(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-31
(54)【発明の名称】シリカ及び界面活性ポリマーを含む練り歯磨き組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/25 20060101AFI20230524BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20230524BHJP
A61K 8/86 20060101ALI20230524BHJP
A61K 8/24 20060101ALI20230524BHJP
A61K 8/22 20060101ALI20230524BHJP
A61K 8/21 20060101ALI20230524BHJP
A61K 8/27 20060101ALI20230524BHJP
A61Q 11/00 20060101ALI20230524BHJP
【FI】
A61K8/25
A61K8/81
A61K8/86
A61K8/24
A61K8/22
A61K8/21
A61K8/27
A61Q11/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022562170
(86)(22)【出願日】2021-04-19
(85)【翻訳文提出日】2022-10-11
(86)【国際出願番号】 US2021027872
(87)【国際公開番号】W WO2021216394
(87)【国際公開日】2021-10-28
(32)【優先日】2020-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【氏名又は名称】出口 智也
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【氏名又は名称】村田 卓久
(74)【代理人】
【識別番号】100152423
【氏名又は名称】小島 一真
(74)【代理人】
【識別番号】100206265
【氏名又は名称】遠藤 逸子
(72)【発明者】
【氏名】ラリッサ、アジルバエワ
(72)【発明者】
【氏名】ジェシカ、オング、メサ
(72)【発明者】
【氏名】マルコ、カッジョーニ
(72)【発明者】
【氏名】マシュー、フレイジャー、レアード
(72)【発明者】
【氏名】ユーリ、ボロディミロビィチ、ロイター
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー、メドレー
(72)【発明者】
【氏名】ファン、フー
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム、ハンディー、ハート
(72)【発明者】
【氏名】セタレ、シャーサバリ
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB171
4C083AB172
4C083AB211
4C083AB281
4C083AB282
4C083AB311
4C083AB331
4C083AB351
4C083AB411
4C083AB471
4C083AC122
4C083AC231
4C083AC291
4C083AC301
4C083AC581
4C083AD041
4C083AD042
4C083AD051
4C083AD071
4C083AD072
4C083AD091
4C083AD092
4C083BB01
4C083CC41
4C083DD22
4C083EE01
4C083EE07
(57)【要約】
約348秒以内に少なくとも約1.5倍の剪断後の粘度上昇、粘度回復を示す、シリカ及びポリビニルピロリドンを含む口腔ケア組成物。レオロジーが改善された低水分口腔ケア組成物。逆さにしても練り歯磨きチューブから漏れない低水分口腔ケア組成物。低水分、シリカ、界面活性ポリマー、及び任意選択でポリホスフェートを含む口腔ケア組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
練り歯磨き組成物であって、
(a)前記組成物の約0.01重量%~約5重量%の界面活性ポリマー、好ましくは、ポリビニルピロリドン、架橋ポリビニルピロリドン、N-ビニルピロリドンモノマーに由来する別のポリマー、ポリエチレンオキシド、ポロキサマー又はこれらの組み合わせを含む界面活性ポリマーと、
(b)前記組成物の約0.1重量%~約40重量%の、シリカを含む研磨剤、好ましくは、研磨性シリカ、増粘シリカ又はこれらの組み合わせを含むシリカを含む研磨剤と、
(c)前記組成物の10重量%未満の水分と、を含み、
約0.01~約2.0mg/m
2の界面活性ポリマー対シリカの比、好ましくは、約0.05~約0.80mg/m
2の界面活性ポリマー対シリカの比を有する、練り歯磨き組成物。
【請求項2】
前記練り歯磨き組成物が、ポリホスフェートを含み、好ましくは、前記ポリホスフェートが、ピロホスフェート、トリポリホスフェート、テトラポリホスフェート、ソーダフォスポリホスフェート、ヘキサフォスポリホスフェート、ベネフォスポリホスフェート、ヘキサメタホスフェート、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の練り歯磨き組成物。
【請求項3】
前記練り歯磨き組成物が、ホワイトニング剤を含み、好ましくは、前記ホワイトニング剤が、過酸化水素、過酸化カルバミド、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1又は2に記載の練り歯磨き組成物。
【請求項4】
前記練り歯磨き組成物が、追加の研磨剤を含み、好ましくは、前記追加の研磨剤が、炭酸カルシウム、ピロリン酸カルシウム、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の練り歯磨き組成物。
【請求項5】
前記練り歯磨き組成物が、フッ化物を含み、好ましくは、前記フッ化物が、フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化第一スズ、フッ化アミン、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の練り歯磨き組成物。
【請求項6】
前記練り歯磨き組成物が、スズを含み、好ましくは、前記スズが、フッ化第一スズ、塩化第一スズ、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の練り歯磨き組成物。
【請求項7】
