脱落を防止するために、発泡体パッドを紙タオルで軽く包み、マスキングテープで固定した。剛性のある、平坦な接触表面重量物は、69mm×305mmであり、ハンドルが取り付けられている。剛性重量物は、10.65kg(重量物の表面積によって付与される圧力は、0.72psi)の総質量(ハンドルを含む)を得るように、任意の材料(例えば、ステンレス鋼)で製造されてもよい。表面加温機は、37℃の設定温度に対応することが可能でなければならず、試験試料、パッド、及び剛性重量物を収容するのに十分に大きい接触表面積を有する。好適な表面加温機は、Premiere Slide Warme、モデルXH-2001(Amazon.comから入手可能)又は等価物である。
【0174】
白色の綿ショーツ上に残された任意の接着剤残留物を見やすくするために、カーボンブラック紙が使用される。好適な紙は、任意の都合の良い供給源から入手できる、サイズA4(21×31cm)のペリカンカーボン1015G紙、又は同等の紙及びサイズである。
【0175】
試験試料は、以下のように綿ショーツに取り付けられる。発泡体パッドを、一対の予備洗浄/乾燥させた綿ショーツのマチ/股部領域の外側に長さ方向に置く。ここで、ショーツを裏返して、マチ/股部領域を発泡体パッド上に添わせ、ショーツの内面が平坦で、しわが生じていない状態であることを確実にする。発泡体パッド及びショーツアセンブリを、ショーツのマチ/股部領域の内側を上向きにして、平坦で剛性のある表面上に置き、どの端がショーツの正面であるかに留意する。試験試料を、いかなる外部包装からも取り出し、展開して、どの端部がパッドの前端部であると意図しているかを決定する。ウィングが存在する場合、試験試料の吸収体又はPFAを妨げないように注意しながら、ハサミを使用して試験試料からそれらを切断する。試験試料上のPFAから、保護カバーを取り外す。試験試料の正面の折り目をショーツ上のマチの前方縁部と位置合わせし、股部領域上方で横方向に中央に配置し、次いで、それに手で、ちょうど十分な圧力をかけて、それをショーツに固定する。試験試料が3回折り畳まれているものではない場合、試験試料の前方3分の1をショーツ上のマチの前方縁部と位置合わせし、同様にして進行させる。ここで、ショーツの右側を外に向け、ショーツのマチ/股部領域の内側に発泡体パッドを置き、取り付けられた試験試料の上に中央に配置した。表面加温機を37℃に設定し、温度設定点に到達させる。ショーツ、試験試料、及び発泡体パッドアセンブリを、加温機とショーツのマチ/股部領域の外側を接触させながら表面加温機上に配置する。ここで、剛性のある0.72psiの重量物を発泡体パッドの上に中央に配置し、5分間のタイマーを開始する。5分が経過した後、重量物及び発泡体パッドをショーツから取り除き、表面加温機からショーツを取り出す。
【0176】
試験試料は、以下のようにショーツから除去される。試験試料が取り付けられたショーツは、ユーザの脚を表す発泡体シリンダ上に配置される。ショーツを上下逆さまにし、一方の脚の穴をシリンダのうちの1つの上方に、次いで他方の脚の穴を他方のシリンダの上方に置く。試験試料の前端が取り付けられた場所に近いショーツの前側を、しっかりと把持する。ここで、試験試料の前端をしっかりと把持する。試験試料の前端を前後方向に引っ張って、素早い動作(約200mm/秒)でショーツから試験試料を取り去る。ショーツから試験試料を取り去るための動作は、下着からのパッドの除去を現実的に模倣することを意図している。
【0177】
接着剤残留物の存在は、以下のようにして判定される。試験試料が除去されたマチの内側を妨げないように注意しながら、シリンダから綿のショーツを除去する。マチ/股部領域の内側が上を向くように、ショーツを平坦な剛性表面上に置く。試験試料が除去された、ショーツの内側のマチを中心として、1枚のカーボンブラック紙を配置する。ここで、剛性を有する0.72psiの重量物を長さ方向に紙の上方に配置し、マチの上方で中央に配置され、重量物の配置により、ショーツ上のカーボンブラック紙のいかなる動きも引き起こさないことを確実にする。あるいは、剛性重量物の代わりに、試験試料が除去された領域に沿ってカーボンブラック紙に手で圧力を加える。15秒経過した後、重量物及びカーボンブラック紙を除去する。試験試料が除去された、ショーツの内側領域全体を視覚的に観察して、何らかの接着剤残留物(現在はカーボンペーパー由来の黒色)の存在を判定した。どれほど小さくても、黒色の点は、残留物を示し、そのように報告されるべきである。
【0178】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、そのような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【0179】
相互参照される又は関連するあらゆる特許又は特許出願、及び本願が優先権又はその利益を主張する任意の特許出願又は特許を含む、本明細書に引用されるすべての文書は、除外又は限定することを明言しない限りにおいて、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いかなる文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求されるいかなる発明に対する先行技術であるとはみなされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献(単数又は複数)と組み合わせたときに、そのようないかなる発明も教示、示唆又は開示するとはみなされない。更に、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照により組み込まれた文書内の同じ用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合、本文書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0180】
本発明の特定の実施形態を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な他の変更及び修正を行うことができる点は当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるすべてのそのような変更及び修正を添付の特許請求の範囲に網羅することが意図される。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図7A
図7B
図7C
図7D
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図11C
図11D
図12A
図12B
図12C
図12D
図13
図14
【国際調査報告】