前記練り歯磨き組成物が、亜鉛を含み、好ましくは、前記亜鉛が、フッ化亜鉛、乳酸亜鉛、酸化亜鉛、リン酸亜鉛、塩化亜鉛、酢酸亜鉛、ヘキサフルオロジルコン酸亜鉛、硫酸亜鉛、酒石酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、クエン酸亜鉛、リンゴ酸亜鉛、グリシン酸亜鉛、ピロリン酸亜鉛、メタリン酸亜鉛、シュウ酸亜鉛、炭酸亜鉛、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の練り歯磨き組成物。
【請求項8】
前記練り歯磨き組成物が、添加された水分を含まない、請求項1~7のいずれか一項に記載の練り歯磨き組成物。
【請求項9】
前記シリカが、最大約20μmの中央粒径を有するシリカ粒子を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の練り歯磨き組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリカ及び界面活性ポリマーを含む口腔ケア組成物に関するものである。また、本発明は、剪断後の粘度回復などのレオロジーが改善された口腔ケア組成物に関するものである。また、本発明は、チューブからの漏れが少ない、又は全くないことを示す口腔ケア組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリホスフェート、又はホスフェート基が直鎖状又は環状に2つ以上結合した化合物は、口腔ケア組成物の全般的な成分である。ポリホスフェートは、歯の着色汚れを除去することができる。しかし、より長い鎖のポリホスフェート分子、例えば、3つより多いホスフェート基を有するポリホスフェートは、10%を超えるような水分を含む口腔ケア組成物において加水分解を受けやすくなることもある。したがって、ヘキサメタホスフェートなどの直鎖状ポリホスフェートを含む多くの口腔ケア組成物は、水分の少ない又はより少ない製剤として配合することが可能である。練り歯磨き及び/又は歯磨剤などの口腔ケア組成物中の水分量を少なくすることで、口腔ケア組成物中の成分間の反応性を制限することができる。
【0003】
残念ながら、水分のより少ない製剤は、ポリホスフェートと水分との間、及び/又はスズとシリカとの間など、チューブ内の反応性を防ぐ一方で、増粘するのが難しい場合がある。その結果、水分の添加量が少ない又は添加されていない多くの歯磨剤及び/又は練り歯磨き組成物は、特に吐出後、チューブから流れ出たり、漏れたりすることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、吐出時の粘度回復が改善された低水分練り歯磨き組成物が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書では、(a)組成物の約0.01重量%~約5重量%の界面活性ポリマーと、(b)組成物の約0.1重量%~約40重量%の、シリカを含む研磨剤と、(c)組成物の10重量%未満の水分と、を含み、約0.01~約2.0mg/m2の界面活性ポリマー対シリカ表面積の比を有する、練り歯磨き組成物を開示する。
【0006】
また、本明細書では、(a)組成物の約0.01重量%~約5重量%の界面活性ポリマーと、(b)組成物の約0.1重量%~約40重量%の、シリカを含む研磨剤と、(c)組成物の10重量%未満の水分と、を含み、剪断後5秒未満に測定した第1の粘度を有し、剪断後少なくとも50秒後に測定した第2の粘度を有し、第2の粘度は、第1の粘度より大きい、練り歯磨き組成物も開示する。
【0007】
また、本明細書では、(a)組成物の約0.01重量%~約5重量%の界面活性ポリマー、好ましくは、ポリビニルピロリドン、架橋ポリビニルピロリドン、N-ビニルピロリドンモノマーに由来する別のポリマー、ポリエチレンオキシド、ポロキサマー又はこれらの組み合わせを含む界面活性ポリマーと、(b)組成物の約0.1重量%~約40重量%の、シリカを含む研磨剤、好ましくは、研磨性シリカ、増粘シリカ又はこれらの組み合わせを含むシリカを含む研磨剤と、(c)組成物の10重量%未満の水分と、を含み、約0.01~約2.0mg/m2の界面活性ポリマー対シリカの比、好ましくは、約0.05~約0.80mg/m2の界面活性ポリマー対シリカの比を有する、練り歯磨き組成物も開示する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】増粘シリカ及びポリビニルピロリジンを含む練り歯磨きの粘度回復を示す図である。
【
図2】研磨性シリカ及びポリビニルピロリジンを含む練り歯磨きの粘度回復を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、レオロジーが改善され、かつ/又はチューブからの漏れが少ない又は全くないことを示す、練り歯磨き組成物などの低水分又は無水分口腔ケア組成物に関する。典型的には、水分がより少ない又は全くない口腔ケア組成物は、増粘剤の量を増やすことによって増粘することができる。例えば、増粘剤の量を増やすと、降伏応力(すなわち、ディスペンサ内で組成物の移動を開始するのに必要な力)を増加させることができる。しかし、増粘剤の量を増やして降伏応力を増加させても、それに対応する剪断指数の低下(べき乗則「n」を下げて剪断減粘性を高めること)がなければ、吐出時の組成物の粘度が上昇し、組成物の吐出がより困難になる。つまり、増粘材料の量を増やすことで、チューブ内に保存された組成物を漏れにくくすることはできるが、吐出しにくくなる。これに対して、本明細書では、吐出が容易なままで、剪断減粘性が高いが、剪断後の粘度回復が速いためチューブからの漏れがない組成物が望まれている。
【0010】
意外なことに、ポリビニルピロリドン(PVP)などの特定の界面活性ポリマーとシリカを特定の比で含む組成物は、チューブから吐出された後に粘度回復し得ることがわかっている。チューブから吐出されるような剪断を受けた後に粘度回復を示す組成物は、吐出しやすさを維持しつつ、保存中にチューブから漏れにくい組成物となる可能性がある。重要なのは、これらの予想外の結果は、シリカの利用可能な表面積に対する界面活性ポリマーのmgの対象の範囲内でしか発生しなかったことである。理論に拘束されることを望むものではないが、これらの予想外の結果は、PVPなどの界面活性ポリマーがシリカ表面と反応し、シリカ粒子の周りにコロナや他の超分子構造を形成し、シリカ粒子間の立体安定化又は架橋をもたらす可能性があるために起こったと考えられる。したがって、シリカの表面積がPVPなどの界面活性ポリマーで少なくとも部分的にコーティングされている場合、この独特の練り歯磨きのレオロジーが存在する。
【0011】
定義
本明細書で使用される用語をより明確に定義するために、以下の定義が提供される。別途記載のない限り、以下の定義は、本開示に適用可能である。ある用語が本開示で使用されているが本明細書で具体的に定義されていない場合、その定義が、本明細書に適用される任意の他の開示若しくは定義と矛盾しない限り、又はその定義が適用される任意の請求項を不明確に若しくは不可能にしない限り、IUPAC Compendium of Chemical Terminology,2nd Ed(1997)からの定義を適用することができる。
【0012】
用語「口腔ケア組成物」は、本発明で使用する場合、通常の使用過程において、特定の治療剤を全身投与する目的で意図的に嚥下されるものではなく、むしろ、歯の表面又は口腔組織と接触させるのに十分な時間にわたって口腔内に保持される製品を包含する。口腔ケア組成物の例としては、歯磨剤、練り歯磨き、歯用ゲル、歯肉縁下用ゲル、マウスリンス、ムース、フォーム、マウススプレー、トローチ剤、チュアブル錠、チューインガム、歯用ホワイトニングストリップ、フロス及びフロスコーティング、口臭清涼用溶解性ストリップ、又は義歯用ケア若しくは接着剤製品が挙げられる。口腔ケア組成物はまた、口腔表面に直接塗布又は装着するためにストリップ又はフィルム上に組み込まれてもよい。
【0013】
本明細書で使用する場合、用語「歯磨剤組成物」は、特に指示がない限り、歯用又は歯肉縁下用ペースト、ゲル、又は液体製剤を包含する。歯磨剤組成物は、単相組成物であってもよく、又は2つ以上の別個の歯磨剤組成物の組み合わせであってもよい。歯磨剤組成物は、深い縞状、表面的な縞状、多層状、ペーストをゲルで包囲した状態、又はそれらのいずれかの組み合わせなど、任意の所望の形態であってもよい。2つ以上の別個の歯磨剤組成物を含む歯磨剤中の各歯磨剤組成物は、ディスペンサの物理的に分離された区画内に収容され、同時に吐出されてもよい。
【0014】
本明細書で有用な「有効物質及び他の成分」は、美容的及び/若しくは治療的効果、又はそれらが要求される作用形態若しくは機能により、本明細書において分類又は記載されてよい。しかしながら、本明細書において有用な有効物質及び他の成分は、場合によっては、2つ以上の美容的及び/又は治療的効果をもたらす、あるいは2つ以上の作用形態で機能又は作用してもよいと理解すべきである。したがって、本明細書における分類は便宜上実施されるものであり、成分を、列挙される具体的に規定した機能又は作用に制限しようとするものではない。
【0015】
用語「経口的に許容し得る担体」とは、局所口腔投与に好適な1種以上の相溶性のある固体若しくは液体賦形剤、又は希釈剤を含む。用語「相溶性」は、本明細書で使用する場合、組成物の構成成分が、組成物の安定性及び/又は有効性を実質的に低下させるような方式で相互作用することなく、混合され得ることを意味する。本発明のキャリア又は賦形剤は、以下により完全に記載されるように、マウスウォッシュ又はマウスリンスの通常の及び従来の構成成分を含むことができる。マウスウォッシュ又はマウスリンスのキャリア材料は、典型的には、これらに限定されるものではないが、水、アルコール、保湿剤、界面活性剤、及び、着香剤、甘味剤、着色剤及び/又は冷感剤などの許容改善剤のうちの1つ以上を含む。
【0016】
本発明で使用する場合、用語「~を実質的に含まない(substantially free)」は、組成物中に、かかる組成物の総重量の0.05%以下、好ましくは0.01%以下、より好ましくは0.001%以下の指示物質が存在することを指す。
【0017】
本明細書で使用する場合、用語「~を本質的に含まない(essentially free)」は、指示物質が組成物に意図的に添加されたものでないこと、又は好ましくは分析によって検出可能な濃度では存在しないことを意味する。すなわち、指示物質が、意図的に添加されたその他の物質のうちのいずれかの不純物としてのみ存在する、組成物を包含することを意味する。
【0018】
組成物及び方法は、本明細書において、様々な構成要素又は工程を「含む」という観点で記載されているが、組成物及び方法はまた、別途記載のない限り、様々な構成要素又は工程「から本質的になる」又は「からなる」こともできる。
【0019】
本明細書で使用する場合、用語「又は」は、2つ以上の要素の接続詞として使用される場合に、要素を個々に、及び組み合わせで含むことを意味し、例えば、X又はYは、X若しくはY、又はこれら両方を意味する。
【0020】
本明細書で使用する場合、冠詞「a」及び「an」は、特許請求される又は記載される材料、例えば、「口腔ケア組成物」又は「漂白剤」の1つ以上を意味するものと理解される。
【0021】
特に明記しない限り、本明細書で言及される測定は全て約23℃(すなわち、室温)で行われる。
【0022】
一般に、元素群は、Chemical and Engineering News,63(5),27,1985に掲載されている元素周期表のバージョンで示される番号付けスキームを使用して示される。いくつかの例では、族に割り当てられた共通の名前を使用して、要素の群を示すことができ、例えば、第1族元素のアルカリ金属、第2族元素のアルカリ土類金属といった具合である。
【0023】
いくつかの種類の範囲が本発明に開示される。任意の種類の範囲が開示又は特許請求される場合、範囲の端点並びにその中に包含される任意の部分範囲及び任意の部分範囲の組み合わせを含む、そのような範囲が合理的に包含し得る可能な各数を個々に開示又は特許請求することを意図している。
【0024】
用語「約」は、量、サイズ、配合、パラメータ、並びにその他の数量及び特性が正確ではなく、正確である必要はないが、所望に応じて、許容誤差、変換係数、四捨五入、測定誤差など、並びに当業者に既知のその他の要因を反映して、近似的及び/又はより大きいかより小さい場合があることを意味する。一般に、量、サイズ、配合、パラメータ、又は他の数量若しくは特性は、そのようであると明示的に記載されているか否かに関わらず、「約」又は「近似的」である。「約」という用語はまた、特定の初期混合物から生じる組成物の異なる平衡状態に起因して異なる量も包含する。「約」という用語によって修飾されているか否かに関わらず、特許請求の範囲は、その量に対する均等物を含む。「約」という用語は、報告された数値の10%以内、好ましくは報告された数値の5%以内を意味し得る。
【0025】
口腔ケア組成物は、固体、液体、粉末、ペースト、又はこれらの組み合わせなどの任意の適切な形態であり得る。口腔ケア組成物は、歯磨剤、練り歯磨き、歯用ゲル、歯肉縁下用ゲル、マウスリンス、ムース、フォーム、マウススプレー、トローチ剤、チュアブル錠、チューインガム、歯用ホワイトニングストリップ、フロス及びフロスコーティング、口臭予防用溶解性ストリップ、又は義歯用ケア若しくは接着剤製品であり得る。口腔ケア組成物の構成成分は、フィルム、ストリップ、フォーム、又は可溶性繊維ベースの口腔ケア組成物に組み込まれることができる。口腔ケア組成物は、以下に記載されるように、様々な活性成分及び不活性成分、例えば、シリカ、界面活性ポリマー、低水分又は無水分、ポリホスフェート、研磨剤、フッ化物、スズ、亜鉛、保湿剤、界面活性剤、ホワイトニング剤、他の成分など、並びにこれらの任意の組み合わせを含み得るが、これらに限定されない。
【0026】
本明細書は、本発明を具体的に指摘し、かつ明確に特許請求する、「特許請求の範囲」をもって結論とするが、本発明は、以下の説明からよりよく理解されるものと考えられる。
【0027】
シリカ
本発明の口腔ケア組成物は、シリカを含む。シリカは、研磨性シリカ、増粘シリカ、又はこれらの組み合わせを含み得る。
【0028】
シリカは、シリカ粒子の研磨性の度合いで説明することができる。非研磨性シリカ又は低研磨性シリカは、増粘シリカとしても知られている。シリカ粒子は、中央粒径が約12μmまで(高研磨性シリカ)、約12μm~約14μm(低研磨性シリカ)、約14μmより大きい(非研磨性シリカ)、又は合計で約20μmまでの粒子を有し得る。シリカ粒子の中央粒径の測定方法は、当業者に周知である。
【0029】
BET法(Brunauer、Emmett及びTeller)では、細孔径分布を含む試料の比表面積が測定される。この情報は、溶解速度が比表面積に比例することから、溶解速度の予測に利用される。したがって、表面積はバイオアベイラビリティの予測に用いることができる。更に、製品の性能や製造の一貫性の評価にも有用である。
【0030】
BET法で求めた比表面積は、全ての多孔質構造が小さなガス分子を吸着するため、総表面積(反応面)に関係する。使用した方法は、Ph.Eu.2.9.26 Method II.に準拠している。
【0031】
他の好適なシリカ粒子には、BET表面積が約10m2/g~約600m2/g、約20m2/g~約30m2/g(高研磨性シリカ)、約60m2/g~約90m2/g(低研磨性シリカ)、約200m2/g~約600m2/g(非研磨性シリカ)、約20m2/g~約200m2/g、又は約20m2/g~約600m2/gのシリカ粒子が含まれる。シリカ粒子のBET表面積を求める方法は、当業者には周知である。
【0032】
本発明のシリカは、シリカ研磨剤を含み得る。シリカ研磨剤は、歯から表面の着色汚れを除去するのを助けるために口腔ケア製剤に添加され得る。
【0033】
口腔ケア組成物はまた、シリカゲル(それ自体、及び任意の構造のもの)、沈降シリカ、非晶質沈殿シリカ(それ自体、及び任意の構造のもの)、水和シリカ、及び/又はこれらの組み合わせなどのシリカ研磨剤を含み得る。口腔ケア組成物は、口腔ケア組成物の約5重量%~約70重量%、約5重量%~約40重量%、約10重量%~約60重量%、約10重量%~約50重量%、約20重量%~約50重量%、約25重量%~約40重量%、又は約1重量%~約50重量%のシリカ研磨剤を含み得る。
【0034】
口腔ケア組成物は、また、増粘シリカを含み得る。好適なシリカ増粘剤としては、例えば、非限定的な例として、ZEODENT(登録商標)165シリカなどの非晶質沈降シリカが挙げられる。他の非限定的なシリカ増粘剤としては、ZEODENT(登録商標)153、163及び167、並びにZEOFREE(登録商標)177及び265シリカ製品(全てEvonik Corporationから入手可能)、並びにAEROSIL(登録商標)ヒュームドシリカが挙げられる。口腔ケア組成物は、口腔ケア組成物の約0.01重量%~約20重量%、約1重量%~約10重量%、約0.1重量%~約15重量%、又は約1重量%~約25重量%の増粘シリカを含み得る。
【0035】
全体として、口腔ケア組成物は、口腔ケア組成物の約0.01重量%~約70重量%、約0.1重量%~約40重量%、又は約1重量%~約25重量%のシリカを含み得る。
【0036】
界面活性ポリマー
本発明の口腔ケア組成物は、界面活性ポリマーを含む。界面活性ポリマーは、シリカの表面と相互作用して、口腔ケア組成物チューブから吐出された後の粘度回復を提供することができる。
【0037】
ポリマーは、ポリビニルピロリドン(PVP)、架橋ポリビニルピロリドン、N-ビニルピロリドンモノマーに由来する別のポリマー、ポリエチレンオキシド、ポロキサマー、又はこれらの組み合わせを含み得る。
【0038】
口腔ケア組成物は、組成物の約0.01重量%~約15重量%、約0.01重量%~約10重量%、約0.01重量%~約2重量%、約0.01重量%~約5重量%、約0.05重量%~約2重量%未満、約0.05重量%~約1.5重量%、約0.05重量%~約1重量%、又は約0.05重量%~約5重量%の、PVPなどの界面活性ポリマーを含み得る。
【0039】
界面活性ポリマーの好適な量は、口腔ケア組成物中のシリカ粒子によって提供される総表面積に対する界面活性ポリマーの量の比によって説明することができる。好適な比としては、約0.01~約3、約0.01~約2、約0.01~約1.5、約0.01~約1、約0.05~約0.8、約0.05~約0.6、又は約0.1~約0.5mg/m2が挙げられる。
【0040】
理論に拘束されることを望むものではないが、理想的なレオロジー効果(すなわち、剪断後の粘度回復)は、本明細書に記載されるように、シリカ表面積に対するPVPなどの界面活性ポリマーの量の特定の比においてのみ観察されると考えられている。本明細書に記載された比は、シリカの表面積の少なくとも一部が界面活性ポリマーと結合している場合を指している可能性が高い。シリカの表面積が界面活性ポリマーと完全に結合し始めると、練り歯磨き組成物に粘度を提供できる超分子構造が形成される。これ以上量を増やしても効果はない可能性が高い。理論に拘束されることを望むものではないが、シリカに吸着した界面活性ポリマーにより提供された超分子構造は、全体として粘度を増加させることしかできず、練り歯磨き組成物の吐出が困難になるなどの悪影響ももたらし得る他の増粘剤とは異なり、独特の粘度回復挙動を提供したと考えられる。
【0041】
水分
口腔ケア組成物は、無水分又は低水分製剤であり得る。全体として、本発明の口腔ケア組成物は、組成物の0重量%~約25重量%、0重量%~約10重量%、最大約10重量%、10重量%未満、5重量%未満、又は1重量%未満の水分を含む。水分は、製剤に直接添加されてもよく、及び/又は他の成分を含めることによって口腔ケア組成物に含まれてもよい。好ましくは、添加される場合、水分はUSP水である。水分及びポリホスフェート、スズ及びシリカなど、口腔ケア組成物内の成分間の反応性を防止及び/又は軽減するために、特定の口腔ケア組成物では水分がより少ない又は全くない製剤が好ましい。
【0042】
ポリホスフェート
歯磨剤組成物は、ポリホスフェートを含み得る。ポリホスフェートは、ポリホスフェート源によって提供することができる。ポリホスフェート源は、1つ以上のポリホスフェート分子を含み得る。ポリホスフェートは、オルトホスフェートの脱水及び縮合によって様々な鎖長の直鎖及び環状ポリホスフェートをもたらすことにより、得られる物質の部類である。したがって、ポリホスフェート分子は、一般に、以下に記載されるように、ポリホスフェート分子の平均数(n)で同定される。ポリホスフェートは一般に、主に直鎖構造に配置された2つ以上のホスフェート分子からなると理解されているが、いくつかの環状誘導体が存在する場合もある。
【0043】
好ましいポリホスフェートには、有効濃度での表面吸着により十分な非結合のホスフェート官能基を生成し、これがアニオン性表面電荷並びに表面の親水性特徴を強化するように、平均して4つ以上のホスフェート基を有するものが含まれる。本発明において好ましいものは、式:XO(XPO3)nX(式中、Xは、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、又は任意の他のアルカリ金属カチオンであり、nは、平均約4~約21である)を有する直鎖状ポリホスフェートである。カルシウムなどのアルカリ土類金属カチオンは、フッ化物イオン及びアルカリ土類金属カチオンを含む水溶液から不溶性フッ化物塩を形成する傾向があるため、好ましくない。したがって、本明細書に開示される歯磨剤組成物は、ピロリン酸カルシウムを含まなくてもよく、又は実質的に含まなくてもよい。
【0044】
好適なポリホスフェート分子のいくつかの例としては、例えば、テトラポリホスフェート(n=4)、ソーダフォス(sodaphos)ポリホスフェート(n=6)、ヘキサフォス(hexaphos)ポリホスフェート(n=13)、ベネフォス(benephos)ポリホスフェート(n=14)、ヘキサメタホスフェート(n=21)(Glass Hとしても知られる)を挙げることができる。ポリホスフェートとしては、FMC Corporation、ICL Performance Products、及び/又はAstarisによって製造されるポリホスフェート化合物を挙げることができる。
【0045】
口腔ケア組成物は、組成物の約0.01重量%~約15重量%、約0.1重量%~約10重量%、約0.5重量%~約5重量%、約1~約20重量%、又は約10重量%以下のポリホスフェートを含み得る。
【0046】
追加の研磨剤
口腔ケア組成物は、口腔ケア組成物の約0.5重量%~約75重量%の追加の研磨剤を含むことができる。口腔ケア組成物は、組成物の約5重量%~約60重量%、約10重量%~約50重量%、又は約15重量%~約55重量%、又はこれらの組み合わせの追加の研磨剤を含むことができる。追加の研磨剤は、カルシウム含有研磨剤、カーボネート研磨剤、ホスフェート研磨剤、アルミナ研磨剤、他の好適な研磨剤、及び/又はこれらの組み合わせであり得る。いくつかの研磨剤は、例えば、カルシウム含有研磨剤及びカーボネート研磨剤の両方である炭酸カルシウムなどの、いくつかの分類上のカテゴリーに属してもよい。
【0047】
カルシウム含有研磨剤は、炭酸カルシウム、リン酸二カルシウム、リン酸三カルシウム、オルトリン酸カルシウム、メタリン酸カルシウム、ポリリン酸カルシウム、カルシウムヒドロキシアパタイト、及びこれらの組み合わせを含むことができる。
【0048】
カルシウム含有研磨剤は、炭酸カルシウムを含み得る。カルシウム含有研磨剤は、微粉砕天然白亜、粉砕炭酸カルシウム、沈殿炭酸カルシウム、及びこれらの組み合わせからなる群から選択することができる。
【0049】
カーボネート研磨剤は、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、及び/又はこれらの組み合わせを含むことができる。
【0050】
ホスフェート研磨剤は、リン酸カルシウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、リン酸二カルシウム、リン酸三カルシウム、オルトリン酸カルシウム、メタリン酸カルシウム、ポリリン酸カルシウム、ポリホスフェート、ピロホスフェート、及び/又はこれらの組み合わせを含むことができる。
【0051】
アルミナ研磨剤は、多結晶アルミナ、焼成アルミナ、溶融アルミナ、湿式粉砕アルミナ、水和アルミナ、及び/又はこれらの組み合わせを含むことができる。
【0052】
他の好適な研磨剤としては、珪藻土、硫酸バリウム、ウォラストナイト、パーライト、ポリメチルメタクリレート粒子、トスパール、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0053】
フッ化物
歯磨剤組成物は、フッ化物を含み得る。フッ化物は、フッ化物イオン源によって提供することができる。フッ化物イオン源は、フッ化第一スズ、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化アミン、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化亜鉛、及び/又はこれらの混合物などの1つ以上のフッ化物含有化合物を含むことができる。
【0054】
フッ化物イオン源及びスズイオン源は、スズイオン及びフッ化物イオンを生成することができる、例えばフッ化第一スズなどの同じ化合物であり得る。加えて、フッ化物イオン源及びスズイオン源は、スズイオン源が塩化第一スズであり、フッ化物イオン源がモノフルオロリン酸ナトリウム又はフッ化ナトリウムである場合など、別個の化合物であり得る。
【0055】
フッ化物イオン源及び亜鉛イオン源は、亜鉛イオン及びフッ化物イオンを生成することができる、例えばフッ化亜鉛などの同じ化合物であり得る。加えて、フッ化物イオン源及び亜鉛イオン源は、亜鉛イオン源がリン酸亜鉛であり、フッ化物イオン源がフッ化第一スズである場合など、別個の化合物であり得る。
【0056】
歯磨剤組成物は、約50ppm~約5000ppm、好ましくは約500ppm~約3000ppmの遊離フッ化物イオンを提供することができるフッ化物イオン源を含んでもよい。口腔ケア組成物は、口腔ケア組成物の約0.001重量%~約10重量%、0.01重量%~約5重量%、約0.1重量%~約2重量%、又は約0.5重量%~約1.5重量%のフッ化物を含み得る。
【0057】
スズ
本発明の口腔ケア組成物は、スズを含み得る。スズは、スズイオン源によって提供することができる。スズイオン源は、歯磨剤組成物中にスズイオンを提供することができ、及び/又は歯磨剤組成物が口腔に適用されるときに、口腔にスズイオンを供給することができる任意の好適な化合物であり得る。スズイオン源は、フッ化第一スズ、塩化第一スズ、臭化第一スズ、ヨウ化第一スズ、酸化第一スズ、シュウ酸第一スズ、硫酸第一スズ、硫化第一スズ、フッ化第二スズ、塩化第二スズ、臭化第二スズ、ヨウ化第二スズ、硫化第二スズ、及び/又はこれらの混合物などの1つ以上のスズ含有化合物を含み得る。好ましくは、スズイオン源は、フッ化第一スズ、塩化第一スズ、及び/又はこれらの混合物を含み得る。
【0058】
口腔ケア組成物は、口腔ケア組成物の約0.001重量%~約10重量%、0.01重量%~約5重量%、約0.1重量%~約2重量%、又は約0.5重量%~約1.5重量%のスズを含み得る。
【0059】
亜鉛
口腔ケア組成物は、亜鉛を含み得る。亜鉛は、亜鉛イオン源によって提供することができる。亜鉛イオン源は、フッ化亜鉛、乳酸亜鉛、酸化亜鉛、リン酸亜鉛、塩化亜鉛、酢酸亜鉛、ヘキサフルオロジルコン酸亜鉛、硫酸亜鉛、酒石酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、クエン酸亜鉛、リンゴ酸亜鉛、グリシン酸亜鉛、ピロリン酸亜鉛、メタリン酸亜鉛、シュウ酸亜鉛、及び/又は炭酸亜鉛などの1つ以上の亜鉛含有化合物を含み得る。
【0060】
口腔ケア組成物は、口腔ケア組成物の約0.001重量%~約10重量%、0.01重量%~約5重量%、約0.1重量%~約2重量%、又は約0.5重量%~約1.5重量%の亜鉛を含み得る。
【0061】
保湿剤
口腔ケア組成物は、保湿剤を含んでもよく、低濃度の保湿剤を含んでもよく、又は保湿剤を含まなくてもよい。湿潤剤は、口腔ケア組成物又は歯磨剤に濃さ(body)又は「口当たり」を加えるだけでなく、歯磨剤が乾燥するのを防止する役割を果たす。好適な保湿剤としては、ポリエチレングリコール(様々な異なる分子量で)、プロピレングリコール、グリセリン(グリセロール)、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、ブチレングリコール、ラクチトール、加水分解水添デンプン、及び/又はこれらの混合物が挙げられる。口腔ケア組成物は、各々口腔ケア組成物の0~約70重量%、約5重量%~約50重量%、約10重量%~約60重量%、又は約20重量%~約80重量%の濃度で1つ以上の保湿剤を含み得る。
【0062】
界面活性剤
口腔ケア組成物は、1つ以上の界面活性剤を含み得る。界面活性剤は、組成物をより美容的に許容可能にするために使用することができる。界面活性剤は、好ましくは、組成物に洗浄性及び起泡性を付与する洗浄性材料である。好適な界面活性剤は、安全かつ有効な量のアニオン性、カチオン性、非イオン性、双性イオン性、両性及びベタイン界面活性剤、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルイセチオン酸ナトリウム、ラウロイルメチルイセチオン酸ナトリウム、グルタミン酸ココイルナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウロイルサルコシン酸、ミリストイルサルコシン酸、パルミトイルサルコシン酸、ステアロイルサルコシン酸及びオレオイルサルコシン酸のアルカリ金属塩又はアンモニウム塩、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、イソステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン及びラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、N-ラウロイルサルコシン、N-ラウロイル、N-ミリストイル、又はN-パルミトイルサルコシンのナトリウム、カリウム、及びエタノールアミン塩、アルキルフェノールのポリエチレンオキシド縮合物、ココアミドプロピルベタイン、ラウラミドプロピルベタイン、パルミチルベタイン、ココイルグルタミン酸ナトリウムなどである。ラウリル硫酸ナトリウムが、好ましい界面活性剤である。口腔ケア組成物は、1つ以上の界面活性剤を各々が口腔ケア組成物の約0.01重量%~約15重量%、約0.3重量%~約10重量%、又は約0.3重量%~約2.5重量%の濃度で含み得る。
【0063】
増白剤
口腔ケア組成物は、口腔ケア組成物の約0.1重量%~約10重量%、約0.2重量%~約5重量%、約1重量%~約5重量%、又は約1重量%~約15重量%のホワイトニング剤を含み得る。ホワイトニング剤は、口腔内の少なくとも1本の歯をホワイトニングするのに好適な化合物であり得る。ホワイトニング剤としては、過酸化物、金属亜塩素酸塩、過ホウ酸塩、過炭酸塩、過酸、過硫酸塩、及びこれらの組み合わせを挙げることができる。好適な過酸化物としては、固体過酸化物、過酸化水素、過酸化尿素、過酸化カルシウム、過酸化ベンゾイル、過酸化ナトリウム、過酸化バリウム、無機過酸化物、ヒドロペルオキシド、有機過酸化物、及びこれらの混合物が挙げられる。好適な金属亜塩素酸塩としては、亜塩素酸カルシウム、亜塩素酸バリウム、亜塩素酸マグネシウム、亜塩素酸リチウム、亜塩素酸ナトリウム、及び亜塩素酸カリウムが挙げられる。その他の好適なホワイトニング剤としては、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、peroxydone、6-フタルイミドペルオキシヘキサン酸、フタルアミドペルオキシカプロン酸、又はこれらの混合物が挙げられる。
【0064】
追加の増粘剤
界面活性ポリマーに加えて、口腔ケア組成物は、追加の増粘剤を含み得る。追加の増粘剤は、歯磨剤組成物において、練り歯磨きを相分離に対して安定化させるゼラチン構造を提供するのに有用である。好適なアドトプマ(addotopma);増粘剤としては、多糖類、及び/又はポリマーが挙げられる。多糖類のいくつかの非限定例としては、デンプン;デンプンのグリセライト;ガム、例えばカラヤガム(ステルクリアガム)、トラガカントガム、アラビアガム、ガティガム、アカシアガム、キサンタンガム、グアーガム及びセルロースガム;ケイ酸アルミニウムマグネシウム(Veegum);カラギーナン;アルギン酸ナトリウム;寒天;ペクチン;ゼラチン;セルロース化合物、例えばセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルカルボキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、及び硫酸化セルロース;天然及び合成粘土、例えばヘクトライト粘土;及びこれらの混合物が挙げられる。
【0065】
追加の増粘剤は多糖類を含むことができる。本明細書での使用に好適な多糖類としては、カラギーナン、ジェランガム、ローカストビーンガム、キサンタンガム、カルボマー、ポロキサマー、変性セルロース、及びこれらの混合物が挙げられる。カラギーナンは海藻由来の多糖類である。その海藻源によって区別され得る、及び/又は硫酸化の程度及び位置によって区別され得る複数種類のカラギーナンが存在する。増粘剤は、カッパカラギーナン、変性カッパカラギーナン、イオタカラギーナン、修飾イオタカラギーナン、ラムダカラギーナン、及びこれらの混合物を含むことができる。本明細書での使用に好適なカラギーナンとしては、FMC Companyからシリーズ名「Viscarin」で市販されているものが挙げられ、限定するものではないが、Viscarin TP 329、Viscarin TP 388、及びViscarin TP 389が挙げられる。
【0066】
追加の増粘剤は、1つ以上のポリマーを含み得る。ポリマーは、歯磨剤組成物の様々な重量パーセントの、並びに様々な範囲の平均分子範囲の、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリアクリル酸、少なくとも1つのアクリル酸モノマーから誘導されたポリマー、又は無水マレイン酸とメチルビニルエーテルとのコポリマー、架橋ポリアクリル酸ポリマーであり得る。
【0067】
口腔ケア組成物は、組成物の0.01重量%~約15重量%、0.1重量%~約10重量%、約0.2重量%~約5重量%、又は約0.5重量%~約2重量%の1つ以上の増粘剤を含み得る。
【0068】
他の成分
口腔ケア組成物は、以下に記載されるように、着香剤、甘味料、着色剤、防腐剤、緩衝剤、又は口腔ケア組成物での使用に好適な他の成分などの様々な他の成分を含み得る。
【0069】
着香剤を口腔ケア組成物に添加してもよい。好適な着香剤としては、冬緑油、ペパーミント油、スペアミント油、クローブバッド油、メントール、アネトール、メチルサリチレート、ユーカリプトール、カッシア、1-メンチルアセテート、セージ、オイゲノール、パセリ油、オキサノン、α-イリソン、マジョラム、レモン、オレンジ、プロペニルグエトール、桂皮、バニリン、エチルバニリン、ヘリオトロピン、4-シス-ヘプテナール、ジアセチル、メチル-パラ-tert-ブチルフェニルアセテート、及びこれらの混合物が挙げられる。清涼剤も着香剤系の一部であってもよい。本組成物に好ましい清涼剤は、N-エチル-p-メンタン-3-カルボキサミド(商業的に「WS-3」として知られている)のようなパラメンタンカルボキシアミド剤、又はN-(エトキシカルボニルメチル)-3-p-メンタンカルボキサミド(商業的に「WS-5」として知られている)、及びこれらの混合物である。着香剤系は、一般に組成物中で、口腔ケア組成物の約0.001重量%~約5重量%の濃度で用いられる。これらの着香剤は、一般に、アルデヒド、ケトン、エステル、フェノール、酸、並びに脂肪族、芳香族、及び他のアルコールの混合物を含む。
【0070】
製品に快い味を付与するために、甘味料を口腔ケア組成物に添加してもよい。好適な甘味料としては、サッカリン(ナトリウム、カリウム又はカルシウムサッカリンとして)、シクラメート(ナトリウム、カリウム又はカルシウム塩として)、アセスルファムK、タウマチン、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、アンモニア化グリチルリチン、デキストロース、レブロース、スクロース、マンノース、スクラロース、ステビア、及びグルコースが挙げられる。
【0071】
製品の審美的外観を改善するために、着色剤を添加してもよい。好適な着色剤としては、限定するものではないが、FDAなどの適切な規制機関によって承認された着色剤、及び欧州食品医薬品指令(European Food and Pharmaceutical Directives)に列挙されている着色剤が挙げられ、TiO2などの顔料、並びにFD&C及びD&C染料などの色素を含む。
【0072】
細菌増殖を防止するために、防腐剤もまた、口腔ケア組成物に添加されてもよい。メチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸、及び安息香酸ナトリウムなどの、口腔用組成物中での使用が承認された適切な防腐剤を、安全かつ有効な量で添加することができる。
【0073】
二酸化チタンもまた本発明の組成物に加えられてもよい。二酸化チタンは、組成物に不透明度を加える白色粉末である。二酸化チタンは、一般に、口腔ケア組成物の約0.25重量%~約5重量%を構成する。
【0074】
減感剤、治癒剤、う蝕予防剤、キレート剤/金属イオン封鎖剤、ビタミン、アミノ酸、タンパク質、他の抗歯垢/抗歯石剤、乳白剤、抗生物質、抗酵素類、酵素類、pH調整剤、酸化剤、酸化防止剤などの他の成分を、口腔ケア組成物中で使用することができる。
【実施例】
【0075】
本発明は、以下の実施例によって更に例示され、これは、いかなる方法であっても本発明の範囲に制限を課すものとして解釈されるべきではない。本明細書の説明を読んだ後に、本発明の趣旨又は添付の特許請求の範囲の範疇から逸脱することなく、それらの様々な他の態様、修正、及び均等物が、当業者に想到され得る。
【0076】
クリープ試験
各種練り歯磨きのチキソトロピー挙動をクリープ試験で測定した。本明細書に記載されるチキソトロピー挙動とは、練り歯磨き組成物が、吐出をシミュレートした剪断を加えた後、降伏応力及び剪断粘度を高い値に回復できる能力であった。
【0077】
クリープ試験は、5分間にわたる剪断の後、ペーストの粘度がどれだけ速く上昇するかを示すために開発された。この方法では、まず35mLの試料を直径30mmのカップ形状(TA instruments,New Castle,Delaware)に装填した。試料を装填した後、直径28mmのベーン形状(TA instrument,New Castle,Delaware)をカップの底から6mmの操作ギャップまで試料内に下降させた。形状が整ったら、ベーンを一定速度で回転させ、剪断速度を一定に保つために必要な応力が、5秒間の2つの連続した間隔で変動5%未満と定義される定常状態になるまで、試料上で40s-1の剪断速度を維持した。定常状態は通常1~2分以内に達成された。
【0078】
次に、試料を最大約1秒間静止させた後、ベーン形状によって試料に6分間、20Paの一定の応力を加えた。20Paは、平均的な大きさの練り歯磨きのチューブを水平にしてカウンターに置いたときに、練り歯磨きに作用する典型的な重力応力に相当すると推定される。6分間の応力印加、すなわちクリープステップの間、ベーンの回転を監視し、瞬間粘度を算出した。瞬間粘度は、印加された応力を瞬間剪断速度で割ったものである。
図1及び
図2のように、瞬間粘度をクリープステップ時間に対してプロットした。
【0079】
粘度回復
表1は、本明細書に記載されたクリープ試験により提供される、いくつかの例示的な製剤の粘度回復を示す。表1で使用した練り歯磨き組成物は、この実施例では界面活性ポリマーであるポリビニルピロリジン(PVP)の量以外は同一であった。表1の計算では、Z165増粘シリカの推定BET表面積は120m2/gであったことに留意されたい。しかし、表面積はかなり大きくなり、650m2/gを超えることがある。練り歯磨き組成物には、グリセリン、ポリエチレングリコール、ポリホスフェート、甘味料、他の増粘剤、界面活性剤、緩衝剤、着香剤、及び市販の練り歯磨きによく見られる審美剤が含まれていた。
【0080】
【0081】
表1に示すように、PVPなどの界面活性ポリマーが存在しない場合、5分後の練り歯磨き組成物の粘度上昇はほとんどない。しかし、PVPを0.072重量%(界面活性ポリマー/シリカ表面積比0.057mg/m2)だけ添加すると、111.5倍の粘度上昇をもたらした。この予期せぬ独特の粘度上昇の結果、吐出プロセス終了後に粘度が急激に上昇することがあるため、吐出後にチューブから漏れない練り歯磨き組成物を実現することができる。
【0082】
0.14重量%、0.3重量%、及び0.72重量%のPVPの添加でも、剪断後5分という短い時間で非常に高い粘度上昇を示した(それぞれ265倍、767倍、及び194倍)。しかし、2重量%のPVPの重量%では、効果(6倍の粘度上昇)は依然としてあるものの、あまり顕著ではなかった。表1の組成物には増粘シリカ(Z165)が10.5重量%含まれているので、必要な界面活性ポリマーの量は利用可能な総表面積に合わせて調整することができる。増粘シリカは、界面活性ポリマーと結合できる表面積が大きくなる。したがって、界面活性ポリマーの量は、練り歯磨き組成物中に存在するシリカ粒子の中央粒径及び量に基づいて調整することができる。
図1は、表1の粘度回復を視覚的に表示したものである。
【0083】
表2は、本明細書に記載されたクリープ試験により提供される、いくつかの例示的な製剤の粘度回復を示す。表2で使用した練り歯磨き組成物は、この実施例では界面活性ポリマーであるポリビニルピロリジン(PVP)の量以外は同一であった。表2は、25重量%の研磨性シリカ(Z109)を使用した。
【0084】
【0085】
表2に示すように、PVPなどの界面活性ポリマーが存在しない場合、5分後の練り歯磨き組成物の粘度上昇はほとんど見られない(表2中のPVPは0.0%)。しかし、PVPを0.05重量%(界面活性ポリマー/シリカ表面積比0.083mg/m2)だけ添加すると、4.1倍の粘度上昇をもたらした。更に、界面活性ポリマー/シリカ表面積比0.167mg/m2に相当するPVPを0.10重量%添加すると、35.3倍の粘度上昇をもたらした。これらの予期せぬ独特の粘度上昇の結果、吐出プロセス終了後に粘度が急激に上昇することがあるため、吐出後にチューブから漏れない練り歯磨き組成物を実現することができる。
【0086】
0.5重量%及び1.0重量%のPVPを添加した場合も、剪断後348秒という短い時間で粘度上昇を示した。しかし、1.5重量%及び2.0重量%のPVPの重量%では、効果はあるものの、あまり顕著ではなかった。表2の組成物には、25重量%で研磨性シリカ(Z109)が含まれている。したがって、必要な界面活性ポリマーの量は、利用可能な総表面積に合わせて調整することができる。研磨性シリカは、界面活性ポリマーと結合できる表面積が少ない。したがって、界面活性ポリマーの量は、練り歯磨き組成物中に存在するシリカ粒子の中央粒径及び量に基づいて調整することができる。
図2は、表2の粘度回復を視覚的に表示したものである。
【0087】
全体として、練り歯磨き製剤は、吐出などの剪断の後、降伏応力及び/又は粘度を速やかに回復できることが望ましい。この急速な粘度回復が、チューブからの漏れを防止することにつながる。
図1及び
図2に示すように、PVPを添加した曲線は、PVPを添加していない対照と比較して、粘度及びチキソトロピーが増加していることがわかる。様々な濃度のPVP及びPVP対シリカの表面積を更に表1及び表2に示す。
【0088】
全体として、シリカの表面積に対する界面活性ポリマーのmgの望ましい比は、約0.01~約3、約0.01~約2、約0.01~約1.5、約0.01~約1、約0.05~約0.8、約0.05~約0.6、又は約0.1~約0.5mg/m2を含む。
【0089】
更に、望ましい組成物は、第1の粘度及び第2の粘度を有し、第2の粘度は、組成物が本明細書に記載のクリープ試験に供されるとき、第1の粘度の少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、約2倍~約1500倍、約3倍~約1250倍、又は約5倍~約1000倍である。本明細書で用いる「X」は倍数を意味し、例えば「2X」は2度又は2倍を意味し、「1000X」は1000倍を意味する。つまり、「X」は、第1の粘度に対する第2の粘度の粘度におけるx倍の増加を示す。
【0090】
望ましい練り歯磨き組成物の第1の粘度は、従来の練り歯磨きチューブから練り歯磨き組成物を吐出するなどの剪断後の約10秒未満、約5秒未満、約1秒未満、又はその直後に測定することができる。
【0091】
望ましい練り歯磨き組成物の第2の粘度は、上述のように、従来の練り歯磨きチューブから練り歯磨き組成物を吐出するなどの剪断の少なくとも約50秒後、少なくとも約100秒後、少なくとも約200秒後、少なくとも約250秒後、少なくとも約350秒後、又は約348秒後に測定することが可能である。
【0092】
このような予想外の結果は、Z109などの研磨性シリカ及びZ165などの増粘シリカの両方で観察された。したがって、どんなシリカでもこのような予想外の結果になることが予想される。更に、シリカ粒子間を架橋することができるどのような界面活性ポリマーでも、これらの結果を示すことができると予想される。
【0093】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、そのような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【0094】
相互参照される又は関連するあらゆる特許又は特許出願、及び本願が優先権又はその利益を主張する任意の特許出願又は特許を含む、本明細書に引用される全ての文書は、除外又は限定することを明言しない限りにおいて、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いかなる文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求されるいかなる発明に対する先行技術であるとはみなされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献又は複数の参考文献と組み合わせたときに、そのようないかなる発明も教示、示唆又は開示するとはみなされない。更に、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照により組み込まれた文書内の同じ用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合、本文書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0095】
本発明の特定の実施形態を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な他の変更及び修正を行うことができる点は当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にある全てのそのような変更及び修正を添付の特許請求の範囲に網羅することが意図される。
【国際調査報告】